(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】2019523744
(43)【公表日】20190829
(54)【発明の名称】新規な化合物半導体およびその活用
(51)【国際特許分類】
   C01B 19/00 20060101AFI20190802BHJP
   H01L 35/16 20060101ALI20190802BHJP
   H01L 31/0256 20060101ALI20190802BHJP
   H01L 35/34 20060101ALI20190802BHJP
【FI】
   !C01B19/00 K
   !H01L35/16
   !H01L31/04 320
   !H01L35/34
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】17
(21)【出願番号】2018563022
(86)(22)【出願日】20180212
(85)【翻訳文提出日】20181130
(86)【国際出願番号】KR2018001828
(87)【国際公開番号】WO2018164386
(87)【国際公開日】20180913
(31)【優先権主張番号】10-2017-0030174
(32)【優先日】20170309
(33)【優先権主張国】KR
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ
(71)【出願人】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
【住所又は居所】大韓民国 07336 ソウル,ヨンドゥンポ−グ,ヨイ−デロ 128
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】キョン・ムン・コ
【住所又は居所】大韓民国・テジョン・34122・ユソン−グ・ムンジ−ロ・188・エルジー・ケム・リサーチ・パーク
(72)【発明者】
【氏名】チョル・ヒ・パク
【住所又は居所】大韓民国・テジョン・34122・ユソン−グ・ムンジ−ロ・188・エルジー・ケム・リサーチ・パーク
(72)【発明者】
【氏名】ミン・キョン・キム
【住所又は居所】大韓民国・テジョン・34122・ユソン−グ・ムンジ−ロ・188・エルジー・ケム・リサーチ・パーク
(72)【発明者】
【氏名】ミョン・ジン・チュン
【住所又は居所】大韓民国・テジョン・34122・ユソン−グ・ムンジ−ロ・188・エルジー・ケム・リサーチ・パーク
(72)【発明者】
【氏名】チ・スン・パク
【住所又は居所】大韓民国・テジョン・34122・ユソン−グ・ムンジ−ロ・188・エルジー・ケム・リサーチ・パーク
【テーマコード(参考)】
5F151
【Fターム(参考)】
5F151AA07
5F151CB11
5F151CB13
5F151CB14
5F151CB15
5F151CB27
5F151DA15
5F151FA02
5F151FA04
5F151FA06
5F151FA09
5F151GA03
(57)【要約】
本発明は、太陽電池、熱電材料などの用途に使用できる、下記化学式1で表される新規な化合物半導体物質、その製造方法並びにこれを用いた熱電変換素子および太陽電池を提供する。[化学式1]NdCoSb12−z ここで、Qは、O、Se、およびTeからなる群より選択された少なくとも1種であり、0<x<0.2、0<y≦1、および0<z<12である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1で表される化合物半導体:
[化学式1]
NdCoSb12−z
前記化学式1において、Qは、O、Se、およびTeからなる群より選択された1種以上であり、0<x<0.2、0<y≦1、および0<z<12である。
【請求項2】
前記化学式1において、x≦yである、請求項1に記載の化合物半導体。
【請求項3】
前記化学式1のy1モルに対するxのモル比は、0.1モル〜1モルである、請求項1に記載の化合物半導体。
【請求項4】
前記化学式1のzは、0<z≦4である、請求項1に記載の化合物半導体。
【請求項5】
前記化学式1のz1モルに対するxのモル比は、0.01モル〜0.5モルである、請求項1に記載の化合物半導体。
【請求項6】
前記化学式1のz1モルに対するxのモル比は、0.01モル〜0.3モルである、請求項1に記載の化合物半導体。
【請求項7】
O、Se、およびTeからなる群より選択された1種以上の元素、Nd、S、Co、およびSbを含む混合物を形成する段階と、
前記混合物を熱処理する段階とを含む、請求項1に記載の化合物半導体の製造方法。
【請求項8】
前記熱処理段階は、400℃〜800℃で行われることを特徴とする、請求項7に記載の化合物半導体の製造方法。
【請求項9】
前記熱処理段階は、2以上の熱処理段階を含むことを特徴とする、請求項7に記載の化合物半導体の製造方法。
【請求項10】
前記混合物を熱処理段階の後、加圧焼結段階をさらに含むことを特徴とする、請求項7に記載の化合物半導体の製造方法。
【請求項11】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物半導体を含む熱電変換素子。
【請求項12】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物半導体を含む太陽電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互参照
本出願は、2017年3月9日付の韓国特許出願第10−2017−0030174号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示されたすべての内容は本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は、太陽電池、熱電材料などの用途に使用できる新規な化合物半導体物質およびその製造方法と、これを用いた用途に関する。
【背景技術】
【0003】
化合物半導体は、シリコンやゲルマニウムのような単一元素でない2種以上の元素が結合して半導体として動作する化合物である。このような化合物半導体は、現在多様な種類が開発されて多様な分野で使用されている。代表的に、ペルチエ効果(Peltier Effect)を利用した熱電変換素子、光電変換効果を利用した発光ダイオードやレーザダイオードなどの発光素子や太陽電池などに化合物半導体が用いられる。
【0004】
このうち、熱電変換素子は、熱電変換発電や熱電変換冷却などに適用可能であるが、なかでも、熱電変換発電は、熱電変換素子に温度差をおくことによって発生する熱起電力を利用して、熱エネルギーを電気エネルギーに変換させる発電形態である。
【0005】
このような熱電変換素子のエネルギー変換効率は、熱電変換材料の性能指数値であるZTに依存する。ここで、ZTは、ゼーベック(Seebeck)係数、電気伝導度および熱伝導度などに応じて決定されるが、より具体的には、ゼーベック係数の二乗および電気伝導度に比例し、熱伝導度に反比例する。したがって、熱電変換素子のエネルギー変換効率を高めるために、ゼーベック係数または電気伝導度が高いか、熱伝導度が低い熱電変換材料の開発が必要である。
【0006】
一方、太陽電池は、自然に存在する太陽光以外に別途のエネルギー源を必要としない点で環境にやさしいので、将来の代替エネルギー源として活発に研究されている。太陽電池は、主にシリコンの単一元素を用いるシリコン太陽電池と、化合物半導体を用いる化合物半導体太陽電池、そして、互いに異なるバンドギャップエネルギー(bandgap energy)を有する太陽電池を2以上積層した積層型(tandem)太陽電池などに区別される。
【0007】
このうち、化合物半導体太陽電池は、太陽光を吸収して電子−正孔対を生成する光吸収層に化合物半導体を使用するが、特に、GaAs、InP、GaAlAs、GaInAsなどのV族化合物半導体、CdS、CdTe、ZnSなどのVI族化合物半導体、CuInSe2に代表されるIII族化合物半導体などを使用することができる。
【0008】
太陽電池の光吸収層は、長期的な電気、光学的安定性に優れ、光電変換効率が高く、組成の変化やドーピングによってバンドギャップエネルギーや導電型を調節しやすいことなどが要求される。また、実用化のためには製造費用や歩留まりなどの要件も満足しなければならない。しかし、従来の様々な化合物半導体はこのような要件をすべて共に満足させずにいる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、本発明は、上記の問題点を解決するためになされたものであって、熱電変換素子の熱電変換材料、太陽電池などのように多様な用途に活用できる新規な化合物半導体物質とその製造方法、およびこれを用いた熱電変換素子や太陽電池などを提供することを目的とする。
【0010】
本発明の他の目的および長所は下記の説明により理解可能であり、本発明の実施例によってより明確に分かるであろう。また、本発明の目的および長所は特許請求の範囲に示す手段およびその組み合わせによって実現可能であることが容易に分かるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するために、本発明者は、化合物半導体に関する繰り返される研究の末に、下記化学式1で表される化合物半導体を合成するのに成功し、この化合物が熱電変換素子の熱電変換材料や太陽電池の光吸収層などに使用できることを確認して、本発明を完成した。
【0012】
以下、本発明の好ましい実施例を詳しく説明する。これに先立ち、本明細書および請求の範囲に使用された用語や単語は、通常または辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者は自らの発明を最も最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義できるという原則に則って本発明の技術的な思想に符合する意味と概念で解釈されなければならない。
【0013】
したがって、本明細書に記載の実施例に示された構成は、本発明の最も好ましい一実施例に過ぎず、本発明の技術的な思想にすべて代弁するものではないので、本出願時点においてこれらを代替できる多様な均等物と変形例がありうることを理解しなければならない。
【0014】
本発明は、次の化学式1で表される新規な化合物半導体を提供する。
[化学式1]
NdCoSb12−z
前記化学式1において、Qは、O、Se、およびTeからなる群より選択された1種以上であり、0<x<0.2、0<y≦1、および0<z<12である。前記O、Se、およびTeからなる群より選択された1種以上の元素とは、O、Se、Te単独、またはこれらの2種以上の混合を意味することができる。
【0015】
前記化学式1において、Ndはネオジム(Neodymium)元素を表す元素記号であり、Sは、硫黄(sulfur)元素を表す元素記号であり、Coは、コバルト(cobalt)元素を表す元素記号であり、Sbは、アンチモン(antimony)元素を表す元素記号であり、Qは、酸素(oxygen)、セレン(selenium)、およびテルル(tellurium)からなる群より選択された1種以上の元素に代わる意味で使用された。
【0016】
また、前記化学式1において、xは、ネオジム(Neodymium)元素の相対的なモル比率、yは、硫黄(sulfur)元素の相対的なモル比率、zは、酸素(oxygen)、セレン(selenium)、およびテルル(tellurium)からなる群より選択された1種以上の元素の相対的なモル比率を意味する。
【0017】
好ましくは、前記化学式1において、Qは、SeまたはTeであってもよい。
【0018】
さらに好ましくは、前記化学式1において、Qは、Teであってもよい。
【0019】
前記化学式1において、SbサイトにQを導入することによって、キャリア濃度(carrier concentration)が増加し、これによって、前記化学式1の化合物半導体の電気的特性が向上できる。
【0020】
また、好ましくは、前記化学式1において、xは、0.01≦x≦0.18であるのが良い。
【0021】
さらに好ましくは、前記化学式1において、xは、0.025≦x≦0.1であるのが良い。
【0022】
前記化学式1において、xが0.2以上に増加する場合、NdおよびSがCo−Sb格子内部の空き空間に位置しないままNd−Sb系の二次相を形成するので、前記化学式1の化合物半導体の熱伝導度が急激に増加することによって、熱電性能が減少しうる。前記Nd−Sb系の二次相の例としては、NdSbまたはNdSbなどの化合物が挙げられる。
【0023】
また、好ましくは、前記化学式1において、yは、0<y≦0.5、または0.1≦y≦0.2であるのが良い。
【0024】
前記化学式1において、Ndは、電子供与者(electron donor)であって、carrier concentration tuningによる出力因子を最適化させることができ、ランタン族(Lanthanide series)またはアクチニウム族(Actinide series)のような希土類元素を代替して使用することもできる。
【0025】
また、前記化学式1において、Sは、高い電気陰性(electronegative)を有する充填元素であって、Sbと極性共有結合を形成し、new vibration modeが生成されて格子熱伝導度を低下させる役割を果たすことができる。
【0026】
したがって、本願発明の前記化学式1の化合物半導体がNdとSを共に含むことによって、高温でも酸化に対する安定性が高くて工程費用を最小化しながら、熱電モジュール内で耐久性を向上させるだけでなく、前記化学式1の化合物半導体の熱伝導度を顕著に減少させて、向上した熱電性能を実現することができる。
【0027】
前記化学式1において、ネオジム(Neodymium)元素の相対的なモル比率xと、硫黄(sulfur)元素の相対的なモル比率yとの間の関係は、x≦yを満足できる。つまり、前記化学式1において、硫黄(sulfur)元素がネオジム(Neodymium)元素に比べて過剰または同量で含まれる。
【0028】
具体的には、前記化学式1のy1モルに対するxのモル比は、0.1モル〜1モル、または0.125モル〜1モルであってもよい。
【0029】
好ましくは、前記化学式1において、zは、0<z≦4である。
【0030】
さらに好ましくは、前記化学式1において、zは、0<z≦2.5であるのが良い。
【0031】
最も好ましくは、前記化学式1において、zは、0<z≦1.5であるのが良い。
【0032】
一方、前記化学式1において、ネオジム(Neodymium)元素の相対的なモル比率xと、酸素(oxygen)、セレン(selenium)、およびテルル(tellurium)からなる群より選択された1種以上の元素の相対的なモル比率zとの間の関係は、z1モルに対するxのモル比が0.01モル〜0.5モル、または0.01モル〜0.3モルを満足できる。
【0033】
つまり、前記化学式1において、酸素(oxygen)、セレン(selenium)、およびテルル(tellurium)からなる群より選択された1種以上の元素がネオジム(Neodymium)元素に比べて過剰に含まれる。
【0034】
前記化学式1のz1モルに対するxのモル比が0.5モル超過で増加する場合、前記化学式1の化合物半導体の熱伝導度が急激に増加することによって、熱電性能が減少しうる。また、前記化学式1のz1モルに対するxのモル比が0.01未満に減少する場合、前記化学式1の化合物半導体内でNdの含有量が十分でなくて、Ndの添加による効果を十分に実現しにくい。
【0035】
一方、前記化学式1で表される化合物半導体には、2次相が一部含まれ、その量は熱処理条件に応じて異なっていてもよい。
【0036】
本発明による化合物半導体は、O、Se、およびTeからなる群より選択された1種以上の元素、Nd、S、Co、およびSbを含む混合物を形成する段階と、このような混合物を熱処理する段階とを含んで製造される。前記O、Se、およびTeからなる群より選択された1種以上の元素は、O、Se、Te単独、またはこれらの2種以上の混合を意味することができる。
【0037】
一方、前記混合物形成段階で混合される各原料は、粉末形態であってもよいが、本発明が必ずしもこのような混合原料の特定形態によって制限されるわけではない。
【0038】
また、好ましくは、前記熱処理段階は、真空中または水素を一部含んでいるか、水素を含まないAr、He、Nなどの気体を流しながら行われる。
【0039】
この時、熱処理温度は、400℃〜800℃であってもよい。好ましくは、前記熱処理温度は、450℃〜700℃であってもよい。さらに好ましくは、前記熱処理温度は、500℃〜700℃であってもよい。
【0040】
一方、前記熱処理段階は、2以上の熱処理段階を含むことができる。例えば、前記混合物を形成する段階、つまり、原料を混合する段階で形成された混合物に対して、第1温度で1次熱処理を行った後、第2温度で2次熱処理を行ってもよい。
【0041】
この場合、前記複数の熱処理段階のうち一部の熱処理段階は、原料を混合する前記混合物形成段階で行われる。
【0042】
例えば、前記熱処理段階は、1次熱処理段階、2次熱処理段階、および3次熱処理段階の3つの熱処理段階を含むことができる。そして、1次熱処理段階は、400℃〜600℃の温度範囲で行われ、2次熱処理段階および3次熱処理段階は、600℃〜800℃の温度範囲で行われる。この時、1次熱処理段階は、原料が混合される混合物形成段階中に行われ、2次熱処理段階および3次熱処理段階は、その後に順次に行われる。
【0043】
前記熱処理段階の後には、熱処理された混合物を冷却させる段階を含むことができる。前記冷却段階は、前記熱処理された混合物の温度が常温(約20℃〜30℃)に至るように行われ、従来知られた多様な冷却方法または冷却装置を制限なく使用することができる。
【0044】
一方、前記熱処理、または必要に応じて熱処理後に冷却された混合物に対して追加的に、加圧焼結段階をさらに経てもよい。前記加圧焼結段階を進行させる具体的な方法の例が大きく限定されるものではないが、好ましくは、ホットプレス方式または放電プラズマ焼結(spark plasma sintering:SPS)方式を使用することができる。前記加圧焼結段階は、具体的には、500℃〜700℃の温度および20MPa〜50MPaの圧力で10分〜60分間進行できる。
【0045】
前記焼結温度が500℃未満であるか、焼結時間および圧力が低い場合、高密度の焼結体を得ることができない。また、圧力が高い場合、適用モールドおよび装備の危険を招きうるので、好ましくない。
【0046】
特に、好ましくは、放電プラズマ焼結(spark plasma sintering:SPS)方式を使用することができる。放電プラズマ焼結法(spark plasma sintering、SPS)は、粉末や板材を一軸に加圧しながら加圧方向と平行な方向に直流パルス電流を印加して焼結する方法であって、粉末や板材に圧力と低電圧および大電流を投入し、この時発生するスパークによって瞬時に発生するプラズマの高エネルギーを電界拡散、熱拡散などに応用する焼結法である。このような放電プラズマ焼結法は、従来の熱間圧縮法(Hot Press)に比べて、焼結温度がより低く、昇温および維持時間を含む短時間に焼結を完了できるため、電力消費が大幅に低減され、取り扱いが簡便で、ランニングコストが安価である。また、焼結技術に対する熟練が必要でなく、難焼結材および高温で加工が難しい材料に対しても適用可能であるという利点がある。
【0047】
前記加圧焼結段階を進行させる前に、熱処理、または必要に応じて熱処理後に冷却された混合物を粉砕する段階をさらに含んでもよい。前記粉砕方法の例は大きく限定されず、従来知られた多様な粉砕方法または粉砕装置を制限なく適用することができる。
【0048】
本発明による熱電変換素子は、上述した化合物半導体を含むことができる。つまり、本発明による化合物半導体は、熱電変換素子の熱電変換材料として用いられる。特に、本発明による化合物半導体は、熱電変換材料の性能指数値であるZTが大きい。また、ゼーベック係数および電気伝導度が大きく、熱伝導度が低くて熱電変換性能に優れている。したがって、本発明による化合物半導体は、従来の熱電変換材料を代替するか、従来の化合物半導体に加えて熱電変換素子に有用に利用可能である。
【0049】
また、本発明による太陽電池は、上述した化合物半導体を含むことができる。つまり、本発明による化合物半導体は、太陽電池、特に太陽電池の光吸収層として用いられる。
【0050】
太陽電池は、太陽光の入射する側から順次に、前面透明電極、バッファー層、光吸収層、背面電極、および基板などが積層された構造で製造することができる。最も下に位置する基板は、ガラスからなってもよいし、その上に全面的に形成される背面電極は、Moなどの金属を蒸着することにより形成される。
【0051】
次に、背面電極の上部に、本発明による化合物半導体を電子ビーム蒸着法、ゾル−ゲル(sol−gel)法、PLD(Pulsed Laser Deposition)などの方法で積層することによって、前記光吸収層を形成することができる。このような光吸収層の上部には、前面透明電極として用いられるZnO層と光吸収層との間の格子定数の差およびバンドギャップの差を緩衝するバッファー層が存在できるが、このようなバッファー層は、CdSなどの材料をCBD(Chemical Bath Deposition)などの方法で蒸着することにより形成される。次に、バッファー層上に、ZnOや、ZnOおよびITOの積層膜で前面透明電極がスパッタリングなどの方法で形成される。
【0052】
本発明による太陽電池は、多様な変形が可能である。例えば、本発明による化合物半導体を光吸収層として用いた太陽電池を積層した積層型太陽電池を製造することができる。そして、このように積層された他の太陽電池は、シリコンや他の知られた化合物半導体を用いた太陽電池を用いることができる。
【0053】
また、本発明の化合物半導体のバンドギャップを変化させることによって、互いに異なるバンドギャップを有する化合物半導体を光吸収層として用いる複数の太陽電池を積層することもできる。本発明による化合物半導体のバンドギャップは、この化合物をなす構成元素、特に、Teの組成比を変化させることにより調節可能である。
【0054】
さらに、本発明による化合物半導体は、赤外線を選択的に通過させる赤外線ウィンドウ(IR window)や赤外線センサなどにも適用可能である。
【発明の効果】
【0055】
本発明によれば、新規な化合物半導体物質が提供される。本発明の一側面によれば、このような新規な化合物半導体は、従来の化合物半導体を代替するか、従来の化合物半導体に加えてもう一つの素材として使用可能である。
【0056】
さらに、本発明の一側面によれば、化合物半導体の熱電変換性能が良好で熱電変換素子に有用に利用可能である。特に、本発明による化合物半導体は、熱電変換素子の熱電変換材料として用いられる。
【0057】
また、本発明の他の側面によれば、化合物半導体が太陽電池に利用可能である。特に、本発明による化合物半導体は、太陽電池の光吸収層として用いられる。
【0058】
それだけでなく、本発明のさらに他の側面によれば、化合物半導体が赤外線を選択的に通過させる赤外線ウィンドウ(IR window)や赤外線センサ、マグネチック素子、メモリなどにも利用可能である。
【発明を実施するための形態】
【0059】
発明を下記の実施例でより詳細に説明する。ただし、下記の実施例は本発明を例示するものに過ぎず、本発明の内容が下記の実施例によって限定されるものではない。
【0060】
<実施例1〜5:化合物半導体の製造>
実施例1
Nd0.0250.2CoSb11.4Te0.6を合成するために、パウダー形態のNd、S、Co、Sb、およびTeを称量した後、これらをアルミナモルタル(alumina mortar)に入れて混合した。混合された材料は超硬モールドに入れてペレットにし、ヒューズドシリカチューブ(fused silica tube)に入れて真空密封した。そして、これをボックスファーネス(box furnace)に入れて、680℃で15時間加熱し、この後、室温まで徐々に冷やして、Nd0.0250.2CoSb11.4Te0.6を合成した。
【0061】
そして、前記合成された化合物を放電プラズマ焼結用グラファイトモールドに充填した後、650℃の温度、50MPaの圧力で10分間放電プラズマ焼結して、前記実施例1の化合物半導体を製造した。この時、前記化合物半導体の相対密度は98%以上と測定された。
【0062】
実施例2
混合物の組成をNd0.050.2CoSb11.4Te0.6に変更したことを除き、前記実施例1と同様の方法で化合物半導体を製造した。
【0063】
実施例3
混合物の組成をNd0.0750.2CoSb11.4Te0.6に変更したことを除き、前記実施例1と同様の方法で化合物半導体を製造した。
【0064】
実施例4
混合物の組成をNd0.10.1CoSb11.4Te0.6に変更したことを除き、前記実施例1と同様の方法で化合物半導体を製造した。
【0065】
実施例5
混合物の組成をNd0.10.2CoSb11.4Te0.6に変更したことを除き、前記実施例1と同様の方法で化合物半導体を製造した。
【0066】
<比較例1〜3:化合物半導体の製造>
比較例1
試薬としてCo、Sb、およびTeを準備し、混合物の組成をCoSb11.4Te0.6に変更したことを除き、前記実施例1と同様の方法で化合物半導体を製造した。
【0067】
比較例2
試薬としてNd、Co、Sb、およびTeを準備し、混合物の組成をNd0.1CoSb11.4Te0.6に変更したことを除き、前記実施例1と同様の方法で化合物半導体を製造した。
【0068】
比較例3
試薬としてS、Co、Sb、およびTeを準備し、混合物の組成をS0.2CoSb11.4Te0.6に変更したことを除き、前記実施例1と同様の方法で化合物半導体を製造した。
【0069】
<実験例:実施例および比較例で得られた化合物半導体の物性の測定>
前記実施例および比較例で得られた化合物半導体の物性を下記の方法で測定し、その結果を表1および表2に示した。
【0070】
1.格子熱伝導度(W/mK)
前記実施例および比較例で得られた化合物半導体を、直径12.7mm、高さ1.5mmのcoin−typeに加工して試験片を製造した。そして、前記試験片に対して、50℃から500℃までの範囲でレーザフラッシュ法(Netzsch、LFA−457)による熱拡散度、比熱、そして密度の測定値から熱伝導度を算出した後、ローレンツ数を計算し、その値を算出された熱伝導度に適用させて格子熱伝導度を求め、その結果を下記表1に示した。
【0071】
【表1】
【0072】
前記表1に示されるように、実施例1〜5の化合物半導体は、NdおよびSが1:1〜1:8の比率で混合充填されることによって、それぞれの測定温度において比較例1〜3に比べて格子熱伝導度が低くなることを確認することができた。
【0073】
2.熱電性能指数(ZT)
前記実施例および比較例で得られた化合物半導体を、横3mm、縦3mm、高さ12mmのrectangular−typeに加工して試験片を製造した。そして、前記試験片に対して、50℃から500℃までの範囲でZEM−3(Ulvac−Rico,Inc)を用いて電気伝導度およびゼーベック係数を測定した。
【0074】
そして、前記測定された電気伝導度、ゼーベック係数と、上述した実験例1の熱伝導度値を用いて、下記数式により熱電性能指数(ZT)を算出し、その結果を下記表2に示した。
[数式]
ZT=σST/K
ここで、ZTは熱電性能指数、σは電気伝導度、Sはゼーベック係数、Tは温度、Kは熱伝導度を示す。
【0075】
【表2】
【0076】
前記表2に示されるように、実施例1〜5の化合物半導体は、NdおよびSが1:1〜1:8の比率で混合充填されることによって、それぞれの測定温度において比較例1〜3に比べて熱電性能指数が向上することを確認することができた。
【国際調査報告】