(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】2019523152
(43)【公表日】20190822
(54)【発明の名称】ラミネート化材料のロール構造及び製造方法
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/00 20060101AFI20190726BHJP
   B32B 27/30 20060101ALI20190726BHJP
   B32B 27/08 20060101ALI20190726BHJP
   B32B 27/36 20060101ALI20190726BHJP
   C08J 5/20 20060101ALI20190726BHJP
   H01M 8/1081 20160101ALI20190726BHJP
   H01M 8/10 20160101ALN20190726BHJP
【FI】
   !B32B27/00 A
   !B32B27/30 D
   !B32B27/08
   !B32B27/36
   !C08J5/20CEW
   !H01M8/1081
   !H01M8/10 101
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】25
(21)【出願番号】2019502670
(86)(22)【出願日】20170720
(85)【翻訳文提出日】20190315
(86)【国際出願番号】US2017043016
(87)【国際公開番号】WO2018017803
(87)【国際公開日】20180125
(31)【優先権主張番号】62/364,369
(32)【優先日】20160720
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】391028362
【氏名又は名称】ダブリュ.エル.ゴア アンド アソシエイツ,インコーポレイティド
【氏名又は名称原語表記】W.L. GORE & ASSOCIATES, INCORPORATED
【住所又は居所】アメリカ合衆国,デラウェア 19711,ニューアーク,ペーパー ミル ロード 555
(71)【出願人】
【識別番号】000107387
【氏名又は名称】日本ゴア株式会社
【住所又は居所】東京都港区港南1丁目8番15号
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100093665
【弁理士】
【氏名又は名称】蛯谷 厚志
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【弁理士】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100147212
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 直樹
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー アガーポブ
【住所又は居所】アメリカ合衆国,デラウェア 19711,ニューアーク,ペーパー ミル ロード 551,ダブリュ.エル.ゴア アンド アソシエイツ,インコーポレイティド
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー エム.マーレット
【住所又は居所】アメリカ合衆国,デラウェア 19711,ニューアーク,ペーパー ミル ロード 551,ダブリュ.エル.ゴア アンド アソシエイツ,インコーポレイティド
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 健之
【住所又は居所】東京都港区港南1丁目8番15号 日本ゴア株式会社
【テーマコード(参考)】
4F071
4F100
5H126
【Fターム(参考)】
4F071AA27C
4F071AH15
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5H126FF04
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5H126HH01
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5H126HH08
(57)【要約】
本発明は、ロール構造の巻き出し時にバッカーフィルムからポリマー層が脱離するのを防止するラミネート化材料のロール構造に関する。特に、本発明の態様は、イオン交換樹脂層、剥離フィルム及びベース層を有するラミネート化材料を提供すること、及び、前記ラミネート化材料をローラに供給し、ラミネート化材料のロールを生じさせることを含む方法によって調製されるラミネート化材料のロール構造に関する。ラミネート化材料は、コアの周りに巻回されたラミネート化材料の第一層がコアの外面と接触している第一の層のベース層の内面を含むようにローラに供給される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
イオン交換樹脂層、剥離フィルム及びベース層を含むラミネート化材料を提供することと、
前記ラミネート化材料をローラに供給して、コアの周りに巻回された複数層のラミネート化材料を含むラミネート化材料のロールを生じさせることと、の各工程を含む方法によって調製されるラミネート化材料のロールであって、
各層は、内面及び外面を有するイオン交換樹脂層と、内面及び外面を有する剥離フィルムであって前記剥離フィルムの外面はイオン交換樹脂層の内面に接合されている剥離フィルムと、内面及び外面を有するベース層であって前記ベース層の外面は剥離フィルムの内面に接合されているベース層と、を含み、
前記ラミネート化材料は、(i)コアの周りに巻回されたラミネート化材料の第一の層がコアの外面に接触している第一の層のベース層の内面を含むように、そして(ii)第一の層の周りに巻回されたラミネート化材料の第二の層が第一の層からのイオン交換樹脂層の外面に接触している第二の層のベース層の内面を含むようにロールに供給される、ラミネート化材料のロール。
【請求項2】
前記剥離フィルムはシクロオレフィン系コポリマーを含む、請求項1記載のラミネート化材料のロール。
【請求項3】
前記イオン交換樹脂層は、イオン交換材料、及び、スルホン酸基、カルボキシル基、リン酸基又はホスホン基を有するフッ素含有ポリマーを含む、請求項1又は2記載のラミネート化材料のロール。
【請求項4】
前記イオン交換樹脂層は、イオン交換材料、及び(i)ポリテトラフルオロエチレン又は(ii)延伸ポリテトラフルオロエチレンを含む、請求項1又は2記載のラミネート化材料のロール。
【請求項5】
前記ベース層は、ポリエステル、ポリカーボネート、トリアセチルセルロース、ポリアミド、芳香族ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリプロピレン及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれる材料を含む、請求項1〜4のいずれか1項記載のラミネート化材料のロール。
【請求項6】
前記ベース層はポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)及びポリプロピレン(PP)からなる群より選ばれるポリエステルを含む、請求項1〜4のいずれか1項記載のラミネート化材料のロール。
【請求項7】
ラミネート化材料ロールの製造方法であって、
剥離フィルム及びベース層を含むバッカーフィルムにフッ素含有ポリマーを結合することと、
前記フッ素含有ポリマーをイオン交換材料でコーティングしてイオン交換樹脂層を形成することと、
前記イオン交換樹脂層及び前記バッカーフィルムを加熱してラミネート化材料を形成することと、
前記ラミネート化材料をローラに供給して、コアの周りに巻回された複数層のラミネート化材料を含むラミネート化材料のロールを生じさせることと、
の各工程を含み、各層は、内面及び外面を有するイオン交換樹脂層、内面及び外面を有する剥離フィルムであって前記剥離フィルムの外面はイオン交換樹脂層の内面に接合されている剥離フィルムと、内面及び外面を有するベース層であって前記ベース層の外面は剥離フィルムの内面に接合されているベース層と、を含み、
前記ラミネート化材料は、(i)コアの周りに巻回されたラミネート化材料の第一の層がコアの外面に接触している第一の層のベース層の内面を含むように、そして(ii)第一の層の周りに巻回されたラミネート化材料の第二の層が第一の層からのイオン交換樹脂層の外面と接触している第二の層のベース層の内面を含むようにしてローラに供給される、方法。
【請求項8】
前記ラミネート化材料は、約1.5〜50.0m/分の線速度を維持しながら前記ローラに供給される、請求項7記載の方法。
【請求項9】
前記ラミネート化材料は、約100N〜300Nの線張力を維持しながら前記ローラに供給される、請求項7又は8に記載の方法。
【請求項10】
前記剥離フィルムはシクロオレフィン系コポリマーを含む、請求項7〜9のいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
前記フッ素含有ポリマーはスルホン酸基、カルボキシル基、リン酸基又はホスホン基を有する、請求項7〜10のいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
前記フッ素含有ポリマーは(i)ポリテトラフルオロエチレン又は(ii)延伸ポリテトラフルオロエチレンである、請求項7〜10のいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
前記ベース層はポリエステル、ポリカーボネート、トリアセチルセルロース、ポリアミド、芳香族ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリプロピレン及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれる材料を含む、請求項7〜12のいずれか1項記載の方法。
【請求項14】
前記ベース層はポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)及びポリプロピレン(PP)からなる群より選ばれるポリエステルを含む、請求項7〜12のいずれか1項記載の方法。
【請求項15】
ラミネート材料のロールであって、前記ロールは、
コアの周りに巻回された複数層のラミネート化材料を含み、各層は、
内面及び外面を有するイオン交換樹脂層と、
内面及び外面を有する剥離フィルムであって前記剥離フィルムの外面はイオン交換樹脂層の内面に接合されている剥離フィルムと、
内面及び外面を有するベース層であって前記ベース層の外面は剥離フィルムの内面に接合されているベース層と、
を含み、複数の層のうちの第一の層は、コアの外面に接触しているベース層の内面を含む、ラミネート化材料のロール。
【請求項16】
複数の層のうちの第二の層は、第一の層からのイオン交換樹脂層の外面に接触しているベース層の内面を含む、請求項15記載のラミネート化材料のロール。
【請求項17】
前記剥離フィルムはシクロオレフィン系コポリマーを含む、請求項15又は16記載のラミネート化材料のロール。
【請求項18】
前記イオン交換樹脂層は、イオン交換材料、及び、スルホン酸基、カルボキシル基、リン酸基又はホスホン基を有するフッ素含有ポリマーを含む、請求項15〜17のいずれか1項記載のラミネート化材料のロール。
【請求項19】
前記イオン交換樹脂層は、イオン交換材料、及び、(i)ポリテトラフルオロエチレン又は(ii)延伸ポリテトラフルオロエチレンを含む、請求項15〜17のいずれか1項記載のラミネート化材料のロール。
【請求項20】
前記ベース層はポリエステル、ポリカーボネート、トリアセチルセルロース、ポリアミド、芳香族ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリプロピレン及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれる材料を含む、請求項15〜19のいずれか1項記載のラミネート化材料のロール。
【請求項21】
前記ベース層はポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)及びポリプロピレン(PP)からなる群より選ばれるポリエステルを含む、請求項15〜19のいずれか1項記載のラミネート化材料のロール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、35U.S.C.§119(e)に基づく利益を主張し、2016年7月20日に出願された「ラミネート化材料のロール構造及び製造方法」という発明の名称の米国仮特許出願第62/364,369号の非仮特許出願であり、その全開示をあらゆる目的のために参照により本明細書に組み込む。
【0002】
発明の分野
本発明は、ポリマー層を含むラミネート化材料のロール構造に関し、特にロール構造の巻き出し時にバッカーフィルムからのポリマー層の脱離を抑制するラミネート化材料のロール構造に関する。
【背景技術】
【0003】
アニオン、カチオン及び両性イオン交換膜などのポリマー層は様々な用途で使用されている。例えば、イオン交換膜は、イオン交換膜がカソードとアノードとの間に配置され、水素電極の触媒の近くに形成されたプロトンを酸素電極に輸送することによって、ポリマー電解質燃料電池から電流を流すことができるポリマー電解質燃料電池の構成要素である。イオン交換膜はレドックスフロー電池などのフロー電池に使用されて、電池内に含まれる2つの液体電解質を分離することもできる。フロー電池は、電池の2つの液体電解質間の可逆的な還元-酸化反応によって充電及び放電される。イオン交換(すなわち、電流の流れを提供する)はイオン交換膜を通して行われ、一方、2つの液体電解質はフロー電池内のそれら自身のそれぞれの空間を循環する。
【0004】
燃料電池に組み込まれるポリマー層、ならびに、クロルアルカリ電解セル、拡散透析、電気透析、パーベーパレーション及び蒸気透過用途に用いられるポリマー層は、典型的には、剥離フィルム及びベース層を含むバッカーフィルム上に形成される。剥離フィルムは、ポリマー層の形成後に所望の(典型的には低い)剥離強度で、すなわち制御された剥離性でポリマー層をバッカーフィルムから剥離することを可能にする。ポリマー層がバッカーフィルム上に形成されてラミネート化材料を構成すると、ラミネート化材料は、典型的にはロールプロセスに供されて、ラミネート化材料のロール構造を形成し、それを貯蔵し又は顧客に出荷することができる。慣用ロール構造は、ロール構造の外側からロール構造のコアに向かって見たときに、ベース層、剥離フィルム及びポリマー層の層方向性を有し、例えば、ポリマー層はバッカーフィルムの内側表面上にある。その結果、慣用ロール構造の巻き出し中に、後にロールされた層のポリマー層は、前にロールされた層上のバッカーフィルムのベース層側から剥離される。
【0005】
しかしながら、巻き出し中に、慣用ロール構造は、バッカーフィルムからのポリマー層の時期尚早の脱離を被る可能性がある。例えば、巻き出し中に、後にロールされた層のポリマー層は、後にロールされた層のポリマー層が前にロールされた層上のバッカ―フィルムのベース層側から剥離されるのではなく、前にロールされた層上のバッカーフィルムのベース層側に付着したままとなることがある。したがって、ロール構造の巻き出し時にバッカーフィルムからポリマー層が脱離するのを防止するロール構造を製造するための改良された技術が必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
簡単な要旨
1つの実施形態において、本発明は、工程:イオン交換樹脂層、剥離フィルム及びベース層を含むラミネート化材料を提供すること、及び、前記ラミネート化材料をローラに供給して、コアの周りに巻回した複数層のラミネート化材料を含むラミネート化材料のロールを生じさせることを含む方法によって調製されるラミネート化材料のロールに関する。各層は、内面及び外面を有するイオン交換樹脂層、内面及び外面を有する剥離フィルム、ここで、前記剥離フィルムの外面はイオン交換樹脂層の内面に接合されている、及び、内面及び外面を有するベース層、ここで、前記ベース層の外面は剥離フィルムの内面に接合されている、を含む。ラミネート化材料は、(i)コアの周りに巻回されたラミネート化材料の第一の層がコアの外面に接触している第一の層のベース層の内面を含むように、そして(ii)第一の層の周りに巻回されたラミネート化材料の第二の層が第一の層からのイオン交換樹脂層の外面に接触している第二の層のベース層の内面を含むようにローラに供給される。
【0007】
別の実施形態において、本発明は、以下の工程:剥離フィルム及びベース層を含むバッカーフィルムにフッ素含有ポリマーを結合すること、前記フッ素含有ポリマーをイオン交換材料でコーティングしてイオン交換樹脂層を形成すること、前記イオン交換樹脂層及び前記バッカーフィルムを加熱してラミネート化材料を形成すること、及び、前記ラミネート化材料をローラに供給して、コアの周りに巻回された複数層のラミネート化材料を含むラミネート化材料のロールを生じさせることを含む、ラミネート化材料のロールを製造する方法に関する。各層は、内面及び外面を有するイオン交換樹脂層、内面及び外面を有する剥離フィルム、ここで、前記剥離フィルムの外面はイオン交換樹脂層の内面に接合されている、及び、内面及び外面を有するベース層、ここで、前記ベース層の外面は剥離フィルムの内面に接合されている、を含む。ラミネート化材料は、(i)コアの周りに巻回されたラミネート化材料の第一の層がコアの外面に接触している第一の層のベース層の内面を含むように、そして(ii)第一の層の周りに巻回されたラミネート化材料の第二の層が第一の層からのイオン交換樹脂層の外面と接触している第二の層のベース層の内面を含むようにローラに供給される。
【0008】
別の実施形態において、本発明はラミネート化材料のロールに関する。ロールはコアの周りに巻回された複数層のラミネート化材料を含み、各層は、内面及び外面を有するイオン交換樹脂層、内面及び外面を有する剥離フィルム、ここで、前記剥離フィルムの外面はイオン交換樹脂層の内面に接合されている、及び、内面及び外面を有するベース層、ここで、前記ベース層の外面は剥離フィルムの内面に接合されている、を含む。複数の層のうちの第一の層は、コアの外面に接触しているベース層の内面を含む。幾つかの実施形態において、複数の層のうちの第二の層は、第一の層からのイオン交換樹脂層の外面に接触しているベース層の内面を含む。
【0009】
場合により、剥離フィルムはシクロオレフィン系コポリマーを含む。
【0010】
幾つかの実施形態において、イオン交換樹脂層は、イオン交換材料と、スルホン酸基、カルボキシル基、リン酸基又はホスホン基を有するフッ素含有ポリマーとを含む。
【0011】
幾つかの実施形態において、イオン交換樹脂層は、イオン交換材料及び(i)ポリテトラフルオロエチレン又は(ii)延伸ポリテトラフルオロエチレンを含む。
【0012】
幾つかの実施形態において、ベース層は、ポリエステル、ポリカーボネート、トリアセチルセルロース、ポリアミド、芳香族ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリプロピレン及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれる材料を含む。
【0013】
場合により、ベース層は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)及びポリプロピレン(PP)からなる群より選ばれるポリエステルを含む。
【0014】
幾つかの実施形態において、ラミネート化材料のロールを製造するための方法の間に、約1.5〜50.0m/分の線速度を維持しながら、ラミネート化材料をローラに供給する。
【0015】
幾つかの実施形態において、ラミネート化材料のロールを製造するための方法の間に、約100N〜300Nの線張力を維持しながら、ラミネート化材料をローラに供給する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図面の簡単な説明
本発明は、以下の非限定的な図を考慮してよりよく理解されるであろう。
【0017】
【図1】図1A及びBは慣用ロール構造を示す。
【0018】
【図2】図2は本発明の幾つかの態様によるラミネート化材料の断面図を示す。
【0019】
【図3】図3Aは本発明の幾つかの態様によるリバースロール構造を示す。
【0020】
図3Bは本発明の幾つかの態様による図3Aに示すロール構造の巻きだしプロセスを示す。
【0021】
【図4】図4は本発明の幾つかの態様によるリバースロール構造を製造する方法のための例示的なフローを示す。
【0022】
【図5】図5は本発明の幾つかの態様による剥離試験手順の例示的なフローを示す。
【0023】
【図6】図6A及び6Bは本発明の幾つかの態様による慣用ロール構造の巻き出しをシミュレートする剥離実験を示す。
【0024】
【図7】図7A及び図7Bは本発明の幾つかの態様によるリバースロール構造の巻き出しをシミュレートする剥離実験を示す。
【0025】
【図8】図8A及び図8Bは本発明の幾つかの態様による慣用ロール構造の剥離強度データを示す。
【0026】
【図9】図9A及び図9Bは本発明の幾つかの態様によるリバースロール構造の剥離強度データを示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
詳細な説明
I.導入部
様々な実施形態において、本発明は、ラミネート化材料のロール構造に関する。しかしながら、ラミネート化材料の慣用ロール構造に関連した1つの問題は、特に貯蔵又は顧客への輸送の後に巻き出されるときに、ラミネート化を維持する能力の低下である。図1A及び図1Bは3つの層(A、B、C)を含む慣用ロール構造100を示す。各層(A、B、C)は、ポリマー層105、剥離フィルム110及びベース層115を含む。図1Aに示すように、ロール構造100の理想的な慣用の巻き出しプロセスの間に、後にロールされた層(C)のポリマー層105'は先にロールされた層(B)のベース層側から剥離されるべきであり、それにより、ポリマー層105'はロールされた層(C)の剥離フィルム110 '及びベース層115'にラミネート化されたままである。しかしながら、図1Bに示すように、ロール構造100の一般的な慣用の巻き出しプロセスの間に、後にロールされた層(C)のポリマー層105'は剥離フィルム110'から脱離され、前にロールされた層(B)のベース層側に付着したままである。剥離フィルムからのポリマー層の時期尚早の脱離はロール構造の巻き出しプロセスを複雑にし、ポリマー層をその意図された目的、例えばフロー電池又は燃料電池での使用には不適切なものにする可能性がある。
【0028】
理論に拘束されるものではないが、ロール構造の巻き出し時にバッカーフィルムからのポリマー層の脱離を制御しうる1つのメカニズムは、ポリマー層が巻き取り後のロール構造で発生する高圧のために、ロール構造中の前の層のベース層側にラミネート化することである。例えば、先にロールされた層の一部であるバッカーフィルムのべース層側からのポリマー層の剥離強度は、ロール構造の貯蔵又は輸送後に、後の層のバッカーフィルムの剥離フィルム側からの同ポリマー層の剥離強度よりも大きくなる。その結果、後にロールされた層のポリマー層が前にロールされた層上のバッカーフィルムのベース層側から剥離されるのではなく、後にロールされた層のポリマー層は前にロールされた層上のバッカーフィルムのベース層側に付着したままである。
【0029】
これらの問題に対処するために、1つの実施形態において、本発明は、ポリマー層(例えば、イオン交換樹脂層又は膜)、剥離フィルム及びベース層を含むラミネート化材料を提供すること、及び、前記ラミネート化材料をローラにフィードして、コアの周りに巻回された複数層のラミネート化材料を含むラミネート化材料のロールを生成することを含む方法によって調製されるラミネート化材料のロール構造に関する。各層は、内面及び外面を有するポリマー層、内面及び外面を有する剥離フィルム、ここで、前記剥離フィルムの外面はポリマー層の内面に接合されている、内面及び外面を有するベース層、ここで、前記ベース層の外面は剥離フィルムの内面に接合されている、を含む。
【0030】
ラミネート化材料は、(i)コアの周りに巻回されたラミネート化材料の第一の層がコアの外面と接触する第一の層のベース層の内面を含むように、(ii)第一の層の周りに巻回されたラミネート化材料の第二の層が第一の層からのイオン交換樹脂層の外面と接触している第二の層のベース層の内面を含むように、ローラに供給されてもよい。このようにして、本発明の態様に従って調製されたロール構造は、ロール構造の外側からロール構造のコアに向かって見たときに、ポリマー層、剥離フィルム及びベース層の層方向性を有し、例えば、ポリマー層はバッカーフィルムの外面上にある。有利には、このリバースロール構造体の配向は、本明細書で詳細に論じられる理由のためにロール構造の巻き出し時にバッカーフィルムからのポリマー層の脱離を抑制することができる。
【0031】
幾つかの実施形態は、コアの周りに巻回された2つ以上の層を含むロール構造及びイオン交換樹脂層又は膜であるポリマー層に関して本明細書に開示されるが、これは限定的であることを意図しない。2つ以上の層(例えば、第一の層及び第二の層)を有するロール構造に加えて、本明細書に開示された教示は、互いにロールされ又はスタックされたあらゆる数の層を有する製品構造にも適用されうる。例えば、ロール又はスタック構造は、2つ、3つ、4つ、5つ又はそれ以上の互いにロールされ又はスタックされた層を含むことができる。同様に、ポリマー層はイオン交換樹脂層又は膜に限定されない。例えば、ポリマー層は、スルホン化ポリエーテルエーテルケトン(sPEEK)などの他のポリマーフィルムであることができる。
【0032】
I.ラミネート化材料
図2に示すように、ポリマー層205及びバッカーフィルム210を含むラミネート化材料200は提供される。ポリマー層205は基材215及び含浸剤220を含む。様々な実施形態において、基材215は多孔質基材であり、含浸剤220は樹脂、イオン交換材料又はイオン交換樹脂である。バッカーフィルム210は、剥離フィルム225及びベース層230を含む。ポリマー層205は上面235及び底面240を含む。剥離フィルム225は上面245及び底面250を含む。ベース層230は上面255及び底面260を含む。幾つかの実施形態において、剥離フィルム225は、剥離フィルム225とベース層230との間に界面265が形成されるように、ベース層230上に形成される。界面265は、剥離フィルム225の底面250及びベース層230の上面255を含む。場合により、界面265は、介在する構造又は材料なしに、ベース層230の上面255上に直接形成された剥離フィルム225の底面250を含む。幾つかの実施形態において、ポリマー層205と剥離フィルム225との間に界面270が形成されるように、ポリマー層205は剥離フィルム225上に形成される。界面270は、ポリマー層205の底面240及び剥離フィルム225の上面245を含む。場合により、界面270は、介在する構造又は材料なしに、剥離フィルム225の上面245上に直接形成されたポリマー層205の底面240を含む。
【0033】
種々の実施形態において、ポリマー層205はイオン交換樹脂、電解質膜、又は、ポリマー電解質燃料電池用の電極膜、又は、電極膜が電解質膜の両側に接合されている膜電極アセンブリである。基材215は、多孔質ポリオレフィンなどの炭化水素を含む多孔質ポリマー材料であることができる。そのような多孔質ポリオレフィンの例としては、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)を含むポリエチレン及びポリプロピレンが挙げられる。フルオロポリマー及び/又は塩素化ポリマーもまた、本発明の態様により使用されうる。特に、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)又は延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)などの過フッ素化多孔質ポリマー材料を使用することができる。他の適切な多孔質ポリマー材料としては、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリスルホン、コポリエーテルエステル、ポリフッ化ビニリデン、ポリアリールエーテルケトン及びポリベンズイミダゾールが挙げられる。例えば、ポリ(エチレン-コ-テトラフルオロエチレン)及びポリ(テトラフルオロエチレン-コ-ヘキサフルオロプロピレン)などのコポリマー基材も使用することができる。
【0034】
含浸剤220はイオン交換材料を含むことができる。イオン交換材料はカチオン交換材料、アニオン交換材料又はカチオン交換機能とアニオン交換機能の両方を含むイオン交換材料であることができる。イオン交換材料の混合物も含浸剤として使用することができる。適切なイオン交換材料としては、例えば、ペルフルオロスルホン酸ポリマー、ペルフルオロカルボン酸ポリマー、ペルフルオロホスホン酸ポリマー、スチレン系イオン交換ポリマー、フルオロスチレン系イオン交換ポリマー、ポリアリールエーテルケトンイオン交換ポリマー、ポリスルホンイオン交換ポリマー、ビス(フルオロアルキルスルホニル)イミド、(フルオロアルキルスルホニル)(フルオロスルホニル)イミド、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、ジビニルベンゼン、ポリマーを含む又は含まない金属塩、及びそれらの混合物が挙げられる。
【0035】
場合により、含浸剤220はさらに界面活性剤を含む。界面活性剤をイオン交換材料と共に使用して、多孔質基材の内部体積の含浸を確実にすることができる。疎水性部分及び親水性部分を有する界面活性剤又は表面活性薬を利用することができる。好ましい界面活性剤は、100を超える分子量を有するものであり、そしてアニオン性、非イオン性又は両性として分類されることができ、炭化水素又はフルオロカーボン系であることができ、そして例えばMerpol(登録商標)の炭化水素系界面活性剤又はZonyl(登録商標)のフルオロカーボン系界面活性剤が挙げられ、いずれもWilmington, DelのE.I.DuPont de Nemours, Inc.から市販されている。
【0036】
種々の実施形態において、界面活性剤は化学構造
【化1】
(上式中、x=10(平均)である)を有する非イオン性材料のオクチルフェノキシポリエトキシエタノールであり、Philadelphia, PaのRohm&Haasから市販されているTriton X−100として知られている。
【0037】
所望ならば、含浸剤220は他の成分をさらに含んでもよい。例えば、含浸剤は電極触媒組成物を含み得る。適切な触媒組成物としては、貴金属、遷移金属、それらの酸化物、それらの合金及びそれらの混合物を含む非担持及び担持触媒が挙げられる。複合膜のイオン交換層中に電極触媒が存在することは、例えば直接メタノール型燃料電池用途におけるメタノールなどの反応体のクロスオーバーを低減するのに望ましいことがある。さらに、電極触媒は、より有効なアイオノマー-電極触媒相互作用を提供し、それによって反応体ガスの酸化及び還元を促進することができる。
【0038】
含浸剤220は、通常の動作条件下で電解質膜内の水分保持を促進する電気化学的に不活性な材料をさらに含むことができる。ポリマー、非ポリマー又はヒドロゲル材料は適切であることができる。例えば、含浸剤は、米国特許第5,523,181号明細書(参照により本明細書に取り込まれる)に記載されているように、粒子状シリカ及び/又は繊維状シリカ、又は、Chemistry of Materials, Vol. 7, pp.2259−2268(1995)に記載されるように、ケイ素酸化物を含むヒドロゲルをさらに含むことができる。他の適切なそのような材料は当業者に明らかであろう。
【0039】
含浸剤220は、燃料電池動作中に電解質膜の化学的安定性を促進するセリウムもしくはマンガン酸化物粒子、セリウムもしくはマンガン塩、又は、セリウムもしくはマンガンイオンなどのラジカル掃去剤をさらに含んでよい。
【0040】
含浸剤220は、例えばポリアリールエーテルケトン又はポリスルホンなどの非イオン性ポリマーの相溶性混合物をさらに含むことができる。含浸剤中に非イオン性ポリマーを有することは、幾つかの用途において有利である場合がある。例えば、含浸剤中の非イオン性ポリマーは直接メタノール型燃料電池におけるメタノールクロスオーバーの量を低減させることができる。
【0041】
ポリマー組成物が使用される実施形態において、含浸剤220は典型的には、適切な溶媒中に含浸剤を含む含浸溶液を介して多孔質基材に導入される。溶媒の選択は、部分的には、含浸剤の組成と多孔質基材の組成の両方に依存するだろう。適切な溶媒としては、例えば、水、エタノール、プロパノール、ブタノール、メタノール、ケトン、カーボネート、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、N, N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、N, N−ジメチルアセトアミド及びそれらの混合物が挙げられる。本明細書で使用されるときに、「溶媒」は任意の適切な溶媒又は2つ以上の溶媒の混合物を意味する。
【0042】
あるいは、イオン交換材料は、多孔質基材に含浸され、続いて重合されるか、そうでなければ化学的に結合される1つ以上のモノマー又はオリゴマーを含むことができる。したがって、本明細書で使用されるときに、「含浸溶液」としては、溶媒中のイオン交換モノマー、オリゴマー、ポリマー及び/又はそれらの混合物、ならびに、純粋なイオン交換材料モノマー及び/又はオリゴマーが挙げられる。含浸溶液がイオン交換材料に加えて成分を含む場合に、そのような成分は液相に溶解されている必要はないことに留意されたい。したがって、含浸溶液は分散液でもあってもよい。
【0043】
本発明の態様に従って実装されるポリマー電解質膜又は電極膜は、高いプロトン(H)伝導性及び電気絶縁性を有しかつガス不透過性を有する限り特に限定されず、公知のポリマー電解質膜であることができる。その典型例としては、フッ素含有ポリマーを骨格として含み、スルホン酸基、カルボキシル基、リン酸基又はホスホン基などの基を有する樹脂が挙げられる。ポリマー電解質膜の厚さは抵抗に大きな影響を及ぼすため、電気絶縁性及びガス不透過性を損なわない限り、より薄いポリマー電解質膜は好ましく、幾つかの実施形態において、1〜100μm、好ましくは5〜20μmの範囲である。
【0044】
本発明における電解質膜の材料は、完全フッ素系ポリマー化合物に限定されるものではなく、炭化水素系ポリマー化合物と無機ポリマー化合物との混合物、あるいは、ポリマー鎖中にCH結合とCF結合の両方を含む部分フッ素系ポリマー化合物であってもよい。炭化水素系ポリマー電解質の具体例としては、スルホン酸基などの電解質基を各々導入したポリアミド、ポリアセタール、ポリエチレン、ポリプロピレン、アクリル樹脂、ポリエステル、ポリスルホン又はポリエーテル及びそれらの誘導体(脂肪族炭化水素系ポリマー電解質)、スルホン酸基などの電解質基を導入したポリスチレン、各々芳香環を有するポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリスルホン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホン又はポリカーボネート及びそれらの誘導体(部分芳香族炭化水素系ポリマー電解質)、スルホン酸基などの電解質基を導入したポリエーテルエーテルケトン、及び、ポリエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリエステル又はポリフェニレンスルフィド及びそれらの誘導体(全芳香族炭化水素系ポリマー電解質)が挙げられる。部分フッ素系ポリマー電解質の具体例としては、スルホン酸基などの電解質基を各々導入したポリスチレン-グラフト -エチレンテトラフルオロエチレンコポリマー又はポリスチレン-グラフト-ポリテトラフルオロエチレン及びそれらの誘導体が挙げられる。全フッ素系ポリマー電解質膜の具体例としては、各々が側鎖にスルホン酸基を有するペルフルオロポリマーから作られているNation(登録商標)フィルム(DuPont製)、Aciplex(登録商標)フィルム(Asahi Kasei Corporation製)、Flemion(登録商標)フィルム(Asahi Glass Co. Ltd.製)などが挙げられる。無機ポリマー化合物としては、シロキサン系、シラン系有機ケイ素ポリマー化合物、特にアルキルシロキサン系有機ケイ素ポリマー化合物が挙げられ、その具体的としては、ポリジメチルシロキサン及びγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランが挙げられる。ポリマー電解質膜として、多孔質延伸ポリテトラフルオロエチレン膜にプロトン伝導性樹脂を含浸させた強化型固体ポリマー電解質膜であるGORE SELECT(登録商標)(JAPAN GORE-TEX INC.製)を用いることもできる。
【0045】
様々な実施形態において、剥離フィルム225はシクロオレフィン系コポリマーを含む。シクロオレフィン系コポリマーとは、少なくとも一種の環状オレフィンを共重合して得られるオレフィン系コポリマーを指す。環状オレフィンの具体例としては、シクロペンテン、シクロヘキセン及びシクロオクテン、シクロペンタジエン又は1,3−シクロヘキサジエンなどの単環式オレフィン、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン(一般名:ノルボルネン)、5−メチル-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5,5−ジメチル-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−エチル-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−ブチル-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−エチリデン-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2−エン、5−ヘキシル-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−オクチル-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−オクタデシル-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−メチリジン-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−ビニル-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン又は5−プロペニル-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エンなどの二環式オレフィン、トリシクロ[4.3.0.12.5]デカ−3,7−ジエン(一般名:ジシクロペンタジエン)又はトリシクロ[4.3.0.12.5]デカ−3−エン、トリシクロ[4.4.0.12.5]ウンデカ-3,7-ジエン又はトリシクロ[4.4.0.12.5]ウンデカ-3,8-ジエン又はその部分水素化物であるトリシクロ[4.4.0.12.5]ウンデカ-3-エン(又はシクロペンタジエンとシクロヘキセンとの付加物)、5−シクロペンチル-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−シクロヘキシル-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−シクロヘキセニルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン又は5−フェニル-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エンなどの三環式オレフィン、テトラシクロ[4.4.0.12.57.10]ドデカ−3−エン(テトラシクロドデセンとも呼ばれる)、8−メチルテトラシクロ[4.4.0.12.57.10]ドデカ−3−エン、8−エチルテトラシクロ[4.4.0.12.57.10]ドデカ−3−エン、8−メチリデンテトラシクロ[4.4.0.12.57.10]ドデカ−3−エン、8−エチリデンテトラシクロ[4.4.0.12.57.10]ドデカ−3−エン、8−ビニルテトラシクロ[4.4.0.12.57.10]ドデカ−3−エン又は8−プロペニル-テトラシクロ[4.4.0.12.57.10]ドデカ−3−エンなどの四環式オレフィン、8−シクロペンチル-テトラシクロ[4.4.0.12.57.10]ドデカ−3−エン、8−シクロヘキシル-テトラシクロ[4.4.0.12.57.10]ドデカ−3−エン、8−シクロヘキセニル-テトラシクロ[[4.4.0.12.57.10]ドデカ−3−エン又は8−フェニル-シクロペンチル-テトラシクロ[4.4.0.12.57.10]ドデカ−3−エン、テトラシクロ[7.4.13.6.01.9.02.7]テトラデカ−4,9,11,13−テトラエン(時折1,4−メタノ−1,4,4a, 9a−テトラヒドロフルオレンとも呼ばれる)又はテトラシクロ[8.4.14.7.01.103.8]ペンタデカ−5,10,12,14−テトラエン(時折1,4−メタノ−1,4,4a, 5,10,10a−ヘキサヒドロアントラセンとも呼ばれる)、ペンタシクロ[6.6.1.13.6.02.79.14]−4−ヘキサデセン、ペンタシクロ[6.5.1.13.6.02.7.09.13]−4−ペンタデセン又はペンタシクロ[7.4.0.02.7.13.6.1010.13] −4−ペンタデセン、ヘプタシクロ[8.7.0.12.9.14.7.111.17.03.8.012.16]-5−エイコセン又はヘプタシクロ[8.7.0.12.9.03.8.14.7.012.17.113.16]−14−エイコセン、及び、シクロペンタジエン四量体などの多環式オレフィンが挙げられる。これら環状オレフィンは単独で使用されても又は2種類以上が組み合わせで使用されてもよい。
【0046】
特定の実施形態において環状オレフィンと共重合されるオレフィンはα−オレフィンであり、その具体例には、エチレン又は2〜20個の炭素原子を有する、好ましくは2〜8個の炭素原子を有するα−オレフィンが挙げられ、例えばエチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、3−エチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1-ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、4−エチル−1−ヘキセン、3−エチル−1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン又は1−エイコセンである。これらのα−オレフィンは単独で又は二種以上の組み合わせで使用できる。本発明において、特に好ましいα−オレフィンはエチレンである。
【0047】
環状オレフィンとα−オレフィンとの重合方法は特に限定されず、公知の方法に従って重合を行うことができる。本発明の剥離フィルムに使用されるシクロオレフィン系コポリマーは、TOPAS(登録商標)としてPolyplastics Co., Ltd.から市販されているエチレンとノルボルネンの付加コポリマーであることができる。エチレンとノルボルネンの付加コポリマーにおいて、ノルボルネンのモル分率を大きくすることで高いガラス転移温度(Tg)を得ることができる。特定の実施形態におけるシクロオレフィン系コポリマーのTgは50℃以上、好ましくは100℃以上、より好ましくは120℃以上、最も好ましくは160℃以上である。Tgが高いほど、高温でのフィルム形状の保持性及び剥離性は優れる。一方、Tgが高すぎると成形加工が困難となる。イオン交換樹脂を含む層をラミネート化してラミネートを形成する場合に、加熱処理を施すときに、加熱処理の温度よりも高いTgを有するシクロオレフィン系コポリマーを用いることが好ましい。一般的なシクロオレフィン系コポリマーのTgの上限は約250℃である。 各々Tgが異なる2種類以上のシクロオレフィン系コポリマーを組み合わせて使用してもよい。
【0048】
幾つかの実施形態において、剥離フィルム225を形成する方法としては、Tダイを使用する溶融押出し法が挙げられる。図2に示すように、(i)上記溶融押出法により形成されたシクロオレフィン系コポリマーの剥離フィルム225をベース層230上にラミネート化する方法、又は(ii)シクロオレフィン系コポリマーの溶液をベース層230上に塗布する方法(例えば、溶液流延法)を採用できる。剥離フィルム225は、0.05〜1.0μm、好ましくは0.1〜0.5μmの範囲の厚さで形成することができる。しかしながら、剥離フィルム225の厚さは、期待される剥離性、取り扱い特性及びラミネートの材料コストを考慮して適切に設定することができることを当業者は理解するべきである。溶融押出法及び溶液流延法によるシクロオレフィン系コポリマーの製膜方法の詳細については、特開2007−112967号公報を参照されたい。この文献の全体を本明細書中に取り込む。
【0049】
様々な実施形態において、イオン交換樹脂は、ポリマー電解質燃料電池用の電解質膜もしくは電極膜、又は、電解質膜の両面に電極膜が接合されている膜電極アセンブリである。電解質膜は、プロトン(H)伝導性が高く、電気絶縁性を有し、かつガス不透過性を有する限り、電解質膜は特に限定されず、公知のポリマー電解質膜であることができる。その典型例としては、フッ素含有ポリマーを骨格として含み、スルホン酸基、カルボキシル基、リン酸基又はホスホン基などの基をも含む樹脂が挙げられる。ポリマー電解質膜の厚さは抵抗に大きな影響を及ぼすため、電気絶縁性及びガス不透過性を損なわない限り、より薄い厚さを有するポリマー電解質膜は要求され、具体的には1〜100μm、好ましくは5〜20μmの範囲内に設定される。本発明におけるポリマー電解質膜の材料は、全フッ素系ポリマー化合物に限定されず、又は、炭化水素系ポリマー化合物と無機ポリマー化合物との混合物であってもよく、又は、ポリマー鎖中のC−H結合及びC−F結合の両方を含む部分フッ素系ポリマー化合物であることができる。
【0050】
炭化水素系ポリマー電解質の具体例としては、スルホン酸基などの電解質基を各々導入したポリアミド、ポリアセタール、ポリエチレン、ポリプロピレン、アクリル樹脂、ポリエステル、ポリスルホン又はポリエーテル及びそれらの誘導体(脂肪族炭化水素系ポリマー電解質)、スルホン酸基などの電解質基を導入したポリスチレン、芳香環を各々有するポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリスルホン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホン又はポリカーボネート及びそれらの誘導体(部分芳香族炭化水素系ポリマー電解質)、スルホン酸基などの電解質基を導入したポリエーテルエーテルケトン、及び、ポリエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリエステル又はポリフェニレンスルフィド及びそれらの誘導体(全芳香族炭化水素系ポリマー電解質)が挙げられる。部分フッ素系ポリマー電解質の具体例としては、スルホン酸基などの電解質基を各々導入したポリスチレン-グラフト-エチレンテトラフルオロエチレンコポリマー又はポリスチレン-グラフト-ポリテトラフルオロエチレン及びそれらの誘導体が挙げられる。全フッ素系ポリマー電解質膜の具体例としては、各々が側鎖にスルホン酸基を有するペルフルオロポリマーから作られているNation(登録商標)フィルム(DuPont製)、Aciplex(登録商標)フィルム(Asahi Kasei Corporation製)及びFlemion(登録商標)フィルム(Asahi Glass Co. Ltd.製)などが挙げられる。無機ポリマー化合物は、シロキサン系又はシラン系有機ケイ素ポリマー化合物、特にアルキルシロキサン系有機ケイ素ポリマー化合物であることができ、その具体的としては、ポリジメチルシロキサン及びγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランが挙げられる。ポリマー電解質膜として、多孔質延伸ポリテトラフルオロエチレン膜にプロトン伝導性樹脂を含浸させた強化型固体ポリマー電解質膜であるGORE SELECT(登録商標)(W.L. GORE & Associates, Co. Ltd., Japan製)を用いることもできる。
【0051】
様々な実施形態において、ベース層230は、ポリエステル、ポリカーボネート、トリアセチルセルロース、ポリアミド、芳香族ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリプロピレン及びそれらの組み合わせを含む材料から作られる。ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)又はポリプロピレン(PP)などのポリエステルは耐熱性及び機械的特性の点で特に好ましい。幾つかの実施形態において、ベース層の厚さは、ラミネート化材料の輸送特性及び取り扱い特性を考慮して、10〜110μm、好ましくは15〜60μmの範囲内である。
【0052】
別の実施形態において、バッカーフィルム210は、2016年3月11日に出願された米国仮特許出願第62/307,261号に記載されているような反射性基材であり、その全体を本明細書に取り込む。反射性基材をポリマー層205に取り外し可能に結合又は取り外し可能に接着してラミネート化材料200を形成することができる。幾つかの実施形態において、反射性基材の反射層をポリマー層205に取り付けて反射基材をポリマー層205に結合又は接着させることができる。別の例において、反射性基材のキャリア層をポリマー層205に取り付けて、反射性基材をポリマー層205に結合又は接着させることができる。反射性基材は、ポリマー層205を覆って、ポリマー層205に向かう又はポリマー層205を横切って透過する電磁放射の少なくとも一部を反射又は吸収することができる。
【0053】
反射性基材は、場合により、金属基材(例えば元素アルミニウム基材)を含む。選択された特定の金属は、それが反射性である限り、広く変更可能である。例示的な金属の非限定的なリストとしては、アルミニウム、ベリリウム、クロム、銅、ゲルマニウム、金、ハーフニウム、モリブデン、ニッケル、白金、ロジウム、銀、タンタル、チタン、タングステン、亜鉛、又は、インコネル、青銅などの合金が挙げられる。反射性基材は、場合により、2つ以上の金属の混合物又は合金、場合により、2つ以上の上記のリストの金属の混合物又は合金を含む。反射性基材は、場合により、3M Companyから入手可能なVikuiti(商標)Enhanced Specular Reflectorなどの高反射性ポリマー多層フィルムを含むことができる。さらに別の例において、反射性基材は、場合により、例えばフッ化マグネシウム、フッ化カルシウム、二酸化チタン、二酸化ケイ素などの材料を含む高反射性非金属無機誘電体多層フィルムを含むことができる。幾つかの態様において、反射性基材は反射層とキャリア層とを含む。反射層は金属基材(例えば、アルミニウム)又は高反射性非金属多層フィルムを含むことができ、キャリア層は、ポリエチレン(「PE」)、ポリスチレン(「PS」)、環状オレフィン系コポリマー(「COC」)、環状オレフィン系ポリマー(「COP」)、フッ素化エチレンプロピレン(「FEP」)、ペルフルオロアルコキシアルカン(「PFA」)、エチレンテトラフルオロエチレン(「ETFE」)、ポリフッ化ビニリデン(「PVDF」)、ポリエーテルイミド(「PEI」) 、ポリスルホン(「PSU」)、ポリエーテルスルホン(「PES」)、ポリフェニレンオキシド(「PPO」)、ポリフェニルエーテル(「PPE」)、ポリメチルペンテン(「PMP」)、ポリエチレンテレフタレート(「PET」)、ポリカーボネート(「PC」)を含むことができる。幾つかの態様において、反射性基材はまた、ポリエチレン(PE)、ポリスチレン(「PS」)、環状オレフィン系コポリマー(「COC」)、環状オレフィン系ポリマー(「COP」)、フッ素化エチレンプロピレン、フッ素化エチレンプロピレン(「FEP」)、ペルフルオロアルコキシアルカン(「 PFA」)、エチレンテトラフルオロエチレン(「 ETFE」)、ポリフッ化ビニリデン(「 PVDF」)、ポリエーテルイミド(「 PEI」)、ポリスルホン(「PSU」)、ポリエーテルスルホン(「 PES」)、ポリフェニレンオキシド(「PPO」)、ポリフェニルエーテル(「PPE」)、ポリメチルペンテン(「PMP」)、ポリエチレンテレフタレート(「PET」)又はポリカーボネート(「PC」)を含むことができる保護層を含む。
【0054】
III.ロール構造
図3Aに示すように、複数の層(A、B、C、…N)のラミネート化材料(例えば、図2に関して記載したようなラミネート化材料200)を含むロール構造300は提供される。各層(A、B、C、…N)は、ポリマー層305(例えば、図2に関して記載したようなポリマー層205)、剥離フィルム310(例えば、図2に関して記載したような剥離フィルム225)及びベース層315(例えば、図2に関して記載したベース層230)を含む。ポリマー層305は内面320及び外面325を含む。剥離フィルム310は内面330及び外面335を含む。ベース層315は内面340及び外面345を含む。幾つかの実施形態において、コア350の周りに巻回されたラミネート化材料の層(A)は、コア350(例えばコアロッド)の外面355と接触している層(A)のベース層315”の内面340”を含む。層(A)の周りに巻回されたラミネート化材料の層(B)は、層(A)からのポリマー層305”'の外面325”'と接触している層(B)のベース層315''の内面340''を含む。層(B)の周りに巻回されたラミネート化材料の層(C)は、層(B)からのポリマー層305''の外面325''に接触している層(C)のベース層315 'の内面340'を含む。
【0055】
図3Bに示されるように、ロール構造300の巻き出しプロセスの間に、後にロールされた層(C)のベース層315 'は、ポリマー層305”がロールされた層(B)の剥離フィルム310’及びベース層315”にラミネート化されたままになるように、先にロールされた層(B)のポリマー層側から剥離される。さらに、後にロールされた層(C)のベース層315’は、剥離フィルム310’及びポリマー層305 ’に付着したままである。有利には、このリバースロール構造の配向は、本明細書で詳細に論じられる理由のために、ロール構造の巻き出し時にバッカーフィルムからのポリマー層の脱離を抑制することができる。
【0056】
II.ロール構造を製造する方法
図4に示すように、ベース層の上面に形成された剥離フィルムを含むバッカーフィルム410を設けることを含む、ロール構造405(例えば、図3Aに関して記載したようなロール構造300)を製造するためのプロセス400は提供される。幾つかの実施形態において、バッカーフィルム410は、前に製造されたバッカ―フィルムのロールを巻き出しローラ415から巻き出すことによって提供される。代替実施形態において、巻き出しローラ(図示せず)から、前に製造されたベース層のロールからベース層を巻き出すことができ、また、本明細書に記載されるように、剥離フィルムをベース層の上面に形成して、バッカーフィルム410を提供することができる。
【0057】
プロセス400はさらに、バッカーフィルム410の上面にポリマー層420を形成してラミネート化材料425(例えば、図2に関して記載したようなラミネート化材料200)を形成することを含む。幾つかの実施形態において、ポリマー層420は、ポリマー及び含浸剤(例えば、イオン交換樹脂)の溶液をバッカーフィルムの上面にコーティングし、ヒータ430を使用して乾燥することで溶媒を除去することによって形成される。例えば、ポリマー層420がポリマー電解質燃料電池用のイオン交換樹脂又は電解質膜であるときに、市販のNafion(登録商標)溶液などの電解質溶液をバッカーフィルムの上面にコーティングした後に、ヒータ430を用いてラミネート化材料425を乾燥させることができる。別の実施形態において、ポリマー層420は、ホットプレス(図示せず)などのバインダを使用して、剥離フィルムとは別に製造されたフッ素含有ポリマーなどの固体ポリマー膜を結合又はホットプレスすることによって形成される。続いて、固体ポリマー膜をポリマー層の上面に含浸剤の溶液でコーティングし、ヒータ430を使用してラミネート化材料425を乾燥させることによって溶媒を除去する。例えば、ポリマー層420がポリマー電解質燃料電池用のイオン交換樹脂又は膜アセンブリであるときに、固体ポリマー膜はホットプレスによりバッカーフィルムに結合され、固体ポリマー層に含浸剤溶液をコーティングし、得られたラミネート化材料を乾燥させることにより、固体ポリマー膜を含浸剤で含浸させる。ポリマー層420の厚さは、ポリマー及び/又は含浸剤の溶液の濃度を調整し、ポリマー及び/又は含浸剤溶液のコーティング及び乾燥工程を繰り返すことによって特定の厚さに調整することができる。ラミネート化材料425の厚さは、11μm〜210μmの範囲内、好ましくは20μm〜80μmの範囲内である。
【0058】
プロセス400は、コア(例えば、コアロード)の周りに巻回されたラミネート化材料425の複数の層を含むロール構造405を製造するために、ラミネート化材料425をローラ435に供給することをさらに含む。ラミネート化材料425の第一の端部440は、約100N〜300N(ここで、約は+/−2N)、好ましくは約190N〜200Nの線張力、例えば約196Nの線張力を維持しながら、ローラ435のコアの外面445に供給されうる。さらに、ラミネート化材料425の第一の端部440は、約1.0〜50.0m/分(約は+/−.3m/分)、好ましくは約2.0〜15.0m/分、より好ましくは約2.5〜7.5m/分、例えば約3.0m/分の線速度を維持しながら、ローラ435のコアの外面445に供給されうる。
【0059】
幾つかの実施形態において、ラミネート化材料425の第一の端部440は、(i)コアの周りに巻回されたラミネート化材料425の第一の層がコアの外面と接触している第一の層のベース層の内面を含み、そして(ii)第一の層の周りに巻回されたラミネート化材料425の第二の層が、第一層からのイオン交換樹脂層の外面に接触している第二の層のベース層の内面を含むように時計回り又は反時計回りに回転しているローラ435のコアの外面445に供給される。例えば、バッカーフィルム410の内面(例えば、ベース層の内面)はローラ435の外面445の周りに直接巻回される。ローラ435を時計回り又は反時計回りに連続的に回転させると以下のようになる。バッカーフィルム410の内面(例えば、ベース層の内面)は、ローラ435のコアの周りに巻回された前の層のポリマー層420の外面の周りに直接巻回されている。このように、本発明の態様に従って調製されたロール構造405は、ロール構造405の外側からロール構造405のコアに向かって見たときに、ポリマー層、剥離フィルム及びベース層の層方向性を有し、例えば、ポリマー層はバッカーフィルムの外面上にある。有利には、このリバースロール構造の配向は、本明細書で詳細に論じられる理由のために、ロール構造の巻き出し時にバッカーフィルムからのポリマー層の脱離を抑制することができる。
【0060】
V.テスト手順
以下の剥離試験手順は、本発明の態様に従って調製されたロールされたラミネート化材料のサンプルに対して採用された(例えば、図2〜4を参照されたい)。図5に示すように、剥離試験手順500は、反対側からロール構造510(例えば、図3Aに関して記載したような、そして図4に関して記載したように構成したロール構造300)に切り込む工程505を含む。切り込みは深さ約0.5 mmにすべきである。得られたシート515は、ラミネート化材料の複数層(A、B、C)を含む。各層(A、B、C)は、剥離フィルム525の外面に形成されたポリマー層520と、ベース層530の外面に形成された剥離フィルム525とを含む。
【0061】
剥離試験手順500はさらに、複数層(A、B、C)間及び各層(A、B、C)の個々の構成要素(例えば、ポリマー層520、剥離フィルム525及びベース層530)間の剥離強度を測定する工程535を含む。まず、複数層(A、B、C)のラミネート化材料を含むシートを、複数層(A、B、C)のラミネート化材料を含むストリップに切断し、それは幅10mm、長さ150mmであった。次に、複数層(A、B、C)のラミネート化材料を含むストリップを、両面接着テープ545を介して滑らかなガラス基材540に取り付けた。第二に、所望の層(A、B、C)の間又は各層(A、B、C)の個々の構成要素(例えば、ポリマー層520、剥離フィルム525及びベース層530)の界面550を、錘555を取り付けるために20mmのストリップ長さで予め剥離し、界面で剥離を開始する。所望の層/構成要素が次の層/構成要素から図5に示されるように一定の定常速度で剥離されるまでガラス基材540をラミネート化材料の層(A、B、C)の付着された予め剥離されたストリップと傾けることによって次の剥離試験を実施した。全ての剥離試験の間に、剥離速度は20cm/分未満に保たれ、加えられた荷重Pは一定であり、全ての試験について0.30Nの同じレベルに保たれた。対象となる層/構成要素と次の層/構成要素との間で一定の定常速度で剥離が進行する角度として定義される剥離角度θを測定し、記録した。有効90度剥離荷重P90は、加えられた荷重と測定された剥離角の正弦の積として計算された:P90=P・sinθ。再現性を保証するために、このような剥離測定を、対象となるすべての試験について少なくとも2回行った。次いで、剥離強度を、平均有効90度剥離荷重P90と結合ラインの層/成分の単位幅との比として計算した。
【実施例】
【0062】
VI.例
本発明の範囲を限定することを意図することなく、本発明の製造の装置及び方法は、以下の実施例を参照することによってよりよく理解されうる。
【0063】
例1(慣用ロール構造)
バッカーフィルム上の長さ30メートルの11.5μmGORE−SELECT(登録商標)(W.L.GORE & ASSOCIATES,Co.,Ltd,Japan製)のウェブ(例えば、ラミネート化材料)を慣用ロール構造へと巻回した。例えば、ラミネート化材料の第一の端部を、時計回り又は反時計回りの方向に回転しているローラのコアの外面に供給し、それにより、(i)コアの周りに巻回されたラミネート化材料の第一の層はコアの外面に接触している第一の層のポリマー層の内面を含み、(ii)第一の層の周りに巻回されたラミネート化材料の第二の層は、第一の層からのベース層の外面に接触している第二の層のポリマー層の内面を含み、そして(iii)第二の層の周りに巻回されたラミネート化材料の第三の層は、第二の層からのベース層の外面と接触している第三の層のポリマー層の内面を含む。この慣用ロール構造を90℃のオーブン中で24時間貯蔵した。その後、慣用ロール構造を室温に冷却し、バッカーフィルム上のGORE−SELECT(登録商標)(WL Gore&Associates, Co., Ltd., Japan製)の複数層から作られたシートを図5に関して本明細書で記載した剥離試験手順500に従って処理した。
【0064】
第一の界面(第一の層のベース層の外面と第二の層のポリマー層の内面との間)及び第二の界面(第二の層のポリマー層の外面と第二の層の剥離フィルムの内面との間)における90度剥離強度試験を測定した。対象となる界面での剥離強度は上記の慣用ロールから切断された複数層(A、B、C)のラミネート化材料を含むシートに関して測定し、図6A、図6B、図7A及び図7Bに記載されるような慣用ロール及びリバースロールについて観察される剥離幾何学形状をシミュレートした。ロール間の潜在的な差異(それらの老化履歴又は製造上の微妙な差異の剥離強度に対する影響)を排除するために、そしてリバースロールの巻き出し中に本質的に観察される剥離幾何学形状が脱離の可能性を減少させることに有益な効果があることを実証するために、慣用ロール及びリバースロールで観察されるような対象の界面での剥離のこれらのシミュレーションを、上記の慣用ロールから得た同シートから切断したサンプルに対して行った。
【0065】
慣用ロール構造の巻き出しをシミュレートしている図6Aに示すように、第二の層(B)のポリマー層は隣接する第一の層(A)にベース層側に付着したままであり、第二の層(B)の剥離フィルム側から剥離された。図6Aに従って行われた剥離試験は慣用ロールの巻き出し中に観察されるように、すなわちポリマー/剥離フィルム界面についての「慣用」剥離方向で、第二の層(B)のポリマー層と剥離フィルムとの間の剥離強度を試験した。慣用ロール構造の巻き出しをシミュレートしている図6Bに示されるように、第二の層(B)のポリマー層は第二の層(B)の剥離フィルム側に付着したままであり、隣接する第一の層(A)のベース層側から剥離された。図6Bにより行った剥離試験は、慣用ロールの巻き出し中に観察されるように、すなわち、ポリマー層/ベース層界面についての「慣用」剥離方向で、隣接層(A及びB)のポリマー層とベース層との間の剥離強度を試験した。リバースロール構造の巻き出しをシミュレートしている図7Aに示されるように、第一の層(A)のポリマー層は隣接する第二の層(B)のベース層側に付着したままであり、第一の層(A)の剥離フィルム側から剥離された。図7Aに従って行われた剥離試験は、リバースロールの巻き出し中に観察されるように、すなわちポリマー/剥離フィルム界面について「リバース」剥離方向で、第一の層(A)のポリマー層と剥離フィルムとの間の剥離強度を試験した。リバースロール構造の巻き出しをシミュレートしている図7Bに示されるように、第一の層(A)のポリマー層は第一の層(A)の剥離フィルム側に付着したままであり、隣接する第二の層(B)のベース層側から剥離された。図7Bに従って行われた剥離試験は、リバースロールの巻き出し中に観察されるように、すなわちポリマー/ベース層界面についての「リバース」剥離方向で、隣接層(A及びB)のポリマー層とベース層との間の剥離強度を試験した。
【0066】
効果的には、図6Aに示す剥離は巻き出し中の慣用ロールの脱離をシミュレートし、図7Aに示す剥離は巻き出し中のリバースロールの脱離をシミュレートし、図6Bに示す剥離は巻き出し中の慣用ロールについての脱離がないことをシミュレートし、そして図7Bに示す剥離は巻き出し中のリバースロールの脱離がないことをシミュレートする。ポリマー/ベース層界面とポリマー/剥離フィルム界面との間の剥離強度の差は脱離の可能性に関係している。例えば、ポリマー/ベース層界面とポリマー/剥離フィルム界面との間の剥離強度の差が大きいほど、コーティングされた元の層の剥離フィルム側にポリマー層が付着したままでいる可能性は低い。そして、ポリマー層が隣接層のベース層側に付着したままであり、脱離を生じる可能性がより高い。図8A及び図8Bに見ることができるように、リバース剥離形状は、ポリマー層のベース層側からの剥離強度及び剥離フィルム側からの剥離強度の差を減少させ、したがって脱離の可能性を減少させた。慣用剥離形状は、ポリマー層のベース層側からの剥離強度及び剥離フィルム側からの剥離強度のより大きな差を示し、それゆえ、脱離の可能性が増大する。図8A及び図8Bに示すデータは、慣用ロールから得られたラミネート化材料がリバース方向に巻回された場合に、慣用ロールから得られたラミネート化材料が慣用的に巻回されたときの状況と比較して、そのようなロールの巻き出し中に脱離が生じる危険性が低かったことを示す。
【0067】
例2(リバースロール構造)
本発明の態様に従って、長さ150メートルの11.5μmGORE−SELECT(登録商標)(WL Gore&Associates, Co., Ltd., Japan製)のウェブをリバースロール構造で巻回した。例えば、ラミネート化材料の第一の端部を、時計回り又は反時計回りの方向に回転しているローラのコアの外面に供給し、それにより、(i)コアの周りに巻回されたラミネート化材料の第一の層はコアの外面に接触している第一の層のベース層の内面を含み、(ii)第一の層の周りに巻回されたラミネート化材料の第二の層は第一の層からのイオン交換樹脂層の外面に接触している第二の層のベース層の内面を含み、そして(iii)第二の層の周りに巻回されたラミネート化材料の第三の層は、第二の層からのポリマー層の外面に接触している第三の層のベース層の内面を含む。このリバースロール構造を90℃のオーブン中に24時間貯蔵した。その後に、リバースロール構造を室温まで冷却し、バッカーフィルム上の複数層のGORE-SELECT(登録商標)(WL Gore&Associates, Co.,Ltd, Japan製)から作られているシートを、図5に関して本明細書で記載した剥離試験手順500に従って処理した。
【0068】
第一の界面(第一の層のポリマー層の外面と第二の層のベース層の内面との間)及び第二の界面(第二の層のポリマー層の内面と第二の層の剥離フィルムの外面との間)における90度剥離強度試験を、慣用及びリバース剥離形状について測定した。対象となる界面での剥離強度は、図6A、6B、7A及び7Bに図示されるように慣用ロール及びリバースロールについて観察される剥離形状をシミュレートしている上述のリバースロールから切り出された複数層(A、B、C)のラミネート化材料を含むシートに対して測定した。ロール間の潜在的な差異(それらの老化履歴又は製造上の微妙な差異の剥離強度に対する影響)を排除するために、そしてリバースロールの巻き出し中に本質的に観察される剥離形状が脱離の可能性を減少させることの有益な効果を実証するために、慣用ロール及びリバースロールで観察されるような対象の界面での剥離のこれらのシミュレーションを、上記リバースロールから得られた同シートから切断したサンプルに対して行った。
【0069】
慣用ロール構造の巻き出しをシミュレートしている図6Aに示すように、第二の層(B)のポリマー層は隣接する第一の層(A)のベース層側に付着したままであり、第二の層(B)の剥離フィルム側から剥離された。図6Aに従って実施した剥離試験は慣用ロールの巻き出し中に観察されるように、すなわちポリマー/剥離フィルム界面の「慣用」剥離方向で、第二の層(B)のポリマー層と剥離フィルムとの間の剥離強度を試験する。慣用ロール構造の巻き出しをシミュレートしている図6Bに示すように、第二の層(B)のポリマー層は第二の層(B)の剥離フィルム側に付着したままであり、隣接する第一の層(A)のベース層側から剥離された。図6Bに従って実施した剥離試験は慣用ロールの巻き出し中に観察されるように、すなわちポリマー/ベース層界面の「慣用」剥離方向で、隣接層(A及びB)のポリマー層とベース層との間の剥離強度を試験した。リバースロール構造の巻き出しをシミュレートしている図7Aに示すように、第一の層(A)のポリマー層は隣接する第二の層(B)のベース層側に付着したままであり、第一の層(A)の剥離フィルム側から剥離された。図7Aに従って実施した剥離試験は、リバースロールの巻き出し中に観察されるように、すなわちポリマー/剥離フィルム界面についての「リバース」剥離方向で第一の層(A)のポリマー層と剥離フィルムとの間の剥離強度を試験した。リバースロール構造の巻き出しをシミュレートしている図7Bに示すように、第一の層(A)のポリマー層は第一の層(A)の剥離フィルム側に付着したままであり、隣接する第二の層(B)のベース層側から剥離された。図7Bに従って実施した剥離試験は、リバースロールの巻き出し中に観察されるように、すなわちポリマー/ベース層界面についての「リバース」剥離方向で、隣接層(A及びB)のポリマー層とベース層との間の剥離強度を試験した。
【0070】
効果的に、図6Aに示される剥離は巻き出し中の慣用ロールの脱離をシミュレートし、図7Aに示される剥離は巻き出し中のリバースロールの脱離をシミュレートし、図6Bに示される剥離は巻き出し中の慣用ロールに脱離がないことをシミュレートし、そして図7Bに示される剥離は巻き出し中のリバースロールに脱離がないことをシミュレートしている。ポリマー/ベース層界面とポリマー/剥離フィルム界面との間の剥離強度の差は脱離の可能性に関係している。例えば、ポリマー/ベース層界面とポリマー/剥離フィルム界面との間の剥離強度の差が大きいほど、コーティングされた元の層の剥離フィルム側にポリマー層が付着したままでいる可能性は低く、そして、ポリマー層は隣接層のベース層側に付着したままで、脱離を生じる可能性がより高い。図9A及び図9Bに見ることができるように、リバース剥離形状は、ベース層側からのポリマー層の剥離強度と剥離フィルム側からのポリマー層の剥離強度の差を減少させ、したがって脱離の可能性を減少させた。慣用剥離形状は、ベース層側からのポリマー層の剥離強度と剥離フィルム側からのポリマー層の剥離強度のより大きな差を示し、したがって、脱離の可能性が増大する。図9A及び図9Bに示されるデータは、リバースロールから得られたラミネート化材料がリバース方向で巻回された場合に、リバースロールから得られたラミネート化材料が慣用式に巻回された場合と比較して、このようなロールの巻き出し中に脱離が起こる危険性が低いことを示す。
【0071】
結果として、例1及び2は、巻き出されているロールがリバース構造を有する場合に脱離が起こりにくくなることを実証しており、このことは、ロール構造の外側からロール構造のコアに向かって見たときに、ロールがポリマー層、剥離フィルム及びベース層の層方向性を有する、例えば、ポリマー層がバッカーフィルムの外面上にあることを意味する。そのようなリバース構造を有するロールの巻き出し中に観察されるベース層/ポリマー層界面での剥離強度は低く、剥離フィルム/ポリマー層界面での剥離強度は高い、すなわちベース層/ポリマー層界面の剥離強度及び剥離フィルム/ポリマー層の界面の剥離強度との差異は慣用構造と比較して低下している。
【0072】
本発明を詳細に説明してきたが、本発明の精神及び範囲内の変更は当業者に容易に明らかであろう。本発明の態様ならびに上記及び/又は添付の特許請求の範囲に記載の様々な実施形態及び様々な特徴の部分は、全体的に又は部分的に組み合わせ又は交換することができることを理解されたい。様々な実施形態の上記説明において、別の実施形態を参照する実施形態は、当業者によって理解されるように他の実施形態と適切に組み合わされてもよい。さらに、当業者であれば、上述の説明は例示にすぎず、本発明を限定することを意図するものではないことを理解するであろう。
【図1A】
【図1B】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【国際調査報告】