(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】2019530756
(43)【公表日】20191024
(54)【発明の名称】ポリ(アミド酸)及びポリイミドポリマーの合成用のDMPAベースの溶媒系
(51)【国際特許分類】
   C08G 73/10 20060101AFI20190927BHJP
   C08J 3/09 20060101ALI20190927BHJP
   C08J 5/18 20060101ALI20190927BHJP
【FI】
   !C08G73/10
   !C08J3/09CFG
   !C08J5/18
【審査請求】有
【予備審査請求】有
【全頁数】19
(21)【出願番号】2017537512
(86)(22)【出願日】20160928
(85)【翻訳文提出日】20170714
(86)【国際出願番号】CN2016100465
(87)【国際公開番号】WO2018058343
(87)【国際公開日】20180405
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA
(71)【出願人】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
【住所又は居所】アメリカ合衆国 ミシガン州 48674,ミッドランド,ダウ センター 2040
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100093665
【弁理士】
【氏名又は名称】蛯谷 厚志
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【弁理士】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100147212
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 直樹
(72)【発明者】
【氏名】ユン・キュ・キム
【住所又は居所】アメリカ合衆国 ミシガン州 48674 ミッドランド ノース・スウェド・ロード 1691
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム・ジェイ・ハリス
【住所又は居所】アメリカ合衆国 テキサス州 77541 フリーポート ノース・ブラゾスポーツ・ブールバード 2301
(72)【発明者】
【氏名】チ・ジアン
【住所又は居所】中華人民共和国 シャンハイ 200050 チャンニン・ディストリクト ユユアン・ロード レーン 718 ナンバー 23 セカンド・フロア
(72)【発明者】
【氏名】シン・ジアン
【住所又は居所】中華人民共和国 シャンハイ 201318 プードン・ディストリクト ジョウドン・ロード ナンバー 902 ビルディング 10 ルーム 1201
(72)【発明者】
【氏名】大場 薫
【住所又は居所】日本国 140−8617 東京都品川区東品川2丁目2−24
【テーマコード(参考)】
4F070
4F071
4J043
【Fターム(参考)】
4F070AA55
4F070AC38
4F070AC43
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4F070AC50
4F070AC55
4F070AE28
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4F071AC10
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4F071AC13
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4F071BA02
4F071BB02
4F071BC01
4J043PA04
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4J043QB26
4J043RA35
4J043SA06
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4J043TB01
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4J043UA131
4J043UB121
4J043VA012
4J043VA021
4J043VA041
4J043VA042
4J043XA16
4J043XA19
4J043YA06
4J043ZB47
(57)【要約】
ポリ(アミド酸)ポリマーまたはポリイミドポリマーを合成するための方法は、
(A)N,N−ジメチルプロピオンアミド(DMPA)から本質的になる第1の成分と、
(B)任意に、スルホキシド、例えば、DMSO、アルキルホスフェート、例えば、トリエチルホスフェート、及び非プロトン性グリコールエーテル、例えば、プロピレングリコールメチルエーテルアセテートのうちの少なくとも1つから本質的になる第2の成分と、から本質的になる溶媒系を使用することにより改善される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリ(アミド酸)ポリマーを合成するための改善された方法であって、合成条件下かつ溶媒系中で、(i)環状テトラカルボン酸二無水物と(ii)ジアミンモノマーとを接触させる工程を含み、前記改善は、
(A)N,N−ジメチルプロピオンアミド(DMPA)から本質的になる第1の成分と、
(B)任意に、スルホキシド、アルキルホスフェート、及びグリコールエーテルのうちの少なくとも1つから本質的になる第2の成分と、から本質的になる溶媒系を使用することを含む、方法。
【請求項2】
一実施形態では、本発明は、溶媒系中でポリ(アミド酸)ポリマーからポリイミドポリマーを合成するための改善された方法であって、前記改善は、
(A)N,N−ジメチルプロピオンアミド(DMPA)からなる第1の成分と、
(B)任意に、スルホキシド、アルキルホスフェート、及び非プロトン性グリコールエーテルのうちの少なくとも1つから本質的になる第2の成分と、から本質的になる溶媒系を使用することを含む、方法である。
【請求項3】
前記溶媒系は、前記溶媒系の重量を基準として、30〜100重量%の前記第1の成分と、0〜70重量%の前記第2の成分とから本質的になる、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記第2の成分が存在し、DMSO、トリエチルホスフェート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールジアセテート、エチレングリコールn−ブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールn−ブチルエーテルアセテート、及びジプロピレングリコールジメチルエーテルのうちの少なくとも1つから本質的になる、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第2の成分が存在し、DMSOから本質的になる、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記第2の成分が存在し、トリエチルホスフェートから本質的になる、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記第2の成分が存在し、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールジアセテート、エチレングリコールn−ブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールn−ブチルエーテルアセテート、及びジプロピレングリコールジメチルエーテルのうちの少なくとも1つから本質的になる、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記溶媒系が、DMPAから本質的になる、請求項3に記載の方法。
【請求項9】
前記溶媒系が、DMPA及びDMSOから本質的になる、請求項3に記載の方法。
【請求項10】
前記溶媒系が、DMPA及びトリエチルホスフェートから本質的になる、請求項3に記載の方法。
【請求項11】
前記溶媒系が、DMPAと、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールジアセテート、エチレングリコールn−ブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールn−ブチルエーテルアセテート、及びジプロピレングリコールジメチルエーテルのうちの少なくとも1つとから本質的になる、請求項3に記載の方法。
【請求項12】
前記溶媒系が、DMPA及びプロピレングリコールメチルエーテルアセテートからなる、請求項3に記載の方法。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
この発明は、ポリ(アミド酸)(PAA)及びポリイミド(PI)ポリマーの合成用の環境に優しい溶媒系に関する。
【0002】
ポリイミドポリマーは、半導体及びディスプレイユニットなどの電子デバイスの製造を含む、様々な用途において有用である。PAAポリマーは、PIポリマーの加工可能な可溶性前駆体ポリマーである。これらの用途にとって有利となるPIポリマーの多くの性質の中には、高いガラス転移(Tg)温度、高い熱安定性、高い酸化及び加水分解安定性、良好な電気絶縁/誘電性質、強い機械的特質、低い熱膨張係数などがある。多くのPIポリマー及びそれらのPAAポリマー前駆体は、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、及びN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)などの現在有害物質として分類されている溶媒中で合成される。
【0003】
PI及びPAAポリマーの合成におけるNMP及びそのような材料に取って代わる代替溶媒の発見には多くの関心がある。しかしながら、そのような系は、より良い環境プロファイルだけでなく、同等のコスト及び性能を示す必要がある。
【発明の概要】
【0004】
一実施形態では、本発明は、ポリ(アミド酸)ポリマーを合成するための改善された方法であって、合成条件下かつ溶媒系中で、(i)環状テトラカルボン酸二無水物、例えばピロメリット酸二無水物(PMDA)と(ii)ジアミンモノマー、例えば、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(ODA)とを接触させる工程を含み、その改善は、
(A)N,N−ジメチルプロピオンアミド(DMPA)から本質的になる第1の成分と、
(B)任意に、スルホキシド、アルキルホスフェート、及び非プロトン性グリコールエーテルのうちの少なくとも1つから本質的になる第2の成分と、から本質的になる溶媒系を使用することを含む、方法である。
【0005】
一実施形態では、本発明は、溶媒系中でポリ(アミド酸)ポリマーからポリイミドポリマーを合成するための改善された方法であって、その改善は、
(A)N,N−ジメチルプロピオンアミド(DMPA)からなる第1の成分と、
(B)任意に、スルホキシド、アルキルホスフェート、及び非プロトン性グリコールエーテルのうちの少なくとも1つから本質的になる第2の成分と、から本質的になる溶媒系を使用することを含む、方法である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
定義
米国特許実務の目的のため、参照された特許、特許出願、または公開物の内容はいずれも、特に定義の開示及びその技術における一般的知識に関して(この開示において具体的に提供されたいずれの定義とも矛盾しない限りにおいて)、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる(またはそれに相当する米国版がそのように参照により組み込まれる)。
【0007】
本明細書で開示されている数値範囲は、上限及び下限値からの全ての値を含み、上限値及び下限値も含まれる。明示的な値(例えば、1〜7)を含む範囲については、任意の2つの明示的な値の間の任意の部分範囲が含まれる(例えば、1〜2、2〜6、5〜7、3〜7、5〜6など)。
【0008】
用語「含む(comprising)」、「含む(including)」、「有する(having)」及びそれらの派生語は、それが具体的に開示されているか否かにかかわらず、いずれの追加の成分、工程、または手順の存在も排除することを意図するものではない。疑義を避けるため、用語「含む」の使用を介して請求された全ての組成物は、ポリマー性であるか否かにかかわらず、逆に述べない限り、いかなる追加の添加剤、アジュバント、または化合物を含んでいてもよい。対照的に、用語「から本質的になる」は、実行性に必須ではないものを除き、いずれの後続の記述の範囲からも、いかなる他の成分、工程、または手順も排除する。用語「からなる」は、具体的に記述またはリストされていないいずれの成分、工程、または手順も排除する。逆に述べない限り、用語「または」は、リストされた個々の要素及び任意の組み合わせのことを指す。単数形の使用は、複数形の使用を含み、逆もまた同様である。
【0009】
逆に述べない限り、文脈から黙示的な、またはその技術で慣用である全ての部及び百分率は重量を基準とし、全ての試験方法がこの開示の出願日時点で最新のものである。
【0010】
「溶媒」及びそのような用語は、別の物質(すなわち、溶質)を溶解して分子またはイオンサイズレベルで本質的に均一に分散した混合物(すなわち、溶液)を形成することができる物質を意味する。
【0011】
「ジアミン」及びそのような用語は、2つのアミン基を含む任意の化合物を意味する。
【0012】
「二無水物」及びそのような用語は、2つの無水物基を含む任意の化合物を意味する。
【0013】
「モノマー」及びそのような用語は、重合を受けることができる化合物を意味する。
【0014】
「非プロトン性」及びそのような用語は、プロトンを供与することができない溶媒、例えばグリコールエーテルを表す。プロトン性溶媒は、酸素(ヒドロキシル基内のもののような)または窒素(アミン基内のもののような)に結合した水素原子を有する溶媒である。一般的な用語では、不安定なH+を含むいずれの溶媒もプロトン性溶媒である。代表的なプロトン性溶媒として、DOWANOL(商標)DPM(ジプロピレングリコールメチルエーテル)、DOWANOL(商標)TPM(トリプロピレングリコールメチルエーテル)、DOWANOL(商標)DPnP(ジプロピレングリコールn−プロピルエーテル)、DOWANOL(商標)DPnB(ジプロピレングリコールn−ブチルエーテル)、及びDOWANOL(商標)TPnB(トリプロピレングリコールn−プロピルエーテル)が挙げられる。そのような溶媒の分子は、容易にプロトン(H+)を試薬に供与する。この発明の実施において使用されるグリコールエーテルは、不安定なH+を含まない。この発明の実施において使用することができる市販の非プロトン性溶媒は、非プロトン性溶媒が作製される製造プロセスからの少量の残留プロトン性化合物を含み得る。「少量」は、典型的には、非プロトン性溶媒及びプロトン性化合物を組み合わせた重量に対して、非プロトン性溶媒中、1重量%以下(≦1重量%)、または≦0.5重量%、または≦0.1重量%、または≦0.05重量%、または≦0.01重量%のプロトン性化合物を意味している。
【0015】
ポリ(アミド酸)は、ポリイミドの合成における中間体ポリマーである。それは、強い水素結合のために極性溶媒に可溶である。
【0016】
ポリイミド(PI)は、イミドモノマーの重合、または本発明の場合のようにポリ(アミド酸)の閉環から作製されたポリマーである。それは、通常、環状テトラカルボン酸二無水物と、後に熱的及び/または化学的手段により閉環してイミド部分を形成するポリ(アミド酸)を形成するジアミンとの反応から生成される。エレクトロニクス産業で使用される1つの一般的なPIは、KAPTON(商標)である。これは、ピロメリット酸二無水物と4,4’−オキシジフェニルアミンとの縮合及びその後の閉環から生成される。
【0017】
「合成条件」及びそのような用語は、反応物から生成物を生成するのに必要とされる圧力、及び/または他の条件を意味する。二無水物及びジアミンからポリ(アミド酸)ポリマーを生成する状況では、典型的な合成条件として、周囲温度及び圧力、例えば、20℃及び大気圧、ならびに不活性雰囲気、例えば、窒素が挙げられる。
【0018】
溶媒
この発明の溶媒は、第1の成分及び任意の第2の成分から本質的になる。第1の成分は、DMPAから本質的になるか、またはDMPAからなる。
【0019】
任意の第2の成分は、スルホキシド、アルキルホスフェート、及び非プロトン性グリコールエーテルのうちの少なくとも1つから本質的になるか、またはそれからなる。一実施形態では、第2の成分は、スルホキシドから本質的になるか、またはそれからなる。一実施形態では、第2の成分は、アルキルホスフェートから本質的になるか、またはそれからなる。一実施形態では、第2の成分は、非プロトン性グリコールエーテルから本質的になるか、またはそれからなる。一実施形態では、第2の成分は、スルホキシド及びアルキルホスフェートから本質的になるか、またはそれからなる。一実施形態では、第2の成分は、スルホキシド及び非プロトン性グリコールエーテルから本質的になるか、またはそれらからなる。一実施形態では、第2の成分は、アルキルホスフェート及び非プロトン性グリコールエーテルから本質的になるか、またはそれらからなる。
【0020】
一実施形態では、第2の成分は、2つ以上のスルホキシド、または2つ以上のアルキルホスフェート、または2つ以上の非プロトン性グリコールエーテルから本質的になるか、またはそれらからなる。一実施形態では、第2の成分は、(i)2つ以上のスルホキシド、及び(ii)1つ以上のアルキルホスフェート、または1つ以上の非プロトン性グリコールエーテルから本質的になるか、またはそれらからなる。一実施形態では、第2の成分は、(i)2つ以上のアルキルホスフェート、及び(ii)1つ以上のスルホキシド、または1つ以上の非プロトン性グリコールエーテルから本質的になるか、またはそれらからなる。一実施形態では、第2の成分は、(i)2つ以上の非プロトン性グリコールエーテル、及び(ii)1つ以上のスルホキシドまたは1つ以上のアルキルホスフェートから本質的になるか、またはそれらからなる。第2の成分が、2つ以上の材料、例えば、2つ以上のスルホキシド、もしくは2つ以上のアルキルホスフェート、もしくは2つ以上の非プロトン性グリコールエーテル、またはスルホキシド、アルキルホスフェート、及び非プロトン性グリコールエーテルのうちの少なくとも2つから本質的になるか、またはそれらからなる場合、第2の成分は、相分離していてもしていなくてもよいブレンドである。
【0021】
溶媒系が第1及び第2の成分からなる場合、その系は相分離していてもしていなくてもよいブレンドである。均質な溶媒系、すなわち、個々の成分が互いに混和性である(相分離していない)溶媒系が好ましい。
【0022】
N,N−ジメチルプロピオンアミド(DMPA)
第1の成分は、DMPA(CAS番号758−96−3)からなるか、またはそれから本質的になる。
【0023】
スルホキシド
一実施形態では、この発明の溶媒の第2の成分は、スルホキシド、すなわち、2つの炭素原子に結合したスルフィニル官能基を含む化合物から本質的になるか、またはそれからなる。それは極性官能基である。スルホキシドは、硫化物の酸化誘導体である。代表的なスルホキシドとして、ジエチルスルホキシド、ブチルスルホキシド、テトラメチレンスルホキシド、及びジメチルスルホキシド(DMSO)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0024】
アルキルホスフェート
一実施形態では、この発明の溶媒の第2の成分は、アルキルホスフェート、すなわち、リン酸と少なくとも1つの対応するアルコールとのエステルである有機ホスフェートから本質的になるか、またはそれからなる。モノアルキルホスフェート(RHPO)では、リン酸の3つの水素のうちの1つのみがアルキル基で置換されている。ジアルキルホスフェート(RHPO)では、リン酸の3つの水素のうちの2つがアルキル基で置換されている。トリアルキルホスフェート(RHPO)では、リン酸の3つ全ての水素がアルキル基で置換されている。Rは、1〜12個の炭素原子、典型的には1〜10個の炭素原子、より典型的には2〜6個の炭素原子のアルキル基である。アルキル基は、直鎖状、分枝状、または環状であってよく、直鎖状が好ましい。代表的なアルキルホスフェートとして、メチルホスフェート(CHPO)、エチルホスフェート(CHCHPO)、プロピルホスフェート(CHCHCHPO)、ジエチルホスフェート((CHCHHPO)、ジプロピルホスフェート((CHCHCHHPO)、トリエチルホスフェート((CHCHPO)、及びトリプロピルホスフェート((CHCHCHPO)が挙げられるがこれらに限定されない。実際のまたは認識されている環境問題を有するアルキルホスフェート、例えば、ジメチルホスフェート((CHHPO)及びトリメチルホスフェート((CHPO)は、この発明の実施において使用するのに好ましくない。
【0025】
グリコールエーテル
この発明の一実施形態では、溶媒系の第2の成分は、非プロトン性グリコールエーテル、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、または他のアルキル、例えば、ブチルグリコールのアルキルエーテルを基礎とするアセチル化またはエーテル化された化合物から本質的になるか、またはそれからなる。これらの化合物は、典型的には、より低い分子量のエーテル及びアルコールの有利な溶媒性質と共に、より高い沸点を有する。代表的な非プロトン性グリコールエーテルとして、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールジアセテート、ジエチレングリコールn−ブチルエーテルアセテート、及びジプロピレングリコールメチルエーテルアセテートが挙げられるがこれらに限定されない。対照的に、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、及びトリプロピレングリコールモノメチルエーテルなどのプロトン性溶媒は、溶媒系の非プロトン性成分が作製される製造プロセスの残留物としてのみ、少量でのみ、例えば、溶媒系中の非プロトン性及びプロトン性化合物の組み合わされた重量を基準として1重量%以下(≦1重量%)でこの発明の溶媒系中に存在する。プロトン性溶媒は、PAAを作製するプロセスの二無水物試薬、例えば、モノマーと反応するそれらの傾向により好ましくなく、非プロトン性溶媒を使用して作製されたPAAと比較してより低い分子量またはより低い固有粘度のPAAをもたらす傾向がある。
【0026】
第2の成分は、1つ以上の非プロトン性グリコールエーテルから本質的になるか、またはそれらからなることができる。一実施形態では、第2の成分は、1つの非プロトン性グリコールエーテルからなる。一実施形態では、第2の成分は、2つ以上の非プロトン性グリコールエーテルから本質的になるか、またはそれらからなる。一実施形態では、第2の成分は、非プロトン性エチレングリコールアルキルエーテルである。一実施形態では、第2の成分は、非プロトン性プロピレングリコールアルキルエーテルである。一実施形態では、非プロトン性エチレンまたはプロピレングリコールエーテルのアルキル成分は、1〜12個、または2〜10個、または3〜8個の炭素原子のアルキル基である。一実施形態では、第2の成分は、エチレングリコールn−ブチルエーテルアセテート(CAS#112−07−02)からなるか、またはそれである。一実施形態では、第2の成分は、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(CAS#108−65−6)からなるか、またはそれである。一実施形態では、第2の成分は、ジプロピレングリコールジメチルエーテル(CAS番号111109−77−4)からなるか、またはそれである。この発明の実施において使用することができる市販の非プロトン性グリコールエーテルとして、DOWANOL(商標)PMA(プロピレングリコールメチルエーテルアセテート)、DOWANOL(商標)DPMA(ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート)、DOWANOL(商標)PGDA(プロピレングリコールジアセテート、ブチルCELLOSOLVE(商標)アセテート(エチレングリコールn−ブチルエーテルアセテート)、ブチルCARBITOL(商標)アセテート(ジエチレングリコールn−ブチルエーテルアセテート)、及びPROGLYDE(商標)DMM(ジプロピレングリコールジメチルエーテル)が挙げられ、全てThe Dow Chemical Companyから入手可能である。
【0027】
一実施形態において、第2の成分は、DMSO(CAS番号67−68−5)からなるか、またはそれである。一実施形態では、第2の成分は、トリエチルホスフェート(CAS番号78−40−0)からなるか、またはそれである。一実施形態では、第2の成分は、エチレングリコールブチルエーテルアセテートからなるか、またはそれである。一実施形態では、第2の成分は、プロピレングリコールメチルエーテルアセテートからなるか、またはそれである。一実施形態では、第2の成分は、ジプロピレングリコールジメチルエーテル(CAS番号111109−77−4)からなるか、またはそれである。一実施形態では、第2の成分は、(i)DMSO、及び(ii)トリエチルホスフェート、またはエチレングリコールn−ブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、及びジプロピレングリコールジメチルエーテルのうちの少なくとも1つから本質的になるか、またはそれらからなる。一実施形態では、第2の成分は、(i)トリエチルホスフェート、及び(ii)DMSO、またはエチレングリコールn−ブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、及びジプロピレングリコールジメチルエーテルのうちの少なくとも1つから本質的になるか、またはそれらからなる。一実施形態では、第2の成分は、(i)エチレングリコールn−ブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテル、及びジプロピレングリコールジメチルエーテルのうちの少なくとも1つ、及び(ii)DMSO及びトリエチルホスフェートのうちの少なくとも1つから本質的になるか、またはそれらからなる。
【0028】
実施形態
一実施形態では、溶媒系はDMPAからなる。
【0029】
一実施形態では、溶媒系はDMPA及びスルホキシドからなる。
【0030】
一実施形態では、溶媒系はDMPA及びアルキルホスフェートからなる。
【0031】
一実施形態では、溶媒系はDMPA及びトリアルキルホスフェートからなる。
【0032】
一実施形態では、溶媒系はDMPA及び非プロトン性グリコールエーテルからなる。
【0033】
一実施形態では、溶媒系はDMPA、スルホキシド、及びアルキルホスフェートからなる。
【0034】
一実施形態では、溶媒系はDMPA、スルホキシド、及びグリコールエーテルからなる。
【0035】
一実施形態では、溶媒系はDMPA、アルキルホスフェート、及び非プロトン性グリコールエーテルからなる。
【0036】
一実施形態では、溶媒系はDMPA、スルホキシド、及び非プロトン性グリコールエーテルからなる。
【0037】
一実施形態では、溶媒系はDMPA及びDMSOからなる。
【0038】
一実施形態では、溶媒系はDMPA及びトリエチルホスフェートからなる。
【0039】
一実施形態では、溶媒系は、DMPAと、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールジアセテート、エチレングリコールn−ブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールn−ブチルエーテルアセテート、及びジプロピレングリコールジメチルエーテルのうちの少なくとも1つと、からなる。
【0040】
一実施形態では、溶媒系は、DMPAと、DMSOと、トリエチルホスフェートとからなる。
【0041】
一実施形態では、溶媒系は、DMPAと、DMSOと、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールジアセテート、エチレングリコールn−ブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールn−ブチルエーテルアセテート、及びジプロピレングリコールジメチルエーテルのうちの少なくとも1つと、からなる。
【0042】
一実施形態では、溶媒系は、DMPAと、トリエチルホスフェートと、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールジアセテート、エチレングリコールn−ブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールn−ブチルエーテルアセテート、及びジプロピレングリコールジメチルエーテルのうちの少なくとも1つと、からなる。
【0043】
一実施形態では、溶媒系は、DMPAと、DMSOと、トリエチルホスフェートと、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールジアセテート、エチレングリコールn−ブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールn−ブチルエーテルアセテート、及びジプロピレングリコールジメチルエーテルのうちの少なくとも1つと、からなる。
【0044】
一実施形態では、溶媒系は、溶媒系の重量を基準として重量百分率(重量%)で、10〜100重量%、または20〜80重量%、または30〜70重量%、または40〜60重量%の第1の成分と、0〜90重量%、または20〜80重量%、または30〜70重量%、または40〜60重量%の第2の成分とからなるか、またはそれらから本質的になる。
【0045】
一実施形態では、溶媒系は、溶媒系の重量を基準として重量百分率(重量%)で、10〜100重量%、または20〜80重量%、または40〜60重量%のDMPAと、0〜90重量%、または20〜80重量%、または40〜60重量%のスルホキシド及びアルキルホスフェートのうちの1つ以上とからなるか、またはそれらから本質的になる。
【0046】
一実施形態では、溶媒系は、溶媒系の重量を基準として重量百分率(重量%)で、30〜100重量%、または40〜90重量%、または45〜65重量%のDMPAと、0〜70重量%、または10〜60重量%、または35〜55重量%のグリコールエーテルとからなるか、またはそれらから本質的になる。
【0047】
一実施形態では、溶媒系は、溶媒系の重量を基準として重量百分率(重量%)で、30〜100重量%、または40〜90重量%、または45〜65重量%のDMPAと、0〜70重量%、または10〜60重量%、または35〜55重量%の、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールジアセテート、エチレングリコールn−ブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールn−ブチルエーテルアセテート、及びジプロピレングリコールジメチルエーテルのうちの少なくとも1つとからなるか、またはそれらから本質的になる。
【0048】
一実施形態では、溶媒系は、溶媒系の重量を基準として重量百分率(重量%)で、10〜100重量%、または20〜80重量%、または40〜60重量%のDMPAと、0〜90重量%、または20〜80重量%、または40〜60重量%のDMSOとからなるか、またはそれらから本質的になる。
【0049】
一実施形態では、溶媒系は、溶媒系の重量を基準として重量百分率(重量%)で、10〜100重量%、または20〜80重量%、または40〜60重量%のDMPAと、0〜90重量%、または20〜80重量%、または40〜60重量%のトリエチルホスフェートとからなるか、またはそれらから本質的になる。
【0050】
第1及び/または第2の成分が1つを超える物質からなる実施形態では、例えば、第1の成分がDMPAから本質的になり、第2の成分がDMSO、トリエチルホスフェート、及び1つ以上の非プロトン性グリコールエーテルのうちの2つ以上から本質的になる実施形態では、特定の成分中の各物質の量は、広くかつ便宜的に変化し得る。成分中の各個々の物質の量は、成分の重量を基準として、0〜100重量%、または1〜99重量%、または10〜90重量%、または20〜80重量%、または30〜70重量%、または40〜60重量%、または50重量%で変化し得る。
【0051】
この発明の溶媒系の実行性に必須ではないが、含まれ得る任意の材料として、酸化防止剤、着色剤、水捕捉剤、安定化剤、充填剤、希釈剤(例えば、芳香族炭化水素)等が挙げられる。これらの物質は、PI及び/またはPAAの合成のための反応媒体を提供するための溶媒系の有効性にいかなる重要な影響も及ぼさない。これらの任意の材料は、溶媒系の重量を基準として、既知の量、例えば、0.10〜5、または4、または3、または2、または1重量パーセントで使用され、それらは既知の方法で使用される。
【0052】
溶媒系の調製
2つ以上の化合物、例えば、DMPA及びDMSO、及び/またはトリエチルホスフェート、及び/または非プロトン性グリコールエーテルからなるか、またはそれらから本質的になるこの発明の溶媒系は、既知の機器及び既知の技術を使用して作製される。溶媒系の個々の成分は、商業的に入手可能であり、周囲条件(23℃及び大気圧)で液体であり、従来の混合機器及び標準的なブレンドプロトコルを使用して互いに単純に混合することができる。成分は、同時を含む互いにいずれの順序でも添加することができる。
【0053】
溶媒系の使用
この発明の溶媒系は、エコ溶媒である。すなわち、それらはNMPに関連する毒物学的問題を有しないか、または低下したレベルで有する。これらの溶媒系は、PAA及びPIの合成のための媒体として、NMPまたは他の極性非プロトン性溶媒と同じ方法で使用される。
【0054】
以下の実施例は、本発明の非限定的な説明である。
【実施例】
【0055】
PAA合成
以下の反応スキームは、この発明の溶媒系を使用することができるPAA合成の非限定的な代表的説明である。
【0056】
【化1】
【0057】
このスキームは、例示的な繰り返し単位を有するピロメリット酸二無水物(PMDA)/4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(ODA)系PAAポリマーを生成するための単純な反応メカニズムを示している。説明されたこの重縮合反応を介して重合して異なる性質を有する異なる用途用のPAA及び/またはPIポリマーを生成することができる多くの異なるタイプの二無水物モノマー及びジアミンモノマーが存在する。
【0058】
この発明の実施に使用することができるピロメリット酸二無水物以外の他の環状テトラカルボン酸二無水物として、Rが非置換または置換の脂肪族または芳香族基である式Iによって表されるものが挙げられるがこれらに限定されない。
【0059】
【化2】
【0060】
式Iの代表的な環状テトラカルボン酸二無水物として、3,3’4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)−ジフタル酸無水物、3,3’4,4’−ベンゾフェノン−テトラカルボン酸二無水物,1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、3,3’、4,4’−ジフェニル−スルホンテトラカルボン酸二無水物、オキシジフタル酸二無水物など(米国特許第9,346,927号において特定されているものなど)が挙げられるがこれらに限定されない。
【0061】
この発明の実施において使用することができる4,4’−ジアミノジフェニルエーテル以外の他のジアミンモノマーとして、R’が非置換または置換の脂肪族または芳香族基である式IIによって表されるものが挙げられるがこれらに限定されない。
【化3】
【0062】
好ましくは、R’は、非置換または置換の芳香族基である。代表的なジアミンとして、3,4’−ジアミノフェニルエーテル、1,3−フェニレンジアミン、1,4−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、2,4−ジアミノ−トルエン、4,4’−ジアミノ−ジフェニルメタン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,4−ビス(3−アミノ−フェノキシ)ベンゼン、3,3’−ジメチルベンジジンなど(米国特許第9,346,927号において特定されているものなど)が挙げられるがこれらに限定されない。
【0063】
式IIIは、この発明の溶媒系を使用する、式Iの環状テトラカルボン酸二無水物と式IIのジアミンとの反応から生成することができる様々なポリマーの繰り返し単位の代表である。
【0064】
【化4】
【0065】
一実施形態では、PAAポリマーは熱的に変換され、例えば、加熱されてPIポリマーとなる。一実施形態では、PAAは化学的に変換され、例えば、PAAポリマーは無水酢酸などの閉環/脱水イミド化剤と塩基触媒で反応してPIポリマーとなる。一実施形態では、PAAポリマーは、熱的及び化学的技術の組み合わせ、例えば、昇温下におけるPAAポリマーとイミド化剤との反応を使用して、PIポリマーに変換される。PIポリマーのためのイミド化試薬及び合成条件は、当技術分野において周知であり、他の刊行物の中では、米国特許第3,410,826号、第5,789,524号、及び第5,919,892号に記載されている。
【0066】
固有粘度
固有粘度ηinh(対数粘度数としても知られている)は、方程式
【0067】
【数1】
【0068】
から測定及び計算される。
式中、tは、ウベローデ粘度計管内の30.0℃におけるポリマー溶液の流動時間(秒)であり、「to」は、30.0℃で測定した1−メチル−2−ピロリジノンのポリマー希釈溶媒の流動時間(秒)(ポリマー溶液に使用したのと同じウベローデ粘度計管内)であり、cは、0.10グラム/デシリットル(g/dL)の濃度でのポリマー希釈溶媒中のポリマーの濃度である。本実施例のηinhについて、ポリアミド酸溶液のアリコットを容量フラスコに秤量し、1−メチル−2−ピロリジノンで、20℃で希釈し、0.10g/dLの濃度で測定用ポリマー溶液を提供する。希薄溶液の粘度測定としての固有粘度は、より高い分子量を示すより大きなηinh値で調製されたポリアミド酸の分子量を示している。NMPに対する良好な代替的重合溶媒系は、NMPにおける対照の重合と同等(90%以上)かそれより大きいηinhがもたらされるべきである。
【0069】
バルク溶液の粘度測定のために、調製された13重量%ポリアミド酸溶液のアリコットを使用して、ブルックフィールドDV−IIIウルトラレオメータ(Brookfield Engineering Laboratories,Middleboro,Massachusetts,米国)上のブルックフィールドLVスピンドル63に浸漬し、20℃及び10rpmのスピンドル速度でバルク溶液の粘度をセンチポイズ(cP)で測定した。バルク溶液の粘度測定は、ポリアミド酸の重量パーセント、ポリアミド酸の分子量、及びポリマーが溶媒とどのように相互作用するのかを反映している。NMPに対する代替溶媒中の同じ程度の重量パーセントの固体及び同じ程度の分子量のポリアミド酸溶液は、好ましくはNMPで測定されたものの3倍以下、より好ましくはNMPで測定されたものの2倍以下、更により好ましくはNMPで測定されたものと同等またはそれ未満のバルク粘度を有する。
【0070】
比較例1:N−メチルピロリジノン中13重量%のポリ(アミド酸)
ディーン−スターク型トラップ及び冷却器を用いて、窒素掃引下、磁気的に撹拌される3つ口の100mL丸底フラスコに1−メチル−2−ピロリジノン(50mL)及びトルエン(10mL)を装填する。トルエン(10mL)をディーン−スターク型トラップに蒸留し、ディーン−スタークトラップ及び冷却器を除去し、正の窒素下にフラスコを置いて、排出する。4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(3.676g、18.36mmol)をフラスコに添加し、室温で溶解させる。昇華したピロメリット酸二無水物(3.924g、17.99mmol)及び昇華したマレイン酸無水物(0.072g、0.73mmol)を、オーバーヘッド攪拌を開始してフラスコに添加する。室温で44時間の反応時間後、ポリ(アミド酸)の固有粘度=1.04dL/g(1−メチル−2−ピロリジノン、0.10g/dL、30.0℃)及びバルク溶液粘度=2699センチポアズ(20℃、LVスピンドル63を有するブルックフィールドDV−IIIウルトラで10rpm)。
【0071】
比較例2:ジメチルスルホキシド中13重量%のポリ(アミド酸)
正の窒素下で、磁気的に撹拌される3つ口の100mL丸底フラスコに無水ジメチルスルホキシド(46.7mL)を注入する。4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(3.676g、18.36mmol)をフラスコに添加し、室温で溶解させる。昇華したピロメリット酸二無水物(3.924g、17.99mmol)及び昇華したマレイン酸無水物(0.072g、0.73mmol)を、オーバーヘッド攪拌を開始してフラスコに添加する。室温で44時間の反応時間後、ポリ(アミド酸)の固有粘度=1.12dL/g(1−メチル−2−ピロリジノン、0.10g/dL、30.0℃)及びバルク溶液粘度=4043センチポアズ(20℃、LVスピンドル63を有するブルックフィールドDV−IIIウルトラで10rpm)。
【0072】
比較例3:トリエチルホスフェート中13重量%のポリ(アミド酸)
ディーン−スターク型トラップ及び冷却器を用いて、窒素掃引下、磁気的に撹拌される3つ口の100mL丸底フラスコにトリエチルホスフェート(47.9mL)及びトルエン(10mL)を装填する。トルエン(10mL)をディーン−スターク型トラップに蒸留し、ディーン−スタークトラップ及び冷却器を除去し、正の窒素下にフラスコを置いて、排出する。4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(3.676g、18.36mmol)をフラスコに添加し、室温で溶解させる。昇華したピロメリット酸二無水物(3.924g、17.99mmol)及び昇華したマレイン酸無水物(0.072g、0.73mmol)を、オーバーヘッド攪拌を開始してフラスコに添加する。室温で44時間の反応時間後、ポリ(アミド酸)の固有粘度=1.15dL/g(1−メチル−2−ピロリジノン、0.10g/dL、30.0℃)及びバルク溶液粘度=5915センチポアズ(20℃、LVスピンドル63を有するブルックフィールドDV−IIIウルトラで10rpm)。
【0073】
実施例1:DMPA中13重量%のポリ(アミド酸)
ディーン−スターク型トラップ及び冷却器を用いて、窒素掃引下、磁気的に撹拌される3つ口の100mL丸底フラスコにN,N−ジメチルプロピオンアミド(45mL)及びトルエン(10mL)を装填する。トルエン(10mL)をディーン−スターク型トラップに蒸留し、ディーン−スタークトラップ及び冷却器を除去し、正の窒素下にフラスコを置いて、排出する。4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(2.964g、14.80mmol)をフラスコに添加し、室温で溶解させる。昇華したピロメリット酸二無水物(3.164g、14.51mmol)及び昇華したマレイン酸無水物(0.058g、0.59mmol)を、オーバーヘッド攪拌を開始してフラスコに添加する。室温で44時間の反応時間後、ポリ(アミド酸)の固有粘度=1.15dL/g(1−メチル−2−ピロリジノン、0.10g/dL、30.0℃)及びバルク溶液粘度=1272センチポアズ(20℃、LVスピンドル63を有するブルックフィールドDV−IIIウルトラで10rpm)。
【0074】
実施例2:DMPA及びDOWANOL(商標)PMA中13重量%のポリ(アミド酸)
ディーン−スターク型トラップ及び冷却器を用いて、窒素掃引下、磁気的に撹拌される3つ口の100mL丸底フラスコにN,N−ジメチルプロピオンアミド(25mL)及びDOWANOL(商標)PMA/プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(35mL)を装填する。DOWANOL(商標)PMA(10mL)をディーン−スターク型トラップに蒸留し、ディーン−スタークトラップ及び冷却器を除去し、正の窒素下にフラスコを置いて、排出する。4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(3.378g、16.87mmol)をフラスコに添加し、室温で溶解させる。昇華したピロメリット酸二無水物(3.606g、16.53mmol)及び昇華したマレイン酸無水物(0.066g、0.67mmol)を、オーバーヘッド攪拌を開始してフラスコに添加する。室温で44時間の反応時間後、ポリ(アミド酸)の固有粘度=1.26dL/g(1−メチル−2−ピロリジノン、0.10g/dL、30.0℃)及びバルク溶液粘度=4647センチポアズ(20℃、LVスピンドル63を有するブルックフィールドDV−IIIウルトラで10rpm)。
【0075】
実施例3:トリエチルホスフェート及びDMPA中13重量%のポリ(アミド酸)
ディーン−スターク型トラップ及び冷却器を用いて、窒素掃引下、磁気的に撹拌される3つ口の100mL丸底フラスコにトリエチルホスフェート(25mL)、N,N−ジメチルプロピオンアミド(25mL)、及びトルエン(10mL)を装填する。トルエン(10mL)をディーン−スターク型トラップに蒸留し、ディーン−スタークトラップ及び冷却器を除去し、正の窒素下にフラスコを置いて、排出する。4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(3.565g、17.80mmol)をフラスコに添加し、室温で溶解させる。昇華したピロメリット酸二無水物(3.806g、17.45mmol)及び昇華したマレイン酸無水物(0.070g、0.71mmol)を、オーバーヘッド攪拌を開始してフラスコに添加する。室温で44時間の反応時間後、ポリ(アミド酸)の固有粘度=1.26dL/g(1−メチル−2−ピロリジノン、0.10g/dL、30.0℃)及びバルク溶液粘度=2687センチポアズ(20℃、LVスピンドル63を有するブルックフィールドDV−IIIウルトラで10rpm)。
【0076】
実施例4:DMPA及びDMSO中13重量%のポリ(アミド酸)
ディーン−スターク型トラップ及び冷却器を用いて、窒素掃引下、磁気的に撹拌される3つ口の100mL丸底フラスコにN,N−ジメチルプロピオンアミド(25mL)、及びトルエン(5mL)を装填する。トルエン(5mL)をディーン−スターク型トラップに蒸留し、ディーン−スタークトラップ及び冷却器を除去し、正の窒素下にフラスコを置いて、排出する。無水ジメチルスルホキシド(25mL)をフラスコに注入する。4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(3.616g、18.06mmol)を室温のフラスコに添加し、室温で溶解させる。昇華したピロメリット酸二無水物(3.860g、17.70mmol)及び昇華したマレイン酸無水物(0.070g、0.71mmol)を、オーバーヘッド攪拌を開始してフラスコに添加する。室温で44時間の反応時間後、ポリ(アミド酸)の固有粘度=1.20dL/g(1−メチル−2−ピロリジノン、0.10°/dL、30.0℃)及びバルク溶液粘度=1560センチポアズ(20℃、LVスピンドル63を有するブルックフィールドDV−IIIウルトラで10rpm)。
【0077】
実施例5:DMPA及びブチルCELLOSOLVE(商標)アセテート中13重量%のポリ(アミド酸)
ディーン−スターク型トラップ及び冷却器を用いて、窒素掃引下、磁気的に撹拌される3つ口の100mL丸底フラスコにブチルCELLOSOLVE(商標)アセテート(17.5mL)、N,N−ジメチルプロピオンアミド(32.5mL)、及びトルエン(10mL)を装填する。トルエン(10mL)をディーン−スターク型トラップに蒸留し、ディーン−スタークトラップ及び冷却器を除去し、正の窒素下にフラスコを置いて、排出する。4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(3.316g、16.56mmol)を室温のフラスコに添加し、室温で溶解させる。昇華したピロメリット酸二無水物(3.540g、16.23mmol)及び昇華したマレイン酸無水物(0.065g、0.66mmol)を、オーバーヘッド攪拌を開始してフラスコに添加する。室温で44時間の反応時間後、ポリ(アミド酸)の固有粘度=1.33dL/g(1−メチル−2−ピロリジノン、0.10g/dL、30.0℃)及びバルク溶液粘度=3299センチポアズ(20℃、LVスピンドル63を有するブルックフィールドDV−IIIウルトラで10rpm)。
【0078】
【表1】
【0079】
表の本発明の溶媒は、NMPの対照重合と同じ時間、温度、モノマー比化学量論、及び固体装填量の反応条件下で、本発明の溶媒が、同じ程度のまたはより高い分子量(MW)をもたらし、また場合によっては、より高い分子量にもかかわらず、より低いバルク溶液粘度値を有する。
【0080】
DMPAは、NMPと比較して、合成されたPAAの分子量が同等またはより高いことを示している。しかしながら、PAA溶液のバルク粘度は、PAA溶液のバルク粘度を制御するための添加剤を添加することなく、NMPよりもはるかに低い。バルク粘度及び表面張力の両方を低下させることにより、その後のコーティングまたは製膜プロセスにとっての利点が提供される。
【0081】
DMPAと、TEP及びDMSOのような他の極性非プロトン性溶媒とのブレンドは、NMPと比較して、合成されたPAAの分子量が同等またはより高いことを示している。ブレンドのバルク粘度はより低いか同等であり、同じ程度の分子量でより低いバルク粘度を有する場合の柔軟性を提供して下流の加工を容易にし(また、コストを削減し)または比較例よりも高いポリマー溶液装填が可能となる。
【0082】
DMPAと、DOWANOL(商標)PMA及びブチルCELLOSOLVE(商標)アセテートのような非プロトン性溶媒とのブレンドもまた、NMPと比較して、合成されたPAAのMWが同等またはより高いことを示している。しかしながら、そのPAA溶液のバルク粘度は、NMPを用いて調製されたPAAよりも高い。バルク粘度は、反応中の分子量制御及び/またはPAA溶液のバルク粘度を低下させるための添加剤として粘度希釈剤を添加することを介して制御することができる。これらの混合/ブレンド溶媒系は、コーティング/フィルムを作製するための、より容易なキャスティング/スピンコーティング、より容易な蒸発、より良好な色、より良好な/より速い加工などの下流の加工に対して利点を提供するが、これは非プロトン性グリコールエーテルの特質に起因するものであり、その非プロトン性グリコールエーテルの特質は、粘度、溶解性パラメータ、揮発性/蒸発速度などのいずれかにかかわらず、それらの性質/特質に関連する。

【国際調査報告】