(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】2019522560
(43)【公表日】20190815
(54)【発明の名称】過酸化水素蒸発装置及び過酸化水素を蒸発させるための方法
(51)【国際特許分類】
   B01J 7/00 20060101AFI20190719BHJP
   A61L 2/20 20060101ALI20190719BHJP
   C01B 15/013 20060101ALI20190719BHJP
【FI】
   !B01J7/00 Z
   !A61L2/20 106
   !C01B15/013
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】15
(21)【出願番号】2018555947
(86)(22)【出願日】20170425
(85)【翻訳文提出日】20181219
(86)【国際出願番号】EP2017059822
(87)【国際公開番号】WO2017186733
(87)【国際公開日】20171102
(31)【優先権主張番号】1650566-1
(32)【優先日】20160427
(33)【優先権主張国】SE
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ
(71)【出願人】
【識別番号】391053799
【氏名又は名称】テトラ ラバル ホールディングス アンド ファイナンス エス エイ
【住所又は居所】スイス連邦 CH−1009 プリー アヴェニュ ジェネラル−ギザン 70
【住所又は居所原語表記】70 Avenue General Guisan,CH−1009 Pully,Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100151105
【弁理士】
【氏名又は名称】井戸川 義信
(72)【発明者】
【氏名】ボー・ルンベルグ
【住所又は居所】スウェーデン・27398・スメドストルプ・エングスバッカ
(72)【発明者】
【氏名】ピーター・ジョー・ニルソン
【住所又は居所】スウェーデン・24545・スタッファンストープ・ネヴィスボルグ・79
【テーマコード(参考)】
4C058
4G068
【Fターム(参考)】
4C058AA25
4C058BB07
4C058JJ16
4C058JJ30
4G068DA10
4G068DB04
4G068DD03
4G068DD11
4G068DD15
(57)【要約】
過酸化水素を蒸発させるための蒸発装置(100)が提供される。装置は、ハウジング本体(120)であって、その中に配置されている少なくとも2つの流路(110a〜d)を有し、流路(110a〜d)は、互いに接続されて、入口(130)と出口(132)との間に共通流体ラインを形成し、ハウジング本体(120)と前記流路(110a〜d)を加熱するための、前記ハウジング本体(120)内に配置されている少なくとも1つの加熱要素(150)とを含む。流体入口(130)に接続されている第1の流路(110a)は、その内壁が第1の温度に加熱されるように、少なくとも1つの加熱要素(150)に対して配置されており、及び流体出口(132)に接続されている第2の流路(110d)は、その内壁が、第1の温度よりも高い第2の温度に加熱されるように、少なくとも1つの加熱要素(150)に対して配置されている。
【選択図】図3a
【特許請求の範囲】
【請求項1】
過酸化水素を蒸発させるための蒸発装置(100)であって、
ハウジング本体(120)であって、その中に配置されている少なくとも2つの流路(110a〜d)を有し、前記流路(110a〜d)は、互いに接続されて、入口(130)と出口(132)との間に共通流体ラインを形成し、ハウジング本体(120)と前記流路(110a〜d)を加熱するための、前記ハウジング本体(120)内に配置されている少なくとも1つの加熱要素(150)と
を含み、
前記流体入口(130)に接続されている第1の流路(110a)は、その内壁が第1の温度に加熱されるように、前記少なくとも1つの加熱要素(150)に対して配置されており、及び
前記流体出口(132)に接続されている第2の流路(110d)は、その内壁が、前記第1の温度よりも高い第2の温度に加熱されるように、前記少なくとも1つの加熱要素(150)に対して配置されている、蒸発装置(100)。
【請求項2】
前記ハウジング本体(120)は、固体ブロックであり、前記流路(110a〜d)は、前記ブロック内に提供されている通路である、請求項1に記載の蒸発装置(100)。
【請求項3】
前記ハウジング本体(120)は、アルミニウム又はステンレス鋼製である、請求項1又は2に記載の蒸発装置(100)。
【請求項4】
前記少なくとも1つの加熱要素(150)は、前記ハウジング本体(120)の縦軸に沿って延在する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の蒸発装置(100)。
【請求項5】
前記少なくとも1つの加熱要素(150)は、電気加熱要素である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の蒸発装置(100)。
【請求項6】
前記第1の温度は、前記第1の流路(110a)に入る液体の過酸化水素が前記第1の流路(110a)を流れている間に蒸発されるように選択される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の蒸発装置(100)。
【請求項7】
前記第1の温度は、120〜140℃であり、前記第2の温度は、200〜250℃である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の蒸発装置(100)。
【請求項8】
各流路(110a〜d)は、前記ハウジング本体(120)の第1の端面から前記ハウジング本体(120)の反対端に延在し、前記ハウジング本体(120)の各端面は、それぞれの端板(136、138)によって閉じられている、請求項1〜7のいずれか一項に記載の蒸発装置(100)。
【請求項9】
少なくとも1つの流路(110a〜d)は、前記端面の1つに溝として形成されている流体接続部により、隣接する流路(110a〜d)に接続されている、請求項8に記載の蒸発装置(100)。
【請求項10】
前記少なくとも1つの溝は、前記端板(136、138)の1つによって閉じられている、請求項9に記載の蒸発装置(100)。
【請求項11】
過酸化水素を蒸発させるための方法であって、
ハウジング本体(120)に配置されている第1の流路(110a)を通して、且つ次に前記ハウジング本体(120)内に更に配置されている第2の流路(110d)を通して過酸化水素の水溶液を供給するステップであって、前記流路(110a〜d)は、互いに接続されて、入口(130)と出口(132)との間に共通流体ラインを形成する、ステップと、
前記ハウジング本体(120)内に配置されている少なくとも1つの加熱要素(150)により、前記流路(110a〜d)の内壁を加熱するステップと
を含み、前記流体入口(130)に接続されている前記第1の流路(110a)は、その内壁が第1の温度に加熱されるように、前記少なくとも1つの加熱要素(150)に対して配置されており、及び
前記流体出口(132)に接続されている前記第2の流路(110d)は、その内壁が、前記第1の温度よりも高い第2の温度に加熱されるように、前記少なくとも1つの加熱要素(150)に対して配置されている、方法。
【請求項12】
前記第1の温度は、蒸発される液体の沸騰温度よりも約30℃高く、前記第2の温度は、200〜250℃である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記過酸化水素の水溶液の濃度は、2〜5%である、請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
前記第1の温度は、前記第1の流路(110a)に入る過酸化水素の水溶液が前記第1の流路(110a)を流れている間に蒸発されるように選択される、請求項11〜13のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、流動食のためのカートンベースのパッケージなどのパッケージの製造に関し、特にこのような製造中に滅菌剤を提供するための過酸化水素蒸発装置に関する。
【背景技術】
【0002】
流動食を密閉して保存する容器などの製品容器を形成するためにカートンベースの包装材料を使用することが一般に知られている。
【0003】
最終パッケージの要求される品質を確保するために、例えば、食品安全性及び完全性の観点から、包装材料は異なる層を含み得る。例として、包装材料は、最終パッケージの外面を構成する一方の側に貼られた少なくとも1つの装飾層を有するコア材料層と、反対側又は内側に設けられた高分子組成物又は層とを含み得る。場合により、高分子組成物は、アルミニウムなどの保護膜を備えてもよい。高分子組成物は、通常、最終パッケージに含まれることが意図される製品と接触する外側層又は末端層も含む。
【0004】
典型的には、包装材料は、その所望の中身が充填される前に半完成パッケージへと形成される。特に中身が食品の場合、充填前にパッケージの材料を滅菌する必要がある。このような滅菌の場合、最終的な中身を入れる前に、過酸化水素及び空気のガス混合物を半完成パッケージに噴霧することが一般的である。高温のガス混合物は、半完成パッケージの内面で凝結して、薄い液体層を形成する。次に、滅菌剤のこの薄い層は、半完成パッケージの内側に存在するあらゆる微生物を殺す紫外線に暴露される。最後に、パッケージの充填及び密封を行う前に残りの過酸化水素を通気する。
【0005】
過酸化水素の高温のガス混合物を提供する場合、蒸発器を通して過酸化水素及び水の溶液を供給することが必要である。熱暴露のために過酸化水素及び水の混合物は蒸発し、それにより、ガス状の溶液は、充填する準備ができているパッケージにガス状の滅菌剤を放出するように構成された噴射ノズルに送られる。通常、滅菌のためにパッケージに入る過酸化水素ガスの必要な最低温度が存在するため、多くの考慮を行う必要がある。まず、比較的小型の蒸発器を有することが望ましく、次に可能な限り速く所望の温度に達するべきである。これらの2つの必要条件は、非常に高温の蒸発器を通して液体過酸化水素を供給すべきであることを示唆する。しかし、蒸発器に高過ぎる温度を使用すると、蒸発器の材料、特にステンレス鋼がその耐食性を失われる可能性がある。更に、過酸化水素の分解又は破壊速度は、温度の上昇に伴って急速に速くなるだけでなく、腐食が存在する場合にも急速に速くなる。今日、所望の時間枠内でガスの所望の加熱を提供し、蒸発器材料が腐食しないようにする過酸化水素蒸発器に対する解決策は存在しない。
【0006】
これを考慮して、先行技術の解決策の欠点を少なくとも部分的に克服するために、改良された過酸化水素蒸発器装置を有することが望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本開示の目的は、上述の問題を解決することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の態様によれば、過酸化水素を蒸発させるための蒸発装置が提供される。装置は、ハウジング本体であって、その中に配置されている少なくとも2つの流路を有し、流路は、互いに接続されて、入口と出口との間に共通流体ラインを形成する、ハウジング本体と、流路を加熱するための、ハウジング本体内に位置決めされている少なくとも1つの加熱要素とを含む。流体入口に直接接続されている第1の流路は、その内壁が第1の温度に加熱されるように、少なくとも1つの加熱要素に対して位置決めされており、及び流体出口に直接接続されている第2の流路は、その内壁が、第1の温度よりも高い第2の温度に加熱されるように、少なくとも1つの加熱要素に対して位置決めされている。
【0009】
一例では、ハウジング本体は、固体ブロックであり、流路は、ブロック内に提供されている通路である。ハウジング本体は、アルミニウム又はステンレス鋼製であってもよく、これらは過酸化水素を含む用途に特に適している。
【0010】
一例では、少なくとも1つの加熱要素は、ハウジング本体の縦軸に沿って延在し、それにより、蒸発される液体の効率的な加熱が達成される。少なくとも1つの加熱要素は、例えば、電気加熱要素であり得る。
【0011】
第1の温度は、第1の流路に入る液体の過酸化水素が第1の流路を流れている間に完全に蒸発されるように選択され得る。最適な熱伝達の場合、好ましくは、第1の温度は、蒸発される液体の沸騰温度よりも30℃高い。
【0012】
第1の温度は、例えば、120〜140℃であり、第2の温度は、例えば、200〜250℃であり得る。
【0013】
一例では、各流路は、ハウジング本体の第1の端面からハウジング本体の反対側の端部まで延在し、ハウジング本体の各端面は、それぞれの端板によって閉じられている。少なくとも1つの流路は、例えば、端面の1つに溝として形成されている流体接続部により、隣接する流路に接続され得る。従って、装置の製造が大幅に向上する。
【0014】
少なくとも1つの溝は、端板の1つによって閉じられ得る。
【0015】
第2の態様によれば、過酸化水素を蒸発させるための方法が提供される。この方法は、ハウジング本体に配置されている第1の流路を通して、且つ次にハウジング本体内に更に配置されている第2の流路を通して過酸化水素の水溶液を供給するステップであって、流路は、互いに接続されて、入口と出口との間に共通流体ラインを形成する、ステップを含む。方法は、ハウジング本体内に配置されている少なくとも1つの加熱要素により、流路の内壁を加熱するステップを更に含み、それにより、流体入口に接続されている第1の流路は、その内壁が第1の温度に加熱されるように、少なくとも1つの加熱要素に対して位置決めされており、及び流体出口に接続されている第2の流路は、その内壁が、第1の温度よりも高い第2の温度に加熱されるように、少なくとも1つの加熱要素に対して位置決めされている。
【0016】
第1の温度は、好ましくは、蒸発される液体の沸騰温度よりも約30℃高く、第2の温度は、200〜250℃であり得る。
【0017】
一例では、過酸化水素の水溶液の濃度は、2〜5%である。更に、第1の温度は、第1の流路に入る過酸化水素の水溶液が第1の流路を流れている間に完全に蒸発されるように選択され得る。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本開示の原理を具体化する過酸化水素処理のためのシステムを含む例示的な形態の充填及び密封包装機を示す。
【図2】先行技術による過酸化水素蒸発器の概略図である。
【図3a】一例による過酸化水素蒸発装置の断面等角図である。
【図3b】図3aに示す過酸化水素蒸発装置の断面正面図である。
【図4a】別の例による過酸化水素蒸発装置の断面正面図である。
【図4b】更に別の例による過酸化水素蒸発装置の断面等角図である。
【図4c】更に別の例による過酸化水素蒸発装置の断面等角図である。
【図5】例による方法の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本開示は、様々な形態の例を受け入れる余地があるが、本開示は、本開示の例示と考えられるべきであり、例示の特定の例に本開示を限定するように意図されないという理解をもって、現在好ましい例が図面で示され且つ以下に説明される。
【0020】
ここで、図1を参照すると、本開示の原理を具体化する例示的な形態の充填及び密封包装機10が示されている。従来の形態の充填及び密封包装機10は、平坦な折り曲げカートンブランクを保存するカートンマガジン12と、カートン組立台14と、下部形成及び充填台22とを含む。包装機10は、カートンを滅菌する滅菌台16を更に含み、カートンに製品を充填する充填台20と、カートンの上部パネルを事前に折り曲げ、その後、互いに密封する上部密封台22aとを更に含む。次に、カートンは、この形態の充填及び密封包装機10から降ろされる。
【0021】
滅菌台16は、下部形成及び充填台22と充填台20との間に位置決めされている。滅菌台16は、1つ又は複数の紫外線エネルギー発生装置24と、過酸化水素蒸気発生システム26とを含み得る。過酸化水素蒸気発生システム26は、過酸化水素蒸発装置100を含む。
【0022】
過酸化水素蒸発装置100の様々な例の詳細に移行する前に、先行技術の蒸発器30について図2を参照して簡単に説明する。蒸発器30は、2つの閉端部を有する円筒ハウジング32を有する。ハウジング32は、液体過酸化水素を受け入れる入口34と、気体過酸化水素を放出する出口36とを有する。ハウジングの内側には、ハウジング32の縦軸に沿って延在する電気加熱要素38が配置されている。電気加熱要素38は、電源(図示せず)に接続するための、ハウジング32の閉端部の外側上に延在する電気接点40を有する。動作中、液体過酸化水素は、入口34を通して注入され、電気加熱要素38に当たり、それにより、直ちに蒸発が生じる。典型的には、200〜250℃の所望の出口温度の場合、電気加熱要素38の表面温度は、約600℃である。気体が出口36の方へ移送されるにつれて、気体の温度は、徐々に上昇して、出口36を通って出るときに所望の出口温度に達する。電気加熱要素38の極めて高い表面温度のために腐食が生じ、従って過酸化水素の破壊速度が速くなる。従って、蒸発器を出る気体の実際の過酸化水素濃度を正確に制御することはできない。
【0023】
以下では、蒸発装置100の例について図3a〜3b及び図4a〜4bを参照して説明する。この特定の状況において、蒸発装置100は、過酸化水素を蒸発させるために使用される。しかし、蒸発装置100は、他の液体を蒸発させるために使用されてもよい。
【0024】
過酸化水素蒸発装置100は、図1を参照して説明された機械のタイプを排他的に目的とせず、充填する準備ができているパッケージを滅菌するための過酸化水素蒸気を利用した全ての充填機を目的としている。
【0025】
図3a及び3bは、過酸化水素蒸発装置100の第1の例を示す。装置100は、ハウジング本体120内に提供された複数の流路110a〜dを含む。好ましくは、ハウジング本体120は、アルミニウムなどの金属の固体ブロックであり、流路110a〜dは、固体ブロック120内の穿孔通路である。穿孔通路110a〜dは、穿孔通路が共通流体ラインを形成するように互いに接続される。図示の例において、第1の流路110aの一端が第2の流路110bの一端に接続され、第2の流路110bの反対端が第3の流路110cの一端に接続される。第3の流路110cの反対端が第4の流路110dの一端に接続される。第2の流路110bに接続する端部と反対側の端部において、第1の流路110aが流体入口130に接続される。同様に、第3の流路110cに接続する端部と反対側の端部において、第4の流路110dが流体出口132に接続される。
【0026】
好ましくは、入口130及び出口132は、ハウジング本体120の端面を密封する端板136上に配置される。更に、ホース又は類似物がそれぞれ装置100に確実に装着されることを可能にするための接続手段が入口130及び出口132に提供され得る。流路110a〜d間の接続部は、図3aの矢印で概略的にのみ示されている。しかし、これらの接続部は、穿孔通路であり得る。製造の容易さのために、流路110a〜d間の接続部は、ハウジング本体120の端面に溝として提供され、それにより、上述の端板136は、溝が流路を形成するように第2及び第3の流路110b、c間の溝を密封する。
【0027】
同様に、端板138は、第1及び第2の流路110a、b間の流体接続部と、第3及び第4の流路110c、d間の流体接続部とがハウジング本体120の端面に溝として提供され得るように、ハウジング本体120の反対側の端面に提供され、それにより、端板138は、溝が流路を形成するように第1及び第2の流路110a、b間の溝と、第3及び第4の流路110c、d間の溝とを密封する。
【0028】
端板136、138をハウジング本体120に固定するために、ねじ140が使用され得る。
【0029】
図3aで分かるように、ハウジング本体120は、縦方向延在部分を有し、及び流路110a〜dは、ハウジング本体120の縦軸と平行に実質的に延在する。
【0030】
装置100は、加熱カートリッジ又は類似物などの少なくとも1つの電気加熱要素150を更に含む。各加熱要素150は、ハウジング本体120に提供された管状空洞160に配置される。好ましくは、管状空洞160は、管状空洞がハウジング本体120の縦軸に沿って貫通孔を形成するように一方の端面から他方の端面に延在する。端板138には、電気加熱要素150を電源(図示せず)に接続するための電気接続部152が提供される。
【0031】
図示の例において、管状空洞160が提供され、各空洞160は、電気加熱要素150を密閉する。加熱要素150は、互いに平行に且つハウジング本体120の縦軸と平行に延在する。好ましくは、各加熱要素150の長さは、ハウジング本体120の全長よりもごく僅かに短い。
【0032】
動作中、電気加熱要素150の電源が入れられ、その結果、空洞160の内壁が加熱される。従って、ハウジング本体120の温度は、動作中に徐々に上昇する。加熱要素150の構成のために、ハウジング本体120内の温度プロフィールは勾配を受け、それにより、加熱要素150からの半径方向距離が増加するにつれてハウジング本体120の温度が低くなる。
【0033】
図3bでは、流路110a〜dが端板136から見える。管状空洞160内に配置された加熱要素150は、ハウジング本体120を加熱する。従って、ハウジング本体120の温度は、空洞160の近傍で最も高温となる。
【0034】
典型的に2〜5%の濃度における過酸化水素の水溶液が第1の流路110aに供給される。液体がこの流路110aを流れるにつれて、液体は、流路110aの内壁からの熱に曝される。最適な性能のためには、熱伝達が最大となるように第1の流路110aの温度を維持することが望ましい。熱伝達の理論によれば、流路壁の温度が希釈過酸化水素に対して約130℃である場合に最大効率が得られる。即ち、流路110aの内壁の温度は、加熱される液体の沸騰温度よりも約30℃高くすべきである。特定の流量において、この温度は、液体過酸化水素を完全に沸騰させるのに実際に十分であることが分かっている。この温度をハウジング本体120の上部にするために、加熱要素150を、図2を参照して説明された先行技術の解決策の温度の約半分である約300℃に加熱すべきであることが分かっている。
【0035】
沸騰した過酸化水素が第1の流路110aの端部に達すると、沸騰した過酸化水素は、第2の流路110bに更に流入し、その後、第3の流路110cに流入する。第2及び第3の流路110b、cを通過している間、気体の温度は徐々に上昇する。空洞160の近傍に配置された第4の流路110dに気体が流入すると、気体の最終加熱が提供される。第4の流路110dを通過している間、気体は、通常、200〜250℃の範囲内である所望の出口温度を得る。
【0036】
過酸化水素蒸発装置100の場合、最高温度を先行技術と比較して約50%下げることができる。これは、部分的に、蒸発のための最大の熱伝達及び緩やかな温度上昇が後に達成されるという事実によるものである。加熱要素150の最高温度の低下のために、過酸化水素の化学的破壊だけでなく、腐食も大幅に減少する。この理由のため、放出気体の正しい濃度を確保するのが更に一層容易である。
【0037】
図4aは、過酸化水素蒸発装置100の別の例を示す。この例においても、ハウジング本体120は、穿孔流路110a、110dを有する固体ブロックである。図3a及び3bを参照して説明された例と同様に、加熱要素150を収容する管状空洞160も提供されている。上述の例と同様に、第1の流路110aは、入口からハウジング本体120に延在する縦通路である。第1の流路110aは、空洞160の周りに同軸の環状導管として形成された第2及び最終の流路110dに接続されている。加熱要素150に対する流路110a、dの配置のために、上述の例と同様に、ハウジング本体120内の勾配温度プロファイルが得られる。
【0038】
図4bは、過酸化水素蒸発装置100の更に別の例を示す。この例では、2つの流路110a、dは、ハウジング本体120内で過酸化水素のための完全導管を形成する。第1の流路110aは、上述の例と同様に延在するが、第2の流路110dは、第1の流路110aの端部に接続する一端と、出口132に接続する反対端とを有し、第2の流路110dが下方に傾斜している。加熱要素150は、図3a及び3bの加熱要素150と同一である。
【0039】
図4cは、過酸化水素蒸発装置100の更に別の例を示す。装置100は、第2の流路110dがハウジング本体120及び加熱要素150の縦方向延在部分と平行であるのに対し、第1の流路110aが傾斜していることを除いて、図4bの装置100とほぼ同一である。
【0040】
図5は、過酸化水素を蒸発させるための方法200を概略的に示す。方法200は、ハウジング本体120に配置されている第1の流路110aを通して、且つ次にハウジング本体120内に更に配置されている第2の流路110dを通して過酸化水素の水溶液を供給する第1のステップ202を含む。上述のように、流路110a〜dは、互いに接続されて、入口130と出口132との間に共通流体ラインを形成する。方法は、前記ハウジング本体120内に配置されている少なくとも1つの加熱要素150により、前記流路110a〜dの内壁を加熱する次のステップ204を更に含む。ステップ204は、流体入口130に接続され且つ少なくとも1つの加熱要素150に対して位置決めされている第1の流路110aが、第1の温度に加熱されるその内壁を有するように、及び流体出口132に接続され且つ少なくとも1つの加熱要素150に対して位置決めされている第2の流路110dが、第1の温度よりも高い第2の温度に加熱されるその内壁を有するように実行される。
【0041】
上述のように、方法200は、好ましくは、第1の温度が120〜140℃であり、及び第2の温度が200〜250℃であるように実行される。
【0042】
上記の例は、過酸化水素を用いた用途に特に適している。典型的な例は、過酸化水素の水溶液の濃度が約2〜5%である用途を含む。しかし、他の例において、濃度は、最大で35〜40%であり得る。
【0043】
更に、ステップ204は、好ましくは、第1の流路110aに入る過酸化水素の水溶液が第1の流路110aを流れている間に完全に蒸発されるように実行される。
【0044】
記載された装置及び方法は、蒸発温度を超える温度に蒸発及び加熱されるあらゆる種類の液体のために特に使用される。いくつかの例によれば、第1の流路110aの温度は、使用される液体の沸点よりも約30℃高くなるように選択される。
【図1】
【図2】
【図3a】
【図3b】
【図4a】
【図4b】
【図4c】
【図5】
【手続補正書】
【提出日】20190115
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
過酸化水素を蒸発させるための蒸発装置(100)であって、
ハウジング本体(120)であって、その中に配置されている少なくとも2つの流路(110a〜d)を有し、前記流路(110a〜d)は、互いに接続されて、入口(130)と出口(132)との間に共通流体ラインを形成し、ハウジング本体(120)と前記流路(110a〜d)を加熱するための、前記ハウジング本体(120)内に配置されている少なくとも1つの加熱要素(150)と
を含み、
前記流体入口(130)に接続されている第1の流路(110a)は、その内壁が第1の温度に加熱されるように、前記少なくとも1つの加熱要素(150)に対して配置されており、及び
前記流体出口(132)に接続されている第2の流路(110d)は、その内壁が、前記第1の温度よりも高い第2の温度に加熱されるように、前記少なくとも1つの加熱要素(150)に対して配置されている、蒸発装置(100)。
【請求項2】
前記ハウジング本体(120)は、固体ブロックであり、前記流路(110a〜d)は、前記ブロック内に提供されている通路である、請求項1に記載の装置(100)。
【請求項3】
前記ハウジング本体(120)は、アルミニウム又はステンレス鋼製である、請求項1又は2に記載の装置(100)。
【請求項4】
前記少なくとも1つの加熱要素(150)は、前記ハウジング本体(120)の縦軸に沿って延在する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の装置(100)。
【請求項5】
前記少なくとも1つの加熱要素(150)は、電気加熱要素である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の装置(100)。
【請求項6】
各流路(110a〜d)は、前記ハウジング本体(120)の第1の端面から前記ハウジング本体(120)の反対端に延在し、前記ハウジング本体(120)の各端面は、それぞれの端板(136、138)によって閉じられている、請求項1〜のいずれか一項に記載の装置(100)。
【請求項7】
少なくとも1つの流路(110a〜d)は、前記端面の1つに溝として形成されている流体接続部により、隣接する流路(110a〜d)に接続されている、請求項に記載の装置(100)。
【請求項8】
前記少なくとも1つの溝は、前記端板(136、138)の1つによって閉じられている、請求項に記載の装置(100)。
【請求項9】
過酸化水素を蒸発させるための方法であって、
ハウジング本体(120)に配置されている第1の流路(110a)を通して、且つ次に前記ハウジング本体(120)内に更に配置されている第2の流路(110d)を通して過酸化水素の水溶液を供給するステップであって、前記流路(110a〜d)は、互いに接続されて、入口(130)と出口(132)との間に共通流体ラインを形成する、ステップと、
前記ハウジング本体(120)内に配置されている少なくとも1つの加熱要素(150)により、前記流路(110a〜d)の内壁を加熱するステップと
を含み、前記流体入口(130)に接続されている前記第1の流路(110a)は、その内壁が第1の温度に加熱されるように、前記少なくとも1つの加熱要素(150)に対して配置されており、及び
前記流体出口(132)に接続されている前記第2の流路(110d)は、その内壁が、前記第1の温度よりも高い第2の温度に加熱されるように、前記少なくとも1つの加熱要素(150)に対して配置されている、方法。
【請求項10】
前記第1の温度は、120〜140℃であり、前記第2の温度は、200〜250℃である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記第1の温度は、蒸発される液体の沸騰温度よりも約30℃高く、前記第2の温度は、200〜250℃である、請求項に記載の方法。
【請求項12】
前記過酸化水素の水溶液の濃度は、2〜5%である、請求項9〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記第1の温度は、前記第1の流路(110a)に入る過酸化水素の水溶液が前記第1の流路(110a)を流れている間に蒸発されるように選択される、請求項〜1のいずれか一項に記載の方法。
【国際調査報告】