(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】2019525058
(43)【公表日】20190905
(54)【発明の名称】遠心圧縮機及び遠心圧縮機用の磁気軸受バックアップシステム
(51)【国際特許分類】
   F04D 29/056 20060101AFI20190809BHJP
   F04D 29/058 20060101ALI20190809BHJP
   F04D 29/057 20060101ALI20190809BHJP
   F16C 32/04 20060101ALI20190809BHJP
   F16C 32/00 20060101ALI20190809BHJP
   F16C 32/06 20060101ALI20190809BHJP
   F16C 17/02 20060101ALI20190809BHJP
【FI】
   !F04D29/056 A
   !F04D29/058
   !F04D29/057 A
   !F16C32/04 A
   !F16C32/00 C
   !F16C32/06 C
   !F16C17/02 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】19
(21)【出願番号】2019503967
(86)(22)【出願日】20170717
(85)【翻訳文提出日】20190325
(86)【国際出願番号】US2017042349
(87)【国際公開番号】WO2018022343
(87)【国際公開日】20180201
(31)【優先権主張番号】15/218,432
(32)【優先日】20160725
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】512271022
【氏名又は名称】ダイキン アプライド アメリカズ インコーポレィティッド
【住所又は居所】アメリカ合衆国,55441 ミネソタ州,ミネアポリス,インダストリアル パーク ブールバード 13600
【住所又は居所原語表記】13600 Industrial Park Blvd.,Minneapolis,MN 55441,United States
(74)【代理人】
【識別番号】100111187
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 秀忠
(74)【代理人】
【識別番号】100175617
【弁理士】
【氏名又は名称】三崎 正輝
(72)【発明者】
【氏名】モーガン,ジェフリー,アレン
【住所又は居所】アメリカ合衆国,55441 ミネソタ州,ミネアポリス,インダストリアル パーク ブールバード 13600,ダイキン アプライド ディベロップメント センター内
(72)【発明者】
【氏名】小野寺 文明
【住所又は居所】アメリカ合衆国,55441 ミネソタ州,ミネアポリス,インダストリアル パーク ブールバード 13600,ダイキン アプライド ディベロップメント センター内
(72)【発明者】
【氏名】上田 剛
【住所又は居所】アメリカ合衆国,55441 ミネソタ州,ミネアポリス,インダストリアル パーク ブールバード 13600,ダイキン アプライド ディベロップメント センター内
【テーマコード(参考)】
3H130
3J011
3J102
【Fターム(参考)】
3H130AA14
3H130AB27
3H130AB42
3H130AC11
3H130BA87E
3H130DA02Z
3H130DB04X
3H130DB05X
3H130DB10Z
3J011AA04
3J011AA20
3J011BA02
3J011CA02
3J011EA06
3J011JA02
3J011KA02
3J011MA12
3J011RA10
3J011SE10
3J102AA01
3J102AA02
3J102BA03
3J102BA13
3J102BA17
3J102BA18
3J102CA10
3J102CA14
3J102CA35
3J102DA03
3J102DA09
3J102DA10
3J102DA18
3J102DA36
3J102DB01
3J102DB05
3J102DB10
3J102DB18
3J102DB24
3J102EA02
3J102EA08
3J102EA13
3J102EA25
3J102EB03
3J102GA06
(57)【要約】
遠心圧縮機(22、22’)は、ケーシング(30)と、インペラ(34a、34b)と、モータ(38)と、ディフューザ(36a、36b)と、磁気軸受(44、46)と、少なくとも1つの動的気体軸受(80)及び少なくとも1つの静圧気体軸受(82)を含む軸受保持システム(50)と、を含む。インペラ(34a、34b)は、回転軸(X)を中心に回転自在にシャフト(42)に取り付けられている。モータ(38)は、インペラ(34a、34b)を回転させるためにシャフト(42)を回転させるように構成され配置される。磁気軸受(44、46)は回転自在にシャフト(42)を支持する。磁気軸受バックアップシステム(50)は、磁気軸受(44、46)が動作を停止したときにシャフト(42)を支持するように構成され配置される。軸受保持システム(50)の少なくとも1つの動的気体軸受(80)及び少なくとも1つの静圧気体軸受(82)は、磁気軸受(44、46)に対して径方向内側に配置されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒を圧縮するために使用され、蒸発器、凝縮器、及び膨張機構を含むチラーシステムに使用されるように適合されている遠心圧縮機であって、
入口部分及び出口部分を有するケーシングと、
回転軸を中心に回転可能なシャフトに取り付けられたインペラと、
前記インペラを回転させるために前記シャフトを回転させるように構成され配置されているモータと、
前記インペラの下流で前記出口部分に配置されているディフューザと、
前記シャフトを回転自在に支持する磁気軸受と、
前記磁気軸受が動作を停止したときに前記シャフトを支持するように構成され配置されている磁気軸受バックアップシステムであって、
少なくとも1つの動的気体軸受と、
少なくとも1つの静圧気体軸受と、
を含み、前記少なくとも1つの動的気体軸受及び前記少なくとも1つの静圧気体軸受は、前記磁気軸受に対して径方向内側に配置されている、磁気軸受バックアップシステムと、
を備える遠心圧縮機。
【請求項2】
前記少なくとも1つの動的気体軸受及び前記少なくとも1つの静圧気体軸受は、それぞれ、前記圧縮機の前記シャフトの軸方向の両端に隣接して配置される、
請求項1に記載の遠心圧縮機。
【請求項3】
前記少なくとも1つの動的気体軸受は、前記シャフトを取り囲む軸受ステータを有し、
前記シャフトには、前記シャフトの外周面に形成されている溝が設けられている、
請求項1に記載の遠心圧縮機。
【請求項4】
前記少なくとも1つの動的気体軸受は、前記圧縮機の前記シャフトの回転により発生する冷媒ガスの流れにより前記シャフトを支持し、
前記冷媒ガスの流れは、前記シャフトの前記溝により案内される、
請求項3に記載の遠心圧縮機。
【請求項5】
前記シャフトの前記溝は、前記シャフトの外周方向に沿って互いに略等間隔に設けられている、
請求項3又は4に記載の遠心圧縮機。
【請求項6】
前記少なくとも1つの静圧気体軸受は、
前記シャフトを囲む、オリフィスが設けられている軸受ステータであって、前記軸受ステータと前記シャフトとの間に前記オリフィスを介して冷媒ガスを供給する軸受ステータと、
前記軸受ステータの前記オリフィスに接続されて冷媒ガスを導入する入口導管と、
を含む、
請求項1に記載の遠心圧縮機。
【請求項7】
前記少なくとも1つの静圧気体軸受は、前記チラーシステム内の前記圧縮機と前記凝縮器との間の領域から前記入口導管を介して導入される冷媒ガスにより、前記シャフトを支持する、
請求項6に記載の遠心圧縮機。
【請求項8】
前記チラーシステム内の前記膨張機構は、電磁弁及びモータ作動弁のうちの少なくとも1つを含み、前記膨張機構は、前記磁気軸受と共有される電力源によって電力供給され、
前記電力源から電力供給が停止すると、前記磁気軸受が停止した後も前記少なくとも1つの静圧気体軸受が前記冷媒ガスによって前記シャフトを支持し続けるように、前記膨張機構が開放されて前記冷媒ガスが前記少なくとも1つの静圧気体軸受に向かって流れることを可能とする、
請求項7に記載の遠心圧縮機。
【請求項9】
前記シャフトの回転速度が速く、前記圧縮機の吸入側と吐出側との圧力差が大きい場合には、前記少なくとも1つの動的気体軸受と前記少なくとも1つの静圧気体軸受との両方が前記シャフトを支持する、
請求項1に記載の遠心圧縮機。
【請求項10】
前記シャフトの回転速度が速く、前記圧縮機の吸入側と吐出側との圧力差が小さい場合には、主に前記少なくとも1つの動的気体軸受が前記シャフトを支持する、
請求項1に記載の遠心圧縮機。
【請求項11】
前記シャフトの回転速度が遅く、前記圧縮機の吸入側と吐出側との圧力差が大きい場合には、主に前記静圧気体軸受が前記シャフトを支持する、
請求項1に記載の遠心圧縮機。
【請求項12】
前記冷媒は、地球温暖化係数(GWP)が低い冷媒である、
請求項1に記載の遠心圧縮機。
【請求項13】
冷媒を圧縮するために使用され、かつチラーシステムに使用されるように適合された遠心圧縮機で用いる磁気軸受バックアップシステムであって、
動的気体軸受と静圧気体軸受とから選択される少なくとも1つの気体軸受であって、磁気軸受が動作を停止したときに前記遠心圧縮機のシャフトを支持するように構成され配置されている少なくとも1つの気体軸受を備え、
前記少なくとも1つの気体軸受は、前記遠心圧縮機の磁気軸受に対して径方向内側に配置されている、
磁気軸受バックアップシステム。
【請求項14】
前記少なくとも1つの気体軸受は、冷媒ガスを潤滑剤として使用して前記シャフトを支持する、
請求項13に記載の磁気軸受バックアップシステム。
【請求項15】
冷媒を圧縮するために使用され、かつチラーシステムに使用されるように適合された遠心圧縮機で用いる磁気軸受バックアップシステムであって、
少なくとも1つの動的気体軸受と、
少なくとも1つの静圧気体軸受と、
を備え、
前記少なくとも1つの動的気体軸受及び前記少なくとも1つの静圧気体軸受は、磁気軸受が動作を停止したときに前記遠心圧縮機のシャフトを支持するように構成及び配置されており、
前記少なくとも1つの動的気体軸受及び前記少なくとも1つの静圧気体軸受は、前記遠心圧縮機の磁気軸受に対して径方向内側に配置されている、
磁気軸受バックアップシステム。
【請求項16】
前記少なくとも1つの動的気体軸受及び前記少なくとも1つの静圧気体軸受は、冷媒ガスを潤滑剤として使用することにより前記シャフトを支持する、
請求項15に記載の磁気軸受バックアップシステム。
【請求項17】
前記少なくとも1つの動的気体軸受は、前記シャフトを取り囲む軸受ステータを有し、
前記軸受ステータと、前記シャフトの外周面に形成されている溝を有する前記シャフトとの間に、前記冷媒ガスの流れが発生する、
請求項15に記載の磁気軸受バックアップシステム。
【請求項18】
前記少なくとも1つの静圧気体軸受は、
前記シャフトを囲む、オリフィスが設けられている軸受ステータであって、前記軸受ステータと前記シャフトとの間に前記オリフィスを介して冷媒ガスを供給する軸受ステータと、
前記軸受ステータの前記オリフィスに接続されて冷媒ガスを導入する入口導管と、を含む、
請求項15に記載の磁気軸受バックアップシステム。
【請求項19】
前記冷媒は、地球温暖化係数(GWP)が低い冷媒である、
請求項13又は15に記載の磁気軸受バックアップシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概してチラーシステムに用いられる遠心圧縮機に関する。より詳細には、本発明は、磁気軸受バックアップシステムを備えた遠心圧縮機に関する。
【背景技術】
【0002】
チラーシステムは、媒体から熱を除去する冷凍機器又は冷凍装置である。一般に、水などの液体が媒体として使用され、チラーシステムは蒸気圧縮冷凍サイクルで動作する。この液体は、熱交換器を通して循環され、必要に応じて空気又は装置を冷却することができる。必然の副生成物として、冷却は廃熱を生成し、廃熱は周囲に排出するか、より効率的には、加熱目的で回収する必要がある。従来のチラーシステムは、ターボ圧縮機と呼ばれる遠心圧縮機を使用することが多い。したがって、そのようチラーシステムをターボチラーと呼ぶことができる。あるいは、他のタイプの圧縮機、例えば、スクリュー圧縮機を利用することができる。
【0003】
従来の(ターボ)チラーでは、冷媒は遠心圧縮機で圧縮され、熱交換器に送られ、そこで冷媒と熱交換媒体(液体)との間で熱交換が生じる。この熱交換器では、冷媒がこの熱交換器で凝縮するので、凝縮器と呼ばれる。その結果、媒体(液体)に熱が伝達され、媒体が加熱される。凝縮器を出る冷媒は、膨張弁によって膨張され、別の熱交換器に送られて、そこで冷媒と熱交換媒体(液体)との間で熱交換が生じる。この熱交換器では、冷媒がこの熱交換器で加熱される(蒸発する)ので、蒸発器と呼ばれる。その結果、媒体(液体)から冷媒に熱が伝達され、液体が冷却される。次に、蒸発器からの冷媒は遠心圧縮機に戻され、このサイクルが繰り返される。利用される液体は、水であることが多い。
【0004】
従来の遠心圧縮機は、基本的に、ケーシングと、入口案内羽根と、インペラと、ディフューザと、モータと、各種センサと、コントローラとを備えている。冷媒は、入口案内羽根、インペラ、ディフューザを順に流れる。したがって、入口案内羽根は、遠心圧縮機のガス吸入口に連結され、一方、ディフューザは、インペラのガス出口に連結される。入口案内羽根は、インペラ内への冷媒ガスの流量を制御する。インペラは、冷媒ガスを増速する。ディフューザは、インペラによって与えられる冷媒ガスの速度(動圧)を(静的な)圧力に変換する働きをする。モータは、インペラを回転させる。コントローラは、モータ、入口案内羽根及び膨張弁を制御する。このようにして、冷媒は従来の遠心圧縮機で圧縮される。従来の遠心圧縮機は、1段又は2段を有することができる。モータはシャフトを介して1つ以上のインペラを回転させる。軸受システムは、このモータのシャフトを支持する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の遠心圧縮機の軸受システムは、気体軸受を含むことができる。気体軸受は、冷媒ガスを使用してモータのシャフトを支持する。例えば、米国特許第5,857,348号を参照されたい。
【0006】
遠心圧縮機では、磁気軸受も軸受システムとして使用可能である。磁気軸受は、磁力を利用してモータの回転軸を支持する。磁気軸受は、物理的接触なしに回転軸を支持するので潤滑剤を必要としないという利点を有するが、磁気軸受は、電力システム又は制御システムの故障の場合にバックアップ軸受システムを必要とする。
【0007】
磁気軸受のバックアップ軸受システムとして、ボール軸受又はセラミック軸受などの転がり軸受を使用することができる。しかし、ボール軸受は潤滑剤が必要であり、そのようなオイル潤滑式軸受は信頼性の面で十分ではないことがわかっている。また、セラミック軸受は、潤滑剤を必要としないものの比較的高価であることがわかっている。
【0008】
したがって、本発明の目的は、潤滑剤を必要とせず、比較的低コストで比較的高い信頼性を達成する磁気軸受バックアップシステムを備えた遠心圧縮機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の目的の1つ以上は、基本的に、チラーシステムに使用されるように適合された以下の遠心圧縮機を提供することで実現される。遠心圧縮機は、ケーシング、インペラ、モータ、ディフューザ、磁気軸受、ならびに少なくとも1つの動的気体軸受及び少なくとも1つの静圧気体軸受を含む磁気軸受バックアップを備える。ケーシングは、入口部分と出口部分とを有する。インペラは、回転軸を中心に回転可能なシャフトに取り付けられている。モータは、シャフトを回転させてインペラを回転させるように構成され配置されている。ディフューザは、インペラの下流の出口部分に配置される。磁気軸受はシャフトを回転可能に支持する。磁気軸受バックアップシステムは、磁気軸受が動作を停止したときにシャフトを支持するように構成される。磁気軸受バックアップシステムの少なくとも1つの動的気体軸受及び少なくとも1つの静圧気体軸受は、磁気軸受に対して径方向内側に配置される。
【0010】
前述の目的の1つ以上は、チラーシステムに使用されるように適合された遠心圧縮機用の磁気軸受バックアップシステムを提供することによっても達成される。磁気軸受バックアップシステムは、動的気体軸受及び静圧気体軸受から選択される少なくとも1つの気体軸受を含む。少なくとも1つの気体軸受は、磁気軸受が動作を停止したときに遠心圧縮機のシャフトを支持するように構成され配置される。少なくとも1つの気体軸受は、遠心圧縮機の磁気軸受に対して径方向内側に配置される。
【0011】
本発明のこれら及び他の目的、特徴、観点及び利点は、添付の図面と併せて、好適な実施形態を開示する以下の詳細な説明から当業者に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
ここで本開示内容の一部を形成する添付図面を参照する。
【0013】
【図1】本発明の一実施形態による遠心圧縮機を有する一段チラーシステムを示す概略図である。
【0014】
【図2】本発明の一実施形態による遠心圧縮機を有する二段チラーシステム(エコノマイザ付)を示す概略図である。
【0015】
【図3】図2に示したチラーシステムの遠心圧縮機の斜視図であり、説明用に部分的に破断して断面で示してる。
【0016】
【図4】本発明の一実施形態による磁気軸受バックアップシステムを備えた図2及び図3に示す遠心圧縮機のインペラ、モータ及び磁気軸受を示す概略縦断面図である。
【0017】
【図5】本発明の一実施形態による磁気軸受バックアップシステムを備えた、図1〜図4に示された圧縮機のモータのシャフトの斜視図である。
【0018】
【図6】磁気軸受バックアップシステム及び図5に示すシャフトの一部を示す拡大部分斜視図である。
【0019】
【図7A】図6の線7A−7Aに沿って見た、図5及び図6に示す磁気軸受バックアップシステムの静圧気体軸受の断面図である。
【0020】
【図7B】図6の断面線7B−7Bに沿って見た、図5及び図6に示す磁気軸受バックアップシステムの静圧気体軸受の断面図である。
【0021】
【図8】図5〜図7に示す磁気軸受バックアップシステムの静圧気体軸受の斜視図であり、説明用に部分的に破断して断面で示している。
【0022】
【図9】図5及び図6に示された磁気軸受バックアップシステムの動的気体軸受の斜視図であり、説明用に部分的に破断して断面で示している。
【0023】
【図10】磁気軸受バックアップシステムの制御方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、選択された実施形態を図面を参照して説明する。実施形態の以下の記載は、説明のためのみに提供され、添付の特許請求の範囲及びその等価物によって定義される本発明を限定する目的のためのものではないことは、本開示から当業者には明らかであろう。
【0025】
最初に図1及び図2を参照すると、本発明の実施形態による遠心圧縮機22及び22’を有するチラーシステム10及び10’が示されている。図1の遠心圧縮機22は一段圧縮機であり、したがって図1のチラーシステム10は一段チラーシステムである。図2の遠心圧縮機22’は2段圧縮機であり、したがって、図2のチラーシステム10'は2段チラーシステムである。図2の2段チラーシステムは、オプションのエコノマイザも含む。図1および図2は、本発明による遠心圧縮機22および22’を使用することができるチラーシステムの2つの例を単に例示している。
【0026】
チラーシステム10及び10’は、本発明による磁気軸受バックアップシステムを含む遠心圧縮機22及び22’を除いて従来のものである。したがって、チラーシステム10及び10’は、本発明による磁気軸受バックアップシステムを含む遠心圧縮機22及び22’を除いて、ここでは詳細に説明及び/又は図示されない。ただし、本発明の範囲を逸脱することなく、チラーシステム10及び10’の従来の部品を様々な方法で構成することができることは、当業者には明らかであろう。図示した実施形態では、チラーシステム10及び10’は、従来の方法で冷却水及び冷水を利用する水チラーであることが好ましい。
【0027】
遠心圧縮機22及び22’は、遠心圧縮機22’が2段圧縮機であることを除いて、互いに同一である。したがって、この開示から当業者には、一段圧縮機22は、一部がないことを除いて、遠心圧縮機22’と同一であることは明らかであろう。したがって、2段圧縮機22’は、1段圧縮機22の全ての部分を含み、追加部分も含む。したがって、圧縮の第2段に関する部分及び圧縮の第2段に関する変形(例えば、ハウジング形状、軸端形状など)を除いて、2段圧縮機22’の説明及び図解は、1段圧縮機22にも適用されることは、本開示から当業者には明らかであろう。これらの点を考慮し、かつ簡潔にするため、ここでは2段圧縮機22’のみを詳細に説明及び/又は図示する。圧縮機22’について以下に更に詳細に説明する。
【0028】
再び図1〜図2を参照して、チラーシステム10及び10’の構成要素について簡単に説明する。チラーシステム10は、基本的に、チラーコントローラ20と、圧縮機22と、凝縮器24と、膨張弁27又はオリフィス(膨張機構)27と、蒸発器28とを含み、これらを互いに直列に接続してループ冷凍サイクルを構成している。チラーシステム10’は、チラーコントローラ20と、遠心圧縮機22’と、凝縮器24と、膨張弁25又はオリフィス(膨張機構)25と、エコノマイザ26と、膨張弁27又はオリフィス(膨張機構)27と、蒸発器28とを含み、これらを互いに直列に接続してループ冷凍サイクルを構成している。しかし、エコノマイザ26は取り外すことができる。いずれの場合も、従来の方法でチラーシステム10及び10’を制御するために、様々なセンサ(図示せず)がチラーシステム10及び10’の回路全体に配置されている。膨張機構25,27として、キャピラリチューブを用いることができる。
【0029】
チラーシステム10及び10’は、本発明による磁気軸受バックアップシステム50に冷媒ガスを供給する膨張弁(膨張機構)29を更に含む。膨張弁29は、圧縮機22又は22’と凝縮器24との間の領域を接続する冷媒供給ラインに配置され、以下でより詳細に説明するように、磁気軸受バックアップシステム50に冷媒ガスを供給する。
【0030】
ここで図1〜4、主に図3及び図4を参照して、圧縮機22’をより詳細に説明する。圧縮機22’は、図示の実施形態では2段遠心圧縮機である。したがって、本明細書に示す圧縮機22’は、2つのインペラを含む。しかし、圧縮機22’は、3つ以上のインペラ(図示せず)を含んでも、図1に示すように一段圧縮機であってもよい。圧縮機22’が図3及び図4に示すような磁気軸受バックアップシステム50を含み、冷媒ガスが、図1、2及び4に示すように磁気軸受バックアップシステム50に供給される点を除き、図示の実施形態の2段遠心圧縮機22’は従来のものである。
【0031】
遠心圧縮機22’は、第1段インペラ34aと第2段インペラ34bとを含む。遠心圧縮機22’は更に、第1段入口案内羽根32a、第1のディフューザ/ボリュート36a、第2段入口案内羽根32b、第2ディフューザ/ボリュート36b、圧縮機モータ38、及び磁気軸受アセンブリ40を含み、従来の多種センサ(1つのみ図示)も含む。ケーシング30は、遠心圧縮機22’を覆う。ケーシング30は、圧縮機22’の1段目に対する入口部分31aと出口部分33aとを有する。ケーシング30はまた、圧縮機22’の第2段に対する入口部分31b及び出口部分33bを含む。
【0032】
チラーコントローラ20は、以下でより詳細に説明するように、従来の方法で、様々なセンサから信号を受信し、入口案内羽根32a及び32b、圧縮機モータ38及び磁気軸受アセンブリ40を制御する。冷媒は、第1段入口案内羽根32a、第1段インペラ34a、第2段入口案内羽根32b、第2段インペラ34bを順に流れる。入口案内羽根32a、32bは、それぞれ、従来のようにインペラ34a、34bへの冷媒ガスの流量を制御する。インペラ34a及び34bは、ほぼ圧力を変化させることなく、冷媒ガスの速度を増加させる。モータ速度は、冷媒ガスの速度の増加量を決定する。ディフューザ/ボリュート36a及び36bは、冷媒圧力を増加させる。ディフューザ/ボリュート36a及び36bは、ケーシング30に対して移動不能に固定されている。圧縮機モータ38は、シャフト42を介してインペラ34a及び34bを回転させる。磁気軸受アセンブリ40は、シャフト42を磁気的に支持する。このようにして、冷媒は遠心圧縮機22’で圧縮される。
【0033】
チラーシステム10の運転時には、圧縮機22’の第1段インペラ34a及び第2段インペラ34bが回転され、第1段インペラ34aによってチラーシステム10内の低圧冷媒が吸入される。冷媒の流量は、入口案内羽根32aによって調整される。第1段インペラ34aに吸入された冷媒は中間圧に圧縮され、第1ディフューザ/ボリュート36aにより冷媒圧力が上昇してから、第2段インペラ34bに導入される。冷媒の流量は、入口案内羽根32bによって調整される。第2段インペラ34bは、中間圧の冷媒を高圧に圧縮し、第2ディフューザ/ボリュート36bにより冷媒の圧力が高められる。高圧ガス冷媒は、次いで、チラーシステム10に排出される。
【0034】
図3及び図4を参照すると、磁気軸受アセンブリ40は従来のものであり、したがって、本発明に関連する場合を除いて、ここでは詳細に説明及び/又は図示しない。むしろ、当業者には、本発明から逸脱することなく、任意の適切な磁気軸受を使用できることが明らかであろう。磁気軸受アセンブリ40は、好ましくは、第1のラジアル磁気軸受44、第2のラジアル磁気軸受46、及びアキシャル(スラスト)磁気軸受48を含む。いずれの場合にも、少なくとも1つのラジアル磁気軸受44又はラジアル磁気軸受46がシャフト42を回転可能に支持する。スラスト磁気軸受48は、スラストディスク45に作用することによってシャフト42を回転軸Xに沿って支持する。スラスト磁気軸受48は、シャフト42に取り付けられているスラストディスク45を含む。
【0035】
スラストディスク45は、回転軸Xに直交する方向にシャフト42から径方向に延び、シャフト42に対して固定されている。回転軸X(軸方向位置)に沿ったシャフト42の位置は、スラストディスク45の軸方向位置により制御されている。第1のラジアル磁気軸受44及び第2のラジアル磁気軸受46は、圧縮機モータ38の対向する軸方向両端に配置されている。様々なセンサが、磁気軸受44、46及び48に対するシャフト42の径方向及び軸方向の位置を検出し、従来の方法でチラーコントローラ20に信号を送る。そして、チラーコントローラ20は、シャフト42を正しい位置に維持するために、従来の方法で磁気軸受44、46および48に送られる電流を制御する。磁気軸受アセンブリ40は、好ましくは、能動型磁気軸受44、46、48の組み合わせである。この組み合わせは、ギャップセンサ54、56、58を利用してシャフト位置を監視し、シャフト位置を示す信号をチラーコントローラ20に送る。したがって、磁気軸受44、46及び48の各々は、好ましくは能動型磁気軸受である。
【0036】
ここで図3〜図6を参照して、本発明による磁気軸受バックアップシステム50を詳細に説明する。磁気軸受バックアップシステム50は、圧縮機22’のシャフト42の軸方向の両端にそれぞれ隣接して配置されている。図示の実施形態では、第1の磁気軸受バックアップシステム50aは、圧縮機22’の第1段側でシャフト42の端部に隣接して配置され、第2の磁気軸受バックアップシステム50bが、圧縮機22’の第2段側でシャフトの端部に隣接して配置されている。磁気軸受バックアップシステム50a及び磁気軸受バックアップシステム50bの構造は、互いに鏡像であることを除いて同一であることは、本開示から当業者には明らかであろう。したがって、以下では、磁気軸受バックアップシステム50a及び磁気軸受バックアップシステム50bを総称して磁気軸受バックアップシステム50と呼ぶ。
【0037】
シャフト42は、第1のラジアル磁気軸受部分64と、第2のラジアル磁気軸受部分66と、軸方向磁気軸受支持部分(図示せず)と、拡大部分70とを含む。また、シャフト42の両端部にはバックアップ軸受部分72a、72bが設けられている。磁気軸受バックアップシステム50a、50bは、シャフト42のバックアップ軸受部分72a、72bをそれぞれ取り囲むように配置され、以下に詳細に説明するように、停電やシステム故障などの場合にシャフト42を径方向に支持する。
【0038】
第1のラジアル磁気軸受部分64は、従来の方法で第1のラジアル磁気軸受44によって磁気的に径方向に支持されている。軸方向磁気軸受支持部分は、従来のように固定装着されているスラストディスク45を有する。スラストディスク45は、従来の方法でアキシャル磁気軸受48によって軸方向に磁気的に支持されている。第2のラジアル磁気軸受部分66は、第2のラジアル磁気軸受46によって従来の方法で磁気的に径方向に支持されている。
【0039】
バックアップ軸受部分72a、72bは、第1のラジアル磁気軸受部分64及び第2のラジアル磁気軸受部分66よりも小径である。また、磁気軸受バックアップシステム50a、50bとバックアップ軸受部分72a、72bとの間のギャップNは、図4に示すように、ラジアル磁気軸受44、46とラジアル磁気軸受部分64、66とのギャップMより小さい。この構成により、磁気軸受バックアップシステム50a、50bは、第1のラジアル磁気軸受44及び第2のラジアル磁気軸受46の径方向内側に配置される。したがって、停電やシステム故障等の場合には、ラジアル磁気軸受44、46の一部が磁気軸受部分64、66に接触することはない。バックアップ軸受部分72a、72bの外周面には、複数の溝74が形成されている。溝74は、シャフト42の外周方向に沿って互いに略等間隔に設けられている。溝74は、以下により詳細に説明するように、シャフト42の回転によって発生する冷媒ガスの流れを案内する。
【0040】
図6〜図9を参照して、磁気軸受バックアップシステム50をここでより詳細に説明する。磁気軸受バックアップシステム50は、シャフト42の軸方向に互いに位置合わせされた動的気体軸受80及び静圧気体軸受82を含む。図示の実施形態では、動的気体軸受80はシャフト42の軸方向の内側に配置され、静圧気体軸受82はシャフト42の軸方向の外側に配置される。ただし、動的気体軸受80と静圧気体軸受82との位置は交換可能である。図示の実施形態では、磁気軸受バックアップシステム50は、1つの動的気体軸受と1つの静圧気体軸受とを含む。ただし、磁気軸受バックアップシステム50は、2つ以上の動的気体軸受と、2つ以上の静圧気体軸受とを含むことができる。あるいは、磁気軸受バックアップシステム50は、動的気体軸受及び静圧気体軸受から選択された1つの気体軸受のみを含んでもよい。
【0041】
図7A、図7B及び図8に示すように、静圧気体軸受82は、シャフト42を囲む軸受ステータ92と、軸受ステータ92を覆う軸受ケーシング88と、を有する。軸受ケーシング88は、環状リング93によって軸受ステータ92に固定されている。軸受ケーシング88と軸受ステータ92との間のギャップG1は、環状リング93によって流体シールされる。静圧気体軸受82は、また、入口導管84及び複数のオリフィス86を有する。複数のオリフィス86は、軸受ステータ92の内周面から軸受ステータ92の外周面に径方向に延びる軸受ステータ92に形成された貫通孔である。図示の実施形態では、オリフィス86は、円周方向に等間隔に配置されている。入口導管84は、軸受ケーシング88内に配置され、図1,2及び4に示す冷媒供給ラインSLに流体的に連結される。入口導管84は、軸受ケーシング88と軸受ステータ92との間のギャップG1に開口している。入口導管84は、ギャップG1を介してオリフィス86に接続されている。
【0042】
電力システム又は制御システムの故障の場合、以下でより詳細に説明するように、冷媒ガスは、圧縮機22又は22’とチラーシステム10又は10’の凝縮器24との間の領域から、冷媒供給ラインSLを介して入口導管84に供給される。入口導管84から供給された冷媒ガスは、軸受ケーシング88と軸受ステータ92とのギャップG1に導入され、ギャップG1を通ってオリフィス86に流れる。オリフィス86に流入した冷媒ガスは、軸受ステータ92とシャフト42とのギャップG2に達し、図8に示すように冷媒ガスの流れを発生させる。図8は、簡略化した図であり、したがって、シャフト42の一部を示していないことに留意されたい。このようにして、シャフト42は、軸受ステータ92とシャフト42との間のギャップG2内に発生した冷媒ガスの流れによって径方向に支持される。
【0043】
図9に示すように、動的気体軸受80は、シャフト42を取り囲む軸受ステータ90と、軸受ステータ90を覆う軸受ケーシング87とを有する。図9は、簡略図であり、したがって、シャフト42の一部を示していないことに留意されたい。前述したように、シャフト42は、シャフト42の外周面に形成された溝74を有する。溝74は、図5及び図6に示すように、バックアップ軸受部分72a及び72b全体に沿って延びる軸方向長さを有してもよい。更に、溝74は、図5及び図6に示すように、互いに同一で、かつ平行に配置されてもよい。あるいは、溝74は、動的気体軸受80の幅に実質的に対応する軸方向長さを有してもよい。また、各溝74は、図9に示すように、第1方向に配列された第1溝部分74aと、第1方向と交差する第2方向に配列された第2溝部分74bとを有していてもよい。いずれにせよ、動的気体軸受80は、シャフト42の溝74を囲む位置に配置されている。遠心圧縮機22又は22’の作動中にシャフト42が回転方向に回転すると、溝74によって軸受ステータ90とシャフト42との間のギャップG3に冷媒ガスの流れが発生する。図示の実施形態では、冷媒の流れは、図9に示すように溝74によって案内される。このようにして、シャフト42は、軸受ステータ90とシャフト42との間のギャップG3に発生した冷媒ガスの流れによって径方向に支持される。
【0044】
例示した実施形態の気体軸受構成は単なる例に過ぎない。しかし、磁気軸受バックアップシステム50に使用される動的気体軸受80及び静圧気体軸受82に様々な変更及び修正を加えることができることは、本開示から当業者には明らかであろう。例えば、静圧気体軸受82のオリフィス86及び入口導管84の正確な数、位置及び/又は構造を変更することができる。また、正確な溝構成は、冷媒流シミュレーション及び/又はシャフト42の溝74の特性に基づいて計算され、動的気体軸受80をより効率的にすることができる。
【0045】
通常の動作では、磁気軸受アセンブリ40はシャフト42を磁気的に支持する。しかし、電力システム又は制御システムの故障の場合に磁気軸受アセンブリ40が動作を停止すると、磁気軸受バックアップシステム50は、磁気軸受アセンブリ40のバックアップとしてシャフト42を支持する。上述のように、チラーシステム10及び10’は、膨張弁29を有する。膨張弁29は、圧縮機22又は22’と凝縮器24との間を接続する冷媒供給ラインSLに配置されて、電力システム又は制御システムの故障の場合に、冷媒ガスを圧縮機22又は22’と凝縮器24との間の領域から磁気軸受バックアップシステム50に供給する。膨張弁29は、通常時には電力源が供給されて閉じられる電磁弁又は電動弁であり、膨張弁29は磁気軸受アセンブリ40と電力供給を共有する。したがって、電力システムが停止すると、磁気軸受アセンブリ40が動作を停止すると、同時に膨張弁29が開く。これにより、冷媒ガスが膨張弁29を介して圧縮機22又は22’と凝縮器24との間の領域から磁気軸受バックアップシステム50に流入できる。
【0046】
圧縮機22又は22’の吸入側と吐出側との圧力差が大きい場合、入口導管84を介して静圧気体軸受82に導入される冷媒ガスの圧力が高くなり、図8に示すように、静圧気体軸受82の軸受ステータ92とシャフト42との間のギャップG2に冷媒ガスの流れが発生する。その結果、静圧気体軸受82は、ギャップG2に発生した冷媒ガスの流れによってシャフト42を支持することができる。また、シャフト42の回転速度が速い場合には、図9に示すように、シャフト42の溝74によって、動的気体軸受80の軸受ステータ90とシャフト42とのギャップG3に冷媒ガスの流れが発生する。これにより、ギャップG3に発生した冷媒ガスの流れにより、動的気体軸受80がシャフト42を支持することができる。このようにして、本発明によれば磁気軸受バックアップシステム50に流入する冷媒ガスを潤滑剤として使用することができる。
【0047】
図示した実施形態では、圧縮機22又は22’と凝縮器24との間の領域から導入された冷媒ガスが、図1及び図2に示すように、チラーシステム10及び10’内の圧縮機22又は22’と蒸発器28との間の領域に戻される。ただし、図示の実施形態の構成は一例に過ぎない。この構成には様々な変更及び修正が可能であることが本開示から当業者には明らかであろう。例えば、圧縮機22又は22’と凝縮器24との間の領域から導入された冷媒ガスを、圧縮機22又は22’と膨張弁27又はオリフィス27との間の任意の領域に戻してもよい。
【0048】
図10を参照して、磁気軸受バックアップシステム50の制御プロセスを、ここでより詳細に説明する。磁気軸受アセンブリ40に電力損失(Power Loss)が生じた場合(ステップS101)、ステップS102において、チラーコントローラ20は、圧縮機20又は22’の吸入側と吐出側の圧力差を算出する。次にステップS103において、チラーコントローラ20は、圧縮機20又は22’の吸入側と吐出側との現在の圧力差における静圧気体軸受82によるシャフト支持力を計算する。次に、静圧気体軸受82のそのシャフト軸支持力に応じて静圧気体軸受82がシャフト42を支持できるか否かを判断する(ステップS104)。シャフト支持力が十分である場合(ステップS104でYes)、シャフト42は静圧気体軸受82に供給された冷媒ガスの流れを用いて、静圧気体軸受82により支持される(ステップS105)。シャフト支持力が十分でない場合(ステップS104でNo)、ステップS106に進む。
【0049】
ステップS106において、チラーコントローラ20は、圧縮機20又は22’のシャフト42の回転速度を計算する。次に、チラーコントローラ20は、ステップS107において、圧縮機20又は22’のシャフト42の現在の回転速度における動的気体軸受80によるシャフト支持力を計算する。次に、動的気体軸受80のシャフト支持力に応じて、動的気体軸受80がシャフト42を支持できるか否かを判断する(ステップS108)。シャフト支持力が十分である場合(ステップS108でYes)、シャフト42は、溝74によって発生した冷媒ガスの流れを用いて、動的気体軸受80によって支持される(ステップS109)。シャフト支持力が十分でない場合(ステップS108でNo)、ステップS102に戻る。図10の*Bを参照されたい。
【0050】
ステップS105において、シャフト42が静圧気体軸受82に供給された冷媒ガスの流れを用いて静圧気体軸受82により支持されると、ステップS106にも進む。図10の*Aを参照されたい。この場合、ステップS109において、溝74によって発生した冷媒ガスの流れを利用して、シャフト42も動的気体軸受80によって支持されていれば、シャフト42は静圧気体軸受82と動的気体軸受80の両方によって支持される。
【0051】
図10に示すように、本発明による方法では、圧縮機20又は22の吸入側と吐出側との圧力差に基づいて静圧気体軸受82がシャフト42を支持できるか否かを判断し、圧縮機20又は22’のシャフト42の回転速度に基づいて、動的気体軸受80がシャフト42を支持することができるか否かを判定する。ステップS105及びS109の状態は、チラーコントローラ20を使用せずに自動的に達成/実行され、チラーコントローラ20は、静圧気体軸受82及び動的気体軸受80を監視するために使用される。このプロセスは、圧縮機20又は22’の動作状態に応じて繰り返すことができる。
【0052】
本発明に係る磁気軸受バックアップシステム50では、動的気体軸受80及び静圧気体軸受82は、上述した電力システム又は制御システムの故障の場合に、磁気軸受アセンブリ40のバックアップとしてシャフト42を支持する。要するに、シャフト42の回転速度が速く、圧縮機20又は22’の圧力差が大きい場合には、動的気体軸受80及び静圧気体軸受82の両方がシャフト42を支持する。シャフト42の回転速度が速く、圧縮機20又は22’の圧力差が小さい場合には、主に動的気体軸受80がシャフト42を支持する。シャフト42の回転速度が遅く、圧縮機20、22’の圧力差が大きい場合、主に静圧気体軸受82がシャフト42を支持する。下記の表1を参照されたい。ちなみに、電力システム又は制御システムの故障の場合とは、シャフト42が磁気軸受アセンブリ40によって支持されない事象すべてを含む。
【表1】
【0053】
図1及び図2を参照すると、チラーコントローラ20は、従来の方法で従来の部品を制御するようにプログラムされた多数の制御部を含むことができる。例えば、従来の磁気軸受制御部、従来の圧縮機可変周波数駆動装置、従来の圧縮機モータ制御部、従来の入口案内翼制御部、従来の膨張弁制御部などがある。これらの部は、分離していても組み合わされていてもよい。
【0054】
図示の実施形態では、制御部が、本明細書に記載された部品の制御を実行するようにプログラムされたチラーコントローラ20のセクションである。しかし、これら制御部、部分及び/又はチラーコントローラ20の正確な数、位置及び/又は構造は、1つ又は複数のコントローラが、本開示内で説明したように、チラーシステム10又は10’の部品の制御を実行するようにプログラムされている限り、本発明から逸脱することなく変更可能であることは、本開示から当業者には明らかであろう
【0055】
チラーコントローラ20は、従来のものであり、したがって、少なくとも1つのマイクロプロセッサ又はCPU、入出力(I/O)インターフェース、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、1つ又は複数の制御プログラムを実行して、チラーシステム10又は10’を制御するようにプログラムされたコンピュータ可読媒体を形成する(一時又は固定)記憶装置を含む。チラーコントローラ20は、ユーザからの入力を受信するためのキーパッドなどの入力インターフェースと、ユーザに様々なパラメータを表示するために使用される表示装置とを任意に含むことができる。部品及びプログラミングは従来のものであるので、実施形態を理解するために必要な場合を除いて、ここでは詳細には説明しない。
【0056】
地球環境保護の観点から、R1233zd、R1234zeなどの新しい低GWP(地球温暖化係数)冷媒の使用がチラーシステムに適している。地球温暖化係数が低い冷媒の地球温暖化係数(GWP)は、概ね300以下である。地球温暖化係数の低い冷媒の一例は、蒸発圧力が大気圧以下の低圧冷媒である。例えば、低圧冷媒R1233zdは、不燃性、無毒性、低コストであり、現在主流の冷媒R134aの代替物質であるR1234ze等の他の候補と比較して高いCOPを有するので、遠心チラー用途における候補である。図示の実施形態では、冷却媒体は、チラーシステム10又は10’で使用される冷媒である。好ましくは、冷媒は、低圧冷媒(LPR)と低地球温暖化係数(GWP)冷媒とのうちの少なくとも一方である。より具体的には、低圧冷媒(LPR)はR1233zdであり、及び/又は、低地球温暖化係数(GWP)冷媒はR1234ze又はR1234yfであり得る。冷媒は、上述した低地球温暖化係数(GWP)冷媒の少なくとも1つを含む混合冷媒であってもよい。しかし、本発明による磁気軸受バックアップシステムは、上述の冷媒のいずれかを使用するチラーシステムに適用することができる。
<用語の一般的解釈>
【0057】
本発明の範囲を理解するにあたって、ここで使用する用語「含む/備える(comprising)」及びその派生語は、上記で述べた特徴、要素、部品、群、数値、及び/又は工程の存在を明記するものであるが、ここに述べていないその他の特徴、要素、部品、群、数値、及び/又は工程の存在を除外しない非限定的用語であることを意図している。また、上記は、用語「含む(including)/有する(having)」及びその派生語等の同様の意味を有する単語にも適用される。更に、用語「部品(part)」、「セクション(section)」、「部分(portion)」、「部材(member)」、「要素(element)」は、単数形で使用されていても、単数複数双方の意味を有し得る。
【0058】
構成要素、セクション、装置等によって行われる動作又は機能を述べるために本明細書で使用する用語「検出する」は、物理的検出を必要とせずに動作又は機能を行うための判断、測定、モデリング、予測、又は演算等を含む構成要素、セクション、デバイス等を含む。
【0059】
装置の構成要素、セクション、又は部品の説明のためにここで使用する用語「構成されている」は、所望の機能を実行するために構築及び/又はプログラミングされたハードウェア及び/又はソフトウェアを含む。
【0060】
ここで使用する「ほぼ」、「約」、「およそ」等の度合いを示す用語は、最終結果が実質的に変わらないような被修飾語の妥当な偏移量を意味する。
【0061】
本発明を説明するために特定の実施形態のみを選択してきたが、添付した請求の範囲において定義される発明の範囲を逸脱することなく種々の変更及び修正がここにおいて可能であることは、本開示から当業者に明らかである。例えば、各種部品のサイズ、形状、場所、又は向きは、必要及び/又は所望に応じて変更可能である。互いに直接的に接続又は接触するように示されている構成要素は、それらの間に中間構造体を配してもよい。単一要素の機能を、2つの要素で実行可能であり、その逆も同様である。一実施形態の構造及び機能を、別の実施形態で用いてもよい。特定の実施形態に全ての利点が同時に含まれていなくてもよい。従来技術と比べて固有の特徴はすべて、単独としてもその他の特徴との組み合わせとしても、これら1つ以上の特徴によって具体化される構造的及び/又は機能的概念を含む、本出願人による更なる発明の別個の記載として見なされるべきものである。したがって、本発明に係る実施形態の上記説明は、単なる例示であり、添付の請求項及びそれらの等価物によって定義される本発明を限定するためのものではない。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図9】
【図10】
【国際調査報告】