(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】2019534256
(43)【公表日】20191128
(54)【発明の名称】ヒアルロナン組成物及び間質性膀胱炎の治療におけるその使用
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/728 20060101AFI20191101BHJP
   A61P 13/10 20060101ALI20191101BHJP
   A61K 9/06 20060101ALI20191101BHJP
   A61K 47/60 20170101ALI20191101BHJP
【FI】
   !A61K31/728
   !A61P13/10
   !A61K9/06
   !A61K47/60
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】32
(21)【出願番号】2019518072
(86)(22)【出願日】20171003
(85)【翻訳文提出日】20190425
(86)【国際出願番号】EP2017075040
(87)【国際公開番号】WO2018065391
(87)【国際公開日】20180412
(31)【優先権主張番号】1616838.7
(32)【優先日】20161004
(33)【優先権主張国】GB
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】501442932
【氏名又は名称】ナショナル・ユニバーシティ・オブ・アイルランド・ガルウェイ
【住所又は居所】アイルランド共和国ガルウエイ,ユニバーシティ・ロード
(74)【代理人】
【識別番号】110001656
【氏名又は名称】特許業務法人谷川国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パンディット,アバイ
【住所又は居所】アイルランド国 ガルウェイ ユニバーシティ ロード,ナショナル・ユニバーシティ・オブ・アイルランド・ガルウェイ センター フォー リサーチ イン メディカル デバイス
(72)【発明者】
【氏名】クリシュナ,ビジャヤ
【住所又は居所】アイルランド国 ガルウェイ ユニバーシティ ロード,ナショナル・ユニバーシティ・オブ・アイルランド・ガルウェイ センター フォー リサーチ イン メディカル デバイス
(72)【発明者】
【氏名】イスマイル,シット
【住所又は居所】アイルランド国 ガルウェイ ユニバーシティ ロード,ナショナル・ユニバーシティ・オブ・アイルランド・ガルウェイ センター フォー リサーチ イン メディカル デバイス
(72)【発明者】
【氏名】ルーニー,ピーダー
【住所又は居所】アイルランド国 ガルウェイ ユニバーシティ ロード,ナショナル・ユニバーシティ・オブ・アイルランド・ガルウェイ センター フォー リサーチ イン メディカル デバイス
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA09
4C076BB17
4C076CC17
4C076CC41
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4C086ZA81
(57)【要約】
間質性膀胱炎の治療のためのヒドロゲル組成物が記載され、架橋ヒアルロナンヒドロゲルマトリックス全体に分散した架橋ヒアルロナン粒子を含み、ここでヒアルロナンは高分子量ヒアルロナンである。組成物はヒトへの直接膀胱点滴注入用に製剤化される。ヒアルロナン粒子は、ナノサイズのヒアルロナン粒子、又はナノサイズのヒアルロナン粒子の凝集体、又はそれらの混合物である。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
哺乳動物において間質性膀胱炎を治療する方法において使用するためのヒドロゲル組成物であって、ヒドロゲルマトリックス中に分散及び懸濁された架橋高分子量ヒアルロナン粒子を含み、ヒトにおける直接膀胱点滴注入のために製剤化される、ヒドロゲル組成物。
【請求項2】
前記ヒドロゲル組成物が、直接膀胱点滴注入により前記ヒトに投与される、請求項1に記載の使用のための、請求項1に記載のヒドロゲル組成物。
【請求項3】
前記ヒドロゲル組成物が、前記膀胱の尿路上皮層の修復/再生を促進するためのバリア効果を提供する、請求項1又は2に記載の使用のための、請求項1に記載のヒドロゲル組成物。
【請求項4】
前記ヒドロゲル組成物が炎症性サイトカイン産生を抑制する、請求項1、2又は3に記載の使用のための、請求項1に記載のヒドロゲル組成物。
【請求項5】
前記ヒドロゲル組成物が前記膀胱壁の透過性を低下させる、請求項1〜4のいずれかに記載の使用のための、請求項1に記載のヒドロゲル組成物。
【請求項6】
前記ヒドロゲルマトリックスがヒアルロナンである、請求項1〜5に記載の使用のための、請求項1に記載のヒドロゲル組成物。
【請求項7】
前記ヒドロゲルマトリックスが架橋高分子量ヒアルロナンである、請求項1〜5のいずれかに記載の使用のための、請求項4に記載のヒドロゲル組成物。
【請求項8】
前記HA粒子がナノサイズの粒子、又はナノサイズのHA粒子の凝集体、又はそれらの組み合わせである、請求項1〜5のいずれかに記載の使用のための、請求項1〜7のいずれかに記載のヒドロゲル組成物。
【請求項9】
HA粒子対ヒドロゲルマトリックスの重量比が約1:10〜10:1である、請求項1〜5のいずれかに記載の使用のための、請求項1〜8のいずれかに記載のヒドロゲル組成物。
【請求項10】
HA粒子対ヒドロゲルマトリックスの重量比が約1:2〜2:1である、請求項1〜5のいずれかに記載の使用のための、請求項1〜9に記載のヒドロゲル組成物。
【請求項11】
前記HAが架橋部分で化学的に架橋されている、請求項1〜5のいずれかに記載の使用のための、請求項1〜10のいずれかに記載のヒドロゲル組成物。
【請求項12】
前記架橋部分が官能化エチレングリコールである、請求項1〜5のいずれかに記載の使用のための、請求項1〜11のいずれかに記載のヒドロゲル組成物。
【請求項13】
前記官能化エチレングリコールがPEG-アミンである、請求項1〜5のいずれかに記載の使用のための、請求項1〜12のいずれかに記載のヒドロゲル組成物。
【請求項14】
前記HAがEDC/NHS又は4-(4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジン-2-イル))-4-メチルモルホリニウムクロリド(DMTMM)化学で架橋されている、請求項1〜5のいずれかに記載の使用のための、請求項1〜13のいずれかに記載のヒドロゲル組成物。
【請求項15】
前記組成物が週に1回、4〜12週間投与される、請求項1〜5のいずれかに記載の使用のための、請求項1〜14のいずれかに記載のヒドロゲル組成物。
【請求項16】
前記組成物が8F又は10Fカテーテルによって投与される、請求項1〜5のいずれかに記載の使用のための、請求項1〜15のいずれかに記載のヒドロゲル組成物。
【請求項17】
架橋ヒアルロナンヒドロゲルマトリックス中に分散及び懸濁された架橋ヒアルロナン粒子を含むヒドロゲル組成物であって、前記ヒアルロナンは高分子量ヒアルロナンであり、前記ヒドロゲルはヒトへの直接膀胱点滴注入用に製剤化されている、ヒドロゲル組成物。
【請求項18】
前記HA粒子が、ナノサイズの粒子、又はナノサイズのHA粒子の凝集体、又はそれらの組み合わせである、請求項17に記載のヒドロゲル組成物。
【請求項19】
前記ナノサイズのHA粒子が100〜900nmの平均粒径を有する、請求項18に記載のヒドロゲル組成物。
【請求項20】
前記ナノサイズのHA粒子が400〜600nmの平均粒径を有する、請求項18に記載のヒドロゲル組成物。
【請求項21】
前記凝集体が500nm〜10ミクロンの平均寸法を有する、請求項18、19又は20に記載のヒドロゲル組成物。
【請求項22】
HA粒子対HAヒドロゲルマトリックスの重量比が約1:10〜10:1である、請求項17〜21のいずれかに記載のヒドロゲル組成物。
【請求項23】
HA粒子対HAヒドロゲルマトリックスの重量比が約1:4〜4:1である、請求項22に記載のヒドロゲル組成物。
【請求項24】
HA粒子対HAヒドロゲルマトリックスの重量比が約1:2〜2:1である、請求項22に記載のヒドロゲル組成物。
【請求項25】
前記HAが架橋部分で化学的に架橋されている、請求項17〜24のいずれかに記載のヒドロゲル組成物。
【請求項26】
前記架橋部分が官能化エチレングリコールである、請求項25に記載のヒドロゲル組成物。
【請求項27】
前記官能化エチレングリコールがPEG-アミンである、請求項26に記載のヒドロゲル組成物。
【請求項28】
前記HAがEDC/NHS又は4-(4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジン-2-イル)-4-メチルモルホリニウムクロリド(DMTMM)化学で架橋されている、請求項25〜27のいずれかに記載のヒドロゲル組成物。
【請求項29】
架橋剤対HAの前記比が1:1〜1:10(重量)である、請求項17〜28のいずれかに記載のヒドロゲル組成物。
【請求項30】
前記HA粒子の前記架橋部分が、前記HAヒドロゲルマトリックスの前記架橋部分とは異なる、請求項25〜29のいずれかに記載のヒドロゲル組成物。
【請求項31】
前記ヒアルロナン(HA)が正に帯電している、請求項17〜30のいずれかに記載のヒドロゲル組成物。
【請求項32】
前記HAがアミノプロピルイミダゾールで誘導体化されている、請求項31に記載のヒドロゲル組成物。
【請求項33】
約0.1〜約10%のHA(重量%)を含む、請求項17〜32のいずれかに記載のヒドロゲル組成物。
【請求項34】
約0.5%〜2%未満のHA(重量%)を含む、請求項33に記載のヒドロゲル組成物。
【請求項35】
架橋ヒアルロナンヒドロゲルマトリックス中に分散及び懸濁された架橋ヒアルロナン粒子を含むヒドロゲル組成物であって、前記ヒアルロナンは高分子量ヒアルロナンであり、官能化PEG架橋剤で架橋されており、前記ヒドロゲルはヒトへの直接膀胱点滴注入用に製剤化されている、ヒドロゲル組成物。
【請求項36】
前記HA粒子がナノサイズ粒子、又はナノサイズHA粒子の凝集体、又はそれらの組み合わせである、架橋高分子量ヒアルロナン粒子。
【請求項37】
前記ナノサイズHA粒子が100〜900nmの平均粒径を有する、請求項36に記載の架橋高分子量ヒアルロナン粒子。
【請求項38】
前記ナノサイズHA粒子が400〜600nmの平均粒径を有する、請求項36に記載の架橋高分子量ヒアルロナン粒子。
【請求項39】
前記凝集体が500nm〜10ミクロンの平均寸法を有する、請求項36〜38のいずれかに記載の架橋高分子量ヒアルロナン粒子。
【請求項40】
前記HAが架橋部分で化学的に架橋されている、請求項36〜39のいずれかに記載の架橋高分子量ヒアルロナン粒子。
【請求項41】
前記架橋部分が官能化エチレングリコールである、請求項40に記載の架橋高分子量ヒアルロナン粒子。
【請求項42】
前記官能化エチレングリコールがPEG-アミンである、請求項41に記載の架橋高分子量ヒアルロナン粒子。
【請求項43】
前記HAがEDC/NHS又は4-(4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジン-2-イル)-4-メチルモルホリニウムクロリド(DMTMM)化学で架橋されている、請求項40〜42のいずれかに記載の架橋高分子量ヒアルロナン粒子。
【請求項44】
架橋剤対HAの前記比が1:1〜1:10(重量)である、請求項40〜43のいずれかに記載の架橋高分子量ヒアルロナン粒子。
【請求項45】
前記ヒアルロナン(HA)が正に帯電している、請求項36〜44のいずれかに記載の架橋高分子量ヒアルロナン粒子。
【請求項46】
前記HAがアミノプロピルイミダゾールで誘導体化されている、請求項45に記載の架橋高分子量ヒアルロナン粒子。
【請求項47】
医薬として使用するための、請求項17〜35のいずれかに記載のヒドロゲル組成物。
【請求項48】
哺乳動物における炎症性疾患又は障害を治療する方法において使用するための、請求項17〜35のいずれかに記載のヒドロゲル組成物。
【請求項49】
前記組成物が、直接膀胱点滴注入によって前記膀胱に任意に投与される、哺乳動物の間質性膀胱炎の治療方法に使用するための、請求項17〜35のいずれかに記載のヒドロゲル組成物。
【請求項50】
医薬として使用するための、請求項36〜46のいずれかに記載の架橋高分子量ヒアルロナン粒子。
【請求項51】
哺乳動物の炎症性疾患又は障害を治療する方法に使用するための、請求項36〜46のいずれかに記載の架橋高分子量ヒアルロナン粒子。
【請求項52】
前記組成物が、直接膀胱点滴注入によって前記膀胱に任意に投与される、哺乳動物の間質性膀胱炎の治療方法に使用するための、請求項36〜46のいずれかに記載の架橋高分子量ヒアルロナン粒子。
【請求項53】
架橋HA粒子を提供する工程、架橋HAヒドロゲルマトリックスを提供する工程、及び前記HA粒子を前記HAヒドロゲルマトリックスに共架橋することなく、前記架橋HAヒドロゲルマトリックス中に前記架橋HA粒子を分散及び懸濁させる工程を含む、ヒドロゲル組成物の製造方法。
【請求項54】
前記HAが高分子量HAである、請求項53記載の方法。
【請求項55】
前記HAが化学架橋剤で架橋されている、請求項53又は54に記載の方法。
【請求項56】
前記HAが官能化エチレングリコールで架橋されている、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記官能化エチレングリコールがPEG-アミンである、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記架橋が、EDC/NHS又は4-(4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジン-2-イル)-4-メチルモルホリニウムクロリド(DMTMM)化学を含む、請求項55〜57のいずれかに記載の方法。
【請求項59】
架橋剤対HAの前記比が約1:1〜1:3である、請求項55〜58のいずれかに記載の方法。
【請求項60】
前記HA分子に正味の正電荷を付与する部分で前記HAを誘導体化する工程を含む、請求項53〜59のいずれかに記載の方法。
【請求項61】
前記HA分子に正味の正電荷を付与する前記部分が、アミノプロピルイミダゾールである、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
請求項53〜61のいずれかに記載の方法によって得られる、ヒドロゲル組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療適応症、特に間質性膀胱炎を治療するためのヒアルロナン組成物及びその使用に関する。ヒアルロナン組成物を製造する方法も考察する。
【背景技術】
【0002】
間質性膀胱炎/疼痛性膀胱症候群(IC/PBS)は、膀胱痛、頻尿、切迫感、夜間頻尿及び慢性骨盤痛を特徴とする慢性炎症性疾患で、患者の生活の質に深刻な影響を与える。IC患者の生活の質は、末期腎臓病又は重度の慢性関節リウマチと同様に見なされている。診療所における現在の目標基準である既存の膀胱内ヒアルロナン溶液注入療法の限界は、膀胱粘膜バリア機能を完全に回復させることができないことにある。2011年のRAND間質性膀胱炎疫学調査では、アメリカ合衆国の女性の2.7〜6.5%が間質性膀胱炎/膀胱痛症候群の診断と一致する尿路症状を有すると推定している。7つの主要市場で、約8340万人の女性が膀胱障害を患っていると推定されている。現在、膀胱障害に対して承認されているこれらの製品は、薬品がわずかに有効であることを示している臨床試験に基づいている。
【0003】
膀胱障害の治療用に承認されている現在存在する製品は、薬がわずかに有効であることを示した臨床試験に基づいている。いくつかの現在の治療戦略は、本質的に単に症状管理であり、根本的な疾患の病状に対処するのに失敗している。イブプロフェン、ナプロキセン及び他の非ステロイド性抗炎症薬は疼痛症状を標的とする。アミトリプチリンやイミプラミンなどの三環系抗うつ薬は、膀胱の筋肉を弛緩させ、痛みを抑えることを目的としている。ジフェンヒドラミンなどの抗ヒスタミン薬は、膀胱細胞壁の肥満細胞活性化を標的とする。上記のすべてが臨床効果を欠く経口治療である。治療法の選択肢は弱く、ペントサンポリスルフェートナトリウム(Elmiron)とジメチルスルホキシド(Rimso−50)があり、どちらも現在特許が切れている。PPSは経口GAG補充療法であり、試験は、PPSの恩恵を受けているIC患者のわずか6.2%〜18.7%という、患者に対する最低限の治療効果を示し、ジェネリックのPPSはまだ入手できない。ジェネリックのジメチルスルホキシドは2002年に発売され、それは限られた臨床的有効性及び臨床データの欠如を伴う点滴治療であり、2000年の最新の試験では、ICのサブタイプに対する限定された効果を示している。Gepan(登録商標)及びUracyst(登録商標)のコンドロイチン硫酸ベースの治療法は効果がなく、コンドロイチンベースの臨床試験では、2つの二重、盲検、多施設、無作為化、並行群試験でのプラセボと比較して効果がない。
【0004】
US2010/028435は、治療的及び美容的/皮膚科学的用途のための注射用ヒアルロナンヒドロゲルを開示している。ヒドロゲルは、ヒアルロナンゲルマトリックスと、連続相ゲルマトリックスに共架橋した比較的大きな(1〜20ミクロン)架橋ヒアルロナン粒子とを含む。この組成物は、括約筋の体積を増加させるための薬剤としての泌尿器科/婦人科分野における使用のために提案されている。
【0005】
EP2011816は、美容用途又は外科用途における組織充填剤としての使用のための、2つのゲル系を有するヒアルロナン組成物を記載している。ゲルは、連続ゲルマトリックスと共架橋したヒアルロナン粒子を含む。尿失禁の治療のために、ゲルを尿道周囲注射によって投与することができる。
【0006】
US2016/038643には、メタクリル化HAゲルマトリックス中に低分子量HA粒子を含む組織置換用足場が記載されている。足場は、HAゲルマトリックス中にHA粒子を含む非架橋前駆体組成物として投与することができ、ここで前駆体組成物は光架橋によってインビボで活性化される。
【0007】
WO2009/018076は、皮膚充填剤として使用するための架橋高分子量HAゲルを記載している。ゲルは架橋HAの粒子を含み得る。架橋剤は、4アーム官能化PEG部分のような多官能性架橋剤であり、これはゲルの力学的強度を増大させてそれを皮膚充填剤としての使用に適するようにすることが見出されている。これはゲルを直接膀胱点滴注入するのに不適当にすることになる。
【0008】
本発明の目的は、上記の問題の少なくとも1つを克服することである。
発明の概要
【0009】
本発明は、高分子量ヒアルロナン組成物を用いる間質性膀胱炎(IC)の点滴注入治療が、ゲルマトリックス全体に分散したヒアルロナン粒子、典型的には高分子量ヒアルロナンゲルマトリックスの形態で組成物を提供することによって改善できるという発見に基づく。ただし、アルギン酸塩などの他のゲルマトリックスを使用してもよい。出願人は、ヒアルロナン(HA)粒子が、尿路上皮細胞炎症の細胞モデルにおける一連の従来技術の組成物と比較して内因性sGAG発現を有意に増加させることを示し(図2)、HAヒドロゲルマトリックス中のHA粒子の供給は、尿路上皮細胞におけるsGAG発現の有意なそして一貫した増加を、ある範囲の濃度にわたって提供することを示す(図5)。本出願人はまた、HA粒子で処理した尿路上皮組織外植片は、未処理及び硫酸プロタミン処理組織の両方と比較して、より大きい組織完全性及びより厚い尿路上皮を保持することを示した(図6)。本出願人はまた、HAゲル中のHA粒子で処理した尿路上皮組織外植片が、未処理及び硫酸プロタミン処理組織の両方と比較して膀胱透過性を減少させることを示した(図11)。
【0010】
概して、本発明は、間質性膀胱炎又は他の炎症状態もしくは疾患の治療に使用するためのヒアルロナン粒子、典型的にはナノサイズの粒子に関する。粒子は一般に、担体相内に分散した粒子を含む組成物の形態で提供される。担体相は、液体、半固体(すなわちゲル)、又は固体(すなわち固体インプラント又は足場)であり得る。好ましい一実施形態では、担体相はゲル又はヒドロゲルである。一実施形態では、ゲル又はヒドロゲルは架橋されている。一実施形態では、ヒドロゲルはヒアルロナンヒドロゲルである。一実施形態では、担体相は架橋ヒアルロナンヒドロゲルである。一実施形態では、組成物は直接膀胱点滴注入用に製剤化される。
【0011】
従って、本発明の第1の態様によれば、ヒアルロナンヒドロゲルマトリックス全体に分散したヒアルロナン粒子を含む組成物が提供される。
【0012】
一実施形態では、組成物は哺乳動物、特にヒトへの直接膀胱点滴注入用に製剤化される。従って、ヒドロゲル組成物は、カテーテルなどの適切な送達装置を使用して膀胱に送達するのに適しており、従って一般に流動性の液体である。他の実施形態では、組成物は液体よりも固体であり得、それは材料を他の療法に適したものにする。
【0013】
一実施形態では、ヒアルロナン粒子は高分子量ヒアルロナンを含む。一実施形態では、ヒアルロナンヒドロゲルマトリックスは高分子量ヒアルロナンを含む。
【0014】
一実施形態では、HA粒子はナノサイズの粒子であり、典型的には100〜900nmの平均粒径を有する。一実施形態では、HA粒子は300〜700nmの平均粒径を有する。一実施形態では、HA粒子は400〜600nmの平均粒径を有する。一実施形態では、HA粒子はナノサイズのHA粒子の凝集体であり、その凝集体は500nmから10ミクロンの平均寸法を有することができる。
【0015】
一実施形態では、HA粒子対HAヒドロゲルマトリックスの重量比は、約1:9〜9:1である。一実施形態では、HA粒子対HAヒドロゲルマトリックスの重量比は、約1:5〜5:1である。一実施形態では、HA粒子対HAヒドロゲルマトリックスの重量比は、約1:4〜4:1である。一実施形態では、HA粒子対HAヒドロゲルマトリックスの重量比は、約1:3〜3:1である。一実施形態では、HA粒子対HAヒドロゲルマトリックスの重量比は、約1:2〜2:1である。一実施形態では、HA粒子対HAヒドロゲルマトリックスの重量比は、約1:1である。一実施形態では、HA粒子はHAゲルに懸濁されている。
【0016】
一実施形態では、HA粒子は架橋部分で架橋されている。一実施形態では、HAヒドロゲルマトリックスは架橋部分で架橋されている。
【0017】
一実施形態では、HA粒子の架橋部分は、HAヒドロゲルマトリックスの架橋部分とは異なる。粒子及びヒドロゲルマトリックスにおける異なる架橋剤の使用は、調整されたHA分解プロファイルを有する組成物を提供し、調整可能なHAヒドロゲル足場を提供するための異なる架橋剤の使用を可能にする。
【0018】
一実施形態では、HAは化学的に架橋されている。一実施形態では、架橋部分(剤)は官能化エチレングリコール、例えば官能化PEG、例えばPEG−アミンである。一実施形態では、架橋開始は、EDC/NHS又は4-(4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジン-2-イル)-4-メチルモルホリニウムクロリド(DMTMM)化学で行われる。他の架橋方法としては、熱架橋又は光架橋が挙げられる。一実施形態では、架橋剤対HAの比は、1:1〜1:10(重量)、典型的には1:1〜1:5、好ましくは約1:1〜1:3である。一実施形態では、架橋剤とHAの比は約1:2(重量)である。
【0019】
一実施形態では、ヒアルロナン(HA)は正に帯電している。これは、HA分子に正味の正電荷を付与する部分(例えばカチオン)でHAを誘導体化することによって達成することができる。HAを誘導体化するために使用することができる部分の例には、アミノプロピルイミダゾールが挙げられる。本明細書において、HAという用語は、誘導体化HA及び非誘導体化HAの両方を含む。正電荷HA、例えばカチオン化HAの製造方法は、文献に記載されており、これには四級アンモニウム含有基を用いたカルボキシル及びヒドロキシル基の修飾が含まれる(US2009/0281056及びUS2010/0197904)。
【0020】
一実施形態では、組成物は治療有効量のHAを含む。一実施形態では、組成物は約0.1〜約10%のHA(重量%)を含む。一実施形態では、組成物は約0.5〜約5%のHA(重量%)を含む。一実施形態では、組成物は約0.1〜約1%のHA(重量%)を含む。一実施形態では、組成物は約1.0〜約10%のHA(重量%)を含む。一実施形態では、組成物は約0.5〜約2%のHA(重量%)を含む。一実施形態では、組成物は約5.0〜約10%のHA(重量%)を含む。
【0021】
本発明のさらなる態様によれば、担体相内に配置されたヒアルロナン粒子を含む組成物が提供される。
【0022】
担体相は典型的には液体、例えば水性流体である。しかしながら、担体相は固相又は半固相、例えばゲル、ヒドロゲル又はポリマー担体又は医薬賦形剤から形成されたマトリックスの形態をとることもできる。担体相は、ヒアルロナン粒子を放出するように構成することができる。担体相は生分解性、例えば水溶性であり得る。担体相は生体適合性であり得る。担体相は少なくとも2つの担体相を含み、ヒアルロナン粒子を放出するように構成された各相は異なる放出速度である。組成物は、哺乳動物の体内で使用するためのインプラントであり得る。インプラントは、固体又は半固体(例えば、足場、ゲル、カプセル)であり得る。担体相(ゲル又はヒドロゲル担体相)に適したポリマーは、US2016/038643(特に段落61〜63)に記載されている。
【0023】
一実施形態では、組成物は哺乳動物、特にヒトへの直接膀胱点滴注入用に製剤化される。従って、組成物は、カテーテルなどの適切な送達装置を使用して膀胱に送達するのに適しており、従って一般に流動性の液体である(すなわち、尿道カテーテルを通して投与するのに十分な流動性)。他の実施形態では、組成物は液体よりも固体であり得、それは材料を他の療法に適したものにする。
【0024】
一実施形態では、ヒアルロナン粒子は高分子量ヒアルロナンを含む。
【0025】
一実施形態では、HA粒子はナノサイズの粒子であり、典型的には100〜900nmの平均粒径を有する。一実施形態では、HA粒子は300〜700nmの平均粒径を有する。一実施形態では、HA粒子は400〜600nmの平均粒径を有する。一実施形態では、HA粒子はナノサイズのHA粒子の凝集体であり、その凝集体は500nmから10ミクロンの平均寸法を有することができる。
【0026】
一実施形態では、HA粒子は架橋部分で架橋されている。
【0027】
一実施形態では、HA粒子は化学的に架橋されている。一実施形態では、架橋部分(薬剤)は官能化エチレングリコール、例えば官能化PEG、例えばPEG−アミンである。一実施形態では、架橋開始は、EDC/NHS又は4-(4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジン-2-イル)-4-メチルモルホリニウムクロリド(DMTMM)化学で行われる。他の架橋方法は熱架橋を含む。一実施形態では、架橋剤対HAの比は、1:1〜1:10(重量)、典型的には1:1〜1:5、好ましくは約1:1〜1:3である。一実施形態では、架橋剤とHAの比は約1:2(重量)である。
【0028】
一実施形態では、ヒアルロナン(HA)は正に帯電している。これは、HA分子に正味の正電荷を付与する部分(例えばカチオン)でHAを誘導体化することによって達成することができる。HAを誘導体化するために使用することができる部分の例には、アミノプロピルイミダゾールが挙げられる。本明細書において、HAという用語は、誘導体化HA及び非誘導体化HAの両方を含む。正電荷HA、例えばカチオン化HAの製造方法は、文献に記載されており、これには四級アンモニウム含有基を用いたカルボキシル及びヒドロキシル基の修飾が含まれる(US2009/0281056及びUS2010/0197904)。
【0029】
一実施形態では、組成物は治療有効量のHAを含む。一実施形態では、組成物は約0.1〜約10%のHA(重量%)を含む。一実施形態では、組成物は約0.5〜約5%のHA(重量%)を含む。一実施形態では、組成物は約0.1〜約1%のHA(重量%)を含む。一実施形態では、組成物は約1.0〜約10%のHA(重量%)を含む。一実施形態では、組成物は約0.5〜約2%のHA(重量%)を含む。一実施形態では、組成物は約2〜約4%のHA(重量%)を含む。一実施形態では、組成物は約5.0〜約10%のHA(重量%)を含む。
【0030】
本発明のさらなる態様によれば、高分子量ヒアルロナンから形成され、ヒアルロナン粒子が任意に架橋されているヒアルロナン粒子が提供される。一実施形態では、ヒアルロナン粒子はナノサイズである。
【0031】
一実施形態では、ナノサイズのヒアルロナン粒子は、300〜700nmの平均寸法を有する。一実施形態では、ナノサイズのヒアルロナン粒子は、400〜600nmの平均寸法を有する。
【0032】
一実施形態では、ヒアルロナン粒子は化学的に架橋されているが、他の架橋方法も可能である(例えば熱的又は光活性化可能な架橋)。一実施形態では、ヒアルロナン粒子は、官能化エチレングリコール架橋剤、例えば官能化PEG(すなわちPEG−アミン)で化学的に架橋されている。
【0033】
一実施形態では、ヒアルロナン粒子は(例えばカチオン化によって)正に帯電するように修飾される。
【0034】
別の態様では、本発明は医薬として使用するための本発明の組成物を提供する。別の態様では、本発明は、炎症性疾患又は障害、典型的には上皮組織の炎症性疾患又は障害を治療する方法において使用するための本発明の組成物を提供する。
【0035】
別の態様では、本発明は、哺乳動物における炎症性膀胱又は尿路適応症の治療方法に使用するための本発明の組成物又は粒子を提供し、ここで組成物又は粒子は典型的には直接膀胱点滴注入によって膀胱に投与される。別の態様では、本発明は、GAG層損傷を特徴とする適応症、例えば間質性膀胱炎、疼痛性膀胱症候群、化学膀胱炎、放射線療法誘発性膀胱炎、又は再発性尿路感染症又は猫の尿路疾患(FLUTD)などの膀胱疾患の治療方法に使用するための本発明の組成物又は粒子を提供する。
【0036】
一実施形態では、適応症は膀胱炎である。一実施形態では、適応症は間質性膀胱炎又は疼痛性膀胱症候群である。
【0037】
別の態様では、本発明は、GAG補充療法の方法において使用するための本発明の組成物又は粒子を提供する。
【0038】
本発明の組成物の他の使用には、化粧品、皮膚科用、組織再生、組織工学用途及び使用が含まれる。
【0039】
一実施形態では、治療方法は、治療期間中に定期的に組成物又は粒子を投与することを含む。投与頻度は、疾患の状態、患者の年齢、治療の有効性など、さまざまな要因によって異なる。一実施形態では、組成物又は粒子は週に1回投与される。一実施形態では、組成物又は粒子は週に1回又は週に2回投与される。一実施形態では、組成物又は粒子は、4〜12週間にわたって週1回投与される。一実施形態では、組成物又は粒子は毎日投与される。一実施形態では、組成物又は粒子は月2回投与される。一実施形態では、組成物又は粒子は月1回投与される。一実施形態では、組成物又は粒子は治療期間中に1〜10回投与される。一実施形態では、治療期間は1週間から6ヶ月の間である。
【0040】
一実施形態では、本発明の組成物の単位用量(すなわち、1回の点滴注入治療に用いられる量)は、10〜500mgの(任意に架橋された)ヒアルロナンを含む。一実施形態では、本発明の組成物の単位用量は、10〜200mgの(任意に架橋された)ヒアルロナンを含む。一実施形態では、本発明の組成物の単位用量は、50〜200mgの(任意に架橋された)ヒアルロナンを含む。一実施形態では、本発明の組成物の単位用量は、100〜150mgの(任意に架橋された)ヒアルロナンを含む。
【0041】
本発明の組成物は追加の成分を含み得る。従って、HA粒子は1つ又は複数の追加の成分を含み得る。担体相(すなわちヒドロゲル)は、1つ又は複数の追加の成分を組み込んでもよい。HA粒子と担体相の両方が、独立して、1つ又は複数の追加の成分を組み込んでもよい。成分は、薬学的又は生物学的に活性な薬剤であり得る。成分は、細胞、細胞成分、多糖、タンパク質、ペプチド、ポリペプチド、抗原、抗体(モノクローナル又はポリクローナル)、抗体フラグメント(例えば、Fc領域、Fab領域、ナノボディ又はVHVフラグメントなどの単一ドメイン抗体)、抗体(又は抗体フラグメント)とタンパク質又はペプチドなどの結合相手とのコンジュゲート、核酸(遺伝子、遺伝子構築物、DNA配列、RNA配列、miRNA、shRNA、siRNA、アンチセンス核酸を含む)であり得る。成分は、増殖因子(すなわち、EGF、HGF、IGF−1、IGF−2、FGF、GDNF、TGF−α、TGF−β、TNF−α、VEGF、PDGF及びインターロイキン)などの細胞産物であり得る。成分は、薬物、例えば、非ステロイド系抗炎症薬(イブプロフェン、ケトプロフェン又はナプロキセンなど)、アスピリン、アセトアミノフェン、コデイン、ヒドロコドンなどの痛みを和らげる薬物、ステロイド系抗炎症薬、抗鬱剤、抗ヒスタミン薬などの抗炎症薬、又は鎮痛薬であり得る。細胞は自己由来、同種異系、異種であり得る。細胞は幹細胞であり得る。幹細胞は、サイドポピュレーション、胚性、胚種性、内皮性、造血性、筋芽細胞性、胎盤性、臍帯血性、脂肪細胞性及び間葉系幹細胞を含む群から選択され得る。細胞は、生物学的産物、例えば成長因子などの治療用生物学的産物を発現するように操作することができる。
【0042】
一実施形態では、本発明の組成物は、約0.1〜15、好ましくは約0.1〜1の貯蔵弾性率G’を有する。一実施形態では、本発明の組成物は、約0.2〜35、好ましくは約0.2〜1.5の損失弾性率G’’を有する。一実施形態では、本発明の組成物は、約0.1〜6、好ましくは約0.1〜約0.2の複素粘度(Pa.s)を有する。
【0043】
別の態様では、本発明は、架橋HA粒子を製造する工程、架橋HAヒドロゲルマトリックスを製造する工程、及び架橋HAヒドロゲルマトリックス中に架橋HA粒子を分散させる工程を含む、本発明の組成物を製造する方法を提供する。
【0044】
一実施形態では、HAは官能化エチレングリコール架橋剤、例えばPEG−アミンなどの官能化PEG架橋剤で架橋されている。一実施形態では、この方法は、典型的にはEDC/NHS又は4-(4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジン-2-イル)-4-メチルモルホリニウムクロリド(DMTMM)化学で行われるステップ架橋開始を含む。
【0045】
一実施形態では、架橋剤対HAの比は、1:1〜1:10(重量)、典型的には1:1〜1:5、好ましくは約1:1〜1:3である。一実施形態では、架橋剤とHAの比は約1:2(重量)である。
【0046】
一実施形態では、この方法は、HA分子に正味の正電荷を付与する部分でHAを誘導体化する工程を含む。一実施形態では、誘導体化工程は架橋工程の前に行われる。
【0047】
本発明はまた、本発明の方法によって得られる組成物に関する。
【0048】
本発明の他の態様及び好ましい実施形態は、以下に示される他の特許請求の範囲において定義され説明される。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の組成物の作用機序の概要。
【図2】HA粒子と他の3つの市販製品(Cystistat、Hyacyst及びIaluril)との間の比較分析は、HA粒子で処理した細胞についてより高いsGAG発現を明らかにした。
【図3】正電荷ヒアルロナン(HA)HAを水に溶解し、アミノプロピルイミダゾールを天然の負に荷電したHA溶液に添加することにより、正電荷HAを作製した。DSCは、溶液中にHA上で−15mVの電荷を示す。
【図4】ヒト尿路上皮細胞を硫酸プロタミンで1時間炎症させた後、3つの異なるHA条件で24時間処置した。ヒト患者における現在の治療を模倣するため、水中のHA粒子、HA ge、及びHAゲルとHA粒子との1:1の比の組み合わせを用いた。使用した総HA濃度は、それに応じて2mg、1mg及び0.5mgであった。(P<0.05)
【図5】a)HA粒子と他の3つの市販製品(Cystistat(登録商標)、Hyacyst(登録商標)及びIaluril(登録商標))との間の比較分析は、HA粒子で処理した細胞についてより高いsGAG発現を明らかにした。b)ヒアルロナン合成のための遺伝子発現、定量的PCRを用いたHAS2もまた、未処理対照と比較して、2mg/mL、1.5mg/mL及び1mg/mLの処理細胞において有意な増加(P<0.05)を示した。
【図6】ラットにおける前臨床試験の前にICの治療条件を最適化するためにICの生体外モデルを確立した。新鮮な膀胱をラットから解剖し、4つの小さい片に切断した。組織を引き伸ばし、アガロースゲル上に固定した。組織を正常組織と硫酸プロタミン侵襲を伴う組織に分けた。2日後、硫酸プロタミン群において、組織を10mg/mlの硫酸プロタミンで1時間炎症させた。処置のために、HA粒子を膀胱組織に導入し、2時間インキュベートした。未処置群では、硫酸プロタミンを除去し、血清を含まないDMEM培地と交換した。2時間のインキュベーション後、HA粒子及びDMEM培地(未処理)を除去し、1%血清を含む培地と交換し、インキュベーター内で37℃、20%O及び5%COでさらに3日間培養した。3日後、組織を4%パラホルムアルデヒド中で固定し、パラフィンブロックし、H&Eで染色した。
【図7】尿路上皮細胞上のHAゲルの粘度の影響。A)sGAGの産生に対するHAゲルの粘度の影響。B)HAゲルの粘度がIL-8レベルに及ぼす影響。C)HAゲルの粘度がIL−6レベルに及ぼす影響。
【図8】動的振動振幅、異なるHA濃度溶液の時間掃引曲線、貯蔵弾性率、G’(A)、損失弾性率、G’’(B)、異なるHA濃度溶液のG’、G”の比較(C)、凍結乾燥ヒアルロナン溶液(3mg/ml)のSEM画像(D)、レオロジー粘度曲線(E)、異なるHA濃度溶液の複素粘度の比較。データは平均値±SD、一元配置分散分析、事後テューキー検定として表す。*p<0.05対1mg/ml;****p<0.0001対1mg/ml
【図9】炎症性サイトカインに対する1mg/mlのヒアルロナンの効果。(A)24時間にわたるHTB-2細胞から分泌されたIL-6レベルに対する、1mg/mlのHA濃度での粒子対ゲルの異なる比率の比較。(B)24時間にわたるHTB-2細胞から分泌されたIL-8レベルに対する、1mg/mlのHA濃度での粒子対ゲルの異なる比率の異なる比率の比較。(C)24時間にわたるHTB-2細胞から分泌されたMCP-1レベルに対する、1mg/mlのHA濃度での粒子対ゲルの異なる比率の異なる比率の比較。
【図10】炎症性サイトカインに対する3mg/mlのヒアルロナンの効果。(A)24時間にわたるHTB-2細胞から分泌されたIL-6レベルに対する、3mg/mlのHA濃度での粒子対ゲルの異なる比率の比較。(B)24時間にわたるHTB-2細胞から分泌されたIL-8レベルに対する、3mg/mlのHA濃度での粒子対ゲルの異なる比率の比率の比較。(C)24時間にわたるHTB-2細胞から分泌されたMCP-1レベルに対する、1mg/mlのHA濃度での粒子対ゲルの異なる比率の比較。
【図11】膀胱透過性に対するHA系におけるHAの効果。(A)硫酸プロタミンで処理したT84細胞における6時間にわたるTEERレベルに対する、1mg/mlのHA濃度及びCystistat(登録商標)での粒子対ゲルの異なる比率の効果の比較。(B)硫酸プロタミン及びTNFαで処理したT84細胞における6時間にわたるTEERレベルに対する、1mg/mlのHA濃度及びCystistat(登録商標)での粒子対ゲルの異なる比率の効果の比較。(C)硫酸プロタミンで処理したT84細胞における6時間にわたるPappに対する、3mg/mlのHA濃度での粒子対ゲルの異なる比率の効果の比較。(D)硫酸プロタミン及びTNFαで処理したT84細胞における6時間にわたるPappに対する、3mg/mlのHA濃度での粒子対ゲルの異なる比率の効果の比較。(E)硫酸プロタミンで処理したT84細胞における6時間にわたるTEERレベルに対する、3mg/mlのHA濃度での粒子対ゲルの異なる比率の効果の比較。(F)硫酸プロタミン及びTNFαで処理したT84細胞における6時間にわたるTEERレベルに対する、3mg/mlの異なる3mg/mlのHA濃度及びCystistat(登録商標)での粒子対ゲルの異なる比率の効果の比較。
【図12】図1:カップリング試薬として使用して架橋された粒子のためのNMR−H:(a)EDC/NHS、(b)DMTMM(4−(4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)-4-メチルモルホリン)
【図13】1500rpmで遠心分離した後の3つの異なる反応条件下で得られた最終生成物のNMR-H。紫:対照反応、カップリング試薬は使用せず。赤:カップリング試薬としてEDCを使用。緑:DMTMMをカップリング試薬として使用。
【発明を実施するための形態】
【0050】
本明細書で言及された全ての刊行物、特許、特許出願及び他の参考文献は、それぞれ個々の刊行物、特許又は特許出願が具体的かつ個別に参照により組み込まれることが示され、その内容が完全に引用されているように、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれている。
【0051】
定義と一般的な好み
本明細書で使用される場合、そして他に具体的に示されない限り、以下の用語は、当該用語が当該技術分野において享受し得る任意のより広い(又はより狭い)意味に加えて以下の意味を有することを意図する。
【0052】
文脈によって他に必要とされない限り、本明細書における単数形の使用は複数形を含むと解釈されるべきであり、逆もまた同様である。ある実体に関して使用される「1つの」という用語は、その実体の1つ又は複数を指すと解釈されるべきである。そのように、用語「1つの」(「a」又は「an」)、「1つ又は複数」、及び「少なくとも1つ」は、本明細書では互換的に使用される。
【0053】
本明細書で使用されるとき、用語「含む(comprise)」、又はその変形の「含む(comprises)」又は「含む(comprising)」などは、任意の列挙された整数(例えば、特色、要素、特徴、特性、方法/プロセスの工程又は制限)又は整数のグループ(例えば、特色、要素、特徴、特性、方法/プロセスの工程又は制限)を包含するが、任意の他の整数又は整数のグループを排除するものではないことを示すと解釈されるべきである。従って、本明細書で使用されるとき、用語「含む(comprising)」は、包括的又は無制限であり、追加の列挙されていない整数又は方法/プロセスの工程を除外しない。
【0054】
本明細書中で使用される場合、用語「疾患」は、生理学的機能を損ない、特定の症状と関連する任意の異常な状態を定義するために使用される。この用語は、病因の性質にかかわらず生理学的機能が損なわれている(又は実際に疾患の病因学的根拠が確立されているかどうかにかかわらず)あらゆる障害、病気、異常、病理、病気、状態又は症候群を包含するために広く用いられる。それゆえ、それは感染、外傷、傷害、手術、放射線焼灼、中毒又は栄養欠乏から生じる状態を包含する。
【0055】
本明細書で使用されるとき、用語「治療」又は「治療すること」は、疾患の症状を治癒、改善又は軽減するか、又はその原因(例えば、ヒト尿路上皮細胞の炎症の減少)を取り除く(又はその影響を軽減する)介入(例えば、対象への薬剤の投与)を指す。この場合、この用語は「療法」という用語と同義に使用される。
【0056】
さらに、「治療」又は「治療すること」という用語は、疾患の発症又は進行を防止又は遅延させるか、又は治療された集団内でのその発生率を低下させる(又は根絶する)介入(例えば、対象への薬剤の投与)を指す。この場合、治療という用語は、「予防」という用語と同義で使用される。
【0057】
本明細書中で使用される場合、薬剤の有効量又は治療有効量は、妥当な利益/リスク比と釣り合って、過度の毒性、刺激、アレルギー反応、又は他の問題もしくは合併症なしに対象に投与され得る量を定義するが、所望の効果、例えば、対象の状態の恒久的又は一時的な改善によって明らかにされる治療又は予防を提供するのに十分である。量は、個体の年齢及び一般的状態、投与方法及び他の要因に応じて、対象ごとに変わるであろう。従って、正確な有効量を特定することは不可能であるが、当業者は日常的な実験及び背景の一般的な知識を用いて、任意の個々の場合において、適切な「有効」量を決定することができるであろう。これに関連した治療結果は、症状の根絶又は軽減、痛み又は不快感の軽減、生存期間の延長、運動性の改善及び他の臨床的改善のマーカーを含む。治療結果は完治である必要はない。
【0058】
上記で定義された治療及び有効量の文脈において、対象(文脈が許す場合には「個体」、「動物」、「患者」又は「哺乳動物」を含むと解釈されるべきである)という用語は、治療が指示されている任意の対象、特に哺乳動物対象を定義する。哺乳動物の対象には、ヒト、飼育動物、家畜、動物園の動物、スポーツ動物、イヌ、ネコ、モルモット、ウサギ、ラット、ネズミ、ウマ、ウシ、乳牛などのペット動物、類人猿、サル、オランウータン、及びチンパンジーなどの霊長類、イヌやオオカミなどのイヌ科動物、ネコ、ライオン、トラなどのネコ科動物、ウマ、ロバ、シマウマなどのウマ類、乳牛、ブタ、ヒツジなどの食用動物、シカやキリンなどの有蹄類、マウス、ラット、ハムスター、モルモットなどのげっ歯類が含まれるがこれらに限定されない。好ましい実施形態では、対象はヒトである。
【0059】
本明細書で使用されるとき、用語「ヒアルロナン」又は「ヒアルロン酸」又は「HA」は、ヒトの細胞外マトリックスの一部を形成し、反復二糖→4)−β−d−GlcpA−(1→3)-β-d-GlcpNAc-(1→からなる陰イオン性非硫酸化グリコサミノグリカンを指す。ヒアルロナンはヒアルロン酸の共役塩基であるが、2つの用語は同じ意味で使用されている。ヒアルロン酸の塩を使用する場合、塩はカルシウム塩又はカリウム塩などの塩を使用することができるが、一般にナトリウム塩である。ヒアルロン酸又はヒアルロナンは、細菌供給源を含む任意の供給源から得ることができる。Streptococcus equiからのヒアルロン酸ナトリウム塩は、Sigma-Aldrichによって製品参照番号53747-1G及び53747-10Gとして販売されている。ヒアルロン酸の微生物生産は、Liuら(Microb Cell Fact.2011年、10:99)に記載されている。この用語はまた、HAの誘導体、例えばUS2009/0281056及びUS2010/0197904に開示されているような、カチオン基で誘導体化されたHA、及びMenaaら(J.Biotechnol Biomaterial S3:001(2011))、Schanteら(Carbohydrate Polymers 85(2011))、EP0138572、EP0216453、EP1095064、EP0702699、EP0341745、EP1313772及びEP1339753に開示されている誘導体などの他のタイプの官能化誘導体も含む。
【0060】
本明細書で使用されるとき、用語「ヒアルロナンヒドロゲルマトリックス」は、水分散媒体中のヒアルロナンポリマーの三次元ネットワークを意味する。一実施形態では、ヒアルロナンポリマーは架橋されて三次元ネットワークを形成する。一実施形態では、マトリックスはホモポリマー、典型的にはHAホモポリマーで形成される。いずれの実施形態でも、(EP2011816の2ゲルシステムとは対照的に)マトリックスは単一ゲルシステムである。
【0061】
本明細書中で使用される場合、ヒアルロン酸に適用されるときの用語「高分子量」は、500KDaより大きい分子量を意味する。一実施形態では、高分子量は、600KDaを超える分子量を有する。一実施形態では、高分子量は700KDaを超える分子量を有する。一実施形態では、高分子量は800KDaを超える分子量を有する。一実施形態では、高分子量は900KDaを超える分子量を有する。一実施形態では、高分子量は1000KDaを超える分子量を有する。一実施形態では、高分子量は1100KDaを超える分子量を有する。一実施形態では、高分子量ヒアルロナンは、500〜5000KDaの分子量を有する。一実施形態では、高分子量ヒアルロナンは、500〜2000KDaの分子量を有する。一実施形態では、高分子量ヒアルロナンは、500〜1500KDaの分子量を有する。一実施形態では、高分子量ヒアルロナンは、500〜1000KDaの分子量を有する。
【0062】
本明細書で使用されるとき、ヒアルロン酸に適用される「架橋された」という用語は、ヒアルロン酸ポリマー鎖が架橋剤(部分)と共有結合的に架橋されて三次元ネットワークを形成することを意味する。架橋HAヒドロゲルは、例えば、Kenneら(Carbohydrate Polymers、第91巻、第1号(2011))、Seguraら(Biomaterials、第26巻、第4号(2005))、Yeomら(Bioconjugate Chem、第21巻(2)2010)などの文献、US8124120、及びUS6013679に記載されている。用語「架橋剤」は、HAと反応することができる2つ以上の官能基を含有する分子を意味する。架橋剤の例には、官能化ポリエチレングリコール(PEG)、例えばPEG−アミン及びPEGジグリシジルエーテル(EX810)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボイミド(EDC)、ジビニルスルホン(DVS)及びエチレングリコールジアクリレート及びジメタクリレート、メチレンビスアクリルアミド(Sigma-Aldrich)の誘導体を含む官能化エチレングリコール架橋剤が含まれる。架橋剤の他の例は、WO2009/018076に記載されている。一実施形態では、HA、例えばHAヒドロゲルは、生体内原位置で架橋されている。ヒドロゲル及び架橋剤は、投与前は別々に保たれ、投与中又は投与後に結合して架橋HAを形成することができる。二重注入システムを用いてヒドロゲルを生体内原位置で架橋することができる。
【0063】
本明細書では、ヒアルロナン粒子に適用される「ナノサイズ」という用語は、ナノメートル範囲の平均寸法を有することを意味する。例えば、HA粒子は、1〜1000nm、典型的には100〜900nm、典型的には200〜800nm、好ましくは300〜700nm、より好ましくは400〜600nmの平均サイズを有し得る。一実施形態では、HA粒子は500±100nmの平均粒径を有する。粒径は、Malvern Zetasizer(ナノ範囲)を用いて測定される。
【0064】
本明細書で使用される場合、担体相中のHA粒子(すなわち、架橋HAヒドロゲル)に適用される「分散及び懸濁」という用語は、US2010/028435に記載されているように、ゲルと共架橋するのとは対照的に、粒子がゲル内にカプセル化されることを意味する。
【0065】
本明細書で使用されるとき、用語「直接膀胱点滴注入用に製剤化された」は、膀胱点滴注入装置、例えばカテーテルを通して組成物をヒトの膀胱に点滴注入することを可能にするのに十分流動性であることを意味する。膀胱点滴注入組成物は当業者に周知であり、膀胱点滴注入のための本発明の組成物を製剤化することは当業者にとって日常的な事項である。膀胱点滴注入を行う方法は当業者に周知であり、以下の文献:US5880108、US5888986、US5994357、US26635625に記載されている。一実施形態では、本発明の組成物は、8F又は10Fカテーテルを用いる膀胱点滴注入用に製剤化される。
【0066】
本明細書中で使用される場合、用語「薬学的又は生物学的に活性な薬剤」は、一般に、哺乳動物において薬学的又は生物学的効果を有する薬剤又は成分を指す。例としては、細胞、細胞成分、多糖、タンパク質、ペプチド、ポリペプチド、抗原、抗体(モノクローナル又はポリクローナル)、抗体フラグメント(例えば、Fc領域、Fab領域、ナノボディ又はVHVフラグメントなどの単一ドメイン抗体)、抗体(又は抗体フラグメント)とタンパク質又はペプチドなどの結合相手とのコンジュゲート、核酸(遺伝子、遺伝子構築物、DNA配列、RNA配列、miRNA、shRNA、siRNA、アンチセンス核酸を含む)、成長因子(すなわち、EGF、HGF、IGF-1、IGF-2、FGF、GDNF、TGF-α、TGF-β、TNF-α、VEGF、PDGF及びインターロイキン)などの細胞産物、薬物、例えば、非ステロイド系抗炎症薬(イブプロフェン、ケトプロフェン、ナプロキセンなど)、アスピリン、アセトアミノフェン、コデイン、ヒドロコドンなどの痛みを和らげる薬物、ステロイド系抗炎症薬、抗鬱剤、抗ヒスタミン薬などの抗炎症薬、又は鎮痛薬が挙げられる。細胞は自己由来、同種異系、異種であり得る。細胞は幹細胞であり得る。幹細胞は、サイドポピュレーション、胚性、胚種性、内皮性、造血性、筋芽細胞性、胎盤性、臍帯血性、脂肪細胞性及び間葉系幹細胞を含む群から選択され得る。細胞は、生物学的産物、例えば成長因子などの治療用生物学的産物を発現するように操作することができる。
【0067】
本明細書中で使用される場合、用語「炎症性障害」又は「炎症性疾患」とは、哺乳動物、特にヒトに影響を及ぼし、一般に1つ又は複数のサイトカインの発現調節異常によって特徴付けられる免疫媒介炎症状態を意味する。炎症性障害の例には、皮膚炎症性障害、関節の炎症性障害、椎骨及び/又は椎間板の炎症性障害、心血管系の炎症性障害、ある種の自己免疫疾患、肺及び気道の炎症性障害、腸の炎症性障害が含まれる。皮膚の炎症性障害の例には、皮膚炎、例えばアトピー性皮膚炎及び接触性皮膚炎、尋常性ざ瘡、及び乾癬が含まれる。関節の炎症性障害の例には、慢性関節リウマチが含まれる。椎間板の炎症性障害の例には、椎間板変性が含まれる。心血管系の炎症性障害の例には、心血管疾患、アテローム性動脈硬化症及び重症下肢虚血がある。自己免疫疾患の例には、1型糖尿病、グレーブス病、ギランバレー病、ループス、乾癬性関節炎、潰瘍性大腸炎及びクローン病が含まれる。肺及び気道の炎症性障害の例には、喘息、嚢胞性線維症、COPD、気腫、及び急性呼吸窮迫症候群が含まれる。腸の炎症性障害の例には、大腸炎及び炎症性腸疾患が含まれる。他の炎症性障害には、癌、花粉症、歯周炎、アレルギー、過敏症、虚血、鬱病、全身性疾患、感染後炎症及び気管支炎が含まれる。本明細書において、用語「代謝障害」には、糖尿病前症、糖尿病、1型糖尿病、2型糖尿病、メタボリック・シンドローム、肥満、糖尿病性脂質異常症、高脂血症、高血圧、高トリグリセリド血症、高脂肪血症、高コレステロール血症、高インスリン血症、及びMODYを含むと理解されるべきである。
【0068】
間質性膀胱炎(IC)は、膀胱本来のGAGバリア、グリコサミノグリカン(GAG)バリア層の破壊を特徴とする慢性疾患であり、尿からの有害成分への透過性を増加させ、これは現在有効な治療に抵抗性がある。本発明の1つの組成物は、ICなどの上皮バリア障害の治療のために損傷を受けたGAG層を修復するために膀胱内への注入用に製剤化されたヒアルロナン系ヒドロゲル中のヒアルロナン系粒子を含む。本発明の組成物は、ICに対してより効果的な治療を提供し、そして非外科的カテーテル法により送達される装置として、現在市販されている療法と同じ方法で臨床医により使用されることになる。ヒアルロナンヒドロゲルは、GAGに富む送達システムとして作用し、細胞壁を結合し、GAG層の修復を促進するためのバリア効果を形成する。HA粒子は、尿中溶質と膀胱壁との間の距離を長くする。本発明の組成物の調整された分解プロファイルは、膀胱内でのバイオアベイラビリティを高め、バリア機能及び滞留時間を長くし、それにより管腔内膜の修復/再生及び炎症性サイトカイン産生の抑制を促進し、従ってICの根本的な病理学に対処する、ICのための一次治療として作用することになる。間質性膀胱炎の治療における本発明の組成物の作用機序の概要を図1に提供する。
【0069】
GAG置換点滴注入療法は、失われた本来のGAG層を置き換えることによって壁を修復することを目的としている。それにもかかわらず、最適なレジメンはまだ定義されておらず、初期治療のために週に数回服用量を変え、維持治療をしながら、病院訪問を繰り返す必要がある。従って、ヒアルロナン粒子を含有するヒアルロナンゲルを含む本発明の治療は、既存の膀胱内ヒアルロナン溶液の点滴注入療法と比較して有意な有効性プロファイルを示すであろう。本発明の治療は、現行の高分子量HAの治療と同様に結合するが、HA粒子の緩やかな劣化は、内因性GAGの産生も刺激しながら、膀胱内のHAの滞留時間、バリア機能及び生物学的利用能を増加させる。本発明の組成物は、膀胱と尿中溶質との間の分離距離を増大させ、活性化された膀胱壁に対する尿中溶質の影響を減少させ、そしてサイトカイン分泌を減少させる。さらに、正電荷HAは、負に荷電した尿路上皮に対してより強い親和性を有し、従って滞留時間及びバリア機能が増大する。以下の表1に示すような本発明の治療は、ICのための既存の治療的介入に比較して、向上した臨床的有効性プロファイルを示すであろう。
【0070】
表1:本発明の組成物の競争上の利点
【0071】
【表1】
【実施例】
【0072】
本発明を特定の実施例を参照して説明する。これらは単なる例示であり説明の目的のためだけであって、主張された独占権又は記載された発明の範囲を決して限定することを意図しない。これらの実施例は、本発明を実施するために現在考えられている最良の形態を構成する。
【0073】
実施例1:非架橋HAヒドロゲル、架橋HAヒドロゲルのプロトコール
材料仕様:
ヒアルロン酸:高分子量(HM Wt)ヒアルロナンナトリウム1M Da(Lifecore Biomedical、USA)。CAS番号:9067−32−7。
PEG−アミン:Mw 2000 DaはJenKem Technology USA(Allen、TX)から購入した。CAS番号:25322-68-3、純度>95%。
N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド塩酸塩(EDC)(Sigma−Aldrich、USA)CAS番号25952−53−8、純度約100%。
N-ヒドロキシスクシンイミド(NHS):(Sigma−Aldrich USA)。CAS番号6066−82−6、純度98%。
リン酸緩衝生理食塩水(Sigma−Aldrich、USA)CAS番号P4417−50TAB(pHを6.5に調整)
非架橋ゲルの製剤化又は配合手順:
1.蒸留水200mlに1錠を溶解することにより、リン酸緩衝生理食塩水を用意し、pHを6.5に調整する(別に保存)。
2.≦25℃でリン酸緩衝生理食塩水中に、ヒアルロン酸ナトリウム塩の必要量をゆっくりと加える(1mg/ml、3mg/ml、9mg/ml、15mg/ml)。
3.≦25℃で磁気撹拌機上で溶液を一晩攪拌する。pHが6.5〜7.5の範囲内であるかどうか確認する。
4.さらなる使用のために、低温室条件(4℃)でヒドロゲルを保存する。
架橋ゲルの製剤化又は配合手順:
1.0.1 M MES緩衝液(pH6.0)中に9mg/mlのヒアルロン酸ナトリウム塩をゆっくり加える。
2.上記溶液に、MES緩衝液中のEDC(4.5mg)及びNHS(2.7mg)を(HA繰り返し単位の各モノマーについて)加え、15分間撹拌する。混合を続け、架橋のために、PEGアミンの必要量(HAに対して1:1.32比)を加え、反応物を≦25℃で一晩撹拌した。
3.完了後、反応混合物を6000〜8000MWの透析膜を用いて蒸留水に対して24〜48時間透析して、いかなる未反応の出発物質及び塩も除去した。
透析後、サンプルを凍結乾燥して、純粋な架橋HAヒドロゲルを得た。凍結乾燥粉末をPBSに再分散して同じ濃度のゲルを得る。
【0074】
実施例2:HAの架橋のためのプロトコル
材料仕様
ヒアルロン酸:高分子量(HMwt)ヒアルロン酸ナトリウム1.2×10 Da(Lifecore Biomedical、USA)。CAS番号:9067−32−7。
PEG−アミン:Mw 2000 DaはJenKem Technology USA(Allen、TX)から購入した。CAS番号:25322−68−3、純度>95%
N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド塩酸塩(EDC)(Sgma−Aldrich USA)CAS番号25952−53−8、純度約100%
N-ヒドロキシスクシンイミド(NHS):(Sigma−Aldrich USA)。CAS番号6066−82−6、純度98%
溶媒:蒸留水中の20重量%の硫酸ナトリウム溶液及び0.1M MES(2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸)緩衝液
HAの架橋のための合成プロトコルの評価(EDC/NHS)
1.10mg/mL濃度。HAを0.1 M MES緩衝液に室温で2時間溶解した
a. MES緩衝液はHAの迅速な溶解を促進し、均質な溶液を得る
b. MES緩衝液(pH約6)はHAのカルボキシル基のイオン化も促進する(pKa約3〜4)
2.20重量%のNaSOの溶液、中性イオン塩を次に加えて、HAのイオン化をさらに誘導した
3.この溶液に、EDC(46mg、0.2 M)溶液、及びMES緩衝液中のNHS(27mg、0.2 M)溶液を添加し、15分間撹拌した
a. MES緩衝液は、架橋効率及び収率を増加させると、文献に報告されている
4.PEG(5mg、HAに対して1:2比)を、次いで架橋のために加え、反応物を室温で一晩撹拌した
5.完了後、反応混合物を6000〜8000MWの透析膜を用いて蒸留水に対して48時間透析して、いかなる未反応の出発物質及び塩も48時間除去した。
6.透析後、サンプルを凍結乾燥して、純粋な架橋HA粒子を得た
7.ゼータ電位とSEMによる特徴づけ
a. 大きさの増加及びゼータ電位の減少が観察され、これは遊離カルボキシル基の数及び粒子の長さも減少させるので、架橋効率の増加に起因する。
8.ゼータ電位:−24.8(平均)、2.17(標準偏差)、−21.6(最大)、−27.3(最小)
HAの架橋のための合成プロトコルの評価(DMTMM)
1.10mg/mL濃度。HAを0.1 M MES緩衝液に室温で2時間溶解した
a.MES緩衝液はHAの迅速な溶解を促進し、均質な溶液を得る
b.MES緩衝液(pH約6)はHAのカルボキシル基のイオン化も促進する(pKa約3〜4)
2.20重量%のNaSOの溶液、中性イオン塩を次に加えて、HAのイオン化をさらに誘導した
3.この溶液に、DMTMMの溶液を加える(7.3mg、HAの繰り返し単位に対して1当量)
a. MES緩衝液は、架橋効率及び収率を増加させると、文献に報告されている
4.PEG(5mg、HAに対して1:2比)を、次いで架橋のために加え、反応物を室温で一晩撹拌した
5.DMTMM及びペグ−アミンを0.1M MES緩衝液に溶解して全容量を1mLとし、最終反応容量を3mLとした
6.反応物を8体積%飽和塩化ナトリウム(5mL)で濃縮した
7.生成物を96%エタノール(10ml)を用いて沈殿させた
8.反応物を30分間攪拌して、完全な沈殿を可能にした
9.1500rpmで5分間遠心分離し、生成物を収集した
10.続いて数回の洗浄工程を行い、次いで生成物を濾過し、48時間真空下に保った
11.サンプルを、純度についてはNMRによって、架橋の程度についてはTNBSAによって、及び形態学的評価についてはSEMによって特徴づけた。
架橋HA粒子をHAゲルと混合して、さらなる試験のためにHA粒子をHAゲル又はヒドロゲル中にカプセル化する
【0075】
実施例3
ヒト尿路上皮細胞HTB4を、10%のウシ胎児血清(FCS)及び1%のペニシリン/ストレプトマイシンを添加したダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)からなる基本培地中で増殖させた。全ての場合において、細胞を90〜100%コンフルエントになるまで増殖させ、処理前にリン酸緩衝溶液(PBS)ですすぐことにより3回洗浄した。単層細胞を硫酸プロタミン(100ng/ml)を用いて30分間化学的に剥離してGAG層を除去した。剥離後、細胞をPBSで3回すすぐことにより洗浄し、次いで処置群に割り当てた。処置群は、基礎培地(対照)、HA粒子(1mg/ml)、Cystistat、Hyacyst及びIalurilからの3つの市販品、ならびに処置対照なし(正常GAG層又は硫酸プロタミンによる前処置なし)であった。細胞を1時間処理した後、PBSですすぎ、血清を含まないDMEM培地と交換し、さらに24時間インキュベートした。24時間後、上清を集め、Blyscan硫酸化グリコサミノグリカンアッセイ(Biocolor.co.uk)にかけて、分泌されたsGAG産生を測定した。
HA粒子と他の3つの市販品(Cystistat、Hyacyst及びIaluril)との間のsGAG発現の比較分析は、正常細胞及び未処理細胞と比較してHA粒子についてのsGAG発現における有意な増加(P<0.05)を明らかにした(図2)。
【0076】
実施例4
HAを水に溶解し、アミノプロピルイミダゾールを天然の負に帯電したHA溶液に添加することによって、正電荷HAを作製し、次いでEDC/NHS又は4-(4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジン-2-イル)−4−メチルモルホリニウムクロリド(DMTMM)を溶液に加え、その後絶えず撹拌しながら24〜48時間溶液をインキュベートした。ポリマーを水に対して透析することによって精製し、凍結乾燥して粉末形態を得た。(図3)
【0077】
実施例5
HA粒子の有効性を、ゲル形式のHAと比較して、及び粒子含有HAゲルと比較して、sGAGを増加させるその能力について試験した。HTB4細胞を上記のように培養した。硫酸プロタミン(100ng/ml)を用いて細胞を30分間化学的に剥離して、GAG層を除去した。剥離後、細胞をPBSで3回すすぎ、次いで処置群に割り当てた。処置群は、基礎培地(対照)、3つの異なるHA群;HA粒子のみ、HAゲルのみ、及びそれぞれ0.5、1及び2mg/mlの濃度の組み合わせ(HA粒子及びHAゲル)、ならびに処理対照なし(GAG層は除去されなかった、又は硫酸プロタミンによる前処理なし)であった。
細胞を1時間処理した後、細胞をPBSですすぎ、血清を含まないDMEM培地と交換し、24時間インキュベートした。24時間後、上清を集め、Blyscan硫酸化グリコサミノグリカンアッセイ(Biocolor.co.uk)にかけて、分泌されたsGAG産生を測定した。
図4は、粒子がsGAGの細胞産生を増加させることを実証する。粒子単独では、無処理の細胞と比較して有意な効果を有する。しかしながら、HA粒子及びゲルの濃度は全て、sGAGレベルの増加に対して劇的かつ一貫した効果を有する。
【0078】
実施例6
市販の処理と比較したsGAGレベルを増加させるHA粒子の能力を調べた。処理及び対照HTB4細胞をトリプシン処理し、溶解し、そしてRNeasyミニキット(SA Bioscience)を使用してRNAを単離した。大容量cDNA逆転写キット(Applied Biosystems)を用いてmRNA(1500ng)をcDNAに逆転写した。 cDNA(75ng)をマスターミックス試薬、FastStart Universal SYBR Green Master(Rox)(Roche)中の各RT−PCR反応に添加した。リアルタイムサイクラーは、StepOne plus system(Applied Biosystems)を用いて実施した。HAS2遺伝子発現は、内因性対照であるBアクチンに対して正規化された比較CT(ΔΔCT)実験における変化倍数として計算された。分析はStepOne(Applied Biosystems)ソフトウェアを用いて行った。図5Aは、HA粒子が市販の処理と比較してsGAGレベルを劇的に改善することを示す。
図5Bは、ある範囲の濃度が、長鎖HAの産生に重要な酵素であるHAS2遺伝子の産生を増加させることをqPCRを用いて実証する。図5の両方のグラフをまとめると、粒子が尿路上皮細胞におけるHA及びsGAGのバイオアベイラビリティを増大させていることが実証される。
【0079】
実施例7
280〜300gの体重の3匹のメスのSprague Dawleyラットを安楽死させ、膀胱を摘出した。次いで、膀胱組織を水平に半分に切断し、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)で3回すすぎ、引き伸ばし、そして固体アガロース上に基底部側を下にして4つの角に固定し、そして尿路上皮を培地にさらした。次いで外植片を硫酸プロタミン10mg/mlに1時間さらし、次いでPBSで洗浄し、次いで細胞培地又はHA粒子で覆い、さらに3日間培養した。
3日後、収穫した膀胱を4%のパラホルムアルデヒドで一晩固定した。次いで組織をパラフィン包埋し、切片化し(5μm)そしてヘマトキシリン及びエオシンで染色した。組織外植片を取り出し、アガロース側底側を下にして安定化させ、尿路上皮を培地にさらした。
図6では、硫酸プロタミンにさらされていない組織(正常)、HA粒子にさらされた組織(HA粒子)、及び硫酸プロタミンに1時間さらされた組織(硫酸プロタミン)を示す。これは、硫酸プロタミンが尿路上皮組織をどのように分解したかを示す(青い矢印)。HA粒子で処理された組織は、正常組織及び硫酸プロタミン組織の両方と比較して、より厚い尿路上皮でより大きな組織完全性を保持していた(青い矢印)。
【0080】
実施例8
HAの粘度の役割を解明するために、粘度の変化が尿路上皮細胞に対する生物学的効果の変化と相関するかどうかを調べた。正常条件下で、sGAGならびに尿路上皮細胞上のIL-6及びIL-8発現に対する1mg/ml、3mg/ml、9mg/ml及び15mg/mlのHAゲルの効果を調べた。sGAG分泌に対するHAゲルの粘度の影響を調べた(図7A)。HAゲルの粘度が増加してもsGAG分泌が増加しないことを観察した。IL−8分泌に対するHAゲルの粘度の影響を調べた(図7B)。HAゲルの粘度を増加させると、IL−8分泌が増加することを観察した。IL−6分泌に対するHAゲルの粘度の影響を調べた(図7C)。HAゲルの粘度を増加させると、IL−6分泌が増加することを観察した。
【0081】
実施例9
ヒアルロナン溶液のレオロジー測定は、直径60 mmの平行プレート形状を使用してDiscovery Series Rheometerで行い、この選択した形状は感度とサンプル容量のバランスをとるように選択した。ヒアルロナン溶液(1、3、9、15mg/ml)をボルテックスした後、各サンプルを底部プレートに直接載せ、次いで上部プレートを500μmの測定ギャップまで下げた。測定パラメータは、振幅掃引及び周波数掃引によって予備実験において線形粘弾性領域内にあると決定された(図8)。貯蔵弾性率(G’)、損失弾性率(G’’)がプラトーに達するまで測定を続けた。弾性率(G’、G’’)及び複素粘度(η*、Pa.s)は、振幅掃引(1hzの周波数で0.1〜10%のひずみ)及び時間掃引(1Paストレスで、5分間の0.1Hz周波数)を用いて動的振動モードで37℃で得た。
【0082】
実施例10
MCP−1、IL−6及びIL−8上のヒアルロナンゲル中のヒアルロナン粒子濃度の評価(図9)。ヒト尿路上皮細胞HTB2を、10%ウシ胎児血清(FCS)及び1%ペニシリン/ストレプトマイシンを添加したダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)からなる基本培地中でプラスチック上で増殖させた。細胞を80〜90%コンフルエントになるまで増殖させ、すべての実験の前にハンクス平衡塩類溶液(HBSS)ですすいで3回洗浄した。HTB−2細胞をHBSS及びトリプシン−EDTA溶液を用いて洗浄し、0.25%を10分間添加し、1000rpmで10分間遠心分離した。次に細胞を分割し、1ウェルあたり50,000細胞で48ウェルプレートに播種した。細胞を基礎培地中で24時間増殖させた。実験は異なる条件で行われた。H処理細胞:48ウェルプレート中の細胞単層を化学的に剥離し、ヒアルロナン介入の適用前に1時間過酸化水素(基礎培地中1%のH2O2)を用いて炎症を起こさせた。48ウェルプレート中の硫酸プロタミン(PS)処理細胞単層を、HA介入の前に硫酸プロタミン(100ng/ml)を用いて1時間化学的に剥離した。48ウェルプレート中のTNFα処理細胞単層を、HA介入の前に1時間TNFα(10ng/ml)を用いて炎症を起こさせた。基本条件:48ウェルプレート培地中の細胞単層を基本培地と交換した。HA介入:細胞をHBSSで洗浄した。Cystistat(登録商標)(0.8mg/ml)又は対照(基礎培地)又はHA溶液(1mg/ml、3mg/ml、9mg/ml、15mg/ml)をウェルに2時間添加し、次いでHBSSで洗浄し、そして基礎培地と24時間交換した。細胞上清を除去し、−20℃で保存した。
【0083】
実施例11
炎症性サイトカインに対する3mg/mlのヒアルロナンの効果(図10)(A)24時間にわたるHTB-2細胞から分泌されたIL-6レベルに対する、3mg/mlのHA濃度での粒子対ゲルの異なる比率の比較。(B)24時間にわたるHTB-2細胞から分泌されたIL-8レベルに対する、3mg/mlのHA濃度での粒子対ゲルの異なる比率の比率の比較。(C)24時間にわたるHTB-2細胞から分泌されたMCP-1レベルに対する、1mg/mlのHA濃度での粒子対ゲルの異なる比率の比較。
【0084】
実施例12
透過性試験:T84単層を横切る経上皮電気抵抗(TEER)及びFITC-デキストラン(4kDa)フラックスを6時間にわたって測定し、FITC-デキストラン(4kDa)の明らかな透過係数(Papp)を計算した。これらの研究は、バリア効果をもたらし、膀胱壁の透過性を減少させるためのHAゲル中のHA粒子の有効性を検証している(図11)。
【0085】
実施例13
N-3-ジメチルアミノプロピル)-N’-エチルカルボジイミド;NHS:N−ヒドロキシスクシンイミド(EDC/NHS)は溶液のpHの変化に感受性はないので、その代わりに(4-(4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジン-2-イル)-4-メチルモルホリン)(DMTMM)を使用することによって架橋度を高めることができることが見出された(図12)。DMTMM(b)を用いた場合の3.15ppmにおけるより広いシグナルは、より高度の架橋を示唆する。
図13に示すように、次のことが確認された。
・ DMTMMは、EDC/NHSよりもポリマーを架橋するのにより効率的な試薬であった。
・ 無架橋試薬を用いない対照反応は、精製後にNMRスペクトルにおいてヒアルロン酸ナトリウムについてのピークのみを明らかにしたので、精製方法もより効率的であった。
【0086】
等価物
前述の説明は、本発明の現在好ましい実施形態を詳述している。これらの説明を考慮すると、当業者にはその実施における多数の修正及び変形が想起されると予想される。それらの修正及び変形は、添付の特許請求の範囲内に包含されることが意図されている。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【国際調査報告】