(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】2019522821
(43)【公表日】20190815
(54)【発明の名称】積層構造を有する光導波路物品およびそれを形成する方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/12 20060101AFI20190719BHJP
   C03C 21/00 20060101ALI20190719BHJP
   G02B 6/122 20060101ALI20190719BHJP
   G02B 6/13 20060101ALI20190719BHJP
【FI】
   !G02B6/12 371
   !C03C21/00 B
   !G02B6/122
   !G02B6/13
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】26
(21)【出願番号】2019501954
(86)(22)【出願日】20170711
(85)【翻訳文提出日】20190308
(86)【国際出願番号】US2017041439
(87)【国際公開番号】WO2018013505
(87)【国際公開日】20180118
(31)【優先権主張番号】62/362,870
(32)【優先日】20160715
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
【住所又は居所】アメリカ合衆国 ニューヨーク州 14831 コーニング リヴァーフロント プラザ 1
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100123652
【弁理士】
【氏名又は名称】坂野 博行
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 秀明
(72)【発明者】
【氏名】バガヴァトゥラ,ヴェンカタ アディセシャイア
【住所又は居所】アメリカ合衆国 ニューヨーク州 14814 ビッグ フラッツ オーチャード ドライヴ 29
(72)【発明者】
【氏名】ヴェンカタラマン,ナテサン
【住所又は居所】アメリカ合衆国 ニューヨーク州 14870 ペインテッド ポスト タラ プレイス 3
【テーマコード(参考)】
2H147
4G059
【Fターム(参考)】
2H147AB36
2H147BA01
2H147BC02
2H147BC05
2H147BD01
2H147BE11
2H147CA10
2H147EA09B
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2H147EA38C
2H147EA39A
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2H147FA00
2H147FB01
2H147FB13
2H147FC02
2H147FC08
2H147FC09
2H147FD09
2H147FE02
2H147GA12
4G059AA11
4G059AC09
(57)【要約】
光導波路物品は、屈折率n基部を有する第1のガラス組成物から形成された基部層、およびその基部層に融合された、屈折率n表面を有する第2のガラス組成物から形成された表面層を備える。導波路がその表面層内に配置されている。n基部とn表面は、式|n表面−n基部|≧0.001を満たす。光導波路物品を形成する方法は、表面層に融合された基部層を備えるガラス積層構造のその表面層内に導波路を形成する工程を有してなる。その基部層は、屈折率n基部を有する第1のガラス組成物から形成される。その表面層は、屈折率n表面を有する第2のガラス組成物から形成される。n基部とn表面は、式|n表面−n基部|≧0.001を満たす。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光導波路物品において、
屈折率n基部を有する第1のガラス組成物から形成された基部層、
該基部層に融合された、屈折率n表面を有する第2のガラス組成物から形成された表面層、および
前記表面層内に配置された導波路、
を備え、
基部とn表面は、式|n表面−n基部|≧0.001を満たし、
前記基部層の前記第1のガラス組成物が基部熱膨張係数CTE基部を有し、前記表面層の前記第2のガラス組成物が、該表面層が圧縮応力下にあるように、CTE基部より小さい表面熱膨張係数CTE表面を有する、光導波路物品。
【請求項2】
光導波路物品において、
基部層、該基部層に融合された表面層を備えた積層ガラスシートであって、該基部層は、屈折率n基部を有する第1のガラス組成物から形成され、該表面層は、屈折率n表面を有する第2のガラス組成物から形成され、n基部とn表面は、式|n表面−n基部|≧0.001を満たす、積層ガラスシート、および
前記表面層内に配置された導波路、
を備えた光導波路物品。
【請求項3】
前記導波路が、低屈折率領域により少なくとも部分的に取り囲まれた高屈折率領域から作られ、
前記高屈折率領域が屈折率nを有し、
前記低屈折率領域が屈折率nを有し、
とnは、式n−n≧0.001を満たす、請求項1または2記載の光導波路物品。
【請求項4】
またはnの一方がn表面と実質的に等しい、請求項3記載の光導波路物品。
【請求項5】
前記低屈折率領域または前記高屈折率領域の一方が前記表面層のイオン交換された領域から作られる、請求項3または4記載の光導波路物品。
【請求項6】
前記第1のガラス組成物が基部イオン交換拡散性D基部を有し、前記第2のガラス組成物が、D基部より大きい表面イオン交換拡散性D表面を有する、請求項1から5いずれか1項記載の光導波路物品。
【請求項7】
前記基部層に融合され、前記第2のガラス組成物または第3のガラス組成物から形成された第2の表面層をさらに備え、該基部層が前記表面層と該第2の表面層との間に配置されている、請求項1から6いずれか1項記載の光導波路物品。
【請求項8】
光導波路物品を形成する方法において、
表面層に融合された基部層を備えたガラス積層構造の該表面層内に導波路を形成する工程であって、該基部層は、屈折率n基部を有する第1のガラス組成物から形成され、該表面層は、屈折率n表面を有する第2のガラス組成物から形成される、工程、
を有してなり、
基部とn表面は、式|n表面−n基部|≧0.001を満たす、方法。
【請求項9】
前記表面層内に前記導波路を埋める工程をさらに含む、請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記導波路を埋める工程が、前記表面層のイオン交換された領域を、該表面層のイオン交換されていない領域が該イオン交換された領域によって該表面層の外面から隔てられるように、該表面層の表面領域を占めるように延在させる工程を含む、請求項9記載の方法。
【請求項11】
前記導波路を埋める工程が、前記表面層の外面に低屈折率コーティング層を施す工程を含む、請求項9記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【優先権】
【0001】
本出願は、その内容がここに全て引用される、2016年7月15日に出願された米国仮特許出願第62/362870号に対する優先権の恩恵を主張するものである。
【技術分野】
【0002】
本開示は、光導波路に関し、より詳しくは、積層構造を有する表面光導波路に関する。
【背景技術】
【0003】
光導波路は、低屈折率材料により取り囲まれた高屈折率材料として構成することができる。その導波路中に導入される光は、その高屈折率材料内を伝播する。
【0004】
光導波路は、イオン交換可能なガラス基板で開始し、導波路の目的の経路が露出されるようにその基板の表面にマスクを施し、そのマスクが施された基板にイオン交換処理を施して、露出された領域の屈折率を上昇させ、それによって、その目的の経路に沿って高屈折率材料を形成することによって、製造することができる。
【発明の概要】
【0005】
積層構造を有する光導波路物品、およびそれを形成する方法が、ここに開示されている。
【0006】
屈折率n基部を有する第1のガラス組成物から形成された基部層、およびその基部層に融合された、屈折率n表面を有する第2のガラス組成物から形成された表面層を備える光導波路物品が、ここに開示されている。導波路は表面層内に配置されている。n基部とn表面は、式n表面−n基部≧0.001を満たす。
【0007】
基部層およびその基部層に融合された表面層を備えた積層ガラスシートを含む光導波路物品も、ここに開示されている。その基部層は、屈折率n基部を有する第1のガラス組成物から形成される。その表面層は、屈折率n表面を有する第2のガラス組成物から形成される。n基部とn表面は、式|n表面−n基部|≧0.001を満たす。導波路はその表面層内に配置されている。
【0008】
光導波路物品を形成する方法も、ここに開示されている。その方法は、表面層に融合された基部層を備えたガラス積層構造のその表面層内に導波路を形成する工程を有してなる。その基部層は、屈折率n基部を有する第1のガラス組成物から形成される。その表面層は、屈折率n表面を有する第2のガラス組成物から形成される。n基部とn表面は、式|n表面−n基部|≧0.001を満たす。
【0009】
先の一般的な説明および以下の詳細な説明の両方とも、例示に過ぎず、請求項の主題の性質および特徴を理解するための概要または骨子を提供する目的であることを理解すべきである。添付図面は、さらなる理解を与えるために含まれ、本明細書に包含され、その一部を構成する。図面は、1つ以上の実施の形態を示しており、説明と共に、様々な実施の形態の原理および作動を説明する働きをする。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】ガラス積層構造を備えた光導波路物品の1つの例示の実施の形態の断面概略図
【図2】その表面層内に導波路を形成する前の、図1のガラス積層構造の断面概略図
【図3】ガラス積層構造を形成するために使用できるオーバーフロー分配器の1つの例示の実施の形態の断面概略図
【図4】表面層の外面にマスクが施された、図2のガラス積層構造の断面概略図
【図5】表面層の外面の覆われていない部分にイオン交換処理を選択的に施して、表面層の低屈折率領域を形成した後の、図4のガラス積層構造の断面概略図
【図6】表面層の外面からマスクを取り外し、その表面層の外面に第2のイオン交換処理を施した後の、図5のガラス積層構造の断面概略図
【図7】表面層の外面からマスクを取り外し、表面層の外面に低屈折率コーティング層を施した後の、図5のガラス積層構造の断面概略図
【図8】表面層の外面にマスクが施された図2のガラス積層構造であって、その表面層の外面の覆われていない部分にイオン交換処理を選択的に施して、その表面層の低屈折率領域を形成した後のガラス積層構造の断面概略図
【図9】表面層の外面からマスクを取り外し、表面層の低屈折率領域に空洞を形成した後の、図5のガラス積層構造の断面概略図
【図10】表面層の外面にマスクが施された、その表面層内に導波路を形成する前のガラス積層構造の断面概略図
【図11】表面層の外面の覆われていない部分にイオン交換処理を選択的に施して、表面層の高屈折率領域を形成した後の、図10のガラス積層構造の断面概略図
【発明を実施するための形態】
【0011】
ここで、添付図面に示された例示の実施の形態を詳しく参照する。できるときはいつでも、同じまたは同様の部分を指すために、図面に亘り同じ参照番号が使用される。図面における構成部材は、必ずしも、同じ縮尺で描かれておらず、その代わりに、強調されており、それらの例示の実施の形態の原理を図解する。
【0012】
ここに用いたように、「イオン交換拡散性」という用語は、イオン交換過程に関与するイオンの相互拡散(interdiffusionまたはmutual diffusion)係数を称する。イオンの相互拡散は、一次元で、以下の式:
【0013】
【数1】
【0014】
により定義されるフィックの第二法則により記載することができ、式中、xは、ガラスの厚さ方向の座標であり、cは、例えば、Naなどのイオンの濃度であり、Jは、濃度フラックスであり、Dは、J. CrankのTHE MATHEMATICS OF DIFFUSION, 第2版, Oxford Science Publications (2001)に定義されているような、有効相互拡散係数である。
【0015】
ここに用いたように、「感光性ガラス」という用語は、ガラスの少なくとも一部がガラスセラミックに変換されているような、放射線への暴露に反応して変換を経ることのできるガラスを称する。感光性ガラスの例としては、以下に限られないが、光反応性ガラスおよび光屈折ガラスが挙げられる。その変換は、例えば、乳濁化により、屈折率の変化により、または電磁放射線の吸収スペクトルの変化(例えば、色の変化)により、行われ得る。いくつかの実施の形態において、その放射線は、紫外線(UV)放射を含む。いくつかの実施の形態において、放射線への暴露の後に、ガラスの変換をもたらすのに役立つように展開処理(例えば、熱処理)が行われる。いくつかの実施の形態において、感光性ガラスの放射線への暴露と、その後の展開処理により、その感光性ガラスの暴露された部分が乳濁化される。「感光性ガラス」という用語は、非変換状態(すなわち、放射線への暴露および/または展開処理の前)または変換状態(すなわち、放射線への暴露および/または展開処理の後)のいずれの材料を称するためにも使用できる。
【0016】
ここに用いたように、「平均熱膨張係数」または「平均CTE」という用語は、0℃と300℃の間の所定の材料または層の平均線熱膨張係数を称する。ここに用いたように、「熱膨張係数」または「CTE」という用語は、特に明記のない限り、平均熱膨張係数を称する。CTEは、例えば、ASTM E228"Standard Test Method for Linear Thermal Expansion of Solid Materials With a Push-Rod Dilatometer"またはISO 7991:1987"Glass -- Determination of coefficient of mean linear thermal expansion"に記載された手順を称して決定することができる。
【0017】
ここに記載された様々な実施の形態において、ガラス積層構造は、そのガラス積層構造内の所定の深さに圧縮応力または引張応力を有する。圧縮応力および/または引張応力の値は、例えば、複屈折に基づく測定技術、屈折近視野(RNF)技術、または光弾性測定技術(例えば、旋光計を使用する)を含む任意の適切な技術を使用して決定することができる。応力測定のための例示の基準の例としては、ASTM C1422/C1422M−10"Standard Specification for Chemically Strengthened Flat Glass"およびASTM F218"Standard Method for Analyzing Stress in Glass"が挙げられる。
【0018】
様々な実施の形態において、光導波路物品は、基部層およびその基部層に隣接した少なくとも1つの表面層を備えたガラス積層構造を含む。その基部層および表面層の各々は、独立して、ガラス材料、セラミック材料、ガラスセラミック材料、またはその組合せを含むガラス層である。その基部層は基部屈折率n基部を有し、表面層は表面屈折率n表面を有する。基部屈折率n基部および表面屈折率n表面は、ここに記載されているような任意のイオン交換処理前のそれぞれの層の屈折率を称する。例えば、基部層は、基部屈折率n基部を有する第1のガラス組成物から形成され、表面層は、n基部とは異なる表面屈折率n表面を有する第2のガラス組成物から形成される。例えば、n基部およびn表面は、少なくとも約0.001だけ異なる。いくつかの実施の形態において、n基部はn表面より小さい。他の実施の形態において、n基部はn表面より大きい。その光導波路物品は、そのガラス積層構造の表面層内に配置された少なくとも1つの導波路を備える。その導波路は、屈折率が比較的低い1つ以上の領域に少なくとも部分的に取り囲まれた屈折率が比較的高い領域を含む。例えば、その導波路は、表面層の比較的低い屈折率のマトリクス内に延在する比較的高い屈折率のチャンネルを含む。いくつかの実施の形態において、表面層の一部の屈折率は、導波路を形成するために(例えば、比較的低い屈折率のマトリクスを形成するために)、減少している。他の実施の形態において、表面層の一部の屈折率は、導波路を形成するために(例えば、比較的高い屈折率のチャンネルを形成するために)、増加している。その表面層の屈折率は、積層構造にイオン交換処理を施して、ここに記載されたような導波路を形成することによって、変えることができる。
【0019】
図1は、ガラス積層構造100を備えた光導波路物品10の1つの例示の実施の形態の断面概略図である。いくつかの実施の形態において、ガラス積層構造100は、複数のガラス層を含む積層ガラスシートを備える。その積層ガラスシートは、図1に示されるように実質的に平面、または非平面(例えば、湾曲または屈曲した)であり得る。ガラス積層構造100は、基部層102およびその基部層に隣接した表面層104を備える。いくつかの実施の形態において、ガラス積層構造100は、基部層102に隣接した第2の表面層106を備え、その基部層は、図1に示されるように、表面層104と第2の表面層との間に配置されている。他の実施の形態において、第2の表面層は省かれている。いくつかの実施の形態において、表面層104および/または第2の表面層106は、図1に示されるような外面層である。例えば、表面層104の外面108は、ガラス積層構造100の外面として働く、および/または第2の表面層106の外面110は、そのガラス積層構造の外面として働く。他の実施の形態において、その表面層および/または第2の表面層は、基部層と外面層との間に配置された中間層である。そのような実施の形態において、その外面層は、外面ガラス層、コーティング層(例えば、高分子、金属、またはセラミックのコーティング層)、または別の適切な層であり得る。いくつかの実施の形態において、その外面層は、透明導体、半導体、電気光学素子、または液晶を含む。
【0020】
基部層102は、第1の主面112およびその第1の主面と反対の第2の主面114を有する。いくつかの実施の形態において、表面層104は、基部層102の第1の主面112に融合されている。それに加え、またはそれに代えて、第2の表面層106は、基部層102の第2の主面114に融合されている。そのような実施の形態において、表面層104と基部層102との間の界面、および/または第2の表面層106とその基部層との間の界面には、例えば、接着剤、コーティング層、またはそれぞれの表面層を基部層に接着するために加えられた、またはそのように構成された任意の非ガラス材料など、どのような結合材料もない。それゆえ、表面層104および/または第2の表面層106は、基部層102に直接融合されている、またはその基部層に直接隣接している。いくつかの実施の形態において、そのガラス積層構造は、基部層と表面層との間、および/または基部層と第2の表面層との間に配置された中間層を1つ以上含む。例えば、その中間層は、基部層と表面層との界面に形成された中間ガラス層および/または拡散層を含む。その拡散層は、その拡散層に隣接した各層の成分を含むブレンド領域(例えば、2つの直接隣接したガラス層の間のブレンド領域)を含み得る。いくつかの実施の形態において、ガラス積層構造100は、直接隣接するガラス層の間の界面がガラス・ガラス界面である、ガラス・ガラス積層体(例えば、その場で融合された多層ガラス・ガラス積層体)を含む。
【0021】
いくつかの実施の形態において、基部層102は、第1のガラス組成物から形成され、またはそれを含み、表面層104および/または第2の表面層106は、第1のガラス組成物とは異なる第2のガラス組成物から形成される、またはそれを含む。第1のガラス組成物および第2のガラス組成物は、そのガラス積層構造に、ここに記載されたような任意のタイプのイオン交換処理を施す前に、互いに異なる。例えば、図1に示された実施の形態において、基部層102は第1のガラス組成物を含み、表面層104および第2の表面層106の各々は第2のガラス組成物を含む。他の実施の形態において、その表面層は第2のガラス組成物を含み、第2の表面層は、第1のガラス組成物および/または第2のガラス組成物とは異なる第3のガラス組成物を含む。
【0022】
光導波路物品10は、ガラス積層構造100の表面層104内に配置された導波路130を含む。導波路130は、低屈折率領域134により少なくとも部分的に取り囲まれたまたは被包された高屈折率領域132を含む。「高屈折率」および「低屈折率」という用語は、相対的な用語であり、高屈折率領域132の屈折率nが低屈折率領域134の屈折率nよりも大きいことを意味する。例えば、nおよびnは、少なくとも約0.001だけ異なる、および/または式n−n≧0.001を満たす。いくつかの実施の形態において、導波路130は、高屈折率領域132と低屈折率領域134との間に移行領域を含む。その移行領域の屈折率は、nおよびnの間で変動する。その移行領域は、例えば、ここに記載されたような導波路130を形成するために使用されるイオン交換処理により生じる組成勾配の結果であり得る。いくつかの実施の形態において、nは、n表面と実質的に等しいまたは等しい。それゆえ、表面層104の一部の屈折率は、ここに記載されたように、高屈折率領域132の屈折率を実質的に低下させずに、低屈折率領域134を形成するために減少させることができる。他の実施の形態において、nは、n表面と実質的に等しいまたは等しい。それゆえ、表面層104の一部の屈折率は、ここに記載されたように、低屈折率領域134の屈折率を実質的に上昇させずに、高屈折率領域132を形成するために増加させることができる。
【0023】
図1に示された実施の形態において、高屈折率領域132は高屈折率チャンネルを構成し、低屈折率領域134は、そのチャンネルを少なくとも部分的に取り囲む低屈折率マトリクスを構成する。その高屈折率チャンネルは低屈折率マトリクス内に延在する(例えば、長さ方向またはX方向)。その高屈折率チャンネルは、その低屈折率マトリクスと互いに反対の側面で隣接している。それに加え、またはそれに代えて、高屈折率チャンネルは、基部層102に向かって面する基部側で、その基部層と、またはその低屈折率マトリクスと隣接している。それに加え、またはそれに代えて、高屈折率チャンネルは、その基部側と反対で、基部層102から離れるように面する表面側でその低屈折率マトリクスまたは低屈折率媒体と隣接している。その低屈折率媒体の例としては、空気、コーティング層(例えば、ガラス、金属、またはセラミックコーティング層)、nと比べて低い屈折率を有する別の適切な媒体が挙げられる。高屈折率領域132を屈折率がそれより低い材料で取り囲むことにより、導波路130が光導波路として機能することができる。例えば、高屈折率領域132中に投入される光は、伝搬方向(例えば、長さ方向またはX方向)にその高屈折率領域を通って伝播する。
【0024】
いくつかの実施の形態において、前記1つ以上の導波路は、表面層104内に配置された複数の導波路を含む。例えば、図1に示された実施の形態において、その1つ以上の導波路は、導波路130および導波路130と隣接した第2の導波路130aを含む。第2の導波路130aは、低屈折率領域134により少なくとも部分的に取り囲まれた第2の高屈折率領域132aを構成する。例えば、第2の高屈折率領域132aは第2の高屈折率チャンネルを構成し、低屈折率領域134は、隣接するチャンネルの間に配置された低屈折率マトリクスを構成する。その高屈折率チャンネルは低屈折率マトリクス内に延在する(例えば、長さ方向またはX方向)。
【0025】
図1に示された実施の形態は、表面層104内に配置された2つの導波路を含むと記載されているが、他の実施の形態も本開示に含まれる。他の実施の形態において、その1つ以上の導波路は、前記表面層内に配置された所定の数の導波路(例えば、3、4、またはそれより多い)を含む。それらの導波路は、同じ形態(例えば、形状および/またはサイズ)または異なる形態を有してもよい。
【0026】
いくつかの実施の形態において、光導波路物品10は、長さ(例えば、X方向)、幅(例えば、Y方向)、および厚さ(例えば、Z方向)を有する。その長さは、光導波路物品10の最大寸法であり、その厚さは、その光導波路物品の最小寸法である。光導波路物品10の長さおよび/または幅は、その光導波路物品の厚さの少なくとも10倍、少なくとも100倍、または少なくとも1000倍大きい。それゆえ、光導波路物品10は、光ファイバ導波路から区別されるように、平面光導波路、スラブ光導波路、またはストリップ光導波路と記載することができる。様々な実施の形態において、光導波路物品10は、非平面であることがある。それゆえ、光導波路物品10の長さ、幅、または厚さの1つ以上は、非線形であって、または湾曲していて差し支えない。
【0027】
高屈折率領域132が、複数の高屈折率チャンネルを含むとここに記載されており、低屈折率領域が、隣接するチャンネルの間に配置された低屈折率マトリクスを含むと記載されているが、他の実施の形態も本開示に含まれる。他の実施の形態において、高屈折率領域は、1つ以上のドット、曲線、分岐チャンネル、別の適切な形状、またはその組合せを含む。様々な実施の形態において、その高屈折率領域は、光を、所望の経路に沿ってその中に伝播させることができる形状を含む。
【0028】
光導波路物品10および/またはガラス積層構造100の厚さは、その互いに反対の外面(例えば、外面108および110)の間の距離として測定できる。いくつかの実施の形態において、光導波路物品10および/またはガラス積層構造100の厚さは、少なくとも約0.05mm、少なくとも約0.1mm、少なくとも約0.2mm、または少なくとも約0.3mmである。それに加え、またはそれに代えて、光導波路物品10および/またはガラス積層構造100の厚さは、多くとも約2mm、多くとも約1.5mm、多くとも約1mm、多くとも約0.7mm、または多くとも約0.5mmである。いくつかの実施の形態において、ガラス積層構造100の厚さに対する基部層102の厚さの比は、少なくとも約0.1、少なくとも約0.2、少なくとも約0.3、少なくとも約0.4、少なくとも約0.5、少なくとも約0.6、少なくとも約0.7、少なくとも約0.8、少なくとも約0.85、少なくとも約0.9、または少なくとも約0.95である。それに加え、またはそれに代えて、ガラス積層構造100の厚さに対する基部層102の厚さの比は、多くとも約0.95、多くとも約0.93、多くとも約0.9、多くとも約0.87、多くとも約0.85、多くとも約0.8、多くとも約0.7、多くとも約0.6、多くとも約0.5、多くとも約0.4、多くとも約0.3、または多くとも約0.2である。いくつかの実施の形態において、表面層104および/または第2の表面層106の各々の厚さは、約0.01mmから約0.3mmである。
【0029】
導波路130(例えば、その導波路の高屈折率領域132)は微小寸法を含む。その微小寸法は、導波路130の最小寸法である。例えば、図1に示された導波路130の微小寸法は、Y方向の導波路の幅W導波路であり、図6に示された埋め込まれた導波路130の微小寸法は、Z方向の導波路の高さH導波路である。いくつかの実施の形態において、導波路130の微小寸法は、約1μmから約10μmである。そのような微小寸法は、その導波路を単一モード導波路(例えば、約0.3μmから約1.7μmの動作波長のため)として使用するのに有益であろう。他の実施の形態において、導波路130の微小寸法は、約20μmから約200μmである。そのような微小寸法は、その導波路を多モード導波路(例えば、約0.3μmから約1.7μmの動作波長のため)として使用するのに有益であろう。
【0030】
図1に示された実施の形態は、表面層104に導波路130を含むと記載されているが、他の実施の形態も本開示に含まれる。例えば、他の実施の形態において、光導波路物品は、第2の表面層内に配置された導波路を1つ以上含む。その導波路は、前記表面層内の導波路の形成に関してここに記載されたように、第2の表面層内に形成することができる。それに加え、またはそれに代えて、前記表面層に関してここに記載されたように、第2の表面層の外面に、追加の層および/またはコーティングを施しても差し支えない。それに加え、またはそれに代えて、第2の表面層内に配置された導波路は、前記表面層内に配置された導波路と同じまたは異なる形態(例えば、サイズおよびパターン)を有し得る。前記表面層および前記第2の表面層の各々の中に配置された導波路を含む光導波路物品は、比較的小さい空間(例えば、集積光学用途において)で多数の導波路層を積層するのに有益であり得る。
【0031】
いくつかの実施の形態において、光導波路物品を形成する方法は、ガラス積層構造の表面層内に導波路を形成する工程を有してなる。図2は、表面層104内に導波路130を形成する前の、ガラス積層構造100の断面概略図である。基部層102の第1のガラス組成物は、基部屈折率n基部を有する。表面層104および/または第2の表面層106の第2のガラス組成物は、n基部と異なる表面屈折率n表面を有する。例えば、n基部およびn表面は、少なくとも約0.001だけ異なる、および/または式|n表面−n基部|≧0.001を満たす。図2に示された実施の形態において、n基部はn表面より小さい。他の実施の形態において、n基部はn表面より大きい。
【0032】
基部層102の第1のガラス組成物は、基部イオン交換拡散性D基部を有する。表面層104および/または第2の表面層106の第2のガラス組成物は、D基部より大きい表面イオン交換拡散性D表面を有する。このように、表面層104および/または第2の表面層106は、イオン交換可能である。いくつかの実施の形態において、D基部は実質的にゼロである。それゆえ、基部層102は、実質的に非イオン交換可能または非イオン交換可能である。他の実施の形態において、D基部はゼロより大きい。それゆえ、基部層102は、イオン交換可能であるが、表面層104および/または第2の表面層106より少ない程度である。いくつかの実施の形態において、イオン交換拡散性D基部およびD表面は、ここに記載されたような屈折率上昇イオンおよび屈折率低下イオンに関するイオン交換拡散性を有する。いくつかの実施の形態において、基部層102の第1のガラス組成物は、アルカリ金属またはアルカリ金属を含む化合物を含まないまたは実質的に含まない。例えば、第1のガラス組成物は、LiO、NaO、KO、RbO、およびCsOの1つ以上を含まないまたは実質的に含まない。それに加え、またはそれに代えて、基部層102の第1のガラス組成物は、AgまたはAgを含む化合物を含まないまたは実質的に含まない。それに加え、またはそれに代えて、基部層102の第1のガラス組成物は、アルカリ土類金属またはアルカリ土類金属を含む化合物を含まないまたは実質的に含まない。例えば、その第1のガラス組成物は、BeO、MgO、CaO、SrO、およびBaOの1つ以上を含まないまたは実質的に含まない。D基部とD表面との間の差により、ここに記載されたようなイオン交換過程を使用して、その表面層に導波路構造を形成することができる。表面層104と比べて基部層102の比較的低いイオン交換拡散性により、その基部層は、ここに記載されたようなイオン交換処理中にイオンが侵入するガラス積層構造100内の深さを制限するイオン交換バリアとしての機能を果たすことができる。
【0033】
いくつかの実施の形態において、ガラス積層構造100は感光性成分を含む。例えば、基部層102の第1のガラス組成物および/または表面層104および/または第2の表面層106の第2のガラス組成物が、感光性成分を含む。いくつかの実施の形態において、表面層104の第2のガラス組成物は、その第2の層内に導波路130が形成された後に、高屈折率領域132が感光性成分を含むように感光性成分を含む。高屈折率領域132は、その中にパターンを形成するために放射線(例えば、紫外線)に暴露することができる。例えば、そのパターンは、ブラッグ格子、回折格子、または別の適切な光学パターンを含む。いくつかの実施の形態において、その感光性成分は、Ce、感光性金属、またはその組合せを含む。その感光性金属の例としては、Ag、Au、Cu、またはその組合せが挙げられる。そのCeおよび/または感光性金属は、+1の酸化状態(例えば、CeまたはAgNO)にあり得る。Ceは、そのガラス積層構造の放射線への暴露に反応して、酸化され、電子を放出することができる増感剤イオンとしての機能を果たすことができる。その感光性金属は、そのガラス積層構造の放射線への暴露および/またはそのガラス積層構造の展開処理への施用に反応して、還元されて、コロイド金属粒子を形成し得る。例えば、感光性成分を含む高屈折率領域132は、感光性ガラスを構成する。感光性ガラスの例としては、両方とも、ニューヨーク州、コーニング所在のCorning Incorporatedからの、FOTALITE(登録商標)またはFOTAFORM(登録商標)が挙げられる。
【0034】
前記ガラス積層構造は、例えば、フュージョンドロー法、ダウンドロー法、スロットドロー法、アップドロー法、またはフロート法などの適切な過程を使用して形成できる。いくつかの実施の形態において、そのガラス積層構造は、フュージョンドロー法を使用して形成される。図3は、例えば、ガラス積層構造100などのガラス積層構造を形成するために使用できるオーバーフロー分配器200の1つの例示の実施の形態の断面概略図である。オーバーフロー分配器200は、ここに全て引用される、米国特許第4214886号に記載されたように、構成することができる。例えば、オーバーフロー分配器200は、下側オーバーフロー分配器220およびその下側オーバーフロー分配器の上に配置された上側オーバーフロー分配器240を備える。下側オーバーフロー分配器220は樋222を備える。第1のガラス組成物224が溶融され、粘性状態で樋222中に供給される。第1のガラス組成物224は、下記にさらに記載されるように、ガラス積層構造100の基部層102を形成する。上側オーバーフロー分配器240は樋242を備える。第2のガラス組成物244が溶融され、粘性状態で樋242中に供給される。第2のガラス組成物244は、下記にさらに記載されるように、ガラス積層構造100の表面層104および第2の表面層106を形成する。
【0035】
第1のガラス組成物224が樋222を溢れ出て、下側オーバーフロー分配器220の互いに反対の外側成形面226および228を流下する。外側成形面226および228は、延伸線230で集束する。下側オーバーフロー分配器220のそれぞれの外側成形面226および228を流下する第1のガラス組成物224の別々の流れは、延伸線230で集束し、そこで、それらが互いに融合して、ガラス積層構造100の基部層102を形成する。
【0036】
第2のガラス組成物244が樋242を溢れ出て、上側オーバーフロー分配器240の互いに反対の外側成形面246および248を流下する。第2のガラス組成物244は、その第2のガラス組成物が下側オーバーフロー分配器220の周りを流れ、その下側オーバーフロー分配器の外側成形面226および228の上を流れる第1のガラス組成物224と接触するように上側オーバーフロー分配器240により外側に逸らされる。第2のガラス組成物244の別々の流れは、下側オーバーフロー分配器220のそれぞれの外側成形面226および228を流下する第1のガラス組成物224のそれぞれ別々の流れと融合する。延伸線230で第1のガラス組成物224の流れが集束した際に、第2のガラス組成物244は、ガラス積層構造100の表面層104および第2の表面層106を形成する。
【0037】
いくつかの実施の形態において、粘性状態にある基部層102の第1のガラス組成物224が、粘性状態にある表面層104および/または第2の表面層106の第2のガラス組成物244と接触して、積層シートを形成する。そのような実施の形態のいくつかにおいて、その積層シートは、図3に示されるように、下側オーバーフロー分配器220の延伸線230から離れて移動するガラスリボンの一部である。そのガラスリボンは、例えば、重力および/または牽引ローラを含む適切な手段によって、下側オーバーフロー分配器220から離れるように延伸することができる。そのリボンは、下側オーバーフロー分配器220から離れて移動するにつれて、冷める。そのガラスリボンは、そこから積層シートを分離するために、切断される。このように、積層シートはガラスリボンから切り取られる。そのガラスリボンは、例えば、罫書き、曲げ、熱衝撃、および/またはレーザ切断などの適切な技術を使用して、切断することができる。いくつかの実施の形態において、ガラス積層構造100は、図1〜2に示されるような積層シートを含む。他の実施の形態において、その積層シートをさらに加工(例えば、切断または成形により)して、ガラス積層構造100を形成することができる。
【0038】
図1〜2に示されたガラス積層構造100は三層を備えるが、他の実施の形態も本開示に含まれる。他の実施の形態において、ガラス積層構造は、二層、四層、またはそれより多い層など所定の数の層を有し得る。例えば、二層(例えば、基部層および表面層)を含むガラス積層構造は、2つのオーバーフロー分配器のそれぞれの延伸線から離れて移動しながら、2つの層が接合されるように配置された2つのオーバーフロー分配器を使用して、または2つのガラス組成物が、オーバーフロー分配器の互いに反対の外側成形面の上を流れ、そのオーバーフロー分配器の延伸線で集束するように、分割された樋を有する1つのオーバーフロー分配器を使用して、形成することができる。四層以上を有するガラス積層構造は、追加のオーバーフロー分配器を使用して、および/または分割された樋を有する複数のオーバーフロー分配器を使用して、形成することができる。このように、所定の数の層を有するガラス積層構造は、オーバーフロー分配器をそれ相応に改良することによって、形成することができる。
【0039】
図1〜2に示されたガラス積層構造100は積層シートを含むが、他の実施の形態も本開示に含まれる。他の実施の形態において、ガラス積層構造は、多数の管状層を含む積層管(例えば、1つ以上の環状オリフィスにより、もしくは積層ガラスシートを管状形態に曲げるまたは巻くことにより、形成された)、または1つ以上の管状クラッド層により取り囲まれた実質的に中実のコア層を含む積層ロッドを含む。例えば、その積層管の部分断面は、図1〜2に示されたものと類似のガラス積層構造を含む。他の実施の形態において、ガラス積層構造は、造形されたガラス積層構造(例えば、積層シートを造形または成形することによって形成された)を含む。
【0040】
いくつかの実施の形態において、基部層102の第1のガラス組成物および/または表面層104および/または第2の表面層106の第2のガラス組成物は、少なくとも約30キロポアズ(kP)、少なくとも約50kP、少なくとも約100kP、少なくとも約200kP、または少なくとも約300kPの液相粘度を有する。いくつかの実施の形態において、その第1のガラス組成物および/または第2のガラス組成物は、ここに記載されたようなフュージョンドロー法を使用して、ガラス積層構造100を形成するのに適した液相粘度を有する。例えば、基部層102の第1のガラス組成物は、少なくとも約100kP、少なくとも約200kP、または少なくとも約300kPの液相粘度を有する。それに加え、またはそれに代えて、その第1のガラス組成物は、多くとも約3000kP、多くとも約2500kP、多くとも約1000kP、または多くとも約800kPの液相粘度を有する。それに加え、またはそれに代えて、表面層104および/または第2の表面層106の第2のガラス組成物は、少なくとも約50kP、少なくとも約100kP、または少なくとも約200kPの液相粘度を有する。それに加え、またはそれに代えて、その第2のガラス組成物は、多くとも約3000kP、多くとも約2500kP、多くとも約1000kP、または多くとも約800kPの液相粘度を有する。その第1のガラス組成物は、表面層を形成するためにオーバーフロー分配器の上に第2のガラス組成物を運ぶのに役立ち得る。それゆえ、第2のガラス組成物は、フュージョンドロー法を使用して単層シートを形成するのに適していると一般に考えられるよりも低い液相粘度を有し得る。
【0041】
いくつかの実施の形態において、ガラス積層構造100は機械的に強化されている。例えば、表面層104および/または第2の表面層106の第2のガラス組成物は、基部層102の第1のガラス組成物と異なるCTEを有する。ガラス積層構造100の直接隣接する層の間のそのようなCTEの差異により、そのガラス積層構造が機械的に強化され得る。例えば、表面層104および第2の表面層106は、基部層102のガラス組成物(例えば、第1のガラス組成物)よりも低いCTEを有するガラス組成物(例えば、第2のガラス組成物)から形成される。基部層102と比べて表面層104および第2の表面層106の比較的低いCTEにより、ガラス積層構造100の冷却の際に、その表面層には圧縮応力が、その基部層には引張応力が生じる。このように、基部層102のCTEと、表面層104および第2の表面層106のCTEとの間の差により、それらの表面層に圧縮応力が生じ、それによって、ガラス積層構造100が機械的に強化される。それらの表面層がそのガラス積層構造の外面層である実施の形態において、表面層のそのような圧縮応力は、そのガラス積層構造の外面に存在する傷の伝播に抵抗することによって、ガラス積層構造の強度にとって有益であり得る。様々な実施の形態において、第1と第2の表面層の各々は、独立して、基部層より高いCTE、低いCTE、または実質的に同じCTEを有し得る。表面層104および第2の表面層106の両方を含むことによって、引張応力下にあることがある、基部層102を保護するのに、および/またはガラス積層構造100の反りを防ぐのに、役立つことができる。
【0042】
いくつかの実施の形態において、基部層102のCTEおよび表面層104および/または第2の表面層106のCTEは、少なくとも約1×10−7/℃だけ、少なくとも約2×10−7/℃だけ、少なくとも約3×10−7/℃だけ、少なくとも約4×10−7/℃だけ、少なくとも約5×10−7/℃だけ、少なくとも約10×10−7/℃だけ、少なくとも約15×10−7/℃だけ、少なくとも約20×10−7/℃だけ、少なくとも約25×10−7/℃だけ、または少なくとも約30×10−7/℃だけ異なる。それに加え、またはそれに代えて、基部層102のCTEおよび表面層104および/または第2の表面層106のCTEは、多くとも約100×10−7/℃しか、多くとも約75×10−7/℃しか、多くとも約50×10−7/℃しか、多くとも約40×10−7/℃しか、多くとも約30×10−7/℃しか、多くとも約20×10−7/℃しか、多くとも約10×10−7/℃しか、多くとも約9×10−7/℃しか、多くとも約8×10−7/℃しか、多くとも約7×10−7/℃しか、多くとも約6×10−7/℃しか、または多くとも約5×10−7/℃しか異ならない。例えば、いくつかの実施の形態において、基部層102のCTEおよび表面層104および/または第2の表面層106のCTEは、約1×10−7/℃から約10×10−7/℃、または約1×10−7/℃から約5×10−7/℃だけ異なる。いくつかの実施の形態において、表面層および/または第2の表面層の第2のガラス組成物は、多くとも約90×10−7/℃、多くとも約89×10−7/℃、多くとも約88×10−7/℃、多くとも約80×10−7/℃、多くとも約70×10−7/℃、多くとも約60×10−7/℃、多くとも約50×10−7/℃、多くとも約40×10−7/℃、または多くとも約35×10−7/℃のCTEを有する。それに加え、またはそれに代えて、表面層104および/または第2の表面層106の第2のガラス組成物は、少なくとも約10×10−7/℃、少なくとも約15×10−7/℃、少なくとも約25×10−7/℃、少なくとも約30×10−7/℃、少なくとも約40×10−7/℃、少なくとも約50×10−7/℃、少なくとも約60×10−7/℃、少なくとも約70×10−7/℃、少なくとも約80×10−7/℃、または少なくとも約85×10−7/℃のCTEを有する。それに加え、またはそれに代えて、基部層102の第1のガラス組成物は、少なくとも約40×10−7/℃、少なくとも約50×10−7/℃、少なくとも約55×10−7/℃、少なくとも約65×10−7/℃、少なくとも約70×10−7/℃、少なくとも約80×10−7/℃、または少なくとも約90×10−7/℃のCTEを有する。それに加え、またはそれに代えて、基部層102の第1のガラス組成物は、多くとも約120×10−7/℃、多くとも約110×10−7/℃、多くとも約100×10−7/℃、多くとも約90×10−7/℃、多くとも約75×10−7/℃、または多くとも約70×10−7/℃のCTEを有する。
【0043】
いくつかの実施の形態において、ガラス積層構造の表面層に導波路を形成する工程は、そのガラス積層構造の表面にマスクを施す工程を含む。図4は、表面層104の外面108にマスク140が施された、ガラス積層構造100の断面概略図である。マスク140は、表面層104の外面108の一部を覆う。表面層104の外面108の覆われた部分は、導波路130の目的とする導波路パターンに対応する。例えば、マスク140は、導波路130の高屈折率領域132の目的とするパターンに対応する形状を有する。図4に示された実施の形態において、マスク140は、導波路130および第2の導波路130a(図1)の複数の高屈折率チャンネルに対応する複数の線を含む。他の実施の形態において、そのマスクは、1つ以上のドット、曲線、分岐チャンネル、他の適切な形状、またはその組合せを含む。マスク140で覆われていない表面層104の外面108の残りの部分は、低屈折率領域134の目的とするパターンに対応する。
【0044】
マスク140は、ここに記載されたように表面層に導波路を形成するためにガラス積層構造にイオン交換処理を施している間にイオン交換バリアとして働く。それゆえ、マスク140は、表面層104の外面108の覆われた部分でのイオン交換を阻害する材料からなる。例えば、マスクは、金属材料(例えば、チタンまたはアルミニウム)、高分子材料、または別の適したイオン交換バリア材料からなる。マスク140は、例えば、スパッタリング(例えば、イオンアシスト・スパッタリング)、蒸発(例えば、電子ビーム蒸着または熱蒸発)、蒸着(例えば、プラズマ化学蒸着を含む化学的または物理的蒸着)、印刷(例えば、グラビアまたはスクリーン印刷)、リソグラフィー、または別の適切な堆積過程を使用して、表面層104の外面108に施すことができる。
【0045】
いくつかの実施の形態において、ガラス積層構造の表面層に導波路を形成する工程は、ガラス積層構造に選択的イオン交換処理を施して、表面層内に低屈折率領域を形成する工程を含む。例えば、マスク140が施されたガラス積層構造100の表面層104にイオン交換処理が施されて、その表面層の一部の屈折率を選択的に低下させ、高屈折率領域132に対応する表面層の残りの部分の屈折率を実質的に低下させずに低屈折率領域134を形成する。表面層104の外面108の覆われていない部分にそのイオン交換処理を選択的に施すことにより、所望のパターンを構成する高屈折率領域132を形成することができる。図5は、表面層104の外面108にマスク14を施し、その表面層の外面の覆われていないすなわち露出された部分にイオン交換処理を選択的に施した後の、ガラス積層構造100の断面概略図である。いくつかの実施の形態において、表面層104および/または第2の表面層106の第2のガラス組成物は、屈折率低下イオン(例えば、Na)を含むイオン交換媒体によるイオン交換処理によって、イオン交換された領域内の表面層および/または第2の表面層の屈折率が低下するように、十分に高い濃度の屈折率上昇イオン(例えば、KまたはAgイオン)を含む。
【0046】
いくつかの実施の形態において、イオン交換処理は、ガラス積層構造100の外面108にイオン交換媒体を施す工程を含む。そのイオン交換媒体は、ガラスマトリクス(例えば、表面層104のガラスマトリクス)中の屈折率上昇イオンと交換されるべき屈折率低下イオンを含む、溶液、ペースト、ゲル、液体、蒸気、プラズマ、または別の適切な媒体を含む。いくつかの実施の形態において、表面層104および/または第2の表面層106の第2のガラス組成物は、アルカリアルミノケイ酸塩ガラスを含む。このように、表面層104中の屈折率上昇イオンおよびイオン交換媒体中の屈折率低下イオンは、一価のアルカリ金属陽イオン(例えば、Li、Na、K、Rb、および/またはCs)であることがある。あるいは、表面層104内の一価陽イオンは、アルカリ金属以外の一価陽イオン(例えば、Agなど)により交換されることがある。いくつかの実施の形態において、表面層104および/または第2の表面層106の第2のガラス組成物は、アルカリ土類アルミノケイ酸塩ガラスを含む。このように、表面層104中の屈折率上昇イオンおよびイオン交換媒体中の屈折率低下イオンは、二価のアルカリ土類陽イオン(例えば、Be2+、Mg2+、Ca2+、Sr2+、および/またはBa2+)であることがある。いくつかの実施の形態において、そのイオン交換媒体は溶融塩溶液を含み、そのイオン交換処理は、表面層104のガラスマトリクス中の屈折率上昇イオン(例えば、K)と交換されるべき屈折率低下イオン(例えば、Na)を含む溶融塩浴中にガラス積層構造を浸漬する工程を含む。いくつかの実施の形態において、その溶融塩浴は、その屈折率低下イオンの塩(例えば、硝酸塩、硫酸塩、および/または塩化物)を含む。例えば、その溶融塩浴は溶融NaNOを含む。それに加え、またはそれに代えて、その溶融塩浴の温度は約380℃から約450℃であり、浸漬時間は約2時間から約16時間である。
【0047】
いくつかの実施の形態において、前記イオン交換処理は、光導波路物品10の強度に影響を与えることがある。例えば、ガラスマトリクス中のKイオンをイオン交換媒体中のNaと交換すると、表面層104の少なくとも一部の圧縮応力が低下し得る。いくつかの実施の形態において、ガラス積層構造100は、ここに記載されているように機械的に強化されている(例えば、CTEの不一致により)。そのような機械的強化は、イオン交換処理後でさえも、表面層104を圧縮状態に維持するのに十分であり得る。
【0048】
表面層104のガラスマトリクス中の屈折率上昇イオンを、外面108の覆われていない部分で屈折率低下イオンと置換することによって、その表面層の一部の屈折率が低下して、低屈折率領域134が形成される。例えば、そのイオン交換処理中に、イオン交換媒体からの屈折率低下イオンが、表面層104の外面108の覆われていない部分中に拡散し、ガラスマトリクスからの屈折率上昇イオンが、表面層の外面の覆われていないから出て拡散する。このように、表面層104の覆われていない部分(およびイオン交換が行われる覆われていない部分の下の対応する部分)は、表面層のイオン交換済み領域を構成し、その表面層の残りは、表面層の非イオン交換領域を構成する。イオン交換済み領域中の屈折率低下イオンの濃度の増加により、非イオン交換領域における表面層の屈折率を実質的に低下させずに、イオン交換済み領域において表面層104の屈折率が低下する。
【0049】
図5に示されるように、低屈折率領域134は、表面層104の外面108からのイオン交換によって生じた湾曲または非線形形状を有する。そのような非線形形状は、多次元で生じる拡散過程であるイオン交換の結果であり、イオン交換は、マスク140のエッジの下にもある程度生じる。例えば、イオン交換処理の時間および/または温度を増加させると、低屈折率領域134が延在するマスク140の下の距離が増加し得る。いくつかの実施の形態において、高屈折率領域132の微小寸法(例えば、Y方向の幅)は、多くとも約10μm、多くとも約5μm、または多くとも約2μmである。そのような小さい微小寸法は、例えば、単一モード光導波路用途にとって、有用であり得る。表面層104の高屈折率ガラスで開始し、その表面層の選択された領域における屈折率を低下させるためにイオン交換を使用することによって、マスク140が、高屈折率領域132の微小寸法と同じほど小さい微小寸法(例えば、Y方向の幅)を有する必要はない。その代わり、マスク140はより大きい微小寸法を有することができ、所望の微小寸法を有する高屈折率領域132を達成するために、低屈折率領域134がそのマスクの下に延在する程度を制御するような様式で、そのイオン交換処理を行うことができる。より狭い高屈折率領域を達成するために幅がより広いマスクを使用する能力によって、所望の寸法を有する導波路を得ながら、表面層の外面にマスクを配置する複雑さを低下させることができる。
【0050】
基部層102は、ここに記載されたように実質的に非イオン交換可能または非イオン交換可能である。それゆえ、基部層102は、イオン交換が表面層104を越えてガラス積層構造100中に深く入るのを防ぐイオン交換バリアとして機能する。そのようなイオン交換バリアにより、高屈折率領域132の厚さ(例えば、Z方向)を、その高屈折率領域の幅(例えば、Y方向)とは関係なく制御することができる。このように、イオン交換処理は、高屈折率領域の高さを増加させずに、ここに記載されたように、高屈折率領域の所望の幅を達成するように調節することができる。高屈折率領域の断面寸法を独立して制御することにより、有益な性能特徴を有する光導波路を得ることができる。それに加え、またはそれに代えて、基部層102の低イオン交換拡散性は、高屈折率領域132中に存在する屈折率上昇イオンが、表面層104とその基部層との間の界面を越えて、ガラス積層構造100中に深く拡散するのを防ぐことができる。そのようなイオン交換バリアは、イオン交換処理、追加のイオン交換処理(例えば、ここに記載された第2のイオン交換処理)、および/または他の加工処理の最中に高屈折率領域の形状を維持するのに役立ち得る。
【0051】
第2の表面層を含む実施の形態において、その第2の表面層は、前記表面層と同じまたは異なるガラス組成物を含む、またはそれから形成することができる。例えば、第2の表面層106は、表面層104の第2のガラス組成物またはここに記載されたような第3のガラス組成物から形成することができる。それゆえ、この第2の表面層は、どのようなイオン交換処理前にも、基部層より高いか低い屈折率を有し得る。第2の表面層のガラス組成物の屈折率がn基部より小さい実施の形態において、基部層を通って伝播する光は、屈折率が比較的高い基部層から、屈折率が比較的低い第2の表面層中に漏れる傾向にないので、第2の表面層の追加の加工(例えば、イオン交換)が行われないであろう。あるいは、第2の表面層のガラス組成物の屈折率がn基部より大きい実施の形態において、基部層を通って伝播する光が、第2の表面層中に漏れ、潜在的に、ガラス積層構造から漏れるのを防ぐのに、第2の表面層の追加の加工が有益であることがある。いくつかの実施の形態において、第2の表面層にイオン交換処理が行われて、第2の表面層の少なくとも一部の屈折率が低下させられる。例えば、第2の表面層に、マスクを用いないことを除いて、表面層104に関してここに記載されたようなイオン交換処理が施される。それゆえ、第2の表面層の少なくとも一部の屈折率がn基部より小さく低下されるように、イオン交換処理中に、第2の表面層の外面の全てまたは実質的に全てが暴露される。例えば、第2の表面層の全てまたは実質的に全てが、低屈折率領域を含む。それに加え、またはそれに代えて、第2の表面層は、屈折率勾配を有するイオン交換済み領域を含む。例えば、イオン交換済み領域の屈折率は、外面近くで最大であり、基部層に向かう内側方向に減少する(例えば、外面から第2の表面層中への屈折率低下イオンの拡散の結果として)。
【0052】
いくつかの実施の形態において、前記ガラス積層構造の表面層に導波路を形成する工程は、その導波路を埋めるまたは前記高屈折率領域を埋める工程を含む。
【0053】
いくつかの実施の形態において、前記導波路を埋めるまたは前記高屈折率領域を埋める工程は、前記表面層の表面領域を占めるように前記低屈折率領域を延在させる工程を含む。例えば、その中に低屈折率領域134が形成され、マスク140がそこから取り外されたガラス積層構造100の表面層104に第2のイオン交換処理を施して、その表面層の高屈折率領域132と外面108との間に配置された表面層の表面領域を占めるように低屈折率領域を延在させる。図6は、その中に低屈折率領域134を形成し、表面層104の外面108からマスク140を取り外し、その表面層の外面に第2のイオン交換処理を施した後の、ガラス積層構造100の断面概略図である。その第2のイオン交換処理は、前記イオン交換処理に関して先に記載したように行うことができる。しかしながら、その第2のイオン交換処理の条件(例えば、時間および/または温度)は、第2のイオン交換処理中に屈折率低下イオンが拡散する深さ(例えば、Z方向)が、前記イオン交換処理中に屈折率低下イオンが拡散する深さよりも浅くなるように調節される。それゆえ、低屈折率領域134は、図6に示されるように、高屈折率領域132がその低屈折率領域によって表面層104の外面108から隔てられるように延在される。
【0054】
いくつかの実施の形態において、前記導波路を埋めるまたは前記高屈折率領域を埋める工程は、前記表面層の外面を低屈折率材料で被覆する工程を含む。図7は、その中に低屈折率領域134を形成し、表面層104の外面108からマスク140を除去し、その表面層の外面に低屈折率コーティング層150を施した後の、ガラス積層構造100の断面概略図である。低屈折率コーティング層は、nより小さい(例えば、nより少なくとも0.001小さい)屈折率を有する低屈折率材料から作られる。その低屈折率材料の例としては、ガラス材料、高分子材料、金属材料、別の適切な低屈折率材料、またはその組合せが挙げられる。いくつかの実施の形態において、低屈折率コーティング層は、透明導体、半導体、電気光学素子、または液晶を含む。低屈折率コーティング層150は、例えば、スパッタリング(例えば、イオンアシスト・スパッタリング)、蒸発(例えば、電子ビーム蒸着または熱蒸発)、蒸着(例えば、プラズマ化学蒸着を含む化学的または物理的蒸着)、印刷(例えば、グラビアまたはスクリーン印刷)、リソグラフィー、または別の適切な堆積過程を使用して、表面層104の外面108に施すことができる。低屈折率コーティング層150が高分子材料を含む実施の形態などの、いくつかの実施の形態において、その低屈折率コーティング層は1種類以上のドーパントを含む。そのようなドーパントは、機能性を与えることができる。例えば、そのようなドーパントとしては、蛍光染料ドーパント、有機非線形光学ポリマー、または液晶などの電気光学材料が挙げられる。低屈折率コーティング層150がガラス材料を含む実施の形態などの、いくつかの実施の形態において、その低屈折率コーティング層は1種類以上の希土類ドーパントを含む。その低屈折率コーティング層は、図7に示されるように、ガラス積層構造の外面の全てまたは実質的に全てに施す、またはそのガラス積層構造の外面の一部のみに選択的に施すことができる。例えば、その低屈折率コーティング層は、外面の高屈折率領域(例えば、導波路)に選択的に施し、そのコーティング層により覆われていない外面の低屈折率領域を残すことができる。
【0055】
いくつかの実施の形態において、前記導波路を埋めるまたは前記高屈折率領域を埋める工程は、前記ガラス積層構造の表面層内にその導波路を形成する工程の一部として行われる。例えば、マスクのサイズおよびイオン交換条件は、そのガラス積層構造に選択的なイオン交換処理を施して、表面層内に低屈折率領域を形成する最中に、高屈折率領域がその表面層内に埋まるように選択することができる。図8は、中に低屈折率領域134を形成した後の、ガラス積層構造100の断面概略図である。図8に示されたマスク140は、図4〜5に示されたマスクよりも小さい(例えば、狭い)。そのイオン交換処理は、イオン交換処理中にマスク140の互いに反対側に形成された低屈折率領域134がマスク140の下で結合されて、一体の低屈折率領域を形成するような温度で、そのようにする時間に亘り行われる。その一体の低屈折率領域は、導波路が表面層内に埋まるように、表面層104の高屈折率領域132と外面108との間に配置されている。
【0056】
前記導波路を埋めるまたは前記高屈折率領域を埋める工程は、その高屈折率領域が、屈折率がそれより低い材料によって完全に囲まれることを確実にするのに役立ち得、それにより、光導波路物品の性能を改善することができる。
【0057】
様々な実施の形態において、ガラス積層構造100の1つ以上の層(例えば、基部層102、表面層104、および/または第2の表面層106)が、1種類以上のドーパントを含む。そのようなドーパントは機能性を与えることができる。例えば、そのようなドーパントとしては、希土類元素(例えば、NdまたはEr)が挙げられ、これは、導波路レーザ用途に有益であり得る。
【0058】
様々な実施の形態において、前記ガラス積層構造の外層が、ざらざらした表面を含む。例えば、その表面層の外面に、高速エッチング材料(例えば、選択された溶媒中で、表面層の第2のガラス組成物よりも速いエッチング速度を有するガラス組成物)がドープされている。その外面は、導波路近くまたはその上に表面特徴(例えば、窪みまたは溝)を形成するために、エッチングすることができる。いくつかの実施の形態において、その表面特徴に、1種類以上の機能材料が充填されている。その機能材料の例としては、散乱粒子、染料(例えば、蛍光染料、またはレーザ色素)、エポキシ(例えば、UVエポキシ)、電子光学液体(例えば、液晶材料)、またはその組合せが挙げられる。使用に際して、導波路を伝播する光は、その機能材料と相互作用して、例えば、装置の機能を果たす(例えば、その表面特徴内に配置された機能材料を作動させる)。
【0059】
図9は、中に窪み12が形成された光導波路物品10の1つの実施の形態の断面概略図である。例えば、窪み12は、基部層102に向かって表面層104の外面108から内側に延在する空隙または陥凹を含む。それに加え、またはそれに代えて、窪み12は、低屈折率領域134内に配置されている。いくつかの実施の形態において、窪み12は、表面層104の外面108をエッチングすることによって形成される。例えば、外面108に選択されたエッチング液を施して、高屈折率領域132の一部を除去して、窪み12を形成するように、低屈折率領域134は、選択されたエッチング液中に、その高屈折率領域よりも、溶けやすい。他の実施の形態において、窪み12は、レーザアブレーションまたは別の適切な材料除去過程によって形成することができる。いくつかの実施の形態において、光導波路物品10は、窪み12内に配置された機能材料を1種類以上含む。
【0060】
様々な実施の形態において、前記光導波路物品は、ここに記載されたような1つ以上のコーティング層(例えば、ガラスまたは高分子コーティング層)を備える。いくつかの実施の形態において、コーティング層は感光性成分を含む。そのコーティング層は、放射線(例えば、紫外線)に暴露されて、その中にパターンを形成することができる。例えば、そのパターンは、ブラッグ格子、回折格子、または別の適切な光学パターンを含む。それに加え、またはそれに代えて、コーティング層は、ガラス材料および高分子材料のハイブリッド混合物を含む。例えば、コーティング層は、UV硬化性高分子およびその高分子と屈折率が一致するガラスナノ粒子のハイブリッド混合物を含む。そのナノ粒子は、ドーパント材料の有無にかかわらずに、基礎ガラスを含み得る。
【0061】
いくつかの実施の形態において、前記ガラス積層構造の表面層に導波路を形成する工程は、そのガラス積層構造に選択的なイオン交換処理を施して、その表面層内に、低屈折率領域とは対照的に、高屈折率領域を形成する工程を含む。図10は、表面層104の外面108にマスク140aが施されたガラス積層構造100aの断面概略図である。ガラス積層構造100aは、ガラス積層構造100aの表面層104および/または第2の表面層106の第2のガラス組成物が、屈折率上昇イオン(例えば、KまたはAg)を含むイオン交換媒体によるイオン交換処理で、イオン交換された領域内の表面層および/または第2の表面層の屈折率が増加するのに十分に高濃度の屈折率低下イオン(例えば、Na)を含むことを除いて、ガラス積層構造100と似ている。
【0062】
マスク140aにより覆われた表面層104の外面108の覆われた部分は、低屈折率領域134の目的のパターンに対応し、そのマスクにより覆われていない表面層の外面の覆われていない部分は、導波路130の目的の導波路パターンに対応する。例えば、マスク140a内の開口142は、導波路130の高屈折率領域132の目的のパターンに対応する形状を有する。図10に示された実施の形態において、マスク140aの開口142は、導波路130および第2の導波路130aの複数の高屈折率チャンネルに対応する複数の線を備える。他の実施の形態において、そのマスクの孔は、1つ以上のドット、曲線、分岐チャンネル、他の適切な形状、またはその組合せを含む。マスク140aは、マスク140に関してここに記載された材料から、および/または過程を使用して、形成することができる。
【0063】
マスク140aが施されたガラス積層構造100aの表面層104にイオン交換処理を施して、その表面層の一部の屈折率を選択的に上昇させ、低屈折率領域134に対応する表面層の残りの部分の屈折率を実質的に上昇させずに、高屈折率領域132を形成する。図11は、表面層104の外面108にマスク140aを施し、その表面層の外面の覆われていない、すなわち露出された部分にイオン交換処理を選択的に施した後の、ガラス積層構造100aの断面概略図である。そのイオン交換媒体は、ガラスマトリクス(例えば、表面層104のガラスマトリクス)中の屈折率低下イオンと交換されるべき屈折率上昇イオンを含む。いくつかの実施の形態において、そのイオン交換媒体は溶融塩溶液を含み、そのイオン交換処理は、表面層104のガラスマトリクス中の屈折率低下イオン(例えば、Na)と交換されるべき屈折率上昇イオン(例えば、K)を含む溶融塩浴中にそのガラス積層構造を浸漬する工程を含む。いくつかの実施の形態において、その溶融塩浴は、屈折率上昇イオンの塩(例えば、硝酸塩、硫酸塩、および/または塩化物)を含む。例えば、その溶融塩浴は、溶融KNOを含む。それに加え、またはそれに代えて、その溶融塩浴の温度は約380℃から約450℃であり、浸漬時間は約2時間から約16時間である。
【0064】
そのイオン交換処理中、前記イオン交換媒体からの屈折率上昇イオンは、表面層104の外面108の覆われていない部分中に拡散し、前記ガラスマトリクスからの屈折率低下イオンは、その表面層の外面の覆われていない部分から出るように拡散する。そのイオン交換された領域中の屈折率上昇イオンの濃度の増加により、イオン交換されていない領域の表面層の屈折率を実質的に上昇させずに、イオン交換された領域の表面層104の屈折率を上昇させる。
【0065】
表面層104中の低屈折率ガラスから開始し、イオン交換を使用して、その表面層の選択された領域において屈折率を上昇させる実施の形態において、マスク140aの開口142は、高屈折率領域132の微小寸法以下の微小寸法(例えば、Y方向の幅)を有する。
【0066】
基部層102は、ガラス積層構造100に関してここに記載したように、表面層104を越えてガラス積層構造100a中に深いイオン交換を防ぐイオン交換バリアとしての機能を果たすことができる。
【0067】
ここに記載された光導波路物品は、例えば、集積光学およびオプトエレクトロニクス用途、導波路レーザ源、導波路スイッチ、カプラー、およびセンサを含む様々な用途に使用することができる。
【0068】
請求項の主題の精神または範囲から逸脱せずに、様々な改変および変更を行えることが、当業者に明白であろう。したがって、請求項の主題は、付随の特許請求の範囲およびその等価物を別にすれば、制限的ではない。
【0069】
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
【0070】
実施形態1
光導波路物品において、
屈折率n基部を有する第1のガラス組成物から形成された基部層、
該基部層に融合された、屈折率n表面を有する第2のガラス組成物から形成された表面層、および
前記表面層内に配置された導波路、
を備え、
基部とn表面は、式|n表面−n基部|≧0.001を満たす、光導波路物品。
【0071】
実施形態2
前記導波路が、低屈折率領域により少なくとも部分的に取り囲まれた高屈折率領域から作られる、実施形態1に記載の光導波路物品。
【0072】
実施形態3
前記高屈折率領域が屈折率nを有し、
前記低屈折率領域が屈折率nを有し、
とnは、式n−n≧0.001を満たす、実施形態2に記載の光導波路物品。
【0073】
実施形態4
がn表面と実質的に等しい、実施形態3に記載の光導波路物品。
【0074】
実施形態5
がn表面と実質的に等しい、実施形態3に記載の光導波路物品。
【0075】
実施形態6
前記低屈折率領域が前記表面層のイオン交換された領域から作られる、実施形態2から5いずれか1つに記載の光導波路物品。
【0076】
実施形態7
前記高屈折率領域が前記表面層のイオン交換された領域から作られる、実施形態2から5いずれか1つに記載の光導波路物品。
【0077】
実施形態8
前記第1のガラス組成物が基部イオン交換拡散性D基部を有し、前記第2のガラス組成物が、D基部より大きい表面イオン交換拡散性D表面を有する、実施形態1から7いずれか1つに記載の光導波路物品。
【0078】
実施形態9
基部およびD表面の各々が、屈折率上昇イオンおよび屈折率低下イオンに関するイオン交換拡散性を有する、実施形態8に記載の光導波路物品。
【0079】
実施形態10
前記屈折率上昇イオンが、KまたはAgの少なくとも一方を含む、実施形態9に記載の光導波路物品。
【0080】
実施形態11
前記屈折率低下イオンがNaを含む、実施形態9に記載の光導波路物品。
【0081】
実施形態12
前記基部層の前記第1のガラス組成物が基部熱膨張係数CTE基部を有し、前記表面層の前記第2のガラス組成物が、該表面層が圧縮応力下にあるように、CTE基部より小さい表面熱膨張係数CTE表面を有する、実施形態1から11いずれか1つに記載の光導波路物品。
【0082】
実施形態13
前記基部層に融合され、前記第2のガラス組成物または第3のガラス組成物から形成された第2の表面層をさらに備え、該基部層が前記表面層と該第2の表面層との間に配置されている、実施形態1から11いずれか1つに記載の光導波路物品。
【0083】
実施形態14
前記表面層の前記第2のガラス組成物および前記第2の表面層の前記第2のガラス組成物または前記第3のガラス組成物の熱膨張係数(CTE)の各々が、該表面層と該第2の表面層の各々が圧縮応力下にあるように、前記基部層の前記第1のガラス組成物のCTEより小さい、実施形態13に記載の光導波路物品。
【0084】
実施形態15
前記基部層および前記表面層が積層ガラスシートに含まれている、実施形態1から7いずれか1つに記載の光導波路物品。
【0085】
実施形態16
光導波路物品において、
基部層、該基部層に融合された表面層を備えた積層ガラスシートであって、該基部層は、屈折率n基部を有する第1のガラス組成物から形成され、該表面層は、屈折率n表面を有する第2のガラス組成物から形成され、n基部とn表面は、式|n表面−n基部|≧0.001を満たす、積層ガラスシート、および
前記表面層内に配置された導波路、
を備えた光導波路物品。
【0086】
実施形態17
光導波路物品を形成する方法において、
表面層に融合された基部層を備えたガラス積層構造の該表面層内に導波路を形成する工程であって、該基部層は、屈折率n基部を有する第1のガラス組成物から形成され、該表面層は、屈折率n表面を有する第2のガラス組成物から形成される、工程、
を有してなり、
基部とn表面は、式|n表面−n基部|≧0.001を満たす、方法。
【0087】
実施形態18
前記表面層内に導波路を形成する工程が、
前記ガラス積層構造の外面に、該外面が覆われた部分と覆われていない部分を含むようにマスクを施す工程、および
前記外面の覆われていない部分にイオン交換処理を選択的に施す工程、
を含む、実施形態17に記載の方法。
【0088】
実施形態19
前記覆われた部分は、前記表面層のイオン交換された領域の屈折率が、該表面層のイオン交換されていない領域の屈折率より小さいように、前記導波路のパターンに対応する、実施形態18に記載の方法。
【0089】
実施形態20
前記覆われていない部分は、前記表面層のイオン交換された領域の屈折率が、該表面層のイオン交換されていない領域の屈折率より大きいように、前記導波路のパターンに対応する、実施形態18に記載の方法。
【0090】
実施形態21
前記表面層内に前記導波路を埋める工程をさらに含む、実施形態17から20いずれか1つに記載の方法。
【0091】
実施形態22
前記導波路を埋める工程が、前記表面層のイオン交換された領域を、該表面層のイオン交換されていない領域が該イオン交換された領域によって該表面層の外面から隔てられるように、該表面層の表面領域を占めるように延在させる工程を含む、実施形態21に記載の方法。
【0092】
実施形態23
前記導波路を埋める工程が、前記表面層の外面に低屈折率コーティング層を施す工程を含む、実施形態21に記載の方法。
【0093】
実施形態24
前記ガラス積層構造が、前記基部層に融合され、前記第2のガラス組成物または第3のガラス組成物から形成された第2の表面層を備え、該基部層が前記表面層と該第2の表面層との間に配置されている、実施形態17から23いずれか1つに記載の方法。
【符号の説明】
【0094】
10 光導波路物品
12 窪み
100、100a ガラス積層構造
102 基部層
104 表面層
106 第2の表面層
108、110 外面
130 導波路
132 高屈折率領域
132a 第2の高屈折率領域
134 低屈折率領域
140、140a マスク
142 開口
150 コーティング層
200 オーバーフロー分配器
220 下側オーバーフロー分配器
222、242 樋
224 第1のガラス組成物
240 上側オーバーフロー分配器
244 第2のガラス組成物
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【国際調査報告】