(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】2019523131
(43)【公表日】20190822
(54)【発明の名称】フェノールアルキル化触媒前駆体および触媒、触媒の形成方法、触媒の再生方法、並びにフェノールのアルキル化方法
(51)【国際特許分類】
   B01J 31/06 20060101AFI20190726BHJP
   B01J 23/72 20060101ALI20190726BHJP
   B01J 37/08 20060101ALI20190726BHJP
   C07C 39/07 20060101ALI20190726BHJP
   C07C 37/48 20060101ALI20190726BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20190726BHJP
【FI】
   !B01J31/06 Z
   !B01J23/72 Z
   !B01J37/08
   !C07C39/07
   !C07C37/48
   !C07B61/00 300
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】35
(21)【出願番号】2019504880
(86)(22)【出願日】20170728
(85)【翻訳文提出日】20190329
(86)【国際出願番号】US2017044411
(87)【国際公開番号】WO2018023015
(87)【国際公開日】20180201
(31)【優先権主張番号】62/368,232
(32)【優先日】20160729
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】508171804
【氏名又は名称】サビック グローバル テクノロジーズ ベスローテン フェンノートシャップ
【住所又は居所】オランダ国4612 ピーエックス・ベルゲン・オプ・ゾーム,プラスティクスラーン 1
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】カウフマン、ジェームス
【住所又は居所】アメリカ合衆国、77478、テキサス州、シュガー ランド、インダストリアル ブールバード 1600
(72)【発明者】
【氏名】ベイツ、ゲーリー、メル
【住所又は居所】アメリカ合衆国、12158、ニューヨーク州、セルカーク、ノリル アベニュー 1
(72)【発明者】
【氏名】レンツ、ダグラス、ヘンリー
【住所又は居所】アメリカ合衆国、12158、ニューヨーク州、セルカーク、ノリル アベニュー 1
(72)【発明者】
【氏名】ロヒス、ケンチャイア
【住所又は居所】インド 562125 バンガロール、オフ.サルジャプラ−アッティベレ ステート ハイウェイ、アネカル:タルク、プロット ナンバー 81 トゥ 85 ヴィレッジ:チッカドゥンナサンドラ
(72)【発明者】
【氏名】ギアーニ、ヴィヴェック チャンドラ
【住所又は居所】インド 562125 バンガロール、オフ.サルジャプラ−アッティベレ ステート ハイウェイ、アネカル:タルク、プロット ナンバー 81 トゥ 85 ヴィレッジ:チッカドゥンナサンドラ
(72)【発明者】
【氏名】オフォエグブ、オモイメン、イー.
【住所又は居所】アメリカ合衆国 77407 テキサス州、リッチモンド、ルビー ロック ウェイ 5119
(72)【発明者】
【氏名】ウッドベリー、ロビン
【住所又は居所】アメリカ合衆国、77478、テキサス州、シュガー ランド、インダストリアル ブールバード 1600
(72)【発明者】
【氏名】リー、シン
【住所又は居所】アメリカ合衆国、77478、テキサス州、シュガー ランド、インダストリアル ブールバード 1600
(72)【発明者】
【氏名】チャン、シャンクアン
【住所又は居所】アメリカ合衆国、77478、テキサス州、シュガー ランド、インダストリアル ブールバード 1600
【テーマコード(参考)】
4G169
4H006
4H039
【Fターム(参考)】
4G169AA03
4G169AA05
4G169BA21A
4G169BA21B
4G169BA21C
4G169BA22A
4G169BA22B
4G169BA22C
4G169BB04A
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4G169BB12A
4G169BB12B
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4G169BC10A
4G169BC10B
4G169BC31A
4G169BC31B
4G169BE08A
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4G169BE08C
4G169CB25
4G169CB62
4G169DA06
4G169EA02Y
4G169FA01
4G169FB30
4H006AA02
4H006AC25
4H006BA05
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4H006BA30
4H006BA55
4H006BB62
4H006BC10
4H006BC11
4H006BC18
4H006BD36
4H006BD52
4H006FC52
4H006FE13
4H039CA11
4H039CG10
(57)【要約】
活性、選択性、および再生能力の望ましい組み合わせを示すフェノールアルキル化触媒が、酸化マグネシウムと、酸化銅または酸化銅前駆体と、含水アルミノケイ酸マグネシウム含有バインダーと、細孔形成剤と、滑剤と、水とを特定の量で含む触媒前駆体から調製される。触媒の形成方法および触媒の再生方法、並びにフェノールアルキル化方法が記載されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
触媒前駆体の合計質量に対して、
酸化マグネシウムを70〜98質量%と、
酸化銅もしくは酸化銅前駆体を0.1〜2質量%と、
含水アルミノケイ酸マグネシウムを含むバインダーを0.5〜8質量%と、
細孔形成剤を1〜15質量%と、
滑剤を0.2〜5質量%と、
水と0.2〜15質量%と、
を含むことを特徴とする触媒前駆体。
【請求項2】
実施例に記載されている通りに決定される23℃での密度が1.2〜2g/mLである請求項1に記載の触媒前駆体。
【請求項3】
酸化マグネシウムのBrunauer−Emmett−Teller表面積が少なくとも70m/gである請求項1または2に記載の触媒前駆体。
【請求項4】
酸化銅または酸化銅前駆体が、酸化銅(II)、硝酸銅、炭酸銅、前述したものの1つの水和物、またはそれらの組み合わせを含む請求項1乃至3のいずれか1項に記載の触媒前駆体。
【請求項5】
細孔形成剤がポリエチレングリコールを含む請求項1乃至4のいずれか1項に記載の触媒前駆体。
【請求項6】
滑剤が、グラファイト、ステアリン酸マグネシウム、またはそれらの組み合わせを含む請求項1乃至5のいずれか1項に記載の触媒前駆体。
【請求項7】
酸化マグネシウムを75〜95質量%と、
酸化銅または酸化銅前駆体を0.2〜1質量%と、
含水アルミノケイ酸マグネシウムを含むバインダーを1〜6質量%と、
細孔形成剤を2〜10質量%と、
滑剤を0.4〜3.5質量%と、
水を0.6〜12質量%と、
を含む請求項1乃至6のいずれか1項に記載の触媒前駆体。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の触媒前駆体を、単位時間当たりの重量空間速度が0.05〜0.8hr−1である窒素ガス流に曝すステップを含み、窒素ガス流の温度が350〜550℃であり、5〜30時間実施され、窒素ガス流の温度を0.5〜5℃/分の速度で350〜550℃の温度に上昇させることを特徴とするフェノールアルキル化触媒の形成方法。
【請求項9】
請求項8に記載の方法によって調製したフェノールアルキル化触媒。
【請求項10】
ASTM D4179−11に準拠して決定される1〜20N/mmの破砕強度を示す請求項9に記載のフェノールアルキル化触媒。
【請求項11】
請求項9または10に記載のフェノールアルキル化触媒の存在下でフェノールをC−Cアルカノールと反応させるステップを含むことを特徴とするフェノールのアルキル化方法。
【請求項12】
前記C−Cアルカノールがメタノールを含み、前記フェノールと前記C−Cアルカノールとの反応が、単位時間当たりの供給重量空間速度が0.5〜10hr−1、圧力が50〜500kPa、C−Cアルカノールとフェノールとのモル比が2:1〜10:1、温度が450〜490℃であることを特徴とする請求項11に記載のフェノールのアルキル化方法。
【請求項13】
単位時間当たりの重量空間速度が0.05〜0.8hr−1であり、温度が410〜440℃であり、圧力が25〜400kPaであり、窒素を含む第1のガス流にフェノールアルキル化触媒を曝すステップと、
単位時間当たりの重量空間速度が0.05〜0.8hr−1であり、温度が第1のガス流の温度より10〜50℃高く、圧力が25〜400kPaであり、窒素を含む第2のガス流にフェノールアルキル化触媒を曝すステップと、を含むことを特徴とするフェノールアルキル化触媒の再生方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
アルカノールでフェノールをアルキル化して2,6−ジアルキルフェノールを形成することは、よく確立された工業的プロセスである。例えば、フェノールをメタノールでアルキル化して、熱可塑性ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)を形成するのに使用されるモノマーである2,6−ジメチルフェノール(2,6−キシレノールとしても既知)を形成することができる。酸化マグネシウムを含むアルキル化触媒が一般的に使用され、多くの場合炭酸マグネシウムを含む触媒前駆体の焼成によって生成される。例えば、米国特許第6,620,908B2号明細書(Watsonら,2003年9月16日発行);米国特許第6,897,175B2号明細書(Parrilloら,2005年5月24日発行);米国特許第7,081,432号明細書(Ingelbrechtら,2006年7月25日発行)を参照されたい。この方法によって調製された触媒は、高い触媒活性および高い2,6−アルキル化選択性を示し得る。しかしながら、それらは、多くの場合、触媒粒子の微粒子への破砕、触媒床での圧力低下(生産性低下)、有用寿命の制限(頻繁な触媒置換および関連したプロセスの中断時間を要する)、並びに再生および再利用不能として見られるように構造的完全性に乏しい。したがって、触媒活性および選択性を維持しつつ構造的完全性が向上した酸化マグネシウム系アルキル化触媒が必要とされている。
【発明の概要】
【0002】
一実施形態は、触媒前駆体の合計質量に対して、酸化マグネシウムを70〜98質量%と、酸化銅もしくは酸化銅前駆体を0.1〜2質量%と、含水アルミノケイ酸マグネシウムを含むバインダーを0.5〜8質量%と、細孔形成剤を1〜15質量%と、滑剤を0.2〜5質量%と、水を0.2〜15質量%と、を含む触媒前駆体である。
【0003】
別の実施形態は、フェノールアルキル化触媒の形成方法である。該方法は、いずれのバリエーションの触媒前駆体を、単位時間当たりの重量空間速度が0.05〜0.8hr−1である窒素ガス流に曝すステップを含み、窒素ガス流の温度が350〜550℃であり、5〜30時間実施され、窒素ガス流の温度を0.5〜5℃/分の速度で350〜550℃の温度に上昇させる。
【0004】
別の実施形態はフェノールアルキル化触媒の再生方法である。該方法は、単位時間当たりの重量空間速度が0.05〜0.8hr−1であり、温度が410〜440℃であり、圧力が25〜400kPaであり、窒素を含む第1のガス流にフェノールアルキル化触媒を曝すステップと、単位時間当たりの重量空間速度が0.05〜0.8hr−1であり、温度が第1のガス流の温度より10〜50℃高く、圧力が25〜400kPaであり、窒素を含む第2のガス流にフェノールアルキル化触媒を曝すステップと、を含む。
【0005】
別の実施形態はフェノールのアルキル化方法である。該方法は、いずれのバリエーションのフェノールアルキル化触媒の存在下でフェノールをC−Cアルカノールと反応させるステップを含む。
【0006】
これらの実施形態および他の実施形態を以下に詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】再生を許容する構造的完全性を有さない比較触媒のための工業規模の反応器での、時間の関数としての触媒活性(単位なし;青色の点)および2,6−キシレノール生産性(kg2,6−キシレノール/kg触媒/日;赤色菱形)のプロットである。
【図2】単一チューブパイロット反応器の本発明の触媒(「×」)、単一チューブパイロット反応器の比較触媒(「黒色菱形」)、および工業規模の反応器の比較触媒(データ点標識なしの実線)での時間に対する触媒活性のプロットである。調べた反応時間の間に本発明の触媒を2回(約460および760時間で)再生した。
【図3】工業規模の反応器(赤色菱形)の比較触媒、パイロットスケールの反応器(青色の点)の本発明の触媒、および本発明の触媒曲線の2つの外挿での時間の関数としての2,6−キシレノール生産性(kg2,6−キシレノール/kg触媒/日)のプロットである。外挿の詳細は実施例で説明する。
【図4】実施例43(青色菱形)、実施例44(橙色四角)、および実施例45(灰色三角)に従う触媒での時間に対する触媒活性のプロットである。詳細は実施例で説明する。
【図5】実施例43(青色菱形)、実施例44(橙色四角)、および実施例45(灰色三角)に従う触媒での時間に対するメシトール選択性(%)のプロットである。詳細は実施例で説明する。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明者らは、特定の触媒前駆体組成物が、比較触媒と比較して構造的完全性の向上を示しつつ、触媒活性および選択性を維持する酸化マグネシウム系アルキル化触媒の形成を可能にすることを明らかにした。アルキル化触媒の構造的完全性の向上は、触媒が、比較触媒で見られるような物理的な分解なしで再生できるようにする。次に、触媒の再生は、所与の反応器でのアルキル化したフェノールの生産性を増加させる。
【0009】
一実施形態は、触媒前駆体の合計質量に対して、酸化マグネシウムを70〜98質量%と、酸化銅もしくは酸化銅前駆体を0.1〜2質量%と、含水アルミノケイ酸マグネシウムを含むバインダーを0.5〜8質量%と、細孔形成剤を1〜15質量%と、滑剤を0.2〜5質量%と、水を0.2〜15質量%と、を含む触媒前駆体である。
【0010】
触媒前駆体は酸化マグネシウム(MgO)を含む。一部の実施形態では、酸化マグネシウムのBrunauer−Emmett−Teller(BET)表面積が少なくとも70m/gである。この制限内で、酸化マグネシウムの表面積70〜500m/g、または100〜500m/g、または150〜500m/g、または100〜200m/gであり得る。BET表面積は、Micromeritics ASAP2010機器で決定した。試料を300℃で5時間、真空下で完全に脱気して、水および他の物理的吸着種を除去した。吸着剤として77Kで窒素ガスを用いて測定を行い、計算の多点法を触媒の表面積を決定するのに使用した。細孔容積(単位cm/gで表される)を、相対圧力P/P=0.99で決定し、平均孔径(単位Åで表される)を、式10−4(V)/(BET SA)(式中、「V」は単位cm/gの細孔容積)を用いて計算し、「BET SA」は単位m/gのBET表面積である。
【0011】
一部の実施形態では、酸化マグネシウムのアスペクト比が3:1以下、または1.1:1〜3:1、または1.2:1〜2.5:1、または1.3:1〜2:1である。アスペクト比は、同じ粒子の最も大きい粒子寸法と最も小さい直交寸法との数平均比として定義される。アスペクト比は、レーザー回折で決定し得る。
【0012】
触媒前駆体は、その合計質量に対して、酸化マグネシウムを70〜98質量%の量で含む。この範囲内で、酸化マグネシウムの量は75〜95質量%、または78〜90質量%であり得る。
【0013】
酸化マグネシウムに加えて、触媒前駆体は、酸化銅または酸化銅前駆体を含む。本明細書で、酸化銅は酸化銅(II)(CuO)を指す。一部の実施形態では、酸化銅または酸化銅前駆体は酸化銅(II)、硝酸銅、炭酸銅、前述したものの1つの水和物、またはそれらの組み合わせを含む。
【0014】
触媒前駆体は、その合計質量に対して酸化銅または酸化銅前駆体を0.1〜2質量%の量で含む。この範囲内で、酸化銅または酸化銅前駆体の量は0.2〜1質量%、または0.3〜0.8質量%であり得る。
【0015】
酸化マグネシウムおよび酸化銅または酸化銅前駆体に加えて、触媒前駆体は、含水アルミノケイ酸マグネシウムを含むバインダーを含む。含水アルミノケイ酸マグネシウムは天然由来材料であり、精製の様々なレベルで市販されている。精製した含水アルミノケイ酸マグネシウムの例としては、MIN−U−GEL(商標)200、MIN−U−GEL(商標)400、MIN−U−GEL(商標)500、MIN−U−GEL(商標)PC、およびMIN−U−GEL(商標)FGが挙げられ、すべてActiveMinerals International社から入手できる。高純度の含水アルミノケイ酸マグネシウムの一例はACTI−GEL(商標)208であり、ActiveMinerals International社から入手できる。一部の実施形態では、含水アルミノケイ酸マグネシウムは水和または水酸化アルミノケイ酸マグネシウムを含む。
【0016】
触媒前駆体は、その合計質量に対して含水アルミノケイ酸マグネシウムを0.5〜8質量%の量で含む。この範囲内で、含水アルミノケイ酸マグネシウムの量は1〜6質量%、または1.5〜5.5質量%であり得る。
【0017】
酸化マグネシウム、酸化銅または酸化銅前駆体、および含水アルミノケイ酸マグネシウムに加えて、触媒前駆体は細孔形成剤を含む。本明細書で、細孔形成剤は、焼成した触媒(すなわち、触媒前駆体の焼成生成物)の細孔の形成を助けることが可能な物質を指す。細孔形成剤としては、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス、微結晶ワックス、モンタンワックス、セルロース、カルボキシルメチルセルロース、セルロースアセテート、デンプン、赤褐色粉末、クエン酸、ポリエチレングリコール、シュウ酸、ステアリン酸、C10−C28アニオン性界面活性剤(中和したカルボン酸、リン酸、およびスルホン酸基を有するものを含む)、C10−C28カチオン性界面活性剤(アンモニウムおよびホスホニウム基を有するものを含む)、およびそれらの組み合わせが挙げられる。一部の実施形態では、細孔形成剤はポリエチレングリコールを含む。
【0018】
触媒前駆体は、その合計質量に対して、細孔形成剤を1〜15質量%の量で含む。この範囲内で、細孔形成剤はの量は2〜10質量%であり得る。
【0019】
酸化マグネシウム、酸化銅または酸化銅前駆体、含水アルミノケイ酸マグネシウム、および細孔形成剤に加えて、触媒前駆体は滑剤を含む。適した滑剤としては、グラファイト、C−C24カルボン酸(オクタン酸、デカン酸、ドデカン酸、テトラデカン酸、ヘキサデカン酸、オクタデカン酸、ステアリン酸を含む)、エイコサン酸、ドコサン酸、テトラコサン酸、C−C24カルボン酸のマグネシウム塩、タルク、シリカ、ワックス、グリセロール、デンプン、およびそれらの組み合わせが挙げられる。一部の実施形態では、滑剤は、ステアリン酸マグネシウムを含む。
【0020】
触媒前駆体は、その合計質量に対して、滑剤を0.2〜5質量%の量で含む。この範囲内で、滑剤の量は0.4〜3.5質量%、または0.6〜2.5質量%であり得る。
【0021】
酸化マグネシウム、酸化銅または酸化銅前駆体、含水アルミノケイ酸マグネシウム、細孔形成剤、および滑剤に加えて、触媒前駆体は水を含む。一部の実施形態では、水は脱イオン化されている。触媒前駆体は、その合計質量に対して、水を0.2〜15質量%の量で含む。この範囲内で、水の量は0.6〜12質量%であり得る。
【0022】
触媒前駆体組成物の形成、およびそのペレットへの成形の手順は、以下の実施例に記載されている。一部の実施形態では、触媒前駆体の密度は23℃で1.2〜2g/mL、または1.3〜1.8g/mLである。これに関連して、密度は、実施例に記載されている通りに決定した、触媒前駆体ペレットの開梱した密度を指す。
【0023】
触媒前駆体の非常に特定の実施形態では、触媒前駆体は、酸化マグネシウムを75〜95質量%と、酸化銅または酸化銅前駆体を0.2〜1質量%と、含水アルミノケイ酸マグネシウムを含むバインダーを1〜6質量%と、細孔形成剤を2〜10質量%と、滑剤を0.4〜3.5質量%と、水を0.6〜12質量%と、を含む。
【0024】
別の実施形態はフェノールアルキル化触媒の形成方法である。該方法は、上記バリエーションのいずれの触媒前駆体を単位時間当たりの重量空間速度が0.05〜0.8hr−1または0.1〜0.4hr−1である窒素ガス流に曝すステップを含み、窒素ガス流の温度は350〜550℃または400〜500℃であり、5〜30時間または8〜24時間実施され、窒素ガス流の温度を0.5〜5℃/分または1〜4℃/分の速度で350〜550℃の温度に上昇させる。このフェノールアルキル化触媒の形成方法は触媒前駆体の焼成方法とも呼ぶことができる。
【0025】
一部の実施形態では、新鮮に焼成したフェノールアルキル化触媒は、ASTM D4179−11の”Standard Test Method for Single Pellet Crush Strength of Formed Catalyst and Catalyst Carriers”に準拠して決定される1〜20N/mm、または5〜20N/mmの破砕強度を示す。
【0026】
別の実施形態はフェノールアルキル化触媒の再生方法である。該方法は、単位時間当たりの重量空間速度が0.05〜0.8hr−1であり、温度が410〜440℃であり、圧力が25〜400kPaであり、窒素を含む第1のガス流にフェノールアルキル化触媒を曝すステップと、単位時間当たりの重量空間速度が0.05〜0.8hr−1であり、温度が第1のガス流の温度より10〜50℃高く、圧力が25〜400kPaであり、窒素を含む第2のガス流にフェノールアルキル化触媒を曝すステップと、を含む。
【0027】
したがって、該方法は、少なくとも2つの再生ステップを含む。第1のステップでは、0.05〜0.8hr−1の範囲内で、単位時間当たりの重量空間速度は0.1〜0.4hr−1であり得;410〜440℃の範囲内で、温度は415〜435℃であり得;25〜400kPaの範囲内で、圧力は50〜200kPaであり得;ガス流は、窒素を75〜97モル%と酸素を3〜25モル%とを含み得るか、または窒素を80〜95モル%と酸素を5〜20モル%とを含み得る。第2のステップでは、0.05〜0.8hr−1の範囲内で、単位時間当たりの重量空間速度は0.1〜0.4hr−1であり得、10〜50℃の温度差内で、第2のガス流の温度は第1のガス流の温度より15〜45℃高いものであり得、第2のガス流は、窒素を75〜97モル%と酸素を3〜25モル%とを含み得るか、または窒素を80〜95モル%と酸素を5〜20モル%とを含み得る。一部の実施形態では、各ステップの持続期間は、特定の数の時間としてではなく、反応器流出物の酸素ブレイクスルーにおいて特定される。例えば、流出物の酸素含量が供給物の酸素含量の25%に達した際に、プロセスは第1のステップの条件から第2のステップの条件へ移ることができる。一部の実施形態では、各ステップのガス流(供給物)は、水を1モル%以下含むか、または水を含まない。
【0028】
別の実施形態はフェノールのアルキル化方法である。該方法は、いずれのバリエーションのフェノールアルキル化触媒の存在下でフェノールをC−Cアルカノールと反応させるステップを含む。一部の実施形態では、C−Cアルカノールはメタノールを含む。
【0029】
フェノールのアルキル化方法の非常に特定の実施形態では、C−Cアルカノールはメタノールを含み、フェノールとC−Cアルカノールとの反応は、単位時間当たりの供給重量空間速度が0.5〜10hr−1または1〜5hr−1、圧力が50〜500kPaまたは80〜350kPa、C−Cアルカノールとフェノールとのモル比が2:1〜10:1または3:1〜9:1、温度が450〜490℃または455〜480℃であることを特徴とする。
【0030】
本発明は、少なくとも以下の実施形態を含む。
【0031】
実施形態1:触媒前駆体の合計質量に対して、酸化マグネシウムを70〜98質量%と、酸化銅もしくは酸化銅前駆体を0.1〜2質量%と、含水アルミノケイ酸マグネシウムを含むバインダーを0.5〜8質量%と、細孔形成剤を1〜15質量%と、滑剤を0.2〜5質量%と、水を0.2〜15質量%と、を含む触媒前駆体。
【0032】
実施形態2:実施例に記載されている通りに決定される23℃での密度が1.2〜2g/mLである実施形態1の触媒前駆体。
【0033】
実施形態3:酸化マグネシウムのBrunauer−Emmett−Teller表面積が少なくとも70m/gである実施形態1または2の触媒前駆体。
【0034】
実施形態4:酸化銅または酸化銅前駆体が、酸化銅(II)、硝酸銅、炭酸銅、前述したものの1つの水和物、またはそれらの組み合わせを含む実施形態1〜3のいずれか1つの触媒前駆体。
【0035】
実施形態5:細孔形成剤がポリエチレングリコールを含む実施形態1〜4のいずれか1つの触媒前駆体。
【0036】
実施形態6:滑剤が、グラファイト、ステアリン酸マグネシウム、またはそれらの組み合わせを含む実施形態1〜5のいずれか1つの触媒前駆体。
【0037】
実施形態7:酸化マグネシウムを75〜95質量%と、酸化銅または酸化銅前駆体を0.2〜1質量%と、含水アルミノケイ酸マグネシウムを含むバインダーを1〜6質量%と、細孔形成剤を2〜10質量%と、滑剤を0.4〜3.5質量%と、水を0.6〜12質量%と、を含む実施形態1〜6のいずれか1つの触媒前駆体。
【0038】
実施形態8:実施形態1−7いずれか1つの触媒前駆体を、単位時間当たりの重量空間速度が0.05〜0.8hr−1である窒素ガス流に曝すステップを含み、窒素ガス流の温度が350〜550℃であり、5〜30時間実施するステップと、窒素ガス流の温度を0.5〜5℃/分の速度で350〜550℃の温度に上昇させるフェノールアルキル化触媒の形成方法。
【0039】
実施形態9:実施形態8の方法によって調製したフェノールアルキル化触媒。
【0040】
実施形態10:ASTM D4179−11に準拠して決定される1〜20N/mmの破砕強度を示す実施形態9のフェノールアルキル化触媒。
【0041】
実施形態11:実施形態9または10のフェノールアルキル化触媒の存在下でフェノールをC1−C6アルカノールと反応させるステップを含むフェノールのアルキル化方法。
【0042】
実施形態12:C−Cアルカノールが、メタノールを含み、フェノールとC−Cアルカノールとの反応が、単位時間当たりの重量空間速度を0.5〜10hr−1、圧力を50〜500kPa、C−Cアルカノールとフェノールとのモル比を2:1〜10:1、温度を450〜490℃とすることを特徴とする実施形態12の方法。
【0043】
実施形態13:単位時間当たりの重量空間速度が0.05〜0.8hr−1であり、温度が410〜440℃であり、圧力が25〜400kPaであり、窒素を含む第1のガス流にフェノールアルキル化触媒を曝すステップと、単位時間当たりの重量空間速度が0.05〜0.8hr−1であり、温度が第1のガス流の温度より10〜50℃高く、圧力が25〜400kPaであり、窒素を含む第2のガス流にフェノールアルキル化触媒を曝すステップと、を含むフェノールアルキル化触媒の再生方法。
【0044】
本明細書に開示されるすべての範囲は端点を含み、端点は、互いに独立して組み合わせ可能である。本明細書に開示される各範囲は、開示された範囲内にあるいずれの点またはサブ範囲も開示する。
【0045】
本発明を以下の非限定的な実施例によってさらに例示する。
【実施例】
【0046】
以下の成分を使用して、触媒前駆体を形成した。
【表1】
【0047】
比較実施例1
本実施例では比較のアルキル化触媒の調製を説明する。バッグダンプステーション(bag dump station)を使用して触媒成分をリボンブレンダーに充填した。材料を、スライドゲートおよび回転弁(流れを制御するため)を通じて水平スクリューコンベヤへ流した。スクリューコンベヤは、Chilsonator(商標)乾燥造粒ローラー圧縮機に接続したFitzMill(商標)粉砕ハンマーミルのより低い供給ホッパーに流し、ブレンドした触媒粉末を圧縮し、粒状にした。システムへの供給を回転弁によって制御することから、スクリューコンベヤは一定の速度で運転する。バケットエレベーターを使用して材料を上部の供給ホッパーへ運ぶ。その後、材料を高密度化および造粒システムで処理し、約−16+36メッシュ(米国標準)にふるい分けし、特大および微細な粒子を、圧縮機へ同じバケットエレベーターを用いて再循環させた。ふるい分けした供給生成物を、空気輸送システムを通じてサージタンクへ流し、その後、二度タブレットプレスシステムへ運んだ。タブレット化プロセスは、これらの供給粒子をペレット化して、直径0.190in(4.76mm)および長さ0.140in(3.56mm)のペレットを製造する。最終ペレットの密度は1.60g/cm、ASTM D4179−11に準拠して決定される破砕強度は31.0N/mmである。まだ焼成していないこれらの触媒前駆体ペレットは、時に「グリーンペレット」と称される。
【0048】
実施例1:触媒前駆体の調製
10mLの水に、0.74gの硝酸銅(II)三水和物を溶解した。銅溶液を100gの酸化マグネシウムに滴下し、完全に混合した。混合物に、2gのグラファイト、10gのポリエチレングリコール、および2gのHPMASを添加した。混合物を完全に混合して、確実に均質にした。直径2.54cm(1in)のCarverプレスダイスを用いて、混合物を、圧縮圧力34.5MPa(5000psi)で、直径2.54cm(1in)のタブレットに圧縮した。生じたタブレットの平均密度は約1g/mLであった。タブレットを粉砕し、公称篩目開き400〜841μmに対応する−20+40メッシュのメッシュサイズにした。該サイズの粒子を単一金型プレスのホッパーに供給した。金型サイズ4.76mm(3/16in)を用いて、該サイズの粒子を直径4.76mm(3/16in)のペレットにした。タブレットプレスの設定を、1.4〜1.7g/mLの密度のペレットが得られるように調整した。ペレットを粉砕し、−20+40メッシュ(400〜841μm)のメッシュサイズにし、触媒前駆体として使用した。
【0049】
触媒前駆体の触媒への転換
外径1.27cm(0.5in)、肉厚1.24mm(0.049in)、および長さ43.2cm(17in)のステンレススチール反応器で、30mL/分(mL/分)速度で窒素を連続的に流すことによって、触媒前駆体を触媒に転換した。反応器中、5gの触媒前駆体を炭化ケイ素および石英ウールによって反応器の中間部に保持した。窒素を200℃の温度に維持した噴霧器を通過させることによって予熱した。反応器温度を室温(23℃)から393℃まで2℃/分の速度で徐々に上昇させ、15.5時間その温度で保持した。その後、2℃/分の速度で450℃に徐々に上昇させ、1.5時間保持した、その後、下記のアルキル化のために使用される440℃に低下させた。
【0050】
アルキル化
活性化ステップ後、窒素の流れを停止し、12.36モル%のフェノールと、49.46モル%のメタノールと、38.17モル%の水との供給混合物を、3.5mL/hrの流速で噴霧器に導入し、その後、反応器に導入した。反応器温度を440℃に12時間維持した。供給流速を13.8mL/hrに上昇させ、反応器温度を460℃に上昇させ、24時間保持した。最終的に、供給流速を13.8mL/hrで維持しつつ、反応器温度を470℃に上昇させ、試験終了まで保持した。操業の合計時間は約100時間であった。運転を通じて、流出物のガス試料を直列ガスクロマトグラフ(GC)で分析した。表2は反応からのアルキル化性能データを要約する。
【0051】
実施例2
触媒前駆体の調製
5mLの水に0.74gの硝酸銅(II)三水和物を溶解した。銅溶液を100gの酸化マグネシウムに滴下し、完全に混合した。混合物に2gのグラファイト、5gのポリエチレングリコール、および2gのHPMASを添加した。混合物を完全に混合して、確実に均質にした。直径2.54cm(1in)のCarverプレスダイスを用いて、混合物を、34.5MPa(5000psi)の圧縮圧力で直径2.54cm(1in)のタブレットに圧縮した。生じたタブレットの平均密度は約1g/mLであった。タブレットを粉砕し、公称篩目開き400〜841μmに対応する−20+40メッシュのメッシュサイズにした。該サイズの粒子を単一金型プレスのホッパーに供給した。金型サイズ4.76mm(3/16in)を用いて、該サイズの粒子を直径4.76mm(3/16in)のペレットにした。タブレットプレスの設定を、1.4〜1.7g/mLの密度のペレットが得られるように調整した。ペレットを粉砕し、−20+40メッシュ(400〜841μm)のメッシュサイズにし、触媒前駆体として使用した。
【0052】
実施例1の転換およびアルキル化手順を繰り返した。
【0053】
実施例3
触媒前駆体の調製
2.5mLの水に、0.35gの硝酸銅(II)三水和物を溶解した。銅溶液を50gの酸化マグネシウムに滴下し、完全に混合した。混合物に1gのグラファイト、2.5gのポリエチレングリコール、および2.5gのHPMASを添加した。混合物を完全に混合して、確実に均質にした。直径2.54cm(1in)のCarverプレスダイスを用いて、混合物を、34.5MPa(5000psi)の圧縮圧力で直径2.54cm(1in)のタブレットに圧縮した。生じたタブレットの平均密度は約1g/mLであった。タブレットを粉砕し、公称篩目開き400〜841μmに対応する−20+40メッシュのメッシュサイズにした。該サイズの粒子を単一金型プレスのホッパーに供給した。金型サイズ4.76mm(3/16in)を用いて、該サイズの粒子を直径4.76mm(3/16in)のペレットにした。タブレットプレスの設定を、1.4〜1.7g/mLの密度のペレットが得られるように調整した。ペレットを粉砕し、−20+40メッシュ(400〜841μm)のメッシュサイズにし、触媒前駆体として使用した。
【0054】
実施例1の転換およびアルキル化手順を繰り返した。
【0055】
実施例4
触媒前駆体の調製
0.5mLの水に、0.35gの硝酸銅(II)三水和物を溶解した。銅溶液を50gの酸化マグネシウムに滴下し、完全に混合した。混合物に1gのグラファイト、2.5gのポリエチレングリコール、および2.5gのHMAS2を添加した。混合物を完全に混合して、確実に均質にした。
【0056】
直径2.54cm(1in)のCarverプレスダイスを用いて、混合物を、34.5MPa(5000psi)の圧縮圧力で直径2.54cm(1in)のタブレットに圧縮した。生じたタブレットの平均密度は約1g/mLであった。タブレットを粉砕し、公称篩目開き400〜841μmに対応する−20+40メッシュのメッシュサイズにした。該サイズの粒子を単一金型プレスのホッパーに供給した。金型サイズ4.76mm(3/16in)を用いて、該サイズの粒子を直径4.76mm(3/16in)のペレットにした。タブレットプレスの設定を、1.4〜1.7g/mLの密度のペレットが得られるように調整した。ペレットを粉砕し、−20+40メッシュ(400〜841μm)のメッシュサイズにし、触媒前駆体として使用した。
【0057】
実施例1の転換およびアルキル化手順を繰り返した。
【0058】
実施例5
触媒前駆体の調製
50gの酸化マグネシウムと、1gのグラファイトと、2.5gのポリエチレングリコールと、2.5gのHPMASとの混合物を調製した。混合物に、5mLの水を滴下し、完全に混合した。直径2.54cm(1in)のCarverプレスダイスを用いて、混合物を、103.4MPa(15,000psi)の圧縮圧力で、直径2.54cm(1in)のタブレットに圧縮した。生じたタブレットの平均密度は約1.5g/mLであった。タブレットを粉砕し、公称篩目開き400〜841μmに対応する−20+40メッシュのメッシュサイズにした。初期の湿潤により、銅を該サイズの粒子に添加した。これを、0.054gの硝酸銅(II)三水和物を6.27gのエタノールに溶解させ、それを該サイズの粒子に滴下することによって行った。湿潤した粒子をマッフルオーブン内で、80℃で約16時間、乾燥した。乾燥した粒子を触媒前駆体として使用した。
【0059】
実施例1の転換およびアルキル化手順を繰り返した。
【0060】
実施例6
触媒前駆体の調製
100gの酸化マグネシウムに、5gのPEG、5gのHMAS、0.44gの銅(II)炭酸塩基(CuCO(OH))および1gのステアリン酸マグネシウムを添加し、完全に混合した。生じた粉末混合物に、5mLの水を滴下し、混合によって分散させた。粉末混合物を、金型プレスを用いて4.76mm(3/16in)ペレットに圧縮した。ペレットを触媒前駆体として使用した。
【0061】
触媒前駆体の触媒への転換
外径1.91cm(3/4in)、肉厚1.24mm(0.049in)、および長さ60.96cm(24in)のステンレススチール反応器で、40mL/分の速度で窒素を連続的に流すことによって、触媒前駆体を活性化した。反応器中、炭化ケイ素および石英ウールによって、10gの触媒前駆体をチューブの中間の部分に保持した。窒素を、200℃の温度に維持した噴霧器を通過させることによって予熱した。反応器温度を、23℃から393℃まで2℃/分の速度で徐々に上昇させ、その温度で15.5時間保持した。その後、2℃/分の速度で450℃まで徐々に上昇させ、1.5時間保持した後、温度を、下記のアルキル化のために使用される440℃に低下させた。
【0062】
アルキル化
活性化ステップ後、窒素の流れを停止し、5モル%の水素と95モル%の窒素との混合物を、触媒を通して40mL/分で3時間流し、その後、反応器を40mL/分で、約15分間窒素でパージした。窒素パージ後、12.36モル%のフェノールと、49.46モル%のメタノールと、38.17モル%の水との供給混合物を、7.5mL/hrの流速で噴霧器に導入し、その後、反応器に導入した。反応器温度を440℃で12時間維持した。供給流速を29.5mL/hrに上昇させ、反応器温度を460℃に上昇させ、24時間保持した。最終的に、供給流速を29.5mL/hrに維持しつつ、反応器温度を470℃に上昇させ、試験終了まで保持した。操業の合計時間は約100時間であった。運転を通じて、液体流出物試料を回収し、直列GCで分析した。
【0063】
表2は、触媒特性およびアルキル化性能を要約する。表2中、「グリーンペレット」は焼成前の触媒前駆体のペレットを指す。「グリーンペレット密度(g/mL)」は、以下の通りに測定した。グリーンペレットを、風袋の重さを量った500mL目盛り付きシリンダーに500mLの容積まで入れた。シリンダーは開栓せず、撹拌して、ペレットのより濃厚な充填を誘導した。ペレット充填シリンダーの重さをMETTLER PB1502−Sスケールで量り、開梱したペレットの質量を、ペレット充填シリンダーの質量から風袋質量を引くことによって計算する。「未開栓の」密度を、開梱したペレット(g)の質量を500mLで割ることによって計算する。
【0064】
表2中、「グリーン粉砕力(Green Crush Strength)(N/mm)」は、プレス(20ペレット合計)の各側面からの10個のペレットを1つずつ、PHARMATRON(商標)8Mタブレット硬度計を用いて決定した。20の試験の結果を平均して表2中の値を得た。表2中、「TOS」は操業時間であり、アルキル化時間を含むが、いずれの再生時間も含まない。「TOS40〜60時間での平均フェノール転換率(%)」は、「いずれのフェノール転換生成物のモル/反応器に導入したフェノールのモル」を100倍したものである。「合計2,6−キシレノール生成@~TOS60時間」は、「2,6−キシレノールのモル/40〜60時間の操業で転換されたフェノールのモル」である。「TOS40〜60時間での平均オルト選択性」は、「2,6−キシレノールのモルとオルト−クレゾールのモルとの合計/40〜60時間の操業で転換されたフェノールのモル」である。表2は、本発明の触媒は、比較触媒と比較して、多くの再生後でも構造的完全性が向上していることを実証する。この構造的完全性の向上によって、本発明の触媒が再生されるようになり、所与の反応器についての2,6−キシレノール生産性が増大する。
【0065】
焼成した触媒での表面積および細孔径分布データの重要性は、表面積および細孔径が高いほど、触媒活性が高くなるからである。グリーン触媒タブレットの表面積および細孔径分布と最終焼成タブレットの表面積および細孔径分布との関係は、グリーンタブレットから、焼成タブレットが反応器内でどのように機能するのか予測できるようにする。
【0066】
これらの結果をもたらす反応器試験は、10〜20gの触媒前駆体を内径12.7〜25.4mm(0.5〜1in)の反応器チューブに充填することを伴う。触媒は、本願に記載の焼成プロトコールに従って焼成され、その後、フェノール/メタノール/水の供給物が触媒床を通じて反応器に供給され、主に、2,6−キシレノールおよびオルト−クレゾールを生成する。時間とともにコークスが触媒上に生じることから、反応物が酸化マグネシウム表面に接するのを妨げ、触媒活性が低下する。その後、触媒活性が許容可能なレベルより下に低下すると、反応が停止し、触媒の再生が記載されているように実施されてコークスを燃焼させ、触媒活性を増加させて大体元の活性レベルに戻るようにする。
【表2】
【0067】
実施例7および8
5gのグリーンペレットを石英ガラスチューブの中心に配置した。触媒床の両端に配置した石英ウールを使用して、チューブ中の床の位置を維持した。チューブをCARBOLITE(商標)炉に入れた。チューブの上流の端をハウスの窒素および空気の供給部にプラスチック管を通じて接続した。質量流制御装置を使用して、屋内ガスの流速を制御した。チューブの上流の端も、焼成中に水を供給したISCO(商標)ポンプにステンレススチールチューブを通じて接続した。ステンレススチールチューブの出口の端を、石英ウールの内側の炉内に配置した。これによって、ペレット接触前に水が確実に蒸発するようにした。石英チューブの下流の端を水分トラップに接続して、チューブに存在するすべての液体を回収した。石英チューブを含む炉を傾斜させて、チューブからの液体の流れを補助し、逆流を防いだ。CARBOLITE(商標)炉温制御装置にて温度プロファイルを設定した。ISCOポンプを作動させる前に炉温が200℃に到達するようにした。また、炉が200℃より下になる前にポンプを止めた。グラファイトまたはステアリン酸マグネシウム滑剤のいずれかと、0.25%銅とで作製したグリーンペレット(実施例7および8の組成物の完全な処方については、表3参照(成分量は質量部で表される))を、単位時間当たりの重量空間速度(WHSV)0.2hr−1の空気、WHSV0.0hr−1の蒸気、および大気圧で、2℃/分の速度で390℃の焼成温度に加熱することによって焼成した。触媒をこの焼成温度で12時間保持した。焼成条件の影響を、グリーンペレットと比較した、焼成ペレットのペレット密度減少のパーセント、ペレット破砕強度減少のパーセント、表面積減少のパーセント、細孔容積減少のパーセント、および平均孔径増加のパーセントによって決定した。これらの変化を最小限にすることが好ましい。表4は、グリーンペレットの特性を要約し、表5は、グリーンペレットと比較した焼成ペレットの特性を要約する。表4中、「グリーンペレット銅(%)」は、X線蛍光で決定した触媒前駆体の合計質量に対する銅の質量%である。「グリーンペレット表面積(m/g)」(触媒前駆体表面積(m/g))、「グリーンペレット合計細孔容積(cm/g)」(触媒前駆体細孔容積(cm/g))、および「グリーンペレット平均孔径(A)」(触媒前駆体平均孔径(Å))は、すべて上記のようにBET法によって決定した。
【表3】
【表4】
【表5】
【0068】
実施例9および10
実施例7および8に記載されているのと同じ焼成の系および方法を使用した。グラファイトまたはステアリン酸マグネシウム滑剤のいずれかと、0.4%銅とで作製したグリーンペレット(実施例9および10の組成物の完全な処方については、表6参照(成分量は組成物の合計質量に対する質量%で表される))を、WHSV0.2hr−1の窒素、WHSV0.0hr−1の蒸気、および大気圧で、2℃/分の速度で425℃の焼成温度に加熱することによって焼成した。触媒をこの焼成温度で4時間保持した。焼成条件の影響は、実施例7および8に記載されている通りに決定した。初期グリーンペレットの特性および焼成結果を表7および8にそれぞれに要約する。
【表6】
【表7】
【表8】
【0069】
実施例11および12
実施例7および8に記載されているのと同じ焼成の系および方法を使用した。グリーンペレットをグラファイトまたはステアリン酸マグネシウム滑剤のいずれかと0.4%銅とで作製した。実施例11および12の触媒前駆体組成はは、それぞれ実施例9および10のものと同じである(表6参照)。触媒前駆体ペレットを、WHSV0.5hr−1の空気、WHSV0.0hr−1の蒸気、および大気圧で、2℃/分の速度で390℃の焼成温度に加熱することによって焼成した。触媒をこの焼成温度で4時間保持した。焼成条件の影響は、実施例7および8に記載されている通りに決定した。実施例11および12の初期グリーンペレット特性は、それぞれ実施例9および10のものと同じである(表7参照)。それぞれの触媒前駆体と比較した焼成した触媒の特性を表9に要約する。
【表9】
【0070】
実施例13および14
実施例7および8に記載されているのと同じ焼成の系および方法を使用した。グリーンペレットをグラファイトまたはステアリン酸マグネシウム滑剤のいずれかと0.4%銅とで作製した。実施例13および14の組成は、それぞれ実施例9および10のものと同じである(表6参照)。触媒前駆体ペレットを、WHSV0.5hr−1の窒素、WHSV0.16hr−1の蒸気、および大気圧で、0.4℃/分の速度で425℃の焼成温度に加熱することによって焼成した。触媒をこの焼成温度で4時間保持した。焼成条件の影響は、実施例7および8に記載されている通りに決定した。実施例13および14の初期グリーンペレット特性は、それぞれ実施例9および10のものと同じである(表7参照)。それぞれの触媒前駆体と比較した焼成した触媒の特性を表10に要約する。
【表10】
【0071】
実施例15および16
実施例7および8に記載されているのと同じ焼成の系および方法を使用した。グリーンペレットをグラファイトまたはステアリン酸マグネシウム滑剤のいずれかと0.4%銅とで作製した。実施例15および16の組成は、実施例9および10のものと同じである(表6参照)。触媒前駆体タブレットを、WHSV0.2hr−1の窒素、WHSV0.16hr−1の蒸気、および大気圧で、2.0℃/分の速度で390℃の焼成温度に加熱することによって焼成した。触媒をこの焼成温度で12時間保持した。焼成条件の影響は、実施例7および8に記載されている通りに決定した。実施例15および16の初期グリーンペレット特性は、それぞれ実施例9および10のものと同じである(表7参照)。それぞれの触媒前駆体と比較した焼成した触媒の特性を表11に要約する。
【表11】
【0072】
実施例17および18
実施例7および8に記載されているのと同じ焼成の系および方法を使用した。グリーンペレットを、グラファイトまたはステアリン酸マグネシウム滑剤のいずれかと、0.25%銅とで作製した。実施例18および18の組成は、実施例7および8のものと同じである(表3参照)。触媒前駆体ペレットを、WHSV0.5hr−1の空気、WHSV0.0hr−1の蒸気、および大気圧で、0.4℃/分の速度で425℃の焼成温度に加熱することによって焼成した。触媒をこの焼成温度で4時間保持した。焼成条件の影響は、実施例7および8に記載されている通りに決定した。実施例17および18の初期グリーンペレット特性は、それぞれ実施例7および8のものと同じである(表4参照)。それぞれの触媒前駆体と比較した焼成した触媒の特性を表12に要約する。
【表12】
【0073】
実施例19および20
実施例7および8に記載されているのと同じ焼成の系および方法を使用した。グリーンペレットを、グラファイトまたはステアリン酸マグネシウム滑剤のいずれかと、0.25%銅とで作製した。実施例19および20の組成は、それぞれ実施例7および8のものと同じである(表3参照)。触媒前駆体組成物を、WHSV0.5hr−1の空気、WHSV0.16hr−1の蒸気、および大気圧で、0.4℃/分の速度で390℃の焼成温度に加熱することによって焼成した。触媒をこの焼成温度で4時間保持した。焼成条件の影響は、実施例7および8に記載されている通りに決定した。実施例19および20の初期グリーンペレット特性は、それぞれ実施例7および8のものと同じである(表4参照)。それぞれの触媒前駆体と比較した焼成した触媒の特性を表13に要約する。
【表13】
【0074】
実施例21および22
実施例7および8に記載されているのと同じ焼成の系および方法を使用した。グリーンペレットをグラファイトまたはステアリン酸マグネシウム滑剤のいずれかと0.4%銅とで作製した。実施例21および22の組成は、それぞれ実施例9および10のものと同じである(表6参照)。触媒前駆体ペレットを、WHSV0.5hr−1の窒素、WHSV0.0hr−1の蒸気、および大気圧で、0.4℃/分の速度で390℃の焼成温度に加熱することによって焼成した。触媒をこの焼成温度で12時間保持した。焼成条件の影響は、実施例7および8に記載されている通りに決定した。実施例21および22の初期グリーンペレット特性は、それぞれ実施例9および10のものと同じである(表7参照)。それぞれの触媒前駆体と比較した焼成した触媒の特性を表14に要約する。
【表14】
【0075】
実施例23および24
実施例7および8に記載されているのと同じ焼成の系および方法を使用した。グリーンペレットを、グラファイトまたはステアリン酸マグネシウム滑剤のいずれかと、0.25%銅とで作製した。実施例23および24の組成は、それぞれ実施例7および8のものと同じである(表3参照)。触媒前駆体ペレットを、WHSV0.2hr−1の空気、WHSV0.16hr−1の蒸気、および大気圧で、2.0℃/分の速度で425℃の焼成温度に加熱することによって焼成した。触媒をこの焼成温度で4時間保持した。焼成条件の影響は、実施例7および8に記載されている通りに決定した。実施例23および24の初期グリーンペレット特性は、それぞれ実施例7および8のものと同じである(表4参照)。それぞれの触媒前駆体と比較した焼成した触媒の特性を表15に要約する。
【表15】
【0076】
実施例25および26
実施例7および8に記載されているのと同じ焼成の系および方法を使用した。グリーンペレットをグラファイトまたはステアリン酸マグネシウム滑剤のいずれかと0.4%銅とで作製した。実施例25および26の組成は、それぞれ実施例9および10のものと同じである(表6参照)。触媒前駆体ペレットを、WHSV0.5hr−1の窒素、WHSV0.0hr−1の蒸気、および大気圧で、0.4℃/分の速度で390℃の焼成温度に加熱することによって焼成した。触媒をこの焼成温度で12時間保持した。焼成条件の影響は、実施例7および8に記載されている通りに決定した。実施例21および22の初期グリーンペレット特性は、それぞれ実施例9および10のものと同じである(表7参照)。それぞれの触媒前駆体と比較した焼成した触媒の特性を表16に要約する。
【表16】
【0077】
実施例27
再生プロセスを実施するために、最初に焼成およびアルキル化を行ってコークス化した触媒を生じさせる必要がある。焼成を、窒素(N)WHSV0.5hr−1、ガス圧力172kPa(25psiゲージ(psig))、22時間にわたって400℃にゆっくりと上昇させた後、2時間にわたって460℃に速く上昇させるという条件で実施した。アルキル化を、460℃、合計ガスWHSV2.5hr−1、窒素中1.4質量%メタノール/フェノール、合計ガス圧力207kPa(30psig)の初期条件で行い、温度、圧力、およびWHSVを変えて、60〜65%の2,6−キシレノール選択性を200時間維持した。実施例ごとに、同じ焼成およびアルキル化条件が実施ごとに維持され、それ故に、再生は、使用した触媒に蓄積した同様の量のコークスから始める。再生の実施ごとに、外径12.7mm(0.5in)のステンレススチール反応器に10gの触媒と、希釈剤として40gの石英チップを充填した。各反応器は、背圧調整器を備えていた。すべての実施で、供給物をメタノールとフェノールとのモル比4:1で調製し、反応器にポンプで注入した。赤外線を使用したガス分析装置を再生モードで使用してガス流をモニターした。酸素、一酸化炭素、および二酸化炭素の濃度を直接オンラインで読み取ることができる。この再生では、実施例10の触媒前駆体は、グリーンペレット中、滑剤として1質量%のステアリン酸マグネシウムと、0.4質量%の銅を使用した。再生条件は、合計ガス(窒素+空気)WHSV0.5hr−1、0質量%の追加の蒸気(すなわち、供給物への水の添加なし)、再生圧力103kPa(15psig)、および再生温度450℃であった。5%、10%、15%、および21%の入口質量濃度で、酸素を連続して供給し、各濃度において出口ガスをモニターした。出口酸素濃度が入口酸素濃度の4分の1に増加したか、かつ/または出口二酸化炭素が1質量%未満であった際に、酸素濃度を1つのレベルから次のものへ上昇させた。最終酸素ブレイクスルーの後(出口酸素濃度が21%の4分の1、または5.25%に到達した際)、床温度が450℃に低下した際に再生を終了した。(反応器は450℃で維持されたが、床温度は、触媒床で生じる発熱反応のために再生中にその温度を超え得る。再生が本質的に完了すると、反応器の床を通るガス流が、それを450℃の制御した反応器温度に冷却する)。%微粒子として表される触媒ペレット完全性(公称目開き400μmの40メッシュ米国篩を通過する再生触媒の質量%として測定した)が、再生した比較実施例1の触媒より84%改善した。具体的には、84%は、比較実施例1の触媒で得られた100%微粒子と、実施例10の触媒で得られた16%微粒子との差である。
【0078】
実施例28
実施例7の触媒前駆体は、グリーンペレット中、滑剤として1質量%のグラファイトを使用し、0.25質量%の銅を有していた。再生条件は、合計ガス(窒素+空気)WHSV0.5hr−1、0.25質量%の追加の蒸気、再生圧力172kPa(25psig)、および再生温度437.5℃であった。特定したもの以外は、再生条件は、実施例27に記載のものと同じであった。再生した実施例7の触媒での触媒ペレット完全性は、再生した比較実施例1の触媒より64%改善した。
【0079】
実施例29
合計ガス(窒素+空気)WHSV0.5hr−1、0質量%の追加の蒸気、再生圧力241kPa(35psig)、および再生温度425℃を含む再生条件下に表17に示す組成を有する触媒前駆体ペレットを置いた。特定したもの以外は、再生条件は、実施例27に記載のものと同じであった。本実施例の再生した触媒での触媒ペレット完全性が、再生した比較実施例1の触媒より57%改善した。
【表17】
【0080】
実施例30
実施例9の触媒前駆体は、グリーンペレット中、滑剤として1質量%のグラファイトを使用し、0.4質量%の銅を有していた。再生条件は、合計ガス(窒素+空気)WHSV0.5hr−1、0.5質量%の追加の蒸気、再生圧力103kPa(15psig)、および再生温度425℃であった。特定したもの以外は、再生条件は、実施例27に記載のものと同じであった。本実施例の再生した触媒での触媒ペレット完全性が、再生した比較実施例1の触媒より47%改善した。
【0081】
実施例31
表18に示す組成を有する触媒前駆体ペレットを、合計ガス(窒素+空気)WHSV0.5hr−1、0.5質量%の追加の蒸気、再生圧力241kPa(35psig)、および再生温度450℃を含む再生条件下に置いた。特定したもの以外は、再生条件は、実施例27に記載のものと同じであった。本実施例の再生した触媒での触媒ペレット完全性が、再生した比較実施例1の触媒より46%改善した。
【表18】
【0082】
実施例32
表17に示す組成を有する触媒前駆体ペレットを、合計ガス(窒素+空気)WHSV0.5hr−1、0.5質量%の追加の蒸気、再生圧力103kPa(15psig)、および再生温度425℃を含む再生条件下に置いた。特定したもの以外は、再生条件は、実施例27に記載のものと同じであった。本実施例の再生した触媒での触媒ペレット完全性が、再生した比較実施例1の触媒より29%改善した。
【0083】
実施例10の組成を有する触媒前駆体ペレットを、合計ガス(窒素+空気)WHSV0.5hr−1、0.5質量%の追加の蒸気、再生圧力241kPa(35psig)、および再生温度450℃を含む再生条件下に置いた。特定したもの以外は、再生条件は、実施例27に記載のものと同じであった。本実施例の再生した触媒での触媒ペレット完全性が、再生した比較実施例1の触媒より25%改善した。
【0084】
実施例34
フェノールアルキル化反応を粉末反応器にて実施した。触媒前駆体は、実施例31の組成を有しており、上記表18に要約されている。触媒前駆体ペレットを破砕し、0.42〜0.84mmの公称篩目開きに対応する粒子のサイズにした。
【0085】
気相反応器(寸法:高さ=40cm、外径=1.27cm)の中心に、5gの触媒前駆体を充填した。また、触媒床の上層および底層にサーモウールによって支持したガラスビーズ(2mm直径)も反応器に充填した。触媒粒子を反応器に充填した。有効な触媒床の長さは約9cmであった。触媒の焼成を、WHSV0.11hr−1で、大気圧窒素下で22時間、5℃/分の速度で390℃の焼成温度に加熱することによって実施した。22時間後、焼成を完了し、温度を、窒素流WHSV0.15hr−1で、475℃の反応温度に0.5℃/分の速度で上昇させた。反応温度に達したら、窒素の流れを停止し、反応圧力を271kPa(1.7barゲージ)に設定し、反応を通して一定に維持した。モル比が4:1であるメタノールとフェノールとを、20質量%の水と共に含む(質量でフェノール:メタノール:水=33:47:20)気相反応物を、WHSV2.5hr−1でHPLCポンプを用いて供給した。反応流出物は、コンデンサに続いてガス−液体分離器を通過し、ここで、凝縮した蒸気および非凝縮性ガス(主に、H、CO、CHおよびCO)が分離された。定常状態条件からの性能パラメータを、平均値100〜170時間の平均値として記載する。これらのアルキル化条件での触媒性能の概要を表19に示す。表19中、「フェノール転換(%)」はフェノール転換の%である。「メシトール選択性(%)」は、転換されたフェノールのモルに対するメシトールの選択性の%である。「o−クレゾール選択性(%)」は転換されたフェノールのモルに対するオルト−クレゾールの選択性の%である。「2,6−キシレノール選択性(%)」は転換されたフェノールのモルに対する2,6−キシレノールの選択性の%である。「累積フェノール使用量」は、単位なしであり、反応器に供給されたフェノールの量/反応器中で転化されたフェノールの量に等しい累積フェノール使用量である。「累積MeOH使用量」は、単位なしであり、反応器に供給されたメタノールの量/反応器中で転換されたメタノールの量に等しい累積メタノール使用量である。
【表19】
【0086】
実施例35
フェノールアルキル化を実施例34に記載の系で実施した。触媒の焼成を、大気窒素圧力下で22時間、窒素WHSV0.11hr−1で、5℃/分の速度で390℃の焼成温度に加熱することによって実施した。22時間後、焼成を完了し、温度を、窒素WHSV0.15hr−1で、0.5℃/分の速度で460℃の反応温度に上昇させた。反応温度に達したら、窒素の流れを停止しおよび反応圧力を271kPa(1.7barゲージ)に設定し、反応を通して一定に維持した。気相反応物(質量でフェノール:メタノール:水=33:47:20)をWHSV1.8hr−1で供給した。これらのアルキル化条件について、触媒性能を表20に要約する。
【表20】
【0087】
実施例36
フェノールアルキル化を実施例34に記載の系で実施した。触媒の焼成を、大気窒素圧力下で22時間、窒素WHSV0.11hr−1で、5℃/分の速度で450℃の焼成温度に加熱することによって実施した。22時間後、焼成を完了し、温度窒素WHSV0.15hr−1で、0.5℃/分の速度で475℃の反応温度に上昇させた。反応温度に達したら、窒素の流れを停止しおよび反応圧力を351kPa(2.5barゲージ)に設定し、反応を通して一定に維持した。気相反応物(質量でフェノール:メタノール:水=33:47:20)をWHSV2.5hr−1で供給した。これらのアルキル化条件について、触媒性能を表21に要約する。
【表21】
【0088】
実施例37
フェノールアルキル化を実施例34に記載の系で実施した。触媒の焼成を、大気窒素圧力下で22時間、窒素WHSV0.11hr−1で、5℃/分の速度で450℃の焼成温度に加熱することによって実施した。22時間後、焼成を完了し、温度窒素WHSV0.15hr−1で、0.5℃/分の速度で460℃の反応温度に上昇させた。反応温度に達したら、窒素の流れを停止しおよび反応圧力を351kPa(2.5barゲージ)に設定し、反応を通して一定に維持した。気相反応物(質量でフェノール:メタノール:水=33:47:20)をWHSV1.8hr−1で供給した。これらのアルキル化条件について、触媒性能を表22に要約する。
【表22】
【0089】
比較実施例2
典型的な比較反応生産サイクルを図1に示す。触媒前処理を、窒素をWHSV0.15hr−1で流しつつ、温度を周囲温度から390℃まで約36時間にわたって上昇させ、その後、温度を390℃で16時間保持して実施した。メタノールおよびフェノールの気相アルキル化反応を、初期反応温度約430℃、初期反応圧力約301kPa(2barゲージ)、および比較的低い供給WHSV約0.6hr−1で開始した。供給WHSVを最大約2.5hr−1に上昇させ、その後、温度、圧力、およびWHSV値を、生産サイクルにわたって調整して、約60〜65%の2,6−キシレノール選択性を維持した。60〜70日の反応にわたって再生なしで触媒を使用し、その後、分解なしで再生できなかったことから廃棄した。
【0090】
図1は、アルキル化反応時間(日の単位で表される)の関数としての、触媒活性および2,6−キシレノール生成(kg2,6−キシレノール/kg触媒/日の単位で表される)のプロットである。触媒活性および対応する2,6−キシレノール生成の両方が、触媒不活性化およびコーキングにより67日にわたって著しく減少する。
【0091】
実施例38,比較実施例3
単一チューブパイロット規模の反応器を使用して、比較実施例1の触媒前駆体と表23に示す組成を有する触媒前駆体との活性を比較した。
【表23】
【0092】
単一チューブ反応器の長さは3.05m(10フィート)であり、内径は38mm(1.5in)であった。単一チューブ反応器中に422.9cm(9in)の触媒床があった。床は、触媒ペレットと2mmホウケイ酸ガラスビーズとの組み合わせであった。ガラスビーズと触媒との体積比は4:1であった。床を7.6cm(3in)の2mmガラスビーズで分けた。触媒前駆体を、比較実施例2に記載の条件で焼成した。アルキル化は比較実施例2に記載の手順に従った。比較実施例1の触媒を用いる比較実施例3では、ベースラインおよび比較のために1回のみアルキル化を実施した。表23の触媒前駆体を用いる実施例38では、2回の再生を実施した後、比較実施例2に記載の条件でのアルキル化を2回以上行った。再生手順は、ブレイクスルーが酸素分析装置で検出された各段階の間に酸素の体積%が増加した2つの温度段階を含んでいた。合計供給WHSVは0.15hr−1であり、空気と窒素とのブレンドに対応した。酸素の供給体積%は、空気と窒素とを混合して、表24での目標入口酸素体積%を得ることによって設定した。
【表24】
ブレイクスルーは、酸素分析装置で測定した酸素の体積%が供給酸素の体積%の4分の1であったときに決定した。特定の温度限界が、いずれの内部熱電対に到達した場合、空気および窒素供給率を、酸素の%を低くするように調整した。これらの温度限界は、ステージ温度より5および10℃上であった。第1の温度限界に到達した場合、空気の流速が20%低下し、窒素の流速が、合計供給速度を一定に保つように上昇した。第2の温度限界に到達した場合、空気の流速はさらに20%低下する一方で、窒素供給速度が上昇した。内部温度が限界より下に下がると、空気および窒素の供給速度が、元の値にリセットされた。ステージ2の温度450℃で5.25%の酸素ブレイクスルー目標を達成した際に、再生を終了し、反応を再開した。
【0093】
図2は、時間、反応器タイプ、および触媒タイプの関数としての触媒活性のプロットである。実施例38では、試験中に触媒を2回再生した。本実施例は、比較実施例1の触媒前駆体を用いる比較実施例3、および表23の触媒前駆体を用いる実施例38が、同じパイロット反応器にて同じ反応条件でどのように機能するのかを示す。本実施例は、パイロット反応器での比較実施例1の触媒活性が、生産規模の多管固定床反応器でのその活性とどのように等しいのかを示す。また、本実施例は、どのようにして、再生によって本発明の触媒が、同じ操業時間に渡ってより高い活性で動作でき、それ故に所与の反応器にて2,6−キシレノールの生成を増加させることができるのかを示す。
【0094】
実施例39,比較実施例4
触媒性能は、2,6−キシレノール生成に加えて活性に基づいて比較した。上記の比較実施例3からの比較実施例1の触媒前駆体を、実施例38からの表23の触媒前駆体と比較する。
【0095】
図3は、時間、触媒タイプ、および反応器タイプの関数としての2,6−キシレノール生成のプロットである。回帰直線が実施例38からのデータの直線回帰を用いて得られ、触媒の再生能力による触媒不活性化の減少からの潜在的な外挿された生産を実証する。第1の回帰は、20日〜50日(第1の再生後であり、第2の再生を含む)に基づく不活性化率を概算する。第2の回帰は、8日〜50日(3つすべてのアルキル化サイクルおよび両方の再生を含むが、初期反応開始を含まない)に基づく不活性化率を概算する。比較実施例4では、触媒が再生しなかった。実施例39では、試験中に触媒を2回再生した。この比較は、比較触媒と同じ反応期間(60〜70日)にわたって外挿された少なくとも2回の再生による本発明の触媒の潜在的な追加の2,6−キシレノール生成能力を示す。
【0096】
実施例40〜42,比較実施例5
表25は、組成、再生数、およびアルキル化時間の関数としての触媒特性を要約する。表25中、「新鮮な触媒」は、グリーン触媒としても知られている触媒前駆体を指す。「焼成」は、触媒前駆体の焼成によって形成された触媒を指す。「第1再生」は、第1の再生後の触媒を指す。「アルキル化時間(時間)」は、触媒寿命の尺度である。
【表25】
【0097】
実施例43〜45
触媒の調製に使用した初期MgOの表面積の触媒のアルキル化性能に対する影響も調べた。触媒性能は、粉末反応器を用いて上記のように評価した。触媒前駆体の形成に使用した初期MgOの物理特性を下記表26に示す。
【表26】
【0098】
実施例7および8に従う前駆体組成を有する、上記MgOを用いる触媒を調製した。実施例7および8の組成の完全な処方については、表3を参照されたい。表3中、成分量は質量部で表される。触媒ペレットを下記の条件にしたがって焼成した。
【0099】
MgO−1を用いる触媒を、空気中で、単位時間当たりの重量空間速度(WHSV)0.2hr−1、および大気圧で、0.12℃/分の速度で393℃の焼成温度に加熱することによって焼成した。MgOをこの焼成温度で15.5時間保持した。
【0100】
MgO−2を用いる触媒を、窒素中で、単位時間当たりの重量空間速度(WHSV)0.2hr−1、および大気圧で、0.12℃/分の速度で393〜450℃に加熱することによって焼成した。MgOをこの焼成温度で1.5時間保持した。
【0101】
MgO−3を用いる触媒を、空気中で、単位時間当たりの重量空間速度(WHSV)0.2hr−1、および大気圧で、5℃/分の速度で500℃の焼成温度に加熱することによって焼成した。MgOをこの焼成温度で10時間保持した。
【0102】
MgO−4を用いる触媒を、窒素中で、単位時間当たりの重量空間速度(WHSV)0.2hr−1、および大気圧で、2℃/分の速度で450℃の焼成温度に加熱することによって焼成した。MgOをこの焼成温度で70時間保持した。
【0103】
MgO−5を用いる触媒を、ICL Industrial Products社から得られる通りにして使用した。
【0104】
焼成したMgO試料からのBETデータを下記表27に示す。試料のそれぞれが、0.25質量%の銅を有していた。メタノール:フェノールの供給比4:1で、粉末反応器にて運転を実施した。
【表27】
【0105】
上記実施例43〜45に従う触媒のそれぞれを、平均2,6−キシレノール選択性、平均オルト選択性、平均フェノール転換、平均メシトール選択性、平均活性、および平均メタノール使用量について調べた。結果を下記表28に記載する。
【表28】
【0106】
表28に示すデータによって例証されるように、触媒調製に使用した出発のMgOは、触媒性能のバリエーションを生じ得る。具体的には、111m/gから74m/gまでの表面の33%の減少(実施例45のMgO−5と比較した実施例43のMgO−1)によって、触媒活性が35%減少した(0.82から0.47%)ことが分かる。操業中の反応器時間に対する触媒活性のプロットを図4に示す。表面積の増加によってメシトール選択性が増加することが分かる。操業中の反応器時間に対するメシトール選択性のプロットを図5に示す。
【0107】
したがって、ここで示したデータは、表面積が100〜200m/gである出発のMgOが特に有用であり得ることを示す。例えば、表面積が100m/gを超えることで、高い触媒活性を確実にし、200m/g未満の表面積は、流出物の流れ中のメシトールおよび他の不純物の量の制限を助け得る。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【国際調査報告】