(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】2019523305
(43)【公表日】20190822
(54)【発明の名称】微粒子化トルカポンを含む徐放性錠剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/122 20060101AFI20190726BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20190726BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20190726BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20190726BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20190726BHJP
   A61K 47/06 20060101ALI20190726BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20190726BHJP
   A61P 25/16 20060101ALI20190726BHJP
【FI】
   !A61K31/122
   !A61K9/20
   !A61K47/38
   !A61K47/02
   !A61K47/12
   !A61K47/06
   !A61P43/00 105
   !A61P25/16
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】19
(21)【出願番号】2019526375
(86)(22)【出願日】20170728
(85)【翻訳文提出日】20190227
(86)【国際出願番号】EP2017069168
(87)【国際公開番号】WO2018019997
(87)【国際公開日】20180201
(31)【優先権主張番号】16382372.7
(32)【優先日】20160729
(33)【優先権主張国】EP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】519030796
【氏名又は名称】ソム イノベーション バイオテク エス.エル.
【氏名又は名称原語表記】SOM INNOVATION BIOTECH,S.L.
【住所又は居所】スペイン国、イ−08028 バルセロナ、4、バルディリ レイサック
(74)【代理人】
【識別番号】100116838
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 潤三
(72)【発明者】
【氏名】ナルディ リカル,アンナ
【住所又は居所】スペイン国、イ−08028 バルセロナ、プランタ バハ、エスカレラ エー、エディフィシオ エー、エス/エヌ、アベニダ フアン XXIII、ファクルター デ ファルマシア、ウニベルシター デ バルセロナ
(72)【発明者】
【氏名】スネ ネグレ,ホセプ マリア
【住所又は居所】スペイン国、イ−08028 バルセロナ、プランタ バハ、エスカレラ エー、エディフィシオ エー、エス/エヌ、アベニダ フアン XXIII、ファクルター デ ファルマシア、ウニベルシター デ バルセロナ
(72)【発明者】
【氏名】レイッチ ボラニョ,ヌリア
【住所又は居所】スペイン国、イ−08028 バルセロナ、4、バルディリ レイサック、ソム イノベーション バイオテク エス.エル.
(72)【発明者】
【氏名】インサ ボロナ,ラウル
【住所又は居所】スペイン国、イ−08028 バルセロナ、4、バルディリ レイサック、ソム イノベーション バイオテク エス.エル.
(72)【発明者】
【氏名】ウエルタス ガムビン,オスカル
【住所又は居所】スペイン国、イ−08028 バルセロナ、4、バルディリ レイサック、ソム イノベーション バイオテク エス.エル.
(72)【発明者】
【氏名】エステバ グラス,サンティアゴ
【住所又は居所】スペイン国、イ−08028 バルセロナ、4、バルディリ レイサック、ソム イノベーション バイオテク エス.エル.
(72)【発明者】
【氏名】ペリコ モール,ガル.ラ
【住所又は居所】スペイン国、イ−08028 バルセロナ、4、バルディリ レイサック、ソム イノベーション バイオテク エス.エル.
【テーマコード(参考)】
4C076
4C206
【Fターム(参考)】
4C076AA39
4C076BB01
4C076CC01
4C076CC29
4C076CC50
4C076EE31M
4C076EE32M
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4C206AA01
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4C206MA55
4C206MA72
4C206NA12
4C206ZA02
4C206ZB01
(57)【要約】
本発明は、微粒子化トルカポン、放出遅延剤及びバインダーを含む徐放性錠剤に関し、トランスサイレチン関連アミロイドーシスの予防及び/又は治療に使用するための該錠剤に関し、トランスサイレチン関連アミロイドーシスの予防及び/又は治療のための方法であって、該予防及び/又は治療を必要とする対象に該錠剤の有効量を投与することを含む方法に関し、トランスサイレチン関連アミロイドーシスの予防及び/又は治療に使用する該錠剤の形態の医薬組成物に関し、及び、該錠剤を製造するための方法に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
微粒子化トルカポン、放出遅延剤及びバインダーを含む徐放性錠剤。
【請求項2】
該放出遅延剤がセルロースポリマーである、請求項1に記載の錠剤。
【請求項3】
該セルロースポリマーがセルロースエーテル及びセルロースエステルからなる群より選ばれる、請求項2に記載の錠剤。
【請求項4】
該セルロースポリマーがヒドロキシプロピルメチルセルロースである、請求項3に記載の錠剤。
【請求項5】
該バインダーが微結晶性セルロースである、請求項1〜4のいずれかに記載の錠剤。
【請求項6】
該錠剤の製造に使用するトルカポンが、Dv,0.9 が70μm以下であることにより特徴付けられる粒子サイズ分布を有する、請求項1〜5のいずれかに記載の錠剤。
【請求項7】
5重量%〜80重量%のトルカポンを含むことを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の錠剤。
【請求項8】
米国薬局方36のトルカポンの条に記載されている条件下で5時間後に溶解しているトルカポンの比率が該錠剤中のトルカポンの全量の90%以下であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の錠剤。
【請求項9】
経口摂取時から経口摂取後5時間までの時間中のトルカポンの放出量が90%以下であるトルカポンの放出性を示すことを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載の錠剤。
【請求項10】
該錠剤の製造に使用するトルカポンが、Dv,0.5 が10μmより大きく80μm以下であることにより特徴付けられる粒子サイズ分布を有する、請求項1〜9のいずれかに記載の錠剤。
【請求項11】
トルカポン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及び微結晶性セルロースを含む、請求項1〜10のいずれかに記載の錠剤。
【請求項12】
トルカポン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、微結晶性セルロース、タルク、ステアリン酸マグネシウム及び無水コロイダルシリカを含む、請求項11に記載の錠剤。
【請求項13】
a)5〜80%のトルカポン、
b)20〜36%のヒドロキシプロピルメチルセルロース、たとえば Methocel(登録商標)K 100 M、
c)8〜65%の微結晶性セルロース、たとえば Vivapur(登録商標)102、
d)0.1〜3%のタルク、
e)0.03〜2%のステアリン酸マグネシウム、及び
f)0.06〜0.8%の無水コロイダルシリカ
を含む、請求項12に記載の錠剤。
【請求項14】
トランスサイレチン関連アミロイドーシスの予防及び/又は治療に使用するための、請求項1〜13のいずれかに記載の錠剤。
【請求項15】
トランスサイレチン関連アミロイドーシスの予防及び/又は治療のための方法であって、該予防及び/又は治療を必要とする対象に請求項1〜13のいずれかに記載の錠剤の有効量を投与することを含む方法。
【請求項16】
トランスサイレチン関連アミロイドーシスの治療のための請求項2〜13のいずれかに記載の錠剤の形態の医薬を製造するための、放出遅延剤及びバインダーと組み合わせた、微粒子化トルカポンの使用。
【請求項17】
トランスサイレチン関連アミロイドーシスの予防及び/又は治療に使用する、請求項1〜13のいずれかに記載の錠剤の形態の医薬組成物。
【請求項18】
請求項1〜13のいずれかに記載の錠剤を製造するための方法であって、下記の工程:
a)トルカポン、放出遅延剤及びバインダーを提供する工程、
b)任意により行う、工程a)の全成分を、5mmの開口径を有するメッシュを使用して篩にかける工程、
c)工程b)の全成分を混合する工程、及び
d)工程c)の全成分を圧縮して錠剤を形成する工程
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微粒子化トルカポンを含む徐放性錠剤に関する。
【背景技術】
【0002】
治療用化合物である(3,4−ジヒドロキシ−5−ニトロフェニル)(4−メチルフェニル)メタノンは、トルカポンという名称でより一般に知られており、米国特許第5,236,952号に記載されている。
【0003】
トルカポンは現在、フィルムをコートした100mg及び200mgの錠剤の形態で市販されている。トルカポンは、TASMAR(登録商標)というブランド名で、多くの国において市販されている。TASMAR(登録商標)は、経口投与で使用される錠剤である。この錠剤は、トルカポンの顆粒化と、これによって得られる顆粒と顆粒外賦形剤(extragranular excipient)との混合とを含む方法によって製造されるのであって、得られる混合物はその後圧縮されて即放性錠剤となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
たとえば、ピーク血漿濃度を減少させ、且つ、治療上有効な血漿濃度を長時間維持するために、トルカポンを含む錠剤の放出時間を長くする必要がある。特に、直接圧縮法によって製造することができるトルカポン含有錠剤の放出時間を長くする必要がある。直接圧縮法とは、錠剤の形態に圧縮する前に、トルカポン及び他の賦形剤を含む顆粒の調製工程や、これによって得られる顆粒と顆粒外賦形剤とを混合する工程を行わない方法である。
【0005】
本発明の1つの目的は、トルカポンのための徐放性処方、好ましくは錠剤の形態の処方を提供することである。本発明の別の1つの目的は、直接圧縮法によって製造される錠剤の形態の徐放性処方を提供することである。本発明の別の1つの目的は、トランスサイレチン関連アミロイドーシスの予防及び/又は治療のための方法であって、該予防及び/又は治療を必要とする対象にトルカポンを含む徐放性処方を投与することを含む方法を提供することである。本発明の別の1つの目的は、トランスサイレチン関連アミロイドーシスの治療のための錠剤の形態の医薬を製造するための、放出遅延剤及びバインダーと組み合わせた、微粒子化トルカポンの使用を提供することである。本発明の別の1つの目的は、トランスサイレチン関連アミロイドーシスの予防及び/又は治療に使用する、徐放性錠剤の形態の医薬組成物を提供することである。
【0006】
実に意外なことに、微粒子化トルカポンを含む組成物は、トルカポンを微粒子化していない形態で含む同一の組成物に比べて、活性成分をゆっくり放出するので、微粒子化トルカポンが徐放性組成物の製造に利点を提供することが知見された。この知見は、驚くべきものである。
【0007】
上記の知見は全く意外なものである。というのは、製品の粒子サイズの減少、たとえば、微粒子化による減少は、製品の比表面積の増加をもたらし、その結果、製品の溶解速度の増加をもたらすということが、よく知られているからである。
【0008】
微粒子化トルカポンを、トルカポンの徐放のために設計された組成物に使用することの利点の1つとして、トルカポンを微粒子化していない形態で用いる同一の組成物に比べて、トルカポンの80%の放出に必要な時間を長くすることができる、ということが挙げられる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1態様は、トルカポンを微粒子化した形態で含む、放出が修正された錠剤に関する。錠剤中のトルカポンの量は、組成物の5重量%〜80重量%の範囲であってよい。錠剤のトルカポン以外の部分は、少なくとも1種の放出遅延剤からなってよい。本発明の特定の態様において、放出遅延剤は、水溶性ポリマー、水膨潤性ポリマー及び/又は水不溶性ポリマーである。放出遅延剤として特に有用なのは、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース及び/又はヒドロキシプロピルメチルセルロースなどのセルロースポリマーである。上記の錠剤は、直接圧縮法によって有利に製造することができる。
【0010】
本発明の第2態様は、トルカポンの徐放性錠剤を製造するための方法に関する。特定の態様において、トルカポンは、放出遅延剤、及び、任意により他の薬学的に許容可能な賦形剤と、双円錐型ドラム(biconical drum)などの任意の混合装置を使用して混合される。得られた混合物を圧縮して錠剤を形成することができる。
【0011】
本発明の第3態様は、トランスサイレチン関連アミロイドーシスの予防及び/又は治療のための方法であって、該予防及び/又は治療を必要とする対象に上記第1態様の錠剤の有効量を投与することを含む方法に関する。
【0012】
本発明の第4態様は、トランスサイレチン関連アミロイドーシスの治療のための上記第1態様の錠剤の形態の医薬を製造するための、放出遅延剤及びバインダーと組み合わせた、微粒子化トルカポンの使用に関する。
【0013】
本発明の第4態様は、トランスサイレチン関連アミロイドーシスの予防及び/又は治療に使用する、上記第1態様の錠剤の形態の医薬組成物に関する。
【0014】
添付の図面は、本明細書に組み込まれて本明細書の一部を成すものであり、本発明の代表的な態様を示す。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施例3及び実施例4に記載されている本発明の代表的態様の溶解プロファイルを示すチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は、トルカポン及び放出遅延剤を含むトルカポンの徐放性錠剤、並びにこのような錠剤を製造するための方法に関する。徐放性錠剤は、任意により、さらにバインダー、可塑剤、崩壊剤及び/又は滑剤を含んでいてよい。
【0017】
本明細書において「錠剤」という用語は、圧縮された医薬投与形態の組成物を意味するものであって、その形状とサイズとについての制限はなく、また、コートされていてもよいしコートされていなくてもよい。
【0018】
本明細書において「薬学的に許容可能な」という用語は、適正な医学的判断の範囲内において、過度の毒性、刺激、アレルギー反応その他の問題となる合併症を発生させることなく、妥当な利益/危険比を以て、哺乳動物(特にヒト)の組織と接触させるのに適した化合物、組成物、及び/又は投与形態を意味する。特に、ヒト用途又は獣医学的用途がこれまで承認されてきた化合物はすべて、「薬学的に許容可能な」化合物である。
【0019】
本明細書において「トルカポン」という用語は、トルカポンの遊離フェノール形態、又は、その薬学的に許容可能な塩を意味する。
【0020】
本明細書において「微粒子化した形態のトルカポン」及び「微粒子化トルカポン」という用語は、区別しないで用いられ、Dv,0.9 が70μm以下、好ましくは60μm以下、最も好ましくは55μm以下であるトルカポンの固体形態を意味する。Dv,0.9 の測定は、欧州薬局方の2.9.31節に記載されている一般的方法に従い、具体的には、小体積サンプル用の湿式分散ユニット HYDRO 2000 SM を備える粒子サイズレーザー分析装置 MASTERSIZER 2000(Malvern 社製)を用いて、行うことができる。
【0021】
トルカポンは、本発明の錠剤において、治療上有効な量又は濃度で存在する。このような治療上有効な量又は濃度が、使用される治療用化合物と治療される適応症とに応じて変化するものであることは、当業者に知られている。たとえば、本発明において、トルカポンは、錠剤の5重量%〜80重量%の量で存在してよい。1つの態様において、トルカポンは、錠剤の10重量%〜約70重量%の量で存在してよい。1つの態様において、トルカポンは、錠剤の約20重量%〜約60重量%の量で存在してよい。1つの態様において、トルカポンは、錠剤の約30重量%〜約50重量%の量で存在してよい。
【0022】
本明細書において「徐放」という用語は、トルカポンを経口摂取後、比較的長い時間をかけて、徐々にではあるが連続的に、又は持続的に放出することを意味する。たとえば、90%以下、好ましくは80%以下のトルカポンを、経口摂取後3時間以内、好ましくは4時間以内、さらに好ましくは5時間以内の比較的長い時間をかけて、ゆっくりと放出することを意味する。徐放のための特に有用な条件は、90%以下のトルカポンを、経口摂取後5時間以内で放出することである。
【0023】
経口摂取後のトルカポンの錠剤からの放出を測定することは困難であるので、本発明の目的のためには、米国薬局方36のトルカポンの条に記載されている条件下で5時間後に溶解しているトルカポンの比率が該錠剤中のトルカポンの全量の90%以下、好ましくは80%以下であるときに、錠剤は「徐放」プロファイルを示すと考える。
【0024】
本明細書において「放出遅延剤」という用語は、経口摂取の場合にトルカポンの錠剤からの放出を遅らせる任意の材料又は物質を意味する。放出遅延剤は、典型的にはセルロースポリマーである。
【0025】
本明細書において「セルロースポリマー」という用語は、セルロースエステル及びセルロースエーテル(たとえば、メチルセルロース及びエチルセルロース)、ヒドロキシアルキルセルロース(たとえば、ヒドロキシプロピルセルロース)、ヒドロキシアルキルアルキルセルロース(たとえば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、セルロースフタレート(たとえば、セルロースアセテートフタレート及びヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート)、セルロースサクシネート(たとえば、ヒドロキシプロピルメチルセルロースサクシネート又はヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート)を意味する。
【0026】
本発明の1つの態様において、「放出遅延剤」はヒドロキシプロピルメチルセルロースである。
【0027】
本明細書において「直接圧縮」という用語は、錠剤又は任意の他の圧縮された投与形態のものを製造する錠剤化方法であって、処方の全成分をドライブレンドする工程と、これによって得られるドライブレンド物を圧縮して処方薬を成形する工程とを含む方法を意味する。
【0028】
本明細書において「適当な混合装置」という用語は、液体成分及び流体成分の不存在下で固体成分を混合するために使用することができる装置を意味する。このような装置の例として、リボンブレンダー、Vブレンダー、円錐スクリューブレンダー、スクリューブレンダー、二重円錐型ブレンダー(double cone blender)、遊星型ミキサー、パドルミキサー、ドラムブレンダー、高剪断ミキサー及び双円錐型ドラム(biconical drum)が挙げられる。
【0029】
本明細書において「直接圧縮」という用語は、下記の工程を含む混合方法を意味する。
a)2又は3以上の固体成分(たとえば、トルカポン、少なくとも1種の放出遅延剤、並びに任意により、バインダー、滑剤及び他の薬学的に許容可能な賦形剤)を提供する工程、
b)液体成分の不存在下で任意の適当な混合装置を使用して、工程a)の全成分を混合して混合物を形成する工程、及び
c)工程b)の混合物をダイに充填してパンチを使用して圧縮する工程。
【0030】
本明細書において「固体」という用語は、室温(25℃)で固体である任意の材料を意味する。
【0031】
本明細書において「液体」という用語は、室温(25℃)で液体である任意の材料を意味する。
【0032】
薬学的に許容可能なバインダーの例として、デンプン、セルロース及びその誘導体(たとえば、AVICEL PH(ペンシルベニア州フィラデルフィア市、FMC 社製)などの微結晶性セルロース)、スクロース、デキストロース、コーンシロップ、多糖、及びゼラチンが挙げられるが、これらに限らない。バインダーは、組成物の約0重量%〜約65重量%(たとえば、20重量%〜50重量%)の量で存在してよい。
【0033】
薬学的に許容可能な滑剤の例として、コロイダルシリカ、三ケイ酸マグネシウム、デンプン、タルク、第三リン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、炭酸マグネシウム及び酸化マグネシウムが挙げられるが、これらに限らない。滑剤は、組成物の約0重量%〜約5重量%の量で存在してよい。1つの態様において、滑剤は、組成物の約0.1重量%〜約1.5重量%の量で存在してよい。
【0034】
本発明の1つの態様において、錠剤は、放出遅延剤としてセルロースポリマーを含む。セルロースポリマーは、好ましくはセルロースエーテル及びセルロースエステルからなる群より選ばれ、さらに好ましくはヒドロキシプロピルメチルセルロースである。
【0035】
本発明の別の1つの態様において、錠剤は、バインダーとして微結晶性セルロースを含む。
【0036】
本発明の別の1つの態様において、錠剤の製造に使用するトルカポンは、Dv,0.9 が70μm以下であることにより特徴付けられる粒子サイズ分布を有する。
【0037】
本発明の別の1つの態様において、錠剤は5重量%〜80重量%のトルカポンを含む。
【0038】
本発明の別の1つの態様において、錠剤は、米国薬局方36のトルカポンの条に記載されている条件下で5時間後に溶解しているトルカポンの比率が該錠剤中のトルカポンの全量の90%以下であることを特徴とする。
【0039】
本発明の別の1つの態様において、錠剤は、経口摂取時から経口摂取後5時間までの時間中のトルカポンの放出量が90%以下であるトルカポンの放出性を示すことを特徴とする。
【0040】
本発明の別の1つの態様において、錠剤の製造に使用するトルカポンは、Dv,0.5 が10μmより大きく80μm以下であることにより特徴付けられる粒子サイズ分布を有する。
【0041】
本発明の別の1つの態様において、錠剤は、トルカポン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及び微結晶性セルロースを含む。
【0042】
本発明の別の1つの態様において、錠剤は、トルカポン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、微結晶性セルロース、タルク、ステアリン酸マグネシウム及び無水コロイダルシリカを含む。
【0043】
本発明の1つの態様において、錠剤は、
a)5重量%〜80重量%(たとえば、14重量%〜41重量%)のトルカポン、
b)20〜36%のヒドロキシプロピルメチルセルロース、たとえば Methocel(登録商標)K 100 M、
c)8重量%〜65重量%(たとえば、36重量%〜49重量%)の微結晶性セルロース、たとえば Vivapur(登録商標)102、
d)0.1重量%〜3重量%(たとえば、0.1重量%〜1.4重量%)のタルク、
e)0.03重量%〜2重量%(たとえば、0.03重量%〜0.7重量%)のステアリン酸マグネシウム、及び
f)0.06重量%〜0.8重量%(たとえば、0.26重量%〜0.42重量%)の無水コロイダルシリカ
を含む。
【0044】
本発明の1つの態様において、錠剤は、750〜850mgの重量を有し、
a)50〜500mg(たとえば、250〜350mg)のトルカポン、
b)160〜280mg(たとえば、160〜260mg)ヒドロキシプロピルメチルセルロース、たとえば Methocel(登録商標)K 100 M、
c)50〜500mg(たとえば、260〜350mg)の微結晶性セルロース、たとえば Vivapur(登録商標)102、
d)0.1〜20mg(たとえば、0.1〜10mg)のタルク、
e)0.2〜10mg(たとえば、0.4〜6mg)のステアリン酸マグネシウム、及び
f)0.6〜6mg(たとえば、2〜3mg)の無水コロイダルシリカ
を含む。
【0045】
別の1つの態様において、本発明は、本発明に使用するための、及び/又は、トランスサイレチン関連アミロイドーシス(たとえば、家族性アミロイドポリニューロパチー、老人性全身性アミロイドーシス、軟膜アミロイドーシス、家族性アミロイド心筋症)の予防及び/又は治療に使用するための、上記の錠剤に関する。
【0046】
別の1つの態様において、本発明は、上記の錠剤を製造するための方法であって、下記の工程:
a)トルカポン、放出遅延剤及びバインダーを提供する工程、
b)任意により行う、工程a)の全成分を、5mmの開口径を有するメッシュを使用して篩にかける工程、
c)工程b)の全成分を混合する工程、及び
d)工程c)の全成分を圧縮して錠剤を形成する工程
を含む方法に関する。

【0047】
実施例

トルカポンの粒子サイズの決定

粒子サイズ測定(Dv,0.1, Dv,05, Dv,0.9 及び Dv,1.0)は、欧州薬局方の2.9.31節に記載されている一般的方法に従い、具体的には、小体積サンプル用の湿式分散ユニットHYDRO 2000 SMを備える粒子サイズレーザー分析装置 MASTERSIZER 2000(Malvern 社製)を用いて、行うことができる。
【0048】
- 材料:

- サンプル:トルカポン分散体
- 屈折率:1.59(デフォルト)
- 分散媒:注入用の水
- 屈折率:1.33
【0049】
- サイクル:

- 各アリコートの測定回数:3
- 遅延時間:12秒
- ポンプ撹拌速度:2500rpm
【0050】
- 測定時間:

- 測定:12秒(3回)
- 測定スナップ:12000
- バックグラウンド:10秒
- バックグラウンドスナップ:10000

各サンプルについて3回の読み取りを行った。
【0051】
溶解度測定

溶解度試験は、米国薬局方36に記載されているプロトコルに時間延長などの小さな改変を加えた方法を用いて行う。
【0052】
測定に用いる具体的条件は以下の通り。

媒質:1%ラウリル硫酸ナトリウムを含むリン酸緩衝液(pH6.8)の900ml
装置2:75rpm
時間:0分〜1440分の間の種々の時間間隔
手順:測定する溶液を濾過して、必要に応じて媒質で適切に希釈したものについて、溶解したトルカポンの量を約271nmの最大吸収波長でのUV吸収を用いて測定し、米国薬局方トルカポンRSを同じ媒質に溶解して得た既知濃度の標準溶液と比較する。各錠剤中に溶解したトルカポンの量を計算する。
【0053】
一般情報:以下の実施例において、徐放性錠剤を以下の方法で調製する。
1.全成分を計量する
2.全成分を、5mmの開口径を有するメッシュを使用して篩にかける
3.全成分を、双円錐型ドラム(biconical drum)にて20rpmの回転速度で10分間混合する
4.得られた混合物の800mgを、偏心打錠プレスBONALSにて、19mm×10mmサイズで溝なしの長方形パンチを用いて圧縮する
【0054】
以下の実施例において、微粒子化していないトルカポンの粒子サイズ分布を以下のパラメーターで特徴付けする。
【0055】
【表1】
【0056】
以下の実施例において、微粒子化トルカポンの粒子サイズ分布を以下のパラメーターで特徴付けする。
【0057】
【表2】
【0058】
v,x値は、粒子の体積のx*100%がこの値よりも小さい粒子として存在することを示す。したがって、Dv,0.9 が54.33μmより低いということは、粒子の体積の90%が54.33μmより小さい粒子として存在することを示す。
【実施例1】
【0059】
【表3】
【実施例2】
【0060】
【表4】
【実施例3】
【0061】
【表5】
【実施例4】
【0062】
【表6】
【実施例5】
【0063】
実施例3の組成物と実施例4の組成物の溶解プロファイル
溶解度測定を、上記表題「溶解度測定」の下に記載されているプロトコルに従って行った。得られたデータを単純回帰法によって処理し、有界の時間区間内(50分〜650分)の溶解過程の進展を説明するのに最適なポテンシャル方程式[Y(%溶解)=A・X(時間)]でこれらのデータを補正した。
【0064】
得られた結果は以下の通り。

実施例3の結果:

補正された方程式:Y=2.0656・X0.3887
【0065】
【表7】
【0066】
【表8】
【0067】
補正されたモデルの分散分析(ANOVA)の結果から、このモデルは溶解の二次変分の99.65%を時間の関数として説明することが見出され、観測値と方程式を用いて補正した値との間で相関係数r=0.9982の結果となった。したがって、実施例3の結果の溶解動力学は、係数A=2.0656及び冪指数B=0.3887を有する単回帰ポテンシャル方程式という数学的モデルに合致すると結論することができる。
【0068】
実施例4の結果:

補正された方程式:Y=1.6295・X0.4347
【0069】
【表9】
【0070】
【表10】
【0071】
補正されたモデルの分散分析(ANOVA)の結果から、このモデルは溶解の二次変分の99.72%を時間の関数として説明することが見出され、観測値と方程式を用いて補正した値との間で相関係数r=0.9986の結果となった。したがって、実施例4の結果の溶解動力学は、係数A=l.6295及び冪指数B=0.4347を有する単回帰ポテンシャル方程式という数学的モデルに合致すると結論することができる。
【0072】
ポテンシャル線形回帰で補正した実施例3の組成物と実施例4の組成物との溶解プロファイルの比較
各実験値について95%信頼区間に基づいて比較統計研究を行い、50分〜650分の時間区間内で実施例3の組成物と実施例4の組成物の溶解動力学の間に統計的に有意な差が存在するか否かを決定した。得られた予測区間が相互に重複しない(重複しないことは予測区間をプロットしてみれば分かる)限りにおいて、各組成物について得られた溶解動力学の間に有意な差が存在すると結論することができる。
【0073】
実験値、及び95%信頼区間についての補正したモデルと予測区間のプロットを図1に示す。
【0074】
研究した実験範囲全体において、実施例3の組成物の補正された溶解値は、95%信頼区間において、実施例4の組成物のそれよりも高い。したがって、実施例3の組成物(微粒子化していないトルカポンを含む)は、実施例4の組成物(微粒子化トルカポンを含む)よりも高い溶解速度を示すと結論することができる。
【図1】
【国際調査報告】