(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】2019522710
(43)【公表日】20190815
(54)【発明の名称】多段ポリマー及び2種の異なる(メタ)アクリルポリマーを含む組成物、その製造方法、並びに前記組成物を含む物品
(51)【国際特許分類】
   C08L 33/06 20060101AFI20190719BHJP
   C08L 51/06 20060101ALI20190719BHJP
   C08L 51/04 20060101ALI20190719BHJP
   C08F 285/00 20060101ALI20190719BHJP
   B29C 39/02 20060101ALI20190719BHJP
【FI】
   !C08L33/06
   !C08L51/06
   !C08L51/04
   !C08F285/00
   !B29C39/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】27
(21)【出願番号】2018568821
(86)(22)【出願日】20170629
(85)【翻訳文提出日】20190225
(86)【国際出願番号】EP2017066199
(87)【国際公開番号】WO2018002259
(87)【国際公開日】20180104
(31)【優先権主張番号】1656097
(32)【優先日】20160629
(33)【優先権主張国】FR
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】505005522
【氏名又は名称】アルケマ フランス
【住所又は居所】フランス国 コロンブ、92700 リュ、デスティエンヌ、ドルブ、420
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】エスカーレ, ピエール
【住所又は居所】フランス国 64000 ポー, ブールヴァード デュ カミ サリエ 391
(72)【発明者】
【氏名】ジェラール, ピエール
【住所又は居所】フランス国 64230 ドンガン, リュ デ マグノリア 8
(72)【発明者】
【氏名】クーファン, アリーヌ
【住所又は居所】フランス国 12510 バルサック, ルート ドゥ ロデ
(72)【発明者】
【氏名】イヌブリ, ラベール
【住所又は居所】フランス国 69100 ビルールバンヌ, アヴェニュー ピアトン 14
【テーマコード(参考)】
4F204
4J002
4J026
【Fターム(参考)】
4F204AA43
4F204AB04
4F204AC05
4F204AG01
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4J026AC15
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4J026DB05
4J026DB12
4J026DB13
4J026FA07
4J026GA06
4J026GA10
(57)【要約】
本発明は、2種の異なる(メタ)アクリルポリマー及び多段ポリマーを含む組成物に関する。本発明は特に、2種の異なる(メタ)アクリルポリマー及び多段ポリマーを含むポリマー組成物に関する。本発明はまた、このようなポリマー組成物の製造方法に関する。より具体的には、本発明はまた、2種の異なる(メタ)アクリルポリマー及び多段ポリマーを含む、耐衝撃性が改質された組成物を製造するための方法に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)(メタ)アクリルポリマー(P1)、
b)多段ポリマー、及び
c)(メタ)アクリルポリマー(P2)、
を含むポリマー組成物であって、(メタ)アクリルポリマー(P1)が、100,000g/mol未満の重量平均分子量Mwを有することを特徴とする、ポリマー組成物。
【請求項2】
(メタ)アクリルポリマー(P1)が、5,000g/mol〜70,000g/molの重量平均分子量Mwを有することを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
(メタ)アクリルポリマー(P2)が、50,000g/molを上回る、好ましくは60,000g/molを上回る、より好ましくは70,000g/molを上回る、さらにより好ましくは80,000g/molを上回る、有利には90,000g/molを上回る、より有利には100,000g/molを上回る、さらにより有利には105,000g/molを上回る、重量平均分子量Mwを有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
(メタ)アクリルポリマー(P2)が、(メタ)アクリルポリマー(P1)より重要な重量平均分子量Mwを有し、より好ましくは、その差が少なくとも10,000g/molであることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
(メタ)アクリルポリマー(P2)が、105,000g/mol〜10,000,000g/molの重量平均分子量Mwを有することを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載のポリマー組成物。
【請求項6】
(メタ)アクリルポリマー(P2)が架橋していることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
(メタ)アクリルポリマー(P2)のガラス転移温度Tgが、60℃〜150℃であることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
(メタ)アクリルポリマー(P2)が、重合したメチルメタクリレートを少なくとも50重量%含むことを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
多段ポリマーが、
a)0℃未満のガラス転移温度を有するポリマー(A1)を含む1つの段(A)、
b)少なくとも30℃のガラス転移温度を有するポリマー(B1)を含む1つの段(B)、
を含むことを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
段(A)が第一の段であり、ポリマー(B1)を含む段(B)がポリマー(A1)を含む段(A)にグラフトされていることを特徴とする、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
ポリマー(A1)及び(B1)が、アクリルポリマー又はメタクリルポリマーであることを特徴とする、請求項9又は10に記載の組成物。
【請求項12】
ポリマー(A1)が、イソプレン又はブタジエン由来のポリマー単位を少なくとも50重量%含むことを特徴とする、請求項9又は10に記載の組成物。
【請求項13】
(メタ)アクリルポリマー(P1)が、C1からC12アルキル(メタ)アクリレートから選択されるモノマーを少なくとも50重量%含むことを特徴とする、請求項1から12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
(メタ)アクリルポリマー(P1)が、50重量%から100重量%までのメチルメタクリレート、好ましくは80重量%から100重量%までのメチルメタクリレート、さらにより好ましくは80重量%から99.8重量%までのメチルメタクリレートと、0.2重量%から20重量%までのC1からC8アルキルアクリレートモノマーとを含むことを特徴とする、請求項1から12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
(メタ)アクリルポリマー(P1)が、官能性モノマーを0重量%〜50重量%含むことを特徴とする、請求項1から12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
(メタ)アクリルポリマー(P1)が、官能性モノマーを1重量%〜30重量%含むことを特徴とする、請求項1から12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項17】
官能性コモノマーが、グリシジル(メタ)アクリレート、アクリル酸若しくはメタクリル酸、これらの酸から誘導されるアミド、例えばジメチルアクリルアミド、2−メトキシエチルアクリレート若しくはメタクリレート、2−アミノエチルアクリレート若しくはメタクリレートが任意選択的に四級化されていてよく、ホスホネート基若しくはホスフェート基を有するアクリレート又はメタクリレートのモノマー、アルキルイミダゾリジノン(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレートから選択され、好ましくは、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレートのポリエチレングリコール基は、400g/molから10,000g/molまでの範囲の分子量を有することを特徴とする、請求項15又は16に記載の組成物。
【請求項18】
a)100,000g/mol未満の重量平均分子量Mwを有する(メタ)アクリルポリマー(P1)と、多段ポリマーとを含む組成物を調製する工程、
b)前の工程の組成物と、(メタ)アクリルポリマー(P2)とを混合する工程
を含む、請求項1から17のいずれか一項に記載のポリマー組成物を製造するための方法。
【請求項19】
a)100,000g/mol未満の重量平均分子量Mwを有する(メタ)アクリルポリマー(P1)と、多段ポリマーとを含む組成物を調製する工程、
b)前の工程の組成物と、(メタ)アクリルモノマー若しくはビニルモノマー又はこれらの混合物から選択されるモノマー(M1)とを混合する工程、
c)モノマー(M1)を重合させる工程
を含む、請求項1から17のいずれか一項に記載のポリマー組成物を製造するための方法。
【請求項20】
液状混合物が、20℃で1s−1の剪断速度で、10mPa.s〜200,000mPa.sの動的粘度を有することを特徴とする、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
工程b)の組成物に、開始剤も添加することを特徴とする、請求項19又は20に記載の方法。
【請求項22】
以下の段階:
1. 100,000g/mol未満の重量平均分子量Mwを有する(メタ)アクリルポリマー(P1)と、多段ポリマーとを含む組成物を調製する段階、
2. 100,000g/mol未満の重量平均分子量Mwを有する(メタ)アクリルポリマー(P1)と、段階1の多段ポリマーとを含む組成物を、モノマー(M1)、例えばメチルメタクリレート、及び任意選択的な架橋剤、任意選択的な少なくとも1種のコモノマーM及び少なくとも1種のラジカル開始剤と混合する段階、
3. 段階2で得られた混合物を型に流し込み、その後温度サイクルに従ってこの混合物を加熱して、キャストシートを得る段階
を含む、請求項1から17のいずれか一項に記載のポリマー組成物を製造するための方法。
【請求項23】
耐衝撃性が改質されたポリマー物品を製造するための、請求項1から17のいずれか一項に記載された、又は請求項18から22のいずれか一項に記載の方法によって得られるポリマー組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2種の異なる(メタ)アクリルポリマー及び多段ポリマーを含む組成物に関する。
【0002】
本発明は特に、2種の異なる(メタ)アクリルポリマー及び多段ポリマーを含むポリマー組成物に関する。本発明はまた、このようなポリマー組成物を製造するための方法に関する。
【0003】
より具体的には、本発明はまた、2種の異なる(メタ)アクリルポリマー及び多段ポリマーを含む、耐衝撃性が改質されたポリマー組成物を調製するための方法に関する。
【0004】
耐衝撃性改質剤又は耐衝撃性添加剤は、ポリマー組成物の衝撃強度を改善するために、周辺温度で、また特に零下の温度で生じる本来的な脆性又は脆さ、ノッチ敏感性、及び亀裂伝播を補償する目的で、広く使用されている。よって耐衝撃改質ポリマーとは、衝撃への耐性及び靭性が、ミクロドメイン相としてゴム材料を組み込むことによって増強されたポリマー材料である。
【0005】
これは通常、微視的なゴム粒子を、衝撃エネルギーを吸収可能な、又はこれを散らすことができるポリマーマトリックス内に導入することによって、行われる。1つの可能性は、ゴム粒子をコア−シェル粒子の形態で導入することである。これらのコア−シェル粒子は一般的に、ゴム質のコアと、ポリマーのシェルとを備えており、効果的な靭性化のために適切なゴム質コア粒径という利点を有しており、グラフトされたシェルはその結果、熱可塑性マトリックスとの接着性及び相溶性を有する。
【0006】
耐衝撃性改質剤の性能は、粒径の作用、特に粒子のゴム部分の作用と、その品質の作用である。添加された耐衝撃性改質剤粒子の所定の品質について、最大の耐衝撃性を有するためには、最適の平均粒径がある。
【0007】
これらの耐衝撃性改質剤一次粒子は通常、粉末粒子の形態で、ポリマー材料に添加される。これらの粉末粒子は、アグロメレート化した耐衝撃性改質剤一次粒子である。熱可塑性材料を粉末粒子とブレンドする間に、耐衝撃性改質剤一次粒子は再び大きくなり、熱可塑性材料において多かれ少なかれ均質に分散される。
【0008】
耐衝撃性改質剤粒子の粒径がナノメータ範囲にある一方、アグロメレート化した粉末粒子の範囲は、マイクロメータの範囲である。後者の方が、はるかに取り扱いやすい。
【0009】
熱可塑性であり、また熱硬化性でもある多くのポリマーにとって、コアシェル粒子の形態にあるこれらの多段ポリマーを、アグロメレート化した乾燥粉末として正確に分散させることは非常に困難である。コア−シェル粒子の理想的な均質分散体は、熱可塑性材料内に分散した後はアグロメレートではなく、マトリックスとも呼ばれる。
【0010】
これは、多段ポリマーを大量に添加して、均質に分布させるべき場合には、さらに困難である。大量に添加することはまた、多段ポリマーを、1種又は複数のモノマーを含む液状組成物に添加する場合にも、問題となる。
【0011】
液状組成物中では、耐衝撃性改質剤粒子が膨潤することがあり、これによってその有効体積が増大し、最終的には液状組成物の粘度がかなり増加する。用途にとって充分な流動性を有する液状組成物を得るためには、液状組成物における耐衝撃性改質剤粒子の量(これによって耐衝撃性改質剤の性能が悪くなる、又は不充分になる)を制限することが必要である。
【0012】
ポリメチルメタクリレート(PMMA)の場合における耐衝撃性強化は一般的に、アクリル樹脂に耐衝撃性添加剤(コア−シェル添加剤として知られる)を導入することによって改善され、これは多層の球状粒子の形態でもたらされる。これらの粒子は、多段階法で乳化重合によって調製され、微粒化によって粉末形態で回収される。これらは一般的に、「硬質」層と「軟質」層との連続体を備える。このため、二層(軟質−硬質)若しくは三層(硬質−軟質−硬質)の粒子、又は時にはそれ以上のものがあり得る。型内でモノマー混合物を重合させることによって得られるキャストアクリルシートの場合、耐衝撃性添加剤は、モノマー混合物内に事前に分散されている。押出成形されたアクリルシートの場合、耐衝撃性添加剤は、押出成形機内でアクリル樹脂とコンパウンド化される。いずれの場合でも、耐衝撃強度について不変で均質な水準を維持するためには、耐衝撃性添加剤をアクリル樹脂内によく分散させることが必要である。
【0013】
本発明の目的は、第一の(メタ)アクリルポリマー、第二の(メタ)アクリルポリマー、及び多段ポリマーを含む組成物であって、多段ポリマーが均質に分散しており、耐衝撃性のために充分に高い多段ポリマー比率を有する組成を有する組成物を得ることである。
【0014】
本発明の目的はまた、第一の(メタ)アクリルポリマー、第二の(メタ)アクリルポリマー、及び多段ポリマーを含む組成物であって、多段ポリマーが均質に分散しており、かつ耐衝撃性が改質された物品を製造するための方法で使用可能な組成物を得ることである。
【0015】
本発明の別の目的は、1種又は複数の(メタ)アクリルポリマーにおける高い水準の多段ポリマーのアグロメレート化を、回避又は著しく低下させることである。
【0016】
さらに別の目的は、第一の(メタ)アクリルポリマー、第二の(メタ)アクリルポリマー、及び多段ポリマーを含む組成物の製造方法であって、多段ポリマーが、1種又は複数の(メタ)アクリルポリマー中に高い水準で均質に分散している組成物の製造方法を得ることである。
【0017】
さらにまた別の目的は、ポリマーの耐衝撃性のための、モノマー及び(メタ)アクリルポリマーを含む組成物の使用、特にキャスト重合により作製されたポリマーシートの使用である。
【背景技術】
【0018】
国際公開第2012/130595号は、耐衝撃性が改質された高分子量ポリメチルメタクリレートポリマーから成るコーティングされた成形物を、乗用車両の窓又は多目的車両の窓として用いることを開示している。成形物の組成は、耐衝撃性改質剤として、少なくとも1種のコア−シェル−シェル粒子を0.5から35重量%含むことが開示されている。
【0019】
国際公開第2012/085487号の文献は、透明で耐衝撃性の架橋されたアクリル組成物を開示しており、この組成物は、0℃より高いガラス転移温度を有する脆性マトリックスと、0℃未満のガラス転移温度を有する可撓性のマクロ分子連続体から成る、100nm未満の特徴的な寸法を有する弾性ドメインとから構成され、ここで弾性ドメインは、PRCにより作製されたブロックコポリマーの一部である。多段ポリマーは、この組成物では使用されていない。
【0020】
2004/037921の文献は、非晶質マトリックスとブロックコポリマーとを含む、延性で透明な組成物を開示している。この組成物はさらに、コアシェルポリマーを含む。
【0021】
国際公開第2014/135815号の文献は、繊維基材を含浸させるための液状(メタ)アクリルシロップを開示しており、このシロップは、a)(メタ)アクリルポリマー、b)(メタ)アクリルモノマー、及びc)弾性ドメインを含む。弾性ドメインは、ブロックコポリマーの一部である。
【0022】
いずれの従来技術文献も、特許請求したポリマー組成物、又はその製造方法、又はその使用を開示していない。
【発明の概要】
【0023】
意外なことに、
a)(メタ)アクリルポリマー(P1)、
b)多段ポリマー、及び
c)(メタ)アクリルポリマー(P2)、
を含むポリマー組成物であって、(メタ)アクリルポリマー(P1)が100,000g/mol未満の重量平均分子量Mwを有することを特徴とするポリマー組成物は、同じ重量の多段ポリマーで(メタ)アクリルポリマー(P1)を含まない組成物よりも、多段ポリマーの分散性がより良好なことが判明した。
【0024】
また意外なことに、
a)(メタ)アクリルポリマー(P1)、
b)多段ポリマー、及び
c)(メタ)アクリルポリマー(P2)、
を含むポリマー組成物であって、(メタ)アクリルポリマー(P1)が100,000g/mol未満の重量平均分子量Mwを有することを特徴とするポリマー組成物は、(メタ)アクリルポリマー(P1)を含まない組成物よりも、多段ポリマーの分散性がより良好であり、耐衝撃性も良好であることが判明した。
【0025】
また意外なことに、
a)(メタ)アクリルポリマー(P1)、
b)多段ポリマー、及び
c)(メタ)アクリルポリマー(P2)、
を含むポリマー組成物であって、(メタ)アクリルポリマー(P1)が100,000g/mol未満の重量平均分子量Mwを有することを特徴とするポリマー組成物は、耐衝撃性が改質された物品を製造するために使用可能なことが判明した。
【0026】
また意外なことに、以下の工程:
a)100,000g/mol未満の重量平均分子量Mwを有する(メタ)アクリルポリマー(P1)と、多段ポリマーとを含む組成物を調製する工程、
b)前の工程の組成物と、(メタ)アクリルポリマー(P2)とを混合する工程
を含むポリマー組成物の製造方法により、
(メタ)アクリルポリマー(P1)を含まない組成物よりも、組成物中への多段ポリマーのより良好な分散性が得られることが判明した。
【0027】
また意外なことに、以下の工程:
a)100,000g/mol未満の重量平均分子量Mwを有する(メタ)アクリルポリマー(P1)と、多段ポリマーとを含む組成物を調製する工程、
b)前の工程の組成物と、(メタ)アクリルポリマー(P2)とを混合する工程
を含むポリマー組成物の製造方法により、
(メタ)アクリルポリマー(P1)を含まない組成物よりも、組成物中への大量の多段ポリマーのより良好な分散性が得られることが判明した。
【0028】
また意外なことに、以下の工程:
a)100,000g/mol未満の重量平均分子量Mwを有する(メタ)アクリルポリマー(P1)と、多段ポリマーとを含む組成物を調製する工程、
b)前の工程の組成物と、モノマーM1とを混合する工程
を含むポリマー組成物の製造方法であって、
(メタ)アクリルポリマー(P1)が100,000g/mol未満の重量平均分子量Mwを有することを特徴とするポリマー組成物の製造方法により、同じ重量の多段ポリマーで(メタ)アクリルポリマー(P1)を含まない組成物よりも、より高い水準で、より良好な多段ポリマーの分散性が得られることが判明した。
【0029】
第一の態様によれば、本発明は、
a)(メタ)アクリルポリマー(P1)、
b)多段ポリマー、及び
c)(メタ)アクリルポリマー(P2)、
を含むポリマー組成物であって、(メタ)アクリルポリマー(P1)が、100,000g/mol未満の重量平均分子量Mwを有することを特徴とする、ポリマー組成物に関する。
【0030】
第二の態様によれば、本発明は
a)(メタ)アクリルポリマー(P1)、
b)多段ポリマー、及び
c)(メタ)アクリルポリマー(P2)、
を含むポリマー組成物であって、(メタ)アクリルポリマー(P1)が、100,000g/mol未満の重量平均分子量Mwを有し、(メタ)アクリルポリマー(P2)が、(メタ)アクリルポリマー(P1)よりも大きい重量平均分子量Mwを有する、ポリマー組成物に関する。
【0031】
第三の態様において本発明は、以下の工程:
a)100,000g/mol未満の重量平均分子量Mwを有する(メタ)アクリルポリマー(P1)と、多段ポリマーとを含む組成物を調製する工程、
b)前の工程の組成物と、(メタ)アクリルポリマー(P2)とを混合する工程
を含む、ポリマー組成物の製造方法に関する。
【0032】
第四の態様において本発明は、以下の工程:
a)100,000g/mol未満の重量平均分子量Mwを有する(メタ)アクリルポリマー(P1)と、多段ポリマーとを含む組成物を調製する工程、
b)前の工程の組成物と、(メタ)アクリルモノマー又はビニルモノマー又はこれらの混合物から選択されるモノマー(M1)とを混合する工程、
c)モノマー(M1)を重合させる工程
を含む、ポリマー組成物の製造方法に関する。
【0033】
第五の態様において本発明は、耐衝撃性が改質された物品を製造するための、
a)(メタ)アクリルポリマー(P1)、
b)多段ポリマー、及び
c)(メタ)アクリルポリマー(P2)、
を含むポリマー組成物の使用であって、(メタ)アクリルポリマー(P1)が100,000g/mol未満の重量平均分子量Mwを有することを特徴とする使用に関する。
【0034】
ここで使用する「ポリマー粉末」という用語は、ナノメータ範囲にある粒子を含む一次ポリマーのアグロメレート化によって得られる、少なくとも1マイクロメータ(μm)の範囲にある粉末顆粒を有するポリマーを言う。
【0035】
ここで使用する「一次粒径」という用語は、ナノメータ範囲にある粒子を含む球状ポリマーを言う。一次粒子は好ましくは、20nm〜800nmの重量平均粒径を有する。
【0036】
ここで使用する「粒径」という用語は、球状とみなした粒子の平均体積直径を言う。
【0037】
ここで使用する「コポリマー」という用語は、ポリマーが、少なくとも2種の異なるモノマーから構成されることを言う。
【0038】
ここで使用する「多段ポリマー」とは、多段重合法によって連続的に形成されたポリマーを言う。1つの好ましい方法は、多段乳化重合法であり、この方法では、第一のポリマーが第一段のポリマーであり、第二のポリマーが第二段のポリマーである。すなわち第二のポリマーは、第一のエマルションポリマーの存在下での乳化重合によって形成される。
【0039】
ここで使用する「(メタ)アクリルモノマー」という用語は、あらゆる種類のアクリル酸モノマー及びメタクリル酸モノマーを言う。
【0040】
ここで使用する「(メタ)アクリルポリマー」という用語は、(メタ)アクリルポリマーが、(メタ)アクリルポリマーの50重量%以上を占める(メタ)アクリルモノマーを必須で含むポリマーを言う。
【0041】
ここで使用する「耐衝撃性改質剤」という用語は、ポリマー材料に一度組み込まれると、ゴム材料又はゴムポリマーのミクロドメイン相により、ポリマー材料の耐衝撃性及び靭性を向上させるものと理解される。
【0042】
ここで使用する「ゴム」という用語は、ガラス転移点を超えるポリマーの熱力学的状態をいう。
【0043】
ここで使用する「ゴムポリマー」という用語は、ポリマーが0℃未満のガラス転移温度(Tg)を有することを言う。
【0044】
本発明によるポリマー組成物
本発明によるポリマー組成物は、a)100,000g/mol未満の重量平均分子量Mwを有する(メタ)アクリルポリマー(P1)、b)多段ポリマー、及びc)(メタ)アクリルポリマー(P2)を含む。
【0045】
3種の成分a)、b)及びc)を含む組成物における多段ポリマーの相対的な重量は、1重量%〜50重量%、好ましくは2重量%〜35重量%、より好ましくは5重量%〜30重量%、有利には10重量%〜30重量%である。
【0046】
3種の成分a)、b)及びc)を含む組成物における(メタ)アクリルポリマー(P1)の相対的な重量比は、0.05重量%〜36重量%、好ましくは0.1重量%〜27重量%である。
【0047】
3種の成分a)、b)及びc)を含む組成物における2種のポリマー、すなわち多段ポリマーと(メタ)アクリルポリマー(P1)を一緒にしたものについての重量比は、1.05重量%〜50重量%、好ましくは2.05重量%〜40重量%である。1つの実施態様において、多段ポリマーに分散されている(メタ)アクリルポリマー(P2)は、連続相である。
【0048】
本組成物は、その他の化合物を含むこともできるが、その他の化合物は、3種の成分、すなわち化合物a、b)及びc)の間の重量比の計算については考慮しない。
【0049】
本発明においてxからyまでの範囲とは、この範囲の上限及び下限が含まれることを意味し、少なくともxからyまでということである。
【0050】
本発明においてx〜yとは、この範囲の上限及び下限が含まれないことを意味し、x超からy未満ということである。
【0051】
(メタ)アクリルポリマー(P1)
(メタ)アクリルポリマー(P1)は、100,000g/mol未満、好ましくは90,000g/mol未満、より好ましくは80,000g/mol未満、さらにより好ましくは70,000g/mol未満、有利には60,000g/mol未満、より有利には50,000g/mol未満、さらにより有利には40,000g/mol未満の重量平均分子量Mwを有する。
【0052】
(メタ)アクリルポリマー(P1)は、2000g/molを上回る、好ましくは3000g/molを上回る、より好ましくは4000g/molを上回る、さらにより好ましくは5000g/molを上回る、有利には6000g/molを上回る、より有利には6500g/molを上回る、さらにより有利には7000g/molを上回る、最も好ましくは10000g/molを上回る、重量平均分子量Mwを有する。
【0053】
(メタ)アクリルポリマー(P1)の重量平均分子量は、2000g/mol〜100,000g/mol、好ましくは3000g/mol〜90,000g/mol、より好ましくは4000g/mol〜80,000g/mol、有利には5000g/mol〜70,000g/mol、より有利には6000g/mol〜50,000g/mol、最も有利には10,000g/mol〜40,000g/molである。
【0054】
(メタ)アクリルポリマー(P1)は好ましくは、(メタ)アクリルモノマーを含むコポリマーである。より好ましくは、(メタ)アクリルポリマー(P1)は、(メタ)アクリルポリマーである。さらにより好ましくは、(メタ)アクリルポリマー(P1)は、C1からC12アルキル(メタ)アクリレートから選択されるモノマーを、少なくとも50重量%含む。有利に好ましくは、(メタ)アクリルポリマー(P1)は、C1からC4アルキルメタクリレート及びC1からC8アルキルアクリレートのモノマー、並びにこれらの混合物から選択されるモノマーを少なくとも50重量%含む。より有利には、(メタ)アクリルポリマー(P1)は、重合したメチルメタクリレートを少なくとも50重量%、さらにより有利には少なくとも60重量%、最も有利には少なくとも65重量%、含む。
【0055】
メタクリルポリマー(P1)のガラス転移温度Tgは好ましくは、30〜150℃である。メタクリルポリマー(P1)のガラス転移温度Tgは、より好ましくは40〜150℃、有利には45〜150℃、より有利には50〜150℃である。
【0056】
ポリマーの(メタ)アクリルポリマー(P1)は、架橋されていないのが好ましい。
【0057】
ポリマーの(メタ)アクリルポリマー(P1)は、1種又は複数の他のポリマーにグラフトされていないのが好ましい。
【0058】
(メタ)アクリルポリマー(P1)は好ましくは、ISO1133(230℃/3.8kg)に従ったメルトフローインデックス(MFI)が、少なくとも5g/10分、好ましくは少なくとも6g/10分、より好ましくは少なくとも7g/10分、最も好ましくは8g/10分である。
【0059】
(メタ)アクリルポリマー(P1)はより好ましくは、ISO1133(230℃/3.8kg)に従ったメルトフローインデックス(MFI)が、5g/10分〜100g/10分、好ましくはメルトフローインデックスが6g/10分〜90g/10分、より好ましくは7g/10分〜80g/10分、有利には8g/10分〜70g/10分である。
【0060】
第一の好ましい実施態様において、(メタ)アクリルポリマー(P1)は、50重量%から100重量%までのメチルメタクリレート、好ましくは80重量%から100重量%までのメチルメタクリレート、さらにより好ましくは80重量%から99.8重量%までのメチルメタクリレートと、0.2重量%から20重量%までのC1からC8アルキルアクリレートモノマーとを含む。C1からC8アルキルアクリレートモノマーは有利には、メチルアクリレート、エチルアクリレート、又はブチルアクリレートから選択する。
【0061】
第二の好ましい実施態様において、(メタ)アクリルポリマー(P1)は、官能性モノマーを0重量%〜50重量%含む。(メタ)アクリルポリマー(P1)は好ましくは、官能性モノマーを0重量%〜30重量%、より好ましくは1重量%〜30重量%、さらにより好ましくは2重量%〜30重量%、有利には3重量%〜30重量%、より有利には5重量%〜30重量%、最も有利には5重量%〜30重量%、含む。
【0062】
第二の好ましい実施態様の官能性モノマーは好ましくは、(メタ)アクリルモノマーである。官能性モノマーは、式(1)又は(2)を有する:
【0063】
式中、式(1)及び(2)の両方において、RはH又はCHから選択され、式(1)においてYはOであり、RはHであるか、又はC若しくはHではない少なくとも1個の原子を有する脂肪族若しくは芳香族基であり、式(2)において、YはNであり、R及び/又はRはHであるか、又は脂肪族若しくは芳香族基である。
【0064】
官能性モノマー(1)又は(2)は好ましくは、グリシジル(メタ)アクリレート、アクリル酸若しくはメタクリル酸、これらの酸から誘導されるアミド、例えばジメチルアクリルアミド、2−メトキシエチルアクリレート若しくはメタクリレート、2−アミノエチルアクリレート若しくはメタクリレートが任意選択的に四級化されていてよく、ホスホネート基若しくはホスフェート基を有するアクリレート又はメタクリレートのモノマー、アルキルイミダゾリジノン(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレートから選択される。好ましくは、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレートのポリエチレングリコール基は、400g/molから10,000g/molまでの範囲の分子量を有する。
【0065】
(メタ)アクリルポリマー(P2)
(メタ)アクリルポリマー(P2)は、(メタ)アクリルポリマー(P1)とは異なる。その違いは基本的に、重量平均分子量若しくはポリマーの組成であるか、又はその双方である。組成とは、各モノマーの性質若しくはモノマーの量、又はこれら両方の観点で、(メタ)アクリルポリマー(P1)及び(P2)の双方のモノマー組成を意味する。2種のポリマーが共通のモノマーを有し、かつ異なるコモノマーを有するか、又はコモノマーが同じ場合、コモノマーの相対的な量は、(メタ)アクリルポリマー(P1)及び(P2)の双方において異なる。この差は好ましくは、少なくとも5重量%、より好ましくは10重量%である。
【0066】
(メタ)アクリルポリマー(P2)は、50,000g/molを上回る、好ましくは60,000g/molを上回る、より好ましくは70,000g/molを上回る、さらにより好ましくは80,000g/molを上回る、有利には90,000g/molを上回る、より有利には100,000g/molを上回る、さらにより有利には105,000g/molを上回る、最も好ましくは110,000g/molを上回る、重量平均分子量Mwを有する。
【0067】
(メタ)アクリルポリマー(P2)の重量平均分子量は、50,000g/mol〜20,000,000g/mol、好ましくは60,000g/mol〜20,000,000g/mol、より好ましくは70,000g/mol〜20,000,000g/mol、有利には80,000g/mol〜15,000,000g/mol、最も有利には90,000g/mol〜15,000,000g/mol、さらにより有利には100,000g/mol〜10,000,000g/mol、最も有利には105,000g/mol〜10,000,000g/molである。
【0068】
(メタ)アクリルポリマー(P2)は好ましくは、(メタ)アクリルポリマー(P1)よりも大きい重量平均分子量Mwを有する。この差異はより好ましくは、少なくとも10,000g/mol、さらにより好ましくは20,000g/mol、有利には少なくとも30,000g/molである。
【0069】
(メタ)アクリルポリマー(P2)は好ましくは、(メタ)アクリルモノマーを含むコポリマーである。より好ましくは、(メタ)アクリルポリマー(P2)は、(メタ)アクリルポリマーである。さらにより好ましくは、(メタ)アクリルポリマー(P2)は、C1からC12アルキル(メタ)アクリレートから選択されるモノマーを少なくとも50重量%、含む。有利に好ましくは、(メタ)アクリルポリマー(P2)は、C1からC4アルキルメタクリレート及びC1からC8アルキルアクリレートのモノマー、並びにこれらの混合物から選択されるモノマーを少なくとも50重量%含む。より有利には、(メタ)アクリルポリマー(P2)は、重合したメチルメタクリレートを少なくとも50重量%、さらにより有利には少なくとも60重量%、最も有利には少なくとも65重量%、含む。
【0070】
メタクリルポリマー(P2)のガラス転移温度Tgは好ましくは、60〜150℃である。メタクリルポリマー(P2)のガラス転移温度Tgは、より好ましくは40〜150℃、有利には45〜150℃、より有利には50〜150℃である。
【0071】
(メタ)アクリルコポリマー(P2)は、架橋されていてもよい。(メタ)アクリルコポリマー(P2)が架橋されている場合、重量平均分子量Mw範囲についての前述の限度が当てはまらないことは、当業者には明らかである。
【0072】
(メタ)アクリルポリマー(P2)は好ましくは、組成物の連続相である。多段ポリマーは、組成物の非連続相である。言い換えると、多段ポリマーは、(メタ)アクリルポリマー(P2)に分散されている。
【0073】
多段ポリマー
本発明による多段ポリマーは、ポリマー組成において異なる少なくとも2つの段階構造を有する。
【0074】
多段ポリマーは好ましくは、球形粒子とみなされるポリマー粒子の形態にある。これらの粒子はまた、コアシェル粒子とも呼ばれる。第一の段階構造がコアを形成し、第二の、又は後続の全ての段階構造が、それぞれシェルを形成する。
【0075】
本発明によるポリマー粒子
一次粒子である本発明によるポリマー粒子は、15nm〜900nmの重量平均粒径を有する。ポリマーの重量平均粒径は好ましくは、20nm〜800nm、より好ましくは25nm〜600nm、さらにより好ましくは30nm〜550nm、さらになお好ましくは35nm〜500nm、有利には40nm〜400nm、さらにより有利には75nm〜350nm、有利には80nm〜300nmである。一次ポリマー粒子はアグロメレート化して、多段ポリマーを含むポリマー粉末になるか、又は(メタ)アクリルポリマー(P1)及び多段ポリマーを含むポリマー粉末になる。
【0076】
ポリマー粒子は、多段法によって、例えば2つ、3つ、又はそれより多い段によって得られる。
【0077】
多層構造を有するポリマー粒子
多層構造を有するポリマー粒子は、0℃未満のガラス転移温度を有するポリマー(A1)を含む少なくとも1つの層(A)と、30℃超のガラス転移温度を有するポリマー(B1)を含むもう1つの層(B)とを備える。
【0078】
第一の好ましい実施態様において、少なくとも30℃のガラス転移温度を有するポリマー(B1)は、多層構造を有するポリマー粒子の外部層である。
【0079】
第二の好ましい実施態様において、少なくとも30℃のガラス転移温度を有するポリマー(B1)は、多層構造を有するポリマー粒子の中間層であり、それから多段ポリマーをモノマー(M1)と接触させる。
【0080】
段(A)は好ましくは、第一の段であり、ポリマー(B1)を含む段(B)が、ポリマー(A1)を含む段(A)に、又は別の中間層にグラフトされる。第一の段とは、ポリマー(A1)を含む段(A)が、ポリマー(B1)を含む段(B)よりも前に作製されることを意味する。
【0081】
層(A)において0℃未満のガラス転移温度を有するポリマー(A1)は、多段法の最後の段の間には、作製されない。これは、ポリマー(A1)が、多層構造を有する粒子の外部層ではないということを意味する。層(A)において0℃未満のガラス転移温度を有するポリマー(A1)は、ポリマー粒子のコアであるか、又は内部層のいずれかである。
【0082】
層(A)において0℃未満のガラス転移温度を有するポリマー(A1)は好ましくは、多層構造を有するポリマー粒子についてコアを形成する多段法の段で作製されるか、及び/又は60℃を超えるガラス転移温度を有するポリマー(B1)よりも先に、作製される。ポリマー(A1)は好ましくは、−5℃未満、より好ましくは−15℃未満、有利には−25℃未満のガラス転移温度を有する。
【0083】
第一の好ましい実施態様では、60℃を超えるガラス転移温度を有するポリマー(B1)を、多層構造を有するポリマー粒子の外部層を形成する多段法の最後の段で作製する。
【0084】
第二の好ましい実施態様において、少なくとも30℃のガラス転移温度を有するポリマー(B1)は、多層構造を有するポリマー粒子の中間層であり、多段法のポリマー(A1)を形成する段の後の段で作製される。
【0085】
1つ又は複数の中間段によって得られる1つ又は複数のさらなる中間層が存在し得る。
【0086】
層(B)のポリマー(B1)の少なくとも一部は、先の層で作製されたポリマーにグラフトされる。ポリマー(A1)及びポリマー(B1)をそれぞれ順に含む2つの段(A)及び(B)しか存在しない場合、ポリマー(B1)の一部が、ポリマー(A1)にグラフトされる。より好ましくは、ポリマー(B1)の少なくとも50重量%が、グラフトされる。グラフトの比率は、ポリマー(B1)についての溶媒による抽出、及びグラフトされていない量を特定するための抽出前後の重量測定によって、特定できる。
【0087】
各ポリマーのガラス転移温度Tgは例えば、熱機械分析としての動的な方法によって評価することができる。
【0088】
各段の各ポリマーそれぞれについてのガラス転移温度Tgをより容易に評価及び測定するために、ポリマー(A1)及び(B1)のそれぞれの試料を得るため、これらを多段法ではなく、単独で製造することができる。
【0089】
ポリマー(A1)
第一の実施態様においてポリマー(A1)は、アルキルアクリレートからのモノマーを少なくとも50重量%含む(メタ)アクリルポリマーである。
【0090】
ポリマー(A1)はより好ましくは、ポリマー(A1)が0℃未満のガラス転移温度を有する限りにおいて、アルキルアクリレートと共重合可能な1種又は複数種のコモノマーを含む。
【0091】
ポリマー(A1)における1種又は複数種のコモノマーは好ましくは、(メタ)アクリルモノマー及び/又はビニルモノマーから選択される。
【0092】
ポリマー(A1)における(メタ)アクリルコモノマーは、C1からC12アルキル(メタ)アクリレートから選択されるモノマーを含む。さらにより好ましくは、ポリマー(A1)における(メタ)アクリルコモノマーは、C1からC4アルキルメタクリレート及び/又はC1からC8アルキルアクリレートのモノマーを含む。
【0093】
最も好ましくは、ポリマー(A1)のアクリル若しくはメタクリルコモノマーは、ポリマー(A1)が、0℃未満のガラス転移温度を有する限りにおいて、メチルアクリレート、プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、ブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、及びこれらの混合物から選択される。
【0094】
ポリマー(A1)は好ましくは、架橋されている。これは、その他の一種若しくは複数種のモノマーに対して、架橋剤が添加されていることを意味する。架橋剤は、重合可能な少なくとも2個の基を有する。
【0095】
1つの特定の実施態様において、ポリマー(A1)は、ブチルアクリレートのホモポリマーである。
【0096】
別の特定の実施態様において、ポリマー(A1)は、ブチルアクリレートと、少なくとも1種の架橋剤とのコポリマーである。架橋剤は、このコポリマーの5重量%未満、存在する。
【0097】
より好ましくは、第一の実施態様のポリマー(A1)のガラス転移温度Tgは、−100〜0℃、さらにより好ましくは−100〜−5℃、有利には−90〜−15℃、より有利には−90〜25℃である。
【0098】
ポリマー(A1)
第二の実施態様においてポリマー(A1)は、シリコーンゴム系のポリマーである。このシリコーンゴムは例えば、ポリジメチルシロキサンである。より好ましくは、第二の実施態様におけるポリマー(A1)のガラス転移温度Tgは、−150〜0℃、さらにより好ましくは−145〜−5℃、有利には−140〜−15℃、より有利には−135〜25℃である。
【0099】
ポリマー(A1)
第三の好ましい実施態様において、0℃未満のガラス転移温度を有するポリマー(A1)は、イソプレン又はブタジエン由来の重合単位を少なくとも50重量%含み、段(A)は、多層構造を有するポリマー粒子の最も内側の層である。言い換えると、ポリマー(A1)を含む段(A)が、ポリマー粒子のコアである。
【0100】
例えば、第二の実施態様のコアのポリマー(A1)についてその例を挙げると、イソプレンホモポリマー又はブタジエンホモポリマー、イソプレン−ブタジエンコポリマー、イソプレンと最大98重量%のビニルモノマーとのコポリマー、及びブタジエンと最大98重量%のビニルモノマーとのコポリマーである。ビニルモノマーは、スチレン、アルキルスチレン、アクリロニトリル、アルキル(メタ)アクリレート、又はブタジエン若しくはイソプレンである。1つの実施態様において、コアはブタジエンホモポリマーである。
【0101】
より好ましくは、イソプレン又はブタジエン由来の重合単位を少なくとも50重量%含む第三の実施態様のポリマー(A1)のガラス転移温度Tgは、−100〜0℃、さらにより好ましくは−100〜−5℃、有利には−90〜−15℃、さらにより有利には−90〜25℃である。
【0102】
ポリマー(B1)
ポリマー(B1)については、二重結合を有するモノマー及び/又はビニルモノマーを含むホモポリマー及びコポリマーを挙げることができる。ポリマー(B1)は好ましくは、(メタ)アクリルポリマーである。
【0103】
ポリマー(B1)は好ましくは、C1からC12アルキル(メタ)アクリレートから選択されるモノマーを少なくとも70%含む。さらに好ましくは、ポリマー(B1)は、C1からC4アルキルメタクリレート及びC1からC8アルキルアクリレートのモノマーを少なくとも80重量%含む。
【0104】
ポリマー(B1)は、架橋されていてよい。
【0105】
最も好ましくは、ポリマー(B1)のアクリル若しくはメタクリルモノマーは、ポリマー(B1)が、少なくとも30℃のガラス転移温度を有する限りにおいて、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、及びこれらの混合物から選択される。
【0106】
ポリマー(B1)は有利には、メチルメタクリレート由来のモノマー単位を少なくとも50重量%、より有利には少なくとも60重量%、さらにより有利には少なくとも70重量%、含む。
【0107】
ポリマー(B1)のガラス転移温度Tgは好ましくは、30〜150℃である。ポリマー(B1)のガラス転移温度Tgは、より好ましくは50〜150℃、さらにより好ましくは70℃〜150℃、有利には90〜150℃、より有利には90〜130℃である。
【0108】
別の実施態様において、先に説明した多段ポリマーは、(メタ)アクリルポリマー(P1)であるさらなる段を有する。本発明のこの実施態様による一次ポリマー粒子は、多層構造を有し、この多層構造は、0℃未満のガラス転移温度を有するポリマー(A1)を含む少なくとも1つの段(A)、30℃を超えるガラス転移温度を有するポリマー(B1)を含む少なくとも1つの段(B)、及び30℃〜150℃のガラス転移温度を有する(メタ)アクリルポリマー(P1)を含む少なくとも1つの段(P)を備えるものである。
【0109】
(メタ)アクリルポリマー(P1)は、ポリマー(A1)又は(B1)のいずれにもグラフトされていないのが好ましい。
【0110】
(メタ)アクリルポリマー(P1)とポリマー(B1)は、たとえこれらの組成が非常に近いものであり、これらの特性のうち幾つかが重複するものであっても、同じポリマーではない。その基本的な差異は、ポリマー(B1)が、常に多段ポリマーの一部だということである。
【0111】
このことは、繊維材料、(メタ)アクリルポリマー(P1)及び多段ポリマーを含む、本発明による組成物の製造方法において、さらに説明する。
【0112】
本発明による多段ポリマーの製造方法
本発明による多段ポリマーの製造方法は、以下の工程:
a)モノマー又はモノマー混合物(A)の乳化重合により重合を行い、0℃未満のガラス転移温度を有するポリマー(A1)を含む少なくとも1つの層(A)を得る工程、
b)モノマー又はモノマー混合物(B)の乳化重合により重合を行い、少なくとも30℃のガラス転移温度を有するポリマー(B1)を含む層(B)を得る工程、
を含み、
モノマー又はモノマー混合物(A)、及びモノマー又はモノマー混合物(B)は、前述のポリマー(A1)及びポリマー(B1)についての組成に従ったモノマーから選択する。
【0113】
工程a)は好ましくは、工程b)の前に行う。工程b)はより好ましくは、2つの段しかない場合には、工程a)で得られたポリマーA1)の存在下で行う。
【0114】
さらにより好ましくは、工程b)のポリマー(B1)の少なくとも一部を、工程a)のポリマー(A1)にグラフトするために、グラフト結合化合物を使用する。
【0115】
有利には、本発明による多段ポリマー組成物の製造方法は、以下の工程:
a)モノマー又はモノマー混合物(A)の乳化重合により重合を行い、0℃未満のガラス転移温度を有するポリマー(A1)を含む1つの層(A)を得る工程、
b)モノマー又はモノマー混合物(B)の乳化重合により重合を行い、少なくとも30℃のガラス転移温度を有するポリマー(B1)を含む層(B)を得る工程、
を交互に含む多工程法である。
【0116】
それぞれ順にポリマー(A1)及び(B1)を含む層(A)及び(B)を形成するためのモノマー又はモノマー混合物(A)及び(B)、並びに各ポリマー(A1)及び(B1)の特性は、先に規定したものと同じである。
【0117】
さらにより有利には、工程b)のポリマー(B1)の少なくとも一部を、工程a)のポリマー(A1)にグラフトするために、グラフト結合化合物を使用する。
【0118】
多段ポリマーの製造方法は、工程a)及びb)の間に、さらなる段のためのさらなる工程を含むことができる。
【0119】
多段ポリマーの製造方法は、工程a)及びb)の前に、さらなる段のためのさらなる工程を含むこともできる。モノマー又はモノマー混合物(A)を乳化重合により重合させるためにシードを使用して、0℃未満のガラス転移温度を有するポリマー(A1)を含む層(A)を得ることができる。このシードは好ましくは、少なくとも20℃のガラス転移温度を有する熱可塑性ポリマーである。
【0120】
多段ポリマーは、ポリマー粒子の水性分散体として得られる。この分散体の固形分は、10重量%〜65重量%である。
【0121】
本発明による(メタ)アクリルポリマー(P1)の製造方法
本発明による(メタ)アクリルポリマー(P1)の製造方法は、各(メタ)アクリルモノマー(P1)を重合させる工程を含む。各(メタ)アクリルモノマー(P1)は、(メタ)アクリルポリマー(P1)について、また、(メタ)アクリルポリマー(P1)の2つの好ましい実施態様について、先に規定したものと同じである。
【0122】
(メタ)アクリルホモポリマー又はコポリマー(P1)は、バッチ法、又は半バッチ法で作製できる:
バッチ法については、開始剤系、又は開始剤系の一部を導入する直前、又はその直後に、モノマーの混合物を一回で導入する。
半バッチ法については、モノマー混合物を複数回、又は開始剤の添加に並行して連続的に(開始剤も複数回、又は連続的に添加される)、規定の添加期間(30から500分の範囲であり得る)にわたって添加する。
【0123】
(メタ)アクリルポリマー(P1)及び多段ポリマーを含むポリマー組成物の製造方法は、2つの好ましい実施態様を有する。
【0124】
本製造方法の第一の好ましい実施態様では、(メタ)アクリルポリマー(P1)を多段ポリマーの存在下で重合させる。(メタ)アクリルポリマー(P1)は、多段ポリマーのさらなる段として作製される。(メタ)アクリルポリマー(P1)は、多段ポリマー上の層であり、さらなる層であるため、多段ポリマーの上部にある外部層である。(メタ)アクリルポリマー(P1)は、多段ポリマーにグラフトされない。
【0125】
本製造方法の第二の好ましい実施態様では、(メタ)アクリルポリマー(P1)を別個に重合させ、多段ポリマーと混合又はブレンドする。
【0126】
第一の好ましい実施態様による方法
(メタ)アクリルポリマー(P1)及び多段ポリマーを含むポリマー組成物を製造するための第一の好ましい実施態様による方法は、以下の工程:
a)モノマー又はモノマー混合物(A)の段(A)における乳化重合により重合を行い、0℃未満のガラス転移温度を有するポリマー(A1)を含む、段(A)における1つの層を得る工程、
b)モノマー又はモノマー混合物(B)の乳化重合により重合を行い、この段階で、少なくとも30℃のガラス転移温度を有するポリマー(B1)を含む、段(B)における層を得る工程、
c)モノマー又はモノマー混合物(P1)の乳化重合により重合を行い、少なくとも30℃のガラス転移温度を有する(メタ)アクリルポリマー(P1)を含む、この更なる段における層を得る工程
を含み、本製造方法は、(メタ)アクリルポリマー(P1)が、100,000g/mol未満の重量平均分子量Mwを有することを特徴とする。
【0127】
工程a)は好ましくは、工程b)の前に行う。
【0128】
工程b)はより好ましくは、工程a)で得られたポリマー(A1)の存在下で行う。さらにより好ましくは、工程b)のポリマー(B1)の少なくとも一部を、工程a)のポリマー(A1)にグラフトするために、グラフト結合化合物を使用する。
【0129】
有利には、(メタ)アクリルポリマー(P1)及び多段ポリマーを含むポリマー組成物の製造方法は、多工程法であり、交互に以下の工程:
a)モノマー又はモノマー混合物(A)の乳化重合により重合を行い、0℃未満のガラス転移温度を有するポリマー(A1)を含む、段(A)における1つの層を得る工程、
b)モノマー又はモノマー混合物(B)の乳化重合により重合を行い、この段階で、少なくとも30℃のガラス転移温度を有するポリマー(B1)を含む、段(B)における層を得る工程、
c)モノマー又はモノマー混合物(P1)の乳化重合により重合を行い、少なくとも30℃のガラス転移温度を有する(メタ)アクリルポリマー(P1)を含む、この更なる段における層を得る工程
を含み、本製造方法は、(メタ)アクリルポリマー(P1)が、100,000g/mol未満の重量平均分子量Mwを有することを特徴とする。
【0130】
さらにより有利には、工程b)のポリマー(B1)の少なくとも一部を、工程a)のポリマー(A1)にグラフトするために、グラフト結合化合物を使用する。
【0131】
それぞれ順にポリマー(A1)、(B1)及び(P1)を含む層(A)、(B)及びさらなる段を形成するためのモノマー又はモノマー混合物(A)、(B)及び(P1)はそれぞれ、先に規定したものと同じである。ポリマー(A1)、(B1)及び(P1)の特性はそれぞれ、先に規定したものと同じである。
【0132】
好ましくは、(メタ)アクリルポリマー(P1)及び多段ポリマーを含むポリマー組成物の製造方法は、このポリマー組成物を回収するさらなる工程d)を含む。
【0133】
「回収」とは、水相と固相(ポリマー組成物は固相に含まれる)との部分的、又は完全な分離を意味する。
【0134】
本発明によればより好ましくは、ポリマー組成物の回収は、凝固によって、又は噴霧乾燥によって行う。
【0135】
0℃未満のガラス転移温度を有するポリマー(A1)が、アルキルアクリレート由来の重合単位を少なくとも50重量%含み、かつ段(A)が、多層構造を有するポリマー粒子の最も内側の層である場合、噴霧乾燥は、ポリマー粉末組成物の製造方法にとって、回収及び/又は乾燥のための好ましい方法である。
【0136】
10℃未満のガラス転移温度を有するポリマー(A1)が、イソプレン又はブタジエン由来の重合単位を少なくとも50重量%含み、かつ段(A)が、多層構造を有するポリマー粒子の最も内側の層である場合、凝固は、本発明によるポリマー粉末組成物の製造方法にとって、回収及び/又は乾燥のための好ましい方法である。
【0137】
本発明によるポリマー組成物の製造方法は任意選択的に、ポリマー組成物を乾燥させるさらなる工程e)を含むことができる。
【0138】
ポリマー組成物の回収工程d)が凝固によって行われる場合、乾燥工程e)を行うのが好ましい。
【0139】
乾燥工程e)の後、ポリマー組成物は、水分又は水を3重量%未満、より好ましくは1.5重量%未満、有利には1重量%未満、含む。
【0140】
ポリマー組成物の水分は、熱天秤によって測定できる。
【0141】
ポリマーの乾燥は、組成物を48時間にわたって50℃で炉又は真空炉で加熱することにより、行うことができる。
【0142】
第二の好ましい実施態様による方法
(メタ)アクリルポリマー(P1)及び多段ポリマーを含むポリマー組成物を製造するための第二の好ましい実施態様による方法は、以下の工程:
a)(メタ)アクリルポリマー(P1)及び多段ポリマーを混合する工程、
b)前の工程においてポリマー粉末の形態で得られた混合物を回収する工程、
を含み、ここで(メタ)アクリルポリマー(P1)及び工程(a)における多段ポリマーは、水相における分散体の形態である。
【0143】
(メタ)アクリルポリマー(P1)の水性分散体の量、及び多段ポリマーの水性分散体の量は、得られた混合物のみにおける固形分に基づく多段ポリマーの重量比が、少なくとも5重量%、好ましくは少なくとも10重量%、より好ましくは少なくとも20重量%、有利には少なくとも50重量%であるように選択する。
【0144】
(メタ)アクリルポリマー(P1)の水性分散体の量、及び多段ポリマーの水性分散体の量は、得られた混合物のみにおける固形分に基づく多段ポリマーの重量比が、最大99重量%、好ましくは最大95重量%、より好ましくは最大90重量%であるように選択する。
【0145】
(メタ)アクリルポリマー(P1)の水性分散体の量、及び多段ポリマーの水性分散体の量は、得られた混合物のみにおける固形分に基づく多段ポリマーの重量比が、5重量%〜99重量%、好ましくは10重量%〜95重量%、より好ましくは20重量%〜90重量%であるように選択する。
【0146】
(メタ)アクリルポリマー(P1)及び多段ポリマーを含むポリマー組成物を製造する方法の回収工程b)は好ましくは、凝固によって、又は噴霧乾燥によって行う。
【0147】
(メタ)アクリルポリマー(P1)及び多段ポリマーを含むポリマー組成物の製造方法は、任意選択的に、ポリマー組成物を乾燥させるさらなる工程c)を含むことができる。
【0148】
「乾燥」とは、本発明によるポリマー組成物について、水分が3重量%未満、好ましくは水分が1.5重量%未満、より好ましくは水分が1.2重量%未満であることを意味する。
【0149】
水分は、ポリマー組成物を加熱し、質量損失を測定する熱天秤によって測定することができる。
【0150】
(メタ)アクリルポリマー(P1)及び多段ポリマーを含むポリマー組成物の製造方法によって好ましくは、ポリマー粉末が得られる。本発明のポリマー粉末は、粒子の形態である。ポリマー粉末粒子は、多段階法によって作製されたアグロメレート化した一次ポリマー粒子と、(メタ)アクリルポリマー(P1)とを含む。
【0151】
ポリマー粉末
(メタ)アクリルポリマー(P1)及び多段ポリマーを含む、本製造方法の2つの実施態様によるポリマー粉末は、1μm〜500μmの体積メジアン粒径D50を有する。ポリマー粉末の体積メジアン粒径は好ましくは、10μm〜400μmであり、より好ましくは15μm〜350μm、有利には20μm〜300μmである。
【0152】
体積での粒径分布D10は、少なくとも7μm、好ましくは10μmである。
【0153】
体積での粒径分布D90は、最大950μm、好ましくは最大500μm、より好ましくは最大400μmである。
【0154】
(メタ)アクリルポリマー(P1)の、多段ポリマーに対する重量比rは、少なくとも5重量%、より好ましくは少なくとも7重量%、さらにより好ましくは少なくとも10重量%である。
【0155】
本発明によれば、(メタ)アクリルポリマー(P1)の、多段ポリマーに対する重量比rは、最大95重量%である。
【0156】
好ましくは、(メタ)アクリルポリマー(P1)の、多段ポリマーに対する重量比rは、5重量%〜95重量%、好ましくは10重量%〜90重量%である。
【0157】
本発明によるポリマー組成物の製造方法について、2つの好ましい方法がある。
【0158】
本発明によるポリマー組成物の製造方法について好ましい第一の方法は、以下の工程:a)100,000g/mol未満の重量平均分子量Mwを有する(メタ)アクリルポリマー(P1)と、多段ポリマーとを含む組成物を調製する工程、
b)前の工程の組成物と、(メタ)アクリルポリマー(P2)とを混合する工程
を含む。
【0159】
100,000g/mol未満の重量平均分子量Mwを有する(メタ)アクリルポリマー(P1)と、多段ポリマーとを含む組成物の調製については、前述の通りである。
【0160】
混合は好ましくは、ブレンドによって行う。ブレンドは例えば、押出成形機で行うことができる。
【0161】
ポリマー組成物を製造するための第一の好ましい方法によって得られる組成物は、粉末又は顆粒ビーズの形態であってよく、これらをさらに変形させて、例えば物品にする。
【0162】
本発明によるポリマー組成物の製造方法について好ましい第二の方法は、以下の工程:
a)100,000g/mol未満の重量平均分子量Mwを有する(メタ)アクリルポリマー(P1)と、多段ポリマーとを含む組成物を調製する工程、
b)前の工程の組成物と、(メタ)アクリルモノマー又はビニルモノマー又はこれらの混合物から選択されるモノマー(M1)とを混合する工程、
c)モノマー(M1)を重合させる工程
を含む。
【0163】
モノマー(M1)の重合によって、(メタ)アクリルポリマー(P2)が得られる。
【0164】
工程c)における重合前に、工程b)の組成物に開始剤を添加することができる。1つの実施態様では開始剤を、組成物に添加しなければならない。
【0165】
100,000g/mol未満の重量平均分子量Mwを有する(メタ)アクリルポリマー(P1)と、多段ポリマーとを含む組成物の調製については、前述の通りである。
【0166】
重合前に、液状組成物が、工程b)で得られる。
【0167】
モノマー(M1)
モノマー(M1)は、少なくとも0℃〜60℃の範囲の温度で液状モノマーである。(メタ)アクリルモノマー(M1)は、1つの炭素二重結合C=Cを含む。
【0168】
モノマー(M1)は好ましくは、(メタ)アクリルモノマー、又はビニルモノマー、又はこれらの混合物から選択される。
【0169】
本発明によるモノマー(M1)は、(メタ)アクリルポリマー(P1)のための溶媒となるモノマーである。言い換えると、(メタ)アクリルポリマー(P1)は、モノマー(M1)に可溶性である。
【0170】
「可溶性」とは、(メタ)アクリルポリマー(P1)が、熱力学的に相溶性のモノマー(M1)と接触した場合に溶解し、モノマー(M1)中の(メタ)アクリルポリマー(P1)の溶液が得られることを意味する。
【0171】
モノマー(M1)における(メタ)アクリルポリマー(P1)の可溶性は、2種の化合物を25℃で撹拌しながら混合することによって、容易に試験することができる。溶媒(モノマー(M1)としてのモノマーが含まれる)は、当業者に多くのポリマーが知られている。一方、可溶性パラメータの値は、多くのポリマー及び溶媒について記載されており、溶媒(多くのモノマーが含まれる)については例えば、polymer handbook (4th edition)ed.j. brandrup, e.h.immergut and e.a.grulke; pub.:john wiley and sons inc. 1999, chapter “solubility parameter value”、eric a. gulke vii/675~ii/714を参照されたい。
【0172】
モノマー(M1)は好ましくは、(メタ)アクリルモノマー、及びその混合物又はそれとの混合物から選択され、混合物中には(メタ)アクリルモノマーが、少なくとも50重量%含まれる。(メタ)アクリルモノマー(M1)が数種のモノマーの混合物である場合、(メタ)アクリルポリマー(P1)は、1種又は複数の(メタ)アクリルモノマー(M1)を含む混合物に、可溶性である。
【0173】
(メタ)アクリルモノマー(M1)はより好ましくは、アクリル酸、メタクリル酸、アルキルアクリレートモノマー、アルキルメタクリレートモノマー、及びこれらの混合物から選択される。
【0174】
さらにより好ましくは、(メタ)アクリルモノマー(M1)は、アクリル酸、メタクリル酸、アルキルアクリルモノマー、アルキルメタクリルモノマー、及びこれらの混合物から選択され、ここでアルキル基は1から22個の炭素を有し、直鎖状、分枝鎖状又は環状であり、好ましくはアルキル基は、1から12個の炭素を有し、直鎖状、分枝鎖状又は環状である。
【0175】
(メタ)アクリルモノマー(M1)は有利には、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、メタクリル酸、アクリル酸、n−ブチルアクリレート、イソ−ブチルアクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソ−ブチルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレート、及びこれらの混合物から選択される。
【0176】
最も有利な第一の実施態様において、(メタ)アクリルモノマー(M1)の少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも60重量%が、メチルメタクリレートである。
【0177】
二番目に最も有利には、(メタ)アクリルモノマー(M1)の少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも60重量%、より好ましくは少なくとも70重量%、有利には少なくとも80重量%、さらにより有利には90重量%が、メチルメタクリレートと、C1からC4アルキル基を有するアルキルアクリレートとの混合物である。
【0178】
本発明によるポリマー組成物を製造するために好ましい第二の方法の工程b)の液状組成物は、(メタ)アクリルポリマー(P1)を含まない組成物よりも粘稠ではない。
【0179】
本発明によるポリマー組成物を製造するための工程b)の液状組成物は、(メタ)アクリルポリマー(P1)を含まない組成物とは異なり、分散性がより良好な大量の多段ポリマーを調製するために使用できる。
【0180】
液状組成物は、20℃で1s−1の剪断速度で、10mPa.s〜200,000mPa.sの動的粘度を有する。
【0181】
本発明のポリマー組成物を製造するための第二の好ましい方法は、多段ポリマーを用いて、耐衝撃性の(メタ)アクリルポリマー(P2)製キャストシートを製造する方法を含み、このキャストシートは、(メタ)アクリルポリマー(P1)も含むものである。
【0182】
この方法は、以下の段階:
1. 100,000g/mol未満の重量平均分子量Mwを有する(メタ)アクリルポリマー(P1)と、多段ポリマーとを含む組成物を調製する段階、
2. 100,000g/mol未満の重量平均分子量Mwを有する(メタ)アクリルポリマー(P1)と、段階1の多段ポリマーとを含む組成物を、モノマー(M1)、例えばメチルメタクリレート、及び任意選択的な架橋剤、任意選択的な少なくとも1種のコモノマーM及び少なくとも1種のラジカル開始剤と混合する段階、
3. 段階2で得られた混合物を型に流し込み、その後温度サイクルに従ってこの混合物を加熱して、キャストシートを得る段階
を含む。
【0183】
ラジカル開始剤
ラジカル開始剤は、ジアシルペルオキシド、ペルオキシエステル、ジアルキルペルオキシド、ペルオキシアセタール、又はアゾ化合物から選択することができる。ラジカル開始剤として適しているのは例えば、イソプロピルカーボネート、ベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、カプロイルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、tert−ブチルペルベンゾエート、tert−ブチルペル−2−エチルヘキサノエート、クミルヒドロペルオキシド、1,1−ジ(tert−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、tert−ブチペルオキシイソブチレート、tert−ブチルペルアセテート、tert−ブチルペルピバレート、アミルペルピバレート、1,1−ジ(t−アミルペルオキシ)シクロヘキサン、tert−ブチルペルオクトエート、アゾジイソブチロニトリル(AIBN)、アゾジイソブチロアミド、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、4,4’−アゾビス(4−シアノ−ペンタン酸)又は1,1’−アゾビス(シアノシクロヘキサン)である。上記リストから選択されるラジカル開始剤の混合物を使用することが、本発明の範囲から外れることは無い。好ましいラジカル開始剤は、1,1−ジ(t−アミルペルオキシ)シクロヘキサンである。
【0184】
型内でキャストされる混合物のモノマーに対するラジカル開始剤の含有量は、100〜2000重量%ppm、好ましくは200〜1000重量%ppmである。この含有量は、用途の作用、また目標とする厚さによって変わり得る。
【0185】
このシートは、0.5mm〜300mm、好ましくは1mm〜200mmの厚さを有する。
【0186】
本発明により製造されたシートは、窓、防音壁、平らなスクリーン等として使用することができ、又は熱変形、切り出し、研磨、接着接合又は折りたたみにより、様々な物品に変えることができる。これらのシートは特に、浴室の備品(浴槽、シンク、シャワートレイなど)を製造するために使用できる。このためには、シートを当業者に知られた方法で熱成形する。
【0187】
本発明のさらに別の態様は、耐衝撃性が改質されたポリマー物品の製造である。
【0188】
評価方法
粘度測定
粘度は、Anton Paar社のレオメータMCR 301によって測定する。クエット形状を用いる。温度は20℃、剪断速度は0.1s−1から100s−1までである。
【0189】
ガラス転移温度
ポリマーのガラス転移温度(Tg)は、熱機械分析が可能な装置によって測定する。Rheometrics Company社製のRDAII“RHEOMETRICS DYNAMIC ANALYSER”を使用した。熱機械分析によって、温度との関数で試料の粘弾性変化、適用されるひずみ又は変形が、正確に測定される。この装置は、ひずみを一定に保ちながら、温度変化について制御されたプログラムの間、試料の変形を連続的に記録する。
その結果は、温度との関数で、弾性モジュール(G’)、弾性モジュール損失、及びtanδを描くことによって得られる。Tgは、tanδから導かれる値がゼロに等しい場合、tanδの曲線で読み取られる温度の値よりも高い。
【0190】
分子量
ポリマーの重量平均分子量(Mw)は、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって測定する。
【0191】
粒径分析
多段重合後の一次粒子の粒径は、Zetasizerにより測定する。
回収後のポリマー粉末の粒径は、MALVERN社のMalvern Mastersizer 3000によって測定する。
重量平均粉末粒径、粒径分布、及び微粒子の比率を評価するためには、300mmのレンズ付きのMalvern Mastersizer 3000装置を使用する(0.5から880μmの範囲を測定)。
【実施例】
【0192】
多段ポリマー(コア−シェル粒子)の合成は、国際公開第2012/038441号の試料1の例に従って作製し、多段ポリマーを得る。多段ポリマーCS1が得られる。この多段ポリマーは、0℃未満のガラス転移温度を有するポリマー(A1)を含む段(A)(実質的にブチルアクリレート製)と、少なくとも30℃のガラス転移温度を有するポリマー(B1)を含む段(B)(実質的にメチルメタクリレート製)とを含む。得られた多段ポリマー(CS1)は、さらなる使用のために水性分散体として保つ。
【0193】
(メタ)アクリルポリマー(P1)の合成は、2つの実施態様に従って作製する:まず、(メタ)アクリルポリマー(P1)を、多段ポリマーCS1の存在下で、重合させる。(メタ)アクリルポリマー(P1)を、多段ポリマーCSのさらなる段として作製する。第二の実施態様では、(メタ)アクリルポリマー(P1)を別個に重合させ、(メタ)アクリルポリマー(P1)の重合終了後に、多段ポリマーと混合又はブレンドする。
【0194】
比較例1:多段ポリマーCS1を20℃で撹拌しながら、乾燥させ、メチルメタクリレート(MMA)と混合し、MMAに対してCS1の20重量%が、液状組成物になるようにする。
【0195】
実施例1:(メタ)アクリルポリマー(P1)を、多段ポリマーCS1上にさらなる第三の段として作製する。(メタ)アクリルポリマーP1の重量平均分子量は、M=28000g/molである。(メタ)アクリルポリマーP1は、CS1+P1を含む組成物の10重量%を占める。3つの段を含む乾燥させたポリマー組成物を、20℃で撹拌しながら、メチルメタクリレート(MMA)と混合し、MMAに対してCS1+P1の20重量%が、液状組成物になるようにする。
【0196】
実施例2:実施例1のように3つの段を含む乾燥させたポリマー組成物を、20℃で撹拌しながら、メチルメタクリレート(MMA)と混合し、MMAに対してCS1+P1の25重量%が、液状組成物になるようにする。
【0197】
液状組成物の粘度を、それぞれ測定する。
【0198】
【0199】
表1から分かるように、粘度とは対照的に、コアシェル粒子の形態にある多段ポリマーを比較的多量に、(メタ)アクリルポリマー(P1)を同時に有する液状組成物に導入することができる。
【0200】
コアシェル粒子は、20重量%、またそれより多く導入することができる。
【0201】
実施例1及び2の液状組成物は、耐衝撃性が改質されたキャストシートを製造するために、キャストシート法で使用できる。
【国際調査報告】