(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】2021500286
(43)【公表日】20210107
(54)【発明の名称】モレキュラーシーブSSZ−112、その合成及び使用
(51)【国際特許分類】
   C01B 39/48 20060101AFI20201204BHJP
   B01J 29/70 20060101ALI20201204BHJP
【FI】
   !C01B39/48
   !B01J29/70 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】18
(21)【出願番号】2020505908
(86)(22)【出願日】20181004
(85)【翻訳文提出日】20200203
(86)【国際出願番号】IB2018057710
(87)【国際公開番号】WO2019082004
(87)【国際公開日】20190502
(31)【優先権主張番号】62/577,853
(32)【優先日】20171027
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】503148834
【氏名又は名称】シェブロン ユー.エス.エー. インコーポレイテッド
【住所又は居所】アメリカ合衆国、カリフォルニア州 94583、サン・ラモン、ボリンジャー・キャニオン・ロード 6001
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シエ、ダン
【住所又は居所】アメリカ合衆国、カリフォルニア、サン ラモン、ボリンジャー キャニオン ロード 6001
(72)【発明者】
【氏名】ジェンセン、カート オーウェン
【住所又は居所】アメリカ合衆国、カリフォルニア、サン ラモン、ボリンジャー キャニオン ロード 6001
【テーマコード(参考)】
4G073
4G169
【Fターム(参考)】
4G073BA02
4G073BA04
4G073BA75
4G073BB02
4G073BB03
4G073BB05
4G073BB24
4G073BB43
4G073BB44
4G073BB48
4G073BD07
4G073BD10
4G073CZ05
4G073CZ41
4G073CZ50
4G073FB03
4G073FB30
4G073FC04
4G073FC13
4G073FC19
4G073FC25
4G073FC30
4G073GA01
4G073GA03
4G073GB03
4G073UA03
4G073UA04
4G073UA05
4G073UA06
4G169AA02
4G169AA09
4G169BA07A
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4G169CA08
4G169CA13
4G169CB02
4G169CB35
4G169CB41
4G169CB46
4G169CB62
4G169CC05
4G169FB36
4G169FC02
4G169FC03
4G169FC07
4G169ZA32A
4G169ZA32B
4G169ZB03
4G169ZB08
4G169ZB09
4G169ZC02
4G169ZC04
(57)【要約】
SSZ−112と呼ばれるAFT骨格型のアルミノケイ酸塩モレキュラーシーブが提供される。SSZ−112は、混合テンプレート法を使用して合成される。SSZ−112は、触媒及び収着プロセスで、使用できる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
AFT骨格型のアルミノケイ酸塩モレキュラーシーブ。
【請求項2】
5〜50の範囲内にあるSiO/Alモル比を有する、請求項1に記載のアルミノケイ酸塩モレキュラーシーブ。
【請求項3】
10〜25の範囲内にあるSiO/Alモル比を有する、請求項1に記載のアルミノケイ酸塩モレキュラーシーブ。
【請求項4】
その焼成された形態で、下記のピークを含むX線回折パターンを有する、請求項1に記載のアルミノケイ酸塩モレキュラーシーブ。
【表1】
【請求項5】
AFT骨格型のアルミノケイ酸塩モレキュラーシーブであって、
その細孔構造内に、ヘキサメトニウムカチオンと、1−メチル−1−アルキルピロリジニウムカチオン及び1−メチル−1−アルキルピペリジニウムカチオンの1つ以上と、を含有し、ここで、各々のアルキル基は、独立して、C−Cアルキルである、前記のAFT骨格型のアルミノケイ酸塩モレキュラーシーブ。
【請求項6】
請求項5に記載のアルミノケイ酸塩モレキュラーシーブであって、
その細孔構造内に、ヘキサメトニウムカチオンと、1−メチル−1−ブチルピロリジニウムカチオン及び1−メチル−1−プロピルピペリジニウムカチオンの1つ以上と、を含有する、前記のアルミノケイ酸塩モレキュラーシーブ。
【請求項7】
AFT骨格型のアルミノケイ酸塩モレキュラーシーブを合成する方法であって:
(a)下記を含む反応混合物を調製すること:
(1)酸化ケイ素の供給源;
(2)酸化アルミニウムの供給源;
(3)第1族金属(M)の供給源;
(4)ヘキサメトニウムジカチオンを含む第1の有機テンプレート(Q1)の供給源;
(5)1−メチル−1−アルキルピロリジニウムカチオン及び1−メチル−1−アルキルピペリジニウムカチオンの1つ以上を含む第2の有機テンプレート(Q2)の供給源、ここで、各々のアルキル基は、独立して、C−Cアルキルである;
(6)水酸化物イオンの供給源;及び
(7)水;及び
(b)当該反応混合物を、アルミノケイ酸塩モレキュラーシーブの結晶を形成するのに十分な結晶化条件に供すること、
を含む、前記の方法。
【請求項8】
反応混合物が、モル比で下記の組成を有する、請求項7に記載の方法。
【表2】
【請求項9】
反応混合物が、モル比で下記の組成を有する、請求項7に記載の方法。
【表3】
【請求項10】
酸化アルミニウム及び酸化ケイ素の供給源が、ゼオライトYを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
第2の有機テンプレート(Q2)の供給源が、1−メチル−1−ブチルピロリジニウムカチオン及び1−メチル−1−プロピルピペリジニウムカチオンの1つ以上を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項12】
結晶化条件が、125℃〜200℃の温度を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項13】
有機化合物を含む供給原料を、転化生成物に転化するプロセスであって、当該供給原料を、有機化合物転化条件で、請求項1のアルミノケイ酸塩モレキュラーシーブの活性形態を含む触媒と接触させることを含む、前記のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、October 27, 2017に提出された米国仮出願第62/577,853の利益及び優先権を主張する。
【0002】
分野
この開示は、SSZ−112と呼ばれる新規の結晶性モレキュラーシーブ材料、その合成、及び、触媒及び収着プロセスにおけるその使用に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
ゼオライト系材料は、様々な種類の有機化合物転化反応用に及び吸着剤として有用性を有することが公知である。特定のゼオライト系材料は、X線回折で決定して、明確な結晶構造を有する規則正しい(秩序ある)多孔質結晶材料であり、その中には、多くの依然として小さい導路(チャネル)または細孔によって相互接続され得る多数の小さい空洞が存在する。これらの空洞および細孔は、特定のゼオライト系材料内で均一な大きさである。これらの細孔の寸法は、もっと大きな寸法のものを除外しつつ、特定の寸法の収着分子を受け入れるような寸法であるため、これらの材料は、「モレキュラーシーブ」として知られるようになってきており、これらの特性を利用する様々なやり方で利用される。
【0004】
米国特許第4,851,204は、アルミノホスフェートモレキュラーシーブAlPO−52及び、有機テンプレート剤としてテトラエチルアンモニウムカチオン及びトリプロピルアミンを使用するその合成を、開示する。AlPO−52の骨格構造は、the Structure Commission of the International Zeolite Associationによって、3文字表記AFTが割り当てられた。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示によれば、SSZ−112と呼ばれるAFT骨格型のアルミノケイ酸塩モレキュラーシーブが、ここに記載のような混合テンプレートアプローチを使用して合成された。
【0006】
概要
一態様において、SSZ−112と呼ばれるAFT骨格型のアルミノケイ酸塩モレキュラーシーブが提供される。
【0007】
別の形態では、下記の方法が提供される:
AFT骨格型のアルミノケイ酸塩モレキュラーシーブを合成する方法であって:
(a)下記を含む反応混合物を調製すること:
(1)酸化ケイ素の供給源;
(2)酸化アルミニウムの供給源;
(3)第1族金属(M)の供給源;
(4)ヘキサメトニウムジカチオンを含む第1の有機テンプレート(Q1)の供給源;
(5)1−メチル−1−アルキルピロリジニウムカチオン及び1−メチル−1−アルキルピペリジニウムカチオンの1つ以上を含む第2の有機テンプレート(Q2)の供給源、ここで、各々のアルキル基は、独立して、C−Cアルキルである;
(6)水酸化物イオンの供給源;及び
(7)水;及び
(b)当該反応混合物を、アルミノケイ酸塩モレキュラーシーブの結晶を形成するのに十分な結晶化条件に供すること、
を含む、前記の方法。
【0008】
更に別の形態では、下記のモレキュラーシーブが、提供される:
AFT骨格型のアルミノケイ酸塩モレキュラーシーブであって、
その細孔構造内に、ヘキサメトニウムジカチオンと、1−メチル−1−アルキルピロリジニウムカチオン及び1−メチル−1−アルキルピペリジニウムカチオンの1つ以上と、を含有し、ここで、各々のアルキル基は、独立して、C−Cアルキルである、前記のAFT骨格型のアルミノケイ酸塩モレキュラーシーブ。
【0009】
更なる形態では、有機化合物を含む供給原料を、転化生成物に転化するプロセスであって、当該供給原料を、有機化合物転化条件で、ここに開示のアルミノケイ酸塩モレキュラーシーブの活性形態を含む触媒と接触させることを含む、前記のプロセスが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図面の簡単な記述
【図1】図1は、例1の合成されたままのモレキュラーシーブの粉末X線回折(XRD)パターン(トップパターン)及び理想的なAFT骨格型構造のシミュレート粉末XRDパターン(ボトムパターン)を、比較する。
【0011】
【図2】図2は、例1の合成されたままのモレキュラーシーブの走査型電子顕微鏡写真(SEM)画像である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
詳細な記述
緒言
用語「骨格型」は、the “Atlas of Zeolite Framework Types,” Sixth Revised Edition, Elsevier (2007)に記載されている意味で使用される。
【0013】
用語「アルミノケイ酸塩」とは、その骨格の中に、アルミニウム及びケイ素の酸化物を含む、結晶性の微多孔質固体のことを言う。アルミノケイ酸塩は、「純粋なアルミノケイ酸塩」(すなわち、骨格の中に、他の検出可能な金属酸化物が存在しない)であることができ、又は、場合により置換されていることができる。「場合により置換されている」と記載する時は、それぞれの骨格は、もとの骨格中にはすでに含有しない1つ以上の原子が置換されたホウ素、ガリウム、インジウム、ゲルマニウム、ハフニウム、鉄、スズ、チタン、バナジウム、亜鉛、ジルコニウム、又は他の原子を含有することができる。
【0014】
用語「合成されたままの」は、有機テンプレートを除去する前の、結晶化後のその形態のモレキュラーシーブのことを言うために、ここで使用される。
【0015】
用語「無水の形態」は、物理的吸着水及び化学的吸着水の両方が実質的に欠けているモレキュラーシーブのことを言うために、ここで使用される。
【0016】
ここで使用される時、周期表の族のためのナンバリングスキームは、Chem. Eng. News 1985, 63(5), 26-27に開示されている通りである
【0017】
反応混合物
一般に、本開示のアルミノケイ酸塩モレキュラーシーブは、下記によって、合成できる:
(a)下記を含む反応混合物を調製すること:
(1)酸化ケイ素の供給源;
(2)酸化アルミニウムの供給源;
(3)第1族金属(M)の供給源;
(4)ヘキサメトニウムジカチオンを含む第1の有機テンプレート(Q1)の供給源;
(5)1−メチル−1−アルキルピロリジニウムカチオン及び1−メチル−1−アルキルピペリジニウムカチオンの1つ以上を含む第2の有機テンプレート(Q2)の供給源、ここで、各々のアルキル基は、独立して、C−Cアルキルである;
(6)水酸化物イオンの供給源;及び
(7)水;及び
(b)当該反応混合物を、アルミノケイ酸塩モレキュラーシーブの結晶を形成するのに十分な結晶化条件に供すること。
【0018】
モレキュラーシーブが形成される反応混合物の組成は、モル比で、以下の表1に特定されている:
【表1】

ここで、M、Q1及びQ2は、上述の通りである。
【0019】
酸化ケイ素の適切な供給源は、コロイドシリカ、沈降シリカ、ヒュームドシリカ、アルカリ金属ケイ酸塩、及び、テトラアルキルオルトケイ酸塩を含む。
【0020】
酸化アルミニウムの適切な供給源は、水和アルミナ及び水溶性アルミニウム塩(例えば、硝酸アルミニウム)を含む。
【0021】
酸化ケイ素及び酸化アルミニウムの組み合わせ供給源を、追加で又は代替として使用することができ、そして、アルミノケイ酸塩ゼオライト(例えば、ゼオライトY)及びクレー又は処理粘土(例えば、メタカオリン)を含むことができる。
【0022】
適切な第1族金属(M)の例は、ナトリウム及びカリウムを含む。金属は、一般に、水酸化物として反応混合物中に存在する。
【0023】
第1の有機テンプレート(Q1)は、下記の構造(1)によって表わされるヘキサメトニウムジカチオンを含む:
【化1】
【0024】
第2の有機テンプレート(Q2)は、1−メチル−1−アルキルピロリジニウムカチオン及び1−メチル−1−アルキルピペリジニウムカチオンの1つ以上を含み、それぞれ、下記の構造(2)及び(3)によって表わされる:
【化2】

【化3】

ここで、R及びRは、独立して、C−Cアルキル(例えば、C−Cアルキル又はC−Cアルキル)である。第2の有機テンプレート(Q2)の例は、1−メチル−1−ブチルピロリジニウムカチオン、1−メチル−1−プロピルピペリジニウムカチオン、及び、それらの組み合わせを、含む
【0025】
Q1及びQ2の適切な供給源は、関連する第4級アンモニウム化合物の水酸化物及び/又は他の塩である。
【0026】
反応混合物は、望ましくは、反応混合物の0.01〜10,000重量ppm(例えば、100〜5000重量ppm)の量で、前の合成からのSSZ−112などのモレキュラーシーブ材料の種を含有することもできる。
【0027】
ここに記載の各実施形態について、モレキュラーシーブ反応混合物は、複数の供給源によって供給されることができる。また、2つ以上の反応成分を1つの供給源によって提供することができる。
【0028】
反応混合物は、バッチ式または連続式のいずれかで調製することができる。ここに記載のモレキュラーシーブの結晶の大きさ、モルフォロジーおよび結晶化時間は、反応混合物の性質および合成条件によって様々に変わり得る。
【0029】
結晶化および合成後の処理
上記反応混合物からのモレキュラーシーブの結晶化は、適切な反応容器中、例えばポリプロピレン瓶またはテフロン(登録商標)ライニングされた又はステンレススチール製オートクレーブ中、125℃〜200℃の温度で、使用される温度で結晶化が起こるのに十分な時間(例えば、24〜480時間、又は48〜240時間)、静置条件または撹拌条件下で行うことができる。結晶化は、典型的に、自生圧力下に閉鎖系中で実施される。
【0030】
モレキュラーシーブ結晶が一旦形成されたら、遠心分離または濾過などの標準的な機械的分離技術によって、固体生成物を反応混合物から回収する。結晶を水で洗浄し、次いで乾燥させ、合成されたままのモレキュラーシーブ結晶を得る。乾燥工程は、大気圧で又は減圧下で、実施できる。乾燥工程は、典型的には200℃未満の温度で実施される。
【0031】
結晶化プロセスの結果として、回収された結晶性モレキュラーシーブ生成物は、その細孔構造内に、合成で使用される構造指向剤の少なくとも一部を含有する。
【0032】
所望の範囲で、合成されたままのモレキュラーシーブにおけるいかなるカチオンも、他のカチオンとのイオン交換によって業界で周知の技術に従って、置換されることができる。適切な置換カチオンは、金属イオン、水素イオン、水素前駆体(例えば、アンモニウムイオン)、及び、それらの組み合わせを、含む。好ましい置換カチオンは、特定の有機又は無機転化反応の触媒活性を調整するものを含むことができる。これらは、水素、希土類金属、及び、元素の周期表の2族〜15族の金属を含むことができる。
【0033】
ここに記載のように調製される合成されたままのモレキュラーシーブは、その合成で使用される有機テンプレートの一部又は全てを除去するためにその後の処理に供することができる。これは、熱処理によって都合よく達成でき、そこでは、合成されたままの材料は、少なくとも370℃の温度に、少なくとも1分間で一般に24時間以下、加熱できる。熱処理に減圧及び/又は過圧を使用できるが、利便性の理由で、大気圧が所望され得る。熱処理は、925℃までの温度で実施できる。追加で又は代わりに、有機テンプレートは、オゾンでの処理によって除去することができる(例えば、A.N. Parikh et al., Micropor. Mesopor. Mater. 2004, 76, 17-22を参照)。特に金属、水素及びアンモニウムの形態の有機枯渇生成物は、触媒用途に特に有用である。水素の形態の有機枯渇モレキュラーシーブは、存在する金属機能があってもなくても、モレキュラーシーブの「活性形態」とここでは呼ばれる。
【0034】
モレキュラーシーブの特徴付け
その合成されたままの及び無水物の形態において、モレキュラーシーブSSZ−112は、表2に記載されるようなモル比の化学組成を有する:
【表2】

ここで、Q1、Q2及びMは、上述の通りである。
【0035】
モレキュラーシーブの合成されたままの形態は、合成されたままの形態を調製するために使用される反応混合物の反応物質のモル比とは異なるモル比を有していてもよいことに留意されたい。この結果は、(反応混合物から)形成される結晶中への反応混合物の反応物質の100%の組込みが不完全であることに起因して起こり得る。
【0036】
その焼成された形態で、モレキュラーシーブSSZ−112は、以下のモル関係を含む化学組成を有する:
Al:(n)SiO
(式中、nは、5〜50の範囲内にある値(例えば、10〜50、5〜25、10〜25、5〜20、10〜20、5〜15、又は10〜15)を有する)。
【0037】
SSZ−112の合成されたままの形態及び焼成された形態は、特徴的な粉末X線回折パターンを有し、それは、モレキュラーシーブの合成されたままの形態で、下記の表3にリストされたラインを少なくとも含み、そして、モレキュラーシーブの焼成された形態で、下記の表4にリストされたピークを少なくとも含む。
【表3】

(a)±0.30度
(b)提供された粉末XRDパターンは、相対強度スケールに基づくものであり、XRDパターンの最強ラインは100の値で指定される:W=弱(>0〜≦20);M=中(>20〜≦40);S=強(>40〜≦60);及びVS=非常に強(>60〜≦100)。
【表4】

(a)±0.30度
(b)提供された粉末XRDパターンは、相対強度スケールに基づくものであり、XRDパターンの最強ラインは100の値で指定される:W=弱(>0〜≦20);M=中(>20〜≦40);S=強(>40〜≦60);及びVS=非常に強(>60〜≦100)。
【0038】
ここに提示される粉末XRDパターンは、標準的な技術によって収集された。放射線は、CuKα放射線であった。2θ(θはブラッグ角である)の関数としてのピーク高さおよび位置は、ピークの相対強度(バックグラウンドに合わせて調整する)から読み取られ、記録された線(ライン)に対応する面間隔dを計算することができる。
【0039】
回折パターンのわずかな変動は、格子定数の変化に起因するサンプルの骨格種のモル比の変動から生じ得る。さらに、十分に不規則の材料及び/又は小さな結晶が、ピークの形状および強度に影響を与え、顕著なピークの広がり(ブロードニング)を引き起こすであろう。回折パターンのわずかな変動は、調製に使用された有機化合物の変動から生じる場合もある。焼成は、XRDパターンのわずかなシフトをも引き起こし得る。これらのわずかな乱れにもかかわらず、基本的な結晶格子構造は変化しないまま維持されている。
【0040】
収着及び触媒作用
モレキュラーシーブSSZ−112は、分子種の混合物を分離するために、イオン交換を通して汚染物質を除去するために、及び、様々な有機又は無機化合物転化反応に触媒作用を及ぼすために、使用することができる。
【0041】
分子種の分離は、分子種の極性の程度に基づくか、又は、分子の大きさ(動径)に基づくか、のいずれかであることができる。分離プロセスは、少なくとも2つの成分をSSZ−112と接触させて少なくとも1つの分離された成分を生成することを、含むことができる。
【0042】
モレキュラーシーブSSZ−112は、現在の商業的に/工業的に重要なものを多く含む多種多様の有機又は無機転化プロセスに触媒作用を及ぼすために、触媒として使用できる。SSZ−112によって触媒作用を及ぼされ得る有機及び無機転化プロセスの例は、アルキル化、分解、水素化分解、異性化、オリゴマー化、オレフィン(例えば、エチレン、プロピレン)への有機含酸素化合物(例えば、メタノール及び/又はジメチルエーテル)の転化、モノアルキルアミン及びジアルキルアミンの合成、及び、窒素酸化物(NO)の接触還元を、含むことができる。
【0043】
多くの触媒の場合におけるように、有機転化プロセスで使用される温度及び他の条件に抵抗力のある他の成分を、SSZ−112に組込むことが所望され得る。そのような成分は、活性及び不活性な材料及び合成又は天然のゼオライト、並びに、シリカ、クレーなどの無機材料及び/又はアルミナなどの金属酸化物を含むことができる。後者のものは、シリカと他の金属酸化物の混合物を含む、ゲル又はゲル状の沈澱の形態、又は、天然のいずれかであることができる。SSZ−112と併用した材料の使用(すなわち、それらと組み合わせたものか又はその活性な状態にあることができる結晶性材料の合成の間に存在するもの)は、特定の有機転化プロセスでの触媒の選択性及び/又は転化のレベルを変える傾向にあり得る。不活性な材料は、(例えば、所定のプロセスでの転化の量を制御するために)希釈剤として適切に機能することができ、それにより、反応の速度を制御するための他の手段を使用しないなどの経済的で秩序のあるやり方で、生成物を得ることができる。これらの材料は、商業的な運転条件下での触媒の粉砕強度を改善するために、天然クレー(例えば、ベントナイト及び/又はカオリン)の中に、組込むことができる。これらの材料(すなわち、クレー、酸化物など)は、触媒用の結合剤として機能することができる。良好な粉砕強度を有する触媒を提供することが所望され得る。なぜなら、商業的な使用では、触媒が粉末状の材料(微粉)に崩壊するのを妨げる/制限することが所望され得るからである。これらのクレー及び/又は酸化物結合剤は、例えば、触媒の粉砕強度を単に改善するために、普通に使用されることができる。
【0044】
SSZ−112と複合体化できる天然クレーは、モンモリロナイト及びカオリンファミリーを含むことができ、当該ファミリーは、サブベントナイト、及び、Dixie, McNamee, Georgia and Florida claysとして普通に公知のカオリン、並びに、主鉱物成分がハロイサイト、カオリナイト、ディッカイト、ナクライト、又はアナウキサイトである他のものを含む。そのようなクレーは、焼成、酸処理及び/又は化学的変性に最初に供することができるか、及び/又は、(元々採鉱されたような)生の状態で使用することができる。SSZ−112との複合体化に有用な結合剤は、シリカ、ジルコニア、チタニア、マグネシア、ベリリア、アルミナ、及びそれらの混合物などの無機酸化物を、追加で又は代わりに含むことができる。
【0045】
所望により、前述の材料に追加で又は代替として、SSZ−112は、シリカ−アルミナ、シリカ−マグネシア、シリカ−ジルコニア、シリカ−トリア、シリカ−ベリリア、シリカ−チタニアなどの多孔性のマトリックス材料と、並びに、シリカ−アルミナ−トリア、シリカ−アルミナ−ジルコニア、シリカ−アルミナ−マグネシア、シリカ−マグネシア−ジルコニア及びそれらの混合物又は組み合わせなどの3元組成物と、複合体化できる。
【0046】
SSZ−112及び無機酸化物マトリックスの相対比率は、複合物の総重量に基づき、典型的に1〜90wt%(例えば、2〜約80wt%)の範囲のSSZ−112含有量で、広く変化できる。
【0047】

以下の例示的な例は、非限定的なものであることを意図している。
【0048】
例1
22.07gの脱イオン水、1.16gの50%NaOH溶液、0.76gの20%ヘキサメトニウム水酸化物溶液、6.53gの11.78%1−メチル−1−プロピルピペリジニウム水酸化物溶液、及び2.00gのCBV760 Y−ゼオライト粉末(Zeolyst International,SiO/Alモル比=60)を、テフロン(登録商標)ライナー中で一緒に混合した。得られたゲルを、均一になるまで撹拌した。その後、ライナーは蓋をして、そして、Parrスチールオートクレーブ反応器の中に置いた。その後、オートクレーブは、3日間、150℃に加熱されたオーブン中に置かれた。固体生成物が、遠心分離により冷却された反応器から回収され、脱イオン水で洗浄され、そして、95℃で乾燥された。
【0049】
生成物は、粉末XRD及びSEMによって、分析された。図1は、合成されたままの生成物の粉末XRDパターン(トップパターン)及び理想的なAFT骨格型構造のシミュレート粉末XRDパターン(ボトムパターン)を、比較する。示されるように、生成物の粉末XRDパターンは、純粋なAFT骨格型モレキュラーシーブである生成物と一致する。生成物のSEM画像は、図2に示され、結晶の均一なフィールドを示す。
【0050】
当該生成物は、誘導結合プラズマ−質量分析法(ICP−MS)で決定して、SiO/Alモル比13.79を有した。
【0051】
例2
22.49gの脱イオン水、1.29gの50%NaOH溶液、0.38gの20%ヘキサメトニウム水酸化物溶液、4.36gの11.78%1−メチル−1−プロピルピペリジニウム水酸化物溶液、及び2.00gのCBV760 Y−ゼオライト粉末(Zeolyst International,SiO/Alモル比=60)を、テフロン(登録商標)ライナー中で一緒に混合した。得られたゲルを、均一になるまで撹拌した。その後、ライナーは蓋をして、そして、Parrスチールオートクレーブ反応器の中に置いた。その後、オートクレーブは、3日間、150℃に加熱されたオーブン中に置かれた。固体生成物が、遠心分離により冷却された反応器から回収され、脱イオン水で洗浄され、そして、95℃で乾燥された。
【0052】
粉末XRDは、生成物が純粋なAFT骨格型モレキュラーシーブであることを、示した。
【0053】
生成物は、ICP−MSで決定して、SiO/Alモル比13.75を有した。
【0054】
例3
52.86gの脱イオン水、2.58gの50%NaOH溶液、4.76gの20%ヘキサメトニウム水酸化物溶液、15.71gの16.33%1−メチル−1−プロピルピペリジニウム水酸化物溶液、及び5.00gのCBV760 Y−ゼオライト粉末(Zeolyst International,SiO/Alモル比=60)を、テフロン(登録商標)ライナー中で一緒に混合した。得られたゲルを、均一になるまで撹拌した。その後、ライナーは蓋をして、そして、Parrスチールオートクレーブ反応器の中に置いた。その後、オートクレーブは、3日間、150℃に加熱されたオーブン中に置かれた。固体生成物が、遠心分離により冷却された反応器から回収され、脱イオン水で洗浄され、そして、95℃で乾燥された。
【0055】
粉末XRDは、生成物が純粋なAFT骨格型モレキュラーシーブであることを、示した。
【0056】
生成物は、ICP−MSで決定して、SiO/Alモル比13.00を有した。
【0057】
例4
32.64gの脱イオン水、1.74gの50%NaOH溶液、1.71gの20%ヘキサメトニウム水酸化物溶液、9.80gの11.78%1−メチル−1−プロピルピペリジニウム水酸化物溶液、及び3.00gのCBV760 Y−ゼオライト粉末(Zeolyst International,SiO/Alモル比=60)を、テフロン(登録商標)ライナー中で一緒に混合した。得られたゲルを、均一になるまで撹拌した。その後、ライナーは蓋をして、そして、Parrスチールオートクレーブ反応器の中に置いた。その後、オートクレーブは、3日間、150℃に加熱されたオーブン中に置かれた。固体生成物が、遠心分離により冷却された反応器から回収され、脱イオン水で洗浄され、そして、95℃で乾燥された。
【0058】
粉末XRDは、生成物が純粋なAFT骨格型モレキュラーシーブであることを、示した。
【0059】
生成物は、ICP−MSで決定して、SiO/Alモル比12.76を有した。
【0060】
例5
例1の合成されたままのモレキュラーシーブは、1℃/分の割合で540℃に加熱されて540℃で5時間保持された気流下、マッフル炉の内部で焼成され、周囲温度に冷却された。粉末XRDデータは、当該材料が、有機物を除去するための焼成後に安定のまま維持されていることを示した。
【0061】
例6
例5からの焼成された材料は、10mL(モレキュラーシーブのグラム当たり)の1N硝酸アンモニウム溶液で、95℃で2時間、処理された。溶液は冷却され、デカントオフされ、そして、同じプロセスが繰り返された。
【0062】
乾燥後、アンモニウム交換生成物のミクロ細孔容積が、BET法を介して、窒素物理吸着を使用して測定され、データが分析された。モレキュラーシーブは、0.23cm/gのミクロ細孔容積を示した。
【図1】
【図2】
【国際調査報告】