(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】2019522594
(43)【公表日】20190815
(54)【発明の名称】車両投光器
(51)【国際特許分類】
   B60Q 1/04 20060101AFI20190719BHJP
   F21V 7/00 20060101ALI20190719BHJP
   F21V 14/04 20060101ALI20190719BHJP
   F21V 9/40 20180101ALI20190719BHJP
   G02B 26/08 20060101ALI20190719BHJP
   F21S 41/675 20180101ALN20190719BHJP
   F21S 41/64 20180101ALN20190719BHJP
   F21W 102/13 20180101ALN20190719BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20190719BHJP
   F21Y 115/30 20160101ALN20190719BHJP
【FI】
   !B60Q1/04 E
   !F21V7/00 590
   !F21V14/04
   !F21V9/40 400
   !G02B26/08 E
   !F21S41/675
   !F21S41/64
   !F21W102:13
   !F21Y115:10
   !F21Y115:30
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】30
(21)【出願番号】2019517126
(86)(22)【出願日】20170522
(85)【翻訳文提出日】20190208
(86)【国際出願番号】AT2017060135
(87)【国際公開番号】WO2017214649
(87)【国際公開日】20171221
(31)【優先権主張番号】A50532/2016
(32)【優先日】20160613
(33)【優先権主張国】AT
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ
(71)【出願人】
【識別番号】593045569
【氏名又は名称】ツェットカーヴェー グループ ゲーエムベーハー
【住所又は居所】オーストリア国 エー3250 ヴィーゼルブルク ロッテンハウザー シュトラーセ 8
(74)【代理人】
【識別番号】100080816
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 朝道
(74)【代理人】
【識別番号】100098648
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 潔人
(74)【代理人】
【識別番号】100119415
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 充
(72)【発明者】
【氏名】ラマー、マルツィン
【住所又は居所】オーストリア共和国 3662 ミューニッヒライト ミューニッヒライト 112
【テーマコード(参考)】
2H141
3K243
3K339
【Fターム(参考)】
2H141MA13
2H141MB24
2H141MB63
2H141MD11
2H141MD32
2H141ME01
2H141ME25
3K243AA08
3K243AC06
3K243BE08
3K243CB08
3K243CB13
3K339AA02
3K339BA01
3K339BA28
3K339CA01
3K339DA01
3K339DA05
3K339GB01
3K339HA01
3K339HA03
3K339KA06
3K339KA23
3K339LA06
(57)【要約】
【課題】車両投光器での計算能力の制限という欠点を克服すること。
【解決手段】光源(2,12)、投影光学系(4,14)、制御装置(5)、出力ユニット(6)、並びに光電構成部材(7,17)を含む車両投光器(1,11)であって、光電構成部材は、個別に調整可能な複数の光電要素の制御可能なアセンブリを2次元マトリクスの形で含み、光源(2,12)から前記光電構成部材(7,17)の方向に光を照射し、光電構成部材(7,17)によって変調し、投影光学系(4,14)の方向に照明し、車両の前方に光像を形成するように構成される車両投光器において、前記制御装置(5)の側には光モデル(20)が複数のモデル規定点(9)の形態で記憶されており、前記制御装置(5)は、光モデル(20)から画像データ(21)を、状況画像解像度を備える2次元マトリクス形状の状況光分布の形態で形成し、状況画像解像度は、光モデルの複数のモデル規定点(9)よりも格段に高く、画像データ(21)は、モデル規定点(9)から形成され、画像データ(21)は制御装置(5)から光電構成部材(7,17)に伝送される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの光源(2,12)、少なくとも1つの投影光学系(4,14)、少なくとも1つの制御装置(5)、少なくとも1つの出力ユニット(6)、並びに少なくとも1つの光電構成部材(7,17)を含む車両投光器(1,11)であって、前記光電構成部材は、個別に調整可能な複数の光電要素の制御可能なアセンブリを2次元マトリクスの形で含み、
画像解像度が、マトリクスの行数と列数の積によって規定されており、
前記車両投光器(1,11)は、前記少なくとも1つの光源(2,12)から前記少なくとも1つの光電構成部材(7,17)の方向に光を照射し、前記少なくとも1つの光電構成部材(7,17)によって変調し、少なくとも部分的に前記少なくとも1つの投影光学系(4,14)の方向に照明し、車両の前方に光像を形成するように構成されており、
前記少なくとも1つの制御装置(5)は前記少なくとも1つの出力ユニット(6)と接続されており、該少なくとも1つの出力ユニット(6)は、前記光電要素(8)を制御するための前記少なくとも1つの光電構成部材(7,17)と接続されている、車両投光器において、
前記少なくとも1つの制御装置(5)の側には少なくとも1つの光モデル(20)が複数のモデル規定点(9)の形態で記憶されており、
前記少なくとも1つの制御装置(5)は、前記少なくとも1つの光モデル(20)から画像データ(21)を、状況画像解像度を備える2次元マトリクス形状の状況光分布の形態で形成するように構成されており、
前記状況画像解像度は、前記状況光分布の行数と列数の積によって規定されており、
前記状況画像解像度は、光モデルの複数のモデル規定点(9)よりも格段に高く、好ましくは少なくとも100倍、特に好ましくは少なくとも1000倍高く、前記画像データ(21)は、モデル規定点(9)からの好ましくは補間によって形成され、
少なくとも1つの出力ユニット(6)によって、前記画像データ(21)は前記少なくとも1つの制御装置(5)から前記少なくとも1つの光電構成部材(7,17)に伝送される、ことを特徴とする車両投光器。
【請求項2】
値の補間が、それぞれ隣接するモデル規定点(9)の間で線形に行われる、ことを特徴とする請求項1に記載の車両投光器(1,11)。
【請求項3】
前記モデル規定点(9)は、前記光電要素(8)の反射率または透過率によって規定されている、ことを特徴とする請求項1または2に記載の車両投光器(1,11)。
【請求項4】
それぞれ隣接するモデル規定点(9)の間の間隔は同じ大きさである、ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の車両投光器(1,11)。
【請求項5】
前記状況光分布は、車両のロービームまたはハイビームの光分布である、ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の車両投光器(1,11)。
【請求項6】
前記出力ユニット(6)は、前記画像データ(21)を少なくとも1つのデータ信号(S1)によって前記光電構成部材(7,17)に伝送するように構成されており、
前記少なくとも1つのデータ信号(S1)は時間窓(T1)を含み、該時間窓は、画像情報PICの後方の信号ショルダ(P2)と、データ信号(S1)において前記画像情報に続く画像情報の前方の信号ショルダ(P1’)との間にあり、
前記状況光分布の計算は、前記時間窓(T1)内で実行される、ことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の車両投光器(1,11)。
【請求項7】
前記少なくとも1つの光源(2)は、半導体発光ダイオード、とりわけ高電流発光ダイオードまたはレーザダイオードを含む、ことを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の車両投光器(1,11)。
【請求項8】
車両投光器(1,11)により少なくとも1つの光分布を形成する方法であって、
少なくとも1つの光源(2,12)、少なくとも1つの投影光学系(4,14)、少なくとも1つの制御装置(5)、少なくとも1つの出力ユニット(6)、並びに少なくとも1つの光電構成部材(7,17)を含み、前記光電構成部材は、個別に調整可能な複数の光電要素の制御可能なアセンブリを2次元マトリクスの形で含み、
画像解像度が、マトリクスの行数と列数の積によって規定され、
前記車両投光器(1,11)は、前記少なくとも1つの光源(2,12)から前記少なくとも1つの光電構成部材(7,17)の方向に光を照射し、前記少なくとも1つの光電構成部材(7,17)によって変調し、少なくとも部分的に前記少なくとも1つの投影光学系(4,14)の方向に照明し、車両の前方に光像を形成するように構成されており、
前記少なくとも1つの制御装置(5)は前記少なくとも1つの出力ユニット(6)と接続されており、該少なくとも1つの出力ユニット(6)は、前記少なくとも1つの光電構成部材(7,17)と接続されており、前記光電要素(8)を制御する、方法において、
前記少なくとも1つの制御装置(5)の側に少なくとも1つの光モデル(20)が記憶され、
前記少なくとも1つの制御装置(5)は、当該制御装置(5)に配設されたメモリにおいて制御装置の側から複数のモデル規定点(9)の形態で記憶された少なくとも1つの光モデル(20)から、画像データ(21)を、状況画像解像度を備える2次元マトリクス状の状況光分布の形態で形成し、
前記状況画像解像度は、前記状況光分布の行数と列数の積によって規定されており、
前記状況画像解像度は、光モデルの複数のモデル規定点(9)よりも格段に高く、好ましくは少なくとも100倍、特に好ましくは少なくとも1000倍高く、前記画像データ(21)は、モデル規定点(9)からの好ましくは補間によって形成され、
前記画像データ(21)は、前記少なくとも1つの出力ユニット(6)によって前記少なくとも1つの光電構成部材(7,17)に結像される、ことを特徴とする方法。
【請求項9】
値の補間は、それぞれ隣接するモデル規定点(9)間で線形に行われる、ことを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記モデル規定点(9)は、前記光電要素(8)の反射率または透過率によって規定されている、ことを特徴とする請求項8または9に記載の方法。
【請求項11】
それぞれ隣接するモデル規定点(9)の間の間隔は同じ大きさである、ことを特徴とする請求項8から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記状況光分布は、車両のロービームまたはハイビームの光分布である、ことを特徴とする請求項8から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記出力ユニット(6)は、前記画像データ(21)を少なくとも1つのデータ信号(S1)によって前記光電構成部材(7,17)に伝送し、
前記少なくとも1つのデータ信号(S1)は時間窓(T1)を含み、該時間窓は、画像情報PICの後方の信号ショルダ(P2)と、データ信号(S1)における画像情報PIC’の前方の信号ショルダ(P1’)との間にあり、
前記状況光分布の計算は、前記時間窓(T1)内で実行される、ことを特徴とする請求項8から12のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの光源、少なくとも1つの投影光学系、少なくとも1つの制御装置、少なくとも1つの出力ユニット、並びに少なくとも1つの光電構成部材を含む車両投光器に関するものであり、前記光電構成部材は、個別に調整可能な複数の光電要素の制御可能なアセンブリを2次元マトリクスの形態で含む。画像解像度はマトリクスの列数と行数の積により規定されており、車両投光器は、少なくとも1つの光源から少なくとも1つの光電構成部材の方向に光を照射し、少なくとも1つの光電構成部材によって変調し、少なくとも部分的に少なくとも1つの投影光学系の方向に放射し、車両の前方に光像を形成するように構成されている。少なくとも1つの制御装置は少なくとも1つの出力ユニットと接続されており、少なくとも1つの出力ユニットは、少なくとも1つの光電構成部材と接続されており、光電要素を制御することができる。
【0002】
さらに本発明は、前記形式の車両投光器によって車両の前方に光分布を形成するための方法に関する。
【背景技術】
【0003】
現代の投光器システムの開発の際には、可及的に高解像度の光像を走行路に投影できるようにしたいという要望が益々重要になっており、この光像は迅速に変化し、それぞれの交通条件、道路条件および光条件に適合することができる。概念「走行路」は、ここでは簡単に説明するために使用される。なぜならこれはもちろん、光像が実際に走行路上に存在するか、またはそれを越えて伸長しているかという位置的状況に依存するからである。原則的に光像は、投影に基づいて垂直面上に、自動車照明技術に関連する当該規則に対応して記述される。
【0004】
前記の要望に対応するために、とりわけ、可変に制御可能な反射面が複数のマイクロミラーから形成されており、光源により形成される光放射が投光器の照射方向に反射される投光器が開発された。この種の照明装置は、自動車工学において、それらの非常にフレキシブルな光機能の点で有利である。なぜなら種々異なる照明領域に対して照明強度を個別に制御することができ、例えばロービーム光分布、右左折曲光−光分布、市街地光−光分布、高速道路光−光分布、コーナリング光−光分布、ハイビーム光分布または幻惑のないハイビームの結像のような種々の光分布を備える任意の光機能を実現することができるからである。
【0005】
マイクロミラーアセンブリに対しては、いわゆるデジタルライトプロセッシング(DLP(登録商標))投影技術が使用される。この投影技術では画像が、デジタル画像を光線に重畳変調(aufmoduliert)することにより形成される。ここでは、ピクセルとも称される可動のマイクロミラーの矩形のアセンブリによって光線が部分領域に分解され、引き続きピクセルごとに投影経路に入射するように、または投影経路から出射するように反射される。
【0006】
この技術に対する基礎は、複数ミラーのマトリクスの形の矩形のアセンブリおよびそれらの制御技術を含む電子構成部材が形成する。これは「デジタルマイクロミラーデバイス」(DMD)と称される。
【0007】
DMDマイクロシステムは、マトリクス状に配置されたマイクロミラーアクチュエータ、すなわち傾動可能な複数反射面からなる平面光変調器(空間光変調器、SLM)であり、例えば約16μmのエッジ長を有する。ミラー面は、静電界の作用によって可動であるように構成されている。各マイクロミラーの角度は個別に調整可能であり、通常は2つの安定した最終状態を有し、これら2つの最終状態の間で1秒以内に5000回まで切り替わることができる。個別のマイクロミラーは、例えばそれぞれパルス幅変調(PWM)により制御することができ、これによりDMDアセンブリの主照射方向においてマイクロミラーのさらなる状態を結像する。これらマイクロミラーの時間的に平均した反射率は、DMDの2つの安定した状態の間にある。ミラーの数は投影される画像の解像度に相当し、一ミラーが1つまたは複数のピクセルであることが可能である。昨今では、メガピクセル範囲の高解像度のDMDチップが入手可能である。調整可能な個別ミラーの基礎となる技術はマイクロエレクトロメカニカルシステム(MEMS)技術である。
【0008】
DMD技術は、2つの安定したミラー状態を有し、2つの安定した状態の間で変調することにより、反射係数を調整することができるが、一方、「アナログマイクロミラーデバイス」(AMD)は、個別ミラーを可変のミラー位置に調整することができ、そこにおいて個別ミラーはそれぞれ安定状態にある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
解像度の異なる複数の光分布を車両前方の走行路に投影することのできるこの種の車両投光器では、かなりのメモリが必要である。マイクロミラーアセンブリのための制御装置は、しばしば「埋込型システム」として実現される。この種の埋込型システムは、しばしば特別の課題に適合されており、コスト的な理由から最適化されたハイブリッド型のハードウエア−ソフトウエア実装が選択される。したがって実際には計算能力および使用可能なメモリが制限されていることがしばしばである。付加的な外部メモリを使用することはしばしば不利である。というのも、メモリ自体がコストの原因となるだけでなく、「埋込型システム」の複雑性も有意に上昇し、あるいは自動車適用に対して必要な認可のためには市場で提供可能ではないからである。
【0010】
本発明の課題は、前記欠点を克服することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この課題は、冒頭に述べた形式の投光器により、本発明にしたがって少なくとも1つの制御装置には少なくとも1つの光モデルが複数のモデル規定点の形態で記憶されており、前記少なくとも1つの制御装置は、前記少なくとも1つの光モデルから画像データを、状況画像解像度を備える2次元マトリクス形状の状況光分布の形態で形成するように構成されており、前記状況画像解像度は、状況光分布の行数と列数によって規定され、前記状況画像解像度は、光モデルの複数のモデル規定点よりも格段に高く、好ましくは少なくとも100倍、特に好ましくは少なくとも10000倍高く、前記画像データは、モデル規定点からの好ましくは補間によって形成され、前記画像データは、少なくとも1つの出力ユニットによって少なくとも1つの光電構成部材上に結像することができる、ことによって解決される。
【発明を実施するための形態】
【0012】
複数のモデル規定点(ないしモデル規定データ点 Vielzahl von Stuetzstellen)の形態の光モデルを使用することにより、1つまたは複数の光分布を記憶するために必要なメモリ必要度を有意に低減することができる。光分布は単純に経過する明度経過を有することができ、この明度経過は2次元に湾曲した平面によって非常に簡単に記述することができる。これらの平面はさらに複数のモデル規定点によって記述(規定)することができ、これらモデル規定点の数(Anzahl)、したがってそのメモリ必要度は、画像データを介して高解像度に記述された光分布よりも格段に小さい。これにより、制御装置としての従来の「埋込型システム」により取り扱うことのできる格段に低減されたメモリ必要度が得られる。必要なメモリは、マイクロプロセッサチップ上にも、別個のメモリチップ上にも置くことができることは明らかである。
【0013】
モデル規定点(複数)は、例えば2次元マトリクスの形に規定(定義)することができる。モデル規定点の数が、マトリクスの行および列を基準にして、それぞれ係数10だけ状況光分布(Situationslichtverteilung)の行および列の数よりも少なく選択されれば、少なくとも係数100だけ所要のメモリ必要度の低減が得られる。モデル規定点の数が、状況光分布の行および列の数よりも少なくとも係数100だけ少なく選択されれば、少なくとも係数10000だけ所要のメモリ必要度の低減が得られる。
【0014】
さらにこの課題は、冒頭に述べた形式の方法により、本発明にしたがい前照灯が前記形式の光分布を、上に述べたように形成することによって解決される。本方法から得られる利点は、本発明の車両投光器の利点に対応する。したがって以下では車両投光器の利点だけを記載するが、個々の利点は本発明の方法に対しても当てはまる。
【0015】
モデル規定点(複数)から所要の画像データを高い解像度で計算するために、モデル規定点の間の値(複数)を線形補間によって求めると有利である。というのもこの場合、計算を特に簡単に実施することができ、例えば市販のコスト的に有利な「埋込型システム」によって行うことができるからである。画像データの計算は、例えば1つまたは複数のプロセッサあるいは計算ユニットによって実行できることは明らかである。この計算は、言い替えると、個別のマイクロプロセッサ上で、または分散型システムアーキテクチャとして編成された論理計算ユニット上で実行することができる。
【0016】
特別の適用において特に一様に延在する光分布が所望される場合、または例えばロービームの明暗境界を先鋭に形成することが必要な場合、他の補間法、例えば多項式曲線(スプライン)または部分ごとの補間も使用することができる。同様に、例えば1つのモデル規定点から次のモデル規定点の直前まで一定に経過するような簡単な補間法も考えられる。
【0017】
モデル規定点が光電要素の反射率または透過率により規定されると非常に有利である。これにより画像データを出力ユニットの制御のために直接使用することができ、例えば絶対明度(ないし輝度)値または相対明度値の再計算または適合を行う必要がなく、計算時間を節約することができる。
【0018】
モデル規定点の間の間隔が等しい大きさである場合、制御ユニット内での計算方法を簡単に維持することができる。なぜなら高解像度の画像データのために計算されるモデル規定点の間のポイントのそれぞれの間隔を一度だけ計算すれば良いからである。言い替えるとモデル規定点は、簡単な線形画像変換によって光電構成部材の画像解像度に、一度だけの計算の形で(例えば線形補間)変換される。これは、1つのモデル規定点に対してだけステップ幅を行方向と列方向に決定することにより行われ、この場合、このステップ幅は他の全てのモデル規定点に対しても当てはまる。これにより計算時間もプログラミング労力も小さく維持することができる。
【0019】
状況光分布(即ち、状況に応じた光分布 Situationslichtverteilung)はロービームまたはハイビームの光分布であると特に有利である。なぜなら、これら光分布は現行の規則によって前もって規定されており、場合により種々の国の基準が異なってもこれにより容易に考慮することができるからである。
【0020】
本発明の好ましい一発展形態では、出力ユニットは、画像データを少なくとも1つのデータ信号によって伝送するように構成されており、この少なくとも1つのデータ信号は、画像データの画像情報が伝送される時間窓を含み、この時間窓は、画像情報の後方の信号ショルダ(Signal-Schulter)と、これに続く画像情報の前方の信号ショルダとによって画定されており、状況光分布の計算はこの時間窓内で実行される。
【0021】
状況光分布の計算は、制御ユニットの占有が画像情報の計算により最適に位置決めされた時間間隔で行われ、制御ユニットはこの時間窓の外の時間を、別の計算または車両投光器の制御のために使用することができる。
【0022】
少なくとも1つの光源が半導体発光ダイオード、とりわけ高電流発光ダイオードまたはレーザダイオードを含むと特に有利である。なぜなら車両投光器において小さな構造サイズを達成することができるからである。さらに光は高効率で形成され、光源(から)の熱放出が低減される。このことはとりわけ、温度に鋭敏なAMDまたはDMDを使用する場合に非常に重要である。
【0023】
本発明およびその利点を以下、非限定的であり、添付図面に示された実施例に基づき詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明による一車両投光器の第1実施形態の斜視図である。
【図2】本発明による一車両投光器の第2実施形態の斜視図である。
【図3】拡大した詳細図に含まれた光電要素を備える一光電構成部材の前方平面図である。
【図4】本発明の一車両投光器のブロック回路図である。
【図5】図4の光電構成部材を制御するための信号の時間経過を示す図である。
【図6】本発明の一車両投光器の計算された光分布の斜視図である。
【図7】本発明の一車両投光器の一光分布を示す図である。
【実施例】
【0025】
図1から図7を参照すると、本発明の実施例が詳細に示されている。とりわけ一投光器(ヘッドライト)において本発明に重要な部分が図示されており、一ヘッドライトが図示しない多数の別の部分を含むことは明らかであり、これらの部分は自動車、例えば自家用車または自動二輪における有意義な使用を可能にする。したがって分かり易くするために、例えば構成部材用の冷却装置、制御電子回路、さらなる光学要素、機械的調整装置ないし保持部は図示されていない。
【0026】
これら実施例は同時に、ここに記載する形式の車両ヘッドライトにより車両前方に光分布を形成する本発明の方法を示す。
【0027】
これら実施例およびそれらの特徴は、本発明を個別にも記述し、互いに組み合わせることも可能であることは明白である。
【0028】
図1は、本発明による一車両ヘッドライト1の第1実施形態を示す。例えば一発光ダイオードまたはパワーLED並びに光線を束ねるための一次光学系3を含むことのできる一光源2は、一光電構成部材7を照明するように構成されている。
【0029】
光電構成部材7は、2次元マトリクスに配置された複数の光電要素8を含む。この第1実施例では、光電要素8は個別に制御可能なマイクロミラーであり、マトリクスの各個別の要素の反射作用を可変に調整することができる(例えばAMDまたはDMD)。
【0030】
光電構成部材7は、入射光を投影光学系4の方向に反射することができ、制御されるマトリクス要素はそれらの反射係数を、マイクロミラーの角度を変調することによって個別に調整し、所望の光分布を入射光線に対し変調して生成する。投影光学系4は、車両ヘッドライト1の照射方向に配向されており、したがって所望の光分布を車両の前方に形成する。
【0031】
光電構成部材7の制御は制御ユニット10によって行われる。制御ユニットでは所望の光分布を計算することができ、この制御ユニットにはそれに必要な光電要素8の制御が、光電構成部材7への制御信号の形態で出力される。
【0032】
図2は、本発明による一車両ヘッドライト11の第2実施形態を示す。例えば発光ダイオード、高電流LED(パワーLED)またはレーザダイオード、並びに光源12から発する光線を束ねるための一次光学系13を含むことのできる一光源12は、光電構成部材17を照明するように構成されている。
【0033】
光電構成部材17は2次元マトリクスに配置された複数の光電要素を含む。この第2実施例では光電要素8は、個別に制御可能な光透過性要素であり、マトリクスの各個別の要素の光透過作用を可変に調整することができる(例えばLCD)。
【0034】
光電構成部材17は、入射光を投影光学系14の方向に透過することができ、制御されるマトリクス要素はそれらの光透過性を個別に調整し、所望の光分布を入射光線に対し変調して生成する。投影光学系14は、車両ヘッドライト11の照射方向に配向されており、したがって所望の光分布を車両の前方に形成する。
【0035】
光源構成部材17の制御は制御ユニット10aによって行われる。制御ユニットでは光分布を計算することができ、そのために必要な光電要素、例えばLCDのピクセルの制御が、制御信号の形態で光電構成部材17に出力される。
【0036】
図1と図2に示した光電構成部材7,17の変形形態の他に、光の相応の変調を可能にする別の技術ももちろん使用することができる。したがって完全性のために、LCoSシステム(LCoS「Liquid Crystal on Silicon」)を挙げておく。
【0037】
光の変調は、走行路上での光分布のセグメント化を可能にする。すなわち走行路上に投影された光分布は、異なる空間角ごとに個別に制御することができる。走行路上に投影された光像に対しては、本発明の車両ヘッドライトにより個別に制御することのできるセグメントの数が重要である。これは種々の走行状況に対して個別に適合された光分布(即ち、状況光分布)を形成するためである。これらセグメントの数は、例えばマイクロミラーの数に依存しており、例えば矩形のマトリクス配置において854×480個のマイクロミラーまたはピクセルである。
【0038】
車両に対して2つのヘッドライトが使用される場合、セグメントを互いに整列することができ、セグメントの数は2倍にすることができる。通常、車両ヘッドライトの取り付け状態において複数のセグメントが、水平および垂直方向に必要である。この理由からピクセルでは、光電構成部材によりセグメント化された2つの車両ヘッドライトの光分布が、マトリクス配置の短辺側で互い違いに整列され、これにより水平方向の解像度を2倍にすることがしばしばである。
【0039】
例えば比較的に強いコントラストを画像領域に形成するために、2つまたは複数の光分布を完全にまたは部分的にだけオーバーレイないし重ね合わせることもできる。
【0040】
図3にはDMDの形態の光電構成部材7の一例が正面図に示されている。拡大された画像部分は、マトリクス形状に配置された光電要素8を示し、これらの光電要素は個別に制御可能なマイクロミラーを含み、この例ではそれぞれ2番目(1つおき)マイクロミラーが傾斜されている。
【0041】
図4は、本発明の車両ヘッドライト1のブロック電気回路図を示す。制御装置5は、光モデル20から光分布を画像データ21の形態で計算することができ、出力ユニット6を介してビデオ信号22の形態で光電構成部材7に出力する。制御装置5は出力ユニット6と共に制御ユニット10を形成し、この制御ユニットには光電構成部材7が接続されている。制御装置5が必要とするメモリは、マイクロプロセッサチップ上にも、別個のチップまたはメモリチップ上にも配置することができる。付加的に制御装置5はインタフェースを含むことができ、このインタフェースを介して例えば光モデル20を制御装置5に通知することができる。
【0042】
図5には、データ信号S1に対する時間領域内に信号経過が示されており、ビデオ信号の同期パルスV1,V1’を備えるV−Sync制御信号S2も示されている。制御装置5は、車両のその都度の走行状況に適合するために所望の光分布を繰り返し新たに計算し、それぞれ所要の光分布を計算する。制御装置5は、計算された光分布を画像データ21の形態で出力ユニット6に伝送し、出力ユニットはさらに画像データを、データ信号S1およびV−Sync信号S2を含むビデオ信号22の形態で光電構成部材7に伝送する。ビデオ信号22は、例えば毎秒25の画像の画像反復周波数を達成するために信号周波数を有することがしばしばである。説明するために図5には互いに連続する2つの時間窓T1とT2が示されている。時間窓T1は、画像情報の伝送の終了時に開始し、データ信号S1における画像データ21の後続の画像情報の伝送の開始時まで持続する。時間窓T2は、時間窓T1の終了後に開始し、データ信号S1における画像データ21からの画像情報の伝送の終了時まで持続する。
【0043】
言い換えると出力ユニット6は、画像信号を少なくとも1つのデータ信号S1によって光電構成部材7,17に伝送するように構成されており、少なくとも1つのデータ信号S1は、データ信号S1における画像情報の前方の信号ショルダ(立上りフランク)P1と後方の信号ショルダ(立下がりフランク)P2との間にある時間窓T2を含む。時間窓T1は、画像情報PICの後方の信号ショルダP2と、データ信号S1においてこれに続く画像情報PIC’の前方の信号ショルダP1’との間にある。例えば車両の運転者が車両ヘッドライトのロービーム機能をハイビーム機能に切り替える場合、各走行状況は光分布の新たな計算を要求することがある。この切り替えは非常に迅速に行わなければならず、この過程に対して必要な制御装置5の計算能力を考慮すべきである。ここでは、状況光分布の計算が時間窓T1で実行されると特に有利である。なぜならこの時間窓では画像データが伝送されず、制御装置5の側での計算能力が使用可能だからである。時間窓T1は、各後方の信号ショルダP2(バックポーチ)と前方の信号ショルダP1’(フロントポーチ)との間にある。所望される画像反復率に依存して、光分布の計算のために時間窓T1は数ミリ秒しかない。例えば時間窓T1は、ビデオ信号が640×480ピクセルの画像情報を含み、60Hzの画像反復率を有する場合、画像情報PICの後方の信号ショルダP2とこれに続く画像情報PIC’の前方の信号ショルダP1’との間で約1.4msである。
【0044】
図6は、例えばハイビームの計算された光分布に対する一例を空間的に図示する。図示の座標系の軸上、軸XAとYAにはそれぞれの明度値(または減光値)の水平および垂直の位置が示されており、明度値は軸ZA上にプロットされている。
【0045】
例えばロービーム、コーナリング光のような別の光分布も同様に可能である。
【0046】
光分布は、モデル規定点(Stuetzpunkte、即ち、光分布モデル線図を規定する点)9により記述(規定)することができる。各モデル規定点9は例えば一データセット(X,Y,Z)を含み、ここでZは位置(X,Y)における所望の明度値である。モデル規定点の間を補間することによってさらなる明度値を計算することができる。ここでは種々の補間方法が可能である。線形補間を使用する場合、モデル規定点9の間の勾配が計算され、個々のモデル規定点9の間にあるポイント(複数)の計算の際に、計算自体を特に簡単に維持するために、それぞれ同じ勾配が使用される。このことは、制御装置5の計算能力が制限されている場合には、必要なことがある。時間窓T1は計算のために特に有利であり、時間窓T1において光分布に対する計算を実行することにより有利に使用することができる。
【0047】
光電構成部材7,17の個々のマトリクス要素の値は、計算された光分布において絶対明度または相対明度に相当することができる。さらに値はそれぞれの光電要素8の調整値に相当しても良く、例えば0から255の間の値が、反射率または明度値、あるいは暗に対する0%から明に対する100%の間の減光値に相当しても良い。DMDシステムにより設定されるこれらの値の各定義に応じて、光電構成部材7が光電要素8の調整領域への適合を行うことが必要な場合がある。
【0048】
多くのDMDシステムにおいて光の変調は、パルス幅変調(PWM)の意味でそれぞれのマイクロミラーを高周波で傾動することにより行われる。ここでは作動サイクル(デューティ比)が適合され、例えば70%の減光のためにマイクロミラーは、クロック70/30で2つの安定したミラー状態の間で運動される。200Hz、1kHzまたは10kHzまでの傾動周波数が一般的である。それに代わり、光電構成部材7,17の個々のマトリクス要素の調整値は、マイクロミラーの位置またはマイクロミラーの傾動周波数に相当することもできる。
【0049】
図7は、本発明のアセンブリにより形成された、道路上でのロービームの高解像度光分布の一例を示す。ここで暗く図示された領域は明度の高い領域に対するものである。したがって図示の記述は明度分布が(本来の明暗と)入れ替わっている。
【符号の説明】
【0050】
1,11 車両投光器(ヘッドライト)
2,12 光源
3,13 一次光学系
4,14 投影光学系
5 制御装置
6 出力ユニット
7,17 光電構成部材
8 光電要素
9 モデル規定点(光分布モデル線図を規定する点 Stuetzpunkte)
10,10a 制御ユニット
20 光モデル
21 画像データ
22 ビデオ信号
S1 データ信号
S2 V−Sync信号
T1 時間窓1
T2 時間窓2
P1,P1’ 前方の信号ショルダ(フロントポーチ)
P2 後方の信号ショルダ(バックポーチ)
V1,V1’ ビデオ同期パルス
PIC,PIC’ 画像情報
X,Y,Z 座標
XA,YA,ZA 軸
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【手続補正書】
【提出日】20190208
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの光源(2,12)、少なくとも1つの投影光学系(4,14)、少なくとも1つの制御装置(5)、少なくとも1つの出力ユニット(6)、並びに少なくとも1つの光電構成部材(7,17)を含む車両投光器(1,11)であって、前記光電構成部材は、個別に調整可能な複数の光電要素の制御可能なアセンブリを2次元マトリクスの形で含み、
画像解像度が、マトリクスの行数と列数の積によって規定されており、
前記車両投光器(1,11)は、前記少なくとも1つの光源(2,12)から前記少なくとも1つの光電構成部材(7,17)の方向に光を照射し、前記少なくとも1つの光電構成部材(7,17)によって変調し、少なくとも部分的に前記少なくとも1つの投影光学系(4,14)の方向に照明し、車両の前方に光像を形成するように構成されており、
前記少なくとも1つの制御装置(5)は前記少なくとも1つの出力ユニット(6)と接続されており、該少なくとも1つの出力ユニット(6)は、前記光電要素(8)を制御するための前記少なくとも1つの光電構成部材(7,17)と接続されている、車両投光器において、
前記少なくとも1つの制御装置(5)の側には少なくとも1つの光モデル(20)が複数のモデル規定点(9)の形態で記憶されており、
前記少なくとも1つの制御装置(5)は、前記少なくとも1つの光モデル(20)から画像データ(21)を、状況画像解像度を備える2次元マトリクス形状の状況光分布の形態で形成するように構成されており、
前記状況画像解像度は、前記状況光分布の行数と列数の積によって規定されており、
前記状況画像解像度は、光モデルの複数のモデル規定点(9)よりも格段に高く、前記画像データ(21)は、モデル規定点(9)から形成され、
少なくとも1つの出力ユニット(6)によって、前記画像データ(21)は前記少なくとも1つの制御装置(5)から前記少なくとも1つの光電構成部材(7,17)に伝送される、ことを特徴とする車両投光器。
【請求項2】
値の補間が、それぞれ隣接するモデル規定点(9)の間で線形に行われる、ことを特徴とする請求項1に記載の車両投光器(1,11)。
【請求項3】
前記モデル規定点(9)は、前記光電要素(8)の反射率または透過率によって規定されている、ことを特徴とする請求項1または2に記載の車両投光器(1,11)。
【請求項4】
それぞれ隣接するモデル規定点(9)の間の間隔は同じ大きさである、ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の車両投光器(1,11)。
【請求項5】
前記状況光分布は、車両のロービームまたはハイビームの光分布である、ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の車両投光器(1,11)。
【請求項6】
前記出力ユニット(6)は、前記画像データ(21)を少なくとも1つのデータ信号(S1)によって前記光電構成部材(7,17)に伝送するように構成されており、
前記少なくとも1つのデータ信号(S1)は時間窓(T1)を含み、該時間窓は、画像情報PICの後方の信号ショルダ(P2)と、データ信号(S1)において前記画像情報に続く画像情報の前方の信号ショルダ(P1’)との間にあり、
前記状況光分布の計算は、前記時間窓(T1)内で実行される、ことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の車両投光器(1,11)。
【請求項7】
前記少なくとも1つの光源(2)は、半導体発光ダイオードを含む、ことを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の車両投光器(1,11)。
【請求項8】
車両投光器(1,11)により少なくとも1つの光分布を形成する方法であって、
少なくとも1つの光源(2,12)、少なくとも1つの投影光学系(4,14)、少なくとも1つの制御装置(5)、少なくとも1つの出力ユニット(6)、並びに少なくとも1つの光電構成部材(7,17)を含み、前記光電構成部材は、個別に調整可能な複数の光電要素の制御可能なアセンブリを2次元マトリクスの形で含み、
画像解像度が、マトリクスの行数と列数の積によって規定され、
前記車両投光器(1,11)は、前記少なくとも1つの光源(2,12)から前記少なくとも1つの光電構成部材(7,17)の方向に光を照射し、前記少なくとも1つの光電構成部材(7,17)によって変調し、少なくとも部分的に前記少なくとも1つの投影光学系(4,14)の方向に照明し、車両の前方に光像を形成するように構成されており、
前記少なくとも1つの制御装置(5)は前記少なくとも1つの出力ユニット(6)と接続されており、該少なくとも1つの出力ユニット(6)は、前記少なくとも1つの光電構成部材(7,17)と接続されており、前記光電要素(8)を制御する、方法において、
前記少なくとも1つの制御装置(5)の側に少なくとも1つの光モデル(20)が記憶され、
前記少なくとも1つの制御装置(5)は、当該制御装置(5)に配設されたメモリにおいて制御装置の側から複数のモデル規定点(9)の形態で記憶された少なくとも1つの光モデル(20)から、画像データ(21)を、状況画像解像度を備える2次元マトリクス状の状況光分布の形態で形成し、
前記状況画像解像度は、前記状況光分布の行数と列数の積によって規定されており、
前記状況画像解像度は、光モデルの複数のモデル規定点(9)よりも格段に高く、前記画像データ(21)は、モデル規定点(9)から形成され、
前記画像データ(21)は、前記少なくとも1つの出力ユニット(6)によって前記少なくとも1つの光電構成部材(7,17)に結像される、ことを特徴とする方法。
【請求項9】
値の補間は、それぞれ隣接するモデル規定点(9)間で線形に行われる、ことを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記モデル規定点(9)は、前記光電要素(8)の反射率または透過率によって規定されている、ことを特徴とする請求項8または9に記載の方法。
【請求項11】
それぞれ隣接するモデル規定点(9)の間の間隔は同じ大きさである、ことを特徴とする請求項8から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記状況光分布は、車両のロービームまたはハイビームの光分布である、ことを特徴とする請求項8から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記出力ユニット(6)は、前記画像データ(21)を少なくとも1つのデータ信号(S1)によって前記光電構成部材(7,17)に伝送し、
前記少なくとも1つのデータ信号(S1)は時間窓(T1)を含み、該時間窓は、画像情報PICの後方の信号ショルダ(P2)と、データ信号(S1)における画像情報PIC’の前方の信号ショルダ(P1’)との間にあり、
前記状況光分布の計算は、前記時間窓(T1)内で実行される、ことを特徴とする請求項8から12のいずれか一項に記載の方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの光源、少なくとも1つの投影光学系、少なくとも1つの制御装置、少なくとも1つの出力ユニット、並びに少なくとも1つの光電構成部材を含む車両投光器に関するものであり、前記光電構成部材は、個別に調整可能な複数の光電要素の制御可能なアセンブリを2次元マトリクスの形態で含む。画像解像度はマトリクスの列数と行数の積により規定されており、車両投光器は、少なくとも1つの光源から少なくとも1つの光電構成部材の方向に光を照射し、少なくとも1つの光電構成部材によって変調し、少なくとも部分的に少なくとも1つの投影光学系の方向に放射し、車両の前方に光像を形成するように構成されている。少なくとも1つの制御装置は少なくとも1つの出力ユニットと接続されており、少なくとも1つの出力ユニットは、少なくとも1つの光電構成部材と接続されており、光電要素を制御することができる。
【0002】
さらに本発明は、前記形式の車両投光器によって車両の前方に光分布を形成するための方法に関する。
【背景技術】
【0003】
現代の投光器システムの開発の際には、可及的に高解像度の光像を走行路に投影できるようにしたいという要望が益々重要になっており、この光像は迅速に変化し、それぞれの交通条件、道路条件および光条件に適合することができる。概念「走行路」は、ここでは簡単に説明するために使用される。なぜならこれはもちろん、光像が実際に走行路上に存在するか、またはそれを越えて伸長しているかという位置的状況に依存するからである。原則的に光像は、投影に基づいて垂直面上に、自動車照明技術に関連する当該規則に対応して記述される。
【0004】
前記の要望に対応するために、とりわけ、可変に制御可能な反射面が複数のマイクロミラーから形成されており、光源により形成される光放射が投光器の照射方向に反射される投光器が開発された。この種の照明装置は、自動車工学において、それらの非常にフレキシブルな光機能の点で有利である。なぜなら種々異なる照明領域に対して照明強度を個別に制御することができ、例えばロービーム光分布、右左折曲光−光分布、市街地光−光分布、高速道路光−光分布、コーナリング光−光分布、ハイビーム光分布または幻惑のないハイビームの結像のような種々の光分布を備える任意の光機能を実現することができるからである。
【0005】
マイクロミラーアセンブリに対しては、いわゆるデジタルライトプロセッシング(DLP(登録商標))投影技術が使用される。この投影技術では画像が、デジタル画像を光線に重畳変調(aufmoduliert)することにより形成される。ここでは、ピクセルとも称される可動のマイクロミラーの矩形のアセンブリによって光線が部分領域に分解され、引き続きピクセルごとに投影経路に入射するように、または投影経路から出射するように反射される。
【0006】
この技術に対する基礎は、複数ミラーのマトリクスの形の矩形のアセンブリおよびそれらの制御技術を含む電子構成部材が形成する。これは「デジタルマイクロミラーデバイス」(DMD)と称される。
【0007】
DMDマイクロシステムは、マトリクス状に配置されたマイクロミラーアクチュエータ、すなわち傾動可能な複数反射面からなる平面光変調器(空間光変調器、SLM)であり、例えば約16μmのエッジ長を有する。ミラー面は、静電界の作用によって可動であるように構成されている。各マイクロミラーの角度は個別に調整可能であり、通常は2つの安定した最終状態を有し、これら2つの最終状態の間で1秒以内に5000回まで切り替わることができる。個別のマイクロミラーは、例えばそれぞれパルス幅変調(PWM)により制御することができ、これによりDMDアセンブリの主照射方向においてマイクロミラーのさらなる状態を結像する。これらマイクロミラーの時間的に平均した反射率は、DMDの2つの安定した状態の間にある。ミラーの数は投影される画像の解像度に相当し、一ミラーが1つまたは複数のピクセルであることが可能である。昨今では、メガピクセル範囲の高解像度のDMDチップが入手可能である。調整可能な個別ミラーの基礎となる技術はマイクロエレクトロメカニカルシステム(MEMS)技術である。
【0008】
DMD技術は、2つの安定したミラー状態を有し、2つの安定した状態の間で変調することにより、反射係数を調整することができるが、一方、「アナログマイクロミラーデバイス」(AMD)は、個別ミラーを可変のミラー位置に調整することができ、そこにおいて個別ミラーはそれぞれ安定状態にある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】WO2015/032795A2
【特許文献2】US2004/114379Al
【特許文献3】EP2 479 064 Al
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
解像度の異なる複数の光分布を車両前方の走行路に投影することのできるこの種の車両投光器では、かなりのメモリが必要である。マイクロミラーアセンブリのための制御装置は、しばしば「埋込型システム」として実現される。この種の埋込型システムは、しばしば特別の課題に適合されており、コスト的な理由から最適化されたハイブリッド型のハードウエア−ソフトウエア実装が選択される。したがって実際には計算能力および使用可能なメモリが制限されていることがしばしばである。付加的な外部メモリを使用することはしばしば不利である。というのも、メモリ自体がコストの原因となるだけでなく、「埋込型システム」の複雑性も有意に上昇し、あるいは自動車適用に対して必要な認可のためには市場で提供可能ではないからである。
【0011】
本発明の課題は、前記欠点を克服することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この課題は、冒頭に述べた形式の投光器により、本発明にしたがって少なくとも1つの制御装置には少なくとも1つの光モデルが複数のモデル規定点の形態で記憶されており、前記少なくとも1つの制御装置は、前記少なくとも1つの光モデルから画像データを、状況画像解像度を備える2次元マトリクス形状の状況光分布の形態で形成するように構成されており、前記状況画像解像度は、状況光分布の行数と列数によって規定され、前記状況画像解像度は、光モデルの複数のモデル規定点よりも格段に高く、好ましくは少なくとも100倍、特に好ましくは少なくとも10000倍高く、前記画像データは、モデル規定点からの好ましくは補間によって形成され、前記画像データは、少なくとも1つの出力ユニットによって少なくとも1つの光電構成部材上に結像することができる、ことによって解決される。
【0013】
本発明の第1の視点によれば、
少なくとも1つの光源、少なくとも1つの投影光学系、少なくとも1つの制御装置、少なくとも1つの出力ユニット、並びに少なくとも1つの光電構成部材を含む車両投光器が提供される。前記光電構成部材は、個別に調整可能な複数の光電要素の制御可能なアセンブリを2次元マトリクスの形で含み、
画像解像度が、マトリクスの行数と列数の積によって規定されている。
前記車両投光器は、前記少なくとも1つの光源から前記少なくとも1つの光電構成部材の方向に光を照射し、前記少なくとも1つの光電構成部材によって変調し、少なくとも部分的に前記少なくとも1つの投影光学系の方向に照明し、車両の前方に光像を形成するように構成されている。
前記少なくとも1つの制御装置は前記少なくとも1つの出力ユニットと接続されており、該少なくとも1つの出力ユニットは、前記光電要素を制御するための前記少なくとも1つの光電構成部材と接続されている。
該車両投光器において、
前記少なくとも1つの制御装置の側には少なくとも1つの光モデルが複数のモデル規定点の形態で記憶されている。
前記少なくとも1つの制御装置は、前記少なくとも1つの光モデルから画像データを、状況画像解像度を備える2次元マトリクス形状の状況光分布の形態で形成するように構成されており、
前記状況画像解像度は、前記状況光分布の行数と列数の積によって規定されており、
前記状況画像解像度は、光モデルの複数のモデル規定点よりも格段に高く、前記画像データは、モデル規定点から(の好ましくは補間によって)形成され、
少なくとも1つの出力ユニットによって、前記画像データは前記少なくとも1つの制御装置から前記少なくとも1つの光電構成部材に伝送される。
本発明の第2の視点において、
車両投光器により少なくとも1つの光分布を形成する方法が提供される。
車両投光器は、少なくとも1つの光源、少なくとも1つの投影光学系、少なくとも1つの制御装置、少なくとも1つの出力ユニット、並びに少なくとも1つの光電構成部材を含み、前記光電構成部材は、個別に調整可能な複数の光電要素の制御可能なアセンブリを2次元マトリクスの形で含み、
画像解像度が、マトリクスの行数と列数の積によって規定される。
該方法において、前記車両投光器は、前記少なくとも1つの光源から前記少なくとも1つの光電構成部材の方向に光を照射し、前記少なくとも1つの光電構成部材によって変調し、少なくとも部分的に前記少なくとも1つの投影光学系の方向に照明し、車両の前方に光像を形成するように構成されており、
前記少なくとも1つの制御装置は前記少なくとも1つの出力ユニットと接続されており、該少なくとも1つの出力ユニットは、前記少なくとも1つの光電構成部材と接続されており、前記光電要素を制御する。
該方法において、
前記少なくとも1つの制御装置の側に少なくとも1つの光モデルが記憶され、
前記少なくとも1つの制御装置は、当該制御装置に配設されたメモリにおいて制御装置の側から複数のモデル規定点の形態で記憶された少なくとも1つの光モデルから、画像データを、状況画像解像度を備える2次元マトリクス状の状況光分布の形態で形成し、
前記状況画像解像度は、前記状況光分布の行数と列数の積によって規定されており、
前記状況画像解像度は、光モデルの複数のモデル規定点よりも格段に高く、前記画像データは、モデル規定点から(の好ましくは補間によって)形成される。
前記画像データは、前記少なくとも1つの出力ユニットによって前記少なくとも1つの光電構成部材に結像される。
なお、特許請求の範囲に付記した図面参照符号は専ら発明の理解を助けるためのものであり、本発明を図示の態様に限定することは意図していない。
【発明を実施するための形態】
【0014】
複数のモデル規定点(ないしモデル規定データ点 Vielzahl von Stuetzstellen)の形態の光モデルを使用することにより、1つまたは複数の光分布を記憶するために必要なメモリ必要度を有意に低減することができる。光分布は単純に経過する明度経過を有することができ、この明度経過は2次元に湾曲した平面によって非常に簡単に記述することができる。これらの平面はさらに複数のモデル規定点によって記述(規定)することができ、これらモデル規定点の数(Anzahl)、したがってそのメモリ必要度は、画像データを介して高解像度に記述された光分布よりも格段に小さい。これにより、制御装置としての従来の「埋込型システム」により取り扱うことのできる格段に低減されたメモリ必要度が得られる。必要なメモリは、マイクロプロセッサチップ上にも、別個のメモリチップ上にも置くことができることは明らかである。
【0015】
モデル規定点(複数)は、例えば2次元マトリクスの形に規定(定義)することができる。モデル規定点の数が、マトリクスの行および列を基準にして、それぞれ係数10だけ状況光分布(Situationslichtverteilung)の行および列の数よりも少なく選択されれば、少なくとも係数100だけ所要のメモリ必要度の低減が得られる。モデル規定点の数が、状況光分布の行および列の数よりも少なくとも係数100だけ少なく選択されれば、少なくとも係数10000だけ所要のメモリ必要度の低減が得られる。
【0016】
さらにこの課題は、冒頭に述べた形式の方法により、本発明にしたがい前照灯が前記形式の光分布を、上に述べたように形成することによって解決される。本方法から得られる利点は、本発明の車両投光器の利点に対応する。したがって以下では車両投光器の利点だけを記載するが、個々の利点は本発明の方法に対しても当てはまる。
【0017】
モデル規定点(複数)から所要の画像データを高い解像度で計算するために、モデル規定点の間の値(複数)を線形補間によって求めると有利である。というのもこの場合、計算を特に簡単に実施することができ、例えば市販のコスト的に有利な「埋込型システム」によって行うことができるからである。画像データの計算は、例えば1つまたは複数のプロセッサあるいは計算ユニットによって実行できることは明らかである。この計算は、言い替えると、個別のマイクロプロセッサ上で、または分散型システムアーキテクチャとして編成された論理計算ユニット上で実行することができる。
【0018】
特別の適用において特に一様に延在する光分布が所望される場合、または例えばロービームの明暗境界を先鋭に形成することが必要な場合、他の補間法、例えば多項式曲線(スプライン)または部分ごとの補間も使用することができる。同様に、例えば1つのモデル規定点から次のモデル規定点の直前まで一定に経過するような簡単な補間法も考えられる。
【0019】
モデル規定点が光電要素の反射率または透過率により規定されると非常に有利である。これにより画像データを出力ユニットの制御のために直接使用することができ、例えば絶対明度(ないし輝度)値または相対明度値の再計算または適合を行う必要がなく、計算時間を節約することができる。
【0020】
モデル規定点の間の間隔が等しい大きさである場合、制御ユニット内での計算方法を簡単に維持することができる。なぜなら高解像度の画像データのために計算されるモデル規定点の間のポイントのそれぞれの間隔を一度だけ計算すれば良いからである。言い替えるとモデル規定点は、簡単な線形画像変換によって光電構成部材の画像解像度に、一度だけの計算の形で(例えば線形補間)変換される。これは、1つのモデル規定点に対してだけステップ幅を行方向と列方向に決定することにより行われ、この場合、このステップ幅は他の全てのモデル規定点に対しても当てはまる。これにより計算時間もプログラミング労力も小さく維持することができる。
【0021】
状況光分布(即ち、状況に応じた光分布 Situationslichtverteilung)はロービームまたはハイビームの光分布であると特に有利である。なぜなら、これら光分布は現行の規則によって前もって規定されており、場合により種々の国の基準が異なってもこれにより容易に考慮することができるからである。
【0022】
本発明の好ましい一発展形態では、出力ユニットは、画像データを少なくとも1つのデータ信号によって伝送するように構成されており、この少なくとも1つのデータ信号は、画像データの画像情報が伝送される時間窓を含み、この時間窓は、画像情報の後方の信号ショルダ(Signal-Schulter)と、これに続く画像情報の前方の信号ショルダとによって画定されており、状況光分布の計算はこの時間窓内で実行される。
【0023】
状況光分布の計算は、制御ユニットの占有が画像情報の計算により最適に位置決めされた時間間隔で行われ、制御ユニットはこの時間窓の外の時間を、別の計算または車両投光器の制御のために使用することができる。
【0024】
少なくとも1つの光源が半導体発光ダイオード、とりわけ高電流発光ダイオードまたはレーザダイオードを含むと特に有利である。なぜなら車両投光器において小さな構造サイズを達成することができるからである。さらに光は高効率で形成され、光源(から)の熱放出が低減される。このことはとりわけ、温度に鋭敏なAMDまたはDMDを使用する場合に非常に重要である。
【0025】
本発明およびその利点を以下、非限定的であり、添付図面に示された実施例に基づき詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明による一車両投光器の第1実施形態の斜視図である。
【図2】本発明による一車両投光器の第2実施形態の斜視図である。
【図3】拡大した詳細図に含まれた光電要素を備える一光電構成部材の前方平面図である。
【図4】本発明の一車両投光器のブロック回路図である。
【図5】図4の光電構成部材を制御するための信号の時間経過を示す図である。
【図6】本発明の一車両投光器の計算された光分布の斜視図である。
【図7】本発明の一車両投光器の一光分布を示す図である。
【実施例】
【0027】
図1から図7を参照すると、本発明の実施例が詳細に示されている。とりわけ一投光器(ヘッドライト)において本発明に重要な部分が図示されており、一ヘッドライトが図示しない多数の別の部分を含むことは明らかであり、これらの部分は自動車、例えば自家用車または自動二輪における有意義な使用を可能にする。したがって分かり易くするために、例えば構成部材用の冷却装置、制御電子回路、さらなる光学要素、機械的調整装置ないし保持部は図示されていない。
【0028】
これら実施例は同時に、ここに記載する形式の車両ヘッドライトにより車両前方に光分布を形成する本発明の方法を示す。
【0029】
これら実施例およびそれらの特徴は、本発明を個別にも記述し、互いに組み合わせることも可能であることは明白である。
【0030】
図1は、本発明による一車両ヘッドライト1の第1実施形態を示す。例えば一発光ダイオードまたはパワーLED並びに光線を束ねるための一次光学系3を含むことのできる一光源2は、一光電構成部材7を照明するように構成されている。
【0031】
光電構成部材7は、2次元マトリクスに配置された複数の光電要素8を含む。この第1実施例では、光電要素8は個別に制御可能なマイクロミラーであり、マトリクスの各個別の要素の反射作用を可変に調整することができる(例えばAMDまたはDMD)。
【0032】
光電構成部材7は、入射光を投影光学系4の方向に反射することができ、制御されるマトリクス要素はそれらの反射係数を、マイクロミラーの角度を変調することによって個別に調整し、所望の光分布を入射光線に対し変調して生成する。投影光学系4は、車両ヘッドライト1の照射方向に配向されており、したがって所望の光分布を車両の前方に形成する。
【0033】
光電構成部材7の制御は制御ユニット10によって行われる。制御ユニットでは所望の光分布を計算することができ、この制御ユニットにはそれに必要な光電要素8の制御が、光電構成部材7への制御信号の形態で出力される。
【0034】
図2は、本発明による一車両ヘッドライト11の第2実施形態を示す。例えば発光ダイオード、高電流LED(パワーLED)またはレーザダイオード、並びに光源12から発する光線を束ねるための一次光学系13を含むことのできる一光源12は、光電構成部材17を照明するように構成されている。
【0035】
光電構成部材17は2次元マトリクスに配置された複数の光電要素を含む。この第2実施例では光電要素8は、個別に制御可能な光透過性要素であり、マトリクスの各個別の要素の光透過作用を可変に調整することができる(例えばLCD)。
【0036】
光電構成部材17は、入射光を投影光学系14の方向に透過することができ、制御されるマトリクス要素はそれらの光透過性を個別に調整し、所望の光分布を入射光線に対し変調して生成する。投影光学系14は、車両ヘッドライト11の照射方向に配向されており、したがって所望の光分布を車両の前方に形成する。
【0037】
光源構成部材17の制御は制御ユニット10aによって行われる。制御ユニットでは光分布を計算することができ、そのために必要な光電要素、例えばLCDのピクセルの制御が、制御信号の形態で光電構成部材17に出力される。
【0038】
図1と図2に示した光電構成部材7,17の変形形態の他に、光の相応の変調を可能にする別の技術ももちろん使用することができる。したがって完全性のために、LCoSシステム(LCoS「Liquid Crystal on Silicon」)を挙げておく。
【0039】
光の変調は、走行路上での光分布のセグメント化を可能にする。すなわち走行路上に投影された光分布は、異なる空間角ごとに個別に制御することができる。走行路上に投影された光像に対しては、本発明の車両ヘッドライトにより個別に制御することのできるセグメントの数が重要である。これは種々の走行状況に対して個別に適合された光分布(即ち、状況光分布)を形成するためである。これらセグメントの数は、例えばマイクロミラーの数に依存しており、例えば矩形のマトリクス配置において854×480個のマイクロミラーまたはピクセルである。
【0040】
車両に対して2つのヘッドライトが使用される場合、セグメントを互いに整列することができ、セグメントの数は2倍にすることができる。通常、車両ヘッドライトの取り付け状態において複数のセグメントが、水平および垂直方向に必要である。この理由からピクセルでは、光電構成部材によりセグメント化された2つの車両ヘッドライトの光分布が、マトリクス配置の短辺側で互い違いに整列され、これにより水平方向の解像度を2倍にすることがしばしばである。
【0041】
例えば比較的に強いコントラストを画像領域に形成するために、2つまたは複数の光分布を完全にまたは部分的にだけオーバーレイないし重ね合わせることもできる。
【0042】
図3にはDMDの形態の光電構成部材7の一例が正面図に示されている。拡大された画像部分は、マトリクス形状に配置された光電要素8を示し、これらの光電要素は個別に制御可能なマイクロミラーを含み、この例ではそれぞれ2番目(1つおき)マイクロミラーが傾斜されている。
【0043】
図4は、本発明の車両ヘッドライト1のブロック電気回路図を示す。制御装置5は、光モデル20から光分布を画像データ21の形態で計算することができ、出力ユニット6を介してビデオ信号22の形態で光電構成部材7に出力する。制御装置5は出力ユニット6と共に制御ユニット10を形成し、この制御ユニットには光電構成部材7が接続されている。制御装置5が必要とするメモリは、マイクロプロセッサチップ上にも、別個のチップまたはメモリチップ上にも配置することができる。付加的に制御装置5はインタフェースを含むことができ、このインタフェースを介して例えば光モデル20を制御装置5に通知することができる。
【0044】
図5には、データ信号S1に対する時間領域内に信号経過が示されており、ビデオ信号の同期パルスV1,V1’を備えるV−Sync制御信号S2も示されている。制御装置5は、車両のその都度の走行状況に適合するために所望の光分布を繰り返し新たに計算し、それぞれ所要の光分布を計算する。制御装置5は、計算された光分布を画像データ21の形態で出力ユニット6に伝送し、出力ユニットはさらに画像データを、データ信号S1およびV−Sync信号S2を含むビデオ信号22の形態で光電構成部材7に伝送する。ビデオ信号22は、例えば毎秒25の画像の画像反復周波数を達成するために信号周波数を有することがしばしばである。説明するために図5には互いに連続する2つの時間窓T1とT2が示されている。時間窓T1は、画像情報の伝送の終了時に開始し、データ信号S1における画像データ21の後続の画像情報の伝送の開始時まで持続する。時間窓T2は、時間窓T1の終了後に開始し、データ信号S1における画像データ21からの画像情報の伝送の終了時まで持続する。
【0045】
言い換えると出力ユニット6は、画像信号を少なくとも1つのデータ信号S1によって光電構成部材7,17に伝送するように構成されており、少なくとも1つのデータ信号S1は、データ信号S1における画像情報の前方の信号ショルダ(立上りフランク)P1と後方の信号ショルダ(立下がりフランク)P2との間にある時間窓T2を含む。時間窓T1は、画像情報PICの後方の信号ショルダP2と、データ信号S1においてこれに続く画像情報PIC’の前方の信号ショルダP1’との間にある。例えば車両の運転者が車両ヘッドライトのロービーム機能をハイビーム機能に切り替える場合、各走行状況は光分布の新たな計算を要求することがある。この切り替えは非常に迅速に行わなければならず、この過程に対して必要な制御装置5の計算能力を考慮すべきである。ここでは、状況光分布の計算が時間窓T1で実行されると特に有利である。なぜならこの時間窓では画像データが伝送されず、制御装置5の側での計算能力が使用可能だからである。時間窓T1は、各後方の信号ショルダP2(バックポーチ)と前方の信号ショルダP1’(フロントポーチ)との間にある。所望される画像反復率に依存して、光分布の計算のために時間窓T1は数ミリ秒しかない。例えば時間窓T1は、ビデオ信号が640×480ピクセルの画像情報を含み、60Hzの画像反復率を有する場合、画像情報PICの後方の信号ショルダP2とこれに続く画像情報PIC’の前方の信号ショルダP1’との間で約1.4msである。
【0046】
図6は、例えばハイビームの計算された光分布に対する一例を空間的に図示する。図示の座標系の軸上、軸XAとYAにはそれぞれの明度値(または減光値)の水平および垂直の位置が示されており、明度値は軸ZA上にプロットされている。
【0047】
例えばロービーム、コーナリング光のような別の光分布も同様に可能である。
【0048】
光分布は、モデル規定点(Stuetzpunkte、即ち、光分布モデル線図を規定する点)9により記述(規定)することができる。各モデル規定点9は例えば一データセット(X,Y,Z)を含み、ここでZは位置(X,Y)における所望の明度値である。モデル規定点の間を補間することによってさらなる明度値を計算することができる。ここでは種々の補間方法が可能である。線形補間を使用する場合、モデル規定点9の間の勾配が計算され、個々のモデル規定点9の間にあるポイント(複数)の計算の際に、計算自体を特に簡単に維持するために、それぞれ同じ勾配が使用される。このことは、制御装置5の計算能力が制限されている場合には、必要なことがある。時間窓T1は計算のために特に有利であり、時間窓T1において光分布に対する計算を実行することにより有利に使用することができる。
【0049】
光電構成部材7,17の個々のマトリクス要素の値は、計算された光分布において絶対明度または相対明度に相当することができる。さらに値はそれぞれの光電要素8の調整値に相当しても良く、例えば0から255の間の値が、反射率または明度値、あるいは暗に対する0%から明に対する100%の間の減光値に相当しても良い。DMDシステムにより設定されるこれらの値の各定義に応じて、光電構成部材7が光電要素8の調整領域への適合を行うことが必要な場合がある。
【0050】
多くのDMDシステムにおいて光の変調は、パルス幅変調(PWM)の意味でそれぞれのマイクロミラーを高周波で傾動することにより行われる。ここでは作動サイクル(デューティ比)が適合され、例えば70%の減光のためにマイクロミラーは、クロック70/30で2つの安定したミラー状態の間で運動される。200Hz、1kHzまたは10kHzまでの傾動周波数が一般的である。それに代わり、光電構成部材7,17の個々のマトリクス要素の調整値は、マイクロミラーの位置またはマイクロミラーの傾動周波数に相当することもできる。
【0051】
図7は、本発明のアセンブリにより形成された、道路上でのロービームの高解像度光分布の一例を示す。ここで暗く図示された領域は明度の高い領域に対するものである。したがって図示の記述は明度分布が(本来の明暗と)入れ替わっている。
【0052】
本発明には以下の形態が可能である。
(形態1)
第1視点に記載のとおり。
(形態2)
値の補間が、それぞれ隣接するモデル規定点の間で線形に行われる、ことを特徴とする好ましくは形態1に記載の車両投光器。
(形態3)
前記モデル規定点は、前記光電要素の反射率または透過率によって規定されている、ことを特徴とする好ましくは形態1または2に記載の車両投光器。
(形態4)
それぞれ隣接するモデル規定点の間の間隔は同じ大きさである、ことを特徴とする好ましくは形態1から3のいずれか一に記載の車両投光器。
(形態5)
前記状況光分布は、車両のロービームまたはハイビームの光分布である、ことを特徴とする好ましくは形態1から4のいずれか一に記載の車両投光器。
(形態6)
前記出力ユニットは、前記画像データを少なくとも1つのデータ信号(S1)によって前記光電構成部材に伝送するように構成されており、
前記少なくとも1つのデータ信号(S1)は時間窓(T1)を含み、該時間窓は、画像情報PICの後方の信号ショルダ(P2)と、データ信号(S1)において前記画像情報に続く画像情報の前方の信号ショルダ(P1’)との間にあり、
前記状況光分布の計算は、前記時間窓(T1)内で実行される、ことを特徴とする好ましくは形態1から5のいずれか一に記載の車両投光器。
(形態7)
前記少なくとも1つの光源は、半導体発光ダイオード、とりわけ高電流発光ダイオードまたはレーザダイオードを含む、ことを特徴とする好ましくは形態1から6のいずれか一に記載の車両投光器。
(形態8)
第1の視点に示す車両投光器により少なくとも1つの光分布を形成する方法であって、第2の視点に示すとおり。
(形態9)
値の補間は、それぞれ隣接するモデル規定点間で線形に行われる、ことを特徴とする好ましくは形態8に記載の方法。
(形態10)
前記モデル規定点は、前記光電要素の反射率または透過率によって規定されている、ことを特徴とする好ましくは形態8または9に記載の方法。
(形態11)
それぞれ隣接するモデル規定点の間の間隔は同じ大きさである、ことを特徴とする好ましくは形態8から10のいずれか一に記載の方法。
(形態12)
前記状況光分布は、車両のロービームまたはハイビームの光分布である、ことを特徴とする好ましくは形態8から11のいずれか一に記載の方法。
(形態13)
前記出力ユニットは、前記画像データを少なくとも1つのデータ信号によって前記光電構成部材に伝送し、
前記少なくとも1つのデータ信号は時間窓を含み、該時間窓は、画像情報PICの後方の信号ショルダと、データ信号における画像情報PIC’の前方の信号ショルダとの間にあり、
前記状況光分布の計算は、前記時間窓内で実行される、ことを特徴とする好ましくは形態8から12のいずれか一に記載の方法。
【符号の説明】
【0053】
1,11 車両投光器(ヘッドライト)
2,12 光源
3,13 一次光学系
4,14 投影光学系
5 制御装置
6 出力ユニット
7,17 光電構成部材
8 光電要素
9 モデル規定点(光分布モデル線図を規定する点 Stuetzpunkte)
10,10a 制御ユニット
20 光モデル
21 画像データ
22 ビデオ信号
S1 データ信号
S2 V−Sync信号
T1 時間窓1
T2 時間窓2
P1,P1’ 前方の信号ショルダ(フロントポーチ)
P2 後方の信号ショルダ(バックポーチ)
V1,V1’ ビデオ同期パルス
PIC,PIC’ 画像情報
X,Y,Z 座標
XA,YA,ZA 軸
【国際調査報告】