(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】2019529014
(43)【公表日】20191017
(54)【発明の名称】植込み型心モニタのための徐脈性休止検出
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/0402 20060101AFI20190920BHJP
   A61B 5/0456 20060101ALI20190920BHJP
【FI】
   !A61B5/04 310N
   !A61B5/04 312R
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】22
(21)【出願番号】2019533309
(86)(22)【出願日】20170907
(85)【翻訳文提出日】20190328
(86)【国際出願番号】US2017050414
(87)【国際公開番号】WO2018048992
(87)【国際公開日】20180315
(31)【優先権主張番号】62/384,408
(32)【優先日】20160907
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】505003528
【氏名又は名称】カーディアック ペースメイカーズ, インコーポレイテッド
【住所又は居所】アメリカ合衆国 55112−5798 ミネソタ, セントポール, ハムライン アベニュー ノース 4100
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】シェイコ、クシシュトフ ゼット.
【住所又は居所】アメリカ合衆国 55369 ミネソタ州 メープル グローブ カークウッド ウェイ 9523
(72)【発明者】
【氏名】ボーン、デレク ディ.
【住所又は居所】アメリカ合衆国 55125 ミネソタ州 ウッドベリー ベイリー リッジ サークル 3614
(72)【発明者】
【氏名】ペルシュバッハー、デイビッド エル.
【住所又は居所】アメリカ合衆国 55448 ミネソタ州 クーン ラピッズ ワンハンドレッドアンドトゥエンティエイス アベニュー エヌダブリュ 1986
(72)【発明者】
【氏名】マキューエン、アダム
【住所又は居所】アメリカ合衆国 55110 ミネソタ州 ホワイト ベアー レイク ルーニー プレイス 3515
(72)【発明者】
【氏名】サハ、スニパ
【住所又は居所】アメリカ合衆国 55126 ミネソタ州 ショアビュー ウッドクレスト ウェイ 5958
(72)【発明者】
【氏名】ハーマン、キース エル.
【住所又は居所】アメリカ合衆国 55406 ミネソタ州 ミネアポリス サーティサード アベニュー エス 4624
【テーマコード(参考)】
4C127
【Fターム(参考)】
4C127AA02
4C127BB03
4C127DD04
4C127FF01
4C127FF02
4C127GG02
4C127GG05
4C127GG11
4C127GG16
(57)【要約】
装置は、対象の電気的心活動を表す感知された心信号を生成するように構成された心信号感知回路と、バッファ・メモリと、休止検出回路とを含む。この休止検出回路は、心信号またはサンプリングされた心信号内の心室脱分極を識別し、指定された遅延閾値を心室脱分極の遅延が超える心信号を使用して休止エピソード候補を検出し、記憶された心信号内の雑音イベントを識別し、雑音イベントの数が、指定された雑音イベント数閾値を満たすとき、休止エピソード候補の心信号を破棄し、そうでない場合は、休止エピソード候補の心信号を徐脈休止エピソードとして記憶するように構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象の電気的心活動を表す感知された心信号を生成するように構成された心信号感知回路と、
前記心信号の少なくとも一部分を記憶するように構成されたバッファ・メモリと、
前記バッファ・メモリおよび前記心信号感知回路に電気的に結合された休止検出回路と、を備える装置であって、
前記休止検出回路は、
前記心信号またはサンプリングされた心信号内の心室脱分極を識別し、
指定された遅延閾値を心室脱分極の遅延が超える前記心信号を使用して休止エピソード候補を検出し、
記憶された心信号内の雑音イベントを識別し、
雑音イベントの数が、指定された雑音イベント数閾値を満たすとき、前記休止エピソード候補の前記心信号を破棄し、そうでない場合は、前記休止エピソード候補の前記心信号を徐脈休止エピソードとして記憶する、ように構成された、
装置。
【請求項2】
前記心信号を第1の指定された周波数帯域に対してフィルタリングして第1のフィルタリングされた心信号を生じさせるように構成されたバンドパス・フィルタ回路と、前記第1のフィルタリングされた心信号を第2の指定された周波数帯域に対してフィルタリングして第2のフィルタリングされた心信号を生じさせるように構成されたハイ・パス・フィルタ回路とを含み、前記休止検出回路が、前記第2のフィルタリングされた心信号を使用して前記雑音イベントを識別するように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第1のフィルタリングされた心信号を第3の指定された周波数帯域に対してフィルタリングして第3のフィルタリングされた心信号を生じさせるように構成されたロー・パス・フィルタ回路を含み、前記第3の周波数帯域の周波数範囲が前記第2の周波数帯域の周波数範囲よりも低く、前記休止検出回路が、前記第3のフィルタリングされた心信号を使用して心室脱分極を検出するように構成される、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記休止検出回路が、
前記休止エピソード候補の前記検出に応答して、指定された休止間持続時間を調節し、
前記休止エピソード候補の後に識別される指定された数のR波の振幅の休止後中心傾向値を決定し、
前記休止間持続時間中の信号サンプルの振幅の休止間閾値を計算し、
前記休止後中心傾向値および前記休止間閾値に応じて、前記休止エピソード候補を破棄するまたは前記休止エピソード候補を徐脈休止エピソードとして記憶する、ように構成される、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
前記休止検出回路が、前記休止後中心傾向値および前記休止間閾値を含む比を計算するように構成される、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記休止検出回路が、
前記休止エピソード候補の前に識別される指定された数のR波の振幅の休止前中心傾向値を決定し、
前記休止前中心傾向値および前記休止間閾値に応じて、前記休止エピソード候補を破棄するまたは前記休止エピソード候補を徐脈休止エピソードとして記憶する、ように構成される、請求項4または5に記載の装置。
【請求項7】
前記休止検出回路が、前記休止エピソード候補中に前記心信号が感知されなかったことを検出したときは前記休止エピソード候補を破棄し、そうでない場合は、前記休止エピソード候補を徐脈休止エピソードとして記憶するように構成される、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
前記休止検出回路は、前記サンプリングされた心信号のうちの指定された数のサンプルの大きさが、指定された閾値サンプル大きさよりも小さいことを決定したとき、前記心信号が感知されなかったことを検出するように構成される、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記心信号感知回路、前記バッファ・メモリ、および前記休止検出回路が植込み型医療デバイス内に含まれる、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の装置。
【請求項10】
前記心信号感知回路および前記バッファ・メモリがウェアラブル医療デバイス内に含まれ、前記休止検出回路が別個の医療デバイス内に含まれる、請求項1乃至9のいずれか1項に記載の装置。
【請求項11】
携行型医療デバイスの動作を制御する方法であって、
感知された心信号を生成し、対象の電気的心活動を表すサンプリングされた心信号を生じさせる工程と、
前記サンプリングされた心信号の少なくとも一部分を記憶する工程と、
前記感知された心信号または前記サンプリングされた心信号のうちの少なくとも1つにおいて心室脱分極R波を識別する工程と、
識別されたR波間の遅延が指定された遅延閾値を超える休止エピソード候補を検出し、前記検出に応答して、指定された休止間持続時間を調節する工程と、
前記休止間持続時間中に取得された信号サンプルのための振幅の休止間閾値を計算する工程と、
前記休止間閾値を超える、前記休止間持続時間中の信号サンプルを識別する工程と、
前記信号サンプルの識別された数に応じて、前記休止エピソード候補を破棄するまたは前記休止エピソード候補を徐脈休止エピソードとして記憶する工程と
を備える方法。
【請求項12】
前記休止エピソード候補の前に識別された指定された数のR波の振幅の休止前中心傾向値を計算し、前記休止前中心傾向値を使用して前記休止間閾値を計算する工程と、
前記信号サンプルの識別された数が信号サンプルの指定された閾値数を超えるとき、前記休止エピソード候補を破棄する工程と
を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記休止エピソード候補の前に識別される指定された数のR波の振幅の休止前中心傾向値を計算する工程と、
前記休止間持続時間中の前記信号サンプルの指定された断片の振幅に応じて、前記休止間閾値を計算する工程と、
前記休止前中心傾向値および前記休止間閾値を含む比に応じて、前記休止エピソード候補を破棄するまたは前記休止エピソード候補を徐脈休止エピソードとして記憶する工程と
を含む、請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
前記休止エピソード候補の前に識別される指定された数のR波の振幅の休止後中心傾向値を計算する工程と、
前記休止間持続時間中の前記信号サンプルの指定された断片の振幅に応じて、前記休止間閾値を計算する工程と、
前記休止後中心傾向値および前記休止間閾値を含む比に応じて、前記休止エピソード候補を破棄するまたは前記休止エピソード候補を徐脈休止エピソードとして記憶する工程と
を含む、請求項11乃至13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記検出された休止エピソード候補の前の感知された最後のR波から指定された時間の後に前記休止間持続時間を調節し始める工程を含む、請求項11乃至14のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植込み型心モニタのための徐脈性休止検出に関する。
【背景技術】
【0002】
携行型医療デバイスは、植込み型医療デバイス(IMD)、ウェアラブル医療デバイス、ハンドヘルド医療デバイス、および他の医療デバイスを含む。IMDのいくつかの例は、植込み型ペースメーカ、植込み型除細動器(ICD)、皮下植込み型除細動器(S−ICD)、心再同期療法デバイス(CRT)、およびそのような能力の組み合わせを含むデバイスなどの心機能管理(CFM)デバイスを含む。デバイスは、電気療法もしくは他の療法を使用して患者もしくは対象を治療するために、または患者診断において患者の状態の内部モニタリングを通じて医師もしくは介護者を支援するために、使用されることができる。
【0003】
いくつかの植込み型医療デバイスは、植込み型ループ記録計(ILR)、挿入可能心モニタ(ICM)、および皮下植込み型心臓モニタ(SubQ HM)などの診断専用デバイスとすることができる。デバイスは、患者内の電気的心臓活動をモニタするための1つもしくは複数のセンス増幅器と通信する電極を含んでよく、または、1つもしくは複数の他の内部患者パラメータをモニタするための1つもしくは複数のセンサを含むことができる。皮下植込み型デバイスは、患者の心臓と直接接触することなく心信号を感知することを可能にする電極を含んでよい。植込み型デバイスの他の例は、神経刺激能力をもつ植込み型薬物送達システムまたは植込み型デバイス(たとえば、迷走神経刺激装置、圧反射刺激装置、頚動脈洞刺激装置、脊髄刺激装置、脳深部刺激装置など)を含む。
【0004】
ウェアラブル医療デバイスのいくつかの例は、ウェアラブル除細動器(WCD)およびウェアラブル診断デバイス(たとえば、携行型モニタリング・ベスト、ホルター・モニタ、心イベント・モニタ、または可動性心テレメータ法デバイス)を含む。WCDは、表面電極を含むモニタリング・デバイスとすることができる。表面電極は、表面心電図(ECG)ならびに除細動器ショック療法の送達を提供するために、モニタリングの一方または両方を提供するように配置されてよい。いくつかの例では、ウェアラブル医療デバイスは、接着可能パッチなどの患者によって装着されるモニタリング・パッチも含むことができる、または、患者によって装着される衣料品とともに含まれることができる。
【0005】
ハンドヘルド医療デバイスのいくつかの例は、携帯情報端末(PDA)およびスマートフォンを含む。ハンドヘルド・デバイスは、デバイスが患者の手の中にあるまたは患者の胸部に対して保持されている間、心電計(ECG)または他の生理学的パラメータを記録する診断デバイスとすることができる。デバイスは、患者の心脱分極に関連づけられた測定を導いてよい。この測定は、患者の健康に関わる有用な情報を提供することができる。患者の生理学的状態に関する知識は、診断目的で医師および臨床医にとって、または医療デバイスの性能をその患者の必要性に対して合わせて最も効果的な患者療法を提供するために、有用であり得る。
【発明の概要】
【0006】
携行型医療デバイスが心不整脈を正確に検出および識別することが望ましい場合がある。徐脈休止の検出は、医師および臨床医が患者の状態をアセスメントすることを助けることができ、処方された徐脈治療デバイスを患者の必要性に対してカスタマイズするのを助ける。
【0007】
本主題の1つの例となる装置は、対象の電気的心活動を表す感知された心信号を生成するように構成された心信号感知回路と、心信号の少なくとも一部分を記憶するように構成されたバッファ・メモリと、バッファ・メモリおよび心信号感知回路に電気的に結合された休止検出回路とを含むことができる。休止検出回路は、心信号またはサンプリングされた心信号内の心室脱分極を識別することと、指定された遅延閾値を心室脱分極の遅延が超える心信号を使用して休止エピソード候補を検出することと、記憶された心信号内の雑音イベントを識別することと、雑音イベントの数が、指定された雑音イベント数閾値を満たすとき、休止エピソード候補の心信号を破棄し、そうでない場合は、休止エピソード候補の心信号を徐脈休止エピソードとして記憶することとを行うように構成される。
【0008】
このセクションは、本特許出願の主題の短い概要を提供することが意図されている。本発明の排他的または網羅的な解説を提供することは意図されていない。詳細な説明は、このセクション内でなされる陳述に加えて、従属請求項の議論ならびに従属請求項および独立請求項の相互関係などの、本特許出願についてのさらなる情報を提供するために含まれる。
【0009】
図面は、必ずしも一定の縮尺で描かれておらず、これらの図面において、同じ数字は、異なるビュー内の類似の構成要素を説明し得る。異なる添え字を有する同じ数字は、類似の構成要素の異なるインスタンスを表し得る。図面は、一般に、限定としてではなく、例として、本文書中で論じられる種々の例を例示する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】携行型医療デバイスを使用して患者に対して療法を提供するシステムの一例の部分の例示。
【図2A】心室脱分極を表す信号波形のグラフ。
【図2B】心室脱分極を表す信号波形のグラフ。
【図3】携行型医療デバイスの一例の部分のブロック図。
【図4】心脱分極の検出心のための心信号感知回路構成要素の一例のブロック図。
【図5】徐脈休止を確認するために検出された休止エピソード候補をさらに評価するプロセスのフロー図。
【図6】休止エピソード候補のための信号の信号対雑音メトリックを計算する際に使用される信号処理の例示。
【図7】携行型医療デバイスによる感知の喪失を表す信号波形の例示。
【図8】徐脈休止を検出するための判定ツリーの一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
携行型医療デバイスは、本明細書において説明される特徴、構造、方法、またはそれらの組み合わせのうちの1つまたは複数を含むことができる。たとえば、心モニタまたは心刺激装置は、以下で説明される有利な特徴またはプロセスのうちの1つまたは複数を含むように実装されてよい。そのようなモニタ、刺激装置、または他の携行型デバイスは、本明細書において説明される特徴のすべてを含む必要はないが、一意の構造または機能性を提供する選択された特徴を含むように実装されてよいことが意図されている。そのようなデバイスは、さまざまな療法的機能または診断機能を提供するように実装されてよい。
【0012】
図1は、植込み型医療デバイス110を使用して患者102に対して療法を提供するシステム100の一例の部分の例示である。システム100は、典型的には、ネットワーク194を介してリモート・システム196と通信する外部デバイス170を含む。ネットワーク194は、セルラー式電話ネットワークまたはコンピュータ・ネットワーク(たとえば、インターネット)などの通信ネットワークとすることができる。いくつかの例では、外部デバイスは、リピータを含み、ワイヤードであってもよいしワイヤレスであってもよいリンク192を使用してネットワークを介して通信する。いくつかの例では、リモート・システム196は、患者管理機能を提供し、この機能を実行するために1つまたは複数のサーバ198を含んでよい。
【0013】
携行型医療デバイスは、患者または対象の心機能に関係する、デバイスにより記録された情報を提供することができる。たとえば、IMDは、患者の心脱分極を表す感知された信号を生じさせるための1つまたは複数のセンス増幅器回路を含むことができる。この感知された信号は、サンプリングされ、後のアップロードおよび分析のために電位図としてデバイス内に記憶され得る。情報の記録を最適化することは、より正確な情報がデバイスによって収集されることにつながることができ、これは、患者に対して提供される、患者の状態の(たとえば、徐脈のための)改善された治療およびより効果的なデバイス・ベースの療法につながることができる。
【0014】
徐脈休止すなわち徐脈性休止は、心収縮間の間隔が(たとえば、非常に遅い拍動またはスキップされる拍動のために)指定された持続時間を超えるエピソードである。徐脈性休止検出は、携行型ECGモニタリング・デバイスにとって望ましい特徴とすることができる。頻繁な休止は、患者のための失神の発生を説明することがあり、房室(AV)ブロックまたは洞不全症候群に対処するためにペースメーカがいつ患者に対して処方される必要があるかを指し示し得る。
【0015】
ICMまたはILRは、患者を診断およびモニタリングするための効果的な道具とすることができる。デバイスのサイズ、植込み手技の容易さ、心電計(ECG)を記録することができること、およびバッテリ寿命は、そうでない場合は外部パッチまたはホルター記録計を用いて可能でないことがある患者の長期モニタリングを可能にする。感知電極間の短い距離は、間隔に基づいた不整脈検出および他のモニタリング目的のための高品質感知およびR波検出を提供することができる。
【0016】
しかしながら、従来のILRおよびICMが偽の徐脈性休止を検出する率は、高い場合がある。記録された偽の徐脈性休止は、デバイス記録の臨床医レビューに費やされる不必要な時間につながり得る。偽の徐脈性休止の検出は、R波の感知不全によって引き起こされ得る。R波は、心室脱分極の一部分を表す、ECG信号における振れ(deflection)を指す。非常に低い振幅をもつR波は、モニタリング・デバイスのセンス増幅器によって見逃されることがある。また、モニタリング・デバイスは、自動利得制御機構(AGC)を含んでもよいし、徐脈性休止検出を複雑にし得る心拍検出における動的閾値感知を含んでもよい。
【0017】
動的閾値の場合、検出閾値振幅は、検出されたR波振幅を追跡する。検出閾値は、より高い振幅R波に対して、より高く設定される。R波が検出閾値に適わない場合、閾値の値は、最小値に、または次のR波が検出されるまで、低下する。徐脈性休止検出にとって正確な動的閾値を設定することは、R波の振幅の一時的な変化を引き起こし得るイベントによって複雑にされ得る。たとえば、患者の姿勢のシフトは、R波の振幅を一時的に減少させることがある。他のイベントは、骨格筋運動による信号雑音などの、R波振幅の一時的な増加を引き起こすことがある。R波振幅の一時的な変化は、デバイスに、動的閾値検出における調整の潜時によりR波の検出を見逃させることがある。
【0018】
図2Aおよび図2Bは、心室脱分極を表す信号波形のグラフである。図2Aは、徐脈性休止の真のエピソードを示す。徐脈性休止の検出を目的とするR波間の持続時間のための閾値は、2秒に設定される。グラフは、徐脈性休止を指し示す休止マーカ205を含む。信号波形は、本質的に、休止の前の最後のR波とマーカとの間では、平らな線である。図2Bは、偽の徐脈性休止を示す。この例では、徐脈性休止の検出を目的とするR波間の持続時間のための閾値は、3秒に設定される。休止マーカ205は、徐脈性休止がいつ不正確に宣言されたかを指し示す。休止マーカの前の大きいR波207は、動的検出閾値を上昇させた。その後の、より小さい振幅209のR波は、偽の徐脈性休止の検出を引き起こす、動的閾値の調整における潜時により見逃される。
【0019】
図3は、携行型医療デバイスの一例の部分のブロック図である。デバイス300は、電極に動作可能に結合されてよい心信号感知回路305と、バッファ・メモリ310と、休止検出回路315とを含む。心信号感知回路305は、対象の電気的心活動を表す感知された心信号を生成する。バッファ・メモリ310は、感知された心信号の少なくとも一部分を記憶する。休止検出回路315は、ソフトウェアまたはファームウェア内に含まれる命令を解釈または遂行する、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、または他のタイプのプロセッサのうちの1つまたは複数を含んでよい。休止検出回路315は、感知された心信号のうちの少なくとも1つにおいて心室脱分極を識別する。いくらかの例では、休止検出回路315は、R波である心信号を検出することによって、心室脱分極を識別する。休止検出回路315は、感知された心信号を使用して、休止エピソード候補を検出する。休止エピソード候補は、心室の脱分極における遅延が、指定された(たとえば、プログラムされた)時間遅延閾値を超えるとき、識別される。
【0020】
休止検出回路315は、感知された心信号において雑音イベントを識別するために休止エピソード候補の心信号を処理し、雑音イベントの数が、指定された雑音イベント数閾値を満たすとき、休止エピソード候補の感知された休止信号候補を破棄する。そうでない場合、休止エピソード候補のための感知された心信号は、徐脈性休止エピソードとして記憶される。いくつかの例では、感知された心信号を真の徐脈性休止エピソードとして記憶することは、メモリのエリアに徐脈性休止エピソードとしてフラグを立てることを含み、感知された心信号を破棄することは、メモリのエリアにフラグを立てないことと、メモリのエリアが上書きされることを可能にすることとを含む。
【0021】
いくつかの例では、バッファ・メモリ310は、1つまたは複数の心信号のセグメントをそれらが感知およびサンプリングされたとして記憶する、一時的バッファを含む。一時的バッファは、バッファがいっぱいにされたときデータが上書きされる循環バッファであってよい。エピソードが真の徐脈性休止エピソードであると決定される場合、徐脈性休止を含む心信号セグメントは、後のアップロードのために、メモリのより恒久的な異なるエリアに移されてよい。休止エピソード候補が破棄されるべきである場合、そのエピソードは、最終的に上書きされるように一時的バッファ内に残され得る。
【0022】
徐脈性休止検出は、2層手法と見なされることができる。第1の層では、休止エピソード候補は、脱分極間の間隔(たとえば、R−R間隔)に基づいて決定される。感知された脱分極間隔が、指定された閾値時間間隔(たとえば、3秒)を超える場合、その間隔は、休止エピソード候補として識別される。次いで、休止エピソード候補は、休止エピソード候補が真の徐脈性休止エピソードであるかどうかを決定するために、第2の層において、さらに処理される。
【0023】
図4は、心脱分極の検出のための心信号感知回路構成要素の一例のブロック図である。この回路構成要素は、アナログ・フィルタ418と、アナログ・デジタル変換器(A/D)420と、ノッチ・フィルタ422とを含む。アナログ・フィルタ418は、フィルタリングされたベースライン信号を生じさせるために0.5ヘルツ(0.5Hz)および100Hzの極周波数をもつバンドパス・フィルタであってよい。ノッチ・フィルタは、50Hzおよび60Hzのノッチ周波数を有してよい。ノッチ・フィルタリングは、電磁干渉(EMI)を除去するのに有用である。いくつかの例では、A/D420は400Hzのサンプル率を有し、ノッチ・フィルタは、1つまたは複数のデジタル信号プロセッサ(DSP)を使用して実装される。
【0024】
信号処理の次のステージは、一連のハイ・パス・フィルタリングおよびロー・パス・フィルタリングを含む。感知された信号は、雑音検出および脱分極検出のために異なるように処理されてよい。図4の例では、感知された信号は、広帯域信号を作成するために、第1のハイ・パス・フィルタ424に印加される。いくつかの例では、第1のハイ・パス・フィルタの極周波数は3Hzであり、ハイ・パス・フィルタリングは、ベースライン信号のゆらぎ(wander)を減衰させる。ベースラインのゆらぎは、患者の動きまたは筋電位雑音から生じることができる。3Hzハイ・パスは、徐脈性休止を検出する際に重要でない非常に低い周波数信号成分(たとえば、呼吸による)も減少または除去することがある。この時点で、信号処理は、脱分極検出および雑音分析のために信号を処理するために分岐する。
【0025】
脱分極検出の場合、信号は、ロー・パス・フィルタ426に印加される。脱分極が、R波を使用して検出されるべき場合、ロー・パス・フィルタの極周波数は、40Hzとすることができる。QRS複合内の40Hzを上回るスペクトル成分の相対エネルギーは、小さくすることができる。このステージの後の信号は、432に(名目上は100Hzに)ダウン・サンプリングされ、8ビットに振幅圧縮され、バッファ・メモリ内に記憶されることができる。これは、休止エピソード候補のために記憶される信号でもある。信号のこの表現は、たとえば形態分析などの関係のあるECG特徴を区別するのに十分である。このステージによって生じさせられるバッファリングされた信号はまた、QRS複合の形態が維持されるので、波形形態分析(たとえば、CWAエンジン436を使用する相関波形分析(CWA))において使用されてよい。バッファ・メモリは、任意の非リアル・タイム処理のために、ファームウェアによってアクセス可能であってよい。
【0026】
40Hzロー・パスからの信号は、第2のハイ・パス・フィルタ428に印加されることができる。ハイ・パス・フィルタの極周波数は、P波およびT波などのより低い周波数ECG成分を減衰させるために、10Hzであってよい。P波は、心房脱分極に関連づけられ、心電図内ではQRS複合に先行する。T波は、心電図のS−Tセグメントに続く。フィルタリングの結果は、R波検出のために処理されることができる10Hzから40Hzの通過帯域とともに処理された信号である。R波検出は、各心周期上で更新または調整される動的検出閾値を含んでよい。検出閾値は、ハードウェア回路の指定されたパラメータに基づいて、検出されたR波振幅を追跡し、最小値に、または次のR波が検出されるまで、低下する。
【0027】
雑音分析の場合、第1のハイ・パス・フィルタからの信号は、雑音帯域ハイ・パス・フィルタである第3のハイ・パス・フィルタ430に印加される。いくらかの例では、ノッチ・フィルタ422の後の信号は、第3のハイ・パス・フィルタに印加される。アナログ・フィルタ418からの結果とともに、心信号は、55Hzから100Hzの間の帯域にフィルタリングされてよい。このフィルタリングは、電位図または心電図内に含まれる信号エネルギーからの最小干渉をもつ筋電位雑音スペクトルの一部分を通過させることを意図したものである。ロー・パス・フィルタ426またはハイ・パス・フィルタ424、428、および430のうちの1つまたは複数は、1つまたは複数のデジタル信号プロセッサとともに実装されることができる。
【0028】
心信号感知回路構成要素による信号処理の結果は、指定された周波数帯域(たとえば、3Hz〜100Hz)にフィルタリングされた広帯域信号であり、広帯域信号は、2つの他の周波数帯域または範囲に分割される。より高い周波数帯域(たとえば、55Hz〜100Hz)は雑音分析に使用され、より低い周波数帯域(たとえば、10Hz〜40Hz)は、心脱分極検出および休止エピソード候補識別に使用される。加えて、圧縮された信号が、フィルタリング(たとえば、3Hz〜40Hzの通過帯域)を使用して生成され、記憶されて、徐脈性休止エピソード検出の第2の層を使用する処理のために利用可能である。
【0029】
図5は、徐脈性休止を確認するために検出された休止エピソード候補をさらに評価するプロセスのフロー図である。この評価は、3つの方法を使用する。505では、感知された心信号上の雑音が特徴づけられる。510では、1つまたは複数の信号対雑音メトリックが、感知不全を検出するために、記憶された信号に対して決定される。515では、フラットライン・セグメントを含むまたは欠落したデータを有する信号が識別される。520では、方法のいずれかが偽の徐脈性休止のための基準に適う場合、エピソードは却下される(たとえば、破棄されるまたは記録されない)。
【0030】
雑音特徴づけ方法は、雑音が多すぎると考えられる休止エピソード候補を却下する。信号雑音は、広帯域信号から生じさせられたより高い周波数帯域信号を使用して、特徴づけられることができる。心信号は、主に、40Hzよりも小さい信号エネルギーから成る。55Hz周波数極をもつハイ・パス・フィルタを使用することによって、P−QRS−T複合を除去し、55Hzを上回る信号成分はいずれも残る。より高い帯域内でのより高い周波数信号の存在は、その後で雑音を上昇させR波感知不全を引き起こし得る、より高い周波数の狭帯域雑音を指し示し得る。雑音イベントは、指定された雑音閾値振幅値を超える、より高い周波数帯域信号上の信号振幅であってよい。偽の徐脈性休止のための基準は、検出された雑音イベントの数が、指定された雑音イベント数閾値を満たすことを含んでよい。休止エピソード候補は、検出された雑音イベントの数が閾値よりも小さいとき、徐脈性エピソードとして記憶されることができる。
【0031】
信号対雑音方法の場合、信号対雑音メトリックは、休止エピソード候補中の信号内容が多すぎるかどうかを決定するために、および心脱分極の感知不全が発生した可能性を決定するために使用される。休止エピソード候補は、計算された信号メトリックのうちの1つまたは複数に応じて記憶または破棄されてよい。信号対雑音メトリックは、休止前信号対雑音メトリックおよび休止後信号対雑音メトリックの一方または両方を含むことができる。
【0032】
いくつかの例では、休止エピソード候補のためにバッファ・メモリ内に記憶された信号は、信号対雑音メトリックを決定するために使用されることができる。図3の休止検出回路315は、信号の測定がなされる前に、記憶された信号をフィルタリングしてよい。記憶された信号が、振幅が圧縮された場合、記憶された信号は、フィルタリングの前に、振幅が圧縮解除されてよい。次いで、ハイ・パス・フィルタリングが、振幅が回復された信号に印加されてよい。いくつかの例では、連続するサンプルの差が、ハイ・パス・フィルタリングに使用される。EGMサンプルx(n)のフィルタリングされた値y(n)が、連続する圧縮解除されたサンプル間の差y(n)=x(n)−x(n−1)であり、ここで、nはサンプル数である。これは、1次導関数を得ることに類似している。このハイ・パス・フィルタリングされた信号は、信号対雑音メトリックにおいて使用されるR波振幅を測定するために使用されてよい。ハイ・パス・フィルタリングは、10〜40Hz拍動検出帯域信号を再び生じさせるために使用される。この帯域を使用する利点は、それがP波を減衰することであり、これは、房室(AV)ブロックによる休止を検出するために有用である。顕著なP波は、真の休止を却下させてもよいし、休止前信号対雑音メトリックまたは休止後信号対雑音メトリックによって見逃させてもよい。
【0033】
図6は、休止エピソード候補のための信号の信号対雑音メトリックを計算する際に使用される信号処理の例示である。徐脈性休止は、休止信号候補において、R波内のギャップによって明らかである。休止間持続時間640は、休止信号候補内で調節される。休止間持続時間の調節は、検出された休止エピソード候補の前の感知された最後のR波642から指定された時間の後に始まる。いくつかの例では、休止間持続時間は、感知された最後のR波642に対して不応期が調節された後に始まる。不応期は、CFMのセンス増幅器が心臓の固有信号に応答しないように無効または無能にされる時間の期間を指す。休止不応は、特に徐脈性休止検出に使用されるプログラム可能な休止不応であってよい。
【0034】
休止検出回路は、休止エピソード候補の前に識別された指定された数のR波の振幅の休止前中心傾向値(たとえば、平均(average)値または平均(mean)値)を決定し得る。図6の例では、休止前中心傾向値を決定する際に、4つのR波が使用される。
【0035】
休止検出回路は、休止間持続時間中に信号サンプルの振幅の休止間閾値も計算してよい。これらの信号サンプルは、感知された最後のR波642の後かつ検出された休止候補の後に感知された第1のR波644の前に含まれるであろう。いくつかの例では、休止間閾値は、休止間持続時間中の信号サンプルの指定された断片の振幅に応じて計算される。たとえば、休止間閾値は、休止間持続時間ウィンドウ内の信号サンプルのパーセンタイル振幅値(たとえば、95パーセンタイル値、98パーセンタイル値、または100パーセンタイル値ですら)として計算されてよい。
【0036】
偽の徐脈性休止を決定するための基準は、信号対雑音メトリックにおける休止前中心傾向値と休止間閾値とを含んでよい。たとえば、休止検出回路は、休止前中心傾向値および休止間閾値を含む比を計算してよい。休止検出回路は、休止前中心傾向値および休止間閾値に応じて、休止エピソード候補を破棄する、または休止エピソード候補を徐脈休止エピソードとして記憶する。たとえば、計算された休止前中心傾向値と休止間閾値の比が、指定された比閾値の値よりも小さいとき、休止検出は、休止エピソード候補を破棄してよい。
【0037】
休止検出回路は、休止エピソード候補の後に識別される指定された数のR波の振幅の休止後中心傾向値(または先読み中心傾向値)を決定してよい。図6に示される例では、休止後中心傾向値を決定する際に、4つのR波が使用される。偽の徐脈性休止を検出する信号対雑音メトリックは、休止後中心傾向値および休止間閾値(たとえば、休止前中心傾向値および休止間閾値を含む比)を含んでよい。休止検出回路は、休止後中心傾向値および休止間閾値に応じて、休止エピソード候補を破棄する、または休止エピソード候補を徐脈休止エピソードとして記憶する。たとえば、計算された休止後中心傾向値と休止間閾値の比が、指定された比閾値の値よりも小さいとき、休止検出は、休止エピソード候補を破棄してよい。
【0038】
いくつかの例では、休止検出回路は、休止前中心傾向値、休止後中心傾向値、および休止間閾値(たとえば、休止前比および休止後比)に応じて、休止エピソード候補を破棄する、または休止エピソード候補を徐脈休止エピソードとして記憶する。いくつかの例では、休止検出回路は、指定された休止後持続時間中に指定された数のR波が検出されない場合、休止エピソード候補を却下する。たとえば、休止検出回路は、4つのR波が、検出された休止エピソード候補の前に、感知された最後のR波642の後8秒以内に検出されない場合、休止エピソード候補を却下してよい。
【0039】
他の信号対雑音メトリックは、徐脈性休止または偽の徐脈性休止を決定するために、休止検出回路によって使用されてよい。いくつかの例では、休止検出回路は、R波振幅の休止前中心傾向値を計算し、休止前中心傾向値を使用して(たとえば、休止前中心傾向値の何分の1として)、休止間持続時間のための休止間閾値を計算する。次いで、休止検出が、計算された休止間閾値を超える、休止間持続時間中の信号サンプルを識別する。
【0040】
識別された信号サンプルの数が、指定された信号サンプルの閾値数(たとえば、休止間持続時間内に含まれる信号サンプルの数の2%)を超えるとき、休止検出回路は、休止エピソード候補を破棄する。このプロセスは、休止前中心傾向値と休止間閾値の信号対雑音比を使用することに類似した手っとり早い方法と見なされることができる。信号サンプルの数が、指定された閾値数(たとえば、2%)を超えるとすぐに、休止前中心傾向値と指定された振幅の比のパーセンタイル(たとえば、98パーセンタイル)が、指定された閾値よりも小さいことが知られる。休止エピソード候補は、信号サンプルの数が、指定された閾値数を超えるとき、破棄されることがある。
【0041】
図5のフラットライン方法では、かなりの量のフラットラインが休止信号候補内で明らかである場合、休止エピソード候補は却下される。「乾燥」ポケット、すなわち電極接触の喪失を含む、偽の休止として現れ得る、フラットライン・データに対する数個の潜在的な理由がある。これらの休止は、圧縮解除された信号内の平らで比較的雑音の少ない信号応答の延長された期間として特徴づけられる。
【0042】
図7は、フラットライン・エピソードの例示である。真の休止は、信号内の平らに見えるセグメントの最大持続時間を効果的に限定する著しく高いピーク電圧を有する筋電位雑音を含有する。フラットラインは、その時間の間に固有心脱分極が発生したかもしれない適切な感知の喪失を表すので、かなりの量のフラットライン705を持つエピソードは却下される。信号フラットラインは、指定された閾値変動よりも小さい信号変動として定義されることができる。たとえば、±2LSBカウント以内のサンプルの走行は、フラットラインを形成することができる。名目上は、閾値変動は、±1LSBカウントであってよい。
【0043】
休止検出回路は、休止エピソード候補中に心信号が感知されなかったことを検出したとき、休止エピソード候補を破棄してよく、そうでない場合は、休止検出回路は、休止エピソード候補を徐脈性休止エピソードとして記憶してよいが、その記憶は、他の検出の方法が満たされることに依存する。いくつかの例では、休止検出回路は、サンプリングされた心信号の指定された数の連続するサンプルの大きさが、指定された閾値サンプル大きさよりも小さいことを決定したとき、休止エピソード候補中に心信号が感知されなかったことを検出する。いくつかの例では、休止検出回路は、サンプリングされた心信号のサンプルの大きさが、休止エピソード候補の検出後の指定された持続時間にわたって、指定された閾値サンプル大きさよりも小さいことを決定したとき、休止エピソード候補中に心信号が感知されなかったことを検出する。
【0044】
図5に示される方法は、判定ツリーとして実装されることができる。図8は、判定ツリーの一例を示す。判定ツリーの各ノードは、徐脈性休止を検出するためのルールを含む。例では、判定ツリーの第1のレイヤは、雑音特徴づけに関係するルールを含む。ノード805に対する雑音特徴づけルールが満たされた場合、休止エピソード候補は却下され、ノード810に対する雑音特徴づけルールが満たされた場合、徐脈性検出は、信号対雑音メトリックが分析される次のレイヤに進む。
【0045】
ノード815、820、825、および830は、休止後閾値信号対雑音比のためのルールを含む。ノード815または825に対するルールが満たされる場合、休止エピソード候補は却下される。ノード820および830に対するルールが満たされる場合、徐脈性保護検出は、休止前閾値信号対雑音比が分析されるノード835、840における検出の次のレイヤに進む。休止信号候補の分析が、真の徐脈性休止のための判定ツリー内のルールを満たす場合、休止エピソード候補は、徐脈性休止エピソードとして記憶される。
【0046】
検出のために使用される閾値の連続は、検出アルゴリズムの性能を高めるために使用されることができる。休止対却下を決定する判定境界は、休止前メトリックおよび休止後メトリックによって作成される2次元空間内の区分的線形判定境界とすることができる。判定ツリーは、徐脈性休止検出アルゴリズムの効率的な実装形態を提供することができる。たとえば、算出的にコストが最も低い方法は、第1のレイヤ内に含まれることができ、最初に実行されることができ、これが、より速い検出につながり、算出時間を最小にすることができる。
【0047】
臨床環境から遠く離れた患者または対象の心機能をモニタリングする患者モニタリング・システムは、患者の状態の改善された診断および改善された治療につながることができる。本明細書において説明されるシステムおよび方法は、ILRおよびICMなどの携行型モニタリング・デバイスによって記録される偽の徐脈休止の数を減少させることができる。偽の休止の記録を減少させることは、記録されたデータを分析する際に臨床医によって費やされる時間のより良い使用につながることができる。
【0048】
追加の説明および例
例1は、対象の電気的心活動を表す感知された心信号を生成するように構成された心信号感知回路と、心信号の少なくとも一部分を記憶するように構成されたバッファ・メモリと、このバッファ・メモリおよび心信号感知回路に電気的に結合された休止検出回路と、を備え、休止検出回路は、心信号またはサンプリングされた心信号内の心室脱分極を識別し、指定された遅延閾値を心室脱分極の遅延が超える心信号を使用して休止エピソード候補を検出し、記憶された心信号内の雑音イベントを識別し、雑音イベントの数が、指定された雑音イベント数閾値を満たすとき、休止エピソード候補の心信号を破棄し、そうでない場合は、休止エピソード候補の心信号を徐脈休止エピソードとして記憶するように構成された主題を含む。
【0049】
例2では、例1の主題は、任意選択で、心信号を第1の指定された周波数帯域に対してフィルタリングして第1のフィルタリングされた心信号を生じさせるように構成されたバンドパス・フィルタ回路と、第1のフィルタリングされた心信号を第2の指定された周波数帯域に対してフィルタリングして第2のフィルタリングされた心信号を生じさせるように構成されたハイ・パス・フィルタ回路とを含み、休止検出回路が、第2のフィルタリングされた心信号を使用して雑音イベントを識別するように構成される。
【0050】
例3では、例2の主題は、任意選択で、第1のフィルタリングされた心信号を第3の指定された周波数帯域に対してフィルタリングして第3のフィルタリングされた心信号を生じさせるように構成されたロー・パス・フィルタ回路を含み、第3の周波数帯域の周波数範囲が第2の周波数帯域の周波数範囲よりも低く、休止検出回路が、第3のフィルタリングされた心信号を使用して心室脱分極を検出するように構成される。
【0051】
例4では、例1〜例3のうちの1つまたは任意の組み合わせの主題は、任意選択で、休止エピソード候補の検出に応答して、指定された休止間持続時間を調節し、休止エピソード候補の後に識別される指定された数のR波の振幅の休止後中心傾向値を決定し、休止間持続時間中の信号サンプルの振幅の休止間閾値を計算し、休止後中心傾向値および休止間閾値に応じて、休止エピソード候補を破棄するまたは休止エピソード候補を徐脈休止エピソードとして記憶するように構成された休止検出回路を含む。
【0052】
例5では、例4の主題は、任意選択で、休止後中心傾向値および休止間閾値を含む比を計算するように構成された休止検出回路を含む。
例6では、例4および例5の一方または両方の主題は、任意選択で、休止エピソード候補の前に識別される指定された数のR波の振幅の休止前中心傾向値を決定し、休止前中心傾向値および休止間閾値に応じて、休止エピソード候補を破棄するまたは休止エピソード候補を徐脈休止エピソードとして記憶するように構成された休止検出回路を含む。
【0053】
例7では、例1〜例6のうちの1つまたは任意の組み合わせの主題は、任意選択で、休止エピソード候補中に心信号が感知されなかったことを検出したときは休止エピソード候補を破棄し、そうでない場合は、休止エピソード候補を徐脈休止エピソードとして記憶するように構成された休止検出回路を含む。
【0054】
例8では、請求項7の主題は、任意選択で、サンプリングされた心信号のうちの指定された数のサンプルの大きさが、指定された閾値サンプル大きさよりも小さいことを決定したとき、心信号が感知されなかったことを検出するように構成された休止検出回路を含む。
【0055】
例9では、例1〜例8のうちの1つまたは任意の組み合わせの主題は、任意選択で、心信号感知回路、バッファ・メモリ、および休止検出回路が植込み型医療デバイス内に含まれることを含む。
【0056】
例10では、例1〜例8のうちの1つまたは任意の組み合わせの主題は、任意選択で、心信号感知回路およびバッファ・メモリがウェアラブル医療デバイス内に含まれること、ならびに休止検出回路が別個の医療デバイス内に含まれることを含む。
【0057】
例11は、感知された心信号を生成し、対象の電気的心活動を表すサンプリングされた心信号を生じさせるように構成された心信号感知回路と、サンプリングされた心信号の少なくとも一部分を記憶するように構成されたバッファ・メモリと、このバッファ・メモリおよび心信号感知回路に電気的に結合された休止検出回路であって、感知された心信号またはサンプリングされた心信号のうちの少なくとも1つにおいて心室脱分極R波を識別することと、識別されたR波間の遅延が指定された遅延閾値を超える休止エピソード候補を検出し、この検出に応答して、指定された休止間持続時間を調節することと、休止間持続時間中に取得された信号サンプルのための振幅の休止間閾値を計算することと、休止間閾値を超える、休止間持続時間中の信号サンプルを識別することと、信号サンプルの識別された数に応じて、休止エピソード候補を破棄するまたは休止エピソード候補を徐脈休止エピソードとして記憶することとを行うように構成された休止検出回路とを備える主題(装置など)を含むことができる、または任意選択で、そのような主題を含む例1〜例10のうちの1つもしくは任意の組み合わせと組み合わされることができる。
【0058】
例12では、例11の主題は、任意選択で、休止エピソード候補の前に識別された指定された数のR波の振幅の休止前中心傾向値を計算し、この休止前中心傾向値を使用して休止間閾値を計算することと、信号サンプルの識別された数が信号サンプルの指定された閾値数を超えるとき、休止エピソード候補を破棄することとを行うように構成された休止検出回路を含む。
【0059】
例13では、例11および例12の一方または両方の主題は、任意選択で、休止エピソード候補の前に識別される指定された数のR波の振幅の休止前中心傾向値を計算することと、休止間持続時間中の信号サンプルの指定された断片の振幅に応じて、休止間閾値を計算することと、休止前中心傾向値および休止間閾値を含む比に応じて、休止エピソード候補を破棄するまたは休止エピソード候補を徐脈休止エピソードとして記憶することとを行うように構成された休止検出回路を含む。
【0060】
例14では、例11〜例13のうちの1つまたは任意の組み合わせの主題は、任意選択で、休止エピソード候補の前に識別される指定された数のR波の振幅の休止後中心傾向値を計算することと、休止間持続時間中の信号サンプルの指定された断片の振幅に応じて、休止間閾値を計算することと、休止後中心傾向値および休止間閾値を含む比に応じて、休止エピソード候補を破棄するまたは休止エピソード候補を徐脈休止エピソードとして記憶することとを行うように構成された休止検出回路を含む。
【0061】
例15では、例11〜例14のうちの1つまたは任意の組み合わせの主題は、任意選択で、検出された休止エピソード候補の前の感知された最後のR波から指定された時間の後に休止間持続時間を調節し始めるように構成された休止検出回路を含む。
【0062】
例16では、例11〜例15のうちの1つまたは任意の組み合わせの主題は、任意選択で、指定された休止後持続時間中に指定された数のR波が検出されない場合、休止エピソード候補を却下するように構成された休止検出回路を含む。
【0063】
例17では、例11〜例16のうちの1つまたは任意の組み合わせの主題は、任意選択で、生理学的雑音を信号から除去し、第1のフィルタリングされた信号を生成するために、感知された心信号またはサンプリングされた心信号のうちの少なくとも1つをフィルタリングするように構成されるバンドパス・フィルタ回路と、第1のフィルタリングされた信号内のP波信号成分を減少させ、第2のフィルタリングされた信号を生成するために、第1のフィルタリングされた信号をフィルタリングするように構成されたハイ・パス・フィルタ回路とを含み、休止検出回路は、第2のフィルタリングされた信号を使用して心室脱分極R波を識別するように構成される。
【0064】
例18は、感知された心信号を生成し、対象の電気的心活動を表すサンプリングされた心信号を生じさせるように構成された心信号感知回路と、サンプリングされた心信号の少なくとも一部分を記憶するように構成されたバッファ・メモリと、このバッファ・メモリおよび心信号感知回路に電気的に結合された休止検出回路であって、サンプリングされた心信号内の心室脱分極を識別することと、指定された遅延閾値を心室脱分極の遅延が超える休止エピソード候補を検出することと、休止エピソード候補中に心信号が感知されなかったことを検出したときは休止エピソード候補を破棄し、そうでない場合は、休止エピソード候補を徐脈休止エピソードとして記憶することを行うように構成された休止検出回路とを備える主題(装置など)を含むことができる、または任意選択で、そのような主題を含む例1〜例17のうちの1つもしくは任意の組み合わせと組み合わされることができる。
【0065】
例19では、例18の主題は、任意選択で、サンプリングされた心信号の指定された数の連続するサンプルの大きさが、指定された閾値サンプル大きさよりも小さいことを決定したとき、心信号が感知されなかったことを検出するように構成された休止検出回路を含むことができる。
【0066】
例20では、例18および例19の一方または両方の主題は、任意選択で、サンプリングされた心信号のサンプルの大きさが、休止エピソード候補の検出後の指定された持続時間にわたって、指定された閾値サンプル大きさよりも小さいことを決定したとき、心信号が感知されなかったことを検出するように構成された休止検出回路を含むことができる。
【0067】
例21は、例1〜例20の機能のうちの任意の1つもしくは複数を実行するための手段、もしくは、機械によって実行されるときに機械に例1〜例20の機能のうちの任意の1つもしくは複数を実行させる命令を含む機械可読媒体を含むことができる主題を含むことができる、または任意選択で、この主題を含むように例1〜例20の任意の1つもしくは複数の任意の部分もしくは任意の部分の組み合わせと組み合わされることができる。
【0068】
これらの数個の非限定的な例は、任意の順列または組み合わせで組み合わされることができる。
上記の詳細な説明は、詳細な説明の一部を形成する添付の図面への参照を含む。これらの図面は、例示として、本発明が実施され得る具体的な実施形態を示す。これらの実施形態は、本明細書において「例」とも呼ばれる。本文書において参照されるすべての刊行物、特許、および特許文書は、個別に援用するかのように、その全体を本願明細書に援用する。本文書とそのように援用するそれらの文書との間の矛盾する使用法の場合、援用する参照における使用法は、本文書の使用法への補足と考慮されるべきである。両立しない矛盾の場合、本文書における使用法が統制する。
【0069】
本文書では、「a」または「an」という用語は、特許文書では一般的であるように、「少なくとも1つの」または「1つまたは複数の」の他の任意の事例または使用法から独立して、1つまたは2つ以上を含むために使用される。本文書では、「または(or)」という用語は、非排他的論理和を指すために使用され、「AまたはB」は、別段に指し示されない限り、「BではなくA」、「AではなくB」、ならびに「AおよびB」を含む。添付の特許請求の範囲では、「含む(including)」および「in which」という用語は、それぞれの用語「備える(comprising)」および「wherein」の平易な英語等価物として使用される。また、以下の特許請求の範囲では、「含む(including)」および「備える(comprising)」という用語は非制限的である、すなわち、請求項内でそのような用語の後に列挙される要素に加えて要素を含むシステム、デバイス、物品、またはプロセスは、依然として、その請求項の範囲内に含まれると考えられる。さらに、以下の特許請求の範囲では、「第1の(first)」、「第2の(second)」、および「第3の(third)」などの用語は、単にラベルとして使用され、それらの対象物に数値要件を課すことが意図されるものではない。
【0070】
本明細書において説明される方法例は、少なくとも一部は機械またはコンピュータにより実装されることができる。いくつかの例は、上記の例において説明された方法を実行するように電子デバイスを構成するために動作可能である命令とともに符号化されたコンピュータ可読媒体または機械可読媒体を含むことができる。そのような方法の一実装形態は、マイクロコード、アセンブリ言語コード、高水準言語コードなどのコードを含むことができる。そのようなコードは、種々の方法を実行するためのコンピュータ可読命令を含むことができる。コードは、コンピュータ・プログラム製品の部分を形成することができる。さらに、コードは、遂行中または他の時間に、1つまたは複数の揮発性コンピュータ可読媒体または不揮発性コンピュータ可読媒体上に有形に記憶されることができる。これらのコンピュータ可読媒体は、ハード・ディスク、リムーバブル磁気ディスク、リムーバブル光ディスク(たとえば、コンパクト・ディスクおよびデジタル・ビデオ・ディスク)、磁気カセット、メモリ・カードまたはメモリ・スティック、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)などを含むことができるが、これらに限定されない。いくつかの例では、搬送媒体は、方法を実装するコードを搬送することができる。「搬送媒体」という用語は、コードが送信される搬送波を表すために使用されることができる。
【0071】
上記の説明は、例示的であることが意図されており、制限的であることは意図されていない。たとえば、上記で説明された例(またはその1つもしくは複数の態様)は、互いと組み合わせて使用されてよい。他の実施形態は、上記の説明をレビューするとき、当業者などによって使用されることができる。要約書は、読者が技術的開示の性質をすばやく確かめることを可能にする目的で、米国特許法施行規則第1.72条第(b)項に準拠するために提供される。要約書は、特許請求の範囲または意味を解釈または限定するために使用されないという理解の下で提出される。また、上記の「発明を実施するための形態」では、種々の特徴が、開示を簡素化するために、一緒にグループ化されることがある。これは、特許請求されていない開示された特徴が任意の請求項に必須であることを意図すると解釈されるべきでない。むしろ、本発明の主題は、特定の開示された実施形態のすべてよりも少ない特徴にあり得る。したがって、以下の特許請求の範囲は、これによって「発明を実施するための形態」に組み込まれ、各請求項は、別個の実施形態として独立する。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲が与えられる等価物の全範囲とともに、そのような特許請求の範囲を参照して決定されるべきである。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【国際調査報告】