(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】2019526581
(43)【公表日】20190919
(54)【発明の名称】四塩化炭素を製造するための塩素化分解方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 17/10 20060101AFI20190823BHJP
   C07C 19/041 20060101ALI20190823BHJP
【FI】
   !C07C17/10
   !C07C19/041
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】38
(21)【出願番号】2019512196
(86)(22)【出願日】20170829
(85)【翻訳文提出日】20190418
(86)【国際出願番号】CZ2017000054
(87)【国際公開番号】WO2018041278
(87)【国際公開日】20180308
(31)【優先権主張番号】PV2016-532
(32)【優先日】20160902
(33)【優先権主張国】CZ
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】517132706
【氏名又は名称】スポレク プロ ヘミコウ アー フツニ ブイロブ,アクツィオバ スポレチェノスト
【住所又は居所】チェコ国,400 32 ウースチー ナド ラベム,レボルチュニー 1930/86
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【弁理士】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100146466
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 正俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142387
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 都子
(72)【発明者】
【氏名】パベル クビーツェク
【住所又は居所】チェコ国,405 02 ジェチーン 6,ザ バジャントニツィー 1786/9
(72)【発明者】
【氏名】ブラスチミル ブリーザ
【住所又は居所】チェコ国,400 03 ウースチー ナド ラベム,ブジェゾバー 1287/27
(72)【発明者】
【氏名】トマース ピットネル
【住所又は居所】チェコ国,403 39 フルメツ,スクジバーンチー 310
(72)【発明者】
【氏名】トマース リエデル
【住所又は居所】チェコ国,403 31 ウースチー ナド ラベム,ムリーンスカー 24
【テーマコード(参考)】
4H006
【Fターム(参考)】
4H006AA02
4H006AB84
4H006AB93
4H006AC30
4H006BC10
4H006BC18
4H006BC19
4H006BD34
4H006BD52
4H006BE53
4H006EA02
(57)【要約】
i)塩素、ii)1〜3個の塩素原子を含むC1塩素化化合物及びiii)炭素/第二の塩素源を400〜600℃の操作温度での塩素化ゾーンに提供して、反応混合物を製造すること、及び、滞留時間の後に、塩素化ゾーンから生成物混合物を抜き出すことを含み、前記生成物混合物は四塩化炭素及び場合によりペルクロロエチレンを含み、前記生成物混合物は、ペルクロロエチレンが存在するとしても、ペルクロロエチレンよりも高いモル含有量の四塩化炭素を含む、四塩化炭素を製造するための塩素化分解方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
i)塩素、ii)1〜3個の塩素原子を含むC1塩素化化合物及びiii)炭素/第二の塩素源を400〜600℃の操作温度での塩素化ゾーンに提供して、反応混合物を製造すること、及び、滞留時間の後に、塩素化ゾーンから生成物混合物を抜き出すことを含み、前記生成物混合物は四塩化炭素及び場合によりペルクロロエチレンを含み、前記生成物混合物は、ペルクロロエチレンが存在するとしても、ペルクロロエチレンよりも高いモル含有量の四塩化炭素を含む、四塩化炭素を製造するための塩素化分解方法。
【請求項2】
1〜3個の塩素原子を含むC1塩素化化合物はクロロホルム、塩化メチレン、塩化メチル又はそれらの混合物を含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
炭素/第二の塩素源は、少なくとも約60質量%、約80質量%、約90質量%、約95質量%、約97質量%、約98質量%、約99質量%、約99.5質量%、約97.5質量%、約99.8質量%又は約99.9質量%の純度レベルを有する、精製された、場合により塩素化されていてよいアルカン又はアルケン材料を含む、請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
炭素/第二の塩素源はメタン、エタン、エテン、プロパン、プロペン、ジクロロエタン及び/又はジクロロプロパンから選ばれる、請求項3記載の方法。
【請求項5】
炭素/第二の塩素源は未精製材料を含む、請求項1又は2記載の方法。
【請求項6】
炭素/第二の塩素源は、
a.5000ppm(0.5%)以下、2000ppm(0.2%)以下、1000ppm(0.1%)以下、500ppm(0.05%)以下、200ppm(0.02%)以下、100ppm(0.01%)以下、50ppm(0.005%)以下、20ppm(0.002%)以下又は10ppm(0.001%)以下の量のリン含有化合物、
b.5000ppm(0.5%)以下、2000ppm(0.2%)以下、1000ppm(0.1%)以下、500ppm(0.05%)以下、200ppm(0.02%)以下、100ppm(0.01%)以下、50ppm(0.005%)以下、20ppm(0.002%)以下又は10ppm(0.001%)以下の量の酸素含有化合物、
c.5000ppm(0.5%)以下、2000ppm(0.2%)以下、1000ppm(0.1%)以下、500ppm(0.05%)以下、200ppm(0.02%)以下、100ppm(0.01%)以下、50ppm(0.005%)以下、20ppm(0.002%)以下又は10ppm(0.001%)以下の量の鉄、及び/又は、
d.1000ppm(0.1%)、500ppm(0.05%)以下、200ppm(0.02%)以下、100ppm(0.01%)以下、50ppm(0.005%)以下又は20ppm(0.002%)以下の量の水、
を含む、請求項1又は2記載の方法。
【請求項7】
炭素/第二の塩素源は、塩素化アルカン及び/又は塩素化アルケンを調製するための方法からの副生成物材料を含む、請求項1〜6のいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
塩素化アルカン及び/又はアルケンは四塩化炭素、1,1,1,2,3-ペンタクロロプロパン、1,1,1,3,3-ペンタクロロプロパン、1,1,2,2,3-ペンタクロロプロパン、1,1,2,3-テトラクロロプロペン、1,1,3-トリクロロプロペン、1,1,1,3-テトラクロロプロパン、1,1,1,3-テトラクロロプロペン、1,1,3,3-テトラクロロプロペン、2,3,3,3-テトラクロロプロペン及び1,3,3,3-テトラクロロプロペンである、請求項7記載の方法。
【請求項9】
副生成物材料は重質分材料及び/又は軽質分材料を含む、請求項7又は8記載の方法。
【請求項10】
炭素/第二の塩素源は1、2、3、4、5又はそれ以上の場合により塩素化されていてよいアルカン又はアルケン化合物を含む、請求項1〜9のいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
炭素/第二の塩素源は、四塩化炭素と、四塩化炭素の沸点と約10℃以下又は約8℃以下で異なる沸点を有する1種以上のアルカン及び/又はアルケン及び/又は塩素化アルカン及び/又は塩素化アルケンとを含む、請求項1〜10のいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
炭素/第二の塩素源はメタン及び/又はエタンを含む、請求項1〜11のいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
炭素/第二の塩素源は、C1化合物の含有分が75モル%又は75体積%を超える、C1-6非塩素化飽和及び不飽和炭化水素の塩素化から得られる塩素化C1-6化合物を含む、請求項1〜12のいずれか1項記載の方法。
【請求項14】
塩素化ゾーンで生成される四塩化炭素:ペルクロロエチレンのモル比は20:1、10:1又は5:1〜3:1、2:1又は1:1である、請求項1〜13のいずれか1項記載の方法。
【請求項15】
塩素化ゾーンの操作温度は400℃〜500℃、550℃、560℃、570℃又は580℃である、請求項1〜14のいずれか1項記載の方法。
【請求項16】
塩素化ゾーンにおける反応混合物の平均滞留時間は少なくとも5秒、少なくとも10秒、少なくとも15秒又は少なくとも20秒である、請求項1〜15のいずれか1項記載の方法。
【請求項17】
生成物混合物中の六塩素化有機化合物の含有量は塩素化ゾーンで生成された正味の四塩化炭素及びペルクロロエチレンの2質量%以下、1.5質量%以下、1質量%以下又は0.5質量%以下である、請求項1〜16のいずれか1項記載の方法。
【請求項18】
塩素化ゾーンから抜き出される生成物混合物をクエンチすることをさらに含む、請求項1〜17のいずれか1項記載の方法。
【請求項19】
塩素化ゾーンから抜き出される生成物混合物を1つ以上の蒸留工程に供することをさらに含む、請求項1〜18のいずれか1項記載の方法。
【請求項20】
四塩化炭素に富む流れは蒸留工程から得られる、請求項19記載の方法。
【請求項21】
四塩化炭素に富む流れは99.9%以上の純度レベルを有する、請求項20記載の方法。
【請求項22】
四塩化炭素及び1種以上の炭化水素不純物を含む低品質四塩化炭素組成物を精製するための方法であって、i)塩素、ii)1〜3個の塩素原子を含むC1塩素化化合物及びiii)低品質四塩化炭素組成物を塩素化ゾーンに提供して、反応混合物を製造すること、及び、滞留時間の後に、塩素化ゾーンから生成物混合物を抜き出すことを含み、前記生成物混合物は四塩化炭素及び場合によりペルクロロエチレンを含み、前記生成物混合物は、ペルクロロエチレンが存在するとしても、ペルクロロエチレンよりも高いモル含有量の四塩化炭素を含む、方法。
【請求項23】
塩素化ゾーンで生成される四塩化炭素及びペルクロロエチレン中の炭素原子の数は、出発材料中の原子の数の95%超、96%超、97%超、98%超又は99%超である、請求項1〜22のいずれか1項記載の方法。
【請求項24】
塩素化ゾーンで生成されるHCl:塩素化ゾーンで生成される四塩化炭素+ペルクロロエチレンのモル比は2.5:1未満、2:1未満、1.5:1未満又は1.1:1未満である、請求項1〜23のいずれか1項記載の方法。
【請求項25】
塩素化ゾーンで生成される四塩化炭素:ペルクロロエチレンの質量比は1:100〜100:0.1又は1:10〜100:1又は1:5〜5:1又は1:2〜2:1の範囲である、請求項1〜24のいずれか1項記載の方法。
【請求項26】
塩素化ゾーンはUV/可視光に暴露される、請求項1〜25のいずれか1項記載の方法。
【請求項27】
塩素化ゾーンで生成された四塩化炭素を下流プロセスにおける供給原料として使用することをさらに含み、前記下流プロセスは、場合により塩素化されていてよい有機化合物を含む流れを生成し、前記流れを炭素/第二の塩素源として使用するために塩素化ゾーンにリサイクルして戻す、請求項1〜26のいずれか1項記載の方法。
【請求項28】
粗製四塩化炭素組成物を得て、該組成物の少なくとも一部を塩素化ゾーンにリサイクルして戻す、請求項1〜27のいずれか1項記載の方法。
【請求項29】
・99.0%以上、99.5%以上、99.7%以上、99.8%以上又は99.9%以上又は99.95%以上の四塩化炭素、及び、
・2000ppm(0.2%)未満、1000ppm(0.1%)未満、500ppm(0.05%)未満、200ppm(0.02%)未満又は100ppm(0.01%)未満の塩素化アルカン不純物(すなわち、四塩化炭素以外の塩素化アルカン化合物)、
・2000ppm(0.2%)未満、1000ppm(0.1%)未満、500ppm(0.05%)未満、200ppm(0.02%)未満又は100ppm(0.01%)未満の塩素化アルケン化合物、
・2000ppm(0.2%)未満、1000ppm(0.1%)未満、500ppm(0.05%)未満、200ppm(0.02%)未満又は100ppm(0.01%)未満の酸素化有機化合物、
・2000ppm(0.2%)未満、1000ppm(0.1%)未満、500ppm(0.05%)未満、200ppm(0.02%)未満又は100ppm(0.01%)未満の臭素化化合物、
・500ppm(0.05%)未満、200ppm(0.02%)未満、100ppm(0.01%)未満、50ppm(0.005%)未満又は20ppm(0.002%)未満の水、
・500ppm(0.05%)未満、200ppm(0.02%)未満、100ppm(0.01%)未満、50ppm(0.005%)未満又は20ppm(0.002%)未満のトリクロロエテン及び/又はテトラクロロエテン、
・500ppm(0.05%)未満、200ppm(0.02%)未満、100ppm(0.01%)未満、50ppm(0.005%)未満又は20ppm(0.002%)未満の六塩素化不純物、及び/又は、
・500ppm(0.05%)未満、200ppm(0.02%)未満、100ppm(0.01%)未満、50ppm(0.005%)未満又は20ppm(0.002%)未満の1〜3個の塩素原子を含む未反応C1塩素化化合物出発材料、
を含む(質量基準)液体組成物を製造するための請求項1〜29のいずれか1項記載の方法。
【請求項30】
・約99.0%以上、約99.5%以上、約99.7%以上、約99.8%以上又は約99.9%以上又は約99.95%以上の四塩化炭素、
・約2000ppm未満、約1000ppm未満、約500ppm未満、200ppm(0.02%)未満又は100ppm(0.01%)未満の塩素化アルカン不純物(すなわち、四塩化炭素以外の塩素化アルカン化合物)、
・約2000ppm未満、約1000ppm未満、約500ppm未満、200ppm(0.02%)未満又は100ppm(0.01%)未満の塩素化アルケン化合物、
・約2000ppm未満、約1000ppm未満、約500ppm未満、200ppm(0.02%)未満又は100ppm(0.01%)未満の酸素化有機化合物、
・約2000ppm未満、約1000ppm未満、約500ppm未満、200ppm(0.02%)未満又は100ppm(0.01%)未満の臭素化化合物、
・約500ppm未満、約200ppm未満、約100ppm未満、50ppm(0.005%)未満又は20ppm(0.002%)未満の水、
・約500ppm未満、約200ppm未満、約100ppm未満、50ppm(0.005%)未満又は20ppm(0.002%)未満のトリクロロエテン及び/又はテトラクロロエテン、
・約500ppm未満、約200ppm未満、約100ppm未満、50ppm(0.005%)未満又は20ppm(0.002%)未満の六塩素化不純物、及び/又は、
・約500ppm未満、約200ppm未満、約100ppm未満、50ppm(0.005%)未満又は20ppm(0.002%)未満の1〜3個の塩素原子を含む未反応C1塩素化化合物出発材料、
を含む、液体組成物。
【請求項31】
生成された組成物は、塩素化有機化合物、例えば、240db、240fa、250fb、1240za、1230xa、1230za、及び/又は、フッ素化有機化合物、例えば、245fa、1233xf、1234yf、1234ze、1233zdの製造に使用される、請求項29記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定範囲の炭素含有供給原料から四塩化炭素を製造するための方法、及びそのような方法から得ることができる組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ハロアルカンは特定範囲の用途に有用性を見出す。例えば、ハロカーボンは、冷媒、発泡剤及び起泡剤として広く使用されている。20世紀後半を通じて、クロロフルオロアルカンの使用は、特にオゾン層の枯渇に関して環境への影響に関して懸念が提起された1980年代まで指数関数的に増加した。
【0003】
次いで、クロロフルオロアルカンの代わりにペルフルオロカーボン及びヒドロフルオロカーボンなどのフッ素化炭化水素が使用されてきたが、より最近では、そのクラスの化合物の使用に関する環境問題が提起され、EU及びその他の領域でその使用を削減するための法規制が発効している。
【0004】
新しいクラスの環境に優しいハロカーボンは登場し、調査されてきた。これらの幾つかとしては低いオゾン層破壊及び低い地球温暖化係数を有する化合物が挙げられ、かかる化合物は多くの用途に、特に自動車及び家庭用分野における冷媒として含まれている。このような化合物の例としては、2-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(HCFO-1233xf)、1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234ze)、3,3,3-トリフルオロプロペン(HFO-1243zf)、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)、1,2,3,3,3-ペンタフルオロプロペン(HFO-1225ye)、1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(HCFO-1233zd)、3,3,4,4,4-ペンタフルオロブテン(HFO-1345zf)、1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブテン(HFO-1336mzz)、3,3,4,4,5,5,5-ヘプタフルオロペンテン(HFO-1447fz)、2,4,4,4-テトラフルオロブト-1-エン(HFO-1354mfy)及び1,1,1,4,4,5,5,5-オクタフルオロペンテン(HFO-1438mzz)が挙げられる。疑義を避けるために、HFOは「ヒドロフルオロオレフィン」、すなわち炭素、水素及びフッ素原子を含む不飽和化合物を意味するために使用され、HCFOは「ヒドロクロロフルオロオレフィン」、すなわち炭素、水素、塩素及びフッ素原子を含む不飽和化合物を意味するために使用される。
【0005】
これらの化合物は、比較として言えば、化学的に複雑ではないが、工業規模で、特に連続的に、要求されるレベルの純度でそれらを合成することは困難である。そのような化合物について提案された多くの合成経路は、出発材料又は中間体として、塩素化アルカン又は塩素化アルケンを使用する。そのような経路の例は、WO2012/098420、WO2013/015068及びUS2014/171698に開示されている。
【0006】
塩素化アルカン又はアルケン出発材料のフッ素化標的化合物への転化は、フッ化水素及び場合により遷移金属触媒、例えばクロム系触媒を使用して達成することができる。
【0007】
フルオロアルケンを調製するための方法の例は、WO2013/074324に開示されている。C3塩素化供給原料からフッ素化化合物を調製するための転化のさらなる例としては以下のものが挙げられる。
1,1,1,2,3-ペンタクロロプロパン(HCC-240db)から2-クロロ-3,3,3-トリフルオロ-1-プロペン(HCFO-1233xf)、
1,1,2,2,3-ペンタクロロプロパン(HCC-240aa)から2-クロロ-3,3,3-トリフルオロ-1-プロペン(HCFO-1233xf)、
1,1,1,2,3-ペンタクロロプロパン(HCC-240db)から2,3,3,3-テトラフルオロ-1-プロペン(HFO-1234yf)、
1,1,2,2,3-ペンタクロロプロパン(HCC-240aa)から2,3,3,3-テトラフルオロ-1-プロペン(HFO-1234yf)、
1,1,3,3-テトラクロロ-1-プロペン(HCO-1230za)から1,1,1-トリフルオロ-3-クロロ-2-プロペン(HCFO-1233zd)、1,1,1,3-テトラフルオロ-1-プロペン(HFO-1234ze)、1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン(HFC-245fa)及びそれらの混合物、
1,1,2,3-テトラクロロ-1-プロペン(HCO-1230xa)から2-クロロ-3,3,3-トリフルオロ-1-プロペン(HCFO-1233xf)、
1,1,2,3-テトラクロロ-1-プロペン(HCO-1230xa)から2,3,3,3-テトラフルオロ-1-プロペン(HFO-1234yf)、
2,3,3,3-テトラクロロ-1-プロペン(HCO-1230xf)から2-クロロ-3,3,3-トリフルオロ-1-プロペン(HCFO-1233xf)、
2,3,3,3-テトラクロロ-1-プロペン(HCO-1230xf)から2,3,3,3-テトラフルオロ-1-プロペン(HFO-1234yf)、
2-クロロ-3,3,3-トリフルオロ-1-プロペン(HCFO-1233xf)から2,3,3,3-テトラフルオロ-1-プロペン(HFO-1234yf)、
2,3-ジクロロ-1,1,1-トリフルオロプロパン(HCFC-243db)から2-クロロ-3,3,3-トリフルオロ-1-プロペン(HCFO-1233xf)、及び、
2,3-ジクロロ-1,1,1-トリフルオロプロパン(HCFC-243db)から2,3,3,3-テトラフルオロ-1-プロペン(HFO-1234yf)。
【0008】
特に興味深い方法の例は、四塩化炭素を初期供給原料として出発して、好ましくは単一の製造ラインから2つ以上の塩素化C3〜C4供給原料を製造する方法であり、これらは次いで、冷媒又は発泡剤成分、例えば、245fa、1234yf、1234ze、1233xf及び/又は1233zdEの調製に使用できる。塩素化供給原料を製造するそのような方法の例は、WO2017/028826に開示されている。高レベルの純度でこれらの成分を含む冷媒/発泡剤組成物は商業的価値があるので、キロトン規模でそのような高純度の塩素化化合物を確実かつ効率的に製造するために使用できる方法に大きな関心がある。これらの方法の実行可能性にとって重要なのは、四塩化炭素を含む出発材料の品質である。
【0009】
フッ化水素化反応の間の不純物の生成の問題が懸念される。特定の不純物の存在は、工業規模でのフッ化水素化を妨げ(特に連続的に行われる場合)、及び/又は目的の生成物から分離するのが困難であるフッ素化化合物の生成をもたらし得ることが確認されている。このことは目的の製品の有効性を制限し、及び/又は、毒性の問題がある可能性がある。
【0010】
本発明の発明者は、そのような不純物の生成を防止する(したがって、収率及び/又は方法の経済的操作を低下させる精製工程の必要性を回避する)有効な方法は、上流プロセス工程で超純粋塩素化供給原料を用いることであることを確認した。
【0011】
フッ素化化合物の調製に使用される塩素化供給原料それ自体が多段階方法から得られる場合に、許容できない不純物を生成する副反応の累積的効果を防ぐためにそれらの上流工程を制御する必要があることは発明の発明者によってさらに認識されている。
【0012】
塩素化出発材料の純度は、フッ素化生成物を調製するための下流プロセス(特に連続プロセス)の成功及び実行可能性に有意な影響を及ぼすであろう。塩素化アルカン供給原料中の特定の不純物の存在は、標的化合物の収率及び/又は有効性を最少化する副反応をもたらし得る。蒸留によるこれらの不純物の除去もまた困難で及び/又は非効率的である。
【0013】
したがって、上述のフッ素化化合物又は他の下流生成物の合成に使用することができる高純度塩素化アルカン化合物(ならびにそのような化合物を調製するための効率的な方法)が必要とされている。
【0014】
商業的価値のある240db、240fa、250fb、1240za、1230xa、1230zaなどのハロゲン化化合物を製造するための多くの多段階方法は、出発材料として四塩化炭素を使用する。したがって、四塩化炭素の純度及び製造効率は、目的の下流の化合物の全製造の効率、実行可能性及び商業的実現可能性に有意な影響を与える。
【0015】
したがって、非常に高純度の四塩化炭素ならびにその化合物を調製するための効率的で選択的かつ信頼性のある方法に対する要求が存在する。当業者は、そのような高品質の材料を得るための低減された工程及び/又は連続的な方法が特に興味深いことを認識するであろう。
【0016】
従来から、四塩化炭素の工業生産は、一般に、塩素化分解又は高温塩素化熱分解として知られているC1-3アルカン又は塩素化アルカンの高温塩素化によって行われている。このような方法において、置換反応はC−C結合の分解を伴うことが都合よい場合があり、そして得られる生成物は四塩化炭素及びテトラクロロエテンである。これは得られる生成物の点で完全には選択的ではなくそして典型的には四塩化炭素とペルクロロエテンとの混合物をもたらす方法である。さらに、有意な量の有機不純物(特にヘキサクロロベンゼン、ヘキサクロロブタジエン、ヘキサクロロエタンなどの六塩素化化合物、ならびに低級塩素化ベンゼン)、ならびにHClなどの他の低価値副生成物の生成は、従来から実施されている方法のよく知られた欠点である。
【0017】
目的の生成物から有機不純物を分離することは困難である。塩素化分解方法の間に生成される六塩素化不純物の多くは、有毒化合物、特にヘキサクロロベンゼン及びヘキサクロロブタジエンである。このように、塩素化分解方法は、持続性有機汚染物質に関するストックホルム条約に従う厳格な規制の対象となっている。
【0018】
さらに、六塩素化不純物は、それらの異常な物理的及び化学的性質のために、一般的に使用される分離及び処分技術を用いて取り扱うこと及び処理することが困難である。一般的に言えば、これらの化合物を含む廃棄物混合物を処理するためには、高価な権利付きアプローチしか使用されていない。このように、そのような化合物の生成を最少化する方法の改良は興味深くそしてこの分野においてますます重要になっている。
【0019】
塩素化分解方法の例を提供する開示の例としてはUS5426256が挙げられる。その文献において、C1-3の場合により塩素化されていてよいアルカン化合物は595℃の温度で操作される塩素化分解方法に供され、それは(四塩化炭素とは対照的に)ペルクロロエチレンの生成をもたらす。四塩化炭素は反応性希釈剤として使用されているが、US5426256に記載されている方法の目的は四塩化炭素よりもペルクロロエチレンを製造することである。
【0020】
EP573920は四塩化炭素よりもペルクロロエチレンの生成を優先する塩素化分解方法の開示のさらなる例である。その特許の実施例に報告されている反応温度は609℃であり、例示された方法は有意な量の六塩素化不純物、特にヘキサクロロベンゼンの生成をもたらした。
【0021】
GB1297392は590℃で操作される塩素化分解方法を例示しており、それは、ペルクロロエチレン又は四塩化炭素に富む生成物をもたらす。次いで、それらの生成物は、塩化水素及び塩素からの塩素化アルカン生成物の分離を促進する処理工程(具体的には凝縮工程)に供される。ペルクロロエチレン又は四塩化炭素に向けたプロセスの特異性は、反応混合物中に有意な量のいずれかの化合物を含めることによって制御される。この特許は、四塩化炭素に富む混合物の使用はペルクロロエチレンの生成に有利であり、逆もまた同様であることを教示している。
【0022】
WO2013/096311は穏やかな条件で操作される塩素化方法を提示している。実施例は35℃〜84℃の範囲の温度で操作される。この方法は反応を触媒するフリーラジカル開始剤の使用に依存している。ラジカル開始剤の使用も必要とする高温プロセスはUS4661648に開示されている。
【0023】
EP1663920は、出発材料として、四塩化炭素とオレフィン又は塩素化オレフィンとの反応によるC3+ポリ塩素化アルカンの製造から得られる重質分を用いる塩素化分解方法を開示している。EP1663920の実施例において、プロセスは590℃の温度で操作され、四塩化炭素は反応混合物に添加されて反応性希釈剤として機能する。例4において、ペルクロロエチレンと比較して四塩化炭素の製造を優先するために、反応器への塩素供給速度を上げた。
【0024】
US4661648は、四塩化炭素を製造するためのクロロホルムの低温での触媒塩素化を記載している。
US4689130はクロロホルムの低温触媒塩素化を記載している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0025】
塩素化分解方法技術におけるこれらの進歩にもかかわらず、より低い温度で操作することができ、得られる四塩化炭素:ペルクロロエチレンの割合を高度に制御し、そして望まれない不純物、特に六塩素化不純物の生成を最少化する方法の必要性が依然として存在する。
【課題を解決するための手段】
【0026】
このように、本発明の第一の態様によれば、i)塩素、ii)1〜3個の塩素原子を含むC1塩素化化合物及びiii)炭素/第二の塩素源を塩素化ゾーンに提供して、反応混合物を製造すること、及び、滞留時間の後に、塩素化ゾーンから生成物混合物を抜き出すことを含み、前記生成物混合物は四塩化炭素及び場合によりペルクロロエチレンを含み、前記生成物混合物は、ペルクロロエチレンが存在するとしても、ペルクロロエチレンよりも高いモル含有量の四塩化炭素を含む、四塩化炭素の製造方法は提供される。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の方法は、塩素化C1化合物を供給原料として使用する新規製造方法を使用した四塩化炭素の非常に効率的な製造を提供する。この方法は、特定範囲の方法(例えば、C 3-4塩素化化合物の製造、ならびにこの方法自体を含む本発明の方法)からの廃棄生成物を炭素/第二の塩素源として使用することを許容するという十分な汎用性を有する。有利には、これらの廃棄生成物をリサイクルすることによって、特に四塩化炭素フィードから出発して、例えば、標的HFO及び/又はHCFOを生成するフッ化水素化プラントのための塩素化C3−C4供給原料まで下流へ継続する統合された全プロセスを有する工業プラント設備全体に対して、その中での炭素及び塩素の効率的な再利用及びそれらの有価物の回収が確保される。
【0028】
本発明の方法において、部分塩素化C1化合物(すなわち、1、2又は3個の塩素原子を含むもの)は反応混合物中の成分である。1〜3個の塩素原子を含むC1塩素化化合物は、クロロホルム、塩化メチル及び/又は塩化メチレンを含むことができる。本発明の発明者は、部分塩素化C1化合物の存在が望ましくない不純物、特に六塩素化有機不純物の生成を最少化し、そしてペルクロロエチレンよりも四塩化炭素の生成を優先することを意外にも発見した。
【0029】
有意には、供給原料中にC1塩素化化合物を使用すると四塩化炭素の製造能力が増加する。これは、C1塩素化化合物(その場合は、クロロホルム)が反応混合物中に存在する場合には、CTC能力は反応器又は塩素再循環システムを全く変更することなく実質的に増加されうることを実証する実施例に示される。
【0030】
本発明の発明者は、塩素化ゾーンへの全供給物中の部分塩素化C1化合物の割合が、生成物混合物中に得られる四塩化炭素及びペルクロロエチレンのモル比に影響を及ぼすことを見出した。したがって、本発明の実施形態において、部分塩素化C1化合物は、塩素化ゾーンへの供給物全体の少なくとも約50質量%、少なくとも約60質量%、少なくとも約70質量%、少なくとも約80質量%又は少なくとも約90質量%を占める。
【0031】
反応混合物中の成分としての部分塩素化C1化合物の使用は、反応器の平均滞留時間を、例えば、数秒から15〜20秒に有効に増加させることが見出され、これは塩素化反応に対するよりよい熱力学的制御性を提供する。比較として、比較方法をクロロホルムの代わりにメタンを使用して操作し、他の反応条件又は装置に変更を加えない場合に、同反応器中の平均滞留時間は有意に、例えば3倍〜4倍減少する。これは、メタンの場合に、非常に大量のHCl副生成物の生成及び有意な反応熱の発生によるものであり、これはかなりの量の希釈剤の使用によって補償されなければならない。さらに、反応混合物(塩素及びメタンを含む)を潜在的に爆発性の範囲から遠ざけるために、追加の希釈剤を塩素化ゾーンに供給しなければならない。
【0032】
1〜3個の塩素原子を含むC1塩素化化合物は、少なくとも約95質量%、約97質量%、約98質量%、約99質量%、約99.5質量%、約99.7質量%、約99.8質量%又は約99.9質量%の純度を有することができる。追加的又は代替的に、1〜3個の塩素原子を含むC1塩素化化合物は、約200ppm以下、約100ppm以下、約50ppm以下又は約25ppm以下の湿分を有することができる。さらに、1〜3個の塩素原子を含むC1塩素化化合物は、約200ppm以下、約100ppm以下、約50ppm以下又は約25ppm以下の酸素含有量を有することができる。
【0033】
さらに、ブロモクロロメタン及び他の臭素含有C1化合物は、本発明の方法においてクロロブロモC1化合物(例えば、ブロモジクロロメタン及びブロモトリクロロメタン)に転化されることができる。同様の沸点のために、このような化合物は目的の四塩化炭素生成物から分離するのが困難であるので、これは問題となりうる。したがって、可能であれば、1〜3個の塩素原子を含むC1塩素化アルカン化合物中の臭素含有C1化合物の含有量は、約2000ppm未満、約1000ppm未満、約500ppm未満、約200ppm未満、約100ppm以下、約50ppm以下又は約25ppm以下であることができる。
【0034】
本発明の実施形態において、1〜3個の塩素原子を含むC1塩素化化合物は安定剤を含みうる。用いることができる安定剤の例としては、場合により置換されたペンテン、例えばアミレンの化合物が挙げられる。
【0035】
本発明のさらなる利点は、この方法を広範囲の炭素/第二の塩素源材料から四塩化炭素を製造するために実行可能に使用できることである。炭素/第二の塩素源に対する純度要件は、精製された、場合により塩素化されていてよいアルカン又はアルケン出発材料の使用を必要とする特定の先行技術の塩素化分解方法と比較して、比較的に控えめである。したがって、本発明はさらに四塩化炭素への炭素及び塩素価の回収を可能にする。
【0036】
本発明の実施形態において、塩素化ゾーンで生成される正味の四塩化炭素及びペルクロロエチレン中の炭素原子の数は、出発材料中の炭素原子数の約95%超、約96%超、約97%超、約98%超又は約99%超である。明確にするために、「正味生産量」という用語は、反応器システムの内部リサイクル物又は生成物を含む希釈剤は内部流として考慮され(敷地境界線内)、そのような比率において計算されず(図1を参照されたい)、それゆえ、正味生産流は、ライン15の質量流量及び組成に基づいて、あるいは蒸留装置からの出口純粋生成物流量に基づいて計算されることを意味し、該装置は、このような模式的な図1には表示されていない。ライン3、4、37及び/又は50を介して外部リサイクル流又はフィード流が導入される場合には、そのようなストリーム中の生成物(もしあれば)の含有量は正味生成物流量計算において考慮された。
【0037】
追加的に又は代替的に、塩素化ゾーンで生成されるHCl:塩素化ゾーンで生成される四塩化炭素+ペルクロロエチレンのモル比は約2.5:1未満、約2:1未満、約1.5:1未満又は約1.1:1未満である。有利には、本発明の方法は従来の方法と比較して、HClの生成を減少させ、廃棄物を最少化する。
【0038】
本発明は、精製された、場合により塩素化されていてよいアルカン又はアルケン材料(例えば、C1-3塩素化アルカン又はアルケン、例えば、メタン、エタン、エテン、プロパン、プロペン、ジクロロエタン及び/又はジクロロプロパンであって、純度レベルが少なくとも約60質量%、約80%、約90%、約95%、約97%、約98%、約99%、約99.5%、約99.7%、約99.8%又は約99.9%)を含む炭素/第二の塩素源を用いて操作できるが、これは必須ではない。
【0039】
これは、先行技術における多くの開示に対する大きな進歩を構成する。本発明は、炭素/第二の塩素源として使用するための広範囲の未精製材料の使用を可能にする。
【0040】
本発明の方法で使用することができる炭素/第二の塩素源の例は、必ずしも精製されている必要はなく、その例として、天然ガス又はシェールガス、及び/又は、天然ガス又はシェールガスから調製された部分的もしくは完全に塩素化された炭化水素が挙げられる。シェールガス又は天然ガスであるか、又は、それらから誘導される炭素/第二の塩素源中に存在しうる不純物は、炭化水素起源のものであることができる。
【0041】
本発明の実施形態において、炭素/第二の塩素源は化学プロセスの塩素化及び/又は有機化合物含有副生成物であることができる。本発明の方法において炭素/第二の塩素源として使用することができる副生成物の生成をもたらす方法の例としては、四塩化炭素(場合により本発明の方法による)及び/又はクロロホルムの製造が挙げられる。工業的規模では、四塩化炭素及びクロロホルムは、種々のラジカル塩素化法(例えば、UV/VIS光を用いる液体又は気体低温光塩素化)及び/又はC1-6炭化水素を含む出発材料の高温気体塩素化によって製造できる。他の方法は、HClによるC1炭化水素の接触オキシ塩素化及びHClによるメタノールの接触塩酸化を使用する。
【0042】
そのような出発材料は炭化水素の混合物、例えば、炭素原子数が異なる少なくとも2つの化合物の混合物であることができる。そのような混合物の例は、75体積%以上のメタン含有量を有する粗製又は前処理天然ガスであり、及び/又は、75体積%以上のメタン含有量を有する粗製又は前処理シェールガス、及び/又は、石油及び石油化学処理からの様々な副次流である。本発明の実施形態において、炭素/第二の塩素源は、四塩化炭素及び/又はクロロホルムの製造から得られる副生成物を含むことができ、該副生成物はアルカン及び/又はアルケン及び/又は塩素化アルカン及び/又は塩素化アルケン、例えば、モノ-及び多重塩素化メタン、モノ-及び多重塩素化エタン及びエテン、モノ-及び多重塩素化プロパン及びプロペン、モノ-及び多重塩素化ブタン及びブテン、及び/又は、モノ-及び多重塩素化ベンゼンを含む。本発明の実施形態において、四塩化炭素及び/又はクロロホルムの製造から得られる、本発明の方法において炭素/第二の塩素源として使用される副生成物は、少なくとも約75質量%、約80%質量、約85質量%、約90質量%又は約95質量%のCl化合物の含有量を有することができる。
【0043】
本発明の方法において炭素/第二の塩素源として使用することができる副生成物の生成をもたらす方法のさらなる例としては、エピクロロヒドリン、エポキシ樹脂、グリシドール、プロピレンオキシド、塩化ビニル及び塩化アリルの製造が挙げられる。あるいは、本発明の方法において炭素/第二の塩素源として使用することができる副生成物の生成をもたらす方法としては、塩素化プロパン、塩素化プロペン、塩素化ブタン及び塩素化ブテン、例えば、1,1,1,2,3-ペンタクロロプロパン、1,1,1,3,3-ペンタクロロプロパン、1,1,2,2,3-ペンタクロロプロパン、1,1,1,3-テトラクロロプロパン、1,1,2,3-テトラクロロプロペン、1,1,3,3-テトラクロロプロペン、2,3,3,3-テトラクロロプロペン及び1,3,3,3-テトラクロロプロペンならびに他の塩素化化合物の製造が挙げられる。そのような化合物を製造するための方法の開示の例は、国際特許出願番号WO2016/058566、WO2016/058567、WO2016/058568、WO2016/058569及びWO2017/028826に見出すことができる。
【0044】
疑義を避けるために、炭素/第二の塩素源は、上記のプロセス/源のうちの1つからの単一の廃棄物流であることができ、又は、それらの組み合わせであることができる。炭素/第二の塩素源が単一の廃棄物流から生成されるのか、そのようなプロセスからの廃棄物流の混合物から生成されるのかにかかわらず、本発明の実施形態において、炭素/第二の塩素源は本発明の方法で使用する前にタンク内などに貯蔵され得る。炭素/第二の塩素源は、貯蔵手段に供給される廃棄物流によって、場合によりプラントからの廃棄物流から収集することができる。
【0045】
有利には、そのような方法が操作されるプラントは、本発明の方法が操作されるプラントと同じサイトにあることができる。
【0046】
本発明の実施形態において、本発明の方法で使用される炭素/第二の塩素源は、上述の方法のうちの1つから(又は他の任意の種類の方法から)の副生成物として得ることができ、及び/又は、C1-6塩素化炭化水素、例えばトリクロロプロペン、テトラクロロプロペン、テトラクロロプロパン、ペンタクロロプロパン、ペンタクロロプロペン、ヘキサクロロプロパン、テトラクロロペンタン、ペンタクロロペンタン、環状もしくは脂肪族ヘキサクロロヘキセン、ジクロロエタン、モノ塩素化ブタン及び/又は多重塩素化ブタン及び/又は多重塩素化ブテンを含むことができる。
【0047】
炭素/第二の塩素源が別のプロセスの副生成物である本発明の実施形態において、副生成物は、例えば、場合により125℃未満の沸点を有していてよいC1-3又はC1-4塩素化炭化水素を含む「軽質」副生成物であることができる。追加的に又は代替的に、副生成物は、例えば、場合により125℃を超える沸点を有していてよいC2-6、C3-6、C2-8又はC3-8塩素化炭化水素を含む「重質」副生成物であることができる。
【0048】
本発明の方法の実施形態において、炭素/第二の塩素源の起源に関係なく、その源は、1、2、3、4、5又はそれ以上の、場合により塩素化されていてよいアルカン又はアルケン化合物を含むことができる。
【0049】
認識されるように、他のプロセスの副生成物の使用は非常に有利であり、このことが効率を高めそして廃棄物を最少化しそしてそれらの副生成物の廃棄の環境負荷を最少化するからである。さらに、他のプロセスの副生成物の使用は有価物の回収を最大化する。
【0050】
本発明の実施形態において、炭素/第二の塩素源は、例えば、純度レベルが約95%未満、約90%未満、約85%未満又は約80%未満であるが、場合により、約30%超又は約50%超である低品質四塩化炭素組成物を含むことができ、及び/又は、四塩化炭素から分離するのが困難である炭化水素不純物、例えば、四塩化炭素の沸点とは約10℃以下、又は約5℃以下だけ異なる沸点を有するものを含むことができる。
【0051】
低品質の四塩化炭素中に存在する可能性があり、除去が困難である炭化水素不純物の例としては、クロロブタン(78℃の沸点を有する)及びジクロロエタン(84℃の沸点を有する)、ならびにWO2016/058566に開示されている方法で使用されるようなオルガノホスフェート配位子の分解により生じるその他の不純物が挙げられる。
【0052】
添付の実施例で実証されるように、本発明の幾つかの実施形態において、本発明の方法において生成される粗製生成物混合物は他の化合物、例えば、ヘキサクロロエタン、ヘキサクロロブタジエン、ヘキサクロロベンゼン又はトリクロロエチレンなどの六塩素化化合物を含むことができる。非常に少量のこれらの化合物を必要とする下流用途のために、その粗製生成物混合物を塩素化ゾーンにリサイクルして戻して、本発明の方法に再び供することができる。
【0053】
したがって、本発明の態様において、四塩化炭素と1種以上の炭化水素不純物とを含む低品質四塩化炭素組成物を精製するための方法であって、
i)塩素、ii)1〜3個の塩素原子を含むC1塩素化化合物及びiii)低品質四塩化炭素組成物を塩素化ゾーンに提供して、反応混合物を製造すること、及び、滞留時間の後に、塩素化ゾーンから生成物混合物を抜き出すことを含み、ここで、該生成物混合物は四塩化炭素及び場合によりペルクロロエチレンを含み、該生成物混合物は、ペルクロロエチレンが存在するとしても、ペルクロロエチレンよりも高いモル含有量の四塩化炭素を含む、方法は提供される。
【0054】
本発明の発明者は、本発明の方法の操作中に生成される反応混合物中に有意なレベルのリン含有有機化合物が存在することが問題となりうることを確認した。そのような化合物は炭素/第二の塩素源中に存在する場合があり、その材料はオルガノホスフェート触媒が使用される別の方法(例えばWO2016/058566)の副生物である。したがって、本発明の実施形態において、塩素化ゾーンに供給される炭素/第二の塩素源中のリン含有有機化合物の含有量は、約5000ppm以下、2000ppm以下、約1000ppm以下、約500ppm以下、約200ppm、約100ppm以下、約50ppm以下、約20ppm以下又は約10ppm以下である。
【0055】
本発明の実施形態において、塩素化ゾーンに供給される炭素/第二の塩素源のルイス酸触媒の含有量は、約5000ppm以下、2000ppm以下、約1000ppm以下、約500ppm以下、約200ppm以下、約100ppm以下、約50ppm以下、約20ppm以下又は約10ppm以下である。ルイス酸型触媒は、下流プロセスからの廃棄物に存在することがあり、その例としては、金属触媒及び/又はハイブリッド金属触媒、例えば、鉄、アルミニウム、アンチモン、ランタン、スズ、チタン又はホウ素などの遷移金属又は硫黄又はヨウ素などの元素の1種以上のハロゲン化物(例えば、塩化物、臭化物、フッ化物又はヨウ化物)が挙げられる。触媒の具体例としては、FeCl3、AlCl3、SbCl5、SnCl4、TiCl4、BF3、SO2Cl2及び/又は金属トリフレートが挙げられる。
【0056】
幾つかの実施形態において、塩素化ゾーンに供給される炭素/第二の塩素源の鉄含有量は、約5000ppm以下、2000ppm以下、約1000ppm以下、約500ppm以下、約200ppm以下、約100ppm以下、約50ppm以下、約20ppm以下又は約10ppm以下である。
【0057】
追加的又は代替的に、本発明の実施形態において、炭素/第二の塩素源は低レベルの酸素含有化合物を含むことができ、例えば、約5000ppm以下、2000ppm以下、約1000ppm以下、約500ppm以下、約200ppm以下、約100ppm以下、約50ppm以下、約20ppm以下又は約10ppm以下である。
【0058】
本発明の発明者が問題となることを見出した特定の酸素含有化合物又は酸素化化合物の例としては、塩素化アルコール、塩素化アルカノール、例えば、テトラクロロプロパノール、塩素化酸塩化物、例えば、トリクロロプロパノイル酸塩化物、塩素化カルボン酸、例えば、トリクロロプロパン酸、塩素化アルデヒド及び塩素化ケトンが挙げられる。本発明の実施形態において、炭素/第二の塩素源は、約5000ppm以下、2000ppm以下、約1000ppm以下、約500ppm以下、約200ppm以下、約100ppm、約50ppm以下、約20ppm以下又は約10ppm以下のこれらのいずれかの化合物を含む。追加的又は代替的に、炭素/第二の塩素源は、約5000ppm以下、2000ppm以下、約1000ppm以下、約500ppm以下、約200ppm以下、約100ppm以下、約50ppm以下、約20ppm以下又は約10ppm以下でこれらのすべての化合物を含むことができる。
【0059】
本発明の実施形態において、炭素/第二の塩素源は、約1000ppm未満、約500ppm未満、約200ppm未満、約100ppm未満、約50ppm未満又は約20ppm未満の水を含む。
【0060】
当業者に理解されるように、塩素化分解方法は、典型的に、四塩化炭素とペルクロロエチレンとを含む生成物混合物の生成をもたらす。操作員が達成しようとする四塩化炭素:ペルクロロエチレンの目標比は生成物の意図する用途に依存するであろう。
【0061】
比率は四塩化炭素とペルクロロエチレンとの間の化学平衡によって支配される。特定の先行技術の開示において、比率に対するある程度の制御を提供するために方法をどのように変更することができるかに関して案内が提供されている。例えば、GB1297392において、四塩化炭素に富んだ反応混合物の調製はペルクロロエチレンの生成に有利であり、そしてその逆も成り立つと述べられている。
【0062】
四塩化炭素よりも多量のペルクロロエチレンを製造するために、多くの従来の塩素化分解方法が開発されている。幾つかの先行技術の開示は四塩化炭素に対する選択性を有する方法に別のやり方で焦点を当てている。しかしながら、ペルクロロエチレンに対する四塩化炭素の約70%を超える選択性は困難である。四塩化炭素濃度を最大化するための技術としては、ペルクロロエチレンを反応器にリサイクルして戻すことが挙げられる。しかしながら、追加のリサイクルラインが必要とされるので、そのような工程はプラントの複雑さを加える。さらに、これは追加のエネルギーのインプットを必要とし、そしてまた望ましくない不純物、特に六塩素化廃棄生成物の生成を増加させる。
【0063】
本発明のさらなる利点は、生成物混合物の意図される用途に応じて特定の目標比で四塩化炭素とペルクロロエチレンとを含む生成物混合物を工業的レベルで繰り返し供給するように方法を制御できることである。四塩化炭素が注目の主な化合物である状況において、ペルクロロエチレンを超える四塩化炭素の製造のための非常に高い選択性を達成することができ、同時に六塩素化廃棄生成物を最少限に抑えることもできるように方法を操作することができる。本発明の実施形態において、そして部分塩素化C1化合物の使用の結果として、本発明の方法において、四塩化炭素:ペルクロロエチレンは、約1000:1、約500:1、約200:1又は約100:1〜約50:1、約20:1、約10:1又は約5:1のモル比で製造される。ペルクロロエチレンも価値のある生成物であると考えられる本発明の実施形態において、よりバランスのとれたモル比、例えば、約20:1、約10:1又は約5:1〜約3:1、約2:1又は約1:1の四塩化炭素:ペルクロロエチレンのモル比で四塩化炭素及びペルクロロエチレンを製造するように方法を制御することができる。
【0064】
本明細書の開示から理解されるように、本発明の方法の1つの主要な利点は、炭化水素及び塩素化アルカン又は塩素化アルケン生成物の製造の様々な段階で生成される不純物流の再使用を可能にすることである。これは、例えばWO2016/058566又はWO2016/058566と同様の方法からの四塩化炭素を含む粗製生成物流、及び、必要ならば、本発明の方法により製造される粗製四塩化炭素流を含む。塩素及び炭素価の有効な回収を達成するために、当業者によく知られている、及び/又は本明細書に開示もしくは例示されている、特定範囲のプロセス条件を使用することができる。この統合的アプローチは、特に連続モードで、選択的で高品質な塩素化供給原料の非常に効率的な供給を提供する。
【0065】
本発明の方法において、塩素化ゾーンは、塩素化ゾーンに供給された出発材料から四塩化炭素及び場合によりペルクロロエチレンの生成を達成するのに必要な条件下で操作される。当業者は、従来の塩素化分解方法において使用される条件及び装置に精通しており、そしてこれらは本発明の方法において使用されうる。
【0066】
従来の塩素化分解方法において、約600℃の反応器操作温度は使用される。塩素化分解反応器は、一般に、冷却剤、例えば四塩化炭素又はペルクロロエチレンなどの希釈剤の使用を通して断熱的に操作される。幾つかの先行技術文献において、500℃〜700℃の範囲の操作温度が言及されているが、上記の先行技術文献において、例示された方法の全てにおいて、590℃以上の操作温度が使用されている。
【0067】
しかしながら、本発明の有利な方法において、四塩化炭素を製造するためにより低い温度を使用することができる。本発明の実施形態において、塩素化ゾーンの操作温度は、約400℃〜約500℃、約550℃、約560℃、約570℃又は約580℃の範囲内に維持することができる。
【0068】
塩素化分解のためにより低い温度を有利に使用することができ、その結果、より少ない六塩素化不純物の生成がもたらされる。
【0069】
本発明の実施形態において、塩素化ゾーンにおける反応混合物の滞留時間は少なくとも約5秒、少なくとも約10秒、少なくとも約15秒又は少なくとも約20秒である。
【0070】
本発明の実施形態において、塩素化ゾーンは大気圧又は超大気圧、すなわち約100kPa超、約200kPa超、約300kPa超、約400kPa超、約500kPa超、約600kPa、約700kPa超、又は約800kPa超及び/又は約1500kPa未満、約1200kPa未満又は約1000kPa未満の圧力下で操作される。本発明を使用することによって達成可能な有利な転化率を達成するためには、典型的にはより高い圧力条件(例えば1000kPa超)が必要とされるであろう。しかしながら、当業者によって理解されるように、高圧操作の使用は、より高い投資コスト及びより高いリスクを必要とする。しかしながら、驚くべきことに、添付の実施例において確認されるように、本発明の方法は、より経済的な工業プラント設備を使用して、驚くほど、より高い四塩化炭素生成及び廃棄物の再利用を達成するために、より低い圧力条件で操作することができる。
【0071】
先行技術の塩素化分解方法の周知の欠点は、不純物、特に六塩素化有機化合物の生成である。従来的に、これらの化合物は、正味生成物混合物(すなわち、塩素化ゾーンで生成された四塩化炭素及びペルクロロエチレンの量)の約1〜7質量%の量で生成されている。当業者が認識するように、最も一般的に生成される六塩素化不純物はヘキサクロロベンゼン、ヘキサクロロブタジエン及びヘキサクロロエタンを含む。
【0072】
これらの量でのこのような化合物の生成は、出発材料中に含まれる全炭素原子を基準として約10%までの炭素原子の損失を表しうる。別の言い方をすれば、炭素原子の収率(四塩化炭素及びペルクロロエチレン生成物中の炭素原子数を供給原料中の原子数と比較したものとして定義される)はわずか約90%である。
【0073】
塩素価の大きな損失もあり、これは副生成物が主に過塩素化化合物であり、リサイクルできないためである。
【0074】
この収率の非効率性に加えて、生成物混合物からの六塩素化有機不純物の抜き出しならびにその下流での取り扱い及び処理は、それらの困難な物理的及び化学的性質(例えば、高融点、一般的な溶媒中の低い溶解度、発がん性を含む毒性、環境に優しくないプロファイル、化学的安定性が高く、そのため、自然界での分解が遅いこと)のために余分なかなりの費用及び努力の投入を必要とする。したがって、そもそもこのような問題のある不純物の生成を最小限に抑えることは有利であり、特に、持続性有機汚染物質に関するストックホルム条約に適合する。
【0075】
驚くべきことにそして意外なことに、1〜3個の塩素原子を含むC1塩素化化合物の使用は、より少量の不純物の生成及び生産能力の有意な増加をもたらす。添付の実施例で実証されるように、本発明の発明者は、本発明の方法が四塩化炭素:ペルクロロエチレンの目標モル比を達成すると同時に、問題のある不純物、特に六塩素化有機化合物の生成を減少させるように操作されうることを発見した。したがって、本発明の実施形態において、塩素化ゾーンで生成される六塩素化有機化合物:四塩化炭素+ペルクロロエチレン、すなわち正味生成物混合物の質量比は、約2:100未満、約1.5:100未満、約1:100又は約0.5:100未満である。
【0076】
追加的又は代替的に、六塩素化有機化合物の含有量は、四塩化炭素+ペルクロロエチレンの質量を基準として約2%以下、約1.5%以下、約1%以下又は約0.5%以下である。
【0077】
従来の塩素化分解方法から得られる生成物と比較してこれらの減少したレベルの六塩素化有機不純物を考えると、この限られた量の六塩素化有機化合物の分離及び処理は経済的かつ安全に、例えば、焼却プロセス中に大量の最終的な有毒廃棄生成物が生成されないので、クロロ炭化水素用の焼却プラントでの同時焼却(すなわち、他のより塩素化されていない又は塩素化されていない炭化水素燃料との焼却)により達成できる。
【0078】
さらに、本発明の方法は生成物混合物中の他の潜在的に問題のある不純物、例えばトリクロロエチレン、湿分、トリクロロブロモメタン、ホスゲン及び/又は未反応の部分塩素化C1化合物の存在も有利に制限する。本発明の実施形態において、正味生成物混合物(すなわち、塩素化ゾーンで生成された四塩化炭素+ペルクロロエチレン)は、約5000ppm以下、2000ppm以下、約1000ppm以下、約500ppm以下、約200ppm以下、約100ppm以下、約50ppm以下、約20ppm以下又は約10ppm以下のこれらのいずれかの化合物を含む。追加的又は代替的に、正味生成物混合物は、約5000ppm以下、2000ppm以下、約1000ppm以下、約500ppm以下、約200ppm以下、約100ppm以下、約50ppm以下、約20ppm以下又は約10ppm以下のこれらの全ての化合物を含むことができる。
【0079】
本発明の方法の利点は、触媒の添加を必要とせずに進行できることである。したがって、本発明の実施形態において、塩素化ゾーンに触媒は提供されない。
【0080】
本発明の実施形態において、塩素、炭素/第二の塩素源及び/又は1〜3個の塩素原子を含むC1塩素化化合物は、塩素化ゾーンに連続的又は間欠的に供給することができる。塩素化ゾーンには、これらの出発材料の1つ以上のフィードにより供給することができる。
【0081】
塩素化ゾーンに提供される塩素の量は好ましくは化学量論過剰である。用語「化学量論過剰」は、任意の形態、すなわち遊離分子塩素及び分子中で結合されている塩素で塩素反応ゾーンに導入される、全体としての反応の化学量論を超える塩素の量を指し、その結果、反応混合物中の未反応分子塩素過剰(含有量)となり、反応ゾーンの条件下で反応ゾーンを離れることになる。この塩素過剰量は、反応器に入るフィードの構成に依存し、塩素計算は、導入される遊離塩素及び塩素化フィードを介して利用可能な塩素の両方を考慮するであろう。本発明の実施形態において、塩素の化学量論モル超過量又は過剰量は、少なくとも約5%、10%、20%、30%、40%又は50%である。疑義を避けるために、化学量論モル過剰が「少なくとも約」の特定量であると本明細書中で言及される場合には、これは存在する塩素のモル数が少なくとも数値的要件を満たすが、より多い量の塩素も存在してよいことを意味する。
【0082】
本発明の方法において出発材料として使用される塩素は、好ましくは高純度である。本発明の実施形態において、本発明のいずれの段階で使用される反応ゾーンに供給される塩素も、好ましくは少なくとも約95%、少なくとも約97%、少なくとも約99%、少なくとも約99.5%又は少なくとも約99.9%の純度を有する。
【0083】
追加的又は代替的に、本発明の方法で使用される塩素は、約200ppm以下、約100ppm以下、約50ppm以下、約20ppm以下又は約10ppm以下の量の臭素を含むことができる。
【0084】
少量の酸素(例えば、約2000ppmv、1500ppmv、1000ppmv、500ppmv、200ppmv以下、約100ppmv以下、約50ppmv以下、約20ppmv以下又は約10ppmv以下)を含む塩素ガスの使用もまた考えられる。塩素化ゾーンに入る前に、蒸発塩素ガスと圧縮塩素ガスの両方を混合することができる。本発明の実施形態において、非常に低い酸素含有量を有する蒸発塩素は好ましい。
【0085】
本発明の実施形態において、本発明の方法で使用される塩素は、クロロ-アルカリプラント、クロロ-アルカリ電解、塩酸電解膜及びダイアフラムプラントから来ることができる。
【0086】
本発明の実施形態において、化学量論過剰の塩素は塩素化ゾーンに提供され、用語「化学量論過剰」は上記で定義されている。
【0087】
本発明の方法の1つの利点は、塩素化ゾーンが連続モードで操作されるときに望ましい結果が得られることである。「連続モード」及び「連続プロセス」という用語は当業者には理解されているであろう。
【0088】
塩素化ゾーンは、塩素化分解反応を実施するのに適しているとして当業者に知られているいかなる反応器に提供されてもよい。本発明の実施形態において、反応器は気相の高温断熱又は半断熱反応器である。
【0089】
断熱条件は熱除去を伴わないことができ、又は、半断熱的又は等温的であってよく、その両方は熱除去を伴う。異なる流れパターンを用いた逆混合を伴う又は伴わないチューブ状のものを含む、いかなるタイプの反応器設計を用いてもよい。
【0090】
塩素化ゾーンが存在する反応器は、それが曝される混合物が遊離塩素を含みそして反応が高温で操作されるので腐食に対して耐性のある適切な構成材料から製造することができる。反応器設計の1つの例は、れんがライニング及びシェル外部冷却を備えた反応器、又は、シェル外部冷却を備えた様々なニッケル系合金又はニッケル自体から形成された反応器を有することである。
【0091】
本発明の方法において、反応を停止させるために塩素化ゾーンから抜き出される生成物混合物を急速に冷却又はクエンチすることが一般に望ましい。冷液体によるクエンチは一般的な方法である。
追加的に又は代替的に、クエンチカラムを塩素化ゾーンの下流に配置することができる。
【0092】
生成物混合物の組成は、塩素化ゾーンからの生成物混合物の抜き出し後に実行可能になるとすぐに決定することができる。例えば、生成物混合物のサンプルは、塩素化ゾーンの出口に隣接した点又はわずかに下流の点で抜き出すことができる。
【0093】
高純度の四塩化炭素及び/又はペルクロロエチレンを得るために、1つ以上の後続の処理工程を実施することができる。
【0094】
本発明の実施形態において、生成物混合物は1つ以上の蒸留工程に供されてもよい。実施される場合には、四塩化炭素及び/又はペルクロロエチレンに富むストリーム(例えば、少なくとも約50質量%、少なくとも約60質量%、少なくとも約70質量%、少なくとも約80質量%、少なくとも約90質量%、少なくとも約95質量%、少なくとも約97質量%、少なくとも約98質量%、少なくとも約99質量%、少なくとも約99.5質量%、少なくとも約99.7質量%、少なくとも約99.8質量%又は少なくとも約99.9質量%又は少なくとも99.95質量%及び99.99質量%)はそのような蒸留工程から得ることができる。
【0095】
本発明の方法において、いかなる蒸留装置を使用することもできる。本発明の実施形態において、蒸留装置は、1、2、3、4、5又はそれ以上の蒸留及び/又は精留カラムを含むことができる。複数の蒸留及び/又は精留カラムが使用される場合には、これらは順次に又は並行して操作されてよい。
【0096】
例えば、2つの主要な蒸留カラムを使用することができ、第一の蒸留カラムは粗製ペルクロロエチレンから純粋四塩化炭素を分離し、次いでこの粗製ペルクロロエチレンは第二のカラムに通され、該カラムは重質分から精製ペルクロロエチレンを分離する。
【0097】
本発明の実施形態において、四塩化炭素留出物を処理して微量の塩素を除去することができる。本発明の実施形態において、四塩化炭素留出物は、例えば水酸化ナトリウム水溶液を使用して洗浄され、そして乾燥される。
【0098】
本発明の方法は、高品質(例えば、少なくとも約99.95質量%又は99.99質量%の純度を有する)、そして高度に制御された不純物プロファイルを有する効率的に製造された四塩化炭素の製造を可能にする。有利には、本発明の方法は、他の方法では除去するのが困難であるものを含む不純物の生成を防止又は遅延させる。この魅力的な不純物プロファイルは、本発明の方法から得られる生成物が広範な下流反応で使用するための供給原料として望ましいことを意味する。
【0099】
本明細書において四塩化炭素生成物、留出物など(又は他の任意の化合物の生成物、留出物など)に言及する際に、疑義を避けるために、これは生成物、留出物などが四塩化炭素(又は他の生成物)のみを含むことを意味しない。そのような生成物、留出物などは、その主成分として存在する四塩化炭素(又は他の生成物)及び場合により存在する他の化合物を含む組成物である。
【0100】
本発明の生成物として得ることができる高純度の四塩化炭素生成物は、テロメリゼーション反応、塩素化反応(例えば、UV及び/又は金属触媒を用いるもの)、及び/又は脱塩化水素化反応(例えば、金属触媒を使用するもの)などの下流プロセスにおける供給原料として有用である。高純度であり、制御された不純物プロファイルを有する本発明の生成物を使用することにより、それらの生成物を供給原料として使用する下流プロセスを使用して、非常に低い不純物を有する最終標的化合物自体を得ることができる。
【0101】
下流のテロメリゼーション反応において問題となりうる四塩化炭素組成物中の不純物の例(例えば、WO2016/058566及びWO2016/058569に開示されているもの)としては、トリクロロエチレン、ペルクロロエチレン、ブロモトリクロロメタン及び水が挙げられる。例えば、エチレンと四塩化炭素とのテロメリゼーションにおいて供給原料として使用される四塩化炭素が1wt%のトリクロロエチレンを含む場合には、反応は非常に低い転化率で進行し、その方法は商業的に実行不可能である。
【0102】
本発明の実施形態において、本発明の方法から得られる組成物は液体であることができ、そして以下のものを含むことができる。
・約99.0%以上、約99.5%以上、約99.7%以上、約99.8%以上、又は約99.9%以上、又は約99.95%以上の四塩化炭素、及び、
・約2000ppm未満、約1000ppm未満、約500ppm未満、約200ppm未満又は約100ppm未満の塩素化アルカン不純物(すなわち、四塩化炭素以外の塩素化アルカン化合物)、
・約2000ppm未満、約1000ppm未満、約500ppm未満、約200ppm未満又は約100ppm未満の塩素化アルケン化合物、
・約2000ppm未満、約1000ppm未満、約500ppm未満、約200ppm未満又は約100ppm未満の酸素化有機化合物、
・約2000ppm未満、約1000ppm未満、約500ppm未満、約200ppm未満又は約100ppm未満の臭素化化合物、
・約500ppm未満、約200ppm未満、約100ppm未満、約50ppm未満又は約20ppm未満の水、
・約500ppm未満、約200ppm未満、約100ppm未満、約50ppm未満又は約20ppm未満のトリクロロエテン及び/又はテトラクロロエテン、
・約500ppm未満、約200ppm未満、約100ppm未満、約50ppm未満又は約20ppm未満の六塩素化不純物、及び/又は、
・約500ppm未満、約200ppm未満、約100ppm未満、約50ppm未満又は約20ppm未満の、1〜3個の塩素原子を含む未反応C1塩素化化合物の出発材料。
【0103】
先行技術は、そのような高純度を有する四塩化炭素を高収率にて選択的反応でもって製造する方法を開示も又は教示もしていない。したがって、本発明のさらなる態様によれば、上記のとおりの高純度四塩化炭素組成物は提供される。
【0104】
さらに、上記に概説した組成物は、それらを広範囲の下流化合物の合成における出発材料としての使用に特に適したものにする不純物プロファイルを有し、C3-6化合物、例えば、塩素化C3-4アルカン及びアルケンなど、例えば、ペンタクロロプロパン及びテトラクロロプロペン、例えば240db、240fa、250fb、1240za、1230xa、1230zaを含み、そしてこれらの塩素化化合物は、目標のフルオロアルカン、例えば245fa、フルオロアルケン、例えば1234yf、1234ze、及び/又は、フルオロクロロアルケン、例えば、1233xf、1233zdの製造のための供給原料である。そのような標的化合物は、フルオロポリマーとして(又はその調製において)、冷媒、発泡剤、脱脂剤及び/又は触媒回収剤として有用性を見出すことができる。したがって、本発明のさらなる態様によれば、上記化合物の合成における供給原料としての本明細書に概説した組成物の使用は提供される。
【0105】
上に概説した組成物、又は、本発明の方法から得られる組成物が、下流プロセス工程を介して下流化合物を製造する際の供給原料として使用される、本発明の方法において、有利には、下流プロセス工程において製造される廃棄生成物流は廃棄生成物流が炭素/第二の塩素源として作用することができるように塩素化ゾーンにリサイクルして戻されることができる。
【0106】
本発明の方法は、当業者が精通しているであろう単純で直接的な技術及び装置を使用して高純度の塩素化アルカンを製造することを可能にするので特に有利である。
【0107】
本発明のさらなる態様によれば、本明細書で論じられる方法の生成物として得られる、又は、本明細書で開示される組成物中に提供される四塩化炭素をエチレンと反応させて、塩素化アルカン、例えば、1,1,1,3-テトラクロロプロパンを得る方法は提供される。そのような反応において使用されうる技術及び装置の例は、WO2016/058566又はWO2016/058569に開示されている。
【0108】
したがって、本発明の実施形態において、以下の工程を実施することができる。
塩素化ゾーンを550℃未満の温度で操作して、99.9%を超える純度を有する四塩化炭素組成物を製造し、
この方法は、金属及びオルガノホスフェート触媒を用いて四塩化炭素組成物(上記のとおり、本明細書で論じた方法から得られることができる)をアルケンと反応させて第一の塩素化アルカンを製造するさらなる工程を含み、
第一の塩素化アルカンを反応ゾーンで塩素と反応させ、ここで、反応ゾーンに提供される塩素の量は、第一の塩素化アルカンの量と比較して化学量論量未満であり、第二の塩素化アルカンを生成し、
第一及び/又は第二の塩素化アルカンの製造において発生した不純物流は塩素化ゾーンにリサイクルされそして四塩化炭素の製造における炭素/第二の塩素源として本発明の方法において使用される。
【0109】
本発明のさらなる態様によれば、反応器の出口で未反応塩素が存在するように化学量論過剰の塩素を用いて約570℃以下の温度で操作される塩素化分解反応によって高純度四塩化炭素組成物を調製する方法は提供され、ここで、高純度四塩化炭素組成物は、四塩化炭素の沸点と10℃以下で異なる沸点を有する少量の不純物(「近沸点不純物」)を含み、
該四塩化炭素組成物は、金属及びオルガノホスフェート触媒を用いて四塩化炭素をアルケンと反応させて、対象の第一の塩素化アルカン(例えば、1,1,1,3-テトラクロロプロパン)を製造する後続の反応工程において供給原料として使用され、ここで、近沸点不純物を含む未反応四塩化炭素をリサイクルさせて戻し、塩素化分解反応における供給原料として使用し、そして
前記第一の塩素化アルカンをルイス酸と反応させて、99%を超える異性体選択性(例えば、3,3,3−トリクロロプロペンよりも1,1,3-トリクロロプロペンの生成を優先する)でもって第一の塩素化アルケン(例えば、1,1,3-トリクロロプロペン)を生成し、
UV/可視光の存在下で前記第一の塩素化アルケンを化学量論量未満の量の塩素と反応させて、99%を超える異性体選択性(例えば、1,1,1,3,3-ペンタクロロプロパンよりも1,1,1,2,3-ペンタクロロプロパンの生成を優先する)でもって第二の塩素化アルカン(例えば1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパン)を生成し、
約99.9%以上(例えば、約99.95%以上で、低レベルの酸素化有機化合物、臭素化有機化合物、金属、湿分及び/又は酸性分を含む)の純度を有する第二の塩素化アルカン(例えば、1,1,1,2,3-ペンタクロロプロパン)を含む組成物を製造するように、第二の塩素化アルカンを精製し、場合により、精製された第二の塩素化アルカンを供給原料として使用して、1234yf、1234ze、1233xf及び/又は1233zdを製造し、又は、
場合によってはUV/可視光及び/又はルイス酸触媒の存在下で、第一の塩素化アルカンを化学量論量未満の量の塩素と反応させて、第三の塩素化アルカン又は塩素化アルカンの混合物(例えば、1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパン及び1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパン)を、約80:20〜約5:95のモル比で生成し、
対象の塩素化アルカンの混合物をルイス酸と反応させて、第一の対応する塩素化アルケン(1,1,3,3-テトラクロロプロペン)及び1つの未反応塩素化アルカン(例えば、1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパン)を生成し、
前記第一の対応する塩素化アルケン(例えば、1,1,3,3−テトラクロロプロペン)を精製して、最低純度99.0%(例えば、99.9%の純度で、少量の不純物、例えば、酸素化有機化合物、臭素化有機化合物、金属、湿分、酸性分などを含む)を達成し、次いで、精製された未反応の塩素化アルケンを1233zd及び/又は1234zeの調製における供給原料として使用することができ、
1つの未反応の塩素化アルカン(例えば、1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパン)を精製して、最低純度99.9%(例えば、99.95%の純度で、少量の不純物、例えば、酸素化有機化合物、臭素化有機化合物、金属、湿分又は酸性成分などを含む)を達成し、精製された未反応の塩素化アルカンを1234yf、1234ze及び/又は1233xfの調製における供給材料として使用することができ、
精製された未反応の塩素化アルカンをルイス酸と反応させて、対応する塩素化アルケン(例えば1,1,2,3-テトラクロロプロペン)を生成し、
前記対応する塩素化アルケン(例えば、1,1,2,3-テトラクロロプロペン)を精製して、99.5%以上の純度レベル(例えば、99.9%の純度で、少量の不純物、例えば、酸素化有機化合物、臭素化有機化合物、金属、湿分、酸性分又は1,1,3,3−テトラクロロプロペンを含む)を達成し、精製された対応する塩素化アルケンは1234yf及び/又は1233xfの調製における供給原料として使用することができ、
ここで、これらの工程のいずれか、幾つか又は全てからの不純物流は、四塩化炭素を製造するための塩素化分解工程で使用される塩素化ゾーンに戻される。
【0110】
ここで、本発明を以下の実施例によってさらに説明する。
【0111】
図面の簡単な説明
【0112】
【表1】
【0113】
【表2】
【0114】
【表3】
【実施例】
【0115】

塩素化分解による四塩化炭素及びペルクロロエチレンの調製を詳述する5つの比較例及び4つの本発明例を本明細書に提供する。実施例のセクションの最後にある表1は、表形式で、それらの例で使用されたパラメータの詳細を完全に示す。
【0116】
比較例1
塩素化分解装置は図1に示すように構成されていた。塩素化ゾーンは、約194kPa(0.94BARg)の圧力で操作される気相高温半断熱(冷却シェル)反応器5と、クエンチカラム9とからなる反応ユニットに設けられている。クエンチカラムは、部分凝縮のためのオーバーヘッドのシステム17、19、22、24、27、29、重質分を濃縮するシステム9、12、粗製生成物を抜き出すシステム15、HCl吸収のためのシステム40、未反応塩素の乾燥/リサイクルのためのシステム44,48を有する。簡単にするために、すべてのデバイスが示されているわけではない。例えば、最終生成物を製造するための蒸留装置、蓄積タンクなどは示されていない。
【0117】
未使用塩素ガス(液体塩素を蒸発させることにより得られる)を、ライン1を介して3048kg/hの速度で反応器5に供給した。リサイクル塩素を、ライン49を介して536kg/hの速度で反応器5に供給した。ガスプロピレンを、ライン2を介して230kg/hの速度で反応器5に供給した。主に1,2-ジクロロプロパンならびにシス及びトランス1,3-ジクロロプロペンを含む廃棄炭化水素流を、ライン3を介して278kg/hの速度で反応器5に供給した。
【0118】
ガス希釈剤を、ライン39を介して4037kg/hの速度で、そして液体希釈剤を、ライン35を介して1211kg/hの速度で反応器中に供給した。反応器5中の温度及び四塩化炭素:ペルクロロエチレンのモル比を制御するために、希釈剤流は両方とも94.5質量%の四塩化炭素及び5質量%のペルクロロエチレンを含んでいた。さらなる液体希釈剤(蒸留により粗製生成物混合物から分離された純度99.9%のリサイクル四塩化炭素)を、ライン4を介して612kg/hの速度で反応器5に供給した。
【0119】
ペルクロロエチレン(粗製生成物混合物から分離された、95.3%の純度を有しそして2.6%のヘキサクロロエタン及び1.6%のヘキサクロロブタジエン及び若干のヘキサクロロベンゼンをさらに含む)を、ライン50を介して690kg/hの速度でクエンチカラム7に供給した。
【0120】
反応器での温度は585℃でありそしてライン31における未反応塩素の平均含有量は11体積%であった。
【0121】
粗製生成物混合物を、ライン15を介して3132kg/hの速度でクエンチカラムから連続的に抜き出した。粗製生成物混合物は21%の四塩化炭素及び78%のペルクロロエチレンを含んでいた。従って、各化合物の抜き出し速度は四塩化炭素については661kg/h、そしてペルクロロエチレンについては2456kg/hであった。
【0122】
ユニット敷地境界での四塩化炭素の正味生産流量(ライン4におけるリサイクル四塩化炭素を除く)は49kg/hであり、ユニット敷地境界でのペルクロロエチレンの正味生産流量(ライン50におけるリサイクルペルクロロエチレンを除く)は1781kg/hであった。
【0123】
次に、2つの連続操作精留カラムを含む蒸留装置を使用して粗製生成物混合物を蒸留した。82ppmのクロロホルムの含有量で99.97%の純度で四塩化炭素を得て、99.98%の純度でペルクロロエチレンを得た。
【0124】
反応の副生成物として、塩化水素を1421kg/hの速度で抜き出した。水への吸収40の後に、32%塩酸を、ライン41を介して約4439kg/hの速度で抜き出した。
【0125】
重質分を、ライン13を介して約133kg/hの速度で抜き出した。その流れの含有分を分析し(表3)、そしてそれは主としてヘキサクロロベンゼン、ヘキサクロロブタジエン及びヘキサクロロエタンを含むことが見出された。これは、正味生成四塩化炭素及びペルクロロエチレンの質量に基づいて、7.32%のそれらの化合物の生成に相当する。
【0126】
比較例2
反応ユニットは比較例1で上述したのと同様に構成された。この比較例は、設計公称値を表す。
【0127】
未使用塩素ガス(液体塩素を蒸発させることにより得られる)を、ライン1を介して4344kg/hの速度で反応器5に供給した。リサイクル塩素を、ライン49を介して851kg/hの速度で反応器5に供給した。ガスプロピレンを、ライン2を介して409kg/hの速度で反応器5に供給した。
【0128】
反応器5内の温度及び四塩化炭素:ペルクロロエチレンのモル比を制御するために、気体希釈剤(97.8%の四塩化炭素、1%のペルクロロエチレン)を、ライン39を介して12019kg/hの速度で供給した。反応器5に液体希釈剤は供給しなかった。
【0129】
ペルクロロエチレン(粗製生成物混合物から分離された、78%の純度を有しそしてさらに22%のヘキサクロロエタンを含む)を、ライン50を介して685kg/hの速度でクエンチカラム7に供給した。
【0130】
反応器での温度は585℃でありそしてライン31における未反応塩素の平均含有量は16体積%であった。
【0131】
粗製生成物混合物を、ライン15を介して3236kg/hの速度でクエンチカラムから連続的に抜き出した。粗製生成物混合物は16.8%の四塩化炭素、78.7%のペルクロロエチレン及び4.2%のヘキサクロロエタンを含んでいた。従って、各化合物についての抜き出し速度は四塩化炭素については543kg/hでありそしてペルクロロエチレンについては2547kg/hであった。
【0132】
ユニット敷地境界での四塩化炭素の正味生産流量は500kg/hであり、ユニット敷地境界でのペルクロロエチレンの正味生産流量(ライン50におけるリサイクルペルクロロエチレンを除く)は2000kg/hであった。
【0133】
次に、2つの連続操作精留カラムを含む蒸留装置を使用して粗製生成物混合物を蒸留した。オリジナルのStauffer試験プロトコールにより判断して、四塩化炭素は100%の純度で得られ、そしてペルクロロエチレンは100%の純度で得られた。
【0134】
反応の副生成物として、塩化水素を2156kg/hの速度で抜き出した。水への吸収40の後に、32%塩酸を、ライン41を介して約6738kg/hの速度で抜き出した。
【0135】
重質分を、ライン13を介して約93.1kg/hの速度で抜き出した。その流れの含有分を分析し(表3)そしてそれは主としてヘキサクロロベンゼン、ヘキサクロロブタジエン及びヘキサクロロエタンを含むことが見出された。これは、塩素化ゾーンで生成された正味の四塩化炭素及びペルクロロエチレンの質量に基づいて、3.72%のそれらの化合物の生成に相当する。
【0136】
比較例3
反応ユニットは比較例1で上述したのと同様に構成された。
【0137】
未使用塩素ガス(液体塩素を蒸発させることにより得られる)を、ライン1を介して3000kg/hの速度で反応器5に供給した。リサイクル塩素を、ライン49を介して1351kg/hの速度で反応器5に供給した。ガスプロピレンを、ライン2を介して255kg/hの速度で反応器5に供給した。
【0138】
ガス希釈剤を、ライン39を介して3900kg/hの速度で、そして液体希釈剤を、ライン35を介して1597kg/hの速度で反応器に供給した。反応器5中の温度及び四塩化炭素:ペルクロロエチレンのモル比を制御するために、希釈剤流は両方とも99.6質量%の四塩化炭素及び0.3質量%のペルクロロエチレンを含んでいた。
【0139】
反応器での温度は540℃でありそしてライン31における未反応塩素の平均含有量は25.9体積%であった。
【0140】
粗製生成物混合物を、ライン15を介して1890kg/hの速度でクエンチカラムから連続的に抜き出した。粗製生成物混合物は、50.1%の四塩化炭素、48.8%のペルクロロエチレン及び0.9%のヘキサクロロエタンを含んでいた。従って、各化合物についての抜き出し速度は四塩化炭素については947kg/hであり、そしてペルクロロエチレンについては922kg/hであった。
【0141】
次いで、蓄積に対する補正後の正味生産量は、四塩化炭素については956kg/h、ペルクロロエチレンについては911kg/hであった。
【0142】
次いで、2つの連続操作精留カラムを含む蒸留装置を使用して粗製生成物混合物を蒸留した。
【0143】
反応の副生成物として、塩化水素を1365kg/hの速度で抜き出した。水への吸収40の後に、32%塩酸を、ライン41を介して約4266kg/hの速度で抜き出した。
【0144】
重質分を、ライン13を介して約18.7kg/hの速度で抜き出した。その流れの含有分を分析し(表3)そしてそれは主としてヘキサクロロベンゼン、ヘキサクロロブタジエン及びヘキサクロロエタンを含むことが見出された。これは、塩素化ゾーンで生成された正味の四塩化炭素及びペルクロロエチレンの質量に基づいて、1.00%のそれらの化合物の生成に相当した。
【0145】
比較例4
反応ユニットは比較例1で上述したのと同様に構成された。
【0146】
未使用塩素ガス(液体塩素を蒸発させることにより得られる)を、ライン1を介して2843kg/hの速度で反応器5に供給した。リサイクル塩素を、ライン49を介して1282kg/hの速度で反応器5に供給した。ガスプロピレンを、ライン2を介して239kg/hの速度で反応器5に供給した。
【0147】
ガス希釈剤(99.4%の四塩化炭素及び0.6%のペルクロロエチレン)を、ライン39を介して2000kg/hの速度で、そして液体希釈剤(99.4%の四塩化炭素及び0.6%のペルクロロエチレン)を、ライン35を介して1518kg/hの速度で反応器5に供給した。反応器5内の温度及び四塩化炭素:ペルクロロエチレンのモル比を制御するために希釈剤流を添加した。
【0148】
さらなる液体外部リサイクル(蒸留装置からリサイクルされた98.2%のペルクロロエチレン及び1.8%の四塩化炭素)を、ライン4を介して667kg/hの速度で反応器5に供給した。
【0149】
反応器での温度は540℃でありそしてライン31における未反応塩素の平均含有量は26.3体積%であった。
【0150】
粗製生成物混合物を、ライン15を介して2491kg/hの速度でクエンチカラムから連続的に抜き出した。粗製生成物混合物は42.0%の四塩化炭素、56.8%のペルクロロエチレン及び0.9%のヘキサクロロエタンを含んでいた。従って、各化合物についての抜き出し速度は四塩化炭素については1046kg/h、そしてペルクロロエチレンについては1415kg/hであった。
【0151】
次いで、蓄積に対する補正後の正味生産量は四塩化炭素については1065kg/h、ペルクロロエチレン(すなわち、ライン4からのリサイクルペルクロロエチレンを除く)については730kg/hであった。
【0152】
次いで、2つの連続操作精留カラムを含む蒸留装置を使用して粗製生成物混合物を蒸留した。四塩化炭素は99.99%の純度で31ppmのクロロホルム含有量で得られた。
【0153】
反応の副生成物として、塩化水素を1258kg/hの速度で抜き出した。水への吸収40の後に、32%塩酸を、ライン41を介して約3931kg/hの速度で抜き出した。
【0154】
重質分を、ライン13を介して約21.0kg/hの速度で抜き出した。その流れの含有分を分析し(表3)そしてそれは主としてヘキサクロロベンゼン、ヘキサクロロブタジエン及びヘキサクロロエタンを含むことが見出された。これは、塩素化ゾーンで生成された正味の四塩化炭素及びペルクロロエチレンの質量に基づいて、1.17%のそれらの化合物の生成に相当する。
【0155】
比較例5
反応ユニットは比較例1で上述したのと同様に構成された。
【0156】
未使用塩素ガス(液体塩素を蒸発させることによって得られる)を、ライン1を介して3079kg/hの速度で反応器5に供給した。リサイクル塩素を、ライン49を介して1230kg/hの速度で反応器5に供給した。ガスプロピレンを、ライン2を介して228kg/hの速度で反応器5に供給した。
【0157】
ガス希釈剤(99.1%の四塩化炭素及び0.9%のペルクロロエチレン)を、ライン39を介して1949kg/hの速度で反応器5に供給した。反応器5内の温度及び四塩化炭素:ペルクロロエチレンのモル比を制御するために希釈剤流を加えた。
【0158】
さらなる液体外部リサイクル(蒸留装置からリサイクルされた99.8%のペルクロロエチレン及び0.2%の四塩化炭素)を、ライン4を介して971kg/hの速度で反応器5に供給した。
【0159】
反応器での温度は560℃でありそしてライン31における未反応塩素の平均含有量は26.1体積%であった。
【0160】
粗製生成物混合物をクエンチカラムからライン15を介して3062kg/hの速度で連続的に抜き出した。粗製生成物混合物は43.7%の四塩化炭素、55.9%のペルクロロエチレン及び0.3%のヘキサクロロエタンを含んでいた。従って、各化合物についての抜き出し速度は四塩化炭素については1338kg/hでありそしてペルクロロエチレンについては1712kg/hであった。
【0161】
次いで、蓄積に対する補正後の正味生産速度は、四塩化炭素については1335kg/h、そしてペルクロロエチレン(すなわち、ライン4からのリサイクルペルクロロエチレンを除く)については740kg/hであった。
【0162】
次いで、2つの連続操作精留カラムを含む蒸留装置を使用して粗製生成物混合物を蒸留した。四塩化炭素は、純度99.99%、クロロホルム含有量56ppmで得られた。
【0163】
反応の副生成物として、塩化水素を1216kg/hの速度で抜き出した。水への吸収40の後に、32%塩酸を、ライン41を介して約3800kg/hの速度で抜き出した。
【0164】
重質分を、ライン13を介して約37.6kg/hの速度で抜き出した。その流れの含有分を分析し(表3)そしてそれは主としてヘキサクロロベンゼン、ヘキサクロロブタジエン及びヘキサクロロエタンを含むことが見出された。これは、塩素化ゾーンで生成された正味の四塩化炭素及びペルクロロエチレンの質量に基づいて、1.81%のそれらの化合物の生成に相当した。
【0165】
例1
反応ユニットは比較例1で上述したのと同様に構成された。
【0166】
未使用塩素ガス(液体塩素を蒸発させることによって得られる)を、ライン1を介して3066kg/hの速度で反応器5に供給した。リサイクル塩素を、ライン49を介して1265kg/hの速度で反応器5に供給した。ガスプロピレンを、ライン2を介して202kg/hの速度で反応器5に供給した。
【0167】
99.9%の純度であり、さらに50ppmの湿分及び20ppmのアミレンを含むクロロホルム供給原料を、ライン37を介して蒸発器38に供給し、次いで、ライン39を介してガス希釈剤として1023kg/hの速度で反応器5に供給した。第二のガス希釈剤(蒸発された四塩化炭素99.9%及びペルクロロエチレン0.1%)を、ライン36及び39を介して975kg/hの速度で反応器5に供給した。さらに、液体希釈剤(四塩化炭素99.9%及びペルクロロエチレン0.1%)を、ライン35を介して1107kg/hの供給速度で反応器5に供給した。反応器5内の温度及び四塩化炭素:ペルクロロエチレンのモル比を制御するために希釈剤流を添加した。
【0168】
反応器での温度は540℃でありそしてライン31における未反応塩素の平均含有量は29.5体積%であった。
【0169】
粗製生成物混合物を、ライン15を介して2983kg/hの速度でクエンチカラムから連続的に抜き出した。粗製生成物混合物は72.6%の四塩化炭素、27.2%のペルクロロエチレン及び0.1%のヘキサクロロエタンを含んでいた。従って、各化合物についての抜き出し速度は四塩化炭素については2166kg/hでありそしてペルクロロエチレンについては811kg/hであった。理解できるように、この方法のペルクロロエチレンよりも四塩化炭素への選択性は、上記比較例におけるよりもはるかに高かった。
【0170】
次いで、蓄積に対する補正後の正味生産量は、四塩化炭素については2166kg/h、パークロロエチレンについては808kg/hであった。
【0171】
次いで、2つの連続操作精留カラムを含む蒸留装置を使用して粗製生成物混合物を蒸留した。四塩化炭素は99.98%の純度で100ppm未満のクロロホルム含有量で得られた。
【0172】
反応の副生成物として、塩化水素を1308kg/hの速度で抜き出した。水への吸収40の後に、32%塩酸を、ライン41を介して約4088kg/hの速度で抜き出した。
【0173】
重質分を、ライン13を介して約9.2kg/hの速度で抜き出した。その流れの含有分を分析し(表3)そしてそれは主としてヘキサクロロベンゼン、ヘキサクロロブタジエン及びヘキサクロロエタンを含むことが見出された。これは、塩素化ゾーンで生成された正味の四塩化炭素及びペルクロロエチレンの質量に基づいて、0.31%のそれらの化合物の生成に相当する。これは、比較例で生成されたものよりも有意に低い割合の六塩素化有機不純物である。
【0174】
例2
反応ユニットは比較例1で上述したのと同様に構成された。
【0175】
未使用塩素ガス(液体塩素を蒸発させることによって得られる)を、ライン1を介して3322kg/hの速度で反応器5に供給した。リサイクル塩素を、ライン49を介して1278kg/hの速度で反応器5に供給した。ガスプロピレンを、ライン2を介して199kg/hの速度で反応器5に供給した。
【0176】
99.9%の純度であり、さらに50ppmの湿分及び20ppmのアミレンを含むクロロホルム供給原料を、ライン37を介して蒸発器38に供給し、次いで、ライン39を介して1362kg/hの速度でガス希釈剤として反応器5に供給した。第二のガス希釈剤(蒸発された四塩化炭素99.94%及びペルクロロエチレン0.05%)を、ライン36及び39を介して412kg/hの速度で反応器5に供給した。さらに、液体希釈剤(四塩化炭素99.94%及びペルクロロエチレン0.05%)を、ライン35を介して1593kg/hの供給速度で反応器5に供給した。反応器5内の温度及び四塩化炭素:ペルクロロエチレンのモル比を制御するために希釈剤流を添加した。
【0177】
反応器での温度は540℃でありそしてライン31における未反応塩素の平均含有量は25.4体積%であった。
【0178】
粗製生成物混合物を、ライン15を介して3455kg/hの速度でクエンチカラムから連続的に抜き出した。粗製生成物混合物は76.4%の四塩化炭素、23.4%のペルクロロエチレン及び0.1%のヘキサクロロエタンを含んでいた。従って、各化合物についての抜き出し速度は四塩化炭素については2640kg/hでありそしてペルクロロエチレンについては808kg/hであった。理解できるように、この方法のペルクロロエチレンよりも四塩化炭素への選択性は、上記比較例におけるよりもはるかに高かった。
【0179】
蓄積に対する補正後の正味生産量は四塩化炭素については2639kg/hであり、ペルクロロエチレンについては806kg/hであった。
【0180】
次いで、2つの連続操作精留カラムを含む蒸留装置を使用して粗製生成物混合物を蒸留した。四塩化炭素は、純度99.97%で、クロロホルム100ppm未満の含有量で得られた。
【0181】
反応の副生成物として、塩化水素を1428kg/hの速度で抜き出した。水への吸収40の後に、32%塩酸を、ライン44を介して約4463kg/hの速度で抜き出した。
【0182】
重質分を、ライン13を介して約23.1kg/hの速度で抜き出した。その流れの含有分を分析し(表3)そしてそれは主としてヘキサクロロベンゼン、ヘキサクロロブタジエン及びヘキサクロロエタンを含むことが見出された。これは、塩素化ゾーンで生成された正味の四塩化炭素及びペルクロロエチレンの質量に基づいて、0.67%のそれらの化合物の生成に相当した。これは、比較例で生成されたものよりも有意に低い割合の六塩素化有機不純物である。
【0183】
例3
反応ユニットは比較例1で上述したのと同様に構成された。
【0184】
未使用塩素ガス(液体塩素を蒸発させることにより得られる)を、ライン1を介して3480kg/hの速度で反応器5に供給した。リサイクル塩素を、ライン49を介して1044kg/hの速度で反応器5に供給した。ガスプロピレンを、ライン2を介して199kg/hの速度で反応器5に供給した。
【0185】
99.9%の純度であり、さらに50ppmの湿分及び20ppmのアミレンを含むクロロホルム供給原料を、ライン37を介して蒸発器38に供給し、次いで、ライン39を介して1867kg/hの速度でガス希釈剤として反応器5に供給した。第二のガス希釈剤(蒸発された四塩化炭素99.8%及びペルクロロエチレン0.0%)を、ライン36及び39を介して343kg/hの速度で反応器5に供給した。さらに、液体希釈剤(四塩化炭素99.8%及びペルクロロエチレン0.0%)を、ライン35を介して2077kg/hの供給速度で反応器5に供給した。反応器5内の温度及び四塩化炭素:ペルクロロエチレンのモル比を制御するために希釈剤流を添加した。
【0186】
反応器での温度は540℃でありそしてライン31における未反応塩素の平均含有量は19.8体積%であった。
【0187】
粗製生成物混合物を、ライン15を介して4071kg/hの速度でクエンチカラムから連続的に抜き出した。粗製生成物混合物は80.9%の四塩化炭素、18.7%のペルクロロエチレン及び0.3%のヘキサクロロエタンを含んでいた。従って、各化合物についての抜き出し速度は四塩化炭素については3293kg/h、そしてペルクロロエチレンについては761kg/hであった。理解できるように、この方法のペルクロロエチレンよりも四塩化炭素への選択性は、上記比較例におけるよりもはるかに高かった。
【0188】
次いで、蓄積に対する補正後の正味生産量は四塩化炭素については3280kg/h、ペルクロロエチレンについては754kg/hであった。
【0189】
次いで、2つの連続操作精留カラムを含む蒸留装置を使用して粗製生成物混合物を蒸留した。四塩化炭素は、99.92%の純度で100ppm未満のクロロホルムの含有量で得られた。
【0190】
反応の副生成物として、塩化水素を1474kg/hの速度で抜き出した。水への吸収40の後に、32%塩酸を、ライン41を介して約4606kg/hの速度で抜き出した。
【0191】
重質分を、ライン13を介して約32.6kg/hの速度で抜き出した。その流れの含有分を分析し(表3)そしてそれは主としてヘキサクロロベンゼン、ヘキサクロロブタジエン及びヘキサクロロエタンを含むことが見出された。これは、塩素化ゾーンで生成された正味の四塩化炭素及びペルクロロエチレンの質量に基づいて、0.81%のそれらの化合物の生成に相当する。これは、比較例で生成されたものよりも有意に低い割合の六塩素化有機不純物である。
【0192】
例4
反応ユニットは比較例1で上述したのと同様に構成された。
【0193】
未使用塩素ガス(液体塩素を蒸発させることによって得られる)を、ライン1を介して2983kg/hの速度で反応器5に供給した。リサイクル塩素を、ライン49を介して930kg/hの速度で反応器5に供給した。ガスプロピレンを、ライン2を介して200kg/hの速度で反応器5に供給した。
【0194】
純度が99.9%であり、さらに50ppmの湿分及び20ppmのアミレンを含むクロロホルム供給原料を、ライン37を介して蒸発器38に供給し、次いで、ガス希釈剤として、ライン39を介して707kg/hの速度で反応器5に供給した。第二のガス希釈剤(蒸発された四塩化炭素99.9%及びペルクロロエチレン0.1%)を、ライン36及び39を介して1267kg/hの速度で反応器5に供給した。さらに、液体希釈剤(四塩化炭素99.9%及びペルクロロエチレン0.1%)を、ライン35を介して1454kg/hの供給速度で反応器5に供給した。反応器5内の温度及び四塩化炭素:ペルクロロエチレンのモル比を制御するために希釈剤流を添加した。
【0195】
さらなる液体供給原料を、ライン3を介して64kg/hの供給速度で反応器5に供給した。供給原料は、国際特許出願WO09/058569に開示されているような1,1,1,2,3-ペンタクロロプロパンの工業生産において製造された副生成物流であった。その副生成物流の質量%での組成を下記に示す。
8.8%の1,1,3−トリクロロプロペン、
3.4%の1,1,3,3−テトラクロロプロペン、
21.3%の1,1,1,3−テトラクロロプロパン、
0.3%の1,1,2,3−テトラクロロプロペン、
13.3%の1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパン、
1.1%の1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパン、
0.3%のヘキサクロロエタン、
40.0%の1,1,1,2,3,3−ヘキサクロロプロパン、
8.4%の1,1,1,2,2,3−ヘキサクロロプロパン、
1.1%の、総計の他のペンタクロロプロペン、
600ppmの、総計の酸素化有機化合物、及び、
検出限界(1ppm)未満である、総計のリン化合物。
【0196】
理解されうるように、この副生成物流はある範囲の多塩素化プロパン、プロペンを含み、その多くは異性体である。これらの材料を個々の生成物に簡単に分離することはできない。このような副生成物流は、塩素化アルカン及びアルケンを調製するための方法において発生する典型的な廃棄生成物であり、例えば、国際特許出願WO2016/058566、WO2016/058567、WO2016/058568、WO2016/058569及びWO2017/028826に開示されるとおりである。
【0197】
反応器での温度は540℃でありそしてライン31における未反応塩素の平均含有量は26.7体積%であった。
【0198】
粗製液体生成物混合物をクエンチカラムからライン15を介して2621kg/hの速度で連続的に抜き出した。粗製生成物混合物は65.1%の四塩化炭素、34.7%のペルクロロエチレン及び0.2%のヘキサクロロエタンを含んでいた。従って、各化合物についての抜き出し速度は四塩化炭素については1706kg/hでありそしてペルクロロエチレンについては909kg/hであった。次いで、蓄積に対する補正後の正味生産量は四塩化炭素については1704kg/h、ペルクロロエチレンについては904kg/hであった。
【0199】
重要なことに、副生成物供給原料からの廃棄炭化水素は、粗製生成物流15中にも、又は、廃棄生成物流13中にも検出されなかった。
【0200】
次いで、2つの連続操作精留カラムを含む蒸留装置を使用して粗製生成物混合物を蒸留した。四塩化炭素は、99.98%の純度で100ppm未満のクロロホルム含有量で得られた。
【0201】
反応の副生成物として、塩化水素を1270kg/hの速度で抜き出した。水への吸収40の後に、32%塩酸を、ライン41を介して約3969kg/hの速度で抜き出した。
【0202】
重質分を、ライン13を介して約15.2kg/hの速度で抜き出した。その流れの含有分を分析し(表3)そしてそれは主としてヘキサクロロベンゼン、ヘキサクロロブタジエン及びヘキサクロロエタンを含むことが見出された。これは、塩素化ゾーンで生成された正味の四塩化炭素及びペルクロロエチレンの質量に基づいて、0.58%のそれらの化合物の生成に相当する。これは、比較例で生成されたものよりも有意に低い割合の六塩素化有機不純物である。
【0203】
例5
上記例1及び2から得られた高純度四塩化炭素をWO2016/058569に開示されている方法において使用し、99.9795%の純度を有する3560kgの1,1,1,2,3-ペンタクロロプロパンを生成した。
【0204】
例6
上記例3及び4から得られた高純度四塩化炭素をWO2016/058569に開示されている方法において使用して、99.9793%の純度を有する3560kgの1,1,1,2,3-ペンタクロロプロパンを生成した。
【0205】
例7
WO2017/028826に開示されている方法を用いて、本発明の方法の生成物として得られる高純度の四塩化炭素を供給原料として用いて、99.85%の純度を有する20kgの1,1,3,3-テトラクロロプロペンを生成した。
【0206】
【表4】
【0207】
【表5】
【0208】
【表6】
【図1】
【国際調査報告】