(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】2019523270
(43)【公表日】20190822
(54)【発明の名称】ドネペジル経皮送達システム
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/445 20060101AFI20190726BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20190726BHJP
   A61K 47/10 20060101ALI20190726BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20190726BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20190726BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20190726BHJP
【FI】
   !A61K31/445
   !A61K47/32
   !A61K47/10
   !A61K47/02
   !A61K47/12
   !A61P25/28
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】37
(21)【出願番号】2019504001
(86)(22)【出願日】20170726
(85)【翻訳文提出日】20190322
(86)【国際出願番号】US2017044050
(87)【国際公開番号】WO2018022817
(87)【国際公開日】20180201
(31)【優先権主張番号】62/367,542
(32)【優先日】20160727
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/367,502
(32)【優先日】20160727
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/423,133
(32)【優先日】20161116
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/444,745
(32)【優先日】20170110
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/444,763
(32)【優先日】20170110
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/457,794
(32)【優先日】20170210
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/504,408
(32)【優先日】20170510
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/504,391
(32)【優先日】20170510
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】503360296
【氏名又は名称】コリウム インターナショナル, インコーポレイテッド
【住所又は居所】アメリカ合衆国 カリフォルニア 94025, メンロ パーク,コンスティチューション ドライブ 235
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】リ, ウン ス
【住所又は居所】アメリカ合衆国 カリフォルニア 94061, レッドウッド シティ, ハンプトン アベニュー 2575
(72)【発明者】
【氏名】ジェイン, アミット ケー.
【住所又は居所】アメリカ合衆国 カリフォルニア 95035, ミルピタス, カーリノ テラス 825
(72)【発明者】
【氏名】シン, パーミンダー
【住所又は居所】アメリカ合衆国 カリフォルニア 94587, ユニオン シティー, アルブレー ドライブ 5504
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA74
4C076BB31
4C076CC01
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4C086AA01
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4C086MA63
4C086NA10
4C086NA12
4C086ZA16
(57)【要約】
ドネペジルの全身的送達のための経皮送達システムが記載され、システムはアクリレートコポリマー、グリセリン、ならびにドネペジルHClおよびアルカリ塩の反応によってin situで生成されるドネペジル塩基から構成される薬物リザーバ層を含む。システムは、アルツハイマー病の処置のために提供され、経口治療剤の投与と生物学的に同等である治療剤の経皮送達を達成する。本明細書に記載される主題は、ドネペジルの全身的送達のためにドネペジル塩を用いて製造された経皮送達システムに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドネペジルの全身的送達のための経皮送達システムであって、
使用者の皮膚に前記システムを付着させるための皮膚接触用粘着剤層と、
(i)アクリレートコポリマー、(ii)グリセリン、ならびに(iii)ドネペジルHClおよびアルカリ塩の反応によってin situで生成されるドネペジル塩基から構成される薬物リザーバと
を含む、システム。
【請求項2】
前記接触用粘着剤層上に直接あり、前記接触用粘着剤層と前記薬物リザーバとの間に配置されている中間層をさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記中間層が、複数の細孔を含む微多孔質膜である、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記微多孔質膜中の前記複数の細孔が、クエン酸トリエチル、ソルビタンモノラウレート、および乳酸ラウリルのうちの1つまたは複数から構成される溶媒組成物を含有する、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記皮膚接触用粘着剤層が、アクリル酸/酢酸ビニルのコポリマーから構成される、いずれかの先行する請求項に記載のシステム。
【請求項6】
前記皮膚接触用粘着剤層が、架橋ポリビニルピロリドンを追加的に含む、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記皮膚接触用粘着剤層が、クエン酸トリエチル、ソルビタンモノラウレート、および乳酸ラウリルからなる群から選択される1つまたは複数の溶媒を含む溶媒組成物を含む、いずれかの先行する請求項に記載のシステム。
【請求項8】
前記皮膚接触用粘着剤層が、ドネペジル塩基もドネペジル塩も含まない粘着剤配合物から製造される、いずれかの先行する請求項に記載のシステム。
【請求項9】
前記薬物リザーバ層中の前記アルカリ塩が、炭酸水素ナトリウムである、いずれかの先行する請求項に記載のシステム。
【請求項10】
前記薬物リザーバ層が、クエン酸トリエチルを追加的に含む、いずれかの先行する請求項に記載のシステム。
【請求項11】
前記薬物リザーバ層が、ソルビタンモノラウレートおよび乳酸ラウリルの一方または両方を追加的に含む、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記薬物リザーバが、粘着剤マトリックスである、いずれかの先行する請求項に記載のシステム。
【請求項13】
前記薬物リザーバ層と接触している第1のバッキング層、前記第1のバッキング層と接触している粘着剤オーバーレイ、および前記粘着剤オーバーレイと接触している第2のバッキング層をさらに含む、いずれかの先行する請求項に記載のシステム。
【請求項14】
前記粘着剤オーバーレイが、アクリレートコポリマーから構成される単一層である、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記粘着剤オーバーレイが、第1の層および第2の層から構成され、前記第1の層がポリイソブチレンおよびポリブテンで構成され、前記第2の層がアクリル粘着剤で構成される、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
(i)ドネペジルHClおよびアルカリ塩の反応によってin situで生成されるドネペジル塩基、(ii)グリセリン、ならびに(iii)アクリレートコポリマーを含む薬物リザーバ
を含む組成物。
【請求項17】
前記薬物リザーバが、クエン酸トリエチルをさらに含む、請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
前記薬物リザーバが、ソルビタンモノラウレートをさらに含む、請求項17に記載の組成物。
【請求項19】
前記薬物リザーバが、アクリル酸/酢酸ビニルコポリマー粘着剤および架橋ポリビニルピロリドンを含む、請求項16から18のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項20】
前記アルカリ塩が、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、オキシル酸ナトリウム(sodium oxylate)、コハク酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、およびサリチル酸ナトリウムからなる群から選択される、請求項16から19のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項21】
ドネペジルHClおよび炭酸水素ナトリウムの反応によってin situで生成されるドネペジル塩基;クエン酸トリエチル、乳酸ラウリル、ソルビタンモノラウレート、およびグリセリンのうちの1つまたは複数を含む溶媒組成物;架橋ポリビニルピロリドン、ならびにアクリル酸/酢酸ビニルのコポリマー
から本質的になる薬物リザーバを含む組成物。
【請求項22】
(a)約5〜25重量%の間のドネペジルHClおよび約1〜5重量%の間の炭酸水素ナトリウムの反応によってin situで生成されるドネペジル塩基;
(b)約0〜15重量%のクエン酸トリエチル;
(c)約0〜5重量%のソルビタンモノラウレート
(d)約5〜15重量%のグリセリン;
(e)約1〜10重量%の乳酸ラウリル;
(f)約5〜25重量%の架橋ポリビニルピロリドン;ならびに
(g)約30〜65重量%のアクリル酸−酢酸ビニルコポリマー
から本質的になる薬物リザーバを含む組成物。
【請求項23】
(a)約10〜18重量%の間のドネペジルHClおよび約1〜5重量%の間の炭酸水素ナトリウムの反応によってin situで生成されるドネペジル塩基;
(b)約8〜12重量%のクエン酸トリエチル;
(c)約1.5〜2.5重量%のソルビタンモノラウレート
(d)約9〜11重量%のグリセリン;
(e)約1〜10重量%の乳酸ラウリル;
(e)約13〜17重量%の架橋ポリビニルピロリドン;ならびに
(f)約40〜42重量%のアクリル酸−酢酸ビニルコポリマー
から本質的になる薬物リザーバを含む組成物。
【請求項24】
(a)請求項16から23のいずれか一項に記載の組成物から構成される薬物リザーバ;
(b)微多孔質膜または不織層;および
(c)皮膚接触用粘着剤
を含む組成物。
【請求項25】
前記微多孔質膜が、ポリプロピレン膜である、請求項24に記載の組成物。
【請求項26】
前記皮膚接触用粘着剤が、クエン酸トリエチル、α−ヒドロキシ酸、または両方を含む、請求項24または請求項25に記載の組成物。
【請求項27】
前記α−ヒドロキシ酸が、乳酸またはグリコール酸のエステルである、請求項26に記載の組成物。
【請求項28】
前記α−ヒドロキシ酸が、乳酸ラウリルである、請求項27に記載の組成物。
【請求項29】
複数の細孔を有する微多孔質膜を含み、前記複数の細孔がクエン酸トリエチル、ソルビタンモノラウレート、および乳酸ラウリルのうちの1つまたは複数から構成される溶媒組成物を含有する、請求項23から28のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項30】
請求項1から15のいずれか一項に記載のものから構成される経皮送達システムまたは請求項16から29のいずれか一項に記載の組成物を含む経皮送達システムを準備すること、ならびに
対象の皮膚に対して前記経皮送達システムを投与することまたはそれを投与するように指示すること
を含む、対象に対してドネペジルを送達するための方法。
【請求項31】
アルツハイマー病を有する対象の処置のためである、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記投与することまたは投与するように指示することが、週1回投与することまたは投与するように指示することを含む、請求項30から31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記経皮送達システムが、1〜25mg/24時間を提供する用量のドネペジル塩基を含む、請求項30から32のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の引用
本願は、米国仮出願第62/504,408号(2017年5月10日出願);米国仮出願第62/504,391号(2017年5月10日出願);米国仮出願第62/457,794号(2017年2月10日出願);米国仮出願第62/444,763号(2017年1月10日出願);米国仮出願第62/444,745号(2017年1月10日出願);米国仮出願第62/423,133号(2016年11月16日出願)米国仮出願第62/367,542号(2016年7月27日出願);および米国仮出願第62/367,502号(2016年7月27日出願)の利益を主張する。各々は、その全体が参照により本明細書中に援用される。
【0002】
技術分野
本明細書に記載される主題は、ドネペジルの全身的送達のためにドネペジル塩を用いて製造された経皮送達システムに関する。
【背景技術】
【0003】
背景
ドネペジルは、化学的構造2,3−ジヒドロ−5,6−ジメトキシ−2−[[1−(フェニルメチル)−4−ピペリジニル]メチル]−1H−インデン−1−オン:
【化1】
を有するアセチルコリンエステラーゼ阻害剤である。ドネペジルは、分子量379.5を有し、親油性である(LogP値3.08〜4.11)。
【0004】
ドネペジル塩酸塩(ARICEPT(登録商標))の経口錠剤は、アルツハイマー認知症の処置における使用が米国において認可されている。認知障害の性質のため、経口薬物療法剤は、特に1日を通して服用される必要がある配合物について患者コンプライアンスに伴う課題にさらされる場合がある。認知障害を罹患している患者に対する経皮的、注射または直腸内経路による薬物療法剤の送達が、調査されている。米国特許第7,858,114号は、抗認知症薬の長期送達用プラスターとしての使用のためのドネペジルの経皮吸収調製物を記載している。米国特許出願公開第2014/0370076号は、ドネペジルまたはその塩を含み、n−ヘキサンを用いない工程によって調製されるアクリレート−ゴムハイブリッド粘着剤を使用する経皮薬物送達システムを記載している。エーザイ株式会社の米国特許第4,895,841号は、アルツハイマー老人性認知症、ハンチントン舞踏病、ピック病および運動失調症を含む認知症の処置における使用のためのドネペジルを含む環状アミン化合物を記載している。提案された他の経皮送達システムは、経皮デバイスからの薬物の送達を制御するためにオーバーレイまたは他の律速膜を使用しており、第1のおよび第2のオーバーレイの使用を記載している例えば米国特許出願公開第2010/0178307号を参照されたい。これらの教示にも関わらず、米国において利用可能な.ドネペジル経皮パッチまたはデバイスはない。
【0005】
長期間にわたる抗認知症薬の送達(例えば数日またはそれを超えて)は、困難である。ドネペジルを含む塩基性薬の経皮送達は、皮膚透過性の乏しさから特に困難である可能性がある。さらに一部の活性剤は、典型的経皮的配合物において使用される粘着剤および/または他の構成要素をほとんど溶解しないまたは溶解性が低い。さらに、投与期間にわたる薬剤の安定かつ効果的な放出を提供し、長期間投与のための好適な接着性を有する、抗認知症剤の安定かつ長期間(例えば1〜10日間またはこれを超える)の投与が必要である。
【0006】
したがって、これらの欠点に対処する経皮的組成物、デバイスおよび方法が必要とされている。
前述の関連技術の例およびそれと関連する制約は、例証的であることを意図したものであり、排他的であることを意図したものではない。関連分野の他の制約については、本明細書を読み、図面を検討することで、当業者には明らかとなるであろう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第7,858,114号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2014/0370076号明細書
【特許文献3】米国特許第4,895,841号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2010/0178307号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
簡単な要旨
下に記載され例証される、以下の態様およびその実施形態は、例示的かつ例証的であることを意図したものであり、範囲に関して限定的なものではない。
【0009】
一態様では、ドネペジルの全身的送達のための経皮送達システムが提供される。システムは、使用者の皮膚にシステムを付着させるための皮膚接触用粘着剤層と、(i)グリセリンならびに乳酸ラウリル、ソルビタンモノラウレート、およびクエン酸トリエチルのうちの1つまたは複数を含む溶媒組成物、ならびに(ii)ドネペジルHClおよびアルカリ塩の反応によってin situで生成されるドネペジル塩基から構成される薬物リザーバとを含む。一実施形態では、薬物リザーバは、アクリレートコポリマーをさらに含む。
【0010】
一実施形態では、システムは、一実施形態では、接触用粘着剤層上に直接あり、接触用粘着剤層と薬物リザーバとの間に配置されている中間層をさらに含む。一実施形態では、中間層は、複数の細孔を含む微多孔質膜である。別の実施形態では、微多孔質膜中の複数の細孔は、クエン酸トリエチル、ソルビタンモノラウレート、および乳酸ラウリルのうちの1つまたは複数から構成される溶媒組成物を含有する。
【0011】
別の態様では、ドネペジルの全身的送達のための経皮送達システムが提供される。システムは、皮膚に面している側から順番に外部環境へ、使用者の皮膚にシステムを付着させるための皮膚接触用粘着剤層を含み、皮膚接触用粘着剤層は、ドネペジル塩基もドネペジル塩も含まない粘着剤配合物から任意選択で製造される。皮膚接触用粘着剤層に直接接触しているのは、中間層である。中間層の反対側の表面は、グリセリン、ならびにドネペジルHClおよびアルカリ塩の反応によってin situで生成されるドネペジル塩基から構成される薬物リザーバ層である。
【0012】
一実施形態では、薬物リザーバは、アクリル酸/酢酸ビニルのコポリマーを追加的に含む。
【0013】
他の実施形態では、経皮システムは、第1のバッキング層を追加的に含み、第1のバッキング層と接触しているのは粘着剤オーバーレイである。第2のバッキング層は、粘着剤オーバーレイおよび環境と接触していてよい。
【0014】
一実施形態では、皮膚接触用粘着剤層は、アクリル酸/酢酸ビニルのコポリマーから構成される。
【0015】
別の実施形態では、皮膚接触用粘着剤層は、架橋ポリビニルピロリドンを追加的に含む。
【0016】
さらに別の実施形態では、皮膚接触用粘着剤層は、クエン酸トリエチル、ソルビタンモノラウレート、および乳酸ラウリルからなる群から選択される1つまたは複数の溶媒を含む皮膚接触用粘着剤層溶媒組成物を含む。なおも別の実施形態では、接触用粘着剤層溶媒組成物は、クエン酸トリエチル、ソルビタンモノラウレート、および乳酸ラウリルのうちの少なくとも2つを含む。別の実施形態では、接触用粘着剤層溶媒組成物は、クエン酸トリエチル、ソルビタンモノラウレート、および乳酸ラウリルを含む。
【0017】
一実施形態では、中間層は、ドネペジル塩基についての速度制御膜である。
【0018】
別の実施形態では、速度制御膜は、微多孔質ポリプロピレンである。
【0019】
さらに別の実施形態では、中間層は、不織ポリエステルである。
【0020】
一実施形態では、薬物リザーバ層中のアルカリ塩は、炭酸水素ナトリウムである。
【0021】
別の実施形態では薬物リザーバ層は、クエン酸トリエチルを追加的に含む。
【0022】
なおも別の実施形態では、薬物リザーバ層は、ソルビタンモノラウレートおよび乳酸ラウリルの一方または両方を追加的に含む。
【0023】
さらに別の実施形態では、粘着剤オーバーレイは、ポリイソブチレンおよびポリブテン混合物から構成される。別の実施形態、実施形態では、粘着剤オーバーレイは、アクリレート粘着剤の単一層または一重層から構成される。
【0024】
一実施形態では、粘着剤オーバーレイは、第1の層および第2の層から構成され、第1の層はポリイソブチレン、ポリブテン、および架橋ポリビニルピロリドン混合物で構成され、第2の層はアクリル粘着剤で構成される。
【0025】
別の態様では、(i)ドネペジルHClおよびアルカリ塩の反応によってin situで生成されるドネペジル塩基、(ii)グリセリン(グリセロール)、ならびに任意選択で(iii)アクリル酸/酢酸ビニルのコポリマーを含む組成物が提供される。
【0026】
一実施形態では、薬物リザーバは、クエン酸トリエチルを含む。
【0027】
別の実施形態では、薬物リザーバは、ソルビタンモノラウレートを含む。
【0028】
なおも別の実施形態では、薬物リザーバは、架橋ポリビニルピロリドンを含む。
【0029】
さらに別の実施形態では、アルカリ塩は、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、オキシル酸ナトリウム(sodium oxylate)、コハク酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、およびサリチル酸ナトリウムからなる群から選択される。
【0030】
別の態様では、ドネペジルHClおよび炭酸水素ナトリウムの反応によってin situで生成されるドネペジル塩基;クエン酸トリエチル、ソルビタンモノラウレート、およびグリセリンの透過促進剤混合物;ならびに架橋ポリビニルピロリドンのポリマー粘着剤マトリックスおよびアクリル酸/酢酸ビニルのコポリマーから本質的になる組成物が提供される。
【0031】
さらに別の態様では、約5〜25重量%の間のドネペジルHClおよび約1〜5重量%の間の炭酸水素ナトリウムの反応によってin situで生成されるドネペジル塩基;約0〜15重量%のクエン酸トリエチル;約0〜5重量%のソルビタンモノラウレート;約5〜15重量%のグリセリン;約1〜10重量%の乳酸ラウリル;約5〜25重量%の架橋ポリビニルピロリドン;ならびに約30〜50重量%のアクリル酸−酢酸ビニルコポリマーから本質的になる組成物が提供される。
【0032】
さらに別の態様では、約10〜25重量%の間のドネペジルHClおよび約1〜5重量%の間の炭酸水素ナトリウムの反応によってin situで生成されるドネペジル塩基;約5〜15重量%のクエン酸トリエチル;約0.5〜5重量%のソルビタンモノラウレート;約5〜15重量%のグリセリン;約1〜10重量%の乳酸ラウリル;約5〜25重量%の架橋ポリビニルピロリドン;ならびに約30〜50重量%のアクリル酸−酢酸ビニルコポリマーから本質的になる組成物が提供される。
【0033】
なおも別の態様では、約14〜18重量%の間のドネペジルHClおよび約2〜5重量%の間の炭酸水素ナトリウムの反応によってin situで生成されるドネペジル塩基;約8〜12重量%のクエン酸トリエチル;約1.5〜2.5重量%のソルビタンモノラウレート;約9〜11重量%のグリセリン;約1〜10重量%の乳酸ラウリル;約13〜17重量%の架橋ポリビニルピロリドン;ならびに約40〜42重量%のアクリル酸−酢酸ビニルコポリマーから本質的になる組成物が提供される。
【0034】
なおも別の態様では、約10〜18重量%の間のドネペジルHClおよび約1〜5重量%の間の炭酸水素ナトリウムの反応によってin situで生成されるドネペジル塩基;約8〜12重量%のクエン酸トリエチル;約1.5〜2.5重量%のソルビタンモノラウレート;約9〜11重量%のグリセリン;約1〜10重量%の乳酸ラウリル;約13〜17重量%の架橋ポリビニルピロリドン;ならびに約40〜42重量%のアクリル酸−酢酸ビニルコポリマーから本質的になる組成物が提供される。
【0035】
さらに別の態様では、経皮デバイスまたは組成物は、本明細書に記載される組成物から構成され、速度制御膜または不織層;皮膚接触用粘着剤が提供される。
【0036】
一実施形態では、速度制御膜は、微多孔質ポリプロピレン膜である。
【0037】
一実施形態では、微多孔質膜は、複数の細孔を有し、ここでは、複数の細孔は、クエン酸トリエチル、ソルビタンモノラウレート、および乳酸ラウリルのうちの1つまたは複数から構成される溶媒組成物を含有する。
【0038】
別の実施形態では、皮膚接触用粘着剤は、クエン酸トリエチル、α−ヒドロキシ酸、または両方を含む。
【0039】
さらに別の実施形態では、α−ヒドロキシ酸は、乳酸またはグリコール酸のエステルである。
【0040】
一実施形態では、α−ヒドロキシ酸は、乳酸ラウリルである。
【0041】
別の態様では、アルツハイマー病を処置するための方法が提供され、ここで経皮送達システムもしくは組成物または本明細書に記載される組成物を含むシステムは、患者の皮膚への投与のために提供される。
【0042】
別の態様では、対象に対して治療剤を送達するための方法が提供され、方法は本明細書に記載される経皮送達システムまたは本明細書に記載される組成物を含む経皮送達システムを準備すること、および対象の皮膚に対して経皮送達システムを投与することまたはそれを投与するように指示することを含む。投与することは、治療剤の経口投与と生物学的に同等である、治療剤の経皮送達を達成し、ここで、生物学的同等性は、(a)0.70から1.43の間もしくは0.80から1.25の間にある、経皮送達システムから、および経口送達を介して投与される治療剤の、相対的な平均CmaxおよびAUCの90%信頼区間、または(b)0.70から1.43の間もしくは0.80から1.25の間にある、経皮送達システムから、および経口送達を介して投与される治療剤の、AUCおよびCmaxの幾何平均比の90%信頼区間によって確立される。
【0043】
一実施形態では、生物学的同等性は、健常対象において確立される。
【0044】
別の実施形態では、生物学的同等性は、絶食状態において確立される。一実施形態では、生物学的同等性は、摂食または非絶食状態において確立される。
【0045】
なおも別の実施形態では、生物学的同等性は、同じ用量の、経口的および経皮的に与えられる治療剤を使用して確立される。別の実施形態では、経皮的に与えられる治療剤の用量は、経口的に与えられる用量の約5%、10%、または15%以内である。
【0046】
さらに別の実施形態では、慢性状態は、アルツハイマー病である。
【0047】
なおも別の実施形態では、投与することまたは投与するように指示することは、週1回投与することまたは投与するように指示することを含む。
【0048】
一実施形態では、経皮送達システムは、0.05〜25mg/24時間、0.1〜25mg/24時間、1〜25mg/24時間または5〜10mg/24時間を提供する用量のドネペジル塩基を含む。
【0049】
上記の例示的態様および実施形態に加えて、さらなる態様および実施形態が、図表を参照することによっておよび以下に記載の研究によって明らかになるであろう。
【0050】
本システム、方法および組成物、ならびに同類のものの追加的な実施形態が、以下の発明を実施するための形態、図面、実施例、および特許請求の範囲から明らかとなるであろう。前述の記載および以下の記載から理解することができるように、本明細書に記載されるありとあらゆる特色、およびそのような特色のうちの2つまたはそれよりも多くのありとあらゆる組合せが、そのような組合せに含まれる特色が相互に矛盾しない限り、本開示の範囲内に含まれる。加えて、任意の特色または特色の組合せが、本発明の任意の実施形態から特に除外される場合もある。特に添付の実施例および図面と併せて考察した場合、本発明の追加的な態様および利点が、以下の発明を実施するための形態および特許請求の範囲において示される。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】図1A〜1Dは、いくつかの実施形態による経皮送達システムの例証である。
【0052】
【図2A】図2Aは、ドネペジル経皮送達システムで1週間処置されたヒト対象(丸)、または1日目および7日目に経口投与される5mgのドネペジルで処置されたヒト対象(三角)における、時間(日数単位)の関数としてのドネペジルの平均血漿中濃度(ng/mL単位)のグラフである。
【0053】
【図2B】図2Bは、5mgのドネペジル錠剤を経口投与した後(三角)およびドネペジル経皮送達システムを取り外した後(丸)の24時間の、ドネペジルの平均血漿中濃度(ng/mL単位)を示すグラフである。
【0054】
【図3】図3は、1週間に1回新しいパッチを適用しながら、28日間(4週間)の処置期間の最終週に、10mg/日を1週間投与するように設計された経皮送達システムを用いた場合(実線)、および28日間にわたって、毎日10mgのドネペジルの経口錠剤を用いた場合(破線)の、ドネペジルの予測される(projected)平均血漿中濃度(ng/mL単位)を示すグラフである。
【0055】
【図4】図4は、ドネペジル経皮送達システムを用いて1週間処置された群における対象の数およびパッチを取り外した後に観察された皮膚刺激の棒グラフであり、ここでは、白い棒は皮膚刺激がないことを示しており、塗りつぶされた棒は軽度の皮膚刺激を示している。
【0056】
【図5A】図5Aは、臨床ヒト研究の5週目の日毎のドネペジルの平均血漿中濃度(ng/mL単位)を示している。この研究では、対象は、第1の表面積を有する経皮パッチ(実線)および第2のより大きい表面積を有する経皮パッチ(破線)から経皮的に投与されるドネペジル、ならびに経口投与されるドネペジルで処置された。この場合、経口的に処置された患者のドネペジル血漿中濃度は、6日目〜7日目において濃い太線で示されており、点線は、経口処置の場合の予測される日毎の血漿中濃度を示している。
【0057】
【図5B】図5Bは、対象が図5Aに記載されたように処置された臨床研究において対象によって報告された、胃腸関連有害事象(吐き気、嘔吐、および下痢)の数を示す棒グラフである。破線で塗りつぶされた棒は、小さい方のサイズの経皮パッチで毎週処置された対象に対応し、縦線で塗りつぶされた棒は、大きい方のサイズの経皮パッチで毎週処置された対象に対応し、横線で塗りつぶされた棒は、経口ドネペジルで処置された対象に対応する。
【発明を実施するための形態】
【0058】
詳細な説明
I.定義
これより、以下において、様々な態様についてより完全に説明する。しかしながら、そのような態様は、多くの異なる形態で具体化することができ、本明細書に示される実施形態に限定されるものとして解釈されるべきではない;むしろ、これらの実施形態は、本開示が網羅的かつ完全であり、当業者にその範囲を完全に伝えることができるように提供されるものである。
【0059】
値の範囲が提供される場合、その範囲の上限と下限との間のそれぞれの介在値、および明言された範囲内の任意の他の明言された値または介在値が、本開示内に包括されることが意図される。例えば、1μmから8μmの範囲が明言された場合、2μm、3μm、4μm、5μm、6μm、および7μm、ならびに1μmよりも大きいまたはそれに等しい値の範囲および8μm未満またはそれに等しい値の範囲もまた明示的に開示されていることが意図される。
【0060】
文脈が別途明確に規定しない限り、「ある1つの(a)」、「ある1つの(an)」、および「その(the)」という単数形は、複数の指示対象を包含する。したがって、例えば、「ポリマー」に対する言及は、単一のポリマー、および2つまたはそれよりも多くの同じまたは異なるポリマーを包含し、「賦形剤」に対する言及は、単一の賦形剤、および2つまたはそれよりも多くの同じまたは異なる賦形剤、ならびに同類のものを包含する。
【0061】
「約」という語は、数値の直前にある場合は、その値のプラスまたはマイナス10%の範囲を意味し、本開示の文脈により別途示されない限りまたは本開示の文脈がそのような解釈と矛盾しない限り、例えば、「約50」は45から55を意味し、「約25,000」は22,500から27,500などを意味する。例えば、数値のリスト、例えば「約49、約50、約55」などにおいては、「約50」は、前述の値と後続の値との間の間隔の半分未満まで拡張する範囲、例えば49.5超から52.5未満を意味する。さらに、「約(ある値)未満」または「約(ある値)超」という語句は、本明細書において提供される「約」という用語の定義の見地から理解されるべきである。
【0062】
「薬物」または「活性剤」または「治療活性剤」という用語は、交換可能に使用される。
【0063】
本明細書に記載される場合、「粘着剤マトリックス」は、一片で作製されたマトリックス、例えば溶媒キャスティングまたは押し出しを介して作製されたマトリックス、および、次に合わせてプレスされるまたは接合される2つまたはそれより多い部分で形成されたマトリックスを包含する。
【0064】
本明細書において使用される場合、「ドネペジル」は、2,3−ジヒドロ−5,6−ジメトキシ−2−[[1−(フェニルメチル)−4−ピペリジニル]メチル]−1H−インデン−1−オンを指す。
【0065】
本明細書において使用される場合、「処置」、「療法」、「治療的」、および同類の用語は、病理学的状態に向けた、あらゆる一連の医学的介入を包括し、疾患の根治だけでなく、疾患の予防、制御、または疾患もしくは病徴を軽減するために採用されるステップすら包含する。
【0066】
本明細書において使用される場合、「皮膚」という用語は、粘膜内壁を有する体腔の内面を包含する、皮膚または粘膜組織を指す。「皮膚」という用語は、「粘膜組織」を包含するものとして解釈されるべきであり、逆もまた同様である。
【0067】
本明細書において使用される場合、「治療有効量」という用語は、無毒性であるが、所望される治療効果を提供するために十分である活性剤の量を指す。「有効」である量は、当業者に公知の通り、個体の年齢および全身状態、具体的な活性剤に応じて対象によって変動する。
【0068】
「薬学的に許容される」という語句は、本明細書において、理にかなった医学的判断の範囲内にあり、過剰な毒性、刺激、アレルギー応答、または他の問題もしくは合併症を伴わずに人間および/または他の哺乳動物の組織と接触させて使用するのに好適であり、妥当な損益比と釣り合うような、化合物、塩、組成物、剤形などを指すために用いられる。一部の態様では、「薬学的に許容される」は、連邦政府もしくは州政府の規制当局によって認可されていること、または哺乳動物(例えば、動物)、より具体的にはヒトにおける使用について、米国薬局方もしくは他の一般に認知されている薬局方に列挙されていることを意味する。
【0069】
本明細書において使用される場合、「経皮」または「経皮送達」という用語は、活性剤が体表面、例えば皮膚を通過して個体の血流中に入るように、個体の体表面に対して活性剤を投与することを指す。「経皮」という用語は、経粘膜投与、すなわち、薬剤が粘膜組織を通過して個体の血流中に入るように、個体の粘膜(例えば、舌下、口腔、膣、直腸)表面に対して薬物を投与することを包含することが意図される。
【0070】
「処置する」という用語は、本明細書において、例えばアルツハイマー病などの障害を処置する方法に関して使用され、一般に、化合物または組成物を受容しない対象と比較して、対象における医学的状態(例えば、アルツハイマー病)の頻度を低減するか、またはその発症、症状を遅延させる化合物または組成物の投与を包含する。これには、対象の状態(例えば、精神的機能の退行)を改善または安定化するような様式で、状態の症状、臨床徴候、および根底にある病理を逆転させること、低減すること、または阻止することが含まれ得る。
【0071】
本開示の組成物は、開示される構成成分を含んでもよく、それらから本質的になってもよく、またはそれらからなってもよい。
【0072】
別途指定されない限り、すべての百分率、部、および比は、局所用組成物の総重量に基づき、すべての測定は、約25℃において行われる。
【0073】
ある範囲に従ってまたは任意の類似する様式で特許請求することができる任意のそのような群の任意の個別のメンバー(群内の任意の部分範囲または部分範囲の組合せを含む)を、排除または除外する権利を留保することによって、本開示の全体の記載よりも少ないものを任意の理由で特許請求することができる。さらに、任意の個別の置換基、類似体、化合物、リガンド、構造、もしくはそれらの群、または特許請求される群の任意のメンバーを、排除または除外する権利を留保することによって、本開示の全体の記載よりも少ないものを任意の理由で特許請求することができる。
【0074】
本開示全体を通じて、様々な特許、特許出願、および刊行物が参照される。これらの特許、特許出願、および刊行物の開示は、本開示の日付時点で当該技術分野の当業者に公知の最新技術をより完全に説明するために、それら全体が参照により本開示に援用される。引用される特許、特許出願、および刊行物と、本開示との間において任意の矛盾が存在する場合、本開示が優先される。
【0075】
便宜上、本明細書、実施例、および特許請求の範囲において用いられるある特定の用語について、ここに集めてある。別途定義されない限り、本開示において使用されるすべての技術用語および科学用語は、本開示が属する技術分野における当業者が一般的に理解するものと同じ意味を有する。
【0076】
II.経皮送達システムおよび経皮送達システムにおける使用のための組成物
ドネペジルの全身的送達のための経皮送達システムが提供される。一般に経皮システムは、皮膚接触用粘着剤および薬物リザーバから構成される。一実施形態では、システムは、典型的には布または膜または他の非粘着剤材料であり、薬物リザーバと皮膚接触用粘着剤との間に配置される中間層を追加的に含む。システム中の層の組成を以下に記載する。
【0077】
薬物リザーバは、一実施形態では、溶媒混合物ならびにドネペジル塩およびアルカリ塩の反応によってin situで生成されるドネペジル塩基を含む組成物である。薬物リザーバは、塩形態のドネペジル、例えば、ドネペジル塩酸塩(HCl)および、ドネペジル塩基を形成するようにin situで反応するアルカリ塩、を使用して製造される。アルカリ塩は、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、オキシル酸ナトリウム、コハク酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、またはサリチル酸ナトリウムであってよい。
【0078】
薬物リザーバ中の溶媒組成物は、塩形態の活性剤(例えばドネペジル塩酸塩)が溶解する親水性溶媒、透過促進剤、および他の溶媒を含んでよい。一実施形態では、塩形態の活性剤を可溶化するための親水性溶媒は、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン(グリコール)、アセトニトリル、1−プロパノール、N,N−ジメチルホルムアミド、およびジメチルスルホキシドから選択される親水性溶媒である。一実施形態では、および本明細書の実施例において例証される通り、親水性溶媒はグリセリンである。一部の実施形態では、皮膚透過促進剤としてのα−ヒドロキシ酸が存在する。α−ヒドロキシ酸の形態での促進剤は、好ましくは乳酸またはグリコール酸のエステルであり、例は乳酸ラウリルである。溶媒組成物は、別の実施形態では、クエン酸トリエチルも含み、他の実施形態では、グリセリンおよびソルビタン(モノ)ラウレートの一方または両方が追加的に存在する。
【0079】
薬物リザーバは、一実施形態では、ポリマー粘着剤層である。粘着剤層は、感圧性粘着剤ポリマーなどの様々な粘着剤材料のいずれかで形成されてよい。ポリアクリレート感圧性粘着剤ポリマーは、一例であり、アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステルから選択されるポリマーまたはモノマーのコポリマーまたはモノマーであるポリアクリレートを典型的には含む。アクリル酸および酢酸ビニルなどの他のモノマーが存在してもよい。複数の実施形態では、アクリルポリマーは、2−エチルヘキシルアクリレート(2−EHA)およびエチルアクリレートなどのアクリルエステルに基づく。一部の実施形態では、ポリアクリレートポリマーは、アクリル酸および酢酸ビニルから選択されるポリマーまたはモノマーのコポリマーまたはモノマーである。複数の実施形態では、アクリルポリマー粘着剤は、ペンダントカルボキシル(−COOH)またはヒドロキシル(−OH)官能基を有する。複数の実施形態では、アクリルポリマー粘着剤は、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、それらの誘導体、およびそれらのコポリマーのうちの少なくとも1つを含む。複数の実施形態では、アクリル粘着剤は、アクリルエステルモノマー、アクリル酸、および/または酢酸ビニルモノマーを含むアクリレートコポリマーから構成される。アクリル酸および酢酸ビニルのコポリマーは、一例である。アクリレートコポリマーは、DURO−TAK(登録商標)の商品名で販売されており、限定されるものではないが、DURO−TAK(登録商標)387−2516、387−2051、387−2287、および387−2074が挙げられる。
【0080】
薬物リザーバは、ポリビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマー、アクリル酸/酢酸ビニルコポリマー、または酢酸ビニル/エチレンアセテートコポリマーなどのコポリマーも含んでよい。一実施形態では、コポリマーは、Plasdone(商標)S630(Ashland)として販売されているコポリマーなどの酢酸ビニル/N−ビニルピロリドンコポリマーである。別の実施形態では、ポリビニルピロリドン−酢酸ビニルコポリマーは、n−ビニル−2−ピロリドンおよび酢酸ビニルの線状ランダムコポリマーである。一実施形態では、コポリマーは、n−ビニル−2−ピロリドンおよび酢酸ビニルの60:40コポリマーである。
【0081】
薬物リザーバは、ポリビニルピロリドン(PVP)も含んでよい。PVPは、N−ビニルピロリドンモノマーから構成される水溶性ポリマーであり、架橋されているものおよび架橋されていないものを含む様々な形態で利用可能である。本明細書の一部の実施例では、架橋PVPは、粘着剤マトリックス薬物リザーバに含まれる。
【0082】
一部の実施形態では、薬物リザーバは、薬物リザーバの重量に対して少なくとも約25〜80重量%の粘着剤ポリマーを(部分範囲を含めて)含む。複数の実施形態では、薬物リザーバは、少なくとも約35〜80%、少なくとも約30〜65%、少なくとも約30〜75%、少なくとも約40〜75%、少なくとも約50〜75%、少なくとも約60〜75%、少なくとも約25〜70%、少なくとも約30〜70%、少なくとも約40〜70%、少なくとも約50〜70%、少なくとも約60〜70%、少なくとも約25〜60%、少なくとも約30〜60%、少なくとも約40〜60%、少なくとも約50〜60%、少なくとも約25〜50%、少なくとも約30〜50%、少なくとも約40〜50%、少なくとも約25〜40%、少なくとも約30〜40%、または少なくとも約25〜30%の粘着剤ポリマーもしくはコポリマーまたはポリマーおよび/もしくはコポリマーの混合物を含む(すべて重量%での百分率)。薬物リザーバ粘着剤マトリックスが、1つもしくは複数のまたは少なくとも1つの粘着剤ポリマーまたはコポリマーを含んでもよいことが理解されるであろう。複数の実施形態では、粘着剤マトリックス薬物リザーバは、マトリックス中のポリマーの総重量に対して個々のポリマーの少なくとも約5〜75%を含む。複数の実施形態では、粘着剤マトリックス薬物リザーバは、個々のポリマーの少なくとも約5〜10%、5〜15%、5〜20%、5〜25%、5〜30%、5〜40%、5〜50%、5〜60%、5〜70%、5〜75%、10〜15%、10〜20%、10〜20%、10〜25%、10〜30%、10〜40%、10〜50%、10〜60%、10〜70%、10〜75%、15〜20%、15〜25%、15〜30%、15〜40%、15〜50%、15〜60%、15〜70%、15〜75%、20〜25%、20〜30%、20〜40%、20〜50%、20〜60%、20〜70%、20〜75%、25〜30%、25〜40%、25〜50%、25〜60%、25〜70%、25〜75%、30〜40%、30〜50%、30〜60%、30〜70%、30〜75%、40〜50%、40〜60%、40〜70%、40〜75%、50〜60%、50〜70%、50〜75%、60〜70%、60〜75%、または70〜75%を含む。
【0083】
例示的薬物リザーバは、ドネペジルHClおよび炭酸水素ナトリウムの反応によってin situで生成されるドネペジル塩基;親水性溶媒、透過促進剤、ならびに任意選択でクエン酸トリエチルおよびソルビタンモノラウレートの一方または両方を含む溶媒組成物;架橋ポリビニルピロリドン、ならびにアクリル酸/酢酸ビニルのコポリマーを含むか、またはそれらから本質的になる。別の例示的薬物リザーバでは、約5〜25重量%または10〜25重量%の間のドネペジルHClおよび約1〜5重量%の間の炭酸水素ナトリウムの反応によってin situで生成されるドネペジル塩基;約0〜15重量%または5〜15重量%のクエン酸トリエチル;約0〜5重量%または0.5〜5重量%のソルビタンモノラウレート;約5〜15重量%のグリセリン;約1〜10重量%の乳酸ラウリル;約5〜25重量%の架橋ポリビニルピロリドン;および約30〜65重量%または30〜50重量%のアクリル酸−酢酸ビニルコポリマーを含むか、またはそれらから本質的になる組成物が検討される。別の例では、約10〜18重量%または14〜18重量%の間のドネペジルHClおよび約1〜5重量%または2〜5重量%の間の炭酸水素ナトリウムの反応によってin situで生成されるドネペジル塩基;約8〜12重量%のクエン酸トリエチル;約1.5〜2.5重量%のソルビタンモノラウレート;約9〜11重量%のグリセリン;約1〜10重量%の乳酸ラウリル;約13〜17重量%の架橋ポリビニルピロリドン;および約40〜42重量%のアクリル酸−酢酸ビニルコポリマーから本質的になる組成物が検討される。透過促進剤乳酸ラウリルは、約0.5〜10重量%、0.5〜7.5重量%、1〜10重量%、1〜7重量%、1〜5重量%、2〜7重量%、2〜5重量%、または1.5〜5重量%、または1.5〜4重量%の間であってよい。
【0084】
本明細書および上文に記載されているような薬物リザーバは、経皮送達システムにおける使用のために検討され、システムは皮膚接触用粘着剤を追加的に含む。皮膚接触用粘着剤層は、本明細書および上文に列挙される粘着剤材料のいずれかから製作されてよい。皮膚接触用粘着剤層は、一実施形態では、約50〜90重量%の間の、または約55〜90重量%の間の、または約60〜90重量%の間の、約65〜90重量%の間の、約70〜90重量%の間の、約75〜90重量%の間の、または約80〜90重量%の間の粘着剤ポリマーまたはコポリマーを含む。一実施形態では、皮膚接触用粘着剤は、アクリル酸/酢酸ビニルのコポリマーから構成される。別の実施形態では、皮膚接触用粘着剤層は、架橋ポリビニルピロリドンなどのポリビニルピロリドンを追加的に含む。
【0085】
皮膚接触用粘着剤層は、透過促進剤を含む場合がある溶媒混合物も含んでよい。複数の実施形態では、皮膚接触用粘着剤層は、透過促進剤ならびにクエン酸トリエチルおよびソルビタンモノラウレートの一方または両方を含む溶媒組成物を含む。一実施形態では、製造されたばかりの皮膚接触用粘着剤層は、全身的送達を意図した薬学的活性剤を含んでおらず、例えば、皮膚接触用粘着剤層を形成するために合わせられた成分はドネペジル塩基もドネペジル塩も含まない。しかしながら、皮膚接触用粘着剤層は、経皮送達システムへと製作され、ある期間保管された場合、および/または使用中に、薬物リザーバ粘着剤マトリックスから皮膚接触用粘着剤層への薬剤の拡散作用に起因して、全身的送達を意図する薬学的活性剤を含有するであろう。
【0086】
皮膚接触用粘着剤層および薬物リザーバの一方または両方における浸透または透過促進剤は、当該技術分野において公知の多種多様なそのような化合物から選ぶことができる。一部の実施形態では、粘着剤マトリックスにおいて使用するための透過促進剤としては、限定されるものではないが、ラウリン酸メチル、プロピレングリコールモノラウレート、グリセロールモノラウレート、グリセロールモノオレエート、乳酸ラウリル、乳酸ミリスチル、および酢酸ドデシルが挙げられる。追加的な透過促進剤については、米国特許第8,874,879号に記載されており、これは参照により本明細書に援用される。本発明の組成物は、1種もしくは複数種、または少なくとも1種の透過促進剤を含んでもよいことが理解されるであろう。複数の実施形態では、浸透または透過促進剤は、粘着剤マトリックスの重量に対して約1〜10%、約2〜5%、約2〜10%の間の量で含まれる(部分範囲を含む)。他の実施形態では、透過促進剤は、約0.5〜10重量%、0.5〜7.5重量%、1〜7重量%、1〜5重量%、2〜7重量%、2〜5重量%、または1.5〜5重量%、または1.5〜4重量%の間の量で薬物リザーバおよび/または接触用粘着剤層中に存在する。
【0087】
皮膚接触用粘着剤層および薬物リザーバの一方または両方は、1種または複数種のマトリックス改質剤を含んでもよい。理論によって束縛されることを意図するものではないが、マトリックス改質剤は、粘着剤マトリックスの均質化を助長すると考えられる。親水性部分の吸着が、このプロセスに関して可能性のあるメカニズムである。したがって、ある程度水吸着剤である公知のマトリックス改質剤を使用することができる。例えば、可能性のあるマトリックス改質剤としては、コロイド状二酸化ケイ素、ヒュームドシリカ、架橋ポリビニルピロリドン(PVP)、可溶性PVP、セルロース誘導体(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC))、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸塩、またはカオリンもしくはベントナイトなどのクレイが挙げられる。例示的な市販のヒュームドシリカ製品は、Cab−O−Sil(Cabot Corporation、Boston、Mass.)である。また、米国特許出願公開第2003/0170308号に記載されている親水性混合物、例えば、PVPとPEGの混合物、またはPVP、PEG、および水膨潤性ポリマー、例えばEUDRAGITの商品名で販売されているポリメタクリレート系コポリマー、具体的にはEUDRAGIT(登録商標)L100−55などの混合物を用いることもできる。
【0088】
複数の実施形態では、マトリックス改質剤は、少なくとも約3重量%、例えば約4重量%、約5重量%、約6重量%、約7重量%、約8重量%、約9重量%、約10重量%、約11重量%、約12重量%、約13重量%、約14重量%、約15重量%、約16重量%、約17重量%、約18重量%、約19重量%、約20重量%、またはそれよりも多い重量%(すべてが粘着剤層全体の重量に対する値である)を含めた、粘着剤マトリックスの重量に対して約1〜40%、約10〜30%、約15〜25%、約5〜7%、約7〜20%、または約7〜25%の間の量(部分範囲を包含する)で、接触用粘着剤層内に個別に含まれる。一部の実施形態では、マトリックス改質剤は、エチルセルロースを含まない。
【0089】
皮膚接触用粘着剤層および薬物リザーバの一方または両方は、当該技術分野において公知であるような、他の従来の添加剤、例えば接着薬剤、抗酸化剤、架橋剤または硬化剤、pH調節剤、顔料、染料、屈折粒子、伝導性種、抗菌剤、乳白剤、ゲル化剤、粘度調整剤または増粘剤、安定化剤、および同類のものなどをさらに含んでもよい。また、接着性を低減するまたは除く必要があるような実施形態では、従来の減粘剤を使用することもできる。また、保管中の変質を防止するため、すなわち、酵母菌およびカビなどの微生物の増殖を阻害するために、他の薬剤、例えば抗菌剤などを添加することもできる。好適な抗菌剤は、典型的には、p−ヒドロキシ安息香酸のメチルエステルおよびプロピルエステル(すなわち、メチルパラベンおよびプロピルパラベン)、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸、イミド尿素、ならびにそれらの組合せからなる群から選択される。これらの添加剤およびそれらの量については、それらが粘着剤および/または活性剤の所望される化学的特性および物理的特性に対して有意に干渉しないようなやり方で選択される。
【0090】
また、皮膚接触用粘着剤層および薬物リザーバの一方または両方は、薬物、促進剤、または組成物の他の構成成分に起因する皮膚刺激および/または皮膚損傷の可能性を最小化または排除するために、刺激軽減添加剤をさらに含有してもよい。好適な刺激軽減添加剤としては、例えば:α−トコフェロール;モノアミンオキシダーゼ阻害剤、特に2−フェニル−1−エタノールなどのフェニルアルコール;グリセリン;サリチル酸およびサリチレート;アスコルビン酸およびアスコルベート;モネンシンなどのイオノフォア;両親媒性アミン;塩化アンモニウム;N−アセチルシステイン;シス−ウロカニン酸;カプサイシン;クロロキン;ならびにコルチコステロイドが挙げられる。
【0091】
薬物リザーバおよび皮膚接触用粘着剤から構成される経皮送達システムは、様々な構成を有することができ、いくつかの非限定的な例が、図1A〜1Dに描写され、記載されている。図1Aは、速度制御膜または非速度制御材料、例えば不織ポリエステルまたはポリプロピレンで構成されるタイ層16などによって分離された、薬物リザーバ12および接触用粘着剤14から構成される、経皮送達システム10を例証している。また、バッキング層18および剥離ライナー20も存在している。図1Bは、第1の薬物リザーバ24および第2の薬物リザーバ26から構成される、第2の実施形態の経皮送達システム22であって、第1の薬物リザーバおよび第2の薬物リザーバが、非速度制御材料、例えば不織ポリエステルまたはポリプロピレンで構成されるタイ層28などによって分離されている、経皮送達システムを例証している。接触用粘着剤層30が、使用者の皮膚に対するシステムの付着をもたらし、速度制御膜32が、第2の薬物リザーバから接触用粘着剤への、そして最終的には使用者の皮膚への治療剤の放出を制御する。また、剥離ライナー34およびバッキング層36も存在している。図1Cは、薬物リザーバ42、および使用者の皮膚に対するシステムの付着をもたらす接触用粘着剤層44から構成される、別の実施形態の経皮送達システム40を示している。また、バッキング層46および剥離ライナー48も存在している。
【0092】
図1Dは、ドネペジル塩基の全身的送達のための経皮送達システムの別の実施形態を示す。システム50は、皮膚に面する側52から順番に外部環境に面する側54へ、使用者の皮膚にシステムを付着させるための皮膚接触用粘着剤層56を含む。一実施形態では、製造される皮膚接触用粘着剤層は、ドネペジル塩基もドネペジル塩も含まない粘着剤配合物から製造される。皮膚接触用粘着剤層に直接接しているのは、中間層58である。中間層は、例えば、微多孔質ポリエチレンまたはポリプロピレンなどの、不織ポリエステル材料または薬物速度制御膜であってよい。中間層は、対向しあう側、皮膚に面している側(皮膚接触用粘着剤層56と接触している)および環境に面している側を有する。中間層の環境に面している側は、薬物リザーバ60である。薬物リザーバは、ドネペジルHClおよびアルカリ塩を含む。これらの構成要素は、皮膚へのシステムの適用後に使用者に送達される薬物リザーバ中でドネペジル塩基を生成するようにin situで反応する。薬物リザーバ層と接触しているのは第1のバッキング層62であり、第1のバッキング層と接触しているのは任意選択の粘着剤オーバーレイ64である。任意選択の第2のバッキング層66は、粘着剤オーバーレイと環境とに接触している。一実施形態では、任意選択の粘着剤オーバーレイ64は、2つの異なる粘着剤層、例えば、架橋ポリビニルピロリドンを含む場合も含まない場合もあるポリイソブチレンおよびポリブテンの第1の層、およびアクリル粘着剤の第2の層で構成される。別の実施形態では、任意選択の粘着剤オーバーレイ64は、アクリレート粘着剤の単一層で構成される。
【0093】
したがって、一実施形態では、ドネペジル塩基の全身的送達のための経皮送達システムが提供される。システムは、皮膚に面している側から順番に外部環境へ、使用者の皮膚にシステムを付着させるための皮膚接触用粘着剤層を含み、皮膚接触用粘着剤層は、ドネペジル塩基もドネペジル塩も含まない粘着剤配合物から任意選択で製造される。皮膚接触用粘着剤層に直接接触しているのは、中間層である。中間層の反対側の表面は、溶媒組成物ならびにドネペジルHClおよびアルカリ塩の反応によってin situで生成されるドネペジル塩基から構成される薬物リザーバである。一実施形態では、溶媒組成物は、クエン酸トリエチル、界面活性剤、透過促進剤のうちの1つまたは複数を含む。好ましい実施形態では、溶媒組成物は、クエン酸トリエチル、界面活性剤、α−ヒドロキシ酸透過促進剤を含む。薬物リザーバは、一実施形態では、アクリル酸/酢酸ビニルのコポリマーであってよい粘着剤を含む。
【0094】
中間層は、布層、膜またはタイ層とも称され、限定されるものではないが、ポリエステル、酢酸ビニルポリマーおよびコポリマー、ポリエチレンならびにそれらの組合せが挙げられる任意の好適な材料で形成されてよい。一実施形態では、中間層は、Reemay(登録商標)(Kavon Filter Products Co.)の名称で販売されているフィルムなどのポリエステル繊維の不織層である。複数の実施形態では、中間層は、粘着剤層からの活性剤の放出速度に影響を与えない。別の実施形態では、中間層は、ドネペジル塩基についての速度制御膜である。
【0095】
一実施形態では、中間層は、複数の細孔を含む微多孔質膜である。実施例に記載される通り調製された例示的経皮システムでは、微多孔質膜中の複数の細孔は、溶媒組成物を含有する。一実施形態では、微多孔質膜の細孔内の溶媒組成物は、薬物リザーバおよび接触用粘着剤の一方または両方に存在する溶媒のうちの1種または複数種から構成される。例えば、微多孔質膜の細孔内に含有される例示的溶媒組成物は、クエン酸トリエチル、α−ヒドロキシ酸界面活性剤、および透過促進剤のうちの1つまたは複数である。別の例示的実施形態は、クエン酸トリエチル、ソルビタンモノラウレート、および乳酸ラウリルのうちの1つまたは複数から構成される溶媒組成物である。一実施形態では、溶媒組成物は、40〜80重量%の間のクエン酸トリエチル、5〜40重量%の間の乳酸ラウリル、および5〜25重量%の間のソルビタンラウレートを含む。別の実施形態では、溶媒組成物は、50〜75重量%または55〜70重量%の間のクエン酸トリエチル、10〜35重量%または15〜30重量%の間の乳酸ラウリル、および8〜20重量%または10〜15重量%の間のソルビタンラウレートを含む。一実施形態では、微多孔質膜の細孔内に含有される溶媒組成物は、薬物リザーバ内に存在する親水性溶媒を除外する。一実施形態では、微多孔質膜の細孔内に含有される溶媒組成物は、グリセリンを除外する。
【0096】
微多孔質膜は、その細孔に溶媒組成物を染み込ませるか、それを充填するか、またはそれを部分的に充填するように、溶媒組成物で前処理してもよい。微多孔質膜は、一実施形態ではポリプロピレン微多孔質膜であり、約0.001μmから約100μm、約1μmから約10μm、約0.010μmから約0.100μm、または約0.040μmから約0.050μmの範囲の平均孔径を有し得る。例えば、平均孔径は、約0.035μm、0.036μm、0.037μm、0.038μm、0.039μm、0.040μm、0.041μm、0.042μm、0.043μm、0.044μm、0.045μm、0.046μm、0.047μm、0.048μm、0.049μm、または0.050μmであってもよい。一部の実施形態では、微多孔質膜は、約0.043μmの平均孔径を有する。微多孔質膜は、一実施形態ではポリプロピレン微多孔質膜であり、約30%から約50%、約35%から約45%、または約40%から約42%の範囲の多孔度を有する。例えば、微多孔質膜は、約30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、または50%の多孔度を有してもよい。
【0097】
図1Dの送達システム中の粘着剤オーバーレイは、一実施形態では、ポリイソブチレンおよびポリブテン混合物から構成される。別の実施形態では、粘着剤オーバーレイは、第1の層および第2の層から構成され、第1の層はポリイソブチレン、ポリブテン、および架橋ポリビニルピロリドン混合物で構成され、第2の層はアクリル粘着剤で構成される。ポリイソブチレンは、イソブチレンモノマーから構成されるビニルポリマーである。ポリブテンは、少量のイソブチレンを用いる1−および2−ブテンのコポリマー化によって調製される粘稠性、非乾性、液体ポリマーである。一部の実施形態では、ポリブテンは、一実施形態では、約750〜6000ダルトンの間、好ましくは約900〜4000ダルトンの間、および好ましくは約900〜3000ダルトンの間の分子量を有する。一部の実施形態では、混合物は、ポリイソブチレンブレンド中に約40重量パーセントでポリブテンを含む。さらに一般にはポリブテンは、20〜50重量パーセントの間、または25〜45重量パーセントの間の量でポリイソブチレンブレンド中に存在する。別の実施形態では、粘着剤オーバーレイは、単一層であり、単一層粘着剤オーバーレイを形成するアクリレートコポリマーから構成される。例示的アクリレートコポリマーは、DuroTak(登録商標)387−2052である。
【0098】
経皮送達システムは、下部にある粘着剤層(複数可)を保持するまたは支持するための構造要素を提供するバッキング層を含む。バッキング層は、当技術分野において公知であるような任意の好適な材料で形成されてよい。一部の実施形態では、バッキング層は、閉塞性である。一部の実施形態では、バッキングは、湿度に対して好ましくは不浸透性または実質的に不浸透性である。一例示的実施形態では、バリア層は、約50g/m−日未満の水蒸気透過速度を有する。一部の実施形態ではバッキング層は、好ましくは不活性であり、および/または活性剤を含む粘着剤層の構成要素を吸収しない。一部の実施形態では、バッキング層は、バッキング層を通じた粘着剤層の構成要素の放出を好ましくは妨げる。バッキング層は、柔軟であってもなくてもよい。バッキング層がパッチが適用される皮膚の形状に少なくとも部分的に適合できるように、バッキング層は、好ましくは少なくとも部分的に柔軟である。一部の実施形態では、バッキング層がパッチが適用される皮膚の形状に適合するように、バッキング層は、柔軟である。一部の実施形態では、バッキング層は、移動、例えば皮膚の移動に伴って適用部位でのコンタクトを維持するために十分柔軟である。典型的には、バッキング層のために使用される材料は、デバイスが皮膚または他の適用部位の輪郭に沿えるようにし、通常機械的な歪みに供される関節または他の湾曲ポイントなどの皮膚領域に、皮膚とデバイスとの可動性または弾力性における差異により皮膚からデバイスが離れる可能性が少ないまたはないように、快適に装着されなければならない。
【0099】
一部の実施形態では、バッキング層は、フィルム、不織布、織布、積層体、およびそれらの組合せのうちの1つまたは複数から形成される。一部の実施形態では、フィルムは、1つまたは複数のポリマーから構成されるポリマーフィルムである。好適なポリマーは、当技術分野において公知であり、エラストマー、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、およびポリエーテルアミドが挙げられる。一部の実施形態では、バッキング層は、ポリエチレンテレフタラート、様々なナイロン、ポリプロピレン、金属化ポリエステルフィルム、ポリ塩化ビニリデン、およびアルミニウム箔のうちの1つまたは複数から形成される。一部の実施形態では、バッキング層は、ポリエチレンテレフタラート、ポリウレタン、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、およびポリエチレンなどの1つまたは複数のポリエステルで形成された布である。1つの具体的だが非限定的な実施形態では、バッキング層は、ポリエステルフィルム積層体から形成されている。1つの具体的なポリエステルフィルム積層体は、SCOTCHPAK(商標)#9723の名称で販売されている積層体などのポリエチレンおよびポリエステル積層体である。
【0100】
複数の実施形態では、デバイスは、適用前に粘着剤層を保護するために粘着剤層と少なくとも部分的に接触している剥離ライナーを含む。剥離ライナーは、処置部位へのデバイスの適用前に除去される、典型的には使い捨ての層である。一部の実施形態では、剥離ライナーは、活性剤を含む粘着剤層の構成要素を好ましくは吸収しない。一部の実施形態では、剥離ライナーは、粘着剤層(活性剤を含む)の構成要素に好ましくは不浸透性であり、剥離ライナーを通じた粘着剤層の構成要素の放出を妨げる。一部の実施形態では、剥離ライナーは、フィルム、不織布、織布、積層体、およびそれらの組合せのうちの1つまたは複数から形成される。一部の実施形態では、剥離ライナーは、シリコーンコートポリマーフィルムまたは紙である。一部の非限定的実施形態では、剥離ライナーは、シリコーンコートポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、フルオロカーボンフィルム、またはフルオロカーボンコートPETフィルムである。
【0101】
デバイスおよび/または粘着剤マトリックスの厚さおよび/またはサイズは、耐久性および/または必要な用量の検討事項に少なくとも基づいて当業者によって決定されてよい。デバイスに関する投与部位が、投与部位の利用可能なサイズおよび投与部位の使用のために耐久性検討事項に影響を与える(例えば運動を支持するための可動性に関する必要性)ことは理解されるであろう。一部の実施形態では、デバイスおよび/または粘着剤マトリックスは、約25〜500μmの間の厚さを有する。一部の実施形態では、デバイスおよび/または粘着剤マトリックスは、約50〜500μmの間の厚さを有する。一部の実施形態では、パッチは、約16cm〜225cmの範囲のサイズを有する。本明細書で提供される厚さおよびサイズは、単なる例示であり、実際の厚さおよびまたはサイズが特定の配合物の必要に応じてより薄く/より小さく、またはより厚く/より大きくてよいことは、理解されるであろう。
【0102】
経皮送達システムの製作は、当業者によって日常的に行われ、剥離ライナーなどの好適なフィルム上にまたは経皮送達システムの別の層上に、それぞれの粘着剤層をキャスティングすることまたは押し出すこと、ならびに、必要に応じて溶媒を除去するためおよび/または化合物を蒸発させるために乾燥させることを含む。経皮送達システムの層は、最終的なシステムを形成するために合わせて積層されてよい。
【0103】
経皮送達システムおよび薬物リザーバ粘着剤マトリックスを本明細書に記載される実施形態を例証するために調製した。実施例1〜3は、例示的組成物および送達システムを記載している。実施例1に記載される通り、経皮送達システムは、図1Aに描写されているように、薬物リザーバおよび接触用粘着剤を含み、速度制御膜を、薬物リザーバと接触用粘着剤との間に配置した。透過促進剤を含む溶媒混合物とともにアクリル酸/酢酸ビニルコポリマー粘着剤を使用して、固体モノリス型粘着剤リザーバの形態である薬物リザーバを調製した。一実施形態では、溶媒混合物は、クエン酸トリエチル、乳酸ラウリル、およびソルビタンモノラウレートから構成される。薬物リザーバは、in situでドネペジル塩基を生成するために、およそ5重量%のドネペジル塩酸塩および炭酸水素ナトリウムを含有した。クエン酸トリエチル、乳酸ラウリル、および酢酸エチルと併せて、同じアクリル酸/酢酸ビニルコポリマー粘着剤から構成される、接触用粘着剤層を調製した。薬物リザーバからのドネペジル塩基の拡散放出を制御するための速度制御膜が、薬物リザーバおよび接触用粘着剤を分離した。
【0104】
実施例2および3に記載されているように経皮送達システムは調製され、中間層によって分離されている粘着剤マトリックス薬物リザーバおよび皮膚接触用粘着剤層から構成された。例示的システム中の粘着剤マトリックス薬物リザーバは、粘着剤コポリマーアクリル酸/酢酸ビニルを含み、一例では追加的に架橋ポリビニルピロリドンを含んだ(実施例2)。アクリル酸/酢酸ビニルを透過促進剤(溶媒混合物、本実施形態では、クエン酸トリエチル、ソルビタンモノラウレート、乳酸ラウリルおよびグリセリンであった)、ドネペジル塩酸塩ならびに炭酸水素ナトリウムを含んだ溶媒混合物に加えた。皮膚接触用粘着剤層は、アクリル酸/酢酸ビニルコポリマーと共にソルビタンモノラウレート、クエン酸トリエチルおよび乳酸ラウリルから構成された。これらの例示的送達システムでは、粘着剤マトリックス薬物リザーバからのドネペジル塩基の放出の速度を制御するための微多孔質膜は、速度制御膜の一方の側に積層され、粘着剤マトリックス薬物リザーバと皮膚接触用粘着剤との間に配置された。剥離ライナーおよびバッキング膜は、最終的な送達システムを形成するように積層された。
【0105】
したがって、一実施形態では、ドネペジルHClおよび炭酸水素ナトリウムの反応によってin situで生成されるドネペジル塩基;クエン酸トリエチル、ソルビタンモノラウレート、およびグリセリンから構成される溶媒組成物;ならびに架橋ポリビニルピロリドンおよびアクリル酸/酢酸ビニルのコポリマーのポリマー粘着剤マトリックスを含むか、またはそれらから本質的になる粘着剤マトリックスを含む組成物が提供される。別の実施形態では、約10〜25重量%の間のドネペジルHClおよび約1〜5重量%の間の炭酸水素ナトリウムの反応によってin situで生成されるドネペジル塩基;約5〜15重量%のクエン酸トリエチル;約0.5〜5重量%のソルビタンモノラウレート;約5〜15重量%のグリセリン;約5〜25重量%の架橋ポリビニルピロリドン;ならびに約30〜50重量%のアクリル酸−酢酸ビニルコポリマーを含むか、またはそれらから本質的になる粘着剤マトリックスを含む組成物が提供される。別の実施形態では、約14〜18重量%の間のドネペジルHClおよび約2〜5重量%の間の炭酸水素ナトリウムの反応によってin situで生成されるドネペジル塩基;約8〜12重量%のクエン酸トリエチル;約1.5〜2.5重量%のソルビタンモノラウレート;約9〜11重量%のグリセリン;約13〜17重量%の架橋ポリビニルピロリドン;ならびに約40〜42重量%のアクリル酸−酢酸ビニルコポリマーを含むか、またはそれらから本質的になる粘着剤マトリックスを含む組成物が提供される。
【0106】
記載される組成物は、ドネペジルの全身的送達のための経皮送達システムにおける使用が意図される。粘着剤組成物は、全身的取り込みのために皮膚を介して送達される塩基形態のドネペジルをin situで生成するように、塩形態のドネペジルおよび弱塩基(アルカリ塩)を使用して製造される。経皮送達システムはまた、クエン酸トリエチル、乳酸ラウリル、グリセリン、ソルビタンラウレート、および酢酸エチルのうちの1つまたは複数を薬物リザーバ内に含み、クエン酸トリエチル、乳酸ラウリル、ソルビタンラウレート、および酢酸エチルのうちの1つまたは複数を皮膚接触用粘着剤内に含む。一実施形態では、薬物リザーバおよび接触用粘着剤はそれぞれ、クエン酸トリエチル、乳酸ラウリル、およびソルビタンラウレートのうちの1つまたは複数を含む。一実施形態では、皮膚接触用粘着剤は、グリセリンを含まない。別の実施形態では、経皮システムは、薬物リザーバおよび接触用粘着剤の一方または両方においてと同じ1つまたは複数の溶媒を含有するか、それを充填させたまたは部分的に充填させたか、またはそれが染み込んでいる複数の細孔を有する微多孔質膜を含む。一実施形態では、微多孔質膜中の複数の細孔は、クエン酸トリエチル、乳酸ラウリル、およびソルビタンラウレートのうちの1つまたは複数を含む溶媒組成物を含む。クエン酸トリエチルは、薬物リザーバ、微多孔質膜の細孔、および/または接触用粘着剤中に、約1〜20重量%、2〜25重量%、5〜15重量%、5〜12重量%、7〜15重量%、7〜12重量%、8〜12重量%、9〜12重量%、1〜8重量%、1〜6重量%、1〜5重量%、1.5〜5重量%、2〜5重量%、または2.5〜5重量%、または2.5〜4.5重量%の間の量で存在してよい。酢酸エチルは、薬物リザーバ、微多孔質膜の細孔、および/または接触用粘着剤中に、約25〜60重量%の間の量で存在し得るが、一実施形態では、接触用粘着剤よりも薬物リザーバ内により多くの量の酢酸エチルが存在し、薬物リザーバは、接触用粘着剤層よりも1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、または1.8倍多くの酢酸エチルを含む。ソルビタンラウレートは、薬物リザーバ、微多孔質膜の細孔、および/または接触用粘着剤中に、約0.01〜5重量%または0.1〜5重量%の間の量で存在し得るが、一実施形態では、ソルビタンラウレートは、薬物リザーバ内および接触用粘着剤内に同じ量で存在する(それぞれの層における個別の総量のw/w基準で、例えば、重量パーセント単位の薬物リザーバ層内の量が、重量パーセント単位の接触用粘着剤層内の量と同じである)。別の実施形態では、薬物リザーバ、微多孔質膜の細孔、および/または接触用粘着剤が、乳酸ラウリルを、約0.1〜10重量%、0.5〜8重量%もしくは0.5〜7重量%、1〜7重量%、1〜5重量%、1.5〜5重量%、2〜5重量%、2.5〜5重量%、0.25〜5重量%、0.5〜5重量%、または0.5〜4重量%、0.5〜4.5重量%の間の量で含む。一実施形態では、薬物リザーバは、接触用粘着剤層内に存在する乳酸ラウリルの量の約0.5%、1%、5重量%、10重量%、15重量%、または20重量%に等しいかまたはそれ以内である量の乳酸ラウリルを含む。
【0107】
III.処置の方法
本明細書に記載される例示的組成物および経皮送達システム(経皮デバイスまたはデバイスとも呼ばれる)に基づいて、ドネペジルを用いて好適な状態を処置するための方法が提供される。複数の実施形態では、認知障害または疾患の症状を処置し、その進行を遅延させ、その発症を遅延させ、その進行を遅らせ、それを予防し、その緩解および改善をもたらすのに有用である、ドネペジルを含む組成物およびデバイスが、本明細書において提供される。複数の実施形態では、限定されるものではないが、思考、記憶、話すスキルを維持すること、および認知障害または疾患の1つまたは複数の行動症状を管理または緩和することのうちの少なくとも1つを含む、精神機能を維持するための、ドネペジルを含む組成物およびデバイスが、提供される。複数の実施形態では、認知障害は、アルツハイマー病である。特定の実施形態では、認知障害は、アルツハイマー型認知症である。複数の実施形態では、ドネペジルを含む組成物およびデバイスが、軽度、中度、または重度のアルツハイマー病を処置することなどにおいて使用するために提供される。
【0108】
アルツハイマー病は、老人性認知症の最も一般的な原因であり、コリン作動性ニューロンの変性に関連する認知欠損によって特徴付けられる。アルツハイマーは、65歳を超える人口の6〜8%および85歳を超える人口のおよそ30%に影響を及ぼし(Sozioら、Neurophsychiatric Disease and Treatment、2012年、8巻:361〜368頁)、認知機能および行動能力の喪失に関与する。アルツハイマー病の原因は、まだ完全にはわかっていない。アルツハイマー病がアセチルコリン(Ach)を含むいくつかの脳神経伝達物質のレベルの低減に関連していることから、現在の処置はコリンエステラーゼ阻害剤を投与することを含む。コリンエステラーゼ阻害剤は、コリンエステラーゼおよび/またはブチリルコリンエステラーゼを阻害することによってシナプス間隙中のアセチルコリンの加水分解を低減し、アセチルコリンレベルを増加させて、神経伝達の改善をもたらす(同書)。
【0109】
本明細書に記載される経皮デバイスは、活性剤の長期使用および/または継続投与のために設計されてよい。FDAは、ドネペジル5mg、10mg、および23mgの毎日の経口用量を認可している。経皮デバイスあたりの活性剤の全用量が、デバイスのサイズおよび粘着剤マトリックス内の活性剤の投入によって決定されることは理解されるであろう。一実施形態では、活性剤は、遊離塩基形態にあるドネペジルである。ドネペジル塩基のより少ない薬物投入は、塩形態(例えばドネペジル塩酸塩)と比較して有効である場合がある。効能を達成するためにより少ない薬物投入を含む能力は、デバイスに関してより低いプロファイル(より薄い)および/またはより小さいサイズをもたらし、その両方は不快感を低減するために望ましい。一部の実施形態では、経皮デバイスの適用期間は、両端を含んで約1〜10日間、1〜7日間、1〜5日間、1〜2日間、3〜10日間、3〜7日間、3〜5日間、5〜10日間および5〜7日間の間である。一部の実施形態では、活性剤は、粘着剤マトリックスから適用期間にわたって継続的におよび/または徐放で放出される。
【0110】
対象に対してドネペジル塩基を経皮的に送達するための方法が提供される。方法では、経皮送達システムは皮膚に適用され、対象の皮膚に対して経皮送達システムを適用すると、ドネペジル塩基の経皮送達が起こって、治療剤の経口投与と生物学的に同等である、定常状態の薬剤(または代謝物)の全身的血中濃度がもたらされる。下で考察されるように、生物学的同等性は、(a)0.7〜1.43の間もしくは0.80〜1.25の間にある、経皮送達システムから、および経口送達を介して投与される治療剤の、相対的な平均CmaxおよびAUCの90%信頼区間、または(b)0.7〜1.43の間もしくは0.80〜1.25の間にある、経皮送達システムから、および経口送達を介して投与される治療剤の、AUCおよびCmaxの幾何平均比の90%信頼区間によって確立される。
【0111】
in vivoにおける(換言すれば、動物またはヒト対象に対して投与された場合の)ある剤形の挙動を評価するために日常的に使用される標準的PKパラメーターとしては、Cmax(血漿中の薬物のピーク濃度)、Tmax(ピーク薬物濃度が達成された時間)、およびAUC(血漿中濃度対時間曲線の下の面積)が挙げられる。これらのパラメーターを決定および評価するための方法については、当該技術分野において周知である。本明細書に記載される経皮送達システムの望ましい薬物動態プロファイルは、限定されるものではないが、(1)同じ投薬量で投与された、経口送達もしくは静脈内送達形態の薬物のCmaxと生物学的に同等である、投与後に哺乳動物対象の血漿中でアッセイした場合の経皮的送達形態のドネペジルのCmax、および/または(2)同じ投薬量で投与された、経口送達もしくは静脈内送達形態の薬物に関するAUCと好ましくは生物学的に同等である、投与後に哺乳動物対象の血漿中でアッセイした場合の経皮送達形態のドネペジルに関するAUC、および/または(3)同じ投薬量で投与された、経口送達もしくは静脈内送達形態の薬物に関するTmaxの約80〜125%以内である、投与後に哺乳動物対象の血漿中でアッセイした場合の経皮的送達形態のドネペジルに関するTmaxが含まれる。好ましくは、経皮送達システムは、前述の文章中の特色(1)、(2)、および(3)のうちの2つまたはそれよりも多くの組合せを有するPKプロファイルを呈する。好ましくは、経皮送達システムは、特色(1)および(2)の一方または両方を有するPKプロファイルを呈する。
【0112】
医薬品開発の分野では、「生物学的同等性」という用語は、当業者であれば容易に理解および認識するであろう。様々な規制当局が、2種の薬物製品が生物学的に同等であるか否かを評価するための厳格な判定基準および試験を有している。これらの判定基準および試験は、医薬品業界全体で一般に使用されており、生物学的同等性の評価は、1つの製品の特徴および性能を別の製品のものと比較する薬物開発プログラムにおいては、標準形式の活動として認識されている。実際、特定の種類の製品(例えば、FDAの「略式新薬承認申請」手順の下で評価されたもの)を販売する認可を得ようとする場合、次の開発段階にある製品が基準製品と生物学的に同等であることを示すことは、必要条件である。
【0113】
一実施形態では、方法は、具体的には米国食品医薬品局および対応する欧州規制機関(EMEA)が提供するCmaxおよびAUCのガイドラインによって定義されているように、絶食状態の対象に対してドネペジル塩基を含む経皮送達システムを準備することおよび/またはそれを投与することは、絶食状態の対象に対する薬剤(塩基または塩形態において)の経口または静脈内投与と生物学的に同等であることを包含する。別の実施形態では、方法は、絶食状態の対象に対してドネペジル塩基を含む経皮送達システムを準備することおよび/またはそれを投与することは、同様に絶食状態にないまたは給餌状況にある対象に対する薬剤(塩基または塩形態において)の経口または静脈内投与と生物学的に同等であることを包含する。米国FDAおよび欧州のEMEAガイドラインの下では、2種の製品または方法は、AUCおよびCmaxに関する90%信頼区間(CI)が、0.80から1.25の間にある場合に、生物学的に同等である(Tmaxの測定値は、規制目的に関して、生物学的同等性とは関連性がない)。欧州のEMEAは、以前は異なる標準を使用しており、そこでは0.80から1.25の間にある、AUCに関する90% CI、および0.70から1.43の間にある、Cmaxに関する90% CIが必要とされていた。CmaxおよびAUCを決定するための方法については、当該技術分野において周知である。
【0114】
実施例1に従って調製した経皮送達システムは、実施例4に記載されているように、ドネペジルの全身的送達に関して、in vivoで試験した。このin vivo研究では、6名のヒト対象が、経皮送達システムによる処置を受容した。この経皮送達システムは、彼らの皮膚に対して適用され、1週間着用された後、取り外された。別の群の6名のヒト対象は、研究の1日目および7日目に5mgの用量で服用されるドネペジル(ARICPET(登録商標))の経口投与によって処置した。血液試料を対象から採取し、ドネペジルの血漿中濃度を決定した。結果を図2A〜2Bに示す。
【0115】
図2Aは、ドネペジル経皮送達システムで1週間処置されたヒト対象(丸)、または1日目および7日目に経口投与される5mgのドネペジルで処置されたヒト対象(三角)における、ドネペジルの平均血漿中濃度(ng/mL単位)を示している。ドネペジル経皮送達システムは、同程度の用量のドネペジルの経口送達によってもたらされる血漿中濃度と同程度の血漿中濃度をもたらした。したがって、一実施形態では、ドネペジルの経口投与によって得られる薬物動態プロファイルと生物学的に同等である薬物動態プロファイルを提供する経皮送達システムを投与することによって、ドネペジルを経皮投与する方法が提供される。
【0116】
図2Bは、5mgのドネペジル錠剤を経口投与した後(三角)およびドネペジル経皮送達システムを取り外した後(丸)の24時間の、図2Aのデータ点のクローズアップを示すグラフである。経皮送達システムは、それを取り外した後の24時間で、経口投与後24時間で観察されるものと同様の、持続的で一定なドネペジル血漿中濃度をもたらす。
【0117】
図3は、28日間(4週間)の処置期間の最終週に、10mg/日を1週間投与するように設計された経皮送達システムを用いた場合(実線)、および28日間にわたって、毎日10mgのドネペジルの経口錠剤を用いた場合(破線)の、ドネペジルの予測される平均血漿中濃度(ng/mL単位)を示すグラフである。経口投与に起因する血漿の周期的変動は、新鮮なパッチが週毎に適用され、処置期間にわたって一定の血漿中濃度が維持される経皮システムによって排除されている。経皮送達システムは、持続的期間(例えば3日間、5日間、7日間、14日間)にわたってドネペジルの一定な血漿中濃度をもたらし、この血漿中濃度は、同程度の日用量のドネペジルを毎日経口投与することによって達成される血漿中濃度と本質的に同じであるか、またはその約10%、15%、20%、または30%以内である。
【0118】
実施例4の研究を再度参照すると、ドネペジル経皮送達システムで1週間処置された6名の対象を、彼らの皮膚から送達システムを取り外した後数日間、皮膚刺激の徴候に関して監視した。図4は、群の6名のうちの対象の数および送達システムを取り外した後の期間中に観察された皮膚刺激を示す棒グラフであり、ここでは、白い棒は皮膚刺激がないことを示しており、塗りつぶされた棒は軽度の皮膚刺激を示している。送達システムを取り外した後数時間でもたらされた皮膚刺激はなかったか、または軽度であり、あらゆる軽度の刺激も、1日または2日で解消された。
【0119】
別の研究では、ヒト対象を、1日1回、10mgで経口投与されるドネペジルと生物学的に同等である量のドネペジルを全身的に送達するように設計された経皮送達システムで処置した。2つの送達経路に関して予測される薬物動態パラメーター、Cmax、AUC、およびCminを表1で比較する。
【表1】
【0120】
したがって、一実施形態では、対象に対してドネペジル塩基を送達するための方法が提供される。方法は、ドネペジルから構成される経皮送達システムを準備すること、および対象の皮膚に対して経皮送達システムを投与することまたはそれを投与するように指示することを含む。方法は、治療剤の経口投与と生物学的に同等である、ドネペジルの経皮送達を達成し、ここで、生物学的同等性は、(a)0.70〜1.43の間もしくは0.80から1.25の間にある、経皮送達システムから、および経口送達を介して投与される治療剤の、相対的な平均CmaxおよびAUCの90%信頼区間、または(b)0.70〜1.43の間もしくは0.80から1.25の間にある、経皮送達システムから、および経口送達を介して投与される治療剤の、AUCおよびCmaxの幾何平均比の90%信頼区間によって確立される。一実施形態では、治療剤は、ドネペジルである。
【0121】
実施例5は、ヒト対象において行われた研究について記載しており、ここでは、ドネペジルを含む経皮パッチについて研究し、経口投与されたドネペジルと比較した。この研究では、患者は、1日1回の経口ドネペジル(ARICEPT(登録商標))の定常状態の薬物動態プロファイルを、ドネペジル経皮パッチ配合物と比較する、6か月間の3周期無作為化クロスオーバー研究に参加登録した。経皮パッチは、2つのサイズ、AおよびBで提供されたが、表面積以外では、これらの経皮パッチはすべての点において同じであった。研究中、各処置群の登録参加者は、2つのサイズの1週間に1回の経皮パッチから(群1および群2)または経口で(群3)送達される、5mg/日のドネペジルを1週間受容した後、10mg/日のドネペジルを4週間受容した。薬物動態の測定値について、血漿中濃度が定常レベルを達成した10mg/日の処置の第4週中に評価した。経皮処置を受容した対象の血液試料を、第4週全体にわたって毎日採取して、薬物動態を決定した。経口ドネペジルを受容した対象は、第4週の最後の日に血液を抜いて、薬物動態を決定した。研究の5週目の日毎のドネペジルの平均血漿中濃度(ng/mL単位)を、図5Aに示す。ここでは、実線はより小さい表面積を有する経皮パッチに対応し、破線はより大きい表面積を有する経皮パッチに対応する。6日目〜7日目の濃い太線は、経口ドネペジルを受容した対象の平均血漿中濃度を示しており、点線は、経口処置の場合の予測される日毎の血漿中濃度を示している。経皮パッチで処置された対象におけるドネペジルの平均血漿中濃度は、ドネペジルで経口的に処置された対象におけるドネペジルの血漿中濃度と生物学的に同等であった。より大きい経皮パッチおよびより小さい経皮パッチは、用量比例性を実証した。表2は、この研究において使用されたより小さい表面積の経皮パッチの、生物学的同等性評価における一次薬物動態パラメーターを示している。
【表2】
【0122】
図5Aに関して上述した臨床研究において対象によって報告された、吐き気、嘔吐、および下痢の胃腸関連有害事象について、図5Bに示している。小さい方のサイズの経皮パッチで処置された対象(破線で塗りつぶされた棒)および大きい方のサイズの経皮パッチで処置された対象(縦線で塗りつぶされた棒)は、経口ドネペジルで処置された対象(横線で塗りつぶされた棒)よりも、吐き気、嘔吐、および下痢の発生率が低かった。吐き気を体感した対象の数は、10mg/日のドネペジルが経皮投与された場合、経口投与よりも4倍少なかった。下痢を体感した対象の数は、10mg/日のドネペジルが経皮投与された場合、経口投与よりも2倍少なかった。
【0123】
したがって、一実施形態では、対象に対してドネペジルを送達するための組成物および方法が提供される。組成物は、対象の皮膚に適用された場合に、定常状態でドネペジルの経口投与と生物学的に同等である、および/または、同じ用量のドネペジルで経口的に処置された対象の1/2、1/3、1/4、または1/5である数の胃腸関連有害事象をもたらす(すなわち、経口で与えられた用量は、経皮的に与えられた用量と等しいため、対象は、経口でも経皮でも同用量のドネペジルで処置される)ドネペジルの血漿中濃度を達成するドネペジルの経皮送達を提供する。一実施形態では、経口的に与えられたドネペジルは、塩形態のドネペジルであり、経皮的に与えられたドネペジルは、ドネペジル塩基である。一実施形態では、胃腸関連有害事象の数は、同じ用量のドネペジルで経口的に処置された対象よりも、2〜5、2〜4、および2〜3倍の間で少なく、別の実施形態では、胃腸関連有害事象の数は、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、または少なくとも約5倍少ない。一実施形態では、ドネペジルの送達は、アルツハイマー病の処置のためである。
【実施例】
【0124】
IV.実施例
以下の実施例は、本質的に例証的なものであり、決して限定的であることを意図するものではない。
【0125】
(実施例1)
ドネペジル経皮送達システム
ドネペジルを含む経皮送達システムを、以下の通りに調製した。
【0126】
薬物リザーバの調製:1.20グラムのソルビタンモノラウレート(SPAN(登録商標)20)を、6.00gのクエン酸トリエチルに溶解し、1.80グラムの乳酸ラウリルおよび89.69グラムの酢酸エチルと混合した。6.00グラムのグリセリンを添加し、混合した。9.00グラムのドネペジル塩酸塩および1.82グラムの炭酸水素ナトリウムを添加し、混合物中に分散させた。次いで、12.00グラムの架橋微粒子化ポリビニルピロリドン(Kollidon(登録商標)CL−M)を添加し、混合物を均質化した。この均質化された薬物分散体に対して、4 s3.93グラムのアクリル酸/酢酸ビニルコポリマー(Duro−Tak(登録商標)387−2287、固形分含量50.5%)を添加し、よく混合した。この湿潤粘着剤配合物を剥離ライナー上にコーティングし、ラボコーター(Werner Mathis)を使用することで乾燥させて、12mg/cmの乾燥塗工重量を得た。
【0127】
接触用粘着剤の調製:0.60グラムのソルビタンモノラウレート(SPAN(登録商標)20)を、3.0グラムのクエン酸トリエチルに溶解し、0.9グラムの乳酸ラウリル、25.45グラムの酢酸エチル、および1.34グラムのイソプロピルアルコールと混合した。6.00グラムの架橋微粒子化ポリビニルピロリドン(Kollidon(登録商標)CL−M)を添加し、混合物を均質化した。この均質化された混合物に対して、38.61グラムのアクリル酸/酢酸ビニルコポリマー(Duro−Tak(登録商標)387−2287、固形分含量50.5%)を添加し、よく混合した。この湿潤粘着剤配合物を剥離ライナー上にコーティングし、乾燥させて、5mg/cmの乾燥塗工重量を得た。
【0128】
積層およびダイカット:速度制御膜(CELGARD(登録商標)2400またはReemay(登録商標)2250)を、薬物リザーバの粘着剤側に積層した。次いで、接触用粘着剤を、薬物リザーバで積層された速度制御膜の上に積層した。薬物リザーバ側の剥離ライナーを、バッキングフィルムで置き換えて積層した。最終的な5層積層体を、経皮パッチへとダイカットした。
【0129】
経皮送達システム中の構成成分の重量百分率については、下の表1.1に示している。
【表1.1】
【0130】
(実施例2)
ドネペジル経皮送達システム
ドネペジルを含む経皮送達システムを、以下の通りに調製した。
【0131】
薬物リザーバの調製:ソルビタンモノラウレート(SPAN(登録商標)20)を、クエン酸トリエチルに溶解し、乳酸ラウリルと混合した。グリセリンを添加し、混合した。ドネペジル塩酸塩および炭酸水素ナトリウムを添加し、混合物中に分散させた。次いで架橋微粒子化ポリビニルピロリドン(KOLLIDON(登録商標)CL−M)を添加し、混合物を均質化した。この均質化された薬物分散体に対して、アクリル酸/酢酸ビニルコポリマー(DURO−TAK(登録商標)387−2287、固形分含量50.5%)を添加し、よく混合した。この湿潤粘着剤配合物を剥離ライナー上にコーティングし、ラボコーター(Werner Mathis)を使用することで乾燥させた。
【0132】
接触用粘着剤の調製:ソルビタンモノラウレート(SPAN(登録商標)20)を、クエン酸トリエチルに溶解し、乳酸ラウリルと混合した。架橋微粒子化ポリビニルピロリドン(Kollidon(登録商標)CL−M)を添加し、混合物を均質化した。この均質化された混合物に対して、アクリル酸/酢酸ビニルコポリマー(DURO−TAK(登録商標)387−2287、固形分含量50.5%)を添加し、よく混合した。この湿潤粘着剤配合物を剥離ライナー上にコーティングし、乾燥させた。
【0133】
積層およびダイカット:ポリプロピレン微多孔質膜(Celgard(登録商標)2400)は、ソルビタンモノラウレート、クエン酸トリエチル、および乳酸ラウリルの溶媒混合物でそれをコーティングして、膜に溶媒混合物を染み込ませることによって前処理した。前処理した膜を、薬物リザーバの粘着剤側に積層した。次いで、接触用粘着剤を、薬物リザーバで積層された速度制御膜の上に積層した。薬物リザーバ側の剥離ライナーを、バッキングフィルムで置き換えて積層した。最終的な5層積層体を、経皮パッチへとダイカットした。
【0134】
経皮送達システム中の構成成分の重量百分率については、下の表2.1に示している。
【表2.1】
【0135】
(実施例3)
ドネペジル経皮送達システム
ドネペジルを含む経皮送達システムを、以下の通りに調製した。
【0136】
薬物リザーバの調製:ソルビタンモノラウレート(SPAN(登録商標)20)を、クエン酸トリエチルに溶解し、乳酸ラウリルと混合した。グリセリンを添加し、混合した。ドネペジル塩酸塩を添加し、混合物中に分散させた。次いで、ヒュームドシリカ(AEROSIL(登録商標)200 Pharma)を添加し、混合物を均質化した。この均質化された薬物分散体に対して、アクリル酸/酢酸ビニルコポリマー(DURO−TAK(登録商標)387−2287、固形分含量50.5%)、およびメタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸メチルコポリマー(EUDRAGIT(登録商標)EPO)を添加し、よく混合した。この湿潤粘着剤配合物を剥離ライナー上にコーティングし、ラボコーター(Werner Mathis)を使用することで乾燥させた。
【0137】
接触用粘着剤の調製:ソルビタンモノラウレート(SPAN(登録商標)20)を、クエン酸トリエチルに溶解し、乳酸ラウリルと混合した。架橋微粒子化ポリビニルピロリドン(KOLLIDON(登録商標)CL−M)を添加し、混合物を均質化した。この均質化された混合物に対して、アクリル酸/酢酸ビニルコポリマー(Duro−Tak(登録商標)387−2287、固形分含量50.5%)を添加し、よく混合した。この湿潤粘着剤配合物を剥離ライナー上にコーティングし、乾燥させた。
【0138】
積層およびダイカット:ポリプロピレン微多孔質膜(Celgard(登録商標)2400)は、ソルビタンモノラウレート、クエン酸トリエチル、および乳酸ラウリルの溶媒混合物でそれをコーティングして、膜に溶媒混合物を染み込ませることによって前処理した。前処理した膜を、薬物リザーバの粘着剤側に積層した。次いで、接触用粘着剤を、薬物リザーバで積層された速度制御膜の上に積層した。薬物リザーバ側の剥離ライナーを、バッキングフィルムで置き換えて積層した。最終的な5層積層体を、経皮パッチへとダイカットした。
【0139】
経皮送達システム中の構成成分の重量百分率については、下の表3.1に示している。
【表3.1】
【0140】
(実施例4)
ドネペジル経皮送達システムからのドネペジルのIn Vivo投与
ドネペジルを含む経皮送達システムを、実施例1に記載されているように調製した。12名のヒト対象を、経皮送達システムによって処置される群(n=6)または研究の1日目および7日目に服用される5mgのドネペジル(ARICPET(登録商標))の経口投与によって処置される群の2つに無作為化した。経皮送達システムは、皮膚に対して適用され、1週間着用された後、取り外された。経皮送達システムで処置された対象から、血液試料を毎日採取した。経口送達したドネペジルで処置された群では、血液試料を1日目および7日目に頻度の高い時間間隔で採取し、8、10、12、および14日目にも再度採取した。処置群におけるドネペジルの平均血漿中濃度を、図2A〜2Bに示す。
【0141】
(実施例5)
ドネペジル経皮送達システムからのドネペジルのIn Vivo投与
ドネペジルを含む経皮送達システムを、実施例2に記載されているように調製した。患者が登録され、5週間の処置研究のために、3つの処置アームへと無作為に分けられた。アーム1(n=52)およびアーム2(n=51)の患者が実施例2の経皮システムで処置され、ここでは、アーム1の患者は、アーム2の患者(パッチB)よりも小さい表面積を有するパッチ(パッチA)を装着した。サイズ以外は、パッチAおよびパッチBは同一であった。研究の第1週では、アーム1およびアーム2の患者は、週に1回のパッチから5mgのドネペジルを送達するように設計されたパッチを装着した。最初の7日間の期間の後、患者に、表面積においてだけパッチBと異なるパッチAを再び用いて、7日間(週1回の経皮パッチ)装着し、1日あたり10mgのドネペジルを送達するように設計された経皮システムを与えた。経皮システムは4週間にわたって、週に1回取り替えられた。アーム3の患者(n=54)は、7日間、日用量5mgのドネペジル(ARICEPT)を毎日経口で処置し、その後4週間、1日1回、10mg用量のドネペジル(ARICEPT)で処置した。
【0142】
アーム1およびアーム2の対象に関しては、10mgレベルでの投薬の4週間目に、血漿中濃度が定常状態にあるときに、血液試料を毎日採取した。アーム3の対象については、10mg/日の投薬の第4週の最終日に、血液試料を採取した。10mg投薬の第4週における処置アームについてのドネペジルの平均血漿中濃度を図5Aに示すが、ここでは経皮パッチA(表面積が小さい方、実線、経皮パッチB(表面積が大きい方、破線)から経皮的にドネペジルで処置された対象、および経口ドネペジル(6〜7日目の濃い、太字)で処置された対象が、経口処置の場合の予測される日毎の血漿中濃度を示す点線と共に示されている。
【0143】
図5Bは、研究において対象によって報告された、胃腸関連有害事象(吐き気、嘔吐、および下痢)の数を示す棒グラフである。ここでは、破線で塗りつぶされた棒は、小さい方のサイズの経皮パッチで毎週処置された対象に対応し、縦線で塗りつぶされた棒は、大きい方のサイズの経皮パッチで毎週処置された対象に対応し、横線で塗りつぶされた棒は、経口ドネペジルで処置された対象に対応する。
【0144】
多くの例示的態様および実施形態について上で考察してきたが、当業者であれば、ある特定の修正、並べ替え、追加、およびそれらの部分的組合せを認識するであろう。したがって、以下に添付される特許請求の範囲および下文にて導入される請求項は、すべてのそのような修正、並べ替え、追加、および部分的組合せを、それらの本来の趣旨および範囲内にあるものとして包含するように解釈されることが意図される。
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【国際調査報告】