(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】2019523992
(43)【公表日】20190829
(54)【発明の名称】電気活性高分子アクチュエータデバイス及び駆動方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 41/04 20060101AFI20190802BHJP
   H02N 2/06 20060101ALI20190802BHJP
   H01L 41/193 20060101ALI20190802BHJP
   H01L 41/09 20060101ALI20190802BHJP
【FI】
   !H01L41/04
   !H02N2/06
   !H01L41/193
   !H01L41/09
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】21
(21)【出願番号】2018564850
(86)(22)【出願日】20170612
(11)【特許番号】6553827
(45)【特許公報発行日】20190731
(85)【翻訳文提出日】20181210
(86)【国際出願番号】EP2017064291
(87)【国際公開番号】WO2017216107
(87)【国際公開日】20171221
(31)【優先権主張番号】16174115.2
(32)【優先日】20160613
(33)【優先権主張国】EP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】KONINKLIJKE PHILIPS N.V.
【住所又は居所】オランダ国 5656 アーエー アインドーフェン ハイテック キャンパス 5
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 5,NL−5656 AE Eindhoven
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】ヒルゲルス,アヒム
【住所又は居所】オランダ国 5656 アーエー アインドーフェン ハイテック キャンパス 5
(72)【発明者】
【氏名】ファン デン エンデ,ダーン アントン
【住所又は居所】オランダ国 5656 アーエー アインドーフェン ハイテック キャンパス 5
(72)【発明者】
【氏名】ジョンソン,マーク トーマス
【住所又は居所】オランダ国 5656 アーエー アインドーフェン ハイテック キャンパス 5
【テーマコード(参考)】
5H681
【Fターム(参考)】
5H681AA19
5H681BB13
5H681DD23
5H681FF21
5H681FF31
5H681GG11
5H681GG18
(57)【要約】
アクチュエータデバイスは、電気活性高分子アクチュエータ(116)と、電気活性高分子アクチュエータを駆動する制御回路とを有する。制御回路は、少なくとも1つのキャパシタ(114;C11,C12,C13)を含む昇圧回路を有する。電子活性高分子層(110)は、アクティブ領域(112)における電気活性高分子アクチュエータとともに、パッシブ領域(111)におけるキャパシタの誘電体層を形成する。これは、費用削減及び小型化を可能にするよう部品の集積化を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気入力を機械出力に変換するアクチュエータデバイスであって、
電気活性高分子アクチュエータと、
前記電気活性高分子アクチュエータを駆動する制御回路と
を有し、
前記制御回路は、少なくとも1つのキャパシタを有する昇圧回路を有し、
当該アクチュエータデバイスは、印加された作動信号に応じて変形するアクティブ領域と、機械的にパッシブな領域とを備える電気活性高分子層を有し、前記アクティブ領域は、前記電気活性高分子アクチュエータの少なくとも一部を形成し、前記機械的にパッシブな領域は、前記キャパシタの誘電体の少なくとも一部を形成する、
アクチュエータデバイス。
【請求項2】
前記制御回路は、前記電気活性高分子アクチュエータと並列に前記キャパシタを有する電圧平滑化段を有する、
請求項1に記載のアクチュエータデバイス。
【請求項3】
前記制御回路は、少なくとも1つのダイオード及び前記キャパシタを有する、
請求項1に記載のアクチュエータデバイス。
【請求項4】
前記ダイオードは、前記電気活性高分子層上の外部端子に接続する外部部品である、
請求項3に記載のアクチュエータデバイス。
【請求項5】
前記ダイオードは、前記電気活性高分子層内に組み込まれた薄膜層デバイスである、
請求項3に記載のアクチュエータデバイス。
【請求項6】
前記ダイオードは、MIMダイオードである、
請求項5に記載のアクチュエータデバイス。
【請求項7】
前記制御回路は、前記電気活性高分子アクチュエータと直列なダイオードと、前記電気活性高分子アクチュエータ及び前記ダイオードの直列接続と並列なキャパシタとを有する、
請求項3に記載のアクチュエータデバイス。
【請求項8】
前記制御回路は、前記電気活性高分子アクチュエータと前記ダイオードとの間の接合に接続された放電端子を更に有する、
請求項7に記載のアクチュエータデバイス。
【請求項9】
前記制御回路は、前記電気活性高分子アクチュエータと並列なダイオードと、前記電気活性高分子アクチュエータと並列なキャパシタとを有する、
請求項3に記載のアクチュエータデバイス。
【請求項10】
前記制御回路は、電荷ポンプ昇圧回路である、
請求項3に記載のアクチュエータデバイス。
【請求項11】
前記制御回路は、第1及び第2のキャパシタと、ダイオード配置とを有し、前記第1及び第2のキャパシタの夫々は、前記電気活性高分子層によって形成されたそれらの誘電体を備える、
請求項10に記載のアクチュエータデバイス。
【請求項12】
前記制御回路は、電圧ダブラ回路若しくは複数の電圧ダブラ回路、又は電圧トリプラ回路若しくは複数の電圧トリプラ回路を有する、
請求項11に記載のアクチュエータデバイス。
【請求項13】
前記電気活性高分子層は、前記電気活性高分子アクチュエータを形成する第1の部分と、前記キャパシタの誘電体層を形成する第2の遠隔部分とを有する、
請求項1乃至12のうちいずれか一項に記載のアクチュエータデバイス。
【請求項14】
前記キャパシタは、当該アクチュエータデバイスのアクチュエータ領域内に形成される、
請求項1乃至12のうちいずれか一項に記載のアクチュエータデバイス。
【請求項15】
アクチュエータデバイスの電気活性高分子アクチュエータを駆動する方法であって、
少なくともキャパシタを有する昇圧制御回路により駆動信号を生成することと、
前記駆動信号を前記電気活性高分子アクチュエータへ印加することと
を有し、
前記アクチュエータデバイスは、印加された作動信号に応じて変形するアクティブ領域と、機械的にパッシブな領域とを備える電気活性高分子層を有し、前記アクティブ領域は、前記電気活性高分子アクチュエータの少なくとも一部を形成し、前記機械的にパッシブな領域は、前記キャパシタの誘電体の少なくとも一部を形成する、
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気活性高分子アクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
電気活性高分子(electroactive polymer(s))(EAP)は、電気的に反応する材料の分野に属する材料の新たに発生した分類である。EAPは、センサ又はアクチュエータとして動作することができ、様々な形状に容易に加工可能であり、広範なシステムへの容易な組み込みを可能にする。
【0003】
材料は、ここ10年間で相当に改善した、作動応力及びひずみのような特性とともに、開発されてきた。テクノロジ・リスクは、製品開発にとって許容可能な程度まで低減されてきた。それにより、EAPは、商業的に且つ技術的にますます関心が高まってきている。EAPの利点には、低電力、小スモールファクタ、柔軟性、ノイズレス動作、正確さ、高分解能の可能性、高速な応答時間、及び周期的な作動がある。
【0004】
EAP材料の改善された性能及び特定の利点は、新しい分野への適用を生じさせる。
【0005】
EAPデバイスは、電気的な作動に基づき、構成要素又は機構の微小な動作が望まれる如何なる用途でも使用可能である。同様に、テクノロジは、小さな動きを検知するために使用可能である。本発明は、特に、アクチュエータに関する。
【0006】
アクチュエータデバイスにおけるEAPの使用は、一般的なアクチュエータと比較して、小さい容量又は薄いフォームファクタにおける比較的に大きい変形及び力の結合により、以前は不可能であった機能を可能にし、あるいは、一般的なアクチュエータ・ソリューションに対して大きな利点を提供する。EAPアクチュエータはまた、ノイズレス動作、正確な電子制御、高速な応答、及び広範なとり得る作動周波数(例えば、0〜1MHz、最も一般的には、20kHzを下回る。)を与える。
【0007】
電子活性高分子を使用するデバイスは、電界駆動型材料と、イオン駆動型材料とに細分され得る。
【0008】
電界駆動型EAPの例には、圧電性高分子、電歪性高分子(例えば、PVDFに基づくリラクサー高分子)、及び誘電エラストマーがある。他の例には、電歪性グラフト高分子、電歪性ペーパー、エレクトレット、電気粘弾性エラストマー及び液晶エラストマーがある。
【0009】
イオン駆動型EAPの例は、共役/導電性高分子、イオン高分子金属複合体(Ionic Polymer Metal Composites)(IPMC)及びカーボンナノチューブ(CNT)である。他の例には、イオン高分子ゲルがある。
【0010】
本発明は、特に、電界駆動型EAP材料を組み込むアクチュエータデバイスに関する。それらのデバイスは、直接的な電気機械結合を通じて電界によって作動される。それらは、それらの容量性により、高い電界(ボルト毎メートル)を必要としながら電流が低い。高分子層は、駆動電圧を可能な限り低く保つよう通常は薄い。
【0011】
電界駆動型EAPの第1の注目すべき下位分類は、圧電性及び電歪性高分子である。従来の圧電性高分子の電気機械性能は限られている一方で、この性能を改善することにおける打開は、自発電気分極(電界駆動整列)を示すPVDFリラクサー高分子をもたらした。それらの材料は、ひずみ方向における改善された性能のために、予めひずませられ得る(予ひずみは、より良い分子整列をもたらす。)。本来なら、ひずみが通常は中程度の領域(1〜5%)にあるので、金属電極が使用される。他のタイプの電極(例えば、導電性高分子、カーボンブラックに基づくオイル、ゲル又はエラストマー、など)も使用可能である。電極は連続的であるか、又はセグメント化され得る。
【0012】
電界駆動型EAPの他の下位分類は、誘電エラストマーのそれである。この材料の薄膜は、平行板キャパシタを形成するように、対応する電極間に挟まされてよい。誘電エラストマーの場合に、印加された電界によって誘起されたマクスウェル(Maxwell)応力は、薄膜に対する応力を生じさせ、薄膜を厚さにおいて縮ませ且つ面積において拡大させる。ひずみ性能は、通常は、エラストマーを予めひずませる(予ひずみを保持するフレームを必要とする。)ことによって広げられる。ひずみは相当である(10〜300%)。これはまた、使用可能である電極のタイプを制約する。低度及び中程度のひずみに関しては、金属電極及び導電性高分子電極が考えられ得、高ひずみ領域に関しては、ゲル又はエラストマーが通常は使用される。電極は連続的であるか、又はセグメント化され得る。
【0013】
図1及び2は、EAPデバイスのための2つの可能な動作モードを示す。
【0014】
デバイスは、電気活性高分子層14の両面にある電極10、12の間に挟まれた電気活性高分子層14を有する。
【0015】
図1は、固定されていないデバイスを示す。電圧は、電気活性高分子層を図示されるように全ての方向で広げさせるために使用される。
【0016】
図2は、拡大が1方向でのみ起こるように設計されているデバイスを示す。デバイスは、キャリア層16によって支持されている。電圧は、電気活性高分子層を湾曲させるために使用される。
【0017】
この動きの性質は、例えば、作動される膨張するアクティブ層と、パッシブなキャリア層との間の相互作用から生じる。図示されるような軸周りの非対称な湾曲を得るよう、分子配向(フィルム延伸)が例えば適用されてよく、一方向における動きを余儀なくなせる。
【0018】
一方向における拡大は、EAP高分子における非対称性により生じることがあり、又は、それは、キャリア層の特性における非対称性により生じることがあり、あるいは、その両方の組み合わせにより生じることがある。
【0019】
電界駆動型電気活性高分子に伴う1つの問題は、所望のたわみを実現するためにデバイスにおいて高い電界強度を達成するよう上述されたように必要とされる、むしろ高い動作電圧である。電子駆動回路が、そのような高電圧を生成するために、且つ、他の信号処理を実行するために使用される。最大で1kVの駆動電圧振幅がそれらのEAPのために必要とされ、それにより、高電圧デバイスが使用及び実装される必要があり、エレクトロニクスの費用(及びサイズ)を大いに増大させる。
【0020】
高電圧の必要性は別として、他の信号処理機能も場所を取り、所望のレベルの小型化を妨げる可能性がある。
【0021】
他の問題は、駆動エレクトロニクス及びEAPアクチュエータが一般にお互いから局所的に離されており、ドライバとアクチュエータとの間で高電圧供給配線の使用を生じさせることである。これは、しかしながら、例えば、断線の場合に、安全性の問題となる可能性があり、更には、高く、不要な(又は許されない)電界及び磁界とともに、電磁放射を引き起こして、順守保証問題を招く可能性があり、あるいは、ユーザに危害をもたらすことさえある。
【0022】
従って、例えば、小型化の可能性を改善し及び/又は高電圧の問題が対処されることを可能にするよう、それらの問題のうちの1つ以上に対処するEAPアクチュエータ設計の必要性が存在する。
【発明の概要】
【0023】
上記の必要性は、独立請求項によって定義される発明により少なくとも部分的に満たされる。従属請求項は、有利な実施形態を提供する。
【0024】
本発明の態様に従う例は、電気入力を機械出力に変換するアクチュエータデバイスであって、
電気活性高分子アクチュエータと、
前記電気活性高分子アクチュエータを駆動する制御回路と
を有し、
前記制御回路は、少なくとも1つのキャパシタを有する昇圧回路を有し、
当該アクチュエータデバイスは、印加された作動信号に応じて変形するアクティブ領域と、機械的にパッシブな領域とを備える電気活性高分子層を有し、前記アクティブ領域は、前記電気活性高分子アクチュエータの少なくとも一部を形成し、前記機械的にパッシブな領域は、前記キャパシタの誘電体の少なくとも一部を形成する、
アクチュエータデバイスを提供する。
【0025】
このデバイスにおいて、EAP層は、アクティブアクチュエータの少なくとも部分を形成すること及び制御回路で使用されるキャパシタの誘電体の少なくとも部分を形成することの両方ために使用される。よって、電気活性高分子アクチュエータのアクティブ層及びキャパシタの誘電体層は両方ともが少なくとも部分的に電気活性高分子層の一部を有する。これは、デバイス全体の小型化及び(製造)コストの削減を可能にする。
【0026】
昇圧制御回路は、電気活性高分子層を用いて形成される部分と、電気活性高分子層の外にある部分とを有してよい。例えば、制御回路は、様々な段を有してよく、それらの段のうちの少なくとも1つは、電気活性高分子アクチュエータと一体化されたキャパシタを使用する。
【0027】
制御回路は、前記電気活性高分子アクチュエータと並列に前記キャパシタを有する電圧平滑化段を含んでよい。平滑化キャパシタは、昇圧回路の部分であって、このようにしてアクチュエータ自体と一体化される。
【0028】
制御回路は、少なくとも1つのダイオードと、前記キャパシタとを有してよい。キャパシタ−ダイオード回路は、昇圧回路内の様々な機能を実行するために使用されてよい。ダイオードは、例えば、標準のダイオード又はツェナーダイオードであってよい。
【0029】
ダイオードは、前記電気活性高分子層上の外部端子に接続する外部部品であってよい。よって、キャパシタは、アクチュエータの構造内に組み込まれ、そして、ダイオードへの外部端子接続が存在する。
【0030】
代わりに、ダイオードは、前記電気活性高分子層に組み込まれた薄膜層デバイスであってよい。これは、キャパシタ及びダイオードの両部品をEAPアクチュエータに組み込むことを提供する。ダイオードは、例えば、MIMダイオードであってよい。
【0031】
一例において、制御回路は、前記電気活性高分子アクチュエータと直列なダイオードと、前記電気活性高分子アクチュエータ及び前記ダイオードの直列接続と並列なキャパシタとを有する。ダイオードは、その場合に、整流器として、又はアクチュエータに達する好ましくない極性の高電圧を阻止する高電圧保護部品として機能し得る。
【0032】
制御回路は、前記電気活性高分子アクチュエータと前記ダイオードとの間の接合に接続された放電端子を更に有してよい。これは、ダイオードによってさもなければ妨害されるアクチュエータの高速な非活性化のために使用されてよい。
【0033】
他の例では、制御回路は、前記電気活性高分子アクチュエータと並列なダイオードと、前記電気活性高分子アクチュエータと並列なキャパシタとを有する。並列なダイオードは、電圧保護を提供し、例えば、ツェナーダイオードを有してよい。
【0034】
他の例の組では、制御回路は、電荷ポンプ昇圧回路である。このようにして、必要とされる高電圧駆動信号は、集積回路を用いて局所的に生成され得る。これはやはり、コスト及び小型化の利点を有し、高電圧共有配線の必要性も回避する。
【0035】
電荷ポンプ制御回路は、例えば、第1及び第2のキャパシタと、ダイオード配置とを有し、前記第1及び第2のキャパシタの夫々は、前記電気活性高分子層によって形成されたそれらの誘電体を備える。
【0036】
制御回路は、電圧ダブラ回路若しくは複数の電圧ダブラ回路、又は電圧トリプラ回路若しくは複数の電圧トリプラ回路を有してよい。
【0037】
ひと組の例において、前記電気活性高分子層は、アクチュエータを形成する第1の部分と、キャパシタの誘電体層を形成する第2の遠隔部分とを有する。このようにして、EAP層のアクティブ部分及びパッシブ部分は分離される。アクティブ部分は、駆動電圧に応じて湾曲するよう設計され、一方、パッシブ部分は、変形するよう意図されず、それにより、如何なる変形も、機械的作用を提供する目的で設計されず二次的であるようにする。
【0038】
キャパシタは、しかしながら、アクチュエータデバイスのアクチュエータエリア内に形成されてよい。これは、よりコンパクトなソリューションを提供する。それは、多層EAP層スタックに基づき用いられてよい。
【0039】
本発明の他の態様に従う例は、アクチュエータデバイスの電気活性高分子アクチュエータを駆動する方法であって、
少なくともキャパシタを有する昇圧制御回路により駆動信号を生成することと、
前記駆動信号を前記電気活性高分子アクチュエータへ印加することと
を有し、
前記アクチュエータデバイスは、前記電気活性高分子アクチュエータ及び前記キャパシタの誘電体層を形成する電気活性高分子層を有する、
方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0040】
本発明の例は、これより、添付の図面を参照して詳細に記載される。
【0041】
【図1】固定されていない既知の電気活性高分子デバイスを示す。
【図2】裏当て層によって制約されている既知の電気活性高分子デバイスを示す。
【図3】昇圧回路の第1の例を示す。
【図4】図3の回路の動作を示すタイミング図を示す。
【図5】昇圧回路の第2の例を示す。
【図6】図5の回路の動作を示すタイミング図を示す。
【図7】昇圧回路の第3の例を示す。
【図8】図7の回路の動作を示すタイミング図を示す。
【図9】昇圧回路の第4の例を示す。
【図10】図9の回路の動作を示すタイミング図を示す。
【図11】制御回路を一体化されたEAPアクチュエータの第1の例を示す。
【図12】制御回路を一体化されたEAPアクチュエータの第2の例を示す。
【図13】制御回路を一体化されたEAPアクチュエータの第3の例を示す。
【図14】制御回路を一体化されたEAPアクチュエータの第4の例を示す。
【図15】制御回路を一体化されたEAPアクチュエータの第5の例を示す。
【図16】同じくEAPアクチュエータと一体化され得る電圧トリプラ回路を示す。
【図17】制御回路を一体化されたEAPアクチュエータの第6の例を示す。
【図18】キャパシタ及びダイオードがEAPアクチュエータの構造内に、更にはEAP層のアクティブ部分に組み込まれ得る方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0042】
本発明は、電気活性高分子アクチュエータと、少なくとも1つのキャパシタを有し、電気活性高分子アクチュエータを駆動する制御回路とを有するアクチュエータデバイスを提供する。電気活性高分子層は、電気活性高分子アクチュエータと、キャパシタの誘電体層とを形成する。これは、コスト削減及び小型化を可能にするよう構成要素の一体化を提供する。
【0043】
大まかに言えば、電界駆動型電気活性高分子(EAP)アクチュエータは、2つの導電性電極の間に埋め込まれた電気絶縁材料から成る。印加電圧に応じて、電極間の電界は、EAPの機械的な変形を引き起こす。上述されたように、EAP層に対して異なる伸長率(例えば、剛性)を有している追加の材料を使用することによって、機械的な変形は、特定の方向において方向付けられ得る。多層技術を実装することによって、電極間の電界強度は増大可能であり、よって、EAPアクチュエータを動作させるために必要される電圧振幅はより低く、あるいは、より高い機械的な変形が実現され得る。この基本構成は、電気多層キャパシタに非常に似ている。よって、基本的なEAP技術及び構成は、電気キャパシタの実現も可能にする。
【0044】
本発明について詳細に記載する前に、EAPアクチュエータの駆動及びキャパシタの使用のための、関心のある回路のいくつかの例が説明される。特に、キャパシタを使用する様々なパッシブ昇圧回路が存在する。アクチュエータデバイスに印加される電圧を、電界駆動型EAPによって必要とされるレベルまで増大させることについて、特に関心が持たれている。
【0045】
そのような回路において、キャパシタは、電気入力信号を処理し、処理された電気出力信号を生成するための電気回路部品として機能する。
【0046】
昇圧のための第1の可能なソリューションは、図3に示されるビラード(Villard)/グライナッヘル(Greinacher)回路である。それは、2つのキャパシタ、すなわち、整流キャパシタC1(例えば、100nF)及び平滑化キャパシタC2(例えば、470nF)と、2つのダイオードD1及びD2とから成る。
【0047】
第1のキャパシタC1及び第1のダイオードD1は、電圧源30の正端子と出力端子32との間で直列である。第2のダイオードD2は、第1のキャパシタC1及び第1のダイオードD1の接合と、接地との間にある。平滑化キャパシタC2は、出力にわたって出力抵抗R1(例えば、220キロオーム)と並列である。
【0048】
出力抵抗は、昇圧回路の機能性を解析することを目的として、出力負荷に相当する。
【0049】
EAPの一次等価回路は、抵抗及びキャパシタの直列回路から成る。負荷抵抗R1がEAPアクチュエータと置換される場合に、出力に対する一般的効果は、出力電圧がより平滑化され、より速く到達されるようにすることである。EAPの容量的挙動は、平滑化補助として働く。並列な平滑化キャパシタC2は、よって、その値を低減され得るか、あるいは、不必要になり得る。
【0050】
ショットキーダイオードが示されているが、標準的なダイオードも使用されてよい。ショットキーダイオードは、高周波用途にとって興味あるものである。C1及びD1の組み合わせは、ビラード回路と呼ばれ、これは、C2及びD2を加えることによるグライナッヘルによって拡張されている。
【0051】
2つのダイオードD1及びD2は、平滑化キャパシタがvoutに充電することを可能にする:
【数1】
【0052】
図4は、入力電圧40をパルス列として示すとともに、出力電圧42を示す。回路は、完全な電圧ダブラではない。これは、ダイオード閾電圧の2倍がピーク入力電圧から減じられるからである。
【0053】
第2のアプローチは、図5に示されるデロン(Delon)回路と呼ばれる。
【0054】
それは、第1の(正)入力端子と第1の出力端子32との間の第1の整流ダイオードD3と、逆極性を有して第1の入力端子と第2の出力端子34との間にある第2の整流ダイオードD4とから成る。第1の整流ダイオードD3は、(ダイオードと接地との間にある)第1のキャパシタC3を充電し、第2の整流ダイオードD4は、(ダイオードと接地との間にある)第2のキャパシタC4を充電する。出力は両キャパシタC3、C4にわたって形成され、並列な平滑化キャパシタC5及び出力抵抗R1が存在する。夫々のキャパシタC3及びC4は、ほぼピーク入力電圧(ダイオードの閾電圧をピーク電圧から引いたもの)に充電される。
【0055】
平滑化キャパシタC5の両端で、ピーク入力電圧の約2倍が印加される:
【数2】
【0056】
図6は、入力電圧60をパルス列として示すとともに、出力電圧62を示す。回路は先と同じく完全な電圧ダブラではない。これは、ダイオード閾電圧の2倍がピーク入力電圧から減じられるからである。
【0057】
出力電圧をほんの約2倍よりも大きくするために、いわゆる電圧増倍回路又は電圧カスケードも使用されてよい。基本的に、それらは、上述されたビラード/グライナッヘル・トポロジに基づく。2つのビラード回路に基づく簡単な電圧カスケードが図7に示されている。
【0058】
第1の段70は、平滑化キャパシタC2とともに整流キャパシタC1及び2つのダイオードD1、D2を有する。第2の段72は、平滑化キャパシタC20とともに整流キャパシタC10及び2つのダイオードD10及びD20を有する。
【0059】
最終出力段は、次によって与えられる:
【数3】
【0060】
図8は、入力電圧80をパルス列として示すとともに、出力電圧82を示す。回路は、ダイオード閾電圧のために、やはり完全な4倍増回路ではない。
【0061】
このアプローチは、n個の電圧増倍回路が使用される場合にn倍の増倍を提供するようスケーリングされ得る。実際に、nは、通常は、約20よりも小さい。然るに、出力電圧は、次のようであるよう計算され得る:
【数4】
【0062】
更なるソリューションは、図9に示される電荷ポンプ回路である。電荷ポンプ回路の多種多様な実装が存在するが、そのほんの一例が与えられている。回路は、先と同じく、ダイオード及びキャパシタの組み合わせを使用する。しばしば、それらはまた、適切な機能性を実現するよう、トランジスタのようなスイッチング素子、又は位相遅延回路を必要とする。それらの回路は除外されないが、そのような追加のスイッチング素子を伴わないソリューションが図9には示されている。
【0063】
回路は、3つのダイオードD11、D12、D13のチェーンを有する。第1の電荷ポンプキャパシタC11は、最初の2つのダイオードD11及びD12にわたり、第2の電荷ポンプキャパシタC12は、最後の2つのダイオードD12及びD13にわたる。
【0064】
キャパシタC11及びC12は、最終の平滑化キャパシタC13へ電荷をポンピングするために使用される。これは、駆動入力電圧の各正パルスの間に起こる。ダイオードは、ポンピングキャパシタC11及びC12並びに平滑化キャパシタC13の放電を防ぐ。また、電荷ポンプは、容易にカスケード接続され得るので、高い出力電圧が生成可能である。
【0065】
キャパシタC11は、入力からの電流フローによって充電され、キャパシタC12は、出力からの電流フローによって充電される。正パルスが入力に存在するかどうかに基づき、2つの充電周期が存在する。各サイクル間で、C11の端子での電圧のステップ変化が存在し、結果として、電荷がキャパシタ間でポンピングされ、それによって、入力と比較して増大された電圧レベルで出力電圧を維持する。
【0066】
図10は、入力電圧100をパルス列として示すとともに、出力電圧102を示す。通常、矩形パルスが図示されるように入力電圧として使用される。しかし、他の波形も使用されてよい。その上、DCバイアス電圧が入力に印加され得、出力電圧を更に押し上げる。
【0067】
電荷ポンプはまた、負動作電圧を生成するために使用可能であり、入力電圧とは異なる極性で出力電圧を生成するよう構成可能でさえある。それらはまた、出力電圧を更に増大させるよう拡張性がある。多数のアクティブ及びパッシブ電荷ポンプ回路が当業者に知られている。
【0068】
上述されたように、本発明は、昇圧回路における使用のために、EAP層を使用する少なくともキャパシタの形成に基づく。キャパシタのために使用されるEAP層の1つ以上の部分は、非アクティブ領域、すなわち、作動エリアの部分を形成しない領域、であってよい。しかし、以下で説明されるように、アクティブ領域が同様に使用されてよい。
【0069】
本発明に従ってEAP層を用いて形成されるキャパシタ及び如何なる他の構成要素も、電気入力を処理し、処理された電気出力信号を生成するための電気回路部品として機能する。EAP材料は固有の電気−機械変換機能を備えているが、これは回路部品機能の部分として使用されない。
【0070】
単層若しくは多層構造又は両者の組み合わせは、電気活性高分子と組み合わせて容量機能を実現するために使用可能であり、よって、多機能EAPが生成され得る。その上、上記の回路において示されたダイオードのようなパッシブ又はアクティブ部品は、デバイス上で直接に専用のフットプリントの上で実装されるか、又は定義された端子を介してデバイスに接続され得る。この一体化された機能性は、上述された利点を有している。例として、コイルは、スイッチング回路を実装するよう直列スイッチ(例えば、電界効果トランジスタ)と組み合わせて使用されてよく、後続の昇圧ソリューションの入力を(例えば、5Vから100Vへ)予め押し上げる働きをする。直列スイッチ−インダクタ回路は、実際にスイッチモード電源回路において知られている。
【0071】
集積キャパシタ回路の第1の例が図11に示されている。
【0072】
図11(並びに図12乃至15及び17)は、構成要素のレイアウトの平面図を単に概略的に示す。本質的に、それは、種々の構成要素を形成するために使用されるEAP層のほんの部分を示す。キャパシタは、単一の長方形として示されている。これは、誘電体として機能するEAP層が間に挟まった上部電極及び下部電極に相当する。キャパシタは、完全単層EAP構造が間に形成された一対の電極であってよく、あるいは、多数の電極層が存在してよく、その間には誘電体層としてEAP層があり、複数のそのような誘電体が多層スタックを形成する。キャパシタへの及びキャパシタからの2つの電気接続が示されているが、それらは(構造内の異なる高さでの)2つのキャパシタ電極に対するものである。同様に、キャパシタ端子への接点は、構造内の異なる高さへの接続を必要とし、ビアを通じて、この目的のために使用され、それにより、如何なる結果として生ずる外部接点も、表面レベルにある。多層回路構造を実装する方法についてのそれらの詳細は、全てが当業者にとってはおきまりの手順である。
【0073】
これは、多機能の電気活性高分子デバイスのための最も簡単なアプローチである。EAP層110は、パッシブ領域111及びアクティブ領域112として形成される。アクティブ領域112は、作動信号に応答して変形するよう意図されるデバイスの部分である。パッシブ領域111は、一体化されたキャパシタ114を有し、一方、アクティブ領域112は、アクチュエータ116を定義する電極を有する。2つの電気接点118、119は入力及び接地(又は、一般に、何らかの基準電位)として機能する。2つの電気接点は、デバイスの同じ側にある必要はなく、反対の側にあることもできる。
【0074】
パッシブ領域111におけるキャパシタ(又は他の構成要素)は、このようにして、パッシブ領域におけるEAP層の変形に依存しない電気信号処理機能を提供するよう設計される。
【0075】
よって、パッシブ領域は機械的に受動的であり、それによって、制御された機械入力又は制御された機械出力が存在しないことが意味される。変形は、パッシブ領域から分離されてよく、あるいは、パッシブ領域における構成要素の性能に対する変形の影響は、回路部品の許容誤差として取り扱われてよく、回路は、その場合に、そのような許容誤差を考慮しながら設計される。
【0076】
図11はまた、回路図を示し、それは、平滑化キャパシタ114と並列なEAPアクチュエータ116を示す。
【0077】
この平滑化キャパシタは、例えば、全体的な昇圧制御回路の段であり、平滑化キャパシタは、アクチュエータの駆動の昇圧制御の部分を実行する。
【0078】
作動機能は、制御回路(この場合には、まさに単純なキャパシタであるが、以下の更なる例では、より複雑な回路)の動作に影響を及ぼさないことが望ましい。EAPアクチュエータの動作は、従って、制御回路から分離されるべきである。これは、例えば、如何なる被覆材料層も伴わないエリアを有することによって、制御回路(この例では、キャパシタ114)とEAPアクチュエータ116との間にEAP層110の機械的に非アクティブな部分を画定することで確かにされ得、一方、そのような被覆層(異なる機械的伸長率を有する。)は、EAPアクチュエータにおいて使用される。しかし、作動によって引き起こされた機械変形は、通常は、層の厚さの低減をもたらし、これは、ひいては、電気回路において許容され得るキャパシタンスを増大させる。
【0079】
図12は、キャパシタ及びダイオードを有する回路とともにEAPアクチュエータを有する回路の第2の例を示す。ダイオード120は、キャパシタ114の電極とアクチュエータ116の電極との間に設けられる。それは、例えば、EAP層の上に実装されたディスクリート外部部品である。
【0080】
略回路図で示されるように、ダイオード120は、1つのキャパシタ端子と1つのアクチュエータ端子との間で直列である。このダイオードは、入力信号を整流すること、又は不適切な極性を有する望ましくない高電圧振幅からEAPアクチュエータを保護すること、又はEAPデバイスが駆動エレクトロニクスを介した放電経路を有することを阻止することのような、種々の機能を有することができる。ダイオードの位置は、入力端子と平滑化キャパシタとの間といったように、異なってもよい。
【0081】
ダイオードの斯様な実装は利点を有し得るが、それはまた、EAPアクチュエータが内部の寄生キャパシタンスを介してしか非活性化することができないので、EAPアクチュエータの非活性化時間を短縮する。図13は、高速な非活性化のために少なくとも1つ以上の電気端子130をデバイスが設けられている配置を示す(例えば、スイッチ又はトランジスタを使用する。)。
【0082】
標準のダイオードの代わりに、ツェナーダイオードが、望ましくない高電圧振幅からEAPを保護するために使用されてよい。図14は、EAPアクチュエータ116と並列にツェナーダイオード140を有する例を示す。
【0083】
先に示されたのと同じようにして、更なる構成要素が異なる組み合わせにおいて付加され得る。特に、抵抗、インダクタ、トランジスタなどが、機能性を高めるよう、直列に、並列に、又は混合構成において付加されてよい。
【0084】
図15は、電圧増倍回路を使用する例を示す。
【0085】
この回路は、図9の回路に基づき、同じ参照符号が、回路部品のために使用されている。よって、電圧増倍段は、2つのポンピングキャパシタC11、C12、平滑化キャパシタC13、及び3つのダイオードD11、D12、D13を有する。他のトポロジ及びカスケード接続構造も可能である。
【0086】
この電圧増倍段は電圧ダブラであるが、より高い増倍レベルが特定の場合にはより有利であり得る。上述されたように、電圧ダブラは、増倍率を大きくするようスタックされてよい。代替的に、電圧トリプラが使用されてよい。
【0087】
図16は、電圧トリプラ回路の例を示す。これは、3つの電荷ポンプキャパシタC14、C15、C16及び3つのダイオードD14、D15、D16を必要とする。更なるキャパシタンスエリアが必要とされるが、EAP層は、特に、多層構造が使用される場合に、更なるキャパシタンスのための十分なエリアを備える。
【0088】
図13の例では、追加の端子がデバイスを放電するために使用される。更なる端子は、他の電気部品及び素子の接続を可能にするよう加えられてよい。
【0089】
図17は、図15の構成要素に基づくが内部接続を有さない例を示す。代わりに、端子170が設けられており、キャパシタ端子への及びアクチュエータ端子への接続を可能にする。このように、集積キャパシタだけでなくいくつかの追加の端子170が存在して、種々の構成が形成されることを可能にする。よって、構成要素及び/又は電気的短絡をそれらの端子170に接続することによって、ユーザは、具体的な用途の要件に応じて回路構成を生成することにおいて柔軟であり得る。
【0090】
外付けダイオードを使用し、そして、外付けダイオード(又は他の受動素子)への相互接続のための端子を有することに代えて、EAPデバイスは、EAP多層スタックの層間に組み込まれ得る薄膜ダイオードを使用することができる。金属−絶縁体−金属(metal-insulator-metal)(MIM)ダイオードのような薄膜ダイオードは、EAPスタックの層間に回路フォイル(foil)において組み込まれ得る極薄構造である。薄膜トランジスタがまた、EAP多層スタック構造に組み込まれてよい。
【0091】
例えば、100Vよりも大きい逆バイアス絶縁耐力を有する、金−ペンタセン−アルミニウムのMIMダイオードが知られている(すなわち、EAP電圧範囲内)。(単分子層)誘電エラストマーについては、kV範囲での高い駆動電圧が必要とされる。多層EAPについては、より低い駆動電圧が使用され得、例えば、最大で約250Vまでが必要とされる。EAPの層厚さは、テクノロジが進歩するにつれて薄くなり、より低い駆動電圧振幅を可能にする。
【0092】
昇圧ソリューションの出力電圧は、入力電圧に依存し、また、それは、スイッチモード電源の分野で知られている技術を用いて増大され得る。昇圧は、更なるセクション、例えば、図7及び9の回路の複数段、をカスケード接続することによって、更に増大され得る。
【0093】
中間DC電圧(例えば、50V)が、次の昇圧セクションのためのDC供給として使用されてよく、それによって、矩形関数発生器を形成する。
【0094】
ダイオードのいくつかは、降伏電圧をより一層増大させるよう直列に接続され得る。よって、上記の全ての例において、ディスクリートダイオードを使用することに代えて、金属−絶縁体−金属(有機)薄膜ダイオードが使用されてよい。
【0095】
上記の例は全て、アクチュエータが変形するよう設計されるアクティブエリアの外で、キャパシタ及び任意に更にダイオードを含む追加の回路素子を設ける。
【0096】
キャパシタは、しかしながら、EAPのアクティブエリア112においても形成されてよい。例は、図15の回路に基づき、図18に示されている。
【0097】
デバイスは、パッシブ基板180の上に階層化構造を有する。
【0098】
第1の層182は、電荷ポンプキャパシタC11、C12及びダイオードD11、D12、D13を有している。第2の層184は、平滑化キャパシタC13を有している。第3の層186は、EAPアクチュエータ116のアクチュエータ電極を有している。
【0099】
これは、如何なる非アクティブエリアのための空間も限られているEAP構成にとって興味深い。これは、例えば、EAPアクチュエータのアレイが望まれる場合に当てはまり得る。様々なキャパシタは、縦方向にスタックすることによってEAPのアクティブエリアに組み込まれる。電荷ポンプキャパシタC11及びC12は、中性線に近いパッシブ基板に最も近い層にそれがあるという理由で、最も低い印加電圧を有する。平滑化キャパシタC13及びEAPアクチュエータ116は、電圧が印加されるときに変形を提供し、それらは、中性線から更に離れて位置付けられる。垂直な相互接続は、EAPスタックの非アクティブ部分を通るビアを通じて行われる(詳細には図示せず。)。
【0100】
上述されたように、1つの用途はマトリクスデバイスにある。ダイオードは、夫々のEAPがアレイの交差点にあり、MIMダイオード又はダブルダイオードのいずれか一方を使用するところのEAPのアレイを生成し、そして、駆動スキームをリセットするために使用されてよい。このようにして、パッシブマトリクスアレイは、アレイ素子においてダイオードスイッチを備え、集積構造として形成されてよい。
【0101】
通常、EAP材料の誘電率は、3から5の範囲にある。追加の層は、誘電特性を変更するために使用されてよい。
【0102】
集積キャパシタのための簡単な長方形構成を考えると:

C=nεεab/d

(a,b=長さ,幅、d=誘電体層の厚さ、n=層の数、ε=自由空間の誘電率、ε=非誘電率)。例として、夫々が3〜5μmの厚さを有する10から200の層が存在し得る。昇圧エリアは、如何なる機械変形のためにも最適化される必要がない。
【0103】
例として、1μmの厚さの100の層が考えられ得る。これは、アクティブEAPアクチュエータ部分の厚さに対応する。
【0104】
キャパシタンスが、昇圧段で通常使用されるものに対応して選択される場合に(例えば、C=100nF)、必要とされる側面積はab=22.6mmである。よって、必要とされる長さ寸法は、例えば、必要とされる面積が100mmに満たないとして、mmのオーダーである。キャパシタエリアは、例えば、アクチュエータのアクティブエリアよりも小さい。
【0105】
これは、所望のキャパシタンスレベルを実装するために必要とされる空間が、デバイスの全面積がキャパシタによって占められないようにすることを示す。
【0106】
キャパシタンス(ひいては、必要とされる面積)が低減される場合に、EAPの作動電圧がその最終値に若干遅く達することになるという効果が現れるので、EAPは、負荷条件に依存するものの、わずかにより遅く反応し得る。
【0107】
EAPアクチュエータの典型的なアクティブ寸法の例は、15mm×12mm=180mmである。22.6mmの例をとると、1つの100nFキャパシタは、EAPエリアを22.6/180=12.5%だけ増大させることになる。しばしばほんの2つの昇圧キャパシタが必要とされ、平滑化キャパシタが不必要になることがある。これは、EAP自体が平滑化キャパシタとして挙動することになるからである。
【0108】
電荷ポンプ回路に基づく上記の集積デバイスは、例えば、デバイスへの必要とされる入力電圧が低減されることを可能にし、構成要素の安全性を改善し且つ電磁気性能を改善し得る。デバイスは、如何なる高電圧接続も必要とせずに、極めて平坦且つ柔軟であることができる。
【0109】
EAP層に適した材料が知られている。
【0110】
電気活性高分子は、次の下位分類を含むが、それらに限られない:
圧電性高分子、電気機械高分子、リラクサー強誘電体高分子、電歪性高分子、誘電エラストマー、液晶エラストマー、共役高分子、イオン高分子金属複合体(Ionic Polymer Metal Composites)(IPMC)、イオンゲル及び高分子ゲル。
【0111】
下位分類の電気活性高分子は、次を含むが、それらに限られない:
ポリビニリデンフルオリド(Polyvinylidene fluoride)(PVDF)、ポリビニリデンフルオリド−トリフルオロエチレン(Polyvinylidene fluoride - trifluoroethylene)(PVDF−TrFE)、ポリビニリデンフルオリド−トリフルオロエチレン−クロロフルオロエチレン(Polyvinylidene fluoride - trifluoroethylene - chlorofluoroethylene)(PVDF−TrFE−CFE)、ポリビニリデンフルオリド−トリフルオロエチレン−クロロトリフルオロエチレン(Polyvinylidene fluoride - trifluoroethylene - chlorotrifluoroethylene)(PVDF−TrFE−CTFE)、ポリビニリデンフルオリド−ヘキサフルオロプロピレン(Polyvinylidene fluoride - hexafluoropropylene)(PVDF−HFP)、ポリウレタン(polyurethanes)、又はそれらの混合物。
【0112】
下位分類の誘電エラストマーは、次を含むが、それらに限られない:
アクリレーツ(acrylates)、ポリウレタン、シリコーン(silicones)。
【0113】
下位分類の共役高分子は、次を含むが、それらに限られない:
ポリピロール(polypyrrole)、ポリ−3,4−エチレンジオキシチオフェン(poly-3,4-ethylenedioxythiophene)、ポリ(p−フェニレンスルファイド)(poly(p-phenylene sulfide))、ポリアニリン(polyanilines)。
【0114】
イオンデバイスは、イオン高分子−金属複合体(ionic polymer - metal composites)(IPMC)又は共役高分子に基づいてよい。イオン高分子−金属複合体(ionic polymer - metal composites)(IPMC)は、印加電圧又は電界の下で人工筋肉挙動を示す合成複合体ナノ材料である。
【0115】
より詳細には、IPMCは、表面が化学めっきされるか、あるいは、プラチナ若しくは金、又は炭素系の電極のような、導体により物理的に覆われている、ナフィオン(Nafion)又はフレミオン(Flemion)のようなイオン高分子から構成される。印加電圧の下で、IPMCのストリップにわたって印加される電圧に起因したイオンマイグレーション及び再配分は、曲げ変形を生じさせる。高分子は、溶剤膨潤されたイオン交換高分子膜である。電界は、水とともにカソード側へのカチオン移動を引き起こす。これは、親水性クラスタの再編と、高分子の膨張とをもたらす。カソードエリアにおけるひずみは、残りの高分子マトリクスにおいて応力を引き起こして、アノードの方への曲げを生じさせる。印加電圧を逆にすることは、曲げを反転させる。
【0116】
めっき電極が非対称構成において配置される場合に、印加電圧は、よじれ(twisting)、巻き(rolling)、ねじれ(torsioning)、旋回(turning)、及び非対称な曲げ変形のような、全ての種類の変形を引き起こし得る。
【0117】
それらの例の全てにおいて、追加のパッシブ層が、印加電界に応答してEAP層の電気的及び/又は機械的挙動に影響を及ぼすために設けられてよい。
【0118】
各ユニットのEAP層は、電極間に挟まれ得る。電極は、それらがEAP材料層の変形に従うように伸縮可能であり得る。電極に適した材料も知られており、例えば、金、銅、若しくはアルミニウムのような薄金属フィルム、又はカーボンブラック、カーボンナノチューブ、グラフェン、ポリアニリン(poly-aniline)(PANI)、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)、例えば、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)ポリ(スチレンスルホナート)(poly(3,4-ethylenedioxythiophene)poly(styrenesulfonate))(PEDOT:PSS)のような有機導電体を含むグループから選択され得る。例えば、アルミニウムコーティングを使用する金属化ポリエチレンテレフタラート(PET)のような、金属化ポリエステルフィルムも使用されてよい。
【0119】
本発明は、アクチュエータのパッシブマトリクスアレイが関心事であるところの例を含め、多くのEAP及び光活性高分子応用において適用可能である。
【0120】
多くの応用において、製品の主たる機能は、人間組織の(局所的な)操作、又は組織に接触しているインターフェイスの作動に依存する。斯様な応用において、EAPアクチュエータは、例えば、主として、小さいフォームファクタ、柔軟性及び高いエネルギ密度のために、固有の利点を提供する。よって、EAP及び光応答性高分子は、柔らかく、3D成形された及び/又は小規模の製品及びインターフェイスにおいて容易に組み込まれ得る。斯様な応用の例には、次のようなものがある:
皮膚を伸ばすために又はしわを減らすために皮膚に一定の又は周期的なストレッチを適用する、応答高分子に基づく皮膚パッチの形をとる皮膚作動装置のような、皮膚美容治療;
顔の赤みを減らすか又は防ぐ皮膚への交番常圧を供給するよう、応答高分子に基づくアクティブクッション又はシールを具備する患者インターフェイスマスクを有する呼吸装置;
適応シェービングヘッドを有する電気シェーバー。皮膚に接触する表面の高さは、接近と刺激との間のバランスに影響を及ぼすために応答高分子アクチュエータを用いて調整可能である;
特に、歯間空間において、スプレーの届く範囲を改善するよう動的なノズルアクチュエータを有するエアフロスのような、口腔内洗浄装置。代替的に、歯ブラシが、活性化した房を設けられてよい;
ユーザインターフェイスに又はその近くに組み込まれている応答高分子トランスデューサのアレイを介して局所的な触覚フィードバックを供給する家電機器又はタッチパネル;
蛇行した血管における容易なナビゲーションを可能にするよう可動な先端を有するカテーテル;
心拍、SpO2及び血圧のような生理的な人体パラメータの測定。
【0121】
斯様なアクチュエータから恩恵を受ける関連した応用の他のカテゴリは、光の変更に関係がある。レンズ、反射面、グレーチングなどのような光学素子は、それらのアクチュエータを用いて形状又は位置適応によって適応可能にされ得る。ここで、EAPの1つの利点は、例えば、より低い電力消費である。
【0122】
開示されている実施形態に対する他の変形例は、図面、本開示、及び添付の特許請求の範囲の検討から、請求されている発明を実施する際に当業者によって理解され達成され得る。特許請求の範囲において、語“有する(comprising)”は、他の要素又はステップを除外せず、不定冠詞(a又はan)は、複数を除外しない。特定の手段が相互に異なる従属請求項において挙げられているという単なる事実は、それらの手段の組み合わせが有利に使用され得ないことを示すものではない。特許請求の範囲における如何なる参照符号も、適用範囲を制限するものとして解釈されるべきではない。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【国際調査報告】