(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】2019523176
(43)【公表日】20190822
(54)【発明の名称】走行状態変数を決定する方法
(51)【国際特許分類】
   B60W 30/02 20120101AFI20190726BHJP
   B60W 40/068 20120101ALI20190726BHJP
   B60W 40/10 20120101ALI20190726BHJP
   B60W 40/107 20120101ALI20190726BHJP
   B60W 40/109 20120101ALI20190726BHJP
   B60W 40/114 20120101ALI20190726BHJP
   G05B 11/36 20060101ALI20190726BHJP
【FI】
   !B60W30/02
   !B60W40/068
   !B60W40/10
   !B60W40/107
   !B60W40/109
   !B60W40/114
   !G05B11/36 G
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】27
(21)【出願番号】2019504786
(86)(22)【出願日】20170703
(85)【翻訳文提出日】20190318
(86)【国際出願番号】EP2017066466
(87)【国際公開番号】WO2018019518
(87)【国際公開日】20180201
(31)【優先権主張番号】102016214064.7
(32)【優先日】20160729
(33)【優先権主張国】DE
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ
(71)【出願人】
【識別番号】500045121
【氏名又は名称】ツェットエフ、フリードリッヒスハーフェン、アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】ZF FRIEDRICHSHAFEN AG
【住所又は居所】ドイツ連邦共和国、88046 フリードリヒスハーフェン、レーヴェンターラー・シュトラーセ、20
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100186716
【弁理士】
【氏名又は名称】真能 清志
(72)【発明者】
【氏名】ロバート ディッチ
【住所又は居所】ドイツ国 88045 フリードリッヒスハーフェン ポロッカー シュトラーセ 4
【テーマコード(参考)】
3D241
5H004
【Fターム(参考)】
3D241BA18
3D241BA49
3D241BA50
3D241BB08
3D241BB27
3D241BC01
3D241BC02
3D241BC04
3D241CC01
3D241CC17
3D241CD01
3D241CE09
3D241DA54Z
3D241DB02Z
3D241DB05Z
3D241DB08Z
3D241DB09Z
3D241DB12Z
3D241DB18Z
3D241DB23Z
3D241DB24Z
3D241DB27Z
3D241DB32Z
3D241DB47Z
3D241DC47Z
5H004GB12
5H004HB08
5H004HB09
5H004JB21
5H004JB23
(57)【要約】
自動車(105)の走行状態変数を決定する方法(100)は、自動車(105)の走行状態に影響する信号の入力ベクトル(u)をサンプリングするステップと、自動車(105)の走行状態を描写する変数の第1出力ベクトル(y)をサンプリングするステップと、入力ベクトル(u)に基づいて、ウエイトベクトル(r)と、

と、自動車(105)の走行状態を描写する変数の

と、を決定するステップと、両方の

の差に基づいてウエイトベクトル(r)を適合させるステップと、を含む。その際、オブザーバ(110)はカルマンフィルタを含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車(105)の走行状態変数を、オブザーバ(110)を用いて決定する方法(100)であって、前記自動車(105)の走行状態を決定する変数の入力ベクトル(u)をサンプリングするステップと、前記自動車(105)の走行状態を描写する変数の第1出力ベクトル(y)をサンプリングするステップと、を含む方法(100)において、前記オブザーバ(110)が前記方法内で以下のステップ、すなわち前記入力ベクトル(u)に基づいて、ウエイトベクトル(r)と、
と、前記自動車(105)の走行状態を描写する変数の
と、を決定するステップと、両方の前記
の差に基づいて前記ウエイトベクトル(r)を適合させる(K)ステップと、を含み、前記オブザーバ(110)はカルマンフィルタを含み、前記カルマンフィルタをアンセンテッドカルマンフィルタとして形成し、測定共分散行列Rを、線形スレーブカルマンフィルタを用いて適合させる方法(100)。
【請求項2】
請求項1に記載の方法(100)であって、前記オブザーバ(110)が平方根カルマンフィルタを含む方法(100)。
【請求項3】
請求項1又は2の何れか一項に記載の方法(100)であって、前記入力ベクトル(u)が前記自動車(105)の車輪(FL、FR、RL、RR)の回転数(n)又は角速度(ω)、及び前記車輪(FL、FR、RL、RR)の車輪操舵角(δ)を含む方法(100)。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか一項に記載の方法(100)であって、前記
、前後方向及び横方向の前記自動車(105)の加速度(a)、並びに
を含む方法(100)。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか一項に記載の方法(100)であって、前記オブザーバ(110)に基づいて走行状態変数を決定し、前記走行状態変数が、縦方向、垂直方向又は横方向の車輪力(F)、車輪スリップ(S)、スリップ角(α)、横滑り角(β)のうちの少なくとも1つ、及び地上の前後方向又は横方向の車両速度(V)を含む方法(100)。
【請求項6】
請求項1〜5の何れか一項に記載の方法(100)であって、前記
を物理的モデル(f、h)に基づいて決定し、前記自動車(105)のタイヤと道路との間の摩擦係数(μ)を決定し、前記物理的モデル(f、h)を前記摩擦係数(μ)に基づいて適合させる方法(100)。
【請求項7】
請求項1〜6の何れか一項に記載の方法(100)であって、測定共分散行列(R)は、以下のように適合させ、
【数1】
方法(100)。
【請求項8】
コンピュータプログラム製品であって、前記コンピュータプログラム製品をプロセッサ(110)上で実行する際に、又は前記コンピュータプログラム製品をコンピュータ可読データキャリア上に格納させる際に、請求項1〜7の何れか一項に記載の方法を実行するプログラムコード手段を備えるコンピュータプログラム製品。
【請求項9】
自動車(105)の走行状態変数を決定する装置(110)であって、前記装置(110)が、カルマンフィルタを実装し、請求項1〜5の何れか一項に記載の方法(100)を実行するよう設定されている装置(110)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の走行状態変数の決定に関する。特に、本発明は、走行状態変数を決定するための自動車のモデル化に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車のダイナミクスを理解し、確認するため、又は自動車についての予測又は制御を可能にするために、自動車の動きを描写する状態変数を決定する必要がある。例えば、地上の自動車の速度は、車輪における回転数センサを用いて決定することができる。複数の車輪における複数の回転数センサを用いて、速度の決定を改善することができる。しかしながら、例えば複数の車輪におけるスリップが所定の限界値を超えるときには、こうした決定にも誤りがある可能性がある。直接的には全く決定できない、又は著しい労力無くしては決定できない、例えば横滑り角のような状態変数もある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の課題は、自動車の走行状態変数の決定の、改善を可能とする技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、独立請求項の主題を用いて、この課題を解決する。従属請求項は、好適な実施形態を反映する。
【0005】
自動車の動的入力変数の入力ベクトルの、出力ベクトルへのマッピングを可及的に正確に達成するために、カルマンフィルタに基づいてオブザーバを使用することを提案する。多様なカルマンフィルタの多数の変形から、本課題に対する良好な状態推定を、許容可能な処理労力と組み合わせる、特に適切なものを提案する。さらに、物理的車両モデルを提供する。物理的車両モデルは、カルマンフィルタの基礎となり、本課題のための状態変数の決定又は予測をより高い品質で可能とするものである。カルマンフィルタ及び物理的車両モデルのための好適な実施形態を組み合わせることで、例えば自動車制御の基礎とすることができる、説得力のある結果を提供できる。通常、自動車は4つの車輪(前方左、前方右、後方左及び後方右)を備える。しかしながら、例えば2つの車輪の単軌道自動車、又は二軸を上回る二軌道自動車等、異なる車両モデルも支持することができる。
【0006】
自動車の走行状態変数を決定する方法は、自動車の走行状態を決定する入力変数のベクトルをサンプリングするステップと、自動車の走行状態を描写する変数の第1出力ベクトルをサンプリングするステップと、入力ベクトルに基づいて、状態ベクトルと、ウエイトベクトルと、自動車の走行状態を描写する変数の第2出力ベクトルと、を決定するステップと、両方の出力ベクトルの差に基づいてウエイトベクトルを適合させるステップと、を含む。こうして定式化されたオブザーバを、ここではカルマンフィルタによって実現する。
【0007】
オブザーバは、物理的車両モデルを介して入力ベクトルを出力ベクトルへと適切に変換することによって、自動車の挙動を描写する。オブザーバに関連して決定された出力ベクトルと、自動車によって決定された出力ベクトルとの間の差は、マッピングを重み付けするために、オブザーバにフィードバックされる。そのため、出力ベクトルの間の差を可及的に最小化することにより、オブザーバによって実際の自動車の挙動をイメージできる。
【0008】
オブザーバは、以下に詳述する物理的車両モデルに基づく。物理的車両モデルは、好適には、各走行状態変数に対して専用センサを設けることなく、自動車の動的挙動を描写する多くの走行状態変数を決定可能であるよう設計される。これらの走行状態変数は、状態ベクトルに含めることができる。走行状態変数を決定するセンサの数を、低減することができる。さらに、測定誤差を小さくすることができる。潜在的に、入力ベクトルu及び出力ベクトルyの全ての測定値に基づいて、任意の特定の走行状態変数を決定できる。そのため、決定精度、決定確実性、又は決定速度を最適化することができる。例えば横滑り角など、従来の方法では決定が困難な走行状態変数の決定も、オブザーバを用いて改善して予測又は推定することができる。
【0009】
好適には、オブザーバは、「アンセンテッドカルマンフィルタ(Unscented Kalman Filer:UKF)」を含む。UKFは、所望の走行状態変数を良好に決定可能であり、その際、許容可能な処理能力が要求される可能性がある。特に、ノイズの多い測定がUKFの性能に及ぼす影響はごく僅かである。UKFを用いて、リアルタイムの例えば自動車の車上での処理を、改善することができる。特に好適には、UKFが「平方根アンセンテッドカルマンフィルタ(Square Root Unscented Kalman Filter:SR−UKF)を含む。またSR−UKFは、UKFよりも著しく早く処理可能である。特定の条件下では、必要な計算時間の短縮を、UKFに対して約20%の範囲で達成できる。他の実施形態では、他の非線形オブザーバアルゴリズムも使用することができる。
【0010】
提案した物理的車両モデルを、以下により詳細に説明する。一般に、入力ベクトルは、自動車の車輪の回転数又は代替的に角速度、及び車輪の車輪操舵角を含むことが好適である。出力ベクトルは、前後方向及び横方向の自動車の加速度、並びにヨーレートを含むことが好適である。オブザーバに基づいて、走行状態変数を決定することができる。走行状態変数が、縦方向、垂直方向又は横方向の少なくとも1つの車輪力、車輪スリップ、スリップ角、横滑り角、及び地上の前後方向又は横方向の車両速度を含む。車輪に関する走行状態変数は、好適には、自動車の各車輪に対して特定される。
【0011】
好適には、第2出力ベクトルを、例えば運動方程式によって表すことができる物理的モデルに基づいて決定する。更なる好適な実施形態において、自動車のタイヤと道路、又は接地面との間の摩擦係数を決定する。物理的モデルを、決定した摩擦係数に基づいて適合させる。そのため追加的に、タイヤの動きが、自動車の道路に対する動きにどのように関連するかを考慮することができる。
【0012】
オブザーバがUKF、特に標準UKFを含む場合、第1変形において、測定共分散行列Rは以下のように適合させることができる。
【数1】
オブザーバとして任意の非線形カルマンフィルタと共に使用することができる別の変形において、測定共分散行列Rを、線形スレーブカルマンフィルタを用いて適合させる。
【0013】
コンピュータプログラム製品は、コンピュータプログラム製品をプロセッサ上で実行する際に、又はコンピュータプログラム製品をコンピュータ可読データキャリア上に格納させる際に、記載の方法を実行するプログラムコード手段を備える。
【0014】
自動車の走行状態変数を決定する装置は、カルマンフィルタを実装し、上述の方法を実行するよう設定されている。装置は、特に、プログラム可能なマイクロコンピュータを含むことができる。その際、時間離散的処理は、固定時間グリッドで実行することができる。処理は、リアルタイム対応ですることができる。すなわち、決定された処理時間は保証された最長期間を有する。
【0015】
自動車の制御は、決定された走行状態変数に基づいて実行することができる。例えば、能動的なシャーシ制御、ブレーキ制御、ドライブトレインの制御、又は自動車の車上の能動的又は受動的な安全システムの制御は、決定された走行状態変数にうちの1つ以上の走行状態変数に基づくことができる。
【0016】
本発明を、次に、添付の図面を参照して詳説する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】方法の図である。
【図2】異なる変数を有する自動車の図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、オブザーバ110を用いて、実際の自動車105における1つ以上の走行状態変数を決定する方法100の概略図を示す。オブザーバ110を、方法と見なすことができる。オブザーバ110は、例えばプログラム可能なマイクロコンピュータを用いて実現することができる。この意味で、オブザーバ110を、走行状態変数を決定する装置とみなすこともできる。
【0019】
入力ベクトルuは自動車105における測定変数、例えば車輪回転数n又は代替的に、個々の車輪の車輪角速度ω及び車輪操舵角δ等を含む。これらの測定変数は、割り当てられたセンサを用いてサンプリングすることができる。例えば車輪角速度ωは、磁気式又は光学式のロータリーエンコーダ(エンコーダ)を用いて捕捉することができる。
【0020】
自動車105の状態は、状態ベクトルxによって描写できる。状態ベクトルxは、車両速度v、v又は
を含んでよい。この場合、通常、状態ベクトルxの全ての要素が、可観測であるわけではない。状態ベクトルxの
は、実際の状態ベクトルx及び入力ベクトルuに基づいて行なわれる。この影響は、一般的に正確には知られていないf(x,u)の関数として理解することができる。この影響から、関数h(x)を用いて、出力ベクトルyが明らかになる。出力ベクトルyは、車両加速度a、a又は
のような変数を含んでよい。これらの変数もまた、適切なセンサを用いて測定できる。例えば加速度は、慣性センサ、又はヨーレートセンサによるヨーレートを用いて決定できる。これらのセンサは、微小電気機械的に構成されてよい。
【0021】
実際の自動車105による入力ベクトルuのイメージは、オブザーバ110を用いて、可及的に正確に再現されるべきである。これにより、自動車105の走行状態変数用の決定アルゴリズムが構築されることになる。決定アルゴリズムを、自動車105における走行状態変数を決定する又は予測するために使用することができる。実際の自動車105に関するに代わり、オブザーバ110に関する変数は、以下の記載において、概してサーカムフレックスを付して(例えばaに代わり
)示されている。
【0022】
物理的車両モデル115は、関数
を実現する。この関数は、オブザーバ110の状態ベクトル
を、入力ベクトルu及び補正ベクトルrに基づいて、オブザーバ110の状態ベクトルの変化
にマッピングする。この変更から、関数
を用いてオブザーバ110の出力ベクトル
が明らかになる。物理的車両モデル115は、自動車105の走行挙動を、特に物理的関係に基づいて描写する。
【0023】
出力ベクトルyと、オブザーバ110の出力ベクトル
との間の差異が決定され、いわゆるフィードバックマトリクスKを用いて、ベクトルrに変換される。従って、オブザーバ110のエラーは、可及的に最小化されるようフィードバックされる。
【0024】
フィードバックループを数回通過した後に、オブザーバ110が安定する。そして、出力ベクトル
は実際の自動車105の出力ベクトルyに十分に近似する。従って、出力ベクトル
の各要素を、入力ベクトルu及び出力ベクトルyの全ての要素に基づいて、迅速かつ正確に決定できる。これにより、一方では、潜在的に多くの測定値が考慮されるために、各要素を極めて適切に決定することができる。他方では、測定が困難な要素も、決定することができる。例えば、自動車105の重心CoG(Center of Gravity)における移動方向と車両前後軸との間に存在する横滑り角を、光学的な測定方法又は測定ホイールを必要とすることなく、決定することができる。
【0025】
決定された要素は、通常は自動車の状態変数を含み、例えば自動車105を制御するために使用することができる。例えば、車両の決定された速度は、アンチロックブレーキシステム(ABS)を備えるブレーキシステムを制御するために、又は速度を所定の値に制御する速度アシスタンスを制御するために、又はエレクトロニック・スタビリティ・プログラム(ESP)を介して、使用できる。自動車105の動き又は快適性を制御する更なる機能も、同様に、オブザーバ110を用いて決定された走行状態変数に基づくことができる。当然ながら、速度以外の他の走行状態変数も使用できる。
【0026】
オブザーバ110の手順を、今度は数学的に、より詳細に説明する。図2は、自動車105において関連する変数を示す。
【0027】
定義
通常、以下の呼称を適用する。
R 後(リア)
F 前(フロント)
FL 左前輪(フロントレフト)
FR 右前輪(フロントライト)
RL 左後輪(リアレフト)
RR 右後輪(リアライト)
l (車輪座標系における)前後方向
s (車輪座標系における)側方方向又は横方向
CoG(Center of Gravity) 重心、車両座標系/シャーシ座標系の原点
m 車両質量
Jz ヨー慣性モメント
hCOG 地上の車両重心高さ
g 重力加速度
前車軸(フロント)における自動車の軌道幅
後車軸(リア)における自動車の軌道幅
前後軸に沿った前車軸から重心(CoG)までの距離
前後軸 に沿った後車軸から重心(CoG)までの距離
v 車輪座標に関する速度
V 重心(CoG)又は車両座標系/シャーシ座標系に関する速度
a 加速度
プロセスノイズの共分散行列
測定ノイズの共分散行列
;D;Ca;E;B;D;Ca;E: Pacejkaによるタイヤモデルのパラメータ
F 力
x x−方向(車両座標系/シャーシ座標系における前後軸)
y y‐方向(車両座標系/シャーシ座標系における横軸)
z z‐方向(車両座標系/シャーシ座標系における法線軸)
α スリップ角:車輪の回転面とその移動方向の間の角度
α0 軌道修正(1度未満の範囲内)
β 横滑り角
δ 車輪操舵角
ω 車輪角速度
Sl 前後方向のスリップ
Ss 横方向のスリップ
n 車輪回転数(車輪角速度に対する代替)
vdiff 車輪周速と結果として生じる車輪前後速の車輪接触点における速度差
μ 摩擦係数
factor 摩擦係数用の修正ファクタ
kfs 車輪の横力用の修正ファクタ
【0028】
車輪接触点における速度
【数2】
【0029】
スリップ角の計算
【数3】
【0030】
車輪接触点において結果として生じる車輪前後速
【数4】
【0031】
駆動スリップと制動スリップとの間の切り替え
【数5】
【数6】
【数7】
【数8】
【数9】
【0032】
結果として生じるスリップ
【数10】
【0033】
Pacejkaのタイヤモデルによる前後の摩擦係数
【数11】
【0034】
Pacejkaのタイヤモデルによる横の摩擦係数
【数12】
【0035】
摩擦係数の適合
更なる一実施形態において、記載の物理的車両モデルを、上述の摩擦係数を介して、タイヤと道路との間に存在する摩擦特性に適合させる。この適合は、任意の他の非線形オブザーバアルゴリズムと共に使用可能であり得ることに、留意されたい。
【0036】
測定された加速度a、及び推定された又は観測された加速度
から、各量を決定する。そして、これらの量を相互に減算する。発生する差は、差を時間離散的積分器
に供給する前に、フィルタされてよい。積分器の出力に基づいて、それから、修正ファクタμfactor_l_FL、μfactor_l_FR、μfactor_l_RL及びμfactor_l_RRを対応する前後加速度を使用して、並びにμfactor_s_FL、μfactor_s_FR、μfactor_s_RL及びμfactor_s_RRを対応する横加速度を使用して、個々の摩擦係数用に決定することができる。その後、更なる処理が行なわれる前に、事前に決定された摩擦係数μ及びμに、これらの修正ファクタを乗算することができる。
【0037】
【数13】
【0038】
結果として生じる摩擦係数
【数14】
【0039】
車輪接触力
【数15】
【0040】
車輪の前後力
【数16】
【0041】
車輪の横力
【数17】
【0042】
車両座標系/シャーシ座標系における(重心(CoG)に関して)変換された力は以下の通りである。
【数18】
【0043】
風の抵抗
【数19】
【0044】
運動方程式f1
【数20】
【0045】
運動方程式f2
【数21】
【0046】
運動方程式f3
【数22】
【0047】
上記の式は、図1のオブザーバ110の基礎となる、好適な物理的車両モデルを特徴付ける。記載の物理的車両モデルは、任意の非線形オブザーバアルゴリズムと共に使用可能であることに、留意されたい。逆に、記載のオブザーバ110が、他の物理的車両モデルと共に作動してもよい。
【0048】
オブザーバ110は、異なる非線形カルマンフィルタを用いて実施されてもよい。「標準アンセンテッドカルマンフィルタ(Unscented Kalman Filter:UKF)」が特に好適である。
【0049】
測定共分散行列の適合
【0050】
選択1
標準UKFでは、測定共分散行列Rは、以下のように適合させることができる。
【数23】
【0051】
このために、以下を参照されたい。「Covariance matching based adaptive unscented Kalman filter for direct filtering in INS/GNSS integration」、 Yang Meng (*)、 Shesheng Gao (*)、 Yongmin Zhong (**)、 Gaoge Hu (*)、 Aleksandar Subic (***)。(*) School of Automatics, Northwestern Polytechnical University, Xi’an, China、(**) School of Aerospace, Mechanical and Manufacturing Engineering, RMIT University, Australia、(***) Swinburne Research and Development, Swinburne University of Technology, Hawthorn, Australia。
【0052】
選択2
任意の非線形カルマンフィルタでは、この測定共分散行列Rも、一般に、線形スレーブカルマンフィルタを用いて適合させることができる。これは、以下に記載されている。「Adaptive Unscented Kalman Filter and its Applications in Nonlinear Control」、 Jianda Han, Qi Song and Yuqine He, State Key Laboratory of Robotics, Shenyang Institute of Automation, Chinese Academy of Sciences, P.R. China, Kapitel 4。
【0053】
カルマンフィルタ
以下に、好適なカルマンフィルタをより詳細に説明する。説明は、以下より対応部分を引用したものである。「The Square-Root Unscented Kalman Filter for State and Parameter-Estimation」Rudolph van der Merwe, Eric A. Wan; Oregon Graduate Institute of Science and Technology; 20000 NW Walker Road, Beaverton, Oregon 97006, USA。当業者は、以下の実施形態の表記及び名称を熟知しているはずである。更なる詳細については、上述の刊行物を参照されたい。
【0054】
近年、拡張カルマンフィルタ(Extended Kalman Filter:EKF)は、多くの非線形推定器及び自己学習用途のために好適なアルゴリズムとなっていた。EKFは、線形の標準カルマンフィルタの手順を、実際には非線形であるシステムの線形化に適用する。このアプローチには欠点が多く、発散に至る可能性がある。従って、本願においては、UKFを適用することが好適である。これにより、特に、走行状態変数の決定の改善を達成することができる。
【0055】
(O(L))を用いた標準UKFにおける計算の複雑性は、標準EKFの複雑性に匹敵する。
【0056】
時間離散的非線形動的システムの状態の推定を行なうものとする。
【数24】
(1)
【数25】
(2)
【0057】
その際、xはシステムの観測された状態ベクトル、uは既知の入力ベクトル、yは観測された出力ベクトルを表す。
【0058】
初期化
【数26】
(5)
【0059】
シグマポイントの決定
【数27】
(6)
【0060】
アップデート
【数28】
(7)
【0061】
【数29】
(8)
【0062】
【数30】
【0063】
【数31】
(9)
【0064】
【数32】
【0065】
【数33】
(10)
【0066】
測定値をアップデートするための式
【数34】
【0067】
【数35】
(11)
【0068】
【数36】
(12)
【0069】
【数37】
(13)
【0070】
【数38】

(14)
その際、Rはプロセスノイズの共分散行列を表し、Rは測定ノイズの共分散行列を表す。
【0071】
状態を決定するために、更なる詳細化として「平方根UKF」を使用することが好適である。カルマンフィルタのこの変形に関する以下の記載は、同様に、「The Square-Root Unscented Kalman Filter for State and Parameter-Estimation」に由来する。
【数39】
(16)
【0072】
シグマポイントの決定及びアップデート
【数40】
(17)
【0073】
【数41】
(18)
【0074】
【数42】
(19)
【0075】
【数43】
(20)
【0076】
【数44】
(21)
【0077】
【数45】
(22)
【0078】
【数46】
(23)
【0079】
【数47】
(24)
【0080】
測定アップデート式
【数48】
(25)
【0081】
【数49】
(26)
【0082】
【数50】
(27)
【0083】
【数51】
(28)
【0084】
【数52】
【0085】
【数53】
(29)
【0086】
【数54】
(30)
その際、Rはプロセスノイズの共分散行列を表し、Rは測定ノイズの共分散行列を表す。
【符号の説明】
【0087】
100 方法
105 自動車
110 オブザーバ
115 物理的車両モデル
【図1】
【図2】
【国際調査報告】