(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】2019528985
(43)【公表日】20191017
(54)【発明の名称】義肢化粧要素ならびに義肢化粧要素と義肢から成るシステム
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/60 20060101AFI20190920BHJP
【FI】
   !A61F2/60
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】25
(21)【出願番号】2019518077
(86)(22)【出願日】20170920
(85)【翻訳文提出日】20190527
(86)【国際出願番号】EP2017073787
(87)【国際公開番号】WO2018065218
(87)【国際公開日】20180412
(31)【優先権主張番号】102016119001.2
(32)【優先日】20161006
(33)【優先権主張国】DE
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】506153712
【氏名又は名称】オットー・ボック・ヘルスケア・プロダクツ・ゲーエムベーハー
【住所又は居所】オーストリア国、1110 ウィーン、ブレームシュトラーセ 16
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】シェッフェル、ラファエル
【住所又は居所】オーストリア国、1100 ウィーン、オットー−プロブスト−シュトラーセ 12/5/9
(72)【発明者】
【氏名】フライ、アリス
【住所又は居所】オーストリア国、2000 シュトケラウ、ドクター・フクスガッセ 4/4/8
(72)【発明者】
【氏名】ライニゲル、アンドレアス
【住所又は居所】ドイツ連邦共和国、37327 ライネフェルデ・オーティー・ビルクンゲン、バインレーデル・シュトラーセ 18
(72)【発明者】
【氏名】ピーラー、マルクス
【住所又は居所】オーストリア国、1110 ウィーン、グクルガッセ 14/308
(72)【発明者】
【氏名】オッペル、ハンス
【住所又は居所】オーストリア国、1090 ウィーン、レーゲルガッセ 29/28
(72)【発明者】
【氏名】コッペ、マリオ
【住所又は居所】ドイツ連邦共和国、37085 ゲッティンゲン、ハインホルツベーク 19
(72)【発明者】
【氏名】ワーグナー、ソンヤ
【住所又は居所】オーストリア国、1180 ウィーン、シュールガッセ 34/1/7
(72)【発明者】
【氏名】ルンツェル、バルター
【住所又は居所】オーストリア国、1150 ウィーン、マリア・ボム・シーゲ 6/19
(72)【発明者】
【氏名】ビショフ、ヨハネス
【住所又は居所】オーストリア国、2700 ビーナー・ノイシュタット、アルフレッド−ノイバオアー−ガッセ 1/52
【テーマコード(参考)】
4C097
【Fターム(参考)】
4C097AA02
4C097BB03
4C097CC01
4C097CC03
4C097CC08
4C097MM05
4C097TA08
(57)【要約】
本発明は、上部(3)、および揺動軸(5)において揺動可能に前記上部に保持された下部(4)を有する人工関節(2)を備えた義肢(10)に用いる義肢化粧要素(1)であって、前記下部(4)に取り付けるための第1の固定装置(9)を少なくとも1つ備えた第1のフレーム部材(21)、および前記上部(3)に取り付けるための第2の固定装置(225、226)を少なくとも1つ備えた第2のフレーム部材(22)を有する義肢化粧要素(1)に関し、その際、前記フレーム部材(21、22)が相互に揺動可能に保持されて、前記人工関節に操作要素(2241)を配置した回転要素(224)が取り付けられており、前記操作要素にはフレーム部材(228)を用いて、またはフレーム部材(22)を通り抜けて外側から到達可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部(3)、および揺動軸(5)において揺動可能に前記上部に保持された下部(4)を有する人工関節(2)を備えた義肢(10)に用い、前記下部(4)に固定するための第1の固定装置(9)を少なくとも1つ備えた第1のフレーム部材(21)、および前記上部(3)に固定するための第2の固定装置(225、226)を少なくとも1つ備えた第2のフレーム部材(22)を有する義肢化粧要素(1)であり、前記第1及び第2のフレーム部材(21、22)が相互に揺動可能に保持されているものであって、前記人工関節に操作要素(2241)を配置した回転要素(224)が配置されており、前記操作要素にフレーム部材(228)を用いて、またはフレーム部材(22)を通り抜けて外側から到達可能であることを特徴とする義肢化粧要素(1)。
【請求項2】
前記回転要素(224)が第1又は第2のフレーム部材(21、22)の少なくとも一方で少なくとも部分的に包囲されており、前記回転要素(224)が第1又は第2のフレーム部材(21、22)の少なくとも一方を通り抜けて、または第1又は第2のフレーム部材(21、22)の少なくとも一方を用いて操作可能であることを特徴とする、請求項1に記載の義肢化粧要素。
【請求項3】
前記回転要素(224)が前記第1又は第2のフレーム部材(21、22)の一方に取り付けられていることを特徴とする、請求項1または2に記載の義肢化粧要素。
【請求項4】
前記回転要素(224)が前記第2のフレーム部材(22)および/または前記上部(3)に配置されていることを特徴とする、請求項1から3のいずれか1つに記載の義肢化粧要素。
【請求項5】
前記回転要素(224)が回転アダプタとして形成されていることを特徴とする、請求項1から4のいずれか1つに記載の義肢化粧要素。
【請求項6】
前記第1又は第2のフレーム部材(21、22)の少なくとも一方が少なくとも部分球状または部分円筒状に形成された頭領域(211、221)を有し、前記頭領域が前記第1又は第2のフレーム部材(22、21)のもう一方に回転可能に保持されていることを特徴とする、請求項1から5のいずれか1つに記載の義肢化粧要素。
【請求項7】
前記第1のフレーム部材(21)と前記第2のフレーム部材(22)に、部分球状または部分円筒状の頭領域(211、221)が形成されており、前記頭領域が前記人工関節(2)の伸展位置において相互に少なくとも部分的に重なり合い、その際、一方の頭領域(211、221)がもう一方の頭領域(221、211)に収容されていることを特徴とする、請求項6に記載の義肢化粧要素。
【請求項8】
前記人工関節(2)の屈曲位置において前記頭領域(211、221)が相互に補完し合って前記人工関節(2)を少なくとも部分的に包囲することを特徴とする、請求項6または7に記載の義肢化粧要素。
【請求項9】
前記第1のフレーム部材(21)が皿状に、または前記下部(4)の縦方向に導かれた補強材(212、213)と共に形成されていることを特徴とする、請求項1から8のいずれか1つに記載の義肢化粧要素。
【請求項10】
前記第1のフレーム部材(21)が前記揺動軸(5)を越えて近位に突出することを特徴とする、請求項1から9のいずれか1つに記載の義肢化粧要素。
【請求項11】
前記第2のフレーム部材(22)が少なくとも1つの架橋要素(222)または架橋部分(223)を有し、前記架橋要素または前記架橋部分が義肢シャフト(6)の方向に延在することを特徴とする、請求項1から10のいずれか1つに記載の義肢化粧要素。
【請求項12】
前記架橋要素(222)または前記架橋部分(223)が前記義肢シャフト(6)に取付け可能であることを特徴とする、請求項11に記載の義肢化粧要素。
【請求項13】
前記架橋要素(222)または前記架橋部分(223)が頭領域(221)または前記義肢シャフト(6)に対して回転可能に保持されていることを特徴とする、請求項11または12に記載の義肢化粧要素。
【請求項14】
前記第1のフレーム部材に、輪郭を形成する成形部材(7)のための収容装置(215)が配置されていることを特徴とする、請求項1から13のいずれか1つに記載の義肢化粧要素。
【請求項15】
頭領域(211、221)が独立した部品として形成されていることを特徴とする、請求項1から14のいずれか1つに記載の義肢化粧要素。
【請求項16】
前記フレーム部材(21、22)を覆う織物被覆材(30)によって特徴付けられる、請求項1から15のいずれか1つに記載の義肢化粧要素。
【請求項17】
前記織物被覆材(30)が形状結合要素(31)または力結合要素(32)を有し、前記結合要素を介して前記織物被覆材(30)が第1又は第2のフレーム部材(21、22)の一方、および/または義肢シャフト(6)、および/または発泡材、および/または足カバーに取付け可能であることを特徴とする、請求項16に記載の義肢化粧要素。
【請求項18】
前記織物被覆材(30)の中または上に、補剛部(33)が配置されていることを特徴とする、請求項16または17に記載の義肢化粧要素。
【請求項19】
前記フレーム部材(21、22)が固定要素または間隔保持要素(225、226)を有し、前記固定要素または間隔保持要素を介して、前記フレーム部材(21、22)が前記義肢に保持される、または前記義肢に対して間隔を開けて保持されることを特徴とする、請求項1から18のいずれか1つに記載の義肢化粧要素。
【請求項20】
前記フレーム部材(21、22)が形態安定材料で製造されていることを特徴とする、請求項1から19のいずれか1つに記載の義肢化粧要素。
【請求項21】
請求項1から20のいずれか1つに記載の義肢化粧要素、ならびに上部(3)、および揺動軸(5)において揺動可能に前記上部に保持された下部(4)を有する人工関節(2)を備えた義肢から成り、外側から到達可能な操作要素(2241)を配置した回転要素(224)が前記人工関節に配置されているシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上部、および揺動軸において揺動可能に前記上部に保持された下部を有する人工関節を備えた義肢に用いる義肢化粧要素、ならびに義肢化粧要素と義肢から成るシステムに関する。本義肢化粧要素は特に下肢に用いる義肢の被覆、特に大腿切断患者の義足の被覆に適している。このような義肢化粧要素は上肢、特に人工肘関節を有する上腕切断患者の上肢における配置も基本的に可能である。
【背景技術】
【0002】
義肢は先天性または後天性の欠損肢の代替物として用いられ、主として先天的に欠損している、または後天的に失われた機能を少なくとも部分的に回復させるべきものである。この他に、生来の肢体の欠損を隠す単なる装飾用義肢が存在する。人工関節を備えた義肢は人工関節を断端に固定するための装置を有し、これを用いて、人工関節の上部が義肢シャフトを介して断端に固定される。このために様々な可能性が存在する。前記上部に下部を揺動可能に配置し、該下部にさらに別の義肢構成部品を固定しておくことができる。例えば、緩衝装置、駆動装置、あるいは、下腿パイプ、義手手部または義足足部といったさらに別の義肢構成部品を前記下部に固定しておくことが可能である。これらの義肢構成部品の設計は主として機能的側面に基づいて行われ、材料はできるだけ耐久性と耐荷重性を有する軽量のものでなければならない。このために義肢の外観は通常むしろ技巧的なものになる。
【0003】
義肢の外見を欠損肢の外見に近づけるために、義肢の外見を形成する、いわゆる義肢化粧要素が義肢に配置される。義肢化粧要素は様々な材料で形成可能であり、例えば、機械的影響、環境的影響からの保護、ならびに、義肢の動作中に化粧要素が変形した場合のある程度の復元力の付与といった、技術的な機能を果たすこともできる。義肢化粧要素の材料としては発泡材がしばしば使用され、これは補うべき肢体の外面形状に応じて調整されなければならない。皮膚に似た外観を再現するために、発泡材にエラストマー製の被覆材を被せることができる。したがって発泡材はいわゆる化粧用外被で被覆されており、これは加熱後に収縮によって発泡材原型に取り付ける、または貼り付ける必要がある。
【0004】
特許文献1により、体に基準点を記すことによる、個別設計の装置または義肢被覆材の製造方法が知られている。体の輪郭を記録するために、多数の写真が多数の角度から撮影されて使用される。その他の印は化粧要素を製造するために付けられて使用される。化粧要素は一体型構造、または組立てを要する複数部品から成る製品として形成しておくことができる。
【0005】
特許文献2は、使用者に義肢を装着して義肢化粧要素を製造するためのシステムおよび方法に関する。データベースに義肢シャフトおよび義肢構成部品のデータが保存されている。これらのデータは化粧要素の内面表面積を測定するために使用される。CADシステムを用いて、非装着側の肢体の輪郭に対応する外面形状が自動研削加工によって製造される。
【0006】
特許文献3は、義肢構成部品用の発泡化粧要素の製造方法に関する。義肢構成部品のデータに基づいて、内部空洞の二等分が算出される。コンピュータ制御の研削装置によってブロックの一方の面に前記空洞の片方の部分を削成し、ブロックの反対側にもう片方の部分を削成する。ブロックを二等分して、相互に反対向きの半分を相互接続することによって、ブロックが義肢構成部品を包囲し、組み合わされた空洞内に義肢構成部品が収容される。
【0007】
特許文献4は、シャフト、発泡材を被覆したパイロンおよび義足足部を備えた、大腿切断者用の内部人工器官に関する。プラスチック外被が形成され、加熱されて、外被が発泡材を包囲できる形に成るまで引き伸ばされる。形状への適合性が不足している領域は、熱風で外被を加熱する。
【0008】
特許文献5は、健側の脚の表面の鏡像として形成された外表面を有する義肢装置に関する。健側の肢体をスキャンし、得られたデータを処理して、相応の輪郭を獲得する。義肢装置の設計データがラピッドプロトタイピングの枠内で処理され、化粧要素が製造される。義肢化粧要素はシャフトと人工関節を覆う。
【0009】
特許文献6は、義足の膝関節上を滑動可能で、かつ大腿シャフトに被せることのできる第1の化粧用発泡部材を取り外し可能に接続するための、膝領域分割アダプタに関する。第2の化粧用発泡部材は義足の下腿部の周囲に配置されている。相互に取り外し可能に接続することのできる2つの平板形状のアダプタ部品を備えており、第1のアダプタ部品は第1の化粧用発泡部材と、第2のアダプタ部品は第2の化粧用発泡部材と取り外し可能に接続することができる。該発泡部材は人工関節を完全に包囲する。
【0010】
特許文献7は、人の肢体の輪郭と外見を備えた軽量の義肢化粧要素に関する。該化粧要素は義肢構成部品の周囲に配置されており、既製の独立気泡ポリエチレンプレート材を加熱して変形させることによって製造されている。
【0011】
特許文献8は、大腿シャフトに固定可能な大腿モジュール、および下腿パイプに固定可能な下腿モジュール、ならびに下腿モジュールと揺動可能に接続された膝蓋骨モジュールを備えた、モジュール化された義足化粧要素に関する。該化粧要素はモジュールを取り付けることによって相互に支持され、伸縮性繊維で製造された外被モジュールによって覆われる。
【0012】
特許文献9は、中空かつ基本的に円柱状で、人工膝関節が屈曲できるように十分な大きさを有する開口部を備えた、義肢構成部品を収容するための基礎本体を有する義肢部分用の整形外科用外被に関する。該外被の幅は、人工膝関節の機械的構成部品を保護するために十分な広さに設定されている。
【0013】
特許文献10は、義肢装置および義肢装置の外面形状の個別に適合可能な義肢装置用被覆材に関する。義肢装置の縦軸において義肢装置の第1の部品の上部に対して下部を回転させるために、回転モジュールが装着される。これにより、美的な被覆が回転した状態において達成されることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】国際公開第2010/054341号パンフレット
【特許文献2】米国特許出願公開第5880964号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第6597965号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第6740124号明細書
【特許文献5】米国特許第8366789号明細書
【特許文献6】独国実用新案第20309318号明細書
【特許文献7】米国特許出願公開第5376127号明細書
【特許文献8】米国特許出願公開第2007/0150069号明細書
【特許文献9】米国特許出願公開第2007/0162154号明細書
【特許文献10】独国特許出願公開第102012009757号明細書
【発明の概要】
【0015】
従来技術による義肢化粧要素においては、義肢化粧要素が関節領域を越えて広がらず、したがって上部と下部の間で行われる相対運動も覆い隠さないことがしばしば問題となる。単なる発泡被覆材は汚染されやすく、材料強度と弾性特性によって関節の屈曲または伸展過程で抵抗を示す。さらに、発泡被覆材は素早い着脱または必要に応じた交換が困難である。
【0016】
本発明の課題は、義肢の操作性において本質的な制限を受ける必要なく、関節領域を越えて覆うことができる義肢化粧要素、および義肢化粧要素と義肢から成るシステムを提供することである。
【0017】
上記の課題は発明により、主クレームの特徴を有する義肢化粧要素、および並列クレームの特徴を有するシステムによって解決される。本発明の有利な発展形態および変形形態は従属クレーム、明細書および図面に開示されている。
【0018】
本発明による、上部、および揺動軸において揺動可能に前記上部に保持された下部を有する人工関節を備えた義肢に用いる義肢化粧要素においては、義肢化粧要素が、下部に取り付けるための固定装置を少なくとも1つ備えた第1のフレーム部材を有することが考慮される。さらに、該義肢化粧要素は、上部に取り付けるための固定装置を少なくとも1つ備えた第2のフレーム部材を有し、両フレーム部材は相互に揺動可能に保持されている。人工関節および好ましくは一方のフレーム部材に、回転要素または回転アダプタが取り付けられており、これは操作要素を介してロック可能またはロック解除可能に形成されている。操作要素にはフレーム部材を用いて、またはフレーム部材を通り抜けて外側から到達可能である。操作要素は回転アダプタの内部の閉鎖装置またはロック装置の開閉を行い、これによって、取り付けられ織物被覆材が装着された状態で、フレームの一部の、別の部分に対する、特に頭領域に対する回転および/または揺動を介した義肢化粧要素の位置合わせの変更を、外側から実行することができる。義肢化粧要素の内部で義肢の調整を行う必要があれば、フレーム部材に空所を少なくとも1つまたは操作要素を少なくとも1つ配置しておき、これを介して外側からの調整を可能にすることが有利に考慮されている。
【0019】
回転要素は少なくとも一方のフレーム部材で少なくとも部分的に包囲しておくことができ、回転要素は少なくとも一方のフレーム部材を通り抜けて、または少なくとも一方のフレーム部材を用いて操作可能である。さらに、回転要素は好ましくは両フレーム部材の一方に取り付けられている。特に、回転要素への到達およびその確実な組込みが容易に行えるように、回転要素は上部および/または第2のフレーム部材に取り付けておくことができる。
【0020】
本発明の発展形態においては、両フレーム部材の少なくとも一方が少なくとも部分球状または部分円筒状に形成された頭領域を有し、これがもう一方のフレーム部材に回転可能に保持されていることが考慮される。本義肢化粧要素は特に人工肘関節または人工膝関節用の装備であり、関節領域において球形状または部分球形状あるいは円筒形状または部分円筒形状の頭領域を備えたフレームを有することによって、屈曲状態においても、生来の外観に近い輪郭が付与される。フレーム部材は下部構造を形成し、この上にさらに別の義肢化粧要素構成部品を配置しておくことができる。各フレーム部材は人工膝関節の上部または下部に取り付けられるか、あるいは人工関節のさらに別の構成部品に組み付けられることによって、上部あるいは下部の動作が各フレーム部材と共に同様に行われる。下部に接する第1のフレーム部材の頭領域は近位に形成されており、第2のフレーム部材の頭領域は遠位に形成されている。好ましくは、第1のフレーム部材の頭領域は揺動軸を越えて近位に張り出す。該フレーム部材には、下部の、または下部に当接する義肢構成部品の機能的に不可欠な構成部品、例えば下腿パイプ、緩衝装置または駆動装置が配置されている。該フレームには、例えば下腿パイプ、前腕パイプまたは義肢シャフト用のピラミッドアダプタまたはネジ式連結具といった、上部および下部連結手段のための余地が残される。このような結合によって関節結合部とシャフトに化粧架橋を行う可能性が生じる。
【0021】
本発明の発展形態において、両フレーム部材に、したがって第1のフレーム部材と第2のフレーム部材に、部分球状または部分円筒状の頭領域が形成されており、これらが関節の伸展位置において相互に少なくとも部分的に重なり合い、一方の頭領域がもう一方の頭領域に収容されていることが考慮される。したがって、伸展位置において少なくとも部分的に人工関節装置が二重に被覆されることによって、生来の外観と併せて義肢装置の特に優れた保護を達成することができる。
【0022】
本発明の発展形態において、人工関節の屈曲位置において頭領域が相互に補完し合って人工関節を少なくとも部分的に包囲することが考慮されている。人工膝関節において、頭領域の配置とサイズ設定は、好ましくは最大屈曲位置において頭領域がなお相互に重なり合うか、または相互に面一に閉鎖するように行われている。目的は、両フレーム部材の間に、その奥に位置する関節装置への到達を許容する隙間をできれば一切残さないことである。その際本覆いは正面で閉じられており、これによって引き続き屈曲が可能である。この形態によって、フレーム部材を覆う化粧被覆材が、人工関節の動作時に挟み込まれることが防止される。同じことが人工肘関節における使用時にも当てはまる。
【0023】
第1のフレーム部材は皿状に、または下部の縦方向に導かれた補強材と共に形成しておくことができる。第1のフレーム部材の皿状の形態においては、下部、ならびに下部に当接する義肢装置、例えば下腿パイプあるいは機械システム、油圧システムまたは駆動装置を備えた人工関節装置と平行に、またはこれらに沿って、一方で平滑面形状を付与、もう一方で高度な機械的保護を提供するために、皿状外被の領域において全面的覆いが形成されている。例えば下腿パイプの正面を覆う皿状または溝状の形態によって、一方で生来の肢体の輪郭の再現が、もう一方で機械的保護の提供が行われ得る。
【0024】
皿状の、したがって平らな外被の代わりに、少なくとも2つの補強材または帯材が下部、または下部に当接する義肢構成部品の縦方向に、頭領域から出て延在することによって、下部または義肢構成部品への固定を可能にすることが、変形形態において考慮されている。補強材または帯材は有利に頭部分と一体型で形成されており、主として下部の中央および側方に延在する。この形態により第1のフレーム部材は極度の荷重がかかる位置、膝領域には存在せず、したがって例えば跪いたり、立ち上がったりする際にフレーム部材を介して強い力を吸収する必要がない。これによって、フレーム部材は非常に軽量の構造で形成され得る。
【0025】
第1のフレーム部材は、屈曲状態における生来の外観を創造するために揺動軸を越えて近位に突出する。さらに、該突出部によってその奥に位置する義肢構成部品の機械的保護が提供される。
【0026】
第2のフレーム部材は少なくとも1つの架橋要素または少なくとも1つの架橋部分を有し、該架橋要素または架橋部分は、義肢を断端に固定する義肢シャフトの方向に延在する。しばしば、義肢シャフトと上部の間に空きスペースが存在し、これは接続部品、例えばパイプ、回転要素または回転アダプタなどを介して架橋される。接続部品の近位端はパイプアダプタを介して義肢シャフトに、遠位端は対応するアダプタを介して人工関節の上部に固定される。接続部品の直径が義肢シャフトより小さいことによって、屈曲時に化粧被覆材において、表面に窪みが形成されるという意味での形状変化が起こる。これを防止するために、例えば義肢シャフトに至るまで延在し得る架橋部分がフレームに形成される。
【0027】
架橋部分は第2のフレーム部材に形成しておくことができる。架橋要素が好ましくは第2のフレーム部材に取り付けられており、義肢シャフトに至るまで、または義肢シャフトに近接する位置まで延在する。架橋要素および/または架橋部分が義肢シャフトに取り付けられ得ることも可能である。さらに、架橋要素または架橋部分の、フレーム部材とは反対側の端部には対応する装置、例えば形状結合要素、または磁石、粘着領域などといった物理的力による接合装置がある。形状結合要素として、スナップ、フック、クリップ、ネジ、またはリベットも義肢シャフトおよび架橋要素または架橋部分に配置しておくことができる。
【0028】
架橋部分または架橋要素は第2のフレーム部材または義肢シャフトに回転可能に保持しておくことができる。この回転可能な保持によって、義肢シャフトまたは被覆材に対する義肢化粧要素またはフレーム部材の事後の位置調整が可能になる。この回転可能な保持は、上部の縦軸における回転および例えば水平軸における傾斜を可能にする回転アダプタを介して実現され得る。これによって、人工膝関節の構造変化に従うことが可能である。回転運動および傾斜運動を可能にすることで、義肢の構造調整を妨げることなく、義肢シャフトと関節の間の円滑な回転運動と位置調整を可能にすることができる。回転運動および有利に傾斜運動によっても、義肢の構造変化時に発生する垂直の関節軸と回転アダプタの回転軸の同心性のずれが修復される。
【0029】
第1のフレーム部材に、輪郭を形成する成形部材のための収容装置を配置しておくこと、特に、義肢化粧要素の輪郭をフレーム部材の形成を介して個別化するために、発泡部材または平面材料から成る成形部材を下方の第1のフレーム部材に取り付けておくことが可能である。
【0030】
本発明の発展形態において、頭領域を、別にフレーム部材に固定可能な、独立した部品として形成しておくことが考慮される。これによって、異なる成形またはサイズを提供することができ、したがって各フレーム部材のモジュール構成が達成され得る。これによって生来の外観により近づくことになる。
【0031】
フレーム部材を覆うために、フレーム部材には有利に織物被覆材が被せられる。該織物被覆材には、人工関節に対して機械的力が全くまたは極僅かしか伝達されないという利点がある。フレーム構造を介して形状を形成する下部構造が用意され、この下部構造に長靴下状にほぼ閉じた表面を装着するだけでよいことから、いずれも費用のかかる、発泡体上への皮膚状のフィルムの収縮加工または貼付けはもはや不要である。織物設計は多様であり、タイツ状の肌の色をした被覆材も、色の異なる材料と同様に装備可能である。織物被覆材は形状結合要素を介して、あるいはゴムベルト、接着要素または粘着領域といった力結合要素を介してフレームおよび/またはさらに別の義肢構成部品に固定され得る。この固定は、フレームにおいてのみか、あるいは義肢シャフトまたは義手手部や義足足部といった遠位義肢要素などの義肢構成部品においても行われ得る。各義肢構成部品には、織物被覆材を該構成部品に固定することができるように、対応する装置が装備されている。面ファスナとしての形状結合要素の形態においては、対応するフリース領域またはフック領域が各固定領域に装備されている。
【0032】
織物被覆材において、単なる表面形成の他に、さらに輪郭形成機能ならびに機能的構成部品も備えるために、部分的な材料圧縮部、補剛部または補強部を取り付けておく、または組込んでおくことができる。
【0033】
織物被覆材の代わりに、他の被覆材料を用いることもできる。
【0034】
代案として、あるいは補足として、硬性のフレーム材料の使用時に発生し、膝関節に伝達され得る振動を軽減または防止するために、フレーム部材の内側に、例えばゴムといった弾性材料から成る被覆層を取り付けるまたは塗布することができる。これにより、騒音の発生、いわゆる唸りが減少または防止され得る。被覆層によってフレームおよびその仕上げ塗装が保護され得る。
【0035】
固定要素または間隔保持要素を介して、フレーム部材が義肢に取付けまたは固定または義肢に対して間隔を開けて保持され得る。フレーム部材の下に位置する、例えばパイプまたはシャフトといった義肢構成部品に対する、フレーム部材の十分な体積安定性または位置安定性を付与するために、固定要素としては例えばベルトまたは可撓性牽引手段を備えておくことができ、間隔保持要素としては、例えばプラスチック部分を有する金属製弓状部材、円板、ピンまたは突出部を、必要に応じて弾性構成部品としても形成し、備えておくことができる。金属製弓状部材としての間隔保持要素の形態において、この弓状部材は好ましくは上部に固定されて、回転しないよう保証されている。
【0036】
フレーム部材は好ましくは形態安定材料、特に金属、繊維強化プラスチック、熱硬化性樹脂または熱可塑性物質から、または発泡材料から成り、これによって単なる形状形成の他に、さらに機械的荷重を吸収することもできる。
【0037】
本発明は、上述した義肢化粧要素、ならびに上部および揺動軸において揺動可能に該上部に保持された下部を有する人工関節を備えた義肢から成るシステムにも関し、その際、該人工関節には、外側から到達可能な操作要素を配置した回転要素が配置されている。
【0038】
以下に、本発明の実施例が添付の図面に基づいてより詳細に説明される。同じ参照符号は同じ構成部品を表す。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1a】義肢化粧要素を異なる視点から見た図である。
【図1b】義肢化粧要素を異なる視点から見た図である。
【図1c】義肢化粧要素を異なる視点から見た図である。
【図2】義肢化粧要素を備えた義肢の側面図である。
【図3】織物被覆材を備えた図2の変形形態の図である。
【図4】織物被覆材なしの図3に従った義肢の図である。
【図5】第1のフレーム部材の図である。
【図6】図5を基に第2のフレーム部材を備えた義肢の図である。
【図7】伸展位置における織物被覆材なしの義肢化粧要素の正面図である。
【図8】屈曲位置における義肢の側面図である。
【図9】組み付けられたフレーム部材の、回転アダプタを備えた伸展位置を示す側面図である。
【図10】固定要素と伝動体を備えた第2のフレーム部材の詳細図である。
【図11】伝動体と保持具の詳細図である。
【図12】間隔保持要素の部品図である。
【図13】本発明の変形形態の側面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
図1aは義肢10に用いる、図示した実施例においては、図示していない大腿断端に固定するための義肢シャフト6を備えた義足に用いる義肢化粧要素1の正面概略図である。義肢10は人工膝関節の形状の人工関節2を有し、該関節は上部3、ならびに揺動軸5において揺動可能に前記上部に保持された下部4を有する。下部4には下腿パイプ12に接続した義足足部13が取り付けられており、義肢10の遠位端を形成する。人工膝関節2と義足足部13の代わりに、本義肢化粧要素1の義手における配置と形成も可能であり、その場合は大腿シャフトの代わりに上腕シャフト、人工膝関節の代わりに肘関節、そして義足足部の代わりに義手手部が装備されている。以下の仕様は上肢に用いる義肢にも相応に適用される。
【0041】
人工膝関節2の上部3は接続部品11を介して、例えば回転アダプタまたはパイプを介して、大腿シャフト6と接続している。大腿シャフト6の外側には被覆材30、図示した実施例においては織物被覆材30が配置されており、これは関節領域および揺動軸5を越えて義足足部13の近位端に至るまで延在する。被覆材30は形状結合または力結合により、各義肢構成部品に、したがって図示した実施例においては義肢シャフト6および義足足部13に、例えば磁石、面ファスナ、クリップ、ネジ、リベットを介して、あるいは粘着要素または固着装置を介して固定され得る。
【0042】
義肢化粧要素1は第1のフレーム部材21を備えており、これが下部4に取り付けられている。第1のフレーム部材21は揺動軸5を越えて近位に延在する。上部3には第2のフレーム部材22が配置されており、これは図示した実施例においては揺動軸5を越えて遠位に延在し、図示した実施例においては第1のフレーム部材21の近位縁を覆う。第2のフレーム部材22には近位方向に延在する架橋部分223が形成されており、これは大腿シャフト6から人工膝関節2に至るほぼ平坦で、できるだけ継ぎ目のない輪郭を達成するために、義肢シャフト6の方向に延在する。架橋部分223は、被覆材30なしの義肢10の側面を示す図1bに示されている。唯一の架橋部分223の他に、複数の架橋部分223を、例えばフラップ、タングまたは張出部として第2のフレーム部材22に配置または形成しておくこともできる。1つまたは複数の架橋部分223によって、義肢シャフト6の外径と、義肢シャフト6を人工膝関節2と接続するための接続部品11の外径との間の直径差が覆い隠される。
【0043】
人工膝関節2は、義肢シャフト6および下腿パイプ12といった近位または遠位の義肢構成部品を連結する装置の他に、緩衝要素、駆動装置ならびに機械的または電気的および電子的制御部品も有し得る。図1bによる実施例においては、下部4は生来の下腿の形状に倣って作成された成形部材7で被覆されている。成形部材7は発泡材料製として、図1cの正面図に示されているように、被覆材30で被覆しておくことができる。第1のフレーム部材21に開放型の正面形成が可能であることから、生来の膝頭領域に窓部が形成されており、これによって、人工膝関節2の正面に荷重がかかる場合に、例えば跪く際に、第1のフレーム部材21に対して機械的荷重が全く加えられない。
【0044】
図2は本発明の変形形態の側面図であり、伸展位置の義足における義肢化粧要素1が示されている。被覆材30は力結合要素32、本事例においては粘着性の内面を有する弾性ベルトを介して、義肢シャフト6の外面に取り付けられている。代案として、ベルト32の代わりに、例えばシリコーン製の粘着性被覆層を備えた領域を、被覆材30の内面に取り付けておくことができる。義肢シャフト6は、部分的に図示されている回転アダプタの形状の接続要素を介して、人工膝関節2と連結されている。人工関節2の上部には第2のフレーム部材22が固定されており、これによって義肢シャフト6の動作時に第2のフレーム部材22も共に移動される。第2のフレーム部材22の遠位端には頭領域221が形成されており、これは部分球形状または部分円筒形状に形成されていることによって、基本的に生来の膝関節の形状に相応する。人工関節2の下部4には第1のフレーム部材21が取り付けられており、これによって揺動軸5における揺動時に、第1のフレーム部材21は下部3およびこれに当接する義肢構成部品、例えば義足足部13または下腿パイプ12と共に動かされる。第1のフレーム部材21の後部領域には、生来のふくらはぎの筋肉を再現するために成形部材7が1つまたは複数取り付けられている。被覆材30の遠位端は、面ファスナの形状の力結合要素31を介して義足足部13に取り付けられている。基本的に他の接続要素を介して、例えば上述の力結合要素、または被覆材30の内面の粘着性被覆層を有する領域を介して、被覆材30を義足足部13、下腿パイプまたはフレーム部材21に取り付けて固定するという可能性もある。織物被覆材30は大腿シャフト6から義足足部13の近位端に至るまで延在する。
【0045】
図3は織物被覆材30を伴った義肢化粧要素を備えた義肢10の側面図である。織物被覆材30は両フレーム部材21、22と組み合わせて使用され、被覆材の容易な着脱を可能にする。織物形態であることから、被覆材30は義肢構成部品6、13および/またはフレーム部材21、22に容易に装着され得る。成形部材7が下部4に配置されている場合、織物被覆材30は好ましくはシリコーンの粘着閉合を介して、したがって被覆材30および/または成形部材7上の少なくとも部分的なシリコーン被覆層を介して、成形部材7に固定され得る。したがって、義肢化粧要素1の使用者は様々な場合に対して様々なデザインを選択して装着する可能性を得る。基本色として肌の色に近いデザインが推奨される。被覆材30は義肢10全体に容易に覆い被せることができ、同様に被覆材30を縦方向に開放型の形成とし、例えばジッパーまたは面ファスナといった閉鎖要素を装備しておくことができる。エラストマーまたはシリコーンを用いた内側被覆層によって、義肢ならびにフレーム構造の表面における滑動が防止される。アダプタ部品を介して、織物被覆材30を直接足カバーに結合することもでき、これによって足部分のない織物被覆材を使用することができ、必要があれば、義足足部13用の靴下状被覆材と連結することができる。被覆材には、補剛部33、部分的な材料圧縮部または補強部が、図示した実施例においては膝およびふくらはぎの領域において配置されている。補剛部または補強部を被覆材30の内部に配置しておくこともできる。
【0046】
図4は被覆材30を備えた義肢10と義肢化粧要素の形態の側面図である。義肢シャフト6は接続要素11を介して人工膝関節2と接続している。第2のフレーム部材22は図示していない固定要素を介して上部3に取り付けられている。第2のフレーム部材22から、ベルト、プレートまたはフラップの形状の架橋要素222が義肢シャフト6に至るまで延在する。架橋要素222は形状結合、素材結合または力結合によって義肢シャフト6に固定されている。第2のフレーム部材22の下方には第1のフレーム部材21が配置されており、これが下部4に取り付けられている。この取付けは一方では揺動軸5の領域で、もう一方では下腿パイプ12に接する遠位領域で、例えばクリップ留めまたはスナップロックによって行われる。下腿パイプ12への取付けは別の方法で行うこともできる。第1のフレーム部材21の遠位領域に、生来のふくらはぎに倣って形成され、図示した実施例においては平面材料から成る、相応の形状を備えた成形部材7の存在が認められる。この代案として、成形部材7は発泡要素で形成しておくこともでき、これは例えば、クリップ、面ファスナ、粘着接合材、ネジ、リベットといった固定要素を介して、一般的には形状結合を介して、または磁石による固定を介しても、フレーム部材21に取り付けられている。
【0047】
図5は人工膝関節の下部4に組み付けられた状態の第1のフレーム部材21の変形形態を示す。第1のフレーム部材21は一体型で形成されており、人工膝関節の揺動軸5を越えて近位に延在する半球形状の頭領域211を有する。第1のフレーム部材21は軽量部品として形成されており、下部4に密接していることによって、全体として細い輪郭線を達成する。図5は第1のフレーム部材21の側面図であり、下部4の前部および後部は第1のフレーム部材21で覆われていない。部分球状の頭領域211から、2つの補強材212が遠位の締め具またはクリップ216に至るまで中央および側方に延在し、該補強材を介して下部4におけるさらなる固定が達成される。近位頭領域211は回転アダプタの形状の接続要素11のための空洞部を有し、これによって第1のフレーム部材21は下部4の上に容易に被せられて、スナップ機構または挟持機構を介して下部4に固定され得る。屈曲状態において部分球形状の頭領域211は基本的に生来の膝形状を再現する。図5の通り、下部4の正面領域は固定されておらず、したがって跪く際に第1のフレーム部材21に力が全く伝達されない。
【0048】
図6は図5を基に第1のフレーム部材と接続された第2のフレーム部材22を示し、第2のフレーム部材22が上部3に固定されていることによって、屈曲時に義肢シャフト6と共に揺動軸5において揺動される。第1のフレーム部材21は破線で明示されている。伸展状態においては、第2のフレーム部材22が第1のフレーム部材の頭領域211を覆い、したがって揺動運動の際は部分球状の頭領域211が第2のフレーム部材22の内部で回転する。第1のフレーム部材21と第2のフレーム部材22の間の隙間または許容差は可能な限り小さく、したがって第1のフレーム部材21と第2のフレーム部材22の間の間隙における被覆材30の挟込を排除することができる。第2のフレーム部材22には1つまたは複数の架橋部分223が形成されており、該架橋部分は義肢シャフト6の方向に延在し、被覆材30と接続部品11、例えば回転アダプタまたは大腿パイプとの間の大きさを調整することによって、被覆材30が生来の肢体の輪郭を維持する。第2のフレーム部材22の正面は好ましくは閉じている。同様に第1のフレーム部材21の頭領域211の正面も閉じており、揺動軸5における上部3の揺動用の隙間のみを有することによって、立位でも屈曲状態でも、義肢化粧要素1の正面領域においてほぼ完全に閉じた輪郭が実現される。
【0049】
図7は織物被覆材なしの義肢化粧要素1の正面図である。第1のフレーム部材21は、差込み軸、ネジまたはナットの形状の固定要素9を介して下部4に取り付けられている。遠位部分における固定は、クイックリリースファスナ、スナップロックを介して、または他の固定手段によって行われる。揺動軸5の近位に、正面が閉鎖型に成形された第2のフレーム部材22が配置されている。さらに、第2のフレーム部材22は差込み軸の形状の固定要素9を介して揺動軸5において揺動可能に義肢に取り付けられている。シリコーンストラップまたはスプリングストラップあるいはゴムベルトの形状の力結合要素2221を介して義肢シャフト6に固定された帯状織物の形状の架橋要素222を介して、第2のフレーム部材22に対して力が伝達されることによって、屈曲時に第2のフレーム部材22と架橋要素222が共に動かされる。帯状織物の代わりに、架橋要素222には帯形状または類似の形状に形成しておくことのできるプラスチック材料、発泡材料または金属材料も使用され得る。架橋要素222の内部に、接続部品11を義肢シャフト6に連結するためのアダプタ連結部が示されている。
【0050】
図8は、全面的皿状のフレーム部材21として形成された第1のフレーム部材21を備えた本発明の変形形態を示す。皿状の脛骨部の近位に部分球形状の頭領域211が当接し、この上方に、第2のフレーム部材22の部分球状の形状の遠位頭領域221が配置されていることによって、上部に対する下部の揺動時に、頭領域211、221の部分ドーム部が相互に沿って滑動し、屈曲状態においては相互に補完し合う部分球が形成される。第2のフレーム部材22の近位端領域上または内に、回転アダプタ224が配置されており、そこに、架橋要素222または架橋領域223も配置または形成しておくことができる。回転アダプタ224によって、人工膝関節2に対する義肢シャフト6の傾斜または回転時に上部フレーム部材22の最適な配置を可能にするために、少なくとも1つの揺動軸、特に上部2の縦軸における相対運動が可能になる。基本的に、該上部に対する義肢シャフトの回転および傾斜を可能にするために、回転アダプタが義肢装置の内部に位置することも可能である。この場合内部への到達可能性を保証するために、第2のフレーム部材22において切抜き部2244、穴部または空所、ならびに操作要素2241を備えておくことができ、これらを介して回転アダプタ224または義肢装置に配置された回転アダプタへの到達およびその操作が可能である。これによって、各回転アダプタ224を外側から到達可能にすることが可能である。操作要素2241は、フレーム部材21、22が組み付けられた人工関節において、回転アダプタ224の作動と動作停止またはロックとロック解除に使用される。
【0051】
図8による形態において、フレームの自立構造の特徴も明らかになる。この場合有利であるのは、使用されている膝関節からの独立性ならびに人工膝関節における軽量化である。
【0052】
図9は、頭領域211を有する第1のフレーム部材21のさらに別の変形形態を示し、該頭領域には延長部分2211が形成されているか、または独立した部品2211として配置されており、第1のフレーム部材21に固定されている。この固定は差込み、スナップ留めによって、あるいはネジ、リベットまたは他の固定要素を介して行われる。有利に、頭領域221に接する延長部分2211は第1のフレーム部材21に可逆的に固定しておくことができる。このようなモジュール分解の本質的な利点は、これによって大腿長断端または膝関節離断用の義肢も供給できることである。頭領域211および延長部分2211は基本的に球形状または円筒形状に形成されており、この球形状または円筒形状はこの場合特に形状形成および被覆材の挟込からの保護に役立つ。頭領域211の近位縁に配置された延長部分2211は第1のフレーム部材21の前縁の球状の輪郭を後上方に継続する。頭領域211および延長部分2211は少なくとも伸展位置において、好ましくは人工関節が屈曲している場合にも、接続要素11の正面を覆い、これによって、少なくとも生来の膝に近い輪郭が生じる。
【0053】
図10は第2のフレーム部材22から図示していない義肢シャフト6に至る移行領域の詳細図である。第2のフレーム部材22は、回転アダプタ224として形成され、人工関節に固定されている、人工関節と義肢シャフトの間の接続要素を、少なくとも部分的に包囲する。回転アダプタの正面は覆われており、中央および側方も同様であるが、第2のフレーム部材22を通り抜けて、またはこれを用いて到達または操作が可能であることから、人工膝関節または下部4に対して義肢シャフト6の方向調整を行うための、回転アダプタ224への外側からの到達が可能である。第2のフレーム部材22の内部には、ベルト、結束バンドなどの形状の固定要素225、および弓状部材の形状の伝動体226が配置されており、これらを介して回転アダプタ224が第2のフレーム部材22に対して配置され、方向付けられ得る。伝動体226および固定要素225を介して、人工膝関節2の屈曲時に、第2のフレーム部材22が上部3と共に移動される。
【0054】
図11は、図10による第2のフレーム部材22を接続要素11または回転アダプタ224に固定する構成部品を個々に示す。ベルト、ケーブル、結束バンドまたはロープの形状の、弾性も有し得る固定要素225は、保持具229内の収容部に挿入されてそこに固定されている。保持具229において、金属製弓状部材の形状の伝動体226が回転可能に保持されている。伝動体226の端部を第2のフレーム部材22の内部の対応する空所またはガイド溝に差し込むことによって、伝動体226は図10に示されているように、上部3に取り付けられる。固定要素225を介して、保持具229したがって伝動体226も接続要素11または回転アダプタ224に密着される。伝動体226の位置を調整するために、伝動体226は回転アダプタ224に接するまで上部22の内部で回転される。これは、伝動体226が湾曲したクランク状の形状であることによって、上部22の内部における伝動体226の回転により、保持具229の移動が行われ得ることで達成される。所望の位置で伝動体226は例えば、貼付け、ネジ止めまたは締付けによって固定され得る。
【0055】
第2のフレーム部材22が人工膝関節の動作と共に動くことを保証するさらなる可能性が、図12の間隔保持要素227によって示される。長穴を有する2つの円板の形状の間隔保持要素227は、例えばパイプ断面の形状の接続要素11の周囲に配置することができ、該長穴または隙間が相互に回転されて、組み付けられた状態では、もはや各長穴に沿った移動が不可能になっている。両円板227は、相互に重なり合った状態で完全に閉じた円板となるように、その周囲を相互に補完し合う。
【0056】
図13は組み立てられた第1のフレーム部材21および組み立てられた第2のフレーム部材22を備えた人工膝関節2を図示したもので、第2のフレーム部材が上部3に固定されていることによって、義肢シャフト6を有する上部3の揺動軸5における揺動時に、第2のフレーム部材22に対する第1のフレーム部材21の相対移動が行われる。図示した実施例においては、関節上部を義肢シャフト6と接続する接続要素11は、第2のフレーム部材22の内部に位置する操作要素2241を備えた回転アダプタとして形成されている。操作要素2241の側面が第2のフレーム部材22の可撓部228によって覆われていることにより、操作要素2241に直接到達することはできない。例えば座る時に、下部に対して上部3および義肢シャフト6を回転させることのできる操作要素2241を操作するために、可撓部228が操作要素2241の方向に移動される。可撓部228の移動が容易にできるように、第2のフレーム部材22の内部に形成された隙間2280を介して可撓部228の屈曲性が達成される。隙間2280が第2のフレーム部材22の後部先端から側壁に沿って延びることによって、可撓部228が容易に内側に撓み得る。
【0057】
可撓部228を第2のフレーム部材22に形成してはならない、またはできない場合は、代案として、第2のフレーム部材22の操作要素2241の領域において形成された空所2244が設けられている。空所2244は図13において破線で明示されている。第2のフレーム部材22によって完全に包囲された空所の代わりに、第2のフレーム部材22の後部縁から延びる切抜き部を設けておくこともできる。図9においては第1のフレーム部材21の相応の形態によって到達可能になっている。
【符号の説明】
【0058】
1 義肢化粧要素
2 人工膝関節
3 上部
4 下部
5 揺動軸
6 義肢シャフト
7 成形部材

9 固定要素
10 義肢
11 パイプ
12 下腿パイプ
13 義足足部
21 第1のフレーム部材
211 頭領域
212 補強材
213 補強材
214 隙間
22 第2のフレーム部材
221 頭領域
222 架橋要素
223 架橋部分
224 回転アダプタ
225 固定要素
226 伝動体
227 間隔保持要素
228 可撓部
229 保持具
30 織物被覆材
31 形状結合要素
32 力結合要素
33 補剛部
2211 延長部分
2221 力結合要素
2241 操作要素
2244 切抜き部
【図1a】
【図1b】
【図1c】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【国際調査報告】