(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】2019531933
(43)【公表日】20191107
(54)【発明の名称】高粘着力を有する多層延伸フィルムおよびその方法
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/32 20060101AFI20191011BHJP
   B65D 65/40 20060101ALI20191011BHJP
   C08F 210/06 20060101ALI20191011BHJP
【FI】
   !B32B27/32 E
   !B65D65/40 D
   !C08F210/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】41
(21)【出願番号】2019515822
(86)(22)【出願日】20170911
(85)【翻訳文提出日】20190419
(86)【国際出願番号】US2017050892
(87)【国際公開番号】WO2018063782
(87)【国際公開日】20180405
(31)【優先権主張番号】62/401,396
(32)【優先日】20160929
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/403,253
(32)【優先日】20161003
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
【住所又は居所】アメリカ合衆国 ミシガン州 48674,ミッドランド,ダウ センター 2040
(71)【出願人】
【識別番号】516370305
【氏名又は名称】ピービービー ポリシャー エス.アール.エル.
【住所又は居所】アルゼンチン共和国 シー1107シーピージー ブエノスアイレス ブールバード・セシリア・グリアーソン 355−ピソ 25
(71)【出願人】
【識別番号】517222199
【氏名又は名称】ダウ キミカ デ コロンビア ソシエダ・アノニマ
【住所又は居所】コロンビア共和国 ボゴタ・ディーシー エディフィシオ・ブリッケル センター ディアゴナル 92エヌ 17エイ−42ピー.7
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】マルロス・ジュンティーニ・デ・オリヴェイラ
【住所又は居所】ブラジル共和国 サンパウロ 04794−000 ダイアモンド・タワー シクスス・フロア
(72)【発明者】
【氏名】テレサ・ピー・カージャラ
【住所又は居所】アメリカ合衆国 テキサス州 77566 レイク・ジャクソン アブナー・ジャクソン・パークウェイ 230 ハーバート・エイチ・ダウ・ビルディング/4ビー162
(72)【発明者】
【氏名】ムスタファ・ビルゲン
【住所又は居所】アメリカ合衆国 テキサス州 77578 マンヴェル オークランド・パーク・ドライブ 24
(72)【発明者】
【氏名】ジョージ・カミネロ・ゴメス
【住所又は居所】ブラジル連邦共和国 ジュンディアイ 13214−730 アベニュー・アンドレー・コスタ 2201 パック・スタジオス
(72)【発明者】
【氏名】マキシミリアーノ・ザネッティ
【住所又は居所】アルゼンチン共和国 シー1107シーピージー ブエノスアイレス ブールバード・セシリア・グリアーソン 355 ディケ・アイヴイ ピソ・25−プエルト・マデロ
(72)【発明者】
【氏名】ミゲル・エイ・モラーノ・ニアンピラ
【住所又は居所】コロンビア共和国 ボゴタ 11001000 ディアゴナル 92 ナンバー17エイ−42 ピソ・7
(72)【発明者】
【氏名】ジョージ・マリオ・ロドリゲス・カメロ
【住所又は居所】コロンビア共和国 ボゴタ 11001000 ディアゴナル 92 ナンバー17エイ−42 ピソ・7
(72)【発明者】
【氏名】カミラ・ドゥ・ヴァレ
【住所又は居所】ブラジル共和国 サンパウロ 04794−000 ダイアモンド・タワー シクスス・フロア
(72)【発明者】
【氏名】ギレルモ・エイ・ライモンディ
【住所又は居所】アルゼンチン共和国 シー1107シーピージー ブエノスアイレス グリアーソン 355 ピソ・25−ディケ・アイヴイ プエルト−マデロ−キャピタル・フェデラル
【テーマコード(参考)】
3E086
4F100
4J100
【Fターム(参考)】
3E086AB02
3E086AD01
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4F100CB05A
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4J100DA42
4J100FA08
4J100JA58
(57)【要約】
本明細書に開示される実施形態は、粘着層、コア層、および剥離層を有する多層フィルムを含み、粘着層は、プロピレンインターポリマーを含み、コア層は、コア層ポリエチレン組成物を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粘着層、コア層、および剥離層を含む多層キャストフィルムであって、
前記粘着層は、少なくとも60重量%のプロピレンから誘導される単位および1〜40重量%のエチレンから誘導される単位を含むプロピレンインターポリマーを含み、前記プロピレンインターポリマーは、0.840g/cm〜0.900g/cmの密度、50.0℃〜120.0℃の最高DSC融解ピーク温度、ASTM D1238に従って230℃および2.16kg荷重で測定したときに1〜100g/10分のメルトフローレートMFR2、ならびに4.0未満の分子量分布(MWD)を有し、
前記コア層は、エチレンと任意選択で1種以上のアルファオレフィンコモノマーとの反応生成物を含むコア層ポリエチレン組成物を含み、前記コア層ポリエチレン組成物は、以下の特性:
(a)2.5〜12.0g/10分のメルトインデックスI2、
(b)0.910〜0.925g/ccの密度、
(c)6.0〜7.6のメルトフロー比I10/I2、および
(d)2.25〜4.0の分子量分布(Mw/Mn)、のうちの1つ以上を特徴とする、多層キャストフィルム。
【請求項2】
前記プロピレンインターポリマーは、0.5%〜45%の範囲の結晶化度パーセントを有する、請求項1に記載のフィルム。
【請求項3】
前記プロピレンインターポリマーは、少なくとも50,000グラム/モル(g/mol)の重量平均分子量(Mw)を有する、請求項1または2に記載のフィルム。
【請求項4】
前記粘着層は、エチレンと任意選択で1種以上のアルファオレフィンコモノマーとの反応生成物を含む粘着層ポリエチレン組成物をさらに含み、前記粘着層ポリエチレン組成物は、以下の特性:
(a)2.5〜12.0g/10分のメルトインデックスI2、
(b)0.910〜0.925g/ccの密度、
(c)6.0〜7.6のメルトフロー比I10/I2、および
(d)2.25〜4.0の分子量分布(Mw/Mn)、のうちの1つ以上を特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載のフィルム。
【請求項5】
前記剥離層は、エチレンと任意選択で1種以上のアルファオレフィンコモノマーとの反応生成物を含む直鎖状低密度ポリエチレンまたは剥離層ポリエチレン組成物を含み、前記剥離層ポリエチレン組成物は、以下の特性:
(a)2.5〜12.0g/10分のメルトインデックスI2、
(b)0.910〜0.925g/ccの密度、
(c)6.0〜7.6のメルトフロー比I10/I2、および
(d)2.25〜4.0の分子量分布(Mw/Mn)、のうちの1つ以上を特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載のフィルム。
【請求項6】
前記コア層ポリエチレン組成物は、溶液重合を介して、多元金属プロ触媒を含む触媒組成物の存在下で形成される、請求項1〜5に記載のフィルム。
【請求項7】
前記コア層ポリエチレン組成物は、60%未満または40%〜60%のCDBIを有する、請求項1〜6のいずれか一項に記載のフィルム。
【請求項8】
前記コア層ポリエチレン組成物は、2.6〜3.5の分子量分布(Mw/Mn)を有する、請求項1〜7のいずれか一項に記載のフィルム。
【請求項9】
前記コア層ポリエチレン組成物は、2〜6または2.0〜2.9の粘度比(0.1rad/sでの粘度/100rad/sでの粘度、両方とも動的機械分光法を使用して190℃で測定)を有する、請求項1〜8のいずれか一項に記載のフィルム。
【請求項10】
多層キャストフィルムを作製する方法であって、
粘着層組成物、コア層組成物、および剥離層組成物を共押出して多層キャストフィルムを形成することを含み、
前記粘着層組成物は、少なくとも60重量%のプロピレンから誘導される単位および1〜40重量%のエチレンから誘導される単位を含むプロピレンインターポリマーを含み、前記プロピレンインターポリマーは、0.840g/cm〜0.900g/cmの密度、50.0℃〜120.0℃の最高DSC融解ピーク温度、ASTM D1238に従って230℃および2.16kg荷重で測定したときに1〜100g/10分のメルトフローレートMFR2、ならびに4.0未満の分子量分布(MWD)を有し、
前記コア層組成物は、エチレンと任意選択で1種以上のアルファオレフィンコモノマーとの反応生成物を含むコア層ポリエチレン組成物を含み、前記コア層ポリエチレン組成物は、以下の特性:
(a)2.5〜12.0g/10分のメルトインデックスI2、
(b)0.910〜0.925g/ccの密度、
(c)6.0〜7.6のメルトフロー比I10/I2、および
(d)2.25〜4.0の分子量分布(Mw/Mn)、のうちの1つ以上を特徴とし、
前記剥離層組成物は、エチレンと任意選択で1種以上のアルファオレフィンコモノマーとの反応生成物を含む直鎖状低密度ポリエチレンまたは剥離層ポリエチレン組成物を含み、前記剥離層ポリエチレン組成物は、以下の特性:
(a)2.5〜12.0g/10分のメルトインデックスI2、
(b)0.910〜0.925g/ccの密度、
(c)6.0〜7.6のメルトフロー比I10/I2、および
(d)2.25〜4.0の分子量分布(Mw/Mn)、のうちの1つ以上を特徴とする、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、概して、多層延伸フィルムに関し、より具体的には、高粘着力を有する多層延伸フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
多層フィルムは多くの場合、包装に使用され、草および干し草などの大量の農場資材から、肉および野菜などの小さい食料品店の品物など様々な品物を包装し得る。これらの品物の全てについて、一般に、フィルムがフィルム自体および/またはそのフィルムで包まれる物品に剥離可能に接着することができるように、十分なレベルのタックまたは粘着性を有する、頑丈で伸縮性があるフィルムを有することが望ましい。
【0003】
粘着性は、延伸フィルムの重要な性能要件の1つである。所望のレベルの粘着性を達成するために、添加剤を粘着層内に組み込んで粘着層のタックを改善し得る。しかしながら、そのような添加剤を含むフィルムは、ベース樹脂と比較してコストが高い可能性があり、延伸フィルムの全体的なコストに大きな影響を及ぼす場合がある。加えて、そのような添加剤を含むフィルムは1)高速包装機上で利用されるとき、フィルムロールから解くときに過度に騒々しい、2)熟成期間中に添加剤がフィルムの表面に移動する(すなわち、ブルーム(bloom)させる)ように、一定期間熟成させる必要がある、3)加工装置を汚染する、および4)片面の粘着が所望されるとき、両面の粘着を生じるなどの1つ以上の欠点を有し得る。さらに、そのような添加剤は、該添加剤が液体形態で、加工装置から過度に滴るとき、過度の取り扱いの問題を引き起こし得る。
【0004】
多層フィルムは、より高いレベルのタックまたは粘着性を達成するために高レベルのエチレン/アルファ−オレフィンエラストマーも組み込み得るが、エチレン/アルファ−オレフィンエラストマーは、多層フィルムを非常に高価なものにし得る。
【0005】
したがって、代替の多層フィルムは、高粘着性などの改善された特性を有する一方で、費用対効果も高く、および/またはキャストフィルム技術を使用して製作するのが比較的容易でもあることが所望され得る。
【発明の概要】
【0006】
本明細書の実施形態において多層キャストフィルムを開示する。多層キャストフィルムは、粘着層、コア層、および剥離層を有し、粘着層は、少なくとも60重量%のプロピレンから誘導される単位および1〜40重量%のエチレンから誘導される単位を含むプロピレンインターポリマーを含み、プロピレンインターポリマーは、0.840g/cm〜0.900g/cmの密度、50.0℃〜120.0℃の最高DSC融解ピーク温度、ASTM D1238に従って230℃および2.16kg荷重で測定したときに1〜100g/10分のメルトフローレートMFR2、ならびに4.0未満の分子量分布(MWD)を有し、コア層は、エチレンと任意選択で1種以上のアルファオレフィンコモノマーとの反応生成物を含むコア層ポリエチレン組成物を含み、コア層ポリエチレン組成物は、以下の特性:(a)2.5〜12.0g/10分のメルトインデックスI2、(b)0.910〜0.925g/ccの密度、(c)6.0〜7.6のメルトフロー比I10/I2、および(d)2.25〜4.0の分子量分布(Mw/Mn)、のうちの1つ以上を特徴とする。
【0007】
本明細書の実施形態において多層フィルムを作製する方法もまた開示する。方法は、粘着層組成物、コア層組成物、および剥離層組成物を共押出して多層キャストフィルムを形成することを含み、粘着層組成物は、少なくとも60重量%のプロピレンから誘導される単位および1〜40重量%のエチレンから誘導される単位を含むプロピレンインターポリマーを含み、プロピレンインターポリマーは、0.840g/cm〜0.900g/cmの密度、50.0℃〜120.0℃の最高DSC融解ピーク温度、ASTM D1238に従って230℃および2.16kg荷重で測定したときに1〜100g/10分のメルトフローレートMFR2、ならびに4.0未満の分子量分布(MWD)を有し、コア層組成物は、エチレンと任意選択で1種以上のアルファオレフィンコモノマーとの反応生成物を含むコア層ポリエチレン組成物を含み、コア層ポリエチレン組成物は、以下の特性:(a)2.5〜12.0g/10分のメルトインデックスI2、(b)0.910〜0.925g/ccの密度、(c)6.0〜7.6のメルトフロー比I10/I2、および(d)2.25〜4.0の分子量分布(Mw/Mn)、のうちの1つ以上を特徴とし、剥離層組成物は、エチレンと任意選択で1種以上のアルファオレフィンコモノマーとの反応生成物を含む直鎖状低密度ポリエチレンまたは剥離層ポリエチレン組成物を含み、剥離層ポリエチレン組成物は、以下の特性:(a)2.5〜12.0g/10分のメルトインデックスI2、(b)0.910〜0.925g/ccの密度、(c)6.0〜7.6のメルトフロー比I10/I2、および(d)2.25〜4.0の分子量分布(Mw/Mn)、のうちの1つ以上を特徴とする。
【0008】
実施形態の追加の特徴および利点は、以下の発明を実施するための形態に記載され、一部はその説明から当業者に容易に明らかになるか、または以下の発明を実施するための形態、特許請求の範囲を含む本明細書に記載の実施形態を実践することによって認識される。上記および以下の説明の両方は、様々な実施形態を説明し、特許請求された主題の性質および特徴を理解するための概要または枠組みを提供することを意図していることを理解されたい。この説明は、特許請求される主題の原理および動作を説明する役割を果たす。
【発明を実施するための形態】
【0009】
かかるフィルムを作製するために使用される多層キャストフィルムおよび材料の実施形態を詳細に説明する。「多層キャストフィルム」および「多層フィルム」は、本明細書に記載の多層キャストフィルムを指すために本明細書では互換的に使用され得る。多層キャストフィルムは、延伸粘着用途で使用され得る。しかしながら、これは、本明細書に開示された実施形態の例示的な実行に過ぎないことに留意されたい。実施形態は、上述したものと同様の問題の影響を受けやすい他の技術にも適用可能である。例えば、本明細書に記載される多層キャストフィルムは、表面保護フィルム、サイレージラップ等の農業用フィルムとして、またはシュリンクフィルム、丈夫な輸送袋、ライナー、袋、スタンドアップパウチ、洗剤パウチ、小袋などの他の可撓性包装用途で使用され得、これらの全ては、本実施形態の範囲内である。
【0010】
本明細書に記載される実施形態において、多層キャストフィルムは、粘着層、コア層、および剥離層を備える。任意選択として、1つ以上の中間層が、粘着層とコア層との間および/またはコア層と剥離層との間に位置してもよい。粘着層は、多層キャストフィルムの粘着層が物品の表面または剥離層の表面などの表面と接触したとき剥離可能な結合を形成し得るような、十分な接着タックを有する多層キャストフィルムの外側層である。剥離層は、粘着層に対して低接着性を呈する多層キャストフィルムの外側層である。剥離層は、過度の力を加えなくても、またはフィルムを引き裂かなくても、多層キャストフィルムがスプールから解かれ得るように、ロール上の粘着層/剥離層間の界面が分離することを可能にする。
【0011】
粘着層、コア層、および剥離層の厚さは、広い範囲にわたって異なり得る。いくつかの実施形態では、粘着層は、フィルムの全厚の5〜50パーセント、フィルムの全厚の5〜30パーセント、またはさらにはフィルムの全厚の5〜20パーセントである厚さを有し得る。コア層は、フィルムの全厚の20〜90パーセント、フィルムの全厚の30〜90パーセント、フィルムの全厚の50〜90パーセント、またはフィルムの全厚の60〜90パーセントである厚さを有し得る。剥離層は、フィルムの全厚の5〜50パーセント、フィルムの全厚の5〜30パーセント、またはさらにはフィルムの全厚の5〜20パーセントである厚さを有し得る。粘着層、剥離層、およびコア層の間の厚さの比率は、粘着性、剥離性などの所望の特性を提供する任意の比率であり得る。いくつかの実施形態では、多層キャストフィルムは、1:8:1〜3:4:3の範囲の比率の粘着層厚さ、コア層厚さ、および剥離層厚さを有し得る。
【0012】
粘着層
粘着層はプロピレンインターポリマーを含んでもよい。本明細書で使用される場合、「ポリマー」は、同じであるか異なるタイプであるかにかかわらず、モノマーを重合することによって調製されるポリマー化合物を意味する。一般的な用語「インターポリマー」は、「ホモポリマー」、「コポリマー」、「ターポリマー」、ならび「インターポリマー」を包含する。「インターポリマー」は、少なくとも2つの異なるタイプのモノマーの重合によって調製されたポリマーを指す。一般的な用語「インターポリマー」には、用語「コポリマー」(通常は、2つの異なるモノマーから調製されたポリマーを指すために使用される)および用語「ターポリマー」(通常は、3つの異なるタイプのモノマーから調製されたポリマーを指すために使用される)が含まれる。それはまた、4つ以上のタイプのモノマーを重合することによって作製されたポリマーも包含する。
【0013】
プロピレンインターポリマーは、一般に、プロピレン、および2個の炭素原子または4個以上の炭素原子を有するα−オレフィンを含むポリマーを指す。本明細書の実施形態では、プロピレンインターポリマーは、少なくとも60重量%のプロピレンから誘導される単位および1〜40重量%のエチレンから誘導される単位を含む(重合性モノマーの総量に基づいて)。少なくとも60重量%のプロピレンから誘導される単位および1〜40重量%のエチレンから誘導される単位の全ての個々の値および部分範囲は、本明細書に含まれ、開示される。例えば、いくつかの実施形態では、プロピレンインターポリマーは、(a)少なくとも65重量%、少なくとも70重量%、少なくとも75重量%、少なくとも80重量%、少なくとも82重量%、少なくとも85重量%、少なくとも87重量%、少なくとも90重量%、少なくとも92重量%、少なくとも95重量%、少なくとも97重量%、60〜99重量%、60〜99重量%、65〜99重量%、70〜99重量%、75〜99重量%、80〜99重量%、82〜99重量%、84〜99重量%、85〜99重量%、88〜99重量%、80〜97重量%、82〜97重量%、85〜97重量%、88〜97重量%、80〜95.5重量%、82〜95.5重量%、84〜95.5重量%、85〜95.5重量%、または88〜95.5重量%のプロピレンから誘導される単位、および(b)1〜40重量%、例えば1〜35重量%、1〜30重量%、1〜25重量%、1〜20重量%、1〜18重量%、1〜16重量%、1〜15%、1〜12%、3〜20%、3〜18%、3〜16%、3〜15%、3〜12%、4.5〜20%、4.5〜18%、4.5〜16%、4.5〜15重量%、または4.5〜12重量%のエチレンから誘導される単位を含む。コモノマー含量は、核磁気共鳴(「NMR」)分光法に基づく技術などの任意の好適な技術を用いて、例えば、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第7,498,282号に記載のような13C NMR分析によって測定することができる。
【0014】
プロピレンインターポリマーは、任意のプロセスによって作製することができ、ランダムコポリマー、ブロックコポリマー、およびグラフトコポリマーを含む。いくつかの実施形態では、プロピレンインターポリマーは、ランダム構成である。これらには、チーグラー・ナッタ、CGC(拘束幾何触媒)、メタロセン、および非メタロセン、金属中心のヘテロアリール配位子触媒によって作製されたインターポリマーが含まれる。追加の適切な金属錯体は、以下の式に対応する化合物を含み、
【0015】
【化1】
【0016】
20は、水素を含まない5〜20個の原子を含有する芳香族または不活性置換芳香族基、またはそれらの多価誘導体であり、
は、水素を含まない1〜20個の原子を有するヒドロカルビレンまたはシラン基、またはそれらの不活性置換誘導体であり、
は、第4族金属、好ましくはジルコニウムまたはハフニウムであり、
Gは、アニオン性、中性またはジアニオン性配位基であり、好ましくは、水素を含まない20個以下の原子を有するハロゲン化物、ヒドロカルビル、またはジヒドロカルビルアミド基であり、
gは、そのようなG基の数を示す1〜5の数であり、
共有結合および電子供与性相互作用は、それぞれ線および矢印で表される。
【0017】
いくつかの実施形態では、そのような錯体は以下の式に対応し、
【0018】
【化2】
【0019】
は、水素を含まない2〜20個の原子の二価架橋基、好ましくは置換または非置換のC3−6アルキレン基であり、
Arは、それぞれ独立して、水素を含まない6〜20個の原子のアリーレンまたはアルキルもしくはアリール置換アリーレン基であり、
は、第4族金属、好ましくはハフニウムまたはジルコニウムであり、
Gは、それぞれ独立して、アニオン性、中性またはジアニオン性配位基であり、
gは、そのようなX基の数を示す1〜5の数であり、
電子供与性相互作用は、矢印で表されている。
【0020】
前述の式の金属錯体の例としては、下記化合物が挙げられ、
【0021】
【化3】
【0022】
式中、Mは、HfまたはZrであり、
Arは、C6−20アリールまたはその不活性置換誘導体、特に3,5−ジ(イソプロピル)フェニル、カルバゾール、3,5−ジ(イソブチル)フェニル、ジベンゾ−1H−ピロール−1−イル、またはアントラセン−5−イルであり、
4は、それぞれ独立して、C3−6アルキレン基、C3−6シクロアルキレン基、またはそれらの不活性置換誘導体を含み、
21は、それぞれ独立して、水素、ハロ、ヒドロカルビル、トリヒドロカルビルシリル、または水素を含まずに50個以下の原子のトリヒドロカルビルシリルヒドロカルビルであり、
Gは、独立して、各存在が、ハロ、または水素を含まない20個以下の原子のヒドロカルビルまたはトリヒドロカルビルシリル基であるか、または2個のG基が一緒になって、上記のヒドロカルビルまたはトリヒドロカルビルシリル基の二価誘導体である。
【0023】
本発明の範囲を何ら限定するものではないが、本明細書に記載のプロピレンインターポリマーを製造するための1つの手段は以下の通りである。撹拌漕反応器内に、重合されるモノマーを任意の溶媒または希釈剤と共に連続的に導入し、いくつかの実施形態では、溶媒は、ISOPAR(商標)Eなどのアルカン炭化水素溶媒である。反応器は、実質的にモノマーと任意の溶媒または希釈剤および溶解ポリマーとからなる液相を含む。触媒は、共触媒および任意選択で連鎖移動剤と共に、反応器液相またはその任意の再利用部分に、連続的または断続的に導入される。反応器の温度は、溶媒/モノマー比、触媒添加速度を調節することにより、ならびに冷却または加熱コイル、ジャケット、またはその両方を使用することにより、制御され得る。重合速度は、触媒添加速度によって制御される。圧力は、モノマー流量と揮発性成分の分圧によって制御される。ポリマー生成物中のプロピレン含有量は、反応器内のプロピレン対コモノマーの比によって決定され、この比は、これらの成分の反応器へのそれぞれの供給速度を操作することによって制御される。ポリマー生成物の分子量は、任意選択で、温度、モノマー濃度、または前述した連鎖移動剤の流量などの他の重合変数を制御することにより制御される。反応器を出た後、流出物は、水、水蒸気、またはアルコールなどの触媒停止剤と接触される。ポリマー溶液は任意選択で加熱され、ポリマー生成物は、未反応のガス状モノマーおよび残渣溶媒または希釈剤を減圧下で蒸発させ、必要に応じて脱揮押出機などの装置内でさらなる脱揮を実行することによって回収される。連続プロセスにおいて、反応器内の触媒およびポリマーの平均滞留時間は、一般には5分間〜8時間であり、いくつかの実施形態では10分間〜6時間である。
【0024】
本発明の範囲を何ら限定するものではないが、本明細書中に記載されるようなプロピレンインターポリマーを製造するための別の手段は以下の通りである。連続溶液重合を、内部撹拌機を備えたコンピュータ制御オートクレーブ反応器内において実行してもよい。精製混合アルカン溶媒(ExxonMobil Chemical Companyから入手可能なISOPAR(商標)E)、エチレン、プロピレン、および水素を、温度制御用ジャケットおよび内部熱電対を備えた3.8Lの反応器に連続的に供給してもよい。反応器への溶媒供給量を、質量流量コントローラによって測定してもよい。可変速ダイヤフラムポンプが、溶媒の流量と反応器への圧力を制御する。ポンプの排出時には、触媒および共触媒の注入ラインならびに反応器撹拌機にフラッシュ流を供給するために側流が取られる。これらの流量は、質量流量計によって測定し、制御弁によって、またはニードル弁の手動調整によって制御することができる。残りの溶媒をモノマーおよび水素と混合し、反応器に供給する。必要に応じて質量流量コントローラを使用して水素を反応器に供給する。溶媒/モノマー溶液の温度は、反応器に入る前に熱交換器を使用することによって制御される。このストリームは反応器の底部に入る。
【0025】
触媒および共触媒成分の溶液を、ポンプおよび質量流量計を使用して計量し、触媒フラッシュ溶媒と組み合わせ、反応器の底部に導入してもよい。触媒は、上記のように金属錯体であってもよい。いくつかの実施形態では、触媒は、上記で概説したように、ビス((2−オキソイル−3−(ジベンゾ−1H−ピロール−1−イル)−5−(メチル)フェニル)−2−フェノキシメチル)−メチレントランス−1,2−シクロヘキサンジイルハフニウム(IV)ジメチルであってもよい。使用した共触媒は、約1/3のi−ブチル/メチル基のモル比を含有する、三次成分であるトリ(イソブチル)アルミニウム変性メタアルモキサン(MMAO)と組み合わせた、メチルジ(オクタデシル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(MDB)に等しい、ほぼ化学量論の長鎖アルキルアンモニウムボレートであってもよい。触媒/共触媒は、1.0/1〜1.5/1のHfに基づくモル比、およびMMAO(25/1〜35/1の比、Al/Hf)を有してもよい。反応器は、激しく撹拌しながら500〜525psig(3.45〜3.62MPa)で液一杯に運転してもよい。反応器温度は、125℃〜165℃の範囲であってもよく、プロピレン転化率は、約80%であってもよい。反応器は、約15〜20重量%のポリマー濃度で運転される。触媒注入速度を制御することによって、反応器内のプロピレン転換を維持してもよい。熱交換器のシェル側にわたる水温を制御することによって、反応温度を維持してもよい。水素流を制御することによって、ポリマー分子量を維持してもよい。
【0026】
生成物は、反応器の頂部にある出口ラインを通して除去される。反応器からの全ての出口ラインは、蒸気トレースされて断熱されている。重合は、少量の水を任意の安定剤または他の添加剤と共に出口ラインに添加し、その混合物をスタティックミキサーに通過させることによって停止してもよい。次いで、生成物ストリームは、脱揮の前に熱交換器を通過することによって加熱してもよい。ポリマー生成物は、揮発分除去押出機および水冷ペレタイザーを用いた押出によって回収してもよい。
【0027】
例示的なプロピレンインターポリマーとしては、ExxonMobil Chemical CompanyのVISTAMAXX(登録商標)ポリマー、およびThe Dow Chemical CompanyによるVERSIFY(登録商標)ポリマーが挙げられる。
【0028】
本明細書の実施形態では、プロピレンインターポリマーは、ASTM D−792によって測定したとき、0.840g/cm〜0.900g/cmの密度を有する。0.840g/cm〜0.900g/cmの全ての個々の値および部分範囲は、本明細書に含まれ、開示される。例えば、いくつかの実施形態では、プロピレンインターポリマーは、0.850g/cm〜0.890g/cm、0.850g/cm〜0.880g/cm、または0.850g/cm〜0.870g/cmの密度を有する。
【0029】
本明細書の実施形態では、プロピレンインターポリマーは、50.0℃〜120.0℃の示差走査熱量測定(「DSC」)融解ピーク温度を有する。50.0℃〜120.0℃の全ての個々の値および部分範囲は、本明細書に含まれ、開示される。例えば、いくつかの実施形態では、プロピレンインターポリマーは、50.0℃〜115.0℃、50.0℃〜110.0℃、50.0℃〜100.0℃、または50.0℃〜105.0℃の最高DSC融解ピーク温度を有する。
【0030】
密度およびDSC融解ピーク温度に加えて、プロピレンインターポリマーは、ASTM D−1238(2.16kg、230℃)に従って測定したとき、1〜100g/10分のメルトフローレートを有する。1〜100g/10分の全ての個々の値および部分範囲は、本明細書に含まれ、開示される。例えば、いくつかの実施形態では、プロピレンインターポリマーは、1〜50g/10分、または1〜30g/10分のメルトフローレートを有する。
【0031】
密度、最高DSC融解ピーク温度、およびメルトフローレートに加えて、プロピレンインターポリマーは、4.0未満の分子量分布(MWD)をさらに有する。分子量分布(MWD)は、重量平均分子量対数平均分子量の比(Mw/Mn)である。分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィーによって決定してもよい。4.0未満の全ての個々の値および部分範囲は、本明細書に含まれ、開示される。例えば、いくつかの実施形態では、プロピレンインターポリマーは、2.0〜4.0、2.0〜3.7、2.0〜3.5、2.0〜3.2、2.0〜3.0、または2.0〜2.8の分子量分布を有する。
【0032】
密度、DSC融解ピーク温度、メルトフローレート、およびMWDに加えて、プロピレンインターポリマーは、少なくとも50,000g/molの重量平均分子量(Mw)を有してもよい。少なくとも50,000g/molの全ての個々の値および部分範囲は、本明細書に含まれ、開示される。例えば、いくつかの実施形態では、プロピレンインターポリマーは、50,000〜1,000,000g/mol、50,000〜500,000g/mol、50,000〜400,000g/mol、または50,000〜300,000g/molの重量平均分子量(Mw)を有してもよい。
【0033】
密度、最高DSC融解ピーク温度、メルトフローレート、MWD、重量平均分子量に加えて、プロピレンインターポリマーは、0.5%〜45%の範囲の、DSCにより決定される結晶化度パーセントを有してもよい。0.5%〜45%の全ての個々の値および部分範囲は、本明細書に含まれ、開示される。例えば、いくつかの実施形態では、プロピレンインターポリマーは、2%〜42%の範囲のDSCにより決定される、結晶化度パーセントを有してもよい。
【0034】
本明細書の実施形態では、粘着層は、3重量%〜30重量%のプロピレンインターポリマーを含む。3重量%〜30重量%の全ての個々の値および部分範囲は、本明細書に含まれ、開示される。例えば、いくつかの実施形態では、粘着層は、プロピレンインターポリマーの、粘着層の重量で、3重量%〜25重量%、3重量%〜20重量%、または3重量%〜15重量%を含む。
【0035】
任意選択で、粘着層は、顔料、無機充填剤、紫外線安定剤、酸化防止剤などのような1つ以上の添加剤、および/または追加のポリマーを含むことができる。例えば、いくつかの実施形態では、粘着層は、直鎖状低密度ポリエチレンまたは粘着層ポリエチレン組成物の70重量%〜95重量%または85重量%〜95重量%でドライブレンドまたは溶融ブレンドされて、粘着層ブレンドを形成することができる。粘着層ポリエチレン組成物は、エチレンと任意選択で1種以上のアルファオレフィンコモノマーとの反応生成物を含み、粘着層ポリエチレン組成物は、以下の特性:(a)2.5〜12.0g/10分または2.5〜8.0のメルトインデックスI2、(b)0.910〜0.925g/ccまたは0.912〜0.920g/ccの密度、(c)6.0〜7.6または6.4〜7.4のメルトフロー比I10/I2、(d)2.25〜4.0または2.6〜3.5の分子量分布(Mw/Mn)、のうちの1つ以上を特徴とする。直鎖状低密度ポリエチレンは、0.912〜0.940グラム/cmの範囲の密度および0.5〜30グラム/10分の範囲のメルトインデックスを有してもよい。粘着層ポリエチレン組成物は、溶液重合を介して、多元金属プロ触媒を含む触媒組成物の存在下で形成される。さらなる実施形態では、粘着層ポリエチレン組成物は、60%未満または40%〜60%のCDBIを有してもよい。多層フィルムの剥離層で使用するための例となるLLDPEは、The Dow Chemical Companyから、ELITE(商標)、TUFLIN(商標)、およびDOWLEX(商標)の商品名で市販されている。樹脂をドライブレンドする方法は、米国特許第3,318,538号(Needham)に見出すことができ、その特許の全体は参照により本明細書に組み込まれる。樹脂を溶融ブレンドする方法は、米国特許第6,111,019号(Arjunanら)に見出すことができ、その特許の全体は参照により本明細書に組み込まれる。
【0036】
コア層
コア層は、エチレンと任意選択で1種以上のアルファオレフィンコモノマーとの反応生成物を含むコア層ポリエチレン組成物を含む。コア層ポリエチレン組成物は、50重量%超のエチレンから誘導される単位および30重量%未満の1種以上のアルファ−オレフィンコモノマーから誘導される単位を含む。いくつかの実施形態では、コア層ポリエチレン組成物は、(a)55%以上、例えば60%以上、65%以上、70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、92%以上、95%以上、97%以上、98%以上、99%以上、99.5%以上、50%超〜99%、50%超〜97%、50%超〜94%、50%超〜90%、70%〜99.5%、70%〜99%、70%〜97%、70%〜94%、80%〜99.5%、80%〜99%、80%〜97%、80%〜94%、80%〜90%、85%〜99.5%、85%〜99%、85%〜97%、88%〜99.9%、88%〜99.7%、88%〜99.5%、88%〜99%、88%〜98%、88%〜97%、88%〜95%、88%〜94%、90%〜99.9%、90%〜99.5%、90%〜99%、90%〜97%、90%〜95%、93%〜99.9%、93%〜99.5%、93%〜99%、または93%〜97%(重量)の、エチレンから誘導される単位;および(b)任意選択で、30パーセント未満、例えば25パーセント未満、または20パーセント未満、18%未満、15%未満、12%未満、10%未満、8%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、1%未満、0.1〜20%、0.1〜15%、0.1〜12%、0.1〜10%、0.1〜8%、0.1〜5%、0.1〜3%、0.1〜2%、0.5〜12%、0.5〜10%、0.5〜8%、0.5〜5%、0.5〜3%、0.5〜2.5%、1〜10%、1〜8%、1〜5%、1〜3%、2〜10%、2〜8%、2〜5%、3.5〜12%、3.5〜10%、3.5〜8%、3.5%〜7%、または4〜12%、4〜10%、4〜8%、または4〜7%(重量)の、1種以上のa−オレフィンコモノマーから誘導される単位を含む。コモノマー含量は、核磁気共鳴(「NMR」)分光法に基づく技術などの任意の好適な技術を用いて、例えば、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第7,498,282号に記載のような13C NMR分析によって測定することができる。
【0037】
好適なコモノマーは、典型的には20個以下の炭素原子を有するアルファ−オレフィンコモノマーを含み得る。1つ以上のアルファ−オレフィンは、C3−C20アセチレン性不飽和モノマーおよびC4−C18ジオレフィンからなる群から選択されてもよい。選択されたモノマーは、望ましくは、従来のチーグラー・ナッタ触媒を破壊しないモノマーであることは当業者には理解されよう。例えば、アルファ−オレフィンコモノマーは、3〜10個の炭素原子または3〜8個の炭素原子を有し得る。例示的なアルファ−オレフィンコモノマーとしては、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、および4−メチル−1−ペンテンが挙げられるが、それらに限定されない。1つ以上のアルファ−オレフィンコモノマーは、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、および1−オクテンからなる群から選択され得るか、または代替例において1−ブテン、1−ヘキセン、および1−オクテンからなる群から選択され得る。いくつかの実施形態では、コア層ポリエチレン組成物は、0重量%超かつ30重量%未満の、オクテン、ヘキセン、またはブテンコモノマーのうちの1つ以上から誘導される単位を含む。
【0038】
いくつかの実施形態では、コア層のコア層ポリエチレン組成物は、溶液重合を介して、多元金属プロ触媒を含む触媒組成物の存在下で形成される。反応生成物を製造するのに使用される多元金属プロ触媒は、少なくとも3元金属であるが、4つ以上の遷移金属も含み得るため、一実施形態において、より包括的に多元金属と定義され得る。これら3種以上の遷移金属は、触媒の製造前に選択される。特定の実施形態において、多元金属触媒は、1つの元素としてチタンを含む。
【0039】
触媒組成物の調製は、最初に、調整されたハロゲン化マグネシウム系担体の調製から始められてもよい。調整されたハロゲン化マグネシウム系担体の調製は、有機マグネシウム化合物または有機マグネシウム化合物を含む複合体を選択することから始まる。そのような化合物または複合体は、望ましくは不活性炭化水素希釈剤に可溶性である。成分の濃度は、好ましくは、金属ハロゲン化物または非金属ハロゲン化物などの活性ハロゲン化物とマグネシウム複合体とを組み合わせたときに、得られるスラリーがマグネシウムに対して約0.005〜約0.25モル(モル/リットル)になるような濃度である。好適な不活性有機希釈剤の例としては、液化エタン、プロパン、イソブタン、n−ブタン、n−ヘキサン、種々の異性体ヘキサン、イソオクタン、5〜10個の炭素原子を有するアルカンのパラフィン混合物、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン、ジメチルシクロヘキサン、ドデカン、飽和または芳香族炭化水素で構成される工業用溶媒、例えば灯油、ナフサ、およびそれらの組み合わせ、特にいかなるオレフィン化合物および他の不純物も含まない場合、特に約−50℃〜約200℃の範囲内の沸点を有するものが挙げられる。エチルベンゼン、クメン、デカリンおよびそれらの組み合わせもまた、好適な不活性希釈剤として含まれる。
【0040】
好適な有機マグネシウム化合物および複合体は、例えば、マグネシウムC2−C8アルキルおよびアリール、マグネシウムアルコキシドおよびアリールオキシド、カルボキシル化マグネシウムアルコキシド、ならびにカルボキシル化マグネシウムアリールオキシドを含み得る。マグネシウム部分の好ましい源は、マグネシウムC2−C8アルキルおよびC1−C4アルコキシドを含み得る。そのような有機マグネシウム化合物または複合体は、好適な条件下でハロゲン化マグネシウム化合物を作製するために、塩化物、臭化物、ヨウ化物、またはフッ化物などの金属または非金属ハロゲン化物源と反応させることができる。そのような条件は、−25℃〜100℃、代替としては0℃〜50℃の範囲の温度;1〜12時間、代替としては4〜6時間の範囲の時間;またはその両方を含んでもよい。その結果、ハロゲン化マグネシウム系担体が得られる。
【0041】
次いで、調整されたハロゲン化マグネシウム担体を形成するのに好適な条件下で、ハロゲン化マグネシウム担体を、ホウ素、アルミニウム、ガリウム、インジウムおよびテルルからなる群から選択される元素を含有する選択された調整化合物と反応させる。次いで、この化合物およびハロゲン化マグネシウム担体を、調整されたハロゲン化マグネシウム担体をもたらすのに十分な条件下で接触させる。そのような条件は、0℃〜50℃、もしくは代替としては25℃〜35℃の範囲の温度;4〜24時間、もしくは代替としては6〜12時間の範囲の時間;またはその両方を含んでもよい。調整化合物は、特定のモル比構成を有し、これは望ましい触媒性能を確保する上で重要な特徴であると考えられている。具体的には、プロ触媒は、望ましくは、3:1〜6:1の範囲のマグネシウム対調整化合物のモル比を示す。いかなる機構の理論にも束縛されることを望むものではないが、この熟成は担体上への追加の金属の吸着を促進または増強するのに役立つことが示唆される。
【0042】
調整された担体が調製され、適切に熟成が行われたら、それを、個々に、または「第2の金属」との混合物として添加され得るチタン化合物と接触させる。特定の好ましい実施形態において、ハロゲン化チタンもしくはチタンアルコキシド、またはそれらの組み合わせが選択され得る。条件は、0℃〜50℃、代替としては25℃〜35℃の範囲内の温度;3時間〜24時間、代替としては6時間〜12時間の時間;またはその両方を含んでもよい。この工程の結果、調整されたハロゲン化マグネシウム担体上にチタン化合物の少なくとも一部が吸着する。
【0043】
最後に、本明細書では便宜上「第2の金属」および「第3の金属」と呼ばれる1つまたは2つの追加の金属も、マグネシウム系担体上に吸着されるであろう。「第2の金属」および「第3の金属」」は、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、およびタングステン(W)から独立して選択される。これらの金属は、当業者に知られている様々な方法のいずれかで組み込むことができるが、ここで多元金属プロ触媒である「プロ触媒」と呼ばれ得るものを形成するために、一般には、例えば適切な炭化水素溶液などの液相中での、チタンを含む調整されたマグネシウム系ハロゲン化物担体と、選択された第2および第3の金属との間の接触が、追加の金属の堆積を確実にするのに好適であろう。
【0044】
多元金属プロ触媒は、特定のモル比構成を有し、これは、プロ触媒から作製された触媒に起因し得る望ましいポリマー特性を確実にする上で重要な特徴であると考えられる。具体的には、プロ触媒は、望ましくは、多元金属プロ触媒を形成するのに十分な条件下で、30:1〜5:1の範囲のマグネシウム対チタンと第2および第3の金属との組み合わせのモル比を示す。したがって、マグネシウム対チタンの全モル比は、8:1〜80:1の範囲である。
【0045】
プロ触媒が形成されると、それをアルミニウムのアルキルまたはハロアルキル、ハロゲン化アルキルアルミニウム、グリニャール試薬、アルカリ金属アルミニウム水素化物、アルカリ金属水素化ホウ素、アルカリ金属水素化物、アルカリ土類金属水素化物などの少なくとも1種の有機金属化合物からなる共触媒と組み合わせることによって、最終触媒を形成するために使用することができる。プロ触媒と有機金属共触媒との反応からの最終触媒の形成は、in situで、または重合反応器に入る直前に行うことができる。したがって、共触媒とプロ触媒との組み合わせは、多種多様な条件下で生じ得る。そのような条件は、例えば、窒素、アルゴンまたは他の不活性ガスなどの不活性雰囲気下で、0℃〜250℃の範囲内、好ましくは15℃〜200℃の範囲内の温度でそれらを接触させることを含んでもよい。触媒反応生成物の調製において、炭化水素可溶性成分を炭化水素不溶性成分から分離する必要はない。プロ触媒と共触媒との間の接触時間は、望ましくは、例えば0〜240秒、好ましくは5〜120秒の範囲であってもよい。これらの条件の様々な組み合わせを採用することができる。
【0046】
本明細書に記載の実施形態では、コア層ポリエチレン組成物は、ポリエチレンポリマー100万部当たり少なくとも3元金属残渣の合計重量で1部以上の金属触媒残留物を有してもよく、少なくとも3元金属残渣は、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択され、少なくとも3元金属残渣のそれぞれは、0.2ppm以上、例えば0.2〜5ppmの範囲内で存在する。0.2ppm以上からの全ての個々の値および部分範囲は、本明細書に含まれ、本明細書において開示される。例えば、コア層ポリエチレン組成物はさらに、コア層ポリエチレン組成物100万部当たり、多元金属重合触媒から残存する少なくとも3元金属残渣を合計重量で2部以上含んでもよい。
【0047】
いくつかの実施形態では、コア層ポリエチレン組成物は、少なくとも0.75ppmのV(バナジウム)を含む。少なくとも0.75ppmのVからの全ての個々の値および部分範囲は、本明細書に含まれ、開示される。例えば、コア層ポリエチレン組成物中のVの下限は、0.75、1、1.1、1.2、1.3または1.4ppmであってもよく、コア層ポリエチレン組成物中のVの上限は、5、4、3、2、1.9、1.8、1.7、1.6、1.5、または1ppmであってもよい。コア層ポリエチレン組成物のバナジウム触媒金属残留濃度は、以下に記載される金属の中性子放射化法を用いて測定することができる。
【0048】
いくつかの実施形態では、コア層ポリエチレン組成物は、少なくとも0.3ppmのZr(ジルコニウム)を含む。少なくとも0.3ppmのZrの全ての個々の値および部分範囲は、本明細書に含まれ、開示される。例えば、コア層ポリエチレン組成物中のZrの下限は、0.3、0.4、0.5、0.6または0.7ppmであってもよい。さらに別の実施形態では、コア層ポリエチレン組成物中のZrの上限は、5、4、3、2、1、0.9、0.8または0.7ppmであってもよい。コア層ポリエチレン組成物のジルコニウム触媒金属残留濃度は、以下に記載される金属の中性子放射化法を用いて測定することができる。
【0049】
本明細書に記載の実施形態では、コア層ポリエチレン組成物は、0.910g/cc〜0.925g/ccの密度を有してもよい。少なくとも0.910g/cc〜0.925g/ccの全ての個々の値および部分範囲は、本明細書に含まれ、開示される。例えば、いくつかの実施形態では、ポリエチレンは、0.910〜0.923g/cc、0.912〜0.923g/cc、または0.912〜0.920g/ccの密度を有する。密度は、ASTM D792に従って測定されてもよい。
【0050】
密度に加えて、コア層ポリエチレン組成物は、2.5g/10分〜12.0g/10分のメルトインデックスI2を有してもよい。2.5g/10分〜12.0g/10分の全ての個々の値および部分範囲は、本明細書において含まれ、開示される。例えば、いくつかの実施形態では、コア層ポリエチレン組成物は、2.5g/10分〜10.0g/10分、2.5g/10分〜8.0g/10分、または2.5g/10分〜5.0g/10分のメルトインデックスI2を有してもよい。メルトインデックスI2は、ASTM D1238(190℃および2.16kg)に従って測定されてもよい。
【0051】
密度およびメルトインデックスI2に加えて、コア層ポリエチレン組成物は、6.0〜7.6のメルトフロー比I10/I2を有してもよい。6.0〜7.6の全ての個々の値および部分範囲は、本明細書に含まれ、開示される。例えば、いくつかの実施形態では、コア層ポリエチレン組成物は、6.0、6.2、6.3、または6.5の下限から7.6、7.5、7.3、7.1、または7.0の上限までの範囲のメルトフロー比I10/I2を有してもよい。他の実施形態では、コア層ポリエチレン組成物は、6.0〜7.4または6.4〜7.4のメルトフロー比I10/I2を有してもよい。メルトインデックスI10は、ASTM D1238(190℃および10.0kg)に従って測定されてもよい。
【0052】
密度、メルトインデックスI2、およびメルトフロー比I10/I2に加えて、コア層ポリエチレン組成物は、2.25〜4.0の分子量分布(Mw/Mn)を有してもよい。2.25〜4.0の全ての個々の値および部分範囲は、本明細書に含まれ、開示される。例えば、ポリエチレン組成物は、2.5、2.6、2.7、または2.8の下限から4.0、3.9、3.7、3.5、3.2、または3.0の上限までのMw/Mn比を有してもよい。いくつかの実施形態では、コア層ポリエチレン組成物は、2.5〜3.5、2.6〜3.5、または2.6〜3.2のMw/Mn比を有してもよい。分子量分布は、重量平均分子量(M)の数平均分子量(M)に対する比率(すなわち、M/M)と記載することができ、ゲル浸透クロマトグラフィー法によって測定することができる。
【0053】
密度、メルトインデックスI2、メルトフロー比I10/I2、および分子量分布(Mw/Mn)に加えて、コア層ポリエチレン組成物は、30,000〜50,000g/molの数平均分子量Mn(g/mol)を有してもよい。30,000g/mol〜50,000g/molの全ての個々の値および部分範囲は、本明細書に含まれ、開示される。例えば、コア層ポリエチレン組成物は、33,000〜50,000g/mol、33,000〜45,000g/mol、または33,000〜40,000g/molのMnを有してもよい。
【0054】
密度、メルトインデックスI2、メルトフロー比I10/I2、分子量分布(Mw/Mn)、および数平均分子量に加えて、コア層ポリエチレン組成物は、60,000〜110,000g/molの重量平均分子量Mw(g/mol)を有してもよい。60,000g/mol〜110,000g/molの全ての個々の値および部分範囲は、本明細書に含まれ、開示される。例えば、コア層ポリエチレン組成物は、65,000〜105,000g/mol、75,000〜100,000g/mol、または85,000〜100,000g/molのMwを有してもよい。
【0055】
密度、メルトインデックスI2、メルトフロー比I10/I2、分子量分布(Mw/Mn)、数平均分子量、および重量平均分子量に加えて、コア層ポリエチレン組成物は、200,000〜325,000g/molのz平均分子量Mz(g/mol)を有してもよい。200,000g/mol〜325,000g/molの全ての個々の値および部分範囲は、本明細書に含まれ、開示される。例えば、ポリエチレン組成物は、240,000〜325,000、240,000〜315,000g/mol、または240,000〜300,000g/molのMzを有してもよい。
【0056】
密度、メルトインデックスI2、メルトフロー比I10/I2、分子量分布(Mw/Mn)、数平均分子量、重量平均分子量、およびz平均分子量に加えて、コア層ポリエチレン組成物は、2〜6の粘度比(0.1rad/sでの粘度/100rad/sでの粘度、いずれも190℃で測定)を有してもよい。2〜6の全ての個々の値および部分範囲は、本明細書に含まれ、開示される。例えば、コア層ポリエチレン組成物は、2〜4、2.0〜2.9、または2.5〜3.5の粘度比を有してもよい。
【0057】
密度、メルトインデックスI2、メルトフロー比I10/I2、分子量分布(Mw/Mn)、数平均分子量、重量平均分子量、z平均分子量、および粘度比に加えて、コア層ポリエチレン組成物は、190℃で測定した0.1rad/sでの15〜40のタンデルタを有してもよい。15〜40の全ての個々の値および部分範囲は、本明細書に含まれ、開示される。例えば、コア層ポリエチレン組成物は、190℃で測定された0.1rad/sでの20〜40または25〜40のタンデルタを有してもよい。
【0058】
密度、メルトインデックスI2、メルトフロー比I10/I2、分子量分布(Mw/Mn)、数平均分子量、重量平均分子量、z平均分子量、粘度比、およびタンデルタに加えて、コア層ポリエチレン組成物は、60%未満の組成分布幅指数CDBIを有してもよい。60%未満の全ての個々の値および部分範囲は、本明細書に含まれ、開示される。例えば、いくつかの実施形態では、コア層ポリエチレン組成物は、37%〜60%または40%〜60%のCDBIを有してもよい。
【0059】
CDBIは、平均総モル当たりのコモノマー含有量の50パーセント以内のコモノマー含有量を有するポリマー分子の重量パーセントと定義され得る。コモノマーを含有しない直鎖ポリエチレンのCDBIは、100%になるように規定される。コポリマーのCDBIは、下記のように結晶化溶出分別(「CEF」)から得られたデータから容易に計算される。特に断らない限り、「コモノマー含有量」、「平均コモノマー含有量」などの用語は、示されたインターポリマーブレンド、ブレンド成分、またはモル基準の画分のバルクコモノマー含有量を指す。
【0060】
本明細書の実施形態において、コア層は、60重量%〜100重量%のコア層ポリエチレン組成物を含む。60重量%〜100重量%の全ての個々の値および部分範囲は、本明細書に含まれ、開示される。例えば、いくつかの実施形態では、コア層は、コア層中に存在するポリマーの重量で、70重量%〜100重量%、80重量%〜100重量%、90重量%〜100重量%、または95重量%〜100重量%のコア層ポリエチレン組成物を含む。
【0061】
本明細書に記載の実施形態では、コア層は、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、またはそれらのブレンドをさらに含んでもよい。いくつかの実施形態では、コア層は、コア層の重量で、1重量%〜40重量%、1重量%〜30重量%、1重量%〜25重量%、5重量%〜25重量%、または5重量%〜20重量%の範囲の量のLLDPE、LDPE、またはそれらのブレンドをさらに含んでもよい。LLDPEは、0.912〜0.940グラム/cmの範囲の密度および0.5〜30グラム/10分の範囲のメルトインデックスを有してもよい。LDPEは、0.910〜0.935g/cmの範囲の密度および0.2〜20g/10分の範囲のメルトインデックスを有してもよい。コア層は、顔料、無機充填剤、紫外線安定剤、酸化防止剤などの1種以上の添加剤をさらに含んでもよい。
【0062】
剥離層
剥離層は、LDPE、LLDPE、または以下の特性:(a)2.5〜12.0g/10分または2.5〜8.0g/10分のメルトインデックスI2、(b)0.910〜0.925g/ccまたは0.912〜0.920g/ccの密度、(c)6.0〜7.6または6.4〜7.4のメルトフロー比I10/I2、および(d)2.25〜4.0または2.6〜3.5の分子量分布(Mw/Mn)、を特徴とする剥離層ポリエチレン組成物のうちの1つ以上を含む。剥離層ポリエチレン組成物は、溶液重合を介して、多元金属プロ触媒を含む触媒組成物の存在下で形成される。さらなる実施形態では、剥離層ポリエチレン組成物は、60%未満または40%〜60%のCDBIを有してもよい。LLDPEは、0.912〜0.940グラム/cmの範囲の範囲の密度および0.5〜30グラム/10分の範囲のメルトインデックスを有することができる。多層フィルムの剥離層で使用するための例となるLLDPEは、The Dow Chemical Companyから、ELITE(商標)、TUFLIN(商標)、およびDOWLEX(商標)の商品名で市販されている。
【0063】
いくつかの実施形態では、剥離層は、剥離層中に存在するポリマーの重量で、0〜100パーセント、50〜100パーセント、75〜100パーセント、85〜100パーセント、または95〜100パーセントの量のLLDPEを含む。他の実施形態では、剥離層は、剥離層中に存在するポリマーの重量で、0〜100パーセント、50〜100パーセント、75〜100パーセント、85〜100パーセント、または95〜100パーセントの量の剥離層ポリエチレン組成物を含む。さらなる実施形態では、剥離層は、LLDPEと剥離層ポリエチレン組成物とを1:4〜4:1または1:3〜3:4の範囲の重量比で含んでもよい。剥離層は、顔料、無機充填剤、紫外線安定剤、酸化防止剤などの1種以上の添加剤をさらに含んでもよい。
【0064】
本明細書に記載の多層フィルムは、当該技術分野において一般的に知られているように、一軸および二軸配向を含むキャストフィルム技術などの様々な技術によって作製することができる。本明細書に記載の多層フィルムはまた、縦方向および/または横方向に少なくとも50%、好ましくは100%延伸するのが有利であり得る。いくつかの実施形態では、多層キャストフィルムは、粘着層組成物、コア層組成物、および剥離層組成物を共押出成形して多層キャストフィルムを形成することによって作製することができる。粘着層組成物は、本明細書で前述したようなプロピレンインターポリマーを含み、かつ本明細書で前述したような粘着層ポリエチレン組成物を任意選択で含んでもよい。コア層組成物は、本明細書において前述したように、コア層ポリエチレン組成物を含む。そして、剥離層組成物は、本明細書で前述したように直鎖状低密度ポリエチレンまたは剥離層ポリエチレン組成物を含む。多層キャストフィルムに用いられるコア層ポリエチレン組成物、粘着層ポリエチレン組成物、および剥離層ポリエチレン組成物は、独立して同一でもまたは互いに異なっていてもよい。
【0065】
ここで、多層フィルムの実施形態を以下の例示的実施例においてさらに説明する。
【0066】
試験方法
密度
密度は、ASTM D−792に従って測定することができ、グラム/立方センチメートル(g/ccまたはg/cm)で報告される。
【0067】
メルトインデックス/メルトフローレート
エチレン系ポリマーのメルトインデックス(I2)は、ASTM D1238−10、条件、190℃/2.16kgに従って測定され、10分ごとに溶出されるグラムで報告される。エチレン系ポリマーのメルトインデックス(I10)は、ASTM D1238−10、条件、190℃/10kgに従って測定され、10分ごとに溶出されるグラムで報告される。プロピレン系ポリマーのメルトフローレート(MFR2)は、ASTM D1238−10、条件、230℃/2.16kgに従って測定され、10分ごとに溶出されるグラムで報告される。プロピレン系ポリマーのメルトフローレート(MFR10)は、ASTM D1238−10、条件、230℃/10kgに従って測定され、10分ごとに溶出されるグラムで報告される。
【0068】
高温ゲル浸透クロマトグラフィー(HT−GPC)
プロピレンインターポリマー
ポリマーは、3つの線形混合床カラム300×7.5mm(Polymer Laboratories PLgel Mixed B(10ミクロン粒径)を備えたPolymer Laboratories PL−GPC−220高温クロマトグラフィーユニット上のゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって分析される。オーブンの温度は、160℃であり、オートサンプラーのホットゾーンは160℃、ウォームゾーンは145℃である。溶媒は、200ppmの2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール(BHT)を含有する1,2,4−トリクロロベンゼンである。流量は、1.0ミリリットル/分であり、注入サイズは、100マイクロリットルある。試料の0.15重量%溶液を、200ppmの2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノールを含有する窒素パージした1,2,4−トリクロロベンゼン中に試料を緩やかに混合しながら160℃で2.5時間溶解させることによって注入用に調製する。
【0069】
分子量の決定は、10種の狭い分子量分布のポリスチレン標準物(Polymer Laboratories,580〜7,500,000g/モルの範囲のEasiCal PS1)を、それらの溶出量と組み合わせて使用することによって推測される。BHTを、相対流量マーカーとして使用し、各クロマトグラフィーを狭いポリスチレン標準較正曲線に戻して参照する。
【0070】
同等のポリプロピレン分子量は、ポリプロピレン(参照により本明細書に組み込まれる、Th.G.Scholte,N.L.J.Meijerink,H.M.Schoffeleers,and AMG Brands,J.Appl Polym.Sci.29,3763〜3782(1984)に記載されるように)、およびポリスチレン(参照により本明細書に組み込まれる、E.P.Otocka,R.J.Roe,N.Y.Hellman,P.M.Muglia,Macromolecules,4 507(1971)に記載されるように)についての適切なMark−Houwink係数を、本来の粘度を分子量に関連付けるMark−Houwink等式(等式1)で使用することによって決定される。各クロマトグラフィーポイントにおける瞬間分子量(M(PP))は、ユニバーサル較正および等式1に定義されるMark−Houwink係数を使用する等式2によって決定される。数平均、重量平均、およびz平均分子量モーメント、Mn、Mw、およびMzは、それぞれ、等式3、等式4、および等式5に従って算出し、ここで、RIは、各クロマトグラフィーポイント(i)におけるポリマー溶出ピークのベースライン減算された屈折計信号高さである。
【0071】
【数1】
【0072】
pp=1.90E−04、app=0.725、およびKps=1.26E−04ps=0.702である。
【0073】
【数2】
【0074】
エチレン系ポリマー
赤外線濃度検出器(IR−5)からなるPolymerChar(Valencia,Spain)高温ゲル浸透クロマトグラフィーシステムを、MWおよびMWDの決定に使用する。溶媒送達ポンプ、オンライン溶媒脱ガス装置、オートサンプラー、およびカラムオーブンは、Agilent製である。カラム区画および検出器区画は、150℃で作動する。カラムは、3つのPLgel 10μm混合B、カラム(Agilent)である。担体溶媒は、1,2,4−トリクロロベンゼン(TCB)であり、流量は1.0mL/分であった。クロマトグラフィー用および試料調製用の両方の溶媒源は、250ppmのブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)を含み、窒素散布する。注入の直前にオートサンプラーに160℃で3時間TCBに溶解することにより、2mg/mLの標的ポリマー濃度でポリエチレン試料を調製する。注入量は、200μLである。
【0075】
GPCカラムの較正を、21種の狭い分子量分布のポリスチレン標準物を用いて実行する。標準物の分子量は、580〜8,400,000g/molの範囲であり、個々の分子量の間に少なくとも一桁の間隔を置いて6つの「カクテル」混合物中に配置する。ポリスチレン標準ピーク分子量を、以下の等式を使用してポリエチレン分子量に変換する(Williams and Ward,J.Polym.Sci.,Polym.Let.,6,621(1968)):
ポリエチレン=A(Mポリスチレン (1)
【0076】
ここで、Bは、1.0の値を有し、実験的に決定されたAの値は、約0.42である。
【0077】
3次多項式を使用して、等式(1)から得られたそれぞれのポリエチレン等価較正点を、それらの観察された溶出量にフィットさせる。実際の多項式フィットは、ポリエチレン当量分子量の対数を各ポリスチレン標準物の観察された溶出量(および関連する力)に関連付けるために得られる。
【0078】
数平均分子量、重量平均分子量、およびz平均分子量は、以下の等式に従って計算される。
【0079】
【数3】
【0080】
式中、Wfは、i番目の構成成分の重量分率であり、Mは、i番目の構成成分の分子量である。MWDは、重量平均分子量(Mw)対数平均分子量(Mn)の比として表される。
【0081】
正確なA値は、等式(1)のA値を、等式(3)を用いて算出した重量平均分子量および対応する保持容量多項式が、既知の重量平均分子量が120,000g/molである線形ホモポリマー参照物に従って得られたMwの独立して決定された値と一致するまで調整することによって決定する。
【0082】
金属の中性子放射化法
約3.5グラムのペレットを予め洗浄した2ドラムポリエチレンバイアルに移すことによって、2組の複製試料を調製する。試験された各金属に対して、NIST追跡可能標準溶液(SPEXからのCerti.pure)から2ドラムポリエチレンバイアル内で標準を調製する。それらをミリQ純水を用いて6mlに希釈し、バイアルをヒートシールする。次いで、Mark I TRIGA原子炉を使用して、これらの元素について試料および標準を分析する。これらの元素に使用された反応および実験条件を、以下の表に要約する。ガンマ分光法を行う前に、試料を非照射バイアルに移す。元素濃度は、CANBERRAソフトウェアおよび標準的比較技術を用いて計算する。表1は、金属決定のための測定パラメータを示す。
【0083】
【表1-1】
【0084】
【表1-2】
【0085】
示差走査熱量測定(DSC)
示差走査熱量測定(DSC)を使用して、広範囲の温度にわたるポリマーの溶融および結晶化挙動を測定する。例えば、RCS(冷蔵冷却システム)およびオートサンプラーを備えたTA Instruments Q1000 DSCを使用し、この分析を行う。試験中、50ml/分の窒素パージガスフローを使用する。各試料を、約175℃で薄フィルムに溶融圧縮し、次いで、溶融試料を室温(およそ25℃)まで空冷する。フィルム試料は、「0.1〜0.2グラム」の試料を175℃、1,500psi、および30秒で押して、「0.1〜0.2ミル厚」のフィルムを形成することによって形成される。3〜10mg、直径6mmの試験片を冷却したポリマーから抽出し、秤量し、軽量アルミニウムパン(約50mg)内に置き、圧着して閉じる。次いで、その熱的特性を決定するために分析を行う。
【0086】
試料の熱挙動は、試料温度に上下の勾配を付けて熱流量対温度プロファイルを作成することによって決定する。第1に、試料は、その熱履歴を除去するために、180℃まで急速に加熱されて、5分間等温保持される。次に、試料は、10℃/分冷却速度で−40℃まで冷却されて、5分間−40℃まで等温保持される。試料は、次いで、10℃/分加熱率で150℃まで加熱される(これは「第2の熱」勾配である)。冷却および第2の加熱曲線を記録する。冷却曲線は、結晶化の開始から−20℃までのベースライン終点を設定することによって分析される。熱曲線は、ベースライン終点を−20℃から溶融終点に設定することによって分析される。決定された値は、ピーク融解温度(T)、ピーク結晶化温度(T)、開始結晶化温度(Tc開始)、融解熱(H)(ジュール当たりのグラム)、およびPEの結晶化度=((Hf)/(292J/g))×100を使用してポリエチレン試料について算出された結晶化度%、およびPPの結晶化度%=((Hf)/165J/g))×100を使用して算出されたポリプロピレン試料の結晶化度%である。融解熱(H)およびピーク溶解温度は、第2の熱曲線から報告される。ピーク結晶化温度および開始結晶化温度を冷却曲線から決定する。
【0087】
動的機械分光法(DMS)
樹脂を空気中1500psiの圧力下で5分間、350°Fで「3mm厚×1インチ」の円形プラークに圧縮成形する。次いで、試料を圧縮機から取り出し、カウンターに配置して、冷却する。
【0088】
窒素パージ下、25mm(直径)の平行プレートを備えたTA Instrumentsの「Advanced Rheometric Expansion System(ARES)」を使用して、一定温度周波数掃引を実行する。試料をプレート上に配置し、190℃で5分間溶融させる。その後、プレートを2mmの間隔まで閉じ、試料をトリミングし(「直径25mm」のプレートの円周を越えて延在する余分な試料を除去し)、その後、試験を開始する。この方法は、温度平衡を可能にするために、さらに5分間の遅延を組み込んでいた。実験は、0.1〜100rad/sの周波数範囲にわたって、190℃で実行する。ひずみ振幅は、10%で一定である。複素粘度η*、tan(δ)またはタンデルタ、0.1rad/sでの粘度(V0.1)、100rad/sでの粘度(V100)、および粘度比(V0.1/V100)は、これらのデータから計算される。
【0089】
結晶化溶出分別(CEF)法
結晶化溶出分画(CEF)技術を、Monrabalら,Macromol.Symp.257,71−79(2007)に従って実施する。CEF機は、IR−4またはIR−5検出器(例えば、PolymerChar,Spainから市販されているもの)および2角度光散乱検出器モデル2040(例えば、Precision Detectorsから市販されているもの)を備える。50mm×4.6mmの10マイクロメートルガードカラム(例えば、PolymerLabsから市販されているもの)を、IR−4またはIR−5検出器の前に検出器オーブン中に取り付ける。オルトジクロロベンゼン(ODCB、99%の無水等級)および2,5−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール(BHT)(例えば、Sigma−Aldrichから市販されているもの)を入手する。シリカゲル40(粒径0.2〜0.5mm)(例えば、EMD Chemicalsから市販されているもの)も入手する。シリカゲルを、使用前に真空オーブンで、160℃で少なくとも2時間乾燥させる。使用前に、ODCBを乾燥窒素(N)で1時間スパージする。乾燥窒素は、窒素を<90psigでCaCOおよび5Åの分子ふるいに通過させることによって得られるものである。ODCBを、5グラムの乾燥シリカを2リットルのODCBに添加することによって、または0.1ml/分〜1.0ml/分で、乾燥シリカを充填したカラム(単数または複数)を通してポンピングすることによって、さらに乾燥させる。N等の不活性ガスを、試料バイアルをパージするのに使用しない場合、800ミリグラムのBHTを、2リットルのODCBに添加する。BHTの有無にかかわらず乾燥ODCBを、以下「ODCB−m」と称する。試料溶液を、オートサンプラーを使用して、160℃で2時間、振盪下で、4mg/mlで、ODCB−m中にポリマー試料を溶解することによって調製する。300μLの試料溶液を、カラムに注入する。CEFの温度プロファイルは、次の通りである:110℃〜30℃に3℃/分で結晶化、30℃で5分間の熱平衡(2分に設定した可溶性画分溶出時間を含む)、および30℃〜140℃に3℃/分で溶出。結晶化中の流量は、0.052ml/分である。溶出中の流量は、0.50ml/分である。IR−4またはIR−5信号データは、1データポイント/秒で収集する。
【0090】
米国第8,372,931号に従う1/8インチのステンレスチューブを用いて、CEFカラムを、125μm±6%のガラスビーズ(MO−SCI Specialty Productsから酸洗浄と共に市販されているものなど)で充填する。CEFカラムの内部液体体積は、2.1ml〜2.3mlである。温度較正を、ODCB−m中のNIST標準物質直鎖ポリエチレン1475a(1.0mg/ml)とEicosane(2mg/ml)との混合物を使用することによって行う。較正は、4つのステップ、(1)エイコサンの測定されたピーク溶出温度間の温度オフセットから30.00℃を差し引いたものとして定義される遅延体積を計算すること、(2)溶出温度の温度オフセットをCEF生温度データから減算すること(この温度オフセットは、溶出温度、溶出流量などの実験条件の関数であることに留意されたい)、(3)NIST直鎖状ポリエチレン1475aが101.00℃のピーク温度を有し、エイコサンが30.00℃のピーク温度を有するように、30.00℃〜140.00℃の範囲にわたって溶出温度を変換する、較正直線を作成すること、(4)30℃の等温で測定された可溶性画分について、3℃/分の溶出加熱速度を使用することによって溶出温度を直線的に外挿することからなる。報告される溶出ピーク温度を、観察されるコモノマー含有量較正曲線が、米国特許第8,372,931号において以前に報告されたものと一致するように得る。
【0091】
コモノマー分布幅指数(CDBI)
CDBIを、CEFから得たデータからWO/93/03093に記載される方法を使用して算出する。CDBIは、平均総モル当たりのコモノマー含有量の50パーセント以内のコモノマー含有量を有するポリマー分子の重量パーセントと定義される。これは、ベルヌーイ分布を除いたコモノマー分布と、ポリマー中のコモノマー分布との比較を表す。
【0092】
CEFを使用して、ポリオレフィンの短鎖分岐分布(SCBD)を測定する。CEFモル濃度コモノマー含有量較正を、0〜0.108の範囲のコモノマーモル画分および28,400〜174,000g/モルのMwを有する、狭SCBDを有する24個の標準物質(例えば、ポリエチレンオクテンランダムコポリマーおよびエチレンブテンコポリマー)を使用して行う。ln(コモノマーのモル分率)であるln(エチレンのモル分率)に対する、1/T(K)を得る。ここでTは、ケルビンでの各標準物質の溶出温度である。参照材料のコモノマー分布は、例えば、米国特許第5,292,845号(Kawasakiら)およびJ.C.RandallのRev.Macromol.Chem.Phys.,C29,201−317に記載されている技術に従って、13C NMR分析を使用して決定する。
【0093】
13C−NMR
試料調製
0.025M Cr(AcAc)3を含有するテトラクロロエタン−d2/オルトジクロロベンゼンの50/50混合物のおよそ2.7gを、Norell1001−7の10mm NMR管内の0.25g試料に添加することによって、試料を調製する。加熱ブロックおよびボルテックスミキサーを使用して、管およびその内容物を150℃に加熱することによって、試料を溶解し、均質化する。各試料を目視検査して、均質性を確実にする。
【0094】
データ取得パラメータ
データを、Bruker Dual DUL高温CryoProbeを備えたBruker 400MHz分光計を使用して、収集する。データを、1データファイル当たり320回の過渡電圧、6秒のパルス反復遅延、90度のフリップ角、および逆ゲート付きデカップリングを使用して、120℃の試料温度で取得する。全ての測定をロックモードの非回転試料で行う。試料を、データ取得前に7分間熱平衡化する。13C NMR化学シフトは、21.90ppmにおけるmmmmペンタッドまたは30.0ppmにおけるEEEトリアッドを内部的に参照する。
【0095】
データ分析
組成を、S.Di MartinoおよびM.Keclchtermansの、「Determination of the Composition of Ethylene−Propylene−Rubbers Using 13C−NMR Spectroscopy」、Journal of Applied Polymer Science,Vol.56,1781−1787(1995)からの割り当て、および積分C13 NMRスペクトルを用いて決定し、ベクトル等式s=fMを解く。式中、Mは割り当て行列であり、sはスペクトルの行ベクトル表現であり、fはモル分率組成ベクトルである。fの要素は、EおよびOの全ての並べ替えを伴うEおよびOのトリアッドであるとする。割り当て行列Mは、fにおける各トリアッドに対して1つの行と、積分されたNMR信号の各々の列とで作成する。行列の要素は、参考文献1における割り当てを参照して決定された整数値である。この等式は、sと各試料の積分されたC13データとの間の誤差関数を最小にするために必要なfの要素の変化によって解く。これは、ソルバー機能を使用して、Microsoft Excelで簡単に実行される。
【0096】
最大延伸
最大延伸をHighlight Industries製のHighlight Film Test Systemで試験する。フィルムロールを機械の巻き出し部分に置き、フィルムを一組のローラーに通す。次いで、フィルムを、それがその最大延伸点に達するまで、力を増しながら巻き出す。加えられた力の量をロードセルによって測定し、フィルムに存在する延伸の量をパーセントで測定するために計算を行う。3つの測定値を取り、一緒に平均して平均最大延伸値を得る。フィルム幅は20インチである。
【0097】
パレット上引裂試験
この試験は、ブルセトン階段法(Bruceton staircase method)を用いて、フィルムが3回巻き付け用の試験プローブ上を失敗なく通過することができる最大負荷力を決定する。試験プローブを所望の突出距離で試験台に挿入する。試験プローブがフィルムの中心と整列するようにフィルムを配置する。フィルムを試験台に取り付け、ラッパーを始動する。ラッパーが250%の予備延伸に達すると、フィルムは、最大3回巻き付け用のプローブを通過することが可能になる。巻き付けのいずれかの間にフィルムが破損した場合、その力での負荷設定が失敗であると見なされる。負荷設定(すなわち通過または失敗)でのフィルムの性能に応じて、負荷をかける力を上下に調整し、新たな負荷設定で試験を繰り返す。これは、不合格とならない最大の力を見つけるまで続ける。以下の表に、この方法で使用される装置と設定を示す。
【0098】
[表]
【0099】
延伸力、巻き出し力、騒音レベル:
延伸力、巻き出し力、騒音レベルは、Highlight Industries製のHighlight Film Test Systemで試験される。フィルムロールを機械の巻き出し部分に置き、フィルムを一組のローラーに通す。次いで、フィルムを、それがその最大延伸点に達するまで、力を増しながら巻き出す。ロードセルは、延伸にかかる力の大きさ(延伸力)と巻き出しに必要な力(巻き出し力)を測定する。騒音レベルは、この試験の間にデシベル単位の内蔵騒音計で測定される。各試験について3回の測定を行い、延伸力、巻き出し力および騒音レベルの値を平均する。これらの試験のフィルム幅は20インチである。
【0100】
パレット上穿刺:
この試験は、ブルセトン階段法を用いて、フィルムが3回巻き付け用の試験プローブ上を失敗なく通過することができる最大負荷力を決定する。試験プローブを所望の突出距離で試験台に挿入する。試験プローブがフィルムの中心と整列するようにフィルムを配置する。フィルムを試験台に取り付け、ラッパーを始動する。ラッパーが250%の予備延伸に達すると、フィルムは、最大3回巻き付け用のプローブを通過することが可能になる。巻き付けのいずれかの間にフィルムが破損した場合、その力での負荷設定が失敗であると見なされる。負荷設定(すなわち通過または失敗)でのフィルムの性能に応じて、負荷をかける力を上下に調整し、新たな負荷設定で試験を繰り返す。これは、不合格とならない最大の力を見つけるまで続ける。以下の表に、この方法で使用される装置と設定を示す。
【0101】
[表]
【0102】
粘着性
(延伸粘着性能の)パレット上延伸粘着度は、Lantech SHS試験装置によって測定することができる。試験は、ターンテーブルを10rpmの速度で回転させながら、5回巻き付けの間、12ポンドの一定の力F2によってフィルムを250%延伸することからなる。次いで、フィルムの終端を、ドラムからもぎ取るのに必要なグラムでの力量を測定するロードセルに取り付ける。
【実施例】
【0103】
多層キャストフィルムに用いられる樹脂を、表2、3、および5に示す。本発明のプロピレンインターポリマーは、プロピレン−エチレンコポリマーであり、段落[0018]〜[0020]において上述した方法によって調製される。プロピレンインターポリマーのさらなる特性を以下の表3に概説する。PE樹脂1は、以下の方法で製造される。PE樹脂1および比較ポリエチレン組成物のさらなる特性を表5に概説する。
【0104】
【表2】
【0105】
【表3】
【0106】
PE樹脂1
PE樹脂1を以下のように調製する:多金属触媒を調製する(触媒1)。次いで、触媒1を用いて溶液重合でPE樹脂1を調製する。
【0107】
触媒1の調製
約109kgの0.20M MgClスラリーに7.76kgのEADC溶液(ヘプタン中15重量%)を添加し、続いて8時間撹拌した。次いで、TiCl/VOClの混合物(それぞれ85mLおよび146mL)を添加し、続いてZr(TMHD)の溶液(Isopar E中0.30M溶液の0.320kg)を添加した。これら2回の添加は、互いに1時間以内に順次行った。得られた触媒プレミックスを、使用前にさらに8時間撹拌しながら熟成を行った。
【0108】
樹脂1の製造
PE樹脂1を以下の手順に従って作製する:全ての原料(エチレン、1−ヘキセン)およびプロセス溶媒(商品名ISOPAR Eの下でイソパラフィン系溶媒、ExxonMobil Corporationから市販されている)を、反応環境に導入前にモレキュラーシーブで精製する。水素は、高純度グレードとして加圧シリンダー内に供給され、それ以上精製されない。反応器モノマー供給(エチレン)ストリームを、機械的圧縮機を介して反応圧力より高い圧力、例えば750psigに加圧する。溶媒およびコモノマー(1−ヘキセン)供給物を、機械的容積式ポンプを介して反応圧力より高い圧力、例えば750psigに加圧する。個々の触媒成分を精製溶媒(ISOPAR E)で特定の成分濃度に手動でバッチ希釈し、反応圧力より高い圧力、例えば750psigに加圧する。全ての反応供給流を質量流量計で測定し、コンピュータ自動弁制御システムで独立して制御する。
【0109】
連続溶液重合反応器は、液体で満たされた、非断熱的な、等温の、循環するループからなる。全ての新鮮な溶媒、モノマー、コモノマー、水素、および触媒構成成分供給物の独立した制御が可能である。溶媒、モノマー、コモノマーおよび水素供給物を合わせたものは、供給ストリームを熱交換器に通すことによって5℃〜50℃、典型的には40℃の間のどこかに温度制御される。重合反応器への新鮮なコモノマー供給物を再循環溶媒にコモノマーを添加するように整列させる。重合反応器への全新鮮供給物は、各注入場所の間でほぼ等しい反応器容積で、2つの場所で反応器に注入される。新鮮供給物は典型的には、全新鮮供給物質量流量の半分を受容する各インジェクターで制御される。触媒成分は、特別に設計された注入口を通して重合反応器に注入され、反応器に注入する前に1つの混合触媒/共触媒供給ストリームと合わせられる。共触媒成分は、計算された特定のモル比に基づいて、プロ触媒成分に供給される。それぞれの新鮮な注入の位置(供給物または触媒のいずれか)の直後に、供給ストリームを、Kenics静的混合要素を伴って循環重合反応器の内容物と混合する。反応器の内容物は、反応熱の大部分を除去する役割を果たす熱交換器を通して、また特定温度で等温反応環境を維持する役割を果たす冷却剤側の温度で連続的に循環させる。反応器ループを回る循環は、スクリューポンプによって行われる。重合反応器からの流出物(溶媒、モノマー、コモノマー、水素、触媒成分、および溶融ポリマーを含む)は、反応器ループを出て、失活および酸捕捉剤(典型的にはステアリン酸カルシウムおよび付随する水)と接触する区域に入って反応を停止させ、塩化水素を除去する。さらに、この時点で酸化防止剤などの様々な添加剤を添加することができる。ストリームは、それから触媒停止剤および添加剤を均一に分散させるために別のKenics静的混合要素の組を通過する。
【0110】
添加剤の添加に続いて、流出物(溶媒、モノマー、コモノマー、水素、触媒成分、および溶融ポリマーを含む)は、他の低沸点反応成分からのポリマーの分離に備えて熱交換器を通過してストリーム温度を上げる。次いで、ストリームは、圧力降下制御弁(反応器の圧力を特定の目標値に維持することを担う)を通過する。次いで、ストリームは、二段分離脱揮システムに入り、そこで溶媒、水素、ならびに未反応モノマーおよびコモノマーからポリマーが除去される。不純物は、反応器に再び入る前に再循環ストリームから除去される。分離されそして脱揮されたポリマー溶融物は、水中ペレット化のために特別に設計されたダイを通してポンプで送られ、均一な固体ペレットに切断され、乾燥され、そしてホッパーに移される。初期ポリマー特性の検証後、固体ポリマーペレットを貯蔵装置に移す。
【0111】
脱揮工程で除去された部分は、再利用または破壊することができる。例えば、溶媒の大部分は、精製床を通過した後に反応器に再循環される。再循環された溶媒は、未反応のコモノマーをなお有することができ、それは反応器に再び入る前に新鮮なコモノマーで強化される。再循環された溶媒は、いくらかの水素をなお有することができ、それは次いで新鮮な水素で強化される。表4に、PE樹脂1の重合条件を要約する。
【0112】
【表4-1】
【0113】
【表4-2】
【0114】
【表5-1】
【0115】
【表5-2】
【実施例1】
【0116】
5層押出機を有するDolci 7層キャストラインを用いて3層キャストフィルムを作製した。粘着層は、12%の層比率を有し、コア層は、76%の層比率を有し、剥離層は、12%の層比率を有する。押出機1の押出の溶融温度は251℃、押出機2は197℃、押出機3は253℃、押出機4は235℃、押出機5は181℃、ダイ温度は235℃である。出力速度は1,000Kg/時である。チルロール温度は17℃である。エアギャップは5mlである。フィルム厚は25ミクロンである。フィルム構造およびフィルム特性を以下の表6にさらに概説する。
【0117】
【表6】
【0118】
表6に示すように、粘着剤の量を比較フィルム1の18%から本発明のフィルム1の13%に減らした場合でも、より高い粘着値が達成される。
【実施例2】
【0119】
4層押出機を有する5層キャストラインを用いて3層キャストフィルムを作製した。粘着層は、10%の層比率を有し、コア層は、80%の層比率を有し、剥離層は、10%の層比率を有する。押出機の溶融温度は200℃〜250℃の範囲である。出力速度は860kg/時である。ダイ温度は250℃である。エアギャップは3cmである。本発明のフィルム2は、次の押出機圧力:194/213/224/195バールを用いて作製された。比較フィルム2は、次の押出機圧力:221/222/240/215バールを用いて作製された。フィルム厚は20ミクロンである。フィルム構造およびフィルム特性を以下の表7にさらに概説する。
【0120】
【表7】
【0121】
表1に示すように、他のLLDPE樹脂を使用する比較フィルム2と比較して、本発明のポリエチレン組成物を粘着層、コア層、および剥離層に使用する本発明のフィルム2では、より高い粘着値が達成される。
【0122】
本明細書に開示される寸法および値は、記述された正確な数値に厳密に限定されるものとして理解されるべきではない。代わりに、他に特定されない限り、そのような各寸法は、記述された値およびその値を取り巻く機能的に同等の範囲の両方を意味することが意図されている。例えば、「40mm」として開示された寸法は、「約40mm」を意味することが意図されている。
【0123】
存在する場合、あらゆる相互参照されるか、または関連する特許または出願、および本出願が優先権または利益を主張するあらゆる特許出願または特許を含む、本明細書に挙げられる全ての文献は、明示的に除外されるかまたはさもなければ限定されない限り、その全体が本明細書に参照により組み込まれる。任意の文書の引用は、本明細書に開示または特許請求された任意の発明に関する先行技術であること、またはそれ単独で、もしくは任意の他の参考文献との任意の組み合わせで、そのような発明を教示、示唆、または開示していることを認めるものではない。さらに、この文書中の用語の任意の意味または定義が、参照により組み込まれる文書における同じ用語の任意の意味または定義と矛盾する範囲で、本明細書中のその用語に割り当てられた意味または定義が優先されるものとする。
【0124】
本発明の特定の実施形態を例示し説明したが、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、様々な他の変更および修正を行うことができることは、当業者には明らかであろう。そのため、添付の特許請求の範囲において、本発明の範囲内にあるそのような変更および修正を全て網羅することが意図されている。
【国際調査報告】