(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】2019522716
(43)【公表日】20190815
(54)【発明の名称】カドミウムフリー量子ドット、調整可能な量子ドット、量子ドット含有ポリマー、それらを含有する物品、フィルム、および3D構造ならびにそれらの作製および使用方法
(51)【国際特許分類】
   C09K 11/08 20060101AFI20190719BHJP
   C01G 15/00 20060101ALI20190719BHJP
   H01L 33/50 20100101ALI20190719BHJP
   C01G 9/00 20060101ALI20190719BHJP
   C01B 19/04 20060101ALI20190719BHJP
   C08L 33/06 20060101ALI20190719BHJP
   C08L 39/04 20060101ALI20190719BHJP
   C08K 3/30 20060101ALI20190719BHJP
   C09K 11/62 20060101ALI20190719BHJP
   C09K 11/64 20060101ALI20190719BHJP
   C09K 11/88 20060101ALI20190719BHJP
【FI】
   !C09K11/08 A
   !C01G15/00 B
   !H01L33/50
   !C09K11/08 G
   !C01G15/00 D
   !C01G9/00 B
   !C01B19/04 C
   !C08L33/06
   !C08L39/04
   !C08K3/30
   !C09K11/62
   !C09K11/64
   !C09K11/88
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】62
(21)【出願番号】2019512961
(86)(22)【出願日】20170519
(85)【翻訳文提出日】20190117
(86)【国際出願番号】US2017033630
(87)【国際公開番号】WO2017201465
(87)【国際公開日】20171123
(31)【優先権主張番号】62/338,915
(32)【優先日】20160519
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/338,888
(32)【優先日】20160519
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/441,182
(32)【優先日】20161231
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ
(71)【出願人】
【識別番号】518410836
【氏名又は名称】クリスタルプレックス コーポレーション
【住所又は居所】アメリカ合衆国、15203 ペンシルバニア州、ピッツバーグ、2403 シドニー ストリート、スイート 270
(74)【代理人】
【識別番号】100104411
【弁理士】
【氏名又は名称】矢口 太郎
(72)【発明者】
【氏名】チュィー、リアンファ
【住所又は居所】アメリカ合衆国、15237 ペンシルバニア州、ピッツバーグ、1533 キング チャールズ ドライブ
(72)【発明者】
【氏名】ナルワーラ、フナイッド
【住所又は居所】アメリカ合衆国、15241 ペンシルバニア州、ピッツバーグ、1308 ウッドローン コート
【テーマコード(参考)】
4G047
4H001
4J002
5F142
【Fターム(参考)】
4G047AA04
4G047AB02
4G047AC03
4G047AD03
4H001CC04
4H001CC07
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4H001XA80
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4H001XB20
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4H001XB60
4J002BG041
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4J002BJ001
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4J002GP00
5F142AA82
5F142DA46
5F142DA49
5F142DA61
5F142DA64
5F142FA28
5F142HA01
(57)【要約】
カドミウムフリーであり、および/または化学量論的に調整される量子ドットが開示され、その作製方法も開示される。量子ドットなどを安定化ポリマーマトリックスに含めることも開示される。ポリマー材料と量子ドットとの間の結合解離エネルギーが、架橋ポリマーの溶融温度に到達するのに必要なエネルギーより大きくなるように、ポリマーは、量子ドットの外層に対するその強い結合親和性のために選択される。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の発光波長を有する式WY(1−x)のII−VI−VI半導体ナノ結晶(SCN)を合成するための方法であって、
Wは、第II族元素であり、YおよびZは、異なる第VI族元素であり、かつ0<X<1であり、
II−VI−VI SCN前駆体溶液を、II−VI−VI SCNを生成するのに十分な温度に加熱する工程と、前記II−VI−VI SCN前駆体溶液は、第II族元素、第1の第VI族元素、第2の第VI族元素、並びに1またはそれ以上のC12〜C20炭化水素および1またはそれ以上の脂肪酸を共に含む1またはそれ以上の溶媒中のpH調整剤を含み、かつ、
前記pH調整剤の量が、前記SCNからの前記所定の発光波長を提供するように調整される方法。
【請求項2】
請求項1記載の方法において、前記第II族元素は、Cd、Zn、およびHgから選択される1またはそれ以上である方法。
【請求項3】
請求項1または2記載の方法において、前記第1の第VI族元素および前記第2の第VI族元素のそれぞれが、S、Se、Te、Po、およびOから選択される1またはそれ以上である方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか記載の方法において、前記C12〜C20炭化水素は、ヘキサデセン、オクタデセン、エイコセン、ヘキサデカン、オクタデカン、およびイコサンから選択される1またはそれ以上である方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか記載の方法において、前記脂肪酸が、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、サピエン酸、オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸、リノール酸、リノエライジン酸、α−リノレン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、エルカ酸、ドコサヘキサエン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、およびアラキジン酸から選択される1またはそれ以上である方法。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか記載の方法において、前記pH調整剤は、第II族元素の酸化物またはカルボン酸塩である方法。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか記載の方法において、pH調整剤は、酢酸、クエン酸、乳酸、プロピオン酸、酪酸、酒石酸、および吉草酸の亜鉛塩から選択される方法。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか記載の方法において、前記II−VI−VI SCN前駆体溶液が、前記第II族元素、前記第1の第VI族元素、および前記第2の第VI族元素を、前記pH調整剤、オクタデセン、および脂肪酸を含む溶媒に溶解させる工程によって調整され、前記II−VI−VI SCN前駆体溶液を提供する方法。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか記載の方法において、
前記II−VI−VI SCN前駆体は、前記第II族元素および前記第1の第VI族元素を、オクタデセンおよび脂肪酸を含む第1の溶媒に溶解させることによって、第1の溶液を調製する工程と、
前記第2の第VI族元素を、オクタデセンを含む第2の溶媒に溶解させることによって、第2の溶液を調製する工程と、
前記第1および第2の溶液を混合して、II−VI−VI SCN前駆体溶液を提供する工程と、
前記pH調整剤を、前記第1および第2の一方または両方に加える工程と、
によって調製される方法。
【請求項10】
請求項1〜8のいずれか記載の方法において、前記II−VI−VI SCN前駆体溶液は、
第II族元素を、オクタデセンおよび脂肪酸を含む第1の溶媒に溶解させることによって、第1の溶液を調製する工程と、
第1の第VI族および第2の第VI族元素を、オクタデセンを含む第2の溶媒に溶解させることによって、第2の溶液を調製する工程と、
前記pH調整剤を、前記第1および第2の溶液の一方または両方に加える工程と、
前記第1および第2の溶液を混合して、II−VI−VI SCN前駆体溶液を提供する工程と、
によって調製される方法。
【請求項11】
請求項1〜8のいずれか記載の方法において、前記II−VI−VI SCN前駆体は、
第II族元素を、オクタデセンおよび脂肪酸を含む第1の溶媒に溶解させることによって、第1の溶液を調製する工程と、
第1の第VI族元素を、オクタデセンを含む第2の溶媒に溶解させることによって、第2の溶液を調製する工程と、
第2の第VI族元素を、トリブチルホスフィンを含む第3の溶媒に溶解させることによって、第3の溶液を調製する工程と、
前記pH調整剤を、前記第1、第2、または第3の溶液の1またはそれ以上に加える工程と、
前記第1、第2、および第3の溶液を混合して、II−VI−VI SCN前駆体溶液を提供する工程と、
によって調製される方法。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか記載の方法において、前記脂肪酸はオレイン酸である方法。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか記載の方法において、前記温度は約270℃〜330℃である方法。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか記載の方法によって作製されたII−VI−VI半導体ナノ結晶。
【請求項15】
Cd、S、およびSeを含むII−VI−VI半導体ナノ結晶であって、アルキルカルボン酸亜鉛pH調整剤によって変性されたナノ結晶。
【請求項16】
公知の発光波長のII−VI−VI半導体ナノ結晶を調整する方法であって、
公知の発光波長を有するII−VI−VI半導体ナノ結晶を提供する工程と、
前記II−VI−VI半導体ナノ結晶を、pH調整剤、1またはそれ以上のC12〜C20炭化水素、および1またはそれ以上の脂肪酸を含む溶液中で加熱して、SCN溶液を形成する工程と、
ジアルキル亜鉛、ヘキサアルキルジシラチアン、およびトリアルキルホスフィンを含む溶液を加える工程と、
キャッピングされたII−VI−VI半導体ナノ結晶を生成するのに十分な温度に加熱する工程と、
を含み、pH調整剤の量は、前記II−VI−VI半導体ナノ結晶の公知の発光波長からの所定の発光波長シフトを提供するように調整される方法。
【請求項17】
請求項16記載の方法において、前記C12〜C20炭化水素は、ヘキサデセン、オクタデセン、エイコセン、ヘキサデカン、オクタデカン、およびイコサンから選択される1またはそれ以上である方法。
【請求項18】
請求項16または17記載の方法において、前記脂肪酸は、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、サピエン酸、オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸、リノール酸、リノエライジン酸、α−リノレン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、エルカ酸、ドコサヘキサエン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、およびアラキジン酸から選択される1またはそれ以上である方法。
【請求項19】
請求項16〜18のいずれか記載の方法において、前記pH調整剤は、第II族元素の酸化物またはカルボン酸塩である方法。
【請求項20】
請求項16〜19のいずれか記載の方法において、pH調整剤は、酢酸、クエン酸、乳酸、プロピオン酸、酪酸、酒石酸、および吉草酸の亜鉛塩から選択される方法。
【請求項21】
請求項16〜20のいずれか記載の方法において、前記ジアルキル亜鉛はジメチル亜鉛であり、前記ヘキサアルキルジシラチアンはヘキサメチルジシラチアンであり、前記トリアルキルホスフィンはトリオクチルホスフィンである方法。
【請求項22】
請求項16〜21のいずれか記載の方法において、前記温度は約150℃〜350℃である方法。
【請求項23】
請求項16〜22のいずれかによって作製された、調整されたII−VI−VI半導体ナノ結晶。
【請求項24】
キャッピングされたII−VI−VI半導体ナノ結晶であって、
Cd、S、およびSeを含むII−VI−VI半導体ナノ結晶を含むコアであって、前記ナノ結晶は、アルキルカルボン酸亜鉛によって変性されたものである、前記コアと、
ZnSを含む層、Alを含む層、およびZnSを含む第1の層とAlを含む第2の層とを含む多層キャップから成る群から選択されるキャップ層と、
を含む、キャッピングされたII−VI−VI半導体ナノ結晶。
【請求項25】
1またはそれ以上の第II族元素、1またはそれ以上の第III族元素、および1またはそれ以上の第VI族元素を含むカドミウムフリー「Cdフリー」半導体ナノ結晶であって、カドミウムを実質的に含まない半導体ナノ結晶。
【請求項26】
請求項25記載のCdフリー半導体ナノ結晶において、前記半導体ナノ結晶がカドミウムを含有しないCdフリー半導体ナノ結晶。
【請求項27】
請求項125記載のCdフリーナノ結晶において、前記Cdフリーナノ結晶は、近紫外から遠赤外領域内の発光波長を有するCdフリーナノ結晶。
【請求項28】
Cdフリー半導体ナノ結晶を合成するための方法であって、
1またはそれ以上のC12〜C20炭化水素、1またはそれ以上の脂肪酸、および選択的に1またはそれ以上のC〜C22アルキルチオールを共に含む1またはそれ以上の溶媒中で、1またはそれ以上の非カドミウム第II族元素、1またはそれ以上の第III族元素、および1またはそれ以上の第VI族元素を含む前駆体溶液を、前記Cdフリー半導体ナノ結晶を生成するのに十分な温度に加熱する工程を含む方法。
【請求項29】
請求項28記載の方法において、前記第II族元素は、Cu、Zn、およびHgから選択される1またはそれ以上である方法。
【請求項30】
請求項28記載の方法において、前記第III族元素は、In、Ga、Al、およびTlから選択される1またはそれ以上である方法。
【請求項31】
請求項28記載の方法において、前記第VI族元素は、S、Se、Te、Po、およびOから選択される1またはそれ以上である方法。
【請求項31】
請求項28記載の方法において、前記C12〜C20炭化水素は、ヘキサデセン、オクタデセン、エイコセン、ヘキサデカン、オクタデカン、およびイコサンから選択される1またはそれ以上である方法。
【請求項32】
請求項28記載の方法において、前記脂肪酸は、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、サピエン酸、オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸、リノール酸、リノエライジン酸、α−リノレン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、エルカ酸、ドコサヘキサエン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、およびアラキジン酸から選択される1またはそれ以上である方法。
【請求項33】
請求項28記載の方法において、前記脂肪酸はオレイン酸である方法。
【請求項34】
請求項28記載の方法において、前記温度は約270℃〜330℃である方法。
【請求項35】
請求項28記載の方法によって作製されたCdフリー半導体ナノ結晶。
【請求項36】
アルキルカルボン酸亜鉛によって変性された、請求項1〜3および12のいずれか記載のCdフリー半導体ナノ結晶。
【請求項37】
Cdフリー半導体ナノ結晶をキャッピングする方法であって、
請求項25記載のCdフリー半導体ナノ結晶を提供する工程と、
前記Cdフリー半導体ナノ結晶を、1またはそれ以上のC12〜C20炭化水素および1またはそれ以上の脂肪酸を含む溶液中で加熱して、SCN溶液を形成する工程と、
ジアルキル亜鉛、ヘキサアルキルジシラチアン、およびトリアルキルホスフィンを含む溶液を加える工程と、
キャッピングされたCdフリー半導体ナノ結晶を生成するのに十分な温度に加熱する工程と、
を含む方法。
【請求項38】
請求項37記載の方法において、前記C12〜C20炭化水素は、ヘキサデセン、オクタデセン、エイコセン、ヘキサデカン、オクタデカン、およびイコサンから選択される1またはそれ以上である方法。
【請求項39】
請求項37記載の方法において、前記脂肪酸は、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、サピエン酸、オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸、リノール酸、リノエライジン酸、α−リノレン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、エルカ酸、ドコサヘキサエン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、およびアラキジン酸から選択される1またはそれ以上である方法。
【請求項40】
請求項37記載の方法において、前記ジアルキル亜鉛はジメチル亜鉛であり、前記ヘキサアルキルジシラチアンはヘキサメチルジシラチアンであり、前記トリアルキルホスフィンがトリオクチルホスフィンである方法。
【請求項41】
請求項37記載の方法において、前記温度は約150℃〜350℃である方法。
【請求項42】
請求項37記載の方法によって作製された、キャッピングされたCdフリー半導体ナノ結晶。
【請求項43】
キャッピングされたCdフリー半導体ナノ結晶であって、
1またはそれ以上の第II族元素、1またはそれ以上の第III族元素、および1またはそれ以上の第VI族元素のコアを含むCdフリー半導体ナノ結晶を含むコアであって、前記半導体ナノ結晶は、カドミウムを実質的に含まず、前記ナノ結晶が、アルキルカルボン酸亜鉛によって変性されたものである、前記コアと、
ZnSを含む層から成る群から選択されるキャップ層と、
Alを含む層と、
を含む、キャッピングされたCdフリー半導体ナノ結晶。
【請求項44】
量子ドット含有ポリマー樹脂であって、
最外層をそれぞれ有する複数の量子ドットと、
ポリマー材料と前記最外層との間の結合解離エネルギーが、架橋ポリマーの溶融温度に到達するのに必要なエネルギーより大きくなるように、前記最外層に架橋されたポリマー材料と、
を含む、量子ドット含有ポリマー樹脂。
【請求項45】
請求項44記載の量子ドット含有ポリマー樹脂において、前記複数の量子ドットは、コア−シェル量子ドット、Cdフリー量子ドット、または化学量論的に調整される量子ドットから選択される量子ドット含有ポリマー樹脂。
【請求項46】
請求項45記載の量子ドット含有ポリマーにおいて、前記最外層は、キャッピング層および不動態化層から選択される量子ドット含有ポリマー。
【請求項47】
請求項45記載の量子ドット含有ポリマーにおいて、前記最外層は、Znsキャッピング層である量子ドット含有ポリマー。
【請求項48】
請求項45記載の量子ドット含有ポリマーにおいて、前記最外層は、Al2O3不動態化層である量子ドット含有ポリマー。
【請求項49】
請求項45記載の量子ドット含有ポリマーにおいて、前記ポリマー材料は、
【化1】
で表される1またはそれ以上のモノマーの重合から誘導される単位を含むアクリレート樹脂であり、
式中、Rが、水素またはメチルであり、Rが、メチル;エチル;プロピル;イソプロピル;ブチル;イソブチル;ペンチル;シクロペンチル;イソペンチル;直鎖状、分岐鎖状、および環状ヘキシル;直鎖状、分岐鎖状、および環状ヘプチル;および直鎖状、分岐鎖状、および環状オクチルから成る群から選択される、量子ドット含有ポリマー。
【請求項50】
請求項49記載の量子ドット含有ポリマーにおいて、前記アクリレート樹脂が、さらに、
【化2】
で表される1またはそれ以上のモノマーの重合から誘導される単位を含み、
式中、RおよびRのそれぞれが、独立して、メチル;エチル;プロピル;イソプロピル;ブチル;イソブチル;ペンチル;シクロペンチル;イソペンチル;C〜C12直鎖状、分岐鎖状、環状、および芳香族ヒドロカルビル、およびポリエチレングリコールから成る群から選択され、
が、水素、メチル;エチル;プロピル;イソプロピル;ブチル;イソブチル;ペンチル;シクロペンチル;イソペンチル;C〜C12直鎖状、分岐鎖状、環状、および芳香族ヒドロカルビル、およびポリエチレングリコールから成る群から選択される、量子ドット含有ポリマー。
【請求項51】
量子ドット含有ポリマー樹脂であって
Al不動態化層をそれぞれ有する複数の量子ドットと、
前記Al不動態化層に架橋されたポリマー材料と、
を含み、前記ポリマー材料と前記Alとの間の結合解離エネルギーが、前記架橋ポリマーの溶融温度に到達するのに必要なエネルギーより大きい、量子ドット含有ポリマー樹脂。
【請求項52】
量子ドット含有ポリマー樹脂であって、
ZnSキャッピング層およびAl不動態化層をそれぞれ有する均一な複数の、多色の、同じサイズの合金勾配量子ドットと、
前記Al不動態化層に架橋されたポリマー材料と、
を含み、前記ポリマー材料と前記Alとの間の結合解離エネルギーが、前記架橋ポリマーの溶融温度に到達するのに必要なエネルギーより大きい、量子ドット含有ポリマー樹脂。
【請求項53】
量子ドット含有ポリマー樹脂であって、
ZnSキャッピング層およびAl不動態化層をそれぞれ有する複数の量子ドットと、
前記Al不動態化層に架橋されたポリマー材料と、
を含み、前記ポリマー材料と前記Alとの間の結合解離エネルギーが、前記架橋ポリマーの溶融温度に到達するのに必要なエネルギーより大きい、量子ドット含有ポリマー樹脂。
【請求項54】
物品であって、
量子ドット含有ポリマーを含むフィルム、多層フィルム、または3D物体のうちの少なくとも1つを含み、ポリマー材料と前記量子ドットとの間の結合解離エネルギーが、架橋ポリマーの溶融温度に到達するのに必要なエネルギーより大きくなるように、ポリマーが前記量子ドットに結合される物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2016年5月19日付で出願された、Tunable Semiconductor Nanocrystals And Films And 3−D Structures Containing Themと題された米国仮特許出願第62/338,888号;2016年5月19日付で出願された、Cadmium−Free Quantum Dotsと題された米国仮特許出願第62/338,915号;および2016年12月31日付で出願されたQuantum Dot Containing Polymer And Methods Of Making The Sameと題された米国仮特許出願第62/441,182号の優先権の利益を主張するものであり、これらの仮出願はそれぞれ、全体がこの参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、量子ドット、量子ドットを含有するポリマー、量子ドットおよびそれらを含有するポリマーの作製方法ならびにそれらの使用方法の分野に関する。
【背景技術】
【0003】
量子ドットの安定性および耐用期間ならびにそれらの製造および使用の容易さを向上させるために多くの研究が取り組まれてきた。本出願人は、向上した安定性、製造の容易さ、および/または使用の容易さにそれぞれ寄与するいくつかの技術および量子ドットを開発した。
【0004】
Nie(米国特許第7,981,667号明細書および米国特許第8,4201,550号明細書)およびQu(米国特許第8,454,927号明細書)(これらはそれぞれ、全体がこの参照により本明細書に組み込まれる)は、サイズによってではなく化学量論によって調整可能な量子ドットを作製する方法を開示している。特に、そこに開示される合金勾配量子ドットは、特に安定している。これらの量子ドットは、以前からあるドットより安定しており、適切なサイズ、ひいては所望の発光波長を得るのに、コンマ何秒のタイミングがもはや必要とされないため、製造の容易さから利益を得る。これらの量子ドットは、発光波長にかかわらず、均一なサイズからさらに利益を受け、均一なサイズは、均一な取り扱いおよび処理を可能にし、これは、様々な色を得るために異なるサイズの量子ドットを必要とするサイズで調整可能な量子ドットでは可能でない。
【0005】
これらの化学量論的に調整される量子ドットは、ある場合にはZnSによるキャッピングによってさらに安定化され、キャッピングされた、合金勾配の、化学量論的に調整される量子ドットが得られた。
【0006】
この進歩は、量子ドット科学における重大な進歩であったし、依然としてそうであるが、安定性のさらなる向上が求められた。特に、量子ドットは、それらの周囲の近接環境に対して感受性である。本出願人は、量子ドットの表面を、特に、Alの原子層を用いて不動態化することによって、安定性が大いに向上したことを発見した。不動態化層は、本質的に、量子ドットの周りに光学的に中性な防護(armor)層を設置し、量子ドットを非常に安定させる。Nie(米国特許第7981667号明細書および米国特許第84201550号明細書、およびQu(米国特許第8454927号明細書)の進歩の開示内容を、不動態化と組み合わせることにより、安定した、長寿命の、均一なサイズの量子ドットが生成される。これらの考えは、本出願人の米国特許第9,425,253号明細書(この参照により本明細書に組み込まれる)に取り込まれている。
【0007】
非常に安定しており、高性能であり、長寿命であるが、これらの不動態化量子ドットは、依然として取り扱いおよび処理が難しく、それらの周囲の近接環境に対して依然として感受性であり、量子ドットの外面(例えば不動態化層の外側)に直接近接する安定した電子環境から利益を得られるであろう。したがって、特に、光電子工学用途のために、タイプにかかわらず、量子ドットを安定させる、さらなる、より良好な、および/または様々な方法が必要とされている。
【0008】
さらに、量子ドット自体を作製するさらなる方法が、常に求められている。
【0009】
ここで、本出願人は、ポリマーを、量子ドットの外面に強固に結合することによって、量子ドットの安定性が、これに限定されるものではないが、押出成形、射出成形、および他の技術などの様々な厳しい製造条件においても維持され得ることを発見した。
【0010】
以下にさらに記載されるように、具体的な実施形態において、ポリマー/不動態化層に関連する結合解離エネルギーが、架橋ポリマーを溶融するのに必要なエネルギーより大きくなるように、ポリマーは、量子ドットの不動態化層(例えばAl)と架橋するように選択される。言い換えると、ポリマーと不動態化層との間の結合は、押出(または他の製造)温度で破断されない。この強固な結合は、本質的に、押出および射出成形などの溶融操作中に量子ドットを保護する。以前には、このような温度に曝された量子ドットは、容易に暗くなり、それらの光電子工学特性は処理条件によって失われた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
量子ドット含有ポリマー樹脂およびポリマー樹脂自体を作製するための方法が、本明細書に記載される。これらの方法は、ポリマーが量子ドットの表面に強固に結合し得る限り、様々なタイプの量子ドットに適用可能である。
【課題を解決するための手段】
【0012】
ある実施形態は、所定の発光波長を有する式WY(1−x)(式中、Wが、第II族元素であり、YおよびZが、異なる第VI族元素であり、0<X<1である)のII−VI−VI半導体ナノ結晶(semiconductor nanocrystals:SCNs)を合成するための方法であって、II−VI−VI SCN前駆体溶液を、II−VI−VI SCNを生成するのに十分な温度に加熱する工程を含み、ここで、II−VI−VI SCN前駆体溶液が、第II族元素、第1の第VI族元素、第2の第VI族元素、ならびに1またはそれ以上のC12〜C20炭化水素および1またはそれ以上の脂肪酸を共に含む1またはそれ以上の溶媒中のpH調整剤を含み;
ここで、pH調整剤の量が、SCNからの所定の発光波長を提供するように調整される方法を提供する。
【0013】
ある実施形態において、第II族元素は、Cd、Zn、およびHgから選択される1またはそれ以上である。
【0014】
ある実施形態において、第1の第VI族元素および第2の第VI族元素のそれぞれが、S、Se、Te、Po、およびOから選択される1またはそれ以上である。
【0015】
ある実施形態において、C12〜C20炭化水素は、ヘキサデセン、オクタデセン、エイコセン、ヘキサデカン、オクタデカン、およびイコサンから選択される1またはそれ以上である。
【0016】
ある実施形態において、脂肪酸は、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、サピエン酸、オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸、リノール酸、リノエライジン酸、α−リノレン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、エルカ酸、ドコサヘキサエン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、およびアラキジン酸から選択される1またはそれ以上である。
【0017】
ある実施形態において、pH調整剤は、第II族元素の酸化物またはカルボン酸塩である。
【0018】
ある実施形態において、pH調整剤は、酢酸、クエン酸、乳酸、プロピオン酸、酪酸、酒石酸、および吉草酸の亜鉛塩から選択される。
【0019】
ある実施形態において、II−VI−VI SCN前駆体溶液は、第II族元素、第1の第VI族元素、および第2の第VI族元素を、pH調整剤、オクタデセン、および脂肪酸を含む溶媒に溶解させて、II−VI−VI SCN前駆体溶液を提供することによって調製される。
【0020】
ある実施形態において、II−VI−VI SCN前駆体は、第II族元素および第1の第VI族元素を、オクタデセンおよび脂肪酸を含む第1の溶媒に溶解させることによって、第1の溶液を調製する工程と;第2の第VI族元素を、オクタデセンを含む第2の溶媒に溶解させることによって、第2の溶液を調製する工程と、第1および第2の溶液を混合して、II−VI−VI SCN前駆体溶液を提供する工程と、pH調整剤を、第1および第2の一方または両方に加える工程とによって調製される。
【0021】
ある実施形態において、II−VI−VI SCN前駆体溶液は、第II族元素を、オクタデセンおよび脂肪酸を含む第1の溶媒に溶解させることによって、第1の溶液を調製する工程と、第1の第VI族および第2の第VI族元素を、オクタデセンを含む第2の溶媒に溶解させることによって、第2の溶液を調製する工程と、pH調整剤を、第1および第2の溶液の一方または両方に加える工程と;前記第1および第2の溶液を混合して、II−VI−VI SCN前駆体溶液を提供する工程とによって調製される。
【0022】
ある実施形態において、II−VI−VI SCN前駆体は、第II族元素を、オクタデセンおよび脂肪酸を含む第1の溶媒に溶解させることによって、第1の溶液を調製する工程と;第1の第VI族元素を、オクタデセンを含む第2の溶媒に溶解させることによって、第2の溶液を調製する工程と、第2の第VI族元素を、トリブチルホスフィンを含む第3の溶媒に溶解させることによって、第3の溶液を調製する工程と、pH調整剤を、第1、第2、または第3の溶液の1またはそれ以上に加える工程と、第1、第2、および第3の溶液を混合して、II−VI−VI SCN前駆体溶液を提供する工程とによって調製される。
【0023】
ある実施形態において、脂肪酸はオレイン酸である。
【0024】
ある実施形態において、温度は、約270℃〜330℃である。
【0025】
ある実施形態は、本明細書に開示される方法にしたがって作製されるII−VI−VI半導体ナノ結晶を提供する。
【0026】
ある実施形態は、Cd、S、およびSeを含むII−VI−VI半導体ナノ結晶であって、アルキルカルボン酸亜鉛pH調整剤によって変性されたナノ結晶を提供する。
【0027】
ある実施形態は、公知の発光波長のII−VI−VI半導体ナノ結晶を調整する方法であって、公知の発光波長を有するII−VI−VI半導体ナノ結晶を提供する工程と、II−VI−VI半導体ナノ結晶を、pH調整剤、1またはそれ以上のC12〜C20炭化水素、および1またはそれ以上の脂肪酸を含む溶液中で加熱して、SCN溶液を形成する工程と、ジアルキル亜鉛、ヘキサアルキルジシラチアン、およびトリアルキルホスフィンを含む溶液を加える工程と、キャッピングされたII−VI−VI半導体ナノ結晶を生成するのに十分な温度に加熱する工程とを含み、ここで、pH調整剤の量が、II−VI−VI半導体ナノ結晶の公知の発光波長からの所定の発光波長シフトを提供するように調整される方法を提供する。
【0028】
ある実施形態において、C12〜C20炭化水素は、ヘキサデセン、オクタデセン、エイコセン、ヘキサデカン、オクタデカン、およびイコサンから選択される1またはそれ以上である。
【0029】
ある実施形態において、脂肪酸は、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、サピエン酸、オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸、リノール酸、リノエライジン酸、α−リノレン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、エルカ酸、ドコサヘキサエン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、およびアラキジン酸から選択される1またはそれ以上である。
【0030】
ある実施形態において、pH調整剤は、第II族元素の酸化物またはカルボン酸塩である。
【0031】
ある実施形態において、pH調整剤は、酢酸、クエン酸、乳酸、プロピオン酸、酪酸、酒石酸、および吉草酸の亜鉛塩から選択される。
【0032】
ある実施形態において、ジアルキル亜鉛は、ジメチル亜鉛であり、ヘキサアルキルジシラチアンは、ヘキサメチルジシラチアンであり、トリアルキルホスフィンは、トリオクチルホスフィンである。
【0033】
ある実施形態において、温度は、約150℃〜350℃である。
【0034】
ある実施形態は、本明細書に開示される方法にしたがって作製される調整されたII−VI−VI半導体ナノ結晶を提供する。
【0035】
ある実施形態は、Cd、S、およびSeを含むII−VI−VI半導体ナノ結晶を含むコアであって、ナノ結晶が、アルキルカルボン酸亜鉛によって変性されたコアと、ZnSを含む層、Alを含む層、およびZnSを含む第1の層とAlを含む第2の層とを含む多層キャップから成る群から選択されるキャップ層とを含む、キャッピングされたII−VI−VI半導体ナノ結晶を提供する。
【0036】
ある実施形態は、1またはそれ以上の第II族元素、1またはそれ以上の第III族元素、および1またはそれ以上の第VI族元素を含むカドミウムフリー「Cdフリー」半導体ナノ結晶であって、カドミウムを実質的に含まない半導体ナノ結晶を提供する。
【0037】
ある実施形態において、半導体ナノ結晶はカドミウムを含有しない。
【0038】
ある実施形態において、Cdフリーナノ結晶は、近紫外から遠赤外領域内の発光波長を有する。
【0039】
ある実施形態は、Cdフリー半導体ナノ結晶を合成するための方法であって、1またはそれ以上のC12〜C20炭化水素、1またはそれ以上の脂肪酸、および選択的に1またはそれ以上のC〜C22アルキルチオールを共に含む1またはそれ以上の溶媒中の、1またはそれ以上の非カドミウム第II族元素、1またはそれ以上の第III族元素、および1またはそれ以上の第VI族元素を含む前駆体溶液を、Cdフリー半導体ナノ結晶を生成するのに十分な温度に加熱する工程を含む方法を提供する。
【0040】
ある実施形態において、第II族元素は、Cu、Zn、およびHgから選択される1またはそれ以上である。
【0041】
ある実施形態において、第III族元素は、In、Ga、Al、およびTlから選択される1またはそれ以上である。
【0042】
ある実施形態において、第VI族元素は、S、Se、Te、Po、およびOから選択される1またはそれ以上である。
【0043】
ある実施形態において、C12〜C20炭化水素は、ヘキサデセン、オクタデセン、エイコセン、ヘキサデカン、オクタデカン、およびイコサンから選択される1またはそれ以上である。
【0044】
ある実施形態において、脂肪酸は、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、サピエン酸、オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸、リノール酸、リノエライジン酸、α−リノレン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、エルカ酸、ドコサヘキサエン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、およびアラキジン酸から選択される1またはそれ以上である。
【0045】
ある実施形態において、脂肪酸はオレイン酸である。
【0046】
ある実施形態において、温度は、約270℃〜330℃である。
【0047】
ある実施形態は、本明細書に開示される方法にしたがって作製されるCdフリー半導体ナノ結晶を提供する。
【0048】
ある実施形態は、アルキルカルボン酸亜鉛によって変性されたCdフリー半導体ナノ結晶を提供する。
【0049】
ある実施形態は、Cdフリー半導体ナノ結晶をキャッピングする方法であって、Cdフリー半導体ナノ結晶を提供する工程と;Cdフリー半導体ナノ結晶を、1またはそれ以上のC12〜C20炭化水素および1またはそれ以上の脂肪酸を含む溶液中で加熱して、SCN溶液を形成する工程と、ジアルキル亜鉛、ヘキサアルキルジシラチアン、およびトリアルキルホスフィンを含む溶液を加える工程と、キャッピングされたCdフリー半導体ナノ結晶を生成するのに十分な温度に加熱する工程とを含む方法を提供する。
【0050】
ある実施形態において、C12〜C20炭化水素は、ヘキサデセン、オクタデセン、エイコセン、ヘキサデカン、オクタデカン、およびイコサンから選択される1またはそれ以上である。
【0051】
ある実施形態において、脂肪酸は、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、サピエン酸、オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸、リノール酸、リノエライジン酸、α−リノレン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、エルカ酸、ドコサヘキサエン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、およびアラキジン酸から選択される1またはそれ以上である。
【0052】
ある実施形態において、ジアルキル亜鉛は、ジメチル亜鉛であり、ヘキサアルキルジシラチアンは、ヘキサメチルジシラチアンであり、トリアルキルホスフィンは、トリオクチルホスフィンである。
【0053】
ある実施形態において、温度は、約150℃〜350℃である。
【0054】
ある実施形態は、1またはそれ以上の第II族元素、1またはそれ以上の第III族元素、および1またはそれ以上の第VI族元素のコアを含むCdフリー半導体ナノ結晶を含むコアであって、半導体ナノ結晶が、カドミウムを実質的に含まず、ナノ結晶が、アルキルカルボン酸亜鉛によって変性されたコアと、ZnSを含む層から成る群から選択されるキャップ層と、Alを含む層とを含む、キャッピングされたCdフリー半導体ナノ結晶を提供する。
【0055】
ある実施形態は、最外層をそれぞれ有する複数の量子ドットと、ポリマー材料と最外層との間の結合解離エネルギーが、架橋ポリマーの溶融温度に到達するのに必要なエネルギーより大きくなるように、最外層に架橋されたポリマー材料とを含む、量子ドット含有ポリマー樹脂を提供する。
【0056】
ある実施形態において、複数の量子ドットが、コア−シェル量子ドット、Cdフリー量子ドット、または化学量論的に調整される量子ドットから選択される。
【0057】
ある実施形態において、最外層は、キャッピング層および不動態化層から選択される。
【0058】
ある実施形態において、最外層は、Znsキャッピング層である。
【0059】
ある実施形態において、最外層は、Al2O3不動態化層である。
【0060】
ある実施形態において、ポリマー材料は、下式:
【化1】
で表される1またはそれ以上のモノマーの重合から誘導される単位を含むアクリレート樹脂であり、
式中、Rが、水素またはメチルであり、Rが、メチル;エチル;プロピル;イソプロピル;ブチル;イソブチル;ペンチル;シクロペンチル;イソペンチル;直鎖状、分岐鎖状、および環状ヘキシル;直鎖状、分岐鎖状、および環状ヘプチル;および直鎖状、分岐鎖状、および環状オクチルから成る群から選択される。
【0061】
ある実施形態において、アクリレート樹脂は、さらに、下式:
【化2】
で表される1またはそれ以上のモノマーの重合から誘導される単位を含み、
式中、RおよびRのそれぞれが、独立して、メチル;エチル;プロピル;イソプロピル;ブチル;イソブチル;ペンチル;シクロペンチル;イソペンチル;C〜C12直鎖状、分岐鎖状、環状、および芳香族ヒドロカルビル、およびポリエチレングリコールから成る群から選択され、
が、水素、メチル;エチル;プロピル;イソプロピル;ブチル;イソブチル;ペンチル;シクロペンチル;イソペンチル;C〜C12直鎖状、分岐鎖状、環状、および芳香族ヒドロカルビル、およびポリエチレングリコールから成る群から選択される。
【0062】
ある実施形態は、Al不動態化層をそれぞれ有する複数の量子ドットと;Al不動態化層に架橋されたポリマー材料とを含む、量子ドット含有ポリマー樹脂であって、ポリマー材料とAlとの間の結合解離エネルギーが、架橋ポリマーの溶融温度に到達するのに必要なエネルギーより大きい、量子ドット含有ポリマー樹脂を提供する。
【0063】
ある実施形態は、ZnSキャッピング層およびAl不動態化層をそれぞれ有する均一な複数の、多色の、同じサイズの合金勾配量子ドットと;Al不動態化層に架橋されたポリマー材料とを含む、量子ドット含有ポリマー樹脂であって、ポリマー材料とAlとの間の結合解離エネルギーが、架橋ポリマーの溶融温度に到達するのに必要なエネルギーより大きい、量子ドット含有ポリマー樹脂を提供する。
【0064】
ある実施形態は、ZnSキャッピング層およびAl不動態化層をそれぞれ有する複数の量子ドットと;Al不動態化層に架橋されたポリマー材料とを含む、量子ドット含有ポリマー樹脂であって、ポリマー材料とAlとの間の結合解離エネルギーが、架橋ポリマーの溶融温度に到達するのに必要なエネルギーより大きい、量子ドット含有ポリマー樹脂を提供する。
【0065】
ある実施形態は、量子ドット含有ポリマーを含むフィルム、多層フィルム、または3D物体のうちの少なくとも1つを含む物品であって、ポリマー材料と量子ドットとの間の結合解離エネルギーが、架橋ポリマーの溶融温度に到達するのに必要なエネルギーより大きくなるように、ポリマーが量子ドットに結合される物品を提供する。
【0066】
ある実施形態において、量子ドット含有ポリマーは、これに限定されるものではないが、溶液流延、射出成形、押出成形などを含む従来のポリマー取り扱いおよび製造技術に好適である。
【0067】
実施形態は、所定の発光波長に調整され得る半導体ナノ結晶に関する。
【0068】
具体的な実施形態において、ナノ結晶粒子は、近紫外(ultraviolet:UV)から遠赤外(infrared:IR)領域、特に、可視領域内の発光波長を有する。より具体的には、量子ドットは、約350〜約750nmであり得る発光波長を有する。
【0069】
ある実施形態は、酢酸亜鉛などのアルキルカルボン酸亜鉛によって変性された、量子ドットコアおよび半導体ナノ結晶を提供する。
【0070】
さらなる実施形態は、半導体コア/シェルナノ粒子を合成するための方法であって、上述されるCdフリー半導体ナノ結晶を合成する工程と、それを、より高いバンドギャップを有する半導体シェルで被覆して、Cdフリー半導体ナノ結晶それ自体と比較して、量子効率および安定性を向上させる工程とを含む方法を提供する。
【0071】
さらなる実施形態は、上述される半導体シェルと、絶縁体として働く第2のシェルとを有するCdフリー半導体ナノ結晶を合成するための方法を提供する。
【0072】
さらに他の実施形態は、アクリレート樹脂中に分散された本明細書に記載される半導体ナノ結晶、コア/シェル、およびコア/シェル/シェル粒子を含むおよびそれらのフィルムおよび3−D構造に関する。このフィルムおよび3−D構造は、商業的に適用可能な機器においてフィルムおよび3−D構造を鋳造して、高度に安定した量子ドット−ポリマー複合フィルムおよび3−D構造を生成する能力を提供する。フィルムおよび3−D構造は、ディスプレイおよび照明用途に使用され得る。具体的な態様において、少なくとも2つの透明フィルムの間に挟まれた量子ドット−ポリマー複合フィルムの単層を含むシングルコートダウンコンバージョンフィルム(single−coat down−conversion film:SCDF)および3−D構造が使用され得る。単層および多層の本発明のフィルムおよび3−D構造は、少なくともより複雑な構造の性能を提供する、より簡単でかつよりコスト効率の高い製品を可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】コア/シェルQDのタイプIバンドギャップ構造およびタイプIIバンドギャップ構造を示す概略図である。
【図2】原子層堆積によって成長されたam−およびγ−Al2O3フィルムの価電子および伝導帯を示す概略図である。
【図3】Al2O3不動態化層によって与えられる安定性を示す、CdSe/ZnS対CdSe/ZnS/Al2O3量子ドットの経時的な強度を比較するグラフである。
【図4】Al2O3の表面が、陽電性および陰電性領域の反復パターンによって特徴付けられることを示す。
【図5】Al2O3表面の陽電性および陰電性領域の反復パターンの別の表現である。
【図6】経時的なポリマー封入量子ドットの安定性を示す、ある実施形態に係るポリマー封入量子ドットの経時的な強度を比較するグラフである。
【図7】ある実施形態に係る量子ドットコアを含有するフィルムを含む多層フィルムを示す。
【図8】本明細書に開示される異なる実施形態によって用いられる様々な屈折率の影響を示す。
【図9】ある実施形態に係る量子ドットコアを含有するフィルムを含む、多層を含む多層フィルムを示す。
【図10】ある実施形態に係る例示的なCdフリー量子ドットについての発光スペクトルを示す図である。
【図11】本明細書に開示される実施例B13およびB15の安定性試験を比較するグラフである。
【図12】本明細書に開示される実施例B1〜B6に関連するデータから作成される検量線である。
【図13】本明細書に開示される実施例B7〜B11に関連するデータから作成される検量線である。
【図14】スペクトルの450nmにおける励起および赤色波長における発光を用いて作製される実施例B22の溶液流延フィルムの発光スペクトルである。
【図15】スペクトルの450nmにおける励起および赤色波長における発光を用いて作製される実施例B23の溶融押出フィルムの発光スペクトルである。
【発明を実施するための形態】
【0074】
ここで、本出願人は、ポリマーを、量子ドットの外面に強固に結合することによって、量子ドットの安定性が、これに限定されるものではないが、押出成形、射出成形、および他の技術などの様々な厳しい製造条件においても維持され得ることを発見した。
【0075】
以下にさらに記載されるように、具体的な実施形態において、ポリマー/不動態化層に関連する結合解離エネルギーが、架橋ポリマーを溶融するのに必要なエネルギーより大きくなるように、ポリマーは、量子ドットの不動態化層(例えばAl)と架橋するように選択される。言い換えると、ポリマーと不動態化層との間の結合は、押出(または他の製造)温度で破断されない。この強固な結合は、本質的に、押出および射出成形などの溶融操作中に量子ドットを保護する。以前には、このような温度に曝された量子ドットは、容易に暗くなり、それらの光電子工学特性は処理条件によって失われた。
【0076】
量子ドット、量子ドット含有ポリマー樹脂、およびポリマー樹脂自体を作製するための方法が、本明細書に記載される。これらの方法は、ポリマーが量子ドットの表面に強固に結合し得る限り、様々なタイプの量子ドットに適用可能である。
【0077】
ポリマーを、量子ドット、特に、不動態化量子ドットの外面に強固に結合することによって、量子ドットの安定性が、これに限定されるものではないが、押出成形、射出成形、注型成形、溶液流延、および他の技術などの様々な厳しい製造条件においても維持され得る。
【0078】
以下にさらに記載されるように、具体的な実施形態において、ポリマーと不動態化層との間の結合に関連する結合解離エネルギーが、架橋ポリマーを溶融するのに必要なエネルギーより大きくなるように、ポリマーは、量子ドットの不動態化層(例えばAl)と架橋するように選択される。言い換えると、ポリマーと不動態化層との間の結合は、例えば押出(または他の製造)プロセス中に生じる溶融温度で破断されない。この強固な結合は、本質的に、押出および射出成形などの溶融操作中に量子ドットを保護する。以前には、このような温度に曝された量子ドットは、容易に暗くなり、それらの光電子工学特性は処理条件によって失われた。
【0079】
量子ドット含有ポリマー樹脂およびポリマー樹脂自体を作製するための方法が、本明細書に記載される。これらの方法は、ポリマーが量子ドットの表面に強固に結合し得る限り、様々なタイプの量子ドットに適用可能である。
【0080】
上述されるように、ポリマーが、量子ドットの外面に強固に結合し得る限り、均一または合金勾配、サイズで調整されるかまたは化学量論的に調整されるか、キャッピングされているかまたはキャッピングされていないか、不動態化されているかまたは不動態化されていないかにかかわらず、向上した安定性が、任意の量子ドットとともに本明細書に開示されるポリマーおよび方法を用いて得られたが、高い光子束および化学的に有害な外部環境の組み合わされた条件下で、光の可視領域にわたって、効率的かつ安定した量子ドット(quantum dot:QD)フォトルミネセンスを達成することは、多層的な手法から利益を得る。
【0081】
第1に、QDコアは、可視領域にわたって類似の表面積を有するべきである。さらに、カドミウムフリー(Cdフリー)量子ドットも、本明細書に記載される方法およびポリマーに使用され得ることが特に想定される。任意のCdフリー量子ドットが使用され得るが、Cadmium−Free Quantum Dotsと題された米国仮特許出願第62/338,915号(その開示内容が、この参照により本明細書に組み込まれ、以下に記載される)に記載されるものが、本明細書に開示される方法およびポリマーとともに使用するのによく適している。
【0082】
第2に、コア不動態化は、コアへの励起子波動の閉じ込め、ならびに水および酸素に対する物理的障壁の両方を提供すべきである。
【0083】
第3に、個々のQDのための空間における分離を提供する分散マトリックスも、それ自体が光分解に対して安定でありながら、フォトルミネセンスをもたらす、QD体積の外部の安定した電子配置を提供しなければならない。光学部品の熱可塑性、熱硬化性および溶液流延製造に使用可能な材料中へのこれらの3つの要素の実施形態は、ディスプレイおよび照明用途のための量子ドットベースの構成要素の受け入れを加速するであろう。
【0084】
1.コア
化学反応の傾向が、質量に対する表面積の増加とともに増加するのは、金属および半導体材料の基本的特性である。したがって、1cm立方の金属が、火炎に曝されると単に熱くなる一方、ミクロンサイズの粉末に粉砕された場合、その同じ質量は発火する。同じことが、環境劣化および光分解に関してQDコアにも当てはまる。コアサイズによって調整されるQDは、より高い表面積対質量比のため、より大きいコア(黄色−赤色エミッタ)に対するより小さいコア(青色−緑色エミッタ)の増加した反応性により、異なって分解するであろう。これは、水および酸素による環境攻撃、および破壊的なフリーラジカルがQD表面上に生成される高い光子束の条件下の両方の状況においても当てはまる。QDの表面において、不完全に、内部の周期的3D結晶格子の部分である原子の集団がある。これらの原子は、空のまたは孤立電子対軌道を有する。これらのダングリングボンドは、外部環境との望ましくない化学反応、および電子が正孔と再結合する代わりにこれらの部位に溜まる光輝性発光サイクル中の非放射性キャリア緩和プロセスにおける望ましくない化学反応の原因である。この影響は、より大きいQDより高い表面積/質量比を有するより小さいQDで拡大される。
【0085】
したがって、多色のサイズで調整されるQDから構成される光学デバイスにおいて、可視スペクトルの青色末端において放出するQDのより早い劣化が、特に、高い光子束と組み合わされた水および酸素への曝露の条件下で、時間とともに観察される可能性が高い。光電子デバイスの全てのQDコアが類似のサイズのものであるようにするのが望ましい。
【0086】
この所望のコア構造は、Nie(米国特許第7981667号明細書および米国特許第84201550号明細書、およびQu(米国特許第8454927号明細書)の方法によって合成されるQDを用いることによって達成され得る。これらのQDは、サイズによってではなく、組成によって調整される。
【0087】
全可視領域を考慮する場合、同色のサイズで調整可能なドットが使用され得るが、化学量論的に調整される量子ドットは、有利に、発光波長にかかわらず同じサイズを有する。化学量論的に調整される量子ドットは、上述されるNieおよびQuの特許または他の利用可能な方法にしたがって作製され得る。発光波長を微調整するのにpH調整剤の使用を含む改良方法が、Tunable Semiconductor Nanocrystals And Films And 3−D Structures Containing Themと題された米国仮特許出願第62/338,888号(その開示内容が、この参照により本明細書に組み込まれ、本明細書において以下に記載される)に開示されている。そこに開示される方法によって作製される量子ドットは、発光波長にかかわらず実質的に同じサイズを有するコア/シェル量子ドットをもたらす。
【0088】
キャッピング(すなわち、第1の不動態化層)
より高い量子効率(quantum efficiency:QE)および向上した光/化学安定性のためにQDの表面におけるダングリングボンドを不動態化する2つの方法がある:1)低MW有機リガンドによる不動態化または2)無機シェルによる不動態化。有機リガンドによる不動態化は、単純かつ簡単であるが、表面金属−有機リガンド結合が、比較的不安定であり、化学反応および/または光化学反応によって破断され、失われ得る。無機シェルによる不動態化は、QDの周知のコア−シェルタイプによって実施され、ZnSシェルなどによる「キャッピング」と呼ばれることが多い。無機シェルによるQDコアの表面不動態化は、より安定しており、コアへの励起子波動のより良好な閉じ込めを提供し、したがってQEを増大するさらなる所望の効果を有する。QDコアが、より大きいバンドギャップエネルギーを有するシェル材料内に位置する場合、電子および正孔波動は、コアにより良好に閉じ込められる。2つの波動(電子および正孔)の再結合確率が増加する一方、表面におけるダングリングボンドとの相互作用を介した非放射性減衰プロセスが減少する。一般的な第II−VI族、第III−V族および第II−VI族半導体についてのバンドギャップおよび電子エネルギーレベルが、図1に示される。
【0089】
これらのコア−シェル構造は、QEおよび光安定性(photostability:PS)に関して改善されるが、環境からの水および酸素による化学攻撃に対して依然として感受性である。
【0090】
このキャッピングは、従来のコア−シェル量子ドット中に存在し、本明細書に開示されるCdフリー量子ドットおよび化学量論的に/pH調整剤で調整される量子ドット、ならびに他の量子ドットを含む、多くの量子ドットに適用され得る。
【0091】
2.不動態化(第2の層):
励起子波動をさらに閉じ込め、第1のシェル材料の外面におけるダングリングボンドを不動態化し、水および酸素の拡散に対する物理的障壁を提供し得る、第1のシェルよりさらに広いバンドギャップ材料の第2のシェルを提供するのが望ましい。
【0092】
これは、米国特許第9,425,253号明細書(QuおよびMiller)(この参照により本明細書に組み込まれる)に記載されるように第2のシェル、Al2O3の不動態化層を加えることによって実現され得る。一般的に使用されるII−VIおよびIII−V QDコアおよびシェル材料を包含するAl2O3のバンドギャップは、−3.5〜−11(図2)である。
【0093】
一般的に使用されるQDコア−シェル材料を包含するバンドギャップエネルギーを有することに加えて、4〜5個の原子層の厚さにおけるAl2O3は、酸素および水の拡散に対する絶対的またはほぼ絶対的障壁を提供するさらなる特性を有する。これは、感受性のコア−シェル半導体材料に対する水および酸素による化学攻撃からの保護の高い障壁を提供する。
【0094】
図3は、従来のCdSe/ZnSコア−シェル量子ドットを、Al2O3不動態化層で被覆することによって達成される向上した安定性を示す。
【0095】
3.分散マトリックス(すなわち、ポリマー)
Al2O3表面層は、QD/マトリックス境界において化学的に安定し、かつ電子的に安定しているQD分散体のマトリックスを提供するために独特の相乗効果の機会を提供する。Al2O3の表面は、図4および5に見られるように、陽電性および陰電性領域の反復パターンによって特徴付けられる。
【0096】
Al2O3表面を有するQDは、−COOHおよび−SH基を含有する有機リガンド、さらにはCrystalplexに譲渡されたNulwalaによる本発明の開示(両方とも2016年5月19日付で出願され、この参照により本明細書に組み込まれる米国仮特許出願第62/338,888号および同第62/338,915号)および同第14/725,658号(この参照により本明細書に組み込まれる)に記載されるポリマーなどの、繰り返しカルボニル基を有するポリマーに対する非常に強固な結合親和性を示す。この強固な結合は、得られるQD/リガンド/ポリマーマトリックスに複数の望ましい効果を与える。
【0097】
3.1 QD体積の直ぐ外側の電子配置の安定性
QD表面に直に隣接し、励起子ボーア半径に延在する体積の電子配置が、QD集団の全QEに影響を与え得ることが知られている(X.Ji,D.Copenhaver,C.Sichmeller,and X.Peng,"Ligand bonding and dynamics on colloidal nanocrystals at room temperature:the case of alkylamines on CdSe nanocrystals,"J.Am.Chem.Soc.130(17),5726−5735(2008)。S.F.Wuister,C.de Mello Donega,and A.Meijerink,"Influence of Thiol Capping on the Exciton Luminescence and Decay Kinetics of CdTe and CdSe Quantum Dots,"J.Phys.Chem.B 108(45),17393−17397(2004)を参照)。これは、QDの表面における小MW有機リガンドを交換するときに一般的に見られる。QDナノ結晶が、プロセスによって物理的に変化されなくても、光輝性QEの変化が観察される。必要とされるのは、QDのための高いQE、ならびに温度、高い光子束、および有害な化学的環境の極端な状況でも変化しないままであるQD表面と外部マトリックスとの間の非常に安定した境界をもたらす局所的電子配置である。これは、QDのAl2O3表面を、Nulwalaによって開示されるものなどのポリマーに結合することによって達成され得る。Al2O3表面に対するマトリックスポリマーの全結合エネルギーは、280℃の押出プロセスのエネルギーを超え、安定したQD/マトリックス境界を提供することができる。
【0098】
3.2 QD/マトリックス境界の化学安定性
熱に加えて、QD/マトリックス境界の安定性は、酸素フリーラジカルの存在によっても損なわれ得る。これらの破壊的なフリーラジカルは、高い光子束とO2分子の存在との組合せによって、QD/マトリックス境界において生成され得る。破壊的なラジカルは、マトリックス中のポリマー鎖における共有結合の破断(鎖の切断)および/またはマトリックスポリマー鎖とQDのAl2O3表面との間の複数のイオン結合の破壊をもたらし得る。
【0099】
QD/マトリックス境界は、マトリックスポリマーとAl2O3表面との間のイオン結合の余剰性と、マトリックスポリマー固有の高いO2バリア特性との組合せによって、酸素フリーラジカル攻撃に対して抵抗性になり得る。特定のポリマー、特に、シクロヘキシルアクリレートのホモポリマー、およびメチルメタクリレートまたはヘプチルアクリレートとのシクロヘキシルアクリレートコポリマーは、陰電性カルボニル酸素反復距離が、Al2O3の表面における陽電性領域の反復距離と一致するように、3D空間内に配向された繰り返しカルボニル単位を有する。これは、ポリマー鎖当たりの多くの結合部位のため、Al2O3表面へのポリマーの非常に強固な結合をもたらす。
【0100】
さらに、これらのアクリルポリマーは、高いO2バリア特性を有する。これらのマトリックス中に懸濁しているQDの複合効果は、QD表面へのポリマーの非常に安定した結合および結合部位への最小限のO2拡散である。
【0101】
3.3 3Dマトリックス体積中での安定した分散
QD/マトリックス境界の化学安定性に加えて、QDは、光輝性モードで適切に機能するために、凝集することなく十分に分散されなければならない。
【0102】
3.2に記載されるポリマー、およびNulwalaによって開示される他のものは、このようにQDを分散する。これは、ポリマー−QD結合が、QD−QDの自己結合より安定していることによる。このように結合されると、QD/マトリックスは、熱可塑性、熱硬化性、および溶液流延操作などの下流の処理全体を通して安定している。さらに、ポリマーマトリックスの物理的特性は、QDナノ粒子との相互作用によって改善され得る。QDによって提供される物理的な架橋部位は、ガラス転移温度、デュロメータ、耐衝撃性、引張り強さ、および耐化学薬品性などのポリマーの物理的特性を変化させ、改善し得る。
【0103】
4.処理
4.1 複合体の調製
QD/ポリマー複合体は、複数の方法によって調製され得る。
【0104】
ポリマーは、連続反応器中で重合され得、QDは、完全な重合の前または後のいずれかに連続流れ中に導入され得る。次に、得られたQD/ポリマー複合体流れが回収され、熱可塑性材料として使用するために溶媒が除去されて、光学部品が生成され得る。溶液流延複合体を生成して、光学フィルムを生成するために、溶媒は、保持されてもまたは加えられてもよい。
【0105】
ポリマーは、完全に重合され、次に、適切な溶媒中でQDと混合され得る。高せん断混合などの混合が、QD表面へのポリマーの結合を増加させるために適用され得る。QD/ポリマー複合体は、溶液流延製膜に使用するためにそのまま残され得るか、または溶媒が、除去されて、熱可塑性処理のために乾燥した複合体を生成して、光学部品を生成し得る。
【0106】
QDは、最終的なポリマーにおける架橋を生成する複数のビニル基を有する、モノマーまたはモノマーの混合物、またはモノマーとオリゴマーとの混合物、またはモノマーと多官能性モノマーとの混合物中で懸濁され得る。この熱硬化性材料は、熱または紫外線によって後に硬化されて、最終的な光学部品を生成し得る。
【0107】
4.1 複合体の下流の処理
プラスチックから光学部品を生成するための3つの一般的に使用されるプロセスは、熱可塑性処理、熱硬化性処理、および溶液流延である。
【0108】
これらの一般的なカテゴリーに含まれるのは、射出成形、押出、熱硬化性ポッティング、熱硬化性フィルム、溶液流延フィルム、溶液流延インクジェット印刷、溶液流延3D印刷、熱硬化性インクジェット印刷、熱硬化性3D印刷、熱可塑性3D印刷、および他の技術である。
【0109】
作業実施例(operating example)または特に示されるもの以外は、本明細書および特許請求の範囲に使用される成分、反応条件などの量に言及する全ての数値または表現は、全ての場合において「約」という用語によって修飾されているものと理解されるべきである。したがって、矛盾する記載がない限り、以下の明細書および添付の特許請求の範囲に記載される数値パラメータは、本発明が得ようとしている所望の特性に応じて変化し得る近似値である。少なくとも、特許請求の範囲への均等論の適用を限定しようとするものではなく、各数値パラメータは、少なくとも、報告された有効数字の数値を考慮して、通常の丸め法を適用することによって解釈されるべきである。
【0110】
本発明の広い範囲を示す数値範囲およびパラメータが近似値であるにもかかわらず、具体例に記載される数値は、可能な限り正確に報告される。しかしながら、いずれの数値も、それらのそれぞれの試験測定値において見出される標準偏差から必然的に生じるある程度の誤差を本質的に含む。
【0111】
また、本明細書に記載される任意の数値範囲が、それに含まれる全ての部分範囲を含むことが意図されることが理解されるべきである。例えば、「1〜10」の範囲は、記載される最小値1と記載される最大値10との間(および両端値を含む)の;すなわち、1以上の最小値および10以下の最大値を有する全ての部分範囲を含むことが意図される。開示される数値範囲が連続しているため、それらは、最小値と最大値との間のあらゆる値を含む。特に明記されない限り、本出願に記載される様々な数値範囲は、近似値である。
【0112】
本明細書において使用される際、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈上特に明記されない限り、複数形の言及を含む。
【0113】
本明細書において使用される際、「約」という用語は、それとともに使用されている数値のプラスまたはマイナス10%を意味する。したがって、約50%は、45%〜55%の範囲内を意味する。
【0114】
本明細書において使用される際、「コポリマー」という用語は、2つ以上の重合性不飽和分子の重合から生じるポリマーを意味し、ターポリマー、テトラポリマーなどを含むことが意図される。
【0115】
本明細書において使用される際、「コア/シェル」という用語は、コアおよび量子ドットコアをほぼ均一に取り囲む1またはそれ以上のシェルまたはコーティングとして量子ドットを有する粒子を意味する。シェル材料の非限定的な例としては、SまたはSeおよび/または金属酸化物のCdまたはZn塩が挙げられる。
【0116】
本明細書において使用される際の、「含む(include)」、「含む(comprise)」、および「有する(have)」という用語およびそれらの変化形は、「これに必ずしも限定されるものではないが、〜を含む」を意味する。
【0117】
本明細書において使用される際、「第II族元素」という用語は、Cdフリーの実施形態を説明する場合(その場合、第II族元素は、Cu、Zn、およびHgから選択される周期表のIUPAC第2族からの1またはそれ以上の元素を指す)を除き、Cd、Zn、およびHgから選択される周期表のIUPAC第2族からの1またはそれ以上の元素を含むことが意図される。
【0118】
本明細書において使用される際、「第VI族元素」という用語は、S、Se、Te、Po、およびOから選択される周期表のIUPAC第16族からの1またはそれ以上の元素を含むことが意図される。
【0119】
本明細書において使用される際、「ナノ粒子」、「ナノ結晶」、および「不動態化ナノ結晶」という用語は、これらの構成材料の通常の特性が、「量子閉じ込め」と呼ばれることが多い量子力学的効果のため、それらの物理的寸法によって変化される小さい構造を指す。明瞭にするために、本開示におけるこれらの用語の使用は、量子閉じ込め特性を有する物体を指し、これは、3次元全てにおいて互いに分離され;液体、蒸気、または固体への取り込みを可能にする。
【0120】
「任意選択の」または「選択的に」は、その後に記載される構造、事象、または状況が、存在または発生してもまたはしなくてもよいこと、および説明が、構造が存在する場合およびそれが存在しない場合、または事象が発生する場合およびそれが発生しない場合を含むことを意味する。
【0121】
本明細書において使用される際、「ポリマー」という用語は、これに限定されるものではないが、オリゴマー、ホモポリマー、コポリマー、およびグラフトコポリマーを包含することが意図される。
【0122】
本明細書において使用される際、「量子ドット」という用語は、典型的に、近紫外(UV)から遠赤外(IR)領域、特に、可視領域内の調整可能な光物理的特性を有する、バルクで半導体または絶縁材料である材料から作製されるナノ結晶粒子を指す。本発明の多くの実施形態において、量子ドットという用語は、遷移金属(非限定的な例は、CdおよびZnである)、および周期表のIUPAC第16族からのアニオン(非限定的な例は、Se、S、Te、およびOである)を含む半導体ナノ結晶(SCN)を含む。
【0123】
本明細書において使用される際、「複合体」という用語は、マトリックス全体に分散された量子ドットを含むマトリックスへと組み合わされる量子ドットおよびポリマーを含む材料を指す。ある実施形態において、量子ドットは、マトリックス全体に実質的に均一に分散される。
【0124】
本開示の態様は、所定の発光波長に調整される半導体ナノ結晶(すなわち、量子ドット)に関する。ある場合、量子ドットは、所定の発光波長の範囲を含む複数の量子ドットであり得る。特に、ある実施形態において、複数の量子ドットは、所望の複数の所望の波長を放出する量子ドットの均一な混合物を含有する。
【0125】
本発明の観点は、アクリレート樹脂中に分散されたコア/シェル量子ドット粒子を含むフィルムおよび3−D構造に関する。このフィルムおよび3−D構造は、商業的に適用可能な機器上に、フィルムを鋳造し、3−D構造を設置して、高度に安定した量子ドット−ポリマー複合フィルムおよび3−D構造を生成する能力を提供する。本発明のフィルムおよび3−D構造は、ディスプレイおよび照明用途に使用され得る。具体的な態様において、少なくとも2つの透明フィルムの間に挟まれた量子ドット−ポリマー複合フィルムの単層を含むシングルコートダウンコンバージョンフィルム(SCDF)および3−D構造が使用され得る。単層および多層の本発明のフィルムおよび3−D構造は、少なくともより複雑な構造の性能を提供する、より簡単でかつよりコスト効率の高い製品を可能にする。
【0126】
量子ドットコア
当該技術分野において公知の任意の半導体ナノ結晶が、本明細書に記載されるポリマーに組み込むための量子ドットのためのコアとして使用され得、非限定的な例は、米国特許第6,207,229号明細書;同第6,322,901号明細書;同第6,576,291号明細書;同第6,821,337号明細書;同第7,138,098号明細書;同第7,825,405号明細書;同第7,981,667号明細書;同第8,071,359号明細書;同第8,288,152号明細書;同第8,288,153号明細書;同第8,420,155号明細書;同第8,454,927号明細書;同第8,481,112号明細書;同第8,481,113号明細書;同第8,648,524号明細書;同第9,063,363号明細書;および同第9,182,621号明細書、ならびに米国特許出願公開第2006/0036084号明細書、同第2010/0270504号明細書、同第2010/0283034号明細書;同第2012/0039859号明細書;同第2012/0241683号明細書;同第2013/0335677号明細書;同第2014/0131632号明細書;および同第2014/0339497号明細書に開示される関連する半導体ナノ結晶である。
【0127】
本明細書において用いられる量子ドットは、任意の量子ドットであり得、
a)カドミウム含有またはカドミウムフリー
b)合金勾配または無勾配(すなわち、均一)
c)サイズで調製可能、化学量論的に調整可能、もしくは調整不可能、または
d)これらの任意の組合せ
であり得る。
【0128】
さらに、量子ドットを作製する新規な方法が、本明細書において想定され、特に、同じサイズの化学量論的におよびpH調整剤で調整される量子ドットおよびCdフリー量子ドットを作製する方法が、それ自体で、また、本明細書に開示されるポリマーへの組み込みのために、本明細書に開示される。
【0129】
したがって、従来のコア/シェル量子ドット、例えば、市販されているもの、他のCdフリー量子ドット、ならびに本明細書に記載および開示される同じサイズの化学量論的におよびpH調整剤で調整される量子ドットおよびCdフリー量子ドットが、以下にさらに記載されるように、ポリマーに組み込まれ得る。
【0130】
Cdフリー量子ドット
本明細書において使用される際、「Cdフリー」という用語は、そのように記載される物体が、カドミウムを実質的に含まないか、またはカドミウムを用いずに作製されたか、またはカドミウムを含有しないことを意味する。例えば、「Cdフリー半導体ナノ結晶」およびCdフリー半導体量子ドット」という用語は、カドミウムを実質的に含まないか、カドミウムを用いずに作製されたか、またはカドミウムを含有しない半導体ナノ結晶または量子ドットを指す。
【0131】
「カドミウムを実質的に含まない」は、5%未満のカドミウム、3%未満のカドミウム、1%未満、0.5%未満、0.3%未満、0.1%未満、またはこれらの値のいずれか2つの間の値の任意の範囲およびその間の任意の値を含有することを意味する。
【0132】
本明細書において使用される際、Cdフリー量子ドットに関して、「第II族元素」という用語は、Cu、Zn、およびHgから選択される周期表のIUPAC第2族からの1またはそれ以上の元素を含むことが意図される。
【0133】
本明細書において使用される際、「第III族元素」という用語は、In、Ga、Al、およびTlから選択される1またはそれ以上の元素を含むことが意図される。
【0134】
本明細書において使用される際、「第VI族元素」という用語は、S、Se、Te、Po、およびOから選択される周期表のIUPAC第16族からの1またはそれ以上の元素を含むことが意図される。
【0135】
ある実施形態において、有用な量子ドットコアを提供し得る好適なCdフリー半導体ナノ結晶としては、これに限定されるものではないが、式ABCD(式中、Aが第II族元素であり、Bが別の第II族元素であり、Cが第III族元素であり、Dが第VI族元素である)のII−II−III−VI半導体ナノ結晶(SCN)が挙げられる。
【0136】
具体的な実施形態において、第II族元素は、Cu、Zn、およびHgから選択される1またはそれ以上であり得、第III族元素は、In、Ga、Alから選択される1またはそれ以上であり得、第VI族元素は、S、Se、Te、Po、およびOから選択される1またはそれ以上であり得る。
【0137】
具体的な実施形態において、Cdフリーナノ粒子は、ZnCuInSおよび/またはZnCuGaSである。
【0138】
他の具体的な実施形態において、本発明における有用なCdフリー量子ドットコアを提供し得る好適な半導体ナノ結晶としては、式ABCDE(式中、Aが第1の第II族元素であり、Bが第2の第II族元素であり、Cが第1の第III族元素であり、Dが第2のIII族元素であり、Eが第VI族元素である)のII−II−III−III−VI半導体ナノ結晶(SCN)が挙げられる。
【0139】
この具体的な実施形態のさらなる態様において、第II族元素は、Cu、Zn、およびHgから選択される1またはそれ以上であり得、第III族元素は、In、Ga、Alから選択され得、第Vi族元素は、S、Se、Te、Po、およびOから選択され得る。
【0140】
この具体的な実施形態のさらなる特定の態様において、Cdフリーナノ粒子は、ZnCuInAlSおよび/またはZnCuInGaSである。
【0141】
さらなる実施形態において、本発明に有用な量子ドットコアを提供し得る好適なCdフリー半導体ナノ結晶としては、式ABCDE(式中、Aが第1の第II族元素であり、Bが第2の第II族元素であり、Cが第III族元素であり、Dが第1の第VI族元素であり、Eが第2の族元素である)のII−II−III−VI−VI半導体ナノ結晶(SCN)が挙げられる。
【0142】
このさらなる実施形態の態様において、第II族元素は、Cu、Zn、およびHgから選択される1またはそれ以上であり得、第III族元素は、In、Ga、Alであり、第Vi族元素は、S、Se、Te、Po、およびOから選択され得る。
【0143】
このさらなる実施形態の特定の態様において、Cdフリーナノ粒子は、ZnCuInSSe、ZnCuGaSSe、ZnCuAlSSe、およびそれらの組合せである。
【0144】
さらなる実施形態において、本発明に有用な量子ドットコアを提供し得る好適なCdフリー半導体ナノ結晶としては、式ABCDEF(式中、Aが第1の第II族元素であり、Bが第2の第II族元素であり、Cが第1の第III族元素であり、Dが第2の第III族元素であり、Dが族元素であり、Eが第1の第VI族元素であり、Fが第2の第VI族元素である)のII−II−III−III−VI−VI半導体ナノ結晶(SCN)が挙げられる。
【0145】
このさらなる実施形態の態様において、第II族元素は、Cu、Zn、およびHgから選択される1またはそれ以上であり得、第III族元素は、In、Ga、Alから選択される1またはそれ以上であり得、第Vi族元素は、S、Se、Te、Po、およびOから選択される1またはそれ以上であり得る。
【0146】
このさらなる実施形態の特定の態様において、Cdフリーナノ粒子は、ZnCuInAlSSe、ZnCuInGaSSe、ZnCuAlGaSSe、およびそれらの組合せであり得る。
【0147】
第II族および第III族元素の源
ある実施形態において、第II族および第III族元素の源は、金属酸化物である。
【0148】
具体的な実施形態において、第II族および第III族元素の源は、ZnO、CuO、In2O3、Al2O3から選択され得る。
【0149】
ある実施形態において、第II族および第III族元素の源は、脂肪酸塩である。
【0150】
具体的な実施形態において、第II族および第III族元素は、ZnX、CuX、InX、AlXから選択され得る。Xは、C1〜C22の鎖長を有するカルボン酸であり得る。
【0151】
任意の好適なカルボン酸が使用され得る。ある実施形態において、使用されるカルボン酸は、酢酸、プロピオン酸、酪酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、サピエン酸、オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸、リノール酸、リノエライジン酸、α−リノレン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、エルカ酸、ドコサヘキサエン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、およびアラキジン酸から選択される1またはそれ以上であり得る。
【0152】
具体的な実施形態において、カルボン酸はオレイン酸である。
【0153】
特定の実施形態において、カルボン酸は酢酸である。
【0154】
第VI族元素の源
ある実施形態において、第VI族元素の源は、純元素粉末である。
【0155】
具体的な実施形態において、第VI族元素は、元素S、Se、Te、Po、およびOから選択され得る。
【0156】
ある実施形態において、第VI族元素の源は、第VI族元素含有分子である。
【0157】
具体的な実施形態において、第VI族元素は、これに限定されるものではないが、C1〜C22の鎖長を有するアルキルチオールなどの、単一機能性アルキルチオール含有分子の対応するチオレートとして存在する。
【0158】
特定の実施形態において、第VI族元素は、1−ドデカンチオールのチオレートである。
【0159】
具体的な実施形態において、第VI族元素は、これに限定されるものではないが、C1〜C22の鎖長を有するジチオール分子などの、対応するジチオール分子のジチオレートであり得る。
【0160】
リガンド
実施形態において、Cdフリーナノ粒子は、リガンドで被覆される。
【0161】
具体的な実施形態において、リガンドは、C8〜C22の鎖長を有する単鎖脂肪酸から選択され得る。
【0162】
任意の好適な脂肪酸が使用され得る。ある実施形態において、使用される脂肪酸は、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、サピエン酸、オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸、リノール酸、リノエライジン酸、α−リノレン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、エルカ酸、ドコサヘキサエン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、カプリル酸、およびアラキジン酸から選択される1またはそれ以上であり得る。
【0163】
特定の実施形態において、脂肪酸リガンドとしては、カプリル酸またはオクタン酸が挙げられる。
【0164】
具体的な実施形態において、リガンドは、C1〜C22の鎖長を有する単鎖チオールから選択され得る。
【0165】
特定の実施形態において、リガンドとしては、1−ドデカンチオールが挙げられる。
【0166】
具体的な実施形態において、リガンドは、脂肪酸とC1〜C22の鎖長を有する長鎖チオールとの混合物であり得る。
【0167】
特定の実施形態において、リガンドは、1−ドデカンチオールとオクタン酸との混合物である。
【0168】
溶媒
ある実施形態において、Cdフリーナノ粒子の合成に使用される溶媒は、1またはそれ以上のC12〜C20炭化水素を含む。多くの実施形態において、前駆体溶液溶媒は、前駆体溶液に使用される材料の物理的特性による必要に応じて、および合成に利用可能な装置による必要に応じて選択され得る。具体的な実施形態において、典型的に、約150℃超、ある場合、約200℃超、他の場合、約225℃超の沸点を有する高沸点有機溶媒が用いられる。
【0169】
具体的な実施形態において、溶媒は、オクタデカン、ドデカン、ヘキサデカン、およびイコサンから選択される1またはそれ以上を含む。
【0170】
ある実施形態において、トリブチルホスフィン(TBP)が、前駆体溶液中の溶媒として使用される。他の実施形態において、TBPとC12〜C20炭化水素との混合物が、前駆体溶液に使用される。これらの実施形態において、TBPは、強い双極子モーメントを提供し、これが第VI族元素を溶解させるのを助け得るため、TBPを含むことが、有利であり得る。多くの実施形態において、前駆体溶液溶媒は、前駆体溶液に使用される材料の物理的特性による必要に応じて、および合成に利用可能な装置による必要に応じて選択され得る。
【0171】
Cdフリーコア合成
ある実施形態は、Cdフリー半導体ナノ結晶コアを合成するための方法を提供する。本方法は、1またはそれ以上のC12〜C20炭化水素および1またはそれ以上の脂肪酸を含む1またはそれ以上の溶媒中の、上述される第II族元素、第III族元素、および第VI族元素の所望の混合物を含む前駆体溶液を、Cdフリー半導体ナノ結晶コアを生成するのに十分な温度に加熱する工程を含む。
【0172】
ある実施形態において、合成されたCdフリーナノ粒子の発光波長は、前駆体のモル比、ならびにC12〜C20炭化水素溶媒中の濃度およびC12〜C20炭化水素溶媒のタイプによって決定される。合成に必要とされる適切な量の化学物質が秤量されたら、それらは、好適な反応容器に入れられる。脱気せずに、温度は、反応を開始させるのに十分に上昇され、反応を平衡させるのに十分な期間にわたってその温度に保持される。
【0173】
ある実施形態において、反応温度は、少なくとも約200℃、ある場合、少なくとも約220℃、他の場合、少なくとも約240℃、およびある場合、少なくとも約250℃であり、最高で約300℃、ある場合、最高で約280℃、および他の場合、最高で約270℃であり得る。用いられる温度は、使用される具体的な前駆体および溶媒に応じて決まる。反応温度は、任意の値または上に列挙される値のいずれかの間の範囲であり得る。
【0174】
ある実施形態において、反応時間は、少なくとも約5分間、ある場合、少なくとも約8分間、および他の場合、少なくとも約9分間であり、最大で約60分間、ある場合、最大で約45分間、他の場合、最大で約30分間、およびある場合、最大で約15分間であり得る。用いられる反応時間は、使用される具体的な前駆体および溶媒に応じて決まる。反応時間は、任意の値または上に列挙される値のいずれかの間の範囲であり得る。
【0175】
特定の実施形態において、反応時間は約10分間である。
【0176】
コア精製
Cdフリーナノ粒子コアの精製は、未反応の前駆体および反応中に生成される副生成物を実質的に減少させるかまたは取り除くために行われる。ある実施形態において、Cdフリーナノ粒子コアの精製は、以下によって行われ得る。
1)Cdフリーナノ粒子コア合成溶液を遠心分離管に移し、非極性および極性溶媒(非限定的な例は、ヘキサンおよびブタノールである)の1:3混合物でその体積を7.5倍に希釈する。
2)結晶ペレットが形成されるまで(1)からの溶液を遠心分離し、上清を捨てる。
3)各洗浄につき元のCdフリーナノ粒子コア合成溶液の体積の6.5倍を用いて、非極性および極性溶媒(非限定的な例は、ヘキサンおよびメタノールである)の1:3混合物で3回、結晶を洗浄する。まず、非極性溶媒を加えて、結晶を懸濁させ、次に、極性溶媒を加えて、それを沈殿させる。
4)結晶を、合成溶液の体積の81%で、非極性溶媒(非限定的な例は、ヘキサンである)中で懸濁させる。
【0177】
非従来型のQD:化学量論/pH制御による調整
以下の実施形態は、所望の発光波長を確立するのを助けるようにQDを化学量論的に調整するための方法においてpH調整剤を用いる、米国仮特許出願第62/338,888号の教示にしたがって作製される量子ドットに関する。
【0178】
ある実施形態において、コアは、所定の発光波長を有するII−VI−VI半導体ナノ結晶(SCN)である。ある実施形態において、これらは、第II族元素、第1の第VI族元素、第2の第VI族元素、およびpH調整剤を含むII−VI−VI SCN前駆体溶液を、1またはそれ以上のC12〜C20炭化水素および1またはそれ以上の脂肪酸を共に含む1またはそれ以上の溶媒中で、II−VI−VI SCNを生成するのに十分な温度に加熱することによって作製される。pH調整剤の量は、SCNから所定の発光波長を提供するように調整される。
【0179】
理論に制約されるのを望むものではないが、本出願人は、オレイン酸が特にZnSによるその後のキャッピングに適しているため、オレイン酸の使用により、優れた量子ドットが生成されるものと考える。
【0180】
前駆体溶液
ある実施形態において、本発明に有用な量子ドットコアを提供し得る好適な半導体ナノ結晶としては、式WYxZ(1−x)(式中、Wが第II族元素であり、YおよびZが、異なる第VI族元素であり、0<X<1である)のII−VI−VI半導体ナノ結晶(SCN)が挙げられる。
【0181】
具体的な実施形態において、第II族元素は、Cd、Zn、およびHgから選択される1またはそれ以上であり得、第VI族元素は、S、Se、Te、Po、およびOから選択される1またはそれ以上であり得る。
【0182】
ある実施形態において、第VI族元素の源は、C12〜C20炭化水素に可溶性であり、II−VI−VI II−VI−VI SCNを作製するのに使用される1またはそれ以上の脂肪酸と混和性の有機物質である。多くの実施形態において、粉末形態の純粋な第VI族元素が使用される。
【0183】
具体的な実施形態において、SCNから放出されるべき所望の所定の発光波長が特定され、pH調整剤の量が、得られるSCNが所定の発光波長を有するように調整される。
【0184】
pH調整剤
ある実施形態において、pH調整剤の量は、SCNの発光極大波長を、所望の所定の発光波長に調整するように選択される。特定の波長が所望される場合、異なる濃度のpH調整剤および、選択的に、異なるモル比の前駆体を用いるいくつかの合成反応が、検量線を作成するために行われる。次に、必要な濃度のpH調整剤および、決定される場合、必要な比率の前駆体が、検量線からの所望の波長のために特定される。
【0185】
この実施形態の具体的な態様において、SCNからの発光波長は、pH調整剤なしでは、可視領域内の任意の波長、特に、約400nm〜約700nm、およびそれらの値の間の任意の波長であり得る。すなわち、SCNは、公知の発光波長を用いて作製され得る。次に、pH調整剤の導入によって、その発光波長は、その公知の発光波長から所望の所定の波長へと「調整」され得る。
【0186】
pH調整剤が、前駆体溶液に含まれる場合、SCNの発光波長は、より長い波長に変わる。ある態様において、SCN発光波長は、少なくとも3nm、ある場合、少なくとも5nm、および他の場合、少なくとも7nm増加し得、前駆体溶液に含まれるpH調整剤のそれぞれ0.1重量パーセントにつき、最大で25nm、ある場合、最大で20nm、および他の場合、最大で17nm増加し得る。SCN発光波長の量は、任意の値または上に列挙される値のいずれかの間の範囲であり得る。SCN発光波長の増加の量は、半導体ナノ結晶のサイズ、使用される具体的なpH調整剤、および使用される具体的な第II族および第VI族元素に基づいて変動し得る。これらの要因の操作によって、発光波長は、所望の発光波長に正確に調整され得る。
【0187】
pH調整剤は、SCNの「調整(tuning)」と呼ばれることが多い、所望のSCN発光波長の増加を提供するレベルで前駆体溶液に含まれる。pH調整剤は、前駆体溶液の約0.01重量パーセントから、ある場合、前駆体溶液の約0.1重量パーセント、他の場合、前駆体溶液の約0.15重量パーセント、およびある場合、前駆体溶液の約0.2重量パーセントのレベルで前駆体溶液中に存在し得、前駆体溶液の最大で約1重量パーセント、ある場合、前駆体溶液の最大で約0.9重量パーセント、他の場合、前駆体溶液の最大で約0.8重量パーセント、およびある場合、前駆体溶液の最大で約0.7重量パーセントであり得る。pH調整剤の量は、所望の調整を達成するのに十分な量であり、典型的に、可視スペクトルを超えてSCN発光波長を増加させる量を超えない。前駆体溶液中のpH調整剤の量は、任意の値または上に列挙される値のいずれかの間の範囲であり得る。
【0188】
所望のpHを維持し、上述される発光波長調整を行うことができる任意のpH調整剤が、SCN溶液に使用され得る。ある実施形態において、pH調整剤は、第II族元素の酸化物またはカルボン酸塩であり得る。具体的な実施形態において、pH調整剤は、酢酸、クエン酸、乳酸、プロピオン酸、酪酸、酒石酸、および吉草酸の亜鉛塩から選択され得る。具体的な実施形態において、pH調整剤は、第II族元素の酸化物またはカルボン酸塩である。
【0189】
本発明のある態様において、pH調整剤は、酢酸、クエン酸、乳酸、プロピオン酸、酪酸、酒石酸、および吉草酸の亜鉛塩から選択される。
【0190】
ある実施形態において、SCN溶液に使用されるC12〜C20炭化水素は、ヘキサデセン、オクタデセン、エイコセン、ヘキサデカン、オクタデカン、およびイコサンから選択される1またはそれ以上であり得る。
【0191】
他の実施形態において、SCN溶液に使用される脂肪酸は、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、サピエン酸、オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸、リノール酸、リノエライジン酸、α−リノレン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、エルカ酸、ドコサヘキサエン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、およびアラキジン酸から選択される1またはそれ以上であり得る。
【0192】
所望のpHを維持し、上述される発光波長調整を行うことができる任意のpH調整剤が、前駆体溶液に使用され得る。ある実施形態において、pH調整剤は、第II族元素の酸化物またはカルボン酸塩であり得る。具体的な実施形態において、pH調整剤は、酢酸、クエン酸、乳酸、プロピオン酸、酪酸、酒石酸、および吉草酸から成る群から選択される酸の塩であり得る。ある実施形態において、塩は、酢酸、クエン酸、乳酸、プロピオン酸、酪酸、酒石酸、および吉草酸から成る群から選択される酸の亜鉛塩である。
【0193】
実施形態において、pH調整剤は、前駆体溶液に使用される1またはそれ以上の脂肪酸に可溶性である。
【0194】
炭化水素溶媒
任意の好適なC12〜C20炭化水素が、前駆体溶液に使用され得る。ある実施形態において、前駆体溶液中のC12〜C20炭化水素は、ヘキサデセン、オクタデセン、エイコセン、ヘキサデカン、オクタデカン、およびイコサンから選択される1またはそれ以上の炭化水素を含み得る。
【0195】
ある実施形態において、トリブチルホスフィン(tributylphosphine:TBP)が、前駆体溶液中で溶媒として使用される。他の実施形態において、TBPとC12〜C20炭化水素との混合物が、前駆体溶液に使用される。これらの実施形態において、TBPは、強い双極子モーメントを提供し、これが第VI族元素を溶解させるのを助け得るため、TBPを含むことが有利であり得る。多くの実施形態において、前駆体溶液溶媒は、前駆体溶液に使用される材料の物理的特性による必要に応じて、および合成に利用可能な装置による必要に応じて選択され得る。
【0196】
脂肪酸
任意の好適な脂肪酸が、前駆体溶液に使用され得る。ある実施形態において、前駆体溶液に使用される脂肪酸は、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、サピエン酸、オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸、リノール酸、リノエライジン酸、α−リノレン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、エルカ酸、ドコサヘキサエン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、およびアラキジン酸から選択される1またはそれ以上の脂肪酸であり得る。
【0197】
本発明の具体的な実施形態において、脂肪酸はオレイン酸である。
【0198】
具体的な実施形態において、II−VI−VI SCN前駆体は、第II族元素、第1の第VI族元素、および第2の第VI族元素を、pH調整剤、オクタデセン、および脂肪酸を含む溶媒に溶解させて、II−VI−VI SCN前駆体溶液を提供することによって調製される。
【0199】
他の実施形態において、II−VI−VI SCN前駆体は、第II族元素および第1の第VI族元素を、オクタデセンおよび脂肪酸を含む第1の溶媒に溶解させることによって、第1の溶液を調製する工程と;第2の第VI族元素を、オクタデセンを含む第2の溶媒に溶解させることによって、第2の溶液を調製する工程と;第1および第2の溶液を混合して、II−VI−VI SCN前駆体溶液を提供する工程とによって調製される。この実施形態において、第1および第2の溶液の両方が、pH調整剤を含む。
【0200】
さらなる実施形態において、II−VI−VI II−VI−VI SCN前駆体は、第II族元素を、オクタデセンおよび脂肪酸を含む第1の溶媒に溶解させることによって、第1の溶液を調製する工程と;第1の第VI族および第2の第VI族元素を、オクタデセンを含む第2の溶媒に溶解させることによって、第2の溶液を調製する工程と;第1および第2の溶液を混合して、II−VI−VI SCN前駆体溶液を提供する工程とによって作製される。この実施形態において、第1および第2の溶液の両方が、pH調整剤を含む。
【0201】
さらなる実施形態において、II−VI−VI SCN前駆体は、第II族元素を、オクタデセンおよび脂肪酸を含む第1の溶媒に溶解させることによって、第1の溶液を調製する工程と;第1の第VI族元素を、オクタデセンを含む第2の溶媒に溶解させることによって、第2の溶液を調製する工程と;第2の第VI族元素を、トリブチルホスフィンを含む第3の溶媒に溶解させることによって、第3の溶液を調製する工程と;第1、第2、および第3の溶液を混合して、II−VI−VI SCN前駆体溶液を提供する工程とによって調製される。この実施形態において、第1、第2、および第3の溶液の1またはそれ以上が、pH調整剤を含む。
【0202】
上記の実施形態の全てにおいて、II−VI−VI半導体ナノ結晶は、II−VI−VI SCN前駆体溶液を、所望の量子ドットコアを形成するのに十分な温度に加熱することによって合成される。実施形態において、前駆体溶液温度は、少なくとも200℃、ある場合、少なくとも225℃、多くの場合、少なくとも250℃、および多くの場合、少なくとも270℃であり、最高で約400℃、ある場合、最高で約350℃、および他の場合、最高で約および330℃であり得る。II−VI−VI半導体ナノ結晶が成長される温度は、具体的な第II族および第VI族元素、および使用される比率、ならびに用いられる溶媒、脂肪酸、およびpH調整剤に応じて変動する。
【0203】
上記の実施形態の全てにおいて、II−VI−VI半導体ナノ結晶は、II−VI−VI SCN前駆体溶液を、少なくとも、所望の量子ドットコアを形成するのに十分な期間にわたって、上述される温度に加熱することによって合成される。ある実施形態において、反応時間は、少なくとも40、ある場合、少なくとも50、多くの場合、少なくとも60、および多くの場合、少なくとも70分間であり、最大で約120、ある場合、最大で約110、および他の場合、最大で約100分間であり得る。II−VI−VI半導体ナノ結晶が成長される反応時間は、温度、具体的な第II族および第VI族元素、および使用される比率、ならびに用いられる溶媒、脂肪酸およびpH調整剤に応じて変動する。
【0204】
本発明の具体的な実施形態において、量子ドットコアは、脂肪酸に可溶性の第II族元素を選択することによって調製され得る。好適な脂肪酸の非限定的な例は、ステアリン酸およびオレイン酸である。脂肪酸に可溶性のpH調整剤、第II族元素の酸化物または酢酸塩が使用される。第VI族元素の源は、それらが、第II族を溶解させるのに使用される脂肪酸と混和性である有機溶媒に可溶性であるように選択される。この実施形態において、有機溶媒は、トリブチルホスフィンおよび/またはオクタデセンであり得る。
【0205】
この実施形態において、反応系のpH、または電気的環境は、pH調整剤を反応系中に導入することによって決定される。pH調整剤は、ナノ結晶の所望のタイプおよび使用されている前駆体の特性に応じて負電荷または正電荷を有することに基づいて選択され;用いられる反応系と混和性である。具体的な実施形態において、pH調整剤は酢酸亜鉛である。
【0206】
この実施形態に加えて、pH調整剤、溶媒、および元素が選択されたら、それらの元素の溶液が、分割量で調製され、これは、ナノ結晶合成のために共に混合される。混合した後、反応を完了させる。
【0207】
この実施形態において、発光極大は、1)2つの族の6種の元素のモル比;および2)PH調整剤の濃度によって決定される。
【0208】
本発明は、量子ドットコアを調整する方法を提供する。得られる量子ドットコアの発光極大波長を調整するための本発明の好都合な方法は、所望の発光極大を特定することを含む。特定の波長が特定されたら、前駆体のモル比およびpH調整剤の濃度が様々ないくつかの合成反応が、所望の波長を提供する元素のモル比およびpH調整剤の濃度を特定するために行われ得る。多くのある実施形態において、検量線が、様々な比率の元素およびpH調整剤の濃度を用いて上に概説される合成反応を行うことによって作成され得る。検量線が作成されたら、任意の所望の発光極大のための元素の比率およびpH調整剤の濃度が、特定され得る。
【0209】
本発明の実施形態のいくつかの具体的な利点としては、特定の反応時間に依存する必要がないことが挙げられる。pH調整剤およびストック溶液が調製されたら、それぞれのアリコートが、共に混合され、約40〜約120分間にわたって、結晶成長を支持するのに十分な温度、多くの実施形態において、約200℃〜約400℃で撹拌され得る。有利なことに、特定の時間で反応を終了させることは重要でない。本発明に係る方法にしたがって、反応が完了した後、溶液を、最終的な量子ドットコア生成物を変化させずに、成長温度で撹拌し続けることができる。ナノ結晶を合成する多くの先行技術の方法では、さらに1〜5秒の追加の反応時間が、生成物をかなり変化させる。
【0210】
具体的な実施形態において、量子ドットコアの半導体材料は、ナノ結晶または量子ドットの中心から、ナノ結晶の最も外側の表面へと延びる半導体材料の1またはそれ以上の勾配を有し得る。このようなナノ結晶または量子ドットは、本明細書において「濃度勾配量子ドット」と呼ばれる。例えば、ある実施形態において、少なくとも第1の半導体および第2の半導体を有する濃度勾配量子ドットは、第1の半導体の濃度が、濃度勾配量子ドットの中心から、量子ドットの表面へと徐々に増加するように調製され得る。このような実施形態において、第2の半導体の濃度は、濃度勾配量子ドットのコアから、量子ドットの表面へと徐々に減少し得る。理論に制約されるのを望むものではないが、濃度勾配量子ドットは、少なくとも2つの半導体のモル比に非線形的に関連するバンドギャップエネルギーを有し得る。
【0211】
濃度勾配量子ドットは、上に列挙される半導体材料を含む、当該技術分野において公知の任意の半導体材料から調製され得、濃度勾配量子ドットは、2つ以上の半導体材料から構成され得る。具体的な実施形態において、濃度勾配量子ドットは、分子式CdS1−xTexを有するCdSeTe、分子式CdS1−xSexを有するCdSSe、分子式CdS1−x Texを有するCdSTe、分子式ZnSe1−x Texを有するZnSeTe、分子式Zn1−x CdxTeを有するZnCdTe、分子式Cd1−x HgxSを有するCdHgS、分子式HgCdTeを有するHgCdTe、分子式InGaSを有するInGaAs、分子式GaAlAsを有するGaAlAs、または分子式InGaNを有するInGaNの合金であり得、ここで、各例のxは、0〜1の間の任意の割合であり得る。
【0212】
上述される方法は、本明細書において、総称して量子ドットコアと呼ばれる、様々なキャッピングされていない半導体ナノ結晶を提供する。
【0213】
ある実施形態は、量子ドットコア、特に、上述される方法にしたがって作製されるII−VI−VI半導体ナノ結晶を提供する。
【0214】
ある実施形態は、Cd、S、およびSeを含む量子ドットコアおよびII−VI−VI半導体ナノ結晶を提供し、ここで、ナノ結晶は、アルキルカルボン酸亜鉛(酢酸亜鉛など)によって変性されている。量子ドットコアおよびII−VI−VI半導体ナノ結晶は、一般に、式WYxZ(1−x)に対応し、式中、Wが第II族元素であり、YおよびZが、異なる第VI族元素であり、0<X<1である。具体的な実施形態において、量子ドットコアおよびII−VI−VI半導体ナノ結晶は、所定の発光波長を有する。
【0215】
本発明のII−VI−VI半導体ナノ結晶は、量子閉じ込めが達成される限り、任意の直径を有してもよく、したがって、任意のサイズのものであり得る。いくつかの実施形態において、本明細書に記載されるII−VI−VI半導体ナノ結晶は、直径約10nm未満の一次粒子径を有する。他の実施形態によれば、II−VI−VI半導体ナノ結晶は、直径約1〜約500nmの一次粒子径を有する。他の実施形態において、直径約1〜約100nmの一次粒子径であり、さらに他の実施形態において、直径約5〜約15nmの一次粒子径である。本明細書において使用される際、「一次粒子」という語句は、微粒子系における確認できる最小の区分を指す。一次粒子はまた、凝集体のサブユニットであり得る。
【0216】
標準的なコア/シェル量子ドット(CdSe/ZnS)
CdSe/ZnS種の標準的なコア/シェル量子ドットを、商業的供給源から入手した。Al2O3不動態化層を有するおよび有さない量子ドットの安定性、ならびにAl2O3不動態化層を有するおよび有さない、さらには本明細書に記載されるポリマーマトリックスへの組み込みを伴うおよび伴わない量子ドットの安定性を評価するために、量子ドットを処理した。図6は、これらの試験の結果を示す。
【0217】
Al2O3不動態化層の影響を評価するために、Al2O3不動態化層を有するおよび有さないQDを、ガラススライド上に直に(naked)被覆し、85/85条件(85℃、85%の湿度)に曝した。図6に見られるように、Al2O3不動態化QDとAl2O3不動態化を伴わないものとの間で、著しい相違があった。相対強度は、この分析において必ずしも重要でないが、Al2O3不動態化層を有さないQDの強度の低下は、はるかに安定性の低いQDを示す。
【0218】
図6は、Al2O3不動態化層を有するかまたは有さないコア/シェルQDが、本明細書において後述されるポリマーへの組み込みから利益を得ることを示す。本明細書において、不動態化層を有するおよび有さないQDを、本明細書に記載されるポリマー中に分散し、埋め込み、85/85試験条件下で試験した。図6は、ポリマー中での分散が、両方のサンプルについて安定したQDをもたらすことを示す。したがって、本明細書に開示されるポリマー内での分散は、安定したQDをもたらす。
【0219】
Cdフリーナノ粒子コアのシェル成長(キャッピング)
精製されたCdフリーナノ粒子コアのキャッピングが、以下の方法によって行われ得る。
【0220】
方法1:
キャッピングプロセス中に無酸素環境を維持する。精製されたCdフリーナノ粒子コアのサンプルを取り、以下の工程を行う。示される量は、Cdフリーナノ粒子コア溶液中の第II族元素0.1mmolごとである。
1)非極性溶媒が蒸発されるまで、真空パージする。
2)4.00gのトリオクチルホスフィンオキシドを加え、10分間にわたって真空パージする。選択的に、ステアリン酸を含むシェルが所望される場合、真空パージを行う前に、0.2gのステアリン酸を、トリオクチルホスフィンオキシドとともに加えることができる。
3)約30分間にわたって減圧下で約100℃に、次に、30分間にわたって減圧下で200℃に加熱する。
4)無酸素環境中で、40μLのZn(CH3)2、80μLのヘキサメチルジシラチアン(CAS番号3385−94−2)、および2.00mLのトリオクチルホスフィンを混合することによって、キャッピング溶液を調製する。
5)使用されるトリオクチルホスフィン2.0mLごとに約5分間にわたって約200〜220℃で、キャッピング溶液を溶液(3)中に滴下する。
6)窒素下で、200℃で約30分間から約2時間にわたって撹拌する。
7)溶液を室温に冷ます。
【0221】
発光波長に対する元素の比率のグラフが、検量線を提供するように作成され得る。検量線は、所望の波長で蛍光を発する結晶を得るのに必要な元素の適切な割合を決定するのに使用され得る。
【0222】
方法2:
精製されたCdフリーナノ粒子コアを、所望の量の酢酸亜鉛、硫黄元素、1−ドデカンチオール、オクタデカンおよびオクタン酸を含む三つ口フラスコ中に充填する。約20分間にわたって脱気し、次に、フラスコに窒素を充填し、温度を、反応をその温度で約60分間進行させるのに十分に高く上昇させる。
【0223】
量子ドットコアのキャッピング
本発明の実施形態は、半導体ナノ結晶をキャッピングする方法に関する。本明細書において上に開示される量子ドットコアのいずれかが、これらの実施形態に係る方法に使用され得る。上述される半導体ナノ結晶の1またはそれ以上が、提供され、1またはそれ以上のC12〜C20炭化水素および1またはそれ以上の脂肪酸を含有する溶液中で加熱されて、SCN溶液を形成する。ジアルキル亜鉛、ヘキサアルキルジシラチアン、およびトリアルキルホスフィンを含有する溶液が、SCN溶液に加えられ、キャッピングされたII−VI−VI半導体ナノ結晶を生成するのに十分な温度に加熱される。
【0224】
具体的な実施形態において、キャッピングされた半導体ナノ結晶からの所定の発光波長が特定され、キャッピングされた半導体ナノ結晶からの所定の発光波長を提供する量のpH調整剤が加えられ得る。
【0225】
ある実施形態において、pH調整剤の量が、キャッピングされたSCNの発光極大波長を調整するように選択される。特定の波長が所望される場合、異なる濃度のpH調整剤およびキャッピングされるべき特定のSCNを用いたいくつかの合成反応が、検量線を作成するために行われる。次に、検量線からの所望の波長のためのpH調整剤の必要な濃度が特定される。
【0226】
この実施形態の具体的な態様において、pH調整剤が存在しない場合、キャッピングされた半導体ナノ結晶からの発光波長は、可視領域内の任意の波長、特に、約400nm〜約700nm、およびそれらの間の任意の波長であり得る。pH調整剤が、SCN溶液に含まれる場合、キャッピングされた半導体ナノ結晶の発光波長は、より長い波長に変わる。本発明のある態様において、SCN発光波長は、少なくとも2nm、ある場合、少なくとも3nm、および他の場合、少なくとも4nm増加し得、SCN溶液に含まれるpH調整剤のそれぞれ0.1重量パーセントにつき、最大で15、ある場合、最大で12、および他の場合、最大で10nm増加し得る。キャッピングされた半導体ナノ結晶発光波長の量は、増加し得、任意の値または上に列挙される値のいずれかの間の範囲であり得る。キャッピングされた半導体ナノ結晶発光波長の量は、増加し、キャッピングされた半導体ナノ結晶のサイズ、使用される具体的なpH調整剤、および使用される具体的な第II族および第VI族元素に基づいて変動し得る。
【0227】
pH調整剤は、キャッピングされた半導体ナノ結晶の「調整」と呼ばれることが多い、所望のキャッピングされた半導体ナノ結晶の発光波長の増加を提供するレベルでSCN溶液に含まれる。pH調整剤は、SCN溶液の約0.01から、ある場合、約0.1、他の場合、約0.15、およびある場合、約0.2重量パーセントのレベルでSCN溶液中に存在し得、SCN溶液の最大で約1、ある場合、最大で約0.9、他の場合、最大で約0.8、およびある場合、最大で約0.7重量パーセントであり得る。pH調整剤の量は、所望の調整を達成するのに十分な量であり、典型的に、キャッピングされた半導体ナノ結晶の発光波長を、可視スペクトルを超えて増加させる量を超えない。SCN溶液中のpH調整剤の量は、任意の値または上に列挙される値のいずれかの間の範囲であり得る。
【0228】
所望のpHを維持し、上述される発光波長調整を行うことができる任意のpH調整剤が、SCN溶液に使用され得る。ある実施形態において、pH調整剤は、第II族元素の酸化物またはカルボン酸塩であり得る。具体的な実施形態において、pH調整剤は、酢酸、クエン酸、乳酸、プロピオン酸、酪酸、酒石酸、および吉草酸の亜鉛塩から選択され得る。具体的な実施形態において、pH調整剤は、第II族元素の酸化物またはカルボン酸塩である。
【0229】
本発明のある態様において、pH調整剤は、酢酸、クエン酸、乳酸、プロピオン酸、酪酸、酒石酸、および吉草酸の亜鉛塩から選択される。
【0230】
ある実施形態において、SCN溶液に使用されるC12〜C20炭化水素は、ヘキサデセン、オクタデセン、エイコセン、ヘキサデカン、オクタデカン、およびイコサンから選択される1またはそれ以上であり得る。
【0231】
他の実施形態において、SCN溶液に使用される脂肪酸は、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、サピエン酸、オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸、リノール酸、リノエライジン酸、α−リノレン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、エルカ酸、ドコサヘキサエン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、およびアラキジン酸から選択される1またはそれ以上であり得る。
【0232】
実施形態において、ジアルキル亜鉛は、ジメチル亜鉛であり、ヘキサアルキルジシラチアンは、ヘキサメチルジシラチアンであり、トリアルキルホスフィンは、トリオクチルホスフィンである。
【0233】
多くの実施形態において、ジアルキル亜鉛、ヘキサアルキルジシラチアン、およびトリアルキルホスフィンを含有するSCN溶液の温度は、キャッピングされた量子ドットを形成するために、約150℃〜350℃に加熱される。
【0234】
本明細書において上述される方法は、キャッピングされた半導体ナノ結晶を提供する。
【0235】
本発明のキャッピングされた半導体ナノ結晶は、量子閉じ込めが達成される限り、任意の直径を有し、したがって、任意のサイズのものであり得る。いくつかの実施形態において、本明細書に記載されるキャッピングされた半導体ナノ結晶は、直径約10nm未満の一次粒子径を有する。他の実施形態によれば、II−VI−VI半導体ナノ結晶は、直径約1〜約500nmの一次粒子径を有する。他の実施形態において、直径約1〜約100nmの一次粒子径、さらに他の実施形態において、直径約5〜約15nmの一次粒子径である。本明細書において使用される際、「一次粒子」という語句は、微粒子系における確認できる最小の区分を指す。一次粒子はまた、凝集体のサブユニットであり得る。
【0236】
CdフリーAl2O3キャッピング
ある実施形態において、不動態化層が、上述されるように調製される、キャッピングされたCdフリーナノ粒子コアに適用される。これらの実施形態において、アルミニウムキャッピング材料が、トリメチルアルミニウムおよびトリオクチルホスフィンを混合して、キャッピング溶液を形成することによって調製される。キャッピング溶液は、コア/シェルCdフリーナノ粒子の表面にアルミニウムの単分子層を成長させるのに十分な温度で、コア/シェルCdフリーナノ粒子の溶液に加えられて、アルミニウム被覆コア/シェルCdフリーナノ粒子コアを提供する。具体的な実施形態において、単分子層は、少なくとも1原子厚から、ある場合、少なくとも2原子厚、および他の場合、少なくとも3原子厚であり得、最大で20原子厚、ある場合、最大で15原子厚、他の場合、最大で10原子厚、およびある場合、最大で5原子厚であり得る。多くの場合、キャッピング溶液は、100℃から、ある場合、少なくとも150℃、および他の場合、少なくとも175℃の温度で、キャッピングされたCdフリーナノ粒子コアの溶液と混合され、最高で約300℃、ある場合、最高で約250℃、および他の場合、最高で約225℃の温度で混合され得る。次に、アルミニウムで被覆された、キャッピングされたCdフリーナノ粒子コアは、アルミニウムの単分子層の全てまたは一部を、Al2O3の単分子層に転化するのに十分な時間にわたって、100℃未満の温度で、空気中で静置させ、酸化させて、酸化アルミニウムで被覆された、キャッピングされたCdフリーナノ粒子コア(「不動態化コア/シェルCdフリーナノ粒子」)を提供する。
【0237】
不動態化コア/シェルCdフリーナノ粒子のための作製方法は、ある実施形態において、所望の特徴を得るためにさらに変更され得る。例えば、表面機能性、表面電荷、粒子径、ゼータ(ζ)電位、疎水性などのナノ粒子特性が、不動態化ナノ結晶の具体的な用途に応じて最適化され得る。例えば、ある実施形態において、変更された表面化学および小さい粒子径が、ナノ粒子の隙間の減少に寄与し得る。他の実施形態において、不動態化ナノ粒子は、少なくとも30日間、好ましくは、少なくとも90日間、より好ましくは、少なくとも120日間にわたって、実質的な凝集および実質的な沈殿を伴わずに、水または他の液体媒体中で安定している。「安定した」または「安定化された」という用語は、固体成分(すなわち、ナノ粒子)が、化合物の完全性を維持するのに十分に、および好ましくは、本明細書に詳述される目的のために有用であるのに十分な期間にわたって、集合および凝集に対する安定性を有する流体相中の溶液または懸濁液を意味する。本明細書において使用される際、「凝集」という用語は、例えば処理の際に微粒子サブユニットへと分裂し得る比較的弱い力(例えば、ファン・デル・ワールス力または毛細管力)によって共に保持された微粒子サブユニットから成る凝集塊の形成を指す。得られる構造は、「凝集体」と呼ばれる。
【0238】
不動態化コア/シェルCdフリーナノ粒子は、量子閉じ込めが達成される限り、任意の直径を有し、したがって、任意のサイズのものであり得る。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される不動態化コア/シェルCdフリーナノ粒子は、直径約10nm未満の一次粒子径を有する。他の実施形態によれば、不動態化コア/シェルCdフリーナノ粒子は、直径約1nm〜約500nmの一次粒子径を有する。他の実施形態において、直径約1〜約100nmの一次粒子径、さらに他の実施形態において、直径約5nm〜約15nmの一次粒子径である。本明細書において使用される際、「一次粒子」という語句は、微粒子系における確認できる最小の区分を指す。一次粒子はまた、凝集体のサブユニットであり得る。
【0239】
キャッピングされたII−VI−VI半導体ナノ結晶の不動態化(例えばAl2O3不動態化)
ある実施形態において、不動態化層が、上述されるように調製される、キャッピングされたII−VI−VI半導体ナノ結晶に適用される。これらの実施形態において、アルミニウムキャッピング材料が、トリメチルアルミニウムおよびトリオクチルホスフィンを混合して、キャッピング溶液を形成することによって調製される。キャッピング溶液は、コア/シェルナノ結晶の表面にアルミニウムの単分子層を成長させるのに十分な温度で、コア/シェルナノ結晶の溶液に加えられて、アルミニウム被覆コア/シェルナノ結晶を提供する。具体的な実施形態において、単分子層は、少なくとも1原子厚から、ある場合、少なくとも2、および他の場合、少なくとも3原子厚であり得、最大で20、ある場合、最大で15、他の場合、最大で10、およびある場合、最大で5原子厚であり得る。多くの場合、キャッピング溶液は、100℃から、ある場合、少なくとも150℃、および他の場合、少なくとも175℃の温度で、キャッピングされたII−VI−VI半導体ナノ結晶の溶液と混合され、最高で約300℃、ある場合、最高で約250℃、および他の場合、最高で約225℃の温度で混合され得る。次に、アルミニウムで被覆された、キャッピングされたII−VI−VI半導体ナノ結晶は、アルミニウムの単分子層の全てまたは一部を、Al2O3の単分子層に転化するのに十分な時間にわたって、100℃未満の温度で、空気中で静置させ、酸化させて、酸化アルミニウムで被覆された、キャッピングされたII−VI−VI半導体ナノ結晶(「不動態化コア/シェルナノ結晶」)を提供する。
【0240】
本発明の不動態化ナノ結晶のための作製方法は、ある実施形態において、所望の特徴を得るためにさらに変更され得る。例えば、表面機能性、表面電荷、粒子径、ゼータ(ζ)電位、疎水性などのナノ粒子特性が、不動態化ナノ結晶の具体的な用途に応じて最適化され得る。例えば、ある実施形態において、変更された表面化学および小さい粒子径が、ナノ粒子の隙間の減少に寄与し得る。他の実施形態において、不動態化ナノ粒子は、少なくとも30日間、好ましくは、少なくとも90日間、より好ましくは、少なくとも120日間にわたって、実質的な凝集および実質的な沈殿を伴わずに、水または他の液体媒体中で安定している。「安定した」または「安定化された」という用語は、固体成分(すなわち、ナノ粒子)が、化合物の完全性を維持するのに十分に、および好ましくは、本明細書に詳述される目的のために有用であるのに十分な期間にわたって、集合および凝集に対する安定性を有する流体相中の溶液または懸濁液を意味する。本明細書において使用される際、「凝集」という用語は、例えば処理の際に微粒子サブユニットへと分裂し得る比較的弱い力(例えば、ファン・デル・ワールス力または毛細管力)によって共に保持された微粒子サブユニットから成る凝集塊の形成を指す。得られる構造は、「凝集体」と呼ばれる。
【0241】
本発明のキャッピングされた不動態化ナノ結晶は、量子閉じ込めが達成される限り、任意の直径を有し、したがって、任意のサイズのものであり得る。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される不動態化ナノ結晶は、直径約10nm未満の一次粒子径を有する。他の実施形態によれば、不動態化ナノ結晶は、直径約1〜約500nmの一次粒子径を有する。他の実施形態において、直径約1〜約100nmの一次粒子径、さらに他の実施形態において、直径約5〜約15nmの一次粒子径を有する。本明細書において使用される際、「一次粒子」という語句は、微粒子系における確認できる最小の区分を指す。一次粒子はまた、凝集体のサブユニットであり得る。
【0242】
上述される具体的な実施形態は、アルキルカルボン酸亜鉛によって変性された、Cd、S、およびSeを含むII−VI−VI半導体ナノ結晶を含むコアと、ZnSを含む層、Al2O3を含む層、およびZnSを含む層、およびAl2O3を含む第2の層から選択されるキャップ層とを含む、キャッピングされたII−VI−VI半導体ナノ結晶を提供する。
【0243】
本発明に係るキャッピングされた半導体ナノ結晶の非限定的なより具体的な説明として、様々な原子の源が、ステアリン酸またはオレイン酸などの脂肪酸に可溶性であるべきである。非限定的な例として、第2族元素の酸化物または酢酸塩が、ステアリン酸に可溶性であることが多い。両方の第VI族元素の源は、それらが、第2族元素を溶解させるのに使用される脂肪酸と混和性である有機溶媒に可溶性であるように選択されるべきである。粉末形態の純粋な第6族元素が、好適であることが多い。トリブチルホスフィン(TBP)およびオクタデセンが、オレイン酸と混和性である溶媒の例である。多くの実施形態において、TBPは、第6族元素を溶解させるために、必要に応じて、強い双極子モーメントを提供する。溶媒は、元素の物理的特性による必要に応じて、および合成に利用可能な装置による必要に応じて選択され得る。
【0244】
多くの実施形態において、反応系のpH、または電気的環境は、反応系に追加の材料を導入することによって決定される。これらの材料は、1)所望のナノ結晶のタイプおよび使用される前駆体の特性に応じて、負電荷または正電荷を有し;2)選択された反応系と混合可能であるべきである。具体的な実施形態において、酢酸亜鉛がpH調整剤である。
【0245】
この実施形態を続けて、本発明に係る方法が、臨界終点のタイミングを必要としないことを想起することが重要である。反応は、完了させることができる。発光極大は、反応時間ではなく、1)第2族の6種の元素のモル比;および2)pH調整剤の濃度によって決定される。
【0246】
この実施形態および上記の説明に加えて、特定の所望の波長への発光極大波長の調整は、前駆体の異なるモル比およびpH調整剤の濃度を用いたごくわずかな合成反応を必要とする。これは、所望の波長へのモル比およびpH調整剤の濃度の微調整を可能にする。
【0247】
実施形態において、異なる濃度のPH調整剤を用いたいくつかの合成を行うことによって、検量線が作成される。pH調整剤のストック溶液が調製され、それぞれのアリコートが共に混合され、結晶成長を支持するのに十分に高い温度で撹拌される。好適な温度は、約40〜約120分間にわたって、約200℃〜約400℃であり得る。反応を特定の時間で終了させることは重要でない。実施形態において、反応が完了したら、溶液は、生成物を変化させずに、成長温度で撹拌され得る。非限定的な例として、温度で10、20、および30分間にわたる成長温度での撹拌は、CdSeS系が使用される場合、最終生成物である半導体ナノ結晶を変化させない。上に示されるように、1〜5秒の追加の反応時間が用いられるナノ結晶合成の先行技術の方法は、生成物をかなり変化させる。
【0248】
この実施形態の方法は、「コア」と呼ばれるキャッピングされていない半導体ナノ結晶を生成する。コアをキャッピングすることにより、コアがより安定され、それらの量子効率が高められる。非限定的な例として、ZnSによるキャッピングが、当業者に公知である。この実施形態のコアのキャッピングの前に、結晶を精製することは、有用であるが、必須ではない。
【0249】
この実施形態に係るコアは、まず、合成混合物を、ヘキサンとブタノールとの1:3混合物でその体積の7.5倍に希釈することによって精製され得る。これにより、ナノ結晶を沈殿させ、次に、ナノ結晶は、遠心分離によってペレット化され得る。次に、結晶は、まず、結晶をヘキサン中で懸濁させ、次に、3倍の体積のメタノールを加えることによって3回洗浄され、それにより、結晶を再度沈殿させる。最後の洗浄の後、結晶は、キャッピングのためにヘキサンに溶解される。
【0250】
他の具体的な実施形態は、キャッピングされたCdSeSコアを提供する方法を提供する。本方法は、3つの工程;コア合成、コア精製、およびコアキャッピングを含む。
【0251】
この実施形態の特定のコア合成は、以下を含む:
1A)pH調整剤および前駆体を、オクタデセンおよび脂肪酸(オレイン酸および/またはステアリン酸)と混合し、窒素ガスを十分に散布し、溶液が透明になるまで約250〜350℃に加熱することによって、所望の量のpH調整剤および前駆体を調製する。
2A)無酸素環境中で硫黄およびセレンの溶液を調製し、カドミウム前駆体溶液に加えられる場合、Cd:S:Seのモル比が2:X:(1−X)である(ここで、0<X<1である)ように、混合させるそれぞれのアリコートを混合して、所望の蛍光波長を得る。
3A)無酸素環境を維持しながら、約45〜50体積パーセントのカドミウム前駆体溶液になるように、硫黄とセレンとの混合物を、オクタデセンと組み合わせる。
4A)工程(3A)からの溶液を、工程(1A)からの溶液中に、250〜350℃で投入し、次に、約250〜350℃の温度を維持する。無酸素環境を維持しながら、得られた溶液を、反応が完了するまで約40〜120分間撹拌する。
【0252】
得られたコアは、以下の方法を用いて、この具体的な実施形態にしたがって精製される:
1B)工程(4A)からのコア合成溶液を遠心分離管に移し、ヘキサンおよびブタノールの1:3混合物でその体積の7.5倍に希釈する。
2B)結晶ペレットが形成されるまで、(1B)からの混合物を遠心分離し、上清を捨てる。
3B)各洗浄につき元のコア合成溶液の体積の約6.5倍を用いて、工程(2B)からの結晶ペレットを、1:3ヘキサン:メタノールで3回洗浄する。ヘキサンを加えて、結晶を懸濁させ、次に、メタノールを加えて、結晶を沈殿させる。
4B)工程(3B)からの沈殿された結晶を、合成溶液の体積の約75〜85%で、ヘキサン中で懸濁させる。
【0253】
得られた精製されたコアは、キャッピングプロセス中に無酸素環境を維持し、工程(4B)からの精製されたコアのサンプルを取り、以下の方法を用いることによって、この具体的な実施形態にしたがってキャッピングされる(示される量は、工程(4B)のコア溶液中の約0.1mmolのカドミウムとともに使用される):
1C)ヘキサンの実質的に全てが蒸発するまで、真空パージする。
2C)約0.2gの酢酸亜鉛(pH調整剤)、10mlのオクタデセン、および脂肪酸を加え、10分間にわたって真空パージする。
3C)約30分間にわたって約75〜125℃に、次に、約30分間にわたって約175〜225℃に加熱する。
4C)嫌気性環境中で、約35〜45μLのZn(CH3)2、約75〜85μLのヘキサメチルジシラチアン(CAS番号3385−94−2)、および約1.85〜2.15mLのトリオクチルホスフィンを混合することによって、キャッピング溶液を調製する。
5C)使用されるトリオクチルホスフィン2.0mLごとに約4〜6分間の期間にわたって、工程(4C)のキャッピング溶液を、工程(3C)の溶液中にゆっくりと加える。
6C)窒素下で、175〜225℃で約1.5〜2.5時間にわたって工程(5C)からの溶液を撹拌する。
7C)(6C)からの溶液を、室温に冷ます。
【0254】
キャッピングされた量子ドットコアを含有するポリマー
本明細書において使用される際、「アクリレート」という用語は、アクリル酸およびメタクリル酸の両方のエステル、例えば、アクリレートおよびメタクリレートと呼ばれることが多い対応するアルキルエステル、および「アクリレート」という用語が包含することが意図される、N、P、SiおよびSの1またはそれ以上を含有し得る他のエステルを含むことが意図される。本明細書において使用される際のアクリレートは、下式:
【化3】
(式中、Rが、水素またはメチルであり;
が、メチル;エチル;プロピル;ドデシル;ステリル;イソプロピル;ブチル;イソブチル;ペンチル;シクロペンチル;イソペンチル;直鎖状C1〜18アルキル;直鎖状、分岐鎖状、および環状C6〜8アルキルから成る群から選択される)で表される。
【0255】
本明細書において使用される際、「アクリレート樹脂」という用語は、ポリマー中に混合され得る任意の(非量子ドット)添加剤と共に、1またはそれ以上のアクリレート、および選択的に1またはそれ以上の他の重合性不飽和分子の重合から得られるポリマーを指す。
【0256】
特に規定されない限り、全ての分子量値は、適切なポリスチレン標準を用いて、ゲル透過クロマトグラフィー(gel permeation chromatography:GPC)を用いて決定される。特に示されない限り、本明細書に示される分子量値は、重量平均分子量(Mw)である。
【0257】
様々な実施形態は、アクリレート樹脂中に分散された、上述される半導体ナノ結晶を含む、ポリマー、樹脂、フィルム、または3−D構造に関する。任意の好適なアクリレート樹脂が、本発明に使用され得る。好適なアクリレート樹脂の非限定的な例としては、下式:
【化4】
(式中、Rが、水素またはメチルであり、
が、メチル;エチル;プロピル;ドデシル;ステリル;イソプロピル;ブチル;イソブチル;ペンチル;シクロペンチル;イソペンチル;1〜18個の炭素原子を含有する直鎖状、分岐鎖状、および環状ヘキシル;直鎖状、分岐鎖状、および環状ヘプチル;および直鎖状、分岐鎖状、および環状オクチルから成る群から選択される)で表される1またはそれ以上のモノマーを重合することから誘導される繰り返しまたはモノマー単位を含むものが挙げられる。
【0258】
式Iの化合物は、本明細書において、アクリレートモノマーと呼ばれる。
【0259】
アクリレート樹脂中のアクリレートモノマーの量およびタイプは、得られるフィルムおよび/または3−D構造または他の生成物の所望の特性、およびフィルムに使用される具体的な半導体ナノ結晶に基づいて決定される。
【0260】
ある実施形態において、アクリレート樹脂は、メチルメタクリレート(すなわち、R1=R2=メチル)および、選択的に、構造Iで表される1またはそれ以上の他のモノマーから作製される。この実施形態において、メチルメタクリレートの量は、アクリレート樹脂の重量を基準にして、少なくとも1%、ある場合、少なくとも5%、他の場合、少なくとも10%、ある場合、少なくとも20%、および他の場合、少なくとも25%であり得、100%、ある場合、最大で95%、他の場合、最大で90%、ある場合、最大で80%、他の場合、最大で70%、ある場合、最大で60%、および他の場合、最大で50%であり得る。アクリレート樹脂中のメチルメタクリレートの量は、任意の値または上に列挙される値のいずれかの間の範囲であり得る。
【0261】
ある実施形態において、アクリレート樹脂は、メチルアクリレート(すなわち、R1=H、R2=メチル)および、選択的に、構造Iで表される1またはそれ以上の他のモノマーから作製される。この実施形態において、メチルアクリレートの量は、アクリレート樹脂の重量を基準にして、少なくとも1%、ある場合、少なくとも5%、他の場合、少なくとも10%、ある場合、少なくとも20%、および他の場合、少なくとも25%であり得、100%、ある場合、最大で95%、他の場合、最大で90%、ある場合、最大で80%、他の場合、最大で70%、ある場合、最大で60%、および他の場合、最大で50%であり得る。アクリレート樹脂中のメチルアクリレートの量は、任意の値または上に列挙される値のいずれかの間の範囲であり得る。
【0262】
アクリレート樹脂中のメチルメタクリレートおよび/またはメチルアクリレートの量は、得られるフィルムまたは構造の所望の特性、およびフィルムに使用される具体的なキャッピングまたはキャッピングおよび不動態化半導体ナノ結晶に基づいて決定される。
【0263】
これらの実施形態において、他のアクリレートモノマーが、アクリレート樹脂に使用されるモノマーの総パーセンテージを100%にするレベルで使用される。
【0264】
具体的なある実施形態において、アクリレート樹脂は、シクロヘキシルアクリレート(すなわち、R1=H、R2=シクロヘキシル)および、選択的に、構造Iで表される1またはそれ以上の他のモノマーから作製される。この実施形態において、シクロヘキシルアクリレートの量は、アクリレート樹脂の重量を基準にして、少なくとも1%、ある場合、少なくとも5%、他の場合、少なくとも10%、ある場合、少なくとも20%、および他の場合、少なくとも25%であり得、100%、ある場合、最大で95%、他の場合、最大で90%、ある場合、最大で80%、他の場合、最大で70%、ある場合、最大で60%、および他の場合、最大で50%であり得る。アクリレート樹脂中のシクロヘキシルアクリレートの量は、任意の値または上に列挙される値のいずれかの間の範囲であり得る。これらの実施形態において、他のアクリレートモノマーが、アクリレート樹脂に使用されるモノマーの総パーセンテージを100%にするレベルで使用される。アクリレート樹脂中のシクロヘキシルアクリレートの量は、得られるフィルムまたは構造の所望の特性、およびフィルムに使用される具体的なキャッピングまたはキャッピングおよび不動態化半導体ナノ結晶に基づいて決定される。
【0265】
他の実施形態は、式Iの1またはそれ以上のアクリレートモノマーを、下式:
【化5】
(式中、
構造II〜V中のR3およびR4のそれぞれが、独立して、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、ペンチル、シクロペンチル、イソペンチル、C6〜C12直鎖状、分岐鎖状、環状、および芳香族ヒドロカルビル、およびポリエチレングリコールから選択され;
R5が、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、ペンチル、シクロペンチル、イソペンチル、C6〜C12直鎖状、分岐鎖状、環状、および芳香族ヒドロカルビル、およびポリエチレングリコールから選択される)で表される1またはそれ以上のモノマーと重合することから得られるポリマー中に分散された、上述される半導体ナノ結晶を含むフィルムおよび3−D構造に関する。
【0266】
式II〜Vのモノマーは、本明細書において、窒素含有モノマーと呼ばれる。
【0267】
具体的な実施形態において、アクリレート樹脂は、1またはそれ以上のアクリレートモノマーおよび1またはそれ以上の窒素含有モノマーから作製される。この実施形態において、アクリレートモノマーの量は、アクリレート樹脂の重量を基準にして、少なくとも1%、ある場合、少なくとも5%、他の場合、少なくとも10%、ある場合、少なくとも20%、および他の場合、少なくとも25%であり得、最大で99%、ある場合、最大で95%、他の場合、最大で90%、ある場合、最大で80%、他の場合、最大で70%、ある場合、最大で60%、および他の場合、最大で50%であり得る。アクリレート樹脂中のアクリレートモノマーの量およびタイプ、ならびに窒素含有モノマーの対応する量およびタイプは、任意の値または上に列挙される値のいずれかの間の範囲であり得る。これらの実施形態において、窒素含有モノマーは、アクリレート樹脂に使用されるモノマーの総パーセンテージを100%にするレベルで使用される。アクリレート樹脂中のアクリレートモノマーの量およびタイプ、ならびに窒素含有モノマーの量およびタイプは、得られるフィルムの所望の特性、およびフィルムに使用される具体的なキャッピングまたはキャッピングおよび不動態化半導体ナノ結晶に基づいて決定される。
【0268】
他の実施形態は、構造Iで表される1またはそれ以上のアクリレートモノマー、および構造II、III、IVおよびVの1またはそれ以上で表される1またはそれ以上の窒素含有モノマーを重合することから得られるポリマー中に分散された、上述されるキャッピングまたはキャッピングおよび不動態化2−6−6半導体ナノ結晶を含むフィルムおよび3−D構造に関する。
【0269】
ある実施形態において、本明細書に記載されるフィルムおよび3−D構造は、任意の好適な方法を用いて調製され得る。本明細書に記載されるフィルムおよび3−D構造の調製の非限定的な例は、構造Iで表される1またはそれ以上のアクリレートモノマーおよび/または構造II、III、IVおよびVの1またはそれ以上で表される1またはそれ以上の窒素含有モノマーを重合することから得られるポリマーの好適な溶液中に、キャッピングされたナノ結晶を分散させることを含む。典型的に、有機溶媒が、ポリマー溶液に使用される。ポリマーのための任意の良溶媒が使用され得るが、フィルム形成を促進するために除去され得る溶媒が使用されることが多い。好適な溶媒としては、これに限定されるものではないがC6〜C20直鎖状、分岐鎖状、および環状脂肪族および芳香族溶媒が挙げられる。具体的な実施形態において、ヘキサン、オクタン、デセン、ベンゼン、トルエン、およびキシレンが、好適な溶媒である。キャッピングされたナノ結晶、ポリマー、および溶媒の溶液は、典型的に、キャッピングされたナノ結晶を、ポリマー溶液中に均一に分散させるように均質化され、次に、延伸されてフィルムにされ、溶媒が蒸発される。
【0270】
ある実施形態において、本明細書に記載されるナノ結晶/ポリマー複合体は、典型的に、複合体に対して、少なくとも0.0001重量%、ある場合、少なくとも0.01重量%、他の場合、少なくとも0.1重量%、ある場合、少なくとも1重量%のレベルのナノ結晶、および他の場合、少なくとも5重量パーセントのナノ結晶を含み、複合体に対して、最大で約75%、ある場合、約60%、他の場合、約50%、ある場合、約40%、および他の場合、約30%重量パーセントのナノ結晶を含み得る。ナノ結晶の量は、意図される最終用途、使用される具体的なナノ結晶、ならびに使用される具体的なポリマーに応じて決まる。ナノ結晶/ポリマー複合体中のナノ結晶の量は、任意の値または上に列挙される値のいずれかの間の範囲(例えば、複合体の0.0001〜75重量%)であり得る。
【0271】
本発明のナノ結晶/ポリマー複合体は、例えば、一次酸化防止剤(ビタミンEを含む、ヒンダードフェノールなど);二次酸化防止剤(亜リン酸塩およびホスホナイト(phosphonite)など);核形成剤、可塑剤または加工助剤(フルオロエラストマーおよび/またはポリエチレングリコール結合加工助剤など)、酸掃去剤、安定剤、腐蝕防止剤、発泡剤、連鎖切断酸化防止剤などの他の紫外光吸収剤、消光剤、帯電防止剤、スリップ剤、粘着防止剤、顔料、染料および充填剤、および過酸化物などの硬化剤などの添加剤も含有し得る。使用される具体的な添加剤は、ナノ結晶/ポリマー複合体から得られるべき所望の特性を妨げないように選択される。
【0272】
複合体産業におけるこれらのおよび他の一般的な添加剤は、ある実施形態において約0.01〜約50重量%、別の実施形態において約0.1〜約20重量%、さらに別の実施形態において約1〜約5重量%で、ナノ結晶/ポリマー複合体中に存在してもよく、ここで、望ましい範囲は、任意の重量%上限と任意の重量%下限との任意の組合せを含み得る。
【0273】
キャッピングされた量子ドットコアを含むフィルムおよび3−D構造を含む多層フィルムおよび3−D構造
様々な実施形態は、上述されるキャッピングまたはキャッピングおよび不動態化量子ドットコアを含むフィルムおよび3−D構造を含む1またはそれ以上の層を含む多層フィルムおよび3−D構造に関する。量子ドットコアは、キャッピングされていないか、キャッピングされているか、不動態化されているか、またはそれらの任意の組合せであり得る。
【0274】
非限定的な例として、図7は、上述されるキャッピングまたはキャッピングおよび不動態化量子ドットコアを含むフィルムを含む、第1の層12および最後の層16、および中間層14を含む多層フィルム10を示す。ある実施形態において、第1の層12および最後の層16は、少なくとも1.47、ある場合、少なくとも1.5、および他の場合、少なくとも1.52の屈折率を有し得、最大で約1.7、ある場合、最大で約1.65、および他の場合、最大で約1.6の屈折率を有し得る。
【0275】
一般に、図7に示されるような本発明に係る多層フィルムおよび3−D構造は、まず、量子ドットを、好適な溶媒中で分散させ、アクリレート樹脂、窒素モノマーを含む樹脂、および/またはアクリレートモノマーおよび窒素含有モノマーから作製された樹脂を、量子ドット分散体に溶解させることによって作製され得る。次に、得られた分散体は、第1のフィルム上に被覆され、次に、それが乾燥される。次に、第2のフィルム、および任意のそれに続くフィルムが、第1のフィルムの分散体が被覆された表面上に熱積層される。
【0276】
多くの先行技術のシステムでは、量子ドットの再吸収挙動、および量子ドットの環境劣化に対する抵抗性の欠如は、費用がかかる複数の薄層構造を用いて対処されてきた。これらの構造を用いて、発光ダイオード(light emitting diodes:「LEDs」)からの青色光を、量子ドットから放出されるより長い波長に効率的に変換し(「ダウンコンバージョン」)、光電子デバイスにおける長期の使用のために量子ドットを保護する。このような構造の例としては、遮断フィルタ、二色層(dichroic layer)、複数の単色層への量子ドットの分離、および他の複雑な複数の薄層構造が挙げられる。しかしながら、これらの構造は、複雑であり、かつ製造するのに費用がかかる。
【0277】
本明細書に開示される本発明は、図7によって例示されるように、2つの透明フィルム(12、16)の間に挟まれた量子ドット含有マトリックスの単層14を含むシングルコートダウンコンバージョンフィルム(SCDF)および3−D構造を提供し、これは、低コストで容易に製造され得る。最大分散および屈折率(refractive index:RI)マッチングの組合せは、簡単でかつコスト効率の高い製品を可能にし、これは、少なくとも、より複雑な構造の性能を提供する。したがって、本発明に係る多層フィルムおよび3−D構造の実施形態は、最適性能を得るために、最大量子ドット分散および屈折率マッチングの組合せに依存する。
【0278】
図8を参照すると、光輝性モードの量子ドットは、等方的に(可能な全ての方向に)発光する。多くの用途では、量子ドットによって生成される光が、量子ドットが中に分散されかつ好ましい方向に移動するマトリックスから抜け出すことが望ましい。ある程度の指向性を達成するための最も簡単な構造は、ポリマーマトリックスより高い屈折率を有する材料のフィルム上にポリマーマトリックス中の量子ドットの層を被覆することである。屈折率(n2)を有する第2の材料(22)より低い屈折率(n1)を有する第1の材料(20)中に分散された量子ドット、および第2の材料(22)の反対側から(すなわち、第1の材料20を通って)来る励起源(24)を用いると、第1の材料(20)中のQDから等方的に放出される光のパーセンテージは、法線に向かって屈折され、n1=n2である場合と比較して、励起源から離れて優先的に放出される。反射体が励起源の後ろに設置される場合、反射された量子ドットの光の通過ごとに、量子ドットの光は、法線に向けられ、各通過中に指向性を増幅する。屈折率n2を有する2つの第2の材料(22)層の間に積層された、屈折率n1を有する第1の材料(20)でサンドイッチが作成される場合、光はさらに、各通過とともに法線に向けられる。
【0279】
さらなる実施形態が、図9に示され、図9は、上述されるキャッピングまたはキャッピングおよび不動態化量子ドットコアを含むフィルムを含む、第1の層52および最後の層56、および中間層54を含む多層フィルム50を示す。第1の障壁層58および第2の障壁層60はそれぞれ、中間層54と第1の層52との間、および中間層54と最後の層56との間に位置する。具体的なある実施形態において、第1の層52および最後の層56は、少なくとも1.47から、ある場合、少なくとも1.5、および他の場合、少なくとも1.52の屈折率を有し得、最大で約1.7、ある場合、最大で約1.65、および他の場合、最大で約1.6の屈折率を有し得る。
【0280】
一般に、図9に示されるように、本発明に係る多層フィルムおよび3−D構造は、まず、量子ドットを好適な溶媒中に分散させ、アクリレート樹脂、窒素モノマーを含む樹脂、および/またはアクリレートモノマーおよび窒素含有モノマーから作製された樹脂を、量子ドット分散体に溶解させることによって作製され得る。次に、得られた分散体が、第1のバリアフィルム上に被覆され、次に、それが乾燥される。次に、第2のバリアフィルムが、第1のバリアフィルムの分散体で被覆された表面上に熱積層される。次に、好適な第1および最後のフィルム、および3−D構造が、第1および第2のバリアフィルム、および3−D構造上に熱積層される。
【0281】
ある実施形態において、図7中の第1の層12および最後の層16、ならびに図9中の第1の層52および最後の層56を参照すると、層は、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリプロピレン、変性セルロース樹脂、透明ポリ塩化ビニル、アクリル樹脂、ポリシロキサン、エポキシ樹脂、サファイア、石英およびガラスから独立して選択される任意の好適な材料であり得る。
【0282】
フィルムおよび3−D構造の多くの実施形態において、上述されるキャッピングまたはキャッピングおよび不動態化2−6−6半導体ナノ結晶を含む多層フィルムおよび3−D構造が、当該技術分野において使用されることが多い架橋ポリマーを用いたフィルムおよび3−D構造と比較して有利である。本明細書において上述されるフィルムおよび3−D構造に使用される樹脂の光安定性は、向上した光分解安定性を有する、量子ドット、ならびに量子ドットを含むフィルムおよび3−D構造を提供する。
【0283】
フィルムおよび3−D構造の多くの実施形態において、複合材料は、好適な溶媒中での重合中または重合後に、ナノ結晶をポリマーと組み合わせて、次に、溶媒を除去して、本質的に溶媒を含まない95〜100%の固体材料から成る材料を生成することによって調製される。次に、この複合体は、射出成形され、押し出され、圧縮成形され、トランスファー成形され、プレスされ、またはまず複合体を溶融させ、複合体を望ましい3−D形状に変換するプロセスを用いて形成され得る。次に、これらの3−D部品が、光電子デバイスに使用される。
【0284】
本明細書に記載される量子ドットは、溶液、インク、フィルム、樹脂ペレット、熱可塑性ペレットに含まれ得る。
【0285】
本明細書に記載される量子ドットを含む溶液は、単に、乾燥させずに溶液中のQDを残すことによって、または精製されたQDを、後に使用するために好適な溶液に入れることによって調製され得る。
【0286】
上述されるように、QDは、ポリマーマトリックスに埋め込まれて、フィルムまたは3−D構造を形成し得る。複合体(QD−マトリックス)はまた、樹脂ペレットまたは熱可塑性ペレットとして後に使用するためにペレット化され得、次に、それは、その後の成形プロセスにおいて、従来の樹脂またはポリマーペレットが使用されるのと同じだけ使用され得る。
【0287】
QDは、インクジェット印刷、3−D印刷、または他の印刷技術に好適なものなどのインクに組み込まれ得る。インクは、一般に、本明細書に記載されるアクリレートポリマーなどのポリマー、および溶媒と混合される、本明細書に記載される量子ドットから調製される。これに限定されるものではないが、トルエンなどの任意の好適な溶媒が使用され得る。これに限定されるものではないがフロー剤(flow agent)、自己均染剤(self−leveling agent)、粘度調整剤、消泡剤(de−bubbling agent)、結合剤、界面活性剤などのような、インクに有用な他の添加剤も用いられ得る。ある実施形態において、ポリマーおよび溶媒成分は、インク組成物の約1〜約80%を占める。量子ドットは、ポリマーのグラム当たり約0.1mg〜約100mgの量子ドットで存在する。
【0288】
本発明は、以下の実施例への言及によってさらに説明される。以下の実施例は、例示的なものに過ぎず、限定的であることは意図されていない。特に示されない限り、全てのパーセンテージは、特に規定されない限り重量基準である。
【実施例】
【0289】
実施例A1−530nmのCdフリー量子ドット
0.25gの酢酸亜鉛、0.3gの酢酸インジウム、0.01gの酢酸銅を、5mlのオクタデカン、0.5mlのオクタン酸、および2mlの1−ドデカンチオールとともに、三つ口フラスコ中に充填した。脱気せずに、温度を270℃に上昇させた。10分後に熱を除去した。この反応は、約530nmの発光波長を有するCdフリー量子ドットを提供した。
【0290】
実施例A2−750nmのCdフリー量子ドット
0.25gの酢酸亜鉛、0.3gの酢酸インジウム、0.05gの酢酸銅を、5mlのオクタデカン、0.5mlのオレイン酸、および2mlの1−ドデカンチオールとともに、三つ口フラスコ中に充填した。脱気せずに、温度を270℃に上昇させた。10分後に熱を除去した。
【0291】
この反応は、約750nmの発光波長を有するCdフリーZnInCuS量子ドットを提供した。
【0292】
実施例A3〜A7:530〜750nmの発光波長を有するCdフリーN量子ドット
Zn/Cu比を変更することによって、Cdフリー量子ドットの発光波長は、530〜750nmに調整され得る。
【0293】
実施例3〜7において、使用される酢酸銅の量が、波長のいくつかについて得られる発光スペクトルを示す表1に示されるとおりであったことを除いて、実施例1と同様に反応を行った。
【0294】
【表1】
【0295】
図10は、波長のいくつかについての発光スペクトルを示す。
【0296】
実施例A8 方法1によるキャッピング
グローブボックス中で、実施例1のCdフリーナノ結晶上へのZnSの1またはそれ以上の層の堆積に使用するための溶液を調製した。Cdフリーナノ結晶の発光波長の変化が観察されなかった場合、溶液を、ナノ結晶溶液中にゆっくりと投入した。この投入プロセスは約2分間続いた。
【0297】
得られた溶液を、50mlの円錐形遠心分離管に加え、5mlのヘキサンおよび15mlのブタノールを加えた。約1分間にわたる超音波処理の後、20mlのメタノールを加えた。ナノ結晶を遠心分離し、上清を廃棄した。ナノ結晶を、10mlのヘキサンでさらに2回洗浄し、20mlのメタノールで沈殿させ、再度遠心分離した。
【0298】
精製されたナノ結晶を、三つ口丸底フラスコに移し、ヘキサンを減圧によって除去した。トリオクチルホスフィンオキシド(8.0g)およびステアリン酸(0.2g)を加えた。フラスコを、10分間にわたって真空パージし、30分間にわたって100℃に、次に、30分間にわたって200℃に加熱した。キャッピング材料を、グローブボックス中で以下のように調製した:40ulのジメチル亜鉛、80ulのヘキサメチルジシラチアンおよび4mlのトリオクチルホスフィンを、ガラスバイアル中で混合し、ゴム栓で密閉した。キャッピング溶液を、シリンジに入れ、グローブボックスから取り出し、少なくとも10分間にわたってコア溶液中にゆっくりと投入した。得られた溶液を、200℃で30分間撹拌し、次に、熱から取り外し、室温に冷ました。
【0299】
この実施例は、キャッピングされたCdフリーナノ結晶を提供した。
【0300】
実施例A9 方法2によるキャッピング
実施例1からの0.25gの精製されたCdフリーコアを、1gの酢酸亜鉛、0.032gのS、2mlの1−ドデカンチオール、10mlのODE、および2mlのオクタン酸とともに三つ口フラスコに入れた。脱気を20分間行い、次に、フラスコに窒素を充填し、温度を240℃に上昇させ、反応を約60分間にわたって進行させた。
【0301】
この実施例は、キャッピングされたCdフリーナノ結晶を提供した。
【0302】
実施例A10 Alキャッピング
グローブボックス中で、実施例1のCdフリーナノ結晶上へのZnSの1またはそれ以上の層の堆積に使用するための溶液を調製した。Cdフリーナノ結晶の発光波長の変化が観察されなかった場合、溶液を、ナノ結晶溶液中にゆっくりと投入した。この投入プロセスは約2分間続いた。
【0303】
得られた溶液を、50mlの円錐形遠心分離管に加え、5mlのヘキサンおよび15mlのブタノールを加えた。約1分間にわたる超音波処理の後、20mlのメタノールを加えた。ナノ結晶を遠心分離し、上清を廃棄した。ナノ結晶を、10mlのヘキサンでさらに2回洗浄し、20mlのメタノールで沈殿させ、再度遠心分離した。精製されたキャッピングされたCdフリーナノ結晶を、さらなるキャッピングのためにヘキサン中で懸濁させた。
【0304】
精製されたナノ結晶を、三つ口丸底フラスコに移し、ヘキサンを減圧によって除去した。トリオクチルホスフィンオキシド(8.0g)およびステアリン酸(0.2g)を加えた。フラスコを、10分間にわたって真空パージし、30分間にわたって100℃に、次に、30分間にわたって200℃に加熱した。キャッピング材料を、グローブボックス中で以下のように調製した:40ulのジメチル亜鉛、80ulのヘキサメチルジシラチアンおよび4mlのトリオクチルホスフィンを、ガラスバイアル中で混合し、ゴム栓で密閉した。キャッピング溶液を、シリンジに入れ、グローブボックスから取り出し、少なくとも10分間にわたってコア溶液中にゆっくりと投入した。得られた溶液を、200℃で30分間撹拌し、次に、熱から取り外し、室温に冷ました。
【0305】
アルミニウムのいくつかの単分子層を、キャッピングされたCdフリーナノ結晶上で以下のように成長させた。10ulのトリメチルアルミニウムおよび1mlのトリオクチルホスフィンを混合して、キャッピング溶液を形成することによって、グローブボックス中でアルミニウムキャッピング材料を調製し、ゴム栓で密閉した。キャッピング溶液を、シリンジに入れ、グローブボックスから取り出し、200℃で約5分間にわたってコア/シェルナノ結晶溶液中にゆっくりと投入し、次に、熱から取り外し、100℃に冷却させ、その時点で、フラスコを空気に開き、それにより、コア/シェルナノ結晶上のアルミニウム外側コーティングに、100℃で3時間にわたってゆっくりと酸化させた。Alのいくつかの単分子層を、コア/シェルナノ結晶上に被覆して、不動態化コア/シェルCdフリーナノ結晶を提供した。
【0306】
実施例A11−ZnCuGaS
0.25gの酢酸亜鉛、0.3gの酢酸ガリウム、0.01gの酢酸銅を、5mlのオクタデカン、0.5mlのオクタン酸、および2mlの1−ドデカンチオールとともに、三つ口フラスコ中に充填した。脱気せずに、温度を270℃に上昇させた。10分後に熱を除去した。
【0307】
この実施例は、約550nmの発光波長を有するCdフリー量子ドットを提供した。
【0308】
実施例A12−ZnCuAlS
0.25gの酢酸亜鉛、0.3gの酢酸アルミニウム、0.01gの酢酸銅を、5mlのオクタデカン、0.5mlのオクタン酸、および2mlの1−ドデカンチオールとともに、三つ口フラスコ中に充填した。脱気せずに、温度を270℃に上昇させた。10分後に熱を除去した。
【0309】
この実施例は、約490nmの発光波長を有するCdフリー量子ドットを提供した。
【0310】
実施例A13 ZnCuInSSe
0.25gの酢酸亜鉛、0.3gの酢酸インジウム、0.01gの酢酸銅を、5mlのオクタデカン、0.5mlのオクタン酸、200ulのTBP/Se溶液(濃度は、1g/10mlであった)、および2mlの1−ドデカンチオールとともに、三つ口フラスコ中に充填した。脱気せずに、温度を270℃に上昇させた。10分後に熱を除去した。
【0311】
この実施例は、約550nmの発光波長を有するCdフリー量子ドットを提供した。
【0312】
実施例A14−ZnCuInGaS
0.25gの酢酸亜鉛、0.3gの酢酸インジウム、0.1gの酢酸ガリウム、0.01gの酢酸銅を、5mlのオクタデカン、0.5mlのオクタン酸、および2mlの1−ドデカンチオールとともに、三つ口フラスコ中に充填した。脱気せずに、温度を270℃に上昇させた。10分後に熱を除去した。
【0313】
この実施例は、約560nmの発光波長を有するCdフリー量子ドットを提供した。
【0314】
実施例A15−ZnCuInGaSSe
0.25gの酢酸亜鉛、0.3gの酢酸インジウム、0.1gの酢酸ガリウム、0.01gの酢酸銅を、5mlのオクタデカン、0.5mlのオクタン酸、200ulのTBP/Se溶液(濃度は、1g/10mlであった)、および2mlの1−ドデカンチオールとともに、三つ口フラスコ中に充填した。脱気せずに、温度を270℃に上昇させた。10分後に熱を除去した。
【0315】
この実施例は、約560nmの発光波長を有するCdフリー量子ドットを提供した。
【0316】
実施例A16−ZnCuInAlS
0.25gの酢酸亜鉛、0.3gの酢酸インジウム、0.1gの酢酸アルミニウム、0.01gの酢酸銅を、5mlのオクタデカン、0.5mlのオクタン酸、および2mlの1−ドデカンチオールとともに、三つ口フラスコ中に充填した。脱気せずに、温度を270℃に上昇させた。10分後に熱を除去した。
【0317】
この実施例は、約500nmの発光波長を有する量子ドットを提供した。
【0318】
実施例A17−ZnCuInAlSSe
0.25gの酢酸亜鉛、0.3gの酢酸インジウム、0.1gの酢酸アルミニウム、0.01gの酢酸銅を、5mlのオクタデカン、0.5mlのオクタン酸、200ulのTBP/Se溶液(濃度は、1g/10mlであった)、および2mlの1−ドデカンチオールとともに、三つ口フラスコ中に充填した。脱気せずに、温度を270℃に上昇させた。10分後に熱を除去した。
【0319】
この実施例は、約540nmの発光波長を有する量子ドットを提供した。
【0320】
実施例A18−ZnCuGaAlS
0.25gの酢酸亜鉛、0.3gの酢酸ガリウム、0.1gの酢酸アルミニウム、0.01gの酢酸銅を、5mlのオクタデカン、0.5mlのオクタン酸、および2mlの1−ドデカンチオールとともに、三つ口フラスコ中に充填した。脱気せずに、温度を270℃に上昇させた。10分後に熱を除去した。
【0321】
この実施例は、約500nmの発光波長を有する量子ドットを提供した。
【0322】
実施例A19−ZnCuGaAlSSe
0.25gの酢酸亜鉛、0.3gの酢酸ガリウム、0.1gの酢酸アルミニウム、0.01gの酢酸銅を、5mlのオクタデカン、0.5mlのオクタン酸、200ulのTBP/Se溶液(濃度は、1g/10mlであった)、および2mlの1−ドデカンチオールとともに、三つ口フラスコ中に充填した。脱気せずに、温度を270℃に上昇させた。10分後に熱を除去した。
【0323】
この実施例は、約540nmの発光波長を有する量子ドットを提供した。
【0324】
実施例B1:pH調整剤で調整されるQd
コア合成
三つ口丸底フラスコ中で、酢酸亜鉛(0.2g)(pH調整剤として)、オクタデセン(80mL)を、オレイン酸(4ml)と混合し、CdO(0.512g)に加えた。フラスコを、20分間にわたって99.999%の窒素でフラッシュし、次に、溶液が透明になるまで300℃に加熱した。セレンおよび硫黄のストック溶液を、99.999%の窒素下で、グローブボックス中で調製した。セレン粉末(1.00g)を、トリブチルホスフィン(10.00mL)と混合し、硫黄粉末(0.050g)を、オクタデセン(20.00mL)と混合した。200μLのセレン前駆体を、20mLのガラスバイアル中で、20mLの硫黄前駆体と混合し、オクタデセンで2.00mLに希釈し、次に、シリンジを介してカドミウム前駆体に加え、60分間にわたって、または発光波長の変化が観察されなくなるまで撹拌した。これにより、570nmで蛍光を発するコアが生成される。
【0325】
実施例B2〜B6
コア合成におけるpH調整剤としての酢酸亜鉛の量を、以下の表に示されるように変更したことを除いて、実施例B1と同じ手順を、実施例B2〜B6のために行った。
【0326】
【表2】
【0327】
Y軸に発光極大およびX軸に酢酸亜鉛をプロットすることによって、所望の波長のために適切な量の酢酸亜鉛を決定するように検量線を提供するために、このデータはグラフ化され得る。このデータに基づいた検量線が、図12に示される。
【0328】
実施例B7〜B11
実施例B1と同じ手順を、実施例B7〜B11のためのコアを生成するために行った。次に、コアを、精製およびキャピングに供した。
【0329】
精製
全コア溶液を、80mLのヘキサンおよび180mLのブタノールに加えた。得られた溶液を遠心分離し(5分間にわたって2,680G)、上清を廃棄して、ナノ結晶を残した。ナノ結晶を、ヘキサン(10mL)中で懸濁させることによって3回洗浄し、メタノール(30mL)で沈殿させ、遠心分離した(10分間にわたって2,680G)。次に、結晶を5mLのヘキサン中で懸濁させた。
【0330】
キャッピング
精製されたナノ結晶を、三つ口丸底フラスコに移し、溶媒(ヘキサン)を減圧によって除去した。酢酸亜鉛(以下の表を参照)、オクタデセン(20ml)、およびオレイン酸(10ml)をフラスコに加えた。フラスコを、10分間にわたって真空パージし、次に、30分間にわたって100℃に、次に、さらに30分間にわたって200℃に加熱した。ナノ結晶を加熱しながら、キャッピング溶液を、グローブボックス中で、以下のように調製した:
ジメチル亜鉛(40μL)を、ヘキサメチルジシラチアン(80μL、CAS番号3385−94−2)およびトリオクチルホスフィン(2.00mL)と混合した。キャッピング溶液を、シリンジに入れ、グローブボックスから取り出し、5分間にわたって一滴ずつナノ結晶に加えた。得られた溶液を、200℃で2時間撹拌し、次に、室温に冷ました。
【0331】
酢酸亜鉛(pH調整剤)の量を、キャッピング工程において、以下の表に示されるように変更した。キャッピング後の赤色シフトは、赤色シフトが長くなるほど、シェルが厚くなることを示す。より厚いシェルナノ結晶は、光安定性および化学安定性を高めることができる。
【0332】
【表3】
【0333】
このデータに基づいた発光波長のシフトについての検量線が、図13に示される。
【0334】
実施例B12(比較例)
CdZnSSeナノ結晶を、以下のように作製した。100mlの三つ口丸底フラスコに、0.16mmolのCdO、0.4mmolのZn(AC)2、200μlのオレイン酸、および8mlのオクタデセンを加えた。フラスコを真空に接続し、約10分間脱気し、次に、高純度の窒素を充填し、300℃まで加熱し、無色溶液が形成されるまで撹拌した。硫黄およびセレンのストック溶液を、99.999%の窒素が充填されたグローブボックス中で調製した。セレン粉末(1.00g)を、トリブチルホスフィン(10.00ml)と混合し、硫黄粉末(0.05g)を、オクタデセン(25.00ml)と混合した。ある量の上記の硫黄およびセレンのストック溶液を、ガラスバイアル中で共に混合し、4mlになるまでオクタデセンで希釈して、本明細書において投入溶液と呼ばれる溶液を得た。硫黄およびセレンの量は、合計で1mmolであり、S対Se比を、得られたナノ結晶の最終的な発光波長によって決定した。投入溶液を、シリンジを用いてグローブボックスから取り出し、成長温度を270℃に上昇させながら、CdおよびZn前駆体溶液中に素早く投入した。この温度を、40〜60分間にわたって維持して、ナノ結晶を、所望の発光波長によって決定した際に所望のサイズに成長させた。
【0335】
グローブボックス中で、溶液を、調製されたナノ結晶上へのZnSの1またはそれ以上の層の堆積に使用するために調製した。上で調製されたナノ結晶の発光波長の変化が観察されなかった場合、溶液を、ナノ結晶溶液中にゆっくりと投入した。この投入プロセスは約2分間続いた。
【0336】
得られた溶液を、50mlの円錐形遠心分離管に加え、5mlのヘキサンおよび15mlのブタノールを加えた。約1分間にわたる超音波処理の後、20mlのメタノールを加えた。ナノ結晶を遠心分離し、上清を廃棄した。ナノ結晶を、10mlのヘキサンでさらに2回洗浄し、20mlのメタノールで沈殿させ、再度遠心分離した。精製されたナノ結晶を、さらなるキャッピングのためにヘキサン中で懸濁させた。
【0337】
精製されたナノ結晶を、三つ口丸底フラスコに移し、ヘキサンを減圧によって除去した。トリオクチルホスフィンオキシド(8.0g)およびステアリン酸(0.2g)を加えた。フラスコを、10分間にわたって真空パージし、30分間にわたって100℃に、次に、30分間にわたって200℃に加熱した。キャッピング材料を、グローブボックス中で以下のように調製した:40ulのジメチル亜鉛、80ulのヘキサメチルジシラチアン、および4mlのトリオクチルホスフィンを、ガラスバイアル中で混合し、ゴム栓で密閉した。キャッピング溶液を、シリンジに入れ、グローブボックスから取り出し、少なくとも10分間にわたってコア溶液中にゆっくりと投入した。得られた溶液を、200℃で30分間撹拌し、次に、熱から取り外し、室温に冷ました。
【0338】
実施例B13およびB14
本発明において作製されたナノ結晶の光安定性を比較するために、ナノ結晶−ポリメチルメタクリレート(polymethylmethacrylate:PMMA)フィルムを、堆積させ、強度の減衰をモニターするために超高強度青色(450nm)LEDによって照射した。Brinkman Homogenizerを用いてナノ結晶をPMMAのトルエン溶液中に分散させ、次に、Elcometer 4340 Automatic Film Applicatorを用いてフィルムを被覆し、フィルムを室温で乾燥させることによって、フィルムを作製した。このように、実施例B11および例B12からのナノ結晶(5mg)を、PMMA(5g)に加えて、薄膜を作製した。連続照射のために超高強度青色(450nm)LED下で。図11は、安定性試験の結果を示す(実施例B13は、実施例B11からのナノ結晶を含み、実施例B14は、例B12からのナノ結晶を含む。データは、本発明にしたがって作製されたナノ結晶の光安定性を実証する。
【0339】
図から分かるように、PMMAフィルムにおいて実施例B11にしたがってナノ結晶を用いたフィルムは、少なくとも120分間にわたって発光を維持する一方、PMMAフィルムにおける例B12の比較例のナノ結晶は、わずか20分後でさえ、著しく劣化する。
【0340】
実施例B15〜B20
ポリマーを、トルエン中でのラジカル重合によって合成した。様々な量のビニル系モノマー(コモノマーの重量比が示される以下の表に示されるように)を、重合に使用した。モノマーを、トルエン(1gのモノマーに対して1mL)に溶解させた。開始剤、アゾビスイソブチロニトリル(azobisisobutyronitrile:AIBN、モノマーに対して0.5重量%)を加えた。混合物を、30分間にわたってN2でパージした。次に、混合物を70℃に加熱し、一晩撹拌した。得られた生成物は、無色の粘性の液体であった。MMA=メチルメタクリレート(methyl methacrylate)、BA=ブチルアクリレート(butyl acrylate)、CHA=シクロヘキシルアクリレート(cyclohexyl acrylate)、NNDMT=式Vであり、ここで、R3およびR4は両方ともメチルである。MwおよびPDI値を、分析標準を用いてGPCによって決定した。
【0341】
【表4】
【0342】
Brinkman Homogenizerを用いて、実施例B11のナノ結晶を、実施例B15〜B20におけるポリマーのトルエン溶液中で分散させ、次に、Elcometer 4340 Automatic Film Applicatorを用いてフィルムを鋳造し、実施例B13およびB14に記載されるようにフィルムを室温で乾燥させることによって、キャストフィルムを作製した。実施例B18を除いて全てが、実施例B13において実証されるように向上した安定性を有する許容できるフィルムを作製した。
【0343】
Brinkman Homogenizerを用いて、実施例B11のナノ結晶を、実施例B15〜B20におけるポリマーのトルエン溶液中で分散させ、次に、真空オーブン中で、125℃および30mm Hgの減圧で、トルエンを除去することによって、押出フィルムを作製した。次に、得られた材料を、加熱管中で175℃になるまで溶融させ、ガラススライド上に押し出し、冷却させて、1000mgのポリマー当たり0.5mgのナノ結晶の濃度を含む複合体を形成した。
【0344】
実施例B21
不動態化CdZnSSeナノ結晶を、以下のように作製した。100mlの三つ口丸底フラスコに、0.16mmolのCdO、0.4mmolのZn(AC)2、200μlのオレイン酸、および8mlのオクタデセンを加えた。フラスコを真空に接続し、約10分間脱気し、次に、高純度の窒素を充填し、300℃まで加熱し、無色溶液が形成されるまで撹拌した。硫黄およびセレンのストック溶液を、99.999%の窒素が充填されたグローブボックス中で調製した。セレン粉末(1.00g)を、トリブチルホスフィン(10.00ml)と混合し、硫黄粉末(0.05g)を、オクタデセン(25.00ml)と混合した。ある量の上記の硫黄およびセレンのストック溶液を、ガラスバイアル中で共に混合し、4mlになるまでオクタデセンで希釈して、本明細書において投入溶液と呼ばれる溶液を得た。硫黄およびセレンの量は、合計で1mmolであり、S対Se比を、得られたナノ結晶の最終的な発光波長によって決定した。投入溶液を、シリンジを用いてグローブボックスから取り出し、成長温度を270℃に上昇させながら、CdおよびZn前駆体溶液中に素早く投入した。この温度を、40〜60分間にわたって維持して、ナノ結晶を、所望の発光波長によって決定した際に所望のサイズに成長させた。
【0345】
グローブボックス中で、溶液を、調製されたナノ結晶上へのZnSの1またはそれ以上の層の堆積に使用するために調製した。上で調製されたナノ結晶の発光波長の変化が観察されなかった場合、溶液を、ナノ結晶溶液中にゆっくりと投入した。この投入プロセスは約2分間続いた。
【0346】
得られた溶液を、50mlの円錐形遠心分離管に加え、5mlのヘキサンおよび15mlのブタノールを加えた。約1分間にわたる超音波処理の後、20mlのメタノールを加えた。ナノ結晶を遠心分離し、上清を廃棄した。ナノ結晶を、10mlのヘキサンでさらに2回洗浄し、20mlのメタノールで沈殿させ、再度遠心分離した。精製されたナノ結晶を、さらなるキャッピングのためにヘキサン中で懸濁させた。
【0347】
精製されたナノ結晶を、三つ口丸底フラスコに移し、ヘキサンを減圧によって除去した。トリオクチルホスフィンオキシド(8.0g)およびステアリン酸(0.2g)を加えた。フラスコを、10分間にわたって真空パージし、30分間にわたって100℃に、次に、30分間にわたって200℃に加熱した。キャッピング材料を、グローブボックス中で以下のように調製した:40ulのジメチル亜鉛、80ulのヘキサメチルジシラチアン、および4mlのトリオクチルホスフィンを、ガラスバイアル中で混合し、ゴム栓で密閉した。キャッピング溶液を、シリンジに入れ、グローブボックスから取り出し、少なくとも10分間にわたってコア溶液中にゆっくりと投入した。得られた溶液を、200℃で30分間撹拌し、次に、熱から取り外し、室温に冷ました。
【0348】
アルミニウムのいくつかの単分子層を、ナノ結晶上で以下のように成長させた。10ulのトリメチルアルミニウムおよび1mlのトリオクチルホスフィンを混合して、キャッピング溶液を形成することによって、グローブボックス中でアルミニウムキャッピング材料を調製し、ゴム栓で密閉した。キャッピング溶液を、シリンジに入れ、グローブボックスから取り出し、220℃で約5分間にわたってコア/シェルナノ結晶溶液にゆっくりと投入し、次に、熱から取り外し、100℃に冷却させ、その時点で、フラスコを空気に開き、それにより、コア/シェルナノ結晶上のアルミニウム外側コーティングに、100℃で1時間にわたってゆっくりと酸化させた。Al2O3のいくつかの単分子層を、コア/シェルナノ結晶上に被覆して、不動態化コア/シェルナノ結晶を提供した。
【0349】
実施例B22
実施例B21の不動態化ナノ結晶を含む溶液流延フィルムを、以下のように調製した:実施例16の不動態化ナノ結晶を、シクロヘキシルアクリレートホモポリマーおよびトルエンの50/50w/w溶液に加えた。ポリマーのMwは、約125,000であった。不動態化ナノ結晶を、ポリマーのグラム当たり0.5mgのナノ結晶の濃度で加えた。次に、混合物を、高せん断ミキサー(Brinkman、モデル番号PT/35)を用いて2分間にわたって混合した。次に、混合物を、ガラススライド上で、0.5mmの厚さになるまで乾燥させた。
【0350】
図14は、450nmにおける励起およびスペクトルの赤色波長における発光を用いて作製される溶液流延フィルムの発光スペクトルを示す。
【0351】
実施例B23
実施例B21の不動態化ナノ結晶を含む溶融押出フィルムを、以下のように調製した:実施例B21の不動態化ナノ結晶を、トルエン中のシクロヘキシルアクリレートホモポリマー(Mw 約125,000)の50/50w/w溶液に加えた。次に、混合物を、高せん断ミキサー(Brinkman、モデル番号PT/35)を用いて2分間にわたって均質化した。均質化された混合物を乾燥させて、ナノ結晶/ポリマー複合材料を形成し、それを、1〜5mmの小片に粉砕し、ガラスシリンジ中に充填し、175℃に加熱した。次に、溶融された混合物を、ガラススライド上で、0.5mmの厚さで押し出した。
【0352】
図15は、450nmにおける励起およびスペクトルの赤色波長における発光を用いて作製される溶融押出フィルムの発光スペクトルを示す。
【0353】
本発明は、その具体的な実施形態のいくつかの詳細を参照して説明されてきた。このような詳細は、それらが添付の特許請求の範囲に含まれる場合を除いて、およびそれらが添付の特許請求の範囲に含まれる程度まで、本発明の範囲に対する限定と見なされることは意図されていない。
【0354】
熱硬化性樹脂の例:QDの存在下で硬化する熱硬化性アクリル配合物の例は、以下のとおりである:ヘプチルアクリレート60%(重量)、シクロヘキシルアクリレート30%、トリメチロールプロパントリアクリレート(trimethylolpropane triacrylate:TMPTA)10%。これに、0.1%の過酸化ベンゾイルなどの熱開始剤、および0.001〜20%wt/wtの範囲のQDを加える。10分間にわたって85℃に加熱することによって、混合物を重合する。
【0355】
いずれの量子ドットも、本明細書に開示されるキャッピングおよび不動態化方法に供することができ、さらに、本明細書に記載されるポリマーマトリックスに組み込むことができることが、本明細書において想定される。本開示または上記の実施例が、特定の量子ドットタイプ、特定のキャッピング、特定の不動態化層、および特定のポリマーの特定の組合せに関することは、本開示が、それらの特定の組合せに限定されることを示唆することを意図されていない。本開示は、本質的に、例示的なものであり、限定的なものではない。当業者は、本開示の範囲および趣旨から逸脱せずに主題の変形を認識するであろう。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【国際調査報告】