(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】2019523701
(43)【公表日】20190829
(54)【発明の名称】自立性MOF膜
(51)【国際特許分類】
   B01D 71/06 20060101AFI20190802BHJP
   B01D 71/16 20060101ALI20190802BHJP
   B01D 71/68 20060101ALI20190802BHJP
   B01D 71/34 20060101ALI20190802BHJP
   B01D 71/42 20060101ALI20190802BHJP
   B01D 71/56 20060101ALI20190802BHJP
   B01D 71/64 20060101ALI20190802BHJP
   B01D 71/52 20060101ALI20190802BHJP
   B01D 71/50 20060101ALI20190802BHJP
   B01D 71/28 20060101ALI20190802BHJP
   B01D 71/54 20060101ALI20190802BHJP
   B01D 71/40 20060101ALI20190802BHJP
   B01D 69/00 20060101ALI20190802BHJP
   H01M 8/10 20160101ALI20190802BHJP
   H01M 8/0606 20160101ALI20190802BHJP
   H01M 8/0662 20160101ALI20190802BHJP
   C25B 13/08 20060101ALI20190802BHJP
【FI】
   !B01D71/06
   !B01D71/16
   !B01D71/68
   !B01D71/34
   !B01D71/42
   !B01D71/56
   !B01D71/64
   !B01D71/52
   !B01D71/50
   !B01D71/28
   !B01D71/54
   !B01D71/40
   !B01D69/00
   !H01M8/10 101
   !H01M8/0606
   !H01M8/0662
   !C25B13/08 301
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】28
(21)【出願番号】2018562203
(86)(22)【出願日】20170526
(85)【翻訳文提出日】20190107
(86)【国際出願番号】EP2017062739
(87)【国際公開番号】WO2017207424
(87)【国際公開日】20171207
(31)【優先権主張番号】16001222.5
(32)【優先日】20160531
(33)【優先権主張国】EP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ
(71)【出願人】
【識別番号】506110634
【氏名又は名称】イーティーエイチ・チューリッヒ
【住所又は居所】スイス・CH−8092・チューリッヒ・レーミシュトラーセ・101・イーティーエイチ・トランスファー
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シュタルク、ヴェンデリン ヤン
【住所又は居所】スイス国、ランゲンタール、アルプヴェク 28
(72)【発明者】
【氏名】ヘス、サミュエル
【住所又は居所】スイス国、チューリッヒ、ヴォルフガング − パウリ − シュトラーセ 10、インスティトゥート フューア ヒェミー ウント バイオインジェニエーアヴィッセンシャフテン、ハーツェーイー エー 107 気付
【テーマコード(参考)】
4D006
5H126
5H127
【Fターム(参考)】
4D006GA01
4D006GA41
4D006HA21
4D006HA61
4D006HA77
4D006MA02
4D006MA03
4D006MA06
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4D006MA31
4D006MC03X
4D006MC07X
4D006MC18
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4D006MC29
4D006MC35
4D006MC37
4D006MC39
4D006MC47
4D006MC49
4D006MC53
4D006MC54
4D006MC58
4D006MC62
4D006MC63X
4D006NA10
4D006NA46
4D006NA63
4D006NA64
4D006PA01
4D006PA02
4D006PB12
4D006PB13
4D006PB20
4D006PB32
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4D006PB64
4D006PB66
4D006PB68
4D006PB70
4D006PC80
5H126BB06
5H127AA06
5H127AB04
5H127AC02
5H127BA17
(57)【要約】
本発明は、金属有機構造体(MOF)を含有する複合材料、特に膜の製造に関する。本発明のプロセスは、前駆体材料の孔を含有する転相ポリマー形成およびMOFのインサイチュ形成の工程を含む。本発明はさらに、新しいMOF含有膜に関し;そのような膜のガス分離プロセスにおける使用およびそのような膜を含むデバイスに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複合材料(11)の製造方法であって、
前記複合材料(11)が、ポリマーマトリックス(2)および金属有機構造体(MOF)(3)を含み、前記MOF(3)はチャネル様構造(4)において前記ポリマーマトリックス(2)中に埋め込まれ;
前記方法は:
(a)分散相(51)および連続相(52)からなる分散液(5)を提供する工程であって、
・前記分散相(51)が、金属、金属酸化物、金属塩および金属シリカートからなる群から選択されるナノ粒子を含み;
・前記連続相(52)が、ポリマー、第1の溶媒および第2の溶媒を含む、工程;
(b)基材(6)を前記分散液(5)でコーティングする工程;
(c)得られた材料を前記第1の溶媒を除去することによって転相工程に供し、それによって前駆体材料(13)を得る工程;
(d)前記得られた前駆体材料(13)を、
・水、場合により水と組み合わせたC1−C8モノアルコール、水またはメタノールと組み合わせたジメチルアセトアミドからなる群から選択される溶媒;
・ベンゾイミダゾール、2−メチルイミダゾール、イミダゾラート−2−カルボキシアルデヒドからなる群から選択される配位子
を含む溶液(7)と接触させる工程、
(e)任意に、前記得られた複合材料(11)を前記基材(6)から除去し、および/または前記得られた複合材料(11)をさらに処理する工程
を含む、方法。
【請求項2】
前記複合材料(11)が膜、特に自立性膜または可撓性の自立性非連続膜であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記分散液(5)において、前記ナノ粒子:ポリマー比が、重量で30:70〜80:20の範囲であることを特徴とする、請求項1〜2のいずれかに記載の方法。
【請求項4】
前記溶液(7)において、前記配位子:溶媒比が、重量で0.1:99.9〜20:80、好ましくは1:99〜20:80であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記工程(b)が、10μm〜500μmのフィルムをキャストすることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記工程(c)が60℃〜200℃の温度で行われることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記工程(d)が10℃〜100℃の温度で行われ、任意に1分〜360分の異なる温度工程に分割されることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記工程(e)が、請求項7に記載の手順を繰り返す合成後工程、溶媒蒸気処理後工程、またはそれらの組み合わせのいずれかであることができることを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
複合材料(11)の第1の層、および任意に、第2の層(12)および/または第3の層(10)を含む自立性膜(1)であって;
前記複合材料(11)が、チャネル様構造(4)を示すポリマーマトリックス(2)および前記チャネル様構造に埋め込まれる金属有機構造体(MOF)(3)を含み;
前記任意の第2の層(12)が、前記チャネル様構造(4)と少なくとも同じ直径の孔(8)を有するポリマーまたは無機材料(9)を含み;
前記任意の第3の層(10)が、連続層を形成するために相互成長したMOFを含み、
前記膜(1)は、クヌーセン限界よりも大きなガス分離選択性、特に6.1以上のH2/CO2選択性、および/または8.9以上のH2/N2の選択性を示すことを特徴とする、自立性膜。
【請求項10】
前記複合材料(11)において、
・前記ポリマーマトリックス(2)が、セルロースアセタート(CA)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリビニリデンフルオリド(PVDF)、ポリスルホン(PSf)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリベンゾイミダゾール(PBI)、ポリアミド(PA)、ポリイミド(PI)、ポリアミド−イミド(PAI)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリ乳酸(PLA)、ポリカルボナート(PC)、ポリスチレン(PS)、ポリアクリラートおよびポリウレタン(PU)、好ましくはPES、PAIおよびPVDFからなる群から選択され;および/または
・前記MOF(3)は、ZIF−8、ZIF−7およびZIF−90からなる群から選択され;および/または
・前記チャネル様構造は、50〜10000nm、好ましくは100〜1000nmの直径を有し、および/または
・前記チャネル様構造は、膜(1)の0.5〜50体積%を占める
ことを特徴とする、請求項9に記載の自立性膜。
【請求項11】
前記第2の層(12)において、
・前記ポリマー(8)が、CA、PES、PVDF、PSf、PAN、PBI、PA、PI、PAI、PEEK、PLA、PC、PS、ポリアクリラートおよびPUからなる群から選択され、好ましくはPES、PAIおよびPVDFから選択され;および/または
・前記孔は、50nm〜10000nm、好ましくは50nm〜2000nmの直径を有し;および/または
・前記孔には固体材料が含まれていないことを特徴とし;および/または
前記第3の層(10)が0.5〜20μmの厚さを有することを特徴とする、請求項9〜10のいずれかに記載の自立性膜。
【請求項12】
請求項1〜8のいずれかに記載の工程(a)〜(e)を行うことによって得られる自立性膜。
【請求項13】
流体を分離するための、請求項9〜12のいずれかに記載の膜の使用であって;特に
・C3H6/C3H8分離;
・H2の精製または回収;および/または
・水/アルコール分離のための使用。
【請求項14】
請求項9〜12のいずれかに記載の膜を含むデバイス、特に
・電気化学セル;
・燃料電池および/または
・センサー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属有機構造体(MOF)を含有する複合材料、特に膜の製造に関する。本発明のプロセスは、前駆体材料の孔を含有する転相ポリマー形成およびMOFのインサイチュ形成の工程を含む。本発明はさらに、新しいMOF含有膜に関し;ガス分離、有機溶媒ナノ濾過、水処理または化学的センシングプロセスを含む様々な用途におけるこのような膜の使用、およびこのような膜を含むデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
固体基材上に支持された、または独立膜としての、連続した薄い多孔質フィルムの形態のMOFが一般に知られている。ゼオライト性イミダゾラート構造体(例えば、ZIF−8)などのMOFは、ガスの分離を含む広範囲の用途を有することがよく知られている。
【0003】
Zhang et al(Inorganic Chem.Front.2016)は、ガス分離のためのMOF−ポリマー複合体膜の課題および最近の進歩について議論している。3.4章に概説されているように、特に、MOF層が粉砕されるまたは基材から分離されることがあるので、均質に分布したMOF層を含む複合材料の安定性は不十分である。
【0004】
Hou et al(Angew.Chem.Int.Ed,2016,55,3947)は、可撓性ポリマー基材上に超薄連続MOF膜を形成することを開示している。著者らは上記の問題に対処し、特定のチタニア官能化多孔質ポリマー支持体を示唆している。明らかに、これは複雑でコストのかかるプロセスである。
【0005】
Shekhah et al(Chem.Soc.Rev.,2011,40,1081 ff)は、作製方法に重点を置いて、MOFの薄いフィルムの現状、既存および将来の用途を批判的に論評している。
【0006】
Stock et al(Chem.Rev.,2012,112,933)は、様々なMOFトポロジー、モルホロジーおよび複合体への経路に重点を置いて、MOFの合成を論評している。
【0007】
Zhang et al(中国特許第102794115号明細書)は、ガスの高性能分離および精製のための高性能連続ZIF−8フィルム形成方法を開示している。著者らは、ガスの高性能分離および精製を主張している。図面および要約から明らかなように、ZIF−8フィルムは、基材の上部に別個の層として存在する。MOFとポリマー基材との間のこのような層状構造は、特に脆く、従って機械的安定性がほとんどないので、不利であると考えられる。
【0008】
King et al(国際公開第2012/164395号)は、多孔質支持体上の高密度のZIF膜を製造する方法およびガス分離プロセスにおけるそれらの使用を開示している。これらのZIF膜は、インサイチュ結晶化またはシード成長のいずれかによって得られ、これは大規模製造を許容できない不利なプロセスであると考えられる。さらに、King et alの膜は自立性ではなく、多孔質支持体に結合されている。
【0009】
Kharul et al(米国特許出願公開第2015/0367294号明細書およびJ.Mater.Chem 2013,1,8828−35)は、MOF多孔質ポリマー膜複合体の調製プロセスを開示している。ガス分離において、これらの膜は、典型的には3〜4の範囲の水素に対する低い選択性(CO2と対比しておよびプロペンと対比して)を示す。この選択性は、クヌーセン拡散によって予想される範囲内にあり、それにより、そこに開示された膜に組み込まれたMOFの影響がほとんどまたは全くないことを示す。
【0010】
結果として、ガスを分離するための改善された膜およびそれを得るための改善された製造方法が必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従って、本発明の目的は、最新技術のこれらの欠点の少なくともいくつかを軽減することである。特に、本発明の目的は、膜を製造するための改善された方法を提供することである。改善された膜、特にガス分離のための膜を提供することがさらなる目的である。
【課題を解決するための手段】
【0012】
これらの目的は、請求項1に定義される方法および請求項9に定義される膜によって達成される。本発明のさらなる態様は、明細書および独立請求項に開示されており、好ましい実施形態は、明細書および従属請求項に開示されている。従って、本発明は、
・第1の態様では、特に膜の形態における、複合材料(1)を製造する方法;
・第2の態様では、特に自立性膜の形態における、新しい複合材料;
・第3の態様では複合材料の使用;
・第4の態様では、複合材料を含むデバイス
に関する。
【0013】
以下、本発明をより詳細に説明する。本明細書において提供/開示される様々な実施形態、優先性および範囲は自由に組み合わせ得ることが理解される。さらに、特定の実施形態に応じて、選択された定義、実施形態または範囲が適用されないこともある。
【0014】
特に明記しない限り、本明細書では以下の定義を適用する。
【0015】
本明細書で使用される場合、本発明の文脈において(特に特許請求の範囲の文脈において)使用される用語「a」、「an」、「the」および類似の用語は、本明細書において特に断らない限りまたは文脈によって明らかに矛盾していない限り、単数形および複数形の両方を包含すると解釈されるべきである。
【0016】
本明細書で使用される場合、用語「含む(including)」、「含有する(containing)」および「含む(comprising)」は、本明細書中で、それらのオープンで非限定的な意味で使用される。
【0017】
膜:膜という用語は、本分野では既知であり、孔の存在により選択的バリアとして機能するデバイスを示す。本発明の文脈において、膜のポリマー孔径は、広い範囲、典型的には20〜3000nm、好ましくは100〜500nmを包含してもよい。本明細書で使用される場合、膜自体が独立しており、および/または支持構造なしで手動で取り扱うことができる場合、膜は「自立性」である。そのような自立性膜は、ポリマー材料の1つ以上の層を含有してもよい。
【0018】
金属有機構造体(MOF):MOFという用語は、この分野では既知であり、金属イオン(クラスターを含む)コアおよび配位子(「ストラット(strut)」とも呼ばれる)を含む化学物質を示す。配位子は、少なくとも2つの配位部位を有する。本発明の文脈では、MOFは、開放孔を有する3次元ネットワークを形成する。
【0019】
本発明は、図面を参照することによってよりよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本明細書に記載の本発明を概説する。 本明細書に記載されるような反応工程(a)〜(e)を示す。 (11)は、典型的には自立性および可撓性の膜の形態の本発明の複合材料を表す。 (2)は本明細書に記載のポリマーマトリックスを表す。 (3)は金属有機構造体(MOF)を表す。本明細書に記載されるように、このMOF(3)はチャネル様構造(4)でこのポリマーマトリックス(2)に埋め込まれ、従って不連続相を形成する。場合により、このMOFは、連続相の形態で追加の最上層(10)を形成する。 (4)はポリマーマトリックス(2)中のチャネル様構造を表す。 (5)は、出発材料、分散相(51)および連続相(52)を含有する本明細書に記載の分散液を表す。 (6)は、製造中に支持材料として作用する基材を表す。 (7)は、配位子、溶媒および場合によりさらなる添加剤を含む本明細書に記載されるような合成溶液を表す。 (8)は、この材料(9)中の孔を表し、この孔は、チャネル様構造(4)と少なくとも同じ直径を有する (9)は、本明細書に記載されるような孔(8)を有する固体ポリマーまたは無機材料を表す。 (10)は(11)の上部のMOFの連続層を表す (12)は、ポリマーまたは無機材料(9)および孔/チャネル様構造(8)を含む第2の多孔質材料を表す。 (13)は、非溶媒を含まないポリマーマトリックスと、このマトリックスの孔内のシードとを含有する第2の前駆体材料を表す。 (14)は、ポリマーマトリックスを含有し、その中に金属/金属酸化物ナノ粒子(「シード」)および非溶媒を埋め込んだ前駆体材料を表す。MOFがまだ形成されていないので、この材料(14)は本発明の複合体(11)の前駆体と考えられる。 (15)は、基材(6)上に位置するポリマーマトリックス(2)およびMOF(3)で充填された孔を含有する本発明の複合材料(11)を表す。 図1A:複合材料を製造するための本発明の方法を概説する。本明細書に記載されるような反応工程(a)〜(e)が示されている 図1B、C、DおよびEは、本明細書に記載されるような本発明の材料(複合体および膜)の4つの実施形態を概略的に示す。 図1Bは、本発明の複合材料(11)およびこの複合材料(11)からなる本発明の膜(1)の両方を示す。 図1Cは、本発明の第2の複合体および第2の複合材料からなる本発明の膜(1)の両方を示す。この第2の複合体は、複合材料(11)と第2の多孔質材料(12)とからなる。 図1Dは、本発明の第3の複合体およびこの第3の複合体からなる本発明の膜(1)の両方を示す。この第3の複合体は、複合材料(11)および複合材料(11)の一方の側の第2の多孔質材料(12)と、複合材料(11)の反対側の部位の連続MOF層(10)とからなる。 図1Eは、本発明の第4の複合体およびこの第4の複合体からなる本発明の膜(1)の両方を示す。この第4の複合体は、複合材料(11)と連続MOF層(10)とからなる。
【図2】(i)ZIF−8(Basolite Z1200)、(ii)ZnO粒子、(iii)本発明の複合材料のXRDスペクトル; x軸2θ、y軸強度(a.u.)。
【図3】異なる製造工程の間の複合膜のSEM画像: (3)孔指向(pore directed)ZnO粒子を含有するPES膜 (4)孔指向ZIF−8結晶を含有するPES膜 (5)孔指向し、十分に埋め込まれたZIF−8結晶を含有するPES膜。
【図4】ポリマー(PES)、グリセロール(GLY)およびZnOナノ粒子(NP)の異なる組成から生じる膜形態を説明する三成分図。領域(I)は、安定した水流束を有する共連続(bi−continuous)構造を示し;領域(II)は、適切な膜形成を示さず;領域(III)は、水流束のない液滴のような構造を示す。この特定の例は概念を説明するが、他の出発材料および様々な合成条件については異なることが理解される。
【発明を実施するための形態】
【0021】
より一般的な見地では、第1の態様において、本発明は、複合材料(11)、特に膜(1)を製造する方法に関し、この複合材料は、ポリマーマトリックス(2)および金属有機構造体(MOF)(3)を含み、このMOF(3)はチャネル様構造(4)でこのポリマーマトリックス(2)に埋め込まれている。本発明のこの態様を以下にさらに詳細に説明する。
【0022】
概して、本発明は、上記で記載されるような複合材料(11)の製造方法を提供し;この方法は、基材(6)上に前駆体材料(14)を提供する工程であって、この前駆体材料(14)は、ポリマーマトリックス(2)およびナノ粒子(51)を含み、このナノ粒子は、このポリマーマトリックス(2)にチャネル様構造(4)で埋め込まれ、このナノ粒子は、金属酸化物、金属、金属塩および金属シリカートからなる群から選択される、工程;およびこの前駆体材料(14)を溶液(7)と接触させる工程であって、この溶液は、溶媒、配位子および場合により添加剤を含み、それにより第2前駆体材料(15)を得る工程を含む。前駆体材料(14)は既知であり、例えば、Hess et al.(ACS Applied materials&interfaces,2015,7,611 ff)に記載されるようなテンプレート補助転相プロセス(templated−assisted phase inversion process)によって利用可能である。Hess et alの方法とは対照的に、ナノ粒子は溶解によって除去されず、孔内に保持され、配位子との反応を介してインサイチュでのMOF形成に供される。インサイチュMOF形成を可能にするための反応溶液(7)および適切な反応条件は、以下、(d)工程でより詳細に記載される。第2前駆体材料(15)は、図1に示されるように、基材(6)上に位置する複合材料(11)を含む。
【0023】
本発明の方法は、商業的用途のためにMOFを安定化させると同時に、それらの化学的および物理的特性を保持することを可能にする。この方法は、ポリマー多孔質支持体の形成工程と、指向ナノ粒子シーディング工程とを組み合わせる。これまでのところ、シーディング技術および非シーディング技術に基づくMOF合成戦略は、特に膜の孔内においてMOF成長のそのような単純で正確な指向を可能にしなかった。MOFを商業用途に利用できるようにするこれまでの試みは、結果として実験室環境外の用途に適していない材料、またはMOFの固有の特性が本質的に失われた材料を生じていた。
【0024】
従って、本発明は、1つの実施形態において、膜の形態の複合材料の製造に関し、本発明の方法は、以下のように要約し得る:第1(a)に、ポリマー、溶媒、非溶媒、およびナノ粒子を含有する分散液が提供される(典型的には、超音波処理機を使用することによって)。第2(b、c)に、薄いフィルムが基材(典型的にはガラス板、アルミニウムまたはポリマーフィルム)上にキャストされる。溶媒を除去し、転相を行うために、膜を乾燥させる(典型的にはオーブン中で)。その後、膜を(典型的には水中で)洗浄し(典型的にはオーブン中で)乾燥させる。第3(d)に、膜を合成溶液内でインキュベートして膜の孔内にMOFを得て、再び続いて洗浄し、乾燥させる(典型的にはオーブン中で)。第4(e)に、場合により合成後工程を行う。ポリマー−MOF界面にピンホールが依然として存在する場合、封止工程が行われてもよい。従って、膜を溶媒雰囲気中でインキュベートする。さらに、得られた膜は、追加のポリマー支持層と組み合わされてもよい(典型的には、層毎の溶媒キャスト工程を適用することによって)。
【0025】
本発明は、さらなる1つの実施形態において、複合材料の製造に関し;この複合材料は、チャネル様構造およびこのチャネルに埋め込まれた金属有機構造体(MOF)を有するポリマーマトリックスを含み;この方法は、(a)好ましくは以下に概説する第1の溶媒、好ましくは以下に概説されるような、第1の溶媒とは異なる第2の溶媒(「非溶媒」)、好ましくは以下に概説されるようなポリマー、好ましくは以下に概説されるようなナノ粒子を含む分散液を提供する工程;(b)基材をこの分散液でコーティングする工程;(c)得られた材料を転相工程に供して、チャネル様構造を有するポリマーマトリックスを得る工程;(d)得られた材料を、好ましくは以下に概説されるような第3の溶媒(「希釈剤」)および好ましくは以下に概説されるような配位子を含む溶液と接触させて、広範囲のMOFを得る工程;(e)場合により、得られた複合材料をこの支持体から除去し、および/または得られた複合材料をさらに処理する工程を含む。
【0026】
複合材料(11):本発明の製造方法は、図面、特に図1B、図1Cおよび図1Dおよび図1Eに示すような特定の構造の複合材料を提供する。これらの複合材料は、ポリマーマトリックスおよびその中に埋め込まれたMOFを含む。特に、このポリマーマトリックスは、チャネル様構造(4)を含む。これらの構造は、製造中に転相によって得ることができる。「チャネル様構造」という用語は、この分野において十分に確立されており、例えば、Hou et al.(Adcanved materials 2016,28(33),7049−7064)に議論されている。本明細書で使用される場合、この用語は、特に、孔深さが孔径よりもはるかに大きい、例えば10:1以上である複合体に関する。多くの場合、円筒形として理想化されたチャネル様構造は、大部分がランダムで不均一な形状であり、サイズが異なることがさらに明らかである。複合材料(11)中のチャネルは、50〜10000nm、好ましくは100〜1000nmの範囲であり得る。
【0027】
さらに、このMOFは、このチャネル様構造に埋め込まれている。本発明によれば、MOFおよび場合により残っているシーディング粒子は、インサイチュ合成のためにポリマー中に埋め込まれる。ポリマー内部のMOFのこの位置は、MOFがポリマーマトリックス上の別個の層として位置する既知の材料と複合材料とを区別する。本発明の複合材料のこの特定の構造は、以下に同定される用途(第3の態様)を可能にし、機械的に安定な複合材料を確実にし、従来技術において議論されているようにMOFが粉砕されるまたは支持体から分離されることを防止する。
【0028】
1つの実施形態において、本発明は、複合材料(11)の製造を提供し、この複合材料が、ポリマーマトリックス(2)およびMOF(3)を含有し、特にそれらからなり、このMOF(3)が、チャネル様構造(4)においてこのポリマーマトリックス(2)に埋め込まれる。そのような複合材料(11)は、図1Bに示されている。
【0029】
1つのさらなる実施形態では、本発明は、第2の複合材料の製造を提供し、この複合体は、第1の材料層(11)および孔(8)を有する有機または無機材料(9)の第2の層(12)を含有する(すなわち含むまたはからなる)。この第2の層(12)は、複合材料(1)の安定性を改善する支持層と見なされ得る。有利には、この孔(8)は、固体材料を含まないか、または本質的に固体材料を含まない。そのような第2の複合材料は、典型的には膜の形態で存在し、図1Cに示されている。
【0030】
1つのさらなる実施形態では、本発明は第3の複合材料の製造を提供し、この複合体は、この第1の材料層(11)、この第2の層(12)および第3の層(10)を含有し、この第3の層(10)は層(12)と対向し、この第3の層(10)はMOFの閉じたフィルムを含む。この第3の層は、複合材料の性能をさらに向上させる機能層と見なされ得る。このような第3の複合材料は、典型的には膜の形態で存在し、図1Dに示されている。
【0031】
1つのさらなる実施形態では、本発明は第4の複合材料の製造を提供し、この複合体は、この第1の材料層(11)およびこの第3の層(10)を含有し、特にそれらからなる。このような第4の複合材料は、典型的には膜の形態で存在し、図1Eにある。
【0032】
有利な実施形態では、本発明の方法は、複合材料(11)または膜(1)の形態の第2、第3または第4の複合材料を提供する。有利には、チャネル様構造(4)は膜の表面に対して主に垂直である。
【0033】
本発明の複合材料/膜は、本発明の第2の態様であり、以下でさらに詳細に議論される。
【0034】
製造工程、概要:方法工程(a)、(b)、(c)は、Hess et al.(ACS Applied materials&interfaces,2015,7,611 ff)において既知であり、記載されている。Hess et al.は、ポリマー膜における孔形成のためのテンプレート補助転相の概念を適用する。著者らは、孔形成に対する種々の反応パラメータの影響について議論している。得られた膜は、ポリマーおよびサブ20nmから100nmまでの範囲の孔直径を有する「空の」孔を含有する。従って、Hess et alの膜は水の濾過に適しているが、ガスの分離には適していない。
【0035】
工程(b)、(c)、(d)および(e)の各々は、それらが本分野で従来的であるように、洗浄および/または乾燥工程によって補完され得る。
【0036】
工程(a)、分散液の提供:分散液を調製するために使用される出発材料は市販品であるか、または既知の方法に従って得ることができる。これらの出発材料を用いた分散液の製造は既知である。ナノ粒子(分散相)が連続相内に適切に分散されることを確実にするために、超音波処理のような標準的なプロセス工程が行われてもよい。
【0037】
連続相:有利には、ポリマー、溶媒および非溶媒(「第2の溶媒」)は均質相を形成する。工程(c)の転相を考慮して、出発材料は適切に選択されなければならない。これらの3つの成分の適切な組み合わせおよび量は、当業者に知られているか、または日常的な実験によって決定されてもよい。
【0038】
好適なポリマーは、セルロースアセタート(CA)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリビニリデンフルオリド(PVDF)、ポリスルホン(PSf)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリアミド(PA)、ポリイミド(PI)、ポリアミド−イミド(PAI、例えば、TORLON)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)およびポリ乳酸(PLA)、ポリカルボナート(PC)、ポリスチレン(PS)、ポリアクリラートおよびポリウレタン(PU)を含む。
【0039】
適切な溶媒は、ジメチルアセトアミド(DMAc)、N−メチルピロリドン(NMP)、テトラメチル尿素(TMU)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジクロロメタン、ペンタフルオロフェノールを含む。
【0040】
適切な第1の溶媒は、アルコール、エーテル、ケトン、エステル、ラクトン、ハロゲンアルカン、アルカン、シクロアルカン、スルホキシド、アミド、ラクタム、ピロリドンおよびそれらの組み合わせを含む。
【0041】
適切な第2の溶媒(「非溶媒」)は、水、C1−C8モノアルコール(例えばMeOH、EtOH、OcOH)、C2−C4ジオールおよびトリオール(例えばグリセロール)、ポリオール(例えばポリエチレングリコール)、C5−C12アルカン(例えば、ヘキサン)およびそれらの組み合わせを含む。
【0042】
分散相:本発明の膜を製造するために、適切なナノ粒子は、適切な配位子と接触する際にMOFを形成し得る。このようなナノ粒子は、金属、金属酸化物、金属塩および金属シリカートを含む。亜鉛系MOFを製造するために、ZnOが適切な出発材料であることを見出した。
【0043】
MOFを含まない多孔質材料を製造するために、金属、金属酸化物および金属塩の群から選択される可溶性ナノ粒子が使用され得る。このような第2の金属粒子は、この第1のナノ粒子が溶解しない条件下で可溶性である。特に好適な第2のナノ粒子は、金属カルボナートおよび金属ハロゲン化物からなる群から選択される。
【0044】
工程(a)による分散液の適切な組み合わせを以下に概説する。一般的には、適切なポリマーは、選択された溶媒に可溶性(または容易に分散性)である。さらに、溶媒および選択されたポリマーを溶解しない非溶媒は混和性である。所与のポリマーと相溶性であるいくつかの溶媒が通常存在する。適切な非溶媒の例は、水および脂肪族アルコールである。好ましくは、非溶媒の沸点は溶媒の沸点よりも高い。
【0045】
有利には、ポリマー−溶媒による粒子の濡れ性は、非溶媒相によるそれらの濡れ性を超えない。
【0046】
【表1】
【0047】
工程(b)、コーティング:この工程では、コーティングされた基材が得られる。基材上に分散液をコーティングするのに適した任意の方法が用いられてもよい。
【0048】
基材:1つの実施形態では、従来のコーティングされていない基材が提供される。そのような基材を工程(a)の分散液でコーティングすると、薄い単層フィルムが得られる。
【0049】
代替の実施形態では、コーティングされた基材が提供される。このようなコーティングされた基材は、従来のコーティングされていない基材および第1のコーティングを含んでいてもよい。この第1のコーティングは、多孔質ポリマー層であってもよい。有利な実施形態において、この多孔質ポリマー層は、工程(a)の分散液と同じポリマーを含み、転相を介して得られる。
【0050】
工程(c)、転相:この工程では、転相プロセスによってポリマーマトリックス中に孔が形成される。転相プロセスは、Solomon et al(Sci.Rep.,2014,5504)(これは参考として組み込まれる)に議論されるように、よく知られており、多孔質膜を製造するために広く使用されている。理論に縛られることなく、このプロセスは、古典的凝固浴誘導転相よりも粒子安定化溶媒蒸発誘導相分離であると考えられる。ポリマーは溶媒蒸発の際に沈殿し、臨界溶媒−非溶媒−ポリマー濃度に達する。同時に、相分離の際に、ナノ粒子(51)は、このように形成された孔チャネル様構造(4)に指向される。理論に縛られることなく、この予想外の効果は、本発明の方法を首尾よく行うために非常に重要であると考えられる。
【0051】
代替実施形態では、特に、分散したナノ粒子が既に適切なサイズの孔をもたらす連続構造を形成しているならば、非溶媒の使用は用いられ得ない。
【0052】
工程(d)、MOF合成:上記で議論されたように、MOF合成はインサイチュで行われる。この目的のために、適切な量の配位子をポリマーマトリックスのチャネル様構造に埋め込まれたナノ粒子と接触させる。固定されたナノ粒子は、「相互拡散技術(counter−diffusion technique)」とも呼ばれる液−液界面合成のような既知のMOF膜戦略とは対照的に、MOFのロバスト性の大規模に実現可能な指向合成を可能にすると考えられる。理論に縛られないが:この工程は本発明の方法の重要な特徴であると考えられる。それは、ポリマーの孔内でMOFの合成を可能にし、それによってMOFを、それらが必要とされる位置に指向し、同時にMOFを安定化させる。
【0053】
有利には、工程(c)で得られた材料を配位子(7)を含む合成溶液と接触させる。適切な合成溶液は、希釈剤(第3の溶媒)、配位子および場合により添加剤を含み、以下にさらに概説される。適切な反応条件は、広い範囲にわたって変化してもよく、10〜150℃の温度;0.1〜24時間の反応時間を含む。
【0054】
有利には、この工程は、高温(例えば、60℃にて)での洗浄工程(例えば、MeOHを用いる)および/または乾燥工程によって補完される。
【0055】
有利には、配位子:溶媒比は、0.1:99.9〜20:80、好ましくは1:99〜20:80(重量)の範囲である。
【0056】
希釈剤:適切な希釈剤は、配位子に従って選択されてもよく、水、C1−C8モノアルコール、例えばMeOH、EtOH、n−PrOH、iPrOH、n−BuOH、n−OcOH、ヘキサン、トルエン、テトラヒドロフラン(THF)、ジメチルアセトアミド(DMAc)およびジ−メチルホルムアミド(DMF)を含んでいてもよい。好ましい希釈剤は、水、メタノール、エタノールおよびそれらの組み合わせを含み;他の適切な希釈剤は以下に示す。本発明の方法によれば、水性DMFなどの希釈剤を組み合わせてもよい。
【0057】
配位子:MOF合成に適した配位子は既知である。原則として、特定の金属に適した任意の既知の配位子または任意の配位子の組み合わせをこの工程に使用してもよい。有利には、配位子は、ベンゾイミダゾール、2−メチルイミダゾール、プリン、5−アザベンゾ−イミダゾール、4−アザベンゾイミダゾール、5−クロロベンゾ−イミダゾール、イミダゾラート−2−カルボキシアルデヒド、4−メチル−5−イミダゾール−カルボキシアルデヒド、テレフタル酸、1,3,5−ベンゼン−トリカルボン酸、ムコン酸、ベンゼン−1,3,5−トリカルボン酸およびこれらの組み合わせからなる群から選択される。例えば、過剰の2−メチルイミダゾールをZIF−8の合成に使用してもよく;他の適切な配位子は以下で同定される。
【0058】
添加剤:適切な添加剤は既知であり、MOFを得るための反応条件に依存する。このような添加剤は、ph(酸、塩基、緩衝系)を調整するため、またはイオン強度を調整するために選択されてもよい。例えば、ZIF−8の合成には、アンモニア(0〜40重量%)、水酸化ナトリウム、ギ酸ナトリウム(飽和溶液)が使用されてもよい。
【0059】
金属、配位子および溶媒の適切な組み合わせを以下に示す:
【表2】
【0060】
従って、有利な実施形態において、MOFは、ZIF−7、ZIF−8、ZIF−20、ZIF−21、ZIF−22、ZIF−23、ZIF−69、ZIF−90、SIM−1、MIL−47、MIL−53、MOF−5、MIL−96、MIL−89、MIL−101、およびHKUST−1;好ましくはZIF−8からなる群から選択される。
【0061】
工程(e)、後処理:後処理工程はそれ自体既知であり、完全に任意である。以下の工程の1つ以上は、任意の適切な順序で行われてもよい。
【0062】
工程(e1)ポリマーとMOF−チャネルとの間の任意の潜在的なピンホールを封止するために、封止工程が行われてもよい。適切な溶媒蒸気処理パラメータは、60〜160℃の温度で1〜20分を含む。好適な溶媒としては、純粋な溶媒として、またはさらなる溶媒との組み合わせで、分散に使用されるのと同じ溶媒が使用されてもよい。ポリマーマトリックスとしてポリエーテルスルホンを使用する場合には、ジメチルアセトアミドでこのような溶媒蒸気処理を適用することが有益であることを見出した。
【0063】
第2の態様において、本発明は、特に自立性膜(1)の形態の新しい複合材料(11)に関する。これらの複合体は、上述した本発明の第1の態様の方法に従って得ることができる。本発明のこの態様を以下にさらに詳細に説明する:
【0064】
1つの実施形態では、本発明は、本明細書に記載の方法に従って得ることができる新しい複合材料(11)、特に新しい膜(1)を提供する。本発明の膜は有利な特性を示す。第1に、膜(1)は、多孔性ポリマー構造およびこれらの構造に埋め込まれたMOFを含む、可撓性の自立性非連続複合体である。第2に、本発明の膜は、使用されるMOFに依存して、流体(液体および気体)の高い透過性および/または選択性を示す。これらの特性についてさらに詳細に説明する:
【0065】
選択性:典型的には、MOF(3)は、チャネルを形成するこれらの構造、特に膜平面に垂直なチャネルに埋め込まれる。理論に縛られることなく、MOFは膜の選択性を実質的に改善すると考えられる。
【0066】
所与の流体の成分に対する膜の選択性は、クヌーセン拡散を考慮することによって評価され得る。単純な孔を仮定すると、拡散は孔半径および分子質量に依存する。例えば、ペアH2/CO2は4.7の値を有し、ペアH2/プロペンは4.6の値を有する。本発明の膜は、クヌーセン限界をはるかに上回る値、特にH2/CO2の選択性が6.1以上、および/またはH2/N2の選択性が8.9以上であることを示す。この知見は、膜に組み込まれたMOFが本発明の膜の選択性に有意に影響を及ぼすことを示す。他方、クヌーセン限界の範囲内の選択性を示す膜は、中程度の選択性、すなわち分子ふるいによる影響を受けない選択性のみを与える単純なチャネルを有するようである。
【0067】
非連続:これらの複合材料(11)は、MOFが支持材料の表面に連続的に分布していないので、従来技術のものと区別される。むしろ、MOFはチャネル様構造に組み込まれる。本発明の文脈では、このようなMOFの分布は、非連続的であると称される。
【0068】
柔軟性:この用語は膜の分野で知られている。曲げ半径は、材料の柔軟性および柔軟性を評価するための容認されたアプローチに関連する。内側湾曲に対して測定される曲げ半径は、膜をねじることなく、損傷することなく、またはその寿命を短くすることなく変形させることができる最小半径である。曲げ半径が小さいほど、材料の柔軟性は大きくなる。本発明の膜は、10mm未満、好ましくは5mm未満の曲げ半径を示す。
【0069】
商業的用途では、本明細書に記載されるような膜は、適切なモジュール/デバイス内に組み込まれなければならない。渦巻形膜モジュールは、膜の表面積に対する相対的に高い体積比を有し、従って、しばしば選択されるハウジングである。しかし、膜が渦巻形膜モジュールにおけるその用途に適しているかどうかは、膜の機械的柔軟性に依存する。渦巻形膜モジュールの製造のために、本発明の膜は透過コレクタ管の周りに巻かれなければならない。1812渦巻形膜モジュール(例えば、DOW FILMTEC(商標)BW60−1812−75 Element)の標準的なコレクタ管は、17mmの外径を有する。モジュール製造中、1つまたは複数の膜が、この中心のコレクタ管の周りに巻かれる。このようなコレクタ管の周りにそれらを損傷することなく本発明の膜を包むためには、少なくとも8.5mmの曲げ半径が必要である。従って、膜の柔軟性は非常に重要である。これらの基準は、本明細書に記載の膜によって満たされる。
【0070】
意図された用途および製造に依存して、本発明の複合体(11)は1つ以上の層(10,12)によって補完され得、それによりサンドイッチ構造(1)を形成する(図1C、1Dおよび1E参照)。これらのサンドイッチ構造は、上記で議論される複合材料の有益な特性を保持する。
【0071】
さらなる1つの実施形態では、MOF(3)は、本明細書に概説されるような複合材料に埋め込まれ、複合材料(11)の上部にMOFの層(10)をさらに含む。追加の層(10)は、相互成長した(inter−grown)閉じたMOF膜と見なされ得る。従って、本発明は、本明細書に概説されるような第1の層(11)および本明細書に概説されるようなさらなる層(10)(「機能層」)を含有する第4の複合材料、特に膜を提供する(図1Eを参照)。
【0072】
さらなる1つの実施形態では、第2の複合体は複合材料(11)および追加の層(12)、本明細書に概説されるような層(12)(「支持層」)を含有する(図1Cを参照)。
【0073】
さらなる1つの実施形態では、第3の複合体は、複合材料(11)ならびに一方の側の追加層(12)および反対側の追加層(10)を含有し、全ての層が本明細書で概説される(図1Dを参照)。
【0074】
さらなる1つの実施形態では、第4の複合体は、本明細書に概説されるように、複合材料(11)および追加の層(10)を含有する(図1Eを参照)。
【0075】
本発明の複合材料は、多種多様な形状で存在し得る。複合材料の形状は、主として、その製造、使用される出発材料および意図された用途に依存する。
【0076】
1つの実施形態では、複合材料は、膜、典型的には自立性膜の形態である。厚さは、意図する用途に応じて広い範囲にわたって変化し得るが、典型的には10〜500μmの範囲内である。面積は、1cm〜10mなどの広い範囲にわたって変化し得る。
【0077】
他の実施形態では、複合材料は、管、ネスト化中空管、ハニカム、管のスラック(slack of tube)の形態であってもよい。
【0078】
第3の態様において、本発明は、本明細書に記載されるような複合材料、特に膜の使用に関する。本発明のこの態様を以下にさらに詳細に説明する:
【0079】
本明細書に記載されるような複合材料は、広範囲の商業的用途を有する。適切な用途は、主に、MOF(3)およびポリマーマトリックス(2)の選択に依存する。複合材料(11)ならびに第2、第3および第4の複合材料は、ガス分離および溶媒分離に特に適している。他の用途には、触媒作用およびセンシングが含まれる。H2/N2、H2/CO2およびプロピレン/プロパンの分離のようなガス分離は、商業的に重要であり、孔の特に小さい直径が必要とされるので、膜を介して達成することは困難である。例に示すように、複合材料はこの要件を満たす。分離することができる溶媒には、水、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサンが含まれる。さらに、複合材料は、機械的応力に対して特にロバスト性であり、過酷な商業的条件の下で好ましい選択肢となる。本発明の複合材料は、アルケン/アルカン流(特にC3H6/C3H8流)の分離;H2の精製または回収;および/またはアルコール(特にエタノール)の水性組成物の分離に特に適している。これらの使用およびさらなる使用について以下に詳細に議論する。
【0080】
N2/H2分離:このような分離は、燃料電池における水素回収;典型的な精製操作、ガス化およびバイオリファイナリ操作のパージ流からの水素回収に特に関連する。特定の用途はまた、精密化学製品製造での水素回収において、水素化ユニットにおけるものであり、ここで安全対策として水素化の前後で反応器を洗い流すために窒素パージガスが使用される。本発明の膜はまた、多くの技術的用途において保護雰囲気として使用される実質的に無酸素の窒素の調製に使用されてもよい。そこで、酸素含有ガス流を有機物または水素含有ガス流と接触させ、場合により触媒(例えばアルミナ上の白金)と接触させ、および/または還元成分と酸素を反応させるために加熱される(典型的には200〜500℃)。次いで実質的に無酸素の窒素ガス流を提供するために、残存する水素を本発明の膜を通して除去する。従って、本発明はまた、上記で記載されるN2/H2およびN2/O2分離方法における本明細書に記載されるような複合材料の使用を提供する。
【0081】
アンモニア製造において、対応する反応器フィードの調製のために、およびアンモニアストリッピング後の再循環流の操作の両方において、再循環流中の水素/窒素比を補正することが重要である。局所水素製造では、多くの異なる局所的水素ガス源が典型的にはある程度不純な一次水素流を生じるが、用途ではより純粋な水素流が要求される(例えば、燃料電池)。特定用途は、小規模の局所水電解におけるものであり、ここでパージガスが閉ループ内で再循環される間に、パージガスがセル内に存在し、水素のみが回収される。局所バイオマスガス化ユニットでは、グラム〜kg量のバイオマスまたは他の有機物質が加熱され、窒素および水素も含有する様々なガスの混合物が得られる。この未処理ガスは、例えば本明細書に開示されている膜またはそのような膜を含有するユニットを使用して精製しない限り、さらなる用途にほとんど使用されない。別の具体的な用途は、典型的には高純度の水素流を必要とするポリマー燃料電池によって駆動される輸送システムにおけるものであり、ここで水素は輸送システム内で既知のプロセスによって限られた空間内で調製される。特定の用途はまた、水素を必要とするまたは副産物として水素を生成する連続的に操作される反応器中の溶解過剰水素を除去するためのガスパージシステムにおけるものである。このような技術的プロセスの代表的な例は、スチレンを調製するためのエチルベンゼンの連続的脱水素化、またはスチレンへのフェニルアセチレンの水素化である。最初の場合には、水素が窒素でストリッピングすることによってスチレンから除去され、その後、窒素を再循環する前に本発明の膜に通す。同様に、類似の例は、石油化学精製、精密化学製品製造、ポリマー製造、およびバイオ製造用途の多数の分野で見出すことができる。従って、本発明はまた、上記の製造方法において本明細書に記載されるような複合材料の使用を提供する。
【0082】
同位体富化:別の適用分野は、本発明の膜が水素の質量選択的拡散障壁として働く拡散型反応器配置におけるガス同位体、特に重水素の調製である。従って、本発明はまた、同位体の富化のための上記の方法において、本明細書に記載されるような複合材料の使用を提供する。
【0083】
アルケン/アルカン分離:パラフィン(例えば、C2−C16アルカン)からのオレフィン(例えばC2−C16アルケンなど)の分離は、重要な技術的プロセス、例えば、ポリマー化学および燃料製造のためのプロセスと考えられる。
【0084】
C3H6/C3H8の分離:高純度プロピレンの調製は、ポリプロピレンの製造において非常に技術的に重要である。本発明の膜は、様々なプロセス位置で使用され得る:C3流の直接脱水素化は、プロパン、プロピレンおよび他の分解生成物の混合物を生じる。本発明の膜を含む分離プロセスは、典型的には、脱水素ユニットを出る冷却されたガスからの未処理プロピレン流を上方濃縮するか、または先に上方濃縮もしくは予備精製された未処理プロピレン流をさらに精製するために使用できる。ここでは、本発明のMOFおよび場合によりゼオライト含有膜の組み合わせを使用して、プロピレンをプロパンから、および水素をガス混合物から分離し、場合により別々にさらに処理することができるCO富化流を得ることができる。従って、本発明はまた、プロペンの合成および/または精製のための上記方法において、本明細書に記載されるような複合材料の使用を提供する。
【0085】
エチレン/エタン/プロペン/プロパンの分離:本発明の膜は、未処理クラッキング生成物流、またはメタンから高次生成物への転化からの生成物流のエネルギー集約的凍結蒸留の置き換えに使用されてもよい。本発明の膜のスタックされたアセンブリは、場合により異なる微孔質無機またはハイブリッド有機/無機材料を含有して、複合ガス混合物のための単一ユニットセパレータを提供するために使用されてもよい。従って、本発明は、C2/C3ガス混合物の上記の分離方法における本明細書に記載されるような複合材料の使用も提供する。
【0086】
C4画分(ブタン/ブテン/イソブテン/イソブタン)の分離:本発明の膜は、さらなる処理のために、原材料を分離するために、または純粋な中間体もしくは純粋な異性体の調製において、C4含有ガス画分の分離に使用されてもよい。従って、本発明はまた、C4画分の成分を分離するための上記の方法において、本明細書に記載されるような複合材料の使用を提供する。
【0087】
二酸化炭素/窒素:本発明の膜は、現在のアミンに基づくCO2スクラビングプロセス、典型的にはいわゆるアミンスクラバーに基づく、最も典型的にはCO2と結合するエタノールアミンまたはジエタノールまたはトリエタノールアミン含有液体に基づくプロセスを置き換えるために使用され得る。このようなCO2の上方濃縮は、発電所のオフガスからのCO2除去、濃縮CO2を地下または海洋の貯蔵所に注入する前の調製工程として、さらなる工業的処理のためのCO2の調製、アンモニア合成のための窒素の調製(脱炭酸;ここで本発明の膜の使用は、現在のメタン化反応器プロセスを置き換え得る)において広く使用される。従って、本発明はまた、二酸化炭素の富化および/またはCO2/N2混合物の分離のための上記の方法において、本明細書に記載されるような複合材料の使用も提供する。
【0088】
水素/二酸化炭素:本発明の膜は、二酸化炭素から水素を分離するために使用され得る。この工業的に使用されるプロセスは、多数の精製操作、石炭液化、フィッシャー・トロプシュ合成のいくつかの部分、および関連する下流プロセスにおけるガス調製の中心である。本発明の膜はまた、典型的にはシフト反応後に合成ガスを精製する際に、水素の調製に見られるようなガス流の処理にも使用することができる。従って、本発明の膜は、ユニットサイズの縮小を可能にし、そのようなガスプロセスを局所的なより小さいサイズの製造および小型化に対してより受け入れやすくする。このような小型化されたガス処理システムは、電池が燃料電池および水素ガスの局所供給源に置き換えられた場合、従来の電池システムの置き換えに特に関心がもたれている。従って、本発明はまた、CO2/H2混合物の上記分離方法における本明細書に記載されるような複合材料の使用を提供する。
【0089】
エタノール/水混合物の分離:本発明の膜は、バイオリファイナリで典型的に得られる未処理エタノール/水混合物からエタノールを調製する際の低コストで耐久性のある溶液に使用され得る。別の用途の範囲は、典型的には微生物、植物または動物部分からの食品および/または医薬品抽出物の調製のためのエタノールの再循環にある。ここで、大量のエタノールを部分的に湿った材料と接触させ、所望の化合物または化合物群を抽出し、分離して標的材料を単離する。得られたエタノールは再循環され、乾燥させる必要がある。従って、本発明はまた、エタノールを水性組成物から分離するための上記の方法において、本明細書に記載されるような複合材料の使用を提供する。
【0090】
全ての分離用途において、本発明の膜成分は、耐腐食性、機械的安定性、ガス流量、コスト、金属含量などのプロセスの特定のパラメータを最もよく満たすように個別に適合させることができることが理解される。本発明の膜の調製のための本明細書に記載のプロセスは、現在知られている微小孔質材料と同様の化合物でも行うことができるが、化学的官能基の特定のタイプ、骨格または中間成分(middle component)、連結数、組成および金属含量において変更されることがさらに理解される。
【0091】
第4の態様では、本発明は、本明細書に記載されるように、複合材料、特に膜を含むデバイスに関する。本発明のこの態様を以下にさらに詳細に説明する。
【0092】
本発明は、1つの実施形態では、フィルタ、好ましくは渦巻形膜モジュールまたは中空繊維モジュールを提供する。そのようなフィルタ/膜モジュールは、ガスの空間効率の良い分離に有用である。これらの膜モジュールは、特定のガスの所望の純度を提供することができ、これは例えば燃料電池が必要とする任意の種類のガスをフィードするためのものである。
【0093】
本発明は、さらなる1つの実施形態において、本明細書に記載されるような複合材料を含む反応器、例えば一体化された水−ガス−シフト膜反応器を提供する。このような反応器は、H選択膜が、例えば合成ガス流からHを分離するために必要とされる場合に有用である。
【0094】
本発明は、さらなる1つの実施形態において、複合材料、特にここに記載された膜が水素ガス流を提供するように適合されているガス分離ユニットに結合された電気化学セルを提供する。このようなセルは、化学転化または中間貯蔵のために、および例えば発電用の燃料電池における後の使用に適している。
【0095】
本発明は、さらなる1つの実施形態では、出口ガス処理システムを提供し、例えば高温燃料電池の流出物(outflow)を処理するのに使用されるようなものであり、ここでは残留水素が典型的にはより小さな画分(ガスの0.05〜10体積%)で存在する。本発明の材料は、流出物の水素の一部を分離して、その回収された水素を別の燃料電池にさらにフィードするように、または水素を燃料電池自体のフィード流に再循環させるために使用することができる。
【0096】
本発明は、さらなる1つの実施形態において、ガス(例えば、窒素、アルゴン、二酸化炭素または炭化水素)から水素を除去するための出口ガス処理システムを提供する。このようなシステムは、さらなる取り扱い中に安全性を改善させるため、または除去された水素を別の目的のためにさらに使用するために使用される。ここに記載されるガス流は、水素が反応物として、または保護戦略(すなわち、還元雰囲気)、製品保護(すなわち、熱い金属の取り扱い、はんだ付けまたは溶融)の一部として添加される、または誤って添加される、あるいはプロセスによって生成され、最後にガス流に至る、他のプロセスの流出物(effluent)であることが多い。このような状況は、プロセスが副産物として水素を生成するか、または局所的に望ましくない状態(例えば、高温、または不均一な反応物の分布、または部分的な生成物の分解)の一部として生じた場合に発生する。
【0097】
本発明は、さらなる1つの実施形態において、可搬式および中間的または大規模なガス分離および精製モジュールを提供する。このようなモジュールは、静止型または移動型用途のいずれかにおいて、純粋なガスまたは特定のガス混合物の局所的供給のために使用され得る。このようなモジュールは、非常に小さく(1ミリメートル未満のサイズ)または非常に大きく(10メートルを超えるサイズ)製造できるため、局所的な化学的センシングおよびエネルギー変換(例えば、電気化学セル)、化学製品の製造、病院、食糧生産において、エネルギー源、エネルギー貯蔵要素として、家庭用エネルギー関連用途、石油化学用途、その他多くの分野において応用され得る。特定の実施形態では、これらのモジュールは、同様の純度(すなわち、ガスの純度、またはガス混合物の精度)のガスおよび同様の送達速度(すなわち、時間当たりの体積の点でのガス流量)を提供することにより、本明細書に記載の複合材料、特に膜を用いた局所的ガス生成、転化または単離を合わせることによって現在のガス供給システムを置き換えることができる。次いでそのようなモジュールから流出するガスは、従来、加圧ガスボンベからのガス送達によって伝統的に提供されてきたあらゆる目的を果たすことができる。
【0098】
本発明は、さらなる1つの実施形態において、(a)高温で作用し、いくらかの一酸化炭素および/またはいくらかの水素を含有する多数のガスの混合物を提供する有機原材料転化システムと、(b)ガスの水素含量を増加できるまたはそうでなければこうしたガスの有用性を改善する任意の触媒、(c)少なくとも1つ、複数の本発明の複合材料、特に膜、ならびに(d)モジュール(c)の流出物によってフィードされる燃料電池を含有する、発電システムを提供する。このようなシステムは電気を提供し、特に局所的な発電に適している。
【0099】
本発明は、さらなる1つの実施形態において、閉じ込められたガスから水素を除去する局所ガス保護システムを提供する。このようなシステムは、そのガスが危険な高水素レベルに達することを回避するように適合される。そのような保護システムは、一方の面が少なくとも1つの領域において閉じ込められたガスに曝され、他方の面が少なくとも1つの領域において別のガスまたは空気に曝される本発明の複合材料の領域からなる。
【0100】
本発明は、さらなる1つの実施形態において、本発明の複合材料がガスをある特定の領域から隣接する領域または外気に逃がすことを可能にするガス圧力緩和システムを提供する。そのようなシステムは、その領域内の圧力を低下させるために(すなわち、機械的損傷または望ましくない反応を避けるため)、またはその領域の特定のガスプロセスパラメータを適切な範囲に維持するために使用される。
【0101】
本発明をさらに説明するために、以下のを提供する。これらの例は、本発明の範囲を限定するものではない。
【0102】
I.膜調製
工程(a):分散液の調製:ポリエーテルスルホン(PES、Veradec、A−201)10重量%を、ジメチルアセトアミド(DMAc)に溶解し、次いでZnOナノ粒子(Zincox 10、IBUtec)またはNaCOおよびグリセロール(Sigma−Aldrich、≧99.5%)と混合した。超音波処理装置を用いて粒子を分散させた。
【0103】
工程(b)コーティング:A4サイズのNaCO含有フィルムを製造するために、スパイラルフィルムアプリケータ(Zehntner、ZAA2300、180μmピッチバー)を使用した。フィルムを120℃のオーブンで10分間乾燥させた後、それらを第2のZnO含有分散液でコーティングした。フィルムを120℃で10分間乾燥させた。
【0104】
DI水浴中でフィルムを5分間インキュベートし、続いて乾燥させることにより、NaCO粒子および添加剤を抽出した。
【0105】
工程(c)ZIF−8 成長および膜封止工程:ZnO含有膜(3)を18mlの溶液1(132,7gのMeOH、57gのDMAc、15.6gの2−メチルイミダゾール、8.6gのギ酸ナトリウムを含む)中、120℃で10分間インキュベートし、続いて5時間かけてMeOH中で3回洗浄した。膜を60℃で5時間オーブン中で乾燥させた。
【0106】
工程(d):最後に、膜を溶液2(水:200g、2−メチルイミダゾール:22.7g)中、100℃で30分間インキュベートし、続いてMeOH中で5時間にわたり3回繰り返し洗浄し、オーブン中、60℃で5時間乾燥させた。
【0107】
工程(e)、後処理:100℃で5分間、エキシケータ(100℃に予熱)中でDMAc蒸気処理を実施した。ZIF−8含有膜側を選択的に蒸気処理し、溶媒蒸気から支持層を保護するために、この膜を、エキシケータに適合しホールを含有するポリプロピレンリング上にテープで固定した。ZIF−8含有側はデシケータの底部(ground)に面しており、DMAc−Air雰囲気に曝した。上部コンパートメント(支持側が向いている場所)を開け、その側のDMAc蒸気を最小にした。DMAc雰囲気中にZIF−8含有膜をインキュベートした後、残りのピンホールを除去することができた(図3(5))
【0108】
II.膜分析
XRD:ZIF−8およびZnO含有ポリマー膜を特徴付けるために、X線回折(XRD)測定を行った。図2において、最終膜(iii)のXRDパターンを、ZIF−8(i)およびZnO粉末のみ(ii)の測定値と比較した。データが明らかに示すように、本発明の膜はZnOに加えてZIF−8を含有する。
【0109】
SEM:図3(5)に示されたSEM画像は、蒸気処理後の膜内の十分に埋め込まれた結晶を示す。
【0110】
III.膜性能
ガス流束(Gas Flux):機械的に膜を曲げた後の膜の無傷性(intactness)を測定するために、新しく合成したZIF−8複合膜のガス流束率(gas flux rate)を、曲げた膜のガス流束と比較した。従って、ガス流束を測定する前に、一組の膜を直径5mmの金属棒の周りに曲げた。曲げた膜と曲げていない膜のガス流束率を比較した(I1−3:曲げなし、B1−2:曲げあり)。
【0111】
【表3】
【0112】
わかるように、水素の高い選択性が、最初に製造された膜について観察される。この選択性は、機械的応力(直径5mmの棒で曲げる)に曝された後でさえも維持される。これらのデータは、本発明の複合体の優れた機械的特性を示す。
【0113】
IV.比較例、米国特許出願公開第2015/0367294号明細書、例8:
PSF膜の作製:ポリスルホン(PSF、Sigma−Aldrich、Lot#MKBG7821V、8重量%)をN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc、abcr;99%、ロット1351129、71重量%)に溶解し、グリセロール(Sigma−Aldrich、≧99.5%、3重量%)および酸化亜鉛(ZnO)ナノ粒子(Zincox 10、IBUtec、18重量%)と混合した。この分散液を、スパイラルバー(120μmピッチ)を用いてガラスプレート上にキャスティングし、110℃のオーブン中で10分間乾燥させた。膜を1MのHCl浴中で10分間インキュベートすることにより、グリセロールおよびZnOナノ粒子をPSFマトリックスから除去した。
【0114】
ZIF−8/PSF膜合成:米国特許出願公開第2015/0367294A1号明細書、例8(ZIF8−60D、ZIF8−RTD)に記載されているように、ZIF−8/PSF複合膜を合成した。
【0115】
膜曲げ:機械的に曲げた後の膜の理想的な選択性を試験するために、膜を直径5mmの丸い鋼棒の周りに曲げた後、ガス透過測定を繰り返した。
【0116】
SEM分析:FEI nova NanoSEM 450を3kVおよびスポットサイズ2.5で使用した。サンプルを3nmの白金(Leica EAA、SCD005)でコーティングした。断面を分析するために、膜を液体窒素で冷却した後に破砕した。
【0117】
ガス透過測定:1barおよびRTでのH、COおよびCの単一ガス透過測定には社内構築透過試験セルおよび手動バブルフローメータ(Sigma−Aldrich)を使用した。
【0118】
結果:得られた材料(群ZIF−8/PSF RTおよびZIF−8/PSF 60℃のサンプル)を曲げずにおよび曲げて測定した。条件毎に3つのサンプル(RT/60℃)を作製し、それらの単一ガス流束率を測定した。以下の表の値は、測定値の平均値に対応する。RT群の1つの膜が測定中に壊れたため、アスタリスク(*)でマークされた値は2つの値の平均に対応する。
【0119】
わかるように、先行技術に従って得られた膜は、水素に対して低い選択性を示す。この値は、本発明の膜を使用する場合に得られる選択性よりも有意に低い(上記III参照)。
【0120】
さらに、観察された値は、クヌーセン拡散によって予想される選択性よりも低い。さらに、曲げは一見選択性に影響しない。これらの知見は、米国特許出願公開第2015/0367294号明細書のプロトコルに従ってこれらの膜に組み込まれたMOFが膜の選択性に、あったとしてもほとんど影響を与えないことを示唆する。
【0121】
【表4】
【0122】
【表5】

【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図1E】
【図2】
【図3】
【図4】
【国際調査報告】