(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】2021501343
(43)【公表日】20210114
(54)【発明の名称】早産のバイオマーカー
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/53 20060101AFI20201211BHJP
   G01N 33/543 20060101ALI20201211BHJP
【FI】
   !G01N33/53 D
   !G01N33/543 545A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】52
(21)【出願番号】2020543726
(86)(22)【出願日】20181030
(85)【翻訳文提出日】20200605
(86)【国際出願番号】EP2018079639
(87)【国際公開番号】WO2019086410
(87)【国際公開日】20190509
(31)【優先権主張番号】10201708890Y
(32)【優先日】20171030
(33)【優先権主張国】SG
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】520149869
【氏名又は名称】カーメンティクス・プロプライエタリー・リミテッド
【住所又は居所】シンガポール国シンガポール 139951,アヤ・ラジャー・クレッセント 71,07−26
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【弁理士】
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100163784
【弁理士】
【氏名又は名称】武田 健志
(72)【発明者】
【氏名】アーベル,ニア
【住所又は居所】シンガポール国シンガポール 139951,アヤ・ラジャー・クレッセント 71,07−26
(72)【発明者】
【氏名】リョウ,サン・ミン
【住所又は居所】シンガポール国シンガポール 139951,アヤ・ラジャー・クレッセント 71,07−26
(72)【発明者】
【氏名】リン,シアーン・チエン
【住所又は居所】シンガポール国シンガポール 139951,アヤ・ラジャー・クレッセント 71,07−26
(72)【発明者】
【氏名】ルビン,エイタン
【住所又は居所】シンガポール国シンガポール 139951,アヤ・ラジャー・クレッセント 71,07−26
(57)【要約】
本発明は、バイオマーカー、及び限定されるものではないが早産のバイオマーカーに特に関する。バイオマーカーは、在胎37週の前に出生を経験するリスクがある個体を識別するために、誕生の数週間または数か月前で有用である。バイオマーカー(すなわちECM1、FGA、EFEMP1、GGH、PEDF、PTNおよびLAMC2)は、早産になるであろう女性による膣液中で差異的に発現されるものとして、プロテオミクス分析によって同定される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
個体に早産のリスクがあるかどうかを予測する方法であって、前記個体から得られたサンプル中のバイオマーカーのレベルを決定すること、及び前記個体に早産のリスクがあるかどうかを前記バイオマーカーのレベルに基づいて予測することを含み、前記バイオマーカーが、ECM1、FGA、EFEMP1、GGH、PEDF、PTN及びLAMC2から選択される、前記方法。
【請求項2】
前記サンプルが膣液のサンプルである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記バイオマーカーがタンパク質である、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
バイオマーカーのレベルが参照レベルに比較され、前記参照レベルが、早産または満期産を経験したことが既知である個体から得られるサンプル中のバイオマーカーのレベルに由来する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記方法が、胎児フィブロネクチン(fFN)試験、収縮、膣出血、膣からの体液漏出、膣帯下の増加、背中の痛み及び下腹部中の痙攣から選択される、1つまたは複数の早産の他の指標により、早産のリスクを予測することをさらに含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
個体が請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法によって早産のリスクがあることが予測される、早産のリスクがあることが予測される前記個体の治療における使用のためのプロゲステロン。
【請求項7】
早産のリスクを低減するために治療のための個体を選択する方法であって、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法を使用して、前記個体における早産のリスクを予測すること、及び前記個体に早産のリスクがあることが決定されるならば、早産のリスクを低減する治療を施行することを含み、早産のリスクを低減する前記治療がプロゲステロン及び/または子宮頸管縫縮術を含む、前記方法。
【請求項8】
個体に早産のリスクがあるかどうかを予測する方法であって、前記個体から得られたサンプル中のバイオマーカーのレベルを決定すること、及び前記個体の治療に関与する医師へ前記決定されたレベルを伝達することを含み、早産のリスクが前記サンプル中の前記バイオマーカーのレベルに基づいて予測され、前記バイオマーカーがECM1、FGA、EFEMP1、GGH、PEDF、PTN及びLAMC2から選択される、前記方法。
【請求項9】
前記個体に早産のリスクがあるかどうかを予測する前記方法が、コンピューター実装方法である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
ECM1、FGA、EFEMP1、GGH、PEDF、PTNまたはLAMC2を検出する方法であって、
a.個体から膣液のサンプルを得ることと;
b.ECM1、FGA、EFEMP1、GGH、PEDF、PTNまたはLAMC2が、抗ECM1抗体、抗FGA抗体、抗EFEMP1抗体、抗GGH抗体、抗PEDF抗体、抗PTN抗体または抗LAMC2抗体と前記膣液サンプルを接触させること、及びECM1、FGA、EFEMP1、GGH、PEDF、PTNまたはLAMC2と前記抗体との間の結合を検出することによって、前記膣液サンプル中に存在するかどうかを検出することと、
を含む、前記方法。
【請求項11】
個体に早産のリスクがあることを決定する方法であって、
a.個体からサンプルを得ることと;
b.ECM1、FGA、EFEMP1、GGH、PEDF、PTNまたはLAMC2が、抗ECM1抗体、抗FGA抗体、抗EFEMP1抗体、抗GGH抗体、抗PEDF抗体、抗PTN抗体または抗LAMC2抗体と前記サンプルを接触させること、及びECM1、FGA、EFEMP1、GGH、PEDF、PTNまたはLAMC2と前記抗体との間の結合を検出することによって、前記サンプル中に存在するかどうかを検出することと;
c.前記サンプル中の、ECM1、FGA、EFEMP1、GGH、PEDF、PTNまたはLAMC2の存在が検出される場合に、前記個体に早産のリスクがあることを決定することと、
を含む、前記方法。
【請求項12】
前記サンプルが膣液サンプルである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
個体に早産のリスクがありその個体における在胎期間を延長することを決定する方法であって、
a.個体からサンプルを得ること;
b.ECM1、FGA、EFEMP1、GGH、PEDF、PTNまたはLAMC2が膣液サンプル中に存在するかどうかを検出すること;
c.前記膣液サンプル中の、ECM1、FGA、EFEMP1、GGH、PEDF、PTNまたはLAMC2の存在が検出される場合に、前記個体に早産のリスクがあることを決定すること;及び
d.早産のリスクがあることが決定された前記個体へプロゲステロンの有効量を投与すること、または、前記個体に早産のリスクがあることが決定されるならば、プロゲステロもしくはそのアナログ、子宮収縮抑制剤、コルチコステロイド、抗生物質、NSAID、またはω3脂肪酸もしくはその誘導体から選択される1つまたは複数の薬剤の有効量による治療のために前記個体を選択すること;及び/または
e.早産のリスクがあることが決定された前記個体に子宮頸管縫縮術を遂行すること、または、前記個体に早産のリスクがあることが決定されるならば、子宮頸管縫縮術のために前記個体を選択すること、
を含む、前記方法。
【請求項14】
前記バイオマーカーのレベルがELISAによって決定される、請求項10〜13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
被験体における早産のリスクまたは尤度の予測における使用のためのキットであって、抗ECM1抗体、抗FGA抗体、抗EFEMP1抗体、抗GGH抗体、抗PEDF抗体、抗PTN抗体または抗LAMC2抗体を含む、前記キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は2017年10月30日に出願されたSG10201708890Yの優先権を主張し、その内容及び要素はすべての目的のために参照することによって本明細書に援用される。
【0002】
本発明は、バイオマーカー、及び限定されるものではないが早産のバイオマーカーに特に関する。バイオマーカーは、在胎37週の前に出生を経験するリスクがある個体を識別するために、誕生の数週間または数か月前で有用である。
【背景技術】
【0003】
早産は在胎37週の完了の前に起こる出生によって定義される。毎年1500万人を上回る乳児が早産であると推定される。世界的には、早産は5歳未満の小児の死亡の主要原因のうちの1つであり、100万人の早産関連死亡者が推定される。生存者の多くは、学習障害ならびに視覚及び聴覚の問題を包含する、困難な障害に生涯直面する。過去数十年間の新生児学の進歩は早産についての生存率を増加させたが、20%を超える早産新生児は、少なくとも1つの重大な障害(慢性肺疾患、精神発達の低下、脳性麻痺、聴覚障害または失明が挙げられる)の影響を受けるだろう。
【0004】
早産のリスクがある妊婦を同定する、有意な必要性がある。現在のパラダイムにおいて、高リスク妊娠のための治療は予防的治療または監視の促進もしくは妊娠の詳細なモニタリングを包含し、それは早産率を低減する。しかしながら、大部分の事例において、高リスクの妊娠の分類は事前の病歴または臨床検査に起因し、早産の傾向のある真の高リスク妊娠の小さなサブセクションを同定するにすぎない。依然として、早産の傾向のある大多数の妊娠は早いステージで同定されず、したがってかかる事例についての初期の医学的介入は可能ではない。
【0005】
リスク症状を提示する女性についての早産のリスク査定のために、市場に複数の試験がある。1つのかかる例は胎児フィブロネクチン(fFN)試験であり、それは症状を示す女性についてのリスク査定を提供する。予定日前の分娩が恐らく起こるならば、胎児フィブロネクチンは膣中に存在する。したがって、fFN試験は、早産についての可能性を指摘する症状(収縮、膣出血、膣からの体液漏出、膣帯下の増加、背中の痛み及び下腹部の痙攣等)の有る妊婦において一般的には使用される。fFN試験の強みは、試験後10日までの間の高い陰性的中率中である(すなわち陰性の結果は、試験後の次の7〜10日以内の予定日前の陣痛の可能性が低いことを意味する)。しかしながら、fFN試験が陽性の場合に、結果はあまり確定的ではない。
【0006】
患者管理はリスクファクターに基づいて変動する。予防的治療(プロゲステロン等)は、短い子宮頸管の長さまたは早産の既往歴の有る女性を高リスクの集団としてプロファイリングする多数の臨床研究において、早産率を低減させることが示されている。症状を示す女性は、リスクファクターに基づいた治療(子宮収縮抑制剤またはステロイド等)を受けることができる。現在の臨床業務の限界は、治療とアウトカムの相関性が非常に低いということである。
【0007】
したがって、適切な治療が速やかに施行されて早産率を低減させることができるように、早産の高リスクの有る妊娠の有効な同定についての緊急の必要性がある。本発明は、短所のうちのいくつかを少なくとも部分的に克服するために、早産のリスクを予測するためのバイオマーカー及び方法を提供する。特に、本発明は、早産の症状が現われる数週間または場合によっては数か月前に、早産について高リスクの女性の分類のためのリスク査定の提供を探索する。
【0008】
本発明は上記の考慮に照らして考案された。
【発明の概要】
【0009】
本発明は、被験体における早産のリスクまたは尤度を予測するための新規バイオマーカー及び方法を提供する。本明細書において開示されるバイオマーカーはメタデータ分析において同定され、後続して患者由来サンプルにおいて実証された。本明細書において開示されるバイオマーカーは、個体が症状を示す数週間または数か月前に、満期産の個体及び早産の個体からのサンプルを区別する。かかるバイオマーカーは早産のリスクがある個体の同定のために有用であり、したがって臨床決定(在胎期間を延長する及び/または早産のリスクを防止もしくは低減する治療の開始等)のガイドのために有用であり得る。
【0010】
本明細書において開示される方法は、無症候性の個体または症状を示す個体における早産のリスクまたは尤度を決定するために使用され得る。特定の実施形態において、個体は無症候性である。
【0011】
本明細書において開示される時、ECM1、FGA、EFEMP1、GGH、PEDF、PTN及びLAMC2は、早産のバイオマーカーである。ECM1、FGA、EFEMP1、GGH、PEDF、PTN及びLAMC2の各々は、早産のリスクがある個体を同定するための方法において使用され、方法は、個体に早産のリスクがあるかどうかを決定するか、または個体に早産のリスクがあるかどうかを予測する。バイオマーカーのレベルの変動は、対照レベルまたは参照レベルに比較して、個体に早産のリスクがあることを指摘し得る。かかる方法は、試験されている個体から得られたサンプル中のECM1、FGA、EFEMP1、GGH、PEDF、PTN及びLAMC2のレベルを決定することを包含する。いくつかの態様において、本方法は、バイオマーカーECM1、FGA、EFEMP1、GGH、PEDF、PTN及びLAMC2のすべてのレベルを決定すること、ならびに早産のリスクを予測することを包含する。
【0012】
ある特定のバイオマーカーの過小発現は個体に早産のリスクがあることを指摘し、ECM1、GGH、LAMC2、EFEMP1、PTN及びFGAが挙げられる。
【0013】
ある特定のバイオマーカーの過剰発現は個体に早産のリスクがあることを指摘し、GGH、LAMC2、EFEMP1、PTN、FGA及びPEDFが挙げられる。
【0014】
いくつかの事例において、バイオマーカーは、それが在胎期間のある特定のポイントで過剰に発現されるか、または在胎期間の異なるポイントで過小発現されるならば、個体に早産のリスクがあることを指摘することができる。
【0015】
個体に早産のリスクがあるかどうかを予測するための方法であって、個体から得られたサンプル中のバイオマーカーのレベルを決定すること、及び早産のリスクがあるかまたは早産のリスクがないとして個体をバイオマーカー値に基づいて分類することを含み、バイオマーカーが、ECM1、FGA、EFEMP1、GGH、PEDF、PTN及びLAMC2から選択される方法が本明細書において提供される。本方法はリスクがあることが決定された個体へ治療を実施することをさらに含み得る。治療は、子宮頸管縫縮術、またはプロゲステロンもしくはそのアナログ、子宮収縮抑制剤、コルチコステロイド、抗生物質、NSAID、またはω3脂肪酸もしくはその誘導体から選択される1つまたは複数の薬剤の投与を含み得る。プロゲステロンは、合成プロゲステロン(17−a−カプロン酸ヒドロキシプロゲステロン等)であり得る。子宮収縮抑制剤は、硫酸マグネシウム、インドメタシンまたはニフェジピンであり得る。抗生物質は、エリスロマイシンまたはペニシリンであり得る。NSAIDはインドメタシンであり得る。ω3脂肪酸誘導体はドコサヘキサエン酸(DHA)であり得る。
【0016】
早産を経験する個体の尤度を決定する方法であって、個体からのサンプル中で、ECM1、FGA、EFEMP1、GGH、PEDF、PTN及びLAMC2から選択されるバイオマーカーについてのバイオマーカー値を検出すること、ならびに個体が早産を経験するパーセンテージ尤度をバイオマーカー値に基づいて決定することを含む方法も本明細書において開示される。
【0017】
個体に早産のリスクがあるかどうかを予測するためのコンピューター実装方法であって、コンピューターのバイオマーカー情報上で個体についてリトリーブし、バイオマーカー情報がECM1、FGA、EFEMP1、GGH、PEDF、PTN及びLAMC2から選択される少なくとも1つのバイオマーカーに対応するバイオマーカー値、ならびにコンピューターによるバイオマーカー値の分類を含むことと;個体に早産のリスクがある尤度を分類に基づいて指摘することと、を含む方法も本明細書において開示される。
【0018】
プロゲステロンもしくはそのアナログ、子宮収縮抑制剤、コルチコステロイド、抗生物質、NSAID、またはω3脂肪酸もしくはその誘導体から選択される1つまたは複数の薬剤を、ECM1、FGA、EFEMP1、GGH、PEDF、PTN及びLAMC2から選択されるバイオマーカーについてのバイオマーカー値に基づいて早産のリスクがあることが決定された個体へ投与することを含む治療の方法も本明細書において開示される。かかる方法における使用のためのプロゲステロン、それと一緒に、かかる方法における使用のための医薬品の製造におけるプロゲステロンの使用を開示する。プロゲステロンは、合成プロゲステロン(17−a−カプロン酸ヒドロキシプロゲステロン等)であり得る。子宮収縮抑制剤は、硫酸マグネシウム、インドメタシンまたはニフェジピンであり得る。抗生物質は、エリスロマイシンまたはペニシリンであり得る。NSAIDはインドメタシンであり得る。ω3脂肪酸誘導体はドコサヘキサエン酸(DHA)であり得る。
【0019】
ECM1、FGA、EFEMP1、GGH、PEDF、PTN及びLAMC2から選択されるバイオマーカーについてのバイオマーカー値に基づいて早産のリスクがあることが決定された個体への子宮頸管縫縮術を含む治療の方法も本明細書において開示される。子宮頸管縫縮術による治療のために個体を選択するための方法も開示される。
【0020】
早産のリスクがあることが予測される個体であって、ECM1、FGA、EFEMP1、GGH、PEDF、PTN及びLAMC2から選択されるバイオマーカーについてのバイオマーカー値に基づいて早産のリスクがあることが決定された個体を治療する方法における使用のための子宮収縮抑制剤またはステロイドも本明細書において開示される。子宮収縮抑制剤またはステロイドを、早産のリスクがあることが決定された個体であって、ECM1、FGA、EFEMP1、GGH、PEDF、PTN及びLAMC2から選択されるバイオマーカーについてのバイオマーカー値に基づいて早産のリスクがあることが決定された個体へ投与することを含む治療の方法も開示される。
【0021】
関連して、早産のリスクがあることが決定された個体であって、ECM1、FGA、EFEMP1、GGH、PEDF、PTN及びLAMC2から選択されるバイオマーカーについてのバイオマーカー値に基づいて早産のリスクがあることが予測されている個体の治療のための医薬品の製造のための子宮収縮抑制剤またはステロイドの使用が提供される。
【0022】
使用のための子宮収縮抑制剤もしくはステロイドまたは医薬品は、ECM1、FGA、EFEMP1、GGH、PEDF、PTN及びLAMC2から選択されるバイオマーカーについてのバイオマーカー値を決定すること、ならびにそのバイオマーカー値に基づいて早産のリスクを決定することを包含する方法における使用のためのものであり得る。
【0023】
早産のリスクがあることが予測される個体であって、ECM1、FGA、EFEMP1、GGH、PEDF、PTN及びLAMC2から選択されるバイオマーカーについてのバイオマーカー値に基づいて早産のリスクがあることが決定されている個体を治療する方法における使用のための、プロゲステロンもしくはそのアナログ、子宮収縮抑制剤、コルチコステロイド、抗生物質、NSAID、またはω3脂肪酸もしくはその誘導体から選択される1つまたは複数の薬剤も本明細書において開示される。プロゲステロンは、合成プロゲステロン(17−a−カプロン酸ヒドロキシプロゲステロン等)であり得る。子宮収縮抑制剤は、硫酸マグネシウム、インドメタシンまたはニフェジピンであり得る。抗生物質は、エリスロマイシンまたはペニシリンであり得る。NSAIDはインドメタシンであり得る。ω3脂肪酸誘導体はドコサヘキサエン酸(DHA)であり得る。
【0024】
プロゲステロンもしくはそのアナログ、子宮収縮抑制剤、コルチコステロイド、抗生物質、NSAID、またはω3脂肪酸もしくはその誘導体から選択される1つまたは複数の薬剤を、早産のリスクがあることが決定された個体であって、ECM1、FGA、EFEMP1、GGH、PEDF、PTN及びLAMC2から選択されるバイオマーカーについてのバイオマーカー値に基づいて早産のリスクがあることが決定されている個体へ投与することを含む治療の方法も開示される。プロゲステロンは、合成プロゲステロン(17−a−カプロン酸ヒドロキシプロゲステロン等)であり得る。子宮収縮抑制剤は、硫酸マグネシウム、インドメタシンまたはニフェジピンであり得る。抗生物質は、エリスロマイシンまたはペニシリンであり得る。NSAIDはインドメタシンであり得る。ω3脂肪酸誘導体はドコサヘキサエン酸(DHA)であり得る。
【0025】
早産のリスクがあることが決定された個体であって、ECM1、FGA、EFEMP1、GGH、PEDF、PTN及びLAMC2から選択されるバイオマーカーについてのバイオマーカー値に基づいて早産のリスクがあることが決定されている個体の治療のための医薬品の製造における、プロゲステロンもしくはそのアナログ、子宮収縮抑制剤、コルチコステロイド、抗生物質、NSAID、またはω3脂肪酸もしくはその誘導体から選択される1つまたは複数の薬剤の使用も提供される。プロゲステロンは、合成プロゲステロン(17−a−カプロン酸ヒドロキシプロゲステロン等)であり得る。子宮収縮抑制剤は、硫酸マグネシウム、インドメタシンまたはニフェジピンであり得る。抗生物質は、エリスロマイシンまたはペニシリンであり得る。NSAIDはインドメタシンであり得る。ω3脂肪酸誘導体はドコサヘキサエン酸(DHA)であり得る。
【0026】
使用のための薬剤、または医薬品は、ECM1、FGA、EFEMP1、GGH、PEDF、PTN及びLAMC2から選択されるバイオマーカーについてのバイオマーカー値を決定すること、ならびにそのバイオマーカー値に基づいて早産のリスクを決定することを包含する方法における使用のためのものであり得る。
【0027】
ECM1、FGA、EFEMP1、GGH、PEDF、PTNまたはLAMC2を検出する方法であって、
a.個体から膣液のサンプルを得ることと;
b.ECM1、FGA、EFEMP1、GGH、PEDF、PTNまたはLAMC2が、抗ECM1抗体、抗FGA抗体、抗EFEMP1抗体、抗GGH抗体、抗PEDF抗体、抗PTN抗体または抗LAMC2抗体と膣液サンプルを接触させること、及びECM1、FGA、EFEMP1、GGH、PEDF、PTNまたはLAMC2と抗体との間の結合を検出することによって、膣液サンプル中に存在するかどうかを検出することと、
を含む、前記方法が本明細書において提供される。
【0028】
個体に早産のリスクがあることを決定する方法であって、
a.個体からサンプルを得ることと;
b.ECM1、FGA、EFEMP1、GGH、PEDF、PTNまたはLAMC2が、抗ECM1抗体、抗FGA抗体、抗EFEMP1抗体、抗GGH抗体、抗PEDF抗体、抗PTN抗体または抗LAMC2抗体とサンプルを接触させること、及びECM1、FGA、EFEMP1、GGH、PEDF、PTNまたはLAMC2と抗体との間の結合を検出することによって、サンプル中に存在するかどうかを検出することと;
c.膣液サンプル中の、ECM1、FGA、EFEMP1、GGH、PEDF、PTNまたはLAMC2の存在が検出される場合に、個体に早産のリスクがあることを決定することと、
を含む、前記方法も本明細書において提供される。
【0029】
いくつかの事例において、抗体はマウス、ウサギまたはヤギ、好ましくはマウスまたはウサギに由来する。抗体は、ヒト、ヒト化、またはキメラであり得る。
【0030】
好ましくは、サンプルは膣液サンプルである。膣液サンプルは頸膣液サンプルであり得る。あるいは、サンプルは羊水サンプルである。
【0031】
個体に早産のリスクがありその個体における在胎期間を延長することを決定する方法であって、
a.個体からサンプルを得ることと;
b.ECM1、FGA、EFEMP1、GGH、PEDF、PTNまたはLAMC2が血漿サンプル中に存在するかどうかを検出することと;
c.膣液サンプル中の、ECM1、FGA、EFEMP1、GGH、PEDF、PTNまたはLAMC2の存在が検出される場合に、個体に早産のリスクがあることを決定することと;
d.プロゲステロンもしくはそのアナログ、子宮収縮抑制剤、コルチコステロイド、抗生物質、NSAID、またはω3脂肪酸もしくはその誘導体から選択される1つまたは複数の薬剤の有効量を投与することと、
を含む、前記方法。プロゲステロンは、合成プロゲステロン(17−a−カプロン酸ヒドロキシプロゲステロン等)であり得る。子宮収縮抑制剤は、硫酸マグネシウム、インドメタシンまたはニフェジピンであり得る。抗生物質は、エリスロマイシンまたはペニシリンであり得る。NSAIDはインドメタシンであり得る。個体に早産のリスクがあることが決定されるならば、早産のリスクがあることが決定された個体または子宮収縮抑制剤もしくはステロイドの有効量による治療のために選択される個体に対して、ω3脂肪酸誘導体はドコサヘキサエン酸(DHA)であり得る。
【0032】
一態様において、被験体における早産のリスクまたは尤度の予測における使用のためのキットであって、抗ECM1抗体、抗FGA抗体、抗EFEMP1抗体、抗GGH抗体、抗PEDF抗体、抗PTN抗体または抗LAMC2抗体を含むキットを開示する。好ましくは、抗ECM1抗体、抗FGA抗体、抗EFEMP1抗体、抗GGH抗体、抗PEDF抗体、抗PTN抗体または抗LAMC2抗体は、ECM1、FGA、EFEMP1、GGH、PEDF、PTNまたはLAMC2へ選択的に結合することが可能である。
【0033】
本明細書において開示されるある特定の態様は、個体における早産のリスクを決定するためのコンピューター実装方法を記載する。方法は、個体から得られたサンプル中のECM1、FGA、EFEMP1、GGH、PEDF、PTNまたはLAMC2のうちの少なくとも1つのレベルへ対応するデータを提供することと;コンピューターによりバイオマーカー値の分類を遂行することと;個体における早産のリスクを分類に基づいて決定することと、を包含し得る。
【0034】
本発明は態様及び記載された好ましい特色の組み合わせを含むが、かかる組み合わせが、明らかに容認できないかまたは明らかに避けられる場合は除く。
【0035】
本発明の原則を例証する実施形態及び実験は、ここで添付の図を参照して検討されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】満期産のサンプルと早産のサンプルとの間のECM1レベルの差を表わす図である。全タンパク質濃度について補正したELISA免疫アッセイのアウトカムに基づいて、平均バイオマーカータンパク質濃度を計算した。在胎19〜37週の間に収集した、満期産のサンプル(n=136)及び早産のサンプル(n=64)、ならびに全群の間の平均差を表わす。データをStudentのt検定を使用して分析した。P=p値。
【図2】サンプリング時間での在胎齢に基づいた、満期産のサンプルと早産のサンプルとの間のECM1レベルの差を表わす図である。サンプルを、サンプリング時間に基づいた4つの群(在胎週数18+0〜23+6日(18−24)、在胎週数24+0〜27+6日(24−28)、在胎週数28+0〜31+6日(28−32)及び在胎週数32+0〜37+6日(32−37))へとグループ化した。次いで群を満期産のサンプル及び早産のサンプルへと分け、平均を計算し、棒グラフで表わす。
【図3】サンプル収集から分娩への時間に基づいた、満期産の女性と早産の女性との間のECM1レベルの差を表わす図である。サンプルを4週間の間隔の4つの群へとグループ化して、出生の前の週数に基づいて、満期産のサンプルと早産のサンプルとの間の差を査定した。群は、それぞれ、サンプリングと分娩との間で12週間を超える(>12)、サンプリングから分娩まで9〜12週間、5〜8週間及び1〜4週間(9−12、5−8、1−4)である。平均を各々の群について計算した。
【図4】満期産のサンプルと早産のサンプルとの間のGGHレベルの差を表わす図である。全タンパク質濃度について補正したELISA免疫アッセイのアウトカムに基づいて、平均バイオマーカータンパク質濃度を計算した。在胎19〜37週の間に収集した、満期産のサンプル(n=136)及び早産のサンプル(n=64)、ならびに全群の間の平均差を表わす。データをStudentのt検定を使用して分析した。P=p値。
【図5】サンプリング時間での在胎齢に基づいた、満期産のサンプルと早産のサンプルとの間のGGHレベルの差を表わす図である。サンプルを、サンプリング時間に基づいた4つの群(在胎週数18+0〜23+6日(18−24)、在胎週数24+0〜27+6日(24−28)、在胎週数28+0〜31+6日(28−32)及び在胎週数32+0〜37+6日(32−37))へとグループ化した。次いで群を満期産のサンプル及び早産のサンプルへと分け、平均を計算し、棒グラフで表わす。
【図6】サンプル収集から分娩への時間に基づいた、満期産の女性と早産の女性との間のGGHレベルの差を表わす図である。サンプルを4週間の間隔の4つの群へとグループ化して、出生の前の週数に基づいて、満期産のサンプルと早産のサンプルとの間の差を査定した。群は、それぞれ、サンプリングと分娩との間で12週間を超える(>12)、サンプリングから分娩まで9〜12週間、5〜8週間及び1〜4週間(9−12、5−8、1−4)である。平均を各々の群について計算した。
【図7】満期産のサンプルと早産のサンプルとの間のLAMC2レベルの差を表わす図である。全タンパク質濃度について補正したELISA免疫アッセイのアウトカムに基づいて、平均バイオマーカータンパク質濃度を計算した。在胎19〜37週の間に収集した、満期産のサンプル(n=136)及び早産のサンプル(n=64)、ならびに全群の間の平均差を表わす。データをStudentのt検定を使用して分析した。P=p値。
【図8】サンプリング時間での在胎齢に基づいた、満期産のサンプルと早産のサンプルとの間のLAMC2レベルの差を表わす図である。サンプルを、サンプリング時間に基づいた4つの群(在胎週数18+0〜23+6日(18−24)、在胎週数24+0〜27+6日(24−28)、在胎週数28+0〜31+6日(28−32)及び在胎週数32+0〜37+6(32−37))へとグループ化した。次いで群を満期産のサンプル及び早産のサンプルへと分け、平均を計算し、棒グラフで表わす。
【図9】サンプル収集から分娩への時間に基づいた、満期産の女性と早産の女性との間のLAMC2レベルの差を表わす図である。サンプルを4週間の間隔の4つの群へとグループ化して、出生の前の週数に基づいて、満期産のサンプルと早産のサンプルとの間の差を査定した。群は、それぞれ、サンプリングと分娩との間で12週間を超える(>12)、サンプリングから分娩まで9〜12週間、5〜8週間及び1〜4週間(9−12、5−8、1−4)である。平均を各々の群について計算した。
【図10】満期産のサンプルと早産のサンプルとの間のEFEMP1レベルの差を表わす図である。全タンパク質について補正したELISA免疫アッセイのアウトカムに基づいて、平均バイオマーカータンパク質濃度を計算した。在胎19〜37週の間に収集した、満期産のサンプル(n=136)及び早産のサンプル(n=64)、ならびに全群の間の平均差を表わす。データをStudentのt検定を使用して分析した。P=p値。
【図11】サンプリング時間での在胎齢に基づいた、満期産のサンプルと早産のサンプルとの間のEFEMP1レベルの差を表わす図である。サンプルを、サンプリング時間に基づいた4つの群(在胎週数18+0〜23+6日(18−24)、在胎週数24+0〜27+6日(24−28)、在胎週数28+0〜31+6日(28−32)及び在胎週数32+0〜37+6日(32−37))へとグループ化した。次いで群を満期産のサンプル及び早産のサンプルへと分け、平均を計算し、棒グラフで表わす。
【図12】サンプル収集から分娩への時間に基づいた、満期産の女性と早産の女性との間のEFEMP1レベルの差を表わす図である。サンプルを4週間の間隔の4つの群へとグループ化して、出生の前の週数に基づいて、満期産のサンプルと早産のサンプルとの間の差を査定した。群は、それぞれ、サンプリングと分娩との間で12週間を超える(>12)、サンプリングから分娩まで9〜12週間、5〜8週間及び1〜4週間(9−12、5−8、1−4)である。平均を各々の群について計算した。
【図13】満期産のサンプルと早産のサンプルとの間のPTNレベルの差を表わす図である。全タンパク質濃度について補正したELISA免疫アッセイのアウトカムに基づいて、平均バイオマーカータンパク質濃度を計算した。在胎19〜37週の間に収集した、満期産のサンプル(n=136)及び早産のサンプル(n=64)、ならびに全群の間の平均差を表わす。データをStudentのt検定を使用して分析した。P=p値。
【図14】サンプリング時間での在胎齢に基づいた、満期産のサンプルと早産のサンプルとの間のPTNレベルの差を表わす図である。サンプルを、サンプリング時間に基づいた4つの群(在胎週数18+0〜23+6日(18−24)、在胎週数24+0〜27+6日(24−28)、在胎週数28+0〜31+6日(28−32)及び在胎週数32+0〜37+6日(32−37))へとグループ化した。次いで群を満期産のサンプル及び早産のサンプルへと分け、平均を計算し、棒グラフで表わす。
【図15】サンプル収集から分娩への時間に基づいた、満期産の女性と早産の女性との間のPTNレベルの差を表わす図である。サンプルを4週間の間隔の4つの群へとグループ化して、出生の前の週数に基づいて、満期産のサンプルと早産のサンプルとの間の差を査定した。群は、それぞれ、サンプリングと分娩との間で12週間を超える(>12)、サンプリングから分娩まで9〜12週間、5〜8週間及び1〜4週間(9−12、5−8、1−4)である。平均を各々の群について計算した。
【図16】満期産のサンプルと早産のサンプルとの間のFGAレベルの差を表わす図である。全タンパク質について補正したELISA免疫アッセイのアウトカムに基づいて、平均バイオマーカータンパク質濃度を計算した。在胎19〜37週の間に収集した、満期産のサンプル(n=136)及び早産のサンプル(n=64)、ならびに全群の間の平均差を表わす。データをStudentのt検定を使用して分析した。P=p値。
【図17】サンプリング時間での在胎齢に基づいた、満期産のサンプルと早産のサンプルとの間のFGAレベルの差を表わす図である。サンプルを、サンプリング時間に基づいた4つの群(在胎週数18+0〜23+6日(18−24)、在胎週数24+0〜27+6日(24−28)、在胎週数28+0〜31+6日(28−32)及び在胎週数32+0〜37+6日(32−37))へとグループ化した。次いで群を満期産のサンプル及び早産のサンプルへと分け、平均を計算し、棒グラフで表わす。
【図18】サンプル収集から分娩への時間に基づいた、満期産の女性と早産の女性との間のFGAレベルの差を表わす図である。サンプルを4週間の間隔の4つの群へとグループ化して、出生の前の週数に基づいて、満期産のサンプルと早産のサンプルとの間の差を査定した。群は、それぞれ、サンプリングと分娩との間で12週間を超える(>12)、サンプリングから分娩まで9〜12週間、5〜8週間及び1〜4週間(9−12、5−8、1−4)である。平均を各々の群について計算した。
【図19】満期産のサンプルと早産のサンプルとの間のPEDFレベルの差を表わす図である。全タンパク質について補正したELISA免疫アッセイのアウトカムに基づいて、平均バイオマーカータンパク質濃度を計算した。在胎19〜37週の間に収集した、満期産のサンプル(n=136)及び早産のサンプル(n=64)、ならびに全群の間の平均差を表わす。データをStudentのt検定を使用して分析した。P=p値。
【図20】サンプリング時間での在胎齢に基づいた、満期産のサンプルと早産のサンプルとの間のPEDFレベルの差を表わす図である。サンプルを、サンプリング時間に基づいた4つの群(在胎週数18+0〜23+6日(18−24)、在胎週数24+0〜27+6日(24−28)、在胎週数28+0〜31+6日(28−32)及び在胎週数32+0〜37+6日(32−37))へとグループ化した。次いで群を満期産のサンプル及び早産のサンプルへと分け、平均を計算し、棒グラフで表わす。
【図21】サンプル収集から分娩への時間に基づいた、満期産の女性と早産の女性との間のPEDFレベルの差を表わす図である。サンプルを4週間の間隔の4つの群へとグループ化して、出生の前の週数に基づいて、満期産のサンプルと早産のサンプルとの間の差を査定した。群は、それぞれ、サンプリングと分娩との間で12週間を超える(>12)、サンプリングから分娩まで9〜12週間、5〜8週間及び1〜4週間(9−12、5−8、1−4)である。平均を各々の群について計算した。
【図22】細胞の生存率及び分裂増殖に対するH2O2の効果。Ect1細胞及びEnd1細胞を、50μM、100μM、200μM及び400μMのH2O2により24時間処理した。Ect1及びEnd1の細胞生存率及び分裂増殖をMTTアッセイによって査定し、無処理対照(0μMのH2O2)の%として示した。データを平均±SEMとして表わし、Studentのt検定によって分析した。それぞれの対照(n=3)に比較して、*P<0.05。
【図23】Ect1細胞及びEnd1細胞のECM1発現に対するH2O2の効果。H2O2処理後(24時間)の(a)Ect1及び(b)End1の培地中のECM1を、ELISAによって定量化した。H2O2処理に際してのECM1発現における倍率変化を、処理された細胞における正規化したECM1レベル(pg/mg全タンパク質)を無処理細胞(対照)で割ることによって計算した。データを少なくとも4つの独立した実験からの平均±SEMとして表わし、Studentのt検定によって分析した。対照に比較して、*P<0.05。
【図24】Ect1細胞及びEnd1細胞のLAMC2発現に対するH2O2の効果。H2O2処理後(24時間)の(a)Ect1及び(b)End1の培地中のLAMC2を、ELISAによって定量化した。H2O2処理に際してのLAMC2発現における倍率変化を、処理された細胞における正規化したLAMC2レベル(pg/mg全タンパク質)を無処理細胞(対照)で割ることによって計算した。データを少なくとも4つの独立した実験からの平均±SEMとして表わし、Studentのt検定によって分析した。対照に比較して、*P<0.05。
【図25】Ect1細胞及びEnd1細胞のFGA発現に対するH2O2の効果。H2O2処理後(24時間)の(a)Ect1及び(b)End1の培地中のFGAを、ELISAによって定量化した。H2O2処理に際してのFGA発現における倍率変化を、処理された細胞における正規化したFGAレベル(ng/mg全タンパク質)を無処理細胞(対照)で割ることによって計算した。データを少なくとも5つの独立した実験からの平均±SEMとして表わし、Studentのt検定によって分析した。対照に比較して、**P<0.005。
【図26】Ect1細胞及びEnd1細胞のGGH発現に対するH2O2の効果。H2O2処理後(24時間)の(a)Ect1及び(b)End1の培地中のGGHを、ELISAによって定量化した。H2O2処理に際してのGGH発現における倍率変化を、処理された細胞における正規化したGGHレベル(ng/mg全タンパク質)を無処理細胞(対照)で割ることによって計算した。データを少なくとも5つの独立した実験からの平均±SEMとして表わし、Studentのt検定によって分析した。
【図27】Ect1細胞及びEnd1細胞のECM1発現に対するLPSの効果。LPS処理後(24時間)のEct1及びEnd1の培地中のECM1を、ELISAによって定量化した。LPS処理に際してのECM1発現における倍率変化を、処理された細胞における正規化したECM1レベル(pg/mg全タンパク質)を無処理細胞(対照)で割ることによって計算した。データを平均±SEMとして表わし、Studentのt検定によって分析した(n=5)。それぞれの対照に比較して、*P<0.05。
【図28】Ect1細胞及びEnd1細胞のLAMC2発現に対するLPSの効果。LPS処理後(24時間)のEct1及びEnd1の培地中のLAMC2を、ELISAによって定量化した。LPS処理に際してのLAMC2発現における倍率変化を、処理された細胞における正規化したLAMC2レベル(pg/mg全タンパク質)を無処理細胞(対照)で割ることによって計算した。データを平均±SEMとして表わし、Studentのt検定によって分析した(n=5)。それぞれの対照に比較して、*P<0.05、**P<0.05。
【図29】Ect1細胞及びEnd1細胞のGGH発現に対するLPSの効果。LPS処理後(24時間)のEct1及びEnd1の培地中のGGHを、ELISAによって定量化した。LPS処理に際してのGGH発現における倍率変化を、処理された細胞における正規化したGGHレベル(ng/mg全タンパク質)を無処理細胞(対照)で割ることによって計算した。データを平均±SEMとして表わし、Studentのt検定によって分析した(n=5)。
【図30】Ect1細胞及びEnd1細胞のFGA発現に対するLPSの効果。LPS処理後(24時間)のEct1及びEnd1の培地中のFGAを、ELISAによって定量化した。LPS処理に際してのFGA発現における倍率変化を、処理された細胞における正規化したFGAレベル(ng/mg全タンパク質)を無処理細胞(対照)で割ることによって計算した。データを平均±SEMとして表わし、Studentのt検定によって分析した(n=5)。
【図31】Ect1細胞のEFEMP1発現に対するH2O2の効果。H2O2処理後(24時間)のEct1の培地中のEFEMP1を、ELISAによって定量化した。H2O2処理に際してのEFEMP1発現における倍率変化を、処理された細胞における正規化したEFEMP1レベル(ng/mg全タンパク質)を無処理細胞(対照)で割ることによって計算した。データを少なくとも5つの独立した実験からの平均±SEMとして表わし、Studentのt検定によって分析した。対照に比較して、**P<0.05。
【図32】End1細胞のEFEMP1発現に対するH2O2の効果。H2O2処理後(24時間)のEnd1の培地中のEFEP1を、ELISAによって定量化した。H2O2処理に際してのEFEMP1発現における倍率変化を、処理された細胞における正規化したEFEMP1レベル(ng/mg全タンパク質)を無処理細胞(対照)で割ることによって計算した。データを少なくとも5つの独立した実験からの平均±SEMとして表わし、Studentのt検定によって分析した。対照に比較して、**P<0.005。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本発明の態様及び実施形態は、ここで添付の図を参照して検討されるだろう。さらなる態様及び実施形態は当業者に明らかであろう。本テキスト中で言及されるすべての文書は参照により本明細書に援用される。
【0038】
本明細書において記載される方法及びバイオマーカーは、個体に早産のリスクがあるかどうかを決定するか、早産のリスクがある個体を同定するか、または個体における早産のリスクを予測するために有用であり得る。
【0039】
「予測すること」という用語は、本明細書において「決定すること」と互換的に使用され、早産が個体において起こるだろうと述べるかまたは推定するために使用される。本明細書において開示される方法を使用して、個体が早産を経験する尤度(または「リスク」)を決定または予測することができる。
【0040】
早産とは母親が在胎37週に到達する前に起こる出産である。早産は、在胎週数35+0日〜36+6日の後期早産、在胎32+0日〜34+6日の中期早産、及び在胎32週の前の初期早産に細分される。
【0041】
早産の原因は多くの場合知られていない。リスクファクターとしては、とりわけ糖尿病、高血圧、双子以上の胎児の妊娠、肥満または低体重、多数の膣感染症、喫煙、及び心理的ストレスが挙げられる。
【0042】
子癇前症は、在胎20週〜及び分娩後6週間までの間に現われる高血圧症及びタンパク尿として臨床的に指摘される。子癇前症は早産を導き得るが、多くの事例においてそうではない。子癇前症は早産のリスクの増加に寄与し得るほんの1つのファクターにすぎず、したがって子癇前症を引き起こすかまたは子癇前症と関連することが公知のファクターは、必ずしも早産の原因とならないかまたは早産と関連しない。
【0043】
バイオマーカー
本明細書において開示される方法は、ECM1、FGA、EFEMP1、GGH、PEDF、PTN及びLAMC2からなる群から選択されるバイオマーカーの存在もしくは非存在の決定またはそのレベルの定量化を包含する。
【0044】
本明細書において使用されるバイオマーカーの各々は、単独でまたは他の早産のバイオマーカーと組み合わせて使用され得る。いくつかのアッセイにおいて、本明細書において開示されるバイオマーカータンパク質のいくつかまたはすべては組み合わせで使用される。さらに、バイオマーカーは、早産の1つまたは複数の他の指標(胎児フィブロネクチン(fFN)試験、収縮、膣出血、膣からの体液漏出、膣帯下の増加、背中の痛み及び下腹部の痙攣が挙げられる)と一緒に使用され得る。
【0045】
細胞外マトリックスタンパク質1(ECM1);UniProtKB−Q16610
この遺伝子は、軟骨内性骨形成、内皮細胞の分裂増殖、血管新生、及び腫瘍生物学に関与する約85KDaの可溶性タンパク質をコードする。それは様々な細胞外タンパク質及び構造タンパク質とも相互作用し、皮膚の全体性及び恒常性の維持に寄与する。ECM1は、コラーゲンの構成及び足場に寄与する様々な組織中で「生物学的な糊」として作用する。
【0046】
別個のアイソフォームをコードする4つのオルタナティブスプライシングされた転写物のバリアントが、この遺伝子について記載されている。これらのうちの任意のものは、本開示に記載のバイオマーカーとして使用され得る。いくつかの事例において、バリアント1が検出される。図1中で示されるように、すべてのサンプル(在胎19週〜37週の間に収集された)からのECM1の全体としての平均濃度は、満期産を経験したサンプル中でよりも早産を経験した個体から得られたサンプル中でより低かった(p=0.025)。このことは、サンプル中のECM1の過小発現が個体に早産のリスクがあることを示すことを指摘する。
【0047】
これは図2中でさらに示され、ECM1は、サンプリングしたすべてのタイムポイントで、早産を経験した個体からのサンプル中で過小発現した。早産のリスクがあることが疑われる個体において、より低いレベルのECM1は、12週間未満、9週間未満、または4週間それ未満で出産が起こるだろうことを指摘し得る。
【0048】
γ−グルタミルヒドロラーゼ(GGH);UniProtKB−Q92820
GGHは、プテロイルポリグルタメートのポリグルタメート側鎖を加水分解し、プテロイルポリ−γ−グルタメートからγ−グルタミル残基を漸進的に除去して、プテロイル−α−グルタメート(葉酸)及び遊離グルタメートをもたらす。それは、食事のプテロイルポリグルタメートのバイオアベイラビリティーにおいて、ならびにプテロイルポリグルタメート及び抗葉酸剤の代謝において重要な役割を果たし得る。
【0049】
図4中で示されるように、すべてのサンプル(在胎19週〜37週の間に収集された)からのGGHの全体としての平均濃度は、満期産を経験したサンプル中でよりも早産を経験した個体から得られたサンプル中で増加した。このことは、サンプル中のGGHの過剰発現が個体に早産のリスクがあることを示すことを指摘する。これは、GGHが、早産の1〜4週間前または在胎32〜37週で得られたサンプル中で特に過剰発現されることを実証する、図5及び6から特に明らかである。このことは、在胎32〜37週で得られたサンプル中のGGHの過剰発現が個体に早産のリスクがあることを示すことを指摘する。反対に、このことは、在胎32週の前、またはおよそ26週未満で得られたサンプル中のGGHの過少発現が個体に早産のリスクがあることを示し得ることを指摘する。早産のリスクがあることが疑われる個体において、GGHのレベルの増加は、出産が4週間以下で起こるだろうことを指摘し得る。
【0050】
ラミニンサブユニットγ−2(LAMC2);UniProtKB−Q13753
LAMC2は、高親和性受容体経由で細胞へ結合する、ヘパリン結合タンパク質である。ラミニンは、他の細胞外マトリックス構成要素と相互作用することによって、接着、移動、及び胚発生の間の組織への細胞の構成を媒介すると考えられる。ラドシン(ラミニンγ−2鎖を含有するラミニンバリアント)は、様々な細胞(上皮細胞、内皮細胞及び線維芽細胞が挙げられる)への細胞分散活性を発揮する。
【0051】
図7中で示されるように、LAMC2は、満期産を経験したサンプル中でよりも早産を経験した個体から得られたサンプル中で増加した。このことは、サンプル中のLAMC2の過剰発現が個体に早産のリスクがあることを示すことを指摘する。
【0052】
図8中で示されるように、LAMC2は、在胎32週の前に得られた早産サンプル中で過剰に発現されたか、または早産のサンプルの内の出産の8週間未満の前に得られたサンプル中で過剰に発現された(図9)。
【0053】
EGF含有フィビュリン様細胞外マトリックスタンパク質1(EFEMP1);UniProtKB−Q12805
EFEMP1タンパク質はEGFR(EGFレセプター)を結合し、EGFRの自己リン酸化及び下流のシグナリング経路の活性化を誘導する。それは細胞接着及び移動における役割を果たし得る。それは軟骨細胞分化の負の調節因子として機能し得る。嗅上皮において、それはグリア細胞の移動、分化、及びグリア細胞が神経軸索伸長を支持する能力を調節し得る。
【0054】
図10中で示されるように、EFEMP1は、満期産を経験したサンプル中でよりも早産を経験した個体から得られたサンプル中で増加する。このことは、サンプル中のEFEMP1の過剰発現が個体に早産のリスクがあることを示すことを指摘する。これは、EFEMP1が、出産前の8週までまたは在胎28週からの、早産サンプル中で増加した、図11及び12からも明らかである。
【0055】
早産のリスクがあることが決定された個体からのサンプル中のEFEMP1の有意なアップレギュレーションは、出産が次の1〜4週間に起こるだろうことを指摘し得る。
【0056】
在胎18〜24週または19〜26週の間に得られたサンプル中のEFEMP1のダウンレギュレーションは、個体が早産を経験するだろうことを指摘し得る。
【0057】
プレイオトロフィン(PTN);UniProtKB−P21246
PTNは軸索伸長を誘導する分泌増殖因子であり、線維芽細胞、上皮細胞及び内皮細胞にとって細胞分裂促進性である(PubMed:1768439、PubMed:1733956)。それは未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)へ結合し、ALKは、MAPK経路活性化(PTNの抗アポトーシス性シグナリングにおける重要なステップ)及び細胞の分裂増殖の調節を誘導する(PubMed:11278720)。それはコンドロイチン硫酸基経由で細胞表面標的タンパク質へ結合する(PubMed:26896299)。結合に際して、PTNはPTPRZ1のホスファターゼ活性を不活性化する。
【0058】
図13中で示されるように、PTNは、満期産を経験したサンプル中でよりも早産を経験した個体から得られたサンプル中で減少する。このことは、サンプル中のPTNの過小発現が個体に早産のリスクがあることを示し得ることを示唆する。これは、PTNが、32週間の前の在胎齢または4週間を超える分娩前にサンプリングされた、早産を経験した個体から得られたサンプル中で減少した、図14及び15からも明らかである。
【0059】
サンプル中のPTNの過剰発現は、個体が次の1〜4週間内で早産を経験するだろうことを指摘し得る。
【0060】
フィブリノーゲンα鎖(FGA);UniProtKB−P02671
FGAはプロテアーゼトロンビンによって切断されてモノマーをもたらし、モノマーは、フィブリノーゲンβ(FGB)及びフィブリノーゲンγ(FGG)と一緒に重合して不溶性フィブリンマトリックスを形成する。フィブリンは、血餅の主な構成要素のうちの1つとして止血における主要機能を有する。加えて、それは、創傷修復の初期のステージの間に病巣を安定化し、再上皮化の間に細胞遊走をガイドするように機能する。FGAは、抗凝固処理血液を使用するインビトロ研究に基づいて、血小板凝集に不可欠であるともともと考えられた。しかしながら、後続する研究は、それがインビボの血栓形成のために絶対に要求されるとは限らないことを示した。FGAは、ITGB3依存経路を経由して活性化された血小板におけるP−セレクチン(SELP)の発現を促進する。母親のフィブリノーゲンは妊娠の成功に必須である。フィブリン沈着は感染とも関連し、IFNG媒介性出血に対して保護する。それは先天性経路及びT細胞媒介性経路を経由してする免疫応答も促進し得る。
【0061】
図16中で示されるように、FGAは、満期産を経験したサンプル中でよりも早産を経験した個体から得られたサンプル中で増加する。このことは、サンプル中のFGAの過剰発現が個体に早産のリスクがあることを示すことを指摘する。これは、サンプル中のFGAの過剰発現が、特にサンプルが在胎24週の前または在胎32週の後に収集された場合に、個体が早産を恐らく経験することを指摘し得る、図17及び18からも明らかである。FGAの過剰発現は、個体が次の1〜4週間内で早産を恐らく経験することを指摘し得る。
【0062】
在胎24週及び28週の間に収集されたサンプル中のFGAの過少発現は、個体が早産を恐らく経験することを指摘し得る。
【0063】
色素上皮由来因子(PEDF);UniProtKB−P36955
PEDFは神経栄養性タンパク質であり、網膜芽細胞腫細胞の広範囲なニューロン分化を誘導することに加えて、血管新生の強力な阻害因子である。PEDFは、活性のあるセルピンに特徴的な、S(ストレス)からR(リラックス)の立体配座的移行を経ないので、セリンプロテアーゼ阻害活性を提示しない。
【0064】
図19中で示されるように、PEDFは、満期産を経験したサンプル中でよりも早産を経験した個体から得られたサンプル中で増加する。このことは、サンプル中のPEDFの過剰発現が個体に早産のリスクがあることを示すことを指摘する。これは、サンプル中のPEDFの過剰発現が、個体がサンプリング時間に関係なく、早産を恐らく経験することを指摘し得る、図20及び21からも明らかである。PEDFの過剰発現は、個体が次の1〜4週間内で早産を恐らく経験することを指摘し得る。
【0065】
本明細書において開示されるある特定の方法は、バイオマーカー値またはバイオマーカーレベルを検出することを包含する。これらの用語は、生物学的サンプル中のバイオマーカーの検出のための任意の適切な分析方法を使用して行われる測定を指し、サンプル中のバイオマーカーに対応する、存在、非存在、絶対量もしくは濃度、相対量もしく濃度、力価、レベル、発現レベル、比、または他の測定を示す。値またはレベルの正確な性質は、バイオマーカーの検出に用いられる特定の分析方法の具体的なデザイン及び構成要素に依存する。
【0066】
満期産を指摘するかまたはその徴候であるバイオマーカーの参照値または参照レベルに比較して、個体に早産のリスクがあることを指摘するバイオマーカーは過剰発現または過小発現され得る。「アップレギュレーション」、「過剰発現」、増加した、及び関連する用語は、満期産を経験したことが既知の個体からの類似するサンプル中で典型的には検出されるバイオマーカーの値またはレベル(または値もしくはレベルの範囲)よりも大きいサンプルにおける値またはレベルを指すように使用される。
【0067】
「ダウンレギュレーション」、「過少発現」、「低減した」、及び関連する用語は、満期産を経験したことが既知の個体からの類似するサンプル中で典型的には検出されるバイオマーカーの値またはレベル(または値もしくはレベルの範囲)よりも少ないサンプルにおける値またはレベルを指すように使用される。
【0068】
過剰発現または過小発現されるバイオマーカーは、満期産を経験したことが既知の個体において観察された発現レベルまたは値に比較して、「差異的に発現される」としてまたは「差異的な」レベルもしくは値を有するとしても参照され得る。差異的発現は、バイオマーカーの「通常の」発現レベルからの変動とも称することができる。
【0069】
「差異的遺伝子発現」及び「差異的発現」という用語は互換的に使用されて、その発現が、満期産を経験したことが既知の個体におけるその発現に比べて、早産のリスクがある被験体においてより高いかまたはより低いレベルへ活性化される遺伝子(またはその対応するタンパク質発現産物)を指す。この用語は、その発現が同じ疾患の異なるステージでより高いかまたはより低いレベルへ活性化された遺伝子(または対応するタンパク質発現産物)も包含する。差異的に発現される遺伝子が、核酸レベルもしくはタンパク質レベルで活性化されまたは阻害され得るか、または異なるポリペプチド産物をもたらすオルタナティブスプライシングを受け得るかのいずれかであることも理解される。かかる差異は、様々な変化(mRNAのレベル、表面発現、分泌、またはポリペプチドの他の分配を包含する)によって証明され得る。差異的遺伝子発現は、2つ以上の遺伝子もしくはそれらの遺伝子産物の間の発現の比較;または2つ以上の遺伝子もしくはそれらの遺伝子産物の間の発現の比の比較;またはさらに同じ遺伝子の2つの異なってプロセシングされた産物(それは早産のリスクがある個体または満期産を経験する個体の間で異なる)の比較を包含し得る。差異的発現は、早産及び満期産を経験する個体における、遺伝子またはその発現産物の時間的パターンまたは細胞発現パターンの、定性的に加えて定量的の両方の差を包含する。
【0070】
方法のアウトカム
本明細書において開示される方法は、早産のリスクがある個体を同定するために、または個体に早産のリスクがあるかもしくはないかどうかを決定するために有用である。方法は個体における早産のリスクを予測するためにも使用され得る。
【0071】
いくつかの事例において、本方法は、バイオマーカーのレベルを記録するステップを包含し得る。いくつかの事例において、本方法は、試験されている個体のケアに関与する医師へ本明細書において開示されるバイオマーカーのレベルを伝達するステップを包含し得る。いくつかの事例において、本方法は、個体におけるバイオマーカーのレベルと比較するために、バイオマーカーの参照レベルを伝達することも包含し得る。いくつかの事例において、個体において決定される早産のリスクのレベルは、医師へ伝達される。例えば、リスクのレベルにパーセンテージを割り当てることができる(そこで、100%は個体が確実に早産を経験するだろうことを指摘し、0%は個体が確実に満期産を経験するだろうことを指摘する)。したがって、本明細書において開示されるいくつかの方法は、個体が有することが決定されるリスクのレベルへパーセンテージ値を割り当てることを包含する。本方法は、その個体のケアに関与する医師へそのパーセンテージを伝達するステップを包含し得る。
【0072】
本明細書において開示される方法を使用して、治療または他の管理のために個体を選択することができる。本明細書において開示されるある特定の方法は、早産のリスクがあることが同定された個体への治療の施行を包含する。
【0073】
本明細書において開示される方法における有用な治療としては、プロゲステロン、合成プロゲステロンもしくはプロゲステロンアナログ、そしてプロゲステロンもしくはそのアナログ、子宮収縮抑制剤、コルチコステロイド、抗生物質、NSAID、またはω3脂肪酸もしくはその誘導体から選択される1つまたは複数の薬剤の投与が挙げられる。プロゲステロンは、合成プロゲステロン(17−a−カプロン酸ヒドロキシプロゲステロン等)であり得る。子宮収縮抑制剤は、硫酸マグネシウム、インドメタシンまたはニフェジピンであり得る。抗生物質は、エリスロマイシンまたはペニシリンであり得る。NSAIDはインドメタシンであり得る。ω3脂肪酸誘導体はドコサヘキサエン酸(DHA)であり得る。
【0074】
個体はプロゲステロンによる治療のために選択され得る。プロゲステロンは、短い子宮頸管の長さまたは早産の既往歴の有る女性を高リスクの集団としてプロファイリングする多数の臨床研究において、早産率を低減させることが示されている。プロゲステロンによる治療は、天然のプロゲステロンまたは合成のプロゲスチン(17−α−カプロン酸ヒドロキシプロゲステロン等)の投与を含み得る。プロゲステロンはP4微粉化(天然)プロゲステロンであり得る。17−α−カプロン酸ヒドロキシプロゲステロンは、商標名Delalutin(商標)、Proluton(商標)、Proluton Depot(商標)及びMakena(商標)としても公知である。天然の微粉化プロゲステロン(天然のプロゲステロン)は、黄体及び胎盤において生産されたものに類似する。微粉化プロゲステロンは、口腔カプセル、膣ゲルまたは膣坐剤として利用され得る。合成プロゲスチンとしては、酢酸メドロキシプロゲステロン(デポ型酢酸メドロキシプロゲステロン(DMPA)としても公知のMPA)及び酢酸ノルエチンドロン(NETA)が挙げられる。それらは典型的には注射によって与えられる。合成プロゲスチンは、商標名(MPA)Provera(商標)、Depo−Provera(商標)、Depo−SubQ Provera 104(商標)、Curretab(商標)、Cycrin(商標)、Farlutal(商標)、Gestapuran(商標)、Perlutex(商標)、Veramix(商標)及び(NETA)Primolut−Nor(商標)、Aygestin(商標)、Gestakadin(商標)、Milligynon(商標)、Monogest(商標)、Norlutate(商標)、Primolut N(商標)、SH−420(商標)、Sovel(商標)、Styptin(商標)としても公知である。微粉化プロゲステロンは患者によって自己投与され得る。天然の微粉化プロゲステロンは、商標名Prometrium(商標)、Utrogestan(商標)、Endometrin(商標)及びCrinone(商標)としても公知である。投与は、経口的、経膣的または筋肉内であり得る。かかる方法で使用されるプロゲステロン、プロゲスチンもしくは17−α−カプロン酸ヒドロキシプロゲステロン、またはかかる方法における使用のための医薬品の製造における使用のためのプロゲステロン、プロゲスチンもしくは17−α−カプロン酸ヒドロキシプロゲステロンの使用を開示する。
【0075】
早産のリスクがあることが同定された個体は、子宮頸管縫縮術により治療され得る。子宮頸管縫縮術は子宮頸管の縫合とも称され得る。子宮頸管縫縮術は、子宮頸管無力症または子宮頸管不全症(子宮頸部が、妊娠の間にあまりにも早期に短縮及び開口し始める)を治療するために使用される。子宮頸管縫縮術は、子宮頸部の中への及びその周囲の強い縫合糸の挿入を包含し得る。
【0076】
子宮頸管縫縮術の任意の公知の形態が使用され得る。例えば、子宮頸管縫縮術は、McDonald縫縮術、Shirodkar縫縮術または経腹的縫縮術であり得る。個体が子宮頸管無力症を有することが決定される場合に、子宮頸管縫縮術は特に有用であり得る。子宮頸管無力症は経膣超音波走査によって決定され得る。
【0077】
あるいは、治療は子宮頸管ペッサリーを含み得る。いくつかの事例において、治療はArabinペッサリーであり得る。
【0078】
いくつかの事例において、個体は、子宮収縮抑制剤またはステロイド(コルチコステロイド等)を受け取るために選択され得る。子宮収縮抑制剤を使用して、予定日前の陣痛の間の子宮収縮を停止することができる。ステロイドは胎児の肺発生を支援し得る。本方法は、子宮収縮抑制剤またはステロイドを個体へ投与するステップを包含し得る。子宮収縮抑制剤及びステロイドは収縮を提示する女性のために使用される。本発明において好適な子宮収縮抑制薬の例は、硫酸マグネシウム、インドメタシン及びニフェジピンである。
【0079】
いくつかの事例において、本方法を使用して、さらにモニタリングするか、規則的にモニタリングするか、または集中的にモニタリングするために個体を選択する。例えば、本方法を使用して、さらなるサンプルがその個体から得られるべきであること、ならびにバイオマーカーの存在もしくは非存在及び/またはレベルが将来決定されるべきであることを決定することができる。さらなるサンプルは、第1のサンプルの1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35または36週間後に得られ得る。さらなるサンプルは、在胎1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36または27週に得られ得る。本方法は、妊娠の間に1、2、3、4、または5週間ごとにさらにサンプリングすることを包含し得る。
【0080】
いくつかの事例において、個体は抗生物質により治療され得る。抗生物質は、早産早期破水(PPROM)の有る個体において特に使用され得る。好適な抗生物質としてはエリスロマイシン及びペニシリンが挙げられる。
【0081】
いくつかの事例において、治療はNSAIDの投与であり得る。NSAIDはプロスタグランジンを阻害して子宮収縮を低減させ得る。NSAIDはインドメタシンであり得る。いくつかの事例において、治療は、ω3脂肪酸またはω3脂肪酸の誘導体であり得る。例えば、治療はDHA(ドコサヘキサエン酸)であり得る。
【0082】
モニタリングは、胎児仮死についてのモニタリング(胎児心拍のモニタリング、胎動のモニタリングまたは胎便のモニタリング等)を含み得る。
【0083】
バイオマーカーの測定
本明細書において開示されるバイオマーカーは好ましくはタンパク質バイオマーカーである。当技術分野において公知のタンパク質を検出及び/または定量化する任意の方法が使用され得る。
【0084】
インビトロ、エクスビボ、またはインビボで、本発明に記載の方法は遂行され得るか、または産物は存在し得る。「インビトロ」という用語は、実験室条件または培養における、材料、生物学的物質、細胞及び/または組織による実験を網羅することが意図されるが、「インビボ」という用語は、インタクトな多細胞生物による、実験及び手順を網羅することが意図される。「エクスビボ」は、生物体の外側に(例えばヒトまたは動物体の外側に)存在するものまたは起こっていることを指し、それは、生物体から採取された組織(例えば器官全体)または細胞についてであり得る。
【0085】
本明細書において開示される方法はタンパク質発現の決定に関する。タンパク質発現は、細胞、組織もしくはサンプル中のタンパク質の量の定量化によって、または細胞及び組織内のタンパク質の局在化の観察によって、測定され得る。いくつかの事例において、免疫アッセイを使用して被験体からのサンプル中の標的バイオマーカーを検出する。免疫アッセイは、特異的な親和性を備えた抗体または他の実体を標的分子のために検出可能な分子と併用して使用する。
【0086】
いくつかの事例において、抗体は検出可能な分子へコンジュゲートされる。検出可能な分子は標識と称され得る。抗体が標的分子へ結合する場合に、検出可能な分子は検出可能なシグナルを産生する。検出可能なシグナルは定量化可能なシグナルであり得る。いくつかの事例において、アプタマーは抗体の代わりにまたは抗体と一緒に使用される。免疫アッセイとしては、ELISA、イムノブロット、フローサイトメトリー及び免疫組織化学が挙げられる。本明細書において記載されるある特定の態様において、アッセイは免疫組織化学アッセイである。他の標的特異的分子(アプタマーまたは他のリガンド等)は使用され得るが、かかるアッセイは一般的には抗体を使用する。抗体アレイまたはタンパク質チップも使用され得る。
【0087】
本方法は規制機関による使用のために承認され得る。本方法はFDAで承認された方法であり得る。
【0088】
抗体
本発明のバイオマーカーへ結合する抗体は既に公知である。今日のモノクローナル抗体技術に関連する技法を考慮して、抗体は大部分の抗原に対して調製され得る。
【0089】
抗原結合部分は、抗体の一部(例えばFab断片)または合成抗体断片(例えば単一鎖Fv断片[ScFv])であり得る。選択された抗原へ好適なモノクローナル抗体は、公知の技法(例えば“Monoclonal Antibodies:A manual of techniques”,H Zola(CRC Press,1988)、及び“Monoclonal Hybridoma Antibodies:Techniques and Applications”,J G R Hurrell(CRC Press,1982)中で開示されるもの)によって調製され得る。キメラ抗体は、Neuberger et al(1988,8th International Biotechnology Symposium Part 2,792−799)によって検討される。
【0090】
モノクローナル抗体(mAb)は本発明の方法において有用であり、抗原上の単一エピトープを特異的に標的化する抗体の均一な集団である。好適なモノクローナル抗体は当技術分野において周知の方法を使用して調製され得る(例えばKohler,G.;Milstein,C.(1975).“Continuous cultures of fused cells secreting antibody of predefined specificity”.Nature 256(5517):495;Siegel DL(2002).“Recombinant monoclonal antibody technology”.Schmitz U,Versmold A,Kaufmann P,Frank HG(2000);“Phage display: a molecular tool for the generation of antibodies−a review”.Placenta.21 Suppl A:S106−12.Helen E.Chadd and Steven M.Chamow;“Therapeutic antibody expression technology,”Current Opinion in Biotechnology 12,no.2(April 1,2001):188−194;McCafferty,J.;Griffiths,A.;Winter,G.;Chiswell,D.(1990).“Phage antibodies: filamentous phage displaying antibody variable domains”.Nature 348(6301):552−554;“Monoclonal Antibodies: A manual of techniques”,H Zola(CRC Press,1988)及び“Monoclonal Hybridoma Antibodies:Techniques and Applications”,J G R Hurrell(CRC Press,1982)を参照)。キメラ抗体は、Neuberger et al(1988,8th International Biotechnology Symposium Part 2,792−799)によって検討される。
【0091】
ポリクローナル抗体は本発明の方法において有用である。単一特異性ポリクローナル抗体が好ましい。好適なポリクローナル抗体は当技術分野において周知の方法を使用して調製され得る。
【0092】
抗体の断片(Fab断片及びFab2断片等)も遺伝子操作された抗体及び抗体断片として使用され得る。抗体の可変重(VH)ドメイン及び可変軽(VL)ドメインは抗原認識に関与する(最初に、初期のプロテアーゼ消化実験によって認識された事実)。さらなる確認は齧歯類抗体の「ヒト化」によって見出された。齧歯類起源の可変ドメインがヒト起源の定常ドメインへ融合され、その結果、もたらされた抗体は齧歯類由来の抗体の抗原特異性を保持する(Morrison et al(1984)Proc.Natl.Acad.Sd.USA 81,6851−6855)。
【0093】
抗体断片(すべて1つまたは複数の可変ドメインを含有する)の細菌発現を包含する実験から、その抗原特異性は可変ドメインによって付与され、既知の定常ドメインに依存しない。これらの分子としては、Fab様分子(Better et al(1988)Science 240,1041);Fv分子(Skerra et al(1988)Science 240,1038);VHパートナードメイン及びVLパートナードメインが柔軟なオリゴペプチド経由で連結される、一本鎖Fv(ScFv)分子(Bird et al(1988)Science 242,423;Huston et al(1988)Proc.Natl.Acad.Sd.USA 85,5879)、ならびに単離されたVドメインを含む単一ドメイン抗体(dAb)(Ward et al(1989)Nature 341,544)が挙げられる。それらの特異的な結合部位を保持する抗体断片の合成に関与する技法の一般的な総説は、Winter & Milstein(1991)Nature 349,293−299中で見出される。
【0094】
「ScFv分子」によって、VHパートナードメイン及びVLパートナードメインがペプチドまたは柔軟なオリゴペプチドによって、例えば直接、共有結合で連結される分子が意味される。
【0095】
Fab断片、Fv断片、ScFv断片及びdAb抗体断片はすべてE.coli中で発現され、E.coliから分泌され、したがって前記断片の多量の容易な生産を可能にすることができる。
【0096】
全体の抗体及びF(ab’)2断片は「二価」である。「二価」によって、該抗体及びF(ab’)2断片が2つの抗原結合部位を有することが意味される。これとは対照的に、1つのみの抗原結合部を有する、Fab断片、Fv断片、ScFv断片及びdAb断片は一価である。バイオマーカーへ結合する合成抗体は、当技術分野において周知のファージディスプレイ技術を使用しても作製され得る(例えば“Phage display:a molecular tool for the generation of antibodies−−a review”.Placenta.21 Suppl A:S106−12.Helen E.Chadd and Steven M.Chamow;“Phage antibodies:filamentous phage displaying antibody variable domains”.Nature 348(6301):552−554を参照)。
【0097】
いくつかの好ましい実施形態において、抗体は、検出可能に標識されているかまたは少なくとも検出が可能である。例えば、抗体は、放射性原子または着色分子(発色団)または蛍光分子または容易に任意の他の手法で検出できる分子により標識され得る。好適な検出可能な分子としては、蛍光タンパク質、ルシフェラーゼ、酵素基質及び放射性同位体標識が挙げられる。抗体は、検出可能な標識により直接標識され得るか、または間接的に標識され得る。例えば、抗体は非標識であってもよく、それ自体が標識された別の抗体によって検出され得る。あるいは、第2の抗体にビオチンを結合させておいてもよく、標識ストレプトアビジンのビオチンへの結合を使用して、第1の抗体を間接的に標識する。
【0098】
本明細書において開示される態様は、抗体、ならびにECM1、FGA、EFEMP1、GGH、PEDF、PTN及びLAMC2からなる群から選択されるバイオマーカーの複合体である。複合体は第2の異なる抗体をさらに含み得る。複合体は検出可能な部分をさらに含み得る。複合体は頸膣液のサンプル中に存在し得る。複合体は単離され得る。
【0099】
検出及び標識化
本明細書において開示される方法は、バイオマーカーの検出及び/または定量化を包含する。本明細書において開示した方法において、バイオマーカー(「標的」)は直接検出され得る。これは標的が抗標的抗体によって検出されるということである。
【0100】
あるいは、標的の検出は間接的であり得る。これは、標的は抗標的抗体によって検出され、後続して抗標的抗体は二次検出可能抗体によって検出され得るということである。二次抗体は好ましくは標識される。好適な二次抗体は、一次抗体が作製された動物種の抗体のイソタイプに対して作製され得る。例えば、二次抗体は抗マウス抗体(マウス抗体へ結合することが可能である)であり得る。二次抗体を使用する方法は、各々の一次抗体へ結合する複数の二次抗体からのシグナル増幅に起因して、直接的な検出方法よりも感度が高いかもしれない。
【0101】
好適な標識としては、酵素(ホースラディシュペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、グルコースオキシダーゼ及びルシフェラーゼ等)、及び呈色剤(量子ドット、フルオロフォア及び発色団を包含する)が挙げられる。好適なフルオロフォアとしては、FITC、TRITC、Cy5、Texas Red、Alexa Fluorなどが挙げられる。標識は放射性同位体標識であり得る。
【0102】
様々な検出可能な酵素基質は、酵素標識された抗体による使用のために利用可能である。これらは、発色検出系(ホースラディシュペルオキシダーゼ(HRP)、pNNP、BCIP/NBT(5−ブロモ−4−クロロ−3’−インドリルホスフェート/ニトロブルーテトラゾリウム)、TMB(テトラメチルベンジジン)、DAB(3,3’−ジアミノベンジジン)、OPD(オルト−フェニレンジアミンジヒドロクロライド)及びABTS(2,2’−アジノビス[−エチルベンゾチアゾリン−6−スルホン酸])等)、及び化学発光基質(ECL(増強化学発光)標識またはアクリジニウムエステル(AE)等)を包含する。
【0103】
方法は、抗体または抗体由来結合剤(scFv断片またはFab断片等)の使用を包含し得る。あるいは、または抗体と組み合わせて、本方法は、アプタマーの使用を包含し得る。
【0104】
ELISA
いくつかの事例において、標的は、ELISA(酵素結合免疫吸着アッセイ)によって検出され得る。サンプルからの標的分子(本明細書において開示されるバイオマーカータンパク質等)が、表面へ付着され、特異的な抗体を使用して検出される。標的は、表面へ非特異的に(表面への吸着経由で)または特異的に(抗体等の特異的な捕捉剤を使用して)付着され得る。ELISAを使用してサンプル中の標的を定量化することができる。表面は、固体支持体(多重壁のプレート、マイクロビーズまたはディップスティック等)であり得る。
【0105】
商業的に入手可能なELISAアッセイが使用され得る。ELISAは、間接ELISA、サンドイッチELISAまたは競合ELISAであり得る。
【0106】
ELISAは、標的分子を結合する第1の捕捉抗体の使用を包含する。次いで第2の検出抗体は標的分子へ添加される。第2の抗体の結合は、標的の存在及び/またはレベルを指摘する。
【0107】
第1の抗体は固体支持体へ結合され得る。第1の抗体及び第2の抗体は同一ではない。通常、第1の抗体及び第2の抗体は標的分子上の異なるエピトープへ結合する。いくつかの事例において、第2の抗体は、複合体でない場合の第1の抗体または標的のいずれかではなく、第1の抗体及び標的の複合体へ結合する。第2の抗体は標識され得る。
【0108】
イムノブロット
いくつかの態様において、標的はイムノブロットまたはウエスタンブロットによって検出される。かかる方法において、サンプル中のタンパク質はそれらの電荷またはサイズに基づいて分離される。それらは電気泳動に基づく方法によって分離され得る。分離されたタンパク質は膜へ移行され、標的に特異的な抗体により染色される。次いで抗体は、検出可能標識へコンジュゲートされた抗体によって直接、または標識された二次抗体の添加によって間接的にのいずれかで、検出される。
【0109】
質量分析
いくつかの態様において、本明細書において開示される方法は、質量分析を使用するタンパク質の検出及び/または定量化を包含する。質量分析は、標的のためのサロゲートとして、標的タンパク質にユニークな配列を備えたペプチドを使用し得る。測定は、対象のタンパク質、タンパク質断片または部分ペプチドに起因するピークの質量及び強度に関して行われる。測定の前に、内部スタンダードとして供する固定量の物質が元の生物学的材料へ添加され、そのピークの強度も測定される。元の生物学的材料中の標的の濃度は、内部スタンダードのピーク強度に対する標的のピーク強度の比から計算され得る。様々な質量分析方法が公知であり本明細書において開示される時バイオマーカーを検出及び/または定量化するために使用されてもよく、MALDI−TOF(飛行時間型)、SELDI/TOF、液体クロマトグラフィー質量分析(LC−MS)、ガスクロマトグラフィー/質量分析法(GC−MS)、高速液体クロマトグラフィー−質量分析(HPLC−MS)、キャピラリー電気泳動−質量分析、核磁気共鳴分光測定、またはタンデム型質量分析が挙げられる。
【0110】
インビトロの診断及びキット
本開示の態様は、インビトロ診断方法及びかかる方法の遂行のためのインビトロ診断キットを包含する。キットは、本明細書において記載されるような1つまたは複数の抗体(抗バイオマーカーの抗体またはその断片等)を包含し得る。本キットは、早産のリスクがある被験体を選択するために好適であり得る。
【0111】
本キットは臨床現場のインビトロ診断試験のために好適であり得る。それは実験室ベースの試験のためのキットであり得る。本キットは使用指示書(指示のための小冊子またはリーフレット等)を含み得る。この指示書は、本明細書において記載される方法のうちの任意の1つまたは複数の遂行のためのプロトコールを含み得る。この指示書は、免疫クロマトグラフィーアッセイの遂行のためのプロトコールを含み得る。それらは、異なるタイプのサンプルのために試験を適合させるための方法及び示唆を記載し得る。それらは、試験から得られた結果を至適化する方法及び示唆(シグナル対ノイズ比を最小限にすること等)を提供し得る。
【0112】
本キットは免疫クロマトグラフィーアッセイの遂行のために好適であり得る。いくつかの事例において、インビトロ診断試験は、ラテラルフローデバイスまたは「ディップスティック」試験を包含する。いくつかの事例において、本キットは、捕捉剤(抗バイオマーカー抗体等)により前コーティングされる、マルチウェルプレートまたは他の固体支持体を含む。
【0113】
本キットはスタンダードまたは対照を追加で含み得る。本キットは、バッファー、希釈物質または他の試薬(停止バッファー、サンプル調製バッファー、発色現像試薬、ストレプトアビジンコンジュゲート、基質または洗浄バッファー等)を追加で含み得る。
【0114】
本キットは、乾燥サンプル、湿潤サンプル、凍結サンプル、固定サンプル、尿サンプル、唾液サンプル、組織サンプル、血液サンプル、または任意の他のタイプのサンプル(本明細書において開示されるサンプルタイプのうちの任意のものを包含する)による使用のために適合され得る。
【0115】
本キットは、膣液サンプルを得るかまたは加工するためのデバイスを含み得る。本キットは、膣液抽出バッファー(例えばおよそ50mMのHEPES、150mMのNaCl、0.1%のSDS、1mMのEDTA、1mMのPefabloc SC 4−(2−アミノエチルベンゼンフッ化スルホニル(AEBSF)を含有するバッファー)を含み得る。本キットは、サンプル収集デバイス(スワブ、頸膣部ウィック、ダイアフラム様デバイス、子宮頸管アスピレーター、または細胞採取用ブラシ等)を含み得る。本キットは、膣液サンプルの保存のために好適な容器を含み得る。
【0116】
キットにおける使用のために好適なスワブとしては、フォームスワブ、Dacronスワブ、レーヨンスワブ、フロックドスワブ及びコットンスワブが挙げられる。好適なフォームスワブはとしては、MW942(Sigma−Swab Duo)、ウレタンフォームスワブ(Catch−All;Epicenter)及びCultureSwab EZウレタンフォームスワブ(BD)が挙げられる。好適なDacronスワブとしては、Deltalab Eurotubo 300263(Fisher Scientific、英国)、Sterile G−in、Dacronチップのプラスチックアプリケータ(Solon、Skowhegan、ME)、Dacronスワブ(Cardinal Health及びMcGraw Park、IL)及びDacronスワブ(Puritan Medical、Guilford、ME、米国)が挙げられる。好適なレーヨンスワブとしては、BBL CultureSwab(Becton Dickinson、Oxford、英国)及びMW167(Duo−Transtube(登録商標))が挙げられる。好適なフロックドスワブ(ナイロン)としてはSeacliff Packaging(BD、COPAN)が挙げられる。好適なコットンスワブとしては、滅菌乾燥スワブ(Eurotubo、Rubi、スペイン)、コットンチップのスワブ(Falcon(商標)Screw Cap Single SWUBE(商標)アプリケーター(Becton Dickinson and Co.、Sparks、MD))、Falcon(商標)Screw Cap Single SWUBE(商標)アプリケーター(BD)が挙げられる。
【0117】
キットにおける使用のために好適なウィックとしてはタンポン、ストリップまたはスポンジが挙げられ、眼用PVAスポンジ(Eyetec(商標)、Network Medical Ltd.)、Tear−Flo(商標)ストリップ(Wilson Ophthalmic)、Weck−Cel(登録商標)スポンジ(Xomed Surgical Products、Jacksonville、FL)、Sno−strips(Akorn Inc.、Abita Springs、LA)及びPolywicks(Polyfiltronics、Rockland、MA、米国)を包含する。
【0118】
キットにおける使用のために好適なダイアフラム様デバイスとしては、Instead SoftCup(Ultrafem)、滅菌ガーゼまたは月経カップ(SoftCup(EuroFemPro、オランダ)、またはSoftCup(Instead Inc.、San Diego、CA))が挙げられる。
【0119】
好適な子宮頸管アスピレーターとしては、膣検体アスピレーター(CarTika)または長いツベルクリンシリンジが挙げられる。
【0120】
本明細書において開示されるある特定のキットは、早産のバイオマーカーへ結合する抗体、及び膣液サンプルを得るかまたは加工するためのデバイスまたは、バッファーを含む。
【0121】
早産のバイオマーカーへ結合する抗体は、抗ECM1抗体、抗GGH抗体、抗LAMC2抗体、抗EFEMP1抗体、抗PTN抗体、抗FGA抗体または抗PEDF抗体であり得る。
【0122】
膣液及び抗ECM1抗体、抗GGH抗体、抗LAMC2抗体、抗EFEMP1抗体、抗PTN抗体、抗FGA抗体または抗PEDF抗体を含む組成物も本明細書において開示される。
【0123】
サンプリング方法
本明細書において記載される方法及び薬剤は、頸膣液中のある特定のバイオマーカーの分析を包含する。頸膣液をサンプリングする複数の方法は公知であり、本方法において使用され得る。本方法は頸膣部洗浄によってサンプリングすることを包含し得る。これは、洗浄バッファーにより頸膣部をリンスしリンス後に体液を収集することによって、頸膣部洗浄物を得ることを包含する。
【0124】
いくつかの方法において、頸膣部スワブが採用される。好適なスワブは当技術分野において公知である。本明細書に記載の方法及びキットにおける使用のために好ましいスワブとしては、フォームスワブ、Dacronスワブ、レーヨンスワブ、フロックドスワブ及びコットンスワブが挙げられる。好適なフォームスワブはとしては、MW942(Sigma−Swab Duo)、ウレタンフォームスワブ(Catch−All;Epicenter)及びCultureSwab EZウレタンフォームスワブ(BD)が挙げられる。好適なDacronスワブとしては、Deltalab Eurotubo 300263(Fisher Scientific、英国)、Sterile G−in、Dacronチップのプラスチックアプリケータ(Solon、Skowhegan、ME)、Dacronスワブ(Cardinal Health及びMcGraw Park、IL)及びDacronスワブ(Puritan Medical、Guilford、ME、米国)が挙げられる。好適なレーヨンスワブとしては、BBL CultureSwab(Becton Dickinson、Oxford、英国)及びMW167(Duo−Transtube(登録商標))が挙げられる。好適なフロックドスワブ(ナイロン)としてはSeacliff Packaging(BD、COPAN)が挙げられる。好適なコットンスワブとしては、滅菌乾燥スワブ(Eurotubo、Rubi、スペイン)、コットンチップのスワブ(Falcon(商標)Screw Cap Single SWUBE(商標)アプリケーター(Becton Dickinson and Co.、Sparks、MD))、Falcon(商標)Screw Cap Single SWUBE(商標)アプリケーター(BD)が挙げられる。
【0125】
他の方法において、頸膣液はウィックによりサンプリングされる。本明細書に記載の方法における使用のために好適なウィックとしてはタンポン、ストリップまたはスポンジが挙げられ、眼用PVAスポンジ(Eyetec(商標)、Network Medical Ltd.)、Tear−Flo(商標)ストリップ(Wilson Ophthalmic)、Weck−Cel(登録商標)スポンジ(Xomed Surgical Products、Jacksonville、FL)、Sno−strips(Akorn Inc.、Abita Springs、LA)及びPolywicks(Polyfiltronics、Rockland、MA、米国)を包含する。
【0126】
他の方法において、ダイアフラム様デバイスを使用して頸膣液をサンプリングする。好適なダイアフラム様デバイスは頸膣液を収集するために子宮頸部を覆って置かれ、Instead SoftCup(Ultrafem)、滅菌ガーゼ、または月経カップ(SoftCup(EuroFemPro、オランダ)またはSoftCup(Instead Inc.、San Diego、CA))が挙げられる。
【0127】
本方法は、子宮頸管のスピレーター(膣検体アスピレーター(CarTika)または長いツベルクリンシリンジ等)の使用を包含し得る。
【0128】
いくつかの方法において、頸膣液は細胞採取用ブラシによりサンプリングされる。
【0129】
本明細書において開示されるある特定のキットは、早産のバイオマーカーへ結合する抗体、及び膣液サンプルを得るかまたは加工するためのデバイスまたは、バッファーを含む。
【0130】
対照
本明細書において開示されるいくつかの方法において、バイオマーカーのレベルは、対照のレベル、または参照の値もしくはレベルに比較される。
【0131】
いくつかの事例において、対照は、参照サンプルまたは参照データセットであり得る。参照は、早産を経験したことが既知の被験体から以前に得られた1つまたは複数のサンプルに由来し得る。あるいは、参照は、満期産を経験したことが既知の被験体から以前に得られた1つまたは複数のサンプルに由来し得る。参照は、参照サンプルの分析から得られたデータセットであり得る。
【0132】
対照は、陽性対照(そこで、標的分子は存在するかまたは高レベルで発現されることが既知である)、または陰性対照(そこで、標的分子は存在しないかまたは低レベルで発現されることが既知である)であり得る。
【0133】
対照は、早産または満期産を経験したことが既知の患者からのサンプルまたはレベルであり得る。対照値は、バイオマーカーの分析をサンプルと並列して遂行することによって、試験される個体から得られ得る。あるいは、対照値は、データベースまたは他の以前に得られた値から得られ得る。
【0134】
サンプル
本明細書において開示される方法は、個体または患者から得られたサンプル中のバイオマーカーの検出に関する。本方法はインビトロで遂行され得る。好ましくは、本方法は個体から得られたサンプルを包含する。したがって、本方法は、個体からサンプルを得るステップを包含し得るが、好ましくは包含しない。
【0135】
好ましくは、サンプルは、膣液(頸膣(頸管(cervico)−膣;頸管(cervical)−膣)液(CVF)または子宮頸管液等)のサンプルである。あるいは、サンプルは、血液サンプル(全血サンプル、血漿サンプルもしくは血清サンプル、リンパサンプル、尿サンプルまたは羊水サンプル等)であり得る。サンプルは、膣液サンプルもしくは頸膣液サンプルに由来するタンパク質サンプル、または血液サンプル(全血サンプル、血漿サンプルまたは血清サンプル等)、リンパサンプル、尿サンプルもしくは羊水サンプルに由来するタンパク質サンプルであり得る。
【0136】
サンプルは前処理され得る。例えば、サンプルは1つまたは複数の防腐剤またはバッファーと接触させられ得る。サンプルは冷凍、凍結乾燥、または乾燥され得る。
【0137】
個体または患者は哺乳動物(ネコ、イヌ、ウマまたは類人猿等)であり得るが、個体は好ましくはヒトである。「患者」、「個体」及び「被験体」という用語は本明細書において互換的に使用される。
【0138】
個体はメスの個体であり得る。個体は妊娠していてもよい。個体は、症状を示してもよいし、または無症候性であってもよい。好ましくは、個体は無症候性である。
【0139】
症状を示す個体は、早産の1つまたは複数の症状(収縮(特に通常の収縮)、背中の痛み(腰の背中の痛みを包含する)、下腹部の痙攣(または月の様の痙攣)、膣からの体液漏出、インフルエンザ様症状、悪心、嘔吐、骨盤もしくは膣中の圧迫感の増加、膣帯下の増加及び/または膣出血等)を提示する個体である。
【0140】
無症候性の個体は、早産の任意の症状または早産を暗示するかもしくは暗示しない症状(背中の痛み(腰の背中の痛みを包含する)、下腹部の痙攣(または月の様の痙攣)、膣からの体液漏出、インフルエンザ様症状、悪心、嘔吐、骨盤もしくは膣中の圧迫感の増加、膣帯下の増加及び/または膣出血等)を提示しない。通常は、無症候性の個体は早産の任意の症状を提示しない。
【0141】
いくつかの事例において、個体は、サンプルを得る前に早産の高リスクのあることが疑われ得る。例えば、個体は早産の高リスクのあることが疑われるので、サンプルが得られ、及び/またはバイオマーカーの存在もしくはレベルが決定され得る。個体は、早産または流産の事前の病歴に基づいて、早産の高リスクを有することが疑われ得る。あるいはまたは加えて、個体は、胎児フィブロネクチン(fFN)試験の結果に基づいて、または症状(収縮、膣出血、膣からの体液漏出、膣帯下の増加、背中の痛みまたは下腹部の痙攣等)に基づいて、早産の高リスクを有することが疑われ得る。あるいはまたは加えて、個体は、1つまたは複数のリスクファクター(糖尿病、高血圧、双子以上の胎児の妊娠、BMI(高すぎるかまたは低すぎる)、多数の膣感染症、喫煙、心理的ストレス、民族的背景、及び社会経済的地位または収入等)の存在に起因して、早産の高リスクであると判断され得る。
【0142】
サンプルは、出産の数週間もしくは数か月の前、または満期産の予定日の前の個体から得られ得る。例えば、サンプルは、出産の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35または36週間前に得られ得る。いくつかの事例において、サンプルは、出産の1〜4、5〜8、9〜12、または12週以上前に採取される。
【0143】
サンプルは、37週の予期される満期産に基づいて、正常な出産の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35または36週間前と予測されるタイムポイントで得られ得る。いくつかの事例において、サンプルは、予期される正常な出産の1〜4、5〜8、9〜12、または12週以上前に採取される。
【0144】
あるいは、サンプルは、予期される正常な出産日の前のおよそ1か月、およそ2か月、およそ3か月、およそ4か月、およそ5か月、およそ6か月、およそ7か月、およそ8か月またはおよそ9か月前に採取され得る。
【0145】
見方を変えると、サンプルは、在胎1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36または37週で採取され得る。
【0146】
サンプルは、10週〜13週+6日、14週〜21週+6日、22週〜25週+6日、26週〜29週+6日、30週〜33週+6日、または34週を超える在胎齢で採取され得る。第1のサンプルはおよそ12〜14週で採取され得る。第2のサンプルは16〜24週の間で採取され得る。
【0147】
サンプルは、妊娠第1期、第2期、または第3期において採取され得る。妊娠第1期は0〜13週+6日続く。妊娠第2期は14週〜27週+6日続く。妊娠第3期は28週から出産まで続く。
【0148】
当業者は、在胎週数を正確に決定することが困難であり得ることを認識するだろう。在胎週数を推測する方法は当技術分野において公知であり、これらのうちの任意のものは本明細書において開示される方法において使用され得る。例えば、在胎週数は一般的には最終月経期(LMP)の日付に基づいて推測される。在胎週数は最終月経期が開始した日付に基づいて決定され得る。あるいは、もし分かるならば、在胎週数は排卵の日付に基づき得る。一般的には、排卵の日付は、最終月経期が開始した日の2週間後である。在胎の長さは日付を決めるスキャンに基づいて決定され得る。日付を決めるスキャンは、一般的には最終月経期の最初の日の日付に基づいて、10〜13週+6日の間に遂行される。
【0149】
異なるバイオマーカーは異なるサンプル時間で、より適切となり得る。例えば、あるバイオマーカーは、早期ステージでの個体から得られたサンプルにおいてその個体に早産のリスクがあるかどうか決定するために有用であり得るが、異なるバイオマーカーは、より遅いステージでの個体から得られたサンプルにおいてその個体にリスクがあることを決定するために有用であり得る。
【0150】
いくつかの事例において、サンプルは複数のタイムポイントで個体から得られ得る。例えば、第1のサンプルは妊娠第1期において得られ、第2のサンプルは妊娠第2期において得られ得る。複数のサンプルは、バイオマーカー発現における傾向または変化を同定するために得られ得る。いくつかの事例において、サンプルは、その個体のためのバイオマーカーの対照またはベースラインレベルを確立するように、妊娠早期において(妊娠第1期において等)得られ得る。
【0151】
タンパク質及びポリペプチド
本発明の方法は全長タンパク質配列の検出を包含し得るが、これは必ずしも必要だとは限らない。代わりとして、全長ポリペプチドのホモログ、突然変異体、誘導体、アイソフォーム、スプライスバリアントまたは断片が検出され得る。
【0152】
誘導体は、与えられた全長タンパク質配列のバリアントを包含し、全長タンパク質への実質的なアミノ酸配列同一性を有する天然に存在する対立遺伝子バリアント及び合成バリアントを包含する。
【0153】
タンパク質断片は、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100または150アミノ酸までの残基長であり得る。最小の断片長は、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20もしくは30アミノ酸または3〜30の間の数のアミノ酸であり得る。
【0154】
突然変異は対応する野生型ポリペプチドに比較して、少なくとも1つの修飾(例えば添加、置換、逆位及び/または欠失)を含み得る。突然変異は、変更された活性または特性(例えば結合)を提示し得る。
【0155】
バイオマーカータンパク質のうちの任意のものにおいて突然変異が起こってもよく、かかる断片を含有する構成要素は、突然変異の活性を調整して野生型ポリペプチドの活性を完全または部分的に回復させるという目的を供し得る。
【0156】
誘導体は自然変動または多型も含み、それは個体間またはファミリーのメンバー間で存在し得る。すべてのかかる誘導体は本発明の範囲内に包含される。純粋に例としては、かかる多型において見出される保存的置換は以下の群内のアミノ酸間であり得る。
アラニン、セリン、スレオニン;
グルタミン酸及びアスパラギン酸;
アルギニン及びロイシン;
アスパラギン及びグルタミン;
イソロイシン、ロイシン及びバリン;
フェニルアラニン、チロシン及びトリプトファン。
【0157】
本明細書において、バイオマーカーは、バイオマーカー配列のうちの1つまたはこれらの配列のうちの1つの断片への規定の程度の配列同一性を有するアミノ酸配列を有する、任意のペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質であり得る。配列同一性の規定の程度は、少なくとも60%〜100%の配列同一性であり得る。より好ましくは、配列同一性の規定の程度は、少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性のうちの1つであり得る。
【0158】
開示される結果を得るために開示される機能または方法もしくはプロセスを遂行するために、それらの具体的な形態でまたは手段に関して表現された、前述の記載または以下の求項または添付の図面中で開示される特色は、必要に応じて、その多様な形態で本発明を実現するために、分離してまたはかかる特色の任意の組み合わせで、利用され得る。
【0159】
本発明は上で記載される例示的な実施形態と共に記載されているが、本開示が与えられた時に多くの等価な修飾及び変動が当業者に明らかになる。したがって、上で説明された本発明の例示的な実施形態は、例示的であり限定的でないと判断される。記載される実施形態への様々な変化は、本発明の趣旨及び範囲から逸脱せずに行われ得る。
【0160】
任意の疑義を回避するために、本明細書において提供される任意の論理的説明は、読者の理解を改善する目的のために提供される。本発明者は、これらの論理的説明のうちの任意のものによって束縛されることを望まない。
【0161】
本明細書において使用される任意のセクションの見出しは構成の目的のみのためであり、記載される対象物の限定として解釈されるべきではない。
【0162】
以下の請求項を含む本明細書を通して、文脈が特別に要求しない限り、「含む(comprise)」及び「包含する(include)」という単語、及び変形(「含む(comprises)」、「含むこと(comprising)」及び「包含すること(including)」等は、明示された整数値もしくはステップ、または整数値もしくはステップの群を包含するが、他の整数値もしくはステップ、または整数値もしくはステップの群を除外しないことを示唆すると理解される。
【0163】
本明細書及び添付の請求項において使用される時、単数形「a」、「an」及び「the」は、文脈が明確に指示しない限り、複数の指示物を包含することに注目すべきである。範囲は、「約」ある特定の値から及び/または「約」別の特定の値として、本明細書において表現され得る。かかる範囲が表現される場合に、別の実施形態は、ある特定の値から及び/または他の特定の値までを包含する。同様に、値が近似として表現される場合に、先行詞「約」の使用によって、特定の値が別の実施形態を形成することが理解されるだろう。数値に関連する「約」という用語は、随意であり、例えば10%±を意味する。
【実施例】
【0164】
実施例1
CVF(頸膣液)サンプルを19〜37週の在胎齢で妊婦から収集した。滅菌二弁鏡を患者の膣の中へ挿入した。デュアルチップのスワブを膣の後円蓋中に30秒間置き、次いで1mLの冷却したCVF抽出バッファー(50mMのHEPES、150mMのNaCl、0.1%のSDS、1mMのEDTA、1mMのPefabloc SC 4−(2−アミノエチル)ベンゼンフッ化スルホニル(AEBSF))の中へ置いた。サンプルを10秒間ボルテックスで撹拌し、その後スワブを転倒し、1000×gで5分間遠心分離した。スワブを廃棄し、サンプルチューブを10秒間ボルテックスで撹拌し、その後1000×gで5分間遠心分離した。抽出したCVF(上清)をチューブの中へ小分けにし、必要とされるまで−80℃で保存した。
【0165】
7つのタンパク質バイオマーカーを、最終的には満期産分娩及び早産分娩を経験した86名の患者から得られた200のCVFサンプルにおいて試験した(ECM1、GGH、LAMC2、EFEMP1、PTN、FGA及びPEDF)。在胎19〜38週からサンプルを縦断的に収集した。CVFサンプル中のバイオマーカー発現レベルを、市販のELISAキット(すなわちPEDF(DuoSet、#DY1177−05、R&D Systems、Minneapolis、MN)、ECM1(#ELH−ECM1−1、Raybiotech)、GGH(#EH4206、Wuhan Fine Biotech)、LAMC2(#SEC083Hu、Cloud−clone)、PTN(#23437、LSBIO)、FGA(#11466、LSBIO)、EFEMP1(#MBS178533、MyBioSource))を使用して測定した。サンプルを、既知の濃度の参照対照及びスタンダードタンパク質と共にスタンダードの96ウェルプレート中で二重で実行した。
【0166】
ELISAプロトコールを製造者マニュアルに基づいてアッセイした。以下に一般的なプロトコールを記載した。
【0167】
コーティングバッファー中で0.8〜10μg/mlの間の濃度の100μlの捕捉抗体により96ウェルをコーティングする。プレートをカバーし、4℃で一晩インキュベーションする。
【0168】
300μlのブロッキング溶液を各々のウェルへ添加する。60分間インキュベーションする。洗浄バッファーによりプレートを3回洗浄し、逆さにしたプレートを乾燥紙上でタッピングすることによって乾燥する。
【0169】
100μlの連続希釈のスタンダードタンパク質及び適切に希釈されたサンプルを添加する。サンプルまたはスタンダードを二重で実行し、37℃で90分間インキュベーションする。洗浄バッファーによりプレートを3回洗浄し、逆さにしたプレートを乾燥紙上でタッピングすることによって乾燥する。
【0170】
100μlのビオチンコンジュゲート検出抗体(試薬希釈物質または適切なバッファー中で希釈した)を添加し、37℃で1時間インキュベーションする。プレートを洗浄バッファーにより3回洗浄する。
【0171】
100μlの酵素コンジュゲートストレプトアビジン(試薬希釈物質または適切なバッファー中で希釈した)を添加し、37℃で60分間インキュベーションする。洗浄バッファーによりプレートを3回洗浄し、逆さにしたプレートを乾燥紙上でタッピングすることによって乾燥する。
【0172】
100μlの適切な基質溶液を各々のウェルへ添加する。最大20分間または所望される色変化が達成されるまで、37℃でインキュベーションする。
【0173】
適切な波長で吸光度を直ちに読み取るか、または50μlの「停止溶液」を添加する。プレートを穏やかにタッピングして充分な混合を保証する。450nmで吸光度を測定し、及び540nmを参照する。
【0174】
直線状のスタンダードカーブまたは4パラメーターロジスティック(4PL)スタンダードカーブのいずれかとして、すべてのプレート上で実行されたスタンダードカーブに基づいて、バイオマーカー濃度を決定した。ビシンコニン酸アッセイ(BCAアッセイ)によって決定された全タンパク質濃度に基づいて、最終的な濃度を正規化した。
【0175】
次いでサンプルの値及びデータをアセンブルして満期産及び早産の結果を比較し、以下の3つの主要な方法に基づいて層別化した。
・全体の群(満期産(n=136)及び早産(n=64)の全体のコホート(n=200))を、平均の差について査定し、Studentのt検定分析から得られたp値を実証した。
・在胎週数 − サンプルをサンプリング時での在胎週数に基づいてグループ化した。
・分娩からの時間 − サンプルを、サンプリングと分娩との間の日数に基づいてグループ化した。
【0176】
統計分析。
統計分析のために、両側の対応のないStudentのt検定をMicrosoft Excelソフトウェアを使用して信頼区間(CI)=0.95で遂行し、0.05未満のp値(P)を有意であると判断した。エラーバーを含むすべての数値データは平均±標準誤差(SEM)を表わす。
【0177】
結果及び考察。
200の臨床由来のサンプル上のバイオマーカー定量化は、満期産サンプルと早産サンプルとの間の差を実証した。サンプルをさらに階層化することによって、早産リスクベースのより良好な理解を可能にするであろう、可能性のある在胎中のタイムポイントを強調することが可能になった。
【0178】
ECM1は、収集されたすべての200の満期産サンプルと早産サンプルとの間でP=0.0025のp値で差異的に発現した(図1)。異なる在胎齢及びサンプリングから分娩への異なる時間へのサンプルの階層化に際して、差異的発現は同じ方向で存続した(すなわちECM1は、在胎齢及び分娩への時間にかかわらず、すべての早産サンプルにおいて平均でより少なく発現した)(図2及び図3)。ECM1は複数の皮膚関連障害及び血管新生における公知のマーカーであるので、したがって早産との相関性については多少意外なことである。
【0179】
GGHは、満期産サンプルと早産サンプルとの間で差異的に発現した。GGHの発現は、満期産女性からのサンプルに対して早産女性からのサンプルにおいて平均で上昇した(図4)。興味深いことには、満期産及び早産の両方の事例において、在胎齢の進行及び分娩への時間の減少につれて、発現レベルにおける漸増的増加があった(図5及び6)。GGHは広く知られたバイオマーカーではなく、それは免疫経路及び細胞外マトリックス調節に関与する。
【0180】
LAMC2は、すべての200の満期産サンプルと早産サンプルとの間で差異的に発現した(図7)。他のマーカーとは対照的に、差は分娩の前の最後の日に向かってより顕著であった(図9)。LAMC2は上皮移行経路に関与し、複数の皮膚疾患兆候の関与について知られている。興味深いことには、それは頸膣部の空間の変化と決して関連していない。
【0181】
EFEMP1も、すべての200の満期産サンプルと早産サンプルとの間で差異的に発現した(図10)。しかしながら、さらに興味深いことには、在胎期間を通して、満期産サンプルと早産サンプルとの間で、EFEMP1の発現上昇と発現低減との間の移行があった。在胎齢及び分娩への時間の両方の初期のタイムポイントにおいて、満期産サンプルのEFEMP1は早産サンプルに比較して上昇した。しかしながら、この傾向は、在胎齢及び分娩への時間のより遅いタイムポイントでは逆であった(図11及び図12)。
【0182】
PTNは、すべての200の満期産サンプルと早産サンプルとの間で差異的に発現した(図13)。満期産サンプルと早産サンプルとの間のPTNの発現プロファイルにおける最も顕著な差は、最も初期の在胎齢において、及び分娩への時間で最も初期のタイムポイントに加えて最も遅いタイムポイントにおいて観察された(図14及び15)。
【0183】
FGAは、すべての200の満期産サンプルと早産サンプルとの間で差異的に発現した(図16)。FGA発現における差は、在胎後期ステージにおいて及び分娩前の最後の日に向かってより顕著であった(図17及び18)。タンパク質としてのFGAは、炎症経路及び免疫応答経路に関与し、したがってかかる経路によって開始される早産症例に関し得る。
【0184】
PEDFは、すべての200の満期産サンプルと早産サンプルとの間で差異的に発現した(図19)。PEDFはすべての階層化で早産サンプルにおいて一貫して上昇し(図20及び21)、PEDFは任意のタイムポイントで着実なバイオマーカーであるだろうことを指摘する。PEDFは、血管新生及びしたがって組織のリモデリングに緊密に関連するタンパク質である。本発明者は、早産におけるその関与が子宮頸管のリモデリングに関連するという仮説を立てる。
【0185】
早産についてのリスクにある女性を予測する状況はかなり限定されている。リスクプロファイルを達成する2つの最も一般的な手法は、既往歴及び子宮頸管の長さに基づくものである。これらの方法は、組み合わせで使用された場合でさえ、大多数の女性における早産のリスクを正確に査定することに成功しない。したがって、早産のリスクがある女性を正確に予測するツールは妊娠の管理における臨床コミュニティーへの大きな財産であり、早産症例の低減及び有意な医療費の節約をさらに可能にするだろう。本明細書において、本発明者は個々のバイオマーカー経由のかかるツールについての土台を実証する。観察されるように、これらのバイオマーカー(ECM1、FGA、EFEMP1、GGH、PEDF、PTN及びLAMC2)は、個々のバイオマーカーの予測値を組み合わせるキットについての基礎を築き、高度に正確なツールを生成する。
【0186】
実施例2:インビトロアッセイ
子宮膣部のEct1/E6E7細胞株(ATCC CRL−2614)及び子宮頚内膜のEnd1/E6E7細胞株(ATCC CRL−2615)を、以下のプロトコールに基づく、様々な細胞ストレス条件(過酸化水素及びLPS)下での、バイオマーカーのインビトロ研究のために選択した。
【0187】
処理
Ect1細胞及びEnd1細胞を、0.1ng/mlのEGF、50μg/mlのBPE及び0.4mMのCaClを補足した角化細胞無血清培地(KSFM)中で0日目に播種した。2日目での70〜80%の密集度の到達に際して、細胞を、H(50μM、100μM、200μM、400μM)の増加する用量により処理した。24時間後に、培養培地を、ELISAを使用するバイオマーカー定量化のために収集した。細胞生存率及び分裂増殖に対するHの効果を、MTTアッセイを使用して査定した。
【0188】
LPS処理
Ect1細胞及びEnd1細胞を、0.1ng/mlのEGF、50μg/mlのBPE及び0.4mMのCaClを補足したKSFM中で0日目に播種した。1日目に、細胞培養物を除去し、増殖因子補足無しのKSFMにより置換した。次いで細胞を、2日目にLPS(10μg/ml、25μg/ml、50μg/ml)の増加する用量により処理した。LPS処理の24時間後に、培養培地を、ELISAを使用するバイオマーカー定量化のために収集した。
【0189】
結果及び考察:
子宮膣部のEct1/E6E7細胞株(ATCC CRL−2614)及び子宮頚内膜のEnd1/E6E7細胞株(ATCC CRL−2615)(両方とも正常な子宮頸管の上皮組織に由来する)を、バイオマーカーのインビトロ研究のために選択した。End1は単層円柱上皮の特徴を表わすが、Ect1は多層化した非角化扁平上皮の特徴を表わす。CVFが、膣、子宮頸部及び隣接する重層する胎膜から生じる体液の混合物であるので、異なる細胞外ストレスの存在下におけるEct1及びEnd1の分泌物の内容を研究することは、したがって妊娠の間の子宮頸部の局部的な生化学的環境及び生理学的変化への参照及び推論を提供する。
【0190】
酸化ストレスは、正常な満期産及び自然発生する早産(PTB)に加えて、多くの妊娠合併症(早産早期破水(PPROM)及び子癇前症等)において重要な役割を果たすことが報告されている。分子的機構は明らかではないままであるが、PTBにおける酸化ストレスの役割は、様々な活性酸素種(ROS)媒介性病理生理学的経路(炎症、アポトーシス、オートファジー、老化、及びコラーゲン代謝の変更等)へ帰着され得る。Menon et alらによる研究は、PTB及びPPROMからの胎膜において、酸化ストレスマーカー(F2−イソプロスタン及びOS誘導性3−ニトロチロシン修飾タンパク質(3−NT)等)の発現が満期産からの胎膜におけるものよりも有意に高かったことを示した。同時に、PTB及びPPROMの両方は満期産よりも高い羊水F2−イソプロスタンを有していた。同じ研究者のグループはさらに、酸化ストレス媒介性アポトーシスは、胎膜におけるタンパク質分解をもたらし、それは最終的にはPPROMにおける膜弱体化及び破裂を導くことを推定した。その一方で、Heng et atは、陣痛の接近にともなって、抗酸化酵素、チオレドキシン及びSOD1の発現に加えて、CVFの全抗酸化能力が有意に減少したことを示した。彼らは、陣痛が酸化ストレスの増加と関連し、抗酸化酵素が可能性のある陣痛の予測因子として供することができると結論を下した。
【0191】
この系において酸化ストレスを誘導するために、Ect1細胞及びEnd1細胞をHの増加する用量により24時間処理した。H処理細胞の細胞生存率及び分裂増殖をMTTアッセイを使用して査定した(図22)。Ect1細胞及びEnd1細胞においてH処理に誘導された差異的な細胞応答が見出された。Ect1細胞において、Hの低投薬量(50μM及び100μM)は細胞生存率に影響しなかった。200μMのHで、対照の無処理細胞に比較して、処理された細胞において細胞密度の20%の減少があったが、この減少は統計的に有意ではない。400μMのHで、処理された細胞において細胞生存率の約50%の有意な減少が観察された。End1細胞において、50μMは効果がなかったが、100μM、200μM及び400μMのHは、それぞれ細胞生存率の約20%、約50%及び約90%の有意な減少をもたらした。
【0192】
により処理された細胞の培養培地中のバイオマーカー発現をELISAを使用して定量化することに進んだ。興味深いことには、バイオマーカーは、H処理に際して差異的発現を示した。Ect1において、FGA(図25)、LAMC2(図24)及びEFEMP1(図31)のEct1における発現は、Hの200μM及び400μMによる処理に際して有意に減少することが見出された。Ect1が24時間400μMのHへ曝露された場合に、ECM1の発現は減少した(P<0.05)(図23)。GGH発現は、H処理に際して比較的変わらなかった(図26)。
【0193】
End1細胞については、発現の有意な変化が、200μMのHにより処理された細胞においてFGA及びEFEMP1で観察された(図25及び32)。ECM1(図23)、GGH(図26)及びLAMC2(図24)の発現は、24時間のHによる処理にもかかわらず対照の無処理細胞と類似した。表1及び表2は、H処理に際しての、Ect1及びEnd1におけるバイオマーカーの発現の変化を要約する。
【0194】
【表1】
【0195】
【表2】
【0196】
酸化ストレスと類似して、炎症は、満期産及び早産の陣痛及び分娩と長い間結び付けられていた。大部分の事例において、PTB及びPPROMは、羊水内感染、子宮内感染及び炎症に密接に関連する。多数の実験研究及び臨床研究は、早産分娩及び複数の妊娠合併症の根底にある原因として炎症伝達物質によって媒介される病理生理学的経路を正確に示す。かかる炎症媒介性経路としては、白血球活性化、炎症性サイトカイン及びケモカインの増加、ならびに細胞外マトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)によるコラーゲン分解が挙げられる。これらの事象は、最終的には、膜構造完全性の喪失、子宮筋層の活性化及び初期/早発の子宮頸管のリモデリングをもたらし、PTB及びPPROMを導く。さらに、炎症のマーカー(インターロイキン(IL)1、2、6及び8、腫瘍壊死因子−[TNF−]、ならびにC反応性タンパク質[CRP]等)は、PTBにおけるバイオマーカーとして評価されてきた。
【0197】
本研究において、リポポリサッカライド(LPS)の様々な用量によりEct1細胞及びEnd1細胞を処理することによって、系において炎症を誘導した。
【0198】
Ect1細胞において、25μg/mlのLPS処理は、馴化培地中のECM1発現の有意な減少をもたらした(図27)。さらに、対照の無処理細胞に比較した場合に、LPSの低用量(10μg/ml及び25μg/ml)は、LAMC2発現の統計的に有意な5倍を越える増分を引き起こした(図28)。LPSの異なる3つの用量により処理されたEct1細胞の馴化培地中でのGGH(図29)及びFGA(図30)の発現のわずかな増加も観察されたが、かかる増加は統計的に有意ではなかった。
【0199】
End1細胞において、Ect1細胞と類似して、かかる減少は統計的に有意でないと考えられたが、LPS処理は、馴化培地中のECM1発現の小さな減少をもたらした(図27)。高LPS及び低LPSのすべての3用量(10μg/ml、25μg/ml、50μg/ml)は、End1馴化培地中でのLAMC2発現の約8倍の増加を導いた(図28)。これに反して、End1馴化培地中のGGH(図29)及びFGA(図30)の発現レベルは、LPS処理によりダウンレギュレートされた。表3及び4は、LPS処理に際しての、バイオマーカーの発現の変化を要約する。
【0200】
【表3】
【0201】
【表4】
【0202】
参照文献
多くの出版物は、本発明及び本発明が属する従来技術の水準を完全に記載及び開示するために上で引用される。これらの参考文献についての完全な引用は以下に提供される。これらの参照文献の各々の全体は本明細書に援用される。
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【0203】
スタンダードな分子生物学技法については、Sambrook,J.,Russel,D.W.Molecular Cloning,A Laboratory Manual.3ed.2001,Cold Spring Harbor,New York:Cold Spring Harbor Laboratory Pressを参照されたい。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【国際調査報告】