(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】2019523879
(43)【公表日】20190829
(54)【発明の名称】流量検出器
(51)【国際特許分類】
   G01F 1/684 20060101AFI20190802BHJP
   A61M 5/168 20060101ALI20190802BHJP
   A61M 5/172 20060101ALI20190802BHJP
   G01F 1/00 20060101ALI20190802BHJP
   A61M 5/142 20060101ALN20190802BHJP
【FI】
   !G01F1/684 A
   !A61M5/168 500
   !A61M5/168 530
   !A61M5/172
   !G01F1/00 Q
   !A61M5/142 520
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】32
(21)【出願番号】2018565354
(86)(22)【出願日】20170706
(85)【翻訳文提出日】20181213
(86)【国際出願番号】EP2017066901
(87)【国際公開番号】WO2018007502
(87)【国際公開日】20180111
(31)【優先権主張番号】16178656.1
(32)【優先日】20160708
(33)【優先権主張国】EP
(31)【優先権主張番号】16187465.6
(32)【優先日】20160906
(33)【優先権主張国】EP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】501205108
【氏名又は名称】エフ ホフマン−ラ ロッシュ アクチェン ゲゼルシャフト
【住所又は居所】スイス連邦、ツェーハー−4070 バーゼル、グレンツアッハーシュトラーセ 124
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】特許業務法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リスト、ハンス
【住所又は居所】ドイツ連邦共和国、64760 オーバーツェント、ジークフリートシュトラーセ 27
(72)【発明者】
【氏名】ヴィホヴスキ、フレデリック
【住所又は居所】ドイツ連邦共和国、68766 ホッケンハイム、ノイゲルテンリング 34/1
【テーマコード(参考)】
2F030
2F035
4C066
【Fターム(参考)】
2F030CA10
2F030CC01
2F030CC20
2F030CE02
2F030CE11
2F035EA01
2F035EA05
2F035EA08
2F035EA09
4C066AA09
4C066BB01
4C066CC01
4C066DD11
4C066JJ10
4C066LL02
4C066LL05
4C066QQ23
4C066QQ44
4C066QQ53
4C066QQ77
4C066QQ82
4C066QQ83
4C066QQ85
4C066QQ92
(57)【要約】
チャネル結合領域内の流路20と取り外し可能に結合し、流路20内の液体薬剤の流れを検出するための流量検出器1であって、上流側熱電素子10aおよび下流側熱電素子10bと、上流側付勢要素15aおよび下流側付勢要素15bとを備え、上流側熱電素子10aおよび下流側熱電素子10bは、互いから離間して配置され、互いから独立して移動可能であり、上流側付勢要素15aは、上流側熱電素子10aに作用することにより、上流側熱電素子10aをチャネル結合領域に向かって付勢し、下流側付勢要素15bは、下流側熱電素子10bに作用することにより、下流側熱電素子10bを、上流側付勢要素15aから独立してチャネル結合領域に向かって付勢する、流量検出器1が開示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャネル結合領域内の流路(20)と取り外し可能に結合し、前記流路(20)内の液体薬剤の流れを検出するための流量検出器(1)であって、
前記流量検出器(1)が、
上流側熱電素子(10a)および下流側熱電素子(10b)と、
上流側付勢要素(15a)および下流側付勢要素(15b)と
を含み、
前記上流側熱電素子(10a)および前記下流側熱電素子(10b)は、互いから離間して配置され、互いから独立して移動可能であり、
前記上流側付勢要素(15a)は、前記上流側熱電素子(10a)に作用することにより、前記上流側熱電素子(10a)を前記チャネル結合領域に向かって付勢し、前記下流側付勢要素(15b)は、前記下流側熱電素子(10b)に作用することにより、前記下流側熱電素子(10b)を前記上流側付勢要素(15a)から独立して前記チャネル結合領域に向かって付勢する、
流量検出器(1)。
【請求項2】
前記流量検出器は、中間熱電素子(10c)をさらに含み、前記中間熱電素子(10c)は、前記上流側熱電素子(10a)と前記下流側熱電素子(10b)との間に、前記上流側熱電素子(10a)および前記下流側熱電素子(10b)から離間して配置され、前記上流側熱電素子(10a)および前記下流側熱電素子(10b)から独立して移動可能であり、前記流量検出器(1)は、中間付勢要素(15c)を備え、前記中間付勢要素(15c)は、前記中間熱電素子(10c)に作用することにより、前記中間熱電素子(10c)を、前記上流側付勢要素(15a)および前記下流側付勢要素(15b)から独立して前記チャネル結合領域に向かって付勢する、請求項1記載の流量検出器(1)。
【請求項3】
チャネル結合領域内の流路(20)と取り外し可能に結合し、前記流路(20)内の液体薬剤の流れを検出するための流量検出器(1)であって、
前記流量検出器が、上流側熱電素子(10a)および下流側熱電素子(10b)を含み、
前記上流側熱電素子(10a)および前記下流側熱電素子(10b)は、互いから離間して配置され、前記上流側熱電素子(10a)は、前記チャネル結合領域内の流路(20)に上流位置(16a)で結合するように配置され、前記下流側熱電素子(10b)は、前記下流側熱電素子(10b)が下流側温度センサとして動作し、下流位置における下流温度を感知するように、前記チャネル結合領域内の前記流路(20)に下流位置(16b)で取り外し可能に結合するように配置され、
前記上流側熱電素子(10a)は、加熱要素として動作することによって前記上流位置(16a)にて前記流路(20)内部の液体を加熱し、上流側温度センサとして動作し、前記上流位置(16a)における上流温度を感知するように構成される、
流量検出器(1)。
【請求項4】
前記流量検出器(1’)は、第1参照熱電素子(10a’)および第2参照熱電素子(10b’)をさらに含み、前記第1参照熱電素子(10a’)および前記第2参照熱電素子(10b’)は、前記流路(20)に対し熱的に隔離されて配置される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の流量検出器(1’)。
【請求項5】
前記上流側熱電素子(10a)は、上流側要素キャリア(11a)上に配置され、前記下流側熱電素子(10b)は、下流側要素キャリア(11b)上に配置され、前記上流側要素キャリア(11a)と前記下流側要素キャリア(11b)との間に間隙(14)が存在する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の流量検出器(1)。
【請求項6】
前記上流側熱電素子(10a)は、上流側可撓性プリント回路基板要素上に配置され、前記下流側熱電素子は、下流側可撓性プリント回路基板要素に取り付けられる、請求項1〜5のいずれか1項に記載の流量検出器(1)。
【請求項7】
前記上流側熱電素子(10a)は、前記上流側可撓性回路基板要素の、前記チャネル結合領域の反対を向く側に配置され、前記下流側熱電素子(10b)は、前記下流側可撓性回路基板要素の、前記チャネル結合領域の反対を向く側に配置される、請求項6記載の流量検出器(1)。
【請求項8】
前記流量検出器(1)は、位置決め構造(24)を含み、前記位置決め構造(24)は、前記上流側熱電素子(10a)および前記下流側熱電素子(10b)に対し、前記流路(20)を位置決めするように設計される、請求項1〜7のいずれか1項に記載の流量検出器(1)。
【請求項9】
前記上流側熱電素子(10a)および前記下流側熱電素子(10b)は、サーミスタ、特に、負温度係数(NTC)サーミスタである、請求項1〜8のいずれか1項に記載の流量検出器(1)。
【請求項10】
前記上流側熱電素子(10a)および前記下流側熱電素子(10b)は、異なる電気抵抗のNTCサーミスタである、請求項9記載の流量検出器(1)。
【請求項11】
前記流量検出器(1)は、評価ユニット(3)を含み、前記評価ユニット(3)は、可変の周波数の出力信号を提供するように設計され、前記周波数は、前記上流側熱電素子(10a)に感知される上流温度と前記下流側熱電素子(10b)に感知される下流温度との差に依存する、請求項1〜10のいずれか1項に記載の流量検出器(1)。
【請求項12】
動作構成において、流路(20)を備える流体装置(2)の注入装置連結器(25)と取り外し可能に嵌合結合するように設計される流体装置連結器(70)と、
前記流路(20)を介して薬剤容器(5)の中から患者の身体へと液体薬剤を投与するように構成されるポンプ駆動ユニット(4)と、
時間に応じて変化する基礎注入投与速度に応じて連続的に薬剤を投与するために、前記ポンプ駆動ユニット(4)の動作を制御するように構成されるポンプ制御ユニット(6)と、
前記ポンプ制御ユニット(6)と動作結合している、請求項1〜11のいずれか1項に記載の流量検出器(1)と
を含む、
携帯型注入装置(7)。
【請求項13】
前記ポンプ制御ユニット(6)は、前記ポンプ駆動ユニット(4)を制御して、予め設定されたパルス容量の薬剤パルスを投与するように、および必要とされる基礎投与速度に応じて連続するパルス間の時間を変化させるように構成され、前記流量検出器は、前記薬剤パルスの投与のために断続的に動作されるように構成される、請求項12記載の携帯型注入装置(7)。
【請求項14】
流路(20)内の液体薬剤の流れを検出するために、流量検出器(1)を流路(20)に取り外し可能に結合する方法であって、
前記方法が、
上流側熱電素子(10a)および下流側熱電素子(10b)を前記流路(20)に取り外し可能に結合することであって、前記上流側熱電素子(10a)および前記下流側熱電素子(10b)は、前記流路(20)の延在方向に沿って、互いから離間して配置され、互いから独立して移動可能である、上流側熱電素子(10a)および下流側熱電素子(10b)を前記流路(20)に取り外し可能に結合することと、
前記上流側熱電素子(10a)を前記流路(20)に向けて付勢し、前記下流側熱電素子を独立的に前記流路(20)に向けて付勢することと
を含む、
方法。
【請求項15】
流路(20)内の液体薬剤流を検出する方法であって、
前記方法が、
上流側熱電素子(10a)を前記流路(20)に取り外し可能に結合することであって、前記上流側熱電素子(10a)および前記下流側熱電素子(10b)は、前記流路(20)の延在方向に沿って互いから離間して配置され、前記上流側熱電素子(10a)は、上流位置(16a)にて前記流路(20)に結合し、前記下流側熱電素子(10b)は、下流位置(16b)にて前記流路の壁に結合する、上流側熱電素子(10a)を前記流路(20)に取り外し可能に結合することと、
下流側温度センサとして動作し、前記下流位置(16b)における下流温度を感知するように前記下流側熱電素子(10b)を制御することと、
加熱要素として動作することによって、前記上流位置(16a)にて前記流路(20)内の液体を加熱するように、および上流側温度センサとして動作し、前記上流位置(16a)における上流温度を感知するように前記上流側熱電素子を制御することと
を含む、
方法。
【請求項16】
前記方法が、第1参照熱電素子(10a’)および第2参照熱電素子(10b’)を設けることをさらに含み、前記第1参照熱電素子(10a’)および前記第2参照熱電素子(10b’)は、前記流路(20)に対し、熱的に隔離されて配置され、
前記方法が、
前記上流側熱電素子(10a)および前記下流側熱電素子(10b)により提供される信号を処理することによって、流れに応じた出力信号を判定することと、
前記第1参照熱電素子(10a’)および前記第2参照熱電素子(10b’)により提供される信号を処理することによって、独立的に参照出力信号を判定することと、
前記流れに応じた出力信号と前記参照出力信号との関係を評価することと
をさらに含む、
請求項14または15記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、数多くの治療、特に糖尿病の治療に使用される携帯型注入システムおよび携帯型注入装置の分野に属している。より具体的には、本開示は、流量検出器および流量検出方法の分野に属する。
【背景技術】
【0002】
連続的な皮下インスリン注入(CSII)は、真性糖尿病の確立された最先端の治療法である。これは、多くのサプライヤから市販されている、精巧なコンピュータ制御型の携帯型注入装置を介して行われる。伝統的に、そのような携帯型注入装置は、小型シリンジ駆動装置として実現され、たとえば、ズボンのポケットの中で、ベルトクリップなどを用いて身に着けられる。最近、患者の皮膚に直接取り付けられる代替の装置が開発されている。また、代替の流体設計、たとえば特許文献1に記載されている可変式中間投与シリンダを備える下流側投与構造が提案されている。糖尿病治療は、携帯型注入装置の主な適用分野であるが、携帯型注入装置は、癌治療や疼痛治療などのさらなる治療にも使用されてもよい。
【0003】
長年に亘って多くの面で実質的な改善がなされてきたが、投与を管理することは依然として懸案事項である。特に、インスリンなどの液体薬剤は、時には不利な状況で、注入管または注入カニューレを詰まらせ、閉塞を引き起こし得る。最新技術によれば、たとえば、閉塞の場合に著しくかつ持続的に増加する駆動チェーンの反力を計測および評価することによって、閉塞は間接的に検出される。しかし、全体的なシステムの弾力性は低いが依然として存在するため、また、基礎送達スケジュールに従った典型的な薬物投与速度は、特に小児および青少年には非常に低いため、さらに、たとえば、シリンジ駆動システムの可変のピストン摩擦により生じる大きな不確実性という観点から、閉塞が検出されるまでの遅延時間は、かなり長く、数時間から潜在的には1日以上になる可能性がある。同時に、誤警報は不便であり、可能な限り無効にすべきである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】欧州特許出願公開第1970677号明細書
【発明の概要】
【0005】
この状況を考慮して、液体薬剤流を直接測定することが提案されている。この目的のために使用される熱式流量センサは、典型的に、加熱要素と、加熱要素から上流側、下流側それぞれに配置される2つの温度センサとを含み、加熱要素および温度センサは液体に熱的に結合している。液体が静止している(すなわち、流動が存在していない)場合、加熱要素から放出される熱エネルギーは、液体によって両方の温度センサに熱伝導され、両方の温度センサは、それに応じて同一の熱上昇を計測する(対称的な設定をとる)。しかし、「上流」から「下流」に向かう液体流が存在する場合、熱エネルギーは、大部分が下流に搬送され、下流側温度センサは、上流側温度センサに比較してより高い温度を計測することになり、温度差は液体速度を示している。
【0006】
原則として、そのような熱式流量センサは、すでに説明されたような携帯型注入システムの動作の監視に適合してもよい。しかし、すべての液体接触要素が無菌状態である必要があり、さらに、数日からたとえば2週間までの限定された使用期間の使い捨て品として実現される必要があることが考慮されなければならない。理想的には、それに応じて流量センサもまた、無菌の使い捨て品として設計される。しかし、取扱い、製造および特にコストに関連する多くの理由から、そのようなアプローチは望ましいものではなく、大部分が実行不可能である。
【0007】
しかし、携帯型注入装置の一部としての加熱要素および温度センサに、流路、たとえば1つの配管への取り外し可能な結合を提供する場合、たとえば、配管壁と良好な熱的結合を達成するのは困難である。
【0008】
国際公開第2012/059209号が、上記の種類の熱式流量センサを開示しており、これには、加熱要素および温度センサが、接触力を用いて配管壁に押圧されるばね仕掛式サスペンション上に標準の表面実装の構成要素として配置されている。しかし、携帯型注入装置内の空間は非常に限られているため、典型的には、ある程度の湾曲または屈曲が配管中に存在し、その結果、熱的結合が少なくとも部分的に不十分となる。したがって、小さな流量や少量の液体薬剤の投与は、検出が不可能である。
【0009】
米国特許第6813944号明細書は、代替の設計を開示しており、加熱要素および温度センサが、流路が直接結合する半導体基板の共通の部品上に実装されている。熱を考慮するとこのアプローチは有利であるが、(使い捨ての)流路と、半導体に直接設けられる、注入装置の一部である(永続性の)流量センサとの間の分離が必要であり、それにより、使い捨ての流路が交換される毎に、半導体およびその非常に小さいボンディングワイヤが自由にアクセス可能であり、保護されない。それに応じて、そのような設定は、実務および取扱いの観点から実行不可能である。
【0010】
本開示の全体的な目的は、携帯型注入システムによる液体薬剤投与の監視および管理のために、熱式流量検出器または流量センサの使用に関する状況を向上させることである。好ましくは、既に説明された先行技術の不利な点が減少または回避される。
【0011】
本開示のさらなる全体的な目的は、既に説明された使用のための熱式流量センサの構成要素の数を減少させることである。構成要素の数を減少させることは、一般的にコストの観点から好ましく、携帯型注入システムの文脈においては特に重要な面である、必要とされる設置スペースに関して特に有利となる。
【0012】
全体的な目的は、独立請求項の主題によって達成され、好ましくかつ例示的な実施形態は、従属請求項および全体の開示によって定義される。
【0013】
本明細書の文脈において液体薬剤が参照される場合、そのような液体薬剤は、具体的には液体のインスリン製剤である。しかしそれは、鎮痛剤または制癌剤など、携帯型注入システムを介して投与され得る他の任意の液体薬剤であってもよい。
【0014】
一態様によると、目的は、チャネル結合領域において流路と取り外し可能に結合し、流路内の液体薬剤の流れを検出するための流量検出器により達成される。流量検出器は、上流側熱電素子および下流側熱電素子を含む。上流側熱電素子および下流側熱電素子は、互いから離間して配置され、互いから独立して移動可能である。上流側熱電素子および下流側熱電素子は、特に、動作構成において、流路の延びる方向に沿って互いから離間して配置される。流路の延びる方向は、液体薬剤流の方向の軸に対応している。第1および下流側熱電素子は、特に、流路の延びる方向を横切る方向、すなわち、流路に向かうまたは流路から離れる方向に移動可能であり、流路の延びる方向を横切るようにのみ移動可能であってもよい。熱電素子の対応する動作は、旋回、屈曲、または曲げ動作であってもよく、また、たとえば、線形変位動作であってもよい。熱電素子は、動作構成において概して固定される流路に対し移動可能である。
【0015】
流量検出器は、上流側付勢要素および下流側付勢要素をさらに含んでもよい。上流側付勢要素は、上流側熱電素子に作用することにより、上流側熱電素子をチャネル結合領域に向けて付勢する。下流側付勢要素は、下流側熱電素子に作用することにより、上流側付勢要素から独立して下流側熱電素子をチャネル結合領域に向けて付勢する。付勢力は、熱電素子と流路との間の接触力に対応する。
【0016】
チャネル結合領域は、動作構成において、第1の熱電領域および下流側熱電素子が流路と接触する領域である。チャネル結合領域は、概して、必須ではないが典型的には線形に延在する流路に沿って延在する。「動作構成」という語句は、流量検出器が、特に、その熱電素子を介して、チャネル結合領域内で流路に結合される、使用中に存在する構成のことをいう。動作構成において、上流側熱電素子は、上流位置にて流路と結合し、下流側熱電素子は、下流位置において流路と結合する。動作構成において、熱電素子をチャネル結合領域に向けて付勢することは、流路に向けて付勢することと同等である。
【0017】
下流側熱電素子が、上流側熱電素子から独立してチャネル結合領域または流路に向けて付勢されるとはまた、第1付勢要素および第2付勢要素が、機能的に互いに対して独立していることも意味する。それに応じて、上流側付勢要素は、上流側付勢力を上流側熱電素子に加え、下流側付勢要素は、独立して、下流側付勢力を下流側熱電素子に加える。
【0018】
付勢力は、熱電素子を流路の壁に押圧する接触力であり、概して流路を横切るように方向決めされ、それによって流路と熱電素子との間に必要とされる熱的結合が保証される。望ましい良好な熱的結合のためには、接触力が高くあるべきである。しかし、典型的に、流路の横断面は小さいため、接触力は、流路を大きく変形させないように十分に小さい必要がある。流路がそのように変形することで、断面が減少し、閉塞を引き起こしやすく、さらに、せん断力を生じさせ、インスリンなど多数の薬剤の劣化を引き起こす。
【0019】
熱電素子を流路に向けて個別に付勢することは、公差の要件を低減させ、特に、流量検出器の領域中の流路にある程度の湾曲が存在するような設計に適している。そのような状況は典型的であり、実際には、実質的に昼夜連続して携帯され、小さい寸法、すなわち、スリム設計および小さいフットプリントが非常に重要である携帯型注入装置にとっては避けがたい。
【0020】
概して、熱式流量検出器または流量センサの熱電素子を、互いから離間して、しかし流路に沿って可能な限り互いに近づけて位置決めすることが望ましい。しかし、熱電性の構成要素を分離して移動可能であるように配置すること、および分離した付勢要素を設けることは、追加の空間を必要とするため、ほとんど利点とは見なされない可能性がある。しかし、達成され得る熱的結合の向上は、この不利な点を補って余りあることがわかる。
【0021】
携帯型注入システムの文脈において、液体薬剤の流れの方向は一般的に知られており、「上流」および「下流」が明確に定義される。しかし、流れの方向が逆の場合、「上流」および「下流」の要素(熱電素子および付勢要素など)の役割は、単に逆転する。一般的な意味合いでは、「上流」および「下流」という用語は、「第1」および「第2」と読まれ、それによって流れの方向とは独立した語句となってもよい。
【0022】
本明細書の文脈において、「流路」は、動作中、横断面積の全体に亘って液体薬剤で充たされ、さらにその周囲全体が壁または複数の壁からなる配置によって囲繞される導管を意味する。それに応じて、流路の熱電素子との結合は、流路の外壁表面との熱的および機械的結合である。典型的に、流路は、通常は円形の横断面の、ある長さの配管である。しかし、流路の他の設計もまた可能である。流路は、特に、実質的に堅固で、たとえば、射出成形による構成要素中の溝または窪みによって実現されてもよい。溝またはチャネルは、その開口側面にてホイルで覆われる。そのようなホイルの厚さは、20マイクロメートル〜200マイクロメートルの典型的な範囲内であってもよい。そのような設計では、熱電素子は、動作構成において、流路のホイルに接触する。この種類の設計は、配管と比較して典型的に熱伝達抵抗がかなり低いため、熱式流量検出または流れ測定の文脈に特に適している。
【0023】
典型的には、流路は、典型的に2日からたとえば2週間までの日数の限られた適用時間の間、以下においてより詳細に説明する、対応の嵌合結合器により携帯型注入装置に結合される一方向の流体装置の一部である。したがって、「取り外し可能な」結合という語句は、本明細書の文脈においては、たとえばユーザによって確立された後に自己保持し、流量検出器または流量検出器を一部として含む携帯型注入装置を損傷することなく取り外され得る結合を指す。さらに、取り外し可能な結合により、流量検出器が、流体的に一方向の複数の構成要素を順番に備える携帯型注入装置の複数の流路のそれぞれと順次結合することが可能になる。配置は、熱電素子がチャネル結合領域内で流路に接触するような配置である。
【0024】
ここで説明する、および以下でさらに説明する種類の流量検出器は、流路内の液体薬剤の流量および流速を定量的に計測するように設計および動作されてもよい。しかし、流量検出器は、以下においてより詳細に説明するように、特定の時点で、または特定の時間窓内で液体の流れが(閾値を超えて、および/または所定の範囲内で)生じるかどうかを示す二元的な方法で動作されてもよい。したがって、いくつかの実施形態では、本開示による流量検出器は、定量測定のために十分正確でなくてもよい。さらに、いくつかの実施形態では、流量検出器により提供される信号は、定量的にではなく、定性的に、特に二元的に評価される。
【0025】
一実施形態では、上流側熱電素子および下流側熱電素子は、表面実装型の構成要素である。
【0026】
一実施形態では、下流側熱電素子は、下流側温度センサとして動作し、下流位置における下流温度を感知するように構成される。上流側熱電素子は、加熱要素として動作することによって上流位置にある流路内部の液体を加熱するように構成されてもよく、また、上流側温度センサとして動作し、上流位置における上流温度を感知するように構成されてもよい。この種類の実施形態は、以下で、本開示の別の態様の文脈においてより詳細に説明する。
【0027】
一実施形態では、流量検出器は、中間熱電素子をさらに含む。中間熱電素子は、上流側熱電素子と下流側熱電素子との間に、上流側熱電素子および下流側熱電素子から離間して配置される。中間熱電素子は、上流側熱電素子および下流側熱電素子から独立して移動可能である。この種類の実施形態による流量検出器は、中間付勢要素をさらに備えてもよい。中間付勢要素は、中間熱電素子に作用することにより、中間熱電素子を、上流側付勢要素および下流側付勢要素から独立した中間付勢力を用いてチャネル結合領域に向けて付勢する。動作構成において、中間熱電素子は、中間位置にある流路と結合する。
【0028】
中間熱電素子を備えるそのような実施形態は、熱電素子に関して、熱式流量検出器または流量センサのための古典的な設計に対応する。ここでは、中間熱電素子は概して、加熱要素であり、典型的には電気抵抗体であり、一方で、上流側、下流側熱電素子はそれぞれ、上流側、下流側温度センサである。配置は、好ましくは対称的であり、上流側熱電素子および下流側熱電素子は同一の設計であり、中間熱電素子から等しく離間して配置される。
【0029】
以下においてより明白となるように、中間熱電素子の配置は、概して、上流側熱電素子および下流側熱電素子の場合と同じである。上流側および下流側熱電素子に対し、たとえばキャリア上での配置の方法および流路への結合の方法などについて、以下でより詳細に説明する実施形態および特徴は、中間熱電素子にも類似の方法で当てはまる。
【0030】
さらなる態様によると、全体的な目的は、チャネル結合領域内の流路と取り外し可能に結合し、流路内の液体薬剤の流れを検出するための、さらなる種類の流量検出器により達成される。流量検出器は、上流側熱電素子および下流側熱電素子を含む。上流側熱電素子および下流側熱電素子は、互いから離間して配置される。上流側熱電素子は、上流位置にてチャネル結合領域内で流路に結合するように配置され、下流側熱電素子は、下流側熱電素子が下流側温度センサとして動作し、下流位置における下流温度を感知するように、下流位置にてチャネル結合領域内の流路に結合するように配置される。この種類の流量検出器は、流量検出器制御ユニットをさらに含んでもよい。この種類の流量検出器の上流側熱電素子は、加熱要素として動作することによって上流位置にある流路内部の液体を加熱するように構成され、また、上流側温度センサとして動作し、上流位置における上流温度を感知するように構成される。
【0031】
この種類の流量検出器は、分離した加熱要素、上流側温度センサおよび下流側温度センサを有する古典的な流量検出器または流量センサの設計と同じ基本原則に基づいている。しかし、古典的な設計と対照的に、上流側熱電素子は、加熱要素および上流側温度センサの両方の二重の目的を果たし、それによって、専用の加熱要素を必要としない。そのような配置は、特に、必要とされる測定精度が限られているか、または既に説明した二値信号評価で十分である適用において十分であり、良く適合していることがわかる。
【0032】
この種類の実施形態は、上流側熱電素子が動作され、特に、加熱要素および上流側温度センサとして動作する際と同様に電力が供給されるように構成されてもよい。上流側熱電素子は、加熱中および温度測定中、連続して電力供給されてもよく、その結果、加熱が温度測定の間継続する。代替的に、上流側熱電素子は、加熱要素として動作し、その後に上流側熱電素子として動作するために、別の方法で動作してもよい。上流側熱電エネルギーは、特に、上流側温度センサとしての動作と比較して、加熱要素として動作するときに、より高い電力(特に、供給電圧および/または供給電流)で電力供給されてもよく、したがって、有利に、加熱時間を短縮することを可能にする。上流側熱電素子の電力供給は、たとえば、パルス幅変調(PWM)を備えるスイッチ式の電源によって制御されてもよい。
【0033】
この種類の流量検出器の実施形態では、上流側熱電素子および下流側熱電素子は、互いから独立して移動可能である。流量検出器は、上流側付勢要素および下流側付勢要素をさらに含んでもよい。上流側付勢要素は、上流側熱電素子に作用することによって、既に説明したように、上流側熱電素子をチャネル結合領域および流路それぞれに向けて付勢する。下流側付勢要素は、下流側熱電素子に作用することによって、上流側付勢要素から独立して下流側熱電素子をチャネル結合領域および流路それぞれに向けて付勢する。
【0034】
一実施形態では、上流側熱電素子は上流側要素キャリア上に配置され、下流側熱電素子は下流側要素キャリア上に配置され、上流側要素キャリアと下流側要素キャリアとの間には間隙が存在している。間隙は、動作構成において、流路の延びる方向に沿った間隙幅を有する。
【0035】
上流側熱電素子および下流側熱電素子を別々のキャリアに、その間に間隙を有するように設けることは、間隙が流路に沿って熱電素子間の距離を増やす限りにおいては反直観的であり、それは一般的に好ましくない。しかし、共通のキャリア、たとえば共通のプリント回路基板は、熱電素子間における熱橋を形成し、その結果、望まれるように、熱電素子間における熱伝達の相当部分が、流路または流路内の液体ではなく、キャリアを介して生じる。対照的に、熱電素子間の間隙は、その間隙(空隙)の熱伝導性が低いため、断熱性を向上させ、それによって熱電素子と流路との間の熱的結合が高められる。この好ましい効果は、距離の増加の一般的な悪影響を上回ることがわかる。
【0036】
中間熱電素子を備える実施形態では、中間熱電素子は、中間要素キャリア上に配置されてもよく、流路の延びる方向に沿って上流側要素キャリアと中間要素キャリアとの間に上流側間隙が存在してもよく、流路の延びる方向に沿って中間要素キャリアと下流側要素キャリアとの間に下流側間隙が存在してもよい。設定は、同じ幅の間隙を備える対称的であってもよい。
【0037】
一実施形態では、上流側熱電素子は、上流側可撓性プリント回路基板要素上に配置され、下流側熱電素子は、下流側可撓性プリント回路基板要素上に取り付けられる。
【0038】
そのような実施形態では、上流側および下流側プリント回路基板要素それぞれは、熱電素子の担持に加えて、熱電素子の可動式の配置のための可動要素として機能する。可撓性プリント回路基板要素は、細長い「指状」設計を有し、流路を横切るように延在してもよく、それによって、流路を横切るように屈曲することが可能であり、それによって、流路の流れの方向または流路の延在する方向を横切って、流路に向かう、または流路から離れる熱電素子の移動を引き起こす。そのような配置の場合、可撓性プリント回路基板要素は、概して、流路またはチャネル結合領域に向かう、およびそこから離れる熱電素子の旋回移動を可能にする屈曲領域を有する。
【0039】
中間熱電素子を備える実施形態では、中間熱電素子は、中間可撓性回路基板要素上に類似の方法で配置されてもよい。
【0040】
典型的には、可撓性プリント回路基板要素は互いに対して平行に延び、屈曲の際にその平行の配置を維持する。しかし、代替的に、可撓性プリント回路基板要素は、互いに対して傾斜していてもよい。可撓性回路基板要素は、互いに分離していてもよく、支持構造、たとえば硬質プリント回路基板に分離して取り付けられてもよい。しかし、特定の実施形態では、可撓性プリント回路基板要素は、可撓性回路基板要素と一体的に成形されてもよい共通の可撓性プリント回路基板基部から延在する。
【0041】
一実施形態では、上流側熱電素子は、上流側可撓性回路基板要素の、チャネル結合領域の反対を向く側に配置され、下流側熱電素子は、下流側可撓性回路基板要素の、チャネル結合領域の反対を向く側に配置される。中間熱電素子を備える実施形態の場合、中間熱電素子は、この種類の実施形態では、中間可撓性プリント回路基板要素の、チャネル結合領域の反対を向く側に配置されてもよい。熱電素子がチャネル結合領域の方向を向いている、チャネル結合領域の反対を向いているということはそれぞれ、動作構成において、対応するキャリア、たとえば可撓性プリント回路基板要素から見て、流路の方向を向いている、流路の反対を向いていることを意味する。
【0042】
代替の実施形態では、上流側熱電素子、下流側熱電素子および任意の中間熱電素子はそれぞれ、対応するプリント回路基板要素の、流路の方向を向いた側に配置されてもよい。この種類の実施形態の場合、熱電素子は、流路または流路の壁に直接結合する。この点に関して、そのような配置は、古典的な熱式流量センサ設計に対応する。ここでは、熱電素子のハウジングを介して熱電素子と流路との間で熱交換が生じる。
【0043】
熱電素子が、可撓性プリント回路基板要素の、流路の反対を向いた側に配置されている実施形態では、可撓性プリント回路基板要素は、動作構成において、上流側および下流側熱電素子それぞれが、直接ではなく、対応する可撓性プリント回路基板を介して流路と間接的に結合するように、熱電素子と流路との間に位置する。そのような配置は、間接的な結合は原則として熱的結合を低下させるという点で直観に反する。しかし、熱電素子から、または熱電素子への熱エネルギー流の主要な方向は、最も低い熱抵抗の方向によりもたらされる。特定の設計に応じて、最も低い熱抵抗は、典型的には、熱電素子の電気接点またはコンタクトパッドと、可撓性プリント回路基板要素上の対応する(典型的には銅製の)導体路との間に存在する。これは特に表面実装装置(SMD)または表面実装要素に当てはまる。それに応じて、熱エネルギー伝達の大部分が導体路を介している。熱電素子が、可撓性プリント回路基板要素の、流路の反対を向いた側に配置されている、提案される種類の配置では、可撓性プリント回路基板要素が流路に接触し、導体路は熱エネルギー伝達に利用可能である。それによって、熱エネルギー交換が、熱抵抗の比較的高い可撓性プリント回路基板要素の下地材を介している場合でも、熱的結合の向上が達成され得る。
【0044】
一実施形態では、流量検出器は、位置決め構造を含み、位置決め構造は、上流側熱電素子および下流側熱電素子に対して流路を位置決めするように設計されている。中間熱電素子を備える実施形態では、位置決め構造は、中間熱電素子に対して流路を位置決めするようにさらに設計される。位置決めは、動作構成において、上流側熱電素子、下流側熱電素子および任意の中間熱電素子が、それぞれ、対応する上流位置、下流位置および中間位置にある流路に接触するような位置決めである。位置決め構造により、チャネル結合領域内の流路の位置および延在方向が、熱電素子に関連して画定される。
【0045】
位置決め構造は、流路に直接接触し、流路をガイドするように設計されてもよい。そのような実施形態では、位置決め構造は、たとえば、溝担持要素(grove-carrying element)によって実現されてもよく、そこでは、溝が、たとえば、ある長さの配管によって形成される流路を受容するように設計される。上流側熱電素子、下流側熱電素子および任意の中間熱電素子は、既に説明したようにチャネル結合領域内の流路に接触する。
【0046】
流路が明確な幾何学的配置を備える流体装置の一部である実施形態では、位置決め構造は、嵌合結合器、特に流体装置結合器であってもよい、またはそれを含んでもよく、嵌合結合器は、流路が正確に位置決めされるように、対応する、対となる嵌合結合器、特に流体装置の注入装置結合器と嵌合する。任意に、位置決め構造は、第1の付勢要素、第2の付勢要素および任意の第3の付勢要素により加えられる付勢力を吸収する支台として機能する。
【0047】
一実施形態では、上流側熱電素子および下流側熱電素子は、サーミスタ、特に、負温度係数(NTC)サーミスタである。NTCは、低コストで幅広く利用可能であり、本開示による流量検出器に特に好ましい特性を示す。しかし、代替的に、他の種類の熱電素子、たとえばPN接合半導体が使用されてもよい。
【0048】
一実施形態では、上流側熱電素子および下流側熱電素子は、電気抵抗の異なるNTCサーミスタである。この配置により、一般的に使用され得るが、以下で説明するように、特別に設計された評価ユニットとの組み合わせにおいて特に好ましい非対称電気的設計となる。しかし、代替的に、上流側熱電素子および下流側熱電素子は、同一の特性を有してもよく、たとえば、同一の公称電気抵抗および温度係数のNTCであってもよい。
【0049】
一実施形態では、流量検出器は、第1参照熱電素子および第2参照熱電素子をさらに備える。第1参照熱電素子および第2参照熱電素子は、動作構成において、流路から熱的に隔離または分離される、すなわち、流路に熱的に結合しないように配置される。この目的のために、第1参照熱電素子および第2参照熱電素子は、特に、上流側および下流側熱電素子ならびにチャネル結合領域からある程度遠隔的に、または離間して配置されてもよい。
【0050】
第1参照熱電素子および第2参照熱電素子は、その相互の熱的結合が、流路内に流れが存在しない場合の、上流側熱電素子と下流側熱電素子との間の相互の熱的結合に対応するように配置される。好ましくは、第1参照熱電素子は、上流側熱電素子と同種のものであり、第2参照熱電素子は、下流側熱電素子と同種のものである。
【0051】
流量検出器が追加の中間熱電素子を備える実施形態では、第3参照熱電素子は、上流側熱電素子と下流側熱電素子との間の中間熱電素子の配置に類似の方法で第1参照熱電素子と第2参照熱電素子との間に存在し、配置されてもよい。
【0052】
参照熱電素子を備える実施形態は、少量ならびに大きな量の液体の投与という状況において好ましい。特に、2つの熱電素子だけを備える配置は、流路内の高速変化に非常に敏感である。低速の変化の場合、変化が遅いほど検出はより不十分となる。参照熱電素子は、上流側および下流側熱電素子と同じ環境条件、特に、同じ温度および温度変化に曝露される。
【0053】
以下においてより詳細に説明される評価ユニットは、上流側熱電素子および下流側熱電素子それぞれによって提供される信号と同じ方法で、第1参照熱電素子および第2参照熱電素子によって提供される信号を処理してもよい。(上流側熱電素子および下流側熱電素子と関連付けられ、または動作結合されている)評価ユニットのうちの1つは、流れに応じた出力信号を提供し、一方で、(第1参照熱電素子および第2熱電素子と関連付けられ、または動作結合されている)他の評価ユニットは、流れとは独立した参照出力信号を提供するが、流れとは独立した参照出力信号は、流れに応じた出力信号と同じ方法で、他の影響要因、特に温度を反映し、それに影響を受ける。2つの信号は、流れに応じた出力信号と参照出力信号との間の関係、特に、差分または偏差を判定および評価するように設計される補償ユニットに供給され、流路内の液体流の測定値としてさらに処理されてもよい。2つの評価ユニットおよび補償ユニットの組み合わせは、評価および補償ユニットとも呼称される。既に説明したように、補償ユニットは、温度の変化などの歪み要因の望ましくない影響を補償する。
【0054】
評価および補償ユニットの実施形態では、補償ユニットの評価は、動作の第1のモードにおいて、上流側熱電素子および下流側熱電素子により提供される信号を処理するのみである。動作の第1のモードでは、上流側熱電素子および下流側熱電素子と関連する評価ユニットのみが作動し、流れに応じた出力信号を提供してもよい。この種類の評価および補償ユニットは、動作の代替の第2のモードにおいて、第1参照熱電素子および第2参照熱電素子により提供される信号を追加で処理するようにさらに設計され、既に説明したように、流れに応じた出力信号と参照出力信号との関係を判定および評価するようにさらに設計される。評価および補償ユニットは、好ましくは、投与される液量に応じて、および/または流路内の液体薬剤流の持続時間に応じて、動作の第1のモード、または動作の第2のモードで動作するように構成される。
【0055】
評価および補償ユニットは、少量の、たとえば規定量の閾値よりも小さい量の液体薬剤の投与には、動作の第1のモードで動作し、より大きな量、たとえば規定量の閾値を超える量の液体薬剤の投与には、動作の第2のモードで動作するように構成されてもよい。この場合、より大きな投与量は、累積による閉塞により、流れに応じた出力信号の比較的遅く、ゆっくりとした変化に関連付けられ、その結果、液体流の終点の検出が困難となるため、流れとは独立した参照出力信号をさらに考慮することが好ましい。
【0056】
一実施形態では、流量検出器は、評価ユニットを含み、評価ユニットは、可変周波数の出力信号を提供するように設計される。周波数は、上流側熱電素子に感知される上流温度と、下流側熱電素子に感知される下流温度との差に依存する。例示的な実施形態の文脈において、以下においてより詳細に説明するように、そのような評価ユニットは、とりわけ、たとえば、最新技術による典型的なマイクロコントローラを基に、少ない数の構成要素でコンパクトな方法で実施されてもよい。この種類の実施形態は、特に、シュミットトリガ、発振器、たとえばRC発振器、および参照電圧源を基に実現されてもよく、シュミットトリガの上側および下側閾値はそれぞれ、上流側熱電素子および下流側熱電素子の抵抗によって決定される。
【0057】
さらなる態様によると、全体的な目的は、携帯型注入装置によって達成される。携帯型注入装置は、流体装置連結器を含む。流体装置連結器は、動作構成において、流路を備える流体装置の注入装置連結器との、取り外し可能な嵌合結合のために設計される。携帯型注入装置は、液体薬剤を薬剤容器の中から流路を経由して患者の身体へと投与するように構成されるポンプ駆動ユニットをさらに含む。携帯型注入装置は、時間で変化する基礎注入投与速度に応じた連続的な薬剤の投与のためにポンプ駆動ユニットの動作を制御するように構成されるポンプ制御ユニットをさらに含む。携帯型注入ポンプは、ポンプ制御ユニットと動作結合する流量検出器をさらに含む。流量検出器は、本明細書の開示による流量検出器である。動作状態では、携帯型注入装置、流体装置および薬剤容器は、共通のコンパクトなユニットを形成する。
【0058】
ポンプ駆動ユニットおよびポンプ制御ユニットは、好ましくは、薬剤容器および/または流体装置と組み合わさって、液体薬剤、特にインスリンの明確に定義された分量の投与のために設計された計量ポンプを形成する。
【0059】
いくつかの実施形態では、ポンプ駆動ユニットは、必須ではないが、典型的には円筒形の、薬剤容器としての薬剤カートリッジのピストンと結合するように設計されるスピンドルドライブを含み、ピストンは、注射器に似た方法で、明確に定義された段階的なステップで、薬剤カートリッジ内部で変位する。ここでは、ポンプ駆動ユニットは、典型的に、アクチュエータとしての回転モータ、減速ギヤ、ドライブナット、およびドライブナットと動作係合する、ねじ状のリードスクリューを含み、リードスクリューは、ピストンと結合するように設計される。
【0060】
代替的に、ポンプ駆動ユニットは、ピストンに永久的に結合されてもよい、リードスクリューでなく、ドライブナットを含んでもよい。単純なリードスクリューの代わりに、伸縮式のドライブロッドなど、より高度な配置が使用されてもよい。シリンジ駆動ポンプは、設計の様々な変形例で携帯型注入装置用に広く知られており、典型的に最新技術のシステムに使用される。
【0061】
代替的に、ポンプ駆動ユニットは、たとえば、欧州特許出願公開第1970677号明細書、欧州特許出願公開第1970677号明細書、欧州特許第2510962号明細書、欧州特許第2510960号明細書、欧州特許第2696915号明細書、欧州特許第2457602号明細書、国際公開第2012/069308号、国際公開第2013/029999号、欧州特許第2753380号明細書、欧州特許第2163273号明細書、および欧州特許第2361646号明細書に開示されているマイクロメンブレンポンプ、または下流側投与ユニットなど、別種のポンプユニットと動作結合して協働するように設計されてもよい。前述のシリンジ駆動ポンプおよび下流側投与ユニットは、ポンプアクチュエータまたはポンプ駆動部の移動と薬剤の投与との、設計によりもたらされる明確に定義された関係を有する容積型計量ポンプの例である。
【0062】
ポンプ駆動ユニットは、好ましくは、1マイクロリットル以下、たとえば500ナノリットル、200ナノリットル、または100ナノリットルの範囲の一回量の投与用に設計される。典型的なU100の濃度の液体インスリン製剤の場合、1ミリリットルの液体が、100国際単位(IU)のインスリンを含む。
【0063】
携帯型注入ポンプは、好ましくは、流量検出器により提供される出力信号から独立した計量投与のために設計され、流量検出器は、投与の監視および管理の目的のために機能する。この条件は、シリンジ駆動ポンプまたは前述の下流側投与ユニットを備えるポンプなどの容積型または容積計量式ポンプの場合に満たされる。
【0064】
流体装置は、薬剤容器に流体結合し、流体患者インターフェース結合器を直接介して、注入カニューレまたは注入チューブのような患者インターフェースとの接続を確立するように設計されるか、または患者インターフェースを直接含んでもよい。いくつかの実施形態では、流体装置は、薬剤容器、たとえば薬剤カートリッジと直接一体的に形成される。動作状態において、ポンプが既に説明したメンブレンポンプまたは下流側投与ユニットなどのさらなる流体ユニットを備える実施形態では、そのような流体ユニットは、流体装置の一部であってもよい。いずれの場合でも、流体装置は、薬剤容器の出口と、患者インターフェースまたは患者インターフェース連結器との間に、チャネル結合領域内で流量検出器と取り外し可能に結合するように配置される流路を含む。
【0065】
流体装置および携帯型注入装置は、流体装置結合器および注入ポンプ装置結合器による取り外し可能な嵌合結合のために設計され、それは、ラッチ、留め金、スナップフィット結合器、バヨネット結合器などにより実現されてもよい。携帯型注入装置および流体装置は、動作構成において、携帯型注入装置ハウジングの流体装置区画により流体素子が全体的にまたは部分的に受容されるようにさらに設計されてもよい。動作構成において、チャネル結合領域は、典型的には携帯型注入装置ハウジング内に位置する。
【0066】
流路は、少なくともチャネル結合領域内で、その延在方向により画定されるように対応する直線に沿って配置され、流体装置と携帯型注入装置とが結合される構成において、熱電素子に接触されるように配置される。一実施形態では、流体装置は、たとえば管状流路を支持し、前述のように付勢力を吸収する板状当接要素を含む。流路は、当接要素の溝内に配置され、接触を可能にするために表面の上方に突出してもよい。代替的に、位置決めピン、位置決めポストなど、流路を位置決めするために当接要素から延在方向に沿って突出する位置決め要素が設けられてもよい。管状流路の代替として、流路は、前述のように溝などとして直接実現され、既に説明したようにホイルで覆われてもよい。本明細書で説明する種類の実施形態の場合、流路と熱電素子との間における正確な整列および位置決めは、携帯型注入装置の流体装置連結器、および位置決め構造としての流体装置の携帯型注入装置連結器に依存する。代替的に、流路は、流体装置内に移動可能に配置されてもよく、位置決め構造は、携帯型注入装置の一部として実現されてもよい。
【0067】
一実施形態では、ポンプ制御ユニットは、ポンプユニットを制御して、予め設定されたパルス容量の薬剤パルスを投与するように、および必要とされる基礎投与速度に応じて連続するパルス間の時間を変化させるように構成され、流量検出器は、薬剤パルスの投与のために断続的に動作するように構成されている。代替的または追加的に、ポンプ制御ユニットは、断続的な薬剤パルス間の時間が一定または可変である、可変のパルス容量の薬剤パルスの投与のために構成されてもよい。制御ユニットは、要求に応じて調節可能なボーラス容量の薬剤ボーラスの追加の投与を制御するようにさらに構成されてもよい。
【0068】
さらなる態様によると、全体的な目的は、既に説明したおよび/または以下でさらに説明する携帯型注入装置および流体装置を含む携帯型注入システムにより達成される。
【0069】
さらなる態様によると、全体的な目的は、既に説明したおよび/または以下でさらに説明する流量センサおよび流体装置または流路を含む医療用アセンブリによって達成される。
【0070】
本開示による携帯型注入装置および携帯型注入システムは、ユーザに携帯されるように、および数日から数週間までの延長された期間に亘り連続的に動作するように設計されてもよく、たとえば、ポケットの中で、ベルトクリップなどを用いて見えないように隠されてもよい。代替的に、携帯型注入装置または携帯型注入システムは、たとえば、粘着パッドにより、延長された期間に亘りユーザの肌に直接取り付けられるように設計されてもよい。本開示による携帯型注入装置および携帯型注入システムは、重力に対する向きとは独立して動作し、液体薬剤を投与するように設計される。
【0071】
さらなる態様によると、全体的な目的は、流路内の液体薬剤の流れを検出するために流量センサを流路に取り外し可能に結合するための方法によって達成される。方法は、上流側熱電素子および下流側熱電素子を流路に取り外し可能に結合することを含む。上流側熱電素子および下流側熱電素子は、流路の延在方向に沿って互いから離間して配置され、互いから独立して移動可能である。上流側熱電素子および下流側熱電素子は、特に、流路の延びる方向を横切るように移動可能である。方法は、上流側熱電素子を流路に向かって付勢し、また、独立的に下流側熱電素子を流路に向かって付勢することをさらに含む。
【0072】
任意で、方法は、中間熱電素子を流路に取り外し可能に結合することを含んでもよい。中間熱電素子は、上流側熱電素子と下流側熱電素子との間に、上流側熱電素子および下流側熱電素子から離間して配置され、独立して移動可能である。方法は、中間熱電素子を流路に向かって独立して付勢することをさらに含んでもよい。
【0073】
さらなる態様によると、全体的な目的は、流路内の液体薬剤流を検出するための方法により達成される。方法は、上流側熱電素子を流路に取り外し可能に結合することを含み、上流側熱電素子および下流側熱電素子は、流路の延在方向に沿って互いから離間して配置される。上流側熱電素子は、上流位置にて流路に結合され、下流側熱電素子は、下流位置にて流路の壁に結合される。方法は、下流側熱電素子を下流側温度センサとして動作させ、下流位置における下流温度を感知するように、下流側熱電素子を制御することをさらに含む。方法は、上流側熱電素子を加熱要素として動作させることによって、上流位置にある流路内部の液体を加熱するように、および上流側熱電素子を上流側温度センサとして動作させ、上流位置における上流温度を感知するように、上流側熱電素子を制御することをさらに含む。方法は、上流側熱電素子および下流側熱電素子によって提供される信号を処理し、それによって流路内の液体薬剤流を検出することをさらに含む。
【0074】
上流側熱電素子、下流側熱電素子および任意の中間熱電素子は、既に説明したチャネル結合領域内で流路に取り外し可能に結合する。
【0075】
一実施形態では、方法は、流量検出器により、薬剤パルスが、投与管理プログラムに従って所定の時点、または所定の時間窓にて投与されているかどうかを判定することを含む。
【0076】
さらなる実施形態では、方法は、流量検出器により、多数の薬剤パルス、特に、多数の断続的な薬剤パルスが、多数の対応する所定の時点、または所定の時間窓にて投与されていないかどうかを判定することを含む。
【0077】
一実施形態では、方法は、薬剤パルスまたは多数の断続的な薬剤パルスが投与されない場合、警報を発することを含む。
【0078】
一実施形態では、方法は、第1参照熱電素子および第2参照熱電素子を設けることを含む。第1参照熱電素子および第2参照熱電素子は、上流側熱電素子および下流側熱電素子に対し熱的に隔離されて、さらに、チャネル結合領域から離間して配置される。この種類の実施形態の場合、方法は、上流側熱電素子および下流側熱電素子により提供される信号を処理することによって、流れに応じた出力信号を判定することを含む。方法は、第1参照熱電素子および第2参照熱電素子により提供される信号を処理することによって、流れとは独立した参照出力信号を独立して判定することをさらに含む。方法は、流れに応じた出力信号と参照出力信号との関係を評価することをさらに含む。
【0079】
一実施形態では、方法は、投与される液量に応じておよび/または流路内の液体薬剤流の持続時間に応じて、流れに応じた出力信号のみ、または代替的に、流れに応じた出力信号および参照出力信号の両方を判定および処理することを含む。
【0080】
本開示による方法は、本開示による装置、特に、流量検出器および/または携帯型注入装置によって実行されてもよい。開示する装置、特に、流量検出器および/または携帯型注入装置の特定の実施形態は、同時に、対応する方法の実施形態を開示する。同様に、開示する方法の特定の実施形態は、同時に、対応する装置、特に、流量検出器および携帯型注入装置を開示する。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】流路と動作結合している流量検出器の実施形態を概略側面図で示す。
【図2】流路と動作結合している流量検出器のさらなる実施形態を概略側面図で示す。
【図3】図2の実施形態を概略三次元図で示す。
【図4】流量検出器の実施形態の動作を示す。
【図5】流量検出器のさらなる実施形態の動作を示す。
【図6】流量検出器と評価ユニットとの結合の実施形態を示す。
【図7】さらなる実施形態による流量検出器と評価ユニットとの結合を示す。
【図8】異なる薬剤パルス容量に対する評価ユニットの出力を示す。
【図9】携帯型注入システムの実施形態を概略機能図で示す。
【図10a】投与ユニットと動作結合している流量検出器のさらなる実施形態を示す。
【図10b】投与ユニットと動作結合している流量検出器のさらなる実施形態を示す。
【図11】流量検出器の実施形態に対する流動曲線および基準曲線の出力を示す。
【図12】流量検出器の配置を概略機能図で示す。
【発明を実施するための形態】
【0082】
以下において、流量検出器1および流体装置2の例示的な実施形態を概略的な構造図で示している図1を先ず参照する。
【0083】
明確にするために、異なる図および/または実施形態に存在する要素は、必ずしもすべての図中で別々に参照はしない。
【0084】
流量検出器1は、上流側熱電素子10a、下流側熱電素子10b、および任意の中間熱電素子10cを含む。この例では、上流側熱電素子10aおよび下流側熱電素子10bは、同じ特性のNTCサーミスタであるが、中間熱電素子10cは、加熱素子(抵抗器)である。中間熱電素子10cのない実施形態では、上流側熱電素子10aおよび下流側熱電素子10bは、好ましくは異なる特性、具体的には異なる抵抗のNTCサーミスタである。
【0085】
熱電素子10a、10b、10cは、表面実装要素または表面実装装置(SMD)であり、それぞれは、可撓性回路基板要素の形態で、対応する分離した要素キャリア11a、11b、11c上に取り付けられる。熱電素子10a、10b、10cは、はんだ付け接続部12(典型的には熱電素子10a、10b、10cのそれぞれのための2つのはんだ付け接続部12)により、対応するプリント回路基板要素11a、11b、11cに取り付けおよび接続される。
【0086】
プリント回路基板要素11a、11b、11cの反対側には、対応する断熱要素13a、13b、13cが配置される。断熱要素13a、13b、13cのそれぞれは、中央盲孔(central blind bore)を有し、その中に、対応する付勢要素15a、15b、15cの端部が配置される。付勢要素15aは、流量検出器1の上流側付勢要素であり、付勢要素15bは、流量検出器1の下流側ばね要素であり、付勢要素15cは、流量検出器1の中間付勢要素である。付勢要素15a、15b、15cの反対側の端部は、携帯型注入装置ハウジングの一部であってもよい支持構造(図示せず)によって支持される。付勢要素15a、15b、15cは、例示的に、コイルばねとして実現される。付勢要素15a、15b、15cはそれぞれ別個に、対応するキャリア要素11a、11b、11cおよび熱電素子10a、10b、10cに対し、方向Bで付勢力を加える。
【0087】
上流側要素キャリア11aおよび中間要素キャリア11c、ならびに中間要素キャリア11cおよび下流側要素キャリア11bは、同一の幅の間隙14で組ごとに分離される。
【0088】
流体装置2は、周囲が流路壁21によって囲繞される円形断面の中空の内腔22を有し、組み合わさって管状構造を形成している流路20を含む。他の種類の流路が使用されてもよい。
【0089】
流量検出器1または熱電素子10a、10b、10cに隣接する側部にて、流体装置2は、流路20を支持し、接触力または付勢力を吸収する板状当接要素23を含む。流路は、例示的に、Fで示される流れの方向で直線に沿って延在する。
【0090】
上流側熱電素子10aは、上流位置(16b)にて流路20に接触し、そこでは、弾性流路壁21が、接触力または付勢力の影響下でわずかに変形している。同じことが、下流位置16bにて流路20に接触する下流側熱電素子10b、および中間位置16cにて流路20に接触する中間熱電素子10cにも当てはまる(明確にするために、中間熱電素子10cの場合は示されない)。上流接触位置16a、下流接触位置16b、および中間接触位置16cの領域は、組み合わさって、チャネル結合領域を形成する。
【0091】
以下において、流体装置2の構成要素と共に流量検出器1のさらなる例示的な実施形態を示している図2をさらに参照する。多くの面で、図2の実施形態は、既に説明した図1の実施形態と同一である。以下の説明では、差異点に焦点を当てる。
【0092】
図1の実施形態では、熱電素子10a、10b、10cは、流路20およびチャネル結合領域に面しているキャリア要素(可撓性プリント回路基板要素11a、11b、11c)の側部に配置されている。それによって、熱電素子10a、10b、10cは、流路20または流路壁21に直接接触する。図2の実施形態では、対照的に、熱電素子10a、10b、10cは、対応するキャリア要素11a、11b、11cに、流路20およびチャネル結合領域の反対を向く側で、代わりに付勢要素15a、15b、15cの方を向く側で配置される。
【0093】
それに応じて、熱電素子10a、10b、10cは、直接ではなく、キャリア要素11a、11b、11cを介して、流路20に間接的に接触する。その結果、概要で既に説明したように熱的結合がさらに向上する。さらに、キャリア要素11a、11b、11cと流路20との間のチャネル結合領域が、熱電素子10a、10b、10cと比較するとより大きいことがわかる。それに応じて、好ましくは、流路壁21の変形が、低減または回避される。
【0094】
熱電素子と(典型的には金属製の)付勢要素との間の所望の熱隔離を向上させるために、この実施形態では任意の断熱キャップ17a、17b、17cが、熱電素子、ならびに対応する断熱材13a、13b、13cおよび付勢要素15a、15b、15cのそれぞれに設けられ、それによって熱電素子10a、10b、10cと、一方の側では断熱材13a、13b、13cとの間の、反対側では付勢要素15a、15b、15cとの間の直接の接触が防止される。断熱キャップ17a、17b、17cは、低熱伝導性の材料、典型的にはプラスチックで形成され、熱電素子10a、10b、10cを覆うように置かれる。断熱キャップ17a、17b、17cは、たとえば、熱電素子10a、10b、10cのはんだ付け後に、キャリア要素11a、11b、11cに接着されてもよい。断熱キャップ17a、17b、17cは、原則として、断熱材13a、13b、13cと一体的に実現されてもよい。
【0095】
以下において、図2の配置を斜視図で示している図3を参照する。キャリア要素(可撓性プリント回路基板要素)11a、11b、11cが指状であり、共通の可撓性プリント回路基板11dから流路20の延びる方向を横切るように平行に延びていることがわかる。流路20は、部分的に当接要素23の溝24の中に配置され、溝24は、流量検出器1に対し流路20を位置決めすることによって位置決め構造として機能していることがさらにわかる。対応する配置が、図1の実施形態に使用されてもよい。
【0096】
図1〜図3は、3つの分離した熱電素子を備える実施形態を示しており、加熱要素としての中間熱電素子10cは、温度センサとしての上流側および下流側熱電素子10a、10bとは異なっている。上流側熱電素子10aが加熱要素および上流側温度センサの両方として機能する実施形態は同じ方法で実現されてもよいが、中間熱電素子10cおよび関連の構成要素は省かれる。
【0097】
以下において、3つの熱電素子を備える流量検出器の実施形態の動作を図示している図4a、4bをさらに参照する。図4aは、薬剤パルスが投与される直前の状況を示している。上流側温度センサとしての上流側熱電素子10aおよび下流側温度センサとしての下流側熱電素子10bの両方は、内腔22に液体流が無い静止状態で計測され得る温度に対応する低基準温度である。加熱要素としての中間熱電素子10cは、その近位にある液体を加熱し温度を上昇させる。液体流が無い場合、熱は、熱伝導により、上流方向(流れの方向Fに反対の方向)および下流方向(流れの方向F)に均等に輸送され、その結果、上流側熱電素子10aおよび下流側熱電素子10bが略等しい温度となる。
【0098】
図4bは、中間熱電素子10cによる加熱をオフにし、薬剤パルスを投与した直後の状況を示している。ここで、内腔22の中の薬剤とともに流れの方向Fで輸送され、その結果、下流側温度センサとしての下流側熱電素子10bが、上流側温度センサとしての上流側熱電素子10aよりも高温になる。計測された下流側熱電素子10bおよび上流側熱電素子10aの温度差は、液体流が実際に生じているかを判定するために評価される。任意で、計測中に加熱が継続されてもよい。
【0099】
図5a、5bは、2つの熱電素子のみを備え、上流側熱電素子10aが加熱要素および上流側温度センサの両方として機能し、下流側熱電素子10bが下流側温度センサとして機能する実施形態の、図4a、4bに対応する状況を示している。図5aでは、上流側熱電素子10aは、近位にある液体を加熱し温度を上昇させる加熱要素として動作し、一方で、下流側熱電素子10bは、より低温である。以下において、図6の内容でより詳細に説明するように、上流側熱電素子10aは、液体を連続的に、または実質的に連続的に加熱し、その結果、上流側熱電素子10aが下流側熱電素子10bよりも高温になる。しかし、加熱された液体薬剤は、図5bにおいて、下流側熱電素子10bに向けて輸送され、流量検出器の上流からのより低温の液体と交換されるため、上流側熱電素子10aにおける温度がわずかに低下し、下流側熱電素子10bにおける温度がわずかに上昇する。上流側熱電素子10aと下流側熱電素子10bとの温度差は、液体薬剤流のために減少する。
【0100】
以下において、熱電素子10a、10bと相互作用している評価ユニット3の実施形態を示している図6を参照する。この実施形態では、上流側熱電素子10aおよび下流側熱電素子10bは、例示的に同一の特性のNTC(NTC1およびNTC2とも呼称される)であり、対応する固定抵抗器R1およびR2と直列に配置され、固定抵抗器R1およびNCT1、固定抵抗器R2およびNTC2がそれぞれ、ホイートストンブリッジの枝路を形成し、枝路は、動作のために閉じられ、そうでなければ開放されるスイッチS1、S2により電圧源Vccに選択的に接続可能である。2つの枝路の中間点M1、M2の差動電圧が、典型的には演算増幅器(オペアンプ)を基にして実現される差動増幅器30に供給される。差動増幅器30の出力は、アナログ−デジタル変換器(ADC)31に供給され、その出力は、(「カウント」と呼称され)それに応じて、NTC1とNTC2との温度差に依存し、好ましくは温度差に実質的に比例する。
【0101】
上流側熱電素子10a(NTC1)は、スイッチS1が閉じた状態で、加熱要素および上流側温度センサの両方の機能を果たしてもよい。加熱期間の後、スイッチS2が追加で閉じられ、温度差を計測するために下流側熱電素子10b(NTC2)が追加で電力供給される。その前の加熱時間中に、NTC2が下流位置にある液体を加熱することを防止するために、スイッチS2が開放される。流量検出が実行されない場合、エネルギーを節約し、不要な、概して好ましくない液体の加熱を避けるために、好ましくは、S1およびS2の両方が開放される。
【0102】
特に、第1熱電素子10aおよび第2熱電素子10bが同一の特性のものであり、上流側熱電素子10aがさらに加熱要素としてとして機能する、上記の種類の実施形態では、下流側熱電素子10bは、温度測定のために短時間の間のみ(典型的には数ミリ秒の範囲で)電力供給され、特に、その前の加熱時間の間は電力供給されない。何故なら、そうでなければ、上流側熱電素子と同じように液体を加熱することになるからである。
【0103】
変形例(図示せず)では、(抵抗器R1およびスイッチS1のように)直列に配置された追加のスイッチおよび追加の抵抗器を備える枝路が、追加のスイッチおよび追加の抵抗器によりNTC1が択一的に電力供給され得るように抵抗器R1およびスイッチS1と並列に設けられる。追加の抵抗器は、好ましくは抵抗器R1と比較して相当小さく、NTC1は、追加のスイッチおよび追加の抵抗器により加熱時間の間電力供給され、その結果、有利に加熱時間が短縮される。加熱は、パルス幅変調により追加のスイッチを動作させることによって制御されてもよい。続く温度差計測のために、既に説明したように追加のスイッチが開放され、スイッチS1、S2が閉じられる。
【0104】
さらなる変形例では、上流側熱電素子10a(NTC1)および下流側熱電素子10b(NTC2)の両方は、温度センサとしてのみ機能し、追加の中間熱電素子が専用の加熱要素として設けられる。
【0105】
以下において、熱電素子10a、10bと相互作用している評価ユニット3のさらなる実施形態を示している図7を参照する。この種類の実施形態は、上流側熱電素子10aが上流側温度センサおよび加熱要素の両方として機能し、上流側熱電素子10aおよび下流側熱電素子10bが、異なる特性、特に異なる抵抗のNTCである場合に特に好ましい。下流側熱電素子10bが上流側熱電素子10aと同じ方法で液体を加熱することを防止するために、上流側熱電素子10aの抵抗は、下流側熱電素子10bの抵抗よりも相当小さい。好ましくは、抵抗比は約1:10またはそれ以上であってもよい。
【0106】
図7の実施形態では、たとえば、オペアンプに基づく比較器32が、熱電素子NTC1、NTC2とともに、シュミットトリガを形成し、シュミットトリガの2つの閾値は、NTC1およびNTC2のそれぞれの抵抗により決定される。さらに、所定の周波数の発振器が存在し、比較器32に結合される。発振器は例示的に、たとえば、数キロヘルツ(kHz)〜数メガヘルツ(MHz)の周波数を備える単純なRC発振器として実現される。結果として、比較器32の出力は、NTC1とNTCとの温度差に依存し、簡単な方法で計測され得る周波数の矩形信号を提供する。
【0107】
最近のマイクロコントローラは、典型的に、比較器、参照電圧源、タイマおよび高精度水晶発振器などの構成要素を含む。そのようなマイクロコントローラを基に、図7による評価ユニット3は、ごく少数の追加の構成要素(抵抗器R、キャパシタC、および熱電素子としてのNTC)で実現され得るため、非常にコンパクトかつコスト効率のよい解決策をもたらす。
【0108】
たとえば図6または図7による評価ユニット3は、追加の機能ユニットまたは回路、たとえば、携帯型注入装置のポンプ制御ユニットと部分的または全体的に一体に実現されてもよい。
【0109】
以下において、図8を参照する。図8は、図5による熱式流量検出器1を備える流量検出要素、および図6に示されるホイートストンブリッジに基づく評価ユニットにおいて取得される例示的な測定結果を示す。
【0110】
図は、時間(横軸)を関数とするADC31の出力(縦軸)を示し、(例示的に負の)ADC出力の絶対値の増加が温度差の増加に対応している。
【0111】
流量検出要素において、上流側熱電素子10aは、t=1秒(視認不可)で加熱要素として動作し始め、t=4秒で薬剤パルスが投与された。実験は、100、200、300、500nl(ナノリットル)のパルス容量Vの薬剤で実行され、基準として0nl(すなわち、薬剤パルスが投与されない)が追加で示されている。
【0112】
薬剤パルスが投与される前はすべての曲線は実質的に等しく、良好な再現性を示していることがわかる。示されている期間中、上流側熱電素子10aと下流側熱電素子10bとの温度差は加熱のため時間とともに増加し、それにより、上流側熱電素子10aの抵抗がその負温度係数のため低下する。また、M1(図6参照)の電位がそれに応じて低下する。
【0113】
薬剤パルスの投与は、上流側熱電素子10aにて加熱された液体が低温の下流液体に交換されることで引き起こされる冷却効果により、および下流側熱電素子10bにて低温の液体が加熱された液体に交換されることで引き起こされる加熱効果により生じる、温度差の一時的かつ比較的急な減少をもたらす。その効果は薬剤パルス容量Vと共に増加することがわかる。薬剤パルスの投与の後、温度差は再び基準曲線に近づく。異なる薬剤パルス容量Vのすべての曲線は、基準曲線から、および互いから明確に区別され、特に、薬剤パルス200nl以上は明確に区別される。評価は、温度差対時間曲線の傾きを評価することによって実行されてもよい。
【0114】
なお、図8に示される流量検出実験では、実験の持続期間に亘り上流側熱電素子10a(NTC1)に電力供給することによって、加熱が連続的に実行され、一方で、下流側熱電素子10b(NTC2)は、たとえば、10Hz以下の周波数で、温度測定のために数ミリ秒の間、周期的にのみスイッチングS2によって電力供給された。実用の際には、加熱は、典型的には薬剤投与後、たとえば、t=4.5秒に停止される。これは、温度差が評価されてもよい時間でもある。
【0115】
以下において、携帯型注入システムの主要な構成要素および機能ユニットを概略機能図で示している図9を参照する。
【0116】
動作状態では、携帯型注入システムは、携帯型注入装置7、薬剤容器5、および流体装置2を含む。薬剤容器5は、例示的に、ピストンがカートリッジの長手方向軸に沿って変位することで、それに対応して液体薬剤が容器から出て変位するように、密閉式かつ変位可能なピストンを受容する円筒状カートリッジであると想定される。
【0117】
携帯型注入装置7は、薬剤容器5と機械的に動作結合しているポンプ駆動ユニット4を含む。前述の種類の薬剤容器の場合、ポンプ駆動ユニット4は、当該技術分野で知られているように、ピストンと取り外し可能に係合し、それによってシリンジポンプ配置を形成しているスピンドルドライブであってもよい。
【0118】
携帯型注入装置7は、ポンプ駆動ユニット4の動作を制御するためにポンプ駆動ユニットと動作結合している電子ポンプ制御ユニット6をさらに含む。ポンプ制御ユニット6は、好ましくは、要求に応じて所望の量の薬剤ボーラスの投与のため、さらに、時間に応じて変化するスケジュールに応じた注入速度による基礎薬剤投与のために、ポンプ駆動ユニット4を制御するように構成される。基礎投与に関して、個別の薬剤パルスは、固定の時間間隔、たとえば3分おきに注入速度に応じた薬剤パルス容量で投与されてもよい。特に、注入速度が小さい場合、基礎送達は、たとえば200ナノリットル〜1マイクロリットルの範囲の固定のパルス容量で実行されてもよく、連続するパルス間の時間間隔は、所望の速度に応じて調節される。評価ユニット3は、例示的にポンプ制御ユニット6の一部として示されており、携帯型注入ポンプ7の汎用電子回路と一体的に実現されてもよい。評価ユニット3は、たとえば、図6または図7に従って設計されてもよい。
【0119】
流体装置2は、注入装置結合器25を備え、携帯型注入装置7は、流体装置結合器70を備え、それらは、取り外し可能に嵌合結合するように設計され、たとえば、スナップフィット結合、バヨネット結合などとして実現される。結合および動作状態では、薬剤容器5と流路20との間に機械結合および流体結合の両方が提供される。さらに結合状態では、流路20は、既に説明したように熱電素子10a、10b、10cと結合する。熱電素子10a、10b、10cは、流量検出器全体のように、携帯型注入装置7の一部である。流路20の流体出口26は、適用の際、患者の注入部位と流体結合している。この目的のために、流体出口は、注入チューブと取り外し可能に結合してもよく、あるいは、注入チューブを、または直接、注入カニューレを含んでもよい。そのような設計のすべては、一般的に当該技術分野において知られている。
【0120】
流量検出器1は、本明細書による任意の実施形態に従って、たとえば、図1、図2および図3に示される実施形態に従って設計されてもよい。図9では、明確にするために、熱電素子10a、10b、10cのみが流路20と相互作用して示されている。なお、流量検出器1はまた、既に説明したように、上流側熱電素子10aおよび下流側熱電素子10bを備え、中間熱電素子10cは省かれている。
【0121】
示される薬剤容器は、図9において、説明目的のために、携帯型注入ポンプ7および流体装置2とは分離して示されている。実際には、薬剤容器は、たとえば、携帯型注入ポンプ7の容器ハウジング内に受容されてもよい。薬剤容器は、流体装置2と一体的であってもよい。通常のシリンジ駆動設計の代わりに、さらに別の流体設計が使用されてもよい。特に、流体装置2は、前述のような、また、たとえば欧州特許出願公開第1970677号明細書に開示されているような下流側投与ユニットとして実現されてもよい、またはそれを含んでもよい。また、薬剤容器5は、円筒状カートリッジとして実現される必要はなく、たとえば、一般的に当該技術分野において知られているような、可撓性または半硬質パウチであってもよい。システム設計および特定の流体構造から独立して、携帯型注入ポンプ7、薬剤容器5および流体設計2は、適用の際、好ましくは共通の小型ユニットを形成する。
【0122】
典型的な適用においては、上流側熱電素子10aは、薬剤パルスの投与の前の数秒の範囲内の投与前加熱時間の間、加熱要素として動作され、加熱は、好ましくは薬剤パルスの投与の間持続する。好ましくは、加熱は、薬剤パルス投与の後の投与後加熱時間の間もさらに持続する。投与後加熱時間は、たとえば、0.5秒の範囲であってもよい。
【0123】
さらに、加熱時間、特に投与前加熱時間は、薬剤パルス容量に応じて選択されてもよく、特に、薬剤パルス容量の減少とともに増加してもよい。以下のリストは、合計加熱時間(投与前加熱時間および投与後加熱時間を含む)の例示的な値を示す。
100nlから299nlまでの薬剤パルス容量のために、7秒
300nlから399nlまでの薬剤パルス容量のために、6秒
400nlから499nlまでの薬剤パルス容量のために、5秒
500nlから599nlまでの薬剤パルス容量のために、4秒
600nl以上の薬剤パルス容量のために、3秒
【0124】
携帯型注入装置7は、たとえば、ズボンのポケットの中で、ベルトクリップを用いてなど、携帯されるように配置されてもよい、および/または、いわゆるパッチ式ポンプとして皮膚への直接付着のために設計されてもよい。多数の適切な全体の設計および構造が、当該技術分野において知られている。
【0125】
以下において、本開示による流量検出器1のさらなる例示的な実施形態を示している図10a、10bを参照する。この例では、流量検出器1は、前述のような、また、たとえば、欧州特許出願公開第1970677号明細書、欧州特許出願公開第2881128号明細書が開示しているような下流側投与ユニットの内容で示されている。しかし、これは必須ではなく、この種類の実施形態の流量検出器1は、たとえば、図9の内容で説明したような、他の携帯型注入システムの内容において使用されてもよい。図10a、10bは、以下でさらに説明するように、複数の要素が省かれていることを除けば同一である。
【0126】
図10a、10bにおいて、参照符号99は、下流側投与ユニットの投与シリンダを指している。流体プラットフォーム21aが、投与シリンダ99に一体的に設けられている。流体プラットフォーム21は、図9の内容で概して説明したように、投与ユニットのバルブ(図示せず)の出口または排出口、および流体出口(図示せず)と流体結合している溝の形態の流路20を備える。流路20は、熱伝導性の良好なホイル21b(図10bでは除かれている)によって覆われている。組み合わさって、流体プラットフォーム21aおよびホイル22bは、流路20を画定している。
【0127】
上流側熱電素子10a、下流側熱電素子10bの配置および動作に関しては、図10a、10bの設計は、図2、3に示される設計に実質的に対応しており、この点に関して図2、3も追加的に参照する。
【0128】
分離した要素キャリア11a、11bは、可撓性プリント回路基板11から延在しており、可撓性プリント回路基板11上にはまた、第1参照熱電素子10a’および第2参照熱電素子10b’が配置される。上流側熱電素子10aおよび下流側熱電素子10bとは対照的に、第1参照熱電素子10a’および第2参照熱電素子10b’は、一側面上の第1参照熱電素子10a’および第2参照熱電素子10b’と、流路20またはホイル21bとの間に配置されるプラスチック製の断熱要素93によって、流路から熱的に分離される。さらに、断熱カバー92が設けられ、断熱カバー92は、第1参照熱電素子10a’および第2参照熱電素子10b’が位置する可撓性回路基板11の一部を覆う。第1参照熱電素子10a’および第2参照熱電素子10b’は、それに応じて、断熱要素93と断熱カバー92との間に配置される。
【0129】
第1参照熱電素子10a’および第2参照熱電素子10b’を互いに対して位置決めすることは、好ましくは、上流側熱電素子10aおよび下流側熱電素子10bを互いに対して位置決めすることに対応する。特に、第1参照熱電素子10a’と第2参照熱電素子10b’との間の距離は、上流側熱電素子10aと下流側熱電素子10bとの間の距離に対応する。断熱カバー92は、第1参照熱電素子10a’と第2参照熱電素子10b’との間の相互の熱的結合が、流路内に流れが無い場合における、上流側熱電素子10aと下流側熱電素子10bとの間の相互の熱的結合に対応するように設計される。
【0130】
なお、図10a、10bの設計は、専用の加熱要素として中間熱電素子を使用していない。そのような(上流側熱電素子10aと下流側熱電素子10bとの間に配置される)中間熱電素子が存在する場合には、好ましくは、専用の参照加熱要素として第3参照熱電素子が、第1参照熱電素子と第2参照熱電素子との間にそれぞれ設けられ、配置される。
【0131】
以下において、図11を参照する。図11は、図8と同様に例示的な測定結果を示しており、測定結果は、図10a、10bを参照して既に説明した、追加の第1参照熱電素子10a’および第2参照熱電素子10b’を備える配置において得られた。図11では、実線の曲線(「管(Canal)NTC」と付されており、「流動曲線」とも呼称される)は、上流側熱電素子10aおよび下流側熱電素子10bに基づく測定結果を示している。破線の曲線(「対照NTC」と付されており、「基準曲線」とも称される)は、第1参照熱電素子10a’および第2参照熱電素子10b’に基づく測定結果を示している。流路20内の液体流の開始は、「S」で表示されており、一方で、液体流の終了は、「E」で表示されている。
【0132】
流動曲線のみを考慮すると、液体流の開始、そして特に終了は、判定することが困難であることがわかる。液体流の開始前には、両曲線は実質的に一致しており、よく対応していることがさらにわかる。液体流の開始とともに、基準曲線は、流動曲線とは対照的に液体流に影響されず、両曲線は分岐し始める。さらに、液体流の終了とともに、流動曲線は再び基準曲線に近づき、最終的に両曲線は再度一致する。両曲線を組み合わせて、特に流動曲線と基準曲線とのずれを評価することによって、それに応じて、液体流の開始と終了は、実質的に向上した正確さおよび信頼性を有して判定することができる。流れの変化は「S」においては比較的速く、一方で、「E」においては遅く、ゆっくりしていることがわかる。短期の流動事象(たとえば、低基礎速度の投与中に1μlより小さい量の投与)は常に、急速に流れを変化させるため、既に説明した熱電素子10aおよび10bだけを用いて短期の流動事象を評価することで十分である。急速な流れの変化が期待されているため、流動のいかなる障害も、流動の低速または無変化につながり、「流動無し」と確実に検出される。より大きなボーラスは、最終的にゆっくりと妨害され得る、より長期の期間の流動事象である。したがって、これらの長期の流動事象は、好ましくは、熱電素子10a、10bおよび熱電素子10a’、10b’の両方の組を用いて評価される。流れにおける遅い減少は、上流側熱電素子10aおよび下流側熱電素子10bのみを用いては確実には検出され得ないが、流れのゆっくりとした減少は、参照熱電素子10a’、10b’により生成される、流れとは独立した信号との比較により確実に検出される。
【0133】
以下において、図12を参照する。図は、参照熱電素子を有する流量検出器1を備える配置を概略の機能図で示している。この内容において、図9をさらに参照する。たとえば、図6または図7に示す回路に基づく、既に説明した実施形態のいずれかに従って設計されてもよい2つの分離した評価ユニット3が存在することがわかる。2つの評価ユニット3のうちの1つは、上流側熱電素子10aおよび下流側熱電素子10bと結合される。他方の評価ユニット3は、第1参照熱電素子10a’および第2参照熱電素子10b’と結合される。両方の評価ユニットは、互いに独立している。2つの評価ユニットの出力は、概して、図11に示される流動曲線に対応する。2つの評価ユニット3の出力は、2つの評価ユニット3により提供される出力信号の差分を判定する差分演算ユニット33として例示的に実現される補償ユニットに供給される。差分演算ユニット33の出力は、既に説明した流動曲線と基準曲線との差に対応しており、流路20内の実際の液体流を示している。2つの評価ユニット3および差分演算ユニット33は、組み合わされて、既に説明した評価および補償ユニットを形成する。任意により、評価および補償ユニットは、既に説明した動作の第1のモードまたは動作の第2のモードで動作するように設計されてもよい。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4a)】
【図4b)】
【図5a)】
【図5b)】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10a】
【図10b】
【図11】
【図12】
【手続補正書】
【提出日】20181213
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャネル結合領域内の流路(20)と取り外し可能に結合し、前記流路(20)内の液体薬剤の流れを検出するための流量検出器(1)であって、
前記流量検出器(1)が、
上流側熱電素子(10a)および下流側熱電素子(10b)と、
上流側付勢要素(15a)および下流側付勢要素(15b)と
を含み、
前記上流側熱電素子(10a)および前記下流側熱電素子(10b)は、互いから離間して配置され、互いから独立して移動可能であり、
前記上流側付勢要素(15a)は、前記上流側熱電素子(10a)に作用することにより、前記上流側熱電素子(10a)を前記チャネル結合領域に向かって付勢し、前記下流側付勢要素(15b)は、前記下流側熱電素子(10b)に作用することにより、前記下流側熱電素子(10b)を前記上流側付勢要素(15a)から独立して前記チャネル結合領域に向かって付勢する、
流量検出器(1)。
【請求項2】
前記流量検出器は、中間熱電素子(10c)をさらに含み、前記中間熱電素子(10c)は、前記上流側熱電素子(10a)と前記下流側熱電素子(10b)との間に、前記上流側熱電素子(10a)および前記下流側熱電素子(10b)から離間して配置され、前記上流側熱電素子(10a)および前記下流側熱電素子(10b)から独立して移動可能であり、前記流量検出器(1)は、中間付勢要素(15c)を備え、前記中間付勢要素(15c)は、前記中間熱電素子(10c)に作用することにより、前記中間熱電素子(10c)を、前記上流側付勢要素(15a)および前記下流側付勢要素(15b)から独立して前記チャネル結合領域に向かって付勢する、請求項1記載の流量検出器(1)。
【請求項3】
チャネル結合領域内の流路(20)と取り外し可能に結合し、前記流路(20)内の液体薬剤の流れを検出するための流量検出器(1)であって、
前記流量検出器が、上流側熱電素子(10a)および下流側熱電素子(10b)を含み、
前記上流側熱電素子(10a)および前記下流側熱電素子(10b)は、互いから離間して配置され、前記上流側熱電素子(10a)は、前記チャネル結合領域内の流路(20)に上流位置(16a)で結合するように配置され、前記下流側熱電素子(10b)は、前記下流側熱電素子(10b)が下流側温度センサとして動作し、下流位置における下流温度を感知するように、前記チャネル結合領域内の前記流路(20)に下流位置(16b)で取り外し可能に結合するように配置され、
前記上流側熱電素子(10a)は、加熱要素として動作することによって前記上流位置(16a)にて前記流路(20)内部の液体を加熱し、上流側温度センサとして動作し、前記上流位置(16a)における上流温度を感知するように構成される、
流量検出器(1)。
【請求項4】
前記流量検出器()は、第1参照熱電素子(10a’)および第2参照熱電素子(10b’)をさらに含み、前記第1参照熱電素子(10a’)および前記第2参照熱電素子(10b’)は、前記流路(20)に対し熱的に隔離されて配置される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の流量検出器()。
【請求項5】
前記上流側熱電素子(10a)は、上流側要素キャリア(11a)上に配置され、前記下流側熱電素子(10b)は、下流側要素キャリア(11b)上に配置され、前記上流側要素キャリア(11a)と前記下流側要素キャリア(11b)との間に間隙(14)が存在する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の流量検出器(1)。
【請求項6】
前記上流側熱電素子(10a)は、上流側可撓性プリント回路基板要素上に配置され、前記下流側熱電素子は、下流側可撓性プリント回路基板要素に取り付けられる、請求項1〜5のいずれか1項に記載の流量検出器(1)。
【請求項7】
前記上流側熱電素子(10a)は、前記上流側可撓性プリント回路基板要素の、前記チャネル結合領域の反対を向く側に配置され、前記下流側熱電素子(10b)は、前記下流側可撓性プリント回路基板要素の、前記チャネル結合領域の反対を向く側に配置される、請求項6記載の流量検出器(1)。
【請求項8】
前記流量検出器(1)は、位置決め構造(24)を含み、前記位置決め構造(24)は、前記上流側熱電素子(10a)および前記下流側熱電素子(10b)に対し、前記流路(20)を位置決めするように設計される、請求項1〜7のいずれか1項に記載の流量検出器(1)。
【請求項9】
前記上流側熱電素子(10a)および前記下流側熱電素子(10b)は、サーミスタである、請求項1〜8のいずれか1項に記載の流量検出器(1)。
【請求項10】
前記上流側熱電素子(10a)および前記下流側熱電素子(10b)は、負温度係数(NTC)サーミスタである、請求項1〜9のいずれか1項に記載の流量検出器(1)。
【請求項11】
前記上流側熱電素子(10a)および前記下流側熱電素子(10b)は、異なる電気抵抗のNTCサーミスタである、請求項10記載の流量検出器(1)。
【請求項12】
前記流量検出器(1)は、評価ユニット(3)を含み、前記評価ユニット(3)は、可変の周波数の出力信号を提供するように設計され、前記周波数は、前記上流側熱電素子(10a)に感知される上流温度と前記下流側熱電素子(10b)に感知される下流温度との差に依存する、請求項1〜11のいずれか1項に記載の流量検出器(1)。
【請求項13】
動作構成において、流路(20)を備える流体装置(2)の注入装置連結器(25)と取り外し可能に嵌合結合するように設計される流体装置連結器(70)と、
前記流路(20)を介して薬剤容器(5)の中から患者の身体へと液体薬剤を投与するように構成されるポンプ駆動ユニット(4)と、
時間に応じて変化する基礎注入投与速度に応じて連続的に薬剤を投与するために、前記ポンプ駆動ユニット(4)の動作を制御するように構成されるポンプ制御ユニット(6)と、
前記ポンプ制御ユニット(6)と動作結合している、請求項1〜12のいずれか1項に記載の流量検出器(1)と
を含む、
携帯型注入装置(7)。
【請求項14】
前記ポンプ制御ユニット(6)は、前記ポンプ駆動ユニット(4)を制御して、予め設定されたパルス容量の薬剤パルスを投与するように、および必要とされる基礎投与速度に応じて連続するパルス間の時間を変化させるように構成され、前記流量検出器は、前記薬剤パルスの投与のために断続的に動作されるように構成される、請求項13記載の携帯型注入装置(7)。
【請求項15】
流路(20)内の液体薬剤の流れを検出するために、流量検出器(1)を流路(20)に取り外し可能に結合する方法であって、
前記方法が、
上流側熱電素子(10a)および下流側熱電素子(10b)を前記流路(20)に取り外し可能に結合することであって、前記上流側熱電素子(10a)および前記下流側熱電素子(10b)は、前記流路(20)の延在方向に沿って、互いから離間して配置され、互いから独立して移動可能である、上流側熱電素子(10a)および下流側熱電素子(10b)を前記流路(20)に取り外し可能に結合することと、
前記上流側熱電素子(10a)を前記流路(20)に向けて付勢し、前記下流側熱電素子を独立的に前記流路(20)に向けて付勢することと
を含む、
方法。
【請求項16】
流路(20)内の液体薬剤流を検出する方法であって、
前記方法が、
上流側熱電素子(10a)および下流側熱電素子(10b)を前記流路(20)に取り外し可能に結合することであって、前記上流側熱電素子(10a)および前記下流側熱電素子(10b)は、前記流路(20)の延在方向に沿って互いから離間して配置され、前記上流側熱電素子(10a)は、上流位置(16a)にて前記流路(20)に結合し、前記下流側熱電素子(10b)は、下流位置(16b)にて前記流路の壁に結合する、上流側熱電素子(10a)および下流側熱電素子(10b)を前記流路(20)に取り外し可能に結合することと、
下流側温度センサとして動作し、前記下流位置(16b)における下流温度を感知するように前記下流側熱電素子(10b)を制御することと、
加熱要素として動作することによって、前記上流位置(16a)にて前記流路(20)内の液体を加熱するように、および上流側温度センサとして動作し、前記上流位置(16a)における上流温度を感知するように前記上流側熱電素子を制御することと
を含む、
方法。
【請求項17】
前記方法が、第1参照熱電素子(10a’)および第2参照熱電素子(10b’)を設けることをさらに含み、前記第1参照熱電素子(10a’)および前記第2参照熱電素子(10b’)は、前記流路(20)に対し、熱的に隔離されて配置され、
前記方法が、
前記上流側熱電素子(10a)および前記下流側熱電素子(10b)により提供される信号を処理することによって、流れに応じた出力信号を判定することと、
前記第1参照熱電素子(10a’)および前記第2参照熱電素子(10b’)により提供される信号を処理することによって、独立的に参照出力信号を判定することと、
前記流れに応じた出力信号と前記参照出力信号との関係を評価することと
をさらに含む、
請求項15または16記載の方法。
【国際調査報告】