(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】2021500305
(43)【公表日】20210107
(54)【発明の名称】クロロシランから不純物を除去するための方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   C01B 33/107 20060101AFI20201204BHJP
【FI】
   !C01B33/107 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】17
(21)【出願番号】2020523738
(86)(22)【出願日】20181019
(85)【翻訳文提出日】20200427
(86)【国際出願番号】EP2018078782
(87)【国際公開番号】WO2019081380
(87)【国際公開日】20190502
(31)【優先権主張番号】102017125221.5
(32)【優先日】20171027
(33)【優先権主張国】DE
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】518140298
【氏名又は名称】ネックスヴァーフェ・ゲー・エム・ベー・ハー
【氏名又は名称原語表記】NEXWAFE GMBH
【住所又は居所】ドイツ連邦共和国 79108 フライブルク ハンス‐ブンテ‐シュトラーセ 19
【住所又は居所原語表記】HANS‐BUNTE‐STRASSE 19, 79108 FREIBURG, BUNDESREPUBLIK DEUTSCHLAND
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】シリンガー,カイ
【住所又は居所】ドイツ連邦共和国 79106 フライブルク ベウルバルングスシュトラーセ 33
(72)【発明者】
【氏名】ミレンコヴィック,ネーナ
【住所又は居所】ドイツ連邦共和国 79276 ロイテ フライブルガーシュトラーセ 17/3
【テーマコード(参考)】
4G072
【Fターム(参考)】
4G072AA14
4G072GG03
4G072HH09
4G072KK20
4G072MM21
4G072TT19
4G072UU02
(57)【要約】
クロロシランから不純物、特にドーパントを除去するための方法であって、以下の、
(a)析出面(3)を加熱する;
(b)少なくとも一つの気体状態のクロロシラン混合物と前記加熱された析出面(3)とを接触させる、該気体状態のクロロシラン混合物は少なくとも一つのクロロシラン及び少なくとも一つの不純物、特に少なくとも一つのドーパントを含んでいる;
(c)前記析出面(3)に多結晶シリコン析出が形成されることで前記不純物、特に前記ドーパントを少なくとも部分的に分離する、該多結晶シリコン析出に前記不純物、特に前記ドーパントが濃縮されている;
(d)前記浄化された気体状態のクロロシラン混合物を排出する;
(e)気体状態のエッチングガス混合物を形成させて、前記多結晶シリコン析出及び前記不純物、特に前記ドーパントを気相に戻すために、エッチングガスと前記加熱された析出面(3)とを接触させる;及び
(f)前記気体状態のエッチングガス混合物を排出する、
工程を有している方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
クロロシランから不純物、特にドーパントを除去するための方法であって、
以下の、
(a)析出面(3)を加熱する;
(b)少なくとも一つの気体状態のクロロシラン混合物と前記加熱された析出面(3)とを接触させる、該気体状態のクロロシラン混合物は少なくとも一つのクロロシラン及び少なくとも一つの不純物、特に少なくとも一つのドーパントを含んでいる;
(c)前記析出面(3)に多結晶シリコン析出が形成されることで前記不純物、特に前記ドーパントを少なくとも部分的に分離する、該多結晶シリコン析出に前記不純物、特に前記ドーパントが濃縮されている;
(d)前記浄化された気体状態のクロロシラン混合物を排出する;
(e)気体状態のエッチングガス混合物を形成させて、前記多結晶シリコン析出及び前記不純物、特に前記ドーパントを気相に戻すために、エッチングガスと前記加熱された析出面(3)とを接触させる;及び
(f)前記気体状態のエッチングガス混合物を排出する、
工程を有している方法。
【請求項2】
工程(b)において、前記気体状態のクロロシラン混合物と前記析出面(3)との接触は、プロセスガスの存在下で行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記プロセスガスは、水素であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
工程(d)において排出された浄化された気体状態のクロロシラン混合物の前記不純物、特に前記ドーパントの濃度が、1000ppb未満、好ましくは100ppb未満、特に好ましくは15ppb未満であることを特徴とする、請求項1から3のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記クロロシランは、四塩化ケイ素及び/又はトリクロロシラン及び/又はジクロロシランであることを特徴とする、請求項1から4のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記析出面(3)への多結晶シリコン析出の形成は、0.8〜1.2barの気圧で、好ましくは大気圧で、進行することを特徴とする、請求項1から5のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
工程(a)において、前記析出面(3)は、温度600℃〜1000℃、好ましくは700℃〜900℃、特に好ましくは750℃〜850℃に加熱されることを特徴とする、請求項1から6のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記エッチングガスは、塩化水素であることを特徴とする、請求項1から7のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
クロロシランから不純物を除去するための装置(1)であって、
特に請求項1から8のいずれか一項に記載の方法を実施するために、
−析出室(2)、該析出室(2)は多結晶シリコンを析出するために少なくとも一つの析出面(3)を備えている;
−少なくとも一つのガス流入口(6、7、8)及び少なくとも一つのガス排出口(13、14);
−少なくとも一つの流体供給管(9、10、11)、好ましくはガス供給管、該流体供給管(9、10、11)は前記析出室(2)の前記ガス流入口(6、7、8)と接続されている;及び、
−少なくとも一つの流体排出管(15、16)、好ましくはガス排出管、該流体排出管(15、16)は前記析出室のガス排出口(13、14)と接続されている、
を備えている装置(1)。
【請求項10】
前記析出室(2)は、加熱装置(17)を有し、
該加熱装置(17)は、前記析出面(3)及び/又は前記流体供給管(9、10、11)及び/又は前記流体排出管(15、16)を加熱するために使用されることを特徴とする、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記加熱装置(17)は、前記析出面(3)を600℃〜1000℃、好ましくは700℃〜900℃、特に好ましくは750℃〜850℃に加熱するために形成されていることを特徴とする、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記析出室(2)は、外壁(4)を備えた中空体として形成され、
該外壁(4)は、前記析出室(2)の内部領域(5)を取り囲み、該内部領域(5)内に少なくとも一つの隔壁(121、122、123、124、125、126)がガスフローを案内するために配置されていることを特徴とする、請求項9から11のうちのいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記析出面(3)は、少なくとも部分的に前記内部領域(6)の方を向いた、前記析出室(2)の前記外壁(4)の側に、及び/又は、少なくとも部分的に前記隔壁(121、122、123、124、125、126)に、配置されていることを特徴とする、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記析出室(2)の前記内部領域(5)は、複数の隔壁(121、122、123、124、125、126)を有し、
該隔壁(121、122、123、124、125、126)は、前記内部領域(5)を、前記析出室(2)に導入されたガスが蛇行して前記析出室(2)を通るように分割し、
その際好ましくは前記隔壁(121、122、123、124、125、126)は前記析出室(2)の縦軸に対してほぼ垂直に配置されていることを特徴とする、請求項12又は13に記載の装置。
【請求項15】
前記ガス流入口(6、7、8)及び前記ガス排出口(13、14)は、前記析出室(2)の前記外壁(4)のほぼ向かい合っている二つの側に配置されていることを特徴とする、請求項9から14のうちのいずれか一項に記載の装置。
【請求項16】
前記析出面(3)は、少なくとも部分的に構造化されていることを特徴とする、請求項9から15のうちのいずれか一項に記載の装置。
【請求項17】
前記析出面(3)は、フィン及び/又はチャネルを備えていることを特徴とする、請求項9から16のうちのいずれか一項に記載の装置。
【請求項18】
前記析出面(3)は、グラファイト又はカーボランダムから形成されていることを特徴とする、請求項9から17のうちのいずれか一項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
太陽電池及びマイクロエレクトロニクス用の結晶シリコン層の生成は、特にシリコンの化学気相成長法により基板上に行われるが、チョクラルスキー法又はゾーンメルト法によるシリコンインゴットのスライシングによる従来式製造方法と比べ、格段に薄い層厚が得られる。化学気相成長法では、形成されたシリコン層の厚みは反応条件を適切に選択することで制御可能であり、上述の方法のシリコンインゴットの場合には必ず必要となる後続のシリコンスライシングは不要であるため、カーフロスが抑止できる。したがって、化学気相成長法によって実現される層厚とカーフロスの低減は、製造コストを格段に減少させる。
【背景技術】
【0002】
シリコン前駆体として特にシラン及びクロロシランが適しているが、シランは空気中の酸素と接触すると自燃性があるために大抵の場合使用が避けられる。熱力学的な理由から、化学蒸着は一般に投入された前駆体のごく一部しか固体層として基板上に析出しない。この比率は、化学蒸着反応室内のガス組成によって決まる。クロロシラン、例えば四塩化ケイ素又はトリクロロシランを前駆体として使用する、気相成長法による結晶シリコン層生成の場合、例えばクロロシランのわずか25%程度しか反応して生成しない。そのため、長期にわたって環境を汚染する、一部は非常に純化が困難な廃棄残留物が、気体状態のクロロシラン混合物として生じる。プロセス費用を低減し、環境を汚染する廃棄残留物を削減するため、特に工業基準において、使用されなかったクロロシランを純化してプロセスに戻すことが、絶対的に不可欠である。
【0003】
しかし、このようなクロロシラン再利用における問題点は、工業施設から排出される排ガスには、使用されなかったクロロシラン及びプロセスガスとしての水素が含まれているだけでなく、使用されなかった微量のドーパント及び不純物も含まれていることである。例えばドーパントは、ごく微量のppb(parts per billion)単位で、気体状態のクロロシラン混合物として含まれている。これほど低濃度のドーパントは、従来のクロロシラン再利用により、例えば上流に気体洗浄器が接続されたガス分留装置を使用しても、充分に分離することはできない。しかし、ドーパントのわずかな濃度変動でさえシリコンの半導体特性に大きな影響を及ぼすため、クロロシランを再度元のエピタキシープロセスに送り込む前に、クロロシラン中のドーパント濃度を数ppb単位で正確に調整し、不純物を除去しなければならない。このような高純度クロロシランは市販されているが、製造用としては非常に高価であり、化学気相成長法のプロセス費用を最終的に増大させてしまう。比較的廉価のクロロシランは大抵金属系不純物を含んでおり、この金属系不純物は結晶シリコン層の半導体特性にやはり大きく影響する。
【0004】
クロロシラン混合物の分留浄化は、このような不純物を除去するには不適切であるため、例えば微孔性の固相素材を使用してドーパントを除去する方法が提示されている。この固相素材はドーパントを物理的な相互作用によって結合させることで、液体状態又は気体状態のクロロシラン混合物から除去する。米国特許第4713230号明細書では、例えばホウ素含有ドーパントをクロロシランから除去する方法を開示している。この方法では気体状態のホウ素含有のクロロシラン混合物をシリカゲルに通す。この方法によってホウ素濃度は100ppba(parts per billion atomic)までは薄くなる。しかし、シリカゲルを使用すると、適切な除去が必要な、別の廃棄残留物が生じる。さらに、浄化されたクロロシランの量及び浄化速度は使用された固相素材の特性に大きく左右されるため、このような固相素材を工業基準の循環プロセスに統合することは非常に難しい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第4713230号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって本発明の課題は、クロロシランから不純物、特にドーパントを除去するための、工業基準でクロロシランを浄化及び再利用するのに好適な方法及び装置である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題は、本発明により、請求項1の特徴を備えた方法及び請求項9の特徴を備えた装置によって解決される。
【0008】
本発明による考えの有利な実施形態は、従属請求項の対象である。
【0009】
本発明は、請求項1に従い、クロロシランから不純物、特にドーパントを除去するための方法に関する。さらに、本発明は、請求項9に従い、不純物、特にドーパントをクロロシランから除去するための装置に関する。
【0010】
本発明による、クロロシランから不純物、特にドーパントを除去するための方法は、以下の手順工程を備えている:
まず、手順工程(a)において、析出面を加熱する。手順工程(b)において、少なくとも一つの気体状態のクロロシラン混合物と、当該加熱された析出面を接触させ、この気体状態のクロロシラン混合物は少なくとも一つのクロロシラン及び少なくとも一つの不純物、特に少なくとも一つのドーパントを含んでいる。次に、手順工程(c)において、少なくとも部分的に当該不純物、特に当該ドーパントが、当該析出面に多結晶シリコン析出が形成されることで分離され、この多結晶シリコン析出に当該不純物、特に当該ドーパントが濃縮されている。その次の手順工程(d)において、当該浄化された気体状態のクロロシラン混合物が排出される。当該多結晶シリコン析出及び当該不純物、特に当該ドーパントを気相に戻すために、手順工程(e)において、エッチングガスを当該析出面と接触させ、それによって気体状態のエッチングガス混合物が形成される。さらなる手順工程(f)において、気体状態のエッチングガス混合物が排出される。
【0011】
大気圧下でクロロシランを化学気相成長法で使用する場合、温度が600℃以上ですでに多結晶シリコン析出が生じることが一般に知られている。この多結晶シリコン析出は、化学気相成長法において望ましくない副産物、特に当該エピタキシー室のガス管の詰まりを招き得、そのために当該エピタキシー室及び当該それに付属するガス管から定期的にこの多結晶シリコン析出を除去しなければならない。
【0012】
出願人の試験結果では、当該クロロシラン中に含まれる不純物及びドーパントは、当該多結晶シリコン析出中で濃縮され、それによって当該クロロシラン混合物から除去され得る。その理由は、多結晶シリコン析出には多数の結晶欠陥があり、その中に当該不純物及びドーパントがはめ込まれ又は濃縮される。さらに、一般的なドーパント化合物、特に水素化物、特にホスフィン及びジボランの分解温度は、クロロシランのそれよりも低い。このことにより、極めて微量に形成された多結晶シリコンによってすでに、当該不純物とドーパントの大部分が捕獲され得る。当該形成された多結晶シリコン析出は当該不純物及び/又は当該ドーパントと共に、エッチングガスを使用して再度気相に移行され、導出される。これにより、本発明による方法は、その他の浄化素材を使用することなくクロロシラン混合物から不純物の除去を可能にする。
【0013】
本方法の有利な一実施形態では、工程(b)において、当該気体状態のクロロシラン混合物と当該析出面の接触が、プロセスガスの存在下で行われる。その際本発明の範囲では、当該気体状態のクロロシラン混合物の総量は、物質量比で1〜10mol%が当該プロセスガス中に存在する。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。
【0014】
多結晶シリコンの析出率は温度により決まり、及び水素の存在下で高められ得るため、本発明による方法の別の有利な一実施形態では、水素がプロセスガスとして使用される。
【0015】
本方法の別の有利な一実施形態では、工程(d)において、排出されて浄化された気体状態のクロロシラン混合物の当該不純物、特に当該ドーパントの濃度は、1000ppb未満、好ましくは100ppb未満、特に好ましくは15ppb未満である。不純物及び/又はドーパントがこのような低濃度のクロロシランは、相応のエピタキシープロセスへ戻すのに適している。
【0016】
別の有利な一実施形態では、クロロシランはテトラクロロシラン及び/又はトリクロロシラン及び/又はジクロロシランである。しかし、本発明の範囲では、より高分子のクロロシランを使用してよい。
【0017】
本方法の別の有利な一実施形態では、当該析出面への多結晶シリコン析出は、気圧0.8bar〜1.2barで形成される。その際本発明の範囲では、本発明による方法はほぼ大気圧で実施される。これにより、析出面を真空中に移送するための時間を要する作業が回避されるので、クロロシラン混合物の浄化期間が格段に短縮される。
【0018】
多結晶シリコンの析出は温度が600℃を超えて初めて生じるため、当該析出面は、工程(a)において、本発明による方法の別の有利な一実施形態では、温度600℃〜1000℃、好ましくは700℃〜900℃、特に好ましくは750℃〜850℃に加熱される。こうして当該析出面を特定の温度に加熱することで、多結晶シリコンの当該析出面への析出率を、ひいては当該不純物の分離を、選択的に調整し得る。
【0019】
本発明による方法の別の有利な一実施形態では、エッチングガスは塩化水素である。当該析出面と塩化水素を接触させることにより、その上に形成された多結晶シリコン析出が、エッチングガス混合物形成下で気相に移行する。
【0020】
本発明の別の観点では、クロロシランから不純物を除去するための、特に請求項1〜8のいずれか一項による方法を実施するための装置は、以下を備えている:
多結晶シリコンの析出のために少なくとも一つの析出面を有する析出室、少なくとも一つのガス流入口及び少なくとも一つのガス排出口、当該析出室の当該ガス流入口と接続されている少なくとも一つの流体供給管、好ましくはガス供給管、当該析出室の当該ガス排出口と接続されている少なくとも一つの流体排出管、好ましくはガス排出管。
【0021】
本発明の第一の有利な実施形態では、当該析出室が加熱装置を備え、この加熱装置が当該析出面及び/又は当該流体供給管及び/又は当該流体排出管を加熱するために使用される。この加熱装置は、例えば電気で作動するコイルであってよく、これが当該析出室及び/又は当該流体供給管及び/又は当該流体排出管を少なくとも部分的に取り囲んでいる。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。
【0022】
多結晶シリコンを当該析出面に析出するため、当該加熱装置は、本装置の第二の有利な実施形態において、当該析出面を600℃〜1000℃、好ましくは700℃〜900℃、特に好ましくは750℃〜850℃に加熱するために使用される。
【0023】
本発明の範囲では、多結晶析出の形成を最適化するために、この加熱装置によって複数の加熱ゾーンが形成され得る。有利には、ごく一部のクロロシランが多結晶シリコンとして当該析出面に析出することが実現し、その結果、浄化された気体状態のクロロシラン混合物中の大部分のクロロシランが排出され得る。しかし同時に、微量の析出した多結晶シリコンに当該不純物の大部分が濃縮されている。これにより、有利には、当該気体状態のクロロシラン混合物が浄化されると同時にシリコン前駆体の消費が少量に抑えられる。
【0024】
例えば第一の加熱ゾーンは、当該気体状態のクロロシラン混合物が析出面と接触する前にこの混合物を加熱するために、当該ガス供給管及び/又は当該ガス流入口の付近に形成されてよい。さらに、複数の加熱ゾーンの形成は当該析出室内において、当該気体状態のクロロシラン混合物及び/又は当該プロセスガスの流れ特性にプラスの影響を与える。
【0025】
本発明による装置の第二の有利な実施形態では、当該析出室が外壁のある中空体として形成され、この外壁は当該析出室の内部領域を取り囲み、この内部領域には少なくとも一つの隔壁がガス流を案内するために配置されている。
【0026】
本発明による装置の別の有利な一実施形態では、当該析出面が少なくとも部分的に当該内部領域の方を向いた側の当該析出室の当該外壁上に及び/又は少なくとも部分的に当該隔壁上に配置されている。そのため、隔壁はガスフローを案内するだけでなく、多結晶シリコンが当該内部領域の方を向いた当該外壁の側に加えて当該隔壁の表面にも形成され得ることにより、析出面を拡大する。これにより、当該析出面に析出される多結晶シリコンの量が増大する。
【0027】
多結晶シリコン析出の量をさらに高めるため、及び当該ガスフローが当該析出室を通って進む当該経路長を延長するため、当該析出室の当該内部領域は、本発明による装置の別の有利な一実施形態では複数の隔壁を有し、これらの隔壁は当該内部領域を、当該析出室に導入されたガスが当該析出室を蛇行して通るように分割しており、その際好ましくは当該隔壁が実質的に当該析出室の縦軸に対して垂直に配置されている。
【0028】
本発明による装置の別の好ましい一実施形態では、当該ガス流入口と当該ガス排出口が、当該析出室の当該外壁の二つの実質的に向かい合っている側に配置されている。これにより、当該ガスフローが当該析出室を通って進む当該経路長が可能な限り最大になり、それによって多結晶シリコン析出の量がさらに高まる。
【0029】
当該析出面をさらに拡大し、それによって当該不純物の、特に当該ドーパントの吸収量を増大させるため、当該析出面は、本発明による装置の別の有利な一実施形態では、少なくとも部分的に構造化されている。
【0030】
本発明による装置の別の好ましい一実施形態では、当該析出面は、当該表面を拡大するために、フィン及び/又はチャネルを備えている。
【0031】
当該析出面は、本発明による装置の別の有利な一実施形態では、グラファイト又はカーボランダムで形成されている。
【0032】
本発明のその他の有利な特徴は、図を使用して実施例として以下で記述される。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】クロロシランから不純物を除去するための装置の本発明による装置の第一の実施例の模式図である。
【図2】クロロシランから不純物を除去するための装置の本発明による装置の第二の実施例の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図1は、クロロシランから不純物を除去するための装置1の本発明による装置の第一の実施例である。この装置1は析出室2及び析出面3を有している。本実施例では、当該析出面2がグラファイトで形成されている。
【0035】
当該析出室2は、外壁4を備えた中空体として形成され、この外壁4は当該析出室2の内部領域5を取り囲んでいる。さらに、当該析出室2は三つのガス流入口6、7、8を備え、これらはガス供給管9、10、11と接続されている。当該ガス流入口6、7、8を通って気体状態のクロロシラン混合物、プロセスガス及びエッチングガスが互いに時間的及び/又は空間的に分離されて当該析出室2に導入され得る。本実施例では、当該析出室2及び当該析出面3は温度が700℃である。クロロシラン混合物が室温で液体である場合、当該ガス供給管9には任意の気化装置(図示せず)が配置され得る。
【0036】
さらに、当該析出室2の当該内部領域5には、六つの隔壁121、122、123、124、125、126が、ガスフローを案内するために配置されている。これらの隔壁121、122、123、124、125、126は、当該析出室2の当該内部領域5を当該析出室2に導入されたガスが蛇行して当該析出室2を通るように分割している。図1で分かるように、当該隔壁121、122、123、124、125、126は、本実施例では当該析出室2の縦軸に対して垂直に配置されている。しかし本発明は、当該隔壁121、122、123、124、125、126のこのような配置に限定されない。
【0037】
浄化された気体状態のクロロシラン混合物及び当該気体状態のエッチングガス混合物を排出するために、当該析出室2の当該外壁4には二つのガス排出口13、14が配置され、このガス排出口13、14はそれぞれ一つのガス排出管15、16と接続されている。当該ガス排出口13、14は、当該三つのガス流入口6、7、8と向かい合っているように、当該析出室2に配置されている。これにより、当該ガスフローが当該析出室を通って進む当該経路長が可能な限り最大になり、それによって不純物及び/又はドーパントの減少が最大になる。
【0038】
本発明による方法の一実施例の進行は、図1を用いて以下のように記述される:クロロシランから不純物及び/又はドーパントを除去するために、当該析出室2の当該析出面3が、本実施例では大気圧下で温度700℃に加熱される。しかし、当該気体状態のクロロシラン混合物の組成に応じて、当該析出面3は、別の温度範囲600℃〜1000℃に加熱されてもよい。
【0039】
次に、本実施例ではケイ素を含んだドーパント及びトリクロロシランを含む気体状態のクロロシラン混合物は、当該ガス供給管9を通り、当該ガス流入口6を使って当該析出室2の当該内部領域5に導入される。同時に、当該ガス供給管11と接続されている当該ガス流入口8を通って、プロセスガスが当該析出室2に導入される。しかし、本発明の範囲でも、当該気体状態のクロロシラン混合物と当該プロセスガスは前後して当該反応室に導入される。
【0040】
本実施例では、当該クロロシラン混合物と当該プロセスガスは当該析出室2の当該内部領域5に、当該クロロシラン混合物が物質量比3mol%で当該プロセスガス中に存在するように、導入される。プロセスガスとして、当該析出室2には高純度の水素が送り込まれる。
【0041】
温度が700℃であるため、当該析出室2の当該析出面3に多結晶シリコン析出が形成され、この多結晶シリコン析出には当該ケイ素を含んだドーパントが濃縮されている。この場合、使用されるクロロシランの量は選択された温度とガス組成によって調節される。ここで使用されるクロロシランは、もはや製造用ガスとしては使用できない。ドーパントを含むクロロシラン混合物が当該析出室2を完全に貫通することで、ドーパントはほぼ完全に取り除かれる。有効な表面の大きさは、本発明による装置の浄化効率に影響する。浄化された気体状態のクロロシラン混合物は、次に当該ガス排出口13を使用し、当該ガス排出管15を通って当該析出室2から排出される。本実施例では、排出された、浄化された気体状態のクロロシラン混合物では当該ドーパントの残留濃度は15ppbである。当該浄化された気体状態のクロロシラン混合物が当該析出室2から排出された後、当該析出室には、当該ガス供給管10と接続されている当該ガス流入口7を通って、エッチングガスが送り込まれる。本実施例では、エッチングガスとして塩化水素が使用される。当該析出室2に送り込まれる塩化水素は、当該多結晶シリコン析出及び当該ドーパントを気相に戻す役割を果たし、それによって気体状態のエッチングガス混合物が形成される。この気体状態のエッチングガス混合物は、当該ガス排出管16と接続されている当該ガス排出口14を通って当該析出室2から排出される。記述された方法によって、入れ替わりでドーパントにより汚染されたクロロシラン混合物が浄化され、及び当該その際に生じた多結晶シリコン析出が、当該析出室2から除去される。
【0042】
図1でさらに明らかなように、当該析出室2は加熱装置17を有している。これは、当該析出面3が温度範囲600℃〜1000℃に加熱するために使用され、それによって多結晶シリコンの析出が可能になる。この加熱装置17は、本願では電気により作動するコイルとして形成されている。本実施例では、当該析出室2はほぼ完全に電気により作動するコイル(35ワット)で取り囲まれており、当該析出面3を700℃に加熱する。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。他の種類の加熱装置が使用されてもよい。
【0043】
図2は、クロロシランから不純物を除去するための装置1の本発明による装置の第二の実施例である。当該装置1は、図1に記述された実施形態と広範囲にわたって同一の構成であるため、これ以上の細部については取り上げない。図2に示された析出室2はただ一つの隔壁121を有している;しかしこの隔壁は、要件に応じてさらに拡張されてよい。
【0044】
図2に示されたように、当該析出室2は、当該ガス流入口18を備えた当該ガス排出管15を介して、析出室2に後続する化学気相成長法のための装置19の一つと接続され得る。このような構造により、当該析出室2内で浄化された気体状態のクロロシラン混合物は、後続の化学気相成長法のための装置19に送り込まれ、及び結晶シリコン層の形成のために使用され得る。しかしながら、本発明はこのような使用に限定されるものではない。
【図1】
【図2】
【国際調査報告】