(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】2021500455
(43)【公表日】20210107
(54)【発明の名称】活性ポリスチレンフィルム
(51)【国際特許分類】
   C08L 25/06 20060101AFI20201204BHJP
   B65D 65/02 20060101ALI20201204BHJP
   B65D 65/40 20060101ALI20201204BHJP
   C08L 23/08 20060101ALI20201204BHJP
   C08K 5/00 20060101ALI20201204BHJP
   B32B 27/30 20060101ALI20201204BHJP
   A01P 3/00 20060101ALN20201204BHJP
   A01N 47/44 20060101ALN20201204BHJP
   A01N 25/10 20060101ALN20201204BHJP
【FI】
   !C08L25/06
   !B65D65/02 E
   !B65D65/40 D
   !C08L23/08
   !C08K5/00
   !B32B27/30 B
   !A01P3/00
   !A01N47/44
   !A01N25/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】37
(21)【出願番号】2020523387
(86)(22)【出願日】20181024
(85)【翻訳文提出日】20200623
(86)【国際出願番号】ES2018070691
(87)【国際公開番号】WO2019086734
(87)【国際公開日】20190509
(31)【優先権主張番号】P201731261
(32)【優先日】20171027
(33)【優先権主張国】ES
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】513107595
【氏名又は名称】ビスコファン,エセ.アー
【住所又は居所】スペイン国 エ‐31192 タホナル(ナバーラ) ポリゴノ インドゥストリアル ベローア セ/ベローア ヌメロ 15 クアルト ペエレ
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【弁理士】
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100120754
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 豊治
(74)【代理人】
【識別番号】100196597
【弁理士】
【氏名又は名称】横田 晃一
(72)【発明者】
【氏名】ガジェゴ・カストロ,ラウル
【住所又は居所】スペイン国バリャドリッド,47195 アロヨ・デ・ラ・エンコミエンダ,エミリオ・アラルコス 10,1ア
(72)【発明者】
【氏名】コルデロ・セラーダ,ルルシア
【住所又は居所】スペイン国 17003 ジローナ,カレル・デ・ラ・ルッリャ 174−テルセーロ イ
【テーマコード(参考)】
3E086
4F100
4H011
4J002
【Fターム(参考)】
3E086AD13
3E086BA02
3E086BA04
3E086BA15
3E086BB90
3E086CA01
4F100AK04A
4F100AK04C
4F100AK12A
4F100AK12B
4F100AK12C
4F100AK68A
4F100AK68C
4F100AK71A
4F100AK71C
4F100AL01A
4F100AL01C
4F100AL05A
4F100AL05C
4F100BA03
4F100BA06
4F100BA10A
4F100BA10C
4F100EH17
4F100EH20
4F100GB23
4F100JA11A
4F100JA11B
4F100JA11C
4F100JK10B
4F100YY00A
4F100YY00B
4F100YY00C
4H011AA02
4H011BB04
4H011BC19
4H011DA07
4H011DD07
4H011DH02
4J002AE033
4J002BB062
4J002BB072
4J002BC031
4J002CH024
4J002DA076
4J002DA106
4J002EG026
4J002EG047
4J002EH047
4J002EH057
4J002EL096
4J002EP017
4J002EV086
4J002FD076
4J002FD186
4J002FD203
4J002FD207
4J002FD314
4J002GG02
(57)【要約】
本発明は、活性ポリマー材料の分野に属する。特に、本発明は、抗微生物活性又は酸化防止活性を有する活性ポリスチレンフィルム、及びかかるフィルムの製造方法に関する。それはまた、かかるフィルムを含むラップ、包装材、及びスライスセパレータ(インターリーブ)にも関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
食品と接触する用途のためのポリスチレンフィルムであって、
・60〜75%(w/w)のポリスチレン結晶(PS);
・10〜35%(w/w)の、15〜40%w/wEMPのコモノマー含量を有する極性モノマーとのエチレンコポリマー(EMP);
・酸化防止剤及び抗微生物剤からなる群から選択される活性物質;
・0.5%〜2%(w/w)の移行剤(MA);
・0〜15%(w/w)、前記活性物質が前記抗微生物剤である場合には3〜15%の、8より大きいHLBを有する乳化剤(EA);
を含む少なくとも1つの層を含み;
PS/(EMP+EA)の比は1.2及び7.5の間である、上記ポリスチレンフィルム。
【請求項2】
PSの含量が64〜70%(w/w)であり、EMPの含量が16〜30%(w/w)であり、PS/(EMP+EA)の比が1.5及び4.4の間である、請求項1に記載のフィルム。
【請求項3】
EMPが、エチレン酢酸ビニルコポリマー(EVA)、エチレンアクリル酸メチルコポリマー(EMA)、エチレンアクリル酸エチルコポリマー(EEA)、エチレンアクリル酸ブチルコポリマー(EBA)、及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1又は2に記載のフィルム。
【請求項4】
EMPがEVAである、請求項3に記載のフィルム。
【請求項5】
PSが前記少なくとも1つの層の唯一のポリスチレンである、請求項1〜4のいずれかに記載のフィルム。
【請求項6】
PSが、200℃及び5kgにおいて10〜40g/10分の間のMFI(メルトフローインデックス)を有するPS(PS1)、及び/又は200℃及び5kgにおいて2〜5g/10分のMFIを有するPS(PS2)を含む、請求項1〜5のいずれかに記載のフィルム。
【請求項7】
EMPが、190℃及び2.16kgにおいて15〜50g/10分の間のMFIを有するEMP(EMP1)、及び/又は190℃及び2.16kgにおいて2〜5g/10分のMFIを有するEMP(EMP2)を含む、請求項1〜6のいずれかに記載のフィルム。
【請求項8】
前記少なくとも1つの層中の前記活性物質の含量が0.5〜6%(w/w)である、請求項1〜7のいずれかに記載のフィルム。
【請求項9】
前記乳化剤が、ポリエチレングリコール400ジオレエート、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレン(20)ソルビタントリエステアレート、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、エチレン40ポリオキシドステアレート、ソルビタンモノラウレート、及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1〜8のいずれかに記載のフィルム。
【請求項10】
前記乳化剤がポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートである、請求項9に記載のフィルム。
【請求項11】
前記活性物質が酸化防止剤であり、前記乳化剤の含量が0〜5%、好ましくは0〜3%である、請求項1〜10のいずれかに記載のフィルム。
【請求項12】
前記物質が酸化防止剤であり、これは、トコフェロール、緑茶エキス、オリーブ葉エキス、ローズマリーエキス、ブドウ種子エキス、コーヒーエキス、脱水アセロラ、45%より高いフラボノイドの濃度を有する柑橘エキス、5%より高いリコペンの濃度を有するトマトエキス、果実エキス、チモール、及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1〜11のいずれかに記載のフィルム。
【請求項13】
前記酸化防止剤がトコフェロール又は緑茶エキスである、請求項12のいずれかに記載のフィルム。
【請求項14】
前記活性物質が抗微生物剤であり、前記乳化剤の含量が3〜12%、好ましくは5〜10%である、請求項1〜10のいずれかに記載のフィルム。
【請求項15】
前記活性物質が抗微生物剤であり、これは、無水酢酸ナトリウム、ナイシン、リゾチーム、Ag及びその塩、Zn及びその塩、エチルNα−ドデカノイル−L−アルギネート(LAE)、その塩、LAE塩酸塩、糖脂質バイオサーファクタント、及びそれらの混合物からなる群から選択される抗細菌剤である、請求項1〜10及び14のいずれかに記載のフィルム。
【請求項16】
前記抗細菌剤がLAE塩酸塩である、請求項15に記載のフィルム。
【請求項17】
前記活性物質が抗微生物剤であり、これは、C〜C10モノ、ジ、トリグリセリド、モノラウリン、ナイシン、リゾチーム、糖脂質バイオサーファクタント、LAE及びその塩、LAE塩酸塩、及びそれらの混合物からなる群から選択される抗真菌剤である、請求項1〜10及び14のいずれかに記載のフィルム。
【請求項18】
前記抗真菌剤が、C〜C10モノ、ジ、トリグリセリド、又はLAE塩酸塩である、請求項17に記載のフィルム。
【請求項19】
前記移行剤が、脂肪酸アミド、脂肪酸エステル、金属ステアレート、ワックス、及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1〜18のいずれかに記載のフィルム。
【請求項20】
前記移行剤が、エルカミド、オレアミド、グリセロールモノステアレート(MG)、ステアリン酸亜鉛、ワックス、及びそれらの混合物からなる群から選択され、好ましくはMG及び/又はエルカミドである、請求項19に記載のフィルム。
【請求項21】
単層である、請求項1〜20のいずれかに記載のフィルム。
【請求項22】
多層である、請求項1〜20のいずれかに記載のフィルム。
【請求項23】
前記フィルムが、請求項1〜20のいずれかに記載の少なくとも1つの層、及び活性物質を含まない少なくとも1つの層を含む、請求項22に記載のフィルム。
【請求項24】
3つの層を含み、2つの外側層のそれぞれが請求項1〜20のいずれかに記載の層であり、中間層が前記物質を含まない層である、請求項23に記載のフィルム。
【請求項25】
前記活性物質を含まない層が、結晶性ポリスチレン及び耐衝撃性ポリスチレンを含む、請求項23又は24に記載のフィルム。
【請求項26】
前記活性物質を含まない層が、60〜90%の結晶性ポリスチレン及び10〜40%の耐衝撃性ポリスチレンを含む、請求項25に記載のフィルム。
【請求項27】
請求項1〜26のいずれかに記載のフィルムを含む、スライス分離フィルム。
【請求項28】
請求項1〜26のいずれかに記載のフィルムから製造されるか、又は前記フィルムを含む、食品ラップ又は包装材。
【請求項29】
食品包装のため、又は食品スライスセパレータとしての、請求項1〜26のいずれかに記載のフィルムの使用。
【請求項30】
請求項1に記載のフィルムの製造方法であって、
(a)・60〜75%(w/w)のPS;
・10〜35%(w/w)の、15〜40%w/wEMPのコモノマー含量を有するEMP;
・酸化防止剤及び抗微生物剤からなる群から選択される活性物質;
・0.5%〜2%(w/w)のMA;
・0〜15%(w/w)、前記活性物質が前記抗微生物剤である場合には3〜15%の、8より大きいHLBを有するEA;
を含み;
PS/(EMP+EA)の比は1.2及び7.5の間であるポリマー組成物を用意する工程;及び
(b)(a)の前記ポリマー組成物を含む少なくとも1つの層を有するフィルムを形成する工程;
を含む上記方法。
【請求項31】
前記乳化剤及び前記活性物質を、濃縮物又はマスターバッチの形態で(a)の前記組成物に加える、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記フィルムが、共押出、押出ブロー、ダブル又はトリプルバブルフィルム押出、押出−フラットフィルム又はキャスト、熱成形、積層、又はブロー成形によって形成される、請求項30又は31に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品の保護及び/又は保存期間の延長のための活性物質を放出するポリマー材料の分野に関する。特に、本発明は、抗微生物(antimicrobial)活性又は酸化防止活性を有する活性ポリスチレンフィルム、及びかかるフィルムの製造方法に関する。本発明はまた、かかるフィルムを含むラップ、包装材、及びスライス分離フィルム(インターリーブ)に関する。
【背景技術】
【0002】
食品の酸化安定性及び微生物安定性を改善し、これによりそれらの保存期間を延長するために、酸化防止剤及び抗微生物剤がそれぞれ製品に直接添加される添加剤として使用されている。
【0003】
而して、食品を長時間保護するために、食品の加工中又は包装の前に酸化防止剤又は抗微生物剤を比較的多量に直接添加することは一般的な方法である。貯蔵及び販売の間において、その初期量はその酸化防止又は抗微生物効果を発揮するにつれて徐々に減少し、最終的には消失する。これは、酸化反応が開始し、製品が劣化し始める時期、又は製品中に存在する微生物が増殖し始める時期である。
【0004】
包装された食品における酸化反応は、表面、特に包装材の壁部を通って拡散する酸素又は光を最初に受容する部分において開始するので、酸化防止剤を適用するためのビヒクルとして包装材を使用するシステムが開発されている。
【0005】
同様に、微生物汚染を最も受けやすい包装食品の部分はその表面であり、抗微生物剤を適用するためのビヒクルとして包装材を使用する異なるシステムが記載されている。
食品用のフィルム及び包装材の製造者は、酸化防止又は抗微生物特性を有するフィルム及び包装材を開発しようと数十年を費やしてきた。種々の製品が文献に記載されている。
【0006】
US−8,343,522−B2は、バイオポリマー、特にセルロース系及びタンパク質系のもの(例えば、コラーゲン)に基づく抗微生物処理のためのコーティングされたシートを記載している。このシートは、少なくとも1種類のα−アミノ酸エステルで含浸又はコーティングされており、かかるα−アミノ酸はフィルムに共有結合しているので抗微生物性である。かかる共有結合により、抗微生物剤は媒体中に放出されることができない。
【0007】
WO−2017/049364−A1は、ポリマー材料及び酸化防止剤を含む食品包装材料を記載している。特に、示された試験においては、ポリマー材料はポリエチレン樹脂であり、酸化防止剤はローズマリーエキスである。
【0008】
US−2012/0276357−A1は、少なくとも89%のポリマー物質、2〜10%の間のトコフェロール、及び0.1〜1%の間の表面改質剤を含む、酸化防止活性を有する包装材料を記載する。特に、示された試験においては、ポリマー物質は低密度ポリエチレンである。
【0009】
US−8,734,879は、保存特性を有する包装材料によって食品を保存する方法を開示する。かかる包装材料は、ポリマー材料に組み込まれた、Nα−ラウロイル−L−アルギニンエチルエステル塩、及びグリセロールモノラウレートを含むアシルモノグリセリドを含む。かかる文献は、Nα−ラウロイル−L−アルギニンエチルエステル塩とグリセロールモノラウレートとの間のみで防腐作用に対する相乗作用を示しており、他の化合物を用いた試験はない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】US−8,343,522−B2
【特許文献2】WO−2017/049364−A1
【特許文献3】US−2012/0276357−A1
【特許文献4】US−8,734,879
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
現在まで、本発明者らは、これらの製品が市場において存在することは知らない。特に、それらは、本発明者らは、酸化防止又は抗微生物特性を有するポリスチレンスライスセパレータを見出していない。
【0012】
驚くべきことに、本発明の著者らは、活性物質がフィルムの表面に向かって移行し、フィルム製造プロセスに関係なくそれらの機能を維持するフィルムを開発した。このフィルムを使用すると、酸化防止又は抗微生物特性を有する食品用のスライスセパレータ、ラップ、及び包装材を製造することができる。而して、これらのセパレータ、ラップ、及び包装材は、それらが接触する食品に対して酸化防止又は抗微生物特性を与える。これは幾つかの重要な有利性が考えられ、その中でもこれらの製品の賞味期間の延長を強調することができる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、第1の態様においては、食品と接触する用途のためのポリスチレンフィルムであって、
・60〜75%(w/w)結晶性ポリスチレン(以下、PSと呼ぶ。);
・10%〜35%(w/w)の、EMPの全重量に対して15〜40重量%(w/wEMP)のコモノマー含量を有する極性モノマーとのエチレンコポリマー(以下、EMPと呼ぶ);
・酸化防止剤及び抗微生物剤からなる群から選択される活性物質;
・0.5%〜2%(w/w)の移行剤(migration agent)(以下、MAと呼ぶ);
・0〜15%(w/w)、活性物質が抗微生物剤である場合には3〜15%(w/w)の、8より高いHLBを有する乳化剤(以下、EAと呼ぶ);
を含み;PS/(EMP+EA)の比は1.2及び7.5の間である少なくとも1つの層を含む上記ポリスチレンフィルムに関する。
【0014】
本発明の第2の態様は、本発明の第1の態様によるフィルムを含むスライス分離フィルム(インターリーバ)に関する。
本発明の第3の態様は、本発明の第1の態様によるフィルムから製造されるか又はそれを含む食品包装材又はラップに関する。
【0015】
本発明の第4の態様は、食品包装のため、又は食品分離フィルムとしての、本発明の第1の態様によるフィルムの使用に関する。
本発明の第5の態様は、本発明の第1の態様によるフィルムの製造方法に関する。
【0016】
本出願の他の目的、特徴、利点、及び態様は、説明及び添付の特許請求の範囲から当業者には明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1A】図1は、時間(日数)の関数としての細菌増殖(logCFU/mL)のグラフ表示(ここで、赤の四角は対照であり、青の三角はEMPを含まないフィルムであり、緑の菱形はEMPを含むフィルムである)である。パネルAにおいてはリステリアの当初の濃度は10であり、パネルBにおいては10であった。
【図1B】図1は、時間(日数)の関数としての細菌増殖(logCFU/mL)のグラフ表示(ここで、赤の四角は対照であり、青の三角はEMPを含まないフィルムであり、緑の菱形はEMPを含むフィルムである)である。パネルAにおいてはリステリアの当初の濃度は10であり、パネルBにおいては10であった。
【図2A】図2は、時間(日数)の関数としての細菌増殖(logCFU/mL)のグラフ表示(ここで、赤の四角は対照であり、青の三角はPSを含まないフィルムであり、緑の菱形はPSを含むフィルムである)である。パネルAにおいてはリステリアの当初の濃度は10〜10であり、パネルBにおいては10〜10であった。
【図2B】図2は、時間(日数)の関数としての細菌増殖(logCFU/mL)のグラフ表示(ここで、赤の四角は対照であり、青の三角はPSを含まないフィルムであり、緑の菱形はPSを含むフィルムである)である。パネルAにおいてはリステリアの当初の濃度は10〜10であり、パネルBにおいては10〜10であった。
【図3A】図3は、時間(日数)の関数としての細菌増殖(logCFU/mL)のグラフ表示(ここで、赤の四角は対照であり、青の三角はEAを含まないフィルムであり、緑色の菱形はEAを含むフィルムである)である。パネルAにおいてはリステリアの当初の度は10であり、パネルBにおいては10であった。
【図3B】図3は、時間(日数)の関数としての細菌増殖(logCFU/mL)のグラフ表示(ここで、赤の四角は対照であり、青の三角はEAを含まないフィルムであり、緑色の菱形はEAを含むフィルムである)である。パネルAにおいてはリステリアの当初の度は10であり、パネルBにおいては10であった。
【図4】図4は、時間(日数)の関数としての細菌増殖(logCFU/mL)のグラフ表示(ここで、赤の四角は対照であり、緑の菱形はEAを含むフィルムであり、青の三角はEAを含まないフィルムである)である。乳酸菌の当初濃度は10であった。
【図5】図5は、時間(日数)の関数としての細菌増殖(logCFU/mL)のグラフ表示(ここで、赤の四角は対照であり、青の三角はMAを含まないフィルムであり、緑の菱形はMAを含むフィルムである)である。リステリアの当初濃度は10であった。
【図6-1】図6は、分析対象の糸状菌(mold)を接種した寒天、及び対照フィルム(パネルA)又は本発明によるフィルム(パネルB及びC)を有するペトリ皿の写真である。
【図6-2】図6は、分析対象の糸状菌を接種した寒天、及び対照フィルム(パネルA)又は本発明によるフィルム(パネルB及びC)を有するペトリ皿の写真である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本出願で使用される単数形「a/an」、「one」、及び「the」は、文脈が明確に他のことを示していない限り、それらの対応する複数形を含む。他に定義されていない限り、本明細書で使用される全ての技術用語は、本発明が関係する技術における当業者が通常理解する意味を有する。
【0019】
本発明の文脈において特定の用語の理解を容易にし、意味を明確にするために、以下の定義及びその特定の好ましい実施形態を本明細書に提供する。これらは本発明の異なる態様の全ての実施形態に適用可能である:
「結晶性ポリスチレン」(PS)(非晶質ポリスチレン又は汎用ポリスチレン(GPPS:汎用ポリスチレンに関する頭字語)としても知られる)は、その平均分子量が100,000g/モル及び400,000g/モルの間であるポリマーである。これは、透明で、硬質で、脆性で、100℃より低い温度においてガラス質である。この温度より高い温度においては、これは容易に加工でき、複数の形状を与えることができる。これは完全にアタクチックであり、即ちフェニル基は中心鎖の一つの側又は他方の側に特定の順番ではなく分配され、したがってこれは完全に非晶質のポリマーである。
【0020】
耐衝撃性ポリスチレン又は中衝撃ポリスチレンとも呼ばれる「変性耐性ポリスチレン」(HIPS、耐衝撃性ポリスチレンの頭字語)は、スチレン骨格及びグラフトされたポリブタジエン鎖を含んでいるので、グラフトコポリマーである。このコポリマーは耐摩耗性であり、高い耐衝撃性を有する。
【0021】
「乳化剤」(EA)とは、8より高いHLBを有し、200℃以下の温度において加工可能であり、食品に接触する場合及び/又は食用である場合にその使用が容認される任意の乳化剤を指す。EAは、媒体中での活性物質の溶解度及びその放出を促進する。特定の実施形態において、EAは、ポリエチレングリコール400ジオレエート(PEG400DO)、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート(Tween(登録商標)20)、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノパルミテート(Tween(登録商標)40)、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノステアレート(Tween(登録商標)60)、ポリオキシエチレン(20)ソルビタントリステアレート(Tween(登録商標)65)、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート(Tween(登録商標)80)、エチレンポリオキシド40ステアレート(PEO40−S)、ソルビタンモノラウレート(Span(登録商標)20)、及びこれらの混合物からなる群から選択される。好ましい実施形態においては、EAは、PEG400DO、Tween(登録商標)80、PEO40−S、及びそれらの混合物からなる群から選択され、より好ましくはEAはTween(登録商標)80である。
【0022】
「移行剤」(以下、MAと呼ぶ)は、疎水性部分及び親水性部分を含む分子を指し、これにより分子がポリマーマトリックスと非相溶性になり、ポリマーマトリックスを通して分子の拡散を引き起こし、その親水性部分を外側に向けて、その疎水性部分をポリマーに向けて表面上に蓄積する。この分子のそれ自体が配向し、拡散し、表面上に蓄積する傾向のために、疎水性鎖によって引き寄せられる活性物質の同伴を引き起こす。特定の実施形態においては、MAは、脂肪酸アミド(例えば、エルカミド及びオレアミド)、脂肪酸エステル(例えば、グリセロールモノステアレート(MG))、金属ステアレート(例えば、ステアリン酸亜鉛)、ワックス、及びそれらの混合物からなる群から選択される。特定の実施形態においては、脂肪酸エステルはグリセロールモノラウレートを含まない。好ましくは、MAは、エルカミド、オレアミド、MG、ステアリン酸亜鉛、ワックス、及びそれらの混合物からなる群から選択され、より好ましくはMAはMG又はエルカミドである。
【0023】
「酸化防止剤」(以下、AO剤と呼ぶ)は、とりわけ脂肪の酸敗、及び/又は食品、特に肉の褐変を防止する酸化防止特性を有する薬剤である。特定の実施形態においては、AO剤は、トコフェロール、緑茶エキス、オリーブ葉エキス、ローズマリーエキス、ブドウ種子エキス、コーヒーエキス、脱水アセロラ(例えば、17%〜25%のビタミンCを有する脱水アセロラ粉末)、45%より高いフラボノイド濃度を有する柑橘エキス、5%より高いリコピン濃度を有するトマトエキス(例えば、LYCOSEEN(登録商標))、果実エキス(例えば、Polyfence(登録商標)2)、チモール、及びそれらの混合物からなる群から選択される。好ましくは、AO剤は、トコフェロール、茶エキス、及びそれらの混合物から選択され、より好ましくはトコフェロールである。トコフェロールは、α、β、γ又はそれらの混合物(例えば、CAS−59−02−9、16698−35−4、54−28−4、119−13−1)であってよく、好ましくはα−トコフェロール、β−トコフェロール、及びγ−トコフェロールの混合物である。
【0024】
「抗微生物剤」(antimicrobial agent)(以下、AM剤と呼ぶ)は、細菌(グラム陽性及び/又はグラム陰性)、真菌、又は酵母に対する活性剤である。而して、これは、抗細菌剤(antibacterial agent)、抗真菌剤(antifungal agent)、又は抗酵母剤(anti-yeast agent)であってよい。これは、前記の微生物の幾つかに対して活性である薬剤であってもよい。好ましい実施形態において、AMは抗細菌及び/又は抗真菌剤である。
【0025】
「抗細菌剤」(以下、「AB」と呼ぶ)は、細菌の成長を抑止することができる(静細菌効果)か、細菌を殺すことができる(殺細菌効果)薬剤である。本発明においては、AB剤を用いた場合と用いない場合で少なくとも2の対数単位の細菌増殖の差がある場合に「静細菌効果」があるとみなされる。特定の実施形態においては、AB剤は、無水酢酸ナトリウム、ナイシン、リゾチーム、Ag及びその塩、Zn及びその塩、エチルNα−ドデカノイル−L−アルギネート(以下、LAEと呼ぶ)、LAE塩、並びに糖脂質バイオサーファクタントからなる群より選択される。LAE塩の中には、LAE塩酸塩(以下、LAE−Clと呼ぶ)がある。糖脂質バイオサーファクタントの中には、ラムノ脂質、ソホロ脂質、キシル脂質、及びマンノセイトライト脂質がある。好ましくは、AB剤は、LAE、その塩、好ましくはLAE−Cl、及びそれらの混合物から選択され、より好ましくは、AB剤は、LAE又はLAE−Cl(例えば、CAS−60372−77−2)である。
【0026】
「抗真菌剤」(以下、AF剤と呼ぶ)は、殺真菌性(糸状菌を殺す)及び/又は静真菌性(糸状菌の成長を抑止する)を有する薬剤である。特定の実施形態においては、AF剤は、中鎖モノ−、ジ−、及びトリグリセリド、モノラウリン、ナイシン、リゾチーム、バイオサーファクタント糖脂質、LAE及びその塩、特にLAE−Cl、並びにそれらの混合物の混合物からなる群から選択される。より特には、AF剤は、中鎖モノ−、ジ−、及びトリグリセリド、ナイシン、リゾチーム、糖脂質バイオサーファクタント、LAE及びその塩、特にLAE−Cl、並びにそれらの混合物の混合物からなる群から選択される。本発明においては、「中鎖グリセリド」は、C〜C12鎖、好ましくはC〜C10のものであると理解される。好ましい実施形態においては、AF剤は、LAE、LAE−Cl、C〜C10モノ−、ジ−、及びトリグリセリド(例えば、CAS−91744−32−0)である。
【0027】
それぞれの国に適用される食品規制は、食品と接触する可能性のある物質の数及びその限界を規制する。この物質は、それらの元の形態だけでなく、pHの変化、熱、湿度などへの曝露、又は加水分解による分解の後にも、食品との接触に好適でなければならない。而して本発明においては、本発明のフィルムはフィルムと食品との間に接触がある用途のためのものであるので、本発明のフィルムの全ての成分は食品との接触及び摂取に好適でなければならない。
【0028】
本発明のポリスチレンフィルムの目的は、製品の外観を改善し、製品の賞味期間を延ばす等のために、それと接触している食品に酸化防止又は抗微生物保護を与えることである。フィルムが機能性を有するように最小量の活性物質を放出するためには、ポリスチレンの一部を、適切な極性及び粘度を有する、それと相溶性のポリマーで置き換えることが必要である。この場合、かかる相溶性ポリマーは、所定のコモノマー含量を有するEMPである。本発明のフィルムは、PS及びEMPを含むポリマーマトリックス(以下、プラスチック樹脂又は樹脂とも呼ぶ)を含む。而して、本発明は、第1の態様においては、食品と接触する用途のためのポリスチレンフィルム(以下、本発明のフィルムと呼ぶ)であって、
・60〜75%(w/w)のPS;
・10〜35%(w/w)の、15〜40%(w/wEMP)のコモノマー含量を有するEMP;
・酸化防止剤及び抗微生物剤からなる群から選択される活性物質;
・0.5%〜2%(w/w)のMA;
・0〜15%(w/w)、活性物質が抗微生物剤である場合には3〜15%(w/w)の、8より高いHLBを有するEA;
を含む少なくとも1つの層を含み;
PS/(EMP+EA)の比は1.2及び7.5の間である上記ポリスチレンフィルムに関する。
【0029】
かかる少なくとも1つの層は活性物質を含む(以下、「活性層」と呼ぶ)。
他に特定しない限り、本明細書で使用されるパーセントは、それが活性層であるか否かにかかわらず、層の総重量に対する重量パーセント(w/w)で与えられる。フィルムは1つの層(これは活性層である)を有する場合があり、又は複数の層(これらの少なくとも1つは活性層である)を有する場合があるので、重量パーセントはフィルムの総重量に対しては与えられない。
【0030】
上記に規定された本発明のフィルムの技術的特徴によって、前記物質が通常は熱不安定性であっても、それが含む活性物質の機能を維持することが可能であり、良好な加工性を有する(例えば、ポリマー混合物は、相分離なしに押出機を通って流すことができ、熱可塑性樹脂に関して使用される成形方法によって変形可能な均一な溶融物を得ることが可能である)フィルムがもたらされる。更に、活性層に関して指定された特定の組成物によって、活性物質を層のポリマーマトリックス内に均一に分配し、媒体(例えば、それが接触している食品)中に放出して、そこで活性物質がその活性(例えば、酸化防止性又は抗微生物性)を発揮するようにすることが可能である。このようにして、本発明において規定される活性層を含む本発明のフィルムは、かかる層と接触している食品に酸化防止又は抗微生物保護を効率的に与える。
【0031】
本発明のフィルムの好ましい実施形態においては、PS含量は64〜70%(w/w)であり、EMP含量は16〜30%(w/w)であり、PS/(EMP+EA)の比は1.5及び4.4の間である。実施例において示されるように、この好ましい実施形態によるフィルムは、驚くほど有効な方法で酸化防止及び抗微生物保護を与える。
【0032】
実施例において示されるように、移行及び酸化防止又は抗微生物活性はフィルムの組成によって定まり、フィルムが、酸化防止又は抗微生物活性を効率的に与えるように本発明において規定される組成を有することが重要である。具体的には、PS成分については、1つ又は複数の活性層が、ポリエチレンのような他のポリマー材料ではなく結晶性ポリスチレンを有することが重要である(実施例4参照)。而して、本発明のフィルムの特定の実施形態においては、活性層はポリスチレン成分として結晶性ポリスチレン(PS)のみを含み、即ち、PSは1つ又は複数の活性層の唯一のポリスチレンタイプの材料である(例えば、活性層はHIPSを含まない)。先の実施形態のいずれかによる別の特定の実施形態においては、1つ又は複数の活性層はセルロース及び/又はポリエチレンを含まず、より特には本発明の第1の態様のいずれかの実施形態による本発明のフィルムは、セルロース及び/又はポリエチレンを含まない。好ましくは、1つ又は複数の活性層は、PS及びEMP以外の他のポリマー材料を含まない。
【0033】
本発明の特定の実施形態においては、PSは異なるタイプの結晶性ポリスチレンを含み、より特にはPSは異なるMFI(メルトフローインデックスの頭字語)を有する結晶性ポリスチレンを含む。前述の実施形態のいずれかによる好ましい実施形態においては、PSは、200℃及び5kgにおいて10〜40g/10分の間、より好ましくは200℃及び5kgにおいて20〜30g/10分のMFIを有するPS(以下、PS1と呼ぶ)、及び/又は200℃及び5kgにおいて2〜5g/10分、より好ましくは200℃及び5kgにおいて2.5〜4g/10分のMFIを有するPS(以下、PS2と呼ぶ)を含む。実施例において示されるように、有利なことには、これらのPS1及び/又はPS2の使用によって、活性物質の高い放出性及び活性が与えられる。
【0034】
前述の実施形態のいずれかによる別の好ましい実施形態においては、PSは少なくとも37%(w/w)のPS2を含み、これによって有利なことに活性物質の高い放出性及び活性を維持しながら優れた加工性を有する本発明の膜が与えられる。
【0035】
実施例1及び3において示されるように、EMPの不存在下では、活性物質の大きな放出も、効率的な酸化防止又は抗微生物活性も達成されないので、1つ又は複数の活性層がEMPを有することも重要である。特定の実施形態においては、EMPは、エチレン酢酸ビニルコポリマー(EVA)、エチレンアクリル酸メチルコポリマー(EMA)、エチレンアクリル酸エチルコポリマー(EEA)、エチレンアクリル酸ブチルコポリマー(EBA)、及びそれらの混合物からなる群から選択される。EMPは好ましくはEVAである。実施例において示されるように、EMPとしてEVAを使用すると、活性物質の高い放出性及び活性がもたらされる。
【0036】
本発明の特定の実施形態においては、EMPは、異なるMFIを有するEMPを含む。前述の実施形態のいずれかによる好ましい実施形態においては、EMPは、190℃及び2.16kgにおいて15〜50g/10分の間、より好ましくは190℃及び2.16kgにおいて30〜45g/10分のMFIを有するEMP(以下、EMP1と呼ぶ)、及び/又は190℃及び2.16kgにおいて2〜5g/10分、より好ましくは190℃及び2.16kgにおいて2.5〜4g/10分のMFIを有するEMP(以下、EMP2と呼ぶ)を含む。而して、EMPがEMP1を含む場合、それは、EVA1、EMA1、EEA1、EBA1、又はそれらの混合物であってよく、EMPがEMP2を含む場合、それは、EVA2、EMA2、EEA2、EBA2、又はそれらの混合物であってよい。実施例において示されるように、これらのEMP1及び/又はEMP2を使用すると、有利なことに活性物質の高い放出性及び活性が与えられる。
【0037】
前述の実施形態のいずれかによる別の好ましい実施形態においては、EMPは少なくとも5%(w/w)のEMP2を含み、これにより有利なことに本発明のフィルムに良好な加工性が与えられる。
【0038】
上記に示すように、活性物質は活性層のポリマーマトリックス内に均一に分配され、かかる活性物質はプラスチックの表面に移行することができる。かかる移行を制御し、フィルムに関して行われる任意の種類の洗浄処理から活性物質を保護するために、活性層は、0.5%〜2%(w/w)のMAを含む。驚くべきことに、実施例6において示されるように、MAを存在させることは、活性物質の移行に影響を及ぼすが、これは活性物質の寸法がMAの寸法よりも大きいために、活性物質の移行を最初の数日の間は遅延させ、また、フィルムに関して行われる洗浄から活性物質を保護し、即ち、物理的であろうと化学的であろうと、任意の洗浄プロセスによる活性物質の除去/損失を防止又は低減するからである。更に、MAが存在するので、溶融材料が金属部品に付着するのが防止され、押出機を通る溶融物の移動が容易になり、崩壊中の気泡の閉塞を回避して、それを2つの対称形のフィルム内に分離することを可能にするので、MAはフィルムの加工性に有利である。
【0039】
前段落の実施形態のいずれかによる特定の実施形態においては、移行剤は、脂肪酸アミド、グリセロールモノラウレート(モノラウリン)を除く脂肪酸エステル、金属ステアレート、ワックス、及びそれらの混合物からなる群から選択される。好ましくは、MAは、エルカミド、オレアミド、グリセロールモノステアレート、及びステアリン酸亜鉛からなる群から選択され;より好ましくは、MAはグリセロールモノステアレート及び/又はエルカミドである。
【0040】
フィルムが食品に酸化防止保護を与えることが望ましい場合には、活性物質は酸化防止剤である。したがって、前述の実施形態のいずれかによる特定の実施形態においては、活性物質は酸化防止剤であり、これは、トコフェロール、緑茶エキス、オリーブ葉エキス、ローズマリーエキス、ブドウ種子エキス、コーヒーエキス、脱水アセロラ、45%より高いフラボノイドの濃度を有するクエン酸エキス、5%より高いリコペンの濃度を有するトマトエキス、果実エキス、チモール、及びそれらの混合物からなる群より選択される。好ましくは、酸化防止剤はトコフェロール又は緑茶エキスである。
【0041】
前述の実施形態のいずれかによる特定の実施形態においては、活性物質は酸化防止剤であり、乳化剤の含量は、0〜5%、好ましくは0〜3%である。本発明のフィルムは、EAの不存在下(実施例1及び2を参照)及びその存在下(データは示さず)の両方において有効である。実施例1及び2に見られるように、EAの不在下でのAOの放出性は100%に近いので、EAを存在させることは、AO剤の放出性における大きな改善を示さない。したがって、好ましい実施形態においては、酸化防止剤を含むフィルムはEAを有さず、即ちEA含量は0%であり、而してこれは経済性及び加工性の点で有利な実施形態である(混合物中の元素がより多いと、加工性はより複雑になる)。
【0042】
フィルムが食品に抗微生物保護を与えることが望ましい場合には、活性物質は抗微生物剤である。而して、本発明の特定の実施形態においては、活性物質は抗微生物剤、より特には本発明の詳細な説明の最初に与えられる特定の好ましい実施形態において与えられるものから選択されるAB又はAF剤である。これらの実施形態は、活性物質が酸化防止剤ではない本発明の第1の態様のいずれの実施形態にも適用可能である。
【0043】
前述の段落の実施形態のいずれかによる特定の実施形態においては、活性物質は抗微生物剤であり、EA含量は3〜12%、好ましくは5〜10%である。実施例において示されるように、かかるEA含量では、本発明のフィルムと接触する媒体中の微生物の数を効率的に制御することが可能であるが、EAの不存在下ではかかる抗微生物制御は達成されない(実施例5参照)。
【0044】
特定の実施形態においては、EA剤は、ポリエチレングリコール400ジオレエート、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレン(20)ソルビタントリエステアレート、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、エチレンポリオキシド40ステアレート、ソルビタンモノラウレート、及びそれらの混合物からなる群から選択される。好ましくは、EAはポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートである。
【0045】
驚くべきことに、本発明のフィルムは、低濃度、例えば6%w/w以下の活性物質を組成物中に配合した場合であっても、酸化防止的又は微生物学的に有効である。而して、前述の実施形態のいずれかによる特定の実施形態においては、活性物質の含量は0.5〜6%(w/w)である。実施例において示されるように、0.9%のトコフェロール及び1.37%のAM剤のような低い濃度を有する活性層を有するフィルムは、それぞれ、酸化防止及び抗微生物活性を有する媒体を効率的に与える。
【0046】
好ましい実施形態においては、前述の実施形態のいずれかによる本発明の第1の態様のポリスチレンフィルムは、
・60%〜75%(w/w)のPS;
・10%〜35%(w/w)の、15〜40%(w/wEMP)のコモノマー含量を有するEMP;
・0.5〜6%の、酸化防止剤及び抗微生物剤からなる群から選択される活性物質;
・0.5%〜2%(w/w)のMA;
・0%〜15%(w/w)、活性物質が抗微生物剤である場合は3〜15%(w/w)の、8より高いHLBを有するEA;
から構成される少なくとも1つの層を含み;
PS/(EMP+EA)の比は1.2及び7.5の間であり;そして
成分の総計はかかる少なくとも1つの層(即ち活性層)の総重量に対して100重量%である。
【0047】
実施例において示されるように、活性層が前述の段落による組成を有するフィルムは、機能性活性物質を放出し、かかるフィルムと接触する媒体(例えば食品)に酸化防止又は抗微生物特性を与えることができる。更に、本発明のフィルムは上記に示す良好な加工性を可能にする特性を有し、優れた切断特性をもたらす機械的特徴を有する。これらの切断特性により、650カット/分より高い速度、より特には1,200カット/分以下の速度でフィルムをスライスすることが可能になり、而してバリ又は不規則な切断なしに優れた製品の積層が達成される。これらはまた、帯電防止特性を有し、粘着することなくスライスの容易な分離を可能にする高度に非粘着性のフィルムであり、市場で入手可能な全てのスライサーについて調節可能である。
【0048】
而して、本発明の第1の態様による前述の実施形態のいずれかによる特定の実施形態においては、本発明のフィルムは、20MPaより高い縦方向及び横方向における引張り強さ、並びに20%より高い縦方向及び横方向における破断伸びを有する。より特には、それは、30MPaより高い縦方向、及び20MPaより高い横方向における引張り強さ、並びに40%より高い縦方向、及び45%より高い横方向における破断伸びを有する。これらの機械的特性は当業者に広く知られており、UNE−EN−ISO−527−3標準規格に従って得られる。
【0049】
上記に示すように、本発明のフィルムは、単層又は多層であってよい。フィルムが多層である場合、フィルムは少なくとも2つの層を含み、その少なくとも1つは活性層である。
【0050】
前述の実施形態のいずれかによる特定の実施形態においては、フィルムは単層であり、10〜300ミクロン、好ましくは40〜80ミクロンの合計厚さを有する。別の特定の実施形態においては、フィルムは多層であり、20〜300ミクロン、好ましくは30〜80ミクロンの合計厚さを有する。単層及び多層の両方の実施形態において、それぞれの活性層の厚さは少なくとも10ミクロンである。
【0051】
多層フィルムの層の配置は、食品に酸化防止又は抗微生物保護を与えるように、少なくとも1つの活性層と食品との接触を可能にするようなものでなければならない(即ち、活性層はフィルムの外側層の少なくとも1つである)。而して、特定の実施形態においては、フィルムは多層であり、活性層はかかるフィルムの外層であり、即ち食品と接触していてもよい。別の特定の実施形態においては、フィルムは多層であり、少なくとも1つの活性層、及び活性物質を含まない少なくとも1つの層(以下、「非活性層」と呼ぶ)を含む。活性物質を含まない層の組成は、フィルムの加工性又はそのスライスのために有益な特性を与えるようなものであってよい。これは、非活性層が結晶性ポリスチレン及び耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)を含むフィルムの場合である。而して、特定の実施形態においては、多層フィルムは、本発明の第1の態様において記載した実施形態のいずれかによる少なくとも1つの活性層、並びに結晶性ポリスチレン及びHIPSを含む少なくとも1つの非活性層を含む。より特には、かかる非活性層は、60〜90%w/wt、好ましくは65〜75%w/wの結晶性ポリスチレン、及び10〜40%w/w、好ましくは25〜35%w/wのHIPSを含み、より好ましくはかかる非活性層は、60〜90%w/w、好ましくは65〜75%w/wの結晶性ポリスチレン、及び10〜40%w/w、好ましくは25〜35%w/wのHIPSを含み、その組成物は100%w/wである。
【0052】
好ましくは、前述の多層の実施形態のいずれかによる本発明のフィルムは3つの層を含み、2つの外側層のそれぞれは前述の実施形態のいずれかにおいて規定される活性層であり、中間層は前述の実施形態のいずれかにおいて規定される非活性層である。より好ましくは、3層フィルムはこの段落で規定される3つの層から構成される。
【0053】
実施例2において示されるように、先の段落において規定される多層フィルムは、優れた酸化防止及び切断特性を示し、これによりインターリーバとしての使用に好適である。
最後に、本発明の第1の態様で記載した実施形態のいずれかによる特定の実施形態においては、本発明のフィルムは管状形状である。
【0054】
本発明のフィルムは、上記に示すように優れた切断特性を有し、650カット/分、より特には1,200カット/分より高い速度でスライス機によってスライスされるので、スライス分離フィルムを製造するために使用することができる。更に、而して、かかるスライスセパレータは、その活性層を介してそれと接触しているそれぞれのスライスに活性物質を与える。而して、本発明の第2の態様は、本発明の第1の態様の実施形態のいずれかによるフィルムを含むスライスセパレータに関する。より特には、セパレータは本発明の第1の態様において記載した実施形態のいずれかによるフィルムから構成される。
【0055】
スライスセパレータとしてのその使用に加えて、本発明のフィルムは、食品ラップ又は包装材を製造するために使用することができる。而して、本発明の第3の態様は、本発明の第1の態様において記載される実施形態のいずれかによるフィルムから製造されるか、又はそれを含む食品ラップ又は包装材に関する。上記において示されるように、食品に酸化防止又は抗微生物保護を与えるために、フィルムの活性層は食品と接触していなければならない。特定の実施形態においては、かかる食品包装材は、本発明の第1の態様において記載される実施形態のいずれかによるフィルムから構成される。食品包装材は、トレイ、バッグ、バッグインボックス、ドイパック、フローパック等の形態であってよい。食品ラップは、バンド、チューブ等の形態であってよい。
【0056】
上記の全てを考慮すると、第4の態様においては、本発明は、食品を包装するため、又は食品分離フィルム、特に食品スライスセパレータとしての、本発明の第1の態様において記載される実施形態のいずれかによるフィルムの使用に関する。上記に示されるように、本発明のフィルムを使用することにより、酸化防止又は抗微生物保護が、それと接触している食品に効率的に与えられる。
【0057】
食品の微生物学的リスクは、今日でもなお食品媒介疾患の主要な原因の1つである。リステリア症は、ヨーロッパ共同体USAにおいて最も重大な食品媒介疾患であり、約13%の高い死亡率を有する。L. monocytogenesは冷蔵温度(2〜4℃)で増殖することができるという事実は、漁業製品、調理済み肉製品、発酵ソーセージ及びチーズに由来する製品のような比較的長い保存期間を有するすぐに食べられる製品中のこの病原菌の存在の原因となり、食品の安全性に対する特別な関心事である。他方において、食品中に乳酸菌が存在すると、それらの知覚特性の変化を引き起こす。驚くべきことに、本発明のフィルムは、乳酸菌及びリステリアに対して優れた抗微生物特性を与える(実施例3〜6を参照)。同様に、それを含むスライスセパレータ、包装材、及びラップも同様である。
【0058】
最後に、第5の態様においては、本発明は、本発明のフィルムを製造する方法(本発明の方法)であって、
(a)・60〜75%(w/w)のPS;
・10〜35%(w/w)の、15〜40%w/wEMPのコモノマー含量を有するEMP;
・酸化防止剤及び抗微生物剤からなる群から選択される活性物質;
・0.5%〜2%(w/w)のMA;
・0〜15%(w/w)、活性物質が抗微生物剤である場合には3〜15%の、8より大きいHLBを有するEA;
を含み;
PS/(EMP+EA)の比は1.2及び7.5の間であるポリマー組成物を用意する工程;及び
(b)かかるポリマー組成物を含む少なくとも1つの層を有するフィルムを形成する工程;
を含む上記方法に関する。
【0059】
本発明の第1の態様について与えられるPS、PS1、PS2、EMP、EMP1、EMP2、EA、MA、活性物質、及びPS/(EMP+EA)の比の特定の実施形態は、本発明の第5の態様に適用可能である。同様に、フィルムのタイプ(単層又は多層)に関して与えられている実施形態が適用可能である。
【0060】
本発明方法の特定の実施形態においては、EA及び/又は活性物質を、その融点、極性、及び粘度に従って最も好適なマトリックスを選択して濃縮物又はマスターバッチの形態で(a)の組成物に加える。而して、好ましい実施形態においては、EA濃縮物又はマスターバッチは、PS、好ましくはPS1中で調製され、及び/又は活性物質濃縮物又はマスターバッチは、PS又はEMP、好ましくはPS1又はEMP1中で調製される。これらの成分におけるマスターバッチを調製することによって、EA及び活性物質の非常に良好な安定性、及びポリマーマトリックス中におけるその均一な分配が達成される。特定の実施形態においては、マスターバッチは、マスターバッチの重量を基準として15重量%〜40重量%、好ましくは20重量%〜35重量%のEA又は活性物質を含む。
【0061】
前述の実施形態のいずれかによる本発明方法の特定の実施形態においては、工程(b)において、共押出、押出ブロー、ダブル又はトリプルバブルフィルムの押出、押出−フラットフィルム又はキャスト、熱成形、積層、又はブロー成形によってフィルムを形成する。
【0062】
活性物質を濃縮物の形態でポリマー組成物に供給し、フィルムを任意のタイプの押出によって形成する場合、かかる活性物質は2つの押出プロセス(一つは濃縮物のためのものであり、他方は最終フィルムのためのものである)にかけられる。驚くべきことに、かかる二重押出プロセスにもかかわらず、そしてポリマー組成物の少なくとも特定の特徴のために、活性物質はフィルムの表面に向かって移行し、放出され、そしてその機能性を維持する。
【0063】
活性物質、EA、及びMAは、押出機ホッパーに導入する前にインラインミキサー中で物理的に混合することによって、又はそのような予備混合を行わずに、ポリマー組成物に加えることができる。而して、前述の実施形態のいずれかによる本発明方法の特定の実施形態においては、活性物質は、形成される前にインライン調整ミキサー中で物理的に予備混合することによってプラスチック樹脂に加える。別の特定の実施形態においては、活性物質はかかる予備混合を行わずに加える。
【0064】
最後に、本発明の第5の態様は、前述の実施形態のいずれかにおいて規定された本発明方法によって得ることができるフィルムにも関する。このフィルムは、それが含む活性物質に応じて優れた切断特性及び酸化防止又は抗微生物活性を有する。このフィルム、及び本発明の第1の態様のフィルムは、本発明の第2、第3、及び第4の態様において示されるように、スライスセパレータとして、及び食品ラップ又は包装材を製造するために使用することができる。
【実施例】
【0065】
本発明の実施形態の特定の例を以下に詳述するが、これらは本発明の範囲を限定することなく本発明を例示するように働く。
【0066】
実施例1:酸化防止活性を有するフィルム−EMP成分:
表1に示される組成を有する2つの単層フィルムを調製した。ここで、成分は以下において「comp」と略され、それらのそれぞれの含量(cont)はそれぞれの層の総重量に基づく重量パーセント(%w/w)で与えられる。フィルムが単層である場合、その%はフィルムの総重量を基準として与えられる場合と同じである。使用したEMPはEVAであった。
【0067】
【表1】
フィルム製造方法はブローン押出であった。この方法においては、樹脂ペレットをホッパーを通して押出機に供給し、ここで熱及び摩擦によってペレットを溶融物に変換し、これをリングに強制的に通して気泡を形成する。次に、気泡をカレンダーの崩壊によって平坦化し、加圧ローラーを横切って延伸し、フリーローラーの上を巻取器に搬送してフィルムの完成ロールを生成させる。
EVA2はDuPont社から購入し(ELVAX(登録商標)265A)、一方でPS1はVersalis社から購入している(N3910)。また、PS2はStyrolution社から購入している(PS-165N/L)。HIPSはStyrolution社から購入している(HIPS-486N)。グリセロールモノステアレートはPalsgaard社から購入している(Einar-204)。活性物質はマスターバッチによって導入し、これはPS1及びEVA1の両方において調製することができる。同様に、EA添加剤は、PS1において調製されたマスターバッチによって、てフィルムを得るプロセスに導入する。マスターバッチは、30%のEA又は活性物質の濃度(マスターバッチの総重量を基準とする重量%)で調製した。
実施例の残りにおいては、他に示さない限り、これらの化合物PS1、PS2、及びEVA2、並びに同じフィルムの製造方法を使用する。
本例の場合、活性物質は酸化防止剤であり、具体的にはそれは次のCAS番号:59−02−9/16698−35−4/54−28−4/119−13−1の、BTSA社からの90%トコフェロールの濃度の非GMO植物油からの天然トコフェロールに富む濃縮物(Nutrabiol(登録商標)T90)であり、酸化防止剤マスターバッチはPS1中で調製した。
【0068】
1.1.酸化防止剤の放出
特定の寸法の試料を試験対象のフィルムのそれぞれから採取し、示された時間の間に所定のppmに到達するように特定の量のメタノール中に導入する。この時間の後、試料をHPLCにより分析し、それぞれの時間において放出されたトコフェロールの量を求める。それぞれの時間に関して1つの試料を調製して所定の時間において分析する。即ち、これは単一の試料ではなく、それぞれの時間に関してアリコートを採取するために調製する。このようにして、予定される時間と同じ数の試料を用意して分析した。
この場合、150mgのフィルムを3mLのメタノール中に導入し(全てのトコフェロールが溶媒に移行したと考えると、メタノール抽出物中の500ppmのトコフェロール濃度が達成される)、1、3、及び6日目に試料を採取した。結果を表2に示す。
【0069】
【表2】
結果は、EMP、この場合はEVAを有するフィルムは、日が進むにつれてトコフェロールを放出することができるが、EMP、この場合はEVAを有しないフィルムは、トコフェロールを放出することができないことを示している。
【0070】
1.2.In vitro酸化防止活性−DPPH試験
DPPH試験は、酸化防止物質からフリーラジカルを除去する能力を評価することを可能にする。
0.1gのフィルムを、メタノール中のDPPH(1,1−ジフェニル−2−ピクリル−ヒドラジル)溶液(50mg/L)2mLを含むチューブ内に配置した。チューブを暗所内に30分間一定の撹拌下に保った。試料の吸光度を、分光光度計(UV-1700 Pharma Spec, Shimadzu)で515nmにおいて、その波長における溶媒の吸光度を除去するためにメタノールを標的として用いて測定した。試料中に存在するDPPHがフィルム中に存在する酸化防止剤によって減少すると、溶液は酸化防止剤の存在に比例して色を失う。試料の酸化防止活性は、次式に従って酸化抑制率(PI)(%)として表した:
【0071】
【化1】
ここで、Asampleは試料の吸光度であり、AcontrolはDPPH溶液の吸光度である。PI値がより高いと、酸化防止能力はより大きい。試験は3重で行った。表3は、3回の試験の結果の平均値を示す。
【0072】
【表3】
結果は、EMP、この場合はEVAを含むフィルムはほぼ100%の酸化防止活性を有するが、EMP、この場合はEVAを含まないフィルムの酸化防止活性は遙かに低く、約15%であることを示す。
【0073】
実施例2:酸化防止活性を有するフィルム−多層:
表4に示す組成を有する2つの3層フィルムを製造した。
【0074】
【表4】
層A及びCは外側層であり、層Bはそれらの間(中間層)である。而して、食品と接触する可能性がある層A及びCは酸化防止剤を含む。
本発明のフィルムの厚さは60ミクロンであり、層Aの厚さ=B=10ミクロンであった。対照フィルムの厚さは60ミクロンであり、層Aの厚さ=B=C=20ミクロンであった。
それぞれの層の成分を異なる押出機に供給し、気泡が形成される前に層を押出ヘッドにおいて接合することを除いて、実施例1と同様にブロー押出法によってフィルムを得た。
【0075】
2.1.酸化防止剤の放出
フィルムによって放出されたトコフェロールの量を求めるための試験を、実施例1.1において説明したように実施した。この場合、40×40mmの寸法のフィルムを5mLのメタノール中に導入し(全てのトコフェロールが溶媒に移行したと考えると、メタノール抽出物中の79.46ppmのトコフェロール濃度が達成される)、試料を、0、1、2、3、6、9、15、及び21日目に採取した。結果を表5に示す。
【0076】
【表5】
而して、本発明の多層フィルム(この場合は3層)は、単層と同様に、日が進むにつれてトコフェロールを放出することができることが分かる。
このフィルムは優れた切断特性(縦方向の引張強さ>30MPa;横方向の引張強さ>20MPa;縦方向の破断伸び>40%;横方向の破断伸び>45%)を有し、これにより、このフィルムは650カット/分をはるかに超える切断速度で作動するスライス機においてインターリーバとして使用するのに理想的であり、バリ又は不規則なカットなしに優れた製品スタックを達成する。切断特性はISO−527−3に従って特性分析した。
【0077】
2.2.in vitro酸化防止活性−TROLOX試験
TROLOX試験によって、酸化防止物質からフリーラジカルを除去する能力を評価することが可能である。この試験は次のように実施した:
110mm×110mmのフィルムを小片に切断し、正確に秤量し、ウルトラタラックスを用いて粉砕する。これを50mLのファルコンチューブ中の20mLのメタノールと混合し、3分間渦流混合し、室温において3時間インキュベートする。続いて、それを3分間渦流混合し、2,300rpmにおいて10分間遠心分離する。上澄み液を比色定量のために回収する。
比色定量を行う前に、DPPHによる試料の希釈試験を行って、どの較正範囲になるかを知得する。更に、最初の希釈から開始して5段階の希釈を行い、それぞれの希釈から0.9mLの試料を採取し、それに0.9mLのDPPHを加える。試料を暗所において2.5時間インキュベートし、最後にに515nmにおいて測定する。
較正線は、Trolox(0〜60μM)を用いて作成し、結果はmeq−TROLOX/試料100gとして表6に示す。
【0078】
【表6】
而して、本発明の多層フィルム(この場合は3層)は、試料100g当たり215meqのTROLOXを消費することができるので酸化防止活性を有し、一方で対照フィルムは、物質のmeqを消費することができない。
【0079】
2.3.in vivo酸化防止活性−チャレンジテスト
セクション2.2のin vitro試験にしたがって酸化防止活性を示した、活性物質としてトコフェロールを有する本発明の3層フィルムを使用して、その賞味期間の間の肉製品(サラミ)の品質にそれが及ぼす影響を評価した。
製品の均一性を確保するために、ミンチ塩せき製品(サラミ)を使用した。この製品を、スライスセパレータ(インターリーバ)として表4の酸化防止フィルム又は対照フィルムを用いて真空パックした。
フィルムの活性を検証するために、加速賞味期間試験を行った。商業照明条件下での陳列においては製品を8℃の冷却下で保存しなければならないので、製品を室温(22℃)において保持して試験を加速した。製品の賞味期間の間、1、6、13、20、27、及び41日目にサンプリングを行って、製品品質の変化を求めた。具体的には、酸化レベル(TBARS試験)、及びそれらの官能特性を分析した。
TBARS指数(チオバルビツール酸に反応性の物質)を、サラミの脂質酸化のレベルの指標として使用した。TBARS指数は、Buege及びAust (Buege, J. A.及びAust, S. D. (1978) Microsomal Lipid Peroxidation. Methods in Enzymology, 52: 302-310)によって提案された適合法に従って決定した。2gのサラミを、ULTRA-TURRAX(登録商標)ミキサー内で、0.1%(w/v)の没食子酸プロピル及び0.1%(w/v)のEDTAの1.2M−HCl溶液20mLを用いて30秒間ホモジナイズした。ホモジネートを5,000rpmにおいて10分間遠心分離した。上澄み液を、Futura System連続フローアナライザー(Alliance Instruments)中に注入した。0.327%のチオバルビツール酸及び0.5%のBrij-35の1.2M−HCl溶液もシステム中に注入した。このシステムは、反応を加速することができる90℃の浴、及び反応生成物のマロンジアルデヒド(MDA)を検出することができる531nmに設定された比色計から構成される。較正線は、標準物質として1,1,3,3−テトラエトキシプロパンを用いて得た。結果は、mg−MDA/kg−サラミとして表した。
インターリーバの寸法は90×90mmであり、サラミスライスの重量は7gであった。
得られた結果を表7に示す。
【0080】
【表7】
試験中に、サラミにおいて本発明の3層フィルムの酸化防止効果を検出することができた。インターリーバとして本発明の3層フィルムを使用して包装し、照明条件下(平均で870ルクス;12時間の明所+12時間の暗所)、室温(22℃)において貯蔵したスライスされたサラミ試料は、対照群の試料よりも生成物の賞味期間の間に低い酸化値を示した。本発明の3層フィルムを用いた群において、対照バッチと比較して有意に低いTBARS値(mg−MDA/kg−製品)が、貯蔵13日目から実験の終了時(t41)まで検出された。
群の間の比較により、本発明の3層フィルムを用いた群において、対照群と比べてより少ない不快な匂い味が検出された。他方において、実験対象のフィルムのタイプの間では、製品の色に差は検出されなかった(機械的測定及び官能測定)。得られた結果から、これらの試験条件(製品、環境条件、製造ロット)下では、本発明の3層フィルムは、サラミの脂質酸化を遅延させることを可能にしたと結論付けることができる。
【0081】
実施例3:抗細菌活性を有するフィルム−EVA成分:
表8に示した組成を有する3つの単層フィルムを製造した。
【0082】
【表8】
使用した抗細菌剤は、53〜57%の間のエチルNα−ドデカノイル−L−アルギネート塩酸塩(LAE−Cl)(CAS番号60372−77−2)を有する営利企業のVEDEQSAからのMirenat(登録商標)Dであった。Mirenat(登録商標)Dは、EVA1成分中で調製したマスターバッチによってフィルム中に導入した。EVA1はDuPontから購入した(ELVAX(登録商標)240A)。Tween80(登録商標)はQuimidrogaから購入した(Polysorbate 80.PS80)。残りの成分は、実施例1で示したものと同じである。
【0083】
3.1.AB剤の放出
特定の寸法を有する試料を試験対象のフィルムのそれぞれから採取し、示された時間の間に所定のppmに達するように、特定量の水中に導入する。この時間の後、試料をHPLCによって分析し、それぞれの時間において放出されたLAEの量を求める。それぞれの時間は1つの試料に対応し、即ち、予定された時間と同じ数の試料を分析する。
この場合、100mgのフィルムを15mlの水中に導入し(全てのLAEが溶媒に移行したと考えると、117ppmのLAEがもたらされる)、試料を、0、1、2、3、6、9、15、及び28日目に採取した。結果を表9に示す。
【0084】
【表9】
EMP(この場合はEVA)を存在させると、LAEの放出が80%より高い放出率に達するのが促進されるが、配合物中にEMP(この場合はEVA)が存在しない場合には、最大放出率は僅か50%である。
【0085】
3.2.抗微生物活性
in vitro条件下で抗微生物活性を測定することを可能にする培養ブロス法を用いて、フィルムの抗微生物活性を評価した。培養ブロス法は、冷蔵条件下での貯蔵中における実験対象の微生物の挙動をモニターすることを可能にする。簡潔に言うと、培養ブロスチューブ(MRS/TSBYE)に、選択された菌株を2つのレベル(10及び10CFU/g)で接種し、フィルム試料をかかるチューブの中に配置して、フィルムの抑制効果を調べる。加える試料の重量は、実験対象のLAEの当量ppm(mg−LAE/kg−ブロス)に基づいて決定される。試料を、35日間又は増殖の静止期に達するまで8℃の温度に保持する。
これらの方法を用いて、乳酸菌(BAL)及び/又はListeria monocytogenesに対するAB(抗細菌)フィルムの抗細菌活性を評価した。BALは、調理済肉製品の劣化の指標として使用した。具体的には、劣化した調理済肉製品から単離したBAL(Lactobacillus sakei及びLeuconostoc mesenteroides)を使用した。他方において、肉製品におけるその汚染率のために、L. monocytogenesを標的病原菌として使用した。使用した菌株も肉製品から単離した。
この場合、試験は、L.monocytogenes及び117ppmのLAEを用いて実施した。図1に見られるように、本発明のフィルム(EVAあり)は、10個の細菌濃度(図1A)及び10の細菌濃度(図1B)の両方において殺細菌活性を示す。この実験は、存在する微生物の濃度に関係なくフィルムの抗微生物能力を実証するために、2種類の濃度(1つは非常に高く、ヒトに対して有害であり、汚染のピークに対応し得、他はより低いものである)において実施した。この実施例により、非常に高いリステリアのピークが存在する場合であっても、本発明のフィルムがどのようにそれを最小値まで減少させて、これによりその後の中毒の問題を回避することができるか理解することができる。
図1はまた、EMPを有するフィルム/有しないフィルムを用いた場合に、細菌増殖はリステリアの初期濃度にかかわらず対照試料と同等であるので、EMP成分はフィルムがかかる殺細菌活性を示すために必須であることを示す。
【0086】
実施例4:抗細菌活性を有するフィルム−PS成分:
表10に示す組成を有する3つの単層フィルムを、実施例3に示すように製造した。PSを有しないフィルムにおいては、PSの代わりに低密度ポリエチレン(LDPE)(Dow Chemicalから、グレードLDPE410E)を使用した。
【0087】
【表10】
【0088】
4.1.AB剤の放出
試験はセクション3.1で説明したように実施し、表11に示す日に試料を採取した。得られた結果を表11に示す。
【0089】
【表11】
PSを存在させると、LAEの放出がほぼ80%の放出率に達するのが促進されるが、PSが存在しない場合、最大放出率は僅か約40%である。
【0090】
4.2.抗菌活性
試験は、L. monocytogenes及び117ppmのLAEを用いてセクション3.2と同様に実施した。
図2に示すように、PSを有するフィルム(菱形)は殺細菌効果を有するが、LDPEを有するフィルム(三角形)は、リステリアの初期濃度に関係なく細菌増殖が対照フィルム(正方形)と同等であるのでいかなるタイプの効果も有しない(比較パネルA及びB)。
而して、活性物質を有する層がPSを含むことが重要である。
【0091】
実施例5:抗微生物活性を有するフィルム−EA成分:
表12に示す組成を有する3つの単層フィルムを製造した。
【0092】
【表12】
【0093】
5.1.AB剤の放出
試験はセクション3.1において説明したように実施し、表13に示す日に試料を採取した。得られた結果を表13に示す。
【0094】
【表13】
EAを存在させると、LAEの放出がほぼ80%の放出率に達するのが促進されるが、EAが存在しない場合、最大放出率は僅か約7%である。
【0095】
5.2.抗微生物活性
試験は、117ppmのLAE及び10(図3A)又は10(図3.B)の濃度のL. monocytogenes、又は10(図4)の濃度のBALを用いて、セクション3.2同様に実施した。
リステリアについては、図3に示すように、EAを有するフィルム(菱形)は殺細菌効果を有するが、EAを有しないフィルム(三角形)は、リステリアの初期濃度に関係なく細菌増殖が対照フィルム(正方形)と同等であるので、いかなるタイプの効果も有しない(比較パネルA及びB)。
BALについては、図4に示すように、EAを有するフィルム(菱形)は対照フィルム(正方形)と比べて静細菌効果を有するが、EAを有しないフィルム(三角形)はBALに対していかなるタイプの効果も有しない。
【0096】
実施例6:MA成分:
実施例3に示すように、以下の組成(表14)を有する3つの単層フィルムを製造した。
【0097】
【表14】
【0098】
6.1.活性物質の放出
実施例3.1において説明したように、フィルムによって放出されたLAEの量を求めるための試験を実施した。この場合、100mgのフィルムを25mLの水中に導入して117ppmのLAEがもたらされるようにし、1、2、3、6、9、15、及び20日目に試料を採取した。結果を表15に示す。
洗浄プロセス(例えば、エタノールを用いて試料の表面を滅菌する)にかけられたフィルムにおけるMAの役割を評価するために、従前の例と同様に2つの更なる試料を製造したが、それらはエタノールによる化学洗浄プロセスにかけた後に水中にそれらを導入し、それらをそこで1日間保持した後に、放出されたLAEの量をHPLCによって求めた。これらの洗浄された試料について得られた値を、表15のカッコ内に示す。
【0099】
【表15】
表15に見られるように、MAの存在下又は不存在下においてLAE放出に有意な差はない。しかしながら、試料をエタノールによる化学洗浄プロセスにかけた後(表15のカッコ内のデータを参照)においては、MAが存在しないと活性物質の31%の損失が引き起こされるが、一方でMAを有するフィルムにおいては、かかる物質の14%しか損失しないことが観察される(洗浄後はLAEの29%が放出され、一方で洗浄なしの場合、MAの不存在下では60%が放出され、MAの存在下では43%が放出された)。而して、MAは、活性物質の除去又は損失に対する物理的保護バリアとして作用することが実証される。
更に、表15は、MAが活性物質の移行を最初の数日において過度に迅速になることを妨げる。これは最初の数日が微生物学的制御にとって最も重要であるために、大きな利点である。これは、これらの日においては活性物質は潜伏期中の細菌に対して作用し始めるからである。
【0100】
6.2.抗微生物活性
試験は、フィルムの表面をエタノールで洗浄したことを除いて、117ppmのLAE及び10のL. monocytogenesを用いてセクション3.2と同様に実施した。
図5に示すように、MAを有するフィルム(菱形)は殺細菌効果を有し、一方でMAを有しないフィルム(三角形)は、表面の化学洗浄プロセス中にLAEの一部が除去されるため、対照フィルム(正方形)と比べて静細菌効果を有する。
【0101】
実施例7:抗真菌活性を有するフィルム:
寒天拡散法を用いて、開発したフィルムのin vitro抗真菌活性をPenicillium communeに対して調べた。これは、フィルムと、標的微生物を接種した寒天を有するペトリ皿との間の接触表面上の増殖の阻害又は不存在のハローの出現によって、フィルムの抗真菌活性を求めることを可能にする定性的方法である。
簡単に述べると、寒天拡散法においては、実験対象の標的微生物のカクテルを接種した軟培地の層をその上に堆積させた造影剤を使用する。培地が固化したら、100mm×100mmの寸法のフィルムの片を堆積させ、プレートをインキュベートする(この場合には23℃において11日間)。陽性の抗真菌活性は、堆積されたフィルムの表面又は周囲に糸状菌の増殖の阻害又は不存在のハローを生じさせる
本試験においては、次のフィルムを使用した。その組成を表16に示す。
【0102】
【表16】
図6において示されるように、対照フィルム(殺真菌剤なし、パネルA)においては真菌はプレート全体に成長し、一方で、本発明1によるフィルム(8〜10炭素原子のグリセリドを有する、パネルB)及び本発明2によるフィルム(LAEを有する、パネルC)においては、糸状菌は本発明のフィルムと接触しているプレートの表面上には現れない。而して、本発明のフィルムは静真菌活性又は殺真菌活性を有し、即ち、実験対象の糸状菌の増殖を減速又は阻害することができることが示される。汚染性の真菌類(褐色がかっている)が存在するが、これも本発明のフィルムと接触しているプレートの表面上においては成長しないことに留意されたい。
【図1A】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5】
【図6-1】
【図6-2】
【国際調査報告】