(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】2019523161
(43)【公表日】20190822
(54)【発明の名称】熱可塑性樹脂含浸法での使用に適したテキスタイル強化材
(51)【国際特許分類】
   B29B 11/16 20060101AFI20190726BHJP
   D03D 1/00 20060101ALI20190726BHJP
   D03D 15/12 20060101ALI20190726BHJP
   D03D 15/00 20060101ALI20190726BHJP
   D02G 3/04 20060101ALI20190726BHJP
   D02G 3/38 20060101ALI20190726BHJP
   B32B 5/28 20060101ALI20190726BHJP
   B29K 105/10 20060101ALN20190726BHJP
【FI】
   !B29B11/16
   !D03D1/00 A
   !D03D15/12 A
   !D03D15/12 Z
   !D03D15/00 C
   !D03D15/00 D
   !D02G3/04
   !D02G3/38
   !B32B5/28 A
   !B29K105:10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】15
(21)【出願番号】2019521192
(86)(22)【出願日】20170706
(85)【翻訳文提出日】20190304
(86)【国際出願番号】FR2017051851
(87)【国際公開番号】WO2018007766
(87)【国際公開日】20180111
(31)【優先権主張番号】1656615
(32)【優先日】20160708
(33)【優先権主張国】FR
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】519005185
【氏名又は名称】ショマラ・テキスタイルズ・インダストリーズ
【氏名又は名称原語表記】CHOMARAT TEXTILES INDUSTRIES
【住所又は居所】フランス07160ル・シェラール、アブニュ・ドゥ・シャバン39番
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132263
【弁理士】
【氏名又は名称】江間 晴彦
(72)【発明者】
【氏名】ジェローム・モープティ
【住所又は居所】フランス07360デュニエール・シュル・エイリュー、ル・モンテイユ
【テーマコード(参考)】
4F072
4F100
4L036
4L048
【Fターム(参考)】
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(57)【要約】
本発明は、熱可塑性含浸樹脂による含浸法での使用に適したテキスタイル強化材に関し、当該テキスタイル強化材は、複合パーツを製造するために、少なくとも1セットの実質的に平行な高靭性の糸と、前記1セットまたはそれよりも多くの複数のセットを通して縫い込まれる縫い糸とを含み、前記縫い糸が、
熱可塑性含浸樹脂の溶融温度よりも高い溶融温度を有するフィラメントと、
熱可塑性の材料から形成され、熱可塑性含浸樹脂に混和性であってよく、なおかつ前記熱可塑性含浸樹脂の含浸温度よりも低い溶融温度を有するフィラメントと
を含むことを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性樹脂含浸法での使用に適したテキスタイル強化材であって、当該テキスタイル強化材は、複合パーツを製造するために、少なくとも1セットの高靭性の糸と、縫い糸とを含み、
前記セットのそれぞれが、実質的に平行な糸を含み、
前記縫い糸は、前記少なくとも1つのセットを通して縫い込まれ、上記の実質的に平行な糸を確実に結束するものであり、
前記縫い糸は、以下の2つの群のフィラメント:
熱可塑性含浸樹脂の適用温度よりも高い溶融温度を有する一群のフィラメントと、
熱可塑性の材料から形成され、熱可塑性含浸樹脂に混和性であり、なおかつ前記熱可塑性含浸樹脂の適用温度よりも低い溶融温度を有する一群のフィラメントと
を含み、前記2つの群のフィラメントが、撚り合わせ又は巻き付けによって集合されていることを特徴とする、テキスタイル強化材。
【請求項2】
前記セットの糸は、クリンプがなく、プライであることを特徴とする、請求項1に記載のテキスタイル強化材。
【請求項3】
2セットの糸を含み、これらの糸が一緒に織られていることを特徴とする、請求項1に記載のテキスタイル強化材。
【請求項4】
1セットの実質的に平行な高靭性の糸によって形成された単一の層と、
繊維材料によって形成された支持層であって、前記支持層の繊維が前記高靭性の糸の層に対して平行ではない、支持層と
を含むことを特徴とする、請求項1に記載のテキスタイル強化材。
【請求項5】
前記支持層が、不織布によって形成されていることを特徴とする、請求項4に記載のテキスタイル強化材。
【請求項6】
前記支持層が、1セットの互いに離隔した平行な糸によって形成されていることを特徴とする、請求項4に記載のテキスタイル強化材。
【請求項7】
熱可塑性の材料から形成され、熱可塑性含浸樹脂に混和性であり、なおかつ前記熱可塑性含浸樹脂の適用温度よりも低い溶融温度を有する別個の少なくとも2つの群のフィラメントを含み、
各群のフィラメントが、前記熱可塑性含浸樹脂の適用温度よりも高い溶融温度を有する第1の群のフィラメントのまわりに巻き付けられていて、
前記2つの群のフィラメントが、反対の方向に巻き付けられていることを特徴とする、
請求項1に記載のテキスタイル強化材。
【請求項8】
熱可塑性の材料から形成され、熱可塑性含浸樹脂に混和性である前記別個の群のフィラメントが、異なる溶融温度を有することを特徴とする、請求項7に記載のテキスタイル強化材。
【請求項9】
前記熱可塑性含浸樹脂の溶融温度よりも高い溶融温度を有するフィラメントが、好ましくは、ガラス、コットン、アラミド、液晶ポリマー、炭素、石英、玄武岩を含む群から選択され得る材料から形成されることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載のテキスタイル強化材。
【請求項10】
熱可塑性の材料から形成され、熱可塑性含浸樹脂に混和性であり、なおかつ前記熱可塑性含浸樹脂の適用温度よりも低い溶融温度を有する前記フィラメントが、ポリアミド、ポリフェニレンスルフィド、アクリル樹脂、ポリイミド、ポリエステル、ポリアリールエーテルケトンを含む群から選択される材料から形成されることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載のテキスタイル強化材。
【請求項11】
前記熱可塑性含浸樹脂の溶融温度よりも高い溶融温度を有するフィラメントが、250℃よりも高い溶融温度またはガラス転移温度を有することを特徴とする、請求項1に記載のテキスタイル強化材。
【請求項12】
前記縫い糸の番手が、20〜300dtexであることを特徴とする、請求項1〜11のいずれか1項に記載のテキスタイル強化材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本発明は、テキスタイル産業の分野に関し、より具体的には、複合パーツ(又は複合部品又は複合部材又はコンポジットパーツ)の製造に使用される工業用テキスタイルの分野に関する。このようなパーツ(又は部品)は、一般的なポリマー母材(又はポリマーマトリクス)とともに、1以上のテキスタイル層を合わせることによって形成され、この一般的なポリマー母材は、上記テキスタイル層を含浸するものである。機械および温度に関連する所望の特性に応じて、様々な種類の樹脂を用いることができ、典型的には、熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂を用いることができる。
【0002】
より具体的には、本発明は、熱可塑性樹脂が含浸されることが意図されるテキスタイル強化材(又はテキスタイルレインフォースメント)に関する。さらに具体的には、本発明は、特定の縫い糸(又はソーイングヤーン)の使用に関し、これは、種々の(又は異なる)プライ(又は層)の強化材を結合させるために使用されるものである。
【背景技術】
【0003】
従来技術
一般に、複合パーツの製造は、以下の工程を含む:
繊維強化材(又はファイバーレインフォースメント)をポリマー母材(又はポリマーマトリクス)に接触させて配置する工程、および
モールディング(又は鋳型成形)の工程であって、かかる工程によって、集合体(又はアセンブリ)を成形して、複合パーツの最終の所望の形状にする工程。
含浸樹脂をテキスタイル強化材と接触させて配置することは、モールド(又は鋳型)を閉じた後(例えば、いわゆるRTM(レジントランスファーモールディング(Resin Transfer Molding))と呼ばれる方法)、または含浸樹脂をテキスタイル層に噴霧(又はスプレー)または直接的に載せる(又は堆積させる)ことによってモールドを閉じる前のいずれかで行われ得る。従って、モールドを閉じると、圧力の上昇が生じ、これによって、強化材の主面に垂直な方向で、様々な(又は異なる)強化材のプライ(又は層)を含浸させることが可能となる。
【0004】
実際には、使用されるテキスタイル強化材は、用途(又は適用又はアプリケーション)の種類(又はタイプ)に応じて、様々な(又は異なる)性質を有していてもよい。従って、このテキスタイル強化材には、織られた強化材(又は織物の強化材)が含まれていてよく、ここでは、縦糸(又はワープヤーン)および横糸(又はウェフトヤーン)によって、その好ましい方向での強化作用を確実にする。このテキスタイル強化材は、複数のプライ(又は層)またはセット(又は組)の糸(又はヤーン)を合わせることによって形成された強化材を含むこともでき、かかる糸は、完全に平行であり、そして、1つのプライ(又は層)と、次のプライ(又は層)とは異なる方向にある。これらのプライは、一緒に結合されるが、その前に、結合される層のセットを通して縫い糸を配置することによって重ねられている。織布とは異なって、かかる複数のプライは、できる限り真っ直ぐな糸(又はヤーン)を有するので、クリンプ(又はカール又はウェーブ又は捲縮)がなく、従来から、NCFまたはノン・クリンプ・ファブリック(Non-Crimped Fabric)として知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】欧州特許出願公開第1781445号公報
【特許文献2】国際公開第02/04725号パンフレット
【特許文献3】仏国特許出願公開第2594858号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
様々な技術的な課題(又は困難)が、複合パーツの製造をもたらす連続的した工程において生じ得る。
第1に、テキスタイル(又は織物又は布地)を最終的なパーツ(又は部品)の所望の形状にカットする。この時点で、カットの領域は、ほつれ(又はささくれ)のリスクに曝される(特に、そのカットの領域が、カットした糸に対して、角度が小さい場合)。実際、特に、採用した糸が、平行なフィラメント(又は細糸)のストランド(又は撚り糸)、またはロービング(又は粗糸)である場合、カットされたフィラメントは、弱く保持されているだけであり、テキスタイルの残りの部分から簡単に分離することができ、テキスタイルに対して、カットされたフィラメントは、縫い糸との摩擦だけで保持されている。
【0007】
第2に、カットされたテキスタイルは、次いで、モールド内に配置され、かかるモールドは、多くの場合、三次元的な形状を有する。モールド内に載置されたテキスタイルの三次元的な形状を保持すること、または中間のテンプレート上で、同じく予備成形されたテキスタイルの形状を保持することで、テキスタイルが比較的に可撓性であり、所定の場所に固定されていない場合において、問題が生じる。特許文献1(欧州特許出願公開第1781445号公報)に記載の解決策(これは、再配置可能な接着層を有するテキスタイルの使用を解決策とする)は、完全に満足するものではない。実際、この追加された接着剤は、付随的な材料を成し、これは、必ずしも、その後の含浸に使用される樹脂と適合性(又はコンパチビリティ)があるものではない。さらに、この接着剤の存在によって、含浸樹脂のそれが存在する表面での循環が妨げられ、または更に抑制される。
【0008】
遭遇する別の課題(又は困難)は、モールディング(又は鋳型成形)の間、含浸樹脂をテキスタイルと接触させて配置する場合に生じる。実際、満足する循環を確実にするためには、含浸樹脂は、高温まで昇温しなければならず、SMCタイプの熱圧縮法では約120〜180℃まで、ポリアミド(PA)タイプの熱可塑性の母材を用いる方法では約250℃、より多くの場合は300℃近くまで、さらに、高性能ポリマーでは400℃まで昇温しなければならい。上記の温度では、様々なテキスタイル層を一緒に縫うために使用される糸(又はヤーン)は、軟化または、さらには、溶融する。このような条件下では、テキスタイル強化材の周囲および内部の含浸樹脂の流れ(又はフロー)は、テキスタイル強化材の変形を引き起こし、いくつかの糸のそれぞれの相対的な移動を引き起こす。このようなことは、結果として、複合パーツ内におけるテキスタイル強化材の均質性の欠如をもたらす。この問題は、繊維含有量の大きい複合パーツを得ようと試みる場合、なおいっそう顕著である。実際、この場合、強化材に付与される圧力は、この強化材を強く押し出すために、非常に高く、スレッド(又は糸又は縫い糸又は織り糸)へのストレスが高く、強化材の変形のリスクが増加する。耐熱性の縫い糸の使用、特にガラスの使用は、実際には、満足するものではない。なぜなら、このタイプの糸(又はヤーン)は、相対的に脆く、裁縫作業(又はソーイングオペレーション)の間、このタイプの糸は、ソーイングヘッドを過度に擦傷するであろうという事実に加えて、このタイプの糸は、壊れ得るからである。擦傷性の少ない糸(ポリフェニレンスルフィド(PPS)またはポリエーテルエーテルケトン(PEEK)に基づくものなど)の使用によって、かかる擦傷の現象を制限することは可能となるが、ほつれ(又はささくれ)の問題や予備成形の問題は解決しない。さらに、このような糸の耐熱性は、限られている。
【0009】
特許文献2(国際公開第02/04725号パンフレット)には、可融性の糸から形成される縫い糸(これは、従って、もはや、溶融後には、機械的強度を強化材に提供しない)を含むテキスタイル強化材が記載されている。特許文献3(仏国特許出願公開第2594858号公報)には、ポリアミドの層の鞘(又はシース)が形成されたガラスの糸(又はガラスフィラメント)の芯(又はコア)から形成された縫い糸を含むテキスタイル強化材が記載されている。不幸にも、このような解決策は、裁縫作業の加工性において、制限されたままである。実際、上記コアの周りにシースを形成する際のコーティングは、結果として、糸の剛性をもたらし、この剛性は、縫い糸としての最適な利用にとって、あまりにも大きすぎるものである。あまりにも硬直な糸は、裁縫方法に関与する角度の偏差(又は変化)に追従すること(特に針を通過させること)ができない。この場合、ソーイングマシン(又はミシン)の速度を下げなければならない。さらに、コーティングの際の何らかの欠陥は、弱い箇所の発生や、裁縫作業における糸の破断を発生させるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0010】
発明の説明
従って、本発明は、上記で述べた様々な欠点を軽減する強化材であって、ほつれ(又はささくれ)に対する良好な特性を有し、予備成形品(又はプレフォーム)を簡単に形成することができ、なおかつ、その上記の全てが高温でのモールディング(又は鋳型成型)の作業の間に良好な機械的な結束(又は結合又は集合)を有する強化材の提供を課題とする。
【0011】
従って、本発明は、熱可塑性含浸樹脂による含浸の方法における使用に適したテキスタイル強化材に関し、当該テキスタイル強化材は、この方法の実行の温度であって、熱可塑性含浸樹脂の溶融温度よりも十分に高い温度で、上記熱可塑性含浸樹脂に強化材を曝露させることによって複合パーツを形成するためのものである。当該テキスタイル強化材は、少なくとも1セットの実質的に平行な高靭性の糸(又はヤーン)、典型的には、ガラス、炭素(又はカーボン)または同様の材料から作製される糸を含む。また、当該テキスタイル強化材は、上記1セットまたは複数のセットの糸を通して縫い込まれる糸を含み、それら(平行な高靭性の糸)を確実に結束(又は結合または集合)させる。
【0012】
本発明によると、上記の縫い糸は、以下の2つの群のフィラメント(又は細糸)を含む:
上記熱可塑性含浸樹脂の適用温度よりも高い溶融温度を有する一群のフィラメント、および
ある熱可塑性の材料から形成され、上記熱可塑性含浸樹脂に混和性またはさらには可溶性であり、なおかつ上記熱可塑性含浸樹脂の適用温度よりも低い溶融温度を有する一群のフィラメント。
これら性質の異なる2つの群のフィラメントは、組み合わせ(又はペアリング)、撚り合わせ(又はツイスティング)又は巻き付け(又はラッピング)によって集合(又はアセンブリ化)される。
【0013】
換言すると、本発明は、糸(又はヤーン)を用いて強化材を縫い付けること(又は工程又はステップ)を達成することからなり、この糸は、モールディングの作業の間に観察される温度に耐える部分を含む。従って、強化材の機械的強度は、モールディングの間に保存され、このとき、強化材を通して、横切る方向に樹脂が流れる。相補的に、縫い糸の補足的な部分は、熱可融性であり、そして、上記熱可塑性含浸樹脂に適合可能(又はコンパーチブル)であり、そうすることで、この縫い糸が、複合パーツにおいて、壊れやすい領域を形成することはない。なぜなら、縫い糸のこの部分は、強化材の含浸樹脂内に埋没されるからである。さらに、縫い糸のこの部分は、モールディングの作業の間に溶融するので、この縫い糸によって形成される孔の中に入る場所が減少し、このことによって、強化材のフィラメントの再配列をより直線的な形状にすることが可能となる。
【0014】
上記の熱可塑性の部分は、裁縫作業を促進する。なぜなら、この部分によって、縫い糸とソーイングヘッドとの間の不和(又は衝突又は摩擦又はフリクション)を制限することが可能となるからである。
【0015】
上記の熱可融性の部分は、他の有利な効果を有する。なぜなら、この部分は、モールディングの前であっても、容易に軟化または溶融することができるので、糸(又はヤーン)と、この糸とともに接触しているフィラメントの接着(又は付着又は粘着又は結合)を確実にするからである。特に、このことによって、上記フィラメントを固定することや、カッティング部位でのほつれ(又はささくれ)のリスクを制限することが可能になる。また、上記の縫い糸での強化材の部分的な接着は、強化材がモールド内に置かれるか又は予備成形品の上に配置されたとき、強化材の形状を確実に保持するために有利であってもよい。
【0016】
実施上、様々な方法によって、上記の縫い糸を形成することが可能である。
組み合わせ(又はペアリング)とは、投げる(又はスローイング)の作業を通して、糸(又はヤーン)またはストランド(2種類のフィラメントをしっかりと合わせるもの)を得る前に、2つの異なるタイプのフィラメントを集合(又はアセンブリ化)させることを指す。
撚り合わせ(又はツイスティング)とは、均質なストランド(又は撚り糸)を得るために、複数の群(又はグループ)のフィラメントが、それぞれスローイングを受けて、次いで、撚り合わせ(又はツイスティング)によって集められて、絡み合った螺旋を形成することを指す。
巻き付け(又はラッピング)とは、性質の異なる2つのストランド(又は撚り糸)が集められ、その一方のストランドは、他方のストランド(芯糸(又はコアヤーン)と呼ばれる)のまわりに巻かれる(芯糸は、概して、実質的に一直線であり、そのまわりに巻糸(又はラッパーヤーン)が螺旋を形成する)ことを指す。
【0017】
上記のフィラメントの集合体の最終的な番手(又はヤーンカウント)は、上記集合体の縫い糸としての利用と適合しなければならない。最終的な番手は、有利には、20〜300dtexであってよい。
【0018】
実施上、上記の縫い糸は、様々なタイプの強化材で使用することができる。従って、この強化材は、NCFタイプのものであってよく、単層であってもよく、ここで、その糸(又はヤーン)にクリンプ(又はカール又はウェーブ又は捲縮)が存在しないものであってよい。このような強化材は、一方向性であって、繊維材料によって形成される支持層と関係することができ、支持層の繊維は、強化材の層の繊維と平行ではない。この支持層は、不織布(軽量ウェブ(又はライトウェイトウェブ)など)であってよく、または平行に置かれ、かつ互いに離隔した(又は間隔を開けて配置された)1セット(又は1組)の平行な糸(又はパラレルヤーン)であってよく、ウィーブを形成し、これもまた軽量であり、縫い糸を保持することが可能となる。また、編みステッチ(又はニットステッチ又はニッチングステッチ)によって形成される縫い物によって、この縫い糸によって、強化材の糸だけの層の結束(又は結合)を達成することが可能である。もちろん、強化材は、複数の層を含むことができ、各層は、実質的に平行な1セット(又は1組)の高靭性の糸によって形成されて、この強化材において、隣接する2つの層の糸の配向(又はオリエンテーション)は異なっていて、多軸(又はマルチアキシャル)の強化材を形成する。次いで、この特徴的な縫い糸は、種々の(又は異なる)プライ(又は層又は板)を互いに結合させる。このことは、取り扱い(又はハンドリング)のために必要であり、より一般的には、強化材の機械的強度のために必要である。
【0019】
また、上記の縫い糸は、布(又は織物又はファブリック)に使用することができ、この布においては、複数のセット(又は組)の糸が一緒に織り合わされている。この場合、この織り込み(又はウィービング)は、この強化材のある一定の機械的な結束(又は結合又は集合)を本質的に確実にする一方で、この特徴的な縫い糸の使用は、樹脂を流す間において、上記の結束を強化するが、特に、ほつれ(又はささくれ)のリスクを減少させることからの利益を得ることが可能となり、とりわけ、予備成形品の上に配置された後に形状を保持することが可能となる。
【0020】
本発明の特定の一実施形態において、上記の縫い糸は、ある熱可塑性の材料から形成され、上記熱可塑性含浸樹脂に混和性であり、なおかつ上記熱可塑性含浸樹脂の溶融温度よりも低い溶融温度を有する別個の少なくとも2つの群(又はグループ)のフィラメントを含む。各群のフィラメントは、上記熱可塑性含浸樹脂の溶融温度よりも高い溶融温度を有する一群のフィラメントのまわりに巻き付けられていて、上記2つの群のフィラメントが、反対の方向に巻き付けられている。
【0021】
換言すると、縫い糸は、含浸の間に認められる温度の条件に耐える芯糸(又はコアヤーン)を含み、この芯糸は、反対の方向に巻き付けられた2つ(またはそれよりも多く)の糸(又はヤーン)で被覆されたものであり、外側の巻糸(又はアウターラッパーヤーン)が、内側の巻糸(インナーラッパーヤーン)をある程度まで固定するような方法で被覆されていて、このことによって、強化材を通して縫う作業の間に機械的なストレスに縫い糸がさらされるとき、上記の内側の糸がもつれるリスクを制限する。
【0022】
有利には、実施上、ある熱可塑性の材料から形成され、上記熱可塑性含浸樹脂に混和性である上記の別個の群のフィラメントは、種々の(又は異なる)溶融温度を有する。換言すると、熱への最初の曝露によって、ガラス転移温度が低い方の巻糸の軟化が可能となり、他方の巻糸を固定するので、この集合体は、裁縫の間のもつれに対して、さらに耐えることになる。
【0023】
また、熱による活性化(又は賦活又はアクティブ化)が生じてもよく、その前に、裁縫することで強化材の糸を固定し、この強化材が、ほつれ(又はささくれ)に耐えることを確実にする。この場合、溶融温度が低い方の糸は、好ましくは、外側に配置される。
【0024】
相補的に、他方の巻糸の熱による活性化によって、強化材が三次元的な形状にある場合、強化材を固定させることができる。
【0025】
用途(又は適用又はアプリケーション)に応じて、強化材の平面上において、従来の裁縫による強化材の形成の間、または三次元的な裁縫によって予備成形品の上に強化材を形成した後のいずれかで、裁縫を実施することができる。この特徴的な縫い糸は、単独で使用することができ、それ自身で、強化材の保持を確実に改善する。また、この保持は、他の従来の縫い糸を使用することで補足することもできる。
【0026】
一般に、耐熱性の縫い糸のフィラメントは、好ましくは、ガラス、さらに、アラミド、炭素、玄武岩、石英、液晶ポリマーおよびコットン(又は綿)を含む群から選択され得る材料から作製される。この糸の番手は、その用途(又は適用又はアプリケーション)に関連して選択される。最終の複合物(又はコンポジット)における上記糸の衝撃力(又は反発力又はインパクト)を制限するためには、この糸の番手は、非常に小さくてよい。また、機械的強度がより多く必要である場合には、この糸の番手は、より大きくてよい。
【0027】
有利には、混和性のフィラメントを構成する材料は、上記熱可塑性含浸樹脂と同一の化学物質のファミリーから選択することができる。従って、特に、強化材を含浸させるために使用されるポリアミド6(PA6)または6.6(PA66)樹脂に適合可能(又はコンパーチブル)となるために使用されるポリアミド樹脂を挙げることができる。また、メチルメタクリレートまたはアクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)の含浸樹脂と適合可能となるために使用されるアクリル樹脂を挙げることができる。ポリフェニレンスルフィド(PPS)タイプの樹脂を使用する含浸の用途では、好ましくはPPS樹脂の糸材料(又はヤーンマテリアル)が選択される。ポリアリールエーテルケトン(PAEK)を使用する含浸の用途(又は適用又はアプリケーション)では、好ましくは、PAEK樹脂の糸材料が選択される(ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)またはポリエーテルケトンケトン(PEKK)など、例えば、より具体的には、PEEK含浸樹脂の融点よりも低い融点のPEEK樹脂)。
【0028】
縫い糸の熱可融性の部分を形成するコーティング樹脂は、有利には、十分に低い軟化点を有し、典型的には、射出(又は注入)されるポリマーの溶融温度よりも少なくとも20℃低い軟化点を有し、それによって、低い温度で強化材を固定させることができ、射出の手順の間に溶融させることができる。本来、溶融温度を有していないアモルファスの材料については、本願の特許の目的から、その溶融温度は、ガラス転移温度と同様であり、それを超えると、この材料の機械的な特性は、大きく減少することになる。
【0029】
本発明に従う強化材の第1の例示的な実施形態は、以下の通りである。
【0030】
この強化材は、番手が12Kの炭素繊維(又はカーボンファイバー)から構成される布(又は織物又はファブリック)(表面質量は、約300g/mに対応する)から形成される(照会番号「C−WEAVE 300T 12K HS」のもとで、出願人により市販されている製品と同様である)。この布は、縫い糸を受けて、4mmピッチの鎖ステッチ(又はチェインステッチ)または編みステッチ(又はニットステッチ又はニッチングステッチ)で縫われている。縫い糸は、芯糸(又はコアヤーン)を有し、この芯糸は、番手が5.5texのガラスの糸(又はガラスヤーン)である。この芯糸の溶融温度は、800℃よりも高い。この芯糸は、第1の巻糸(又はラッパーヤーン)で被覆されていて、この第1の巻糸は、ポリアミド66であり、その番手は44dtexであり、200ターン/メートル(Z方向(またはS方向))であり、この第1の巻糸は、約260℃の融点を有し、なおかつ、テクスチャ化処理が施されている。この芯糸は、同一の第2の巻糸を受け、同一の数で巻き付けられている(ただし、S方向(または各Z方向))。このような強化材は、PA6またはPA66樹脂で含浸された複合パーツの形成に特に適している。この布の300℃でのPA66樹脂による含浸でのプレートの形成によって、高温での圧力下に配置されたとき、繊維の配向の保持に関して、この縫い込みの利益が示されている。
【0031】
本発明に従う強化材の第2の例示的な実施形態は、以下の通りである。
この強化材は、NCFから形成され、+45°および−45°で配向された2プライ(又は2層)の炭素繊維(又はカーボンファイバー)(約150g/mの表面質量に対応し、参照番号「C−PLY BX150」のもとで、出願人から市販されている通りである)から構成される。使用される縫い糸は、上記の実施例のものと比べて小さく、55dtexのガラス糸(又はガラスヤーン)から形成された芯(又はコア)を有するものである。このガラス糸は、44dtexのポリアミド66の第1の巻糸で覆われ(200ターン/メートル、Z方向(またはS方向))、この第1の巻糸は、約260℃の融点を有し、なおかつテクスチャ化処理が施されたものである。この糸は、番手が44dtexのポリアミド11の第2の巻糸を受け(200ターン/メートル、Z方向(またはS方向))、この第2の巻糸は、約190℃の融点を有し、なおかつテクスチャ化処理が施されたものである。縫い糸の全体の番手が約150dtexとなるように、第2の糸は、第1の糸と同じターン数(又は巻数)で巻き付けられている(ただし、S方向(または各Z方向))。このような強化材は、PA6またはPA66樹脂で含浸された複合パーツを形成するのに特に適している。
【0032】
210℃での縫製品の再活性化(又は再賦活又は再アクティブ化)によって、繊維を固定することができ、この縫われた強化材に耐ほつれ特性を与えることができ、そうすることで、この強化材をカットする間に、繊維が一緒に維持されるようになる。上記強化材の試験(3プライ(又は3層)の積み重ね(又は積層又はスタッキング)、210℃での再活性化による)を行うことで、この特徴的な縫い糸によって、複数のプライが一緒に結合されることが可能となることが示されている。
【0033】
本発明に従う強化材の第3の例示的な実施形態は、以下の通りである。
この強化材は、NCFから形成され、+45°および−45°で2プライ(又は2層)の炭素繊維(又はカーボンファイバー)(約150g/mの表面質量に対応し、参照番号「C−PLY BX150」のもとで、出願人により市販されている通りである)から構成される。使用される縫い糸は、上記の実施例におけるものと同様の構造を有し、28dtexのマルチフィラメントのガラス糸(又はマルチフィラメントガラスヤーン)から形成される芯(又はコア)を有するものである。このガラス糸は、番手が50dtexのポリエーテルエーテルケトン(PEEK)のモノフィラメントの第1の巻糸で覆われていて(200ターン/メートル、Z方向(またはS方向))、この第1の巻糸は、約340℃の融点を有する。この糸は、番手が50dtexのPEEKのモノフィラメントの第2の巻糸を受け、この第2の巻糸は、約340℃の融点を有する。この第2の巻糸は、縫い糸の全体の番手が約130dtexとなるように、第1の巻糸と同じターン数(又は巻数)で巻き付けられている(ただし、S方向(または各Z方向))。このような強化材は、PEEK樹脂で含浸された複合パーツを形成するのに特に適している。
【0034】
本発明に従う強化材の第4の例示的な実施形態は、以下の通りである。
この強化材は、NCFから形成され、+45°および−45°でガラス繊維(約600g/mの表面質量に対応し、参照番号「G−PLY BX600」のもとで、出願人により市販されている通りである)から構成される。使用される縫い糸は、55dtexのマルチフィラメントのガラス糸(又はマルチフィラメントガラスヤーン)により形成された芯(又はコア)から形成されている。この糸には、テクスチャ化処理されたマルチフィラメントのPPSの糸(78dtex)と撚り合わされている(200ターン/メートル、Z方向またはS方向)。このPPSの糸は、約280℃の融点を有する。縫い糸の全体の番手は、約130dtexである。このような強化材は、PPS樹脂で含浸された複合パーツを形成するのに特に適している。
【0035】
本発明に従う強化材が様々な特定の方法において使用され得ることは、前述の記載から明らかである。例えば、以下の通りである。
− オルガノシートを製造するための半製品(これは、複数の層の同じ強化材、複数の層の熱可塑性フィルムの積み重ね(又はスタッキング)により形成される);
− 熱可塑性のプリプレグ(又は予備含浸品)を製造する際の半製品。
次いで、粉末または含浸の手順で強化材の上または中に含浸樹脂を載せる(又は堆積させる);
− SMCタイプのモールディング(又は鋳型成形)において使用されることが意図されるプリプレグを製造する際の半製品;
− プリプレグまたはプロファイルの完成品(又は切り出された完成品)を製造する際の半製品(引抜成形によって得られる)。
この縫われた強化材は、引抜成形法によって従来どおりに提供される0°での糸に加えて、横方向の強化において使用される。高い粘度の樹脂を含む引抜成形ダイで発生する圧力によって、横方向の強化において、糸の保持が求められる。これは、糸の配向(又はオリエンテーション)を維持するためであり、それ故、プロファイルまたはプリプレグを横方向に強化する。
− 樹脂の射出または注入の方法における主要な強化ウィーブ
【0036】
このような強化材は、加熱の間に十分な強度を有する糸で縫われていることから、高い温度において良好な機械的強度を有し、そして、このような強化材は、縫い糸を形成する熱可塑性の糸の能力(かかる糸(強化材を含む)の確かな固定を確実にする能力)に起因して、ほつれ(又はささくれ)および予備成形品上での保持を改善(又は向上)させる。
【国際調査報告】