(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】2019523769
(43)【公表日】20190829
(54)【発明の名称】有機ペルオキシド分散体
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/86 20060101AFI20190802BHJP
   A61K 8/38 20060101ALI20190802BHJP
   A61K 8/365 20060101ALI20190802BHJP
   A61K 8/73 20060101ALI20190802BHJP
   A61Q 19/02 20060101ALI20190802BHJP
   A61Q 19/10 20060101ALI20190802BHJP
   C11D 7/38 20060101ALI20190802BHJP
   C11D 3/20 20060101ALI20190802BHJP
   A61K 8/39 20060101ALI20190802BHJP
【FI】
   !A61K8/86
   !A61K8/38
   !A61K8/365
   !A61K8/73
   !A61Q19/02
   !A61Q19/10
   !C11D7/38
   !C11D3/20
   !A61K8/39
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】19
(21)【出願番号】2018564780
(86)(22)【出願日】20170606
(85)【翻訳文提出日】20190212
(86)【国際出願番号】US2017036112
(87)【国際公開番号】WO2017214115
(87)【国際公開日】20171214
(31)【優先権主張番号】62/347,674
(32)【優先日】20160609
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ
(71)【出願人】
【識別番号】500307340
【氏名又は名称】アーケマ・インコーポレイテッド
【住所又は居所】アメリカ合衆国19406ペンシルベニア州キング・オブ・プロシア、ファースト・アベニュー900
【住所又は居所原語表記】900 First Avenue,King of Prussia,Pennsylvania 19406 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】トーマス・エイチ・コゼル
【住所又は居所】アメリカ合衆国19465ペンシルベニア州ポッツタウン、ダブリュー・ホフェッカー・ロード626
(72)【発明者】
【氏名】リサ・ビー・ラフバル
【住所又は居所】アメリカ合衆国19438ペンシルベニア州ハーリーズビル、サニーサイド・アベニュー333
【テーマコード(参考)】
4C083
4H003
【Fターム(参考)】
4C083AB362
4C083AC122
4C083AC301
4C083AC302
4C083AC421
4C083AC461
4C083AC462
4C083AD202
4C083AD261
4C083AD301
4C083AD351
4C083AD371
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4C083BB44
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4C083EE01
4C083EE27
4C083EE35
4H003EA12
4H003EB05
4H003EB08
4H003EB41
4H003EB42
4H003ED02
(57)【要約】
過酸化ベンゾイルのような固体状ペルオキシドの水性分散体からの水の蒸発を、カルボン酸塩を加えることによって遅らせる。カルボン酸塩は、前記水性分散体が衝撃や熱、摩擦、異物混入のような外的な引き金となる事象に曝された時に爆発的分解を起こしにくくし、さらに、所望の粘度及び流動特性を有する安定な小粒子寸法の分散体を達成して維持する可能性を妨害しない。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
塩基性の水性相を有する水性分散体である組成物であって、
a)約30重量%以上の、微粒子形状の水不溶性固体状有機ペルオキシド;
b)水;
c)少なくとも1種のゲル化剤;
d)少なくとも1種の界面活性剤;
e)随意としての1種以上の緩衝剤;及び
f)約2重量%以上の少なくとも1種のカルボン酸塩:
を含む、前記組成物。
【請求項2】
前記の少なくとも1種のカルボン酸塩が一価カチオンを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記の水不溶性固体状有機ペルオキシドが約10μm未満の平均粒子寸法を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記の少なくとも1種のカルボン酸塩が少なくとも1種のカルボン酸ナトリウム塩又はカリウム塩を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記の少なくとも1種のカルボン酸塩が少なくとも1種の一価カチオン含有C2〜C6カルボン酸塩を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記の少なくとも1種のカルボン酸塩が少なくとも1種の一価カチオン含有ヒドロキシカルボン酸塩を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記の少なくとも1種のカルボン酸塩が少なくとも1種の乳酸ナトリウム又は乳酸カリウムを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
少なくとも1種のカルボン酸塩を約4〜約12重量%含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記有機ペルオキシドが過酸化ベンゾイルである、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記の少なくとも1種の界面活性剤が少なくとも1種のノニオン性界面活性剤を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
前記の少なくとも1種の界面活性剤が1種以上のC6〜C18脂肪酸のポリグリセリルエステルである界面活性剤少なくとも1種を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
前記の少なくとも1種のゲル化剤が少なくとも1種の高分子ゲル化剤を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
前記の少なくとも1種の高分子ゲル化剤が架橋した高分子ゲル化剤である、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
前記の少なくとも1種の高分子ゲル化剤が多価カチオンによって架橋されたものである、請求項12に記載の組成物。
【請求項15】
前記の少なくとも1種のゲル化剤がアルギネート、カラギーナン、ゲランガム、グアーガム ペクチン物質、セルロースガム、微晶質セルロース及びキサンタンガムより成る群から選択される少なくとも1種のゲル化剤を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項16】
前記塩基性水性相が約7.5〜10のpHを有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項17】
前記の少なくとも1種のカルボン酸塩が前記水性相中にある、請求項1に記載の組成物。
【請求項18】
a)を約30〜約50重量%含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項19】
少なくとも1種の緩衝剤を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項20】
a)約37〜約42重量%、b)約45〜約55重量%、c)約0.2〜約2重量%、d)約0.1〜約2重量%及びf)約4〜約12重量%を含み、a)、b)、c)、d)及びf)の合計が100%である、請求項1に記載の組成物。
【請求項21】
請求項1〜20のいずれかに記載の組成物と接触させることを含む、物質の脱色方法。
【請求項22】
請求項1〜20のいずれかに記載の組成物と、少なくとも1種の製薬上許容できる成分、少なくとも1種の追加のパーソナルケア成分、又は少なくとも1種の追加のクリーニング製品成分とを含む、製薬組成物、パーソナルケア組成物又はクリーニング製品。
【請求項23】
請求項1に記載の組成物の製造方法であって、次の工程:
a)平均粒子寸法約10μm以上の過酸化ベンゾイル、界面活性剤、pH調整剤及び水を混合して第一の注入可能な分散体を形成させる;
b)前記第一の注入可能な分散体中の前記過酸化ベンゾイルの平均粒子寸法を10μm未満に減少させる;
c)前記第一の注入可能な分散体とゲル化剤とを、このゲル化剤が第二の注入可能な分散体を形成させるのに足りる時間、混合する;
d)前記第二の注入可能な分散体と少なくとも1種のカルボン酸塩とを混合して、第三の注入可能な分散体を形成させる;並びに
e)随意として、前記第三の注入可能な分散体と、前記ゲル化剤を架橋させることができる少なくとも1種の架橋剤とを混合する:
を含む、前記方法。
【請求項24】
請求項1に記載の組成物の製造方法であって、次の工程:
a)平均粒子寸法約10μm以上の過酸化ベンゾイル、界面活性剤、pH調整剤及び水を混合して第一の注入可能な分散体を形成させる;
b)前記第一の注入可能な分散体中の前記過酸化ベンゾイルの平均粒子寸法を10μm未満に減少させる;
c)前記第一の注入可能な分散体と予め水和させたゲル化剤とを混合して、第二の注入可能な分散体を形成させる;
d)前記第二の注入可能な分散体と少なくとも1種のカルボン酸塩とを混合して、第三の注入可能な分散体を形成させる;並びに
e)随意として、前記第三の注入可能な分散体と、前記ゲル化剤を架橋させることができる少なくとも1種の架橋剤とを混合する:
を含む、前記方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水不溶性の固体状有機ペルオキシドの水性分散体、かかる分散体の使用及びかかる分散体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ペルオキシドは一般的に可燃性及び爆発性である傾向があり、ある種のペルオキシドはこのような特性を他のものより強く示す。例えば過酸化ベンゾイルは乾燥時に衝撃や摩擦、静電気によって分解することがある。この特性は、これらの材料の使用者や製造業者、中間取扱者に危険をもたらす。従って、難燃性の有機ペルオキシド組成物を提供することが長年の課題となっている。
【0003】
近年、通常は固体状の有機ペルオキシドの水性分散体を製造することを可能にする技術が開発された。かかる分散体は一般的に、ペルオキシドを高濃度で含有し、このペルオキシドが小さい粒子(例えば平均して直径10μm未満)の形で存在するペースト又は液体である。ペーストは、ポンプ輸送や注入及び/又は噴霧が可能であるようにずり減粘性又は十分流動性であり、このことは取扱い及び使用を容易にする。このタイプの分散体は、例えば米国特許出願公開第2013/0344152号明細書及び同第2015/0165043号明細書に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開第2013/0344152号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2015/0165043号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、既知の過酸化ベンゾイルの水性分散体には、分散体中に存在する水がある種の条件下で蒸発して乾燥高濃度過酸化ベンゾイル残留物が残る傾向があるという欠点がある。このような残留物は、衝撃、摩擦、熱及び/又は異物混入のような外的な引き金となる事象に曝された時に爆発的分解を引き起こしやすい。従って、水の蒸発を抑制又は妨害する方法及び配合物を開発することが望ましいであろう。しかしながら、このような改善は達成するのが難しい。本発明者らは、水の損失を遅らせるという目的を意図された多くの物質を導入しても、満足できる効果がなかったり、粘性や分散体の安定性のような水性分散体の別の属性に悪影響を及ぼしたり妨害したりすることがあることを見出した。
【課題を解決するための手段】
【0006】
過酸化ベンゾイルのような水不溶性の固体状有機ペルオキシドの水性分散体中に、カルボン酸の塩、好ましくはカリウム又はナトリウムのような一価カチオンを含む塩を加えることによって、予期しなかったことに、分散体からの水の蒸発速度を抑制するのに効果があり、しかも小さい粒子寸法(例えば10μm未満)で高濃度の有機ペルオキシド配合物の、安定で、ずり減粘性/流動性の分散体を製造する可能性を妨害しないことが、ここに見出された。かかる塩はさらに、鈍感剤としての働きをし、水性分散体を保護するのに役立ち、それらを爆発やその他のタイプの制御不能な分解を起こしにくいものにして、それらの取扱い、輸送及び使用をより一層安定且つより一層安全なものにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】図1は、例1で得られた実験結果を示す。
【図2】図2は、例1で得られた実験結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の水性分散体は、通常固体(即ち25℃において固体)の有機ペルオキシドを含む。
【0009】
好ましい好適な有機ペルオキシドの例には、以下のものがある:ケトンペルオキシド、例えば1−ヒドロキシシクロヘキシルペルオキシド及び1−ヒドロペルオキシシクロヘキシルペルオキシド;アルデヒドペルオキシド、例えば1−ヒドロキシヘプチルペルオキシド;ペルオキシジカーボネート、例えばジセチルペルオキシジカーボネート、ジ−(4−t−ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカーボネート、ジシシクロヘキシルペルオキシジカーボネート及びジミリスタル(dimyristal)ペルオキシジカーボネート;アシルペルオキシアルキルカーボネート、例えばアセチルペルオキシステアリルカーボネート等、並びにそれらの混合物。
【0010】
より一層好ましい好適な有機ペルオキシドの例には、以下のものがある:脂肪族ジアシルペルオキシド、例えばデカノイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド及びミリストイルペルオキシド。
【0011】
特に好ましい好適な有機ペルオキシドの例には、以下のものがある:芳香族ジアシルペルオキシド、例えば過酸化ベンゾイル、過酸化o−メチルベンゾイル、過酸化o−メトキシベンゾイル、過酸化o−エトキシベンゾイル、過酸化o−クロロベンゾイル及び過酸化2,4−ジクロロベンゾイル;並びにペルオキシエステル、例えばt−ブチルペルオキシマレイン酸。1つの特に有利な実施形態においては、過酸化ベンゾイルがこの有機ペルオキシドである。
【0012】
また、室温において通常固体であり且つ水中に実質的に不溶性のその他の有機ペルオキシドを用いることもできる。出発有機ペルオキシドは、任意の好適な方法によって得ることができ、固体(乾燥)形態又は水と混合物の形にあることができる。以下により一層詳細に説明するように、有機ペルオキシドは最初は比較的大きい粒子寸法(例えば10μm超)を有していてよく、その後に界面活性剤及び水の存在下で任意の好適な手順によって寸法を小さくされて水性分散体を提供する。
【0013】
本発明の水性分散体は、有機ペルオキシドを約30重量%以上、又は約35重量%以上含むことができる。本発明の特徴の1つは、比較的高濃度の有機ペルオキシドを含有する水性分散体の調製を可能にするということであり、この分散体はずり減粘性又は流動性の液体なので、ポンプ輸送や注入が可能である。本明細書においてずり減粘性とは、ずり(剪断)速度が増すにつれて粘度が低下することを意味する。従って、本発明の少なくともある種の実施形態においては、ペルオキシド分散体を撹拌又は混合した時に該分散体の粘度が低下して、注入又はポンプ輸送が可能になり、使用しやすくなる。本発明のある実施形態においては、前記水性分散体は、撹拌や混合をしなくても注入可能であるほど十分流動性がある。水性分散体中のペルオキシドの濃度は、所望又は必要に応じて調節することができるが、一般的には有機ペルオキシド濃度は少なくとも約30重量%あってしかし約75重量%以下、又は約35〜60重量%の範囲、又は約37〜約53重量%以下の範囲、又は約37〜約42重量%の範囲である。
【0014】
水性分散体を提供するのに十分な水を有機ペルオキシドとの混合物状で存在させる。水は有機ペルオキシドの粒子を分散させる液状マトリックスとしての働きをする。一般的に、水性分散体の水含有率は、約25〜70重量%、約40〜65重量%、約42〜約60重量%、又は約45〜約55重量%、約48重量%〜約53重量%である。水のpHは、所望又は必要に応じて、塩基、酸、緩衝剤等のような1種以上のpH調整剤を加えることによって、調節することができる。また、塩のような可溶性種を存在させてもよい。しかしながら、分散体の水性相は塩基性であるべきである。従って、水性相のpHは7超である。様々な実施形態において、水性相のpHは7.5〜10、又は8〜9である。もしも分散体のその他の成分の特徴の結果として所望の水性相pHが達成されない場合には、1種以上の塩基を有効量で加えることによって塩基性pHを達成することができる。
【0015】
好適な塩基には、有機塩基及び無機塩基が包含される;塩基は強塩基及び/又は弱塩基であってよい。例えば、アンモニウム、アルカリ金属及びアルカリ土類金属の水酸化物及びリン酸塩を用いることができる。好ましい好適な塩基の例には、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、及びリン酸カリウム(一塩基性およびに塩基性塩)が包含される。より一層好ましい好適な塩基の一例は、水酸化アンモニウムである。特に好ましい塩基の例には、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムが包含される。
【0016】
水性相のpHを所望の範囲内又は所望の値に保つのを助けるために、1種以上の緩衝剤を存在させてもよい。好ましい好適な緩衝剤の例には、クエン酸塩緩衝剤系(例えばクエン酸ナトリウム及びクエン酸カリウム)並びにリン酸塩緩衝剤系が包含される。より一層好ましい好適な緩衝剤の例には、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、重炭酸カルシウム及び重炭酸マグネシウムが包含される。特に好ましい緩衝剤の例は、重炭酸ナトリウム及び重炭酸カリウムである。
【0017】
様々な実施形態において、水性分散体は、塩基及び/又は緩衝剤を0.1〜3重量%または約0.25〜1重量%用いて配合される。
【0018】
水及び有機ペルオキシドに加えて、本発明の水性分散体はまた、1種以上の界面活性剤をも含む。1つの実施形態において、界面活性剤は、製薬上許容できる界面活性剤である。製薬上許容できる界面活性剤とは、生物体に対して有意の刺激を引き起こさず且つ本発明の分散体と組み合わせて投与される化合物の生物学的活性及び特性を妨げない界面活性剤を意味する。別の実施形態において、界面活性剤は、食品等級の界面活性剤である。食品等級の界面活性剤とは、食品中に少なくともある程度の割合で存在させることが規制により認められている界面活性剤を意味する。用いられる界面活性剤は、製薬上許容できる界面活性剤と食品等級の界面活性剤との両方であることができる。
【0019】
界面活性剤は、水性有機ペルオキシド分散体に所望の程度の安定性を付与することができる任意の界面活性剤又はその組合せであることができる。従って、界面活性剤は、有機ペルオキシド粒子を水性相中に安定に分散された状態に保つのを助ける働きをする。好適な界面活性剤には、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤及びそれらの組合せより成る群から選択されるものが包含され、本発明の1つの有利な実施形態においてはノニオン性界面活性剤が用いられる。
【0020】
有機ペルオキシドの平均粒子寸法を10μm以下(好ましくは2μm以上)に低下させるために用いることができる粉砕工程の際に自由流動性液体の状態に留まる分散体を提供するのに特に有効な界面活性剤は、1種以上のC6〜C18脂肪酸のポリグリセリルエステル、又は好ましくは1種以上のC6〜C12脂肪酸のポリグリセリルエステル、又は好ましくはC8〜C12脂肪酸のポリグリセリルエステルである。即ち、別のタイプの界面活性剤を使用すると、粉砕の際に非常に濃厚なペーストの形成をもたらして、特定の所望の小さい粒子寸法を達成するために必要な時間が有意に増加することがある。
【0021】
脂肪酸のポリグリセリルエステルはまた、当技術分野において「脂肪酸のポリグリセロールエステル」及び「ポリグリセロール脂肪酸エステル」とも称される。それらは、重合させたグリセロールを食用脂、油又は脂肪酸と反応させることによって生成される混合部分エステルと表現してもよい。脂肪酸のポリグリセリルエステルである市販の界面活性剤には、モノ−、ジ−及びトリグリセリド、遊離のグリセロール及びポリグリセロール、遊離の脂肪酸及び/又は遊離の脂肪酸の塩が少量含まれていることがある。ポリグリセリル成分の重合度は様々であることができる。本発明の様々な実施形態において、界面活性剤のポリグリセリルセグメントは、1分子当たり平均して少なくとも2、3、4、5、6、7、8若しくは9個であって且つ/又は20、19、18、17、16、15、14、13、12若しくは11個以下のグリセリル繰り返し単位を含有していてよい。1つの特定的な実施形態においては、1分子当たり平均して約10個のグリセリル繰返し単位が存在する。
【0022】
比較的大きい粒子寸法(例えば10μm超の平均粒子寸法)の有機ペルオキシドを水中で粉砕してより小さい粒子寸法(例えば10μm未満又は5μm未満の平均粒子寸法、ある実施形態においては好ましくは2μm超の平均粒子寸法)にする工程において界面活性剤として比較的短鎖の脂肪酸でエステル化されたポリグリセリルを用いると、このような粉砕工程の際に粘度を下げるのを助ける。得られる水性分散体はずり減粘性である。かくして、ポリグリセリルをエステル化するために用いられる脂肪酸は、主としてC6〜C18脂肪酸、又はC6〜C12脂肪酸、又はC8〜C12脂肪酸(即ち、1分子当たり6〜18個、又は6〜12個、又は8〜12個の炭素原子を有する脂肪酸)であるが、エステル化されたポリグリセリル中にもっと短鎖の脂肪酸及び/又はもっと長鎖の脂肪酸が少量存在していてもよい。例えば、本発明の様々な実施形態において、界面活性剤中に存在する脂肪酸部分の少なくとも50、少なくとも60、少なくとも70、少なくとも80、少なくとも90%又は本質的に全部がC6〜C18又はC6〜C12脂肪酸部分である。異なるC6〜C18、C6〜C12又はC8〜C12脂肪酸部分の混合物が存在していてもよい。脂肪酸部分は、長鎖又は分岐状であることができ、飽和又は不飽和であることができる。一般的に、脂肪酸部分は一般構造−OC(=O)R(ここで、RはC5〜C11アルキル基である)に相当するモノカルボキシレート部分である。1つの実施形態において、界面活性剤中に存在する脂肪酸部分は、界面活性剤のヨウ素価が10未満又は5未満となるように、主として飽和である。好適なC6〜C18脂肪酸の非限定的な例には、ヘキサン酸(カプロン酸とも称される)、オクタン酸(カプリル酸とも称される)、デカン酸(カプリン酸とも称される)及びドデカン酸(ラウリン酸とも称される)、テトラデカン酸(ミリスチン酸とも称される)、ヘキサデカン酸(パルミチン酸とも称される)、オクタデカン酸(ステアリン酸とも称される)及びそれらの混合物が包含される。1つの実施形態において、C6〜C12脂肪酸はオクタン酸とデカン酸との混合物である(他の脂肪酸が少量存在していてもよい)。
【0023】
一般的に、ポリグリセリルは脂肪酸部分で部分的にエステル化され、1つ以上のヒドロキシル基がエステル化されずに残る。例えば、前記界面活性剤は、1分子当たり平均して1〜3個の脂肪酸部分を含有することができる。ある実施形態においては、ポリグリセリル中の利用可能なヒドロキシル基の約25%〜約60%、又は約30%〜約50%が脂肪酸部分でエステル化される。
【0024】
前記界面活性剤は、一般構造(I)に相当するものであることができる。
1−[CH2−CH(OR2)−CH2O]n−R3 (I)
ここで、nの平均値は約6〜約14であり、R1、R2及びR3はそれぞれ独立してC6〜C18脂肪酸部分又は水素であり、但し、R1、R2及びR3の少なくとも1つはC6〜C18脂肪酸部分であるものとする。1つの実施形態においては、R1、R2及びR3の少なくとも1つ(だが2つ以下)が水素である。構造(I)は直線態様で配置されたグリセリル繰返し単位を示しているが、式には分岐したポリグリセリルも包含されるものとする。
【0025】
本発明において有用な界面活性剤の非限定的な例には、ポリグリセリル−10カプリレート/カプレート、ポリグリセリル−10カプリレート、ポリグリセリル−10カプレート、ポリグリセリル−10ラウレート、並びに類似物質であってポリグリセリル成分が1分子当たり平均して8、9、11又は12個のグリセロール繰返し単位を含有するものが包含される。本発明において界面活性剤として用いるのに好適なC6〜C18脂肪酸のポリグリセリルエステル及びC6〜C12 脂肪酸のポリグリセリルエステルは、様々な供給元から商品として入手できる。
【0026】
本発明の様々な局面において、界面活性剤は、少なくとも12、13若しくは14のHLB値及び/又は18、17若しくは16以下のHLB値を有することができる。例えば、界面活性剤のHLB値は、12〜18又は14〜16であることができる。
【0027】
本発明の1つの実施形態においては、水性分散体中に存在させる唯一のタイプの界面活性剤がC6〜C18又はC6〜C12脂肪酸のポリグリセリルエステル又はかかる界面活性剤の混合物である。別の実施形態においては、かかるポリグリセリルエステルが存在する界面活性剤の総量の少なくとも50、60、70、80、90又は95重量%を占める。
【0028】
界面活性剤は、有機ペルオキシドを粉砕する際に水性分散体の粘度を下げるのに有効な量で、水及び有機ペルオキシドと組み合わせることができる。一般的に、水性分散体中の界面活性剤の濃度は、少なくとも0.1重量%であってしかし2.0重量%以下である。
【0029】
生成物を安定で均質な分散体として維持するのを補助し且つ有機ペルオキシドの粒子の沈降を防止するために、水性分散体中に1種以上のゲル化剤を加えることができる。ゲル化剤とは、水中に入れた時にゲルを形成することができる物質である。高分子ゲル化剤、特にある種の多糖類のような天然由来の高分子ゲル化剤が、本発明において特に有用である。好適な高分子ゲル化剤には、アルギネート類(アルギン酸の塩)、カラギーナン、ゲランガム、グアーガム、ペクチン物質(例えばペクチン酸、ペクチン、ペクチン酸塩)、セルロースガム、微晶質セルロース及びキサンタンガムが包含されるが、これらに限定されるわけではない。ゲル化剤は、食料品や医薬品中に含ませるのに好適であるように選択することができる。1つの実施形態において、ゲル化剤は、水中に入れた時にゲル化剤を架橋剤と組み合わせることを必要とせずに、ゲルを形成する。別の実施形態において、ゲル化剤は、架橋によりさらにゲル化させることができる。例えば、高分子ゲル化剤は、その主鎖に沿って又は該主鎖の側鎖として、架橋剤と相互作用又は反応することができる1つ以上の様々なタイプの官能基を含有していてよい。このような官能基は、例えばカルボン酸基、スルホン酸基又はそれらの塩(カルボン酸塩、スルホン酸塩)であることができる。好適な架橋剤には、多価カチオン(例えば二価及び三価カチオン)を提供する種が含まれ得る。例示的な多価カチオンには、アルミニウム、バリウム、カルシウム、銅、鉄、マグネシウム、ストロンチウム及び亜鉛カチオンが包含される。カチオンは、食品安全及び/又は製薬安全塩の形で供給することができる。架橋剤として有用な好適な塩の特定的な例には、以下のもの(それらの水和物を含む)及びそれらの混合物が含まれる:炭酸カルシウム、塩化カルシウム、エデト酸カルシウム二ナトリウム、水酸化カルシウム、乳酸カルシウム、硝酸カルシウム、シュウ酸カルシウム、酸化カルシウム、硫酸カルシウム、リン酸二カルシウム、クエン酸三カルシウム、リン酸三カルシウム、並びにそれらに対応するバリウム、銅、鉄、マグネシウム、ストロンチウム及び亜鉛の類似体。高分子ゲル化剤及び架橋剤の量は、所望通りに変えることができる。ゲル化剤は、粒状の有機ペルオキシドが経時的に水性分散体から沈降する傾向を軽減するのに有効な量で用いることができる。
【0030】
様々な実施形態において、前記水性分散体は、ゲル化剤(例えば高分子ゲル化剤)を少なくとも0.15重量%又は少なくとも0.4重量%含有する。別の実施形態において、前記水性分散体は、1.5重量%以下又は0.75重量%以下のゲル化剤を含有する。例えば、前記水性分散体は、0.25〜1.5重量%の高分子ゲル化剤を含むことができる。用いる場合の架橋剤の量は、一般的に、高分子ゲル化剤をどれぐらい存在させるかに応じて変えることができる。例えば、高分子ゲル化剤の濃度が比較的低い場合には、架橋剤の濃度も比較的低くすることができる。典型的な架橋剤濃度は、例えば0.01〜1重量%であることができる。
【0031】
本発明の水性分散体はさらに、少なくとも1種のカルボン酸塩を含むことを特徴とする。カルボン酸塩は、水の蒸発及び/又は水が水性分散体から蒸発する速度を減少させるのに有効な量で存在させ、これは一般的に水性分散体の総重量の約2%以上の量である。例えば、前記水性分散体は、かかるカルボン酸を少なくとも2重量%、少なくとも3重量%、又は少なくとも4重量%含むことができる。一般的には、水性分散体中のカルボン酸塩の量は、15重量%以下、14重量%以下、13重量%以下又は12重量%以下である。
【0032】
好ましくは、カルボン酸塩のカチオン部分は、アルカリ金属カチオン(例えばナトリウム又はカリウムカチオン)等の一価カチオンから選択すべきである。即ち、本発明の好ましい実施形態においては、前記水性分散体は、一価カチオンを含むカルボン酸塩を少なくとも1種含む。ある実施形態において、前記カルボン酸塩は、一価カチオンのみを含有する(即ち、カルボン酸塩中に存在する唯一のタイプのカチオンが一価カチオンである)。また、どのゲル化剤を選択するかに応じて、多価カチオン(例えばCaカチオン、Mgカチオン)を含むカルボン酸塩も好適であり得る。ナトリウムが好ましいカチオンである。様々な実施形態において、カルボン酸塩のカルボキシレート部分は、比較的短鎖のカルボン酸、例えば2、3,4、5又は6個の炭素原子を有するカルボン酸をベースとする。該カルボン酸は、好ましくはモノカルボン酸、即ち1分子当たりに単一のカルボン酸基を含有するカルボン酸である。該カルボン酸は、カルボキシレート以外の官能基、例えばヒドロキシル基を1個以上含有していてもよい。かくして、ある実施形態においては、該カルボン酸は、ヒドロキシカルボン酸である。異なるカルボン酸塩の組合せも利用することができる。本発明において用いるのに好適なカルボン酸塩の実例には、乳酸ナトリウム及び乳酸カリウムが含まれる。
【0033】
1つの実施形態において、前記カルボン酸塩は、製薬上許容できるカルボン酸塩である。製薬上許容できるカルボン酸塩とは、生物に有意の刺激をもたらすことなく、本発明の分散体と組み合わせて投与される化合物の生物学的活性および特性を阻害しないカルボン酸塩を指す。別の実施形態において、前記カルボン酸塩は、食品等級のカルボン酸塩である。食品等級のカルボン酸塩とは、食料品中に少なくとも所定のレベルまで存在することが規制上認められているカルボン酸塩を指す。用いられるカルボン酸塩は、製薬上許容できるカルボン酸塩及び食品等級カルボン酸塩の両方であることができる。
【0034】
前記水性分散体は、任意の方法を用いて前記成分を一緒にすることによって調製することができる。例えば、前記水性分散体は、水及び界面活性剤の存在下で、有機ペルオキシドの所望の粒子寸法(10μm未満、又は5μm未満、又は3〜5μm、若しくは2〜5μm、若しくは1〜5μmの範囲、又は3〜10μm、若しくは2〜10μm、若しくは1〜10μmの範囲)が達成されるまで、有機ペルオキシドを磨砕(ミル粉砕)/粉砕(グラインディング)することによって調製することができる。粒子寸法は、ASTM法UOP856−07(レーザー光散乱による粉体の粒度分布)を用いて測定することができ、体積%によるD50で報告される。
【0035】
粒子寸法を減少させるための磨砕又は他の機械的手段は、ローター/ステーターミルや水平ボールミル、又は特に好ましくは縦型バスケットミル等の当技術分野において周知の任意の好適な装置によって実施することができる。磨砕の際の温度は、有機ペルオキシドの分解を回避するように制御すべきである。一般的に、磨砕は40℃未満の温度において実施される。水性分散体中に高分子ゲル化剤を含ませたい場合には、磨砕工程の後にこれを水性分散体に加えるのが好ましいであろう。水性分散体はまた、米国特許第4,039,475号、同第4,092,470号、同第4,734,135号及び同第4,440,885号並びに米国特許出願公開第2011/0086959号、同第2013/0344152号及び同第2015/0165043号の各明細書に開示されたもののような、当業者に周知の方法を用いて調製することもできる。それらの開示の全体を本明細書に取り入れるものとする。また、当技術分野において周知の音波処理及び超音波適用/プロセスも好適である。
【0036】
本発明に従う水性分散体を調製するための2つの模範的で有利な方法は、以下のように詳細に記載することができる。
【0037】
第1の好適な方法は、次の工程:
a)平均粒子寸法約10μm以上の過酸化ベンゾイル(又は他の水不溶性の固体状有機ペルオキシド)、界面活性剤、pH調整剤(例えば塩基及び/又は緩衝剤)並びに水を混合して、第一の注入可能な分散体(この分散体の水性相は塩基性である)を形成させる;
b)前記第一の注入可能な分散体中の前記過酸化ベンゾイルの平均粒子寸法を10μm未満に減少させる(これは機械的手段、例えば磨砕によって行うことができる);
c)前記第一の注入可能な分散体とゲル化剤とを、このゲル化剤が第二の注入可能な分散体を形成させるのに足りる時間、混合する;
d)前記第二の注入可能な分散体と少なくとも1種のカルボン酸塩とを混合して、第三の注入可能な分散体を形成させる;
e)随意として、前記第三の注入可能な分散体と、前記ゲル化剤ステップを架橋させることができる少なくとも1種の架橋剤とを混合する(もし前記のゲル化剤がすでに架橋剤を含有している場合、即ちすでに架橋している場合、又は架橋剤による架橋を必要としない場合には、この工程は必要ない):
を含む。これにより、注入可能、ポンプ輸送可能及び/又は流体状組成物が得られ、これは貯蔵及び/又は輸送用に容器中に置くことができる。
【0038】
第2の好適な方法は、次の工程:
a)平均粒子寸法約10μm以上の過酸化ベンゾイル、界面活性剤、pH調整剤及び水を混合して、第一の注入可能な分散体を形成させる;
b)前記第一の注入可能な分散体中の前記過酸化ベンゾイルの平均粒子寸法を10μm未満に減少させる(これは機械的手段、例えば磨砕によって行うことができる);
c)前記第一の注入可能な分散体と予め水和させたゲル化剤(即ちすでに所定量の水と組み合わされたゲル化剤)とを混合して第二の注入可能な分散体を形成させる;
d)前記第二の注入可能な分散体と少なくとも1種のカルボン酸塩とを混合して、第三の注入可能な分散体を形成させる;
e)随意として、前記第三の注入可能な分散体と、前記ゲル化剤を架橋させることができる少なくとも1種の架橋剤とを混合する(もし前記の予め水和させたゲル化剤がすでに架橋剤によって架橋させてある場合、又は架橋剤による架橋を必要としない場合には、この工程は必要ない):
を含む。これにより、注入可能、ポンプ輸送可能及び/又は流体状組成物が得られ、これは貯蔵及び/又は輸送用に容器中に置くことができる。
【0039】
本発明の水性分散体の成分及び外水性分散体を調製するために用いられる手順は、有利には、減少した粒子寸法及び低い粘度のせいでポンプ輸送したりスプレーしたりすることが可能になるように選択し、制御する。前記水性分散体は、ブルックフィールド粘度計を用い、ASTM法D2196−10(回転式(ブルックフィールド型)粘度計による非ニュートン性材料の流動学的特性についての標準的試験法(Standard Test Methods for Rheological Properties of Non-Newtonian Materials by Rotational (Brookfield Type) Viscometer)を用いて測定して、好ましくは、800〜10,000cps(センチポアズ)の範囲、より一層好ましくは1,000〜5,000cpsの範囲、さらにより一層好ましくは1,000〜2,000cpsの25℃における粘度を有する。かかる分散体は、例えば空気式又はさらには手動式のスプレー装置を用いて、スプレーすることができる。
【0040】
本発明に従う水性分散体は、食品産業及び製薬産業を含めて、有機ペルオキシドを利用することが望まれる広範な最終用途において、有用である。例えば、該水性分散体、食品漂白剤として、又はニキビ止め薬の成分として、用いることができる。本発明に従う水性分散体を使用することにより、一般的に有機ペルオキシドを乾燥形態で用いた際に付随する問題、例えば食料品のような組成物中にペルオキシドを直ちに分散させることの困難性、粉塵の発生、低い脱色効率等が緩和又は回避される。
【0041】
1つの実施形態において、製品を本発明に従う水性分散体と接触させることを含む、製品の脱色方法(例えば製品の色を弱めたり、製品からすべての色を取り除いたり、製品を漂白したりする方法)が提供される。かかる処理に好適な製品には、食料品及び非食料品産業製品が包含される。食料品は、例えば乳製品(例えば乳清、チーズ、ミルク)、食用油、食用脂、多糖類(例えば小麦粉、デンプン)、飲料(例えばビール)及びそれらの組合せより成る群から選択することができる。好適な非食品工業製品には、例えば、非食用油脂、紙(パルプ)、織物等が包含される。前記水性分散体は、製品を脱色するのに有効な量、時間及び温度で製品と接触させることができる。選択する条件は、他のファクターもあるが特に、所望の又は必要な脱色度に依存する。しかし、小さい粒子寸法(例えば平均して10μm未満)を有する水性分散体中の固体状有機ペルオキシドを提供することにより、もっと大きい粒子寸法を有する従来の有機ペルオキシド分散体や乾燥ペルオキシド含有組成物と比較して、もっと短い時間内で且つ/又はもっと少ない量若しくはもっと低い濃度の有機ペルオキシドを用いて且つ/又はもっと穏やかな条件下で、一定の減色を達成することが可能になる。
【0042】
本発明に従って、本明細書に記載の水性分散体及び少なくとも1種の追加の製薬上許容できる成分から成る製薬組成物を提供することができる。前記有機ペルオキシドと適合性であることを条件として、当技術分野において周知の任意の好適な製薬上許容できる成分を利用することができる。例えば、1種以上の製薬活性成分(例えば抗細菌剤、抗微生物剤)及び/又は賦形剤、例えば増量剤、担体、界面活性剤、顔料、安定剤、流動性調節剤、ゲル化剤等を、有機ペルオキシドの水性分散体と組み合わせて用いることができる。製薬組成物は、ニキビ止め薬であることができ、例えばローション、石鹸、ジェル又はクリームにあることができる。前記有機ペルオキシドの小さい粒子寸法及び/又は高濃度でも依然としてポンプ輸送可能又は注入可能である分散体の調製可能性故に、本発明に従う水性分散体を含有する製薬組成物は、従来の有機ペルオキシド含有製薬組成物より作用し続け又は効き目が強いものとして配合することができる。
【0043】
本発明の別の実施形態においては、本明細書に記載の水性分散体及び酢行くなくとも1種の追加のパーソナルケア成分から成るパーソナルケア組成物が提供される。例えば担体、増量剤、界面活性剤、研磨剤、流動性調節剤、ゲル化剤、フレーバー、ミネラル源、皮膚軟化剤、漂白活性剤等及びそれらの組合せのような、当技術分野において周知の任意の慣用のパーソナルケア成分を、有機ペルオキシドの水性分散体と組み合わせることができる。本発明の水性分散体は、たとえは歯のホワイトニング製品(例えば練り歯磨き、口内洗浄剤)及び髪染め又は脱色用製品の成分として用いることができる。
【0044】
本発明のさらに別の実施形態においては、本明細書に記載の有機ペルオキシドの水性分散体及び少なくとも1種の追加のクリーニング製品成分から成るクリーニング製品が提供される。該クリーニング製品は、例えば食器洗い用洗剤、洗濯用洗剤、洗濯用漂白剤、硬質表面クリーナー(例えばクレンザー)等、特にこのタイプの製品であって液体、クリーム又はジェルの形のものであることができる。好適な追加のクリーニング製品成分には、上記の製品において有用であることが知られている任意の成分、例えば界面活性剤、担体、漂白活性剤、ビルダー、研磨剤、顔料、流動性調節剤、ゲル化剤、香料、付着防止剤、酵素等が包含される。
【0045】
上に挙げた製品は、本発明に従う有機ペルオキシドの水性分散体と1種以上の製薬上許容できる成分、パーソナルケア成分またはクリーニング成分とを組み合わせることによって調製することができる。
【0046】
本発明の有機ペルオキシド含有水性分散体はまた、熱可塑性樹脂用の硬化剤及び重合開始剤等として用いることもできる。
【0047】
本発明は様々な局面を含むことができ、それらのいくつかを以下にまとめる。
【0048】
局面1:塩基性の水性相を有する水性分散体である組成物であって、
a)約30重量%以上の、微粒子形状の水不溶性固体状有機ペルオキシド;
b)水;
c)少なくとも1種のゲル化剤;
d)少なくとも1種の界面活性剤;
e)随意としての1種以上の緩衝剤;及び
f)約2重量%以上の、少なくとも1種のカルボン酸塩:
を含む、前記組成物。
【0049】
局面2:前記の少なくとも1種のカルボン酸塩が一価カチオンを含む、局面1の組成物。
【0050】
局面3:前記の水不溶性固体状有機ペルオキシドが約10μm未満の平均粒子寸法を有する、局面1又は2の組成物。
【0051】
局面4:前記の少なくとも1種のカルボン酸塩が少なくとも1種のカルボン酸ナトリウム塩又はカリウム塩を含む、局面1〜3のいずれかの組成物。
【0052】
局面5:前記の少なくとも1種のカルボン酸塩が少なくとも1種の一価カチオン含有C2〜C6カルボン酸塩を含む、局面1〜4のいずれかの組成物。
【0053】
局面6:前記の少なくとも1種のカルボン酸塩が少なくとも1種の一価カチオン含有ヒドロキシカルボン酸塩を含む、局面1〜5のいずれかの組成物。
【0054】
局面7:前記の少なくとも1種のカルボン酸塩が少なくとも1種の乳酸ナトリウム又は乳酸カリウムを含む、局面1〜6のいずれかの組成物。
【0055】
局面8:少なくとも1種のカルボン酸塩を約4〜約12重量%含む、局面1〜7のいずれかの組成物。
【0056】
局面9:前記有機ペルオキシドが過酸化ベンゾイルである、局面1〜8のいずれかの組成物。
【0057】
局面10:前記の少なくとも1種の界面活性剤が少なくとも1種のノニオン性界面活性剤を含む、局面1〜9のいずれかの組成物。
【0058】
局面11:前記の少なくとも1種の界面活性剤が1種以上のC6〜C18脂肪酸のポリグリセリルエステルである界面活性剤少なくとも1種を含む、局面1〜10のいずれかの組成物。
【0059】
局面12:前記の少なくとも1種のゲル化剤が少なくとも1種の高分子ゲル化剤を含む、局面1〜11のいずれかの組成物。
【0060】
局面13:前記の少なくとも1種の高分子ゲル化剤が架橋した高分子ゲル化剤である、局面12の組成物。
【0061】
局面14:前記の少なくとも1種の高分子ゲル化剤が多価カチオンによって架橋されたものである、局面12又は13の組成物。
【0062】
局面15:前記の少なくとも1種のゲル化剤がアルギネート、カラギーナン、ゲランガム、グアーガム ペクチン物質、セルロースガム、微晶質セルロース及びキサンタンガムより成る群から選択される少なくとも1種のゲル化剤を含む、局面1〜14のいずれかの組成物。
【0063】
局面16:前記塩基性水性相が約7.5〜10のpHを有する、局面1〜15のいずれかの組成物。
【0064】
局面17:前記の少なくとも1種のカルボン酸塩が前記水性相中にある、局面1〜16のいずれかの組成物。
【0065】
局面18:a)を約30〜約50重量%含む、局面1〜17のいずれかの組成物。
【0066】
局面19:少なくとも1種の緩衝剤を含む、局面1〜18のいずれかの組成物。
【0067】
局面20:a)約37〜約42重量%、b)約45〜約55重量%、c)約0.2〜約2重量%、d)約0.1〜約2重量%及びf)約4〜約12重量%を含み、a)、b)、c)、d)及びf)の合計が100%である、局面1〜19のいずれかの組成物。
【0068】
局面21:局面1〜20のいずれかに従う組成物と接触させることを含む、物質の脱色方法。
【0069】
局面22:局面1〜20のいずれかに記載の組成物と、少なくとも1種の製薬上許容できる成分、少なくとも1種の追加のパーソナルケア成分、又は少なくとも1種の追加のクリーニング製品成分とを含む、製薬組成物、パーソナルケア組成物又はクリーニング製品。
【0070】
局面23:局面1〜20のいずれかに従う組成物の製造方法であって、次の工程:
a)平均粒子寸法約10μm以上の過酸化ベンゾイル、界面活性剤、pH調整剤及び水を混合して、第一の注入可能な分散体を形成させる;
b)前記第一の注入可能な分散体中の前記過酸化ベンゾイルの平均粒子寸法を10μm未満に減少させる;
c)前記第一の注入可能な分散体とゲル化剤とを、このゲル化剤が第二の注入可能な分散体を形成させるのに足りる時間、混合する;
d)前記第二の注入可能な分散体と少なくとも1種のカルボン酸塩とを混合して、第三の注入可能な分散体を形成させる;並びに
e)随意として、前記第三の注入可能な分散体と、前記ゲル化剤を架橋させることができる少なくとも1種の架橋剤とを混合する:
を含む、前記方法。
【0071】
局面24:局面1〜20のいずれかに従う組成物の製造方法であって、次の工程:
a)平均粒子寸法約10μm以上の過酸化ベンゾイル、界面活性剤、pH調整剤及び水を混合して、第一の注入可能な分散体を形成させる;
b)前記第一の注入可能な分散体中の前記過酸化ベンゾイルの平均粒子寸法を10μm未満に減少させる;
c)前記第一の注入可能な分散体と予め水和させたゲル化剤とを混合して、第二の注入可能な分散体を形成させる;
d)前記第二の注入可能な分散体を少なくとも1種のカルボン酸塩と混合して、第三の注入可能な分散体を形成させる;並びに
e)随意として、前記第三の注入可能な分散体と、前記ゲル化剤を架橋させることができる少なくとも1種の架橋剤とを混合する:
を含む、前記方法。
【0072】
本明細書においては、明瞭且つ簡潔な明細が書かれることが可能になるように実施形態を記載してきたが、実施形態は本発明から逸脱することなく様々に組み合わせたり分けたりすることができるものである。例えば、ここに記載したすべての好ましい特徴は、ここに記載した本発明のすべての局面に適用可能である。
【0073】
ある実施形態において、本発明は、前記組成物又はプロセスの基本的特徴及び新規の特徴に実質的に影響を及ぼさない任意の要素及びプロセスステップを除外するものと解釈することができる。追加的に、ある実施形態において、本発明は、ここに記載していない要素又はプロセスステップを除外するものと解釈することができる。
【0074】
特定的な実施形態を参照して本発明をここに例示して説明しているが、本発明は、示された詳細に限定されるものではない。むしろ、本発明から逸脱することなく、特許請求の範囲と均等の範囲内で、前記詳細に様々な変更を為すことができる。
【実施例】
【0075】
例1
【0076】
表1に挙げた成分(記載した量は重量%である)及び下記の手順を用いて、配合物A〜Fを調製した:
1.小さい粒子寸法の過酸化ベンゾイル、水、pH緩衝剤及び界面活性剤を、水浴中で35℃に加熱しながら、塔頂撹拌機を1300rpmで用いて、混合する。十分に分散するまで混合する。
2.混合しながら、グリセリン、ラクトース、乳酸ナトリウム又は硫酸マグネシウムを加える。さらに10〜15分間混合を続ける。
3.混合しながら、ゲル化剤を加える。さらに20〜30分間混合する。
4.混合しながら、架橋剤を加える。5分間混合する。
【0077】
【表1】
【0078】
配合物A〜F各3gを計量して別々のアルミニウム皿に入れ、室温において乾燥させる(20℃;68°F)。時間をおいて、各サンプルを計量して重量損失を測定した。各残留サンプル中の過酸化ベンゾイル濃度を計算して、時間に対してプロットした。結果を図1に示す。
【0079】
配合物A〜F各3gを計量して別々のアルミニウム皿に入れ、32.4℃(約90°F)に設定したオーブン中に入れた。時間をおいて、各サンプルを計量して重量損失を測定した。各残留サンプル中の過酸化ベンゾイル濃度を計算して、時間に対してプロットした。結果を図2に示す。
【0080】
これらの例は、グリセリン(配合物B)、ラクトース(配合物C)又は乳酸ナトリウム(配合物D及びE)を加えると室温及び高温の両方において時間が経つと水性分散体からの蒸発速度が遅くなることを示している。乳酸ナトリウムは、蒸発を遅らせるのに特に有効であることがわかった。過酸化ベンゾイルの濃度は、対照用配合物(グリセリンやラクトース、乳酸ナトリウムを含有しない配合物A)と比較して、より一層長い時間90重量%以下に維持され、それによってより一層安全な過酸化ベンゾイルの水性分散体(即ち、乾燥条件に一定時間曝した後に熱や衝撃等に曝した際に危ない組成物になりにくいもの)が提供される。配合物D(乳酸ナトリウムを10重量%含有)は、水の損失に対する耐性に関して、最良の結果をもたらした。配合物Eは、配合物B及び配合物Cにおけるグリセリン又はラクトースの量の半分の量の乳酸ナトリウムを含有するだけだが、依然として同様の蒸発速度を示した。
【0081】
例2
【0082】
上記の過酸化ベンゾイル配合物の発火特性を測定するために、対照配合物3.0gを計量してアルミニウム皿に入れた。このアルミニウム皿を32.4℃(約90°F)に設定したオーブン中に入れた。時間をおいて、サンプルをオーブンから取り出し、炎に通して材料が発火するかどうかを調べた。発火したら、その時間を記録した。サンプルが発火しなかったら、オーブンに戻し、発火時間が決定されるまで試験を繰り返した。下記のデータは、40%過酸化ベンゾイルの水性分散体に鈍感剤を加えることによって、鈍感剤なしの配合物と比較して乾燥時の発火時間が遅くなることを示している。乳酸ナトリウムの優れた性能は、特に驚異的である。乳酸ナトリウムを使えば、他の鈍感剤の装填レベルの半分で、同じ発火時間の遅延を達成することができる(配合物Eと配合物B、C及びFとの比較を見よ)。さらに、乳酸ナトリウムを他の鈍感剤と同じ装填レベルで試験した場合(配合物D)、鈍感剤を加えなかった標準的配合物(配合物A)と比較して、発火が起こる時間が5倍以上遅くなった。
【0083】
【表2】
【0084】
例3
【0085】
US加圧容器試験:100psi破裂板及び1.0mm排気口を有するステンレス鋼製容器を用い、BPO分散体5gをこの容器に入れた。この材料を50℃に30分間保った後に、50℃から200℃まで0.5℃/秒の速度で加熱した。100psi板を破裂させた配合物はなかったが、BPOの分解の際に放出される水蒸気のエネルギーの差は観察された。これを下記の表に記録する。
【0086】
【表3】
【図1】
【図2】
【国際調査報告】