(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】2021500189
(43)【公表日】20210107
(54)【発明の名称】電気的治癒特性を有するジルコニアまたはアルミナから作られた歯科用インプラントおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A61C 8/00 20060101AFI20201204BHJP
【FI】
   !A61C8/00 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】19
(21)【出願番号】2020523810
(86)(22)【出願日】20181026
(85)【翻訳文提出日】20200526
(86)【国際出願番号】IB2018058397
(87)【国際公開番号】WO2019082154
(87)【国際公開日】20190502
(31)【優先権主張番号】110375
(32)【優先日】20171026
(33)【優先権主張国】PT
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】516116507
【氏名又は名称】ユニベルズィダード ドゥ ミンホ
【氏名又は名称原語表記】UNIVERSIDADE DO MINHO
【住所又は居所】ポルトガル国 4704−553 ブラガ ラルゴ ドゥ パコ
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100181847
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 かおり
(72)【発明者】
【氏名】フィリペ サミュエル コッレイア ペレイラ シルヴァ
【住所又は居所】ポルトガル国 4800−058 ギマランイシュ カンプス デ アズレム ユニベルズィダード ドゥ ミンホ エスコラ デ エンゲンハリア デパルタメント デ エング メカニカ
(72)【発明者】
【氏名】パウロ フィリペ サルガド ピント
【住所又は居所】ポルトガル国 4800−058 ギマランイシュ カンプス デ アズレム ユニベルズィダード ドゥ ミンホ エスコラ デ エンゲンハリア デパルタメント デ エング メカニカ
(72)【発明者】
【氏名】オスカル サミュエル ノヴァイス カルヴァーリョ
【住所又は居所】ポルトガル国 4800−058 ギマランイシュ カンプス デ アズレム ユニベルズィダード ドゥ ミンホ エスコラ デ エンゲンハリア デパルタメント デ エング メカニカ
【テーマコード(参考)】
4C159
【Fターム(参考)】
4C159AA03
4C159AA17
4C159AA26
(57)【要約】
本開示は、その内部に、インプラントの側面および下面の穴の形で終端する垂直および半径方向のチャネルを備え、各チャネルは、インプラントの表面に沿った複数の電場を促進するために導電性材料で満たされる歯科用インプラントに関する。電場の範囲は5〜100mvである。焼結ブロックから得られる歯科用インプラントは、その長さに沿った軸を画定し、その内部には、インプラントの表面に穴の形で終端する長手方向および半径方向のチャネルを備え、各チャネルは、インプラントの表面に沿って複数の電場を促進する導電性材料を備えることを記載する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
焼結ブロックから得られ、その長さに沿った軸を画定する歯科用インプラントであって、内部には、前記インプラントの表面に穴の形で終端する、長手方向および半径方向のチャネルを備え、各チャネルは前記インプラントの前記表面に沿って複数の電場を生成するための導電性材料を備える、歯科用インプラント。
【請求項2】
前記半径方向のチャネルは、前記インプラントの側面の穴の形で終端し、前記長手方向のチャネルは、前記インプラントの上面の穴の形で終端する、請求項1に記載の歯科用インプラント。
【請求項3】
前記半径方向チャネルは、側面の穴の形で終端し、それぞれの前記導電性材料は、前記インプラントの前記表面に沿って電極を交互にするように接続されている、請求項1または2に記載の歯科用インプラント。
【請求項4】
前記長手方向および半径方向のチャネルは、前記インプラントの前記側面および下面の穴の形で終端する、請求項1から3のいずれか一項に記載の歯科用インプラント。
【請求項5】
アバットメントまたは歯冠上に配置され、集積回路、チップ、または圧電コンポーネントを有する電池を備えた電子部品を備える、請求項1から4のいずれか一項に記載の歯科用インプラント。
【請求項6】
前記電子部品は、前記電場が5〜100mVの範囲であるように構成される、請求項5に記載の歯科用インプラント。
【請求項7】
前記導電性材料は、金属であるか、またはポリマーを導電性にする粒子または繊維が充填されたポリマーである、請求項1から6のいずれか一項に記載の歯科用インプラント。
【請求項8】
前記金属は、銀または金またはプラチナまたは他の金属または金属合金から選択され、生体適合性および導電性を有する、請求項7に記載の歯科用インプラント。
【請求項9】
前記ポリマーは、PEEKまたはPMMAまたは他の生体適合性ポリマーから選択される、請求項7に記載の歯科用インプラント。
【請求項10】
前記ポリマーは、銀粒子またはカーボンナノチューブ、または前記ポリマーを導電性にする他の生体適合性材料をさらに備える、請求項9のいずれか一項に記載の歯科用インプラント。
【請求項11】
前記焼結インプラントブロックは、セラミックまたはセラミックベースの複合材料からなる、請求項1から10のいずれか一項に記載の歯科用インプラント。
【請求項12】
前記焼結インプラントブロックは、ジルコニアまたはアルミナもしくはそれらの混合物からなる、請求項11のいずれか一項に記載の歯科用インプラント。
【請求項13】
前記インプラントは、1〜20%のイットリアおよび/またはセリアおよび/またはマグネシアを含む、請求項12のいずれか一項に記載の歯科用インプラント。
【請求項14】
ヒドロキシアパタイトおよび/またはβTCPおよび/またはバイオガラスを含む、請求項1から13のいずれか一項に記載の歯科用インプラント。
【請求項15】
請求項1から14のいずれか一項に記載の歯科用インプラントを得る方法であって、
前記インプラントを構成するセラミック材料を混合し、圧縮ブロックが得られるまで10〜200MPaの圧力で圧縮するステップと、
得られた前記ブロックを事前焼結するステップと、
前記長手方向および半径方向のチャネルとそれぞれの前記穴とを有する前記インプラントを得るために、フライス加工またはレーザーアブレーションによって前記ブロックを加工するステップと、
1200〜1600°Cの温度で1〜5時間の間、前記ブロックを焼結するステップと、
を含む、方法。
【請求項16】
ロストワックス鋳造プロセスは、
ワックスで構成されたツリー形状で、供給システムに前記インプラントを配置するステップと、
前記インプラントの穴にワックスを加えるステップと、
石膏型が得られるまで、インプラントを含む供給システムを石膏に浸すステップと、
前記ワックスを抽出するために、前記型を400°Cの温度に加熱するステップと、
前記型を800°Cの炉に2時間置くステップと、
前記型を取り外し、金属を前記石膏型と前記インプラントの前記穴とに注ぐステップと、
を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
導電性ポリマーによる内部チャネルの充填は、
前記穴を備えた前記インプラントが、グラファイト材料または類似のものの型の内部に配置され、前記型は、前記インプラントとともに、本体、下部、および上部によって構成されるステップと、
前記ポリマーを前記型内に配置し、ポリマー複合材料が液体、ペースト状、または半固体の状態に達して前記穴を含浸するまで、これらを加熱するステップと、
を含む、請求項15または16に記載の方法。
【請求項18】
前記穴の含浸は、真空下で圧力を加えることによって行われ、それにより、前記ポリマー複合材料が前記インプラントの前記穴に流れ込み、それらを充填する、請求項15から17のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、歯科領域、より具体的には歯科用インプラントの領域にある。本開示は、骨再生および抗菌効果のための電気容量を有するセラミック歯科用インプラントに関する。
【背景技術】
【0002】
インプラントに隣接する骨組織の再生を促進することを目的とした電気刺激を有する歯科用インプラントがいくつか提案されている。以下の米国特許第8374697号明細書、中国特許第103006343号明細書、国際公開第2006/043748の例を含むほとんどの提案は、電極がインプラントの上部と下部にそれぞれ取り付けられ、両方ともインプラントの本体に取り付けられているインプラントを提案している。インプラントの下部で作用する電極は、インプラントの内部を通過する。これらの明細書に記載されているインプラントは、これらの2つの極の間に電場(および磁気)を生成することを可能にする。
【0003】
米国特許出願公開第2003/0153965号明細書に記載されている別のアプローチは、インプラントの2つの極に沿って電流を伝送するために、導電性補強材、たとえばカーボンナノチューブと共に使用される、ポリマー基および/またはセラミック複合材料の使用を提案する。次に、米国特許第5738521号明細書は、これらの2点間に電場を生成するために、2つの電極を、一方をインプラント内に、他方をインプラントの外側の骨の領域に配置することを提案している。
【0004】
提示されたすべての解決策では、常に2つの極がインプラントの別個の箇所に、通常はインプラントの端部に取り付けられ、または、極のうち1つでもインプラントの外側に配置され、その間に電場が作成される。この電場は、2つの極の間に電流を生成し、下顎および/または上顎の組織を流れる電流のゾーンで骨の成長を刺激する。電流は、骨組織の電気抵抗が低い領域をランダムに流れる。
【0005】
インプラントの新しいコンセプトがこの明細書で提案されており、このコンセプトは、戦略的に定義されたインプラント表面の複数の箇所に割り当てられた複数の電場が生成され、電線回路がコンポーネントの一体部分であり、その機械的強度に貢献する、デバイスに存在する。インプラントを得るための方法もこの明細書で提案されている。
【0006】
これらの事実は、この開示によって対処される技術的問題を説明するために説明されている。
【発明の概要】
【0007】
本開示は、インプラントの表面の複数の箇所に電場が到達することを可能にする電気回路を内部に備え、この電気回路がインプラント本体の一体部分を形成することを可能にする、ジルコニアまたはアルミナ、またはそれらの混合物に基づくセラミック歯科用インプラントに関する。
【0008】
前述のように、インプラントは、審美機能を有し、生物活性化合物および/または抗菌化合物を含み得る、生体適合性セラミックまたはセラミック複合材料で構成されている。このインプラントは、インプラント表面の複数の箇所に到達する正および負に分極した電線を通して、インプラント表面の複数の箇所に電場を提供するための電気回路を内部に備えることを特徴とする。この目的のために、インプラントは、インプラントの主方向に沿った内部垂直分配チャネルと、さまざまなインプラント高さでの半径方向チャネルとを備え、複数の電場がインプラント表面に存在することを可能にする。インプラントによって骨に伝達される電流によって、より迅速な方法での再生が可能になり、同様に、抗菌効果を有し、細菌のバイオフィルムを排除するのに役立つであろう。この回路は、インプラントの上部、またはアバットメントまたは歯冠の内部に収納されている小さな電池と、電気刺激、つまり電場強度、印加頻度、および印加時間を調整するチップによって、および/またはあるいは、咀嚼力によって作動する圧電コンポーネントによって駆動される。圧電コンポーネントは、生体適合性材料、たとえばチタン酸バリウムBaTiO3、またはKNNと呼ばれる「ニオブ酸ペロブスカイト」化合物((K、Na)NbO3)で構成され、咀嚼力のような負荷による変形を受けたときに電場を生成するものである。
【0009】
セラミックは、場合によってはヒドロキシアパタイト、βTCP、バイオガラス、セラミックまたはジルコニアを安定化させる他の材料、および/または生物活性材料および/または抗菌材料を含む、ジルコニアまたはアルミナ、またはそれらの混合物に基づくべきである。
【0010】
電気回路の材料は、銀または金またはプラチナまたは他の生体適合性金属または他の生体適合性材料および導電性材料からなる。
【0011】
電気回路は、線または電極の組立品ではなく、インプラントの一体部分として特徴付けられる。電気回路は、インプラントのさまざまな箇所への電場の放出を担っているが、インプラントの機械的強度にも寄与する。
【0012】
インプラントを得るプロセスは、イットリア、セリア、マグネシアなどのジルコニア安定化元素を含み得、また、ヒドロキシアパタイト、βTCP、バイオガラス、または他の生物活性物質などの生物活性要素をも含み得る、ジルコニアおよび/またはアルミナ粉末からブロックを圧縮および事前焼結するアプローチに基づく。あるいは、既に圧縮され、事前焼結された商用ブロックを使用してもよく、続いて、内部チャネル、インプラント表面(側方および下方)への電場分配器を作成するために、切削工具を使用した機械的経路またはレーザーアブレーションによって、事前焼結ブロックを加工し、続いて、コンポーネントを最終焼結し、続いて、ジルコニアブロックのチャネルに、圧力下での鋳造プロセスを使用して、銀、金、プラチナなどの導電性の生体適合性材料、またはポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)などのポリマー、またはマイクロ金属粒またはナノ金属粒子またはポリマーを導電性にする他の補強材を充填したその他の生体適合性ポリマーを充填し、続いて、インプラントの上部、アバットメント、または歯冠の内側に、コントロールユニット、電池、圧電コンポーネントを組み立ててもよい。
【0013】
本提案は、いくつかの解決策および利点を提示する。すなわち以下である。
【0014】
この明細書で提案されているインプラントの第1の主な利点は、複数の負電極と正電極とが存在するため、インプラントの表面に複数の電場が発生することである。このようにして、単一の電場の代わりに複数の電場がインプラントの表面に分散して生成され、こうして骨の再生と抗菌効果の刺激をはるかに効率的にする。組織にランダムに電流が流れるため、電流が流れる場合は効果的だが、電流が流れない場合は効果が低くなる、インプラントの周囲に生成される単一の電場の代わりに、この提案は、電気刺激を通して骨再生と抗菌効果のプロセスをより効果的にし、インプラントの表面全体への効果を確実にする、インプラントの表面全体に沿った電流の流れを作成するための解決策を提供する。
【0015】
提案されたインプラントの第2の主な利点は、インプラント内の電線回路がインプラント本体の一体部分であるため、その機械的強度に寄与することである。この提案では、電極がインプラントに取り付けられ、インプラントの追加コンポーネントを構成する既存の解決策とは異なり、この提案では、電気回路がインプラントに統合され、複合材料を形成する。
【0016】
提案されたインプラントの第3の主な利点は、電池または咀嚼力によって動作できることである。意図的に咀嚼負荷がないかもしれない初期段階では、電気刺激は、電場の周波数、タイミング、電力を制御する制御ユニットと、電力を供給する電池とによって促進される。咀嚼力がすでに存在する第2段階では、この制御ユニットと電池とは、咀嚼力によって作動したときに電場を生成する圧電デバイスに置き換えられる。この利点により、既存の特許とは異なり、この解決策は二次安定化期間中、つまりインプラントを配置した後の最初の数か月間は電池を使用して、同様にインプラントの全寿命を通じて圧電素子を使用して、機能する。この解決策は、骨に含まれるコラーゲンの圧電効果を模倣して、このインプラントソリューションを骨自体の自然な機能に近づけることを可能にする。
【0017】
焼結ブロックから得られ、その長さに沿った軸を画定し、インプラントの表面に穴の形で終端する長手方向および半径方向チャネルを内部に備え、各チャネルはインプラントの表面に沿った複数の電場を生成する導電性材料を備える、歯科用インプラントについて説明する。インプラント全体を通してとは、インプラントの該長手方向軸に沿ったものを意味する。
【0018】
一実施形態では、半径方向チャネルは、インプラントの側面の穴の形で終端し、長手方向チャネルは、インプラントの上面の穴の形で終端する。
【0019】
一実施形態では、半径方向チャネルは、側面の穴の形で終端し、それぞれの導電性材料は、インプラントの表面に沿って極が交互になるような方法で接続される。
【0020】
一実施形態では、長手方向および半径方向のチャネルは、インプラントの下部側面の穴の形で終端する。
【0021】
ある実施形態は、集積回路、該チップ、または圧電コンポーネントを有する電池を備える、アバットメントまたは歯冠に配置された電子部品を備える。
【0022】
一実施形態では、電子部品は、該電場が5〜100mVの範囲になるように構成される。
【0023】
一実施形態では、導電性材料は、金属、もしくはポリマーを導電性にする粒子または繊維が充填されたポリマーである。
【0024】
一実施形態では、金属は、銀または金またはプラチナまたは他の導電性および生体適合性の金属または金属合金から選択される。
【0025】
一実施形態では、ポリマーは、PEEKまたはPMMAまたは他の生体適合性ポリマーから選択される。
【0026】
一実施形態では、ポリマーはさらに、銀またはカーボンナノチューブの粒子、またはポリマーを導電性にする他の生体適合性材料を備える。
【0027】
一実施形態では、焼結インプラントブロックは、セラミック材料またはセラミック複合材料である。
【0028】
一実施形態では、該焼結インプラントブロックは、ジルコニアまたはアルミナまたはそれらの混合物である。
【0029】
一実施形態では、該インプラントは、1〜20%のイットリアおよび/またはセリアおよび/またはマグネシアを含む。
【0030】
ある実施形態は、ヒドロキシアパタイトおよび/またはβTCPおよび/またはバイオガラスを含む。
【0031】
記載された実施形態のいずれか1つの歯科用インプラントを得るためのプロセスは、また、
インプラントの構成セラミック材料を混合し、圧縮ブロックが得られるまで10〜200MPaの圧力で圧縮するステップと、
得られたブロックを事前焼結するステップと、
長手方向および半径方向のチャネルとそれぞれの穴とを備えたインプラントを得るために、フライス加工またはレーザーアブレーションによってブロックを加工するステップと、
1200〜1600°Cの温度で1〜5時間の間ブロックを焼結するステップと、
を含むことも記載されている。
【0032】
一実施形態では、ロストワックス鋳造プロセスは、
ワックスで構成されたツリー形状で、供給システムにインプラントを配置するステップと、
インプラントの穴にワックスを加えるステップと、
石膏型が得られるまで、インプラントを含む供給システムを石膏に浸すステップと、
ワックスを抽出するために型を400°Cの温度に加熱するステップと、
型を800°Cの炉に2時間の間配置するステップと、
型を取り外し、インプラントの穴を通して石膏型に金属を注ぐステップと、
を含む。
【0033】
一実施形態では、導電性ポリマーによる内部チャネルの充填は、
穴を有するインプラントが、グラファイト材料や類似の物などの型の内部に配置され、ここで型は本体、下部、および上部で構成され、インプラントと共に構成されるステップと、
ポリマーを型内に配置し、ポリマー複合材料が液体、ペースト状、または半固体の状態に達して穴を含浸するまで、これらを加熱するステップと、
を含む。
【0034】
一実施形態では、穴の含浸は、真空下で加えられた圧力によって実行され、これにより、ポリマー複合材料がインプラントの穴に流れ込んでそれらを充填する。
【0035】
理解を容易にするために、添付の図面は、本説明の目的を限定することを意図しない、好ましい実施形態を表す。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本体1によって構成されるセラミックインプラントの例示的な略図であって、(a)内部チャネルを加工して内部電気回路を生じさせる前、および内部チャネルを加工した後、(b)内部電気回路と、電池および電子部品または圧電素子をインプラントの上部に収納するための局地とを生成する略図であって、(c)たとえば負などの極性2と、たとえば正などの他の極性3とを有する回路を示す、電線システムの上面図の切り口も示されている。
【図2】インプラント1を含み、その上に液体状態6で金属が注がれ、金属は供給チャネル5を通って流れ、インプラント1における図1の電気回路2および3を充填する、石膏型4の例示的な略図。
【図3】本体8、および例えば下部10と上部9で構成される、たとえばグラファイトの型の例示的な略図であって、ここでインプラント1は、電気回路と、既成の電子部品および電池、または圧電コンポーネントの場所とを構成し、導電性のポリマー材料の粉末または顆粒7も配置される。圧力11および温度12は、好ましくは真空中で、ポリマー複合材料によって電気回路を構成するチャネルを充填するために適用される。
【図4】例えば電場15が生成された内部電気回路と、電池および電子部品または圧電素子13とを構成する内部チャネルの加工と充填14後の、歯冠16が取り付けられた、本体によって構成されたセラミックインプラントの例示的な略図。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本開示は、生体適合性であり、審美機能を備え、生物活性であり得、その内部にインプラント表面の複数の箇所に電場15を提供することを目的とする電気回路2、3を含む、セラミックまたはセラミック複合材料1(図1)で構成される、歯科用インプラントからなる。この回路は、電気刺激13を調整するチップと共に、インプラントの上部、アバットメント内、または歯冠に収納されている小型電池によって、および/または代替として咀嚼力によって作動する圧電コンポーネント13によって、電力を供給される。
【0038】
本開示は、生体適合性であり、審美的機能を備え、生物活性であり得、その内部にインプラント表面の複数の箇所に電場15を提供することを目的とする電気回路2、3を含む、セラミックまたはセラミック複合材料1(図1)で構成される、歯科用インプラントからなる。この回路は、電気刺激13を調整するチップと共に、インプラントの上部、アバットメント内、または歯冠に収納されている小型電池によって、および/または代替として咀嚼力によって作動する圧電コンポーネント13によって、電力を供給される。
【0039】
好ましい形態では、インプラント材料は、アルミナの割合を含み得るジルコニア、またはジルコニアを含み得るアルミナに基づくセラミックからなる。それらに加えて、少量の、例えば、1%(v/v:体積パーセント)から20%(v/v:体積パーセント)のイットリア、セリア、マグネシア、他のジルコニア安定化材料、またはヒドロキシアパタイト、βTCP、バイオガラス、その他の生物活性および/または抗菌材料をも含み得る。
【0040】
これらの材料は、混合された後、10〜200MPa、好ましくは50〜100MPaの圧力で圧縮される。その後、ブロックは、800℃から1200℃の温度で、0.5〜5時間の間、事前焼結され得る。あるいは、市販の事前焼結ブロックを使用してもよい。
【0041】
圧縮および/または事前焼結されたブロックは、電気回路に存在する電子部品および圧電コンポーネントのハウジング領域と内部チャネル2、3とを作成するために、数値制御された装置内で切削工具を使用する、機械的経路による加工を施される。これらのチャネルは、インプラントの主な方向に沿って垂直に分布し、さまざまなインプラントの高さで半径方向に分布する。あるいは、内部チャネルに存在する穴を加工するために、レーザーアブレーション法を使用してもよい。複数の微小電場15を生成するために、正と負の電極はインプラント表面に沿ってペア(+−)になっている。
【0042】
加工されたブロックは、続いて、コンポーネントの最終的な焼結が行われ、この焼結は、1200°Cから1600°Cの温度で、1時間から5時間の間、それぞれ2〜4時間持続し得る約5°C/分の加熱勾配の加熱と冷却の周期で行われる。
【0043】
最終焼結後、インプラントは内部チャネルを導電性材料で充填される。導電性材料が金属、例えば銀、金、またはプラチナ、その他の生体適合性のものである場合、これらはロストワックス鋳造プロセスを使用してセラミックインプラントに含浸される。簡潔に言うと、インプラントは、例えばツリー形状であるワックスで、供給システム5に取り付けられ、穴はワックスで充填される。次に、インプラントを含むワックスツリーを石膏に浸し、容器内部に石膏型4を生じさせる。その後、この型は、ワックスの抽出のために、約30分間、約400℃までの温度にさらされる。次に、石膏型は、約800℃に達する石膏の加熱サイクルに約2時間さらされる。最後に、石膏型が炉から取り出され、電気回路を構成する液体金属6が、インプラントを含む型の内部5に注がれ、型のキャビティとインプラント2および3の内部の穴とが充填される。
【0044】
導電性材料がポリマー基の場合、たとえばポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、または導電性を与える材料、たとえば銀粒子、カーボンナノチューブ、その他を充填された他の生体適合性ポリマーである場合、このポリマー基複合材料7は、たとえば本体8、下部10、上部9で構成される、例えばグラファイトなどの型の内部に、すでに穴2および3を含むインプラント1と共に配置され、これらはポリマー複合材料が液体、ペースト状、または半固体の状態に達して穴を含浸するまで加熱12される。この含浸は、真空下で圧力11を加えるために行われ、これにより、ポリマー複合材料がインプラントの穴に流れ込み、完全に充填される。
【0045】
インプラントの形状は最終的な形状に近くなり、電気チャネルは完全に充填14される。それらは、最終的な形状またはねじ山を画定するために加工され得る。それらはまた、骨組織への良好な結合に適した表面組織を生成することを意図した、粒子ブラスト、酸エッチング、レーザー、その他などによる研磨または表面処理を施されてもよい。
【0046】
インプラントが、インプラントの上部またはアバットメントを有する場合、信号処理ステーションと電池13、または圧電コンポーネント13を、そこに取り付けることができ、インプラントの表面に沿って分布する電場15を生じさせる。インプラント表面の電場は、5〜100mvの範囲であり得る。歯冠16は、セメントで固定されるか、インプラント本体にねじ込まれる。電子システムがコントローラーと電池とで構成されている場合、これら13は咀嚼力がないときに作動する必要があり、その後取り除くことができ、インプラントの寿命全体を通して、咀嚼力によって作動する圧電コンポーネントによって電場が促進される。圧電コンポーネントは、生体適合性材料、たとえばチタン酸バリウムBaTiO3、またはKNNと呼ばれるニオブ酸ペロブスカイト化合物((K、Na)NbO3)で構成され、咀嚼力などの負荷のために変形が生じたときに、電場を生成する。
【0047】
書誌参照
[1]米国特許第8374697号明細書(電気歯科用スクリューインプラント)
[2]中国特許第103006343号明細書(歯科用インプラント微小電気刺激治癒装置)
[3]国際公開第2006/043748(オッセオインテグレーションを促進するための装置)
[4]米国特許出願公開第2003/0153965号明細書(生物医学的用途のための導電性ナノ複合材料)
[5]米国特許第5738521号明細書(電気刺激を使用して金属骨インプラントのオッセオインテグレーションを促進する方法)
【0048】
本開示の一実施形態では、歯科用インプラントは、その内部の垂直チャネル(すなわち、その長さに沿った軸を規定する歯科用インプラントに沿った長手方向チャネル)と、インプラント側面および下面の穴の形で終端する半径方向チャネルを備えることができ、各チャネルは、インプラントの表面に沿って複数の電場を促進するように導電性材料を備える。
【0049】
一実施形態では、インプラントは、チップを備えた電池または圧電コンポーネントからなる、アバットメントまたは歯冠に位置する電子部品を備え得る。
【0050】
一実施形態では、電場は5〜100mVの範囲である。
【0051】
一実施形態では、導電性材料は、金属であってもよく、またはポリマーを導電性にする粒子または繊維が充填されたポリマーであってもよい。
【0052】
一実施形態では、金属は、銀または金またはプラチナまたはその他の生体適合性および導電性の金属から選択される。
【0053】
一実施形態では、ポリマーは、PEEKまたはPMMAまたは別の生体適合性ポリマーから選択され得る。
【0054】
一実施形態では、ポリマーはさらに、銀またはカーボンナノチューブ、またはポリマーを導電性にする他の生体適合性材料の粒子を含み得る。
【0055】
一実施形態では、インプラントは、セラミックまたはセラミック複合材料からなり得る。
【0056】
一実施形態では、インプラントは、ジルコニアまたはアルミナまたはそれらの混合物であり得る。
【0057】
1つの実施形態では、インプラントは、1〜20%のイットリアおよび/またはセリアおよび/またはマグネシアをさらに含み得る。
【0058】
一実施形態では、インプラントは、ヒドロキシアパタイトおよび/またはTCPおよび/またはバイオガラスをさらに含み得る。
【0059】
一実施形態では、インプラントを得るためのプロセスは、
(a)インプラントの構成セラミック材料を混合し、圧縮ブロックが得られるまで10〜200MPaの圧力でそれらを圧縮するステップと、
(b)得られたブロックを事前焼結するステップと、
(c)垂直および半径方向のチャネルとそれぞれの穴とを備えたインプラントを得るために、フライス加工によってブロックを加工するステップと、
(d)1200〜1600°Cの温度で1〜5時間の間ブロックを焼結するステップと、
を含み得る。
【0060】
一実施形態では、プロセスは、レーザーアブレーションによって代替的に生成され得るチャネルを含み得る。
【0061】
一実施形態では、ロストワックス鋳造プロセスは、
(a)ワックスで構成されたツリー形状の供給システムにインプラントを配置するステップと、
(b)インプラント穴にワックスを加えるステップと、
(c)石膏型が得られるまで、インプラントを含む供給システムを石膏に浸すステップと、
(d)ワックスを抽出するために型を400°Cの温度に加熱するステップと、
(e)型を800°Cの炉に2時間配置するステップと、
(f)型を取り外し、石膏型とインプラントの穴とに金属を注ぐステップと、
を含み得る。
【0062】
一実施形態では、内部チャネルを導電性ポリマーで充填するプロセスは、
(a)穴を有するインプラントが、グラファイト材料や類似のものなどの型の内部に配置され、この型は、インプラントとともに本体、下部、上部で構成されるステップと、
(b)ポリマーを型内に配置し、ポリマー複合材料が液体、ペースト状、または半固体の状態に達し、穴を含浸するまで加熱するステップと、
を含み得る。
【0063】
一実施形態では、穴の含浸プロセスは、真空下で加えられる圧力によって行ってもよく、これにより、ポリマー複合材料がインプラントのオリフィスに流れ込み、それらを完全に充填する。
【0064】
本開示は、もちろんこの明細書に記載された実施形態に決して限定されず、当技術分野の平均的な知識を有する者は、添付の特許請求の範囲で定義されている、各状況の要件に応じて、それを修正し、技術特性を同等のものに置き換える、多くの可能性を提供し得る。
【0065】
添付の請求項は、好ましい実施形態をさらに定義する。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【国際調査報告】