(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】2021501134
(43)【公表日】20210114
(54)【発明の名称】発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)および非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)の処置のための抗C5抗体の投薬量および投与
(51)【国際特許分類】
   A61K 39/395 20060101AFI20201211BHJP
   A61P 13/00 20060101ALI20201211BHJP
   A61P 29/02 20060101ALI20201211BHJP
   A61P 25/04 20060101ALI20201211BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20201211BHJP
   A61P 15/10 20060101ALI20201211BHJP
   A61P 9/12 20060101ALI20201211BHJP
   A61P 3/02 20060101ALI20201211BHJP
   A61P 7/04 20060101ALI20201211BHJP
   A61P 7/06 20060101ALI20201211BHJP
   A61P 13/12 20060101ALI20201211BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20201211BHJP
   C07K 16/18 20060101ALI20201211BHJP
   C12N 15/13 20060101ALN20201211BHJP
   C12N 15/115 20100101ALN20201211BHJP
   C12N 15/113 20100101ALN20201211BHJP
【FI】
   !A61K39/395 D
   !A61P13/00
   !A61P29/02
   !A61P25/04
   !A61P11/00
   !A61P15/10
   !A61P9/12
   !A61P3/02
   !A61P7/04
   !A61P7/06
   !A61P13/12
   !A61K45/00
   !A61K39/395 M
   !A61K39/395 N
   !C07K16/18ZNA
   !C12N15/13
   !C12N15/115 Z
   !C12N15/113 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】161
(21)【出願番号】2020521452
(86)(22)【出願日】20181026
(85)【翻訳文提出日】20200612
(86)【国際出願番号】US2018057760
(87)【国際公開番号】WO2019084438
(87)【国際公開日】20190502
(31)【優先権主張番号】62/643,608
(32)【優先日】20180315
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/662,503
(32)【優先日】20180425
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/577,244
(32)【優先日】20171026
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/685,425
(32)【優先日】20180615
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/685,505
(32)【優先日】20180615
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/643,056
(32)【優先日】20180314
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】503102674
【氏名又は名称】アレクシオン ファーマシューティカルズ, インコーポレイテッド
【住所又は居所】アメリカ合衆国 マサチューセッツ 02210, ボストン, シーポート ブールバード 121
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】シャフナー, ロリ
【住所又は居所】アメリカ合衆国 コネチカット 06443, マディソン, ウィックフォード プレイス 45
(72)【発明者】
【氏名】ロッティングハウス, スコット ティー.
【住所又は居所】アメリカ合衆国 コネチカット 06420, セーレム, エメラルド グレン レーン 45
(72)【発明者】
【氏名】プラダーン, ラジェンドラ
【住所又は居所】アメリカ合衆国 コネチカット 06510, ニュー ヘブン, カレッジ ストリート 254, アパートメント 4ビー
(72)【発明者】
【氏名】ダモコシュ, アンドリュー
【住所又は居所】アメリカ合衆国 コネチカット 06107, ウエスト ハートフォード, ウォーターサイド レーン 115
(72)【発明者】
【氏名】ガオ, シャン
【住所又は居所】アメリカ合衆国 コネチカット 06437, ギルフォード, フランクリンズ ウェイ 7
【テーマコード(参考)】
4C084
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4C084AA17
4C084NA14
4C084ZA29
4C084ZA42
4C084ZA55
4C084ZA81
4C084ZC21
4C085AA13
4C085AA14
4C085CC22
4C085DD61
4C085GG01
4H045AA11
4H045AA30
4H045BA10
4H045DA76
4H045EA20
4H045FA74
(57)【要約】
抗C5抗体またはその抗原結合性断片を使用した発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)および非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)の臨床処置のための方法が提供される。ヒト患者においてPNHまたはaHUSを処置するための組成物および方法であって、患者に、抗C5抗体またはその抗原結合性断片を投与するステップを含み、抗C5抗体またはその抗原結合性断片が、特定の臨床的投薬量レジメンに従って(すなわち、特定の用量で、具体的な投薬スケジュールに従って)投与される(または投与のためのものである)、組成物および方法が、本明細書で提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)または非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)を有するヒト患者を処置する方法であって、投与サイクルの間に、前記患者に、有効量の、それぞれ配列番号19、18および3に示されるCDR1、CDR2およびCDR3重鎖配列ならびにそれぞれ配列番号4、5および6に示されるCDR1、CDR2およびCDR3軽鎖配列を含む抗C5抗体またはその抗原結合性断片を投与するステップを含み、前記抗C5抗体またはその抗原結合性断片が、
(a)前記投与サイクルの1日目に1回、≧40kg〜<60kgの体重の患者に対して2400mg、≧60kg〜<100kgの体重の患者に対して2700mg、または≧100kgの体重の患者に対して3000mgの用量で;そして
(b)前記投与サイクルの15日目、およびその後8週間毎に、≧40kg〜<60kgの体重の患者に対して3000mg、≧60kg〜<100kgの体重の患者に対して3300mg、または≧100kgの体重の患者に対して3600mgの用量で
投与される、方法。
【請求項2】
発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)または非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)を有するヒト患者を処置する方法であって、投与サイクルの間に、前記患者に、有効量の、それぞれ配列番号19、18および3に示されるCDR1、CDR2およびCDR3重鎖配列、それぞれ配列番号4、5および6に示されるCDR1、CDR2およびCDR3軽鎖配列、ならびにヒト新生児型Fc受容体(FcRn)に結合するバリアントヒトFc定常領域を含む抗C5抗体またはその抗原結合性断片を投与するステップを含み、前記バリアントヒトFc CH3定常領域が、各々EU番号付けで、ネイティブヒトIgG Fc定常領域のメチオニン428およびアスパラギン434に対応する残基においてMet−429−LeuおよびAsn−435−Ser置換を含み、前記抗C5抗体またはその抗原結合性断片が、
(a)前記投与サイクルの1日目に1回、≧40kg〜<60kgの体重の患者に対して2400mg、≧60kg〜<100kgの体重の患者に対して2700mg、または≧100kgの体重の患者に対して3000mgの用量で;そして
(b)前記投与サイクルの15日目、およびその後8週間毎に、≧40kg〜<60kgの体重の患者に対して3000mg、≧60kg〜<100kgの体重の患者に対して3300mg、または≧100kgの体重の患者に対して3600mgの用量で
投与される、方法。
【請求項3】
前記患者が、エクリズマブで以前に処置されたことがある、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記投与サイクルが、前記患者の最後の用量のエクリズマブの少なくとも2週間後に開始する、前記請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記患者が、前記投与サイクルの1日目の前に少なくとも6ヶ月間エクリズマブで処置されたことがある、前記請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記患者が、2週間毎に900mgの用量のエクリズマブで以前に処置されたことがある、前記請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記抗C5抗体またはその抗原結合性断片が、配列番号12に示される重鎖可変領域および配列番号8に示される軽鎖可変領域を含む、前記請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記抗C5抗体またはその抗原結合性断片が、配列番号13に示される重鎖定常領域をさらに含む、前記請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記抗体またはその抗原結合性断片が、配列番号14に示されるアミノ酸配列を含む重鎖ポリペプチドおよび配列番号11に示されるアミノ酸配列を含む軽鎖ポリペプチドを含む、前記請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記抗C5抗体またはその抗原結合性断片が、pH7.4および25℃で、0.1nM≦K≦1nMの範囲にある親和性解離定数(K)でヒトC5に結合する、前記請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記抗C5抗体またはその抗原結合性断片が、pH6.0および25℃で、K≧10nMでヒトC5に結合する、前記請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記抗C5抗体またはその抗原結合性断片が、≧40kg〜<60kgの体重の患者に、
(a)前記投与サイクルの1日目に1回、2400mgの用量で;そして
(b)前記投与サイクルの15日目、およびその後8週間毎に、3000mgの用量で
投与される、前記請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記抗C5抗体またはその抗原結合性断片が、≧60kg〜<100kgの体重の患者に、
(a)前記投与サイクルの1日目に1回、2700mgの用量で;そして
(b)前記投与サイクルの15日目、およびその後8週間毎に、3300mgの用量で
投与される、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記抗C5抗体またはその抗原結合性断片が、≧100kgの体重の患者に、
(a)前記投与サイクルの1日目に1回、3000mgの用量で;そして
(b)前記投与サイクルの15日目、およびその後8週間毎に、3600mgの用量で
投与される、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記処置が、前記投与サイクルの間、100μg/mlまたはそれよりも高い前記抗C5抗体またはその抗原結合性断片の血清トラフ濃度を維持する、前記請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記処置が、前記投与サイクルの間、200μg/mlまたはそれよりも高い前記抗C5抗体またはその抗原結合性断片の血清トラフ濃度を維持する、前記請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記処置が、0.309μg/mL〜0.5μg/mLまたはそれ未満の遊離C5濃度を維持する、前記請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記処置が、処置期間全体を通して、遊離C5濃度を99%よりも大きく低減させる、前記請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記処置が、処置期間全体を通して、遊離C5濃度を99.5%よりも大きく低減させる、前記請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記抗C5抗体またはその抗原結合性断片が、前記投与サイクルの後に、最長2年間、8週間毎に3000mg、3300mgまたは3600mgの用量で投与される、前記請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記抗C5抗体またはその抗原結合性断片が、静脈内投与のために製剤化される、前記請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記投与サイクルが、合計で26週間の処置である、前記請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記処置が、終末補体阻害を結果としてもたらす、前記請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記処置が、乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)レベルによって評価される溶血の低減を結果としてもたらす、前記請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記処置が、LDHレベルの正常化を結果としてもたらす、前記請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記処置が、処置の少なくとも24日目までに、LDHレベルの正常化を結果としてもたらす、前記請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記処置が、エクリズマブによる処置と比較して、15%未満の、LDHレベルにおけるパーセント変化(LDH−PCHG)を結果としてもたらす、前記請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記処置が、エクリズマブによる処置と比べて、ブレイクスルー溶血における低減を結果としてもたらす、前記請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記処置が、処置期間の間に、ブレイクスルー溶血の消失を結果としてもたらす、前記請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記処置が、ブレイクスルー溶血の処置前ベースライン量と比較して、ブレイクスルー溶血の低減を結果としてもたらす、前記請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記処置が、腹部疼痛、呼吸困難、嚥下障害、胸部疼痛、勃起機能不全における低減または停止からなる群より選択される少なくとも1つの治療効果を生じる、前記請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記処置が、遊離ヘモグロビン、ハプトグロビン、網状赤血球数、PNH赤血球(RBC)クローンおよびD−ダイマーからなる群より選択される溶血関連の血液学的バイオマーカーの正常レベルに向かうシフトを生じる、前記請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記処置が、重症高血圧症、タンパク尿症、尿毒症、嗜眠、疲労、易刺激性、血小板減少症、細血管異常性溶血性貧血および腎機能障害における低減または停止からなる群より選択される少なくとも1つの治療効果を生じる、前記請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記処置が、Ba因子、可溶性腫瘍壊死因子受容体1[sTNFR1])、可溶性血管接着分子1[sVCAM1]、トロンボモジュリン、D−ダイマーおよびシスタチンCの正常レベルに向かうシフトを生じる、前記請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記処置が、ヘモグロビン安定化における処置前ベースラインからの増加を生じる、前記請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記処置が、輸血の必要性における低減を生じる、前記請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記処置が、輸血回避における70%よりも大きい増加を生じる、前記請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記処置が、主要な血管系有害事象(MAVE)における低減を生じる、前記請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記処置が、推定糸球体濾過量(eGFR)およびスポット尿:アルブミン:クレアチニンおよび血漿脳ナトリウム利尿ペプチド(BNP)からなる群より選択される慢性疾患関連バイオマーカーの正常レベルに向かうシフトを生じる、前記請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記処置が、慢性疾患治療の機能的評価(FACIT)−疲労スケール、バージョン4および欧州がん研究治療機関の生活の質アンケート−コア30スケールを介して評価される、生活の質におけるベースラインからの変化を生じる、前記請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
前記処置が、前記患者の未処置のベースラインスコアから少なくとも7ポイントの、慢性疾患治療の機能的評価(FACIT)−疲労スケール、バージョン4および欧州がん研究治療機関の生活の質アンケート−コア30スケールを介して評価される、生活の質におけるベースラインからの変化を生じる、前記請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
ヒト患者においてPNHまたはaHUSを処置するためのキットであって、
(a)ある用量の、配列番号12に示される配列を有する重鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインならびに配列番号8に示される配列を有する軽鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含む抗C5抗体またはその抗原結合性断片;ならびに
(b)前記請求項のいずれか一項に記載の方法において前記抗C5抗体またはその抗原結合性断片を使用するための指示
を含む、キット。
【請求項43】
前記患者が、エクリズマブで以前に処置されたことがある、請求項42に記載のキット。
【請求項44】
前記患者が、2週間毎に900mgの用量のエクリズマブで以前に処置されたことがある、請求項43に記載のキット。
【請求項45】
前記抗C5抗体またはその抗原結合性断片が、≧40kg〜<60kgの体重の患者に、
(a)投与サイクルの1日目に1回、2400mgの用量で;そして
(b)前記投与の15日目に
投与される、請求項42から44のいずれか一項に記載のキット。
【請求項46】
前記抗C5抗体またはその抗原結合性断片が、≧60kg〜<100kgの体重の患者に、
(a)投与サイクルの1日目に1回、2700mgの用量で;そして
(b)前記投与サイクルの15日目、およびその後8週間毎に、3300mgの用量で
投与される、請求項42から44のいずれか一項に記載のキット。
【請求項47】
前記抗C5抗体またはその抗原結合性断片が、≧100kgの体重の患者に、
(a)投与サイクルの1日目に1回、3000mgの用量で;そして
(b)前記投与サイクルの15日目、およびその後8週間毎に、3600mgの用量で
投与される、請求項42から44のいずれか一項に記載のキット。
【請求項48】
サイクルでの投与のための、配列番号12に示される配列を有する重鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインならびに配列番号8に示される配列を有する軽鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含む抗C5抗体またはその抗原結合性断片であって、
(a)前記投与サイクルの1日目に1回、≧40kg〜<60kgの体重の患者に対して2400mg、≧60kg〜<100kgの体重の患者に対して2700mg、または≧100kgの体重の患者に対して3000mgの用量で;そして
(b)前記投与サイクルの15日目、およびその後8週間毎に、≧40kg〜<60kgの体重の患者に対して3000mg、≧60kg〜<100kgの体重の患者に対して3300mg、または≧100kgの体重の患者に対して3600mgの用量で
投与される、抗C5抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項49】
前記患者が、エクリズマブで以前に処置されたことがある、請求項48に記載の抗C5抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項50】
PNH患者における使用のための複数のIV用量の後に、安全で耐容され有効でありかつ十分に非免疫原性であることが決定される、請求項48または49に記載の抗体。
【請求項51】
エクリズマブで処置されている補体関連障害を有するヒト患者を処置する方法であって、エクリズマブによる処置を中止するステップ、および前記患者を、異なる補体阻害剤による処置に切り替えるステップを含む、方法。
【請求項52】
ラブリズマブで処置されている補体関連障害を有するヒト患者を処置する方法であって、ラブリズマブによる処置を中止するステップ、および前記患者を、異なる補体阻害剤による処置に切り替えるステップを含む、方法。
【請求項53】
エクリズマブで処置されている補体関連障害を有するヒト患者を処置する方法であって、エクリズマブによる処置を中止するステップ、および前記患者を、異なる抗C5抗体による処置に切り替えるステップを含む、方法。
【請求項54】
ラブリズマブで処置されている補体関連障害を有するヒト患者を処置する方法であって、ラブリズマブによる処置を中止するステップ、および前記患者を、異なる抗C5抗体による処置に切り替えるステップを含む、方法。
【請求項55】
前記異なる補体阻害剤が、小分子、ポリペプチド、ポリペプチドアナログ、ペプチド模倣物、siRNAまたはアプタマーからなる群より選択される、請求項51または52に記載の方法。
【請求項56】
前記異なる補体阻害剤が、補体成分C1、C2、C3、C4、C5、C6、C7、C8、C9、D因子、B因子、プロペルジン、MBL、MASP−1、MASP−2、またはそれらの生物学的に活性な断片の1つまたは複数を阻害する、請求項51または52に記載の方法。
【請求項57】
前記異なる抗C5抗体がALXN1210である、請求項53に記載の方法。
【請求項58】
前記異なる抗C5抗体が、
(i)それぞれ配列番号21、22および23を含む重鎖CDR1、CDR2およびCDR3ドメインならびにそれぞれ配列番号24、25および26を含む軽鎖CDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含む抗体またはその抗原結合性断片;
(ii)配列番号27を含む重鎖可変領域および配列番号28を含む軽鎖可変領域を含む抗体またはその抗原結合性断片;
(iii)それぞれ配列番号29、30および31を含む重鎖CDR1、CDR2およびCDR3ドメインならびにそれぞれ配列番号32、33および34を含む軽鎖CDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含む抗体またはその抗原結合性断片;
(iv)配列番号35を含む重鎖可変領域および配列番号36を含む軽鎖可変領域を含む抗体またはその抗原結合性断片;
(v)それぞれ配列番号37、38および39を含む重鎖CDR1、CDR2およびCDR3ドメインならびにそれぞれ配列番号40、41および42を含む軽鎖CDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含む抗体またはその抗原結合性断片;
(vi)配列番号43を含む重鎖可変領域および配列番号44を含む軽鎖可変領域を含む抗体またはその抗原結合性断片;
(vii)配列番号45を含む重鎖および配列番号46を含む軽鎖を含む抗体またはその抗原結合性断片;
(viii)配列番号47を含む重鎖可変領域および配列番号48を含む軽鎖可変領域を含む抗体またはその抗原結合性断片;ならびに
(ix)配列番号49を含む重鎖および配列番号50を含む軽鎖を含む抗体またはその抗原結合性断片
からなる群より選択される、請求項53または54に記載の方法。
【請求項59】
前記補体関連障害が、発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)である、請求項51から58のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願に対する相互参照
本出願は、2018年6月15日出願の米国仮特許出願第62/685,505号、2018年6月15日出願の米国仮特許出願第62/685,425号、2018年4月25日出願の米国仮特許出願第62/662,503号、2018年3月15日出願の米国仮特許出願第62/643,608号、2018年3月14日出願の米国仮特許出願第62/643,056号および2017年10月26日出願の米国仮特許出願第62/577,244号に対する優先権およびその利益を主張する。上述の出願の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
配列表
本出願は、ASCIIフォーマットで電子的に提出された、その全体が参照により本明細書に組み込まれる配列表を含有する。前記ASCIIコピーは、2018年10月25日に作成され、名称はAXJ−224PC_SL.txtであり、サイズは59,066バイトである。
【背景技術】
【0003】
補体系は、細胞およびウイルス病原体の侵入に対して防御するために、身体の他の免疫学的系と協同して作用する。血漿タンパク質および膜補因子の複雑な収集物として見出される、少なくとも25種の補体タンパク質が存在する。血漿タンパク質は、脊椎動物血清中のグロブリンの約10%を構成している。補体成分は、一連の複雑であるが正確な酵素的切断および膜結合事象において相互作用することによって、それらの免疫防御機能を達成する。結果として生じた補体カスケードは、オプソニン、免疫調節および溶解の機能を有する生成物の産生をもたらす。補体活性化と関連する生物活性の簡潔な要約は、例えば、The Merck Manual, 16th Edition中に提供されている。
【0004】
適切に機能している補体系は、感染性微生物に対するロバストな防御を提供するが、補体経路の不適切な調節または活性化は、発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)および非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)を含む種々の障害の病因に関与している。PNHおよびaHUSは共に、慢性の制御されない補体活性化によって駆動される極めて希少な障害である。結果として生じた炎症および細胞損傷は、これらの疾患の壊滅的な臨床的症状発現をもたらす。
【0005】
PNHは、制御されない補体活性が、血管内溶血および血小板活性化を主に介して全身合併症をもたらす状態である(Socie G, et al., French Society of Haematology. Lancet. 1996;348(9027):573-577およびBrodsky, R., Blood. 2014;124(18):2804-2811を参照のこと)。持続性の血管内溶血は、種々のストレッサー、例えば、感染または肉体労作によって誘発され得、これが、平滑筋収縮(遊離ヘモグロビン)、慢性貧血、および重症血栓塞栓症のリスクの増加をもたらす。血栓塞栓症は、PNHを有する患者における死亡の最も一般的な原因であり、肺高血圧症、ならびに肝臓、腎臓、脳および腸などの重要臓器の終末臓器損傷は、かかる事象の続発症である(Hillmen, P., et al, Am. J. Hematol. 2010;85(8):553-559)。これらの有害な病的プロセスに起因して、PNHを有する患者は、減少した生活の質(QoL)を有し、これには、衰弱性の疲労、慢性疼痛、不良な身体機能、息切れ、腹部疼痛、勃起機能不全、抗凝固の必要性、輸血、および一部の例では、透析の必要性が含まれ得る(Weitz, IC., et al., Thromb Res. 2012;130(3):361-368)。
【0006】
溶血性尿毒症症候群(HUS)は、血小板減少症、細血管異常性溶血性貧血および急性腎不全によって特徴付けられる。HUSは、以下の2つの型の1つとして分類される:下痢関連(D+HUS;志賀毒素産生性E.coli(STEC)−HUSまたは典型HUSとも呼ばれる)および非下痢または非典型HUS(aHUS)。D+HUSは、症例の90%よりも多くを占める最も一般的な形態であり、志賀様毒素産生性細菌、例えば、E.coli O157:H7による先行する疾病によって引き起こされる。
【0007】
aHUSは、遺伝性、後天性または特発性であり得る。aHUSの遺伝性の形態は、例えば、補体H因子(CFH)、膜補因子タンパク質(MCP)、補体I因子(CFI)、C4b結合タンパク質(C4BP)、補体B因子(CFB)および補体成分3(C3)を含むいくつかのヒト補体成分における変異と関連し得る。例えば、Caprioli et al. (2006) Blood 108:1267-1279を参照のこと。CD55をコードする遺伝子中のある特定の変異は、aHUSとは未だ関連付けられていないものの、aHUSの重症度と関連する。例えば、Esparza-Gordillo et al. (2005) Hum Mol Genet 14:703-712を参照のこと。
【0008】
aHUSは稀であり、最大で25%の死亡率を有する。この疾患を有する多くの患者は、永久的な神経学的または腎障害を維持し、例えば、aHUS患者の少なくとも50%は、末期腎不全(ESRF)に進行する。例えば、Kavanagh et al. (2006) British Medical Bulletin 77 and 78:5-22を参照のこと。最近まで、aHUSを有する患者にとっての処置選択肢は限定的であり、血漿注入または血漿交換をしばしば含んだ。一部の症例では、aHUS患者は、片側性または両側性の腎摘出術または腎移植を受ける(Artz et al. (2003) Transplantation 76:821-826を参照のこと)。しかし、処置された患者における疾患の再発は、一般的である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Caprioliら、Blood(2006)108:1267〜1279
【非特許文献2】Esparza-Gordilloら、Hum Mol Genet(2005)14:703〜712
【非特許文献3】Kavanaghら、British Medical Bulletin(2006)77および78:5〜22
【非特許文献4】Artzら、Transplantation(2003)76:821〜826
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
PNHまたはaHUSを有する患者は、実質的な病的状態および死亡のリスクがある。従って、本発明の目的は、PNHまたはaHUSを有する患者を処置するための改善された方法を提供することである。
【0011】
ヒト患者においてPNHまたはaHUSを処置するための組成物および方法であって、患者に、抗C5抗体またはその抗原結合性断片を投与するステップを含み、抗C5抗体またはその抗原結合性断片が、特定の臨床的投薬量レジメンに従って(すなわち、特定の用量で、具体的な投薬スケジュールに従って)投与される(または投与のためのものである)、組成物および方法が、本明細書で提供される。
【0012】
任意の適切な抗C5抗体またはその抗原結合性断片が、本明細書に記載される方法において使用され得る。例示的な抗C5抗体は、それぞれ配列番号14および11に示される配列を有する重鎖および軽鎖を含むラブリズマブ(Ultomiris(商標)、ALXN1210および抗体BNJ441としても公知)、またはその抗原結合性断片およびバリアントである。他の実施形態では、抗体は、ラブリズマブの重鎖および軽鎖相補性決定領域(CDR)または可変領域(VR)を含む。従って、一実施形態では、抗体は、配列番号12に示される配列を有するラブリズマブの重鎖可変(VH)領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインならびに配列番号8に示される配列を有するラブリズマブの軽鎖可変(VL)領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含む。別の実施形態では、抗体は、それぞれ配列番号19、18および3に示されるCDR1、CDR2およびCDR3重鎖配列ならびにそれぞれ配列番号4、5および6に示されるCDR1、CDR2およびCDR3軽鎖配列を含む。別の実施形態では、抗体は、それぞれ配列番号12および配列番号8に示されるアミノ酸配列を有するVHおよびVL領域を含む。別の実施形態では、抗体は、配列番号13に示される重鎖定常領域を含む。
【0013】
別の実施形態では、抗体は、ヒト新生児型Fc受容体(FcRn)に結合するバリアントヒトFc定常領域を含み、バリアントヒトFc CH3定常領域は、各々EU番号付けで、ネイティブヒトIgG Fc定常領域のメチオニン428およびアスパラギン434に対応する残基においてMet−429−LeuおよびAsn−435−Ser置換を含む。
【0014】
別の実施形態では、抗体は、それぞれ配列番号19、18および3に示されるCDR1、CDR2およびCDR3重鎖配列ならびにそれぞれ配列番号4、5および6に示されるCDR1、CDR2およびCDR3軽鎖配列、ならびにヒト新生児型Fc受容体(FcRn)に結合するバリアントヒトFc定常領域を含み、バリアントヒトFc CH3定常領域は、各々EU番号付けで、ネイティブヒトIgG Fc定常領域のメチオニン428およびアスパラギン434に対応する残基においてMet−429−LeuおよびAsn−435−Ser置換を含む。
【0015】
別の実施形態では、抗体は、pH7.4および25℃で、0.1nM≦K≦1nMの範囲にある親和性解離定数(K)でヒトC5に結合する。別の実施形態では、抗体は、pH6.0および25℃で、K≧10nMでヒトC5に結合する。さらに別の実施形態では、抗体の[(pH6.0および25℃におけるヒトC5に対する抗体またはその抗原結合性断片のK)/(pH7.4および25℃におけるヒトC5に対する抗体またはその抗原結合性断片のK)]は、25よりも大きい。
【0016】
別の例示的な抗C5抗体は、米国特許第8,241,628号および同第8,883,158号に記載される7086抗体である。一実施形態では、抗体は、7086抗体の重鎖および軽鎖CDRまたは可変領域を含む(米国特許第8,241,628号および同第8,883,158号を参照のこと)。別の実施形態では、抗体またはその抗原結合性断片は、それぞれ配列番号21、22および23に示される配列を有する重鎖CDR1、CDR2およびCDR3ドメインならびにそれぞれ配列番号24、25および26に示される配列を有する軽鎖CDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含む。別の実施形態では、抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号27に示される配列を有する7086抗体のVH領域および配列番号28に示される配列を有する7086抗体のVL領域を含む。
【0017】
別の例示的な抗C5抗体は、これもまた米国特許第8,241,628号および同第8,883,158号に記載される8110抗体である。一実施形態では、抗体は、8110抗体の重鎖および軽鎖CDRまたは可変領域を含む。別の実施形態では、抗体またはその抗原結合性断片は、それぞれ配列番号29、30および31に示される配列を有する重鎖CDR1、CDR2およびCDR3ドメインならびにそれぞれ配列番号32、33および34に示される配列を有する軽鎖CDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含む。別の実施形態では、抗体は、配列番号35に示される配列を有する8110抗体のVH領域および配列番号36に示される配列を有する8110抗体のVL領域を含む。
【0018】
別の例示的な抗C5抗体は、US2016/0176954A1に記載される305LO5抗体である。一実施形態では、抗体は、305LO5抗体の重鎖および軽鎖CDRまたは可変領域を含む。別の実施形態では、抗体またはその抗原結合性断片は、それぞれ配列番号37、38および39に示される配列を有する重鎖CDR1、CDR2およびCDR3ドメインならびにそれぞれ配列番号40、41および42に示される配列を有する軽鎖CDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含む。別の実施形態では、抗体は、配列番号43に示される配列を有する305LO5抗体のVH領域および配列番号44に示される配列を有する305LO5抗体のVL領域を含む。
【0019】
別の例示的な抗C5抗体は、Fukuzawa T., et al., Rep. 2017 Apr 24;7(1):1080に記載されるSKY59抗体である。一実施形態では、抗体は、SKY59抗体の重鎖および軽鎖CDRまたは可変領域を含む。別の実施形態では、抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号45を含む重鎖および配列番号46を含む軽鎖を含む。
【0020】
別の例示的な抗C5抗体は、US20170355757に記載されるREGN3918抗体(H4H12166PPとしても公知)である。一実施形態では、抗体は、配列番号47を含む重鎖可変領域および配列番号48を含む軽鎖可変領域を含む。別の実施形態では、抗体は、配列番号49を含む重鎖および配列番号50を含む軽鎖を含む。
【0021】
別の実施形態では、抗体は、上述の抗体(例えば、エクリズマブ、ラブリズマブ、7086抗体、8110抗体、305LO5抗体、SKY59抗体またはREGN3918抗体)と、C5上の同じエピトープとの結合について競合するおよび/またはC5上の同じエピトープに結合する。別の実施形態では、抗体は、上述の抗体と、少なくとも約90%の可変領域アミノ酸配列同一性(例えば、少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の可変領域同一性)を有する。
【0022】
一実施形態では、抗C5抗体またはその抗原結合性断片の用量は、患者の体重に基づく。例えば、一実施形態では、2400mgまたは3000mgの抗C5抗体またはその抗原結合性断片が、≧40〜<60kgの体重の患者に投与される。別の実施形態では、2700mgまたは3300mgの抗C5抗体またはその抗原結合性断片が、≧60〜<100kgの体重の患者に投与される。別の実施形態では、3000mgまたは3600mgの抗C5抗体またはその抗原結合性断片が、≧100kgの体重の患者に投与される。ある特定の実施形態では、投薬量レジメンは、最適な所望の応答(例えば、有効な応答)を提供するために調整される。
【0023】
別の実施形態では、抗C5抗体またはその抗原結合性断片は、1回または複数の投与サイクルで投与される。一実施形態では、投与サイクルは、26週間である。一実施形態では、抗C5抗体またはその抗原結合性断片は、投与サイクルの1日目に1回、投与サイクルの15日目に1回、およびその後8週間毎に投与される。一実施形態では、抗C5抗体またはその抗原結合性断片は、投与サイクルの後に、最長2年間の延長期間、8週間毎に(例えば、3000mg、3300mgまたは3600mgの用量で)投与される。
【0024】
別の実施形態では、抗C5抗体またはその抗原結合性断片は、1回または複数の投与サイクルで投与される。一実施形態では、投与サイクルは、26週間である。別の実施形態では、処置は、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10または11サイクルを含む。別の実施形態では、処置は、ヒト患者の生涯にわたって継続される。
【0025】
別の実施形態では、PNHまたはaHUSを有するヒト患者を処置する方法であって、投与サイクルの間に、患者に、有効量の、それぞれ配列番号19、18および3に示されるCDR1、CDR2およびCDR3重鎖配列ならびにそれぞれ配列番号4、5および6に示されるCDR1、CDR2およびCDR3軽鎖配列を含む抗C5抗体またはその抗原結合性断片を投与するステップを含み、抗C5抗体またはその抗原結合性断片が、
(a)投与サイクルの1日目に1回、≧40〜<60kgの体重の患者に対して2400mg、≧60〜<100kgの体重の患者に対して2700mg、または≧100kgの体重の患者に対して3000mgの用量で;
(b)投与サイクルの15日目、およびその後8週間毎に、≧40〜<60kgの体重の患者に対して3000mg、≧60〜<100kgの体重の患者に対して3300mg、または≧100kgの体重の患者に対して3600mgの用量で
投与される、方法が提供される。
【0026】
別の実施形態では、PNHまたはaHUSを有するヒト患者を処置する方法であって、投与サイクルの間に、患者に、有効量の、それぞれ配列番号19、18および3に示されるCDR1、CDR2およびCDR3重鎖配列、それぞれ配列番号4、5および6に示されるCDR1、CDR2およびCDR3軽鎖配列、ならびにヒト新生児型Fc受容体(FcRn)に結合するバリアントヒトFc定常領域を含む抗C5抗体またはその抗原結合性断片を投与するステップを含み、バリアントヒトFc CH3定常領域が、各々EU番号付けで、ネイティブヒトIgG Fc定常領域のメチオニン428およびアスパラギン434に対応する残基においてMet−429−LeuおよびAsn−435−Ser置換を含み、抗C5抗体またはその抗原結合性断片が、
(a)投与サイクルの1日目に1回、≧40〜<60kgの体重の患者に対して2400mg、≧60〜<100kgの体重の患者に対して2700mg、または≧100kgの体重の患者に対して3000mgの用量で;
(b)投与サイクルの15日目、およびその後8週間毎に、≧40〜<60kgの体重の患者に対して3000mg、≧60〜<100kgの体重の患者に対して3300mg、または≧100kgの体重の患者に対して3600mgの用量で
投与される、方法が提供される。
【0027】
別の実施形態では、抗C5抗体またはその抗原結合性断片は、≧40〜<60kgの体重の患者に、
(a)投与サイクルの1日目に1回、2400mgの用量で;
(b)投与サイクルの15日目、およびその後8週間毎に、3000mgの用量で
投与される。
【0028】
別の実施形態では、抗C5抗体またはその抗原結合性断片は、≧60〜<100kgの体重の患者に、
(a)投与サイクルの1日目に1回、2700mgの用量で;
(b)投与サイクルの15日目、およびその後8週間毎に、3300mgの用量で
投与される。
【0029】
別の実施形態では、抗C5抗体またはその抗原結合性断片は、≧100kgの体重の患者に、
(a)投与サイクルの1日目に1回、3000mgの用量で;
(b)投与サイクルの15日目、およびその後8週間毎に、3600mgの用量で
投与される。
【0030】
一部の実施形態では、患者は、補体阻害剤で以前に処置されたことがない(例えば、患者は、補体阻害剤処置未経験な患者である)。
【0031】
他の実施形態では、患者は、1つの抗C5抗体またはその抗原結合性断片で以前に処置されたことがあり、処置の過程の間に別の抗C5抗体に切り替えられる。例えば、ある特定の実施形態では、異なる抗C5抗体が、処置の過程の間に投与される。一実施形態では、異なる抗C5抗体は、別々の処置および延長期間の間に投与される。例えば、一実施形態では、患者は、処置期間の間(例えば、26週間)、エクリズマブで処置され、その後、例えば延長期間の間、別の抗C5抗体(例えば、ラブリズマブ、7086抗体、8110抗体、305LO5抗体、SKY59抗体またはREGN3918抗体)で処置される。別の実施形態では、エクリズマブは、誘導期の間、投与サイクルの1、8、15および22日目に600mgの用量で患者に投与され、その後、投与サイクルの19日目、およびその後2週間毎に(例えば、合計で26週間)、900mgの維持用量のエクリズマブが投与され、その後、最長2年間の延長期間、ラブリズマブによる処置が続く。別の実施形態では、患者は、ラブリズマブで(例えば、26週間)処置され、その後、例えば延長期間の間、別の抗C5抗体(例えば、エクリズマブ、7086抗体、8110抗体、305LO5抗体、SKY59抗体またはREGN3918抗体)で処置される。
【0032】
例示的な代替的抗C5抗体には、(i)ALXN1210、(ii)それぞれ配列番号21、22および23を含む重鎖CDR1、CDR2およびCDR3ドメインならびにそれぞれ配列番号24、25および26を含む軽鎖CDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含む抗体またはその抗原結合性断片、(iii)配列番号27を含む重鎖可変領域および配列番号28を含む軽鎖可変領域を含む抗体またはその抗原結合性断片、(iv)それぞれ配列番号29、30および31を含む重鎖CDR1、CDR2およびCDR3ドメインならびにそれぞれ配列番号32、33および34を含む軽鎖CDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含む抗体またはその抗原結合性断片、(v)配列番号35を含む重鎖可変領域および配列番号36を含む軽鎖可変領域を含む抗体またはその抗原結合性断片、(vi)それぞれ配列番号37、38および39を含む重鎖CDR1、CDR2およびCDR3ドメインならびにそれぞれ配列番号40、41および42を含む軽鎖CDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含む抗体またはその抗原結合性断片、(vii)配列番号43を含む重鎖可変領域および配列番号44を含む軽鎖可変領域を含む抗体またはその抗原結合性断片、(viii)配列番号45を含む重鎖および配列番号46を含む軽鎖を含む抗体またはその抗原結合性断片、(ix)配列番号47を含む重鎖可変領域および配列番号48を含む軽鎖可変領域を含む抗体またはその抗原結合性断片、ならびに(x)配列番号49を含む重鎖および配列番号50を含む軽鎖を含む抗体またはその抗原結合性断片が含まれるがこれらに限定されない。
【0033】
一部の実施形態では、患者は、別の抗C5抗体またはその抗原結合性断片(例えば、ラブリズマブ)に切り替える前に、少なくとも1ヶ月、少なくとも2ヶ月、少なくとも3ヶ月、少なくとも4ヶ月、少なくとも5ヶ月、少なくとも6ヶ月、少なくとも7ヶ月、少なくとも8ヶ月、少なくとも9ヶ月、少なくとも10ヶ月、少なくとも11ヶ月、少なくとも12ヶ月、少なくとも18ヶ月または少なくとも24ヶ月間、抗C5抗体またはその抗原結合性断片(例えば、エクリズマブ)で以前に処置されたことがある。特定の実施形態では、患者は、少なくとも6ヶ月間エクリズマブで以前に処置されたことがある。
【0034】
別の実施形態では、患者(例えば、PNHまたはaHUS患者)が、第1の抗C5抗体で処置され、次いで第2の異なる抗C5抗体による処置に切り替えられる場合、特に、第2の異なる抗C5抗体が、第1の抗C5抗体とは異なるC5上のエピトープに結合する場合、投与スケジュールは、第1の抗C5抗体の半減期を考慮する。例えば、第2の(異なる)抗C5抗体が投与される前に、第1の抗C5抗体が患者から除去される(例えば、「洗い流される」)ことを確実にするために(例えば、凝集、免疫複合体形成などと関連する問題を回避するために)、第1の抗C5抗体の半減期が考慮される。一実施形態では、第2の(異なる)抗C5抗体は、第1の抗C5抗体の最終投与の後に、第1の抗C5抗体の半減期の2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7または7.5倍に相当する期間が経過するまで投与されない。
【0035】
別の実施形態では、患者は、エクリズマブで以前に処置されたことがあり、次いで、第2の(異なる)抗C5抗体(例えば、ラブリズマブ、7086抗体、8110抗体、305LO5抗体、SKY59抗体またはREGN3918抗体)による処置に切り替えられる。エクリズマブが最初に投与される抗体である一実施形態では、第2の(異なる)抗C5抗体は、エクリズマブの最終投与の後に、例えば、少なくとも36、45、54、63、72、81、90、99、108、117または126日が経過するまで投与されない。
【0036】
別の実施形態では、患者は、ラブリズマブで以前に処置されたことがあり、次いで、異なる抗C5抗体(例えば、エクリズマブ、7086抗体、8110抗体、305LO5抗体、SKY59抗体またはREGN3918抗体)による処置に切り替えられる。ラブリズマブが最初に投与される抗体である一実施形態では、第2の(異なる)抗C5抗体は、例えば、ラブリズマブの最終投与の後に、少なくとも100、125、150、175、200、225、250、275、300、325、375または400日が経過するまで、投与されない。
【0037】
さらにまたはあるいは、第2の(異なる)抗C5抗体による処置に切り替える前に、第1の抗C5抗体を除去するまたはそのクリアランスを増強するための技術が使用される。例示的な技術には、血漿搬出または輸血が含まれるがこれらに限定されない。別の実施形態では、第1の抗C5抗体に対する抗体(例えば、抗エクリズマブ抗体、抗ラブリズマブ抗体、抗7086抗体、抗8110抗体、抗305LO5抗体、抗SKY59抗体または抗REGN3918抗体)が、第2の(異なる)抗C5抗体が投与される前に、第1の抗C5抗体を除去するまたはそのクリアランスを増強するために投与される。
【0038】
別の実施形態では、抗C5抗体またはその抗原結合性断片(例えば、ALXN1210)が患者に投与され、投与サイクルは、患者の最後の用量のエクリズマブの少なくとも約2週間、少なくとも約3週間、少なくとも約4週間、少なくとも約6週間、少なくとも約7週間または少なくとも約8週間後に開始する。別の実施形態では、抗C5抗体またはその抗原結合性断片(例えば、ALXN1210)が患者に投与され、投与サイクルは、患者の最後の用量のエクリズマブの少なくとも2週間後に開始する。
【0039】
一部の実施形態では、本明細書に記載される方法に従って処置される患者は、処置を開始する前3年以内に、または処置を開始する時点で、髄膜炎菌感染に対してワクチン接種されている。一実施形態では、髄膜炎菌ワクチンを受けた後2週間経たずに処置を受けた患者は、ワクチン接種の2週間後まで、適切な予防用抗生物質でも処置される。別の実施形態では、本明細書に記載される方法に従って処置される患者は、髄膜炎菌血清型A、C、Y、W135および/またはBに対してワクチン接種される。
【0040】
別の態様では、記載される処置レジメンは、抗C5抗体またはその抗原結合性断片の特定の血清トラフ濃度を維持するのに十分である。例えば、一実施形態では、処置は、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、200、205、210、215、220、225、230、240、245、250、255、260、265、270、280、290、300、305、310、315、320、325、330、335、340、345、350、355、360、365、370、375、380、385、390、395もしくは400μg/mlまたはそれよりも高い抗C5抗体またはその抗原結合性断片の血清トラフ濃度を維持する。一実施形態では、処置は、100μg/mlまたはそれよりも高い抗C5抗体またはその抗原結合性断片の血清トラフ濃度を維持する。別の実施形態では、処置は、150μg/mlまたはそれよりも高い抗C5抗体またはその抗原結合性断片の血清トラフ濃度を維持する。別の実施形態では、処置は、200μg/mlまたはそれよりも高い抗C5抗体またはその抗原結合性断片の血清トラフ濃度を維持する。別の実施形態では、処置は、250μg/mlまたはそれよりも高い抗C5抗体またはその抗原結合性断片の血清トラフ濃度を維持する。別の実施形態では、処置は、300μg/mlまたはそれよりも高い抗C5抗体またはその抗原結合性断片の血清トラフ濃度を維持する。別の実施形態では、処置は、100μg/ml〜200μg/mlの間の抗C5抗体またはその抗原結合性断片の血清トラフ濃度を維持する。別の実施形態では、処置は、約175μg/mlの抗C5抗体またはその抗原結合性断片の血清トラフ濃度を維持する。
【0041】
別の実施形態では、有効な応答を得るために、抗C5抗体は、患者の血液1ミリリットル当たり少なくとも50μg、55μg、60μg、65μg、70μg、75μg、80μg、85μg、90μg、95μg、100μg、105μg、110μg、115μg、120μg、125μg、130μg、135μg、140μg、145μg、150μg、155μg、160μg、165μg、170μg、175μg、180μg、185μg、190μg、195μg、200μg、205μg、210μg、215μg、220μg、225μg、230μg、235μg、240μg、245μg、250μg、255μgまたは260μgの抗体を維持するための量および頻度で、患者に投与される。別の実施形態では、抗C5抗体は、患者の血液1ミリリットル当たり50μg〜250μgの間の抗体を維持するための量および頻度で、患者に投与される。別の実施形態では、抗C5抗体は、患者の血液1ミリリットル当たり100μg〜200μgの間の抗体を維持するための量および頻度で、患者に投与される。別の実施形態では、抗C5抗体は、患者の血液1ミリリットル当たり約175μgの抗体を維持するための量および頻度で、患者に投与される。
【0042】
別の実施形態では、有効な応答を得るために、抗C5抗体は、最小遊離C5濃度を維持するための量および頻度で、患者に投与される。例えば、一実施形態では、抗C5抗体は、0.2μg/mL、0.3μg/mL、0.4μg/mL、0.5μg/mLまたはそれ未満の遊離C5濃度を維持するための量および頻度で、患者に投与される。別の実施形態では、抗C5抗体は、0.309〜0.5μg/mLまたはそれ未満の遊離C5濃度を維持するための量および頻度で、患者に投与される。別の実施形態では、本明細書に記載される処置は、処置期間全体を通して、遊離C5濃度を99%よりも大きく低減させる。別の実施形態では、処置は、処置期間全体を通して、遊離C5濃度を99.5%よりも大きく低減させる。
【0043】
抗C5抗体またはその抗原結合性断片は、任意の適切な手段によって患者に投与され得る。一実施形態では、抗体は、静脈内投与のために製剤化される。
【0044】
本明細書で提供される処置方法の有効性は、任意の適切な手段を使用して評価され得る。一実施形態では、PNH患者のために、処置は、疲労、腹部疼痛、呼吸困難、嚥下障害、胸部疼痛および勃起機能不全における低減または停止からなる群より選択される少なくとも1つの治療効果を生じる。別の実施形態では、aHUS患者のために、処置は、重症高血圧症、タンパク尿症、尿毒症、嗜眠/疲労、易刺激性、血小板減少症、細血管異常性溶血性貧血および腎機能障害(例えば、急性腎不全)における低減または停止からなる群より選択される少なくとも1つの治療効果を生じる。
【0045】
他の実施形態では、処置は、終末補体阻害を結果としてもたらす。
【0046】
他の実施形態では、処置は、遊離ヘモグロビン、ハプトグロビン、網状赤血球数、PNH赤血球(RBC)クローンおよびD−ダイマーからなる群より選択される溶血関連の血液学的バイオマーカーの正常レベルに向かうシフトを生じる。別の実施形態では、処置は、ヘモグロビン安定化における患者の処置前ベースラインからの増加を生じる。
【0047】
他の実施形態では、処置は、推定糸球体濾過量(eGFR)およびスポット尿(spot urine):アルブミン:クレアチニンおよび血漿脳ナトリウム利尿ペプチド(BNP)からなる群より選択される慢性疾患関連バイオマーカーの正常レベルに向かうシフトを生じる。
【0048】
他の実施形態では、処置は、輸血の必要性における低減を生じる。別の実施形態では、処置は、輸血回避における70%よりも大きい増加を生じる。
【0049】
他の実施形態では、処置は、エクリズマブによる処置と比べて、ブレイクスルー溶血における低減を結果としてもたらす。別の実施形態では、処置は、処置期間の間に、ブレイクスルー溶血の消失を結果としてもたらす。別の実施形態では、処置は、ブレイクスルー溶血の処置前ベースライン量と比較して、ブレイクスルー溶血の低減を結果としてもたらす。
【0050】
他の実施形態では、処置は、主要な血管系有害事象(major adverse vascular event)(MAVE)における低減を生じる。
【0051】
他の実施形態では、処置は、慢性疾患治療の機能的評価(FACIT)−疲労スケール(Functional Assessment of Chronic Illness Therapy (FACIT)-Fatigue Scale)、バージョン4および欧州がん研究治療機関の生活の質アンケート−コア30スケール(European Organisation for Research and Treatment of Cancer, Quality of Life Questionnaire-Core 30 Scale)を介して評価される、生活の質におけるベースラインからの変化を生じる。別の実施形態では、処置は、患者の未処置のベースラインスコアから少なくとも7ポイントの、慢性疾患治療の機能的評価(FACIT)−疲労スケール、バージョン4および欧州がん研究治療機関の生活の質アンケート−コア30スケールを介して評価される、生活の質におけるベースラインからの変化を生じる。
【0052】
別の実施形態では、処置は、ベースラインから183日目まで、慢性疾患治療の機能的評価(FACIT)−疲労スケール、バージョン4を介して評価される生活の質(QoL)において、変化を結果としてもたらさない。別の実施形態では、処置は、ベースラインから183日目まで、慢性疾患治療の機能的評価(FACIT)−疲労スケール、バージョン4を介して評価される生活の質(QoL)における増加を結果としてもたらす。別の実施形態では、処置は、ベースラインから183日目まで、輸血回避を結果としてもたらす。別の実施形態では、処置は、ベースラインから183日目まで、輸血なしで、ヘモグロビンレベルにおけるベースラインからの≧2g/dLの減少の回避を結果としてもたらす。
【0053】
他の実施形態では、乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)レベルが、治療に対する応答性を評価するために使用される(例えば、乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)レベルによって評価される溶血の低減は、PNHの少なくとも1つの徴候における改善を示す)。例えば、一実施形態では、本明細書に記載される処置は、LDHレベルの正常化を結果としてもたらす。別の実施形態では、開示される方法に従って処置される患者は、正常レベル近傍への、または正常レベルとみなされるレベルを超えて10%以内もしくは20%以内(例えば、105〜333IU/L(1リットル当たりの国際単位)以内)への、LDHレベルにおける低減を経験する。別の実施形態では、患者のLDHレベルは、処置の維持期間全体を通して、正常化される。別の実施形態では、処置された患者のLDHレベルは、処置の維持期間中の時間の少なくとも95%で正常化される。別の実施形態では、処置された患者のLDHレベルは、処置の維持期間中の時間の少なくとも90%、85%または80%で正常化される。一実施形態では、患者のLDHレベルは、処置を開始する前に、正常値上限を超えて1.5倍以上である(LDH≧1.5×ULN)。別の実施形態では、処置は、処置の少なくとも24日目までに、LDHレベルの正常化を結果としてもたらす。一実施形態では、開示される方法に従って処置される患者は、正常レベル以内への、または正常値上限レベルとみなされるレベル未満10%、20%、30%、40%以内もしくは50%以内(例えば、105〜333IU/L(1リットル当たりの国際単位)以内)への、LDHレベルにおける低減を経験する。一実施形態では、患者のLDHレベルは、処置を開始する前に、正常値上限を超えて1.5倍以上である(LDH≧1.5×ULN)。一実施形態では、処置は、2×正常値上限(ULN)未満のLDHレベルを結果としてもたらす。
【0054】
別の態様では、PNHまたはaHUSを有する患者への、
(a)投与サイクルの1日目に1回、≧40〜<60kgの体重の患者に対して2400mg、≧60〜<100kgの体重の患者に対して2700mg、または≧100kgの体重の患者に対して3000mgの用量で;
(b)投与サイクルの15日目、およびその後8週間毎に、≧40〜<60kgの体重の患者に対して3000mg、≧60〜<100kgの体重の患者に対して3300mg、または≧100kgの体重の患者に対して3600mgの用量で
投与するための、配列番号12に示される配列を有する重鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインならびに配列番号8に示される配列を有する軽鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含む抗C5抗体またはその抗原結合性断片が提供される。
【0055】
一実施形態では、抗体は、PNHおよびaHUS患者における使用のための複数のIV用量の後に、安全で耐容され十分に非免疫原性であることが決定される。
【0056】
本明細書に記載される方法における使用のために適応された治療有効量で、抗C5抗体またはその抗原結合性断片、例えば抗体ラブリズマブ、および薬学的に許容される担体を含有する医薬組成物を含むキットが、さらに提供される。一実施形態では、キットは、
(a)ある用量の、配列番号12に示される配列を有する重鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインならびに配列番号8に示される配列を有する軽鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含む抗C5抗体またはその抗原結合性断片;ならびに
(b)本明細書に記載される方法において抗C5抗体またはその抗原結合性断片を使用するための指示
を含む。
【0057】
一実施形態では、2400mgまたは3000mgの抗C5抗体またはその抗原結合性断片が、≧40〜<60kgの体重の患者に投与される。別の実施形態では、2700mgまたは3300mgの抗C5抗体またはその抗原結合性断片が、≧60〜<100kgの体重の患者に投与される。別の実施形態では、3000mgまたは3600mgの抗C5抗体またはその抗原結合性断片が、≧100kgの体重の患者に投与される。
【0058】
別の態様では、補体関連障害を有するヒト患者を処置する方法が提供される。一実施形態では、方法は、エクリズマブで処置されている補体関連障害を有するヒト患者を処置するステップを含み、エクリズマブによる処置を中止するステップ、および患者を、異なる補体阻害剤による処置に切り替えるステップを含む。別の実施形態では、方法は、ラブリズマブで処置されている補体関連障害を有するヒト患者を処置するステップを含み、ラブリズマブによる処置を中止するステップ、および患者を、異なる補体阻害剤による処置に切り替えるステップを含む。一実施形態では、異なる補体阻害剤は、小分子、ポリペプチド、ポリペプチドアナログ、ペプチド模倣物、siRNAまたはアプタマーからなる群より選択される。別の実施形態では、異なる補体阻害剤は、補体成分C1、C2、C3、C4、C5、C6、C7、C8、C9、D因子、B因子、プロペルジン、MBL、MASP−1、MASP−2、またはそれらの生物学的に活性な断片の1つまたは複数を阻害する。別の実施形態では、異なる補体阻害剤は、異なる抗C5抗体(例えば、ラブリズマブ、7086抗体、8110抗体、305LO5抗体、SKY59抗体またはREGN3918抗体)である。
【0059】
本明細書に記載される方法に従って処置され得る例示的な補体関連状態には、関節リウマチ、抗リン脂質抗体症候群、ループス腎炎、虚血−再灌流傷害、非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)、典型溶血性尿毒症症候群、発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)、デンスデポジット病、視神経脊髄炎、多巣性運動ニューロパチー、多発性硬化症、黄斑変性症、HELLP症候群、自然流産(spontaneous fetal loss)、血栓性血小板減少性紫斑病、微量免疫型血管炎、表皮水疱症、習慣性流産(recurrent fetal loss)、外傷性脳傷害、心筋炎、脳血管障害、末梢血管障害、腎血管障害、腸間膜/腸管血管障害、血管炎、ヘノッホ・シェーンライン紫斑病性腎炎、全身性エリテマトーデス関連血管炎、関節リウマチと関連する血管炎、免疫複合体血管炎(immune complex vasculitis)、高安病、拡張型心筋症、糖尿病性血管症、川崎病、静脈ガス塞栓症(venous gas embolus)、ステント留置後の再狭窄、回転式粥腫切除術、経皮経管冠状動脈形成術、重症筋無力症、寒冷凝集素病、皮膚筋炎、発作性寒冷ヘモグロビン尿症、抗リン脂質抗体症候群、グレーブス病、アテローム性動脈硬化症、アルツハイマー病、全身性炎症応答、敗血症、敗血症性ショック、脊髄傷害、糸球体腎炎、移植片拒絶、橋本甲状腺炎、I型糖尿病、乾癬、天疱瘡、自己免疫性溶血性貧血、特発性血小板減少性紫斑病、グッドパスチャー症候群、ドゴー病および劇症型抗リン脂質抗体症候群(catastrophic antiphospholipid syndrome)が含まれるがこれらに限定されない。一実施形態では、補体関連状態は、PNHである。別の実施形態では、補体関連状態は、aHUSである。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】図1は、補体阻害剤処置未経験のPNH患者における第III相ALXN1210−PNH−301臨床試験のデザインを示す概略図である。
【0061】
【図2】図2は、第III相ALXN1210−PNH−301における患者の配置を示す概略図である。
【0062】
【図3】図3は、第III相ALXN1210−PNH−301臨床試験における患者のベースライン特性および人口統計を示す概略図である。
【0063】
【図4】図4は、2つの共主要評価項目(co-primary endpoint)の重要な有効性結果を示す図式による概略図である。
【0064】
【図5】図5は、全ての評価項目についてラブリズマブ(ALXN1210)が有利であり、グラフ内の赤色の三角形によって示される非劣性マージンを上回ることを示す、重要な副次的評価項目の図式表示である。
【0065】
【図6】図6は、主要評価項目および副次的評価項目の両方からの重要な結果の図表である。
【0066】
【図7】図7は、有効性結果の多重感度解析(multiple sensitivity analysis)からの結果を示す表である。
【0067】
【図8】図8は、ラブリズマブ(ALXN1210)がエクリズマブに対して有利であるサブグループを示す図式による概略図である。
【0068】
【図9】図9は、ラブリズマブ(ALXN1210)またはエクリズマブのいずれかで処置された患者の経時的なLDHレベルの図式表示である。
【0069】
【図10】図10は、ラブリズマブ(ALXN1210)またはエクリズマブのいずれかで処置された患者についてのLDHの正常化(LDH−N)に達するまでの時間の図式表示である。
【0070】
【図11】図11は、8日目から183日目までの様々な時点でラブリズマブ(ALXN1210)またはエクリズマブ下でLDHの正常化を達成している患者のパーセンテージの図式表示である。
【0071】
【図12】図12は、欧州がん研究治療機関の生活の質アンケート−コア30全般的健康サブスケールに従って、来院ごとの(最大の解析対象集団(full analysis set))ベースラインから10点の改善を有する患者のパーセンテージの図式表示である。
【0072】
【図13】図13は、欧州がん研究治療機関の生活の質アンケート−コア30身体機能サブスケールに従って、来院ごとの(最大の解析対象集団)ベースラインから10点の改善を有する患者のパーセンテージの図式表示である。
【0073】
【図14】図14は、欧州がん研究治療機関の生活の質アンケート−コア30疲労サブスケールに従って、来院ごとの(最大の解析対象集団)ベースラインから10点の改善を有する患者のパーセンテージの図式表示である。
【0074】
【図15】図15は、第III相ALXN1210−PNH−301臨床試験における重要な安全性結果の図表である。
【0075】
【図16】図16は、第III相ALXN1210−PNH−301臨床試験における最も一般的な処置下で発現した有害事象(TEAE)の図表である。
【0076】
【図17】図17は、第III相ALXN1210−PNH−301臨床試験における処置下で発現した重篤な有害事象(TESAE)の図表である。
【0077】
【図18】図18は、第III相ALXN1210−PNH−301臨床試験における特に興味深い処置下で発現した有害事象(TEAE)の図表である。
【0078】
【図19】図19は、第III相ALXN1210−PNH−301臨床試験における患者の服薬順守結果の表である。
【0079】
【図20】図20は、各薬物の経時的な血清中濃度を示すラブリズマブ(ALXN1210)およびエクリズマブの薬物動態(PK)の図式描写である(線形目盛)。
【0080】
【図21】図21は、各薬物の経時的な血清中濃度を示すラブリズマブ(ALXN1210)およびエクリズマブの薬物動態(PK)の図式描写である(片対数目盛)。
【0081】
【図22】図22は、各薬物の存在下での経時的な平均C5濃度を示す、ラブリズマブ(ALXN1210)およびエクリズマブの薬力学(PD)の図式描写である。
【0082】
【図23】図23は、各薬物の存在下での経時的な総血清C5濃度についてのベースラインからの平均(±95%CI)パーセント変化を示すラブリズマブ(ALXN1210)およびエクリズマブの薬力学(PD)の図式描写である。
【0083】
【図24】図24は、臨床プロトコールALXN1210−aHUS−311についてのデザインを示す概略図である。
【0084】
【図25】図25は、少なくとも過去6カ月にわたってエクリズマブで処置されたことがあるPNH患者における、エクリズマブ以外の補体阻害剤を患者に投与する、第III相ALXN1210−PNH−302臨床試験のデザインを示す概略図である。
【0085】
【図26】図26は、第III相ALXN1210−PNH−302臨床試験における患者に対する、実際の注入日を含めた投薬スケジュールを示す概略図である。
【0086】
【図27】図27は、第III相ALXN1210−PNH−302臨床試験に登録された患者の配置を示す概略図である。
【0087】
【図28】図28は、第III相ALXN1210−PNH−302臨床試験に登録された患者のベースライン特性および人口統計を示す概略図である。
【0088】
【図29】図29は、第III相ALXN1210−PNH−302臨床試験に登録された患者のベースライン疾患特性を示す概略図である。
【0089】
【図30】図30は、第III相ALXN1210−PNH−302臨床試験からの主要評価項目および副次的評価項目の重要な有効性結果を示す図式による概略図である。
【0090】
【図31】図31は、第III相ALXN1210−PNH−302臨床試験からの主要評価項目および副次的評価項目の両方の重要な有効性結果の図表である。
【0091】
【図32】図32は、第III相ALXN1210−PNH−302臨床試験からの主要評価項目についての有効性結果の多重感度解析からの結果を示す表である。
【0092】
【図33】図33は、第III相ALXN1210−PNH−302臨床試験からの主要評価項目についてのサブグループについての有効性結果を示す図式表示である。
【0093】
【図34】図34は、第III相ALXN1210−PNH−302臨床試験に登録された患者についての経時的な平均LDHレベルの図式表示である。
【0094】
【図35】図35は、第III相ALXN1210−PNH−302臨床試験中にLDHの正常化を達成している患者のパーセンテージの図式表示である。
【0095】
【図36】図36は、慢性疾患治療の機能的評価(FACIT)−疲労スケールを使用して評価される、第III相ALXN1210−PNH−302臨床試験に登録された患者についての生活の質の経時的なベースラインと比較した平均変化の図式表示である。
【0096】
【図37】図37は、慢性疾患治療の機能的評価(FACIT)−疲労スケールを使用して評価される、第III相ALXN1210−PNH−302臨床試験に登録された患者についての経時的な生活の質の平均値の図式表示である。
【0097】
【図38】図38は、第III相ALXN1210−PNH−302臨床試験からの重要な安全性結果の図表である。
【0098】
【図39】図39は、第III相ALXN1210−PNH−302臨床試験からの処置下で発現した重篤な有害事象(TESAE)の図表である。
【0099】
【図40】図40は、第III相ALXN1210−PNH−302臨床試験からの最も一般的な処置下で発現した有害事象(TEAE)の図表である。
【0100】
【図41】図41は、標準のMedDRAクエリ(SMQ)によって決定される、第III相ALXN1210−PNH−302臨床試験からの上気道感染(URTI)の図表である。
【0101】
【図42】図42は、第III相ALXN1210−PNH−302臨床試験からの特に興味深い処置下で発現した有害事象の図表である(TEAESI)。
【0102】
【図43】図43は、第III相ALXN1210−PNH−302臨床試験からの患者の服薬順守結果の表である。
【0103】
【図44】図44は、各薬物の経時的な血清中濃度を示す、ALXN1210およびエクリズマブの薬物動態(PK)の図式描写である。
【0104】
【図45】図45は、各薬物の存在下での経時的な平均C5濃度を示す、ALXN1210およびエクリズマブの薬力学(PD)の図式描写である。
【0105】
【図46】図46は、各薬物の存在下での経時的な総血清C5濃度についてのベースラインからの平均(±95%CI)変化を示す、ALXN1210およびエクリズマブの図式描写である。
【発明を実施するための形態】
【0106】
I.抗C5抗体
本明細書に記載される抗C5抗体は、補体成分C5(例えば、ヒトC5)に結合し、断片C5aおよびC5bへのC5の切断を阻害する。上記のように、かかる抗体は、治療目的で使用される他の抗C5抗体(例えば、エクリズマブ)と比べて、例えば、改善された薬物動態学的特性もまた有する。
【0107】
用語「抗体」は、少なくとも1つの抗体由来抗原結合部位(例えば、VH/VL領域すなわちFv、またはCDR)を含むポリペプチドを記述する。抗体には、公知の形態の抗体が含まれる。例えば、抗体は、ヒト抗体、ヒト化抗体、二特異性抗体またはキメラ抗体であり得る。抗体は、Fab、Fab’2、ScFv、SMIP、Affibody(登録商標)、ナノボディまたはドメイン抗体でもあり得る。抗体はまた、以下のアイソタイプ:IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgM、IgA1、IgA2、IgAsec、IgDおよびIgEのいずれかのものであり得る。抗体は、天然に存在する抗体であり得、またはタンパク質操作技術によって(例えば、変異、欠失、置換、非抗体部分へのコンジュゲーションによって)変更された抗体であり得る。例えば、抗体は、(天然に存在する抗体と比較して、)抗体の特性(例えば、機能的特性)を変化させる1つまたは複数のバリアントアミノ酸を含み得る。例えば、例えば、患者における半減期、エフェクター機能、および/または抗体に対する免疫応答に影響を与える多数のかかる変更が、当該技術分野で公知である。抗体という用語は、少なくとも1つの抗体由来抗原結合部位を含む人工のまたは操作されたポリペプチド構築物もまた含む。
【0108】
本発明での使用に適切な抗C5抗体(またはそれに由来するVH/VLドメイン)は、当該技術分野で周知の方法を使用して生成され得る。あるいは、当該技術分野で認識された抗C5抗体が使用され得る。C5への結合について、これら当該技術分野で認識された抗体のいずれかと競合する抗体もまた、使用され得る。
【0109】
エクリズマブ(Soliris(登録商標)としても公知)は、それぞれ配列番号1、2および3に示される配列を有する重鎖CDR1、CDR2およびCDR3ドメインならびにそれぞれ配列番号4、5および6に示される配列を有する軽鎖CDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含む抗C5抗体である。エクリズマブは、配列番号7に示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域および配列番号8に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域を含む。エクリズマブの可変領域は、PCT/US1995/005688および米国特許第6,355,245号に記載されており、それらの教示は、参照により本明細書に組み込まれる。エクリズマブは、配列番号10に示されるアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号11に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖を含む。エクリズマブの完全重鎖および軽鎖は、PCT/US2007/006606に記載されており、その教示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0110】
例示的な抗C5抗体は、それぞれ配列番号14および11に示される配列を有する重鎖および軽鎖を含むラブリズマブ、またはその抗原結合性断片およびバリアントである。ラブリズマブ(Ultomiris(商標)、BNJ441およびALXN1210としても公知)は、PCT/US2015/019225および米国特許第9,079,949号に記載されており、それらの教示は、参照により本明細書に組み込まれる。ラブリズマブ、BNJ441およびALXN1210という用語は、本文書を通じて相互交換可能に使用され得るが、全て同じ抗体を指す。ラブリズマブは、ヒト補体タンパク質C5に選択的に結合し、補体活性化の間の、C5aおよびC5bへのその切断を阻害する。この阻害は、微生物のオプソニン化および免疫複合体のクリアランスにとって重要な補体活性化の近位または初期成分(例えば、C3およびC3b)を保全しつつ、炎症促進性メディエーターC5aの放出および細胞溶解性ポア形成性膜侵襲複合体(MAC)C5b−9の形成を防止する。
【0111】
他の実施形態では、抗体は、ラブリズマブの重鎖および軽鎖CDRまたは可変領域を含む。例えば、一実施形態では、抗体は、配列番号12に示される配列を有するラブリズマブのVH領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインならびに配列番号8に示される配列を有するラブリズマブのVL領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含む。別の実施形態では、抗体は、それぞれ配列番号19、18および3に示される配列を有する重鎖CDR1、CDR2およびCDR3ドメインならびにそれぞれ配列番号4、5および6に示される配列を有する軽鎖CDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含む。別の実施形態では、抗体は、それぞれ配列番号12および配列番号8に示されるアミノ酸配列を有するVHおよびVL領域を含む。
【0112】
別の例示的な抗C5抗体は、それぞれ配列番号20および11に示される配列を有する重鎖および軽鎖を含む抗体BNJ421、またはその抗原結合性断片およびバリアントである。BNJ421(ALXN1211としても公知)は、PCT/US2015/019225および米国特許第9,079,949号に記載されており、それらの教示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0113】
他の実施形態では、抗体は、BNJ421の重鎖および軽鎖CDRまたは可変領域を含む。従って、一実施形態では、抗体は、配列番号12に示される配列を有するBNJ421のVH領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインならびに配列番号8に示される配列を有するBNJ421のVL領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含む。別の実施形態では、抗体は、それぞれ配列番号19、18および3に示される配列を有する重鎖CDR1、CDR2およびCDR3ドメインならびにそれぞれ配列番号4、5および6に示される配列を有する軽鎖CDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含む。
【0114】
CDRの正確な境界は、異なる方法に従って異なって定義されてきた。一部の実施形態では、軽鎖または重鎖可変ドメイン内のCDRまたはフレームワーク領域の位置は、Kabat et al. [(1991) "Sequences of Proteins of Immunological Interest." NIH Publication No. 91-3242, U.S. Department of Health and Human Services, Bethesda, MD]によって定義される通りであり得る。かかる場合には、CDRは、「Kabat CDR」と呼ばれ得る(例えば、「Kabat LCDR2」または「Kabat HCDR1」)。一部の実施形態では、軽鎖または重鎖可変領域のCDRの位置は、Chothia et al. (1989) Nature 342:877-883によって定義される通りであり得る。従って、これらの領域は、「Chothia CDR」と呼ばれ得る(例えば、「Chothia LCDR2」または「Chothia HCDR3」)。一部の実施形態では、軽鎖および重鎖可変領域のCDRの位置は、Kabat−Chothia組合せ定義によって定義される通りであり得る。かかる実施形態では、これらの領域は、「組合せKabat−Chothia CDR」と呼ばれ得る。Thomas et al. [(1996) Mol Immunol 33(17/18):1389-1401]は、KabatおよびChothiaの定義に従うCDR境界の同定を例示している。
【0115】
別の実施形態では、抗体は、それぞれ配列番号12および配列番号8に示されるアミノ酸配列を有するVHおよびVL領域を含む。別の実施形態では、抗体は、配列番号13に示される重鎖定常領域を含む。別の実施形態では、抗体は、配列番号14に示される重鎖ポリペプチドおよび配列番号11に示される軽鎖ポリペプチドを含む。別の実施形態では、抗体は、ヒト新生児型Fc受容体(FcRn)に結合するバリアントヒトFc定常領域を含み、バリアントヒトFc CH3定常領域は、各々EU番号付けで、ネイティブヒトIgG Fc定常領域のメチオニン428およびアスパラギン434に対応する残基においてMet−429−LeuおよびAsn−435−Ser置換を含む。
【0116】
別の実施形態では、抗体は、それぞれ配列番号19、18および3に示されるCDR1、CDR2およびCDR3重鎖配列ならびにそれぞれ配列番号4、5および6に示されるCDR1、CDR2およびCDR3軽鎖配列、ならびにヒト新生児型Fc受容体(FcRn)に結合するバリアントヒトFc定常領域を含み、バリアントヒトFc CH3定常領域は、各々EU番号付けで、ネイティブヒトIgG Fc定常領域のメチオニン428およびアスパラギン434に対応する残基においてMet−429−LeuおよびAsn−435−Ser置換を含む。
【0117】
別の実施形態では、本明細書に記載される抗C5抗体は、以下のアミノ酸配列:GIFSNYWIQ(配列番号19)を含むまたはそれからなる重鎖CDR1を含む。別の実施形態では、本明細書に記載される抗C5抗体は、以下のアミノ酸配列:EILPGSGTEYTENFKD(配列番号18)を含むまたはそれからなる重鎖CDR2を含む。
【0118】
別の実施形態では、抗体は、pH7.4および25℃で、0.1nM≦K≦1nMの範囲にある親和性解離定数(K)でヒトC5に結合する。別の実施形態では、抗体は、pH6.0および25℃で、K≧10nMでヒトC5に結合する。さらに別の実施形態では、抗体の[(pH6.0および25℃におけるヒトC5に対する抗体またはその抗原結合性断片のK)/(pH7.4および25℃におけるヒトC5に対する抗体またはその抗原結合性断片のK)]は、25よりも大きい。
【0119】
別の例示的な抗C5抗体は、米国特許第8,241,628号および同第8,883,158号に記載される7086抗体である。一実施形態では、抗体は、7086抗体の重鎖および軽鎖CDRまたは可変領域を含む(米国特許第8,241,628号および同第8,883,158号を参照のこと)。別の実施形態では、抗体またはその抗原結合性断片は、それぞれ配列番号21、22および23に示される配列を有する重鎖CDR1、CDR2およびCDR3ドメインならびにそれぞれ配列番号24、25および26に示される配列を有する軽鎖CDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含む。別の実施形態では、抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号27に示される配列を有する7086抗体のVH領域および配列番号28に示される配列を有する7086抗体のVL領域を含む。
【0120】
別の例示的な抗C5抗体は、これもまた米国特許第8,241,628号および同第8,883,158号に記載される8110抗体である。一実施形態では、抗体は、8110抗体の重鎖および軽鎖CDRまたは可変領域を含む。別の実施形態では、抗体またはその抗原結合性断片は、それぞれ配列番号29、30および31に示される配列を有する重鎖CDR1、CDR2およびCDR3ドメインならびにそれぞれ配列番号32、33および34に示される配列を有する軽鎖CDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含む。別の実施形態では、抗体は、配列番号35に示される配列を有する8110抗体のVH領域および配列番号36に示される配列を有する8110抗体のVL領域を含む。
【0121】
別の例示的な抗C5抗体は、US2016/0176954A1に記載される305LO5抗体である。一実施形態では、抗体は、305LO5抗体の重鎖および軽鎖CDRまたは可変領域を含む。別の実施形態では、抗体またはその抗原結合性断片は、それぞれ配列番号37、38および39に示される配列を有する重鎖CDR1、CDR2およびCDR3ドメインならびにそれぞれ配列番号40、41および42に示される配列を有する軽鎖CDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含む。別の実施形態では、抗体は、配列番号43に示される配列を有する305LO5抗体のVH領域および配列番号44に示される配列を有する305LO5抗体のVL領域を含む。
【0122】
別の例示的な抗C5抗体は、Fukuzawa T., et al., Rep. 2017 Apr 24;7(1):1080に記載されるSKY59抗体である。一実施形態では、抗体は、SKY59抗体の重鎖および軽鎖CDRまたは可変領域を含む。別の実施形態では、抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号45を含む重鎖および配列番号46を含む軽鎖を含む。
【0123】
別の例示的な抗C5抗体は、US20170355757に記載されるREGN3918抗体(H4H12166PPとしても公知)である。一実施形態では、抗体は、配列番号47を含む重鎖可変領域および配列番号48を含む軽鎖可変領域を含む。別の実施形態では、抗体は、配列番号49を含む重鎖および配列番号50を含む軽鎖を含む。
【0124】
別の実施形態では、抗体は、上述の抗体(例えば、エクリズマブ、ラブリズマブ、7086抗体、8110抗体、305LO5抗体、SKY59抗体またはREGN3918抗体)と、C5上の同じエピトープとの結合について競合するおよび/またはC5上の同じエピトープに結合する。別の実施形態では、抗体は、上述の抗体と、少なくとも約90%の可変領域アミノ酸配列同一性(例えば、少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の可変領域同一性)を有する。
【0125】
本明細書に記載される抗C5抗体は、一部の実施形態では、バリアントヒトFc定常領域が由来したネイティブヒトFc定常領域の親和性よりも高い親和性でヒト新生児型Fc受容体(FcRn)に結合するバリアントヒトFc定常領域を含み得る。例えば、Fc定常領域は、バリアントヒトFc定常領域が由来したネイティブヒトFc定常領域と比べて、1つまたは複数の(例えば、2、3、4、5、6、7もしくは8つまたはそれよりも多くの)アミノ酸置換を含み得る。置換は、相互作用のpH依存性を維持しつつ、pH6.0における、FcRnに対する、バリアントFc定常領域を含有するIgG抗体の結合親和性を増加させ得る。抗体のFc定常領域中の1つまたは複数の置換が、(相互作用のpH依存性を維持しつつ)pH6.0においてFcRnに対するFc定常領域の親和性を増加させるかどうかを試験するための方法は、当該技術分野で公知であり、実施例に例示されている。例えば、PCT/US2015/019225および米国特許第9,079,949号を参照のこと。これらの各々の開示は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0126】
FcRnに対する抗体Fc定常領域の結合親和性を増強する置換は、当該技術分野で公知であり、これには、例えば、(1)Dall'Acqua et al. (2006) J Biol Chem 281: 23514-23524によって記載されるM252Y/S254T/T256E三重置換;(2)Hinton et al. (2004) J Biol Chem 279:6213-6216およびHinton et al. (2006) J Immunol 176:346-356に記載されるM428LまたはT250Q/M428L置換;ならびに(3)Petkova et al. (2006) Int Immunol 18(12):1759-69に記載されるN434AまたはT307/E380A/N434A置換が含まれる。さらなる置換対合:P257I/Q311I、P257I/N434HおよびD376V/N434Hが、例えば、Datta-Mannan et al. (2007) J Biol Chem 282(3):1709-1717に記載されており、その開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0127】
一部の実施形態では、バリアント定常領域は、EUアミノ酸残基255においてバリンへの置換を有する。一部の実施形態では、バリアント定常領域は、EUアミノ酸残基309においてアスパラギンへの置換を有する。一部の実施形態では、バリアント定常領域は、EUアミノ酸残基312においてイソロイシンへの置換を有する。一部の実施形態では、バリアント定常領域は、EUアミノ酸残基386において置換を有する。
【0128】
一部の実施形態では、バリアントFc定常領域は、それが由来したネイティブ定常領域と比べて、30以下(例えば、29、28、27、26、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3または2以下)のアミノ酸置換、挿入または欠失を含む。一部の実施形態では、バリアントFc定常領域は、M252Y、S254T、T256E、N434S、M428L、V259I、T250IおよびV308Fからなる群より選択される1つまたは複数のアミノ酸置換を含む。一部の実施形態では、バリアントヒトFc定常領域は、各々EU番号付けで、428位におけるメチオニンおよび434位におけるアスパラギンを含む。一部の実施形態では、バリアントFc定常領域は、例えば、米国特許第8.088,376号に記載される428L/434S二重置換を含む。
【0129】
一部の実施形態では、これらの変異の正確な場所は、抗体操作に起因して、ネイティブヒトFc定常領域の位置からシフトされ得る。例えば、428L/434S二重置換は、IgG2/4キメラFcにおいて使用される場合、米国特許第9,079,949号に記載されるBNJ441(ラブリズマブ)において見出されるM429LおよびN435Sバリアントのように、429Lおよび435Sに対応し得、その開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0130】
一部の実施形態では、バリアント定常領域は、ネイティブヒトFc定常領域と比べて、アミノ酸237、238、239、248、250、252、254、255、256、257、258、265、270、286、289、297、298、303、305、307、308、309、311、312、314、315、317、325、332、334、360、376、380、382、384、385、386、387、389、424、428、433、434または436位(EU番号付け)において置換を含む。一部の実施形態では、置換は、全てEU番号付けで、237位におけるグリシンからメチオニンへ;238位におけるプロリンからアラニンへ;239位におけるセリンからリシンへ;248位におけるリシンからイソロイシンへ;250位におけるスレオニンからアラニン、フェニルアラニン、イソロイシン、メチオニン、グルタミン、セリン、バリン、トリプトファンまたはチロシンへ;252位におけるメチオニンからフェニルアラニン、トリプトファンまたはチロシンへ;254位におけるセリンからスレオニンへ;255位におけるアルギニンからグルタミン酸へ;256位におけるスレオニンからアスパラギン酸、グルタミン酸またはグルタミンへ;257位におけるプロリンからアラニン、グリシン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、アスパラギン、セリン、スレオニンまたはバリンへ;258位におけるグルタミン酸からヒスチジンへ;265位におけるアスパラギン酸からアラニンへ;270位におけるアスパラギン酸からフェニルアラニンへ;286位におけるアスパラギンからアラニンまたはグルタミン酸へ;289位におけるスレオニンからヒスチジンへ;297位におけるアスパラギンからアラニンへ;298位におけるセリンからグリシンへ;303位におけるバリンからアラニンへ;305位におけるバリンからアラニンへ;307位におけるスレオニンからアラニン、アスパラギン酸、フェニルアラニン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、リシン、ロイシン、メチオニン、アスパラギン、プロリン、グルタミン、アルギニン、セリン、バリン、トリプトファンまたはチロシンへ;308位におけるバリンからアラニン、フェニルアラニン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、プロリン、グルタミンまたはスレオニンへ;309位におけるロイシンまたはバリンからアラニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、プロリンまたはアルギニンへ;311位におけるグルタミンからアラニン、ヒスチジンまたはイソロイシンへ;312位におけるアスパラギン酸からアラニンまたはヒスチジンへ;314位におけるロイシンからリシンまたはアルギニンへ;315位におけるアスパラギンからアラニンまたはヒスチジンへ;317位におけるリシンからアラニンへ;325位におけるアスパラギンからグリシンへ;332位におけるイソロイシンからバリンへ;334位におけるリシンからロイシンへ;360位におけるリシンからヒスチジンへ;376位におけるアスパラギン酸からアラニンへ;380位におけるグルタミン酸からアラニンへ;382位におけるグルタミン酸からアラニンへ;384位におけるアスパラギンまたはセリンからアラニンへ;385位におけるグリシンからアスパラギン酸またはヒスチジンへ;386位におけるグルタミンからプロリンへ;387位におけるプロリンからグルタミン酸へ;389位におけるアスパラギンからアラニンまたはセリンへ;424位におけるセリンからアラニンへ;428位におけるメチオニンからアラニン、アスパラギン酸、フェニルアラニン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、リシン、ロイシン、アスパラギン、プロリン、グルタミン、セリン、スレオニン、バリン、トリプトファンまたはチロシンへ;433位におけるヒスチジンからリシンへ;434位におけるアスパラギンからアラニン、フェニルアラニン、ヒスチジン、セリン、トリプトファンまたはチロシンへ;および436位におけるチロシンまたはフェニルアラニンからヒスチジンへからなる群より選択される。
【0131】
本明細書に記載される方法における使用に適切な抗C5抗体は、一部の実施形態では、配列番号14に示されるアミノ酸配列を含む重鎖ポリペプチドおよび/または配列番号11に示されるアミノ酸配列を含む軽鎖ポリペプチドを含む。あるいは、本明細書に記載される方法における使用のための抗C5抗体は、一部の実施形態では、配列番号20に示されるアミノ酸配列を含む重鎖ポリペプチドおよび/または配列番号11に示されるアミノ酸配列を含む軽鎖ポリペプチドを含む。
【0132】
一実施形態では、抗体は、pH7.4および25℃で(およびさもなければ、生理的条件下で)、少なくとも0.1(例えば、少なくとも0.15、0.175、0.2、0.25、0.275、0.3、0.325、0.35、0.375、0.4、0.425、0.45、0.475、0.5、0.525、0.55、0.575、0.6、0.625、0.65、0.675、0.7、0.725、0.75、0.775、0.8、0.825、0.85、0.875、0.9、0.925、0.95または0.975)nMである親和性解離定数(K)でC5に結合する。一部の実施形態では、抗C5抗体またはその抗原結合性断片のKは、1以下(例えば、0.9、0.8、0.7、0.6、0.5、0.4、0.3または0.2以下)のnMである。
【0133】
他の実施形態では、[(pH6.0で25℃におけるC5に対する抗体のK)/(pH7.4で25℃におけるC5に対する抗体のK)]は、21よりも大きい(例えば、22、23、24、25、26、27、28、29、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300、350、400、450、500、600、700、800、900、1000、1500、2000、2500、3000、3500、4000、4500、5000、5500、6000、6500、7000、7500または8000よりも大きい)。
【0134】
抗体がタンパク質抗原に結合するかどうか、および/またはタンパク質抗原に対する抗体の親和性を決定するための方法は、当該技術分野で公知である。例えば、タンパク質抗原への抗体の結合は、これらに限定されないが、ウエスタンブロット、ドットブロット、表面プラズモン共鳴(SPR)法(例えば、BIAcore system;Pharmacia Biosensor AB、Uppsala、SwedenおよびPiscataway、N.J.)または酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)などの種々の技術を使用して、検出および/または定量され得る。例えば、Benny K. C. Lo (2004) "Antibody Engineering: Methods and Protocols," Humana Press (ISBN: 1588290921);Johne et al. (1993) J Immunol Meth 160:191-198;Jonsson et al. (1993) Ann Biol Clin 51:19-26;およびJonsson et al. (1991) Biotechniques 11:620-627を参照のこと。さらに、親和性(例えば、解離および会合定数)を測定するための方法は、実施例に示される。
【0135】
本明細書で使用される場合、用語「k」は、抗原への抗体の会合についての速度定数を指す。用語「k」は、抗体/抗原複合体からの抗体の解離についての速度定数を指す。そして、用語「K」は、抗体−抗原相互作用の平衡解離定数を指す。平衡解離定数は、動態速度定数の比K=k/kから推測される。かかる決定は、好ましくは、25℃または37℃において測定される(実施例を参照のこと)。例えば、ヒトC5への抗体結合の動態は、抗体を固定化するための抗Fc捕捉法を使用して、BIAcore 3000機器での表面プラズモン共鳴(SPR)を介して、pH8.0、7.4、7.0、6.5および6.0において決定され得る。
【0136】
一実施形態では、抗C5抗体またはその抗原結合性断片は、C5タンパク質(例えば、ヒトC5タンパク質)のC5aおよび/またはC5b活性断片の生成または活性を遮断する。この遮断効果を介して、抗体は、例えば、C5aの炎症促進効果および細胞の表面におけるC5b−9膜侵襲複合体(MAC)の生成を阻害する。
【0137】
本明細書に記載される特定の抗体がC5切断を阻害するかどうかを決定するための方法は、当該技術分野で公知である。ヒト補体成分C5の阻害は、対象の体液中の補体の細胞溶解能を低減させることができる。体液中に存在する補体の細胞溶解能のかかる低減は、当該技術分野で周知の方法によって、例えば、従来の溶血アッセイ、例えば、Kabat and Mayer (eds.), "Experimental Immunochemistry, 2nd Edition," 135-240, Springfield, IL, CC Thomas (1961), pages 135-139によって記載される溶血アッセイ、またはそのアッセイの従来の変形形態、例えば、Hillmen et al. (2004) N Engl J Med 350(6):552などに記載されるニワトリ赤血球溶血法などによって、測定され得る。候補化合物が、形態C5aおよびC5bへのヒトC5の切断を阻害するかどうかを決定するための方法は、当該技術分野で公知であり、Evans et al. (1995) Mol Immunol 32(16):1183-95に記載されている。例えば、体液中のC5aおよびC5bの濃度および/または生理活性は、当該技術分野で周知の方法によって測定され得る。C5bについて、本明細書で議論される溶血アッセイまたは可溶性C5b−9についてのアッセイが使用され得る。当該技術分野で公知の他のアッセイもまた使用され得る。これらまたは他の適切な型のアッセイを使用して、ヒト補体成分C5を阻害することが可能な候補薬剤がスクリーニングされ得る。
【0138】
これに限定されないが、ELISAなどの免疫学的技術が、生物学的に活性な生成物へのC5の変換を阻害する抗C5抗体またはその抗原結合性断片の能力を決定するために、C5および/またはその開裂生成物のタンパク質濃度を測定するために使用され得る。一部の実施形態では、C5a生成が測定される。一部の実施形態では、C5b−9ネオエピトープ特異的抗体が、終末補体の形成を検出するために使用される。
【0139】
溶血アッセイは、補体活性化に対する抗C5抗体またはその抗原結合性断片の阻害活性を決定するために使用され得る。血清試験溶液におけるin vitroの古典的補体経路媒介性溶血に対する抗C5抗体またはその抗原結合性断片の効果を決定するために、例えば、溶血素でコーティングされたヒツジ赤血球または抗ニワトリ赤血球抗体で感作されたニワトリ赤血球が、標的細胞として使用される。溶解のパーセンテージは、阻害剤の非存在下で生じる溶解と等しい溶解を100%とみなすことによって正規化される。一部の実施形態では、古典的補体経路は、例えば、Wieslab(登録商標)Classical Pathway Complement Kit(Wieslab(登録商標)COMPL CP310、Euro−Diagnostica、Sweden)において利用されるようなヒトIgM抗体によって活性化される。簡潔に述べると、試験血清は、ヒトIgM抗体の存在下で、抗C5抗体またはその抗原結合性断片と共にインキュベートされる。生成されるC5b−9の量は、混合物を、酵素コンジュゲートした抗C5b−9抗体および蛍光原基質と接触させ、適切な波長における吸光度を測定することによって、測定される。対照として、試験血清は、抗C5抗体またはその抗原結合性断片の非存在下でインキュベートされる。一部の実施形態では、試験血清は、C5ポリペプチドで再構成されたC5欠損血清である。
【0140】
代替経路媒介性溶血に対する抗C5抗体またはその抗原結合性断片の効果を決定するために、未感作のウサギまたはモルモット赤血球が、標的細胞として使用され得る。一部の実施形態では、血清試験溶液は、C5ポリペプチドで再構成されたC5欠損血清である。溶解のパーセンテージは、阻害剤の非存在下で生じる溶解と等しい溶解を100%とみなすことによって正規化される。一部の実施形態では、代替補体経路は、例えば、Wieslab(登録商標)Alternative Pathway Complement Kit(Wieslab(登録商標)COMPL AP330、Euro−Diagnostica、Sweden)において利用されるようなリポポリサッカリド分子によって活性化される。簡潔に述べると、試験血清は、リポポリサッカリドの存在下で、抗C5抗体またはその抗原結合性断片と共にインキュベートされる。生成されるC5b−9の量は、混合物を、酵素コンジュゲートした抗C5b−9抗体および蛍光原基質と接触させ、適切な波長における蛍光を測定することによって、測定される。対照として、試験血清は、抗C5抗体またはその抗原結合性断片の非存在下でインキュベートされる。
【0141】
一部の実施形態では、C5活性またはその阻害は、CH50eqアッセイを使用して定量される。CH50eqアッセイは、血清中の総古典的補体活性を測定するための方法である。この試験は、50%溶解を得るために必要な量(CH50)を決定するために、古典的補体経路の活性化因子として、抗体感作された赤血球を使用し、試験血清の種々の希釈を使用する溶解アッセイである。パーセント溶血は、例えば、分光光度計を使用して決定され得る。CH50eqアッセイは、終末補体複合体(TCC)形成の間接的尺度を提供するが、それは、TCC自体が、測定される溶血を直接担うからである。
【0142】
アッセイは周知であり、当業者によって一般に実施される。簡潔に述べると、古典的補体経路を活性化するために、未希釈の血清試料(例えば、再構成されたヒト血清試料)が、抗体感作された赤血球を含有するマイクロアッセイウェルに添加され、それによって、TCCが生成される。次に、活性化された血清は、捕捉試薬(例えば、TCCの1つまたは複数の成分に結合する抗体)でコーティングされたマイクロアッセイウェル中で希釈される。活性化された試料中に存在するTCCは、マイクロアッセイウェルの表面をコーティングするモノクローナル抗体に結合する。ウェルは洗浄され、各ウェルに、検出可能に標識された、結合したTCCを認識する検出試薬が添加される。検出可能な標識は、例えば、蛍光標識または酵素標識であり得る。アッセイ結果は、1ミリリットル当たりのCH50単位当量(CH50 U Eq/mL)で表される。
【0143】
阻害は、例えば、終末補体活性に関する場合、類似の条件下および等モル濃度における対照抗体(またはその抗原結合性断片)の効果と比較した、例えば、溶血アッセイまたはCH50eqアッセイにおける、終末補体の活性における少なくとも5(例えば、少なくとも6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55または60)%の減少を含む。実質的な阻害は、本明細書で使用される場合、少なくとも40(例えば、少なくとも45、50、55、60、65、70、75、80、85、90もしくは95またはそれより高い)%の、所与の活性(例えば、終末補体活性)の阻害を指す。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗C5抗体は、エクリズマブのCDR(すなわち、配列番号1〜6)と比べて1つまたは複数のアミノ酸置換を含有するが、溶血アッセイまたはCH50eqアッセイにおいて、エクリズマブの補体阻害活性の少なくとも30(例えば、少なくとも31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、55、60、65、70、75、80、85、90または95)%を依然として保持する。
【0144】
本明細書に記載される抗C5抗体は、少なくとも20(例えば、少なくとも21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54または55)日である、ヒトにおける血清半減期を有する。別の実施形態では、本明細書に記載される抗C5抗体は、少なくとも40日であるヒトにおける血清半減期を有する。別の実施形態では、本明細書に記載される抗C5抗体は、およそ43日であるヒトにおける血清半減期を有する。別の実施形態では、本明細書に記載される抗C5抗体は、39〜48日の間であるヒトにおける血清半減期を有する。抗体の血清半減期を測定するための方法は、当該技術分野で公知である。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗C5抗体またはその抗原結合性断片は、例えば、実施例に記載されるマウスモデル系の1つ(例えば、C5欠損/NOD/scidマウスまたはhFcRnトランスジェニックマウスモデル系)において測定した場合、エクリズマブの血清半減期よりも、少なくとも20(例えば、少なくとも30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、125、150、175、200、250、300、400、500)%長い血清半減期を有する。
【0145】
一実施形態では、抗体は、本明細書に記載される抗体と、C5上の同じエピトープとの結合について競合するおよび/またはC5上の同じエピトープに結合する。2つまたはそれよりも多くの抗体に言及して、「同じエピトープに結合する」という用語は、抗体が、所与の方法によって決定した場合に、アミノ酸残基の同じセグメントに結合することを意味する。抗体が、本明細書に記載される抗体と、「C5上の同じエピトープ」に結合するかどうかを決定するための技術には、例えば、エピトープマッピング法、例えば、エピトープの原子分解能を提供する抗原:抗体複合体の結晶のx線分析、および水素/重水素交換質量分析(HDX−MS)が含まれる。他の方法が、ペプチド抗原断片または変異した変形形態の抗原への抗体の結合をモニタリングし、このとき、抗原配列内のアミノ酸残基の改変に起因する結合の喪失は、エピトープ構成成分の指標とみなされる場合が多い。さらに、エピトープマッピングのためのコンビナトリアル計算法もまた使用され得る。これらの方法は、特定の短いペプチドをコンビナトリアルファージディスプレイペプチドライブラリーから親和性単離する、目的の抗体の能力に依存する。同じVHおよびVLまたは同じCDR1、2および3配列を有する抗体は、同じエピトープに結合すると予測される。
【0146】
「標的への結合について別の抗体と競合する」抗体は、標的への他の抗体の結合を(部分的または完全に)阻害する抗体を指す。2つの抗体が標的への結合について互いに競合するかどうか、すなわち、一方の抗体が標的への他方の抗体の結合を阻害するかどうかおよびどの程度まで阻害するかは、公知の競合実験を使用して決定され得る。ある特定の実施形態では、抗体は、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%もしくは100%、標的への結合について別の抗体と競合し、標的への別の抗体の結合を阻害する。阻害または競合のレベルは、どちらの抗体が「遮断性抗体」(すなわち、標的と最初にインキュベートされるコールドな(cold)抗体)であるかに依存して異なり得る。競合する抗体は、(例えば、立体障害によって明らかなように)同じエピトープ、重複するエピトープまたは隣接エピトープに結合する。
【0147】
本明細書に記載される方法において使用される、本明細書に記載される抗C5抗体またはその抗原結合性断片は、種々の当該技術分野で認識された技術を使用して生成され得る。モノクローナル抗体は、当業者に知られた種々の技術によって得られ得る。簡潔に述べると、所望の抗原で免疫化された動物由来の脾臓細胞は、一般的には骨髄腫細胞との融合によって、不死化される(Kohler & Milstein, Eur. J. Immunol. 6: 511-519 (1976)を参照のこと)。不死化の代替的方法には、エプスタイン・バーウイルス、癌遺伝子もしくはレトロウイルスによる形質転換、または当該技術分野で周知の他の方法が含まれる。単一の不死化細胞から生じるコロニーは、抗原に対する所望の特異性および親和性を有する抗体の産生についてスクリーニングされ、かかる細胞によって産生されたモノクローナル抗体の収量は、脊椎動物宿主の腹腔中への注射を含む種々の技術によって増強され得る。あるいは、Huse, et al., Science 246: 1275-1281 (1989)によって概説された一般的なプロトコールに従って、ヒトB細胞由来のDNAライブラリーをスクリーニングすることによって、モノクローナル抗体またはその結合性断片をコードするDNA配列を単離し得る。
【0148】
II.組成物
また、抗C5抗体またはその抗原結合性断片を含む組成物が、本明細書で提供される。一実施形態では、組成物は、配列番号12に示される配列を有する重鎖可変領域中のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインならびに配列番号8に示される配列を有する軽鎖可変領域中のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含む抗C5抗体を含む。別の実施形態では、抗C5抗体は、それぞれ配列番号14および11に示される配列を有する重鎖および軽鎖を含む。別の実施形態では、抗C5抗体は、それぞれ配列番号20および11に示される配列を有する重鎖および軽鎖を含む。
【0149】
組成物は、例えば、補体関連障害、例えば、PNHまたはaHUSの処置または予防のための対象への投与のために、薬学的溶液として製剤化され得る。医薬組成物は一般に、薬学的に許容される担体を含む。本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される担体」は、生理学的に適合性である、任意のおよび全ての溶媒、分散媒、コーティング、抗細菌剤および抗真菌剤、等張剤および吸収遅延剤などを指し、これらを含む。組成物は、薬学的に許容される塩、例えば、酸付加塩もしくは塩基付加塩、糖、炭水化物、ポリオールおよび/または張度改変剤を含み得る。
【0150】
組成物は、標準的な方法に従って製剤化され得る。薬学的製剤化は、十分確立された技術分野であり、例えば、Gennaro (2000) "Remington: The Science and Practice of Pharmacy," 20th Edition, Lippincott, Williams & Wilkins (ISBN: 0683306472);Ansel et al. (1999) "Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems," 7th Edition, Lippincott Williams & Wilkins Publishers (ISBN: 0683305727);およびKibbe (2000) "Handbook of Pharmaceutical Excipients American Pharmaceutical Association," 3rd Edition (ISBN: 091733096X)にさらに記載されている。一部の実施形態では、組成物は、例えば、適切な濃度の、2〜8℃(例えば、4℃)における貯蔵に適切な緩衝溶液として、製剤化され得る。一部の実施形態では、組成物は、0℃未満の温度(例えば、−20℃または−80℃)における貯蔵のために製剤化され得る。一部の実施形態では、組成物は、2〜8℃(例えば、4℃)における最長2年間(例えば、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、10ヶ月、11ヶ月、1年、1年半または2年)の貯蔵のために製剤化され得る。従って、一部の実施形態では、本明細書に記載される組成物は、2〜8℃(例えば、4℃)における少なくとも1年間の貯蔵において安定である。
【0151】
医薬組成物は、種々の形態であり得る。これらの形態には、例えば、液体、半固体および固体の剤形、例えば、液体液剤(例えば、注射可能なおよび注入可能な液剤)、分散剤または懸濁剤、錠剤、丸剤、散剤、リポソームおよび坐剤が含まれる。好ましい形態は、投与の意図した様式および治療適用に一部依存する。例えば、全身または局所送達のために意図された組成物を含有する組成物は、注射可能なまたは注入可能な溶液の形態であり得る。従って、組成物は、非経口様式(例えば、静脈内、皮下、腹腔内または筋肉内注射)による投与のために製剤化され得る。「非経口投与」、「非経口投与される」および他の文法的に等価な語句は、本明細書で使用される場合、経腸および外用投与以外の、通常は注射による投与の様式を指し、これには、限定なしに、静脈内、鼻腔内、眼内、肺、筋肉内、動脈内、髄腔内、嚢内、眼窩内、心臓内、皮内、肺内、腹腔内、経気管、皮下、表皮下、関節内、被膜下、くも膜下、脊髄内、硬膜外、脳内、頭蓋内、頸動脈内および胸骨内の注射および注入が含まれる。
【0152】
一実施形態では、組成物は、注射のためのALXN1210(Ultomiris(商標)、抗体BNJ441またはラブリズマブとしても公知)を含む。一実施形態では、注射は、静脈内使用のための、無菌の、透明から半透明の、わずかに白っぽい色の、防腐剤なしの溶液である。別の実施形態では、各単一用量バイアルは、7.0のpHで10mg/mLの濃度の、注射のための300mgのALXN1210を含有する。別の実施形態では、注射のためのALXN1210は、5mg/mLの最終濃度への希釈を必要とする。別の実施形態では、各1mLは、ポリソルベート80(0.2mg)(植物起源)、塩化ナトリウム(8.77mg)、リン酸一水素ナトリウム(1.78mg)、リン酸二水素ナトリウム(0.46mg)、および注射用蒸留水をさらに含む。
【0153】
III.処置の方法
ヒト患者においてPNHまたはaHUSを処置するための方法であって、患者に、抗C5抗体またはその抗原結合性断片を投与するステップを含み、抗C5抗体またはその抗原結合性断片が、特定の臨床的投薬量レジメンに従って(すなわち、特定の用量で、具体的な投薬スケジュールに従って)投与される(または投与のためのものである)、方法が、本明細書で提供される。
【0154】
本明細書で使用される場合、用語「誘導」および「誘導期」は、相互交換可能に使用され、臨床試験における処置の第1期を指す。
【0155】
本明細書で使用される場合、用語「維持」および「維持期」は、相互交換可能に使用され、臨床試験における処置の第2期を指す。ある特定の実施形態では、処置は、臨床的利益が観察される限り、または管理不能な毒性もしくは疾患進行が生じるまで、継続される。
【0156】
本明細書で使用される場合、用語「対象」または「患者」は、ヒト患者(例えば、補体関連状態、例えば、PNHまたはaHUSを有する患者)である。
【0157】
一実施形態では、補体関連状態は、発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)である。PNHは、成人において最も頻繁に生じる後天性溶血性障害である(Brodsky RA., Blood. 2015;126:2459-65)。疾患は、PIGA遺伝子中の体細胞変異を獲得した造血幹細胞のクローン性の拡大で始まる(Brodsky RA., Blood. 2014;124:2804-1)。結果的に、PNH血液細胞は、グリコホスファチジルイノシトール(GPI)アンカータンパク質を欠き、膜結合型補体阻害性タンパク質CD55およびCD59が欠損している。CD55の非存在下では、血液細胞膜表面上の補体タンパク質C3切断生成物の沈着の増加が存在し、これは次に、C5aおよびC5bへのC5の切断をもたらす。PNHを有する患者における病理および臨床像は、制御されない終末補体活性化によって駆動される。
【0158】
C5aは、複数の炎症促進性および血栓形成促進性活性を媒介する、強力なアナフィラトキシン、走化性因子、そして細胞活性化分子である(Matis LA, et al., Nat. Med. 1995;1:839-42;Prodinger et al., Complement. In: Paul WE, editor. Fundamental immunology (4th ed). Philadelphia: Lippincott-Raven Publishers; 1999. p. 967-95)。C5bは、終末補体成分C6、C7、C8およびC9を動員して、炎症促進性血栓形成促進性細胞溶解性ポア分子C5b−9を形成するが、これは、正常な状況下ではCD59によって赤血球(RBC)膜上で遮断されるプロセスである。しかし、PNHを有する患者では、これらの最終ステップは、チェックなしで進行し、溶血および遊離ヘモグロビンの放出、ならびに血小板活性化に至る(Hill, et al., Blood 2013; 121:4985-96)。PNHの徴候および症状は、溶血の直接的な結果としての、循環中への細胞内遊離ヘモグロビンおよび乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)の放出、ヘモグロビンによる一酸化窒素(NO)への不可逆的結合およびその不活性化、ならびに血管拡張性NOの非存在に起因するNO合成、血管収縮および組織床虚血の阻害、ならびに腹部疼痛、嚥下障害および勃起機能不全として顕在化する可能な微小血栓、血小板活性化、ならびに/または炎症促進性および血栓形成促進性状態を、一緒になって生じる、慢性の制御されない補体C5切断、ならびにC5aの放出およびRBC溶血をもたらすC5b−9に帰せられ得る(Hill, et al., Blood 2013; 121:4985-96;Brodsky RA., Blood. 2014;124:2804-1)。PNHを有する患者の実質的な割合が、腎機能不全および肺高血圧症を経験する(Hillmen, et al., Am J Hematol.2010;85:553-9. [Am J Hematol. 2010;85:911.の正誤表];Hill, et al., Br. J Haematol. 2012;158:409-14.;Hill, et al., Blood 2013; 121:4985-96)。患者は、腹部または中枢神経系を含む多様な部位における静脈または動脈血栓症もまた経験する(Brodsky RA., Blood. 2014;124:2804-1)。
【0159】
別の実施形態では、補体関連状態は、非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)である。aHUSを有する患者の病理および臨床像もまた、終末補体活性化によって駆動される。より具体的には、C5の活性化および補体活性化の調節不全は、内皮損傷、血小板消費、ならびに血小板減少症、機械的血管内溶血および腎臓傷害によって特徴付けられる血栓性微小血管障害(TMA)事象をもたらす。重要なことに、患者のおよそ20%は、中枢神経系、心、胃腸、遠位四肢および重症全身臓器障害を含む、疾患の腎外症状発現も同様に経験する(Loirat, et al., Orphanet. J. Rare Dis. 2011;6:60)。aHUSの症状は、希少疾患または腎臓疾患医療の技術分野の当業者に周知であり、これには、例えば、重症高血圧症、タンパク尿症、尿毒症、嗜眠/疲労、易刺激性、血小板減少症、細血管異常性溶血性貧血および腎機能障害(例えば、急性腎不全)が含まれる。
【0160】
aHUSは、遺伝性、後天性または特発性であり得る。aHUSは、同じ家族の2人もしくはそれよりも多くの(例えば、3、4、5もしくは6人またはそれよりも多くの)成員が、少なくとも6ヶ月離れて疾患に罹患し、かつ共通の誘発剤への曝露が排除されている場合、または1つもしくは複数のaHUS関連遺伝子変異(例えば、CFH、MCP/CD46、CFBまたはCFIにおける1つまたは複数の変異)が対象において同定される場合、遺伝性とみなされ得る。例えば、対象は、CFH関連aHUS、CFB関連aHUS、CFI関連aHUSまたはMCP関連aHUSを有し得る。遺伝性aHUSの最大30%が、CFHにおける変異と、12%が、MCPにおける変異と、5〜10%が、CFIにおける変異と、2%未満が、CFBにおける変異と関連する。遺伝性aHUSは、多発性(multiplex)(すなわち、家族性;2人またはそれよりも多くの罹患した家族成員)または単発性(simplex)(すなわち、家族で単一の出現)であり得る。aHUSは、根底にある環境因子(例えば、薬物、全身疾患、または志賀様外毒素を結果としてもたらさないウイルスもしくは細菌性作用物質)またはトリガーが同定できる場合、後天性とみなされ得る。aHUSは、トリガー(遺伝性または環境性)が明らかでない場合、特発性とみなされ得る。
【0161】
ヒト対象が血小板減少症、細血管異常性溶血性貧血または急性腎機能不全症を有するかどうかを決定するために、実験室試験が実施され得る。血小板減少症は、医療従事者によって、(i)150,000/mm未満(例えば、60,000/mm未満)の血小板数;(ii)循環における血小板破壊の増強を反映して低減される、血小板生存時間における低減;ならびに(iii)血小板新生の二次的活性化と一致する、末梢スメアにおいて観察される巨大血小板の1つまたは複数として診断され得る。細血管異常性溶血性貧血は、医療従事者によって、(i)10mg/dL未満(例えば、6.5mg/dL未満)のヘモグロビン濃度;(ii)増加した血清乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)濃度(>460U/L);(iii)高ビリルビン血症、網赤血球増加症、循環遊離ヘモグロビン、および低いまたは検出不能なハプトグロビン濃度;ならびに(iv)陰性クームス試験と併せた、末梢スメアにおけるイカ状赤血球またはヘルメット細胞の典型的態様を有する断片化された赤血球(分裂赤血球)の検出の1つまたは複数として診断され得る。例えば、Kaplan et al. (1992) "Hemolytic Uremic Syndrome and Thrombotic Thrombocytopenic Purpura," Informa Health Care (ISBN 0824786637) およびZipfel (2005) "Complement and Kidney Disease," Springer (ISBN 3764371668)を参照のこと。C3およびC4の血中濃度もまた、補体活性化または調節不全の尺度として使用され得る。さらに、対象の状態は、CFI、CFB、CFHまたはMCPなどのaHUSと関連する遺伝子中に1つまたは複数の変異を有すると対象を同定することによって、さらに特徴付けられ得る(上記)。遺伝子中の変異を検出するために適切な方法には、例えば、DNA配列決定および核酸アレイ技術が含まれる。例えば、Breslin et al. (2006) Clin Am Soc Nephrol 1:88-99 およびGoicoechea de Jorge et al. (2007) Proc Natl Acad Sci USA 104:240-245を参照のこと。
【0162】
本明細書で使用される場合、「有効な処置」は、有益な効果、例えば、疾患または障害の少なくとも1つの症状の好転(amelioration)を生じる処置を指す。有益な効果は、ベースラインを超える改善、すなわち、方法に従う治療の開始前に行われた測定または観察を超える改善の形態をとり得る。例えば、PNHの状況では、有効な処置は、疲労、腹部疼痛、呼吸困難、嚥下障害、胸部疼痛および/または勃起機能不全からなる群より選択される1つまたは複数の症状の軽減を指し得る。例えば、aHUSの状況では、有効な処置は、重症高血圧症、タンパク尿症、尿毒症、嗜眠/疲労、易刺激性、血小板減少症、細血管異常性溶血性貧血および/または腎機能障害(例えば、急性腎不全)からなる群より選択される1つまたは複数の症状の軽減を指し得る。
【0163】
用語「有効量」は、所望の生物学的、治療的および/または予防的結果を提供する、薬剤の量を指す。その結果は、疾患の徴候、症状もしくは原因のうちの1つまたは複数の、低減、好転、緩和、低下、遅延および/または軽減、あるいは生物システムの任意の他の所望の変更であり得る。一例では、「有効量」は、PNHの少なくとも1つの症状(例えば、疲労、腹部疼痛、呼吸困難、嚥下障害、胸部疼痛または勃起機能不全)またはaHUSの少なくとも1つの症状(例えば、重症高血圧症、タンパク尿症、尿毒症、嗜眠/疲労、易刺激性、血小板減少症、細血管異常性溶血性貧血および腎機能障害(例えば、急性腎不全))を軽減することが臨床的に証明された、抗C5抗体またはその抗原結合性断片の量である。有効量は、1回または複数の投与で投与され得る。
【0164】
一実施形態では、抗C5抗体またはその抗原結合性断片の用量は、患者の体重に基づく。例えば、一実施形態では、2400mgまたは3000mgの抗C5抗体またはその抗原結合性断片が、≧40〜<60kgの体重の患者に投与される。別の実施形態では、2700mgまたは3300mgの抗C5抗体またはその抗原結合性断片が、≧60〜<100kgの体重の患者に投与される。別の実施形態では、3000mgまたは3600mgの抗C5抗体またはその抗原結合性断片が、≧100kgの体重の患者に投与される。ある特定の実施形態では、投薬量レジメンは、最適な所望の応答(例えば、有効な応答)を提供するために調整される。
【0165】
別の実施形態では、抗C5抗体またはその抗原結合性断片は、1回または複数の投与サイクルで投与される。一実施形態では、投与サイクルは、26週間である。一実施形態では、抗C5抗体またはその抗原結合性断片は、投与サイクルの1日目に1回、投与サイクルの15日目に1回、およびその後8週間毎に投与される。一実施形態では、抗C5抗体またはその抗原結合性断片は、投与サイクルの後に、最長2年間の延長期間、8週間毎に(例えば、3000mg、3300mgまたは3600mgの用量で)投与される。
【0166】
別の実施形態では、PNHまたはaHUSを有するヒト患者を処置する方法であって、投与サイクルの間に、患者に、有効量の、それぞれ配列番号19、18および3に示されるCDR1、CDR2およびCDR3重鎖配列ならびにそれぞれ配列番号4、5および6に示されるCDR1、CDR2およびCDR3軽鎖配列を含む抗C5抗体またはその抗原結合性断片を投与するステップを含み、抗C5抗体またはその抗原結合性断片が、
(a)投与サイクルの1日目に1回、≧40〜<60kgの体重の患者に対して2400mg、≧60〜<100kgの体重の患者に対して2700mg、または≧100kgの体重の患者に対して3000mgの用量で;
(b)投与サイクルの15日目、およびその後8週間毎に、≧40〜<60kgの体重の患者に対して3000mg、≧60〜<100kgの体重の患者に対して3300mg、または≧100kgの体重の患者に対して3600mgの用量で
投与される、方法が提供される。
【0167】
別の実施形態では、PNHまたはaHUSを有するヒト患者を処置する方法であって、投与サイクルの間に、患者に、有効量の、それぞれ配列番号19、18および3に示されるCDR1、CDR2およびCDR3重鎖配列、それぞれ配列番号4、5および6に示されるCDR1、CDR2およびCDR3軽鎖配列、ならびにヒト新生児型Fc受容体(FcRn)に結合するバリアントヒトFc定常領域を含む抗C5抗体またはその抗原結合性断片を投与するステップを含み、バリアントヒトFc CH3定常領域が、各々EU番号付けで、ネイティブヒトIgG Fc定常領域のメチオニン428およびアスパラギン434に対応する残基においてMet−429−LeuおよびAsn−435−Ser置換を含み、抗C5抗体またはその抗原結合性断片が、
(a)投与サイクルの1日目に1回、≧40〜<60kgの体重の患者に対して2400mg、≧60〜<100kgの体重の患者に対して2700mg、または≧100kgの体重の患者に対して3000mgの用量で;
(b)投与サイクルの15日目、およびその後8週間毎に、≧40〜<60kgの体重の患者に対して3000mg、≧60〜<100kgの体重の患者に対して3300mg、または≧100kgの体重の患者に対して3600mgの用量で
投与される、方法が提供される。
【0168】
別の実施形態では、抗C5抗体またはその抗原結合性断片は、≧40〜<60kgの体重の患者に、
(a)投与サイクルの1日目に1回、2400mgの用量で;
(b)投与サイクルの15日目、およびその後8週間毎に、3000mgの用量で
投与される。
【0169】
別の実施形態では、抗C5抗体またはその抗原結合性断片は、≧60〜<100kgの体重の患者に、
(a)投与サイクルの1日目に1回、2700mgの用量で;
(b)投与サイクルの15日目、およびその後8週間毎に、3300mgの用量で
投与される。
【0170】
別の実施形態では、抗C5抗体またはその抗原結合性断片は、≧100kgの体重の患者に、
(a)投与サイクルの1日目に1回、3000mgの用量で;
(b)投与サイクルの15日目、およびその後8週間毎に、3600mgの用量で
投与される。
【0171】
一部の実施形態では、患者は、補体阻害剤で以前に処置されたことがない(例えば、患者は、補体阻害剤処置未経験の患者である)。
【0172】
他の実施形態では、患者は、1つの抗C5抗体またはその抗原結合性断片で以前に処置されたことがあり、処置の過程の間に別の抗C5抗体に切り替えられる。例えば、ある特定の実施形態では、異なる抗C5抗体が、処置の過程の間に投与される。一実施形態では、異なる抗C5抗体は、別々の処置および延長期間の間に投与される。例えば、一実施形態では、患者は、処置期間の間(例えば、26週間)、エクリズマブで処置され、その後、例えば延長期間の間、別の抗C5抗体(例えば、ラブリズマブ、7086抗体、8110抗体、305LO5抗体、SKY59抗体またはREGN3918抗体)で処置される。別の実施形態では、エクリズマブは、誘導期の間、投与サイクルの1、8、15および22日目に600mgの用量で患者に投与され、その後、投与サイクルの19日目、およびその後2週間毎に(例えば、合計で26週間)、900mgの維持用量のエクリズマブが投与され、その後、最長2年間の延長期間、ラブリズマブによる処置が続く。別の実施形態では、患者は、ラブリズマブで(例えば、26週間)処置され、その後、例えば延長期間の間、別の抗C5抗体(例えば、エクリズマブ、7086抗体、8110抗体、305LO5抗体、SKY59抗体またはREGN3918抗体)で処置される。
【0173】
例示的な代替的抗C5抗体には、(i)ALXN1210、(ii)それぞれ配列番号21、22および23を含む重鎖CDR1、CDR2およびCDR3ドメインならびにそれぞれ配列番号24、25および26を含む軽鎖CDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含む抗体またはその抗原結合性断片、(iii)配列番号27を含む重鎖可変領域および配列番号28を含む軽鎖可変領域を含む抗体またはその抗原結合性断片、(iv)それぞれ配列番号29、30および31を含む重鎖CDR1、CDR2およびCDR3ドメインならびにそれぞれ配列番号32、33および34を含む軽鎖CDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含む抗体またはその抗原結合性断片、(v)配列番号35を含む重鎖可変領域および配列番号36を含む軽鎖可変領域を含む抗体またはその抗原結合性断片、(vi)それぞれ配列番号37、38および39を含む重鎖CDR1、CDR2およびCDR3ドメインならびにそれぞれ配列番号40、41および42を含む軽鎖CDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含む抗体またはその抗原結合性断片、(vii)配列番号43を含む重鎖可変領域および配列番号44を含む軽鎖可変領域を含む抗体またはその抗原結合性断片、(viii)配列番号45を含む重鎖および配列番号46を含む軽鎖を含む抗体またはその抗原結合性断片、(ix)配列番号47を含む重鎖可変領域および配列番号48を含む軽鎖可変領域を含む抗体またはその抗原結合性断片、ならびに(x)配列番号49を含む重鎖および配列番号50を含む軽鎖を含む抗体またはその抗原結合性断片が含まれるがこれらに限定されない。
【0174】
一部の実施形態では、患者は、別の抗C5抗体またはその抗原結合性断片(例えば、ラブリズマブ)に切り替える前に、少なくとも1ヶ月、少なくとも2ヶ月、少なくとも3ヶ月、少なくとも4ヶ月、少なくとも5ヶ月、少なくとも6ヶ月、少なくとも7ヶ月、少なくとも8ヶ月、少なくとも9ヶ月、少なくとも10ヶ月、少なくとも11ヶ月、少なくとも12ヶ月、少なくとも18ヶ月または少なくとも24ヶ月間、抗C5抗体またはその抗原結合性断片(例えば、エクリズマブ)で以前に処置されたことがある。特定の実施形態では、患者は、少なくとも6ヶ月間エクリズマブで以前に処置されたことがある。
【0175】
別の実施形態では、患者(例えば、PNHまたはaHUS患者)が、第1の抗C5抗体で処置され、次いで第2の異なる抗C5抗体による処置に切り替えられる場合、特に、第2の異なる抗C5抗体が、第1の抗C5抗体とは異なるC5上のエピトープに結合する場合、投与スケジュールは、第1の抗C5抗体の半減期を考慮する。例えば、第2の(異なる)抗C5抗体が投与される前に、第1の抗C5抗体が患者から除去される(例えば、「洗い流される」)ことを確実にするために(例えば、凝集、免疫複合体形成などと関連する問題を回避するために)、第1の抗C5抗体の半減期が考慮される。一実施形態では、第2の(異なる)抗C5抗体は、第1の抗C5抗体の最終投与の後に、第1の抗C5抗体の半減期の2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7または7.5倍に相当する期間が経過するまで、投与されない。
【0176】
別の実施形態では、患者は、エクリズマブで以前に処置されたことがあり、次いで、第2の(異なる)抗C5抗体(例えば、ラブリズマブ、7086抗体、8110抗体、305LO5抗体、SKY59抗体またはREGN3918抗体)による処置に切り替えられる。エクリズマブが最初に投与される抗体である一実施形態では、第2の(異なる)抗C5抗体は、エクリズマブの最終投与の後に、例えば、少なくとも36、45、54、63、72、81、90、99、108、117または126日が経過するまで投与されない。
【0177】
別の実施形態では、患者は、ラブリズマブで以前に処置されたことがあり、次いで、異なる抗C5抗体(例えば、エクリズマブ、7086抗体、8110抗体、305LO5抗体、SKY59抗体またはREGN3918抗体)による処置に切り替えられる。ラブリズマブが最初に投与される抗体である一実施形態では、第2の(異なる)抗C5抗体は、例えば、ラブリズマブの最終投与の後に、少なくとも100、125、150、175、200、225、250、275、300、325、375または400日が経過するまで投与されない。
【0178】
さらにまたはあるいは、第2の(異なる)抗C5抗体による処置に切り替える前に、第1の抗C5抗体を除去するまたはそのクリアランスを増強するための技術が使用される。例示的な技術には、血漿搬出または輸血が含まれるがこれらに限定されない。別の実施形態では、第1の抗C5抗体に対する抗体が、第2の(異なる)抗C5抗体が投与される前に、第1の抗C5抗体(例えば、抗エクリズマブ抗体、抗ラブリズマブ抗体、抗7086抗体、抗8110抗体、抗305LO5抗体、抗SKY59抗体または抗REGN3918抗体)を除去するまたはそのクリアランスを増強するために投与される。
【0179】
別の実施形態では、抗C5抗体またはその抗原結合性断片(例えば、ALXN1210)が患者に投与され、投与サイクルは、患者の最後の用量のエクリズマブの少なくとも約2週間、少なくとも約3週間、少なくとも約4週間、少なくとも約6週間、少なくとも約7週間または少なくとも約8週間後に開始する。別の実施形態では、抗C5抗体またはその抗原結合性断片(例えば、ALXN1210)が患者に投与され、投与サイクルは、患者の最後の用量のエクリズマブの少なくとも2週間後に開始する。
【0180】
一部の実施形態では、本明細書に記載される方法に従って処置される患者は、処置を開始する前3年以内に、または処置を開始する時点で、髄膜炎菌感染に対してワクチン接種されている。一実施形態では、髄膜炎菌ワクチンを受けた後2週間経たずに処置を受けた患者は、ワクチン接種の2週間後まで、適切な予防用抗生物質でも処置される。別の実施形態では、本明細書に記載される方法に従って処置される患者は、髄膜炎菌血清型A、C、Y、W135および/またはBに対してワクチン接種される。
【0181】
本明細書で使用される場合、用語「血清トラフレベル」は、薬剤(例えば、抗C5抗体またはその抗原結合性断片)または薬が血清中に存在する、最も低いレベルを指す。対照的に、「ピーク血清レベル」は、血清中の薬剤の最も高いレベルを指す。「平均血清レベル」は、経時的な血清中の薬剤の平均レベルを指す。
【0182】
一実施形態では、記載される処置レジメンは、抗C5抗体またはその抗原結合性断片の特定の血清トラフ濃度を維持するのに十分である。例えば、一実施形態では、処置は、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、200、205、210、215、220、225、230、240、245、250、255、260、265、270、280、290、300、305、310、315、320、325、330、335、340、345、350、355、360、365、370、375、380、385、390、395もしくは400μg/mlまたはそれよりも高い抗C5抗体またはその抗原結合性断片の血清トラフ濃度を維持する。一実施形態では、処置は、100μg/mlまたはそれよりも高い抗C5抗体またはその抗原結合性断片の血清トラフ濃度を維持する。別の実施形態では、処置は、150μg/mlまたはそれよりも高い抗C5抗体またはその抗原結合性断片の血清トラフ濃度を維持する。別の実施形態では、処置は、200μg/mlまたはそれよりも高い抗C5抗体またはその抗原結合性断片の血清トラフ濃度を維持する。別の実施形態では、処置は、250μg/mlまたはそれよりも高い抗C5抗体またはその抗原結合性断片の血清トラフ濃度を維持する。別の実施形態では、処置は、300μg/mlまたはそれよりも高い抗C5抗体またはその抗原結合性断片の血清トラフ濃度を維持する。別の実施形態では、処置は、100μg/ml〜200μg/mlの間の抗C5抗体またはその抗原結合性断片の血清トラフ濃度を維持する。別の実施形態では、処置は、約175μg/mlの抗C5抗体またはその抗原結合性断片の血清トラフ濃度を維持する。
【0183】
別の実施形態では、有効な応答を得るために、抗C5抗体は、患者の血液1ミリリットル当たり少なくとも50μg、55μg、60μg、65μg、70μg、75μg、80μg、85μg、90μg、95μg、100μg、105μg、110μg、115μg、120μg、125μg、130μg、135μg、140μg、145μg、150μg、155μg、160μg、165μg、170μg、175μg、180μg、185μg、190μg、195μg、200μg、205μg、210μg、215μg、220μg、225μg、230μg、235μg、240μg、245μg、250μg、255μgまたは260μgの抗体を維持するための量および頻度で、患者に投与される。別の実施形態では、抗C5抗体は、患者の血液1ミリリットル当たり50μg〜250μgの間の抗体を維持するための量および頻度で、患者に投与される。別の実施形態では、抗C5抗体は、患者の血液1ミリリットル当たり100μg〜200μgの間の抗体を維持するための量および頻度で、患者に投与される。別の実施形態では、抗C5抗体は、患者の血液1ミリリットル当たり約175μgの抗体を維持するための量および頻度で、患者に投与される。
【0184】
別の実施形態では、有効な応答を得るために、抗C5抗体は、最小遊離C5濃度を維持するための量および頻度で、患者に投与される。例えば、一実施形態では、抗C5抗体は、0.2μg/mL、0.3μg/mL、0.4μg/mL、0.5μg/mLまたはそれ未満の遊離C5濃度を維持するための量および頻度で、患者に投与される。別の実施形態では、抗C5抗体は、0.309〜0.5μg/mLまたはそれ未満の遊離C5濃度を維持するための量および頻度で、患者に投与される。別の実施形態では、本明細書に記載される処置は、処置期間全体を通して、遊離C5濃度を99%よりも大きく低減させる。別の実施形態では、処置は、処置期間全体を通して、遊離C5濃度を99.5%よりも大きく低減させる。
【0185】
別の態様では、補体関連障害を有するヒト患者を処置する方法が提供される。一実施形態では、方法は、エクリズマブで処置されている補体関連障害を有するヒト患者を処置するステップを含み、エクリズマブによる処置を中止するステップ、および患者を、異なる補体阻害剤による処置に切り替えるステップを含む。別の実施形態では、方法は、ラブリズマブで処置されている補体関連障害を有するヒト患者を処置するステップを含み、ラブリズマブによる処置を中止するステップ、および患者を、異なる補体阻害剤による処置に切り替えるステップを含む。一実施形態では、異なる補体阻害剤は、小分子、ポリペプチド、ポリペプチドアナログ、ペプチド模倣物、siRNAまたはアプタマーからなる群より選択される。別の実施形態では、異なる補体阻害剤は、補体成分C1、C2、C3、C4、C5、C6、C7、C8、C9、D因子、B因子、プロペルジン、MBL、MASP−1、MASP−2、またはそれらの生物学的に活性な断片の1つまたは複数を阻害する。別の実施形態では、異なる補体阻害剤は、異なる抗C5抗体(例えば、ラブリズマブ、7086抗体、8110抗体、305LO5抗体、SKY59抗体またはREGN3918抗体)である。
【0186】
本明細書に記載される方法に従って処置され得る例示的な補体関連状態には、関節リウマチ、抗リン脂質抗体症候群、ループス腎炎、虚血−再灌流傷害、非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)、典型溶血性尿毒症症候群、発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)、デンスデポジット病、視神経脊髄炎、多巣性運動ニューロパチー、多発性硬化症、黄斑変性症、HELLP症候群、自然流産、血栓性血小板減少性紫斑病、微量免疫型血管炎、表皮水疱症、習慣性流産、外傷性脳傷害、心筋炎、脳血管障害、末梢血管障害、腎血管障害、腸間膜/腸管血管障害、血管炎、ヘノッホ・シェーンライン紫斑病性腎炎、全身性エリテマトーデス関連血管炎、関節リウマチと関連する血管炎、免疫複合体血管炎、高安病、拡張型心筋症、糖尿病性血管症、川崎病、静脈ガス塞栓症、ステント留置後の再狭窄、回転式粥腫切除術、経皮経管冠状動脈形成術、重症筋無力症、寒冷凝集素病、皮膚筋炎、発作性寒冷ヘモグロビン尿症、抗リン脂質抗体症候群、グレーブス病、アテローム性動脈硬化症、アルツハイマー病、全身性炎症応答、敗血症、敗血症性ショック、脊髄傷害、糸球体腎炎、移植片拒絶、橋本甲状腺炎、I型糖尿病、乾癬、天疱瘡、自己免疫性溶血性貧血、特発性血小板減少性紫斑病、グッドパスチャー症候群、ドゴー病および劇症型抗リン脂質抗体症候群が含まれるがこれらに限定されない。一実施形態では、補体関連状態は、PNHである。別の実施形態では、補体関連状態は、aHUSである。
【0187】
IV.転帰
患者においてPNHまたはaHUSを処置するための方法であって、患者に、抗C5抗体またはその抗原結合性断片を投与するステップを含む方法が、本明細書で提供される。
【0188】
PNHの症状には、疲労(例えば、疲労感、日常活動の遂行の困難、集中力のなさ(trouble concentrating)、めまい感、衰弱)、疼痛(例えば、胃疼痛、脚の疼痛または腫脹、胸部疼痛、背部疼痛)、暗色尿、息切れ、嚥下困難、皮膚および/もしくは眼の黄変、勃起機能不全、血餅、腎臓疾患、臓器への損傷、脳卒中または心臓発作が含まれるがこれらに限定されない。本明細書に開示される方法に従って処置される患者は、好ましくは、PNHの少なくとも1つの徴候における改善を経験する。例えば、処置は、疲労、腹部疼痛、呼吸困難、嚥下障害、胸部疼痛および勃起機能不全における低減または停止からなる群より選択される少なくとも1つの治療効果を生じ得る。
【0189】
aHUSの症状には、重症高血圧症、タンパク尿症、尿毒症、嗜眠/疲労、易刺激性、血小板減少症、細血管異常性溶血性貧血および腎機能障害(例えば、急性腎不全)が含まれるがこれらに限定されない。本明細書に開示される方法に従って処置される患者は、好ましくは、aHUSの少なくとも1つの徴候における改善を経験する。例えば、処置は、高血圧症、タンパク尿症、尿毒症、嗜眠/疲労、易刺激性、血小板減少症、細血管異常性溶血性貧血および腎機能障害における低減または停止からなる群より選択される少なくとも1つの治療効果を生じ得る。
【0190】
他の実施形態では、処置は、終末補体阻害を結果としてもたらす。
【0191】
他の実施形態では、処置は、遊離ヘモグロビン、ハプトグロビン、網状赤血球数、PNH赤血球(RBC)クローンおよびD−ダイマーからなる群より選択される溶血関連の血液学的バイオマーカーの正常レベルに向かうシフトを生じる。別の実施形態では、処置は、ヘモグロビン安定化における患者の処置前ベースラインからの増加を生じる。
【0192】
他の実施形態では、処置は、推定糸球体濾過量(eGFR)およびスポット尿:アルブミン:クレアチニンおよび血漿脳ナトリウム利尿ペプチド(BNP)からなる群より選択される慢性疾患関連バイオマーカーの正常レベルに向かうシフトを生じる。
【0193】
他の実施形態では、処置は、輸血の必要性における低減を生じる。別の実施形態では、処置は、輸血回避における70%よりも大きい増加を生じる。
【0194】
他の実施形態では、処置は、エクリズマブによる処置と比べて、ブレイクスルー溶血における低減を結果としてもたらす。別の実施形態では、処置は、処置期間の間に、ブレイクスルー溶血の消失を結果としてもたらす。別の実施形態では、処置は、ブレイクスルー溶血の処置前ベースライン量と比較して、ブレイクスルー溶血の低減を結果としてもたらす。
【0195】
他の実施形態では、処置は、主要な血管系有害事象(MAVE)における低減を生じる。
【0196】
他の実施形態では、処置は、慢性疾患治療の機能的評価(FACIT)−疲労スケール、バージョン4および欧州がん研究治療機関の生活の質アンケート−コア30スケールを介して評価される、生活の質におけるベースラインからの変化を生じる。別の実施形態では、処置は、患者の未処置のベースラインスコアから少なくとも7ポイントの、慢性疾患治療の機能的評価(FACIT)−疲労スケール、バージョン4および欧州がん研究治療機関の生活の質アンケート−コア30スケールを介して評価される、生活の質におけるベースラインからの変化を生じる。
【0197】
別の実施形態では、処置は、ベースラインから183日目まで、慢性疾患治療の機能的評価(FACIT)−疲労スケール、バージョン4を介して評価される生活の質(QoL)において、変化を結果としてもたらさない。別の実施形態では、処置は、ベースラインから183日目まで、慢性疾患治療の機能的評価(FACIT)−疲労スケール、バージョン4を介して評価される生活の質(QoL)における増加を結果としてもたらす。別の実施形態では、処置は、ベースラインから183日目まで、輸血回避を結果としてもたらす。別の実施形態では、処置は、ベースラインから183日目まで、輸血なしで、ヘモグロビンレベルにおけるベースラインからの≧2g/dLの減少の回避を結果としてもたらす。
【0198】
他の実施形態では、乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)レベルが、治療に対する応答性を評価するために使用される(例えば、乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)レベルによって評価される溶血の低減は、PNHの少なくとも1つの徴候における改善を示す)。LDHは、血管内溶血のマーカーである(Hill, A. et al., Br. J. Haematol., 149:414-25, 2010;Hillmen, P. et al., N. Engl. J. Med., 350:552-9, 2004;Parker, C. et al., Blood, 106:3699-709, 2005)。赤血球は、大量のLDHを含有し、無細胞ヘモグロビンとLDH濃度との間の相関は、in vitro(Van Lente, F. et al., Clin. Chem., 27:1453-5, 1981)およびin vivo(Kato, G. et al., Blood, 107:2279-85, 2006)で報告されている。溶血の帰結は、貧血とは無関係である(Hill, A. et al., Haematologica, 93(s1):359 Abs.0903, 2008;Kanakura, Y. et al., Int. J. Hematol., 93:36-46, 2011)。ベースラインにおいて、および次いで処置期間全体を通して連続的に得られるLDH濃度は、溶血の重要な尺度である。無細胞血漿ヘモグロビンのベースラインレベルは、正常値上限を超えて1.5倍以上であるLDH(LDH≧1.5×ULN)で、PNHを有する患者において高度に上昇し、LDHと無細胞血漿ヘモグロビンとの間には顕著な相関がある(Hillmen, P. et al., N. Engl. J. Med., 355:1233-43, 2006)。正常LDH値の範囲は、105〜333IU/L(1リットル当たりの国際単位)である。
【0199】
LDHレベルは、Ferri FF, ed. Ferri's Clinical Advisor 2014. Philadelphia: Pa: Elsevier Mosby; 2014: Section IV- Laboratory tests and interpretation of resultsによって記載されるものなどの、任意の適切な試験またはアッセイを使用して測定され得る。LDH濃度は、患者から得られた種々の試料、特に血清試料において測定され得る。本明細書で使用される場合、用語「試料」は、対象由来の生物学的材料を指す。血清LDH濃度が目的とされるが、試料は、例えば、単一の細胞、複数の細胞、組織、腫瘍、生体液、生物学的分子、または上述のいずれかの上清もしくは抽出物を含む、他の供給源に由来し得る。例としては、生検のために取り出された組織、切除の間に取り出された組織、血液、尿、リンパ組織、リンパ液、脳脊髄液、粘膜および糞便試料が含まれる。使用される試料は、アッセイ形式、検出方法、およびアッセイされる腫瘍、組織、細胞または抽出物の性質に基づいて変動する。試料を調製するための方法は、当該技術分野で公知であり、利用される方法と適合性の試料を得るために容易に適応され得る。
【0200】
一実施形態では、本明細書に記載される処置は、LDHレベルの正常化を結果としてもたらす。別の実施形態では、開示される方法に従って処置される患者は、正常レベル近傍への、または正常レベルとみなされるレベルを超えて10%以内もしくは20%以内(例えば、105〜333IU/L(1リットル当たりの国際単位)以内)への、LDHレベルにおける低減を経験する。別の実施形態では、患者のLDHレベルは、処置の維持期間全体を通して、正常化される。別の実施形態では、処置された患者のLDHレベルは、処置の維持期間中の時間の少なくとも95%で正常化される。別の実施形態では、処置された患者のLDHレベルは、処置の維持期間中の時間の少なくとも90%、85%または80%で正常化される。一実施形態では、患者のLDHレベルは、処置を開始する前に、正常値上限を超えて1.5倍以上である(LDH≧1.5×ULN)。別の実施形態では、処置は、処置の少なくとも24日目までに、LDHレベルの正常化を結果としてもたらす。一実施形態では、開示される方法に従って処置される患者は、正常レベル以内への、または正常値上限レベルとみなされるレベル未満10%、20%、30%、40%以内もしくは50%以内(例えば、105〜333IU/L(1リットル当たりの国際単位)以内)への、LDHレベルにおける低減を経験する。一実施形態では、患者のLDHレベルは、処置を開始する前に、正常値上限を超えて1.5倍以上である(LDH≧1.5×ULN)。一実施形態では、処置は、2×正常値上限(ULN)未満のLDHレベルを結果としてもたらす。
【0201】
V.キットおよび単位剤形
本明細書に記載される方法における使用のために適応された治療有効量で、抗C5抗体またはその抗原結合性断片、例えばラブリズマブ、および薬学的に許容される担体を含有する医薬組成物を含むキットもまた、本明細書で提供される。キットは、必要に応じて、PNHまたはaHUSを有する患者に組成物を投与するために、その中に含有される組成物を実務者(例えば、医師、看護師または患者)が投与するのを可能にするための、例えば、投与スケジュールを含む指示もまた含み得る。キットは、シリンジもまた含み得る。
【0202】
必要に応じて、キットは、上に提供される方法に従う単回投与のための、有効量の抗C5抗体またはその抗原結合性断片を各々が含有する単一用量医薬組成物の複数のパッケージを含む。医薬組成物(複数可)を投与するために必要な機器またはデバイスもまた、キット中に含まれ得る。例えば、キットは、ある量の抗C5抗体またはその抗原結合性断片を含有する、1つまたは複数の予め充填されたシリンジを提供し得る。
【0203】
一実施形態では、本発明は、ヒト患者においてPNHまたはaHUSを処置するためのキットであって、
(a)ある用量の、配列番号12に示される配列を有する重鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインならびに配列番号8に示される配列を有する軽鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含む抗C5抗体またはその抗原結合性断片;ならびに
(b)本明細書に記載される方法のいずれかに従って抗C5抗体またはその抗原結合性断片を使用するための指示
を含むキットを提供する。
【0204】
一実施形態では、キットは、ある用量の抗C5抗体またはその抗原結合性断片を含み、抗C5抗体またはその抗原結合性断片は、≧40〜<60kgの体重の患者に、
(a)投与サイクルの1日目に1回、2400mgの用量で;
(b)投与サイクルの15日目、およびその後8週間毎に、3000mgの用量で
投与される。
【0205】
別の実施形態では、キットは、ある用量の抗C5抗体またはその抗原結合性断片を含み、抗C5抗体またはその抗原結合性断片は、≧60〜<100kgの体重の患者に、
(a)投与サイクルの1日目に1回、2700mgの用量で;
(b)投与サイクルの15日目、およびその後8週間毎に、3300mgの用量で
投与される。
【0206】
別の実施形態では、キットは、ある用量の抗C5抗体またはその抗原結合性断片を含み、抗C5抗体またはその抗原結合性断片は、≧100kgの体重の患者に、
(a)投与サイクルの1日目に1回、3000mgの用量で;
(b)投与サイクルの15日目、およびその後8週間毎に、3600mgの用量で
投与される。
【0207】
多くの変形形態および等価物は、本開示を読めば当業者に明らかになるので、以下の実施例は、単なる例示であり、本開示の範囲を限定すると決して解釈すべきではない。
【0208】
本出願を通じて引用される全ての参考文献、Genbankエントリー、特許および公開された特許出願の内容は、明示的に参照により本明細書に組み込まれる。
【実施例】
【0209】
(実施例1)
発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)を有する補体阻害剤未経験の成人患者におけるALXN1210(ラブリズマブ) 対 エクリズマブの第III相ランダム化非盲検実対照試験
第Ib/II相試験において、ラブリズマブを延長された投薬間隔で投与する処置により、PNHの患者における補体媒介性溶血の迅速かつ持続的な低減が達成された。これらの試験では、薬物/曝露と応答の関係が実証され、ラブリズマブトラフ曝露(1800mg−q4wコホート)が高いことが、他の全てのコホートと比べて溶血のリスクが低いとみなされる血漿LDHレベルに達する(正常化[または1.5×ULNを下回る])患者の割合が大きいこと、遊離ヘモグロビンが減少すること、およびブレイクスルー溶血がないことと関連した。これらの結果およびその後の曝露−応答解析に基づき、補体阻害剤による処置未経験であるPNHの成人患者への静脈内(IV)注入によって投与されるALXN1210(ラブリズマブ) 対 エクリズマブの安全性および有効性を評価するために第III相非盲検ランダム化実対照多施設試験を行った。本第III相試験では、ラブリズマブにランダム化された患者は、1日目に負荷用量(40kg以上60kg未満の患者に対しては2400mg、60kg以上100kg未満の患者に対しては2700mg、100kg以上の患者に対しては3000mg)を受け、その後、15日目およびそれ以降q8wで維持用量のラブリズマブ(40kg以上60kg未満の患者に対しては3000mg、60kg以上100kg未満の患者に対しては3300mg、100kg以上の患者に対しては3600mg)を受けた。
【0210】
1.目的
本試験の主目的は、補体阻害剤を用いた処置を受けたことがないPNHの成人患者におけるALXN1210(ラブリズマブ)のエクリズマブと比較した非劣性を評価することであった。
【0211】
26週間の処置後に、1)輸血回避(TA)率の差異(ALXN1210−エクリズマブ)についての95%信頼区間(CI)の下限が−20%よりも大きく、かつ2)乳酸脱水素酵素の正常化(LDH−N)に関してALXN1210とエクリズマブを比較したオッズ比についての95%CIの下限が0.39よりも大きい場合、非劣性を主張した。
【0212】
副次目的には、この患者集団におけるALXN1210の安全性および忍容性を特徴付けること、ALXN1210の有効性を追加的な有効性評価基準によって評価すること、ALXN1210の薬物動態/薬力学(PK/PD)および免疫原性を特徴付けること、ならびにALXN1210の長期間の安全性および有効性を評価することが含まれた。
【0213】
2.試験デザイン
全体的な試験デザイン、処置および試験の持続時間が図1に示されている。ALXN1210−PNH−301試験は、補体阻害剤による処置未経験であるPNHの成人患者に静脈内(IV)注入によって投与されるALXN1210 対 エクリズマブの安全性および有効性を評価するための第III相非盲検ランダム化実対照多施設試験である。デザインされた試験にはおよそ214名の患者(処置群当たり107名の患者)が含まれたが、最終的に246名の対象が登録され、少なくとも183日間の処置を完了した。試験完了時に、246名の対象が続けて延長試験に登録され、2名の対象が中止となった。本試験は、4週間のスクリーニング期間、26週間のランダム化処置期間、および最長2年間の延長期間からなった。患者を輸血歴(試験薬の初回投薬前1年以内のpRBC単位数が0、1〜14、または>14)およびスクリーニングLDHレベル(1.5×ULN〜3×ULN未満または3×ULN以上)に基づいて6群のうちの1つに層別化した。6群のそれぞれの患者をALXN1210またはエクリズマブを受けるように1:1の比でランダムに割り当てた。過去1年以内に輸血歴がない患者の登録は20%までという上限を設けた。
【0214】
ランダム化の前、かつ1日目に試験薬を投与する前5日以内に、各患者のヘモグロビンを各実施施設(local laboratory)または中央検査機関(central laboratory)のいずれかで評価した。その時点で患者のヘモグロビン値がプロトコールに規定された輸血ガイドラインに該当した場合には、患者にpRBCを輸血して、ヘモグロビンレベルがランダム化に適格となるためのプロトコールに規定された輸血閾値を上回るようにした。患者の輸血後ヘモグロビン値がプロトコールに規定された輸血閾値を上回っていることを各実施施設または中央検査機関で確認した。
【0215】
ALXN1210群にランダムに割り当てられた患者は、合計26週間の処置にわたり、1日目に負荷用量のALXN1210(体重40kg以上60kg未満の患者に対しては2400mg、体重60kg以上100kg未満の患者に対しては2700mg、体重100kg以上の患者に対しては3000mg)を受け、その後、15日目、およびそれ以降8週間毎に(q8w)、維持用量のALXN1210(体重40kg以上60kg未満の患者に対しては3000mg、体重60kg以上100kg未満の患者に対しては3300mg、体重100kg以上の患者に対しては3600mg)を受けた。エクリズマブ群にランダムに割り当てられた患者は、合計26週間の処置にわたり、1日目、8日目、15日目、および22日目にエクリズマブIV 600mgを用いた導入処置を受け、その後、29日目、およびそれ以降2週間毎に(q2w)エクリズマブ900mgを用いた維持処置を受けた。183日目に全ての評価が完了した後、患者は延長期間に入り、延長期間中、患者は、ALXN1210を当該製品が登録または認可されるまで(国固有の規制に従って)または最長2年間のいずれか最初に起こるまで受けた。183日目から開始して、ALXN1210処置群にランダム化された患者は、維持用量(上記の通り)のALXN1210をq8wで最長2年間受け、エクリズマブ群にランダム化された患者は、負荷用量(上記の通り)のALXN1210を受け、その後、2週間後およびそれ以降q8wで体重に基づく維持用量のALXN1210を受けた。患者のヘモグロビン値が9g/dLもしくはそれ未満であり、輸血の根拠になる十分な重症度の徴候もしくは症状が伴う場合、または臨床徴候もしくは症状が存在するかどうかにかかわらずヘモグロビン値が7g/dLもしくはそれ未満である場合にはpRBC輸血を施行した。
【0216】
3.評価項目
本試験の共主要(coprimary)有効性評価項目は、(1)183日目(第26週)までプロトコールに規定されたガイドラインに従って輸血を受けないままであり、輸血を必要としない患者の割合と定義される輸血回避、および(2)29日目(維持投薬の開始後最初の予定された評価の状態)から183日目(第26週)までのLDH−Nレベルによって直接測定される溶血であった。
【0217】
本試験の重要な副次的有効性評価項目(階層的に試験した)は以下のものであった:
1.LDHのパーセンテージのベースラインから183日目(第26週)までの変化;
2.慢性疾患治療の機能的評価(FACIT)−疲労スケール、バージョン4によって評価される生活の質(QoL)のベースラインから183日目(第26週)までの変化;
3.以前治療中にLDHが<1.5×正常値上限[ULN]まで低下した後、LDHが≧2×ULNに上昇している中での、少なくとも1つの新しいまたは悪化している血管内溶血の症状または徴候(疲労、ヘモグロビン尿、腹部疼痛、息切れ[呼吸困難]、貧血[ヘモグロビン<10g/dL]、主要な血管系有害事象[MAVE、血栓症を含む]、嚥下障害、または勃起機能不全)と定義されるブレイクスルー溶血を有する患者の割合;および
4.183日目(第26週)まで輸血がなされず、ヘモグロビンレベルのベースラインから2g/dL以上の低下が回避されていることと定義されるヘモグロビンの安定化を有する患者の割合。
【0218】
本試験の他の副次的有効性評価項目は以下のものであった:
・欧州がん研究治療機関(EORTC)の生活の質アンケート−コア30スケール(QLQ−C30)、バージョン3.0のベースラインから183日目(第26週)までの変化;
・LDH−Nが最初に起こるまでの時間;
・183日目(第26週)までに輸血された濃厚赤血球(pRBC)の単位の総数;
・PNHの臨床的症状発現(疲労、ヘモグロビン尿、腹部疼痛、息切れ、貧血、嚥下障害、および勃起機能不全)のベースラインから183日目(第26週)までの変化;ならびに
・183日目(第26週)までにMAVEを経験した患者の割合。
【0219】
本試験の薬物動態および薬力学評価項目は以下のものであった:血清ALXN1210およびエクリズマブ濃度の経時的な変化、ニワトリ赤血球(cRBC)溶血活性の経時的な変化(探索的)、ならびに遊離補体成分5(C5)濃度の経時的な変化。
【0220】
探索的評価項目には、患者申告のPNH症状および医療資源の利用を含めた。ALXN1210のエクリズマブと比較した安全性および忍容性を身体検査、バイタルサイン、心電図(ECG)、検査室評価、ならびに有害事象(AE)および重篤な有害事象(SAE)の発生率によって評価する。抗薬物抗体(ADA)が生じた患者の割合も評価した。
【表1】

略語:ADA=抗薬物抗体;ECG=心電図;EORTC QLQ-C30=欧州がん研究治療機関の生活の質アンケート-コア30スケール;ET=早期中止;FACIT-疲労=慢性疾患治療の機能的評価-疲労スケール;LDH=乳酸脱水素酵素;N/A=該当なし;PD=薬力学;PK=薬物動態;PNH=発作性夜間ヘモグロビン尿症;RBC=赤血球;WBC=白血球
a 全患者が、試験薬開始前3年以内または試験薬開始時に髄膜炎菌感染に対するワクチン接種を受けた。髄膜炎菌ワクチンを受けた後2週間経たずに試験薬による処置が開始される患者は、ワクチン接種の2週間後まで適切な予防用抗生物質を用いた処置を受けなければならない。
b スクリーニング時および1日目に高感度フローサイトメトリーによってWBC(顆粒球および単球)およびRBCクローンサイズを測定した;71日目および183日目はRBCクローンサイズのみ。
c 妊娠可能な女性の患者のみ。スクリーニング時および183日目に血清妊娠検査;全ての他の必要時点で尿妊娠検査。示されている来院時に妊娠可能な女性の患者にALXN1210またはエクリズマブを投与する前に尿検査の結果が陰性であることが必要であった。
d 来院中および来院間に行われた輸血を記録した。
e ランダム化の前、かつ1日目に試験薬を投与する前5日以内に、各患者のヘモグロビンを各実施施設または中央検査機関のいずれかで評価した。その時点で患者のヘモグロビン値がプロトコールに規定された輸血ガイドラインに該当した場合には、ランダム化に適格となるようにするために、患者にpRBCを輸血して、ヘモグロビンレベルがプロトコールに規定された輸血閾値を上回るようにした。患者の輸血後ヘモグロビン値がプロトコールに規定された輸血閾値を上回っていることを各実施施設または中央検査機関で確認した。
f 以下の事象の試験責任医師または被指名人による評価:疲労、腹部疼痛、呼吸困難、嚥下障害、胸部疼痛、および勃起機能不全。
g 医師申告の評価および患者申告の評価を試験薬投与前に実施した。
h 簡易身体検査は、試験責任医師(または被指名人)による判断および患者の症状に基づく身体系関連検査からなる。簡易身体検査では少なくとも1つの身体系を検査した。
i バイタルサイン測定値は患者が少なくとも5分間安静にした後に取得し、これは、収縮期および拡張期BP(ミリメートル水銀柱[mmHg])、心拍数(回/分)、呼吸数(呼吸/分)、および口腔温度または鼓膜温度(摂氏温度[℃]または華氏温度[°F])を含む。投薬日には、試験薬投与前にバイタルサインを取得した。
j スクリーニング時ならびに57日目および183日目の投薬前に単一12誘導ECGを採取する。患者は、ECG収集前におよそ5〜10分にわたって仰臥位でいなければならず、ECG収集中は仰臥位のままであるが覚醒していなければならない。
k 臨床検査測定値は、投薬日には投薬前に収集した。卵胞刺激ホルモンレベルは、閉経後の状態であることを確認するためにスクリーニング中にのみ測定した。
l PK/PD解析用の血清試料は、投薬前(注入開始前0.5時間以内)および注入終了時(注入終了後0.5時間以内)に採取した。注入終了時試料は、患者の反対側の注入されていない腕から抜き取った。全ての採取時間をeCRFに記録した。ブレイクスルー溶血の場合には、PK/PD解析用の血清試料を採取する。
m PK/PD解析用の血清試料を、エクリズマブで処置された患者については投薬前(注入開始前0.5時間以内)に採取し、ALXN1210で処置された患者については任意の時点で採取した。全ての採取時間をeCRFに記録した。ブレイクスルー溶血の場合には、PK/PD解析用の血清試料を採取する。
n ADA用の試料は投薬前に採取した。試験の結果が陽性であった場合、測定された力価および安全性評価に基づいて、結果が陰性になるかまたは安定化するまで、3カ月毎に検査を繰り返すことができる。
ブレイクスルー溶血が疑われる事象が起こっている場合、LDH、PK、およびPDパラメーターを中央検査機関において分析した。ブレイクスルーが疑われる事象が予定来院時に起こっていない場合、患者の評価ならびに必要なLDH、PK、およびPDパラメーターの採取のために不定期来院を行う。
双方向音声またはウェブ応答システム(IxRS)を通じ、スクリーニングでのLDH結果および輸血歴に基づいて患者を処置にランダムに割り当てた。
ALXN1210の用量は、患者の最後に記録された試験来院時の体重に基づく。
主要有効性評価項目の評価は183日目の投薬前に行う。183日目の投薬は、延長期間の開始である。表2および表3の追加的な183日目の投薬後手順を参照されたい。
【表2】

略語:ADA=抗薬物抗体;ECG=心電図;EORTC QLQ-C30=欧州がん研究治療機関の生活の質アンケート-コア30スケール;EOS=試験終了;ET=早期中止;FACIT-疲労=慢性疾患治療の機能的評価-疲労スケール;LDH=乳酸脱水素酵素;PD=薬力学;PK=薬物動態;PNH=発作性夜間ヘモグロビン尿症;RBC=赤血球
a 延長期間に繰り越された患者は全員、183日目に全ての評価を実施した後、ALXN1210を受ける。
b 351日目および743日目に顆粒球およびRBCクローンサイズを高感度フローサイトメトリーによって測定した;他の来院時はRBCクローンサイズのみを測定した。
c 妊娠可能な女性の患者のみ。血清妊娠検査はET時のみ;尿妊娠検査は他の時点の全てにおいて。投薬日に妊娠可能な女性の患者にALXN1210を投与する前には尿検査の結果が陰性であることが必要である。
d 来院中および来院間に行われた輸血を記録した。
e 以下の事象の試験責任医師または被指名人による評価:疲労、腹部疼痛、呼吸困難、嚥下障害、胸部疼痛、および勃起機能不全。
f 医師申告の評価および患者申告の評価を試験薬投与前に実施した。
g 簡易身体検査は、試験責任医師(または被指名人)による判断および患者の症状に基づく身体系関連検査からなる。簡易身体検査では少なくとも1つの身体系を検査しなければならない。
h バイタルサイン測定値は患者が少なくとも5分間安静にした後に取得し、これは、収縮期および拡張期BP(ミリメートル水銀柱[mmHg])、心拍数(回/分)、呼吸数(呼吸/分)、および口腔温度または鼓膜温度(摂氏温度[℃]または華氏温度[°F])を含む。バイタルサインは各試験薬投与の前に取得した。
i 単一12誘導ECGを911日目またはET時に採取する。患者は、ECG収集前におよそ5〜10分にわたって仰臥位でいなければならず、ECG収集中は仰臥位のままであるが覚醒していなければならない。
j 臨床検査測定値は、投薬日には投薬前に収集した。
k PK/PD解析用の血清試料を183日目の注入終了時;351日目、575日目、および743日目の投薬前(注入開始前0.5時間以内)および注入終了時(注入終了後0.5時間以内);ならびに911日目の任意の時点またはET時に採取した。注入終了時試料は、患者の反対側の注入されていない腕から抜き取った。全ての採取時間をeCRFに記録した。ブレイクスルー溶血の場合には、PK/PD解析用の血清試料を採取する。
l ADA用の試料は投薬前に採取した。試験の結果が陽性であった場合、測定された力価および安全性評価に基づいて、結果が陰性になるかまたは安定化するまで、3カ月毎に検査を繰り返すことができる。
m ブレイクスルー溶血が疑われる事象が起こっている場合、LDH、PK、およびPDパラメーターを中央検査機関において分析した。ブレイクスルーが疑われる事象が予定来院時に起こっていない場合、患者の評価ならびに必要なLDH、PK、およびPDパラメーターの採取のために不定期来院を行う。
n ALXN1210の用量は、患者の最後に記録された試験来院時の体重に基づく。

【表3】
略語:ADA=抗薬物抗体;ECG=心電図;EORTC QLQ-C30=欧州がん研究治療機関の生活の質アンケート-コア30スケール;EOS=試験終了;ET=早期中止;FACIT-疲労=慢性疾患治療の機能的評価-疲労スケール;LDH=乳酸脱水素酵素;PD=薬力学;PK=薬物動態;PNH=発作性夜間ヘモグロビン尿症;RBC=赤血球
a 延長期間に繰り越された患者は全員、183日目に全ての評価が実施された後、ALXN1210を受ける。
b 365日目および757日目に高感度フローサイトメトリーによって顆粒球およびRBCクローンサイズを測定した;他の来院時はRBCクローンサイズのみを測定した。
c 妊娠可能な女性の患者のみ。血清妊娠検査はET時のみ;尿妊娠検査は他の時点の全てにおいて。投薬日に妊娠可能な女性の患者にALXN1210を投与する前には尿検査の結果が陰性であることが必要である。
d 来院中および来院間に行われた輸血を記録した。
e 以下の事象の試験責任医師または被指名人による評価:疲労、腹部疼痛、呼吸困難、嚥下障害、胸部疼痛、および勃起機能不全。
f 医師申告の評価および患者申告の評価を試験薬投与前に実施する。
g 簡易身体検査は、試験責任医師(または被指名人)による判断および患者の症状に基づく身体系関連検査からなる。簡易身体検査では少なくとも1つの身体系を検査する。
h バイタルサイン測定値は患者が少なくとも5分間安静にした後に取得し、これは、収縮期および拡張期BP(ミリメートル水銀柱[mmHg])、心拍数(回/分)、呼吸数(呼吸/分)、および口腔温度または鼓膜温度(摂氏温度[℃]または華氏温度[°F])を含む。バイタルサインは各試験薬投与の前に取得した。
i 単一12誘導ECGを925日目またはET時に採取する。患者は、ECG収集前におよそ5〜10分にわたって仰臥位でいなければならず、ECG収集中は仰臥位のままであるが覚醒していなければならない。
j 臨床検査測定値は、投薬日には投薬前に収集した。
k PK/PD解析用の血清試料は、197日目、365日目、589日目、および757日目の投薬前(注入開始前0.5時間以内)および注入終了時(注入終了後0.5時間以内);183日目の注入終了時;ならびに925日目の任意の時点またはET時に採取した。注入終了時試料は、患者の反対側の注入されていない腕から抜き取った。全ての採取時間をeCRFに記録した。ブレイクスルー溶血の場合には、PK/PD解析用の血清試料を採取する。
l ADA用の試料は投薬前に採取した。試験の結果が陽性であった場合、測定された力価および安全性評価に基づいて、結果が陰性になるかまたは安定化するまで、3カ月毎に検査を繰り返すことができる。
m ブレイクスルー溶血が疑われる事象が起こった場合、LDH、PK、およびPDパラメーターを中央検査機関において分析した。ブレイクスルーが疑われる事象が予定来院時に起こっていない場合、患者の評価ならびに必要なLDH、PK、およびPDパラメーターの採取のために不定期来院を行うべきである。
n ALXN1210の用量は、患者の最後に記録された試験来院時の体重に基づく。
【0221】
4.試験集団
世界中でおよそ300カ所の研究実施施設において、記録されたPNHを有する患者合計およそ246名を登録し、ALXN1210またはエクリズマブのいずれかを用いた処置にランダムに割り当てた。本試験への参加基準を満たさなかった個体(スクリーニング不合格)を再スクリーニングすることができた。プロトコール放棄または免除としても公知である、募集および登録基準に対するプロトコール逸脱の将来の承認は許可しなかった。
【0222】
患者は、以下の基準の全てを満たし、かつ除外基準のいずれにも該当しない場合にのみ、本試験への登録に適格とされた:
1.男性または女性、同意時に18歳またはそれよりも年長であること。
2.RBCおよび白血球(WBC)の高感度フローサイトメトリー評価によって確認され(Borowitz MJ, et al., "Guidelines for the diagnosis and monitoring of paroxysmal nocturnal hemoglobinuria and related disorders by flow cytometry", Cytometry Part B. 2010;78B:211-230)、顆粒球または単球クローンサイズが≧5%である、PNHの診断の記録があること。
3.スクリーニングの3カ月以内に以下のPNH関連徴候または症状が1つまたは複数存在していたこと:疲労、ヘモグロビン尿、腹部疼痛、息切れ(呼吸困難)、貧血(ヘモグロビン<10g/dL)、主要な血管系有害事象歴(血栓症を含む)、嚥下障害もしくは勃起機能不全;またはPNHに起因したpRBC輸血歴。
4.スクリーニング時のLDHレベルが1.5×ULN以上であること。
5.髄膜炎菌感染(Neisseria meningitidis)のリスクを低減するために、全患者が試験薬開始前3年以内または試験薬開始時に髄膜炎菌感染に対するワクチン接種を受けていなければならない。髄膜炎菌ワクチンを受けた後2週間経たずに試験薬による処置が開始される患者は、ワクチン接種の2週間後まで適正な予防用抗生物質を用いた処置を受けなければならない。
6.妊娠可能な女性の患者および妊娠可能な女性パートナーをもつ男性の患者は、処置を受けている間および試験薬の最後の用量後8カ月にわたって妊娠を回避するためにプロトコールに規定されたガイダンスに従わなければならない。
7.患者は、書面のインフォームドコンセントを提出し、患者データを直接記録するために任意のデータ採取デバイス(複数可)を使用することを含めた試験来院および手順の全てを承諾しなければならない。
【0223】
患者が以下の基準のいずれかに該当する場合、当該患者を試験への登録から除外した:
1.補体阻害剤を用いた処置を現在受けているまたは以前に受けていたこと。
2.スクリーニング時の血小板数が<30,000/mm(30×10/L)であること。
3.スクリーニング時の絶対好中球数が<500/μL(0.5×10/L)であること。
4.骨髄移植歴があること。
5.スクリーニング時に体重が40kg未満であること。
6.N.meningitidis感染歴があること。
7.原因不明の再発性感染歴があること。
8.1日目に試験薬を投与する前14日以内に活動性かつ全身性の細菌感染、ウイルス感染または真菌感染があること。
9.1日目に試験薬を投与する前7日以内に≧38℃(100.4°F)の発熱が存在すること。
10.ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染(HIV−1またはHIV−2抗体価によって証明される)。
11.1日目に試験薬を投与する前1カ月の間に弱毒生ワクチンを用いた免疫化を受けていること。
12.処置され、再発の証拠がない非黒色腫皮膚がんまたは子宮頸部の上皮内癌を例外として、スクリーニングの5年以内に悪性疾患歴があること。
13.試験責任医師または試験依頼者の意見によると治験への患者の参加を妨げる、主要な心疾患、肺疾患、腎疾患、内分泌疾患、または肝疾患(例えば、活動性肝炎)の病歴があるまたは継続中であること。
14.プロトコール(例えば、輸血ガイドライン)の要件を許容する見込みをなくす不安定な医学的状態(例えば、ランダム化の6カ月以内に大手術の必要性が予測される、PNHとは無関係の慢性貧血と共存する、心筋虚血、活動性胃腸出血、重症うっ血性心不全)。
15.以下の薬剤のいずれかの併用は、スクリーニング前の示されている期間にわたる安定なレジメンでない場合には禁止した:
a)エリスロポエチンまたは免疫抑制剤、少なくとも8週間
b)全身性コルチコステロイド、少なくとも4週間
c)ビタミンKアンタゴニスト(例えば、ワルファリン)、国際標準化比(INR)が安定している場合、少なくとも4週間
d)鉄補給剤または葉酸、少なくとも4週間
e)低分子量ヘパリン、少なくとも4週間
16.マウスタンパク質または試験薬の賦形剤のいずれか(例えば、ポリソルベート80)に対する過敏症歴。
17.妊娠の計画があるまたは現在妊娠中であるもしくは授乳中の女性。
18.スクリーニング時または1日目の妊娠検査結果が陽性の女性。
19.本試験において1日目に試験薬を開始する前30日以内または治験製品の半減期の5倍の期間内(いずれか長い方)における、別の介入処置試験の参加または任意の実験的治療の使用
20.スクリーニングの開始前1年以内の薬物またはアルコールの乱用または依存歴が分かっているまたはその疑いがあること。
21.試験責任医師の意見によると、試験への患者の完全な参加に干渉する、患者に対する任意の追加的なリスクを提起する、または患者の評価もしくは試験の転帰に交絡を生じさせる可能性がある医学的または心理学的状態(複数可)または危険因子が分かっていること。
【0224】
患者は、任意の時点で試験から離脱する権利を有する。患者が同意を撤回する場合、早期中止(ET)来院に関して規定された評価を実施した。試験から離脱する患者の補充は行わなかった。
【0225】
患者は、処置を停止することが患者の最善の利益であれば、試験薬を中止することができる。患者が試験薬を中止した場合、患者は、異なる補体標的化治療が開始されるまで、患者の予定されたプロトコールによる来院の残りに戻ることを推奨された。
【0226】
患者が、現在進行している有害事象、または、有意に基準範囲外であり、臨床的に有意である未解決の検査結果を有したまま試験を中止する場合、試験責任医師は、検査結果または有害事象の十分な臨床的解決が達成されるまでフォローアップを提供するよう試みた。
【0227】
試験依頼者または監督当局は妥当な理由で試験を終結させることができる。試験の終了は、延長期間中、最後の患者の最終来院の日と定義される。
【0228】
5.試験処置
本試験における試験薬は、ALXN1210(ラブリズマブ)およびエクリズマブ(実対照薬)であった。ALXN1210およびエクリズマブはどちらもヒト化抗C5モノクローナル抗体であった。
【0229】
エクリズマブは、ヒト定常領域ならびにヒトフレームワーク軽鎖および重鎖可変領域に移植されたマウス相補性決定領域からなるIgG2/4カッパ免疫グロブリンである。明確にするために、IgG2/4は、IgG2重鎖に由来するエレメントとIgG4重鎖に由来するエレメントの両方を含む、天然に存在しないタンパク質工学的に操作された重鎖を記載する省略表現である。この独特の重鎖は、エクリズマブに関して抗C5抗体への使用について最初に記載された。エクリズマブは、448アミノ酸の重鎖2つと214アミノ酸の軽鎖2つで構成される。
【0230】
ALXN1210は、抗体半減期を延長するためにエクリズマブの重鎖に4つの独特のアミノ酸置換を導入することによるエクリズマブの最小の標的化工学的操作によって導き出された。ALXN1210およびエクリズマブは、99%超の一次アミノ酸配列同一性を共有し、非常に類似した薬理学を有する。
【0231】
ALXN1210およびエクリズマブ製剤は、使い捨てバイアル中の滅菌された保存剤を含まない10mg/mL溶液として臨床試験に供給され、IV注入による投与用の市販の生理食塩水(0.9%塩化ナトリウム注射液;国固有の薬局方)に希釈することによる注入のために設計された。表4、現行のALXN1210 IB、および承認されたエクリズマブの現地のラベル表示または現行のエクリズマブIBにより追加的な情報がもたらされる。
【表4】
【0232】
ALXN1210およびエクリズマブを米国薬局方/ヨーロッパ薬局方1型ホウケイ酸ガラスバイアルに詰め、アルミニウムオーバーシールおよびフリップオフキャップを有するブチルゴム栓で栓をした。試験薬をキットとして供給する。適用可能な規制に基づいて要求される必須文書を受け取ったら、試験薬を各施設(site)に向けてリリースする。
【0233】
試験実施施設(study site)に試験薬キットが到着したら、薬剤師または被指名人が即座に試験薬キットを配送用クーラーから取り出し、それらを元の箱に入った状態で2℃〜8℃(35°F〜47°F)の冷蔵条件下で保管し、光から保護する。ALXN1210およびエクリズマブは凍結させなかった。試験薬を安全な出入りが制限された保管領域内で保管し、温度を毎日モニタリングしなければならない。
【0234】
製剤は投与前に室温にする。材料は周囲空気温度によるもの以外では加熱しない(例えば、マイクロ波または他の熱源を使用することによって)。
【0235】
エクリズマブまたはALXN1210はIVプッシュ注射またはボーラス注射としては投与しなかった。試験薬の注入は無菌技法を使用して調製した。患者に必要な用量のALXN1210またはエクリズマブを市販の生理食塩水(0.9%塩化ナトリウム;国固有の薬局方)中に、ALXN1210については表5において、またはエクリズマブについては表6において指定されている体積でさらに希釈する(エクリズマブについては承認された現地のラベル表示または現行のIBも参照されたい)。希釈剤中ALXN1210またはエクリズマブ溶液を患者に、IVチューブ投与セットを使用して注入ポンプを介して投与する。注入用のインラインフィルターの使用が必要である。
【表5】


注:追加的な用量調製指示に関してはPharmacy Manualを参照されたい。
a最後の試験来院時に記録された体重。

【表6】
【0236】
試験薬の用量は、薬剤師または医学的に資格のあるスタッフメンバーだけが調製し、投薬した。試験薬は、本試験への参加に適格となることが確認された登録患者だけに投薬する。試験薬を患者に対して調製したら、その患者だけに投与する。試験薬のバイアルは1回限りの使用のためのものであり、バイアル中に残った製剤は一切別の患者に使用しなかった。注入チューブまたは注入バッグ中に残った薬物は一切別の患者に使用しなかった。
【0237】
本試験は、ALXN1210と実対照薬であるエクリズマブの直接比較を伴う。患者を、ALXN1210またはエクリズマブのいずれかを26週間にわたって受けるように1:1の比でランダムに割り当てた。試験薬を緩徐なIV注入として投与した(表5および表6参照)。
【0238】
ALXN1210の用量レジメンは、1日目に負荷用量、その後、15日目およびそれ以降q8wで維持用量であった。ALXN1210の投薬量は、表7に示されている通り、用量投与時の患者の体重に基づくものであった。
【表7】
【0239】
エクリズマブ群にランダムに割り当てられた患者は、エクリズマブを、週1回の導入用量を4回、その後、維持用量を第5週に開始してq2wである、PNH適応症に対して承認された投薬レジメンに従って受けた(表8)。
【表8】
【0240】
ランダム化処置期間後、全患者が延長期間に入り、ALXN1210を、当該製品が登録または認可されるまで(国固有の規制に従って)または最長2年間のいずれか最初に起こるまで受けた。183日目から開始して、ALXN1210処置群にランダム化された患者は、体重に基づく維持用量のALXN1210をq8wで受け、エクリズマブ群にランダム化された患者は、体重に基づく負荷用量のALXN1210を受け、その後、2週間後およびそれ以降q8wで体重に基づく維持用量のALXN1210を受けた(表7)。
【0241】
全ての用量投与の実際の時間を患者のeCRFに記録した。登録の基準を全て満たす患者を、ベースライン来院(1日目)に、ALXN1210またはエクリズマブを用いた試験処置にランダムに割り当てた。処置群の割り当ては、双方向音声またはウェブ応答システム(IxRS)を使用し、コンピューターにより作成されたランダム配列によって決定した。ランダム化は、層別化ランダム化であった。患者を輸血歴(試験薬の初回投薬前1年以内のpRBC単位数が0、1〜14、または>14)およびスクリーニング乳酸脱水素酵素(LDH)レベル(1.5×ULN〜3×ULN未満または3×ULN以上)に基づいて6群のうちの1つに層別化した。次いで、6群のそれぞれの患者を、26週間のランダム化処置期間中ALXN1210またはエクリズマブを受けるように1:1の比でランダムに割り当てた。
【0242】
本試験におけるALXN1210の体重に基づく投薬量(表7)は、健康な成人志願者における初期開発試験のPK/PDデータ、ならびに継続中の第Ib相用量探索試験(ALXN1210−PNH−103)および継続中の第II相概念実証試験(ALXN1210−PNH−201)においてPNHの患者から入手可能なデータを前提とするものであった。ALXN1210用量レジメンの選択は、PNHの患者における終末補体の即時、完全かつ持続的な阻害の標的化に基づく。
【0243】
エクリズマブ投薬量は、PNHの患者の処置に関してラベルに表示された用量である(Soliris(登録商標)USPIおよびSmPC)。
【0244】
他のモノクローナル抗体の注入には、一般には注入中または注入完了直後に発症するインフュージョンリアクションが伴っている。患者が、スクリーニングの開始前28日以内(または髄膜炎菌ワクチン接種の記録については3年以内)から試験薬の初回投薬までに摂取したまたは受けた、除外基準および手順において考察されているもの(外科手術/生検または理学療法などのあらゆる治療介入)を含めた以前の薬剤(ビタミンおよび生薬製剤を含む)を患者のeCRFに記録した。
【0245】
最初の試験薬投与前1年以内に受けたpRBCの輸血を患者のeCRFに記録した。
【0246】
試験中に行われた全ての薬剤の使用および手順を患者の原文書/カルテおよびeCRFに記録する。この記録は、全ての処方薬、生薬製品、ビタミン、無機物、市販薬、およびPNHに対する現行の薬剤を含む。併用薬を試験薬の最初の注入から患者の試験薬の最後の用量の56日後まで記録した。併用薬のいかなる変化も患者の原文書/カルテおよびeCRFに記録した。試験中の患者の標準治療のために、または何らかのAEを処置するために必要であるとみなされた併用薬はいずれも、試験責任医師の自由裁量で、下記の許容される薬剤と一緒に提供される。しかし、試験責任医師には、全ての薬剤に関する詳細が患者の原文書/カルテおよびeCRFに完全に記録されることを確実にする責任がある。
【0247】
以下の併用薬が以下の条件に当てはまる場合許容され、ランダム化処置期間中の用量調整は予測されなかった:
・エリスロポエチン、患者が、スクリーニング前少なくとも8週間にわたって安定な用量を受けている場合。
・免疫抑制剤、患者が、スクリーニング前少なくとも8週間にわたって安定な用量を受けている場合。
・コルチコステロイド、患者が、スクリーニング前少なくとも4週間にわたって安定な用量を受けている場合。
・ビタミンKアンタゴニスト(例えば、ワルファリン)、INRがスクリーニング前少なくとも4週間にわたって安定している場合。
・鉄補給剤または葉酸、患者が、スクリーニング前少なくとも4週間にわたって安定な用量を受けている場合。
・低分子量ヘパリン、患者が、スクリーニング前少なくとも4週間にわたって安定な用量を受けている場合。
【0248】
患者の最善の利益であるとみなされる場合、上記の薬剤のいずれかの頻度または用量レベルを調整することができた。
【0249】
エクリズマブまたはALXN1210を使用すると、それらの作用機構に起因して、患者の髄膜炎菌感染(N.meningitidis)に対する易罹患性が増大する。髄膜炎菌感染のリスクを低減するために、全患者が、試験薬開始前3年以内または試験薬開始時に髄膜炎菌感染に対するワクチン接種を受けた。髄膜炎菌ワクチンを受けた後2週間経たずに試験薬による処置を開始した患者は、適正な予防用抗生物質を用いた処置をワクチン接種の2週間後まで受けた。一般的な病原性髄膜炎菌血清型を防止するために、入手可能な場合、血清型A、C、Y、W135、およびBに対するワクチンが推奨された。患者は、補体阻害剤(例えば、エクリズマブ)を伴うワクチン接種の使用に関する現行の国のワクチン接種ガイドラインまたは現地の慣行に従ってワクチン接種を受けたまたは再度ワクチン接種を受けた。
【0250】
ワクチン接種は髄膜炎菌感染を防止するために十分でない可能性がある。抗細菌剤の適正使用について公式ガイダンスおよび現地の慣行に従って考慮した。全患者を髄膜炎菌感染の初期徴候についてモニタリングし、感染が疑われる場合には直ちに評価し、必要であれば適正な抗生物質を用いて処置した。
【0251】
6.有効性評価
患者のヘモグロビン値が9g/dLもしくはそれ未満であり、輸血の根拠になる十分な重症度の徴候もしくは症状が伴う場合、または臨床徴候もしくは症状が存在するかどうかにかかわらず、ヘモグロビン値が7g/dLもしくはそれ未満である場合、pRBC輸血を施行した。
【0252】
一般には患者の輸血必要性に関連するまたはそれを引き起こす徴候または症状を個々の患者についてeCRFに記録した。輸血の根拠になる典型的な貧血関連症状には、狭心症、精神的状態の変化(例えば、失神、もうろう状態(light headedness)、錯乱、脳卒中、一過性脳虚血発作)、重症のまたは悪化する息切れ、および重症のまたは悪化する疲労が含まれた。
【0253】
患者が試験中にいずれかの輸血基準を満たした場合、試験責任医師が輸血するpRBCの単位の適正な数を決定した。輸血は、輸血の原因となるヘモグロビンの決定から48時間以内に実施することが推奨された。ヘモグロビンの結果および輸血を誘発する症状、ならびに輸血する単位数を含めた輸血の施行をeCRFに記録した。
【0254】
ランダム化の前、かつ1日目に試験薬を投与する前5日以内に、各患者のヘモグロビンを各実施施設または中央検査機関のいずれかで評価した。その時点で患者のヘモグロビン値がこれらの輸血ガイドラインに該当した場合、ランダム化に適格となるようにするために、患者にpRBCを輸血して、ヘモグロビンレベルが輸血閾値を上回るようにした。患者の輸血後ヘモグロビン値が輸血閾値を上回っていることを各実施施設または中央検査機関で確認した。
【0255】
A.LDHおよびその他疾患関連検査パラメーター
血液および尿試料を採取した。試験中、以下の疾患関連検査パラメーターを測定した:LDH、遊離ヘモグロビン、尿潜血、総C5、ハプトグロビン、網状赤血球数、高感度フローサイトメトリーによって評価されるPNH RBCクローンサイズ、D−ダイマー濃度、推定糸球体濾過量(腎疾患における食事の変更(Modification of Diet in Renal Disease)式を使用して算出される)、スポット尿アルブミン:クレアチニン比、およびC反応性タンパク質。
【0256】
B.患者申告の転帰評価基準
2つの検証されたQoLスケールを患者に試験薬投与前に施行した。FACIT−疲労スケール、バージョン4.0は、慢性疾病に起因する疲労症状の管理に関するQoLアンケートの収集物である。FACIT−疲労は、直前の7日間にわたる自己申告疲労および日常活動および機能に対するその影響を評価する13項目のアンケートである。患者は、各項目を5点スケール:0(全くない)〜4(非常に大きい)でスコア化する。総合スコアは0から52までにわたり、スコアが高いほどQoLがより良好であることが示される。
【0257】
欧州がん研究治療機関(EORTC)の生活の質アンケート−コア30スケール(QLQ−C30)、バージョン3.0は、がん患者のQoLを評価するために開発されたアンケートである。このアンケートは、以下のサブスケールを含む:全体的な健康、機能スケール(身体機能、役割機能(role functioning)、情動機能(emotional functioning)、認知機能、および社会的活動)、症状スケール(疲労、悪心および嘔吐、および疼痛)、ならびに単一項目(呼吸困難、不眠症、食欲不振、便秘、下痢、および財政的困難)。30個の質問がQoLに関連するものであり、最初の28個の質問は4点スケール(1=全くない〜4=非常に大きい)でスコア化され、患者の全体的な健康およびQoLを探る最後の2個の質問は、1(非常に劣る)〜7(優れた)のスケールでスコア化される。各サブスケールは0〜100%の範囲を有し、高スコアは、応答レベルがより高いことを表す。したがって、機能スケールの高スコアは高レベルの機能を表すが、症状スケールの高スコアは、高レベルの総体的症状/問題を表す。
【0258】
疾病負荷を評価するために、患者に2つの追加的なアンケートを完成させた。これらのアンケートは患者に試験薬の注入前に施行した。PNH症状アンケートには、以下の症状が列挙されている:眼の黄変、尿の変色、胸部疼痛、息切れ、頭痛、疲労、腹部疼痛、錯乱、勃起機能不全、嚥下困難、およびその他。患者は、症状のそれぞれをこの1週間に経験したかどうかを示し、経験した場合、頻度(まれに〜ほぼ絶えずにわたる4点スケール)、重症度(軽微〜非常に重症にわたる4点スケール)、およびそれに関連する窮迫/困惑の程度(全くない〜非常に大きいにわたる5点スケール)を評価する。
【0259】
資源利用アンケートは、患者に過去1カ月以内に、主にPNHの処置のために医療提供者の元を訪れた回数(プロトコールに規定された試験来院は除く)、主にPNHの処置のために緊急治療室に入った回数、主にPNHの処置のために病院に入院した回数、暗色尿を有した回数、および/またはPNHの症状の結果として欠勤した回数を提示するように尋ねるものである。
【0260】
C.主要な血管系有害事象
主要な血管系有害事象(MAVE)を有害事象(AE)についての計画された評価の一部として評価した。MAVEの説明、解剖学的部位、診断方法(例えば、磁気共鳴画像法、超音波、血管造影図)、診断日、および消散日(または継続中)を、患者の病歴(ベースライン前)の一部として、および試験中に、eCRFに収集した。
MAVEは以下の通り定義される:
a)血栓性静脈炎/深部静脈血栓症
b)肺塞栓症
c)心筋梗塞
d)一過性脳虚血発作
e)不安定狭心症
f)腎静脈血栓症
g)急性末梢血管閉塞
h)腸間膜/臓側静脈血栓症または梗塞
i)腸間膜/臓側動脈血栓症または梗塞
j)肝臓/門脈血栓症(バッド・キアリ症候群)
k)大脳動脈閉塞症/脳血管発作
l)大脳静脈閉塞症
m)腎動脈血栓症
n)壊疽(非外傷性;非糖尿病性)
o)切断(非外傷性;非糖尿病性)
p)皮膚血栓症
q)その他、明記する
【0261】
D.主要な血管系有害事象
年齢、性別、人種、および民族性を含めた人口統計パラメーターについての総括を実施した。完全な病歴を取得し、記録した。体重および身長を記録した。身長はスクリーニング時にのみ測定した。
【0262】
最初のPNH症状の発症、診断日、PNHクローンサイズ、pRBC輸血、および任意のMAVE歴を含めた患者のPNH病歴をスクリーニング来院時に記録した。
【0263】
以前のおよび併発している状態/障害ならびに輸血歴を含めた患者の病歴をスクリーニング来院時に記録した。スクリーニングの開始前28日間(または髄膜炎菌ワクチン接種の記録については3年)にわたる薬剤(ビタミンおよび/または生薬補給剤を含めた処方薬または市販薬)の使用も、髄膜炎菌ワクチン接種に加えて記録した。
【0264】
身体検査には以下の評価を含めた:全身外観;皮膚;頭部、耳、眼、鼻、およびのど;頸部;リンパ節;胸部;心臓;腹腔;肢;中枢神経系;ならびに筋骨格系。簡易身体検査は、試験責任医師の判断および患者の症状に基づく身体系関連検査からなった。
【0265】
バイタルサイン測定値は患者が少なくとも5分間安静にした後に取得し、これは、収縮期血圧および拡張期血圧(BP;ミリメートル水銀柱[mmHg])、心拍数(回/分)、呼吸数(呼吸/分)、ならびに口腔温度または鼓膜温度(摂氏温度[℃]または華氏温度[°F])を含む。
【0266】
血清妊娠、血液学、化学、凝固、および尿検査のための試料を実施した。検査室評価のための試料は各試験薬投与前に採取した。ブレイクスルー溶血が疑われる事象が起こった場合、中央検査機関でのLDHおよびPK/PDの分析のための試料を採取する不定期来院を行う。
【0267】
基礎疾患に起因していくつかの検査値が正常値範囲を外れることが予測された。試験責任医師は、これらの値の臨床的意義を評価する際に医学的判断を使用した。臨床的意義は、医学的関連性を有し、診療の変化を生じさせる検査測定値のあらゆる変動と定義される。ベースライン値からの臨床的に意義のある検査的変化が認められた場合、その変化をAEとしてAE eCRFに記録した。試験責任医師はまた、臨床的に意義のある範囲外値全てについて試験処置との関係も評価した。試験責任医師は、患者を、(1)値が正常範囲もしくはベースラインレベルに戻るまで、または(2)試験責任医師の判断で、正常範囲から外れた値が試験薬の投与または他のプロトコールに特有の手順に関連しなくなるまで、追加的な検査室評価によって継続してモニタリングした。
【0268】
血液試料を血清化学的パラメーターについて分析した。間接ビリルビンは総ビリルビン値および直接ビリルビン値から算出される;したがって、直接ビリルビンが定量限界を下回る場合には間接ビリルビンの結果は入手不可能であった。閉経後の女性の患者に関しては閉経後の状態であることを確認するために血清FSHレベルをスクリーニング中に測定した。化学的評価を実施した。血清化学を収集した来院時の全てで推定糸球体濾過量を腎疾患における食事の変更式を使用して算出した。血液試料を凝固パラメーターについて分析した。
【0269】
尿試料を分析した。肉眼での分析の結果が異常だった場合には尿試料の顕微鏡検査を実施した。尿タンパク質:クレアチニン比を算出するために、尿試料を分析してタンパク質およびクレアチニンも測定した。
【0270】
ヒト免疫不全ウイルス1型(HIV−1)およびヒト免疫不全ウイルス2型(HIV−2)に対するHIV検査が全患者について登録前に必要である。既知のHIV陽性患者は登録しなかった。
【0271】
各患者について、単一12誘導デジタルECGを採取した。患者は、ECG収集前におよそ5〜10分にわたって仰臥位でいなければならず、ECG収集中は仰臥位のままであるが覚醒していなければならない。
【0272】
試験薬投与前の血清中のALXN1210またはエクリズマブに対するADAの存在および力価を試験するために血液試料を採取した。試験の結果が陽性であった場合、測定された力価および安全性評価に基づいて、結果が陰性になるかまたは安定化するまで、3カ月毎に試験を繰り返した。必要に応じて、結合性および中和抗体、PK/PD、安全性、ならびにALXN1210またはエクリズマブの活性を含めた抗体応答のさらなる特徴付けを行った。
【0273】
AEとは、医薬製品を投与された患者に生じたあらゆる好ましくない医療上のできごとであり、必ずしも当該処置との因果関係(causal relationship)を有するものではない。したがって、AEは、医薬品に関連するとみなされるかどうかにかかわらず、医薬品の使用に時間的に関連するあらゆる好ましくないまたは意図しない徴候(例えば、異常な検査所見)、症状、または疾患であり得る。
【0274】
好ましくない医療上のできごとが起こらない状況(例えば、試験の開始前に計画されていた場合の待機的手術のための入院、社会的理由でのまたは便宜上の入院)、および悪化しない、試験開始時に存在するまたは検出された既存の疾患(複数可)または状態(複数可)の予測される日々の変動はAEではない。
【0275】
臨床試験の目的は薬物の効果を確立することであるので、薬物の効果がないことは、臨床試験においてはAEではない。
【0276】
薬物適用の誤り(製品の意図的な誤用、乱用、および過量投薬を含む)またはプロトコールにおいて定義されているもの以外の使用は、薬物適用の誤りの結果として好ましくない医療上のできごとが存在しない限り、AEとはみなされない。
【0277】
治験製品への母系または父系曝露中に妊娠が生じた場合は、試験責任医師/施設が認識してから24時間以内に報告された。胎児転帰および授乳に関するデータを規制報告および安全性評価のために採取する。
【0278】
有害事象は同意署名時から記録した。インフォームドコンセント後であるが試験薬投与前に報告されたAEは処置前AEとみなされる。
【0279】
C5阻害により、莢膜を有する細菌、特にN.meningitidisによって引き起こされる感染に対する易罹患性が増大することが分かっている。以下の事象は、本試験における重要な同定されたリスクであった:髄膜炎菌感染、敗血症、重篤な感染、Aspergillus感染、およびインフュージョンリアクション。本試験における追加的な目的の事象には以下が含まれた:重篤な皮膚有害反応、心臓障害(心室細動を含む)、および血管性浮腫。
【0280】
有害事象共通用語基準(CTCAE)バージョン4.03またはそれ以降のものを使用してAEの重症度に類別した。各AE用語に関して類別(重症度)スケールが提供された。各CTCAE用語は、医薬品規制用語集(MedDRA(登録商標))に従った下層語(LLT)である。各LLTがMedDRA基本語(PT)にコード付けされる。
【0281】
グレードとは、AEの重症度を指す。CTCAEでは、グレード1〜5が、各AEについて重症度の独特の臨床的説明と共に割り当てられる(表9)。
【表9】

略語:ADL=日常生活動作;AE=有害事象
a 手段的ADLとは、食事の準備、日用品や衣服の買い物、電話の使用、金銭の管理などを指す。
b 身の回りのADLとは、入浴、着衣および脱衣、食事の摂取、トイレの使用、薬の内服、および寝たきりでないことを指す。
【0282】
試験責任医師は、全てのAE(重篤なものおよび重篤でないもののどちらも)について、試験責任医師の医学的判断および観察された事象に関連する症状に基づいて因果関係(causality)評価(なし、おそらくなし、可能性あり、おそらくあり、明らかにあり)を示さなければならない(表10)。この評価をeCRFおよび必要に応じて任意の追加的なフォームに記録した。
【表10-1】
【表10-2】
【0283】
重篤な有害事象(SAE)とは、死亡に至る、生命を脅かす(すなわち、患者が、事象が生じた時に死亡のリスクがあった)、入院患者としての入院または現在の入院の延長が必要になる、持続性のまたは著しい能力障害/無能に至る、かつ/または先天性異常/先天性欠損である、あらゆる好ましくない医療上のできごとである。
【0284】
死亡に至らない可能性がある、ただちに生命を脅かすものではない可能性がある、または入院が必要にならない可能性がある重要な医療上の事象は、適正な医学的判断に基づいて、患者が危険にさらされるまたは上に列挙されている転帰のうちの1つを防止するために介入が必要になる可能性がある場合、重篤な有害事象とみなされ得る。
【0285】
予測できない重篤な有害反応の疑い(SUSAR)は、IBには列挙されておらず、試験責任医師により治験製品または手順に関連するものと同定された重篤な事象であった。
【0286】
ETの患者については試験薬の最後の用量から56日後までまたは試験を完了した患者については試験薬の最後の用量から56日後まで、ICFの徴候から全てのAE(重篤なものおよび重篤でないもの)を収集した。
【0287】
7.薬物動態および薬力学
血清薬物濃度の決定およびPD評価用の血液試料を試験薬の投与の前後に採取した。各試料採取の実際の日時(24時間での時刻)を記録する。任意の所与の患者についてのPK試料採取時点の数は現在計画されている時点の数を超えなかった;ブレイクスルー溶血の場合には、追加的なPK/PD試料が必要であった。
【0288】
PKおよびPD評価のための血液試料は、薬物の注入に使用した腕とは反対の腕から抜き取った。
【0289】
PK/PDの評価は以下の通りであった:血清ALXN1210およびエクリズマブ濃度の経時的な変化、cRBC溶血活性の経時的な変化(探索的)、ならびに遊離C5濃度および総C5濃度の経時的な変化。
【0290】
8.統計学的方法および計画解析
収集された全てのデータが概略図表に示される。全てのデータ、ならびにデータから導き出されるあらゆる転帰は、詳細なデータ一覧表で表される。適切な場合、グラフ表示も提示する。解析は全てSAS(登録商標)リリース、バージョン9.4またはそれ以降のもの(SAS Institute Inc.、Cary、NC、USA)または他の検証された統計学的ソフトウェアを使用して行った。連続変数を、観察の数ならびに平均値、標準偏差、メジアン、最小値、および最大値を含めた記述統計を使用して要約した。カテゴリー変数を患者の頻度数およびパーセンテージによって要約した。特に指定のない限り、統計検定は全て両側5%水準の有意性に基づいて行った。データベースを確定し、ロックする前に、各患者についての解析からのデータの組入れまたは除外に関する全ての決定を適正な医学的および統計学的人員によって決定した。ありとあらゆる除外を患者一覧表に記録した。
【0291】
下記の統計解析の詳細をデータベースのロックおよび解析前に別の統計解析プラン(Statistical Analysis Plan)(SAP)において指定した。プロトコールに記載されているデータ解析方法に対するあらゆる変化は、それにより主目的もしくは重要な副次目的または試験管理が変化する場合にのみ修正が必要になる。プロトコールまたはSAPに記載されているデータ解析方法に対する任意の他の変化、および変化を行うことの正当化を試験総括報告書(clinical study report)(CSR)に記載する。適正であるとみなされるデータの追加的な探索的解析を行った。
【0292】
CSRを26週間のランダム化処置期間の終わり(183日目)までに採取された有効性、安全性、PK、およびPDデータに基づいて作成した。長期間にわたる有効性、安全性、PK、およびPDパラメーターを要約するための最終的なCSRを試験完了時に作成した。
【0293】
少なくとも193名の患者が評価可能になることを確実にするために(脱落率が10%以下と仮定する)、およそ246名の患者を、ALXN1210(N=107)またはエクリズマブ(N=107)を受けるように1:1の比でランダムに割り当てた。サンプルサイズ推定は、ALXN1210で処置された患者とエクリズマブで処置された患者を比較する非劣性デザインに基づくものであった。29日目から183日目までのLDHの正常化(LDH−N)および183日目まで輸血回避(TA)を達成した患者の割合によって直接測定される溶血の共主要評価項目を使用して、非劣性を評価した。サンプルサイズは、より多くの患者数を必要とする評価項目に基づく。
【0294】
共主要評価項目であるLDH−Nについて、プラセボに対するエクリズマブの相対的利益0.39および片側2.5%の第1種の過誤に基づく非劣性マージン(NIM)を使用し、最低142名の患者により、ALXN1210のエクリズマブに対する非劣性を実証するための80%の検出力がもたらされる。NIMを、プラセボに対するエクリズマブの相対的利益がオッズ比6.5で示されたランダム化プラセボ対照試験に基づいて決定した(Hillmen P., et al., N. Engl. J. Med., 2006; 355: 1233-1243)。これは、いくつかの因子に基づくものであった。ベースラインLDHは正常化の率の予測因子であるので、定常性の仮定を保存するために、LDH−Nの率を算出し、現行のALXN1210第Ib相および第II相データの観察されたベースラインLDH−Nに対して調整した。次いで、エクリズマブについてのLDH−Nの推定値を算出して、29日目から183日目までのLDH−Nの割合の重み付けされた平均になるようにし、本試験の提唱された解析計画と一致するようにした。プラセボで処置された患者についてのLDH−Nの割合は全ての来院時に0%であったので、オッズ比を算出することができるように95%CIの上限を使用した。最終的な利益の推定値は、エクリズマブで処置された患者について42%およびプラセボについて10%であるLDH−Nの割合に基づくものであった。従来のNIMの選択は、≦50%の利益喪失を伴うものであり、その結果、NIMのオッズ比は0.39になる。NIMの算出はNg T−H(Statist. Med. 2008; 27: 5392-5406)に従い、Ng T−Hでは、NIMが1/{OR0.5}で示され、ここで、ORはプラセボと比較したエクリズマブのオッズ比を表し、[0.42/(1−0.42)]/[0.1/(1−0.1)]によって示され、0.5は、保護される利益の分率である。この手法では、2010 Food and Drug Administration(FDA)Guidance for Industry:Non−Inferiority Clinical TrialsのSection IVに記載されている通り、対数オッズスケールでNIMを選択する。エクリズマブについての95%CIの下限を使用するなど、NIMを構築するためのより保存的な手法を使用することができるが、得られる推定サンプルサイズは、PNHが稀であることおよびエクリズマブ未経験の患者の不足を踏まえると本試験を操作上実行不可能にするものになる。
【0295】
他方の共主要評価項目である183日目まで輸血を一切受けなかった患者の割合に関して、−20%のNIMおよび片側2.5%の第1種の過誤を使用すると、最低193名の患者により、処置アーム間の非劣性を実証する80%の検出力がもたらされる。NIMを、エクリズマブで処置された患者が2012年またはそれ以降に登録簿に登録される国際PNHレジストリ(Soliris Type II Variation Procedure No. EMEA/H/C/000791/II/66)に基づいて決定した。輸血歴は、処置下での輸血の予測因子であり、したがって、定常性の仮定を保存するために、NIMを、本試験における登録期待値に比例して、処置された患者および無処置の患者から入手可能なデータに基づいて評価した。エクリズマブを用いて処置された患者(TA率57.1%)では無処置の患者(TA率18.6%)に比して利益が示され、登録前12カ月の輸血歴について調整後の差異はおよそ40%(38.5%)であった。調整は、輸血歴がない患者の予測される割合を20%以下することによってもたらされる。定常性が達成されることを確実にするために、本試験への患者の登録には輸血歴がない患者は20%までという上限を設けた。
【0296】
従来のNIMの選択は、およそ−20%のNIMをもたらす、≦50%の利益喪失を伴うものである。率の差異についての95%CIの下限を使用し、より保存的なNIMを使用することができるが、得られる推定サンプルサイズは、PNHが稀であること、ならびに、輸血歴を有するおよび有さない、エクリズマブ未経験の患者の不足を踏まえると、試験を操作上実行不可能にするものになる。さらに、第Ib/II相プログラムからの予備段階の結果においてTAが観察された患者の割合を考慮すると、検出力の低下を限定し、所与のサンプルサイズに対して、より保存的なNIMを用いて非劣性を実証することができる。
【0297】
LDH−Nに基づくサンプルサイズ推定値はTAに基づくものよりも小さいので(表11)、本試験のために選択された最終的なサンプルサイズ推定値は、TA評価項目に基づくものであった。可能性のある10%の脱落率を調整し、およそ246名の患者を本試験に登録した。
【表11】

注:ソフトウェアパッケージ:Hintze, J. (2011). PASS 11. NCSS, LLC. Kaysville, Utah, US. www.ncss.com
a. ベースラインLDHについて調整したTRIUMPH試験での奏効率。
b. 輸血歴について調整したGlobal PNH Registryでの奏効率。
【0298】
有効性解析を最大の解析対象集団(Full Analysis Set)(FAS)に対して実施した。共主要有効性評価項目解析、ならびに重要な副次的評価項目解析をプロトコールに適合した(PP)解析対象集団(Per Protocol(PP)set)に対して実施した。FASは、全ての有効性解析のための主要な集団である。FASは、少なくとも1用量のALXN1210またはエクリズマブを受け、最初の注入後の少なくとも1つの有効性評価を有する全患者を含む。
データベースをロックする前に確定されるPP解析対象集団は、以下の基準の全てを満たすFAS患者からなる:
a)26週間のランダム化処置期間中にいかなる用量のALXN1210も受け損ねなかったまたは1用量以下のエクリズマブを受け損ねた
b)組み入れ基準#2、3、および4を満たした
c)除外基準#1にも#2にも#3にも#4にも該当しなかった
d)間違ったランダム化処置を受けていない
e)プロトコールに規定された輸血ガイドラインに従っていた
【0299】
安全性解析を、少なくとも1用量の試験薬を受けた全患者と定義される安全性解析対象集団(Safety Set)に対して実施した。薬物動態およびPD解析を、少なくとも1用量の試験薬を受け、評価可能なPKおよびPDデータを有する全患者に対して実施した。
【0300】
病歴および輸血歴を含めた患者の人口統計およびベースライン特性を処置群ごと、ならびにFAS、安全性解析対象集団、およびPP解析対象集団全体について要約した。正式な統計比較は行わなかった。
【0301】
処置群ごとに、スクリーニングされ、処置を受けた患者および試験を完了したまたは中止した患者の頻度およびパーセンテージを、中止の理由と共に記載する患者の配置の要約に全患者を含めた。試験を中止した全患者を同定し、当該患者の試験への参加の程度を報告した。分かっている場合、中止の理由を示す。処置を受けた患者の数、処置を中止した患者の数(処置中止の理由と共に)、延長期間に入った患者の数、および延長期間を中止した患者の数(中止の理由と共に)を処置群ごとおよび全体的に表にした。
【0302】
World Health Organization Drug Dictionaryを使用して各患者の以前の薬剤使用および併用薬使用をコード化し、併用薬の頻度およびパーセンテージを要約する。薬剤を、FAS、安全性解析対象集団、およびPP解析対象集団における患者の頻度数およびパーセンテージを使用し、解剖治療化学(ATC)クラスごとおよび好ましい薬物名ごとに要約した。
【0303】
共主要有効性評価項目は、1)183日目までTAを達成した患者の割合の処置群間での差異、および2)オッズ比として表される、29日目から183日目までのLDH−Nの処置間の相対的効果であった。輸血回避は、輸血を受けておらず、輸血に関するプロトコールに規定されたガイドラインに該当しなかった患者によってのみ達成される。95%CIでTAを達成する患者のパーセンテージを183日目にALXN1210処置群およびエクリズマブ処置群ならびにランダム化層の両方についてコンピューター計算する。2つの処置群におけるTAを達成する患者のパーセンテージの差異をALXN1210処置群とエクリズマブ処置群の間で、差異についての95%CIと共に算出する。ALXN1210処置群とエクリズマブ処置群の間の差異を層別化群内のALXN1210処置群とエクリズマブ処置群の間の重み付けされた差異の組合せとしてコンピューター計算する(Mantel−Haenszelを使用する)。ALXN1210処置群とエクリズマブ処置群の間の差異についての95%CIを、層別化Newcombe信頼区間方法を使用して算出する。
【0304】
LDH−Nを、各来院時のLDH−Nの反復測定を説明する一般化推定方程式(GEE)手法を使用して解析した(Liang K-Y, et al., Biometrika. 1986; 73 (1): 13-22)。GEE手法では、処置効果のオッズ比およびCIがもたらされると同時に、所与の患者の来院とその他ベースライン因子の間の相関が制御される。29日目から183日目までのLDH−Nを処置についての従属変数および指示変数として使用し、輸血歴(層別化因子レベルに基づくカテゴリー変数として)およびベースラインLDHレベル(連続変数として)を説明変数としてモデルに含めた。患者内相関は、時間が最も近い来院間に最も高い相関があると仮定する一次自己回帰構造を仮定するものである。29日目は、維持投薬の開始後の最初の予定された評価であり、エクリズマブでの経験および第Ib/II相ALXN1210データから、4週間の処置によるLDHのほぼ最大の抑制が実証される。このモデルからの結果を、95%信頼区間を伴うオッズ比として示した。
【0305】
ALXN1210がエクリズマブに対して非劣性であると結論づけるために、両方の共主要評価項目について個別に非劣性を実証する必要がある。差異(ALXN1210−エクリズマブ)についての95%CIの下限が、TAについて−20%のNIMよりも大きく、ALXN1210とエクリズマブを比較したオッズ比についての95%CIの下限が、LDH−Nについて0.39のNIMよりも大きい場合、ALXN1210による処置はエクリズマブに対して非劣性であると結論づけた。非劣性が両方の共主要評価項目に当てはまり、共主要評価項目のいずれかにおいてALXN1210についてより大きな効果が観察された場合には、Hochberg多重比較手法を使用して優位性を評価した。
【0306】
4つの重要な副次的有効性評価項目を、ベースライン時および26週間のランダム化処置期間中にこれらの評価を収集した試験来院時にランダム化層ごとおよび処置群ごとに要約した。ベースラインから第26週までのFACIT−疲労の変化(かつLDHのパーセント変化)を、反復測定のための混合モデル(MMRM;例えば、Mallinckrodt CH, et al., J. Biopharm. Stat. 2001; 11: 9-21およびMallinckrodt CH, et al., Clinical Trials. 2004; 1: 477-489を参照されたい)を使用し、固定した処置のカテゴリー効果、輸血歴(試験薬の初回投薬前1年以内のpRBC単位数が0、1〜14、または>14)およびスクリーニングLDHレベル(1.5×ULN〜3×ULN未満または3×ULN以上)の層別化ランダム化指標、試験来院および試験来院と処置群の交互作用、ならびに、ベースラインFACIT−疲労(またはLDH)およびベースラインFACIT−疲労(またはLDH)と来院の交互作用の固定連続共変数を共変数として用いて解析する。LDHのパーセント変化については、ベースラインLDHレベルを連続変数として含める。Kenward−Roger近似を使用して、分母の自由度を推定する。ALXN1210処置群とエクリズマブ処置群の間の差異を両側95%CIと共に算出する。
【0307】
ブレイクスルー溶血およびヘモグロビンの安定化に関しては、TAに関して使用したものと同じ手法を使用した。共主要評価項目について非劣性が断言されたという条件で、これらの重要な副次的評価項目を階層的に試験した。重要な副次的評価項目について非劣性が確立され、ALXN1210についてより大きな効果が観察された場合には、各パラメーターについて両側0.05検定を使用して優位性を評価した。
【0308】
重要な副次的有効性評価項目についての解析を行う場合、閉検定手順を使用し、したがって、検定の有意性の欠如によりその後の検定の評価が妨げられた。これらの重要な副次的有効性評価項目の全てについて、検定の有意性の欠如によりその後の検定の評価が妨げられるかどうかとは無関係に、推定値およびCIをコンピューター計算した。ベースラインから第26週までのLDHのパーセンテージの変化のALXN1210処置群とエクリズマブ処置群の間の差異についての95%CIの上限が20%のNIMを下回った場合には、ALXN1210をこのパラメーターに関して非劣性であると断言し、次のパラメーターを試験した。FACIT−疲労のベースラインからの変化のALXN1210処置群とエクリズマブ処置群の間の差異についての95%CIの下限が−5のNIMよりも大きい場合には、ALXN1210をこのパラメーターについて非劣性であると断言し、次のパラメーターを試験した。ブレイクスルー溶血を有する患者の割合のALXN1210処置群とエクリズマブ処置群の間の差異についての95%CIの上限が20%のNIMを下回った場合には、ALXN1210をこのパラメーターに関して非劣性であると断言し、次のパラメーターを試験する。ヘモグロビンの安定化を有する患者の割合のALXN1210処置群とエクリズマブ処置群の間の差異についての95%CIの下限が−20%のNIMを上回った場合には、ALXN1210をこのパラメーターに関して非劣性であると断言した。階層的検定の順序を予め指定したので、第1種の過誤の調整は必要なかった。
【0309】
EORTC−QLQ−C30のベースラインからの変化を、ベースライン時およびこれらの評価を収集した試験来院時に処置群ごとに要約した。PNHの臨床的症状発現のベースラインからのシフトをこれらの評価を収集した試験来院時に処置群ごとに要約した。処置下で発現したあらゆるMAVEの数(n)および事象を有する患者の数(n、%)を処置群ごとに示した。処置中に輸血されたpRBCの単位の総数を処置群ごとに要約した。両方の処置群についてのカプラン・マイヤー曲線および最初の試験薬からLDH−Nが最初に起こるまでの時間の推定値を作成した。これらのパラメーターの統計学的推測は計画しない。
【0310】
全ての安全性解析を少なくとも1用量のALXN1210またはエクリズマブを受けた全患者と定義される安全性解析対象集団に対して実施した。最大183日目まで、安全性結果を処置群ごとに報告した。
【0311】
AEに関して以下の定義を使用した:
a)処置前有害事象:インフォームドコンセントを提出した後であるが、試験薬の最初の注入前に始まるあらゆるAE
b)処置下で発現した有害事象:試験薬の最初の注入中または注入後に始まるあらゆるAE。
c)処置下で発現したSAE:重篤である、処置下で発現したAE(TEAE)。TEAEの発生率、TEAEによる中止、薬物関連TEAE、試験薬投与中のTEAE、重症TEAE、およびSAEを要約した。MedDRAバージョン18またはそれ以降のものを使用して全てのAEをコード化し、器官別大分類(SOC)およびPT毎に要約した。TEAE、SAE、TEAE、薬物関連TEAE、試験薬投与中のTEAE、およびTEAEによる中止の詳細な患者ごとの一覧表を提示した。身体検査所見のベースラインからの有害な変化はAEとして分類し、したがって、解析した。
【0312】
バイタルサインを、ベースライン時およびベースライン後の時点で、ベースラインからの変化について、処置群ごとに説明的に要約した。患者ごとのデータ一覧表を提示した。ベースラインからベースライン後の試験時点までの臨床化学結果、血液学結果、および尿検査結果の変化を処置群ごとに説明的に要約した。CTCAE v4.03の類別基準を使用して適用可能な中央検査機関における値の全てについて経時的なシフト表を示した。異常な結果を有する患者の一覧表を提示した。
【0313】
ECGパラメーターの患者ごとのデータ一覧表を提示した。心電図の間隔(PR、RR、QT、およびQTcF)のベースラインからの変化を処置群ごとに提示した。QT間隔を、心拍数に対してFridericiaの式を使用して補正する(QTcF)。
【0314】
ALXN1210またはエクリズマブに対するADAの発生率および力価を含めた異常な免疫原性所見を処置群ごとに表フォーマットで要約した。常に陽性の患者の割合および常に陰性の患者の割合を探求した。
【0315】
少なくとも1用量の試験薬(すなわち、ALXN1210またはエクリズマブ)を受け、評価可能なPKデータを有していた全患者についての個々の血清中濃度データを使用して、ALXN1210およびエクリズマブについてのPKパラメーターを導き出した。平均血清中濃度時間プロファイルのグラフを構築した。個々の患者についての血清中濃度時間プロファイルのグラフも提示する。実際の用量投与および試料採取時間を全ての算出のために使用した。必要に応じて、各試料採取時間における血清中濃度データについて記述統計を算出した。集団−PKの評価を、本試験のデータを使用してまたは他の試験のデータと組み合わせて考察した。
【0316】
少なくとも1用量のALXN1210またはエクリズマブを受け、評価可能なPDデータを有していた全患者についてPD解析を実施した。各試料採取時間における全てのALXN1210およびエクリズマブのPD評価項目について記述統計を示した。IV投与されたALXN1210およびエクリズマブのPD効果を、必要に応じて時間をわたっての総C5血清中濃度および遊離C5血清中濃度ならびにcRBC溶血の絶対値およびベースラインからの変化およびパーセンテージ変化を評価することによって評価した。
【0317】
(実施例2)
補体阻害剤未経験のPNHの成人患者におけるALXN1210(ラブリズマブ) 対 エクリズマブの第III相ランダム化非盲検実対照試験の結果
以下は、上の実施例1に記載されているプロトコールに従って実施した継続中の非盲検、第III相臨床試験から得られたデータの要約である。有効性および安全性結果の要約を以下に示す。
【0318】
1.試験の要約
この第III相ヒト臨床試験は、補体阻害剤処置未経験のPNHの成人患者におけるALXN1210 対 Soliris(登録商標)(エクリズマブ)の非劣性を比較するランダム化非盲検実対照試験であった。本試験には、全部で246名の患者が登録された。合計244名の患者が試験を完了し、このパープロトコール解析に含まれた。試験の過程中に中止した対象は2名のみであった。
【0319】
この第III相試験は、その主目的を達成し、ALXN1210(ラブリズマブ)がSoliris(登録商標)(エクリズマブ)に対して非劣性であることが実証された。具体的には、本試験は、FDAにより求められる10%のマージンよりも良好な、LDH正常化(LDH−N)および輸血回避(TA)について予め規定した非劣性マージン(NIM)を達成した。さらに、TA評価項目では5%未満のNIMが達成された。さらに、4つの重要な副次的評価項目の全てでALXN1210が有利であり、Soliris(登録商標)(エクリズマブ)に対する非劣性が実証された。ブレイクスルー溶血(BTH)も、ラブリズマブがエクリズマブに対して、それぞれ4%対10.7%で有利であるという数値的傾向が実証されたが、本試験ではタブ(tab)を達成するまではいかなかった(p<0.074)。ブレイクスルー溶血の発生率は、Soliris(登録商標)群ではALXN1210群の2倍を超え、この差異は、Soliris(登録商標)群における最適以下のC5阻害に関連付けられ、これにより、AXLN1210が一定の完全なC5阻害を通じて患者のブレイクスルー溶血のリスクを低減することが示唆される。
【0320】
要するに、ラブリズマブは、共主要評価項目および全ての重要な副次的評価項目の両方についてエクリズマブに対して統計的に有意に非劣性であった:輸血回避(73.6%対66.1%;差異6.8%[95%CI、−4.7、18.1])、LDH正常化(53.6%対49.4%、オッズ比[1.19(0.80、1.77)])、LDHのパーセント低下(76.8%対76.0%;差異[95%CI]、−0.83%[−5.2、3.6])、FACIT−疲労スコアの変化(7.1対6.4;差異[95%CI]、0.67[−1.2、2.6])、ブレイクスルー溶血(4.0%対10.7%;差異[95%CI]、−6.7%[−14.21、0.18])、およびヘモグロビンの安定化(68.0%対64.5%;差異[95%CI]、2.9[−8.8、14.6])。重要なことに、感度解析により、全ての有効性評価項目に関してロバストな結果が実証された。データを添付の図面および表に示し、以下により詳細に考察する。
【0321】
ALXN1210とエクリズマブを比較する非劣性試験のデザインを図1に示す。本試験では、補体阻害剤処置未経験のPNH患者における非劣性を示すために、ALXN1210についての個別化された体重に基づく投薬スキームとエクリズマブについての既存の承認された投薬スキームをPNHにおいて比較する。ALXN1210について選択される用量は体重に基づくものであり、1日目に負荷用量(40kg以上60kg未満の患者に対しては2400mg、60kg以上100kg未満の患者に対しては2700mg、100kg以上の患者に対しては3000mg)、その後、15日目およびそれ以降q8wでの維持用量のALXN1210(40kg以上60kg未満の患者に対しては3000mg、60kg以上100kg未満の患者に対しては3300mg、100kg以上の患者に対しては3600mg)を含む。図1を参照されたい。対照的に、エクリズマブの用量は、1日目、8日目、15日目および22日目に、600mgの導入用量を4回、その後、29日目およびそれ以降2週間毎にIV投与される900mgの維持用量を含む。図1を参照されたい。
【0322】
本試験には、元々の計画よりも多くの患者を登録した。具体的には、246名の患者を本試験に登録し、ALXN1210群またはエクリズマブ群のいずれかにランダム化した。図2を参照されたい。合計39名の対象がスクリーニングを合格しなかった。26週間の処置期間に入り、それを完了した246名の患者のうち、243名は継続中の延長試験に進んだ。図2を参照されたい。試験集団のベースライン特性および人口統計を図3に示す。
【0323】
処置を受けた患者246名全員(ALXN1210群の125名の患者およびエクリズマブ群の121名の患者)を、表12に記載の通りFASおよび安全性解析対象集団に含めた。2名の患者がPP解析対象集団から除外された。ALXN1210群の患者1名およびエクリズマブ群の患者1名が、pRBC輸血に関するプロトコールに規定された基準(ヘモグロビン≦7g/dL)に該当したが、その時点でも主要評価期間中の他のいずれの時点でも輸血を受けなかった。特定の来院時に輸血基準に該当したものの輸血を受けなかった患者が他にもいたが、これらの患者は、輸血基準に従って少なくとも1回の輸血を受けていたので、PP解析対象集団に含めた。
【表12】

略語:FAS=最大の解析対象集団;PP=プロトコールに適合した
【0324】
LDH群について観察された層別化(1.5×ULN〜3×ULN未満のLDH対3×ULN以上のLDH)と比較してランダム化時の実際の層別化に差異はなかった(表13参照)。0単位のpRBCに層別化された44名の患者のうち、1名の患者が1〜14単位のpRBCを受けたことが観察された。1〜14単位のpRBCに層別化された157名の患者のうち、3名の患者が>14単位のpRBCを受けたことが観察された。>14単位のpRBCに層別化された45名の患者のうち、1名の患者が1〜14単位のpRBCを受けたことが観察された。
【表13】

注:ベースラインを試験薬の初回投薬前の最後の非欠損値と定義した。LDHのULNは、246U/Lである。
略語:LDH=乳酸脱水素酵素;pRBC=濃厚赤血球;ULN=正常値上限
【0325】
ベースライン疾患特性は2つの処置群間で同様であった(表14)。総集団において、PNH診断からインフォームドコンセントまでの時間の平均値は6.6年であった(メジアン=3.9年)。
【0326】
全患者が、スクリーニング時にフローサイトメトリーによって確認されたPNH診断を有した。総PNH RBCクローンサイズの平均値は38.57%であり、総PNH顆粒球クローンサイズの平均値は84.74%であり、総PNH単球クローンサイズの平均値は87.99%であった。
【表14-1】
【表14-2】

注:総RBC、顆粒球、単球クローンサイズ=それぞれII型とIII型の合計のRBC、顆粒球、単球クローンサイズ。ベースラインを試験薬の初回投薬前の最後の非欠損値と定義した。
a 「その他」カテゴリーには、クームス試験、Flaer試験、臨床徴候/症状(すなわち、臨床データ、臨床像、または臨床診断)、免疫表現型検査、診断に使用される方法の組合せ、浸透圧抵抗試験、別の病院における診断、および不明が含まれた。
略語:max=最大値;min=最小値;SD=標準偏差;PNH=発作性夜間ヘモグロビン尿症;RBC=赤血球
【0327】
以前0単位のRBC層への登録は、前年に輸血歴を有さない患者の登録に関するプロトコールに規定された20%の上限に達したら打ち切った。したがって、表15に記載の通り、大多数の患者(82.5%)が試験薬の初回投薬の前年にpRBC輸血歴を有した。総集団では、平均6.2pRBC/全血輸血が施行され、初回投薬前の12カ月の間に平均8.8単位が輸血された。輸血回数および輸血された単位数は2つの処置群間で同様であった。
【表15-1】
【表15-2】

略語:max=最大値;min=最小値;pRBC=濃厚赤血球;SD=標準偏差
【0328】
プロトコールによる要求の通り、全患者が、ベースライン時に少なくとも1つのPNHに関連する症状を有した。インフォームドコンセント前に患者が経験したPNH症状の型は処置群間で同様であり、最も一般的なもの(全患者の>20%)は、疲労または無力症(全身衰弱)、赤色または暗色尿、息切れ(呼吸困難)、黄疸(皮膚または眼の黄変)、腹部疼痛、および頭痛、めまい感、または集中困難などのCNS関連症状であった。
【0329】
表16に示されている通り、総集団において、患者の98.0%が、インフォームドコンセント前に診断された、記録されたPNHに関連する状態を有した。患者の大多数(84.6%)が以前に貧血の診断を受けており、患者の32.1%が再生不良性貧血を有し、患者の12.2%が腎不全歴を有し、患者の5.3%が骨髄異形成症候群を有した。
【表16】

注:患者は、1つよりも多くのカテゴリーに計数されている場合がある。
a 「その他」カテゴリーには、最も一般的に(n≧2)報告された状態が含まれた。「その他」カテゴリーはまた、少なくとも1つの他のPNHに関連する状態の履歴も有し、血小板減少症(n=5)、慢性腎疾患(n=4)、汎血球減少(n=3)、AST上昇(n=2)、腎実質性疾患(n=2)、白血球減少症/血小板減少症(n=2)、胆石(n=2)が含まれ、肝脾腫、骨髄性および巨核球性形成不全、溶血事象、骨髄細胞減少、汎血球減少、骨髄形成不全、溶血の徴候、慢性溶血、両側性腎実質性疾患/低カリウム血症、再生不良性貧血疑い、流産、虚血性脳卒中/慢性腎疾患、骨髄過形成、血小板減少症/鼻出血、ビリルビン増加、骨髄形成不全、または白血球減少症/血小板減少症/脾摘出術の履歴がそれぞれ1名の患者で報告された。
略語:PNH=発作性夜間ヘモグロビン尿症
【0330】
246名の全患者が、以前の薬剤使用歴を有した。全患者が1日目までに髄膜炎菌ワクチンを受けた。最も一般的に報告された(患者の10%以上)髄膜炎菌ワクチン以外の以前の薬剤の群分けは、ビタミンB12および葉酸(52.8%)、抗血栓剤(29.7%)、全身使用コルチコステロイド(24.8%)、消化性潰瘍および胃食道逆流疾患に対する薬物(22.8%)、鉄剤(15.4%)、ベータ−ラクタム抗細菌薬(ペニシリン)(15.0%)、全身使用抗ヒスタミン薬(13.0%)、主に血管への効果がある選択的カルシウムチャネル遮断薬(11.4%)、ならびにその他の鎮痛薬および解熱薬(11.0%)であった。
【0331】
全体的に、患者の95.9%(ALXN1210群では98.4%およびエクリズマブ群では93.4%)が少なくとも1つの併用薬を服用していた。最も一般的に報告された(患者の10%以上)併用薬の群分けは、ビタミンB12および葉酸(54.9%)、他の鎮痛薬および解熱薬(38.6%)、ベータ−ラクタム抗細菌薬(ペニシリン)(38.6%)、抗血栓剤(31.3%)、消化性潰瘍および胃食道逆流疾患に対する薬物(29.3%)、キノロン抗細菌薬(26.0%)、全身使用抗ヒスタミン薬(24.8%)、全身使用コルチコステロイド(24.4%)、抗炎症および抗リウマチ製品(21.1%)、鉄剤(17.1%)、他のベータ−ラクタム抗細菌薬(13.0%)、鎮咳薬との組合せを除いた去痰薬(11.4%)、主に血管事象を伴う選択的カルシウムチャネル遮断薬(12.6%)および免疫抑制剤(10.2%)であった。試験中、合計30.9%の患者が非薬理学的医学的手技を受けた。
【0332】
2.主要/副次的評価項目および疾患関連パラメーター
輸血回避(TA)およびLDH正常化(LDH−N)の2つの共主要有効性評価項目を、図4に示されている通り、非常に明白に達成し、上回った。図4の赤色の三角形は、FDAにより要求された非劣性マージンを示す。TA評価項目およびLDH−N評価項目の両方について、20%の非劣性マージンを実質的に上回った。実際、TA評価項目は単に20%のマージンを達成せず、5%のマージンを達成した。同様に、LDH−Nは20%のマージンを上回り、さらに10%のマージン相当を達成した。図4を参照されたい。
【0333】
重要な副次的評価項目であるLDHパーセント変化(LDH−PCHG)、FACIT疲労スコアの変化、ブレイクスルー溶血(BTH)およびヘモグロビン安定化(HGB−S)も陽性であり、ALXN1210はエクリズマブに対して有利であった。図5を参照されたい。さらに、副次的評価項目の全てでALXN1210が有利であっただけでなく、これら全てが、グラフ内の赤色の三角形によって示される非劣性マージンを実質的に上回った。図5を参照されたい。
【0334】
重要な主要評価項目および副次的評価項目が図6において表で示されている。ALXN1210がエクリズマブに対して有利である、各評価項目についての処置効果も示されている。例えば、最初の行は、ALXN120の輸血回避に対する処置効果はエクリズマブと比して6.8%であり、−20%である、求められる非劣性マージンよりもはるかに大きく、非劣性であるという所見がもたらされることを示す。同様に、全ての主要評価項目および副次的評価項目でALXN1210がエクリズマブに対して非劣性であるという同じ結論が導かれた。言い換えると、ALXN1210は、エクリズマブよりも良好であるが、優越であるという統計学的結論に達するにはサンプルサイズが不十分であったことが見いだされた。図6を参照されたい。
【0335】
本試験の有効性データを多数の異なる感度解析に供した。図7に結果が示されている。例えば、1210についての処置効果(点推定値)は、エクリズマブよりも良好な6.8%であり、95%信頼区間(CI)は−4.7%〜18.1%であった。−4.7%という数字は、予め定義された非劣性マージンである−20%よりも実質的に良好である。この表は、種々の感度解析を示し、これらは全て、主解析のロバストな所見を裏付けるものである。この一貫性はこの型の臨床試験に関しては普通ではなく、本試験が非常に高い質で行われたという観念が裏付けられることは注目に値する。
【0336】
LDH−N主要評価項目についての有効性結果を患者集団のサブグループとして解析し、それが図8に示されている。LDH−N(乳酸脱水素酵素の正常化)とは、29日目から183日目までのLDHレベルが1×ULN未満または1×ULNと等しいことを指す。LDH−Nについてのサブグループ解析により、ALXN1210が有利であるエビデンスが優勢であることが明らかになった。灰色の線は95%信頼区間であり、青色の四角は点推定値である。推定は、一般化推定方程式(GEE)手法に基づくものであった。モデルには以下の用語が含まれた:処置群、輸血歴およびベースラインLDHレベル。1よりも右側の推定値はALXN1210が有利であり、左側の推定値はエクリズマブが有利である。点推定値は全てが予め定義された非劣性マージン(赤色の三角形)(−20%)よりも右側になった。エクリズマブが有利な評価項目が3つだけあり、そのうちの2つはサンプルサイズが小さかった。結論として、サブグループの大部分でALXN1210がエクリズマブに対して明白に有利であった。図8を参照されたい。
【0337】
図9に示されている通り、LDHの平均値は、約22日目〜24日目までに患者集団において正常値上限(1×ULNのLDH)まで正常化され、試験全体を通してそのレベルのままであった。図9の点線は、LDHの正常値上限の値または1×ULNのLDHを示す。グラフの下の枠は、その日の平均に寄与した各群の患者の数を示す。結論として、ALXN1210下の患者におけるLDHの平均値が危険レベルである1.5×ULNを下回ったままであったことが明らかである。図9を参照されたい。
【0338】
ALXN1210による処置群およびエクリズマブによる処置群の両方についてLDH正常化に達するまでの時間を図10に示す。ALXN1210下の患者は、エクリズマブ下の患者よりも約5日早く正常化に達した。図10を参照されたい。平均でALXN120患者は24日目までに正常化に達し、それに対してエクリズマブを用いて処置された患者は29日目までに正常化に達した。グラフの下の数字を伴う枠は、その日の平均を算出するために使用された各群の患者の数を示す。図10を参照されたい。
【0339】
試験の過程中の様々な時点でLDH正常化を達成した患者のパーセンテージを図11に示す。一般に、ALXN1210の患者の50%よりも多くが試験全体を通して正常な範囲内にとどまったが、エクリズマブによる処置を受けた患者で試験中および183日目まで正常な範囲内にとどまったのは50%未満であった。図11を参照されたい。
【0340】
さらに、ベースライン時、平均EORTC QLQ−C30全般的健康サブスケールスコアは、ALXN1210群については56.13であり、エクリズマブ群については57.51であった。EORTC QLQ−C30の3つのサブスケール、全般的健康、身体機能、およびEORTC−疲労の10点以上の改善を、臨床的に意味のある改善を示すものとみなす(King, 1996;Osoba, 1998)。図12、13、および14に示されている通り、エクリズマブ群と比較して、より高いパーセンテージのALXN1210群の患者が、29日目および主要評価期間全体を通してEORTC QLQ−C30、全般的健康、身体機能、および疲労サブスケールスコアの少なくとも10点の改善を有した。
【0341】
3.安全性
ALXN1210による処置を受けた患者とエクリズマブによる処置を受けた患者の間で有害事象(AE)または重篤な有害事象(SAE)に注目すべき安全性の差異は観察されなかった。図15および16を参照されたい。さらに、主要評価期間中、髄膜炎菌感染、AEによる中止および死亡は観察されなかった。図17および18を参照されたい。最も頻度の高いAEは頭痛であり、35%であった。図16を参照されたい。
【0342】
表17に記載の通り、全体で患者の17.1%で1つまたは複数のMAVE歴が報告された。
【表17】

注:患者は、1つよりも多くのカテゴリーに計数されている場合がある。
略語:MAVE=主要な血管系有害事象
【0343】
ALXN1210およびエクリズマブのそれぞれについて、処置下で発現した抗薬物抗体(ADA)の症例が1件観察された。中和抗体が産生されることもなく、これらの明らかに一過性のADAによってPK、PD、有効性または安全性への影響もなかった。図15は、第III相ALXN1210−PNH−301臨床試験における重要な安全性結果を図表化したものである。
【0344】
図19に示されている通り、この臨床試験に関して服薬順守はほぼ完全なものであった。図19に示されている通り、エクリズマブアームにおいて服薬不履行が1回のみ発生した。
【0345】
4.薬物動態結果
それぞれの処置群についての平均(±SD)ALXN1210およびエクリズマブ血清中濃度対時間プロファイル(線形目盛)が図20に示されている。それぞれの処置群についての平均(±SD)ALXN1210およびエクリズマブ血清中濃度対時間プロファイル(片対数目盛)が図21に示されている。
【0346】
ALXN1210についての薬物動態パラメーターが、それぞれ最初の(導入)用量および最後の(維持)用量について表18および表19に要約されている。全患者における初回投薬後のALXN1210の幾何平均(幾何CV%)CmaxおよびCtroughは、それぞれ753.7μg/mL(22.45)および376.44μg/mL(26.17)であった。最後のALXN1210の投薬後、全患者における幾何平均(%CV)CmaxおよびCtroughは、それぞれ1350.5μg/mL(20.8)および446.1μg/mL(36.2)であった。
【表18-1】
【表18-2】
略語:Cmax=最高血清中濃度;Ctrough=トラフ血清中濃度;CV=変動係数;SD=標準偏差

【表19】
略語:Cmax=最高血清中濃度;Ctrough=トラフ血清中濃度;CV=変動係数;SD=標準偏差
【0347】
ノンコンパートメントPKパラメーターをALXN1210群についてのみ測定した。ALXN1210の最後の維持用量後の結果を表20に示す。体重に基づく維持用量の全てについての複数回用量の投与後にALXN1210 PK定常状態が達成された(表21)。
【表20】
【0348】
【表21】
略語:CI=信頼区間
【0349】
5.薬力学結果
ALXN1210を用いた処置により、8週間の投薬間隔全体を通して即時、完全、かつ持続的な補体C5阻害がもたらされた。図19を参照されたい。図19に示されている通り、8週間毎の体重に基づく投薬により、最大の定常状態およびトラフ曝露がもたらされた。
【0350】
表22に、ALXN1210を用いた処置(体重に基づく用量、q8w)またはエクリズマブ(900mg、q2w)後の血清中遊離C5濃度のベースラインからの平均パーセント変化を要約する。一部の遊離C5試料は、生物学的に妥当性に欠けるとみなされ、除外された。PK試料と遊離C5試料は同じ採血により採取されたので、対になるPKデータを用いてこの除外を確証した。これらの除外は以下の通りである:ALXN1210群:3名(2.4%)の患者に関して、1日目の注入終了時の遊離C5試料の値が処置前の値と類似していた。エクリズマブ群:3名(2.5%)の患者に関して、1日目の処置前の時点の遊離C5試料が定量限界(BLQ)を下回った;5名(4.1%)の患者に関して、1日目のEOI時の遊離C5試料の値が処置前の値と類似していた。
【0351】
ALXN1210群では、平均血清中遊離C5濃度が早ければ最初の注入終了時およびその後の全てのトラフ時点で<0.5μg/mLであった。エクリズマブ群ではこの閾値が一貫して達成されなかった。さらに、標的遊離C5閾値である0.5μg/mLを超える個々の遊離C5値がエクリズマブ群ではALXN1210群よりも多く認められた。この遊離C5制御の不均衡は、処置群間で認められたブレイクスルー溶血事象の差異が原因であると思われる(ALXN1210:n=5、エクリズマブ:n=15)。
【表22-1】
【表22-2】
【0352】
平均遊離C5レベルは、ALXN1210の最初の注入の終了時までに99%よりも大きく阻害され、試験処置期間の持続時間にわたって99%よりも大きく阻害されたままであった。対照的に、エクリズマブ群では、遊離C5は常に99%よりも大きく阻害されていたわけではなかった(図22を参照されたい)。
【0353】
総C5レベルはALXN1210群およびエクリズマブ群のどちらについても同様であった。総血清C5濃度対時間プロファイルについてのベースラインからの平均(±95%CI)パーセント変化が図23に示されている。血清総C5の変化の率および大きさは処置間で同様であった。ベースラインを試験薬の初回投薬前の最後の非欠損評価値と定義した。^は、1日目のデータは注入終了時のものであるが、8日目、22日目、29日目、43日目、57日目、85日目、99日目、113日目、141日目、155日目、および169日目のデータは、ALXN1210群については任意の時点のものであり、エクリズマブ群については投薬前のものであることを示す;15日目、71日目、および127日目のデータは、どちらの処置群についても投薬前のものであり、183日目のデータは、どちらの処置群についてもランダム化処置期間終了時のものである。
【0354】
(実施例3)
非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)を有する補体阻害剤未経験の成人患者におけるALXN1210の第III相単一アーム多施設試験
非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)を有する補体阻害剤による処置未経験の成人および青年患者におけるALXN1210の単一アーム試験(ALXN1210−aHUS−311)を行った。
【0355】
aHUSは、血栓性微小血管症(TMA)、補体の副経路(APC)に関与するタンパク質をコードする遺伝子の変異によって、またはAPC調節タンパク質に対する自己抗体によって引き起こされることが多い(Noris, et al., Clin. J. Am. Soc. Nephrol. 2010; 5: 1844-59)。aHUSを有する患者は、血小板減少症、血管内溶血、急性腎不全、および腎外組織損傷を含めた内皮損傷に起因する疾患の生命を脅かす症状発現のリスクがある。重要なことに、患者のおよそ20%で中枢神経系、心臓、GI、遠位四肢、および重症全身臓器障害を含めた疾患の腎外症状発現が生じる(Loirat, et al., Orphanet J. Rare Dis. 2011; 6: 60およびBrodsky, Blood. 2015; 126: 2459-65)。エクリズマブが利用可能になる前に、aHUSを有する患者の死亡率は、疾患の急性進行期中に15%という高さである(Noris, et al., Clin. J. Am. Soc. Nephrol. 2010; 5: 1844-59)およびSellier-Leclerc, J. Am. Soc. Nephrol. 2007; 18: 2392-2400)。患者の50%に至るまでで多くの場合に疾患の発症から1年以内に末期腎疾患(ESKD)に進行し、生命を維持するために透析または腎移植が必要になる。慢性の制御されていない終末補体活性化、具体的には、補体成分5(C5)の活性化および補体活性の調節不全がaHUSの病因およびこの疾患の破壊的な症状発現の中核をなす。結果として、C5aおよびC5b−9の生成の選択的阻害を用いたC5の標的化遮断は、処置の重要な治療機構を表す。
【0356】
1.目的
本試験の主目的は、補体阻害剤による処置未経験のaHUSを有する青年および成人患者における、血小板減少症、溶血、および腎障害を特徴とする補体媒介性TMAを阻害するためのALXN1210の有効性を評価することである。
【0357】
本試験の副次目的は、(1)この患者集団におけるALXN1210の安全性および忍容性を特徴付けること、(2)ALXN1210の有効性を追加的な評価基準(例えば、透析が必要な状態かどうか、完全なTMA応答までの時間、経時的な完全なTMA応答の状態、推定糸球体濾過量(eGFR)の観察値およびベースラインからの変化、慢性腎疾患(CKD)のステージ(選択標的日に評価され、ベースラインと比較して改善された、安定している(変化なし)、または悪化したに分類される)、血液パラメーター(血小板、LDH、ヘモグロビン)の観察値およびベースラインからの変化、ヘモグロビンのベースラインから20g/L以上の増加(少なくとも4週間空けて得られた少なくとも2つの連続した測定値にわたって持続したもの)、生活の質(QoL)のベースラインからの変化(EuroQol 5 dimensions 3 level(EQ−5D−3L;全患者)アンケート、慢性疾患治療の機能的評価(FACIT)疲労バージョン4アンケート(18歳未満の患者)、および小児FACIT疲労アンケート(18歳未満の患者)によって測定される)によって評価すること、(3)ALXN1210のPK/薬力学(PD)を経時的な血清ALXN1210濃度の変化および経時的な遊離C5濃度の変化によって特徴付けること、ならびに(4)ALXN1210の長期間の安全性および有効性を評価することである。
【0358】
2.評価項目
本試験の主要有効性評価項目は、血液学的パラメーター(血小板数およびLDH)の正常化ならびに血清クレアチニンのベースラインから25%以上の改善によって証明され、少なくとも4週間空けて得た2つの連続した測定値によって確認される、26週間の初期評価期間中の完全なTMA応答である。
【0359】
本試験の副次的有効性評価項目は以下の通りである:
A.透析が必要な状態かどうか;
B.完全なTMA応答までの時間;
C.経時的な完全なTMA応答の状態;
D.eGFRの観察値およびベースラインからの変化;
E.選択標的日に試験責任医師によって評価され、ベースラインと比較して改善された、安定している(変化なし)、または悪化したに分類されるCKDのステージ;
F.血液パラメーター(血小板、LDH、ヘモグロビン)の観察値およびベースラインからの変化;
G.少なくとも4週間空けて得た少なくとも2つの連続した測定値にわたって持続した、ヘモグロビンのベースラインから20g/L以上の増加;
H.EQ−5D−3Lアンケート(全患者)、FACIT疲労バージョン4アンケート(18歳以上の患者)、および小児FACIT疲労アンケート(18歳未満の患者)によって測定される、QoLのベースラインからの変化。
【0360】
本試験の薬物動態(PK)および薬力学(PD)評価項目は、経時的な血清ALXN1210濃度の変化および経時的な遊離C5濃度の変化である。
【0361】
ALXN1210の安全性および忍容性を、身体検査、バイタルサイン、心電図(ECG)、検査室評価、およびAEおよびSAEの発生率によって評価する。抗薬物抗体(ADA)が生じた患者の割合も評価する。
【0362】
PD効果の探索的バイオマーカーとして、これだけに限定されないが、補体調節不全のマーカー(例えば、Ba因子)、血管炎症のマーカー(例えば、可溶性腫瘍壊死因子受容体1[sTNFR1])、内皮活性化/損傷のマーカー(例えば、可溶性血管接着分子1[sVCAM1]、トロンボモジュリン)、凝固のマーカー(例えば、D−ダイマー)、および腎傷害のマーカー(例えば、シスタチンC)のレベルのベースラインからの変化が挙げられる。追加的な評価は、尿中へのALXN1210排泄、ニワトリ赤血球(cRBC)溶血、総C5、補体タンパク質に対する自己抗体(例えば、抗H因子)およびAPC活性(例えば、改変ハム試験、補体沈着アッセイ)の測定を含み得る。
【0363】
aHUSに関連することが分かっている遺伝子の遺伝的バリアントを調査するため、ならびにaHUS、補体調節不全、またはALXN1210の代謝もしくは有効性に関連する新規の遺伝的バリアントを同定するために、探索的遺伝学を実施することができる。患者は探索的遺伝学のための試料の提供から離脱することができ、それでもなお本試験に参加することができる。
【0364】
3.試験デザインの要約
ALXN1210−aHUS−311試験は、aHUSを有する青年(12歳〜18歳未満)および成人(18歳以上)患者に静脈内(IV)注入によって投与されるALXN1210の安全性および有効性を評価するための第III相、非盲検、単一アーム、多施設試験である。本試験では、ALXN1210を受けるおよそ55名の患者を登録する。図24に試験デザインが例示されている。全患者が補体阻害剤による処置未経験であり、以前に腎移植を受けている少なくとも6名かつ最大で10名の青年(スクリーニング時に12歳〜18歳未満)患者および少なくとも10名かつ最大で25名の患者を含む。
【0365】
本試験は、最大で7日間のスクリーニング期間、26週間の初期評価期間、および最長2年間の延長期間からなる。投薬量は、患者の最後に記録された試験来院時の体重に基づく(表27)。患者は、合計26週間の処置にわたり、1日目に負荷用量のALXN1210 IV(体重40kg以上60kg未満の患者に対しては2400mg、体重60kg以上100kg未満の患者に対しては2700mg、体重100kg以上の患者に対しては3000mg)、その後、15日目およびそれ以降8週間毎に(q8w)、維持用量のALXN1210 IV(体重40kg以上60kg未満の患者に対しては3000mg、体重60kg以上100kg未満の患者に対しては3300mg、体重100kg以上の患者に対しては3600mg)を受ける。初期評価期間後、患者は延長期間に入り、ALXN1210を、当該製品が登録もしくは承認されるまで(国固有の規制に従って)または最長2年間のいずれか最初に起こるまで受ける。試験の終了は、最後の患者の最終来院と定義される。
【0366】
この第III相、非盲検、単一アーム試験では、ALXN1210を用いた処置の安全性および有効性を評価する。本試験に関しては正式な比較分析は計画されていないが、ALXN1210処置を受けた患者からの結果を、歴史的対照群であるエクリズマブを用いて処置された患者において観察された結果に対して評価する。歴史的対照群は、効果量に影響を及ぼす可能性がある試験デザインおよび目的の実施特徴が本試験と同様であったC08−002A/B、C10−003およびC10−004前向き登録試験においてエクリズマブを用いて処置された、aHUSを有する患者で構成される。さらに、対照群は、本試験についての適格性基準とさらに整合させるために、12歳以上であり、エクリズマブによる処置前の4週間またはそれ未満PE/PI下にあった患者に限られている。
【0367】
スクリーニングのための評価および初期評価期間のスケジュールを表23に示す。延長期間についての評価のスケジュールを表24に示す。規定された来院以外の追加的な(不定期の)来院が試験責任医師の自由裁量で許可された。手順、試験、および評価は試験責任医師の自由裁量で実施される。不定期来院時に行われるあらゆる試験、手順、または評価を電子症例報告書(eCRF)に記録する。不定期来院での試験には各施設検査室または中央検査機関での分析を使用する。しかし、各施設検査室での検査を使用すべきであり、不定期来院時に中央検査機関での試験のために2連の試料を採取する。
【表23-1】

【表23-2】

略語:ADA=抗薬物抗体;ADAMTS13=トロンボスポンジン1型モチーフを有するディスインテグリンおよびメタロプロテイナーゼ、メンバー13;aHUS=非典型溶血性尿毒症症候群;APC=補体の副経路;ECG=心電図;EQ-5D-3L=EuroQol5 dimensions 3 level;ET=早期中止;FACIT=慢性疾患治療の機能的評価;HUS=溶血性尿毒症症候群;LDH=乳酸脱水素酵素;N/A=該当なし;PD=薬力学;PK=薬物動態;QoL=生活の質;ST-HUS=志賀毒素関連溶血性尿毒症症候群。
a 全患者が、髄膜炎菌感染に対するワクチン接種を試験薬開始前3年以内または試験薬開始時に受けている。髄膜炎菌ワクチンを受けた後2週間経たずに試験薬による処置が開始される患者は、適切な予防用抗生物質を用いた処置をワクチン接種の2週間後まで受ける。ALXN1210による処置の開始前にワクチン接種を受けていない患者は、髄膜炎菌ワクチン接種を受ける前および受けた後少なくとも2週間にわたって予防用抗生物質を受ける。
b ヒト免疫不全ウイルス1型およびヒト免疫不全ウイルス2型スクリーニング。
c 志賀毒素酵素イムノアッセイ用の便試料。
d 妊娠可能な女性の患者のみ。スクリーニング時および183日目に血清妊娠検査;全ての他の必要時点で尿妊娠検査。妊娠可能な女性の患者に可能性のある試験来院時に試験薬を投与する前に尿検査の結果が陰性であることが必要である。
e 18歳以上の患者に対してはスクリーニング時にFACIT疲労バージョン4を使用する。18歳未満の患者に対してはスクリーニング時に小児FACIT疲労を使用する。
f 投薬日には、投薬前に患者申告の評価を行う。
g 簡易身体検査は、試験責任医師(または被指名人)による判断および患者の症状に基づく身体系関連検査からなる。簡易検査では少なくとも1つの身体系を検査する。
h バイタルサイン測定値は患者が少なくとも5分間安静にした後に取得し、これは、収縮期および拡張期BP(ミリメートル水銀柱[mmHg])、パルスオキシメトリー、心拍数(回/分)、呼吸数(呼吸/分)、および口腔温度または鼓膜温度(摂氏温度[℃]または華氏温度[°F])を含む。投薬日には、投薬前にバイタルサインを取得する。
i 単一12誘導ECGはスクリーニング時、57日目、および183日目の投薬前に採取する。患者は、ECG収集前におよそ5〜10分間仰臥位でいて、ECG収集中には仰臥位のままであるが覚醒している。
j 臨床的な安全性検査測定値は投薬日の投薬前に採取する。適格性についてのLDHは化学的評価から決定される。卵胞刺激ホルモンレベルは、閉経後の状態であることを確認するためだけにスクリーニング中に測定される。
k LDHアイソザイム試験用の血清試料は、試料試験の利用可能性に応じて、選択された施設においてのみ、ALXN1210投薬前の任意の/全ての時点で採取される。
l 安全性、ならびに主要評価項目および副次的評価項目についての評価。
m PK/PD解析用の血清試料は、1日目、15日目、71日目、および127日目の投薬前(注入開始前0.5時間以内)および注入終了時(EOI)(EOI後0.5時間以内);ならびに29日目、43日目、57日目、85日目、99日目、113日目、141日目、155日目、および169日目の任意の時点;ならびに183日目の投薬前に採取する(延長期間の一部として183日目にPK/PD用の追加的な試料を採取することに留意する)。注入終了時の試料は患者の反対側の注入されていない腕から採取する。全ての採取時間をeCRFに記録する。
n 薬物測定用の尿試料は1日目、15日目、および71日目の注入終了時(EOI)(EOI後0.5時間以内);ならびに29日目の任意の時点に採取する。
o 血清試料の採取は、投薬日には投薬前および投薬しない日については任意の時刻に行う。全ての採取時間をeCRFに記録する。
p 探索的バイオマーカー分析用の血清、血漿および尿の採取は、ベースライン時およびALXN1210投薬の直前の処置後の時点に行う。
q 遺伝子検査に同意した患者からの単回全血採取は試験中いつでも行うことができる。
r ADA血清試料は1日目、71日目、および127日目の投薬前に採取する。183日目の採取は延長期間の初回投薬前に行う。全ての採取時間をeCRFに記録する。試験の結果が陽性の場合、測定された力価および安全性評価に基づいて結果が陰性になるかまたは安定化するまで試験を3カ月毎に繰り返す。
s 併用薬は全ての試験来院時に収集し、禁止薬剤一覧に照らして確認しなければならない。
t ALXN1210の用量は、患者の最後に記録された試験来院時の体重に基づく。
u スクリーニング時に適格性を決定するために各施設検査室または中央検査機関での分析を使用することができる。しかし、各施設検査室での検査を使用する場合、その来院時にLDH、血小板数、ヘモグロビン、および血清クレアチニンについて2連の試料を中央検査機関での試験のために採取する。
v 主要有効性評価項目の評価は183日目の投薬前に行う。183日目の投薬は、延長期間の開始である。
【表24-1】
【表24-2】
略語:ADA=抗薬物抗体;aHUS=非典型溶血性尿毒症症候群;ECG=心電図;EOS=試験終了;EQ-5D=EuroQol 5 dimensions;ET=早期中止;FACIT=慢性疾患治療の機能的評価;PD=薬力学;PK=薬物動態;QoL=生活の質
a 妊娠可能な女性の患者のみ。血清妊娠検査はET時のみ;全ての他の必要時点で尿妊娠検査。示されている試験来院時に妊娠可能な女性の患者にALXN1210を投与する前に尿検査の結果が陰性であることが必要である。
b 18歳以上の患者に対してはスクリーニング時にFACIT疲労バージョン4を使用する。18歳未満の患者に対してはスクリーニング時に小児FACIT疲労を使用する。
c 投薬日には、投薬前に患者申告の評価を行う。
d 簡易身体検査は、試験責任医師の判断および患者の症状に基づく身体系関連検査からなる。
e バイタルサイン測定値は患者が少なくとも5分間安静にした後に取得し、これは、収縮期および拡張期BP(ミリメートル水銀柱[mmHg])、パルスオキシメトリー、心拍数(回/分)、呼吸数(呼吸/分)、および口腔温度または鼓膜温度(摂氏温度[℃]または華氏温度[°F])を含む。投薬日には、投薬前にバイタルサインを取得する。
f 単一12誘導ECGを911日目またはET時に採取する。患者は、ECG収集前におよそ5〜10分にわたって仰臥位でいなければならず、ECG収集中は仰臥位のままであるが覚醒していなければならない。
g 安全性、ならびに主要評価項目および副次的評価項目についての評価。
h PK/PD解析用の血清試料は、351日目、575日目、および743日目の投薬前(注入開始前0.5時間以内)およびEOI(EOI後0.5時間以内);183日目のEOI(EOI後0.5時間以内);ならびに911日目の任意の時点またはET時に採取する。注入終了時の試料は、患者の反対側の注入されていない腕から採取する。全ての採取時間をeCRFに記録する。
i 探索的バイオマーカー分析用の血清、血漿および尿は、示されている時点のALXN1210投薬の直前;および911日目の任意の時点またはET時に採取する。全ての採取時間をeCRFに記録する。
j 投薬前血清試料を351日目、575日目、および743日目に採取する。血清試料を911日目の任意の時点またはET時にも採取する。全ての採取時間をeCRFに記録する。試験の結果が陽性の場合、測定された力価および安全性評価に基づいて結果が陰性になるかまたは安定化するまで試験を3カ月毎に繰り返す。
k 併用薬を全ての試験来院時に収集し、禁止薬剤一覧に照らして確認する。
l 延長期間は、183日目の投薬の開始時から始まる。ALXN1210の用量は、患者の最後に記録された試験来院時の体重に基づく。
【0368】
4.試験集団
合計およそ55名の、記録されたaHUSを有する患者を登録し、世界中のおよそ200カ所の研究実施施設におけるALXN1210を用いた処置に割り当てる。本試験には、以前に腎移植を受けている少なくとも6名かつ最大で10名の青年(スクリーニング時に12歳〜18歳未満)患者および少なくとも10名かつ最大で25名の患者が登録される。
【0369】
本試験への参加基準を満たさない個体(スクリーニング不合格)を再スクリーニングすることができる。患者を最大で2回再スクリーニングすることができる。プロトコール放棄または免除としても公知である、募集および登録基準に対するプロトコール逸脱の将来の承認は許可されない。
【0370】
患者は、以下の基準の全てを満たし、かつ除外基準のいずれにも該当しない場合、本試験への登録に適格となる:
【0371】
同意時に12歳以上かつ40kg以上である男性または女性の患者。
・以下のスクリーニング来院検査所見に基づく血小板減少症、溶血のエビデンス、および腎機能不全を含めたTMAのエビデンス:血小板数が150,000/マイクロリットル(μL)未満、かつLDHが1.5×正常値上限(ULN)以上、かつヘモグロビンが年齢および性別ごとの正常値下限(LLN)以下、かつ血清クレアチニンレベルが成人(18歳以上)ではULN以上または青年(12歳〜18歳未満)ではスクリーニング時の年齢ごとの97.5パーセンタイル以上(急性腎傷害のために透析が必要な患者も適格となる)。
・腎移植を受けている患者の中で:現在の腎移植前の既知のaHUS歴、または既知のaHUS歴がないこと、およびカルシニューリン阻害剤([CNI];例えば、シクロスポリン、タクロリムス)またはラパマイシンの哺乳動物標的の阻害剤([mTORi];例えば、シロリムス、エベロリムス)の投薬を一時的に中止した後の最短で4日間最長で7日間のTMAの持続性エビデンス。
・分娩後TMAが発症した患者の中で、分娩日から>3日間にわたるTMAの持続性エビデンス。
・髄膜炎菌感染(Neisseria meningitidis)のリスクを低減するために、全患者が試験薬開始前3年以内または試験薬開始時に髄膜炎菌感染に対するワクチン接種を受けている。髄膜炎菌ワクチンを受けた後2週間経たずにALXN1210による処置が開始される患者は、適正な予防用抗生物質を用いた処置をワクチン接種の2週間後まで受ける。ALXN1210による処置の開始前にワクチン接種を受けていない患者は、髄膜炎菌ワクチン接種を受ける前および受けた後少なくとも2週間にわたって予防用抗生物質を受ける。
・18歳未満の患者は、国および各実施施設のワクチン接種スケジュールガイドラインに従ってHaemophilus influenzae type b(Hib)およびStreptococcus pneumoniaeに対してワクチン接種を受けていなければならない。
・妊娠可能な女性の患者および妊娠可能な女性パートナーをもつ男性の患者は、処置を受けている間および試験薬の最後の用量後8カ月にわたって妊娠を回避するためにプロトコールに規定されたガイダンスに従わなければならない。
・書面のインフォームドコンセントを提出し、かつ試験来院スケジュールに応じる意志があり、それらを行うことができる。18歳未満の患者に関しては、患者の法的な保護者が書面のインフォームドコンセントを提出する意志があり、それを行うことができなければならず、かつ患者は、書面のインフォームドコンセントを提出する意志がなければならない。
【0372】
スクリーニング時に採取された試料は、各実施施設または中央検査機関のいずれかで試験することができる。LDH、血小板数、ヘモグロビン、および血清クレアチニンについて各実施施設での試験を使用する場合、解析用のベースラインおよびベースライン後測定値が中央検査機関に由来することを確実にするために、中央検査機関での試験用に2連の試料を採取する。適格性の評価をはかどらせるために各実施施設の検査結果を使用することができるが、これらの組み入れ基準の最終的な決定は、中央検査機関での結果に基づく。
【0373】
患者が以下の基準のいずれかに該当した場合、その患者は試験登録から除外した:
A.既知の「トロンボスポンジン1型モチーフを有するディスインテグリンおよびメタロプロテイナーゼ、メンバー13」(ADAMTS13)欠損(活性<5%)。
B.志賀毒素関連溶血性尿毒症症候群(ST−HUS)。
C.直接クームス試験陽性およびStreptococcus pneumoniaeによる感染(例えば、培養、抗原試験)によって証明されるStreptococcus pneumoniae関連溶血性尿毒症症候群(HUS)。
D.既知のヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染。
E.消散していない全身性髄膜炎菌性疾患。
F.スクリーニングの開始前7日以内に血液培養陽性であり、抗生物質を用いた処置を受けていないと定義される、継続中の敗血症の確定診断を受けている患者。
G.試験責任医師の意見によると、aHUSの正確な診断に交絡を生じさせるまたはaHUS疾患を管理する能力を妨害する可能性がある活動性の処置されていない全身性細菌感染の存在または疑い。
H.妊娠または授乳。
I.心臓移植、肺移植、小腸移植、または肝移植。
J.腎移植を受けている患者の中で、以下のいずれか:
a.Banff 2013基準に従った急性抗体媒介性拒絶反応(AMR)の診断と一致する、移植から4週間以内の急性腎機能不全、または
b.急性AMRの臨床的診断と一致する、移植から4週間以内の急性腎機能不全およびドナー特異的抗体(DSA)の上昇。
c.多嚢胞性腎疾患歴。
K.収縮期血圧(SBP)≧170mmHgを示している18歳以上の患者、または高血圧の臨床的診断を示している12歳〜18歳未満の患者の中で、以下のいずれか:
a.≦140mmHgまで血圧(BP)が低下した後4日未満のTMA(組み入れ基準番号2)の持続性のエビデンス。
b.既知の左室肥大。
c.超音波での既知の小さな高エコー腎臓。
L.同定された薬物曝露関連HUS。
M.現在のTMAについて、スクリーニングの開始前に28日間またはそれよりも長くPE/PIを受けていること。
N.処置され、再発の証拠がない非黒色腫皮膚がんまたは子宮頸部の上皮内癌を例外として、スクリーニングの5年以内の悪性疾患歴。
O.スクリーニングの開始前90日以内の骨髄移植(BMT)/造血幹細胞移植(HSCT)。
P.ビタミンB12欠乏に関連するHUS。
Q.既知の全身性硬化症(強皮症)、全身性エリテマトーデス(SLE)、または抗リン脂質抗体陽性または症候群。
R.慢性透析(ESKDに対する腎代替療法としての定期的な透析と定義される)。
S.スクリーニングの開始前8週間以内に、無関係の医学的状態(例えば、低ガンマグロブリン血症)に対するものを除いて、慢性静脈内免疫グロブリン(IVIg)を受けている患者;またはスクリーニングの開始前12週間以内に慢性リツキシマブ治療を受けている患者。
T.ステロイド、mTORi(例えば、シロリムス、エベロリムス)、CNI(例えば、シクロスポリンまたはタクロリムス)などの他の免疫抑制療法を受けている患者は除外されるが、以下の場合は除く:
a)確立された移植後抗拒絶反応レジメンの一部、またはb)患者が、免疫抑制療法が必要になる確認された抗補体因子抗体を有する、またはc)aHUS以外の状態(例えば、喘息)に対してステロイドが使用されている。
U.本試験において1日目に試験薬を開始する前30日以内または治験製品の半減期の5倍の期間内(いずれか長い方)における、別の介入処置試験の参加または任意の実験的治療の使用
V.エクリズマブまたは他の補体阻害剤の以前の使用。
W.マウスタンパク質に対するまたは賦形剤の1つに対する過敏症。
X.試験責任医師の意見によると、試験に参加することにより患者のリスクが増大するまたは試験の転帰に交絡を生じさせる可能性があるあらゆる医学的または心理学的状態。
Y.スクリーニングの開始前1年以内の薬物またはアルコールの乱用または依存歴が分かっているまたはその疑いがあること。
【0374】
除外基準番号1についての検査結果は、初回投薬前には入手可能でない場合がある。除外基準番号Aについての後の結果により、中止および患者の補充が導かれる可能性がある。
【0375】
患者は、任意の時点で試験から離脱する権利を有する。患者が同意を撤回する場合、早期中止(ET)来院に関して規定された評価を実施する。試験から離脱する患者は補充しない。患者は、試験責任医師または試験依頼者が、処置を停止することが患者の最善の利益であると考える理由がある場合、試験薬を中止することができる。
【0376】
AMRが発生しており(C4d陽性腎臓生検)、以前に腎移植を受けており、リツキシマブが適正な治療であるとみなされる患者は、試験を離脱し、標準治療による治療を受けなければならない。中止の主な理由および他のあらゆる理由(複数可)をeCRFに記録する。
【0377】
患者が、現在進行しているAE、または、有意に基準範囲外であり、臨床的に有意である未解決の検査結果を有したまま試験を中止する場合、試験責任医師は、検査結果または有害事象の十分な臨床的解決が達成されるまでフォローアップを提供するよう試みる。
【0378】
試験依頼者または監督当局は、試験を妥当な理由で終結させることができる。試験の終結が正当化される条件としては、これだけに限定されないが、(1)試験に登録された患者に対する予想外の、重篤な、または許容されないリスクの発見、(2)試験薬の試験、評価、または開発を一時的に中止するまたは中止するという試験依頼者による決定、(3)試験責任医師が承認されたプロトコール、関係するガイドライン、および/または規制に従うことができないこと、ならびに(4)試験責任医師から試験依頼者および/または規制当局に故意に誤った情報が提出されたことが挙げられる。
【0379】
少なくとも1用量の治験製品を受けた後に患者のスクリーニングデータが以下の組み入れ/除外基準(組み入れ基準番号2または除外基準番号1)の1つまたは複数に合致しないことがいずれかの時点で決定された場合(例えば、適格性基準を確認するために使用された患者の各施設検査室でのデータが、その後に中央検査機関により、もはや適格性基準を満たさないことが決定された場合)、その患者は、試験を中止し、補充を行うことができる。早期に終結する患者に対しては早期中止手順を実施し、患者の試験薬の最後の用量の60日後まで全てのAEを収集する。
【0380】
試験の終了は、延長期間中、最後の患者の最終来院の日と定義される。
【0381】
5.試験処置
2つの448アミノ酸の重鎖と2つの214アミノ酸の軽鎖で構成されるヒト化抗C5モノクローナル抗体であるALXN1210は、ヒト定常領域ならびにヒトフレームワーク軽鎖および重鎖可変領域に移植されたマウス相補性決定領域からなるIgG2/4カッパ免疫グロブリンである。ALXN1210およびエクリズマブは、99%超の一次アミノ酸配列同一性を共有し、非常に類似した薬理学を有する。
【0382】
ALXN1210製剤は、臨床試験のために、使い捨てバイアル中の滅菌された保存剤を含まない10mg/mL溶液として供給され、IV注入による投与用の市販の生理食塩水(0.9%塩化ナトリウム注射液;国固有の薬局方)に希釈することによる注入のために設計された。表25および現行のIBにより追加的な情報がもたらされる。
【表25-1】
【表25-2】
【0383】
ALXN1210は、米国薬局方(USP)/欧州連合薬局方(EP)1型ホウケイ酸ガラスバイアルに詰め、アルミニウムオーバーシールおよびフリップオフキャップを有するブチルゴム栓で栓をした。試験薬はキットとして供給される。適用可能な規制に基づいて要求される全ての必須文書を受け取ったら、ALXN1210を各試験実施施設に向けてリリースする。
【0384】
試験実施施設に試験薬キットが到着したら、薬剤師(または訓練された被指名人)が即座に試験薬キットを配送用クーラーから取り出し、それらを元の箱に入った状態で2℃〜8℃(35°F〜47°F)の冷蔵条件下で保管し、光から保護する。ALXN1210は凍結させない。試験薬を安全な、出入りが制限された保管領域に保管し、温度を毎日モニタリングする。
【0385】
製剤は投与前に室温にする。材料は周囲空気温度によるもの以外で(例えば、マイクロ波または他の熱源を使用することによって)は加熱しない。
【0386】
ALXN1210はIVプッシュ注射またはボーラス注射としては投与しなかった。試験薬の注入は無菌技法を使用して調製する。患者に必要な用量のALXN1210を市販の生理食塩水(0.9%塩化ナトリウム;国固有の薬局方)中に、表26において指定されている体積でさらに希釈する。希釈剤中ALXN1210溶液を患者に、IVチューブ投与セットを使用して注入ポンプを介して投与する。注入用のインラインフィルターの使用が必要である。
【表26】

追加的な用量調製指示に関してはPharmacy Manualを参照されたい。
a 最後の試験来院時に記録された体重。
【0387】
試験薬の用量は、薬剤師または医学的に資格のあるスタッフメンバーだけが調製し、投薬する。試験薬は、本試験への参加に適格となることが確認された登録患者だけに投薬する。試験薬を患者に対して調製したら、その患者だけに投与する。試験薬のバイアルは、1回限りの使用のためのものであり、バイアル中に残った製剤は一切別の患者に使用しない。注入チューブまたは注入バッグ中に残った薬物は一切別の患者に使用しない。
【0388】
全ての臨床試験材料を安全な場所で保管し、適切に訓練された人が割り当て、投薬する。受け取った、投薬した、および破棄した治験製品の量の詳細な記録を維持する。特に通知のない限り、空のバイアルおよび材料が残留しているバイアルを、本試験のモニタリングによる検査および説明責任のために残しておき、その後、それらを各実施施設の臨床試験薬の薬剤標準操作手順(SOP)に従って破壊するまたは取り扱う。薬物説明責任に関する規制要件を満たすために、本試験の最後に残っているALXN1210の在庫目録の全てを照合確認し、適用可能な規制に従って破棄するまたはAlexionに返却する。
【0389】
患者は、ALXN1210を26週間にわたって受ける。ALXN1210は、緩徐なIV注入としておよそ2時間にわたって投与する。ALXN1210は、IVプッシュ注射またはボーラス注射としては投与しなかった。
【0390】
初期評価期間中のALXN1210の用量レジメンは、患者の最後に記録された試験来院時の体重に基づく(表27)。患者は、1日目に負荷用量のALXN1210 IVを受け、その後、15日目およびそれ以降はq8wで(8週間毎に)維持用量のALXN1210 IVを受ける。
【表27】

a 最後の試験来院時に記録された体重。
【0391】
初期評価期間後、全患者が最長2年間の延長期間に繰り越され、延長期間中は全患者がALXN1210をq8wで(8週間毎に)受ける。全ての用量投与の実際の時間を患者のeCRFに記録する。
【0392】
これは非盲検試験である。登録の基準を全て満たす患者をベースライン来院時(1日目)にALXN1210を用いた試験処置に割り当てる。双方向音声またはウェブ応答システム(IxRS)を使用してALXN1210を含有するバイアルを各患者に割り当てる。
【0393】
本試験におけるALXN1210の体重に基づく投薬量(表27)は、健康な成人志願者における初期開発試験からのPK/PDデータ、ならびに継続中の第Ib相用量探索試験(ALXN1210−PNH−103)および継続中の第II相概念実証試験(ALXN1210−PNH−201)においてPNHの患者から入手可能なデータを前提としている。aHUSを有する患者に対するALXN1210用量レジメンの選択は、PNHおよびaHUS患者におけるエクリズマブの臨床試験データで示されているaHUSを有する患者における終末補体の即時、完全かつ持続的な阻害に対応することが予想される、PNHの患者における終末補体の即時、完全かつ持続的な阻害の標的化に基づく。
【0394】
他のモノクローナル抗体の注入には、一般には注入中または注入完了直後に発症するインフュージョンリアクションが伴っている。
【0395】
患者が、スクリーニングの開始前28日以内(または髄膜炎菌ワクチン接種の記録については3年以内)からALXN1210の初回投薬までに摂取したまたは受けた、除外基準および手順において考察されているもの(外科手術/生検または理学療法などのあらゆる治療介入)を含めた以前の薬剤(ビタミンおよび生薬製剤を含む)を患者のeCRFに記録した。
【0396】
分析目的では、最初のALXN1210投薬の直後14日の期間内の透析はいずれも「新規透析」とはみなされない。
【0397】
試験中に行われた全ての薬剤の使用および手順を患者の原文書/カルテおよびeCRFに記録する。この記録は、全ての処方薬、生薬製品、ビタミン、無機物、市販薬、および現行の薬剤を含む。併用薬を試験薬の最初の注入から患者の試験薬の最後の用量の56日後まで記録する。併用薬のあらゆる変化もまた患者の原文書/カルテおよびeCRFに記録する。試験中の患者の標準治療のために、または何らかのAEを処置するために必要であるとみなされた併用薬はいずれも、試験責任医師の自由裁量で、下記の許容される薬剤と一緒に提供される。しかし、試験責任医師には、全ての薬剤に関する詳細が患者の原文書/カルテおよびeCRFに完全に記録されることを確実にする責任がある。
【0398】
患者は、試験薬の初回投薬後のあらゆる時点で以下の薬剤のいずれかおよび手順を受けることが禁止される:エクリズマブまたは他の補体阻害剤、臨床試験の一部としてのあらゆる他の試験薬またはデバイスの使用、IVIg(無関係の医学的必要性、例えば、低ガンマグロブリン血症に対するものを除く)、リツキシマブ、初回投薬後のPE/PI、および、(1)利尿薬に不応答性の循環血液量過多症、(2)不応性電解質不均衡、または(3)尿毒症性脳障害の新規発症によって評価される説得力のある医学的必要性がある場合を除いた、ALXN1210の初回投薬後最初の48時間の期間での新規透析。例外は透析の施行前に個々の場合に応じて試験依頼者によって承認されなければならない。
【0399】
以下の併用薬および手順はある特定の状況下で認められ、以下の制限を有する:スクリーニング前または試験中の他の免疫抑制療法(例えば、ステロイド、mTORi[例えば、シロリムス、エベロリムス]、CNI[例えば、シクロスポリンまたはタクロリムス]など)の使用は、a)確立された移植後抗拒絶反応レジメンの一部である場合、またはb)患者が、免疫抑制療法を必要とする確認された抗補体因子抗体抗体を有する場合、またはc)aHUS以外の状態(例えば、喘息)に対してステロイドが使用されている場合を除き、認められない。
【0400】
試験薬の初回投薬後に他の補体阻害剤(エクリズマブを含む)を受けているまたはPE/PIが進行している患者はいずれも本試験から離脱する。
【0401】
ALXN1210の使用により、その作用機構に起因して、患者の感染に対する易罹患性が増大する。感染のリスクを低減するために、全患者が、N.meningitidis、Hib、およびStreptococcus pneumoniaeに対するワクチン接種を受ける。
【0402】
患者は、ALXN1210の初回投薬前の3年以内に、または初回投薬時にN.meningitidisに対するワクチン接種を受ける。髄膜炎菌ワクチンを受けた後2週間経たずに薬物で処置される患者は、適正な予防用抗生物質を用いた処置をワクチン接種の2週間後まで受ける。一般的な病原性髄膜炎菌血清型を防止するために、入手可能な場合、血清型A、C、Y、W135、およびBに対するワクチンが推奨される。患者は、補体阻害剤(例えば、エクリズマブ)を伴うワクチン接種の使用に関する現行の国のワクチン接種ガイドラインまたは現地の慣行に従ってワクチン接種を受けるまたは再度ワクチン接種を受ける。
【0403】
ALXN1210の初回投薬を受ける前3年以内にN.meningiditisに対するワクチン接種を受けていない一部の患者が初回投薬時にワクチン接種を受けることができない可能性があることが理解される。ALXN1210による処置の開始前にワクチン接種を受けていない患者は、髄膜炎菌ワクチン接種を受ける前および受けた後少なくとも2週間にわたって予防用抗生物質を受ける。
【0404】
ワクチン接種は髄膜炎菌感染を防止するために十分でない可能性がある。抗細菌剤の適正使用について公式ガイダンスおよび現地の慣行に従って考慮すべきである。全患者を髄膜炎菌感染の初期徴候についてモニタリングし、感染が疑われる場合には直ちに評価し、必要であれば適正な抗生物質を用いて処置する。リスク認識を増大させ、試験の過程中に患者が経験した感染のあらゆる潜在的徴候または症状の迅速な開示を促進するために、患者は、常に携帯するよう安全性カードを提供される。潜在的なリスク、徴候、および症状の追加的な考察および説明は患者の安全性カードについての審査の一部として特定の時点で、評価のスケジュールに記載されている通り試験全体を通して行う(表23および表24)。
【0405】
患者は、ALXN1210の初回投薬を受ける前、または初回投薬時にHaemophilus influenzae type b(Hib)およびStreptococcus pneumoniaeに対するワクチン接種を国および各実施施設のワクチン接種スケジュールガイドラインに従って受ける。N.meningitidis、Hib、およびS.pnemoniaeに対するワクチン接種の状態を患者のeCRFに記録する。
【0406】
患者には、試験責任医師または被指名人の監督の下で管理された状況で試験薬を投与し、それにより、試験薬投与の順守を確実にする。試験責任医師または被指名人は、全患者が本試験のプロトコールを順守することが求められる特定の投薬レジメンを適切に通知されることを確実にし、患者が試験中の規定された時点で適正な用量を受けること、および注入中に適切な安全性モニタリングが行われることを確実にする。
【0407】
試験薬を受ける前、閉経後であると自身で考えている女性の患者は、少なくとも1年にわたって無月経であることと、血清卵胞刺激ホルモン(FSH)レベルが上昇していること(>30IU/L)(例えば、ホルモン補充療法、食事性植物エストロゲンの不在下で)の組合せに基づく閉経のエビデンスを提出しなければならない。
【0408】
妊娠可能な女性の患者は、高度に有効な避妊方法(下で定義される通り)を、スクリーニング時から使用し始め、試験薬の最後の用量後少なくとも8カ月にわたって継続する。高度に有効な避妊方法としては、排卵の阻害を伴うホルモン避妊、子宮内デバイス、子宮内ホルモン放出系、両側卵管閉塞、パートナーの精管切除(パートナーが患者の唯一の性的パートナーであるという条件で)、禁欲(試験薬による処置に付随するリスクがある全期間中、異性との性交を絶つことと定義される;禁欲の信頼度を、臨床試験の持続時間と患者が好む通常の生活様式との関連で評価する必要がある)、男性コンドームと、殺精子剤を有するキャップ、避妊ペッサリー、またはスポンジのいずれかの組合せ(二重障壁方法)が挙げられる。出産可能性のある女性の配偶者/パートナーまたは妊娠中もしくは授乳中の配偶者またはパートナーを有する男性の患者は、処置を受けている間および試験薬の最後の用量後少なくとも8カ月にわたって、二重障壁避妊(男性コンドームプラス女性パートナーの適正な障壁方法)に同意する。精管切除術の外科的成功に関する文書により証明された医学的評価があったとしても二重障壁避妊が必要である。
【0409】
男性の患者は、処置を受けている間および試験薬の最後の用量後少なくとも8カ月にわたって精子を供与しない。
【0410】
6.有効性評価
主要な有効性評価は、26週間の初期評価期間中の完全なTMA応答である。完全なTMA応答の基準は、(1)血小板数の正常化、(2)LDHの正常化、および(3)血清クレアチニンのベースラインから25%以上の改善である。
【0411】
少なくとも4週間空けて得た2つの連続した測定値によって確認される、完全なTMA応答基準の全てを満たす患者は、主要有効性評価項目を満たしたとして分類される。
【0412】
以下の副次有効性評価を試験中に測定する:
A.透析が必要な状態かどうか
B.完全なTMA応答までの時間
C.経時的な完全なTMA応答の状態
D.eGFRの観察値およびベースラインからの変化
E.選択標的日に試験責任医師によって評価され、ベースラインと比較して改善された、安定している(変化なし)、または悪化したに分類されるCKDのステージ
F.血液パラメーター(血小板、LDH、ヘモグロビン)の観察値およびベースラインからの変化
G.少なくとも4週間空けて得られた少なくとも2つの連続した測定値にわたって持続した、ヘモグロビンのベースラインから20g/L以上の増加
H.EQ−5D−3Lアンケート(全患者)、FACIT疲労バージョン4アンケート(18歳以上の患者)、および小児FACIT疲労アンケート(18歳未満の患者)によって測定される、QoLのベースラインからの変化。
【0413】
7.安全性評価
ALXN1210の潜在的な安全性リスクを考察するため、および試験責任医師に患者の試験に関する安全性の懸念に対処する機会をもたらすために、試験責任医師または患者の被指名人が患者と面会する。
【0414】
AEの収集を、インフォームドコンセントを得た時から試験完了までモニタリングする。試験責任医師は、あらゆるAEをそれらの結末(消散または安定化)まで追跡する。患者が試験から離脱した場合には、AEモニタリングを可能であれば最後の患者の最後の試験来院まで継続する。臨床評価および検査室評価のタイミングは、評価のスケジュール(表23および24)に従って実施する。あらゆる臨床的に意義のある異常な結果を消散または安定化まで追跡する。
【0415】
年齢、性別、人種、および民族性を含めた人口統計パラメーターについての調査を行う。完全な病歴を取得し、記録する。体重および身長を記録する。身長はスクリーニング時にのみ測定する。
【0416】
患者の、最初のaHUS症状の発症および診断日を含めたaHUS歴をスクリーニング来院時に記録する。
【0417】
以前のおよび併発している状態/障害を含めた患者の病歴をスクリーニング来院時に記録する。髄膜炎菌ワクチン接種に加えて、スクリーニングの開始前28日間(または髄膜炎菌ワクチン接種の記録については3年)にわたる薬剤(ビタミンおよび/または生薬補給剤を含めた処方薬または市販薬)の使用も記録する。
【0418】
身体検査は、以下の評価を含む:全身外観;皮膚;頭部、耳、眼、鼻、およびのど;頸部;リンパ節;胸部;心臓;腹腔;肢;中枢神経系;ならびに筋骨格系。簡易身体検査は、試験責任医師の判断および患者の症状に基づく身体系関連検査からなる。バイタルサイン測定値は患者が少なくとも5分安静にした後取得し、これらは、収縮期および拡張期BP(ミリメートル水銀柱[mmHg])、パルスオキシメトリー、心拍数(回/分)、呼吸数(呼吸/分)、および口腔温度または鼓膜温度(摂氏温度[℃]または華氏温度[°F])を含む。
【0419】
血清妊娠、血液学、化学、凝固、および尿検査のための試料は評価のスケジュール(表23および24)の規定された時点で行う。検査室評価のための試料は各試験薬投与前に採取する。
【0420】
スクリーニング時に採取された試料は、各実施施設または中央検査機関のいずれかで試験することができる。LDH、血小板数、ヘモグロビン、および血清クレアチニンについて各実施施設での試験を使用する場合、解析用のベースラインおよびベースライン後の測定値が中央検査機関からのものであることを確実にするために、中央検査機関での試験用に2連の試料を採取する。2連の試料が各実施施設および中央検査機関に由来する場合には、中央検査機関での結果を解析に使用する。
【0421】
基礎疾患に起因していくつかの検査値が正常値範囲を外れることが予測される。試験責任医師は、これらの値の臨床的意義を評価する際に医学的判断を使用すべきである。臨床的意義は、医学的関連性を有し、診療の変化を生じさせる検査測定値のあらゆる変動と定義される。ベースライン値からの臨床的に意義のある検査的変化が認められた場合、その変化をAEとしてAE eCRFに記録する。試験責任医師は、臨床的に意義のある範囲外値全てについて試験処置との関係を評価する。試験責任医師は、患者を、(1)値が正常範囲もしくはベースラインレベルに戻るまで、または(2)試験責任医師の判断で、正常範囲から外れた値が試験薬の投与または他のプロトコールに特有の手順に関連しなくなるまで、追加的な検査室評価によって継続してモニタリングする。
【0422】
妊娠可能性のある女性に関しては、血清または尿妊娠検査(すなわち、ベータ−ヒト絨毛膜ゴナドトロピン[β−hCG])を評価のスケジュール(表23および24)に従って実施する。血液試料を血液学パラメーターについて分析する。
【0423】
血液試料を血清化学的パラメーターについて分析する。間接ビリルビンは総ビリルビン値および直接ビリルビン値から算出される;したがって、直接ビリルビンが定量限界を下回る場合には、間接ビリルビンの結果は入手不可能である。閉経後の女性の患者に関しては閉経後の状態であることを確認するために血清FSHレベルをスクリーニング中に測定する。
【0424】
化学的評価を評価のスケジュール(表23および24)に規定された時点で実施する。血清化学を収集する来院時の全てで、eGFRを、18歳以上の患者における腎疾患における食事の変更式および18歳未満の患者における腎疾患における食事の変更シュワルツ式を使用して算出する。
【0425】
血液試料を凝固パラメーターについて分析する。
【0426】
尿試料を分析する。肉眼での分析の結果が異常である場合には尿試料の顕微鏡検査を実施する。尿中総タンパク質量:クレアチニン比を算出するために、タンパク質およびクレアチニンを測定するためにも尿試料を分析する。
【0427】
各患者について、単一12誘導デジタルECGを評価のスケジュール(表23および24)に従って収集する。患者は、ECG収集前におよそ5〜10分にわたって仰臥位でいなければならず、ECG収集中は仰臥位のままであるが覚醒していなければならない。試験責任医師または被指名人は、ECGが正常範囲内であるかどうかを評価するため、および結果の臨床的意義を決定するためにECGを精査する責任がある。これらの評価をCRFに示す。
【0428】
評価のスケジュールに示されている通り、試験薬投与前の血清中のALXN1210に対するADAの存在および力価を試験するために血液試料を採取した(表23および24を参照されたい)。試験の結果が陽性であった場合、測定された力価および安全性評価に基づいて、結果が陰性になるかまたは安定化するまで、3カ月毎に検査を繰り返すことができる。必要に応じて、結合性および中和抗体、PK/PD、安全性、ならびにALXN1210の活性を含めた抗体応答のさらなる特徴付けを行うことができる。
【0429】
AEとは、医薬製品を投与された患者に生じたあらゆる好ましくない医療上のできごとであり、必ずしも当該処置との因果関係(causal relationship)を有するものではない。したがって、AEは、医薬品に関連するとみなされるかどうかにかかわらず、医薬品の使用に時間的に関連するあらゆる好ましくないまたは意図しない徴候(例えば、異常な検査所見)、症状、または疾患であり得る。
【0430】
好ましくない医療上のできごとが起こらない状況(例えば、試験の開始前に計画されていた場合の待機的手術のための入院、社会的理由または便宜上の入院)、および悪化しない、試験開始時に存在するまたは検出された既存の疾患(複数可)または状態(複数可)の予測される日々の変動はAEではない。
【0431】
臨床試験の目的は薬物の効果を確立することであるので、薬物の効果がないことは、臨床試験においてはAEではない。
【0432】
薬物適用の誤り(製品の意図的な誤用、乱用、および過量投薬を含む)またはプロトコールにおいて定義されているもの以外の使用は、薬物適用の誤りの結果として好ましくない医療上のできごとが存在しない限り、AEとはみなされない。
【0433】
治験製品への母系または父系曝露中に妊娠が生じた場合は、試験責任医師/施設が認識してから24時間以内に報告すべきである。胎児転帰および授乳に関するデータを規制報告および安全性評価のために採取する。
【0434】
有害事象を同意署名時から記録する。インフォームドコンセント後であるが試験薬投与前に報告されたAEは処置前AEとみなされる。
【0435】
以下の事象は、本試験における重要な同定されたリスクである:髄膜炎菌感染。
【0436】
有害事象共通用語基準(CTCAE)バージョン4.03またはそれ以降のものを使用してAEの重症度に類別する。各AE用語に関して類別(重症度)スケールが提供される。各CTCAE用語は、医薬品規制用語集(MedDRA(登録商標))に従った下層語(LLT)である。各LLTがMedDRA基本語にコード化される。グレードとは、AEの重症度を指す。CTCAEでは、グレード1〜5が、各AEについて重症度の独特の臨床的説明と共に割り当てられる(表28)。
【表28】
略語:ADL=日常生活動作;AE=有害事象
a 手段的ADLとは、食事の準備、日用品や衣服の買い物、電話の使用、金銭の管理などを指す
b 身の回りのADLとは、入浴、着衣および脱衣、食事の摂取、トイレの使用、薬の内服、および寝たきりでないことを指す。
【0437】
AEの重症度のあらゆる変化をeCRF完成ガイドライン内の特有のガイドラインに基づいて記録する。重症度と重篤度は区別される:重症度はAEの強さを説明するものであり、一方、重篤度という用語は、重篤な有害事象(SAE)に関する特有の基準に合致したAEを指す。
【0438】
試験責任医師は、全てのAE(重篤なものおよび重篤でないもののどちらも)について、試験責任医師の医学的判断および観察された事象に関連する症状に基づいて因果関係(causality)評価(なし、おそらくなし、可能性あり、おそらくあり、明らかにあり)を提示しなければならない(表29)。この評価をeCRFおよび必要に応じて任意の追加的なフォームに記録する。
【表29-1】
【表29-2】
【0439】
重篤な有害事象(SAE)は、以下のあらゆる好ましくない医療上のできごとである:
・死亡に至る
・生命を脅かす(すなわち、患者が、事象が生じた時に死亡のリスクがあった)
・入院患者としての入院または現在の入院の延長が必要になる
・持続性のまたは著しい能力障害/無能に至る
・先天性異常/先天性欠損である
【0440】
死亡に至らない可能性がある、ただちに生命を脅かすものではない可能性がある、または入院が必要にならない可能性がある重要な医療上の事象は、適正な医学的判断に基づいて、患者が危険にさらされるまたは上に列挙されている転帰のうちの1つを防止するために介入が必要になる可能性がある場合、重篤な有害事象とみなされ得る。
【0441】
予測できない重篤な有害反応の疑い(SUSAR)は、IBには列挙されておらず、試験責任医師により治験製品または手順に関連するものと同定される重篤な事象である。United States Title 21 Code of Federal Regulations(CFR)312.32およびEuropean Union Clinical Trial Directive 2001/20/ECおよび付随する詳細なガイダンスまたは参加国の国の規制要件でSUSARの報告が求められている。
【0442】
ETの患者については試験薬の最後の用量から60日後までまたは試験を完了した患者については試験薬の最後の用量から56日後まで、ICFの徴候から全てのAE(重篤なものおよび重篤でないもの)を収集した。全てのAEが、試験責任医師または患者の職員がそれらの発生に気づいたらeCRFに記録される。
【0443】
因果関係(causality)に関する試験責任医師の評価にかかわらず全てのSAEを記録する。試験薬と因果関係があると思われるSAEの報告期限はない。試験責任医師はSAEを任意の時点で因果関係(causality)とは無関係に自由に報告する。
【0444】
全てのSAEについて、試験責任医師は以下を提示しなければならない:適正かつ必要なフォローアップ情報、SAE(複数可)の因果関係(causality)、SAE(複数可)に対する処置/介入、SAE(複数可)の転帰、および診療記録および検査/診断情報の裏付け。
【0445】
全患者および男性の患者の女性の配偶者/パートナーについて本試験中に妊娠データを収集する。妊娠中の曝露(子宮内曝露とも称される)は、母系曝露または父系曝露後の精液を介した製剤の伝達のいずれかの結果であり得る。妊娠自体は、治験製品が避妊薬の効果に干渉した可能性があるという疑いがなければ、AEとはみなされない。しかし、妊娠の合併症および妊娠の異常な転帰はAEであり、SAEについての基準に合致し得る(例えば、子宮外妊娠、自然流産、子宮内胎児死亡、新生児死亡、または先天性異常)。合併症を伴わない人工妊娠中絶はAEとして報告すべきでない。
【0446】
8.薬物動態および薬力学評価
血清薬物濃度の決定およびPD評価用の血液試料を評価のスケジュール(表23および24を参照されたい)に示されている時点で試験薬の投与の前後に採取する。各試料採取の実際の日時(24時間での時刻)を記録する。任意の所与の患者についてのPK試料採取時点の数は、現在計画されている時点の数を超えない。
【0447】
PKおよびPD評価のための血液試料を薬物の注入に使用した腕とは反対の腕から採取する。PK/PDの評価は、以下の通りである:(1)経時的な血清ALXN1210濃度の変化および(2)遊離C5濃度の変化。
【0448】
9.探索的評価
探索的バイオマーカー分析のために、ベースラインからの実際の変化およびパーセンテージの変化について統計値の要約を示す。
【0449】
ALXN1210濃度と探索的バイオマーカーの関係または臨床的利益と重要な探索的バイオマーカーの相関を図式表示によって評価することができる。臨床転帰、PK/PD、遺伝子プロファイル、およびバイオマーカーレベルの探索的分析およびそれらの間の潜在的な関係を実施することができる。APC活性および自己抗体の結果を評価する場合には要約する。
【0450】
aHUSに関連することが分かっている遺伝子の遺伝的バリアントを調査するため、ならびにaHUS、補体調節不全、またはALXN1210の代謝もしくは有効性に関連する新規の遺伝的バリアントを同定するために、探索的遺伝学を実施することができる。
【0451】
aHUSに関する既知の臨床的関連性の遺伝的変異は試験責任医師から適正な遺伝相談と共に患者または患者の保護者に伝えられる。臨床的意義が分かっていない遺伝的バリアントは患者または試験責任医師には伝えられない。
【0452】
資源利用に関する患者アンケートおよび患者申告のaHUS症状アンケートを使用してaHUSの追加的な徴候または症状を評価する。
【0453】
バイタルサインおよび臨床検査を含めたaHUSの腎外徴候または症状の構成成分をベースライン時およびベースライン後の時点でおよびベースラインからの変化について説明的に要約することができる。患者ごとの一覧表を提示することができる。
【0454】
徴候、総体症状、および資源利用の分析は、転帰を反復測定を用いてまたは用いずにカテゴリー化するための標準の手法を含み得る。
【0455】
1日目の評価が欠損した場合、スクリーニング評価をベースライン評価として使用する。
【0456】
26週間の初期評価期間中の完全なTMA応答(主要評価項目)を評価するために、完全なTMA応答の定義の一部である有効性評価が欠損しているがなお試験下にある患者は、最終観察繰越(last observation carried forward)(LOCF)を有する。第26週よりも前に試験を中止した患者については、中止時点までのデータを使用して完全なTMA応答を評価する。
【0457】
QoL計器の欠損データは、各計器についての指示に指定されている通り取り扱う。
【0458】
本試験について、全患者が26週間の初期評価期間を完了したまたはそれから離脱した後、26週間の初期評価期間の最後に暫定解析が計画される。さらに、長期間にわたる有効性、安全性、およびPKパラメーターを要約するための第2の解析を2年間の延長期間の最後に実施する。
【0459】
(実施例4)
以前にエクリズマブを用いた処置を受けた発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)の成人患者におけるALXN1210 対 エクリズマブの第III相ランダム化非盲検実対照試験。
【0460】
少なくとも6カ月にわたってエクリズマブで処置されたことがあるPNHの成人患者に静脈内(IV)注入によって投与されるALXN1210(Ultomiris(商標)、抗体BNJ441、またはラブリズマブとしても公知) 対 エクリズマブの安全性および有効性を評価するために第III相非盲検ランダム化実対照多施設試験を行った。
【0461】
1.目的および評価項目
主目的は、少なくとも6カ月にわたってエクリズマブで処置されたことがあるPNHの成人患者におけるALXN1210(ラブリズマブ)のエクリズマブと比較した非劣性を評価することであった。
【0462】
26週間の処置後にLDHレベルのパーセント変化(LDH−PCHG)の差異(ALXN1210−エクリズマブ)についての95%信頼区間(CI)の上限が15%未満であった場合、非劣性を主張した。
【0463】
副次目的には、エクリズマブからALXN1210に切り替えた患者におけるALXN1210の安全性および忍容性を特徴付けること、ALXN1210の有効性を追加的な有効性評価基準によって評価すること、ALXN1210の薬物動態/薬力学(PK/PD)および免疫原性を特徴付けること、ならびにALXN1210の長期間の安全性および有効性を評価することが含まれた。
【0464】
本試験の主要有効性評価項目は、ベースラインから183日目までの乳酸脱水素酵素レベル(LDH−PCHG)のパーセント変化によって直接測定される溶血であった。本試験の重要な副次的有効性評価項目(階層的に試験される)は以下のものであった:
1.LDHが≧2×正常値上限(ULN)に上昇している中での、少なくとも1つの新しいまたは悪化している血管内溶血の症状または徴候(疲労、ヘモグロビン尿、腹部疼痛、息切れ(呼吸困難)、貧血(ヘモグロビン<10g/dL)、主要な血管系有害事象(MAVE)(血栓症を含む)、嚥下障害、または勃起機能不全)と定義されるブレイクスルー溶血を有する患者の割合
2.慢性疾患治療の機能的評価(FACIT)−疲労スケール、バージョン4によって測定される生活の質(QoL)のベースラインから183日目までの変化
3.ベースラインから183日目まで、プロトコールに規定されたガイドラインに従って輸血を受けないままであり、輸血を必要としない患者の割合と定義される輸血回避(TA)
4.ベースラインから183日目まで輸血がなされず、ヘモグロビンレベルのベースラインから2g/dL以上の低下が回避されていることと定義されるヘモグロビンの安定化を有する患者の割合
【0465】
本試験の他の副次的有効性評価項目には、(1)ベースラインから183日目までの、輸血された濃厚赤血球(pRBC)の単位の総数(2)183日目にLDHが正常範囲内である患者の割合(3)欧州がん研究治療機関(EORTC)の生活の質アンケート−コア30スケール(QLQ−C30)、バージョン3.0のベースラインから183日目までの変化(4)PNHの臨床的症状発現(疲労、ヘモグロビン尿、腹部疼痛、息切れ、貧血、嚥下障害、および勃起機能不全)のベースラインから183日目までの変化および(5)ベースラインから183日目までのMAVEを経験した患者の割合の評価を含めた。
【0466】
薬物動態および薬力学評価項目には、(1)血清ALXN1210およびエクリズマブ濃度の経時的な変化、(2)ニワトリ赤血球(cRBC)溶血活性の経時的な変化(探索的)、および(3)経時的な遊離C5濃度の変化の評価を含めた。
【0467】
探索的評価項目には、患者申告のPNH症状および医療資源の利用の評価を含めた。
【0468】
ALXN1210のエクリズマブと比較した安全性および忍容性を、身体検査、バイタルサイン、心電図(ECG)、検査室評価、ならびに有害事象(AE)および重篤な有害事象(SAE)の発生率によって評価した。試験終了までの抗薬物抗体(ADA)が生じた患者の割合も評価した。
【0469】
2.試験デザイン
本試験は、少なくとも過去6カ月にわたってエクリズマブで処置されたことがあるPNHの成人患者に静脈内(IV)注入によって投与されるALXN1210(ラブリズマブ) 対 エクリズマブの安全性および有効性を評価するためのものであった。したがってデザインされた試験にはおよそ192名の患者(処置群当たり96名の患者)が含まれると予測されたが、最終的に195名の対象を本試験に登録し、186名の対象についてパープロトコール解析の一部として解析した。本試験は、4週間のスクリーニング期間、26週間のランダム化処置期間、および最長2年間の延長期間を含んだ。患者を、輸血歴(1日目の前12カ月以内に濃厚赤血球(pRBC)の輸血を受けたか、または受けていないか)に基づいて2群のうちの一方に層別化した。2群のそれぞれの患者を、エクリズマブを継続するかまたはALXN1210に切り替えるかのいずれかに1:1の比でランダムに割り当てた。97名の患者をALXN1210群に割り当て、98名の患者をエクリズマブ群に割り当てた。#