(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】2019532059
(43)【公表日】20191107
(54)【発明の名称】COの存在下およびモノリシック触媒成形体を含む触媒固定床の存在下で有機化合物を水素化する方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 29/145 20060101AFI20191011BHJP
   C07C 33/20 20060101ALI20191011BHJP
   C07C 31/20 20060101ALI20191011BHJP
   C07C 29/17 20060101ALI20191011BHJP
   C07C 31/12 20060101ALI20191011BHJP
   C07C 29/141 20060101ALI20191011BHJP
   B01J 35/04 20060101ALI20191011BHJP
   B01J 25/00 20060101ALI20191011BHJP
   B01J 23/86 20060101ALI20191011BHJP
   B01J 37/00 20060101ALI20191011BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20191011BHJP
【FI】
   !C07C29/145
   !C07C33/20
   !C07C31/20 B
   !C07C29/17
   !C07C31/12
   !C07C29/141
   !B01J35/04 331A
   !B01J35/04 D
   !B01J25/00 Z
   !B01J23/86 Z
   !B01J37/00 K
   !C07B61/00 300
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】39
(21)【出願番号】2019515949
(86)(22)【出願日】20170914
(85)【翻訳文提出日】20190412
(86)【国際出願番号】EP2017073145
(87)【国際公開番号】WO2018054754
(87)【国際公開日】20180329
(31)【優先権主張番号】16190428.9
(32)【優先日】20160923
(33)【優先権主張国】EP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所】ドイツ連邦共和国 67056 ルートヴィヒスハーフェン・アム・ライン カール−ボッシュ−シュトラーセ 38
【住所又は居所原語表記】Carl−Bosch−Strasse 38, 67056 Ludwigshafen am Rhein, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ロルフ ピンコス
【住所又は居所】ドイツ連邦共和国 ルートヴィヒスハーフェン カール−ボッシュ−シュトラーセ 38
(72)【発明者】
【氏名】イレーネ デ ヴィスペレーレ
【住所又は居所】ベルギー国 アントヴェルペン スヘルデラーン 600
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル シュヴァーツ
【住所又は居所】ドイツ連邦共和国 ルートヴィヒスハーフェン カール−ボッシュ−シュトラーセ 38
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル シュライバー
【住所又は居所】ドイツ連邦共和国 ルートヴィヒスハーフェン カール−ボッシュ−シュトラーセ 38
(72)【発明者】
【氏名】ジェリコ コタニャチ
【住所又は居所】ドイツ連邦共和国 ルートヴィヒスハーフェン カール−ボッシュ−シュトラーセ 38
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル ニレス
【住所又は居所】ドイツ連邦共和国 ルートヴィヒスハーフェン カール−ボッシュ−シュトラーセ 38
【テーマコード(参考)】
4G169
4H006
4H039
【Fターム(参考)】
4G169AA02
4G169AA08
4G169AA09
4G169BA18
4G169BA47C
4G169BB02B
4G169BB03B
4G169BC16A
4G169BC16B
4G169BC31A
4G169BC31B
4G169BC32A
4G169BC33A
4G169BC35A
4G169BC40B
4G169BC52B
4G169BC58A
4G169BC58B
4G169BC59B
4G169BC62A
4G169BC64A
4G169BC66A
4G169BC67A
4G169BC68A
4G169BC68B
4G169BC70A
4G169BC71A
4G169BC74A
4G169BC75A
4G169BD05A
4G169CB02
4G169DA06
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4G169EA12
4G169EA21
4G169EA24
4G169EB11
4G169EB14X
4G169EB14Y
4G169FA08
4G169FB02
4G169FB30
4G169FB44
4G169FB48
4G169FB69
4G169FB74
4G169FB75
4G169FC03
4H006AA02
4H006AC11
4H006AC41
4H006BA05
4H006BA09
4H006BA21
4H006BA61
4H006BA81
4H006BA82
4H006BC14
4H006BC18
4H006BC37
4H006BD20
4H006BE20
4H006BE40
4H006FC52
4H006FE11
4H006FG28
4H039CA19
4H039CA60
4H039CB10
4H039CB20
(57)【要約】
本発明は、COの存在下および固定化された構造化触媒成形体を含む触媒固定床の存在下で有機化合物を水素化する方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
Ni、Fe、Co、Cu、Cr、Pt、Ag、Au、Mn、Re、Ru、RhおよびIrから選択される少なくとも1種の元素を含むモノリシック触媒成形体を含むかまたはモノリシック触媒成形体からなる触媒固定床を含む少なくとも1つの反応器中で水素化可能な有機化合物を水素化する方法であって、ここで、水素化の間、反応器内の気相中のCO含有量は0.1〜10000体積ppmの範囲内であり、触媒固定床は細孔および/またはチャネルを有する触媒成形体を含み、そして触媒固定床を通る流れ方向に対する法線平面内の任意の区画において、細孔およびチャネルの少なくとも90%、より好ましくは細孔およびチャネルの少なくとも98%が最大でも3mmの面積を有する、方法。
【請求項2】
水素化に使用される化合物が、1,4−ブチンジオール、1,4−ブテンジオール、4−ヒドロキシブチルアルデヒド、ヒドロキシピバル酸、ヒドロキシピバルアルデヒド、n−ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、n−バレルアルデヒド、イソバレルアルデヒド、2−エチルヘキサ−2−エナール、2−エチルヘキサナール、異性体ノナナール、1,5,9−シクロドデカトリエン、ベンゼン、フラン、フルフラール、フタル酸エステル、アセトフェノンおよびアルキル置換アセトフェノンから選択される、請求項1記載の方法。
【請求項3】
水素化における変換率が、水素化に使用される出発物質中の水素化可能な化合物の全モル量に基づいて、少なくとも90モル%、好ましくは少なくとも95モル%、特に少なくとも99モル%、具体的に少なくとも99.5モル%である、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
水素化の間、反応器内の気相中のCO含有量が、0.15〜5000体積ppmの範囲内、特に0.2〜1000体積ppmの範囲内である、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
反応器が、CO濃度に関して触媒固定床を通る反応媒体の流れ方向に勾配を有する、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
触媒固定床から反応媒体が出るときのCO含有量が、触媒固定床に反応媒体が入るときのCO含有量よりも少なくとも5モル%高く、好ましくは少なくとも25モル%高く、特に少なくとも75モル%高い、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
触媒固定床が、触媒固定床を通る流れ方向に対する法線平面内の任意の区画において、区画の全面積に基づいて、最大でも5%、好ましくは最大でも1%、特に最大でも0.1%の自由面積を有し、この自由面積は触媒成形体の一部ではない、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
触媒固定床を含む反応器を通る液体反応混合物の流速が、少なくとも30m/h、好ましくは少なくとも50m/h、特に少なくとも80m/hである、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
水素化の反応混合物を少なくとも部分的に液体循環流に送り、ここで、循環流に送られる反応混合物と新たに供給される反応物流との比が、1:1〜1000:1、好ましくは2:1〜500:1、特に5:1〜200:1の範囲内である、請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
水素化の間、触媒固定床が温度勾配を有する、請求項1から9までのいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
モノリシック触媒成形体が、成形体全体に基づいて、一方向に少なくとも1cm、好ましくは少なくとも2cm、特に少なくとも5cmの最大寸法を有する、請求項1から10までのいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
モノリシック触媒成形体が、Ni、Fe、Co、Cu、Cr、Pt、AgおよびAuから、有利にはNi、CoおよびCuから選択される少なくとも1種の元素を含む、請求項1から11までのいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
モノリシック触媒成形体が発泡体の形態で存在する、請求項1から12までのいずれか1項記載の方法。
【請求項14】
水素化に使用される反応器が、Ni、Fe、Co、Cu、Cr、Pt、AgおよびAuから選択される少なくとも1種の第一の金属を含み、かつAl、ZnおよびSiから選択される少なくとも1種の第二の成分を含むモノリシック触媒成形体を含むかまたはモノリシック触媒成形体からなる触媒固定床を含み、ここで、活性化のために、触媒固定床を水性塩基による処理に付し、この活性化において、
a)Ni、Fe、Co、Cu、Cr、Pt、AgおよびAuから選択される少なくとも1種の第一の金属を含み、かつAl、ZnおよびSiから選択される少なくとも1種の第二の成分を含むモノリシック触媒成形体を含むかまたはモノリシック触媒成形体からなる触媒固定床を反応器中に導入し、
b)活性化のために、触媒固定床を水性塩基による処理に付し、
c)場合により、工程b)で得られた活性化触媒固定床を、水、C〜C−アルカノールおよびそれらの混合物から選択される洗浄媒体による処理に付し、
d)場合により、工程b)の活性化後または工程c)の処理後に得られた触媒固定床を、工程a)で使用される触媒成形体の第一の金属および第二の成分以外の少なくとも1種の元素を有するドーパントと接触させる、請求項1から13までのいずれか1項記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
本発明は、COの存在下および固定化された構造化触媒成形体を含む触媒固定床の存在下で有機化合物を水素化する方法に関する。
【0002】
先行技術
水素化反応は一酸化炭素(CO)の存在下で実施できることが基本的に知られている。COは、まず水素化に使用される水素に添加してよく、かつ/または供給原料またはその中間生成物、副生成物もしくは生成物に由来していてもよい。COに敏感な活性成分を含む触媒を水素化に使用する場合、この対応策として、高い水素圧および/または低い触媒空間速度で水素化を実施することが知られている。さもなければ、変換が不完全となる可能性があるので、例えば少なくとも1つの更なる反応器中での後反応がどうしても必要になってくる。同様に、副生成物の形成も増加し得る。高い水素圧の使用に伴う欠点は、COの水素化から生じるメタンの形成ひいては水素の消費量の増加および資本コストの増加である。
【0003】
米国特許第6,262,317号明細書(US6,262,317)(独国特許出願公開第19641707号明細書(DE19641707A1))には、不均一水素化触媒の存在下で、20〜300℃の温度、1〜200バールの圧力および0.1s−1〜1s−1の液体側体積基準物質移動係数kLaの値にて、液体連続相中での水素による1,4−ブチンジオールの水素化が記載されている。反応は、反応媒体中に懸濁された触媒の存在下または循環ガスモードにおいて並流で運転される固定床反応器中で行うことができる。通常は気泡塔で使用されるような構造充填物を触媒活性物質で直接被覆することによって固定床反応器を提供することができると大まかに記載されている。しかしながら、これについての更なる詳細は示されていない。実施例では、直径5mmのラシヒリングをベースとする懸濁触媒または反応器充填体が使用されていた。
【0004】
固定床モードにおける水素化については、0.99:1〜0.4:1の供給されたガス流対反応器を出るガス流の比が記載されており、すなわち、供給されたガスの少なくとも60%が依然として反応器の端部に存在している。
【0005】
懸濁モードにおいては、約0.4kgのブチンジオール/1リットルの反応空間×hの空間速度で良好な水素化の結果が実施例1に記載されている。空間速度が0.7に上昇すると(実施例2)、ブタンジオール収率が低下し、かつ2−メチルブタンジオール、ブタノールおよびプロパノールなどの望ましくない副生成物の割合が上昇する。懸濁状態での水素化の問題点は、懸濁触媒の取扱いであり、これは反応器中に残留しなければならないので、触媒を保持するためのフィルターシステムがどうしても必要になってくる。この種のフィルターは触媒粒子で塞がれる傾向があり、それらは定期的に手間をかけて洗浄しなければならず、またはフィルターの通過が不経済になる前の運転期間が相応して短い。実施例5および6でも、担持触媒を使用して、ランダム触媒床の粒子を反応器中に保持するためにフィルターが相変わらず用いられていた。空間速度は、約0.25kgのブチンジオール/1リットルの反応空間×hに対応していた。副生成物2−メチルブタンジオール、ブタノールおよびプロパノールの全量は6%と比較的高い。独国特許出願公開第19641707号明細書(DE19641707A1)に記載される方法の実施は、言及された理由のために技術的に煩雑である。固定床モードの場合にはさらに、反応器に供給されたガスの少なくとも60%が反応器端部で再び流出するので、ガス循環流を供給する必要がある。しかしながら、そのような循環ガスモードの場合には、ガス流中に望ましくない成分が蓄積するリスクが特に高い。これは特にCOに当てはまる。
【0006】
独国特許出願公開第19962907号明細書(DE19962907A1)には、COを水素化ガスに添加する、固定床担体触媒上でのアルキンの部分水素化によるC10〜C30−アルケンの製造方法が記載されている。使用される水素化活性金属はパラジウムのみである。具体的に挙げられる適切な出発物質は、デヒドロリナロール、ヒドロデヒドロリナロール、1−エチニル−2,6,6−トリメチルシクロヘキサノール、17−エチニルアンドロスタ−5−エン−3β,17β−ジオール、3,7,11,15−テトラメチル−1−ヘキサデシン−3−オール(デヒドロイソフィトール)、3,7,11−トリメチル−6−ドデセン−1−イン−3−オール(デヒドロジヒドロネロリドール)、4−メチル−4−ヒドロキシ−2−デシン、1,1−ジエトキシ−2−オクチンおよびビス(テトラヒドロ−2−ピラニルオキシ)−2−ブチンである。
【0007】
欧州特許出願公開第0754664号明細書(EP0754664A2)には、COを水素化ガスに添加する、固定床担体触媒上でのアルキンの部分水素化によるアルケンの製造方法が記載されている。ここでも使用される水素化活性金属はパラジウムのみである。大多数の他のものと共に言及される適切な反応物は1,4−ブチンジオールである。しかしながら、実施例では、2−デヒドロリナロールの2−リナロールへの選択的水素化のみが記載されている。
【0008】
独国特許出願公開第4333293号明細書(DE4333293A1)には、構造化Pd触媒上で1,4−ブチンジオールを1,4−ブテンジオールに60℃で部分水素化することが記載されている。CO形成またはその含有量についての言及はされていない。水素化に利用された水素の量についての言及はなく、あるのは圧力(15バール)だけである。したがって、水素化は連続的には行われず、その代わりに反応物が有意な水素流なしに細流モードにおいてポンプ輸送されただけだと仮定することができる。
【0009】
水素化反応用の公知の種類の触媒は、沈殿触媒、担体触媒またはラネー金属触媒である。ここで、ラネー金属触媒は、特にモノ不飽和またはポリ不飽和有機化合物の水素化のための、広範な商業的用途を見出している。通常、ラネー触媒は、少なくとも1種の触媒活性金属とアルカリ液に可溶性(浸出可能)の少なくとも1種の合金成分とを含む合金である。典型的な触媒活性金属は、例えばNi、Fe、Co、Cu、Cr、Pt、Ag、AuおよびPdであり、典型的な浸出可能合金成分は、例えばAl、ZnおよびSiである。この種のラネー金属触媒およびその製造方法は、例えば、米国特許第1,628,190号明細書(US1,628,190)、米国特許第1,915,473号明細書(US1,915,473)および米国特許第1,563,587号明細書(US1,563,587)に記載されている。不均一系接触化学反応、特に水素化反応におけるそれらの使用前に、ラネー金属合金は一般に活性化に付さなければならない。
【0010】
ラネー金属触媒を活性化する通常の方法は、製造時にまだ粉末形態で存在しない場合、合金を粉砕して微粉末を得ることを含む。活性化のために、粉末は水性アルカリ液で処理され、ここで、アルカリから浸出し得る金属を部分的に除去することで、高活性の浸出不可能な金属が留まる。このようにして活性化された粉末は自然発火性であり、酸素との接触ひいては付随するラネー金属触媒の失活を回避するために、通常は水または有機溶媒の下で貯蔵される。
【0011】
懸濁化されたラネーニッケル触媒を活性化する公知の方法によれば、ニッケル−アルミニウム合金が100℃以上の温度で15〜20質量%の水酸化ナトリウム溶液により処理される。米国特許第2,948,687号明細書(US2,948,687)には、最初に合金を50℃で20質量%のNaOH溶液で処理し、そして温度を100〜115℃に上昇させることによって、80メッシュ(約0.177mm)またはそれよりも細かい範囲の粒径を有するNi−Mo−Al粉砕合金からラネーニッケル−モリブデン触媒を調製することが記載されている。
【0012】
粉末状のラネー金属触媒の重大な欠点は、高価な沈降法および/または濾過法によってそれらを触媒反応の反応媒体から分離する必要があることである。
【0013】
より粗い粒子の形態でラネー金属触媒を使用できることも知られている。例えば、米国特許第3,448,060号明細書(US3,448,060)は構造化ラネー金属触媒の製造を記載しており、ここで、第一の実施形態では、不活性担体材料を、粉末状のニッケル−アルミニウム合金と新たに沈殿させた水酸化アルミニウムの水性懸濁液とで被覆する。このようにして得られた構造を乾燥し、加熱し、そして水と接触させて水素が放出される。それに続いて構造体を硬化させる。アルカリ金属水酸化物の溶液を用いた浸出が選択肢として考えられる。第二の実施形態では、粉末状のニッケル−アルミニウム合金と新たに沈殿させた水酸化アルミニウムとの水性懸濁液を、担体材料を使用せずに成形に付す。このようにして得られた構造体を、第一の実施形態と同じように活性化する。
【0014】
固定床触媒での使用に適した更なるラネー金属触媒は、中空体もしくは球体を含み得るか、または他の種類の支持体に担持されていてもよい。この種の触媒は、例えば欧州特許出願公開第0842699号明細書(EP0842699)、欧州特許第1068900号明細書(EP1068900)、米国特許第6,747,180号明細書(US6,747,180)、米国特許第2,895,819号明細書(US2,895,819)および米国特許出願公開第2009/0018366号明細書(US2009/0018366)に記載されている。
【0015】
米国特許第2,950,260号明細書(US2,950,260)には、アルカリ水溶液で処理することによって粒状のニッケル−アルミニウム合金からなる触媒を活性化する方法が記載されている。この粒状合金の典型的な粒径は、1〜14メッシュ(約20〜1.4mm)の範囲内である。Ni−Al合金などのラネー金属合金を水性アルカリ液と接触させると、比較的大量の水素が形成される発熱反応が起こることが見出されていた。以下の反応式は、例示的に、Ni−Al合金がNaOHなどの水性アルカリ液と接触したときに起こり得る反応を説明することを意図している:
2NaOH+2Al+2HO→2NaAlO+3H
2Al+6HO→2Al(OH)+3H
2Al(OH)→Al+3H
【0016】
米国特許第2,950,260号明細書(US2,950,260)の課題は、改善された活性および耐用年数を有するNi−Al合金からなる活性化された粒状水素化触媒を提供することである。このために0.5〜5質量%のNaOHまたはKOHを用いて活性化を実施し、ここで、冷却によって温度を35℃未満に保ち、そしてアルカリ液1モル当量につきH1.5モル部以下が放出されるように接触時間を選択する。懸濁化された粉末状の触媒とは対照的に、粒状ラネー金属触媒の処理の場合には、明らかに少ない割合のアルミニウムが構造体から浸出する。この割合は、もともと存在するアルミニウムの量に基づいて、わずか5〜30質量%の範囲内である。活性化された多孔質ニッケル表面と変化していない金属コアとを有する触媒粒子が得られる。このようにして得られた触媒の欠点は、粒子の最外層のみが触媒的に活性である場合、機械的応力または摩耗に対してそれらが敏感であり、このことは触媒の急速な失活につながる可能性がある。米国特許第2,950,260号明細書(US2,950,260)の教示は、より大きな構造化成形体とは根本的に異なる粒状触媒成形体に限定されている。この文献はさらに、触媒がニッケルおよびアルミニウムに加えて助触媒元素も含んでいてよいことを教示していない。
【0017】
例えば水素化における収率、選択性および/または活性の改善を達成するために、ラネー金属触媒などの水素化触媒を少なくとも1種の助触媒元素でドーピングに付すことが知られている。このようにして、品質が改善された製品を得ることが一般に可能である。この種のドーピングは、米国特許第2,953,604号明細書(US2,953,604)、米国特許第2,953,605号明細書(US2,953,605)、米国特許第2,967,893号明細書(US2,967,893)、米国特許第2,950,326号明細書(US2,950,326)、米国特許第4,885,410号明細書(US4,885,410)および米国特許第4,153,578号明細書(US4,153,578)に記載されている。
【0018】
例えば、助触媒元素の使用は、例として異性化反応などの望ましくない副反応を回避することに役立つ。助触媒元素はさらに、例えば複数の水素化可能な基を有する反応物の水素化の場合、1つの特定の基もしくは2つ以上の特定の基の適切な部分水素化、または全ての水素化可能な基の完全水素化のいずれかを達成するために、水素化触媒の活性を改変することに適している。例えば、1,4−ブチンジオールの1,4−ブテンジオールへの部分水素化のために、銅で修飾されたニッケル触媒またはパラジウム触媒を使用することが知られている(例えば英国特許第832141号明細書(GB832141)を参照のこと)。したがって、原則として、触媒の活性および/または選択性は、少なくとも1種の助触媒金属でドープすることによって増加または減少させることができる。そのようなドーピングは、ドープされた触媒のその他の水素化特性にできるだけ悪影響を及ぼさないようにされるべきである。
【0019】
ドーピングによる触媒成形体の修飾のために、原則として以下の4つの方法が知られている:
− 助触媒元素は、触媒成形体の製造のために合金中に既に存在している(方法1)。
− 活性化の間に触媒成形体をドーパントと接触させる(方法2)。
− 活性化の後に触媒成形体をドーパントと接触させる(方法3)。
− 水素化の間に触媒成形体を水素化供給流中のドーパントと接触させるか、または他の方法で水素化の間にドーパントを反応器中に導入する(方法4)。
【0020】
触媒成形体の製造のために少なくとも1種の助触媒元素が合金中に既に存在している上述の方法1は、例えば冒頭で既に述べた米国特許第2,948,687号明細書(US2,948,687)に記載されている。これによれば、触媒の製造には、モリブデン含有ラネーニッケル触媒を製造するためにニッケル−アルミニウム−モリブデン微粉砕合金が使用される。
【0021】
上述の方法2および3は、例えば、米国特許出願公開第2010/0174116号明細書(US2010/0174116A1)(=米国特許第8,889,911号明細書(US8,889,911))に記載されている。これによれば、ドープ触媒は、その活性化の間および/または活性化後に少なくとも1種の助触媒金属で修飾されたNi/Al合金から製造される。この場合、触媒は任意に活性化前に既に最初のドーピングに付されていてもよい。活性化の間および/または活性化後の触媒の表面への吸収によるドーピングに使用される助触媒元素は、Mg、Ca、Ba、Ti、Zr、Ce、Nb、Cr、Mo、W、Mn、Re、Fe、Co、Ir、Ni、Cu、Ag、Au、Bi、RhおよびRuから選択される。触媒前駆体が活性化前に既にドーピングに付される場合、助触媒元素はTi、Ce、V、Cr、Mo、W、Mn、Re、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Pd、PtおよびBiから選択される。
【0022】
上述の方法3は、英国特許第2104794号明細書(GB2104794)にも記載されている。この文献は、有機化合物の還元、特にカルボニル化合物の還元および1,4−ブチンジオールから1,4−ブタンジオールの製造のためのラネーニッケル触媒に関する。これらの触媒の製造のために、ラネーニッケル触媒がモリブデン化合物によるドーピングに付され、これは固体、分散液または溶液として存在していてもよい。Cu、Cr、Co、W、Zr、PtまたはPdなどの他の助触媒元素を追加で使用してもよい。具体的な実施形態では、既に活性化された市販の非ドープラネーニッケル触媒をモリブデン酸アンモニウムと一緒に水中に懸濁させ、十分な量のモリブデンが吸収されるまで懸濁液を撹拌する。この文献では、専ら粒状ラネーニッケル触媒がドーピングのために使用されており、構造化成形体の使用についての記載は特にない。構造化触媒固定床の形態で触媒をどのように反応器中に導入することができるか、そして反応器中に導入した触媒固定床をどのように活性化およびドープすることができるのかについての指針もない。
【0023】
上述の方法4は、例えば、米国特許第2,967,893号明細書(US2,967,893)または米国特許第2,950,326号明細書(US2,950,326)に記載されている。これによれば、銅は、水性条件下で1,4−ブチンジオールを水素化するためのニッケル触媒に銅塩の形態で添加される。
【0024】
欧州特許出願公開第2486976号明細書(EP2486976A1)によれば、担持された活性化ラネー金属触媒は、それに続いて水性金属塩溶液でドープされる。具体的には、使用される支持体は、この目的によく用いられているバルク材料、例えば約3mmの直径を有するSiO被覆ガラス体などである。反応器中の固定位置に存在する構造化触媒成形体からなる触媒固定床上でドーピングおよび場合により予め既に活性化を実施することは記載されていない。したがって、この文献に記載されている方法では、触媒されるべき反応の反応媒体の流れ方向に助触媒元素の濃度に関して勾配を有する触媒固定床を提供することは不可能である。
【0025】
欧州特許出願公開第2764916号明細書(EP2764916A1)には、水素化に適した触媒発泡成形体の製造方法が記載されており、この方法では、
a)例えばNi、Fe、Co、Cu、Cr、Pt、Ag、AuおよびPdから選択される少なくとも1種の第一の金属を含む金属発泡成形体を提供し、
b)例えばAl、ZnおよびSiから選択される少なくとも1種の第二の浸出可能成分または合金化によって浸出可能成分に変換可能な成分を金属発泡成形体の表面に適用し、
c)工程b)で得られた金属発泡成形体をその表面の少なくとも一部において合金化することによって合金を形成し、そして
d)工程c)で得られた発泡合金を、合金の浸出可能成分を浸出させることができる薬剤による処理に付す。
【0026】
この文献は、工程d)において、1〜10モル、すなわち4〜40質量%の水性NaOHを使用することを教示している。工程d)の温度は20〜98℃であり、処理時間は1〜15分である。この発明による発泡成形体は化学反応器中でその場で形成することもできると大まかに言及されているが、具体的な記載はない。欧州特許出願公開第2764916号明細書(EP2764916A1)もさらに、触媒発泡成形体の製造において助触媒元素を使用することが可能であることを教示している。ドーピングは、浸出可能成分を予め製造された金属発泡成形体の表面に適用するのと一緒に行うことができる。ドーピングは活性化後の別の工程で行うこともできる。
【0027】
欧州特許出願公開第2764916号明細書(EP2764916A1)には、発泡成形体を使用するための化学反応器の寸法、反応器中に導入される成形体の種類、量および寸法、ならびに反応器中への成形体の導入に関する記載は少しも含まれていない。特に、化学反応器中に存在する実際の触媒固定床を最初にどのようにして活性化し、それに続いてドープすることができるかに関しての記載がない。
【0028】
本発明の課題は、上述の欠点のできるだけ多くを克服する、有機化合物を水素化する改良された方法を提供することである。
【0029】
モノリシック固定床触媒を水素化に使用し、かつ反応器内の気相中のCO含有量が0.1〜10000体積ppmの範囲内である場合に、不飽和有機化合物を有利には飽和化合物に水素化できることが見出され、この場合、変換率は少なくとも90%であり、触媒固定床は細孔および/またはチャネルを有する触媒成形体を含み、そして触媒固定床を通る流れ方向に対する法線平面内の任意の区画において、細孔およびチャネルの少なくとも90%、より好ましくは細孔およびチャネルの少なくとも98%が最大でも3mmの面積を有する。
【0030】
発明の概要
本発明の対象は、Ni、Fe、Co、Cu、Cr、Pt、Ag、Au、Mn、Re、Ru、RhおよびIrから選択される少なくとも1種の元素を含むモノリシック触媒成形体を含むかまたはモノリシック触媒成形体からなる触媒固定床を含む少なくとも1つの反応器中で水素化可能な有機化合物を水素化する方法であって、ここで、水素化の間、反応器内の気相中のCO含有量は0.1〜10000体積ppmの範囲内であり、触媒固定床は細孔および/またはチャネルを有する触媒成形体を含み、そして触媒固定床を通る流れ方向に対する法線平面内の任意の区画において、細孔およびチャネルの少なくとも90%、より好ましくは細孔およびチャネルの少なくとも98%が最大でも3mmの面積を有する、方法である。
【0031】
発明の好ましい実施形態
本発明は、以下の好ましい実施形態を包含する。
【0032】
1.Ni、Fe、Co、Cu、Cr、Pt、Ag、Au、Mn、Re、Ru、RhおよびIrから選択される少なくとも1種の元素を含むモノリシック触媒成形体を含むかまたはモノリシック触媒成形体からなる触媒固定床を含む少なくとも1つの反応器中で水素化可能な有機化合物を水素化する方法であって、ここで、水素化の間、反応器内の気相中のCO含有量は0.1〜10000体積ppmの範囲内であり、触媒固定床は細孔および/またはチャネルを有する触媒成形体を含み、そして触媒固定床を通る流れ方向に対する法線平面内の任意の区画において、細孔およびチャネルの少なくとも90%、より好ましくは細孔およびチャネルの少なくとも98%が最大でも3mmの面積を有する、方法。
【0033】
2.水素化可能な有機化合物が、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合、炭素−窒素二重結合、炭素−酸素二重結合、炭素−炭素三重結合、炭素−窒素三重結合または窒素−酸素二重結合を有する化合物から選択される、実施形態1記載の方法。
【0034】
3.水素化に使用される化合物が、1,4−ブチンジオール、1,4−ブテンジオール、4−ヒドロキシブチルアルデヒド、ヒドロキシピバル酸、ヒドロキシピバルアルデヒド、n−ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、n−バレルアルデヒド、イソバレルアルデヒド、2−エチルヘキサ−2−エナール、2−エチルヘキサナール、異性体ノナナール、1,5,9−シクロドデカトリエン、ベンゼン、フラン、フルフラール、フタル酸エステル、アセトフェノンおよびアルキル置換アセトフェノンから選択される、実施形態1または2記載の方法。
【0035】
4.水素化に使用される化合物が、1,4−ブチンジオール、1,4−ブテンジオール、n−およびイソブチルアルデヒド、ヒドロキシピバルアルデヒド、2−エチルヘキサ−2−エナール、異性体ノナナールおよび4−イソブチルアセトフェノンから選択される、実施形態1から3までのいずれか1つに記載の方法。
【0036】
5.水素化を連続的に実施する、実施形態1から4までのいずれか1つに記載の方法。
【0037】
6.反応器が、0.1〜100m、好ましくは0.5〜80mの範囲の内容積を有する、実施形態1から5までのいずれか1つに記載の方法。
【0038】
7.水素化における変換率が、水素化に使用される出発物質中の水素化可能な化合物の全モル量に基づいて、少なくとも90モル%、好ましくは少なくとも95モル%、特に少なくとも99モル%、具体的に少なくとも99.5モル%である、実施形態1から6までのいずれか1つに記載の方法。
【0039】
8.水素化の間、反応器内の気相中のCO含有量が、0.15〜5000体積ppmの範囲内、特に0.2〜1000体積ppmの範囲内である、実施形態1から7までのいずれか1つに記載の方法。
【0040】
9.反応器が、CO濃度に関して触媒固定床を通る反応媒体の流れ方向に勾配を有する、実施形態1から8までのいずれか1つに記載の方法。
【0041】
10.触媒固定床から反応媒体が出るときのCO含有量が、触媒固定床に反応媒体が入るときのCO含有量よりも少なくとも5モル%高く、好ましくは少なくとも25モル%高く、特に少なくとも75モル%高い、実施形態1から9までのいずれか1つに記載の方法。
【0042】
11.触媒固定床が、触媒固定床を通る流れ方向に対する法線平面内の任意の区画において、区画の全面積に基づいて、最大でも5%、好ましくは最大でも1%、特に最大でも0.1%の自由面積を有し、この自由面積は触媒成形体の一部ではない、実施形態1から10までのいずれか1つに記載の方法。
【0043】
12.触媒固定床において、触媒固定床を通る流れ方向の長さの少なくとも90%にわたって、反応器横断面の少なくとも95%、好ましくは反応器横断面の少なくとも98%、特に反応器横断面の少なくとも99%が触媒成形体で充填されている、実施形態1から11までのいずれか1つに記載の方法。
【0044】
13.触媒固定床を含む反応器を通る液体反応混合物の流速が、少なくとも30m/h、好ましくは少なくとも50m/h、特に少なくとも80m/hである、実施形態1から12までのいずれか1つに記載の方法。
【0045】
14.触媒固定床を含む反応器を通る液体反応混合物の流速が、最大でも1000m/h、好ましくは最大でも500m/h、特に最大でも400m/hである、実施形態1から13までのいずれか1つに記載の方法。
【0046】
15.水素化の反応混合物を少なくとも部分的に液体循環流に送る、実施形態1から14までのいずれか1つに記載の方法。
【0047】
16.循環流に送られる反応混合物と新たに供給される反応物流との比が、1:1〜1000:1、好ましくは2:1〜500:1、特に5:1〜200:1の範囲内である、実施形態1から15までのいずれか1つに記載の方法。
【0048】
17.排出物を反応器から取り出し、気液分離に付して水素含有気相および生成物含有液相を得る、実施形態1から16までのいずれか1つに記載の方法。
【0049】
18.水素化における絶対圧力が、1〜330バールの範囲内、好ましくは5〜100バールの範囲内、特に10〜60バールの範囲内である、実施形態1から17までのいずれか1つに記載の方法。
【0050】
19.水素化における温度が、40〜300℃、より好ましくは70〜220℃、特に80〜200℃の範囲内である、実施形態1から18までのいずれか1つに記載の方法。
【0051】
20.水素化の間、触媒固定床が温度勾配を有する、実施形態1から19までのいずれか1つに記載の方法。
【0052】
21.モノリシック触媒成形体が、成形体全体に基づいて、一方向に少なくとも1cm、好ましくは少なくとも2cm、特に少なくとも5cmの最大寸法を有する、実施形態1から20までのいずれか1つに記載の方法。
【0053】
22.モノリシック触媒成形体が、Ni、Fe、Co、Cu、Cr、Pt、AgおよびAuから、有利にはNi、CoおよびCuから選択される少なくとも1種の元素を含む、実施形態1から21までのいずれか1つに記載の方法。
【0054】
23.モノリシック触媒成形体が発泡体の形態で存在する、実施形態1から22までのいずれか1つに記載の方法。
【0055】
24.水素化に使用される反応器が、Ni、Fe、Co、Cu、Cr、Pt、AgおよびAuから選択される少なくとも1種の第一の金属を含み、かつAl、ZnおよびSiから選択される少なくとも1種の第二の成分を含むモノリシック触媒成形体を含むかまたはモノリシック触媒成形体からなる触媒固定床を含み、ここで、活性化のために、触媒固定床を水性塩基による処理に付す、実施形態1から23までのいずれか1つに記載の方法。
【0056】
25.実施形態25記載の方法であって、
a)Ni、Fe、Co、Cu、Cr、Pt、AgおよびAuから選択される少なくとも1種の第一の金属を含み、かつAl、ZnおよびSiから選択される少なくとも1種の第二の成分を含むモノリシック触媒成形体を含むかまたはモノリシック触媒成形体からなる触媒固定床を反応器中に導入し、
b)活性化のために、触媒固定床を水性塩基による処理に付し、
c)場合により、工程b)で得られた活性化触媒固定床を、水、C〜C−アルカノールおよびそれらの混合物から選択される洗浄媒体による処理に付し、
d)場合により、工程b)の活性化後または工程c)の処理後に得られた触媒固定床を、工程a)で使用される触媒成形体の第一の金属および第二の成分以外の少なくとも1種の元素を有するドーパントと接触させる、方法。
【0057】
26.触媒成形体を提供するために、
a1)Ni、Fe、Co、Cu、Cr、Pt、AgおよびAuから選択される少なくとも1種の第一の金属を含む金属発泡成形体を提供し、
a2)Al、ZnおよびSiから選択される元素を含む少なくとも1種の第二の成分を金属発泡成形体の表面に適用し、
a3)工程a2)で得られた金属発泡成形体をその表面の少なくとも一部において合金化することによって合金を形成する、実施形態25または26記載の方法。
【0058】
発明の説明
水素化
本発明の文脈において、水素化は、ごく一般的には、有機化合物の反応において、この化合物にHを添加することを意味すると理解される。官能基を水素化して対応する水素化基を得ることが好ましい。これらには、例えば、ニトロ基、ニトロソ基、ニトリル基またはイミン基を水素化してアミン基を得ることが含まれる。これらにはさらに、例えば、芳香族化合物を水素化して飽和環状化合物を得ることが含まれる。これらにはさらに、例えば、炭素−炭素三重結合を水素化して二重結合および/または単結合を得ることが含まれる。これらにはさらに、例えば、炭素−炭素二重結合を水素化して単結合を得ることが含まれる。最後に、これらには、例えば、ケトン、アルデヒド、エステル、酸または無水物を水素化してアルコールを得ることが含まれる。
【0059】
炭素−炭素三重結合、炭素−炭素二重結合、芳香族化合物、カルボニル基を含む化合物、ニトリルおよびニトロ化合物の水素化が好ましい。水素化に適したカルボニル基を含む化合物は、ケトン、アルデヒド、酸、エステルおよび無水物である。
【0060】
炭素−炭素三重結合、炭素−炭素二重結合、ニトリル、ケトンおよびアルデヒドの水素化が特に好ましい。
【0061】
より好ましくは、水素化可能な有機化合物は、1,4−ブチンジオール、1,4−ブテンジオール、4−ヒドロキシブチルアルデヒド、ヒドロキシピバル酸、ヒドロキシピバルアルデヒド、n−およびイソブチルアルデヒド、n−およびイソバレルアルデヒド、2−エチルヘキサ−2−エナール、2−エチルヘキサナール、異性体ノナナール、1,5,9−シクロドデカトリエン、ベンゼン、フラン、フルフラール、フタル酸エステル、アセトフェノンおよびアルキル置換アセトフェノンから選択される。最も好ましくは、水素化可能な有機化合物は、1,4−ブチンジオール、1,4−ブテンジオール、n−およびイソブチルアルデヒド、ヒドロキシピバルアルデヒド、2−エチルヘキサ−2−エナール、異性体ノナナールおよび4−イソブチルアセトフェノンから選択される。
【0062】
本発明による水素化は、対応して水素化されるべき基をもはや含まない水素化化合物をもたらす。ここで、化合物が少なくとも2つの異なる水素化可能な基を含む場合、不飽和基のうちの1つのみを水素化することが望ましくあり得る(例えば化合物が芳香環とさらにケト基またはアルデヒド基を有している場合)。これには、例えば4−イソブチルアセトフェノンの1−(4’−イソブチルフェニル)エタノールへの水素化またはC−C−不飽和エステルの対応する飽和エステルへの水素化が含まれる。原則として、本発明の文脈における水素化と同時にまたは水素化の代わりに、他の水素化可能な基、例えば炭素−炭素単結合またはC−OH結合の水と炭化水素への望ましくない水素化も起こり得る。これには、例えば1,4−ブタンジオールのプロパナールまたはブタノールへの水素化分解が含まれる。これらの後者の水素化は、一般に望ましくない副生成物をもたらし、したがって望ましくない。有利には、対応して活性化された触媒の存在下における本発明の水素化は、所望の水素化反応に関して高い選択性を特徴とする。これらには、特に1,4−ブチンジオールまたは1,4−ブテンジオールの1,4−ブタンジオールへの水素化が含まれる。これらにはさらに、特にn−およびイソブチルアルデヒドのn−およびイソブタノールへの水素化が含まれる。これらにはさらに、特にヒドロキシピバルアルデヒドまたはヒドロキシピバル酸のネオペンチルグリコールへの水素化が含まれる。これらにはさらに、特に2−エチルヘキサ−2−エナールの2−エチルヘキサノールへの水素化が含まれる。これらにはさらに、特にノナナールのノナノールへの水素化が含まれる。これらにはさらに、特に4−イソブチルアセトフェノンの1−(4’−イソブチルフェニル)−エタノールへの水素化が含まれる。
【0063】
水素化は、有利には連続的に実施される。
【0064】
最も簡単な場合には、水素化は単一の水素化反応器中で行われる。本発明による方法の特定の実施形態では、水素化はn個の直列接続された水素化反応器中で行われ、ここで、nは少なくとも2の整数である。nの適切な値は2、3、4、5、6、7、8、9および10である。好ましくは、nは2〜6、特に2または3である。この実施形態では、水素化は好ましくは連続的に行われる。
【0065】
水素化に使用される反応器は、同一または異なる形状の触媒成形体から形成された触媒固定床を有していてもよい。触媒固定床は1つ以上の反応ゾーンを有していてもよい。様々な反応ゾーンは、触媒活性種の化学組成が異なる触媒成形体を有していてもよい。様々な反応ゾーンはまた、触媒活性種の化学組成が同一であり、一方で濃度が異なる触媒成形体を有していてもよい。少なくとも2つの反応器が水素化に使用される場合、それらの反応器は同一または異なる反応器であってもよい。これらは、例えば、それぞれ同じかまたは異なる混合特性を有していてもよく、かつ/または内部構造によって1回以上分けられていてもよい。
【0066】
水素化に適した耐圧反応器は当業者に知られている。これらには、気液反応用の一般的に慣用の反応器、例えば、管状反応器、シェルアンドチューブ反応器、ガス循環反応器などが含まれる。管状反応器の特定の実施態様は、シャフト反応器のそれである。
【0067】
本発明による方法は固定床モードで実施される。ここで、固定床モードにおいての操作は、例えば液相モードまたは細流モードにおいて実施され得る。
【0068】
水素化に使用される反応器は、本発明による方法に従って活性化された触媒固定床を含み、それを通って反応媒体が流れる。触媒固定床は、単一種類の触媒成形体からまたは種々の触媒成形体から形成されていてもよい。触媒固定床は1つ以上のゾーンを有していてもよく、ここで、少なくとも1つのゾーンは水素化触媒として活性材料を含む。各ゾーンは1種以上の異なる触媒活性材料および/または1種以上の異なる不活性材料を有していてもよい。異なるゾーンはそれぞれ同一または異なる組成を有していてもよい。例えば不活性床またはスペーサーによって互いに分離された複数の触媒活性ゾーンを提供することも可能である。個々のゾーンは異なる触媒活性を有していてもよい。このために、異なる触媒活性材料を使用すること、および/または少なくとも1つのゾーンに不活性材料を添加することが可能である。触媒固定床を通って流れる反応媒体は少なくとも1つの液相を含む。反応媒体はさらに気相を含んでいてもよい。
【0069】
水素化の間、反応器内の気相中のCO含有量は、好ましくは0.1〜10000体積ppmの範囲内、より好ましくは0.15〜5000体積ppmの範囲内、特に0.2〜1000体積ppmの範囲内である。反応器中のCO全含有量は、気相および液相中のCOからなり、これらは互いに平衡状態にある。実用上、CO含有量は気相中で測定され、ここに報告される値は気相に関する。
【0070】
ここで、反応器にわたる濃度プロファイルが有利であり、COの濃度は反応器に沿った水素化の反応媒体の流れ方向に上昇すべきである。
【0071】
驚くべきことに、CO濃度が水素化反応の反応媒体の流れ方向に増加するとき、および触媒固定床が細孔および/またはチャネルを有する触媒成形体を含み、ここで、触媒固定床を通る流れ方向に対する法線平面内の任意の区画において、細孔およびチャネルの少なくとも90%、より好ましくは細孔およびチャネルの少なくとも98%が最大でも3mmの面積を有する場合に、水素化において特に高い選択性が達成されることが今や見出された。好ましくは、触媒固定床から反応媒体が出るときのCO含有量は、触媒固定床に反応媒体が入るときのCO含有量よりも少なくとも5モル%高く、より好ましくは少なくとも25モル%高く、特に少なくとも75モル%高い。例えば、触媒固定床を通る反応媒体の流れ方向にCO勾配を生じさせるために、COを1つ以上の点で触媒固定床に供給してもよい。
【0072】
COの含有量は、例えば、個々の試料を採取することでガスクロマトグラフィーによって、またはオンライン測定によって測定される。オンライン測定による測定が好ましい。反応媒体を反応器に入れる前に試料を採取する際には、気体と液体との間の平衡が確実に形成されるようにするために、気体と液体の両方を採取してそれらを減圧させることが有利である。次いでCOの含有量が気相で測定される。
【0073】
オンライン測定は、例えば反応媒体を触媒固定床に入れる前と反応媒体を触媒固定床から出した後に、反応器中で直接行うことができる。
【0074】
CO含有量は、例えば、水素化に使用される水素にCOを添加することによって調節することができる。COを水素とは別に反応器に供給することも当然できる。水素化の反応混合物が少なくとも部分的に液体循環流に送られる場合、COもこの循環流に供給することができる。COはまた、水素化の反応混合物中に含まれている成分から、例えば水素化されるべき反応物として、または水素化において生じる中間体もしくは副生成物としても形成され得る。例えば、COは、水素化の反応混合物中に存在するギ酸、ギ酸エステルまたはホルムアルデヒドによって脱カルボニル化により形成され得る。COはまた同様に、ホルムアルデヒド以外のアルデヒドの脱カルボニル化によって、または第一級アルコールのアルデヒドへの脱水素化とそれに続く脱カルボニル化によっても形成され得る。これらの望ましくない副反応には、例えば、1,4−ブタンジオールからのプロパノール形成またはブタノール形成などのC−C−またはC−X切断が含まれる。水素化における変換は、反応器内の気相中のCO含有量が高すぎると、すなわち具体的に10000体積ppmを超えると不十分なものにしかなり得ないことも見出された。
【0075】
水素化における変換率は、水素化に使用される出発物質中の水素化可能な化合物の全モル量に基づいて、有利には少なくとも90モル%、より好ましくは少なくとも95モル%、特に少なくとも99モル%、具体的に少なくとも99.5モル%である。変換率は、目的化合物に到達するために出発化合物によって何モル当量の水素が吸収されたかにかかわらず、所望の目的化合物の量に基づく。水素化に使用される出発化合物が2つ以上の水素化可能な基を含むか、または2当量以上の水素を吸収することができる水素化可能な基(例えばアルキン基)を含む場合、所望の目的化合物は、部分水素化生成物(例えばアルキンからアルケン)または完全水素化生成物(例えばアルキンからアルカン)のいずれかであり得る。
【0076】
本発明による水素化を成功させるには、水素化の反応混合物(すなわち気体流および液体流)が構造化触媒を非常に優勢に通過し、例えば、従来のランダム固定床触媒の場合のように、その側を通り過ぎないことが重要である。
【0077】
好ましくは、物質流(すなわち気体流と液体流の合計)の90%超、好ましくは95%超、より好ましくは99%超が触媒固定床を通って流れるべきである。
【0078】
本発明に従って使用される触媒固定床は、有利には、触媒固定床を通る流れ方向(すなわち水平方向)に対する法線平面内の任意の区画において、区画の全面積に基づいて、好ましくは最大でも5%、より好ましくは最大でも1%、特に最大でも0.1%の自由面積を有し、この自由面積は触媒成形体の一部ではない。触媒成形体の表面で開口する細孔およびチャネルの面積は、この自由面積には数えられない。自由面積の数値は、触媒成形体の領域内の触媒固定床を通る区画のみに関するものであり、フローディストリビューターなどの任意の内部構造物に関するものではない。
【0079】
本発明に従って使用される触媒固定床が細孔および/またはチャネルを有する触媒成形体を含む場合、有利には、触媒固定床を通る流れ方向に対する法線平面内の任意の区画において、細孔およびチャネルの少なくとも90%、より好ましくは細孔およびチャネルの少なくとも98%が最大でも1mmの面積を有する。
【0080】
本発明に従って使用される触媒固定床が細孔および/またはチャネルを有する触媒成形体を含む場合、有利には、触媒固定床を通る流れ方向に対する法線平面内の任意の区画において、細孔およびチャネルの少なくとも90%、より好ましくは細孔およびチャネルの少なくとも98%が最大でも0.7mmの面積を有する。
【0081】
本発明による触媒固定床において、有利には、触媒固定床を通る流れ方向の長さの少なくとも90%にわたって、反応器横断面の少なくとも95%、より好ましくは反応器横断面の少なくとも98%、特に反応器横断面の少なくとも99%が触媒成形体で充填されている。
【0082】
構造化触媒中で良好な物質移動が起こるようにするためには、反応混合物が触媒固定床を通って流れる速度が遅すぎてはならない。好ましくは、触媒固定床を含む反応器を通る液体反応混合物の流速は、少なくとも30m/h、好ましくは少なくとも50m/h、特に少なくとも80m/hである。好ましくは、触媒固定床を含む反応器を通る液体反応混合物の流速は、最大でも1000m/h、より好ましくは最大でも500m/h、特に最大でも400m/hである。
【0083】
反応混合物の流れ方向は、具体的に直立型反応器の場合には、原則として重要な意味を持たない。したがって、水素化は液相モードまたは細流モードにおいて行うことができる。水素化されるべき反応混合物を触媒固定床の液相側に供給し、そして触媒固定床を通過した後に頂部側で排出する液相モードが有利であり得る。このことが特に当てはまるのは、ガス速度を遅くすべき場合のみである(例えば<50m/h)。これらの流速は、一般的に、反応器を出る液体流の一部を再び返送し、返送した流を反応器の上流または反応器中のいずれかで反応物流と組み合わせることによって達成される。反応物流は、反応器の長さおよび/または幅にわたり分けて供給することもできる。
【0084】
好ましい実施形態では、水素化の反応混合物は少なくとも部分的に液体循環流に送られる。
【0085】
循環流に送られる反応混合物と新たに供給される反応物流との比は、有利には1:1〜1000:1、好ましくは2:1〜500:1、特に5:1〜200:1の範囲内である。
【0086】
好ましくは、排出物を反応器から取り出し、気液分離に付して水素含有気相および生成物含有液相を得る。気液分離のために、この目的によく用いられており、かつ慣用の分離容器(分離器)などの当業者に知られている装置を使用することが可能である。気液分離における温度は、反応器中の温度とちょうど同じかそれよりも低いことが有利である。気液分離における圧力は、反応器中の圧力とちょうど同じかそれよりも低いことが有利である。好ましくは、気液分離は、本質的に反応器中と同じ圧力で行われる。このことが特に当てはまるのは、液相および場合により気相が循環流に送られる場合である。反応器と気液分離との間の圧力差は、有利には最大でも10バール、特に最大でも5バールである。気液分離を二段階で構成することも可能である。その場合の第二の気液分離における絶対圧力は、有利には0.1〜2バールの範囲内である。
【0087】
気液分離で得られた生成物含有液相は、一般的に少なくとも部分的に排出される。水素化の生成物は、場合により更なる後処理の後にこの排出物から単離することができる。好ましい実施形態では、生成物含有液相は、少なくとも部分的に液体循環流として水素化に返送される。
【0088】
相分離で得られた水素含有気相は、少なくとも部分的にオフガスとして排出することができる。相分離で得られた水素含有気相はさらに、少なくとも部分的に水素化に返送することができる。気相を介して排出される水素の量は、水素化において水素のモル数で消費される0〜500モル%の水素量であることが有利である。例えば、1モルの水素を消費する場合、5モルの水素をオフガスとして排出することができる。より好ましくは、気相を介して排出される水素の量は、水素化において水素のモル数で消費される最大でも100モル%、特に最大でも50モル%の水素量である。この排出流によって、反応器内の気相中のCO含有量を制御することが可能である。特定の実施形態では、相分離で得られた水素含有気相は返送されない。しかしながら、これが望ましい場合、これは変換のために化学的に必要とされるガスの量に基づいて、好ましくは1000%までの、より好ましくは200%までの量である。
【0089】
反応器出口でのガス空塔速度によって表されるガス充填量は、一般的に最大でも200m/h、好ましくは最大でも100m/h、より好ましくは最大でも70m/h、最も好ましくは最大でも50m/hである。ここで、ガス充填量は、本質的に水素からなり、有利には少なくとも60体積%の程度までである。水素も中間供給流に添加することができるので、反応器入口でのガス速度は極端に変わりやすい。水素全体が反応器入口に添加される場合、ガス速度は一般的に反応器出口でよりも高い。
【0090】
水素化における絶対圧力は、有利には1〜330バールの範囲内、より好ましくは5〜100バールの範囲内、特に10〜60バールの範囲内である。
【0091】
水素化における温度は、有利には40〜300℃、より好ましくは70〜220℃、特に80〜200℃の範囲内である。
【0092】
特定の実施形態では、水素化の間、触媒固定床は温度勾配を有する。有利には、触媒固定床の最も冷たい点と触媒固定床の最も温かい点との間の温度差は最大50Kに保たれる。有利には、触媒固定床の最も冷たい点と触媒固定床の最も温かい点との間の温度差は、0.5〜40Kの範囲、好ましくは1〜30Kの範囲に保たれる。
【0093】
触媒
本発明の文脈において、触媒固定床は、水素化の間に固定位置にあり(固定化されており)、1つまたは有利には2つ以上の触媒成形体を含む反応器中に設置される装置を意味すると理解される。触媒固定床は、触媒成形体を固定位置に設置することによって反応器中に導入される。得られる触媒固定床は、水素化反応の反応混合物が貫流することができる多数のチャネルを有する。
【0094】
適切な触媒固定床を製造するために、モノリシック触媒成形体を互いに並置して、かつ/または反応器内部に積み重ねて設置することができる。触媒成形体の設置方法は原則として当業者に知られている。例えば、1層以上の発泡触媒を反応器中に導入することができる。それぞれがセラミックブロックからなるモノリシックは、反応器内部で互いに並置して積み重ねられていてもよい。ここで、水素化反応の反応混合物が、触媒成形体のみを通って流れるかまたは本質的に触媒成形体を通って流れ、それらの側を通り過ぎないことが本発明にとって重要である。最小限のバイパスによる流れを保証するために、モノリシック触媒成形体は、適切な装置を用いて、互いに、かつ/または反応器の内壁に対して密閉することができる。これらには、例えば、処理条件および反応条件下で不活性材料からなるシールリング、シールマット等が含まれる。
【0095】
触媒成形体は、活性化のために使用される水性塩基および触媒反応の反応混合物の流れ方向に触媒固定床の貫流を可能にするチャネルを有する1つ以上の本質的に水平な層において反応器中に設置することが好ましい。触媒固定床が反応器横断面を可能な限り完全に充填するように設置されることが有利である。所望であれば、触媒固定床は、フローディストリビューター、気体状または液体状の反応物を供給するための装置、特に温度測定のための測定要素、または不活性充填物などの更なる内部構造物も含み得る。
【0096】
本発明による方法に従った水素化には、原則として、1種の気体状反応物および1種の液体状反応物を供給することを含む発熱不均一反応に通常使用される耐圧反応器が適している。これらには、気液反応用の一般的に慣用の反応器、例えば管状反応器、シェルアンドチューブ反応器およびガス循環反応器が含まれる。管状反応器の特定の実施形態はシャフト反応器のそれである。この種の反応器は原則として当業者に知られている。特に、反応器の底部または頂部に、少なくとも1種の気体状および少なくとも1種の液体状の成分を含む反応混合物を供給するための1つの入口装置または複数の入口装置を有する垂直縦軸を有する円筒形反応器が用いられる。所望であれば、気体状および/または液体状の反応物の部分流を少なくとも1つの更なる供給装置を介して反応器にさらに供給することができる。反応器中での水素化の反応混合物は一般に液相と気相を有する二相混合物の形をとる。例えば、更なる成分が水素化において存在する場合、2つの液相が気相の他に存在していることも可能である。
【0097】
本発明による方法は、工業規模で実施されるべき水素化に特に適している。有利には、その場合の反応器は、0.1〜100m、好ましくは0.5〜80mの範囲の内容積を有する。「内容積」という用語は、反応器中に存在する触媒固定床と場合により存在する更なる内部を含む容積に関する。本発明による方法と関連する技術的な利点は、内容積がより小さい反応器においても当然明らかにされる。
【0098】
本発明による方法では、「モノリシック」触媒成形体が使用される。本発明の文脈におけるモノリシック成形体は、固定化された構造化触媒固定床の製造に適した構造化成形体である。粒状触媒とは対照的に、モノリシック成形体からは本質的に凝集性でシームレスな触媒固定床を作り出すことが可能である。これは「一片からなる」という意味でのモノリシックの定義に対応する。本発明によるモノリシック触媒成形体は、例えばペレットからなるランダム触媒充填層とは対照的に、多くの場合、半径方向流れ(横方向流れ)に対する軸方向流れ(縦方向流れ)のより高い比率を特徴とする。モノリシック触媒成形体は、相応に水素化反応の反応媒体の流れ方向にチャネルを有する。粒状触媒は、一般に外面に触媒活性部位を有する。モノリシック成形体からなる触媒固定床は、触媒活性部位がチャネル壁の表面に配置された多数のチャネルを有する。水素化反応の反応混合物は、流れ方向にこれらのチャネルを通って反応器を貫流することができる。したがって、粒状成形体からなるランダム触媒充填層の場合よりも、一般に反応混合物と触媒活性部位とのより一層強い接触が行われる。
【0099】
本発明に従って使用されるモノリシック成形体は、1cm未満の任意の方向において最大の長手方向寸法を有する個々の触媒体からなる成形体ではない。そのような非モノリシック成形体は、通常のランダム触媒充填層の形態の触媒固定床をもたらす。本発明に従って使用されるモノリシック触媒成形体は、規則的な平らなまたは三次元の構造を有し、それ自体、ランダム床の形態で使用される粒子形態の担体とは異なる。
【0100】
本発明に従って使用されるモノリシック触媒成形体は、成形体全体に基づいて、有利には少なくとも1cm、より好ましくは少なくとも2cm、特に少なくとも5cmの任意方向の最小寸法を有する。任意方向における最大寸法の最大値は原則として重要ではなく、これは一般に成形体の製造方法の結果生じる。例えば、発泡体の形態の成形体は、ミリメートル〜センチメートルの範囲内の厚さ、数センチメートル〜数百センチメートルの範囲内の幅、および数メートルまでの長さ(任意方向の最大寸法として)を有し得るシート状構造物であり得る。
【0101】
本発明に従って使用されるモノリシック触媒成形体は、有利には、バルク材料とは対照的に、より大きな単位へと形状結合式に束ねることができるか、またはバルク材料よりも大きい単位からなる。
【0102】
本発明に従って使用されるモノリシック触媒成形体はまた、それらが本質的により少ないパーツで存在するという点で、粒状触媒またはその担体とは一般に異なる。例えば、本発明によれば、触媒固定床を単一の成形体の形態で使用することができる。しかしながら、一般に、触媒固定床を製造するためにいくつかの成形体が使用される。本発明に従って使用されるモノリシック触媒成形体は、一般に、拡大した三次元構造を有する。本発明に従って使用される触媒成形体は、一般に、連続チャネルが貫通している。連続チャネルは任意の幾何学形状を有していてもよい。例えば、それらはハニカム構造(honey comb)で存在していてもよい。適切な触媒成形体はまた、平らな担体構造を成形することによって、例えば平らな構造を圧延または屈曲させて三次元構造物を得ることによって製造することもできる。平らな基材から出発して、この場合、成形体の外形は、簡単に所定の反応器形状に適合させることができる。
【0103】
本発明に従って使用されるモノリシック触媒成形体の特徴は、触媒固定床の制御された貫流が可能である触媒固定床を製造するために使用され得ることである。触媒反応の条件下での触媒成形体の移動、例えば触媒成形体の相互摩擦は回避される。触媒成形体と得られた触媒固定床の規則的な構造は、触媒固定床の流体力学的に最適な運転のための改良された選択肢をもたらす。
【0104】
本発明による方法で使用されるモノリシック触媒成形体は、有利には、発泡体、メッシュ、織物、緯編布、経編布またはそれら以外のモノリシックの形態である。本発明の文脈における用語「モノリシック触媒」はまた、「ハニカム触媒」として知られる触媒構造を含む。
【0105】
特定の実施形態では、触媒成形体は発泡体の形態である。ここで、触媒成形体は、任意の適切な外形、例えば立方体、直方体、円筒形などを有することができる。適切な織物は、平織り、綾織り、畳織り、5軸繻子織りなどの異なる織り方、さもなければ他の特殊織りで製造することができる。鉄、ばね鋼、真鍮、リン青銅、純ニッケル、モネル、アルミニウム、銀、ニッケル銀(銅−ニッケル−亜鉛合金)、ニッケル、クロムニッケル、クロム鋼、非防錆性、耐酸性および耐高温性のクロムニッケル鋼、ならびにチタンなどの金属製の織成可能なワイヤからなるワイヤ織物も適している。同じことが、緯編布と経編布にも当てはまる。Alおよび/またはSiOなどの無機材料からなる織物、緯編布または経編布を使用することも同様に可能である。ポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィン(例えばポリエチレン、ポリプロピレン)、ポリテトラフルオロエチレン等のようなポリマーからなる織物、緯編布または経編布も適している。前述の織物、緯編布または経編布だけでなく他の平らな構造化触媒担体も、空間的により大きい三次元構造体、いわゆるモノリシックへと成形することができる。モノリシックを平らな担体からではなく、中間段階なしで直接製造すること、例えば、流路を有する当業者に知られているセラミックモノリシックを製造することも同様に可能である。
【0106】
適切な触媒成形体は、例えば、欧州特許出願公開第0068862号明細書(EP−A0068862)、欧州特許出願公開第0198435号明細書(EP−A0198435)、欧州特許出願公開第201614号明細書(EP−A201614)、欧州特許出願公開第448884号明細書(EP−A448884)、欧州特許出願公開第0754664号明細書(EP0754664A2)、独国特許出願公開第4333293号明細書(DE4333293)、欧州特許出願公開第2764916号明細書(EP2764916A1)および米国特許出願公開第20080171218号明細書(US2008/0171218A1)に記載されたものである。
【0107】
例えば、欧州特許出願公開第0068862号明細書(EP0068862)は、チャネルを有するロールの形態の平滑シートと波形シートの交互の層を含むモノリシック成形体を記載しており、ここで、平滑シートは、織成された、緯編みされた、または経編みされたテキスタイル材料を含み、かつ波形シートはメッシュ材料を含む。
【0108】
欧州特許出願公開第0198435号明細書(EP−A0198435)は、触媒の製造方法を記載しており、そこでは活性成分および助触媒が超高真空下での蒸着により担体材料に適用される。使用される担体材料は、メッシュまたは織物タイプの担体材料である。反応器への設置のために蒸着にかけられた触媒織物は1つにまとめられて「触媒パッケージ」を形成し、触媒パッケージの成形は反応器中の流動条件に適合される。
【0109】
真空下での金属の蒸着および「スパッタリング蒸着」に適した方法は公知である。
【0110】
触媒成形体は、Ni、Fe、Co、Cu、Cr、Pt、Ag、AuおよびPdから選択される少なくとも1種の元素を含むことが好ましい。特定の実施形態では、触媒成形体はNiを含む。特定の実施形態では、触媒成形体はパラジウムを含まない。これは、触媒成形体の製造のために、触媒活性金属としても、または助触媒元素としても、または担体材料として役立つ成形体を提供するためにも、パラジウムを積極的に添加しないことを意味すると理解される。
【0111】
好ましくは、触媒成形体はラネー金属触媒である。
【0112】
好ましくは、水素化に使用される反応器は、Ni、Fe、Co、Cu、Cr、Pt、AgおよびAuから選択される少なくとも1種の第一の金属を含み、かつAl、ZnおよびSiから選択される少なくとも1種の第二の成分を含むモノリシック触媒成形体を含むかまたはモノリシック触媒成形体からなる触媒固定床を含み、ここで、活性化のために、触媒固定床を水性塩基による処理に付す。
【0113】
好ましい実施形態は、
a)Ni、Fe、Co、Cu、Cr、Pt、AgおよびAuから選択される少なくとも1種の第一の金属を含み、かつAl、ZnおよびSiから選択される少なくとも1種の第二の成分を含むモノリシック触媒成形体を含むかまたはモノリシック触媒成形体からなる触媒固定床を反応器中に導入し、
b)活性化のために、触媒固定床を水性塩基による処理に付し、
c)場合により、工程b)で得られた活性化触媒固定床を、水、C〜C−アルカノールおよびそれらの混合物から選択される洗浄媒体による処理に付し、
d)場合により、工程b)の活性化後または工程c)の処理後に得られた触媒固定床を、工程a)で使用される触媒成形体の第一の金属および第二の成分以外の少なくとも1種の元素を有するドーパントと接触させる、方法である。
【0114】
より好ましくは、モノリシック触媒成形体は発泡体の形態で存在する。原則として適しているのは、孔の大きさおよび形状、層の厚さ、面密度、幾何学的表面積、多孔度等に関して種々の形態学的特性を有する金属発泡体である。製造はそれ自体既知の方法で行うことができる。例えば、有機ポリマーからなる発泡体を少なくとも1種の第一の金属で被覆し、次いでポリマーを、例えば熱分解または適切な溶媒に溶解することにより除去して金属発泡体を得ることができる。少なくとも1種の第一の金属またはその前駆体で被覆するために、有機ポリマーからなる発泡体を、第一の金属を含む溶液または懸濁液と接触させることができる。これは、例えば噴霧または浸漬によって行うことができる。化学気相堆積(CVD)による堆積も可能である。例えば、ポリウレタン発泡体を第一の金属で被覆し、次いでポリウレタン発泡体を熱分解することができる。発泡体の形態の触媒成形体の製造に適したポリマー発泡体は、有利には100〜5000μm、より好ましくは450〜4000μm、特に450〜3000μmの範囲の孔径を有する。適切なポリマー発泡体は、有利には5〜60mm、より好ましくは10〜30mmの層厚を有する。適切なポリマー発泡体は、有利には300〜1200kg/mの密度を有する。比表面積は、有利には100〜20000m/m、より好ましくは1000〜6000m/mの範囲内である。多孔度は、有利には0.50〜0.95の範囲内である。
【0115】
第二の成分は、例えば、第一の成分から得られた成形体を第二の成分と圧延または浸漬することにより接触させることによって、または第二の成分を噴霧、散乱もしくは流し込みによって適用することによって、様々な方法で適用することができる。このために、第二の材料は液体の形態、または有利には粉末の形態で存在し得る。第二の成分に塩を適用し、それに続いて還元することも可能である。有機結合剤と組み合わせて第二の成分を適用することも可能である。成形体の表面上での合金の製造は、合金化温度に加熱することによって行われる。上述したように、合金化条件により合金の浸出特性を制御することに成功する。第二の成分としてAlを用いる場合、合金化温度は、有利には650〜1000℃、より好ましくは660〜950℃の範囲内である。第二の成分としてNi/Al粉末を用いる場合、合金化温度は、有利には850〜900℃、より好ましくは880〜900℃の範囲内である。合金化の間、温度を連続的に上昇させ、次いで最大値に一定期間保つことが有利であり得る。それに続いて被覆および加熱された触媒発泡成形体を冷却することができる。
【0116】
好ましい実施形態では、触媒成形体を提供するために、
a1)Ni、Fe、Co、Cu、Cr、Pt、AgおよびAuから選択される少なくとも1種の第一の金属を含む金属発泡成形体を提供し、
a2)Al、ZnおよびSiから選択される元素を含む少なくとも1種の第二の成分を金属発泡成形体の表面に適用し、
a3)工程a2)で得られた金属発泡成形体をその表面の少なくとも一部において合金化することによって合金を形成する。
【0117】
この種の触媒成形体およびその製造方法は、欧州特許出願公開第2764916号明細書(EP2764916A1)に記載されており、これは参照により完全に組み込まれる。
【0118】
適切な合金化条件は、関与する金属の相図、例えばNiおよびAlの相図から明らかである。このようにして、例えば、NiAlおよびNiAlなどのAlに富んだ浸出性成分の割合を制御することが可能である。触媒成形体は、第一の成分および第二の成分に加えてドーパントを含んでいてもよい。これらには、例えば、Mn、V、Ta、Ti、W、Mo、Re、Ge、Sn、SbまたはBiが含まれる。
【0119】
第一の金属がNiを含むかまたはNiからなる触媒成形体が好ましい。第二の成分がAlを含むかまたはAlからなる触媒成形体がさらに好ましい。特定の実施形態は、ニッケルおよびアルミニウムを含む触媒成形体である。
【0120】
発泡体の形態のモノリシック触媒成形体を製造するためには、少なくとも5μmの粒径を有するアルミニウム粉末を使用することが好ましい。好ましくは、アルミニウム粉末は最大で75μmの粒径を有する。
【0121】
好ましくは、発泡体の形態のモノリシック触媒成形体を製造するために、
a1)Niを含む金属発泡成形体を提供し、
a2)溶媒中のアルミニウム含有懸濁液を金属発泡成形体の表面に適用し、
a3)工程a2)で得られた金属発泡成形体をその表面の少なくとも一部において合金化することによって合金を形成する。
【0122】
より好ましくは、アルミニウム含有懸濁液はさらにポリビニルピロリドンを含む。ポリビニルピロリドンの量は、アルミニウム含有懸濁液の全質量に基づいて、有利には0.1〜5質量%、より好ましくは0.5〜3質量%である。ポリビニルピロリドンの分子量は、有利には10000〜1300000g/モルの範囲内である。
【0123】
より好ましくは、アルミニウム含有懸濁液は、水、エチレングリコールおよびそれらの混合物から選択される溶媒を含む。
【0124】
合金は、水素と、反応条件下で不活性である少なくとも1種のガスとを含むガス混合物の存在下で段階的に高温加熱して形成することが好ましい。使用される不活性ガスは、有利には窒素である。適切なガス混合物の例は、50体積%のNと50体積%のHを含むものである。合金は、例えばロータリーキルン中で形成することができる。適切な加熱速度は、1〜10K/分、好ましくは3〜6K/分の範囲内である。高温加熱の間の特定の期間にわたって温度を本質的に一定(等温)に1回または複数回保つことが有利であり得る。例えば、加熱の間、温度は約300℃、約600℃および/または約700℃で一定に保つことができる。温度を一定に保つ時間は、1〜120分程度が有利であり、5〜60分がより好ましい。好ましくは、加熱の間、温度は650〜920℃の範囲内で一定に保たれる。温度が複数回にわたって一定に保たれるとき、最後の段階は、有利には650〜920℃の範囲内である。合金はさらに、好ましくは段階的に冷却して形成される。好ましくは、冷却は、水素と、反応条件下で不活性である少なくとも1種のガスとを含むガス混合物の存在下で150〜250℃の範囲の温度まで行われる。使用される不活性ガスは、有利には窒素である。適切なガス混合物の例は、50体積%のNと50体積%のHを含むものである。好ましくは、更なる冷却は、少なくとも1種の不活性ガスの存在下で、有利には窒素の存在下で行われる。
【0125】
好ましくは、発泡体の形態のモノリシック触媒成形体の質量は、その製造に使用される金属発泡成形体の質量よりも35〜60%、より好ましくは40〜50%高い。
【0126】
好ましくは、担体金属骨格上にこのようにして得られた金属間相は、主にNiAlおよびNiAlからなる。
【0127】
活性化(工程b))
好ましくは、活性化のために使用される触媒成形体は、全質量に基づいて、60〜95質量%、より好ましくは70〜80質量%のNi、Fe、Co、Cu、Cr、Pt、Ag、Au、Mn、Re、Ru、RhおよびIrから選択される第一の金属を有する。
【0128】
より好ましくは、活性化のために使用される触媒成形体は、全質量に基づいて、60〜95質量%、特に70〜80質量%のNi、Fe、Co、Cu、Cr、Pt、AgおよびAuから選択される第一の金属を有する。
【0129】
好ましくは、活性化のために使用される触媒成形体は、全質量に基づいて、5〜40質量%、より好ましくは20〜30質量%のAl、ZnおよびSiから選択される第二の成分を有する。
【0130】
好ましくは、活性化のために使用される触媒成形体は、全質量に基づいて、60〜95質量%、より好ましくは70〜80質量%のNiを有する。
【0131】
活性化のために使用される触媒成形体は、全質量に基づいて、好ましくは5〜40質量%、より好ましくは20〜30質量%のAlを有する。
【0132】
活性化の間、触媒固定床は、処理媒体として水性塩基による処理に付され、ここで、触媒成形体の第二の(浸出可能)成分は少なくとも部分的に溶解され、触媒成形体から除去される。ここで、水性塩基による処理は発熱的に進行し、それにより活性化の結果として触媒固定床が加熱される。触媒固定床の加熱は、使用される水性塩基の濃度に依存する。能動的冷却によって反応器から熱が除去されず、その代わりにこれは処理媒体に伝達されて断熱運転モードがある程度実行されることで、活性化の間、温度が水性塩基の流れ方向に上昇する温度勾配が触媒固定床に形成される。しかしながら、能動的冷却によって反応器から熱を除去した場合も、活性化中に触媒固定床に温度勾配が生じる。
【0133】
好ましくは、活性化によって、第二の成分の元の質量に基づいて、触媒成形体から第二の成分の30〜70質量%、より好ましくは40〜60質量%が除去される。
【0134】
好ましくは、活性化のために使用される触媒成形体はNiおよびAlを含み、活性化によって、元の質量に基づいて、30〜70質量%、より好ましくは40〜60質量%のAlが除去される。
【0135】
触媒成形体から浸出した第二の成分、例えばアルミニウムの量の測定は、例えば元素分析により、負荷された水性塩基排出物と洗浄媒体の全量における第二の成分の含有量を測定することにより行うことができる。あるいは触媒成形体から浸出する第二の成分の量の測定は、活性化の過程で形成される水素の量によって測定することができる。アルミニウムが使用される場合、2モルのアルミニウムの浸出は、そのつど3モルの水素の生成をもたらす。
【0136】
触媒固定床の活性化は、液相モードまたは細流モードにおいて行うことができる。新しい水性塩基を触媒固定床の液相側に供給し、そして触媒固定床を通過した後に頂部側で排出する液相モードが好ましい。
【0137】
触媒固定床を通過した後、負荷された水性塩基が得られる。負荷された水性塩基は、触媒固定床を通過する前の水性塩基と比較してより低い濃度の塩基を有し、かつ活性化において形成された、塩基に少なくとも部分的に可溶性である反応生成物に富んでいる。これらの反応生成物は、例えば、第二の(浸出可能)成分としてアルミニウムを使用する場合、アルカリ金属アルミネート、水酸化アルミニウム水和物、水素などを含む(例えば、米国特許第2,950,260号明細書(US2,950,260)参照)。
【0138】
活性化の間、触媒固定床が温度勾配を有するという記述は、本発明の文脈においては、触媒固定床が活性化全体において比較的長期間にわたってこの温度勾配を有することを意味すると理解される。好ましくは、触媒固定床は、触媒成形体から除去されるべきアルミニウムの量の少なくとも50質量%、好ましくは少なくとも70質量%、特に少なくとも90質量%が除去されるまで温度勾配を有する。使用される水性塩基の強度が活性化の過程で増大しない場合および/または活性化もしくは外部加熱の開始時よりも低い程度の冷却によって触媒固定床の温度が増大する場合、触媒固定床の最も冷たい点と触媒固定床の最も温かい点との間の温度差は、活性化の過程で次第に小さくなり、次いで活性化の終わりに向かってゼロの値をとることさえあり得る。
【0139】
好ましくは、触媒固定床の最も冷たい点と触媒固定床の最も温かい点との間の温度差は最大50Kに保たれる。触媒固定床の過程で温度差を測定するために、これに温度測定のための慣習的な測定ユニットが設けられていてもよい。活性触媒冷却を行わない反応器の場合、触媒固定床の最も温かい点と触媒固定床の最も冷たい点との間の温度差を測定するためには、一般的に触媒固定床の最も上流にある点と触媒固定床の最も下流にある点との間の温度差を測定すれば十分である。能動的に冷却される反応器の場合、流れ方向で触媒固定床の最も上流にある点と触媒固定床の最も下流にある点との間に少なくとも1つの更なる温度センサー(例えば1、2または3つの更なる温度センサー)を設けることが賢明であり得る。
【0140】
より好ましくは、触媒固定床の最も低い点と触媒固定床の最も温かい点との間の温度差は最大40K、特に最大25Kに保たれる。
【0141】
好ましくは、活性化開始時の触媒固定床の最も冷たい点と触媒固定床の最も温かい点との間の温度差は、0.1〜50Kの範囲、好ましくは0.5〜40Kの範囲、特に1〜25Kの範囲に保たれる。活性化の開始時に、最初に塩基なしで水性媒体を装入し、次いで所望の濃度が達成されるまで新しい塩基を供給することが可能である。この場合、活性化開始時の触媒固定床の最も低い点と触媒固定床の最も温かい点との間の温度差は、所望の塩基濃度が反応器入口で初めて達成された時点のものを意味すると理解される。
【0142】
活性化のために使用される媒体の熱容量に応じて、供給される水性塩基の量および濃度を選択することによって、能動的冷却なしの反応器において触媒固定床の温度勾配のパラメータを制御することができる。能動的冷却ありの反応器において触媒固定床の温度勾配のパラメータを制御するために、活性化のために使用される媒体に加えて熱が熱交換によって除去される。そのような熱の除去は、使用される反応器中で活性化のために使用される媒体および/または存在する場合には液体循環流を冷却することによって行うことができる。
【0143】
活性化のために、モノリシック触媒成形体を最大3.5質量%の水性塩基による処理に付すことが好ましい。最大3.0質量%の水性塩基の使用が特に好ましい。活性化のために、触媒成形体は、好ましくは0.1〜3.5質量%の水性塩基、より好ましくは0.5〜3.5質量%の水性塩基による処理に付される。ここで、濃度の数値は、触媒成形体と接触する前の水性塩基に基づいている。活性化のために水性塩基を触媒成形体と一度だけ接触させる場合、濃度の数値は新しい水性塩基に基づいている。水性塩基が活性化のために少なくとも部分的に液体循環流に送られる場合、活性化の後に得られた負荷された塩基に新しい塩基を添加して触媒成形体の活性化に再使用することができる。これに関連して、上記の濃度値が同様に適用される。
【0144】
水性塩基について上記の特定の濃度を遵守することにより、高い活性および非常に良好な安定性を有するラネー金属触媒の触媒成形体が得られる。これは、工業規模での水素化反応のための触媒固定床の活性化に特に当てはまる。驚くべきことに、塩基について述べた濃度範囲は、触媒の活性化における過度の温度上昇および制御がきかない水素の形成を回避することに有効である。この利点は、工業規模の反応器において特に有効である。
【0145】
好ましい実施形態では、活性化のために使用される水性塩基は、少なくとも部分的に液体循環流に送られる。第一の実施形態では、反応器は、活性化されるべき触媒と共に液相モードにおいて操作される。その場合、垂直に整列された反応器において、水性塩基が液相側で反応器中に供給されて下方から上方に触媒固定床に通して送られ、排出物は触媒固定床の上で取り出されて液相側で反応器中に返送される。ここで、排出された流は、好ましくは、例えば水素の分離および/または負荷された水性塩基の一部の排出によって後処理に付される。第二の実施形態では、反応器は、活性化されるべき触媒と共に細流モードにおいて操作される。その場合、垂直に整列された反応器において、水性塩基が頂部側で反応器に供給されて上方から下方に触媒固定床に通して送られ、排出物は触媒固定床の下で取り出されて頂部側で反応器中に返送される。ここで、排出された流も、好ましくは、例えば水素の分離および/または負荷された水性塩基の一部の排出によって後処理に付される。活性化は、液相モードの縦型反応器中で(すなわち、触媒固定床を通る上向きの流により)行われることが好ましい。そのような運転モードは、活性化の間の水素の形成が、低いガス空間速度(Gasbelastung)も生じさせる場合に有利である。なぜなら、それは頂部でより容易に除去され得るからである。
【0146】
好ましい実施形態では、液体循環流に送られる塩基に加えて、触媒固定床に新しい水性塩基が供給される。新しい塩基は液体循環流中に供給してよいか、またはそれとは別個に反応器中に供給してもよい。これに関連して、返送された水性塩基と混合した後の塩基濃度が3.5質量%以下である場合、新しい水性塩基は3.5質量%よりも高い濃度を有していてもよい。
【0147】
循環流に送られる水性塩基と新たに供給される水性塩基との比は、有利には1:1〜1000:1、より好ましくは2:1〜500:1、特に5:1〜200:1の範囲内である。
【0148】
好ましくは、水性塩基の供給速度(活性化のために使用される水性塩基が液体循環流に送られない場合)は、触媒固定床の全体積に基づいて、触媒固定床1リットル当たり最大でも5L/分、好ましくは触媒固定床1リットル当たり最大でも1.5L/分、より好ましくは触媒固定床1リットル当たり最大でも1L/分である。
【0149】
好ましくは、活性化のために使用される水性塩基は、少なくとも部分的に液体循環流に送られ、そして新しく供給される水性塩基の供給速度は、触媒固定床の全体積に基づいて、触媒固定床1リットル当たり最大でも5L/分、好ましくは触媒固定床1リットル当たり最大でも1.5L/分、より好ましくは触媒固定床1リットル当たり最大でも1L/分である。
【0150】
好ましくは、水性塩基の供給速度(活性化のために使用される水性塩基が液体循環流に送られない場合)は、触媒固定床の全体積に基づいて、触媒固定床1リットル当たり0.05〜5L/分の範囲内、より好ましくは触媒固定床1リットル当たり0.1〜1.5L/分の範囲内、特に触媒固定床1リットル当たり0.1〜1L/分の範囲内である。
【0151】
好ましくは、活性化のために使用される水性塩基は、少なくとも部分的に液体循環流に送られ、そして新しく供給される水性塩基の供給速度は、触媒固定床の全体積に基づいて、触媒固定床1リットル当たり0.05〜5L/分の範囲内、より好ましくは触媒固定床0.1〜1.5L/分の範囲内、特に触媒固定床1リットル当たり0.1〜1L/分の範囲内である。
【0152】
新しい水性塩基の供給速度の制御は、触媒固定床において生じる温度勾配を所望の範囲内の値に保つための効果的な手法である。
【0153】
触媒固定床を含む反応器を通る水性塩基の流速は、有利には少なくとも0.5m/h、より好ましくは少なくとも3m/h、特に少なくとも5m/h、具体的に少なくとも10m/hである。
【0154】
新たに形成された多孔質触媒金属に及ぼす機械的応力および摩耗を回避するために、高すぎる流速を選択しないことが賢明であり得る。触媒固定床を含む反応器を通る水性塩基の流速は、有利には最大でも100m/h、より好ましくは最大でも50m/h、特に最大でも40m/hである。
【0155】
上記の流速は、水性塩基の少なくとも一部が液体循環流に送られるときに特に効率的に達成することができる。
【0156】
触媒固定床の活性化のために使用される塩基は、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物およびそれらの混合物から選択される。塩基は、好ましくは、NaOH、KOHおよびそれらの混合物から選択される。具体的には、使用される塩基はNaOHである。塩基は水溶液の形態で活性化のために使用される。
【0157】
上記の手法は、活性化の間にニッケルなどの触媒活性金属の浸出を効果的に最小化することを可能にする。得られたラネー金属触媒の活性化および安定性の効果の適切な尺度は、負荷された水性塩基中の金属含有量である。液体循環流を使用する場合、循環流中の金属含有量は、活性化の有効性および得られるラネー金属触媒の安定性の適切な尺度である。好ましくは、活性化の間、負荷された水性塩基中でのニッケル含有量は、または活性化のために液体循環流が使用される場合、循環流中でのニッケル含有量は、最大でも0.1質量%、より好ましくは最大でも100質量ppm、特に好ましくは最大でも10質量ppmである。ニッケル含有量は元素分析によって測定することができる。洗浄媒体による活性化触媒固定床の処理、ドーパントによる触媒固定床の処理、および水素化反応での使用などの以下の工程段階でも同じ有利な値が一般に達成される。
【0158】
本発明による方法は、使用される成形体にわたってと、得られる活性化触媒固定床全体とにわたって触媒活性ラネー金属の均一な分布を可能にする。触媒固定床を通る活性化媒体の流れ方向における触媒活性ラネー金属の分布に関して、勾配は形成されないか、またはわずかな勾配しか形成されない。言い換えれば、触媒固定床の上流の触媒活性部位の濃度は、触媒固定床の下流の触媒活性部位の濃度と本質的に等しい。この有利な効果は、活性化のために使用される水性塩基が少なくとも部分的に液体循環流に送られる場合に特に達成される。本発明による方法はまた、浸出された第二の成分、例えばアルミニウムを、使用される成形体にわたってと、得られる活性化された触媒固定床全体とにわたって均一に分布させることを可能にする。触媒固定床を通る活性化媒体の流れ方向に浸出した第二の成分の分布に関して、勾配は形成されないか、またはわずかな勾配しか形成されない。
【0159】
活性化のために使用される水性塩基が液体循環流に少なくとも部分的に送られる場合の更なる利点は、必要とされる水性塩基の使用量を明らかに減少させることができる点である。したがって、(返送を伴わない)水性塩基のシングルパスとそれに続く負荷された塩基の排出は、新しい塩基に対する高い需要を生む。返送流に新しい塩基を適切な量で供給することで、活性化反応に十分な塩基が常に存在することを保証する。このために、明らかに少ない量が全体的に必要とされる。
【0160】
触媒固定床を通過した後、負荷された水性塩基が得られ、これは触媒固定床を通過する前の水性塩基と比較してより低い塩基濃度を有し、活性化において形成され、かつ塩基に少なくとも部分的に可溶である反応生成物に富んでいる。好ましくは、負荷された水性塩基の少なくとも一部が排出される。したがって、水性塩基の一部が循環流に送られたとしても、活性化のために使用される水性塩基中での過度の希釈および望ましくない不純物の蓄積を回避することが可能である。好ましくは、単位時間当たりに供給される新しい水性塩基の量は、排出される負荷された水性塩基の量に対応する。
【0161】
好ましくは、活性化から負荷された水性塩基の排出物を取り出し、気液分離に付して水素含有気相および液相を得る。気液分離のために、この目的によく用いられており、かつ慣用の分離容器などの当業者に知られている装置を使用することが可能である。相分離で得られた水素含有気相はプロセスから排出され、例えば熱利用に供給される。相分離で得られた、負荷された水性塩基排出物を含む液相は、有利には液体循環流として活性化に少なくとも部分的に返送される。好ましくは、相分離で得られた液相のうち、負荷された水性塩基排出物を含む部分が排出される。したがって、上記のように、活性化のために使用される水性塩基中での過度の希釈および望ましくない不純物の蓄積を回避することが可能である。
【0162】
活性化の進行を制御し、第二の成分、例えばアルミニウムが触媒成形体から浸出する量を測定するために、活性化の過程で形成される水素の量を測定することが可能である。アルミニウムが使用される場合、2モルのアルミニウムの浸出は、そのつど3モルの水素の生成をもたらす。
【0163】
好ましくは、本発明による活性化は、最大でも50℃の温度、好ましくは最大でも40℃の温度で行われる。
【0164】
好ましくは、本発明による活性化は、0.1〜10バール、より好ましくは0.5〜5バールの範囲の圧力、具体的に周囲圧力で行われる。
【0165】
洗浄媒体による処理(工程c))
本発明による方法の任意の工程c)において、工程b)で得られた活性化触媒固定床は、水、C〜C−アルカノールおよびそれらの混合物から選択される洗浄媒体による処理に付される。
【0166】
適切なC〜C−アルカノールは、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノールおよびイソブタノールである。
【0167】
好ましくは、工程c)で使用される洗浄媒体は、水を含むかまたは水からなる。
【0168】
好ましくは、工程c)において、洗浄媒体流出物が20℃で最大でも200mS/cm、より好ましくは最大でも100mS/cm、特に最大でも10mS/cmの導電率を有するまで、洗浄媒体による処理が実施される。
【0169】
好ましくは、工程c)において、水が洗浄媒体として使用され、洗浄媒体流出物が20℃で最大でも9、より好ましくは最大でも8、特に最大でも7のpH値を有するまで、洗浄媒体による処理が実施される。
【0170】
好ましくは、工程c)において、洗浄媒体流出物が最大でも5質量%、より好ましくは最大でも5000質量ppm、特に最大でも500質量ppmのアルミニウム含有量を有するまで、洗浄媒体による処理が実施される。
【0171】
好ましくは、工程c)において、洗浄媒体による処理は、20〜100℃、より好ましくは20〜80℃、特に25〜70℃の範囲の温度で実施される。
【0172】
ドーピング(工程d))
ドーピングとは、触媒の層または基材への外来原子の導入をいう。この操作で導入される量は、残りの触媒材料と比較して一般的に少ない。ドーピングは出発物質の特性を目的に応じて変える。
【0173】
特別な実施形態では、触媒固定床は、活性化後(すなわち工程b)の後)および場合により洗浄媒体による処理後(すなわち工程c)が実施される場合は、この工程の後)に、工程a)で使用される触媒成形体の第一の金属および第二の成分以外の少なくとも1種の元素を有するドーパントと接触させられる。そのような元素は、以降、「助触媒元素」と呼ぶ。好ましくは、ドーパントとの接触は、活性化された触媒固定床の洗浄媒体による処理の間および/または処理の後(すなわち、工程c)の間および/または工程c)の後)に行われる。
【0174】
ドーパントは、有利には、Ti、Ta、Zr、V、Cr、Mo、W、Mn、Re、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pt、Cu、Ag、Au、CeおよびBiから選択される少なくとも1種の助触媒元素を含む。
【0175】
ドーパントが、本発明の文脈において、第一の金属の定義を同時に満たす少なくとも1種の助触媒元素を含むことが可能である。この種の助触媒元素は、Ni、Fe、Co、Cu、Cr、Mn、Re、Ru、Rh、Ir、Pt、AgおよびAuから選択される。この場合、還元された金属形態に基づくモノリシック成形体は、ドーパントとして大部分(すなわち50質量%超)の第一の金属と、少数(すなわち50質量%未満)のそれ以外の金属とを含む。しかしながら、モノリシック触媒成形体の第一の金属の全量を述べる際に、本発明の文脈において第一の金属の定義を満たす全ての金属は、(それらが水素化活性成分としてまたは助触媒として役割を果たすかどうかに関係なく)それらの全質量割合で計算される。
【0176】
特定の実施形態では、ドーパントは、本発明の文脈において第一の金属の定義を満たすいかなる助触媒元素も含まない。好ましくは、その場合のドーパントは、Ti、Ta、Zr、Ce、V、Mo、WおよびBiから選択される1種の助触媒元素のみまたは2種以上の助触媒元素を含むことが好ましい。
【0177】
好ましくは、ドーパントは助触媒元素としてMoを含む。特定の実施形態では、ドーパントは唯一の助触媒元素としてMoを含む。
【0178】
より好ましくは、ドーピングのための助触媒元素はそれらの塩の形態で使用される。適切な塩は、例えば、硝酸塩、硫酸塩、酢酸塩、ギ酸塩、フッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物、酸化物または炭酸塩である。助触媒元素は、Niと比較して貴な特性に基づき、自ずと金属形態に分離するか、または還元剤、例えば水素、ヒドラジン、ヒドロキシルアミン等と接触させることによって、それらの金属形態に還元することができる。活性化操作の間に添加される場合、助触媒元素はそれらの金属形態でも存在し得る。この場合、金属−金属化合物の形成のためには、触媒固定床を、助触媒金属の導入後、最初に酸化処理に付し、次いで還元処理に付すことが賢明であり得る。
【0179】
特定の実施形態では、触媒固定床は、工程c)の洗浄媒体による処理の間および/または処理の後に、助触媒元素としてMoを含むドーパントと接触させる。さらにより具体的には、ドーパントは唯一の助触媒元素としてMoを含む。適切なモリブデン化合物は、三酸化モリブデン、モリブデンの硝酸塩、硫酸塩、炭酸塩、塩化物、ヨウ化物および臭化物、ならびにモリブデン酸塩から選択される。モリブデン酸アンモニウムの使用が好ましい。好ましい実施形態では、良好な水溶性を有するモリブデン化合物が使用される。良好な水溶性は、20℃で少なくとも20g/Lの溶解度を意味すると理解される。より低い水溶性を有するモリブデン化合物を使用する場合、ドーパントとして使用する前に溶液を濾過することが賢明であり得る。ドーピングに適した溶媒は、水、ドーピング条件下で触媒に対して不活性である水以外の極性溶媒、およびそれらの混合物である。好ましくは、ドーピングに使用される溶媒は、水、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノールおよびそれらの混合物から選択される。
【0180】
好ましくは、ドーピングにおける温度は、10〜100℃、より好ましくは20〜60℃、特に20〜40℃の範囲内である。
【0181】
ドーパント中の助触媒元素の濃度は、ドーピング条件下で約20g/Lからドーパントの最大溶解量までの範囲内であることが好ましい。一般に、出発点として使用される最大量は周囲温度で飽和した溶液とされる。
【0182】
ドーピング時間は、有利には0.5〜24時間である。
【0183】
ドーピングが不活性ガスの存在下で行われることが有利であり得る。適切な不活性ガスは、例えば窒素またはアルゴンである。
【0184】
特定の実施形態では、触媒発泡成形体のドーピングのために、モリブデン源を水に溶解し、この溶液を、活性化された発泡体に先に通過させる。モリブデン酸アンモニウムの水和物、例えば(NHMo24×4HOを使用する場合には、これを水に溶解して、この溶液を使用する。この場合、使用可能な量はモリブデン酸アンモニウムの溶解度に大きく依存し、原則として重要ではない。実用上、モリブデン酸アンモニウム430g未満が室温(20℃)で水1リットル当たりに溶解される。ドーピングが室温よりも高い温度で実施される場合、より多くの量を使用することも可能である。モリブデン酸アンモニウム溶液は、それに続いて20〜100℃の温度、好ましくは20〜40℃の温度で、活性化および洗浄された発泡体を通過させられる。処理時間は、有利には0.5〜24時間、より好ましくは1〜5時間である。特定の実施形態では、接触は、窒素などの不活性ガスの存在下で行われる。圧力は、有利には1〜50バールの範囲内、具体的に約1バール(絶対)である。その後、ドープ処理されたラネーニッケル発泡体は、更なる後処理なしにまたは再洗浄後に水素化に使用することができる。
【0185】
ドープされた触媒成形体は、還元された金属形態の助触媒元素と触媒成形体の全質量に基づいて、有利には0.01〜10質量%、より好ましくは0.1〜5質量%の助触媒元素を含む。
【0186】
触媒固定床は、その濃度に関して本質的に均一または不均一に分布して助触媒元素を含むことができる。特定の実施形態では、触媒固定床は助触媒元素の濃度に関して流れ方向に勾配を有する。特に、触媒固定床は、本発明による方法に従って活性化され、かつ/またはMoがドープされたNi/Al触媒成形体を含むかまたはNi/Al触媒成形体からなり、Mo濃度に関して流れ方向に勾配を有する。
【0187】
反応器中の固定位置に設置され、濃度に関して本質的に均一な分布で存在し、すなわち勾配の形態では存在しない少なくとも1種の助触媒元素を含む固定床触媒を得ることが可能である。そのような固定床触媒を提供するために、固定床反応器自体に設置された形態ではない触媒を、場合により循環させながらドープすることが可能であり、これにより濃度勾配を生じさせることができる。その場合のドーピングは、循環を伴わない、無限に逆混合される外部容器、例えば連続的な投入および排出を伴わないバッチ反応器中で行うことが好ましい。ドーピングおよび場合により洗浄が行われた後、そのような触媒は循環の有無にかかわらず固定床反応器中に設置することができ、ひいては勾配なしに存在する。
【0188】
助触媒元素の濃度に関して流れ方向に勾配を有する触媒固定床を提供するための手順は、ドーパントの液体流を触媒固定床に通過させることであり得る。反応器が循環流を有する場合、代替的または追加的にドーパントを液体の形態で循環流中に供給することが可能である。そのような手法の場合には、流動方向における助触媒元素の濃度勾配が触媒固定床の全長にわたって形成される。触媒されるべき反応の反応媒体の流れ方向に助触媒元素の濃度を減少させることが望ましい場合には、ドーパントの液体流を、触媒されるべき反応の反応媒体と同じ方向で触媒固定床に通過させる。触媒されるべき反応の反応媒体の流れ方向に助触媒元素の濃度を増加させることが望ましい場合には、ドーパントの液体流を、触媒されるべき反応の反応媒体とは反対方向で触媒固定床に通して案内される。
【0189】
第一の好ましい実施形態では、本発明による方法に従って得られる触媒固定床またはそのような触媒固定床を含む反応器は、1,4−ブチンジオールを水素化して1,4−ブタンジオールを得ることに役立つ。驚くべきことに、水素化において、本発明による方法に従って活性化され、かつ/またはMoでドープされたNi/Al触媒成形体からなる触媒固定床であって、ここで、モリブデンの濃度が水素化反応の反応媒体の流れ方向に増加する触媒固定床を使用した場合に、特に高い選択性が達成されることが今や見出された。好ましくは、触媒固定床に反応媒体が入るときの触媒成形体のモリブデン含有量は、金属モリブデンと、触媒成形体の全質量に基づいて、0〜3質量%、より好ましくは0.05〜2.5質量%、特に0.1〜2質量%である。好ましくは、触媒固定床から反応媒体が出るときの触媒成形体のモリブデン含有量は、金属モリブデンと、触媒成形体の全質量に基づいて、0.1〜10質量%、より好ましくは0.1〜7質量%、特に0.2〜6質量%である。
【0190】
第二の好ましい実施形態では、本発明による方法に従って得られる触媒固定床またはそのような触媒固定床を含む反応器は、ブチルアルデヒドを水素化してn−ブタノールを得ることに役立つ。驚くべきことに、水素化において、本発明による方法に従って活性化され、かつ/またはMoでドープされたNi/Al触媒成形体からなる触媒固定床であって、ここで、モリブデンの濃度が水素化反応の反応媒体の流れ方向に減少する触媒固定床を使用した場合に、特に高い選択性が達成されることが今や見出された。好ましくは、触媒固定床に反応媒体が入るときの触媒成形体のモリブデン含有量は、金属モリブデンと触媒成形体の全質量に基づいて、0.5〜10質量%、より好ましくは1〜9質量%、特に1〜7質量%である。好ましくは、触媒固定床から反応媒体が出るときの触媒成形体のモリブデン含有量は、金属モリブデンと、触媒成形体の全質量に基づいて、0〜7質量%、より好ましくは0.05〜5質量%、特に0.1〜4.5質量%である。
【0191】
活性化後かつドーピング前に活性化触媒固定床を洗浄媒体による処理に付す場合、ラネー金属触媒、具体的には、助触媒元素、具体的にMoを有するラネーニッケル金属触媒のドーピング効率に有利であることが見出された。このことが特に当てはまるのは、ラネーニッケル発泡触媒をドーピングに使用した場合である。活性化後、洗い流すことのできるアルミニウム含有量が依然として高すぎる場合、触媒成形体上へのモリブデンの吸着が不完全であることが特に見出された。したがって、好ましくは、工程d)のドーピング前に、洗浄媒体流出物が20℃の温度で最大でも200mS/cmの導電率を有するまで、工程c)の洗浄媒体による処理を実施する。好ましくは、工程c)において、洗浄媒体による処理は、洗浄媒体流出物が最大でも500質量ppmのアルミニウム含有量を有するまで実施される。
【0192】
本発明による方法に従って得られ、場合によりドープされた触媒成形体を含む活性化触媒固定床は、一般に高い機械的安定性および長い耐用年数を特徴とする。それにもかかわらず、触媒固定床は、水素化されるべき成分が液相で貫流するときに機械的に応力がかかる。これは、長期的には活性触媒種の外層の損耗または摩耗をもたらし得る。ラネーニッケル発泡触媒が浸出およびドーピングによって製造されている場合、それに続いてドープされた金属元素は、好ましくは活性触媒の外層上にあり、これも同様に液体または気体の負荷によって引き起こされる機械的応力により摩耗する可能性がある。助触媒元素が摩耗すると、触媒の活性および選択性の低下につながる可能性がある。驚くべきことに、ドーピング操作を再度実施することによって元の活性を回復できることが今や見出された。あるいはドーパントを水素化に添加することもでき、その場合、再ドーピングはその場で行われる(方法4)。
【0193】
以下の実施例は本発明を説明することに役立つが、決してそれを限定するものではない。特記しない限り、反応器は液相モードで運転する。
【0194】
実施例
実施例1:4−イソブチルアセトフェノンの1−(4’−イソブチルフェニル)エタノールへの水素化
イットリウムおよびハフニウムで合金化された、メッシュ幅0.18mmおよびワイヤ直径0.112mmを有する材料番号1.4767のアルミニウム含有フェライト系クロム鋼からなる平織り金網を、空気中1000℃で5時間熱処理した。それに続いて、このようにして前処理した担体メッシュを電子ビーム蒸着装置において110mg/m(メッシュ面積に基づく)の銅で被覆した。被覆したメッシュをマッフル炉において空気中400℃で0.5時間加熱して触媒を形成させた。このようにして製造した触媒メッシュからモノリシック体を形成した。このために、歯付きローラーによりメッシュの一部を波形にした。この波形メッシュを、滑らかなメッシュストリップと組み合わせて巻き取った。そうすることで、点溶接によって固定されたモノリシック成形体が得られた。コイルの直径は2.5cmであり、長さは20cmであった。水素化でも使用される後述の装置において、この触媒を水素で周囲圧力下に180℃で1時間還元した。
【0195】
水素化装置は、貯蔵容器、供給ポンプ、圧縮ガス供給源、油で加熱された外部ジャケットを有するジャケット付き管状反応器、気液分離器および循環ポンプからなっていた。分離器中で、反応器排出物は反応器オフガスと液体排出物とに分離され、ガスは保圧弁を介して、液体は液位制御下で(すなわち分離器中の液位に応じて)排出された。ガスおよび反応物の供給点は、循環ポンプと反応器入口との間にあった。
【0196】
触媒の活性化後、装置にエタノールを充填し、46リットル/hの循環流を反応器にポンプ輸送した。それに続いて、ガス供給により2体積ppmのCO含有量と共に水素を供給し、そして反応器を50バールの圧力にして120℃まで加熱した。この温度に達した後、31g/hの4−イソブチルアセトフェノンの供給を確立し、そして約4.7標準リットル/hのガスを供給した。オフガス量は、約10体積ppmのCO含有量で約0.6標準リットル/hであった。48時間の運転時間後、排出物の分析により99.7%の4−イソブチルアセトフェノンの変換率と>99.5%の選択率が示された。副成分として4−イソブチルエチルベンゼンが得られた。触媒活性および選択性を損なうことなく、水素化を10日間行った。
【0197】
比較例1:
反応器入口および反応器出口におけるCO含有量が0.1体積ppm未満であったことを除き、実施例1と同様の手順を行った。4−イソブチルアセトフェノンの変換率は99.9%であり、選択率は約97%であった。副成分は約2.5%の選択率で4−イソブチルエチルベンゼンおよび約0.4%の1−(4’−イソブチルシクロヘキシル)−エタノールであった。
【0198】
実施例2:1,4−ブチンジオールの水素化
使用例に使用したニッケル−アルミニウム触媒成形体は、欧州特許出願公開第2764916号明細書(EP2764916A1)に含まれる触媒発泡体の製造の実施例に基づいて製造した。
【0199】
変形例a):
0.5gのポリビニルピロリドン(モル質量:40000g/モル)を29.5gの脱塩水に溶解し、20gのアルミニウム粉末(粒径75μm)を加えた。それに続いて得られた混合物を撹拌して、均一な懸濁液を得た。その後、平均孔径580μm、厚さ1.9mmおよび坪量1000g/mのニッケル発泡体を懸濁液に加え、これを再び激しく撹拌した。このようにして被覆した発泡体をペーパータオル上に置き、過剰の懸濁液を慎重に払い落とした。ロータリーキルン中で、このようにして被覆した発泡体を5℃/分の加熱速度で300℃に加熱し、次いで等温条件下で30分間300℃に保ち、5℃/分でさらに600℃に加熱し、等温条件下で30分間保ち、さらに5℃/分で700℃に加熱し、そして等温条件下で30分間保った。加熱は、20L(STP)/hの窒素および20L(STP)/hの水素からなるガス流中で行った。200℃の温度までの冷却段階も同様に、20L(STP)/hのNおよび20L(STP)/hのHからなるガス流中で行った。その後、100L(STP)/hの窒素流中で室温にさらに冷却した。このようにして製造した発泡体は、最初に使用したニッケル発泡体と比較して42%の質量増加を示した。
【0200】
変形例b):
580μmの平均孔径、1.9mmの厚さおよび1000g/mの坪量を有するニッケル発泡体を1質量%のポリビニルピロリドン溶液(モル質量:40,000g/モル)中に浸漬した。浸漬後、結合剤を細孔の空洞から除去するために、発泡体をフロークロス上で絞った。次いで、結合剤が付いた発泡体を振動装置に固定し、アルミニウム粉末(粒径<75μm)で被覆した。振動させることにより、開気孔の発泡構造体の表面上に粉末が均一に分布され、それに続いて過剰のアルミニウム粉末が除去された。ロータリーキルン中で、このようにして被覆した発泡体を5℃/分の加熱速度で300℃に加熱し、次いで等温条件下で30分間300℃に保ち、5℃/分でさらに600℃に加熱し、等温条件下で30分間保ち、さらに5℃/分で700℃に加熱し、そして等温条件下で30分間保った。加熱は、20L(STP)/hの窒素および20L(STP)/hの水素からなるガス流中で行った。200℃の温度までの冷却段階も同様に、20L(STP)/hのNおよび20L(STP)/hのHからなるガス流中で行った。その後、100L(STP)/hの窒素流中で室温にさらに冷却した。このようにして製造した発泡体は、最初に使用したニッケル発泡体と比較して36%の質量増加を示した。
【0201】
変形例a)に従って得られた直方体の成形体30個(約57mL)を長方形の反応器(内部寸法1cm×2cm×40cm)に設置し、5個の直方体がそれぞれ上下に平らに重なり合い、これらの層のうちの8つが反応器中で積み重なって存在するようにした。積層体が反応器壁に対して空のスペースを持たないようにするために、その空間をPTFEテープ(厚さ=0.5cm)で充填および密閉した。したがって、反応器横断面の少なくとも95%が触媒成形体を含む触媒固定床で充填され、そして細孔およびチャネルの98%が最大でも0.7mmの面積を有していた。使用した反応器はさらに、油で加熱可能な外部ジャケットを有していた。実験装置はさらに、液位調整された気液分離器、循環ポンプ、水性1,4−ブチンジオール用の供給ポンプ、水素供給装置、オフガス中の圧力弁および液体排出口、ならびに温度測定用の装置およびサンプリング点も含んでいた。
【0202】
反応器および循環流に脱塩水を充填し、標準圧力および25℃で約20L/hの循環流を確立した。その後、約650mL/hの0.5質量%水酸化ナトリウム溶液を供給した。放出される水素および過剰の液体を分離器から排出し、そして残りの液体を反応器中に返送した。液体排出流中のニッケル含有量は、1ppmの検出限界値未満であった。約6時間後、水素の発生が著しく低下し、水酸化ナトリウム溶液の供給を停止し、それに続いて、排出物中のpHが7に低下し、導電率が254μS/cmに低下するまで5L/hの脱塩水でパージした。
【0203】
それに続いて、水60mLに溶かした0.6gの(NHMo24×4HOを供給ポンプを介して再び細流モードにおいて25℃で供給した。Moが触媒に吸収されるまで、溶液を20kg/hで3時間ポンプ輸送した。
【0204】
水素化のために、欧州特許出願公開第2121549号明細書(EP2121549A1)の実施例1に従って製造された1,4−ブチンジオール出発物質を使用した。出発物質は7.5のpHを有し、1,4−ブチンジオールおよび水の他に、約1質量%のプロピノール、1.2質量%のホルムアルデヒドならびに1質量%を十分に下回る割合の他の一連の副生成物も含んでいた。水素化は、圧力45バール、温度155〜160℃および循環流13〜20kg/hで実施した。水素対1,4−ブチンジオールのモル比は2.5:1であった。表1には(実験パラメータの相応の調整を伴う48時間の運転時間後の)各結果を示しており、ここで、GC%値は面積%である(すなわち、水を考慮に入れなかった)。CO濃度は、反応器の開始時および終了時における体積ppmで報告されている。
【0205】
CO濃度は、反応器の開始時および終了時における体積ppmで報告されている。
【0206】
比較例2:
変形例a)に従って直方体の触媒成形体を、実施例2に記載したように製造した。30個の直方体を約2×2×1.9mmの大きさのピースに切断し、充填層(約70ml)として実施例2に記載したのと同じように反応器中に導入し、実施例2と同じように活性化し、Moでドープした。反応器横断面は触媒成形体で約80%充填され、そしてチャネルの約10%は少なくとも0.7mmの面積を有していた。1,4−ブチンジオールの水素化は、実施例2に記載したのと同じように0.5kgの1,4−ブチンジオール/L×hの空間速度および20kg/hの循環流で行った。選択率および変換率に関して、水素化は、本発明による実施例2におけるよりもはるかに効率が低い(表2参照)。
【表1】
【0207】
実施例3:n−ブチルアルデヒドの水素化
実施例2と同じように、依然として約1500ppmのイソブチルアルデヒドを含むn−ブチルアルデヒドを、(変形例b)に従って製造された)ニッケル−アルミニウム直方体上で水素化し、ここで、活性化後、反応器を通して実施例2とは反対の流れ方向でMoよるドーピングを行った。その後、反応系を空にし、水をn−ブタノールで置き換えた。水素化は40バールで行い、その間、温度は135〜140℃に保った。水素対ブチルアルデヒドのモル比は1.1:1であった。1.5kgのブチルアルデヒド/1リットルの触媒×hの空間速度および23kg/hの液体循環量で、GC分析(面積%)により99.6%のn−ブタノールが排出物中に見出された。さらに、主な副成分として、依然として0.05%の酢酸ブチル、0.01%のジブチルエーテル、0.15%のイソブタノールおよび0.07%のエチルヘキサンジオールが存在していた。反応器の上流のCO含有量は0.2体積ppmであり、反応器の下流では15体積ppmであった。
【国際調査報告】