(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】2021500873
(43)【公表日】20210114
(54)【発明の名称】システイン操作された抗原結合分子
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/13 20060101AFI20201211BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20201211BHJP
   C12N 1/15 20060101ALI20201211BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20201211BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20201211BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20201211BHJP
   C12P 21/08 20060101ALI20201211BHJP
   C07K 16/46 20060101ALI20201211BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20201211BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20201211BHJP
   A61K 47/68 20170101ALI20201211BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20201211BHJP
   C12N 15/62 20060101ALN20201211BHJP
【FI】
   !C12N15/13ZNA
   !C12N15/63 Z
   !C12N1/15
   !C12N1/19
   !C12N1/21
   !C12N5/10
   !C12P21/08
   !C07K16/46
   !A61K39/395 N
   !A61K39/395 L
   !A61K45/00
   !A61K47/68
   !A61P43/00 111
   !C12N15/62 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】76
(21)【出願番号】2020519088
(86)(22)【出願日】20181003
(85)【翻訳文提出日】20200518
(86)【国際出願番号】EP2018076900
(87)【国際公開番号】WO2019068756
(87)【国際公開日】20190411
(31)【優先権主張番号】17194497.8
(32)【優先日】20171003
(33)【優先権主張国】EP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.WINDOWS
(71)【出願人】
【識別番号】591032596
【氏名又は名称】メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所】ドイツ連邦共和国 デー−64293 ダルムシュタット フランクフルター シュトラーセ 250
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D−64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【弁理士】
【氏名又は名称】中西 基晴
(72)【発明者】
【氏名】ウォズニアック−クノップ,ゴルダナ
【住所又は居所】オーストリア国 1180 ウィーン,ペーター・ヨルダン・シュトラーセ 163/2/1
(72)【発明者】
【氏名】リューカー,フロリアン
【住所又は居所】オーストリア国 1170 ウィーン,モンティガッセ 6
(72)【発明者】
【氏名】シュタットルマイア,ゲルハルト
【住所又は居所】オーストリア国 1220 ウィーン,レオナルト・ベルンシュタイン・シュトラーセ 4−6/9/120
(72)【発明者】
【氏名】リプカ,ヤクプ
【住所又は居所】ポーランド国 60−288 ポズナン,キルホルムスカ 2,ウ 1
(72)【発明者】
【氏名】ラシェ,ニコラス
【住所又は居所】ドイツ国 64293 ダルムシュタット,フリードリヒシュトラーセ 26
(72)【発明者】
【氏名】ディックギッサー,シュテファン
【住所又は居所】ドイツ国 64285 ダルムシュタット,ビットマンシュトラーセ 42
【テーマコード(参考)】
4B064
4B065
4C076
4C084
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4B064AG27
4B064BJ12
4B064CA19
4B064CC24
4B064CE12
4B064DA01
4B065AA77Y
4B065AA91X
4B065AA93Y
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065CA25
4B065CA44
4C076CC29
4C076EE41
4C076EE59
4C076FF34
4C084AA17
4C084NA14
4C084ZC411
4C085AA14
4C085AA21
4C085BB33
4C085BB35
4C085BB36
4C085BB37
4C085BB41
4C085BB42
4C085BB43
4C085CC23
4C085EE01
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA41
4H045BA53
4H045BA54
4H045BA55
4H045BA70
4H045BA71
4H045BA72
4H045CA40
4H045DA76
4H045EA20
4H045FA74
4H045GA26
(57)【要約】
特定の抗原結合部分と、108及び/又は113位でのシステイン置換について操作された、CH2ドメインを含む抗体Fc領域とを含む特定の抗原結合メンバー(ABM)であって、ナンバリングはIMGTに従い、抗体Fc領域は抗原結合CH3ドメインを含まない、特定の抗原結合メンバー;並びにABMと、CH2ドメインの108及び113位のシステインの一方又は両方に共有結合によりコンジュゲートしている少なくとも1つの異種分子とを含むABMコンジュゲート(ABMC)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定の抗原結合部分と、108及び/又は113位でのシステイン置換について操作された、CH2ドメインを含む抗体Fc領域とを含む、特定の抗原結合メンバー(ABM)であって、ナンバリングはIMGTに従い、抗体Fc領域は抗原結合CH3ドメインを含まない、特定の抗原結合メンバー。
【請求項2】
抗原結合部分が前記抗体CH2ドメインのN末端に融合している、請求項1に記載のABM。
【請求項3】
CH2ドメインが、N108C及び/又はL113Cである1つ又は2つのシステイン置換を含み、ナンバリングがIMGTに従う、請求項1又は2に記載のABM。
【請求項4】
抗原結合部分が、抗体の抗原結合部分、酵素、接着タンパク質、リガンド又は受容体のリガンド結合部分を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載のABM。
【請求項5】
抗原結合部分が、Fab、F(ab’)、scFv、Fd、Fv、及びCDRの少なくとも1つの抗体結合部位を含む1つ又は複数の抗体ドメインからなる群から選択される、請求項1〜4のいずれか一項に記載のABM。
【請求項6】
抗原結合部分が、リンカー及び/又はヒンジ領域を介してCH2ドメインのN末端に融合している、請求項1〜5のいずれか一項に記載のABM。
【請求項7】
CH2ドメインのC末端がCH3ドメインのN末端に融合しており、好ましくは、Fc領域が、抗体重鎖の二量体からなる抗体Fcである、請求項1〜6のいずれか一項に記載のABM。
【請求項8】
Fc領域が、IgG、IgA、IgM、又はIgEアイソタイプのもの、好ましくはヒト抗体のものである、請求項1〜7のいずれか一項に記載のABM。
【請求項9】
モノクローナル抗体、二重特異性抗体、多重特異性抗体、及び抗体の抗原結合部分からなる群から選択される抗体である、請求項1〜8のいずれか一項に記載のABM。
【請求項10】
標的細胞の表面上に発現された標的抗原を特異的に認識する、請求項1〜9のいずれか一項に記載のABM。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか一項に記載のABMと、CH2ドメインの108及び113位のシステインの一方又は両方に共有結合によりコンジュゲートしている少なくとも1つの異種分子を含むABMコンジュゲート(ABMC)であって、ナンバリングはIMGTに従う、ABMコンジュゲート。
【請求項12】
異種分子が、好ましくは、医薬品原薬、毒素、放射性核種、免疫調節剤、サイトカイン、リンホカイン、ケモカイン、増殖因子、腫瘍壊死因子、ホルモン、ホルモンアンタゴニスト、酵素、オリゴヌクレオチド、DNA、RNA、siRNA、RNAi、マイクロRNA、ペプチド核酸、光活性治療剤、抗血管新生剤、アポトーシス促進剤、ペプチド、脂質、炭水化物、蛍光タグ、可視化ペプチド、ビオチン、血清半減期調節剤、捕捉タグ、キレート剤、及び固体支持体からなる群から選択される、疾患の診断、治癒、緩和、治療、又は予防に適切に使用される物質である、請求項11に記載のABMC。
【請求項13】
異種分子が、コンジュゲーションリンカーを介してCH2ドメインの108及び113位のシステインの一方又は両方にコンジュゲートしており、ナンバリングがIMGTに従う、請求項11又は12に記載のABMC。
【請求項14】
コンジュゲーションリンカーがマレイミド基を含む、請求項13に記載のABMC。
【請求項15】
請求項1〜10のいずれか一項に記載のABMをコードする1つ又は複数の核酸分子を含む発現系。
【請求項16】
請求項15に記載の発現系を含む宿主細胞。
【請求項17】
請求項1〜10のいずれか一項に記載のABMを調製する方法であって、請求項16に記載の宿主細胞が、前記ABMを生成する条件下で培養されるか又は維持される、方法。
【請求項18】
請求項1〜10のいずれかに記載のABM、又は請求項11〜14のいずれか一項に記載のABMC、及び薬学的に許容される担体又は賦形剤を非経口製剤中に含む医薬製剤。
【請求項19】
請求項11〜14のいずれか一項に記載のABMCを生成する方法であって、
a)請求項1〜10のいずれか一項に記載のABMを用意するステップ;及び
b)部位特異的コンジュゲーション法により、CH2ドメインの108及び113位のシステインの一方又は両方の少なくとも1つのチオール基を異種分子と反応させるステップ
を含む方法。
【請求項20】
前記少なくとも1つのチオール基が、マレイミド基を含むコンジュゲーションリンカーを使用して、マイケル反応によって前記異種分子と反応する、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、システイン操作された抗体Fc領域を含む抗原結合メンバー(ABM)、及び1つ又は複数の異種分子がシステインのいずれかにコンジュゲートしているABM結合体に関する。
【背景技術】
【0002】
モノクローナル抗体は、治療用抗原結合分子として広く使用されている。基本的な抗体構造について、天然のIgG1免疫グロブリンを例として用いて、本明細書で説明する。
2本の等しい重鎖(H)及び2本の等しい軽鎖(L)が結合して、Y字型の抗体分子を形成する。各重鎖は4つのドメインを有する。アミノ末端可変ドメイン(VH)は、Y字の先端にある。これらに3つの定常ドメイン:CH1、CH2、及びY字の柄の端部に当たるカルボキシ末端側のCH3が続く。短いストレッチであるスイッチ部分が、重鎖可変領域と定常領域を結びつける。ヒンジが、CH2及びCH3(Fcフラグメント)を残りの抗体(Fabフラグメント)と結びつける。天然の抗体分子内のヒンジ部分をタンパク質分解切断することにより、1つのFcと2つの等しいFabフラグメントが生成され得る。軽鎖は、スイッチにより分けられた2つのドメイン、可変ドメイン(VL)と定常ドメイン(CL)から構成される。
【0003】
ヒンジ領域内のジスルフィド結合は、2本の重鎖を結びつける。軽鎖は、追加のジスルフィド結合により重鎖と連結している。Asn結合した炭水化物部分が、免疫グロブリンのクラスに応じて、定常ドメインの異なる位置で結合している。IgG1の場合、ヒンジ領域内の2つのジスルフィド結合が、Cys235とCys238の対の間で2本の重鎖を一体化している。軽鎖は、CH1ドメインにおけるCys220(EUインデックスのナンバリング)又はCys233(Kabatによるナンバリング)と、CLドメインにおけるCys214(EUインデックス及びKabatナンバリング)との間の2つの追加のジスルフィド結合によって重鎖にカップリングされる。炭水化物部分が、各CH2のAsn306に結合して、Y字の柄の部分に特徴的な膨らんだ部分を生成する。
【0004】
このような特徴は、重要な機能的意義を有する。重鎖(VH)及び軽鎖(VL)の可変領域はいずれも、N末端領域、すなわちY字の「先端部分」にあり、抗原と反応するように配置されている。分子のこの先端部分は、アミノ酸配列のN末端が位置する側である。Y字の柄の部分は、エフェクター機能、例えば補体の活性化、及びFc受容体との相互作用、又はADCC及びADCP等に効果的に関与するように構成される。柄のCH2及びCH3ドメインは、エフェクタータンパク質との相互作用を促進するように膨らんでいる。アミノ酸配列のC末端は、先端部分とは反対側に位置し、Y字の「根元」と呼ばれる場合もある。
【0005】
ラムダ(λ)及びカッパ(κ)と呼ばれる2種類の軽鎖が抗体中に見出される。所定の免疫グロブリンは、κ鎖又はλ鎖のいずれか一方を有し、それぞれ1つ有することはない。機能的な差異は、λ又はκの軽鎖を有する抗体の間で見出されない。
【0006】
抗体分子内の各ドメインは、圧縮された逆平行βバレル内で、相互に緊密にパックされた2つのβシートからなる類似した構造を有する。この保存的構造は、免疫グロブリンフォールドと呼ばれる。定常ドメインの免疫グロブリンフォールドは、4本のストランドからなるシートに対向してパックされた3本のストランドからなるシートを含む。このフォールドは、各シートのβストランド間の水素結合により、内部の対向するシートの残基間の疎水結合により、及びシート間のジスルフィド結合により安定化している。3本のストランドからなるシートは、ストランドC、F、及びGを含み、また4本のストランドからなるシートは、ストランドA、B、E、及びDを有する。文字A〜Gは、免疫グロブリンフォールドのアミノ酸配列に沿って、βストランドの連続的な位置を表す。
【0007】
可変ドメインのフォールドは、4本及び5本のストランドからなる2つのシート内に配置された9本のβストランドを有する。5本のストランドからなるシートは、定常ドメインの3本のストランドからなるシートと構造的に相同であるが、余分なストランドC’及びC’’を含む。残りのストランド(A、B、C、D、E、F、G)は、定常ドメインの免疫グロブリンフォールド内のカウンターパートと同一のトポロジー及び類似した構造を有する。ジスルフィド結合は、定常ドメインの場合と同様に、対向するシート内のストランドBとFとを結びつける。
【0008】
免疫グロブリンの軽鎖及び重鎖両方の可変ドメインは、3つの高頻度可変性ループ、又は相補性決定領域(CDR)を含む。Vドメインの3つのCDR(CDR1、CDR2、CDR3)は、βバレル構造の一方の端部に密集している。CDRは、免疫グロブリンフォールドのβストランドB−C、C’−C’’、及びF−Gを結びつけるループである。CDR内の残基は、免疫グロブリン分子毎に変化し、各抗体に抗原特異性を付与する。
【0009】
抗体分子の先端部分に位置するVL及びVHドメインは、6個のCDR(ドメイン毎に3個)が、抗原と特異的結合するための表面(又はキャビティ)を構成する際に協力し合うように、緊密にパックされている。したがって、抗体の天然の抗原結合部位は、軽鎖可変ドメインのストランドB−C、C’−C’’、及びF−G、並びに重鎖可変ドメインのストランドB−C、C’−C’’、及びF−Gを結びつけるループから構成される。
【0010】
天然の免疫グロブリン内のCDRループではない、又はCDRループにより決定される抗原結合ポケットの一部分ではないループ、並びに任意選択的にCDRループ領域内の隣接したループは、抗原結合又はエピトープ結合特異性を有さないが、免疫グロブリン分子及び/又はそのエフェクター全体の正しいフォールディング、又はその他の機能に寄与し、したがって構造的ループと呼ばれる。したがって、本発明によれば「構造ループ」又は「非CDRループ」は、以下のように理解されるべきである:免疫グロブリンは、いわゆる免疫グロブリンフォールドを有するドメインから作製される。本質的に、逆平行ベータシートはループで接続され、圧縮された逆平行ベータバレルを形成する。可変領域では、ドメインのループの一部が本質的に、抗体の特異性、すなわち抗原への結合に寄与する。これらのループはCDRループと呼ばれる。抗体ドメインの他のすべてのループは、むしろ分子の構造及び/又はエフェクター機能に寄与している。これらのループは、本明細書では構造ループ又は非CDRループとして定義される。
【0011】
例えば、抗原に高アフィニティーで特異的に結合する、修飾されたIgG1 Fcドメインを含む、抗原結合Fcフラグメント(Fcab(商標)[f−star;抗原結合部位(ntigen inding site)を有するFcフラグメント(Wozniak−Knoppら、2010年)とも呼ばれる]は、例えば、国際公開第2009/132876A1号及び国際公開第2009/000006A1号に記載されている。
【0012】
抗体薬物コンジュゲート(ADC)を提供するために、様々な抗体構築物が現在開発中である。
ADCは、抗体の特異性を薬物の細胞毒性と組み合わせる。したがって、両方の治療効果を向上させる。ADCは、通常、抗体、リンカー及び細胞毒素からなる。抗体の役割は、薬物の細胞への標的化送達である。特定の場合では、抗原−抗体複合体の効率的な内在化は、ADCの作用機序に重要である。内在化の後、リンカーの切断が起こり、毒素はその活性型で放出される。その放出前は、毒素は、コンジュゲーションのために不活性であり、したがって、循環中は安定し無害である。
【0013】
ADCで現在使用されている細胞毒素は、2つのカテゴリに分類することができる:微小管集合を阻害することにより微小管と相互作用するもの(例えば、メイタンシノイドやオーリスタチン)、及びDNAの副溝に結合し、DNA鎖の切断を誘導することにより細胞死を引き起こすもの(例えば、カリケアマイシン)。ミロタグ(Mylotarg)(登録商標)(Wyeth、ゲムツズマブ−オゾガミシン)は、カリケアマイシン誘導体を使用し、急性骨髄性白血病の治療のために米国食品医薬品局によって承認された最初のADCであった。安全性への懸念及び患者の満足度が不十分なため、2010年に市場から撤退した。現在、様々な臨床試験ではいくつかのADCがある。
【0014】
典型的には、細胞毒素の初期の放出がそうでなければ非特異的な細胞殺傷をもたらし得るため、循環において安定しているリンカーが使用される。選択されたリンカーは、リソソームで容易に切断可能であり、細胞内に薬物を放出する。現在、リンカーには4つの異なるクラスがある:中性pH(例えば、血液)で安定であり、酸性環境で加水分解を受ける酸に不安定なヒドラゾンリンカー;グルタチオンの細胞内濃度が高いためにサイトゾルで切断されるジスルフィドベースのリンカー;ペプチド結合により薬物を抗体にコンジュゲートさせ、リソソームプロテアーゼにより放出されるペプチドベースのリンカー;非常に安定しており、細胞内タンパク質分解を通じて薬物を放出することが想定されるチオエーテル含有の非切断性リンカー。
【0015】
遊離チオール(SH)基は、鎖間ジスルフィドを部分的に還元することによって、又は部位特異的突然変異誘発を介して新しい表面システインを導入して特定のコンジュゲーション部位を作製することによって導入され得る(Junutula,Bhaktaら、2008年;Voynovら、2010年)。それにより、反応性チオール基を有する構築物が「preADC」として提供される。表面システインの操作は、様々な位置について、国際公開第2013/070565A1号、国際公開第22014/124316A1号、国際公開第2015/157595A1号及び国際公開第2017/112624A1号に記載されている。
【0016】
Fcフラグメントの基本的な特性を変えることなく、抗体のシステイン操作を改善する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明の目的は、薬物コンジュゲーションのために容易に接触可能な反応性チオール基を提供する、改善されたシステイン操作ABMを提供することである。
本目的は、本発明の主題によって解決される。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明によれば、特定の抗原結合部分と、108及び/又は113位でのシステイン置換について操作された(野生型CH2ドメインと比較して突然変異又は別の方法で修飾されていると理解される)、CH2ドメインを含む抗体Fc領域とを含む特定の抗原結合メンバー(ABM)であって、ナンバリングはIMGTに従う、特定の抗原結合メンバーが提供される。具体的には、ABMは、特異的抗原結合部分と、CH2ドメインを含む抗体Fc領域とを含み、CH2ドメインは、108及び/又は113位にシステイン置換を含み、ナンバリングはIMGTに従う。
【0019】
具体的には、1つ又は2つのシステインが、天然に存在するアミノ酸をシステインに置換する点突然変異によって、所定の位置でCH2ドメインのF−Gループに操作される。それにより、1つ又は複数の遊離チオール基がABMに操作される。
【0020】
遊離チオール基は、本明細書では、ABMの他のシステイン残基と対になっていない(架橋されていない)状態であり、キャップされないか、又は細胞培養においてABMを発現すると細胞培養中に存在し得る、化学物質(ABM以外)で、例えばシステイン若しくはグルタチオンによってキャップされ得る、システイン残基のスルフヒドリル(−SH)官能基として理解される。具体的には、遊離(対になっていない)システイン残基は、部位特異的な標識及び/又は薬物コンジュゲーションのためにABMに導入される。
【0021】
指示された位置は、驚くことに、溶媒との相互作用へのアミノ酸残基の曝露を決定する場合に「隠された」又は「埋もれた」にもかかわらず、十分に適切であることが判明した。先行技術では、ある位置の溶媒曝露は、薬物コンジュゲーションのための好ましい接触可能性を示した。
【0022】
具体的には、抗原結合部分は、抗体の抗原結合部分、又は酵素、接着タンパク質、リガンド若しくは受容体のリガンド結合部分のいずれか1つの結合部位を含み、その結合部位は、結合パートナーの同族の構造に結合することができる。具体的には、抗原結合部分は、天然に存在する受容体の結合部位で構成される。
【0023】
具体的には、抗原結合部分は、1つ又は複数の抗体可変ドメイン、特にVH及びVLドメインを含み、これらは会合して、3つのVH−CDR領域及び3つのVL−CDR領域が関与するか又はそれで構成されるVH/VL結合部位を形成する。
【0024】
本明細書に記載される特定のABMは、抗原結合部位を含む抗原結合CH3ドメインを含み、例えば、少なくとも1つの構造ループ領域の1つ又は複数のアミノ酸配列が修飾され、それにより、抗原のエピトープ、例えば、非修飾CH3ドメインが有意に結合しない表面抗原に特異的に結合する修飾された構造ループ領域が得られる。構造ループに抗原結合部位を含む抗原結合CH3ドメインは、抗原結合Fcにおいて、又は抗体の若しくはこのようなFcを含む任意の他のABMの抗原結合Fc部分において、好ましい特性を有することが示されている。
【0025】
本明細書に記載される特定のABMは、抗原結合部位を含む、本明細書に記載される抗原結合Fcからなるか又はそれを含み、例えば、少なくとも1つの構造ループ領域の1つ又は複数のアミノ酸配列が修飾され、それにより、非修飾Fcが有意に結合しないが、抗原、例えば、Her2等の表面抗原のエピトープに特異的に結合する修飾された構造ループ領域が得られる。構造ループに抗原結合部位を含む抗原結合Fcは、Fcabとして、又は抗体若しくはこのようなFcを含む任意の他のABMの抗原結合Fc部分として好ましい特性を有することが示されている。
【0026】
本明細書に記載される特定のABMには、抗原結合CH3ドメイン又はFcを含む抗体、例えば、IgG構造を有するもの等の全長抗体が含まれ、これは、1つ又は複数(例えば、2つのみ)の抗原結合CH3ドメインを含むか、又は野生型CH3ドメイン(複数可)及びFcをそれぞれ置換する抗原結合Fcを含む。例示的な結合メンバーは、mAb(商標)(f−star)と呼ばれる完全長の二重特異性抗体である。
【0027】
好ましい実施形態によれば、抗原結合部分は、Fab、F(ab’)、scFv、Fd、Fv、抗原結合CH3、Fcab、及びCDR又は非CDR(又は構造)ループの少なくとも1つの抗体結合部位を含む1つ又は複数の抗体ドメインからなる群から選択される。
【0028】
具体的には
a)抗原結合部分は、上記抗体CH2ドメインのN末端に融合している;及び/又は
b)抗原結合部分は、CH3ドメイン及び/又はFc領域に含まれる。
【0029】
具体的には、抗原結合部分は、Fc領域の構造ループ、特にFc領域に含まれる1つ又は2つのCH3ドメインのC末端構造ループに含まれる。
特定の実施形態によれば、抗原結合部分は、抗原結合Fcに含まれるか、又は抗原結合Fcを含む完全長の多価若しくは二重特異性抗体に含まれる。
【0030】
具体的には、抗原結合部分は、リンカー及び/又はヒンジ領域を介してCH2ドメインのN末端に融合している。具体的には、ヒンジ領域は、天然に存在する免疫グロブリンのヒンジ領域である、アミノ酸配列で構成される任意のペプチドヒンジ領域である。具体的には、ヒンジ領域は、例えば、配列番号7として同定されるアミノ酸配列を含むか又はそれからなるヒト免疫グロブリンのものである。
【0031】
本明細書に記載されるABMにおいて、抗体ドメインの結合は、特に、組換え融合又は化学結合による。特定の結合は、1つのドメインのC末端と別のドメインのN末端との結合を介し得るが、この場合、例えば末端領域内の1つ又は複数のアミノ酸残基がドメインサイズを短縮するために除去される、又はドメインの可撓性を高めるために延長される。
【0032】
具体的には、例えば少なくとも1、2、3、4、又は5、最大6、7、8、9、又は10個のアミノ酸を除去するなどして、C末端及び/又はN末端領域において欠損を含む、短縮したドメイン配列を使用することができる。
【0033】
具体的には、例えば、少なくとも1、2、3、4、又は5個のアミノ酸、最大10、15、又は20個のアミノ酸を含む、アミノ酸配列で構成されるペプチドリンカー等の、免疫グロブリンのリンカー若しくはヒンジ領域、又はヒンジ領域の少なくとも一部である連結配列を使用することができる。連結配列は、本明細書において「接合部」とも呼ばれる。ドメインは、リンカーによって、例えば、ドメイン間の天然の接合部を含むように、ドメインに隣接して天然に位置する抗体ドメインのN末端又はC末端領域に由来するアミノ酸配列を介して伸長され得る。或いは、リンカーは、ヒンジ領域に由来するアミノ酸配列を含有し得る。しかしながら、リンカーは同様に人工的な配列であり得、例えば、好ましくは5〜20個のアミノ酸の長さ、好ましくは8〜15個のアミノ酸の長さを有する、連続したGly及び/又はSerアミノ酸からなり得る。
【0034】
具体的には、CH2ドメインのC末端は、CH3ドメインのN末端に融合しており、好ましくは、Fc領域は、抗体重鎖の二量体からなる抗体Fcに含まれる。
具体的には、Fc領域は、2つのCH2ドメイン及び2つのCH3ドメインで構成される抗体のFc部分(本明細書では「抗体Fc」又は「Fc」と呼ばれる)に含まれ、CH3ドメインに融合しているCH2ドメインの第1の鎖は、CH3ドメインに融合したCH2ドメインの第2の鎖と二量体を形成している。
【0035】
Fc領域は、具体的に、それぞれがCH2−CH3抗体ドメインの鎖を含むことによって特徴付けられるFc鎖の二量体によって特徴付けられ、その二量体はホモ二量体又はヘテロ二量体であり得、第1のFc鎖は、CH2及び/又はCH3ドメインにおける少なくとも1つの点突然変異において第2のFc鎖と異なる。
【0036】
具体的には、FcのCH2ドメインの一方又は両方は、108及び/又は113位でのシステイン置換の一方又は両方を含むように操作されたシステインであり、ナンバリングはIMGTに従う。具体的には、Fcは、各CH2ドメインにシステイン置換の一方又は両方を含み、その結果、Fcは、1、2、3、又は4つの遊離チオール基のみを含む。
【0037】
具体的には、抗原結合部分は、Fc又はFc領域、特にCH2ドメインのN末端、又は抗原結合部分をCH2ドメインに連結するヒンジ領域に融合している。
特定の実施形態によれば、抗原結合部分は、Fc領域内に、例えば、「構造ループ領域」と理解される、CH3ドメインのC末端ループ領域内に組み込まれる。
【0038】
特定の例によれば、抗原結合部分は、Fcabの抗原結合部位である。具体的には、Fcabは、1つ又は2つの抗原結合部分を含む。具体的には、Fcabは、2つの抗原結合部分を含み、第1の抗原結合部分は、第1のCH3ドメインのC末端構造ループ領域に組み込まれ、第2の抗原結合部分は、第2のCH3ドメインのC末端構造ループ領域に組み込まれる。
【0039】
さらに、Fcabは、1つ又は複数の抗原結合部分を含む構築物の一部であり得、例えば、2つの抗原結合部分であって、第1のものは、第1のCH2−CH3鎖のN末端に、例えば、リンカー又はヒンジ領域を介して融合し、第2のものは、第2のCH2−CH3鎖のN末端に、例えば、リンカー又はヒンジ領域を介して融合している抗原結合部分の一部であり得る。
【0040】
具体的には、ABMは、抗原結合Fc(特にFcab)、又は抗原結合Fcを含む完全長の多価若しくは二重特異性抗体(特にmAb)である。
特定の例によれば、ABMは、IgG、IgA、IgM、又はIgEのいずれか1つの構造を有する完全長免疫グロブリンであり、FcはFcabに交換されている。それにより、ABMは、3つ、4つ、又は少なくとも3つ若しくは4つの抗原結合部分、及び任意選択に2つ、3つ又はそれを超える異なる抗原結合特異性を含む。
【0041】
特定の実施形態では、ABMは、完全長の多価又は二重特異性抗体であり、
i)各々が1つの抗原結合部位(例えば、各々が抗体のFabアームである)を有する2つの抗原結合部分であって、抗原結合部位の各々がCDRループで構成される抗原結合部位;
ii)1つ又は2つの抗原結合部位を含む1つの抗原結合部分(例えば、1つ又は2つのCH3ドメインに抗原結合部位を含む抗原結合Fc)であって、抗原結合部位の各々が非CDRループで構成される抗原結合部分
を含む。
【0042】
具体的には、ABMは、モノクローナル抗体、二重特異性抗体、多重特異性抗体、抗体の抗原結合部分、Fcab分子、及びFcab分子を含む抗体からなる群から選択される抗体である。具体的には、ABMは、ヒト抗体、ヒト化抗体、又はキメラ抗体である。具体的には、ABMは、ヒト抗体、特にヒトIgG抗体であり、これは本明細書に記載されるようにCH2ドメインに点突然変異を導入するために修飾され、任意選択的にさらに修飾して1つ又は複数の追加の抗原結合部位を導入する。
【0043】
具体的には、ABMは、二重特異性又は多重特異性であり、2つ以上の異なる抗原を特異的に認識し、特定の抗原は1つ、2つ又はそれを超える抗原結合部分によって認識される。具体的には、ABMは、二価又は多価であり、抗原はそれぞれ2つ以上の抗原結合部分によって特異的に認識される。
【0044】
具体的には、ABMは、2つ以上の抗原が抗原結合部分の1つの交差特異的結合部位によって特異的に認識される交差反応性である。
具体的には、ABMはモノクローナル抗体である。具体的には、組換え技術によって操作されて、モノクローナル抗体を発現する、宿主細胞の細胞株を培養することにより得られるモノクローナル抗体の調製物が提供される。
【0045】
特定の実施形態によれば、CH2ドメインは、N108C及び/又はL113Cである1つ又は2つのシステイン置換を含み、ナンバリングはIMGTに従う。
具体的には、CH2ドメインは、哺乳動物種、例えば、ヒト、マウス、ウサギ、ヤギ、ラクダ、ラマ、ウシ若しくはウマのものであり、又はトリ種、例えば、ニワトリのものである。
【0046】
特に、CH2ドメインは、所定の位置に操作された1つ又は2つのシステインの他に、天然に存在するアミノ酸配列からなる野生型CH2ドメインであり、それにより人工生成物が得られる。
【0047】
具体的には、CH2ドメインは、IgG、IgA、IgM、又はIgEアイソタイプのいずれか1つ、特にIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、IgA2、IgD、IgE、又はIgM抗体のいずれかの免疫グロブリンのものであり、好ましくはヒト抗体のものである。
【0048】
具体的には、CH2ドメインはヒトIgG、特にIgG1のものであり、N108C及び/又はL113Cである1つ又は2つのシステイン置換を含み、ナンバリングはIMGTに従う。
【0049】
具体的には、CH2ドメインはヒトIgG、特にIgG1のものであり、N325C及び/又はL328Cである1つ又は2つのシステイン置換を含み、ナンバリングはKabatのEUインデックスに従う。
【0050】
具体的には、CH2ドメインは、配列番号1、2若しくは3のいずれかとして同定されたアミノ酸配列、又は配列番号1、2若しくは3のいずれかと少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか又はそれからなる。
【0051】
CH2ドメインの機能的変異体は、特定の程度の配列同一性によって特に特徴付けられる。例えば、天然に存在する配列に対して、例えば少なくとも90%又は少なくとも95%は、ヒトIgG、IgA、IgM又はIgE構造、特にヒトIgG1構造におけるそれぞれのドメインの構造に似ている抗体ドメインのベータバレル構造によって特徴付けられる。
【0052】
具体的には、天然に存在する配列に1つ又は複数の点突然変異、好ましくは最大10個の点突然変異、特に1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10個の点突然変異を含む、CH2ドメインの機能的に活性な改変体を使用することができる。
【0053】
具体的には、Fc又はFc領域は、哺乳動物種、例えば、ヒト、マウス、ウサギ、ヤギ、ラクダ、ラマ、ウシ若しくはウマのものであり、又はトリ種、例えば、ニワトリのものである。
【0054】
特に、Fc領域は、所定の位置でCH2に操作された1つ又は2つのシステインの他に、天然に存在するアミノ酸配列からなる野生型CH2−CH3ドメイン配列を含み、それにより人工生成物が得られる。
【0055】
具体的には、Fc又はFc領域は、IgG、IgA、IgM、又はIgEアイソタイプのいずれか、特にIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、IgA2、IgD、IgE、又はIgM抗体のいずれかの免疫グロブリンのものであり、好ましくはヒト抗体のものである。
【0056】
具体的には、1つのCH2及び1つのCH3ドメインで構成されるFc領域は、ヒトIgG、特にIgG1のものであり、N108C及び/又はL113CであるCH2ドメインに1つ又は2つのシステイン置換を含み、ナンバリングはIMGTに従う。
【0057】
具体的には、1つのCH2及び1つのCH3ドメインで構成されるFc領域は、ヒトIgG、特にIgG1のものであり、CH2ドメインに1つ又は2つのシステイン置換を含み、これは、N325C及び/又はL328Cであり、ナンバリングはKabatのEUインデックスに従う。
【0058】
具体的には、Fc領域は、配列番号4、5若しくは6のいずれかとして同定されるアミノ酸配列、又は配列番号4、5若しくは6のいずれかと少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか又はそれからなる。
【0059】
Fc領域の機能的変異体は、例えば、特定の程度の配列同一性によって特に特徴付けられる。例えば、天然に存在する配列と、例えば少なくとも90%又は少なくとも95%は、ヒトIgG、IgA、IgM又はIgE構造、特にヒトIgG1構造におけるそれぞれのドメインの構造に類似しているCH2及びCH3抗体ドメインのベータバレル構造によって特に特徴付けられる。
【0060】
具体的には、Fc領域に含まれるCH2及びCH3ドメインの一方又は両方の天然に存在する配列に1個以上の点突然変異、好ましくは最大10個の点突然変異、特に、抗体ドメインCH2及びCH3の一方又は両方に1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10個の点突然変異のいずれかを含む、Fc領域の機能的に活性な変異体を使用することができる。
【0061】
特定の実施形態によれば、ABMは、特に1つ又は複数の抗原結合部分を介して、標的細胞の表面上に発現される標的抗原を特異的に認識する。このような表面抗原は、抗原に結合すると、ABM又は上記ABMに連結された任意の異種部分と反応するように標的化された、哺乳動物細胞のいずれか、特にヒト細胞である標的細胞の表面に特異的にある。
【0062】
具体的には、標的抗原は、受容体を含む細胞表面抗原から、特にerbB受容体チロシンキナーゼ(例えば、EGFR、Her2neu等のHER2、HER3及びHER4)からなる群から選択される。加えて、さらなる抗原、例えば、TNF受容体スーパーファミリーの分子、例えば、Apo−1受容体、TNFR1、TNFR2、神経成長因子受容体NGFR、CD40、CD40リガンド、OX40、TACI、BCMA、BAFF受容体、T細胞表面分子、T細胞受容体、T細胞抗原、Apo−3、DR4、DR5、DR6、デコイ受容体、例えば、DcR1、DcR2、CAR1、HVEM、GITR、ZTNFR−5、NTR−1、TNFL1、IGFR−1、c−Met(これらの分子に限定されない)、B細胞表面抗原、例えば、CD10、CD19、CD20、CD21、CD22、DC−SIGN、固形腫瘍又は血液癌細胞、リンパ腫若しくは白血病の細胞、血小板を含む他の血液細胞の抗原又はマーカー(これらの分子に限定されない)を標的とすることができる。
【0063】
特定の例によれば、表面抗原は、受容体チロシンキナーゼ(ErbBファミリー)からなる群から選択される。
具体的には、ABMは、標的細胞への結合時に内部化している。特定の例によれば、内在化するABMは、受容体チロシンキナーゼ(ErbBファミリー)からなる群から選択される抗原を特異的に認識する。標的細胞への結合時のABMの内在化は、例えば、フローサイトメトリー、放射標識抗体研究、画像分析、又は抗体薬物コンジュゲートを使用する細胞毒性アッセイを含む標準的な技術によって決定される。
【0064】
具体的には、ABMは、VH/VLドメイン対で構成される機能的な抗原結合部位を含み、高いアフィニティーと10−6M、10−7M、10−8M、10−9M、又は10−10Mのいずれよりも低いKDで標的に結合することができる。具体的には、ABMは、2つの異なる抗原を標的とする二重特異性抗体又はヘテロ二量体抗体であり、抗原の各々は、10−6M、107M、10−8M、10−9M、又は10−10Mのいずれかよりも低いKDで抗体により認識される。
【0065】
具体的には、ABMは、少なくともEGFRを標的とする単一特異性又は二重特異性抗体である。特定の例によれば、抗体は、セツキシマブ(ImClone Systems、Bristol−Myers Squibb、Merck KGaA)である。
【0066】
具体的には、ABMは、二重特異性又は多重特異性抗体であり、第1の標的はCD3、CD16又はHer2neuのいずれかであり、第2の標的はEGFRである。
具体的な実施形態によれば、ABMは、2つの異なるFabアームを含み、これにより、それぞれが特異的な結合特性を有する2つの異なるFv構造を提供する。具体的には、ABMは、2つの異なる抗原又は抗原の2つの異なるエピトープを標的とするヘテロ二量体又は二重特異性抗体である。
【0067】
具体的には、ABMは、二重特異性全長免疫グロブリン等の、異なる抗原又はエピトープを認識する第1及び第2のFabアームを含むヘテロ二量体又は二重特異性抗体である。
【0068】
例えば、本明細書に記載されるABMにおいて使用される抗原結合部分は、VH−CH1ドメイン配列からなる重鎖(HC)及びVL−CL(カッパ又はラムダ)ドメイン配列からなる軽鎖(LC)の二量体であるFabアームであって、ジスルフィドブリッジの有無にかかわらず、ヒンジドメイン及び/又はリンカー配列は抗体ドメインを接続する。Fabアームは、典型的には、抗体から切断された場合のFabフラグメント(又はFab部分)として理解される。Fabアームは、VHドメインとVLドメインとの対形成によって形成された唯一の抗原結合部位によって具体的に特徴付けられ、単一特異的及び一価的にのみ標的に結合することができる。
【0069】
特定の態様によれば、本明細書に記載されるABMは、HCがFc領域に二量体化する、各々がCH2及びCH3ドメインを含む2つの異なるHC、及び任意選択的にCH4ドメインを含むヘテロ二量体抗体である。
【0070】
具体的には、ABMは、ヘテロ二量体Fc又はFc領域を含み、第1のFc鎖は、CH2及び/又はCH3ドメインにおける少なくとも1つの点突然変異において第2のFc鎖と相違する。
【0071】
具体的には、ヘテロ二量体Fc領域は、
a)ヒトIgA及びIgG CH3配列の交互セグメントから構成される鎖交換操作ドメイン(SEED)CH3ヘテロ二量体;
b)1つ若しくは複数のノブ若しくはホール突然変異、好ましくはT366Y/Y407’T、F405A/T394’W、T366Y:F405A/T394‘W:Y407’T、T366W/Y407’A及びS354C:T366W/Y349’C:T366’S:L368’A:Y407’Vのいずれか;
c)第2のCH3ドメインのシステイン残基に共有結合し、これによりドメイン間ジスルフィド架橋が導入され、好ましくは両方のCH3ドメインのC末端を連結する、第1のCH3ドメインのシステイン残基;
d)反発性の電荷がヘテロ二量体の形成を抑制する1つ若しくは複数の突然変異、好ましくはK409D/D399’K、K409D/D399’R、K409E/D399’K、K409E/D399’R、K409D:K392D/D399’K:E356’K又はK409D:K392D:K370D/D399’K:E356’K:E357’Kのいずれか;並びに/又は
e)ヘテロ二量体形成及び/若しくは熱安定性のために選択された1つ若しくは複数の突然変異、好ましくはT350V:L351Y:F405A:Y407V/T350V:T366L:K392L:T394W、
T350V:L351Y:F405A:Y407V/T350V:T366L:K392M:T394W、
L351Y:F405A:Y407V/T366L:K392M:T394W、
F405A:Y407V/T366L:K392M:T394W、又は
F405A:Y407V/T366L:T394Wのいずれか、
のうちの1つ又は複数を導入するように操作されている及び/又はこれにより特徴付けられる2つのCH3ドメインを含み、
但し、ナンバリングはKabatのEUインデックスに基づく。
【0072】
このようなCH3突然変異は、好ましくは互いに対形成する2つの異なるFc鎖及びHC(少なくとも異なるCH3ドメインの配列によって異なる)をそれぞれ産生するように操作されて、これによりFc鎖又はHCのヘテロ二量体を得て、HCホモ二量体、すなわち同じ配列の2つのHCの二量体を産生する傾向を実質的に低下させる。
【0073】
本明細書に記載するCH3点突然変異を規定する際には、「スラッシュ」は、各対の一方の鎖又は一方のドメイン上の点突然変異を、他方の鎖又は他方のドメインに由来する点突然変異から区別する;アミノ酸位置のナンバリングにおける「インデント」は、ヘテロ二量体の第2の鎖又は二量体を意味する。「コロン」は、複数ある鎖又はドメインのうちの1つの鎖又はドメイン上の点突然変異の組み合わせを、それぞれ特定する。
【0074】
上記のように、ヘテロ二量体形成のために選択された突然変異、又はVon Kreudensteinら(Landes Bioscience、第5巻、5号、2013年、646〜654頁)の開示による更なる突然変異のいずれも利用可能である。
【0075】
好ましくは、(i)ノブ突然変異;又は(ii)ホール突然変異、又は(iii)ノブ及びホール突然変異が1つの鎖又はドメイン上に改変され、またカウンターパートの(i)ホール突然変異、又は(ii)ノブ突然変異、又は(iii)ホール及びノブ突然変異が、ヘテロ二量体の他方の鎖上で改変される。
【0076】
具体的には、1つ又は2つの操作されたCH3ドメインを含む1対のCH3ドメインは、1を超える(追加の)ドメイン間のジスルフィド架橋を含み得、例えば、2つ又は3つが2つのCH3ドメイン対を接続する。
【0077】
具体的には、異なる突然変異(上記a)に基づく)が、CH3ドメインの各対の両CH3ドメインにおいて、同種の(マッチングする)対を生成するために改変されるが、この場合、一方のドメインは、βシート領域内に接触表面の立体修飾を含むが、そのような接触表面は、相補的な立体修飾を通じて他方のドメインの各接触表面と選好的に結合する。そのような立体修飾は、例えば、「ノブ」又は「ホール」構造を生成するような、異なるアミノ酸残基及び側鎖に主に起因し、「ノブ・イントゥ・ホール」二量体を形成する相補性を有する。
【0078】
特定の態様によれば、Fc領域のCH3ドメインの各々は、配列番号8(ヒト野生型IgG1 CH3)として同定されるアミノ酸配列を有するIgG型、又は配列番号8の機能的変異体でのものであって、これは、少なくとも2アミノ酸長の少なくとも1つのベータ鎖IgAセグメントを組み込むことによって鎖交換を得るように設計され、Fc領域は、好ましくは、第1のCH3ドメインのIgAセグメントと第2のCH3ドメインのIgAセグメントとの対形成を介してCH3ドメインの同族対を含む。鎖交換されたCH3の特定の例によれば、AG鎖を含む最初のCH3ドメインは、配列番号9として同定されるアミノ酸配列によって特徴付けられ;GA鎖を含む合致する第2のCH3ドメインは、配列番号10として同定されるアミノ酸配列によって特徴付けられる。
【0079】
そのようなストランド交換CH3ドメインは、例えばそれぞれ異なる位置に配置し、そして非IgAセグメント、例えばIgGセグメントにより互いに分離している少なくとも1、2、3、4、又は5個の異なるIgAセグメントを組み込む、IgAアミノ酸配列及びIgGアミノ酸配列の交互に反復したセグメントを特に含み得る。
【0080】
具体的な態様によれば、ABMは、任意選択的にFc領域において、Fcガンマ受容体結合部位及び/又はC1q結合部位を含むエフェクター機能コンピテント抗体である。
具体的には、抗体は、ADCC及び/又はCDC活性のいずれかにより特徴付けられる。
【0081】
さらに、特に好ましい態様によれば、ABMは、Fcガンマ受容体及び/又はC1qへの結合を欠いているFc領域を含むエフェクター陰性(EN)抗体である。
具体的には、抗体は、エフェクター欠損性であり(本明細書では、エフェクター陰性とも呼ばれる)、Fc領域を介したFcγ受容体又はCD16aとの結合は実質的に低下又は欠損している。
【0082】
具体的には、エフェクター陰性抗体は、ヒトIgG2のCH2配列、又は改変されたその変異体により特徴付けられ、例えば「VH(1)−CH3_KNOB(T366Y)−CH2EN−CH3AG」(配列番号15)で用いられるような、C末端側CH3ドメインのN末端に融合した(ナンバリングはKabatのEUインデックスに基づく)、米国特許第8562986号に記載の修飾型ヒトIgG2のCH2ドメイン(F296A、N297Q)を含む。
【0083】
具体的には、EN抗体は、実質的に低下したADCC及び/若しくはCDCを有する、又は一切有さない。
具体的には、ABMは、もしあれば、CH2及び/又はCH3ドメインに位置するpH依存性のFcRn結合部位を含む。具体的には、ABMは、CH2ドメインとCH3ドメインとのインタージャンクションのFcRn結合部位を含む抗体のFc部分を含む。具体的には、FcRn結合部位は、pH依存的に10−4M未満、又は10−5M、10−6M、10−7M、若しくは10−8M未満のKDでFcRnに結合するアフィニティーを有する。
【0084】
具体的には、pH依存性にFcRnと結合する結合アフィニティーは、生理学的pH(pH7.4)における同結合アフィニティーと比較して、pH5〜6において、少なくとも1対数、好ましくは少なくとも2対数、又は3対数増加している。
【0085】
更なる態様によれば、ABMは、pH依存性のFcRn結合を変化させるために改変される。例えば、少なくとも1つのヒトIgG1 CH3ドメインは、pH依存性のFcRn結合を低下させるためにFcRn結合部位に少なくとも1つの突然変異、具体的にはH433A若しくはH435A突然変異の少なくとも1つ、又はH433AとH435A突然変異の両方を含むように操作され、ナンバリングはKabatのEUインデックスによる。pH依存性のFcRn結合の低下は、pH依存性にFcRnと結合する結合アフィニティーが、生理学的pH(pH7.4)における同結合アフィニティーと比較して、pH5〜6において1対数を超えて低い、好ましくはほぼ同等又はそれ以下であり得る。
【0086】
具体的な実施形態とは、本明細書に例示するABMのいずれか、又は実施例セクションに記載する重鎖及び軽鎖のいずれか、若しくは重鎖及び軽鎖の対のいずれかを含む抗体のいずれかを意味する。具体的には、本明細書に記載するABMは、実施例セクションに記載する重鎖及び軽鎖を含み得る、又はそれから構成され得る。
【0087】
本発明はさらに、本明細書に記載されるABMと、CH2ドメインの108及び113位のシステインの一方又は両方に共有結合によりコンジュゲートしている少なくとも1つの異種分子を含むABMコンジュゲート(ABMC)であって、ナンバリングはIMGTに従う、ABMコンジュゲートを提供する。具体的には、ABMCは、システインが連結したADCである。
【0088】
具体的には、ABM:異種分子(薬物)の化学量論比は、1:2〜1:4の範囲である。
具体的には、遊離システインとの反応による巨大分子への薬物のバイオコンジュゲーションに一般的に使用されるコンジュゲーション化学法が使用される。システイン残基は、マレイミド誘導体等のα−ハロケトン又はマイケル受容体とシステイン残基を反応させることにより、特異的にアルキル化される。具体的には、ABMの遊離チオール基のいずれか又は各々が反応して、マイケル付加と呼ばれる反応によって異種分子を共有結合する。具体的には、チオールをマレイミド基と反応させて、チオール−マレイミド付加物(Michael付加物)を生じさせることができる。
【0089】
非架橋の高反応性システインアミノ酸との反応を介して抗体を1つ又は複数の薬物部分とコンジュゲートさせる適切な方法は、当該技術分野において周知であり、例えば、米国特許第7,521,541B2号に記載されている。
【0090】
具体的には、ABMの遊離システインは、同じABM分子の別のシステインと対形成しないため、ABM内で架橋されないか、又はABM分子内ジスルフィド架橋の一部ではない。
【0091】
具体的には、ABMの遊離システインは、他のチオールを有する分子(同じABM分子以外)、例えば、細胞培養におけるABMの組換え発現後に存在し得る非結合システイン又はグルタチオンに結合する。このようなチオール結合は、チオール反応性試薬との反応を妨げる「チオールキャップ」として理解され、好ましくは、TCEP(トリス−(2−カルボキシエチル)−ホスフィン)等の還元剤で抗体を還元することにより除去される。
【0092】
本明細書で使用される「還元剤」という用語は、別の化学種に電子を提供する化学種を指す。例示的な還元剤には、ジチオトレイトール(DTT)、2−メルカプトエタノール(2−ME)、及びトリス(2−カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)、並びにそれらの関連する塩(例えば、TCEP−塩酸塩)が含まれる。
【0093】
還元剤による処理は、通常、抗体の鎖間ジスルフィド結合を還元する。したがって、酸化剤(例えば、デヒドロアスコルビン酸)を使用する再酸化ステップは、好ましくは還元ステップに続く。還元ステップと酸化ステップの間に精製ステップを含めることができる。再酸化された抗体は、典型的には、非常に反応性の高いシステインアミノ酸である遊離システイン(複数可)を含む。
【0094】
本明細書で使用される「酸化剤」という用語は、一対の遊離チオールのジスルフィド結合への変換を引き起こす化合物を指す。酸化剤の例には、例えば、5,5’−ジチオビス(2−ニトロ安息香酸)(DTNB)、デヒドロアスコルビン酸(DHAA)、及び硫酸銅(CuSO)が含まれる。「再酸化ステップ」は、一対の遊離チオールをジスルフィド結合に変換させるために行われる肯定的なステップである。肯定的なステップには、外因性の酸化剤の導入及び/又は自動酸化を可能にするための意図的な保持期間が含まれる。
【0095】
チオール反応性マレイミドの代替として、ジスルフィド架橋は、システインのチオール基を、スルフヒドリル基を有するリンカーで酸化することによって得ることができる。
α、β−不飽和カルボニル化合物及びα、β−不飽和ニトリルと、エノレートイオン及びエナミン等の共鳴安定化された炭素求核試薬との1,4−付加反応は、マイケル付加として公知である。マイケル付加を受けるα,β−不飽和化合物は、マイケル受容体、求核試薬マイケル供与体、及び生成物マイケル付加物と呼ばれる。
【0096】
したがって、本発明は、ABMの部位特異的突然変異を介して、部位特異的な化学的コンジュゲーションによって、又はABMにおける遺伝子操作された部位によって、異種分子の部位特異的コンジュゲーションを提供する。
【0097】
特定の実施形態によれば、異種分子は、好ましくは、医薬品原薬、毒素、放射性核種、免疫調節剤、サイトカイン、リンホカイン、ケモカイン、増殖因子、腫瘍壊死因子、ホルモン、ホルモンアンタゴニスト、酵素、例えばL−アスパラギナーゼ、オリゴヌクレオチド、DNA、RNA、siRNA、RNAi、マイクロRNA、ペプチド核酸、光活性治療剤、抗血管新生剤、アポトーシス促進剤、ペプチド、脂質、炭水化物、蛍光タグ、可視化ペプチド、ビオチン、血清半減期調節剤、捕捉タグ、キレート剤、及び固体支持体からなる群から選択される、疾患の診断、治癒、緩和、治療、又は予防に適切に使用される物質である。
【0098】
具体的には、異種分子は、色素、放射性同位元素、又は細胞毒素のいずれかである。特定の例には、蛍光タンパク質、色素のコンジュゲーション、又は機能性分子、例えば、PEG、ポルフィリン、ペプチド、ペプチド核酸、及び薬物との連結(tethering)が含まれる。
【0099】
特定の例は、細胞の、例えば、癌細胞又は腫瘍細胞の生理学的機能を妨害する任意の人工若しくは生物学的な化合物又は分子である異種分子を指す。ABMに連結され得る薬物には、細胞増殖抑制剤又は細胞毒性剤が含まれ得る。例えば、ABMへの共有結合によるカップリングに使用され得る細胞増殖抑制剤には、アルキル化剤、代謝拮抗薬、抗生物質、有糸分裂阻害剤、ホルモン、又はホルモンアンタゴニストが含まれる。アルキル化剤は、例えば、ブスルファン(ミレラン(Myleran))、カルボプラチン(パラプラチン(Paraplatin))、クロラムブシル、シスプラチン、シクロホスファミド(シトキサン(Cytoxan))、ダカルバジン(DTIC-Dome)、リン酸エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン(ナイトロジェンマスタード(Nitrogen Mustard))、メルファラン(フェニルアラニンマスタード)、プロカルバジン、チオテパ(Thiotepa)、ウラシルマスタードが含まれ得る。代謝拮抗薬には、例えば、クラドリビン、シタラビン(シトシンアラビノシド)、フロクスウリジン(FUDR、5−フルオロデオキシウリジン)、フルダラビン、5−フルオロウラシル(5FU)、ゲムシタビン、ヒドロキシウレア、6−メルカプトプリン(6MP)、メトトレキサート(アメトプテリン)、6−チオグアニン、ペントスタチン、ピボブロマン、テガフール、トリメトレキサート、グルクロン酸塩が含まれ得る。抗生物質には、例えば、アクラルビシン、ブレオマイシン、ダクチノマイシン(アクチノマイシンD)、ダウノルビシン、ドキソルビシン(アドリアマイシン)、エピルビシン、イダルビシン、マイトマイシンC、ミトキサントロン、プリカマイシン(ミトラマイシン)が含まれ得る。又は有糸分裂阻害剤には、例えば、エトポシド(VP−16、VePesid)、テニポシド(VM−26、Vumon)、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ホルモンが含まれ得て、又はホルモンアンタゴニストには、例えば、ブセレリン、コンジュゲートウマエストロゲン(プレマリン(Premarin))、コルチゾン、クロロトリアセン(Tace)、デキサメタゾン(デカドロン(Decadron))、ジエチルスチルベストロール(DES)、エチニルエストラジオール(エスチニル(Estinyl))、フルオキシメステロン(ハロテスチン(Halotestin))、フルタミド、ゴセレリンアセテート(ゾラデクス(Zoladex))、ヒドロプロゲステロンカプロエート(デラルチン(Delalutin))、ロイプロリド、酢酸メドロキシプロゲステロン(プロベラ(Provera))、メゲストロールアセテート(メガエース(Megace))、プレドニゾン、タモキシフェン(ノルバデクス(Nolvadex))、テストラクトン(Teslac)、テストステロンが含まれ得る。上記に開示されたもの等の細胞増殖抑制性又は抗腫瘍性化合物は、先行技術において公知であり、例えば、D.S.Fischer及びT.M.Knobf(1989年)、The cancer chemotherapy handbook(3版).Chicago:Year Book Medical and Association of Community Cancer Centers(Spring、1992年)、Compendia−based drug bulletin、Rockville、MDに見出すことができる。
【0100】
具体的には、異種分子は、コンジュゲーションリンカーを介して、CH2ドメインの108及び113位のシステインの一方又は両方にコンジュゲートしており、ナンバリングはIMGTに従う。このようなコンジュゲーションリンカーはまた、異種分子にコンジュゲートしているスペーサーとして理解される。典型的には、リンカーは、ABMと反応する前に異種分子に共有結合される。
【0101】
具体的には、コンジュゲーションリンカーはマレイミド基を含む。
具体的には、コンジュゲーションリンカーは、切断可能な又は切断不可能なリンカーである。具体的には、リンカーは、ABMを異種分子又は原薬に接続又は連結する、合成又は人工のアミノ酸配列である。
【0102】
具体的には、低pH、高グルタチオン濃度、及び/又はタンパク質分解切断等の生理学的刺激への応答として切断される切断可能なリンカーが使用される。特定の切断可能なリンカーは、プロテアーゼ、酸によって、又はジスルフィド体の還元(例えば、グルタチオン媒介性又はグルタチオン感受性)によって切断される。例えば、切断可能なリンカーは、バリン−シトルリンリンカー、ヒドラゾンリンカー、又はジスルフィドリンカーを含み得る。
【0103】
具体的には、切断不可能なリンカーが内在化ABMと組み合わせて使用される。このような場合、ABMCは内在化後のリソソーム内での分解に依存する。特定の切断不可能なリンカーは、MMAF(mc−MMAF)へのマレイミドカプロイルリンカー、N−マレイミドメチルシクロヘキサン−1−カルボキシレート(MCC)、又はメルカプト−アセトアミドカプロイルリンカーを含む。
【0104】
本発明はさらに、本明細書に記載されるABMをコードする1つ以上の核酸分子、特に単離された核酸分子を含む発現系を提供する。各々がアミノ酸配列で構成される異なる鎖の数に応じて、1つ又は複数の発現ベクターに含まれる1つ又は複数の発現カセットを含む、1つ又は複数のコード核酸分子を発現系で使用することができる。
【0105】
具体的には、上記発現カセットは、本明細書に記載される核酸を含むか又は組み込むプラスミドに組み込まれ、発現カセットは、任意選択的に、調節配列等の核酸配列によってコードされるABMを発現するためのさらなる配列を含む。
【0106】
本発明はさらに、本明細書に記載される発現系を含む宿主細胞を提供する。具体的には、宿主細胞は、本明細書に記載されるABMをコードする1つ又は複数の核酸分子を組み込んだ少なくとも1つの発現カセット又はプラスミドを含む生成宿主細胞である。
【0107】
具体的には、宿主細胞は、一過性又は安定してABMを発現する。特定の例によれば、宿主細胞は、真核宿主細胞、好ましくは酵母又は哺乳動物細胞のいずれかである。
本発明はさらに、本明細書に記載されるABMを産生する方法であって、本明細書に記載される宿主細胞は、上記ABMを産生する条件下で培養又は維持される、方法を提供する。
【0108】
具体的には、ABMは、細胞培養上清から単離及び/又は精製され得る。特定の例によれば、ABMは、2つの異なるHC及び2つの異なるLCを含むヘテロ二量体である二重特異性全長抗体であり、ABMは、それぞれ同族のHC/LC対、並びに同族のCL及びCH1ドメインの正しい対形成を含み、ABMは、宿主細胞により生成され、生成された抗体の10%未満、好ましくは5%未満が、最大ピーク強度を比較する質量分析法(LC−ESI−MS)によって測定した場合に、誤って対形成される。
【0109】
具体的には、本明細書に記載されるABM又はABMCは、医療、診断、又は分析用に提供される。
具体的には、本明細書に記載されるABM又はABMCは、疾患に関連する少なくとも1つの抗原を標的とする、癌、自己免疫疾患又はアレルギーの治療における使用のために提供される。したがって、本発明はさらに、本明細書に記載される有効量のABM又はABMCを投与することによって、癌、自己免疫疾患又はアレルギーに罹患している対象を治療する方法に関し、ABM又はABMCは、疾患に関連する少なくとも1つの抗原を標的としている。
【0110】
具体的には、癌は、乳癌、前立腺癌、卵巣癌、子宮頸癌、皮膚癌、膵臓癌、結腸直腸癌、転移性結腸直腸癌(mCRC)、切除不能な肝転移、頭頸部の扁平上皮癌、非小細胞肺癌(NSCLC)、及び頭頸部扁平上皮癌(HNSCC)からなる群から選択される。
【0111】
本発明はさらに、本明細書に記載されるABM又はABMCを、好ましくは非経口又は粘膜製剤で含み、任意選択的に薬学的に許容される担体又は賦形剤を含む医薬製剤を提供する。
【0112】
具体的には、本明細書に記載されるABM又はABMCは、非経口製剤中に薬学的に許容される担体又は賦形剤を含む医薬製剤で提供される。
本発明はさらに、本明細書に記載されるABMCを生成する方法を提供し、
a)本明細書に記載されるABMを準備するステップ;並びに
b)CH2ドメインの108及び113位のシステインの一方又は両方の少なくとも1つのチオール基を、部位特異的コンジュゲーション法、特に化学的コンジュゲーション法により異種分子と反応させるステップ
を含む。
【0113】
具体的には、上記少なくとも1つのチオール基は、マレイミド基を含むコンジュゲーションリンカーを使用して、マイケル反応によって上記異種分子と反応している。
具体的には、上記生成方法は、そうでなければ遊離チオール基を、例えば還元条件下で、生成する分子内スルフィド又はジスルフィド結合を切断する手段及び/又は反応ステップを含まない。したがって、非還元条件下でのABM及び/又はABMCの調製が好ましい。
【0114】
しかし、特定の態様によれば、ABMは、還元のために還元剤で前処理され、酸化剤で再酸化されて、コンジュゲーションの準備のために、ABMの遊離反応性システイン(複数可)を調製し、コンジュゲーション効率を向上させることができる。
【0115】
他に指示がない限り、本明細書において、位置はIMGTシステムに従ってナンバリングされる(Lefrancら、1999年、Nucleic Acids Res.、第27巻:209〜212頁)。しかし、「実施例」セクションでは、KabatのEUインデックスに従うナンバリングが使用される。Kabatナンバリングスキームの説明は、Kabat,EAら、Sequences of proteins of immunological interest(NIH publication no.91−3242、第5版(1991年))に見出すことができる。表23は、突然変異タンパク質の名称及び番号の対応を示している。KabatのEUインデックス及びIMGTナンバリングに従って、本明細書において参照される位置に従ってナンバリングが参照される。
【図面の簡単な説明】
【0116】
【図1】H561−4 Asn325Cysの質量分析:システイン修飾剤による処理は、1つの修飾されたシステイン残基に対応する約829.5Daの最大ピークのシフトを引き起こした。H561−4 Leu328Cysの質量分析:システイン修飾剤による処理は、2つの修飾されたシステイン残基に対応する約1659Daの最大ピークのシフトを引き起こした。
【図2】二重システイン置換された突然変異体CX N325CL328C−mal−val−cit−MMAEのHIC分析。
【図3】単一及び二重システイン置換された突然変異体の質量分析。
【図4】B10v5x225M SEED−mal−val−cit−MMAEコンジュゲートのHIC分析。
【図5-1】強いEGFR陽性A431細胞及びMB−MDA468細胞への、マレイミド−Alexafluor488とカップリングしたCX Alexafluor488並びに単一システイン置換された突然変異体CX N325C(Asn325Cys)及びCX L328C(Leu328Cys)突然変異体の内在化。
【図5-2】強いEGFR陽性A431細胞及びMB−MDA468細胞への、マレイミド−Alexafluor488とカップリングしたCX Alexafluor488並びに単一システイン置換された突然変異体CX N325C(Asn325Cys)及びCX L328C(Leu328Cys)突然変異体の内在化。
【図5-3】強いEGFR陽性A431細胞及びMB−MDA468細胞への、マレイミド−Alexafluor488とカップリングしたCX Alexafluor488並びに単一システイン置換された突然変異体CX N325C(Asn325Cys)及びCX L328C(Leu328Cys)突然変異体の内在化。
【図6】pH5.8でのCX及びCX Asn325CysLeu328Cys CysP6のFcRnへの結合、並びに解離のために7.4へのpHシフトを伴う。
【図7】配列 配列番号1:N325C置換を含むヒトCH2のアミノ酸配列。ナンバリングはKabatのEUインデックスに従う。 配列番号2:L328C置換を含むヒトCH2のアミノ酸配列。ナンバリングはKabatのEUインデックスに従う。 配列番号3:N325C及びL328C置換を含むヒトCH2のアミノ酸配列。ナンバリングはKabatのEUインデックスに従う。 配列番号4:N325C置換を含むヒトFcのアミノ酸配列。ナンバリング、KabatのEUインデックスに従う。 配列番号5:L328C置換を含むヒトFcのアミノ酸配列。ナンバリングはKabatのEUインデックスに従う。 配列番号6:N325C及びL328C置換を含むヒトCH2のアミノ酸配列。ナンバリングはKabatのEUインデックスに従う。 配列番号7:ヒトIgG1ヒンジ領域のアミノ酸配列。 配列番号8:ヒトIgG1 CH3のアミノ酸配列。 配列番号9:AG鎖を含むSEED技術に従って操作されたヒトIgG1のアミノ酸配列。 配列番号10:GA鎖を含むSEED技術に従って操作されたヒトIgG1のアミノ酸配列。
【図8】Mal−Val−Cit−MMAEによるセツキシマブベースのADCのインビトロ細胞毒性の評価。
【図9】N325及びL328Cの位置にシステイン突然変異を有する非コンジュゲート及び毒素コンジュゲートしいてるHER2結合抗体のHICクロマトグラム。
【発明を実施するための形態】
【0117】
本明細書を通じて使用される具体的な用語は、以下の意味を有する。
本明細書で使用される用語「抗原結合分子」又はABMとは、本明細書では「結合ドメイン」とも呼ばれる、特定の結合アフィニティー及び/又はアビディティーで抗原又はそのエピトープを特異的に認識することができる抗原結合部分を含む分子を意味する。ABMの特定の例によれば、結合ドメインは、CDRループ又は非CDR(若しくは構造)ループに抗原結合部位を含む免疫グロブリン型結合領域又は1つ又は複数(例えば、2つ)の抗体ドメインであり、特に、単一ドメイン抗体、一本鎖可変ドメイン(VH/VL)、Fd、Fab、F(ab’)、scFv、Fd、Fv、抗原結合CH3、Fcab、mAb、アルマジロリピートポリペプチド、フィブロネクチンIII型ドメイン、テネイシンIII型ドメイン、アンキリンリピートモチーフドメイン、リポカリン、クニッツドメイン、Fyn由来SH2ドメイン、ミニタンパク質、C型レクチン様ドメインスキャフォールド、操作された抗体模倣体、及び抗原結合機能性を保持している前述のいずれかの遺伝子操作された対応物のいずれかに含まれる抗原結合部分である。
【0118】
ABMの具体的な実施形態は、抗体又はその抗原結合フラグメントを含むか又はそれからなる。
用語「抗体」は、本明細書で用いる場合、免疫グロブリン若しくは免疫グロブリン様分子である抗原結合ポリペプチド、或いは例えば1つ若しくは複数の抗体ドメインから構成され、また免疫グロブリン又は抗体と類似した抗原結合特性を担持する、モジュラー抗体フォーマットを提示するその他のタンパク質、特に、単一、又は二重、又は多重特異性の結合特性、或いは1価、2価、又は多価の結合特性を示し得るタンパク質、例えば、特に細胞関連のタンパク質若しくは血清タンパク質を含む自己抗原等の病原体起源又はヒト構造物の、例えば抗原、エフェクター分子、又は構造物のエピトープに対応する少なくとも2つの特異的結合部位を示し得るタンパク質として定義される。用語「抗体」及び「免疫グロブリン」は、本明細書では交換可能に用いられる。
【0119】
抗体は、1つ若しくは複数のリンカー配列を有する、又は有さない免疫グロブリンの重鎖及び/又は軽鎖の定常ドメイン及び/又は可変ドメインとして理解される抗体ドメインから一般的に構成される又はそれを含む。抗体は、可変抗体ドメインの対、例えば1つ若しくは2つのVH/VLの対等を含む、結合配列又はヒンジ領域を有する、又は有さない可変及び/又は定常抗体ドメインの組み合わせから構成される又はそれを含むものと特に理解される。ポリペプチドは、ループ配列により連結した抗体ドメイン構造の少なくとも2つのβストランドからなるβバレル構造を含む場合には、抗体ドメインとして理解される。抗体ドメインは、天然型構造のドメインであり得る、或いは、例えば、抗原結合特性又はその他の任意の特性、例えば安定性又は機能的特性、例えばFc受容体FcRn及び/又はFcγ受容体との結合等を修飾するために、突然変異誘発又は誘導体生成により修飾され得る。
【0120】
用語「抗体」には、本明細書で用いる場合、免疫グロブリン様構造の抗体を含む、完全長抗体が特に含まれる。特に、抗体は、完全長抗体、例えばIgGタイプ(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4サブタイプ)、IgA1、IgA2、IgD、IgE、又はIgM抗体の完全長抗体であり得る。典型的には、特定のCDR構造を介して抗原結合部位を有する抗体は、一対のVH/VLドメインのCDRループを介して標的抗原に結合することができる。
【0121】
用語「抗体」はさらに、抗体、抗体ドメイン、若しくは抗体フラグメントの誘導体、組み合わせ又は融合のいずれかを含む。
用語「全長抗体」は、具体的に重鎖の二量体を含む、抗体のFc領域又は少なくともFc部分の大部分を含む任意の抗体分子を指すために使用される。完全長抗体は、単一特異性又は多重特異性、例えば、二重特異性mAb等の二重特異性であり得る。この用語「完全長抗体」は、本明細書では、特定の抗体分子が抗体フラグメントではないことを強調するのに用いられる。
【0122】
本明細書によれば、抗体は、免疫グロブリン遺伝子又は免疫グロブリン遺伝子のフラグメントにより実質的にコードされる1つ若しくは複数のポリペプチドを含むタンパク質(又はタンパク質複合体)として一般的に理解される。よく知られた免疫グロブリン遺伝子として、κ、λ、α、γ、δ、ε、及びμ定常領域遺伝子、並びに免疫グロブリン可変領域遺伝子が挙げられる。軽鎖(LC)は、カッパ(VLドメイン及びCカッパドメインを含む)又はラムダ(VLドメイン及びCラムダドメインを含む)のいずれかとして分類される。重鎖(HC)は、γ、μ、α、δ、又はεとして分類されるが、それは次に免疫グロブリンクラスであるIgG、IgM、IgA、IgD、及びIgEをそれぞれ定義する。
【0123】
用語「抗体」には、異なる標的抗原に対する及び/又は立体配置が異なる抗体ドメインを含むその他の抗体を実質的に含まない単離された形態の抗体が特に含まれるものとする。更に、単離された抗体は、単離された抗体と、例えば少なくとも1つのその他の抗体、例えばモノクローナル抗体又は異なる特異性を有する抗体フラグメント等との組み合わせを含有する組み合わせ調製物に含まれ得る。
【0124】
用語「抗体」は、ヒト種、例えば哺乳動物、例えばマウス、ウサギ、ヤギ、ラクダ、ラマ、ウシ及びウマ、又はトリ、例えばニワトリなどの動物起源の抗体に適用され、この用語は、特に、動物起源の配列、例えば、ヒト配列に基づく組換え抗体を含む。
【0125】
用語「抗体」は、ヒト抗体に特に適用される。
用語「ヒト」には、抗体において用いられる場合、ヒト生殖細胞系列の免疫グロブリン配列に由来する可変領域及び定常領域を有する抗体が含まれるものと理解される。ヒト抗体は、ヒト生殖細胞系列の免疫グロブリン配列によりコードされないアミノ酸残基(例えば、ランダム又は部位特異的in vitro突然変異誘発性により又はin vivo体細胞突然変異により導入された突然変異)を、例えばCDR内に含み得る。ヒト抗体として、ヒト免疫グロブリンライブラリから、又は1つ若しくは複数のヒト免疫グロブリンについて遺伝子導入された動物から単離された抗体が挙げられる。
【0126】
ヒト抗体は、IgA1、IgA2、IgD、IgE、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、及びIgMからなる群より選択される、又はそれに由来するのが好ましい。
マウス抗体は、IgA、IgD、IgE、IgG1、IgG2A、IgG2B、IgG2C、IgG3、及びIgMからなる群より選択される、又はそれに由来するのが好ましい。
【0127】
用語「抗体」は、キメラの抗体、例えば異なる種を起源とする配列、例えばマウス及びヒトを起源とする配列等を有するキメラ抗体に更に適用される。
用語「キメラ」とは、抗体において用いられる場合、重鎖及び軽鎖の各アミノ酸配列の一部分が、特定の種に由来する、又は特定のクラスに属する免疫グロブリン内の対応する配列と相同である一方、鎖の残りのセグメントは別の種又はクラスの対応する配列と相同である分子を意味する。一般的に、軽鎖及び重鎖の両方の可変領域は、哺乳動物の1つの種に由来する免疫グロブリンの可変領域を模倣する一方、定常部分は、他方に由来する免疫グロブリンの配列と相同である。例えば、可変領域は、容易に入手可能なB細胞又はヒト以外の宿主生物に由来するハイブリドーマを、例えばヒト細胞調製物に由来する定常領域と組み合わせて利用する現在知られているソースに由来し得る。
【0128】
用語「抗体」は、ヒト化した抗体に更に適用され得る。
用語「ヒト化」とは、抗体において用いられる場合、ヒト以外の種から得られた免疫グロブリンに実質的に由来する抗原結合部位を有する分子を意味し、分子の残りの免疫グロブリン構造は、ヒト免疫グロブリンの構造及び/又は配列に基づく。抗原結合部位は、定常ドメインと融合した完全な可変ドメイン、又は可変ドメイン内の該当するフレームワーク領域とグラフト結合した相補性決定領域(CDR)のみを含み得る。抗原結合部位は、野生型であり得る、又は例えば1つ若しくは複数のアミノ酸置換により修飾され得る、好ましくはヒト免疫グロブリンとより密接に類似するように修飾され得る。ヒト化免疫グロブリンのいくつかの形態は、すべてのCDR配列を保存する(例えば、6つすべてのCDRを含有するマウス抗体由来のヒト化マウス抗体)。その他の形態は、オリジナルの抗体に関して変更が加えられた1つ又は複数のCDRを有する。
【0129】
具体的な実施形態によれば、本明細書に記載されるABMに含まれる全ての抗体ドメインは、少なくとも60%の配列同一性、又は少なくとも70%、80%、90%若しくは95%の配列同一性を有するヒト起源のもの又はそのヒト化若しくは機能的に活性な変異体であり、好ましくは、抗体ドメインの起源は、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA、IgM、又はIgE抗体のいずれかである。具体的には、すべての抗体ドメインは、同じ基本的な免疫グロブリンフォールドに由来するが、b−シートの形式は異なる場合があり、特にVドメインでは、接続ループは確かに変動可能である。
【0130】
「抗体」という用語はさらに、モノクローナル抗体又はポリクローナル抗体、特に組換え抗体に適用され、この用語は、動物、例えば、ヒトを含む哺乳動物種を起源とする抗体等の、組換え手段によって調製、発現、作製又は単離されるすべての抗体及び抗体構造を含み、例えば、キメラ、ヒト化抗体、又はハイブリドーマ由来の抗体に由来する遺伝子又は配列を含む。更なる事例として、抗体を発現するように形質転換された宿主細胞から単離された抗体、又は組み換え体から単離された抗体、抗体若しくは抗体ドメインのコンビナトリアルライブラリ、又は抗体遺伝子配列をその他のDNA配列にスプライシングする工程と関係する任意のその他の手段により調製、発現、作製、又は単離された抗体が挙げられる。
【0131】
用語「抗体」には、新規の抗体、又は既存の、例えば天然由来の抗体の機能的に活性な変異体が含まれるものと理解される。
ABM又は抗体の変異体、特に抗体様分子の変異体、又は抗体変異体という用語は、そのような分子の誘導体もやはり含むべきものと更に理解される。
【0132】
誘導体とは、1つ若しくは複数のABMの任意の組み合わせ、及び/又はABMの任意のドメイン若しくはミニドメインが、任意の位置で、1つ若しくは複数のその他のタンパク質、例えばその他のABM、例えば抗体若しくは抗体フラグメント等のほか、リガンド、酵素、毒素等と融合し得る融合タンパク質である。
【0133】
本明細書に記載されるABM又はABMCは、具体的には、単離されたポリペプチドとして、又は、例えば、組換え、融合又はコンジュゲーション技術を通じて、他のペプチド又はポリペプチドとの組み合わせ分子として、使用することができる。ペプチドは、抗体ドメイン配列と相同であるのが好ましく、また少なくともアミノ酸5個分の長さであるのが好ましく、少なくとも10個分、又は更に少なくともアミノ酸50個分若しくは100個分の長さであるのがより好ましく、また抗体ドメインのループ領域を少なくとも部分的に構成する。
【0134】
ABM又は抗体の誘導体は、様々な化学的技法、例えば共有結合カップリング、静電相互作用、ジスルフィド結合等により、その他の物質との会合又は結合によっても取得可能である。抗体に結合したその他の物質は、脂質、炭水化物、核酸、有機分子及び無機分子、又は任意のこれらの組み合わせであり得る(例えば、PEG、プロドラッグ、又は薬物)。誘導体は、同一のアミノ酸配列を有するが、全体的に若しくは部分的に非天然の又は化学的に修飾されたアミノ酸からなるABM又は抗体も含む。具体的な実施形態では、ABMは、生物学的に許容される化合物との特異的相互作用を可能にする追加タグを含む誘導体である。使用可能なタグに関して、抗体がその標的と結合する際に、その結合に対して悪影響を有さない又は悪影響が許容可能である限り、特別な制限は存在しない。適するタグの例として、His−タグ、Myc−タグ、FLAG−タグ、ストレップ−タグ、カルモジュリン−タグ、GST−タグ、MBP−タグ、及びS−タグが挙げられる。別の具体的な実施形態では、抗体は、標識を含む誘導体である。本明細書で使用される「標識」という用語は、「標識された」ABMを生成するように、ABMに直接又は間接的にコンジュゲートしている検出可能な化合物又は組成物を指す。標識は、そのものが検出可能、例えば放射性同位体標識若しくは蛍光標識であり得る、又は酵素標識の場合は、基質化合物若しくは組成物の検出可能な化学変化を触媒し得る。
【0135】
ABM又は抗体の誘導体は、例えば、親のABM及び抗体配列にそれぞれ由来し、例えば、親の抗原結合(例えばCDR)又はフレームワーク(FR)配列、例えば、インシリコ若しくは組換え操作によって、又は他には化学的誘導体化もしく合成によって得られる突然変異体又は変異体が挙げられる。
【0136】
用語「変異体」は、本明細書で用いる場合、本明細書に記載するような、任意の「突然変異体」、「同族体」、又は「誘導体」を特に含むものとする。用語「変異体」は、具体的には、特定の機能性によって特徴付けられる機能的に活性な変異体を包含する。
【0137】
本明細書に記載されるABM又は抗体の機能性は、本明細書にさらに記載されるように、特定の抗原結合特性(特にエピトープ特異性)及びCH2ドメインに操作されたシステインの遊離チオール基によって特に特徴付けられる。
【0138】
「変異体」という用語は、特に、抗体、例えば、突然変異抗体又はABM若しくは抗体のフラグメントを指し、これらは、例えば、抗体の安定性、エフェクター機能若しくは半減期を操作するための定常ドメインにおいて、又は抗原結合特性を改善するための可変ドメインにおいて、特に、アミノ酸配列を欠失させ、交換し、挿入物を特定の抗体アミノ酸配列又は領域に導入し、或いは化学的に誘導体化するために、突然変異誘発法によって、例えば、当該技術分野において利用可能なアフィニティー成熟技術によって得ることができる。任意の公知の突然変異誘発法が採用され得るが、これには、例えばランダム化技法により取得されるような、所望の位置での点突然変異が含まれる。場合によっては、位置は、例えば任意の可能性のあるアミノ酸を用いて、又は抗体配列をランダム化するのに好ましいアミノ酸を選択することによりランダムに選択される。用語「突然変異誘発」とは、ポリヌクレオチド又はポリペプチド配列を変化させるための、当技術分野でよく知られた任意の技法を意味する。好ましい種類の突然変異誘発として、エラープローンPCR突然変異誘発、飽和突然変異誘発、又はその他の部位特異的突然変異誘発が挙げられる。
【0139】
用語「機能的変異体」は、本明細書では「機能的に活性な変異体」とも呼ばれ、例えば、1つ若しくは複数のアミノ酸の挿入、除去、又は置換、或いはアミノ酸配列内の1つ若しくは複数のアミノ酸残基の化学的誘導体生成、或いはヌクレオチド配列内の、又は例えば、CDR若しくはFR配列内の配列の遠位末端部のいずれか若しくは両方におけるヌクレオチドの化学的誘導体生成による親配列の修飾に起因する配列(例えば、親のABM又は抗体に由来する)を含み得るが、その修飾は、この配列の活性に影響を及ぼさない、特に損なわない。選択された標的抗原に対して特異性を有する結合部位の場合、抗体の機能的に活性な変異体は、事前に決定された結合特異性をなおも有するが、但し、例えば、特定のエピトープに対する微細特異性、アフィニティー、アビディティー、Kon又はKoffレート等を変化させるために変更され得る。例えば、アフィニティー成熟型抗体は、機能的に活性な変異体抗体として特に理解される。したがって、アフィニティー成熟型抗体内の修飾されたCDR配列は、機能的に活性な変異体として理解される。
【0140】
機能的活性は、例えば、標的抗原との結合特異性、及び/又は分子に求められるin vivo半減期、及び/又はpH依存性のFcRn結合を測定するアッセイ法において、親分子と対比しながら変異体の構造及び機能により決定されるのが好ましく、例えば、抗体の機能性測定による標準アッセイ法において決定される。
【0141】
抗原が細胞表面上で発現する場合、ABMの機能的な活性は、抗原結合に関して、ELISAアッセイ法、BIAcoreアッセイ法、Octet BLIアッセイ法、又はFACSに基づくアッセイ法で一般的に測定される。
【0142】
機能的に活性な変異体は、例えば、親ABM、例えば、IgG1構造等の抗体の特異的天然構造を有するモノクローナル抗体の配列を変化させて、標的抗原の認識において同一の特異性を有するが、親構造とは異なる構造を有する変異体を取得する、例えば、抗体ドメインのいずれかを改変して特異的突然変異を導入する、二重特異性構築物を生成する、又は親分子のフラグメントを生成すること等により取得可能である。
【0143】
典型的には、親のABM又は配列は、抗原結合部位近傍の配列領域内又は結合部位内に、抗原結合を損なわない突然変異が組み込まれた変異体であって、好ましくは抗原結合能力を含め、親ABMと類似した生物活性を有する、例えば抗原を標的とする特異的結合アッセイ法又は機能的試験により測定したときに、実質的に同一の生物活性を有する変異体を生成するように改変可能である。
【0144】
用語「実質的に同一の生物活性」とは、本明細書で用いる場合、実質的に同一の活性、すなわち同等のABM又は親ABMについて測定したときの活性の少なくとも20%、少なくとも50%、少なくとも75%、少なくとも90%、例えば、少なくとも100%、又は少なくとも125%、又は少なくとも150%、又は少なくとも175%、又は例えば、最大200%として表される活性を意味する。
【0145】
本明細書に記載する好ましい変異体は、抗原結合に関して機能的に活性であり、好ましくは個々の抗原と特異的に結合するが、標的抗原ではないその他の抗原と有意に結合しない能力を有するが、例えば、そのときのKd値の差異は、少なくとも2対数、好ましくは少なくとも3対数である。機能的に活性な変異体による抗原結合は、一般的に損なわれず、親のABM若しくは配列、又は例えば、Kd値の差異が2対数未満、好ましくは3対数未満の配列変異体を含むABMの結合アフィニティーと実質的にほぼ等しい結合アフィニティーに対応するが、但し、アフィニティーが改善しさえする、例えばKd値の差異が少なくとも1対数、好ましくは少なくとも2対数となる可能性も有する。
【0146】
好ましい実施形態では、親ABMの機能的に活性な変異体は、
a)ABMの生物学的に活性なフラグメントであり、該フラグメントは、分子の配列のうちの少なくとも50%、好ましくは少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、又は少なくとも95%、及び最も好ましくは少なくとも97%、98%、又は99%を含み、
b)少なくとも1つのアミノ酸が置換、付加、及び/又は除去されたABMに由来し、機能的に活性な変異体は、分子又はその一部分に対して配列相同性を有し、例えば、少なくとも50%の配列相同性、好ましくは少なくとも60%、より好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、なおもより好ましくは少なくとも90%、なおいっそうより好ましくは少なくとも95%、及び最も好ましくは少なくとも97%、98%、又は99%の配列相同性を有する抗体等であり、並びに/或いは
c)ABM又はその機能的に活性な変異体、及びポリペプチド又はヌクレオチド配列とは異種の少なくとも1つの更なるアミノ酸又はヌクレオチドから構成される。
【0147】
一実施形態では、本明細書に記載されるABMの機能的に活性な変異体は、上記される変異体と本質的に同一であるが、異なる種の相同配列に由来するという点で、それぞれ、そのポリペプチド又はコードするヌクレオチド配列と相違する。これらは、天然由来の変異体又は類似体と呼ばれる。
【0148】
用語「機能的に活性な変異体」には、天然由来の対立遺伝子変異体、並びに突然変異体、又は任意のその他の非天然由来の変異体も含まれる。当技術分野において公知なように、対立遺伝子変異体は、ポリペプチドの生物学的機能を本質的に変化させない1つ又は複数のアミノ酸の置換、欠損、又は付加を有するものとして特徴付けられる、交互に入れ替わった形態の(ポリ)ペプチドである。
【0149】
機能的に活性な変異体は、ポリペプチド又はヌクレオチド配列中、例えば1つ又は複数の点突然変異の配列変更によって得ることができ、本明細書に記載されるように使用される場合、配列変更は、未変更ポリペプチド又はヌクレオチド配列の機能を保持又は改善する。そのような配列変更として、(保存的な)置換、付加、除去、突然変異、及び挿入を挙げることができるが、但しこれらに限定されない。
【0150】
特定の機能的に活性な変異体は、CDR変異体である。CDR変異体には、CDR領域内の少なくとも1つのアミノ酸が修飾されたアミノ酸配列が含まれ、上記修飾は、アミノ酸配列の化学的又は部分的な変更であり得るが、そのように修飾しても、変異体は、修飾前の配列の生物学的特徴を保持することが可能である。CDRアミノ酸配列の部分的な変更は、1つから数個のアミノ酸、例えば、1、2、3、4、若しくは5個のアミノ酸の除去又は置換による、又は1つから数個のアミノ酸、例えば、1、2、3、4、若しくは5個のアミノ酸の付加又は挿入による、又は1つから数個のアミノ酸、例えば、1、2、3、4、若しくは5個のアミノ酸の化学的誘導体生成による、又はその組み合わせによる可能性がある。アミノ酸残基内の置換は、保存的な置換、例えば1つの疏水性アミノ酸と代替的疏水性アミノ酸との置換であり得る。
【0151】
保存的な置換は、アミノ酸の側鎖及び化学的特性に関連するアミノ酸のファミリー内で生ずる置換である。そのようなファミリーの例として、塩基性側鎖、酸性側鎖、非極性脂肪族側鎖、非極性芳香族側鎖、非荷電極性側鎖、小型の側鎖、大型の側鎖を有するアミノ酸等が挙げられる。
【0152】
点突然変異とは、異なるアミノ酸に関する1つ又は複数の一重(非連続的)又は二重のアミノ酸の置換若しくは交換、欠失又は挿入において、非改変アミノ酸配列とは異なるアミノ酸配列の発現を引き起こすポリヌクレオチドの改変と特に理解される。
【0153】
本明細書にさらに記載されるようにCH2ドメインの108及び/又は113位に操作されたシステインは、典型的には、部位特異的点突然変異(複数可)によって得られ、システイン残基の天然に存在するアミノ酸残基の置換をもたらす。
【0154】
このような点突然変異に加えて、ABMは、1つ又は複数のさらなるシステイン又はリジン残基を異なる所定の位置に導入するため等の点突然変異をさらに含むことができ、これは、さらなる異種分子のコンジュゲーションに使用することができる。特定の実施形態によれば、本明細書に記載されるABMは、グリコシル化部位の数及びタイプを変化させないこのような点突然変異のために操作される。
【0155】
本明細書に記載されるABMの変異体は、同じ極性及び/又は電荷のアミノ酸の交換を指す点突然変異を含み得る。これに関して、アミノ酸は、64個のトリプレットコドンによってコードされている20個の天然アミノ酸を指す。これらの20個のアミノ酸は、中性電荷、正電荷、及び負電荷を持つものに分割することができる。
【0156】
20個の天然アミノ酸をそれぞれの3文字表記と1文字表記、及び極性とともに以下の表に示す。
【0157】
【表1】
【0158】
ポリペプチド配列に関する「アミノ酸配列の同一性のパーセント(%)」は、配列相同性の最大パーセントを達成するように、また配列相同性の一部として保存的置換を一切考慮せずに配列の位置合わせを行い、そして必要な場合にはギャップを導入した後に、所定のポリペプチド配列内のアミノ酸残基と一致する候補配列内のアミノ酸残基の百分率(%)として定義される。当業者は、比較の対象となる配列の全長にわたり、一致性が最大となるのに必要とされる任意のアルゴリズムを含め、一致性を測定するしかるべきパラメーターを決定することができる。
【0159】
ABM変異体には、例えば、糖鎖工学により生成される特定のグリコシル化パターンを有する同族体、類似体、フラグメント、修飾体、又は変異体が含まれるものと特に理解され、抗体変異体は機能的であり、例えば、特定の標的に結合し、機能的特性を有するなど、また機能的同等物として役に立つ可能性がある。ABMは、グリコシル化されても、またグリコシル化されなくてもよい。例えば、本明細書に記載するような組み換えABMは、ABMを発現する宿主細胞により決定される分子の特異的グリコシル化が可能となるように、適する哺乳動物細胞内で発現され得る。
【0160】
抗体ドメイン、特にCL又はCH1ドメイン等の定常抗体ドメインの「βシート」又は「βストランド」という用語は、本明細書では以下のように理解される。抗体ドメインは、少なくとも2つ又は3つのバックボーン水素結合により横方向に連結した少なくとも2本のβストランドから一般的に構成され、一般的に捻じられた、ひだ状のシートを形成する。βストランドは、一般的に長さが3〜10個のアミノ酸からなる単一の連続的なアミノ酸のストレッチであり、そのように延長型の立体構造を採るが、また少なくとももう一方のストランドとのバックボーン水素結合に関与してβシートを形成する。βシート内では、βストランドの大部分は、他方のストランドに隣接して配置し、そして広範な水素結合ネットワークをその近傍のストランドと形成し、その場合、一方のストランドのバックボーン内のN−H基が、隣接したストランドのバックボーン内のC=O基と水素結合を形成する。
【0161】
抗体定常ドメイン、例えばCH2又はCH3ドメイン等の構造は、ループにより連結したβストランドからなる可変ドメインの構造と類似しており、その一部は、短いαヘリックス型ストレッチを含む。様々なFc結晶構造のb因子から理解されるように、フレームワークは、おおむね剛性であり、またループは比較的柔軟性である。抗体CH2又はCH3ドメインは、βシート(A−B−C−D−E−F−G)を形成する7本のβストランドを一般的に有し、この場合、βストランドは、複数のループ、すなわちドメインのN末端側先端部分に位置する3つのループ(A−B、C−D、E−F)、及びドメインのN末端側先端部分に位置する更なる3つのループ(B−C、D−E、F−G)を介して結合している。ドメインの「ループ領域」は、ベータ鎖の領域間に位置するタンパク質の部分を指す(例えば、CLドメイン又はCH1ドメインの各々は、N末端からC末端に配向した7つのベータシートA〜Gを含む)。
【0162】
抗体のFv部分は、典型的には、各々のドメインのC鎖、C’鎖及びF鎖を伴う結合表面(結合界面)を結びつけることによって(ヘテロ)二量体を産生するVLドメインとVHドメインの対として理解される。VLドメインのベータシート領域とVHドメインのベータシート領域のこのような接触により、二量体(VL/VHと称される)が産生される。
【0163】
Fabアームは、本明細書において、第1及び第2の抗体鎖の対として理解され、第1の鎖は、VLドメインのC末端に連結される、VLドメイン及びCLドメインを含むか又はそれからなり(軽鎖、LC)、第2の鎖は、VHドメインのC末端に連結される、VHドメイン及びCH1ドメインを含むか又はそれからなり(重鎖、HC)、VLは、結合界面を介してVHに結びつけ(それと対形成し)、CLは、結合界面を介してCH1に結びつけ(それと対形成し)、これによりLC及びHCの(ヘテロ)二量体(LC/HCとも称される)を産生する。
【0164】
抗体のFc部分は、本明細書において、各々がCH2ドメイン及び、抗体鎖の対(Fc鎖)として理解され、CH2ドメインのC末端に連結されているCH3ドメインを含む抗体鎖の対(Fc鎖)として理解される。各々の抗体鎖のCH2ドメインは、各々のCH2ドメインのA、B及び/又はE鎖を伴う結合表面(結合界面)を介して互いに結びつけ、各々の抗体鎖のCH3ドメインは、各々のCH3ドメインのA、B及び/又はE鎖を伴う結合表面(結合界面)を介して互いに結びつけ(それと対形成し)、これによりFc鎖の(ホモ)二量体を産生する。本明細書に記載されるFcは、IgG、IgA、IgD、IgE又はIgM由来であり得る。
【0165】
本明細書に記載される一実施形態では、Fcは、構造ループ内に抗原結合部位を含む突然変異したCH3ドメインを含む。このようなFcは、抗原結合Fcとして理解され、ABMそれ自体として使用することができ、又はABMの一部、例えば、構造ループ内に抗原結合部位を含まないFcの代わりに、抗原結合Fcを含む全長抗体の一部であり得る。
【0166】
本明細書に記載される一実施形態では、Fcは、突然変異したCH3ドメイン、例えば、1つ又は複数の突然変異、又はノブ若しくはホール突然変異を含むように、異種配列で置換された1つ又は複数のベータ鎖の少なくとも一部を有するものを含む。このような場合、Fc領域は、2つの異なるCH3ドメインの会合によって特徴付けられるFc鎖のヘテロ二量体を含む。
【0167】
特異的ノブ突然変異は、βストランド構造の追加の突起を提供する1つ又は複数のアミノ酸を組み込むことにより2つのドメイン間で接触表面を増加させる1つ又は複数のアミノ酸置換、例えばT366Y、T366W、T394W、F405Aからなる群より選択されるCH3ノブ突然変異のうちの1つ又は複数である。特異的ノブ修飾とは、抗体のCH3ドメイン内の突然変異T366Wを指す(ナンバリングはKabatのEUインデックスに基づく)。ノブ突然変異は、例えばホール突然変異を組み込むように修飾された別の抗体ドメインに結合するためのマッチング(同族)表面を特に提供する。
【0168】
特異的ホール突然変異は、βストランド構造の追加の陥凹部を提供する1つ又は複数のアミノ酸を組み込むことにより、2つのドメイン間で接触表面を増加させる1つ又は複数のアミノ酸置換、例えばT366S、L368A、及びY407V(KabatのEUインデックスに従うナンバリング)からなる群より選択されるCH3ホール突然変異のうちの1つ又は複数である。特異的ホール修飾とは、抗体のCH3ドメイン内の突然変異T366S、L368A、Y407V、Y407Tのいずれかを指す(ナンバリングはKabatのEUインデックスに基づく)。ホール突然変異は、例えばノブ突然変異を組み込むように修飾された別の抗体ドメインに結合するためのマッチング(同族)表面を特に提供する。
【0169】
マッチングするノブ・イントゥ・ホール突然変異として、例えばCH3ドメインの対の一方のCH3ドメイン上のT366Yと、これにマッチングする第2のCH3ドメイン上のY407’Tが挙げられ、本明細書ではT366Y/Y407’Tと呼ばれる。更なるマッチング突然変異として
T366Y/Y407’T、
F405A/T394’W、
T366Y:F405A/T394‘W:Y407’T、
T366W/Y407’A、及び/又は
S354C:T366W/Y349’C:T366’S:L368’A:Y407’V
(KabatのEUインデックスによるナンバリング)
が挙げられる。
【0170】
特異的CH3突然変異には、例えばCH3βストランド内の1つ又は複数のセグメント又は配列が突然変異しており、オリジナルのCH3ドメインとは異なる抗体ドメイン、例えば異なるタイプ又はサブタイプの抗体ドメインのセグメント又は配列が組み込まれている場合、分子間のβストランドスワップが含まれる。特異的突然変異体は、ストランド交換により取得されるが、この場合、IgGタイプのCH3ドメインにIgAタイプのCH3ドメインの1つ又は複数のセグメント又は配列が組み込まれる。2つのストランド交換CH3ドメインが突然変異して同族の対を形成する場合、CH3ドメインそれぞれのIgAセグメント又は配列は、突然変異したCH3ドメインが、野生型CH3ドメインよりも選好的に相互に対をなすように、同族のドメイン間接触表面を生成する。セグメントスワップを組み込んだ抗体ドメインのそのような修飾の具体例として、ストランド交換操作ドメイン(SEED)を挙げることができる。そのような修飾は、非対称性又は二重特異性抗体、特に重鎖のSEED修飾型CH3ドメインを選好的に対形成させることによって二重特異性抗体を生成するのに利用可能である。これは、保存されたCH3ドメイン内の構造的に関連した配列の交換に基づく。SEED CH3ドメイン内のヒトIgA及びIgGに由来の交互に反復する配列は、AG及びGAと表される非対称性であるが相補的な2つのドメインを生成する。SEEDデザインは、AG及びGA SEED CH3ドメインのホモ二量体化を回避しつつ、AG/GAヘテロ二量体の効率的な生成を可能にする。
【0171】
抗体ドメイン若しくはLC/HC、又はFc鎖の結びつけは、ドメイン内又はドメイン間のジスルフィド架橋によってさらに支持され得る。ジスルフィド結合は、2つのシステインのチオール基の酸化により通常形成され、これによりS原子が結合して2つのシステイン残基の間でジスルフィド架橋が形成される。
【0172】
具体的な実施形態によれば、抗体ドメインは、追加のドメイン内ジスルフィド架橋によって抗体ドメインを、又は追加のドメイン間ジスルフィド架橋によって一対の抗体ドメインを安定化させるためにジスルフィド架橋を形成することができるシステイン残基を組み入れる突然変異を含む。具体的には、システインは、CH3ドメインのC末端領域内又はC末端に挿入され得る(アミノ酸付加又はアミノ酸置換による)。追加のシステイン修飾を有する一対のCH3は、CH3対間のジスルフィド結合形成によって安定化され、これによりCH3/CH3二量体を産生し得る。一部の実施形態では、ジスルフィド連結された抗体ドメインは、ホモ二量体又はヘテロ二量体、すなわち同一又は異なるドメインの対である。
【0173】
抗体鎖又はドメインの正しい対形成を可能にするために、任意のCH3突然変異法が、特に利用可能であり、例えばノブ・イントゥ・ホール技術、SEED技術、電荷反発技術、ジスルフィド結合、又はクロス−mAb技術が、正しく会合しない分子の量を低減するために利用可能である。
【0174】
抗体ドメインの「対」は、本明細書において2つの抗体ドメイン一式として理解され、この場合、一方は、その表面上又はキャビティ内に、他方のドメイン上の部位と特異的に結合する、したがって相補的な部位を有する。抗体ドメインは会合(associate)及び会合(assemble)して、ベータシート領域の接触を介して一対の抗体ドメインを形成し得る。そのようなドメインの対は二量体とも呼ばれ、例えば静電相互作用、組み換え融合、又は共有結合により会合するが、例えば固体形態及び液状形態の両方において、2つのドメインを物理的に直接会合させる。本明細書において具体的に記載されているのは、本明細書において同定された位置での特定の点突然変異を介した同族の抗体ドメインの好ましい対となりうるCL/CH1二量体である。
【0175】
一対の抗体ドメインにおいて、抗体ドメインは、本明細書では、「対応する」ドメインと呼ばれる。本明細書に記載される抗体において、以下のドメインは、一対の抗体ドメインを適切に形成する対応物(スラッシュ(/)で分離された対応物)と見なされる:
VL/VH;
CL(Cラムダダ又はカッパ)/CH1;
CH2/CH2;
CH3/CH3。
【0176】
用語「多価」とは、本明細書に記載するABMに関して、同一の標的抗原に結合する、特にそのような標的抗原の同一の又は異なるエピトープと結合する少なくとも2つの結合部位を有する分子を指すものとする。該用語には、2価の抗体、又は例えば少なくとも2、3、4個、若しくはそれより多くの結合部位を通じて標的抗原と結合する2以上の結合価を有する分子が含まれるものとする。例えば、2価の抗体は、2つの対からなり、その両方とも同一の標的抗原と結合するVH/VLドメインを介した2つの抗原結合部位を有し得る。
【0177】
用語「多重特異性」とは、本明細書に記載するABMに関して、少なくとも2つの異なる標的抗原と特異的に結合する少なくとも2つの結合部位を有する分子を指すものとする。該用語には、二重特異性抗体、又は2つ以上の標的抗原と、例えば少なくとも2、3、4個、若しくはそれより多くの結合部位を通じて結合する2つ以上の特異性を有する分子が含まれるものとする。
【0178】
例えば、二重特異性抗体は、VH/VLドメインの第1の対(第1のFv領域)を通じて1つの標的抗原と結合し、またVH/VLドメインの第2の対(第2のFv領域)により別の標的抗原と結合し得る。二重特異性抗体は、典型的には、4つの異なる抗体鎖、すなわち、2つのHC及び2つのLCから構成され、そのため、2つの異なるCDR結合部位が、第1のHCと第1のLCとの、及び第2のHCと第2のLCのヘテロ二量体化(対形成)によって形成される。
【0179】
別の例では、二重特異性抗体は、抗体可変ドメインのCDRループ内の1つ又は複数の抗原結合部位によって1つの標的抗原、及び抗体定常ドメインの非CDRループ(本明細書では「構造ループ」と呼ばれる)内の1つ又は複数の抗原結合部位によって別の標的抗原を結合し得る。
【0180】
本明細書で使用される「ABMコンジュゲート」又は「ABMC」という用語は、ABMと1つ又は複数の異種分子とのコンジュゲートを指し、コンジュゲーションは、異種分子(複数可)を共有結合してカップリングさせる任意の適切な方法、例えば、化学的又は酵素的結合によるものである。
【0181】
ABMにコンジュゲートしている異種分子に関して本明細書で使用される「異種」という用語は、ABMとの関連で天然に存在しない任意の物質分子又は分子複合体を指す。異種分子は、特に人工物質、又は非ヒト若しくは非哺乳動物の生物学的物質である。例示的な異種分子は、標的細胞に対して生物活性を有する薬物又は毒素である。
【0182】
典型的には、異種分子は、ABMの1つ又は複数の遊離チオール基と反応することができるコンジュゲーションリンカー及び/又は反応基を含むように誘導体化される。
本明細書で使用される「抗原」又は「標的」という用語は、特に、抗体の結合部位によって認識することができる全ての抗原及び標的分子(パラトープとも呼ばれる)を含む。本明細書に記載される結合分子によって標的化される具体的に好ましい抗原は、免疫学的又は治療的に関連性があることが既に証明されているか又はそうであり得る抗原、とりわけ臨床効果が試験されている抗原である。用語「標的」又は「抗原」は、本明細書で用いる場合、(ヒト又はその他の動物の)、自己抗原である腫瘍関連受容体及び可溶性の腫瘍関連抗原、例えば、腫瘍細胞上に位置する受容体、又はそのような腫瘍と関連して癌患者の循環系内に豊富に存在すサイトカイン若しくは又は増殖因子からなる群より選択される分子を特に含むものとする。更なる抗原は、病原体起源、例えば微生物又はウイルス性の病原体の抗原であり得る。
【0183】
標的抗原は、標的分子全体、又はそのような分子のフラグメント、特に下部構造、例えば免疫学的に関連し、すなわち、天然抗体又はモノクローナル抗体によって認識可能でもある、「エピトープ」(例えばB細胞エピトープ、T細胞エピトープ)と一般的に呼ばれる標的のポリペプチド又は炭水化物構造として認識される。本明細書で使用される用語「エピトープ」とは、本明細書に記載されるABMの結合部位に対する、特異的結合パートナーを完全に構成するか又は特異的結合パートナーの一部であり得る分子構造を特に指す。用語「エピトープ」は、ハプテンも意味する。化学的には、エピトープは、炭水化物、ペプチド、脂肪酸、有機物質、生体物質、又は無機物質、又はその誘導体及び任意のその組み合わせから構成され得る。エピトープがポリペプチドの場合、少なくとも3個のアミノ酸、好ましくは8〜50個のアミノ酸、及びより好ましくは約10〜20個のアミノ酸が、ペプチド内に通常含まれる。ペプチドの長さに重大な上限はなく、タンパク質のほぼ完全長ポリペプチド配列を含む場合もある。エピトープは、直鎖状又は高次構造エピトープであり得る。直鎖状エピトープは、ポリペプチドの一次配列又は炭水化物鎖からなる単一のセグメントから構成される。直鎖状エピトープは、連続性又は重複性であり得る。高次構造エピトープは、アミノ酸又は炭水化物から構成され、ポリペプチドのフォールディングにより一体化して三次構造を形成し、またアミノ酸は、直鎖状配列において必ずしも相互に隣接していない。特に、エピトープは、診断上関連する分子の少なくとも一部分である、すなわちサンプル中のエピトープの有無は、患者の疾患若しくは健康状態、又は製造におけるプロセスの状態、又は環境及び食物の状態と定性的又は定量的に相関する。エピトープは、治療上関連する分子、すなわち疾患の経過に変化をもたらす、特異的結合ドメインの標的対象となり得る分子の少なくとも一部分に相当し得る。
【0184】
特定の実施形態は、天然に存在する抗原若しくはエピトープ、又はエピトープの合成(人工)抗原を指す。天然に存在する抗原の誘導体である人工抗原は、抗原性又は安定性が増加するという利点を有する可能性があり、これは、特定のABMに対する結合パートナーとして認識されることに関連する。
【0185】
本明細書で用いる場合、用語「特異性」又は「特異的結合」とは、不均質な分子集団内で目的の同族リガンドを判別する結合反応を意味する。したがって、指定された条件下(例えばイムノアッセイ条件下)で、本明細書に記載されるABMは、その特定の標的に結合し、試料中に存在する他の分子に有意な量では結合しない。特異的結合とは、結合はターゲットアイデンティティーに関して選択的であることを意味し、選択に応じて結合アフィニティー又はアビディティーは高、中、又は低となる。選択的結合は、結合定数又は結合動力学が少なくとも10倍異なる場合に通常実現し、好ましくは、差異は少なくとも100倍、より好ましくは少なくとも1000倍である。
【0186】
本明細書で使用される「抗原結合部分」という用語は、抗原との結合相互作用能力のある可変構造を有する分子(例えば、抗体ドメイン等の1つのペプチド又はポリペプチド)又は分子の会合(例えば、抗体Fv等のペプチド又はポリペプチド二量体)を意味する。そのような分子は、そのまま利用可能、又はより大きなタンパク質に組み入れ可能であり、したがって結合機能を備えたそのようなタンパク質の特異的領域を形成する。可変構造は、結合タンパク質の天然のレパートリー、例えば免疫グロブリン又は抗体等に由来し得る。可変構造は、ランダム化技法、特に本明細書に記載する技法によっても生成可能である。これらは、突然変異誘発されたCDR又は非CDR領域(例えば、定常抗体ドメインの構造ループ領域)、抗体可変ドメイン又は定常ドメインのループ領域、特に抗体のCDRループを含む。典型的には、本明細書に記載されているABMの抗原結合部位は、このような抗原結合部分によって形成される。
【0187】
抗体の抗原結合部位は、典型的には、重(「H」)及び/又は軽(「L」)鎖のN末端可変(「V」)領域、又はその可変ドメインのアミノ酸残基によって形成される。重鎖及び軽鎖のV領域内の3つの高度に多様なストレッチは、「高度可変領域」と呼ばれ、フレームワーク領域として知られているより保存されたフランキングストレッチの間に挿入されている。抗原結合部位は、結合したエピトープ又は抗原の三次元表面に相補的な表面を提供するが、また高度可変領域は、「相補性決定領域」又は「CDR」と呼ばれる。CDR内に組み込まれた抗原結合部位は、本明細書では「CDR結合部位」とも呼ばれる。
【0188】
定常抗体ドメインの構造ループ領域に組み込まれた抗原結合部位は、「非CDR結合部位」とも呼ばれる。
用語「発現」とは、次のように理解される。発現産物、例えば本明細書に記載するようなABM等の所望のコーディング配列、及び制御配列、例えば作動可能な結合内のプロモーター等を含有する核酸分子が、発現を目的として利用可能である。このような配列で形質転換又はトランスフェクトされた宿主は、コードされたタンパク質を生成する能力を有する。形質転換を有効にするために、ベクターに発現系を含めることができる;但し、関連するDNAも宿主染色体に組み込むことができる。特に該用語は、例えば、ベクターに担持され、宿主細胞に導入された外来DNAによりコードされるタンパク質発現用の、適する条件に置かれた宿主細胞及び適合するベクターを意味する。
【0189】
コーディングDNAは、特定のポリペプチド又はタンパク質、例えばABM等に対応する特定のアミノ酸配列をコードするDNA配列である。プロモーターDNAは、コーディングDNAの発現を開始、規制、さもなければ媒介、又は制御するDNA配列である。プロモーターDNA及びコーディングDNAは、同一の遺伝子又は異なる遺伝子に由来し得るが、また、同一の又は異なる生物に由来し得る。組み換えクローニングベクターには、多くの場合、クローニング又は発現用の1つ若しくは複数の複製系、宿主内で選択するための1つ若しくは複数のマーカー、例えば抗生物質耐性、及び1つ若しくは複数の発現カセットが含まれる。
【0190】
本明細書で用いられる「ベクター」は、クローン化された組み換えヌクレオチド配列、すなわち組み換え遺伝子の転写、及び適する宿主生物内でのそのmRNAの翻訳に必要とされるDNA配列として定義される。
【0191】
「発現カセット」とは、定義された制限部位においてベクターに挿入可能な発現産物をコードするDNAのDNAコーディング配列又はセグメントを意味する。カセット制限部位は、正しいリーディングフレーム内へのカセットの挿入を保証するように設計される。一般的に、外来DNAは、ベクターDNAの1つ又は複数の制限部位に挿入され、次にベクターにより伝染性ベクターDNAと共に宿主細胞に搬送される。発現ベクター等の、挿入又は付加されたDNAを有するDNAのセグメント又は配列は、「DNA構築物」とも呼ばれる場合がある。
【0192】
発現ベクターは、発現カセットを含み、また宿主細胞における自律複製のための起点又はゲノム組み込み部位、1つ又は複数の選択マーカー(例えば、抗生物質、例えばゼオシン(zeocin)、カナマイシン、G418、又はハイグロマイシン等に対する耐性を付与するアミノ酸合成遺伝子又は遺伝子)、いくつかの制限酵素切断部位、適するプロモーター配列、及び転写終結因子を通常更に含むが、これらの成分は作動可能に共に結合している。用語「ベクター」には、本明細書で用いる場合、自律複製ヌクレオチド配列、並びにゲノム組み込み用ヌクレオチド配列が含まれる。一般的な種類のベクターは「プラスミド」であり、それは一般的に、追加(外来)のDNAを容易に受け入れ可能な二本鎖DNAの自己完結型分子であるが、また適する宿主細胞に容易に導入可能である。プラスミドベクターは、多くの場合、コーディングDNA及びプロモーターDNAを含有し、また外来DNAの挿入に適する1つ又は複数の制限部位を有する。特に、用語「ベクター」又は「プラスミド」は、DNA又はRNA配列(例えば、外来遺伝子)を宿主細胞に導入可能であり、その結果宿主を形質転換させ、そして導入された配列の発現(例えば、転写及び翻訳)を促進する媒体を意味する。
【0193】
用語「宿主細胞」とは、本明細書で用いる場合、特定の組み換えタンパク質、例えば本明細書に記載するようなABM等を生成するように形質転換された初代対象細胞、及び子孫を指すものとする。すべての子孫が親細胞とまったく同一とは限らないが(計画的若しくは偶然の突然変異、又は環境の差異に起因して)、但し、該子孫が、当初形質転換された細胞の機能と同一の機能を保持する限り、そのように変化した子孫もその用語に含まれるものと理解すべきである。用語「宿主細胞株」とは、組み換え遺伝子を発現させて、組み換えポリペプチド、例えば組み換えABM等を生成するのに用いられるような宿主細胞の細胞株を意味する。用語「細胞株」とは、本明細書で用いる場合、長期間にわたり増殖能力を獲得した特定の細胞型の確立されたクローンを意味する。そのような宿主細胞又は宿主細胞株は、細胞培養内で維持可能、及び/又は組み換えポリペプチドを生成するために培養可能である。
【0194】
用語「単離された」又は「単離」とは、核酸、ABM、ABMC、又はその他の化合物に関して本明細書で用いる場合、「実質的に純粋な」形態で存在するように、それが本来関連する環境から十分に分離された化合物を指すものとする。「単離された」とは、その他の化合物又は材料との人工的又は合成混合物、或いは基本的な活性を妨害しない、そして例えば、不完全な精製に起因して存在し得る不純物の存在の除外を必ずしも意味しない。特に、本明細書に記載されるABMをコードする単離された核酸分子はまた、特定の宿主細胞における発現を改善するために天然に存在する核酸配列のコドン最適化変異体、又は化学合成されたものを含むことが意味される。
【0195】
核酸を参照しながら、用語「単離された核酸」が時に用いられる。この用語は、DNAに適用される場合、配列から分離したDNA分子を意味するが、その場合、該DNA分子の起源となる生物の天然由来のゲノム内では、該DNA分子は該配列と隣接する。例えば、「単離された核酸」は、ベクター、例えばプラスミド又はウイルスベクター等に挿入された、或いは原核細胞若しくは真核細胞又は宿主生物のゲノムDNAに組み込まれたDNA分子を含み得る。RNAに適用される場合、用語「単離された核酸」は、上記で定義した単離されたDNA分子によりコードされるRNA分子を主に意味する。或いは、該用語は、天然の状態(すなわち、細胞又は組織内)ではその他の核酸と関連するRNA分子であるが、そのような核酸から十分に分離した該RNA分子を意味し得る。「単離された核酸」(DNA又はRNA)は、生物学的手段又は合成手段により直接生成し、そして生成期間中に存在するその他の成分から分離した分子を更に表す場合もある。
【0196】
ポリペプチド又はタンパク質、例えば単離されたABM又はABMC等を参照する際に、用語「単離された」とは、化合物が本来関連する物質、例えば天然の環境、又は化合物が調製される場合(例えば、細胞培養)であって、そのような調製が組み換えDNA技術によりin vitro若しくはin vivoで実施される場合、その環境において見出されるその他の化合物等を含まない、若しくは実質的に含まない該化合物を特に指すものとする。単離された化合物は、希釈剤、又はアジュバントと共に処方化され得るが、またなおも実用的な目的で単離され得る−例えば、ポリペプチド又はポリヌクレオチドは、診断又は治療で用いられる場合、薬学的に許容される担体又は賦形剤と混合され得る。
【0197】
用語「組み換え」とは、本明細書で用いる場合、「遺伝子工学により調製される、又は遺伝子工学の結果」を意味するものとする。或いは、「操作された」という用語が使用される。例えば、ABM、抗体又は抗体ドメインは、それぞれの親配列を操作して、修飾されたABM、抗体及びドメインをそれぞれ生成することによって、変異体を生成するように操作され得る。組み換え宿主は、発現ベクター又はクローニングベクターを特に含む、又は組み換え核酸配列を含むように、特に宿主にとって外来のヌクレオチド配列を利用して遺伝子改変されている。組換えタンパク質は、宿主においてそれぞれの組換え核酸を発現させることによって生成される。本明細書で使用される、ABM又は抗体に関する「組換え」という用語は、組換え手段によって調製、発現、作製又は単離されたABM及び抗体をそれぞれ含み、例えば、(a)ヒト免疫グロブリン遺伝子についてトランスジェニック若しくはトランスクロモソームである動物(例えば、マウス)、又はそれから調製されるハイブリドーマから単離されたABM又は抗体、(b)ABM及び抗体をそれぞれ発現するように形質転換された宿主細胞から、例えば、トランスフェクトーマから単離されたABM又は抗体、(c)組換えコンビナトリアルのヒトABMライブラリ及び抗体ライブラリからそれぞれ単離されたABM又は抗体、並びに(d)ヒト免疫グロブリン遺伝子配列から他のDNA配列へのスプライシングを伴う他の任意の手段によって調製、発現、作製若しくは単離されたABM又は抗体が挙げられる。このような組換えABM又は抗体は、それぞれABM及び抗体を含み、これらは、例えば、抗体成熟中に生じる再編成及び突然変異を含むように操作される。
【0198】
所望の構造を有するABM又は抗体が同定されると、このようなABM及び抗体はそれぞれ、例えば、ハイブリドーマ技術又は組換えDNA技術を含む、当該技術分野において周知である方法によって生成され得る。
【0199】
ハイブリドーマ法では、マウス又はハムスター等のその他の適する宿主動物が、免疫化で用いられるタンパク質と特異的に結合する抗体を産生する、又は産生する能力を有するリンパ球を誘発するように免疫化される。或いは、リンパ球は、in vitroで免疫化され得る。次に、適する融合剤、例えばポリエチレングリコール等を用いてリンパ球をミエローマ細胞と融合させ、ハイブリドーマ細胞を形成する。
【0200】
ハイブリドーマ細胞が増殖する培養培地は、抗原に対するモノクローナル抗体の産生について分析され得る。好ましくは、ハイブリドーマ細胞により産生されるモノクローナル抗体の結合特異性は、免疫沈降法により、又はin vitro結合アッセイ法、例えばラジオイムノアッセイ法(RIA)又は酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)等により測定される。
【0201】
組換えABM、特にモノクローナル抗体は、例えば、それぞれ、必要なタンパク質及びポリペプチド鎖、例えば、抗体鎖をコードするDNAを単離し、周知の組換え宿主ベクター、例えば本明細書に記載されるABMをコードするヌクレオチド配列を含むプラスミド又は発現カセット(複数可)を用いて、発現用のコード配列で組換え宿主細胞をトランスフェクトすることにより生成可能である。組み換え宿主細胞は、原核細胞及び真核細胞、例えば上記の細胞等であり得る。
【0202】
特定の態様によれば、ヌクレオチド配列は、ABM、特に抗体をヒト化するための遺伝子操作のために、又はそのアフィニティー若しくは他の特徴を改善するために使用され得る。例えば、ABMがヒトを対象とした臨床トライアル及び治療で用いられる場合には、抗体定常領域は、ヒト定常領域とより密接に類似させて免疫反応を避けるように改変され得る。標的抗原に対するアフィニティーがより高まるようにABM配列を遺伝子操作するのが望ましいと考えられる。標的抗原に対する抗体の結合能力をなおも維持しつつ、ABMに1つ又は複数のポリヌクレオチドの変化を生じさせ得ることは、当業者にとって明白である。
【0203】
様々な手段によるABM、特に抗体の生成は、一般的によく理解されている。例えば、米国特許第6331415号(Cabillyら)は、抗体の組み換え生成の方法について記載するが、この場合、重鎖及び軽鎖は、単一のベクターから又は単一の細胞中の2つの別個のベクターから同時に発現される。Wibbenmeyerら、(1999年、Biochim Biophys Acta、第1430巻(2):191〜202頁)、並びにLee及びKwak(2003年、J. Biotechnology、第101巻:189〜198頁)は、大腸菌(E.coli)の分離培養物中に発現したプラスミドを用いて個別に生成した重鎖及び軽鎖からのモノクローナル抗体の製造について記載する。ABM又は抗体の生成に関連する様々なその他の技法が、例えばHarlowら、ANTIBODIES:A LABORATORY MANUAL, Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、N.Y.、(1988年)に提示されている。
【0204】
モノクローナル抗体は、培養物中の連続細胞系により抗体分子を生成する任意の方法を用いて生成される。モノクローナル抗体を調製するのに適する方法の例として、Kohlerら(1975年、Nature、第256巻:495〜497頁)のハイブリドーマ法、及びヒトB細胞ハイブリドーマ法(Kozbor、1984年、J.Immunol.、第133巻:3001頁;及びBrodeurら、1987、monoclonal Antibody Production Techniques and Applications、(Marcel Dekker、Inc.、New York)、51〜63頁)が挙げられる。
【0205】
本明細書に記載するABM又はABMCは、治療を必要としている対象への治療投与において利用可能である。
用語「対象」は、本明細書で用いる場合、温血哺乳動物、特にヒト又はヒト以外の動物を指すものとする。したがって、用語「対象」は、特にイヌ、ネコ、ウサギ、ウマ、ウシ、ブタ、及び家禽を含む動物も指す場合がある。特に、本明細書に記載するABM又はABMCは、疾患状態の予防又は治療を必要とする対象又は患者を治療するために、医学的用途で提供される。用語「患者」には、予防上又は治療上の処置を受けるヒト及びその他の哺乳動物対象が含まれる。用語「処置」は、したがって、予防上の処置と治療上の処置の両方が含まれるように意図される。
【0206】
具体的には、本明細書に記載するABM又はABMCは、実質的に純粋な形態で提供される。用語「実質的に純粋な」又は「精製された」とは、本明細書で用いる場合、少なくとも50%(w/w)、好ましくは少なくとも60%、70%、80%、90%、又は95%の化合物、例えば核酸分子、ABM又はABMC等を含む調製物を指すものとする。純度は、化合物に適する方法により測定される(例えば、クロマトグラフィー法、ポリアクリルアミドゲル電気泳動法、HPLC分析法等)。
【0207】
用語「治療有効量」は、化合物、例えば、本明細書に記載されるABM又はABMCの「有効量」又は「十分な量」という用語のいずれかと本明細書において交換可能に使用され、対象に投与された場合に、臨床結果を含む有益な又は所望の結果に十分な量又は活性であり、そのため、有効量又はその同義語は、それが適用されている文脈に依存する。
【0208】
有効な量とは、そのような疾患又は障害を治療、予防、又は阻止するのに十分な化合物の量を意味するように意図されている。疾患という文脈において、本明細書に記載するABM又はABMCの治療上有効な量は、ABMとその標的抗原の相互作用から利益を得る疾患又は状態を治療、調節、軽減する、逆転させる、又はそれに影響を及ぼすのに特に用いられる。
【0209】
そのような有効な量に対応する化合物の量は、様々な要因、例えば投与される薬物又は化合物、医薬製剤、投与経路、疾患又は障害の種類、治療される対象又は宿主の同一性等に応じて変化するものの、当業者によりルーチン的に決定可能である。
【0210】
本明細書に記載されるABM又はABMCは、具体的には、医薬組成物に使用され得る。したがって、本明細書に記載されるABM又はABMC、及び薬学的に許容される担体又は賦形剤、例えば、体液中の免疫グロブリンとともに天然には存在しないか、又は免疫グロブリンとともに天然に存在する人工担体又は賦形剤を含む医薬組成物が提供され、さらに、異なる量若しくは比率で担体又は賦形剤を含有する調製物中に提供される。
【0211】
本明細書に記載される医薬組成物は、ボーラス注射若しくは注入として、又は持続注入によって投与することができる。そのような投与手段を円滑にするのに適する医薬担体は、当技術分野において周知されている。
【0212】
薬学的に許容される担体として、本明細書に記載するABM又はABMCと生理学的に適合するあらゆるすべての適する固体又は液体の物質、溶媒、分散媒、コーティング物、等張性吸収遅延剤等が一般的に挙げられる。薬学的に許容される担体の更なる例として、無菌の水、生理食塩水、リン酸緩衝化生理食塩水、デキストロース、グリセロール、エタノール等、並びにその任意の組み合わせが挙げられる。
【0213】
1つのそのような態様では、ABM又はABMCは、所望の投与経路に適する1つ又は複数の担体と併用可能であり、ABM又はABMCは、例えば、ラクトース、スクロース、スターチ、アルカノン酸、ステアリン酸のセルロースエステル、タルク、ステアリン酸マグネシウム、酸化マグネシウム、リン酸及び硫酸のナトリウム塩及びカルシウム塩、アカシア、ゼラチン、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン(polyvinylpyrrolidine)、ポリビニルアルコールのいずれかと混合され得るが、また任意選択的に、従来方式での投与用として更に錠剤化又はカプセル化される。或いは、ABM又はABMCは、生理食塩水、水、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、カルボキシメチルセルロースのコロイド溶液、エタノール、コーン油、ピーナッツ油、綿実油、ゴマ油、トラガカントガム、及び/又は様々なバッファーに溶解し得る。その他の担体、アジュバント、及び投与様式は、医薬品技術分野で周知されている。担体は、制御放出型材料又は時間遅延材料、例えばグリセリルモノステアレート若しくはグリセリルジステアレート等を単独で、又はワックス若しくは当技術分野において周知のその他の材料と共に含み得る。
【0214】
追加の薬学的に許容される担体は、当技術分野において公知であり、また例えば、REMINGTON’S PHARMACEUTICAL SCIENCESに記載されている。液状製剤は、液剤、乳剤又は懸濁剤であり得、また賦形剤、例えば懸濁剤、可溶化剤、界面活性剤、防腐剤、及びキレート剤等を含み得る。
【0215】
本明細書に記載されるABM又はABMC、及び1つ又は複数の治療上活性な薬剤が処方化される場合、医薬組成物が検討される。所望の純度を有する上記ABM又はABMCを任意選択的な薬学的に許容される担体、賦形剤、又は安定剤と混合することにより、安定な製剤が、凍結乾燥された製剤又は水溶液の形態で保存用に調製される。In vivo投与用として用いられる製剤は、特に無菌状態であり、好ましくは無菌の水溶液の形態である。これは、滅菌濾過メンブレンを通過する濾過又はその他の方法により容易に実現される。本明細書に開示のABM又はABMC及びその他の治療上活性な薬剤は、イムノリポソームとしても処方化され得る、及び/又はマイクロカプセル中に捕捉され得る。
【0216】
本明細書に記載されるABM又はABMCを含む医薬組成物の投与は、経口、皮下、静脈内、鼻腔内、耳内(intraotically)、経皮、粘膜、局所的、例えばゲル、軟膏、ローション、クリーム等、腹腔内、筋肉内、肺内、膣内、非経口、直腸、又は眼内を含む様々な方法において実施可能である。
【0217】
非経口投与で用いられる代表的な製剤として、皮下、筋肉内、又は静脈内注射に適する製剤、例えば無菌の液体、乳剤又は懸濁剤等が挙げられる。
本発明は、本明細書で提示する実施例に詳記するような代表的なABM又はABMCを特に提供する。さらなるABM又はABMC変異体が実施可能である。例えば、例示されたABM又はABMCの機能的変異体を含む。例えば、Fcは、分子の構造及び機能を改善するためにさらに操作されていて、又は異なるCDR結合部位若しくは非CDR結合部位を含む抗体、例えば、異なる特異性を有する抗体が生成される。
【0218】
特定の例によれば、FoldXと組み合わせたFc結晶構造の目視検査を使用して、Fc分子における突然変異の可能な影響を予測した(Schymkowitzら、2005年)。システインは、IgG1抗体の野生型Fcフラグメントに導入された。結果として生じる突然変異体Fcフラグメントは、サイズ排除クロマトグラフィー、円偏光二色性分光法、及び示差走査熱量測定によって、生化学的及び生物物理学的特性について特徴付けられた。表面プラズモン共鳴測定は、プロテインA、FcRn、CD16a、及びCD64への結合を特徴付けるために採用された。エルマンアッセイを使用して、分子上の遊離チオールを滴定した。タンパク質は、市販のマレイミドカップリングキットで特異的にビオチン化された。続いて、ビオチン化は、バイオレイヤー干渉法を使用したストレプトアビジン結合アッセイを用いてアッセイされた。次に、野生型様SEC、DSC、CDプロファイル及び特定のビオチン化を有するFcフラグメントを生じさせる突然変異は、EGFR結合Fcabに導入された。タンパク質の同じ基本的な特徴付けが行われ、さらに、EGFR結合Fcabがフルオロフォアに特異的にカップリングする内在化アッセイが行われ、このpreADC構築物がすべての期待される必要な特性を有することが証明された。
【0219】
先行技術のシステイン置換と比較して、Getarea(http://curie.utmb.edu/getarea.html;参考文献Fraczkiewicz,R.及びBraun,W.(1998年)J.Comp.Chem.、19巻、319〜333頁)によって分析した場合、108及び113位のシステイン(IMGTに従うナンバリング)はともに埋もれていることが判明し、一方、他のすべての先行技術の残基は溶媒曝露されることが判明した。これらの先行技術による置換は、このような位置での薬物コンジュゲーションがより良い結果をもたらすと仮定して、このような曝露のために行われた。しかしながら、本明細書に記載されるように、CH2ドメインのF−Gループにおける埋もれた位置の選択は、組換え抗体の生成中の操作されたシステインの酸化的翻訳後修飾の程度が驚くほど少ないため、さらに良好であったことは驚くべきことであった。
【0220】
このような酸化的翻訳後修飾は、細胞培養プロセス中に形成されたジスルフィド結合を介して、操作され及び対になっていないシステインでのシステイン化及び/又はグルタチオン化の形で発生することが周知であり(Chen XNら、MAbs.2009年;1巻(6号):563〜71頁)。
【0221】
驚くべきことに、産生プロセス中に溶媒曝露されていないシステインに対する抗体の位置を突然変異させることにより、酸化的翻訳後修飾の量が減少することが見出され、操作されたシステインのSH基を異種分子へのコンジュゲーションに利用できるようにした。
【0222】
上記説明は、下記の実施例を参照しながらより十分に理解される。但し、そのような実施例は、本発明の1つ又は複数の実施形態を実践する方法を代表するに過ぎず、発明の範囲を制限するものと読み取るべきでない。
【実施例】
【0223】
実施例1:N末端ループスクリーニングによって決定されたCH2ドメインの構造的許容範囲
IgGのCH2ドメインの3つのN末端ループのいずれかが、毒素分子のカップリングのためのシステイン突然変異をさらに操作するために採用し得るかを決定するために、以下の実験を行った。認識配列ELDKWA(配列番号11)は、プライマーelbc1、elbc2、elde1、elde2、elfg1、及びelfg2の対で部位特異的突然変異誘発を使用して、BCループ、DEループ、及びFGループの残基を交換することによって、FcフラグメントのN末端ループにグラフト結合された。ピキア・パストリス(Pichia pastoris)発現ベクターpPICZalphaAにクローニングされたヒトIgG1 Fcの配列(Thermo Fisher Scientific、配列番号9のFcアミノ酸配列)に、Quikchange突然変異誘発キット(Agilent)を使用して突然変異を誘発し、構築物Fc ELDKWA BC(配列番号13)、Fc ELDKWA DE(配列番号14)及びFc ELDKWA FG(配列番号15)を作製した。突然変異体をコードするベクターを線状化し、標準的な方法を使用してピキア・パストリスX33に形質転換した。選択はゼオシン含有YPD培地で行った。形質転換体をYPG培地で培養し、1%メタノールを添加してタンパク質発現を誘導し、3日間継続した。次に、上清を清澄化し、ペプチドがグラフト結合したFcフラグメントをプロテインAクロマトグラフィーで精製した。簡単に言えば、上清を0.1Mリン酸ナトリウム、pH7.0に緩衝化し、同じ緩衝液で平衡化したプロテインAカラムに充填した。洗浄後、タンパク質は0.1Mグリシン、pH3.5で溶出された。溶出液を含有する画分を2M Trisを添加して中和し、PBSに対して透析した。グラフト結合した突然変異体は、天然の状態でのSECプロファイル及びそれらの抗原認識能力を監視することにより、それらの完全性について試験された。BCループに修飾を有するFc突然変異体は、幅広い溶出プロファイルを生成したが、一方、DE及びFGがグラフト結合した変異体は野生型のようであった。ELISAアッセイでは、ELISA Maxisorpプレートを5μg/mlの2F5抗体で被覆した。4%BSA−PBSで遮断した後、10μg/mlから開始する3倍希釈系列のFc変異体を抗原と反応させた。結合をプロテインA−HRPコンジュゲートで検出し、反応物をTMBで発色させ、30%のHSOで停止した。吸光度を405nmで読み取り、620nmでのバックグラウンドを差し引いた。DE及びFGループがグラフト結合したタンパク質は、BCループがグラフト結合した変異体と比較して、抗原に対してより強いアフィニティーを示している。DEループ指向されたグラフトは、ヒトIgG1(EUナンバリングではAsn297残基であり、IMGTナンバリングでは84.4残基である)の天然に存在するN結合型グリコシル化部位を取り除き、システインコンジュゲートしている毒素分子へのN結合型グリコシル化の直接的な近接は望ましくないため、FGループにおいて交換されたアミノ酸残基は、システイン残基への突然変異誘発による置換及びさらなる操作に最も適しているように見えた。
【0224】
配列番号12:Fc野生型配列
TCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
配列番号13:Fc ELDKWA BC
TCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVELDKWAPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
配列番号14:Fc ELDKWA DE
TCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREELDKWAYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
配列番号15:Fc ELDKWA FG
TCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSELDKWAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
【0225】
【表2】
【0226】
【表3】
【0227】
実施例2:システイン残基への交換の許容性についてのCH2ドメインにおけるFGループの残基のスクリーニング
pPICZalphaAベクターにクローニングされたFcフラグメントの突然変異体は、Quikchange部位特異的突然変異誘発キットを使用して構築された。残基Ser324、Asn325、Lys326、Ala327、Leu328、Pro329及びAla330は、システイン残基と別々に交換された。
【0228】
【表4】
【0229】
突然変異体をコードするベクターを線状化し、ピキア・パストリスX33(Invitrogen)に形質転換した。選択は、ゼオシン含有YPD培地で行った。形質転換体をYPG培地で培養し、1%のメタノールを添加してタンパク質発現を誘導し、3日間継続した。次に、上清を清澄化し、突然変異FcフラグメントをプロテインAクロマトグラフィーにより精製した。簡単に言えば、上清を0.1Mリン酸ナトリウム、pH7.0に緩衝化し、同じ緩衝液で平衡化したプロテインAカラムに充填した。洗浄後、タンパク質は0.1Mグリシン、pH3.5で溶出された。溶出液を含有する画分を2M Trisを添加して中和し、PBSに対して透析した。突然変異体は、天然の条件でSECプロファイルを監視することによって完全性について分析され、野生型Fcの典型的な時間に溶出することが判明した。突然変異体Lys326Cysは5〜10%の凝集体を含み、Ala327Cysは5%の凝集体を含み、他のすべての調製物には凝集体がなかった。
【0230】
突然変異体の熱安定性プロファイルは、示差走査熱量測定を使用して決定された。5μMのタンパク質溶液は、自動化VP−DSC装置で25℃から100℃に1℃/分の加熱速度で加熱され、その場で冷却されて、ベースラインとして機能する2回目の温度スキャンのために加熱された。評価のために、ベースラインは温度プロファイルから差し引かれ、Windows用のOrigin 7.0を使用して非2状態遷移メカニズムを想定してデコンボリューションされた。CH3ドメインの熱転移は、未修飾Fcとほぼ同じであった。対照的に、CH2ドメインの展開に対応する遷移は、ほとんどの突然変異体において低温で生じた。最も重大に不安定化されたCH2ドメインは、突然変異体Lys326Cys及びLeu328Cysにおいて観察され、Tmの負のシフトは4.5℃であった。Ser324Cysは約3.5℃で不安定化した。突然変異体Asn325Cys及びAla327Cysの融解曲線全体は、野生型Fcの融解曲線と有意に相違しなかった。
【0231】
タンパク質は、試薬EZ−Linkマレイミド−PEG2−ビオチン(Thermo Scientific)を使用して、マレイミド−ビオチンとのそれらの反応性を試験された。カップリング後、タンパク質をPBSに対して透析し、その後、バイオレイヤー干渉法を使用してForteBio Octetにおけるストレプトアビジンの先端への結合をプローブした。タンパク質を600秒間結合させ、解離相は600秒間であった。Fc Asn325Cysによって示される強い正のシグナルがあり、Fc Ser324Cys及びFc Leu328Cysによって示される弱い正のシグナルがあった。野生型Fcを含む他のすべての突然変異体は、このアッセイにおいて陰性であった。
【0232】
遊離チオール基は、エルマンアッセイを使用して決定された。アッセイは、Rienerら(Riener CK、Kada G、Gruber HJ.、Quick measurement of protein sulfhydryls with Ellman’s reagent and with 4,4’−dithiodipyridine.Anal Bioanal Chem.2002年;373巻(4〜5号):266〜276頁)に従って、エルマン試薬(5,5’−ジチオ−ビス(2−ニトロ安息香酸))を用いて行われた。簡単に言えば、タンパク質試料を解凍し、希釈せずに適用した。100mMリン酸Na緩衝液(+0.2mMのEDTA)を含有する2つのチューブを準備し、pHをそれぞれ7.0及び8.0に設定した。アッセイの直前に、10mMのDTNB(25mLのリン酸Na緩衝液、pH7中に77.1 mgのDTNB)を準備した。200μMのBSA溶液を陽性対照として使用した。833μLの緩衝液pH8+167μLタンパク質+16.7μLエルマン試薬を混合し、300rpmで振とうしながら30分間、20℃でインキュベートした。インキュベーション後、Hitachi U2910分光光度計で412nmの吸収を測定し、チオールの濃度を以下の式を使用して取得した:
【0233】
【数1】
【0234】
式中:[SH]M−試料中のチオールのモル濃度;
【0235】
【数2】
【0236】
−試料の412nmでの吸光度;
【0237】
【数3】
【0238】
−試料なしの412nmでの吸光度;
【0239】
【数4】
【0240】
−タンパク質なしのブランクの412nmでの吸光度;
【0241】
【数5】
【0242】
−412nmでのモル吸光係数(14,150M−1cm−1);d−キュベットの経路長;6は希釈係数である。
チオールのモル濃度が0.6を示す対照としてBSAを使用すると、突然変異体Fc Asn325Cysは、カップリングに利用することができるモルあたり2つ近くの遊離チオール基を示している。突然変異体Fc Ser324Cys及びFc Leu328Cysは、カップリングに利用することができる1モルあたり1つ未満の遊離チオール基を示している。他のタンパク質は、遊離チオール基の存在を示していない。EZ−Linkマレイミド−PEG2−ビオチン(Thermo Scientific)と反応することができるタンパク質は、遊離チオール基の利用可能性の減少を示している。
【0243】
【表5】
【0244】
CD16a結合は、BIAcore測定で決定された。Fc突然変異体Ser324Cys及びLys326Cysは、野生型FcのようにCD16aと同様の結合を示した。他のすべてのクローンは、この受容体に対して劇的に減少したアフィニティーを示した。Pro329Cys及びビオチン化されたAsn325Cysの場合、結合は観察することができなかった。
【0245】
FcRn結合はBIAcore測定で決定された。FcRnへの会合と解離の両方が、野生型Fc及びすべてのシステイン突然変異体で類似していた。ビオチン化は、FcRn結合に影響を与えなかった。
【0246】
実施例3:EGFR結合FcabクローンにおけるSer324Cys、Asn325Cys及びLeu328Cys突然変異体
wt FcにおけるCH2ドメインのFGループ内の7つの突然変異体のうち、3つの単一システイン交換された突然変異体は、EGFR結合FcabクローンEAM151−5(国際公開第WO2011/003811A1号)に移動された:Ser324Cys、Asn325Cys及びLeu328Cys。突然変異体は、以下の表に記列挙されているように、Quikchange Site−Directed突然変異誘発キット及びプライマーを使用して構築された。
【0247】
【表6】
【0248】
突然変異体EAM151−5 Asn325Cys及び野生型EAM151−5クローンは、試薬EZ−Linkヨードアセチル−PEG2−ビオチン(Thermo Scientific)を使用してヨードアセチル−ビオチンで標識された。使用直前に、ヨードアセチルビオチン試薬の4mM溶液を調製した。計算された量の試薬溶液をタンパク質溶液に添加し、暗所で室温にて90分間インキュベートした。未反応のビオチン試薬は、PBSに対して4℃で透析して除去された。突然変異体EAM151−5 Asn325Cysは、バイオレイヤー干渉法でForteBio Octetのストレプトアビジンの先端に有意な結合を示したが、一方、ビオチン化された野生型EAM151−5、ビオチン化された野生型Fc及びビオチン化されていないタンパク質EAM151−5 Asn325Cys、EAM151−5及び野生型Fcは、ストレプトアビジンの先端への結合を示さなかった。
【0249】
遊離チオール基をエルマン試薬で滴定した。BSAを対照として使用し、分子あたり0.64個の遊離チオール基を示している。単一システイン置換分子は、分子あたり異なる数の接触可能なチオール基を示している。EAM151−5Asn325Cysは、1分子あたり1.62個、EAM151−5 Ser324Cysは0.83個、及びEAM151−5 Leu328Cysは1.2個の遊離チオールグループを示している。未修飾のEAM151−5は陰性結果(分子あたり0.16個の遊離チオール)を与え、野生型Fc(分子あたり0.1個の遊離チオール)もそうであった。
【0250】
P.パストリス(P.pastoris)由来のFcab EAM151−5の熱展開プロファイルのデコンボリューションは、3つの非2状態遷移を使用して解決することができる。1番目は63.55℃、2番目は66.29℃、及び3番目は67.99℃で発生する。最も不安定な突然変異Fcabは、58.59℃、62.22℃、及び65.82℃の転移温度を有するEAM Leu328Cysであった。EAM Ser324CysはまたDSCにおいて不安定なプロファイルを示した(58.94℃、62.89℃、及び65.60℃)。対照的に、EAM Asn325Cysは、EAM151−5に近い熱安定性プロファイルを示し、CH2ドメインは61.87℃で融解し、そのCH3ドメインはその熱安定性を保持した(Tmは65.71℃及び68.37℃である)。
【0251】
CD16a及びCD64への結合は、表面プラズモン共鳴を使用して決定された。野生型Fcのスキャフォールドにおける突然変異体Asn325Cys及びLeu328Cysは、野生型Fcと比較して、CD16aとのアフィニティーの著しい減少を示している。EAM151−5は、野生型Fcと同様にCD16aへの結合反応速度を示した。EAM Ser324Cysは、ビオチン化とは無関係にEAM151−5と同様の結合反応速度を示した。対照的に、EAM Leu328Cysは、未処理の場合、大幅に減少した程度でCD16aに結合したが、一方、ビオチン化した場合、結合はほぼ完全に失われた。EAM151−5 Asn325Cysは、EAM151−5 L328Cよりもさらに弱い結合を示し、ビオチン化した場合は反応性を示さなかった。さらに、野生型Fcのスキャフォールドにおける突然変異体Asn325Cys及びLeu328Cysは、野生型Fcと比較してCD64に対するアフィニティーの減少を示している。EAM151−5のCD64への結合は、野生型Fcと比較して減少した。突然変異体EAM151−5 Asn325Cys及びEAM151−5 Leu328Cysは、クローンEAM151−5よりもCD64への結合が少ないことが示されている。
【0252】
【表7】
【0253】
FcRnへの結合の反応速度論は、EAM151−5突然変異体のすべてについて同様であった。ビオチン化タンパク質では、FcRnへの結合に相違を観察することはできなかった。
【0254】
EGFRへの結合を決定するELISAにおいて、EAM151−5及び単一システイン置換された突然変異体は、EGFRへのほぼ同一の結合を示したが、一方、野生型Fcは陰性対照として機能した。ビオチン化後の操作されたFcフラグメントは、非常に類似した結合挙動を示した。
【0255】
EAM151−5突然変異体の内在化は、蛍光顕微鏡を使用した細胞アッセイにおいてインビトロで観察された(表7)。強力なEGFR陽性MB−MDA468細胞を、以前にDylight488マレイミドと4℃及び37℃でコンジュゲートさせた、操作された遊離システインを5μg/mLのFcフラグメント又はEAM151−5クローンとともにインキュベートして、活性な内在化を分析した。陰性対照として、操作された遊離システインを含むDyLight488標識されたFcフラグメント(Fc Asn325Cys)を使用した。MB−MDA468細胞による取り込みの特異性を確認するために、細胞株EGFR陰性MCF−7細胞株を使用した。野生型EAM151−5を陰性対照として使用した。すべての修飾されたEAM151−5突然変異体は、細胞によって内在化された。細胞を蛍光標識されたFc誘導体とともに4℃でインキュベートした場合、Fc突然変異体は主に細胞表面に位置され、細胞の蛍光は陽性シグナルとして解釈された。蛍光標識されたFc突然変異体との細胞のインキュベーションが37℃で行われた場合、点状の外観は、蛍光標識されたFcフラグメント誘導体の内在化を示し、これは陽性シグナルとして解釈された。MCF−7細胞は、Dy−Light488コンジュゲートしているEAM Asn325Cysによるいずれもの染色を示していない。未修飾のEAM151−5は、MB−MDA468細胞への内在化時に弱い陽性シグナルを示している。これは、おそらくDy−Light488による非特異的な標識が原因である。
【0256】
【表8】
【0257】
実施例4:Her2結合FcabクローンのAsn325Cys及びLeu328Cys突然変異体
突然変異Asn325Cys及びLeu328Cysを導入するための骨格として、pTT5ベクター(CNRC)にクローニングされたHer2特異的FcabクローンH561−4(Leungら、Mol Ther.2015年;23巻(11号):1722〜1733頁)を使用した。突然変異は、実施例2及び3に記載されているHiSpeed Quikchange突然変異誘発キットを使用して導入された。タンパク質をCHO細胞で発現させ、プロテインAクロマトグラフィーを使用して精製した。
【0258】
配列番号42。H561−4 Asn325Cysクローンタンパク質配列
TCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSCKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDEFFTYWVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDRRRWTAGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
配列番号43。H561−4 Leu328Cysクローンタンパク質配列
TCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKACPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDEFFTYWVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDRRRWTAGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
SPDBリンカーを含むチューブリシンコンジュゲートを次のプロトコールに従ってFcab H−561−4にカップリングさせた。毒素をDMSOで希釈し、1:4のモル比でタンパク質調製物に添加した。インキュベーションは、室温で1.5時間であった。PBSで平衡化したPD−10カラムに混合物を充填し、タンパク質を1mlの画分に収集した。タンパク質含有画分は、A280を測定することによって同定され、PBSに対して一晩透析した。
【0259】
カップリングした突然変異体を質量分析に供した。3μgの所望のタンパク質をLC−MSシステムに直接注入した(LC:DionexbUltimate 3000LC、MS:Bruker、Maxis 4G、標準ESIソースを装備する)。15%から70%までのアセトニトリル(Supelco Discovery Bio Wide Pore C5カラム、50×0.32mm、3μmパッキング)の直線勾配を発生させることにより、タンパク質を溶出した。データはData Analysis 4.0(Bruker)を使用して処理され、スペクトルはMaxEntによってデコンボリューションされた。
【0260】
変異体H561−4 Asn325Cysについて、無傷なタンパク質の測定は不均一なスペクトルを示し、3つの異なる主要な変異体が検出され、948Daの質量増分を示した。それにもかかわらず、完全長タンパク質(末端リジンを欠く)は、最高強度を示した。システイン修飾剤による処理は、1つの修飾されたシステイン残基によって引き起こされる最大ピークの約829.5Daのシフトを引き起こした。変異体H561−4 Leu328Cysについて、無傷なタンパク質の測定は不均一なスペクトルを示し、3つの異なる主要な変異体が検出され、948Daの質量増分を示した。それにもかかわらず、完全長タンパク質(末端リジンを欠く)は、最高強度を示した。システイン修飾剤による処理は、2つの修飾されたシステイン残基によって引き起こされる最大ピークの約1659Daのシフトを引き起こした。図1を参照されたい。
【0261】
実施例5:セツキシマブフレームワークのAsn325Cys及びLeu328Cys突然変異体
セツキシマブ(CX)の重鎖の配列をpTT5哺乳動物細胞発現ベクターにクローニングした。単一アミノ酸置換Asn325Cys及びLeu328Cysは、Lightning Quikchange突然変異誘発キットを使用してCX配列(以下の配列)に導入された。野生型に対して9℃でC2ドメインを安定化させるデノボジスルフィド結合(CysP6)をもたらす突然変異Thr250Val、並びに突然変異Pro271Cys及びArg292Cys(CysP6又はCP6)の組み合わせは、CXAsn325Cys及びCXLeu328Cys突然変異体の配列に導入された。重鎖構築物を1:1の質量比でCX軽鎖構築物と混合し、標準プロトコールに従ってCHO−S細胞にトランスフェクトした。30mlのCHO−S細胞に1×10/mlの密度で37.5μgのDNA、37.5μlのMAX試薬をそれぞれ600μlのOpti−Pro培地で希釈した混合物をトランスフェクションした。37℃で7日間、5%CO下、加湿雰囲気において培養後、上清を回収し、プロテインA精製を使用してタンパク質を単離した。簡単に言えば、プロテインA Hi−Trapカラムに結合させるために上清を0.1MのNa−リン酸で緩衝化し、0.1MグリシンでpHを3.5にシフトさせて溶出し、2MのTrisで直ちに中和した。PBSで大規模な透析を行った後、タンパク質を−80℃で保存した。
【0262】
配列番号44。CX重鎖アミノ酸配列(最初の19アミノ酸、下線付きのリーダーペプチド)
MAVLGLLFCLVTFPSCVLSQVQLKQSGPGLVQPSQSLSITCTVSGFSLTNYGVHWVRQSPGKGLEWLGVIWSGGNTDYNTPFTSRLSINKDNSKSQVFFKMNSLQSNDTAIYYCARALTYYDYEFAYWGQGTLVTVSAASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
配列番号45。CX重鎖ヌクレオチド配列
ATGGCTGTCTTGGGGCTGCTCTTCTGCCTGGTGACATTCCCAAGCTGTGTCCTATCCCAGGTGCAGCTGAAGCAGTCAGGACCTGGCCTAGTGCAGCCCTCACAGAGCCTGTCCATCACCTGCACAGTCTCTGGTTTCTCATTAACTAACTATGGTGTACACTGGGTTCGCCAGTCTCCAGGAAAGGGTCTGGAGTGGCTGGGAGTGATATGGAGTGGTGGAAACACAGACTATAATACACCTTTCACATCCAGACTGAGCATCAACAAGGACAATTCCAAGAGCCAAGTTTTCTTTAAAATGAACAGTCTGCAATCTAATGACACAGCCATATATTACTGTGCCAGAGCCCTCACCTACTATGATTACGAGTTTGCTTACTGGGGCCAAGGGACTCTGGTCACTGTCTCTGCAGCTAGCACCAAGGGCCCCAGCGTGTTCCCTCTGGCCCCCAGCTCCAAGAGCACCTCCGGCGGCACCGCCGCCCTGGGCTGCCTGGTGAAGGATTACTTCCCAGAGCCCGTGACCGTGAGCTGGAACAGCGGCGCCCTGACCAGCGGCGTGCACACCTTTCCCGCCGTGCTGCAGTCCAGCGGCCTGTACTCCCTGAGCAGCGTGGTGACCGTGCCCAGCAGCAGCCTGGGCACCCAGACCTACATCTGCAATGTGAACCACAAGCCCAGCAATACCAAGGTGGATAAGAAGGTGGAGCCCAAGAGCTGCGACAAGACACACACGTGTCCCCCATGTCCCGCCCCTGAGCTGCTGGGCGGCCCTTCCGTGTTCCTGTTCCCTCCCAAGCCAAAGGACACCCTGATGATCTCCCGGACCCCTGAGGTGACCTGTGTGGTGGTGGACGTGAGCCACGAGGACCCAGAGGTGAAGTTCAACTGGTACGTGGACGGCGTGGAGGTGCACAACGCCAAGACCAAGCCTAGAGAGGAGCAGTACAACAGCACCTACCGCGTGGTGAGCGTGCTGACCGTGCTGCACCAGGATTGGCTGAATGGCAAGGAGTACAAGTGCAAGGTGAGCAACAAGGCCCTGCCTGCCCCCATCGAGAAGACCATCTCCAAGGCCAAGGGCCAGCCTCGAGAACCACAGGTGTACACCCTGCCCCCATCCCGGGATGAGCTGACCAAGAACCAGGTCAGCCTGACCTGCCTGGTCAAAGGCTTCTATCCCAGCGACATCGCCGTGGAGTGGGAGAGCAATGGGCAGCCGGAGAACAACTACAAGACCACGCCTCCCGTGCTGGACTCCGACGGCTCCTTCTTCCTCTACAGCAAGCTCACCGTGGACAAGAGCAGGTGGCAGCAGGGGAACGTCTTCTCATGCTCCGTGATGCATGAGGCTCTGCACAACCACTACACACAGAAGAGCCTCTCCCTGTCTCCGGGTAAA
配列番号46。CX軽鎖アミノ酸配列(最初の20アミノ酸、下線付きのリーダーペプチド)MVSTPQFLVFLLFWIPASRGDILLTQSPVILSVSPGERVSFSCRASQSIGTNIHWYQQRTNGSPRLLIKYASESISGIPSRFSGSGSGTDFTLSINSVESEDIADYYCQQNNNWPTTFGAGTKLELKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
配列番号47。CX軽鎖ヌクレオチド配列
ATGGTATCCACACCTCAGTTCCTTGTATTTTTGCTTTTCTGGATTCCAGCCTCCAGAGGTGACATCTTGCTGACTCAGTCTCCAGTCATCCTGTCTGTGAGTCCAGGAGAAAGAGTCAGTTTCTCCTGCAGGGCCAGTCAGAGTATTGGCACAAACATACACTGGTATCAGCAAAGAACAAATGGTTCTCCAAGGCTTCTCATAAAGTATGCTTCTGAGTCTATCTCTGGAATCCCTTCCAGGTTTAGTGGCAGTGGATCAGGGACAGATTTTACTCTTAGCATCAACAGTGTGGAGTCTGAAGATATTGCAGATTATTACTGTCAACAAAATAATAACTGGCCAACCACGTTCGGTGCTGGGACCAAGCTGGAGCTGAAAAGAACTGTTGCGGCGCCATCTGTCTTCATCTTCCCGCCATCTGATGAGCAGTTGAAATCTGGAACTGCCTCTGTTGTGTGCCTGCTGAATAACTTCTATCCCAGAGAGGCCAAAGTACAGTGGAAGGTGGATAACGCCCTCCAATCGGGTAACTCCCAGGAGAGTGTCACAGAGCAGGACAGCAAGGACAGCACCTACAGCCTCAGCAGCACCCTGACGCTGAGCAAAGCAGACTACGAGAAACACAAAGTCTACGCCTGCGAAGTCACCCATCAGGGCCTGAGCTCGCCCGTCACAAAGAGCTTCAACAGGGGAGAGTGT
【0263】
【表9】
【0264】
マレイミド−Alexafluor488とのインキュベーションにより突然変異体を標識し、PBSに対して広範囲に透析して未反応の試薬を除去した。強力なEGFR陽性細胞MB−MDA468及びA431へのそれらの結合レベルは、FACS実験を使用したNHSカップリング化学を用いて、リジン残基全体でAlexafluor488とカップリングさせたセツキシマブと比較して推定された。細胞を回収し、2%BSA−PBSに1×10細胞/mlの密度で再懸濁した。染色は、100000細胞/ウェルで96ウェルプレートにおいて行われた。細胞を氷上で30分間遮断し、次に、氷上で30分間、10nMから開始する2%BSA−PBSで3倍希釈系列でAlexafluor488とカップリングさせた一次抗体とともにインキュベートした。分析前に、細胞を7−AADを1:100に希釈した200μlのPBDに再懸濁し、氷上に置いた。生細胞集団の平均蛍光強度を決定した。高い蛍光シグナルは、マレイミド誘導体化されたフルオロフォアとシステイン残基のカップリングが成功したことを示した。
【0265】
さらに、構築物の内在化は、異なる期間、抗体の飽和濃度に細胞を曝露させることによって推定された。次に、細胞を回収し、2%BSA−PBSで遮断し、50μg/mlのAlexa488クエンチング抗体とともにインキュベートした。内在化された抗体のパーセンテージは、公開されたプロトコールに従って決定された。内在化の時間経過を監視し、リジン残基を介してAlexafluor488とカップリングさせたセツキシマブの内在化と同様であることが推定された。
【0266】
より大規模での生成のために、構築物をExpiCHO細胞にトランスフェクトした。MaxTiterプロトコールを使用してタンパク質生成を行った。プロテインA及びSEC精製を使用してタンパク質を単離した。毒素mal−val−cit−MMAE(ベドチン)とのカップリングは、ADCs&Targeted NBE Therapeutics(Merck)の研究室で行われた。薬物対抗体比(DAR)は、質量分析を用いて、CX Asn325Cysについて1:1.26、CX Asn325Cysについて1:1.64、CX Leu328Cysについて1:1.64、及びCX Leu328Cys CysP6について1:52と決定された。
【0267】
【表10】
【0268】
【表11】
【0269】
【表12】
【0270】
【表13】
【0271】
システイン置換された突然変異体の安定化は、Quikchange部位特異的変異誘発キット、並びにプライマーp378vfor及びp378vrevを使用して、安定化突然変異Ala378Valを導入することにより行われた。タンパク質生成、マレイミド−Alexafluor488とのカップリング、及び細胞結合アッセイを上記のように行った。
【0272】
【表14】
【0273】
【表15】
【0274】
実施例6:二重システイン突然変異体CX Asn325CysLeu328Cys
システイン残基は、CX N325C構築物を鋳型として使用し、プライマーDDS328及びDDS328Aを使用して突然変異体CX N325CL328Cを構築することにより、1つの分子の両方の標的化位置に導入された。CysP6安定化された変異体は、プライマーCXP271C1及びCXP271C2、並びにCXR292C1及びCXR292C2を使用して構築された。
【0275】
細胞結合抗原の結合は、親抗体と同等であった。C2ドメインのいくつかの修飾のため、突然変異体CX Asn325CysLeu328Cys CysP6は、バイオレイヤー干渉法を使用してFcRnへの結合について調べられた。その結合定数は、解離がpH5.8で行われた場合に野生型セツキシマブと同等であることが判明し(5.2×10−8対7.2×10−8nM)、そのpH依存性のFcRn結合が保持された。
【0276】
【表16】
【0277】
重鎖構築物を1:1の質量比でCX軽鎖構築物と混合し、標準プロトコールに従ってCHO−S細胞にトランスフェクトした。30mlのCHO−S細胞に1×10/mlの密度で37.5μgのDNA、37.5μlのMAX試薬をそれぞれ600μlのOpti−Pro培地で希釈した混合物をトランスフェクトした。37℃で7日間、5%CO2下、加湿雰囲気において培養後、上清を回収し、プロテインA精製を使用してタンパク質を単離した。簡単に言えば、プロテインA Hi−Trapカラムに結合させるために上清を0.1MのNa−リン酸で緩衝化し、0.1MグリシンでpHを3.5にシフトさせて溶出し、2MのTrisで直ちに中和した。PBSで大規模な透析を行った後、タンパク質を−80℃で保存した。
【0278】
マレイミド−Alexafluor488とのインキュベーションにより突然変異体を標識し、PBSに対して広範囲に透析して未反応の試薬を除去した。強力なEGFR陽性細胞MB−MDA468及びA431へのそれらの結合レベルは、FACS実験を使用したNHSカップリング化学を用いて、リジン残基全体でAlexafluor488とカップリングさせたセツキシマブと比較して推定された。細胞を回収し、2%BSA−PBSに1×10細胞/mlの密度で再懸濁した。染色は、100000細胞/ウェルで96ウェルプレートにおいて行われた。細胞を氷上で30分間遮断し、次に、氷上で30分間、10nMから開始する2%BSA−PBSで3倍希釈系列でAlexafluor488とカップリングさせた一次抗体とともにインキュベートした。分析前に、細胞を7−AADを1:100に希釈した200μlのPBSに再懸濁し、氷上に置いた。生細胞集団の平均蛍光強度を決定した。高い蛍光シグナルは、マレイミド誘導体化されたフルオロフォアとシステイン残基のカップリングが成功したことを示した。
【0279】
【表17】
【0280】
すべてのシステイン安定化された突然変異体、並びにCX Asn325CysLeu328Cys及びCX Asn325CysLeu328Cys CysP6は、毒素カップリングの適応性について試験された。MAL−Val−Cit−MMAEを1mg/mLでDMSOに溶解し、1抗体分子あたり8つの毒素のモル比で突然変異体とともにインキュベートした。大規模な透析後、天然の条件でSECにおけるタンパク質調製物のプロファイルを分析した。SECは、Superdex HiLoad 16/600 Superdex 200pgで、移動相としてPBS/0.2M NaClを使用して行われ、タンパク質サイズの指標としてBio−Rad分子量標準を使用した。分析された突然変異体には凝集体がないことが判明した。
【0281】
置換された突然変異体の疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)カラムの移動パターンを調べた。クロマトグラフィーは、25mMのTris、pH 7.5緩衝液中の1.5〜0Mの(NHSOの勾配を使用して、Proteomix Ethyl−NP5 4.6×100mm Sepaxカラムで行われた。突然変異体CX Asn325CysLeu328Cysは、カップリングしていないタンパク質よりも大幅に遅く溶出した。これは、カップリングしたタンパク質とカラムマトリックスとの相互作用の増加を示している。質量分析は、0、1、又は2つの毒素分子のいずれかとカップリングしたタンパク質種の混合を示している。図2及び3を参照されたい。
【0282】
さらに、CysP6安定化された、単一置換された突然変異体、並びに二重突然変異体CX Asn325CysLeu328Cys及びCX Asn325CysLeu328Cys CysP6は、WST−1増殖アッセイにおいて、MB−MDA468及びA431細胞株、並びに陰性細胞株としてのHEK293−6Eに対する細胞毒性について試験された。細胞は、10%FCS及びペニシリン/ストレプトマイシンを含む100μlのDMEM中で10000細胞/ウェルにて96ウェルプレートに播種され、5%CO下、加湿雰囲気で一晩付着させた。毒素コンジュゲート及び非コンジュゲートタンパク質は、10μg/mLから開始して5倍希釈系列で添加され、5日間インキュベートされた。すべての突然変異体は、標的細胞に対してある程度の特定の細胞毒性を示したが、CX Asn325CysLeu328Cysは最も強力であり、未処理の対照と比較して、EGFR陽性細胞株MB−MDA468の増殖を17.5%、及びA431の増殖を24.5%に減少させることができた。カップリングした毒素を含まないタンパク質調製物は細胞増殖に影響を及ぼさず、コンジュゲートしている化合物は、EGFR発現が低い対照細胞株HEK293−6Eに影響を及ぼさなかった。
【0283】
【表18】
【0284】
【表19】
【0285】
【表20】
【0286】
実施例7:IgG1/2 NQ突然変異体
単一突然変異Asn325Cys及びLeu328Cysは、エフェクター機能CX−IgG1/2NQ(配列番号58、配列番号59)のサイレンシングに最適化された抗体フォーマットの機能化のために、選択された安定化突然変異と組み合わせてプローブされた。さらに、変異体hu225M−IgG1/2NQ(以下の配列)を使用した。
【0287】
配列番号62:CX IgG1/2NQ重鎖のアミノ酸配列(最初の19アミノ酸、下線付きのリーダーペプチド)
MAVLGLLFCLVTFPSCVLSQVQLKQSGPGLVQPSQSLSITCTVSGFSLTNYGVHWVRQSPGKGLEWLGVIWSGGNTDYNTPFTSRLSINKDNSKSQVFFKMNSLQSNDTAIYYCARALTYYDYEFAYWGQGTLVTVSAASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSNFGTQTYTCNVDHKPSNTKVDKTVEPKSSDKTHTCPPCPAPPVAGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQAQSTFRVVSVLTVVHQDWLNGKEYKCAVSNKGLPAPIEKTISKTKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPMLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPG
配列番号63:CX IgG1/2NQ重鎖のヌクレオチド配列
ATGGCTGTCTTGGGGCTGCTCTTCTGCCTGGTGACATTCCCAAGCTGTGTCCTATCCCAGGTGCAGCTGAAGCAGTCAGGACCTGGCCTAGTGCAGCCCTCACAGAGCCTGTCCATCACCTGCACAGTCTCTGGTTTCTCATTAACTAACTATGGTGTACACTGGGTTCGCCAGTCTCCAGGAAAGGGTCTGGAGTGGCTGGGAGTGATATGGAGTGGTGGAAACACAGACTATAATACACCTTTCACATCCAGACTGAGCATCAACAAGGACAATTCCAAGAGCCAAGTTTTCTTTAAAATGAACAGTCTGCAATCTAATGACACAGCCATATATTACTGTGCCAGAGCCCTCACCTACTATGATTACGAGTTTGCTTACTGGGGCCAAGGGACTCTGGTCACTGTCTCTGCAGCTAGCACCAAGGGCCCATCGGTCTTCCCCCTGGCGCCCTGCTCCAGGAGCACCTCCGAGAGCACAGCGGCCCTGGGCTGCCTGGTCAAGGACTACTTCCCCGAACCGGTGACGGTGTCGTGGAACTCAGGCGCTCTGACCAGCGGCGTGCACACCTTCCCAGCTGTCCTACAGTCCTCAGGACTCTACTCCCTCAGCAGCGTGGTGACCGTGCCCTCCAGCAACTTCGGCACCCAGACCTACACCTGCAACGTAGATCACAAGCCCAGCAACACCAAGGTGGACAAGACAGTTGAGCCCAAATCTTCTGACAAAACTCACACATGCCCACCGTGCCCAGCACCACCTGTGGCAGGACCGTCAGTCTTCCTCTTCCCCCCAAAACCCAAGGACACCCTCATGATCTCCCGGACCCCTGAGGTCACGTGCGTGGTGGTGGACGTGAGCCACGAAGACCCCGAGGTCCAGTTCAACTGGTACGTGGACGGCGTGGAGGTGCATAATGCCAAGACAAAGCCACGGGAGGAGCAGGCCCAGAGCACGTTCCGTGTGGTCAGCGTCCTCACCGTTGTGCACCAGGACTGGCTGAACGGCAAGGAGTACAAGTGCGCTGTCTCCAACAAAGGCCTCCCAGCCCCCATCGAGAAAACCATCTCCAAAACCAAAGGGCAGCCCCGAGAACCACAGGTGTACACCCTGCCCCCATCACGGGAGGAGATGACCAAGAACCAGGTCAGCCTGACCTGCCTGGTCAAAGGCTTCTACCCCAGCGACATCGCCGTGGAGTGGGAGAGCAATGGGCAGCCGGAGAACAACTACAAGACCACACCTCCCATGCTGGACTCCGACGGCTCCTTCTTCCTCTACAGCAAGCTCACCGTGGACAAGAGCAGGTGGCAGCAGGGGAACGTCTTCTCATGCTCCGTGATGCATGAGGCTCTGCACAACCACTACACGCAGAAGAGCCTCTCCCTGTCCCCGGGT
配列番号64:hu225M−IgG1/2NQ重鎖のアミノ酸配列(最初の19アミノ酸、下線付きのリーダーペプチド)
MKLPVRLLVLMFWIPASLSEVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGFSLTNYGVHWMRQAPGQGLEWIGVIWSGGNTDYNTPFTSRVTITSDKSTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARALTYYDYEFAYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
配列番号65:hu225M−IgG1/2NQ重鎖のヌクレオチド配列
GAGGTCCAATTGGTGCAGTCTGGAGCTGAGGTGAAGAAGCCTGGAGCTTCAGTGAAGGTGTCCTGCAAAGCTTCTGGATTCTCATTAACTAACTATGGTGTACACTGGATGCGTCAGGCTCCTGGGCAGGGTCTCGAGTGGATTGGAGTGATATGGAGTGGTGGAAACACAGACTATAATACACCTTTCACATCCAGAGTCACAATCACTTCAGACAAATCCACCAGCACAGCCTACATGGAGCTCAGCAGCCTGAGGTCTGAGGACACTGCGGTCTATTACTGTGCAAGAGCCCTCACCTACTATGATTACGAGTTTGCTTACTGGGGTCAAGGCACCCTGGTCACAGTCTCCTCAGCCTCCACCAAGGGCCCATCGGTCTTCCCCCTGGCACCCTCCTCCAAGAGCACCTCTGGGGGCACAGCGGCCCTGGGCTGCCTGGTCAAGGACTACTTCCCCGAACCGGTGACGGTGTCGTGGAACTCAGGCGCCCTGACCAGCGGCGTGCACACCTTCCCGGCTGTCCTACAGTCCTCAGGACTCTACTCCCTCAGCAGCGTGGTGACCGTGCCCTCCAGCAGCTTGGGCACCCAGACCTACATCTGCAACGTGAATCACAAGCCCAGCAACACCAAGGTGGACAAGAAAGTTGAGCCCAAATCTTGTGACAAAACTCACACATGCCCACCGTGCCCAGCACCTGAACTCCTGGGGGGACCGTCAGTCTTCCTCTTCCCCCCAAAACCCAAGGACACCCTCATGATCTCTAGAACCCCTGAGGTCACATGCGTGGTGGTGGACGTGAGCCACGAAGACCCTGAGGTCAAGTTCAACTGGTACGTGGACGGCGTGGAGGTGCATAATGCCAAGACAAAGCCGCGGGAGGAGCAGTACAACAGCACGTACCGTGTGGTCAGCGTCCTCACCGTCCTGCACCAGGACTGGCTGAATGGCAAGGAGTACAAGTGCAAGGTCTCCAACAAAGCCCTCCCAGCCCCCATCGAGAAAACGATATCCAAAGCCAAAGGGCAGCCCCGAGAACCACAGGTGTACACCCTGCCCCCATCACGGGAGGAGATGACCAAGAACCAGGTCAGCCTGACCTGCCTGGTCAAAGGCTTCTATCCCAGCGACATCGCCGTGGAGTGGGAGAGCAATGGGCAGCCGGAGAACAACTACAAGACCACGCCTCCCGTGCTGGACTCCGACGGCTCCTTCTTCCTCTATAGCAAGCTCACCGTGGACAAGAGCAGGTGGCAGCAGGGGAACGTCTTCTCATGCTCCGTGATGCATGAGGCTCTGCACAACCACTACACGCAGAAGAGCCTCTCCCTGTCCCCGGGT
配列番号66:hu225M軽鎖のアミノ酸配列(最初の19アミノ酸、下線付きのリーダーペプチド)
MKLPVRLLVLMFWIPASLSDIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQSIGTNIHWYQQKPGKAPKLLIKYASESISGVPSRFSGSGYGTDFTLTISSLQPEDVATYYCQQNYNWPTTFGQGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
配列番号67:hu225M軽鎖のヌクレオチド配列
ATGAAGCTTCCTGTTAGGCTGTTGGTGCTGATGTTCTGGATCCCTGCTAGCTTAAGCGATATCCAGATGACCCAGTCTCCGAGCTCCCTGTCCGCATCTGTGGGAGACAGAGTCACCATCACTTGCAGGGCCAGTCAGAGTATTGGCACAAACATACACTGGTATCAGCAGAAGCCAGGGAAAGCTCCTAAGCTTCTTATTAAGTATGCTTCTGAGTCTATCTCTGGAGTCCCATCCCGATTCTCCGGAAGTGGCTATGGTACAGATTTTACTCTCACAATTAGCAGCCTGCAGCCTGAAGATGTTGCAACTTACTACTGTCAACAAAATTATAACTGGCCAACCACGTTTGGCCAAGGTACCAAGGTGGAAATAAAACGTACGGTGGCTGCACCATCTGTCTTCATCTTCCCGCCATCTGATGAGCAGTTGAAATCTGGAACTGCCTCTGTTGTGTGCCTGCTGAATAACTTCTATCCCAGAGAGGCCAAAGTACAGTGGAAGGTGGATAACGCCCTCCAATCGGGTAACTCCCAGGAGAGTGTCACAGAGCAGGACAGCAAGGACAGCACCTACAGCCTCAGCAGCACCCTGACGCTGAGCAAAGCAGACTACGAGAAACACAAAGTCTACGCCTGCGAAGTCACCCATCAGGGCCTGAGCTCGCCCGTCACAAAGAGCTTCAACAGGGGAGAGTGT
突然変異Asn325Cys及びLeu328Cysは、以下の表に列挙されたプライマーを用いてhu225M−IgG1/2NQに導入された。二重突然変異体hu225M−IgG1/2NQは、プライマーNQN3253CL28C及びNQN325CL328CAを用いて、Asn325Cys突然変異を含む構築物を変異誘発することによって構築された。
【0288】
【表21】
【0289】
各変異体は、1回はプライマーNQP1C及びNQP1CA、並びにNQR2C及びNQR2CAを使用して導入されたPro271Cys/Arg292Cys(CysP6)突然変異の組み合わせ、並びに1回はプライマーNQA378V及びNQA378VAを使用して導入されたAla378Val突然変異で安定化された突然変異体として発現された。この特定の安定化の動機は、構造的にC3ドメインのN末端ループに位置しており、FoldXアルゴリズムから推測され、C2ドメインのTmが3℃改善することが確認された。突然変異体は、MaxTiterプロトコールに従ってExpiCHO細胞において発現された。プロテインA精製後、hu225M変異体の収量は18.4〜57.7mg/Lであった。Ala378Valモチーフで安定化された突然変異体についてのみ、負の条件でのSECのホモ二量体の量が90%を超えた。Alexafluor488−マレイミドのラベリングは、単一システイン置換された突然変異体への効率的なカップリングをもたらし、EGFR陽性細胞株MB−MDA468への結合が観察され得た。
【0290】
【表22】
【0291】
実施例8:SEED突然変異体
突然変異Asn325Cys及びLeu328Cysは、二重特異性抗EGFR/抗c−MET抗体のC2ドメインに導入され、SEED技術を用いてヘテロ二量体化が達成される。この分子では、EGFR特異的抗体hu225MがGA鎖上の単一鎖フラグメントとして発現され、未修飾のc−MET特異的Fabフラグメントがヘテロ二量体FcのAG鎖と融合する。突然変異を導入するためにQuikchange変異誘発キットで使用されるプライマーAsn325Cys及びLeu328Cysを以下の表に列挙する。MaxTiterプロトコールに従い、ExpiCHO細胞においてタンパク質を発現させた。ExpiCHO細胞における発現収量は、プロテインA精製後の野生型では120mg/Lに達し、凝集した材料は、分取用SEC濾過の単一ステップで除去することができた。単一置換された突然変異体は、mal−val−cit−MMAEとカップリングされた。HIC分析により、Asn325Cys SEED突然変異体への毒素の効率的なカップリングが明らかになった。図4を参照されたい。
【0292】
配列番号80。225M scFv GA鎖のタンパク質配列(最初の19アミノ酸、下線付きのリーダーペプチド)
MKLPVRLLVLMFWIPASLSEVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGFSLTNYGVHWMRQAPGQGLEWIGVIWSGGNTDYNTPFTSRVTITSDKSTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARALTYYDYEFAYWGQGTLVTVSSGGGGSGGGGSGGGGSDIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQSIGTNIHWYQQKPGKAPKLLIKYASESISGVPSRFSGSGYGTDFTLTISSLQPEDVATYYCQQNYNWPTTFGQGTKVEIKSSGPGVEPKSSDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPPSEELALNELVTLTCLVKGFYPSDIAVEWLQGSQELPREKYLTWAPVLDSDGSFFLYSILRVAAEDWKKGDTFSCSVMHEALHNHYTQKSLDRSPGK
配列番号81。225 scFv GA重鎖のヌクレオチド配列
ATGAAGCTTCCTGTTAGGCTGTTGGTGCTGATGTTCTGGATCCCTGCTAGCTTAAGCGAGGTCCAATTGGTGCAGTCTGGAGCTGAGGTGAAGAAGCCTGGAGCTTCAGTGAAGGTGTCCTGCAAAGCTTCTGGATTCTCATTAACTAACTATGGTGTACACTGGATGCGTCAGGCTCCTGGGCAGGGTCTCGAGTGGATTGGAGTGATATGGAGTGGTGGAAACACAGACTATAATACACCTTTCACATCCAGAGTCACAATCACTTCAGACAAATCCACCAGCACAGCCTACATGGAGCTCAGCAGCCTGAGGTCTGAGGACACTGCGGTCTATTACTGTGCAAGAGCCCTCACCTACTATGATTACGAGTTTGCTTACTGGGGTCAAGGCACCCTGGTCACAGTCTCCTCGGGAGGTGGAGGTTCTGGAGGTGGCGGATCCGGAGGTGGCGGTTCTGATATCCAGATGACCCAGTCTCCGAGCTCCCTGTCCGCATCTGTGGGAGACAGAGTCACCATCACTTGCAGGGCCAGTCAGAGTATTGGCACAAACATACACTGGTATCAGCAGAAGCCAGGGAAAGCTCCTAAGCTTCTTATTAAGTATGCTTCTGAGTCTATCTCTGGAGTCCCATCCCGATTCTCCGGAAGTGGCTATGGTACAGATTTTACTCTCACAATTAGCAGCCTGCAGCCTGAAGATGTTGCAACTTACTACTGTCAACAAAATTATAACTGGCCAACCACGTTTGGCCAAGGTACCAAGGTGGAAATAAAATCTTCCGGTCCTGGAGTGGAGCCTAAATCTTCTGACAAAACTCACACGTGCCCACCGTGCCCAGCACCTGAACTCCTGGGGGGACCGTCAGTCTTCCTCTTCCCCCCAAAACCCAAGGACACCCTCATGATCTCTAGAACCCCTGAGGTCACATGCGTGGTGGTGGACGTGAGCCACGAAGACCCTGAGGTCAAGTTCAACTGGTACGTGGACGGCGTGGAGGTGCATAATGCCAAGACAAAGCCGCGGGAGGAGCAGTACAACAGCACGTACCGTGTGGTCAGCGTCCTCACCGTCCTGCACCAGGACTGGCTGAATGGCAAGGAGTACAAGTGCAAGGTCTCCAACAAAGCCCTCCCAGCCCCCATCGAGAAAACGATATCCAAAGCCAAAGGGCAGCCCCGAGAACCACAGGTGTACACCCTGCCCCCACCGTCGGAGGAGCTGGCCCTGAACGAGCTGGTGACGCTGACCTGCCTGGTCAAAGGCTTCTATCCCAGCGACATCGCCGTGGAGTGGCTGCAGGGGTCCCAGGAGCTGCCCCGCGAGAAGTACCTGACTTGGGCACCCGTGCTGGACTCCGACGGCTCCTTCTTCCTCTATAGTATACTGCGCGTGGCAGCCGAGGACTGGAAGAAGGGGGACACCTTCTCATGCTCCGTGATGCATGAGGCTCTGCACAACCACTACACGCAGAAGAGCCTCGACCGCTCCCCGGGTAAA
配列番号82.B10v5 AG重鎖のタンパク質配列(最初の20アミノ酸、下線付きのリーダーペプチド)
METDTLLLWVLLLWVPGSTGEVQLVQSGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYAMSWVRQAPGKGLEWVSAISGSGGSTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKDRRITHTYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKRVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPFRPEVHLLPPSREEMTKNQVSLTCLARGFYPKDIAVEWESNGQPENNYKTTPSRQEPSQGTTTFAVTSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKTISLSPGK
配列番号83.B10v5 AG重鎖のヌクレオチド配列
ATGGAGACCGACACCCTGCTGCTGTGGGTGCTGCTGCTGTGGGTGCCCGGGTCGACCGGCGAAGTGCAGCTGGTGCAGTCTGGGGGAGGCTTGGTACAGCCTGGGGGGTCCCTGAGACTCTCCTGTGCAGCCTCTGGATTCACCTTTAGCAGCTATGCCATGAGCTGGGTCCGCCAGGCTCCAGGGAAGGGGCTGGAGTGGGTCTCAGCTATTAGTGGTAGTGGTGGTAGCACATACTACGCAGACTCCGTGAAGGGCCGGTTCACCATCTCCAGAGACAATTCCAAGAACACGCTGTATCTGCAAATGAACAGCCTGAGAGCCGAGGACACGGCCGTATATTACTGTGCGAAAGATCGGCGTATTACCCACACCTACTGGGGCCAGGGAACCCTGGTCACCGTCTCCTCAGCTAGCACCAAGGGCCCATCGGTCTTCCCCCTGGCACCCTCCTCCAAGAGCACCTCTGGGGGCACAGCGGCCCTGGGCTGCCTGGTCAAGGACTACTTCCCCGAACCGGTGACGGTGTCGTGGAACTCAGGCGCCCTGACCAGCGGCGTGCACACCTTCCCGGCTGTCCTACAGTCCTCAGGACTCTACTCCCTCAGCAGCGTGGTGACCGTGCCCTCCAGCAGCTTGGGCACCCAGACCTACATCTGCAACGTGAATCACAAGCCCAGCAACACCAAGGTGGACAAGAGAGTTGAGCCCAAATCTTGTGACAAAACTCACACATGCCCACCGTGCCCAGCACCTGAACTCCTGGGGGGACCGTCAGTCTTCCTCTTCCCCCCAAAACCCAAGGACACCCTCATGATCTCCCGGACCCCTGAGGTCACATGCGTGGTGGTGGACGTGAGCCACGAAGACCCTGAGGTCAAGTTCAACTGGTACGTGGACGGCGTGGAGGTGCATAATGCCAAGACAAAGCCGCGGGAGGAGCAGTACAACAGCACGTACCGTGTGGTCAGCGTCCTCACCGTCCTGCACCAGGACTGGCTGAATGGCAAGGAGTACAAGTGCAAGGTCTCCAACAAAGCCCTCCCAGCCCCCATCGAGAAAACGATATCCAAAGCCAAAGGGCAGCCCTTCCGGCCAGAGGTCCACCTGCTGCCCCCATCACGGGAGGAGATGACCAAGAACCAGGTCAGCCTGACCTGCCTGGCACGCGGCTTCTATCCCAAGGACATCGCCGTGGAGTGGGAGAGCAATGGGCAGCCGGAGAACAACTACAAGACCACGCCTTCCCGGCAGGAGCCCAGCCAGGGCACCACCACCTTCGCTGTGACCTCGAAGCTCACCGTGGACAAGAGCAGATGGCAGCAGGGGAACGTCTTCTCATGCTCCGTGATGCATGAGGCTCTGCACAACCACTACACGCAGAAGACCATCTCCCTGTCCCCGGGTAAA
配列番号84.B10v5軽鎖のタンパク質配列(最初の20アミノ酸、下線付きのリーダーペプチド)
METDTLLLWVLLLWVPGSTGEPVLTQPPSVSVAPGETATIPCGGDSLGSKIVHWYQQRPGQAPLLVVYDDAARPSGIPERFSGSKSGTTATLTISSVEAGDEADYFCQVYDYHSDVEVFGGGTKLTVLGQPKAAPSVTLFPPSSEELQANKATLVCLISDFYPGAVTVAWKADSSPVKAGVETTTPSKQSNNKYAASSYLSLTPEQWKSHKSYSCQVTHEGSTVEKTVAPTECS
【0293】
【表23】
【0294】
【表24】
【0295】
実施例9:IgG形式の単一システイン置換された突然変異体(セツキシマブフレームワーク)
発現及び安定化戦略
2ドメインのFGループのアミノ酸残基をスクリーニングすることにより、2つの位置Asn325及びLeu328が発見され、これは、Fcフラグメントでは、マレイミド誘導体化された毒素又は代理レポーター分子にカップリングされ得るシステイン残基に変異誘発を可能にする。この方法で修飾されたFcフラグメントは、依然として十分に発現され、負の条件でSECに単量体プロファイルを示した。セツキシマブ(CX)抗体の類似した突然変異体を構築した。C2ドメインの不安定化を説明するために、安定化突然変異Thr250Val及び二重突然変異Pro271Cys/Arg292Cysが導入された。これは、本明細書ではCysP6と呼ばれるデノボシステイン結合の形成をもたらす。Thr250Valは、FoldXアルゴリズム(Schymkowitz J、Borg J、Stricher F、Nys R、Rousseau F、Serrano L.FoldXWebサーバー:オンラインのフォースフィールド.Nucleic Acids Res.2005年;33巻(Webサーバー特集号):W382〜388)に由来し、Tmを9℃シフトすることによりFcフラグメントのC2ドメインを安定させることが示されている。一方、CysP6は、DSDbaseアルゴリズム(Vinayagam A、Pugalenthi G、Rajesh R、Sowdhamini R.DSDBASE:タンパク質中の天然及びモデル化されたジスルフィド結合のコンソーシアム.Nucleic Acids Res.2004年;32巻(データベース特集号):D200〜202)に由来し、C2ドメインを9℃で安定させることが証明されている。単一システイン突然変異体と組み合わせた場合、突然変異Thr250Valは、Leu328Cysの場合では、さらなる特徴付けを妨げる程度まで、発現レベルに有害であることが証明された。他のすべての突然変異体は、HEK293−6E系において高レベルで発現され及び精製され得たが、しかしながら、システイン連結したカップリング、特に突然変異体Leu328Cysに対するそれらの適応性は低かった。次に、CHO細胞によって発現された突然変異体を評価した。すべてのLeu328Cys置換された変異体について、マレイミド−Alexafluor488コンジュゲート(下の段落で説明される)とのモデルカップリングは、CHOで発現させたタンパク質でより効率的であった。より深い特徴付けのために、プロテインA精製及びゲル濾過後に、約300mg/Lのタンパク質を送達するExpiCHO系で突然変異体を発現させた。
【0296】
Alexafluor 488とのモデルカップリング、細胞結合及び内在化アッセイ
最初に、セツキシマブの単一システイン置換された突然変異体をマレイミド誘導体化されたAlexafluor488とカップリングさせた。次に、Her1陽性細胞株MB−MDA468及びA431の表面へのそれらの結合は、蛍光標識した抗体の連続希釈液に細胞を曝露することによって調べられた。カップリングの相対レベルは、標識された細胞集団の蛍光強度に従って評価され、標的の抗原結合は、最大蛍光強度への蛍光読み取り値の正規化後に推定された。内在化実験は、細胞表面に結合したフルオロフォアの蛍光を抗Alexafluor488クエンチング抗体(Thermo−Fisher Scientific)でクエンチし、非クエンチ試料をクエンチ試料と比較することによって行われた(Austin CD、De Maziere AM、Pisacane PI、van Dijk SM、Eigenbrot C、Sliwkowski MXら、Endocytosis and sorting of ErbB2 and the site of action of cancer therapeutics trastuzumab and geldanamycin.Mol Biol Cell.2004年;15巻(12号):5268〜5282頁)。内在化の時間経過を監視し、リジン残基を介してAlexafluor488とカップリングさせたセツキシマブの内在化と同様であることが推定された(図5)。興味深いことに、内在化は、MB−MDA468細胞よりもA431において低い程度に進行した。
【0297】
システイン置換された突然変異体への毒素カップリング、質量分析及び細胞アッセイ
Alexafluor 488を用いた最初の試験後、抗体をMal−Val−Cit−MMAE(ベドチン)にコンジュゲートさせ、代表的なADCペイロードとのコンジュゲーション効率を評価した。コンジュゲーションに最適化されていないプロトコールを用いて、CX Asn325Cysでは1:0.74、CX Asn325Cys CysP6では1:1.5、CX Leu328Cysでは1:1.56、CX Leu328Cys CysP6では1:5の薬物対抗体比(DAR)を決定した。これらのADCは、インビトロ細胞アッセイを使用して、標的化細胞毒性について評価された。Her1陽性細胞株A431及びMDA−MB−468細胞を複数のウェルプレートに播種し、ADC及び対照分子の連続希釈液で処理した。3日間のインキュベーション後、相対的な細胞生存率は、CellTiter−Glo(登録商標)Luminescent Cell Viability Assay(Promega)を使用することにより評価された(図8)。すべてのCX−MMAEコンジュゲートは、対照抗体(非コンジュゲートCX抗体;MMAEコンジュゲート、HER1非結合アイソタイプ対照抗体DigxMMAE)と比較して低いタンパク質濃度での低い細胞生存率によって示される有意に増加した細胞毒性を示した。細胞毒性小分子MMAE(スペーサーなし)、タキソール及びドキソルビシンが追加の対照として機能した。
【0298】
システイン残基は、1つの分子の両方の標的位置に導入され、CysP6安定化された変異体もまた構築された。細胞結合抗原の結合は、親抗体と同等であった。C2ドメインのいくつかの修飾のため、突然変異体CX Asn325CysLeu328Cys CysP6は、バイオレイヤー干渉法を使用してFcRnへの結合について調べられた。その結合定数は、解離がpH5.8(5.2×10−8対7.2×10−8nM)で行われ、そのpH依存性のFcRn結合が保持された場合、野生型セツキシマブに匹敵することが判明した(図6)。
【0299】
実施例10:システインに突然変異した位置でのアミノ酸側鎖の表面露出の決定
GETAREAプログラム(Fraczkiewiczら、1998年、J.Comp.Chem.、19巻、319〜333頁;http://curie.utmb.edu/getarea.htmlからオンラインでアクセス可能)により、タンパク質の溶媒接触可能表面積又は溶媒和エネルギーを迅速に計算することができる。ヒトIgG1 Fcフラグメント1OQO.pdbの原子座標が、インプットとしてプログラムに供給された。1.4オングストロームのプローブ半径が適用された。プログラムのアウトプットを表24に示す。
【0300】
主鎖及び側鎖原子からの寄与は、それぞれ4列目及び5列目に列挙されている。次のカラムは、残基あたりの「ランダムコイル」値に対する側鎖表面積の比を列挙する。残基Xの「ランダムコイル」値は、30個のランダム立体配座の集合におけるトリペプチドGly−X−GlyにおけるXの平均溶媒接近可能表面積である。比率の値が50%を超える場合、残留物は溶媒に曝露されていると見なされ、比率が20%未満の場合は、最後の列でそれぞれ「o」と「i」とマークされて埋め込まれる。標準の遺伝暗号によってコードされた20個のアミノ酸の「ランダムコイル」値を表25に列挙する。
【0301】
表24に示される結果から、2つの残基Asn325及びLeu328が埋め込まれている(「イン」)ことが見てとれる。
驚くべきことに、CH2ドメインのFGループ内に埋め込まれているこのような残基がシステイン操作に適していることが判明した。先行技術では、薬物コンジュゲーションのためのFc部位指向性システイン操作に適した部位は、主に表面接触可能性に基づいて選択された。例えば、「残基接触可能性」に言及している国際公開第2017/112624A1号、及びシステイン残基への置換のために選択する部位を決定するために表面接触可能性についてすべてのFc位置を評価している国際公開第2014/124316A2号を参照されたい。注目すべきことに、国際公開第2014/124316A2号によれば、325及び328位(EUナンバリング)は、表面接触可能性が不十分であることが判明したため、したがって、システイン操作から除外された。
【0302】
【表25】
【0303】
【表26】
【0304】
実施例11:IgG形式の単一システイン置換された突然変異体(抗HER2フレームワーク)
単一アミノ酸置換Asn325Cys及びLeu328Cysは、トラスツズマブに由来するHER2結合抗体の配列(以下の配列)に導入された。DNA鎖をデノボ合成し、GeneArt(ThermoFisher、Regensburg)によって哺乳動物発現ベクターpTT5にクローニングした。重鎖構築物を軽鎖構築物と混合し、標準的なプロトコールに従ってExpi293細胞(ThermoFisher)にトランスフェクトした。培養及び発現後、抗体をプロテインAクロマトグラフィーで精製し、緩衝液をPBS、1mM EDTA、pH7.4に交換した。
【0305】
導入されたシステイン残基とともにジスルフィド結合を形成し、それにより効率的なコンジュゲーションを妨げる可能性があるチオール含有分子を除去するために、還元及び再酸化手順を適用した。したがって、抗体あたり40モル当量のTCEP(トリス(2−カルボキシエチル)−ホスフィン)とともに37℃で2時間インキュベートすることにより、抗体は完全に還元した。その後、緩衝液をPBS、1mM EDTA、pH7.4に交換し、還元された抗体を25℃で1.5時間、20モル当量のDHAA(デヒドロアスコルビン酸)を適用して再酸化した。25℃で2〜16時間、6モル当量のmal−val−cit−MMAEとともにインキュベーションすることによりコンジュゲーションを行い、その後、25モル当量のN−アセチルシステインでクエンチした。Superdex 200 10/300 GLカラム(GE Healthcare)を使用したサイズ排除クロマトグラフィーにより反応混合物を精製した。DAR値は、疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)及びESI−MSによって決定された。HICについて、緩衝液を0.5M硫酸アンモニウムに調整し、標準のHPLCシステムを使用して、40μgの処理済み抗体を事前に平衡化したMAbPac HIC−Butylカラム(ThermoFisher)に適用した。75%緩衝液A(2M硫酸アンモニウム、25mM Tris−HCl、pH7.5)/25%緩衝液B(25mM Tris−HCl、pH7.5)から0%A/80%B/20%イソプロパノールまでの直線勾配を使用して、20分かけて試料を溶出し、mAb/ADCシグナルを280nmのUV吸収を使用して監視した。
【0306】
HICクロマトグラム(図9)は、後の溶出時間での抗体ピークの明確なピークへの完全なシフトによって示される効率的であり、特異的なコンジュゲーションを示す。HICによれば、DAR値は2.0であるか又はわずかに高く、これは質量分析により確認された。
【0307】
記載されたシステイン位置を他の公知の位置と比較するために、軽鎖又は重鎖にシステイン突然変異がある7つのさらなるHER2結合抗体、すなわち重鎖位置D265C、S239C、S400C、K290C、S442C及び軽鎖位置V205C、K183C(位置すべてEUナンバリングに従う)は、同じHER2結合するトラスツズマブ様抗体に導入された。先の抗HER2抗体について記載したように抗体をコンジュゲートし、HICにより分析した。その後、DAR 2種のHIC保持時間(HIC RRT)をそれぞれの非コンジュゲート抗体の保持時間で割ることによって、ADCの相対HIC保持時間を決定した(表26)。HIC RRTはADCの疎水性の指標であり、毒素の付着に使用される位置に大きく依存する。低RRTは、良好なインビトロ特性の指標となり得る。位置N325C及びL328CにコンジュゲートしているADCは、他の評価された変異体と比較して、より低い範囲のRRTを示す。
【0308】
配列番号89:aHER2軽鎖のタンパク質配列(最初の20アミノ酸、下線付きのリーダーペプチド)
METDTLLLWVLLLWVPGSTGDIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQDVNTAVAWYQQKPGKAPKLLIYSASFLYSGVPSRFSGSRSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQHYTTPPTFGQGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
配列番号90:aHER2重鎖 N325Cのタンパク質配列(最初の19アミノ酸、下線付きのリーダーペプチド)
MKLPVRLLVLMFWIPASLSEVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFNIKDTYIHWVRQAPGKGLEWVARIYPTNGYTRYADSVKGRFTISADTSKNTAYLQMNSLRAEDTAVYYCSRWGGDGFYAMDYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSCKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
配列番号91:aHER2重鎖 L328Cのタンパク質配列(最初の19アミノ酸、下線付きのリーダーペプチド)
MKLPVRLLVLMFWIPASLSEVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFNIKDTYIHWVRQAPGKGLEWVARIYPTNGYTRYADSVKGRFTISADTSKNTAYLQMNSLRAEDTAVYYCSRWGGDGFYAMDYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKACPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
【0309】
【表27】
【0310】
本明細書に記載される一部の実施形態は、以下に関する:
1.特定の抗原結合部分と、108及び/又は113位でのシステイン置換について操作された、CH2ドメインを含む抗体Fc領域とを含む、特定の抗原結合メンバー(ABM)であって、ナンバリングはIMGTに従う、特定の抗原結合メンバー。
【0311】
2.a)抗原結合部分が上記抗体CH2ドメインのN末端に融合しており;及び/又は
b)抗原結合部分が、CH3ドメインに及び/又はFc領域に含まれる、
実施形態1に記載のABM。
【0312】
3.CH2ドメインが、N108C及び/又はL113Cである1つ又は2つのシステイン置換を含み、ナンバリングがIMGTに従う、実施形態1又は2に記載のABM。
4.抗原結合部分が、抗体の抗原結合部分、Fcab、酵素、接着タンパク質、リガンド又は受容体のリガンド結合部分を含む、実施形態1〜3のいずれか一つに記載のABM。
【0313】
5.抗原結合部分が、Fab、F(ab’)、scFv、Fd、Fv、抗原結合CH3、Fcab、及びCDR又は非CDR(若しくは構造的)ループの少なくとも1つの抗体結合部位を含む1つ又は複数の抗体ドメインからなる群から選択される、実施形態1〜4のいずれか一つに記載のABM。
【0314】
6.抗原結合部分が、リンカー及び/又はヒンジ領域を介してCH2ドメインのN末端に融合している、実施形態1〜5のいずれか一つに記載のABM。
7.CH2ドメインのC末端がCH3ドメインのN末端に融合しており、好ましくは、Fc領域が、抗体重鎖の二量体からなる抗体Fcである、実施形態1〜6のいずれか一つに記載のABM。
【0315】
8.Fc領域が、IgG、IgA、IgM、又はIgEアイソタイプのもの、好ましくはヒト抗体のものである、実施形態1〜7のいずれか一つに記載のABM。
9.モノクローナル抗体、二重特異性抗体、多重特異性抗体、抗体の抗原結合部分、Fcab分子、及びFcabを含む抗体からなる群から選択される抗体である、実施形態1〜8のいずれか一つに記載のABM。
【0316】
10.標的細胞の表面上に発現された標的抗原を特異的に認識する、実施形態1〜9のいずれか一つに記載のABM。
11.実施形態1〜10のいずれか一つに記載のABMと、CH2ドメインの108及び113位のシステインの一方又は両方に共有結合によりコンジュゲートしている少なくとも1つの異種分子を含み、ナンバリングがIMGTに従う、ABMコンジュゲート(ABMC)。
【0317】
12.異種分子が、好ましくは、医薬品原薬、毒素、放射性核種、免疫調節剤、サイトカイン、リンホカイン、ケモカイン、増殖因子、腫瘍壊死因子、ホルモン、ホルモンアンタゴニスト、酵素、オリゴヌクレオチド、DNA、RNA、siRNA、RNAi、マイクロRNA、ペプチド核酸、光活性治療剤、抗血管新生剤、アポトーシス促進剤、ペプチド、脂質、炭水化物、蛍光タグ、可視化ペプチド、ビオチン、血清半減期調節剤、捕捉タグ、キレート剤、及び固体支持体からなる群から選択される、疾患の診断、治癒、緩和、治療、又は予防に適切に使用される物質である、実施形態11に記載のABMC。
【0318】
13.異種分子が、コンジュゲーションリンカーを介してCH2ドメインの108及び113位のシステインの一方又は両方にコンジュゲートしており、ナンバリングがIMGTに従う、実施形態11又は12に記載のABMC。
【0319】
14.コンジュゲーションリンカーがマレイミド基を含む、実施形態13に記載のABMC。
15.実施形態1〜10のいずれか一つに記載のABMをコードする1つ又は複数の核酸分子を含む発現系。
【0320】
16.実施形態15に記載の発現系を含む宿主細胞。
17.実施形態1〜10のいずれか一つに記載のABMを調製する方法であって、実施形態16に記載の宿主細胞が、上記ABMを生成する条件下で培養されるか又は維持される、方法。
【0321】
18.非経口製剤中に実施形態1〜10のいずれかに記載のABM、又は実施形態11〜14のいずれか一つに記載のABMC、及び薬学的に許容される担体又は賦形剤を含む医薬製剤。
【0322】
19.実施形態11〜14のいずれか一つに記載のABMCを生成する方法であって、
a)実施形態1〜10のいずれか一つに記載のABMを用意するステップ;及び
b)部位特異的コンジュゲーション法により、CH2ドメインの108及び113位のシステインの一方又は両方の少なくとも1つのチオール基を異種分子と反応させるステップ
を含む方法。
【0323】
20.上記少なくとも1つのチオール基が、マレイミド基を含むコンジュゲーションリンカーを使用して、マイケル反応によって上記異種分子と反応する、実施形態19に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5-1】
【図5-2】
【図5-3】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【配列表】
2021500873000001.app
【国際調査報告】