(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】2019522571
(43)【公表日】20190815
(54)【発明の名称】安全制御チャンバ付き空気圧式ネイルガン
(51)【国際特許分類】
   B25C 7/00 20060101AFI20190719BHJP
   B25C 1/04 20060101ALI20190719BHJP
【FI】
   !B25C7/00 A
   !B25C1/04
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】27
(21)【出願番号】2018564360
(86)(22)【出願日】20170515
(85)【翻訳文提出日】20181228
(86)【国際出願番号】EP2017061603
(87)【国際公開番号】WO2017215860
(87)【国際公開日】20171221
(31)【優先権主張番号】16174533.6
(32)【優先日】20160615
(33)【優先権主張国】EP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ
(71)【出願人】
【識別番号】518431381
【氏名又は名称】ヨー. フリードリヒ ベーレンス アーゲー
【住所又は居所】ドイツ連邦共和国 22926 アーレンスブルク ボーゲンシュトラーセ 43−45
(74)【代理人】
【識別番号】100080182
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 三彦
(74)【代理人】
【識別番号】100142572
【弁理士】
【氏名又は名称】水内 龍介
(72)【発明者】
【氏名】バウアー ヨアヒム
【住所又は居所】ドイツ連邦共和国 23843 バート オルデスロー ガルテンシュトラーセ 2アー
【テーマコード(参考)】
3C068
【Fターム(参考)】
3C068AA01
3C068BB01
3C068CC02
3C068DD03
3C068HH09
3C068HH19
(57)【要約】
【解決手段】固定手段を打ち込む打込タペット50に接続され、かつ打込プロセスの開始時に空気によって加圧される作動ピストン25と、手動式トリガ14および接触センサ24を有する解放装置であって、トリガ14および接触センサ24が同時に作動することによって第1の制御弁44が駆動され、安全制御チャンバ62内の圧力が所定の圧力閾値を上回った場合に打込プロセスが開始される、解放装置と、接触センサ24が作動しているかどうかにかかわらず、トリガ14を作動させることによって駆動される第2の制御弁22とを備える空気圧式ネイルガン10であって、安全制御チャンバ62を、第2の制御弁22の位置に関係なくスロットル60によって継続的に脱気しており、かつ第2の制御弁22の駆動時に加圧されているケーシング内部64からこれを隔離していることを特徴とする、空気圧式ネイルガン10としたこと。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定手段を打ち込む打込タペット(50)に接続され、かつ打込プロセスの開始時に空気によって加圧される作動ピストン(25)と、
手動式トリガ(14)および接触センサ(24)を有する解放装置であって、前記トリガ(14)および前記接触センサ(24)が同時に作動することによって第1の制御弁(44)が駆動され、安全制御チャンバ(62)内の圧力が所定の圧力閾値を上回った場合に打込プロセスが開始される、解放装置と、
前記接触センサ(24)が作動しているかどうかにかかわらず、前記トリガ(14)を作動させることによって駆動される第2の制御弁(22)とを備える空気圧式ネイルガン(10)であって、
前記安全制御チャンバ(62)を、前記第2の制御弁(22)の位置に関係なくスロットル(60)によって継続的に脱気しており、かつ前記第2の制御弁(22)の駆動時に加圧されているケーシング内部(64)からこれを隔離していることを特徴とする、
空気圧式ネイルガン(10)。
【請求項2】
前記トリガ(14)が作動していないときに、前記第2の制御弁(22)を介して前記安全制御チャンバ(62)を脱気していることを特徴とする、請求項1に記載の空気圧式ネイルガン(10)。
【請求項3】
前記スロットル(60)を、前記第2の制御弁(22)を前記安全制御チャンバ(62)に接続するラインに対して接続していることを特徴とする、請求項1または2に記載の空気圧式ネイルガン(10)。
【請求項4】
前記第1の制御弁(44)と、前記第2の制御弁(22)と、前記スロットル(60)とを1つの弁ブロック(148)内に併有していることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の空気圧式ネイルガン(10)。
【請求項5】
前記安全制御チャンバ(62)内の圧力が安全弁(124)の安全弁ピストン(126)に作用し、これによって前記第1の制御弁(44)の駆動時に通気または脱気を行うラインを遮断していることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の空気圧式ネイルガン(10)。
【請求項6】
前記安全制御チャンバ(62)内の圧力に抗して、前記安全弁ピストン(124)に予荷重を加えているばね(128)を特徴とする、請求項5に記載の空気圧式ネイルガン(10)。
【請求項7】
前記空気圧式ネイルガン(10)が制御ピストン(94)を有するパイロット弁(58)を備え、前記制御ピストン(94)と前記安全弁ピストン(126)とを共通の長手方向軸に沿って配置していることを特徴とする、請求項6に記載の空気圧式ネイルガン(10)。
【請求項8】
前記制御ピストン(94)と前記安全弁ピストン(126)とを前記作動ピストン(54)に対して側方に配置していることを特徴とする、請求項7に記載の空気圧式ネイルガン(10)。
【請求項9】
前記空気圧式ネイルガン(10)が所定の作動圧力で作動するとき、前記第2の制御弁(22)の駆動後に前記安全制御チャンバ(62)内の前記圧力が0.1秒間〜10秒間にわたって所定の圧力閾値を下回るように、前記スロットル(60)の開口断面を寸法決めしていることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の空気圧式ネイルガン(10)。
【請求項10】
打込プロセスが開始されたときに、前記安全制御チャンバ(62)を通気するために使用する逆止弁を特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の空気圧式ネイルガン(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固定手段を打ち込む打込タペットに接続され、かつ打込プロセスの開始により圧縮空気を受ける作動ピストンと、手動で作動可能なトリガおよび接触センサを有するトリガ装置であって、前記トリガおよび接触センサが連動することによって第1の制御弁が制御され、安全制御チャンバ内の圧力が所定の圧力閾値を上回った場合に打込プロセスが開始される、トリガ装置と、前記接触センサの作動とは無関係に、前記トリガを作動させることによって制御される第2の制御弁とを備える、空気圧式ネイルガンに関する。
【背景技術】
【0002】
接触センサは通常、空気圧式ネイルガンの吐出装置を越えて突出する位置において、ばねによって保持されている機械部品である。空気圧式ネイルガンをワークピース上に置くと、接触センサは、吐出装置がワークピース上にあるか、またはそのほぼ上に来るまでばねの力に抗して移動する。接触センサがこのように作動された場合に限り、打込プロセスを開始することができる。これにより、既知の空気圧式ネイルガンにおいては、接触センサのない装置と比較して、意図しない駆動に対する安全性が大幅に改善されている。
【0003】
記載している種類のトリガ装置を備える空気圧式ネイルガンを、2つの異なる動作モードで使用することができる。いわゆるシングルトリガの場合、空気圧式ネイルガンをまずワークピース上に置き、これによって接触センサが作動する。その後トリガを手動で作動させ、これにより個々の打込プロセスが開始される。
【0004】
「接触作動」とも呼ばれるいわゆる接触トリガの場合、使用者は空気圧式ネイルガンをワークピース上に置く間に、既にトリガを引いておく。ワークピースに接触すると接触センサが作動し、これによって打込プロセスが開始される。とりわけ複数の固定手段を十分な固定を目的として打ち込まなければならず、そのためにそれらの位置決め精度の設定要件を最小限にする場合に、空気圧式ネイルガンを間断なく繰り返し置くことによって、非常に迅速に操作できるようになっている。
【0005】
しかしながら、特定の状況では、接触トリガ方式によって傷害のリスクが増大する。たとえば、使用者が1つの同じワークピース上に、その前に打ち込んだ固定手段から数センチメートルの間隔を置いて空気圧式ネイルガンを置きたい場合だけでなく、そこから離間して配置された異なるワークピースに対象を変更する場合に、手動で作動させるトリガを引いておくと、物体または身体の一部が接触センサに意図せず接触することによって、打込プロセスが開始されてしまう恐れがある。たとえば、使用者が(重要な安全規則を無視して)空気圧式ネイルガンを持ったままはしごを上り、その間トリガを引いた状態にしておくと、接触センサが意図せずに使用者の脚をかすめて事故が発生する恐れがある。
【0006】
欧州特許出願公開2767365号明細書から既知である空気圧式ネイルガンは、請求項1の前文の特徴を有する。この空気圧式ネイルガンは安全制御チャンバを有し、この安全制御チャンバの圧力はロックピストンに作用し、かつ前記ロックピストンが特定の位置にある場合に打込プロセスが開始されるのを防止している。安全制御チャンバを、第2の制御弁およびスロットルによって脱気または通気している。これにより、トリガを作動させた後短時間に限り、すなわち安全制御チャンバ内で設定した閾値を圧力が超えるまで、接触トリガが可能となる。その後トリガを解放し、安全制御チャンバ内の圧力が再度初期状態に戻るまで、空気圧式ネイルガンはロックされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】欧州特許出願公開2767365号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このような背景の下、本発明の目的は、改良された安全機構を備える空気圧式ネイルガンを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的は、請求項1の特徴を有する空気圧式ネイルガンによって達成される。有利な実施形態を後続の従属請求項に記載している。
【0010】
本空気圧式ネイルガンは、
・固定手段を打ち込む打込タペットに接続され、かつ打込プロセスの開始により圧縮空気を受ける作動ピストンと、
・手動で作動可能なトリガおよび接触センサを有するトリガ装置であって、前記トリガおよび接触センサが連動することによって第1の制御弁が制御され、安全制御チャンバ内の圧力が所定の圧力閾値を上回った場合に打込プロセスが開始される、トリガ装置と、
・前記接触センサの作動とは無関係に、前記トリガを作動させることによって制御される第2の制御弁とを備え、
・前記安全制御チャンバを、前記第2の制御弁の位置に関係なくスロットルによって継続的に脱気しており、かつ前記第2の制御弁の制御時に圧力下にあるハウジング内部からこれを隔離している。
【0011】
本空気圧式ネイルガンは、釘、鋲またはステープルなどの固定手段を打ち込むために使用される。この目的のために、本空気圧式ネイルガンは固定手段用のマガジンを有していてもよく、固定手段をその都度そこから本空気圧式ネイルガンの吐出装置の座部に供給している。
【0012】
本空気圧式ネイルガンの駆動と制御との両方を完全に空気圧式で行うことができ、したがって、電気エネルギーの供給は不要である。「脱気」とは常に、減圧空間への接続、とりわけ外気への接続が確立されていることを意味する。「通気」とは常に、圧縮空気を導通させる空間への接続が確立されていることを意味する。
【0013】
打込プロセスを開始すると、本空気圧式ネイルガンの作動ピストンは圧縮空気を受ける。この場合作動ピストンは、前記作動ピストンに接続された打込タペットを駆動する。打込タペットは、吐出装置の座部にある固定手段の後端部を打ち、これによって固定手段をワークピースに打ち込む。
【0014】
トリガ装置は、トグルスイッチまたはスライドスイッチの形態などの手動で作動可能なトリガと、接触センサとを有する。接触センサは、吐出装置の前端部を越えて突出し、かつこの位置において、本空気圧式ネイルガンをワークピース上に置くまでばねによって保持されている機械部品であってもよい。その後、接触センサは、ばね力の方向とは反対方向に、かつ打込方向とは反対方向に移動する。接触センサのこの作動がトリガの作動と同時に行われると、第1の制御弁が制御され、これによって打込プロセスを開始することができる。
【0015】
トリガと接触センサとを同時に作動させると、第1の制御弁が制御される。手動で作動されるトリガまたは接触センサのいずれか一方のみを作動させた場合、第1の制御弁は制御されない。トリガおよび接触センサの連動に関しては、前記トリガおよび前記接触センサの両方がある時点で両方とも同時に作動状態にあれば十分である。この連動は、一方では同時に作動させることによって、また他方では任意の順序で作動させることによって達成することができる。たとえば、シングルトリガの場合に典型的であるように、最初に接触センサを作動させてからトリガを手動で作動させることができる。これに対して、接触トリガモードでは、最初にトリガを手動で作動させてから接触センサを作動させることができる。
【0016】
第1の制御弁の制御を、手動で作動可能なトリガと接触センサとを機械的に連結することによって達成することができる。たとえば、第1の制御弁の制御ピンは、トリガおよび接触センサが連動する場合に限り移動させることができ、これによって第1の制御弁を制御できる。
【0017】
安全制御チャンバ内の圧力が所定の圧力閾値を上回った場合、第1の制御弁を制御することによって打込プロセスが開始される。その他の場合は、第1の制御弁が制御されていても打込プロセスは開始されない。
【0018】
第2の制御弁を、接触センサの作動とは無関係に、手動で作動可能なトリガを作動させることによって制御している。したがって、第2の制御弁はトリガが作動するたびに制御される。このために、たとえば第2の制御弁の制御ピンを、トリガが作動するたびにその定位置から移動するように配置することができる。
【0019】
本発明では、安全制御チャンバを、第2の制御弁の位置に関係なくスロットルによって継続的に脱気しており、かつ第2の制御弁の制御時に圧力下にあるハウジング内部からこれを隔離している。本空気圧式ネイルガンの初期状態においては、安全制御チャンバを圧力下にあるハウジング内部に接続している。「初期状態」とは常に、本空気圧式ネイルガンが圧縮空気供給源に接続され、接触センサもトリガも作動していない状態を意味する。同時に、安全制御チャンバをスロットルを介して継続的に脱気している。第2の制御弁を制御することによって安全制御チャンバと圧力下にあるハウジング内部との接続が切断されると、スロットルを介して逸出する気流は、ハウジング内部から流出して安全制御チャンバに流入する空気によってこれ以上補償されず、一定時間内に安全制御チャンバ内の圧力が所定の圧力閾値を下回り、これによってさらにプロセスを開始することがこれ以上不可能となる。
【0020】
スロットルを介して継続的に空気を逃すことは一見すると不利に思えるが、実際にはとりわけ有利であり、これは圧縮空気の逸出に重要性はなく、また作動音が発生することになるためである。こうしたことから、スロットル、またはスロットルを外気に接続するラインを特別に配置して、スロットルを介して逸出する空気が使用者に対して知覚可能な作動音を発生させるように、スロットルを介して逸出する気流を調整することができる。
【0021】
この作動音は、安全装置が適切に機能しており、かつ本装置が射出可能な状態にあることを示しているが、たとえばスロットルが汚れていることなどに起因して誤動作が発生した場合には、作動音が変化または停止することになる。安全制御チャンバ内の圧力が失われたことに起因して、トリガ作動時に作動音が停止した場合、これは、トリガを解放することによって安全制御チャンバ内の圧力を回復した後でなければ、打込プロセスをさらに開始できないことを使用者に示している。
【発明の効果】
【0022】
一実施形態では、トリガが作動していないときに、第2の制御弁を介して安全制御チャンバを脱気している。これを遂行するために、第2の制御弁を介して、安全制御チャンバと圧力下にあるハウジング内部との直接接続を確立し、これによって安全制御チャンバを瞬間的に通気している。したがって、本空気圧式ネイルガンはトリガを解放した後、ほんのわずかな時間で再度射出可能な初期状態となる。
【0023】
一実施形態では、スロットルを、第2の制御弁を安全制御チャンバに接続するラインに対して接続している。原則として、スロットルのこの接続を、安全制御チャンバと外気との間における任意の種類のものとすることができる。第2の制御弁を介して安全制御チャンバを通気するためにこのラインを設け、かつ配置することにより、とりわけ簡素かつコンパクトな構造を実現できる。
【0024】
一実施形態では、第1の制御弁と、第2の制御弁と、スロットルとを1つの弁ブロック内に併有している。この措置によっても簡素かつコンパクトな構造が促進されている。
【0025】
一実施形態では、安全制御チャンバ内の圧力は安全弁の安全弁ピストンに作用し、これによって第1の制御弁の制御時に通気または脱気を行うラインを遮断している。安全制御チャンバ内の圧力に応じて打込プロセスを開始するように機能するラインが遮断され、これによって駆動を防止している。このために、ラインを介して安全制御チャンバを安全弁の可動範囲に接続することができ、あるいは安全制御チャンバ自体がこの可動範囲を形成することができる。具体的には、安全制御チャンバ内の圧力は、安全弁の開放位置に対応する方向に安全弁ピストンを押圧することができる。
【0026】
一実施形態では、ばねが安全制御チャンバ内の圧力に抗して、安全弁ピストンに初荷重を加えている。したがって、安全弁の位置はばね力と、安全制御チャンバ内の圧力によって安全弁ピストンに加えられる力との間の相互作用によって決まる。このばねを安全弁ピストンの有効断面に合わせて調整することにより、安全弁がその開放位置に留まる制御チャンバ内の最大圧力を正確に指定することができる。
【0027】
一実施形態では、本空気圧式ネイルガンは制御ピストンを有するパイロット弁を備え、前記制御ピストンと前記安全弁ピストンとを共通の長手方向軸に沿って配置している。パイロット弁は本空気圧式ネイルガンの主弁を制御するように機能し、これによって作動ピストンが通気されている。制御ピストンと安全弁ピストンとを上記のように配置することにより、本空気圧式ネイルガンをとりわけ容易に製造でき、かつコンパクトに設計できるようになる。
【0028】
一実施形態では、制御ピストンと安全弁ピストンとを作動シリンダの側面に配置している。具体的には、制御ピストンおよび安全弁ピストンの共通軸を作動シリンダの長手方向軸に平行に指向させている。これらの特徴により、本空気圧式ネイルガンの容易な製造とコンパクトな設計とがさらに促進されている。
【0029】
一実施形態では、本空気圧式ネイルガンが所定の作動圧力で作動するとき、第2の制御弁の制御後に安全制御チャンバ内の圧力が0.1秒間〜10秒間にわたって所定の圧力閾値を下回るように、スロットルの開口断面を寸法決めしている。具体的には、この圧力閾値はたとえば約4秒間経過するなど、第2の制御弁の制御後に1秒間〜5秒間下回る可能性がある。この時間を個別に調整できるように、スロットルの開口断面を調整することができる。好ましくは、この調整は本空気圧式ネイルガンの製造業者によって一度だけ行われ、使用者による許容されない操作によってのみ、これが変更される可能性がある。いずれの場合にも、本空気圧式ネイルガンを適時に遮断して、多くの典型的な使用状況において見られる、接触センサの意図しない作動によって打込プロセスが開始されてしまう事態を防止している。
【0030】
一実施形態では、本空気圧式ネイルガンは逆止弁を有しており、これを使用して打込プロセスが開始されたときに安全制御チャンバを通気している。打込プロセスが開始されると、安全制御チャンバ内の圧力が初期状態に回復される。これが極めて短時間に起こり得る。打込プロセスの後にトリガが引かれたままである場合、安全制御チャンバ内の圧力は、一定時間経過後には下回っているものの、上記の方法で再度所定の圧力閾値に近づく。それまでは、接触センサの作動によっていつでもプロセスをさらに開始することが可能であり、このために、本空気圧式ネイルガンは接触トリガ方式における連続的な打込プロセスに適している。
【図面の簡単な説明】
【0031】
本発明について、複数の図面に示す例示的な実施形態に基づいて、以下により詳細に説明する。
【図1】本発明による空気圧式ネイルガンを部分断面図で示す。
【図2】図1の主弁およびパイロット弁の詳細に関する拡大図を示す。
【図3】異なる作動状態にある、図1から選択された構成要素の拡大図を示す。
【図4】異なる作動状態にある、図1から選択された構成要素の拡大図を示す。
【図5】異なる作動状態にある、図1から選択された構成要素の拡大図を示す。
【図6】異なる作動状態にある、図1から選択された構成要素の拡大図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0032】
第1に、圧縮空気式ガン10の最も重要な構成要素について、図1を参照しながら概観形式で部分的に述べている。空気圧式ネイルガン10は、ハウジングキャップ142によって上部が閉鎖された下部ハウジング部140に装着される、ハンドル12を有する。
【0033】
空気圧式ネイルガン10のハウジング上の回動軸16の周りに手動で作動されるトリガ14を装着しており、これを、空気圧式ネイルガン10のハンドル12を把持する使用者が人差し指で快適に作動させることができるように配置している。この作動時に、トリガ14の上面に配置された切換面18が第2の制御弁22の切換ピン20に接触し、切換ピン20を上方に移動させて第2の制御弁22を制御する。第2の制御弁22の制御は、トリガ14上にしっかりと配置された切換面18によって直ちに実行されるので、接触センサ24の作動とは無関係である。
【0034】
接触センサ24は、吐出装置28の口部26を数ミリメートルだけ越えて下方に突出している。空気圧式ネイルガン10をワークピース上に置くと、接触センサ24は、口部26にぴったり当接するか、口部26のちょうどわずかに上に突出するまでばね(図示せず)の力に抗して上方に移動する。接触センサ24を、接触センサ24が移動すると同時に上方に移動する力伝達要素30に機械的に連結している。力伝達要素30は、空気圧式ネイルガン10のハウジング上を移動可能に案内され、かつガイドピン98が案内される際に経由するスロット32を有する。
【0035】
接触センサ24が作動すると、力伝達要素30は、引き下げられた初期位置から上方に移動し、その際、力伝達要素30に固定された接触ピン34によってレバー36の自由端部を引き込み、これにより、トリガ14の内部の回動軸38を中心に、かつその自由端部に近接してレバー36の固定端部が回動可能に連接される。レバー36は、次いでトリガ14の長手方向にほぼ平行に配置され、その上面は切換面40として機能し、これは、接触センサ24とトリガ14とが連動すると、第1の制御弁44の切換ピン42を上方に移動させることで第1の制御弁44を制御する。
【0036】
吐出装置28は、マガジン48からの固定手段の供給先となる受け部46を有する。受け部46内のこの位置からたとえば釘、鋲またはステープルなどの固定手段を、空気圧式ネイルガン10の作動ピストン52に接続された打込タペット50によって打ち込んでいる。この目的のために、作動ピストン52は作動シリンダ54内に案内される。作動シリンダ54の上方にこの作動シリンダを密封的に閉鎖する主弁56を配置しており、その右側に主弁56を制御するパイロット弁58を設けている。これらの構成要素の詳細および本装置の関連機能については、図2に示す拡大断面図を参照しながら説明する。
【0037】
パイロット弁58は、図2において最もよく識別できる。パイロット弁58は、ガイドスリーブ96内に案内される制御ピストン94を有する。制御ピストン94の下端を、ガイドスリーブ96に対して下部Oリング100によって密封している。空気圧式ネイルガン10の初期状態では、パイロット弁58の可動範囲に接続された第1の制御ライン82を脱気し、図示している下方位置に制御ピストン94を配置している。この位置では、制御ピストンはばね102の力によって保持されている。
【0038】
制御ピストン94は下部Oリング100に加えて、中央Oリング104および上部Oリング106を有する。図示している制御ピストン94の下方位置では、上部Oリング106が制御ピストン94をガイドスリーブ96に対して密封し、外気に接続された脱気開口部(図示せず)への接続部を閉鎖する。中央Oリング104を密封していないので、中央Oリング104を通過しているガイドスリーブ96内の半径方向孔112および制御ピストン94とガイドスリーブ96との間にある環状間隙70を介して、ハウジング内部64に主制御ライン110を接続している。図示の断面図では不可視である接続部を介して、半径方向孔112で終端している空間72に主制御ライン110を接続している。空気圧式ネイルガン10の初期状態では、ハウジング内部64を通気、すなわち圧縮空気接続部(図示せず)に接続し、かつ作動圧力にさらしている。
【0039】
主弁56の主弁作動部材116の上方にある空間114に主制御ライン110を接続し、これにより、作動シリンダ54の上縁部をOリング118を使用してハウジング内部64に対して密封している下方力を主弁作動部材116が受けるようにしている。さらに、主弁作動部材116は、図示している位置方向の力でばね120によって作用し、作動シリンダ54を閉鎖する。
【0040】
第1の制御ライン82を通気すると制御ピストン94が上方に移動し、これによって中央Oリング104がシールを形成し、上部Oリング106がシールを解放するので、こうして打込プロセスが開始される。これにより、主制御ライン110のハウジング内部64への接続が遮断され、主制御ライン110と脱気開口部(図示せず)との接続が確立される。主弁作動部材116の上方の空間114は脱気開口部を介して脱気され、主弁作動部材116の下部外側環状面122に存在し、ハウジング内部64に行き渡る圧力によって、ばね120の力に抗して主弁作動部材116が上方に移動する。その結果、圧縮空気がハウジング内部64から作動ピストン52の上方で作動シリンダ54に流入し、作動ピストン52を下方に駆動する。この下方への移動により、作動ピストン52に接続された打込タペット50が固定手段を打ち込む。
【0041】
図1のパイロット弁58の下方には、安全制御チャンバ62およびスロットル60と相互作用する安全弁ピストン126を備える安全弁124を設けている。これらの構成要素の詳細および本装置の関連機能については、図3〜図6を参照しながら説明する。
【0042】
レバー36が内部に装着された手動で作動可能なトリガ14と、切換面18とは、図3において容易に識別できる。第2の制御弁22の切換ピン20は、ハウジングに挿入され、かつこれに対して密封されている第2の制御弁22のスリーブ66内に案内される。図の断面において確認できない第2の制御ラインにより、スリーブ66の半径方向孔68が安全制御チャンバ62に接続されている。第2の制御弁22の上部Oリング74は、半径方向孔68がハウジング内部64に接続されるようにシールをもたらしていない。したがって、安全制御チャンバ62を図3に示す初期状態において通気している。
【0043】
さらに、スロットル60が第2の制御ライン(図示せず)に接続され、これによって第2の制御ライン、したがって安全制御チャンバ62が外気に接続されている。初期状態では、空気はスロットル60を通って継続的に流出し、これにより使用者に対して知覚可能な作動音を発生させる。
【0044】
安全制御チャンバ62内の圧力は安全弁ピストン126の底面に作用し、ばね128の力に抗して安全弁ピストン126を図示の上部位置に保持している。安全弁ピストン126はスリーブ80内に案内され、かつ図示の位置にシールをもたらさない上部Oリング138を有する。こうして、図3に示すばね128が内部に配置されている第1の制御ライン82を、環状間隙130とスリーブ80内の半径方向孔132とによって、傾斜配置された第3の制御ライン134に接続している。
【0045】
第1の制御弁44の切換ピン42は、第3の制御ライン134に接続された半径方向孔78を有するスリーブ76内に案内される。弁ピン42の上部Oリング90によってスリーブ76に対して密封しているが、弁ピン42の下部Oリング88はシールをもたらさない。こうして、環状間隙84を介して半径方向孔78、したがって第3の制御ライン134を通気している。図示している初期位置では、ハウジング内部64を同様に、上部Oリング90によって半径方向孔78から隔離している。
【0046】
第1の制御弁44と、第2の制御弁22と、スロットル60とを共通の弁ブロック148内に併有している。
【0047】
図4は、トリガ14の作動直後にある図3からの構成を示す。制御ピン20が上部位置に配置され、かつ第2の制御弁22がハウジング内部64と第2の制御ライン(図示せず)との接続を遮断しており、これは、上部Oリング74によってスリーブ66に対して密封しているためである。これにより、安全制御チャンバ62への空気の流入が阻止され、安全制御チャンバ62はスロットル60を介して徐々に脱気される。
【0048】
さらなる安全措置として、第2の制御弁22は、制御ピン20の2つの端部位置において、制御ピン20をスリーブ66に対して双方が密封する2つの追加のOリング86を有する。2つの追加のOリング86外のチャンバを、制御ピン20の内部を走るバイパスライン92によって互いに接続している。バイパスライン92は2つの半径方向孔と、これらの間に延在する軸方向孔とを有する。この安全措置の効果は、上端位置の上部Oリング74に漏れがある場合において、制御ピン20とスリーブ66との間を流れる空気が半径方向孔68を介して安全制御チャンバ62に到達することができないときに、これが代わりにバイパスライン92を介して外部に案内される点にある。
【0049】
図4の状態から始まり、接触センサ24を作動させると、結果的に図5に示す位置に至る。接触ピン34は力伝達要素30および接触センサ24の上方移動に追従し、これによって切換面40が第1の制御弁44の制御ピン42を作動させる。こうして、上部Oリング90はシールの形成を停止し、ハウジング内部64からの圧力は、半径方向孔78および第3の制御ライン134を通って安全弁124に到達する。安全弁ピストン126がその上部位置にあり、すなわち安全弁124が開放位置にあるので、空気は半径方向孔132および環状間隙130を通って第1の制御ライン82へとさらに流れる。図2に関連して説明したように、打込プロセスが開始される。
【0050】
さらに、第1の制御ライン82を通気すると、空気が安全弁ピストン126の軸方向孔136および半径方向孔144を通って、制御ピストン126の周辺溝に挿入され、かつ安全制御チャンバ62内に延在する逆止弁を形成しているOリング146の内部に到達するという効果もある。この逆止弁は、打込プロセスが開始された結果として、安全制御チャンバ62が通気されるように開口する。打込プロセスのさらなる開始が接触トリガによって可能となる時間が、再度進行し始める。
【0051】
図6は、空気圧式ネイルガン10のロック状態を示しており、図4から、すなわちトリガ14が作動したときから始まって、たとえば約4秒間経過するなど、一定時間作動しないと自動的にこの状態に至る。この間に安全制御チャンバ62内の圧力は、スロットル60を通って空気が逸出するために、所定の圧力閾値を下回って低下し、安全制御弁126はばね128の力を受けて下方に移動し、したがって安全弁124は、第3の制御ライン134と第1の制御ライン82との接続が遮断されるロック位置に至る。接触センサ24がここで作動し、第1の制御弁44が制御される場合、第3の制御ライン134の通気は依然として重要性を持たない。安全制御チャンバ62で圧力が回復した場合に限り、打込プロセスを再度開始することができる。トリガ14を短時間解放することによって、いつでもこれを実行することができる。
【符号の説明】
【0052】
10 空気圧式ネイルガン
12 ハンドル
14 トリガ
16 回動軸
18 切換面
20 切換ピン
22 第2の制御弁
24 接触センサ
26 口部
28 吐出装置
30 力伝達要素
32 スロット
34 接触ピン
36 レバー
38 回動軸
40 切換面
42 切換ピン
44 第1の制御弁
46 受け部
48 マガジン
50 打込タペット
52 作動ピストン
54 作動シリンダ
56 主弁
58 パイロット弁
60 スロットル
62 安全制御チャンバ
64 ハウジング内部
66 スリーブ
68 半径方向孔
70 環状間隙
72 空間
74 上部Oリング
76 スリーブ
78 半径方向孔
80 スリーブ
82 第1の制御ライン
84 環状間隙
86 追加のOリング
88 下部Oリング
90 上部Oリング
92 バイパスライン
94 制御ピストン
96 ガイドスリーブ
98 ガイドピン
100 下部Oリング
102 ばね
104 中央Oリング
106 上部Oリング
110 主制御ライン
112 半径方向孔
114 空間
116 主弁作動部材
118 Oリング
120 ばね
122 環状面
124 安全弁
126 安全弁ピストン
128 ばね
130 環状間隙
132 半径方向孔
134 第3の制御ライン
136 軸方向孔
138 上部Oリング
140 下部ハウジング部
142 ハウジングキャップ
144 半径方向孔
146 Oリング
148 弁ブロック
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【手続補正書】
【提出日】20190411
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図1
【補正方法】変更
【補正の内容】
【図1】
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図2
【補正方法】変更
【補正の内容】
【図2】
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図3
【補正方法】変更
【補正の内容】
【図3】
【手続補正4】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図4
【補正方法】変更
【補正の内容】
【図4】
【手続補正5】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図5
【補正方法】変更
【補正の内容】
【図5】
【手続補正6】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図6
【補正方法】変更
【補正の内容】
【図6】
【国際調査報告】