(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】2019523783
(43)【公表日】20190829
(54)【発明の名称】がんの治療に有用なポルフィリン化合物及び組成物
(51)【国際特許分類】
   C07D 487/22 20060101AFI20190802BHJP
   C07H 15/252 20060101ALI20190802BHJP
   A61K 31/704 20060101ALI20190802BHJP
   A61K 31/4545 20060101ALI20190802BHJP
   A61K 38/05 20060101ALI20190802BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20190802BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20190802BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20190802BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20190802BHJP
   A61K 47/54 20170101ALI20190802BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20190802BHJP
   A61K 47/10 20060101ALI20190802BHJP
   A61K 47/14 20060101ALI20190802BHJP
   A61K 47/18 20060101ALI20190802BHJP
   A61K 47/34 20170101ALI20190802BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20190802BHJP
   C07K 5/02 20060101ALN20190802BHJP
   C07K 7/02 20060101ALN20190802BHJP
【FI】
   !C07D487/22CSP
   !C07H15/252
   !A61K31/704
   !A61K31/4545
   !A61K38/05
   !A61K45/00
   !A61P35/00
   !A61P35/02
   !A61P43/00 121
   !A61K47/54
   !A61K47/02
   !A61K47/10
   !A61K47/14
   !A61K47/18
   !A61K47/34
   !A61K47/36
   !C07K5/02
   !C07K7/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
【全頁数】77
(21)【出願番号】2019518178
(86)(22)【出願日】20170616
(85)【翻訳文提出日】20190214
(86)【国際出願番号】US2017037982
(87)【国際公開番号】WO2017218959
(87)【国際公開日】20171221
(31)【優先権主張番号】62/351,165
(32)【優先日】20160616
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】518448002
【氏名又は名称】オンコセレクト セラピューティクス,エルエルシー
【住所又は居所】アメリカ合衆国 テキサス州 78257,サン アントニオ,スイート 1206,ウェスト インターステート 10 22211
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】特許業務法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ザネス,マリア
【住所又は居所】アメリカ合衆国 テキサス州 78257,サン アントニオ,スイート 1206,ウェスト インターステート 10 22211
(72)【発明者】
【氏名】レベル,ヴィヴィエン,アイ.
【住所又は居所】アメリカ合衆国 テキサス州 78255,サン アントニオ,アパッチ トレイル 8922
(72)【発明者】
【氏名】バウタ,ウィリアム,イー.
【住所又は居所】アメリカ合衆国 テキサス州 78230,サン アントニオ,エルム カントリー レーン 12507
【テーマコード(参考)】
4C050
4C057
4C076
4C084
4C086
4H045
【Fターム(参考)】
4C050PA05
4C057CC03
4C057DD03
4C057JJ50
4C076AA01
4C076AA06
4C076AA11
4C076AA17
4C076AA22
4C076AA24
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4C076AA36
4C076AA53
4C076AA72
4C076AA95
4C076BB01
4C076BB02
4C076BB11
4C076BB13
4C076BB15
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4C076BB21
4C076BB22
4C076BB24
4C076BB25
4C076BB26
4C076BB29
4C076BB30
4C076BB31
4C076BB32
4C076CC27
4C076DD23
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4C076DD52
4C076DD67
4C076EE24
4C076EE36
4C076EE48
4C076FF02
4C076FF12
4C084AA01
4C084AA02
4C084AA19
4C084BA01
4C084BA08
4C084BA14
4C084BA23
4C084BA32
4C084CA59
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4C084MA13
4C084MA17
4C084MA22
4C084MA23
4C084MA28
4C084MA31
4C084MA32
4C084MA35
4C084MA37
4C084MA43
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4C084MA52
4C084MA55
4C084MA56
4C084MA57
4C084MA58
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4C084MA60
4C084MA63
4C084MA66
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4C084NA05
4C084NA12
4C084NA13
4C084NA14
4C084ZB261
4C084ZB262
4C084ZB271
4C084ZB272
4C086AA01
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4C086CB04
4C086EA10
4C086MA01
4C086MA02
4C086MA03
4C086MA04
4C086MA05
4C086MA13
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4C086MA22
4C086MA23
4C086MA28
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4C086MA35
4C086MA37
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4C086MA44
4C086MA52
4C086MA55
4C086MA56
4C086MA57
4C086MA58
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4C086MA60
4C086MA63
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4C086NA13
4C086NA14
4C086ZB26
4C086ZB27
4C086ZC75
4H045BA13
4H045BA51
4H045CA50
4H045DA83
4H045EA20
4H045FA10
(57)【要約】
ポルフィリン化合物、及びそれから製造され、それを必要とする患者においてがんを治療するのに有用な、又はインビトロでがん細胞を治療するのに有用な抗がん剤にリンカーを介して結合した治療有効量のポルフィリンを含む組成物。化合物及び組成物は、本明細書に開示されるような薬物送達デバイスによって送達されてもよく、キットの一部であってもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式IIIの化合物又はその塩;
【化1】

式中、
A1、A2、A3、及びA4はそれぞれポルフィリン環に共有結合しており、A1、A2、A3、及びA4は独立して、置換芳香環又は前記ポルフィリン環に対して2、3、又は4位に単一の窒素原子を含有する6員ヘテロ芳香環から選択され;
B1は、L9〜L16からなる群から選択され、ここでnは1〜12から選択され;並びに
Z1は、T1b、T2b、T3b、T4b、1、T1a、T3a、T4a、T8a、T10a、T14a、T15a、T18a、T19a、T21a、T27a、T31a、T32a、T33a、T4c、T5c、T9c、及びT10c並びにそれらの誘導体からなる群から選択される細胞傷害剤であり、且つポルフィリン環あたり1つのZ1が存在する。
【請求項2】
薬学的に許容される担体を更に含む、請求項1に記載の化合物又はその塩。
【請求項3】
前記薬学的に許容される担体が、生理食塩水、グルコース、アルコール、グリコール、エステル、アミド、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される液体担体である、請求項2に記載の化合物又はその塩。
【請求項4】
前記化合物が剤形中にあり、前記剤形が非経口であり、前記剤形が、皮内剤形、皮下剤形、筋肉内剤形、皮下剤形、静脈内剤形、髄腔内剤形、及び硬膜外剤形からなる群から選択される、請求項1に記載の化合物又はその塩。
【請求項5】
前記化合物が剤形中にあり、前記剤形が非経口ではなく、前記剤形が経口剤形、舌下剤形、局所剤形、経皮剤形、眼科剤形、耳用剤形、経鼻剤形、直腸剤形および膣剤形からなる群から選択される、請求項1に記載の化合物又はその塩。
【請求項6】
前記A1の置換芳香環が、前記ポルフィリン環に対してオルト、メタ、又はパラ位のいずれかにカルボン酸アミド官能基を含み、ここでA2、A3、及びA4はそれぞれ置換芳香環であり、ここで各A2、A3、及びA4置換芳香環が前記ポルフィリン環に対してオルト、メタ、又はパラ位のいずれかに置換基を有し、前記置換基がカルボン酸又はカルボン酸メチルエステルのいずれかである、請求項1に記載の化合物又はその塩。
【請求項7】
前記A2、A3、及びA4の置換芳香環が、前記ポルフィリン環に対してパラ位にカルボン酸メチルエステルを含み、A1の前記カルボン酸アミドは前記ポルフィリン環に対してパラ位にある、請求項1に記載の化合物又はその塩。
【請求項8】
B1がL11又はL13である、請求項1に記載の化合物又はその塩。
【請求項9】
Z1がT1b、1、及びT4cからなる群から選択される、請求項1に記載の化合物又はその塩。
【請求項10】
A1の前記置換芳香環は、前記ポルフィリン環に対してオルト、メタ、又はパラ位のいずれかに芳香族エーテル官能基を含み、A2、A3およびA4のそれぞれは前記置換芳香環であり、各A2、A3、及びA4置換芳香環は前記ポルフィリン環に対してオルト、メタ、又はパラ位に位置する置換基を有し、各A2、A3、及びA4置換芳香環上の前記置換基は、独立して:低級アルキル、分枝低級アルキル、シクロアルキル、ハロゲン(F、Cl、Br、I)、シアノ、アミノ又は置換アミノ、スルホン酸又はスルホンアミド、芳香族エーテル、芳香族ヒドロキシル、カルボン酸アルキルエステル又はカルボン酸アミドからなる群から選択される、請求項1に記載の化合物又はその塩。
【請求項11】
B1が、L9、L10、L15、及びL16からなる群から選択される、請求項1に記載の化合物またはその塩。
【請求項12】
位置A2、A3、及びA4の前記置換芳香環の置換基がヒドロキシルであり、前記ポルフィリン環に対してオルト、メタ、又はパラ位を占め得、B1がL9又はL15である、請求項11に記載の化合物またはその塩。
【請求項13】
前記置換芳香環A1が芳香族エーテル官能基を含み、前記芳香族エーテルの位置は前記ポルフィリン環に対してメタであり、A2、A3、及びA4はそれぞれ置換芳香環であり、前記置換芳香環上の前記置換基は前記ポルフィリン環に対してメタ位の芳香族ヒドロキシルであり、B1はL9又はL15であり、Z1は、T1b、1、及びT4cからなる群から選択される、請求項1に記載の化合物またはその塩。
【請求項14】
A1の前記6員ヘテロ芳香環は窒素原子を含み、前記6員ヘテロ芳香環上の前記窒素原子の位置は、前記ポルフィリン環に対して2、3、又は4位の1つを占め得、A2、A3、及びA4はそれぞれピリジン環であり、A2、A3、及びA4の各ピリジン環上のピリジン窒素の位置は独立して、前記ポルフィリン環に対して2、3、又は4位の1つを占め得る、請求項1に記載の化合物またはその塩。
【請求項15】
B1が、L9、L10、L15、及びL16からなる群から選択される、請求項14に記載の化合物またはその塩。
【請求項16】
A1での前記窒素原子を含む前記6員ヘテロ芳香環がピリジニウムであり、前記窒素の位置が前記ポルフィリン環に対して4位にあり、B1は、L9又はL15であり、Z1は、T1b、1、又はT4cからなる群から選択される、請求項14に記載の化合物又はその塩。
【請求項17】
前記B1がL9である、請求項16に記載の化合物又はその塩。
【請求項18】
前記化合物が、OS002、OS007、OS009、OS0030、OS032、及びOS035からなる群から選択される、請求項6に記載の化合物またはその塩。
【請求項19】
前記化合物が、OS023及びOS024からなる群から選択される、請求項10に記載の化合物又はその塩。
【請求項20】
前記化合物が、OS025、OS026、OS027、及びOS029からなる群から選択される、請求項14に記載の化合物またはその塩。
【請求項21】
前記塩が薬学的に許容される塩である、請求項1〜20のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項22】
がんの治療に使用するための、請求項1〜20のいずれか1項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項23】
インビトロでがん細胞の治療に使用するための、請求項1〜20のいずれか1項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項24】
請求項1に記載の化合物及び細胞傷害剤を含み、前記細胞傷害剤が、請求項1に記載の化合物のZ1と同じ又は異なる式である、組成物。
【請求項25】
前記細胞傷害剤の異なる式が、請求項1に記載の化合物のZ1と比較して異なるクラスから選択される、請求項24に記載の組成物。
【請求項26】
生分解性ポリマーでエンメッシュされた請求項1に記載の化合物を含む、薬物送達デバイス。
【請求項27】
前記生分解性ポリマーが、ポリ乳酸co−グリコール酸、アルギネート、及びポリカプロラクトンからなる群から選択される、請求項26に記載の薬物送達デバイス。
【請求項28】
前記化合物は、前記薬物送達デバイスが患者に埋め込まれる場合に経時的に放出される、請求項27に記載の薬物送達デバイス。
【請求項29】
請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩、及び1以上の薬学的に許容される担体を含む、キット。
【請求項30】
それを必要とする患者のがんを治療する方法であって:
それを必要とする患者に治療有効量の請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩を投与する工程を含む、方法。
【請求項31】
前記薬学的に許容される担体が、生理食塩水、グルコース、アルコール、グリコール、エステル、アミド、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される液体担体である、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記化合物が剤形にあり、前記剤形が非経口であり、前記剤形が、皮内剤形、皮下剤形、筋肉内剤形、皮下剤形、静脈内剤形、髄腔内剤形、および硬膜外剤形からなる群から選択される、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
前記化合物が剤形にあり、前記剤形が非経口ではなく、前記剤形は経口剤形、舌下剤形、局所剤形、経皮剤形、眼科剤形、耳用剤形、経鼻剤形、直腸剤形および膣剤形からなる群から選択される、請求項30に記載の方法。
【請求項34】
前記化合物のA1の前記置換芳香環が、前記ポルフィリン環に対してオルト、メタ、又はパラ位のいずれかにカルボン酸アミド官能基を含み、A2、A3、及びA4はそれぞれ置換芳香環であり、各A2、A3、及びA4の置換芳香環は前記ポルフィリン環に対してオルト、メタ、又はパラ位のいずれかに置換基を有し、前記置換基がカルボン酸又はカルボン酸メチルエステルのいずれかである、請求項30に記載の方法。
【請求項35】
前記化合物のA2、A3、及びA4の前記置換芳香環が、前記ポルフィリン環に対してパラ位にカルボン酸メチルエステルを含み、A1の前記カルボン酸アミドは前記ポルフィリン環に対してパラ位にある、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記化合物のB1がL11又はL13である、請求項30記載の方法。
【請求項37】
前記化合物のZ1が、T1b、1、又はT4cからなる群から選択される、請求項30に記載の方法。
【請求項38】
前記化合物のA2、A3、及びA4が置換芳香環を表し、前記置換基はスルホン酸又はスルホンアミドであり、前記ポルフィリン環に対してオルト、メタ、又はパラ位を占め得る、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記化合物のA1の前記置換芳香環が、前記ポルフィリン環に対してオルト、メタ、又はパラ位のいずれかに芳香族エーテル官能基を含み、前記化合物のA2、A3、及びA4のそれぞれは前記置換芳香環であり、各A2、A3、及びA4の置換芳香環はポルフィリン環に対してオルト、メタ、又はパラ位に位置する置換基を有し、各A2、A3、及びA4置換芳香環上の前記置換基は、独立して:低級アルキル、分枝低級アルキル、シクロアルキル、ハロゲン(F、Cl、Br、I)、シアノ、ヒドロキシル、アミノ又は置換アミノ、スルホン酸又はスルホンアミド、芳香族エーテル、芳香族ヒドロキシル、カルボン酸アルキルエステル又はカルボン酸アミドからなる群から選択される、請求項30に記載の方法。
【請求項40】
前記化合物のB1が、L9、L10、L15、L16から独立して選択され得る、請求項30に記載の方法。
【請求項41】
前記化合物の位置A2、A3、及びA4の前記置換芳香環の前記置換基がヒドロキシルであり、前記ポルフィリン環に対してオルト、メタ、又はパラ位のいずれかを占め得、B1がL9又はL15である、請求項39に記載の方法。
【請求項42】
前記化合物の前記置換芳香環A1が芳香族エーテル官能基を含み、前記芳香族エーテルの位置は前記ポルフィリン環に対してメタであり、A2、A3、及びA4はそれぞれ前記置換芳香環であり、前記置換芳香環上の前記置換基は前記ポルフィリン環に対してメタ位の芳香族ヒドロキシルであり、B1はL9又はL15であり、Z1は:T1b、1、及びT4cからなる群から選択される、請求項30に記載の方法。
【請求項43】
前記化合物のA1の前記6員ヘテロ芳香環は窒素原子を含み、前記6員ヘテロ芳香環上の前記窒素原子の位置は、前記ポルフィリン環に対して2、3、又は4位の1つを占め得、前記化合物のA2、A3、及びA4はそれぞれピリジン環であり、A2、A3、及びA4の各ピリジン環上のピリジン窒素の位置は、独立して、前記ポルフィリン環に対して2、3、又は4位の1つを占め得る、請求項30に記載の方法。
【請求項44】
A1にて前記窒素原子を含む前記6員ヘテロ芳香環はピリジニウムであり、前記窒素の位置が前記ポルフィリン環に対して4位にあり、B1は、L9又はL15であり、Z1は、T1b、1、又はT4cからなる群から選択される、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記化合物が、OS002、OS007、OS009、OS0030、OS032、及びOS035からなる群から選択される、請求項34に記載の方法。
【請求項46】
前記化合物が、OS023及びOS024からなる群から選択される、請求項39に記載の方法。
【請求項47】
前記化合物が、OS025、OS026、OS027、及びOS029からなる群から選択される、請求項43に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2016年6月16日に出願された「がんを治療するための組成物及び使用方法」という名称の米国仮特許出願第62/351,165号の出願の優先権及びその利益を主張するものであり、これらの明細書及び特許請求の範囲は本明細書に参照により組み込まれる。
【0002】
連邦政府による資金提供を受けた研究開発の記載
適用なし。
【0003】
コンパクトディスクで提出される資料の参照による援用
適用なし。
【0004】
著作物
適用なし。
【背景技術】
【0005】
大員環に結合した複数のピロール環を有する大環状構造は、酸素及び電子輸送を含む多くの生物学的プロセスに関与する動的分子である。ポルフィリンは、4個のメチン(=CH−)炭素を介して接続されて芳香族大員環を形成する4個のピロール環を含む天然色素である。IUPACシステムがポルフィリン中の位置の番号付けに使用される。窒素原子を含めて、ポルフィリン環には全部で24個の位置がある。炭素原子には、α位から始まり、複素環全体の外周を巡って番号1〜20が割り当てられている。α位には1、4、6、9、11、14、16及び19の番号が割り当てられ、一方でβ位には2、3、7、8、12、13、17及び18の番号が割り当てられる。メソ位(メチン架橋における炭素原子)は、5、10、15、及び20の番号が付けられている。他方、窒素原子は21、22、23及び24の番号が付けられている。
【化1】
【0006】
いくつかのポルフィリンは天然源から単離されており、例えばプロトポルフィリンIXは鉄含有ポルフィリンヘミンの有機部分である。他の多くのポルフィリンは合成的に調製されている。これらには、ベンズアルデヒドとピロールとの縮合から製造されるテトラフェニルポルフィリンのような、アルデヒドとピロールとの縮合を介して製造されるものが含まれる。いくつかのポルフィリンは、がんの治療のために励起波長(例えば、415nm)で活性化される場合に光線力学的療法に有用である。いくつかのカチオン性ポルフィリンはDNAとの非共有結合相互作用を示す。DNAと強く相互作用すること以外に、カチオン性ポルフィリンはまたDNAを切断することができ、高フォトヌクレアーゼ及び光線力学的療法(PDT)用途を有し、G−四重鎖安定化を介してテロメラーゼを阻害すること及び/又はG−四重鎖テトラメソ(N−メチル−4−ピリジル)ポルフィン及びC14−アルキル誘導体トリ−メソ(N−メチル−4−ピリジル)、メソ(N−テトラデシル−4−ピリジル)ポルフィン(C14と呼ばれる)への結合を介して翻訳を阻害することが見出された。非特許文献1に記載されている化合物のような他のポルフィリンは超音波によって活性化されることが示されている。
【0007】
ポルフィリンは、組織培養実験、動物モデル及びヒト患者において、正常細胞よりも癌細胞によって優先的に取り込まれることが示されている。この癌細胞選択性が、光線力学的療法におけるポルフィリンの有用性の部分的な要因である。腫瘍におけるポルフィリン局在化の機構はよく理解されていない。この機構を理解することは、腫瘍へのポルフィリン化合物の改善された選択的送達及び腫瘍への細胞傷害性薬物の標的化送達にとって重要な意味を有し得る。
【0008】
固形腫瘍の外科的切除、放射線、及び化学療法等の様々ながん療法及び治療が存在する。外科的切除及び放射線療法は限局性腫瘍に対して使用されるが、化学療法は全身的に送達されることが多く、伝統的な化学療法は両方の細胞タイプに侵入するため、がん細胞と非がん細胞との両方に影響を与え;非がん細胞に対するがん細胞に侵入する優先傾向はない。このため、化学療法はしばしば所望でない毒性と関連しており、それが死亡にさえつながる可能性がある。従って、非がん細胞と比較してがん細胞に優先的に侵入する化合物又は組成物を用いた癌治療が望ましい。
【0009】
ポルフィリンは、非がん細胞と比較してがん細胞へのより高い結合及び/又は内在化を示す。この要因となる機構は十分には理解されていない。文献データは、エンドサイトーシス経路ががん細胞による優先的ポルフィリン内在化の機構であり得ることを示唆している。更に、以前の研究は、いくつかのポルフィリンが低密度リポタンパク質受容体(LDLR)と相互作用して非がん細胞に対してがん細胞に優先的に侵入することを示唆している。この情報に基づいて、LDLR相互作用(又は同定されるべき他のエンドサイトーシス関連受容体)を活用するポルフィリン化合物を設計することにより、がん細胞を治療するために使用されるポルフィリン化合物の活性を改善し得る。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】Cancer Sci.June2007,vol.98;no.6pgs.916−920
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一実施形態は、式IIIの化合物又はその塩を含み、
式中、
A1、A2、A3及びA4はそれぞれポルフィリン環に共有結合しており、A1、A2、A3及びA4は独立して、置換芳香環又はポルフィリン環に対して2、3又は4位に単一の窒素原子を含有する6員ヘテロ芳香環から選択され;
B1は、L9〜L16からなる群から選択され、ここでnは1〜12から選択され;並びに、
Z1は、T1b、T2b、T3b、T4b、1、T1a、T3a、T4a、T8a、T10a、T14a、T15a、T18a、T19a、T21a、T27a、T31a、T32a、T33a、T4c、T5c、T9c、及びT10c並びにそれらの誘導体からなる群から選択される細胞傷害剤である。
【0013】
【化2】
【0014】
式IIIの化合物又はその塩のA1の置換芳香環は、ポルフィリン環に対してオルト、メタ、又はパラ位のいずれかにカルボン酸アミド官能基を含んでいてもよく、ここでA2、A3及びA4はそれぞれ置換芳香環であり、各A2、A3、及びA4置換芳香環は、ポルフィリン環に対してオルト、メタ又はパラ位のいずれかに置換基を有し、置換基がカルボン酸又はカルボン酸メチルエステルのいずれかである。例えば、式IIIの化合物又はその塩のA2、A3、及びA4の置換芳香環は、ポルフィリン環に対してパラ位にカルボン酸メチルエステルを含み、A1のカルボン酸アミドはポルフィリン環に対してパラ位にある。
【0015】
本発明の一実施形態では、式IIIの化合物又はその塩のB1は、L11又はL13である。
【0016】
本発明の一実施形態では、式IIIの化合物又はその塩のZ1は、T1b、1及びT4cからなる群から選択される。
【0017】
本発明の別の実施形態では、式IIIの化合物又はその塩のA1の置換芳香環は、ポルフィリン環に対してオルト、メタ又はパラ位のいずれかに芳香族エーテル官能基を含み、A2、A3及びA4はそれぞれ置換芳香環であり、各A2、A3、及びA4置換芳香環はポルフィリン環に対してオルト、メタ又はパラ位に位置する置換基を有し、各A2、A3、及びA4の置換芳香環上の置換基は独立して:低級アルキル、分枝低級アルキル、シクロアルキル、ハロゲン(F、Cl、Br、I)、シアノ、アミノ又は置換アミノ、スルホン酸又はスルホンアミド、芳香族エーテル、芳香族ヒドロキシル、カルボン酸アルキルエステル又はカルボン酸アミドからなる群から選択される。
【0018】
本発明の一実施形態では、式IIIの化合物又はその塩のB1は:L9、L10、L15、及びL16からなる群から選択される。
【0019】
本発明の一実施形態では、式IIIの化合物又はその塩の位置A2、A3、及びA4の置換芳香環の置換基はヒドロキシルであり、ポルフィリン環に対してオルト、メタ、又はパラ位を占め得、B1はL9又はL15である。
【0020】
本発明の一実施形態では、式IIIの化合物又はその塩の置換芳香環A1は芳香族エーテル官能基を含み、ここで芳香族エーテルの位置はポルフィリン環に対してメタであり、ここでA2、A3、及びA4はそれぞれ置換芳香環であり、ここで置換芳香環上の置換基はポルフィリン環に対してメタ位の芳香族ヒドロキシルであり、B1はL9又はL15であり、Z1は:T1b、1及びT4cからなる群から選択される。
【0021】
本発明の一実施形態では、式IIIの化合物又はその塩のA1の6員ヘテロ芳香環は窒素原子を含み、ここで6員ヘテロ芳香環上のこの窒素原子の位置は、ポルフィリン環に対して2、3、又は4位の1つを占め得、A2、A3、及びA4はそれぞれピリジン環であり、ここでA2、A3、及びA4の各ピリジン環上のピリジン窒素の位置は、独立して、ポルフィリン環に対して2、3、又は4位の1つを占め得る。更になおB1は、L9、L10、L15、及びL16からなる群から選択される。一例では、A1での窒素原子を含む6員ヘテロ芳香環は、ピリジニウムであり、ここで窒素の位置がポルフィリン環に対して4位にあり、B1は、L9又はL15であり、Z1は、T1b、1又はT4cからなる群から選択される。更になお、B1はL9である。
【0022】
本発明の一実施形態では、式IIIの化合物又はその塩は:OS002、OS007、OS009、OS0030、OS032、及びOS035からなる群から選択される。
【0023】
本発明の一実施形態では、式IIIの化合物又はその塩は、OS023及びOS024からなる群から選択される。
【0024】
本発明の一実施形態では、式IIIの化合物又はその塩は:OS025、OS026、OS027、及びOS029からなる群から選択される。
【0025】
本発明の別の実施形態は、それを必要とする患者におけるがんの治療方法を提供し、この方法が:それを必要とする患者に治療有効量の式IIIの化合物又はその薬学的に許容される塩を投与する工程を含む。
【0026】
本発明の別の実施形態は、インビトロでがん細胞を治療する方法を提供し、非がん細胞に比較してがん細胞に優先的に細胞傷害性を誘導するために、治療有効量の式IIIの化合物又はその薬学的に許容される塩をがん細胞に投与する工程を含む。
【0027】
一実施形態は、薬学的に許容される担体を更に含む、本明細書に記載の式IIIの化合物又はその塩のいずれかを提供し、例えば、薬学的に許容される担体は、生理食塩水、グルコース、アルコール、グリコール、エステル、アミド、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される液体担体である。
【0028】
別の実施形態は、本明細書に記載されるような式IIIの化合物又はその塩が剤形中にあり、この剤形が非経口であり、この剤形が、皮内剤形、皮下剤形、筋肉内剤形、皮下剤形、静脈内剤形、髄腔内剤形、及び硬膜外剤形からなる群から選択される。代替的に、剤形は非経口ではなく、剤形は経口剤形、舌下剤形、局所剤形、経皮剤形、眼科剤形、耳用剤形、経鼻剤形、直腸剤形、及び膣剤形からなる群から選択される。
【0029】
一実施形態では、式IIIの化合物の塩は薬学的に許容される塩である。
【0030】
提供される式IIIの化合物又はその薬学的に許容される塩の一実施形態は、がんの治療に有用である。
【0031】
式IIIの化合物又はその薬学的に許容される塩の別の実施形態は、インビトロでがん細胞を治療するのに有用である。
【0032】
一実施形態では、組成物は式IIIの化合物及び細胞傷害剤を含み、ここで細胞傷害剤は化合物のZ1と同じ又は異なる式である。例えば、細胞傷害剤の異なる式は、化合物Z1と比較して異なるクラスから選択される。
【0033】
本発明の別の実施形態は、生分解性ポリマーでエンメッシュ(enmesh)される式IIIの化合物を含む薬物送達デバイスを提供する。例えば、薬物送達デバイスの生分解性ポリマーは、ポリ乳酸co−グリコール酸、アルギネート、及びポリカプロラクトンからなる群から選択される。更になお、式IIIの化合物は、薬物送達デバイスが患者に埋め込まれる場合に経時的に放出される。
【0034】
別の実施形態は、式IIIの化合物又はその薬学的に許容される塩、及び1以上の薬学的に許容される担体を含むキットを提供する。
【0035】
本発明の別の実施形態は、それを必要とする患者における癌の治療方法を提供し、この方法が:それを必要とする患者に治療有効量の式IIIの化合物又はその薬学的に許容される塩を投与する工程を含む。
【0036】
本発明の一実施形態は、抗がん剤に連結体を介して結合したポルフィリンを含む化合物の治療有効用量を含む治療化合物を提供し、本明細書では時にポルフィリン抗がん共役体(「PAC」)化合物と呼ぶ。抗癌剤は、細胞傷害剤及び/又は放射性核種(放射活性核種、放射性同位体、又は放射活性同位体としても知られる)からなる群から選択され得る。例えば、抗がん剤は、アルキル化剤、代謝拮抗剤、抗腫瘍抗生物質、抗微小管剤、キナーゼ阻害剤、ホルモン剤、モノクローナル抗体、グルココルチコイド、有糸分裂阻害剤、トポイソメラーゼI阻害剤、トポイソメラーゼII阻害剤、免疫調節剤、細胞増殖因子、サイトカイン、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤、及び非ステロイド系抗エストロゲン剤であってもよいが、これらに限定されない。治療組成物は、PAC化合物及び医薬担体を更に含んでいてもよい。一実施形態では、担体は外因性タンパク質であってもよい。別の実施形態では、担体は外因性タンパク質ではない。
【0037】
別の実施形態は、それを必要とする患者のがんを治療する方法を提供し、この方法は、本明細書に開示される治療有効なPAC化合物又は組成物を、それを必要とする患者に投与する工程を含む。
【0038】
本発明の一態様は、単一の化合物を介して同時に2つの細胞死滅手段を提供する方法を提供する。PAC化合物はがん細胞に侵入し、ここで適切な発光のレーザ光にがん細胞を暴露してポルフィリンを励起すると、ポルフィリンは不可逆的にDNAを損傷し、抗がん剤は更に細胞傷害剤として作用する。
【0039】
本発明の別の態様は、がん細胞及び/又は抗がん治療を必要とする患者に対して、組み合わせて相乗的な治療効果を有する複数の抗がん剤を含む化合物を提供する。
【0040】
本明細書に開示されるPAC化合物の別の態様は、がん細胞又は抗がん治療を必要とする患者に対する抗がん剤の抗がん作用を維持しながら、抗がん剤単独の副作用の低減を提供する。
【0041】
本発明の別の態様は、個別に投与された細胞傷害剤と比較して、治療剤としてのPAC化合物のより低い毒性を提供する。
【0042】
本発明の一実施形態では、PAC化合物の抗癌剤は、以下を含まない:ポリアミン、ポリアミン類似体、環状ポリアミン、環状ポリアミン類似体、ジオキソナフトキノン、又はジオキソナフトキノン抗腫瘍抗生物質、ブレオマイシン、ダクチノマイシン、ミトキサントロン、マイトマイシン、エピポドフィロトキシン、エトポシド、テニポシド、微小管阻害薬、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビノレルビン、他のビンカアルカロイド、タキサン、パクリタキセル(タキソール)、ドセタキセル(タキソテール)、窒素マスタード、クロラムブシル、シクロホスファミド、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、メルファラン、アジリジン、チオテパ、アルキルスルホネート、ブスルファン、ニトロソウレア、カルムスチン、ロムスチン、及びストレプトゾシン、白金錯体、カルボプラチンシスプラチン、アルキル化剤、アルトレタミン、ダカルバジン、プロカルバジン、テモゾラミド(temozolamide)、葉酸塩類似体、メトトレキサート、プリン類似体、フルダラビン、メルカプトプリン、チオグアニン(thiogaunine)、アデノシン類似体、クラドリビン、ペントスタチン、ピリミジン類似体、カペシタビン、シタラビン、フロキシウリジン、フルオロウラシル、ゲムシタビン、置換ウレア、ヒドロキシウレア、カンプトテシン類似体、イリノテカン及びトポテカン、トポイソメラーゼI阻害剤、トポイソメラーゼII阻害剤、並びにキノン化合物。
【0043】
本発明の一実施形態の別の態様は、がん細胞から測定される場合、ポルフィリン蛍光が、ポルフィリンを励起する光の波長及び又はポルフィリンを励起する音波に両方が暴露された場合に非がん細胞と比較して2倍以上大きいようにがん細胞によって取り込まれるPAC化合物を提供する。
【0044】
本発明の別の態様は、式Pn−Ln−Tnを有するPAC化合物での被検体の治療を提供し、式中、Pnはポルフィリンであり、ここでnは1〜4から選択され、Lnはリンカーであり、ここでnは1〜15から選択され、Tnは抗癌剤であり、ここでnは1(a)−33(a)若しくは1(b)−4(b)であり、又はTnは1である。PAC化合物は、がんを有する被験体又はインビトロでがん細胞を治療するために光線力学的療法及び/又は放射線療法と組み合わせて使用することができる。
【0045】
本発明の一実施形態の別の態様は、細胞内に導入される場合に、例えば細胞内で合成致死突然変異を生じさせるために相乗的に作用し得る第1の細胞傷害剤及び第2の細胞傷害剤を提供するPAC化合物を提供する。
【0046】
本発明の別の態様は、PAC化合物をがん細胞又は腫瘍に提供し、がん細胞又は腫瘍を以下のうちの1以上で治療することによって、インビトロ若しくはインビボでがん細胞を又はインビボで腫瘍を治療する方法を提供する:PAC化合物のポルフィリンを励起するための光の波長の光線療法、PAC化合物のポルフィリンを活性化するための波長の音波、PAC化合物における抗がん剤との組み合わせ。
【0047】
本発明の別の態様は、PAC化合物をがん細胞に送達することを含むがん細胞を治療する方法を提供し、ここでポルフィリン及び抗がん剤は総合的な致死性を介してがん細胞を死滅させるように作用する。別の実施形態では、本明細書に開示されているようなPAC化合物の使用は、クロルプロマジン等のフェノチアジン由来薬物の非存在下で提供される。
【0048】
本発明の一実施形態では、一般式Pn−Ln−Tnの細胞傷害剤(Tn)は、抗腫瘍抗生物質、ブレオマイシン、ダクチノマイシン、ミトキサントロン、マイトマイシン、エピポドフィロトキシン、エトポシド、テニポシド、微小管阻害薬、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビノレルビン、他のビンカアルカロイド、タキサン、パクリタキセル(タキソール)、ドセタキセル(タキソテール)、窒素マスタード、クロラムブシル、スクロホスファミド、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、メルファラン、アジリジン、チオテパ、アルキルスルホネート、ブスルファン、ニトロソウレア、カルムスチン、ロムスチン、及びストレプトゾシン、白金錯体、カルボプラチンシスプラチン、アルキル化剤、アルトレタミン、ダカルバジン、プロカルバジン、テモゾラミド(temozolamide)、葉酸塩類似体、メトトレキサート、プリン類似体、フルダラビン、メルカプトプリン、チオグアニン(thiogaunine)、アデノシン類似体、クラドリビン、ペントスタチン、ピリミジン類似体、カペシタビン、シタラビン、フロキシウリジン、フルオロウラシル、ゲムシタビン、置換ウレア、ヒドロキシウレア、カンプトテシン類似体、イリノテカン及びトポテカン、トポイソメラーゼI阻害剤及びトポイソメラーゼII阻害剤からなる群から選択されない。
【0049】
本発明の一実施形態では、一般式Pn−Ln−Tnのポルフィリン(Pn)は、以下:メソポルフィリン、ジュウテロポルフィリン、ヘマトポルフィリン、プロトポルフィリン、ウロポルフィリン、コプロポルフィリン、サイトポルフィリン、ロドポルフィリン、ピロポルフィリン、エチオポリフィリン、フィロポルフィリン、ヘプタカルボキシポルフィリン、ヘキサカルボキシポルフィリン、ペンタカルボキシポルフィリン、及び他のアルキルカルボキシポルフィリンのうちの1つではない。
【0050】
別の実施形態では、PAC化合物は、以下の組み合わせのうちの1つを含まない:アミド結合を介したメソポルフィリンIXのドキソルビシンへの直接共役体;「クリック(click)」連結体を使用した、コルヒチン様毒素トリロボリドとテトラアリール亜鉛ポルフィリンとの間の共役体;ポルフィリンと共役した細胞傷害性ルテニウム複素環;ヘマトポルフィリンIXとシスプラチン又はカルボプラチンのような白金薬との直接共役体;エモジンのアリールポルフィリンへの直接共役体;PEGアミド連結体を介したアリールポルフィリンのレチノイン酸への共役体;アルカロイドブルシンとアリールポルフィリンとの直接共役体;エーテル連結を用いるメタフェノール性ポルフィリンとフルオロウラシルとの共役体、及びキナーゼ阻害剤への直接共役体。
【0051】
本発明の実施形態は、それを必要とする被検体においてがんを治療する方法、及びそれを必要とする被検体においてがんを治療するのに使用するためのPAC化合物に関する。別の実施形態は、インビトロでがん細胞を治療するのに使用するための、がん細胞を治療する方法及びPAC化合物を提供する。
【0052】
本発明の目的、利点、及び新規な特徴、並びに更なる適用範囲は、添付の図面と併せて以下の詳細な説明に部分的に記載され、以下の試験に関して部分的には当業者には明らかになり、又は本発明の実施によって知ることになり得る。本発明の目的及び利点は、(もしあれば)添付の特許請求の範囲において特に指摘された手段及び組み合わせによって実現され達成され得る。
【図面の簡単な説明】
【0053】
明細書に組み込まれてその一部を形成する添付の図面は、本発明の1以上の実施形態を示し、明細書と共に本発明の原理を説明するのに役立つ。図面は、本発明の1以上の好ましい実施形態を例示することのみを目的としており、本発明を限定するものとして解釈されるべきではない。図面では:
【0054】
【図1】TCPP取り込みが、非癌細胞に対して優先的に癌細胞であることを示す。
【図2】様々な条件下での癌細胞におけるTCPP取り込みの阻害を示す。
【図3】エンドサイトーシスの異なる阻害剤で処理した癌細胞によるTCPP取り込みのグラフを示す。
【図4】化合物OS0026の合成スキームを示す。
【図5】化合物OS0027の合成スキームを示す。
【図6】化合物OS002の合成スキームを示す。
【図7】化合物OS0024の合成スキームを示す。
【図8】化合物OS007の合成スキームを示す。
【図9】化合物OS030の合成スキームを示す。
【図10】化合物OS035の合成スキームを示す。
【図11】化合物OS032の合成スキームを示す。
【図12】化合物OS025の合成スキームを示す。
【図13】化合物OS0029の合成スキームを示す。
【図14】化合物OS0023の合成スキームを示す。
【図15】化合物OS009の合成スキームを示す。
【発明を実施するための形態】
【0055】
更に、以下の用語は以下に規定する定義を有するものとする。特定の用語が本明細書において以下に定義されていない場合、その用語は、当業者による文脈内でその典型的な使用の範囲内での意味を有するものとすることが理解される。
【0056】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用されるように、単数形「a」、「and」、及び「the」は、文脈が明らかにそうでないことを指示しない限り、複数の言及を含むことに留意すべきである。
【0057】
「抗がん剤」という用語には、これらに限定されないが、以下のような抗悪性腫瘍剤及び免疫調節剤から選択され得る細胞傷害剤が含まれる:1)以下を含む免疫抑制剤:ポマリドミド、ピルフェニドン、レナリドミド、メトトレキサート、サリドマイド、アザチオプリン;2)以下を含むカルシニューリン阻害剤:ボクロスポリン、タクロリムス、シクロスポリン(Ciclosporin)、シクロスポリン(Cyclosporine);3)以下を含むインターロイキン阻害剤:ブロダルマブ、シルツキシマブ、セクキヌマブ、ブリアキヌマブ、カナキヌマブ、トシリズマブ、メポリズマブ、ウステキヌマブ、リロナセプト、アナキンラ、バシリキシマブ、ダクリズマブ;4)以下を含む腫瘍壊死因子アルファ(tnf−1)阻害剤:ゴリムマブ、セルトリズマブペゴル、アダリムマブ、アフェリモマブ、インフリキシマブ、エタネルセプト;5)以下を含む選択的免疫抑制剤:ベゲロマブ(Begelomab)、アレムツズマブ、ベドリズマブ、アプレミラスト、テリフルノミド、トファシチニブ、ベラタセプト、フィンゴリモド、ベリムマブ、エクリズマブ、アバタセプト、ナタリズマブ、アベチムス(Abetimus)、エファリズマブ、グスペリムス、エベロリムス、アレファセプト、レフルノミド、シロリムス、マイコフェノール酸、抗胸腺細胞免疫グロブリン(ウサギ)、抗リンパ球免疫グロブリン(ウマ)、ムロモナブ;6)以下を含む免疫賦活薬:ダシプロチムト(Dasiprotimut)、クリダニモド、シプリューセル−T、プレリキサフォル、ミファムルチド、ヒスタミン二塩酸塩、グラチラマー酢酸塩、メラノーマワクチン、タソネルミン、イムノシアニン、チモペンチン、ピドチモド、ペグアデマーゼ、Bcgワクチン、ロキニメクス、レンチナン;7)以下を含むインターロイキン:オプレルベキン、アルデスロイキン;8)以下を含むインターフェロン:ペグインターフェロンアルファ−2a、ペグインターフェロンアルファ−2b、セペグインターフェロン(Cepeginterferon)アルファ−2b、ペグインターフェロンベータ−1a、ペグインターフェロンベータ−1a、アルブインターフェロンアルファ−2b、アルブミン−インターフェロンアルファ、ペグインターフェロンアルファ2a、ペグインターフェロンアルファ2b、インターフェロンアルファコン−1、インターフェロンベータ−1b、インターフェロンベータ−1a、インターフェロンアルファ−n1、インターフェロンアルファ−2b組み換え、インターフェロンアルファ−2a組み換え、インターフェロンガンマ、天然型インターフェロンベータ、天然型インターフェロンアルファ;9)以下のものと含むコロニー刺激因子:バラグラスチム、リペグフィラグラスチム(Lipegfilgrastim)、ペグフィルグラスチム、アンセスチム、ペグフィルグラスチム、アンセスチム、レノグラスチム、ペグフィルグラスチム、サルグラモスチム、モルグラモスチン(Molgramostin)、フィルグラスチム;10)以下を含むホルモン拮抗薬及び関連薬剤:アビラテロン、デガレリクス、アバレリクス、エキセメスタン、レトロゾール、アナストロゾール、ホルメスタン、アミノグルテチミド、エンザルタミド、ビカルタミド、ニルタミド、フルタミド、フルベストラント、トレミフェン、タモキシフェン;11)以下を含むホルモン及び関連薬剤:ヒストレリン、トリプトレリン、ゴセレリン、リュープロレリン、ブセレリン;12)以下を含むプロゲストゲン:ゲストノロン、メドロキシプロゲステロン、メゲストロール;13)以下を含むエストロゲン:フォスフェステロール(Fosfesterol)、エチニルエストラジオール、エチニルエストラジオール、リン酸ポリエストラジオール、ジエチルスチルベストロール;14)以下を含む抗悪性腫瘍剤:イキサゾミブ、ベリノスタット、ソニデギブ、イデラリシブ、オラパリブ、カルフィルゾミブ、アフリベルセプト、ビスモジギブ、パノビノスタット、エリブリン、ホモハリントニン、ロミデプシン、ボリノスタット、EG009、オブリメルセン、アナグレリド、セレコキシブ、ボルテゾミブ、デニロイキンジフチトクス(Denileukin difitox)、三酸化ヒ素、ベキサロテン、ペグアスパラガーゼ、ミトタン、アリトレチノイン、イリノテカン、トポテカン、トレチノイン、エストラムスチン、マソプロコール、ミルテフォシン、ペントスタチン、ロニダミン、ヒドロキシカルバミド、ヒドロキシウレア、アルトレタミン、アスパラギナーゼ、アムサクリン、ティボサニブ、パルボシクリブ、セジラニブ、ニンテダニブ、レンバチニブ、セリチニブ、イブルチニブ、カボザンチニブ、トラメンチニブ、ポナチニブ、ダブラフェニブ、マシチニブ、レゴラフェニブ、ルキソリチニブ、アキシチニブ、クリゾチニブ、ベムラフェニブ、ボスチニブ、アファチニブ、バンデタニブ、パゾパニブ、エベロリムス、テムシロリムス、ニロチニブ、ラパチニブ、ダサチニブ、ソラフェニブ、スニチニブ、エルロチニブ、ゲフィチニブ、イマチニブ;15)以下を含む光線力学的/放射線療法に使用される増感剤:エファプロキシラル、テモポルフィン、アミノレブリン酸、アミノレブリン酸メチル、ポルフィマー;16)以下を含むモノクローナル抗体:ネシツマブ、ラムシルマブ、ブリナツモマブ、ペムブロリズマブ、ニボルマブ、ジヌツキシマブ、オビヌツズマブ、ado−トラスツズマブエムタンシン(Ado−trastuxumab emtansane)、ペルツズマブ、ブレンツキシマブベドチン、イピリムマブ、オファツムマブ、カツマキソマブ、パニツムマブ、ベバシズマブ、セツキシマブ、ゲムツズマブ、トラスツズマブ、リツキシマブ、エドレコロマブ、メチルヒドラジン、プロカルバジン、白金化合物、ポリプラチレン、サトラプラチン、オキサリプラチン、カルボプラチン、シスプラチン;17)以下を含む細胞傷害性抗体及び関連物質:イクサベピロン、マイトマイシン、プリカマイシン、ブレオマイシン;18)以下を含むアントラサイクリン及び関連物質:ピキサントロン、アムルビシン、バルルビシン、ピラルビシン、ミトキサントロン、イダルビシン、ゾルビシン、アクラルビシン、エピルビシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン;19)以下を含むアクチノマイシン:ダクチノマイシン;20)以下を含む植物性アルカロイド及び他の天然物:トラベクテジン;21)以下を含むタキサン:カバジタキセル、ドセタキセル、パクリタキセル;22)以下を含むコルヒチン誘導体:デメコルシン;23)以下を含むポドフィロトキシンン誘導体:テニポシド、エトポシド;24)以下を含むビンカアルカロイド及び類似体:ビンタフォリド、ビンフルニン、ビノレルビン、ビンデシン、ビンクリスチン、ビンブラスチン;25)以下を含むピリミジン類似体:トリフルリジン、テガフール、フルオロウラシル、デシタビン、アザシチジン、カペシタビン、ゲムシタビン、カルモフール、テガフール、フルオロウラシル、シタラビン;26)以下を含むプリン類似体:ネララビン、クロファラビン、フルダラビン、クラドリビン、チオグアニン、メルカプトプリン、プララトレキセート、ペメトレキセド、ラルチトレキセド、メトトレキサート;27)以下を含む他のアルキル化剤:ダカルバジン、テモゾロミド、ピポブロマン、ミトブロニトール(Mitrobronitol);28)以下を含むエポキシド:エトグルシド;29)以下を含むニトロソウレア:ラニムスチン、ニムスチン、フォテムスチン、ストレプトゾシン、セムスチン、ロムスチン、カルムスチン;30)以下を含むエチレンイミン:カルボコン、トリアジコン、チオテパ;31)以下を含むアルキルスルホネート:マンノスルファン、トレオスルファン、ブスルファン;32)以下を含む窒素マスタード類似体:ベンダムスチン、プレドニムスチン、トロホスファミド、イホスファミド、メクロレタミン、メルファラン、クロラムブシル、シクロホスファミド、並びに開示された細胞傷害剤の誘導体及び類似体。抗悪性腫瘍剤及び免疫調節剤は、微小管安定化剤、微小管破壊剤(microtubule−disruptor agent)、アルキル化剤、代謝拮抗剤、エピドフィロトキシン、抗悪性腫瘍酵素、トポイソメラーゼ阻害剤、細胞周期進行阻害剤、アンチセンス分子、毒素、及び白金配位錯体として分類され得る。
【0058】
本明細書で使用される場合、「抗がん治療効果」は、以下の1以上を含む:がん細胞増殖の阻害、がん細胞死の増加(殺腫瘍反応)、腫瘍侵襲性の減少、全体的な腫瘍量の減少、局所的腫瘍量の減少、原発腫瘍のサイズの減少、転移の予防、転移の数の減少、転移のサイズの減少、及び長寿命。治療によって被検体に疾患がなくなることが望ましいが、本発明ががんの治癒に限定されることは意図されていない。がんの進行が単純に遅くなっても治療上の利点はある。本発明がその効果の大きさに限定されることを意図しない。例えば、原発腫瘍(又は転移)のサイズの減少は、10%程度の小ささ、又は90%程度(又はそれ以上)の大きさの減少であり得る。本発明が抗がん治療効果の持続期間に限定されることも意図されていない。(本明細書に記載の様々な実施形態を用いた)治療は、がん細胞増殖の一時的な阻害、一時的ながん細胞死の増加、一時的な腫瘍侵襲性の減少、一時的な全体腫瘍量の減少、一時的な局所的腫瘍量の減少、一時的な原発腫瘍のサイズの減少、転移の一時的な予防、転移数の一時的な減少、又は転移のサイズの一時的な減少のみをもたらし得る。一時的な影響は数週間から数カ月、又は数ヶ月から数年続き得る。これらのパラメータは、(例えば、原発性腫瘍のサイズ及び経時的な転移をモニターすることによって)測定することが比較的容易である。転移の予防及び寿命の延長に関して、これらのパラメータは、特定の腫瘍タイプ、ステージ等についての患者集団データに対して測定されてもよい。本明細書中で使用される場合、「がん予防効果」又は「保護効果」は、新しいがんの発生率を減少させる効果を含む。このパラメータは動物で証明することができて、集団ベースのヒトで測定されることができる。
【0059】
用語「バイオアベイラビリティ」は、患者に投与される細胞傷害剤の全身的利用能(即ち、血液/血漿レベル)を指す。バイオアベイラビリティは、投与された剤形から全身循環に達する薬物の時間(割合)及び総量(程度)の両方の測定を示す絶対的な用語である。
【0060】
「細胞傷害活性」という用語は、ポルフィリン抗がん剤共役体薬物連結体リガンド共役体の細胞内代謝産物の殺細胞効果、細胞増殖抑制効果、又は抗増殖効果を指す。細胞傷害活性は、細胞の半分が死滅する単位体積当たりの濃度(モル又は質量)である細胞におけるIC50値、及び/又は動物の10%が死亡する単位体積当たりの濃度(モル又は質量)である動物におけるIC10値として表され得る。光誘発ポルフィリン細胞傷害性はポルフィリンの活性化により生じる。
【0061】
がんは2つの方法、即ち、がんが発生する組織のタイプ(組織タイプ)及び原発部位によって、又はがんが最初に発症した体内の位置によって分類される。組織学的な観点から見ると、2016年5月5日に最終表示されたワールド・ワイド・ウェブのcancer research society website crs−src.caから同定されるような癌、肉腫、骨髄腫、白血病、リンパ腫、混合型、中枢神経系、及び中皮腫の6つの主要なカテゴリーに分類される、何百もの様々ながんがある。
【0062】
「がん」という用語は、本明細書全体を通して、以下の異常な増殖特性:制御されない増殖、不死、転移能、急速増殖及び増殖速度、発癌シグナル伝達の乱れ、並びに特定の形態学特徴のうちの1以上を有する細胞を指すために使用され、上皮細胞組織(癌)、血液細胞、骨髄、及び免疫細胞(白血病、リンパ腫、骨髄腫)、結合組織、骨、軟骨、脂肪、筋肉、血管(肉腫)、中枢神経系組織、グリア細胞、又は支持細胞(神経膠腫、芽細胞腫CNSリンパ腫)、中皮内層(肺、心臓、腹腔内の中皮腫)、メラノーマ(中胚葉起源)に起源をもち得る。本明細書で使用される場合、がんという用語は、本発明による診断及び治療に適用可能な全てのがん性疾患状態を説明するために使用され、癌、肉腫、骨髄腫、白血病、リンパ腫、混合型を含む実質的に全てのがんタイプに関連する病理学的過程を含む(embrace)又は包含する(encompass)。好ましい実施形態では、がんは固形腫瘍である。
【0063】
本発明による化合物及び方法を用いて診断/治療し得るがんの例には、癌(例えば、扁平上皮癌、腺癌、肝細胞癌、及び腎細胞癌)、特に膀胱、腸、乳房、頸部、結腸、食道、頭部、腎臓、肝臓、肺、首、卵巣、膵臓、前立腺、及び胃の癌;悪性リンパ腫、特にバーキットリンパ腫及び非ホジキンリンパ腫;及び悪性黒色腫;骨髄増殖性疾患;肉腫、特にユーイング肉腫、血管肉腫、カポジ肉腫、脂肪肉腫、筋肉腫、末梢性神経上皮腫、及び滑膜肉腫;中枢神経系の腫瘍(例えば、神経膠腫、星状細胞腫、乏突起膠腫、上衣腫、神経膠芽腫(gliobastoma)、神経芽腫、神経節腫、神経節膠腫、髄芽腫、松果体細胞腫瘍、髄膜腫、髄膜肉腫、神経線維腫、及びシュワン腫);生殖細胞系腫瘍(例えば:腸癌、乳癌、前立腺癌、子宮頸癌、子宮癌、肺癌、卵巣癌、精巣癌、甲状腺癌、星状細胞腫、食道癌、膵臓癌、胃癌、肝臓癌、大腸癌、及びメラノーマ);混合型の腫瘍、特に癌肉腫とホジキン病;並びにウィルムス腫瘍及び奇形癌のような混合起源の腫瘍が含まれるが、これらに限定されない。例えば、副腎癌、肛門癌、胆管癌、膀胱癌、骨がん、成人の脳/CNS腫瘍、小児の脳/CNS腫瘍、乳癌、男性の乳癌、青年期のがん、小児がん、若年成人のがん、未知の原発がん、キャッスルマン病、子宮頸癌、結腸/直腸癌、子宮内膜癌、食道癌、ユーイングファミリー腫瘍、眼癌、胆嚢癌、消化管カルチノイド腫瘍、消化管間質性腫瘍(GIST)、妊娠性絨毛疾患、ホジキン病、カポジ肉腫、腎臓癌、喉頭癌及び下咽頭癌、肝臓癌、肺癌、肺癌−非小細胞、肺癌−小細胞、肺カルチノイド腫瘍、リンパ腫、皮膚のリンパ腫、悪性中皮腫、多発骨髄腫、骨髄異形成症候群、鼻腔及び副鼻腔癌、鼻咽頭癌、神経芽細胞腫、非ホジキンリンパ腫、小児の非ホジキンリンパ腫、口腔及び中咽頭癌、骨肉腫、卵巣癌、膵臓癌、陰茎癌、下垂体腫瘍、前立腺癌、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、唾液腺癌、肉腫−成人軟部組織癌、皮膚癌、皮膚癌−基底細胞、及び扁平上皮細胞、皮膚癌−メラノーマ、皮膚癌−メルケル細胞、小腸癌、胃癌、精巣癌、胸腺癌、甲状腺癌、子宮肉腫、膣癌、外陰癌、ワルデンストロームマクログロブリン血症、ウィルムス腫瘍は、本明細書に開示されるような1以上の組成物による治療の対象であり得る。
【0064】
本明細書で使用される場合、「化合物」という用語は、特に明記しない限り、本明細書で開示されている任意の特定の化学化合物を指す。場合によっては、この用語はまた、開示された化合物の立体異性体及び/若しくは光学異性体(ラセミ混合物を含む)又はエナンチオマー富化混合物を指し得る。場合によっては、この用語はまた、塩、代謝産物、プロドラッグ、結晶、多形体、類似体、溶媒和物、及び水和物を指し得る。
【0065】
本明細書で言及される化合物はキラル炭素原子を含み得ることを認識すべきである。言い換えれば、それは光学異性体又はジアステレオ異性体を有し得る。化合物はまた塩及びそれらの多形体も含み得る。更に化合物の任意の組み合わせとして組成物が存在してもよい。
【0066】
本明細書で使用される用語「細胞傷害剤」という用語は、細胞の機能を阻害する及び/又は細胞の破壊を引き起こす物質を指し、ここで細胞傷害剤という用語は細胞増殖抑制剤を含む。この用語は、放射活性同位元素(例えば、211At、131I、125I、90Y、186Re、188Re、153Sm、212Bi、32P、60C、及びLuの放射活性同位元素)、及び毒素、例えば細菌、真菌、植物、若しくは動物起源の小分子毒素又は酵素活性毒素(その合成類似体及び誘導体を含む)を含むことを意図する。一態様では、この用語は放射性核種を含まない。
【0067】
細胞傷害剤は、適切な連結体を用いてポルフィリンに共有結合させてもよく、例えばポリエチレングリコール(PEG)部分を含むが、これらに限定されない可溶化連結体を含み、ここで一実施形態における細胞傷害剤は表6、表7、及び表8に示すもの並びにドラスタチン類、例えばドラスタチン10、ドラスタチン15、モノメチルアウリスタチンE、モノメチルアウリスタチンF、タシドチン、セマドチンを含む。
【0068】
「有効な」という用語は、特に明記しない限り、結果が患者又は被検体におけるがん又はインビトロ細胞での治療に関連するかにかかわらず、文脈において意図する結果を生み出すために使用される化合物又は組成物の量を記載するために使用される。有効という用語は、他の全ての有効量又は有効濃度の用語を包含し、それらは本願において他に記載又は使用されている。癌の場合、有効量の組成物は癌細胞の数を減らし;腫瘍のサイズを小さくし;腫瘍部位の数を減らし、隣接組織及び/又は遠位組織への癌細胞浸潤を阻害する(即ち、ある程度遅くするか又は停止させる)可能性がある。
【0069】
用語「連結体」は、文脈の範囲内で本明細書全体を通して使用され、ポルフィリン及び抗がん剤を例えば共有結合させる共有結合部分を記載する。多種多様な連結体を使用することができ、一実施形態によれば、本発明は使用される連結体のタイプによって限定されない。連結体の例には、置換及び非置換のC−C12アルキル、アルケニル、及びアルキニル基、C−C12ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、及びヘテロアルキニル基、並びにC−C20アリール含有及びヘテロアリール含有連結基及びL9−L16が含まれるが、これらに限定されない。
【0070】
「患者」又は「被験体」という用語は、文脈の範囲内で本明細書全体を通して使用され、動物(特に治療又は処置が行われる家畜哺乳動物、好ましくはヒトを含む)を記載する。ヒト患者等の特定の動物に特異的なこれらの状態又は病状の治療のために、患者という用語はその特定の動物を指す。ほとんどの場合において、本発明の患者又は被検体は、家畜/農業動物又はどちらか若しくは両方の性別のヒト患者である。
【0071】
「薬学的に許容される塩」という用語は、当該技術分野において周知の様々な有機及び無機対イオンから誘導される塩を指す。薬学的に許容される酸付加塩は、無機酸及び有機酸を用いて形成することができる。塩を誘導することができる無機酸には、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等が含まれる。塩を誘導することができる有機酸には、例えば、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、ケイ皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、サリチル酸等が挙げられる。薬学的に許容される塩基付加塩は、無機塩基及び有機塩基を用いて形成することができる。塩を誘導することができる無機塩基には、例えば、ナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅、マンガン、アルミニウム等が含まれる。塩を誘導することができる有機塩基は、例えば、一級、二級、及び三級アミン、天然に存在する置換アミンを含む置換アミン、環状アミン、塩基性イオン交換樹脂等を含み、具体的にはイソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリフルオロアセチル、及びエタノールアミンを含む。いくつかの実施形態では、薬学的に許容される塩基付加塩は、アンモニウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩、カルシウム塩、及びマグネシウム塩から選択される。
【0072】
用語「アルキル」は、特定の数の炭素原子を有する、又は数が特定されない場合は12個までの炭素原子を有する、直鎖、分枝鎖、環状基、及びそれらの組み合わせを含む飽和脂肪族基を指す。「直鎖アルキル」又は「線状アルキル」基とは、環状でも分枝状でもないアルキル基を指し、一般に「n−アルキル」基と呼ばれる。アルキル基の例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、ブチル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、ペンチル、n−ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、ネオペンチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、及びアダマンチルが挙げられるが、これらに限定されない。分枝鎖基は、イソプロピル、イソブチル、ネオペンチル、三級ブチル、及び三級アミルを含むが、これらに限定されない。環状基は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル等の基、又はアダマンチル若しくはノルボルニル等の基を含むがこれらに限定されない、複数の縮合環を含むがこれらに限定されない1つの環からなることができる。アルキル基の好ましいサブセットには、C−C12、C−C10、C−C、C−C、C−C、C−C、C−C、C、及びCアルキル基が含まれる。
【0073】
「アリール」又は「Ar」という用語は、単環を有する芳香族炭素環式基(フェニル等の基を含むがこれらに限定されない)を指し、非置換及び置換アリール基の両方を含む。「置換アリール」とは、アルキル、ハロゲン、アルコキシ(OR)、アミノ又はアルキルアミノ(NH、NHR、NRR’)、ヒドロキシル、カルボキシ、フェニル、シアノ、カルボアルコキシ、及びカルボキシアミド等の基を含むがこれらに限定されない1以上の置換基あるいは本発明の目的のために必要ならば保護基で適切にブロックすることができる官能基で置換されたアリールを指す。
【0074】
本明細書で使用される場合、「アルコキシ」という用語は、酸素原子に結合し、特定の数の炭素原子を有する、又は特定の数が特定されない場合は12個までの炭素原子を有するアルキル基を指す。アルコキシ基の例としては、メトキシ、エトキシ、及びt−ブトキシ等の基が挙げられるが、これらに限定されない。
【0075】
本明細書で使用される場合、「ハロ」及び「ハロゲン」という用語は、Cl、Br、F、又はI置換基を指す。
【0076】
「細胞内切断された」及び「細胞内切断」という用語は、PAC化合物上の細胞内側の代謝プロセス又は反応を指し、これにより細胞傷害剤とポルフィリンとを接続する化合物の一部である連結体が破壊され、その結果遊離した細胞傷害剤又は細胞内側のポルフィリンから解離した共役体の他の代謝産物をもたらす。従って、PAC化合物の切断部分は細胞内代謝産物である。
【0077】
上記で記載されるようながんの治療に加えて、本発明はまた、とりわけ、絨毛がん、精巣絨毛がん、非セミノーマ性胚細胞精巣がん、胎盤がん(栄養膜性腫瘍)、及び胚性がん等のがんを治療するためにも好ましく使用され得る。好ましい実施形態では、治療されるべきがんは肺がんである。
【0078】
本発明による化合物を含有する製剤は、液体、固体、半固体の形態、又は凍結乾燥粉末形態、例えば、溶液、懸濁液、エマルジョン、徐放性製剤、錠剤、カプセル、粉末、坐薬、クリーム、軟膏、ローション、エアゾール、パッチ等、好ましくは正確な投与量の簡単な投与に適した単位剤形をとり得る。
【0079】
本発明による医薬組成物は、通常、従来の医薬担体又は賦形剤を含み、更に他の医薬剤、担体、アジュバント、添加剤等を含み得る。賦形剤は、本出願の出願日現在において、ワールド・ワイド・ウェブ上のfda.govで識別されるもの及びそれらの等価物を含む。抗癌薬/ポルフィリン対1つ以上の賦形剤の重量パーセント比は、約20:1〜約1:60、又は約15:1〜約1:45、又は約10:1〜約1;40、又は約9:1、8:1、7:1、6:1、5:1、4:1、3:1、2:1又は1:1〜約1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9、1:10、1:15、1:20、1:25、1:30、又は1:35であることができ、好ましくは約20:1、19:1、18:1、17:1、16:1、15:1、14:1、13:1、12:1、11:1、10:1、9:1、8:1、7:1、6:1、又は5:1である。いくつかの実施形態では、本発明の製剤は、約250mg〜約500mg、又は約300mg〜約450mg、又は約325mg〜約425mgの総ポルフィリン/抗がん剤を含み、場合により1以上の好適な医薬賦形剤を含有してもよい。
【0080】
非経口投与(例えば、静脈内、筋肉内、髄腔内、腹腔内、又は頭蓋内)用の注射用組成物は、典型的には適切なi.v.溶液、例えば滅菌生理食塩水溶液を含有する。化合物はまた、水性エマルジョン中の懸濁液として処方されてもよい。組成物は、PAC化合物又はその薬学的に許容される塩及び少なくとも1つの薬学的に許容される担体を含む。
【0081】
液体組成物は、PAC化合物及び任意の医薬アジュバントを含む医薬組成物を、例えば、水性生理食塩水溶液、デキストロース水溶液、グリセロール、又はエタノール等の担体に溶解又は分散させて溶液又は懸濁液を形成することによって調製することができる。経口液体調製物に使用するためには、組成物は、溶液、懸濁液、エマルジョン、又はシロップとして調製されてもよく、液体形態で又は水若しくは通常の生理食塩水中での水和に適した乾燥形態のいずれかで供給される。
【0082】
経口投与の場合、そのような賦形剤には、医薬品グレードのマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、タルク、セルロース、グルコース、ゼラチン、スクロース、炭酸マグネシウム等が含まれる。所望であれば、組成物はまた、湿潤剤、乳化剤、又は緩衝剤等の少量の無毒性補助物質を含有してもよい。
【0083】
組成物が経口投与用の固体調製物の形態で使用される場合、調製物は錠剤、顆粒剤、粉末、カプセル剤等であってもよい。錠剤製剤では、組成物は典型的には添加剤、例えば賦形剤、例えば糖類又はセルロース調製物、結合剤、例えばデンプンペースト又はメチルセルロース、増量剤、崩壊剤、及び医療調製物の製造に通常使用される他の添加剤を用いて処方される。
【0084】
そのような剤形を調製するための方法は既知であるか、又は当業者に明らかである;例えばRemington’s Pharmaceutical Sciences(17thEd.,MackPub.Co.1985)を参照のこと。投与されるべき組成物は、本発明による患者又は被検体を含む生物システムにおける治療的使用のための薬学的に有効な量で選択された化合物の量を含有する。
【0085】
特定の病状について、必要としている患者又は被検体を治療する方法は、本発明に従って、治療量の本明細書に記載のポルフィリン/抗癌剤及び場合により少なくとも1つの追加の生物活性(例えば抗がん剤)を含む有効量の医薬組成物の投与を含む。単一剤形を製造するために担体材料と組み合わせてもよい本発明の治療方法において使用されるポルフィリン/抗がん剤の量は、治療される宿主、特定の投与方式に応じて変化する。例えば、組成物は、約0.01、0.1、1、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、又は100mg/kg患者/日、あるいはいくつかの実施形態では、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、又は200mg/kg超過の治療有効投与量の新規ポルフィリン/抗がん剤が、これらの組成物を受容する患者に投与することができるように処方できる。
【0086】
一実施形態では、式IIIの化合物又はその薬学的に許容される塩、エナンチオマー、溶媒和物、若しくは多形体が提供される。式中、A1〜A4はそれぞれ独立して、置換芳香環又は置換ヘテロ芳香環から選択される。B1は、A1を細胞傷害剤(本明細書では「細胞毒素」とも呼ぶ)Z1に接続する共有結合連結体部分を表す。
【化3】
【0087】
特定の実施形態では、A1は、カルボン酸アミド官能基を有する芳香環を表し、ここでカルボン酸アミドの位置はポルフィリン環に対してオルト、メタ、又はパラであり得、ここでカルボキサミド官能基のCN結合は、A1をリンカーB1に共有結合により接続するように作用する。更に、A2、A3、及びA4は一置換芳香環を表し、ここで置換基は独立してポルフィリン環に対してオルト、メタ、又はパラ位を占め得る。A2、A3、及びA4上の置換基は独立して、低級アルキル、分枝低級アルキル、シクロアルキル、ハロゲン(F、Cl、Br、I)、シアノ、アミノ若しくは置換アミノ、スルホニル(スルホン酸、エステル又はアミドを含む)、フェノール、芳香族エーテル(OR、Rは低級アルキルである)、又はカルボニル(カルボン酸、カルボン酸エステル(COOR、Rは低級アルキルである)又はカルボン酸アミドを含む)であり得る。B1は基L11〜L14から選択することができる(ここでB1は表1のA1とZ1との間の化学式として定義される)。基Z1は、それぞれB1に結合した、アントラサイクリンタイプ(表2)、キナーゼ阻害剤(表3)、又はアウリスタチンタイプ(表4)の毒素であり得、ここで細胞毒素Z1の窒素原子は、B1をZ1に接続するカルボキサミド官能基の一部である。
【0088】
好ましい実施形態では、A1は、カルボン酸アミド(カルボキサミド)官能基を有する芳香環を表し、ここでカルボン酸アミドの位置は、ポルフィリン環に対してオルト、メタ、又はパラであり得る。更に、A2、A3、及びA4は一置換芳香環を表し、ここで置換基はカルボン酸、カルボン酸エステル、又はカルボン酸アミドであり、ポルフィリン環に対してオルト、メタ、又はパラ位を占め得る。B1は基L11又はL13から選択され得(表1)、Z1はそれぞれアントラサイクリン、キナーゼ阻害剤又はアウリスタチンタイプの細胞毒素から選択され得る(表2〜4)。
【0089】
最も好ましい実施形態では、A1は、カルボン酸アミド官能基を有する芳香環を表し、ここでカルボン酸アミドの位置はポルフィリン環に対してパラである。更に、A2、A3、及びA4は一置換芳香環を表し、ここで置換基はポルフィリン環に対してパラ位にあるカルボン酸又はカルボン酸メチルエステルである。B1は、基L11又はL13(表1)から選択されてもよい。Z1は、表2−4の毒素T1b、1、又はT4cからそれぞれ選択されてもよい。
【0090】
表1.B1の式(n=1〜12)
【表1】
【0091】
表2.細胞毒素Z1(アントラサイクリンタイプの式)
【表2】
【0092】
表3.細胞毒素Z1(キナーゼ阻害剤タイプの式)
【表3】
【0093】
表4.細胞毒素Z1(アウリスタチンタイプの式)
【表4】
【0094】
別の特定の実施形態では、A1は芳香族エーテル官能基を有する芳香環を表し、ここで芳香族エーテルの位置はポルフィリン環に対してオルト、メタ、又はパラであり得る。更に、A2、A3、及びA4は一置換芳香環を表し、ここで置換基は独立してポルフィリン環に対してオルト、メタ、又はパラ位を占め得る。A2、A3、及びA4上の置換基は、独立して、低級アルキル、分枝低級アルキル、シクロアルキル、ハロゲン(F、Cl、Br、I)、シアノ、アミノ又は置換アミノ、スルホニル(スルホン酸、エステル、又はアミドを含む)、フェノール又は芳香族エーテル(OR、ここでRは低級アルキルである)、又はカルボニル(カルボン酸、カルボン酸エステル(COOR、ここでRは低級アルキルである)又はカルボン酸アミドを含む)であり得る。B1は、基L9、L10、L15、L16から選択され得る(表5)。Z1は、それぞれアントラサイクリン、キナーゼ阻害剤、又はアウリスタチンタイプの細胞毒素から選択され得る(表2〜4)。
【0095】
好ましい実施形態では、A1は芳香族エーテル官能基を有する芳香環を表し、ここで芳香族エーテルの位置はポルフィリン環に対してオルト、メタ、又はパラであり得る。更に、A2、A3、及びA4は一置換芳香環を表し、ここで置換基はフェノールであり、ポルフィリン環に対してオルト、メタ、又はパラ位を占め得る。B1は、基L9又はL15から選択され得る(表5)。Z1は、それぞれアントラサイクリン、キナーゼ阻害剤、又はアウリスタチンタイプの細胞毒素から選択され得る(表2〜4)。
【0096】
最も好ましい態様では、A1は芳香族エーテル官能基を有する芳香環を表し、ここで芳香族エーテルの位置はポルフィリン環に対してメタである。更に、A2、A3、及びA4は一置換芳香環を表し、ここで置換基はポルフィリン環に対してメタ位にあるフェノールである。B1はL9である(表5)。Z1は、それぞれ表2〜3の細胞毒素T1b又は1から選択され得る。
【0097】
表5.B1の構造(A1とZ1との間に表される化学式、ここでn=1〜12)
【表5】
【0098】
別の特定の実施形態では、A1は、アルキル化窒素原子を有するヘテロ芳香環(即ち、ピリジニウム)を表し、ここでピリジニウム窒素の位置は、ポルフィリン環に対して2、3、又は4位にあり得る。更に、A2、A3、及びA4はピリジン又はアルキルピリジニウム環を表し、ここでピリジン又はアルキルピリジニウム窒素の位置は独立してポルフィリン環に対して2、3、又は4位にあり得る。アルキルピリジニウム部分のアルキル部分は、低級アルキル又は分枝アルキルを表す。B1は、基L9、L10、L15、L16から選択され得る(表5)。Z1は、それぞれアントラサイクリン、キナーゼ阻害剤、又はアウリスタチンタイプの細胞毒素から選択され得る(表2〜4)。
【0099】
最も好ましい実施態様では、A1は、窒素原子を有するヘテロ芳香環(即ち、ピリジニウム)であり、ここでピリジニウム窒素の位置は、ポルフィリン環に対して4位にある。更に、A2、A3、及びA4はピリジン環を表し、ここで各窒素原子の位置はポルフィリン環に対して4位にある。B1は、基L9又はL15から選択され得る(表5)。表2及び3において、Z1はそれぞれ細胞毒素T1b又は1から選択され得る。
【実施例】
【0100】
非がん細胞と比較して、ポルフィリンはがん細胞によって優先的に取り込まれる。この要因となる機構は十分には理解されていない。表9は、非がん細胞によるポルフィリンの取り込みと比較してポルフィリンの優先的取り込みを示すいくつかのポルフィリン及びがん細胞のタイプのリストである。このリストは網羅的なものではなく、効果を説明するものである。
【0101】
表9.癌細胞株
【数1】
【0102】
HCC15、H157、及びH358を含む一群のヒト肺がん細胞株によるポルフィリンテトラキス(4−カルボキシフェニル)ポルフィリン(TCPP)の取り込みを、フローサイトメトリーを用いて様々な条件下で調べ、クラスリン依存性及び非依存性エンドサイトーシスを化学阻害剤によって操作した。ここで図1を参照すると、骨髄細胞と比較した場合のがん細胞(HCC15)におけるTCPP取り込みが用量依存様式で示されている。骨髄細胞について示されるように、マウス正常肺細胞でも同様の結果が観察される。HCC15によるTCPPの取り込みは、非癌細胞と比較して10μg/mlで2倍を超える。図2に示されるように、癌細胞株HCC15、H157、及びH358におけるTCPP取り込みは、スクロースによって中程度に阻害され、低温によってほぼ完全に阻害され、このことは、エンドサイトーシスが細胞によるTCPP取り込みに関与していることを示唆する。クラスリン媒介エンドサイトーシスのアンタゴニストであるクロルプロマジンは、図3に示されるようにがん細胞株におけるTCPP取り込みを最大80%阻害した。対照的に、クラスリン非依存性エンドサイトーシス阻害剤であるフィリピン(filipin)は、TCPP取り込みには影響を及ぼさなかった。非がん細胞と比較した場合のがん細胞による優先的ポルフィリンの取り込みは、がん細胞の表面上のLDL受容体(LDLR)の数の増加によって促進されると推測されている。TCPP取り込みに対するLDLRの寄与を調べるために、肺がん細胞を操作してLDLRを発現しないようにし、これがTCPP取り込みを20%のみ減少させた。驚くべきことに、機能的LDLRを伴わないヒト線維芽細胞におけるTCPP取り込みは、TCPPの阻害を全く示さなかった。これらのデータは、(LDLRに対する)更なる受容体及び/又は(エンドサイトーシスに対する)機構がTCPP取り込みに関与していることを示唆している。
【0103】
式IIIのPAC化合物は、以下に記載されるように合成できる。標的OS0026の合成手順は図4に示されている。
【0104】
工程1:1−(5−メトキシ−5−オキソペンチル)−4−(10,15,20−トリ(ピリジン−4−イル)ポルフィリン−5−イル)ピリジン−1−イウムブロミド(3)の合成
【0105】
33mLのEtOH及び100mLのクロロホルム中のメソ−テトラキス(4−ピリジル)ポルフィリン(1)(420mg、0.67mmol)及びメチル5−ブロモペンタノエート(2)(1.58g、8.08mmol)の混合物を6日間還流撹拌した。反応混合物を、溶離液としてEtOH/クロロホルム(3/7)を用いるシリカゲルでの2回の連続カラムクロマトグラフィにより精製して、(3)を紫色の固体として得た(186mg、30%)。H−NMR(300MHz,DMSO−d6):δ11.95(s,2H),9.52−9.55(d,2H),8.94−9.10(m,16H),8.29−8.31(t,6H),4.94(t,2H),3.68(s,3H),2.51−2.58(m,2H),2.66(m,2H),1.84(m,2H)。MSm/z=733[M]。HPLCによる純度:>95%、t=3.48。
【0106】
工程2:1−(4−カルボキシブチル)−4−(10,15,20−トリ(ピリジン−4−イル)ポルフィリン−5−イル)ピリジン−1−イウムクロリド(4)の合成
【0107】
エステル誘導体(3)(230mg、0.28mmol)を46mLの1N HClに溶解して緑色の溶液を得、これを3時間還流撹拌した。反応混合物を凍結乾燥して、対応する酸誘導体(4)を紫色の固体として得た(244mg、粗収率100%)。粗生成物を更に精製することなく次の工程に直接使用した。H−NMR(300MHz,DMSO−d):δ11.90(s,2H),9.50(d,2H),9.35−9.37(d,6H),9.13(m,8H),9.02−9.04(d,2H),8.79(s,6H),5.5(br,5H),5.0(m,2H),2.3(m,2H),1.85(m,2H)。HPLCによる純度:>95%、t=3.29。
【0108】
工程3:1−(5−(((2S,3S,4R,6R)−3−ヒドロキシ−2−メチル−6−(((1S,3S)−3,5,12−トリヒドロキシ−3−(2−ヒドロキシアセチル)−10−メトキシ−6,11−ジオキソ−1,2,3,4,6,11−ヘキサヒドロテトラセン−1−イル)オキシ)テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)アミノ)−5−オキソペンチル)−4−(10,15,20−トリ(ピリジン−4−イル)ポルフィリン−5−イル)ピリジン−1−イウムTFA塩(OS0026)の合成
【0109】
4.5mLのDMF中の酸誘導体(4)(45mg、0.05mmol)の溶液に、HATU(45mg、0.12mmol)を一度に添加し、続いて室温でDIPEA(45mg、0.35mmol)を滴下した。反応混合物を室温で5分間撹拌した後、塩酸ドキソルビシン(30mg、0.056mmol)を一度に添加した。反応混合物を室温で一晩撹拌し、蒸発させて溶媒を除去した。溶離液としてTFAを含むACN/水を使用する逆相分取HPLCにより残渣を精製して、紫色の固体として所望の標的化合物OS0026を得た(30mg、33%)。HPLCによる純度:>95%、t=3.48。
【0110】
HPLC条件
【数2】
【0111】
OS0026の合成スキームは、メチル5−ブロモペンタノエート(2)でメソ−テトラキス(4−ピリジル)ポルフィリン(1)をアルキル化して中間体エステル(3)を得、次いでこれを対応する酸(4)に加水分解し、続いてペプチドカップリング試薬HATUを用いてドキソルビシンのアミノ糖窒素にカップリングさせてOS0026を得ることを示す。
【0112】
更に、一般構造P2を有するピリジルポルフィリン共役体を示す。
【化4】
【0113】
式中、Xは窒素(N)である。しかしながら、代替的に、Nは、Xの代わりにY又はZで各環上に配置されてもよく、連結体は代替位置でNに結合している。従って、P2の各ピリジン環上で、Nは独立してX又はY又はZのいずれかに位置し得、CH基は残りの2つの位置を占める。例えば、ポルフィリンメソ−テトラキス(3−ピリジル)ポルフィリンは、4つ全てのピリジン環において、YがNであり、X及びZがCHである場合に表すことができる。一般的な実施形態では、各環上のN原子の位置は異なり得る。より好ましい実施形態では、各ピリジン環中のN原子の位置は、4つ全てのピリジン環中で同じである。好ましい実施形態では、ポルフィリンメソ−テトラキス(4−ピリジル)ポルフィリンは、X=Nであり、Y及びZは、4つ全てのピリジン環でのCHであるときに表すことができる。
【0114】
P2又はその異性体は、L1又はL2のいずれかから選択されるアルキル化剤と反応する。特に、L1又はL2についてnは1〜12であり、Xはピリジン窒素とのS2反応がアルキルピリジニウム塩を形成するのに適した脱離基である(例えば、図4の(3))。これに関連して、脱離基Xはハロゲン脱離基(Cl、Br、I)、又はメシレート、トシレート、若しくはトリフレートのような種々の活性化スルホニルエステルのいずれかである。更に、L1又はL2上のYは、様々なカルボキシレートエステル(OR)であり得、ここで、Rは、H、低級直鎖又は分枝アルキル、シクロアルキル、アリール又はヘテロアリールであるように選択され得る。好ましい実施形態では、L1は、n=3、Xがブロモ、Yがメトキシであるように選択される。
【0115】
【数3】
【0116】
図4で共役した毒素はドキソルビシンであるが、より一般的には、表6に示すように、アミド結合を形成することができるアミノ糖部分を有するアントラサイクリン抗生物質から選択することができ、ここでドキソルビシンはT1bとして示され、従って類似体の例はT2b〜T4bで示される。好ましい実施形態では、P2は、X=Nであり、Y及びZが両方ともCHであるように選択される。更に、Xはポルフィリン環に対して4位に位置している。この実施形態では、L1は、XがBrであり、YがOMeであり、n=3であり、毒素がT1bであるように選択される。
【0117】
表6.アミノ糖を含有するアントラサイクリンの例
【表6】
【0118】
標的OS0027の合成のための手順は図5に示され、以下に記載される。
【0119】
工程1:1−(5−メトキシ−5−オキソペンチル)−4−(10,15,20−トリ(ピリジン−4−イル)ポルフィリン−5−イル)ピリジン−1−イウムブロミド(3)の合成
【0120】
33mLのEtOH及び100mLのクロロホルム中のメソ−テトラキス(4−ピリジル)ポルフィリン(1)(1)(420mg、0.67mmol)及びメチル5−ブロモペンタノエート(2)(1.58g、8.08mmol)の混合物を6日間還流撹拌した。反応混合物を、溶離液としてEtOH/クロロホルム(3/7)を用いるシリカゲルでの2回の連続カラムクロマトグラフィにより精製して、(3)を紫色の固体として得た(186mg、30%)。H−NMR(300MHz,DMSO−d):δ11.95(s,2H),9.52−9.55(d,2H),8.94−9.10(m,16H),8.29−8.31(t,6H),4.94(t,2H),3.68(s,3H),2.51−2.58(m,2H),2.66(m,2H),1.84(m,2H)。MSm/z=733[M]。HPLCによる純度:>95%、t=3.48。
【0121】
工程2:1−(4−カルボキシブチル)−4−(10,15,20−トリ(ピリジン−4−イル)ポルフィリン−5−イル)ピリジン−1−イウムクロリド塩(4)の合成
【0122】
エステル誘導体(3)(230mg、0.28mmol)を46mLの1N HClに溶解して緑色の溶液を得、これを3時間還流撹拌した。反応混合物を凍結乾燥して、対応する酸誘導体(4)を紫色の固体として得た(244mg、粗収率100%)。粗生成物を更に精製することなく次の工程に直接使用した。H−NMR(300MHz,DMSO−d):δ11.90(s,2H),9.50(d,2H),9.35−9.37(d,6H),9.13(m,8H),9.02−9.04(d,2H),8.79(s,6H),5.5(br,5H),5.0(m,2H),2.3(m,2H),1.85(m,2H)。HPLCによる純度:>95%、t=3.29。
【0123】
(S)−1−(5−(4−(4−(6−アミノ−5−(1−(2,6−ジクロロ−3−フルオロフェニル)エトキシ)ピリジン−3−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)ピペリジン−1−イル)−5−オキソペンチル)−4−(10,15,20−トリ(ピリジン−4−イル)ポルフィリン−5−イル)ピリジン−1−イウムTFA塩(OS0027)の合成
【0124】
8.6mLのDMF中の酸誘導体(4)(86mg、0.1mmol)の溶液に、HATU(52mg、0.23mmol)を一度に添加し、続いて室温でDIPEA(86mg、0.67mmol)を滴下した。得られた混合物を室温で5分間撹拌した後、塩酸クリゾチニブ(52mg、0.11mmol)を一度に添加した。得られた混合物を室温で一晩撹拌し、蒸発させて溶媒を除去した。溶離液としてTFAを含むACN/水を使用する逆相分取HPLCにより残渣を精製して、所望の標的化合物OS0027を紫色の固体として得た(27mg、17%)。MS(ESI)m/z=1150[M]。HPLCによる純度(ELSD):>95%、t=4.00。
【0125】
HPLC条件
【数4】
【0126】
OS0027の合成スキームは、メソ−テトラキス(4−ピリジル)ポルフィリン(1)メチル5−ブロモペンタノエート(2)をアルキル化して中間体エステル(3)を得て、次いでこれを対応する酸(4)に加水分解し、続いてペプチドカップリング試薬HATUを用いて毒素の二級アミン(クリゾチニブ)にカップリングさせてOS0027を得ることを示す。
【0127】
一実施形態では、P2の一般構造を有するピリジルポルフィリンが使用される。P2は、X又はY又はZに位置する窒素原子(N)を有し、CHが残りの2つの位置を占める。例えば、ポルフィリンメソ−テトラキス(3−ピリジル)ポルフィリンは、4つ全てのピリジン環において、YがNであり、X及びZがCHである場合に表すことができる。一般的な実施形態では、各環上のNの位置は異なり得る。好ましい実施形態では、各環上のNの位置は同じである。
【0128】
別の一般的な実施形態では、P2はL1又はL2のいずれかから選択されるアルキル化剤と反応する。L1又はL2において、nは1〜12であり、Xは、ピリジン窒素原子とのS2反応に適したアルキルピリジニウム種を形成するのに適した脱離基である(例えば、図5の(3))。これに関連して、脱離基Xはハロゲン脱離基(Cl、Br、I)又はメシレート、トシレート、若しくはトリフレートのような種々の活性化スルホニルエステルのいずれかである。更に、L1又はL2上のYは、様々なカルボキシレートエステル(OR)であり得、ここで、Rは、H、低級直鎖又は分枝アルキル、シクロアルキル、アリール又はヘテロアリールであるように選択され得る。好ましい実施形態では、Xはブロモであり、Yはメトキシである。
【0129】
図5に示す特定の毒素はキナーゼ阻害剤クリゾチニブである(1、表7)。一実施形態では、クリゾチニブは、表7のキナーゼ阻害剤Tna(n=1〜33)で置き換えられる。これに関連して、Xは、L1又はL2へのアミド結合形成の位置を表す。好ましい実施形態では、P2は、X=Nであり、Y及びZが両方ともCHであるように選択される。更に、Xはポルフィリン環に対して4位に位置している。この実施形態では、L1は、XがBrであり、YがOMeであり、n=3であり、細胞毒素がクリゾチニブ(1)であるように選択される。
【0130】
【表7】
【0131】
標的OS002の合成のための手順は図6に示され、以下に記載される。
【0132】
tert−ブチル(2−(((4−ニトロフェノキシ)カルボキシル)オキシ)エチル)カルバメート(4)の調製
【0133】
CHCl(80mL)中のtert−ブチル(2−ヒドロキシエチル)カルバメート(2)(1.2g、7.45mmol)及びトリエチルアミン(2.58mL、18.6mmol)の混合物に、p−ニトロフェニルクロロホルメート(3)(1.5g、7.45mmol)を0℃で少しずつ添加した。得られた混合物を室温に加温し、5時間撹拌した。混合物を10mLの飽和NHCl溶液でクエンチし、CHCl(2×50mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(20mL)で洗浄し、NaSOで乾燥し、蒸発させた。粗残渣を、0〜100%EtOAc−ヘキサンを用いる順相クロマトグラフィにより精製して、(4)を得た(1.92g、79%)。H−NMR(300MHz,CDCl):δ8.28(d,2H),7.39(d,2H),4.85−4.95(m,1H),4.33(t,2H),3.0−3.51(m,2H),1.45(s,9H)。
【0134】
2−((tert−ブトキシカルボキシル)アミノ)エチル(S)−4−(4−(6−アミノ−5−(1−(2,6−ジクロロ−3−フルオロフェニル)エトキシ))ピリジン−3−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)ピペリジン−1−カルボキシレート(5)の調製
【0135】
CHCl(50mL)中のクリゾチニブ塩酸塩(1)(100mg、0.2mmol)及び(4)(136mg、0.41mmol)の混合物に、室温でDIPEA(0.4mL、0.67mmol)を添加した。得られた混合物を16時間撹拌した。混合物を水(2×20mL)で洗浄した。有機層をブライン(20mL)で洗浄し、NaSOで乾燥し、蒸発させた。粗残渣を、0〜10%MeOH−CHClを用いる順相クロマトグラフィにより精製して、(5)を得た(130mg、99%)。H−NMR(300MHz,CDCl):δ7.75(d,1H),7.55(s,1H),7.47(s,1H),7.25−7.27(m,1H),7.01−7.08(m,1H),6.85(d,1H),6.05−6.1(m,1H),475−4.85(m,3H),4.1−4.35(m,5H),3.39−3.45(m,2H),2.9−3.0(m,2H),2.1−2.19(m,2H),1.9−1.98(m,2H),1.86(d,3H),12.1−2.19(m,2H),1.9−1.98(m,2H),1.86(d,3H),1.43(s,9H)。MS m/z=637.2[M]。t=5.16。
【0136】
2−アミノエチル(S)−4−(4−(6−アミノ−5−(1−(2,6−ジクロロ−3−フルオロフェニル)エトキシ)ピリジン−3−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)ピペリジン−1−カルボキシレート・HCl(6)の調製
【0137】
THF(10mL)中の(5)(125mg、0.19mmol)の混合物に、室温でHCl(4mL、ジオキサン中4N)を添加した。得られた混合物を16時間撹拌した。溶媒を蒸発させ、得られた残渣をジエチルエーテルで粉砕した。固体を濾過し、乾燥させて(6)を得た(100mg、94%)。これを更に精製することなく次の工程に使用した。H−NMR(300MHz,DMSO−d):δ8.03−8.13(m,3H),7.71−7.85(m,3H),7.53−7.63(m,2H),7.42−7.52(m,1H),7.12(s,1H),6.21−6.31(m,1H),4.25−4.45(m,1H),4.05−4.19(m,4H),2.9−3.07(m,4H),1.91−2.05(m,2H),1.80−1.89(m,5H)。MSm/z=537.2[M]。HPLC純度=98%、t=4.72。
【0138】
4−(10,15,20−トリス(4−(メトキシカルボキシル)フェニル)ポルフィリン−5−イル)安息香酸(8)の調製
【0139】
1,2−ジクロロエタン(10mL)中のテトラメチルポルフィリン誘導体(7)(1.0g、1.18mmol)及びMeSnOH(0.43g、2.36mmol)の混合物を、マイクロ波反応器中、150℃で1時間反応させた。溶媒を蒸発させ、残渣を精製のためにシリカに吸収させた。シリカ吸収粗化合物を0〜10%MeOH−CHCl(0.1%CHCOOH)を用いる順相クロマトグラフィにより精製して、所望の化合物(8)(275mg、28%)を得た。H−NMR(300MHz,DMSO−d):δ17.0(s,1H),13.2(brs,1H),8.81−8.82(m,8H),8.35−8.37(m,16H),4.03(s,9H)。
【0140】
トリメチル4,4’,4’’−(20−(4−((2−((4−(4−(6−アミノ−5−(1−(2,6−ジクロロ−3−フルオロフェニル)エトキシ)ピリジン−3−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)ピペリジン−1−カルボキシル)オキシ)エチル)カルバモイル)フェニル)ポルフィリン−5,10,15−トリイル)(S)−トリベンゾエート(標的OS002)の調製
【0141】
NMP(10mL)中の(6)(100mg、0.165mmol)、(8)(143mg、0.165mmol)、及びPyBOP(136mg、0.248mmol)の混合物に、DIPEA(0.2mL、0.99mmol)を添加した。得られた混合物を周囲温度で一晩撹拌した。混合物を水(2mL)でクエンチし、CHCl(2×20mL)で抽出した。合わせた有機層を水で洗浄し、NaSOで乾燥し、蒸発させた。粗化合物を0〜10%MeOH−CHClを用いる順相クロマトグラフィにより精製して、所望の標的化合物OS002を紫色の固体として得た(132mg、56%)。H−NMR(300MHz,CDCl):δ12.17(s,1H),8.81(d,8H),8.45(d,6H),8.18−8.29(m,10H),7.72(s,1H),7.43−7.53(m,3H),7.14−7.18(m,1H),6.93(t,1H),6.79(s,1H),5.9−6.1(m,1H),4.72(s,2H),4.53(t,1H),4.2−4.48(m3H),4.10(s,9H),3.89−3.95(m,2H),2.9−3.15(m,2H),2.13−2.23(m,2H),1.9−2.19(m,2H),1.77(d,3H)、HPLCによる純度:>96%、t=7.69。
【0142】
HPLC条件
【数5】
【0143】
OS002の合成スキームでは、アミド化試薬PyBOPを用いてアリールカルボキシレート(8)を第一級アミン(6)と縮合させてOS002を得ることが示されている。一実施形態では、アリールカルボキシレート(8)はカルボキシレートP1について交換してもよく、ここでカルボン酸置換基(COOH)がオルト、メタ、又はパラ、即ち、2、3、又は4位を占め、ここで3つの置換基L、M、及びNはそれらのそれぞれの芳香環上で独立してオルト、メタ、又はパラ(2、3、又は4位)を占め得る。
【0144】
【化5】
【0145】
置換基L、M、及びNは、以下からなる群から選択される:
a)H;
b)カルボキシアリールエステル及び酸(COOR)(RはH、低級直鎖又は分枝アルキル、シクロアルキル、ヒドロキシ置換アルキル、ポリエーテル(低級PEG)、アミノ置換アルキル、ヘテロ置換シクロアルキル、及び更に糖であり得る)。更に、Rはアリール及びヘテロアリール置換基を含み得る;
c)カルボキサミド(CONR1R2)(R1及びR2基は、Hから個々に選択され得、低級直鎖又は分枝アルキル、シクロアルキル、ヒドロキシ置換アルキル、ポリエーテル(低級PEG)、アミノ置換アルキル、ヘテロ置換シクロアルキルであり得る)。更に、Rはアリール及びヘテロアリール置換基を含み得る;
d)アミノアリール基(NR1R2)(R1又はR2は、低級アルキル、分枝低級アルキル、シクロアルキル、又はヘテロ置換アルキル若しくはヘテロ置換シクロアルキルの群から個々に選択され得る)。RはまたC(O)Rのようなアシル基であり得、ここでRは低級アルキル、ヒドロキシ置換アルキル、ポリエーテル(低級PEG)、アミノ置換アルキル、シクロアルキルを含み得る。更に、Rはアリール及びヘテロアリール置換基を含み得る;
e)チオール、スルホン酸、及びそれらの対応するアミドを含み得る硫黄含有官能基。アミドは更に、窒素部分NHRを含有するとして定義され得、このNが硫黄原子に単結合で接続しており、ここでRは低級アルキル、シクロアルキル、又はヘテロ置換アルキル若しくはヘテロ置換シクロアルキルであり得る。RはまたC(O)Rのようなアシル基であり得、ここでRは低級アルキル、ヒドロキシ置換アルキル、ポリエーテル(低級PEG)、アミノ置換アルキル、シクロアルキルを含み得る。更に、Rはアリール及びヘテロアリール置換基を含み得る;
f)低級直鎖又は分枝アルキル基、シクロアルキル基、ヒドロキシ置換アルキル、ポリエーテル(低級PEG)、アミノ置換アルキル、シクロアルキル及びヘテロ置換シクロアルキル;並びに
g)酸素基、例えばヒドロキシ及び置換ヒドロキシアリール(OH又はOR)(ここでRは低級直鎖又は分枝アルキル基、シクロアルキル基、ヒドロキシ置換アルキル、ポリエーテル(低級PEG)、アミノ置換アルキル、シクロアルキル及びヘテロ置換シクロアルキルを含む群から選択され得る)。更に、Rはアシル(C(O)R)、カルバモイルオキシ(C(O)NR1R2)を含み得、ここでR1及びR2は低級アルキル、アリール及びヘテロアリール置換基である。
【0146】
更なる実施形態では、カルボキシレート置換基(COOH)はその芳香環上のパラ(4位)を占め、更に他の3つの芳香環のそれぞれ上の置換基は同一であり、即ちL=M=Nである。更に、置換基L、M、及びNは、各芳香環上のそれらの位置が同一であるように位置している;例えば、各置換基がそのそれぞれの芳香環上のメタ位を占める場合。好ましい実施態様は、置換基L、M、及びNが全てカルボキシレート(COOH)又はカルボキシメチル(COOMe)であり、それらのそれぞれの芳香環のパラ位(即ち、4位)に位置する場合である。
【0147】
図6に示すように、出発材料であるtert−ブチル(2−ヒドロキシエチル)カルバメート(2)は、シゾチニブの窒素に対するカルバメート結合及び(8)のカルボキシレートに対するアミド結合を介してポルフィリン(8)をシゾチニブに接続する連結体部分の重要な構築ブロックとして利用される。一実施形態では、出発材料(2)は保護アミノアルコールL5又はL6で置き換えられ、ここで基Pはカルバメート(例えば、BOC、FMOC、Alloc、CBZ)、アミド(例えば、アセトアミド、ジクロロアセトアミド)を含み得るアミン保護基又はアミンの窒素と保護基の炭素又はケイ素のいずれかとの間の結合を含有する他の保護基(例えば、ベンジル、tert−ブチル、トリイソプロピルシリル)を表す。L5又はL6では、n=1〜12である。好ましい実施形態では、アミノアルコールL5は、PがBOCであり、n=1であるように選ばれる。
【0148】
【数6】
【0149】
図6は、クリゾチニブがカルバモイルアミン部分によってその第二級アミンで官能化されている重要な中間体(6)の調製を示す。一実施形態では、(1)の毒素、キナーゼ阻害剤クリゾチニブは、組Tnaから選択されるキナーゼ阻害剤と置き換えられる(表7)。Xは、L5又はL6に対するアミド結合を表す。好ましい実施形態では、P1はポルフィリンであり、ここでL、M、及びNは、全てポルフィリン環に対してパラに位置するカルボン酸又はカルボキシメチル基であり、ここでリンカーに対してアミド結合を形成するカルボン酸基はポルフィリン環に対してパラに位置する。更に、L5が使用され、ここでP=H及びn=1であり、キナーゼ阻害剤はクリゾチニブである。
【0150】
標的OS009の合成のための手順は図15に示され、以下に記載される。
【0151】
(S)−4,4’,4’’−(20−(4−((2−((4−(4−(6−アミノ−5−(1−(2,6−ジクロロ−3−フルオロフェニル)エトキシ)ピリジン−3−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)ピペリジン−1−カルボニル)オキシ)エチル)カルバモイル)フェニル)ポルフィリン−5,10,15−トリイル)トリ安息香酸(2)の調製
【0152】
THF:MeOH:HO(1.5mL、3:1:1)中のOS002(35mg、2.03mmol)の混合物にLiOH・HO(7mg、0.166mmol)を添加した。得られた混合物を室温で64時間撹拌した。溶媒を蒸発させ、0.1MのHCl水溶液を添加することによって反応混合物のpHをpH6〜7に調整し、凍結乾燥した。この手順に従って、追加のバッチを25mg規模で同様に調製した。合わせたバッチを、溶媒系としてアセトニトリル−水(0.1%TFA)を用いる分取HPLCによって精製して、緑色の固体として所望の化合物(2)(17.5mg、30%)を得た。MS(ESI)m/z=1309.3[M]。HPLCによる純度(ELSD):>97%、t=6.0。
【0153】
HPLC条件。
可変波長検出器及びELSD検出器を備えたAgilentTech1100シリーズHPLCシステム
カラム:Agela、Durashell C18、3.0μm、4.60×50mm。
移動相:A(0.1%TFAを含むACN)
移動相:D(0.1%TFAを含むHO)
【0154】
標的OS0024の合成のための手順は図7に示され、以下に記載される。
【0155】
工程1:エチル5−(3−(10,15,20−トリス(3−ヒドロキシフェニル)ポルフィリン−5−イル)フェノキシ)ペンタノエート)(2)の合成
【0156】
DMF(30mL)中のメソ−テトラキス(3−ヒドロキシフェニル)ポルフィリン(1)(1.25g、1.84mmol)及びKCO(0.5g)の混合物を窒素下に室温で30分間撹拌した。エチル5−ブロモペンタノエート(1.15g、5.5mmol、3当量)を添加した。混合物を室温で一晩撹拌した。反応混合物をDCMで希釈し、水、飽和NaHCO(水溶液)、水、及びブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、蒸発させた。粗残渣を2回の連続カラムクロマトグラフィで精製して(2)を得た(0.42g、28%)。H−NMR(300MHz,DMSO−d):δ12.0(s,1H),9.90(s,3H),8.88(s,8H),7.66−7.79(m,3H),7.52−7.65(m,9H),7.36−7.7.42(m,1H),7.18−7.26(m,3H),4.12−4.20(m,2H),4.05(q,2H),2.34−2.40(m,2H),1.65−1.85(m,4H),1.12(t,3H)。
【0157】
工程2:5−(3−(10,15,20−トリス(3−ヒドロキシフェニル)ポルフィリン−5−イル)フェノキシ)ペンタン酸(3)の合成
【0158】
THF(45mL)中の(2)(157mg、0.19mmol)の溶液に、室温で水(30mL)中のLiOH−HO(0.15g)の溶液を添加した。混合物を室温で一晩撹拌した。THFを蒸発させ、飽和NHClで希釈し、DCMで抽出し、ブラインで洗浄し、蒸発させた。それを更に精製することなく次の工程の反応に使用した。(3)(0.14g,92%);H−NMR(300MHz,DMSO−d):δ12.0(s,2H),9.90(s,3H),8.89(s,8H),7.66−7.82(m,3H),7.54−7.65(m,9H),7.36−7.7.42(m,1H),7.20−7.26(m,3H),4.14−4.22(m,2H),2.26−2.36(m,2H),1.65−1.85(m,4H)。
【0159】
工程3:N−((2S,3S,4R,6R)−3−ヒドロキシ−2−メチル−6−(((1S,3S)−3,5,12−トリヒドロキシ−3−(2−ヒドロキシアセチル)−10−メトキシ−6,11−ジオキソ−1,2,3,4,6,11−ヘキサヒドロテトラセン−1−イル)オキシ)テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)−5−(3−(10,15,20−トリス(3−ヒドロキシフェニル)ポルフィリン−5−イル)フェノキシ)ペンタンアミド(OS0024)の合成
【0160】
DMF(5.5mL)中の(3)(53mg、0.068mmol)の溶液に、HATU(56mg、0.147mmol、2.16当量)及びDIPEA(75mL)を添加した。室温で5分間撹拌し、続いてドキソルビシン−HCl(35mg、0.06mmol、0.9当量)を添加する。混合物を室温で一晩撹拌した。DMFを蒸発させ、残渣を順相カラムクロマトグラフィ、続いて溶離剤としてTFAを含むACN/水を用いた分取HPLCにより精製して、所望の標的化合物OS0024(5mg)を得た。
MS(ES)[M+1]=1304;HPLC純度:90%(UV400)及びELSD(96%)。
【0161】
HPLC条件
【数7】
【0162】
図7は、炭素が二官能性リンカー出発材料エチル5−ブロモペンタノエートに由来する共有結合リンカーを介したポルフィリン(1)とドキソルビシンとの共役を示す。一実施形態では、ポルフィリン(1)はポルフィリンP4によって置換され得る、
【0163】
【化6】
【0164】
式中、ヒドロキシ置換基は芳香環のオルト、メタ、又はパラ位(2、3、又は4位)に位置することができ、更にここで置換基L、M、及びNは独立して、オルト、メタ、又はパラ、即ち、それらのそれぞれの芳香環上の2位、3位、又は4位を占め得る。置換基L、M、及びNは、以下からなる組から選択される:
a)H;
b)カルボキシアリールエステル及び酸(COOR)(RはH、低級直鎖又は分枝アルキル、シクロアルキル、ヒドロキシ置換アルキル、ポリエーテル(低級PEG)、アミノ置換アルキル、ヘテロ置換シクロアルキル及び更に糖であり得る)。更に、Rはアリール及びヘテロアリール置換基を含み得る;
c)カルボキサミド(CONR1R2)(R1及びR2基は個々にH、低級直鎖又は分枝アルキル、シクロアルキル、ヒドロキシ置換アルキル、ポリエーテル(低級PEG)、アミノ置換アルキル、ヘテロ置換シクロアルキルであり得る)。更に、Rはアシル(C(O)R1)、カルバモイルオキシ(C(O)NR1R2)、アリール及びヘテロアリール置換基を含み得る。
d)アミノアリール基(NR1R2)(R1又はR2は、低級アルキル、分枝低級アルキル、シクロアルキル、又はヘテロ置換アルキル若しくはヘテロ置換シクロアルキルの群から個々に選択され得る)。RはまたC(O)Rのようなアシル基であり得、ここでRは低級アルキル、ヒドロキシ置換アルキル、ポリエーテル(低級PEG)、アミノ置換アルキル、シクロアルキルを含み得る。更に、Rはアリール及びヘテロアリール置換基を含み得る;
e)チオール、スルホン酸、及びそれらの対応するアミドを含み得る硫黄含有官能基。アミドは更に、窒素部分NHRを含有するとして定義され得、このNが硫黄原子に単結合で接続しており、ここでRは低級アルキル、シクロアルキル、又はヘテロ置換アルキル若しくはヘテロ置換シクロアルキルであり得る。RはまたC(O)Rのようなアシル基であり得、ここでRは低級アルキル、ヒドロキシ置換アルキル、ポリエーテル(低級PEG)、アミノ置換アルキル、シクロアルキルを含み得る。更に、Rはアリール及びヘテロアリール置換基を含み得る;
f)低級直鎖又は分枝アルキル基、シクロアルキル基、ヒドロキシ置換アルキル、ポリエーテル(低級PEG)、アミノ置換アルキル、シクロアルキル及びヘテロ置換シクロアルキル;
g)酸素基、例えばヒドロキシ及び置換ヒドロキシアリール(OH又はOR)(ここでRは低級直鎖又は分枝アルキル基、シクロアルキル基、ヒドロキシ置換アルキル、ポリエーテル(低級PEG)、アミノ置換アルキル、シクロアルキル及びヘテロ置換シクロアルキルを含む群から選択され得る)。更に、Rは、アシル、アリール、及びヘテロアリール置換基を含み得る;並びに
h)シアノ又はハロゲン(F、Cl、Br、I)。
【0165】
更なる実施形態では、芳香族ヒドロキシ置換基(OH)はその芳香環上のメタ(3位)を占め、更に、他の3つの芳香環のそれぞれの置換基は同一であり、即ち、L=M=Nである。更に、置換基L、M、及びNは、各芳香環上のそれらの位置が同一であるように位置している;例えば、各置換基がそのそれぞれの芳香環上のメタ位を占める場合。好ましい実施形態では、置換基L、M、及びNは全てヒドロキシル(OH)であり、それらのそれぞれの芳香環のメタ(3位)に位置している。
【0166】
図7に示すように、ポルフィリンのフェノール基を塩基性条件下でエチル5−ブロモペンタノエートとのS2反応によりアルキル化して中間体(2)を得る。一実施形態では、エチル5−ブロモペンタノエートをL1又はL2で置き換えてもよい。特に、L1及びL2に関して、nは1〜12で選択される。Xは、フェノール性酸素原子とのS2反応によるフェノール性エーテルの形成に適した脱離基である(例えば、図7の(2))。これに関連して、脱離基Xはハロゲン脱離基(Cl、Br、I)又はメシレート、トシレート、若しくはトリフレートのような種々の活性化スルホニルエステルのいずれかである。更に、L1又はL2上のYは、様々なカルボキシレートエステル(OR)であり得、ここで、Rは、H、低級直鎖又は分枝アルキル、シクロアルキル、アリール又はヘテロアリールであるように選択され得る。好ましい実施形態では、Xはブロモであり、Yはエトキシである。
【0167】
ドキソルビシンへの結合は、ペプチドカップリング試薬HATUを用いて中間体(2)のエステル基を対応するカルボン酸(3)に鹸化し、カルボン酸とドキソルビシンのアミノ糖部分上のアミンとの間にアミド結合を形成し、OS0024を得ることによって起こる。図7で共役した毒素はドキソルビシンであるが、より一般的には、表6に示すように、アミド結合を形成することができるアミノ糖部分を有するアントラサイクリン抗生物質から選択することができ、ここでドキソルビシンはT1bとして示され、類似体の例はT2b〜T4bで示される。好ましい実施形態では、全ての置換基(L=M=N)がポルフィリン環に対してメタ位に位置するヒドロキシル基であるように選択され、ここでL1がn=3、Xがブロモであり、YがエトキシであるようにP4が選択される。更に、この好ましい実施形態では、毒素はドキソルビシン(T1b)として選択される。
【0168】
標的OS007の合成手順は図8に示され、以下に記載される。
【0169】
4−(10,15,20−トリス(4−(メトキシカルボニル)フェニル)ポルフィリン−5−イル)安息香酸(2)の調製
【0170】
1,2−ジクロロエタン(10mL)中のテトラキス(4−カルボメトキシフェニル)ポルフィリン(1)(1.0g、1.18mmol)及びMeSnOH(0.43g、2.36mmol)の混合物を、マイクロ波反応器中、150℃で1時間反応させた。溶媒を蒸発させ、精製のためにシリカゲルに吸収させた。シリカ吸収粗化合物を0〜10%MeOH−CHCl(0.1%CHCOOH)を用いる順相クロマトグラフィにより精製して、所望の化合物(2)(275mg、28%)を得た。H−NMR(300MHz,DMSO−d):δ17.0(s,1H),13.2(brs,1H),8.81−8.82(m,8H),8.35−8.37(m,16H),4.03(s,9H)。
【0171】
6−(4−(10,15,20−トリス(4−(メトキシカルボニル)フェニル)ポルフィリン−5−イル)ベンズアミド)ヘキサン酸(4)の調製
【0172】
NMP(15mL)中の(2)(300mg、0.36mmol)、PyBOP(374mg、0.72mmol)、及びDIPEA(0.48mL、2.8mmol)の混合物を室温で10分間撹拌した。上記混合物に、6−アミノヘキサン酸(3、188mg、1.44mmol)を添加し、得られた混合物を室温で48時間撹拌した。混合物をCHClで希釈し、水(3×50mL)で洗浄した。有機層をNaSOで乾燥し、蒸発させた。残渣を0〜10%MeOH−CHClを用いる順相クロマトグラフィにより精製して、所望の化合物(4)(89mg、26%)を得た。H−NMR(300MHz,CDCl):δ12.17(s,1H),8.80(s,8H),8.14−8.44(m,16H),6.39(brt,1H),3.51−3.62(m,2H),2.40−2.45(m,2H),1.45−1.79(m,6H)。
【0173】
トリメチル4,4’,4’’−(20−(4−((6−(((2S,3S,4S,6R)−3−ヒドロキシ−2−メチル−6−(((1S,3S))−3,5,12−トリヒドロキシ−3−(2−ヒドロキシアセチル)−10−メトキシ−6,11−ジオキソ−1,2,3,4,6,11−ヘキサヒドロテトラセン−1−イル)オキシ)テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)アミノ)−6−オキソヘキシル)カルバモイル)フェニル)ポルフィリン−5,10,15−トリイル)トリベンゾエート(OS007)の調製。
【0174】
DMF(2.5mL)中の(4)(20mg、0.021mmol)、HATU(19.2mg、0.051mmol)、及びDIPEA(30μL、0.168mmol)の混合物に、室温で10分間撹拌した。上記混合物に、ドキソルビシン.HCl((5)、13.5mg、0.023mmol)を添加し、得られた混合物を室温で16時間撹拌した。混合物をCHClで希釈し、水(3×10mL)で洗浄した。有機層をNaSOで乾燥し、蒸発させた。残渣を、0〜10%MeOH−CHClを用いる順相クロマトグラフィにより精製して、所望の化合物OS007(21mg、68%)を得た。%)。H−NMR(300MHz,DMSO−d):δ12.0(s,1H),9.90(s,3H),8.88(s,8H),7.66−7.79(m,3H),7.52−7.65(m,9H),7.36−7.7.42(m,1H),7.18−7.26(m,3H),4.12−4.20(m,2H),4.05(q,2H),2.34−2.40(m,2H),1.65−1.85(m,4H),1.12(t,3H)。
【0175】
図8において、PyBOPを用いてポルフィリンカルボキシレート(2)を6−アミノヘキサン酸(3)と縮合させてアミド(4)を得る。一実施形態では、アミノ酸(3)はアミノ酸L3又はL4で置き換えられ、ここで基PはHを表す。L3及びL4におけるnの値は1〜12から選択され、YはOHである。
【0176】
【数8】
【0177】
図8に示すアントラサイクリン毒素はドキソルビシンである。しかしながら、一実施形態では、アントラサイクリンは、T1bがドキソルビシンである基T1b〜T4bから選択されてもよい(表6)。
【0178】
図8は更に、ByPOPを用いて中間体(2)中のアミンを(4)のカルボン酸基と縮合させて共役体OS007を得ることを記載している。従ってポルフィリン(4)は、ポルフィリン(2)から誘導され、ポルフィリン(2)は、P1で置き換えられてもよく、ここでカルボン酸置換基(COOH)はオルト、メタ、又はパラ位、即ち、2位、3位、又は4位を占め、ここで3つの置換基L、M、及びNは独立して、それらのそれぞれの芳香環上でオルト、メタ、又はパラ(2位、3位、又は4位)を占め得る。置換基L、M、及びNは、以下からなる組から選択される:
a)H;
b)カルボキシアリールエステル及び酸(COOR)(RはH、低級直鎖又は分枝アルキル、シクロアルキル、ヒドロキシ置換アルキル、ポリエーテル(低級PEG)、アミノ置換アルキル、ヘテロ置換シクロアルキル及び更に糖であり得る)。更に、Rはアリール及びヘテロアリール置換基を含み得る;
c)カルボキサミド(CONR1R2)(R1及びR2基は個々にH、低級直鎖又は分枝アルキル、シクロアルキル、ヒドロキシ置換アルキル、ポリエーテル(低級PEG)、アミノ置換アルキル、ヘテロ置換シクロアルキルであり得る)。更に、Rはアリール及びヘテロアリール置換基を含み得る;
d)アミノアリール基(NR1R2)(R1又はR2は、低級アルキル、分枝低級アルキル、シクロアルキル、又はヘテロ置換アルキル若しくはヘテロ置換シクロアルキルの群から個々に選択され得る)。RはまたC(O)Rのようなアシル基であり得、ここでRは低級アルキル、ヒドロキシ置換アルキル、ポリエーテル(低級PEG)、アミノ置換アルキル、シクロアルキルを含み得る。更に、Rはアリール及びヘテロアリール置換基を含み得る;
e)チオール、スルホン酸、及びそれらの対応するアミドを含み得る硫黄含有官能基。アミドは更に、窒素部分NHRを含有するとして定義され得、このNが硫黄原子に単結合で接続しており、ここでRは低級アルキル、シクロアルキル、又はヘテロ置換アルキル若しくはヘテロ置換シクロアルキルであり得る。RはまたC(O)Rのようなアシル基であり得、ここでRは低級アルキル、ヒドロキシ置換アルキル、ポリエーテル(低級PEG)、アミノ置換アルキル、シクロアルキルを含み得る。更に、Rはアリール及びヘテロアリール置換基を含み得る;
f)低級直鎖又は分枝アルキル基、シクロアルキル基、ヒドロキシ置換アルキル、ポリエーテル(低級PEG)、アミノ置換アルキル、シクロアルキル及びヘテロ置換シクロアルキル;
g)酸素基、例えばヒドロキシ及び置換ヒドロキシアリール(OH又はOR)(ここでRは低級直鎖又は分枝アルキル基、シクロアルキル基、ヒドロキシ置換アルキル、ポリエーテル(低級PEG)、アミノ置換アルキル、シクロアルキル及びヘテロ置換シクロアルキルを含む群から選択され得る)。更に、Rはアシル(C(O)R)、カルバモイルオキシ(C(O)NR1R2)、アリール、及びヘテロアリール置換基を含み得る;並びに
h)シアノ又はハロゲン(F、Cl、Br、I)。
【0179】
更なる実施形態では、カルボキシレート置換基(COOH)はその芳香環上のパラ(即ち、4位)を占め、更に他の3つの芳香環のそれぞれ上の置換基は同一であり、即ち、L=M=Nである。更に、置換基L、M、及びNは、各芳香環上のそれらの位置が同一であるように位置している;例えば、各置換基がそのそれぞれの芳香環上のメタ位を占める場合。好ましい実施態様は、置換基L、M、及びNが全てカルボキシレート(COOH)又はカルボキシメチル(COOMe)であり、それらのそれぞれの芳香環のパラ位(即ち、4位)に位置する場合である。
【0180】
標的OS030の合成手順は図9に示され、以下に記載される。
【0181】
4−(10,15,20−トリス(4−(メトキシカルボニル)フェニル)ポルフィリン−5−イル)安息香酸(2)の調製
【0182】
1,2−ジクロロエタン(10mL)中の1(1.0g、1.18mmol)及びMeSnOH(0.43g、2.36mmol)の混合物を、マイクロ波反応器中、150℃で1時間反応させた。溶媒を蒸発させ、精製のためにシリカゲルに吸収させた。シリカ吸収粗化合物を0〜10%MeOH−CHCl(0.1%CHCOOH)を用いる順相クロマトグラフィにより精製して、所望の化合物(2)(275mg、28%)を得た。H−NMR(300MHz,DMSO−d):δ17.0(s,1H),13.2(brs,1H),8.81−8.82(m,8H),8.35−8.37(m,16H),4.03(s,9H)。
【0183】
トリメチル4,4’,4’’−(20−(4−((2−ヒドロキシエチル)カルバモイル)フェニル)ポルフィリン−5,10,15−トリイル)トリベンゾエート(4)の調製
【0184】
NMP(1mL)中の(2)(20mg、0.024mmol)、エタノールアミン3(5.8mg、0.096mmol)、及びPyBOP(19mg、0.036mmol)の混合物に、DIPEA(20μL、0.12mmol)を添加した。得られた混合物を周囲温度で一晩撹拌した。混合物を水(1mL)でクエンチし、CHCl(2×5mL)で抽出した。合わせた有機層を水で洗浄し、NaSOで乾燥し、蒸発させた。粗化合物を0〜10%MeOH−CHClを用いる順相クロマトグラフィにより精製して、所望の化合物(4)を紫色の固体として得た(14mg、67%)。H−NMR(300MHz,CDCl):δ12.09(s,1H),8.80(s,8H),8.26−8.45(m,16H),6.92(brs,1H),4.10(s,9H),3.98−4.01(m,2H),3.80−3.84(m,2H)。
【0185】
トリメチル4,4’,4’’−(20−(4−((2−(((4−ニトロフェノキシ)カルボニル)オキシ)エチル)カルバモイル)フェニル)ポルフィリン−5,10,15−トリイル)トリベンゾエート(6)の調製。CHCl:DMF(8:2、1mL)中の(4)(12mg、0.0137mmol)及び(5)(4mg、0.049mmol)の混合物に、室温でDIPEA(12μLg、0.068mmol)を添加した。得られた混合物を4時間撹拌した。混合物をDCM(2mL)で希釈し、水(2×10mL)で洗浄し、NaSOで乾燥し、蒸発させた。粗残渣を0〜10%MeOH−CHClを用いる順相クロマトグラフィにより精製して(6)(8mg、57%)を得た。H−NMR(300MHz,CDCl):δ12.17(s,1H),8.81(s,8H),8.16−8.43(m,18H),7.42(d,2H),6.84(brt,1H),4.62−4.64(m,2H),3.9−4.11(m,11H)。
【0186】
トリメチル4,4’,4’’−(20−(4−((2−((((2S,3S,4S,6R)−3−ヒドロキシ−2−メチル−6−(((1S,3S)−3,5,12−トリヒドロキシ−3−(2−ヒドロキシアセチル)−10−メトキシ−6,11−ジオキソ−1,2,3,4,6,11−ヘキサヒドロテトラセン−1−イル)オキシ)テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)カルバモイル)オキシ)エチル)カルバモイル)フェニル)ポルフィリン−5,10,15−トリイル)トリベンゾエート(OS030)の調製
【0187】
DMF(0.8mL)中の(6)(8mg、0.0076mmol)及びドキソルビシン.HCl(7)(3.7mg、0.0064mmol)の混合物に、室温でDIPEA(10μLg、0.061mmol)を添加した。得られた混合物を4時間撹拌した。混合物をCHCl(5mL)で希釈した。混合物を水(2×5mL)で洗浄し、NaSOで乾燥し、蒸発させた。粗残渣を、0〜10%MeOH−CHClを用いる順相クロマトグラフィにより精製して、OS0030(7mg、77%)を得た。H−NMR(300MHz,DMSO−d):δ12.0(s,1H),9.90(s,3H),8.88(s,8H),7.66−7.79(m,3H),7.52−7.65(m,9H),7.36−7.7.42(m,1H),7.18−7.26(m,3H),4.12−4.20(m,2H),4.05(q,2H),2.34−2.40(m,2H),1.65−1.85(m,4H),1.12(t,3H)。
【0188】
図9において、ヒドロキシカルボキサミド(4)は、エタノールアミン(3)とポルフィリンカルボキシレート(2)との縮合から形成される。一実施形態では、エタノールアミン(3)はアミノアルコールL5又はL6で置き換えられてもよく、ここで基PはHを表し、n=1〜12である。図9に示す毒素はドキソルビシンである。しかしながら、一実施形態では、アントラサイクリンは、T1bがドキソルビシンである基T1b〜T4bから選択されてもよい(表6)。一実施形態では、図9に示すカルボキシアリールポルフィリン(2)はP1で置き換えられてもよく、ここでカルボン酸置換基(COOH)がオルト、メタ、又はパラ、即ち、2、3、又は4位を占め、ここで3つの置換基L、M、及びNは独立して、それらのそれぞれの芳香環上でオルト、メタ、又はパラ(2位、3位、又は4位)を占め得る。置換基L、M、及びNは、以下からなる組から選択される:
a)H;
b)カルボキシアリールエステル及び酸(COOR)(RはH、低級直鎖又は分枝アルキル、シクロアルキル、ヒドロキシ置換アルキル、ポリエーテル(低級PEG)、アミノ置換アルキル、ヘテロ置換シクロアルキル及び更に糖であり得る)。更に、Rはアリール及びヘテロアリール置換基を含み得る;
c)カルボキサミド(CONR1R2)(R1及びR2基は個々にH、低級直鎖又は分枝アルキル、シクロアルキル、ヒドロキシ置換アルキル、ポリエーテル(低級PEG)、アミノ置換アルキル、ヘテロ置換シクロアルキルであり得る)。更に、Rはアリール及びヘテロアリール置換基を含み得る;
d)アミノアリール基(NR1R2)(R1又はR2は、低級アルキル、分枝低級アルキル、シクロアルキル、又はヘテロ置換アルキル若しくはヘテロ置換シクロアルキルの群から個々に選択され得る)。RはまたC(O)Rのようなアシル基であり得、ここでRは低級アルキル、ヒドロキシ置換アルキル、ポリエーテル(低級PEG)、アミノ置換アルキル、シクロアルキルを含み得る。更に、Rはアリール及びヘテロアリール置換基を含み得る;
e)チオール、スルホン酸、及びそれらの対応するアミドを含み得る硫黄含有官能基。アミドは更に、窒素部分NHRを含有するとして定義され得、このNが硫黄原子に単結合で接続しており、ここでRは低級アルキル、シクロアルキル、又はヘテロ置換アルキル若しくはヘテロ置換シクロアルキルであり得る。RはまたC(O)Rのようなアシル基であり得、ここでRは低級アルキル、ヒドロキシ置換アルキル、ポリエーテル(低級PEG)、アミノ置換アルキル、シクロアルキルを含み得る。更に、Rはアリール及びヘテロアリール置換基を含み得る;
f)低級直鎖又は分枝アルキル基、シクロアルキル基、ヒドロキシ置換アルキル、ポリエーテル(低級PEG)、アミノ置換アルキル、シクロアルキル及びヘテロ置換シクロアルキル;
g)酸素基、例えばヒドロキシ及び置換ヒドロキシアリール(OH又はOR)(ここでRは低級直鎖又は分枝アルキル基、シクロアルキル基、ヒドロキシ置換アルキル、ポリエーテル(低級PEG)、アミノ置換アルキル、シクロアルキル及びヘテロ置換シクロアルキルを含む群から選択され得る)。更に、Rはアシル(C(O)R)、カルバモイルオキシ(C(O)NR1R2)を含み得、ここでR1及びR2はH、低級アルキル、アリール、及びヘテロアリール置換基であってもよい。
【0189】
好ましい実施形態では、ポルフィリンはP1であるように選択され、ここでカルボン酸基はポルフィリン環に対してパラ位にあり、L、M、及びNは全てカルボン酸又はカルボキシメチルエステル基であり、全てポルフィリン環に対してパラ位にある。更に、この好ましい実施形態では、n=1及びP=HとなるようにL5が選択される。
【0190】
標的OS035の合成手順は図10に示され、以下に記載される。
【0191】
4−(10,15,20−トリス(4−(メトキシカルボニル)フェニル)ポルフィリン−5−イル)安息香酸(2)の調製。1,2−ジクロロエタン(10mL)中の(1)(1.0g、1.18mmol)及びMeSnOH(0.43g、2.36mmol)の混合物を、マイクロ波反応器中、150℃で1時間反応させた。溶媒を蒸発させ、精製のためにシリカゲルに吸収させた。シリカ吸収粗化合物を0〜10%MeOH−CHCl(0.1%CHCOOH)を用いる順相クロマトグラフィにより精製して、所望の化合物(2)(275mg、28%)を得た。H−NMR(300MHz,DMSO−d):δ17.0(s,1H),13.2(brs,1H),8.81−8.82(m,8H),8.35−8.37(m,16H),4.03(s,9H)。
【0192】
6−(4−(10,15,20−トリス(4−(メトキシカルボニル)フェニル)ポルフィリン−5−イル)ベンズアミド)ヘキサン酸(4)の調製
【0193】
NMP(15mL)中の(2)(300mg、0.36mmol)、PyBOP(374mg、0.72mmol)、及びDIPEA(0.48mL、2.8mmol)の混合物を室温で10分間撹拌した。上記混合物に、6−アミノヘキサン酸(3、188mg、1.44mmol)を添加し、得られた混合物を室温で48時間撹拌した。混合物をCHClで希釈し、水(3×50mL)で洗浄した。有機層をNaSOで乾燥し、蒸発させた。残渣を0〜10%MeOH−CHClを用いる順相クロマトグラフィにより精製して、所望の化合物(4)を得た(89mg、26%)。H−NMR(300MHz,CDCl):δ12.17(s,1H),8.80(s,8H),8.14−8.44(m,16H),6.39(brt,1H),3.51−3.62(m,2H),2.40−2.45(m,2H),1.45−1.79(m,6H)。
【0194】
トリメチル4,4’,4’’−(20−(4−(((3R,4S,7S,10S)−4−((S)−sec−ブチル))−3−(2−((S)−2−((1R,2R)−3−(((1S,2R)−1−ヒドロキシ−1−フェニルプロパン−2−イル)アミノ)−1−メトキシ−2−メチル−3−オキソプロピル)ピロリジン−1−イル)−2−オキソエチル)−7,10−ジイソプロピル−5,11−ジメチル−6,9,12−トリオキソ−2−オキサ−5,8,11−トリアザヘプタデカン−17−イル)カルバモイル)フェニル)ポルフィリン−5,10,15−トリイル)トリベンゾエート(OS035)の調製
【0195】
DMF(2mL)中の(4)(21mg、0.022mmol)、HATU(20.2mg、0.053mmol)、及びDIPEA(31μL、0.177mmol)の混合物に、室温で10分間撹拌した。上記混合物に、モノメチルアウリスタチンE(5、17.5mg、0.024mmol)、続いてHOBt(3.3mg、0.024mmol)を添加し、得られた混合物を室温で16時間撹拌した。混合物をCHClで希釈し、水(3×10mL)で洗浄した。有機層をNaSOで乾燥し、蒸発させた。残渣を0〜10%MeOH−CHClを用いる順相クロマトグラフィにより精製して、所望の標的化合物OS035を得た(12mg、33%)。
【0196】
図10は、OS035を得るための、ペプチドカップリング試薬HATUを用いた、モノメチルアウリスタチンE(5)の第二級アミンと中間体4のカルボキシレートとの縮合を示す。一実施形態では、(5)はアウリスタチン関連ペプチドT5c、T9c、及びT10cと置き換えられてもよい(表8)。
【0197】
表8.アウリスタチン関連ペプチド
【表8】
【0198】
別の実施形態では、アミノ酸(3)は保護されたL3又はL4で置き換えられ、ここでP=H及びn=1〜12であり、ここでYはOHである。
【0199】
【数9】
【0200】
図10では、ポルフィリンカルボキシレート(2)を第一級アミン(3)と縮合させてアミド結合を形成し、中間体カルボキシレート(4)を得、次にこれをMMAE(5)と縮合させてOS035を得る。しかしながら、別の実施形態では、(2)をP1で置き換えてもよく、ここでカルボン酸置換基(COOH)が、ポルフィリン環に対してオルト位、メタ位、又はパラ位、即ち、2位、3位、又は4位を占め、ここで3つの置換基L、M、及びNは独立して、それらのそれぞれの芳香環上でオルト、メタ、又はパラ(2位、3位、又は4位)を占め得る。置換基L、M、及びNは、以下からなる組から選択される:
a)H;
b)カルボキシアリールエステル及び酸(COOR)(RはH、低級直鎖又は分枝アルキル、シクロアルキル、ヒドロキシ置換アルキル、ポリエーテル(低級PEG)、アミノ置換アルキル、ヘテロ置換シクロアルキル、及び更に糖であり得る)。更に、Rはアリール及びヘテロアリール置換基を含み得る;
c)カルボキサミド(CONR1R2)(R1及びR2基は個々にH、低級直鎖又は分枝アルキル、シクロアルキル、ヒドロキシ置換アルキル、ポリエーテル(低級PEG)、アミノ置換アルキル、ヘテロ置換シクロアルキルであり得る)。更に、Rはアリール及びヘテロアリール置換基を含み得る;
d)アミノアリール基(NR1R2)(R1又はR2は、低級アルキル、分枝低級アルキル、シクロアルキル、又はヘテロ置換アルキル若しくはヘテロ置換シクロアルキルの群から個々に選択され得る)。RはまたC(O)Rのようなアシル基であり得、ここでRは低級アルキル、ヒドロキシ置換アルキル、ポリエーテル(低級PEG)、アミノ置換アルキル、シクロアルキルを含み得る。更に、Rはアリール及びヘテロアリール置換基を含み得る;
e)チオール、スルホン酸、及びそれらの対応するアミドを含み得る硫黄含有官能基。アミドは更に、窒素部分NHRを含有するとして定義され得、このNが硫黄原子に単結合で接続しており、ここでRは低級アルキル、シクロアルキル、又はヘテロ置換アルキル若しくはヘテロ置換シクロアルキルであり得る。RはまたC(O)Rのようなアシル基であり得、ここでRは低級アルキル、ヒドロキシ置換アルキル、ポリエーテル(低級PEG)、アミノ置換アルキル、シクロアルキルを含み得る。更に、Rはアリール及びヘテロアリール置換基を含み得る;
f)低級直鎖又は分枝アルキル基、シクロアルキル基、ヒドロキシ置換アルキル、ポリエーテル(低級PEG)、アミノ置換アルキル、シクロアルキル及びヘテロ置換シクロアルキル;
g)酸素基、例えばヒドロキシ及び置換ヒドロキシアリール(OH又はOR)(Rは低級直鎖又は分枝アルキル基、シクロアルキル基、ヒドロキシ置換アルキル、ポリエーテル(低級PEG)、アミノ置換アルキル、シクロアルキル及びヘテロ置換シクロアルキルを含む群から選択され得る)。更に、Rはアシル(C(O)R)、カルバモイルオキシ(C(O)NR1R2)を含み得、ここでR1及びR2は低級アルキル、アリール、及びヘテロアリール置換基である。
【0201】
好ましい実施形態では、ポルフィリンはP1であるように選択され、ここでカルボン酸基はポルフィリン環に対してパラ位にあり、L、M、及びNは全てカルボン酸又はカルボキシメチルエステル基であり、全てポルフィリン環に対してパラ位にある。更に、この好ましい実施形態では、L3は、n=4及びP=Hとなるように選択される。この実施形態では、毒素はT4cである(表8)。
【0202】
標的OS032の合成手順は図11に示され、以下に記載される。
【0203】
4−(10,15,20−トリス(4−(メトキシカルボニル)フェニル)ポルフィリン−5−イル)安息香酸(2)の調製
【0204】
1,2−ジクロロエタン(10mL)中のテトラメチルポルフィリンエステル(1)(1.0g、1.18mmol)及びMeSnOH(0.43g、2.36mmol)の混合物をマイクロ波反応器中、150℃で1時間反応させた。溶媒を蒸発させ、精製のためにシリカゲルに吸収させた。シリカ吸収粗化合物を0〜10%MeOH−CHCl(0.1%CH3COOH)を用いる順相クロマトグラフィにより精製して、所望の化合物(2)を得た(275mg、28%)。H−NMR(300MHz,DMSO−d):δ17.0(s,1H),13.2(brs,1H),8.81−8.82(m,8H),8.35−8.37(m,16H),4.03(s,9H).
【0205】
トリメチル4,4’,4’’−(20−(4−((2−ヒドロキシエチル)カルバモイル)フェニル)ポルフィリン−5,10,15−トリイル)トリベンゾエート(4)の調製
【0206】
NMP(1mL)中の(2)(20mg、0.024mmol)、エタノールアミン(3)(5.8mg、0.096mmol)、及びPyBOP(19mg、0.036mmol)の混合物に、DIPEA(20μL、0.12mmol)を添加した。得られた混合物を周囲温度で一晩撹拌した。混合物を水(1mL)でクエンチし、CHCl(2×5mL)で抽出した。合わせた有機層を水で洗浄し、NaSOで乾燥し、蒸発させた。粗化合物を0〜10%MeOH−CHClを用いるISCOにより精製して、所望の化合物(4)を紫色の固体として得た(14mg、67%)。H−NMR(300MHz,CDCl):δ12.09(s,1H),8.80(s,8H),8.26−8.45(m,16H),6.92(brs,1H),4.10(s,9H),3.98−4.01(m,2H),3.80−3.84(m,2H)。
【0207】
トリメチル4,4’,4’’−(20−(4−((2−(((4−ニトロフェノキシ)カルボニル)オキシ)エチル)カルバモイル)フェニル)フェニル)ポルフィリン−5,10,15−トリイル)トリベンゾエート(6)の調製
【0208】
CHCl:DMF(8:2、1mL)中の(4)(12mg、0.0137mmol)及びp−ニトロフェニルクロロホルメート5(4mg、0.049mmol)の混合物に、室温でDIPEA(12μLg、0.068mmol)を添加した。得られた混合物を4時間撹拌した。混合物をDCM(2mL)で希釈し、水(2×10mL)で洗浄し、NaSOで乾燥し、蒸発させた。粗残渣を0〜10%MeOH−CHClを用いる順相クロマトグラフィにより精製して(6)を得た(8mg、57%)。H−NMR(300MHz,CDCl):δ12.17(s,1H),8.81(s,8H),8.16−8.43(m,18H),7.42(d,2H),6.84(brt,1H),4.62−4.64(m,2H),3.9−4.11(m,11H)。
【0209】
トリメチル4,4’,4’’−(20−(4−(((3R,4S,7S,10S)−4−((S)−sec−ブチル))−3−(2−((S)−2−((1R,2R)−3−(((1S,2R)−1−ヒドロキシ−1−フェニルプロパン−2−イル)アミノ)−1−メトキシ−2−メチル−3−オキソプロピル)ピロリジン−1−イル)−2−オキソエチル)−7,10−ジイソプロピル−5,11−ジメチル−6,9,12−トリオキソ−2,13−ジオキサ−5,8,11−トリアザペンタデカン−15−イル)カルバモイル)フェニル)ポルフィリン−5,10,15−トリイル)トリベンゾエート(OS0032)の調製
【0210】
DMF(0.8mL)中の(6)(20mg、0.019mmol)及びモノメチルアウリスタチンE(7)(15.1mg、0.021mmol)の混合物に、室温でDIPEA(27μLg、0.153mmol)を添加した。得られた混合物を周囲温度で16時間撹拌した。混合物をCHCl(5mL)で希釈し、水(2×10mL)で洗浄し、NaSOで乾燥し、蒸発させた。粗残渣を、0〜10%MeOH−CHClを用いる順相クロマトグラフィにより精製して、所望の標的OS0032を得た(15mg、77%)。H−NMR(300MHz,CDCl):δ8.85(s,8H),8.43(d,6H,J=8),8.18−8.33(m,10H),7.21−7.31(m,5H),6.43(m,1H),3.80−4.89(m,17H),3.75(d,1H,J=7),3.19−3.34(m,9H),2.97(m,6H),2.31−2.42(m,4H),1.97−2.18(m,3H),1.60−1.75(M,3h),1.17−1.38(M,5H),0.68−0.97(m,26H).
【0211】
図11において、ヒドロキシアミド中間体(4)は、ポルフィリンカルボキシレート2とエタノールアミン(3)との縮合から形成される。
【0212】
一実施形態では、3はアミノアルコールL5又はL6で置き換えられ、ここで基PはHを表し、n=1〜12である。
【0213】
別の実施形態では、MMAE(7)は、アウリスアチン関連ペプチドT5c、T9c、及びT10cで置き換えられてもよい(表8)。MMAEは表8においてT4cとして示される。
【0214】
【数10】
【0215】
別の実施形態では、ポルフィリン(2)はP1で置き換えられてもよく、ここでカルボン酸置換基(COOH)はオルト、メタ、又はパラ、即ち、2、3、又は4位を占め、ここで3つの置換基L、M、及びNは独立して、それらのそれぞれの芳香環上でオルト、メタ、又はパラ(2、3、又は4位)を占め得る。置換基L、M、及びNは、以下からなる組から選択される:
a)H;
b)カルボキシアリールエステル及び酸(COOR)(RはH、低級直鎖又は分枝アルキル、シクロアルキル、ヒドロキシ置換アルキル、ポリエーテル(低級PEG)、アミノ置換アルキル、ヘテロ置換シクロアルキル及び更に糖であり得る)。更に、Rはアリール及びヘテロアリール置換基を含み得る;
c)カルボキサミド(CONR1R2)(R1及びR2基は個々にH、低級直鎖又は分枝アルキル、シクロアルキル、ヒドロキシ置換アルキル、ポリエーテル(低級PEG)、アミノ置換アルキル、ヘテロ置換シクロアルキルであり得る)。更に、Rはアリール及びヘテロアリール置換基を含み得る;
d)アミノアリール基(NR1R2)(R1又はR2は、低級アルキル、分枝低級アルキル、シクロアルキル、又はヘテロ置換アルキル若しくはヘテロ置換シクロアルキルの群から個々に選択され得る)。RはまたC(O)Rのようなアシル基であり得、ここでRは低級アルキル、ヒドロキシ置換アルキル、ポリエーテル(低級PEG)、アミノ置換アルキル、シクロアルキルを含み得る。更に、Rはアリール及びヘテロアリール置換基を含み得る;
e)チオール、スルホン酸、及びそれらの対応するアミドを含み得る硫黄含有官能基。アミドは更に、窒素部分NHRを含有するとして定義され得、このNが硫黄原子に単結合で接続しており、ここでRは低級アルキル、シクロアルキル、又はヘテロ置換アルキル若しくはヘテロ置換シクロアルキルであり得る。RはまたC(O)Rのようなアシル基であり得、ここでRは低級アルキル、ヒドロキシ置換アルキル、ポリエーテル(低級PEG)、アミノ置換アルキル、シクロアルキルを含み得る。更に、Rはアリール及びヘテロアリール置換基を含み得る;
f)低級直鎖又は分枝アルキル基、シクロアルキル基、ヒドロキシ置換アルキル、ポリエーテル(低級PEG)、アミノ置換アルキル、シクロアルキル及びヘテロ置換シクロアルキル;
g)酸素基、例えばヒドロキシ及び置換ヒドロキシアリール(OH又はOR)(ここでRは低級直鎖又は分枝アルキル基、シクロアルキル基、ヒドロキシ置換アルキル、ポリエーテル(低級PEG)、アミノ置換アルキル、シクロアルキル及びヘテロ置換シクロアルキルを含む群から選択され得る)。更に、Rはアシル(C(O)R)、カルバモイルオキシ(C(O)NR1R2)を含み得、ここでR1及びR2はH、低級アルキル、アリール、及びヘテロアリール置換基であり得る。
【0216】
好ましい実施形態では、アミノアルコールL5は、PがHであり、n=1であるように選択される。この実施形態では、ポルフィリンはP1であるように選択され、ここでカルボン酸基はポルフィリン環に対してパラ位にあり、L、M、及びNは全てカルボン酸又はカルボキシメチルエステル基であり、全てポルフィリン環に対してパラ位にある。更に、毒素はMMAE(T4c)である。
【0217】
標的OS025の合成手順は図12に示され、以下に記載される。
【0218】
1−(3−ヒドロキシプロピル)−4−(10,15,20−トリ(ピリジン−4−イル)ポルフィリン−5−イル)ピリジン−1−イウム(3)の調製
【0219】
EtOH及びCHCl(400mL、1:3)の混合物中の(1)(1.26g、2.03mmol)と3−ブロモ−1−プロパノール(2)(0.43g、2.36mmol)の混合物を6日間還流した。溶媒を蒸発させ、精製のためにシリカに吸収させた。シリカ吸収粗化合物を2本の短いシリカゲルカラム(CHCl:EtOH、7:3、v/v)で精製して、所望の化合物(3)(74mg、6%)を得た。H−NMR(300MHz,DMSO−d):δ11.9(s,1H),9.5(d,2H),8.81−9.08(m,16H),8.27(d,6H),5.00−5.03(m,3H),2.75−2.77(m,2H),2.32−2.35(m,2H)。MS m/z=677[M]
【0220】
1−(3−((((2S,3S,4S,6R)−3−ヒドロキシ−2−メチル−6−(((1S,3S)−3,5,12−トリヒドロキシ−3−(2−ヒドロキシアセチル)−10−メトキシ−6,11−ジオキソ−1,2,3,4,6,11−ヘキサヒドロテトラセン−1−イル)オキシ)テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)カルバモイル)オキシ)プロピル)−4−(10,15,20−トリ(ピリジン−4−イル)ポルフィリン−5−イル)ピリジン−1−イウム(OS0025)の調製
【0221】
DMSO−d(1mL)中の(3)(23mg、0.034mmol)及び(4)(13mg、0.05mmol)の混合物に、DIPEA(9μL、0.05mmol)を添加した。得られた混合物を周囲温度で一晩撹拌した。HPLCは(3)の消費及び新たなピークを示した。この時点で、(5)(20mg、0.034mmol)、続いてDIPEA(18μL、0.1mmol)を添加した。反応混合物を室温で7時間撹拌し、64時間かけて0℃で保存した。混合物を9mLのクロロホルムで希釈した。遠心分離(15分、3000rpm)後に上清層を集め、蒸発させた。残渣を逆相ISCOにより水−アセトニトリル(0.1%TFA)を用いて精製し、所望の化合物(6)(12.5mg、30%)を紫色の固体として得た。MS(ESI)m/z=1247[M]。HPLCによる純度(ELSD):>89%、t=3.58。
【0222】
HPLC条件
【数11】
【0223】
合成スキームは、S2反応を介して、1−ブロモ−3−プロパノール(2)を用いるメソ−テトラキス(4−ピリジル)ポルフィリン(1)のアルキル化によりピリジニウム中間体(3)を得ることを示す。一実施形態では、ブロモアルコール(2)は関連ブロモアルコールL7及びL8で置き換えられてもよく、ここでnは1〜12から選択される。
【0224】
【数12】
【0225】
ポルフィリン(1)はまた、P2によって置換されていてもよく、ここでヘテロ原子の位置は、4つの芳香環上のX、Y、又はZのうちの1つである。従って、P2の各ピリジン環上で、窒素(N)はX又はY又はZのいずれかに位置し、CHは残りの2つの位置を占める。例えば、ポルフィリンメソ−テトラキス(3−ピリジル)ポルフィリンは、4つ全てのピリジン環において、YがNであり、X及びZがCHである場合に表すことができる。一般的な実施形態では、各環上のNの位置は異なり得る。より好ましい実施形態では、各ピリジン環中のN原子の位置は、4つ全てのピリジン環中で同じである。好ましい実施形態では、ポルフィリンメソ−テトラキス(4−ピリジル)ポルフィリンは、X=Nとして表すことができ、Y及びZは、4つ全てのピリジン環上のCHである。
【0226】
図12は更に、活性カーボネート(4)とドキソルビシンのアミノ糖とを反応させて、OS025中にカルバメート部分を得ることを示している。別の実施形態では、ドキソルビシンは、T1bがドキソルビシンである基T1b〜T4bから選択されるアントラサイクリンで置き換えられ得る(表6)。
【0227】
好ましい実施形態では、P2は、X=N、Y=Z=CHであるように選択され;L7はn=1となるように選択され;TnbはT1b(ドキソルビシン)として選択される。
【0228】
標的OS0029の合成のための手順は図13に示され、以下に記載される。
【0229】
1−(3−ヒドロキシプロピル)−4−(10,15,20−トリ(ピリジン−4−イル)ポルフィリン−5−イル)ピリジン−1−イウム(3)の調製
【0230】
EtOH及びCHCl(400mL、1:3)の混合物中の(1)(1.26g、2.03mmol)及び(2)(3.31g、23.86mmol)の混合物を6日間還流した。溶媒を蒸発させ、精製のためにシリカに吸着させた。シリカ吸着粗化合物を2つの連続する短いシリカゲルカラム(CHCl:EtOH、7:3、v/v)によって精製して、所望の化合物(3)(74mg、6%)を得た。H−NMR(300MHz,DMSO−d):δ11.9(s,1H),9.5(d,2H),8.81−9.08(m,16H),8.27(d,6H),5.00−5.03(m,3H),2.75−2.77(m,2H),2.32−2.35(m,2H)。MS m/z=677[M]
【0231】
(S)−1−(3−((4−(4−(4−アミノ−3−(1−(2,6−ジクロロ−3−フルオロフェニル)エトキシ)フェニル)−1H−ピラゾール−1−イル)ピペリジン−1−カルボニル)オキシ)プロピル)−4−(10,15,20−トリ(ピリジン−4−イル)ポルフィリン−5−イル)ピリジン−1−イウム(OS0029)の調製
【0232】
DMSO−d(1.5mL)中の(3)(30mg、0.044mmol)及び炭酸ジスクシンイミジル(13.6mg、0.05mmol)の混合物に、DIPEA(11μL、0.066mmol)を添加した。得られた混合物を周囲温度で一晩撹拌した。HPLCは(3)の消費及び新たなピークを示した。この時点で、クリゾチニブ塩酸塩(25.8mg、0.053mmol)、続いてDIPEA(22μL、0.066mmol)を添加した。次いで混合物を室温で7時間撹拌し、0℃で64時間保存した。粗混合物を逆相カラムにロードし、0〜100%アセトニトリル−水(0.1%TFA)で溶離した。純粋な画分を集めて凍結乾燥した。固体をクロロホルム(5mL×4)で粉砕/超音波処理し、上清層を分離した。残った固体を一晩真空乾燥して、(6)(23mg、45%)を得た。MS(ESI)m/z=1152.3[M]。HPLCによる純度(ELSD):>97%、t=4.58。
【0233】
HPLC条件
【数13】
【0234】
図13は、S2反応により、ヒドロキシピリジニウム中間体(3)を得るための、1−ブロモ−3−プロパノール(2)によるメソ−テトラキス(4−ピリジル)ポルフィリン(1)のアルキル化を示す。一実施形態では、ブロモアルコール(2)はL7及びL8で置き換えられてもよく、ここでn=1〜12である。ポルフィリン1はポルフィリンP2で置き換えられてもよく、ここでヘテロ原子の位置は4つの芳香環上のX、Y、又はZのうちの1つである。従って、P2の各ピリジン環上で、窒素(N)はX又はY又はZのいずれかに位置し、CHは残りの2つの位置を占める。例えば、ポルフィリンメソ−テトラキス(3−ピリジル)ポルフィリンは、4つ全てのピリジン環において、YがNであり、X及びZがCHである場合に表すことができる。一般的な実施形態では、各環上のNの位置は異なり得る。より好ましい実施形態では、各ピリジン環中のN原子の位置は、4つ全てのピリジン環中で同じである。好ましい実施形態では、ポルフィリンメソ−テトラキス(4−ピリジル)ポルフィリンは、X=Nとして表すことができ、Y及びZは、4つ全てのピリジン環上のCHである。図13は更に、活性化カーボネート中間体を形成するための(3)とジスクシミジルカーボネートとの反応を示し、これは続いて工程3においてシリゾチニブの第二級アミンと反応してOS0029を得る。
【0235】
更に、表7に示すように、クリゾチニブは、この縮合反応においてキナーゼ阻害剤(T1a〜T33a)に置き換えられてもよい。
【0236】
好ましい実施形態では、P2は、X=N、Y=Z=CHとなるように選択され;L7はn=1となるように選択され;クリゾチニブは毒素である。
【0237】
標的OS0023の合成手順を図14に示され、以下に記載される。
【0238】
エチル5−(3−(10,15,20−トリス(3−ヒドロキシフェニル)ポルフィリン−5−イル)フェノキシ)ペンタノエート)(2)の合成
【0239】
DMF(30mL)中の1(1.25g、1.84mmol)及びKCO(0.5g)の混合物を窒素下に室温で30分間撹拌した。エチル5−ブロモペンタノエート(1.15g、5.5mmol、3当量)を添加した。混合物を室温で一晩撹拌した。混合物をDCMで希釈し、水で洗浄し、飽和NaHCO(水溶液)、水、及びブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、蒸発させた。粗残渣を2回連続カラムクロマトグラフィで精製して、(2)(0.42g、28%)を得た。H−NMR(300MHz,DMSO−d6):δ12.0(s,1H),9.90(s,3H),8.88(s,8H),7.66−7.79(m,3H),7.52−7.65(m,9H),7.36−7.7.42(m,1H),7.18−7.26(m,3H),4.12−4.20(m,2H),4.05(q,2H),2.34−2.40(m,2H),1.65−1.85(m,4H),1.12(t,3H)。
【0240】
5−(3−(10,15,20−トリス(3−ヒドロキシフェニル)ポルフィリン−5−イル)フェノキシ)ペンタン酸(3)の合成
【0241】
THF(45mL)中の(2)(157mg、0.19mmol)の溶液に、室温で水(30mL)中のLiOH−HO(0.15g)の溶液を添加した。混合物を室温で一晩撹拌した。THFで蒸発し、飽和NHCl(水溶液)で希釈し、DCMで抽出し、ブラインで洗浄し、蒸発させた。中間体を更に精製することなく次の工程の反応に使用した。(3)(0.14g,92%)H−NMR(300MHz,DMSO−d6):δ12.0(s,2H),9.90(s,3H),8.89(s,8H),7.66−7.82(m,3H),7.54−7.65(m,9H),7.36−7.7.42(m,1H),7.20−7.26(m,3H),4.14−4.22(m,2H),2.26−2.36(m,2H),1.65−1.85(m,4H)。
【0242】
5−(3−(10,15,20−トリス(3−アセトキシフェニル)ポルフィリン−5−イル)フェノキシ)ペンタン酸(4)の合成
【0243】
1%TfOH/CHCN(25mL)中の(3)(67mg、0.068mmol)の混合物に、室温でAcCl(1.5mL)を添加した。反応を同じ温度で2時間撹拌し、次いで冷半濃縮NaHCO及びEtOAcに注ぎ、EtOAcで抽出し、ブラインで洗浄し、溶媒を蒸発させた。粗残渣をカラムクロマトグラフィで精製して、4(75mg、95%)を得た。H−NMR(300MHz,CDCl):δ12.1(s,1H),8.91(s,8H),8.03−8.10(m,3H),7.92−7.98(m,3H),7.70=7.81(m,5H),7.58−7.64(m,1H),7.49−7.56(m,3H),7.32−7.28(m,1H),4.05−4.20(m,2H),2.28−2.35(m,2H),2.37(s,9H),1.84−194(m,4H)。
【0244】
(S)−(20−(3−((5−(4−(4−(6−アミノ−5−(1−(2,6−ジクロロ−3−フルオロフェニル)エトキシ))ピリジン−3−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)ピペリジン−1−イル)−5−オキソペンチル)オキシ)フェニル)ポルフィリン−5,10,15−トリイル)トリス(ベンゼン−3,1−ジイル)トリアセテート(5)の合成
【0245】
DMF(6mL)中の(4)(80mg、0.087mmol)の溶液に、HATU(77mg、0.2mmol、2.3当量)及びDIPEA(104μL)を添加した。室温で5分間撹拌した。クリゾチニブ−HCl(47mg、0.096mmol、1.1当量)を添加した。混合物を室温で一晩撹拌した。DMF溶媒を蒸発させ、残渣をEtOAcに溶解し、次いで水及びブラインで洗浄した。粗残渣を順相カラムクロマトグラフィにより精製して、(5)(71mg、61%)を得た;MS[M+1]=1336。
【0246】
(S)−1−(4−(4−(6−アミノ−5−(1−(2,6−ジクロロ−3−フルオロフェニル)エトキシ)ピリジン−3−イル)−1H−ピラゾール−1−イル))ピペリジン−1−イル)−5−(3−(10,15,20−トリス(3−ヒドロキシフェニル)ポルフィリン−5−イル)フェノキシ)ペンタン−1−オン(OS0023)の合成
【0247】
MeOH/DMF(20mL/6mL)中の(5)(71mg、0.053mmol)の溶液に、メタノール中のNaOMeの溶液(3.2mL、50mM、1当量)を0℃で添加した。反応をHPLCでモニターした。同じ温度で1時間撹拌し、次いで室温に加温した。室温で2時間撹拌した後、HPLCは反応が完了したことを示した。HOAcのMeOH溶液(0.4mL/2mL)で反応をクエンチさせた。濃縮し、残渣をEtOAcに溶解し、水及びブラインで洗浄した。溶媒を蒸発させた後、残渣を順相カラムクロマトグラフィにより精製して、所望の標的OS0023(35mg、55%)を得た。MS[M+1]=1210。
【0248】
図14は、ペプチドカップリング試薬HATUを使用して、中間体(5)を得るための、クリゾチニブの第二級アミンと中間体4のカルボキシレート基との縮合を示す。一実施形態では、クリゾチニブは、表7に示される組から選択される他のキナーゼ阻害剤と置き換えられてもよく、ここで、クリゾチニブは表7の化合物(1)である。
【0249】
更に、他の実施形態では、OS0023の合成に使用されるエチル5−ブロモペンタノエートは、L1又はL2のいずれかで置き換えられてもよく、ここでYはOHを表し、nはL1及びL2について1〜12から選択される。Xは、フェノール又はその共役塩基等の求核剤とのS2反応に適した脱離基を表す。これに関連して、脱離基Xはハロゲン脱離基(Cl、Br、I)又はメシレート、トシレート、若しくはトリフレートのような種々の活性化スルホニルエステルのいずれかである。
【0250】
図14は、中間体(2)を得るためのメソ−テトラキス(3−ヒドロキシフェニル)ポルフィリン(1)のアルキル化を示す。更に別の実施形態では、フェノール性ポルフィリン(1)はポルフィリンP4で置き換えられ、ここでヒドロキシ置換基は芳香環のオルト、メタ、又はパラ位(2位、3位、又は4位)に位置することができ、更にここで置換基L、M、及びNは独立して、それらのそれぞれの芳香環上で、オルト、メタ、又はパラ、即ち2位、3位、又は4位を占め得る。置換基L、M、及びNは、以下からなる群から選択される:
a)H;
b)カルボキシアリールエステル及び酸(COOR)(RはH、低級直鎖又は分枝アルキル、シクロアルキル、ヒドロキシ置換アルキル、ポリエーテル(低級PEG)、アミノ置換アルキル、ヘテロ置換シクロアルキル、及び更に糖であり得る)。更に、Rはアリール及びヘテロアリール置換基を含み得る;
c)カルボキサミド(CONR1R2)(R1及びR2基は個々にH、低級直鎖又は分枝アルキル、シクロアルキル、ヒドロキシ置換アルキル、ポリエーテル(低級PEG)、アミノ置換アルキル、ヘテロ置換シクロアルキルであり得る)。更に、Rはアシル(C(O)R1)、カルバモイルオキシ(C(O)NR1R2)、アリール、及びヘテロアリール置換基を含み得る。
d)アミノアリール基(NR1R2)(R1又はR2は、低級アルキル、分枝低級アルキル、シクロアルキル、又はヘテロ置換アルキル若しくはヘテロ置換シクロアルキルの群から個々に選択され得る)。RはまたC(O)Rのようなアシル基であり得、ここでRは低級アルキル、ヒドロキシ置換アルキル、ポリエーテル(低級PEG)、アミノ置換アルキル、シクロアルキルを含み得る。更に、Rはアリール及びヘテロアリール置換基を含み得る;
e)チオール、スルホン酸、及びそれらの対応するアミドを含み得る硫黄含有官能基。アミドは更に、窒素部分NHRを含有するとして定義され得、このNが硫黄原子に単結合で接続しており、ここでRは低級アルキル、シクロアルキル、又はヘテロ置換アルキル若しくはヘテロ置換シクロアルキルである。RはまたC(O)Rのようなアシル基であり得、ここでRは低級アルキル、ヒドロキシ置換アルキル、ポリエーテル(低級PEG)、アミノ置換アルキル、シクロアルキルを含み得る。更に、Rはアリール及びヘテロアリール置換基を含み得る。
f)低級直鎖又は分枝アルキル基、シクロアルキル基、ヒドロキシ置換アルキル、ポリエーテル(低級PEG)、アミノ置換アルキル、シクロアルキル、及びヘテロ置換シクロアルキル;
g)酸素基、例えばヒドロキシ及び置換ヒドロキシアリール(OH又はOR)(Rは低級直鎖又は分枝アルキル基、シクロアルキル基、ヒドロキシ置換アルキル、ポリエーテル(低級PEG)、アミノ置換アルキル、シクロアルキル及びヘテロ置換シクロアルキルを含む群から選択され得る)。更に、Rは、アシル、アリール、及びヘテロアリール置換基を含み得る;並びに
h)シアノ又はハロゲン(F、Cl、Br、I)。
【0251】
L1を利用する好ましい実施形態では、n=4、Xはブロモであり、Yはエトキシである。更に、P4は、L、M、及びNが全てポルフィリン環に対してパラ位にあるヒドロキシルであるように選択される。毒素はクリゾチニブであるように選択される。
【0252】
PAC化合物の細胞傷害活性及び/又は有効性は、以下に記載されるように評価される。一組の腫瘍及び正常細胞株をインビトロで評価する。CellTiter−Glo(登録商標)Assay(PromegaCorporation)を使用して、用量応答曲線を決定するために、ある範囲の濃度にわたって本明細書に開示されるような個々のPAC化合物の細胞傷害活性を決定する。試験されるべきPAC化合物は使用するまで−20℃で暗所に保存する。略語:TCPP=テトラ(4−カルボキシフェニル)ポルフィリン;THPP=メソ−テトラキス(3−ヒドロキシフェニル)ポルフィリン。アッセイのために選択された例示的な細胞株は表10に列挙されている。エントリ1〜4は癌細胞株である一方で、エントリ5〜6は正常細胞株である。
【0253】
表10.インビトロアッセイ用の細胞株
【表9】
【0254】
細胞培養条件:細胞傷害性アッセイを実施する前に、又は十分な細胞増殖が確立されるまで、細胞を解凍し、増殖させ、2回分割する。細胞はそれらの適切な培地で増殖させる;がん細胞株用の培地には、5%ウシ胎児血清(熱不活性化されていない)及び抗菌剤及び/又は真菌剤が補給される。通常の細胞株の培養には、製造元が指定した培地を使用する。CellTiter−Glo(登録商標)Assayでは、細胞を96ウェルプレートにプレートあたり1つの細胞株を配置する。各プレート上で、本明細書に開示されるように選択されたPAC化合物に暴露された細胞についてAssayを実施する(8用量レベル、各用量レベルで3回反復)。同じプレート上で、細胞を未反応細胞傷害剤に暴露するが、これは陽性対照としてプレート上で試験されているPAC化合物に組み込まれた細胞傷害剤に対応する(3回反復)。各プレート上で、上述の添加剤のいずれもなしで、Assayをそれらの適切な培地中で増殖させた細胞について行う(3回反復)。これは実験の陰性対照である。
【0255】
細胞アッセイは理想的には暗所又は低明所条件で行われる。PAC化合物を100%DMSO溶液に溶解し、表11に示すような濃度範囲にわたるアッセイにおいて試験する。
【0256】
表11.PAC化合物及び細胞毒素を試験するための用量範囲。
【表10】
【0257】
例えば、ドキソルビシンのような陽性対照は10μMドキソルビシンで使用する。
【0258】
培地(陰性対照):PAC化合物及び細胞傷害剤は100%DMSOに溶解されるので、「培地のみ」の陰性対照も同様にDMSOである。「培地のみ」の対照におけるDMSOの百分率は、PAC化合物及び細胞毒素の濃度範囲における最高のDMSO濃度の百分率と等しい。
【0259】
CellTiter−Glo(登録商標)Assayは、細胞を様々なPAC化合物に最初に暴露してから72時間後に実行すべきであり、代謝的に活性な細胞(生きている細胞、静止細胞、老化した細胞を示す)と代謝的に不活性な(死んだ)細胞とを識別する。
【0260】
PAC化合物のインビボ試験
【0261】
特定の医薬用途に対する特定のPAC化合物の有効性を評価するために、化合物を最初にインビトロで適切に選択された試験細胞に対して試験する。非限定的な例において、PAC化合物は、腫瘍細胞、例えばマウスのインビボモデルにおける肺腫瘍細胞に対して試験される。
【0262】
動物:腫瘍移植時に体重が約22〜25gの5〜6週齢のオスのヌード(nu/nu)マウスを使用する。異種移植片:ヌードマウス宿主において皮下増殖腫瘍から採取したNCI−H460ヒト非小細胞肺癌腫瘍の断片を用いて、マウスの腋窩部にトロカールにより皮下移植した。腫瘍のサイズが約248〜270mmの場合(移植後11〜15日)、動物を処置群及び対照群にペアマッチングさせる。各群は腫瘍を有する8匹のマウスを含み、それぞれマウスに耳タグを付け、実験を通して個別に追跡する。
【0263】
試験物品製剤の調製:各投与日に、ポルフィリン共役体を秤量し、最初の溶解のために適切な量のDMSOを添加する。これに、5%デキストロース水溶液(D5W)、等張生理食塩水若しくはグリセロール、又は上記の組み合わせを原液の調製のために添加する。従って、0.1〜1.0mg/mLの原液は、次いで連続希釈によって低濃度に希釈される。投与溶液は、滅菌シンチレーションバイアルに投与する直前に調製する。同様に、親ポルフィリン及び毒素対照化合物は、共役体に従って製剤化される。
【0264】
化合物用量の調製:調製プロセスは、試験動物への非経口投与に適したビヒクル中の化合物の性質に基づいて開発されている。共役体をDMSOに溶解し、次いで以下の希釈剤:等張生理食塩水、D5W又はグリセロールの1又は組み合わせで希釈して原液を調製し、これを更に腹腔内(IP)又は静脈内(i.v.)投与用に連続希釈する。共役体、親ポルフィリン、及び親毒素の用量範囲は1〜100mg/kgである。
【0265】
投与溶液保存:調製日に使用した調製済み試験物品投与溶液を、光がない状態で、投与及びサンプリング中、制御された周囲温度に維持する。調製日に使用されなかった調製済み試験物品投与溶液は廃棄される。
【0266】
投与手順:ビヒクル又は試験剤の投与は、ペアマッチングと同じ日に開始する(11日目)。用量は、そのときの各動物の体重に基づいて、10mL/kgの一定用量でIP又はi.v.注射によって投与される。
【0267】
腫瘍体積:腫瘍体積は、デジタルノギスを用いて腫瘍塊の幅(mm)及び長さ(mm)を測定することによって週2回モニターされる。腫瘍の測定値は、式{幅(mm)×長さ(mm)}×0.52を用いて腫瘍体積(mm)に変換される。
【0268】
体重:全てのマウスを各投与前に個々に体重測定するが、週に2回記録するだけである。臨床所見:各投与前及び頻繁に各投与後に、全てのマウスについて異常な臨床徴候が記録される。非投与日の体重測定時に、全てのマウスに異常な臨床徴候が記録される。死亡率の評価は毎日全てのマウスで行われる。
【0269】
データ分析:この実験では、それらのそれぞれの対照群と比較した各治療群についての腫瘍増殖阻害及び腫瘍増殖遅延が報告されている。対照マウス体積の中央値が1000mmに達した日の各群からの平均腫瘍体積を用いて、腫瘍増殖阻害(T/C)を計算する。腫瘍増殖遅延は、各群のマウス中央値が2000mmの同じ腫瘍体積終点に達するのに必要な時間を利用した。このデータはT−C及びT/C腫瘍増殖遅延として報告されている。各治療群の抗腫瘍活性の分類は、2つの刊行物(Hill,2001;Johnson,etal.,2001)に見られる同様のパラメータに基づいており、後者はNational Cancer Institute(Bethesda,MD)からの参考文献である。以下の表にこれらの知見をまとめる。
【0270】
【数14】
【0271】
部分的及び完全な退行もモニターされる。部分的な退行は、初回投与時の腫瘍のサイズと比較して腫瘍が50%以上退行した場合に生じる。腫瘍がもはや見えない又は触知できない場合、その腫瘍は完全な退行として表記される。毒性死とは、投与中又は投与終了直後に起こる死亡である。各群における体重変化率を記録するために、以下の式を使用した:(「x」日目の平均体重−1日目の平均体重)/1日目の体重×100%。各群の%最大体重減少は、薬物投与後最初の2週間の間に生じた最大体重減少であった。
【0272】
本明細書及び特許請求の範囲において、「約」又は「およそ」は、引用された数値の±20%以内、又は好ましい実施形態では±10%以内を意味することに留意されたい。本発明をこれらの好ましい態様を特に参照して詳細に説明したが、他の態様も同じ結果を達成することができる。例えば、ポルフィリン細胞傷害性共役体を生分解性マトリックス材料(例えばアルギネート、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、カプロラクトン)と組み合わせて、ポルフィリン細胞傷害剤が、生分解性マトリックスが溶解するときに経時的に組織に送達されるように組織に移植できる。本発明の変形及び修正は当業者には明らかであり、そのような修正及び均等物を全て網羅することを意図している。例えば、式Pn−Ln−Tnにおいて、本発明の一実施形態では、Lnのnは1〜300から選択され得る。上記及び/又は添付の中に引用されている全ての参考文献、出願、特許、及び出版物、並びに対応する出願の全体の開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【手続補正書】
【提出日】20190222
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図8
【補正方法】変更
【補正の内容】
【図8】
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図9
【補正方法】変更
【補正の内容】
【図9】
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図10
【補正方法】変更
【補正の内容】
【図10】
【手続補正4】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図11
【補正方法】変更
【補正の内容】
【図11】
【国際調査報告】