(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】2019522394
(43)【公表日】20190808
(54)【発明の名称】連続変数量子暗号化のための位相基準共有方式
(51)【国際特許分類】
   H04B 10/70 20130101AFI20190712BHJP
   H04L 9/12 20060101ALI20190712BHJP
   H04B 10/61 20130101ALI20190712BHJP
【FI】
   !H04B10/70
   !H04L9/00 631
   !H04B10/61
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】30
(21)【出願番号】2018559364
(86)(22)【出願日】20170510
(85)【翻訳文提出日】20181116
(86)【国際出願番号】EP2017061136
(87)【国際公開番号】WO2017194582
(87)【国際公開日】20171116
(31)【優先権主張番号】16305551.0
(32)【優先日】20160511
(33)【優先権主張国】EP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ
(71)【出願人】
【識別番号】510229496
【氏名又は名称】アンスティテュ ミーヌ−テレコム
【住所又は居所】フランス、エフ−75014 パリ市、ダロー通り、37−39
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アローム,ロマン
【住所又は居所】フランス国、75013・パリ、リュ・ドゥ・レスペランス・49
(72)【発明者】
【氏名】マリー,アドリアン
【住所又は居所】フランス国、78000・ベルサイユ、リュ・デ・トゥルネル・18
【テーマコード(参考)】
5J104
5K102
【Fターム(参考)】
5J104AA05
5J104AA16
5J104EA21
5J104NA02
5K102AA61
5K102AB11
5K102AH14
5K102AH17
5K102AH26
5K102AH27
5K102AH31
5K102MA02
5K102MB03
5K102MC06
5K102MH03
5K102MH14
5K102MH27
5K102PB01
5K102PH49
5K102PH50
5K102RB01
5K102RD28
(57)【要約】
局部局部発振器(LLO)を使用して、発振器Aと遠隔受信器Bとの間で量子情報のコヒーレント光学通信を実行するシステム及び関連する方法が開示される。LLOベースの連続変数量子鍵配送(CV−QKD)の例が記載される。自己コヒーレント方式が使用され、前記方式は、信号及び位相基準パルスの両方を同じ光学パルスから導出し、したがって基準位相コヒーレンスに対して本質的に強力な信号を保証することを含む。様々な自己コヒーレンス位相共有方式を実施する異なるCV−QKD設計が記載され、且つ秘密鍵レート及びハードウェア要件に関して比較される。低コストレーザ等の標準の電気通信機器を用いて強力な位相ノイズ耐性を得ることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学チャネルによって接続された発信器Aと遠隔受信器Bとの間で量子情報のコヒーレント光学通信を実行する方法であって、発信器Aは、レーザLAを含み、受信器Bは、コヒーレント受信器を動作させるための局部局部発振器LLOとして使用されるレーザLBを含み、前記方法は、
− Aにおいて、周期iで前記レーザLAによって生成される同じ光学波面から1つ又は2つの光学パルスを位相コヒーレントに導出するステップであって、前記パルスは、前記レーザLAと自己コヒーレントである、ステップと、
− Aにおいて、コヒーレント多重化符号化メカニズムを使用することにより、論理量子情報Qi及び物理位相基準情報Riを前記1つ又は2つの自己コヒーレント光学パルスに符号化するステップと、
− 前記光学チャネルを通してAからBに、多重化されたQi及びRiを送信するステップと、
− Bにおいて、レーザLBによって生成され、且つコヒーレント検出を実行するための局部発振器として使用される単一の光学波面から導出される前記1つ又は2つの自己コヒーレントパルスとの多重化コヒーレント測定を用いて、論理量子情報Qi及び物理位相基準情報Riを測定し、それによりQiの従来の測定値Qmi及びRiの従来の測定値Rmiを取得するステップと、
− Bにおいて、Ri光学パルスと対応するLOパルスとの間の相対位相を推定することにより、Qi光学パルスと対応するLOパルスとの間の周期iでの干渉における相対位相Phiiを特定するステップと、
− Bにおいて、相対位相Phiiの推定値を使用してQmi測定値を補正することにより、論理量子情報Qiを特定するステップと
を含む、方法。
【請求項2】
− Aにおいて、周期iでLAによって生成される前記光学波面から単一の光学コヒーレント状態パルスAlphaiを導出するステップと、
− Aにおいて、位相基準情報Ri及び量子情報Qiの両方を前記パルスAlphaiの直角位相に符号化するステップであって、前記符号化は、前記量子情報Qiをコヒーレントに変位させて、Qiの平均値の変位として前記位相基準情報Riを符号化することによって得られる、ステップと、
− 前記光学チャネルを通してAからBに前記コヒーレント状態Alphaiを送信するステップと、
− Bにおいて、周期iの受信時における前記受信パルスAlpha’iの2つの直角位相を測定するステップであって、前記レーザLBは、前記受信パルスと一致したコヒーレント状態パルスモードを生成するための局部−局部発振器LLOとして使用される、ステップと、
− Bにおいて、前記2つの直角位相を用いてLAとLBとの間の前記相対位相Phiiを特定するステップと、
− Bにおいて、相対位相推定値Phii及び2つの直角位相測定結果を使用して量子情報Qiを特定するステップと
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
− Aにおいて、量子情報及び位相基準情報を前記同じ光学コヒーレント状態パルスAlphaiに符号化するステップであって、前記位相基準情報Riは、量子情報Qiの前記変位平均値として符号化される、ステップと、
− 前記光学チャネルを通してAからBに前記コヒーレント状態Alphaiを送信するステップと、
− Bにおいて、従来の測定結果Xmi及びPmiをもたらす前記受信パルスAlpha(i)の前記2つの直角位相を測定するステップと、
− Bにおいて、サイズWの窓にわたるiの前の測定結果Xmj及びPmjを処理することにより、局部発振器と基準との間の相対位相の推定値Theta_estiを計算するステップであって、0≦i−j≦Wである、ステップと、
− Bにおいて、前記Theta_esti推定値に基づいて未処理の結果に対して位相補正回転を適用し、且つ次に前記変位Riの値を補償することにより、量子情報測定結果Xmi及びPmiの相対位相変動を補正するステップと
を実行することにより、前記相対位相を補正するステップを更に含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
− Aにおいて、2つの異なる光学コヒーレント状態パルスQPi及びRPiを導出するステップであって、前記2つのパルスは、周期iでLAによって生成される単一の光学パルスを2つのパルスに分割し、且つ第1のパルスに対して第2のパルスを遅延させることによって生成される、ステップと、
− Aにおいて、量子情報Qiを前記光学コヒーレント状態QPiの直角位相に符号化するステップと
− Aにおいて、位相基準情報Riを前記光学コヒーレント状態RPiに符号化するステップであって、LAと同相である、前記光学コヒーレント状態RPiの直角位相値は、レーザLAとコヒーレントに大きい値Erだけ変位される、ステップと、
− 前記光学チャネルを通してAからBにコヒーレント状態QPi及びRPiを送信するステップと、
− Bにおいて、2つの位相コヒーレント局部−局部発振器パルスLLOQi及びLLORiを導出するステップであって、前記パルスは、周期iでLBによって生成される単一の光学パルスを2つのパルスに分割し、且つ第1のパルスに対して第2のパルスを遅延させることによって生成される、ステップと、
− Bにおいて、コヒーレント検出を用いて前記受信基準パルスRP(i)の2つの直角位相を測定し、測定結果Xrefi及びPrefiを取得するステップであって、前記光学パルスLLOR(i)は、RPiと一致した局部−局部発振器LLOモードとして使用される、ステップと、
− Bにおいて、前記直角位相測定結果Xrefi及びPrefiを用いてLAとLBとの間の相対位相変動Theta_estiを特定するステップと、
− Bにおいて、周期iでコヒーレント検出を用いて前記受信パルスQPiでの量子情報Qiを測定し、従来の情報Qmiを取得するステップであって、前記光学パルスLLOQiは、QPiと一致する局部−局部発振器LLOモードとして使用される、ステップと、
− Bにおいて、Theta_estiを使用した位相補正処理を用いてQm(i)を補正し、且つ論理量子情報Qiを特定するステップと
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
− Aにおいて、2つの異なる光学コヒーレント状態パルスQPi及びRPiを導出するステップであって、前記2つのパルスは、周期iでLAによって生成される単一の光学パルスを2つのパルスに分割し、且つ第1のパルスに対して第2のパルスを遅延させることによって生成される、ステップと、
− Aにおいて、量子情報Qiを前記光学コヒーレント状態QP(i)の直角位相に符号化するステップと、
− Aにおいて、位相基準情報Riを前記光学コヒーレント状態RPiに符号化するステップであって、LAと同相である、前記光学コヒーレント状態RPiの直角位相値は、レーザLAとコヒーレントに大きい値Erだけ変位される、ステップと、
− 前記光学チャネルを通してAからBにコヒーレント状態QPi及びRPiを送信するステップと、
− Bにおいて、2つの位相コヒーレント局部−局部発振器パルスLLOQi及びLLORiを導出するステップであって、前記パルスは、周期iでLBによって生成される単一の光学パルスを2つのパルスに分割し、且つ第1のパルスに対して第2のパルスを遅延させることによって生成される、ステップと、
− Bにおいて、QPi及びRPiを2つの異なる光路に逆多重化又は分離するステップと、
− Bにおいて、コヒーレント検出を用いて前記受信基準パルスRP(i)の2つの直角位相を測定し、測定結果Xrefi及びPrefiを取得するステップであって、前記LLORiパルスは、RPiと一致した局部−局部発振器LLOモードとして使用される、ステップと、
− Bにおいて、前記直角位相測定結果Xrefi及びPrefiを用いてLAとLBとの間の相対位相変動Theta_estiを特定するステップと、
− Bにおいて、フィードバックメカニズム及び前記Theta_esti推定値を用いて、前記LLOQ(i)パルスの位相を前記光学基準パルスRP(i)の位相に物理的にループロックするステップと、
− Bにおいて、コヒーレント検出を用いて前記受信パルスQPiを測定するステップであって、前記位相ロックLLOQiパルスは、RPiと一致する局部−局部発振器LLOモードとして使用される、ステップと、
− Bにおいて、前記量子情報Qiを特定するステップと
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
コンピュータで実行されると、前記コンピュータに請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法のステップを実行させる命令を含むコンピュータプログラム製品。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法のステップを実行するための手段を含むシステム。
【請求項8】
光学チャネルによって接続された発信器Aと遠隔受信器Bとの間での量子情報のコヒーレント光学通信のためのシステムであって、発信器Aは、レーザLAを含み、受信器Bは、コヒーレント受信器を動作させるための局部局部発振器LLOとして使用されるレーザLBを含み、前記システムは、
− Aにおける、周期iで同じ光学波面から1つ又は2つの光学パルスを位相コヒーレントに導出するように構成されるレーザLAであって、前記パルスは、前記レーザLAと自己コヒーレントである、レーザLAと、
− Aにおける、論理量子情報Qi及び物理位相基準情報Riを前記1つ又は2つの自己コヒーレント光学パルスに符号化するように構成されるコヒーレント多重化エンコーダと、
− 多重化Qi及びRiを送信するように構成される、AからBへの光学チャネルと、
− Bにおける、レーザLBによって生成され、且つコヒーレント検出を実行するための局部発振器として使用される単一の光学波面から導出される前記1つ又は2つの自己コヒーレントパルスを用いて、論理量子情報Qi及び物理位相基準情報Riを測定し、それによりQiの従来の測定値Qmi及びRiの従来の測定値Rmiを取得するように構成される多重化コヒーレント測定デバイスと、
− Bにおける、R(i)光学パルスと対応するLOパルスとの間の相対位相を推定することにより、Qi光学パルスと対応するLOパルスとの間の周期iでの干渉における相対位相Phiiを特定するように構成されるデバイスと、
− Bにおける、相対位相Phiiの推定値を使用してQmi測定値を補正することにより、論理量子情報Qiを特定するように構成されるデバイスと
を更に含む、システム。
【請求項9】
ヘテロダイン検出器及び局部−局部発振器LLOを更に含み、
− AからBに送信される情報は、周期iでLAによって生成される前記光学波面から導出される単一の光学コヒーレント状態パルスに符号化され、
− 量子情報Qiは、前記コヒーレント状態の両方の直角位相に符号化される一方、位相基準情報R(i)は、周期iでLAと同相である直角位相の振幅デルタの変位として符号化され、
− ヘテロダイン検出器は、周期iで前記受信パルスの2つの直角位相の両方を測定し、前記レーザLBは、前記受信パルスと一致するコヒーレント状態パルスモードを生成するための局部−局部発振器LLOとして使用され、
− 直角位相測定結果は、LAとLBとの間の位相変動を推定し、且つ次に前記量子情報Qiを特定するために使用される、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
スプリッタ、光学遅延線及びホモダイン又はヘテロダイン検出器を更に含み、
− 量子情報Qi及び位相基準情報Riは、2つの異なる光学コヒーレント状態パルスに符号化され、前記2つのパルスは、LAによって(周期iで)生成される光学パルスをビームスプリッタで分割し、且つ光学遅延線を用いて第1のパルスに対して第2のパルスを時間デルタTだけ遅延させることによって生成され、
− 量子情報Qiは、前記パルスの1つQPiの直角位相に符号化され、
− 位相基準情報Riは、第2のパルスRPiに符号化され、前記第2のパルスRPiの直角位相は、LAと同相であり、且つ値デルタだけ変位される一方、その他方の直角位相は、変調されず、
− 前記受信パルスQPiの前記直角位相の測定DQは、周期iでボブにおけるホモダイン又はヘテロダイン検出器で実行され、LBは、QPiと一致するコヒーレント状態パルスLLOQiモードを生成するための局部−局部発振器(LLO)として使用され、
− 前記受信基準パルスRPiの前記2つの直角位相のヘテロダイン測定DRは、周期iでボブにおいて実行され、前記レーザLBは、遅延線を使用して、遅延線を用いて周期iでLLOQiを生成するために使用される前記波面の一部を遅延させることによって得られるコヒーレント状態パルスLLORiを生成するための局部局部発振器LLOとして使用され、
− DRを用いて得られる直角位相測定結果は、LAとLBとの間の前記位相変動Phiiを特定するために使用され、前記特定された位相変動は、次に、QP(i)の直角位相測定結果を補正し、且つ次に前記量子情報Qiを特定するために使用される、請求項8に記載のシステム。
【請求項11】
前記コヒーレント検出器DQ又は前記コヒーレント検出器DRは、異なる単一の検出器である、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記コヒーレント検出器DQ及び前記コヒーレント検出器DRは、同じコヒーレント検出器である、請求項10に記載のシステム。
【請求項13】
前記コヒーレント検出器DQ又は前記コヒーレント検出器DRは、前記コヒーレント状態パルスLLOQの強度に対して低減される前記コヒーレント状態パルスLLORの強度に関連付けられる、請求項10に記載のシステム。
【請求項14】
− 量子情報Qi及び位相基準情報Riは、2つの異なる光学コヒーレント状態パルスに符号化され、両方のパルスは、周期iでLAによって生成される前記光学波面からコヒーレントに導出され、前記第2のパルスは、光学遅延線を用いて前記第1のパルスに対して遅延され、
− 量子情報Qiは、QPiと呼ばれる前記パルスの1つの直角位相に符号化され、
− 位相基準情報Riは、RPiと呼ばれる前記第2のパルスに符号化され、LAと同相である、前記第2のパルスの直角位相値は、大きい値デルタだけ変位される一方、その他方の直角位相値は、変調されず、
− 前記位相基準パルスRP(i)は、Bにおける光学位相ロックループOPLLを動作させ、フィードバックメカニズムを用いてレーザLBの位相を光学基準パルスPRiの位相にロックするために使用され、
− 前記受信パルスQPiの前記直角位相のデュアルホモダイン測定DQは、周期iでBにおいて実行され、LBは、QPiと一致したコヒーレント状態パルスPLLOQモードを生成するための局部局部発振器LLOとして使用される、請求項10に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して量子暗号化の分野に関し、特に連続変数量子暗号化に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、新しい連続変数量子鍵配送(CV−QKD)プロトコルである自己参照CV−QKDが、D.B.S.Soh、C.Brif、P.J.Coles、N.Luetkenhaus、R.M.Camacho、J.Urayama、及びM.Sarovarによる“Self−Referenced Continuous−Variable Quantum Key Distribution”(arXiv:1503.04763,2015)という名称の文献において導入された。この連続変数量子鍵配送(CV−QKD)プロトコルは、通信相手間での高電力局部発振器の伝達の必要性をなくす。このプロトコルには、各信号パルスに基準パルス(又はツイン基準パルスの対)が付随し、基準パルスは、アリス及びボブの測定ベースの位置合わせに使用される。このプロトコルは、変調信号から位相情報を抽出する従来のコヒーレント通信で使用されるイントラダイン検出の量子類似体として見ることができる、基準パルス測定に基づく位相の推定及び補償方法を提供する。プロトコルのファイバベースの原理証明実験実証、及び実験パラメータに関して表現することによる、予期される秘密鍵レートの定量化も開示される。秘密鍵レートの分析は、基準パルスの量子性に関連する本質的な不確定性を考慮に入れ、理論上、鍵レートが、局部発振器の伝達を必要とする従来の各プロトコルの鍵レートに近づく限界を定量化すると考えられる。自己参照プロトコルは、性能の犠牲を最小限に抑えて、CV−QKD、特に送信器及び受信器の潜在的な集積フォトニクスの実施に必要なハードウェアを簡易化すると考えられる。したがって、自己参照プロトコルは、大規模QKDネットワークに向けた重要な一歩であるスケーラブル集積CV−QKD送受信器に向けた道筋を提供する。
【0003】
コヒーレント検出に基づく連続変数量子鍵配送(CV−QKD)プロトコルは、B.Qi、P.Lougovski、R.Pooser、W.Grice、及びM.Bobrekによる“Locally”in Continuous−Variable Quantum Key Distribution Based on Coherent Detection”(arXiv:1503.00662,2015)という名称の文献に開示されるように、理論及び実験の両方で広く研究されてきた。CV−QKDの既存の実施の全てにおいて、量子信号及び局部発振器(LO)の両方は、同じレーザから生成され、安全ではない量子チャネルを通して伝搬する。この構成は、セキュリティの抜け道を作り、CV−QKDの潜在的な用途を制限する恐れがある。後者の文献では、著者らは、「局部的」に生成されたLOを使用して信頼性の高いコヒーレント検出を可能にするパイロット支援フィードフォワードデータ復元方式を開示している。2つの独立した市販のレーザ源及び25kmの光ファイバを使用したコヒーレント通信システムが開示される。提案される方式によって生じる位相ノイズの分散は、0.04(rad2)であると測定され、これは、安全な鍵配送を可能にするのに十分に小さい。この技術は、独立した光源が異なるユーザによって利用される、近年提案された測定装置無依存(MDI)CV−QKD等の他の量子通信プロトコルを可能にすると考えられる。
【0004】
[Qi15]及び[Soh15]に記載されている2つの手法は、実用に制限を呈する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】“Self−Referenced Continuous−Variable Quantum Key Distribution”(arXiv:1503.04763,2015)
【非特許文献2】“Locally”in Continuous−Variable Quantum Key Distribution Based on Coherent Detection”(arXiv:1503.00662,2015)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、連続変数量子鍵配送(CV−QKD)の枠組みを扱う進化した方法及びシステムが必要とされる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
これら及び他の課題に対処するために、局部局部発振器(LLO)を使用して、発信器Aと遠隔受信器Bとの間で量子情報のコヒーレント光学通信を実行するシステム及び方法が提供される。LLOベースの連続変数量子鍵配送(CV−QKD)の例が記載される。自己コヒーレント方式が使用され、この方式は、信号及び位相基準パルスの両方を同じ光学パルスから導出し、したがって基準位相コヒーレンスに対して本質的に強力な信号を保証することを含む。様々な自己コヒーレンス位相共有方式を実施する異なるCV−QKD実施形態が更に記載され、且つ秘密鍵レート及びハードウェア要件に関して比較される。低コストレーザ等の標準の電気通信機器を用いて強力な位相ノイズ耐性を得ることができる。
【0008】
有利には、本発明の実装形態は、幾つかの方法で発見され得る。
【0009】
実施形態(「LLO−outb−sc−dsp」設計と呼ばれる)では、2つのレーザを使用することができる。第1のレーザはアリス側にあり、及び第2のレーザはボブ側にある。アリス側には2つの光路がある。一方は遅延される。ボブ側には、2つのホモダイン検出器がある。
【0010】
実施形態(「LLO−outb−sc−opll」設計と呼ばれる)では、2つのレーザを使用することができ、一方のレーザはアリス側にあり、及び第2のレーザはボブ側にあり、2つの光路がアリス側にあり、一方の光路が遅延される一方、ボブ側では入力光路が2つの部分に分割される。それぞれの1つが局部発振器と干渉する。一方は、フォトダイオードを使用して測定され、及び他方は、ホモダイン検出を使用して測定される。
【0011】
実施形態(「LLO−inb」設計と呼ばれる)では、2つのレーザを使用することができ、一方はアリス側にあり、及び第2のレーザはボブ側にある。アリス側には、1つの振幅変調器及び1つの位相変調器を有する1つのみの光路がある一方、ボブ側には2つのホモダイン検出器がある。
【0012】
他の用途の中でも特に、提案される技術は、以下の使用事例の1つ又は複数に適用することができる:集積フォトニクスを用いた量子鍵配送の実施、標準の光学ネットワーク、WDMネットワーク、DWDMネットワークと互換性のある量子鍵配送の実施、局部局部発振器及び分散フィードバックレーザ(DFB)等の低コストレーザを用いた連続変数量子鍵配送の実施。
【0013】
本明細書に組み込まれ且つ本明細書の一部を構成する添付図面は、本発明の様々な実施形態を示し、本発明の上記の概要及び以下の実施形態の詳細な説明と共に本発明の実施形態を説明する役割を果たす。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】TLO設計でのボブの受信器100の実施形態を示す。
【図2】LLOシーケンシャル設計でのボブの受信器の実施形態を示す。
【図3】距離及び反復率に関して送信LO及び局部LO設計の理論上の過剰ノイズを比較する。
【図4】「LLO遅延線dsp」設計による本発明の実施形態を示す。
【図5】「LLO遅延線opll」設計による本発明の実施形態を示す。
【図6】インバンド位相基準送信を使用した本発明の実施形態を示す。
【図7】「LLO変位」設計によるボブの受信器の実施形態を示す。
【図8】反復率の関数としてのLLOシーケンシャル設計及びLLO変位設計の予期される鍵レートの比較を示す。
【図9】本発明の実施形態によるステップの例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
更に、詳細な説明は、添付書類1で補足される。この添付書類1は、詳細な説明を明確にするため及びより容易な参照を可能にするために離れて配置される。それにもかかわらず、添付書類1は、本発明の説明の一体部分をなす。これは、図面にも同様に当てはまる。
【0016】
本発明の特定の特徴の参照は、表記における特定の慣例が関わる。例えば、詳細な説明では、表現X(i)又はXiは、Xがiの関数であることを等しく示すのに使用される。更に、大文字「A」は、アリスを示すのに使用され、大文字「B」は、ボブを示すのに使用され、及び大文字「E」は、イブを示すのに使用される。
【0017】
ここで、本発明の実施形態によって実際のCV−QKDにおいて位相基準を共有する方式の例について説明し考察する。
【0018】
特定の実施形態の理解を促進するために、局部発振器(LO)強度生成技法の一般的な分類に関する術語についてまず説明する。
【0019】
送信LO(TLO)及び局部LO(LLO)を含め、LO強度生成方法に基づくCV−QKDの異なる一般的種類を区別することができる。
【0020】
送信LO(TLO)に関して、LOの強度は、アリスのレーザによって生成され、一般に多重化技法を必要とする明パルスとして各信号パルスと共に送信される。したがって、信号とLOパルスとの間で必要とされるコヒーレンスは、物理的に直接保証される。LOが量子チャネルを通して直接送信される場合、必要とされる開始強度は、低velecを保証するために、距離(損失により)及び反復率(パルスが短いことにより)に伴って増大する。
【0021】
光線は、連続レーザから出力される一方、パルス形状は、高消光振幅変調器を用いて作成される。出力ビームは、高不平衡ビームスプリッタを使用して分割される。強ビームは、LOとしてボブに送信される一方、弱ビームは、CV−QKD信号を取得するように変調される。i番目のパルスにおいて、アリスは、ゼロ平均ガウス分布変数x(i)及びp(i)をランダムに選択し、コヒーレント状態を変調する|αi・=|xA,pA・。次に、アリスは、多重化技法を使用してLOパルス及び対応する信号パルスをボブに同時に送信する。パルスが自動的に同じビームの出力と位相ロックされ、したがって自己コヒーレンスによって位相ノイズが考慮されないことに留意されたい。受信すると、ボブは、パルスを逆多重化し、関連するLOパルスを使用して信号パルス|αi・のX又はQ直角位相の一方をランダムに測定する。この検出は、信号及びLOの両方が同じレーザからのものであるため、自己コヒーレントホモダイン検出と呼ばれる。このTLO設計は、GMCS(ガウス変調コヒーレント状態)プロトコルの最も一般的に実施されるバージョンに対応する。
【0022】
局部LO(LLO)に関して、LOの強度は、第2のレーザを使用してボブ側において局部的に生成される。したがって、ボブは、LOの強度を完全に制御し、LOの強度は、もはや距離に依存しない。それにより、LOの強度は、信頼できるものとして見なされ得る。しかしながら、高位相ノイズが2つのレーザの相対位相変動から生じ、補正する必要がある。ボブが相関を回復することができるようにするために、アリスは、アリスの位相基準についての情報を送信する必要がある。位相基準処理の種類に応じて、2つのサブタイプのLLO方法を区別することができる。アナログ位相ロックでは、干渉におけるコヒーレンスを保証するために、2つのレーザは、位相ロックループ(PLL)及びフィードバックを使用して、ボブのレーザの位相を物理的に制御して位相ロックされる。2つのレーザ間に一定の位相差を維持することができる。デジタル信号処理(DSP)位相ロックでは、位相基準は、通常、測定結果を使用して推定される。したがって、ボブは、測定値をデジタル的に補正して、事後にコヒーレンスを復元することができる。
【0023】
LLOアウトバンド設計では、アリスは、TLO設計と同じ信号パルスを送信する一方、ボブは、自らのレーザをコヒーレント検出のためのLOとして使用する。それにより、高速位相ノイズがアリスのレーザとボブのレーザとの間の相対位相変動から生じる。アリスの位相基準を送信するために、アリスは、専用基準パルスを使用して位相情報を送信する。アリスは、パルスの一部rを使用して基準パルスを送信する。これは、ある程度まで時間多重化技法として見ることができる。位相基準パルスは、信号と比較して相対的に明るいパルスであり、一般的に既知の一定の位相を有し、したがって、ボブは、相対位相変動を推定することができる。変調器によって許容される最大振幅rmaxを使用して、位相基準について可能な限り多くの情報を送信することができる。これを行い、ボブは、量子チャネルでの強度がTLO設計でのLOパルスよりもなおはるかに低い状態でありながら、位相ノイズを補正することができる。相対位相を評価するために、ボブは、ヘテロダイン検出を使用して各基準パルスのX直角成分及びP直角成分の両方を測定する必要がある。次に、ボブは、(i−1)番目及び(i+1)番目の位相推定を使用してi番目の信号測定を補正することができる。信号及び位相基準パルスは、遅延放射によって微分位相ノイズを受けるため、この設計を「LLOアウトバンド微分設計」と呼ぶ。この設計に基づく位相補正の実施形態を用いたGMCS(ガウス変調コヒーレント状態)プロトコル(両方ともr=1/2)の原理証明が実証され得る。
【0024】
ここで、既存の設計の制限を解釈及び考察する。
【0025】
TLO設計に関して、強度Imaxは、TLO設計の高反復率を阻止する。この設計では、ショットノイズがLO光子数に比例するため、分散velecが距離及び反復率の両方に依存することが強調される。例えば、20dB損失チャネル上で1GHzにおいてボブ側で10光子LOパルスを提供するために、入力において必要とされるLO電力は、1550nmで約1.2Wであり、これは、実験Imax値よりもはるかに大きい。逆に、アリス側での所与の開始レーザ強度の場合、ボブ側での各LOパルスの光子数は、距離及び反復率に伴って低減し、したがって電子対ショットノイズ比が増大する。
【0026】
LLOシーケンシャル設計に関して、高反復率によって局部LOの使用が可能である。実際には、局部LOは、ボブが自らのレーザを使用し、したがってアリスの信号とボブのLOとの間の位相ノイズがレーザの線幅に依存する高速変化プロセスであることを暗黙的に示す。局部LOに伴う特定の課題は、2つの相手間で信頼性の高い位相を生成することである。実施形態では、誘導される過剰ノイズを最小に抑えるために、位相ノイズを十分に補正することができる。例えば、これは、反復率で位相ノイズをサンプリングすることによって達成することができ、可能な解決策は、高反復率で動作することである。その結果、LLOアウトバンドベースのCV−QKDの反復率は、特定のパラメータである。そのような設計では、2つのレーザ間の位相変動は有利に補正され、なぜなら、それは、2つの連続パルス間の相対位相の脱相関につながり、秘密鍵生成を阻止することができるためである。信号位相補正アルゴリズムは、隣接パルス位相測定に基づく。これは、式9の高rmaxが位相推定分散を低減する場合でも、位相推定と位相補正との間の時間遅延に起因して残留位相ノイズがあることを意味する。この残留ノイズは、式8の分散Vdriftである。低反復率又は大きい線幅のレーザの場合、条件Vdrift<<1を保証できないことに留意されたい。高反復率により、位相ノイズ変動よりも高速で位相ノイズをサンプリングすることが可能になり、したがって補正をより効率的にすることができる。これは、実際に、所与のレーザに最小反復率を課す。位相推定方式は、位相ノイズを正確に測定するために、可能な限り高強度の位相基準パルスを必要とすることができる。しかしながら、振幅変調器の有限ダイナミクスにより、可能な最大振幅は制限される。この制限は、ゼロ平均変調の切り捨てに起因する変調器過剰ノイズ寄与ξoutを考慮することによってモデリングすることができる。実施形態では、信号及び基準パルスの両方は、同じ変調器を使用して変調される。これは、最大振幅rmaxと共に増大する変調振幅の誤差(式6から)と、位相推定方式の効率との間でrmaxに関してトレードオフがあることを意味する。
【0027】
実施形態では、光学チャネル(例えば、光ファイバ)によって接続された発信器(又は送信器)Aと遠隔受信器Bとの間で量子情報のコヒーレント光学通信を実行する方法が開示され、この方法では、発信器Aは、レーザLAを含み、受信器Bは、コヒーレント受信器を動作させるための局部局部発振器LLOとして使用されるレーザLBを含み、前記方法は、Aにおいて、周期iでレーザLAによって生成される同じ光学波面から1つ又は2つの光学パルスを位相コヒーレントに導出するステップであって、前記パルスは、レーザLAと自己コヒーレントである、ステップと、Aにおいて、コヒーレント多重化符号化メカニズムを使用することにより、論理量子情報Q(i)及び(並びに)物理位相基準情報R(i)を1つ又は2つの自己コヒーレント光学パルスに符号化するステップと、− 光学チャネルを通してAからBに、多重化されたQ(i)及びT(i)を送信するステップと、Bにおいて、レーザLBによって生成され、且つコヒーレント検出を実行するための局部発振器として使用される単一の光学波面から導出される前記1つ又は2つの自己コヒーレントパルスとの多重化コヒーレント測定を用いて、論理量子情報Q(i)及び物理位相基準情報R(i)を測定し、それによりQ(i)の従来の測定値Qm(i)及びR(i)の従来の測定値Rm(i)を取得するステップと、Bにおいて、R(i)光学パルスと対応するLOパルスとの間の相対位相を推定することにより、Q(i)光学パルスと対応するLOパルスとの間の周期iでの干渉における相対位相Phi(i)を特定するステップと、Bにおいて、相対位相Phi(i)の推定値を使用してQm(i)測定値を補正することにより、論理量子情報Q(i)を特定するステップとを含む。
【0028】
方法は、「コンピュータ実施」され得、方法の幾つかのステップは、コンピュータを必要としない(すなわち光学信号のみが使用される)が、方法の幾つかのステップは、1つ又は複数のコンピュータ(CPU、メモリ、I/O)、又はプロセッサ、又は処理手段を使用することができる。プロセッサ又は処理手段は、ローカルである(ローカルにアクセスされる)ことができ、且つ/又は離れている(リモートにアクセスされる)ことができる。例えば、プロセッサは、ASIC、FPGA、又は他のタイプの回路を含むことができる。
【0029】
発信器Aの視点から、光学チャネルによってAに接続された離れた受信器Bとの量子情報のコヒーレント光学通信を実行する方法が開示され、この方法では、発信器Aは、レーザLAを含み、受信器Bは、コヒーレント受信器を動作させるための局部局部発振器LLOとして使用されるレーザLBを含む。この方法は、
− Aにおいて、周期iでLAによって生成される同じ光学波面から1つ又は2つの光学パルスを位相コヒーレントに導出するステップであって、パルスは、レーザLAと自己コヒーレントである、ステップと、
− Aにおいて、コヒーレント多重化符号化メカニズムを使用することにより、論理量子情報Qi及び物理位相基準情報Riを1つ又は2つの自己コヒーレント光学パルスに符号化するステップと、
− 光学チャネルを通してAからBに、多重化されたQi及びRiを送信するステップと
を含む。
【0030】
受信器Bの視点から、光学チャネルによって接続された遠隔発信器Aと受信器Bとの間で量子情報のコヒーレント光学通信を実行する方法が更に開示され、この方法では、発信器Aは、レーザLAを含み、受信器Bは、コヒーレント受信器を動作させるための局部局部発振器LLOとして使用されるレーザLBを含む。この方法は、
− Bにおいて、レーザLBによって生成され、且つコヒーレント検出を実行するための局部発振器として使用される単一の光学波面から導出される1つ又は2つの自己コヒーレントパルスとの多重化コヒーレント測定を用いて、論理量子情報Qi及び物理位相基準情報Riを測定し、それによりQiの従来の測定値Qmi及びRiの従来の測定値Rmiを取得するステップと、
− Bにおいて、Ri光学パルスと対応するLOパルスとの間の相対位相を推定することにより、Qi光学パルスと対応するLOパルスとの間の干渉における相対位相Phiiを周期iで特定するステップと、
− Bにおいて、相対位相Phiiの推定値を使用してQmi測定値を補正することにより、論理量子情報Qiを特定するステップと
を含む。
【0031】
本発明の実施形態は、AからBへの情報の通信を説明する。当事者A(本明細書では位相基準/発信器として説明される)及び当事者B(本明細書ではスレーブ/受信器として説明される)の役割は、「逆」にすることができない(Aは、検出器を有さない)。
【0032】
実際には、双方向通信を得るために、記載される方法及びシステムは、方向性通信のためにそれぞれ1回で合計2回実施され得る(最初にAからBへ、次にBからAへ、それによりエンドポイントでのハードウェア仕様を重複させる)。
【0033】
顕著には、BにおけるレーザLBは、BにおいてLLOとして使用され得る共に、例えば別のスレーブ/受信器Cと通信するための位相基準/発信器の役割を果たすために使用され得る(又はAが必要なハードウェア、特にコヒーレント検出器を備える場合、A自体としての役割も果たし得る)。
【0034】
2つの光学パルスが関わる光学プロセスは、パルス間の位相関係が経時安定(すなわち大半の時間において完全に又は部分的に非常に安定)している場合、「コヒーレント」であると言える。2つの光学パルスは、パルス間の相対位相が既知であり安定するように生成される場合、「コヒーレント」であると言える。
【0035】
本明細書で使用される場合、「時間TiにおいてレーザLAによって生成される光学波面から1つ又は2つの光学パルスを位相コヒーレントに導出する」という表現は、時間Tiにおいて、1つ又は2つのパルスからの光がLAによって発せられる光学波面から生じ、時間Tiにおいて、前記パルス間及びLAの位相間に一定の位相があることを意味する。2つのパルスが導出される場合、2つのパルスは、位相コヒーレントである(定義により)。
【0036】
コヒーレント多重化符号化は、1つ又は2つの自己コヒーレント光学パルスについての量子情報Q(i)及び位相基準情報R(i)等の2つのタイプの情報の結合符号化に起因する。多重化符号化は、Q(i)及びR(i)を符号化する光学搬送波間に安定した位相関係が存在する場合、コヒーレントであると言え、更に、これらの光学搬送波の両方は、時間TiにおいてレーザLAとコヒーレントである。量子情報の物理的搬送波と位相基準情報の物理的搬送波との間の相対位相が既知であり且つ一定である場合、その相対位相は、コヒーレント多重化符号化後に既知であり且つ一定のままである。
【0037】
コヒーレント多重化検出メカニズムは、Q(i)及びR(i)を搬送する単一(又は2つ)の光学パルスでのQ(i)及びR(i)の結合位相敏感測定に起因する。LBは、例えば、ホモダイン又はヘテロダイン検出を実行するために、これらの位相敏感測定において局部位相基準(LLO)として使用される。
【0038】
検出メカニズムは、時間T(i)におけるLAと検出時におけるLBの位相との相対位相がある周期iから別の周期i’まで安定している場合、コヒーレントであると言える。
【0039】
本発明によって実行される情報処理の目的は、時間TiにおけるLAと検出時におけるLBとの間の位相変動を特定又は推定することである。この位相変動推定値DeltaPhi(i)に基づいて補正を実測値Qm(i)に対して適用することができる。例えば、ヘテロダイン検出が、Bにおいて、コヒーレント状態Q(i)の直角位相を測定するために使用される場合、Qm(i)の値は、2つの実数値:2つの直角位相値Xm(i)及びPm(i)を有する。その場合、Q(i)の位相補正推定値を回収するためにQm(i)=(Xm(i),Pm(i))に適用される補正は、角度−DeltaPhi(i)によるQm(i)の回転を有する。
【0040】
相対位相Phi(i)推定を使用して、発せられた量子情報Q(i)の精密な推定値を得るためのQm(i)測定値の補正は、位相補正と呼ばれる。実際には、位相補正は、アルゴリズム技法を使用して測定値をデジタル的に補正することを有するデジタル信号処理方法又はLOの位相を物理的に補正して、相対位相を位相ロックすることを有する物理的な方法のいずれかで行うことができる。
【0041】
実際に、ボブの受信器は、ホモダイン検出(一状態直角位相の測定)又はヘテロダイン検出(両方の直角位相の測定)のいずれかであり得る。位相ノイズが強い状態である場合、相対位相ノイズをより精密に得るために、ヘテロダイン測定が必要である。位相ノイズが低い状態である場合、ホモダイン検出で十分であり得る。
【0042】
このタイプの設計の課題は、関わる2つのレーザに生じる位相変動を補正することである。実際には、発信と受信との間のコヒーレンスを保証するために、相対位相を評価する必要がある。この位相評価は、特定の物理位相情報に対して行う必要がある。この情報は、位相基準と呼ぶことができる。位相変動に起因して、シーケンシャル信号及び位相基準パルス生成により、いかなる秘密鍵の生成も阻止するのに十分に大きい値であり得る最小位相変動が生成される。本発明の幾つかの実施形態では、信号と位相コヒーレントに位相評価を実行することができ、したがってその位相評価から位相ノイズは生じない。
【0043】
ここで、「LLO変位」実施形態又は設計について説明する。
【0044】
発展形態では、方法は、
− Aにおいて、周期iでLAによって生成される光学波面から単一の光学コヒーレント状態パルスAlpha(i)を導出するステップと、
− Aにおいて、位相基準情報R(i)及び量子情報Q(i)の両方をパルスAlpha(i)の直角位相に符号化するステップであって、この符号化は、量子情報Q(i)をコヒーレントに変位させて、Q(i)の平均値の変位として位相基準情報R(i)を符号化することによって得られる、ステップと、
− 光学チャネルを通してAからBにコヒーレント状態Alpha(i)を送信するステップと、
− Bにおいて、周期iの受信時における受信パルスAlpha’(i)の2つの直角位相を測定するステップであって、レーザLBは、受信パルスと一致したコヒーレント状態パルスモードを生成するための局部−局部発振器(LLO)として使用される、ステップと、
− Bにおいて、2つの直角位相を用いてLAとLBとの間の相対位相Phi(i)を特定するステップと、
− Bにおいて、相対位相推定値Phi(i)及び2つの直角位相測定結果を使用して量子情報Q(i)を特定するステップと
を更に含む。
【0045】
ここで、ヘテロダイン検出を使用した実施形態について説明する。Qi及びRi情報が符号化されたLAから導出される単一の光学パルスの量子状態説明は、単一のモードボソンコヒーレント状態として又は略同一の量子値を有する少数の単一のモードコヒーレント状態の集合として説明することができ、したがって1つの単一のモードボソンコヒーレント状態として扱うことができる。
【0046】
量子情報は、コヒーレント状態の直角位相に符号化された従来の変数を示す。変位とは、コヒーレント状態の平均値をシフトさせるそれらの従来の変数の平均直角位相値のシフトである。
【0047】
アリスから出るコヒーレント状態に符号化される2つの直角位相は、(Xi+デルタ,Pi)として示すことができ、ここで、Xi及びPiは、時間TiにおけるLAの位相基準フレームで表現される量子情報直角位相であり、デルタは、時間TiにおけるレーザLAとの位相変位である。
【0048】
「大きいデルタ」という表現は、T|デルタ|>>max{Sqrt(Var(Xi)),N0}及びT|デルタ|>>max{Sqrt(Var(Pi)),N0}意味し、ここで、N0は、ショットノイズ分散を表す。この条件により、ショットノイズN0及びQi変調に起因するノイズによる影響をあまり受けずに、直角位相測定を使用して、時間TiにおけるLAとデュアルホモダイン測定時T’iにおけるLBとの位相変動を評価することができる。
【0049】
ヘテロダイン測定中、LLOパルス及び信号パルスの両方は、50/50ビームスプリッタを用いて2つのアームに分割される。この分割により、信号の3dB損失が生じる。一方のアームでは、信号及びLLOは、ホモダイン検出を介して信号の一直角位相を測定するために平衡ビームスプリッタ上で干渉する。他方のアームでは、LLOは、90°位相シフトされ、及び信号の他方の直角位相は、ホモダイン検出を介して測定される。
【0050】
位相変動の推定に応答して、続けて補正手順によって量子情報Qiを推定することができる。Qiの推定手順は、変位振幅の値|デルタ|及びチャネル送信強度の値TがBによって既知であることを用いる。
【0051】
ヘテロダイン検出器は、位相ダイバーシティホモダイン検出器である。ヘテロダイン検出器は、2つの局部発振器の位相が相対位相pi/2を有する2つのホモダイン検出器を含む。
【0052】
ここで、位相補正ステップを含む実施形態について説明する。
【0053】
そのような実施形態では、方法は、Aにおいて、量子情報及び位相基準情報を同じ光学コヒーレント状態パルスAlpha(i)に符号化することにより、相対位相を補正するステップを含み得る。位相基準情報R(i)は、量子情報Q(i)の変位平均値として符号化される。方法は、
− 光学チャネルを通してAからBにコヒーレント状態Alpha(i)を送信することと、
− Bにおいて、従来の測定結果Xm(i)及びPm(i)をもたらす受信パルスAlpha(i)の2つの直角位相を測定することと、
− Bにおいて、サイズWの窓にわたるiの前の測定結果Xmj及びPmjを処理することにより、局部発振器と基準との間の相対位相の推定値Theta_est(i)を計算することであって、0≦i−j≦Wである、計算することと、
− Bにおいて、Theta_est(i)推定値に基づいて未処理の結果に対して位相補正回転を適用し、且つ次に変位R(i)の値を補償することにより、量子情報測定結果Xm(i)及びPm(i)の相対位相変動を補正することと
を更に含み得る。
【0054】
コヒーレント状態の変位は、位相空間における変位である。これは、各直角位相の平均値の変位を表す。これは、ボブによって既知のアリスの位相基準の符号化である。
【0055】
ここで、「LLO遅延線dsp」実施形態(「設計」)について説明する。
【0056】
そのような実施形態では、方法は、
− Aにおいて、2つの異なる光学コヒーレント状態パルスQP(i)及びRP(i)を導出するステップであって、2つのパルスは、周期iでLAによって生成される単一の光学パルスを2つのパルスに分割し、且つ第1のパルスに対して第2のパルスを遅延させることによって生成される、ステップと、
− Aにおいて、量子情報Q(i)を光学コヒーレント状態QP(i)の直角位相に符号化するステップと
− Aにおいて、位相基準情報R(i)を光学コヒーレント状態RP(i)に符号化するステップであって、LAと同相である、光学コヒーレント状態RP(i)の直角位相値は、LAとコヒーレントに大きい値Erだけ変位される、ステップと、光学チャネルを通してAからBにコヒーレント状態QP(i)及びRP(i)を送信するステップと、
− (Bにおいて)、2つの位相コヒーレント局部−局部発振器パルスLLOQ(i)及びLLOR(i)を導出するステップであって、前記パルスは、周期iでLBによって生成される単一の光学パルスを2つのパルスに分割し、且つ第1のパルスに対して第2のパルスを遅延させることによって生成される、ステップと、
− Bにおいて、コヒーレント検出を用いて受信基準パルスRP(i)の2つの直角位相を測定し、測定結果(Xref(i),Pref(i))を取得するステップであって、光学パルスLLOR(i)は、RP(i)と一致した局部−局部発振器(LLO)モードとして使用される、ステップと、
− Bにおいて、直角位相測定結果(Xref(i),Pref(i))を用いてLAとLBとの間の相対位相変動Theta_est(i)を特定するステップと、
− Bにおいて、周期iでコヒーレント検出を用いて受信パルスQP(i)での量子情報Q(i)を測定し、従来の情報Qm(i)を取得するステップであって、光学パルスLLOQ(i)は、QP(i)と一致する局部−局部発振器(LLO)モードとして使用される、ステップと、
− Bにおいて、Theta_est(i)を使用した位相補正処理を用いてQm(i)を補正し、且つ論理量子情報Q(i)を特定するステップと
を含み得る。
【0057】
放射において、レーザLAは、連続光学コヒーレントパルスを出力する(オン/オフモード又はレーザの連続波出力を整形する振幅変調器パルスのいずれかを使用して)。各パルスは、不平衡ビームスプリッタを使用して2つの部分に分割される。基準部分は、量子部分よりも高強度である。
【0058】
基準パルス路は、位相基準パルスの光路を増大させる追加の光ファイバである遅延線を使用して遅延される。遅延時間は、受信側の実際の機器の2つのソースパルス間の時間の半分に設定され、これにより反復率は2倍になる。
【0059】
基準パルスを使用して、LAとLBとの間の相対位相を推定する。対応する量子情報及び位相基準パルスは、構成によって位相コヒーレントであるため、位相基準干渉における相対位相の推定値は、量子パルス測定値での相対位相の良好な近似である。
【0060】
この実施形態では、量子情報Q(i)は、位相コヒーレンスが干渉において物理的に保証されるため、ホモダイン検出を使用して推定することができる。しかしながら、基準パルスは、高パルスノイズ状態でも位相補正を可能にするためにヘテロダインを必要とする。
【0061】
ここで、「LLO遅延線opll」実施形態(「設計」)について説明する。
【0062】
そのような実施形態では、方法は、
− Aにおいて、2つの異なる光学コヒーレント状態パルスQP(i)及びRP(i)を導出するステップであって、2つのパルスは、周期iでLAによって生成される単一の光学パルスを2つのパルスに分割し、且つ第1のパルスに対して第2のパルスを遅延させることによって生成される、ステップと、
− Aにおいて、量子情報Q(i)を光学コヒーレント状態QP(i)の直角位相に符号化するステップと
− Aにおいて、位相基準情報R(i)を光学コヒーレント状態RP(i)に符号化するステップであって、LAと同相である、光学コヒーレント状態RP(i)の直角位相値は、LAとコヒーレントに大きい値Erだけ変位される、ステップと、光学チャネルを通してAからBにコヒーレント状態QP(i)及びRP(i)を送信するステップと、
− Bにおいて、2つの位相コヒーレント局部−局部発振器パルスLLOQ(i)及びLLOR(i)を導出するステップであって、前記パルスは、周期iでLBによって生成される単一の光学パルスを2つのパルスに分割し、且つ第1のパルスに対して第2のパルスを遅延させることによって生成される、ステップと、
− Bにおいて、QP(i)及びRP(i)を2つの異なる光路に逆多重化又は分離するステップと、Bにおいて、コヒーレント検出を用いて受信基準パルスRP(i)の2つの直角位相を測定し、測定結果(Xref(i),Pref(i))を取得するステップであって、光学パルスLLOR(i)は、RP(i)と一致した局部−局部発振器(LLO)モードとして使用される、ステップと、
− Bにおいて、直角位相測定結果(Xref(i),Pref(i))を用いてLAとLBとの間の相対位相変動Theta_est(i)を特定するステップと、
− Bにおいて、フィードバックメカニズム及び前記Theta_est(i)推定値を用いて、前記LLOQ(i)パルスの位相を前記光学基準パルスRP(i)の位相に物理的にループロックするステップと、
− Bにおいて、コヒーレント検出を用いて受信パルスQP(i)を測定するステップであって、位相ロックLLOQ(i)パルスは、RP(i)と一致する局部−局部発振器(LLO)モードとして使用される、ステップと、
− Bにおいて、量子情報Q(i)を特定するステップと
を含み得る。
【0063】
発信において、レーザLAは、連続光学コヒーレントパルスを出力する(オン/オフモード又はレーザの連続波出力を整形する振幅変調器パルスのいずれかを使用して)。各パルスは、不平衡ビームスプリッタを使用して2つの部分に分割される。基準部分は、量子部分よりも高強度である。
【0064】
基準パルス路は、位相基準パルスの光路を増大させる追加の光ファイバである遅延線を使用して遅延される。遅延時間は、受信側の実際の機器の2つのソースパルス間の時間の半分に設定され、これにより反復率は2倍になる。
【0065】
多重化技法は、ボブが異なるコヒーレント検出器を用いて測定するために、位相基準パルス及び量子信号パルスを分離できるようにする必要がある。実際には、これは、偏光技法を使用して行うことができる。偏光ビームスプリッタは、発信においてソースパルスを分割することができる一方、別の偏光ビームスプリッタは、ボブ側において、位相基準パルス及び量子信号パルスを2つの異なる光路に分割する。
【0066】
基準パルスを使用して、LAとLBとの間の相対位相を推定する。対応する量子情報及び位相基準パルスは、構成によって位相コヒーレントであるため、位相基準干渉における相対位相の推定値は、量子パルス測定値での相対位相の良好な近似である。
【0067】
次に、相対位相推定値を使用して、干渉におけるコヒーレンスを保証するように、量子信号測定の局部発振器の位相を物理的に制御する。注入、ディザループ、平衡ループ、コスタスループ等の異なるメカニズムを使用してOPLLを実現することができる。
【0068】
位相ロックプロセスは、(少なくとも)実験の反復率及び局部発振器パルスの位相をフィードバック制御する技法を含むことができる。
【0069】
コンピュータで実行されると、前記コンピュータに方法の1つ又は複数のステップを実行させる命令を含むコンピュータプログラム製品が更に開示される。
【0070】
方法の1つ又は複数のステップを実行するための手段を含むシステムも提供される。
【0071】
幾つかの実施形態では、光学チャネルによって接続された発信器Aと遠隔受信器Bとの間での量子情報のコヒーレント光学通信のためのシステムが開示される。発信器Aは、レーザLAを含み、受信器Bは、コヒーレント受信器を動作させるための局部局部発振器LLOとして使用されるレーザLBを含み、システムは、
− Aにおける、周期iで同じ光学波面から1つ又は2つの光学パルスを位相コヒーレントに導出するように構成されるレーザLAであって、パルスは、レーザLAと自己コヒーレントである、レーザLAと、
− Aにおける、論理量子情報Q(i)及び物理位相基準情報R(i)をそれらの1つ又は2つの自己コヒーレント光学パルスに符号化するように構成されるコヒーレント多重化エンコーダと、
− 多重化Q(i)及びT(i)を送信するように構成される、AからBへの光学チャネルと、
− Bにおける、レーザLBによって生成され、且つコヒーレント検出を実行するための局部発振器として使用される単一の光学波面から導出される前記1つ又は2つの自己コヒーレントパルスを用いて、論理量子情報Q(i)及び物理位相基準情報R(i)を測定し、それによりQ(i)の従来の測定値Qm(i)及びR(i)の従来の測定値Rm(i)を取得するように構成される多重化コヒーレント測定デバイスと、
− Bにおける、R(i)光学パルスと対応するLOパルスとの間の相対位相を推定することにより、Q(i)光学パルスと対応するLOパルスとの間の周期iでの干渉における相対位相Phi(i)を特定するように構成されるデバイスと、
− Bにおける、相対位相Phi(i)の推定値を使用してQm(i)測定値を補正することにより、論理量子情報Q(i)を特定するように構成されるデバイスと
を更に含む。
【0072】
発信器Aの視点から、光学チャネルによって接続された発信器Aと遠隔受信器Bとの間での量子情報のコヒーレント光学通信のためのシステムが開示され、このシステムでは、発信器Aは、レーザLAを含み、受信器Bは、コヒーレント受信器を動作させるための局部局部発振器LLOとして使用されるレーザLBを含む。システムは、
− Aにおける、周期iで同じ光学波面から1つ又は2つの光学パルスを位相コヒーレントに導出するように構成されるレーザLAであって、前記パルスは、レーザLAと自己コヒーレントである、レーザLAと、
− Aにおける、論理量子情報Qi及び物理位相基準情報Riをそれらの1つ又は2つの自己コヒーレント光学パルスに符号化するためのコヒーレント多重化エンコーダと、
− 多重化Qi及びTiを送信するように構成される、AからBへの光学チャネルと
を更に含む。
【0073】
受信器Bの視点から、光学チャネルによって接続された発信器Aと遠隔受信器Bとの間での量子情報のコヒーレント光学通信のためのシステムが開示され、発信器Aは、レーザLAを含み、受信器Bは、コヒーレント受信器を動作させるための局部局部発振器LLOとして使用されるレーザLBを含む。システムは、
− Bにおける、レーザLBによって生成され、且つコヒーレント検出を実行するための局部発振器として使用される単一の光学波面から導出される前記1つ又は2つの自己コヒーレントパルスを用いて、論理量子情報Qi及び物理位相基準情報Riを測定し、それによりQiの従来の測定値Qmi及びRiの従来の測定値Rmiを取得するように構成される多重化コヒーレント測定デバイスと、
− Bにおける、R(i)光学パルスと対応するLOパルスとの間の相対位相を推定することにより、Qi光学パルスと対応するLOパルスとの間の周期iでの干渉における相対位相Phiiを特定するように構成されるデバイスと、
− Bにおける、相対位相Phiiの推定値を使用してQmi測定値を補正することにより、論理量子情報Qiを特定するように構成されるデバイスと
を更に含む。
【0074】
ここで、システム(変位多重化を用いる)の特定の実施形態について説明する。
【0075】
そのような実施形態では、システムは、ヘテロダイン検出器及び局部−局部発振器(LLO)を更に含み得る。AからBに送信される情報は、周期iでLAによって生成される光学波面から導出される単一の光学コヒーレント状態パルスに符号化され、量子情報Q(i)は、コヒーレント状態の両方の直角位相に符号化される一方、位相基準情報R(i)は、周期iでLAと同相である直角位相の振幅デルタの変位として符号化され、ヘテロダイン検出器は、周期iで受信パルスの2つの直角位相の両方を測定する。レーザLBは、受信パルスと一致するコヒーレント状態パルスモードを生成するための局部−局部発振器(LLO)として使用される。直角位相測定結果は、LAとLBとの間の位相変動を推定し、且つ次に量子情報Q(i)を特定するために使用される。
【0076】
ここで、システム(遅延線及びDSP位相補正を用いる)の特定の実施形態について説明する。
【0077】
この実施形態では、システムは、スプリッタ、光学遅延線及びホモダイン又はヘテロダイン検出器を更に含み得、量子情報Q(i)及び位相基準情報R(i)は、2つの異なる光学コヒーレント状態パルスに符号化される。これらの2つのパルスは、LAによって(周期iで)生成される光学パルスをビームスプリッタで分割し、且つ光学遅延線を用いて第1のパルスに対して第2のパルスを時間デルタTだけ遅延させることによって生成される。量子情報Q(i)は、パルスQP(i)の1つの直角位相に符号化される。位相基準情報R(i)は、第2のパルスRP(i)に符号化され、第2のパルスRP(i)の直角位相値は、LAと同相であり、且つ値デルタだけ変位される一方、その他方の直角位相値は、変調されず、受信パルスQP(i)の直角位相の測定DQは、周期iでボブにおけるホモダイン又はヘテロダイン検出器で実行され、LBは、QP(i)と一致するコヒーレント状態パルスLLOQ(i)モードを生成するための局部−局部発振器(LLO)として使用され、受信基準パルスRP(i)の2つの直角位相のヘテロダイン測定DRは、周期iでボブにおいて実行される。レーザLBは、遅延線を使用して、遅延線を用いて周期iでLLOQ(i)を生成するために使用される波面の一部を遅延させることによって得られるコヒーレント状態パルスLLOR(i)生成するための局部局部発振器(LLO)として使用され、DRを用いて得られる直角位相測定結果は、LAとLBとの間の位相変動Phi(i)を特定するために使用される。特定された位相変動は、次に、QP(i)の直角位相測定結果を補正し、且つ次に量子情報Qiを特定するために使用される。
【0078】
ここで、システム(異なる検出器を用いる)の特定の実施形態について説明する。発展形態では、コヒーレント検出器DQ又はコヒーレント検出器DRは、異なる単一の検出器である。有利には、2つの異なる検出器を使用することで、より高いハードウェアコスト及び実験複雑性を伴い得る場合に検出ダイナミクスへの制約がなくなる。
【0079】
発展形態では、コヒーレント検出器DQ及びコヒーレント検出器DRは、同じコヒーレント検出器である。1つの単一の検出器を有することにより、設計の簡便性、ハードウェアコストの低減という利点が提示される。他方、1つの単一の検出器を有することは、飽和を受けずに同じ検出を用いて(弱い)量子信号Qi及び(強い)基準信号Riを検出する検出の有限ダイナミクス(飽和前)に起因して課題となり得る。
【0080】
発展形態では、コヒーレント検出器DQ又は前記コヒーレント検出器DRは、コヒーレント状態パルスLLOQの強度に対して低減されるコヒーレント状態パルスLLORの強度に関連付けられる。
【0081】
代替的には、ダイナミクスへの制約は、(強い)基準パルスPRを検出するとき、局部発振器の電力を下げることによって対処することができる。電力レベルは、非常に入念に較正する必要があり、電力安定性は、この設計に新しい実験問題を導入することになる。更に、局部発振器の電力を下げることは、電子ノイズの相対的な影響を増大させる有害な影響を有するが、そのような影響は、基準パルス電力がショットノイズと比較して非常に高い場合、それほど有害ではないはずである。
【0082】
ここで、システム(「LLO自己コヒーレントopll」設計)の特定の実施形態について説明する。
【0083】
発展形態では、量子情報Q(i)及び位相基準情報R(i)は、2つの異なる光学コヒーレント状態パルスに符号化され、両方のパルスは、周期iでLAによって生成される光学波面からコヒーレントに導出され、第2のパルスは、光学遅延線を用いて第1のパルスに対して遅延され、量子情報Q(i)は、QP(i)と呼ばれるパルスの1つの直角位相に符号化され、位相基準情報R(i)は、RP(i)と呼ばれる第2のパルスに符号化され、LAと同相である、第2のパルスの直角位相値は、大きい値デルタだけ変位される一方、その他方の直角位相値は、変調されず、位相基準パルスRP(i)は、Bにおける光学位相ロックループ(OPLL)を動作させ、フィードバックメカニズムを用いてレーザLBの位相を光学基準パルスPR(i)の位相にロックするために使用され、受信パルスQP(i)の直角位相のデュアルホモダイン測定DQは、周期iでBにおいて実行され、LBは、QP(i)と一致したコヒーレント状態パルスPLLOQモードを生成するための局部局部発振器(LLO)として使用される。
【0084】
有利には、注入、ディザループ、平衡ループ、又はコスタスループの1つ又は複数等の異なるメカニズムを使用してOPLLを実現することができる。
【0085】
例示的な図に表される以下のパラメータが実質的に一定であることに留意されたい。アリスの変調変数は、VA=2、調停効率は、β=0.95であり、ホモダイン効率は、η=0.7であり、干渉におけるLOパルスに10個の光子がある場合、電子ノイズは、velec=0.1である。
【0086】
マッハツェンダ型振幅変調器での8ビット精度位相変調器及び40dBダイナミクス(ε=0.01)が更に考慮される。
【0087】
図1は、TLO設計でのボブの受信器100の実施形態を示す。ボブは、減衰信号及びLO多重化パルスの両方を受信する。ボブは、まず2つのパルスを逆多重化する(110)必要がある。次に、ボブは、直角位相をランダムに選択し、{0,Π/2}内のランダム位相を測定して、LOに位相変調器120を適用する。最後に、信号及びLOは、50/50ビームスプリッタ130上で干渉する。ボブの測定は、ビームスプリッタの出力における光電流の差に対応する。
【0088】
図2は、LLOシーケンシャル設計でのボブの受信器の実施形態を示す。ボブは、代替的に、信号及び位相基準パルス201を受信する。ボブは、ヘテロダイン検出をパルスのそれぞれ1つに対して実行し、X直角位相及びP直角位相の両方を得る。次に、位相補正210がデジタル処理を使用して実行される。
【0089】
図3は、距離310及び反復率320に関して2つの設計(送信LO設計及び局部LO設計)の理論上の過剰ノイズを比較する。図は、δv=50kHzの場合の送信LO設計及び局部LO設計での理論上の鍵レートの比較を示す。電子ノイズは、完全に信頼できるものとして見なされる(楽観モデル)。左側のグラフ310は、反復率f=50MHzの場合の距離の関数としての過剰ノイズを表す。右側のグラフ320は、d=25kmの場合での反復率の関数としての過剰ノイズを表す。異なる値Imaxが送信LO設計に選択されている。破線311は、ヌル鍵レート閾値ξNKRに対応する。
【0090】
アリスのレーザの開始電力は、実験上の理由でImaxに制限されると仮定する。送信LO設計の標準の実装形態は、一般に、数ミリワット入力強度に依存する。これらの曲線では、Imax∈{2mW,10mW,20mW}が選択されている。Imaxの値に応じて、余剰ノイズがヌル鍵レート閾値を超えて増大する距離限度及び反復率限度があることを見ることができる。これは、アリスがボブ側での十分に明るいLO(1パルス当たり約10個の光子)を保証することができず、電子対ショットノイズ比が秘密鍵の生成を阻止することに起因する。右の図320から、高反復率の場合、LLO変位設計は、秘密鍵を生成することを可能にすることを見ることができる。これは、2つの理由による。第1に、考察したように、ボブ側でのLO強度が反復率に依存せず、したがって電子対ショットノイズ比が局部的に制御されるが、これはTLO設計では当てはまらない。第2に、高反復率により、位相変動の効率的な補正が可能になり、低位相ノイズ誘導の過剰ノイズを保証することが可能になる。最後に、低電子対ショットノイズ比及び低位相ノイズを維持するために、高反復率及び長距離CV−QKDは、局部LOに基づくべきである。
【0091】
ここで、本発明の実施形態について説明する。
【0092】
ここで、本発明の実施形態による3つのLLO設計について説明する。これらの設計は、自己コヒーレント信号/位相基準対を含む。
【0093】
実施形態では、LOを局部生成する方法は、信号及び位相基準がいかなる位相ノイズも受けず、発信において同じパルスから来ることを保証することである。ここで、この手法を実施する3つの設計又は実施形態について説明する。
【0094】
実施形態では、本発明によるシステムは、コヒーレント信号/基準パルス対を含む。
【0095】
考察したように、LLOシーケンシャル設計は、2つの隣接パルス間のレーザ位相変動によって制限されない。この設計では、位相推定及び位相補正の両方が、同じパルスから分割されたパルスに対して実行される。これを行い、LLOシーケンシャル設計から、レーザ位相変動に起因する最小残留位相ノイズをなくすことができる。
【0096】
実施形態(「LLO遅延線dsp設計」)では、アリスは、アリスのレーザを用いて2/f反復率信号を生成する。アリスは、次に不平衡ビームスプリッタを使用して各パルスを2つの部分に分割する。弱い部分は、変調されて、通常のGMCS信号コヒーレント状態を取得する一方、強い部分は、1/f秒遅延される。2つのパルスは、最後に量子チャネルを通して送信される。最後に、アリスは、両方とも同じ元のパルスの出力である1つの信号パルスと1つの基準パルスとの連続対を送信する。これは、信号及び完全に位相ロックされた位相基準の両方をレーザ変動から独立して送信する時間多重化方法として見ることができる。ボブ側において、局部LOを使用して各パルスを測定する。相対位相推定及び補正の両方がデジタル的に実行される。位相補正は、2つの隣接パルス間の位相変動によってもはや制限されず、基準パルスへの位相推定効率の精度によってのみ制限される。
【0097】
考察したように、残留位相ノイズは、基準パルスへの位相推定の効率に依存する。これは、各パルスで利用可能な強度に依存する。この効率は、位相推定値の分散として表現することができる。これは、アリスのレーザ強度、量子チャネルで許される強度、及びボブのホモダイン検出器のダイナミクスによって制限される。
【0098】
実施形態(「LLO遅延線opll」)では、本発明によるシステムは、光学PLLを有するコヒーレント信号/基準パルス対を含む。そのような実施形態では、位相補正が光学的に実行される別のLLO遅延線設計が導入される。アリスは、設計LLO遅延線DSP設計と同じパルスを生成する。ボブは、基準パルスを自らのLO発信器と干渉させ、出力ビームの強度を測定する。この強度を使用して、ボブは、相対位相を推定し、信号ホモダイン検出LOにおいて補正することができる。これを行い、次に位相補正が物理的に実行される。
【0099】
図4は、本発明の実施形態(「LLO遅延線dsp」設計による)を示す。アリス401は、反復率f/2においてパルスを生成する。アリスは、各パルスを信号パルス及び基準パルスに分割する。同じビームの出力として、両方のパルスは位相ロックされる。遅延線を使用して、アリスは、基準パルスを1/f秒遅延させる。アリスは、次に1/f率信号を生成する。受信において、ボブ402は、自らのLOを使用して各パルスを測定する。これを行い、位相推定が、信号パルスと位相ロックされたパルスに対して実行される。
【0100】
図5は、本発明の実施形態(「LLO遅延線opll」設計による)を示す。アリス501は、反復率f/2においてパルスを生成する。アリスは、各パルスを信号パルス及び基準パルスに分割する。同じビームの出力として、両方のパルスは位相ロックされる。遅延線を使用して、アリス501は、基準パルスを1/f秒遅延させる。アリスは、次に1/f率信号を生成する。受信において、ボブ502は、偏光ビームスプリッタにおいて信号及び基準パルスを分離する。ボブは、基準パルスを使用して相対位相を推定し、その推定値を物理的に補正して(510)、単一のホモダイン検出でのLOの位相を制御する。
【0101】
図6は、インバンド位相基準送信を使用した本発明の実施形態を示す。そのような実施形態では、変更されたLLO方法は、LLOシーケンシャル設計の位相推定プロセスにおける遅延に起因する考察された制限を解消する。図6は、アリスによって送信された熱状態が変位することを示す。アリスは、変位したコヒーレント状態|xA+ΔcosφΔ,pA+ΔsinφΔ|を送信し、ここで、xA及びpAは、ガウス変数である。一般性を失わずに、φΔは、0に設定することができる。変位の値は、既知であり、アリスの位相空間において固定され、それによりアリスの位相基準についての情報を搬送する。次に、あらゆるパルスは、信号及び基準パルスの両方として使用することができる。ヘテロダイン検出を使用して、ボブは、各受信コヒーレント状態のX直角位相及びP直角位相の両方を測定し、値(xB,pB)を取得する。位相変動に起因して、ボブの基準における各コヒーレント状態の位相は、θ=θstate+θdriftとして記述され得、式中、xA+i.pA=rexp(iθstate)であり、θdriftは、図6に示されるように、干渉でのアリスのレーザとボブのレーザとの間の相対位相である。xB及びpBを使用して、ボブは、θの推定値として、添付書類1の式1として全体相対位相を推定することができる。しかしながら、sqrt(VA+1)と比較して大きい変位Δを提供することで、位相θstateの値及び分散は、θが相対位相θdriftの良好な近似であるように小さい。最後に、θdriftの知識は、推定値θを所与として、添付書類1の式2であるθstateの分散として表すことができる。したがって、十分に強いΔを提供することで、値θは、相対位相θdriftの精密な推定値である。残留位相ノイズが、最大でも位相推定に基づく単一の測定の分散VMであることが強調される。特に、残留位相ノイズは、もはや2つの連続パルス間の位相変動に依存しない。位相推定プロセス後、ボブは、最後に、角度−θの回転によって測定を補正することができる。主に、ボブは、以下(xB,pB):添付書類1の式3を用いてアリスの直角位相を推定し、式中、Rθ(P)は、角度θの点Pの回転である。この実施形態は、図7において説明される「LLO変位」設計と呼ばれる。
【0102】
図6は、アリスの熱状態の位相空間表現を示す。中心の円601は、TLO及びLLOシーケンシャル設計信号の両方のゼロ平均分散V変調を表す。円602は、アリスの位相基準と呼ばれるLLOインバンド設計での変位された変調を表す。変位Δは、位相基準に対応する。円603は、ボブの視点からのアリスの変調である。位相ノイズに起因して、アリスの熱状態は、ランダム位相θdriftによって回転する。Δ>>pVAである状態では、位相θstateは、0に近く、ボブが位相変動θdriftを効率的に推定できるようにする。この方式は、G=1の場合に有効である。大きいΔを提供することにより、ボブは、単一の状態直角位相測定を使用して相対位相の精密な推定を有する。しかしながら、ガウス位相ノイズ構造を使用して、隣接する位相推定値を使用することによって位相推定プロセスの効率を最適化することができる。通常、フィルタリング技法において位相時間相関を使用することができる。位相ノイズのガウス構造は、添付書類1の式4として表現することができ、式中、δθi〜N(0,Vdrift)であり、ここで、Vdriftは、添付書類1の式8において定義される。最後に、最適位相推定分散Voptは、添付書類1の式5として記述され得、式中、noptは、位相評価プロセスで使用される隣接位相推定値φjの最適数であり、添付書類1の式6として記述され得る。
【0103】
例えば、低位相ノイズ状態の場合、すなわちVdrift<<1の場合、隣接する推定値の平均をとり、全体位相推定効率を上げることができる。しかしながら、Vdrift>>VMである、位相ノイズが非常に高速である状態では、式6は、nopt=0をもたらし、位相推定プロセス効率は、そのまま単一の測定ベースの効率VMである。特に、これは、位相ノイズが強い場合でも、変位Δを使用して少なくともVMの精度で相対位相を復元できることを意味する。
【0104】
位相ノイズに起因する過剰ノイズは、添付書類1の式7として記述され得る。この数量は、変位が増大する場合には常に低減する。これは、位相復元プロセスが可能な限り大きい変位を必要とすることを意味する。しかしながら、完全な変位のみがこれまで考慮されてきた。位相推定プロセスと、不完全な振幅変調器に起因して変位が不完全な場合の最終的な残留誤差との間でトレードオフを行うことができる。
【0105】
変位への制限は、振幅変調器の有限ダイナミクスに起因する。値Δ+sqrt(VA)の値が最大振幅に近すぎる場合、変調の大部分が切り取られ、過剰ノイズが増大する。しかしながら、TLO及びLLOシーケンシャル設計と異なり、アリスの熱状態は、ゼロ平均状態ではない。これは、LLO変位設計がLLOシーケンシャル設計よりも高いηminに耐え得ることを意味する。誘導されるノイズは、ξ(Δ)modと記される。位相変調器入力電圧の離散化によって誘導される誤差は、変調される状態の振幅に比例し、位相推定と振幅の誤差との間での最適な変位についてのトレードオフをもたらす。
【0106】
図7は、本発明の実施形態(「LLO変位」設計)におけるボブの受信器701を示す。ボブは、パルスのそれぞれ1つにヘテロダイン検出を実行し、デジタル位相補正を実行する。信号帯内の各時間スロットを使用して、CV−QKDを実行する。位相基準専用のパルスはない。
【0107】
アリスの直角位相のボブの推定値における総ノイズは、添付書類1の式8として表すことができる。
【0108】
特に系統的な位相ノイズ推定により、位相ノイズが非常に高速な状態においてLLO変位実施形態を使用できるようになる。位相ノイズが隣接パルスから推定されるLLOシーケンシャル設計と異なり、ここで、位相ノイズは、現在の推定値を含む連続推定値のフィルタリングを使用して推定される。これは、相対位相が、パルスから続くパルスに全く相関しない(例えば、欠陥レーザ又は低反復率に起因する非常に高速の変動)場合でも、ボブは、それでもなお位相ノイズについての情報を取得し、測定を補正し得ることを暗示する。特に、この設計では、大きい位相ノイズがある状態でCV−QKDを実行することができ、これは、LLOout設計を使用して達成することができない。更に、インバンド基準位相送信を使用することで、全ての反復率を信号に使用することが可能になることが強調される。この設計の別の重要な利点は、位相基準が多重化技法を必要としないことであり、それにより、そのようなプロトコルの実験回路が簡易化される。
【0109】
図8は、反復率fの関数としてのLLOシーケンシャル設計及びLLO変位設計の予期される鍵レートの比較を示す(1MHz、50kHz、及び5kHzの場合)。破線曲線は、LLOシーケンシャルに対応する。これは、異なるレーザ線幅の場合の鍵レートを反復率の関数として表す。高位相ノイズ状態(低反復率)では、LLOシーケンシャル(破線曲線)は、秘密鍵を生成することができず、なぜなら、相対位相推定効率が式11からのノイズVdriftによって支配されるためである。しかしながら、反復率が十分に高い場合、変動Vdriftが小さく、位相補正が効率的である。これとは対照的に、LLO変位設計では、系統的位相推定に起因して、位相ノイズを常に補正することができる。低反復率状態では、最適位相推定分散は、単一の測定ベースの推定であるが、高反復率状態でフィルタリング技法を使用して更に改善することができる。低位相ノイズ状態では、位相ノイズは、両方の設計で効率的に補正され、曲線間のギャップは、信号及び位相基準の同時送信に起因してLLO変位設計に保存される係数1/2に由来する。
【0110】
図9は、本発明の実施形態によるステップの例を示す。実施形態では、光学チャネル(例えば、光ファイバ)によって接続された発信器(又は送信器)A901と遠隔受信器B902との間で量子情報のコヒーレント光学通信を実行する方法が開示される。発信器A901は、レーザLAを含み、受信器B902は、コヒーレント受信器を動作させるための局部局部発振器(LLO)として使用されるレーザLBを含む。方法は、
− Aにおいて、周期iでレーザLAによって生成される同じ光学波面から1つ又は2つの光学パルスを位相コヒーレントに導出するステップ(910)であって、パルスは、レーザLAと自己コヒーレントである、ステップ(910)と、
− Aにおいて、コヒーレント多重化符号化メカニズムを使用することにより、論理量子情報Q(i)及び(並びに)物理位相基準情報R(i)をそれらの1つ又は2つの自己コヒーレント光学パルスに符号化するステップ(920)と、
− 光学チャネルを通してAからBに、多重化されたQ(i)及びR(i)を送信するステップ(930)と、
− Bにおいて、レーザLBによって生成され、且つコヒーレント検出を実行するための局部発振器として使用される単一の光学波面から導出される前記1つ又は2つの自己コヒーレントパルスとの多重化コヒーレント測定を用いて、論理量子情報Q(i)及び物理位相基準情報R(i)を測定し、それによりQ(i)の従来の測定値Qm(i)及びR(i)の従来の測定値Rm(i)を取得又は特定する(940)するステップと、
− Bにおいて、R(i)光学パルスと対応するLOパルスとの間の相対位相を推定することにより、Q(i)光学パルスと対応するLOパルスとの間の周期iでの干渉における相対位相Phi(i)を特定するステップ(950)と、
− Bにおいて、相対位相Phi(i)の推定値を使用してQm(i)測定値を補正することにより、論理量子情報Q(i)を特定するステップ(960)と
を含む。
【0111】
開示された実施形態は、全体的にハードウェアの実施形態(例えば、FPGA)、全体的にソフトウェアの実施形態、又はハードウェア要素及びソフトウェア要素の両方を含む実施形態の形態をとることができる。ソフトウェア実施形態は、ファームウェア、常駐ソフトウェア、マイクロコード等を含むが、これらに限定されない。本発明は、コンピュータ若しくは任意の命令実行システムによって使用されるか、又は併せて使用されるプログラムコードを提供するコンピュータ使用可能媒体若しくはコンピュータ可読媒体からアクセス可能なコンピュータプログラム製品の形態をとることができる。コンピュータ使用可能又はコンピュータ可読は、命令実行システム、装置若しくはデバイスによって使用されるか、又は併せて使用されるプログラムの包含、記憶、通信、伝搬若しくは輸送を行うことができる任意の装置であり得る。媒体は、電子媒体、磁気媒体、光学媒体、電磁媒体、半導体システム(若しくは装置若しくはデバイス)、又は伝搬媒体であり得る。
【0112】
添付書類1
【数1】
【数2】
【数3】
【数4】
【数5】
【数6】
【数7】
【数8】
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【国際調査報告】