(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】2021500441
(43)【公表日】20210107
(54)【発明の名称】ハイドロフルオロエポキシド含有組成物及びその使用方法
(51)【国際特許分類】
   C09K 3/00 20060101AFI20201204BHJP
   H01L 23/473 20060101ALI20201204BHJP
   H01L 23/373 20060101ALI20201204BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20201204BHJP
   C09K 5/10 20060101ALI20201204BHJP
【FI】
   !C09K3/00 Z
   !H01L23/46 Z
   !H01L23/36 M
   !H05K7/20 F
   !C09K5/10 E
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】16
(21)【出願番号】2020522815
(86)(22)【出願日】20181022
(85)【翻訳文提出日】20200422
(86)【国際出願番号】IB2018058203
(87)【国際公開番号】WO2019082053
(87)【国際公開日】20190502
(31)【優先権主張番号】62/576,110
(32)【優先日】20171024
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
【住所又は居所】アメリカ合衆国,ミネソタ州 55133−3427,セント ポール,ポスト オフィス ボックス 33427,スリーエム センター
(74)【代理人】
【識別番号】100110803
【弁理士】
【氏名又は名称】赤澤 太朗
(74)【代理人】
【識別番号】100135909
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 和歌子
(74)【代理人】
【識別番号】100133042
【弁理士】
【氏名又は名称】佃 誠玄
(74)【代理人】
【識別番号】100171701
【弁理士】
【氏名又は名称】浅村 敬一
(72)【発明者】
【氏名】スミス,ショーン エム.
【住所又は居所】アメリカ合衆国,ミネソタ州 55133−3427,セント ポール,ポスト オフィス ボックス 33427,スリーエム センター
(72)【発明者】
【氏名】ウォーレン,カール ジェイ.
【住所又は居所】アメリカ合衆国,ミネソタ州 55133−3427,セント ポール,ポスト オフィス ボックス 33427,スリーエム センター
(72)【発明者】
【氏名】ヅァン,ヅォンシン
【住所又は居所】アメリカ合衆国,ミネソタ州 55133−3427,セント ポール,ポスト オフィス ボックス 33427,スリーエム センター
【テーマコード(参考)】
5E322
5F136
【Fターム(参考)】
5E322AA11
5E322AB08
5E322AB11
5E322FA04
5F136CB27
5F136FA70
(57)【要約】
組成物は、構造式(I)を有するハイドロフルオロエポキシドを含む。
各Rは、独立して、1〜6個の炭素原子を有し、かつ連結されたヘテロ原子を任意に含む、直鎖又は分枝鎖ペルフルオロアルキル基である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造式(I):
【化1】
[式中、各Rは、独立して、1〜6個の炭素原子を有し、かつ連結されたヘテロ原子を任意に含む、直鎖又は分枝鎖ペルフルオロアルキル基である]を有するハイドロフルオロエポキシドを含む、組成物。
【請求項2】
各Rが、同一の直鎖又は分枝鎖ペルフルオロアルキル基である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記ハイドロフルオロエポキシドが、以下のハイドロフルオロエポキシドのうちの1つ以上を含む、請求項1に記載の組成物。
【化2】
【請求項4】
前記ハイドロフルオロエポキシドが、前記組成物の総重量に基づいて少なくとも50重量%の量で前記組成物中に存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
デバイスと、
前記デバイスへ又は前記デバイスから熱を伝達するための機構と、を備え、
前記機構が、請求項1に記載の組成物を含む伝熱流体を備える、熱を伝達するための装置。
【請求項6】
前記デバイスが、マイクロプロセッサ、半導体デバイスを製造するために使用される半導体ウエハ、電力制御半導体、電気化学セル、配電スイッチギヤ、電力変圧器、回路基板、マルチチップモジュール、パッケージ化された又はパッケージ化されていない半導体デバイス、燃料電池及びレーザーから選択される、請求項5に記載の熱を伝達するための装置。
【請求項7】
前記熱を伝達するための機構が、電子デバイスの温度又は温度範囲を保持するためのシステムの構成要素である、請求項5に記載の装置。
【請求項8】
前記デバイスが、はんだ付けされる電子部品を備える、請求項5に記載の装置。
【請求項9】
前記機構が、気相はんだ付けを含む、請求項5に記載の装置。
【請求項10】
デバイスを準備することと、
請求項1に記載の組成物を使用して、前記デバイスへ又は前記デバイスから熱を伝達することと、
を含む、熱を伝達する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ハイドロフルオロエポキシドを含む組成物及びデバイス、並びにその製造方法及び使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
様々なハイドロフルオロエポキシドが、例えば、米国特許第6,180,113号、同第5,101,058号及び同第7,226,578号に記載されている。
【発明の概要】
【0003】
いくつかの実施形態では、構造式(I)を有するハイドロフルオロエポキシドが提供される。
【化1】
各Rは、独立して、1〜6個の炭素原子を有し、かつ連結されたヘテロ原子を任意に含む、直鎖又は分枝鎖ペルフルオロアルキル基である。
【0004】
上記の本開示の概要は、本開示の各実施形態を説明することを意図したものではない。本開示の1つ以上の実施形態の詳細は、以下の説明にも記載される。本開示の他の特徴、目的及び利点は、本明細書及び特許請求の範囲から明らかになろう。
【発明を実施するための形態】
【0005】
比較的短い大気寿命及び低い地球温暖化係数を有すると同時に、様々な用途の要件に適合する高い熱安定性、低い毒性、良好な溶解性、及び広い動作温度を提供する、不活性フッ素化流体の開発は、特に関心が持たれる。現在、産業界で使用される高沸点材料(例えば、>220℃)は、主に、環境残留性及び地球温暖化係数が高いペルフルオロ化不活性物質からなる。したがって、高い動作温度において、高い熱安定性、熱伝導率、及び化学的不活性も示す、より環境に優しい材料の開発が望まれている。
【0006】
概して、本開示は、フッ素化エポキシド含有ハイドロフルオロカーボン、又はハイドロフルオロエポキシド、及びそれらの合成方法に関する。ハイドロフルオロエポキシドは、特にペルフルオロ化炭化水素(PFC)及びハイドロフルオロカーボン(HFC)と比較されたとき、比較的短い大気寿命をもたらす、容易な大気劣化を促進する。更に、大気寿命が短いにもかかわらず、化合物は高温(例えば、>220℃)で安定であり、酸化条件下での更なる酸化に対する耐性を有する。
【0007】
本開示では、
「デバイス」は、所定の温度若しくは温度範囲で加熱、冷却、又は保持される物体又は仕組みを意味する。
「不活性」は、通常の使用状況下では一般に化学的に反応しない化学組成物を意味する。
「機構」は、部品又は機械設備のシステムを意味する。
「ペルフルオロ−」(例えば、基又は部分に関して、例えば
「ペルフルオロアルキレン」又は「ペルフルオロアルキルカルボニル」又は「ペルフルオロ化」の場合等)は、完全にフッ素化され、別段の指示がない限り、フッ素で置き換えることが可能な炭素結合水素原子がないことを意味する。
「連結されたヘテロ原子」は、炭素鎖(直鎖若しくは分枝鎖又は環内)の少なくとも2個の炭素原子に結合して炭素−ヘテロ原子−炭素結合を形成する、炭素以外の原子(例えば、酸素、窒素、又は硫黄)を意味する。
【0008】
本明細書で用いる場合、単数形「a」、「an」及び「the」は、その内容が他のことを明確に指示しない限り、複数の指示対象を含む。本明細書及び添付の実施形態において使用されるとき、用語「又は」は、その内容が特に明確に指示しない限り、一般的に「及び/又は」を包含する意味で用いられる。
【0009】
本明細書で用いる場合、端点による数値範囲の記載は、その範囲内に含まれる全ての数を含む(例えば、1〜5は、1、1.5、2、2.75、3、3.8、4及び5を含む)。
【0010】
特に指示がない限り、本明細書及び実施形態で使用する量又は成分、特性の測定値などを表す全ての数は、全ての場合において、「約」という用語によって修飾されていると理解するものとする。これに応じて、特に指示がない限り、前述の明細書及び添付の実施形態の列挙において示す数値パラメータは、本開示の教示を利用して当業者が得ようとする所望の特性に応じて変化し得る。最低でも、各数値パラメータは少なくとも、報告される有効桁の数に照らして端数処理技術を適用することにより解釈されるべきであるが、このことは請求項記載の実施形態の範囲への均等論の適用を制限しようとするものではない。
【0011】
いくつかの実施形態では、本開示の組成物は、構造式(I)を有するハイドロフルオロエポキシドを1つ以上含んでもよい。
【化2】
いくつかの実施形態では、各Rは、独立して、1〜6、1〜4、又は1〜3個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖ペルフルオロアルキル基であってもよく、任意で1つ以上の連結されたヘテロ原子(例えば、酸素又は窒素ヘテロ原子)を含む。いくつかの実施形態では、各R基は、同一の直鎖又は分枝鎖ペルフルオロアルキル基であり得る。本開示のハイドロフルオロエポキシドは、一般式又は化学構造のいずれかに示されているものと関係なく、シス異性体、トランス異性体、又はシス異性体とトランス異性体の混合物を含み得ることが理解されるべきである。
【0012】
様々な実施形態において、一般式(I)のハイドロフルオロエポキシドの代表例としては、以下が挙げられる。
【化3】
【0013】
本開示のハイドロフルオロエポキシドは、短い大気寿命及び低い地球温暖化係数を有すると同時に、低い毒性、適切な溶解性、及び高い熱安定性を提供することが明らかにされた。更に、ハイドロフルオロエポキシドの高い熱安定性に関して、エポキシド炭素に隣接するメチレン基に隣接する位置に四級炭素が存在することにより、そのような高温安定性が可能となることが明らかにされた。具体的には、そのような四級炭素を有さない類似のエポキシドは、高温において脱フッ化水素化(HF生成)をもたらし、これは次に、望ましくない腐食及び安全性の問題を伴うことが明らかにされた。
【0014】
いくつかの実施形態では、本開示は、上記ハイドロフルオロエポキシドのうちの1つ以上を含む作動流体に関する。例えば、作動流体は、上記のハイドロフルオロエポキシドを、作動流体の総重量に基づいて少なくとも25重量%、少なくとも50重量%、少なくとも70重量%、少なくとも80重量%、少なくとも90重量%、少なくとも95重量%、又は少なくとも99重量%含んでもよい。作動流体は、上記のハイドロフルオロエポキシドに加えて、次の成分:アルコール、エーテル、アルカン、アルケン、ペルフルオロカーボン、ペルフルオロ化第三級アミン、ペルフルオロエーテル、シクロアルカン、エステル、ケトン、オキシラン、芳香族化合物、シロキサン、ハイドロクロロカーボン、ハイドロクロロフルオロカーボン、ハイドロフルオロカーボン、ハイドロフルオロオレフィン、ハイドロクロロフルオロオレフィン、ハイドロフルオロエーテル、ペルフルオロケトン、又はこれらの混合物のうちの1つ以上を(個別に又は任意の組み合わせで)、作動流体の総重量に基づいて合計で0.1〜75重量%、0.1〜50重量%、0.1〜30重量%、0.1〜20重量%、0.1〜10重量%、0.1〜5重量%、又は0.1〜1重量%含んでもよい。このような追加成分は、組成物の特性を、特定の用途向けに改変又は強化するために選択できる。特定の用途用に特定の所望の特性を付与するために、少量の任意の構成成分を作動流体に添加することもできる。有用な構成成分としては、従来の添加剤、例えば、界面活性剤、着色剤、安定剤、酸化防止剤、難燃剤等、及びそれらの混合物等を挙げることができる。
【0015】
いくつかの実施形態において、本開示の作動流体は、伝熱流体として特に有用となる特性を示し得る。例えば、作動流体は化学的に不活性であり得(すなわち、塩基、酸、水等と容易に反応しない)、そして高沸点(最高300℃)、低凝固点(−40℃以下で液体であり得る)、低粘度、長時間にわたる高い熱安定性、良好な熱伝導率、潜在的に有用な溶媒の範囲内での適切な溶解性、及び低い毒性を有し得る。
【0016】
炭化水素アルケンは、短い大気寿命をもたらすのに十分な速度で、下層大気中のヒドロキシルラジカル及びオゾンと反応することが知られている(Atkinson,R.;Arey,J.,Chem Rev.2003,103 4605〜4638参照)。例えば、エテンは、ヒドロキシルラジカル及びオゾンとの反応により、それぞれ1.4日及び10日の大気寿命を有する。プロペンは、ヒドロキシルラジカル及びオゾンとの反応により、それぞれ5.3時間及び1.6日の大気寿命を有する。本開示のハイドロフルオロオレフィンのE及びZ異性体の両方は、気相においてオゾンと非常に速い速度で反応することが見出された。結果として、これらの化合物は比較的短い大気寿命を有すると考えられている。
【0017】
更に、いくつかの実施形態において、本開示の作動流体は、環境影響が少ない場合がある。これに関して、作動流体は、300未満、200未満、又は更には100未満の地球温暖化係数(GWP)を有し得る。本明細書で使用する場合、GWPは、化合物の構造に基づく化合物の温暖化係数の相対的尺度である。化合物のGWPは、1990年に気候変動に関する政府間パネル(IPCC)によって規定され、2007年に改訂されており、特定の積分期間(ITH)にわたる、1キログラムのCO2放出による温暖化に対する、1キログラムの化合物放出による温暖化として
計算される。
【数1】
【0018】
この式において、aは、大気中のある化合物の単位質量増加当たりの放射強制力(その化合物のIR吸光度による大気中の放射線束の変化)であり、Cは化合物の大気濃度であり、τは化合物の大気寿命であり、tは時間であり、iは対象の化合物である。一般的に許容されるITHは、短期間の効果(20年間)と長期間の効果(500年間以上)との間の折衷点を表す100年間である。大気中の有機化合物iの濃度は、擬一次速度論(すなわち、指数関数的減衰)に従うと仮定される。同じ時間間隔のCO2の濃度は、大気からのCO2の交換及び除去に関する、より複雑なモデルを組み込む(Bern炭素循環モデル)。
【0019】
いくつかの実施形態では、構造式(I)を有するハイドロフルオロエポキシドは、スキーム1に示されるアリルハライド置換/オレフィン酸化シーケンスによって高収率で合成され得る。
【化4】
スキーム1の第1の工程は、ペルフルオロ化オレフィン(CF3)C=CFR’をKFと接触させることによってin situ形成される活性化ペルフルオロ化オレフィン求核剤による1,4−ジブロモ−2−ブテンの置換を伴い得る。スキーム1の第2の工程(すなわち、IIのエポキシ化によるIの生成)は、金属製圧力反応器内で実施されてもよい。化合物IIは、金属製反応器内に封止されてもよく、その内部はその後空気で加圧(88psiの高さ)されてもよい。撹拌しながら、封止された反応器の内容物を加熱し(>200℃)、オレフィン出発原料を効果的に酸化して化合物Iを得ることができる。このプロセスは、化合物IIが完全に変換するまで数回繰り返されてもよい。減圧下での分別蒸留による精製により、所望のエポキシド生成物が得られ得る。
【0020】
本開示の作動流体は、様々な用途で使用することができる。例えば、本作動流体は、必要な安定性及び必須の短い大気寿命(又は低い地球温暖化係数)を有すると考えられ、高温の熱伝達用途用の商業的に実行可能な環境に優しい候補とされる。
【0021】
いくつかの実施形態において、本開示は更に、デバイスと、デバイスへ又はデバイスから熱を伝達するための機構とを含む、熱を伝達するための装置を対象とする。熱を伝達するための機構は、本開示の作動流体を含む伝熱流体を含んでもよい。
【0022】
提供される熱を伝達するための装置はデバイスを含んでもよい。デバイスは、所定の温度若しくは温度範囲で冷却、加熱又は保持される構成要素、ワークピース、アセンブリ等であってもよい。このようなデバイスには、電気的構成要素、機械的構成要素及び光学的構成要素が含まれる。本開示のデバイスの例としては、マイクロプロセッサ、半導体デバイスの製造に用いられるウエハ、電力制御半導体、配電スイッチギヤ、電力変圧器、回路基板、マルチチップモジュール、パッケージされた及びパッケージされていない半導体デバイス、レーザー、化学反応器、燃料電池並びに電気化学セルが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、デバイスは、冷却器、加熱器、又はそれらの組み合わせを含み得る。
【0023】
更にその他の実施形態において、デバイスは、マイクロプロセッサを含むプロセッサのような、電子デバイスを含み得る。これらの電子デバイスが強力になると、単位時間当たりに生成される熱量が増加する。したがって、熱伝達の機構は、プロセッサの性能において重要な役割を果たす。伝熱流体は、典型的には、良好な熱伝達性能、良好な電気適合性(冷却板を採用するもの等の「間接接触」用途で使用される場合であっても)、並びに低い毒性、低い燃焼性(又は不燃性)及び低い環境影響を有する。電気適合性が良好であることは、伝熱流体候補が、高絶縁耐力、高体積抵抗率及び極性物質に対する乏しい溶解性を呈することを示唆する。加えて、伝熱流体は、良好な機械適合性を示す必要があり、すなわち、構造体の典型的材料に悪影響を与えないものとする。
【0024】
提供される装置は、熱を伝達するための機構を備えてもよい。その機構は、伝熱流体を含んでもよい。伝熱流体は、本開示の作動流体を含んでもよい。デバイスと熱接触するように熱伝達機構を配置することによって、熱を伝達し得る。熱伝達機構は、デバイスと熱接触するように配置されるとき、デバイスから熱を除去するか、若しくはデバイスに熱を供給するか、又は選択された温度若しくは温度範囲にデバイスを保持する。
【0025】
熱流の方向(デバイスから又はデバイスに)は、デバイスと熱伝達機構との間の相対的温度差によって決定される。
【0026】
熱伝達機構としては、これらに限定されるものではないが、ポンプ、弁、流体収納システム、圧力制御システム、凝縮器、熱交換器、熱源、ヒートシンク、冷却システム、能動型温度制御システム及び受動型温度制御システムを含む、伝熱流体を管理するための設備を挙げることができる。
【0027】
好適な熱伝達機構の例としては、プラズマ強化化学蒸着(PECVD)ツールの温度制御ウエハチャック、ダイ性能試験のための温度制御試験ヘッド、半導体プロセス装置内の温度制御作動領域、熱衝撃試験槽液体収容容器及び恒温槽が挙げられるが、これらに限定されない。エッチャー、アッシャー、PECVDチャンバ、気相はんだ付けデバイス、及び熱衝撃試験器等の一部のシステムでは、所望の動作温度の上限は、最高170℃、最高200℃、又は更には最高240℃であり得る。
【0028】
デバイスと熱接触するように熱伝達機構を配置することによって、熱が伝達され得る。熱伝達機構は、デバイスに熱接触して配置される場合、デバイスから熱を除去する、若しくはデバイスに熱を提供する、又は選択された温度若しくは温度範囲にデバイスを保持することができる。熱流の方向(デバイスから又はデバイスに)は、デバイスと熱伝達機構との間の相対的温度差によって決定される。提供される装置として、冷蔵システム、冷却システム、試験装置及び機械加工装置も挙げることができる。いくつかの実施形態において、提供される装置は、恒温槽又は熱衝撃試験槽であり得る。エッチャー、アッシャー、PECVDチャンバ、気相はんだ付けデバイス、及び熱衝撃試験器などの一部のシステムでは、所望の動作温度の上限は、最高170℃、最高200℃、又は更にそれを超える温度であり得る。
【0029】
いくつかの実施形態において、本開示の作動流体は、気相はんだ付けにおいて使用するための熱伝達剤として使用され得る。気相はんだ付けにおいて本開示の作動流体を使用する際には、例えば、米国特許第5,104,034号(Hansen)に記載のプロセスを使用することができ、その記載内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。簡潔に述べると、そのようなプロセスは、本開示の作動流体を含む蒸気体中に、はんだ付けしようとする部品をさらして、はんだを溶融させることを含む。このようなプロセスを実施するにあたり、作動流体の液体プールをタンク内で沸騰するまで加熱して、沸騰液体と凝縮手段との間の空間に飽和蒸気を形成する。
【0030】
はんだ付けされるべきワークピースは、(170℃を超える、200℃を超える、230℃を超える、又は更にそれを超える温度で)蒸気中にさらされ、蒸気はワークピースの表面上に凝縮して、はんだを溶融しリフローさせる。そして最後に、はんだ付けされたワークピースを、蒸気を含む空間から取り出す。
【0031】
実施形態の一覧
1. 構造式(I):
【化5】
[式中、各Rは、独立して、1〜6個の炭素原子を有し、かつ連結されたヘテロ原子を任意に含む、直鎖又は分枝鎖ペルフルオロアルキル基である]を有するハイドロフルオロエポキシドを含む、組成物。
【0032】
2. 各Rが、同一の直鎖又は分枝鎖ペルフルオロアルキル基である、実施形態1に記載の組成物。
【0033】
3. ハイドロフルオロエポキシドが、以下のハイドロフルオロエポキシドのうちの1つ以上を含む、実施形態1に記載の組成物。
【化6】
【0034】
4. ハイドロフルオロエポキシドが、組成物の総重量に基づいて少なくとも50重量%の量で組成物中に存在する、実施形態1〜3のいずれか1つに記載の組成物。
【0035】
5. デバイスと、
デバイスへ又はデバイスから熱を伝達するための機構と、を備え、
上記機構が、実施形態1〜4のいずれか1つに記載の組成物を含む伝熱流体を備える、熱を伝達するための装置。
【0036】
6. デバイスが、マイクロプロセッサ、半導体デバイスを製造するために使用される半導体ウエハ、電力制御半導体、電気化学セル、配電スイッチギヤ、電力変圧器、回路基板、マルチチップモジュール、パッケージ化された又はパッケージ化されていない半導体デバイス、燃料電池及びレーザーから選択される、実施形態5に記載の熱を伝達するための装置。
【0037】
7. 熱を伝達するための機構が、電子デバイスの温度又は温度範囲を維持するためのシステムの構成要素である、実施形態5に記載の装置。
【0038】
8. デバイスが、はんだ付けされる電子部品を備える、実施形態5に記載の装置。
【0039】
9. 機構が、気相はんだ付けを含む、実施形態5に記載の装置。
【0040】
10. デバイスを準備することと、
実施形態1〜4のいずれか1つに記載の組成物を使用して、デバイスへ又はデバイスから熱を伝達することと、
を含む、熱を伝達する方法。
【0041】
本開示の目的及び利点を以下の実施例によって更に例示するが、これらの実施例に記載の特定の材料及びそれらの量並びに他の条件及び詳細は、本開示を不当に限定するものと解釈してはならない。
【実施例】
【0042】
本開示の目的及び利点を、以下の比較例及び実施例によって更に説明する。特に注記がない限り、実施例及び明細書の残りの箇所における全ての部、百分率、比等は重量による。実施例において用いられる全ての試薬は、例えば、Sigma−Aldrich Corp.(Saint Louis,MO,US)又はAlfa Aesar(Haverhill,MA,US)などの一般化学品供給業者から入手したもの、若しくは入手可能なものであるか、又は従来の方法によって合成することができる。
【0043】
本セクションにおいて、以下の略語を使用する。mL=ミリリットル、min=分、h=時間、g=グラム、μm=ミクロン、mmol=ミリモル、℃=摂氏度。
【表1】
【0044】
ハイドロフルオロオレフィンの酸化に3組の条件を使用して、それぞれのハイドロフルオロエポキシド生成物を得た。方法Aは、ハイドロフルオロオレフィンを充填して空気で加圧した600mLステンレス鋼製Parr反応容器を使用した。方法Bは、温度プローブ、磁気撹拌棒、水冷凝縮器、及び空気を注入するための1/4インチFEP管を備えた500mL三口丸底フラスコを使用した。方法Cは、温度プローブ、磁気撹拌棒、水冷凝縮器、及び1又は2つの10ミクロンのスチールフリットを備えた1又は2本の1/8インチFEP管を備えた500mLの三口又は四口丸底フラスコを使用した。
【0045】
調製例PE1:(E)−1,1,1,2,2,3,3,10,10,11,11,12,12,12−テトラデカフルオロ−4,4,9,9−テトラキス(トリフルオロメチル)ドデカ−6−エンからの2,3−ビス(3,3,4,4,5,5,5−ヘプタフルオロ−2,2−ビス(トリフルオロメチル)ペンチル)オキシランの合成
(E)−1,1,1,2,2,3,3,10,10,11,11,12,12,12−テトラデカフルオロ−4,4,9,9−テトラキス(トリフルオロメチル)ドデカ−6−エンは、国際出願PCT第16094113号に記載されているように、Adogen464、KF及びDMFの混合物中での1,4−ジブロモ−2−ブテンのHFP二量体による置換から調製した。
【0046】
方法A:600mLのステンレス鋼製Parr反応容器に、(E)−1,1,1,2,2,3,3,10,10,11,11,12,12,12−テトラデカフルオロ−4,4,9,9−テトラキス(トリフルオロメチル)ドデカ−6−エンを添加した。反応器を密封し、次いで空気(50psi、345kPa)を添加することによって加圧した。撹拌しながら、内部温度を248℃までゆっくりと上昇させ、圧力は74psi(510kPa)に達した。16時間撹拌した後、内部温度をある温度まで冷却した後、通気し、内部圧力43psi(296kPa)まで空気を再充填した。撹拌しながら、内部温度を250℃に再加熱し、反応容器の内部圧力は88psi(607kPa)に達した。反応物質を同じ温度で16時間撹拌し、室温まで再冷却した。容器を再び通気し、次に空気を再充填し(43psi、296kPa)、撹拌しながら加熱(250℃)し、48時間撹拌し、室温まで冷却した後、通気して第3の実験を完了させた。実験4〜8は、以下の条件下で完了した:実験4(52psi(359kPa)、250℃、6時間撹拌)、実験5(52psi(359kPa)、250℃、16時間)、実験6(70psi(483kPa)、250℃、16時間)、実験7(80psi(552kPa)、250℃、16時間)、実験8(80psi(552kPa)、250℃、16時間)。最終実験後、90gの粗反応物質が得られ、そのGC分析はハイドロフルオロオレフィン出発原料の67%の変換を示した。GC分析は、反応混合物の41%が、所望の酸化生成物、2,3−ビス(3,3,4,4,5,5,5−ヘプタフルオロ−2,2−ビス(トリフルオロメチル)ペンチル)オキシランからなることも示した。19F及びH NMRと組み合わせたGC−MS分析により、構造が所望の生成物の構造であることが確認された。
【0047】
方法B:撹拌棒、温度プローブ、1/4インチFEP管、及び水冷凝縮器を備えた500mL三口丸底フラスコに、(E)−1,1,1,2,2,3,3,10,10,11,11,12,12,12−テトラデカフルオロ−4,4,9,9−テトラキス(トリフルオロメチル)ドデカ−6−エン(200.1g、289mmol)を添加した。撹拌しながら、出発原料を211.5℃にゆっくりと加熱し、1/4インチFEP管を通して空気を注入した。211.5℃〜220℃の温度範囲で84時間撹拌した後、得られた混合物を室温まで放冷した。得られた145gの粗反応物質は、所望のエポキシド材料を85%含有した。反応生成物を、減圧下(113℃、3Torr)で同心円管蒸留により精製して、2,3−ビス(3,3,4,4,5,5,5−ヘプタフルオロ−2,2−ビス(トリフルオロメチル)ペンチル)オキシラン(123g、収率60%)を得た。所望の2,3−ビス(3,3,4,4,5,5,5−ヘプタフルオロ−2,2−ビス(トリフルオロメチル)ペンチル)オキシラン組成物を、H及び19F NMR分光法と組み合わせたGC−MS分析によって確認した。
【0048】
方法C:撹拌棒、温度プローブ、10ミクロンスチールフリットに接続された1/8インチFEP管2本、及び水冷凝縮器を備えた500mL四口丸底フラスコに、(E)−1,1,1,2,2,3,3,10,10,11,11,12,12,12−テトラデカフルオロ−4,4,9,9−テトラキス(トリフルオロメチル)ドデカ−6−エン(206g、298mmol)を添加した。撹拌しながら、内部温度を209℃まで上昇させ、2つの10ミクロンスチールフリットを通じた空気注入を開始した(0.4L/分)。内部温度を206〜209℃に保った状態で135時間撹拌した後、反応物を室温まで放冷し、空気注入を停止して、156gの淡黄色液体を得た。GCによる粗反応混合物の分析により、ハイドロフルオロオレフィン出発原料の>70%が変換し、混合物の60%は、所望のハイドロフルオロエポキシド2,3−ビス(3,3,4,4,5,5,5−ヘプタフルオロ−2,2−ビス(トリフルオロメチル)ペンチル)オキシラン(93.6g、収率44%)からなることが明らかとなった。
【0049】
調製例2:(Z)−1,1,1,2,2,3,3,10,10,11,11,12,12,12−テトラデカフルオロ−4,4,9,9−テトラキス(トリフルオロメチル)ドデカ−6−エンからの2,3−ビス(3,3,4,4,5,5,5−ヘプタフルオロ−2,2−ビス(トリフルオロメチル)ペンチル)オキシランの合成
(Z)−1,1,1,2,2,3,3,10,10,11,11,12,12,12−テトラデカフルオロ−4,4,9,9−テトラキス(トリフルオロメチル)ドデカ−6−エンは、国際出願PCT第16094113号に記載されているように、Adogen464、KF及びDMFの混合物中でのcis−1,4−ジクロロ−2−ブテンのHFP二量体による置換から調製した。
【0050】
方法B:撹拌棒、温度プローブ、1/4インチFEP管、及び水冷凝縮器を備えた500mL三口丸底フラスコに、(Z)−1,1,1,2,2,3,3,10,10,11,11,12,12,12−テトラデカフルオロ−4,4,9,9−テトラキス(トリフルオロメチル)ドデカ−6−エン(340g、501mmol)を添加した。撹拌及び1/4インチFEP管を通じた空気注入を行いながら、内部温度を、215℃まで上昇させた。内部温度を215℃に保った状態で88時間撹拌した後、反応物を室温まで放冷し、空気注入を停止して、淡黄色液体を得た。GCによる粗反応物質の分析により、ハイドロフルオロオレフィン出発原料の>92%が変換し、混合物の78%は所望のハイドロフルオロエポキシドからなることが明らかにされた。減圧下(113℃、3Torr)での同心円管蒸留による精製により、2,3−ビス(3,3,4,4,5,5,5−ヘプタフルオロ−2,2−ビス(トリフルオロメチル)ペンチル)オキシラン(195g、収率55%)を淡黄色液体として得た。
【0051】
方法C:撹拌棒、温度プローブ、10ミクロンスチールフリットに接続された1/8インチFEP管2本、及び水冷凝縮器を備えた500mL四口丸底フラスコに、(Z)−1,1,1,2,2,3,3,10,10,11,11,12,12,12−テトラデカフルオロ−4,4,9,9−テトラキス(トリフルオロメチル)ドデカ−6−エン(202g、292mmol)を添加した。撹拌しながら、内部温度を205℃まで上昇させ、2つの10ミクロンスチールフリットを通じた空気注入を開始した(0.4L/分)。内部温度を205〜212℃に保った状態で87時間撹拌した後、反応物を室温まで放冷し、空気注入を停止して、159gの淡黄色液体を得た。GCによる粗反応混合物の分析により、ハイドロフルオロオレフィン出発原料の>56%が変換し、混合物の48%は、所望のハイドロフルオロエポキシド2,3−ビス(3,3,4,4,5,5,5−ヘプタフルオロ−2,2−ビス(トリフルオロメチル)ペンチル)オキシラン(76g、収率37%)からなることが明らかとなった。
【0052】
比較例CE1 (E)−1,1,1,2,2,3,3,10,10,11,11,12,12,12−テトラデカフルオロ−4,4,9,9−テトラキス(トリフルオロメチル)ドデカ−6−エンのMCPBA酸化の試み
方法A:水冷凝縮器及び磁気撹拌棒を備えた二口フラスコに、ジクロロメタン(DCM、50mL)及び(E)−1,1,1,2,2,3,3,10,10,11,11,12,12,12−テトラデカフルオロ−4,4,9,9−テトラキス(トリフルオロメチル)ドデカ−6−エン(30g、43mmol)を添加した。得られた混合物を0℃まで冷却した。得られた混合物に、3−クロロペルオキシ安息香酸(MCPBA、20.2gの50%水溶液、59mmol)をゆっくりと加えた後、同じ温度で12時間撹拌した。粗反応物質のGC−FID分析は、出発原料のみを示し、酸化生成物を示すピークは存在しなかった。
【0053】
方法B:水冷凝縮器及び磁気撹拌棒を備えた二口フラスコに、ジクロロメタン(DCM)、50mL)及び(E)−1,1,1,2,2,3,3,10,10,11,11,12,12,12−テトラデカフルオロ−4,4,9,9−テトラキス(トリフルオロメチル)ドデカ−6−エン(30g、43mmol)を添加した。室温で撹拌しながら、3−クロロペルオキシ安息香酸(MCPBA、20.2gの50%水溶液、59mmol)を滴加し、得られた混合物をゆっくり加熱還流した後、12時間撹拌した。粗反応物質のGC−FID分析は、出発原料のみを示し、酸化生成物を示すピークは存在しなかった。
【0054】
比較例CE2 (Z)−1,1,1,2,2,3,3,10,10,11,11,12,12,12−テトラデカフルオロ−4,4,9,9−テトラキス(トリフルオロメチル)ドデカ−6−エンのMo(CO)触媒酸化
水冷還流凝縮器、温度プローブ、及び撹拌棒を備えた三口丸底フラスコに、(Z)−1,1,1,2,2,3,3,10,10,11,11,12,12,12−テトラデカフルオロ−4,4,9,9−テトラキス(トリフルオロメチル)ドデカ−6−エン(30g、43mmol)、モリブデンヘキサカルボニル(1.2g、4.3mmol)、N−ヒドロキシフタルイミド(0.71g、4.3mmol)、及びエチルベンゼン(5.4g、51mmol)を添加した。混合物を撹拌した後、酸素ガスを充填し、還流凝縮器にバルーンを装備して、反応の間終始酸素ガス雰囲気を維持した。混合物を100℃までゆっくりと加熱し、終夜攪拌した。次いで、得られた混合物をGC−FIDにより分析した。酸化生成物を示すピークは観察されなかった。
【0055】
適用例AE1:2,3−ビス(3,3,4,4,5,5,5−ヘプタフルオロ−2,2−ビス(トリフルオロメチル)ペンチル)オキシランの熱安定性
水冷凝縮器、温度プローブ、磁気撹拌棒、及び10ミクロンのスチールフリットに接続された1/8インチFEP管を備えた250mL三口丸底フラスコに、2,3−ビス(3,3,4,4,5,5,5−ヘプタフルオロ−2,2−ビス(トリフルオロメチル)ペンチル)オキシラン(70.4g、99mmol)を加えた。0.4L/分の速度で10ミクロンのスチールフリットを通した空気の注入を開始し、撹拌しながら内部温度を220℃にゆっくりと上昇させた。温度を215℃〜220℃に保持した状態で72時間撹拌した後、物質を室温まで放冷した。得られた物質を秤量し(70.3g、99mmol)、GC分析により、分解はなく、最終混合物が約99.4%の2,3−ビス(3,3,4,4,5,5,5−ヘプタフルオロ−2,2−ビス(トリフルオロメチル)ペンチル)オキシラン出発原料を含有することが明らかになった。
【0056】
適用例(AE2):2,3−ビス(3,3,4,4,5,5,5−ヘプタフルオロ−2,2−ビス(トリフルオロメチル)ペンチル)オキシランの高温での化学的安定性
秤量した量の調製例PE1をガラスバイアル瓶に充填し、次いで秤量した量の吸収剤を添加することによって化学的安定性を評価した。サンプルを65℃で加熱しながら16時間撹拌し、次いで、GC−FIDによって分析して、何らかの分解生成物が形成されたか否か、及び純度のレベルが変化したかどうかを判定した。様々な吸収剤を使用した試験結果を表1に示す。このデータは、この物質が、高温において様々な吸収剤の存在下で安定性を示すことから、熱伝達及び気相はんだ付け用途に有用となり得ることを示す。
【表2】
【0057】
適用例(AE3):2,3−ビス(3,3,4,4,5,5,5−ヘプタフルオロ−2,2−ビス(トリフルオロメチル)ペンチル)オキシランの蒸気圧
蒸気圧は、ASTM E1719−97「エブリオメトリによる蒸気圧測定」に記載されている撹拌フラスコエブリオメータ法を用いて測定した。この方法は、「動的還流(Dynamic Reflux)」とも呼ばれる。この方法は、50mLのガラス製丸底フラスコを使用する。J−KEM真空制御装置(J−KEM Scientific(Saint Louis,MO,US))を使用して、真空を測定及び制御した。圧力変換器を、全真空及び電子気圧計との比較によって測定日に較正した。手順は、物質をゆっくりと加熱し始めた後、沸騰が起きるまで真空を適用し、一定の滴加還流速度を確定した。ポット温度及び圧力の読み取り値を記録した後、真空制御装置をより高い絶対圧力に設定し、新たな還流点が確定されるまで物質を更に加熱した。大気中沸点までの蒸気圧曲線が得られるまで、圧力レベルを徐々に上昇させた。調製例1(PE1)の蒸気圧を表2に示す。760mmHgにおけるPE1の沸点は238.3℃であった。この蒸気圧データは、この物質が熱伝達及び気相はんだ付け用途において有用であることを示す。
【表3】
【0058】
適用例(AE4):2,3−ビス(3,3,4,4,5,5,5−ヘプタフルオロ−2,2−ビス(トリフルオロメチル)ペンチル)オキシランの動粘度
動粘度は、ガラス製のSCHOTTウベローデキャピラリー粘度計(Xylem,Inc.,Germany)を使用して測定した。SCHOTT AVS350粘度タイマーを使用して粘度計を計時した。10℃の温度では、Lawler温度制御槽を使用した(Lawler Manufacturing Corp.,Edison,NJ,US)。粘度計測定スタンド及びガラス粘度計を、槽液としてNOVEC 7500(3M Company(Saint Paul,MN,US))を充満した温度制御液槽に浸漬した。Lawler温度槽に、槽の電子温度制御ヒーターによって提供される微細な温度制御を有する液体窒素冷却のための銅管コイルを取り付けた。流体を機械的に撹拌して、槽内の温度を均一にした。槽は、内蔵の抵抗温度検出器(RTD)温度センサによって測定される温度を±0.1℃以内に制御した。サンプル液を、粘度計上にエッチングされた2本の充填ラインの間で、粘度計に添加した。AVS−350は、上部タイミングマークの上方にサンプル流体を自動的に圧送し、次いで流体を放出し、上部タイミングマークと下部タイミングマークとの間の流出時間を測定した。流体メニスカスは、各タイミングマークを通過したときに光学センサによって検出された。サンプルを取り出し、繰り返し測定し、複数の測定値を平均した。ガラス粘度計を、Canon認定動粘度標準流体を使用して較正し、各粘度計に対して較正定数(センチストークス/秒)を得た。動粘度(センチストークス)の測定値は、平均流出時間(秒)×使用した粘度計の定数(センチストークス/秒)として計算した。表3は、調製例1(PE1)の結果の概要を示す。このデータは、この物質が、より高温で良好な粘度を有することにより、熱伝達及び気相はんだ付け用途のための流体としての使用が可能であることを実証する。
【表4】
【0059】
当業者には、本開示の範囲及び趣旨から逸脱することのない、本開示に対する様々な改変及び変更が明らかとなるであろう。本開示は、本明細書に記載した例示的な実施形態及び実施例によって不当に制限されることは意図していないこと、並びにそのような実施例及び実施形態は、以下のような本明細書に記載の特許請求の範囲によってのみ限定されることを意図した本開示の範囲内の例示としてのみ提示されることを理解されたい。本開示に引用される参照文献は全て、参照によりその全体が本明細書に援用される。
【国際調査報告】