(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】2019523211
(43)【公表日】20190822
(54)【発明の名称】病原菌に対する抗生活性を有するペプチド及びこれを含む抗生ペプチド組成物
(51)【国際特許分類】
   C07K 7/08 20060101AFI20190726BHJP
   C07K 14/47 20060101ALI20190726BHJP
   C07K 4/12 20060101ALI20190726BHJP
   C07K 7/06 20060101ALI20190726BHJP
【FI】
   !C07K7/08ZNA
   !C07K14/47
   !C07K4/12
   !C07K7/06
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】17
(21)【出願番号】2017510404
(86)(22)【出願日】20160525
(85)【翻訳文提出日】20170217
(86)【国際出願番号】KR2016005513
(87)【国際公開番号】WO2017188498
(87)【国際公開日】20171102
(31)【優先権主張番号】10-2016-0051073
(32)【優先日】20160426
(33)【優先権主張国】KR
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】517050879
【氏名又は名称】ハンクク ユニバーシティ オブ フォーリン スタディーズ リサーチ アンド ビジネス ファウンデーション
【住所又は居所】大韓民国 ギョンギ−ド 17035 ヨンイン−シ チョイン−グ モヒョン−ミョン ウィデ−ロ 81
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100185269
【弁理士】
【氏名又は名称】小菅 一弘
(74)【代理人】
【識別番号】100202577
【弁理士】
【氏名又は名称】林 浩
(72)【発明者】
【氏名】キム ヨン エ
【住所又は居所】大韓民国 ギョンギ−ド 13588 ソンナム−シ ブンダン−グ ジュンガンゴンウォン−ロ 53 ナンバー126−1303 (ソヒョン−ドン シボンダンジ サムスン. ハンシン アパートメント)
(72)【発明者】
【氏名】キム ジ スン
【住所又は居所】大韓民国 ソウル 07987 ヤンチョン−グ モクドンドン−ロ 350 ナンバー522−308 (モク−ドン モクドン シンシガジ アパートメント 5 ダンジ)
(72)【発明者】
【氏名】ジョン ジ ホ
【住所又は居所】大韓民国 ギョンギ−ド 12773 グヮンジュ−シ オポウプ ヌンピョン−ロ 75ボン−ギル 11 ナンバー101 (ノーブルハイム)
【テーマコード(参考)】
4H045
【Fターム(参考)】
4H045BA16
4H045BA17
4H045CA43
4H045EA29
4H045FA20
4H045FA34
4H045GA21
4H045GA25
(57)【要約】
本発明の下記配列[一般式I]で表現される抗生ペプチド及びこれを含む抗生ペプチド組成物は、23個のアミノ酸配列よりなる抗生能を有する野生型LPcin−Iに比べてグラム(+)菌株及びグラム(−)菌株に対して顕著に高い抗菌活性を有する。また、野生型LPcin−Iに比べてアミノ酸の個数が少ないので、合成が容易であるだけなく、生産費用を節減するのに非常に有利である。
[一般式I]
[(N−末端)−NKVKEWXKXLKXFX−(C−末端)]
ここで、XはI又はWであり、XがIであれば、XはYであり、XがWであれば、XはWであり、XはS又はKであり、XはL又はKであり、XはS又はKである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
病原菌に対する抗生活性を有する下記配列[一般式I]で表現されるペプチド:
[一般式I]
[(N−末端)−NKVKEWXKXLKXFX−(C−末端)]
ここで、XはI又はWであり;XがIであれば、XはYであり、XがWであれば、XはWであり;XはS又はKであり;XはL又はKであり;XはS又はKである。
【請求項2】
前記ペプチドは、一般式IでXFX又はFXが欠失されたことを特徴とする請求項1に記載のペプチド。
【請求項3】
前記ペプチドは、配列番号1〜10の中から選択されたいずれか一つのアミノ酸配列を有することを特徴とする請求項1に記載のペプチド。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の抗生ペプチドを有効成分として含有する抗生ペプチド組成物。
【請求項5】
前記抗生活性は、ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、サルモネラ菌(Salmonella)、リステリア・イノキュア(Listeria innocua)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、及び大腸菌(Escherichia coli)よりなる群から選択されるいずれか一つ以上の菌に対する抗生活性であることを特徴とする請求項4に記載の抗生ペプチド組成物。
【請求項6】
病原菌に対する抗生活性を有する下記配列[一般式I]で表現されるペプチドの用途:
[一般式I]
[(N−末端)−NKVKEWXKXLKXFX−(C−末端)]
ここで、XはI又はWであり;XがIであれば、XはYであり、XがWであれば、XはWであり;XはS又はKであり;XはL又はKであり;XはS又はKである。
【請求項7】
請求項6に記載の抗生ペプチドを有効成分として含有する抗生ペプチド組成物の用途。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2016年4月26日に出願された韓国特許出願第10−2016−0051073号を優先権として主張し、前記明細書全体は、本出願の参考文献である。
【0002】
本発明は、病原菌に対する抗生活性を有するペプチド及びこれを含む抗生ペプチド組成物に関し、より詳細には、抗生能を有するLPcinIペプチドのうち一部のアミノ酸を欠失及び/又は置換し、抗生能力を顕著に増大させたLPcinIペプチド由来の病原菌に対する抗生活性を有するペプチド及びこれを含む抗生ペプチド組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
微生物の侵入に対する昆虫の防御機作に関する研究結果から、かいこの幼虫で新しいペプチド抗生剤であるセクロピンが発見されて以来、生理活性物質としてペプチドの重要性が大いに認識されている。最近、数年間の研究の結果、ほぼすべての高等生物が病原性微生物に対する防御手段として、免疫体系と別途の抗生ペプチドを体内に蓄積するか、又は分泌するものと知られている。現在まで約2,000種以上のペプチド抗生剤が発見されており、これらペプチドは、発見された種ごとにそのアミノ酸組成が異なっているが、抗生作用機作は類似なものと知られている。代表的な抗生ペプチドとして、セクロピン(cecropin)、マガイニン(magainin)、ボムビニン(bombinin)、ディフェンシン(defensin)、タキプレシン(tachyplesin)及びブホリン(buforin)などが知られたが、これら抗生ペプチドは、共通に、17〜24個のアミノ酸で構成されており、グラム−陰性菌及びグラム−陽性菌だけでなく、原核生物又はかびなどに対しても抗生力を有し、一部は、癌細胞とウイルスにも効果があるものと知られている。
【0004】
特に、前記ペプチド抗生剤のうちマガイニンは、両生類の表皮から分離した23個のアミノ酸組成を有するペプチド(Zasloff、M.、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、84、pp5449−5453、1987)であって、病原菌だけでなく、人体の肺癌細胞にも作用するものと報告された。また、抗生ペプチドの大部分は、特異的に細胞に作用して目的細胞を迅速に殺し、大部分広い範囲で活性スペクトルを示す(Park、C.B.et al.、Biochem.Biophys.Res.Comm.、218、pp408−413、1996)。
【0005】
前記抗生ペプチドは、第一に、広範囲な微生物に対して強力な抗生力を有する。第二に、宿主細胞は破壊せず、外部から侵入した病原菌にのみ作用し、人体に無害な抗生物質として作用する。第三に、微生物の耐性誘発が問題視されている従来の抗生剤とは全然異なる活性機作で抗生活性を示すので、耐性誘発の可能性が少ない。第四に、グリコシル化(glycosylation)のような2次変形(secondary modification)がないため、遺伝子組み換えを通じて大量生産できる。第五に、熱、酸又はアルカリなどに強い理化学的安定性を有している。そのため、製薬及び食品分野においての産業的利用性が非常に大きいという長所を有する。
【0006】
現在まで報告された抗生ペプチドの作用機作は、大きく、二つに分類される。第一に、大部分の抗生ペプチドは、菌の細胞膜の透過性を増加させて、膜電位を破壊し、細胞代謝を中止させる作用機作を有する。第二に、その他の少数の抗生ペプチドは、菌細胞内に浸透し、DNA又はRNAと結合し、転写(transcription)又は翻訳(translation)を抑制する強力な作用機作を示す。
【0007】
これら抗生ペプチドの活性に重要であると知られた構造的な要素としては、次のようなものなどがある。第一に、両親媒性螺旋構造(amphipathic helix)、第二に、前記螺旋構造を安定化させる残基の分布、第三に、塩基性残基の分布、第四に、疎水性残基の分布、第五に、電荷を帯びる残基と螺旋構造の双極子間の相互作用、及び第六に、反対電荷を帯びる残基間の塩橋が挙げられる。
【0008】
なお、牛の牛乳に存在するラクトフォリシン(LPcin−I)は、23個のアミノ酸残基を有する陽イオン、両親媒性ペプチドであって、PP3のカルボキシ末端113〜135領域である。LPcin−Iは、グラム−陽性菌とグラム−陰性菌の両方の成長を抑制するが、200μM以下の濃度で溶血作用が現われない。LPcin−Iと反対に、PP3のアミノ酸119〜135領域に該当するLPcin−IIは、抗生機能がないと知られている。
【0009】
ところが、抗生能があるものと知られたLPcin−Iを商業化するために野生型LPcin−Iより高い抗生能及び製造コストを低減する必要があり、そのために、さらに短いアミノ酸配列よりなる抗生ペプチドを製造する技術開発がますます要求されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、前述した問題を解決するためになされたものであって、本発明の一番目に解決しようとする課題は、23個のアミノ酸よりなる野生型ラクトフォリシン(LPcin−I)抗生ペプチドに比べて、アミノ酸配列の個数は少ないながらも、抗生力が顕著に向上した病原菌に対する抗生活性を有するペプチドを提供することにある。
【0011】
本発明の二番目に解決しようとする課題は、本発明の抗生ペプチドを有効成分として含む抗生組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一番目の課題を解決するために、本発明は、病原菌に対する抗生活性を有する下記配列一般式Iで表現されるペプチドを提供する。
【0013】
[一般式I]
[(N−末端)−NKVKEWXKXLKXFX−(C−末端)]
【0014】
ここで、XはI又はWであり、XがIであれば、XはYであり、XがWであれば、XはWであり、XはS又はKであり、XはL又はKであり、XはS又はKである。
【0015】
また、本発明は、病原菌に対する抗生活性を有する前記配列[一般式I]で表現されるペプチドの用途を提供する。
【0016】
本発明の好ましい一実施例によれば、前記ペプチドは、一般式IでXFX又はFXが欠失されたものであることができる。
【0017】
本発明の好ましい他の一実施例によれば、前記ペプチドは、配列番号1〜10の中から選択されたいずれか一つのアミノ酸配列を含むことができる。
【0018】
本発明の二番目の課題を解決するために、本発明の抗生ペプチドを有効成分として含む抗生ペプチド組成物を提供する。
【0019】
また、本発明は、前記抗生ペプチドを有効成分として含む抗生ペプチド組成物の用途を提供する。
【0020】
本発明の好ましいさらに他の一実施例によれば、前記抗生活性は、ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、サルモネラ菌(Salmonella)、リステリア・イノキュア(Listeria innocua)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、及び大腸菌(Escherichia coli)よりなる群から選択されるいずれか一つ以上の菌に対する抗生活性であることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の抗生ペプチド及びこれを含む抗生ペプチド組成物は、23個のアミノ酸配列よりなる抗生能を有する野生型LPcin−Iに比べてグラム(+)菌株及びグラム(−)菌株に対して顕著に高い抗菌活性を有する。また、抗生ペプチドは、薬物伝達過程でアミノ酸の長さが短いほど生体内で消化されず、必要な所まで運搬されることが容易である。ひいては、野生型LPcin−Iに比べてアミノ酸の個数が少ないので、合成が容易であるだけでなく、生産費用を節減するのに非常に有利である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】一つのグラム−陽性菌(Staphylococcus aureus ATCC6538)と二つのグラム−陰性菌(Salmonella ATCC 19430及びEscherichia coli KCTC 1682)で構成される3種の微生物に対して抗生活性試験を行った結果を示す写真である。
【図2】二つのグラム−陽性菌(Listeria innocua MC2 KCTC 3658 and Staphylococcus aureus ATCC 6538)と三つのグラム−陰性菌(Pseudomonas aeruginosa ATCC 27853、Salmonella ATCC 19430、Escherichia coli KCTC 1682)に対する最小抑制濃度を測定したグラフ及び図表である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明をより詳しく説明する。
前述したように、牛の牛乳に存在するラクトフォリシン(LPcin−I)は、23個のアミノ酸残基を有する陽イオン、両親媒性ペプチドであって、PP3のカルボキシ末端113〜135領域である。LPcin−Iは、グラム−陽性菌とグラム−陰性菌の両方の成長を抑制するが、200μM以下の濃度で溶血作用が現われない。ところが、抗生能があるものと知られたLPcin−Iを商業化するために、野生型LPcin−Iより高い抗生能及び製造コストを低減する必要があり、そのために、さらに短いアミノ酸配列よりなる抗生ペプチドを製造する技術開発がますます要請されている。
【0024】
これより、本発明の一実施例による本発明の一番目の課題を解決するために、本発明は、病原菌に対する抗生活性を有する下記配列一般式Iで表現されるペプチドを提供し、前述した問題の解決をはかった。これを通じて、本発明の抗生ペプチド及びこれを含む抗生ペプチド組成物は、23個のアミノ酸配列よりなる抗生能を有する野生型LPcin−Iに比べて、グラム(+)菌株及びグラム(−)菌株に対して顕著に高い抗菌活性を有する。また、野生型LPcin−Iに比べてアミノ酸の個数が少ないので、合成が容易であるだけなく、生産費用を節減するのに非常に有利である。
【0025】
[一般式I]
[(N−末端)−NKVKEWXKXLKXFX−(C−末端)]
【0026】
ここで、XはI又はWであり、XがIであれば、XはYであり、XがWであれば、XはWであり、XはS又はKであり、XはL又はKであり、XはS又はKである。
【0027】
本発明で使用されたアミノ酸配列は、IUPAC−IUB命名法によって次のように略語で記載した。
【0028】
アラニンA、アルギニンR、アスパラギンN、アスパルト酸D、システインC、グルタミン酸E、グルタミンQ、グリシンG、ヒスチジンH、イソロイシンI、ロイシンL、リシンK、メチオニンM、フェニルアラニンF、プロリンP、セリンS、スレオニンT、トリプトファンW、チロシンY、バリンV。
【0029】
本発明の一般式Iで、Xは、I、W又は無極性アミノ酸であることができ、XがIであれば、XはYであり、XがWであれば、XはWである。
【0030】
なお、本発明において無極性アミノ酸は、グリシン(G)、アラニン(A)、バリン(V)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、フェニルアラニン(F)、トリプトファン(W)、メチオニン(M)、システイン(C)、プロリン(P)で構成される。極性アミノ酸は、セリン(S)、スレオニン(T)、チロシン(Y)、アスパラギン(N)、グルタミン(Q)で構成される。酸性アミノ酸は、アスパルト酸(D)、グルタミン酸(E)で構成され、塩基性アミノ酸は、リシン(K)、アルギニン(R)、ヒスチジン(H)で構成される。
【0031】
なお、本発明の好ましい一実施例によれば、前記ペプチドは、C−末端からXFX又はFXが欠失されたものであることができる。具体的に、本発明の配列番号9〜11で表示される抗菌ペプチドは、FXが欠失された抗菌ペプチドであり、配列番号12で表示される抗菌ペプチドは、XFXが欠失された抗菌ペプチドである。これら配列番号1〜12よりなる抗菌ペプチドは、野生型LPcin−I(配列番号13)に比べて顕著に優れた抗菌活性を示す(実験例2参照)。
【0032】
本発明の好ましい一実施例によれば、前記ペプチドは、配列番号1〜10の中から選択されたいずれか一つのアミノ酸配列を含むことが、製作コストを節減し、優れた抗菌活性を示すのに非常に有利である(実験例1参照)。最も好ましくは、本発明において優れた抗菌活性を示す抗菌ペプチドは、YK5(配列番号3)、YK8(配列番号6)及びYK11ペプチド(配列番号9)であることができる。
【0033】
本発明の抗菌ペプチドYK5、YK8及びYK11は、YK3と比べてさらに低い濃度で言及した前記5種の菌株を効果的に抑制できるので、さらに経済的である。また、YK11は、アミノ酸配列がYK3より2mer少なく含まれていて、商業的に製造するのに経済的な利点がある。
【0034】
なお、本発明の好ましい一実施例によれば、前記配列番号13で表示される23個のアミノ酸よりなるLPcin−Iペプチドは、通常のペプチド合成方法を通じて製作され得る。具体的に、自動ペプチド合成器を通じて製作されるか、又は組換え発現ベクターを製作し、これを精製して製作され得る。組換え発現ベクターを通じてLPcin−I抗生ペプチドを合成する方法に関する韓国特許出願第2008−130593号は、本発明に参照として挿入される。
【0035】
また、Fmoc(9−fluorenylmethoxycarbonyl)をアミノ基保護用基として利用するメリフィールド(Merrifield)の液相固相法を用いて合成できる(Merrifield、RB.、J.Am.Chem.Soc.、85、2149、1963)。
【0036】
また、本発明の好ましい一実施例によれば、配列番号1〜10でアミノ酸配列で表示される抗生ペプチドは、配列番号13の抗生ペプチドの製作と同様に、通常の方法によって製作できる。これを通じて製作された本発明の抗生ペプチドは、グラム(+)菌株、グラム(−)菌株などに対して高い抗生活性を有し、これらの代表的な菌株である二つのグラム−陽性菌(Listeria innocua MC2 KCTC 3658及びStaphylococcus aureus ATCC 6538)と三つのグラム−陰性菌(Pseudomonas aeruginosa ATCC 27853、Salmonella ATCC 19430、Escherichia coli KCTC 1682)に対して高い抗生活性を有するが、これに制限されるものではない。
【0037】
また、本発明は、前記抗生ペプチドを有効成分として含有する抗生組成物に関する。本発明の抗生ペプチドを有効成分として含有する抗生剤は、抗生剤、抗真菌剤、食品防腐剤、化粧品保存剤、外傷治療剤、目薬及び医薬品保存剤の添加剤などに有用に使用され得る。
【0038】
本発明の抗生ペプチドは、臨床投与時に非経口で投与が可能であり、一般的な医薬品製剤の形態で使用され得る。本発明の抗生ペプチドは、実際に非経口のさまざまな剤形で投与されることができ、製剤化する場合には、通常使用する充填剤、増量剤、結合剤、湿潤剤、崩解剤、界面活性剤などの希釈剤又は賦形剤を使用して調剤できる。非経口投与のための製剤には、滅菌された水溶液、非水性溶剤、懸濁剤、乳剤、凍結乾燥製剤、坐剤が含まれる。非水性溶剤、懸濁溶剤としては、プロピレングリコール(Propylene glycol)、ポリエチレングリコール、オリーブオイルのような植物性油、エチルオレートのような注射可能なエステルなどが使用され得る。坐剤の基剤としては、ウィテップゾール(witepsol)、マクロゴール、ツイーン(tween)61、カカオ脂、ラウリン脂、グリセロゼラチンなどが使用され得る。
【0039】
また、本発明の抗生ペプチドは、生理食塩水又は有機溶媒のように、薬剤として許容された様々な伝達体(carrier)と混合して使用でき、安定性や吸水性を増加させるために、グルコース、スクロース又はデキストランのようなカーボーハイドレート、アスコルビン酸(ascorbic acid)又はグルタチオンのような抗酸化剤(antioxidants)、キレート物質(chelating agents)、低分子タンパク質又は他の安定化剤(stabilizers)を薬剤として使用できる。
【0040】
本発明の抗生ペプチドの有効容量は、0.1〜3mg/kgであり、好ましくは0.5〜1mg/kgであり、一日に1〜3回投与され得る。
【0041】
本発明の抗生ペプチドを有効成分として含有する抗生剤は、巨丸(bolus)形態あるいは相対的に短い期間の間に拡散(infusion)などによって単一投与量(singledose)で患者に投与されることができ、多重投与量(multiple dose)が長期間投与される分割治療方法(fractionated treatment protocol)により投与され得る。
【0042】
本発明の抗生ペプチドの投与濃度は、薬の投与経路及び治療回数だけでなく、患者の年齢及び健康状態など多様な要因を考慮して患者の有効投与量が決定されるので、このような点を考慮するとき、この分野における通常の知識を有する者であれば、適切な有効投与量を決定できる。
【0043】
また、本発明の好ましい一実施例によれば、本発明の抗生ペプチドを有効成分として含有する飼料組成物を提供する。この場合、有効容量は、飼料1kgに対して0.01〜100mgが含有されることができ、一日に1〜3回投与され得る。
【0044】
以下、実施例を通じて本発明をさらに詳しく説明する。これら実施例は、本発明を例示するためのものであって、本発明の範囲がこれら実施例によって制限されるものと解釈されないことは、当業界における通常の知識を有する者にとって自明だろう。
【実施例】
【0045】
[実施例1]
新規な抗菌ペプチドの製造
自動ペプチド合成器(Milligen 9050、Millipore、米国)を利用して下記表1に記載した配列のペプチドを合成し、これら合成されたペプチドをpreparative逆相高分解能液体クロマトグラフィー(Shiseido capcell pak C18 columnを使用したShimadzu Prominence HPLC)を利用して純粋分離した。
【0046】
下記表1で、配列番号11番は、23個のアミノ酸配列を有する野生型LPcin−I抗生ペプチドである。また、配列番号1番〜6番は、15個のアミノ酸配列を有する抗生ペプチド配列である。また、配列番号7番〜9番は、13個のアミノ酸配列を有する抗生ペプチド配列である。また、配列番号10番は、11個のアミノ酸配列を有する抗生ペプチド配列である。
【0047】
【表1】
【0048】
[実施例2]
抗菌活性測定実験
前記実施例1で合成した1〜11番の11個のペプチドに対して抗生活性を測定した。具体的に、微生物に対する抗生活性は、ブレインハートインフュージョン(Brain heart infusion)agar(BactoTM)を使用して行った。二つのグラム−陽性菌(Listeria innocua MC2 KCTC 3658及びStaphylococcus aureus ATCC 6538)と三つのグラム−陰性菌(Pseudomonas aeruginosa ATCC 27853、Salmonella ATCC 19430、Escherichia coli KCTC 1682)の五つの微生物に対して寒天ディスク拡散(agar disc diffusion)テストを基礎にした。接種源は、37℃、3.7%ブレインハートインフュージョン(Brain heart infusion)5mlでバクテリアを一晩培養するものを準備した。懸濁液の混濁程度は、600nmで分光光度計で0.05標準濁度液(1x10CFU/mL)のように最終濃度を調節した。20mlのブレインハートインフュージョン(Brain heart infusion)寒天をφ90mmの細胞培養プレートに塗布した。寒天(Agar)プレートに滅菌されたスプレッダー(spreader)を使用して30ulのバクテリア懸濁液を接種させた。接種された寒天プレートは、30分間常温で乾燥した。寒天プレートの表面に滅菌された6mmのろ紙(Whatman No.1)を位置させ、抗生ペプチドは、10mMの濃度で滅菌物にとかして、20ulの溶液をろ紙に接種させた。常温で30分間pre−diffusionをさせた後、プレートを37℃で24時間培養した。24時間が経過した後、ろ紙周辺のバクテリア群の成長抑制直径を測定することによって、バクテリア群に対する抗生ペプチドの敏感度は、バクテリア生長を抑制する領域のサイズと除去した程度によって決定した。測定は、2回繰り返して行われた。
【0049】
図1は、24時間が経過した後に観察した寒天ディスク拡散(agar disc diffusion)テスト結果を示す写真である。このうち、YK3は、韓国特許出願第2011−0049538号に記載した方法によって抗生活性を有するペプチドであって、新しいペプチドとの比較のために実施された。
【0050】
[実施例3]
細胞毒性実験
Cyto XTM cell viability assay kit(LPS solution)試験法を利用して細胞毒性実験を実施した。96−ウェル細胞培養プレートは、corning社から購入し、哺乳細胞株は、ATCCから購入した。また、Cyto XTM細胞可視分析キットは、LPS solutionから購入した。
【0051】
実験方法としては、凍結保管した細胞を解凍し、10%FBSを含むDMEM又はRPMI1640培地に培養した後、細胞の密度が80〜90%に到逹するとき、2〜3日間隔で継代培養を実施した。実験のために、Trypsin−EDTAを処理し、細胞を取り外した後、細胞の個数が10,000個になるように、96−ウェルに分注した。その後、37℃のCOインキュベーターで24時間培養した。準備したペプチドをDMSOに希釈し、10、1、0.1、0.01、0.001mMの濃度で準備した後、それぞれのウェルにDMSO又は用意したペプチドを1μlずつ添加することによって、1/100倍希釈して処理されるようにした。その後、37℃のCOインキュベーターで24時間培養した。細胞毒性を測定するために、Cyto XTM細胞可視分析キット(LPS solution)に準備したペプチドを10μlでそれぞれのウェルに添加した。37℃のCOインキュベーターで1〜4時間培養した後、マイクロプレートリーダー機を利用して450nmで吸光度を測定した。その後、得られた結果をDMSOに対して測定値のパーセント値を求め、GraphPad prism 5でグラフを描いた後、IC50値を求めた。
【0052】
4種のペプチド(YK3、YK5、YK8及びYK11)に対する多様な哺乳動物細胞株においてIC50値は、下記表2に記載した通りである。4種のペプチドによるIC50がそれぞれの細胞株において10μM以上であれば、一般細胞毒性がないものと判断され、下記4種のペプチドは、一般細胞毒性に対して安全なものと確認された。
【0053】
特に、CHO−K1細胞株に4種のペプチドを処理したとき、YK3ペプチドは、56.2uMでIC50値を示したが、YK5、YK8及びYK11ペプチドは、これより高い値である57.0、71.9及び86.8uMのIC50値を示した。すなわち、YK5、YK8及びYK11ペプチドがYK3ペプチドよりさらに低い細胞毒性を呈するものと確認された。
【0054】
【表2】
【0055】
[実施例4]
最小抑制濃度測定実験
抗菌アッセイは、標準ブロス微量希釈法(broth microdilution method)を利用して最小抑制濃度(minimal inhibitory concentration、MIC)値を測定することによって行った。各ペプチドの抗菌活性は、二つのグラム−陽性菌(Listeria innocua MC2 KCTC 3658及びStaphylococcus aureus ATCC 6538)と三つのグラム−陰性菌(Pseudomonas aeruginosa ATCC27853、Salmonella ATCC 19430、Escherichia coli KCTC 1682)を利用して行った。この5種の菌を50μlで準備した後、5mlの3.7%BHIに混合し、一晩37℃、240rpm条件で培養した。その後、培養された菌50μlを5mlの3.7%BHIに混合し、2時間、37℃、240rpm条件で培養した。培養した菌は、0.037%BHI溶液で希釈し、1×10CFU/mlの濃度で準備した。
【0056】
溶解させた合成ペプチドを96well−plateでBHIBで2倍ずつ段階希釈した。多様な濃度の合成ペプチド100μlと希釈して準備したそれぞれの菌5μlを96well−plate(microreader plate)で混合した後、37℃で12時間振とう培養した。培養後、Microplate Reader Multiskan FC(Thermo scientific、Waltham、MA、USA)を使用して600nmで吸光度の変化を測定し、MICの範囲は、細菌の成長が抑制され始めるペプチドの最も低い濃度にした。MICだけでなく、対照群と比較して細菌の成長が50%になる半数抑制濃度(Half maximal Inhibitory Concentration、IC50)を確認した。溶媒対照群としてペプチドを含まないBHIB溶液100μlを菌5μlと混合し、実験群と同一の方法で行った。実験の正確性のために、本実験は3回繰り返して行った。
【0057】
その結果、下記図2に示されたように、実験に使用された病原菌に対してすべてのペプチドが抗菌活性を示した。特に、YK3ペプチドよりYK5、YK8及びYK11ペプチドがより低い濃度で効果的に5種の菌に対して抗菌活性を示した。
【0058】
【表3】
【産業上の利用可能性】
【0059】
以上説明したように、本発明で製造した抗生ペプチドは、グラム−陽性菌及びグラム−陰性菌の両方で優れた抗菌作用を示し、人体に安全であるため、飼料添加剤、食品防腐剤、化粧品及び医薬品保存剤、傷治療促進剤、外傷治療剤、口腔清浄剤及び目薬などの用途に有用に使用され得る。
【図1】
【図2】
【手続補正書】
【提出日】20190201
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
病原菌に対する抗生活性を有する下記配列[一般式I]で表現されるペプチド:
[一般式I]
[(N−末端)−NKVKEWXKXLKXFX−(C−末端)]
ここで、XはI又はWであり;XがIであれば、XはYであり、XがWであれば、XはWであり;XはS又はKであり;XはL又はKであり;XはS又はKである。
【請求項2】
前記ペプチドは、一般式IでXFX又はFXが欠失されたことを特徴とする請求項1に記載のペプチド。
【請求項3】
前記ペプチドは、配列番号1〜10の中から選択されたいずれか一つのアミノ酸配列を有することを特徴とする請求項1に記載のペプチド。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の抗生ペプチドを有効成分として含有する抗生ペプチド組成物。
【請求項5】
前記抗生活性は、ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、サルモネラ菌(Salmonella)、リステリア・イノキュア(Listeria innocua)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、及び大腸菌(Escherichia coli)よりなる群から選択されるいずれか一つ以上の菌に対する抗生活性であることを特徴とする請求項4に記載の抗生ペプチド組成物。
【国際調査報告】