(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】2019523887
(43)【公表日】20190829
(54)【発明の名称】流体中の浮遊粒子を検出および/または特性評価するための装置と方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 15/14 20060101AFI20190802BHJP
   G01N 21/64 20060101ALI20190802BHJP
【FI】
   !G01N15/14 B
   !G01N21/64 Z
   !G01N21/64 E
   !G01N15/14 D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】24
(21)【出願番号】2018566958
(86)(22)【出願日】20170509
(85)【翻訳文提出日】20181220
(86)【国際出願番号】EP2017061070
(87)【国際公開番号】WO2017220249
(87)【国際公開日】20171228
(31)【優先権主張番号】62/352,171
(32)【優先日】20160620
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ
(71)【出願人】
【識別番号】518258124
【氏名又は名称】プレアー ソシエテ・アノニム
【住所又は居所】スイス国 1228 プラン・レ・ウアット、オー通り 18
(74)【代理人】
【識別番号】110001298
【氏名又は名称】特許業務法人森本国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キセリョフ、デニス
【住所又は居所】スイス国 1258 ペルリ、サン・ジュリアン道路 285
(72)【発明者】
【氏名】キセレヴァ、スヴェトラーナ
【住所又は居所】スイス国 1258 ペルリ、サン・ジュリアン道路 285
【テーマコード(参考)】
2G043
【Fターム(参考)】
2G043AA03
2G043CA01
2G043CA04
2G043CA06
2G043DA05
2G043DA06
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2G043KA01
2G043KA02
2G043KA03
2G043KA07
2G043KA08
2G043KA09
2G043LA01
2G043NA01
(57)【要約】
流体中の浮遊粒子9の検出および/または特性評価のための測定装置である。流路に沿って流体の流れを生成するための手段1、10と、第1の偏光方向に偏光されたレーザー光のパルスであって各パルスがパルス持続時間を備えたものを流路における測定領域に向けて照射するために配置されたレーザーと、第1の偏光方向とは異なった第2の偏光方向に偏光されたレーザーを測定領域に向かわせるための方向付け手段3と、測定領域において流体中の個々の浮遊粒子9から放射された蛍光を取り込んで、この取り込まれた蛍光についての少なくとも1つの所定の波長の強度を、パルス持続時間中に少なくとも3回のサンプリング率で測定する第1の光学分光装置とを備える。方向付け手段は、レーザー2から照射され第1の方向に偏光したパルスレーザー光が測定領域を横切るたびに、第2の偏光方向に偏光されたレーザー光のパルスを測定領域に向かわせ、かつレーザー2から照射されたパルスが測定領域を横切る瞬間から、方向付け手段3によって方向付けされたパルスが測定領域を横切る瞬間までの時間遅れが、パルス持続時間よりも長くかつ流体が測定領域を通過する時間よりも短い。本発明の測定装置を用いた、流体中の浮遊粒子9の検出および/または特性評価のための測定方法である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体中の浮遊粒子(9)の検出および/または特性評価のための測定装置であって、
流路に沿って流体の流れを生成するための手段(1、10)と、
第1の偏光方向に偏光されたレーザー光のパルスであって各パルスがパルス持続時間を備えたものを前記流路における測定領域に向けて照射するために配置されたレーザーと、
前記第1の偏光方向とは異なった第2の偏光方向に偏光されたレーザーを前記測定領域に向かわせるための方向付け手段(3)と、
前記測定領域において流体中の個々の浮遊粒子(9)から放射された蛍光を取り込んで、前記取り込まれた蛍光についての少なくとも1つの所定の波長の強度を、前記パルス持続時間中に少なくとも3回のサンプリング率で測定する第1の光学分光装置とを備え、
前記方向付け手段は、前記レーザー(2)から照射され前記第1の方向に偏光したパルスレーザー光が前記測定領域を横切るたびに、前記第2の偏光方向に偏光されたレーザー光のパルスを前記測定領域に向かわせ、かつ前記レーザー(2)から照射されたパルスが前記測定領域を横切る瞬間から、前記方向付け手段(3)によって方向付けされた前記パルスが前記測定領域を横切る瞬間までの時間遅れが、前記パルス持続時間よりも長くかつ流体が前記測定領域を通過する時間よりも短いものであることを特徴とする流体中の浮遊粒子の測定装置。
【請求項2】
第2の偏光方向が第1の偏光方向に対して垂直であることを特徴とする請求項1記載の流体中の浮遊粒子の測定装置。
【請求項3】
流体の流れを生成するための手段が、層流の空気流を生成するためのノズル(1)であって、前記ノズル(1)越える流路を備えているものであることを特徴とする請求項1または2記載の流体中の浮遊粒子の測定装置。
【請求項4】
流体の流れを生成するための手段が、透光性を有するチューブ(10)であって、前記チューブ(10)に沿った流路によって液体の流れを生成するものであることを特徴とする請求項1または2記載の流体中の浮遊粒子の測定装置。
【請求項5】
方向付け手段は、受動的な光学システム(3)であって、レーザー(2)から照射され測定領域を横切った後のレーザー光を集光し、かつその集光したレーザー光を再び前記測定領域に向かわせるように構成され、かつ、測定領域へ向けられたレーザー光が前記測定領域に到達する前にレーザーパルスの光の偏光方向を第1の偏光方向から第2の偏光方向へ回転させるように構成されていることを特徴とする請求項1から4までのいずれか1項記載の流体中の浮遊粒子の測定装置。
【請求項6】
方向付け手段(3)は、受動的な光学要素(30、31、32)であって、
測定領域に関してレーザー(2)とは反対側に配置されて、前記レーザー(2)によって照射されたレーザー光を、このレーザー光が前記測定領域を通過した後に反射する第1の鏡(31)と、
前記第1の鏡(31)によって反射された光をさらに反射させて前記測定領域へ向かわせる第2の鏡(32)と、
レーザーパルスの光路に配置されて前記パルスのレーザー光の偏光方向を90°回転させる波長板(30)であって、その配置された位置が、前記測定領域と第1の鏡(31)との間か、前記第1の鏡(31)と第2の鏡(32)との間か、前記第2の鏡(32)と測定領域との間かのいずれかである波長板(30)とを有することを特徴とする請求項1から5までのいずれか1項記載の流体中の浮遊粒子の測定装置。
【請求項7】
第1の光学分光装置(4)が、取り込んだ蛍光のうち、3つの異なる波長についての強度を測定するものであることを特徴とする請求項1から6までのいずれか1項記載の流体中の浮遊粒子の測定装置。
【請求項8】
第1の光学分光装置(4)が、集められた蛍光を500MSPS(Mega samples per second)以上のサンプリング周波数でサンプルするものであることを特徴とする請求項1から7までのいずれか1項記載の流体中の浮遊粒子の測定装置。
【請求項9】
第1の光学分光装置(4)が、集められた蛍光を1GSPS(Giga samples per second)以上のサンプリング周波数でサンプルするものであることを特徴とする請求項8記載の流体中の浮遊粒子の測定装置。
【請求項10】
測定領域で流体中の個々の浮遊粒子(9)から放射された蛍光を取り込み、前記取り込んだ蛍光のスペクトルを広い周波数範囲にわたって決定する第2の光学分光装置(5)をさらに備えることを特徴とする請求項1から9までのいずれか1項記載の流体中の浮遊粒子の測定装置。
【請求項11】
すべての光を全反射によって大径側から小径側へ案内する要素をさらに備え、前記要素は、後部焦点距離が無限遠であり光学レンズ(61)と共役関係である反射対物レンズ(60)と、後部焦点距離が無限遠であり放物線反射鏡(62)と共役関係である反射対物レンズ(60)と、後部焦点距離が無限遠であり光学テーパ(63)と共役関係である反射対物レンズ(60)とを有する群における少なくとも一つの構造を備えていることを特徴とする請求項1から10までのいずれか1項記載の流体中の浮遊粒子の測定装置。
【請求項12】
流体中の浮遊粒子(9)の検出および/または特性評価のための測定方法であって、
流路に沿って流体の流れを生成させ、
第1の偏光方向に偏光されたレーザー光のパルスであってパルス持続時間を備えたものを前記流路における測定領域に向けて照射し、
前記測定領域における流体中の個々の浮遊粒子(9)に前記第1の偏光方向に偏光されかつ直線偏光器に通されたレーザー光のパルスが衝突したときに前記測定領域において流体中の個々の浮遊粒子(9)から放射された蛍光を取り込むとともに、取り込まれかつ直線偏光器に通された蛍光の強度を、少なくとも1つの所定の波長において、前記パルス持続時間中に少なくとも3回のサンプリング率で測定し、
前記第1の偏光方向とは異なった第2の偏光方向に偏光されたレーザー光のパルスを前記測定領域に向けて方向付けして、前記第1の偏光方向に偏光したレーザー光のパルスが前記測定領域を横切る瞬間から、前記第2の偏光方向に偏光したレーザー光のパルスが前記測定領域を横切る瞬間までの時間遅れが、前記パルス持続時間よりも長くかつ流体が前記測定領域を通過する時間よりも短くなるようにし、
前記測定領域における流体中の個々の浮遊粒子(9)に前記第2の偏光方向に偏光されかつ直線偏光器に通されたレーザー光のパルスが衝突したときに前記個々の浮遊粒子(9)から放射された蛍光を取り込むとともに、取り込まれかつ直線偏光器に通された蛍光の強度を、前記少なくとも1つの所定の波長において、前記パルス持続時間中に少なくとも3回のサンプリング率で測定することを特徴とする流体中の浮遊粒子の測定方法。
【請求項13】
第2の偏光方向は、第1の偏光方向に対して垂直であることを特徴とする請求項12記載の流体中の浮遊粒子の測定方法。
【請求項14】
流体が空気であることを特徴とする請求項11または12記載の流体中の浮遊粒子の測定方法。
【請求項15】
流体が液体であることを特徴とする請求項11または12記載の流体中の浮遊粒子の測定方法。
【請求項16】
第2の偏光方向に偏光されたレーザー光のパルスを測定領域に向けて方向付けするときに、測定領域を通過しかつ第1の偏光方向に偏光された前記レーザー光のパルスを取り込んだうえで再び前記測定領域に向かわせるとともに、前記第1の偏光方向に偏光されたレーザー光のパルスの偏光を、このパルスが前記測定領域に再び到達する前に、前記第1の偏光方向から前記第2の偏光方向に向けて回転させることを特徴とする請求項11から14までのいずれか1項記載の流体中の浮遊粒子の測定方法。
【請求項17】
第1の偏光方向とは異なった第2の偏光方向に偏光されたレーザー光のパルスを測定領域に向けて方向付けするときに、
−第1の偏光方向に偏光されたレーザー光のパルスを、測定領域を横切った後に、第1の鏡(31)によって反射させ、
−前記第1の鏡(31)によって反射されたレーザー光のパルスを、第2の鏡(32)によって反射させるとともに前記測定領域に向かわせ、
−レーザー光のパルスの光路に配置された波長板(30)によって、前記測定領域と第1の鏡(31)との間か、前記第1の鏡(31)と第2の鏡(32)との間か、前記第2の鏡(32)と測定領域との間かのいずれかにおいて、前記パルスのレーザー光の偏光方向を90°回転させることを特徴とする請求項11から15までのいずれか1項記載の流体中の浮遊粒子の測定方法。
【請求項18】
第1の光学分光装置(4)によって、取り込んだ蛍光のうちの3つの異なる波長についての強度を測定することを特徴とする請求項11から16までのいずれか1項記載の流体中の浮遊粒子の測定方法。
【請求項19】
第1の光学分光装置(4)によって、集められた蛍光を500MSPS(Mega samples per second)以上のサンプリング周波数でサンプルすることを特徴とする請求項11から17までのいずれか1項記載の流体中の浮遊粒子の測定方法。
【請求項20】
第1の光学分光装置(4)によって、集められた蛍光を1GSPS(Giga samples per second)以上のサンプリング周波数でサンプルすることを特徴とする請求項19記載の流体中の浮遊粒子の測定方法。
【請求項21】
測定領域における流体中の個々の浮遊粒子(9)に第2の偏光方向に偏光されかつ直線偏光器に通されたレーザー光のパルスが衝突したときに前記個々の浮遊粒子(9)から放射された蛍光を取り込むとともに、取り込まれかつ直線偏光器に通された蛍光の強度を、少なくとも1つの所定の波長においてパルス持続時間中に少なくとも3回のサンプリング率で測定するときに、前記取り込んだ蛍光のスペクトルを広い周波数範囲にわたって決定することを特徴とする請求項11から18までのいずれか1項記載の流体中の浮遊粒子の測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体中の浮遊粒子を検出および/または特性評価するための方法および装置に関する。本発明は、前記粒子にレーザー誘起蛍光法を用いる。本発明は、特に、流体中の浮遊粒子に時間分解レーザー誘起蛍光法を用いる方法および装置に関する。その時間分解レーザー誘起蛍光法を用いる方法および装置は、流体の連続的な流れの中の個々の粒子の、例えば蛍光寿命と、蛍光寿命の蛍光異方性と、場合によっては蛍光スペクトルとを決定する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、予防の手段および/または保護の手段の分野に関する。これらの手段は、流体中の浮遊粒子を検出および/または特性評価するために使われる。浮遊粒子とは、例えば、空気中の浮遊粒子や、水中の浮遊粒子などである。空気中の浮遊粒子とは、大気汚染、および/または大気の生物汚染、および/または大気の化学汚染、および/または大気中に浮遊するアレルギー物質などである。水中の浮遊粒子とは、水汚染、水の生物汚染および水の化学汚染などである。浮遊粒子は、これらに限定されない。大気中のさまざまな種類のエアロゾルの濃度が高まることで、例えば空気中に浮遊する胞子の数がますます増加することで、空気中に浮遊する花粉の数が、より重要な公衆衛生の問題となっている。さらに、バイオテロのような新しい脅威が現れている。この新しい脅威は、空気中に浮遊し病気の原因となる生物学的な有機体や化学的な有機体を大量破壊兵器として用いている。生物学的な有機体や化学的な有機体とは、炭疽菌やマスタードガスのようなものである。信頼ができて、オペレータが不要で、費用効果の高い浮遊粒子の検出器、例えば高速で程度の高い識別力を有したエアロゾル検出器は、それゆえ市場では非常に価値がある。特に、市場で必要とされている検出器とは、特有の流体環境に存在する粒子のリアルタイムでの検出を可能にするものである。特有の流体環境とは、例えば大気、水路、飲料水の分配システムなどである。
【0003】
特許文献1と特許文献2は、例えば粒子の特性を評価するための装置と方法とを記載している。特にその装置と方法は、時間分解した蛍光を用いる。時間分解した蛍光とは、粒子にレーザー光が照射された結果として粒子から生じた蛍光を時間分解したものである。これらの装置と方法の欠点は、個々の粒子に関して得ることが可能な、その粒子の性質と特徴とについての情報が限られていることである。粒子の特性を評価するほとんどの場合、数十ナノ秒程度の時間がかかる蛍光減衰を有する粒子と、数ナノ秒以下程度の短い蛍光減衰を有する粒子との区別だけしか可能とならない。時間がかかる蛍光減衰を有する理由は、一般に炭化水素を含んだ非生物学的な粒子であるからである。蛍光減衰が短い粒子は、一般に生物学的とみなされている。蛍光減衰のみしか得られないと、その蛍光減衰から、生物学的に分類することと非生物学的に分類することに間違った応答を与えることになる相当な数の分子組成が見つかることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第5,270,548号明細書
【特許文献2】米国特許第5,315,122号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって本発明の目的は、流体中の個々の浮遊粒子の検出および/または流体中の個々の浮遊粒子の特性の評価を、信頼性があり、かつ費用効果が高い手法により可能にする装置と方法とを提供することである。この装置と方法によれば、蛍光の応答について相当に詳細な測定を行うことができる。それ故にこの装置と方法によれば、個々の粒子の化学組成についてはるかに優れた化学的同定を行うことができ、その結果として計数誤差を低く抑えることができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的と他の利点は、対応する独立請求項にしたがった装置と方法を用いて達成される。
【0007】
この目的と他の利点は、特に流体中の浮遊粒子の検出および/または流体中の浮遊粒子の特性の評価のための測定装置により達成される。この測定装置は、流路に沿って流体の流れを生成するための手段と、第1の偏光方向に偏光されたレーザー光のパルスであって各パルスがパルス持続時間を備えたものを前記流路における測定領域に向けて照射するために配置されたレーザーと、第1の偏光方向とは異なった第2の偏光方向に偏光されたレーザーを測定領域に向かわせるための方向付け手段と、測定領域において流体中の個々の浮遊粒子から放射された蛍光を取り込んで、その取り込まれた蛍光についての少なくとも1つの所定の波長の強度を、パルス持続時間中に少なくとも3回のサンプリング率で測定する第1の光学分光装置とを備え、前記方向付け手段は、レーザーから照射され第1の方向に偏光したパルスレーザー光が測定領域を横切るたびに、第2の偏光方向に偏光されたレーザー光のパルスを測定領域に向かわせ、かつレーザーから照射されたパルスが測定領域を横切る瞬間から、方向付け手段によって方向付けされたパルスが測定領域を横切る瞬間までの時間遅れが、パルス持続時間よりも長くかつ流体が測定領域を通過する時間よりも短いものである。
【0008】
第2の偏光方向は、第1の偏光方向に対して例えば垂直である。
【0009】
実施の形態において、流体の流れを生成するための手段は、層流の空気流を生成するためのノズルであって、このノズル越える流路を備えているものである。他の実施の形態において、流体の流れを生成するための手段は、透光性を有するチューブであって、このチューブに沿った流路によって液体の流れを生成するものである
【0010】
方向付け手段は、例えば受動的な光学システムであって、レーザーから照射され測定領域を横切った後のレーザー光を集光し、かつその集光したレーザー光を再び測定領域に向かわせるように構成され、かつ、測定領域へ向けられたレーザー光が測定領域に到達する前にレーザーパルスの光の偏光方向を第1の偏光方向から第2の偏光方向へ回転させるように構成されている。
【0011】
方向付け手段は、例えば受動的な光学要素であって、測定領域に関してレーザーとは反対側に配置されて、このレーザーによって照射されたレーザー光を、このレーザー光が測定領域を通過した後に反射する第1の鏡と、第1の鏡によって反射された光をさらに反射させて測定領域へ向かわせる第2の鏡と、レーザーパルスの光路に配置されてパルスのレーザー光の偏光方向を90°回転させる波長板であって、その配置された位置が、測定領域と第1の鏡との間か、第1の鏡と第2の鏡との間か、第2の鏡と測定領域との間かのいずれかである前記波長板とを有する。
【0012】
実施の形態において、第1の光学分光装置は、取り込んだ蛍光のうち、3つの異なる波長についての強度を、所定の唯一の偏光方向において、好ましくは前述の第1の偏光方向において、測定するものである。
【0013】
第1の光学分光装置は、集められた蛍光を500MSPS(Mega samples per second)以上のサンプリング周波数でサンプルするものであり、例えば1GSPS(Giga samples per second)以上のサンプリング周波数でサンプルするものである。
【0014】
実施の形態において、測定装置は第2の光学分光装置をさらに備え、この第2の光学分光装置は、測定領域で流体中の個々の浮遊粒子から放射された蛍光を、所定の唯一の偏光方向にて、好ましくは前述の第1の偏光方向にて取り込み、この取り込んだ蛍光のスペクトルを広い周波数範囲にわたって決定する。
【0015】
したがって、本発明の測定装置は、偏光方向が異なるとともに短時間の遅れだけ時間的に離された2つのレーザーパルスにより、それぞれの個々の粒子のために、分光的かつ時間分解的な蛍光反応を取得することができる。これは、流体と幾何学的な光路との組み合わせによって達成される。この点は、超高速の検出器と、取得用のエレクトロニクスとによって改善することもできる。
【0016】
本発明の目的と他の利点とは、流体中の浮遊粒子の検出および/または特性評価のための測定方法によっても達成される。この測定方法は、流路に沿って流体の流れを生成させ、第1の偏光方向に偏光されたレーザー光のパルスであってパルス持続時間を備えたものを前記流路における測定領域に向けて照射し、測定領域における流体中の個々の浮遊粒子に、第1の偏光方向に偏光されかつ直線偏光器に通されたレーザー光のパルスが衝突したときに、測定領域において流体中の個々の浮遊粒子から放射された蛍光を取り込むとともに、取り込まれかつ直線偏光器に通された蛍光の強度を、少なくとも1つの所定の波長において、パルス持続時間中に少なくとも3回のサンプリング率で測定し、第1の偏光方向とは異なった第2の偏光方向に偏光されたレーザー光のパルスを測定領域に向けて方向付けして、第1の偏光方向に偏光したレーザー光のパルスが測定領域を横切る瞬間から、第2の偏光方向に偏光したレーザー光のパルスが測定領域を横切る瞬間までの時間遅れが、パルス持続時間よりも長くかつ流体が測定領域を通過する時間よりも短くなるようにし、測定領域における流体中の個々の浮遊粒子に第2の偏光方向に偏光されかつ直線偏光器に通されたレーザー光のパルスが衝突したときに個々の浮遊粒子から放射された蛍光を取り込むとともに、取り込まれかつ直線偏光器に通された蛍光の強度を、蛍光減衰の間に、少なくとも1つの所定の波長において、パルス持続時間中に少なくとも3回のサンプリング率で測定するものである。
【0017】
第2の偏光方向は、第1の偏光方向に対して例えば垂直である。
【0018】
放射された蛍光についての後述のさらなる特性分析のために、放射された蛍光を直線偏光器に通すことで、放射された蛍光が好ましくは第1の偏光方向である一方向の偏光になるようにする。
【0019】
流体は、例えば、空気、他の気体、混合ガス、または液体である。
【0020】
実施の形態において、第2の偏光方向に偏光されたレーザー光のパルスを測定領域に向けて方向付けするときに、測定領域を通過しかつ第1の偏光方向に偏光されたレーザー光のパルスを取り込んだうえで再び測定領域に向かわせるとともに、第1の偏光方向に偏光されたレーザー光のパルスの偏光を、このパルスが測定領域に再び到達する前に、第1の偏光方向から第2の偏光方向に向けて回転させる。
【0021】
実施の形態において、第1の偏光方向とは異なった第2の偏光方向に偏光されたレーザー光のパルスを測定領域に向けて方向付けするときに、第1の偏光方向に偏光されたレーザー光のパルスを、測定領域を横切った後に、第1の鏡によって反射させ、この第1の鏡によって反射されたレーザー光のパルスを、第2の鏡によって反射させるとともに測定領域に向かわせ、レーザー光のパルスの光路に配置された波長板によって、測定領域と第1の鏡との間か、第1の鏡と第2の鏡との間か、第2の鏡と測定領域との間かのいずれかにおいて、パルスのレーザー光の偏光方向を90°回転させる。
【0022】
実施の形態において、第1の光学分光装置によって、所定の唯一の偏光方向において、好ましくは第1の偏光方向において、取り込んだ蛍光のうちの3つの異なる波長についての強度を測定する。
【0023】
実施の形態において、第1の光学分光装置によって、集められた蛍光を500MSPS(Mega samples per second)以上のサンプリング周波数で、例えば1GSPS(Giga samples per second)以上のサンプリング周波数で、サンプルする。
【0024】
実施の形態において、測定領域における流体中の個々の浮遊粒子に第2の偏光方向に偏光されかつ直線偏光器に通されたレーザー光のパルスが衝突したときに個々の浮遊粒子から放射された蛍光を取り込むとともに、取り込まれかつ直線偏光器に通された蛍光の強度を、少なくとも1つの所定の波長においてパルス持続時間中に少なくとも3回のサンプリング率で測定するときに、取り込んだ蛍光のスペクトルを、所定の唯一の偏光方向において、好ましくは第1の偏光方向において、広い周波数範囲にわたって決定する。
【0025】
好ましい実施の形態において、設計を簡単化するために、粒子からの蛍光を、光学分光装置に向けて送るために、光ファイバー、好ましくは単一の光ファイバー、へ結合させることが有用である。これにより、集光素子と光測定素子とにおいて光を良好に分離することができる。そのようにするために、すなわち個々の粒子から放射された蛍光を光ファイバーに集めるために、好ましくは透明なガラス製の素子であって、大径側で結合されたすべての光を全反射の作用により小径側に案内するように形作られた素子を付け足せばよい。さまざまな幾何学的な配置のうち、互いに異なった以下の3つの配置が好ましい。すなわち
−後部焦点距離が無限遠であり、光学レンズと共役関係である、反射対物レンズ
−後部焦点距離が無限遠であり、放物線反射鏡と共役関係である、反射対物レンズ
−後部焦点距離が無限遠であり、光学テーパと共役関係である、反射対物レンズ
が好ましい。
【0026】
本発明の方法によると、時間分割かつスペクトル分割した手法によって、信頼性を有しかつ効率的な状態で蛍光応答を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】空気中の浮遊粒子の検出および/または特性評価のための本発明装置の実施の形態の概要を示した図である。
【図2】図1の装置を液体中の浮遊粒子の検出および/または特性評価に適したものとした装置の概要を示した図である。
【図3】空気中の浮遊粒子の検出および/または特性評価のための本発明装置の別の実施の形態の概要を示した図である。
【図4】図3の装置を液体中の浮遊粒子の検出および/または特性評価に適したものとした例の概要を示した図である。
【図5】空気中の浮遊粒子の検出および/または特性評価のための本発明装置のさらに別の実施の形態の概要を示した図である。
【図6】図5の装置を液体中の浮遊粒子の検出および/または特性評価に適したものとした例の概要を示した図である。
【図7a】軽量な物質の相互作用の基本的な物理的原理を概略的に示した図である。
【図7b】軽量な物質の相互作用の基本的な物理的原理を概略的に示した図である。
【図8a】代表的な蛍光分子であって、その寿命が、蛍光分子とレーザーパルスとの2つの相互作用の間の時間よりも短いときの一般的な場合を概略的に示した図である。
【図8b】代表的な蛍光分子であって、その寿命が、蛍光分子とレーザーパルスとの2つの相互作用の間の時間よりも長いときの一般的な場合を概略的に示した図である。
【図9a】代表的な蛍光分子であって、その寿命が、蛍光分子とレーザーパルスとの2つの相互作用の間の時間よりも短く、蛍光異方性が弱いときの、一般的な場合を表した図である。
【図9b】代表的な蛍光分子であって、その寿命が、蛍光分子とレーザーパルスとの2つの相互作用の間の時間よりも短く、蛍光異方性が強いときの、一般的な場合を表した図である。
【図9c】代表的な蛍光分子であって、その寿命が、蛍光分子とレーザーパルスとの2つの相互作用の間の時間よりも長く、蛍光異方性が弱いときの、一般的な場合を表した図である。
【図9d】代表的な蛍光分子であって、その寿命が、蛍光分子とレーザーパルスとの2つの相互作用の間の時間よりも長く、蛍光異方性が強いときの、一般的な場合を表した図である。
【図10a】スペクトルに分解された代表的なレーザー誘起蛍光を示した図である。
【図10b】いくつかの一般的な蛍光色素による光の吸収を示した図である。
【図11a】個々の粒子から放射される蛍光を光ファイバーに集めるための装置構成を示す図である。
【図11b】個々の粒子から放射される蛍光を光ファイバーに集めるための、図11aと異なる装置構成を示す図である。
【図11c】個々の粒子から放射される蛍光を光ファイバーに集めるための、図11aおよび図11bと異なる装置構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
実施の形態に関し、図1を参照すると、本発明の装置は、空気の流れまたは他の気体の流れに含まれる浮遊粒子の検出および/または浮遊粒子の特性評価のために構成されている。
【0029】
図1を参照すると、本発明の装置はノズル1を備え、ノズル1は、ノズル1を越えた流路に沿って層流の空気流を生成する。その層流の空気流は、個々のエアロゾル粒子または個々の浮遊粒子9を潜在的に含む。その流路の向きは、例えば垂直である。この装置は、さらに光源を含んでいる。その光源は例えばレーザー2である。例えば263、266、337、355または400ナノメートルのパルス状の紫外線レーザーである。レーザー2は、偏光したレーザー光のパルスを空気流に向けて照射するように配置される。レーザーの波長は、最も効率的な吸収と、最も効率的な量子収率と最も効率的な吸収断面積と最も効率的な蛍光放射とを可能にするように選択される。したがって、波長は深紫外から赤外に及ぶ可能性があり、上記の例としての波長の数字に限定されない。レーザー2から照射されたレーザー光のパルスが横切られた空気流の領域は、測定領域を定める。その測定領域では、空気中の浮遊粒子9が、レーザー光と相互作用する。レーザー2から照射されたレーザー光は、第1の偏光方向に偏光したものである。その偏光方向は、例えば垂直方向である。
【0030】
図1に示す実施の形態によれば、本発明の装置は、光学システム3を含む。光学システム3は、受動素子を含む。受動素子は、レーザー光のパルスが測定領域を横切った後に、それらのパルスを、再び測定領域に向けて方向付けする。図1に図示された実施の形態では、光学システム3は、測定領域の反対側においてレーザー2に向き合って配置される第1の鏡31と、第1の鏡31で反射されたレーザー光のパルスを反射して測定領域に向けて方向付けする第2の鏡32とを含む。したがって、レーザー2から照射されたレーザー光のパルスは、まず測定領域を横切り、第1の鏡31によって反射され、そして第2の鏡32によって反射されたうえで、第2の鏡32によって再び測定領域に向けて方向付けされる。そのようにして、レーザー光のそれぞれのパルスは、測定領域を2回横切る。その横切りには、時間の遅れをともなう。その時間の遅れは、1回目の横切りと2回目の横切りとの間の時間である。その時間の遅れは、レーザー光のパルスが2回の横切りを行う間においてレーザー光のパルスが移動する光路の長さによって決定される。本発明によれば、光学システム3は、さらにレーザー光のパルスを回転させる手段を含む。例えばその回転させる手段は、1/2波長板30である。1/2波長板30は、レーザー光のパルスが測定領域を2回目に横切る前に、そのレーザー光の偏光を例えば90°回転させる。本発明によれば、レーザー光の偏光が、このようにして、第1の偏光方向から、第1の偏光方向とは異なる第2の偏光方向に回転される。波長板30は、レーザー光のパルスの光路上に配置される。例えばその配置される場所は、測定領域と第1の鏡31との間、または第1の鏡31と第2の鏡32との間、または第2の鏡32と測定領域との間である。
【0031】
他の実施の形態では、光学システムは、導波管、または他の受動的な光学素子、または能動的な光学素子を備える。導波管や他の光学素子は、レーザー光のパルスを再び測定領域に向けて方向付けすること、および/またはレーザー光の移動経路に所定の時間遅れを導入すること、および/またはレーザー光の偏光を回転させることのために備えられる。
【0032】
他の実施の形態では、光学システムは1つのレーザーを含み、そのレーザーの光路は、最初に測定領域を横切る前に、それぞれ長さの異なる2つ以上の光路に分割される。しかし、この実施の形態では、各レーザーパルスは、レーザーから出力されるパルスのエネルギーの一部だけしか含んでいない複数のサブパルスに分割される。このサブパルスがエネルギーの一部だけしか含んでいないことが、蛍光の応答について、効率的な励起のための制限因子になる可能性がある。この励起のための制限因子は、SN比の低下につながる。
【0033】
あるいは、本発明の装置は、偏向方向の異なったレーザーパルスを同じ測定領域に向けて照射する2つのレーザーを備えることができる。しかし、このような解決手段は、第1のレーザーからのパルスレーザー光と第2のレーザーからのパルスレーザー光との間での正確でかつ厳密に再現可能な時間遅れを達成するために、両方のレーザーにかなり正確な同期を必要とする。しかし、この点は、現在の合理的な価格のレーザーではおそらく達成できない。
【0034】
本発明によれば、この装置は、第1の光学分光装置4をさらに備える。第1の光学分光装置4は、レーザー光のパルスが測定領域における浮遊粒子9に衝突したときに放射された少なくとも1つの波長の蛍光についての時間分解した情報を提供する。第1の光学分光装置4は、例えば、直線偏光子42と、ダイクロイックミラー43と、光検出器44とを含む。直線偏光子42は、要求されていない偏光の蛍光を除去し、好ましくは第1の偏光方向に偏光した蛍光のみ、例えば垂直に変更した蛍光のみを通過させる。ダイクロイックミラー43は、例えば3つのダイクロイックミラー43であり、これら3つのダイクロイックミラー43は、蛍光をスペクトル範囲で分離する。このスペクトル範囲は、例えば3つのスペクトル範囲である。光検出器44は、例えば3つの光検出器44であり、それぞれの光検出器44は、ダイクロイックミラー43のうちの1つから反射された1種類のスペクトル範囲の蛍光を取り込む。それぞれのスペクトル範囲は、関心のある決めた波長に中心を置くのが好ましい。その関心のある波長は、例えば、特定タイプの蛍光色素から放射された蛍光の波長、または粒子9を蛍光標識するマーカーから放射された蛍光の波長である。本明細書において、はっきりと分かりやすくするために、本発明の方法と装置とによって測定された粒子は、天然または人工的な生物学的粒子、あるいは天然または人工の非生物学的粒子である可能性があることを仮定し、これらの粒子は、吸収されたレーザー光に対して何らかの蛍光応答を有するものとする。
【0035】
以下でさらに説明するように、第1の光学分光装置4の光検出器44は、高速の検出器であり、この光検出器44は、蛍光減衰の期間にいくつかの測定点で光強度を十分に高いサンプリング率で採取できる。その蛍光減衰の期間は、全ての場合において、浮遊粒子9が測定領域を横切る時間よりも短い。
【0036】
図1で示した例では、第1の光学分光装置4は、受けた蛍光を3つのスペクトル範囲に分離する。けれども分離するスペクトル範囲の数は、検出されるおよび/または特性を評価される浮遊粒子9の性質によって変更することが可能であり、スペクトルの帯域幅とスペクトルの中心波長も同様に変更することが可能である。第1の光学分光装置4は、上記とは異なる粒子9を検出および/または評価するために、他の波長の蛍光を測定するための構成とすることが可能であるか、または、他の波長を中心波長としたスペクトル範囲を有する光学分光装置に置き換えることが可能であることが好ましい。光学分光装置4は、例えば、ダイクロイックミラー43の数と種類とを変更することができるように構成される。
【0037】
第1の光学分光装置4は、測定領域内の粒子9から放射された蛍光を集めて、その蛍光をダイクロイックミラー43に向けるための第1の光学レンズセット40を含むことが好ましい。
【0038】
実施の形態では、第1の光学分光装置4はローパスフィルター41を含んでいる。ローパスフィルター41は、例えばレンズセット40と直線偏光子42との間に配置されて、測定領域内の粒子9によって放射された蛍光を通過させ、レーザー6の散乱光を遮るようにフィルタリングする。
【0039】
本発明の装置は、好ましくは、さらに図示しない信号分析器を含む。この信号分析器は、第1の光学分光装置4からの出力信号を受け取るように構成され、そしてユーザーに情報を提供するようにその信号を利用する。提供される情報は、例えば、レーザー光のパルスが衝突した粒子9からの、異なる波長において時間分解した蛍光の情報や、粒子9の速度の表示などである。その蛍光の情報は、以下においてさらに説明する。実施の形態では、本発明の装置は、光検出器を含む。この光検出器は、例えばフォトダイオード6であって、レーザー2から照射されたレーザー光のパルスであって測定領域を2回目に横切った後のものを検出する。フォトダイオード6からの出力信号は、例えば上述の信号分析器に送られる。信号分析器は、レーザー光のパルス照射の存在、および/またはそのパルスの強度、および/またはパルスの持続時間を受取ることが可能である。実施の形態では、信号分析器は、レーザー2のための制御信号を生成する。制御信号は、特に、レーザー光の1つ以上のパルスについて、パルスの照射または非照射を制御する。
【0040】
上述の本発明の装置は、例えばノズル1にて生成された空気流内に存在するエアロゾル粒子9の検出および/または特性の評価のためのものである。実施の形態では、図2で例として示されているように、本発明の装置は、流体中に存在する浮遊粒子を検出するおよび/またはその特性を評価するように構成されている。流体中とは、すなわち気体中または液体中であって、その流体は、レーザー光に対して透過性があることが好ましい。図2に例を示しているが、これに限定されないところの本発明の装置は、例えば水中の浮遊粒子を検出するおよび/またはその特性を評価するように構成されている。したがって、本発明の装置は、流体のためのガイドを有する。このガイドは、例えば直線状のチューブ10であって、例えばその内部に沿って流体11が流れ、この流体中に粒子9が潜在的に存在する。レーザー2から照射され偏光したレーザー光のパルスと流体11の交差するところが、測定領域を定める。その測定領域では、個々の浮遊粒子9がレーザー光のパルスと相互作用する。図2の装置の他の要素とその機能は、上述し図1で示したところの、空気中の浮遊粒子の検出および/またはその評価を行うものと同一である。図1の装置との唯一の違いは、流路に沿った流体の流れを生成するための手段である。
以下において参照するさまざまな図において、他に特定をしない限り、同一の参照符号は同一の要素を示す。
【0041】
別の選択肢として、図3を参照すると、本発明の装置は、レンズセット50を含んだ光学分光装置5と、ローパスフィルター51と、直線偏光子52と、回折格子53とを備える。レンズセット50は、浮遊粒子9、例えば空気中の浮遊粒子9から放射された蛍光を集める。この浮遊粒子9は、測定領域でレーザー光のパルスに衝突される。ローパスフィルター51は、測定領域で粒子9から放射される蛍光を通過させ、レーザー6の散乱光を遮り、フィルタリングする。直線偏光子52は、1つの光の偏光だけを通過させる。直線偏光子52が通過させるのは、第1の偏光方向の偏光だけであることが好ましく、その第1の偏光方向は、例えば鉛直方向である。回折格子53は、集められた蛍光を広げて、スペクトルにし、そのスペクトルを、スペクトル全体にわたって広げられた蛍光を採取するためのアレイ状の光検出器54に集光する。
【0042】
図3に示された装置は、好ましくは、図示しない信号分析器をさらに備える。信号分析器は、光学分光装置5からの出力信号を受信し、その信号を、ユーザーに情報を提供するために用いる。提供する情報とは、例えばレーザー光のパルスが衝突した粒子9からの、スペクトルに分解された蛍光の情報である。実施の形態では、本発明の装置は、光検出器、例えばフォトダイオード6を備える。フォトダイオード6は、レーザー2から照射されたレーザー光のパルスが測定領域を2回横切った後に、これを検出する。フォトダイオード6の出力信号は、例えば、信号分析器に送信することができる。信号分析器は、レーザー光のパルスの照射および/または照射されたパルスの強度および/または照射されたパルスの持続時間を受け取ることができる。実施の形態では、信号分析器は、レーザー2について、特に、レーザー光の1つ以上のパルスについてパルスの照射または非照射を制御する。
【0043】
図3の装置を、流体中すなわち気体中にまたは液体中に存在する浮遊粒子を検出するおよび/またはその特性を評価するように構成した例を、図4に示す。すなわちその装置は、図4の実施の形態におけるチューブ10を、ノズル1の代わりに有している。
【0044】
図5の実施の形態では、本発明の装置は、2つの光学分光装置4、5を備える。第1の光学分光装置4は、時間分解した情報を提供する。時間分解した情報は、測定領域で個々の粒子9がレーザー光のパルスに衝突されることで放射された蛍光に関する。第2の光学分光装置は、この蛍光に関してスペクトル分解された情報を提供する。第2の光学分光装置5は、例えば、第2のレンズセット50と、ローパスフィルター51と、直線偏光子52と、回折格子53と、光検出器と54を備える。第2のレンズセット50は、測定領域内の個々の粒子9から放射された蛍光を集める。ローパスフィルター51は、測定領域内の粒子9から放射される蛍光を通過させ、レーザー6の散乱光を遮りフィルタリングする。直線偏光子52は、例えば垂直方向である第1の偏光方向の1つの偏光のみを通過させる。回折格子53は、集められた蛍光を広げて、スペクトルにする。光検出器、例えばアレイ状の光検出器54は、スペクトル全体にわたって蛍光を採取する。
【0045】
図6は、図5に示したものと同様の本発明の装置を示しているが、この装置は、流体中すなわち気体中または液体中に存在する浮遊粒子の検出および/またはその特性の評価に適している。その流体は、好ましくはレーザー光に対して透明である。本発明の装置は、図6に例として示されているが、本発明を限定するものではない装置は、例えば、水中の浮遊粒子を検出するおよび/またはその特性を評価するように構成されている。したがって、本発明の装置は、例えば直線状のチューブ10であるところの、流体の導入管を含む。この導入管に沿って、例えばその内部に、流体11が流れ、この流体に粒子9が潜在的に存在する。レーザー2から照射された偏光レーザー光のパルスと流体11とが交差するところが、測定領域を定める。測定領域では、個々の浮遊粒子9が、レーザー光のパルスと相互作用する場合がある。本発明の装置の他の要素とその機能とは、空気中の浮遊粒子の検出および/またはその評価に関して、上記されまた図5に示されたものと同じである。図5との唯一の違いは、流路に沿った流体の流れを生成するための手段である。他に指定されない限り、同じ参照符号は、種々の図において同一の要素を指す。
【0046】
以下の段落では、空気中の浮遊粒子の検出と分析についての特定の場合に関して、流体中の浮遊粒子の検出および/またはその特性の評価のための本発明装置の機能とそれに対応した方法とが記述され説明されている。しかし、その記述されている機能と方法は、任意の、流体中の浮遊粒子の検出にも適用される。
【0047】
本発明によれば、検出方法および/または特性評価方法は、時間分解の技術によって測定されるレーザー誘起蛍光法に基づいている。場合によって、スペクトル分解技術にも基づいている。
【0048】
本発明の方法は、レーザー光のパルスを照射することと、その後にレーザー光のパルスを方向付けすることとを含む。レーザー光のパルスを照射することは、流体の流れに存在する個々の浮遊粒子9が測定領域を横切る間に、レーザー2からのレーザー光のパルスをその浮遊粒子9に照射することである。レーザー光のパルスを方向付けすることとは、測定領域内に同一の浮遊粒子9が未だ存在している間に、レーザー光のパルスを別の方向に偏光させかつ一定の時間遅れを付与させることである。実施の形態では、レーザー2から照射されたレーザーパルスの光路は、例えば図1〜図6に示されている光学システム3によって、時間遅れが付与されるとともにレーザーの偏光が変えられた状態で、測定領域に向けて折り返される。1回目のレーザーパルスの通過すなわち横切りの間において、粒子9内部の分子双極子の向きは、任意でかつ揃った向きになっている。1回目のレーザーパルスの通過の間に、レーザーパルスは、測定領域内で、粒子9の分子とのみ相互作用する。粒子9の分子は、そのレーザーの電場によって整列している。そしてそのレーザーパルスは、その分子を励起する。これらの粒子9の分子の一部は、しばらくしてから、1つの光子を放射する。粒子9の分子が1つの光子を放射するのは、ほとんどの生物学的な粒子の場合において、通常、0.1〜3ナノ秒後である。これらの光子は、少なくとも1つの波長において蛍光減衰を測定するところの、時間分解する第1の光学分光装置4によって検出される。場合によっては、本発明の方法は、スペクトル分解し相対的に応答が遅い第2の光学分光装置5を用いることをさらに含む。第2の光学分光装置5は、浮遊粒子9から放射された蛍光に関して、その蛍光のスペクトル範囲の全体を決定する。
【0049】
実施の形態では、レーザーパルスが、個々の浮遊粒子9に1回目の衝突をした後に、ある距離を移動したうえで、時間遅れの後に同一の浮遊粒子9を再び照らす。その時間遅れは、例えば6〜10ナノ秒であり、その時間の遅れは、そのレーザーパルスが2回連続して測定領域を通過するすなわち横切る間に移動する距離によって規定される。2回の衝突すなわち横切りの間の時間の遅れは、好ましくは測定領域を通過する個々の粒子9の移動時間よりも短い。それによって、レーザーパルスは、2回目の通過の際に同じ粒子9と再び相互作用を行う。光学システム3において、レーザーパルスは、例えばレーザー光の電場すなわち偏光を90°回転させる1/2波長板30を横切る。2回目の横切りの間に、レーザーパルスの電場は、粒子9の分子双極子と再び相互作用する。レーザーパルスと粒子との1回目の相互作用の間、粒子に含まれる分子の分子双極子は、レーザー光の電場の向きに整列する。分子サイズと周囲環境とに依存して、この双極子の回転における位相揃いの状態は、数ピコ秒〜数十ナノ秒間にわたり維持される。励起した電子の状態についての緩和時間を伴って、この分子双極子の整列の維持効果は、2回目の横切りの間におけるレーザーパルスが粒子に吸収されることについて、異なる吸収効率をもたらす。実際、この吸収効率は、基底状態に既に戻っていて、別の電子励起のために準備されている利用可能なった分子の数と、2回目の横切りの間に、同じ方向に整列し、そして最初のレーザーの偏光に対して90°回転されている、利用可能となった分子双極子の数とによって、同時に影響される。この2つのレーザーパルスと2つの蛍光減衰とによる組み合わせ測定に基づき、標準的な分光法や標準的な蛍光寿命の測定と比較して、分子組成に関するより多くの詳細な情報が提供される。なぜなら、本発明の方法と装置が、励起された電子の準位に関連した蛍光寿命の減衰と、粒子との2つの相互作用の間にレーザーの電場を90°回転させることによる分子双極子の整列とに同時に敏感であるからである。この事実は、励起光源からの同じでない偏光に対して試料が敏感であるかどうかを明らかにする蛍光異方性を、直接測定し推定する可能性を提供する。蛍光異方性は、分子量と分子のサイズとから大きな影響を受ける分子運動を調べるための強力な道具である。また、そのことは、分子の回転拡散と分子内部の柔軟性との研究に接する機会を与える。このすべての事実は、空気中の個々の浮遊粒子の識別にさらなる自由度をもたらす。
【0050】
したがって、本発明の方法は、粒子中の主要な蛍光スペクトルの特性の調査を可能にし、最終的に分子組成、分子のサイズ、周辺の事柄への、より良い理解のアクセスを可能にする。
【0051】
本発明の方法の根底にある主な物理的原理は、古典的なL型の蛍光異方性の測定体系を思い起こさせるところの、図7aと図7bとに記載されている。しかし、本発明の方法の根底にある主な物理的原理には、その古典的なL型の蛍光異方性の測定体系と比較して、以下の主に2つの違いがある。
【0052】
a)直線偏光子は、検出器の光路に導入されて、粒子9から放射された蛍光について1つの所与の偏光のみを通過させる。
【0053】
b)粒子9とレーザーパルスとの相互作用が、2つのステップで起こされる。第1のステップは、第1の偏光方向に偏光したレーザー光により行われ、第2のステップは、第1の偏光方向とは異なる第2の偏光方向に偏光したレーザー光により行われる。2つの相互作用の間には遅れが存在し、この遅れは、蛍光寿命と同じ程度か、それよりも短い。図7aは、例として、レーザー光の偏光が垂直であるところの、第1の相互作用を示す。検出された信号は、一般的に以下のように記述することができる。
【0054】
【数1】
【0055】
ここで、IVVは、垂直方向に偏光したレーザー光によって励起された試料から放射された蛍光の垂直方向の偏光成分であり、I01は、t=0での蛍光信号の大きさであり、τは減衰定数である。図7bは、レーザー光が例えば水平方向に偏光したときの第2の相互作用を示す。検出された信号は、一般的に以下のように記述することができる。
【0056】
【数2】
【0057】
ここで、IHVは、水平方向に偏光したレーザー光によって励起された試料から放射された蛍光の垂直方向の偏光成分である。
【0058】
本発明の方法によれば、レーザー光と試料との相互作用に関して、2つの考えられるシナリオが生じる可能性があり、その相互作用の2つのシナリオは、図8aおよび図8bに示されている。図8aに示される第1のシナリオによれば、試料中の蛍光分子は、例えば垂直方向に偏光したレーザー光と1回目に相互作用するときであるところの最初の段階において、ランダムな配向の遷移モーメントを持っている。蛍光体の総数は、Nで示される。レーザー光の電場と同方向すなわち第1の偏光方向または第1の偏光方向と近い方向に整列された、遷移モーメントを持つ分子における、励起された電子の状態への遷移確率は、より高い。1回目の相互作用からしばらくすると、レーザー光で励起された分子Nは、光子を放射するか、または光子を放射しない方法にて、基底状態に戻る。その間に、レーザーの相互作用中にレーザー光の電場の方向に直行する方向すなわち第1の偏光方向または第1の偏光方向に近い方向に直交する方向に遷移モーメントが整列した分子Nは、自由に変化し続け、それらの分子の遷移モーメントの方向が再びランダムになる。このシナリオでは、励起用のレーザーパルスを用いた2回の相互作用の間の遅れが十分に長く、分子Nが基底状態に戻るのを可能にしている。そして、第2の方向の偏光を伴った励起のために、これら全ての手順が繰り返される。このシナリオでは、2つの蛍光の測定は、互いに独立している、すなわち相関性がない。
【0059】
図8bに示された第2のシナリオは、緩和時間すなわち蛍光寿命よりも短い、偏光した励起光による、2つの相互作用の間の遅れを含んでいる。したがって、分子Nの大部分が依然として励起状態にあって第2のレーザーの光路と相互作用せず、励起光との相互作用の大部分は分子Nによって行われる。このシナリオでは、粒子が、2回目の相互作用のときに1回目の相互作用を「記憶」している。
【0060】
図9a〜図9dを参照すると、レーザーから照射される励起レーザーパルス、例えばガウス分布型のレーザーパルスは、そのパルス持続時間の特性を表すところの、それらパルスのそれぞれの振幅(Θ,Θ)と標準偏差(σ、σ)とで表される。レーザーパルスに衝突された粒子から放射された蛍光信号は、励起レーザーパルスと指数関数的な減衰との畳み込みを表す。その指数関数的な減衰は、測定システムの応答と粒子の応答とを含んでいる。図9a〜図9dは、励起レーザーパルスに2回衝突された粒子から放射された、時間分解された蛍光信号の代表的な4つの場合を表している。図9aは、励起パルスと低い蛍光異方性との両方による短い蛍光寿命を表している。図9bは、励起パルスと高い蛍光異方性との両方による短い蛍光寿命を表している。図9cは、励起パルスと低い蛍光異方性との両方による長い蛍光寿命を表している。図9dは、励起パルスと高い蛍光異方性との両方による長い蛍光寿命を表している。
【0061】
蛍光信号の主な特性を評価するために、以下の式を蛍光異方性に使用することができる。
【0062】
【数3】
【0063】
ここで、rはt=0の時の蛍光異方性の値であり、θは、相関時間である。この蛍光異方性の定義が、図8aに関連して説明したシナリオに適用される。次に蛍光異方性の最大値が、以下の式によって推定される。
【0064】
【数4】
【0065】
図8bに示す第2のシナリオに対して、単純で直接的な式は、与えられない。なぜなら、2つの連続した相互作用の相関が、蛍光異方性の推定に大きく影響するからである。蛍光減衰の期間τ、τを抽出するために、測定信号は、既知の励起パルスを用いて逆畳み込みをされる必要がある。装置のシステム応答は、減衰の期間よりもはるかに速いことが好ましい。システム応答が、減衰の期間と同じ程度であるときには、システムの応答を全て考慮に入れるために、逆畳み込みを、蛍光なしの光散乱と同様である参照信号を用いて行わなければならない。
【0066】
これらの決定されたパラメーターに基づいて、試料の蛍光についての高度な特性評価を行うことができる。全蛍光は、波長の関数として以下のように表される。
【0067】
【数5】
【0068】
試料の平均蛍光寿命は、波長の関数として以下に与えられる。
【0069】
【数6】
【0070】
励起レーザーパルスの2つの偏光に対しての蛍光寿命の異方性は、波長の関数として以下に与えられる。
【0071】
【数7】
【0072】
本発明の方法によれば、特性を評価される個々の浮遊粒子9は、短い時間遅れの範囲内で、異なる偏光を有する2つの連続したレーザーパルスと相互作用する。高速のサンプリングを行う第1の光学分光装置4を使用することで、相互作用ごとに粒子9の蛍光の時間分解した表示を得ることが可能になる。蛍光の強度と減衰によって、各相互作用において、そして各相互作用どうしの比較において、励起した各蛍光分子について、蛍光寿命と蛍光異方性とを決定することできる。上述のように、これらのパラメーターを決定することで、励起された浮遊粒子内に存在する蛍光分子の性質を決定することができる。すなわち、特に蛍光分子のサイズを決定することができ、それにより、浮遊粒子9を精密に特性評価することができる。
【0073】
図10aは、第2の光学分光装置5によって提供されたところの、スペクトルで分解した結果の例を示している。この例は、レーザーパルスによる粒子との2つの相互作用の間に放射された蛍光の全体を広範なスペクトル範囲にわたって取り込んでいる。典型的な内在性の蛍光色素分子[フルオロフォア](トリプトファン、還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドNADH、フラビン)についての3つのスペクトルが図10(a)に示されている。このスペクトルで分解した結果によって、蛍光放射が同じでないことに基づき、これらの分子が明確に区別される。用途に応じて、第1の光学分光装置4における関心のあるスペクトル範囲を調節することもできる。図8bは、これらの蛍光色素分子の代表的な吸収スペクトルを示す。この吸収スペクトルの情報は、レーザー6から照射される波長であるところの、励起波長をより良く選択するのに役立つ。
【0074】
実施の形態では、本発明の装置は、連続的なレーザービームを流体の流れに向かって照射し、それによって測定領域の上流側に検出領域を形成するための、第2のレーザーをさらに含むことができる。浮遊粒子が上記の検出領域を横切るときに、検出領域で前記粒子によって散乱されたレーザー光を光検出器が取り込むことで、その浮遊粒子を検出する。場合によっては、その光検出器から提供される情報が、個々の粒子の性質を最初に推定することを可能にする。例えばそれらの粒子のサイズ、粒子の形状、および/または粒子の表面の質感によって、その粒子の性質を推定することが可能である。
【0075】
図11a〜図11cは、本発明のさらに好ましい実施の形態を示している。この実施の形態の装置は、簡単な実施のために、蛍光を結合する手段61、62、63を備えている。
【0076】
特に、粒子9からの蛍光を、光学分光装置に向けて送るために、光ファイバー64、好ましくは単一の光ファイバー、へ結合させることが有用である。これにより、集光素子と光測定素子とにおいて光を良好に分離することができる。そうするために、すなわち個々の粒子9から放射された蛍光を光ファイバー64に集めるために、好ましくは透明なガラス製の素子であって、大径側で結合されたすべての光を全反射の作用により小径側に案内するように形作られた素子を付け足せばよい。さまざまな幾何学的な配置のうち、互いに異なった以下の3つの配置が好ましい。すなわち
−後部焦点距離が無限遠であり、光学レンズ61と共役関係である、反射対物レンズ60
−後部焦点距離が無限遠であり、放物線反射鏡62と共役関係である、反射対物レンズ60
−後部焦点距離が無限遠であり、光学テーパ63と共役関係である、反射対物レンズ60
が好ましい。
【0077】
対象となる粒子が上記の検出領域を通過するときに検出されると、それに対応した信号が、例えば測定領域内にレーザーパルスの照射を開始するためのコントローラに送られる。それによって、対象となる粒子がより精密に特性評価される。それによって、測定領域内へのランダムなレーザーパルスに比べて、粒子が検出されるときへ狙いを定めたレーザーパルスの照射が可能になる。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7a】
【図7b】
【図8a】
【図8b】
【図9a】
【図9b】
【図9c】
【図9d】
【図10a】
【図10b】
【図11a】
【図11b】
【図11c】
【国際調査報告】