(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】2021500102
(43)【公表日】20210107
(54)【発明の名称】薬剤送達デバイス
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/20 20060101AFI20201204BHJP
   A61M 5/28 20060101ALI20201204BHJP
   A61M 5/31 20060101ALI20201204BHJP
【FI】
   !A61M5/20 510
   !A61M5/28 520
   !A61M5/31 520
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】25
(21)【出願番号】2020519703
(86)(22)【出願日】20181019
(85)【翻訳文提出日】20200526
(86)【国際出願番号】EP2018078685
(87)【国際公開番号】WO2019077098
(87)【国際公開日】20190425
(31)【優先権主張番号】17306416.3
(32)【優先日】20171019
(33)【優先権主張国】EP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】504456798
【氏名又は名称】サノフイ
【氏名又は名称原語表記】SANOFI
【住所又は居所】フランス国、エフ‐75008・パリ、リユ・ラ・ボエテイ・54
【住所又は居所原語表記】54 rue La Bo▲e▼tie,F−75008 Paris,France
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【弁理士】
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル・ヘルマー
【住所又は居所】ドイツ連邦共和国65926フランクフルト・アム・マイン.サノフィ−アベンティス・ドイチュラント・ゲー・エム・ベー・ハー
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン・リーバイン
【住所又は居所】ドイツ連邦共和国55275ブーデンハイム.ブーデンハイマー・パークアレー2ベー
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066AA09
4C066BB01
4C066CC01
4C066CC09
4C066DD08
4C066DD13
4C066EE06
4C066EE14
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4C066HH03
4C066HH13
4C066LL21
4C066QQ52
4C066QQ72
4C066QQ73
4C066QQ82
4C066QQ92
(57)【要約】
本開示は、薬剤送達デバイス(20、40、60、70)に関する。薬剤送達デバイス(20、40、60、70)は、薬剤の容器を受け入れるように構成されたハウジング(22)と、ハウジング(22)内で移動可能であり、薬剤の容器がハウジング(22)内に受け入れられるときに薬剤の容器に係合するように構成されたピストンロッド(23)とを含む。薬剤送達デバイス(20、40、60、70)は、ハウジング(22)内のピストンロッド(23)の位置を検出するように構成された位置感知機構(25)をさらに含む。位置感知機構(25)は、光を放出するように構成された第1の光源(28)と、第1の光源(28)に近接して配設され、第1の光源(28)によって放出された光を受けるように構成された第1のセンサ(29)と、第1の光源(28)と第1のセンサ(29)との間で移動可能な遮断部材(24、26、41、51、66)とを含む。位置感知機構(25)は、第1の光源(28)および第1のセンサ(29)に対する遮断部材(26)の位置に応じて、変化する光パターンが第1のセンサ(29)に達するように構成され、第1のセンサ(29)は、ハウジング(22)内のピストンロッド(23)の位置を決定するために受ける光パターンを検出するように構成される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤送達デバイス(20、40、60、70)であって:
薬剤の容器を受け入れるように構成されたハウジング(22)と;
該ハウジング(22)内で移動可能であり、薬剤の容器がハウジング(22)内に受け入れられるときに薬剤の容器に係合するように構成されたピストンロッド(23)と;
ハウジング(22)内部のピストンロッド(23)の位置を検出するように構成された位置感知機構(25)とを含み、該位置感知機構(25)は:
光を放出するように構成された光源(28)と;
該光源(28)に近接して配設され、光源(28)によって放出された光を受けるように構成されたセンサ(29)と;
ピストンロッド(23)の動きに応じて光源(28)とセンサ(29)との間で移動可能であり、光源(28)によって放出された光を遮断して、光がセンサ(29)に達するのを妨げるように構成された遮断部材(24、26、41、51、66)と;を含み、
ここで、位置感知機構(25)は、光源(28)およびセンサ(29)に対する遮断部材(26)の位置に応じて、変化する光パターンがセンサ(29)に達するように構成され;
センサ(29)は、ハウジング(22)内部のピストンロッド(23)の位置を決定するために受ける光パターンを検出するように構成され、特定のパターンが、ハウジング(22)内部のピストンロッド(23)の1つの位置に関連付けられる
前記薬剤送達デバイス。
【請求項2】
ピストンロッド(23)から延びる突出部材(24)をさらに含み、該突出部材(24)は、表面(27)からピストンロッド(23)の長手方向軸までの距離がピストンロッド(23)の長さに沿って変化するように構成された表面(27)を有する、請求項1に記載の薬剤送達デバイス(20、40)。
【請求項3】
突出部材(24)の表面(27)は、ハウジング(22)内のピストンロッド(23)の運動方向に対して傾斜されている、請求項2に記載の薬剤送達デバイス(20、40)。
【請求項4】
ピストンロッド(23)は、駆動機構(31)と螺合され、駆動機構(31)が起動されたときに薬剤の容器が薬剤送達デバイス(20、40)内部に受け入れられるときに薬剤の容器のピストン(14)に作用するように構成される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の薬剤送達デバイス(20、40、60、70)。
【請求項5】
突出部材(24)は、遮断部材(26)であり、光源(28)とセンサ(29)との間で移動可能であるように構成される、請求項2〜4のいずれか1項に記載の薬剤送達デバイス(20)。
【請求項6】
遮断部材(26)は、構成要素(63)から、ピストンロッド(23)とは駆動機構(31)の反対側に延び、構成要素(63)は、駆動機構(31)が起動されたときにハウジング(22)内部で移動可能であるように駆動機構(31)と係合される、請求項4に記載の薬剤送達デバイス(60、70)。
【請求項7】
位置感知機構(25)および構成要素(63)は、ハウジング(22)の分離可能な部分に位置し、駆動機構(31)は、分離可能な接続部(64)を含み、分離可能な接続部(64)は、ハウジングの第1の部分(67)においてピストンロッド(23)に係合する駆動機構(31)の一部と、ハウジングの第2の部分(68)において構成要素(63)に係合する駆動機構の一部とを分離可能に接続するように構成される、請求項6に記載の薬剤送達デバイス(70)。
【請求項8】
位置感知機構(25)の遮断部材(26)は、ピストンロッド(23)が移動可能である方向に垂直な方向に移動可能である第1の遮断要素(41)を含み、第1の遮断要素(41)は、突出部材(24)の表面(27)と接触するように付勢され、光源は、第1の光源(28)を含み、センサは、第1のセンサ(29)を含み、第1の遮断要素(41)は、第1の遮断部分(43)が第1の光源(28)と第1のセンサ(29)との間で移動可能であるように構成された第1の遮断部分(43)を含む、請求項2〜4のいずれか1項に記載の薬剤送達デバイス(40)。
【請求項9】
位置感知機構(25)は、第1の遮断要素(51)とはピストンロッド(23)の反対側に位置し、第2の遮断部分(53)を有する第2の遮断要素(51)をさらに含み、光源は、第2の光源(58)を含み、センサは、第2のセンサ(59)を含み、第2の遮断要素(51)は、第2の光源(58)と第2のセンサ(59)との間でピストンロッド(23)が移動可能である方向に垂直な方向に移動可能であり、第2の遮断要素(58)は、ピストンロッド(23)の本体と接触するように付勢され、ハウジング(22)内のピストンロッド(23)の位置に応じた第2の遮断部分(53)の位置に応じて、変化する光パターンが第2の光源(58)から第2のセンサ(59)に達するように構成される、請求項8に記載の薬剤送達デバイス(40)。
【請求項10】
第1および/または第2の光源(28、58)ならびに第1および/または第2のセンサ(29、59)は、第1および/または第2の光源(28、58)がそれぞれの第1および/または第2の遮断要素(41、51)の第1の側にあり、第1および/または第2のセンサ(29、59)は、それぞれの第1および/または第2の遮断要素(41、51)の反対側にある、請求項9に記載の薬剤送達デバイス(40)。
【請求項11】
第1および/または第2の遮断要素(41、51)は、第1および/または第2の遮断要素(41、51)の運動方向において変化する断面積を有するアパーチャ(46、56)を含み、第1および/または第2の遮断要素(41、51)の運動方向での第1および/または第2の遮断要素(41、51)の位置に応じて異なる光量を遮断する、請求項8〜10のいずれか1項に記載の薬剤送達デバイス(40)。
【請求項12】
第1および/または第2の遮断部分(43、53)の表面は、該表面からピストンロッド(23)の長手方向軸までの距離が該表面に沿って変化するように構成される、請求項8〜11のいずれか1項に記載の薬剤送達デバイス(40)。
【請求項13】
第1および/または第2の遮断部分(43、53)の表面は、第1および/または第2の遮断要素(41、51)の運動方向に対して傾斜されている、請求項12に記載の薬剤送達デバイス(40)。
【請求項14】
第1および/または第2のセンサ(29、59)から信号を受信し、受信された信号に応じてピストンロッド(23)の位置を決定するように構成されたコントローラをさらに含み、場合により、コントローラは、決定されたピストンロッド(23)の位置を表す位置信号をユーザインターフェース(69)に出力するように構成される、請求項1〜13のいずれか1項に記載の薬剤送達デバイス(20、40、60、70)。
【請求項15】
薬剤(36)の容器をさらに含む、請求項1〜14のいずれか1項に記載の薬剤送達デバイス(20、40、60、70)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、薬剤送達デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
特定のタイプの注射デバイスは、通常、薬剤の封止された容器と、患者への薬剤の注射用の針と、容器から針を通して薬剤を投薬するための機構とを有する。そのような投薬機構は、薬剤を投薬するために容器内に移動させることができるプランジャまたはピストンを含むことができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本開示の目的は、改良された薬剤送達デバイスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示によれば、薬剤送達デバイスであって、薬剤の容器を受け入れるように構成されたハウジングと、ハウジング内で移動可能であり、薬剤の容器がハウジング内に受け入れられるときに薬剤の容器に係合するように構成されたピストンロッドと、ハウジング内部のピストンロッドの位置を検出するように構成された位置感知機構とを含み、位置感知機構は、光を放出するように構成された光源と、光源の近位に配設され、光源によって放出された光を受けるように構成されたセンサと、ピストンロッドの動きに応じて光源とセンサとの間で移動可能な遮断部材とを含み、ここで、位置感知機構は、光源およびセンサに対する遮断部材の位置に応じて、変化する光パターンがセンサに達するように構成され、ここで、センサは、ハウジング内部でピストンロッドの位置を決定するために受ける光パターンを検出するように構成された、薬剤送達デバイスが提供される。
【0005】
薬剤送達デバイスは、ピストンロッドから延びる突出部材をさらに含む。突出部材は、表面からピストンロッドの長手方向軸までの距離がピストンロッドの長さに沿って変化するように構成された表面を有する。
【0006】
表面は、ハウジング内のピストンロッドの運動方向の軸に対して傾斜されている。
【0007】
突出部材は、ピストンロッドから半径方向に延びる。傾斜面は、突出部材の半径方向で最も外側の位置である。光源およびセンサは、ハウジングに対して固定される。
【0008】
光源およびセンサは、光源が突出部材の第1の側にあり、センサが突出部材の反対側にあるように配置され、突出部材は、光が光源からセンサに進むのを可変式に阻止する。
【0009】
ハウジングは、少なくとも2つの突出部を有するピストンロッドガイドを含み、突出部の間に突出部材が位置し、突出部は、ピストンロッドの回転運動を制約するように構成される。
【0010】
ピストンロッドは、駆動機構と係合され、駆動機構が起動されたときに薬剤の容器が薬剤送達デバイス内部に受け入れられるときに薬剤の容器のピストンに作用するように構成される。
【0011】
突出部材は、遮断部材であり、光源とセンサとの間で移動可能であるように構成される。
【0012】
遮断部材は、構成要素から、ピストンロッドとは駆動機構の反対側に延び、構成要素は、駆動機構が起動されたときにハウジング内部で移動可能であるように駆動機構と係合される。
【0013】
位置感知機構および構成要素は、ハウジングの分離可能な部分に位置し、駆動機構は、分離可能な接続部を含み、分離可能な接続部は、ハウジングの第1の部分においてピストンロッドに係合する駆動機構の一部と、ハウジングの第2の部分において構成要素に係合する駆動機構の一部とを分離可能に接続するように構成される。
【0014】
位置感知機構の遮断部材は、ピストンロッドが移動可能である方向に垂直な方向に移動可能である第1の遮断要素を含み、第1の遮断要素は、突出部材の表面と接触するように付勢され、光源は、第1の光源を含み、センサは、第1のセンサを含み、第1の遮断要素は、第1の遮断部分が第1の光源と第1のセンサとの間で移動可能であるように構成された第1の遮断部分を含む。第1の遮断部分は、ハウジング内のピストンロッドの突出部材の位置に応じた第1の遮断要素の位置に応じて、変化する光パターンが第1の光源から第1のセンサに達するように構成される。
【0015】
位置感知機構は、第1の遮断要素とはピストンロッドの反対側に位置し、第2の遮断部分を有する第2の遮断要素をさらに含み、光源は、第2の光源を含み、センサは、第2のセンサを含み、第2の遮断要素は、第2の光源と第2のセンサとの間でピストンロッドが移動可能である方向に垂直な方向に移動可能であり、第2の遮断要素は、ピストンロッドの本体と接触するように付勢され、ハウジング内のピストンロッドの位置に応じた第2の遮断部分の位置に応じて、変化する光量が第2の光源から第2のセンサに達するように構成される。
【0016】
光源およびセンサは、光源が要素の第1の側にあり、センサが要素の反対側にあるように配置され、要素は、運動方向での要素の位置に応じた異なる光量を遮断するように構成される。
【0017】
第1および/または第2の遮断要素は、第1および/または第2の遮断要素の運動方向において変化する断面積を有するアパーチャを含み、第1および/または第2の遮断要素の運動方向での第1および/または第2の遮断要素の位置に応じて異なる光量を遮断する。
【0018】
要素は、ピストンロッドに対して半径方向に延びる。第1および/または第2の光源は、発光ダイオードである。第1および/または第2のセンサは、位置感知検出器または電荷結合デバイスである。
【0019】
薬剤送達デバイスは、第1および/または第2のセンサから信号を受信し、受信された信号に応じてピストンロッドの位置を決定するように構成されたコントローラをさらに含む。
【0020】
場合により、コントローラは、決定されたピストンロッドの位置を表す位置信号をユーザインターフェースに出力するように構成される。
【0021】
薬剤送達デバイスは、再使用可能である。代替形態として、薬剤送達デバイスは使い捨てである。すなわち、薬剤送達デバイスは、所定の用量回数を提供すると廃棄されるように構成される。
【0022】
薬剤送達デバイスは、薬物の容器をさらに含む。
【0023】
これらおよび他の態様は、以下に述べる実施形態を参照して明らかにし、説明する。
【0024】
ここで、添付図面を参照して、単に例として本開示の実施形態を述べる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1A】キャップがデバイスの本体に取り付けられた状態での、本開示を具現化する薬剤送達デバイスの概略側面図である。
【図1B】キャップが本体から取り外された状態での、図1Aのデバイスの概略側面図である。
【図2】本開示の第1の実施形態による薬剤送達デバイスの概略側断面図である。
【図3】図2のデバイスから取り外されたピストンロッドの斜視図である。
【図4】デバイスの長手方向軸に沿った概略断面図である。
【図5】デバイスが使用される前の第1の位置での、本開示の第1の実施形態の概略側断面図である。
【図6】デバイスが使用された後の第2の位置での、本開示の第1の実施形態の概略側断面図である。
【図7】デバイスが使用される前の第1の位置での、本開示の第2の実施形態の概略側断面図である。
【図8】デバイスが使用された後の第2の位置での、本開示の第2の実施形態の概略側断面図である。
【図9】本開示の第3の実施形態の拡大概略側断面図である。
【図10】本開示の第4の実施形態の概略側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本明細書で述べる薬剤送達デバイスは、患者に薬剤を注射するように構成される。薬剤送達デバイスは、投与される前に薬剤が収納されるカートリッジまたはシリンジを含む。例えば、送達は、皮下、筋肉内、または静脈内である。そのようなデバイスは、患者または看護師や医師などの介護者が操作することができ、様々なタイプの安全シリンジ、パッチポンプ、ペン型注射器、または自動注射器を含む。薬剤送達デバイスは、単回用量または複数回用量で液体薬物を送達するように構成される。液体薬物は、容器、カートリッジ、またはシリンジ内に提供され、注射または潅流によって送達され、モバイルまたはハンドヘルドデバイスである。薬剤送達デバイスによる液体薬物の送達は、モータによって駆動される。モータは、患者への送達のために液体薬物が移動される方向に平行な軸の周りを回転する。モータは、DCモータである。代替として、デバイスによる液体薬物の送達は、限定はしないが例えば、ダイヤルの回転によって手動で駆動される。しかし、患者への液体薬物の送達のための他の駆動機構、限定はしないが例えば、空気圧式、液圧式、電気式、またはばね式の機構が想定される。
【0027】
本明細書で述べる送達デバイスは、1つまたはそれ以上の自動化された機能を含むこともできる。例えば、針挿入、薬剤注射、および針後退(needle retraction)のうちの1つまたはそれ以上を自動化することができる。1つまたはそれ以上の自動化工程に関するエネルギーは、1つまたはそれ以上のエネルギー源によって提供することができる。エネルギー源は、例えば、機械的、空気圧的、化学的、または電気的エネルギーを含む。例えば、機械的エネルギー源は、エネルギーを蓄積または解放するためのばね、てこ、エラストマー、または他の機械的機構を含む。1つまたはそれ以上のエネルギー源を単一のデバイスに組み合わせることができる。デバイスは、エネルギーをデバイスの1つまたはそれ以上の構成要素の動きに変換するためのギア、バルブ、または他の機構をさらに含むことができる。
【0028】
いくつかの送達デバイスは、安全シリンジ、ペン型注射器、または自動注射器の1つまたはそれ以上の機能を含むことができる。例えば、送達デバイスは、(自動注射器において通常見られるような)薬剤を自動的に注射するように構成された機械的エネルギー源、および(ペン型注射器において通常見られるような)用量設定機構を含むことができる。
【0029】
本開示のいくつかの実施形態によれば、例示的な薬剤送達デバイス10が図1Aおよび1Bに示されている。上述したデバイス10は、薬剤を患者の体内に注射するように構成される。デバイス10は、ハウジング11を含み、ハウジング11は、典型的には、注射すべき薬剤を含むリザーバ(例えばシリンジ)と、送達プロセスの1つまたはそれ以上の工程を容易にするために必要とされる構成要素とを含む。デバイス10は、ハウジング11に取外し可能に取り付けることができるキャップアセンブリ12も含むことができる。典型的には、ユーザは、キャップ12をハウジング11から取り外さないと、デバイス10を操作することができない。
【0030】
図示されるように、ハウジング11は、実質的に円筒形であり、長手方向軸A−Aに沿って実質的に一定の直径を有する。ハウジング11は、遠位領域Dおよび近位領域Pを有する。「遠位」という用語は、注射部位に比較的近い場所を表し、「近位」という用語は、注射部位から比較的遠い場所を表す。
【0031】
デバイス10は、針スリーブ19も含み、針スリーブ19は、ハウジング11に対するスリーブ19の動きを可能にするようにハウジング11に連結される。例えば、スリーブ19は、長手方向軸A−Aに平行な長手方向で移動することができる。具体的には、近位方向へのスリーブ19の動きは、針17がハウジング11の遠位領域Dから延びることを可能にすることができる。
【0032】
針17の挿入は、いくつかの機構によって行うことができる。例えば、針17は、ハウジング11に対して固定されて位置し、最初は、延ばされた針スリーブ19内部に位置する。スリーブ19の遠位端を患者の身体に配置し、ハウジング11を遠位方向に移動させることによるスリーブ19の近位運動は、針17の遠位端を露出させる。そのような相対運動により、針17の遠位端を患者の体内に延ばすことが可能になる。そのような挿入は、患者がハウジング11をスリーブ19に対して手で動かすことによって針17が手動で挿入されるので、「手動」挿入と呼ばれる。
【0033】
別の挿入形態は「自動」であり、針17がハウジング11に対して移動する。そのような挿入は、スリーブ19の動きによって、または例えばボタン13など別の起動形態によってトリガすることができる。図1Aおよび1Bに示されるように、ボタン13は、ハウジング11の近位端に位置する。しかし、他の実施形態では、ボタン13は、ハウジング11の側面に位置させることができる。
【0034】
他の手動または自動機能は、薬物注射もしくは針後退、またはそれら両方を含むことができる。注射は、薬剤をシリンジ18から針17を通して押し出すために、栓またはピストン14がシリンジ18内部の近位位置からシリンジ18内部のより遠位の位置に移動されるプロセスである。いくつかの実施形態では、デバイス10が起動される前に、駆動ばね(図示せず)は圧縮下にある。駆動ばねの近位端は、ハウジング11の近位領域P内部に固定することができ、駆動ばねの遠位端は、ピストン14の近位表面に圧縮力を加えるように構成することができる。起動後、駆動ばねに蓄積されたエネルギーの少なくとも一部は、ピストン14の近位表面に加えることができる。この圧縮力は、ピストン14に作用して、ピストン14を遠位方向に移動させることができる。そのような遠位運動は、シリンジ18内部の液体薬剤を圧縮するように作用し、液体薬剤を針17から押し出す。
【0035】
注射後、針17は、スリーブ19またはハウジング11内部に後退させることができる。後退は、ユーザが患者の身体からデバイス10を取り外す際にスリーブ19が遠位方向に移動するときに生じる。これは、針17がハウジング11に対して固定されて位置されたままであるときに生じる。スリーブ19の遠位端が針17の遠位端を通過して移動し、針17がカバーされると、スリーブ19をロックすることができる。そのようなロックは、ハウジング11に対するスリーブ19の近位運動をロックすることを含むことができる。
【0036】
針17がハウジング11に対して移動される場合、別の形の針後退が生じる。そのような運動は、ハウジング11内部のシリンジ18がハウジング11に対して近位方向に移動される場合に生じる。この近位運動は、遠位領域Dに位置された収縮ばね(図示せず)を使用することによって実現することができる。圧縮された収縮ばねは、起動されるとき、シリンジ18を近位方向に移動させるのに十分な力をシリンジ18に供給することができる。十分な後退の後、ロック機構を用いて、針17とハウジング11との相対運動をロックすることができる。さらに、必要に応じて、ボタン13、またはデバイス10の他の構成要素をロックすることができる。
【0037】
ここで図2を参照すると、本開示による薬剤送達デバイス20が示されている。薬剤送達デバイス20は、薬剤の容器を受け入れるように構成されたハウジング22と、ハウジング22内部のピストンロッド23とを含む。ピストンロッド23は、ハウジング22内部で移動可能であり、薬剤の容器がハウジング22内部に受け入れられるときに薬剤の容器と係合するように構成される。薬剤送達デバイス20は、位置感知機構25をさらに含み、位置感知機構25は、ハウジング22内部のピストンロッド23の位置を検出するように構成される。したがって、患者に投薬される薬剤の量を、注意深くかつ正確に監視することができる。
【0038】
位置感知機構は、図4に示される、光源28と、光源に近接して配設されたセンサ29とを含む。光源28とセンサ29とは、光源28によって放出された光がセンサ29に向けられるように、互いに向かい合うように位置する。センサは、光源28によって放出された光を受けるように構成される。位置感知機構は、光源28とセンサ29との間で移動可能な遮断部材26をさらに含む。遮断部材26は、光源28とセンサ29との間でのその位置に応じて、光源28によって放出される光量を遮断し、光がセンサ29に達するのを妨げる。
【0039】
薬剤送達デバイス20は、図3の斜視図に示されているように、ピストンロッド23から延びる突出部材24をさらに含む。突出部材24は、長手方向でのピストンロッド23の軸Aからの距離がピストンロッド23の長さに沿って変化する表面27を含む。すなわち、表面27は、表面からピストンロッド23の長手方向軸までの距離がピストンロッド23の長さに沿って変化するように構成される。例えば、図3に示される実施形態では、突出部材24の表面27は、長手方向でのピストンロッド23の軸Aに対して傾斜されている。すなわち、表面27は、ハウジング22内のピストンロッド23の運動方向に対して傾斜されている。しかし、代替実施形態では、表面は異なる形状であり、例えば、一連の段部、または不等間隔に配置された壁体を含むことを理解されたい。代替実施形態では、以下でさらに詳細に説明するように、表面27は傾斜されていない。
【0040】
本実施形態では、突出部材24は、遮断部材26である。したがって、突出部材24は、光源28とセンサ29との間で移動可能に構成される。本実施形態では、突出部材24は、光源28とセンサ29との間でのその位置に応じて、光源28によって放出される光量を遮断し、光がセンサ29に達するのを妨げる。
【0041】
位置感知機構25は、光源28およびセンサ29に対して遮断部材26として作用する突出部材24の位置に応じて、変化する光パターンが光源28からセンサ29に達するように構成される。さらに、センサ29は、光源28から受けた変化する光パターンを検出して、ハウジング22内部のピストンロッド23の位置を決定するように構成される。
【0042】
本実施形態では、センサ29に達する光量を変えることによって、光パターンが変えられる。これは、光源28とセンサ29との間での、遮断部材26として作用する突出部材24の面積の増加または減少によって実現される。代替実施形態では、光を遮断する遮断部材26の面積は変わらないが、その位置の変化により、センサ29の異なる部分に影が落ち、センサ29によって検出される光パターンが変化する。センサ29によって検出された影の量の変化またはセンサ29によって検出された影の位置の変化は、センサ29がハウジング22内部のピストンロッド23の位置を決定する助けとなる。
【0043】
前述したように、ピストンロッド23は、ハウジング22内部で軸方向で移動可能である。すなわち、ピストンロッド23は、図2〜10に示される実施形態に示されるように、長手方向で移動させることができる。ピストンロッド23は、ピストン14を押すように構成され、ピストン14は、薬剤の容器がハウジング22内部に受け入れられるときに薬剤の容器に作用する。しかし、ピストンロッド23はそれに限定されず、限定はしないが例えば、ストッパを押すプランジャ、またはハウジング内で軸方向に移動可能な任意の構成要素、例えばユーザもしくは患者への薬剤の送達を引き起こすように構成された可動構成要素でもよいことが理解されよう。
【0044】
図2に戻って参照すると、ピストンロッド23は、駆動機構31によって移動可能である。本実施形態の駆動機構31は、歯車32と第1のスピンドル要素33とを含む。第1のスピンドル要素33は、ねじ切りされ、ピストンロッド23に接続されて、ピストンロッド23をハウジング22内部で長手方向軸に沿って移動させる。ピストンロッド23の内面は、第1のスピンドル要素33と協働するようにねじ切りされている。歯車32は、例えば、デバイス20のユーザによって手動で回転されるダイヤルである。代替形態として、歯車32は、ピストンロッド23の自動作動のために電気モータ34に接続される。電気モータ34は、DCモータである。
【0045】
図面に示されている実施形態は、歯車とスピンドルとを含む駆動機構を示すが、駆動機構の他の実装、限定はしないが例えば、空気圧式、液圧式、電気式、およびばね式の駆動機構が想定される。
【0046】
図2〜4に示される実施形態では、遮断部材26として作用するピストンロッド23の突出部材24は、ピストンロッド23から半径方向に延び、その半径方向で最も外側の位置に傾斜面27を有する。すなわち、傾斜面27は、ピストンロッド23の長手軸Aから最も遠い表面である。したがって、遮断部材26として作用する突出部材24の半径方向高さは、ピストンロッド23の長さに沿って変化する。本実施形態において、突出部材24は、その長さの一部分に沿って比例的にピストンロッド23の実効半径を変える。ピストンロッド23は、半径R1を有する。突出部材24は、ピストンロッド23の実効半径を増加し、ハウジング22内の薬剤36から最も遠い点で、その最大実効半径R2になる。
【0047】
しかし、代替実施形態では、遮断部材26として作用する突出部材24は、概して矩形であり、突出部材24の厚さを通って延び、長手方向に延びるアパーチャ(図示せず)を含む。アパーチャは、限定はしないが例えば三角形であり、アパーチャは、ピストンロッド23の長手方向軸に対して傾斜された内面を有する。したがって、そのアパーチャが半径方向に延びる距離は、ピストンロッド23の長さに沿って変化する。アパーチャは、それが延びる半径方向長さが変わるか、またはピストンロッド23の長手方向軸Aに対してある角度で延びる。
【0048】
図2および4に示される実施形態では、光源28およびセンサ29は、ハウジング22に対して固定されている。図4に示されるように、光源28およびセンサ29は、遮断部材26として作用する突出部材24の片側に光源28が位置し、突出部材24の反対側にセンサ29が位置するように配置される。したがって、ピストンロッド23が光源28およびセンサ29を通過して注射部位に向けて移動されるとき、図5および6に示されるように、光源28とセンサ29との間で突出部材24の割合の増加が生じる。ピストンロッド23が注射部位に向けてさらに移動されるにつれて、光源28からのより多量の光が遮断され、センサ29に達することが妨げられる。
【0049】
図5は、薬剤36が投薬される前の位置にあるピストンロッド23を示す。すなわち、駆動機構31は起動されておらず、ピストンロッド23は注射部位に向けて移動されていない。この第1の位置では、光源28の小さな部分のみが、遮断部材26として作用する突出部材24によってセンサ29から覆い隠されている。図6は、薬剤36の全用量が投与されたときの位置にあるピストンロッド23を示す。すなわち、駆動機構31が起動されており、ピストンロッド23は注射部位に向けて移動されている。第2の位置では、光源28の大部分が、突出部材24によってセンサ29から覆い隠されている。したがって、突出部材24は、ハウジング22内のピストンロッド23の位置に応じて、異なる光量がセンサ29に達するのを阻止する。
【0050】
センサ29は、それが受ける変化する光量を検出し、測定値を使用して、ハウジング22内のピストンロッド23の位置、したがって投与された薬剤の用量のサイズを決定するように構成される。薬剤送達デバイス20は、センサ29から信号を受信し、受信された信号に応じてピストンロッド23の位置を決定するように構成されたコントローラ(図示せず)を含む。さらに、コントローラは、決定されたピストンロッド23の位置を表す位置信号をユーザインターフェース(図示せず)に出力するように構成される。
【0051】
本実施形態では、センサ29およびコントローラは、光源28からセンサ29によって受ける光、およびコントローラによって受信される信号に応じて、ピストンロッド23の位置を決定することができる。なぜなら、位置感知機構25が「教え込まれている」からである。すなわち、位置感知機構25は、特定の光パターンまたは光量を、ハウジング22内部のピストンロッド23の位置に関連付けるようにプログラムされる。ハウジング22内部のピストンロッド23の位置は、用量サイズに関連付けられる。位置感知機構25は、薬剤36の最大用量または最大用量回数を提供するための距離にわたってピストンロッド23を移動させることによってプログラムされる。これは、再使用可能なデバイスに関する初回の使用の前、または使い捨てデバイスに関する最終組立ての前に、ユーザが行う。
【0052】
代替実施形態では、ピストンロッド23が光源28およびセンサ29を通過して注射部位に向けて移動されるとき、光源28とセンサ29との間で、遮断部材26として作用する突出部材24の割合の減少が生じる。したがって、ピストンロッド23が注射部位に向けてさらに移動されるにつれて、光源28からのより少量の光が遮断され、センサ29に達することが妨げられる。
【0053】
遮断部材26として作用する突出部材24にアパーチャ(図示せず)を含む実施形態では、アパーチャの半径方向高さは、注射部位から最も遠いピストンロッド23の端部で最大である。したがって、薬剤を投与するためにピストンロッド23が移動されるとき、光源28とセンサ29との間のアパーチャの半径方向高さが増加し、より多くの光がセンサ29に達する。センサ29は、それが受ける変化する光量を検出し、測定値を使用して、ハウジング22内のピストンロッド23の位置、したがって投与された薬剤の用量のサイズを決定する。代替形態として、アパーチャの半径方向高さは、注射部位から最も近いピストンロッド23の端部で最大である。
【0054】
一実施形態では、遮断部材26として作用する突出部材24は、その半径方向で最も外側の位置に傾斜面27を有し、傾斜面27を有するアパーチャ(図示せず)も含むことを理解されたい。
【0055】
図4での実施形態に示されるように、ハウジング22は、ハウジング22内のピストンロッド23の動きを制限するように構成されたピストンロッドガイド37を含む。ピストンロッドガイド37は2つの突出部38a、38bを含み、2つの突出部38a、38bの間に、ピストンロッド23の突出部材24が位置する。突出部38a、38bは、ピストンロッド23の長手方向軸Aに平行に延び、突出部38a、38bの間にチャネル39を画成する。突出部38a、38bは、第1のスピンドル要素33が歯車32によって回転されてピストンロッド23を軸方向に移動させるとき、ピストンロッド23の回転運動を制約するように構成される。一方の突出部38aは、第1の方向、例えば時計回り方向へのピストンロッド23の回転運動を制約する。他方の突出部38bは、第2の方向、例えば反時計回り方向へのピストンロッド23の回転運動を制約する。
【0056】
一実施形態では、光源28は、遮断部材26として作用する突出部材24の片側にある第1の突出部38aに取り付けられる。センサ29は、突出部材24の反対側にある第2の突出部38bに取り付けられる。光源28とセンサ29とは、光源28によって放出された光がセンサ29に向けられるように、互いに対向して位置し、互いに面する。光源28およびセンサ29は、凹部内にあり、突出部38a、38bのチャネル画成表面から引っ込められるように、突出部38a、38bに位置する。したがって、突出部材24は、光源28またはセンサ29と直接接触することができず、したがって、使用中の繊細な構成要素の位置ずれ(misalignment)を避けることができる。好ましくは、ピストンロッド23の位置のより正確な測定を可能にするために、光源28、センサ29、および遮断部材26(この実施形態では突出部材24)の間に最小の隙間が設けられる。
【0057】
代替実施形態では、光源28とセンサ29とは、遮断要素26の同じ側にある。遮断要素26は、光を反射するように構成され、センサ29は、光源28からセンサ29に反射される変化する光量によってピストンロッド23の位置を決定する。
【0058】
ここで図7を参照すると、薬剤送達デバイス40の第2の実施形態の概略断面図が示されている。デバイス40は、上述したデバイス20の実施形態と概して同じであり、したがって、デバイス20の構成および構成要素と同じデバイス40の構成および構成要素は、同じ用語および参照番号を保持する。
【0059】
本開示の第2の実施形態では、薬剤送達デバイス40は、ハウジング22内のピストンロッド3の位置のより正確な測定を提供するように構成された位置感知機構25を含む。本実施形態では、位置感知機構25の遮断要素26は、ピストンロッド23が移動可能である方向に垂直な方向に移動可能である第1の遮断要素41を含む。すなわち、第1の遮断要素は、ピストンロッド23に向かうように、およびピストンロッド23から離れるように移動可能である。第1の遮断要素41は、突出部材24の表面27と接触するように付勢される。第1の遮断要素41は、限定はしないが例えば、ばねなどの付勢部材42によってピストンロッド23に向けて付勢される。本実施形態では、突出部材24は、遮断部材26として作用しない。
【0060】
第1の遮断要素41は、第1の遮断部分43と、第1のピストンロッド接触部分44とを含む。第1のピストンロッド接触部分44は、突出部材24の表面27に接触し、第1の遮断要素41がカムのように作用する。本実施形態では、光源は、第1の光源28を含み、センサは、第1のセンサ29を含む。第1の遮断部分43は、ピストンロッド23の遠位にあり、第1の光源28と第1のセンサ29との間で移動可能であるように構成される。第1の光源28および第1のセンサ29は、ハウジング22に取り付けられる。第1の遮断要素43は、第1の光源28からの光が第1のセンサ29に達するのを遮断するように構成され、したがって、第1の遮断要素43の位置に応じて、変化する光量が第1の光源28から第1のセンサ29に達する。第1の遮断要素43の位置は、それ自体、ハウジング22内のピストンロッド23の位置に応じる。したがって、第1の遮断要素41の第1のピストンロッド接触部分44が突出部材24の表面27のどの部分に接触するかによって、第1の光源28と第1のセンサ29との間の第1の遮断要素43の位置が決まる。好ましくは、第1の遮断要素41は、ピストンロッド23に対して半径方向に延びる。
【0061】
第2の実施形態でも、第1の光源28および第1のセンサ29は、ハウジング22に対して固定されている。第1の光源28および第1のセンサ29は、第1の光源28が第1の遮断要素41の第1の側にあり、第1のセンサ29が第1の遮断要素41の反対側に位置するように配置される。好ましくは、第1の光源28および第1のセンサ29は、第1の遮断要素41の運動方向に平行に配置され、第1の光源28から第1のセンサ29への光の移動経路が第1の遮断要素41の運動方向に垂直になる。
【0062】
図7および8に示されるように、第1の遮断要素41は、アパーチャ46を含む。アパーチャ46は、第1の遮断要素41の運動方向で変化する断面積を有して、運動方向での第1の遮断要素41の位置に応じて異なる光量を遮断する。アパーチャ46は、第1の光源28から第1のセンサ29への光の移動経路の方向に、第1の遮断要素41の第1の遮断部分43の厚さを通って延びる。アパーチャ46は、限定はしないが例えば三角形である。
【0063】
本実施形態では、三角形のアパーチャ46は、表面47からピストンロッド23の長手方向軸Aまでの距離が変化するように構成された表面47を有するように構成される。すなわち、アパーチャ46は、三角形のアパーチャ46の底辺がピストンロッド23の近位にあり、三角形のアパーチャ46の先端がピストンロッド23の遠位にあるように配置される。
【0064】
したがって、第1のピストンロッド接触部分44がその最小実効半径R1を有する点でピストンロッド23に当接するとき、第1の遮断部分43は、第1の光源28と第1のセンサ29との間の空間に最小量突出する。これは、光が、三角形のアパーチャ46の先端を通ってのみ第1の光源28から第1のセンサ29に進むことができ、したがって最小量の光が第1のセンサ29に達することを意味する。したがって、第1のセンサ29は、図7に示されるように、薬剤36が投与されていない第1の位置にピストンロッド23があると判断する。第1のピストンロッド接触部分44がその最大実効半径R2を有する点でピストンロッド23に当接するとき、第1の遮断部分43は、第1の光源28と第1のセンサ29との間の空間に最大量突出する。これは、光が、三角形のアパーチャ46の底辺または全体を通って第1の光源28から第1のセンサ29に進むことができ、したがって最大量の光が第1のセンサ29に達することを意味する。したがって、第1のセンサ29は、図8に示されるように、薬剤36が投与された第2の位置にピストンロッド23があると判断する。
【0065】
代替実施形態では、第1の遮断部分43は、アパーチャ46を含まない。代わりに、第1の遮断部分43は、表面からピストンロッド23の長手方向軸までの距離が第1の遮断部分43の表面に沿って変化するように、ピストンロッド23から最も遠い表面などの外面が構成されるように構成される。例えば、ピストンロッド23から最も遠い第1の遮断部分43の外面は、第1の遮断要素41および/またはピストンロッド23の運動方向に対して傾斜される。
【0066】
さらに、位置感知機構25の遮断部材26は、第1の遮断要素41とはピストンロッド23の反対側に配置された第2の遮断要素51をさらに含む。第2の遮断要素51は、ピストンロッド23が移動可能である運動方向に垂直な方向に移動可能である。すなわち、第2の遮断要素51は、ピストンロッド23に向かうように、およびピストンロッド23から離れるように移動可能である。第2の遮断要素51は、ピストンロッド23の本体と接触するように付勢される。第2の遮断要素51は、限定はしないが例えば、ばねなどの付勢部材52によってピストンロッド23に向けて付勢される。
【0067】
本実施形態では、光源は、第2の光源58をさらに含み、センサは、第2のセンサ59をさらに含む。第2の遮断要素51は、第2の遮断部分53と、第2のピストンロッド接触部分54とを含む。第2のピストンロッド接触部分54は、ピストンロッド23の本体に接触し、第2の遮断要素51がカムのように作用する。第2の遮断部分53は、ピストンロッド23の遠位にあり、ハウジング22に取り付けられた第2の光源58と第2のセンサ59との間で移動可能であるように構成される。第2の遮断部分53は、第2の光源58からの光が第2のセンサ59に達するのを遮断するように構成され、したがって、第2の遮断部分53の位置に応じて、変化する光量が第2の光源58から第2のセンサ59に達する。第2の遮断部分53の位置は、それ自体、ハウジング22内のピストンロッド23の位置に応じる。したがって、第2の遮断要素51の第2のピストンロッド接触部分54がピストンロッド23の本体のどの部分に接触するかによって、第2の光源58と第2のセンサ59との間の第2の遮断要素53の位置が決まる。好ましくは、第2の遮断要素51は、ピストンロッド23に対して半径方向に延びる。
【0068】
第2の実施形態でも、第2の光源58および第2のセンサ59は、ハウジング22に対して固定されている。第2の光源58および第2のセンサ59は、第2の光源58が第2の遮断要素51の第1の側にあり、第2のセンサ59が第2の遮断要素51の反対側に位置するように配置される。好ましくは、第2の光源58および第2のセンサ59は、第2の遮断要素51の運動方向に平行に配置され、第2の光源58から第2のセンサ59への光の移動経路が第2の遮断要素51の運動方向に垂直になる。
【0069】
図7および8に示されるように、第2の遮断要素51は、アパーチャ56を含む。アパーチャ56は、第2の遮断要素51の運動方向で変化する断面積を有して、運動方向での第2の遮断要素51の位置に応じて異なる光量を遮断する。アパーチャ56は、第2の光源58から第2のセンサ59への光の移動経路の方向に、第2の遮断要素51の第2の遮断部分53の厚さを通って延びる。アパーチャ56は、限定はしないが例えば三角形である。
【0070】
本実施形態では、三角形のアパーチャ56は、表面57からピストンロッド23の長手方向軸Aまでの距離が変化するように構成された表面57を有するように構成される。すなわち、アパーチャ56は、三角形のアパーチャ56の底辺がピストンロッド23の近位にあり、三角形のアパーチャ56の先端がピストンロッド23の遠位にあるように配置される。
【0071】
代替実施形態では、アパーチャ46、56は、限定はしないが例えば矩形であり、センサ29、59での光の矩形パターンの位置が、ハウジング22内のピストンロッド23の位置を決定するために使用される。
【0072】
代替実施形態では、第2の遮断部分53は、アパーチャ56を含まない。代わりに、第2の遮断部分53は、表面からピストンロッド23の長手方向軸までの距離が第2の遮断部分53の表面に沿って変化するように、ピストンロッド23から最も遠い表面などの外面が構成されるように構成される。例えば、ピストンロッド23から最も遠い第2の遮断部分53の外面は、第2の遮断要素51および/またはピストンロッド23の運動方向に対して傾斜される。
【0073】
第2の遮断要素51は、ハウジング22内部のピストンロッド23の半径方向運動および製造上の欠陥を補償するために、示差的な読取りを与えるように構成される。したがって、第1のセンサ29によって決定されたピストンロッド23の位置は、第2のセンサ59によって得られた測定値を差し引くことによって修正し、より正確にすることができる。したがって、正確にデバイス40内の薬剤36のどれほどが投与されているかをより厳密に測定することが実現可能である。
【0074】
センサ29、59は、光に応答して局所抵抗を変える層状半導体を含む位置感知検出器である。抵抗の変化により、電極間の電子の流れが変化する。分流器の式を使用して、X方向とY方向との両方での光の位置を計算して、ハウジング22内のピストンロッド23の位置を決定することができる。位置感知検出器は、測定プロセスが連続的であるので有利である。代替形態として、センサ29、59は、ピクセルとして知られる光感知セルのマトリックスを含む電荷結合デバイスである。各ピクセルは、露光中に充電されるコンデンサに接続されている。コンバータは、各ピクセルの電荷を決定し、その電荷を値に変換する。ピクセルの電荷は、ハウジング22内のピストンロッド23の位置を決定するために使用することができる。代替のセンサが使用されることもあることを理解されたい。
【0075】
代替実施形態では、第2の遮断要素51、第2の光源58、および第2のセンサ59は必須ではないことを理解されたい。
【0076】
ここで図9を参照すると、薬剤送達デバイス60の第3の実施形態の概略断面図が示されている。デバイス60は、上述したデバイス20の実施形態と概して同じであり、したがって、デバイス20の構成および構成要素と同じデバイス60の構成および構成要素は、同じ用語および参照番号を保持する。
【0077】
第3の実施形態では、薬剤送達デバイス60は、さらに、ハウジング22内部で移動可能な構成要素63を含み、光源(図9には図示せず)からセンサ29に光が進むのを遮断するように構成された遮断部材66を含む。
【0078】
構成要素63は、長手方向で移動可能である。すなわち、構成要素63は、ピストンロッド23と同じ方向に移動可能である。代替実施形態では、構成要素63は、長手方向に対して角度を成す方向、限定はしないが例えば垂直方向に移動可能である。
【0079】
第3の実施形態では、構成要素63は、用量ナットとして作用する。すなわち、構成要素63は、ハウジング22内のピストンロッド23の位置、したがって患者またはユーザに投与された用量のサイズを決定するために使用される。構成要素63は、ピストンロッド23とは駆動機構31の反対側に位置する。構成要素63は、本実施形態では半径方向に延びる遮断部材66を含む。図9に示される本実施形態では、遮断部材66は、矩形の突出部である。しかし、代替実施形態では、遮断部材66の形状が異なることを理解されたい。
【0080】
光源およびセンサ29は、構成要素63が長手方向で移動されるときに、光源から放出された光がセンサ29の異なる部分に達するのを遮断部材66が遮断するように位置決めされる。遮断部材66は矩形の突出部にすぎないので、センサ29に達する光量、または光が達するセンサの面積は変化しないが、光パターンは変化する。したがって、センサ29およびコントローラ(図示せず)は、光源からセンサ29に達する光の異なるパターンに基づいて、ハウジング22内の構成要素63の位置を決定するように構成される。構成要素63の位置は、ハウジング22内のピストンロッド23の位置と相関する。
【0081】
第1の実施形態と同様に、ハウジング22は、ハウジング22内の構成要素63の回転運動を制限するように構成された、図4に示されるピストンロッドガイド37と同様のピストンロッドガイドを含む。ピストンロッドガイドは、図4に示される少なくとも2つの突出部38a、38bを含み、それらの突出部38a、38bの間に、構成要素63の遮断部材66が少なくとも部分的に位置する。突出部38a、38bは、構成要素63が移動可能である方向、すなわちピストンロッド23の長手方向/軸に平行に延び、突出部38a、38bの間にチャネルを画成し、チャネル内に、遮断部材66が少なくとも部分的に受け入れられる。
【0082】
さらに、本開示の第3の実施形態では、薬剤送達デバイス60の駆動機構31は、第2のスピンドル要素62を含む。第2のスピンドル要素62は、歯車32から、第1のスピンドル要素33とは反対の方向に延び、2つのスピンドル要素33、62が歯車32の両側にある。すなわち、第2のスピンドル要素62は、ピストンロッド23とは歯車32の反対側に位置する。どちらのスピンドル要素33、62も、歯車32の中心から延びる。
【0083】
第2のスピンドル要素62はねじ切りされ、第2のスピンドル要素62と協働するように内面がねじ切りされた構成要素63に接続される。突出部38a、38bは、第2のスピンドル要素62が歯車32によって回転されて構成要素63を軸方向に移動させるとき、構成要素63の回転運動を制約するように構成される。一方の突出部38aは、第1の方向、例えば時計回り方向への構成要素63の回転運動を制約する。他方の突出部38bは、第2の方向、例えば反時計回り方向への構成要素63の回転運動を制約する。使い捨てデバイスを使用する実施形態などいくつかの実施形態では、1つの突出部のみが必要とされる。
【0084】
歯車32は、例えば、デバイスのユーザによって手動で回転されるダイヤルである。代替形態として、歯車32は、ピストンロッド23の自動作動用の電気モータ34に接続される。上で説明したように、代替実施形態では、他の駆動機構が使用されることを理解されたい。
【0085】
本実施形態では、センサ29のサイズは、第2のスピンドル要素62のねじ高さに合致させることができる。さらに、第2のスピンドル要素62のねじ高さおよびピッチは、第1のスピンドル要素33のねじ高さおよびピッチの特定の比に設計され、それにより、限定はしないが例えば、歯車32が1回転すると、ピストンロッド23が2測定単位移動され、一方、構成要素63は、1測定単位だけ移動される。したがって、投与される用量の正確な測定を維持しながら、薬剤送達デバイス60の寸法をできるだけ小さく保つことができる。
【0086】
ここで図10を参照すると、薬剤送達デバイス70の第4の実施形態の概略断面図が示されている。デバイス70は、上述したデバイス60の実施形態と概して同じであり、したがって、デバイス60の構成および構成要素と同じデバイス70の構成および構成要素は、同じ用語および参照番号を保持する。
【0087】
第4の実施形態では、第2のスピンドル要素62は、分離可能な接続部64を含む。分離可能な接続部64は、限定はしないが例えばクラッチの形態である。分離可能な接続部64は、何度も取り外され、再び取り付けられる。さらに、ハウジング22は、2つの部分67、68によって形成される。第1の部分67は、歯車32と、第1のスピンドル要素33と、ピストンロッド23と、薬剤36の容器を受け入れるための空間と、モータとを含む。ハウジング22の第2の部分68は、構成要素63と、遮断部材26、光源、およびセンサ29を含む位置感知機構25と、第2のスピンドル要素62とを含む。第1および第2の部分67、68は、何度も取り外され、再び取り付けられる。第2の部分68は、ピストンロッド23もしくは構成要素63の位置、および/または既に投与された、もしくは薬剤送達デバイス70内に残っている用量サイズなどの情報を表示するための電子ディスプレイ69も含む。
【0088】
本明細書で使用する用語「薬物」または「薬剤」は、1つまたはそれ以上の薬学的に活性な化合物を説明するために本明細書において使用される。以下に説明されるように、薬物または薬剤は、1つまたはそれ以上の疾患を処置するための、さまざまなタイプの製剤の少なくとも1つの低分子もしくは高分子、またはその組み合わせを含むことができる。例示的な薬学的に活性な化合物は、低分子;ポリペプチド、ペプチド、およびタンパク質(たとえばホルモン、成長因子、抗体、抗体フラグメント、および酵素);炭水化物および多糖類;ならびに核酸、二本鎖または一本鎖DNA(裸およびcDNAを含む)、RNA、アンチセンスDNAおよびRNAなどのアンチセンス核酸、低分子干渉RNA(siRNA)、リボザイム、遺伝子、およびオリゴヌクレオチドを含むことができる。核酸は、ベクター、プラスミド、またはリポソームなどの分子送達システムに組み込むことができる。これらの薬物の1つまたはそれ以上の混合物もまた、企図される。
【0089】
用語「薬物送達デバイス」は、薬物をヒトまたは動物の体内に投薬するように構成されたあらゆるタイプのデバイスまたはシステムを包含するものである。限定されることなく、薬物送達デバイスは、注射デバイス(たとえばシリンジ、ペン型注射器、自動注射器、大容量デバイス、ポンプ、かん流システム、または眼内、皮下、筋肉内、もしくは血管内送達にあわせて構成された他のデバイス)、皮膚パッチ(たとえば、浸透圧性、化学的、マイクロニードル)、吸入器(たとえば鼻用または肺用)、埋め込み(たとえば、コーティングされたステント、カプセル)、または胃腸管用の供給システムとすることができる。ここに説明される薬物は、針、たとえば小ゲージ針を含む注射デバイスで特に有用であることができる。
【0090】
薬物または薬剤は、薬物送達デバイスで使用するように適用された主要パッケージまたは「薬物容器」内に含むことができる。薬物容器は、たとえば、カートリッジ、シリンジ、リザーバ、または1つまたはそれ以上の薬学的に活性な化合物の保存(たとえば短期または長期保存)に適したチャンバを提供するように構成された他の容器とすることができる。たとえば、一部の場合、チャンバは、少なくとも1日(たとえば1日から少なくとも30日まで)の間薬物を保存するように設計することができる。一部の場合、チャンバは、約1ヶ月から約2年の間薬物を保存するように設計することができる。保存は、室温(たとえば約20℃)または冷蔵温度(たとえば約−4℃から約4℃まで)で行うことができる。一部の場合、薬物容器は、薬物製剤の2つまたはそれ以上の成分(たとえば薬物および希釈剤、または2つの異なるタイプの薬物)を別々に、各チャンバに1つずつ保存するように構成された二重チャンバカートリッジとすることができ、またはこれを含むことができる。そのような場合、二重チャンバカートリッジの2つのチャンバは、ヒトまたは動物の体内に投薬する前、および/または投薬中に薬物または薬剤の2つまたはそれ以上の成分間で混合することを可能にするように構成することができる。たとえば、2つのチャンバは、これらが(たとえば2つのチャンバ間の導管によって)互いに流体連通し、所望の場合、投薬の前にユーザによって2つの成分を混合することを可能にするように構成することができる。代替的に、またはこれに加えて、2つのチャンバは、成分がヒトまたは動物の体内に投薬されているときに混合することを可能にするように構成することができる。
【0091】
本明細書において説明される薬物送達デバイスおよび薬物は、数多くの異なるタイプの障害の処置および/または予防に使用することができる。例示的な障害は、たとえば、糖尿病、または糖尿病性網膜症などの糖尿病に伴う合併症、深部静脈血栓塞栓症または肺血栓塞栓症などの血栓塞栓症を含む。さらなる例示的な障害は、急性冠症候群(ACS)、狭心症、心筋梗塞、がん、黄斑変性症、炎症、枯草熱、アテローム性動脈硬化症および/または関節リウマチである。
【0092】
糖尿病または糖尿病に伴う合併症の処置および/または予防のための例示的な薬物は、インスリン、たとえばヒトインスリン、またはヒトインスリン類似体もしくは誘導体、グルカゴン様ペプチド(GLP−1)、GLP−1類似体もしくはGLP−1受容体アゴニスト、またはその類似体もしくは誘導体、ジペプチジルペプチダーゼ−4(DPP4)阻害剤、または薬学的に許容される塩もしくはその溶媒和物、またはそれらの任意の混合物を含む。本明細書において使用される用語「誘導体」は、元の物質と構造的に十分同様のものであり、それによって同様の機能または活性(たとえば治療効果性)を有することができる任意の物質を指す。
【0093】
例示的なインスリン類似体は、Gly(A21),Arg(B31),Arg(B32)ヒトインスリン(インスリングラルギン);Lys(B3),Glu(B29)ヒトインスリン;Lys(B28),Pro(B29)ヒトインスリン;Asp(B28)ヒトインスリン;B28位におけるプロリンがAsp、Lys、Leu、Val、またはAlaで置き換えられており、B29位において、LysがProで置き換えられていてもよいヒトインスリン;Ala(B26)ヒトインスリン;Des(B28−B30)ヒトインスリン;Des(B27)ヒトインスリンおよびDes(B30)ヒトインスリンである。
【0094】
例示的なインスリン誘導体は、たとえば、B29−N−ミリストイル−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−パルミトイル−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−ミリストイルヒトインスリン;B29−N−パルミトイルヒトインスリン;B28−N−ミリストイルLysB28ProB29ヒトインスリン;B28−N−パルミトイル−LysB28ProB29ヒトインスリン;B30−N−ミリストイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン;B30−N−パルミトイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン;B29−N−(N−パルミトイル−γ−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−(N−リトコリル−γ−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)−des(B30)ヒトインスリン、およびB29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)ヒトインスリンである。例示的なGLP−1、GLP−1類似体およびGLP−1受容体アゴニストは、たとえば:リキシセナチド(Lixisenatide)/AVE0010/ZP10/リキスミア(Lyxumia)、エキセナチド(Exenatide)/エクセンディン−4(Exendin−4)/バイエッタ(Byetta)/ビデュリオン(Bydureon)/ITCA650/AC−2993(アメリカドクトカゲの唾液腺によって産生される39アミノ酸ペプチド)、リラグルチド(Liraglutide)/ビクトザ(Victoza)、セマグルチド(Semaglutide)、タスポグルチド(Taspoglutide)、シンクリア(Syncria)/アルビグルチド(Albiglutide)、デュラグルチド(Dulaglutide)、rエクセンディン−4、CJC−1134−PC、PB−1023、TTP−054、ラングレナチド(Langlenatide)/HM−11260C、CM−3、GLP−1エリゲン、ORMD−0901、NN−9924、NN−9926、NN−9927、ノデキセン(Nodexen)、ビアドール(Viador)−GLP−1、CVX−096、ZYOG−1、ZYD−1、GSK−2374697、DA−3091、MAR−701、MAR709、ZP−2929、ZP−3022、TT−401、BHM−034、MOD−6030、CAM−2036、DA−15864、ARI−2651、ARI−2255、エキセナチド(Exenatide)−XTENおよびグルカゴン−Xtenである。
【0095】
例示的なオリゴヌクレオチドは、たとえば:家族性高コレステロール血症の処置のためのコレステロール低下アンチセンス治療薬である、ミポメルセン(mipomersen)/キナムロ(Kynamro)である。
【0096】
例示的なDPP4阻害剤は、ビルダグリプチン(Vildagliptin)、シタグリプチン(Sitagliptin)、デナグリプチン(Denagliptin)、サキサグリプチン(Saxagliptin)、ベルベリン(Berberine)である。
【0097】
例示的なホルモンは、ゴナドトロピン(フォリトロピン、ルトロピン、コリオンゴナドトロピン、メノトロピン)、ソマトロピン(ソマトロピン)、デスモプレシン、テルリプレシン、ゴナドレリン、トリプトレリン、ロイプロレリン、ブセレリン、ナファレリン、およびゴセレリンなどの、脳下垂体ホルモンまたは視床下部ホルモンまたは調節性活性ペプチドおよびそれらのアンタゴニストを含む。
【0098】
例示的な多糖類は、グルコサミノグリカン、ヒアルロン酸、ヘパリン、低分子量ヘパリン、もしくは超低分子量ヘパリン、またはそれらの誘導体、または上述の多糖類の硫酸化形態、たとえば、ポリ硫酸化形態、および/または、薬学的に許容されるそれらの塩を含む。ポリ硫酸化低分子量ヘパリンの薬学的に許容される塩の例としては、エノキサパリンナトリウムがある。ヒアルロン酸誘導体の例としては、HylanG−F20/Synvisc、ヒアルロン酸ナトリウムがある。
【0099】
本明細書において使用する用語「抗体」は、免疫グロブリン分子またはその抗原結合部分を指す。免疫グロブリン分子の抗原結合部分の例は、抗原を結合する能力を保持するF(ab)およびF(ab’)2フラグメントを含む。抗体は、ポリクローナル、モノクローナル、組換え型、キメラ型、非免疫型またはヒト化、完全ヒト型、非ヒト型(たとえばマウス)、または一本鎖抗体とすることができる。いくつかの実施形態では、抗体はエフェクター機能を有し、補体を固定することができる。いくつかの実施形態では、抗体は、Fc受容体と結合する能力が低く、または結合することはできない。たとえば、抗体は、アイソタイプもしくはサブタイプ、抗体フラグメントまたは変異体とすることができ、Fc受容体との結合を支持せず、たとえば、これは、突然変異したまたは欠失したFc受容体結合領域を有する。
【0100】
用語「フラグメント」または「抗体フラグメント」は、全長抗体ポリペプチドを含まないが、抗原と結合することができる全長抗体ポリペプチドの少なくとも一部分を依然として含む、抗体ポリペプチド分子(たとえば、抗体重鎖および/または軽鎖ポリペプチド)由来のポリペプチドを指す。抗体フラグメントは、全長抗体ポリペププチドの切断された部分を含むことができるが、この用語はそのような切断されたフラグメントに限定されない。本開示に有用である抗体フラグメントは、たとえば、Fabフラグメント、F(ab’)2フラグメント、scFv(一本鎖Fv)フラグメント、直鎖抗体、二重特異性、三重特異性、および多重特異性抗体(たとえば、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ)などの単一特異性または多重特異性抗体フラグメント、ミニボディ、キレート組換え抗体、トリボディまたはバイボディ、イントラボディ、ナノボディ、小モジュラー免疫薬(SMIP)、結合ドメイン免疫グロブリン融合タンパク質、ラクダ化抗体、およびVHH含有抗体を含む。抗原結合抗体フラグメントのさらなる例は、当技術分野で知られている。
【0101】
用語「相補性決定領域」または「CDR」は、特異的抗原認識を仲介する役割を主に担う重鎖および軽鎖両方のポリペプチドの可変領域内の短いポリペプチド配列を指す。用語「フレームワーク領域」は、CDR配列ではなく、CDR配列の正しい位置決めを維持して抗原結合を可能にする役割を主に担う重鎖および軽鎖両方のポリペプチドの可変領域内のアミノ酸配列を指す。フレームワーク領域自体は、通常、当技術分野で知られているように、抗原結合に直接的に関与しないが、特定の抗体のフレームワーク領域内の特定の残基が、抗原結合に直接的に関与することができ、またはCDR内の1つまたはそれ以上のアミノ酸が抗原と相互作用する能力に影響を与えることができる。
【0102】
例示的な抗体は、アンチPCSK−9mAb(たとえばアリロクマブ(Alirocumab))、アンチIL−6mAb(たとえばサリルマブ(Sarilumab))、およびアンチIL−4mAb(たとえばデュピルマブ(Dupilumab))である。
【0103】
本明細書において説明される化合物は、(a)化合物または薬学的に許容されるその塩、および(b)薬学的に許容される担体を含む医薬製剤において使用することができる。化合物はまた、1つまたはそれ以上の他の医薬品有効成分を含む医薬製剤、または存在する化合物またはその薬学的に許容される塩が唯一の有効成分である医薬製剤において使用することもできる。したがって、本開示の医薬製剤は、本明細書において説明される化合物および薬学的に許容される担体を混合することによって作られる任意の製剤を包含する。
【0104】
本明細書において説明される任意の薬物の薬学的に許容される塩もまた、薬物送達デバイスにおける使用に企図される。薬学的に許容される塩は、たとえば酸付加塩および塩基性塩である。酸付加塩は、たとえば、HClまたはHBr塩である。塩基性塩は、たとえば、アルカリもしくはアルカリ土類金属、たとえばNa+、もしくはK+、もしくはCa2+、またはアンモニウムイオンN+(R1)(R2)(R3)(R4)(式中、R1からR4は互いに独立して:水素、場合により置換されたC1〜C6−アルキル基、場合により置換されたC2〜C6−アルケニル基、場合により置換されたC6〜C10−アリル基、または場合により置換されたC6〜C10−ヘテロアリール基を意味する)から選択されるカチオンを有する塩である。薬学的に許容される塩のさらなる例は、当業者に知られている。
【0105】
薬学的に許容される溶媒和物は、たとえば、水和物またはメタノラート(methanolate)またはエタノラート(ethanolate)などのアルカノラート(alkanolate)である。
【0106】
本明細書で述べた物質、製剤、装置、方法、システム、および実施形態の様々な構成要素の修正(追加および/または除去)が、本発明の完全な範囲および精神から逸脱することなく行われ、本発明の完全な範囲および精神は、そのような修正およびそれらのあらゆる均等物を包含することを当業者は理解されよう。
【図1A】
【図1B】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【国際調査報告】