(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】2019523242
(43)【公表日】20190822
(54)【発明の名称】RNA機能をモジュレートするための化合物および方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/536 20060101AFI20190726BHJP
   A61K 31/439 20060101ALI20190726BHJP
   A61K 31/496 20060101ALI20190726BHJP
   A61K 31/40 20060101ALI20190726BHJP
   A61K 31/4178 20060101ALI20190726BHJP
   A61K 31/166 20060101ALI20190726BHJP
   C07D 401/04 20060101ALI20190726BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20190726BHJP
   A61P 25/14 20060101ALI20190726BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20190726BHJP
   A61P 21/02 20060101ALI20190726BHJP
   A61P 21/04 20060101ALI20190726BHJP
   A61P 31/12 20060101ALI20190726BHJP
   A61P 31/00 20060101ALI20190726BHJP
   A61P 31/10 20060101ALI20190726BHJP
【FI】
   !A61K31/536
   !A61K31/439
   !A61K31/496
   !A61K31/40
   !A61K31/4178
   !A61K31/166
   !C07D401/04CSP
   !A61P43/00 111
   !A61P25/14
   !A61P25/00
   !A61P21/02
   !A61P21/04
   !A61P31/12
   !A61P31/00
   !A61P31/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】290
(21)【出願番号】2018568936
(86)(22)【出願日】20170630
(85)【翻訳文提出日】20190226
(86)【国際出願番号】US2017040514
(87)【国際公開番号】WO2018006074
(87)【国際公開日】20180104
(31)【優先権主張番号】62/357,654
(32)【優先日】20160701
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/453,487
(32)【優先日】20170201
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
2.SPAN
(71)【出願人】
【識別番号】518270447
【氏名又は名称】アラーキス セラピューティクス, インコーポレイテッド
【住所又は居所】アメリカ合衆国 マサチューセッツ 02145, ウォルサム, ゲートハウス ドライブ 35
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ペッター, ラッセル シー.
【住所又は居所】アメリカ合衆国 マサチューセッツ 01775, ストー, ロビンウッド レーン 22
(72)【発明者】
【氏名】バーサム, ジェイムズ グレゴリー
【住所又は居所】アメリカ合衆国 マサチューセッツ 02421, レキシントン, モアランド アベニュー 6
(72)【発明者】
【氏名】クマラヴェル, グナナサンバンダム
【住所又は居所】アメリカ合衆国 マサチューセッツ 02420, レキシントン, アップルツリー レーン 21
(72)【発明者】
【氏名】ベア, ケネス ダブリュー.
【住所又は居所】アメリカ合衆国 マサチューセッツ 02482, ウェルスレイ, カートライト ロード 41
【テーマコード(参考)】
4C063
4C086
4C206
【Fターム(参考)】
4C063AA01
4C063BB02
4C063CC34
4C063DD14
4C063EE01
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086BC27
4C086BC38
4C086BC50
4C086BC72
4C086GA07
4C086GA09
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZA02
4C086ZA94
4C086ZB32
4C086ZB33
4C086ZB35
4C086ZC41
4C206AA01
4C206AA02
4C206GA11
4C206KA08
4C206MA01
4C206MA04
4C206NA14
4C206ZA02
4C206ZA94
4C206ZB32
4C206ZB33
4C206ZB35
4C206ZC41
(57)【要約】
本発明は、化合物、その組成物、およびそれを使用する方法を提供する。本発明は、薬物様小分子による、例えばRNAまたはDNAといった核酸分子のレベルおよび/または活性のモジュレーションのための化合物、およびその使用方法を提供する。本発明はまた、3WJを形成する可能性があるまたは開示した化合物の存在下で3WJを形成する可能性があるシスまたはトランスの配列相補性について核酸配列をスクリーニングする方法も提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
標的mRNAに関連する下流タンパク質の発現をモジュレートして、該標的mRNAによって引き起こされる疾患または障害を治療する方法であって、該標的mRNA中の核酸三方向ジャンクション(3WJ)に結合する化合物と該標的mRNAを接触させるステップを含み、該化合物が、式I:
【化73】
の化合物または薬学的に許容されるその塩であり、式中、
環A、B、およびCはそれぞれ独立して、3〜8員の飽和もしくは部分不飽和の単環式炭素環、フェニル、8〜10員の二環式芳香族炭素環、独立して窒素、酸素、もしくは硫黄から選択される1〜2個のヘテロ原子を有する4〜8員の飽和もしくは部分不飽和の単環式複素環式環、独立して窒素、酸素、もしくは硫黄から選択される1〜4個のヘテロ原子を有する5〜6員の単環式芳香族複素環、または独立して窒素、酸素、もしくは硫黄から選択される1〜5個のヘテロ原子を有する8〜10員の二環式芳香族複素環であり、
各Yは独立してCRまたはNであり、
各Rは独立して、−R、ハロゲン、−CN、−OR、−N(R)、−NO、−N、−SR、または−L−Rであり、
各Rは独立して、−R、ハロゲン、−CN、−OR、−N(R)、−NO、−N、−SR、−L−Rであるか、または、同じ炭素上の2つのR基が必要に応じて一緒になって=NR、=NOR、=O、もしくは=Sを形成しており、
各Rは独立して、−R、ハロゲン、−CN、−OR、−N(R)、−NO、−N、−SR、または−L−Rであり、
各Rは独立して、水素、または、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、もしくは6つのハロゲンにより必要に応じて置換されているC1〜6アルキルであり、
各Rは独立して、水素、または、C1〜6の脂肪族基、3〜8員の飽和もしくは部分不飽和の単環式炭素環、フェニル、8〜10員の二環式芳香族炭素環、独立して窒素、酸素、もしくは硫黄から選択される1〜2個のヘテロ原子を有する4〜8員の飽和もしくは部分不飽和の単環式複素環式環、独立して窒素、酸素、もしくは硫黄から選択される1〜4個のヘテロ原子を有する5〜6員の単環式芳香族複素環、または独立して窒素、酸素、もしくは硫黄から選択される1〜5個のヘテロ原子を有する8〜10員の二環式芳香族複素環から選択される必要に応じて置換されている基であり、
各L、L、およびLは独立して、共有結合またはC1〜8の二価の直鎖もしくは分岐鎖の炭化水素鎖であり、前記鎖の1つ、2つ、または3つのメチレン単位は、独立して、−O−、−C(O)−、−C(O)O−、−OC(O)−、−N(R)−、−C(O)N(R)−、−(R)NC(O)−、−OC(O)N(R)−、−(R)NC(O)O−、−N(R)C(O)N(R)−、−S−、−SO−、−SO−、−SON(R)−、−(R)NSO−、−C(S)−、−C(S)O−、−OC(S)−、−C(S)N(R)−、−(R)NC(S)−、−(R)NC(S)N(R)−、または−Cy−により必要に応じて置き換えられており、
mは、0、1、2、3、または4であり、
nは、0、1、2、3、または4であり、かつ
pは、0、1、2、3、または4である、方法。
【請求項2】
環Aがピリジルであり、環Bがフェニルであり、かつ環Cがフェニルである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記標的mRNAが、エフェクターmiRNAのRNAの存在下で3WJを形成し、かつ、前記式Iの化合物が、前記エフェクターRNAと前記標的mRNAとの間に形成されたトランス3WJに結合する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記式Iの化合物が、前記標的mRNAの部分の間に形成されたシス3WJに結合する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
式XXXIIIまたは式XXXIV:
【化74】
の化合物または薬学的に許容されるその塩(式中、
は二価のテザー基であり、かつ
modは、前記化合物が結合する標的RNAの2’−OH基と選択的に反応するRNA修飾部分である)。
【請求項6】
modまたは任意の他の置換可能な水素に共有結合したクリック実行可能基をさらに含む、請求項5に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩。
【請求項7】
前記クリック実行可能基がアジドである、請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
modが、N−メチルイサト酸無水物、1−メチル−6−ニトロイサト酸無水物、または1−メチル−7−ニトロイサト酸無水物から選択される、請求項5または6に記載の化合物。
【請求項9】
前記疾患または障害が、ハンチントン病(HD)、歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症(DRPLA)、球脊髄性筋萎縮症(SBMA)、または、SCA1、SCA2、SCA3、SCA6、SCA7、SCA17から選択される脊髄小脳失調症(SCA)、脆弱性X症候群、筋強直性ジストロフィー(DM1または筋強直性ジストロフィー(dystrophia myotonica))、フリードライヒ運動失調症(FRDA)、SCA8、SCA10、もしくはSCA12から選択される脊髄小脳失調症(SCA)、またはC9FTD(筋萎縮性側索硬化症またはALS)から選択される、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記疾患または障害が、ウイルス感染症、微生物感染症、または真菌感染症から選択される、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の引用
本出願は、2016年7月1日に出願した米国仮出願第62/357,654号および2017年2月1日に出願した米国仮出願第62/453,487号の米国特許法の下での利益を主張する。これらのすべての出願の内容の全体が、本明細書に参考として援用される。
【0002】
発明の技術分野
本発明は、トランスまたはシス三方向ジャンクションに対する化合物の結合によってRNA転写物の生物学をモジュレートして、様々な疾患および状態を治療するための化合物、およびその使用方法に関する。本発明はまた、小分子結合剤によって安定化された新たな三方向ジャンクションを形成することによってそのような三方向ジャンクションをドラッガブルにすることができるRNA転写物を同定する方法、およびRNA三方向ジャンクションに結合する薬物候補を設計およびスクリーニングする方法も提供する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
哺乳動物の疾患は、究極的にはトランスクリプトームによって媒介されるが、一方でウイルスおよび他の病原体は、感染、再生、および生存の様々な態様のためにRNAに依存する。メッセンジャーmRNA(mRNA)がトランスクリプトームの一部分であり、また全てのタンパク質の発現がmRNAに由来するという限りにおいて、関連タンパク質の発現をモジュレートすることによって、そして対応する上流のmRNAの翻訳をモジュレートすることによって、タンパク質媒介性の疾患に介入できる可能性がある。しかしmRNAはトランスクリプトームの小さな部分に過ぎない。miRNA、lncRNA、lincRNA、snoRNA、snRNA、scaRNA、piRNA、ceRNA、および偽遺伝子を含めて(しかしこれらに限定されない)その他の転写されたRNAもまた、RNA構造物(例えば、リボ核タンパク質)の構造および機能によって直接的に、ならびにタンパク質の発現および作用を介して、細胞の生物学を調節する。RNAは、その核酸の部分がワトソン・クリック型塩基対形成を通じて二本鎖セグメントを形成していると同時に他のセグメントが対形成していない(一本鎖)ままである二次構造および三次構造にフォールディングする。1つのよく見られる構造は三方向ジャンクション(three-way junction;3WJ)である。この例では、核酸は、Y形状のパターンで3つの二重らせんを形成し、3つのらせんの交差の中心点が3WJと称される。小分子は3WJに高親和性で結合してこの構造を安定化し、それによって、標的RNAの構造的選好性を変化させてその下流の生物学的活性をモジュレートすることにより標的RNAの機能に影響し得る。しかしながら、RNA媒介性の疾患を治療するためのRNAのリガンドとしての小分子の発見および使用は、医薬品業界からほとんど注目されていない。
【0004】
したがって、RNAトランスクリプトームおよび3WJの標的化、特に小分子による標的化は、RNA媒介性の疾患を治療するための未開発の治療アプローチとなる。さらには、哺乳動物のRNA媒介性の疾患、ウイルス、寄生虫、および微生物を含めてRNA媒介性の疾患の改良された治療に対する大きな満たされていない必要性が依然として存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
発明の要旨
本発明は、薬物様小分子による、例えばRNAまたはDNAといった核酸分子のレベルおよび/または活性のモジュレーションのための化合物、およびその使用方法を提供する。本発明はまた、3WJを形成する可能性があるまたは開示した化合物の存在下で3WJを形成する可能性があるシスまたはトランスの配列相補性について核酸配列をスクリーニングする方法も提供する。さらには、本発明は、3WJへの結合について小分子をスクリーニングする方法を提供する。本発明は、これらの構造を同定し、かつ細胞および動物においてそれらに選択的に結合して3WJを安定化させる小分子をスクリーニングすることによって、3WJの形成を利用する。3WJを安定化させることによって、該小分子は核酸の安定性または活性をモジュレートすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】図1Aは、miRNAとmRNAとの間の完全に相補的な相互作用を示す(すなわち、これらの配列は完全な配列相補性を共有し、RNA−RNA二本鎖を形成する)。図1Bは、ステムループエレメントの基部に位置するmRNAのフランク領域にわたって断続的にmiRNAが副木をされる相互作用を示す。この相互作用は、ステムループエレメントの基部において3WJを創出する。
【0007】
【図2】図2は、3WJ結合性小分子に対するエフェクターRNAへの仮定的な目的の標的RNAを細胞中の分子メカニズムに結び付けるフローチャートを示す。重要なことに、開示した方法を使用することにより、公知のRNA標的を用いて開始し、バイオインフォマティクススクリーニングを使用して3WJを形成するエフェクター/標的ペアを同定すること、または、トランスクリプトーム全体のバイオインフォマティクススクリーニングを行って、3WJを形成する全てのエフェクター/標的ペアを同定した後、目的のエフェクター/標的RNAペアを選択することのいずれも可能である。フローチャートの残りのステップに従うことで、高い治療的価値の標的上の3WJに結合することによって標的をモジュレートして、疾患または障害を治療または改善する小分子が同定される。
【0008】
【図3】図3は、例示的なエフェクターRNA/標的RNAの対形成を示す。例えば、miRNAおよびmRNAは、トランスで3WJを形成できる可能性があり、priRNAはシス3WJを形成できる可能性がある、などといった具合である。
【0009】
【図4】図4は、3WJがエフェクターRNA中のステムループ(3WJ)を用いて小分子(三角形によって表す)に結合する機構を示す。RNAは、RNA結合タンパク質(RBP;楕円によって表す)に結合することもあるし、結合しないこともある。小分子の結合は、RNA/RNA二本鎖に通常結合する任意のRBPの結合に影響することがある(またはしないことがある)。
【0010】
【図5】図5は、3WJが標的核酸中のステムループ(3WJ)を用いて小分子に結合する機構を示す。RNAは、RNA結合タンパク質(RBP;楕円によって表す)に結合することもあるし、結合しないこともある。小分子の結合は、RNA/RNA二本鎖に通常結合する任意のRBPの結合に影響することがある(またはしないことがある)。
【0011】
【図6】図6は、トランス作用性三方向ジャンクションを標的化するための2つの戦略を示す。1つの戦略(上)では、最初に、3WJをもたらす「天然の」miRNA/mRNAペアを同定した後、miRNA/mRNAトランス調節構造に閉じ込めてmiRNAの調節効果を増幅する小分子リガンドを同定する。顕著なことに、このようにして小分子は、翻訳アゴニスト(翻訳およびタンパク質発現を増幅する)または翻訳アンタゴニスト(翻訳およびタンパク質発現を抑制する)のいずれかとして作用することができる。第2の戦略(下)では、最初に、3WJを与えることになる「候補」miRNA/mRNAペアを同定した後、miRNA/mRNAトランス調節構造に閉じ込めてmiRNAの調節効果を増幅するSMリガンドを同定する。顕著なことに、このようにして小分子は、翻訳アゴニスト(翻訳およびタンパク質発現を増幅する)または翻訳アンタゴニスト(翻訳およびタンパク質発現を抑制する)のいずれかとして作用することができる。
【0012】
【図7】図7は、トランス作用性3WJを安定化させるために小分子がどのように作用し得るかを実証するスキームを示す。開示した方法を使用して、例えば、(必要に応じて、各mRNAは、ハイブリダイズ可能な部位を1つだけ有するという単純化する仮定を用いて、)約1000のmiRNAを20,000のmRNAと関連付けて、可能性のある20,000,000のペアとし得る。このカタログは、所与のmiRNAの実際の内因性の調節的役割を参照することなく集めることができる。小分子が三成分複合体を安定化できる限り、これはmRNA機能の調節に対するアルゴノートおよび/またはRBPの寄与を現実的に意味のないものにさせ得る。
【0013】
【図8】図8は、3WJ結合性小分子の例示的な結合モードを示す。小分子は3WJのみに結合するかもしれないし、3WJに加えて1つの塩基対に隣接する主溝または副溝に結合するかもしれないし、3WJに加えて2つの別々の二本鎖中で1つの塩基対に隣接する主溝または副溝に結合するかもしれない、などといった具合である。
【0014】
【図9】図9は、3WJのトポロジーを示す。注記:(A)X、Y、およびZは、0、1、2、3、4、5、または6として独立して変動する。(B)3WJの外縁を画定するループ中のヌクレオチドは、A、C、G、またはUとして独立して変動する。(C)細胞内でこれらのヌクレオチドは、転写後修飾を受けていることがある。(D)ステムはそれぞれ最小で4塩基対であるが、バルジおよびループを含有することができる。(E)ステムループの末端のループは、3以上で変動し得る。
【0015】
【図10】図10は、対応するトランス3WJシステムを理解するために使用され得るシスモデルシステムを示す。合成の一本鎖RNAは、鍵となる結合事象を再現することができる。それは、5’から3’または3’から5’を介して連結することができる。リンカーの長さおよび構造は、3WJの形成に有利に働くがそれを強制しないように選択される。シスモデルにおいて3WJに結合するリガンドは、トランスモデルにおいて三成分複合体の形成を誘発するに違いない。このフォーマットは、迅速かつ組合せの選択性スクリーニングを可能とする。ここでの結合自由エネルギーは、細胞での結果を予測するものと期待される。以下は、この方法の一部の特徴である:解析される構造が小さい(NMRによるスクリーニングに充分な程に小さい);実行が容易;DEL(DNAエンコードライブラリー)を介してスクリーニング可能;生物学的に妥当(同族mRNAとのmiRNAの調節相互作用をモデル化する);生物学的に特異的(単一のmRNAに焦点を当てる);1つのサブサイトに即時に焦点を当てるので、構造情報による置換アッセイ(displacement assay)を設計することができる;標的/サブサイトと生物学的機能との間の本来的な繋がり;および、恣意的な部位における恣意的なmRNAに取り組むために非同族miRNAを用いる可能性。
【0016】
【図11】図11は、PEARL−seq法(フックザワーム、またはHTW;米国特許出願第62/289,671号(参照により本明細書に組み込まれる)を参照)がどのように内因性のmRNA/miRNAペアを明らかにできるかを示す。WH=WHに共有結合する小分子リガンドの結合後にRNA上の近位の2’−OH部位と反応する弾頭部分。miRNA/mRNAなどのRNA/RNAペアの別々のシークエンシングは、アッセイ条件下および/またはin vivoでどのヌクレオチドが互いにおよびHTW分子の結合部位の近位にあるかを明らかにする。
【0017】
【図12】図12は、1つの補助部(すなわち、3WJの中央キャビティの外側の、主溝または副溝などの核酸の特徴部に結合できる基)を有する例示的なトリプチセン足場を示す。
【0018】
【図13】図13は、2つの補助部を有する例示的なトリプチセン足場を示す。
【0019】
【図14】図14は、3つの補助部を有する例示的なトリプチセン足場を示す。
【0020】
【図15】図15は、1つの補助部を有する例示的なトリチル足場を示す。
【0021】
【図16】図16は、2つの補助部を有する例示的なトリチル足場を示す。
【0022】
【図17】図17は、1つの補助部を有する例示的な1−アザビシクロオクタン足場を示す。
【0023】
【図18】図18は、2つの補助部を有する例示的な1−アザビシクロオクタン足場を示す。
【0024】
【図19】図19は、1つの補助部を有する例示的なトリオキサビシクロオクタン足場を示す。
【0025】
【図20】図20は、2つの補助部を有する例示的なトリオキサビシクロオクタン足場を示す。
【0026】
【図21】図21は、2つの補助部を有する例示的なアダマンタン足場を示す。
【0027】
【図22】図22は、2つの補助部を有する例示的なアダマンタン足場を示す。
【0028】
【図23】図23は、本明細書中の様々な実施形態に記載する1つまたは複数の官能基またはエッジ結合剤で置換された時に、塩基対の露出したエッジと相互作用することによって、3WJの中央キャビティに、そしてまた二本鎖RNAの溝に結合し得る一般的な分子足場を示す。
【0029】
【図24】図24は、エッジ相互作用のための様々なシントンを提供するDNA溝結合剤の構造を示す。
【0030】
【図25】図25は、核酸標的の3WJと塩基対形成できる官能基、および、副溝などのエッジ特徴部と結合相互作用できる官能基を特徴とする例示的な小分子足場の構造を示す。
【0031】
【図26】図26は、核酸の標的3WJと塩基対形成できる核酸塩基、および、主溝または副溝などのエッジ特徴部と結合相互作用できる官能基を特徴とする設計された小分子の絵図による描写および例示的な化合物構造を示す。H結合ドナーおよびアクセプター機能は、核酸のステムループ構造のステムとの相互作用(配列特異的相互作用など)を最適化するような間隔となっている。
【0032】
【図27】図27は、所与の核酸ジャンクション構造の幾何のために最適化されて設計された小分子の例示的な結合モードを示す。結合は、中央キャビティに焦点を当てるだけでなく、中央キャビティから離れたステム構造と結合する「アーム」も含み、これは必要に応じて、遠位の二次ループに結合できる機能を含む。
【0033】
【図28】図28は、1つまたは複数のバルジ(対形成していないヌクレオチド)を有する所与の核酸二本鎖の幾何のために最適化されて設計された小分子の例示的な結合モードを示す。ここでは、水素結合のドナーおよびアクセプターは、主溝または副溝などにおいて二本鎖と相互作用するような間隔となっており、1つまたは複数の核酸塩基がバルジ(複数可)と相互作用するような位置にある。
【0034】
【図29】図29は、1つまたは複数のバルジ(対形成していないヌクレオチド)を有する所与の核酸二本鎖の幾何のために最適化されて設計された小分子の例示的な結合モードを示す。ここでは、水素結合のドナーおよびアクセプターは、主溝または副溝などにおいて二本鎖と相互作用するような間隔となっており、1つまたは複数の核酸塩基がバルジ(複数可)と相互作用するような位置にある。
【0035】
【図30】図30は、所与の核酸の3WJの幾何のために最適化されて設計された小分子の例示的な結合モードを示す。ここでは、水素結合のドナーおよびアクセプターは、3WJから突出した1つまたは複数の二本鎖アームと相互作用(主溝または副溝との相互作用など)するような間隔となっており、1つまたは複数の核酸塩基が、遠位のループおよび核酸塩基(左の構造)または式I、IIの化合物などの化学物質足場と相互作用するような位置にあり、必要に応じて、3WJの中央キャビティに結合するような位置にある(右3つの構造)。
【0036】
【図31】図31は、ある特定の実施形態では開示した化合物によって下方調節される、例示的な標的mRNAのリストを示す。
【0037】
【図32】図32は、ある特定の実施形態では開示した化合物によって上方調節される、例示的な標的mRNAのリストを示す。
【0038】
【図33】図33は、エッジ相互作用のための様々なシントンを提供する例示的なDNA溝結合剤の構造を示す。
【0039】
【図34】図34は、本発明において使用するための例示的な化合物足場、小分子、およびこれらを調製する合成方法を示す。
【0040】
【図35】図35は、本発明において使用するための例示的な化合物足場、小分子、およびこれらを調製する合成方法を示す。
【0041】
【図36】図36は、本発明において使用するための例示的な化合物足場、小分子、およびこれらを調製する合成方法を示す。
【0042】
【図37】図37は、本発明において使用するための例示的な化合物足場、小分子、およびこれらを調製する合成方法を示す。
【0043】
【図38】図38は、本発明において使用するための例示的な化合物足場、小分子、およびこれらを調製する合成方法を示す。
【0044】
【図39】図39は、本発明において使用するための例示的な化合物足場、小分子、およびこれらを調製する合成方法を示す。
【0045】
【図40】図40は、本発明において使用するための例示的な化合物足場、小分子、およびこれらを調製する合成方法を示す。
【0046】
【図41】図41は、本発明において使用するための例示的な化合物足場、小分子、およびこれらを調製する合成方法を示す。
【0047】
【図42】図42は、本発明において使用するための例示的な化合物足場、小分子、およびこれらを調製する合成方法を示す。
【0048】
【図43】図43は、本発明において使用するための例示的な化合物足場、小分子、およびこれらを調製する合成方法を示す。
【0049】
【図44】図44は、本発明において使用するための例示的な化合物足場、小分子、およびこれらを調製する合成方法を示す。
【0050】
【図45】図45は、本発明において使用するための例示的な化合物足場、小分子、およびこれらを調製する合成方法を示す。
【0051】
【図46】図46は、本発明において使用するための例示的な化合物足場、小分子、およびこれらを調製する合成方法を示す。
【0052】
【図47】図47は、本発明において使用するための例示的な化合物足場、小分子、およびこれらを調製する合成方法を示す。(A)では、リボザイムは、ビオチンマレイミドとの反応およびその後のビオチン化された分子の単離によってランダム配列RNA−テザー−アントラセンコンジュゲートのコンビナトリアルライブラリーから選択された。(B)ほとんどの配列によって共有される二次構造モチーフ。N=任意のヌクレオチド;N’=Nに相補的なヌクレオチド。(C)D−またはL−リボザイムによって触媒される二分子環化付加。R=Hまたはそれより大きいもの;R=エチルまたはそれより大きいもの。
【0053】
【図48-1】図48は、本発明において使用するための例示的な化合物足場、小分子、およびこれらを調製する合成方法を示す。
【図48-2】図48は、本発明において使用するための例示的な化合物足場、小分子、およびこれらを調製する合成方法を示す。
【0054】
【図49】図49は、本発明において使用するための例示的な化合物足場、小分子、およびこれらを調製する合成方法を示す。
【0055】
【図50】図50は、本発明において使用するための例示的な化合物足場、小分子、およびこれらを調製する合成方法を示す。Cp=シクロペンタジエン;cod=1,5−シクロオクタジエン;TBAF=フッ化テトラ−n−ブチルアンモニウム;THF=テトラヒドロフラン。
【0056】
【図51】図51は、本発明において使用するための例示的な化合物足場、小分子、およびこれらを調製する合成方法を示す。
【0057】
【図52】図52は、本発明において使用するための例示的な化合物足場、小分子、およびこれらを調製する合成方法を示す。
【0058】
【図53】図53は、本発明において使用するための例示的な化合物足場、小分子、およびこれらを調製する合成方法を示す。
【0059】
【図54】図54は、本発明において使用するための例示的な化合物足場、小分子、およびこれらを調製する合成方法を示す。左のスキームは、対応するカルボン酸へのアリールアダマンタンの酸化分解を示す。Ans:2−または4−アニシル。化合物16は、2−および4−アニシル誘導体の混合物として得られた。右のスキームは、剛性のアダマンチン足場20、21、および22の合成を示す。
【0060】
【図55】図55は、本発明において使用するための例示的な化合物足場、小分子、およびこれらを調製する合成方法を示す。
【0061】
【図56】図56は、本発明において使用するための例示的な化合物足場、小分子、およびこれらを調製する合成方法を示す。
【0062】
【図57-1】図57は、本発明において使用するための例示的な化合物足場、小分子、およびこれらを調製する合成方法を示す。示した化合物は、TCT8−4 RNAとの競合結合解析の結果を含む(Science 1994年、263巻)。TCT8−4 RNAとの競合結合実験に使用した一連の誘導体の化学構造を示す。右欄は、テオフィリンに対する競合物の親和性K(c)/K(t)(K(c)は個々の競合物の解離定数であり、K(t)はテオフィリンの競合的な解離定数である)を表す。>により示されるある特定のデータは、競合物の溶解度によって制限された最小値である。各実験は二連で実行した。平均誤差を示す。
【図57-2】図57は、本発明において使用するための例示的な化合物足場、小分子、およびこれらを調製する合成方法を示す。示した化合物は、TCT8−4 RNAとの競合結合解析の結果を含む(Science 1994年、263巻)。TCT8−4 RNAとの競合結合実験に使用した一連の誘導体の化学構造を示す。右欄は、テオフィリンに対する競合物の親和性K(c)/K(t)(K(c)は個々の競合物の解離定数であり、K(t)はテオフィリンの競合的な解離定数である)を表す。>により示されるある特定のデータは、競合物の溶解度によって制限された最小値である。各実験は二連で実行した。平均誤差を示す。
【0063】
【図58-1】図58は、本発明において使用するための例示的な化合物足場、小分子、およびこれらを調製する合成方法を示す。Lau, J. L.ら、ACS Nano 2011年、5巻(10)7722頁を参照。
【図58-2】図58は、本発明において使用するための例示的な化合物足場、小分子、およびこれらを調製する合成方法を示す。Lau, J. L.ら、ACS Nano 2011年、5巻(10)7722頁を参照。
【0064】
【図59】図59は、本発明において使用するための例示的な化合物足場、小分子、およびこれらを調製する合成方法を示す。
【0065】
【図60】図60は、McKeagueら、Journal of Nucleic Acids、2012巻(2012年)、論文ID 748913、20頁より転載した様々なRNAアプタマーに結合する本発明において使用するための例示的な化合物足場および小分子を示す。
【0066】
【図61-1】図61は、本発明において使用するための例示的な化合物足場、小分子、およびこれらを調製する合成方法を示す。
【図61-2】図61は、本発明において使用するための例示的な化合物足場、小分子、およびこれらを調製する合成方法を示す。
【0067】
【図62】図62は、本発明において使用するための例示的な化合物足場、小分子、およびこれらを調製する合成方法を示す。
【0068】
【図63A】図63AおよびBは、化合物ARK−132の合成経路を示す。
【図63B】図63AおよびBは、化合物ARK−132の合成経路を示す。
【0069】
【図64A】図64A〜Dは、化合物ARK−134の合成経路を示す。
【図64B】図64A〜Dは、化合物ARK−134の合成経路を示す。
【図64C】図64A〜Dは、化合物ARK−134の合成経路を示す。
【図64D】図64A〜Dは、化合物ARK−134の合成経路を示す。
【0070】
【図65A】図65A〜Cは、化合物ARK−135およびARK−136の合成経路を示す。
【図65B】図65A〜Cは、化合物ARK−135およびARK−136の合成経路を示す。
【図65C】図65A〜Cは、化合物ARK−135およびARK−136の合成経路を示す。
【0071】
【図66】図66は、化合物ARK−188の合成経路を示す。
【0072】
【図67】図67は、化合物ARK−190の合成経路を示す。
【0073】
【図68】図68は、化合物ARK−191の合成経路を示す。
【0074】
【図69】図69は、化合物ARK−195の合成経路を示す。
【0075】
【図70】図70は、化合物ARK−197の合成経路を示す。
【0076】
【図71A】図71AおよびBは、リボシル足場に基づく化合物の合成経路を示す。
【図71B】図71AおよびBは、リボシル足場に基づく化合物の合成経路を示す。
【0077】
【図72】図72は、3WJ RNA構築物の濃度に対する蛍光の依存性を決定するための較正実験を示す。
【0078】
【図73】図73は、様々な濃度において2つのRNA 3WJ構築物を用いる化合物Ark000007およびArk000008の蛍光消光実験の結果を示す。
【0079】
【図74】図74は、三角形で示す小分子リガンドのための推定上の結合部位を有する以下の3つのRNA 3WJ構築物についての考えられる構造を示す。A)RNA3WJ_1.0.0_5IB_3FAM(シス3WJ、1つの対形成していないヌクレオチドを有する)、B)分岐3WJ.1_上_5IB+分岐3WJ.1_下_3FAM(トランス3WJ、1:1の混合)、およびC)分岐3WJ.2_上_5IB+分岐3WJ.2_下_3FAM(トランス3WJ、1:1の混合)。
【0080】
【図75】図75は、以下のRNA構築物との化合物Ark0000013およびArk0000014の相互作用を測定する蛍光消光データを示す。A)RNA3WJ_1.0.0_5IB_3FAM(シス3WJ、1つの対形成していないヌクレオチドを有する)、B)分岐3WJ.1_上_5IB+分岐3WJ.1_下_3FAM(トランス3WJ、1:1の混合)、およびC)分岐3WJ.2_上_5IB+分岐3WJ.2_下_3FAM(トランス3WJ、1:1の混合)。
【0081】
【図76】図76は、3WJ_0.0.0_5IB_3FAM RNA構築物を用いて試験した化合物Ark000007およびArk000008についてのサーマルシフトデータを示す。データ解析は、約5℃の融解温度シフト(すなわち、61.2℃から65.6℃)を伴ってArk000007についての有意な効果を示している。対照的に、Ark000008についてはわずかな効果しか観察されなかった。これらのデータは、Ark000007の存在が3WJの安定性を増大させることを示唆する。
【0082】
【図77】図77は、RNA3WJ_1.0.0_5IB_3FAM(シス3WJ、1つの対形成していないヌクレオチドを有する)の存在下でのArk0000013およびArk0000014についてのサーマルシフトデータを示す。
【0083】
【図78】図78は、分岐3WJ.1_上_5IB+分岐3WJ.1_下_3FAMの存在下でのArk0000013およびArk0000014についてのサーマルシフトデータを示す。
【0084】
【図79】図79は、分岐3WJ.2_上_5IB+分岐3WJ.2_下_3FAMの存在下でのArk0000013およびArk0000014についてのサーマルシフトデータを示す。
【0085】
【図80】図80は、CPNQの構造を示しており、プロトン共鳴、NMRスペクトル、およびエピトープマッピングの結果を与えている。
【0086】
【図81】図81は、HP−AC008002−E01の構造を示しており、プロトン共鳴、NMRスペクトル、およびエピトープマッピングの結果を与えている。スケール化したSTD効果を事前の割り当てにしたがって分子上にプロットした。データは、両方のRNA構築物について、ピリジン環のプロトンがベンゼン環よりもRNAにより近接することを示唆する。脂肪族CH基は、その領域における緩衝液シグナルの重複に起因して観察できなかった。
【0087】
【図82】図82は、HP−AC008001−E02の構造を示しており、プロトン共鳴、NMRスペクトル、およびエピトープマッピングの結果を与えている。スケール化したSTD効果を事前の割り当てにしたがって分子上にプロットした。データは、両方のRNA構築物について、複素環に最も近い芳香族プロトンがRNAプロトンにより近接することを示唆する。脂肪族プロトン共鳴は、直接飽和のアーティファクト/その領域における緩衝液シグナルの重複に起因してSTDによって評価できなかった(WaterLOGSYによるエピトープマッピング)。
【0088】
【図83】図83は、HP−AT005003−C03の構造を示しており、プロトン共鳴、NMRスペクトル、およびエピトープマッピングの結果を与えている。スケール化したSTD効果を事前の割り当てにしたがって分子上にプロットした。シグナルの重複に起因して、CH基の個々の割り当てはできなかった。データは、両方のRNA構築物について、フラン部分のプロトンがフェニルよりもRNAプロトンにより近接することを示唆する。
【0089】
【図84A】図84A〜Eは、T4 RNAリガーゼ1アデニル化アダプターを使用する、Illumina Small RNA−Seqライブラリー調製物の産生ステップを示す。
【図84B】図84A〜Eは、T4 RNAリガーゼ1アデニル化アダプターを使用する、Illumina Small RNA−Seqライブラリー調製物の産生ステップを示す。
【図84C】図84A〜Eは、T4 RNAリガーゼ1アデニル化アダプターを使用する、Illumina Small RNA−Seqライブラリー調製物の産生ステップを示す。
【図84D】図84A〜Eは、T4 RNAリガーゼ1アデニル化アダプターを使用する、Illumina Small RNA−Seqライブラリー調製物の産生ステップを示す。
【図84E】図84A〜Eは、T4 RNAリガーゼ1アデニル化アダプターを使用する、Illumina Small RNA−Seqライブラリー調製物の産生ステップを示す。
【0090】
【図85A】図85A〜Eは、T4 RNAリガーゼ1アデニル化アダプターを使用する、Illumina Small RNA−Seqライブラリー調製物の産生ステップを示す。
【図85B】図85A〜Eは、T4 RNAリガーゼ1アデニル化アダプターを使用する、Illumina Small RNA−Seqライブラリー調製物の産生ステップを示す。
【図85C】図85A〜Eは、T4 RNAリガーゼ1アデニル化アダプターを使用する、Illumina Small RNA−Seqライブラリー調製物の産生ステップを示す。
【図85D】図85A〜Eは、T4 RNAリガーゼ1アデニル化アダプターを使用する、Illumina Small RNA−Seqライブラリー調製物の産生ステップを示す。
【図85E】図85A〜Eは、T4 RNAリガーゼ1アデニル化アダプターを使用する、Illumina Small RNA−Seqライブラリー調製物の産生ステップを示す。
【0091】
【図86】図86は、DEL実験において使用するためのRNA標的配列のPAGE分析を示す。ゲルのレーンは以下を示す。1:NMR緩衝液中のHTT17CAG、2:ニュートラアビジン樹脂とのインキュベーション前、3:ニュートラアビジン樹脂とのインキュベーション後の上清、4:室温での1時間のDEL化合物とのインキュベーション後のRNA。RNAは樹脂からの放熱後に回収した。
【0092】
【図87】図87は、本発明において使用するための表面プラズモン共鳴(SPR)法の例示的ステップを示す。
【0093】
【図88】図88AおよびBは、本発明において使用するための表面プラズモン共鳴(SPR)法の例示的ステップを示す。
【発明を実施するための形態】
【0094】
本発明の詳細な説明
本発明は、薬物様小分子による、例えばRNAまたはDNAといった核酸分子のレベルおよび/または活性のモジュレーションのための化合物、およびその使用方法を提供する。本発明はまた、3WJを形成する可能性があるまたは開示した化合物の存在下で3WJを形成する可能性があるシスまたはトランスの配列相補性について核酸配列をスクリーニングする方法も提供する。さらには、本発明は、3WJへの結合について小分子をスクリーニングする方法を提供する。本発明は、これらの構造を同定し、かつ細胞および動物においてそれらに選択的に結合して3WJを安定化させる小分子をスクリーニングすることによって、3WJの形成を利用する。3WJを安定化させることによって、該小分子は核酸の安定性または活性をモジュレートすることができる。
【0095】
一態様では、本発明は、3WJに選択的に結合し、3WJを安定化させる化合物または薬学的に許容されるその塩を提供する。一部の実施形態では、3WJは、シス相互作用の生成物、すなわち、同じ核酸(例えば、RNA)配列または鎖内の相互作用に起因する。一部の実施形態では、3WJは、トランス相互作用の生成物、すなわち、2つまたはそれより多くの核酸(例えば、RNA−RNA、RNA−DNA、またはDNA−DNA)配列または鎖内の相互作用に起因する。したがって、シス3WJでは、3WJを含む配列は、全て1つの核酸分子にある。対照的に、トランス3WJでは、3WJを形成する配列は、2つまたは3つ、最も一般的には2つの、異なる核酸分子の相互作用に由来する。例えば、一部のシス3WJでは、単一のmRNA転写物の5’非翻訳領域(UTR)中の配列がフォールディングして3WJを形成する。他の実施形態では、例示的なトランス3WJは、マイクロRNA(miRNA)とmRNAとの間に形成された3WJである。
【0096】
3WJに結合する小分子によって、3WJの形成およびモジュレーションのために様々なRNAが標的化され得る。これらのRNAとしては、mRNA、長鎖非コーディングRNA(lncRNA)、ウイルスRNA、および微生物RNAが挙げられる。これらを本特許出願では「標的」と称する。本発明について1つの一般的な使用は、ヒトmRNAの翻訳によって発現されるタンパク質のレベルに影響を与えるためにそのmRNAを標的化することであろう。別の使用は、RNAウイルスのゲノムを標的化して、翻訳を阻害し、ウイルスのパッケージングをブロックし、またはウイルスのライフサイクルにおける他の必須のステップを阻害することであろう。
【0097】
短鎖RNAは、トランスで作用して3WJの形成を誘発することができる。これらのRNAを「エフェクター」と称する。一部の実施形態では、エフェクターは、miRNA、Piwi相互作用性RNA(piRNA)、および低分子核小体RNA(snoRNA)などの様々な天然形態の短鎖RNAから選択される。これらの短鎖RNAは、3WJの形成をもたらすようにmRNAなどの標的と塩基対を形成することができる。エフェクターと標的との間の塩基対形成は多くの場合に不完全であり、すなわち、2つの配列は部分的な完全ではない相補性を有する。完璧な相補性は、3WJを欠いた完全に二本鎖の構造の形成をもたらすことになる。3WJを形成するために、エフェクター(例えば、miRNA)および標的(例えば、mRNA)は、一般的に、少なくとも4ヌクレオチド(nt)の塩基対形成とそれに続く少なくとも4ntの塩基対形成したステムおよび対形成していないntのループのストレッチと、それに続いてエフェクターと標的配列との間で塩基対形成した第2のストレッチとを形成する。ステムループは、エフェクター中または標的RNA中のいずれかに形成することができる。例示的な3WJ構造を図1、図7、および図9に示す。
【0098】
3WJを同定する方法は最初に、3WJを予測するためのコンピュータによるアプローチを含む。BLASTなどのプログラムを使用して相同性について配列データベースを検索することができる。一部の実施形態では、mRNAを標的化するエフェクターmiRNAを同定するために、UC Santa Cruz Genome Browserなどの注釈付きのデータベースを使用して、miRNAのライブラリーと1つの特定の目的のmRNA(または、他の実施形態では、特定のmiRNAと会合するmRNAの公知の群;または、他の実施形態では、全てのmRNAが検索される)との間で相同性検索が行われる。miRNAの公共データベースが利用可能である(http://www.mirbase.org;http://mirdb.org/miRDB/;http://www.microrna.org/microrna/home.do;http://mirtarbase.mbc.nctu.edu.tw;http://mircancer.ecu.edu;http://www.mir2disease.org;http://zmf.umm.uni−heidelberg.de/apps/zmf/mirwalk2/;http://www.targetscan.org)。エフェクターおよび標的の最小塩基対形成、ステムの最小サイズ、ループの最大サイズ、および構造の熱安定性を含めて3WJのパラメーターを設定することによってエフェクター:標的の同定用検索を行うことができる。このトランス解析以外に、シス3WJの同定は、個々のRNAの3WJを形成する能力について核酸データベース(例えば、注釈付きmRNA)を検索することによって行ってもよい。
【0099】
フォールディングしたコンフォメーションにおいて、3つの二重らせんの「ステム」が一点に集合し、かつステムが様々な長さの1つまたは2つのループで接続された時に、核酸中に3WJが形成される。これらは、ジャンクション中の全てのヌクレオチドが塩基対形成に参加する「完璧な」3WJ、または、3つが集合するステップの間にジャンクションにおいて1つまたは複数のntが対形成しないものであり得る低下された対称性の3WJのいずれかであり得る。第1のエフェクター:標的の塩基対形成の末端(x)、ステムの基部(y)、および第2のエフェクター:標的の塩基対形成の開始(y)の3つの位置は、対形成していないntのループまたはバルジを有し得る(図9を参照)。一部の実施形態では、標的核酸への小分子の結合によって形成された3WJ中のx、yおよびzのループ長さは、独立して、0、1、または2ntから選択される。一部の実施形態では、各ループは、独立して、0、1、2、3、または4ntから選択される。一部の実施形態では、各ループは、0ntである。一部の実施形態では、各ループは、1ntである。一部の実施形態では、各ループは、2ntである。一部の実施形態では、1つのループは、0ntである。一部の実施形態では、1つのループは、1ntである。一部の実施形態では、1つのループは、2ntである。
【0100】
DNAおよびRNAの3WJに結合し、(融解温度の上昇を証拠として)その3D構造を安定化させる小分子が報告されている。小分子リガンドの周囲での3WJの形成が、一本鎖核酸とトリプチセン(BarrosおよびChenoweth、Angew. Chem. Int. Ed. 2014年、53巻、13746〜13750頁;BarrosおよびChenoweth、Chem. Sci.、2015年、6巻、4752〜4755頁;Barrosら、Angew. Chem. Int. Ed. 2016年、55巻、1〜5頁)、コカイン誘導体の周囲での2つの鎖の相補的なハイブリダイゼーション(Kentら、Anal. Chem. 2013年、85巻、9916〜9923頁;SharmaおよびHeemstra、J. Am. Chem. Soc. 2011年、133巻、12426〜12429頁;Heemstra、Beilstein J. Org. Chem. 2015年、11巻、2713〜2720頁)、および対称的な有機金属錯体の周囲での3つの鎖の集合(Phongtongpasukら、Angew. Chem. Int. Ed. 2013年、52巻、11513〜11516頁;Oleksiら、Angew. Chem. Int. Ed. 2006年、45巻、1227〜1231頁)について報告されている。
【0101】
本質的に全ての生物学が、考慮されている標的のクラスに帰着できる限りにおいて、本発明によって広範な疾患に取り組むことができる可能性がある。
【0102】
本発明の一態様では、ある特定の小分子は、RNA結合タンパク質(RBP)の補助または関与なしで3WJの形成および安定化を誘発することによって、エフェクターRNAを標的RNAなどの標的核酸の領域へと持ちよる。多くの標的/エフェクター核酸ペアは、複数の潜在的な3WJ相互作用を有する。したがって、小分子リガンドは、細胞中の本質的にあらゆる標的化されるRNAの生物学的機能をモジュレートするために「プログラム」することができる。これは、外因性オリゴヌクレオチドの投与によって課される製薬上の制限なくアンチセンスが元々約束するものを再現する。
【0103】
核酸の3WJの標的化
RNAは、細胞中で様々な重要な役割を果たす。タンパク質をコードする遺伝子からメッセンジャーRNA(mRNA)が転写され、それが、広範な機能に役立つタンパク質に転写される。mRNAは、それらの機能のために決定的に重要な3WJなどの構造的な特徴をとるので、本発明の一部の実施形態は、1つまたは複数のmRNAが標的核酸である化合物および方法を提供する。他の実施形態では、他の種類のRNAが標的核酸である。例えば、リボソームRNA(rRNA)および転移RNA(tRNA)は、翻訳において機能する。非コーディングRNA(ncRNA)は多様かつ豊富に存在し、多くの細胞プロセスにおいて調節的な役割を果たす。長鎖非コーディングRNA(lncRNA)は、タンパク質をコードしない200ntを超えるRNAである(MorrisおよびMattick、Nature Reviews Genetics 2014年、15巻、423〜437頁;MattickおよびRinn、Nature Struct. & Mol. Biol. 2015年、22巻、5〜7頁;Iyerら、Nature Genetics 2015年、47巻、199〜208頁)。それらは、転写、スプライシング、およびmRNAの分解のレベルで、タンパク質をコードするmRNAの発現に影響し得る。lncRNAは、クロマチン構造を変化させることによって転写を増加または低下させるエピジェネティック調節因子を動員することによって転写を調節できる(HolochおよびMoazed、Nat. Rev. Genetics 2015年、16巻、71〜84頁)。lncRNAは、がん、炎症性疾患、神経学的疾患および心臓血管疾患を含めて広範なヒト疾患に関連する。lncRNAの標的化されたモジュレーションは、3WJの形成部位に応じて、治療的利益のために特定の遺伝子およびタンパク質の発現の上方調節または下方調節をもたらす可能性がある。RNAの二次構造および三次構造、特に3WJは、これらの調節的な活性にとって決定的に重要である。したがって、非コーディング転写物(非コーディングトランスクリプトーム)は、新たな治療標的の大きい群を表す。一部の例示的なRNA標的および疾患が、以下により詳細に記載される。
【0104】
mRNAの標的化
mRNAは核内でRNAポリメラーゼIIによって転写される。ヒト中にはおおまかに20,000のmRNAが存在する。しかしながら、5’開始部位、3’UTRの長さ、およびポリアデニル化(ポリA)部位の使用法において異なることがあるいくつもの異なるアイソフォームを各mRNAは有し得るという点でかなり複雑である。多くのmRNAはまた、多様な選択的スプライシングの形態を有する。典型的なmRNAは、5’末端のキャップ、5’UTR、様々な数のエクソンおよびイントロン、3’UTRおよび3’末端のポリA配列を有する。mRNAの濃度または「レベル」、および翻訳を介した結果物としてのタンパク質発現は、mRNAの構造、スプライシング効率、mRNAの安定性(半減期)、RNAの輸送、および翻訳の効率に影響する小分子によってモジュレートされ得る。3WJの形成は、mRNAおよびタンパク質のレベルに影響するコーディングまたは非コーディングのいずれかのエレメントにおいて誘発および安定化され得る。治療上の目標に応じて、目的は、下方調節または上方調節のいずれかであり得る。したがって、一部の実施形態では、本発明は、標的mRNAの濃度を変化させる方法であって、標的mRNAを開示した化合物と接触させて、標的mRNAの部分を含む3WJを形成または安定化させるステップを含む、方法を提供する。一部の実施形態では、標的mRNAの部分を含む3WJを形成または安定化させることは、標的mRNAのスプライシング効率、安定性(例えば、半減期)、輸送、または翻訳の効率に影響する。一部の実施形態では、標的mRNAの濃度は上方調節される。一部の実施形態では、標的mRNAの濃度は下方調節される。一部の実施形態では、下方調節されるmRNAは、図31に列記されたものから選択される。一部の実施形態では、上方調節されるmRNAは、図32に列記されたものから選択される。一部の実施形態では、3WJはシスである。一部の実施形態では、3WJはトランスである。
【0105】
mRNA内の非コーディング領域は、mRNAおよびタンパク質の発現レベルに影響し得る。簡潔に述べれば、これらの非コーディング領域としては、(a)内部リボソーム進入部位(IRES)および(b)翻訳効率に影響する5’UTR中の上流オープンリーディングフレーム(uORF)、(c)スプライシング効率および選択的スプライシングパターンに影響するイントロン配列、(d)mRNAおよびタンパク質の局在性に影響する3’UTR配列、および(e)mRNAの分解および半減期を制御するmRNAの本体部中および/または3’UTR中のエレメントが挙げられる。(KomarおよびHatzoglou、Frontiers Oncol. 5巻:233頁、2015年;Weingarten-Gabbayら、Science 351巻:pii:aad4939、2016年;Calvoら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 106巻:7507〜7512頁;Le Quesneら、J. Pathol. 220巻:140〜151頁、2010年;Barbosaら、PLOS Genetics 9巻:e10035529頁、2013年)。例えば、全てのヒトmRNAのうちの半分近くがuORFを有しており、これらの多くはメインORFの翻訳を低下させる。ヒトに関連する莫大な数の単一ヌクレオチド多型(SNP)がmRNAのこれらの非コーディング領域中に位置し、このことは、それらは決定的に重要な調節機能を有し、3WJの形成によるそれらの標的化は発現レベルに影響を及ぼす可能性があることを示唆する。したがって、一部の実施形態では、本発明は、標的mRNAの濃度を変化させる方法であって、標的mRNAを開示した化合物と接触させて、標的mRNAの非コーディング部分を含む3WJを形成または安定化させるステップを含む、方法を提供する。一部の実施形態では、標的mRNAの非コーディング部分は、内部リボソーム進入部位(IRES)、5’UTR中の上流オープンリーディングフレーム(uORF)、スプライシング効率および選択的スプライシングパターンに影響するイントロン配列、mRNAおよびタンパク質の局在性に影響する3’UTR配列、または、mRNAの分解および半減期を制御するmRNAの本体部中および/または3’UTR中のエレメントから選択される。
【0106】
他の実施形態では、翻訳を阻害するために5’UTR中のRNA構造が標的化される。5’UTR中のヘアピンなどのRNA構造は翻訳に影響することが示されている。一部の実施形態では、本発明は、タンパク質の産生を低下させるためにリボソームの認識および/または進行をモジュレートし、または翻訳を阻害する方法であって、5’UTR中のRNA構造を開示した化合物と接触させるステップを含む、方法を提供する。一部の実施形態では、翻訳の開始におけるAUGでのまたはAUGのすぐ上流での3WJの形成または安定化によって、リボソームの認識および/または進行がモジュレートされ、または翻訳が阻害される。
【0107】
mRNAの半減期は細胞中で緊密に制御されている(Palumboら、Wiley Interdiscip. Rev. RNA、2015年、6巻、327〜336頁)。細胞中のmRNAの濃度は、転写とmRNAの分解との間の緊密な調節およびバランスの産物である。個々のmRNAは、それら自身の独特な半減期を有するが、mRNAが誤ってプロセシングされるか、または翻訳がブロックされた時に分解が加速され得る。個々のmRNAの分解は、翻訳の障害によって刺激または阻害されることがあり、また同様に、mRNAの半減期の変化は、翻訳効率を変化させることがある(RoyおよびJacobson、Trends Genet. 2013年、29巻、691〜699頁)。mRNAの安定性および分解はまた、環境刺激、および、細胞周期、細胞分化、および免疫応答などの生物学的プロセスによっても制御され得る。mRNAの安定性は、細胞の種類および種の間で保存されている。ヒトmRNAの大部分は、8時間未満の半減期を呈し、かなりの割合が4時間未満の半減期を有する。mRNA中での3WJの形成および安定化は、mRNAの安定性を著しく増加または低下させる可能性がある。ほとんどのmRNAの分解は、mRNAをその末端から分解するエキソリボヌクレアーゼによるRNAのプロセッシブな3’から5’へのおよび5’から3’への分解によって起こる。これらのエキソリボヌクレアーゼは、一本鎖のRNAを分解するが、二本鎖のRNAを分解しない。したがって、一部の実施形態では、本発明は、mRNAの半減期を増加させ、またはmRNAによって調節されるタンパク質のレベルをモジュレートする方法であって、mRNAを開示した化合物と接触させるステップを含む、方法を提供する。一部の実施形態では、化合物は、mRNA中、またはmRNAと別のRNAなどの相補的な核酸との間の、3WJの形成を誘発し、または3WJを安定化させる。理論に縛られることを望まないが、3WJの存在は、エキソリボヌクレアーゼ活性をブロックして、mRNAの半減期を増加させ、かつ治療的に有益なタンパク質の、結果としてもたらされるタンパク質レベルを増加させ得る。一部の実施形態では、開示した化合物は、ポリA部位の上流の3’UTRにおいて3WJの形成を誘発し、または3WJを安定化させる。これは、標的mRNAを分解から保護し得る。あるいは、3WJは、翻訳を阻害しないことを条件として、5’UTR中に導入される。
【0108】
mRNA転写物の終結は異なる位置において起こり得るので、変質的なタンパク質コーディングを含めて独特の特性を有するmRNAを形成する。mRNAのプロセシングは転写と同時に起こり、RNAポリメラーゼIIのプロセッシビティの減速は、3’末端の切断およびポリアデニル化に関連する。選択的な終結およびポリA部位の使用法によって、タンパク質をコードする様々な長さのmRNAが創出され得る。これらの独特のRNAは、異なる半減期、翻訳効率または細胞内局在性を有し得る。一部の実施形態では、開示した化合物は、RNAポリメラーゼIIの終結および/またはポリA付加の部位において、3WJに結合しかつ/または3WJを安定化させる。一部の実施形態では、そのような3WJの形成および/または安定化は、mRNAの機能を変化させる。
【0109】
標的およびエフェクターの選択についての1つの考慮される点は、それらの相対発現レベルである。一部の実施形態では、エフェクターRNA濃度は、標的核酸(例えば、標的mRNA)濃度に類似する。標的の存在量がエフェクターを大いに上回れば、RNA標的に対する機能的な影響力はより困難なものとなる。ある特定の実施形態では、生物学的システム(例えば、対象の全身、組織、細胞、核、ミトコンドリア、または細胞質)中でのエフェクター:標的核酸の相対的な濃度は、100:1〜1:100の間である。一部の実施形態では、相対的な濃度は、50:1〜1:50、25:1〜1:25、10:1〜1:10、5:1〜1:5、3:1〜1:3、2:1〜1:2または約1:1である。一部の実施形態では、エフェクター:標的の濃度は、少なくとも約10:1である。一部の実施形態では、エフェクター:標的の濃度は、少なくとも約25:1である。加えて、ある特定の実施形態では、両方のRNAは、相互作用の可能性がより高くなるように、細胞の同じ区画に局在する。細胞内分布は精密に合致する必要はないが、排他的であるべきではない。例えば、エフェクターが排他的に核内であると同時に標的核酸が排他的に細胞質内であるべきではない。
【0110】
小分子を使用して、様々な状況下での治療的利益のためにpre−mRNAのスプライシングをモジュレートすることができる。その一例は脊髄性筋萎縮症(SMA)である。SMAは運動ニューロン(SMN)のタンパク質の不十分な生存量の結果である。ヒトは、SMN1およびSMN2という2つのバージョンのSMN遺伝子を持つ。SMA患者は変異したSMN1遺伝子を持つため、この患者らのSMNタンパク質はSMN2のみに依存する。SMN2遺伝子は非効率的なスプライシングを引き起こすサイレント変異をエクソン7に有するため、SMN2転写物の大部分においてエクソン7がスキップされ、細胞内で急速に分解される欠陥タンパク質の生成に繋がる。その結果、この遺伝子座から産生されるSMNタンパク質の量が制限される。SMN2転写物のスプライシングの間にエクソン7が効率的に含まれるのを促進する小分子は、SMAの効果的な治療となるであろう(Palacinoら、Nature Chem. Biol.、2015年、11巻、511〜517頁)。したがって、一態様では、本発明は、標的pre−mRNAのスプライシング、転写、または細胞内半減期をモジュレートして疾患または障害を治療する小分子を同定する方法であって、標的pre−mRNA中の3WJへの結合について本明細書中に開示した1つまたは複数の小分子をスクリーニングするステップ、およびどの小分子(複数可)が3WJに結合し、標的pre−mRNAのスプライシング、転写、または細胞内半減期をモジュレートして疾患または障害を治療するかを同定するステップを含む、方法を提供する。一部の実施形態では、方法は、開示したコンピュータによる調査にしたがって標的pre−mRNAを同定するステップをさらに含む。一部の実施形態では、標的pre−mRNAは、エフェクターmiRNAなどのエフェクターRNAの存在下で3WJを形成することができる。一部の実施形態では、小分子は、エフェクターRNAと標的pre−mRNAとの間に形成されたトランス3WJに結合する。一部の実施形態では、小分子は、標的pre−mRNAの部分の間に形成されたシス3WJに結合する。一部の実施形態では、pre−mRNAは、SMN2転写物である。一部の実施形態では、疾患または障害は脊髄性筋萎縮症(SMA)である。
【0111】
欠陥のあるスプライシングが疾患を引き起こさない場合であっても、スプライシングパターンの変化は疾患を正すために使用することができる。未熟な翻訳終結に繋がるナンセンス変異は、エクソン配列がインフレームであれば、エクソンスキッピングによって取り除くことができる。これにより、少なくとも部分的に機能的なタンパク質を創出することができる。エクソンスキッピングの使用の一例は、デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)におけるジストロフィン遺伝子である。DMD患者における未熟な終結コドンに繋がる様々な異なる変異は、オリゴヌクレオチドによって促進されるエクソンスキッピングによって取り除くことができる(Faircloughら、Nature Rev. Gen.、2013年、14巻、373〜378頁で総説されている)。RNA構造に結合し、スプライシングに影響する小分子は、類似の効果を有することが予測される。したがって、一態様では、本発明は、標的pre−mRNAのスプライシングパターンをモジュレートして疾患または障害を治療する小分子を同定する方法であって、ステップを含む方法を提供する:したがって、一態様では、本発明は、標的pre−mRNAのスプライシングパターンをモジュレートして疾患または障害を治療する小分子を同定する方法であって、標的pre−mRNA中の3WJへの結合について本明細書中に開示した1つまたは複数の小分子をスクリーニングするステップ、およびどの小分子(複数可)が3WJに結合し、標的pre−mRNAのスプライシングパターンをモジュレートして疾患または障害を治療するかを同定するステップを含む、方法を提供する。一部の実施形態では、方法は、開示したコンピュータによる調査にしたがって標的pre−mRNAを同定するステップをさらに含む。一部の実施形態では、標的pre−mRNAは、エフェクターmiRNAなどのエフェクターRNAの存在下で3WJを形成することができる。一部の実施形態では、小分子は、エフェクターRNAと標的pre−mRNAとの間に形成されたトランス3WJに結合する。一部の実施形態では、小分子は、標的pre−mRNAの部分の間に形成されたシス3WJに結合する。一部の実施形態では、標的pre−mRNAは、ジストロフィン遺伝子の転写物である。一部の実施形態では、小分子は、エクソンスキッピングを促進して未熟な翻訳終結を取り除く。一部の実施形態では、疾患または障害は、デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)である。
【0112】
本発明は、特定のタンパク質の発現を、それらの同族mRNA中の3WJの標的化に基づいて上方または下方調節するための小分子の使用を企図する。したがって、本発明は、標的mRNAに関連する下流タンパク質の発現をモジュレートする方法であって、標的mRNA中の3WJに結合するまたは該3WJを安定化させる本明細書中に開示した小分子と標的mRNAを接触させるステップを含む、方法を提供する。別の態様では、本発明は、標的mRNAに関連する下流タンパク質の発現をモジュレートする小分子を製造する方法であって、標的mRNA中の3WJへの結合について本明細書中に開示した1つまたは複数の小分子をスクリーニングするステップ、およびどの小分子(複数可)が3WJに結合し、標的mRNAに関連する下流タンパク質の発現をモジュレートするかを同定するステップを含む、方法を提供する。一部の実施形態では、方法は、開示したコンピュータによる調査にしたがって標的mRNAを同定するステップをさらに含む。一部の実施形態では、標的mRNAは、エフェクターmiRNAなどのエフェクターRNAの存在下で3WJを形成することができる。一部の実施形態では、小分子は、エフェクターRNAと標的mRNAとの間に形成されたトランス3WJに結合する。一部の実施形態では、小分子は、標的mRNAの部分の間に形成されたシス3WJに結合する。一部の実施形態では、標的mRNAに関連する下流タンパク質の発現のモジュレーションは、開示した疾患または状態を治療または改善する。
【0113】
一部の実施形態では、本発明は、mRNAによって媒介される疾患または障害を治療する方法であって、それを必要とする患者に本願明細書に開示される小分子を投与するステップを含む、方法を提供する。
【0114】
調節RNAの標的化
RNA標的の最大のセットは、転写されるがタンパク質に翻訳されない、「非コーディングRNA」と呼ばれるRNAを含む。非コーディングRNAは高度に保存されており、多くの種類の非コーディングRNAが広範な調節機能を果たしている。本明細書中で使用する場合、「非コーディングRNA」という用語は、micro−RNA(miRNA)、長鎖非コーディングRNA(lncRNA)、長鎖遺伝子間非コーディングRNA(lincRNA)、Piwi相互作用性RNA(piRNA)、競合内因性RNA(ceRNA)、および偽遺伝子を包含するが、これらに限定されない。非コーディングRNAのこれらの下位カテゴリーのそれぞれは、有意な治療的可能性を有する多数のRNA標的を与える。したがって、一態様では、本発明は、標的非コーディングRNAの調節機能をモジュレートする小分子を製造する方法であって、標的非コーディングRNA中の3WJへの結合について本明細書中に開示した1つまたは複数の小分子をスクリーニングするステップ、およびどの小分子(複数可)が3WJに結合し、標的非コーディングRNAの調節機能をモジュレートするかを同定するステップを含む、方法を提供する。一部の実施形態では、方法は、開示したコンピュータによる調査にしたがって標的非コーディングRNAを同定するステップをさらに含む。一部の実施形態では、標的非コーディングRNAは、エフェクターmiRNAなどのエフェクターRNAの存在下で3WJを形成することができる。一部の実施形態では、小分子は、エフェクターRNAと標的非コーディングRNAとの間に形成されたトランス3WJに結合する。一部の実施形態では、小分子は、標的非コーディングRNAの部分の間に形成されたシス3WJに結合する。一部の実施形態では、標的非コーディングRNAの調節機能をモジュレートすることは、miRNA、lncRNA、lincRNA、piRNA、ceRNA、または偽遺伝子によって引き起こされる疾患を治療または改善する。
【0115】
miRNAの標的化
miRNAは、遺伝子発現を調節する短い二本鎖RNAである(ElliottおよびLadomery、Molecular Biology of RNA、第2版を参照)。各miRNAは多くのヒト遺伝子の発現に影響することができる。ヒトには2,000近くのmiRNAが存在する。これらのRNAは、細胞分化、細胞運命、運動性、生存、および機能を含めて多くの生物学的プロセスを調節する。miRNA発現レベルは、組織、細胞種、および疾患状況ごとに異なる。それらは、正常組織に対して腫瘍中で頻繁に異常発現し、それらの活性はがんにおいて重大な役割を果たし得る(総説については、Croce、Nature Rev. Genet. 10巻:704〜714頁、2009年;Dykxhoorn、Cancer Res. 70巻:6401〜6406頁、2010年を参照)。miRNAはがん遺伝子および腫瘍抑制因子を調節することが示されており、またそれら自体ががん遺伝子または腫瘍抑制因子として作用できる。一部は、上皮間葉移行(EMT)ならびにがん細胞の侵襲性および転移を促進することが示されている。発がん性miRNAの場合、それらの阻害は効果的な抗がん治療となり得る。したがって、一態様では、本発明は、標的miRNAの活性をモジュレートして疾患または障害を治療する小分子を製造する方法であって、標的miRNAの少なくとも一部分を含む3WJへの結合について本明細書中に開示した1つまたは複数の小分子をスクリーニングするステップ、およびどの小分子(複数可)が3WJに結合し、標的miRNAの活性をモジュレートして疾患または障害を治療するかを同定するステップを含む、方法を提供する。一部の実施形態では、方法は、開示したコンピュータによる調査にしたがって標的miRNAを同定するステップをさらに含む。一部の実施形態では、標的miRNAは、mRNAなどのそれが結合するRNAの存在下で3WJを形成することができる。一部の実施形態では、小分子は、標的miRNAとそれが結合するRNAとの間に形成されたトランス3WJに結合する。一部の実施形態では、miRNAはがん遺伝子または腫瘍抑制因子を調節し、あるいはがん遺伝子または腫瘍抑制因子として作用する。一部の実施形態では、疾患はがんである。一部の実施形態では、がんは固形腫瘍である。
【0116】
一部の実施形態では、標的miRNAは、miR−155、miR−17〜92、miR−19、miR−21、またはmiR−10bなどの発がん性miRNAである(StahlhutおよびSlack、Genome Med. 2013年、5巻、111頁を参照)。miR−155は、炎症、高血圧、心不全、およびがんにおいて病理学的役割を果たす。がんにおいて、miR−155は発がんカスケードおよびアポトーシス抵抗性、ならびにがん細胞侵襲性の増大を誘起する。miR−155の発現の変化が、病期、進行、および治療転帰を反映して多数のがんで報告されている。miR−155の過剰発現が報告されているがんとしては、乳がん、甲状腺癌、結腸がん、子宮頸がん、および肺がんが挙げられる。miR−155は、乳がんの薬物耐性における役割を果たすことが報告されている。miR−17〜92(Oncomir−1とも呼ばれる)は、miR−17、20a、18a、19a、92−1、および19b−1を含む多シストロン性の1kbの一次転写物である。これはMYCによって活性化される。miR−19は多数の造血細胞において遺伝子発現およびシグナル伝達経路を変化させ、また白血病誘発およびリンパ腫発生を誘起する。これは多様なヒト固形腫瘍および血液がんに関与する。miR−21は発がん性miRNAであり、多数の腫瘍抑制因子の発現を低下させる。これはがん細胞の侵襲を刺激し、また胸部、卵巣、頸部、結腸、肺、肝臓、脳、食道、前立腺、膵臓、および甲状腺のがんを含めてヒトの多様ながんに関連する。したがって、上記の方法の一部の実施形態では、標的miRNAは、miR−155、miR−17〜92、miR−19、miR−21、またはmiR−10bから選択される。一部の実施形態では、疾患または障害は、乳がん、卵巣がん、子宮頸がん、甲状腺癌、結腸がん、肝臓がん、脳のがん、食道がん、前立腺がん、肺がん、白血病、またはリンパ節がんから選択されるがんである。一部の実施形態では、がんは固形腫瘍である。
【0117】
腫瘍学を超えて、miRNAは、心臓血管疾患および代謝性疾患を含めて多くのその他の疾患において役割を果たす(QuiantおよびOlson、J. Clin. Invest. 123巻:11〜18頁、2013年;Olson、Science Trans. Med. 6巻: 239ps3、2014年;Baffy、J. Clin. Med. 4巻:1977〜1988頁、2015年)。
【0118】
多くの成熟miRNAは長さが比較的短いため、小分子によって標的化されるために十分なフォールディングした三次元構造を欠くことがある。しかしながら、そのようなmiRNAのレベルは、一次転写物またはpre−miRNAの少なくとも一部を含む3WJに結合して成熟miRNAの生合成を妨げる小分子によって低下され得ると考えられる。したがって、上記の方法の一部の実施形態では、標的miRNAは一次転写物またはpre−miRNAである。
【0119】
lncRNAは200ヌクレオチド(nt)を上回るRNAであり、タンパク質をコードしない(RinnおよびChang、Ann. Rev. Biochem. 2012年、81巻、145〜166頁を参照;(総説については、MorrisおよびMattick、Nature Reviews Genetics 15巻:423〜437頁、2014年;MattickおよびRinn、Nature Structural & Mol. Biol. 22巻:5〜7頁、2015年;Iyerら、Nature Genetics 47巻(:199〜208頁、2015年)を参照)。lncRNAは、転写、スプライシング、およびmRNAの分解のレベルでタンパク質をコードするmRNAの発現に影響することができる。lncRNAはクロマチン構造を変化させることによって転写を増加または低下させるエピジェネティック調節因子を動員することによって転写を調節できることを相当数の研究が示している(例えば、HolochおよびMoazed、Nature Reviews Genetics 16巻:71〜84頁、2015年)。lncRNAは、がん、炎症性疾患、神経学的疾患、および心臓血管疾患を含めてヒト疾患に関連する(例えば、PresnerおよびChinnaiyan、Cancer Discovery 1巻:391〜407頁、2011年;Johnson、Neurobiology of Disease 46巻:245〜254頁、2012年;GutscherおよびDiederichs、RNA Biology 9巻:703〜719頁、2012年;Kumarら、PLOS Genetics 9巻:e1003201、2013年;van de Vondervoortら、Frontiers in Molecular Neuroscience、2013年;Liら、Int. J. Mol. Sci. 14巻:18790〜18808頁、2013年)。lncRNAを標的化することで、治療的利益のために特定の遺伝子およびタンパク質の発現を上方調節または下方調節し得る(例えば、Wahlestedt、Nature Reviews Drug Discovery 12巻:433〜446頁、2013年;GuilおよびEsteller、Nature Structural & Mol. Biol. 19巻:1068〜1075頁、2012年)。一般に、lncRNAは、mRNAと比べて低いレベルで発現される。多くのlncRNAは、クロマチンと物理的に会合しており(Wernerら、Cell Reports 12巻、1〜10頁、2015年)、タンパク質をコードする遺伝子に近接して転写される。lncRNAはしばしば、転写の部位において物理的に会合したままであり、シスで局所的に作用して隣接mRNAの発現を調節する。lncRNAは、タンパク質をコードする遺伝子の発現を調節し、多くの異なるレベルで作用して転写、選択的スプライシング、およびmRNAの分解に影響する。例えば、lncRNAは、エピジェネティック調節因子であるPRC2に結合して遺伝子へのその動員を促進し、次いでこの遺伝子の転写はクロマチン修飾を介して抑止されることが示されている。lncRNAは、様々な調節タンパク質とのそれらの会合を媒介する3WJなどの複雑な構造を形成し得る。これらのlncRNA構造に結合する小分子は、個々のlncRNAによって通常調節される遺伝子の発現をモジュレートするために使用され得る。lncRNAの突然変異および調節異常はヒト疾患に関連するため、治療標的となり得る数多くのlncRNAが存在する。したがって、上記の方法の一部の実施形態では、標的非コーディングRNAはlncRNAである。一部の実施形態では、lncRNAは、がん、炎症性疾患、神経学的疾患、または心臓血管疾患に関連する。一部の実施形態では、方法は、開示したコンピュータによる調査にしたがって標的lncRNAを同定するステップをさらに含む。一部の実施形態では、標的lncRNAは、エフェクターmiRNAなどのエフェクターRNAの存在下で3WJを形成することができる。一部の実施形態では、小分子は、エフェクターRNAと標的lncRNAとの間に形成されたトランス3WJに結合する。一部の実施形態では、小分子は、標的lncRNAの部分の間に形成されたシス3WJに結合する。
【0120】
1つの例示的な標的lncRNAはHOTAIRであり、これはヒト第12染色体上のHoxC遺伝子座から発現されるlncRNAである。その発現レベルは低い(細胞あたり約100RNAコピー)。多くのlncRNAと異なり、HOTAIRは、トランスで作用して遠位の遺伝子の発現に影響することができる。HOTAIRは、エピジェネティックリプレッサーPRC2、および別の抑止的エピジェネティック調節因子であるLSD1/CoREST/REST複合体に結合する(Tsaiら、Science 329巻、689〜693頁、2010年)。HOTAIRは、高度に構造化されたRNAであり、そのヌクレオチドの50%より多くが塩基対形成に関与している。HOTAIRは、様々な種類のがんにおいて頻繁に異常調節されている(しばしば上方調節されている)(Yaoら、Int. J. Mol. Sci. 15巻:18985〜18999頁、2014年;Dengら、PLOS One 9巻:e110059頁、2014年)。HOTAIRの発現レベルが高いがん患者は、発現レベルが低い患者と比べて、予後が著しく不良である。HOTAIRは、アポトーシスの制御、増殖、転移、血管新生、DNA修復、化学療法抵抗性、および腫瘍細胞代謝に関与することが報告されている。HOTAIRは転移性乳がんにおいて高発現する。原発性胸部腫瘍における高レベルの発現はその後の転移および死の有意な予測因子である。HOTAIRは、食道扁平上皮癌に関連することも報告されており、また結腸直腸がん、子宮頸がん、胃がん、および子宮内膜癌における予後診断因子である。したがって、HOTAIR結合性小分子は新規の抗がん薬物候補である。したがって、上記の方法の一部の実施形態では、標的非コーディングRNAはHOTAIRである。一部の実施形態では、小分子は、HOTAIRの構造中の3WJに結合する。一部の実施形態では、疾患または障害は、乳がん、食道扁平上皮癌、結腸直腸がん、子宮頸がん、胃がん、または子宮内膜癌である。
【0121】
lncRNAの中で別の潜在的ながん標的はMALAT−1(metastasis-associated lung adenocarcinoma transcript 1)であり、これはNEAT2(nuclear-enriched abundant transcript 2)としても知られている(Gutschnerら、Cancer Res. 73巻:1180〜1189頁、2013年;Brownら、Nat. Structural & Mol. Biol. 21巻:633〜640頁、2014年)。MALAT−1は高度に保存された7kbの核内lncRNAであり、核スペックル内に局在化する。MALAT−1は正常組織内で遍在的に発現されるが、多くのがんにおいて上方調節されている。MALAT−1は、肺がんを含めた多数のがんにおいて転移進行の予測マーカーである。MALAT−1は遺伝子発現の調節因子として機能して転写および/またはスプライシングに影響する可能性があるようである。MALAT−1ノックアウトマウスは表現型を有さず、このことはMALAT−1の正常機能が限られていることを示している。しかしながら、MALAT−1欠損がん細胞は遊走に障害があり、マウス異種移植腫瘍モデルにおいて形成する腫瘍がより少ない。MALAT−1を阻害するアンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)は、マウスにおいて腫瘍生着後の転移形成を防止する。いくつかのマウス異種移植腫瘍モデルのデータは、ASOによるMALAT−1のノックダウンは原発性腫瘍の成長および転移の両方を阻害し得ることを示している。よって、MALAT−1を標的化する小分子は、腫瘍成長および転移の阻害に効果的であることが予測される。したがって、上記の方法の一部の実施形態では、標的非コーディングRNAはMALAT−1である。一部の実施形態では、小分子は、MALAT−1の構造中の3WJに結合する。一部の実施形態では、疾患または障害は、肺がんなどの、MALAT−1が上方調節されるがんである。
【0122】
一部の実施形態では、本発明は、非コーディングRNA(HOTAIRまたはMALAT−1など)によって媒介される疾患または障害を治療する方法であって、それを必要とする患者に本発明の化合物を投与するステップを含む、方法を提供する。そのような化合物は本明細書中に詳細に説明されている。
【0123】
毒性RNA(リピートRNA)の標的化
mRNA中の単純反復はしばしばヒト疾患に関連する。これらはしばしば、排他的ではないが、CAGなどの3ヌクレオチドの反復(「トリプレットリピート」)である(総説については、GatchelおよびZoghbi、Nature Reviews Genetics 6巻:743〜755頁、2005年;Krzyzosiakら、Nucleic Acids Res. 40巻:11〜26頁、2012年;BudworthおよびMcMurray、Methods Mol. Biol. 1010巻:3〜17頁、2013年を参照)。トリプレットリピートはヒトゲノム中に豊富に存在し、世代を経るにつれて伸長する傾向がある。おおよそ40のヒト疾患が反復配列の伸長に関連している。トリプレットの伸長によって引き起こされる疾患は、トリプレットリピート伸長疾患(TRED)として知られる。健常個体は様々な数のトリプレットリピートを持つが、それより多い反復数になると疾患を引き起こす閾値が存在する。閾値は障害ごとに様々である。トリプレットリピートは不安定であり得る。遺伝子が引き継がれるにつれて反復数が増加することがあり、世代が進むにつれて状態がより重篤となり得るか、またはより早期に発症し得る。個体が正常範囲内でいくつかの反復を持つ場合、次の世代に引き継がれる時に反復は伸長されないことが予期される。反復数が前突然変異の範囲内(正常であるが、不安定な反復数)にある場合、次の世代への遺伝の際に反復が伸長することもあるし、しないこともある。前突然変異を持つ正常個体は該状態を有しないが、完全な突然変異の範囲内にあるトリプレットリピートを受け継ぎ罹患することになる子供を持つリスクがある。TREDは、常染色体顕性、常染色体劣性、またはX連鎖性であり得る。より頻繁に見られるトリプレットリピート障害は常染色体顕性である。
【0124】
反復はmRNAのコーディング部分または非コーディング部分にあることができる。非コーディング領域内の反復の場合、反復は5’UTR配列、イントロン、または3’UTR配列内に存在し得る。コーディング領域内の反復配列によって引き起こされる疾患のいくつかの例を表1に示す。
【表1】
【0125】
mRNAの非コーディング領域内にある反復配列によって引き起こされる疾患のいくつ
かの例を表2に示す。
【表2】
【0126】
反復配列に起因する毒性は、毒性RNAそれ自体の作用の直接の結果であり得るか、あるいは、リピート伸長がコード配列内にある場合、RNAおよび/または異常タンパク質の毒性に起因し得る。リピート伸長RNAは、決定的に重要なRNA結合タンパク質(RBP)をフォーカス内に隔離することによって作用することができる。隔離されるRBPの一例は、Muscleblindファミリーのタンパク質MBNL1である。RBPの隔離は、スプライシングの欠陥ならびにRNAおよびタンパク質の核細胞質輸送の欠陥に繋がる。RBPの隔離はmiRNA生合成にも影響することができる。RNA生物学におけるこれらの擾乱は、ニューロンの機能および生存に大きく影響して様々な神経学的疾患に繋がり得る。
【0127】
RNA中の反復配列は、RBPに結合し、正常なRNA生物学に影響する二次構造および三次構造を形成する。疾患の一具体例は、筋強直性ジストロフィー(DM1;筋強直性ジストロフィー(dystrophia myotonica))であり、これは筋肉衰弱および収縮後の筋肉の緩慢な弛緩によって特徴付けられるよく見られる遺伝性の筋肉疾患である(Machuca-Tziliら、Muscle Nerve 32巻:1〜18頁、2005年)。これは筋強直性ジストロフィー(dystrophia myotonica)プロテインキナーゼ(DMPK)遺伝子の3’UTRのCUG伸長によって引き起こされる。この反復を含むRNAは、スプライシング調節因子MBNL1およびCUGリピート結合タンパク質(CELF1)への影響を通じていくつもの発生的に調節される転写物の選択的スプライシングの誤調節を引き起こす(Wheelerら、Science 325巻:336〜339頁、2009年)。DMPKの転写物内のCUGリピートに結合する小分子は、RNA構造を変化させ、病巣形成を防止し、これらのスプライシング(spicing)調節因子への影響を軽減するであろう。最もよく見られる遺伝性の精神遅滞である脆弱性X症候群(FXS)は、FMR1遺伝子の5’UTR内のCGGリピート伸長の結果である(Lozanoら、Intractable Rare Dis. Res. 3巻:134〜146頁、2014年)。FMRPは、多くのmRNAの翻訳の調節、およびタンパク質輸送にとって決定的に重要であり、またシナプス発生および神経可塑性のために必須のタンパク質である。よって、その欠損は神経病理に繋がる。このCGGリピートRNAを標的化する小分子は、FMR1 mRNAおよびFMRPタンパク質の発現の抑制を軽減し得る。満たされていない非常に大きな医学上の必要性を持つ別のTREDはハンチントン病(HD)である。HDは、運動、認知、および精神医学的な変化を伴う進行性の神経学的障害である(Zuccatoら、Physiol Rev. 90巻:905〜981頁、2010年)。HTT遺伝子のコード配列内のCAGリピートは、転写、小胞輸送、ミトコンドリア機能、およびプロテアーゼ活性への有害な影響を持つらしいポリグルタミンリピートを有するタンパク質に繋がるので、HDはポリグルタミンまたはポリQ障害として特徴付けられる。しかしながら、HTTのCAGリピートRNAそれ自体もまた、核内封入体内へのMBNL1タンパク質の隔離を含めて毒性を示す。その他の一具体例は、C9orf72(chromosome 9 open reading frame 72)遺伝子内のGGGGCCリピート伸長であり、これは家族性前頭側頭型認知症(FTD)および家族性筋萎縮性側索硬化症(ALS)の両方においてよく見られる(Lingら、Neuron 79巻:416〜438頁、2013年;Haeuslerら、Nature 507巻:195〜200頁、2014年)。リピートRNA構造は、決定的に重要なRNA結合タンパク質を隔離する核内フォーカスを形成する。GGGGCCリピートRNAはまた、RanGAP1に結合してそれを隔離して、RNAおよびタンパク質の核細胞質間輸送を害する(Zhangら、Nature 525巻:56〜61頁、2015年)。これらのリピート伸長RNAのいずれかを選択的に標的化することは、これらの神経学的疾患における治療的利益を与え得る。
【0128】
トリプレットリピートは3WJ構造をとり、そのため開示した小分子にとって好適な標的であることの証拠がいくつか存在する。理論に縛られることを望まないが、ある特定のリピート疾患においてリピートのヌクレオチド配列が、(CAG)−(CTG)リピートによって形成されたスリップ型3WJなどの一時的な3WJに編成されると思われる。上記または表1および表2に記載のものなどのTREDを治療するために、そのような3WJを本発明の小分子によって安定化し、それらの毒性効果を低下させることができる可能性がある。(例えば、Barrosら、Chem. Sci. 2015年、6巻、4752〜4755頁を参照)
【0129】
本発明は、タンパク質の発現の仲介またはタンパク質の発現の調節を通じて作用するのではなく、異常なRNAそれ自体が病原性効果を引き起こす疾患または障害を治療する方法を企図する。一部の実施形態では、疾患または障害は、上記したものまたは表1および2に記載のものなどの、リピートRNAによって媒介される。一部の実施形態では、疾患または障害は、反復がmRNAのコーディング領域内にあるリピート伸長疾患である。一部の実施形態では、疾患または障害は、反復がmRNAの非コーディング領域内にあるリピート伸長疾患である。一部の実施形態では、疾患または障害は、ハンチントン病(HD)、歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症(DRPLA)、球脊髄性筋萎縮症(SBMA)、または、SCA1、SCA2、SCA3、SCA6、SCA7、もしくはSCA17から選択される脊髄小脳失調症(SCA)から選択される。一部の実施形態では、疾患または障害は、脆弱性X症候群、筋強直性ジストロフィー(DM1または筋強直性ジストロフィー(dystrophia myotonica))、フリードライヒ運動失調症(FRDA)、SCA8、SCA10、もしくはSCA12から選択される脊髄小脳失調症(SCA)、またはC9FTD(筋萎縮性側索硬化症またはALS)から選択される。
【0130】
一部の実施形態では、疾患は、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、ハンチントン病(HD)、前頭側頭型認知症(FTD)、筋強直性ジストロフィー(DM1または筋強直性ジストロフィー(dystrophia myotonica))、または脆弱性X症候群である。
【0131】
一部の実施形態では、本発明は、リピートRNAによって媒介される疾患または障害を治療する方法であって、それを必要とする患者に本発明の化合物を投与するステップを含む、方法を提供する。そのような化合物は本明細書中に詳細に説明されている。
【0132】
標的リピート伸長RNAの活性をモジュレートする小分子を製造する方法であって、標的リピート伸長RNA中の3WJへの結合について本明細書中に開示した1つまたは複数の小分子をスクリーニングするステップ、およびどの小分子(複数可)が3WJに結合し、標的リピート伸長RNAの活性をモジュレートするかを同定するステップを含む、方法も提供される。一部の実施形態では、方法は、開示したコンピュータによる調査にしたがって標的リピート伸長RNAを同定するステップをさらに含む。一部の実施形態では、標的リピート伸長RNAは、エフェクターmiRNAなどのエフェクターRNAの存在下で3WJを形成することができる。一部の実施形態では、小分子は、エフェクターRNAと標的リピート伸長RNAとの間に形成されたトランス3WJに結合する。一部の実施形態では、小分子は、標的リピート伸長RNAの部分の間に形成されたシス3WJに結合する。一部の実施形態では、リピート伸長RNAは、HD、DRPLA、SBMA、SCA1、SCA2、SCA3、SCA6、SCA7、またはSCA17から選択される疾患または障害を引き起こす。一部の実施形態では、疾患または障害は、脆弱性X症候群、DM1、FRDA、SCA8、SCA10、SCA12、またはC9FTDから選択される。一部の実施形態では、小分子は、疾患または障害を治療または改善するために効果的である。
【0133】
その他の標的RNAおよび疾患/状態
多数のさらなるRNAと疾患または状態との間に関連が存在することが知られており、
そのいくつかを下記の表3に示す。したがって、上記の方法の一部の実施形態では、標的
RNAは表3に示すものから選択される。一部の実施形態では、疾患または障害は表3に
示すものから選択される。
【表3-1】
【表3-2】
【表3-3】
【表3-4】
【0134】
ウイルスRNAの標的化
本発明の1つの態様では、化合物および開示した方法は、ウイルス核酸またはその転写物を標的化するために使用される。一部の実施形態では、ウイルスは、RNAゲノムを有する。一本鎖RNAウイルスおよび二本鎖RNAウイルスの両方が、モジュレーションのための標的として選択され得る二本鎖RNA配列を有する。HCV(Pirakitikulrら、Mol. Cell 2016年、61巻、1〜10頁)およびHIV−1(Lavenderら、PLOS Comp. Bio. 2015年、11巻)などのウイルスの場合、かなりの量のRNA構造情報が存在し、3WJはウイルスRNAゲノムの構造中に存在する。多くのウイルスは、哺乳動物ゲノム中で稀にしか見られないまたは見られないRNA構造または遺伝因子を有する。したがって、これらのエレメントの標的化は、宿主プロセスに対する影響が最小の選択的な抗ウイルス剤を提供する。これらの遺伝因子としては、哺乳動物ゲノムにおけるよりもウイルスにおいてはるかによく見られかつ機能的に重要なIRESエレメントなどの、翻訳を媒介するRNA配列が挙げられる。特有のRNA配列もまた、ウイルス粒子中へのRNAのパッケージングのために必須であり得る。したがって、一部の実施形態では、標的核酸は、哺乳動物ゲノムで稀にしか見られないまたはウイルスゲノム中に排他的に見られるウイルスRNA構造または遺伝因子である。一部の実施形態では、ウイルスRNA構造または遺伝因子は、IRESエレメントである。
【0135】
あらゆるウイルスはそれらのライフサイクルのある時点でRNA、したがってタンパク質を産生しなければならないので、開示した化合物および方法は、実質的にあらゆるウイルスを標的化するために使用され得る。一部の実施形態では、ウイルスは、第I群(dsDNAウイルス)、第II群(ssDNAウイルス)、第III群(dsRNAウイルス)、第IV群((+)センスRNAウイルス)、第V群((−)センスRNAウイルス)、第VI群(RNA逆転写ウイルス)、第VII群(DNA逆転写ウイルス)のウイルス、またはサテライトもしくはウイロイドなどのウイルス成分因子(subviral agent)から選択される。
【0136】
追加の標的ウイルスとしては、例えば、http://www.virology.net/Big_Virology/BVFamilyGroup.htmlを参照。3WJを含有するウイルスRNA転写物の標的化に加えて、ウイルス核酸を含む混合RNA/DNAハイブリッドが標的化され得る。例えば、ウイルスゲノムDNAは内因性RNAエフェクターと相互作用して、混合RNA/DNAハイブリダイゼーション事象から3WJを産生する。したがって、一部の実施形態では、標的核酸は、上記に開示したものなどのウイルスから遺伝情報を含む混合RNA/DNAハイブリッドであり、該ハイブリッドは、1つまたは複数の3WJを形成または含有することができる。
【0137】
一部の実施形態では、ウイルスは、例えば、ジカウイルス、ウエストナイルウイルス、デングウイルス、黄熱病ウイルス、または日本脳炎といったフラビウイルスなどのRNAウイルス(すなわち、RNAゲノムを有するウイルス)である(Shi(編者)、Molecular Virology and Control of Flaviviruses、2012年、Caister Academic Press)。一部の実施形態では、ウイルスは、コロナウイルスである。コロナウイルスは、SARSを引き起こすウイルスSARS−CoVなどのヒト病原体を含む一本鎖(ss)RNAウイルスのファミリーである(Thiel(編者)、Coronaviruses: Molecular and Cellular Biology(第1編)、2007年、Caister Academic Press)。本発明によって治療され得る他のRNAウイルスとしては、エボラウイルスが挙げられる。一部の実施形態では、以上のRNAウイルスの1つまたは複数は、ウイルスRNAの複製、翻訳またはパッケージングをブロックするために、小分子誘発性の3WJの形成および/または小分子媒介性の3WJの安定化によって標的化される。一部の実施形態では、標的RNAは、ウイルス病原体のRNAウイルスゲノムであり、かつ、エフェクターRNAは、感染細胞中の内因性の短鎖RNAである。
【0138】
一部の実施形態では、ウイルスは、コクサッキーウイルス、ノロウイルス、麻疹ウイルス、C型肝炎ウイルス、ジカウイルス、エボラウイルス、狂犬病ウイルス、ウエストナイルウイルス、デングウイルス、SARSコロナウイルス、または黄熱病ウイルスなどの第IV群の一本鎖RNAウイルスから選択される。一部の実施形態では、ウイルスは、鶏伝染性気管支炎ウイルス、ウシコロナウイルス、イヌコロナウイルス、ネコ感染性腹膜炎ウイルス、ヒトコロナウイルス299E、ヒトコロナウイルスOC43、マウス肝炎ウイルス、ブタ伝染性下痢ウイルス、ブタ血球凝集性脳脊髄炎ウイルス、ブタ伝染性胃腸炎ウイルス、ラットコロナウイルス、七面鳥コロナウイルス、ウサギコロナウイルス、トロウイルス、ベルンウイルス、またはブレダウイルスなどのコロナウイルスから選択される。一部の実施形態では、ウイルスは、フィロウイルス、マールブルクウイルス、またはエボラウイルスから選択される。
【0139】
微生物の核酸標的
様々な他の感染性因子は、好適な標的核酸を提供する。一部の実施形態では、標的核酸は、細菌の核酸である。病原性細菌中のRNAなどの核酸は、病原体のライフサイクルに決定的に重要な標的配列、または、細菌のライフサイクル、毒性、もしくは病原性に影響し、一部の場合には、ヒトRNAとは配列および機能が大きく異なる標的配列を提供する。例えば、標的細菌は、結核を引き起こす細菌であり得る。
【0140】
真菌および寄生中の標的
一部の実施形態では、標的核酸は、マラリアの核酸などの、真菌または寄生虫の核酸である。病原性の真菌および寄生虫のRNAなどの核酸は、病原体のライフサイクルに決定的に重要な標的配列、または、ライフサイクル、毒性、もしくは病原性に影響し、一部の場合には、ヒトRNAとは配列および機能が大きく異なる標的配列を提供する。
【0141】
エフェクターとしてのmiRNA
マイクロRNA(miRNA)は、約22ヌクレオチド(nt)の長さの一本鎖非コーディングRNAのクラスである(Friedmanら、Genome Res. 2009年、19巻、92〜105頁;GhildiyalおよびZamore、Nat. Rev. Genet. 2009年、10巻、94〜108頁;IpsaroおよびJoshua-Tor、Nat. Struct. Mol. Biol. 2015年、22巻、20〜28頁;Izaurralde、Science 2015年、349巻、380〜382頁)。それらは、転写後レベルに機能することによって遺伝子発現を抑制するのに重要な調節的役割を果たす。それらはよく保存されており、植物および動物の多くの種にわたって遺伝子調節の決定的に重要な構成要素であると考えられる。それらの「シード(seed)」配列は、標的mRNAの3’非翻訳領域(UTR)中の配列、および頻度はより低いがmRNAの5’末端と相互作用することができる。この塩基対形成事象は、mRNAの分解を誘発することによってまたはタンパク質へのmRNAの翻訳を阻害することによって、標的遺伝子の発現の低下に繋がる。miRNAは、細胞分化、細胞運命、運動性、生存、および細胞機能を含めて広範な生物学的プロセスに影響する。miRNAは、がん、ならびに代謝性疾患、心臓血管疾患、神経学的疾患および炎症性疾患を含めて様々なヒト疾患に関連し得る(Croce、Nature Rev. Genet. 2009年、10巻、704〜714頁;Dykxhoorn Cancer Res. 2010年、70巻、6401〜6406頁;QuiantおよびOlson、J. Clin. Invest. 2013年、123巻、11〜18頁;Olson、Science Trans. Med. 2014年、6巻、239ps3;Baffy、J. Clin. Med. 2015年、4巻、1977〜1988頁)。多くの状況において、miRNA発現の変化はヒト疾患に関連する。
【0142】
したがって、一部の実施形態では、本発明は、標的miRNAあるいはその前駆体またはタンパク質結合複合体またはmRNAもしくはncRNA結合複合体の活性をモジュレートする方法であって、標的miRNAあるいはその前駆体またはタンパク質結合複合体またはmRNAもしくはncRNA結合複合体を開示した化合物と接触させるステップを含む、方法を提供する。
【0143】
miRNAは、それら自身の独特の遺伝子から発現されるか、または他の遺伝子のイントロン内、もしくは一部の場合にはエクソン内で発現される。ほとんどのmiRNAは、RNAポリメラーゼIIによって転写される。miRNA配列を含有する一次転写物は、pri−miRNAとして公知である。pri−miRNAは、フォールディングして「ヘアピン」または一本鎖RNAのセグメントが隣接するステムループ構造を形成するセグメントを含めて、他の種類のRNAとは異なる特有の構造的特徴を有する。この二本鎖RNA構造は、RNA結合タンパク質DGCR8(ディジョージ症候群染色体領域8(DiGeorge Syndrome Critical Region 8))およびRNase III酵素Droshaを含有するマイクロプロセッサー複合体(microprocessor complex)によって認識され得る。DGCR8は、ヘアピン基部から約11ヌクレオチドにおいてRNAを切断することによってpri−miRNAからより短いヘアピンを産生する(1つのらせん二本鎖RNAがステムになる)ように、Droshaの触媒性RNase IIIドメインを配向させる。マイクロプロセッサー複合体はpri−miRNAを切断して、60〜70ntのpre−miRNAを生成させる。単一のpri−miRNAは、1〜6個のpre−miRNAを含有し得る。pre−miRNAそれ自体は、独特のステムループ構造を有する。それはエキスポーチン−5およびRan GTPaseと相互作用し、核から細胞質へのその輸送に繋がる。サイトゾルにおいてmiRNA−タンパク質複合体はRNase III酵素Dicerによって認識され、Dicerはpre−miRNAを切断して成熟miRNAとする。Dicerエンドリボヌクレアーゼは、ヘアピンの5’および3’末端と相互作用し、かつ3’アームおよび5’アームを連結するループを切断して、miRNA二本鎖をもたらす。最終的なmiRNAは、2ntの3’オーバーハングおよび5’リン酸基を有する約22塩基対の二本鎖である。次いで、この成熟miRNAの1つの鎖は、アルゴノート(Ago)タンパク質にロードされて、RNA誘導サイレンシング複合体(RISC)を形成する。Agoタンパク質ファミリーのメンバーはRISCの機能の中心となる。Agoタンパク質は、miRNA誘導サイレンシングのために必要とされ、2つの保存されたRNA結合ドメイン、すなわち、成熟miRNAの一本鎖3’末端に結合できるPAZドメイン、およびリボヌクレアーゼHに構造的に似ており、miRNAのガイド鎖の5’末端と相互作用するように機能するPIWIドメインを含有する。これらのタンパク質は、成熟miRNAに結合し、標的mRNAとの相互作用のためにそれを配向させる。ヒトAgo2などの一部のAgoファミリーのメンバーは、直接的にRNA標的を切断する。Agoタンパク質はまた、追加のタンパク質を動員して翻訳を阻害することもできる。二本鎖のいずれの鎖も機能的なmiRNAとして潜在的に作用し得るが、1つの鎖のみがRISC複合体中に組み込まれ、miRNAおよびそのmRNA標的が最終的にRISC複合体と相互作用する。miRNAはその標的mRNAと塩基対を形成し、標的mRNAレベルの低下またはその翻訳の阻害に繋がる。mRNAの分解に繋がるmRNA切断の誘発は、発現阻害のより多く見られる機構のようである。翻訳の抑制は、mRNA分解の誘発と比べてあまり理解されていない。上記の通り、単一のmiRNAは多くの標的mRNAを有し得る。mRNAの標的化の他に、miRNAはまた、非コーディングRNAも標的化することができる。
【0144】
したがって、一部の実施形態では、標的miRNAは、対応する成熟miRNAの前駆体である。一部の実施形態では、標的miRNAは、pri−miRNAである。一部の実施形態では、標的miRNAは、pre−miRNAである。一部の実施形態では、標的miRNAは、その活性が調節されるmRNAまたはncRNAに結合した成熟miRNAなどの、mRNAまたはncRNA結合複合体である。一部の実施形態では、標的miRNAは、がん、代謝障害、心臓血管障害、神経学的障害、または炎症性疾患などの疾患または障害に関連する。一部の実施形態では、化合物は、標的miRNAの活性を上方調節する。一部の実施形態では、化合物は、標的miRNAの活性を下方調節する。一部の実施形態では、下方調節は、標的miRNA−mRNA複合体中または標的miRNA−ncRNA複合体中の3WJへの結合を介したものである。一部の実施形態では、3WJへの結合は、mRNAの翻訳を阻害する。一部の実施形態では、3WJへの結合は、mRNAまたはncRNAの分解を誘発する。
【0145】
標的miRNAあるいはその前駆体またはタンパク質結合複合体またはmRNAもしくはncRNA結合複合体の活性をモジュレートする小分子を製造する方法であって、標的miRNAあるいはその前駆体またはタンパク質結合複合体またはmRNAもしくはncRNA結合複合体中の3WJへの結合について本明細書中に開示した1つまたは複数の小分子をスクリーニングするステップ、およびどの小分子(複数可)が3WJに結合し、標的miRNAあるいはその前駆体またはタンパク質結合複合体またはmRNAもしくはncRNA結合複合体の活性をモジュレートするかを同定するステップを含む、方法も提供される。一部の実施形態では、方法は、開示したコンピュータによる調査にしたがって標的miRNAあるいはその前駆体またはタンパク質結合複合体またはmRNAもしくはncRNA結合複合体を同定するステップをさらに含む。一部の実施形態では、標的miRNAは、それが調節するmRNAまたはncRNAと3WJを形成できるエフェクターである。一部の実施形態では、小分子は、エフェクターとmRNAまたはncRNAとの間に形成されたトランス3WJに結合する。一部の実施形態では、小分子は、mRNAまたはncRNAの部分によって形成されたシス3WJに結合する。
【0146】
ヒトゲノム中には約2000のmiRNAが存在する。miRNAは、組織特異的および細胞特異的な様式で発現され得る。それらの発現は、ホルモン、細胞ストレス、腫瘍性タンパク質、サイトカインおよび低酸素を含めて様々な刺激によって影響され得る。上述の通り、異常なmiRNA発現は、多様なヒト疾患に関連することがあり、この異常なmiRNA発現は、それらの標的遺伝子の発現の調節異常と相関する。
【0147】
標的mRNAとのmiRNA全体の完璧な塩基対形成は哺乳動物細胞中では稀である。標的mRNAとの完璧なまたは完璧に近い塩基対形成は、標的RNAの切断を促進すると考えられる。miRNAの5’末端のntの短いストレッチ(「シード」)は、mRNA中の標的配列に対して塩基対形成するために充分なようである。この塩基対形成は、わずか6ntを含むことがある。miRNA−mRNA相互作用のために必要とされる制限された配列相補性は、単一のmiRNAが多数の転写物を調節することを可能とする。個々のmiRNAが、100を充分に超える異なるmRNAの発現、推定では400ものmRNA標的の発現に影響できることが確認されている。mRNAのmiRNA認識のための必要条件は厳格ではないようであるが、研究により、標準的なmiRNA標的化を予測する規則の説明に繋がっている。miRNAの5’末端のシードヌクレオチド2〜8は、標的の認識のために重要である。Ago−miRNA複合体の結晶構造(Schirleら、Science 2014年、346巻、608〜613頁)は、シード配列は、miRNAとその標的mRNAとの間の相互作用を開始させるように配置されていることを示唆する。完璧なシード相補性は標準的な標的化であると考えられるが、完璧でないまたはシードによらない相互作用が観察されている(Seokら、Mol. Cell、2016年、39巻、375〜381頁において総説されている)。したがって、様々な塩基対形成を使用してmiRNA−mRNAの認識を達成できるようである。非標準的な対形成が起こることがあり、これには生物学的意義があり得る。これらのより弱い、非標準的な結合事象は、より効果的でない発現の抑制に繋がる可能性があり、したがってmiRNAの抑制活性において多様な効果を提供する可能性が仮定されている。さらには、ヒトマイクロRNA miR369−3は、mRNAの3’UTR中の配列とのAgoおよびFXR1タンパク質の会合を導いて翻訳を増加させる一方、別のmiRNAであるLet−7はまた、細胞周期阻止の下で標的mRNAの翻訳を増加させ得ることが報告されている(Vasudevanら、Science 2007年、318巻、1931〜1934頁)。したがって、miRNAは哺乳動物細胞中で広範な効果を有し得ることが実証されている。したがって、一部の実施形態では、開示した化合物は、標的miRNAとmiRNAが調節するmRNAまたはncRNAとの間に形成された3WJに結合する。一部の実施形態では、miRNAの5’末端中のntの配列(シード)は、mRNA中の標的配列に対して塩基対を形成することができる。一部の実施形態では、miRNAの3’末端中のntの配列(シード)は、mRNA中の標的配列に対して塩基対を形成することができる。一部の実施形態では、塩基対形成は、例えば、シードとその標的配列との間で75%、80%、85%、90%、95%、98%、99%、または全ての標準的な(ワトソン・クリック)塩基対形成を含む。一部の実施形態では、塩基対形成は、少なくとも6ntを含む。一部の実施形態では、塩基対形成は、少なくとも7、8、9、10、11、12、13、14、15、または20ntを含む。一部の実施形態では、塩基対形成は、少なくとも25、30、35、40、45、50、75、または100ntを含む。
【0148】
成熟miRNAの迅速かつ制御されたターンオーバーが、miRNA発現プロファイルおよびその結果の遺伝子調節における迅速な変化のために必要とされる。例えば、細胞質中のAgoタンパク質に対するmiRNAの結合は、miRNAガイド鎖を安定化させる一方、反対のパッセンジャー鎖は分解されると考えられる。標的の結合もまたmiRNAを安定化させ得る。miRNAの転写後修飾もまた、細胞中のそれらの半減期に影響することがある。
【0149】
一部の実施形態では、miRNAはエフェクターであり、miRNAは、mRNAなどのRNA中の標的配列を認識し、3WJの形成に繋がる様式でそれに結合する。上述の通り、一部の実施形態では、この3WJは、miRNAとmRNAとの間の塩基対形成の配列が各側に隣接したステムループ構造を含む。ステムループは、miRNAまたはmRNAのいずれかによって形成され得る。一部の実施形態では、安定な3WJが形成され、mRNAの分解は促進されない。一部の実施形態では、miRNAシード(miRNAの5’末端から2〜7位または2〜8位)と標的mRNAとの間に完璧な相補性(標準的な塩基対形成)がない。一部の実施形態では、塩基対形成は、シードのすぐ下流であるか、または、シードに重複することがあるがシード全体を含まない。例えば、miRNAのnt 5〜10がmRNA標的と完璧な塩基対形成を有し、その直後にmRNA配列によりステムループが形成された後、miRNAはmiRNAのnt 11、12、13または14に開始する4〜12ntのストレッチにわたってmRNAと完璧に塩基対を形成するものであってよい。
【0150】
エフェクターとしてのpiRNA
Piwi相互作用性RNA(piRNA)は、動物細胞において発現される低分子非コーディングRNAの最大のクラスである(Setoら、Molecular Cell、2007年、26巻、603〜609頁;KlattenhoffおよびTheurkauf、Development 2008年、135巻、3〜9頁、2008年において総説されている)。動物細胞には100,000またはそれより多くのpiRNAが存在し得る。これらのRNAは、26〜31ntの長さである。piRNAの名称は、piwiタンパク質とのそれらの相互作用に由来する。それらは遺伝子サイレンシングに関与することが報告されているが、piRNAの生成および遺伝子サイレンシングにおけるそれらの機序について公知なことはmiRNAと比べてはるかに少ない。多くのpiRNAはトランスポゾンに対してアンチセンスであり、したがって、トランスポゾンのサイレンシングは、piRNAの決定的に重要な役割であり得る。それらは、細胞の核およびサイトゾルの両方の区画での局在が見られる。piRNAは生殖細胞中で豊富であり、それらは生殖細胞の発生および機能において決定的に重要な役割を果たし得る。しかしながら、それらはまた、哺乳動物の多様な体細胞および組織においても豊富である。
【0151】
したがって、一部の実施形態では、本発明は、標的piRNAまたはその前駆体もしくはタンパク質結合複合体の活性をモジュレートする方法であって、標的piRNAまたはその前駆体もしくはタンパク質結合複合体を開示した化合物と接触させるステップを含む、方法を提供する。
【0152】
一部の実施形態では、標的piRNAは、生殖細胞の異常な発生および機能を伴う疾患などの疾患または障害に関連する。一部の実施形態では、化合物は、標的piRNAの活性を上方調節する。一部の実施形態では、化合物は、標的piRNAの活性を下方調節する。一部の実施形態では、下方調節は、標的piRNAまたはその前駆体もしくはタンパク質結合複合体中の3WJへの結合を介したものである。一部の実施形態では、3WJへの結合は、piRNAの分解を誘発する。
【0153】
標的piRNAまたはその前駆体もしくはタンパク質結合複合体の活性をモジュレートする小分子を製造する方法であって、標的piRNAまたはその前駆体もしくはタンパク質結合複合体中の3WJへの結合について本明細書中に開示した1つまたは複数の小分子をスクリーニングするステップ、およびどの小分子(複数可)が3WJに結合し、標的piRNAまたはその前駆体もしくはタンパク質結合複合体の活性をモジュレートするかを同定するステップを含む、方法も提供される。一部の実施形態では、方法は、開示したコンピュータによる調査にしたがって標的piRNAまたはその前駆体もしくはタンパク質結合複合体を同定するステップをさらに含む。一部の実施形態では、標的piRNAは、それが調節するRNAと3WJを形成できるエフェクターである。一部の実施形態では、小分子は、エフェクターとそれが調節するRNAとの間に形成されたトランス3WJに結合する。一部の実施形態では、小分子は、piRNAの部分によって形成されたシス3WJに結合する。
【0154】
エフェクターとしてのsnoRNA
低分子核小体RNA(snoRNA)は、リボソームRNA、tRNA、および低分子核内RNA(snRNA)などの他のRNAのメチル化またはプソイドウリジル化などの化学修飾を導く短鎖RNAである(Bachellerieら、Biochimie 2002年、84巻、775〜790頁;Jorjaniら、Nucleic Acids Res. 2016年、5月12日[印刷前に電子出版された]において総説されている)。それらは、典型的に、70〜90ntの長さである。1740のsnoRNAが同定されている。それらは哺乳動物細胞中でかなり豊富である。RNA修飾を実行するために、snoRNAは、低分子核小体リボ核タンパク質(snoRNP)複合体中のタンパク質と会合する。snoRNAは、修飾のために標的化される塩基の周囲の配列に相補的な10〜20ntのアンチセンス配列を含有する。ほとんどのsnoRNAは、リボソームの合成または翻訳に関与するタンパク質をコードする遺伝子のイントロン中にコードされる。それらはまた、遺伝子間領域中、タンパク質をコードする遺伝子のORF中、およびUTR中に位置することもある。それらは、RNAポリメラーゼIIまたはIIIのいずれかによって転写され得る。snoRNAの配列は保存されているが、それらの発現レベルは種間で劇的に異なる。
【0155】
したがって、一部の実施形態では、本発明は、標的snoRNAまたはその前駆体もしくはタンパク質結合(snoRNPなど)複合体の活性をモジュレートする方法であって、標的snoRNAまたはその前駆体もしくはタンパク質結合複合体を開示した化合物と接触させるステップを含む、方法を提供する。
【0156】
一部の実施形態では、標的snoRNAは、メチル化またはプソイドウリジル化などの異常な核酸修飾を伴う疾患などの疾患または障害に関連する。一部の実施形態では、異常に修飾された核酸は、リボソームRNA、tRNA、またはsnRNAである。一部の実施形態では、化合物は、標的snoRNAの活性を上方調節する。一部の実施形態では、化合物は、標的snoRNAの活性を下方調節する。一部の実施形態では、下方調節は、標的snoRNAまたはその前駆体もしくはタンパク質結合複合体中の3WJへの結合を介するものである。
【0157】
標的snoRNAまたはその前駆体もしくはタンパク質結合(snoRNPなど)複合体の活性をモジュレートする小分子を製造する方法であって、標的snoRNAまたはその前駆体もしくはタンパク質結合(snoRNPなど)複合体中の3WJへの結合について本明細書中に開示した1つまたは複数の小分子をスクリーニングするステップ、およびどの小分子(複数可)が3WJに結合し、標的snoRNAまたはその前駆体もしくはタンパク質結合複合体の活性をモジュレートするかを同定するステップを含む、方法も提供される。一部の実施形態では、方法は、開示したコンピュータによる調査にしたがって標的snoRNAまたはその前駆体もしくはタンパク質結合複合体を同定するステップをさらに含む。一部の実施形態では、標的snoRNAは、それが調節するRNAと3WJを形成できるエフェクターである。一部の実施形態では、小分子は、エフェクターとそれが調節するRNAとの間に形成されたトランス3WJに結合する。一部の実施形態では、小分子は、snoRNAの部分によって形成されたシス3WJに結合する。
【0158】
3.標的3WJを同定する方法
潜在的なエフェクター/標的核酸相互作用のコンピュータによる調査
本発明は、核酸中の潜在的な標的3WJを同定する方法を提供する。核酸の三次元構造に関する情報は、タンパク質よりも得ることが難しく、特にin vivoにおいて、核酸構造を詮索するためのより良好な方法の必要性が存在する。したがって、一態様では、本発明は、シスまたはトランス3WJを形成できる標的核酸を同定する方法であって、開示した化合物による結合が3WJを安定化させ、それによって、例えば開示した疾患または状態を治療するために、核酸の活性をモジュレートする、方法を提供する。一部の実施形態では、提供される方法は、第1のステップとして、エフェクターRNAと候補標的RNAとの間の潜在的な相互作用を同定するin silicoでの検索を実行することを含む。一部の実施形態では、検索は、標的RNAそれ自体またはそれが翻訳されて発現するタンパク質のいずれかを標的化することの価値に関する以前の知識に基づいて選択された標的RNAに焦点を当てたものである。検索の出力は、3WJが形成できるように標的RNAとハイブリダイズできるエフェクターRNA(例えば20〜100ntの、低分子エフェクターRNAなど)のリストである。他の実施形態では、(エフェクターとしての)RNAと細胞中の全ての標的RNAとの間の全ての潜在的な相互作用のより広いまたは包括的でさえあるin silicoでの検索が実行される。一部の実施形態では、検索は最初に、エフェクターRNAの実際の、公知の生物学的機能のいかなる知識も参照することなく、実行される。むしろ、各エフェクターRNAは、その生物学的役割を参照することなく、本質的に化学物質として処理される。
【0159】
一態様では、本発明は、3WJを形成できる標的核酸を同定する方法であって、以下の:
(a)1つまたは複数のエネルギー的にアクセス可能なステムループ構造を含む1つまたは複数のエフェクター核酸(ヒト短鎖RNAなど)を提供するステップ、
(b)1つまたは複数のエネルギー的にアクセス可能なステムループ構造を含む1つまたは複数の標的核酸(ヒトmRNAなど)を提供するステップ、
(c)エフェクター核酸または標的核酸のいずれかにおいて3WJなどのステムループ構造を受容できる1つまたは複数のエフェクター/標的核酸のハイブリダイゼーション相互作用についてスクリーニングするステップ、
(d)必要に応じて、(1)ループのトポロジー、(2)ループの配列、(3)ステムループの安定性、および(4)3WJのキャビティに直接的に当たっている核酸塩基の素性の1つまたは複数によって、エフェクター核酸および標的核酸を含む3WJの結果生じるデータベースを分類するステップ、および
(e)必要に応じて、エフェクター核酸および標的核酸を含む可能な3WJの結果生じるデータベースを、標的核酸の生物学的役割および治療的意義に関する利用可能な知識、ならびに、低分子エフェクターRNAなどのエフェクター核酸の相対的な存在量および細胞内位置に関する利用可能な知識に対して相互参照するステップ
を含む方法を提供する。
【0160】
上記ステップ(a)では、エフェクターmiRNAの場合、一部の実施形態では、公開されているデータベースが、潜在的なエフェクターmiRNAの供給源として使用される。一部の実施形態では、データベースは:(http://www.mirbase.org;http://mirdb.org/miRDB/;http://www.microrna.org/microrna/home.do;http://mirtarbase.mbc.nctu.edu.tw;http://mircancer.ecu.edu;http://www.mir2disease.org;http://zmf.umm.uni−heidelberg.de/apps/zmf/mirwalk2/;またはhttp://www.targetscan.org)から選択される。一部の実施形態では、標的核酸は、ヒトの核酸である。一部の実施形態では、標的核酸は、ウイルスの核酸である。一部の実施形態では、http://www.ncbi.nlm.nih.gov/genome/viruses/で利用可能なものなどの、ウイルスゲノムのデータベースが使用される。一部の実施形態では、標的核酸は、微生物の核酸である。一部の実施形態では、標的核酸は、真菌の核酸である。一部の実施形態では、標的核酸は、寄生虫の核酸である。
【0161】
上記ステップ(a)では、一部の実施形態では、「エネルギー的にアクセス可能」は、生細胞中でそのmiRNAの少なくとも0.1%が所与のステムループ構造をとる(またはとると予測される)ことを意味する。他の実施形態では、「アクセス可能」の閾値は、0.1%〜1%、1%〜10%、または約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、もしくは10%に設定されてもよい。一部の実施形態では、上記方法に含まれるために、そのようなステムループは、標的核酸とのハイブリダイゼーションに参加できるステムループの上流(5’)の少なくとも4ヌクレオチドおよび下流(3’)の少なくとも4ヌクレオチドを残す必要がある。
【0162】
上記ステップ(b)では、一部の実施形態では、「エネルギー的にアクセス可能」は、生細胞中でそのmiRNAの少なくとも0.1%が所与のステムループ構造をとる(またはとると予測される)ことを意味する。他の実施形態では、「アクセス可能」の閾値は、0.1%〜1%、1%〜10%、または約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、もしくは10%に設定されてもよい。一部の実施形態では、上記方法に含まれるために、そのようなステムループは、標的核酸とのハイブリダイゼーションに参加できるステムループの上流(5’)の少なくとも4ヌクレオチドおよび下流(3’)の少なくとも4ヌクレオチドを残す必要がある。
【0163】
上記ステップ(c)では、一部の実施形態では、方法は、上記の制約を満たす3WJを創出する全てのエフェクター/標的核酸ペアのコンピレーションを産生する。3WJ中の可能なハイブリダイズしないステム間ループの3つ全てにおいて、それらのループの長さは、独立して0〜4(または一部の実施形態では、0〜2または0〜1)で変動してよく、標準的なまたは転写後修飾された核酸塩基のいずれかがそれらのループ位置を占めてよい。
【0164】
一部の実施形態では、比較的高い存在量の低分子エフェクターRNAと治療的に高い価値の標的核酸を結合させる対形成は、さらなる研究の焦点となる。選択された鍵となる3WJの構造、ダイナミクス、および生物学的意義は、以下に記載する広範な確立された方法を使用して大規模に特徴付けることができる。
【0165】
一部の実施形態では、上記コンピュータによるスクリーニング方法において同定された3WJなどの3WJは、標準的な市販されている装置により可能な合成方法を使用してエフェクター核酸(低分子エフェクターRNAなど)およびその同族標的核酸を合成することによって特徴付けられ得る。加えて、多くの実施形態では、トランス3WJの一本鎖(「シス」)類似体が合成され、そのような実施形態では、2つの成分は、5’から3’へまたは3’から5’へのいずれかで連結され得る。一本鎖モデルの利点としては、単純化されたアッセイフォーマット、および構造的特徴付けにおける制御された化学量論が挙げられる。
【0166】
トランスであってもシスであっても、モデルのエフェクター/標的核酸相互作用ペアは、X線結晶構造解析法、クライオEM(BinshteinおよびOhi、Biochemistry 2015年、54巻、3133〜3141頁)、NMR、円偏光二色性、紫外可視分光法、およびSHAPE−MaP(Siegfriedら、Nature Methods 2014年、11巻、959〜973頁)、ならびに、構築物の詳細な3D構造およびダイナミクスを確立するのを助け、したがって黙示的に細胞中のコンジェナーである(congeneric)トランスペアの構造およびダイナミクスの推定を可能とする関連方法を使用して、構造的に詳細に特徴付けることができる。
【0167】
3WJに対するSMの結合を測定するための結合アッセイの構築
上記のシスおよびトランスモデルを構築する主要な目的の1つは、3WJによって画定されるキャビティ中に選択的かつ高親和性で結合する小分子をスクリーニングすることである。タンパク質標的に対する小分子の類似のスクリーニングのために現在採用されている多くの方法は、3WJにおける類似の効果に適合させることができる。一部の実施形態では、以下の例示的なアッセイの1つを使用して、エフェクター/標的核酸の3WJに対する小分子の結合が測定される。
【0168】
NMR − NMRを使用して、RNAなどの生体分子に対する小分子の結合を評価することができる。この方法の1つの鍵となる利点は、標的生体分子の構造をスクリーニングの間に観察できれば、スクリーニングは、SMとRNAとの間の分子の会合の事実だけでなく、サブサイトおよび結合モードももたらすことである。NMRの欠点の一部は、比較的高濃度のリガンドが必要とされ(μM〜mM)、これは高親和性の相互作用の測定が難しいことを意味すること、およびこの方法は遅いため、ごく限られたスループットのみが可能であることである。しかし、これら後者の問題は、断片のスクリーニングの実行においてNMRを実際に理想的な出力(read-out)とし、断片のスクリーニングでは、高濃度/低親和性の相互作用が焦点となり、また比較的少ない断片(典型的に5000未満)が断片ベースのリードの発見において通常スクリーニングされる。一部の場合には、観察される原子核は、プロトンではなく19Fである。
【0169】
SPR − 表面プラズモン共鳴は、分子の会合を評価するために広く実施されている方法である。SPRは、1つの成分(標的RNAまたは小分子リガンド)が表面に共有結合的に固定され、かつ固定化されたパートナーの上の溶液に加えられたパートナー分子に応答してプラズモン共鳴が測定されることを必要とする。会合速度(on rates)および解離速度(off rates)を直接的に測定することができ、これにより平衡解離定数が与えられる。
【0170】
DEL − DNAエンコードライブラリーはここでは、より広いカテゴリーのプルダウン法の例としての役目である。DELでは、均質なDNAエンコードライブラリーに曝露された後に(例えば、ストレプトアビジンを用いる)簡易なプルダウンを可能とする官能基(例えば、ビオチン)で、鍵となる3WJのシスモデルが修飾される。3WJと緊密に会合するDELにおける小分子リガンドもまた、3WJがプルダウンされた時にプルダウンされ、PCRおよびシークエンシングを使用してリガンドの素性が明らかにされることになる。
【0171】
発色団3WJ − 2つの発色団が近位にある時に相互作用して発光の活性化または抑制のいずれかに繋がるようにRNAを誘導体化し、そして発光の活性化または抑制は、RNAが正しいコンフォメーション(この場合、期待される3WJ)をとっていることに依拠することについて複数の報告がある。3WJのコンフォメーションの達成が、3WJのキャビティ中に結合する加えられる小分子を安定化させる影響に依存するように、ループ配列、ループ長さ、温度、および他のパラメーターを最適化することができる。これらのアッセイは直截的であり、不均質または均質なフォーマットで実行することができ、また小分子の標準的な市販されているライブラリーのスクリーニングを可能とすることができる。
【0172】
RNAマイクロアレイ − 広範な3WJをマイクロアレイ上に固定化することができ、実際上、標的の固定化ライブラリーとなる。上記の発色団機能を組み込むことができ、それにより、RNA(または他の核酸)標的の表面固定化ライブラリーが小分子(単独でまたは混合物として)に曝露された時に、マイクロアレイ上の特定の部位における発色団の変化が、RNA(または他の核酸)がライゲートされ、そしてより重要なことには、3WJコンフォメーション中で安定化されることを指し示す。
【0173】
SMマイクロアレイ − 広範な小分子をマイクロアレイ上に固定化することができる。このトピックに関する広範な文献、およびそれに相応した広範な固定化技術に関する広範な文献が存在する。そのようなマイクロアレイでは、SMの素性は、典型的に、マイクロアレイ中のその位置に関連付けられる。次いで、発色団3WJモデルをマイクロアレイに曝露して、マイクロアレイ上の特定の部位における発色団の観察によって特定のSM/3WJ相互作用を同定することができる。
【0174】
MS − 様々な液体クロマトグラフィー技術によって核酸を解析することができる。潜在的な小分子リガンドの存在下でのRNAのクロマトグラフィーを行うと、結合した小分子リガンドが、クロマトグラフィー媒体を通過する際にRNAを伴うこととなる。RNAからのリガンドのクロマトグラフィー後の分離により、質量分析による結合リガンドの同定が可能となる。2つのリガンドが同じ質量を共有する(異性体である)場合、曖昧さを取り除くための方法が多数存在する。
【0175】
3WJの初期スクリーニング − 3WJモデルに対する小分子の初期スクリーニングは、以下の3種類のライブラリーに焦点を当てることになる:(1)C3対称であるか、またはC3対称足場のバリエーションである化合物;(2)対称性が低下しているがそれでもなおC3対称なコンジェナーを近似する足場のバリエーションの化合物;および(3)構造的に多様なライブラリー。これらの足場およびその例示的な実施形態は以下に詳細に説明される。
【0176】
3WJ/SM複合体の構造的な特徴付け − 多くの治療的に興味深いRNA標的は大きく、またわずかにしか構造化していないため、詳細な構造的な特徴付けは不可能であるか、または実際的でない。しかしながら、本発明における3WJの標的化は、合成3WJによってモデル化される標的基礎構造が比較的小さく、SMとのその複合体を詳細に特徴付けできることを意味する。構造的な特徴付けの方法としては、NMR、X線結晶構造解析法、クライオEM、およびCDが挙げられる。その標的RNAと複合体化した小分子のそのような詳細な特徴付けは、RNA標的に対する構造ベースの薬物設計にとってほぼ先例のない機会を提供する。
【0177】
トランス効果の確認
以上の大部分において、焦点はシス(一本鎖)モデルにある。治療標的がエフェクターRNAと標的RNAとの間のトランス相互作用から構成されている場合、一本鎖のシス構築物が便宜上考案され、任意の小分子リガンドは、シスモデルをベースとするコンジェナーのトランス複合体に結合し、それを安定化させることを実証される必要がある。換言すれば、設計またはスクリーニングを介して同定された選択された小分子は、意図するエフェクター/SM/標的の三成分複合体の形成を誘発することが必須である。
【0178】
競合置換アッセイの構築
上記のスクリーニングは、目的のトランスエフェクター/標的核酸3WJに対する小分子リードを同定する。それらのリードから開発候補へのSARの探査は、上記の方法および技術を使用して可能なことがあるが、同じ生物学的に必須のサブサイト、この場合は3WJが外形を定めるキャビティを求めて新たな分子が参照分子と競合するアッセイを開発することが多くの場合に重要である。このアッセイフォーマットはしばしば非常に高いスループットであり、参照分子と同じ結合モードを共有する分子を見出すためのスクリーニングに焦点を当てる。一部の実施形態では、そのようなアッセイは、(1)上記のおよび下記の試験のための初期小分子を同定するステップ、(2)その小分子を修飾するステップであって、必要であれば、置換が発光を活性化または抑制する発色団の出力を含むように修飾するステップ、および(3)同時に修飾するステップであって、必要であれば、相補的な発色団の出力を組み込むための結合部位の近位にある核酸標的を修飾するステップを含む。
【0179】
細胞での活性の実証
以上の全ては、比較的人工的な生化学的状況の下で起こる。しかし、選択された小分子は、細胞内で三成分複合体の形成を誘発する必要がある。さらには、その三成分複合体の形成は、標的化される核酸(例えば、RNA;一部の実施形態では、pre−mRNAまたはmRNA)の安定性、機能、および/または翻訳に影響を及ぼす必要がある。必要な三成分複合体が細胞内で形成されたことの実証は、指し示されたリガンドに基づいてテザー連結した試薬を作製し、その三成分複合体に対してPEARL−seqまたは他の親和性ベースの技術を行うことによって容易に達成することができる。
【0180】
標的化されたRNAの機能的なキャリアへの影響力は、標準的なレポーター遺伝子アッセイ法を使用して実証し得る。一部の実施形態では、標的核酸、例えばRNA配列が、ルシフェラーゼレポーターベクターまたは他の標準的なレポーター構築物中に導入され、レポーター発現に対する3WJおよび小分子の影響力が細胞中で測定される。3WJおよび小分子が標的の発現レベルに影響する場合、RNAのレベルを定量的RT−PCRによって、およびタンパク質のレベルをELISA、ウエスタンブロットまたはFRETアッセイによって測定することができる。
【0181】
2.化合物およびその実施形態
一態様では、本発明は、標的核酸またはエフェクター/核酸複合体中の3WJに結合することによって標的核酸の活性をモジュレートするのに使用するための化合物および薬学的に許容されるその組成物を提供する。そのような化合物は、標的RNAに関連する疾患または状態を治療し、予防し、または改善するのに効果的であり、また本明細書中に記載の方法に使用するために効果的である。
【0182】
本発明およびそのような化合物を発見する方法(SHAPE−MaP、RING−MaP、およびPEARL−seq(商標)(フックザワーム・アンド・フックアンドクリック法としても公知である)など)に使用され得る化合物は、米国仮特許出願第62/289,671号(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載されている。
【0183】
本発明の化合物は、本明細書中に一般的に記載した化合物を包含し、さらに本明細書中に開示したクラス、サブクラス、および種によって示されている。本明細書中で使用する場合、別段の記載がなければ以下の定義が適用される。本発明の目的のために、化学元素は、Handbook of Chemistry and Physics、第75版中のCAS方式の元素周期表にしたがって特定される。さらに、有機化学の一般原則は、「Organic Chemistry」、Thomas Sorrell、University Science Books、Sausalito:1999年、および「March's Advanced Organic Chemistry」、第5版、Smith, M.B.およびMarch, J.編、John Wiley & Sons、New York:2001年(これらの内容の全体は参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている。
【0184】
小分子
RNAに結合できる新規の小分子リガンドの設計および合成は、大部分が未開発の治療的可能性を表す。マクロライド(例えば、エリスロマイシン、アジスロマイシン)、アルカロイド(例えば、ベルベリン、パルマチン)、アミノグリコシド(例えば、パロモマイシン、ネオマイシンB、カナマイシンA)、テトラサイクリン(例えば、ドキシサイクリン、オキシテトラサイクリン)、テオフィリン、およびオキサゾリジノン(例えば、リネゾリド、テジゾリド)を含めて、ある特定の小分子リガンドはRNAに結合することが知られており、RNA標的化薬物としての小分子の探索の道を開く。有機色素、アミノ酸、生物学的補因子、金属錯体、およびペプチドもまたRNA結合能力を示す。リボスイッチ、伸長されたヌクレオチドリピートを有するRNA分子、およびウイルスRNAエレメントなどのRNAをモジュレートすることが可能である。
【0185】
本明細書中で使用する場合、「標的RNAに結合する小分子」、「小分子RNA結合剤」、「親和性部分」、または「リガンド部分」という用語は、開示した方法での使用、または標的RNAに関連する疾患を治療し、予防し、もしくは改善するための使用のために十分な親和性および特異性を以って標的RNAに結合できる小分子と一般に分類される全ての化合物を包含する。本発明において使用するためのRNAに結合する小分子は、標的RNAの1つまたは複数の二次構造または三次構造のエレメントに結合し得る。これらの部位としては、RNAトリプレックス、3WJ、4WJ、パラレルYジャンクション、ヘアピン、バルジループ、シュードノット、内部ループ、および本明細書において記載または参照するその他のより高次のRNA構造モチーフが挙げられる。
【0186】
したがって、一部の実施形態では、標的RNAに結合する小分子は、マクロライド、アルカロイド、アミノグリコシド、テトラサイクリンファミリーのメンバー、オキサゾリジノン、SMN2リガンド、リボシルもしくは関連化合物、アントラセン、またはトリプチセンから選択される。一部の実施形態では、小分子RNA結合剤は、パロモマイシン、ネオマイシン(ネオマイシンBなど)、カナマイシン(カナマイシンAなど)、リネゾリド、テジゾリド、プレウロムチリン、リボシル、NVS−SM1、アントラセン、またはトリプチセンから選択される。一部の実施形態では、小分子は、米国仮特許出願第62/289,671号(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に示される小分子、またはその薬学的に許容される塩、立体異性体、もしくは互変異性体から選択される。さらなる例示的な小分子は、以下に詳細に説明される。
【0187】
一部の実施形態では、本発明は、式I:
【化1】
の化合物または薬学的に許容されるその塩を提供し、式中、
環A、B、およびCはそれぞれ独立して、3〜8員の飽和もしくは部分不飽和の単環式炭素環、フェニル、8〜10員の二環式芳香族炭素環、独立して窒素、酸素、もしくは硫黄から選択される1〜2個のヘテロ原子を有する4〜8員の飽和もしくは部分不飽和の単環式複素環式環、独立して窒素、酸素、もしくは硫黄から選択される1〜4個のヘテロ原子を有する5〜6員の単環式芳香族複素環、または独立して窒素、酸素、もしくは硫黄から選択される1〜5個のヘテロ原子を有する8〜10員の二環式芳香族複素環であり、
各Yは独立してCRまたはNであり、
各Rは独立して、−R、ハロゲン、−CN、−OR、−N(R)、−NO、−N、−SR、または−L−Rであり、
各Rは独立して、−R、ハロゲン、−CN、−OR、−N(R)、−NO、−N、−SR、−L−Rであるか、または、同じ炭素上の2つのR基が必要に応じて一緒になって=NR、=NOR、=O、もしくは=Sを形成しており、
各Rは独立して、−R、ハロゲン、−CN、−OR、−N(R)、−NO、−N、−SR、または−L−Rであり、
各Rは独立して、水素、または、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、もしくは6つのハロゲンにより必要に応じて置換されているC1〜6アルキルであり、
各Rは独立して、水素、または、C1〜6の脂肪族基、3〜8員の飽和もしくは部分不飽和の単環式炭素環、フェニル、8〜10員の二環式芳香族炭素環、独立して窒素、酸素、もしくは硫黄から選択される1〜2個のヘテロ原子を有する4〜8員の飽和もしくは部分不飽和の単環式複素環式環、独立して窒素、酸素、もしくは硫黄から選択される1〜4個のヘテロ原子を有する5〜6員の単環式芳香族複素環、または独立して窒素、酸素、もしくは硫黄から選択される1〜5個のヘテロ原子を有する8〜10員の二環式芳香族複素環から選択される必要に応じて置換されている基であり、
各L、L、およびLは独立して、共有結合またはC1〜8の二価の直鎖もしくは分岐鎖の炭化水素鎖であり、前記鎖の1つ、2つ、または3つのメチレン単位は、独立して、−O−、−C(O)−、−C(O)O−、−OC(O)−、−N(R)−、−C(O)N(R)−、−(R)NC(O)−、−OC(O)N(R)−、−(R)NC(O)O−、−N(R)C(O)N(R)−、−S−、−SO−、−SO−、−SON(R)−、−(R)NSO−、−C(S)−、−C(S)O−、−OC(S)−、−C(S)N(R)−、−(R)NC(S)−、−(R)NC(S)N(R)−、または−Cy−により必要に応じて置き換えられており、
mは、0、1、2、3、または4であり、
nは、0、1、2、3、または4であり、かつ
pは、0、1、2、3、または4である。
【0188】
上記に一般的に定義した通り、環A、B、およびCはそれぞれ独立して、3〜8員の飽和もしくは部分不飽和の単環式炭素環、フェニル、8〜10員の二環式芳香族炭素環、独立して窒素、酸素、もしくは硫黄から選択される1〜2個のヘテロ原子を有する4〜8員の飽和もしくは部分不飽和の単環式複素環式環、独立して窒素、酸素、もしくは硫黄から選択される1〜4個のヘテロ原子を有する5〜6員の単環式芳香族複素環、または独立して窒素、酸素、もしくは硫黄から選択される1〜5個のヘテロ原子を有する8〜10員の二環式芳香族複素環である。
【0189】
一部の実施形態では、環Aは、3〜8員の飽和もしくは部分不飽和の単環式炭素環である。一部の実施形態では、環Aは、フェニルである。一部の実施形態では、環Aは、8〜10員の二環式芳香族炭素環である。一部の実施形態では、環Aは、独立して窒素、酸素、もしくは硫黄から選択される1〜2個のヘテロ原子を有する4〜8員の飽和もしくは部分不飽和の単環式複素環式環である。一部の実施形態では、環Aは、独立して窒素、酸素、もしくは硫黄から選択される1〜4個のヘテロ原子を有する5〜6員の単環式芳香族複素環である。一部の実施形態では、環Aは、独立して窒素、酸素、もしくは硫黄から選択される1〜5個のヘテロ原子を有する8〜10員の二環式芳香族複素環である。
【0190】
一部の実施形態では、環Aは、独立して窒素、酸素、もしくは硫黄から選択される1〜2個のヘテロ原子を有する5〜6員の単環式芳香族複素環である。
【0191】
一部の実施形態では、環Bは、3〜8員の飽和もしくは部分不飽和の単環式炭素環である。一部の実施形態では、環Bは、フェニルである。一部の実施形態では、環Bは、8〜10員の二環式芳香族炭素環である。一部の実施形態では、環Bは、独立して窒素、酸素、もしくは硫黄から選択される1〜2個のヘテロ原子を有する4〜8員の飽和もしくは部分不飽和の単環式複素環式環である。一部の実施形態では、環Bは、独立して窒素、酸素、もしくは硫黄から選択される1〜4個のヘテロ原子を有する5〜6員の単環式芳香族複素環である。一部の実施形態では、環Bは、独立して窒素、酸素、もしくは硫黄から選択される1〜5個のヘテロ原子を有する8〜10員の二環式芳香族複素環である。
【0192】
一部の実施形態では、環Bは、独立して窒素、酸素、もしくは硫黄から選択される1〜2個のヘテロ原子を有する5〜6員の単環式芳香族複素環である。
【0193】
一部の実施形態では、環Bは存在しない。
【0194】
一部の実施形態では、環Cは、3〜8員の飽和もしくは部分不飽和の単環式炭素環である。一部の実施形態では、環Cは、フェニルである。一部の実施形態では、環Cは、8〜10員の二環式芳香族炭素環である。一部の実施形態では、環Cは、独立して窒素、酸素、もしくは硫黄から選択される1〜2個のヘテロ原子を有する4〜8員の飽和もしくは部分不飽和の単環式複素環式環である。一部の実施形態では、環Cは、独立して窒素、酸素、もしくは硫黄から選択される1〜4個のヘテロ原子を有する5〜6員の単環式芳香族複素環である。一部の実施形態では、環Cは、独立して窒素、酸素、もしくは硫黄から選択される1〜5個のヘテロ原子を有する8〜10員の二環式芳香族複素環である。
【0195】
一部の実施形態では、環Cは、独立して窒素、酸素、もしくは硫黄から選択される1〜2個のヘテロ原子を有する5〜6員の単環式芳香族複素環である。
【0196】
一部の実施形態では、環A、B、およびCは、それぞれ独立して、
フェニル、
【化2】
【化3】
から選択される。
【0197】
一部の実施形態では、環A、B、およびCは、それぞれ独立して、
フェニル、
【化4】
から選択される。
【0198】
一部の実施形態では、環Aは、フェニル、
【化5】
から選択される。
【0199】
一部の実施形態では、環Bは、フェニル、
【化6】
から選択される。
【0200】
一部の実施形態では、環Cは、フェニル、
【化7】
から選択される。
【0201】
一部の実施形態では、環A、B、またはCの少なくとも1つは、
【化8】
である。
【0202】
上記に一般的に定義した通り、各Rは、独立してR、ハロゲン、−CN、−OR、−N(R)、−NO、−N、−SR、または−L−Rである。
【0203】
一部の実施形態では、RはRである。一部の実施形態では、Rはハロゲンである。一部の実施形態では、Rは−CNである。一部の実施形態では、Rは−ORである。一部の実施形態では、Rは−N(R)である。一部の実施形態では、Rは−NOである。一部の実施形態では、Rは−Nである。一部の実施形態では、Rは−SRである。一部の実施形態では、Rは−L−Rである。
【0204】
一部の実施形態では、Rは水素である。一部の実施形態では、Rは、必要に応じて置換されているC1〜6の脂肪族基である。一部の実施形態では、Rは、必要に応じて置換されている3〜8員の飽和もしくは部分不飽和の単環式炭素環である。一部の実施形態では、Rは、必要に応じて置換されているフェニルである。一部の実施形態では、Rは、必要に応じて置換されている8〜10員の二環式芳香族炭素環である。一部の実施形態では、Rは、独立して窒素、酸素、もしくは硫黄から選択される1〜2個のヘテロ原子を有する必要に応じて置換されている4〜8員の飽和もしくは部分不飽和の単環式複素環式環である。一部の実施形態では、Rは、独立して窒素、酸素、もしくは硫黄から選択される1〜4個のヘテロ原子を有する必要に応じて置換されている5〜6員の単環式芳香族複素環である。一部の実施形態では、Rは、独立して窒素、酸素、もしくは硫黄から選択される1〜5個のヘテロ原子を有する必要に応じて置換されている8〜10員の二環式芳香族複素環である。
【0205】
上記に一般的に定義した通り、各Rは、独立してR、ハロゲン、−CN、−OR、−N(R)、−NO、−N、−SR、または−L−Rである。
【0206】
一部の実施形態では、RはRである。一部の実施形態では、Rはハロゲンである。一部の実施形態では、Rは−CNである。一部の実施形態では、Rは−ORである。一部の実施形態では、Rは−N(R)である。一部の実施形態では、Rは−NOである。一部の実施形態では、Rは−Nである。一部の実施形態では、Rは−SRである。一部の実施形態では、Rは−L−Rである。
【0207】
一部の実施形態では、Rは水素である。一部の実施形態では、Rは、必要に応じて置換されているC1〜6の脂肪族基である。一部の実施形態では、Rは、必要に応じて置換されている3〜8員の飽和もしくは部分不飽和の単環式炭素環である。一部の実施形態では、Rは、必要に応じて置換されているフェニルである。一部の実施形態では、Rは、必要に応じて置換されている8〜10員の二環式芳香族炭素環である。一部の実施形態では、Rは、独立して窒素、酸素、もしくは硫黄から選択される1〜2個のヘテロ原子を有する必要に応じて置換されている4〜8員の飽和もしくは部分不飽和の単環式複素環式環である。一部の実施形態では、Rは、独立して窒素、酸素、もしくは硫黄から選択される1〜4個のヘテロ原子を有する必要に応じて置換されている5〜6員の単環式芳香族複素環である。一部の実施形態では、Rは、独立して窒素、酸素、もしくは硫黄から選択される1〜5個のヘテロ原子を有する必要に応じて置換されている8〜10員の二環式芳香族複素環である。
【0208】
上記に一般的に定義した通り、各Rは、独立してR、ハロゲン、−CN、−OR、−N(R)、−NO、−N、−SR、または−L−Rである。
【0209】
一部の実施形態では、RはRである。一部の実施形態では、Rはハロゲンである。一部の実施形態では、Rは−CNである。一部の実施形態では、Rは−ORである。一部の実施形態では、Rは−N(R)である。一部の実施形態では、Rは−NOである。一部の実施形態では、Rは−Nである。一部の実施形態では、Rは−SRである。一部の実施形態では、Rは−L−Rである。
【0210】
一部の実施形態では、Rは水素である。一部の実施形態では、Rは、必要に応じて置換されているC1〜6の脂肪族基である。一部の実施形態では、Rは、必要に応じて置換されている3〜8員の飽和もしくは部分不飽和の単環式炭素環である。一部の実施形態では、Rは、必要に応じて置換されているフェニルである。一部の実施形態では、Rは、必要に応じて置換されている8〜10員の二環式芳香族炭素環である。一部の実施形態では、Rは、独立して窒素、酸素、もしくは硫黄から選択される1〜2個のヘテロ原子を有する必要に応じて置換されている4〜8員の飽和もしくは部分不飽和の単環式複素環式環である。一部の実施形態では、Rは、独立して窒素、酸素、もしくは硫黄から選択される1〜4個のヘテロ原子を有する必要に応じて置換されている5〜6員の単環式芳香族複素環である。一部の実施形態では、Rは、独立して窒素、酸素、もしくは硫黄から選択される1〜5個のヘテロ原子を有する必要に応じて置換されている8〜10員の二環式芳香族複素環である。
【0211】
上記に一般的に定義した通り、各L、L、およびLは独立して、共有結合、または、C1〜8の二価の直鎖または分岐鎖の炭化水素鎖であり、該鎖の1つ、2つ、または3つのメチレン単位は、独立して、−O−、−C(O)−、−C(O)O−、−OC(O)−、−N(R)−、−C(O)N(R)−、−(R)NC(O)−、−OC(O)N(R)−、−(R)NC(O)O−、−N(R)C(O)N(R)−、−S−、−SO−、−SO−、−SON(R)−、−(R)NSO−、−C(S)−、−C(S)O−、−OC(S)−、−C(S)N(R)−、−(R)NC(S)−、−(R)NC(S)N(R)−、または−Cy−により必要に応じて置き換えられている。
【0212】
一部の実施形態では、Lは共有結合である。一部の実施形態では、Lは、C1〜8の二価の直鎖または分岐鎖の炭化水素鎖である。一部の実施形態では、Lは、C1〜8の二価の直鎖または分岐鎖の炭化水素鎖であり、該鎖の1つ、2つ、または3つのメチレン単位は、独立して、−O−、−C(O)−、−C(O)O−、−OC(O)−、−N(R)−、−C(O)N(R)−、−(R)NC(O)−、−OC(O)N(R)−、−(R)NC(O)O−、−N(R)C(O)N(R)−、−S−、−SO−、−SO−、−SON(R)−、−(R)NSO−、−C(S)−、−C(S)O−、−OC(S)−、−C(S)N(R)−、−(R)NC(S)−、−(R)NC(S)N(R)−、または−Cy−により必要に応じて置き換えられている。
【0213】
一部の実施形態では、Lは、C1〜6の二価の直鎖または分岐鎖の炭化水素鎖であり、該鎖の1つ、2つ、または3つのメチレン単位は、独立して、−O−、−C(O)−、−N(R)−、−S−、−SO−、−SO−、−SON(R)−、−(R)NSO−、−C(S)−、または−Cy−により必要に応じて置き換えられており、かつ各Rは独立して、水素、−CH−フェニル、フェニル、C1〜6アルキル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、−CHF、−CHF、−CF、−CHCHF、もしくは−CHCFであるか、または各Rは独立して、水素もしくはメチルであるか、またはRは水素である。
【0214】
一部の実施形態では、Lは共有結合である。一部の実施形態では、Lは、C1〜8の二価の直鎖または分岐鎖の炭化水素鎖である。一部の実施形態では、Lは、C1〜8の二価の直鎖または分岐鎖の炭化水素鎖であり、該鎖の1つ、2つ、または3つのメチレン単位は、独立して、−O−、−C(O)−、−C(O)O−、−OC(O)−、−N(R)−、−C(O)N(R)−、−(R)NC(O)−、−OC(O)N(R)−、−(R)NC(O)O−、−N(R)C(O)N(R)−、−S−、−SO−、−SO−、−SON(R)−、−(R)NSO−、−C(S)−、−C(S)O−、−OC(S)−、−C(S)N(R)−、−(R)NC(S)−、−(R)NC(S)N(R)−、または−Cy−により必要に応じて置き換えられている。
【0215】
一部の実施形態では、Lは、C1〜6の二価の直鎖または分岐鎖の炭化水素鎖であり、該鎖の1つ、2つ、または3つのメチレン単位は、独立して、−O−、−C(O)−、−N(R)−、−S−、−SO−、−SO−、−SON(R)−、−(R)NSO−、−C(S)−、または−Cy−により必要に応じて置き換えられており、かつ各Rは独立して、水素、−CH−フェニル、フェニル、C1〜6アルキル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、−CHF、−CHF、−CF、−CHCHF、もしくは−CHCFであるか、または各Rは独立して、水素もしくはメチルであるか、またはRは水素である。
【0216】
一部の実施形態では、Lは共有結合である。一部の実施形態では、Lは、C1〜8の二価の直鎖または分岐鎖の炭化水素鎖である。一部の実施形態では、Lは、C1〜8の二価の直鎖または分岐鎖の炭化水素鎖であり、該鎖の1つ、2つ、または3つのメチレン単位は、独立して、−O−、−C(O)−、−C(O)O−、−OC(O)−、−N(R)−、−C(O)N(R)−、−(R)NC(O)−、−OC(O)N(R)−、−(R)NC(O)O−、−N(R)C(O)N(R)−、−S−、−SO−、−SO−、−SON(R)−、−(R)NSO−、−C(S)−、−C(S)O−、−OC(S)−、−C(S)N(R)−、−(R)NC(S)−、−(R)NC(S)N(R)−、または−Cy−により必要に応じて置き換えられている。
【0217】
一部の実施形態では、Lは、C1〜6の二価の直鎖または分岐鎖の炭化水素鎖であり、該鎖の1つ、2つ、または3つのメチレン単位は、独立して、−O−、−C(O)−、−N(R)−、−S−、−SO−、−SO−、−SON(R)−、−(R)NSO−、−C(S)−、または−Cy−により必要に応じて置き換えられており、かつ各Rは独立して、水素、−CH−フェニル、フェニル、C1〜6アルキル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、−CHF、−CHF、−CF、−CHCHF、もしくは−CHCFであるか、または各Rは独立して、水素もしくはメチルであるか、またはRは水素である。
【0218】
上記に一般的に定義した通り、各−Cy−は独立して、二価の必要に応じて置換されている3〜8員の飽和もしくは部分不飽和の単環式炭素環、必要に応じて置換されているフェニレン、独立して窒素、酸素、もしくは硫黄から選択される1〜3個のヘテロ原子を有する必要に応じて置換されている4〜8員の飽和もしくは部分不飽和の単環式複素環式環、独立して窒素、酸素、もしくは硫黄から選択される1〜4個のヘテロ原子を有する必要に応じて置換されている5〜6員の単環式芳香族複素環、独立して窒素、酸素、もしくは硫黄から選択される1〜5個のヘテロ原子を有する必要に応じて置換されている8〜10員の二環式もしくは架橋二環式の飽和もしくは部分不飽和の複素環式環、または独立して窒素、酸素、もしくは硫黄から選択される1〜5個のヘテロ原子を有する必要に応じて置換されている8〜10員の二環式もしくは架橋二環式の芳香族複素環である。
【0219】
一部の実施形態では、−Cy−は、二価の必要に応じて置換されている3〜8員の飽和もしくは部分不飽和の単環式炭素環である。一部の実施形態では、−Cy−は、必要に応じて置換されているフェニレンである。一部の実施形態では、−Cy−は、独立して窒素、酸素、もしくは硫黄から選択される1〜3個のヘテロ原子を有する必要に応じて置換されている4〜8員の飽和もしくは部分不飽和の単環式複素環式環である。一部の実施形態では、−Cy−は、独立して窒素、酸素、もしくは硫黄から選択される1〜4個のヘテロ原子を有する必要に応じて置換されている5〜6員の単環式芳香族複素環である。一部の実施形態では、−Cy−は、独立して窒素、酸素、もしくは硫黄から選択される1〜5個のヘテロ原子を有する必要に応じて置換されている8〜10員の二環式もしくは架橋二環式の飽和もしくは部分不飽和の複素環式環である。一部の実施形態では、−Cy−は、独立して窒素、酸素、もしくは硫黄から選択される1〜5個のヘテロ原子を有する必要に応じて置換されている8〜10員の二環式もしくは架橋二環式の芳香族複素環である。
【0220】
上記に一般的に定義した通り、各Rは独立して、水素、または、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つのハロゲンにより必要に応じて置換されているC1〜6アルキルである。
【0221】
上記に一般的に定義した通り、mは、0、1、2、3、または4である。一部の実施形態では、mは0である。一部の実施形態では、mは1である。一部の実施形態では、mは2である。一部の実施形態では、mは3である。一部の実施形態では、mは4である。一部の実施形態では、mは、0、1、2、または3である。一部の実施形態では、mは、0、1、または2である。一部の実施形態では、mは、1、2、または3である。
【0222】
上記に一般的に定義した通り、nは、0、1、2、3、または4である。一部の実施形態では、nは0である。一部の実施形態では、nは1である。一部の実施形態では、nは2である。一部の実施形態では、nは3である。一部の実施形態では、nは4である。一部の実施形態では、nは、0、1、2、または3である。一部の実施形態では、nは、0、1、または2である。一部の実施形態では、nは、1、2、または3である。
【0223】
上記に一般的に定義した通り、pは、0、1、2、3、または4である。一部の実施形態では、pは0である。一部の実施形態では、pは1である。一部の実施形態では、pは2である。一部の実施形態では、pは3である。一部の実施形態では、pは4である。一部の実施形態では、pは、0、1、2、または3である。一部の実施形態では、pは、0、1、または2である。一部の実施形態では、pは、1、2、または3である。
【0224】
一部の実施形態では、式Iの化合物は、任意の化学的に実現可能な手段によって、図24または図33に示される少なくとも1つの構造に直接的にまたはLなどのリンカーを通じて共有結合的に連結されている。
【0225】
別の態様では、本発明は、式II:
【化9】
の化合物、または薬学的に許容されるその塩(式中、R、R、R、R、R、L、L、L、−Cy−、m、n、およびpのそれぞれは、単独および組合せの両方で、上記に定義した通りおよび本明細書中の実施形態に記載した通りである)を提供する。
【0226】
一部の実施形態では、式IIの化合物は、任意の化学的に実現可能な手段によって、図24または図33に示される少なくとも1つの構造に直接的にまたはLなどのリンカーを通じて共有結合的に連結されている。
【0227】
一部の実施形態では、本発明は、式III:
【化10】
の化合物、または薬学的に許容されるその塩(式中、R、R、R、R、R、L、L、L、−Cy−、m、n、およびpのそれぞれは、単独および組合せの両方で、上記に定義した通りおよび本明細書中の実施形態に記載した通りである)を提供する。
【0228】
一部の実施形態では、式IIIの化合物は、任意の化学的に実現可能な手段によって、図24または図33に示される少なくとも1つの構造に直接的にまたはLなどのリンカーを通じて共有結合的に連結されている。
【0229】
一部の実施形態では、本発明は、式IV:
【化11】
の化合物、または薬学的に許容されるその塩(式中、R、R、R、R、R、L、L、L、−Cy−、m、n、およびpのそれぞれは、単独および組合せの両方で、上記に定義した通りおよび本明細書中の実施形態に記載した通りである)を提供する。
【0230】
一部の実施形態では、式IVの化合物は、任意の化学的に実現可能な手段によって、図24または図33に示される少なくとも1つの構造に直接的にまたはLなどのリンカーを通じて共有結合的に連結されている。
【0231】
一部の実施形態では、本発明は、式V:
【化12】
の化合物、または薬学的に許容されるその塩(式中、R、R、R、R、R、L、L、L、−Cy−、m、およびpのそれぞれは、単独および組合せの両方で、上記に定義した通りおよび本明細書中の実施形態に記載した通りである)を提供する。
【0232】
一部の実施形態では、式Vの化合物は、任意の化学的に実現可能な手段によって、図24または図33に示される少なくとも1つの構造に直接的にまたはLなどのリンカーを通じて共有結合的に連結されている。
【0233】
一部の実施形態では、本発明は、式VI:
【化13】
の化合物、または薬学的に許容されるその塩(式中、R、R、R、R、R、L、L、L、および−Cy−のそれぞれは、単独および組合せの両方で、上記に定義した通りおよび本明細書中の実施形態に記載した通りである)を提供する。
【0234】
一部の実施形態では、式VIの化合物は、任意の化学的に実現可能な手段によって、図24または図33に示される少なくとも1つの構造に直接的にまたはLなどのリンカーを通じて共有結合的に連結されている。
【0235】
一部の実施形態では、本発明は、式V:
【化14】
の化合物、または薬学的に許容されるその塩(式中、R、R、R、R、L、L、−Cy−、m、およびpのそれぞれは、単独および組合せの両方で、上記に定義した通りおよび本明細書中の実施形態に記載した通りであり;そしてXは、−C(R)−、−NR−、または−O−である)を提供する。
【0236】
一部の実施形態では、式VIIの化合物は、任意の化学的に実現可能な手段によって、図24または図33に示される少なくとも1つの構造に直接的にまたはLなどのリンカーを通じて共有結合的に連結されている。
【0237】
別の態様では、本発明は、式VIII:
【化15】
の化合物、または薬学的に許容されるその塩(式中、X、R、R、R、R、R、L、L、およびLのそれぞれは、単独および組合せの両方で、上記に定義した通りおよび本明細書中の実施形態に記載した通りであり;Rは、独立して、−R、ハロゲン、−CN、−OR、−N(R)、−NO、−N、−SR、または−L−Rである)を提供する。
【0238】
一部の実施形態では、RはRである。一部の実施形態では、Rはハロゲンである。一部の実施形態では、Rは−CNである。一部の実施形態では、Rは−ORである。一部の実施形態では、Rは−N(R)である。一部の実施形態では、Rは−NOである。一部の実施形態では、Rは−Nである。一部の実施形態では、Rは−SRである。一部の実施形態では、Rは−L−Rである。
【0239】
一部の実施形態では、Rは水素である。一部の実施形態では、Rは、必要に応じて置換されているC1〜6の脂肪族基である。一部の実施形態では、Rは、必要に応じて置換されている3〜8員の飽和もしくは部分不飽和の単環式炭素環である。一部の実施形態では、Rは、必要に応じて置換されているフェニルである。一部の実施形態では、Rは、必要に応じて置換されている8〜10員の二環式芳香族炭素環である。一部の実施形態では、Rは、独立して窒素、酸素、もしくは硫黄から選択される1〜2個のヘテロ原子を有する必要に応じて置換されている4〜8員の飽和もしくは部分不飽和の単環式複素環式環である。一部の実施形態では、Rは、独立して窒素、酸素、もしくは硫黄から選択される1〜4個のヘテロ原子を有する必要に応じて置換されている5〜6員の単環式芳香族複素環である。一部の実施形態では、Rは、独立して窒素、酸素、もしくは硫黄から選択される1〜5個のヘテロ原子を有する必要に応じて置換されている8〜10員の二環式芳香族複素環である。
【0240】
一部の実施形態では、Rは、R、ハロゲン、−CN、−OR、−N(R)、−SR、C1〜6の脂肪族基、または−L−Rから選択され、Lは、C1〜6の二価の直鎖または分岐鎖の炭化水素鎖であり、該鎖の1つ、2つ、または3つのメチレン単位は、独立して、−O−、−C(O)−、−N(R)−、−S−、−SO−、−SO−、−C(S)−、または−Cy−により必要に応じて置き換えられており;C1〜6の脂肪族基は、ハロゲン、−CN、−N(R)、−NO、−N、=NR、=NOR、=O、=S、−OR、−SR、−SOR、−S(O)R、−R、−Cy−R、−C(O)R、−C(O)OR、−OC(O)R、−C(O)N(R)、−(R)NC(O)R、−OC(O)N(R)、−(R)NC(O)OR、−N(R)C(O)N(R)、−SON(R)、−(R)NSOR、−C(S)R、または−C(S)ORから独立して選択される1つ、2つ、または3つの基により必要に応じて置換されており;かつ各Rは独立して、水素、−CH−フェニル、フェニル、C1〜6アルキル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、−CHF、−CHF、−CF、−CHCHF、または−CHCFであるか;または各Rは独立して、水素もしくはメチルであるか;またはRは水素である。
【0241】
一部の実施形態では、Lは共有結合である。一部の実施形態では、Lは、C1〜8の二価の直鎖または分岐鎖の炭化水素鎖である。一部の実施形態では、Lは、C1〜8の二価の直鎖または分岐鎖の炭化水素鎖であり、該鎖の1つ、2つ、または3つのメチレン単位は、独立して、−O−、−C(O)−、−C(O)O−、−OC(O)−、−N(R)−、−C(O)N(R)−、−(R)NC(O)−、−OC(O)N(R)−、−(R)NC(O)O−、−N(R)C(O)N(R)−、−S−、−SO−、−SO−、−SON(R)−、−(R)NSO−、−C(S)−、−C(S)O−、−OC(S)−、−C(S)N(R)−、−(R)NC(S)−、−(R)NC(S)N(R)−、または−Cy−により必要に応じて置き換えられている。
【0242】
一部の実施形態では、Lは、C1〜6の二価の直鎖または分岐鎖の炭化水素鎖であり、該鎖の1つ、2つ、または3つのメチレン単位は、独立して、−O−、−C(O)−、−N(R)−、−S−、−SO−、−SO−、−SON(R)−、−(R)NSO−、−C(S)−、または−Cy−により必要に応じて置き換えられており、かつ各Rは独立して、水素、−CH−フェニル、フェニル、C1〜6アルキル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、−CHF、−CHF、−CF、−CHCHF、または−CHCFであるか;または各Rは独立して、水素またはメチルであるか;またはRは水素である。
【0243】
一部の実施形態では、式VIIIの化合物は、任意の化学的に実現可能な手段によって、図24または図33に示される少なくとも1つの構造に直接的にまたはLなどのリンカーを通じて共有結合的に連結されている。
【0244】
別の態様では、本発明は、式IX:
【化16】
の化合物または薬学的に許容されるその塩(式中、R、R、R、R、R、R、L、L、L、Lおよび−Cy−のそれぞれは、単独および組合せの両方で、上記に定義した通りおよび本明細書中の実施形態に記載した通りである)を提供する。
【0245】
一部の実施形態では、式IXの化合物は、任意の化学的に実現可能な手段によって、図24または図33に示される少なくとも1つの構造に直接的にまたはLなどのリンカーを通じて共有結合的に連結されている。
【0246】
一部の実施形態では、本発明は、式X:
【化17】
の化合物または薬学的に許容されるその塩(式中、R、R、R、L、および−Cy−のそれぞれは、単独および組合せの両方で、上記に定義した通りおよび本明細書中の実施形態に記載した通りである)を提供する。
【0247】
一部の実施形態では、式Xの化合物は、任意の化学的に実現可能な手段によって、図24または図33に示される少なくとも1つの構造に直接的にまたはLなどのリンカーを通じて共有結合的に連結されている。
【0248】
別の態様では、本発明は、式XI:
【化18】
の化合物または薬学的に許容されるその塩(式中、Y、R、R、R、R、R、R、L、L、L、Lおよび−Cy−のそれぞれは、単独および組合せの両方で、上記に定義した通りおよび本明細書中の実施形態に記載した通りであり;、Zは、−C(R)−または−O−である)を提供する。
【0249】
一部の実施形態では、式XIの化合物は、任意の化学的に実現可能な手段によって、図24または図33に示される少なくとも1つの構造に直接的にまたはLなどのリンカーを通じて共有結合的に連結されている。
【0250】
一部の実施形態では、本発明は、式XII:
【化19】
の化合物または薬学的に許容されるその塩(式中、R、R、R、R、R、R、L、L、L、Lおよび−Cy−のそれぞれは、単独および組合せの両方で、上記に定義した通りおよび本明細書中の実施形態に記載した通りである)を提供する。
【0251】
一部の実施形態では、式XIIの化合物は、任意の化学的に実現可能な手段によって、図24または図33に示される少なくとも1つの構造に直接的にまたはLなどのリンカーを通じて共有結合的に連結されている。
【0252】
一部の実施形態では、本発明は、式XIII:
【化20】
の化合物または薬学的に許容されるその塩(式中、R、R、R、R、R、R、L、L、L、Lおよび−Cy−のそれぞれは、単独および組合せの両方で、上記に定義した通りおよび本明細書中の実施形態に記載した通りである)を提供する。
【0253】
一部の実施形態では、式XIIIの化合物は、任意の化学的に実現可能な手段によって、図24または図33に示される少なくとも1つの構造に直接的にまたはLなどのリンカーを通じて共有結合的に連結されている。
【0254】
別の態様では、本発明は、式XIV:
【化21】
の化合物または薬学的に許容されるその塩(式中、R、R、R、R、R、L、L、L、および−Cy−のそれぞれは、単独および組合せの両方で、上記に定義した通りおよび本明細書中の実施形態に記載した通りであり;Wは、−NR−、−O−または−S−である)を提供する。
【0255】
一部の実施形態では、式XIVの化合物は、任意の化学的に実現可能な手段によって、図24または図33に示される少なくとも1つの構造に直接的にまたはLなどのリンカーを通じて共有結合的に連結されている。
【0256】
別の態様では、本発明は、式XV:
【化22】
の化合物または薬学的に許容されるその塩(式中、Y、R、R、R、R、R、L、L、L、および−Cy−のそれぞれは、単独および組合せの両方で、上記に定義した通りおよび本明細書中の実施形態に記載した通りであり;但し、RまたはRの1つは存在しなくてもよく、かつ
【化23】
によって置き換えられていてもよい)を提供する。
【0257】
一部の実施形態では、式XVの化合物は、任意の化学的に実現可能な手段によって、図24または図33に示される少なくとも1つの構造に直接的にまたはLなどのリンカーを通じて共有結合的に連結されている。
【0258】
一部の実施形態では、本発明は、式XVI:
【化24】
の化合物または薬学的に許容されるその塩(式中、R、R、R、R、R、L、L、L、および−Cy−のそれぞれは、単独および組合せの両方で、上記に定義した通りおよび本明細書中の実施形態に記載した通りである)を提供する。
【0259】
一部の実施形態では、式XVIの化合物は、任意の化学的に実現可能な手段によって、図24または図33に示される少なくとも1つの構造に直接的にまたはLなどのリンカーを通じて共有結合的に連結されている。
【0260】
一部の実施形態では、本発明は、式XVII:
【化25】
の化合物または薬学的に許容されるその塩(式中、R、R、R、R、L、L、および−Cy−のそれぞれは、単独および組合せの両方で、上記に定義した通りおよび本明細書中の実施形態に記載した通りである)を提供する。
【0261】
一部の実施形態では、式XVIIの化合物は、任意の化学的に実現可能な手段によって、図24または図33に示される少なくとも1つの構造に直接的にまたはLなどのリンカーを通じて共有結合的に連結されている。
【0262】
一部の実施形態では、本発明は、式XVIII:
【化26】
の化合物または薬学的に許容されるその塩(式中、R、R、R、R、R、L、L、L、および−Cy−のそれぞれは、単独および組合せの両方で、上記に定義した通りおよび本明細書中の実施形態に記載した通りである)を提供する。
【0263】
一部の実施形態では、式XVIIIの化合物は、任意の化学的に実現可能な手段によって、図24または図33に示される少なくとも1つの構造に直接的にまたはLなどのリンカーを通じて共有結合的に連結されている。
【0264】
別の態様では、本発明は、式XIX:
【化27】
の化合物または薬学的に許容されるその塩(式中、R、R、R、R、L、L、および−Cy−のそれぞれは、単独および組合せの両方で、上記に定義した通りおよび本明細書中の実施形態に記載した通りである)を提供する。
【0265】
一部の実施形態では、式XIXの化合物は、任意の化学的に実現可能な手段によって、図24または図33に示される少なくとも1つの構造に直接的にまたはLなどのリンカーを通じて共有結合的に連結されている。
【0266】
一部の実施形態では、本発明は、式XX:
【化28】
の化合物または薬学的に許容されるその塩(式中、R、R、R、R、R、L、L、L、および−Cy−のそれぞれは、単独および組合せの両方で、上記に定義した通りおよび本明細書中の実施形態に記載した通りである)を提供する。
【0267】
一部の実施形態では、式XXの化合物は、任意の化学的に実現可能な手段によって、図24または図33に示される少なくとも1つの構造に直接的にまたはLなどのリンカーを通じて共有結合的に連結されている。
【0268】
別の態様では、本発明は、式XXI:
【化29】
の化合物または薬学的に許容されるその塩(式中、各R、R、R、R、L、L、および−Cy−は、単独および組合せの両方で、上記に定義した通りおよび本明細書中の実施形態に記載した通りであり;LはCHまたは単結合もしくは二重結合であり;かつRは存在しないか、または−Oである)を提供する。
【0269】
一部の実施形態では、式XXIの化合物は、任意の化学的に実現可能な手段によって、図24または図33に示される少なくとも1つの構造に直接的にまたはLなどのリンカーを通じて共有結合的に連結されている。
【0270】
別の態様では、本発明は、式XXII:
【化30】
の化合物または薬学的に許容されるその塩(式中、各R、R、R、L、および−Cy−は、単独および組合せの両方で、上記に定義した通りおよび本明細書中の実施形態に記載した通りである)を提供する。
【0271】
一部の実施形態では、式XXIIの化合物は、任意の化学的に実現可能な手段によって、図24または図33に示される少なくとも1つの構造に直接的にまたはLなどのリンカーを通じて共有結合的に連結されている。
【0272】
一部の実施形態では、本発明は、式XXIII:
【化31】
の化合物または薬学的に許容されるその塩(式中、各R、Rおよび−Cy−は、単独および組合せの両方で、上記に定義した通りおよび本明細書中の実施形態に記載した通りである)を提供する。
【0273】
一部の実施形態では、式XXIIIの化合物は、任意の化学的に実現可能な手段によって、図24または図33に示される少なくとも1つの構造に直接的にまたはLなどのリンカーを通じて共有結合的に連結されている。
【0274】
一部の実施形態では、本発明は、式XXIV:
【化32】
の化合物または薬学的に許容されるその塩(式中、各R、R、R、L、および−Cy−は、単独および組合せの両方で、上記に定義した通りおよび本明細書中の実施形態に記載した通りである)を提供する。
【0275】
一部の実施形態では、式XXIVの化合物は、任意の化学的に実現可能な手段によって、図24または図33に示される少なくとも1つの構造に直接的にまたはLなどのリンカーを通じて共有結合的に連結されている。
【0276】
別の態様では、本発明は、式XXV:
【化33】
の化合物または薬学的に許容されるその塩(式中、各R、R、R、L、および−Cy−は、単独および組合せの両方で、上記に定義した通りおよび本明細書中の実施形態に記載した通りである)を提供する。
【0277】
一部の実施形態では、式XXVの化合物は、任意の化学的に実現可能な手段によって、図24または図33に示される少なくとも1つの構造に直接的にまたはLなどのリンカーを通じて共有結合的に連結されている。
【0278】
一部の実施形態では、本発明は、式XXVI−a、XXVI−b、XXVI−c、XXVI−dもしくはXXVI−e:
【化34】
の化合物もしくはジアステレオマーまたは薬学的に許容されるその塩(式中、各R、R、R、Lおよび−Cy−は、単独および組合せの両方で、上記に定義した通りおよび本明細書中の実施形態に記載した通りである)を提供する。
【0279】
一部の実施形態では、式XXVI−a、XXVI−b、XXVI−c、XXVI−dまたはXXVI−eの化合物は、任意の化学的に実現可能な手段によって、図24または図33に示される少なくとも1つの構造に直接的にまたはLなどのリンカーを通じて共有結合的に連結されている。
【0280】
別の態様では、本発明は、式XXVII:
【化35】
の化合物または薬学的に許容されるその塩(式中、各R、R、R、R、L、L、および−Cy−は、単独および組合せの両方で、上記に定義した通りおよび本明細書中の実施形態に記載した通りである)を提供する。
【0281】
一部の実施形態では、式XXVIIの化合物は、任意の化学的に実現可能な手段によって、図24または図33に示される少なくとも1つの構造に直接的にまたはLなどのリンカーを通じて共有結合的に連結されている。
【0282】
別の態様では、本発明は、式XXVIII:
【化36】
の化合物または薬学的に許容されるその塩(式中、各R、R、R、R、R、L、L、Lおよび−Cy−は、単独および組合せの両方で、上記に定義した通りおよび本明細書中の実施形態に記載した通りである)を提供する。
【0283】
一部の実施形態では、式XXVIIIの化合物は、任意の化学的に実現可能な手段によって、図24または図33に示される少なくとも1つの構造に直接的にまたはLなどのリンカーを通じて共有結合的に連結されている。
【0284】
別の態様では、本発明は、式XXIX:
【化37】
の化合物または薬学的に許容されるその塩(式中、各R、R、R、R、R、L、L、Lおよび−Cy−は、単独および組合せの両方で、上記に定義した通りおよび本明細書中の実施形態に記載した通りである)を提供する。
【0285】
一部の実施形態では、式XXIXの化合物は、任意の化学的に実現可能な手段によって、図24または図33に示される少なくとも1つの構造に直接的にまたはLなどのリンカーを通じて共有結合的に連結されている。
【0286】
別の態様では、本発明は、式XXX:
【化38】
の化合物または薬学的に許容されるその塩(式中、各R、R、R、R、R、L、L、Lおよび−Cy−は、単独および組合せの両方で、上記に定義した通りおよび本明細書中の実施形態に記載した通りであり;Jは、N、OまたはCであり、pは1、2または3である)を提供する。
【0287】
一部の実施形態では、式XXXの化合物は、任意の化学的に実現可能な手段によって、図24または図33に示される少なくとも1つの構造に直接的にまたはLなどのリンカーを通じて共有結合的に連結されている。
【0288】
一部の実施形態では、本発明は、式XXXI:
【化39】
の化合物または薬学的に許容されるその塩(式中、各X、R、R、R、R、L、L、Lおよび−Cy−のそれぞれは、単独および組合せの両方で、上記に定義した通りおよび本明細書中の実施形態に記載した通りである)を提供する。
【0289】
一部の実施形態では、式XXXIの化合物は、任意の化学的に実現可能な手段によって、図24または図33に示される少なくとも1つの、少なくとも1つの(at least one least one)構造に直接的にまたはLなどのリンカーを通じて共有結合的に連結されている。
【0290】
一部の実施形態では、本発明は、式XXXII:
【化40】
の化合物または薬学的に許容されるその塩(式中、各、R、R、R、R、L、L、Lおよび−Cy−のそれぞれは、単独および組合せの両方で、上記に定義した通りおよび本明細書中の実施形態に記載した通りである)を提供する。
【0291】
一部の実施形態では、式XXXIIの化合物は、任意の化学的に実現可能な手段によって、図24または図33に示される少なくとも1つの、少なくとも1つの(at least one least one)構造に直接的にまたはLなどのリンカーを通じて共有結合的に連結されている。
【0292】
さらには、キノリン核を含むある特定の化合物(その1つはCPNQである)はRNAに結合できることが今や分かっている。CPNQは下記の構造:
【化41】
を有する。
【0293】
したがって、一部の実施形態では、小分子リガンドはCPNQまたは薬学的に許容されるその塩から選択される。他の実施形態では、リガンドは、CPNQに関連するキノリン化合物から選択され、該化合物は例えば、下記の表5もしくは表6のいずれか1つ、または図63〜71のいずれか1つにおいて提供される化合物、あるいは薬学的に許容されるその塩などである。
【0294】
一部の実施形態では、CPNQまたはCPNQに関連するキノリンは、本明細書中およびUSSN62/289,671(その全体がこれにより本明細書に参考として援用される)に記載するようなそれぞれの実施形態にしたがって、1つまたは複数の利用可能な位置において修飾されて水素がテザー(−T−および/または−T−)、クリック実行可能基(−RCG)、または弾頭(−Rmod)によって置き換えられている。
【0295】
例えば、CPNQまたはCPNQに関連するキノリンは、以下の式:
【化42】
(式中、Rmodは、必要に応じて−RCGまたは−T−RCGにより置換されており、さらに必要に応じてプルダウン基により置換されている)の1つ、または薬学的に許容されるその塩を有し得る。式IXまたは式Xの化合物は、さらに必要に応じて、下記に定義されるような1つまたは複数の必要に応じた置換基(例えば、1つまたは2つの必要に応じた置換基)により置換されていてもよい。
【0296】
本明細書中で使用する場合、「脂肪族」または「脂肪族基」という用語は、直鎖(すなわち、非分岐鎖)または分岐鎖の、置換または非置換の、完全飽和であるかまたは1つもしくは複数の不飽和単位を含む炭化水素鎖、あるいは、完全飽和であるかまたは1つもしくは複数の不飽和単位を含むが、芳香族ではない単環式炭化水素または二環式炭化水素(本明細書中で「炭素環」、「脂環式」、または「シクロアルキル」とも称する)であって、分子の残部への単一の結合点を有するものを意味する。別段の規定がなければ、脂肪族基は1〜6個の脂肪族炭素原子を含む。一部の実施形態では、脂肪族基は1〜5個の脂肪族炭素原子を含む。他の実施形態では、脂肪族基は1〜4個の脂肪族炭素原子を含む。また他の実施形態では、脂肪族基は1〜3個の脂肪族炭素原子を含み、さらに他の実施形態では、脂肪族基は1〜2個の脂肪族炭素原子を含む。一部の実施形態では、「脂環式」(または「炭素環」もしくは「シクロアルキル」)とは、完全飽和であるかまたは1つもしくは複数の不飽和単位を含むが、芳香族ではなく、分子の残部への単一の結合点を有する単環式C〜C炭化水素を指す。好適な脂肪族基としては、直鎖または分岐鎖の、置換または非置換の、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、およびこれらのハイブリッド((シクロアルキル)アルキル、(シクロアルケニル)アルキル、または(シクロアルキル)アルケニルなど)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0297】
本明細書中で使用する場合、「架橋二環式」という用語は、任意の二環式環系、すなわち、炭素環または複素環の、飽和または部分不飽和の、少なくとも1つの橋を有する、二環式環系を指す。IUPACによって定義される通り、「橋」とは、2つの橋頭を接続する複数原子の非分岐鎖、または1つの原子もしくは原子価結合であり、ここで「橋頭」とは、3つまたはそれより多くの骨格原子(水素を除く)に結合しているその環系の任意の骨格原子である。一部の実施形態では、架橋二環式基は、7〜12個の環員、および独立して窒素、酸素、または硫黄から選択される0〜4個のヘテロ原子を有する。そのような架橋二環式基は当該技術分野において周知であり、そして各基が任意の置換可能な炭素原子または窒素原子において分子の残部に結合している、以下に記載する基を包含する。別段の規定がなければ、架橋二環式基は、必要に応じて、脂肪族基について記載したような1つまたは複数の置換基で置換されている。追加的または代替的に、架橋二環式基の任意の置換可能な窒素は、必要に応じて置換されている。例示的な架橋二環式としては、
【化43】
が挙げられる。
【0298】
「低級アルキル」という用語は、C1〜4の直鎖または分岐鎖のアルキル基を指す。例示的な低級アルキル基は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、およびtert−ブチルである。
【0299】
「低級ハロアルキル」という用語は、1つまたは複数のハロゲン原子で置換されている、C1〜4の直鎖または分岐鎖のアルキル基を指す。
【0300】
「ヘテロ原子」という用語は、酸素、硫黄、窒素、リン、またはケイ素(窒素、硫黄、リン、またはケイ素の任意の酸化形態、任意の塩基性窒素の四級化形態、あるいは複素環式環の置換可能な窒素(例えば、(3,4−ジヒドロ−2H−ピロリルにおけるような)N、(ピロリジニルにおけるような)NH、または(N−置換ピロリジニルにおけるような)NRを包含する)のうちの1つまたは複数を意味する。
【0301】
本明細書中で使用する場合、「不飽和」という用語は、ある部分が1つまたは複数の不飽和単位を有することを意味する。
【0302】
本明細書中で使用する場合、「二価のC1〜8(もしくはC1〜6)の飽和または不飽和の、直鎖または分岐鎖の炭化水素鎖」という用語は、本明細書において定義するような、直鎖または分岐鎖の、二価のアルキレン鎖、アルケニレン鎖、およびアルキニレン鎖を指す。
【0303】
「アルキレン」という用語は、二価のアルキル基を指す。「アルキレン鎖」は、ポリメチレン基、すなわち−(CH−であり、ここでnは正の整数、好ましくは1〜6、1〜4、1〜3、1〜2、または2〜3である。置換アルキレン鎖は1つまたは複数のメチレン水素原子が置換基で置き換えられているポリメチレン基である。好適な置換基としては、置換脂肪族基について下記するものが挙げられる。
【0304】
「アルケニレン」という用語は、二価のアルケニル基を指す。置換アルケニレン鎖は、少なくとも1つの二重結合を含み、1つまたは複数の水素原子が置換基で置き換えられているポリメチレン基である。好適な置換基としては置換脂肪族基について下記するものが挙げられる。
【0305】
「ハロゲン」という用語は、F、Cl、Br、またはIを意味する。
【0306】
単独で、または「アラルキル」、「アラルコキシ」、もしくは「アリールオキシアルキル」におけるようにより大きい部分の一部として使用される「アリール」という用語は、合計5〜14個の環員を有し、その系内の少なくとも1つの環が芳香族であり、かつその系内の各環が3〜7個の環員を含む、単環式または二環式環系を指す。「アリール」という用語は、「アリール環」という用語と互換的に使用され得る。本発明のある特定の実施形態では、「アリール」とは芳香環系を指し、これにはフェニル、ビフェニル、ナフチル、アントラシルなどが含まれるがこれらに限定されず、またこれらは1つまたは複数の置換基を有していてもよい。本明細書中で使用する場合、「アリール」という用語の範囲には、芳香環が1つまたは複数の非芳香環に縮合している基(例えば、インダニル、フタルイミジル、ナフタイミジル、フェナントリジニル、またはテトラヒドロナフチルなど)も含まれる。
【0307】
単独で、またはより大きい部分(例えば、「ヘテロアラルキル」または「ヘテロアラルコキシ」)の一部として使用される「ヘテロアリール」および「ヘテロアラ−」という用語は、5〜10個の環原子、好ましくは5個、6個、または9個の環原子を有し、環状配置で共有された6個、10個、または14個のπ電子を有し、かつ炭素原子に加えて1〜5個のヘテロ原子を有する基を指す。「ヘテロ原子」という用語は、窒素、酸素、または硫黄を指し、窒素または硫黄の任意の酸化形態、および塩基性窒素の任意の四級化形態を包含する。ヘテロアリール基としては、限定するものではないが、チエニル、フラニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、チアジアゾリル、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、インドリジニル、プリニル、ナフチリジニル、およびプテリジニルが挙げられる。本明細書中で使用する場合、「ヘテロアリール」および「ヘテロアラ−」という用語はまた、芳香族複素環が1つまたは複数のアリール環、脂環式環、またはヘテロシクリル環に縮合しており、そのラジカルまたは結合点がその芳香族複素環上にある基を包含する。非限定的な例としては、インドリル、イソインドリル、ベンゾチエニル、ベンゾフラニル、ジベンゾフラニル、インダゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリル、キノリル、イソキノリル、シンノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、キノキサリニル、4H−キノリジニル、カルバゾリル、アクリジニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサジニル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、およびピリド[2,3−b]−1,4−オキサジン−3(4H)−オンが挙げられる。ヘテロアリール基は、単環式であっても二環式であってもよい。「ヘテロアリール」という用語は、「ヘテロアリール環」、「ヘテロアリール基」、または「ヘテロ芳香族」という用語と互換的に使用されてよく、これらの用語のいずれも、必要に応じて置換されている環を包含する。「ヘテロアラルキル」という用語は、ヘテロアリールにより置換されたアルキル基を指し、ここでアルキル部分およびヘテロアリール部分は独立して、必要に応じて置換されている。
【0308】
本明細書中で使用する場合、「複素環」、「ヘテロシクリル」、「複素環式ラジカル」、および「複素環式環」という用語は、互換的に使用され、安定な5〜7員の単環式または7〜10員の二環式の複素環式部分であって、飽和または部分不飽和のいずれかであり、かつ炭素原子に加えて1つまたは複数の、好ましくは1〜4個の、上で定義したようなヘテロ原子を有するものを指す。複素環の環原子に関して使用する場合、「窒素」という用語は、置換された窒素を包含する。一例としては、酸素、硫黄または窒素から選択される0〜3個のヘテロ原子を有する飽和または部分不飽和の環において、窒素は、(3,4−ジヒドロ−2H−ピロリルにおけるような)N、(ピロリジニルにおけるような)NH、または(N−置換ピロリジニルにおけるような)NRであり得る。
【0309】
複素環式環は、そのペンダント基に、安定な構造をもたらす任意のヘテロ原子または炭素原子において結合することができ、環原子のいずれかは必要に応じて置換されていてもよい。そのような飽和または部分不飽和の複素環式ラジカルとしては、限定するものではないが、例えば、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフェニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピロリニル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、デカヒドロキノリニル、オキサゾリジニル、ピペラジニル、ジオキサニル、ジオキソラニル、ジアゼピニル、オキサゼピニル、チアゼピニル、モルホリニル、およびキヌクリジニルが挙げられる。「複素環」、「ヘテロシクリル」、「ヘテロシクリル環」、「複素環式基」、「複素環式部分」、および「複素環式ラジカル」という用語は、本明細書中で互換的に使用され、そしてまた、ヘテロシクリル環が1つまたは複数のアリール環、ヘテロアリール環、または脂環式環に縮合している基(例えば、インドリニル、3H−インドリル、クロマニル、フェナントリジニル、またはテトラヒドロキノリニルなど)を包含する。ヘテロシクリル基は、単環式であっても二環式であってもよい。「ヘテロシクリルアルキル」という用語は、ヘテロシクリルにより置換されたアルキル基を指し、ここでアルキル部分およびヘテロシクリル部分は独立して、必要に応じて置換されている。
【0310】
本明細書中で使用する場合、「部分不飽和」という用語は、少なくとも1つの二重結合または三重結合を含む環部分を指す。「部分不飽和」という用語は、複数の不飽和部位を有する環を包含することを意図するが、本明細書中で定義するようなアリール部分またはヘテロアリール部分を包含することは意図しない。
【0311】
本明細書中に記載する場合、本発明の化合物は、「必要に応じて置換されている」部分を含み得る。一般に、「置換されている」という用語は、「必要に応じて」という用語が先行しようと先行しまいと、指定される部分の1つまたは複数の水素が好適な置換基で置き換えられていることを意味する。別段に示さない限り、「必要に応じて置換されている」基は、その基の各置換可能な位置において好適な置換基を有してもよく、任意の所与の構造中の1つより多くの位置が特定の基から選択される1つより多くの置換基で置換され得る場合、その置換基はあらゆる位置で同じであってもよいし、異なっていてもよい。本発明によって想定される置換基の組合せは、好ましくは、安定なまたは化学的に実現可能な化合物の形成をもたらす組合せである。本明細書中で使用する場合、「安定な」という用語は、それらの産生、検出、およびある特定の実施形態では、それらの回収、精製、および本明細書中に開示した1つまたは複数の目的のための使用を可能にする条件に供された時に、実質的に変化しない化合物を指す。
【0312】
「必要に応じて置換されている」基の置換可能な炭素原子上の好適な一価の置換基は、独立して、ハロゲン;−(CH0〜4;−(CH0〜4OR;−O(CH0〜4、−O−(CH0〜4C(O)OR°;−(CH0〜4CH(OR;−(CH0〜4SR;−(CH0〜4Ph(これはRで置換されていてもよい);−(CH0〜4O(CH0〜1Ph(これはRで置換されていてもよい);−CH=CHPh(これはRで置換されていてもよい);−(CH0〜4O(CH0〜1−ピリジル(これはRで置換されていてもよい);−NO;−CN;−N;−(CH0〜4N(R;−(CH0〜4N(R)C(O)R;−N(R)C(S)R;−(CH0〜4N(R)C(O)NR;−N(R)C(S)NR;−(CH0〜4N(R)C(O)OR;−N(R)N(R)C(O)R;−N(R)N(R)C(O)NR;−N(R)N(R)C(O)OR;−(CH0〜4C(O)R;−C(S)R;−(CH0〜4C(O)OR;−(CH0〜4C(O)SR;−(CH0〜4C(O)OSiR;−(CH0〜4OC(O)R;−OC(O)(CH0〜4SR−、SC(S)SR°;−(CH0〜4SC(O)R;−(CH0〜4C(O)NR;−C(S)NR;−C(S)SR°;−SC(S)SR°、−(CH0〜4OC(O)NR;−C(O)N(OR)R;−C(O)C(O)R;−C(O)CHC(O)R;−C(NOR)R;−(CH0〜4SSR;−(CH0〜4S(O);−(CH0〜4S(O)OR;−(CH0〜4OS(O);−S(O)NR;−(CH0〜4S(O)R;−N(R)S(O)NR;−N(R)S(O);−N(OR)R;−C(NH)NR;−P(O);−P(O)R;−OP(O)R;−OP(O)(OR;SiR;−(C1〜4の直鎖または分岐鎖のアルキレン)O−N(R;または−(C1〜4の直鎖または分岐鎖のアルキレン)C(O)O−N(Rであり、ここで各Rは、以下で定義するように置換されていてもよく、かつ独立して、水素、C1〜6脂肪族、−CHPh、−O(CH0〜1Ph、−CH−(5〜6員のヘテロアリール環)、または、独立して窒素、酸素、もしくは硫黄から選択される0〜4個のヘテロ原子を有する5〜6員の飽和環、部分不飽和環、もしくはアリール環であるか、あるいは上記定義にかかわらず、Rの2個の独立した存在は、それらの間にある原子(複数可)と一緒になって、独立して窒素、酸素、または硫黄から選択される0〜4個のヘテロ原子を有する、3〜12員の飽和、部分不飽和、またはアリールの単環式環または二環式環を形成し、これは以下で定義するように置換されていてもよい。
【0313】
(またはRの2個の独立した存在がこれらの間の原子と一緒になって形成された環)上の好適な一価の置換基は、独立して、ハロゲン、−(CH0〜2、−(ハロR)、−(CH0〜2OH、−(CH0〜2OR、−(CH0〜2CH(OR;−O(ハロR)、−CN、−N、−(CH0〜2C(O)R、−(CH0〜2C(O)OH、−(CH0〜2C(O)OR、−(CH0〜2SR、−(CH0〜2SH、−(CH0〜2NH、−(CH0〜2NHR、−(CH0〜2NR、−NO、−SiR、−OSiR、−C(O)SR−(C1〜4の直鎖または分岐鎖のアルキレン)C(O)OR、または−SSRであり、ここで各Rは置換されていないか、または「ハロ」が先行する場合、1つまたは複数のハロゲンのみで置換されており、そして独立して、C1〜4脂肪族、−CHPh、−O(CH0〜1Ph、または独立して窒素、酸素、もしくは硫黄から選択される0〜4個のヘテロ原子を有する5〜6員の飽和環、部分不飽和環、もしくはアリール環から選択される。Rの飽和炭素原子上の好適な二価の置換基としては、=Oおよび=Sが挙げられる。
【0314】
「必要に応じて置換されている」基の飽和炭素原子上の好適な二価の置換基としては、以下のもの:=O、=S、=NNR、=NNHC(O)R、=NNHC(O)OR、=NNHS(O)、=NR、=NOR、−O(C(R))2〜3O−、または−S(C(R))2〜3S−が挙げられ、ここでRの各独立した存在は、水素、以下で定義するように置換されていてもよいC1〜6脂肪族、または独立して窒素、酸素、もしくは硫黄から選択される0〜4個のヘテロ原子を有する非置換の5〜6員の飽和環、部分不飽和環、もしくはアリール環から選択される。「必要に応じて置換されている」基の近隣の置換可能な炭素に結合した好適な二価の置換基としては−O(CR2〜3O−が挙げられ、ここでRの各独立した存在は、水素、以下で定義するように置換されていてもよいC1〜6脂肪族、または独立して窒素、酸素、もしくは硫黄から選択される0〜4個のヘテロ原子を有する非置換の5〜6員の飽和環、部分不飽和環、もしくはアリール環から選択される。
【0315】
の脂肪族基上の好適な置換基としては、ハロゲン、−R、−(ハロR)、−OH、−OR、−O(ハロR)、−CN、−C(O)OH、−C(O)OR、−NH、−NHR、−NR、または−NOが挙げられ、ここで各Rは置換されていないか、または「ハロ」が先行する場合、1つまたは複数のハロゲンのみで置換されており、そして独立して、C1〜4脂肪族、−CHPh、−O(CH0〜1Ph、または独立して窒素、酸素、もしくは硫黄から選択される0〜4個のヘテロ原子を有する5〜6員の飽和環、部分不飽和環、もしくはアリール環である。
【0316】
「必要に応じて置換されている」基の置換可能な窒素上の好適な置換基としては、−R、−NR、−C(O)R、−C(O)OR、−C(O)C(O)R、−C(O)CHC(O)R、−S(O)、−S(O)NR、−C(S)NR、−C(NH)NR、または−N(R)S(O)が挙げられ、ここで各Rは独立して水素、以下で定義するように置換されていてもよいC1〜6脂肪族、非置換の−OPh、または独立して窒素、酸素、もしくは硫黄から選択される0〜4個のヘテロ原子を有する非置換の5〜6員の飽和環、部分不飽和環、もしくはアリール環であるか、あるいは上記定義にかかわらず、Rの2つの独立した存在は、これらの間にある原子(複数可)と一緒になって、独立して窒素、酸素、または硫黄から選択される0〜4個のヘテロ原子を有する非置換の3〜12員の飽和、部分不飽和、またはアリールの単環式環または二環式環を形成する。
【0317】
の脂肪族基上の好適な置換基は、独立してハロゲン、−R、−(ハロR)、−OH、−OR、−O(ハロR)、−CN、−C(O)OH、−C(O)OR、−NH、−NHR、−NR、または−NOであり、ここで各Rは置換されていないか、または「ハロ」が先行する場合、1つまたは複数のハロゲンのみで置換されており、そして独立してC1〜4脂肪族、−CHPh、−O(CH0〜1Ph、または独立して窒素、酸素、もしくは硫黄から選択される0〜4個のヘテロ原子を有する5〜6員の飽和環、部分不飽和環、もしくはアリール環である。
【0318】
本明細書中で使用する場合、「薬学的に許容される塩」という用語は、妥当な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー応答などなしで、ヒトおよび下等動物の組織と接触させて使用するために好適であり、そして合理的な利益/リスク比に見合う、塩を指す。薬学的に許容される塩は当該技術分野において周知である。例えば、S. M. Bergeらは、J. Pharmaceutical Sciences、1977年、66巻、1〜19頁において薬学的に許容される塩を詳細に説明しており、これは参照により本明細書に組み込まれる。本発明の化合物の薬学的に許容される塩としては、好適な無機および有機の酸および塩基に由来する塩が挙げられる。薬学的に許容される非毒性の酸付加塩の例としては、無機酸(例えば、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸、および過塩素酸など)または有機酸(例えば、酢酸、シュウ酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸、またはマロン酸)と形成されたか、あるいはイオン交換などの当該技術分野において使用されるその他の方法を使用することによって形成された、アミノ基の塩である。その他の薬学的に許容される塩としては、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、ブチル酸塩、樟脳酸塩、カンファースルホン酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルコヘプトン酸塩、グリセロリン酸塩、グルコン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシ−エタンスルホン酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、ラウリン酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、吉草酸塩などが挙げられる。
【0319】
適切な塩基に由来する塩としては、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、およびN(C1〜4アルキル)塩が挙げられる。代表的なアルカリ塩またはアルカリ土類金属塩としては、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどが挙げられる。さらなる薬学的に許容される塩としては、適切である場合、例えばハロゲン化物イオン、水酸化物イオン、カルボン酸イオン、硫酸イオン、リン酸イオン、硝酸イオン、低級アルキルスルホン酸イオン、アリールスルホン酸イオンなどの対イオンを使用して形成された、非毒性のアンモニウム、第4級アンモニウム、およびアミンカチオンが挙げられる。
【0320】
別段の言及がなければ、本明細書中に示す構造は、その構造の全ての異性体(例えば、エナンチオマー、ジアステレオマー、および幾何(または配座))形態(例えば、各不斉中心についてR配置およびS配置、Z体およびE体の二重結合異性体、ならびにZ体およびE体の配座異性体)をも包含することを意図する。したがって、本発明の化合物の単一の立体化学的異性体、ならびにエナンチオマー、ジアステレオマー、および幾何(または配座)混合物は本発明の範囲内である。別段の言及がなければ、本発明の化合物の全ての互変異性形態は本発明の範囲内である。さらに、別段の言及がなければ、本明細書中に示す構造はまた、1つまたは複数の同位体が濃縮された原子の存在においてのみ異なる化合物を包含することも意図する。例えば、水素がジュウテリウムもしくはトリチウムで置き換えられたもの、または炭素が13Cもしくは14C濃縮炭素で置き換えられたものを含めて本発明の構造を有する化合物は、本発明の範囲内である。そのような化合物は例えば、分析ツールとして、生物学的アッセイにおけるプローブとして、または本発明による治療剤として有用である。ある特定の実施形態では、提供される化合物の弾頭部分Rは、1つまたは複数のジュウテリウム原子を含む。
【0321】
本明細書中で使用する場合、「阻害剤」という用語は、測定可能な親和性で標的RNAに結合しかつ/または標的RNAをモジュレートしもしくは阻害する化合物と定義される。ある特定の実施形態では、阻害剤は、約100μM未満、約50μM未満、約1μM未満、約500nM未満、約100nM未満、約10nM未満、または約1nM未満のIC50および/または結合定数を有する。
【0322】
本明細書中で使用する場合、「測定可能な親和性」および「測定可能に阻害する」という用語は、本発明の化合物もしくはその組成物、および標的RNAを含む試料と、前記化合物もしくはその組成物なしで該標的RNAを含む同等の試料との間での下流の生物学的影響における測定可能な変化を意味する。
【0323】
本明細書中で使用する場合、「RNA」(リボ核酸)という用語は、供給源(例えば、RNAは、ヒト、動物、植物、ウイルス、または細菌によって産生され得るか、あるいは合成起源であり得る)、生物学的背景(例えば、RNAは、核内、血液循環中、in vitro、または細胞溶解物中にあり得るか、あるいは単離されているまたは純粋形態であり得る)、または物理形態(例えば、RNAは、一本鎖、二本鎖、または三本鎖形態(RNA−DNAハイブリッドを包含する)であり得るか、エピジェネティックな修飾、天然の転写後修飾、人工修飾(例えば、化学的なまたはin vitroの修飾によって得られるもの)、またはその他の修飾を含んでいてもよいか、例えば、金属イオン、小分子、シャペロンなどのタンパク質、または補因子に結合していてもよいか、あるいは、例えば、四重鎖、ヘアピン、三重鎖、三方向ジャンクション(3WJ)、四方向ジャンクション(4WJ)、パラレルYジャンクション、ヘアピン、バルジループ、シュードノット、および内部ループなど、ならびにRNAがとる任意の一時的な形態または構造などの、任意の天然または非天然の二次構造または三次構造を含めて、変性、部分変性、またはフォールディングの状態にあってもよい)とは独立して、天然に存在するまたは合成のオリゴリボヌクレオチドを意味する。一部の実施形態では、RNAは、20個、22個、50個、75個、もしくは100個またはそれより多くのヌクレオチド長である。一部の実施形態では、RNAは250個またはそれより多くのヌクレオチド長である。一部の実施形態では、RNAは、350個、450個、500個、600個、750個、もしくは1,000個、2,000個、3,000個、4,000個、5,000個、7500個、10,000個、15,000個、25,000個、50,000個、またはこれらより多いヌクレオチド長である。一部の実施形態では、RNAは250個と1,000個との間のヌクレオチド長である。一部の実施形態では、RNAは、pre−RNA、pre−miRNA、またはプレ転写物である。一部の実施形態では、RNAは、非コーディングRNA(ncRNA)、メッセンジャーRNA(mRNA)、micro−RNA(miRNA)、リボザイム、リボスイッチ、lncRNA、lincRNA、snoRNA、snRNA、scaRNA、piRNA、ceRNA、偽遺伝子、ウイルスRNA、真菌RNA、寄生虫RNA、または細菌RNAである。本明細書中で使用する場合、「標的核酸」または「標的RNA」という用語は、本明細書中に記載の小分子化合物に結合できる二次構造または三次構造を有する任意の種類の核酸またはRNAをそれぞれ意味する。一部の実施形態では、構造は、開示した化合物が結合するまたは該化合物によって安定化される3WJであるか、または、標的核酸(例えば、RNA)上の別の部位における化合物の結合によって安定化される3WJである。全ての3WJ構造が、それらのコンフォメーションまたは付随する三次的相互作用に言及することなく、本明細書に包含される。例えば、3WJは、シス3WJ、トランス3WJ、パラレルYジャンクション、または別の形態の3WJであり得る。標的RNAは、細胞内、細胞溶解物中、または該化合物との接触前には単離された形態にあり得る。
【0324】
本明細書で使用する場合、「エフェクター」または「エフェクター核酸」という用語は、標的核酸に結合してその活性を調節またはモジュレートする核酸を意味する。例示的なエフェクターとしては、トランスで作用して3WJの形成を誘発する短鎖RNAが挙げられる。一部の実施形態では、エフェクターは、miRNA、Piwi相互作用性RNA(piRNA)、および低分子核小体RNA(snoRNA)などの様々な天然形態の短鎖RNAから選択される。これらの短鎖RNAは、3WJの形成をもたらす様式でmRNAなどの標的と塩基対を形成することができる。エフェクターと標的との間の塩基対形成は多くの場合に不完全であり、すなわち、2つの配列は部分的な完全ではない相補性を有する。完璧な相補性は、3WJを欠いた完全に二本鎖の構造の形成をもたらすことになる。3WJを形成するために、エフェクター(例えば、miRNA)および標的(例えば、mRNA)は、一般的に、少なくとも4ヌクレオチド(nt)の塩基対形成とそれに続く少なくとも4ntの塩基対形成したステムおよび対形成していないntのループのストレッチと、それに続いてエフェクターと標的配列との間で塩基対形成した第2のストレッチとを形成する。ステムループは、エフェクター中または標的RNA中のいずれかに形成されることができる。
【0325】
本明細書で使用する場合、「シス3WJ」または「シス三方向ジャンクション」という用語は、mRNA、その前駆体、またはタンパク質結合複合体の一本鎖などの、単一の核酸の部分の間に形成された3WJを指す。
【0326】
本明細書で使用する場合、「トランス3WJ」または「トランス三方向ジャンクション」という用語は、部分的な配列相補性を共有するmiRNA/mRNA複合体などの、2つまたはそれより多くの核酸の間に形成された3WJを指す。
【0327】
4.本発明の化合物を提供する一般的方法
本発明の化合物は、一般に、類似化合物について当業者に公知の合成および/または半合成の方法によって、ならびに本明細書中の実施例および図面に詳細に記載する方法によって、調製または単離され得る。例えば、様々な本発明の化合物は、その全体がこれにより参考として援用される米国仮特許出願USSN 62/289,671の図5〜31または図77〜94または図96を参照して合成され得る。
【0328】
特定の保護基(「PG」)、脱離基(「LG」)、または変換条件を示す詳細な説明、実施例、および図面に示すスキームおよび化学反応において、その他の保護基、脱離基、および変換条件も好適であり、企図されることを当業者は理解するであろう。そのような基および変換は、March's Advanced Organic Chemistry: Reactions, Mechanisms, and Structure、M. B. SmithおよびJ. March、第5版、John Wiley & Sons、2001年;「Comprehensive Organic Transformations」、R. C. Larock、第2版、John Wiley & Sons、1999年;ならびにProtecting Groups in Organic Synthesis、T. W. GreeneおよびP. G. M. Wuts、第3版、John Wiley & Sons、1999年において詳細に説明されており、これらのそれぞれの全体は、本明細書で参照により本明細書に組み込まれる。
【0329】
本明細書中で使用する場合、「脱離基」(LG)という表現は、ハロゲン(例えば、フッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物)、スルホネート(例えば、メシレート、トシレート、ベンゼンスルホネート、ブロシレート、ノシレート、トリフレート)、ジアゾニウムなどを包含するが、これらに限定されない。
【0330】
本明細書中で使用する場合、「酸素保護基」という表現は、例えば、カルボニル保護基、ヒドロキシル保護基などを包含する。ヒドロキシル保護基は当該技術分野において周知であり、Protecting Groups in Organic Synthesis、T. W. GreeneおよびP. G. M. Wuts、第3版、John Wiley & Sons、1999年において詳細に説明されるものが挙げられ、その全体は参照により本明細書に組み込まれる。好適なヒドロキシル保護基としては、例えば、エステル、アリルエーテル、エーテル、シリルエーテル、アルキルエーテル、アリールアルキルエーテル、およびアルコキシアルキルエーテルが挙げられるが、これらに限定されない。そのようなエステルとしては、例えば、ホルメート、アセテート、カルボネート、およびスルホネートが挙げられる。具体例としては、ホルメート、ベンゾイルホルメート、クロロアセテート、トリフルオロアセテート、メトキシアセテート、トリフェニルメトキシアセテート、p−クロロフェノキシアセテート、3−フェニルプロピオネート、4−オキソペンタノエート、4,4−(エチレンジチオ)ペンタノエート、ピバロエート(トリメチルアセチル)、クロトネート、4−メトキシ−クロトネート、ベンゾエート、p−ベンジルベンゾエート、2,4,6−トリメチルベンゾエート、カルボネート(例えば、メチル、9−フルオレニルメチル、エチル、2,2,2−トリクロロエチル、2−(トリメチルシリル)エチル、2−(フェニルスルホニル)エチル、ビニル、アリル、およびp−ニトロベンジルなど)が挙げられる。そのようなシリルエーテルとしては、例えば、トリメチルシリル、トリエチルシリル、t−ブチルジメチルシリル、t−ブチルジフェニルシリル、トリイソプロピルシリル、およびその他のトリアルキルシリルエーテルが挙げられる。アルキルエーテルとしては、メチル、ベンジル、p−メトキシベンジル、3,4−ジメトキシベンジル、トリチル、t−ブチル、アリル、およびアリルオキシカルボニルエーテルまたは誘導体が挙げられる。アルコキシアルキルエーテルとしては、例えば、メトキシメチル、メチルチオメチル、(2−メトキシエトキシ)メチル、ベンジルオキシメチル、ベータ−(トリメチルシリル)エトキシメチル、およびテトラヒドロピラニルエーテルなどのアセタールが挙げられる。アリールアルキルエーテルとしては、例えば、ベンジル、p−メトキシベンジル(MPM)、3,4−ジメトキシベンジル、O−ニトロベンジル、p−ニトロベンジル、p−ハロベンジル、2,6−ジクロロベンジル、p−シアノベンジル、ならびに2−および4−ピコリルが挙げられる。
【0331】
アミノ保護基は当該技術分野において周知であり、Protecting Groups in Organic Synthesis、T. W. GreeneおよびP. G. M. Wuts、第3版、John Wiley & Sons、1999年において詳細に説明されるものが挙げられ、その全体は参照により本明細書に組み込まれる。好適なアミノ保護基としては、アラルキルアミン、カルバメート、環状イミド、アリルアミン、アミドなどが挙げられるが、これらに限定されない。そのような基としては、例えば、t−ブチルオキシカルボニル(BOC)、エチルオキシカルボニル、メチルオキシカルボニル、トリクロロエチルオキシカルボニル、アリルオキシカルボニル(Alloc)、ベンジルオキソカルボニル(CBZ)、アリル、フタルイミド、ベンジル(Bn)、フルオレニルメチルカルボニル(Fmoc)、ホルミル、アセチル、クロロアセチル、ジクロロアセチル、トリクロロアセチル、フェニルアセチル、トリフルオロアセチル、ベンゾイルなどが挙げられる。
【0332】
当業者は、例えば、脂肪族基、アルコール、カルボン酸、エステル、アミド、アルデヒド、ハロゲン、およびニトリルなどの本発明の化合物中に存在する様々な官能基は当該技術分野において周知の技術(還元、酸化、エステル化、加水分解、部分酸化、部分還元、ハロゲン化、脱水、部分水和、および水和が挙げられるが、これらに限定されない)によって相互変換できることを理解するであろう。「March's Advanced Organic Chemistry」、第5版、Smith, M. B.およびMarch, J.編、John Wiley & Sons、New York:2001年(その全体は参照により本明細書に組み込まれる)。そのような相互変換は、上述の技術のうちの1つまたは複数を必要とし得、本発明の化合物を合成するためのある特定の方法を実施例および図面において以下に記載する。
【0333】
5.使用、製剤化、および投与
薬学的に許容される組成物
別の実施形態によれば、本発明は、本発明の化合物または薬学的に許容されるその誘導体および薬学的に許容される担体、アジュバント、またはビヒクルを含む組成物を提供する。本発明の組成物中の化合物の量は、生体試料中または患者中の標的RNAまたはその変異体を測定可能に阻害またはモジュレートするのに効果的である。ある特定の実施形態では、本発明の組成物中の化合物の量は、生体試料中または患者中の標的RNAを測定可能に阻害またはモジュレートするのに効果的である。ある特定の実施形態では、本発明の組成物は、そのような組成物を必要とする患者に投与するために製剤化されている。一部の実施形態では、本発明の組成物は、患者に経口投与するために製剤化されている。
【0334】
本明細書中で使用する場合、「患者」という用語は、動物、好ましくは哺乳動物、最も好ましくはヒトを意味する。
【0335】
「薬学的に許容される担体、アジュバント、またはビヒクル」という用語は、共に製剤化した化合物の薬理活性を壊さない非毒性の担体、アジュバント、またはビヒクルを指す。本発明の組成物において使用され得る薬学的に許容される担体、アジュバント、またはビヒクルとしては、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、血清タンパク質(例えば、ヒト血清アルブミンなど)、緩衝物質(例えば、ホスフェートなど)、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、飽和植物脂肪酸の部分的グリセリド混合物、水、塩または電解質(例えば、硫酸プロタミン、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩など)、コロイダルシリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、セルロース系物質、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリレート、ワックス、ポリエチレン−ポリオキシプロピレン−ブロックポリマー、ポリエチレングリコール、および羊毛脂が挙げられるが、これらに限定されない。
【0336】
「薬学的に許容される誘導体」は、本発明の化合物の非毒性の塩、エステル、エステルの塩、またはその他の誘導体のいずれかであって、レシピエントに投与されると、直接的または間接的に、本発明の化合物またはその阻害活性代謝産物もしくは残留物を与えることができるものを意味する。
【0337】
本発明の組成物は、経口的に、非経口的に、吸入噴霧によって、局所的に、直腸内に、経鼻的に、口腔内に、経膣的に、または埋め込み式リザーバーを介して、投与され得る。本明細書中で使用する場合、「非経口」という用語には、皮下の、静脈内の、筋肉内の、関節内の、滑膜内の、胸骨内の、髄腔内の、肝内の、病巣内の、および頭蓋内の注射または注入技術が包含される。好ましくは、組成物は、経口的に、腹腔内に、または静脈内に投与される。本発明の組成物の滅菌注射形態は、水性または油性懸濁液であり得る。これらの懸濁液は、好適な分散剤または湿潤剤および懸濁化剤を使用して、当該技術分野で公知の技術にしたがって製剤化され得る。滅菌注射調製物はまた、非毒性の非経口的に許容される希釈剤または溶媒中の滅菌注射溶液または懸濁液(例えば、1,3−ブタンジオール中の溶液など)であり得る。用いられ得る許容されるビヒクルおよび溶媒の中には、水、リンガー溶液、および等張性塩化ナトリウム溶液がある。加えて、滅菌固定油は、溶媒または懸濁媒として従来通りに用いられる。
【0338】
この目的のために、合成モノまたはジグリセリドを含めて任意のブランド固定油を用い得る。例えばオレイン酸およびそのグリセリド誘導体などの脂肪酸は、天然の薬学的に許容される油(例えば、オリーブ油またはヒマシ油、特にこれらのポリオキシエチレン化されたバージョンなど)と同様に、注射物質の調製において有用である。これらの油性溶液または油性懸濁物はまた、長鎖アルコールの希釈剤または分散剤(例えば、カルボキシメチルセルロース、または薬学的に許容される製剤剤形(エマルションおよび懸濁液が挙げられる)の製剤化においてよく使用される類似の分散剤など)を含有し得る。その他のよく使用される界面活性剤(例えば、Tween、Span、および薬学的に許容される固体、液体、またはその他の剤形の製造においてよく使用されるその他の乳化剤またはバイオアベイラビリティ増強剤など)もまた、製剤化の目的のために使用され得る。
【0339】
本発明の薬学的に許容される組成物は、任意の経口的に許容される剤形(カプセル剤、錠剤、水性懸濁液、または液剤が挙げられるが、これらに限定されない)として経口投与され得る。経口使用のための錠剤の場合、よく使用される担体としては、ラクトースおよびコーンスターチが挙げられる。例えばステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤も通常加えられる。カプセル剤形態での経口投与のために有用な希釈剤としては、ラクトースおよび乾燥コーンスターチが挙げられる。経口使用のために水性懸濁液が必要な場合、活性成分は乳化剤および懸濁化剤と組み合わせられる。所望の場合、ある特定の甘味剤、香味剤、または着色剤を加えてもよい。
【0340】
代替的には、本発明の薬学的に許容される組成物は、直腸投与用の坐薬の形態で投与され得る。これらは、室温で固体であるが直腸の温度で液体であるため直腸内で溶けて薬物を放出する好適な非刺激性の賦形剤と該剤を混合することによって調製することができる。そのような物質としては、ココアバター、ビーズワックス、およびポリエチレングリコールが挙げられる。
【0341】
本発明の薬学的に許容される組成物はまた、局所投与され得る。これは、眼、皮膚、または下部腸管の疾患を含めて局所適用によって容易に接近可能な領域または臓器を治療標的が含む場合に特に当てはまる。これらの領域または臓器のそれぞれのために好適な局所製剤は容易に調製される。
【0342】
下部腸管用の局所適用は、直腸坐薬製剤(上記を参照)または好適な浣腸製剤において行うことができる。局所経皮パッチを使用してもよい。
【0343】
局所適用のために、提供される薬学的に許容される組成物は、1つまたは複数の担体中に懸濁または溶解された活性成分を含有する好適な軟膏剤として製剤化され得る。本発明の化合物の局所投与用の担体としては、鉱油、液体ワセリン、白色ワセリン、プロピレングリコール、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン化合物、乳化ワックス、および水が挙げられるが、これらに限定されない。代替的には、提供される薬学的に許容される組成物は、1つまたは複数の薬学的に許容される担体中に懸濁または溶解された活性成分を含有する好適なローション剤またはクリーム剤として製剤化することができる。好適な担体としては、鉱油、ソルビタンモノステアレート、ポリソルベート60、セチルエステルワックス、セテアリルアルコール、2−オクチルドデカノール、ベンジルアルコール、および水が挙げられるが、これらに限定されない。
【0344】
眼用途のために、提供される薬学的に許容される組成物は、等張の、pH調整した滅菌食塩水中の微細化懸濁液として、または好ましくは、塩化ベンジルアルコニウムなどの防腐剤を含むもしくは含まない等張の、pH調整した滅菌食塩水中の液剤として、製剤化され得る。代替的には、眼用途のために、薬学的に許容される組成物は、ワセリンなどの軟膏剤中に製剤化され得る。
【0345】
本発明の薬学的に許容される組成物はまた、鼻エアロゾルまたは吸入によって投与され得る。そのような組成物は、医薬製剤化の技術分野において周知の技術にしたがって調製され、ベンジルアルコールまたはその他の好適な防腐剤、バイオアベイラビリティを増進するための吸収促進剤、フルオロカーボン、および/またはその他の従来用いられる可溶化剤または分散剤を用いて、食塩水中の液剤として調製され得る。
【0346】
最も好ましくは、本発明の薬学的に許容される組成物は、経口投与のために製剤化される。そのような製剤は、食品と共にまたは食品を伴わずに投与され得る。一部の実施形態では、本発明の薬学的に許容される組成物は、食品を伴わずに投与される。他の実施形態では、本発明の薬学的に許容される組成物は、食品と共に投与される。
【0347】
単一剤形中の組成物を産生するために担体物質と組み合わせられ得る本発明の化合物の量は、治療される宿主、具体的な投与方式に応じて様々である。好ましくは、提供される組成物は、0.01〜100mg/kg体重/日の投与量の阻害剤をこれらの組成物を与えられる患者に投与できるように製剤化されるべきである。
【0348】
任意の特定の患者のための具体的な投与量および治療レジメンは、用いられる特定の化合物の活性、年齢、体重、全身の健康、性別、食事、投与時間、排泄速度、薬物の組合せ、治療医の判断、および処置される具体的な疾患の重篤度を含めて様々な要因に依存することが理解されるべきである。組成物中の本発明の化合物の量は、組成物中の具体的な化合物にも依存する。
【0349】
化合物および薬学的に許容される組成物の使用
本明細書中に記載の化合物および組成物は、一般に、標的RNAをモジュレートしてRNA媒介性の疾患または状態を再処置するために有用である。
【0350】
標的RNAをモジュレートするために本発明において利用される化合物の活性は、in vitro、in vivo、または細胞株においてアッセイされ得る。in vitroアッセイとしては、標的RNAのモジュレーションを決定するアッセイが挙げられる。代替的なin vitroアッセイは、標的RNAに結合する化合物の能力を定量化する。標的RNAをモジュレートするために本発明において利用される化合物をアッセイするための詳細な条件は、下記の実施例中に記載されている。
【0351】
本明細書中で使用する場合、「治療」、「治療する(treat)」、および「治療する(treating)」という用語は、本明細書中に記載するような疾患もしくは障害またはその1つまたは複数の症状を反転させ、軽減し、その発症を遅延させ、またはその進行を阻害することを指す。一部の実施形態では、治療は、1つまたは複数の症状が発症した後に施され得る。他の実施形態では、治療は、症状の非存在下で施され得る。例えば、治療は、(例えば、症状の履歴、および/または遺伝因子もしくはその他の感受性因子を考慮して)症状の発症前に感受性個体に施され得る。治療はまた、例えば再発を防止しまたは遅延させるために、症状の解消後にも継続され得る。
【0352】
提供される化合物は標的RNAのモジュレーターであり、したがって標的RNA(例えばその下流)に関連するまたはそれが影響する1つまたは複数の障害を治療するために有用である。よって、ある特定の実施形態では、本発明は、本発明の化合物または薬学的に許容されるその組成物をそれを必要とする患者に投与するステップを含む、RNA媒介性の障害を治療するための方法を提供する。
【0353】
本明細書中で使用する場合、本明細書中で使用する「RNA媒介性の」障害、疾患、および/または状態という用語は、例えば過剰発現の、過少発現の、変異体の、ミスフォールディングした、病原性の、または発がん性(ongogenic)のRNAなどのRNAが役割を果たすことが公知である任意の疾患またはその他の有害な状態を意味する。したがって、本発明の別の実施形態は、例えば過剰発現の、過少発現の、変異体の、ミスフォールディングした、病原性の、または発がん性のRNAなどのRNAが役割を果たすことが公知である1つまたは複数の疾患を治療し、またはその重篤度を小さくすることに関する。
【0354】
一部の実施形態では、本発明は、細胞増殖性障害が挙がられるがこれに限定されない1つまたは複数の障害、疾患、および/または状態を治療するための方法を提供する。
【0355】
細胞増殖性障害
本発明は、標的RNAをモジュレートすることによる、細胞増殖性障害(例えば、がん)の診断および予後診断用、ならびにこれらの障害の治療用の方法および組成物を特徴とする。本明細書中に記載の細胞増殖性障害としては、例えば、がん、肥満症、および増殖依存性の疾患が挙げられる。そのような障害は、当該技術分野で公知の方法を使用して診断され得る。
【0356】
がん
一実施形態では、限定するものではないが、がんとしては、白血病(例えば、急性白血病、急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、急性骨髄芽球性白血病、急性前骨髄球性白血病、急性骨髄単球性白血病、急性単球性白血病、急性赤白血病、慢性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病)、真性多血症、リンパ腫(例えば、ホジキン病または非ホジキン病)、ワルデンストレームマクログロブリン血症、多発性骨髄腫、重鎖病、および固形腫瘍が挙げられ、固形腫瘍としては、例えば肉腫および癌腫(例えば、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨肉腫、脊索腫、血管肉腫、内皮肉腫、リンパ管肉腫、リンパ内皮肉腫、滑膜腫、中皮腫、ユーイング腫瘍、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、結腸癌、膵臓がん、乳がん、卵巣がん、前立腺がん、扁平上皮癌、基底細胞癌、腺癌、汗腺癌、皮脂腺癌、乳頭癌、乳頭腺癌、嚢胞腺癌、髄様癌、気管支原性癌、腎細胞癌、ヘパトーマ、胆管癌、絨毛癌、精上皮腫、胎児性癌、ウィルムス腫瘍、子宮頸がん、子宮がん、精巣がん、肺癌、小細胞肺癌、膀胱癌、上皮癌、神経膠腫、星状細胞腫、髄芽腫、頭蓋咽頭腫、上衣腫、松果体腫、血管芽腫、聴神経腫、乏突起膠腫、神経鞘腫、髄膜腫、黒色腫、神経芽腫、および網膜芽腫)などである。一部の実施形態では、がんは黒色腫または乳がんである。
【0357】
別の実施形態では、限定するものではないが、がんとしては、中皮腫、肝胆道(hepatobilliary)(肝臓および胆管(billiary duct))、骨がん、膵臓がん、皮膚がん、頭頸部のがん、皮膚または眼内の黒色腫、卵巣がん、結腸がん、直腸がん、肛門領域のがん、胃がん、胃腸のがん(胃がん、結腸直腸がん、および十二指腸がん)、子宮がん、卵管の癌、子宮内膜の癌、頸部の癌、膣の癌、外陰部の癌、ホジキン病、食道のがん、小腸のがん、内分泌のがん、甲状腺のがん、副甲状腺のがん、副腎のがん、軟組織の肉腫、尿道のがん、陰茎のがん、前立腺がん、精巣がん、慢性または急性白血病、慢性骨髄性白血病、リンパ球性リンパ腫、膀胱のがん、腎臓のまたは尿管のがん、腎細胞癌、腎盂の癌、非ホジキン(non hodgkins's)リンパ腫、脊髄軸の腫瘍、脳幹部神経膠腫、下垂体腺腫、副腎皮質がん、胆嚢がん、多発性骨髄腫、胆管癌、線維肉腫、神経芽腫、網膜芽腫、または以上のがんの1つまたは複数の組合せが挙げられる。
【0358】
一部の実施形態では、本発明は、それを必要とする患者に本明細書中に記載の化合物、塩、または医薬組成物のいずれかを投与することを含む、該患者において腫瘍を治療するための方法を提供する。一部の実施形態では、腫瘍は、本明細書中に記載のがんのいずれかを含む。一部の実施形態では、腫瘍は黒色腫がんを含む。一部の実施形態では、腫瘍は乳がんを含む。一部の実施形態では、腫瘍は肺がんを含む。一部の実施形態では、腫瘍は小細胞肺がん(SCLC)を含む。一部の実施形態では、腫瘍は非小細胞肺がん(NSCLC)を含む。
【0359】
一部の実施形態では、腫瘍は、腫瘍のさらなる成長を阻むことによって治療される。一部の実施形態では、腫瘍は、腫瘍の大きさ(例えば、体積または質量)を治療前の腫瘍の大きさと比べて少なくとも5%、10%、25%、50%、75%、90%、または99%減少させることによって治療される。一部の実施形態では、腫瘍は、患者における腫瘍の量を治療前の腫瘍の量と比べて少なくとも5%、10%、25%、50%、75%、90%、または99%減少させることによって治療される。
【0360】
その他の増殖性疾患
その他の増殖性疾患としては、例えば、肥満症、良性前立腺過形成、乾癬、異常角質化、リンパ増殖性障害(例えば、リンパ系の細胞が異常増殖する障害)、慢性関節リウマチ、動脈硬化症、再狭窄、および糖尿病性網膜症が挙げられる。参照により本明細書に組み込まれる増殖性疾患としては、米国特許第5,639,600号および同7,087,648号に記載されたものが挙げられる。
【0361】
炎症性障害および疾患
本発明の化合物は、皮膚の炎症性またはアレルギー性の状態の治療においても有用であり、該状態としては、例えば、乾癬、接触性皮膚炎、アトピー性皮膚炎、円形脱毛症、多形紅斑(erythema multiforma)、疱疹状皮膚炎、強皮症、白斑、過敏性血管炎、蕁麻疹、水疱性類天疱瘡、紅斑性狼瘡、全身性エリテマトーデス、尋常性天疱瘡、落葉性天疱瘡、腫瘍随伴性天疱瘡、後天性表皮水疱症、尋常性ざ瘡、および皮膚のその他の炎症性またはアレルギー性の状態である。
【0362】
本発明の化合物は、炎症性要素を有する疾患または状態などのその他の疾患または状態の治療のためにも使用され得、これは例えば、眼の疾患および状態(例えば、眼のアレルギー、結膜炎、乾性角結膜炎、および春季結膜炎など)、鼻に影響する疾患(アレルギー性鼻炎が挙げられる)、および自己免疫反応が関与するまたは自己免疫の要素もしくは病因を有する炎症性疾患(自己免疫性血液障害(例えば、溶血性貧血、再生不良性貧血、赤芽球癆、および特発性血小板減少症)、全身性エリテマトーデス、関節リウマチ、多発軟骨炎、強皮症、ウェゲナー肉芽腫症(Wegener granulamatosis)、皮膚筋炎、慢性活動性肝炎、重症筋無力症、スティーヴンス・ジョンソン症候群、突発性スプルー、自己免疫性炎症性腸疾患(例えば、潰瘍性大腸炎およびクローン病)、過敏性腸症候群、セリアック病、歯周炎、肺硝子膜症、腎臓病、糸球体疾患、アルコール性肝臓病、多発性硬化症、内分泌性眼症(endocrine opthalmopathy)、グレーブス病、サルコイドーシス、肺胞炎、慢性過敏性肺炎、多発性硬化症、原発性胆汁性胆管炎、ぶどう膜炎(前部および後部)、シェーグレン症候群、乾性角結膜炎および春季角結膜炎、間質性肺線維症、乾癬性関節炎、全身型若年性特発性関節炎、クリオピリン関連周期性症候群、腎炎、血管炎、憩室炎、間質性膀胱炎、糸球体腎炎(ネフローゼ症候群を伴うものおよび伴わないもの、例えば、突発性ネフローゼ症候群または微小変化型腎症(minal change nephropathy)が挙げられる)、慢性肉芽腫性疾患、子宮内膜症、レプトスピラ腎疾患(leptospiriosis renal disease)、緑内障、網膜疾患、加齢、頭痛、痛み、複合性局所疼痛症候群、心臓肥大、筋肉消耗、異化障害、肥満症、胎児発育遅延、高コレステロール血症、心臓病、慢性心不全、中皮腫、無汗型外胚葉異形成症(anhidrotic ecodermal dysplasia)、ベーチェット病、色素失調症、パジェット病、膵炎、遺伝性周期熱症候群、喘息(アレルギー性および非アレルギー性、軽度、中等度、重篤、気管支炎(bronchitic)、および運動誘発性)、急性肺傷害、急性呼吸窮迫症候群、好酸球増加症、過敏症、アナフィラキシー、副鼻腔炎、眼のアレルギー、シリカ誘発性疾患、COPD(損傷の減少、気道炎症、気管支過敏症、再構築、または疾患進行)、肺疾患、嚢胞性繊維症、酸誘発性肺傷害、肺高血圧症、多発性神経障害、白内障、全身性硬化症を伴う筋肉の炎症、封入体筋炎、重症筋無力症、甲状腺炎、アジソン病、扁平苔癬、1型糖尿病または2型糖尿病、虫垂炎、アトピー性皮膚炎、喘息、アレルギー、眼瞼炎、細気管支炎、気管支炎、滑液包炎、子宮頚管炎、胆管炎、胆嚢炎、慢性移植片拒絶、大腸炎、結膜炎、クローン病、膀胱炎、涙腺炎、皮膚炎、皮膚筋炎、脳炎、心内膜炎、子宮内膜炎、腸炎、全腸炎、上顆炎、精巣上体炎、筋膜炎、結合組織炎、胃炎、胃腸炎、ヘノッホ・シェーンライン紫斑病、肝炎、化膿性汗腺炎、免疫グロブリンA腎症、間質性肺疾患、喉頭炎、乳腺炎、髄膜炎、脊髄炎、心筋炎、筋炎、腎炎、卵巣炎、睾丸炎、骨炎、中耳炎、膵炎、耳下腺炎、心膜炎、腹膜炎、咽頭炎、胸膜炎、静脈炎、肺臓炎、肺炎、多発性筋炎、直腸炎、前立腺炎、腎盂腎炎、鼻炎、卵管炎、副鼻腔炎、口内炎、滑膜炎、腱炎、扁桃炎、潰瘍性大腸炎、ぶどう膜炎、膣炎、血管炎、または外陰炎が挙げられる)の治療である。
【0363】
一部の実施形態では、本発明の方法にしたがって治療され得る炎症性疾患は皮膚疾患である。一部の実施形態では、炎症性皮膚疾患は、接触性皮膚炎(contact dermatitits)、アトピー性(atompic)皮膚炎、円形脱毛症、多形紅斑、疱疹状皮膚炎、強皮症、白斑、過敏性血管炎、蕁麻疹、水疱性類天疱瘡、尋常性天疱瘡、落葉性天疱瘡、腫瘍随伴性天疱瘡、後天性表皮水疱症、および皮膚のその他の炎症性またはアレルギー性の状態から選択される。
【0364】
一部の実施形態では、本発明の方法にしたがって治療され得る炎症性疾患は、急性および慢性痛風、慢性痛風性関節炎、乾癬、乾癬性関節炎、関節リウマチ、若年性関節リウマチ、全身型若年性特発性関節炎(SJIA)、クリオピリン関連周期性症候群(CAPS)、および変形性関節症から選択される。
【0365】
一部の実施形態では、本発明の方法にしたがって治療され得る炎症性疾患は、TH17媒介性の疾患である。一部の実施形態では、TH17媒介性の疾患は、全身性エリテマトーデス、多発性硬化症、および炎症性腸疾患(クローン病または潰瘍性大腸炎が挙げられる)から選択される。
【0366】
一部の実施形態では、本発明の方法にしたがって治療され得る炎症性疾患は、シェーグレン症候群、アレルギー性疾患、変形性関節症、眼の状態(例えば、眼のアレルギー、結膜炎、乾性角結膜炎および春季結膜炎など)、および鼻に影響する疾患(例えば、アレルギー性鼻炎など)から選択される。
【0367】
代謝性疾患
一部の実施形態では、本発明は、代謝性疾患を治療する方法を提供する。一部の実施形態では、代謝性疾患は、1型糖尿病、2型糖尿病、メタボリックシンドローム、または肥満症から選択される。
【0368】
本発明の方法によれば、該化合物および組成物は、がん、自己免疫疾患、増殖性障害、炎症性障害、神経変性または神経学的障害、統合失調症、骨関連の障害、肝臓病、または心臓障害を治療するまたはその重篤度を小さくするのに効果的な任意の量および任意の投与経路を使用して投与され得る。必要とされる正確な量は、対象の種、年齢、および全身の状態、感染の重篤度、具体的な剤、その投与方式などに応じて、対象ごとに様々である。本発明の化合物は、好ましくは、投与を容易にしかつ投薬量を均一にするために単位剤形に製剤化される。本明細書中で使用する場合、「単位剤形」という表現は、治療がなされる患者に適した剤の物理的に切り離された単位を指す。しかしながら、本発明の化合物および組成物の1日あたりの総使用量は、妥当な医学的判断の範囲内で主治医によって決定されることが理解されるであろう。任意の特定の患者または生物に特異的な有効用量レベルは様々な要因に依存し、該要因としては、治療されている障害および障害の重篤度;用いられる特定の化合物の活性;用いられる特定の組成物;患者の年齢、体重、全身の健康、性別、および食事;用いられる特定の化合物の投与時間、投与経路、および排出速度;治療の継続期間;用いられる特定の化合物と組み合わせてまたは同時に使用される薬物、および医療分野で周知の同様の要因が挙げられる。本明細書中で使用する場合、「患者」という用語は、動物、好ましくは哺乳動物、最も好ましくはヒトを意味する。
【0369】
本発明の薬学的に許容される組成物は、治療がなされる感染の重症度に応じて、経口的に、直腸内に、非経口的に、嚢内に、膣内に、腹腔内に、局所的に(散剤、軟膏剤、またはドロップ剤による)、口腔内に、経口または経鼻噴霧剤などとして、ヒトおよびその他の動物に投与することができる。ある特定の実施形態では、本発明の化合物は、所望の治療効果を得るために、1日に1回または複数回、1日あたり、対象の体重の約0.01mg/kgから約50mg/kg、好ましくは約1mg/kgから約25mg/kgの投与量レベルで経口的または非経口的に投与され得る。
【0370】
経口投与用の液体剤形としては、薬学的に許容される乳剤、マイクロエマルション剤、液剤、懸濁液、シロップ剤、およびエリキシル剤が挙げられるが、これらに限定されない。液体剤形は、活性化合物に加えて、当該技術分野において通常使用される不活性希釈剤(例えば、水またはその他の溶媒)、可溶化剤および乳化剤(例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、油(具体的には、綿実油、落花生油、トウモロコシ油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油、およびゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコール、およびソルビタンの脂肪酸エステル、ならびにこれらの混合物など)を含有し得る。経口組成物は、不活性希釈剤の他に、アジュバント(例えば、湿潤剤、乳化剤、および懸濁化剤など)、甘味剤、香味剤、および芳香剤も含み得る。
【0371】
注射調製物、例えば滅菌注射用の水性または油性懸濁液は、好適な分散剤または湿潤剤、および懸濁化剤を使用して公知の技術にしたがって製剤化され得る。滅菌注射調製物は、非毒性の非経口的に許容される希釈剤または溶媒中の滅菌注射溶液、懸濁液、または乳濁液、例えば1,3−ブタンジオール中の溶液であってもよい。用いられ得る許容されるビヒクルおよび溶媒の中には、水、リンガー溶液、U.S.P.、および等張性塩化ナトリウム溶液がある。加えて、滅菌固定油は、溶媒または懸濁媒として従来通りに用いられる。この目的のために、任意のブランド固定油(合成モノまたはジグリセリドが挙げられる)を用いることができる。加えて、オレイン酸などの脂肪酸が注射物質の調製において使用される。
【0372】
注射製剤は、使用前に、例えば、細菌保持フィルターを通した濾過によって、あるいは滅菌水その他の滅菌注射媒体に溶解または分散させることができる滅菌固体組成物の形態の滅菌剤を組み込むことによって滅菌することができる。
【0373】
本発明の化合物の効果を延長させるために、皮下または筋肉内注射からの化合物の吸収を遅くすることがしばしば望ましい。これは、水溶性に乏しい結晶質または非晶質材料の液体懸濁液を使用することによって達成され得る。化合物の吸収速度はその溶解速度に依存し、そして溶解速度は結晶サイズおよび結晶形態に依存し得る。代替的には、非経口的に投与される化合物形態の遅延吸収は、油性ビヒクルへの化合物の溶解または懸濁によって達成される。注射デポ形態は、ポリラクチド−ポリグリコリドなどの生分解性ポリマー中に化合物のマイクロカプセル封入マトリックスを形成することによって作製される。化合物のポリマーに対する比および用いられる特定のポリマーの性質に応じて、化合物の放出速度を制御できる。その他の生分解性ポリマーとしては、例えば、ポリ(オルトエステル)およびポリ(無水物)が挙げられる。デポ注射製剤はまた、体組織に適合するリポソームまたはマイクロエマルション内に化合物を捕捉することによっても調製される。
【0374】
直腸または膣投与用の組成物は好ましくは坐薬であり、坐薬は、好適な非刺激性の賦形剤または担体(例えば、周囲温度で固体であるが体温で液体であるため、直腸または膣腔内で溶けて活性化合物を放出する、ココアバター、ポリエチレングリコール、または坐剤ワックスなど)と本発明の化合物を混合することによって調製できる。
【0375】
経口投与用の固体剤形としては、カプセル剤、錠剤、丸剤、散剤、および顆粒剤が挙げられる。そのような固体剤形では、活性化合物は、少なくとも1つの不活性の、薬学的に許容される賦形剤または担体(例えば、クエン酸ナトリウムまたはリン酸二カルシウムなど)、および/または、a)充填剤または増量剤(例えば、デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、およびケイ酸など)、b)結合剤(例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギネート、ゼラチン、ポリビニルピロリドン(polyvinylpyrrolidinone)、スクロース、およびアカシアなど)、c)保湿剤(例えば、グリセロールなど)、d)崩壊剤(例えば、寒天−−寒天(agar--agar)、炭酸カルシウム、ジャガイモまたはタピオカデンプン、アルギン酸、ある特定のシリケート、および炭酸ナトリウムなど)、e)溶解遅延剤(例えば、パラフィンなど)、f)吸収促進剤(例えば、第4級アンモニウム化合物など)、g)湿潤剤(例えば、セチルアルコールおよびモノステアリン酸グリセロールなど)、h)吸収剤(例えば、カオリンおよびベントナイトクレイなど)、およびi)滑沢剤(例えば、タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、およびこれらの混合物など)と混合されている。カプセル剤、錠剤、および丸剤の場合、剤形は緩衝剤も含み得る。
【0376】
同様の種類の固体組成物は、ラクトースや乳糖などの賦形剤ならびに高分子量ポリエチレングリコールなどを使用した軟質および硬質充填ゼラチンカプセル内の充填剤としても用いられ得る。錠剤、糖衣錠、カプセル剤、丸剤、および顆粒剤の固体剤形は、腸溶性コーティングおよび医薬品製剤化の技術分野で周知のその他のコーティングなどの、コーティングおよびシェルを用いて調製することができる。これらは、必要に応じて乳白剤を含有してもよく、また、腸管のある特定の部分のみにおいてまたは該部分において優先的に、必要に応じて、遅延的様式で活性成分(複数化)を放出する組成物であり得る。使用できる埋め込み組成物としては、例えば、ポリマー物質およびワックスが挙げられる。同様の種類の固体組成物は、ラクトースや乳糖などの賦形剤ならびに高分子量ポリエチレングリコール(polethylene glycols)などを使用する、軟質および硬質充填ゼラチンカプセルの充填剤としても用いられ得る。
【0377】
活性化合物はまた、上述の1つまたは複数の賦形剤を有するマイクロカプセル形態であり得る。錠剤、糖衣錠、カプセル剤、丸剤、および顆粒剤の固体剤形は、腸溶性コーティング、放出制御コーティング、および医薬品製剤化の分野で周知のその他のコーティングなどの、コーティングおよびシェルを用いて調製することができる。そのような固体剤形では、活性化合物は、スクロース、ラクトース、またはデンプンなどの少なくとも1つの不活性希釈剤と混合されていてもよい。そのような剤形はまた、通常の実施と同様に、不活性希釈剤以外の追加的な物質、例えば、錠剤成形滑沢剤およびその他の錠剤成形助剤(ステアリン酸マグネシウムおよび微結晶性セルロースなど)も含み得る。カプセル剤、錠剤、および丸剤の場合、剤形は緩衝剤も含み得る。これらは、必要に応じて乳白剤を含有してもよく、また、腸管のある特定の部分のみにおいてまたは該部分において優先的に、必要に応じて、遅延的様式で活性成分(複数化)を放出する組成物であり得る。使用できる埋め込み組成物としては、例えば、ポリマー物質およびワックスが挙げられる。
【0378】
本発明の化合物の局所または経皮投与用剤形としては、軟膏剤、ペースト剤、クリーム剤、ローション剤、ゲル剤、散剤、液剤、噴霧剤、吸入剤、またはパッチ剤が挙げられる。活性成分は、滅菌条件下で、薬学的に許容される担体および任意の必要とされる防腐剤または緩衝液と、必要に応じて混合される。眼科用製剤、点耳薬、および点眼薬もまた本発明の範囲内にあると企図される。さらに、本発明は、経皮パッチの使用を企図し、これは身体への化合物の制御された送達を提供するという追加の利点を有する。そのような剤形は、適切な媒体中に化合物を溶解しまたは分散させることによって作製することができる。皮膚を通過する化合物の流れを増大させるために、吸収促進剤も使用することができる。速度は、速度制御膜を設けることによって、またはポリマーマトリックスまたはゲル中に化合物を分散させることによって、制御することができる。
【0379】
一実施形態によれば、本発明は、生体試料中の標的RNAの活性をモジュレートする方法であって、前記生体試料を本発明の化合物、または前記化合物を含む組成物と接触させるステップを含む、方法に関する。
【0380】
別の実施形態によれば、本発明は、生体試料中の標的RNAの活性をモジュレートする方法であって、前記生体試料を本発明の化合物、または前記化合物を含む組成物と接触させるステップを含む、方法に関する。ある特定の実施形態では、本発明は、生体試料中の標的RNAの活性を非可逆的に阻害する方法であって、前記生体試料を本発明の化合物、または前記化合物を含む組成物と接触させるステップを含む、方法に関する。
【0381】
本明細書中で使用する場合、「生体試料」という用語は、限定するものではないが、細胞培養物またはその抽出物、哺乳動物から得られた生検材料またはその抽出物、および血液、唾液、尿、糞便、精液、涙液、もしくはその他の体液、またはその抽出物を包含する。
【0382】
本発明の別の実施形態は、患者における標的RNAの活性をモジュレートする方法であって、本発明の化合物、または前記化合物を含む組成物を前記患者に投与するステップを含む、方法に関する。
【0383】
別の実施形態によれば、本発明は、患者における標的RNAの活性を阻害する方法であって、本発明の化合物、または前記化合物を含む組成物を前記患者に投与するステップを含む、方法に関する。ある特定の実施形態によれば、本発明は、患者における標的RNAの活性を非可逆的に阻害する方法であって、本発明の化合物、または前記化合物を含む組成物を前記患者に投与するステップを含む、方法に関する。他の実施形態では、本発明は、それを必要とする患者において標的RNAによって媒介される障害を治療するための方法であって、本発明による化合物または薬学的に許容されるその組成物を前記患者に投与するステップを含む、方法を提供する。そのような障害は本明細書中に詳細に説明されている。
【実施例】
【0384】
例証
以下の実施例に示すように、ある特定の例示的な実施形態では、化合物は以下の一般的手順にしたがって調製され、本明細書中に一般的に記載される生物学的アッセイおよびその他の手順において使用される。一般的方法はある特定の本発明の化合物の合成を示しているが、以下の一般的方法および当業者に公知のその他の方法は、本明細書中に記載するような全ての化合物ならびにこれらの化合物のそれぞれのサブクラスおよび種に適用できることが理解されるであろう。同様に、アッセイおよびその他の分析は当業者の知識にしたがって適応させることができる。
【0385】
(実施例1:RNA結合性小分子)
RNAに結合する小分子リガンドを同定する歴史的な努力は、塩基対形成、または二本鎖RNAにおける標準的な構造モチーフ(すなわち、塩基間のインターカレーションおよび/または溝結合)に集中してきた。しかし、これらのモチーフは特定のRNAへの小分子の選択的結合を支持しない。しかしながら、RNAは極めて多様な複雑な三次構造にフォールディングし、その三次構造が小分子(ポケットが与える形状および静電力に相補的な小分子)の結合に資するポケットを与える。形状および静電力の詳細がRNAの基礎的配列を反映する限りにおいて、小分子はタンパク質ポケットに結合する時と同じだけの選択性を達成できる。
【0386】
実際、多くがFDA承認済である、RNAに結合する薬物様小分子が現在ではいくつか
報告されている(下記表4を参照)。
【0387】
クラスによる小分子リガンド
フォールディングしたRNAへの結合が広範な小分子化学種について実証されているが(GuanおよびDisney、ACS Chem. Biol. 2012年 7巻、73〜86頁;参照により本明細書に組み込まれる)、RNA結合性リガンドを同定するための大きなライブラリー(>10の化合物)のハイスループットスクリーニングの報告は限られている。したがって、RNA結合性のために合成により最適化された小分子の報告もほとんどない。本発明は、これらの欠陥に対する救済の道を開く。下記は広範な化学種を要約する表であり、これらの化学種は実証可能なRNA結合性を有し、我々のスクリーニング方法を最適化しかつ立証する出発点としてはたらくであろう。そして、このスクリーニング方法により、治療的目的のRNA構造に対する本質的に全ての公知の化学種の体系的なスクリーニングが可能となるであろう。
【表4】
【0388】
これらの発見は、予期されていなかった作用の分子メカニズムを明らかにした。技術的課題の大きさから、フォールディングしたRNAに結合する小分子の意図的設計はほとんど追及されておらず、1つの注目すべき例はRNA三方向ジャンクションに選択的に結合できるトリプチセンベースのリガンドの設計である(Barrosら、Angew. Chem. Int. Ed. 2014年、53巻、13746〜13750頁。そのため、トリプチセンベースのリガンドは、記載するスクリーニング方法における別の出発点としてはたらくための、RNA結合能力を有する別の化学種を提供する。
【0389】
図は、多くの例示的な足場および特定の標的化合物の属を提供し、これらは、当該技術分野で公知の方法を使用して組み合わせ、または変化させることができる。
【0390】
図8(右上の構造)に示すように、三成分の足場は、3WJに結合するための有望なプラットフォームを表すが、3WJはそれ自体で通常対称的でないので、それらは対称的である必要はない。図示した例では、三角形、四角形、および五角形は、シクロプロピル、シクロブチル、またはシクロペンチルを表し、本明細書中に開示した様々な核酸結合基により置換することができる。
【0391】
(実施例2)
弾頭タイプ1Aの合成
【化44】
【0392】
2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[d][1,3]オキサジン−7−カルボン酸、弾頭タイプ1A。
1,4−ジオキサン(160mL)中の2−アミノテレフタル酸(2.0g、11.05mmol)の溶液に、トリホスゲン(3.28g、11.05mmol)を室温で添加した。得られた反応混合物を室温で6時間撹拌した。反応混合物をDM水(400mL)に注ぎ入れ、酢酸エチル(3×150mL)で抽出した。有機層を合わせ、ブラインで洗浄し、減圧下で濃縮して、弾頭_タイプ_1A(2.2g、96.2%)をオフホワイトの固体として得た。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 13.67 ppm (1H, broad), 11.89 ppm (1H, broad), 8.03-8.01 ppm (1H, d), 7.73-7.68 ppm (2H, m).MS(ESI−MS):m/z CNO[MH]の計算値 206.02、実測値 206.17。
【0393】
(実施例3)
弾頭タイプ1Bの合成
【化45】
1,4−ジメチル2−(メチルアミノ)ベンゼン−1,4−ジカルボキシレート(1)。
【0394】
アセトン(150mL)中のジメチル2−アミノベンゼン−1,4−ジカルボキシレート(10.0g、0.05mol)の溶液に、炭酸カリウム(19.8g、0.143mol)および硫酸ジメチル(18.1g、0.143mol)を室温で順次添加した。得られた反応混合物を60℃で24時間撹拌した。反応混合物をゆっくりと室温に冷却し、水(200mL)で希釈した。次いで、得られた混合物を酢酸エチル(4×750mL)で抽出した。有機層を合わせ、ブラインで洗浄し、減圧下で濃縮して、粗製の1を褐色固体として得た。粗混合物をシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィー(7%EtOAc/ヘキサン)により精製して、1(4.5g、42%)を淡黄色固体として得た。MS(ESI−MS):m/z C1113NO[MH]の計算値 224.08、実測値 224.2。
【0395】
2−(メチルアミノ)ベンゼン−1,4−ジカルボン酸(2)。
【0396】
THF(100mL)および水(50mL)中のジメチル2−(メチルアミノ)ベンゼン−1,4−ジカルボキシレート(1)(4.5g、0.02mol)の溶液に、水酸化カリウム(3.4g、0.06mol)を室温で添加した。得られた反応混合物を70℃で4時間撹拌した。反応混合物を室温に冷却し、水(200mL)で希釈し、重硫酸カリウムを使用して酸性化した。次いで、得られた混合物を酢酸エチル(4×75mL)で抽出した。有機層を合わせ、ブラインで洗浄し、減圧下で濃縮して、粗製の2(3.0g、76.33%)を淡黄褐白色固体として得た。粗混合物をさらに精製することなく次のステップにおいて使用した。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 13.14 ppm (1H, s), 7.87-7.85 ppm (1H, d, J=8.0 Hz), 7.21-7.21 ppm (1H, d, J=1.6 Hz), 7.10-7.07 (1H, dd, J=8.0), 2.87 (1H, s).MS(ESI−MS):m/z CNO[MH]の計算値 196.05、実測値 196.21。
【0397】
1−メチル−2,4−ジオキソ−2,4−ジヒドロ−1H−3,1−ベンゾオキサジン
−7−カルボン酸、弾頭タイプ1B。
【0398】
テトラヒドロフラン(90mL)中の2−(メチルアミノ)ベンゼン−1,4−ジカルボン酸(2)(3.0g、0.015mol)の懸濁液に、トリホスゲン(2.28g、0.076mol)を室温で添加した。得られた反応混合物を30℃で30分間撹拌した。反応混合物を室温に冷却し、水(50mL)で希釈し、酢酸エチル(3×100mL)で抽出した。有機層を合わせ、ブラインで洗浄し、減圧下で濃縮して、粗製の弾頭タイプ1Bを黄色固体として得た。粗混合物を、ジエチルエーテルを使用する摩砕により精製して、弾頭タイプ1B(3.1g、91.17%)を黄色固体として得た。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 13.78 ppm (1H, s), 8.12-8.09 (1H, d, J=8.4), 7.82-7.80 (2H, m), 3.51 (3H, S).MS(ESI−MS):m/z C10NO[MH]の計算値 220.03、実測値 220.07。
【0399】
このタイプと同様のさらなる弾頭としては、N−メチルイサト酸無水物、1−メチル−
6−ニトロイサト酸無水物および1−メチル−7−ニトロイサト酸無水物が挙げられる。
これらは、市販されている。
【0400】
(実施例4)
弾頭タイプ2の合成
【化46】
7−メトキシ−2H−ベンゾ[d][1,3]オキサジン−2,4(1H)−ジオン(1)。
【0401】
1,4−ジオキサン(400mL)中の2−アミノ−4−メトキシ安息香酸(20g、119.73mmol)の溶液に、トリホスゲン(17.8g、59.86mmol)を室温で添加した。得られた反応混合物を室温で6時間撹拌した。反応混合物をDM水(1L)に注ぎ入れ、酢酸エチル(3×350mL)で抽出した。有機層を合わせ、ブラインで洗浄し、減圧下で濃縮して、1(20.5g、88%)をオフホワイトの固体として得た。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 11.66 ppm (1H, broad), 7.85-7.83 ppm (1H, d, J=8.8 Hz), 6.85-6.83 ppm (1H, dd, J=2.4, 6.4 Hz), 6.59-6.58 ppm (1H, d, J=2.4 Hz), 3.86 ppm (3H, s).MS(ESI−MS):m/z CNO[MH]の計算値 192.04、実測値 192.16。
【0402】
7−メトキシ−1−メチル−2H−ベンゾ[d][1,3]オキサジン−2,4(1H
)−ジオン(2)。
【0403】
N,N−ジメチルホルムアミド(200mL)中の7−メトキシ−2H−ベンゾ[d][1,3]オキサジン−2,4(1H)−ジオン(1)(20.5g、106.2mmol)の溶液に、KCO(14.65g、106.2mmol)を室温で添加し、得られた反応混合物を10分間撹拌した。これに、ヨウ化メチル(18.08g、127.44mmol)を室温で滴下添加した。反応混合物をDM水(1L)に注ぎ入れ、酢酸エチル(3×350mL)で抽出した。有機層を合わせ、ブラインで洗浄し、減圧下で濃縮して、粗製の2を得た。粗製物を、ヘキサンで摩砕することにより精製して、2(17.9g、93.23%)をオフホワイトの固体として得た。生成物をさらに精製することなく次のステップにおいて使用した。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 7.95-7.93 ppm (1H, d, J=8.4 Hz), 6.94-6.91 ppm (1H, dd, J=2.4, 6.4 Hz), 6.86-6.85 ppm (1H, d, J=2 Hz), 3.94 ppm (3H, s), 3.46 ppm (3H, s).MS(ESI−MS):m/z C10NO[MH]の計算値 208.05、実測値 208.2。
【0404】
7−ヒドロキシ−1−メチル−2H−ベンゾ[d][1,3]オキサジン−2,4(1H)−ジオン(3)。
【0405】
0℃のジクロロメタン(500mL)中の7−メトキシ−1−メチル−2H−ベンゾ[d][1,3]オキサジン−2,4(1H)−ジオン(2)(10g、48.30mmol)の溶液に、BBr(ジクロロメタン中1M溶液)(72.44mL、72.44mmol)を滴下添加した。得られた反応混合物を0℃で1時間撹拌し、ゆっくりと室温にし、24時間さらに撹拌した。反応混合物をn−ヘキサン(500mL)で希釈し、得られた残留物を濾過した。収集した固体をn−ヘキサン(3×50mL)で洗浄し、減圧下で乾燥させた。固体を水(1L)中にさらに懸濁させ、ジクロロメタン(5×350mL)で抽出した。有機層を合わせ、ブラインで洗浄し、減圧下で濃縮して、3(7.9g、84.74%)を褐色固体として得た。1H NMR (400 MHz, MeOD) δ 7.96-7.94 ppm (1H, d, J=8.8 Hz), 6.78-6.75 ppm (1H, dd, J=2, 6.4 Hz), 6.69-6.69 ppm (1H, d, J=2.4 Hz), 3.52 ppm (3H, s).MS(ESI−MS):m/z CNO[MH]の計算値 192.04、実測値 191.96。
【0406】
ベンジル2−((1−メチル−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[d][1,3]オキサジン−7−イル)オキシ)アセテート(4)。
【0407】
アセトン(800mL)中の7−ヒドロキシ−1−メチル−2H−ベンゾ[d][1,3]オキサジン−2,4(1H)−ジオン(3)(7.9g、40.93mmol)の溶液に、KCO(14.12g、102.315mmol)を添加し、反応混合物を室温で20分間撹拌した。これに、ベンジル−2−ブロモアセテート(11.251g、49.111mmol)を室温で滴下添加し、得られた反応混合物を5時間さらに撹拌した。反応混合物を濾過し、収集した残留物をアセトン(3×20mL)で洗浄した。濾液を減圧下で濃縮して、固体塊を得た。固体塊を酢酸エチル(1L)に溶解し、水(3×300mL)で洗浄した。有機層を合わせ、ブラインで洗浄し、減圧下で濃縮して、粗製の4を得た。粗混合物をシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィー(20%EtOAc/n−ヘキサン)により精製して、純粋な4(0.39g、62.9%)を黄色油状物として得た。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 7.94-7.92 ppm (1H, d, J=8.4 Hz), 7.38-7.35 ppm (5H, m), 6.95-6.92 ppm (1H, dd, J=2, 6.8 Hz), 6.87-6.87 ppm (1H, d, J=2 Hz), 5.23 ppm (2H, s), 5.14 ppm (2H, s), 3.40 ppm (3H, s).MS(ESI−MS):m/z C1815NO[MH]の計算値 342.09、実測値 342.28。
【0408】
2−((1−メチル−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[d][1,3]オキサジン−7−イル)オキシ)酢酸、弾頭_タイプ_2。
【0409】
THF:EtOAcの1:1混合物(400mL)中の10%Pd/C(乾燥基準)(1.25g、5%w/v)の懸濁液に、ベンジル2−((1−メチル−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[d][1,3]オキサジン−7−イル)オキシ)アセテート(4)(6.5g、19.057mmol)の溶液を室温で添加した。Hガスを反応混合物中に室温で3時間パージした。反応混合物をセライトベッドに通して濾過し、収集した濾液を減圧下で濃縮して、粗製の弾頭_タイプ_2を得た。粗混合物を、n−ヘキサン(3×20mL)で摩砕することにより精製して、弾頭_タイプ_2(0.39g、62.9%)をオフホワイトの固体として得た。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 13.25 ppm (1H, br s), 7.95-7.92 ppm (1H, d, J=8.4 Hz), 6.92-6.88 ppm (2H, m), 4.94 ppm (2H, s), 3.44 ppm (3H, s).MS(ESI−MS):m/z C11NO[MH]の計算値 252.04、実測値 252.47。
【0410】
(実施例5)
ARK−1(Ark000007)の合成
【化47】
カナマイシンA遊離塩基、1。
【0411】
250mLのビーカー内で、カナマイシンA一硫酸塩(5.0g、8.582mmol)を水(100mL)に溶解し、得られた水溶液をAmberlite(登録商標)IRA−400 −OH形イオン交換樹脂に通過させた。遊離塩基を、DM水を使用して溶出し、収集した画分を凍結乾燥して、遊離塩基1(3.8g、91%)を白色固体として得、これをさらに精製することなく使用した。MS(ESI−MS):m/z C183611[MH]の計算値 485.23、実測値 485.26。
【0412】
1,3,6’,3’’−テトラ−N−(tert−ブトキシカルボニル)カナマイシンA、2。
【0413】
DMSO(140mL)および水(40L)(180mL)中のカナマイシンA遊離塩基(1)(3.7g、7.641mmol)の撹拌溶液に、Boc無水物(20g、91.692mmol)を室温で添加し、得られた反応混合物を70℃で20時間加熱した。室温に冷却した後、NHOHの水溶液(30mL)を、得られた反応混合物に添加した結果、沈殿物を得た。沈殿物を濾過によって収集し、水(2×350mL)で洗浄し、減圧下で乾燥させて、純粋な2(5.7g、84%)を白色固体として得た。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 6.92 ppm (1H, s), 6.62 ppm (1H, s), 6.53-6.51 ppm (1H, d, J=6.8 Hz), 6.38 ppm (1H, s), 5.40 ppm (1H, broad s), 5.27 ppm (1H, broad s), 4.71 ppm (1H, broad s), 4.22 ppm (1H, broad s), 3.80-3.25ppm (15H, broad m), 3.07 ppm (1H, broad s), 1.82-1.75 ppm (1H, broad s), 1.37 ppm (36H, broad s);MS(ESI−MS):m/z C386819[MH]の計算値 885.44、実測値 907.7(M+Na付加体)。
【0414】
6’’−(2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルホニル)−1,3,6’,3’’−テトラ−N−(tert−ブトキシカルボニル)カナマイシンA、3。
【0415】
ピリジン(35mL)中の1,3,6’,3’’−テトラ−N−(tert−ブトキシカルボニル)カナマイシンA(2)(2g、2.261mmol)の撹拌溶液に、ピリジン(4mL)中の2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルホニルクロリド(4.11g、13.567mmol)の溶液を室温で添加した。得られた反応混合物を室温で20時間撹拌した。この後、反応混合物をメタノール(30mL)に添加し、30分間さらに撹拌した。次いで、反応混合物を、冷却した10%HCl溶液(400mL)に注ぎ入れ、酢酸エチル(4×200mL)で抽出した。有機層を合わせ、ブラインで洗浄し、無水NaSOを使用して乾燥させ、減圧下で濃縮して、粗製の3を黄色固体として得た。粗混合物をシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィー(2%MeOH/クロロホルム)により精製して、純粋な3(0.5g、73%)を薄黄色固体として得た。MS(ESI−MS):m/z C539021S[MH]の計算値 1151.58、実測値 908.6(M−TIPBSフラグメント +Na付加体)。
【0416】
6’’−アジド−1,3,6’,3’’−テトラ−N−(tert−ブトキシカルボニル)カナマイシンA、4。
【0417】
35mLの圧力バイアルに、6’’−(2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルホニル)−1,3,6’,3’’−テトラ−N−(tert−ブトキシカルボニル)カナマイシンA(3)(0.5g、0.434mmol)、NaN(0.565g、8.691mmol)、DMF(15mL)を室温で入れた。得られた反応混合物にマイクロ波下、120℃で3時間照射を行った。室温に冷却した後、反応混合物を冷水(150mL)でクエンチし、酢酸エチル(3×50mL)で抽出した。有機層を合わせ、ブラインで洗浄し、無水NaSOを使用して乾燥させ、減圧下で濃縮して、粗製の4を褐色油状物として得た。粗混合物を、以下の方法を使用する分取HPLCにより精製して、純粋な4(0.11g、27%)を薄黄色固体として得た。1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 5.11-5.02 ppm (2H, t, J=9.6 Hz), 4.37-4.35 ppm (1H, d), 3.73-3.36 ppm (15H, m), 3.23-3.18 ppm (1H, t, J=9.2 Hz), 2.07-2.04 ppm (1H, d, J=13.2 Hz ), 1.47-1.45 ppm (36H, br s).MS(ESI−MS):m/z C386718[MH]の計算値 910.45、実測値 932.67(M+Na付加体)。
【0418】
分取HPLCの方法:
【0419】
(A)HO中10mM重炭酸アンモニウム(HPLCグレード)および(B)MeCN:IPA(90:10)(HPLCグレード)で、19.0mL/分の流速で以下の勾配を用いるX−BRIDGE C18、250×19mm、5Unを使用:
【表11】
【0420】
6’’−アジド−カナマイシンAトリフルオロ酢酸塩(triflouroacetate salt)、ARK−1−TFA塩。
【0421】
6’’−アジド−1,3,6’,3’’−テトラ−N−(tert−ブトキシカルボニル)カナマイシンA、(4)(0.11g、0.121mmol)を、DCM:TFAの1:1混合物(3.2mL)に溶解し、得られた溶液を室温で30分間撹拌した。反応混合物を減圧下で濃縮し、ジエチルエーテルを使用して摩砕して、純粋なARK−1−TFA塩(0.12g、102%)を薄黄色固体として得た。1H NMR (400 MHz, D2O) δ 5.39-5.38 ppm (1H, d, J=3.6 Hz), 4.95-4.94 ppm (1H, d, J=3.2 Hz), 3.796-3.71 ppm (5H, m), 3.64-3.31 ppm (11H, m), 3.07-3.01 ppm (1H, q, J=14.4,9.2 Hz), 2.40-2.37 ppm (1H, m), 1.77-1.74 ppm (1H, q, J = 12.8 Hz), 1.09-1.02 ppm (1H, m).MS(ESI−MS):m/z C183510+3TFA[MH]の計算値 509.24、実測値 510.4。HPLC保持時間:7.103分。
【0422】
6’’−アジド−カナマイシンA塩酸塩、ARK−1−HCl塩(Ark000007)。
【0423】
6’’−アジド−カナマイシンAトリフルオロ酢酸塩、ARK−1−TFA塩(0.12g、0.124mmol)を水(40mL)に溶解し、得られた水溶液をAmberlite(登録商標)IRA−400 −OH形イオン交換樹脂に通過させた。遊離塩基を、DM水を使用して溶出し、収集した画分を凍結乾燥して、ARK−1を遊離塩基として得た。遊離塩基を0.01N HCl(4mL)に溶解し、得られた溶液を凍結乾燥して、純粋なARK−1−HCl−塩(0.06g、77%)を黄色固体として得た。1H NMR (400 MHz, D2O) δ 5.41-5.40 ppm (1H, d, J=2.4 Hz), 4.96 ppm (1H, br s), 3.90-3.76 ppm (5H, m), 3.62-3.60 ppm (2H, d, J=8.8 Hz), 3.55-3.19 ppm (10H, m, ), 3.07-3.01 ppm (1H, m), 2.41-2.38 ppm (1H, d, J = 12), 1.82-1.73 ppm (1H, q, J = 12.8 Hz).MS(ESI−MS):m/z C183510.3 HCl[MH]の計算値 510.24、実測値 510.2。HPLC保持時間:14.897分。
【0424】
(実施例6)
ARK−7(Ark0000013)の合成
【化48】
2,7,15−トリニトロ−9,10−ジヒドロ−9,10−[1,2]ベンゼノアントラセン、1a。
【0425】
濃HNO(400mL)をトリプチセン(10g、39.3mmol)に室温で滴下添加し、得られた反応混合物を80℃で16時間加熱した。得られた褐色溶液を室温に冷却し、氷冷水(3000mL)に注ぎ入れ、30分間撹拌した。得られた沈殿物を収集し、冷水で洗浄し、次いで空気中で乾燥させて、1aと1bとの粗混合物を得た。粗混合物をシリカゲル上でのフラッシュカラムクロマトグラフィー(20%EtOAc/ヘキサン)により精製して、純粋な生成物1a(2.23g、14.10%)を白色固体として得た。1a mp:>300℃1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.37-8.36 ppm (3H, d, J=2 Hz), 8.08-8.06 ppm (3H, dd, J=8 Hz, J=2 Hz), 7.66-7.64 ppm (3H, d, J=8.4 Hz), 5.87 ppm (1H, S), 5.84 ppm (1H, s), 13C NMR (400 MHz, DMSO-d6) 150.24, 145.91, 145.76, 126.10, 122.60, 119.93, 52.18, 51.48; MS (ESI-MS): m/z calcd for C20H21N3O6 [MH]+ 390.06,質量の応答は認められない。
【0426】
1b mp:178〜180℃1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.36-8.35 ppm (3H, m), 8.09-8.06 ppm (3H, m), 7.69-7.65 ppm (3H, m), 5.86 ppm (1H, s), 5.85 ppm (1H, s) 13C NMR 150.93, 150.57, 145.72, 145.33, 144.92, 125.97, 122.54, 119.93, 55.33, 51.98, 51.74.
【0427】
9,10−ジヒドロ−9,10−[1,2]ベンゼノアントラセン−2,7,15−トリアミン、2。
【0428】
THF(100mL)中の2,7,15−トリニトロ−9,10−ジヒドロ−9,10−[1,2]ベンゼノアントラセン(1a)(2.23g、5.73mmol)の溶液に、ラネーニッケル(1.0g)を添加し、得られた反応混合物を0℃に冷却した。ヒドラジン水和物(4mL)を、得られた混合物に0℃で添加した。反応混合物を60℃で1時間撹拌した。得られた反応混合物を室温に冷却し、THFで溶出しながらセライトに通して濾過した。濾液を減圧下で濃縮して、粗製の2(1.5g、88.23%)を褐色固体として得、これをさらに精製することなく使用した。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.09-7.07 ppm (3H, d, J=7.6 Hz), 6.75-6.75 ppm (3H, d, J=2 Hz), 6.29-6.27 ppm (3H, dd, J=7.6 Hz, J=2 Hz), 5.10ppm (1H, S), 5.02 ppm (1H, s), 3.51-3.35 ppm ( 6H, broad s).MS(ESI−MS):m/z C2017[MH]の計算値 300.14、実測値 300.4。
【0429】
2,7,15−トリヨード−9,10−ジヒドロ−9,10−[1,2]ベンゼノアントラセン、3。
【0430】
100mLの丸底フラスコ内で、9,10−ジヒドロ−9,10−[1,2]ベンゼノアントラセン−2,7,15−トリアミン(2)(0.9g、3.01mmol)を濃塩酸(7.5mL)および水(15mL)に溶解し、得られた溶液を0℃に冷却した。これに、水(7.5mL)中の亜硝酸ナトリウム(0.72g、10.5mmol)の溶液を10分間かけて滴下添加し、得られた反応混合物を0℃で20分間撹拌した。この後、水(10mL)中のヨウ化カリウム(3.74g、22.58mmol)の溶液を反応混合物に0℃で滴下添加し、5分間さらに撹拌した。次いで、反応混合物をゆっくりと室温に加温し、80℃で2時間加熱した。室温に冷却した後、反応混合物を水(50mL)で希釈し、ジクロロメタン(3×25mL)で抽出した。有機層を合わせ、飽和重硫酸ナトリウム(3×30mL)で洗浄し、無水NaSOを使用して乾燥させ、減圧下で濃縮して、粗製の3を褐色半固体として得た。粗混合物をシリカゲル上でのフラッシュカラムクロマトグラフィー(5%EtOAc/ヘキサン)により精製して、純粋な生成物3(0.57g、30.0%)を黄色固体として得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.74-7.73 ppm (3H, d, J=1.6 Hz), 7.39-7.36ppm (3H, dd, J=7.6 Hz, J=1.6 Hz), 7.66-7.64 ppm (3H, d, J=7.6 Hz), 5.31ppm (1H, S), 5.26 (1H, s).
【0431】
9,10−ジヒドロ−9,10−[1,2]ベンゼノアントラセン−2,7,15−トリカルボニトリル、4。
【0432】
DMF(5mL)中の2,7,15−トリヨード−9,10−ジヒドロ−9,10−[1,2]ベンゼノアントラセン(3)(0.55g、0.87mmol)の溶液に、シアン化亜鉛(0.33g、2.79mmol)を添加し、得られた反応混合物を窒素ガスで20分間脱気した。これに、テトラキス(0.10g、0.1mmol)を添加し、得られた反応混合物を140℃で16時間撹拌した。室温に冷却した後、反応混合物をセライトに通して濾過し、冷水(20mL)でクエンチし、ジクロロメタン(3×30mL)で抽出した。有機層を合わせ、ブラインで洗浄し、無水NaSOを使用して乾燥させ、減圧下で濃縮して、粗製の4を褐色半固体として得た。粗混合物をシリカゲル上でのフラッシュカラムクロマトグラフィー(25%EtOAc/ヘキサン)により精製して、純粋な生成物4(0.2g、70.0%)を薄黄色固体として得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.74-7.74 ppm (3H, d, J=1.2 Hz), 7.39-7.36 ppm (3H, dd, J=7.6 Hz, J=1.6 Hz), 7.66-7.64 ppm (3H, d, J=7.6 Hz), 5.31 ppm (1H, S), 5.26 (1H, s).
【0433】
9,10−ジヒドロ−9,10−[1,2]ベンゼノアントラセン−2,7,15−トリカルボン酸、5。
【0434】
MeOH(5mL)中の9,10−ジヒドロ−9,10−[1,2]ベンゼノアントラセン−2,7,15−トリカルボニトリル(4)(0.40g、1.22mmol)の溶液に、15%NaOH水溶液(5mL、18.24mmol)を室温で添加し、得られた反応混合物を60℃で16時間撹拌した。室温に冷却した後、過剰のMeOHを減圧下で除去し、得られた混合物を氷冷水(50mL)に注ぎ入れた。この水溶液のpHを、1N HClを使用して約2に調整し、得られた残留物を濾過によって収集して、粗製の5(0.30g、65.3%)を白色固体として得、これをさらに精製することなく使用した。1H NMR (400 MHz, MeOD) δ 8.12 ppm (3H, d, J=1.2 Hz), 7.79-7.77 ppm (3H, dd, J=7.6 Hz, J=1.6 Hz), 7.58-7.56 ppm (3H, d, J=4 Hz), 5.832ppm (2H, S);MS(ESI−MS):m/z C1226[MH]の計算値 385.07、実測値 385.1。
【0435】
tert−ブチル(3−((3−アミノプロピル)(メチル)アミノ)プロピル)カルバメート、2a。
【0436】
0℃のTHF(10mL)中のN−(3−アミノプロピル)−N−メチルプロパン−1,3−ジアミン(5g、38.48mmol)の溶液に、Boc無水物(1.50g、6.89mmol)を20分間かけて滴下添加し、得られた反応混合物を室温で16時間撹拌した。THFを減圧下で除去し、得られた混合物を水(50mL)に注ぎ入れた。水性混合物を酢酸エチル(3×30mL)で抽出した。有機層を合わせ、水で洗浄し、無水NaSOを使用して乾燥させ、減圧下で濃縮して、純粋な2a(1.3g、15.4%)を無色油状物として得た。1H NMR (400 MHz, d6-DMSO) δ 6.80-6.79 ppm (1H, d, J=4 Hz), 3.17 (3H, broad s) 2.94-2.89ppm (2H, dd, J=12.4, 6 Hz), 2.51 ppm (2H, broad s), 2.28-2.21ppm (4H, m), 2.08-2.07 (2H, d, J=4 Hz), 1.50-1.44 ppm (4H, m), 1.37 (9H, s);MS(ESI−MS):m/z C1226[MH]の計算値 246.21、質量の応答は認められない。
【0437】
,N,N15−トリス(3−((3−tert−ブチルカルボニルアミノプロピル)(メチル)アミノ)プロピル)−9,10−ジヒドロ−9,10−[1,2]ベンゼノアントラセン−2,7,15−トリカルボキサミド、6。
【0438】
DMF(3mL)中のtert−ブチル(3−((3−アミノプロピル)(メチル)アミノ)プロピル)カルバメート(2a)(0.71g、2.91mmol)の溶液に、9,10−ジヒドロ−9,10−[1,2]ベンゼノアントラセン−2,7,15−トリカルボン酸(0.35g、0.91mmol)、HATU(1.1g、2.91mmol)、DIPEA(1.0mL、5.82mmol)を添加し、得られた反応混合物を室温で2時間撹拌した。反応混合物を水(50mL)に注ぎ入れ、ジクロロメタン(3×25mL)で抽出した。有機層を合わせ、ブラインで洗浄し、無水NaSOを使用して乾燥させ、減圧下で濃縮して、粗製の6を褐色油状物として得た。粗混合物を、以下の方法を使用する分取HPLCにより精製して、純粋な生成物6(0.2g、20.7%)を薄黄色固体として得た。1H NMR (400 MHz, d6-DMSO) δ 8.40-8.37 (3H, t, J=5.2 Hz), 7.93 (3H, s) 7.55-7.49ppm (6H, dd, J=16, 7.6 Hz ), 6.78 ppm (3H, broad s), 5.87 ppm (2H, broad s), 3.23-3.21 ppm (6H, m), 2.93-2.90 (6H, m), 2.30-2.22 (12H, m), 1.61-1.58 (6H, m), 1.50-1.46 (6H, m), 1.31 (27H, s).MS(ESI−MS):m/z C5989[MH]の計算値 1068.68、実測値 1068.9。
【0439】
分取HPLCの方法:
【0440】
(A)水中10mM NHHCO(B)MeCN:MeOH:IPA(65:25:10)で、15.0mL/分の流速で以下の勾配を用いるWATERS X−BRIDGE C18 250mm×19mm、5.0μMを使用:
【表12】
【0441】
,N,N15−トリス(3−((3−アミノプロピル)(メチル)アミノ)プロピル)−9,10−ジヒドロ−9,10−[1,2]ベンゼノアントラセン−2,7,15−トリカルボキサミド、ARK−7。
【0442】
1,4−ジオキサン(5mL)中のN,N,N15−トリス(3−((3−tert−ブチルカルボニルアミノプロピル)(メチル)アミノ)プロピル)−9,10−ジヒドロ−9,10−[1,2]ベンゼノアントラセン−2,7,15−トリカルボキサミド(6)(0.2g)の溶液に、ジオキサン中4M HCl(1mL)を室温で添加し、得られた反応混合物を2時間撹拌した。混合物を減圧下で濃縮して、ARK−7の純粋な塩酸塩(0.072g、50.3%)を薄黄色固体として得た。1H NMR (400 MHz, D2O) δ 7.70 ppm (3H, s), 7.42-7.40 ppm (3H, d, J=7.6 Hz), 7.34-7.32 ppm (3H, d, J= 8 Hz), 5.73 ppm (1H, s), 5.71 (1H, s), 3.34-3.30 ppm (6H, t), 3.23-3.03 ppm (12H, m), 2.97-2.93 ppm (6H, t), 2.76 ppm (9H, s), 2.06-1.92 ppm (12H, m),MS(ESI−MS):m/z C4465[MH]の計算値 768.52、実測値 768.7。HPLC保持時間:4.277分。
【0443】
(実施例7)
ARK−8(Ark0000014)の合成
【化49】
ARK−8を、上記のARK−7のための方法に従って合成して、中間体5を得た。次いで、これを以下の中間体2aとカップリングさせ、下記の通りにARK−8に変換した。
【0444】
tert−ブチル(7−アミノヘプチル)カルバメート、2a。
【0445】
0℃のTHF(10mL)中のヘプタン−1,7−ジアミン(5g、38.46mmol)の溶液に、Boc無水物(1.68g、7.69mmol)を20分間かけて滴下添加し、得られた反応混合物を室温で16時間撹拌した。THFを減圧下で除去し、得られた混合物を水(50mL)に注ぎ入れた。水性混合物を酢酸エチル(3×25mL)で抽出した。有機層を合わせ、水で洗浄し、無水NaSOを使用して乾燥させ、減圧下で濃縮して、純粋な2a(1g、11.3%)を無色油状物として得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 6.80-6.77 (1H, t, J=5.2 Hz), 2.91-2.85 (2H, dd, J=13.2, 6.8 Hz) 2.55-2.44ppm (2H, m), 1.36 ppm (11H, s), 1.31ppm (4H, s), 1.23 (6H, s),MS(ESI−MS):m/z C1226[MH]の計算値 231.20、実測値 231.5。
【0446】
,N,N15−トリス(7−tert−ブチルカルボニルアミノヘプチル)−9,10−ジヒドロ−9,10−[1,2]ベンゼノアントラセン−2,7,15−トリカルボキサミド、6。
【0447】
DMF(3mL)中のtert−ブチル(7−アミノヘプチル)カルバメート(2a)(0.51g、2.24mmol)の溶液に、9,10−ジヒドロ−9,10−[1,2]ベンゼノアントラセン−2,7,15−トリカルボン酸(0.27g、0.70mmol)、HATU(0.85、2.24mmol)、DIPEA(0.77mL、4.47mmol)を添加し、得られた反応混合物を室温で2時間撹拌した。反応混合物を水(50mL)に注ぎ入れ、ジクロロメタン(3×25mL)で抽出した。有機層を合わせ、ブラインで洗浄し、無水NaSOを使用して乾燥させ、減圧下で濃縮して、粗製の6を褐色半固体として得た。粗混合物をシリカゲル上でのフラッシュカラムクロマトグラフィー(0.5%MeOH/クロロホルム)により精製して、純粋な生成物6(0.65g、91.5%)を薄黄色固体として得た。1H NMR (400 MHz, DMSO) δ 8.34-8.32 (3H, d, J=8.8 Hz), 7.93 (3H, s) 7.53 ppm (6H, s), 6.75 ppm (3H,broad s), 5.87 ppm (1H, s), 5.76 ppm (1H, s), 3.20-3.14 (6H, d, J= 24 Hz), 2.29 (6H, s), 1.37 (27H, s), 1.25-1.24 (30H, m),MS(ESI−MS):m/z C5986[MH]の計算値 1023.65、実測値 1045.5(M+23)。
【0448】
,N,N15−トリス(7−アミノヘプチル)−9,10−ジヒドロ−9,10−[1,2]ベンゼノアントラセン−2,7,15−トリカルボキサミド、ARK−8。
【0449】
1,4−ジオキサン(5mL)中のN,N,N15−トリス(7−tert−ブチルカルボニルアミノヘプチル)−9,10−ジヒドロ−9,10−[1,2]ベンゼノアントラセン−2,7,15−トリカルボキサミド(6)(0.7g)の溶液に、ジオキサン中4M HCl(3mL)を室温で添加し、得られた反応混合物を2時間撹拌した。混合物を減圧下で濃縮して、ARK−8の粗塩酸塩を黄色固体として得た。粗混合物を、以下の方法を使用する分取HPLCにより精製して、純粋なARK−8_HCl塩(0.2g、40.5%)を白色固体として得た。1H NMR (400 MHz, D2O) δ 7.62 ppm (3H, broad s), 7.13ppm (3H,broad s), 7.01 ppm (3H, broad s), 5.53ppm (1H, S), 5.2 (1H, s), 2.92ppm (6H, broad s), 2.60ppm (6H, broad s), 1.22ppm (6H, broad s), 1.07ppm (6H, broad s), 0.76ppm (6H, broad s),MS(ESI−MS):m/z C4462[MH]の計算値 724.0、実測値 723.6。HPLC保持時間:4.947分。
【0450】
分取HPLCの方法:
【0451】
(A)水中0.05%HCl(B)MeCN:MeOH:IPA(65:25:10)
(HPLC GR)で、22.0mL/分の流速で以下の勾配を用いるX SELECT
フルオロフェニルカラム 250×19mm、5.0μMを使用:
【表13】
【0452】
(実施例8)
ARK−9(Ark000015)、ARK−10(Ark000016)、ARK−
11(Ark000017)およびARK−12(Ark000018)の合成
【化50】
【化51】
ARK−9は、化合物2を介して上記のARK−7と同様に調製した。したがって、化合物2を下記の通りにBoc−L−Lys(Boc)−OHとカップリングさせ、次いで脱保護して、ARK−9を得た(Boc−D−Lys(Boc)−OHに置き換えることにより、ARK−10(Ark000016)を同様に得た)。同様のやり方で、保護されたLまたはD−Hisアミノ酸とカップリングさせることによりARK−11(Ark000017)およびARK−12(Ark000018)を得た。
【0453】
ヘキサ−tert−ブチル((5S,5’S,5’’S)−((9,10−ジヒドロ−9,10−[1,2]ベンゼノアントラセン−2,7,15トリイル)トリス(アザンジイル))トリス(6−オキソヘキサン−6,1,5−トリイル))ヘキサカルバメート、3。
【0454】
DMF(1mL)中の9,10−ジヒドロ−9,10−[1,2]ベンゼノアントラセン−2,7,15−トリアミン(2)(0.1g、0.3344mmol)の溶液に、Boc−L−Lys(Boc)−OH(0.37g、1.07mmol)、HATU(0.406、1.07mmol)およびDIPEA(0.258g、2.006mmol)を室温で添加した。反応混合物を室温で60分間撹拌した。得られた反応混合物を氷冷水に注ぎ入れた。得られた固体沈殿物を濾過により収集し、減圧下で乾燥させて、粗製の3(0.38g、88.57%)を白色固体として得、これをさらに精製することなく使用した。MS(ESI−MS):m/z C6810115[MH]の計算値 1283.74、実測値 1185.0(M−100)。
【0455】
(2S,2’S,2’’S)−N,N’,N’’−(9,10−ジヒドロ−9,10−[1,2]ベンゼノアントラセン−2,7,15−トリイル)トリス(2,6−ジアミノヘキサンアミド)、ARK−9。
【0456】
前ステップから得た粗生成物、ヘキサ−tert−ブチル((5S,5’S,5’’S)−((9,10−ジヒドロ−9,10−[1,2]ベンゼノアントラセン−2,7,15トリイル)トリス(アザンジイル))トリス(6−オキソヘキサン−6,1,5−トリイル))ヘキサカルバメート(3)(0.3g、0.234mmol)を、ジオキサン中4M HCl中に懸濁させ、室温で2時間撹拌した。得られた反応混合物を減圧下で濃縮して、粗製のARK−9塩酸塩を白色固体として得た。粗生成物を、以下に示す方法を使用する分取HPLCにより精製して、ARK−9の純粋な塩(0.19g、46.91%)を白色固体として得た。ARK−9の純粋な塩をDM水(4mL)に溶解し、Amberlite(登録商標)IRA−400 −OH形イオン交換樹脂に通過させた。遊離塩基を、DM水を使用して溶出し、収集した画分を凍結乾燥して、遊離塩基(0.15g)を白色固体として得た。遊離塩基(0.05g)を1N HCl水溶液(3mL)で処理し、物質を凍結乾燥して、ARK−9の塩酸塩(0.05g、83.33%)を白色固体として生成した。1H NMR (400 MHz, D2O) δ 7.56-7.55 ppm (3H, d, J=1.6 Hz), 7.41-7.39 ppm (3H, d, J=8.0 Hz), 7.01-6.99 ppm (H, dd, J=8 Hz, J=1.6 Hz), 5.62 ppm (1H, S), 5.59 ppm (1H, s), 4.01-3.98 ppm (3H, t), 2.88-2.84 ppm (6H, t), 1.90-1.86 ppm (6H, m), 1.61-1.57 ppm (6H, 3), 1.40-1.36 ppm (6H, m),MS(ESI−MS):m/z C2227[MH]の計算値 684.4、実測値 684.7。HPLC保持時間:5.092分。
【0457】
分取HPLCの方法:
【0458】
(A)水中0.1%TFAおよび(B)MeCN:MeOH:IPA(65:25:10)(HPLCグレード)で、12.0mL/分の流速で以下の勾配を用いるX SELECTフルオロフェニルカラム 250×19mm、5.0μmを使用:
【表14】
【0459】
ARK−10(Ark000016)の合成:
【0460】
ヘキサ−tert−ブチル((5R,5’R,5’’R)−((9,10−ジヒドロ−9,10−[1,2]ベンゼノアントラセン−2,7,15−トリイル)トリス(アザンジイル))トリス(6−オキソヘキサン−6,1,5−トリイル))ヘキサカルバメート、3。
【0461】
DMF(5mL)中の9,10−ジヒドロ−9,10−[1,2]ベンゼノアントラセン−2,7,15−トリアミン(2)(0.3g、1.00mmol)の溶液に、Boc−D−Lys(Boc)−OH(1.1g、3.210mmol)、HATU(1.2g、3.210mmol)およびDIPEA(0.774g、6.00mmol)を室温で添加した。反応混合物を室温で60分間撹拌した。得られた反応混合物を氷冷水に注ぎ入れた。得られた固体沈殿物を濾過により収集し、減圧下で乾燥させて、粗製の3を得た。粗混合物を、以下の方法を使用する分取HPLCにより精製して、純粋な3(0.25g、19.53%)を白色固体として得た。MS(ESI−MS):m/z C6810115[MH]の計算値 1283.74、実測値 1185.0(M−100;Boc基1個の脱保護)。
【0462】
分取HPLCの方法:
【0463】
(A)水中10mM重炭酸アンモニウム(HPLCグレード)および(B)ACN:MeOH:IPA(65:25:10)(HPLC GR)で、28.0mL/分の流速で以下の勾配を用いるX BRIDGE 250mm×30mm×5μmを使用:
【表15】
【0464】
(2R,2’R,2’’R)−N,N’,N’’−(9,10−ジヒドロ−9,10−[1,2]ベンゼノアントラセン−2,7,15−トリイル)トリス(2,6−ジアミノヘキサンアミド)、ARK−10。
【0465】
前ステップから得た粗生成物、ヘキサ−tert−ブチル((5R,5’R,5’’R)−((9,10−ジヒドロ−9,10−[1,2]ベンゼノアントラセン−2,7,15−トリイル)トリス(アザンジイル))トリス(6−オキソヘキサン−6,1,5−トリイル))ヘキサカルバメート(3)(0.25g、0.1947mmol)を、ジオキサン中4M HCl中に懸濁させ、室温で2時間撹拌した。得られた反応混合物を減圧下で濃縮して、粗製のARK−10塩酸塩を白色固体として得た。粗生成物を、以下に示す方法を使用する分取HPLCにより精製して、ARK−10の純粋な塩(0.14g、26.41%)を白色固体として得た。ARK−10の純粋な塩をDM水(4mL)に溶解し、Amberlite(登録商標)IRA−400 −OH形イオン交換樹脂に通過させた。遊離塩基を、DM水を使用して溶出し、収集した画分を凍結乾燥して、遊離塩基(0.07g)を白色固体として得た。遊離塩基(0.07g)を1N HCl水溶液(3mL)で処理し、凍結乾燥して、ARK−10の塩酸塩(0.085g、92.39%)を薄褐色固体として生成した。1H NMR (400 MHz, D2O) δ 7.54-7.53 ppm (3H, d, J=2 Hz), 7.38-7.36 ppm (3H, d, J=8.0 Hz), 6.99-6.97 ppm (3H, dd, J=8 Hz, J=2 Hz), 5.60 ppm (1H, S), 5.56 (1H, s), 3.99-3.96 ppm (3H, t), 2.86-2.82 ppm (6H, t), 1.89-1.82 ppm (6H, m), 1.61-1.53 ppm (6H, m), 1.40-1.34 ppm (6H, m).MS(ESI−MS):m/z C2227[MH]の計算値 684.4、実測値 684.6。HPLC保持時間:6.393分。
【0466】
分取HPLCの方法:
【0467】
(A)水中0.1%TFA(HPLCグレード)および(B)MeCN:MeOH:IPA(65:25:10)(HPLC GR)で、15.0mL/分の流速で以下の勾配を用いるX SELECT PFP C18、250×19mm、5umを使用:
【表16】
【0468】
ARK−11およびARK−12の合成。
【0469】
トリ−tert−ブチル((2S,2’S,2’’S)−((9,10−ジヒドロ−9,10−[1,2]ベンゼノアントラセン−2,7,15−トリイル)トリス(アザンジイル))トリス(3−(1H−イミダゾール−4−イル)−1−オキソプロパン−1,2−ジイル))トリカルバメート。
【0470】
DMF(6mL)中の9,10−ジヒドロ−9,10−[1,2]ベンゼノアントラセン−2,7,15−トリアミン(2)(0.3g、1.0mmol)の撹拌溶液に、Boc−L−ヒスチジン(0.82g、3.2mmol)、HATU(1.22g、3.2mmol)およびDIPEA(0.8g、6.2mmol)を室温で添加した。得られた反応混合物を室温で終夜撹拌した。反応混合物を氷冷水に注ぎ入れ、得られた残留物を濾過によって収集し、減圧下で乾燥させて、粗製の3(0.65g、65%)を薄褐色固体として得、これを精製することなく次のステップにおいて直接使用した。MS(ESI−MS):m/z C536212[MH]の計算値 1011.15、実測値 1011.9。
【0471】
(2S,2’S,2’’S)−N,N’,N’’−(9,10−ジヒドロ−9,10−[1,2]ベンゼノアントラセン−2,7,15−トリイル)トリス(2−アミノ−3−(1H−イミダゾール−4−イル)プロパンアミド)塩酸塩、ARK−11_HCl塩。
【0472】
ジクロロメタン(8mL)中のトリ−tert−ブチル((2S,2’S,2’’S)−((9,10−ジヒドロ−9,10−[1,2]ベンゼノアントラセン−2,7,15−トリイル)トリス(アザンジイル))トリス(3−(1H−イミダゾール−4−イル)−1−オキソプロパン−1,2−ジイル))トリカルバメート(3)(0.65g、0.643mmol)の撹拌溶液に、ジオキサン中4N HCl(5mL)を0℃で添加した。得られた反応混合物を室温で3時間撹拌した。反応混合物を減圧下で濃縮して、粗製のARK−11を得た。粗混合物を、以下の方法を使用する分取HPLCにより精製して、純粋な生成物、ARK−11_TFA塩(0.32g、64.42%)を無色粘性油状物として得た。ARK−11_TFA塩をメタノール(10mL)に溶解した。これに、ポリマー結合テトラアルキルアンモニウムカーボネートおよび得られた混合物を室温で30分間撹拌した。混合物をセライトに通して濾過し、得られた濾液を減圧下で濃縮して、ARK−11_遊離塩基を得た。遊離塩基を0.01N HCl(10mL)に溶解し、得られた溶液を凍結乾燥して、純粋なARK−11_HCl塩(0.16g、61.06%)を白色固体として得た。1H NMR (400 MHz, D2O) δ 8.56 ppm (3H, s), 7.51 ppm (3H, s), 7.39-7.31 ppm (6H, m), 6.93-6.91 ppm (3H, s), 5.61-5.58 ppm (2H, s), 4.26 ppm (3H, s), 3.36-3.34 ppm (6H, m), 3.21 ppm (2H, s);MS(ESI−MS):m/z C383812[MH]の計算値 710.8、実測値 712.2。HPLC保持時間:5.770分。
【0473】
分取HPLCのための方法:
【0474】
(A)水中0.1%TFA(HPLCグレード)および(B)アセトニトリル中10%IPA(HPLCグレード)で、35.0mL/分の流速で以下の勾配を用いるWATERS X−BRIDGE C18、250mm×30mm×5μmを使用:
【表17】
【0475】
トリ−tert−ブチル((2R,2’R,2’’R)−((9,10−ジヒドロ−9,10−[1,2]ベンゼノアントラセン−2,7,15−トリイル)トリス(アザンジイル))トリス(3−(1H−イミダゾール−4−イル)−1−オキソプロパン−1,2−ジイル))トリカルバメート。
【0476】
DMF(6mL)中の9,10−ジヒドロ−9,10−[1,2]ベンゼノアントラセン−2,7,15−トリアミン(2)(0.25g、0.84mmol)の撹拌溶液に、Boc−D−ヒスチジン(0.68g、2.67mmol)、HATU(1.01g、2.67mmol)、DIPEA(0.69g、5.35mmol)を室温で添加した。得られた反応混合物を室温で終夜撹拌した。反応混合物を氷冷水に注ぎ入れ、得られた残留物を濾過によって収集し、減圧下で乾燥させて、粗製の3(0.75g、88.9%)を白色固体として得、これを精製することなく次のステップにおいて直接使用した。MS(ESI−MS):m/z C536212[MH]の計算値 1011.48、実測値 1011.6。
【0477】
(2R,2’R,2’’R)−N,N’,N’’−(9,10−ジヒドロ−9,10−[1,2]ベンゼノアントラセン−2,7,15−トリイル)トリス(2−アミノ−3−(1H−イミダゾール−4−イル)プロパンアミド)塩酸塩、ARK−12_HCl塩。
【0478】
ジクロロメタン(8mL)中のトリ−tert−ブチル((2S,2’S,2’’S)−((9,10−ジヒドロ−9,10−[1,2]ベンゼノアントラセン−2,7,15−トリイル)トリス(アザンジイル))トリス(3−(1H−イミダゾール−4−イル)−1−オキソプロパン−1,2−ジイル))トリカルバメート(3)(0.75g、0.742mmol)の撹拌溶液に、ジオキサン中4N HCl(5mL)を0℃で添加した。得られた反応混合物を室温で3時間撹拌した。反応混合物を減圧下で濃縮して、粗製のARK−12を得た。粗混合物を、以下の方法を使用する分取HPLCにより精製して、純粋な生成物、ARK−12_TFA塩(0.70g、72.53%)を白色固体として得た。ARK−12の純粋な塩をDM水(4mL)に溶解し、Amberlite(登録商標)IRA−400 −OH形イオン交換樹脂に通過させた。遊離塩基を、DM水を使用して溶出し、収集した画分を凍結乾燥して、遊離塩基(0.06g)を白色固体として得た。遊離塩基(0.06g)を1N HCl水溶液(3mL)に溶解し、物質を凍結乾燥して、ARK−12の塩酸塩(0.07g、10.16%)を白色固体として生成した。1H NMR (400 MHz, D2O) δ 8.54 ppm (3H, s), 7.50 ppm (3H, s), 7.37-7.35 ppm (3H, d, J=8 Hz), 7.28 ppm (3H, S), 6.90-6.88 ppm (3H, dd, J=7.6 Hz), 5.59 ppm (1H, s), 5.56 ppm (1H, s), 4.25-4.22 ppm (3H, t, J=7.2 Hz ), 3.33-3.31 ppm (6H, d, J=7.2 Hz).MS(ESI−MS):m/z C383812[MH]の計算値 711.32、実測値 684.6。HPLC保持時間:6.347分。
【0479】
分取HPLCのための方法:
【0480】
水中0.1%TFA(HPLCグレード)および(B)アセトニトリル中10%IPA
(HPLCグレード)で、35.0mL/分の流速で以下の勾配を用いるWATERS
X−BRIDGE C18、250mm×30mm×5μmを使用:
【表18】
【0481】
(実施例9)
ARK−77およびARK−77A(Ark000033およびArk000034)の
合成
【化52】
tert−ブチル(2−(2−((2S,4S)−4−アジド−N−メチル−1−((2−ニトロフェニル)スルホニル)ピロリジン−2−カルボキサミド)エトキシ)エチル)(メチル)カルバメート、10。
【0482】
N,N−ジメチルホルムアミド(40mL)中のARK−20(2.0g、8.614mmol)の溶液に、(2S,4S)−4−アジド−1−((2−ニトロフェニル)スルホニル)ピロリジン−2−カルボン酸(2.34g、6.89mmol)、HATU(2.62g、6.89mmol)およびN,N−ジイソプロピルエチルアミン(3.33g、25.84mmol)を室温で順次添加した。得られた反応混合物を室温で1時間撹拌した。反応混合物を氷冷水に注ぎ入れ、酢酸エチル(3×100mL)で抽出した。有機層を合わせ、ブラインで洗浄し、減圧下で濃縮して、粗製の10(3.5g、91.6%)を褐色半固体として得た。粗混合物をさらに精製することなく次のステップにおいて使用した。MS(ESI−MS):m/z C2233S[MH]の計算値 556.21、実測値 573.43(M+18、水付加体)。
【0483】
(2S,4S)−4−アジド−N−メチル−N−(2−(2−(メチルアミノ)エトキシ)エチル)−1−((2−ニトロフェニル)スルホニル)ピロリジン−2−カルボキサミド_TFA塩、11。
【0484】
ジクロロメタン(30mL)中のtert−ブチル(2−(2−((2S,4S)−4−アジド−N−メチル−1−((2−ニトロフェニル)スルホニル)ピロリジン−2−カルボキサミド)エトキシ)エチル)(メチル)カルバメート(10)(3.5g、6.30mmol)の溶液に、トリフルオロ酢酸(3.15mL、31.52mmol)を室温で添加した。得られた反応混合物を室温で2時間撹拌した。反応混合物をセライトベッドに通して濾過し、こうして収集した濾液を減圧下で濃縮して、粗製の11(4.3g、定量的収率)を褐色油状物として得、これをさらに精製することなく次のステップにおいて使用した。MS(ESI−MS):m/z C1725S.TFA[MH]の計算値 456.16、実測値 456.32。
【0485】
トリ−tert−ブチル(((9−(3−((2−(2−((2S,4S)−4−アジド−N−メチル−1−((2−ニトロフェニル)スルホニル)ピロリジン−2−カルボキサミド)エトキシ)エチル)(メチル)アミノ)−3−オキソプロピル)−9,10−ジヒドロ−9,10[1,2]ベンゼノアントラセン−2,7,15−トリイル)トリス(アザンジイル))トリス(8−オキソオクタン−8,1−ジイル))トリカルバメート、12。
【0486】
N,N−ジメチルホルムアミド(30mL)中の(2S,4&#