(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】2019523226
(43)【公表日】20190822
(54)【発明の名称】タキソイド薬物のナノエマルション組成物、並びに標的癌細胞及び癌幹細胞に対するその使用方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/202 20060101AFI20190726BHJP
   A61K 9/107 20060101ALI20190726BHJP
   A61K 47/54 20170101ALI20190726BHJP
   A61K 31/337 20060101ALI20190726BHJP
   A61K 47/44 20170101ALI20190726BHJP
   A61K 47/06 20060101ALI20190726BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20190726BHJP
   A61K 9/51 20060101ALI20190726BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20190726BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20190726BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20190726BHJP
   C07D 305/14 20060101ALN20190726BHJP
【FI】
   !A61K31/202
   !A61K9/107
   !A61K47/54
   !A61K31/337
   !A61K47/44
   !A61K47/06
   !A61K47/12
   !A61K9/51
   !A61P35/00
   !A61P35/02
   !A61P43/00 105
   !A61P43/00 121
   !C07D305/14
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】52
(21)【出願番号】2018564844
(86)(22)【出願日】20170607
(85)【翻訳文提出日】20190129
(86)【国際出願番号】US2017036330
(87)【国際公開番号】WO2017214260
(87)【国際公開日】20171214
(31)【優先権主張番号】62/346,755
(32)【優先日】20160607
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ツイーン
2.プルロニック
(71)【出願人】
【識別番号】518432056
【氏名又は名称】タルガジェニックス,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】TARGAGENIX, INC.
【住所又は居所】アメリカ合衆国,ニューヨーク州 11794,ストーニー ブルック,ヘルス サイエンシーズ ドライブ 25
【住所又は居所原語表記】25 Health Sciences Drive,Stony Brook, New York 11794,U.S.A.
(71)【出願人】
【識別番号】504412015
【氏名又は名称】ザ リサーチ ファウンデーション フォー ザ ステイト ユニバーシティ オブ ニューヨーク
【住所又は居所】アメリカ合衆国 ニューヨーク州 12207 アルバニー ステイト ストリート 35
(71)【出願人】
【識別番号】592233750
【氏名又は名称】ノースイースタン ユニバーシティ
【住所又は居所】アメリカ合衆国 02115 マサチューセッツ州 ボストン、 ハンティングトン アベニュー 360
(74)【代理人】
【識別番号】100169904
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100117422
【弁理士】
【氏名又は名称】堀川 かおり
(72)【発明者】
【氏名】ジェイムス イー. イーガン
【住所又は居所】アメリカ合衆国,ニューヨーク州 11762,マサペクア パーク,マンスフィールド ドライブ 34
(72)【発明者】
【氏名】イワオ オジマ
【住所又は居所】アメリカ合衆国,ニューヨーク州 11777−1462,ポート ジェファーソン,ロズリン コート 41
(72)【発明者】
【氏名】マンソアー エム. アミジ
【住所又は居所】アメリカ合衆国,マサチューセッツ州 02703,アトルボロ,リッチー ロード 195
(72)【発明者】
【氏名】ガリーナ イワーノヴナ ボチキーナ
【住所又は居所】アメリカ合衆国,ニューヨーク州 11790,ストーニー ブルック,ホープウェル ドライブ 53
【テーマコード(参考)】
4C048
4C076
4C086
4C206
【Fターム(参考)】
4C048TT08
4C048UU01
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4C206ZC75
(57)【要約】
水中油ナノエマルション(NE)薬物送達システム中に封入されたω−3多不飽和脂肪酸(PUFA)−タキソイドコンジュゲートの組成物。水中油NE薬物送達システム中に封入されたPUFA−タキソイドコンジュゲートを含む有効量の医薬組成物を、処置を必要とする対象に投与し、癌を処置することによる、癌の処置方法。水中油NE薬物送達システム中に封入されたω−3多不飽和脂肪酸(PUFA)−タキソイドコンジュゲートを含む有効量の医薬組成物に多剤耐性細胞を暴露し、多剤耐性細胞の死を誘導することによる、多剤耐性の克服方法。癌幹細胞の排除方法。癌幹細胞の幹細胞性を低下させる方法、薬物を身体内で保持する方法、及びより緩慢な放出プロファイルを提供する方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水中油ナノエマルション(NE)薬物送達システム中に封入されたω−3多不飽和脂肪酸(PUFA)−タキソイドコンジュゲートを含む組成物。
【請求項2】
前記PUFAが、ドコサヘキサエン酸(DHA)、エイコサペンタエン酸(EPA)及びα−リノレン酸(LNA)からなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記PUFA−タキソイドコンジュゲートが、DHA−SBT−1214である、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記PUFA−タキソイドコンジュゲート中のタキソイドが、パクリタキセル、ドセタキセル、SBT−1213、SBT−12854、SBT−121303、SBT−1216、SBT−11033、SBT−121313、SBT−121602、カバジタキセル、SBT−1212、SBT−1217、SBT−1102、SBT−1103、SBT−1104、SBT−1106、SBT−1107、SBT−121301、SBT−121302、SBT−121304、SBT−121403、SBT−11031、SBT−11032、SBT−11034、SBT−12851、SBT−12852、SBT−12853、SBT−12855、SBT−12851−1、SBT−12851−3、SBT−12852−1、SBT−12852−3、SBT−12853−1、SBT−12853−3、SBT−12854−1、SBT−12854−3、SBT−12855−1及びSBT−12855−3からなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記PUFA−タキソイドコンジュゲートが、DHA−パクリタキセル、DHA−ドセタキセル、DHA−SBT−1213、DHA−SBT−1103、DHA−SBT−1104、DHA−SBT−1216、LNA−SBT−1213、LNA−パクリタキセル、LNA−ドセタキセル、DHA−カバジタキセル及びLNA−カバジタキセルからなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記PUFA−タキソイドコンジュゲートが、請求項4に記載のタキソイドのDHA又はLNAエステルである、請求項4に記載の組成物。
【請求項7】
前記水中油NEが、50〜1000nmの範囲の平均液滴径を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記水中油NEが、200nm未満の平均液滴径を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記水中油NE中の油が、魚油、松の実油、亜麻仁油、ベニバナ油、サクラソウ油、クロフサスグリ油、ルリジサ油、コムギ胚芽油、チア油、大麻油、エゴマ油、ブドウ油、スクアレン油及び真菌油からなる群から選択されるω−3脂肪酸に富んだ食用油である、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記油が、界面活性剤、標的化剤、画像コントラスト剤、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される物質により修飾されている、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
前記PUFA−タキソイドコンジュゲートが、ナノ粒子中に封入されている、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
前記組成物が、薬学的に許容され得る担体を含む医薬組成物である、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
前記組成物が、4℃で6カ月間まで物理的に安定である、請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
前記組成物が、6カ月間まで安定な粒子サイズを有する、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
前記組成物が、前記PUFA−タキソイドコンジュゲートの溶液形態よりも増大された、身体内における保持時間を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項16】
前記組成物が、前記PUFA−タキソイドコンジュゲートの溶液形態よりも少なくとも3倍緩慢な、前記身体内での放出プロファイルを有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項17】
癌の処置方法であって:
水中油NE薬物送達システム中に封入されたω−3多不飽和脂肪酸(PUFA)−タキソイドコンジュゲートを含む有効量の医薬組成物を、処置を必要とする患者に投与するステップと;
癌を処置するステップと、を含む、方法。
【請求項18】
前記PUFAが、ドコサヘキサエン酸(DHA)、エイコサペンタエン酸(EPA)及びα−リノレン酸(LNA)からなる群から選択される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記PUFA−タキソイドコンジュゲートがDHA−SBT−1214である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記PUFA−タキソイドコンジュゲート中のタキソイドが、パクリタキセル、ドセタキセル、SBT−1213、SBT−12854、SBT−121303、SBT−1216、SBT−11033、SBT−121313、SBT−121602、カバジタキセル、SBT−1212、SBT−1217、SBT−1102、SBT−1103、SBT−1104、SBT−1106、SBT−1107、SBT−121301、SBT−121302、SBT−121304、SBT−121403、SBT−11031、SBT−11032、SBT−11034、SBT−12851、SBT−12852、SBT−12853、SBT−12855、SBT−12851−1、SBT−12851−3、SBT−12852−1、SBT−12852−3、SBT−12853−1、SBT−12853−3、SBT−12854−1、SBT−12854−3、SBT−12855−1及びSBT−12855−3からなる群から選択される、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記PUFA−タキソイドコンジュゲートが、DHA−パクリタキセル、DHA−ドセタキセル、DHA−SBT−1213、DHA−SBT−1103、DHA−SBT−1104、DHA−SBT−1216、LNA−SBT−1213、LNA−パクリタキセル、LNA−ドセタキセル、DHA−カバジタキセル及びLNA−カバジタキセルからなる群から選択される、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
前記PUFA−タキソイドコンジュゲートが、請求項20に記載のタキソイドのDHA又はLNAエステルである、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記癌が、乳癌、卵巣癌、肺癌、頭部及び頸部癌、結腸癌、直腸癌、膵癌、黒色腫、脳癌、前立腺癌、白血病、肉腫、甲状腺癌、非ホジキンリンパ腫、膀胱癌、グリア細胞腫、子宮内膜癌、並びに腎癌からなる群から選択される、請求項19に記載の方法。
【請求項24】
癌幹細胞内の幹細胞性促進遺伝子及び転写因子の発現を低減するステップを更に含む、請求項19に記載の方法。
【請求項25】
前記幹細胞性促進遺伝子が、ABCG2、ACAN、ACTB、AIN1、ALDH1A1、ALPI、ASCL2、BMP1、BMP3、CCND1、CD3D、CD4、CD8A、CD8B、CD8B1、CDH2、COL1A1、COL2A1、COL9A1、CTNNA1、DHH、DLL1、DLL3、DTX1、DVL1、FGF1、FGF3、FGFR1、FZD1、GDF2、GDF3、GJA1、GJB1、IGF1、ISL1、JAG1、KRT15、MME、MSX1、MYOD、NEUROG2、NCAM1、NOTCH1、NUMB、PARD6A、PPARD、RB1、RPL13A、S100B、SOX1、SOX2、TERT、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記転写因子が、Sox−2、Oct3/4、c−Myc、Klf4、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
腫瘍の癌幹細胞構成成分を低減又は排除し、前記腫瘍を治療法に対してより感受性とするステップを更に含む、請求項19に記載の方法。
【請求項28】
チューブリンを急速に重合させ、細胞死を誘導するステップを更に含む、請求項19に記載の方法。
【請求項29】
前記PUFA−タキソイドの非コンジュゲート化型を前記対象に投与するステップを更に含む、請求項19に記載の方法。
【請求項30】
前記対象が、パクリタキセル感受性又はパクリタキセル耐性腫瘍を有する、請求項19に記載の方法。
【請求項31】
CDX2、DLX2、DNMT3B、EGR、FOXP3、GLI2、HOXファミリーTF、IRX4、JUN、KLF2、NFATC1、NR2F2、PCNA、PITX3、POU4F1、SIX2、SOX9、WT1、及びそれらの組み合わせの発現を下方調節するステップを更に含む、請求項19に記載の方法。
【請求項32】
腫瘍成長を抑制し、腫瘍縮小を誘導し、接着ホロクローンの生成を防止し、腫瘍の血管新生を防止するステップを更に含む、請求項19に記載の方法。
【請求項33】
前記投与するステップが、ヒト血清アルブミンに対する前記組成物の親和性に起因して、gp60仲介による経細胞質輸送を介した腫瘍間質内への組成物の腫瘍特異的蓄積を提供するステップを更に含む、請求項19に記載の方法。
【請求項34】
前記医薬組成物の溶液形態よりも長期間、前記医薬組成物を前記対象内に保持するステップを更に含む、請求項19に記載の方法。
【請求項35】
前記医薬組成物が、前記医薬組成物の溶液形態よりも長期間、前記対象内の腫瘍中に保持される、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記医薬組成物の溶液形態の放出プロファイルよりも少なくとも3倍緩慢な、前記医薬組成物の放出プロファイルを提供するステップを更に含む、請求項19に記載の方法。
【請求項37】
多剤耐性の克服方法であって:
水中油NE薬物送達システム中に封入されたω−3多不飽和脂肪酸(PUFA)−タキソイドコンジュゲートを含む有効量の医薬組成物に多剤耐性細胞を暴露するステップと;
前記多剤耐性細胞の死を誘導するステップと、を含む、方法。
【請求項38】
前記PUFA−タキソイドコンジュゲートがDHA−SBT−1214である、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
癌幹細胞内の幹細胞性促進遺伝子及び転写因子の発現を低減するステップを更に含む、請求項37に記載の方法。
【請求項40】
前記幹細胞性促進遺伝子が、ABCG2、ACAN、ACTB、AIN1、ALDH1A1、ALPI、ASCL2、BMP1、BMP3、CCND1、CD3D、CD4、CD8A、CD8B、CD8B1、CDH2、COL1A1、COL2A1、COL9A1、CTNNA1、DHH、DLL1、DLL3、DTX1、DVL1、FGF1、FGF3、FGFR1、FZD1、GDF2、GDF3、GJA1、GJB1、IGF1、ISL1、JAG1、KRT15、MME、MSX1、MYOD、NEUROG2、NCAM1、NOTCH1、NUMB、PARD6A、PPARD、RB1、RPL13A、S100B、SOX1、SOX2、TERT、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記転写因子が、Sox−2、Oct3/4、c−Myc、Klf4、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項39に記載の方法。
【請求項42】
腫瘍の癌幹細胞構成成分を低減又は排除し、前記腫瘍を治療法に対してより感受性とするステップを更に含む、請求項37に記載の方法。
【請求項43】
チューブリンを急速に重合させ、細胞死を誘導するステップを更に含む、請求項37に記載の方法。
【請求項44】
前記対象が、パクリタキセル感受性又はパクリタキセル耐性腫瘍を有する、請求項37に記載の方法。
【請求項45】
CDX2、DLX2、DNMT3B、EGR、FOXP3、GLI2、HOXファミリーTF、IRX4、JUN、KLF2、NFATC1、NR2F2、PCNA、PITX3、POU4F1、SIX2、SOX9、WT1、及びそれらの組み合わせの発現を下方調節するステップを更に含む、請求項37に記載の方法。
【請求項46】
腫瘍成長を抑制し、腫瘍縮小を誘導し、接着ホロクローンの生成を防止し、腫瘍の血管新生を防止するステップを更に含む、請求項37に記載の方法。
【請求項47】
前記投与するステップが、ヒト血清アルブミンに対する前記組成物の親和性に起因して、gp60仲介による経細胞質輸送を介した腫瘍間質内への組成物の腫瘍特異的蓄積を提供するステップを更に含む、請求項37に記載の方法。
【請求項48】
癌幹細胞の排除方法であって:
水中油NE薬物送達システム中に封入されたω−3多不飽和脂肪酸(PUFA)−タキソイドコンジュゲートを含む有効量の医薬組成物に癌幹細胞を暴露するステップと;
前記癌幹細胞の死を誘導するステップと、を含む、方法。
【請求項49】
前記PUFA−タキソイドコンジュゲートがDHA−SBT−1214である、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
癌幹細胞の幹細胞性を低下させる方法であって:
水中油NE薬物送達システム中に封入されたω−3多不飽和脂肪酸(PUFA)−タキソイドコンジュゲートを含む有効量の医薬組成物に癌幹細胞を暴露するステップと;
前記癌幹細胞内の幹細胞性促進遺伝子の発現を低減するステップと、を含む、方法。
【請求項51】
前記PUFA−タキソイドコンジュゲートがDHA−SBT−1214である、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
対象の身体内におけるω−3多不飽和脂肪酸(PUFA)−タキソイドコンジュゲートの保持時間を増大させる方法であって:
NE薬物送達システム中に封入されたω−3多不飽和脂肪酸(PUFA)−タキソイドコンジュゲートを含む有効量の医薬組成物を投与するステップと;
前記医薬組成物の溶液形態よりも長期間、前記医薬組成物を前記身体内に保持するステップと、を含む、方法。
【請求項53】
前記保持するステップが、前記医薬組成物の溶液形態よりも長期間、血漿及び腫瘍からなる群から選択される前記身体の範囲内に前記医薬組成物を保持するステップとして更に定義される、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
対象の身体内でω−3多不飽和脂肪酸(PUFA)−タキソイドコンジュゲートのより緩慢な放出プロファイルを提供する方法であって:
NE薬物送達システム中に封入されたω−3多不飽和脂肪酸(PUFA)−タキソイドコンジュゲートを含む有効量の医薬組成物を投与するステップと;
前記医薬組成物の溶液形態よりも少なくとも3倍緩慢に前記医薬組成物を前記身体内に放出するステップと、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、癌を処置するための、特に癌幹細胞における多剤耐性を含む多剤耐性を克服するための治療薬及び方法に関する。特に、本発明は、例えば第3世代タキソイド等のタキソイド薬物のナノエマルション製剤及び送達システムに関する。
【背景技術】
【0002】
癌は、米国で2番目に多い死因である。他のヒト癌とは対照的に、前立腺癌(PrC)の発症率及び死亡率は、最近十年間で有意に増大している。PrC患者の70%超が処置後の再発及び不治状態への疾病の移行に直面する。ヒト腫瘍は階層的に組織化され、この階層の最上部は悪性幹細胞が占め、この悪性幹細胞は無制限の自己複製及び腫瘍開始能力を有することが広く受け入れられている。発癌の最近の概念によれば、癌幹細胞(CSC)の特定の表現型亜集団のみが腫瘍発達、並びに転移性及び薬物耐性細胞を含む腫瘍塊を構成する分化した子孫の全範囲の生成に関与している。CSCは、結腸直腸癌、膵癌及び前立腺癌を含む全ての主要なヒト癌タイプから単離されている。多くの癌タイプに関する多数の研究は、共通のCSCマーカー、特にCD133及びCD44を発現している腫瘍原生細胞が、従来の抗癌剤(5−FU、オキサリプラチン、イリノテカン、ドセタキセル及びその他等)に対して例外的に耐性であることを示している。
【0003】
従来の及び新規な化学治療薬に対する多物耐性(MDR)は、臨床的癌治療法に対する大変な困難を示している。MDRは、排他的にCSCの性質というわけではないが、多くの証拠は、MDRがCSCの存在と密接に関連していることを示している。CSCは、多数の機構に起因して化学療法に対して天然で耐性であり、当該機構には、それらの相対的な静止状態、それらのDNA修復に関する高い能力、多くの標準的な抗癌剤を排出するATP結合カセット(ABC)輸送体のそれらの活性化、及びアポトーシスに対するそれらの耐性が挙げられる。CSCの静止状態は、化学療法及び放射線療法に対するそれらの耐性も促進する。更に、大部分の標準的な抗癌剤は、実際に静止状態のCSCを刺激して自己複製させ、腫瘍に薬物耐性細胞を再配置させる。CSCはまた、無制限の細胞複製、自給自足及び長期生存等の、腫瘍表現型に決定的な多数の表現型特性を示す。これらの特性は、なぜ多くの癌療法が成熟腫瘍細胞の塊を殺滅する一方で、多くの場合失敗であるかを説明することを助け、その理由は、それらはCSCを根絶しないからである。現在の前立腺癌処置は、主として、腫瘍性の、急激に成長する癌細胞の塊を標的とするが、CSC亜集団を標的とせず、このことは殆どの前立腺癌療法で見られる、限定された延命効果の理由を提供し得る。CSCの生存部分は、外科的切除並びに/又は放射線及び化学療法による明らかに成功した、病変の大部分の除去後の腫瘍再発を殆ど不可避なものとする。
【0004】
殆どの癌薬物がCSC亜集団に対処しないという事実は、開発中の抗癌剤が、他の疾病と比較して最も高い減少率を有するという事実を説明する:前臨床開発において抗癌活性を有する薬剤の5%のみが規制当局の承認を通過し、それでも僅かな利益のみを有し得る。特に、開発中の前立腺癌用の現在の抗癌剤は、他の癌と比較して有意に低い成功率を有する。一方、候補抗癌剤の前臨床評価は、伝統的に、単層培養物として成長した非選択の、高継代の商業的癌細胞株の使用に基づいている。しかしながら、長期のインビトロ維持は、更なるゲノム及びエピゲノム変化の蓄積、並びにドミナント細胞亜集団の選択をもたらす。実際に、最も一般的に使用されている樹立癌細胞株は、元の臨床サンプルと全く相関がなく、又は相関が低いことが最近示された。このことは、樹立細胞株の使用が、インビボ腫瘍の複雑性及び病態生理と関係しないため、ゲノム変化の研究、臨床的に関連する分子標的の発見、及び抗癌剤開発のためのこれらの細胞株の使用に問題があることを示唆している。上記の留意事項の全ては、臨床的に意義のある分子標的の発見におけるCSCの重大な役割を強調し、CSC標的化薬物開発、生理学的及び臨床的により関連した癌細胞の供給源、並びにより関連したインビトロ及びインビボモデルの緊急な必要性をもたらす。
【0005】
最近、本出願人らは、未熟な幹様細胞の特徴を安定的に保持する、患者由来の超低継代の前立腺癌細胞株(PPT2細胞株)を樹立した。以前の研究では、前立腺癌細胞のCD133hi/CD44hi表現型が、高い腫瘍−及びスフェロイド開始能力、可塑性(多数の細胞表現型を生じる能力)、並びに標準的な薬物に対する高い耐性を含む、明らかな幹細胞関連の特徴を示したことが示されている。これらの細胞は、過剰活性化発達経路を発現し、高いレベルの、胚幹細胞多能性を決定する数個の重要な転写因子を発現する。加えて、PPT2細胞は、抗アポトーシスシグナル伝達及び薬物耐性に関連した多くの遺伝子を発現し、このことは、それらをCSC標的化薬物開発研究のための適切なモデルとする。
【0006】
Weinberg、Lander、及び他のグループによる最近の研究では、分化した腫瘍及び癌幹細胞(CSC)表現型の間を相互変換する癌細胞の驚異的な可塑性が示されている。臨床的研究努力により、表現型−CSCマーカーを有する細胞が、伝統的な化学治療薬を用いた処置後に、より蔓延し、またそれらの分化した対応物と比較してより腫瘍原生であることが示されている。CSCは有意な可塑性を有する「メタ状態」で存在し、従ってこれらの細胞は、腫瘍原性(tumorgenic)であり、かつ化学感受性又はMDR耐性のいずれかである細胞に分化し得る。
【0007】
この情報は、分化した腫瘍細胞及びCSC集団の両方から生じるMDR機構を緩和するために、多数の「メタ表現型」状態に対処し、マルチモーダルな治療法の必要性を示唆する。パクリタキセル(PX)及びドセタキセル等の第1世代タキソイド薬物は、この必要性を満たさない。タキソイド薬物は、微小管を安定化し、細胞周期の後期G2又はM相を阻害することにより、細胞死をもたらす。PX及びドセタキセルは、臨床的に非常に活性であるが、乏しい薬物溶解度、骨髄抑制、末梢性感覚ニューロパチー、アレルギー反応、及び最終的な薬物耐性の発生等の重大な用量制限毒性を含むいくつかの臨床的問題を有する。これらの副作用の多数は、これらの抗悪性腫瘍薬の希釈に使用される溶媒:パクリタキセルの場合、Cremophor EL、及びドセタキセルの場合、ポリソルベート80に関連している。加えて、報告はこれらの溶媒をPX及びドセタキセル薬物動態プロファイルの望ましくない変化に関連付けている。第1世代タキソイドの主な欠点は、MDR細胞に対して有効ではないことである。これらの薬物は、薬物を細胞の外に能動的に揚送し、薬物耐性を誘導するP−糖タンパク質(Pgp)、有効なATP結合カセット(ABC)輸送体の基質である。このことは、なぜPX及びドセタキセルが当初、乳癌、卵巣癌及び肺癌に対して有効であるが、結腸癌、膵癌、黒色腫及び腎癌に対して効力を示さないかを説明することを助ける。例えば、ヒト結腸癌腫は、Pgpの過剰発現に起因して本質的に多剤耐性である。従って、PXは、マウスにおけるヒト結腸癌異種移植片に対して、いずれの認識できる効力も示さない。
【0008】
第2世代タキソイドは、MDR及びCSCの問題に対する改善された解決法を提供する。PXとは著しく対照的に、SBT−1214等の多数の第2世代タキソイドは、MDR表現型を発現している薬物耐性癌細胞に対して卓越した活性(PXよりも2〜3桁強力)を示す。結腸直腸及び前立腺癌モデルを使用したいくつかの研究では、SBT−1214はインビトロ及び異種移植片モデルの両方でCSCを効果的に殺滅することが示された。SBT−1214はまた固有のPgp調節能力を有することも見出された。SBT−1214は、SCIDマウスにおける高い薬物耐性(Pgp+)のいくつかの結腸腫瘍異種移植片に対して顕著な有効性を示し、全ての生存マウスにおいて完全な退行を誘導し、腫瘍成長遅延は>187日であった。SBT−1214による腫瘍再発の、観察された総抑制は、このタキソイドがCSCを殺滅又は調節できることを示し得る。それ故、本発明者らは、3D培養物における癌スフェロイドを使用して、HCT116、HT−29及びDLD−1細胞株からの結腸CSCに対するSBT−1214の活性を調べた。HCT116、HT−29及びDLD−1スフェロイドに対する100nM SBT−1214の48時間の投与は、全細胞における2次スフェロイドの成長の著しい抑制をもたらした。最も重要なことには、この処置レジメンを生き残った生細胞は、2次スフェロイドを形成する能力を有意に喪失し、このことは結腸CSC集団が臨床的に影響を受けたことを示している。また、SBT−1214によるHCT116、DLD−1及びHT−29 CSCの処理は、多数の幹細胞関連遺伝子の下方調節、及び多能性の保持に関与する遺伝子の有意な阻害をもたらすことが見出された。SBT−1214は、調べた全ての結腸CSC内で大部分の幹細胞関連遺伝子を阻害した。これらの遺伝子の多くは、自己複製、対称性/非対称分割の調節及び多能性に関連することに留意することは価値のあることである。これらの結果は、PPT2細胞及び腫瘍に対する、この研究の非常に強力な細胞毒性抗腫瘍剤構成成分としてのこの新世代タキソイド、SBT−1214の使用を強く支持した。
【0009】
タキソイド薬物送達の更なる改善は、天然脂肪酸(多不飽和脂肪酸(PUFA))に対するタキソイドのコンジュゲーションであった。これは魅力的な戦略であり、これは主として、以下に起因する。(a)いくつかのPUFAは、様々な癌で過剰発現しているシグナル伝達経路を介した癌特異的毒性を有する、(b)様々な細胞毒性薬物とPUFASは、多くの場合、様々な癌細胞株に対して相乗効果を示す、(c)PUFAは、薬物誘導アポトーシスを阻止することにより、健康な細胞に対する保護効果を有するように思われる、(d)コンジュゲーションは、細胞毒性薬物の薬物動態特性を変化させることにより、全身毒性を低下させ得る、及び(e)PUFAは、FDA承認の食品添加物である。n−3 PUFAは、様々な機構を介してn−6 PUFA由来の発癌性エイコサノイドの生成を阻害することが示されている。n−3 PUFA由来のエイコサノイドは、一般に、炎症及び腫瘍成長に対する阻害効果を示す。最終的に、n−3 PUFAは、薬物耐性に関与するERK1/2経路を阻害することが示されている。これらの因子の全ては、n−3 PUFAと様々な細胞毒性剤の間の、観察された相乗効果に寄与する可能性がある。
【0010】
天然に存在するn−3 PUFAの中でも、ドコサヘキサエン酸(DHA)は、最も高い効能を有し、従って広範に研究されている。DHAは、生化学的前駆体及びエネルギー源使用のために、腫瘍細胞により容易にかつ選択的に吸収されることが示されている。この効果は、選択的な腫瘍標的化効果を生じるのみならず、DHAコンジュゲートは、Pgpによる排出の低減も示す。第1世代タキソイドPXのDHAコンジュゲートが開発された(TAXOPREXIN(登録商標):Protarga/Luitpold)。DHAコンジュゲートは、腫瘍細胞により貪欲に吸収され、内部移行され(おそらくDHA部分と癌細胞膜との強い脂質−脂質相互作用を介して)、癌細胞内のエステラーゼによってゆっくり加水分解されることが見出された。DHAはPgpの良好な基質ではないように思われ、PXの排出を低減することが見出された。
【0011】
しかしながら、第1世代タキソイドに対するDHAのコンジュゲーションは、CSC及び他の癌細胞におけるMDRを克服するための最適な戦略ではない。癌細胞がPgp及び/又は他のABC輸送体を過剰発現している場合、PX分子は、ゆっくり放出されている場合であっても、排出ポンプによって捉えられ、癌細胞から排除されるであろう。
【0012】
SBT−1214のような第2世代タキソイドは、Pgp仲介による排出に対する固有の耐性を既に有するため、HAS−脂肪酸−タキソイド複合体のEPR効果を利用することにより、コンジュゲートをおそらく腫瘍標的化物とする戦略、及び、DHAをこれらのタキソイドにコンジュゲートすることにより、Gp60によるHSA複合体の腫瘍選択的な経細胞質輸送を形成する戦略が開発された。結果はタキソイドの次世代であり、これは、DHA−SBT−1214及びLNA−SBT−1214によって例示されるタキソイド−脂肪酸コンジュゲートを含む。
【0013】
SBT−1214に対するDHAコンジュゲーションは、プロドラッグ特性も提供し、コンジュゲート化薬物を遊離SBT−1214よりも10倍毒性の低いものとする。DHA部分は、タキサンバックボーンを遮蔽し、チューブリン結合を防止する。コンジュゲートが細胞によって吸収され、DHA部分が細胞内エステラーゼによって切断されるまで、化合物は活性ではない。
【0014】
DHA−SBT−1214の合成は成功し、SCIDマウスにおけるPX感受性及びPX耐性ヒト腫瘍異種移植片の両方に対するその抗腫瘍活性が評価された。DHA−SBT−1214は、PX耐性及び非耐性腫瘍の両方を完全に退行させることが見出された。
【0015】
マウスモデルにおけるDHA−SBT−1214の結腸、卵巣、膵臓及びNSCL腫瘍異種移植片に対する有効性が評価され、印象的な有効性が示された。しかしながら、これらの研究では、DHA−SBT−1214はsolutol HS−15(又はポリソルベート80)/エタノール/生理食塩水中で処方され、賦形剤の使用は、賦形剤及びエタノールに起因する、文書で十分に裏付けられた有害効果、並びに、低濃度の賦形剤におけるいくつかの安定上の問題を課すことが見出された。従って、本出願人らは、製剤研究室にて開発されたナノエマルション製剤の有効性を研究した。DHA−SBT−1214で見られた強い前臨床効果にも関わらず、現在の製剤の使用には欠点が存在し、本出願人らは、安全性、PK、分布、保持及び診療所内での使用の容易さを潜在的に改善する方法を模索している。
【0016】
タキサンは臨床的に活性であるが、数個の問題点を有する。その問題的としては、乏しい薬物溶解度、骨髄抑制、末梢性感覚ニューロパチー、アレルギー反応、及び最終的な薬物耐性の発生等の重大な用量制限毒性が挙げられる。これらの副作用の多数は、これらの抗悪性腫瘍薬の希釈に使用される溶媒:パクリタキセルの場合、CrEL、及びドセタキセルの場合、ポリソルベート80に関連している。特にポリオキシエチル化ヒマシ油は、生物学的及び薬理学的に活性であり、標準的な静脈内(i.v.)チューブから可塑剤を浸出させ、ジ(2−エチルヘキシル)フタレート(DEHP)を放出させる。その注入はヒスタミン放出を生じ、その結果、アナフィラキシーを含む詳しく説明されている過敏症反応を生じる。早期第I相試験において、前投与されていない患者の20%〜40%は、これらの反応の影響を受けた。更に、これはまた、高脂血症、異常なリポ蛋白パターン、赤血球の凝集、及び遷延性の、時には不可逆的な感覚性ニューロパチー(脱髄及び軸索変性に関連し得る)に関連付けられている。CrELは、好中球減少症も引き起こし得る。加えて、報告は、これらの溶媒をパクリタキセル及びドセタキセル薬物動態プロファイルの変化と関連付けた。過敏症反応はポリソルベート80によっても生じ得るが、CrELによるものと比較して低い程度である。ポリソルベート80は、時には重度かつ不可逆的な感覚性及び運動ニューロパチーにも関連付けられている。更に、ポリソルベート80は、膜流動性を変化させ、累積的流体保持をもたらす可能性がある。この独特のドセタキセル毒性は、予防的コルチコステロイドによって低減され得る。別の重要な点は、CrEL及びポリソルベート80が腫瘍浸透を制限し得、これが有効性に負の影響を与えることである。特に、血漿コンパートメント中のCrEL−パクリタキセルの大きい極性ミセルの形成は、薬物を捕捉し、薬物クリアランスの低下、及び分布容積の低下による非線形薬物動態をもたらし得る。これは、用量依存性抗腫瘍活性の欠如に寄与する。
【0017】
DHA−SBT−1214は極度に疎水性であるため、ポリソルベート80/エタノール/生理食塩水又はSolutol H−15/エタノール/生理食塩水中で処方されて、静脈内に注入される必要がある。前述したように、Cremophor及びポリソルベート80等のビヒクルは、重大な副作用を生じ、薬物動態に対する望ましくない効果は、以前に言及した。
【0018】
ナノスケール分子は、「向上された透過性及び保持(EPR)」効果に起因して、抗癌剤用のビヒクルとしてのそれらの使用における独特の特性を有する。ナノスケール分子の蓄積は、特定の受容体を必要としないため、EPR効果は本来受動的であるが、有効であることが証明されている。ナノエマルション処方プロトコルは、リン脂質及び魚油を含むため、DHA−SBT−1214の使用はSBT−1214自体と比較して、魚油構成成分に対する高い親和性と、それによる封入における高い効率性(ミセル内で高濃度の薬物が達成される)との明らかな利点を有する。
【0019】
去勢抵抗性の前立腺癌(CRPS)のための第1選択の治療法は、ドセタキセルとプレドニゾンであり、ドセタキセル処置に代わって又は当該処置に加えてカバジタキセルが2010年にFDAにより承認されている。しかしながら、CSCに関与するCRPSは、アンドロゲンシグナル伝達を示さず、従ってこのタイプのCRPSは、ドセタキセル又はカバジタキセルとプレドニゾンとの組み合わせに応答しない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
溶解度、MDR耐性特性、及びDHA−SBT−1214等のPUFA−タキソイドコンジュゲートのCSC標的化を向上させる送達システム、並びに前立腺癌の処置方法が高く必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明は、水中油ナノエマルション(NE)薬物送達システム中に封入されたω−3多不飽和脂肪酸(PUFA)−タキソイドコンジュゲートを含む組成物を提供する。
【0022】
本発明は、水中油NE薬物送達システム中に封入されたPUFA−タキソイドコンジュゲートを含む医薬組成物も提供する。
【0023】
本発明は、水中油NE薬物送達システム中に封入されたPUFA−タキソイドコンジュゲートを含む有効量の医薬組成物を、処置を必要とする対象に投与し、癌を処置することによる、癌の処置方法を更に提供する。
【0024】
本発明はまた更に、水中油NE薬物送達システム中に封入されたPUFA−タキソイドコンジュゲートを含む有効量の医薬組成物に多剤耐性細胞を暴露し、多剤耐性細胞の死を誘導することによる、多剤耐性の克服方法を提供する。
【0025】
本発明は、水中油NE薬物送達システム中に封入されたPUFA−タキソイドコンジュゲートを含む有効量の医薬組成物に癌幹細胞を暴露し、癌幹細胞の死を誘導することによる、癌幹細胞の排除方法も提供する。
【0026】
本発明は、水中油NE薬物送達システム中に封入されたPUFA−タキソイドコンジュゲートを含む有効量の医薬組成物に癌幹細胞を暴露し、癌幹細胞内で幹細胞性促進遺伝子の発現を低減することによる、癌幹細胞の幹細胞性を低下させる方法を更に提供する。
【0027】
本発明は、NE薬物送達システム中に封入されたPUFA−タキソイドコンジュゲートを含む有効量の医薬組成物を投与し、医薬組成物の溶液形態よりも長期間、医薬組成物を身体内に保持することによる、対象の身体内でPUFA−タキソイドコンジュゲートの保持時間を増大させる方法を提供する。
【0028】
本発明は、NE薬物送達システム中に封入されたPUFA−タキソイドコンジュゲートを含む有効量の医薬組成物を投与するステップと、身体内で医薬組成物の溶液形態よりも少なくとも3倍緩慢に医薬組成物を放出するステップと、を含む、対象の身体内でPUFA−タキソイドコンジュゲートのより緩慢な放出プロファイルを提供する方法も提供する。
【0029】
本発明の他の利点は、添付の図面と共に考慮した場合、以下の詳細な説明を参照してより深く理解されるため、容易に認識される。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】図1は、PUFA−タキソイドコンジュゲートDHA−SBT−1214の化学構造を示す。
【図2A】図2Aは、本発明による典型的なNEの構造、及び典型的なNEのナノ粒子の構造(右側)を示す。
【図2B】図2Bは、EGFR細胞を標的化するための表面ペプチドを含むNEナノ粒子の構造を示す。
【図3A】図3Aは、DHA−SBT−1214及び他のタキソイドによる処置下のSCIDマウスにおけるPgp、PX耐性DLD1結腸癌異種移植片の成長のグラフを示す。
【図3B】図3Bは、DHA−SBT−1214及び他のタキソイドによる処置下のSCIDマウスにおけるPANC−1膵癌異種移植片の成長のグラフを示す。
【図3C】図3Cは、DHA−SBT−1214及び他のタキソイドによる処置下のSCIDマウスにおけるCFPAC−1膵臓腺癌異種移植片の成長のグラフを示す。
【図3D】図3Dは、DHA−SBT−1214及び他のタキソイドによる処置下のSCIDマウスにおけるH460非小細胞肺腫瘍異種移植片の成長のグラフを示す。
【図4A】図4Aは、SBT−1213の化学構造を示す。
【図4B】図4Bは、SBT−12854の化学構造を示す。
【図4C】図4Cは、SBT−121303の化学構造を示す。
【図4D】図4Dは、DHA−パクリタキセルの化学構造を示す。
【図5】図5は、癌幹細胞に富んだ腫瘍スフェロイドに対するSBT−1214の細胞毒性効果を示す実験結果を示す。
【図6A-C】図6A〜6Cは、プラセボ(NE−プラセボ)(図6A)、DHA−SBT−1214ナノエマルション製剤(NE−DHA−SBT−1214)(図6B)及びABRAXANE(登録商標)(図6C)の透過型電子顕微鏡写真(TEM)である。
【図7A-B】図7Aは、粒子サイズ決定(単位nm)のグラフであり、図7Bは、ゼータ電位決定(単位mV)のグラフである。
【図8A-B】図8Aは、単層PPT2細胞培養物へのローダミン封入ナノエマルション製剤の取込みの蛍光顕微鏡法画像であり、図8Bは、スフェロイドPPT2細胞培養物へのローダミン封入ナノエマルション製剤の取込みの蛍光顕微鏡法画像である。
【図9A-G】図9Aは、水性溶液中又はナノエマルション製剤中でPPT2細胞に投与された際の、DHA−SBT−1214の関数としての最大応答の百分率のグラフであり、図9B〜9Gは、異なる濃度のDHA−SBT−1214ナノエマルションで処理され、顕微鏡下で毒性に関して観察したPPT2スフェロイドの写真である(対照(図9B))、10nM(図9C)、100nM(図9D)、1μM(図9E)、5μM(図9F)及び10μM(図9G)。
【図10A-D】図10A〜10Dは、親PPT2細胞株(CD133+(図10A))及びCD44+(図10B)、並びにPPT2−誘導マウス腫瘍異種移植片(CD133+(図10C))及びCD44+(図10D)からの1次細胞縣濁液における細胞表面マーカー発現のフローサイトメトリー分析である。
【図11A-F】図11A〜11Fは、マウス腫瘍の写真である。(図11Aは、ビヒクルで処置したマウスからの対照腫瘍を示し、図11B及び11Cは、Abraxane処置マウスからの腫瘍を示し(各々、25及び40mg/kg)、図11D、11E及び11Fは、NE−DHA−SBT処置マウスからの腫瘍を示し(各々、25、30及び40mg/kg))、図11Gは、異なる濃度のNE−DHA−5BTを用いた処置により誘導された体重変化のグラフであり、図11Hは、全ての処置様式を概略するグラフである。
【図12A-B】図12Aは、PPT2誘導マウス腫瘍異種移植片に対するNE−DHA−SBTのインビボ効力を用いた経時的な腫瘍体積変化のグラフであり、図12Bは、異なる濃度のNE−DHA−SBTによる処置により誘導された体重変化のグラフである。
【図13A-L】図13A〜13Lは、対照及びNE−DHA−SBT処置マウスから収集したPT2−誘導腫瘍及び異なる器官組織の病理組織学的評価を示す写真である(ヘマトキシリン&エオシン染色)。図13A−対照非処置腫瘍は、分化が乏しい腺癌を示す。図13B〜13D−30mg/kgのNE−DHA−SBT−1214処置腫瘍は、大量のヒアルリゼーション(hyalurization)、空胞形成及び広範な壊死を示す。組織は、対照非処置マウスを形成する:図13E−肝臓;図13G−腸;図13I−腎臓;図13K−膵臓;40mg/kgのNE−DHA−SBT処置マウスからの組織:図13F−肝臓(挿入写真はx40);図13H−腸;図13J−腎臓;及び図13L−膵臓。
【図14A-B】図14Aは、剥離スフェロイド下の浮遊スフェロイドと小型ホロクローンの写真であり、図14Bは、対照非処置腫瘍からの1次細胞縣濁液により生成された浮遊スフェロイドの写真である。
【図15A-B】図15Aは、単一のスフェロイド及び接着コロニー又は生細胞の非存在の写真であり、図15Bは、NE−DHA−SBT−1214で処置した腫瘍細胞により誘導された培養物中の単一のスフェロイドの写真である。
【図16】図16は、スフェロイド中で培養後の、非処置対照スフェロイドにおける残留腫瘍中の処置後細胞生存率の分析のグラフである。
【図17】図17は、NE−DHA−SBT−1214処置スフェロイドにおける処置後細胞生存率の分析のグラフである。
【図18A-K】図18A〜18Kは、脳(図18A)、膵臓(図18B)、腎臓(図18C)、前立腺(図18D)、結腸(図18E)、心臓(図18F)、肺(図18G)、肝臓(図18H)、脾臓(図18I)、血漿(図18J)及び腫瘍(図18K)内のDHA−SBT−1214溶液及びナノエマルションの体内分布のグラフである。
【図19A-D】図19A〜19Dは、DHA−SBT−1214薬物溶液及びナノエマルションの時間及び温度に関する安定特性のグラフである。図19Aは、安定性のグラフであり、図19Bは、粒子サイズのグラフであり、図19Cは、多分散指数のグラフであり、図19Dは、ゼータ電位のグラフである。
【図20A-E】図20A〜20Eは、異なる処置グループによる腫瘍の写真である。対照(図20A)、NE−DHA−SBT 30mg/kg(図20B)、NE−DHA−SBT 40mg/kg(図20C)、NE−DHA−SBT 50mg/kg(図20D)、及びNE−DHA−SBT 70mg/kg(図20E)。
【図21】図21は、溶液及びナノエマルション(NE)からのDHA−SBT−1214のインビトロ透析放出研究のグラフであり、溶液及びNEからの累積DHA−SBT−1214放出(%)を時間(h)に対してプロットする。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明は、水中油ナノエマルション(NE)薬物送達システム中で処方されたω−3多不飽和脂肪酸(PUFA)−タキソイドコンジュゲートを含む。好ましい実施形態はNE−DHA−SBT−1214であり、PUFA−タキソイドコンジュゲートはDHA−SBT−1214であり、その構造は図1に示されている。
【0032】
用語「第2世代タキソイド」は、パクリタキセル(タキソール)及びドセタキセル(タキソイド)等の第1世代タキサンを指すように使用され、ここで(i)C−3’−フェニル基がアルケニル又はアルキル基で置き換えられ、(ii)C−10位が特定のアシル基で修飾され、C−3’N位がt−Boc基である。用語「PUFA−タキソイドコンジュゲート」は、そのメタ位に修飾C2−ベンゾイル基を有する第2世代タキソイドを指すように使用される。PUFA−タキソイドコンジュゲートは、Pgp仲介によるMDRを実質的に回避するその能力により特徴付けられる(Ojima I.and Das M.,Recent advances in the chemistry and biology of new generation taxoid.J Nat Prod.(2009)72(3):554−565)。
【0033】
用語「ナノエマルション」(NE)は、50〜1000nmの範囲の平均液滴径を有する水中油エマルションを指すように使用され、>200nmの直径が好ましい。好ましいNE油相は、Amiji,et al.への米国特許出願公開第20070148194号明細書におけるように、魚油又は亜麻仁油等のω−3脂肪酸に富んだ食用油を使用して調製される。非限定的に、松の実油、ベニバナ油、サクラソウ油、クロフサスグリ油、ルリジサ油、コムギ胚芽油、チア油、大麻油、エゴマ油、ブドウ油、スクアレン油、及び真菌油等の他の油を使用することができる。油小滴は、リン脂質(例えば、LIPOID(登録商標))及びポリ(エチレンオキシド)含有非イオン性界面活性剤(例えば、プルロニック又はツイーン)を含む界面活性剤で修飾される。油小滴の表面はまた、葉酸、EGFRペプチド、及び他の既知の標的化リガンドの使用を含む、標的化剤による腫瘍細胞への選択的標的化のために修飾され得る。組成物は、フルオロフォア、MRIコントラスト剤、又は放射性化合物を含む画像コントラスト剤も含み得る。
【0034】
コンジュゲート中のPUFAは、好ましくはDHA(C−22)であるが、エイコサペンタエン酸(EPA、C−20)、又はα−リノレン酸(LNA、C−18)であってもよい。
【0035】
本発明は、Amiji,et al.への米国特許出願公開第20070148194号明細書(2007)(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に開示されているような、NEにおけるナノ粒子内に封入されたPUFA−タキソイドコンジュゲートの製剤を含む。典型的なNEの構造は、図2の左側に示され、典型的なNEのナノ粒子の構造は、図2の右側に示される。好ましいPUFA−タキソイドコンジュゲートはDHA−SBT−1214であり、その構造は、図1に示される。代替的に、Ojima,et al.への米国特許第7,820,839号明細書、並びにOjima I及びDas M、(2009)(それらの両方の全体が本明細書に組み込まれる)に記載されているPUFA−タキソイドコンジュゲートのいずれかを含むがこれらに限定されない任意のタキソイド、又はタキソイドの組み合わせが、NE中に封入され得る。製剤の詳細は本明細書の実施例3に提供されている。
【0036】
NE製剤として本発明に含まれ得る他のタキソイドには、非限定的に、パクリタキセル、ドセタキセル、SBT−1213(図4A)、SBT−12854(図4B)、及びSBT−121303(図4C)(Matesanz,et al.,2014);SBT−1216、SBT−11033、SBT−121313、SBT−121602(Ojima,et al.,2009)、カバジタキセル、SBT−1212、SBT−1217、SBT−1102、SBT−1103、SBT−1104、SBT−1106、SBT−1107、SBT−121301、SBT−121302、SBT−121304、SBT−121403、SBT−11031、SBT−11032、SBT−11034、SBT−12851、SBT−12852、SBT−12853、SBT−12855、SBT−12851−1、SBT−12851−3、SBT−12852−1、SBT−12852−3、SBT−12853−1、SBT−12853−3、SBT−12854−1、SBT−12854−3、SBT−12855−1及びSBT−12855−3が挙げられる。PUFA−コンジュゲート化第2世代タキソイドも挙げられ、それには、非限定的に、DHA−パクリタキセル(図4D)(Bradley,et al.,2001);DHA−ドセタキセル、DHA−SBT−1213、DHA−SBT−1103、DHA−SBT−1104、DHA−SBT−1216、LNA−SBT−1213、LNA−パクリタキセル、LNA−ドセタキセル、DHA−カバジタキセル及びLNA−カバジタキセル(LNA=α−リノレン酸)が挙げられる。上記の第2世代トキソイド(toxoid)のいずれかのDHA又はLNAエステルも使用することができる。当業者は、そのようなエステルを容易に作製することができる。それらの製剤及び有効性の作業実施例は、示した参考文献(それらの全体が本明細書に組み込まれる)に見出される。
【0037】
例示的なPUFA−タキソイドコンジュゲートは、DHA−SBT−1214である。DHA−SBT−1214の利点には、以前論じたように、CSCを含む癌細胞の標的化における有効性と、MDRの克服における有効性が挙げられる。薬物耐性の克服におけるDHA−SBT−1214の有効性のより詳細な証拠は、本明細書の実施例1に提供されている。これらの実験では、DHA−SBT−1214は、パクリタキセル(PX)耐性ヒト細胞株DLD1(結腸癌)、PANC−1及びCFPAC−1(膵癌)、並びにH460(非小細胞肺癌)のSCIDマウス異種移植片に対して有効であった。加えて、DHA−SBT−1214がCSCに対して特別な作用を有する証拠が存在する。第1に、親薬物、SBT−1214は、CSCの「幹細胞性」を低下させ、即ち、Sox−2、Oct3/4、c−Myc、Klf4及びその他等の多能性に重要なものを含む幹細胞性促進遺伝子及び転写因子の発現を低減する(Botchkina et al.,2010&2013、及び実施例2)。このことは、腫瘍のCSC構成成分を低減又は排除し、腫瘍を治療法に対してより感受性とする。実験の詳細は、本明細書の実施例2に提供されている。加えて、SBT−1214は、PXの数時間に対して、数分間でチューブリンを重合させることが示されている。この微小管生物学の急速な破壊は、静止状態のCSCにおいてさえも細胞死を誘導し得る。
【0038】
DHA−SBT−1214の主な欠点である、体液中での乏しい溶解性は、本発明によるNE製剤中への封入により克服される。DHA−SBT−1214及び他のPUFA−タキソイドコンジュゲートは、本発明によるNEを用いた製剤により可溶化及び送達されることができる。これらのNEは、水中のω−3、−6、及び−9多不飽和脂肪酸(PUFA)に富んだ油の分散により形成され、両親媒性リン脂質単層で安定化された単純なコロイド状担体である。NEは、<200nmの流体力学直径を有し、相当の量の疎水性薬物を、油相の高体積部分中に組み込むことができ、水溶性が乏しい薬物の送達に好適である。NE’sは、一般に安全等級(GRAS)と見なされている材料から完全に構成され、当該材料は、非常に好適な安全性プロファイルを有する。このことは、臨床的採用にとって有意な利点である。
【0039】
PXを使用した以前の研究では、NEのPX封入効率は100%であった。この高い薬物封入効率は、PXの高い親油性に起因し、薬物はNEナノ粒子の油コア内に保持される。PXのNE製剤は、3カ月間の貯蔵期間の間、安定であり、相分離又は小滴サイズの変化は観察されなかった。
【0040】
本発明のNE組成物は、実施例6に記載されているように、4℃で6カ月間まで物理的に安定であることが見出された。粒子サイズは、この期間中、一貫していることが見出され、またPDI及びゼータ電位も分析された。NE組成物は、実施例5に詳細するように、PUFA−タキソイドコンジュゲートの溶液形態と比較して、身体内での保持時間が増大している。NE組成物はまた、実施例8に詳細するように、PUFA−タキソイドコンジュゲートの溶液形態よりも少なくとも3倍緩慢な、身体内での放出プロファイルを提供する。
【0041】
加えて、ω−3 PUFAに富んだ油から構成されるNEは、SKOV3細胞内でPX蓄積を向上させることが見出された。松の実油又は亜麻仁油を含むNEは、各々、40%又は47%のω−3 PUFAを有し、マウスにて評価して、PX製剤のバイオアベイラビリティ及び有効性を向上させることが示された。
【0042】
NEの別の利点は、それらの表面を標的化分子で修飾して、封入薬物の腫瘍特異的送達を増大させ得ることである。例えば、EGFR結合ペプチドを支持するNEナノ粒子は、非標的化NEナノ粒子よりも急速に、EGFRSKOV細胞によって吸収された。それらはまた、60分においてNEナノ粒子よりも高い蓄積を示した。例示的な標的化NEナノ粒子の構造を、図2Bに示す。本発明は、NEナノ粒子が、成長因子受容体結合ペプチド、モノクローナル抗体、及びその断片等の標的化分子を支持する任意の好適なNEタキソイド製剤を含む。
【0043】
NE−DHA−SBT−1214製剤の特定の利点は、DHA部分が油に富んだナノエマルションへの組み込みを促進することである。疎水性脂肪酸テールによって、これらのプロドラッグの長期循環標的化NEの脂質コア内への封入が可能となる。
【0044】
NE−DHA−SBT−1214製剤の別の利点は、注射用生理食塩水等の水性溶液中での溶解性である。従って、本発明による製剤は、CREMOPHOR(登録商標)等の毒性溶媒の必要性を排除する。従って、本発明は、水中油ナノエマルション薬物送達システム中に封入されたPUFA−タキソイドコンジュゲートを提供する。
【0045】
NE−DHA−SBT−1214は、DHA−SBT−1214の利点の全てを、処方されていない親化合物よりも有効かつ毒性の低い形態で提供する。前記に論じたように、これらのDHA−SBT−1214の利点には、CSCを含むMDR耐性癌細胞を殺滅する能力、及びCSCを標的化する能力が挙げられ、これらは両方とも、幹細胞性促進遺伝子の発現を低減し、微小管の急速重合を介して静止細胞を殺滅することによる。臨床的前例によれば、化学療法による腫瘍の病変の大部分の除去は、通常静止状態のCSC集団を「目覚め」させ、腫瘍細胞集団を再配置させる。従って、NE−DHA−SBT−1214の初期の処置は、標準的な微小管安定化機構を介した腫瘍の病変の大部分の除去を開始させ、また、CSC集団における遺伝子発現プロファイルを変化させることが予測される。一旦CSCが腫瘍の再配置を開始させたら、それらは、微小管安定化効果に対してより感受性となる。加えて、DHA−SBT−1214は、CSC遺伝子発現を下方調節し、CSCを分化させ、それによりCSCはDHA−SBT−1214誘導アポトーシスに対してより感受性となることが示されている。
【0046】
従って、本発明は、NE薬物送達システム中に封入されたPUFA−タキソイドコンジュゲートを含む有効量の医薬組成物を、処置を必要とする対象に投与し、癌を処置することによる、癌の処置方法を提供する。本明細書の方法において処置される癌又はCSCは、非限定的に、乳癌、卵巣癌、肺癌、頭部及び頸部癌、結腸癌、直腸癌、膵癌、黒色腫、脳癌、前立腺癌、白血病、肉腫、甲状腺癌、非ホジキンリンパ腫、膀胱癌、グリア細胞腫、子宮内膜癌、並びに腎癌等の任意のタイプの癌であり得る。PUFA−タキソイドコンジュゲートは、本明細書に記載される任意のものであってよく、特にDHA−SBT−1214である。PUFA−タキソイドコンジュゲートはNE中に封入されているため、身体によって能動的に吸収され、DHAは通常の送達方法におけるよりも効率的に切断される。本方法は、Sox−2、Oct3/4、c−Myc及びKlf4等の多能性に重要なものを含む、CSCにおける幹細胞性促進遺伝子及び転写因子の発現を低減するステップを更に含み得る。下方調節される幹細胞性促進遺伝子は、非限定的に、ABCG2、ACAN、ACTB、AIN1、ALDH1A1、ALPI、ASCL2、BMP1、BMP3、CCND1、CD3D、CD4、CD8A、CD8B、CD8B1、CDH2、COL1A1、COL2A1、COL9A1、CTNNA1、DHH、DLL1、DLL3、DTX1、DVL1、FGF1、FGF3、FGFR1、FZD1、GDF2、GDF3、GJA1、GJB1、IGF1、ISL1、JAG1、KRT15、MME、MSX1、MYOD、NEUROG2、NCAM1、NOTCH1、NUMB、PARD6A、PPARD、RB1、RPL13A、S100B、SOX1、SOX2、TERT及びそれらの組み合わせであり得る。CDX2、DLX2、DNMT3B、EGR、FOXP3、GLI2、HOXファミリーTF、IRX4、JUN、KLF2、NFATC1、NR2F2、PCNA、PITX3、POU4F1、SIX2、SOX9及びWT1の発現も下方調節され得る。本方法は、腫瘍のCSC構成成分を低減又は排除し、腫瘍を治療法に対してより感受性とするステップを更に含み得る。本方法は、チューブリンを急速に重合させ、細胞死を誘導するステップを更に含み得る。実施例4に示すように、DHA−SBT−1214コンジュゲートのナノエマルションは、前立腺癌モデルにおいて、優れた腫瘍退行及び腫瘍成長阻害を誘導する。本組成物及び方法は、パクリタキセル感受性及びパクリタキセル耐性腫瘍に対して特に有効であり得る。本組成物は、腫瘍成長を抑制し、腫瘍縮小を誘導し、接着ホロクローンの生成を防止し、腫瘍の血管新生を防止し得る。ヒト血清アルブミン(HAS)に対するDHAコンジュゲート化薬物のより高い親和性に起因して、gp60仲介による経細胞質輸送を介した腫瘍間質内への組成物の腫瘍特異的蓄積が存在し、ヒト血清アルブミン(HAS)は、血流中でのPUFAの主要な担体である(実施例4に記載するように)。更に、実施例5により実証されるように、本方法は、医薬組成物の溶液形態と比較して、身体内で医薬組成物をより長期間保持する、特に腫瘍に医薬組成物をより長期間保持するステップを更に含み得る。
【0047】
また、PUFA−タキソイドの非コンジュゲート化型を、本明細書の方法のいずれかで、コンジュゲートと共に投与することができる。DHAは身体内で活性となる前に切断される必要があるため、コンジュゲート化型が身体内で持続性の効果を提供できる一方、非コンジュゲート化型は即時効果を提供することができる。特に高悪性度の腫瘍では、それらを急速に処置することが望ましいが、癌幹細胞に対する持続的な、より長期の効果を有することも望ましい。組み合わせ処置を単回投与又は単回注射の負荷用量及び維持用量として投与することができる。
【0048】
本発明は、NE薬物送達システム中に封入されたPUFA−タキソイドコンジュゲートを含む有効量の医薬組成物に多剤耐性細胞を暴露し、多剤耐性細胞の死を誘導することによる、多剤耐性の克服方法も提供する。PUFA−タキソイドコンジュゲートは、本明細書に記載される任意のものであってよく、特にDHA−SBT−1214である。例えば、実施例1では、DHA−SBT−1214は、マウスにおいて多剤耐性腫瘍の完全な退行をもたらした。本方法は、Sox−2、Oct3/4、c−Myc及びKlf4等の多能性に重要なものを含む、CSCにおける幹細胞性促進遺伝子及び転写因子の発現を低減するステップを更に含み得る。本方法は、腫瘍のCSC構成成分を低減又は排除し、腫瘍を治療法に対してより感受性とするステップを更に含み得る。本方法は、チューブリンを急速に重合させ、細胞死を誘導するステップを更に含み得る。
【0049】
本発明は、NE薬物送達システム中に封入されたPUFA−タキソイドコンジュゲートを含む有効量の医薬組成物に癌幹細胞を暴露し、癌幹細胞の死を誘導することによる、癌幹細胞の排除方法も提供する。PUFA−タキソイドコンジュゲートは、本明細書に記載される任意のものであってよく、特にDHA−SBT−1214である。本方法は、Sox−2、Oct3/4、c−Myc及びKlf4等の多能性に重要なものを含む、CSCにおける幹細胞性促進遺伝子及び転写因子の発現を低減するステップを更に含み得る。本方法は、腫瘍のCSC構成成分を低減又は排除し、腫瘍を治療法に対してより感受性とするステップを更に含み得る。本方法は、チューブリンを急速に重合させ、細胞死を誘導するステップを更に含み得る。
【0050】
NE薬物送達システム中に封入されたPUFA−タキソイドコンジュゲートを含む有効量の医薬組成物に癌幹細胞を暴露し、癌幹細胞における幹細胞性促進遺伝子の発現を低減することによる、癌幹細胞の幹細胞性を低下させる方法も本発明により提供される。PUFA−タキソイドコンジュゲートは、本明細書に記載される任意のものであってよく、特にDHA−SBT−1214である。本方法は、Sox−2、Oct3/4、c−Myc及びKlf4等の多能性に重要なものを含む、CSCにおける幹細胞性促進遺伝子及び転写因子の発現を低減するステップを更に含み得る。本方法は、腫瘍のCSC構成成分を低減又は排除し、腫瘍を治療法に対してより感受性とするステップを更に含み得る。本方法は、チューブリンを急速に重合させ、細胞死を誘導するステップを更に含み得る。
【0051】
本発明は、NE薬物送達システム中に封入されたPUFA−タキソイドコンジュゲートを含む有効量の医薬組成物を投与し、医薬組成物の溶液形態よりも長期間、医薬組成物を身体内に保持することによる、対象の身体内でPUFA−タキソイドコンジュゲートの保持時間を増大させる方法を更に提供する。実施例5により実証されるように、PUFA−タキソイドコンジュゲートのためのNE薬物送達システムは、身体内で、特に血漿及び腫瘍中で、溶液形態と比較してより長い保持時間を提供することが可能である。PUFA−タキソイドコンジュゲートは、本明細書に記載される任意のものであってよく、特にDHA−SBT−1214である。保持時間の増大に起因して、より低用量のPUFA−タキソイドコンジュゲートを付与することができ、それにより副作用が低減される。
【0052】
本発明は、対象の身体内でPUFA−タキソイドコンジュゲートのより緩慢な放出プロファイルを提供する方法も提供し、当該方法は、NE薬物送達システム中に封入されたPUFA−タキソイドコンジュゲートを含む有効量の医薬組成物を投与するステップと、医薬組成物の溶液形態よりも少なくとも3倍緩慢に医薬組成物を身体内で放出するステップとを含む。実施例8により実証されるように、NE組成物は、溶液形態よりも3倍緩慢な放出プロファイルを有する。PUFA−タキソイドコンジュゲートは、本明細書に記載される任意のものであってよく、特にDHA−SBT−1214である。より緩慢な放出プロファイルに起因して、より低用量のPUFA−タキソイドコンジュゲートを付与することができ、それにより副作用が低減される。
【0053】
本発明による医薬組成物は、好ましくは、通常の(0.9%)無菌の、発熱物質を含有しない生理食塩水等の水性溶液である。それよりは好ましくないが、代替的溶媒を使用することができ、又は担体を使用することができる。本発明は、薬学的に許容され得る適合性の賦形剤、緩衝液又は安定剤も含み得る。
【0054】
「有効量」の医薬組成物は、責任がある製造業者及び/又は開業医により決定され、典型的には、処置される疾患、対象患者の状態、送達部位、投与方法及び他の因子を考慮に入れる。有効量を決定する技術及びプロトコルの例は、Remington’s Pharmaceutical Sciences,17th ed.,Gennaro、A.R.(ed.),Mack Publishing Co.,Easton,PA 1985に見出すことができる。一般に、「有効量」の組成物は、疾病状態の正の変更を有意に誘導するのに十分な量として定義される。この用語はまた、その量が重大な副作用を避けるのに十分少量であることを暗示する。これらの量の決定は、典型的には、感覚的な医学的判断の範囲内にある。「有効量」は、処置される特定の状態、並びに処置される患者の年齢及び健康状態、状態の重篤さ、処置の持続時間、付随する治療法の性質、使用される薬学的に許容され得る特定の担体、並びに同様の因子に従って変動するであろう。本発明による医薬組成物は、ヒト及び獣医学的目的の両方に使用することができる。
【0055】
本発明の医薬組成物は、好ましくは非経口的に、最も好ましくは静脈内経路により投与されるが、代替的に筋内、皮下、皮内、くも膜下腔内及び硬膜外経路により投与されてもよい。例えば腫瘍局在的処置等の特定の目的のために、投与は経口、舌下、局所、経皮、眼科用、経耳、経鼻、直腸及び経膣経路等の非経口ではない経路を介したものであってもよい。
【0056】
本発明の様々な実施形態及び態様は、以前に描写した通り、以下の実施例にて実験的サポートが見出される。
【実施例】
【0057】
実施例1:親PUFA−タキソイドコンジュゲート、DHA−SBT−1214は、インビボでPX感受性及びPX耐性腫瘍の両方に対して有効である。
SCIDマウスにおけるPX耐性ヒト結腸癌異種移植片の成長に対するDHA−SBT−1214の効果。
SCIDマウスにs.c.インプラントしたパクリタキセル耐性、Pgp()DLD1ヒト結腸腫瘍異種移植片を使用した実験において、パクリタキセル及びTAXOPREXIN(登録商標)は完全に無効であった。著しく対照的に、DHA−SBT−1214は、5、8、及び11日目に投与された80mg/kg用量で、5匹のマウス中5匹においてDLD−1腫瘍の完全な退行をもたらした(腫瘍成長遅延>187日)(図3A)。
【0058】
SCIDマウスにおけるヒト膵癌異種移植片の成長に対するDHA−SBT−1214の効果。
この実験は、RPCI SCIDマウスにおいてヒトPANC−1膵臓腫瘍異種移植片を使用して、PX及びDHA−SBT−1214に関するq7dx3とq3dx3スケジュールを比較した。結果(図3B)は、両方のスケジュールがこのヒト膵臓腫瘍異種移植片において非常に有効であることを示した(腫瘍成長遅延>90日)。DHA−SBT−1214の最大耐量(maximum tolerated does)(MTD)は、240mg/kg総投与量(80mg/kg x3 inj=240mg/kg)であるように思われ、300mg/kg総用量で、1つの有毒死が生じた。DHA−SBT−1214を受容した全マウスは、完全な寛解を達成し、本質的に治癒された。対照的に、PXは、僅かにのみ有効であり、q7dx3スケジュールで18日の腫瘍成長遅延、及びq3dx3スケジュールで13日の腫瘍成長遅延を示し、完全な寛解は存在しなかった。
【0059】
SCIDマウスにおけるヒト膵臓腺癌異種移植片の成長に対するDHA−SBT−1214の効果。
この実験は、ヒトCFPAC−1膵管癌(ductal pancreatic adenocarcinoma)異種移植片を使用して、PX、DHA−パクリタキセル及びDHA−SBT−1214の効力を比較した。240mg/kg又は300mg/kg総用量のDHA−SBT−1214は非常に有効であり、各々、5中5、又は4中4の完全な退行及び治癒をもたらした(図3C)。PX及びDHA−パクリタキセルは遥かに有効性が低く、ビヒクルと比較してマイナーな腫瘍成長遅延のみを有した。SBT−1214(120mg/kg総用量)は、PXに勝る結果を示し、6匹のマウス中6匹で腫瘍退行が存在したが、6匹のうち1匹のみが治癒し、薬物はDHA−SBT−1214よりも有毒であるように思われた。SBT−1214処理マウスは、20日目までにマイナーな体重低下(<4%)のみを示したが、240mg/kg又は300mg/kg総用量のいずれでも、DHA−SBT−1214−処理マウスでは体重低下は無視できるものであった。
【0060】
SCIDマウスにおけるヒト非小細胞肺癌異種移植片の成長に対するDHA−SBT−1214の効果。
この実験は、非常に高悪性度のH460ヒト非小細胞肺腫瘍異種移植片に対するDHA−SBT−1214、PX、DHA−パクリタキセル及びSBT−1214を比較した。MTD(75mg/kg総用量)のPX及びMTD(240mg/kg総用量)のDHA−パクリタキセルで、各々8及び3日目に、マイナーな腫瘍成長遅延のみが見られた。対照的に、DHA−SBT−1214及びSBT−1214は、ほぼMTD(各々、240mg/kg及び120mg/kg総用量)で、55及び34日の腫瘍成長遅延をもたらした。DHA−SBT−1214は、SBT−1214よりも明らかに良好に許容された。
【0061】
この実施例の結果は、DHA−SBT−1214、NE−DHA−SBT−1215の親が、多様な標的細胞におけるMDRの克服に有効であることを示す。これらの結果は、本発明によるNE−DHA−SBT−1214製剤が、処方されていない親化合物よりも可溶性かつ毒性の低い製剤において、DHA−SBT−1214のものと少なくとも等価な抗腫瘍効果を生じることを示す。
【0062】
実施例2:親タキソイドSBT−1214は、癌幹細胞の幹細胞特性を低減する。
前立腺癌の患者由来癌幹細胞株、PPT2を用いて実験を行った(Botchkina 2013,Rowehl 2014)。細胞株PPT2を患者由来前立腺癌腫瘍から生成した。これらの小細胞含有ホロクローンのサブクローニングにより、高いレベルのCD133、CD44、CD44v6、EpCAM、CD49f及びCD166を発現している細胞の劇的な富化がもたらされた。PPT2細胞株を、NOD/SCIDマウス腫瘍異種移植片、浮遊3Dスフェロイド及びタイプIコラーゲン接着培養物として連続的に増殖させた。ATCC報告(ID番号002872)によれば、PPT2細胞は、いずれの既知の樹立細胞株によっても汚染されていない独特のヒト細胞であった。CSC富化培養物の表現型は、CSCの二重性(即ち、自己複製の能力と、前駆細胞を生成する能力)に起因して動的であったが、PPT2細胞は、MACS−CD133細胞選別及び血清フリー培地中のタイプIコラーゲン被覆表面上での培養から8週間後まででさえも、比較的安定な表現型を維持した。実質的に、PPT2細胞の全集団が未分化のままであり(3〜5%のみが、分化細胞のマーカー、パンケラチンを発現している)、EpCAM、CD49f及びCD44の標準的なアイソフォームに関して陽性であった(98〜99%)。72%までが、バリアントアイソフォーム、CD44v6を発現した。>27継代後、約90%のPPT2細胞が尚、中程度〜高レベルのCD133を発現し、3D培養物中で非常に高いスフェア形成能力を有していた。圧倒的多数のCD133PPT2細胞は、高い細胞質レベルの、神経及び胚幹細胞に特徴的なビメンチン及びネスチンを発現した。PPT2細胞の核及び細胞質部分の両方は、c−Mycを発現したが、他の多能性マーカー(Oct−4及びSox−2)は、核部分中のみで検出された。重要なことには、PPT2細胞はアポトーシス促進/腫瘍抑制タンパク質、p53及びp21に関して陰性であり、標準的な抗癌剤に対して極度に耐性であった。
【0063】
幹細胞性遺伝子発現における可能な薬物誘導変化を特徴付けるために、SBT−1214及びCMC 2.24、化学修飾クルクミンの組み合わせによる処置の前後にCD133PPT2細胞を分析した。発現における1.5倍以上の変化のフィルタリング基準を用いたPCRアレイアッセイ(PAHS 501;SABiosciences)を用いて、分析した84の幹細胞関連の転写因子(TF)の約50%が、分化したPrC細胞と比較して、CD133内で上方調節されることが見出された。その中に含まれるのは、CDX2、DLX2、DNMT3B、EGR、FOXP3、GLI2、HOXファミリーTF、IRX4、JUN、KLF2、NFATC1、NR2F2、PCNA、PITX3、POU4F1、SIX2、SOX2、SOX9、TERT、WT1及びその他であった。SB−1214(1μM)及びCMC2.24による24時間の単回処理は、これらの過剰発現遺伝子の有意な下方調節を誘導した。ウェスタンブロット分析は、SBT−1214がCD133及びバルクPPT2細胞の両方の核抽出物中のc−Myc及びSox2の中程度の下方調節を誘導することを示した。重要なことには、CD133及びバルクPPT2細胞の両方の核部分は、アポトーシスの2つの腫瘍抑制因子/調節因子、p53及びp21を発現せず、このことは抗癌剤に対するそれらの極度の耐性を部分的に説明することができる。SBT−1214は、p21及びp53の発現を誘導した。薬物を用いた前処理により誘導されるそのような「遺伝子の目覚め」は、第2の処理に対するこれらの高い薬物耐性の細胞の更なる感受性を劇的に増大させ、CSC富化細胞の実質的に完全な死をもたらした。
【0064】
別の例では、3つの浸潤性結腸癌細胞株、HCT116、HT29及びDLD−1から結腸癌細胞の幹細胞富化集団を選択した。この集団を3D多細胞スフェロイドとして成長させた。SBT−1214は、スフェロイドの3つの全タイプにおいて細胞毒性を効果的に誘導することが見出された(図5A)。更に、SBT−1214処理は、3つの全腫瘍細胞タイプのスフェロイドにおいて、以下の幹細胞性関連遺伝子を下方調節した。
【0065】
HCT116:SOX1、RPL13A、BMP1、BMP3、NEUROG2、GJB1、GJA1、ASCL2、CTNNA1、GDF2、ALPI、S100B、CD8B1、ACTB、CCND1、FGF1、PARD6A、DVL1、GDF3、ISL1、CD3D、MME、FGFR1、RB1、AIN1、ALDH1A1、CD8A、PPARD、FZD1、NUMB及びABCG2;
【0066】
HT29:ACAN、ALPI、BMP3、CD3D、CD4、CD8A、CD8B、CDH2、COL2A1、COL9A1、DHH、DLL1、DLL3、DTX1、FGF1、FGF3、FZD1、GDF2、IGF1、MME、MYOD、NCAM1、NEUROG2、S100B、SOX2及びTERT;
【0067】
DLD−1:CD4、CDH2、COL1A1、DLL1、DTX1、IGF1、FGF3、FZD1、JAG1、KRT15、MSX1、NCAM1及びNOTCH1(Botchkina,et al.,2010)。
【0068】
これらの例示的な研究の結果により、SBT−1214はCSCにおける幹細胞特性を低減し、それらを効果的に排除することが示される。SBT−1214は、NE−DHA−SBT−1214として処方された際、幹細胞性遺伝子発現の同様の抑制を生じるが、親化合物と比較して溶解性が高く、より毒性の低い効果を有することを予測することができる。
【0069】
実施例3:NE−DHA−SBT−1214の製剤の調製。
本発明のNEは、水中のω−3−6&−9多不飽和脂肪酸(PUFA)に富んだ油の分散により形成され、両親媒性リン脂質単層で安定化された単純なコロイド状担体である。これらのNEの組成物、及びそれらの作製方法の詳細な説明は、Amiji,et alへの米国特許出願公開第20070148194号明細書(2007)に見出され、ω−3 PUFAに富んだ油から構成されたNEは、SKOV3細胞内でPX蓄積を向上させることが見出されている。
【0070】
手短に言えば、NE−DHA−SBT−1214を処方するために、水中油NE製剤を高エネルギー微小溶液操作法により調製する。最初に、卵ホスファチジルコリン及びペグ化剤(PEG2000DSPE)を脱イオン水に溶解することにより水性相を調製する。次いで、DHA−SBT−1214をPUFAに富んだ油に加えて油/脂質相を得る。混合物をMICROFLUIDIZER(登録商標)プロセッサーM−110EHにより低圧で5サイクル、プレホモジナイズして、粗いエマルションを形成し、更に5サイクルの高圧ホモジナイゼーションにより小滴サイズ<200nmのNEを形成する。SBT−1214に対するDHAの以前の結合は、ナノエマルションへのDHA−SBT−1214の組み込みを促進する。
【0071】
油は、少なくとも2%(w/w)の少なくとも1つのPUFAを含むことが好ましい。松の実油又は亜麻仁油を含むNEは、各々、40%又は47%のω−3 PUFAを有し、好ましい形態のものであり、マウスにて評価されて、タキソイド製剤の有効性を向上されることが示されている(41)。NE製剤に好ましい他の油には、非限定的に、ベニバナ、サクラソウ、クロフサスグリ、ルリジサ、コムギ胚芽、チア、大麻、エゴマ、ブドウ、スクアレン及び真菌油、並びにω−3に富んだ魚油が挙げられる。
【0072】
タキソイド化合物の封入に有効であることが見出されている例示的な製剤(Ganta,et al.,2010)は、以下のようにSBT−1214に関して適合させることができる:クロロホルム中のSBT−1214(例えば、10mg)をガラスバイアル内の1.0gの超純粋等級のω−3脂肪酸に富んだ亜麻仁油(Jedwards International,Quincy,MA)に加える。窒素ガス流を吹き込むことによりクロロホルムを蒸発させる。120mgの卵黄レシチン(Lipoid E80(登録商標)、Lipoid GMBH,Ludwigshafen,Germany)及び40mgのデオキシコール酸(Acros Organics,Parsipanny,NJ)を4mLの脱イオン蒸留水に加え、SILVERSON(登録商標)ホモジナイザーを使用して5000rpmで30分間撹拌して完全に溶解することにより、水性相を調製する。油相及び水性相を別々に70〜75℃に2分間加熱する。水性相を油相に徐々に加えた後、混合物をVIBRA−CELL(登録商標)VC 505超音波機器(Sonics and Materials,Newtown,CT)を使用して21%振幅及び50%デューティーサイクルで10分間超音波処理して、安定なナノエマルションを得る。ナノエマルション中の油小滴の粒子サイズを、動的光散乱法により、Brookhaven Instrumentの90Plus粒子サイズアナライザー(Holtsville,NY)を使用して、90°の固定角及び25℃の温度で測定する。分析前に全てのサンプルを脱イオン蒸留水中で希釈し、平均油小滴流体力学直径を測定する。サンプル中の粒子サイズの分布の尺度である多分散指数(PDI)も決定する。加えて、Brookhaven InstrumentのZetaPALS方法を用いて、油小滴の電気泳動可動性に基づいて、油小滴表面電荷(ゼータ電位)値を決定する。
【0073】
次に、NE−DHA−SBT−1214の特定の製剤を、サイズ、電荷及び形態に関して特徴付けて、その安定性、機能性及び能力を決定する。NE−DHA−SBT−1214製剤における封入効率(加えた量の関数としての、油相中に保持された薬物の百分率)の決定は、周知の遠心分離フィルター装置を使用した限外濾過法により決定される。薬物ペイロードの濃度は、ICP−MS又はLC−MSにより決定される。これらの測定値のいずれかが、所望のパラメーターから有意に逸脱することが見出された場合、油/脂質混合物を簡単な実験によって最適化し得る。
【0074】
実施例4
材料及び方法
新世代タキソイド、DHA−SBT−1214を、ストーニーブルック大学(Stony Brook University)(Stony Brook,NY)のDr.Ojimaの研究室又はChemMaster International、Inc.(Stony Brook,NY)により合成した。超純粋のω−3に富んだ魚油をJedwards International(Quincy,MA)から、Lipoid E80をLipoid GMBH(Ludwigshafen,Germany)から、DSPE PEG2000をAvanti Polar Lipids,Inc.(Alabaster,AL)から、ツイーン80をSigma Chemicals,Inc.(St.Louis,MO)から、CellTiter 96 AQueous one溶液細胞増殖アッセイキット(G3580)をPromega(Madison,WI)から、間葉幹細胞成長培地(MSCGM)をLonza(Portsmouth,NH)から、LAL発色性内毒素定量化キットをThermo Scientific(Rockford,IL)から、顕微鏡スライド(単一孔、凹所)をAmscope(Irvine,CA)から、コラゲナーゼタイプII及びタイプIVをSigma−Aldrichから、Rhodamine 123をSigma Aldrich(St.Louis,MO)から、抗ヒトCD133/2−APC抗体(クローン293C3)をMiltenyi Biotec,CA,USAから;CD166−PE抗体(クローン105902)をR&D Systems,MN,USAから;CD44−FITC抗体(クローンF10−44−2)又はCD44−PE抗体(クローンF10−44−2)を;Invitrogen/Biosources,USAから;CD44v6−FITC抗体(クローン2F10)を;R&D Systems,USAから、EpCAM−FITC抗体をBiosource,CA,USAから、パンケラチン(C11)抗体−ALEXAFLUOR(登録商標)488をCell Signalingから購入し、全てのアイソタイプ対照抗体をChemiconから購入した。ペニシリン、ストレプトマイシン及びTrypLEをInvitrogen(Grand Island,NY,USA)から得た。全ての他の試薬は、Fisher Scientificを介して購入した。
【0075】
ナノエマルション製剤の調製及び特徴付け
ナノエマルション製剤の調製は、最近報告されたようにして、また幾分かの修正を加えて行った。超音波処理法の代わりに、水中油ナノエマルションは以下のように微小溶液法により調製した。手短に言えば、魚油のみからなる(プラセボの場合)又はDHA−SBT−1214を有する予熱した油相(10ml)を、卵ホスファチジルコリン(Lipoid E80(登録商標))(1200mg)、ポリソルベート80(ツイーン80(登録商標))(0.5ml)、DSPE−PEG2000(1,2−ジステアロイル−Sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン−N−[アミノ(ポリエチレングリコール)−2000])(75mg)を含む予熱した水相(40ml)に徐々に加えた。得られた混合物をホモジナイズし、油−水縣濁液をM−110EH−30高せん断流体プロセッサーのジルコニアプランジャーに10,000psiで4サイクル通過させて、均一なナノエマルション製剤を達成した。
【0076】
水中油ナノエマルション製剤を研究室内で、確立されたプロトコルにより特徴付けた。要約すると、水希釈ナノエマルションの粒子サイズ及び表面電荷を、Brookhaven Instrumentの90Plus ZetaPALS粒子サイズアナライザー(Holtsville,NY)を使用することにより測定し、ナノエマルション製剤中の油小滴の形態を透過型電子顕微鏡法(TEM)で可視化した。薬物負荷、封入効率及び安定性を、HPLCを使用して以前記載したように評価した。要するに、薬物負荷の場合、ナノエマルションを有機物(アセトニトリル)で十分に希釈し、20μLアリコートをHPLC内に注入した。封入効率の場合、遠心分離フィルター装置(分子量カットオフ3,000ダルトン;Millipore,Bedford,MA)を使用した限外濾過法を用いた。ナノエマルションの全バッチを、インビボ及びインビトロ研究の両方に適用する前に、Limulus Amebocyte溶解物(LAL)アッセイにより製造業者の指示に従って内毒素レベルに関して試験した。
【0077】
腫瘍開始細胞の細胞培養、単離、精製及び特徴付け
ヒト前立腺癌幹細胞(PPT2)、前立腺腺癌CSC富化細胞株をステージpT2c pNX pMX前立腺癌患者から最近樹立した。手短に言えば、PPT2細胞をラットコラーゲンタイプ1被覆組織培養皿上で単層として培養し、浮遊3Dスフェロイド培養物を誘導するために、これらの細胞を超低接着(ULA)プレート又はフラスコ(Corning)上に5% CO2雰囲気下で37℃で播種した。CSCの信頼できる富化を確実にし及び調整するために、異なる蛍光染料をコンジュゲート化した数個のマーカーで細胞を標識した。これらの染色細胞を選別し、多パラメーターフローサイトメーターBD FACSAria(Becton Dickinson,CA)で分析し、又は分離した細胞を遠心分離し、強磁性粒を直接若しくは間接的にコンジュゲート化したCD133 Abs(Miltenyi Biotec,CA)で、製造業者の推奨の通り標識した。単離細胞を、非接着培養条件下で、円形コロニー(ホロクローン)及び3Dスフェロイドを誘導するそれらの能力に関して機能的に試験した。1次マウス腫瘍の細胞培養のために、腫瘍組織を機械的及び酵素的に脱凝集させて無菌状態で単一の細胞縣濁液とし、ハンクのバランス塩溶液で濯ぎ、200単位/mlコラゲナーゼタイプII及びタイプIV、120μg/mlペニシリン及び100μg/mlストレプトマイシンを含む血清フリーRPMI培地1640中で37℃で1.5時間インキュベートした。細胞をピペット操作及び細胞分離篩(サイズ40及び80メッシュ;Sigma−Aldrich)を通した連続濾過により更に脱凝集させた。1次細胞縣濁液を単層として及びスフェロイドの両方で成長させた。
【0078】
細胞取込み研究
これらの研究を行って、単層及びスフェロイド培養PPT2細胞の両方へのローダミン封入ナノエマルション製剤の取込みを評価及び比較した。蛍光共焦点顕微鏡法研究を行って、ナノ粒子の定性的細胞内部移行を以前に記載したように評価した。手短に言えば、細胞を単層として及びスフェロイドの両方で培養した。単層及び最適直径のスフェロイドで細胞の獲得したコンフルエンシーを得た後、これらを異なる濃度の染料封入ナノエマルションと共に8時間インキュベートした。細胞及びスフェロイドを冷リン酸緩衝生理食塩水(PBS)で洗浄し、4%パラホルムアルデヒドで20分間固定化し、冷PBSで洗浄し、単層細胞培養物の場合、DAPIと共に通常の清浄なスライドガラス上に載せ、スフェロイドの形状を無傷で保つために単一孔の凹所を有する顕微鏡スライド上に載せた。LSM 700(登録商標)共焦点顕微鏡(Carl Zeiss,Gottingen,Germany)によって63x倍率でデジタル画像を捕捉し、NIH Image−Jソフトウエアを使用して分析した。蛍光検出及び画像の分析に関する全設定パラメーターを一定に保って、比較のためのサンプル画像化の一貫性を可能とした。
【0079】
細胞生存率分析
異なる濃度のDHA−SBT−1214を含む水性薬物溶液及びナノエマルション製剤の両方を用いて、細胞生存率研究を行った。これを目的として、PPT2細胞を10000細胞/ウェルの密度でコラーゲン被覆96−ウェルプレート内に播種した。24時間後、異なる濃度のDHA−SBT−1214を、各々の対照と共に、水性溶液中又はナノエマルション製剤中の単層細胞に加えた。培地及びDMSOのみ(いずれの薬物も有さない)で処理した細胞を、負の対照として使用した。各試験条件につき8つの複製を作製した。48時間のインキュベーション期間後、CellTiterアッセイにより製造業者の指示に従って細胞生存率を決定した。BioTek−HT UV−Vis/蛍光マイクロプレートリーダーを使用して、プレートの吸光度を波長570nmで読み取った。対照(培地のみ)細胞の吸光度と比較した薬物処理細胞の吸光度に基づいて、100を乗算してパーセント細胞生存率を計算した。溶液又はナノエマルション製剤のいずれか中のDHA−SBT−1214により生じた細胞生存率の50%阻害(IC50)を、Graph Pad Prismを使用して計算した。
【0080】
マウス腫瘍異種移植
動物使用を含む全実験は、アメリカ国立衛生研究所(National Institutes of Health)の動物実験の管理と使用に関する指針(Guide for the Care and Use of Laboratory Animals)の推奨に厳格に従って、以前記載したようにストーニーブルック大学の動物実験委員会(Institutional Animal Care and Use Committee)(IACUC)により承認された研究プロトコルにより行った。手短に言えば、十分な増殖後、高いレベルのCD133、CD44、CD44v6、CD166及びEpCAMを発現しているクローン原性細胞を1:1 MSCGM/マトリゲル中に再懸濁し、6週齢NOD/SCIDマウスの側腹部に注入した(マウス当たり100万細胞まで;皮下に)。腫瘍発達を毎週監視した。1次腫瘍サイズを毎週、ノギスにより測定し、式0.5ab(bは、2つの直交直径のうち短い方)を使用しておよその腫瘍重量を決定した。
【0081】
NE−DHA−SBT−1214及びABRAXANE(登録商標)のインビボ効力と、1次腫瘍細胞のエクスビボ特徴付け
NE−DHA−SBT−1214(1、3、10、25、30、40、50及び70mg/kg)及びABRAXANE(登録商標)(タンパク質結合パクリタキセル、Celgene)(及び30及び40mg/kg)を;触知可能な腫瘍異種移植片を有するNOD/SCIDマウスに3週間、毎週静脈内投与した。処置は、PPT2細胞の移植から1週間後、腫瘍異種移植片がおよそ50〜150mmに達した際に開始した。NOD/SCIDマウスにおける全身毒性を注意深く監視し、標準的な基準(運動活性、病的状態、食欲、姿勢及び外観)により評価し、マウスが瀕死であり、又は大きすぎる若しくは潰瘍化腫瘍を有した後に、人道的に安楽死させた。最終処置後、腫瘍発達を更に4週間監視した。全マウスは4週間の経過観察後に終了した。いくつかの対照又は処置後残留腫瘍を回収し、エクスビボクローン原性及びスフェア形成能力及び他のアッセイのために病理組織学的に分析した。処置後の特徴付けのために、マウス腫瘍異種移植片を回収し、機械的及び酵素的に脱凝集させて単一の細胞縣濁液とした。これらの1次細胞が円形コロニー(ホロクローン)及びスフェア形成を誘導する能力を、対照(非処置)及び薬物処置マウスの両方に関して決定した。ホロクローンの場合、細胞を計数し、300細胞/ウェルの最終総数で48−ウェルプレート上に蒔き、スフェア形成の場合、細胞を1:4マトリゲル/MSGM中に再懸濁し、既知の細胞数をULAプレート上に蒔いた。開始から1週間後、プレートを各々、コロニー成長及び浮遊スフェア成長に関して検査した。各ウェル内のコロニー及び浮遊スフェアを位相差顕微鏡法により観察した。処置した腫瘍異種移植片内の両方の非処置からいくつかの細胞を、細胞マーカーの発現における薬物誘導変化の、FACS及びアレイを用いた分析に使用した。
【0082】
統計的データ分析
薬物処置に対するインビボ応答を、薬物処置、対、非処置対照異種移植片の腫瘍体積の変化として評価した。データは、対照及び薬物処置腫瘍に関する平均±SDとして表した。スチューデントのt検定を使用してGraph Pad Prism(登録商標)ソフトウエア(GraphPad Software,La Jolla,CA,USA)を用いて統計的有意差を決定した。使用したパラーターは、2テール分布及び対応のある検定(paired test)であった。P<0.05は、統計的に有意であると見なされた。
【0083】
結果
DHA−SBT−1214ナノエマルション製剤の特徴付け
ナノエマルションは、水中油又は油中水の順として作製され得る液体の不均一分散物であり、粒子サイズは100〜150nmスケール上にある。ナノエマルション製剤は、インビトロ及びインビボの両方でのそれらの効果的な治療能力に起因して、疎水性薬物送達用の最も一般的に使用されている担体である。多数の抗癌剤封入ナノエマルションは、腫瘍部位へのそれらの標的特異的全身送達に起因して、高い有効性が示されている。この送達手法はまた、本発明者らの以前の研究において高い治療可能性が示されている。
【0084】
この現在の研究では、本出願人らは、ω−3及びω−6脂肪酸等のPUFAに富み、有意な量の親油性抗癌剤を可溶化する能力を有する魚油を使用した水中油ナノエマルションを開発した。ナノエマルション製剤を前立腺癌に対する独立した治療法としてのDHA−SBT−1214、第2世代タキソイドの封入に使用した。本出願人らは微小溶液技術を用いて均一な乳白色エマルション製剤を得た。全てのナノエマルションは、透過型電子顕微鏡法(TEM)で観察して、構造が球状に近く、サイズ範囲は100〜220nmであった(図6A〜6C)。TEM画像では、NE−プラセボ及びNE−DHA−SBT−1214の両方が60000x倍率で撮影されたが、Abraxaneは40000x倍率で撮影された。ナノエマルションサンプルの油小滴は球状であり、それらのサイズは100〜220nmの範囲内であった。スケールバーは、100nmの距離を表す。粒子サイズ、多分散指数(PDI)、及びゼータ電位(表面電荷)を、プラセボ、DHA−SBT−1214負荷ナノエマルション製剤及びABRAXANE(登録商標)に関して決定した。全ての製剤は微小溶液技術を用いて作製し、0.2マイクロメートルフィルターを通して濾過し、小さいサイズ(<230nm)及びABRAXANE(登録商標)を除いて狭いPDI(<0.3)を有した。ABRAXANE(登録商標)は0.361のPDIを有し、負に帯電していた。表1は、本研究に使用した全製剤の平均粒子サイズ、PDI及びゼータ電位を示す。
【0085】
【表1】
【0086】
DHA−SBT−1214ナノエマルション製剤のサイズ及びゼータ電位の代表的なグラフを、各々図7B及び7Cに示す。ブランクナノエマルション(いずれも薬物も有さない)の平均粒子サイズは、225±7nmであった。ナノエマルションへのDHA−SBT−1214の組み込みは、流体力学粒子サイズ及びサイズを有意に変化させず、およそ228±7nmのままであった。ABRAXANE(登録商標)は、両方のナノエマルション製剤と比較して小さい粒子サイズを示した。ナノエマルション中の油小滴の平均表面電荷は、−20.2〜−27.0mVの範囲内であった。全ての製剤の表面電荷は、油小滴中への薬物の最大封入を用いても有意に異ならなかった。HPLCアッセイを用いてナノエマルション製剤中の薬物濃度を決定した。20mg/mlのDHA−SBT−1214ナノエマルションは、97%の薬物負荷を有した。このナノエマルションの高い薬物封入効率は、これらの薬物がナノエマルションの油コア内に保持されたため、薬物の相対的な親油性によるものであった。加えて、全ての製剤は、貯蔵中にそれらの粒子サイズ及び表面電荷を保持し、薬物封入ナノエマルション製剤は、4℃での貯蔵により少なくとも6カ月間まで化学的に安定であった。全ての製剤は、貯蔵期間中にLimulus Amebocyte溶解物(LAL)アッセイにより確認して、最小レベルの内毒素を有した。
【0087】
PPT2 CSCにおけるNE DHA−SBT−1214のインビトロ評価
ナノエマルションがPPT2細胞の単層内及びスフェロイド内に内部移行されたか否かを調べるために、ローダミンをナノエマルション中に封入し、共焦点顕微鏡法研究を行った。異なる濃度の染料製剤と共に8時間インキュベートした後、図8A及び8Bに示すように、ローダミン封入ナノエマルション製剤の細胞及びスフェロイドへの最適な取込みを観察した。蛍光顕微鏡法画像は、青色(核)、赤色(ローダミン封入ナノエマルション)及び紫色のオーバーレイ画像を示す。画像は、63x倍率で撮影された。スケールバーは、100μmである。図8A及び8Bの画像は、ナノエマルションが封入染料を細胞内に効率的に送達し、より高い濃度のローダミンナノエマルションで処理された細胞及びスフェロイドにおける増大された蛍光シグナルが、PPT2細胞及びスフェロイドによるより高い細胞内取込みを示すことを明白に示す。ナノエマルション製剤の内部移行は、細胞取込み実験により確認されたため、ローダミンをナノエマルション製剤中でDHA−SBT−1214と置き換え、細胞生存率に対するその効果を薬物溶液と比較した。水性溶液中及びナノエマルション製剤中のDHA−SBT−1214の細胞殺滅効率を、CellTiterアッセイを用いてPPT2細胞単層内で調べた。これらの研究に選択されたDHA−SBT−1214の最終濃度は、SBT−1214の研究に基づいて1、10、100及び1000nMであった。PPT2細胞内の単一薬剤としてのDHA−SBT−1214に対する用量応答研究を、表2にまとめ、図9Aに示す。
【0088】
【表2】
【0089】
結果は、37℃で薬物に48時間暴露した後の処理の関数としての、残留生細胞のパーセントとして示す。DHA−SBT−1214が10及び100nM濃度で投与された場合、水性溶液製剤と比較して、ナノエマルションでより高い細胞毒性が観察された。PPT2細胞に関するDHA−SBT−1214溶液のIC50は48nMであったが、同じ細胞に関するDHA−SBT−1214ナノエマルション製剤によるIC50は、4nMであった。このことは、同様のIC50を達成するためには、その対応物の薬物ナノエマルション製剤と比較して、PPT2細胞は少なくとも約12倍高い濃度のDHA−SBT−1214溶液が必要であることを明らかにし、薬物溶液を超えるナノエマルション製剤の優れた効力を示した。
【0090】
DHA−SBT−1214ナノエマルションがPPT2細胞スフェロイドも殺滅することを確認するために、等しい数のスフェロイドを0.01〜10μMの範囲の異なる濃度のDHA−SBT−1214ナノエマルションで処理し、特定の時間後、それらの表現型を明視野顕微鏡で観察した。図9B〜9Gは、非処理サンプルにおける明るい健康なスフェロイドを示し、これは濃度の増大と共に暗茶色となり、薬物封入ナノエマルションの増大による細胞死の増大を示す。
【0091】
PPT2細胞株及びCSCベースのインビボ異種移植片モデル
圧倒的多数の最近樹立したPPT2細胞は未分化のままであり(3〜5%のみが分化細胞のマーカーであるパンケラチンを発現する)、CD133、CD44、CD44v6、CD166、CD49f及びEpCAM等の多くの共通の細胞表面マーカーの高いレベルの発現を含む、多くの幹細胞の特徴を有する。加えて、PPT2細胞は、中でもc−Myc、Oct−4及びSox−2を含む多能性のいくつかのマーカーを発現する。圧倒的多数のCD133PPT2細胞は、神経及び胚幹細胞の特徴である高い細胞質レベルのビメンチン及びネスチンを発現した。CD133及びCD44の最高の発現を有するPPT2細胞の総集団の約10%は、最高レベルのCXCR4を共発現し、CXCR4は数種の癌タイプにおける転移性活性に関連したケモカイン受容体である。重要なことには、PPT2細胞は、アポトーシス促進/腫瘍抑制タンパク質、p53及びp21に関して陰性であり、標準的な抗癌剤に極度に耐性である。PPT2細胞は、非常に高いクローン原性(ホロクローン)、スフェア形成及び腫瘍原生能力を安定的に有する。加えて、これらの細胞は、薬物処理に極度に耐性である。上記の全ては、抗癌剤候補のCSC標的化効力の評価のためのPPT2細胞株の利用に関する確かな根拠を表す。数千のPPT2細胞がNOD/SCIDマウス内で腫瘍を一様に誘導した場合でも、本出願人らは、比較的多数の細胞(マウス当たり100万細胞まで)の皮下移植が、異常に高い割合の幹様細胞を有する腫瘍異種移植片を誘導することを見出した。このように、移植された細胞がCD133細胞を98%まで及びCD44細胞を84%まで(図10A及び10B)含んでいた場合、マウス腫瘍異種移植片から調製した1次細胞縣濁液は、CD133細胞を91%まで及びCD44細胞を78%まで(図10C及び10D)含んでいた。これらの特徴の全ては、PPT2のインビボ及びインビトロモデルがNE−DHA−SBT−1214のCSC標的化活性の試験に好適であることを示す。
【0092】
NOD/SCIDマウスにおけるPPT2腫瘍の成長阻害
全ての動物手順は、動物実験委員会(IACUC)のガイドライン及び承認の下で行った。PPT2細胞の移植後、NOD/SCIDマウスを特定の数のグループに分割し、NE−DHA−SBT−1214(25、30、40、50及び70mg/kg)、ABRAXANE(登録商標)[25及び40mg/kg;ABRAXANE(登録商標)は、Cremophor(登録商標)ELフリーナノ粒子アルブミン結合パクリタキセルである)、及びビヒクル(非処置対照)の静脈内注射により毎週処置した。各用量グループは、4匹のマウス(n=4;25mg/kgのNE−DHA−SBT−1214で処置したグループは、n=6を有した)を含んでいた。処置は、腫瘍細胞の移植から1週間後、腫瘍異種移植片が触知可能となった際に開始した(腫瘍は、通常、50〜150mmに達した)。腫瘍発達を毎週監視した。3組の毎週注射の後、腫瘍成長を更に4週間監視した。全ての測定値及び形態を図11A〜11Fに示す。ABRAXANE(登録商標)(図11B、11C)とは対照的に、比較的低い濃度のNE−DHA−SBT−1214でも、未処置の腫瘍異種移植片(図11A)と比較して腫瘍成長の劇的な抑制を誘導し(図11D、11E、11F)、また初期腫瘍サイズと比較して腫瘍体積の用量依存的低下(図11H)を誘導することが見出された。このように、NE−DHA−SBT−1214の全ての試験濃度が腫瘍縮小を誘導した(最低用量(25mg/kg)のNE−DHA−SBT−1214で処置した6匹のマウスのうちの1匹を除いて)。処置後の残留腫瘍の全ては、可視の血管新生を有することなく実質的に透明であった。最大腫瘍退行は、経過観察の4週目までに観察された。特に、25mg/kgは平均45%縮小を誘導し、30mg/kgは62%、40mg/kgは74%及び50mg/kgは88%(図12A)の腫瘍体積の低下を誘導した。注目すべきは、より高い用量のNE−DHA−SBT−1214(70mg/kg)(図12A)は、腫瘍低下を増大させなかった。NE−DHA−SBT−1214とは対照的に、最適用量のABRAXANE(登録商標)(25mg/kg)及び40mg/kgでさえも、PPT2−誘導腫瘍成長の僅かな抑制のみを約4週間もたらし、次いで非処置マウス異種移植片と同様の速度で成長が継続した(図11H)。異なる濃度のNE−DHA−SBT−1214で処置した全マウスの腫瘍成長阻害及び腫瘍縮小は劇的であったが、全てのマウスが処置の3週目までに17%まで体重が低下した(図11G及び図12B)。しかしながら、経過観察の2週目から、全てのマウスは体重の増加を開始した。Abraxaneを用いた処置により有意な体重変化は誘導されなかった。最終処置から4週間後、異なる実験グループの残留腫瘍を回収し、病理組織学的、ゲノム及び機能的分析に供した。非処置対照腫瘍は、IRB要件に従って、最大直径がおよそ2cmに達した後に除去した。
【0093】
組織の病理組織学的分析
非処置及びNE−DHA−SBT−1214処置NOD/SCIDマウスからのヘマトキシリン及びエオシン染色腫瘍異種移植片組織切片と、肝臓、腎臓、腸及び膵臓を含む数個の主要な器官の組織切片とを分析した。対照の非処置腫瘍組織切片は、高い程度の核異型を有する、分化が乏しいヒト腺癌の古典的な組織学的特徴を示す(図13A)。NE−DHA−SBT−1214(30mg/kg)処置腫瘍組織は、有意な細胞異常、著しいヒアルリゼーション、空胞形成及び広範な壊死を示した(図13B〜13D)。肝臓(図13E)、腎臓(図13I)、腸(図13G)、膵臓(図13K)等の組織学的に評価した主要な器官の中でも、NE−DHA−SBT−1214処置マウス(40mg/kg)からの肝臓組織のみが、肝細胞の反応性核変化を示し、ある損傷が示唆された(図13F)。他の器官は、いずれの診断的異常も示さなかった(図13H、13J及び13L)。
【0094】
腫瘍細胞のクローン原性及びスフェア形成能力における処置後の変化
NE−DHA−SBT−1214を用いた処置が、CSC富化マウス腫瘍異種移植片細胞のクローン原性の可能性、即ち、浮遊スフェロイド又は接着円形コロニー(ホロクローン)を誘導するそれらの能力に影響を与えるか否かを試験するために、対照及びNE−DHA−SBT−1214処置残留腫瘍(エクスビボ細胞培養物)からの総細胞縣濁液を、タイプIコラーゲン被覆皿及びULAプレート上に播種した。非処置(ビヒクル処置)PPT2−誘導腫瘍異種移植片は密に血管形成され(図14A及び14B)、NE−DHA−SBT−1214処置残留腫瘍は非常に小さく、透明であり、可視の毛細血管を欠き(図15A及び15B)、接着ホロクローンを生成せず、3D培養物において単一スフェロイドの孤発性の外観のみ存在した。これらの1次腫瘍細胞は、1次腫瘍細胞懸濁液から成長した非処置スフェロイド(図16)及びNE−DHA−SBT−1214処置スフェロイド(図17)のパーセント生細胞データで示されるように、次の数日で培養物中で著しい細胞死を受けた。生存細胞のパーセントは、4分割の左下に示され、死細胞は4分割の右下に示される。
【0095】
考察
腫瘍開始細胞、又はCSCは、従来の治療的戦略に高い耐性を有するのみでなく、それらの自己複製における薬物誘導代償性増大に起因して、癌進行を実際に促進し得ることは広く記述されている。このことは、CSCを標的化する効果的な治療介入の必要性を強調する。研究は患者由来のCSC富化PPT2細胞株に対して行われ、当該細胞株の幹細胞特性は、以前に記載され、研究室内で常に維持された。Hedgehog、EGFR、Wnt/β−カテニン及びNotchなどのPPT2細胞における数個の発生カスケードの、観察された過剰活性化は、前立腺幹細胞調節及び前立腺癌のアンドロゲン非依存及び転移への進行に関連付けられた。前立腺転移におけるSOX2及びOCT3/4の関与は、これらの遺伝子の標的化ノックダウンにより示され、これはインビトロで前立腺癌細胞の浸潤を顕著に抑制した。ビメンチン及びネスチンの両方は、アンドロゲン依存から去勢抵抗性の転移性前立腺癌への移行に関連していた。従って、最も高悪性度の腫瘍タイプ又は細胞株からのCSCを標的化する薬物を開発することが有益であり、これは、そのような薬物が、より広い範囲の作用機構を有し、従って、より広い抗癌的意義を有する可能性があり得るためである。増大する証拠により、抗癌剤が、それらのバルク腫瘍対応物とは機能的及び形態的に異なる癌特異的腫瘍開始細胞を効果的に標的とする筈であることが示されている。上記の全ては、PPT2細胞がCSC標的化薬物開発及び前立腺癌発達の基本的な機能的研究のための独特の前臨床モデルであることを示す。
【0096】
Hedgehog及びNotch等の主要な幹細胞シグナル伝達経路を標的化する薬物は、正常な幹細胞に重大な副作用を誘導することが最近示された。CSCの薬物耐性を調節する試みにおける薬物排出ポンプの阻害は、いずれの有意な臨床的利益も提供しなかった。臨床及び前臨床的証拠の蓄積により、癌患者の長期生存に対する抗血管新生薬の利益は取るに足らないことが示された。パクリタキセル(タキソール)及びドセタキセル等の微小管安定剤は、アンドロゲン非依存性前立腺癌の患者の処置に最初は効果的であり得るが、癌は、殆ど、より高悪性度の形態で常に再発する。パクリタキセルは、依然として、乳癌、卵巣癌及び非小細胞肺(NSCLC)癌、並びにカポジ肉腫を含む多くの固形腫瘍徴候の第1線の処置である。パクリタキセルは、β−チューブリンに結合し、微小管を過剰安定化し、微小管フレームワークの動的不安定性を障害することを介して、その強力な細胞毒性を発揮する。これは、細胞周期を停止させ、G2/M期におけるアポトーシスを開始させる。その乏しい水溶性に対処するために、リポソーム、シクロデキストリン及びHSA結合ナノ粒子(「ABRAXANE(登録商標)」)製剤を含む、パクリタキセルの多数の製剤及びプロドラッグが開発されている。パクリタキセルは、パクリタキセルを排出するATP結合カセット(ABC)輸送体であるP−糖タンパク質(Pgp)の過剰発現に起因して、前立腺及び結腸癌に対して有効ではない。従って、パクリタキセルは、マウスにおけるヒト結腸癌異種移植片に対してさえも、いずれの認識できる効力も示さない。
【0097】
排出の問題を克服するために、パクリタキセルは、その癌特異的活性、健康な細胞に対する保護効果、及び腫瘍間質内へのgp60仲介による経細胞質輸送を介した薬物コンジュゲートの向上された腫瘍特異的蓄積に起因して、多不飽和脂肪酸(PUFA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)とコンジュゲート化された。このコンジュゲート化は、血流中でのPUFAの主要な担体であるヒト血清アルブミン(HAS)に対するDHAコンジュゲート化薬物のより高い親和性に起因する。DHA−パクリタキセル(TXP)は、腫瘍細胞により貪欲に吸収され、内部移行され、癌細胞内のエステラーゼによりゆっくり加水分解される。DHAパクリタキセルは、上述したように、パクリタキセルと比較して、Pgpの比較的弱い基質であることが見出された。しかしながら、癌細胞がPgp及び/又は他のABC輸送体を過剰発現している場合、遊離パクリタキセル分子は、たとえゆっくり放出されている場合であっても、排出ポンプによって捉えられ、癌細胞から排除されるであろう。パクリタキセルとは対照的に、新世代タキソイド、SBT−1214は、多剤耐性(MDR)表現型を発現している薬物耐性癌細胞に対して卓越した活性(パクリタキセルよりも2〜3桁強力である)を示す。以前に本出願人らは、この新世代タキソイドSBT−1214が、薬物耐性結腸腫瘍異種移植片の長期(167日)退行及び腫瘍成長遅延を誘導することを示した。その後、この薬物分子は、幹細胞の調節、癌発生及び進行に関与する数個の重要な転写因子を含む、多数の幹細胞性関連遺伝子の有意な下方調節を誘導することが見出された。注目すべきは、ドセタキセル(去勢抵抗性の転移性前立腺癌における標準的な第1選択治療法)は、TGF−β機構を介して前立腺癌細胞の薬物耐性及び脱分化(上皮から間葉系への移行)を促進し得る。血液循環及び最終的に治療法を更に改善するために、現在の研究においてDHAがSBT−1214にコンジュゲート化された。
【0098】
この疎水性薬物送達の送達を更に改善するために、DHA−SBT−1214は、水中油の熱力学的に安定化された分散物であるナノエマルション中に封入され、油小滴サイズは、高エネルギー超音波処理又は微少流体機器を使用して高せん断応力を適用することによってナノメートル長スケール(約200)に低減される。親油性薬物がナノエマルションに組み込まれた場合、全身投与後の化合物の薬物動態及び体内分布パターンは、薬物分子の物理化学的特性ではなくナノエマルション製剤の特性による影響を受けるであろう。例えば、PEG修飾は、血液循環中のナノエマルションの長寿命を向上さえ得る。これはひいては血液中の薬物分子の滞留時間を増大させ、またEPR効果を介して腫瘍部位における蓄積を向上させる。この研究では、本出願人らは、高濃度のPUFAを有する魚油を使用して、最適化された水中油ナノエマルション製剤を開発した。一般に、全てのナノエマルションは、250nm未満の油小滴サイズを示し、狭いサイズ分布を有する。TEM画像は、油小滴が球状であり、均一に分布されていることも確認する。DSPE−PEG2000を使用したナノエマルションのPEG表面修飾は、粒子サイズ及びサイズ分布に影響を与えなかった。ナノエマルションの表面電荷値は、−23.37〜−34.53mVの範囲内であることが認められた。ナノエマルション油小滴上の表面電荷は、界面層を形成する構成成分のイオン化を表す。PEG修飾ナノエマルションの場合、界面層は、卵レシチン及びPEG修飾リン脂質(DSPE−PEG2000)の結果として形成された。これらの製剤は、DHA−SBT−1214をPPT2細胞及びスフェロイドに対して送達するのに使用された。定性的細胞取込み分析は、ナノエマルション製剤がPPT2細胞及びスフェロイド内に効率的に内部移行されることを示した。このことは、ナノエマルションがペイロードを細胞内部位に効率的に送達することを示唆する。比較的低濃度のDHA−SBT−1214(0.1〜1μM)のナノエマルションが、幹細胞性促進培養条件下で維持された高い腫瘍原生及び高い薬物耐性の前立腺CD133+細胞の90%までの死を誘導し、その薬物溶液よりも強力であることが見出された。この研究では、ナノエマルション製剤で送達された場合、DHA−SBT−1214はPPT2腫瘍を抑制することが見出された。これらの観察事項に加えて、フローサイトメトリー分析は、インプラントされた腫瘍細胞が皮下腫瘍内でそれらの幹細胞性を保持することも明らかにした。ナノエマルションで送達されるDHA−SBT−1214を用いた治療法は、PPT2細胞及び腫瘍においてより高い治療的有効性を実際に示した。分析した処置グループのいずれにも、有意な体重低下は観察されなかった。組織の組織学的検査は、処置グループのいずれにも、肝臓、心臓又は腎臓におけるいずれの異常な所見も示さなかった。これらの試験は、DHA−SBT−1214が、ナノエマルションとして投与された場合、マウス内で良好な耐容性を有することを示す。結論として、本発明者らのデータは、DHA−SBT−1214コンジュゲートのナノエマルションが優れた退行及び腫瘍成長阻害を誘導し、新規なCSC標的化抗癌剤候補としての高い可能性を有することを示す。
【0099】
結論
現在の研究において、多不飽和脂肪酸ベースのナノエマルションシステムは、疎水性薬物、DHA−SBT−1214を効果的に封入し、インビボ及びインビトロモデルの両方で治療的有効性を示した。この製剤はまた、マウス内で試験して良好な耐容性を示した。粒子サイズ及びゼータ電位データは、物理的に安定なナノエマルションの形成を示した。ナノエマルション製剤中で投与された場合、DHA−SBT−1214はPPT2細胞内に送達され、インビトロ細胞毒性の有意な向上をもたらした。結論として、データはDHA−SBT−1214のナノエマルション製剤がその溶液と比較して抗癌有効性を向上させることを示す。従って、1次患者由来の、自発的に不死化された、低継代の、高い腫瘍原生及びクローン原性の前立腺癌細胞(CD133+/高/CD44+/高表現型を有する)に対して多面的CSC標的化活性を発揮する疎水性薬物は、臨床的に意義があり、抗癌剤の組み合わせとしての高い可能性を有する。
【0100】
容易に調製することができ、疎水性分子に効果的及び効率的に組み込まれ、臨床的に安全であり、DHA−SBT−1214の薬理を改善する送達システムが望ましい。結果は、新規なタキソイドDHA−SBT−1214のナノエマルション製剤が、処置が困難な癌の新たな治療法を提供できることを示す。ナノエマルションは、DHA−SBT−1214等の疎水性薬物の治療的有効性を向上させ得る有望な新規な製剤である。加えて、乏しい水溶性を有する実験薬物候補のスクリーニング及び評価のための最適な製剤として、これらのナノエマルションを使用することができる。そのような場合、ナノエマルションは容易に処方できるため、時間を要する及び高価な他の製剤研究が避けられる。ナノ送達システムは、PX等の疎水性薬物の溶解性を改善し、一般に毒性も低いため、薬物送達における有望なビヒクルである。ABRAXANE(登録商標)、粒子サイズ約130nmのPXアルブミン結合ナノ粒子製剤は、転移性乳癌の処置に関して2005年にFDAにより承認された。この製剤は、タキソールと比較して低い毒性の観点から、いくつかの利点を示した。加えて、総用量は、前処置を有することなく、30分以内で投与することができる。従って、NE−DHA−SBT−1214は強力な腫瘍標的化化学治療薬であり、パクリタキセル、ドセタキセル及びTAXOPREXIN(登録商標)の弱点を克服し、癌患者の生活の質を実質的に改善するというあらゆる徴候が存在する。タキソイドがチェックポイント阻害剤等の腫瘍免疫療法薬との組み合わせで利用され得る免疫学的効果を有するという、増大する証拠も存在する。タキサン処置は、腫瘍関連マクロファージ細胞毒性を刺激し、樹状細胞、ナチュラルキラー細胞、腫瘍特異的細胞毒性T細胞の活性化を誘導し、また調節性T細胞(「Tregs」)を下方調節することが示されている。従って、PgP輸送体の基質ではなく、MDR腫瘍及び癌幹細胞(「CSC’s」)に対して有効であり、改善された安全性及び薬物送達プロファイルを有し、腫瘍を受動的に標的化する、新規な第2世代タキソイドのナノエマルション製剤は、未達成の明らかな医学的必要性に対する可能な解決法を提供する。
【0101】
実施例5
PPT2皮下腫瘍支持マウスにおけるDHA−SBT−1214溶液及びそのナノエマルションの薬物動態分析及び体内分布。
材料
雄のCD−1(登録商標)マウス(4〜6週齢)をCharles River Laboratories(Cambridge,MA)から購入した。ヒト1次前立腺癌細胞(PPT2)をこれらのマウスの右側腹部内に皮下移植して、腫瘍を形成した。全ての動物手順はノースイースタン大学(Northeastern University)の動物実験委員会により承認された。溶媒はFisher Scientific(Fair Lawn,NJ)から購入した。
【0102】
高速液体クロマトグラフィー(HPLC)分析
2つのポンプ、オートサンプラー及びUV−検出器を備えたWaters LC(モデル2487、Waters Corporation,Milford)を分析に使用した。機器の制御、データ獲得及び加工のためにLCシステムをEmpowerソフトウエアとインターフェースした。(A)水中0.1% TFA、及び(B)アセトニトリル中0.1% TFAからなる移動相を、Grace Vydac 218TP54カラム(C18、粒子サイズ5μm、4.6mm×250mm)を通して流速1mL/分で揚送した。勾配は15分で60%B〜95%Bであり、薬物溶出は波長230nmで監視した。80μLアリコートをHPLC内に注入した。
【0103】
DHA−SBT−1214溶液及びナノエマルション製剤の血漿薬物動態分析
DHA−SBT−1214を溶液又はナノエマルション製剤として、尾静脈注射を介して120mg/kgでマウスに静脈内投与した。血液を様々な時間間隔:投与後0.5、4、10、24及び48時間でEDTA処理チューブ内に収集し、氷上に保った。サンプルを10,000rpmで4℃で20分間遠心分離して血漿を分離した。血漿を−20℃で貯蔵し、又は分析のために直ちに使用した。100μlの血漿を300μlのアセトニトリルで構成し、ボルテックス後、10,000rpmで10分間遠心分離してDHA−SBT−1214を抽出及び分離した。上清にHPLCを行い、溶離液をHPLCにより分析した。
【0104】
異なる組織におけるDHA−SBT−1214溶液及びナノエマルション製剤の体内分布
DHA−SBT−1214を溶液又はナノエマルション製剤として、尾静脈注射を介して120mg/kgでマウスに静脈内投与した。DHA−SBT−1214の静脈内投与後、マウスに麻酔をかけ、0.5、4、10、24及び48時間の所定の時点で、心臓穿刺により血液を完全に取り除いた。動物をPBSで灌流した後、頸部脱臼により屠殺し、心臓、前立腺、膵臓、脳、結腸、肺、脾臓、腎臓、肝臓及び腫瘍組織を含む様々な組織を回収し、秤量し、液体窒素中で急速凍結させ、−80℃で貯蔵した。凍結組織を等価重量の通常の生理食塩水溶液中に懸濁し、組織ホモジナイザーを使用して5000rpmで2分間ホモジナイズした。酢酸エチル:メタノール:アセトニトリル(50:25:25)の4倍過剰混合物をホモジナイズした組織に加え、ボルテックス後、サンプルを10,000rpmで4℃で10分間遠心分離して、DHA−SBT−1214を抽出及び分離した。上清を窒素ガスで蒸発させ、サンプルを400μlのアセトニトリル中で再構成した。再構成サンプルにHPLCを行い、溶離液をHPLCにより分析した。
【0105】
薬物動態データ分析
非コンパートメント分析を用いて、Phoenix(登録商標)WinNonlin(登録商標)v.1.3ソフトウエアを使用してDHA−SBT−1214の薬物動態パラメーターを決定した。対数線形台形法を用いて、0から無限大(AUC0〜∞)の血漿濃度−時間曲線下面積を計算した。定常状態の分布体積(Vss)、クリアランス(Cl)、最終消失相に関連した速度定数であるラムダz(λz)、対応する半減期(t1/2)、及び平均滞留時間(MRT)を含むPKパラメーターを概算した。
【0106】
結果
PPT2細胞を5週齢の雄のNOD.SCID/NCrマウスにインプラントした。腫瘍体積が平均100mmに達した際、マウスを2つのグループに無作為化した。異なる時点(0.5、4、10、24及び48時間)で120mg/kgマウスで静脈内投与することにより、マウスの一方のグループをDHA−SBT−1214溶液で処置し、他方のグループを同じ薬物のナノエマルションで処置した。各処置に関して時点当たり2匹のマウスが存在した。各時点に関して4つの複製を有するように各器官を2つに分割した。腫瘍体積は100〜150mmであった。各時点が経過した後、動物を屠殺し、全ての主要な器官及び腫瘍を回収し、血液を収集した。DHA−SBT−1214薬物をアセトニトリルで全ての器官及び血漿から抽出し、HPLC方法により定量化した。図18A〜18Kは、溶液及びナノエマルションの両方からの薬物の異なる器官内の体内分布を示す。ほぼ全ての器官内で、ナノエマルションからの薬物は、その溶液形態と比較して、より長時間保持された。異なる器官内での薬物のより高い保持(48時間後でさえも)は、ナノエマルションが血液循環中の薬物をより長時間保ち、従ってナノエマルションは薬物に対する腫瘍血管のより高い暴露を提供して、現在使用されている薬物溶液と比較してより良好な治療効率を有し得ることを示す。
【0107】
実施例6
DHA−SBT−1214ナノエマルション製剤の安定性
ナノエマルションを、異なる温度で貯蔵した後、6カ月間まで、その均一性(外観)、粒子サイズ及び表面電荷に関連した安定性を研究した。3つの異なるバッチからのDHA−SBT−1214溶液及びナノエマルションを異なる貯蔵条件、即ち、室温、4℃及び−20℃で6カ月間までインキュベートし、貯蔵期間に亘って周期的に薬物の濃度をHPLCにより計算して、DHA−SBT−1214薬物の溶液及びナノエマルションの両方の貯蔵に最も好適な温度を見出した。図19Aに示すように、DHA−SBT−1214のナノエマルションは4℃及び−20℃条件の両方で安定であるが、室温では安定でない。しかしながら、DHA−SBT−1214の薬物溶液は、−20℃の貯蔵条件のみで安定であり、室温及び4℃では安定でなかった。この貯蔵期間中、ナノエマルションの物理的特性も周期的に決定した。図19Bは、4℃が理想的な貯蔵条件であることを示し、ここでナノエマルションの粒子サイズはほぼ一定に留まったが、−20℃では徐々に増大し、室温では非常に大きい凝集を示した。この期間中、PDI(多分散指数)も決定し、これを図19Cに示し、またゼータ電位(表面電荷)を決定し、これを図19Dに示し、4℃がナノエマルション製剤の長期間貯蔵に最良の貯蔵条件であると結論付けた。
【0108】
実施例7
更なるインビボ細胞毒性研究
これらのインビボ研究は、異なる用量のNE−DHA−SBT−1214の細胞毒性の分析に焦点を当てた。動物を以下のグループに分割した(表3)。異なる用量のNE−DHA−SBT−1214(30、40、50及び70mg/kg)を1回/週、3週間静脈内投与し、4週間の経過観察を行った。
【0109】
【表3】
【0110】
全試験濃度のNE−DHA−SBTにより誘導された腫瘍成長の劇的な抑制が認められ(図20A〜20E)、それにより、その遥かに低い用量の更なる評価が動機づけられた。以前のように、全身毒性を注意深く監視し、標準的な基準(運動活性、病的状態、食欲、姿勢及び外観)により評価し、腫瘍成長を毎週測定した。各々マウス腫瘍異種移植片の一部をRNA−Laterで前処理し、CSC関連遺伝子発現のPCRアレイ分析(これは、インビボ研究の完了後に行われる)の前に−80℃で保った。回収した各腫瘍の部分を、以前記載したように、機械的及び酵素的に脱凝集させて単一の細胞懸濁液とし、円形コロニー(ホロクローン)及び3Dスフェロイドを誘導する能力について試験した(CSCの生存に関する試験として)。
【0111】
インビボ及びインビトロ研究で常に使用したPPT2細胞の高いクローン原性及び腫瘍原生の集団の維持、精製及び増殖のために一定の労力を適用した。低用量のNE−DHA−SBT−1214の細胞毒性の研究のために、別のNOD/SCIDマウスの組にPPT2細胞を移植した。
【0112】
実施例8
薬物溶液及びナノエマルション製剤からのDHA−SBT−1214のインビトロ放出
薬物溶液及びそのナノエマルション製剤からのインビトロ放出プロファイルを研究するために、5μgのDHA−SBT−1214ナノエマルション又は薬物溶液を、透析緩衝液で調整し、PBS+ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)緩衝液中に懸濁した後、100rpmで12時間の回転の異なる地点で、3500 MWCO Slide−Lyzer透析カセット内に注入した。毎時間後にビーカーから1mlサンプルを取り、薬物をアセトニトリルで抽出し、HPLCを行って、溶液及びナノエマルションの両方からの薬物放出量を定量化した。図21に示すように、DHA−SBT−1214の放出は、そのナノエマルション製剤と比較して、薬物溶液からは3倍超速かった。
【0113】
本発明を例示的に記載してきたが、使用された用語は、限定ではなく、記載の単語の本質の範囲内であることが意図されると理解される。本発明の多数の修正及び変更が上記の教示に照らして可能であることは明らかである。従って、本発明は、不随する特許請求の範囲内で、詳細に記載されたものとは異なるように実践できることが理解される。
【0114】
参考文献
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【図1】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図5】
【図6A-C】
【図7A-B】
【図8A】
【図8B】
【図9A】
【図9B-G】
【図10A-B】
【図10C-D】
【図11A-F】
【図11G】
【図11H】
【図12A】
【図12B】
【図13A-L】
【図14A-B】
【図15A-B】
【図16】
【図17】
【図18A-D】
【図18E-H】
【図18I-K】
【図19A】
【図19B】
【図19C】
【図19D】
【図20A-E】
【図21】
【国際調査報告】