(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】2021500477
(43)【公表日】20210107
(54)【発明の名称】アンモニアによる腐食から受動電気部品を保護するための炭素質コーティングの使用およびアンモニアによる腐食から保護される受動電気部品を含むシステム
(51)【国際特許分類】
   C23C 16/26 20060101AFI20201204BHJP
   C23C 28/00 20060101ALI20201204BHJP
   C25D 11/18 20060101ALI20201204BHJP
   C23C 18/02 20060101ALI20201204BHJP
   H01G 2/10 20060101ALI20201204BHJP
   H01C 1/034 20060101ALI20201204BHJP
   H01C 1/032 20060101ALI20201204BHJP
   H01G 2/12 20060101ALI20201204BHJP
   C23C 26/00 20060101ALN20201204BHJP
【FI】
   !C23C16/26
   !C23C28/00 Z
   !C25D11/18 312
   !C25D11/18 308
   !C23C18/02
   !H01G2/10 Z
   !H01C1/034
   !H01C1/032
   !H01G2/12
   !C23C26/00 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】24
(21)【出願番号】2020523015
(86)(22)【出願日】20181023
(85)【翻訳文提出日】20200622
(86)【国際出願番号】EP2018079046
(87)【国際公開番号】WO2019081514
(87)【国際公開日】20190502
(31)【優先権主張番号】102017124692.4
(32)【優先日】20171023
(33)【優先権主張国】DE
(31)【優先権主張番号】102018102416.9
(32)【優先日】20180202
(33)【優先権主張国】DE
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】505201168
【氏名又は名称】フラウンホファー ゲゼルシャフト ツール フェルドルンク デル アンゲヴァントテン フォルシュンク エー ファウ
【住所又は居所】ドイツ連邦共和国 80686 ミュンヘン ハンザシュトラーセ 27ツェー
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100168631
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 康匡
(72)【発明者】
【氏名】サルツ ディルク
【住所又は居所】ドイツ連邦共和国 28359 ブレーメン ヴィーナー シュトラーセ 12 フラウンホファー インスティテュート フア フェルティグングステクニーク ウント アンゲヴァンテ マテリアルフォルシュング イーエフアーエム内
(72)【発明者】
【氏名】スターケ アンドレアス
【住所又は居所】ドイツ連邦共和国 28359 ブレーメン ヴィーナー シュトラーセ 12 フラウンホファー インスティテュート フア フェルティグングステクニーク ウント アンゲヴァンテ マテリアルフォルシュング イーエフアーエム内
(72)【発明者】
【氏名】ブルヒャルト マルテ
【住所又は居所】ドイツ連邦共和国 28359 ブレーメン ヴィーナー シュトラーセ 12 フラウンホファー インスティテュート フア フェルティグングステクニーク ウント アンゲヴァンテ マテリアルフォルシュング イーエフアーエム内
(72)【発明者】
【氏名】ヴェストマン フランツ−ヨーゼフ
【住所又は居所】ドイツ連邦共和国 28359 ブレーメン ヴィーナー シュトラーセ 12 フラウンホファー インスティテュート フア フェルティグングステクニーク ウント アンゲヴァンテ マテリアルフォルシュング イーエフアーエム内
(72)【発明者】
【氏名】ディークホフ シュテファン
【住所又は居所】ドイツ連邦共和国 28359 ブレーメン ヴィーナー シュトラーセ 12 フラウンホファー インスティテュート フア フェルティグングステクニーク ウント アンゲヴァンテ マテリアルフォルシュング イーエフアーエム内
(72)【発明者】
【氏名】レグラ クリストフ
【住所又は居所】ドイツ連邦共和国 28359 ブレーメン ヴィーナー シュトラーセ 12 フラウンホファー インスティテュート フア フェルティグングステクニーク ウント アンゲヴァンテ マテリアルフォルシュング イーエフアーエム内
(72)【発明者】
【氏名】デレ クリストファー
【住所又は居所】ドイツ連邦共和国 28359 ブレーメン ヴィーナー シュトラーセ 12 フラウンホファー インスティテュート フア フェルティグングステクニーク ウント アンゲヴァンテ マテリアルフォルシュング イーエフアーエム内
(72)【発明者】
【氏名】ヴィルケン ラルフ
【住所又は居所】ドイツ連邦共和国 28359 ブレーメン ヴィーナー シュトラーセ 12 フラウンホファー インスティテュート フア フェルティグングステクニーク ウント アンゲヴァンテ マテリアルフォルシュング イーエフアーエム内
【テーマコード(参考)】
4K022
4K030
4K044
5E028
【Fターム(参考)】
4K022AA02
4K022AA41
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4K044AA06
4K044AB10
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4K044BC02
4K044BC14
4K044CA14
4K044CA15
4K044CA17
5E028EA01
5E028EB01
(57)【要約】
本発明は、アンモニアによる腐食から受動電気部品を保護するための炭素質コーティングの使用であって、炭素質コーティングが、ゾルゲルコーティングまたはプラズマポリマーコーティングである、使用に関する。このコーティングは、特定の炭素含有量を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンモニアによる腐食から受動電気部品を保護するための炭素質コーティングの使用であって、炭素質コーティングが、(i)ゾルゲルコーティングまたは(ii)プラズマポリマーコーティングであり、いずれの場合も前記部品から遠いコーティング側から80nm離れた深さで測定して、50〜100原子%、好ましくは50〜90原子%の炭素含有量を含み、または有機金属コーティングとして、いずれの場合もXPSによって測定し、XPSによって検出された原子に基づき、2〜50原子%の炭素含有量を含む、使用。
【請求項2】
炭素質コーティングは、前記部品から遠いコーティング側の表面で測定し、この面でXPSによって測定して、総炭素含有量に基づいて、(i)ゾルゲルコーティングで15原子%以下、または(ii)プラズマポリマーコーティングで10原子%以下の、加水分解性基の構成要素としての炭素を含む、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
炭素質コーティングが、aCHコーティングまたは有機ケイ素コーティングである、請求項1または2に記載の使用。
【請求項4】
中間層が、電気部品と炭素質コーティングとの間に配置される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の使用。
【請求項5】
中間層が、好ましくはTiO2、SiO2、Al23、TixyまたはBNをベースとしたセラミック層の群から選択され、さらに好ましくはエロクサール(eroxal)層である、請求項4に記載の使用。
【請求項6】
前記部品の表面が、銅、アルミニウムまたは銅および/もしくはアルミニウムを含む合金からなる、請求項1〜5のいずれか1項に記載の使用。
【請求項7】
前記部品が、コイル、抵抗またはコンデンサーである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の使用。
【請求項8】
炭素質コーティングが、
・ケイ素を含み、かつ/または
・2.5%以上の破断点伸びを有し、かつ/または
・2〜6GPa、好ましくは3.1〜6GPaの範囲のナノインデンテーションによって測定可能な硬度を有し、かつ/または
・XPSによる測定法で決定できる割合が、中間層から遠い炭素質コーティング、特にプラズマポリマーのコーティング側から80nm離れた深さで測定して、コーティング中に存在する炭素、ケイ素および酸素原子の総数に基づいて、5〜40原子%、好ましくは20〜32原子%のケイ素、および/または30〜70原子%、好ましくは40〜64原子%の酸素を含み、かつ/または
・100nm〜100μm、好ましくは200nm〜50μm、さらに好ましくは500nm〜10μmの厚さを有する、
請求項1〜7のいずれか1項に記載の使用。
【請求項9】
中間層が、電気部品と炭素質コーティングとの間に配置され、中間層が、
−架橋および/もしくは非架橋油、ならびに/または架橋および/もしくは非架橋シリコーン油を含有し、かつ/または架橋油もしくは架橋シリコーン油のゾーンが、中間層と炭素質層との間に存在し、かつ/あるいは
−炭素質プラズマポリマーコーティングと一緒に、3mAの最大電流フローまで測定して、100V以上のDIN EN 60243−1およびDIN EN 60243−2に従って測定された絶縁耐力を有する、
請求項1〜8のいずれか1項に記載の使用。
【請求項10】
アンモニアまたはアンモニア性媒体と接触させるためのシステムであって、請求項1〜9のいずれか1項に規定の炭素質コーティングを有し、且つ請求項4、5および9のいずれか1項に規定の中間層を有していてもよい、受動電気部品を、アンモニアまたはアンモニア性媒体と直接接触させるためのシステムの領域内に配置させて含む、システム。
【請求項11】
アンモニアまたはアンモニア性媒体の製造、処理、使用、輸送または貯蔵のための冷却装置またはプラントである、請求項10に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンモニアによる腐食から受動電気部品を保護するための炭素質コーティングの使用であって、炭素質コーティングが、ゾルゲルコーティングまたはプラズマポリマーコーティングである、使用に関する。このコーティングは、特定の炭素含有量を含む。
本発明は、さらに、本発明の使用を目的とした炭素質コーティングを有する受動電気部品を含む、アンモニアまたはアンモニア性媒体と接触させるためのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、冷凍庫、冷蔵倉庫または冷蔵容器の中の冷却は、合成冷却剤で作用される冷却集合体を使用することによって達成される。新規の環境規制およびEU指令に関しては、現存の組成物中に現在使用されている作用剤の多く(例えば、R134a、R404A、R407CおよびR410A)は、それらの作用剤が原因となる地球温暖化係数(CO2当量)の結果により、将来(2030年以降)には使用できなくなる。これらの物質は、代替の気候中立または天然冷却剤、例えばCO2、プロパン、ブタンまたはアンモニア(NH3)に置き換えられるべきである(”Die neue F-Gase-Verordnung - Ziele, Inhalte, Konsequenzen” [The New F Gases Directive - Aims, Measures, Consequences], BTGA-Almanach 2015, pages 92-94も参照)。
一般に、冷却剤は、冷却システムにおける典型的な温度プロフィール(例えば、−40℃から+80℃の温度変化によって毎日繰り返される冷却および解凍)と組み合わせて、高熱および化学物質応力をもたらすことができる。特にアンモニアの場合、本明細書で重要な要因は、絶縁材およびこの物質と接触する他のすべての材料の妥当な化学安定性である。ごく少数のポリマー(PA、POM、PE、PP、PETPまたはPTFE(これらはそれぞれ、追加的に、異なる温度範囲に限定される))のみ、ここで必要とされる安定性をもたらす。さらに、これらのポリマーは、対応する材料費および薄い電気絶縁層の形態での関連有用性に関して、限定された程度までしか利用できない。
冷却剤が、熱交換器で分配することによってエネルギー消費量を低減するために、冷却するための冷却集合体中にも直接使用される場合、電動モーター/コンプレッサにおいて特に重要な要素は、その中に使用される部品の化学的耐性および熱安定性の電気絶縁能力である。このような用途では、銅製の部品(例えば、コンプレッサの電動モーター(コイル)中の部品)は、アンモニアによる腐食が著しいため使用できないことが多い。ここでは、対応するアルミニウム製の部品を、アンモニアに対する化学的安定性がより高いことから、現在まで通例となっている銅製材料の代替とすることができる。
【0003】
加えて、アンモニアは、製薬業界、肥料産業、爆薬工業および製鉄業、化学工業、製紙およびプラスチック業界、クリーニング業界および煙道ガス浄化、アンモニア水の使用または製造に関与するすべての分野において広範に使用される。上記産業のすべての分野において、銅および非鉄金属の使用に関する上記の同じ問題は、一般に、アンモニアと接触する場合に該当する。
既存の冷却システムにおいて、ほとんどのケースで合成冷却剤が依然として使用されるか、または別個の冷却回路(コンプレッサと冷却側が分離している一次および二次冷却回路)が使用されるかのいずれかである。既存の冷却剤による危険状況のリスクと同様に、ここでは、2つの冷却回路間の漏れの事象におけるシステム障害のリスクもある。冷却回路中の代替のアンモニア冷却剤の場合、そのような漏れの事象において、コンプレッサ回路中に設置された電動モーター/コンプレッサ駆動装置の電気絶縁体は、腐食し、場合によっては破壊すると考えられる。これは、システムの障害につながり、不都合かつ出費のかさむコイルまたはさらには電動モーター/コンプレッサ全体の解体または取り換えを要することが考えられる。
したがって、代替のアンモニア冷却剤の場合、アンモニアは銅含有材料を強力に腐食するため、現在では、冷却回路中に設置された材料中に銅を含まないことを徹底しなければならない。
さらに、別個の冷却回路は、二次回路からの冷蔵器を有する駆動装置の冷却に関して熱交換器で知られる損失の可能性を有する。同様に、同じ問題が、アンモニアまたはアンモニア含有溶液/化合物(例えば、アンモニア水)が用いられる、上記文章中に記載したさらなる領域すべてに該当する。
【発明の概要】
【0004】
従来技術の背景およびさらには変化する法規定に対して、本発明の目的は、アンモニアまたはアンモニア性媒体から部品を保護するための改善策を指定することであった。本明細書では、部品が液体アンモニアまたは液体アンモニア性媒体から保護されるだけでなく、気体アンモニアに対する非常に良好な防護も望まれた。
加えて、良好な保護特性も、好ましくは、非常に広範囲の温度にわたって存在すべきである。本明細書では、多くの材料が、液体アンモニアまたは液体アンモニア性媒体および気体アンモニアに対して異なる挙動を有することを考慮すべきである。したがって、本発明の好ましい目的は、液体アンモニアまたは液体アンモニア性媒体および気体アンモニアに対して長期間にわたって、かつ/または広範囲の温度にわたって、成分を保護する手段を指定することであった。ハロゲン化材料も、可能な限り回避すべきだった。
表明した目的は、アンモニアによる腐食から受動電気部品を保護するための炭素様コーティングを使用することによって達成されるが、ここで、炭素質コーティングは、(i)ゾルゲルコーティングであるか、または(ii)プラズマポリマーコーティングであり、いずれの場合も、該部品から遠いコーティング側から深さ80nmで測定して、50〜100原子%、好ましくは50〜90原子%の炭素含有量を含み、または有機金属コーティングとして、いずれの場合もXPSで測定し、XPSによって検出された原子に基づいて、2〜50原子%の炭素含有量を含む。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【図1】図1は、さまざまな種の適合またはデコンボリューション(解像)を、C1sピークに基づいて実施した結果である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本文章が「アンモニア」を記載する場合、これは、別段の指定がない限り、純アンモニアおよび希釈アンモニア(「アンモニア性媒体」)を意味すると理解される。本明細書では、「アンモニア」は、液体または気体のいずれかの形態であってもよいことを考慮すべきである。本発明との関係において、好ましくは、「アンモニア」が記述される箇所で疑念がある場合には、これは気体アンモニアである。本明細書では、液体アンモニアまたは液体アンモニア性媒体は、気体アンモニアとは明らかに異なる化学的特性を有することを考慮すべきである。液体アンモニア、特に水性媒体と組み合わせた液体アンモニアは、アルカリとして振る舞い、これは気体アンモニアの場合ではない。
本文章との関係において、「ゾルゲルコーティング」は、製造可能な、または好ましくはゾルゲル法によって製造された層である。
本発明に従って使用するコーティングのいくつかは、有機金属コーティングである。本出願との関係における有機金属コーティングは、XPSによって測定し、XPSによって検出された原子に基づき、10原子%以上の比率の金属を含む。本発明との関係において、ケイ素は、金属間の定義に明確に含まれる。
【0007】
本発明に従って使用するコーティングは、50原子%以上の炭素含有量を有し、その場合、10原子%以下の金属(シリコンを含む)を含むか、または上記定義の意味の有機金属層であるかのいずれかである。
好ましい有機金属層は、10〜40原子%のケイ素を含む。
ゾルゲルコーティングの代替として、本発明によれば、プラズマポリマーコーティングが、優先的にさらに有用である。
プラズマポリマーコーティングまたはプラズマ重合自体の発生は、当業者に知られる。プラズマ重合は、特異的プラズマ支援化学蒸着(PE−CVD)の変形体である。プラズマ重合において、プロセスチャンバ中の蒸気有機前駆体化合物(前駆体モノマー)が、先ず、プラズマによって活性化される。活性化は、イオン化分子、励起状態またはフリーラジカルを誘発し、前駆体の分子フラグメントが気相でいくらか形成される。後続する基板表面上へのこれらのフラグメントの凝縮は、基板温度ならびに電子およびイオン衝撃の作用下で、重合をもたらし、したがって連続層が形成される。結果として得られるプラズマポリマーの構造は高度に架橋され、概して統計的な共有結合性ネットワークを形成する。したがって、プラズマ重合による単結晶または多結晶形態の連結ポリマーの蒸着は不可能である。PE−CVD条件下、使用した前駆体は、プラズマ法における励起によってのみ反応性の種に変換される。したがって、当業者は、プラズマ重合を、他の蒸着法、例えば原子層蒸着(ALD法)と区別する。ALD法は、2つ以上の周期的に実施される自己限定的な表面反応の結果、層が一般に多結晶または非晶質構造を採用する手段による、大きく修飾されたCVD法である。本発明に従って優先的に使用されるプラズマ重合は、特異的プラズマ励起化学蒸着(PE−CVD)の変形体である。
【0008】
本発明との関係における受動電気部品は、好ましくは、コイル、コンデンサー、抵抗であり、かつ/または巻き線を含む。より具体的には、受動電気部品はコイルである。好ましくは、受動電気部品は、電力部品、すなわち、あるエネルギー形態から他の形態に変換する部品、例えば変圧器である。
変圧器における使用と同様に、さらに可能な使用分野は、例えばモーターまたは発電機中の受動電気部品、特にコイルまたはインダクタンスコイルとしての受動電気部品に考えられる。
驚くべきことに、本発明に従って使用される層は、アンモニアによる腐食に対して優れた改善をもたらすことができることが発見された。これは特に、アンモニアまたはアンモニア性媒体が冷却剤として使用され、本発明に従って使用されるコーティングによって保護された電気部品と接触させる冷却システムの特定の状況においても該当する。この接触の状況では、一般に、かなりの温度差(冷却プロセスの状況に応じて)が生じることが一般的である。したがって、コーティング(また、場合により、下層のコーティング(以下参照)も)に対してかなりの要望がある。
【0009】
本発明に従って使用される好ましいプラズマポリマーコーティングは、独国特許出願第102016214493.6号に詳述されている。参照として、後者の出願中のプラズマポリマー層を詳細に特徴付けする文章の一節を本出願に組み込む。
本発明に従って使用される炭素質コーティングはまた、aCHコーティング(非晶質炭素コーティング)または任意選択的にDLC(ダイヤモンド様炭素コーティング)として構成され得る。本明細書では、aCHコーティングが優先される。
本発明に従って使用されるコーティング中の炭素含有量は、有機金属コーティングの場合、いずれの場合もXPSによって測定し、XPSによって検出された原子に基づき、5〜50原子%、さらに好ましくは10〜45原子%であることが好ましい。
原則として、原子%の数値は、別段の指定がない限り、常に、XPSによって検出された原子の総数に基づいたものである。
【0010】
XPSまたはESCAは、物質の割合を決定するための標準試験方法である。
炭素質コーティングが、部品から遠いコーティング側の表面で測定し、この面でXPSによって測定して、総炭素含有量に基づいて、(i)ゾルゲルコーティングでは、15原子%以下、好ましくは11原子%以下、または(ii)プラズマポリマーコーティングでは、10原子%以下、好ましくは5原子%以下の、加水分解性基の構成要素としての炭素を含む、本発明の使用が優先される。
したがって、表面上の加水分解性基の割合が非常に低い該方法で、プラズマポリマー法またはゾルゲル法において、本発明に従って使用されるコーティングを蒸着させることができることが発見された。これは明らかに、これらの基が、保護層を、アンモニアと接触することで特に腐食する傾向にするケースである。
本発明との関係における加水分解性基は、好ましくは、エステル、アミド、ウレタンおよび尿素基からなる群から選択される基である。
【0011】
該基中の炭素の割合は、コーティングの表面上で、特に288.5〜290.5eVの範囲に化学シフト(C1sピークが適合する)を見つけることによって決定することができる。この関連で、さらに下の説明、とりわけ対応する実施例も参照されたい。
炭素質コーティングが、aCHコーティングまたは有機ケイ素コーティングである、本発明の使用が優先される。
有機ケイ素コーティングは、好ましくは、いずれの場合もコーティング中に存在する炭素、ケイ素および酸素原子の総数に基づいて、10〜40原子%のケイ素、好ましくは20〜32原子%のケイ素、および/または30〜70原子%の酸素、好ましくは40〜64原子%の酸素を含む。
これに応じて、炭素質コーティングが、ケイ素を含み、かつ/または2.5%以上の破断点伸び、および/もしくは2〜6GPa、好ましくは3.1〜6GPaの範囲のナノインデンテーションによって測定可能な硬度を有し、かつ/またはXPSによる測定法で決定できる割合が、中間層から遠いプラズマポリマーコーティング側から80nm離れた深さで測定して、コーティング中に存在する炭素、ケイ素および酸素原子の総数に基づいて、5〜40原子%、好ましくは20〜32原子%のケイ素、および/もしくは30〜70原子%、好ましくは40〜64原子%の酸素を含み、かつ/または100nm〜100μm、好ましくは200nm〜50μm、さらに好ましくは500nm〜10μmの厚さを有する、本発明の使用が優先される。
【0012】
本発明に従って使用されるプラズマポリマーコーティングは、100nm〜100μm、好ましくは200mm〜50μm、さらに好ましくは500nm〜10μmの平均層厚さを有することが好ましい。
バイアス電圧が基板上に生じるような方法でプラズマポリマー層を蒸着させることが好ましい。これを行う最良の方法は、コーティングする基板をカソードとして接続することによるものである。これは、結果として得られるコーティングのイオン衝撃をもたらし、したがって、理論に束縛されるものではないが、2.5%以上、好ましくは3%以上の破断点伸び(破断までの伸び)によって表される、硬度および可撓性の良好な組み合わせの特性を有する層が形成される。
このような可撓性は、受動電気部品にとって特に重要であり、受動電気部品がコーティングされた後、例えば、コーティングプロセス後のコイルの場合に、もう一度形成される必要がある、または熱応力に曝露される。
【0013】
特に良好な層特性は、蒸着プロセス中、(プラズマ発生器)のアースに対して50〜300ボルト、好ましくは100〜200ボルトのバイアス電圧が確立される場合に達成される。
プラズマポリマーコーティングは、1.5〜6GPa、好ましくは2.4〜5GPa、さらに好ましくは3.1〜4GPaの範囲のナノインデンテーションによって測定可能な硬度を有することが好ましい。
このナノインデンテーション硬度は、より好ましくは2.5%以上の破断点伸びと組み合わされ、さらに好ましくは3.0%以上の破断点伸びと組み合わされる。したがって、特に良好な硬度と可撓性の組み合わせを有する層が、受動電気部品に設けられる。
本発明に従って使用される炭素質コーティングが、ゾルゲルコーティングである場合、例えば、Clearcoat U Sil 120 GL(NTC−Nano Technology Coating GmbH)などの系が優先される。
本発明に従って使用される好ましいゾルゲル層は、プラズマポリマー層で挙げた炭素、酸素およびケイ素の構成要素を同様に含む。ここでは、プラズマポリマー層そのものの構成をとることが優先される。
好適なゾルゲルコーティング(上記ゾルゲル系によって製造された)の一例は、それぞれXPSによって測定して(Si2pピークのピーク位置:102.8eV)、7.6原子%のケイ素、32.2原子%の酸素、56.6原子%の炭素および3.6原子%の窒素を含む。
【0014】
一般的には、本文章の一部の節は、表面から80nm離れた深さで測定した炭素質層の炭素含有量を指すことを留意すべきである。この理由は、表面効果、例えば、酸素による飽和が除かれるためである。ここでの測定は、好ましくは、測定例1に記載される通りに行われる。表面上の加水分解性基が関与するとして、ここでは最重要な表面効果であることから、表面で直接測定が行われる。
中間層が、電気部品と炭素様コーティングとの間に配置される、本発明の使用が優先される。
中間層によって、本発明に従って使用される炭素質コーティングの特に好都合な特性を、もう一度改善することが可能である。
中間層は、炭素質コーティングより低い熱膨張係数を有することが好ましい。したがって、炭素質コーティングは、有利には、中間層と相互作用することが可能である。
中間層が、DLC層およびセラミック層(これらは、好ましくは、TiO2、SiO2、Al23、TixyまたはBNをベースとする)、さらに好ましくはエロクサール(eroxal)層の群から選択される、本発明による使用が優先される。
【0015】
エロクサール層およびセラミック層は、従来技術で使用される典型的な絶縁層、または保護層である。これらは、比較的低い熱膨張係数を有し、そのため、これらは、下層の金属と組み合わせると、熱および機械的応力下で保護作用を高頻度で損なう。このタイプの層の場合、この効果は、驚くべきことに、本発明に従って使用される炭素質コーティングによって特に効率的な様式で補償され得る、または低減され得る。
本発明との関係において特に好ましい中間層は、特にアルミニウムでコーティングされていた受動電気部品のアルミニウム表面の場合、エロクサール層である。中間層の好ましい層厚さは、0.2〜30μm、さらに好ましくは1〜20μm、具体的には2〜10μmである。
加えて、炭素質コーティングに対してエロクサール層の少なくとも上部のSEMセクションに密閉気孔のみ存在するように中間層を実行するためには、多くの場合、特にエロクサールの中間層の場合に好ましいことがある。半結晶状態が、エロクサール層の表面領域内に存在する場合がさらに好ましいことがある。エロクサール層の場合、この実施形態は、例えば、温水中の再加圧によって達成することができる。
【0016】
少なくとも部品の表面が、銅、アルミニウムまたは銅および/もしくはアルミニウムを含む合金からなる、本発明の使用が優先される。部品全体は、これらの材料からなることが好ましい。より具体的には、この接続中に、アルミニウムが優先される。
本発明によれば、部品は、コイル、抵抗またはコンデンサーであることがさらに好ましい。
中間層が、架橋および/もしくは非架橋油ならびに/または架橋および/もしくは非架橋シリコーン油を含有し、かつ/または架橋油および/もしくは架橋シリコーン油のゾーンが、中間層と炭素質コーティングとの間に存在する、本発明の使用が優先される。
油は、20℃で液体であり、比較的低い蒸気圧を有し、その共通機能は化学構造と一致しないが、類似の物理的整合性を有する水不溶性有機化合物のラテン語「oleum」から派生した総称を意味すると当業者に理解されている。油は、比較的高い粘度を有し、ほぼすべての有機溶媒に可溶性である。これらは、天然の植物油または動物油、任意選択的に修飾された植物油または動物油、鉱油(原油から得られる)、および完全合成油、例えばシリコーン油であってもよい。非シリコーン油には、特に、炭化水素、脂肪酸、トリグリセリド、鉱油およびポリエーテルからなる群から選択されるハロゲン非含有有機液体が挙げられる。
【0017】
シリコーン油は、ケイ素原子が、酸素原子を介して連結状または網状組織様に加わり、残りのケイ素の原子価が、炭化水素基、通常はメチル基、非一般的には、とりわけエチル基、プロピル基、フェニル基によって満たされる、合成油を意味すると当業者に理解されている。あるいは、残りの原子価はまた、存在するすべての水素基が任意選択的にハロゲン、特にフッ素原子で置き換えられるハイドロハロカーボン基、特にハイドロフルオロカーボン基によって部分的にまたは完全に満たされ得る。好ましくは、対応するシリコーン油は、600g/mol超の分子量を有する。
架橋油または架橋シリコーン油は、プラズマポリマー層と中間層との間の結合を安定化させることができ、例えば、中間層の不均一性を平衡させることができる、または中間層の孔を充填することができる。架橋は、好ましくは層蒸着前に架橋条件が存在するように調節することができるプラズマ重合プロセス中に行うことが好ましい。本発明との関係において、非架橋として見なされる領域も、常に、実質上、部分架橋と同じである架橋構成要素を低レベルで有する。さらに、油またはシリコーン油は、エロクサール層の開放孔でより架橋される傾向にあり、そこに存在する架橋度により、エロクサール材料に対する良好な接着性がもたらされる。反対側(基板材料へ向かう密閉孔の側)では、架橋度は低くなる傾向にあり、上述の形態の非架橋油にも存在し得る。代替として、または細孔充填に加えて、中間層の圧縮、例えば脱イオン水中で1時間の90〜100℃での熱間圧縮も可能である。
【0018】
依然として孔が中間層に存在する場合、これらは、いずれの場合にも、走査型電子顕微鏡で測定して、中間層の表面に対して垂直に見て最も大きな孔に基づいて、1〜200nm、好ましくは1〜100nm、さらに好ましくは1〜30nmのサイズを有することが好ましい。
しかしながら、多くの場合、中間層の細孔は充填されることが好ましい。この目的に好適な例は、熱架橋シリコーンである。最も好ましくは、「HTA」という名称の材料(製造業者:AZ Elektronics Materials GmbH,Wiesbaden)がある。代替として、または細孔充填に加えて、中間層の圧縮、例えば1時間の90〜100℃での熱間圧縮も可能である。
炭素質、特にプラズマポリマーコーティングが、層の個々の領域内の平均層厚さに基づいて、−60%から+1000%、好ましくは−50%から+500%、さらに好ましくは−55%から+250%の変動を有する、中間層を用いた本発明の使用が優先される。
【0019】
例えば、エロクサール中間層を有するアルミニウムコイルのコーティングにおいて、平均層厚さが外側で存在し、同時に内部の層厚さが厚くなる間、コイルの中央に存在するプラズマポリマー層の層厚さが特に低くなるようにコーティングプロセスを実施することが、コーティングプロセスによって可能である。内部は、モーターまたは積層スタックの歯に面したコイルの側である。外部は、それに対応して、その側面から離れており、中間部は間に位置する。
中間層および炭素質コーティングは共に、最大3mAまでの電流で測定されるDIN EN 60243−1およびDIN EN 60243−2に従って測定した絶縁耐力が100V以上である、本発明の使用が優先される。
絶縁耐力は、受動電気部品、特にコイル、コンデンサーおよび抵抗の重要なパラメーターである。本明細書では、コーティング面の粗さが低減し、他は同じパラメーター(層厚さ、蒸着条件など)であると、絶縁耐力が増加することが発見された。
また、上で識別された基板の粗さ値が超過していた場合(0.5μm超のra)、それに応じて、炭素質コーティングの層厚さは、2〜10倍増加し、同じ電気絶縁特性および値を達成できるようになることが好ましいことが発見された。
【0020】
空気循環オーブン(300℃)中の乾燥空気に500時間曝露させ、次いで1時間以内に20℃まで冷却した後、構成要素が、処理前に、少なくとも80%の絶縁耐力を有する、中間層を用いた本発明の使用が優先される。
受動電気部品上で本発明に従って使用するコーティング系において、驚くほど良好で、持続する絶縁耐力の値を達成することが可能である。絶縁耐力は、好ましくは、測定例2に記載されるように決定される。絶縁耐力は、それに加えて、アンモニアに対する良好な抵抗性の指標でもあるように思われる。
また、本発明の一部は、アンモニアまたはアンモニア性媒体と接触させるためのシステムであって、好ましくは好ましい構成の1つで、上記の炭素質コーティングを有する受動電気部品を含み、好ましくは、好ましい実施形態と同様、上記と同様に、任意選択により中間層が、アンモニアまたはアンモニア性媒体と直接接触するようにシステム領域内に配置される、システムである。
これは、本発明に従って使用するコーティングにより、変動する温度に関連したものを含め、アンモニアへの曝露からの対応する部品の優れた保護を達成することが可能であるからである。
【0021】
好ましくは、本発明のシステムは、アンモニアまたはアンモニア性媒体の製造、処理、使用、輸送または貯蔵のための冷却装置またはプラントである。
既に上述したように、本発明の使用のためのプラズマポリマー炭素質コーティングが優先される。このコーティングは、原則として、有機金属、特に有機ケイ素、の前駆体、特にHMDSO(これは特に、有機金属コーティングに当てはまる)から、または特にアセチレンなどの純粋に有機の前駆体から製造することができる。当業者は、本明細書において、好適なプロセスレジームにより、本発明に従って使用するために好ましい炭素質プラズマポリマーコーティングを確立することができる。
【実施例】
【0022】
測定例
(測定例1)
層深さ80nmでのXPS測定手順
光電子分光法(XPS)による表面分析は、固体表面のほぼ最外の10nmまで及んだ。XPSによって深さ80nmでサンプル材料の化学組成を分析できるように、イオンビーム衝撃によって表面を除去する。この微粒化では、3KeVのエネルギーを有するアルゴンイオンが典型的に使用される。サンプル表面の最上80nmを除去するために要する時間は、機器固有の微粒化速度によって決まる。これは、いずれの場合にも、対応する対照サンプルに対する比較用測定によって実験で決定される。このようなスパッタリングプロセスの典型的な圧力範囲は、1*10^−5から1*10^−6mbarの範囲である。
【0023】
(測定例2)
電気絶縁特性の試験:
部分放電測定技術:
→(例えば、DWX−05機器の、好ましくはコイル形状物または電気モーター上の)コーティングの電気絶縁効果を決定するための非破壊試験法
技術:
使用する機器(DWX−05)は、本質的に、非常に短時間(非常に大きなフランクで、1msec未満)内に高圧パルスを発生する、またはそれを部品に「インプリントする」ことができる高圧源である。先ず、調べようとする部品(好ましくはコイルまたはエンジン部)を電源に接続し、次に、測定エレクトロニクスに接続する。加えて、電圧パルスが刷り込まれるRF放電(時間と相関する)の発生を測定するRFアンテナ(バンドフィルターを含む)を機器に接続する。ここでは、アンテナおよびコイルが互いに接触しないことが重要である。次いで、予め設定しておいた電圧から測定を実行し、TE放電が検出されるまで、または必要な最終電圧に達するまで、特定の値(典型的には、試験する最終電圧の5%)ずつ連続的に増加する。用いた測定は、第1は、システム(コイル)自体の応答(ケースA)であり、第2は、特性であり、2本の巻き線間のまたは歯へのフラッシュオーバーの発生直前に観察されるRF放電の検出(ケースB)である。各電圧値で少なくとも3回の測定を実施し、最終の値を使用して平均を解明し、統計的に確かな結果を得る。最終測定で大きな変動があった場合、場合により、サンプルを均一性について確認する、または確定された測定値を限定的にのみ使用すべきである。
【0024】
標的状態からの測定信号における変動は予め考慮されていて、したがって効果的に試験基準が形成される。本機器の可能な最大電圧値は、5kVである。
この試験方法では、2つのやり方(任意選択的に両方の基準も同時に)で測定信号を分析する。
1. 対照信号(非損傷部品で記録した、または絶縁体が明らかに無傷である低電圧範囲で記録した−曲線形状に関連した評価)との比較 − 対照信号の縮尺曲線から検出された応答信号の+20%超または−4%の偏差は、各ケースで試験した電圧値に対して「欠陥の」絶縁または応答信号の崩壊(短絡による)と見なされる。
→集団的ケース(A)
2. RF放電の測定、およびRF信号の「基礎ノイズ」との比較 − 偏差または明確なRF信号の発生(刷り込まれた信号の電圧プロフィールと時間内で相関する)の事象において、部分放電を検出し、したがってコーティングを、この電圧値に不十分かつこれを超えるものとして決定する − 加えて、自動評価におけるLaPlace 15/0基準を使用することを推奨する。
→集団的ケース(B)
【0025】
サンプルの要件:
− コイルの形態の形状物(金属基板)
○最低誘導性の要件−現在、少なくとも10本の巻き線、機器に特定の値
− 「バッチチェック」で互いに対して一定の品質の部品または個々の部品の全域コーティング
− 接触の到達可能性、ならびに歯(設置状態)の、またはコーティングなしで接触できる歯およびコイル上の領域の到達可能性。
→ 部品100%に対する大量生産可能な試験は、この試験方法によって可能である。
【0026】
この試験方法のさらなる情報は、Ein neues Verfahren zur automatischen Gewinnung der Teilentladungseinsetz- und Aussetzspannung an elektrischen Wicklungen nach IEC TS 60034-18-41 und IEC TS 61934 [A New Method of Automatically Obtaining the Partial Discharge Inception and Extinction Voltage of Electrical Windings According to IEC TS 60034-18-41 and IEC TS 61934] - from conference: Internationaler ETG-Kongress 2009 - Symposium 3: Direktantriebe in Produktionsmaschinen und Industrieanlagen - Generatoren und Antriebe in regenerativen Kraftwerken [Direct Drives in Production Machines and Industrial Plants - Generators and Drives in Renewable Power Plants] / Symposium 4: Diagnostik elektrischer Betriebsmittel [Diagnostics of Electrical Equipment] 10/27/2009 - 10/28/2009 at Dusseldorf, Germanyに記載されている。
(測定例3)
絶縁耐力の応力試験
コイル/サンプルを、実施例1に従って製造した。オーブンを300℃に加熱し、その中にコイルを入れ、500時間、その中に保管した。エージング後、サンプルを取り出し、1時間以内、室温に冷却した。その後、サンプルを、測定例2に従って試験した。エージング前の開始状態と比べて、最大15%の絶縁耐力の低下が観察された。
【0027】
(測定例4)
ナノインデンテーション測定
ナノインデンテーションは、試験技術であり、この技術によって、表面コーティングの硬度を、微細ダイヤモンド先端(三角錐[Berkovichによる形状]、数百nmの半径)によって確認することができる。この場合、硬度(例えば、ビッカース硬度)の巨視的決定と対照して、測定は、垂直抗力によって生じた残りの圧痕には行わず、代わりにナノインデンターの侵入深さ依存性断面積を評価した。この深さ依存性断面積は、硬度が既知の対照サンプル(一般的には高純度石英ガラス)によって確認される。
垂直抗力を加える間、ナノインデンテーションは、高感度のステアリングエレクトロニクス(容量性プレート)を用い、それによって、垂直抗力が再度上下して、侵入深さを正確に測定することができ、これは従来の方法とはかなり異なるものである。その場の荷重を除去する初期段階中、標準的な力と侵入深さの曲線は、サンプルの剛性を示す。対照サンプルから知られるナノインデンターの断面積を活用して、サンプルの弾性係数および硬度を決定することができる。最大試験ナノインデンテーション力は、概して15mN未満である。
【0028】
基板による影響を一切受けずにコーティングの純粋な特性を測定するために、経験則で10%の層厚さを用いる。降下する侵入曲線は、使用した基板による影響を含む。層厚さの10%を超えて侵入深さが上昇すると、弾性係数および硬度の測定値は、成功裏に、基板のそれらに近づく。記載した、この試験方法による評価は、Oliver & Pharr[Oliver]と称する。
異なる荷重での侵入深さの変動をより単純にするために、いわゆる複数荷重および荷重軽減法、略してマルチインデンテーション法を用いる。この場合、荷重が加えられ、セグメントの定点で軽減される。局部荷重極大は連続的に上昇する。したがって定点で、弾性係数および硬度の侵入深さに依存する値を確認することが可能である。加えて、統計的な目的のために、サンプル上のさまざまな影響を受けていない部分を同様に取り組み、測定分野で試験する。単一インデンテーション法とマルチインデンテーション法との比較によって、Schiffmann & Kusterは、2つの方法で確認された値の間の偏差が非常に小さいことを示した[Schiffmann]。補償のために、より長いホールドタイムが、圧電スキャナのクリープ効果の防止のために示差される[Schiffmann]。
【0029】
本明細書に記載の実施例の測定されたサンプルの場合、測定は、好ましくは最大5mNで、さらに好ましくは2mN未満、これよりさらに好ましくは1mN未満で、一箇所につき10回のマルチインデンテーションにより行った。マルチインデンテーションは、局所力極限を有し、これは次いで、該力の20%まで低減された。これらの荷重軽減曲線は、98%から40%のタンジェント形態で評価した。
統計および均一性のために、サンプルごとに10個の測定点を試験した。例えば、測定に先立って結果として調べる層の塑性変形などの効果を回避するために、測定点の間の距離は50μmとした。
層の硬度を決定するために使用されたサンプルの層厚さは、いずれの場合にも1μmを超えていた。最大10%の層厚さの侵入深さの実験式に従うために、マルチインデンテーションの荷重軽減曲線は、5mN以下、さらに好ましくは2mN未満、これよりさらに好ましくは1mN未満の最大限の力までの評価に許容される。層厚さがより薄い場合、10%ルールを超えないように、対応する最大局所力に留意すべきである。
したがって侵入深さに対する最大限の力および対応する荷重軽減曲線は、好ましくは5mN以下、さらに好ましくは2mN未満であり、約1000nmの層厚さに応じて、これよりさらに好ましくは1mN未満である。
【0030】
実施例
(実施例1)
低圧プラズマコーティングプロセス
無機マトリックス構造(好ましくはケイ素系)をベースとする、蒸着させたプラズマポリマー層は、比較的高い有機特性を有し、SiOx層と比較して、より高い亀裂発生歪みをもたらす。プラズマ層は、好ましくは、約10-2mbarの減圧下で、高周波プラズマ放電を活用して蒸着させる(PE−CVD)。この場合、ケイ素含有作業ガスは断片化する。結果として得られた断片は、基板上に薄層として堆積する。層の密度を向上するために、イオンアシスト法を用いるが、これは、部分的にイオン化された断片が、電場の影響下で成長層中に射ち込まれることを意味する。この技術の使用は、コーティングの、複雑なコイル形状物への適用可能性を確実にする。
【0031】
低圧プラズマコーティングプロセス
● プラズマコーティングは、約10-2mbarで、360Lのサイズの反応容器を用いて、減圧下で実施される。14本の巻き線を有するアルミニウムコイルを長さ18cmまで伸ばし、2枚の結合シート(200mm×25mm×1mm)上に置く。これらのシートを絶縁プレート(0.2mm)上に置き、順々に実プラズマ電極上に置く。この組立は、プラズマコーティング中に生じるアーク放電を防止する。結合シートの能力は、いずれの場合にも約68pFである。使用した高周波の周波数が13.56MHzであれば、結果として結合シートごとの抵抗は171オームになる。
● コーティングプロセスの開始時に、酸素によるプラズマの活性化を3分間行う。この工程は、層接着の改善につながる。第2の工程において、プライマー層を蒸着する。この目的のためには、酸素の場合、流量5sccmのヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)を反応容器に入れる。工程所要時間は1分である。実際の絶縁コーティングの蒸着プロセスは、20sccmのHMDSO流量で実施される。工程所要時間は2時間である。コーティングされたコイルの表面を親水化するために、後続してさらなる酸素によるプラズマ活性化を実施することが可能である。すべてのプロセス工程におけるプラズマ出力および酸素流量は一定であり、それぞれ、45Wおよび60sccmである。
● 結果として得られる層は、C:32原子%、O:46原子%、Si:22原子%の組成(測定例1によって測定される)を有していた。
● 測定例4によって測定されたナノインデンテーション硬度は、1.8GPa±0.2GPaであった。
● コーティングされたコイルは、層厚さおよび絶縁効果(DIN EN 60243−1およびDIN EN 60243−2に従って測定された絶縁耐力)に関して局所的に特徴付けられた。これは、結果として以下の値を出した。
【0032】
【表1】
あるいは、プラズマによるコーティングプロセスは、BIAS電圧と呼ばれる適用性によっても活用され得る。ここでの利点は、層の蒸着率を増加させる可能性およびより高密度のプラズマポリマーマトリックスを生成する可能性である。
【0033】
(実施例2)
陽極酸化処理プロセス+LPプラズマコーティング
Alシート/Alコイルを、硫酸系電解質中で5〜60分間、湿式化学法により洗浄、酸洗いおよび陽極酸化処理する。後続の90℃〜100℃での10〜60分間の熱間圧縮処理は任意である。アルミニウムコイル上にこうして製造された陽極酸化層は、1μm〜25μmの層厚さを有する。実施例1のスキームにより、後続してコーティング処理を施す。
(実施例3)
陽極酸化処理プロセス+陽極酸化層の孔の充填+LPプラズマコーティング
Alシートを、硫酸系電解質中で10〜60分間、湿式化学法により洗浄、酸洗いおよび陽極酸化処理する。熱間圧縮は行わない。後続してシートを、HTA油を有するUS浴中でエージングさせる(5、15、30分)。油の架橋のために最終の熱処理が行われる(室温で7日間または100℃で30分)。実施例1のスキームにより、後続してコーティング処理を施す。
その結果、実施例2と比較して最大20%の絶縁耐力の増加が可能である。
【0034】
(実施例4)
アンモニアガス雰囲気下でのコーティングされた試料シートのエージング:
上記の実験でコーティングしたAl99.5で作られた試料シートを、さまざまな角度の冷却ガスの衝撃で、冷却回路中のパイプシステムに挿入した。ここでのコーティングは、エロクサール(実施例2からのもの)とその上に配置されたプラズマポリマー層との組み合わせまたはプラズマポリマー層(実施例1からのもののみ)のいずれかからなっていた。
比較として、実施例1および2の基板に対して以下を適用した:
a)製造業者の説明によるエポキシ系粉体コーティング(3M Scotchcast 5555)、
b)製造業者の取扱説明書によるようなエポキシ−イソシアネート系航空機用塗料(Aerodur(登録商標)Barrier Primer 37045、Akzo Nobel)、
c)製造業者の取扱説明書によるフルオロポリマー系オーバーコート(International Akzo Nobel製のIntersleek 1100SR)、
d)製造業者の取扱説明書によるような、本発明に従って使用されるゾルゲルコーティング(Clearcoat U−Sil 120GL、NTC−Nano Technology Coating GmbH)。測定例1によるゾルゲル層の組成は、Si=7.6原子%、O=32.2原子%、C=56.6原子%、およびN=3.6原子%と決定された。
【0035】
結果を表2に記録する。
【表2】
【0036】
表2中、「X」は、コーティングの破損を示す。
設置状態は、いずれの場合にもサンプルから垂直に見て、平行(ガスの流れ方向と平行)、90℃の角度(流れ方向に対して垂直)およびガスの流れ方向に対して45℃の角度であった。ここでのアンモニアガスの流量は、該システムに典型的な値、ここでは操作サイクルに応じて0.5〜40m/秒であった。
ここでは、サンプルを、アンモニア駆動冷却回路の垂直部分に設置した。この目的のために、いずれの場合にも、1日に該冷却システムの典型的な作動サイクルの3つのサイクルを試験装置で行った。アンモニア(ガス)雰囲気下で、システムを−40℃で冷却した後、+80℃で解凍し、これを交互に行った。
【0037】
本研究では、安定性であると特徴付けられた粉体コーティングなどの系は、試験条件下では不安定でもあったことを発見した。問題とする温度範囲の少なくとも一部が認可されている航空機用塗料でさえも、十分な耐久性を持たない。両方の系は、試験期間後に実質上完全な損失が接着性に示された。フルオロポリマー系として使用されたオーバーコートは、安定性であることが発見された。しかしながら、本発明に従って使用される層が持つものに対して同等の絶縁効果を達成するために、明確に厚い層厚さがここで(特に出願のために)必要とされた。これは、コイル応用例の分野では特に不利であるが、その理由は、ここでの重要な因子は、部品の最大密度のパッキンであるためである(フィルファクタ)。さらに、フルオロポリマー中のPTFE成分は、簡単に約300℃の温度に対して概して安定性であり、それ以降の温度で、系(PTFE)は分解し始め(場合によりHF留分が形成される)、したがってその効果が損失される。冷却回路では、ガス流中でそのような温度に到達することは稀であるが、これは、例えば、使用中のコイルの表面では可能であり、いずれの弱点も、小型の程度に関係なく、絶縁効果が損失すると即座に部品の故障につながり得る。さらに、該塗料系の有機成分は、200℃超の典型的には比較的低い温度でも分解し、同様に、絶縁特性の劣化につながる。
本発明に従って使用するコーティングは、曝露の結果、いずれの損傷も全く示さなかった。これらは、欠点を回避するためのPTFE含有層の置き換えにも良好な適合性を有する点で十分に価値がある。
加えて、塗料系で検査した試験箇所の条件は、標準システムのコンプレッサ用モーターで考えられるものよりもかなり硬かった。
【0038】
質量および体積流量ならびに温度ならびにアンモニアの状態は、試験箇所で極度に異なる。コンプレッサ用モーターは、一定の温度および蒸気または「ガス」状態の冷却剤を常に受ける。例えば、室温2℃の冷えた部屋では、コンプレッサ中のサクションガス温度は、−10℃でほぼ一定である。液体冷却剤または高温は、予測されない、または厳密に回避される。
当然ながら、システムを切り替えると、または除霜段階の後では、変動は少なくなると考えられる。しかしながら、冷却システムの膨張弁は、該速度の制御を作用し、実際のサクションガス温度を数秒以内に調節する。コンプレッサ用モーターは、サクションガス体積流で常に冷却される。
このことから、本発明に従って使用するコーティングは、通常の使用に対する抵抗の蓄積を有すると結論付けることができる。この実施例の背景に対して、本発明に従って改善された効果は、疑いのある場合、この実施例で実施した試験実験の条件下で、すなわち、より特定すると、1日当たりに3回、最速40m/sのガス速度の直接のガス流中、80℃から−40℃のサイクルの条件下でもたらされることが好ましい。
【0039】
(実施例5)
炭素上の加水分解性基の比率の決定
1. 決定手順は、以下の参考文献と類似していた:
“Practical Surface Analysis” - Second Edition 1990, Volume 1 “Auger and X-ray Photoelectron Spectroscopy”, edited originally by D. Briggs and M. P. Seah, John Wiley & Sons, e.g. ISBN 0-471-92081-9 - the following chapter therein: Appendix 3: Data Analysis in XPS and AES, A 3.7 The analysis of overlapping spectral features → A 3.7.9 Curve synthesis and curve fitting, page 572 ff.
記載した手順からの脱却を図って、C−N成分(コーティング中のN分によって適用可能な場合)および(C=O)−Nまたは(C=O)−O成分(加水分解性成分)に適合するピークによる面積比を考慮に入れた(互いに対して同等の1:1であるように維持した)。
【0040】
2. 結果
上述の方法によって、実施例1のプラズマポリマーコーティング、実施例4のゾルゲルコーティング、およびプラズマポリマーコーティングプロセスで製造したaCH層を評価した。この評価を、ゾルゲル層の例を使用して詳細に例示する。
XPS測定によれば、本発明に従って使用されるゾルゲル層の表面で、濃度32.2原子%のO、3.6原子%のN、56.6原子%のCおよび7.6原子%のSiが発見される。さまざまな種の適合またはデコンボリューション(解像)を、C1sピークに基づいて実施した(図1を参照)。分解したピークは以下の通りである:
【表3】
加水分解性構成要素の比率は、(C=O)−Nまたは(C=O)−Oとして見なされる(図1も参照)。
【0041】
これは、11原子%の炭素原子が、ゾルゲル層の加水分解性基の構成要素として存在していたことを示す。実施例1のプラズマポリマーコーティングの同様の測定は、1.5原子%の炭素原子が、対応する基に存在することを示したが、一方で、第3の例として検査したプラズマポリマーaCH層では、3原子%の炭素原子が、加水分解性基に存在していた。
【0042】
理論に束縛されるものではないが、表面に存在する炭素成分を有する層は、表面でアンモニアによる腐食を受け得る基の比率が低いため、また、コーティング内部深くに存在するバックボーンネットワークも起因して、何らの分解も経ず、アンモニア性媒体に対して良好な安定性を有するように見える。ゾルゲルコーティングの場合では、表面で腐食を受け得る基の炭素が幾分か高比率の場合であっても、実施例4で明らかなように、アンモニア性媒体に対して十分に耐性であるように見える。
【図1】
【国際調査報告】