(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】2019523732
(43)【公表日】20190829
(54)【発明の名称】ホイール用のリム
(51)【国際特許分類】
   B60B 5/02 20060101AFI20190802BHJP
   B29C 70/48 20060101ALI20190802BHJP
【FI】
   !B60B5/02 J
   !B60B5/02 F
   !B29C70/48
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】27
(21)【出願番号】2018566400
(86)(22)【出願日】20160816
(85)【翻訳文提出日】20190205
(86)【国際出願番号】GB2016052533
(87)【国際公開番号】WO2017046555
(87)【国際公開日】20170323
(31)【優先権主張番号】1610361.6
(32)【優先日】20160614
(33)【優先権主張国】GB
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】518443993
【氏名又は名称】ダイマグ グループ リミテッド
【住所又は居所】英国,イングランド,チッパンハム,バンパーズ ファーム, ヴィンセンツ ロード, バンパーズ エンタープライズ センター ユニット 18
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】八田国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ワルズ−ブルック,マーカス
【住所又は居所】英国,チッパンハム ウィルトシャー,ヴィンセンツ ロード,ウエストポイント,ユニット 8,ケア オブ ダイマグ グループ リミテッド
(72)【発明者】
【氏名】ウィルソン,マイケル ジョン
【住所又は居所】英国,チッパンハム ウィルトシャー,ヴィンセンツ ロード,ウエストポイント,ユニット 8,ケア オブ ダイマグ グループ リミテッド
(72)【発明者】
【氏名】シェリー,クリストファー
【住所又は居所】英国,チッパンハム ウィルトシャー,ヴィンセンツ ロード,ウエストポイント,ユニット 8,ケア オブ ダイマグ グループ リミテッド
【テーマコード(参考)】
4F205
【Fターム(参考)】
4F205AA24
4F205AA29
4F205AA32
4F205AA39
4F205AA40
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4F205HT13
4F205HT26
(57)【要約】
本明細書では、ホイール用の非金属製のリムについて説明する。リムは、バレルを有する。バレルは、バレルの対向する縁から放射方向の外側に延びる第1フランジおよび第2のフランジを有し、バレルは、第1フランジおよび第2フランジのそれぞれの軸方向の内側に配置された第1ビードシートおよび第2ビードシートを含む。一次構造要素は、少なくとも第1フランジおよびバレルを通って延びており、一次構造要素は、使用時にリムによって支えられる放射方向および/または横方向の荷重の大部分を支えることができる。保護インサートは、第1フランジの外面と一次構造要素との間に配置されている、および/または、第1ビードシートの少なくとも一部は、一次構造要素から離間している。一次構造成分、ビードシート、および存在する場合は保護インサートは、ポリマーマトリックスによって結合されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホイールに用いる非金属製のリムであって、
バレルを有し、
前記バレルが、前記バレルの対向する縁から放射方向の外側に延びる第1フランジおよび第2フランジを有し、前記バレルが、前記第1フランジおよび前記第2フランジのそれぞれ軸方向の内側に配置された第1ビードシートおよび第2ビードシートと、を含み、
一次構造要素が、少なくとも前記第1フランジおよび前記バレルを通って延びており、使用時に前記リムによって支えられる放射方向および/または横方向の荷重の大部分を支えることができ、
保護インサートが、前記第1フランジの外面と前記一次構造要素との間に配置されており、および/または、
前記第1ビードシートの少なくとも一部が、前記一次構造要素から離間しており、
前記一次構造要素、前記ビードシート、および存在する場合は前記保護インサートが、ポリマーマトリックスによって結合されている、非金属製のリム。
【請求項2】
前記保護インサートが、前記第1フランジの外面と前記一次構造要素との間に配置され、かつ、前記第1ビードシートの少なくとも一部が、前記一次構造要素から離間している、請求項1に記載の非金属製のリム。
【請求項3】
四輪自動車に適したホイールに用いられ、前記第1フランジが外側フランジである、請求項1または請求項2に記載の非金属製のリム。
【請求項4】
自動二輪車に適したホイールに用いられる、請求項1または請求項2に記載の非金属製のリム。
【請求項5】
前記第1フランジと前記第2フランジとが、互いに実質的に対称的な種類である、請求項4に記載の非金属製のリム。
【請求項6】
前記一次構造要素が、前記第1フランジにおいて、実質的に垂直な部分を含み、「垂直」方向が、前記バレルによって定義される軸方向に対して実質的に垂直な方向に対応し、前記実質的に垂直な部分の上側は、前記第1フランジの上側の外縁に向かって外向きに湾曲した部分であり、前記実質的に垂直な部分の下側は、前記一次構造要素において前記バレル内に延びた部分に向かって前記ビードシートの下で湾曲した部分である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の非金属製のリム。
【請求項7】
前記保護インサートは、前記第1フランジの外面と前記一次構造要素の前記実質的に垂直な部分との間に配置されている、請求項6に記載の非金属製のリム。
【請求項8】
前記一次構造要素が構造繊維を含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の非金属製のリム。
【請求項9】
前記構造繊維のうちの少なくともいくつかは、前記一次構造要素を放射方向から見た際に、軸方向と平行な方向に前記一次構造要素を通って延びている、請求項8に記載の非金属製のリム。
【請求項10】
前記構造繊維が、炭素繊維、アラミド繊維、およびガラス繊維から選択される、請求項8または請求項9に記載の非金属製のリム。
【請求項11】
前記構造繊維が、織られた、編まれた、縫われた、編組された、巻かれた、留められた、または他の状態で布に結合された、請求項8〜10のいずれか一項に記載の非金属製のリム。
【請求項12】
前記構造繊維が、二軸または三軸に織られている、請求項7〜11のいずれか一項に記載の非金属製のリム。
【請求項13】
前記ポリマーマトリックスによっても結合された外層を有し、前記外層が、前記ビードシートの少なくとも一部、および/または、前記保護インサート上のカバーを形成する、請求項1〜12のいずれか一項に記載の非金属製のリム。
【請求項14】
前記外層が、構造繊維を含む、請求項13に記載の非金属製のリム。
【請求項15】
前記外層および前記一次構造要素のそれぞれが、構造繊維を含む複数の布層を有し、前記一次構造要素が、前記外層よりも多数の布層を有する、請求項13または請求項14に記載の非金属製のリム。
【請求項16】
前記一次構造要素を放射方向から見た際に、前記一次構造要素の前記構造繊維の少なくともいくつかが、前記一次構造要素を通って軸方向と平行な方向に延びており、前記外層を放射方向から見た状態で、前記外層は、軸方向と平行な方向に延びる繊維を実質的に欠いている、請求項15に記載の非金属製のリム。
【請求項17】
前記一次構造要素が、三軸の布を含み、前記外層が、二軸の布を含む、請求項13〜16のいずれか一項に記載の非金属製のリム。
【請求項18】
前記外層が、前記バレルにおいて前記リムの軸に最も近い側面全体を覆って、前記第1フランジの前記保護インサートおよび存在する場合には前記第2フランジの前記保護インサートを覆って、前記第1フランジおよび前記第のフランジの両方の上側の外縁を覆って、各フランジから軸方向の内側に延びており、前記第1ビードシートおよび前記第2ビードシートをそれぞれ形成する、請求項11〜17のいずれか一項に記載の非金属製のリム。
【請求項19】
前記保護インサートが、発泡体、ハニカム、および互いに軸方向に配置されるとともに互いに異なる剛性を備える複数の層、から選択されるインサートを含む、請求項1〜18のいずれか一項に記載の非金属製のリム。
【請求項20】
前記外層が、前記保護インサート上に積層され、前記外層への損傷の視覚的な表示を提供するために、前記外層は、前記保護インサートと異なる色を、または、前記外層と前記保護インサートとの間に配置される任意の材料と異なる色を備える、請求項13〜19のいずれか一項に記載の非金属製のリム。
【請求項21】
前記第1ビードシートと前記一次構造要素との間に充填材が配置されている、請求項1〜20のいずれか一項に記載の非金属製のリム。
【請求項22】
前記充填材が、発泡体、ハニカム、および積層体から選択される、請求項21に記載の非金属製のリム。
【請求項23】
前記充填材に、前記ホイールのスポークに取り付けるための取付要素が埋め込まれている、請求項21または請求項22に記載の非金属製のリム。
【請求項24】
前記取付要素が、ナットまたはボルトである、請求項23に記載の非金属製のリム。
【請求項25】
前記取付要素がナットであり、前記ナットへのボルトの挿入を可能にするために、前記一次構造要素に開口部が設けられている、請求項24に記載の非金属製のリム。
【請求項26】
充填要素が、前記第1フランジ内の前記一次構造要素の端部に隣接して配置されており、前記第1フランジにおいて前記リムの周囲の周りの少なくとも一部に延びている、請求項1〜25のいずれか一項に記載の非金属製のリム。
【請求項27】
前記充填要素が、前記リムの周囲に周方向に延びる実質的に一方向の繊維材料を含む、請求項26に記載の非金属製のリム。
【請求項28】
一つ以上のセンサが、前記保護インサート内または前記保護インサートに隣接して、および/または、ビードシートと一次構造要素との間に設けられており、前記リムまたはその上に配置されたタイヤに関する情報を含む信号を受信機に送る。請求項1〜27のいずれか一項に記載の非金属製のリム。
【請求項29】
前記一つまたは複数のセンサは、前記保護インサートおよび/または前記保護インサートを覆うあらゆる層に対するあらゆる損傷についての情報を受信機に送信する、請求項28に記載の非金属製のリム。
【請求項30】
請求項1〜29のいずれか一項に記載のリムを備えるホイール。
【請求項31】
四輪の車両用であり、前記第1フランジが外側フランジである、請求項30に記載のホイール。
【請求項32】
前記四輪の車両が自動車である、請求項31に記載のホイール。
【請求項33】
自動二輪車用である、請求項30に記載のホイール。
【請求項34】
請求項30〜33のいずれか一項に記載のホイールを備える車両。
【請求項35】
請求項1〜29に記載のリムを製造する方法であって、
一次構造要素、ビードシート、および存在する場合は保護インサート、ならびに、充填材のように前記リムにおける任意の他の要素を組み立て、これらをポリマーマトリックス中で一緒に結合することを含む、方法。
【請求項36】
前記一次構造要素および/または前記ビードシートに、繊維材料または布に予め含浸させたものを使用することを含む、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
湿式レイアップ工程を含む、請求項35に記載の方法。
【請求項38】
樹脂トランスファー成形を含む、請求項35に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、ホイール、特に繊維複合材料および/またはプラスチック材料を含むリム等の非金属製のリムを有するホイールに関する。本明細書に記載のリムおよびホイールは、例えば、自動車、自動二輪車、自転車および航空機等の電動式および非電動式の車両とともに使用するためのものであってもよい。
【背景技術】
【0002】
繊維強化プラスチックのような複合材料から作られたホイールは、近年大きな進歩を遂げている。しかしながら、最近の設計でさえもある種の欠点を有する場合がある。例えば、非常に高いおよび/または突然の軸方向または放射方向の荷重または衝撃を受けたホイールは、ホイールの構造的完全性を損なう場合があり、タイヤの収縮および/または車両の制御の喪失につながることがある。これは、高速を経験する自動車および自動二輪車にとって特に問題である。さらに、安全上の理由から、正確な損傷の評価が困難であるとともに単純にリム全体を交換するよりも簡便に交換可能な要素が欠如しているため、リムへの構造的損傷がリム全体を交換することに繋がる場合がある。ときには、リムの損傷が検出されない場合があり、ホイールが車両で使用されてから故障した場合に安全上の問題になることがある。
【発明の概要】
【0003】
第1の態様において、ホイール用の非金属製のリムが提供される。前記リムは以下を構成要素として含む。バレルは、前記バレルの対向する縁部から放射方向の外側に延びる第1フランジおよび第2フランジを有し、前記バレルは、前記第1フランジおよび前記第2フランジのそれぞれ軸方向の内側に配置された第1ビードシートおよび第2ビードシートを含む。前記一次構造要素は、少なくとも前記第1フランジおよび前記バレルを通って延びており、任意で前記一次構造要素は、使用時に前記リムによって支えられる放射方向および/または横方向の荷重の大部分を支えることができる。前記保護インサートは、前記第1フランジの外面と前記一次構造要素との間に配置されており、および/または、前記第1ビードシートの少なくとも一部が、前記一次構造要素から離間している。任意で、前記一次構造要素、前記ビードシート、および存在する場合は前記保護インサートが、ポリマーマトリックスによって結合されている。
【0004】
第2の態様では、第1の態様のリムを含むホイールが提供される。
【0005】
第3の態様では、第2の態様のホイールを備える車両が提供される。
【0006】
第4の態様では、第1の態様のリムの製造方法が提供される。前記方法は、前記一次構造要素、前記ビードシート、および存在する場合は前記保護インサート、ならびに充填材のように前記リムにおける他の任意の構成要素を組み立て、これらをポリマーマトリックスによって一緒に結合することを含む。
【0007】
複合ホイールの従来技術におけるリムの典型的な設計では、バレルがバレルの対向する縁から放射方向の外側に延びる2つのフランジを有する。バレルは、断面がほぼ円筒形である。ビードシートは、通常バレルの内側に配置されている。ビードシートは、内側リムにおいてタイヤがホイールに着座する面である。フランジは、ホイール上におけるタイヤの横方向(すなわち軸方向)の動きを防止する。一般に、市販の複合ホイールは、フランジ、ビードシート、およびバレルにおいてビードシート間の部分を形成するように、一体的に形成および輪郭形成されたリムを有する。本発明者らは、ビードシートを通る突然の荷重および/または高荷重の伝達が、ホイールの構造的完全性を損なう原因の一つになり得ることを見出した。本明細書に記載のリムの実施形態は、軽量構造と、車両や航空機において高性能の状況での使用を可能にする所望の特性と、を依然として有する一方で、突然のおよび/または高い軸方向荷重および/または放射方向荷重による損傷を被る傾向を低減する。さらに、いくつかの従来技術のリムにおけるリムへの損傷は、検出されないか、または一旦検出されると、大きな構造的欠陥という結果をもたらし、その結果、リムの強度が低下することが判明した。本明細書に記載のリムの実施形態は、リムへの損傷の早期検出と、損傷が悪化する前に、および/または、車両の安全上の問題となり得る前に、損傷が深刻であるかどうかを判断するためにリムがさらなる検査を必要とすることの示唆と、を可能にする。さらに、製造工程の再現性を向上させながら、リムをハイブリッドホイールおよびモノブロックホイールで使用することができる。
【0008】
本明細書に記載の実施形態は、以下のさらなる利点を有する。
1)荷重経路が、ホイール構造の全体に亘って内面または外面のいずれにも倣わない。これは、フランジからフランジに向かう方向の変化が少ない荷重経路を生み出し、荷重経路内の応力集中点を減少させ、優れた機械的性能、高い軸方向および/または放射方向の荷重がリムに加わった際に破損傾向が少ないという結果をもたらす。
2)例えば発泡体等の充填材は、ビードシートを支持するために使用することができ、ビードシート上の繊維材料は、ホイールのフランジからフランジへの曲げ剛性を著しく増大させない繊維配向を有することができる。
3)例えば、自動車のインボードおよび外側フランジ(in−board and outboard flange)やバイクホイールの左側および右側フランジ等のリムのフランジの一方または両方に一体化された犠牲層(保護インサート、および例えば本明細書に記載の外層等の任意の上層)を使用することによって、衝撃下およびホイールの誤った取り扱い下におけるホイールの一次荷重支持構造の保護を改善する。
4)ホイールのフランジの軸方向および放射方向の衝撃によって引き起こされる荷重の吸収および消散を改善する。フランジは、インボードおよび外側フランジであってもよい。
5)リムへの衝撃におけるエネルギーの偏りおよび/または消散を改善することにより、例えば外層から一次構造要素への亀裂伝播の傾向が減少する。
6)統合犠牲層への損傷の視認検出が改善され、損傷についてホイールを検査し、使用を中止する必要があることが示唆される。
7)犠牲層システムへの損傷のために、犠牲層に組み込まれた埋め込み型の電気的な警報検出システムの使用による間接的な検出は、損傷についてホイールを検査し、使用を中止する必要があることを示唆する。
8)発泡体を置き換えるために、円形フープ部分で製造された三次元に設計された繊維層材料は、剛性および耐衝撃性を改善する。
【0009】
本出願は、例えば繊維強化モノブロックまたはハイブリッド成形タイプのホイールにこれらの安全機能を組み込むための設計、構造および製造工程を詳述する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】リムの一の実施形態が、自動車用のハイブリッドホイールに組み込まれた場合の断面図を示す。
【図2】自動車のホイールに使用するための本明細書に記載のリムの一の実施形態の断面図を示し、リムは、左側に外側フランジ、右側に内側フランジを有する。
【図3A】図2に示すリムの外側フランジの拡大断面図である。
【図3B】放射方向から見た場合の、一次構造要素に使用するための三軸の布を概略的に示し、布の繊維の軸の一つが軸方向と平行である状態、すなわちフランジからフランジ(A−第1フランジから第2フランジ)に向かう方向に沿って延びている状態である。
【図3C】放射方向から見た場合の、例えばビードシートの一部として外層に使用するための二軸の布を概略的に示し、布の繊維の軸のいずれもが軸方向に平行ではない、すなわちフランジからフランジ(第1フランジから第2フランジへ)に向かう方向に沿って延びておらず、布の各軸は、フランジからフランジに向かう方向(または軸方向A)に対して約45度の角度を成している。
【図4】図2のリムの内側フランジの拡大断面図を示す。
【図5A】第1フランジの実施形態を示し、第1フランジは、保護インサート内に配置されたセンサを有する。
【図5B】第2フランジの実施形態を示し、第2フランジは、保護インサート内に配置されたセンサを有する。
【図6】(軸方向に沿って見た場合の)自動二輪車に使用可能な多成分ハイブリッドホイールの正面図を示す。
【図7】図7Aは、自動二輪車に使用可能な多成分ハイブリッドホイールの(図6のA−A断面に沿う)断面図を示す。図7Bは、図7Aのホイールの右側のフランジの拡大図を示す。
【図8】図6のリムさらなる実施形態の断面図を示し、当該リムも自動二輪車に使用可能な多成分ハイブリッドホイールである。
【図9】下記の実施例に記載されるラジアル疲労試験に使用される装置を概略的に示す。
【図10】下記の実施例において試験された参考ホイールの断面を概略的に示す。
【図11】本開示に係るホイール(この図ではMk2と表示)と参考ホイール(この図ではMk1と表示)について行われたラジアル疲労試験の結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
任意のおよび好ましい特徴は以下に記載される。任意の又は好ましい特徴は、本発明の任意の態様と、または、任意の又は好ましい特徴と、組み合わせることができる。
【0012】
非金属製のリムは、鋼、アルミニウムまたはマグネシウムベースの合金等の合金ではなく、主として(すなわち、少なくとも50体積%の、任意で少なくとも70体積%の、任意で少なくとも90体積%の)繊維強化プラスチック等の非金属成分から作られるリムとして定義されてもよい。上記に関わらず、非金属製のリムは、必要に応じて取付手段などの金属構成要素を含んでもよい。
【0013】
リムは、ワンピースのモノブロックやマルチピースのハイブリッドホイールなど、様々なタイプのホイールとともに使用したり、それらに含めたりすることができる。リムを含むホイールは、自動車産業または航空宇宙産業で使用するためのものであってもよい。リムを含むホイールは、自動二輪車および自転車を含むがこれらに限定されない他の種類の車両にも使用されてもよい。
【0014】
ワンピースのモノブロックの成形複合ホイール(以下、「モノブロック」ホイールと称する)は、組み立て製造中にスポークとリム(またはバレル)とが物理的に接合されてワンピースのリム/スポーク構造を形成するホイールと定義することができる。ホイールに関する様々なよく知られた技術的問題を解決するために、必要に応じて特定の金属製部品/非金属製部品およびハブインサートを、ホイールに追加、固定、または埋め込んでもよい。ワンピースのモノブロックホイールにおけるスポーク部分の繊維は、構築中にリム/バレルに物理的に絡み合っているかまたは埋め込まれている、および/または、スポークとリムとは同じポリマーマトリックスによって一緒に結合されている。
【0015】
マルチピースハイブリッドホイール(以下、「ハイブリッド」ホイールと称する)は、リム(またはバレル)が繊維強化および/またはプラスチック材料を単一のピースとして用いて構成され、その上に別に構成されたスポークおよびハブ部が、機械的な取り付け手段によって分離可能に固定または接着されるホイールと定義することができる。本明細書で言及されるハイブリッドホイールは、以下のものを有するホイールを含み得る。
a.ホイールの製造に適した金属から鋳造または機械加工することができる金属製スポークまたはディスク中心部。
b.非金属材料からレイアップまたは、成形および/または機械加工できる繊維強化および/またはプラスチック材料のスポークまたはディスク中心部。
【0016】
1)モノブロックと2)aおよびbのマルチピースハイブリッドホイールの両方のタイプについて、リム/バレル、および/または、スポーク部分の製造に使用できる3つのタイプの成形工程がある。リム/バレル、および/または、スポーク部分は、下記の一般的な製造工程の一つ以上を用いることができる。
1.繊維材料または布に予め樹脂を含侵させる、繊維材料の予備含浸(以下、「プレプレグ」材料と称する)。これらのプリプレグ材料は、開放型または閉鎖型の金型に入れられ、その後、オートクレーブまたは他のオートクレーブ外のオーブンで/金型ツールに一体化された加熱システム内で熱硬化される。
2.乾燥繊維材料を金型に入れて硬化のために金型を閉じる前に、自動または手動の樹脂塗布器を用いて含浸させる、湿式レイアップ(以後「湿式レイアップ」と称する)。
3.乾燥繊維材料を金型ツールに入れ、次いで金型を閉じて液体樹脂を圧力下で注入して金型ツール内の材料に含浸させる、樹脂トランスファー成形(以下「RTM」と称する)方法。金型ツールは、注入後に樹脂を硬化させるために加熱される。
【0017】
いずれの場合も、金属製および非金属製のインサート、締め具、および、アラミド、セラミック、構造発泡体等のような、ただしこれらに限定されない他の材料を使用して、機械的性能を高め、ホイールの組み立て/締結点、および車両への取り付けを提供できる。センサおよび視覚的インジケータは、ホイールまたはリム成形工程の前、最中、または後に埋め込むか追加してもよい。
【0018】
3つの製造工程すべてにおいて、モノブロックまたはハイブリッドホイール/バレル/リムは、樹脂が硬化した後にツール(または金型)から取り外され、さらに加工され、トリミングされ、および完成したホイールに組み立てられ、仕上げされ/コーティングされて、車両への装備品のために準備される。
【0019】
一の実施形態では、本明細書に記載のリムは、一次プリプレグ、湿式レイアップ、またはRTMの3つの製造工程のいずれか一つまたはそれらの組み合わせによって製造される繊維強化モノブロックまたはハイブリッド複合/プラスチックホイールリム(またはバレル)部分に組み込まれてもよい、または、その一部を形成してもよい。
【0020】
一の実施形態では、本発明は、耐衝撃性材料を組み込んだ二次犠牲構造の使用によって、ホイール構造の非常に脆弱な外側および内側リム領域の一次総合荷重経路を横方向および放射方向の衝撃による損傷から保護するための設計および構築方法を含む。
【0021】
本明細書に記載されているように、一次荷重経路は、使用時にリムによって支えられる放射方向および/または軸方向の荷重の大部分が通る経路である。一次荷重経路は、典型的には、本明細書に記載されるように一次構造要素を通過するであろう。一の実施形態では、一次荷重経路は、放射方向および/または横方向の衝撃に対して最も脆弱な領域全体にわたって、内部ビードシートまたは外部リムフランジに倣っていない。衝撃領域から広い領域に物理的保護を施すとともに衝撃領域から広い領域に荷重を遠ざけ、それによって広い領域への衝撃エネルギーを消散させ、荷重経路への剪断および横方向の応力を低減するために、一次荷重経路は、一層以上の高衝撃材料の間に挟まれてもよい。
【0022】
一の実施形態では、構造の第2の、それ故に構造の犠牲的な要素(例えば保護インサート)は、製造工程中にリムに組み込むことができ、別々に製造された、または取り外し可能な要素であることを意図しない。
【0023】
リムは、ホイールの安全最大荷重を超える可能性があるホイールへの損傷の視覚的および/または電子的な表示を組み込んでもよく、損傷したモノブロックまたはハイブリッドホイールの検査および可能性として交換を要求できる。
【0024】
リムは、リムにおいて一次荷重経路に隣接するがその一部ではない部分に配置される視覚的および/または電子的センサシステムを含んでもよい。
【0025】
一の実施形態では、ハイブリッドホイール用のリムにおいて、
1)構造発泡体によってビードシートから分離される構造一次荷重経路において、スポークまたはディスク部分をリム/バレルに組み込むための締め具の正確な配置を容易にするために、リムは、リム部分の充填材(例えば発泡体)内に正確に配置された金属インサートを組み込んでもよい。
2)本発明は、一次荷重経路を通る締め具が、ビードシートにおいてタイヤの空隙に入らない領域内における複合材料の固体層で包まれることを確実にする。したがって、本発明は、二次空気シールを必要としない。
【0026】
一の実施形態では、一次構造要素は、使用時にリムが支える放射方向および/または横方向の荷重の大部分を支えることができる。これのことは、一の実施形態では、一次構造要素が繊維を含む場合、一次構造部材を放射方向から見た際に、一次構造要素の構造繊維の少なくとも一部(例えば、個数で少なくとも25%、任意に個数で少なくとも30%)が軸方向と平行な方向に一次構造要素を通って延びることによって示され得る。一実施形態では、使用時にリムによって支持されるであろう放射方向および/または横方向の荷重の大部分を支えることができる一次構造要素は、リムの他の構成要素(非一次構造要素、すなわち保護インサートおよび/または充填材、ならびにその上の任意の上層)が除去された状態で、リムの放射方向または軸方向の最大荷重(N単位)の50%を支えることができる一次構造要素によって示される。
【0027】
本明細書に記載されるように、ホイール用の非金属製のリムが提供される。リムは、バレルを有する。
バレルは、バレルの対向する縁部から放射方向の外側に延びる第1フランジおよび第2フランジを有し、バレルは、第1フランジおよび第2フランジのそれぞれ軸方向の内側に配置された第1ビードシートおよび第2ビードシートを含む。一次構造要素は、少なくとも第1フランジおよびバレルを通って延びており、任意で、一次構造要素は、使用時にリムによって支えられる放射方向および/または横方向の荷重の大部分を支えることができる。
保護インサートが、第1フランジの外面と一次構造要素との間に配置されており、および/または、
第1ビードシートの少なくとも一部は、一次構造要素から離間している。
任意で、前記一次構造成分、前記第1ビードシートおよび/または第2ビードシート、および存在する場合は前記保護インサートは、ポリマーマトリックスによって結合されている。
【0028】
一実施形態では、ホイール用の非金属製のリムが提供される。リムは、以下の要素を有する。
バレルは、バレルの対向する縁部から放射方向の外側に延びる第1フランジおよび第2フランジを有し、バレルは、第1フランジおよび第2フランジのそれぞれ軸方向の内側に配置された第1ビードシートおよび第2ビードシートを含む。
一次構造要素は、少なくとも第1フランジおよびバレルを通って延びており、一次構造要素は、使用時にリムによって支えられる放射方向および/または横方向の荷重の大部分を支えることができる。
保護インサートが、第1のフランジの外面と一次構造要素との間に配置されている、および/または、
第1ビードシートの少なくとも一部は、一次構造要素から離間している。
一次構造成分、第1ビードシートおよび/または第2ビードシート、および存在する場合は保護インサートは、ポリマーマトリックスによって結合されている。
【0029】
好ましくは、一次構造要素は、第1フランジ、バレル、および第2フランジを通って延びている。一の実施形態では、保護インサートが第2フランジの外面と一次構造要素との間に配置されている、および/または、ビードシートにおいて少なくとも第2フランジに最も近い部分が一次構造要素から離間する。
【0030】
一の実施形態では、保護インサートは、第1フランジの外面と一次構造要素との間に配置され、第1ビードシートの少なくとも一部は、一次構造要素から離間している。
【0031】
一の実施形態では、保護インサートは、第2フランジの外面と一次構造要素との間に配置され、ビードシートにおいて少なくとも第2フランジに最も近い部分は、一次構造要素から離間している。
【0032】
一の実施形態では、リムは、自動車等の四輪の車両に適したホイール用であり、第1フランジは外側フランジである。したがって、自動車等の四輪の車両用のホイールも提供され、第1フランジは、外側フランジである。
【0033】
一の実施形態では、リムは、自動車等の四輪の車両に適したホイール用であり、第1フランジは、内側フランジである。したがって、自動車等の四輪の車両用のホイールも提供され、第1フランジは内側フランジである。
【0034】
一の実施形態では、リムは、二輪の車両に適したホイール用であり、二輪の車両は、自動二輪車等の電動車両であってもよい。一の実施形態では、リムは、二輪の車両に適したホイール用であり、二輪の車両は、自転車等の非電動車両であってもよい。
【0035】
一の実施形態では、例えば二輪の車両では、第1フランジと第2フランジは互いに同じ種類を有する。一の実施形態では、例えば二輪の車両では、第1フランジと第2フランジとは互いに実質的に対称的な種類である。
【0036】
ホイールは、モノブロックホイールまたはマルチピースハイブリッドホイールであってもよい。
【0037】
一の実施形態では、一次構造要素は、第1フランジ内に実質的に垂直な部分を含み、「垂直」方向は、バレルによって規定される軸方向に対して実質的に垂直な方向に対応する。任意で、実質的に垂直な部分の上には、第1フランジの上側の外縁に向かって外向きに湾曲する部分がある。任意で、実質的に垂直な部分の下には、第1のビードシートの下で、一次構造要素においてバレル内に延びている部分に向かって湾曲する部分がある。
【0038】
一の実施形態では、保護インサートは、第1フランジの外面と一次構造要素の実質的に垂直な部分との間に配置される。
【0039】
一の実施形態では、一次構造要素は、第2フランジ内に実質的に垂直な部分を含み、「垂直」方向は、バレルによって規定される軸方向に対して実質的に垂直な方向に対応する。任意で、実質的に垂直な部分の上には、第2フランジの上側の外縁に向かって外向きに湾曲する部分がある。任意で、実質的に垂直な断面の下には、第2ビードシートの下で、一次構造要素においてバレル内に延びている部分に向かって湾曲する部分がある。
【0040】
任意で、一次構造要素は構造繊維を含む。任意で、構造繊維のうちの少なくともいくつかは、放射方向から見た際に、リムによって規定される軸に沿って第1のフランジからの方向に一次構造要素を通って延びている。本明細書に記載されるように、繊維が特定の方向に沿って延びるかまたは平行である場合、繊維はその方向から20度以下の角度であってもよいし、任意でその方向から15度以下の角度であってもよいし、任意でその方向から10度以下の角度であってもよいし、任意でその方向から5度以下の角度であってもよいし、任意でその方向から3度以下の角度であってもよいし、任意でその方向から1度以下の角度であってもよいし、任意に厳密にその方向に平行であってもよい。
【0041】
構造繊維は、炭素繊維、アラミド繊維、およびガラス繊維から選択してもよい。
【0042】
一の実施形態では、構造繊維は布を形成する。構造繊維は、織られ(woven)、編まれ(knitted)、縫われ(stiched)、編組され(braided)、巻かれ(wound)、留められ(stapled)、さもなければ布に結合されていてもよい。一の実施形態では、構造繊維は、(ポリマーマトリックスによって結合されてリムを形成する前に)他の繊維および/またはポリマーによって結合されていてもよい。構造繊維の少なくともいくつかは、例えば二軸の布または三軸の布において互いに整列されていてもよいし、またはランダムに互いに配向されていてもよい。好ましくは、一次構造要素において少なくともいくつかの繊維は、例えば二軸の布または三軸の布において互いに整列されていてもよいし、好ましくは、少なくともいくつかの繊維は、(以下により詳細に記載されるように)フランジからフランジに向かう方向に配向される。構造繊維は、例えば3D織り工程または3D編組工程で、例えば繊維が3D(3次元)に配向している材料等の3D(3次元)材料に形作られる。
【0043】
一の実施形態では、構造繊維は、二軸または三軸に織られている。二軸の織布は、本明細書では、互いにある角度を成して織られた2組の繊維を有する布として定義してもよく、2組の繊維は互いに90度の角度であってもよい。三軸の織布は、本明細書では、3組の繊維を有する布として定義してもよく、各組は、他の2組のうちの一つの組に対して異なる配向で織られている。例えば、第1の組は0度、第2の組は第1の組に対して+60度、第3の組は第1の組に対してー60度に設定してもよい。三軸の布は、本明細書に記載されているように、3方向に配向された構造繊維を含んでもよく、任意で、例えば第4の方向において他の繊維に織り込まれ得るまたは縫い込まれ得る構造繊維等のさらなる繊維を含んでもよい。これは、製造工程を支援することができる。
【0044】
一の実施形態では、リムはポリマーマトリックスによっても結合された外層を含み、外層は、ビードシートおよび/または第1保護インサート上のカバーを形成する。外層は、任意で外層と一次構造要素との間に配置された一つ以上のさらなる要素とともに、一次構造要素の少なくとも一部の上に配置された層として定義してもよい。任意で、外層はリムの最外層を形成し、例えば、それ以上の層はその上に配置されていない。代替の実施形態では、一つ以上のさらなる層が外層の上に存在してもよい。
【0045】
一の実施形態では、外層は構造繊維を含む。
【0046】
一の実施形態では、外層および一次構造要素はそれぞれ、構造繊維を含む少なくとも一つの布層を含み、任意で、一次構要素は、外層よりも多数の布層を含む。
【0047】
一の実施形態では、外層および一次構造要素はそれぞれ、構造繊維を含む複数の布層(例えば、少なくとも2つの布層)を含み、任意で、一次構造要素は外層よりも多数の布層を含む。任意で、一次構造要素は、構造繊維を含む二つ以上の布層、任意で三つ以上、任意で構造繊維を含む四つ以上の布層を含む。
【0048】
一の実施形態では、一次構造要素の少なくともいくつかの構造繊維は、リムによって規定される軸と実質的に平行な方向に一次構造要素を通って延びている。
【0049】
一の実施形態では、外層は、リムによって規定される軸と実質的に平行な方向に一次構造要素を通って延びている繊維を実質的に欠く。
【0050】
一の実施形態では、一次構造要素は三軸の織布を含み、外層は二軸の織布を含む。本明細書に記載の二軸の布および三軸の布は、好ましくは炭素繊維から形成される。
【0051】
一の実施形態では、一次構造要素、第1ビードシートおよび/または第2ビードシート、および存在する場合は第1フランジおよび/または第2フランジ内の保護インサート、ならびに存在する場合はビードシートと一次構造要素との間に配置される充填材は、ポリマーマトリックスによって結合されている。ポリマーマトリックスは、熱可塑性ポリマーおよび熱硬化性ポリマーから選択されるポリマーを含んでもよい。ポリマーマトリックスは、エポキシ樹脂(EP)、ポリエステル樹脂(UP)、ビニルエステル樹脂(VE)、ポリアミド樹脂(PA)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ビスマレイミド(BMI)、ポリエーテルイミド(PEI)、およびベンゾオキサジンから選択されるポリマーを含み得る。
【0052】
保護インサートは、リムに放射方向および/または軸方向に加えられる衝撃から一次荷重構造を保護するように機能してもよい。一の実施形態では、保護インサートは、リムに軸方向および/または放射方向に加えられる荷重または衝撃からのエネルギーを吸収および/または偏向および/または消散させるように機能してもよい。一の実施形態では、保護インサートは、リムへの(軸方向および/または放射方向の)衝撃からのエネルギーを偏向および/または消散させ、例えば外層から一次構造要素への亀裂伝播の傾向を低減させるように機能する。
【0053】
一の実施形態では、保護インサートは衝撃吸収材料を含み、衝撃吸収材料は、発泡体、ハニカム、積層構造、および布から選択してもよい。発泡体は、連続気泡発泡体または独立気泡発泡体であってもよい。発泡体は、発泡ポリアクリルアミド、発泡ポリウレタン、発泡ポリスチレン、発泡塩化ビニル、発泡アクリルポリマー、発泡ポリエチレン、発泡ポリプロピレンおよび発泡ビニルニトリル等の発泡ポリアクリルアミドから選択することができる発泡ポリマーを含んでもよい。一の実施形態では、保護インサートは、ゴム等のエラストマーポリマーを含み、エラストマーポリマーは、スチレンブタジエンなどの合成ゴム、または天然ゴムであってもよい。エラストマーポリマーは発泡してもしなくてもよい。
【0054】
保護インサートは、リムの周りに周方向に少なくとも部分的に、任意で全体に延びてもよい。
【0055】
保護インサートは、ASTM D 1622により測定される少なくとも10kg/mの、任意で少なくとも20kg/mの、任意で少なくとも30kg/mの、任意で少なくとも40kg/mの密度を有してもよい。保護インサートは、ASTM D 1622によって測定される120kg/m以下の、任意で110kg/m以下の、任意で75kg/m以下の、任意で60kg/m以下の密度を有してもよい。保護インサートは、ASTM D 1622により測定される10kg/m〜120kg/mの、任意で20kg/m〜120kg/mの、任意で30kg/m〜120kg/m、任意で40kg/m〜80kg/m、任意で40kg/m〜60kg/m、任意で40kg/m〜80kg/mの密度を有してもよい。
【0056】
保護インサートは、ASTM D 1621によって測定される少なくとも0.1MPaの、任意で少なくとも0.2MPaの、任意で少なくとも0.3MPaの、任意で少なくとも0.5MPaの、任意で少なくとも0.6mpaの、任意で少なくとも0.7mpaの、任意で少なくとも0.8mpaの、任意で少なくとも0.9mpaの圧縮強度を有してもよい。保護インサートは、ASTM D 1621によって測定される5MPa以下の、任意で4MPa以下の、任意で3MPa以下の、任意で2MPa以下の、任意で1.5MPa以下の、任意で1MPa以下の圧縮強度を有してもよい。保護インサートは、ASTM D 1621によって測定される0.1MPa〜5MPaの、任意で0.3MPa〜4MPaの、任意で0.4MPa〜4MPaの、任意で0.7MPa〜3.5MPaの、任意で0.7MPa〜2MPaの、任意で0.7MPa〜1.5MPaの、任意で0.7MPa〜1.3MPaの圧縮強度を有してもよい。
【0057】
保護インサートに使用することができる発泡体の例には、例えばRohacell(登録商標)のIGおよびIG−F発泡体などのRohacell(登録商標)から入手可能な独立気泡ポリメタクリルイミド発泡体が含まれる。
【0058】
一の実施形態では、保護インサートは複数の層を含む。一の実施形態では、複数の層は、例えば互いに異なる弾性率等の互いに異なる剛性を有してもよい。一の実施形態では、保護インサートは複数の層を含み、これらの層は互いに対して軸方向に配置される(すなわち、リムの断面において(例えば、図1、2または3に示すように)複数の層が保護インサートと外層との間に配置される)。一の実施形態では、保護インサートは複数の層を含み、第2の層よりも一次構造要素に近接して配置された第1の層を有し、第1の層は、第2の層よりも高い剛性(より高いヤング率)を有する。一の実施形態では、3つ以上の層が設けられ、これらの層は、互いに対してリム内で軸方向に配置され、軸方向において、一次構造要素から、例えば第1フランジおよび/または第2フランジ等のこれらの層が配置されているフランジの外面に向かって、層の剛性(すなわち、層のヤング率)が次第に低くなる。フランジの外面に向かって剛性の低いインサートを有することは、衝撃からの荷重を広い範囲にわたって分散させることを補助する。すなわち、衝撃吸収領域を形成し、一次構造要素への損傷の可能性を減少させる。
【0059】
一の実施形態では、外層は、第1フランジおよび/または第2フランジ内で保護インサートを覆い、外層への損傷の視覚的表示を提供するために、外層は、保護インサートとは異なる色、または外層と保護インサートとの間に配置され得る任意の材料と異なる色を有する。保護インサートおよび/または外層と保護インサートとの間に配置され得る任意の材料は、鮮やかに着色されてもよい(例えば、白色、緑色、黄色、蛍光色、原色、または原色の任意の組み合わせを有する)。
【0060】
第1フランジおよび/または第2フランジ上の保護インサートを覆う外層は、軸方向Aから見たときに、放射方向Rに整列した繊維を欠いていてもよい。すなわち外層の繊維は、軸方向Aから見たとき、ある角度(例えば放射方向から少なくとも20度)となるように配向されてもよい。
【0061】
一の実施形態では、充填材は、リムにおいて少なくとも第1ビードシートおよび/または第2ビードシートと一次構造要素との間の空間によって規定される部分に配置される。充填材は、リムの周りに周方向に少なくとも部分的に、任意で全体に延びることができる。充填材は、保護材料でもよく、保護インサート内の材料と同じでもよいし、異なっていてもよい。充填材は、発泡体、ハニカム、ラミネート構造、および布であってもよい。発泡体は、連続気泡発泡体または独立気泡発泡体であってもよい。発泡体は、発泡ポリアクリルアミド、発泡ポリウレタン、発泡ポリスチレン、発泡塩化ビニル、発泡アクリルポリマー、発泡ポリエチレン、発泡ポリプロピレンおよび発泡ビニルニトリルなどの発泡ポリアクリルアミドから選択することができる発泡ポリマーを含んでもよい。一の実施形態では、保護インサートは、例えばゴム等のエラストマーポリマーを含み、エラストマーポリマーは、スチレンブタジエンなどの合成ゴム、または天然ゴムであってもよい。エラストマーポリマーは発泡してもしなくてもよい。
【0062】
充填材は、ASTM D 1622によって測定される少なくとも10kg/mの、任意で少なくとも20kg/mの、任意で少なくとも30kg/mの、任意で少なくとも40kg/mの密度を有してもよい。充填材は、ASTM D 1622によって測定される120kg/m以下の、任意で110kg/m以下の、任意で75kg/m以下の、任意で60kg/m以下の密度を有してもよい。充填材は、ASTM D 1622によって測定される10kg/m〜120kg/mの、任意で20kg/m〜120kg/mの、任意で30kg/m〜120kg/mの、任意で40kg/m〜80kg/mの、任意で40kg/m〜60kg/mの、任意で40kg/m〜80kg/mの密度を有することができる。
【0063】
充填材は、ASTM D 1621により測定される少なくとも0.1MPaの、任意で少なくとも0.2MPaの、任意で少なくとも0.3MPaの、任意で少なくとも0.4MPaの、任意で少なくとも0.5MPaの、任意で少なくとも0.6MPaの、任意で少なくとも0.7MPaの、任意で少なくとも0.8MPaの、任意で少なくとも0.9MPaの圧縮強度を有してもよい。充填材は、ASTM D 1621により測定される5MPa以下の、任意で4MPa以下の、任意で3MPa以下の、任意で2MPa以下の、任意で1.5MPa以下の、任意で1MPa以下の圧縮強度を有してもよい。充填材は、ASTM D 1621により測定される0.1MPa〜5MPaの、任意で0.3MPa〜4MPaの、任意で0.4MPa〜4MPaの、任意で0.7MPa〜3.5MPaの、任意で0.7MPa〜2MPaの、任意で0.7MPa〜1.5MPaの、任意で0.7MPa〜1.3MPaの圧縮強度を有してもよい。
【0064】
充填材に使用できる発泡体の例には、Rohacell(登録商標)のIGおよびIG−F発泡体などのRohacell(登録商標)から入手可能な独立気泡ポリメタクリルイミド発泡体が含まれる。
【0065】
一の実施形態では、ホイールのスポークをリムに取り付けるための取付要素が充填材に埋め込まれている。一の実施形態では、取付要素は、ナットまたはボルトである。一の実施形態では、取付要素はナットであり、ナットへのボルトの挿入を可能にするために一次構造要素に開口部が設けられている。
【0066】
一の実施形態では、充填要素がリムに配置される。第1フランジおよび/または第2フランジ内および/または第1ビードシートおよび/または第2ビードシートの下では、充填要素はそれぞれ第1フランジおよび/または第2フランジのリムの周囲の周りに少なくとも部分的に延びる。一の実施形態では、充填要素は、第1フランジおよび/または第2フランジにおける一次構造要素の端部に隣接して配置され、充填要素は、第1フランジおよび/または第2フランジのそれぞれにおけるリムの周囲の周りに少なくとも部分的に延びている。
【0067】
一の実施形態では、充填要素は、リムの周りに周方向に延びる実質的に一方向の繊維状材料を含む。繊維状材料は、例えば一緒に編組される等互いに絡み合っていてもよく、ロープを形成してもよい。繊維状材料は、構造繊維を含んでもよく、構造繊維は、一次構造要素または外層に使用される構造繊維と同じ種類の構造繊維であってもよいし、同じ種類の構造繊維でなくてもよい。充填要素中の構造繊維は、炭素繊維、アラミド繊維およびガラス繊維から選択される繊維を含んでもよい。
【0068】
一の実施形態では、第1フランジまたは第2フランジにおける一次構造要素がビードシートの下の領域および/またはバレル内の領域内で分割され、分割によって形成されたキャビティ内に充填材が配置される。一次構造要素がビードシートの下または近くの領域で分割される場合、一次構造要素において最も放射方向の外側に配置された部分が、例えば外層とともにビードシートの一部を形成してもよい。充填材は、この部分と一次構造要素において最も放射方向の内側に位置する部分との間に位置してもよい。
【0069】
一の実施形態では、1つまたは複数のセンサが、保護インサート内または保護インサートに隣接して、および/または、ビードシートと一次構造要素との間に設けられ、リムまたはその上に配置された任意のタイヤに関する情報とともに受信機に信号を送信する。
【0070】
一の実施形態では、一のまたは複数のセンサは、保護インサートへのおよび保護インサートを覆う任意の層への損傷についての情報を受信機に送信する。
【0071】
一の実施形態では、一のまたは複数のセンサは、ワイヤレスまたは有線システムを介してリアルタイムの遠隔測定のまたは電子的な情報を車両の運転システムに渡してもよい。
【0072】
一の実施形態では、ホイールは専門家の非破壊検査(NDT)検査システムおよび/または機器を使用して検査されてもよい。
【0073】
一の実施形態では、一次構造要素の損傷が最小限であるまたは損傷を受けてない間に、センサが、保護インサートおよび/またはその上の外層の構造的破損または損傷を検出し、専門家によるリムの検査の必要性の示唆を盛り込んでもよい。
【0074】
センサは、保護インサートおよび/またはリムの上に重なる外層への損傷の程度を遠隔的に評価することを可能にするマルチチャネルまたはシングルチャネルの検出器であってもよい。
【0075】
本発明の非限定的な実施形態は、ここで図面を参照して説明される。以下に記載される個々の特徴は、本明細書に記載される態様のいずれかまたは本明細書に記載される他の任意選択および好ましい特徴と、関連するいかなる特徴も参照せずに個々に組み合わせることができる。
【0076】
図1は、一の実施形態に係るハイブリッド型のホイール2のリム1の断面図を示す。本実施形態では、リム1は、ボルト4によってスポーク3にねじ留めされている。ボルト4は、締め具インサート、すなわちナット5によって定位置に保持されている。第1フランジ101は、リムの外側フランジ、すなわちホイールが四輪車両に取り付けられたときに最も外側にあるフランジを構成する。第2フランジ102は、内側フランジ、すなわちホイールが四輪車両に取り付けられたときに最も内側にあるフランジを構成する。第1ビードシートB1は、第1フランジ101の軸方向の内側に配置されている。第2ビードシートB2は、第2フランジ102の軸方向の内側に配置されている。ボルト4は、金属部品であってもよい。インサート5は、ホイールが完全に硬化して金型から取り外された後に孔開けされ、ねじ切りされてもよい。
【0077】
一次構造要素103は、第1フランジ101、バレル104、および第2フランジ102を通って延在している。一次構造要素は、使用時にリムによって支えられる放射方向および/または横方向の荷重の大部分を支えることができる。
【0078】
保護インサート105は、第1フランジの外面106と一次構造要素103との間に配置されている。
【0079】
第1フランジに最も近いビードシートB1の水平部分(第1ビードシート)は、一次構造要素103から離間している。充填材107が、第1ビードシートB1およびその下の一次構造要素によって形成されるキャビティ内に配置される。充填材107は、締め具インサート5を定位置に保持するように機能する。
【0080】
保護インサート105は、第2フランジ102の外面106と一次構造要素103との間に配置されている。充填材108が、第2ビードシートB2の下方の分割一次構造要素と、ビードシートB2においてエネルギー吸収インサート105の左側に延びてヌードル(noodle)109Aの上の部分103Vの上方において再接合する一次構造要素103と、によって形成されるキャビティ内に配置される。
【0081】
一次構造要素103、ビードシートB1、B2、および保護インサート105は、ポリマーマトリックスによって結合されている。一次構造要素およびビードシートは、好ましくは、ポリマーマトリックスによって含浸された構造繊維を有する。すなわち、一次構造要素およびビードシートは、繊維強化プラスチックである。保護インサートはポリマーマトリックスで含浸されていてもよいし、含侵されていなくてもよい。例えば、これらが発泡体を含む場合、これらが連続気泡発泡体であるか独立気泡発泡体であるかに応じて、これらはポリマーマトリックスによって他の成分に結合される他ない。
【0082】
図2は、実施形態に係る自動車のホイール2に使用するための本明細書に記載のリム1の断面図を示す。図の左側に外側フランジ101が、右側に内側フランジ102がある。このリムは、締め具インサートが存在せず、さらなる構成要素が図示されている点を除いて、図1のリムと類似している。このリムは、モノブロックホイールで使用するためのものであってもよく、スポーク(図示せず)と一体的に形成されていてもよい。図1の全ての構成要素は、図2でも同様に符号付けされている。図2では、充填要素109が第1フランジの一次構造要素の端部に隣接して配置されている。充填要素109は、第1フランジ内においてリムの周囲の周りに延びている。充填要素109は、本明細書では、ヌードルとも称され得る。充填要素109は、例えば、リムの周囲の周り延びている実質的に一方向の繊維材料、編組繊維材料、本明細書に記載の構造繊維等を有していてもよい。充填要素109は、(例えば一次構造要素の)繊維材料の正確な配置を確実にし、例えばRTM工程等の製造工程中の移動を防止するために、図示のように配置することができる。充填要素109は、ヌードル繊維に沿って力を消散させることによって一次構造要素の端部への損傷を防ぐようにも機能する。適切なヌードルは、例えばCristex(登録商標)から市販されている編組炭素繊維ヌードルである。
【0083】
さらなるヌードル109Aが、ビードシートを形成する材料1010の方向が変わる部分の下方に配置されてもよい。外側フランジ領域は、スポークおよび締め具システムとの接合部のために、局所的な高い曲げ荷重に対してより脆弱であることがわかった。一次荷重経路と二次荷重経路とが分かれるとともに層間剥離を開始または伝播する可能性がある領域内の構造的空隙は、さらなるヌードル(109A)を用いて充填され、したがって層間剥離を引き起こす傾向が低減される。
【0084】
図3Aに示すように、一次構造要素103は、第1フランジ101内において実質的に垂直な部分103Vを含む。ここで、垂直方向Vは、バレルによって規定される軸方向Aに実質的に垂直な方向Rに対応することが分かる。方向Rは、本明細書では放射方向とも称され得る。実質的に垂直な部分103Vの上には、一次構造要素103C1において第1フランジの上側の外縁101Eに向かって外向きに湾曲している部分がある。実質的に垂直な部分103Vの下には、ビードシートB1の下方で、一次構造要素103においてバレル104内に延びる部分に向かって湾曲する部分103C2がある。保護インサート105は、第1フランジの外面106と一次構造要素103において実質的に垂直な部分103Vとの間に配置され得る。
【0085】
図3Aでは、(一次構造要素によって形成された)一次荷重経路は、一方側の複合犠牲層(保護インサート105とその上にある外層1010)と反対側の構造コア(充填材107)とによって中央に挟まれていることがわかる。これにより、最適な耐荷重性が確保され、一次荷重経路がビードシートの下/中を通るホイールで発生する可能性がある応力上昇が最小限に抑えられる。
図に示す実施形態では、一次構造要素103は構造繊維を有する。本実施形態では、構造繊維は織られた炭素繊維である。好ましくは、一次構造要素は、炭素繊維布の複数の層を含む。構造繊維は、二軸または三軸に織られていてもよい。
【0086】
本実施形態では、リムは、同様にポリマーマトリックスによって結合された外層1010を含む。外層1010は、バレルの内側全体(すなわち、リムの軸に最も近い側)にわたって、両方のフランジ101、102の各上側の外縁101E、102Eを覆って延在し、ビードシートB1、B2を形成するように各フランジから軸方向の内側に延在し、外層の縁1010Eは、バレル104上で終わる。図に示すように、外層1010は、保護インサート105の上および充填材107を覆うカバーを形成する。本実施形態では、外層1010は、層に織り込まれた二軸の構造繊維を有する。好ましくは、本実施形態では、外層1010および一次構造要素103はそれぞれ、構造繊維を含む複数の布層を有し、一次構造要素は、外層よりも多数の布層を有し、一次構造要素の布層は、実質的に三軸布である。
【0087】
一次構造要素103において、一次構造要素の少なくともいくつかの構造繊維は、放射方向Rから見た場合に、リムによって規定される軸と実質的に平行な方向に一次構造要素を通って延びている。すなわち、構造繊維の少なくともいくつかは、第1フランジから第2フランジまでをそれらの間の最短経路(例えば図3Bに概略的に示される)に沿ってリムを通って延びる。図1、図2、および図3Aでは、これはページと同じ平面にあり、第1構造要素に示される線に沿っている。一次構造要素が二軸または三軸織布を有する場合、繊維の軸の一つがフランジからフランジに向かう方向に沿って、すなわちリムの軸方向に沿って、延びるように布が配置されている。
【0088】
図3Bは、放射方向Rから見た際の一次構造要素103に使用するための三軸の布を概略的に示し、布の繊維の軸の一つが軸方向と平行である、すなわちフランジからフランジ(第1フランジから第2フランジへ)に向かう方向に沿って延びている。
【0089】
好ましくは、外層1010は、放射方向Rから見た際に、リムによって規定される軸と実質的に平行な方向に外層を通って延びる繊維を実質的に欠く。すなわち、外層は、第1フランジから第2フランジに向かってそれらの間の最短経路に沿って延びる繊維を実質的に欠く。例えば、外層が二軸の布を有する場合、布は、繊維の軸がどちらもフランジからフランジに向かう方向に沿わないように整列している。繊維の各軸は、好ましくは、フランジからフランジに向かう方向と二軸の布中の繊維の二つ軸のいずれかとの間が少なくとも30度の角度となるように整列している。例えば、外層は二軸の布であってもよく、繊維はフランジからフランジに向かう方向に対して約±45°で配向されている。
【0090】
一実施形態では、一次構造要素は、三軸の布に織り込まれた構造繊維の少なくとも一つの層を有する。繊維の軸の一つは、放射方向Rから見た際に、フランジからフランジに向かう方向に沿って、すなわちリムの軸方向に沿って延びている。外層1010は、二軸の布に織り込まれた構造繊維の少なくとも一つの層を有する。二軸の布に織り込まれた構造繊維は、放射方向Rから見た際に、二軸の布の繊維のいずれの軸もフランジからフランジに向かう方向に沿わないように、すなわち軸方向に沿わないように整列されている。
【0091】
図3Cは、外層に使用するための二軸の布を概略的に示す。例えば、放射方向から見た際に、ビードシートの一部として、布の繊維の軸のいずれもが軸方向に平行ではない、すなわちフランジからフランジ(第1フランジから第2フランジ)に向かう方向に沿って延びていない。布の各軸は、フランジからフランジに向かう方向(または軸方向A)に対して約45度の角度をなしている。
【0092】
前述したように、好ましくは、一次構造要素は三軸の布を有し、外層は二軸の布を有し、布の軸は上記のように配向されてもよい。三軸の布は、本明細書に記載されているように、三方向に配向された構造繊維を有してもよく、任意でさらに第4方向において、例えば構造繊維等のさらなる繊維を有してもよい。さらなる繊維は、他の繊維に織り込まれていてもよいし、または縫い込まれていてもよい。これによって、製造工程を支援することができる。
【0093】
図に示す実施形態では、保護インサート105は、発泡体を有する。発泡体は、独立気泡発泡体であってもよいし、または連続気泡発泡体であってもよい。発泡体は、ポリメタクリルイミド(PMI)発泡体等の適切な材料から形成されている。
【0094】
図1、図2および図3Aの実施形態では、外層1010は、第1フランジおよび第2フランジの外面上で保護インサート105を覆っている。外層は、保護インサートと異なる色、または外層と保護インサートとの間に配置され得る任意の材料と異なる色を有する。多くの繊維強化ホイールでは、それらはしばしば暗色であり、材料に対するいかなる亀裂または欠けも容易に目に見えないかもしれないので、いずれかの要素の損傷は気付かれないかもしれない。ただし、外層の下に異なる色を含めることで、損傷を早期に検出できる。これは、外層に対するあらゆる損傷の視覚的表示を提供し、あらゆる損傷に対する対処を可能にする。一次構造要素を外層から保護されるものの反対側に配置し、外層への損傷を視覚的に容易に見ることができるということは、損傷が見える時点が一般に一次構造要素に損傷が発生する前であることを意味する。
【0095】
図1、図2および図3Aの実施形態では、充填材107が、ビードシートとその下の一次構造要素とによって形成されたキャビティ内に配置されている。本実施形態では、充填材は発泡体である。発泡体は、保護インサートに使用されている発泡体と同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0096】
図1に示すように、ホイールのスポークをリムに取り付けるための取付要素が充填材に埋め込まれている。取付要素は、リム製造工程中に、例えば、型締めおよびRTM注入工程の前に、充填材107に予め組み込むことができる。
【0097】
図4は、図2のリムの内側フランジ102の拡大断面図を示す。このフランジの特徴は、第1フランジと同様に番号付けされている。この配置は、一次構造要素がビードシートの下の領域で分割され、充填材108が分割によって形成されたキャビティ内に配置されていることを除いて、第1フランジと非常に類似している。外層1010は、ビードシート上の一次構造要素を覆って、フランジの上側の縁102Eおよび保護インサート105を覆うフランジの外縁を覆って、延在している。外層1010は、第1フランジから第2フランジ102に向かってリムのバレルの下に延在している。図に示すように、例えば、一緒に編組された構造繊維等のヌードル109は、内側フランジ102内の一次構造部品の端102Eに配置される。また、製造中における繊維材料の正確な配置を確実にし、RTM工程中の移動を防ぐためにヌードル(109)が図に示すように配置される。ヌードル109は、複合耐衝撃/犠牲層1010、およびインサート105の一体部分を形成する。さらなるヌードル109Aは、一次構造要素103の分割部の上方の位置に位置する。
【0098】
一実施形態では、外層1010は、平織りの二軸炭素繊維材料の2層を含む。一次構造要素は、三軸織り炭素繊維材料の4層または5層を含む。保護インサートおよび充填材は、例えばポリメタクリルイミドから形成された独立気発泡体を含む。ヌードルは、炭素繊維の編組材料を含む。一次構造要素内の繊維は、繊維の軸の一つが(例えば、図3Bに概略的に示されるように)フランジからフランジに向かう方向に沿って整列するように配向される。外層1010内の平織の二軸繊維は、両方の軸が(例えば図3Cに概略的に示されるように)フランジからフランジに向かう方向に対して約45度の角度を成すように配向される。
【0099】
本明細書の図に示されるすべてのフランジB1、B2上の保護インサート105を覆う外層1010は、軸方向Aから見た場合に、放射方向Rに整列した繊維を欠く、すなわち外層の繊維がある角度(例えば、放射方向から少なくとも20度)となるように配向されている。
【0100】
図5Aおよび図5Bは、保護インサート内に配置された一つまたは複数のセンサ1011を有する第1フランジおよび第2フランジをそれぞれ示す。個々のセンサまたは複数のセンサは、リムおよび/またはその上に配置された任意のタイヤについての情報を備える一つのまたは複数の信号を受信機に送信してもよい。一のまたは複数のセンサ1011は、外層および/または保護インサートに対するあらゆる損傷を検出するように機能してもよい。
【0101】
図6は、自動二輪車に用いることができる多成分ハイブリッドホイールの正面図(軸方向に沿って見た図)を示す。図7Aは、ホイールのリムの一実施形態の(図6のA−A断面に沿った)断面図を示す。図7Bは、図7Aのホイールの右側のフランジの拡大図を示す。ホイールは、スポーク3が一方のフランジよりも他方のフランジの近くに配置されているというよりもむしろ2つのフランジ間の中央に配置されている点で、図1のものと異なる。本ホイールの両方のフランジの構造は、図4のホイールの内側フランジB2の構造と同様である。図4のフランジB2の特徴に対応する図7Aおよび図7Bの特徴は、同じ番号が付されている。図7Bに示すように、一次構造要素は、ビードシートB2の下の領域で分割し、充填材108は分割によって形成されたキャビティ内に配置される。外層1010は、ビードシート上の一次構造部品を覆って、フランジの上側の縁102Eおよび保護インサート105を覆うフランジの外縁を覆って、延在する。外層1010は、第1フランジから第2フランジに向かってリムのバレルの下に延在している。図に示すように、例えば一緒に編組された構造繊維等のヌードル109は、内側フランジ102内の一次構造要素の端部103Eに配置されている。また、製造中の繊維材料の正確な配置を確実にし、RTM工程中の移動を防ぐために、ヌードル(109)が配置されている。ヌードル109は、複合耐衝撃/犠牲層1010、およびインサート105の一体部分を形成する。さらなるヌードル109Aは、一次構造要素103の分割の上方の位置に位置する。
【0102】
一次構造要素は、バレルの中央部分で分割し、締め具インサートが、すなわちナット5が、キャビティ内に配置され、充填材107(図示せず)によって定位置に保持されてもよい。リム1は、ナット5にねじ込まれるボルト4によってスポーク3にねじ止めされる。
【0103】
図8は、自動二輪車に使用することができる多成分ハイブリッドホイールである、図6のさらなる実施形態のリムの断面図を示す。本実施形態では、ホイールは、スポーク3が一方のフランジよりも他方のフランジに近いというよりもむしろ2つのフランジの間の中央に配置されているという点で、図1のホイールとは異なる。このホイールの両方のフランジの構造は、外層1010が、各フランジから軸方向の内側に延びており、一次構造要素と接触するように輪郭形成されている代わりに各フランジ間の縁の全幅を亘ってキャビティを形作る点を除いて、図3Aの外側フランジB1の構造と類似している。このキャビティ内には、充填材107の2つの部分が配置され、その間に締め具インサート、すなわちナット5が配置される。図7Aに示すように、リム1は、金属インサート5にねじ込まれるボルト4によってスポーク3に固定される。
【0104】
本明細書に記載されている実施形態のいずれかのリムは、様々な構成要素を組み立て、次いでそれらをポリマーマトリックス中で互いに結合することによって作製することができる。これは、金型内で様々な構成要素を組み立て、次いでそれらをポリマーマトリックス内で互いに結合することを含み得る。例えば、図1、図2および図3の実施形態では、(一次構造要素、ビードシートおよび外層を形成するための)様々な布、保護インサート、充填材、およびヌードルが金型内で組み立てられる。布は、樹脂または樹脂を形成するために重合し得る前駆体材料を予め含浸させ、次いで、モノブロックホイールまたはハイブリッドホイールを形成する場合は任意でスポークとともにリムを形成するように金型内で硬化させてもよい。別の実施形態では、(一次構造要素、ビードシートおよび外層を形成するための)様々な布、保護インサート、充填材、およびヌードルが、金型内で組み立てられ、それらを組み立てるとき(例えば、湿式レイアップ工程またはプリプレグ工程中)、または金型を閉じて後(例えば、樹脂トランスファー成形技術中)のいずれかで、樹脂(または樹脂を製造するための前駆体材料)が適用され、リムを硬化させてポリマーマトリックスを形成し、要素を一緒に結合させる。
【実施例】
【0105】
ラジアル荷重試験が、(i)本開示によるリムを備えるホイール(以下では、Mk2設計と示される)と、(ii)参照ホイール(以下では、Mk1設計と示される)と、の2つの異なるタイプのホイールで実施された。試験装置の概略図を図9に示す。試験は、図9に示すように、試験ホイールが放射方向の荷重下で取り付けられる被駆動ドラム901を含む。この種の試験は、通常ラジアル疲労試験と呼ばれる。この図において、被駆動ドラムは901で示され、試験されるホイールは2で示され、ホイールのリムは1で示され、ホイール上のタイヤは902で示され、ホイールのスポークは3で示され、放射方向荷重は矢印903で示される。破損前のホイールの回転数が記録される。破損前のホイールの回転数は、タイヤの収縮またはホイールの破損の時点として定義される。記載された試験は、SAE J328に従って行われた。本明細書に記載の試験は、(本開示に従う)炭素繊維リムと、意図的に過剰設計されたアルミニウム合金スポーク中心要素と、を含むホイールアセンブリを使用して行われた。過剰設計されたスポーク中心要素は、スポーク破損モードを排除することによって炭素繊維リムの全能力を決定するために使用された。
【0106】
試験された本開示によるリムは、実質的に図1に示されるような断面を有していた。このリムにおいて、外層1010は、平織の二軸炭素繊維材料の2層を含み、一次構造要素103は、三軸の炭素繊維材料の少なくとも4層を含んだ。保護インサート105および充填材107は、ポリメタクリルイミドから形成された独立気泡発泡体を含み、ヌードルは、編組された炭素繊維材料を含んだ。炭素繊維の布を互いに結合するために使用された樹脂は、エポキシ樹脂であった。一次構造要素の繊維は、繊維の軸の一つが(図3Bに概略的に示されるように)フランジからフランジに向かう方向に沿って整列するように配向された。外層1010内の二軸の平織繊維は、(図3Cに概略的に示すように)両方の軸がフランジからフランジに向かう方向に対して約45°の角度をなすように配向されている。
【0107】
ラジアル試験荷重は、普通車で650kg、中型車で750kg、大型車で850kgに設定した。適用された試験荷重の合計を計算するために、2.25の荷重補正係数が各ホイールの評価値に乗算された。試験は650kgの評価値で始まり、1,000,000サイクルに達した。同じホイールを750kgでさらにさらに1,000,000サイクル試験した。評価値をさらに850kgまで上げ、同じ試験ホイールをさらに500,000サイクル運転した。要約すると、単一の試験ホイールは、以下を受けた。650kg×2.25の放射方向荷重で1,000,000サイクル、750kg×2.25の放射方向荷重で1,000,000サイクル、および850kg×2.25の放射方向荷重で500,000サイクル。ホイールは試験に合格し、目視検査時にリムに損傷を示さず、初期タイヤ空気圧を保持した。結果が十分であると判断されたため試験は終了したが、ホイールが好ましい状態にあるということは、ホイールがさらに重くそしてより長い試験に耐えることができたことを示唆している。
【0108】
本明細書に記載の炭素繊維リム設計(Mk2)は、取付フランジが内側表面にあることを特徴とする従来の炭素繊維リム設計(Mk1)を超える有意な改善を示した。試験された従来の炭素繊維リム(Mk1設計)は、図10の断面図で概略的に示される。この図では、連結バレル104とともに、外側フランジ101、内側フランジ102、およびビードシートB1、B2が示されている。Mk1設計では、取付フランジは、その根元に好ましくない応力集中を引き起こし、リム製造の難しさを著しく増加させる。同様の試験で、別の試験家屋で、Mk1設計ホイールを650kgの評価値で500,000サイクル試験した。目視検査でリムの損傷の形跡はなく、初期の膨張圧力を失うことはなかった。評価は維持され、同じホイールがさらに500,000サイクル、合計1,000,000サイクル走行した。500,000〜1,000,000サイクルの間に、ホイール孔からバルブ孔の近くに空気が漏れ始め、1,000,000サイクルでは、膨張圧力は初期膨張圧力と比較して20%低下した。これらの結果を図11に示す。
【図1】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【国際調査報告】