(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】2019523680
(43)【公表日】20190829
(54)【発明の名称】溶解特性に優れたヒアルロン酸マイクロ構造体
(51)【国際特許分類】
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   A61Q 19/00 20060101ALI20190802BHJP
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【FI】
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   !C08B37/08 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】28
(21)【出願番号】2018565661
(86)(22)【出願日】20170616
(85)【翻訳文提出日】20181221
(86)【国際出願番号】KR2017006342
(87)【国際公開番号】WO2017217818
(87)【国際公開日】20171221
(31)【優先権主張番号】10-2016-0074985
(32)【優先日】20160616
(33)【優先権主張国】KR
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ
(71)【出願人】
【識別番号】517281956
【氏名又は名称】エンドダーマ カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】ENDODERMA CO.,LTD.
【住所又は居所】大韓民国 28162 チュンチョンプク−ド チョンジュ−シ フンドク−グ オソン−ウプ オソンセンミョン 2−ロ 20 3F
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100107733
【弁理士】
【氏名又は名称】流 良広
(74)【代理人】
【識別番号】100115347
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 奈緒子
(72)【発明者】
【氏名】ジェス・キム
【住所又は居所】大韓民国 13630 キョンギ−ド ソンナム−シ プンダン−グ ミグムイル−ロ 136 #502−202
(72)【発明者】
【氏名】スンチャン・クォン
【住所又は居所】大韓民国 34010 テジョン ユソン−グ クジュク−ロ 16 #114−505
(72)【発明者】
【氏名】サンジン・パク
【住所又は居所】大韓民国 13954 キョンギ−ド アニャン−シ トンアン−グ クァナクデロ 106ボン−ギル 72 104−1902
【テーマコード(参考)】
4C076
4C083
4C090
4C267
【Fターム(参考)】
4C076AA09
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(57)【要約】
本発明は、溶解特性に優れたヒアルロン酸マイクロ構造体に関するものである。より詳細には、本発明は、架橋ヒアルロン酸を含み、皮膚に透過時溶解特性に優れた生分解性マイクロ構造体に関するものである。本発明のマイクロ構造体を皮膚内に透過させる場合には、皮膚内溶解特性に優れているだけではなく、架橋されたヒアルロン酸の含有量の比率によって、皮膚内溶解速度を容易に調節することができ、マイクロ構造体に搭載された有用成分を皮膚内に安定的に伝達しながらも、搭載された有用成分の放出速度を容易に調節できるので、薬理学的な活性物質または皮膚改善用物質の経皮型伝達体として有用に使うことができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
主成分として、i)架橋されたヒアルロン酸(cross−linked hyaluronic acid)またはii)架橋されたヒアルロン酸と非架橋ヒアルロン酸(non−cross linked hyaluronic acid)の混合物を含む皮膚透過用のマイクロ構造体であって、
上記ヒアルロン酸の全体重量を基準に、上記架橋されたヒアルロン酸の含有量は、5〜100%(w/w)であり、上記非架橋ヒアルロン酸の含有量は、0〜95%(w/w)であることを特徴とするマイクロ構造体。
【請求項2】
上記マイクロ構造体を3kg重の力で皮膚に透過させると、マイクロ構造体の長さを基準に、皮膚透過10分後に溶解率が60%以下であり、皮膚透過30分後に溶解率が75%以下であり、皮膚透過60分後に溶解率が85%以下であることを特徴とする請求項1に記載のマイクロ構造体。
【請求項3】
上記マイクロ構造体を3kg重の力で皮膚に透過させると、上記架橋ヒアルロン酸がヒアルロン酸の全体重量を基準に、15〜30%である場合には、マイクロ構造体の長さを基準に、皮膚透過10分後に溶解率が50〜60%であり、皮膚透過30分後に溶解率が65〜75%であり、皮膚透過60分後に溶解率が70〜85%であることを特徴とする請求項1に記載のマイクロ構造体。
【請求項4】
上記マイクロ構造体を3kg重の力で皮膚に透過させると、上記架橋ヒアルロン酸がヒアルロン酸の全体重量を基準に、30〜35%である場合には、マイクロ構造体の長さを基準に、皮膚透過10分後に溶解率が45〜55%であり、皮膚透過30分後に溶解率が58〜68%であり、皮膚透過60分後に溶解率が65〜75%であることを特徴とする請求項1に記載のマイクロ構造体。
【請求項5】
上記マイクロ構造体を3kg重の力で皮膚に透過させると、上記架橋ヒアルロン酸がヒアルロン酸の全体重量を基準に、35〜50%である場合には、マイクロ構造体の長さを基準に、皮膚透過10分後に溶解率が40〜55%であり、皮膚透過30分後に溶解率が51〜61%であり、皮膚透過60分後に溶解率が55〜65%であることを特徴とする請求項1に記載のマイクロ構造体。
【請求項6】
上記マイクロ構造体を3kg重の力で皮膚に透過させると、上記架橋ヒアルロン酸がヒアルロン酸の全体重量を基準に、50〜70%である場合には、マイクロ構造体の長さを基準に、皮膚透過10分後に溶解率が35〜45%であり、皮膚透過30分後に溶解率が44〜54%であり、皮膚透過60分後に溶解率が48〜58%であることを特徴とする請求項1に記載のマイクロ構造体。
【請求項7】
上記マイクロ構造体を3kg重の力で皮膚に透過させると、上記架橋ヒアルロン酸がヒアルロン酸の全体重量を基準に、70〜90%である場合には、マイクロ構造体の長さを基準に、皮膚透過10分後に溶解率が30〜45%であり、皮膚透過30分後に溶解率が41〜51%であり、皮膚透過60分後に溶解率が45〜56%であることを特徴とする請求項1に記載のマイクロ構造体。
【請求項8】
上記ヒアルロン酸の濃度は、上記i)の架橋されたヒアルロン酸、または上記ii)のヒアルロン酸混合物を構成する水または水性溶媒に対して、1−10%(w/v)であることを特徴とする請求項1に記載のマイクロ構造体。
【請求項9】
上記ヒアルロン酸は、分子量が100〜5000kDaであることを特徴とする請求項1に記載のマイクロ構造体。
【請求項10】
上記架橋されたヒアルロン酸は、1〜50%の架橋度を有することを特徴とする請求項1に記載のマイクロ構造体。
【請求項11】
上記マイクロ構造体の弾性係数(ヤング率、Young’s modulus)は、0.4〜0.7N/100μmであることを特徴とする請求項1に記載のマイクロ構造体。
【請求項12】
上記マイクロ構造体は、皮膚透過時にマイクロ構造体の高さの80%以上が透過されることを特徴とする請求項1に記載のマイクロ構造体。
【請求項13】
上記マイクロ構造体は、生体適合性高分子または粘着剤をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のマイクロ構造体。
【請求項14】
上記生体適合性高分子は、カルボキシメチルセルロース(Carboxymethyl cellulose:CMC)、アルギン酸(alginic acid)、ペクチン、カラギーナン、コンドロイチン(硫酸)、デキストラン(硫酸)、キトサン、ポリリジン(polylysine)、コラーゲン、ゼラチン、カルボキシメチルキチン(carboxymethyl chitin)、フィブリン、アガロース、プルランポリラクチド、ポリグリコール酸(PGA)、乳酸−グリコール酸共重合体(PLGA)、プルランポリ酸無水物(polyanhydride)、ポリオルトエステル(polyorthoester)、ポリエーテルエステル(polyetherester)、ポリカプロラクトン(polycaprolactone)、ポリエステルアミド(polyesteramide)、ポリ(酪酸)、ポリ(吉草酸)、ポリウレタン、ポリアクリレート、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アクリル置換セルロースアセテート、非−生分解性ポリウレタン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニル、ポリ(ビニルイミダゾール)、クロロスルホン化ポリオレフィン(chlorosulphonate polyolefins)、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリメタクリレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、エチルセルロース(EC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、シクロデキストリン、これらの高分子を形成する単量体の共重合体、及びセルロースで構成された群から選択された1以上の高分子であることを特徴とする請求項13に記載のマイクロ構造体。
【請求項15】
上記粘着剤は、シリコーン、ポリウレタン、物理的な接着剤(ゲッコー)、ポリアクリル、エチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、エチレン酢酸ビニル、及びポリイソブチレンで構成された群から選択された1以上の粘着剤であることを特徴とする請求項13に記載のマイクロ構造体。
【請求項16】
上記マイクロ構造体は、薬理学的活性成分または美容成分をさらに含むことを特徴とする請求項1から15のいずれかに記載のマイクロ構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本特許出願は、2016年6月16日に大韓民国特許庁に提出された大韓民国特許出願第10−2016−0074985号に対して優先権を主張し、上記特許出願の開示事項は、本明細書に参照として挿入される。
【0002】
本発明は、溶解特性に優れたヒアルロン酸マイクロ構造体に関するものである。より詳細には、本発明は、架橋ヒアルロン酸を含み、皮膚透過時の溶解特性に優れた生分解性マイクロ構造体に関するものである。
【背景技術】
【0003】
薬物伝達システム(Drug Delivery System、DDS)は、薬理的活性物質を、様々な物理化学的な技術を利用して、薬物の吸収及び放出を制御することにより、薬物の副作用を減らし、効能を極大化させることができるように、細胞、組織、臓器や器官などの標的部位へ伝達する一連の技術を意味する。薬物伝達システムは、一般的な経口摂取以外に、肺へ薬物を伝達する吸入投与、薬物を局所的に適用することができる経皮透過型の薬物伝達システムなどがあり、薬理活性物質の化学的な性質と生体内での使用目的などにより、患者の順応度を高めながらも、効率的で安全に薬物を投与するための研究が継続的に行われてきた。このうち注射療法の場合、正確な量の薬物を急速に全身循環血流に到達させることができるという長所があるが、投与方法が複雑で、患者によって痛みを伴うことがあり、半減期が短くて、頻繁に注射投与をしなければならないという短所がある。経皮薬物伝達システムは、注射投与方式に比べて、ユーザーの利便性が向上されて肝や胃から薬物が代謝されないため、薬効がすぐに発揮され、半減期が短い薬物の持続的な伝達が可能であり、副作用発生時にも投与の中止が容易だという長所があるが、薬物の放出速度の正確な制御が難しく、高分子量の薬物の場合、皮膚透過が難しくて、低分子量の薬物にのみ適用することができるという短所がある。従って、このような注射療法と経皮薬物伝達システムの短所を改善するために、注射器の針よりもはるかに小さく、痛みが少ないマイクロ構造体(マイクロニードル)を利用して、皮膚に微細な穴を開け薬物を伝達する方法に関する研究が盛んに行われた。マイクロ構造体は、皮膚を介して伝達することができる薬物のレベルを低分子量、高分子量薬物だけでなく、粒子までも飛躍的に増加させることができ、最近、皮用薬物伝達体に関連する用途として脚光を浴びており、血液採取、バイオセンサーや皮膚美容など様々な分野で様々な用途に開発されているのが実情である。
【0004】
従来のマイクロニードルの製造方法では、特許文献1(米国特許第6334856号)の「MICRONEEDLE DEVICES ANDMETHODS OF MANUFACTURE AND USE THEREOF」と特許文献2(大韓民国特許第10−0793615号)の「生分解性ソリッドマイクロニードル及びその製造方法」がある。上記特許は、硬化性ポリマーを用いて作製されたマイクロモールドに生分解性粘性物質を注入して乾燥した後、次のモールドから分離して、マイクロニードルを製造したり(成形技法)、生分解性ソリッドマイクロニードルを形成するための生分解性粘性物質をコーティングして柱にパターニングされたフレームでコーティングされた生分解性粘性物質をドローイングしながら乾燥させた後、ドローイングされた生分解性粘性物質を切断するステップを介してマイクロニードルを製造(ドローイン技法)する方法を開示している。しかし、このような従来の製造方法によって製造された生分解性ポリマーマイクロ構造体は、比較的に低い機械的な強度により、皮膚透過時に曲がったり、つぶれたりする問題点があり、特に、高弾性を有する高分子誘導体を原料として利用する場合の成形技法またはドローイン技法を利用して、マイクロ構造体を製造する際、希望する構造体の形状が均質に生成されない限界があり、皮膚透過に必要なマイクロ構造体の機械的強度を満足させにくい短所があった。また、これらは、皮膚に穴を開けるだけであり、薬物を提供するための媒介体としては使用されることができなくて、薬物の適用のための別途の薬物伝達システムを必要とする。
【0005】
本明細書の全体にわたって多数の論文及び特許文献が参照され、その引用が表示されている。引用された論文や特許文献の開示内容は、その全体として本明細書に参照として挿入されて、本発明が属する技術分野のレベル及び本発明の内容がより明確に説明される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第6334856号
【特許文献2】大韓民国特許第10−0793615号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明者らは、上述した従来の薬物伝達システムおよびマイクロ構造体の技術らの問題点を解決しようと例の研究に努力した。その結果、本発明者らは、皮膚の構成成分であるヒアルロン酸の誘導体である、架橋されたヒアルロン酸で形成されたハイドロゲルをマイクロ構造体の主成分として利用する場合には、皮膚内の溶解特性に優れているだけではなく、架橋されたヒアルロン酸の含有量の比率によって、皮膚内の溶解速度を容易に調節することができ、マイクロ構造体に搭載された有用成分を皮膚内に安定的に伝達しながらも、搭載された有用成分の放出速度を容易に調節することができることを確認することにより、本発明を完成した。
【0008】
従って、本発明の目的は、架橋されたヒアルロン酸(cross linked hyaluronic acid)を含み、皮膚透過時の溶解特性に優れたマイクロ構造体(microstructure)を提供することにある。
【0009】
本発明の他の目的および利点は、下記の発明の詳細な説明、請求範囲及び図面によってより明確になる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様によれば、本発明は、主成分として、i)架橋されたヒアルロン酸(cross−linked hyaluronic acid)またはii)架橋されたヒアルロン酸と非架橋ヒアルロン酸(non−cross linked hyaluronic acid)の混合物を含む皮膚透過用のマイクロ構造体であって、
上記ヒアルロン酸の全体重量を基準に、上記架橋されたヒアルロン酸の含有量は、5〜100%(w/w)であり、上記非架橋ヒアルロン酸の含有量は、0〜95%(w/w)であることを特徴とするマイクロ構造体を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の特徴と利点を要約すると次の通りである:
(a)本発明は、i)架橋されたヒアルロン酸、またはii)架橋されたヒアルロン酸と非架橋ヒアルロン酸の混合物を含んでおり、皮膚透過時に皮膚内で溶解されることを特徴とするマイクロ構造体を提供する。
(b)本発明のマイクロ構造体を皮膚内へ透過させる場合には、皮膚内の溶解特性に優れており、架橋されたヒアルロン酸の含有量の比率によって、皮膚内の溶解速度を容易に調節することができる。また、マイクロ構造体に搭載された有用成分を皮膚内へ安定的に伝達しながらも、搭載された有用成分の放出速度を容易に調節できるので、薬理学的な活性物質または皮膚改善用の物質の経皮型伝達体として有用に使うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、架橋ヒアルロン酸の混合比による、本発明のマイクロ構造体の溶解時間を示した図である。
【図2a】図2aは、本発明のマイクロ構造体を豚の皮膚に透過させた後、透過時間(透過前、10秒、30分、120分)によって、残っているマイクロ構造体の長さを走査電子顕微鏡(SEM)で観察した図である。
【図2b】図2bは、皮膚透過後に残っているマイクロ構造体の体積変化を基準とした溶解速度を示すグラフである。
【図3a】図3aは、本発明のマイクロ構造体を豚の皮膚に透過させた後、透過時間(透過前、10分、20分、30分)によって、残っているマイクロ構造体の体積を走査電子顕微鏡(SEM)で観察した図である。
【図3b】図3bは、皮膚透過後に残っているマイクロ構造体の体積変化を基準とした溶解速度を示すグラフである。
【図4a】図4a〜図4fは、架橋結合されたヒアルロン酸を含んでいる混合比別のマイクロ構造体を豚の皮膚に透過させた後、透過時間(透過前、10秒、10分、30分、60分)によって、残っているマイクロ構造体の長さを走査電子顕微鏡で観察した図である。
【図4b】図4a〜図4fは、架橋結合されたヒアルロン酸を含んでいる混合比別のマイクロ構造体を豚の皮膚に透過させた後、透過時間(透過前、10秒、10分、30分、60分)によって、残っているマイクロ構造体の長さを走査電子顕微鏡で観察した図である。
【図4c】図4a〜図4fは、架橋結合されたヒアルロン酸を含んでいる混合比別のマイクロ構造体を豚の皮膚に透過させた後、透過時間(透過前、10秒、10分、30分、60分)によって、残っているマイクロ構造体の長さを走査電子顕微鏡で観察した図である。
【図4d】図4a〜図4fは、架橋結合されたヒアルロン酸を含んでいる混合比別のマイクロ構造体を豚の皮膚に透過させた後、透過時間(透過前、10秒、10分、30分、60分)によって、残っているマイクロ構造体の長さを走査電子顕微鏡で観察した図である。
【図4e】図4a〜図4fは、架橋結合されたヒアルロン酸を含んでいる混合比別のマイクロ構造体を豚の皮膚に透過させた後、透過時間(透過前、10秒、10分、30分、60分)によって、残っているマイクロ構造体の長さを走査電子顕微鏡で観察した図である。
【図4f】図4a〜図4fは、架橋結合されたヒアルロン酸を含んでいる混合比別のマイクロ構造体を豚の皮膚に透過させた後、透過時間(透過前、10秒、10分、30分、60分)によって、残っているマイクロ構造体の長さを走査電子顕微鏡で観察した図である。
【図5a】図5a〜図5fは、架橋結合されたヒアルロン酸を0%、20%、33%、40%、60%、80%で含んでいる混合比別のマイクロ構造体を力変位装置(Force displacement equipment)を利用して、特定範囲の力を加えたとき、構造体の変形様相を確認したグラフである。
【図5b】図5a〜図5fは、架橋結合されたヒアルロン酸を0%、20%、33%、40%、60%、80%で含んでいる混合比別のマイクロ構造体を力変位装置(Force displacement equipment)を利用して、特定範囲の力を加えたとき、構造体の変形様相を確認したグラフである。
【図5c】図5a〜図5fは、架橋結合されたヒアルロン酸を0%、20%、33%、40%、60%、80%で含んでいる混合比別のマイクロ構造体を力変位装置(Force displacement equipment)を利用して、特定範囲の力を加えたとき、構造体の変形様相を確認したグラフである。
【図5d】図5a〜図5fは、架橋結合されたヒアルロン酸を0%、20%、33%、40%、60%、80%で含んでいる混合比別のマイクロ構造体を力変位装置(Force displacement equipment)を利用して、特定範囲の力を加えたとき、構造体の変形様相を確認したグラフである。
【図5e】図5a〜図5fは、架橋結合されたヒアルロン酸を0%、20%、33%、40%、60%、80%で含んでいる混合比別のマイクロ構造体を力変位装置(Force displacement equipment)を利用して、特定範囲の力を加えたとき、構造体の変形様相を確認したグラフである。
【図5f】図5a〜図5fは、架橋結合されたヒアルロン酸を0%、20%、33%、40%、60%、80%で含んでいる混合比別のマイクロ構造体を力変位装置(Force displacement equipment)を利用して、特定範囲の力を加えたとき、構造体の変形様相を確認したグラフである。
【図6】図6は、架橋結合されたヒアルロン酸を含む混合比別のマイクロ構造体を、力変位装置を利用して、特定範囲の力を加えたとき、構造体の弾性係数(ヤング率、Young’s modulus、N/100μm)を測定確認したグラフである。
【図7a】図7a〜図7cは、蛍光物質(calcein)を搭載した本発明のマイクロ構造体を豚の皮膚に透過させた後、透過時間(1分、30分、120分)による拡散様相を示した図である。
【図7b】図7a〜図7cは、蛍光物質(calcein)を搭載した本発明のマイクロ構造体を豚の皮膚に透過させた後、透過時間(1分、30分、120分)による拡散様相を示した図である。
【図7c】図7a〜図7cは、蛍光物質(calcein)を搭載した本発明のマイクロ構造体を豚の皮膚に透過させた後、透過時間(1分、30分、120分)による拡散様相を示した図である。
【図8a】図8a〜図8cは、蛍光物質(fluorescein)を結合したヒアルロン酸で製造した本発明のマイクロ構造体を豚の皮膚に透過させた後、透過時間(1分、30分、120分)による拡散様相を示した図である。
【図8b】図8a〜図8cは、蛍光物質(fluorescein)を結合したヒアルロン酸で製造した本発明のマイクロ構造体を豚の皮膚に透過させた後、透過時間(1分、30分、120分)による拡散様相を示した図である。
【図8c】図8a〜図8cは、蛍光物質(fluorescein)を結合したヒアルロン酸で製造した本発明のマイクロ構造体を豚の皮膚に透過させた後、透過時間(1分、30分、120分)による拡散様相を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書の用語、「ヒアルロン酸」は、N−アセチルグルコサミンとグルクロン酸の二糖単位が繰り返された接続構造を有する生分解性高分子であり、ヒアルロン酸だけでなく、ヒアルロン酸塩(例えば、ヒアルロン酸ナトリウム、ヒアルロン酸カリウム、ヒアルロン酸マグネシウム、ヒアルロン酸カルシウム)およびこれらの混合物を全て含む意味で使用される。
【0014】
本明細書の用語、「ハイドロゲル」は、十分な量の水分を保持している親水性高分子の3次元的な構造を意味する。本発明の目的上、ハイドロゲルは架橋されたヒアルロン酸の特性により形成されたハイドロゲルである。
【0015】
本発明は、様々な形態のマイクロ構造体を提供することができ、例えば、マイクロニードル、マイクロブレード、マイクロナイフ、マイクロファイバー、マイクロスパイク、マイクロプローブ、マイクロバーブ(microbarb)、マイクロアレイまたはマイクロ電極を提供することができる。本発明の一実施例によると、本発明のマイクロ構造体は、マイクロニードルである。
【0016】
本発明の一実施例によると、本発明のマイクロ構造体(マイクロニードル)の長さは80μmから1500μmである。
【0017】
本明細書の用語「透過」は、マイクロ構造体を皮膚に適用する場合、マイクロ構造体の突出部が皮膚の表皮層を突き抜けて入ることを意味し、好ましくは真皮層まで到達することを意味する。
【0018】
本発明の一実施例によれば、本発明のマイクロ構造体は、架橋ヒアルロン酸の含有量の比率によってアガロースゲルで相異なる溶解特性を示す。
【0019】
具体的には、マイクロ構造体に含まれる全体のヒアルロン酸(非架橋ヒアルロン酸と架橋ヒアルロン酸)の重量に対して架橋ヒアルロン酸が0%、10%、20%、40%、80%、100%(w/w)の混合比で含まれるように精製水に添加し、これを完全に溶解させてヒアルロン酸ハイドロゲル高分子を製造した後、0.1%のメチレンブルーを混合し、PDMSモールドに供給、注入および乾燥させて、本発明のマイクロ構造体を製造した。上記マイクロ構造体を3%(w/v)の濃度のアガロースゲルに対して垂直方向に付けて透過される様相を観察した結果、架橋ヒアルロン酸が0%の場合、5〜10秒でマイクロ構造体が溶解され、10%の場合10〜15秒、20%の場合35〜45秒、40%の場合50〜60秒、80%の場合70〜80秒、100%の場合100〜120秒で完全に溶解が行われ、架橋ヒアルロン酸の混合比率が高くなるほどアガロースゲルで溶解速度が徐々に低くなり、混合比が低くなるほどアガロースゲルでの溶解速度が徐々に高くなることを確認した。
【0020】
また、本発明の一実施例によると、本発明のマイクロ構造体は皮膚内に透過時、皮膚内で特定の溶解特性を有する。
【0021】
具体的には、本発明の実施例によると、本発明の上記マイクロ構造体を3kg重(kgf)の力で皮膚に透過させると、皮膚透過10分後に、マイクロ構造体の長さの60%以下が溶解され、皮膚透過30分後に、マイクロ構造体の長さの75%以下が溶解され、皮膚透過60分後に、マイクロ構造体の長さの85%以下が溶解される。
【0022】
また、上記架橋ヒアルロン酸がヒアルロン酸の全体重量を基準に15〜30%である場合には、皮膚透過10分後に、マイクロ構造体の長さの50〜60%が溶解され、皮膚透過30分後に、マイクロ構造体の長さの65〜75%が溶解され、皮膚透過60分後に、マイクロ構造体の長さの70〜85%が溶解される。
【0023】
また、上記架橋ヒアルロン酸がヒアルロン酸の全体重量を基準に30〜35%である場合には、皮膚透過10分後に、マイクロ構造体の長さの45〜55%が溶解され、皮膚透過30分後に、マイクロ構造体の長さの58〜68%が溶解され、皮膚透過60分後に、マイクロ構造体の長さの65〜75%が溶解される。
【0024】
また、上記架橋ヒアルロン酸がヒアルロン酸の全体重量を基準に35〜50%である場合には、皮膚透過10分後に、マイクロ構造体の長さの40〜55%が溶解され、皮膚透過30分後に、マイクロ構造体の長さの51〜61%が溶解され、皮膚透過60分後に、マイクロ構造体の長さの55〜65%が溶解される。
【0025】
また、上記架橋ヒアルロン酸がヒアルロン酸の全体重量を基準に50〜70%である場合には、皮膚透過10分後に、マイクロ構造体の長さの35〜45%が溶解され、皮膚透過30分後に、マイクロ構造体の長さの44〜54%が溶解され、皮膚透過60分後に、マイクロ構造体の長さの48〜58%が溶解される。
【0026】
また、上記架橋ヒアルロン酸がヒアルロン酸の全体重量を基準に70〜90%である場合には、皮膚透過10分後に、マイクロ構造体の長さの30〜45%が溶解され、皮膚透過30分後に、マイクロ構造体の長さの41〜51%が溶解され、皮膚透過60分後に、マイクロ構造体の長さの45〜56%が溶解される。
【0027】
上記説示した架橋ヒアルロン酸の濃度(含有量)別の皮膚透過時間による溶解率は、架橋ヒアルロン酸の濃度を調節することによって、マイクロ構造体の溶解速度を調節することができることを説明するために例示したものだけであり、本発明の範囲が必ず上記範囲に限定されるものではない。
【0028】
一方、上記実施例で使用された豚の皮膚組織は、本マイクロ構造体と関連した学界と産業界から人体の皮膚組織と構造及び代謝特性などの機能において、最も類似性の高い材料として認められて、人体の皮膚組織の代用としてよく使用され、特に薬物の経皮投与拡散実験で人体の皮膚での拡散特性と同様な程度の類似性を示すので(Kong R et al., 「Characterization of porcine skin as a model for human skin studies using infrared spectroscopic imaging.」, Analyst. 2011 Jun 7;136(11):2359〜66.)、豚の皮膚組織で実施した結果であるが、人体の皮膚組織での溶解特性と類似な結果が表示されることを予測することができる。
【0029】
本発明のマイクロ構造体に主成分として含まれるヒアルロン酸の濃度は、上記本発明の一態様に係る上記i)の架橋されたヒアルロン酸、または上記ii)のヒアルロン酸混合物を構成する水または水性溶媒に対して1〜10%(w/v)であり、上記ヒアルロン酸の全体重量を基準に、上記架橋ヒアルロン酸の含有量は、5〜100%(w/w)であり、上記非架橋ヒアルロン酸の含有量は、0〜95%(w/w)である。
【0030】
上記水は、特に制限されるものではないが、皮膚に直接透過されて化粧料を適用したり、薬物を伝達する薬物伝達体の用途としての使用のために精製水または滅菌水であることが好ましい。
【0031】
上記水性溶媒は、水と混合されて使用されることができる親水性溶媒を総称するもので、特に制限されるものではないが、皮膚に直接透過される用途を考慮してリン酸緩衝液、酢酸緩衝液、トリス緩衝液などの生体内に投与されても構わない生理食塩水であることが望ましい。
【0032】
本発明のマイクロ構造体に主成分として含まれるヒアルロン酸の分子量は、100〜5000kDaであることができ、具体的には、200〜400kDaであることができるが、これらに制限されるものではない。
【0033】
また、本発明の一実施例によると、本発明の架橋されたヒアルロン酸は、1〜50%の架橋度を有する。具体的には、具体的には、1〜40%、2〜40%、5〜40%、7〜40%、10〜40%、15〜40%、18〜40%、20〜40%、22〜40%、25〜40%、28〜40%、30〜40%、1〜35%、2〜35%、5〜35%、7〜35%、10〜35%、15〜35%、18〜35%、20〜35%、22〜35%、25〜35%、28〜35%、1〜30%、2〜30%、5〜30%、7〜30%、10〜30%、15〜30%、18〜30%、20〜30%、22〜30%、25〜30%、28〜30%、1〜25%、2〜25%、5〜25%、7〜25%、10〜25%、15〜25%、18〜25%、20〜25%、22〜25%、1〜20%、2〜20%、5〜20%、7〜20%、10〜20%、15〜20%、18〜20%、1〜15%、2〜15%、5〜15%、7〜15%、10〜15%、1〜10%、2〜10%、5〜10%、7〜10%、1〜5%、2〜5%、1〜3%または2〜3%の架橋度を有する。
【0034】
本発明のマイクロ構造体は、「生体適合性高分子」または「粘着剤」をさらに含むことができる。
【0035】
上記生体適合性高分子は、マイクロ構造体の分野で通常的に利用される全ての生体適合性高分子を含む。具体的には、カルボキシメチルセルロース(Carboxymethyl cellulose:CMC)、アルギン酸(alginic acid)、ペクチン、カラギーナン、コンドロイチン(硫酸)、デキストラン(硫酸)、キトサン、ポリリジン(polylysine)、コラーゲン、ゼラチン、カルボキシメチルキチン(carboxymethyl chitin)、フィブリン、アガロース、プルランポリラクチド、ポリグリコール酸(PGA)、乳酸−グリコール酸共重合体(PLGA)、プルランポリ酸無水物(polyanhydride)、ポリオルトエステル(polyorthoester)、ポリエーテルエステル(polyetherester)、ポリカプロラクトン(polycaprolactone)、ポリエステルアミド(polyesteramide)、ポリ(酪酸)、ポリ(吉草酸)、ポリウレタン、ポリアクリレート、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アクリル置換セルロースアセテート、非−生分解性ポリウレタン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニル、ポリ(ビニルイミダゾール)、クロロスルホン化ポリオレフィン(chlorosulphonate polyolefins)、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリメタクリレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、エチルセルロース(EC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、シクロデキストリンおよびこれらの高分子を形成する単量体らの共重合体とセルロースで構成された群から選択された1以上の高分子である。
【0036】
また、上記粘着剤は、マイクロ構造体の分野で通常的に利用される全ての粘着剤を含む。具体的には、シリコン、ポリウレタン、物理的な接着剤(ゲッコー)、ポリアクリル、エチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、エチレン酢酸ビニルおよびポリイソブチレンで構成された群から選択された1以上の粘着剤である。
【0037】
本発明のマイクロ構造体は、ヒアルロン酸をはじめとする、上記様々な生体適合性高分子または粘着剤を水または水性溶媒に溶解させてPDMS(polydimethylsilozane)モールドに供給、注入および乾燥させて製造される。本発明の一実施例によれば、上記PDMSに供給される生体適合性高分子または粘着剤は、水または水性溶媒に1〜10%(w/v)の濃度で含まれるが、これに制限されるものではない。
【0038】
ヒアルロン酸を主成分とするマイクロ構造体は、当業界の全てのマイクロモールドの製造技法を用いて製造することができる。
【0039】
また、本発明のマイクロ構造体は、薬理学的な活性物質または皮膚改善用の物質を含むことができる。具体的には、例えば、抗炎症剤、鎮痛剤、抗関節炎剤、鎮痙剤、抗うつ剤、抗精神病薬、精神安定剤、抗不安薬、麻薬拮抗薬、抗パーキンソン病薬、コリン作動性アゴニスト、抗がん剤、血管新生阻害剤、免疫抑制剤、抗ウイルス剤、抗生剤、食欲抑制剤、鎮痛剤、抗コリン剤、抗ヒスタミン剤、片頭痛治療剤、ホルモン剤、冠状血管、脳血管または末梢血管拡張薬、避妊薬、抗血栓薬、利尿剤、降圧薬、心血管疾患治療薬、美容成分(例えば、シワ改善剤、皮膚老化抑制剤および皮膚美白剤)などを含むが、これに制限されるものではない。
【0040】
本発明のマイクロ構造体は、上記のような薬理学的な活性物質を搭載することができ、皮膚内に透過時、搭載した薬理学的な活性物質を効果的に放出及び拡散させることができ、これを構成する架橋ヒアルロン酸、非架橋ヒアルロン酸の比率によって上記した薬理学的な活性物質の放出と拡散速度を制御することができる。具体的には、本発明の一実施例を挙げて説明すると、マイクロ構造体の製造時に蛍光物質であるカルセイン(calcein)を架橋ヒアルロン酸ハイドロゲル高分子に5%(w/v)で含有されるように混合し、製造したマイクロ構造体を豚の皮膚にそれぞれ1分、30分、120分の間、垂直に透過した結果、皮膚透過1分〜30分後、マイクロ構造体が急速に溶解されると、カルセインの蛍光シグナルが急速に放出、拡散及び維持され、皮膚透過120分後にもカルセインの蛍光シグナルが強く観察された。
【0041】
本発明のマイクロ構造体は、主成分であるヒアルロン酸に薬理活性物質を化学的に結合して製造することができ、皮膚透過時に優れた溶解特性を示し、薬理活性物質を効果的に伝達することができる。本発明の他の実施例を挙げて説明すると、蛍光物質(Fluorescein)が結合されたヒアルロン酸(Fluorescein−Hyaluronic acid)で本発明のマイクロ構造体を製造し、製造したマイクロ構造体を皮膚に透過した結果、ニードルの端から溶解が始まり、皮膚透過直後から非架橋ヒアルロン酸が溶解し始め、皮膚透過後の約30分まで、非常に速い速度で溶解が行われた。さらに、架橋ヒアルロン酸の遅い溶解速度によって、皮膚透過120分後に蛍光シグナルがマイクロ構造体の形状を維持しながら、120分以上維持されることを確認することができた。
【0042】
また、本発明の一実施例によると、本発明のマイクロ構造体は、皮膚透過に適した弾性程度を有する。より具体的には、本発明のマイクロ構造体は、0.4〜0.7N/100μmの弾性係数(ヤング率、Young’s modulus)を有することを特徴とする。
【0043】
上記ヤング率(Young’s modulus)は、物体から起こる変形と圧力との関係を示す弾性係数であり、1次元の例で説明するとヤング率をEとするとき、応力(stress)=E×変形度(strain)で表現される。上記ヤング率は、物体本来の性質として、ヤング率は物体に与えられた圧力を知っているとき、その物体の変形の程度を予測するのに使われ、その逆も使われる。
【0044】
本発明の実施例4〜6で豚の皮膚に対して行った皮膚透過の実験結果によれば、上記弾性係数(ヤング率)の範囲は、豚の皮膚を透過するのに十分な機械的強度を有する範囲に該当する。
【0045】
本発明のマイクロ構造体は、皮膚透過時にマイクロ構造体の高さの80%以上が透過されて高い機械的強度を有し、上記実施例によれば、上記機械的強度は、80〜100(透過率、%)である。
【0046】
上記で説明したように、本発明のマイクロ構造体は、皮膚透過時に溶解特性が非常に優れており、架橋されたヒアルロン酸の含有量(混合)比を調節することにより、溶解速度の調節が容易である。また、マイクロ構造体の製造時に薬理活性物質を混合したり、薬理活性物質が化学的に結合されたヒアルロン酸を利用するなどの方式で薬理活性物質の搭載が容易で、マイクロ構造体を皮膚内に透過時、搭載された薬理活性物質の放出及び拡散が効果的に行われて有用成分を皮膚内へ安定的に伝達することができ、架橋ヒアルロン酸の含有量を調節することにより、ヒアルロン酸の溶解速度と有用成分の放出拡散速度を容易に調節することができる。従って、本発明のマイクロ構造体は、薬理学的な活性物質または皮膚改善用物質の経皮型伝達体として有用に使うことができる。
【0047】
以下、実施例を通じて本発明をさらに詳細に説明する。これらの実施例は、ただ本発明をより具体的に説明するためのものであり、本発明の要旨に基づいて、本発明の範囲がこれらの実施例により制限されていないということは、当業界で通常の知識を有する者にとって自明である。
【実施例】
【0048】
本明細書の全体にわたり、特定物質の濃度を示すために使用される%は、特に言及がない場合は、固体/固体は(重量/重量)%、固体/液体は(重量/体積)%、そして液体/液体は(体積/体積)%である。
【0049】
(実施例1):架橋結合されたヒアルロン酸を含むマイクロ構造体のアガロースゲル透過時の溶解速度実験
実施例1−1:架橋結合されたヒアルロン酸を含むマイクロ構造体の製造
シリコンウエハーにフォトリソグラフィ(photolithography)とエッチング(eching)製作技法を利用して、正または負のマスターモールド(positive or negative master mold)を製造した後、上記マスターモールドから硬化性シリコン(PDMS, polydimethylsilozane)を利用して、最終負モールド(negative mold)を製造した。
【0050】
生体適合性高分子である平均分子量360kDa(分子量範囲240〜490kDa)のヒアルロン酸(Bloomage Freda Biotech、中国)をアルカリ水(0.25N NaOH)に完全に溶解させた後、架橋を達成するために架橋剤(cross−linking agent)としてブタンジオールジグリシジルエーテル(BDDE,1,4−Butanediol diglycidyl ether)を添加して架橋結合されたヒアルロン酸(cross−linked hyaluronic acid)を製造した。製造した架橋ヒアルロン酸が全体ヒアルロン酸(非架橋ヒアルロン酸と架橋ヒアルロン酸)の重量に対して、0%、10%、20%、40%、80%、100%(w/w)の混合比で含まれるように精製水に添加し、完全に溶解させて架橋/非架橋ヒアルロン酸ハイドロゲル高分子(ポリマー)を製造した。例えば説明すると、精製水100mlに架橋ヒアルロン酸0.5g、非架橋ヒアルロン酸4.5gを溶解させると、架橋ヒアルロン酸が全体ヒアルロン酸の重量に対して、10%(w/w)の混合比で含まれるヒアルロン酸ハイドロゲル高分子を製造することができる。このように製造されたヒアルロン酸ハイドロゲル高分子をPDMSマイクロモールドに供給し、注入および乾燥させた後、モールドを除去して、本発明のマイクロ構造体を製造した。
【0051】
実施例1−2:架橋結合されたヒアルロン酸を含むマイクロ構造体のアガロースゲル透過時の溶解速度実験
マイクロ構造体のアガロースゲル透過時の溶解速度を調べるために、実施例1−1で製造した全体のヒアルロン酸の重量に対して、架橋ヒアルロン酸の重量を0〜100%(w/w)の重量比で製造した架橋/非架橋ヒアルロン酸ハイドロゲルに同一の体積の0.1%メチレンブルー(methylene blue)を混合し、PDMSマイクロモールドに供給、注入および乾燥させた後、モールドを除去して、青色を帯びたヒアルロン酸マイクロ構造体を製造した。
【0052】
次に、アガロース粉末(agarose powder)0.75gを蒸留水25mlに入れて加熱して溶解した後、冷やして3%(w/v)の濃度のアガロースゲルを作った後、適切なサイズ(約0.8cm×1cm)に切って準備した。
【0053】
上記で製造したメチレンブルーを含むマイクロ構造体を0.1〜0.15cmの幅に切り、マイクロ構造体をアガロースゲルに対して垂直方向に付けてマイクロ構造体がアガロースゲルに透過されることができるようにし、マイクロ構造体が含有する架橋結合されたヒアルロン酸の比率別にアガロースゲルに溶解される現象を、顕微鏡(Sunny SZMN、40倍以上)を利用して2分間観察した。
【0054】
結果は、図1に示した。
【0055】
図1に示すように、架橋ヒアルロン酸の混合比が高いほど、マイクロ構造体が溶解される時間が長くなり、架橋ヒアルロン酸の混合比が低いほど、マイクロ構造体が溶解される時間が短くなることが分かった。従って、架橋されたヒアルロン酸の混合比を変更することにより、本発明のマイクロ構造体の溶解速度を調節することができることを確認した。
【0056】
(実施例2):架橋結合されたヒアルロン酸50%(w/w)を含むマイクロ構造体の豚の皮膚透過時の溶解速度実験
本発明のマイクロ構造体の皮膚透過時の溶解特性を調べるために、架橋ヒアルロン酸と非架橋ヒアルロン酸が同一の重量比で含まれるようにすることを除いては、実施例1と同様の方法で、本発明のマイクロ構造体を製造した。製造したマイクロ構造体を豚の皮膚に一定の力で一定時間、透過(挿入)させた後、透過前後の構造体の変形の程度を確認して溶解速度を比較した。
【0057】
実施例2−1.マイクロ構造体の長さを基準にした溶解速度
上記で製造したマイクロ構造体を0.7cm×0.7cmに切った後、豚の皮膚に対して垂直方向に5kg重の力で10秒〜120分の間、力を加えて透過させた。光学顕微鏡(Optical Microscope)でマイクロ構造体の透過部位を観察し、皮膚透過前後のマイクロ構造体の変形の程度を、走査電子顕微鏡(SEM, JEOL JSM−7500F)を用いて、それぞれの長さと体積の面で透過前、透過10秒後、透過10分後、透過20分後、透過30分後、透過60分後および透過120分後に確認することにより、透過時の溶解速度を測定した。
【0058】
本発明のマイクロ構造体の豚の皮膚透過後に残っている構造体の長さの変化による溶解速度実験の結果は、下記表1と図2a及び図3aに示した。
【0059】
【表1】
【0060】
表1及び図2a、図3aに示すように、豚の皮膚に透過10秒後に構造体の全長の35%が溶解され、透過10分後には52%、透過20分後には70%、透過30分後は76%、透過60分後には78%が、透過120分後には、82%が溶解されることを確認した。
【0061】
実施例2−2.マイクロ構造体の体積を基準にした溶解速度
本発明のマイクロ構造体の豚の皮膚に透過後に残っている構造体の体積変化による溶解速度を測定し、実験結果を下記表2と図2b及び図3bに示した。
【0062】
【表2】
【0063】
表2と図2b及び図3bに示すように、透過後10分後には15%、20分後には30%、30分後には、総体積の45〜48%が溶解されて継続的に速い速度で溶解されながら、透過120分後には、総体積の56%が溶解されて、徐々にゆっくりと溶解されることを確認した。
【0064】
従って、本発明の架橋されたヒアルロン酸を含むマイクロ構造体は、人体の皮膚に適用される場合、非架橋ヒアルロン酸の初期溶解速度が非常に速く、透過30分までは迅速な効果を提供し、透過30分以後には架橋結合されたヒアルロン酸がゆっくりと溶解して継続的に皮膚に一定の効果を提供することができるので、皮膚に適用する用途として有用に使えることが分かる。
【0065】
(実施例3):架橋結合されたヒアルロン酸を含む混合比別のマイクロ構造体の豚の皮膚透過時の溶解速度の比較実験
本発明のマイクロ構造体の皮膚透過時の溶解特性を調べるために、実施例1と同様の方法で架橋ヒアルロン酸が全体ヒアルロン酸(非架橋ヒアルロン酸と架橋ヒアルロン酸)の重量に対して、0%、20%、33%、40%、60%、80%(w/w)の混合比で含まれるように精製水に添加し、完全に溶解させて架橋/非架橋ヒアルロン酸ハイドロゲル高分子を製造した。
【0066】
上記高分子を用いて製造したマイクロ構造体を0.7cm×0.7cmに切った後、豚の皮膚に対して垂直方向に3kg重の力で10秒〜60分間、力を加えて透過させた。光学顕微鏡でマイクロ構造体の透過部位と皮膚透過前のマイクロ構造体を観察し、変形の程度を、走査電子顕微鏡を用いて、それぞれの長さの面で透過前、透過10秒後、透過10分後、透過30分後、透過60分後に確認することにより、透過時の溶解速度を測定した。
【0067】
本発明のマイクロ構造体の豚の皮膚に透過した後に残っている構造体の長さの変化による溶解速度実験の結果は、下記表3及び図4に示した。
【0068】
【表3】
【0069】
表3及び図4a〜図4fに示すように、架橋されたヒアルロン酸の混合比が増加するほど、皮膚透過時の溶解速度が遅くなり、豚の皮膚に透過30分後に架橋されたヒアルロン酸の混合比によって0%、20%、33%、40%、60%、80%で、それぞれの構造体の全長の72%、67%、63%、56%、49%、46%が溶解されることを確認した。
【0070】
従って、本発明の架橋されたヒアルロン酸を含むマイクロ構造体は、人の皮膚に適用される場合、架橋結合されたヒアルロン酸の混合比を調節することにより、皮膚内の溶解時間を調節することができるので、皮膚の保湿とシワ改善効果などの皮膚の美容に有用な効果を示す時間を調節することができ、皮膚美容機能成分、薬物などの有効成分をマイクロ構造体に含む場合、有効成分の皮膚放出速度を適切に調節する用途(controlled release)として有用に使えることが分かる。
【0071】
(実施例4):架橋結合されたヒアルロン酸を含む混合比別のマイクロ構造体の機械的強度の比較実験(force−displacement測定)
本発明のマイクロ構造体の皮膚透過時の機械的な強度特性を調べるために、力変位装置(Zwick/Roell, Germany)を用いて、特定範囲の力を加えたとき、構造体の変形様相を確認した。
【0072】
実施例1と同様の方法で架橋ヒアルロン酸が全体ヒアルロン酸(非架橋ヒアルロン酸と架橋ヒアルロン酸)の重量に対して、0%、20%、33%、40%、60%、80%(w/w)の混合比で含まれるように精製水に添加し、完全に溶解させて架橋/非架橋ヒアルロン酸ハイドロゲル高分子を製造した。
【0073】
上記高分子で製造したマイクロ構造体を利用して、2×2の構造体(合計4つの構造体)の試料を準備した。力変位装置に混合比別のマイクロ構造体試料を装着して0〜10Nの範囲で力を加えた後、構造体チップ(tip)部分から100μm〜200μmの構造体が変形される区間を観察して比較した。また、混合比別の構造体の弾性係数(ヤング率、Young’s modulus、N/100μm)を測定して比較した。
【0074】
図5に示すように、架橋されたヒアルロン酸の混合比が変化するほど力変位(Force displacement)パターンに微細な変化を確認することができた。架橋されたヒアルロン酸の混合比によって0%、20%、33%、40%の場合、チップから0.3N〜0.5Nから0.9N〜1.3Nの力の範囲で構造体の変形が現れ、60%、80%の混合比の場合、それぞれ0.1N〜0.2Nから0.6N〜0.7Nの力の範囲で構造体の変形が現れることを確認した。
【0075】
【表4】
【0076】
図6〜表4に示すように、混合比別の構造体の弾性係数には大きな差はなく、架橋されたヒアルロン酸の混合比によって0%、20%、33%、40%の範囲では、それぞれ0.35、0.5、0.53、0.66に、60%、80%の混合比では、それぞれ0.43、0.44になった。
【0077】
上記の結果から、本発明のマイクロ構造体は、架橋されたヒアルロン酸含有量の全ての範囲で、皮膚透過に十分な強度と弾性力を有することを確認することができた。従って、本発明のマイクロ構造体内の架橋されたヒアルロン酸含有量を調節すると、マイクロ構造体の強度に影響も与えることなく、マイクロ構造体の溶解速度とマイクロ構造内に含まれた有効成分の放出速度を容易に調節することができることが分かる。
【0078】
(実施例5):本発明のマイクロ構造体に蛍光物質(calcein)搭載後の皮膚透過時の拡散パターンと拡散速度の実験
本発明のマイクロ構造体の薬物伝達体としての利用の可能性を調べるために、本発明のマイクロ構造体に蛍光物質を搭載(loading)した後、豚の皮膚に透過時の透過深さなどの拡散パターンと拡散速度を確認した。
【0079】
まず、架橋結合されたヒアルロン酸がヒアルロン酸の全体重量に対して、35%(w/w)の比率で含まれている架橋ヒアルロン酸高分子に蛍光物質であるカルセイン(calcein、シグマアルドリッチ)が5%(w/v)で含有されるように混合した後に、モールドに供給、注入、乾燥してカルセインが搭載された265μmの高さのマイクロ構造体(マイクロニードル)を製造した。マイクロ構造体のサンプルは、0.7cm×0.7cmに切った後に使用し、豚の皮膚に5kg重の力で1分、30分、120分の間、垂直に力を加えて透過させた。豚の皮膚に残っている蛍光物質をコンフォーカル顕微鏡(confocal microscope、Nikon、ECLIPSETE2000−E)を用いて観察して透過深さと時間による拡散様相を観察した。
【0080】
結果は、図7a〜図7cに示した。
【0081】
図7a〜図7cに示すように、皮膚透過1分後にニードルの全長(265μm)の80%以上の深さで皮膚透過が行われ、ニードルの端(tip)部分から溶解が開始され、搭載薬物であるカルセインの拡散が起こることを確認した。カルセインの蛍光シグナルは、透過30分後にも殆ど維持されている様相を見せた。これらの結果は、カルセインを搭載した非架橋ヒアルロン酸が急速に溶解されながら、カルセインを放出(fast−release)するためであると考えられる。また、皮膚透過120分後にもカルセインの蛍光シグナルが強く観察され、本発明のマイクロ構造体が、皮膚透過後、ゆっくりと持続的にカルセインを放出することができ、これらの徐放性薬物放出(extended−release)の効果は、カルセインを搭載した架橋ヒアルロン酸がゆっくりと溶解されながら、カルセインを放出させられるためであると考えられ、本実施例と上記実施例2の結果に鑑みて4〜6時間まで維持されると予想された。従って、本発明のマイクロ構造体は、薬物を搭載して皮膚に放出させる形態の薬物伝達体として有用に使用することができ、製造されるマイクロ構造体の架橋ヒアルロン酸の混合比を高めることにより徐放性(extended−release)に放出される薬物の量を増加させることができ、非架橋ヒアルロン酸の混合比を高めることにより速放性(fast−release)で放出される薬物の量を増加させることができるなどの放出速度の調節が容易であることが分かる。
【0082】
(実施例6):蛍光物質が結合されたヒアルロン酸(fluorescein hyaluronic acid)で製造された本発明のマイクロ構造体の皮膚透過時の時間による溶解パターンと溶解速度実験
本発明のマイクロ構造体の皮膚透過時の皮膚内溶解パターンと溶解速度を調べるために、蛍光物質が結合されたヒアルロン酸で製造された本発明のマイクロ構造体の豚の皮膚に透過時の溶解パターンと溶解速度を確認した。
【0083】
生体適合性高分子としては、平均分子量360kDa(分子量範囲240〜490kDa)のヒアルロン酸を用いた。このとき、蛍光物質が結合されたヒアルロン酸(Fluorescein−labeled hyaluronic acid、平均分子量800kDa、シグマアルドリッチ)を5%(w/w)の比率で添加して架橋剤としてBDDEを用いて、蛍光物質が結合された架橋ヒアルロン酸(fluorescein−tagged hyaluronic acid)を製造した。次に、架橋ヒアルロン酸が全体ヒアルロン酸(非架橋ヒアルロン酸と架橋ヒアルロン酸)の重量に対して、30%(w/w)の混合比で含まれるように精製水に添加し、完全に溶解させて架橋ヒアルロン酸ハイドロゲル高分子を製造した。PDMSマイクロモールドに上記高分子を供給して注入及び乾燥させた後、モールドを除去して265μmの高さのマイクロ構造体(マイクロニードル)を製造した。
【0084】
マイクロ構造体のサンプルは、0.7cm×0.7cmに切った後に使用し、豚の皮膚に5kg重の力で1分、30分、120分の間、垂直に力を加えて透過させた。豚の皮膚に残っている蛍光物質をコンフォーカル顕微鏡(confocal microscope、Nikon、ECLIPSETE2000−E)を用いて観察して透過深さなどの溶解パターンと溶解速度を確認した。
【0085】
結果は、図8a〜図8cに示した。
【0086】
図8a〜図8cに示すように、皮膚透過1分後にニードルの全長(265μm)の80%以上の深さで皮膚透過が行われ、ニードルの端(tip)部分から溶解が開始されることを確認した。蛍光物質が結合された架橋ヒアルロン酸の場合には、皮膚透過直後から非常に速く溶解される非架橋ヒアルロン酸とは異なって、透過30分以降から120分まで非常に遅い速度で溶解拡散され、蛍光シグナルがマイクロニードルの形状を維持しながら、120分以上維持されることが確認され、本実施例と上記実施例2の結果に鑑みて4〜6時間まで維持されると予想された。従って、本発明のマイクロ構造体は、皮膚透過時に溶解特性に非常に優れており、架橋ヒアルロン酸の混合比を上げたり下げたりすることにより、ゆっくり長い時間溶解されるようにしたり、すぐに短い時間の間に溶解されることができるように溶解速度の調節が容易であることが分かる。
【0087】
以上で、本発明の特定部分を詳細に記述したところ、当業界の通常の知識を有する者にとって、これらの具体的な技術は、単に好ましい実施例だけであり、これに本発明の範囲が制限されるものではない点は明らかである。従って、本発明の実質的な範囲は、添付された請求項とその等価物によって定義されると言える。
【図1】
【図2a】
【図2b】
【図3a】
【図3b】
【図4a】
【図4b】
【図4c】
【図4d】
【図4e】
【図4f】
【図5a】
【図5b】
【図5c】
【図5d】
【図5e】
【図5f】
【図6】
【図7a】
【図7b】
【図7c】
【図8a】
【図8b】
【図8c】
【国際調査報告】