(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】2021500421
(43)【公表日】20210107
(54)【発明の名称】熱可塑性樹脂組成物及びこれから製造された成形品
(51)【国際特許分類】
   C08L 51/04 20060101AFI20201204BHJP
   C08K 3/22 20060101ALI20201204BHJP
   C08K 3/105 20180101ALI20201204BHJP
   C08J 5/00 20060101ALI20201204BHJP
【FI】
   !C08L51/04
   !C08K3/22
   !C08K3/105
   !C08J5/00CET
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】22
(21)【出願番号】2020515941
(86)(22)【出願日】20180830
(85)【翻訳文提出日】20200313
(86)【国際出願番号】KR2018010016
(87)【国際公開番号】WO2019083147
(87)【国際公開日】20190502
(31)【優先権主張番号】10-2017-0140219
(32)【優先日】20171026
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2018-0064627
(32)【優先日】20180605
(33)【優先権主張国】KR
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ
(71)【出願人】
【識別番号】520087103
【氏名又は名称】ロッテ ケミカル コーポレイション
【住所又は居所】大韓民国,ソウル,ソンパ−グ,オリンピック−ロ,300
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】八田国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,チョン ソク
【住所又は居所】大韓民国,キョンギ−ド,ウイワン−シ,ゴサン−ロ,56
(72)【発明者】
【氏名】キム,ヨン キョン
【住所又は居所】大韓民国,キョンギ−ド,ウイワン−シ,ゴサン−ロ,56
(72)【発明者】
【氏名】ペ,ソン ヨン
【住所又は居所】大韓民国,キョンギ−ド,ウイワン−シ,ゴサン−ロ,56
(72)【発明者】
【氏名】キム,チュ ソン
【住所又は居所】大韓民国,キョンギ−ド,ウイワン−シ,ゴサン−ロ,56
(72)【発明者】
【氏名】パク,カン ヨル
【住所又は居所】大韓民国,キョンギ−ド,ウイワン−シ,ゴサン−ロ,56
【テーマコード(参考)】
4F071
4J002
【Fターム(参考)】
4F071AA22
4F071AA77
4F071AB18
4F071AC19
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4F071AE08
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4J002BC061
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4J002DA107
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4J002FD087
4J002FD186
4J002FD187
4J002GC00
4J002GQ00
(57)【要約】
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、ゴム変性芳香族ビニル系共重合体樹脂約100重量部;亜鉛ピリチオン(Zinc pyrithione)約0.1重量部〜約1重量部;及び酸化亜鉛約0.1重量部〜約10重量部;を含み、前記酸化亜鉛は、粒度分析装置で測定した平均粒径(D50)が約0.5μm〜約3μmであり、フォトルミネッセンス(Photo Luminescence)の測定時、370nm〜390nm領域のピークAと450nm〜600nm領域のピークBとの大きさの比(B/A)が約0.01〜約1.0であることを特徴とする。前記熱可塑性樹脂組成物は耐候性、抗菌性、機械的物性などに優れる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴム変性芳香族ビニル系共重合体樹脂約100重量部;
亜鉛ピリチオン約0.1重量部〜約1重量部;及び
酸化亜鉛約0.1重量部〜約10重量部;を含み、
前記酸化亜鉛は、粒度分析装置で測定した平均粒径(D50)が約0.5μm〜約3μmであり、フォトルミネッセンス(Photo Luminescence)の測定時、370nm〜390nm領域のピークAと450nm〜600nm領域のピークBとの大きさの比(B/A)が約0.01〜約1.0であることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
【請求項2】
前記亜鉛ピリチオン及び前記酸化亜鉛の重量比(亜鉛ピリチオン:酸化亜鉛)は約1:約2〜約1:約10であることを特徴とする、請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項3】
前記ゴム変性芳香族ビニル系共重合体樹脂は、ゴム変性ビニル系グラフト共重合体及び芳香族ビニル系共重合体樹脂を含むことを特徴とする、請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項4】
前記ゴム変性ビニル系グラフト共重合体は、ゴム質重合体に芳香族ビニル系単量体及び前記芳香族ビニル系単量体と共重合可能な単量体がグラフト重合されたことを特徴とする、請求項3に記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項5】
前記芳香族ビニル系共重合体樹脂は、芳香族ビニル系単量体及び前記芳香族ビニル系単量体と共重合可能な単量体の重合体であることを特徴とする、請求項3に記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項6】
前記酸化亜鉛は、X線回折(X−ray diffraction、XRD)の分析時、ピーク位置2θ値が35゜〜37゜の範囲であり、下記の式1による微小結晶の大きさ値が約1,000Å〜約2,000Åであることを特徴とする、請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物:
【数1】

前記式1において、Kは形状係数であり、λはX線波長であり、βはX線回折ピークのFWHM値であり、θはピーク位置の値である。
【請求項7】
前記酸化亜鉛は、フォトルミネッセンス(Photo Luminescence)の測定時、370nm〜390nm領域のピークAと450nm〜600nm領域のピークBとの大きさの比(B/A)が約0.1〜約1.0であることを特徴とする、請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項8】
前記酸化亜鉛は、粒度分析装置で測定した平均粒径(D50)が約0.5μm〜約2μmであることを特徴とする、請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項9】
前記酸化亜鉛は、窒素ガス吸着法を用いてBET分析装置で測定した比表面積BETが約15m/g以下であることを特徴とする、請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項10】
前記酸化亜鉛は、窒素ガス吸着法を用いてBET分析装置で測定した比表面積BETが約1m/g〜約10m/gであることを特徴とする、請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項11】
前記熱可塑性樹脂組成物は、50mm×90mm×2.5mmの大きさの射出試験片に対して色差計を用いて初期色相(L、a、b)を測定し、ASTM D4459に基づいて1,500時間試験した後で同一の方法で色相(L、a、b)を測定し、下記の式2によって算出した色相変化(ΔE)が約15以下であることを特徴とする、請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物:
【数2】

前記式2において、ΔLは、試験前後のL値の差(L−L)であり、Δaは、試験前後のa値の差(a−a)であり、Δbは、試験前後のb値の差(b−b)である。
【請求項12】
前記熱可塑性樹脂組成物は、JIS Z 2801抗菌評価法に基づいて5cm×5cmの大きさの試験片に黄色ブドウ球菌及び大腸菌を接種し、35℃、RH90%の条件で24時間培養した後、下記の式3によって算出した抗菌活性値がそれぞれ約2〜約7であることを特徴とする、請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物:
【数3】

前記式3において、M1は、ブランク(blank)試験片に対して24時間培養した後の細菌数であり、M2は、熱可塑性樹脂組成物の試験片に対して24時間培養した後の細菌数である。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物から形成されることを特徴とする成形品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱可塑性樹脂組成物及びこれから製造された成形品に関する。より具体的には、本発明は、耐候性、抗菌性、機械的物性などに優れた熱可塑性樹脂組成物及びこれから製造された成形品に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、個人の健康及び衛生に対する関心及び所得水準の向上に伴い、抗菌衛生機能が含まれた熱可塑性樹脂製品に対する要求が増加している傾向にある。これによって、生活用品及び電子製品などの表面における菌を除去又は抑制できる抗菌処理を施した熱可塑性樹脂製品が増加しており、安定的で且つ信頼性を有する機能性抗菌素材(抗菌性熱可塑性樹脂組成物)の開発は非常に重要な課題である。
【0003】
このような抗菌性熱可塑性樹脂組成物を製造するためには抗菌剤の添加が必要であり、前記抗菌剤は、有機抗菌剤と無機抗菌剤とに分けることができる。
【0004】
有機抗菌剤は、相対的に安値であり、少量でも抗菌効果が良いが、時には人体への毒性を有し、特定の菌に対してのみ効果を有する場合があり、高温加工時、分解によって抗菌効果が喪失するおそれがある。また、有機抗菌剤は、加工後における変色の原因になり得ると共に、溶出の問題によって抗菌持続性が短くなるという欠点を有するので、抗菌性熱可塑性樹脂組成物に適用可能な有機抗菌剤の範囲は極めて限定的である。
【0005】
無機抗菌剤は、銀(Ag)、銅(Cu)などの金属成分が含有された抗菌剤であって、熱安定性に優れ、抗菌性熱可塑性樹脂組成物(抗菌性樹脂)の製造に多く使用されるが、有機抗菌剤に比べて抗菌力が不足するので過量の投入が必要とされ、相対的に高い価格及び加工時における均一分散の問題、金属成分による変色などの短所を有するので、使用に多くの制約がある。
【0006】
したがって、耐候性(耐変色性)、抗菌性及び抗菌持続性に優れ、抗カビ性などを具現できる熱可塑性樹脂組成物の開発が必要な実情にある。
【0007】
本発明の背景技術は、韓国登録特許第10−0696385号公報などに開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、耐候性、抗菌性、機械的物性などに優れた熱可塑性樹脂組成物を提供することにある。
【0009】
本発明の他の目的は、前記熱可塑性樹脂組成物から形成された成形品を提供することにある。
【0010】
本発明の前記目的及びその他の目的は、下記で説明する本発明によって全て達成され得る。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一つの観点は、熱可塑性樹脂組成物に関する。前記熱可塑性樹脂組成物は、ゴム変性芳香族ビニル系共重合体樹脂約100重量部;亜鉛ピリチオン(zinc pyrithione)約0.1重量部〜約1重量部;及び酸化亜鉛約0.1重量部〜約10重量部;を含み、前記酸化亜鉛は、粒度分析装置で測定した平均粒径(D50)が約0.5μm〜約3μmであり、フォトルミネッセンス(Photo Luminescence)の測定時、370nm〜390nm領域のピークAと450nm〜600nm領域のピークBとの大きさの比(B/A)が約0.01〜約1.0であることを特徴とする。
【0012】
具体例において、前記亜鉛ピリチオン及び前記酸化亜鉛の重量比(亜鉛ピリチオン:酸化亜鉛)は、約1:約2〜約1:約10であってもよい。
【0013】
具体例において、前記ゴム変性芳香族ビニル系共重合体樹脂は、ゴム変性ビニル系グラフト共重合体及び芳香族ビニル系共重合体樹脂を含んでもよい。
【0014】
具体例において、前記ゴム変性ビニル系グラフト共重合体は、ゴム質重合体に芳香族ビニル系単量体及び前記芳香族ビニル系単量体と共重合可能な単量体がグラフト重合されたものであってもよい。
【0015】
具体例において、前記芳香族ビニル系共重合体樹脂は、芳香族ビニル系単量体及び前記芳香族ビニル系単量体と共重合可能な単量体の重合体であってもよい。
【0016】
具体例において、前記酸化亜鉛は、X線回折(X−ray diffraction、XRD)の分析時、ピーク位置2θ値が35゜〜37゜の範囲であり、下記式1による微小結晶の大きさの値が約1,000Å〜約2,000Åであってもよい。
【0017】
【数1】
【0018】
前記式1において、Kは形状係数であり、λはX線波長であり、βはX線回折ピークのFWHM値であり、θはピーク位置の値である。
【0019】
具体例において、前記酸化亜鉛は、フォトルミネッセンス(Photo Luminescence)の測定時、370nm〜390nm領域のピークAと450nm〜600nm領域のピークBとの大きさの比(B/A)が約0.1〜約1.0であってもよい。
【0020】
具体例において、前記酸化亜鉛は、粒度分析装置で測定した平均粒径(D50)が約0.5μm〜約2μmであってもよい。
【0021】
具体例において、前記酸化亜鉛は、窒素ガス吸着法を用いて、BET分析装置で測定した比表面積BETが約15m/g以下であってもよい。
【0022】
具体例において、前記酸化亜鉛は、窒素ガス吸着法を用いて、BET分析装置で測定した比表面積BETが約1m/g〜約10m/gであってもよい。
【0023】
具体例において、前記熱可塑性樹脂組成物は、50mm×90mm×2.5mmの大きさの射出試験片に対して色差計を用いて初期色相(L、a、b)を測定し、ASTM D4459に基づいて1,500時間試験した後で同一の方法で色相(L、a、b)を測定し、下記の式2によって算出した色相変化(ΔE)が約15以下であってもよい:
【0024】
【数2】
【0025】
前記式2において、ΔLは、試験前後のL値の差(L−L)であり、Δaは、試験前後のa値の差(a−a)であり、Δbは、試験前後のb値の差(b−b)である。
【0026】
具体例において、前記熱可塑性樹脂組成物は、JIS Z 2801抗菌評価法に基づいて5cm×5cmの大きさの試験片に黄色ブドウ球菌及び大腸菌を接種し、35℃、RH90%の条件で24時間培養した後、下記の式3によって算出した抗菌活性値がそれぞれ約2〜約7であってもよい:
【0027】
【数3】
【0028】
前記式3において、M1は、ブランク(blank)試験片に対して24時間培養した後の細菌数であり、M2は、熱可塑性樹脂組成物の試験片に対して24時間培養した後の細菌数である。
【0029】
本発明の他の観点は成形品に関する。前記成形品は、前記熱可塑性樹脂組成物から形成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0030】
本発明は、耐候性、抗菌性、機械的物性などに優れた熱可塑性樹脂組成物及びこれから形成された成形品を提供するという効果を有する。
【0031】
発明を実施するための最善の形態
以下では、本発明を詳細に説明する。
【0032】
本発明に係る熱可塑性樹脂組成物は、(A)ゴム変性芳香族ビニル系共重合体樹脂;(B)亜鉛ピリチオン;及び(C)酸化亜鉛;を含む。
【0033】
(A)ゴム変性芳香族ビニル系共重合体樹脂
本発明のゴム変性芳香族ビニル系共重合体樹脂は、(A1)ゴム変性ビニル系グラフト共重合体及び(A2)芳香族ビニル系共重合体樹脂を含んでもよい。
【0034】
(A1)ゴム変性ビニル系グラフト共重合体
本発明の一具体例に係るゴム変性ビニル系グラフト共重合体としては、ゴム質重合体に芳香族ビニル系単量体及び前記芳香族ビニル系単量体と共重合可能な単量体がグラフト共重合されたものを使用してもよい。
【0035】
具体例において、前記ゴム変性ビニル系グラフト共重合体は、ゴム質重合体に芳香族ビニル系単量体及び前記芳香族ビニル系単量体と共重合可能な単量体などを添加して重合することができ、前記重合は、乳化重合、懸濁重合、塊状重合などの公知の重合方法によって行われ得る。
【0036】
具体例において、前記ゴム質重合体としては、ポリブタジエン、ポリ(スチレン−ブタジエン)、ポリ(アクリロニトリル−ブタジエン)などのジエン系ゴム、前記ジエン系ゴムに水素を添加した飽和ゴム、イソプレンゴム、ポリブチルアクリル酸などのアクリル系ゴム、及びエチレン−プロピレン−ジエン単量体三元共重合体(EPDM)などを例示することができる。これらは、単独で適用されてもよく、2種以上を混合して適用されてもよい。例えば、前記ゴム質重合体としては、ジエン系ゴムを使用してもよく、具体的には、ブタジエン系ゴムを使用してもよい。前記ゴム質重合体の含有量は、ゴム変性ビニル系グラフト共重合体の全体重量(100重量%)のうち約5重量%〜約65重量%、例えば、約10重量%〜約60重量%、具体的には、約20重量%〜約50重量%であってもよい。前記範囲では、熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性、機械的物性などが優秀になり得る。また、前記ゴム質重合体(ゴム粒子)の平均粒径(Z−平均)は、約0.05μm〜約6μm、例えば、約0.15μm〜約4μm、具体的には、約0.25μm〜約3.5μmであってもよい。前記範囲では、熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性、外観、難燃特性などが優秀になり得る。
【0037】
具体例において、前記芳香族ビニル系単量体は、前記ゴム質共重合体にグラフト共重合され得るものであって、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、エチルスチレン、ビニルキシレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、ジブロモスチレン、ビニルナフタレンなどを使用してもよいが、これらに制限されることはない。これらは、単独で適用されてもよく、2種以上を混合して適用されてもよい。前記芳香族ビニル系単量体の含有量は、ゴム変性ビニル系グラフト共重合体の全体重量(100重量%)のうち約15重量%〜約94重量%、例えば、約20重量%〜約80重量%、具体的には、約30重量%〜約60重量%であってもよい。前記範囲では、熱可塑性樹脂組成物の耐疲労度、耐衝撃性、機械的物性などが優秀になり得る。
【0038】
具体例において、前記芳香族ビニル系単量体と共重合可能な単量体としては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、エタクリロニトリル、フェニルアクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリル、フマロニトリルなどのシアン化ビニル系化合物、(メタ)アクリル酸及びそのアルキルエステル、無水マレイン酸、N−置換マレイミドなどを使用してもよい。これらは、単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。具体的には、前記芳香族ビニル系単量体と共重合可能な単量体としては、アクリロニトリル、メチル(メタ)アクリレート、及びこれらの組み合わせなどを使用してもよい。前記芳香族ビニル系単量体と共重合可能な単量体の含有量は、ゴム変性ビニル系グラフト共重合体の全体100重量%のうち約1重量%〜約50重量%、例えば、約5重量%〜約45重量%、具体的には、約10重量%〜約30重量%であってもよい。前記範囲では、熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性、流動性、外観特性などが優秀になり得る。
【0039】
具体例において、前記ゴム変性ビニル系グラフト共重合体としては、ブタジエン系ゴム質重合体に芳香族ビニル系化合物であるスチレン単量体及びシアン化ビニル系化合物であるアクリロニトリル単量体がグラフトされた共重合体(g−ABS)、ブタジエン系ゴム質重合体に芳香族ビニル系化合物であるスチレン単量体及びこれと共重合可能な単量体としてのメチルメタクリレートがグラフトされた共重合体(g−MBS)などを例示できるが、これに制限されない。
【0040】
具体例において、前記ゴム変性ビニル系グラフト共重合体は、全体のゴム変性芳香族ビニル系共重合体樹脂(A)の100重量%のうち約10重量%〜約40重量%、例えば、約15重量%〜約35重量%で含まれてもよい。前記範囲では、熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性、流動性(成形加工性)などが優秀になり得る。
【0041】
(A2)芳香族ビニル系共重合体樹脂
本発明の一具体例に係る芳香族ビニル系共重合体樹脂は、通常のゴム変性芳香族ビニル系共重合体樹脂に使用される芳香族ビニル系共重合体樹脂であってもよい。例えば、前記芳香族ビニル系共重合体樹脂は、芳香族ビニル系単量体、及びシアン化ビニル系単量体などの前記芳香族ビニル系単量体と共重合可能な単量体を含む単量体混合物の重合体であってもよい。
【0042】
具体例において、前記芳香族ビニル系共重合体樹脂は、芳香族ビニル系単量体及び芳香族ビニル系単量体と共重合可能な単量体などを混合した後、これを重合して得ることができ、前記重合は、乳化重合、懸濁重合、塊状重合などの公知の重合方法によって行われ得る。
【0043】
具体例において、前記芳香族ビニル系単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、エチルスチレン、ビニルキシレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、ジブロモスチレン、ビニルナフタレンなどを使用してもよいが、これらに制限されることはない。これらは、単独で適用されてもよく、2種以上を混合して適用されてもよい。前記芳香族ビニル系単量体の含有量は、芳香族ビニル系共重合体樹脂の全体100重量%のうち約20重量%〜約90重量%、例えば、約30重量%〜約80重量%であってもよい。前記範囲では、熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性、流動性などが優秀になり得る。
【0044】
具体例において、前記芳香族ビニル系単量体と共重合可能な単量体としては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、エタクリロニトリル、フェニルアクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリル、フマロニトリルなどのシアン化ビニル系単量体、(メタ)アクリル酸及びそのアルキルエステル、無水マレイン酸、N−置換マレイミドなどを使用してもよい。これらは、単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。前記芳香族ビニル系単量体と共重合可能な単量体の含有量は、芳香族ビニル系共重合体樹脂の全体100重量%のうち約10重量%〜約80重量%、例えば、約20重量%〜約70重量%であってもよい。前記範囲では、熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性、流動性などが優秀になり得る。
【0045】
具体例において、前記芳香族ビニル系共重合体樹脂は、GPC(gel permeation chromatography)で測定した重量平均分子量(Mw)が約10,000g/mol〜約300,000g/mol、例えば、約15,000g/mol〜約150,000g/molであってもよい。前記範囲では、熱可塑性樹脂組成物の機械的強度、成形性などが優秀になり得る。
【0046】
具体例において、前記芳香族ビニル系共重合体樹脂は、全体のゴム変性芳香族ビニル系共重合体樹脂(A)の100重量%のうち約60重量%〜約90重量%、例えば、約65重量%〜約85重量%で含まれてもよい。前記範囲では、熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性、流動性(成形加工性)などが優秀になり得る。
【0047】
(B)亜鉛ピリチオン
本発明の亜鉛ピリチオン(zinc pyrithione)は、酸化亜鉛と共に耐候性などを向上できるものであって、下記の化学式1で表される化合物を使用することができる。
【0048】
【化1】
【0049】
具体例において、前記亜鉛ピリチオンは、前記ゴム変性芳香族ビニル系共重合体樹脂約100重量部に対して約0.1重量部〜約1重量部、例えば、約0.2重量部〜約0.6重量部で含まれてもよい。前記亜鉛ピリチオンが前記ゴム変性芳香族ビニル系共重合体樹脂約100重量部に対して約0.1重量部未満で含まれる場合は、熱可塑性樹脂組成物の耐候性、抗菌性などが低下するおそれがあり、約1重量部を超える場合は、熱可塑性樹脂組成物の初期色相の変色などが発生するおそれがある。
【0050】
(C)酸化亜鉛
本発明の酸化亜鉛は、熱可塑性樹脂組成物の耐候性、抗菌性などを向上できるものであって、フォトルミネッセンス(Photo Luminescence)の測定時、370nm〜390nm領域のピークAと450nm〜600nm領域のピークBとの大きさの比(B/A)が約0.01〜約1.0、例えば、約0.1〜約1.0、具体的には、約0.2〜約0.7であってもよい。前記酸化亜鉛のピークA及びピークBの大きさの比(B/A)が約0.01未満である場合は、抗菌性などが低下するおそれがあり、約1.0を超える場合は、熱可塑性樹脂の初期変色が発生するという問題があり、耐候性などが低下するおそれがある。
【0051】
具体例において、前記酸化亜鉛は、多様な形態を有することができ、例えば、球状、プレート状、棒状、及びこれらの組み合わせなどを全て含み得る。また、前記酸化亜鉛は、ベックマン・コールター株式会社のレーザー回折式粒度分布測定装置(Laser Diffraction Particle Size Analyzer)LS I3 320装備を用いて測定した単一粒子(粒子が固まって2次粒子を形成しない)の平均粒径(D50)が約0.5μm〜約3μm、例えば、約0.5μm〜約2μm、具体的には、約0.9μm〜約1.5μmであってもよい。前記酸化亜鉛の平均粒径(D50)が約0.5μm未満であるか、約3μmを超える場合は、耐候性などが低下するおそれがある。
【0052】
具体例において、前記酸化亜鉛は、X線回折(X−ray diffraction、XRD)の分析時、ピーク位置2θ値が35゜〜37゜の範囲であり、測定されたFWHM値(回折ピークの半値全幅(Full width at Half Maximum))を基準にしてシェラーの式(Scherrer’s equation)(下記の式1)に適用して演算された微小結晶の大きさの値が約1,000Å〜約2,000Å、例えば、約1,200Å〜約1,800Åであってもよい。前記範囲では、熱可塑性樹脂組成物の初期色相、耐候性(耐変色性)、抗菌性、これらの機械的物性バランスなどが優秀になり得る。
【0053】
【数4】
【0054】
前記式1において、Kは形状係数であり、λはX線波長であり、βはX線回折ピークのFWHM値であり、θはピーク位置の値である。
【0055】
具体例において、前記酸化亜鉛は、窒素ガス吸着法を用いて、BET分析装置(Micromeritics社、表面積及び細孔分布測定装置(Surface Area and Porosity Analyzer)ASAP 2020装置)で測定した比表面積BETが約15m/g以下、例えば、約1m/g〜約10m/gであってもよく、純度が約99%以上であってもよい。前記範囲では、熱可塑性樹脂組成物の機械的物性、耐変色性などが優秀になり得る。
【0056】
具体例において、前記酸化亜鉛は、金属形態の亜鉛を溶かした後、約850℃〜約1,000℃、例えば、約900℃〜約950℃に加熱して蒸気化させ、酸素ガスを注入し、約20℃〜約30℃に冷却した後、約400℃〜約900℃、例えば、約500℃〜約800℃で約30分〜約150分、例えば、約60分〜約120分間加熱して製造することができる。
【0057】
具体例において、前記酸化亜鉛は、前記ゴム変性芳香族ビニル系共重合体樹脂の約100重量部に対して約0.1重量部〜約10重量部、例えば、約1重量部〜約5重量部で含まれてもよい。前記酸化亜鉛が前記ゴム変性芳香族ビニル系共重合体樹脂の約100重量部に対して約0.1重量部未満で含まれる場合は、熱可塑性樹脂組成物の耐候性、抗菌性などが低下するおそれがあり、約10重量部を超える場合は、熱可塑性樹脂組成物の機械的物性などが低下するおそれがある。
【0058】
具体例において、前記亜鉛ピリチオン及び前記酸化亜鉛の重量比(亜鉛ピリチオン:酸化亜鉛)は、約1:約2〜約1:約10、例えば、約1:約2〜約1:約8であってもよい。前記範囲では、熱可塑性樹脂組成物の耐候性、抗菌性、機械的物性などがさらに優秀になり得る。
【0059】
本発明の一具体例に係る熱可塑性樹脂組成物は、通常の熱可塑性樹脂組成物に含まれる添加剤をさらに含んでもよい。前記添加剤としては、難燃剤、充填剤、酸化防止剤、滴下防止剤、滑剤、離型剤、核剤、帯電防止剤、安定剤、顔料、染料、これらの混合物などを例示できるが、これらに制限されない。前記添加剤を使用する際、その含有量は、熱可塑性樹脂(ゴム変性芳香族ビニル系共重合体樹脂)の約100重量部に対して約0.001重量部〜約40重量部、例えば、約0.1重量部〜約10重量部であってもよい。
【0060】
本発明の一具体例に係る熱可塑性樹脂組成物は、前記構成成分を混合し、通常の二軸押出機を用いて約200℃〜約280℃、例えば、約220℃〜約250℃で溶融押出しを行ったペレット状であってもよい。
【0061】
具体例において、前記熱可塑性樹脂組成物は、50mm×90mm×2.5mmの大きさの射出試験片に対して色差計を用いて初期色相(L、a、b)を測定し、ASTM D4459に基づいて1,500時間試験した後で同一の方法で色相(L、a、b)を測定し、下記の式2によって算出した色相変化(ΔE)が約15以下、例えば、約5〜約11であってもよい:
【0062】
【数5】
【0063】
前記式2において、ΔLは、試験前後のL値の差(L−L)であり、Δaは、試験前後のa値の差(a−a)であり、Δbは、試験前後のb値の差(b−b)である。
【0064】
ここで、前記Δaは、約1.0〜約1.5であってもよい。前記Δaの範囲では、熱可塑性樹脂組成物の耐候性(耐変色性)、色相などが優秀になり得る。
【0065】
具体例において、前記熱可塑性樹脂組成物は、黄色ブドウ球菌、大腸菌、枯草菌、緑膿菌、サルモネラ菌、肺炎球菌、MRSA(Methicillin−Resistant Staphylococcus Aureus)などの多様な細菌に対して抗菌効果を有するものであって、JIS Z 2801抗菌評価法に基づいて5cm×5cmの大きさの試験片に黄色ブドウ球菌及び大腸菌を接種し、35℃、RH90%の条件で24時間培養した後、下記の式3によって算出した抗菌活性値がそれぞれ独立的に約2〜約7、例えば、約3〜約6.3であってもよい。
【0066】
【数6】
【0067】
前記式3において、M1は、ブランク(blank)試験片に対して24時間培養した後の細菌数であり、M2は、熱可塑性樹脂組成物の試験片に対して24時間培養した後の細菌数である。
【0068】
ここで、「ブランク試験片」は、試験片(熱可塑性樹脂組成物の試験片)の対照試験片である。具体的には、接種した細菌が正常に成長されたかどうかを確認するために空のペトリ皿(petri dish)上に細菌を接種した後、試験片と同様に24時間培養したものであって、培養された細菌の個数を比較することによって試験片の抗菌性能を判断する。また、「細菌数」は、各試験片に菌を接種した後で24時間培養し、接種した菌液を回収して希釈させる過程を経た後、再び培養皿上でコロニーに成長させることによって数えることができる。コロニーの成長が非常に多くて数えにくいときは、区画を分けて数えた後、実際の個数に変換させることができる。
【0069】
具体例において、前記熱可塑性樹脂組成物は、ASTM D256に基づいて測定した1/8”厚の射出試験片のアイゾット(IZOD)衝撃強度が約19kgf・cm/cm〜約23kgf・cm/cmであってもよい。
【0070】
具体例において、前記熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性樹脂の50mm×90mm×2.5mmの大きさの射出試験片に対する初期色相(L、a、b)を測定し、各実施例及び比較例の熱可塑性樹脂組成物の50mm×90mm×2.5mmの大きさの射出試験片に対する初期色相(L、a、b)を測定した後、下記の式4によって算出した熱可塑性樹脂との色相差(ΔE2)が約1.5以下、例えば、約0.1〜約1.4であってもよい。前記範囲では、熱可塑性樹脂に比べて激しい変色が発生しないので、熱可塑性樹脂組成物の色相が優秀になり得る。
【0071】
【数7】
【0072】
前記式4において、ΔLは、熱可塑性樹脂と熱可塑性樹脂組成物の試験片の初期L値の差(L−L)であり、Δaは、熱可塑性樹脂と熱可塑性樹脂組成物の試験片の初期a値の差(a−a)であり、Δbは、熱可塑性樹脂と熱可塑性樹脂組成物の試験片の初期b値の差(b−b)である。
【0073】
本発明に係る成形品は、前記熱可塑性樹脂組成物から形成される。前記抗菌性熱可塑性樹脂組成物はペレット状に製造可能であり、製造されたペレットは、射出成形、押出成形、真空成形、キャスティング成形などの多様な成形方法を通じて多様な成形品(製品)に製造され得る。このような成形方法は、本発明の属する分野で通常の知識を有する者によく知られている。前記成形品は、耐候性、抗菌性、耐衝撃性、流動性(成形加工性)、これらの物性バランスなどに優れるので、身体の接触が頻繁な抗菌機能製品、外装材などとして有用である。
【発明を実施するための形態】
【0074】
以下、実施例を通じて本発明をより具体的に説明するが、これらの実施例は説明するためのものに過ぎなく、本発明を制限するものとして解釈してはならない。
【0075】
実施例
以下、実施例及び比較例で使用された各成分の仕様を説明する。
【0076】
(A)ゴム変性芳香族ビニル系共重合体樹脂
下記の(A1)ゴム変性ビニル系グラフト共重合体28重量%、及び(A2)芳香族ビニル系共重合体樹脂72重量%を含むゴム変性芳香族ビニル系共重合体樹脂を使用した。
【0077】
(A1)ゴム変性ビニル系グラフト共重合体
45重量%のZ−平均が310nmであるポリブタジエンゴム(PBR)に55重量%のスチレン及びアクリロニトリル(重量比:75/25)がグラフト共重合されたg−ABSを使用した。
【0078】
(A2)芳香族ビニル系共重合体樹脂
スチレン68重量%及びアクリロニトリル32重量%が重合されたSAN樹脂(重量平均分子量:130,000g/mol)を使用した。
【0079】
(B)亜鉛ピリチオン
亜鉛ピリチオン(zinc pyrithione、メーカー:和光純薬工業株式会社)を使用した。
【0080】
(C)酸化亜鉛
(C1)酸化亜鉛
金属形態の亜鉛を溶かした後、900℃に加熱して蒸気化させた後、酸素ガスを注入し、常温(25℃)に冷却することによって1次中間物を得た。次に、該当の1次中間物を700℃で90分間熱処理した後、常温(25℃)に冷却することによって製造した酸化亜鉛を使用した。
【0081】
(C2)酸化亜鉛(メーカー:Ristecbiz Co.,Ltd.、製品名:RZ−950)を使用した。
【0082】
(C3)酸化亜鉛(メーカー:Hanil Chemical Ind Co.,Ltd.、製品名:TE30)を使用した。
【0083】
前記酸化亜鉛(C1、C2、C3)の平均粒子サイス、BET表面積、純度、フォトルミネッセンス(Photo Luminescence)の測定時、370nm〜390nm領域のピークAと450nm〜600nm領域のピークBとの大きさの比(B/A)、及び微小結晶の大きさ(crystallite size)値を測定し、その結果を下記の表1に示した。
【0084】
【表1】
【0085】
物性測定方法
(1)平均粒径(単位:μm):ベックマン・コールター株式会社のレーザー回折式粒度分布測定装置(Laser Diffraction Particle Size Analyzer LS I3 320装置)を用いて平均粒径(体積平均)を測定した。
【0086】
(2)BET表面積(単位:m/g):窒素ガス吸着法を用いて、BET分析装備(Micromeritics社の表面積及び細孔分布測定装置(Surface Area and Porosity Analyzer)ASAP 2020装備)でBET表面積を測定した。
【0087】
(3)純度(単位:%):TGA熱分析法を用いて、800℃の温度で残留する重さで以って純度を測定した。
【0088】
(4)PLの大きさの比(B/A):フォトルミネッセンス測定法によって、室温で325nm波長のHe−Cdレーザー(株式会社金門光波、30mW)を試験片に入射したときに発光されるスペクトルを、CCD検出器を用いて検出し、このとき、CCD検出器の温度は−70℃に維持した。そして、370nm〜390nm領域のピークAと450nm〜600nm領域のピークBとの大きさの比(B/A)を測定した。ここで、射出試験片に対しては別途の処理を施さず、レーザーを試験片に入射させることによってPL分析を行い、酸化亜鉛粉末は、6mm径のペレタイザー(pelletizer)に入れて圧着し、試験片を平らに製作した後で測定した。
【0089】
(5)微小結晶の大きさ(単位:Å):高分解能X−線回折分析装置(High Resolution X−Ray Diffractometer)、メーカー:X’pert社、装置名:PRO−MRD)を使用し、ピーク位置2θ値が35゜〜37゜の範囲であり、測定されたFWHM値(回折ピークの半値全幅(Full width at Half Maximum))を基準にしてシェラーの式(Scherrer’s equation)(下記の式1)に適用して演算した。ここで、パウダー形態及び射出試験片のいずれも測定が可能であり、さらに正確な分析のために、射出試験片の場合、600℃、エア(air)状態で2時間熱処理し、高分子樹脂を除去した後でXRD分析を進行した。
【0090】
【数8】
【0091】
前記式1において、Kは形状係数であり、λはX線波長であり、βはX線回折ピークのFWHM値であり、θはピーク位置の値である。
【0092】
実施例1〜4及び比較例1〜10
前記各構成成分を下記の表2及び表3に記載した含有量で添加した後、230℃で押出しを行うことによってペレットを製造した。押出しは、L/D=36、直径45mmの二軸押出機を用いて行い、製造されたペレットは80℃で4時間以上乾燥した後、6Oz射出機(成形温度:230℃、金型温度:60℃)で射出することによって試験片を製造した。製造された試験片に対して下記の方法で物性を評価し、その結果を下記の表2及び表3に示した。
【0093】
物性測定方法
(1)耐候性評価(色相変化(ΔE)):50mm×90mm×2.5mmの大きさの射出試験片に対して色差計(コニカミノルタ株式会社のCM−3700A)を用いて初期色相(L、a、b)を測定し、ASTM D4459に基づいて1,500時間試験した後で同一の方法で色相(L、a、b)を測定し、下記の式2によって色相変化(ΔE)を算出した。
【0094】
【数9】
【0095】
前記式2において、ΔLは、試験前後のL値の差(L−L)であり、Δaは、試験前後のa値の差(a−a)であり、Δbは、試験前後のb値の差(b−b)である。
【0096】
(2)抗菌活性値:JIS Z 2801抗菌評価法に基づいて5cm×5cmの大きさの試験片に黄色ブドウ球菌及び大腸菌を接種し、35℃、RH90%の条件で24時間培養した後、下記の式3によって算出した。
【0097】
【数10】
【0098】
前記式3において、M1は、ブランク(blank)試験片に対して24時間培養した後の細菌数であり、M2は、熱可塑性樹脂組成物の試験片に対して24時間培養した後の細菌数である。
【0099】
(3)耐衝撃性(ノッチ付きアイゾット衝撃強度(単位:kgf・cm/cm)):ASTM D256に基づいて1/8"厚の試験片のノッチ付きアイゾット衝撃強度を測定した。
【0100】
(4)色相評価(熱可塑性樹脂と熱可塑性樹脂組成物との初期色相差(ΔE2)):熱可塑性樹脂(比較例1)の50mm×90mm×2.5mmの大きさの射出試験片に対して色差計(コニカミノルタ株式会社のCM−3700A)を用いて初期色相(L、a、b)を測定し、各実施例及び比較例の熱可塑性樹脂組成物の50mm×90mm×2.5mmの大きさの射出試験片に対して色差計(コニカミノルタ株式会社のCM−3700A)を用いて初期色相(L、a、b)を測定した後、下記の式4によって色相差(ΔE2)を算出した。
【0101】
【数11】
【0102】
前記式4において、ΔLは、熱可塑性樹脂(比較例1)と熱可塑性樹脂組成物(実施例及び比較例)の試験片の初期L値の差(L−L)であり、Δaは、熱可塑性樹脂(比較例1)と熱可塑性樹脂組成物(実施例及び比較例)の試験片の初期a値の差(a−a)であり、Δbは、熱可塑性樹脂(比較例1)と熱可塑性樹脂組成物(実施例及び比較例)の試験片の初期b値の差(b−b)である。
【0103】
【表2】
【0104】
【表3】
【0105】
前記結果から、本発明の熱可塑性樹脂組成物は、耐候性(色相変化(ΔE))、抗菌性(抗菌活性値)、機械的物性(ノッチ付きアイゾット衝撃強度(耐衝撃性))、色相(初期色相差、ΔE2)などが全て優秀であることが分かる。
【0106】
その一方で、亜鉛ピリチオン及び酸化亜鉛を使用していない比較例1の場合は、耐候性、抗菌性などが大きく低下することが分かり、酸化亜鉛を使用していない比較例2及び3の場合は、耐候性、抗菌性などが低下し、亜鉛ピリチオンの含有量が増加するほど熱可塑性樹脂(比較例1)との初期色相差が大きくなり、変色が発生することが分かる。また、亜鉛ピリチオンを使用していない比較例4の場合は、耐候性、抗菌性及び機械的物性が実施例に比べて相対的に低下することが分かり、本発明の酸化亜鉛(C1)の代わりに酸化亜鉛(C2)を使用した比較例5及び6の場合は、耐候性が大きく低下したことが分かり、亜鉛ピリチオンの含有量が本発明の範囲を超える比較例7の場合は、初期変色が激しいので外観特性などが低下することが分かり、亜鉛ピリチオンの含有量が本発明の範囲未満である比較例8の場合は、抗菌性及び耐候性が低下することが分かる。また、本発明の酸化亜鉛(C1)の代わりに酸化亜鉛(C3)を使用した比較例8及び9の場合は、耐候性が大きく低下したことが分かる。
【0107】
本発明の単純な変形及び変更は、本分野で通常の知識を有する者によって容易に実施可能であり、このような変形や変更は、いずれも本発明の領域に含まれるものと見なすことができる。
【国際調査報告】