(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】2021508489
(43)【公表日】20210311
(54)【発明の名称】T細胞疲弊を阻害するための組成物および方法
(51)【国際特許分類】
   C12N 5/10 20060101AFI20210212BHJP
   C12N 15/12 20060101ALI20210212BHJP
   A61K 35/17 20150101ALI20210212BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20210212BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20210212BHJP
   A61P 31/12 20060101ALI20210212BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20210212BHJP
   C12N 5/0783 20100101ALN20210212BHJP
   C12N 15/62 20060101ALN20210212BHJP
   C12N 15/867 20060101ALN20210212BHJP
【FI】
   !C12N5/10
   !C12N15/12
   !A61K35/17 Z
   !A61P35/00
   !A61P31/04
   !A61P31/12
   !A61K45/00
   !C12N5/0783
   !C12N15/62 Z
   !C12N15/867 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】95
(21)【出願番号】2020551791
(86)(22)【出願日】20181214
(85)【翻訳文提出日】20200728
(86)【国際出願番号】US2018065801
(87)【国際公開番号】WO2019118902
(87)【国際公開日】20190620
(31)【優先権主張番号】62/599,299
(32)【優先日】20171215
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/738,687
(32)【優先日】20180928
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】503115205
【氏名又は名称】ザ ボード オブ トラスティーズ オブ ザ レランド スタンフォード ジュニア ユニバーシティー
【住所又は居所】アメリカ合衆国 94305−2038 カリフォルニア州 スタンフォード メイン クワッド ビルディング 170 サード フロア ピー.オー.ボックス 20386 オフィス オブ ザ ジェネラル カウンセル
(74)【代理人】
【識別番号】100095832
【弁理士】
【氏名又は名称】細田 芳徳
(74)【代理人】
【識別番号】100187850
【弁理士】
【氏名又は名称】細田 芳弘
(72)【発明者】
【氏名】マッカル,クリスタル
【住所又は居所】アメリカ合衆国 カリフォルニア 94305−2038 スタンフォード,ピーオー ボックス 20386,メイン クワッド,サード フロア,ビルディング 170,オフィス オブ ザ ジェネラル カウンセル(番地なし)
(72)【発明者】
【氏名】リン,レイチェル
【住所又は居所】アメリカ合衆国 カリフォルニア 94305−2038 スタンフォード,ピーオー ボックス 20386,メイン クワッド,サード フロア,ビルディング 170,オフィス オブ ザ ジェネラル カウンセル(番地なし)
(72)【発明者】
【氏名】ウェーバー,エバン
【住所又は居所】アメリカ合衆国 カリフォルニア 94305−2038 スタンフォード,ピーオー ボックス 20386,メイン クワッド,サード フロア,ビルディング 170,オフィス オブ ザ ジェネラル カウンセル(番地なし)
(72)【発明者】
【氏名】ソティッロ,エレナ
【住所又は居所】アメリカ合衆国 カリフォルニア 94305−2038 スタンフォード,ピーオー ボックス 20386,メイン クワッド,サード フロア,ビルディング 170,オフィス オブ ザ ジェネラル カウンセル(番地なし)
【テーマコード(参考)】
4B065
4C084
4C087
【Fターム(参考)】
4B065AA93Y
4B065AA94X
4B065AB01
4B065BA02
4B065CA44
4C084AA19
4C084NA05
4C084ZB261
4C084ZB262
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4C087AA02
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4C087BB37
4C087DA31
4C087NA05
4C087ZB26
4C087ZB33
4C087ZB35
4C087ZC41
(57)【要約】
本発明は、療法および治療の文脈におけるT細胞組成物およびその使用方法に関する。特に、本発明は、改変されないT細胞が疲弊を示す条件下で機能性を維持するように(例えば遺伝子的および/または機能的に)改変されるT細胞を提供する。本明細書に開示される組成物および方法は、作り変えられたT細胞(例えばキメラ抗原受容体(CAR)T細胞)および作り変えられないT細胞の疲弊を予防し、それによりT細胞機能(例えば癌または感染性疾患に対する活性)を高めることにおける使用を見出す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上昇したレベルの1つ以上のAP-1転写因子を過剰発現するおよび/または含むように改変された、単離されたT細胞を含む組成物。
【請求項2】
単離されたT細胞が組換え受容体を発現するようにさらに改変される、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
組換え受容体がT細胞受容体(TCR)である、請求項2記載の組成物。
【請求項4】
組換え受容体がキメラ抗原受容体(CAR)である、請求項2記載の組成物。
【請求項5】
組換え受容体が腫瘍抗原に特異的である、請求項2記載の組成物。
【請求項6】
腫瘍抗原が、CD19、CD20、CD22、ROR1、GD2、EBVタンパク質または抗原、葉酸受容体、メソテリン、ヒト癌胎児性抗原、CD33/IL3Ra、c-Met、PSMA、糖脂質F77、EGFRvIII、NY-ESO-1、MAGE-A3、MART-1、GP1000およびp53からなる群より選択される、請求項5記載の組成物。
【請求項7】
単離されたT細胞が、天然の、自然に存在するT細胞である、請求項1記載の組成物。
【請求項8】
天然の、自然に存在するT細胞が切除した腫瘍から得られる、請求項7記載の組成物。
【請求項9】
天然の、自然に存在するT細胞が、血液試料の白血球搬出により得られる。請求項7記載の組成物。
【請求項10】
T細胞がエクソビボで拡大される、請求項9記載の組成物。
【請求項11】
T細胞が、CD3+T細胞、CD8+T細胞、CD4+T細胞、ナチュラルキラー(NK)T細胞、γδT細胞、CD4+細胞とCD8T+細胞の組合せ、記憶T細胞、サイトカイン誘導キラー細胞およびそれらの組合せからなる群より選択される、請求項1記載の組成物。
【請求項12】
1つ以上のAP-1転写因子が、c-Fos、c-Jun、活性化転写因子(ATF)およびJun二量体化タンパク質(JDP)からなる群より選択される、請求項1記載の組成物。
【請求項13】
AP-1転写因子がc-Junである、請求項1記載の組成物。
【請求項14】
AP-1転写因子が変異/切断AP-1転写因子である、請求項1記載の組成物。
【請求項15】
変異/切断AP-1転写因子がN末端欠失を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項16】
変異/切断AP-1転写因子が、(i)トランス活性化ドメインを欠くかまたは(ii)不活性トランス活性化(transactication)ドメインを含む、請求項1記載の組成物。
【請求項17】
単離されたT細胞が、c-Junおよび作り変えられた受容体を共発現する、請求項1記載の組成物。
【請求項18】
c-Junおよび作り変えられた受容体が、別の発現ベクター構築物から発現される、請求項17記載の組成物。
【請求項19】
c-Junおよび作り変えられた受容体が、単一の発現ベクター構築物から共発現される、請求項17記載の組成物。
【請求項20】
単離されたT細胞が、腫瘍に対する特異性および腫瘍に対する活性を有するT細胞である、請求項1記載の組成物。
【請求項21】
T細胞が、腫瘍を認識し、腫瘍に応答する受容体を発現するように遺伝子的に改変された末梢血由来T細胞である、請求項20記載の組成物。
【請求項22】
T細胞が、1つ以上のAP-1阻害性複合体メンバーの発現および/または活性を低減および/または排除するようにさらに改変される、請求項1記載の組成物。
【請求項23】
AP-1阻害性複合体メンバーが、JunB、BATFファミリーメンバー、IRF4、ATFファミリーメンバー、またはそれらの組合せからなる群より選択される、請求項22記載の組成物。
【請求項24】
AP-1阻害性複合体メンバーがJunBおよび/またはBATF3である、請求項22記載の組成物。
【請求項25】
疾患または病理学的状態を有する被験体に、上昇したレベルの1つ以上のAP-1転写因子を発現するおよび/または含むように改変されたT細胞を含む組成物の有効量を投与する工程を含む、被験体において疾患または病理学的状態を治療する方法。
【請求項26】
AP-1転写因子がc-Junである、請求項25記載の方法。
【請求項27】
AP-1転写因子が変異/切断転写因子である、請求項26記載の方法。
【請求項28】
T細胞が、組換え受容体を発現するようにさらに改変される、請求項26記載の方法。
【請求項29】
c-Junおよび組換え受容体が、別の発現ベクター構築物から発現されるか、または
c-Junおよび組換え受容体が、単一の発現ベクター構築物から共発現される、
請求項28記載の方法。
【請求項30】
上昇したレベルの1つ以上のAP-1転写因子を発現するおよび/または含むように改変されたT細胞が、T細胞疲弊(exhaustion)をより経験しにくい、請求項25記載の方法。
【請求項31】
上昇したレベルの1つ以上のAP-1転写因子を発現するおよび/または含むように改変されたT細胞が、T細胞の標的細胞上の低抗原密度に対して増加された反応性を有する、請求項25記載の方法。
【請求項32】
上昇したレベルの1つ以上のAP-1転写因子を発現するおよび/または含むように改変されたT細胞が、記憶形性の減少をより経験しにくい、請求項25記載の方法。
【請求項33】
上昇したレベルの1つ以上のAP-1転写因子を発現するおよび/または含むように改変されたT細胞が、増殖能力の減少をより経験しにくい、請求項25記載の方法。
【請求項34】
疾患または状態が腫瘍または癌である、請求項25記載の方法。
【請求項35】
T細胞が、腫瘍または癌に特異的な組換え受容体を発現するように改変される、請求項34記載の方法。
【請求項36】
組換え受容体がキメラ抗原受容体(CAR)である、請求項35記載の方法。
【請求項37】
CARが、CD19、CD20、CD22、ROR1、GD2、EBVタンパク質または抗原、葉酸受容体、メソテリン、ヒト癌胎児性抗原、CD33/IL3Ra、c-Met、PSMA、糖脂質F77、EGFRvIII、NY-ESO-1、MAGE-A3、MART-1、GP1000およびp53からなる群より選択される腫瘍抗原に特異的である、請求項36記載の方法。
【請求項38】
疾患または状態がウイルス、細菌および/または寄生生物感染である、請求項25記載の方法。
【請求項39】
T細胞が、1つ以上のAP-1阻害性複合体メンバーの発現および/または活性を低減および/または排除するようにさらに改変される、請求項25記載の方法。
【請求項40】
AP-1阻害性複合体メンバーが、JunB、BATFファミリーメンバー、IRF4、ATFファミリーメンバーまたはそれらの組合せからなる群より選択される、請求項39記載の方法。
【請求項41】
AP-1阻害性複合体メンバーがJunBおよび/またはBATF3である、請求項40記載の方法。
【請求項42】
患者に、上昇したレベルの1つ以上のAP-1転写因子を発現するおよび/または含むように、かつ腫瘍抗原に特異的なキメラ抗原受容体(CAR)を発現するように改変されたT細胞を含む組成物の治療有効量を投与する工程を含む、患者において癌を治療するまたは癌の進行を遅らせる方法。
【請求項43】
投与する工程が、患者における癌性細胞の数を低減する、請求項42記載の方法。
【請求項44】
投与する工程が、患者における腫瘍負荷を低減するおよび/または取り除く、請求項42記載の方法。
【請求項45】
患者に、1つ以上の抗癌剤および/または1つ以上の化学療法剤を投与する工程をさらに含む、請求項42記載の方法。
【請求項46】
投与する工程が、患者が放射線療法を受ける前、それと同時および/またはその後に起こる、請求項42記載の方法。
【請求項47】
上昇したレベルの1つ以上のAP-1転写因子を発現するおよび/または含むように、かつ腫瘍抗原に特異的なキメラ抗原受容体(CAR)を発現するように改変されたT細胞が、T細胞疲弊をより経験しにくい、請求項42記載の方法。
【請求項48】
上昇したレベルの1つ以上のAP-1転写因子を発現するおよび/または含むように、かつ腫瘍抗原に特異的なキメラ抗原受容体(CAR)を発現するように改変されたT細胞が、T細胞の標的細胞上の低抗原密度に対して増加した反応性を有する、請求項42記載の方法。
【請求項49】
上昇したレベルの1つ以上のAP-1転写因子を発現するおよび/または含むように、かつ腫瘍抗原に特異的なキメラ抗原受容体(CAR)を発現するように改変されたT細胞が、記憶形性の減少をより経験しにくい、請求項42記載の方法。
【請求項50】
上昇したレベルの1つ以上のAP-1転写因子を発現するおよび/または含むように、かつ腫瘍抗原に特異的なキメラ抗原受容体(CAR)を発現するように改変されたT細胞が、増殖能力の減少をより経験しにくい、請求項42記載の方法。
【請求項51】
被験体における癌の治療または癌の進行の遅延における使用のための、上昇したレベルの1つ以上のAP-1転写因子を発現するおよび/または含むように、かつ腫瘍抗原に特異的なキメラ抗原受容体(CAR)を発現するように改変されたT細胞を含む、治療有効量の組成物。
【請求項52】
1つ以上抗癌剤および/または1つ以上の化学療法剤をさらに含む、請求項51記載の使用のための組成物。
【請求項53】
患者における癌性細胞の数を低減させ、かつ患者における腫瘍負荷を低減または排除する、請求項51記載の使用のための組成物。
【請求項54】
上昇したレベルの1つ以上のAP-1転写因子を発現するおよび/または含むように、かつ腫瘍抗原に特異的なキメラ抗原受容体(CAR)を発現するように改変されたT細胞が、T細胞疲弊をより経験しにくい、請求項51記載の方法。
【請求項55】
上昇したレベルの1つ以上のAP-1転写因子を発現するおよび/または含むように、かつ腫瘍抗原に特異的なキメラ抗原受容体(CAR)を発現するように改変されたT細胞が、T細胞の標的細胞上の低抗原密度に対して増加した反応性を有する、請求項51記載の方法。
【請求項56】
上昇したレベルの1つ以上のAP-1転写因子を発現するおよび/または含むように、かつ腫瘍抗原に特異的なキメラ抗原受容体(CAR)を発現するように改変されたT細胞が、記憶形性の減少をより経験しにくい、請求項51記載の方法。
【請求項57】
上昇したレベルの1つ以上のAP-1転写因子を発現するおよび/または含むように、かつ腫瘍抗原に特異的なキメラ抗原受容体(CAR)を発現するように改変されたT細胞が、増殖能力の減少をより経験しにくい、請求項51記載の方法。
【請求項58】
疾患または状態を有する患者に、1つ以上のAP-1阻害性複合体メンバーの発現および/または活性を低減および/または排除するように改変されたT細胞を含む組成物の有効量を投与する工程を含む、患者において疾患または状態を治療する方法。
【請求項59】
疾患または状態が癌である、請求項58記載の方法。
【請求項60】
AP-1阻害性複合体メンバーが、JunB、BATF3、BATFファミリーメンバー、IRF4、IRFファミリーメンバー、ATFファミリーメンバーまたはそれらの組合せからなる群より選択される、請求項59記載の方法。
【請求項61】
AP-1阻害性複合体メンバーがJunB、BATF3および/またはIRF4である、請求項58記載の方法。
【請求項62】
T細胞が、CRISPR-Cas9、shRNA、siRNA、RNAi、マイクロRNA、デグロン、調節可能プロモーターまたは薬理学的阻害により改変される、請求項58記載の方法。
【請求項63】
1つ以上のAP-1阻害性複合体メンバーの発現および/または活性を低減および/または排除するように改変された単離されたT細胞を含む組成物。
【請求項64】
AP-1阻害性複合体メンバーが、JunB、BATF3、BATFファミリーメンバー、IRF4、IRFファミリーメンバー、ATFファミリーメンバーまたはそれらの組合せからなる群より選択される、請求項63記載の組成物。
【請求項65】
AP-1阻害性複合体メンバーがJunB、BATF3および/またはIRF4である、請求項63記載の組成物。
【請求項66】
上昇したレベルの1つ以上のAP-1転写因子を過剰発現するおよび/または含むように改変された単離されたT細胞が、T細胞疲弊をより経験しにくい、請求項1記載の組成物。
【請求項67】
上昇したレベルの1つ以上のAP-1転写因子を過剰発現するおよび/または含むように改変された単離されたT細胞が、T細胞の標的細胞上の低抗原密度に対して増加した反応性を有する、請求項1記載の組成物。
【請求項68】
上昇したレベルの1つ以上のAP-1転写因子を過剰発現するおよび/または含むように改変された単離されたT細胞が、記憶形性の減少をより経験しにくい、請求項1記載の組成物。
【請求項69】
上昇したレベルの1つ以上のAP-1転写因子を過剰発現するおよび/または含むように改変された単離されたT細胞が、増殖能力の減少をより経験しにくい、請求項1記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願についての相互参照
本願は、それらの全体において参照により本明細書に援用される、2018年9月28日に出願された米国仮特許出願第62/738,687号および2017年12月15日に出願された米国仮特許出願第62/599,299号の優先権および利益を主張する。
【0002】
発明の分野
本発明は、療法および治療の文脈におけるT細胞組成物およびその使用方法に関する。特に本発明は、改変されないT細胞が疲弊(exhaustion)を示す条件下で機能性を維持するように(例えば遺伝子的および/または機能的に)改変されるT細胞を提供する。本明細書に開示される組成物および方法は、作り変えられたT細胞(例えばキメラ抗原受容体(CAR) T細胞)および作り変えられないT細胞の疲弊を予防して、それによりT細胞機能(例えば癌または感染性疾患に対する活性)を高めることにおける使用を見出す。本発明の組成物および方法は、例えば生物学、免疫学、医学および腫瘍学の分野における臨床および研究設定の両方における使用を見出す。
【背景技術】
【0003】
背景
T細胞は、抗原との結合後のT細胞受容体(TCR)シグナル伝達および共刺激を介して活性化される免疫細胞である。T細胞受容体を介した生理学的活性化は、T細胞が、強力な抗腫瘍および/または抗感染効果を媒介できるようにする。急性炎症性応答の消散の際に、活性化したエフェクターT細胞のサブセットは長期生存記憶細胞に分化する。対照的に、慢性感染症または癌を有する患者において、T細胞は、T細胞疲弊と称される機能不全の状態に向かう病理学的分化をまれではなく経験する。T細胞疲弊は、代謝機能、転写プログラミング、エフェクター機能(例えばサイトカイン分泌、殺傷能力)の消失および複数の表面阻害性受容体の共発現における著しい変化を特徴とする。T細胞疲弊の根源的な原因は、連続的なTCRシグナル伝達を引き起こす持続的な抗原暴露である。T細胞疲弊の予防または逆転は、長く、(例えば癌または慢性感染症を有する患者における)T細胞有効性を高めるための手段として考えられてきた。
【0004】
キメラ抗原受容体(CAR)T細胞は、B細胞悪性疾患において印象的な応答速度を示すが、B-ALL1および大B細胞リンパ腫を有する患者において約50%のみで(参照文献2;その全体において参照により本明細書に援用される)、およびCLLにおいては一層低い頻度で(参照文献3; その全体において参照により本明細書に援用される)長期の疾患制御が生じる。さらに、多くの試験に関わらず、CAR T細胞は、固形腫瘍において持続的な抗腫瘍効果を媒介しなかった(参照文献4; その全体において参照により本明細書に援用される)。抗原喪失バリアントの迅速な選択を可能にする最適なCAR機能のための不均一な抗原発現および高い抗原密度の必要性(参照文献5〜7; それらの全体において参照により本明細書に援用される)、抑制性腫瘍微小環境(参照文献8; その全体において参照により本明細書に援用される)、ならびにT細胞疲弊の結果としての固有のT細胞機能不全(参照文献3、9、10; それらの全体において参照により本明細書に援用される)を含む多くの要因により、CAR T細胞の有効性が制限される。T細胞疲弊は、CAR T細胞におけるT細胞機能不全の原因として段々とみなされている。scFv凝集のための持続的な抗原非依存的シグナル伝達は、一般的にCARを発現するT細胞において起こり、迅速な疲弊を誘導し得る(参照文献9; その全体において参照により本明細書に援用される)。CD28エンドドメインの第2世代CAR T細胞受容体への組み込みは拡大(expansion)を増強するが、持続的にシグナル伝達する受容体の設定および高腫瘍負荷に暴露されるCD19-28z CAR T細胞の両方で、CAR T細胞を疲弊しやすくもする(参照文献9; その全体において参照により本明細書に援用される)。CD19-BBz CAR移植片に含まれる疲弊特徴を有するT細胞の頻度の増加は、最近では、非応答性とCLL3について治療された応答性の患者を区別することが示された。多様な試験由来の広範囲の(broad base of)基盤のデータは、CAR T細胞治療薬の有効性を制限する主要な要因として、T細胞疲弊のための固有のT細胞機能不全を暗示し、疲弊抵抗性のCAR T細胞を作り変えることにより、臨床結果を実質的に向上し得るという見込みを生じさせる。
【発明の概要】
【0005】
概要
本発明は、作り変えられたT細胞(例え作り変えられたT細胞受容体またはキメラ抗原受容体(CAR)などの合成受容体を発現するように作り変えられたT細胞)および作り変えられない(例えば天然の)T細胞の疲弊の予防における使用のための組成物および方法に関する。本発明に従って(例えばT細胞疲弊を予防するように)改変されたT細胞、それを含む組成物およびその使用方法は、T細胞機能(例えば癌または感染性疾患に対する活性)を高める。
【0006】
CAR T細胞は、癌患者の小サブセットにおいて抗腫瘍効果を媒介するが、T細胞疲弊のための機能不全は、進歩に対する重大な障壁である。CAR受容体を発現するヒトT細胞における疲弊の生物学を調べるために、本明細書の態様の開発の間に、他の設定に記載される疲弊の特徴を誘導する、持続的にシグナル伝達するCARを使用するモデル系を使用する実験を行った。結果は、疲弊が、AP-1転写因子モチーフのクロマチンアクセシビリティの増加を伴うIL-2産生の甚大な欠陥、ならびに阻害性活性に関係する多くのbZIPおよびIRF転写因子の過剰発現と関係したことを示す。AP-1因子(例えばc-Jun)を過剰発現するようにCAR T細胞を作り変えることは、多くのインビボ腫瘍モデルにおいて、拡大能力を高め、機能的能力を増加させ、最終的分化を減少させ、抗腫瘍能力を向上した。
【0007】
本明細書における態様の開発の際に行った実験は、さらに、AP-1因子(例えばc-Jun)における機能的欠損が、疲弊したヒトT細胞における機能不全を媒介すること、およびAP-1因子(例えばc-Jun)を過剰発現するようにCAR T細胞を作り変えることが、T細胞を疲弊抵抗性にし、それによりこの新生の部類の治療薬に対する進歩の大きな障壁に対処することを示す。
【0008】
本明細書における態様の開発の際に行った実験は、さらに、IRF4のノックダウンは疲弊したHA-28z CAR T細胞の機能的活性を劇的に増加させること、c-Jun改変HA-28z CAR T細胞のインビボ機能の増強は、IL-2のエクソビボ提供により繰り返され得ないこと、c-Junは抑制性固形腫瘍微小環境におけるHer2-BBz CAR T細胞細胞活性を高めたこと、c-Jun過剰発現は、疲弊したHA-28z CAR T細胞のTGFβ媒介性抑制に対する抵抗性を増加させること、ならびにc-Jun改変細胞における転写の変化は、疲弊の低減および記憶形性の増加と矛盾しないことを示す。
【0009】
本明細書に記載されるように、上昇したレベル(例えば生理学的に上昇したレベルを有するように作製される)の1つ以上のアクチベータータンパク質1(AP-1)転写因子(例えばc-Fos、c-Jun、活性化転写因子(ATF)およびJun二量体化タンパク質(JDP)ファミリー)を過剰発現および/または含むように改変される、および/または1つ以上のAP-1阻害性複合体メンバー(例えばJunBおよびBATF3および他のBATFファミリーメンバー、IRF4、およびATFファミリーメンバー)の発現および/または活性の低減について(例えば遺伝子的に)改変される、作り変えられたT細胞(例えば作り変えられたT細胞受容体またはCARなどの合成受容体を発現するように作り変えられたT細胞)、および作り変えられない(例えば自然、天然の)T細胞が提供される。
【0010】
したがって、一局面において、本発明は、上昇したレベルの1つ以上のAP-1転写因子を過剰発現および/または含むように改変されるT細胞を提供する。例えば、一態様において、c-Junは、作り変えられたT細胞受容体またはキメラ抗原受容体(CAR)などの合成受容体を発現するように作り変えられるT細胞において発現される。別の態様において、c-Junは、自然の、天然のT細胞受容体を有するT細胞において発現される。本発明は1つ以上のAP-1転写因子を発現させる手段により限定されない。一態様において、作り変えられたTCRまたはCARと共発現される場合、c-Jun(および/または他のAP-1転写因子)および作り変えられた受容体は、別のウイルスベクターから共発現される。別の態様において、それらは、バイシストロニックベクターを使用して単一のベクター構築物から発現される。c-Jun(および/または他のAP-1転写因子)は、(例えば小分子を介して遠隔的に発現を制御する系を使用して、または内因的に制御された系を使用して)構成的にまたは制御された様式で発現され得る。c-Junおよび/または他のAP-1転写因子遺伝子は、別の態様において、レトロウイルス、レンチウイルスもしくは他のウイルスベクターを使用してまたはCRISPR/Cas9に基づく系を介して細胞性DNAに遺伝子的に組み込まれ得る。さらに別の態様において、c-Junおよび/または他のAP-1転写因子は、RNAもしくは腫瘍崩壊性ウイルスまたは当該技術分野で公知の他の一過的発現系を介して発現される。c-Junおよび/または他のAP-1転写因子は、養子移入のためにエクソビボでT細胞に送達され得るかまたはインビボ遺伝子転入により送達され得る。
【0011】
同様に、本発明は、上昇したレベルの1つ以上のAP-1転写因子を過剰発現および/または含むように改変される、および/または1つ以上のAP-1阻害性複合体メンバー(例えばJunBおよびBATF3および他のBATFファミリーメンバー、IRF4およびATFファミリーメンバー)の発現および/または活性の低減について(例えば遺伝子的に)改変されるT細胞の型により限定されない。いくつかの態様において、T細胞は、CD3+ T細胞(例えばCD4+とCD8+ T細胞の組合せ)である。ある態様において、T細胞 は、CD8+ T細胞である。他の態様において、T細胞は、CD4+ T細胞である。いくつかの態様において、T細胞は、ナチュラルキラー(NK)T細胞である。いくつかの態様において、T細胞は、αβT細胞である。いくつかの態様において、T細胞は、γδT細胞である。いくつかの態様において、T細胞は、CD4+とCD8 T+細胞の組合せ(例えばCD3+である)である。ある態様において、T細胞は、記憶T細胞である。ある態様において、記憶T細胞は、中心記憶T細胞である。ある態様において、記憶T細胞は、エフェクター記憶T細胞である。いくつかの態様において、T細胞は、腫瘍浸潤リンパ球である。ある態様において、T細胞は、CD8+ T細胞、CD4+ T細胞、NK T細胞、記憶T細胞および/またはγδT細胞の組合せである。いくつかの態様において、T細胞は、サイトカイン誘導性キラー細胞である。
【0012】
いくつかの態様において、T細胞は抗腫瘍T細胞(例えば抗原に応答して活性化され、拡大する、腫瘍(例えば自己腫瘍)に対して活性を有するT細胞)である。抗腫瘍T細胞(例えば養子T細胞移植に有用)としては、一態様において、腫瘍抗原を認識して応答する受容体で遺伝子的に改変された末梢血由来T細胞が挙げられる。かかる受容体は一般的に、細胞内T細胞シグナル伝達モチーフに連結された、腫瘍抗原に特異的な単鎖抗体(scFv)を含む細胞外ドメインで構成される(例えばWestwood, J. A. et al, 2005, Proc. Natl. Acad. Sci., USA, 102(52):19051-19056参照)。他の抗腫瘍T細胞としては、切除された腫瘍または腫瘍生検から得られるT細胞(例えば腫瘍浸潤リンパ球(TIL)が挙げられる。別の態様において、T細胞は、ポリクローナルまたはモノクローナル腫瘍反応性T細胞(例えばアフェレーシスにより得られ、自己または人工の抗原提示細胞により提示される腫瘍抗原に対してエクソビボで拡大される)である。別の態様において、T細胞は、腫瘍抗原を認識するヒトまたはマウス起源のT細胞受容体を発現するように作り変えられる。本発明は、そのように認識される腫瘍抗原の種類により限定されない。実際に、腫瘍抗原を認識する受容体を含む任意のT細胞は、本発明の組成物および方法における使用を見出す。例としては、限定されないが、CD19、CD20、CD22、受容体チロシンキナーゼ様オーファン受容体1(ROR1)、ジシアロガングリオシド2(GD2)、エプスタイン-バールウイルス(EBV)タンパク質または抗原、葉酸受容体、メソテリン、ヒト癌胎児性抗原(CEA)、CD33/IL3Rα、チロシンプロテインキナーゼMet(c-Met)または肝細胞成長因子受容体(HGFR)、前立腺特異的膜抗原(PSMA)、糖脂質F77、上皮成長因子受容体バリアントIII(EGFRvIII)、NY-ESO-1、黒色腫抗原遺伝子(MAGE)ファミリーメンバーA3(MAGE-A3)、T細胞により認識される黒色腫抗原1(MART-1)、GP1000、p53、または本明細書に記載される他の腫瘍抗原から選択される抗原を認識する受容体(例えば天然もしくは自然に存在する受容体、または作り変えられたT細胞受容体もしくはCARなどの合成受容体を発現するように作り変えられた受容体)を発現するT細胞が挙げられる。
【0013】
いくつかの態様において、T細胞はCARを発現するように作り変えられる。本発明はCARの種類により限定されない。実際に、所望の抗原(例えば腫瘍抗原)に特異性を持って結合する任意のCARは、上昇したレベル(例えば生理学的に上昇したレベルを有するようにつくられる)の1つ以上のAP-1転写因子(例えばc-Jun)を過剰発現するおよび/または含むように、本明細書に開示および記載されるように改変され得る。ある態様において、CARは、抗原結合ドメインを含む。ある態様において、抗原結合ドメインは、所望の抗原に特異性を持って結合する重鎖および軽鎖可変領域を含む単鎖可変断片(scFv)である。いくつかの態様において、CARはさらに、膜貫通ドメイン(例えばT細胞膜貫通ドメイン(例えばCD28膜貫通ドメイン))および1つ以上の免疫受容体チロシン系活性化モチーフ(ITAM)を含むシグナル伝達ドメイン(例えばT細胞受容体シグナル伝達ドメイン(例えばTCRζ鎖)を含む。いくつかの態様において、CARは、1つ以上の共刺激性ドメイン(例えばT細胞活性化を刺激するために第2のシグナルを提供するドメイン)を含む。本発明は、共刺激性ドメインの種類により限定されない。実際に、限定されないがCD28、OX40/CD134、4-1BB/CD137/TNFRSF9、高親和性免疫グロブリンE受容体γサブユニット(FcERIγ、ICOS/CD278、インターロイキン2サブユニットβ(ILRβ)またはCD122、サイトカイン受容体共通サブユニットγ(IL-2Rγ)またはCD132およびCD40を含む当該技術分野で公知の任意の共刺激性ドメインが使用され得る。一態様において、共刺激ドメインは4-1BBである。
【0014】
一局面において、本発明は、疾患または状態を有する被験体(例えば患者)に、上昇したレベルの1つ以上のAP-1転写因子を発現および/または含むように改変され、および/または1つ以上のAP-1阻害性複合体メンバー(例えばJunBおよびBATF3および他のBATFファミリーメンバー、IRF4、およびATFファミリーメンバー)の低減された発現および/または活性について(例えば遺伝子的に)改変されたT細胞の有効量を投与する工程を含む、被験体において疾患または状態を治療する方法を提供する。本発明は、治療される疾患または状態の種類により限定されない。実際に、T細胞の投与により治療可能な任意の疾患または状態(例えば治療の際に疾患の徴候または症状が緩和される)は、(例えば上昇したレベルの1つ以上のAP-1転写因子を発現および/または含むように改変されるT細胞を含むおよび/または使用する)本発明の組成物および方法を使用して、向上されかつより効果的な様式で治療され得る。一態様において、疾患または状態は癌である。別の態様において、疾患または状態は感染性疾患である。本発明は、癌の種類または感染性疾患の種類により限定されない。実際に、治療のためにT細胞療法が使用される当該技術分野で公知の任意の癌は、本発明の組成物および方法を用いて治療され得る。同様の様式において、治療のためにT細胞療法が使用される当該技術分野で公知の任意の感染性疾患は、本発明の組成物および方法を用いて治療され得る。一態様において、疾患または状態を有する被験体(例えば患者)への、上昇したレベルの1つ以上のAP-1転写因子および/または1つ以上のAP-1阻害性複合体メンバーの低減された発現および/または活性を発現および/または含むように改変されたT細胞の有効量の投与は、(例えば上昇したレベルの1つ以上のAP-1転写因子を発現および/または含むようにあるいは1つ以上のAP-1阻害性複合体メンバーの低減された発現および/または活性を有するように改変されない作り変えられたT細胞(例えばCAR T細胞または組み換えTCRを含むT細胞)の同じ量を受ける被験体と比較して)T細胞疲弊を阻害する。
【0015】
したがって、一態様において、本発明は、上昇したレベルの1つ以上のAP-1転写因子および/または1つ以上のAP-1阻害性複合体メンバーの低減された発現および/または活性を発現および/または含むようなT細胞の改変により、(例えばそのように改変されない対照T細胞と比較して)T細胞疲弊を阻害する(例えば過剰な抗原に暴露されたT細胞の機能性を(例えば疾患または状態を治療する文脈において)維持する)方法を提供する。一態様において、上昇したレベルの1つ以上のAP-1転写因子(例えばc-Jun)を発現および/または含むように改変されたT細胞は、増加した機能性および/または活性(例えば増加した抗原誘導サイトカイン産生、増強された殺傷能力(例えば低い(low)表面抗原を有する腫瘍標的の増加した認識)、増加した記憶細胞形成、および/または抗原に応答した増強された増殖)および/または低減された疲弊の特徴(例えば疲弊を示すマーカー(例えばPD-1、TIM-3、LAG-3)のより低いレベルおよび/またはプログラム細胞死のより低いレベル)を示す。いくつかの態様において、上昇したレベルの1つ以上のAP-1転写因子および/または1つ以上のAP-1阻害性複合体メンバーの低下した発現および/または活性を発現および/または含むように改変された本明細書に記載されるT細胞は、(例えば作り変えられたT細胞(例えばCAR T細胞)および/または作り変えられない天然のT細胞の)臨床有効性を有意に増強する。
【0016】
ある態様において、本発明は、上昇したレベルの1つ以上のAP-1転写因子を発現するおよび/または含むように改変されたT細胞を含む組成物の治療有効量を用いた癌を有する被験体の治療は、正常の量の1つ以上のAP-1転写因子を発現するT細胞を用いた癌を有する被験体の治療よりも優れることを示す。いくつかの態様において、上昇したレベルの1つ以上のAP-1転写因子を発現するおよび/または含むように改変されたT細胞を含む免疫療法組成物の治療有効量を用いた癌に苦しむ動物(例えばヒト)の治療は、癌細胞の発達もしくは成長を阻害するかおよび/または癌細胞を他の治療(例えば癌治療薬または放射線療法の細胞死誘導活性)に対してより感受性な集団にする。したがって、本発明の組成物および方法は、(例えば癌細胞を殺傷するおよび/または癌細胞の成長を低減もしくは阻害する、癌細胞におけるアポトーシスおよび/または細胞周期停止を誘導するための)単一療法として使用され得るか、またはより大きな割合の癌細胞を殺傷に対して感受性にするための他の抗癌剤などの1つ以上のさらなる薬剤(例えば細胞死誘導または細胞周期破壊(cell cycle-disrupting)癌治療薬または放射線療法)と組み合わせて投与された場合、癌治療薬または放射線療法単独のみで治療される動物における細胞の対応する割合と比較して、癌細胞成長を阻害したか、アポトーシスおよび/または細胞周期停止を誘導した。
【0017】
したがって、ある態様において、本発明は、患者に、上昇したレベルの1つ以上のAP-1転写因子(例えばc-Jun)を発現するおよび/または含むように(例えば遺伝子的に)改変され、および/または1つ以上のAP-1阻害性複合体メンバー(例えばJunBおよびBATF3および他のBATFファミリーメンバー、IRF4、およびATFファミリーメンバー)の低減された発現および/または活性について(例えば遺伝子的に)改変されたT細胞を含む組成物の治療有効量を投与する工程を含む、患者において癌を治療するまたは癌の進行を遅延させる方法を提供する。ある態様において、改変されたT細胞組成物の治療有効量は、かかる治療後に患者において癌細胞の数を低減する。ある態様において、改変されたT細胞組成物の治療有効量は、かかる治療後に患者において腫瘍負荷を低減および/または排除する。ある態様において、該方法はさらに、患者に対して放射線療法を投与する工程を含む。ある態様において、放射線療法は、患者が改変されたT細胞組成物の治療有効量を受ける前、それと同時および/またはその後に施される。ある態様において、該方法はさらに、患者に、1つ以上の抗癌剤および/または1つ以上の化学療法剤を投与する工程を含む。ある態様において、1つ以上の抗癌剤および/または1つ以上の化学療法剤は、患者が改変されたT細胞組成物の治療有効量を受ける前、それと同時および/またはその後に投与される。ある態様において、改変されたT細胞の治療有効量および一連の抗癌剤を用いた患者の組合せ治療は、改変されたT細胞または抗癌薬/放射線単独で治療された患者と比較して、かかる患者においてより大きな腫瘍応答および臨床的利益を生じる。全ての承認された抗癌薬および放射線治療のための用量は公知であるので、本発明は、該用量と改変されたT細胞の種々の組合せを企図する。
【0018】
ある態様において、本発明は、(例えば被験体における癌の治療または癌の進行の遅延における使用のための)本開示に従って改変されたT細胞を含む組成物(例えば免疫療法組成物)の治療有効量を提供する。本明細書に記載されるように、該組成物は、1つ以上の抗癌剤、例えば1つ以上の化学療法剤をさらに含み得る。本発明はまた、細胞周期停止および/またはアポトーシスを誘導するための組成物の使用を提供する。本発明はまた、細胞を、アポトーシスおよび/または細胞周期停止の誘導物質などのさらなる薬剤(1つまたは複数)に対して感化させるためのならびに化学療法剤を用いた治療の前の細胞周期停止の誘導による正常細胞の化学保護のための組成物の使用に関する。本発明の組成物は、任意の型の癌または感染性疾患およびさらにアポトーシス性細胞死の誘導に応答性の任意の細胞などの障害(例えば癌などの過増殖性疾患を含むアポトーシスの制御障害を特徴とする障害)の治療、改善または予防に有用である。ある態様において、該組成物は、癌療法に対する抵抗性をさらに特徴とする癌(例えばこれらの癌細胞は、化学抵抗性、放射線抵抗性、ホルモン抵抗性等である)を治療、改善または予防するために使用され得る。本発明はまた、薬学的に許容され得る担体中に本発明の改変されたT細胞を含む組成物(例えば免疫療法組成物)を含む医薬組成物を提供する。
【0019】
別の態様において、本発明は、患者に、(例えばT細胞疲弊を予防するために)TCRシグナル伝達の阻害剤の治療有効量と組み合わせて、上昇したレベルの1つ以上のAP-1転写因子(例えばc-Jun)を発現するおよび/または含むように(例えば遺伝子的に)改変されたT細胞を含む組成物の治療有効量を投与する工程を含む、患者において癌を治療するまたは癌の進行を遅延させる方法を提供する。ある態様において、TCRシグナル伝達の阻害剤はチロシンキナーゼ阻害剤である。別の態様において、チロシンキナーゼ阻害剤はLckキナーゼを阻害する。TCRシグナル伝達の阻害剤は、任意の適切な投与形態により投与され得るが、典型的には経口投与される。複数サイクルの治療が被験体に投与され得る。ある態様において、TCRシグナル伝達の阻害剤は、標準的な投与計画に従って(例えば毎日または間欠的に)投与される。別の態様において、TCRシグナル伝達の阻害剤は、少なくとも部分的なT細胞機能を修復するのに十分な時間の間投与され、次いで中断される。
【0020】
本発明のこれらおよび他の態様は、本明細書の開示を考慮して、当業者が容易に思いつく。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図面の説明
【図1】図1A〜Bは、AP-1転写因子c-Fosおよびc-JunがGD2-28Z疲弊CAR T細胞において下方制御されることを示す。
【図2-1】図2A〜Cは、強化されたAP-1発現が、CAR T細胞の疲弊の特徴を低減することを示す。
【図2-2】図2D〜Eは、強化されたAP-1発現が、CAR T細胞の疲弊の特徴を低減することを示す。
【図3-1】図3A〜Cは、AP-1の機能的利益が、主にc-Jun発現からのものであることを示す。
【図3-2】図3D〜Eは、AP-1の機能的利益が、主にc-Jun発現からのものであることを示す。
【図3-3】図3Fは、AP-1の機能的利益が、主にc-Jun発現からのものであることを示す。
【図4-1】図4A〜Bは、CARによるc-Junのバイシストロニック発現がCAR T機能的活性を増強することを示す。
【図4-2】図4Cは、CARによるc-Junのバイシストロニック発現がCAR T機能的活性を増強することを示す。
【図4-3】図4Dは、CARによるc-Junのバイシストロニック発現がCAR T機能的活性を増強することを示す。
【図4-4】図4Eは、CARによるc-Junのバイシストロニック発現がCAR T機能的活性を増強することを示す。
【図5-1】図5Aは、CARによるc-Junのバイシストロニック発現がCAR T機能的活性および中心的記憶表現型を増強することを示す。
【図5-2】図5Bは、CARによるc-Junのバイシストロニック発現がCAR T機能的活性および中心的記憶表現型を増強することを示す。
【図5-3】図5Cは、CARによるc-Junのバイシストロニック発現がCAR T機能的活性および中心的記憶表現型を増強することを示す。
【図6-1】図6A〜Bは、CARによるc-Junのバイシストロニック発現が、CAR T細胞前炎症サイトカイン産生を増強し、IL-10を減少することを示す。
【図6-2】図6C〜Fは、CARによるc-Junのバイシストロニック発現が、CAR T細胞前炎症サイトカイン産生を増強し、IL-10を減少することを示す。
【図7-1】図7A〜Bは、c-Junのバイシストロニック発現が、低レベルの抗原を有する腫瘍細胞に応答してCD19およびCD22 CAR T細胞活性を増強することを示す。
【図7-2】図7Cは、c-Junのバイシストロニック発現が、低レベルの抗原を有する腫瘍細胞に応答してCD19およびCD22 CAR T細胞活性を増強することを示す。
【図7-3】図7D〜Eは、c-Junのバイシストロニック発現が、低レベルの抗原を有する腫瘍細胞に応答してCD19およびCD22 CAR T細胞活性を増強することを示す。
【図8-1】図8A〜Bは、阻害性AP-1ファミリーメンバーJunBおよびBATF3のノックダウンが、疲弊したCAR T細胞においてIL2産生を増加することを示す。(A) HA-28Z疲弊CAR T細胞におけるJunBのCRISPR遺伝子ノックアウト(KO)は、GD2+細胞株Nalm6-GD2(左)、143B骨肉腫(中)およびKelly神経芽腫(右)への暴露後にIL2(上)およびIFNg(下)産生を劇的に増加する。この増加は、c-Jun過剰発現(OE)単独についてよりもかなり大きかった。二重JUNB-KOおよびcJUN-OE T細胞は、JUNB-ko単独と比較して、何ら利益を示さなかった。(B) GD2-BBZ CAR T細胞におけるJunBのCRISPR遺伝子ノックアウト(KO)は、GD2+細胞株Nalm6-GD2(左)、143B骨肉腫(中)およびKelly神経芽腫(右)への暴露後にIL2(上)およびIFNg(下)産生を有意に増加するが、c-Jun過剰発現(OE) GD2-BBZ CAR T細胞は、最も大きな機能的利益を示した。二重JUNB-KOおよびcJUN-OE T細胞は、cJUN-OE単独と比較して何ら利益を示さなかった。
【図8-2】図8C〜Dは、阻害性AP-1ファミリーメンバーJunBおよびBATF3のノックダウンが、疲弊したCAR T細胞においてIL2産生を増加することを示す。(C) CD19-28Z(左)またはCD19-BBZ(右)CAR T細胞におけるJunBのCRISPR遺伝子ノックアウト(KO)は、Nalm6-GD2白血病細胞への暴露後にIL2(上)産生に影響を及ぼさず、JunBは、持続的にシグナル伝達/疲弊したGD2 CAR T細胞においてのみ強力な阻害剤であることが示唆された。(D) HA-28Z疲弊CAR T細胞におけるBATF3のCRISPR遺伝子ノックアウト(KO)は、Nalm6-GD2(左)およびKelly神経芽腫(右)への暴露後にIL2(上)産生を増加するが、IFNγ産生は変化しない。BATF3を標的化する3つの独立したgRNAを使用して編集されたHA-28Z疲弊CAR T細胞は全て、対照またはZB2編集対照と比較して、増加したIL2産生を示した。
【図9】図9A〜Bは、c-Jun発現HA-GD2 CAR T細胞が、未改変HA-GD2 CAR T細胞と比較して、優れた治療的なインビボ活性を示すことを示す。ホタルルシフェラーゼを安定に発現するNalm6-GD2白血病細胞の成長は、2(106 CAR+またはモック(Mock)(非形質導入)T細胞の養子移入後の生物発光画像化を使用してインビボで追跡した。(A)経時的に定量した生物発光。(B)個々のマウスを示す画像。1群当たりn=5マウス。(モックd32スケールを調整する以外、スケールは全て1(104〜1(106である)。
【図10】図10は、c-Jun改変GD2-BBZ CAR T細胞が、攻撃的143B骨肉腫固形腫瘍モデルにおいてすぐれたインビボ活性を示すことを示す。筋内に植え込まれた143B骨肉腫腫瘍細胞の成長は、1(107CAR+またはモック(非形質導入)T細胞の養子移入後に、カリパス測定を使用してインビボで追跡した。(A) 1群当たりn=5マウスについて経時的に定量した腫瘍成長。
【図11】図11A〜Dは、c-Jun改変CD19 CAR T細胞が、CD19low Nalm6白血病に対して増強されたインビボ活性を示すことを示す。3(106 CAR+ T細胞は、CD19-lowクローンF Nalm6白血病腫瘍を有するマウスにIV送達された。(A〜B) CD19-BBZ CAR T細胞+/- c-Junで治療したマウスの腫瘍成長(A)および生存(B)。c-Jun改変CD19-BBZ CAR T細胞は、低減した腫瘍成長および有意に増強された生存を示す。(C〜D) CD19-28Z CAR T細胞+/-c-Junで治療されたマウスの腫瘍成長(C)および生存(D)。c-Jun改変CD19-28Z CAR T細胞は、初期に低減した腫瘍成長を示すが、CD19-陰性疾患は最終的に、両方の群で再び成長し、生存利益はない(p>0.05)。
【図12-1】図12A〜Dは、HA-28z CAR T細胞が、表現型的、機能的、転写的および後成的なT細胞疲弊の特徴を表すことを示す。a)第1の拡大培養の間のHA-28z 対 CD19-28z CAR T細胞の拡大の低下。D0=ビーズ活性化、D2=形質導入。エラーバーは、n=10のドナーからの平均±SEMを示す。b)疲弊関連マーカーの表面発現(D10)。c) CD19-28zは主に、T幹細胞記憶(CD45RA+CD62L+)および中心記憶(CD45RA- CD62L+を含み、一方HA-28zは主に、CD45RA-CD62L-エフェクター記憶細胞を含む(D10)。d) IL-2(左)およびIFNg(右)は、CD19+GD2+ Nalm6- GD2白血病細胞との共培養の24時間後に放出される。エラーバーは、三重のウェル由来の平均±SDを示す。それぞれのアッセイについて示される1つの代表的なドナー。N-ナイーブ、CM-中心記憶。*p<.05、**p<.01、***p<.001。ns p>.05。
【図12-2】図12E〜Hは、HA-28z CAR T細胞が、表現型的、機能的、転写的および後成的なT細胞疲弊の特徴を表すことを示す。e)ナイーブおよびCM由来のCD19またはHA CAR T細胞の全体的な転写プロフィールの、培養の7、10および14日目の主成分分析(PCA)。PC1 (39.3%変動)は、CD19とHA CAR T細胞を分離する。f) PC1を駆動する上位200遺伝子の遺伝子発現。それぞれのクラスターにおける目的の遺伝子は上に列挙される。g) CD8+ CD19およびHA-28z CAR T細胞内の差異的に(differentially)接近可能なクロマチン領域(D10)。NとCMの両方のサブセットはそれぞれのCARに組み込まれる。h) CD19またはHA-28z CAR T細胞におけるATAC-seqクロマチンアクセシビリティのPCA(D10)。PC1 (76.9%変動)は、CD19とHA CAR試料を分離する。N-ナイーブ、CM-中心記憶。*p<.05、**p<.01、***p<.001。ns p>.05。
【図12-3】図12I〜Jは、HA-28z CAR T細胞が、表現型的、機能的、転写的および後成的なT細胞疲弊の特徴を表すことを示す。i)サブセット由来CD19およびHA-28z CAR T細胞の全体的なクロマチンアクセシビリティプロフィール(D10)。上位5000の差異的に接近可能な領域(ピーク)。j) CTLA4(上)またはIL7R(下)の座におけるCD19およびHA CAR T細胞内の差異的に接近可能なエンハンサー領域。N-ナイーブ、CM-中心記憶。*p<.05、**p<.01、***p<.001。ns p>.05。
【図13-1】図13A〜Cは、疲弊したCAR T細胞におけるAP-1ファミリーのシグネチャ(signature)を示す。a) chromVAR分析による10日目HA 対 CD19-CAR発現T細胞における上位25の転写因子モチーフの散逸スコア(deviation score)は、NまたはCMサブセット由来のCD4+およびCD8+ T細胞における無数のAP-1(bZIP)ファミリーメンバーを明らかにする(D10)。b) N CD8+ HA-28z CAR T細胞におけるTFモチーフ富化分析により最も有意に富化されるものとしてAP-1 (bZIP)ファミリーモチーフが示される。c) CD19およびHA-28z CAR T細胞における示されるAP-1 (bZIP)およびIRFファミリーメンバーのバルクRNA-seq発現(FPKM)。エラーバーは、それぞれの遺伝子について対になったCD19 対 HA発現を示す3つのドナーにわたるn=6の試料由来の平均±SEMを示す。p値は、ウィルコクソン対応有り(matched-pair)符号順位検定を使用して作成された。*p<.05、**p<.01、***p<.001。ns p>.05。
【図13-2】図13D〜Eは、疲弊したCAR T細胞におけるAP-1ファミリーのシグネチャ(signature)を示す。d) CD19-28zおよびHA-28z CAR T細胞を溶解して、示されるAP-1ファミリータンパク質の発現を、ウエスタンブロットにより評価した。CD19 CAR T細胞と比較したHA-28z CAR T細胞におけるJunB、BATF3およびIRF4の増加したタンパク質発現は、培養の7、10および14日目に確認した。e) 1細胞RNA-seq分析を使用したN由来CD8+(左)およびCD4+(右) GD2-28z CAR T細胞における疲弊関連転写因子の相関ネットワーク。DESeq2により差異的に発現する(p<0.05)と同定された転写因子遺伝子は、ネットワークの節を形成する。色は、log2倍率変化(FC)を示す(GD2 対 CD19 CAR)。縁の太さは細胞にわたる遺伝子の関連のあるペアの間の発現の相関の大きさを示す。>0.1の相関スコアを使用してネットワークを構築した。*p<.05、**p<.01、***p<.001。ns p>.05。
【図14-1】図14A〜Eは、c-Jun過剰発現が、疲弊したCAR T細胞の機能を増強することを示す。a) JUN-P2A-CAR発現ベクターの模式図。b)対照およびJUN改変CAR T細胞における総c-Jun発現を示す細胞内フローサイトメトリー(D10)。c)対照およびJUN改変CD19およびHA CAR T細胞における総c-Junおよびホスホ-c-JunSer73についてのウエスタンブロット(D10)。抗原+腫瘍細胞に応答した対照(青色)またはJUN改変(赤色) CD19およびHA CAR T細胞の24時間共培養後の(d) IL-2および(e) IFNg産生。エラーバーは、三重のウェルの平均±SDを示す。1つの代表的なドナー由来のデータを示す。複数のドナーにわたるJUN 対 対照CAR T細胞におけるIL-2またはIFNg産生の倍率増加(fold increase)が図24に見られ得る。*p<.05、**p<.01、***p<.001。ns p >.05。HTM-ヒンジ/膜貫通。ICD-細胞内ドメイン。
【図14-2】図14F〜Gは、c-Jun過剰発現が、疲弊したCAR T細胞の機能を増強することを示す。f) 左:対照 対 JUN-CAR T細胞における代表的なCD45RA/CD62L発現を示すフローサイトメトリープロット(D10)。右:CD4+(上)またはCD8+(下)の対照またはJUN-HA-28z CAR T細胞におけるエフェクター(E、RA+62L-)、幹細胞記憶(SCM、RA+62L+)、中心記憶(RA-62L+)およびエフェクター記憶(RA-62L-)の相対頻度。独立した実験由来のn=6ドナー。直線は同じドナー由来の対になった試料を示す。対応有り両側t検定を行った。g) 培養の39日目に、図24c由来の1x106生存T細胞を再度平板培養し、IL-2ありまたはなしで7日間培養した。*p<.05、**p<.01、***p<.001。ns p >.05。HTM-ヒンジ/膜貫通。ICD-細胞内ドメイン。
【図14-3】図14H〜Kは、c-Jun過剰発現が、疲弊したCAR T細胞の機能を増強することを示す。h〜j) 46日目の(g)由来の対照またはJUN-CD19-28z CAR T細胞の細胞表面表現型。h) CD4 対 CD8発現。i)後で拡大するCD8+ JUN改変CD19-28z CAR T細胞は、幹細胞記憶表現型を有する(CD45RA+CD62L+)。j) 後で拡大するCD8+ JUN改変CD19-28z CAR T細胞は、対照と比較して疲弊マーカー発現を低減した。k) g由来のT細胞をD10に低温保存して、融解し、IL-2中一晩静置した。健常なNSGマウスに5x106対照またはJUN改変CD19-28zもしくはCD19-BBz CAR T細胞をIV注射により注入した。注入後25日目に、末梢血T細胞数をフローサイトメトリーにより定量した。エラーバーは、1群当たりn=5のマウスの平均±SEMを示す。*p<.05、**p<.01、***p<.001。ns p >.05。HTM-ヒンジ/膜貫通。ICD-細胞内ドメイン。
【図15-1】図15A〜Dは、疲弊したHA-28z CAR T細胞の機能的救助が、慢性および急性のT細胞刺激の両方の間にc-Junの存在を必要とし、JNPに非依存的であることを示す。a) T細胞疲弊のc-Jun媒介性救助の提唱される機構。AP-1-iは阻害性AP-1複合体を示す。b) DD制御JUN発現ベクターの模式図。c) JUN-DD発現の薬物誘導安定化の模式図。黄色のひし形-TMP安定化分子。d)細胞内フローサイトメトリー(左)およびウエスタンブロット(右)による対照、JUN-WTおよびJUN-DD HA-28z CAR T細胞における総c-Jun発現(D10)。e) Nalm6-GD2または143B標的細胞または培地単独(ベースライン)による刺激の24時間後の対照、JUN-WTまたはJUN-DD(オフ、オン)改変されたHA-28z CAR T細胞におけるIL-2(左)およびIFNg(右)産生(D10)。d〜e)において、オフはTMP無しを示し、オンはD4由来および共培養の間の10uM TMPの存在下で培養されたT細胞を示す。*p<.05、**p<.01、***p<.001。ns p>.05。HTM-ヒンジ/膜貫通、ICD-細胞内ドメイン、DD-大腸菌DHFR由来の不安定化ドメイン、TMP-トリメトプリム、WT-野生型。
【図15-2】図15E〜Gは、疲弊したHA-28z CAR T細胞の機能的救助が、慢性および急性のT細胞刺激の両方の間にc-Junの存在を必要とし、JNPに非依存的であることを示す。d〜e)において、オフはTMP無しを示し、オンはD4由来および共培養の間の10uM TMPの存在下で培養されたT細胞を示す。f〜g)において、TMPは、T細胞拡大(D4に開始)の間またはfに示されるような腫瘍細胞との共培養の間のみのいずれかに添加された。オン-オフおよびオフ-オン条件について、TMPは、完全c-Jun分解/安定化のそれぞれを確実にするために共培養の18時間前、抗原暴露の前に除去/添加された。g) 1つの代表的なドナー(左、三重のウェルにわたるSD)におけるIL-2発現およびIL-2の倍率増加(オフ-オフ条件に対する3つの異なるドナーを示すn=6独立実験のSEM)。エラーバーは、三重のウェルの平均±SDを表す。3つの独立実験の代表。*p<.05、**p<.01、***p<.001。ns p>.05。HTM-ヒンジ/膜貫通、ICD-細胞内ドメイン、DD-大腸菌DHFR由来の不安定化ドメイン、TMP-トリメトプリム、WT-野生型。
【図15-3】図15H〜Jは、疲弊したHA-28z CAR T細胞の機能的救助が、慢性および急性のT細胞刺激の両方の間にc-Junの存在を必要とし、JNPに非依存的であることを示す。h〜j) JUN-CAR T細胞の機能的活性の増加は、Jun N末端リン酸化(JNP)に非依存的である。h) N末端トランス活性化ドメイン(TAD)を示すc-Junタンパク質の模式図。アスタリスクは、JUN-AA変異体においてアラニンに変異されるSer63およびSer73でのJNP部位を表す。i)対照、JUN-WTおよびJUN-AA HA-28z CAR T細胞における総c-Junおよびc-Jun-PSer73のウエスタンブロット。j) Nalm6-GD2もしくは143B標的細胞または培地単独(ベースライン)による刺激の24時間後の対照、JUN-WTおよびJUN-AA HA-28z CAR T細胞におけるIL-2(左)およびIFNg(右)放出。エラーバーは、三重のウェルの平均±SDを表す。3つの独立実験の代表。*p<.05、**p<.01、***p<.001。ns p>.05。HTM-ヒンジ/膜貫通、ICD-細胞内ドメイン、DD-大腸菌DHFR由来の不安定化ドメイン、TMP-トリメトプリム、WT-野生型。
【図16-1】図16A〜Eは、JUN改変CAR T細胞が、白血病および固形腫瘍に対するインビボ活性を増加することを示す。a〜cにおいて、NSGマウスに1x Nalm6-GD2白血病細胞をIV注射により接種した。3x106モック、HA-28zまたはJUN-HA-28z CAR+ T細胞をd3にIVで与えた。生物発光画像化を使用して腫瘍進行をモニタリングした(a〜b)。スケールは全ての時点について標準化する。c) JUN-HA-28z CAR T細胞は、長期間の腫瘍がない生存を誘導した。エラーバーは、n=5マウス/群の平均±SEMを表す。この所見は、>3の独立した実験において再現可能であったが、いくつかの実験において、長期間生存は、GD2(-)Nalm6クローンの生長のために減少した。d) JUN-Her2-BBzレトロウイルスベクター構築物の模式図。e) 1:8のE:T比でのGFP+ Nalm6-Her2標的細胞のHer2-BBz CAR T細胞溶解。エラーバーは、三重のウェルの平均±SDを表す。2つの独立した実験の代表。*p<.05、**p<.01、***p<.001。HTM-ヒンジ/膜貫通。ICD-細胞内ドメイン。
【図16-2】図16F〜Hは、JUN改変CAR T細胞が、白血病および固形腫瘍に対するインビボ活性を増加することを示す。f〜hにおいて、NSGマウスに、1x106 143b-19骨肉腫細胞を、筋内注射により接種した。1x107モック、Her2-BBzまたはJUN-Her2-BBz CAR T細胞はd7にIVで与えた。f)カリパス測定により腫瘍成長をモニタリングした。g) JUN-Her2-BBz CAR T細胞で処理したマウスは長期間の腫瘍がない生存を維持した。h)腫瘍細胞植込み後d20に、末梢血T細胞をfと同様に治療したマウスにおいて定量した。エラーバーは、n=5マウス/群の平均±SEMを表す。同様の結果を有する2つの独立した実験の代表。*p<.05、**p<.01、***p<.001。HTM-ヒンジ/膜貫通。ICD-細胞内ドメイン。
【図17-1】図17A〜Eは、JUN-CAR T細胞が、最適以下の刺激下でT細胞機能を増強することを示す。固定された1A7抗CARイディオタイプ抗体を用いた対照またはJUN改変HA-28z CAR T細胞の刺激の24時間後のa) IL-2およびb) IFNg産生。EC50を決定するためにそれぞれの曲線を非線形用量応答速度論に適合させた。右のより小さなグラフは、抗体濃度が0〜1ug/mLである曲線を可視化する。c) JUN-CD22-BBzレトロウイルスベクター構築物のベクター模式図。d)親Nalm6、Nalm6-22KOおよびNalm6-22KO+CD22low上のCD22表面発現。e) Nalm6およびNalm6-22lowに暴露した対照またはJUN CD22-BBz CAR T細胞の共培養後のIL-2(左)およびIFNg(右)放出。エラーバーは、三重のウェルの平均±SDを示す。3つの独立した実験の代表。*p<.05、**p<.01、***p<.001。HTM-ヒンジ/膜貫通。ICD-細胞内ドメイン。
【図17-2】図17F〜Iは、JUN-CAR T細胞が、最適以下の刺激下でT細胞機能を増強することを示す。f〜i)において、NSGマウスに、1x106 Nalm6-22low白血病細胞を0日目に接種した。4日目に、3x106対照またはJUN-CD22-BBz CAR+ T細胞または3x106モック形質導入T細胞をIVで移植した。画像(i)を用いて生物発光画像化(f)により腫瘍成長をモニタリングした。g) JUN-22BBz CAR T細胞を受けたマウスは、23日目に末梢血T細胞の増加を示す。h) JUN発現は、CAR治療マウスの長期間生存を有意に向上させた。f〜gにおいて、エラーバーは、1群当たりn=5マウスの平均±SEMを表す。同様の結果を有する2つの独立した実験の代表。*p<.05、**p<.01、***p<.001。HTM-ヒンジ/膜貫通。ICD-細胞内ドメイン。
【図18-1】図18A〜Bは、高親和性(HA) 14g2a-GD2E101K CAR T細胞が、元の14g2a-GD2 CARと比較して、悪化した疲弊シグネチャを示すことを示す。a) 培養の10日目の、CD19、GD2およびHA-GD2E101K CAR T細胞における表面阻害性受容体発現。高親和性E101K変異は、親のGD2 CARと比較して、CD4+およびCD8+ CAR T細胞において阻害性受容体発現の増加を生じる。b) HA-GD2E101Kまたは元のGD2-28z CAR T細胞とGD2+標的細胞との共培養の24時間後のIL-2分泌。HA-GD2E101K CAR T細胞の疲弊プロフィールの増加は、刺激の際のIL-2を産生する能力により測定する場合、機能的活性の低下に対応する。エラーバーは、三重のウェルの平均±SDを表す。同様の結果を有する少なくとも4つの独立した実験の代表。*p<.05、**p<.01、***p<.001。PCA-主成分分析、NES-標準化富化スコア。
【図18-2】図18C〜Fは、高親和性(HA) 14g2a-GD2E101K CAR T細胞が、元の14g2a-GD2 CARと比較して、悪化した疲弊シグネチャを示すことを示す。c) バルクRNA-seqのPCAにより、HA-GD2E101KとCD19 CAR T細胞の間でより大きな変動が示され、一方でGD2-28z(sh) CAR T細胞は中間である。左-CD4+ T細胞。右-CD8+ CAR T細胞、ナイーブ由来。d〜e) HA-GD2E101K CAR発現は、CD4+ CAR T細胞において阻害性受容体発現の増強(d)および記憶形成の低下(e)を引き起こす。(図12におけるCD8+データ)。f) PC2分離を示す図12e由来のRNA-seqPCAはCM 対 Nにより駆動(drive)され、PC3分離はCD4 対 CD8により駆動される。*p<.05、**p<.01、***p<.001。PCA-主成分分析、NES-標準化富化スコア。
【図18-3】図18Gは、高親和性(HA) 14g2a-GD2E101K CAR T細胞が、元の14g2a-GD2 CARと比較して、悪化した疲弊シグネチャを示すことを示す。g) GSEA:10日目のHA-28z CAR T細胞 対 CD19-28z CAR T細胞において上方制御される遺伝子セットは、慢性ウイルス感染のマウスモデルで、疲弊 対 記憶CD8+(左)、疲弊 対 エフェクターCD8+(中)および疲弊 対 ナイーブCD8+(右)において上方制御される遺伝子との有意な重複を示した(Wherry et al. Immunity, 2007)。*p<.05、**p<.01、***p<.001。PCA-主成分分析、NES-標準化富化スコア。
【図19-1】図19A〜Bは、GD2-28z CAR T細胞が、1細胞レベルで疲弊シグネチャを示すことを示す。a) バルクRNA-seqにおける1細胞データ(赤色)ならびにCD19およびHA-28z CAR T細胞の分離を駆動する上位200遺伝子の差異的発現分析における重複遺伝子を示すVenn図。バルクRNA-seq由来の上位200の遺伝子のうちの79は、GD2-28z 対 CD19-28z単一細胞におけるDESeq2分析により差異的に発現される。交差由来の強調された遺伝子としては、阻害性受容体(CTLA4、LAG3、GITR、エフェクター分子CD25、IFNG、GZMBおよびサイトカインIL13およびIL1AおよびAP-1/bZIPファミリー転写因子BATF3およびIRF4が挙げられる。b) GD2-28z 対 CD19-28z単一細胞トランスクリプトーム分析における上位50の差異的に発現される遺伝子のヒートマップクラスタリング。それぞれの列は1細胞を表す。
【図19-2】図19Cは、GD2-28z CAR T細胞が、1細胞レベルで疲弊シグネチャを示すことを示す。c) CD8+ GD2-28zおよびCD19-28z単一CAR T細胞における個々の遺伝子発現を示すViolinプロット。GD2 CAR T細胞において上方制御される遺伝子としては、阻害性受容体、エフェクター分子およびAP-1ファミリー転写因子が挙げられ、一方でCD19 CAR T細胞は、記憶関連遺伝子の発現を増加した。個々のプロットの上のそれぞれの遺伝子について示されるP値は、独立(unpaired)両側ウィルコクソン-マン-ホイットニーU検定を使用して計算した。
【図20-1】図20A〜Bは、ATAC-seqデータ品質制御を示す。合わされた試料(上)および個々の試料(下)についてのa)挿入の長さ、b)転写開始部位(TSS)からの挿入の距離。
【図20-2】図20Cは、ATAC-seqデータ品質制御を示す。c)複製試料の間の相関。
【図20-3】図20Dは、ATAC-seqデータ品質制御を示す。d)ピークの総数(上)および合計の頻度(下)によるそれぞれの試料におけるマッピングされたピークの位置。
【図21-1】図21A〜Bは、AP-1ファミリーが、HA-28z疲弊CAR T細胞において最も有意に富化された転写因子モチーフを含むことを示す。a) CD4+ CD19およびHA CAR T細胞における差異的に接近可能なクロマチン領域(D10)。NおよびCMのサブセットの両方をそれぞれのCARについて一体化する(incorporate)。b) PC2分離を示す図1h由来のPCAはCM 対 Nにより駆動され、PC3分離はCD4 対 CD8により駆動される。(N-ナイーブ、CM-中心記憶)。
【図21-2】図21Cは、AP-1ファミリーが、HA-28z疲弊CAR T細胞において最も有意に富化された転写因子モチーフを含むことを示す。c) HA-28z CAR T細胞において差異的に接近可能なクロマチン領域内で富化された上位の転写因子モチーフは、全ての開始T細胞サブセットにおいてAP-1/bZIPファミリー因子を含む。CD8+ナイーブサブセットを図2に示す。(N-ナイーブ、CM-中心記憶)。
【図21-3】図21Dは、AP-1ファミリーが、HA-28z疲弊CAR T細胞において最も有意に富化された転写因子モチーフを含むことを示す。d)共有される制御モチーフによるピーククラスタリング(左)およびそれぞれのクラスターにおける転写因子モチーフの富化ヒートマップ(右)。疲弊(EX1〜EX4)または健常(HLT1〜HLT2)CAR T細胞、CM(CM)またはN(ナイーブ)開始サブセット、およびCD4またはCD8 T細胞サブセットに関連するクラスターを含む10の異なるクラスター。それぞれのクラスターの目的の遺伝子を右に強調する。(N-ナイーブ、CM-中心記憶)。
【図22】図22A〜Cは、AP-1/bZIPファミリー転写因子が、HA-28z CAR T細胞において上方制御され、免疫制御複合体を形成することを示す。a)図2由来のRNA配列決定データ由来の示されるAP-1/bZIPおよびIRFファミリー遺伝子についての遺伝子発現(HA/CD19)の倍率変化。エラーバーは、3つの独立したドナーのn=6試料の平均±SEMを表す。b)示されるAP-1/bZIPおよびIRFファミリータンパク質についてのタンパク質発現(HA/CD19)の倍率変化は、ウエスタンブロットの濃度計測定分析により決定した。エラーバーは、3つの独立したドナーのn=4実験の平均±SEMを表す。*p<.05、**p<.01、***p<.001。c) CD19およびHA-28z CAR T細胞における入力時(左カラム)またはc-Jun(中カラム)もしくはJunB(右カラム)についての免疫沈降後の示されるAP-1/bZIPおよびIRFファミリーメンバータンパク質についてのウエスタンブロット分析。下の数字は、それぞれの条件でのHA 対 CD19についてのタンパク質発現における倍率増加を表し、色が付いた形状は、一定の比例で描かれたサイズの同定された複合体を示す。IP-ウエスタンブロットは、HA-28z CAR T細胞におけるc-Jun/JunB、c-Jun/IRF4、c-Jun/BATFおよびc-Jun/BATF3複合体の存在の増加を示す。JunBに対して同様の比でIRF4も結合し、一方でBATFおよびBATF3は、JunBとの優先的な複合体化を示す。
【図23】図23A〜Eは、AP1改変CAR T細胞の活性の増強が、c-Fosではなくc-Junに依存することを示す。a〜c) CAR T細胞を、AP1転写因子FosおよびJunの両方をコードするレンチウイルスベクターあり(AP1)またはなし(対照)でならびに切断NGFR(tNGFR)表面選択マーカー共形質導入した。a) レンチウイルス構築物の模式図。b)示されるCD4+およびCD8+ CAR T細胞におけるNGFR表面発現により測定した場合のAP1改変CAR T細胞の代表的な形質導入効率。c) 143B-19標的細胞を用いた刺激の24時間後の対照またはAP1改変CAR T細胞におけるIL-2産生。AP1改変HA-28z CAR T細胞は、対照CAR T細胞と比較して、増加したIL-2産生を示す。同様の結果を有する2つの独立した実験の代表的な実験。d〜e) CAR T細胞を、AP1転写因子FosまたはJunのいずれかをコードするレンチウイルスベクターおよび切断NGFR (tNGFR)表面選択マーカーで共形質導入した。d) FosおよびJunレンチウイルス構築物の模式図。e) Nalm6-GD2標的細胞を用いた刺激の24時間後の対照、FosまたはJun改変CAR T細胞におけるIL-2産生。エラーバーは、三重のウェルの平均±SDを表す。同様の結果を有する2つの独立した実験の代表的な実験。aおよびdにおいて、*は停止コドンを示す。*p<.05、**p<.01、***p<.001、ns p>0.05。
【図24】図24A〜Cは、JUN改変CAR T細胞の拡大した機能的評価を示す。a〜b) JUN 対 対照CD19およびHA-28z CAR T細胞における示される標的細胞との共培養の24時間後のIL-2(a)およびIFNg(b)放出の倍率増加。それぞれのドットは、異なるドナー由来の1つの独立した実験を表す。c) 3つの異なる健常ドナーを用いた3つの独立した実験におけるインビトロでの対照またはJUN改変CAR T細胞の延長された拡大。示される時点で、T細胞を新たなT細胞培地+100IU/mL IL2中で再度平板培養した。T細胞を計数して、2〜3日毎に細胞を0.5x106/mLで維持するように栄養を与えた。ドナー-1について、5x106生存可能T細胞を14および28日目に再度平板培養した。ドナー-2について、14、28、42および56日目に5x106生存可能T細胞を再度平板培養した。ドナー-3について、10、17、24および31日目に5x106生存可能T細胞を再度平板培養した。
【図25】図25A〜Eは、c-Jun過剰発現が、阻害性AP-1ファミリーメンバーJunB、BATFおよびBATF3の行き渡り(prevalence)および複合体化を低下させることを示す。a)ウエスタンブロットで評価した場合のJUN-DD CAR T細胞における薬物誘導性c-Jun安定性の速度論。時間0で、10uM TMPを、未処理細胞に添加した(オン)か、または前もって処理した細胞から洗浄した(オフ)。1、2、4、8、24および48時間の時点でそれぞれの条件から細胞を除去し、c-Jun発現のウエスタンブロット分析のために調製した。観察されたバンドはJUN-DDのサイズに対応する。b) (a)由来のブロットに対して濃度計測定分析を行い、負荷対照に対して標準化した。時間に対して発現をプロットし、一次速度論曲線をデータに適合して、オフおよびオンの速度論についてのt1/2を決定した。c)対照およびJUN-CAR T細胞において示されるAP-1/bZIPおよびIRFファミリーメンバータンパク質についてのウエスタンブロット分析(D10)。下の数字は、CD19と比較したタンパク質発現の倍率変化を表す。d) HA-28zと比較したJUN-HA-28z CAR T細胞におけるBATF、BATF3およびJUNBのmRNA発現の対応する減少。n=3ドナー、CD19 mRNAに対して標準化。e) IP-ウエスタンブロット分析により、c-Jun過剰発現は阻害性JunB/BATFおよびJunB/BATF3複合体を減少させる。対照またはJUN-HA-28z CAR T細胞における入力(左カラム)、c-Junについての免疫沈降(中カラム)またはJunB(右カラム)。IRF4タンパク質、mRNAおよびc-Junとの複合体化は変化しない。
【図26】図26A〜Eは、JUN-CAR T細胞が、固形腫瘍においてGD2-BBz CAR T細胞機能を高めることを示す。a) JUN-GD2-BBzレトロウイルスベクター構築物のベクター模式図。b) Nalm6-GD2または143B標的細胞を用いた刺激の24時間後のJUN改変(赤色)または対照(青色)GD2-BBz CAR T細胞におけるIL-2(左)およびIFNg(右)産生。c) 1:1(左)または1:4(右)のE:T比でのGFP+ Nalm6-GD2標的細胞のGD2-BBz CAR T細胞溶解。a〜cにおいて、エラーバーは、三重のウェルの平均±SDを表す。少なくとも3つの独立した実験の代表。d〜eにおいて、NSGマウスに、0.5x106 143B-19骨肉腫細胞を筋内注射により接種した。1x107モック、GD2-BBzまたはJUN-GD2-BBz CAR T細胞は3日目にIVで与えられた。d) カリパス測定により腫瘍成長をモニタリングした。e) 腫瘍植え付けの14日後の末梢血CD4+(上)またはCD8+(下)T細胞数。エラーバーは、1群当たりn=5マウスの平均±SEMを表す。2つの独立した実験の代表であるが、両方のモデルにおいて早期の死亡(腫瘍サイズに無関係)が生存曲線から除外された。*p<.05、**p<.01、***p<.001。HTM-ヒンジ/膜貫通。ICD-細胞内ドメイン。
【図27-1】図27A〜Cは、c-JunのN末端変異が、疲弊したHA-28z CAR T細胞を救助し得ることを示す。a) 異なるc-Jun変異をHA-28z CAR T細胞ベクターにクローニングした。b) GD2+ 143B骨肉腫標的細胞との共培養の24時間後のIL-2(上)およびIFNg(下)分泌。c) GFP+ Nalm6-GD2または143B標的細胞のインビトロ溶解を、1:1、1:2または1:4のエフェクター:標的(E:T)比で5日間かけて測定した。低E:T比および後の時点で、JUN-WT、JUN-AA、JUN-DdおよびJUN-DTADはJUN-De、JUN-Dbasic、JUN-DLeuおよびJUN-DbZIP CAR T細胞と比較して、向上された腫瘍成長の制御を示す。
【図27-2】図27D〜Eは、c-JunのN末端変異が、疲弊したHA-28z CAR T細胞を救助し得ることを示す。d) Nalm6-GD2を用いた刺激の5時間後の細胞内サイトカイン染色およびフローサイトメトリーにより、CD4+およびCD8+ HA-28z CAR T細胞の両方において増加したサイトカイン産生を確認した。e) Nalm6-GD2白血病を有するNSGマウスへのT細胞注入の12日後の末梢T細胞数の定量。
【図28】図28は、IRF4のノックダウンが、疲弊したHA-28z CAR T細胞の機能的活性を劇的に増加することを示す。
【図29-1】図29A〜Bは、転写変異体(JUN-AA)も、CD19 CAR T細胞における機能的活性および増殖能力を救助することを示す。
【図29-2】図29Cは、転写変異体(JUN-AA)も、CD19 CAR T細胞における機能的活性および増殖能力を救助することを示す。
【図30】図30は、c-Jun改変HA-28z CAR T細胞の高められたインビボ機能が、IL-2のエクソビボ供給によって繰り返すことができないことを示す。
【図31-1】図31A〜Dは、c-Junが、抑制性固形腫瘍微小環境内でHer2-BBz CAR T細胞活性を高めたことを示す。
【図31-2】図31Eは、c-Junが、抑制性固形腫瘍微小環境内でHer2-BBz CAR T細胞活性を高めたことを示す。
【図32】図32は、c-Jun過剰発現が、疲弊したHA-28z CAR T細胞のTGFβ媒介性抑制に対する抵抗性を増加することを示す。
【図33】図33A〜Dは、c-Jun改変細胞における転写的変化が、疲弊の低減および記憶形成の増加と矛盾しないことを示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
定義
この明細書を解釈する目的のために以下の定義を適用し、適切である場合はいつでも、単数形で使用される用語は複数も含み、その逆もある。以下に記載される任意の定義が参照により本明細書に援用される任意の文書と矛盾する場合、以下に記載される定義が支配する。
【0023】
本明細書で使用する場合、用語「疾患」および「病理学的状態」は、本明細書においてそうではないと示されない限り、種または群(例えばヒト)のメンバーについて正常または平均とみなされる状態からの逸脱を記載するように交換可能に使用され、該逸脱は、かかる種または群の個体の大部分に不利ではない条件下で罹患した個体に有害である。かかる逸脱は、正常な機能の性能を妨害もしくは改変する被験体またはその臓器もしくは組織のいずれかの正常な状態の任意の損傷に関連する状態、徴候および/または症状(例えば下痢、悪心、熱、疼痛、水疱、腫脹、発疹、免疫抑制、炎症等)として現れ得る。疾患または病理学的状態は、微生物(例えば病原菌または他の感染性因子(例えばウイルスまたは細菌))との接触により引き起こされ得、または該接触から生じ得、環境要因(例えば栄養失調、工業的危険および/または環境)に対して応答性であり得、生物における固有もしくは強力な欠陥(例えば遺伝子的異常)またはこれらおよび他の要因の組合せに対して応答性であり得る。
【0024】
用語「宿主」、「被験体」または「患者」は、本発明の組成物および方法により治療される(例えば投与される)個体を言及するため本明細書において交換可能に使用される。被験体としては、限定されないが、哺乳動物(例えばヒト、マウス、ラット、サル、ウマ、ウシ、ブタ、イヌ、ネコ等)が挙げられる。本発明の文脈において、用語「被験体」は、一般に、本発明の1つ以上の組成物(例えば(例えば遺伝子的に)改変されたまたは作り変えられた本明細書に記載されるT細胞)を投与されるまたは投与されたことがある個体をいう。
【0025】
「T細胞疲弊」は、感染(例えば慢性感染)または疾患の結果として生じ得るT細胞機能の消失をいう。T細胞疲弊は、PD-1、TIM-3およびLAG-3の発現、アポトーシスの増加、ならびにサイトカイン分泌の減少に関連する。したがって、用語「T細胞疲弊の改善」、「T細胞疲弊の阻害」、「T細胞疲弊の低減」等は、以下: PD-1、TIM-3およびLAG-3の1つ以上の発現および/またはレベルの低下;記憶細胞形成の増加および/または記憶マーカー(例えばCD62L)の維持;アポトーシスの予防;抗原誘導サイトカイン(例えばIL-2)産生および/または分泌の増加;殺傷能力の増強;低い表面抗原を有する腫瘍標的の認識の増加;抗原に応答した増殖の増強の1つ以上を特徴とするT細胞の修復された機能の状態をいう。
【0026】
用語「バッファ」または「緩衝化剤」は、溶液に添加された場合に、溶液をpHの変化に抵抗性にする材料をいう。
【0027】
本明細書で使用する場合、用語「癌」および「腫瘍」は、成長および増殖を制御する能力を消失した細胞を含む組織または発生物をいう。癌および腫瘍細胞は一般的に、接触阻害の消失を特徴とし、侵入性であり得、転移する能力を示し得る(例えば癌および腫瘍細胞は、他の細胞/組織に接着する能力を消失している)。本発明は、癌の種類または治療の種類により限定されない(例えば予防的および/または治療的に治療される)。実際に、限定されないが、脳癌もしくは中枢神経系の他の癌、黒色腫、リンパ腫、骨癌、上皮癌、乳癌、卵巣癌、子宮内膜癌、結腸直腸癌、肺癌、腎癌、黒色腫、腎臓癌、前立腺癌、肉腫、癌腫および/またはそれらの組合せを含む種々の癌が、本明細書に記載される組成物および方法により治療され得る。
【0028】
「転移」は、本明細書で使用する場合、癌が、新たな位置での同様の癌性病変の発生を伴って、起源の部位から身体の他の領域に拡散または移動するプロセスをいう。「転移性」または「転移している」細胞は、隣接する細胞との接着性の接触を消失し、疾患の原発性の部位から血流またはリンパを介して移動して身体の他の場所の組織に侵入する細胞である。
【0029】
用語「抗癌剤」は、本明細書で使用する場合、(例えば哺乳動物、例えばヒトにおける)癌などの過増殖性疾患の治療に使用される任意の治療剤(例えば化学療法化合物および/または分子治療化合物)、アンチセンス療法、放射線療法をいう。
【0030】
「有効量」は、所望の治療もしくは予防的結果(例えば治療される疾患のいくつかまたは全ての症状の軽減)を達成するのに必要な用量および時間間隔で有効な、医薬組成物、抗癌剤または他の薬物の量をいう。
【0031】
用語「治療有効量」は、本明細書で使用する場合、障害の1つ以上の症状の改善を生じるか、または障害の進行を予防するか、または障害の後退を引き起こすのに十分な治療剤の量をいう。例えば癌の治療に関して、一態様において、治療有効量は、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも100%だけ腫瘍成長の速度を低下する(例えば患者における腫瘍負荷を低減および/または排除する)、腫瘍質量を低下する、転移の数を低下する、腫瘍進行を低下するまたは生存時間を増加する治療剤の量をいう。
【0032】
用語「感作する」および「感作すること」は、本明細書で使用する場合、第1の薬剤の投与により、動物または動物内の細胞を、第2の薬剤の生物学的効果(例えば細胞分裂、細胞成長、増殖、侵入、脈管形成、壊死またはアポトーシスを含むが限定されない細胞機能の局面の促進または遅延)に対して、より感受性またはより応答性にすることをいう。標的細胞に対する第1の薬剤の感作効果は、第1の薬剤の投与有りおよび無しで第2の薬剤を投与した際に観察される、意図される生物学的効果(例えば細胞成長、増殖、侵入、脈管形成またはアポトーシスを含むが限定されない細胞性機能の局面の促進または遅延)における差として測定され得る。感作された細胞の応答は、第1の薬剤の非存在下での応答に対して、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約100%、少なくとも約150%、少なくとも約200%、少なくとも約250%、少なくとも300%、少なくとも約350%、少なくとも約400%、少なくとも約450%または少なくとも約500%だけ増加され得る。
【0033】
本明細書で使用する場合、用語「精製される」または「精製すること」は、試料または組成物からの夾雑物または望ましくない化合物の除去をいう。本明細書で使用する場合、用語「実質的に精製された」は、試料または組成物からの夾雑物または望ましくない化合物の約70〜90%、100%までの除去をいう。
【0034】
本明細書で使用する場合、用語「投与」および「投与すること」は、被験体に組成物を与える行為をいう。ヒトの身体への例示的な投与経路としては、限定されないが、眼(眼用)、口(経口)、皮膚(経皮)、鼻(経鼻)、肺(吸入)、口腔粘膜(頬側)、耳、直腸、注射(例えば静脈内、皮下、腹腔内、腫瘍内等)、局所等によるものが挙げられる。一態様において、本発明のT細胞の投与は静脈内注入による。
【0035】
本明細書で使用する場合、用語「共投与」および「共投与すること」は、少なくとも2つの薬剤(複数)(例えば遺伝子的に改変された免疫細胞および1つ以上の他の薬剤-例えば抗癌剤)または治療剤の被験体への投与をいう。いくつかの態様において、2つ以上の薬剤または治療剤の共投与は同時である。他の態様において、第1の薬剤/治療剤は、第2の薬剤/治療剤の前に投与される。いくつかの態様において、共投与は、同じまたは異なる投与経路を介し得る。当業者は、使用される種々の薬剤または治療剤の調製および/または投与経路は異なり得ることを理解する。共投与のための適切な用量は、当業者により容易に決定され得る。いくつかの態様において、薬剤または治療剤を共投与する場合、それぞれの薬剤または治療剤はそれらの単独投与について適切なものよりも低い用量で投与される。したがって、薬剤または治療剤の共投与が強力に有害(例えば毒性)な薬剤(1つまたは複数)の必要な用量を低下する態様において、および/または2つ以上の薬剤の共投与が他の薬剤の共投与により薬剤の1つの有益な効果に対する被験体の感作を生じる場合、共投与が特に望ましい。
【0036】
用語「薬学的に許容され得る」または「薬理学的に許容され得る」は、本明細書で使用する場合、被験体に投与される場合に有害な反応(例えば毒性、アレルギー性または他の免疫学的な反応)を実質的に生じない組成物をいう。
【0037】
本明細書で使用する場合、用語「薬学的に許容され得る担体」は、限定されないが、リン酸緩衝化食塩水溶液、水、および種々の型の湿潤剤(例えばラウリル硫酸ナトリウム)、任意および全ての溶媒、分散媒体、コーティング剤、ラウリル硫酸ナトリウム、等張および吸収遅延剤、崩壊剤(例えばジャガイモデンプンまたはデンプングリコール酸ナトリウム)、ポリエチレングリコール等を含む標準的な医薬担体のいずれかをいう。組成物は、安定化剤および保存剤も含み得る。担体、安定化剤およびアジュバントの例は記載されており、当該技術分野で公知である(例えば参照により本明細書に援用されるMartin, Remington's Pharmaceutical Sciences, 15th Ed., Mack Publ. Co., Easton, Pa. (1975)参照)。
【0038】
本明細書で使用する場合、用語「薬学的に許容され得る塩」は、標的被験体において生理的に許容される本発明の組成物の(例えば酸または塩基との反応により得られる)任意の塩をいう。本発明の組成物の「塩」は、無機または有機の酸および塩基から誘導され得る。酸の例としては、限定されないが、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、過塩素酸、フマル酸、マレイン酸、リン酸、グリコール酸、乳酸、サリチル酸、コハク酸、トルエン-p-スルホン酸、酒石酸、酢酸、クエン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、蟻酸、安息香酸、マロン酸、スルホン酸、ナフタレン-2-スルホン酸、ベンゼンスルホン酸等が挙げられる。シュウ酸などの他の酸は、本来では薬学的に許容され得ないが、本発明の組成物およびそれらの薬学的に許容され得る酸付加塩を得ることにおける中間体として有用な塩の調製に使用され得る。塩基の例としては限定されないが、アルカリ金属(例えばナトリウム)水酸化物、アルカリ土類金属(例えばマグネシウム)水酸化物、アンモニアおよび式NW4+(式中、WはC1-4のアルキルである)の化合物等が挙げられる。
【0039】
塩の例としては、限定されないが、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、酪酸塩、クエン酸塩、樟脳酸塩、樟脳スルホン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、フルコヘプタン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、2-ヒドロキシエタンスルホン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、シュウ酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、フェニルプロピオン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トシル酸塩、ウンデカン酸塩等が挙げられる。塩の他の例としては、例えばNa+、NH4+およびNW4+(式中、WはC1-4アルキル基である)などの適切なカチオンと化合される本発明の化合物のアニオンが挙げられる。治療的使用のために、本発明の化合物の塩は、薬学的に許容され得ることが企図される。しかしながら、薬学的に許容され得ない酸および塩基の塩も、例えば薬学的に許容され得る化合物の調製または精製における使用を見出し得る。
【0040】
治療的使用のために、本発明の組成物の塩は、薬学的に許容され得ることが企図される。しかしながら、薬学的に許容され得ない酸および塩基の塩も、例えば薬学的に許容され得る組成物の調製または精製における使用を見出し得る。
【0041】
本明細書で使用する場合、用語「疾患のリスクがある」は、特定の疾患(例えば感染性疾患)を経験する素因がある被験体をいう。この素因は、遺伝子的であり得る(例えば遺伝性の障害などの疾患を経験する特定の遺伝子的傾向)か、または他の要因(例えば環境条件、環境中に存在する有害化合物への暴露等)のためであり得る。したがって、本発明は、任意の特定のリスクに限定されることを意図しない(例えば被験体は、単純に他のヒトに暴露されることおよび他のヒトと相互作用することにより「疾患のリスクがあ」り得る)か、または本発明は、任意の特定の疾患(例えば癌)に限定されることを意図しない。
【0042】
本明細書で使用する場合、用語「キット」は、材料を送達するための任意の送達系をいう。免疫療法剤の文脈において、かかる送達系としては、ある位置から別の位置への免疫原性因子および/または支持材料(例えば材料を使用するための記載された指示書等)の保存、輸送または送達を可能にする系が挙げられる。例えば、キットは、関連のある免疫療法剤(例えば改変されたT細胞および/または支持材料)を含む1つ以上の封入物(例えば箱)を含む。本明細書で使用する場合、用語「断片化されたキット」は、それぞれがキット全体の構成要素のサブ部分を含む2つ以上の別々の容器を含む送達系をいう。該容器は、一緒にまたは別々に意図されるレシピエントに送達され得る。例えば、第1の容器は特定の用途のための免疫療法組成物を含む組成物を含み得、一方で第2の容器は第2の薬剤(例えば化学療法剤)を含む。実際に、それぞれがキット全体の構成要素のサブ部分を含む2つ以上の別々の容器を含む任意の送達系は、用語「断片化された(fragmented)キット」に含まれる。対照的に「合わされたキット」は、1つの容器内(例えば所望の構成要素のそれぞれを収容する1つの箱の中)に特定の用途に必要な構成要素の全てを含む送達系をいう。用語「キット」は、断片化されたキットおよび合わされたキットの両方を含む。
【0043】
本明細書で使用する場合、用語「免疫グロブリン」または「抗体」は、特定の抗原上の1つ以上のエピトープに結合するタンパク質をいう。免疫グロブリンとしては、限定されないが、ポリクローナル、モノクローナル、キメラおよびヒト化の抗体、ならびに以下のクラス:IgG、IgA、IgM、IgD、IgEおよび分泌免疫グロブリン(sIg)のFab断片およびF(ab')2断片が挙げられる。免疫グロブリンは一般的に、2つの同一の重鎖および2つの軽鎖を含む。しかしながら、用語「抗体」および「免疫グロブリン」はまた、単鎖抗体および二本鎖抗体を含む。
【0044】
抗体の「可変領域」または「可変ドメイン」は、抗体の重鎖または軽鎖のアミノ末端ドメインをいう。重鎖の可変ドメインは「VH」と称され得る。軽鎖の可変ドメインは「VL」と称され得る。これらのドメインは一般的に、抗体の最も可変的な部分であり、抗原結合部位を含む。
【0045】
「単鎖Fv」または「scFv」抗体断片は、抗体のVHおよびVLドメインを含み、ここでこれらのドメインは、単一のポリペプチド鎖に存在する。一般的に、scFvポリペプチドはさらに、VHドメインとVLドメインの間に、scFvが抗原結合のための構造を形成することを可能にするポリペプチドリンカーを含む。scFvの総説について、例えばPluckthun, in The Pharmacology of Monoclonal Antibodies, vol. 113, Rosenburg and Moore eds., (Springer-Verlag, New York, 1994), pp. 269-315参照。
【0046】
本明細書で使用する場合、用語「抗原結合タンパク質」は、特定の抗原に結合するタンパク質をいう。「抗原結合タンパク質」としては、限定されないが、ポリクローナル、モノクローナル、キメラおよびヒト化の抗体を含む免疫グロブリン;Fab断片、F(ab')2断片およびFab発現ライブラリー;ならびに単鎖抗体が挙げられる。
【0047】
用語「エピトープ」は、本明細書で使用する場合、特定の免疫グロブリンとの接触を作製する抗原の部分をいう。
【0048】
用語「特異的結合」または「特異的に結合すること」は、抗体(またはその一部(例えばscFv)とタンパク質またはペプチドの相互作用に関して使用される場合、該相互作用が、タンパク質上の特定の配列または構造(例えば抗原決定基またはエピトープ)の存在に依存する;すなわち抗体(またはその一部(例えばscFv)は、一般的にタンパク質ではなく、特定のタンパク質配列または構造を認識し結合していることを意味する。例えば、抗体がエピトープ「A」に特異的である場合、標識された「A」および抗体を含む反応におけるエピトープA(または自由な標識されていないA)を含むタンパク質の存在は、抗体に結合する標識されたA の量を低減する。
【0049】
本明細書で使用する場合、用語「非特異的結合」および「バックグラウンド結合」は、抗体とタンパク質またはペプチドの相互作用に関して使用される場合、特定の構造の存在に依存しない相互作用をいう(すなわち、抗体は、エピトープなどの特定の構造ではなく、一般にタンパク質に結合している)。
【0050】
本明細書で使用する場合、用語「癌を有することが疑われる被験体」は、癌(例えば目立つ塊(lump)または集団(mass))を示す1つ以上の症状を示すか、または(例えば常套的な身体検査の間に)癌についてスクリーニングされている被験体をいう。癌を有することが疑われる被験体は、癌を発症する1つ以上のリスク要因も有し得る。癌を有することが疑われる被験体は一般的に、癌について試験されていない。しかしながら、「癌を有することが疑われる被験体」は、予備的な診断(例えば集団を示すCTスキャン)を受けているが、確認試験(例えば生検および/または組織学)はなされていないかまたは癌の種類および/または病期が分からない個体を含む。該用語はさらに、以前に癌を有したヒト(例えば寛解にある個体)を含む。「癌を有することが疑われる被験体」は時々、癌を有すると診断され、時々癌を有さないことが見出される。
【0051】
本明細書で使用する場合、用語「癌を有すると診断された被験体」は、試験されて癌性細胞を有することが見出された被験体をいう。癌は、限定されないが生検、x線、血液検査等を含む任意の適切な方法を使用して診断され得る。
【0052】
本明細書で使用する場合、用語「術後腫瘍組織」は、(例えば手術の間に)被験体から除去された癌性組織(例えば臓器組織)をいう。
【0053】
本明細書で使用する場合、用語「癌のリスクがある被験体」は、特定の癌の発症についての1つ以上のリスク要因を有する被験体をいう。リスク要因としては限定されないが、性別、年齢、遺伝子的素因、環境暴露、および癌の以前の事例、以前存在した非癌疾患、および生活様式が挙げられる。
【0054】
本明細書で使用する場合、用語「被験体において癌を特徴づけること」は、限定されないが、良性、前癌性または癌性の組織の存在および癌の病期を含む被験体における癌試料の1つ以上の特性の同定をいう。
【0055】
本明細書で使用する場合、用語「被験体において組織を特徴づけること」は、組織試料の1つ以上の特性(例えば限定されないが、癌性組織の存在、癌性になる可能性のある前癌性組織の存在、および転移する可能性のある癌性組織の存在を含む)の同定をいう。
【0056】
本明細書で使用する場合、用語「癌の病期」は、癌の進行のレベルの定性的または定量的な評価をいう。癌の病期を決定するために使用される基準としては、限定されないが、腫瘍のサイズ、腫瘍が身体の他の部分に拡散したかどうか、および癌が拡散した場所(例えば身体の同じ臓器または領域内または別の臓器へ)が挙げられる。
【0057】
本明細書で使用する場合、用語「原発性腫瘍細胞」は、哺乳動物中の腫瘍から単離され、インビトロで広範に培養されていない癌細胞をいう。
【0058】
本明細書で使用する場合、用語「治療」「治療的使用」または「医学的使用」は、疾患状態または症状を治療する、またはそうでなければ任意の方法において何であれ疾患もしくは他の望ましくない症状の進行を予防する、妨げる、遅らせるまたは逆転させる本発明の組成物および方法の任意および全ての使用をいう。例えば、用語「癌の治療」または「腫瘍の治療」または本明細書における文法的な均等物は、以前に存在した癌または腫瘍の抑制、後退または部分的もしくは完全な消失を意味する。該定義は、以前に存在した癌または腫瘍のサイズ、攻撃性または成長速度における任意の減少を含むことを意味する。
【0059】
本明細書で使用する場合、癌についての用語「向上した治療的結果」および「高められた治療有効性」は、癌細胞もしくは固形腫瘍の成長の遅延もしくは減少、または総癌細胞数もしくは総腫瘍負荷の低減をいう。「向上した治療結果」または「高められた治療有効性」は、確立された腫瘍の逆転、平均余命の(life expectancy)増加または生活の質の向上を含む任意の臨床的に許容され得る基準に従って、個体の状態の向上があることを意味する。
【0060】
本明細書で使用する場合、用語「遺伝子転入系」は、核酸配列を含む組成物を細胞または組織に送達する任意の手段をいう。例えば、遺伝子転入系としては、限定されないが、ベクター(例えばレトロウイルス、アデノウイルス、レンチウイルス、アデノ随伴ウイルスおよび他の核酸に基づく送達系)、ネイキッド核酸のマイクロインジェクション、ポリマーに基づく送達系(例えばリポソームに基づくおよび金属粒子に基づく系)、遺伝子銃(biolistic)インジェクション、遺伝子組み込みのためのトランスポゼースに基づく系を用いた形質導入、Crispr/Cas9媒介遺伝子組み込み、RNAまたはアデノ随伴ウイルスなどの非組込みベクター等が挙げられる。
【0061】
本明細書で使用する場合、用語「ウイルス遺伝子転入系」は、所望の細胞または組織への試料の送達を容易にするためのウイルス要素(例えばインタクトのウイルス、改変されたウイルスおよび核酸またはタンパク質などのウイルス構成要素)を含む遺伝子転入系をいう。本発明の組成物および方法に有用なウイルス遺伝子転入系の非限定的な例は、レンチウイルスおよびレトロウイルスの遺伝子転入系である。
【0062】
本明細書で使用する場合、用語「部位特異的組換え標的配列」は、組み換え因子のための認識配列および組換えが起こる場所を提供する核酸配列をいう。
【0063】
本明細書で使用する場合、用語「核酸分子」は、限定されないが、DNAまたはRNAを含む任意の核酸含有分子をいう。該用語は、限定されないが、4-アセチルシトシン、8-ヒドロキシ-N6-メチルアデノシン、アジリジニルシトシン、シュードイソシトシン、5-(カルボキシヒドロキシルメチル)-ウラシル、5-フルオロウラシル、5-ブロモウラシル、5-カルボキシメチルアミノメチル-2-チオウラシル、5-カルボキシメチルアミノメチルウラシル、ジヒドロウラシル、イノシン、N6-イソペンテニルアデニン、1-メチルアデニン、1-メチルシュードウラシル、1-メチルグアニン、1-メチルイノシン、2,2-ジメチルグアニン、2-メチルアデニン、2-メチルグアニン、3-メチルシトシン、5-メチルシトシン、N6-メチルアデニン、7-メチルグアニン、5-メチルアミノメチルウラシル、5-メトキシ-アミノメチル-2-チオウラシル、β-D-マンノシルクエオシン(queosine)、5'-メトキシカルボニルメチルウラシル、5-メトキシウラシル、2-メチルチオ-N6-イソペンテニルアデニン、ウラシル-5-オキシ酢酸メチルエステル、ウラシル-5-オキシ酢酸、オキシブトキソシン、シュードウラシル、クエオシン、2チオシトシン、5-メチル-2チオウラシル、2-チオウラシル、4-チオウラシル、5-メチルウラシル、N-ウラシル-5-オキシ酢酸メチルエステルおよび2,6-ジアミノプリンを含むDNAおよびRNAの公知の塩基アナログのいずれかを含む配列を包含する。
【0064】
本明細書で使用する場合、用語「異種遺伝子」は、その天然の環境にはない遺伝子をいう。例えば、異種遺伝子としては、別の種に導入された1つの種由来の遺伝子が挙げられる。異種遺伝子はまた、いくつかの方法(例えば変異される、複数のコピー中に付加される、非天然の制御配列に連結される等)において改変された生物に対して天然の遺伝子を含む。異種遺伝子は、異種遺伝子配列が典型的に、染色体内の遺伝子配列と天然に関係するとは見られない、または天然には見られない染色体の一部と関係するDNA配列に典型的に結合する(例えば遺伝子が通常は発現されない遺伝子座で発現される遺伝子)点で内因性遺伝子と区別される。異種遺伝子を含む細胞は、本明細書において「改変される」または「作り変えられる」細胞と記載される。例えば、異種AP-1転写因子遺伝子((例えばT細胞においてAP-1転写因子を過剰発現するために使用される)例えば異種AP-1転写因子遺伝子発現構築物)および/または異種受容体遺伝子(例えば異種T細胞受容体遺伝子発現構築物または異種キメラ抗原受容体遺伝子発現構築物)を含むT細胞は、本明細書において改変されたおよび/または作り変えられたT細胞と記載される。
【0065】
本明細書で使用する場合、用語「遺伝子発現」は、遺伝子にコードされる遺伝子情報を、遺伝子の「転写」により(すなわちRNAポリメラーゼの酵素作用により)RNA(例えばmRNA、rRNA、tRNAまたはsnRNA)に変換する、およびタンパク質コーディング遺伝子についてはmRNAの「翻訳」によりタンパク質に変換するプロセスをいう。遺伝子発現は、該プロセス中多くの段階で制御され得る。「上方制御」または「活性化」は、遺伝子発現産物(すなわちRNAまたはタンパク質)の産生を増加させる制御をいい、一方で「下方制御」または「抑制」は、産生を減少させる制御をいう。上方制御または下方制御に含まれる分子(例えば転写因子)は時々、それぞれ「アクチベーター」および「リプレッサー」と称される。
【0066】
イントロンを含むことに加えて、遺伝子のゲノム形態はまた、RNA転写産物上に存在する配列の5'および3'末端の両方に配置される配列を含み得る。これらの配列は、「フランキング」配列または領域と称される(これらのフランキング配列は、mRNA転写産物上に存在する非翻訳配列に対して5'または3'に配置される)。5'フランキング領域は、遺伝子の転写を制御またはそれに影響するプロモーターまたはエンハンサーなどの制御配列を含み得る。3'フランキング領域は、転写の終結、転写後切断およびポリアデニル化を誘導する配列を含み得る。
【0067】
本明細書で使用する場合、用語「コードする核酸分子」、「コードするDNA配列」および「コードするDNA」は、デオキシリボ核酸の鎖に沿ったデオキシリボヌクレオチドの順序または配列をいう。これらのデオキシリボヌクレオチドの順序は、ポリペプチド(タンパク質)鎖に沿ったアミノ酸の順序を決定する。したがって、DNA配列は、アミノ酸配列をコードする。
【0068】
本明細書で使用する場合、用語「遺伝子をコードするヌクレオチド配列を有するオリゴヌクレオチド」および「遺伝子をコードするヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチド」は、遺伝子のコーディング領域を含む核酸配列、すなわち遺伝子産物をコードする核酸配列を意味する。コーディング領域は、cDNA、ゲノムDNAまたはRNA形態で存在し得る。DNA形態で存在する場合、オリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドは、一本鎖(すなわちセンス鎖)または二本鎖であり得る。例えばエンハンサー/プロモーター、スプライシング部位、ポリアデニル化シグナル等の適切な制御要素は、転写および/または主なRNA転写産物の正確なプロセッシングの適切な開始を可能にする必要がある場合に、遺伝子のコーディング領域の非常に近位に配置され得る。代替的に、本発明の発現ベクターに使用されるコーディング領域は、内因性エンハンサー/プロモーター、スプライシング部位、介在配列、ポリアデニル化シグナル等または内因性および外因性の制御要素の両方の組合せを含み得る。
【0069】
用語「操作可能な組合せにおいて」、「操作可能な順序において」および「操作可能に連結される」は、本明細書で使用する場合、所定の遺伝子の転写および/または所定のタンパク質分子の合成を誘導し得る核酸分子が産生される様式での核酸配列の連結をいう。該用語はまた、機能性タンパク質が産生される様式でのアミノ酸配列の連結をいう。
【0070】
用語「単離された」は、「単離されたオリゴヌクレオチド」または「単離されたポリヌクレオチド」のように核酸に関して使用される場合、同定され、核酸配列がその天然の供給物内で通常結合している少なくとも1つの構成要素または夾雑物から分離される核酸配列をいう。したがって単離された核酸は、それが天然にみられるものとは異なるような形態または設定で存在する。対照的に、非単離核酸は、DNAおよびRNAが天然に存在する状態で見られるDNAおよびRNAなどの核酸と同様である。例えば、所定のDNA配列(例えば遺伝子)は隣接する遺伝子の近位にある宿主細胞染色体上に見られ;特定のタンパク質をコードする特定のmRNA配列などのRNA配列は、多くのタンパク質をコードする多数の他のmRNAとの混合物として細胞中に見られる。しかしながら、所定のタンパク質をコードする単離された核酸としては、例示として、核酸が天然の細胞の位置とは異なる染色体位置にある場合、またはそうでなければ天然にみられるものとは異なる核酸配列に隣り合う場合、通常は所定のタンパク質を発現する細胞内のかかる核酸が挙げられる。単離された核酸、オリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドは、一本鎖または二本鎖の形態で存在し得る。単離された核酸、オリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドがタンパク質を発現するために使用される場合、オリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドは少なくとも(at minimum)センス鎖またはコーディング鎖を含む(すなわちオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドは一本鎖であり得る)が、センス鎖およびアンチセンス鎖の両方を含み得る(すなわちオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドは二本鎖であり得る)。
【0071】
用語「天然のタンパク質」は、本明細書で使用する場合、タンパク質がベクター配列によりコードされるアミノ酸残基を含まないことを示し;すなわち天然のタンパク質は、それが天然に存在する場合にタンパク質中に見られるそれらのアミノ酸のみを含む。天然のタンパク質は、組み換え手段により産生され得るか、または天然に存在する供給源から単離され得る。
【0072】
本明細書で使用する場合、用語「タンパク質」は、(「所定のタンパク質の一部」におけるように)タンパク質に関する場合、そのタンパク質の断片をいう。断片は、4アミノ酸残基から全アミノ酸配列マイナス1アミノ酸までのサイズの範囲であり得る。
【0073】
用語「ベクター」は、本明細書で使用する場合、ベクターが結合している別の核酸を輸送し得るある核酸分子をいうことを意図する。ベクターの1つの型は「プラスミド」であり、これは、さらなるDNA断片がライゲーションし得る環状二本鎖DNAをいう。ベクターの別の型はファージベクターである。ベクターの別の型はウイルスベクターであり、ここでさらなるDNA断片はウイルスゲノムにライゲーションし得る。あるベクターは、ベクター(例えば細菌の複製起点を有する細菌ベクターおよびエピソーム哺乳動物ベクター)が導入される宿主細胞中で自己複製し得る。(例えば1つ以上のAP-1転写因子をコードするDNAおよび/またはCAR構築物を細胞(例えばT細胞)に導入するために)レンチウイルスベクターまたはレトロウイルスベクターが使用され得る。他のベクター(例えば非エピソーム哺乳動物ベクター)は、宿主細胞への導入時に宿主細胞のゲノムに組み込まれ得、それにより宿主ゲノムと共に複製される。さらに、あるベクターは、該ベクターが操作的に連結される遺伝子の発現を誘導し得る。かかるベクターは、本明細書において「組み換え発現ベクター」または単に「発現ベクター」と称される。一般に、組み換えDNA技術において有用な発現ベクターは、時々プラスミドの形態である。本明細書において、プラスミドが最も一般的に使用されるベクターの形態であるので、「プラスミド」および「ベクター」は交換可能に使用され得る。
【0074】
用語「発現ベクター」は、本明細書で使用する場合、所望のコーディング配列および特定の宿主生物内での操作可能に連結されたコーディング配列の発現に必要な適切な核酸配列を含む組み換えDNA分子をいう。原核生物内での発現に必要な核酸配列は通常、時々他の配列に加えてプロモーター、オペレーター(任意)およびリボソーム結合部位を含む。真核細胞は、プロモーター、エンハンサーならびに終結およびポリアデニル化シグナルを使用することが知られている。
【0075】
用語「トランスフェクション」は、本明細書で使用する場合、真核細胞への外来DNAの導入をいう。トランスフェクションは、リン酸カルシウム-DNA共沈、DEAE-デキストラン媒介トランスフェクション、ポリブレン媒介トランスフェクション、エレクトロポレーション、マイクロインジェクション、リポソーム融合、リポフェクション、プロトプラスト融合、レトロウイルス感染および遺伝子銃を含む当該技術分野で公知の種々の手段により達成され得る。
【0076】
用語「安定なトランスフェクション」または「安定にトランスフェクトされる」は、トランスフェクトされる細胞のゲノムへの外来DNAの導入および組込みをいう。用語「安定なトランスフェクタント(transfectant)」は、外来DNAをゲノムDNAに安定に組み込んだ細胞をいう。用語「一過的なトランスフェクション」または「一過的にトランスフェクトされる」は、外来DNAがトランスフェクトされる細胞のゲノムに組み込まれない、外来DNAの細胞への導入をいう。外来DNAは、トランスフェクトされた細胞の核内に(例えば数日間)残る。この際に、外来DNAは、染色体内の内因性遺伝子の発現を支配する制御的調節に供される。用語「一過的なトランスフェクタント」は、外来DNAを取り込んだが、このDNAの組み込みに失敗した細胞をいう。
【0077】
本明細書で使用する場合、用語「選択可能マーカー」は、そうでなければ必須の栄養であるものを欠く培地中で成長する能力を付与する酵素活性をコードする遺伝子の使用をいい;さらに選択可能マーカーは、選択可能マーカーが発現された細胞に、抗生物質または薬物に対する耐性を付与し得る。選択可能マーカーは「優性」であり得;優性選択可能マーカーは、任意の真核細胞株中で検出され得る酵素活性をコードする。優性選択可能マーカーの例としては、哺乳動物細胞中で薬物G418に対する耐性を付与する細菌性アミノグリコシド-3'-ホスホトランスフェラーゼ遺伝子(neo遺伝子とも称される)、抗生物質ハイグロマイシンに対する耐性を付与する細菌性ハイグロマイシンGホスホトランスフェラーゼ(hyg)遺伝子およびミコフェノール酸の存在下で成長する能力を付与する細菌性キサンチン-グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ遺伝子(gpt遺伝子とも称される)が挙げられる。他の選択可能マーカーは、それらの使用が、関連のある酵素活性を欠く細胞株と関連しなければならないという点で支配的ではない。非優性選択可能マーカーの例としては、tk陰性(tk-)細胞株と共に使用されるチミジンキナーゼ(tk)遺伝子、CAD欠失細胞と共に使用されるCAD遺伝子およびhprt陰性(hprt-)細胞株と共に使用される哺乳動物ヒポキサンチン-グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(hprt)遺伝子が挙げられる。哺乳動物細胞株における選択可能マーカーの使用の総説は、Sambrook, J. et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 2nd ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press, New York (1989) pp.16.9-16.15に示される。
【0078】
本明細書で使用する場合、用語「インビトロ」は、人工的な環境および人工的な環境内で起こるプロセスまたは反応をいう。インビトロ環境は、限定されないが、試験管および細胞培養からなり得る。用語「インビボ」は、天然の環境(例えば動物または細胞)および天然の環境内で起こるプロセスまたは反応をいう。
【0079】
本明細書で使用する場合、用語「細胞培養」は、細胞の任意のインビトロ培養をいう。この用語には、連続細胞株(例えば不死の表現型を有する)、原発性細胞培養、形質転換された細胞株、有限の細胞株(例えば形質転換されない細胞)およびインビトロで維持される任意の他の細胞集団が含まれる。
【0080】
本明細書で使用する場合、用語「試料」は、その最も広い意味で使用される。1つの意味において、任意の供給源から得られた検体または培養、ならびに生物学的および環境的試料を含むことが意味される。生物学的試料は、動物(ヒトを含む)から得られ得、流体、固体、組織および気体を包含し得る。生物学的試料としては、血漿、血清等の血液生成物が挙げられる。しかしながら、かかる例は本発明に適用可能な試料の種類を限定するもとしては解釈されない。
【0081】
態様の詳細な説明
本発明は、上昇した(例えば超生理学的な)レベルの1つ以上のAP-1転写因子(例えばc-Jun)を過剰発現および/または含むように(例えば遺伝子的に)改変されたT細胞が、(例えば正常レベルのAP-1転写因子を発現する改変されないT細胞と比較して)低下したレベルのT細胞疲弊を示すという発見に基づく。本明細書において詳細に記載されるように、AP-1転写因子fosおよびc-Junの発現は、疲弊したT細胞においてより低く/下方制御され、上昇したレベルのc-Junまたは他のAP-1転写因子を過剰発現および/または有するように改変されたT細胞は、低下したレベルのT細胞疲弊を示す。例えば、AP-1転写因子(特にc-Jun)の過剰発現は、T細胞疲弊の発症を予防し、(例えば高レベルの抗原への暴露の後であっても)T細胞の機能を維持した(実施例1〜6参照)。増加したレベルのAP-1転写因子(特にc-Jun)を発現するGD2 CAR T細胞は、低下した疲弊の特徴(より低い疲弊マーカー、増加した記憶形成および増加したサイトカイン産生を含む)を示し、上昇した(例えば超生理学的な)レベルの1つ以上のAP-1転写因子を過剰発現および/または含むように改変されたT細胞は、複数の悪性疾患にわたり増強された臨床的有効性を示すことが示される(例えば実施例1〜6参照)。さらに、c-Junを過剰発現するように改変されたCD19 CAR T細胞およびc-Junを過剰発現するように改変されたCD22 CAR T細胞は共に、低いレベルの表面抗原を有する白血病標的細胞の増加したCAR T細胞認識を示した(例えば実施例6参照)。AP-1転写因子を過剰発現するように改変されたCAR T細胞は、cJUN改変CAR T細胞を使用した3つの別々のインビボ腫瘍モデルにおいて低下したT細胞疲弊および高められた機能を示した(実施例8参照)。したがって、AP-1転写因子(特にc-Jun)の過剰発現は、T細胞疲弊の発生を予防し、T細胞の機能を維持した。合わせると、これらの所見は、本発明の組成物および方法は広く適用可能であり、成功裡のCAR T細胞治療に対する既存の障壁の多くに対処することを示す。
【0082】
したがって、本発明は、改変されないT細胞がT細胞疲弊を示す条件下で機能を維持する、改変された((例えば上昇したレベルの1つ以上のAP-1転写因子および/または1つ以上のAP-1阻害性複合体メンバーの低下した発現および/または活性を過剰発現および/または含むように)例えば遺伝子的および/または機能的に)改変されたT細胞を提供する。この場合、本発明の組成物および方法は、(例えば特定のT細胞受容体を発現するように作り変えられるか、またはキメラ抗原受容体(CAR)を発現するように作り変えられる)作り変えられるT細胞の疲弊を予防するため、ならびに作り変えられないT細胞(例えば天然のまたは自然のT細胞(例えば被験体から単離された)の疲弊を予防し、それにより作り変えられるT細胞および作り変えられないT細胞の機能(例えば癌または感染性疾患に対する活性)を高めるために使用され得る。
【0083】
上昇したレベルの1つ以上のAP-1転写因子を過剰発現および/または含むようなT細胞の改変は、(例えばT細胞が疲弊した場合に生じるT細胞におけるAP-1転写因子の枯渇を予防し得(例えば実施例1参照)、および/または上昇した(例えば超生理学的な)レベルのAP-1転写因子を生じ得る。AP-1転写因子(例えばc-Jun)は、T細胞活性化の後に誘導される因子であり、T細胞によるサイトカイン(例えばインターロイキン-2)の産生および分泌に関係する。CARを発現するT細胞は、受容体クラスタリンによる持続性の抗原非依存的シグナル伝達を経験し、高レベルのPD-1、TIM-3およびLAG-3発現、低減された抗原誘導サイトカイン産生ならびに過剰なプログラム細胞死により示されるように、T細胞疲弊の基本的な生物学を繰り返す。AP-1転写因子は、疲弊したT細胞において低減されるものとして同定され特徴付けられた(例えば実施例1参照)。上昇したレベルの1つ以上のAP-1転写因子を過剰発現および/または含むようなT細胞の改変は、T細胞疲弊を誘導する条件に暴露されたT細胞の機能を有意に高めた(例えば実施例2〜5参照)。本発明を実施することに機構の理解は必要とされず、本発明は任意の特定の作用機構に限定されないが、T細胞におけるAP-1転写因子レベル(例えばc-Junのレベル)の維持および/または上昇は、T細胞疲弊に関連するT細胞の機能不全を予防する(例えばAP-1転写因子過剰発現の最小効果は疲弊していないT細胞において観察され、c-Junの関連のあるまたは絶対的な欠失は、T細胞疲弊に関連のある機能不全において重要な要因であることが示される)。
【0084】
いくつかの態様において、T細胞は、上昇したレベルの1つ以上の変異および/または切断AP-1転写因子を過剰発現および/または含むように改変され、T細胞におけるAP-1転写因子の枯渇を予防する。本明細書における態様の開発の際に行われる実験は、AP-1ファミリータンパク質の一部(例えばc-Jun)は、変異/切断AP-1因子の能力が機能不全のT細胞の救助を媒介することから影響を受けることなく変異および/または切断され得ることを示す。例えば、(例えばトランス活性化ドメインにおいて)N末端欠失および変異を有するc-Junポリペプチドは、c-Junと比較して、HA-28z疲弊CAR T細胞の機能を救助し、サイトカイン産生における同等の増加を保持するその能力を維持する。いくつかの態様において、AP-1(例えばc-Jun)ポリペプチドは、トランス活性化および/またはδドメインにおいて変異または欠失を含む。いくつかの態様において、AP-1(例えばc-Jun)ポリペプチドは、トランス活性化および/またはδドメインを不活性または非存在にする変異または欠失を含む。いくつかの態様において、変異/切断AP-1(例えばc-Jun)ポリペプチドは、野生型AP-1転写因子(例えばc-Jun)のC末端アミノ酸残基(例えば50残基、75残基、100残基、150残基、200残基250残基、またはそれらの間の範囲)、C末端部分(例えば4分の1、3分の1、2分の1)またはC末端ドメイン(例えばε、bZIPおよびそのアミノ酸C末端)と、70%(例えば70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%、100%またはそれらの間の範囲)以上の配列同一性を含む。いくつかの態様において、野生型AP-1転写因子(例えばc-Jun)のN末端アミノ酸残基(例えば50残基、75残基、100残基、150残基またはそれらの間の範囲)、N末端部分(例えば4分の1、3分の1、2分の1)またはN末端ドメイン(例えばδ、トランス活性化ドメインおよびそのアミノ酸N末端)は、欠失され、変異されまたはそうでなければ不活性化される。AP-1転写因子に関する本明細書に記載される任意の態様は、変異/切断AP-1(例えばc-Jun)ポリペプチドを含み得、例えば上述のものと矛盾しない。
【0085】
c-Fosおよびc-JunなどのAP-1転写因子の高められた発現は、改変されたT細胞の機能を増加したが、疲弊した活性化T細胞において発現される他の阻害性AP-1ファミリーメンバーがある。(例えばカノニカルAP-1因子のアベイラビリティを増加するための)阻害性AP-1複合体メンバーの阻害/ノックダウンも、T細胞疲弊を低減した(例えば実施例7参照)。特に、阻害性AP-1複合体メンバーの阻害/ノックダウンは、健常なT細胞ではなく、疲弊したT細胞のT細胞機能の有意な増強(例えばサイトカイン産生および/または発現の増強)を生じた(例えば図8A〜D参照)。したがって、いくつかの態様において、本発明は、阻害性AP-1複合体メンバー(例えばBATF3および他のBATFファミリーメンバー(BATF 1および2)、IRF4、IRF8、および他のIRFファミリーメンバー(IRF 1、2、3、5、6、7または9)、およびATFファミリーメンバー(ATF 1、2、3、4、5、6または7))の発現および/または活性の阻害によるT細胞疲弊を阻害する組成物および方法を提供する。本発明は、AP-1阻害性複合体メンバー(例えば遺伝子)の発現および/または活性の阻害の手段に限定されない。例えば、いくつかの態様において、AP-1阻害性複合体メンバーの発現および/または活性は、(例えば遺伝子発現の妨害により)ゲノムレベルで生じる。他の態様において、AP-1阻害性複合体メンバーの発現および/または活性の阻害は、(例えばタンパク質発現および/または活性の妨害により)タンパク質発現および/または活性のレベルで生じる。AP-1阻害性複合体メンバーの発現および/または活性を阻害するための例示的な組成物および方法としては、限定されないが、ヌクレアーゼ破壊、CRISPR-Cas9系、ジンクフィンガーヌクレアーゼ標的化、TALENゲノム編集、shRNA、siRNA、miRNA標的化、デグロン(degron)調節可能プロモーター、タンパク質阻害剤(例えば化学阻害剤、小分子阻害剤、抗体等)、ドミナントネガティブ体(negatives)の発現等が挙げられる。AP-1阻害性複合体メンバーの発現および/または活性を阻害するための例示的な組成物を以下の表1に示す。CASは、Chemical Abstracts Serviceを示し、化学物質ごとに割り当てられる特有の数的識別子である。
【0086】
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
【表1-5】
【表1-6】
【表1-7】
【0087】
したがって、本発明は、上昇したレベルの1つ以上のAP-1転写因子を過剰発現および/または含むように改変され、および/または1つ以上のAP-1阻害性複合体メンバーの発現および/または活性の低減のために改変されたT細胞を含む、T細胞疲弊を低減するための組成物および方法を提供する。本発明は、本発明の改変されたT細胞を使用して治療され得る疾患または状態により限定されない。実際に、本明細書に提供される組成物および方法は、T細胞の活性の増加が治療的利益を提供し得る任意の疾患の治療に有用であり得る。
【0088】
したがって、本発明は、上昇したレベルの1つ以上のAP-1転写因子を過剰発現および/または含むように改変され、および/または1つ以上のAP-1阻害性複合体メンバー(例えばJunB、BATF3および他のBATFファミリーメンバー、IRF4、IRF8および他のIRFファミリーメンバー、ならびにATFファミリーメンバー)の発現および/または活性の低減のために(例えば遺伝子的に)改変されたT細胞を含む組成物を提供する。本明細書において詳細に記載されるように、T細胞は、作り変えられるかまたは作り変えられないT細胞(例えば腫瘍浸潤リンパ球(TIL))であり得る。さらに、本発明は、上昇したレベルの1つ以上のAP-1転写因子を過剰発現および/または含むように改変されたT細胞の種類により限定されない。いくつかの態様において、T細胞は、CD3+T細胞(例えばCD4+およびCD8+T細胞の組合せ)である。ある態様において、T細胞はCD8+T細胞である。他の態様において、T細胞はCD4+T細胞である。いくつかの態様において、T細胞はナチュラルキラー(NK)T細胞である。いくつかの態様において、T細胞はγδT細胞である。いくつかの態様において、T細胞はCD4+およびCD8 T+細胞の組合せである(例えばCD3+である)。ある態様において、T細胞は記憶T細胞である。ある態様において、T細胞はCD8+ T細胞、CD4+ T細胞、NK T細胞、記憶T細胞および/またはγδT細胞の組合せである。いくつかの態様において、T細胞はサイトカイン誘導キラー細胞である。いくつかの態様において、T細胞は、キメラ抗原受容体を発現するように作り変えられる。別の態様において、T細胞は、(例えば腫瘍抗原または感染性疾患抗原に対して特異性を有する)特定のT細胞受容体を発現するように作り変えられる。いくつかの態様において、T細胞は抗腫瘍T細胞である。該組成物は、薬学的に許容され得る担体(例えばバッファ)を含み得る。該組成物はさらに、1つ以上の他の薬剤(例えば化学療法剤(例えば本明細書に記載される化学療法剤)および/または抗菌剤を含み得る。例示的な抗菌剤としては、限定されないが、抗体、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、ベンジルアルコール、塩化セチルピリジニウム、クロロブタノール、フェノール、フェニルエチルアルコール、硝酸フェニル水銀、チメロサール(thimersol)および/またはそれらの組合せが挙げられる。該組成物は任意に、T細胞疲弊を治療するための他の薬物(例えばニボルマブなどの抗PD-1チェックポイント阻害剤)、またはT細胞疲弊に関連のある感染もしくは疾患について被験体を治療するために使用される他の医薬(例えば抗ウイルス剤、抗生物質、抗菌剤または抗癌薬)などの1つ以上のさらなる薬剤を含み得る。
【0089】
抗菌治療剤は、本発明の組成物中の治療剤として使用され得る。微生物を殺傷、その機能を阻害またはそうでなければそれを弱体化し得る任意の薬剤、およびかかる活性を有することが企図された任意の薬剤が使用され得る。抗菌剤としては、限定されないが、単独または組み合わせで使用される天然および合成の抗生物質、抗体、阻害性タンパク質(例えばディフェンシン(defensin))、アンチセンス核酸、膜破壊剤等が挙げられる。実際に、限定されないが、抗菌剤、抗ウイルス剤、抗真菌剤等を含む任意の種類の抗生物質が使用され得る。
【0090】
腫瘍抗原を標的化するためのいくつかの戦略が当該技術分野で公知である。例えば、GD2標的化免疫療法は現在、神経芽腫、骨肉腫および黒色腫を含むいくつかの疾患において臨床および前臨床試験中にある(例えばThomas et al., PLoS One, 2016. 11(3): p. e0152196;Long et al., Nature Medicine, 2015. 21(6): p. 581-590;Long et al., Cancer Immunology Research, 2016. 4(10): p. 869-880;Yu et al., N Engl J Med, 2010. 363(14): p. 1324-34;Perez Horta et al., Immunotherapy, 2016. 8(9): p. 1097-117;Heczey et al, Molecular Therapy参照)。血液脳関門を効率的に通過しないmAbとは異なり、活性化CAR T細胞は、養子移入後に効率的にCNSに侵入する。したがって、一態様において、任意のCAR T細胞は、本発明の組成物および方法に従って改変され得る(例えば上昇したレベルの1つ以上のAP-1転写因子を過剰発現および/または含む(例えばそれによりCAR T細胞機能を高めるおよび/またはCAR T細胞の疲弊を阻害する)ように改変される)。
【0091】
例えば、本明細書に記載されるように、(例えば上昇したレベルの1つ以上のAP-1転写因子を過剰発現および/または含むように改変され、および/または1つ以上のAP-1阻害性複合体メンバー(例えばJunBおよびBATF3および他のBATFファミリーメンバー、IRF4、およびATFファミリーメンバー)の発現および/または活性の低減のために(例えば遺伝子的に)改変された)本発明の改変されたT細胞はまた、標的特異的結合要素、他の方法で抗原結合部分と称されるものを含むCARを含むように作り変えられ得る。該部分の選択は、標的細胞の表面を画定するリガンドの種類および数に依存する。例えば、抗原結合ドメインは、特定の疾患状態と関連する標的細胞上の細胞表面マーカーとして作用するリガンドを認識するように選択され得る。本発明のCAR中の抗原部分ドメインのためのリガンドとして作用し得る細胞表面マーカーの例としては、ウイルス、細菌および寄生生物の感染、自己免疫疾患および癌細胞に関連のあるものが挙げられる。
【0092】
例えば、CARは、腫瘍細胞上の抗原に特異的に結合する所望の抗原結合部分を作り変えることにより目的の腫瘍抗原を標的化するように作り変えられ得る。本明細書で使用する場合、「腫瘍抗原」または「過増殖性障害抗原」または「過増殖性障害に関連する抗原」または「癌抗原」は、癌などの特定の過増殖性疾患に共通の抗原をいう。本明細書で言及される例示的な抗原は、例示により挙げられる。該リストは排他的であることは意図されず、さらなる例は、当業者に容易に明らかになる。
【0093】
腫瘍抗原は、腫瘍細胞により産生される、免疫応答、特にT細胞媒介免疫応答を発揮するタンパク質である。したがって、抗原結合部分は、治療される癌の特定の種類に基づいて選択され得る。腫瘍抗原は当該技術分野で周知であり、例えば神経膠腫関連抗原、癌胎児性抗原(CEA)、βヒト絨毛性ゴナドトロピン、αフェトプロテイン(AFP)、レクチン反応性AFP、チログロブリン、RAGE-1、MN-CA IX、ヒトテロメラーゼ逆転写酵素、RU1、RU2 (AS)、腸カルボキシルエステラーゼ、mut hsp70-2、M-CSF、前立腺特異的抗原(PSA)、PAP、NY-ESO-1、LAGE-1a、p53、prostein、PSMA、Her2/neu、サバイビンおよびテロメラーゼ、前立腺癌腫瘍抗原-1(PCTA-1)、MAGE、ELF2M、好中球エラスターゼ、エフリンB2、CD22、インスリン成長因子(IGF)-I、IGF-II、IGF-I受容体およびメソテリンが挙げられる。
【0094】
腫瘍抗原は、悪性腫瘍に関連する1つ以上の抗原性癌抗原/エピトープを含み得る。悪性腫瘍は、免疫攻撃についての標的抗原として働き得るいくつかのタンパク質を発現する。これらの分子としては、限定されないが、黒色腫においてMART-1、チロシナーゼおよびGP100ならびに前立腺癌において前立腺酸性ホスファターゼ(PAP)および前立腺特異的抗原(PSA)などの組織特異的抗原が挙げられる。他の標的分子は、癌遺伝子HER-2/Neu/ErbB-2などの形質転換関連分子の群に属する。標的抗原のさらに別の群は、癌胎児性抗原(CEA)などの癌-胎児抗原である。B細胞リンパ腫において、腫瘍特異的イディオタイプの免疫グロブリンは、個々の腫瘍に特有の真の腫瘍特異的免疫グロブリン抗原を構成する。CD19、CD20およびCD37などのB細胞分化抗原は、B細胞リンパ腫における標的抗原の他の候補である。
【0095】
腫瘍抗原はまた、腫瘍特異的抗原(TSA)または腫瘍関連抗原(TAA)であり得る。TSAは腫瘍細胞に特有であり、身体内の他の細胞には生じない。TAAは腫瘍細胞には特有ではなく、その代わりに抗原に対して免疫学的寛容の状態を誘導しない条件下で、いくつかの正常細胞上にも発現される。腫瘍上の抗原の発現は、免疫系が抗原に応答することを可能にする条件下で起こり得る。TAAは、免疫系が未熟であり応答できない胎児発生の間に正常細胞上に発現される抗原であり得るか、または通常は正常細胞上で極めて低いレベルで存在するが、腫瘍細胞上でかなり高いレベルで発現される抗原であり得る。
【0096】
TSAまたはTAAの例としては、限定されないが、MART-1/MelanA (MART-1)、gp100 (Pmel 17)、チロシナーゼ、TRP-1、TRP-2などの分化抗原およびMAGE-1、MAGE-3、BAGE、GAGE-1、GAGE-2、p15などの腫瘍特異的多系統抗原;CEAなどの過剰発現する胎児性抗原;p53、Ras、HER-2/neuなどの過剰発現する癌遺伝子および変異型腫瘍サプレッサー遺伝子;BCR-ABL、E2A-PRL、H4-RET、IGH-IGK、MYL-RARなどの染色体転座により生じる特有の腫瘍抗原;ならびにエプスタインバーウイルス抗原EBVAおよびヒトパピローマウイルス(HPV)抗原E6およびE7などのウイルス抗原が挙げられる。他の大きなタンパク質に基づく抗原としては、TSP-180、MAGE-4、MAGE-5、MAGE-6、RAGE、NY-ESO-1、p185erbB2、p180erbB-3、c-met、nm-23H1、PSA、TAG-72、CA 19-9、CA 72-4、CAM 17.1、NuMa、K-ras、βカテニン、CDK4、Mum-1、p 15、p 16、43-9F、5T4、791Tgp72、αフェトプロテイン、β-HCG、BCA225、BTAA、CA 125、CA 15-3/CA 27.291/BCAA、CA 195、CA 242、CA-50、CAM43、CD68/P1、CO-029、FGF-5、G250、Ga733/EpCAM、HTgp-175、M344、MA-50、MG7-Ag、MOV18、NB/70K、NY-CO-1、RCAS1、SDCCAG16、TA-90/Mac-2結合タンパク質/サイクロフィリンC-関連タンパク質、TAAL6、TAG72、TLPおよびTPSが挙げられる。
【0097】
標的化される所望の抗原に依存して、CARは、所望の抗原標的に特異的な適切な抗原結合部分を含むように作り変えられ得る。例えば、CD19が標的化される所望の抗原である場合、CD19についての抗体が、本発明のCARへの組み込みのための抗原結合部分として使用され得る。
【0098】
治療方法
別の局面において、疾患または状態を有する被験体(例えば患者)に、上昇したレベルの1つ以上のAP-1転写因子を発現および/または含むように改変されたT細胞の有効量を投与する工程を含む、被験体において、疾患または状態を治療する方法が本明細書に提供される。本発明は、治療される疾患または状態の種類により限定されない。実際に、T細胞の投与により治療可能な(例えば該疾患の徴候または症状が治療の際に改善される)任意の疾患または状態は、(例えば上昇したレベルの1つ以上のAP-1転写因子を発現および/または含むように改変されたT細胞を含むおよび/または使用する)本発明の組成物および方法を使用した向上されおよびより効果的な様式において治療され得る。一態様において、該疾患または状態は癌である。別の態様において、該疾患または状態は感染性の疾患である。本発明は、癌の種類または感染性の疾患の種類により限定されない。実際に、治療のためにT細胞療法が使用される当該技術分野で公知の任意の癌は、本発明の組成物および方法を用いて治療され得る。同様に、治療のためにT細胞療法が使用される当該技術分野で公知の任意の感染性の疾患は、本発明の組成物および方法を用いて治療され得る。一態様において、上昇したレベルの1つ以上のAP-1転写因子を発現および/または含むように改変されたT細胞の有効量を、疾患または状態を有する被験体(例えば患者)に投与することは、該被験体において、(例えばそうでなければ同じ量の非改変T細胞が被験体に投与される場合に起こる)T細胞疲弊を阻害する。例えば、ある態様において、該方法は、養子細胞療法を用いた治療に応答性の疾患または状態を有する被験体を治療する方法を含む。ある態様において、養子細胞療法を用いた治療に応答性の疾患または状態を有する被験体を治療する方法は、上昇したレベルの1つ以上のAP-1転写因子を発現するように遺伝子的に改変されたT細胞の有効量を含む組成物を投与する工程を含み、ここで上昇したレベルの1つ以上のAP-1転写因子を発現するように遺伝子的に改変されたT細胞は、正常レベルの1つ以上のAP-1転写因子を発現するT細胞と比較して、T細胞疲弊のレベルの低減を示す。ある態様において、該疾患または状態は癌を含む。
【0099】
一局面において、本発明は、1つ以上のAP-1転写因子を発現するように改変/作り変えられたT細胞を使用した癌/腫瘍の治療のための方法を提供する。本発明の種々の局面において、癌/腫瘍を治療する方法が提供され、該方法は、かかる癌または腫瘍を有する患者に、1つ以上のAP-1転写因子を発現するように改変/作り変えられたT細胞の有効量を投与する工程を含む。本発明は、治療される癌および/または腫瘍の種類により限定されない。本明細書で使用する場合、用語「癌」は、種々の型の悪性新生物をいい、そのほとんどは周囲の組織に侵入し得、異なる部位に転移し得る(例えば全ての目的のためのその全体において参照により本明細書に援用されるPDR Medical Dictionary, 1st edition (1995)参照)。用語「新生物」および「腫瘍」は、正常よりも早く細胞増殖により成長し、増殖を開始させる刺激が除去された後に成長を続ける異常な組織をいう。かかる異常な組織は、構造的組織化、および良性(すなわち良性腫瘍)または悪性(すなわち悪性腫瘍)のいずれかであり得る正常組織との機能的協調の部分的または完全な欠如を示す。癌の一般的なカテゴリーの例としては、限定されないが、癌腫(例えば乳癌、前立腺癌、肺癌および結腸癌の共通の形態などの上皮細胞由来の例えば悪性腫瘍)、肉腫(例えば結合組織または間葉細胞由来の悪性腫瘍)、リンパ腫(例えば血液学的細胞由来の悪性疾患)、白血病(例えば血液学的細胞由来の悪性疾患)、生殖細胞腫瘍(例えば全能性細胞由来の腫瘍が挙げられる。成体においては精巣または卵巣において最も頻繁に見られ;胎児、乳児および若年の小児においては身体の正中線、特に尾骨の先端)、分芽性腫瘍(例えば典型的には未成熟または胎児性の組織に似た悪性腫瘍)等において最も頻繁に見られる。本発明の組成物および方法を使用して治療され得る腫瘍および/または新生物のさらなる例としては、限定されないが、神経組織、血液形成組織、乳房、皮膚、骨、前立腺、卵巣、子宮、子宮頸、肝臓、肺、脳、咽頭、胆嚢、膵臓、直腸、副甲状腺、甲状腺、副腎、免疫系、頭頸部、結腸、胃、気管支および/または腎臓の癌に関連する新生物が挙げられる。いくつかの態様において、癌は、潜伏癌、以前に診断された原発性の癌または転移性の癌である。
【0100】
ある態様において、改変されたT細胞(例えばCAR T細胞(例えば改変されないT細胞と比較して))内の上昇したレベルの1つ以上のAP-1転写因子の存在は、上昇したレベルの1つ以上のAP-1転写因子を含むように改変されないT細胞(例えばCAR T細胞)を使用した治療を用いるよりも効果的な癌/腫瘍の治療(例えば殺傷および/または進行の阻害)を生じる。
【0101】
ある態様において、本発明は、上昇した(例えば超生理学的な)レベルの1つ以上のAP-1転写因子を過剰発現および/または含むように遺伝子的に改変され、腫瘍表面抗原(例えばCD19、CD20、CD22、ROR1、GD2、EBVタンパク質または抗原、葉酸受容体、メソテリン、ヒト癌胎児性抗原、CD33/IL3Ra、c-Met、PSMA、糖脂質F77、EGFRvIII、NY-ESO-1、MAGE-A3、MART-1、GP1000および/またはp53)を認識する受容体を発現し、T細胞の拡大および/または腫瘍殺傷を誘導するようにT細胞を活性化するシグナルを伝達するように作り変えられたT細胞(例えばCD3+ T細胞))を使用して、癌および/または腫瘍を治療する(例えば成長を阻害するおよび/または殺傷する)方法を提供する。受容体の非限定的な例は、GD2を認識するmAb由来のscFv、ならびに膜貫通ドメイン、および1つ以上の細胞内シグナル伝達ドメインを組み込むキメラ抗原受容体(CAR)である。CARはさらに、腫瘍細胞抗原(例えばGD2抗原)との遭遇の後に作り変えられた細胞の拡大を容易にする他のシグナル伝達要素、および作り変えられた細胞の長期存続を可能にする要素を組み込むように作り変えられ得る。本発明はさらに、遺伝子的に作り変えられた細胞を含む組成物(例えば癌および/または腫瘍に到達するのに十分な量で産生され、投与される免疫療法組成物)を提供する。
【0102】
改変されたT細胞の構築。
本明細書に記載されるように、本発明は、1つ以上のAP-1転写因子を(例えば異種的に)発現するように(例えば遺伝子的に(例えば形質導入))改変されるT細胞を含む組成物を提供する。例えば本発明は、形質導入されたT細胞を提供する。「形質導入された細胞」は、分子生物学的技術を使用して核酸分子を導入された細胞である。1つ以上の異種AP-1転写因子を発現するように改変/形質導入されるT細胞は、限定されないが、ウイルスベクター(例えばレトロウイルス、レンチウイルスまたは他のウイルスベクター)を用いたトランスフェクション、CRISPR/Cas9に基づく系を介して、プラスミドベクターを用いた形質転換、および/またはエレクトロポレーション、リポフェクションおよび粒子銃加速によるネイキッドDNAの導入を含む、核酸分子がかかる細胞に導入され得る任意の技術により形質導入され得る。ウイルスおよび/またはプラスミドベクターは、インビトロ、インビボおよび/またはエクソビボ発現のために使用され得る。AP-1転写因子は、作り変えられたTCRまたはCARと共発現され得、TCRおよび/またはCARの両方は転写因子ならびに別のウイルスベクターから共発現される。別の態様において、それらは、バイシストロニックベクターを使用して単一のベクター構築物から発現される。C-Jun(および/または他のAP-1転写因子)は、構成的に、または(例えば小分子を介して遠隔的に発現を制御する系を使用してまたは内因的に制御される系を使用して)制御される様式で発現され得る。c-Junおよび/または他のAP-1転写因子遺伝子は、別の態様において、レトロウイルス、レンチウイルスもしくは他のウイルスベクターを使用してまたはCRISPR/Cas9に基づく系により細胞性DNAに遺伝子的に組み込まれ得る。さらに別の態様において、c-Junおよび/または他のAP-1転写因子は、RNAもしくは腫瘍崩壊性ウイルスまたは当該技術分野で公知の他の一過的な発現系を介して発現される。C-Junおよび/または他のAP1転写因子(transcription fact)は、エクソビボでT細胞に送達され得る(例えばここで該T細胞は養子移入のために使用される)かまたはインビボ遺伝子転入を介して送達され得る。
【0103】
本発明は、T細胞内で発現されるキメラ抗原受容体(CAR)(例えば本発明の方法に使用されるCAR構築物)により限定されない。一態様において、CARは、腫瘍抗原(例えばGD2)に特異性をもって結合する免疫グロブリンの重鎖(VH)および軽鎖(VL)の可変領域の融合タンパク質(例えば一本鎖可変断片(scFv))を含む。当業者は、scFvが、リンカーペプチド(例えば約10〜約25アミノ酸)により連結される免疫グロブリンの重鎖(VH)および軽鎖(VL)の可変領域の融合タンパク質であることをわかっている。本発明はリンカーの種類により限定されない。いくつかの態様において、リンカーは、(例えば柔軟性のために)グリシンに富んでいる。いくつかの態様において、リンカーは、(例えば溶解性のために)セリンおよび/またはトレオニンを含む。いくつかの態様において、リンカーは、グリシンに富んだ部分ならびにセリンおよび/またはトレオニンを含む部分を含む。
【0104】
腫瘍抗原(例えばGD2)に特異性を持って結合する任意の抗体/免疫グロブリンは、本発明の治療方法に使用される免疫細胞における発現について、CARを構築するために(例えば融合タンパク質scFvを構築するためのVHおよびVL領域を使用して)使用され得る。かかる抗体/免疫グロブリンの例としては、限定されないが、GD2について:14G2a、ch14.18、hu14.18K322A、m3F8、hu3F8-IgG1、hu3F8-IgG4、HM3F8、UNITUXIN、DMAb-20またはGD2に特異性を持って結合する任意の他の抗体(例えば当該技術分野において公知もしくは記載されるかまたはやがて同定される)が挙げられる。腫瘍抗原(例えばGD2)CARは、親和性を高めるためおよび/または持続性のシグナル伝達を低減するために作製される腫瘍抗原(例えばGD2)抗体のscFv内でバリアントを組み込む受容体を含み得る。腫瘍抗原(例えばGD2)CARは、(例えばscFvとシグナル伝達ドメインの間に)可変的な長さのヒンジ領域および/または異なる膜貫通ドメインを組み込み得る。本発明は使用される膜貫通ドメインにより限定されない。実際に、限定されないが、TCRζ鎖(CD3ζ)、CD28、OX40/CD134、4-1BB/CD137/TNFRSF9、FcERIγ、ICOS/CD278、ILRB/CD122、IL-2RG/CD132またはCD40の膜貫通ドメインの全部または一部を含む任意の膜貫通ドメインが使用され得る。
【0105】
本発明のCAR構築物は、(例えば(例えば部分的に)T細胞を活性化する細胞内シグナルにリガンド結合の事象を伝達する細胞内シグナル伝達ドメイン(例えば天然のT細胞受容体複合体のCD3ζおよび/または他のシグナル伝達ドメイン(例えばMyD88シグナル伝達ドメイン))を含み得る。共刺激性シグナルがない場合、受容体-リガンド結合は時々、T細胞の十分な活性化および増殖に不十分である。したがって、CAR構築物は、(例えば十分なT細胞活性化を刺激するための第2のシグナルを提供する)1つ以上の共刺激性ドメインを含み得る。一態様において、CAR免疫T細胞サイトカイン産生を増加する共刺激性ドメインが使用される。別の態様において、T細胞複製を容易にする共刺激性ドメインが使用される。さらに別の態様において、CAR T細胞疲弊を予防する共刺激性ドメインが使用される。別の態様において、T細胞抗腫瘍活性を増加する共刺激性ドメインが使用される。なおさらなる態様において、(例えば患者への注入後)CAR T細胞の生存を高める共刺激性ドメインが使用される。共刺激性シグナルを提供するために使用され得るタンパク質またはそのドメインもしくは一部の例としては、限定されないが、B7-1/CD80;CD28;B7-2/CD86;CTLA-4;B7-H1/PD-L1;ICOS/CD278;ILRB/CD122;IL-2RG/CD132;B7-H2;PD-1;B7-H3;PD-L2;B7-H4;PDCD6;BTLA;4-1BB/TNFRSF9/CD137;FcERIγ;CD40リガンド/TNFSF5;4-1BBリガンド/TNFSF9;GITR/TNFRSF18;BAFF/BLyS/TNFSF13B;GITRリガンド/TNFSF18;BAFF R/TNFRSF13C;HVEM/TNFRSF14;CD27/TNFRSF7;LIGHT/TNFSF14;CD27リガンド/TNFSF7;OX40/TNFRSF4;CD30/TNFRSF8;OX40リガンド/TNFSF4;CD30リガンド/TNFSF8;TACl/TNFRSF13B;CD40/TNFRSF5;2B4/CD244/SLAMF4;CD84/SLAMF5;BLAME/SLAMF8;CD229/SLAMF3;CD2 CRACC/SLAMF7;CD2F-10/SLAMF9;NTB-A/SLAMF6;CD48/SLAMF2;SLAM/CD150;CD58/LFA-3;CD2;Ikaros;CD53;インテグリンα4/CD49d; CD82/Kai-1;インテグリンα4β1;CD90/Thy1;インテグリンα4β7/LPAM-1;CD96;LAG-3;CD160;LMIR1/CD300A;CRTAM;TCL1A;DAP12;TIM-1/KIM-1/HAVCR;デクチン-1/CLEC7A;TIM-4;DPPIV/CD26;TSLP;EphB6;TSLP RおよびHLA-DRが挙げられる。一態様において、本発明の組成物および方法において使用されるT細胞において発現されるCAR構築物としては、CD28エンドドメイン、4-1BBエンドドメインおよび/またはOX40エンドドメインが挙げられる。ある態様において、本発明の腫瘍抗原(例えばGD2)に特異的なCAR構築物は、腫瘍抗原(例えばGD2)に特異性を持って結合する抗体のscFv、(例えばCD8の)膜貫通ドメイン、T細胞受容体細胞内シグナル伝達ドメイン(例えばTCRζ鎖(CD3ζ))および少なくとも1つの共刺激性ドメイン(例えば4-1BB)を含む。
【0106】
本発明は、T細胞中でTCR、CARおよび/または1つ以上のAP-1転写因子を遺伝子的に発現する手段により限定されない。実際に、当該技術分野で公知および/または本明細書に記載される任意の手段が使用され得る。T細胞を遺伝子的に作り変える方法の非限定的な例としては、限定されないが、レトロウイルスもしくはレンチウイルス媒介形質導入、遺伝子組み込みのためのトランスポゼースに基づく系を用いた形質導入、Crispr/Cas9媒介遺伝子組み込み、RNAもしくはアデノ随伴ウイルスなどの非組込みベクター、または本明細書に記載される他の方法が挙げられる。作り変えられたT細胞を含む組成物は、作り変えられないT細胞もしくは他の免疫細胞、またはより大きな拡大もしくは存続能力のために選択されるT細胞サブセットを組み込み得る。毒性を低減するために、作り変えられた細胞の殺傷を可能にする要素の組み込みが組み込まれ得る。毒性を低減するためおよび/または効率を高めるために、作り変えられた細胞におけるタンパク質発現の制御を可能にする要素の組み込みが含まれ得る。
【0107】
癌治療剤、組成物および併用療法。
ある態様において、本発明は、個体に、本発明の改変されたT細胞の有効量を投与する工程を含む、個体において、癌を治療もしくはその進行を遅延させるため、または感染性疾患を治療もしくはその進行を遅延させるための方法を提供する。いくつかの態様において、該治療は、治療の停止後に、個体において持続的な応答を生じる。本明細書に記載される方法は、状態の治療における使用を見出し得、ここで癌の治療のために腫瘍免疫原性を増加させるなど高められた免疫原性が望ましい。個体に、本発明の改変されたT細胞の有効量を投与する工程を含む、癌を有する個体において、免疫機能を高める方法も本明細書おいて提供される。当該技術分野で公知または本明細書に記載されるCAR および/またはTCRを発現するように遺伝子的に改変された任意の種類のT細胞が、これらの方法に使用され得る。
【0108】
いくつかの態様において、個体は、1つ以上の他の形態の抗癌治療(例えば化学療法、免疫療法等)に抵抗性(例えば抵抗性であると示されている)癌を有する。いくつかの態様において、抵抗性は、癌の再発または難治性の癌を含む。再発は、治療後の起源の部位または新規の部位での癌の再出現をいい得る。いくつかの態様において、抵抗性は、化学療法による治療の間の癌の進行を含む。いくつかの態様において、抵抗性は、化学療法剤を用いた旧来のまたは従来の治療に対して応答しない癌を含む。癌は治療の開始の時点で抵抗性であり得るか、または治療の間に抵抗性になり得る。いくつかの態様において、癌は、初期病期または後期病期にある。
【0109】
ある態様において、本発明は、癌/腫瘍に苦しむ動物(例えばヒト)の、上昇したレベルの1つ以上のAP-1転写因子を発現および/または含むように改変されたT細胞を含む免疫療法組成物の治療有効量への暴露が、かかる癌細胞の成長を完全に阻害する、および/またはかかる癌細胞を、癌治療薬もしくは放射線療法に(例えばその細胞死誘導活性に)対してより感受性の集団にすることを提供する。本発明の免疫療法組成物および方法は、任意の種類の癌などの障害の治療、改善または予防のために使用され得る。
【0110】
ある態様において、上昇したレベルの1つ以上のAP-1転写因子を発現および/または含むように改変されたT細胞を含む免疫療法組成物は、1つ以上の従来の癌療法に対する抵抗性を特徴とする癌(例えば化学耐性、放射線耐性、ホルモン耐性等である癌細胞)を治療、改善または予防するために使用される。本明細書に記載されるように、腫瘍特異的CARを発現するように遺伝子的に改変された任意のT細胞は、本発明の免疫療法組成物および方法に使用され得る。
【0111】
(例えば上昇したレベルの1つ以上のAP-1転写因子を発現および/または含むように改変されたT細胞を含む)本発明の免疫療法組成物および方法は、腫瘍細胞に対する細胞傷害活性を誘導するおよび/または細胞の生存および機能(例えば改変された免疫細胞の生存および機能)を促進するために使用され得る。例えば、本発明の免疫療法組成物および方法は、T細胞生存を促進するためのインターロイキン-2(IL-2)を誘導する;Fasリガンド(FasL)および/または腫瘍壊死因子関連アポトーシス誘導リガンド(TRAIL)を誘導する(例えば腫瘍細胞アポトーシスを誘導する);および/またはインターフェロン(IFN)γを誘導する(例えば(例えば癌に対する)先天性の免疫応答を活性化する)ために使用され得る。いくつかの態様において、本発明の組成物および方法は、細胞周期停止および/またはアポトーシスを誘導するため、およびまた単独またはさらなるアポトーシス誘導シグナルに応答してのいずれかで細胞周期停止および/またはアポトーシスの誘導を強化するために使用される。いくつかの態様において、上昇したレベルの1つ以上のAP-1転写因子を発現および/または含むように改変されたT細胞は、細胞周期停止および/またはアポトーシスの誘導に対して、通常はかかる誘導刺激に対し抵抗性である細胞を含む癌細胞を感作する。
【0112】
いくつかの態様において、本発明の組成物および方法は、動物(例えば限定されないが、ヒトおよびコンパニオン動物を含む哺乳動物患者)において、疾患を有する細胞、組織、臓器または病理学的状態および/または疾患状態を治療するために使用される。この点において、種々の疾患および病状が本方法および組成物を使用した治療または予防に敏感に反応する。いくつかの態様において、治療される癌細胞は転移性である。他の態様において、治療される癌細胞は抗癌剤に対して抵抗性である。
【0113】
本発明のいくつかの態様は、上昇したレベルの1つ以上のAP-1転写因子を発現および/または含むように改変されたT細胞の有効量ならびに少なくとも1つのさらなる治療剤(限定されないが、化学療法抗新生物剤、アポトーシス調節剤、抗菌剤、抗ウイルス剤、抗真菌剤および抗炎症剤を含む)および/または治療技術(例えば外科的介入および/または放射線療法)を施すための方法を提供する。特定の態様において、さらなる治療剤(1つまたは複数)は抗癌剤である。
【0114】
いくつかの適切な抗癌剤が、本発明の方法における使用のために企図される。実際に、本発明は、限定されないが、例えばアポトーシスを誘導する薬剤;ポリヌクレオチド(例えばアンチセンス、リボザイム、siRNA);ポリペプチド(例えば酵素および抗体);生物学的模倣物;アルカロイド;アルキル化剤;抗腫瘍抗生物質;代謝拮抗物質;ホルモン;白金化合物;モノクローナルまたはポリクローナル抗体(例えば抗癌薬、毒素、ディフェンシンとコンジュゲートした抗体)、毒素;放射線核種;生物学的応答改変剤(例えばインターフェロン(例えばIFN-α)およびインターロイキン(例えばIL-2));養子免疫療法剤;造血成長因子;腫瘍細胞分化を誘導する薬剤(例えば全てのトランスレチノイン酸);遺伝子療法試薬(例えばアンチセンス療法試薬およびヌクレオチド);腫瘍ワクチン;脈管形成阻害剤;プロテアソーム阻害剤;NF-ΚB調節剤;抗CDK化合物;HDAC阻害剤等などの多くの抗癌剤の投与を企図する。開示される可能物との共投与に適切な化学療法化合物および抗癌療法の多くの他の例は当業者に公知である。
【0115】
ある態様において、抗癌剤は、アポトーシスを誘導または刺激する薬剤を含む。アポトーシスを誘導する薬剤としては、限定されないが、放射線(例えばX線、γ線、UV);腫瘍壊死因子(TNF)関連因子(例えばTNFファミリー受容体タンパク質、TNFファミリーリガンド、TRAIL、TRAIL-R1またはTRAIL-R2に対する抗体);キナーゼ阻害剤(例えば上皮成長因子受容体(EGFR)キナーゼ阻害剤、血管成長因子受容体(VGFR)キナーゼ阻害剤、線維芽細胞成長因子受容体(FGFR)キナーゼ阻害剤、血小板由来成長因子受容体(PDGFR)キナーゼ阻害剤およびBcr-Ablキナーゼ阻害剤(グリベックなど));アンチセンス分子;抗体(例えばハーセプチン、リツキサン、ゼヴァリンおよびアバスチン);抗エストロゲン(例えばラロキシフェンおよびタモキシフェン);抗アンドロゲン(例えばフルタミド、ビカルタミド、フィナステリド、アミノグルテチミド(aminoglutethamide)、ケトコナゾールおよびコルチコステロイド);シクロオキシゲナーゼ2(COX-2)阻害剤(例えばセレコキシブ、メロキシカム、NS-398および非ステロイド抗炎症薬(NSAID));抗炎症薬(例えばブタゾリジン(butazolidin)、デカドロン、デルタゾン(DELTASONE)、デキサメタゾン、デキサメタゾンインテンソール、デキソン(DEXONE)、ヘキサドロール(HEXADROL)、ヒドロキシクロロキン、METICORTEN、オラデキソン(ORADEXON)、オラソン(ORASONE)、オキシフェンブタゾン、PEDIAPRED、フェニルブタゾン、プラケニル、プレドニゾロン、プレドニゾン、プレロン(PRELONE)およびTANDEARIL);および癌化学療法薬(例えばイリノテカン(CAMPTOSAR)、CPT-11、フルダラビン(FLUDARA)、ダカルバジン(DTIC)、デキサメタゾン、ミトキサントロン、マイロターグ、VP-16、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、5-FU、ドキソルビシン、ゲムシタビン、ボルテゾミブ、ゲフィニチブ、ベバシズマブ、タキソテールまたはタキソール);細胞シグナル伝達分子;セラミドおよびサイトカイン;スタウロスポリン等が挙げられる。
【0116】
さらに他の態様において、本発明の組成物および方法は、アルキル化剤、代謝拮抗物質および天然の生成物(例えばハーブおよび他の植物および/または動物由来化合物)から選択される少なくとも1つの抗過増殖性剤または抗新生物剤と一緒に使用される。
【0117】
本組成物および方法における使用に適切なアルキル化剤としては、限定されないが、1)ナイトロジェンマスタード(例えばメクロレタミン、シクロホスファミド、イフォスファミド、メルファラン(L-サルコリシン(sarcolysin));およびクロラムブシル);2)エチレンイミンおよびメチルメラミン(例えばヘキサメチルメラミンおよびチオテパ);3)アルキルスルホネート(例えばブスルファン);4)ニトロソウレア(例えばカルムスチン(BCNU);ロムスチン(CCNU);セムスチン(メチル-CCNU);およびストレプトゾシン(ストレプトゾトシン));ならびに5)トリアゼン(例えばダカルバジン(DTIC;ジメチルトリアゼノイミド-アゾールカルボキサミド)が挙げられる。
【0118】
いくつかの態様において、本組成物および方法における使用に適切な代謝拮抗物質としては、限定されないが:1)葉酸アナログ(例えばメトトレキサート(アメトプテリン(amethopterin)));2)ピリミジンアナログ(例えばフルオロウラシル(5-フルオロウラシル;5-FU)、フロクスウリジン(フルオロデオキシウリジン(fluorode-oxyuridine); FudR)、およびシタラビン(シトシンアラビノシド));ならびに3)プリンアナログ(例えばメルカプトプリン(6-メルカプトプリン;6-MP);チオグアニン(6-チオグアニン;TG)、およびペントスタチン(2'-デオキシコホルマイシン))が挙げられる。
【0119】
なおさらなる態様において、本発明の組成物および方法における使用に適切な化学療法剤としては、限定されないが、1)ビンカアルカロイド(例えばビンブラスチン(VBL)、ビンクリスチン);2) エピポドフィロトキシン(例えばエトポシドおよびテニポシド);3)抗生物質(例えばダクチノマイシン(アクチノマイシンD)、ダウノルビシン(ダウノマイシン;ルビドマイシン(rubidomycin))、ドキソルビシン、ブレオマイシン、プリカマイシン(ミトラマイシン(mithramycin))、およびマイトマイシン(マイトマイシンC));4)酵素(例えばL-アスパラギナーゼ);5)生物学的応答改変剤(例えばインターフェロンα);6)白金配位錯体(例えばシスプラチン(cis-DDP)およびカルボプラチン);7)アントラセンジオン(例えばミトキサントロン);8)置換ウレア(例えばヒドロキシウレア);9)メチルヒドラジン誘導体(例えばプロカルバジン(N-メチルヒドラジン;MIH));10)副腎皮質抑制物質(例えばミトタン(o,p'-DDD)およびアミノグルテチミド);11)アドレノコルチコステロイド(例えばプレドニゾン);12)プロゲスチン(例えばヒドロキシプロゲステロンカプロエート、酢酸メドロキシプロゲステロンおよび酢酸メゲストロール);13)エストロゲン(例えばジエチルスチルベストロールおよびエチニルエストラジオール);14)抗エストロゲン(例えばタモキシフェン);15)アンドロゲン(例えばテストステロンプロピオネートおよびフルオキシメステロン);16)抗アンドロゲン(例えばフルタミド);ならびに17)ゴナドトロピン放出ホルモンアナログ(例えばロイプロリド)が挙げられる。
【0120】
癌療法の文脈において常套的に使用される任意の腫瘍崩壊性剤はまた、本発明の組成物および方法において使用され得る。例えば米国食品医薬品局は、米国における使用について承認された腫瘍崩壊剤の処方集を維持する。米国F.D.A.の国際的な対応機関は同様の処方集を保持する。
【0121】
抗癌剤としてはさらに、抗癌活性を有すると同定された化合物が挙げられる。例としては、限定されないが、3-AP、12-O-テトラデカノイルホルボール-13-アセテート、17AAG、852A、ABI-007、ABR-217620、ABT-751、ADI-PEG 20、AE-941、AG-013736、AGRO100、アラノシン、AMG 706、抗体G250、アンチネオプラストン、AP23573、アパジクオン(apaziquone)、APC8015、アチプリモド、ATN-161、アトラセンテン(atrasenten)、アザシチジン、BB-10901、BCX-1777、ベバシズマブ、BG00001、ビカルタミド、BMS 247550、ボルテゾミブ、ブリオスタチン-1、ブセレリン、カルシトリオール、CCI-779、CDB-2914、セフィキシム、セツキシマブ、CG0070、シレンギチド(cilengitide)、クロファラビン、コンブレタスタチンA4ホスフェート、CP-675,206、CP-724,714、CpG 7909、クルクミン、デシタビン、DENSPM、ドキセルカルシフェロール、E7070、E7389、エクティナサイジン743、エファプロキシラル、エフロールニチン、EKB-569、エンザスタウリン、エルロチニブ、エキシスリンド(exisulind)、フェンレチニド、フラボピリドール、フルダラビン、フルタミド、フォテムスチン、FR901228、G17DT、ガリキシマブ(galiximab)、ゲフィニチブ、ゲニステイン、グルフォスファミド、GTI-2040、ヒストレリン、HKI-272、ホモハリントニン、HSPPC-96、hu14.18-インターロイキン-2融合タンパク質、HuMax-CD4、イロプロスト、イミキモド、インフリキシマブ、インターロイキン-12、IPI-504、イロフルベン、イクサベピロン、ラパチニブ、レナリドマイド、レスタウルチニブ、ロイプロリド、LMB-9免疫毒素、ロナファルニブ、ルニリキシマブ、マフォスファミド、MB07133、MDX-010、MLN2704、モノクローナル抗体3F8、モノクローナル抗体J591、モテキサフィン、MS-275、MVA-MUC1-IL2、ニルタミド、ニトロカンプトテシン、ノラトレキセド二塩酸塩、nolvadex、NS-9、O6-ベンジルグアニン、オブリメルセンナトリウム、ONYX-015、オレゴボマブ、OSI-774、パニツムマブ、パラプラチン、PD-0325901、ペメトレキセド、PHY906、ピオグリタゾン、ピルフェニドン、ピキサントロン、PS-341、PSC 833、PXD101、ピラゾロアクリジン、R115777、RAD001、ランピルナーゼ、レベッカマイシンアナログ、rhuアンギオスタチンタンパク質、rhuMab 2C4、ロシグリタゾン、ルビテカン、S-1、S-8184、サトラプラチン、SB-、15992、SGN-0010、SGN-40、ソラフェニブ、SR31747A、ST1571、SU011248、スベロイルアニリドヒドロキサム酸、スラミン、タラボスタット(talabostat)、タランパネル、タリキダル(tariquidar)、テムシロリムス、TGFa-PE38免疫毒素、サリドマイド、サイマルファシン、チピファルニブ、チラパザミン、TLK286、トラベクテジン、グルクロン酸トリメトレキサート、TroVax、UCN-1、バルプロ酸、ビンフルニン、VNP40101M、ボロシキシマブ(volociximab)、ボリノスタット、VX-680、ZD1839、ZD6474、ジロイトン、およびゾスキダル三塩酸塩が挙げられる。
【0122】
本発明は、放射線療法と共に(例えばその前、その間またはその後に)本発明の組成物および方法を施すための方法を提供する。本発明は、放射線の治療用量を動物に送達するために使用される種類、量または送達および投与系により限定されない。例えば、動物は、光放射線療法、粒子ビーム放射線療法、他の種類の放射線療法およびそれらの組合せを受け得る。いくつかの態様において、放射線は、直線加速装置を使用して動物に送達される。さらに他の態様において、放射線はガンマナイフを使用して送達される。
【0123】
放射線の供給源は、動物の外部または内部にあり得る。外部放射線療法が最も一般的であり、高エネルギー放射線のビームを、例えば直線加速装置を使用して皮膚を通して腫瘍部位に方向づける工程を含む。放射線のビームは腫瘍部位に局在化されるが、正常な健常組織の暴露を回避することはほぼ不可能である。しかしながら、外部放射線は通常、動物により十分に許容される。内部放射線療法は、(例えば癌細胞結合リガンドに付着した粒子を使用して)癌細胞を特異的に標的化する送達系の使用を含む、例えばビーズ、ワイヤ、ペレット、カプセル、粒子等の放射線発生源を、腫瘍部位でまたは腫瘍部位の近位で身体の内部に植え込む工程を含む。かかる埋没物は、治療後に除去され得るかまたは不活性のまま体内に残され得る。内部放射線療法の種類としては、限定されないが、近接照射療法、間隙照射、空洞内照射、放射線免疫療法等が挙げられる。
【0124】
該動物は任意に、放射線増感剤(例えばメトロニダゾール、ミソニダゾール、動脈内Budr、静脈内ヨードデオキシウリジン(IudR)、ニトロイミダゾール、5置換-4-ニトロイミダゾール、2H-イソインドールジオン、[[(2-ブロモメチル)-アミノ]メチル]-ニトロ-1H-イミダゾール-1-エタノール、ニトロアニリン誘導体、DNA親和性の低酸素選択的細胞毒、ハロゲン化DNAリガンド、1,2,4ベンゾトリアジンオキシド、2-ニトロイミダゾール誘導体、フッ素含有ニトロアゾール誘導体、ベンズアミド、ニコチンアミド、アクリジン-インターカレーター、5-チオトレトラゾール誘導体、3-ニトロ-1,2,4-トリアゾール、4,5-ジニトロイミダゾール誘導体、水酸化テキサフィリン(texaphrins)、シスプラチン、マイトマイシン、チリパザミン(tiripazamine)、ニトロソウレア、メルカプトプリン、メトトレキサート、フルオロウラシル、ブレオマイシン、ビンクリスチン、カルボプラチン、エピルビシン、ドキソルビシン、シクロホスファミド、ビンデシン、エトポシド、パクリタキセル、熱(高熱)等)、放射線保護剤(例えばシステアミン、アミノアルキル二水素ホスホロチオエート、アミホスチン(WR 2721)、IL-1、IL-6等)を受け得る。放射線増感剤は、腫瘍細胞の殺傷を増強する。放射線保護剤は、放射線の有害効果から健常組織を保護する。
【0125】
任意の種類の放射線は、放射線の用量が、許容できない負の副作用を有することなく動物により許容される限り、動物に投与され得る。適切な種類の放射線療法としては、例えば、イオン化(電磁的)放射線療法(例えばX線またはγ線)または粒子ビーム放射線療法(例えば高直線エネルギー放射線)が挙げられる。イオン化放射線は、(例えばその全体において参照により本明細書に援用されるU.S. 5,770,581に記載されるように)イオン化を生じる、すなわち電子を獲得または消失するのに十分なエネルギーを有する粒子または光子を含む放射線と定義される。放射線の効果は、臨床医により少なくとも部分的に制御され得る。一態様において、放射線の用量は、最大標的細胞暴露および毒性の低減のために細分化される。
【0126】
一態様において、動物に投与される放射線の総用量は、約.01グレイ(Gy)〜約100Gyである。別の態様において、約10Gy〜約65Gy(例えば約15Gy、20Gy、25Gy、30Gy、35Gy、40Gy、45Gy、50Gy、55Gyまたは60Gy)が治療の経過の際に投与される。いくつかの態様において、放射線の全部の用量は1日の経過の際に投与され得るが、総用量は、理想的には細分化され、数日にわたり投与される。望ましくは、放射線療法は、少なくとも約3日、例えば少なくとも5、7、10、14、17、21、25、28、32、35、38、42、46、52または56日(約1〜8週)の経過にわたり投与される。したがって、放射線の日用量は、約1〜5Gy(例えば約1Gy、1.5Gy、1.8Gy、2Gy、2.5Gy、2.8Gy、3Gy、3.2Gy、3.5Gy、3.8Gy、4Gy、4.2Gyまたは4.5Gy)または1〜2Gy(例えば1.5〜2Gy)を含む。放射線の日用量は、標的化された細胞の破壊を誘導するのに十分であるべきである。一定期間に拡大される場合、一態様において、放射線は毎日投与されることなく、それにより動物を休息させ、治療の効果を実現する。例えば、放射線は、望ましくは治療の各週の間に5日連続で投与されて2日間投与されず、それにより1週間当たり2日間の休息がもたらされる。しかしながら、放射線は、動物の応答性および任意の起こり得る副作用に応じて、1日/週、2日/週、3日/週、4日/週、5日/週、6日/週または全7日/週投与され得る。放射線療法は、治療期間の任意の時間に開始され得る。一態様において、放射線は、1週目または2週目に開始され、治療期間の残りの期間投与される。例えば、放射線は、例えば固形腫瘍を治療するために6週間含む治療期間の1〜6週目または2〜6週目に投与される。代替的に、放射線は、5週間を含む治療期間の1〜5週目または2〜5週目に投与される。しかしながらこれらの例示的な放射線療法投与スケジュールは、本発明の限定を意図しない。
【0127】
本発明のいくつかの態様において、上昇したレベルの1つ以上のAP-1転写因子を発現および/または含むように改変されたT細胞ならびに1つ以上の治療剤または抗癌剤は、以下:異なる周期性、異なる持続時間、異なる濃度、異なる投与経路によるなどの1つ以上の条件下で動物に投与される。いくつかの態様において、上昇したレベルの1つ以上のAP-1転写因子を発現および/または含むように改変されたT細胞は、治療剤または抗癌剤の前に、例えば治療剤または抗癌剤の投与の0.5、1、2、3、4、5、10、12、18時間以上、1、2、3、4、5、6日以上または1、2、3、4、5、6週間以上前に投与される。いくつかの態様において、上昇したレベルの1つ以上のAP-1転写因子を発現および/または含むように改変されたT細胞は、治療剤または抗癌剤の後に、例えば抗癌剤の投与の0.5、1、2、3、4、5、10、12、18時間以上、1、2、3、4、5、6日以上または1、2、3、4、5、6週以上後に投与される。いくつかの態様において、上昇したレベルの1つ以上のAP-1転写因子を発現および/または含むように改変されたT細胞ならびに治療剤または抗癌剤は、異なるスケジュールであるが同時に投与され、例えば改変された免疫細胞は、治療剤または抗癌剤を、1週間に1回、2週間毎に1回、3週間毎に1回、4週間毎に1回またはそれ以上で投与しながら毎日投与される。他の態様において、上昇したレベルの1つ以上のAP-1転写因子を発現および/または含むように改変されたT細胞は、治療剤または抗癌剤を毎日、1週間に1回、2週間毎に1回、3週間毎に1回、4週間毎に1回またはそれ以上で投与しながら、1週間に1回投与される。
【0128】
本発明の範囲内の組成物は全ての組成物を含み、ここで上昇したレベルの1つ以上のAP-1転写因子を発現および/または含むように改変されたT細胞は、その意図される目的を達成するのに有効な量で含まれる。個々の必要性は異なるが、それぞれの構成要素の有効量の最適範囲の決定は、当該技術分野の技術の範囲内である。1つの非限定的な例において、上昇したレベルの1つ以上のAP-1転写因子を発現および/または含むように改変されたT細胞は、ヒトに、(例えば癌を治療するために)1日当たり1000〜1010 T細胞を提供するために、哺乳動物、例えばヒトに投与され得る。別の態様において、1000〜1010の改変されたT細胞が、癌を治療、改善または予防する(例えば転移、再発および/または癌の進行を予防する)ために投与される。単位用量は、(例えば1、2、3、4、5、6日または週間以上の間)1以上の投与において、毎日1回以上投与され得る。
【0129】
T細胞は、薬学的に使用され得る製剤への改変された細胞の処理および/または投与を容易にする賦形剤および助剤を含む適切な薬学的に許容され得る担体を含む医薬製剤の一部として投与され得る。T免疫細胞および/または該細胞を含む医薬製剤は、静脈内、筋内、皮下、腫瘍内、腹腔内、鞘内または心室内に投与され得る。T細胞および/または該細胞を含む医薬製剤の有効量は、疾患の予防または治療のために投与され得る。適切な用量は、治療される疾患の種類、改変されたT細胞の種類、疾患の重症度および経過、個体の臨床的状態、個体の臨床的病歴および治療に対する応答、ならびにかかりつけ医の判断に基づいて決定され得る。
【0130】
本明細書に記載される方法のいずれか(例えば上昇したレベルの1つ以上のAP-1転写因子を発現および/または含むように改変されたT細胞単独、1つ以上の本明細書に記載される化学療法剤との組合せを用いた治療)の有効性は、臨床的または前臨床的モデルなどの当該技術分野で公知の種々の方法において試験され得る。適切な前臨床的モデルを本明細書において例示する。任意の例示的なモデルについて、腫瘍を発症させた後、マウスを無作為的に治療または対照治療を受ける治療群に入れる。腫瘍サイズ(例えば腫瘍体積)は、治療の経過の間に測定され、全体的な生存率もモニタリングする。
【0131】
いくつかの態様において、T細胞(例えば単独または本明細書に記載される別の療法との組合せ)を用いた治療の前に、治療への応答を測定するためのベースラインとして試料を得る。いくつかの態様において、試料は組織試料(例えばホルマリン固定およびパラフィン包埋(FFPE)、保管されている(archival)、新鮮または凍結)である。いくつかの態様において、試料は全血である。いくつかの態様において、全血は、免疫細胞、循環腫瘍細胞およびそれらの任意の組合せを含む。
【0132】
治療に対する応答性は:生存(全体的な生存および進行なしの生存を含む)を延長すること;目的の応答(完全応答または部分的な応答を含む)を生じること;または癌の徴候もしくは症状を向上することのいずれか1つ以上をいい得る。いくつかの態様において、応答性は、癌患者における腫瘍の状態、すなわち応答、安定化または進行を決定するためのRECISTガイドラインの公開されたセットに従った1つ以上の要因の向上をいい得る。これらのガイドラインのより詳細な記載については、Eisenhauer et al., Eur J Cancer 2009;45: 228-47;Topalian et al., N Engl J Med 2012;366:2443-54;Wolchok et al., Clin Can Res 2009;15:7412-20;およびTherasse, P., et al. J. Natl. Cancer Inst. 92:205-16 (2000)参照。応答性被験体は、その癌(1つまたは複数)が、例えばRECIST基準に基づく1つ以上の要因に従って、向上を示す被験体をいい得る。非応答性被験体は、その癌(1つまたは複数)が、例えばRECIST基準に基づく1つ以上の要因に従って、向上を示さない被験体をいい得る。
【0133】
従来の応答基準は、新規の病変の出現を含む、最初の明らかな放射線学的進行が先行し得る遅延した応答を生じ得る、免疫療法剤の抗腫瘍活性を特徴づけるためには適切でないことがある。そのため、新規の病変の起こり得る出現の原因となり、その後の評価で放射線学的進行の確認を可能にする、改変された応答基準が開発された。したがって、いくつかの態様において、応答性は、免疫関連応答基準2(irRC)に従った、1つ以上の要因の向上をいい得る。例えばWolchok et al., Clin Can Res 2009; 15:7412-20参照。いくつかの態様において、新規の病変は、所定の腫瘍負荷に追加され、例えばその後の評価での放射線学的進行へと続く。いくつかの態様において、非標的病変の存在は、完全応答の評価に含まれ、放射線学的進行の評価には含まれない。いくつかの態様において、放射線学的進行は、測定可能な疾患の基準のみに基づいて決定され得、および/または最初に記録された日から>4週間の連続した評価により確認され得る。
【0134】
本明細書は、当業者が本発明を実施することを可能にするのに十分であると考えられる。本明細書において示され、記載されるものに加えて、本発明の種々の変更が、前述の記載から当業者に明らかとなり、添付の特許請求の範囲の範囲内にある。本明細書に引用される全ての刊行物、特許および特許出願は、全ての目的のためにそれらの全体において参照により本明細書に援用される。
【実施例】
【0135】
実施例
以下の実施例は、本発明の化合物、組成物および方法を、限定ではなく例示する。臨床療法において通常遭遇し、当業者に明白である種々の条件およびパラメーターの他の適切な変更および適用は、本発明の精神および範囲内にある。
【0136】
材料および方法
ウイルスベクター構築
以下のCAR:CD19-28z、CD19-BBz、GD2-28z、GD2-BBz、Her2-BBzおよびCD22-BBzをコードするMSGVレトロウイルスベクターが以前に記載された。HA-28z CARを作製するために、GD2-28z CARプラスミドの14G2a scFvに点変異を導入し、E101K変異を作製した。HA-28z CAR T細胞のインビボ使用についてのFc受容体認識を低下させるために、「4/2NQ」変異46を、IgG1スペーサー領域のCH2CH3ドメインに導入した。c-Jun (JUN)、c-Fos (FOS)および切断NGFR (tNGFR)をコードするコドン最適化cDNAを、IDTにより合成し、レンチウイルス発現ベクターにクローニングして、別のPGKプロモーター下でtNGFRを共発現するJUN-P2A-FOS、ならびにJUNおよびFOS単一発現ベクターを作製した。次いでJUN-P2Aを、In-Fusion HDクローニングキット(Takara)を使用して、CARリーダー配列の上流でMSGV CARベクターのXhoI部位にサブクローニングして、JUN-P2A-CARレトロウイルスベクターを作製した。JUN-AAについて、点変異を導入し、Ser63およびSer73をAlaに変換した。大腸菌DHFR-DD配列をJunの上流に挿入して、JUN-DD構築物を作製した。いくつかの場合、CARの上流にGFP cDNAをサブクローニングして、GFP-P2A-CARベクター対照も作製した。
【0137】
ウイルスベクター作製
以前に記載されるように、293GPパッケージング細胞株中でレトロウイルス上清を作製した。簡潔に、70%コンフルエントの293GP 20cmプレートに20ug MSGVベクタープラスミドおよび10ug RD114エンベローププラスミドDNAを、Lipofectamine 2000を使用して共トランスフェクトした。培地をトランスフェクションの24および48時間後に交換した。48HRおよび72HRウイルス上清を回収して遠心分離し、細胞残渣を除去し、将来の使用のために-80Cで凍結した。第3世代、自己不活性化レンチウイルス上清を、以前に記載されるように293Tパッケージング細胞株内で作製した。簡潔に、70%コンフルエントの293T 20cmプレートに、18ug pELNSベクタープラスミド、および18ug pRSV-Rev、18ug pMDLg/pRRE (Gag/Pol)および7ug pMD2.G (VSVGエンベロープ)パッケージングプラスミドDNAを、Lipofectamine 2000を使用して共トランスフェクトした。トランスフェクションの24時間後に培地を交換した。24HRおよび48HRウイルス上清を回収し、合わせて、28,000RPM、2.5時間の超遠心分離により濃縮した。濃縮したレンチウイルスストックを将来の使用のために-80Cで凍結した。
【0138】
T細胞単離
始原ヒトT細胞を、RosetteSep Human T細胞 Enrichmentキット(Stem Cell Technologies)を使用して健常なドナーから単離した。バフィコートをStanford Blood Centerから購入して、Lymphoprep密度勾配培地およびSepMate-50チューブを使用して、製造業者のプロトコルに従い処理した。単離したT細胞は、CryoStor CS10低温保存培地(Stem Cell Technologies)中、1バイアル当たり2x107 T細胞で低温保存した。
【0139】
CAR T細胞作製
低温保存したT細胞を融解し、同じ日にT細胞培地(5% FBS、10mM HEPES、2mM GlutaMAX、100U/mLペニシリンおよび100ug/mLストレプトマイシン(Gibco)を補充したAIMV)中、3:1のビーズ:細胞比でHuman T-Expander CD3/CD28 Dynabeads (Gibco)を用いて活性化した。組み換えヒトIL-2 (Peprotech)を100U/mLで提供した。活性化の2および3日後に、T細胞にレトロウイルスベクターで形質導入し、IL-2を有するT細胞培地中1mL当たり0.5〜1x106細胞で維持した。そうではないと示されない限りは、CAR T細胞は、インビトロアッセイのために使用したか、または活性化の10〜11日後にマウスに移植した。
【0140】
レトロウイルス形質導入
非組織培養物処理した12ウェルプレートをPBS中25ug/mLの1mL Retronectin (Takara)を用いて4Cで一晩コーティングした。プレートをPBSで洗浄し、2% BSAで15分間ブロッキングした。融解したレトロウイルス上清を、1ウェル当たり約1mLで添加し、32C、3200RPMで2時間遠心分離し、その後細胞を添加した。
【0141】
細胞株
Kelly神経芽腫、EW8ユーイング肉腫、143bおよびTC32骨肉腫細胞株をATCCから元菌で(originally)入手した。いくつかの細胞株に、GFPおよびホタルルシフェラーゼ(GL)を安定に形質導入した。CD19+CD22+ Nalm6-GL B-ALL細胞株は、David Barrettにより提供された。Nalm6-GD2は、GD2合成およびGD3合成のためのcDNAと共にNalm6-GLを共形質導入することにより作製した。次いで高GD2発現のために1細胞クローンを選択した。Nalm6-22KOおよび22lowは以前に記載されており、Terry Fryにより親切に提供された。全ての細胞株は、完全培地(10% FBS、10mM HEPES、2mM GlutaMAX、100U/mLペニシリンおよび100ug/mLストレプトマイシンを補充したRPMI(Gibco))中で培養した。
【0142】
フローサイトメトリー
CD22およびHer2 CARは、ヒトCD22-FcおよびHer2-Fc組み換えタンパク質(R&D)を使用して検出した。イディオタイプ抗体およびFc融合タンパク質は、Dylight488および/または650抗体標識キット(Thermo Fisher)を用いてコンジュゲートさせた。T細胞表面表現型は以下の抗体を使用して評価した。
BioLegendから:CD4-APC-Cy7 (クローンOKT4)、CD8-PerCp-Cy5.5 (クローンSK1)、TIM3-BV510 (クローンF38-2E2)、CD39-FITCまたはAPC-Cy7 (クローンA1)、CD95-PE (クローンDX2)、CD3-PacBlue (クローンHIT3a)、eBioscienceから:PD1-PE-Cy7 (クローンeBio J105)、LAG3-PE (クローン3DS223H)、CD45RO-PE-Cy7 (クローンUCHL1)、CD45-PerCp-Cy5.5 (クローンHI30)、BDから:CD45RA-FITCまたはBV711 (クローンHI100)、CCR7-BV421 (クローン150503)、CD122-BV510 (クローンMik-b3)、CD62L-BV605 (クローンDREG-56)、CD4-BUV395 (クローンSK3)、CD8-BUV805 (クローンSK1)。
【0143】
サイトカイン産生
1x105 CAR+ T細胞および1x105腫瘍細胞を、96ウェル平底プレー中200uL CM内で、24時間培養した。イディオタイプ刺激のために、連続希釈の1A7を、1X Coating Buffer (BioLegend)中、一晩、4Cで、Nunc Maxisorp 96ウェルELISAプレート(Thermo Scientific)上で架橋させた。ウェルをPBSで1回洗浄し、1x105 CAR+ T細胞を200uL CM中で平板培養し、24時間培養した。それぞれの条件について三重のウェルを平板培養した。培養上清を回収してELISA(BioLegend)によりIFNgおよびIL-2について分析した。
【0144】
溶解アッセイ
5x104 GFP+白血病または2.5x104 GFP+接着性腫瘍細胞を、96ウェル平底プレート中、200uL CM中で、96時間までCAR T細胞と共培養した。それぞれの条件について三重のウェルを平板培養した。IncuCyte ZOOM Live-Cell分析系(Essen Bioscience)を使用して、2〜3時間ごとにプレートを画像化した。それぞれの時点で、1ウェル当たり4枚の画像を10Xズームで回収した。1ウェル当たりの全積分GFP強度を、生、GFP+腫瘍細胞の定量基準として評価した。開始測定に対して値を標準化して、経時的にプロットした。E:T比は図の説明中に示す。
【0145】
ウエスタンブロットおよび免疫沈降
細胞全体タンパク質溶解物を、非変性バッファ(150mmol/L NaCl、50mmol/L Tris-pH8、1% NP-10、0.25%デオキシコール酸ナトリウム)中で得た。Bio-Rad比色アッセイによりタンパク質濃度を推定した。20μgのタンパク質を11% PAGEゲルに負荷してイムノブロッティングを行い、その後PVF膜に転写した。強化化学発光(Pierce)によりまたはOdyssey画像化系を用いてシグナルを検出した。代表的なブロットを示す。使用した以下の一次抗体は、Cell Signalingから購入した:c-Jun (60A8)、P-c-JunSer73 (D47G9)、JunB(C37F9)、BATF(D7C5)およびIRF4(4964)。BATF3 (AF7437)抗体はR&Dからのものであった。150μLの非変性バッファ中の100mgの細胞全体のタンパク質溶解物および7.5mgの寒天コンジュゲート抗体c-Jun (G4)またはJunB (C11) (Sant Cruz Biotechnology)中で免疫沈降を行った。4℃、一晩のインキュベーション後、ビーズを非変性バッファで3回洗浄し、タンパク質をLaemmli試料バッファに溶出し、煮沸し、PAGEゲルに負荷した。免疫沈降したタンパク質の検出は、上述の試薬および抗体を用いて行った。
【0146】
マウス
免疫減弱状態NOD/SCID/IL2Rg-/-(NSG)マウスをJAXから購入し、室内で飼育した。全てのマウスは、Stanford University IACUC (APLAC)承認プロトコル下で飼育、収容および治療した。6〜8週齢マウスに、静脈内(IV)により1x106 Nalm6-GL白血病または筋内(IM)注射により0.5〜1x106 143B骨肉腫のいずれかを接種した。全てのCAR T細胞はIV注射した。時間および治療用量は図の説明中に示す。白血病進行は、IVIS画像化系を使用して生物発光画像化により測定した。生体画像化ソフトウェアを使用して値を分析した。固形腫瘍進行は、注射された脚面積のカリパス計測を使用して続けた。それぞれの実験において1群当たり5匹のマウスを治療し、それぞれの実験は、示されるように2または3回繰り返した。CAR T細胞治療前の等しい治療前腫瘍負荷を確実にするために、マウスを無作為化した。
【0147】
血液および組織分析
示される時点で、イソフルラン麻酔下で、後方眼窩採血により末梢血サンプリングを行った。50μL血液をCD45、CD3、CD4およびCD8で標識し、BD FACS Lysing Solutionを使用して溶解し、BD Fortessaフローサイトメトリー上でCountBright Absolute Countingビーズ(Thermo Fisher)を使用して定量した。
【0148】
ATAC-seq
ATAC-seqライブラリー調製は、以前に記載されるように行った48。簡潔に、それぞれの試料由来の100,000細胞を、FACSによりCMに分類し、500g、4℃で遠心分離し、次いで0.1% NP-40、0.1% Tween-20および0.01%ジギトニンを補充したATAC-seq Resuspension Buffer (RSB) (10mM Tris-HCl、10mM NaCl、3mM MgCl2)に再懸濁した。試料を2つの複製物それぞれに分離した後、全てのその後の工程を行った。試料を氷上で3分間インキュベートし、次いで0.1% Tween-20を補充した1mL RSBで洗浄した。500g、10分間、4℃で核をペレット化した。核ペレットを50μL転移混合物(25μl 2x TDバッファ、2.5μlトランスポゼース(Illumina)、16.5μl PBS、0.5μl 1%ジギトニン、0.5μl 10% Tween-20、5μl H2O)に再懸濁し、1000RPMで振盪しながら熱混合器(thermomixer)中37℃で30分間インキュベートした。Qiagen MinElute PCR Purification Kitを使用して反応をきれいにした。ライブラリーを、以前に記載されるよう、NEBNext Hi-Fidelity PCR Master Mixおよびカスタムプライマー(IDT)を使用してPCR増幅した20。qPCR蛍光曲線により示されるように5サイクルのPCR後にライブラリーは十分に増幅された20。Qiagen MinElute PCR Purification Kitを用いてライブラリーを精製し、KAPA Library Quantification Kitを用いて定量した。Stanford Functional Genomics Facilityにおいて、ペア末端(paired-end)75bp読み出しを用いて、Illumina NextSeq上でライブラリーを配列決定した。アダプター配列は、SeqPurgeを使用してトリミングし、bowtieを使用してhg19ゲノムと整列した2。次いでミトコンドリア読み出し、低マッピング品質(Q>=20)およびPCR重複(duplicate)について、Picardツールを使用してこれらの読み出しをフィルターにかけた。次いで、本発明者らはbamをbedに変換して、Tn5修正挿入部位を得た(「+」鎖 +4bp、「-」鎖 -5bp)。ピークを同定するために、本発明者らは、それぞれの試料について、挿入bedを使用したMACS2「--shift -75 --extsize 150 --nomodel --call-summits --nolambda -- keep-dup all -p 0.00001」を使用して、ピークを求めた。統合(union)ピークセットを得るために、本発明者らは(1)全ての頂点を500bpまで拡大し、(2)全ての頂点bedファイルを併合し、次いで(3)bedtoolsクラスターを使用して、最高のMACS2スコアを有する頂点(summit)を選択した。次いでこれを、ENCODE hg19 blacklist (https://www.encodeproject.org/annotations/ENCSR636HFF/)によりフィルターにかけ、染色体の末端を超えて拡大するピークを除去した。次いで本発明者らは、HOMERを使用してこれらのピークに注釈をつけ(annotated)、chromVARMotifs HOMERセットを有するRにおいてmotifmatchrを使用してTFモチーフの出現をコンピューター計算した。配列決定トラックを作成するために、本発明者らは、Tn5修正挿入部位をRに読み込み、rtracklayerを使用して100bpごとにbinに入れた(binned)カバレッジパイルアップ(coverage pileup)を作成した。次いで本発明者らは、それぞれのピーク内にある全ての挿入を計数して、カウントマトリックス(ピークx試料)を得た。差異的なピークを決定するために、本発明者らは最初に、対照遺伝子として「TSS」またはDESeq2について「Housekeeping Peaks」と注釈をつけられたピークを使用し、次いでこの標準化により差異的なピークを計算した。全てのクラスタリングは、DESeq2由来の定型化(regularized)対数変換値を使用して行った。以前に記載されるように、chromVARを使用して転写因子モチーフ偏り分析を行った21。ピークのサブセット 対 全ピークにおいて、(上述のmotifmatchrから)モチーフの表示を試験するRにおける超幾何分布検定(hypergeometric test)を使用してTFモチーフ富化を計算した。
【0149】
サブセットRNA-seq
T細胞サブセット特異的RNA-seqについて、上述のように、健常ドナーバフィコートからT細胞を単離した。活性化の前に、以下のマーカー:ナイーブ(CD45RA+CD45RO-、CD62L+、CCR7+、CD95-およびCD122-)、中心記憶(CD45RA-CD45RO+、CD62L+、CCR7+)を使用して、BD FACSAria細胞分類機(Stem Cell FACS Core, Stanford University School of Medicine)を使用してナイーブおよび中心記憶CD4+またはCD8+サブセットを単離した。分類された開始集団を活性化して、形質導入して、上述のように培養した。培養の7、10および14日目に、CAR+ CD4+およびCD8+細胞を分類し、Qiagen mRNEasyキットを使用して、RNAを単離した。試料をライブラリー調製し(library prepped)、Stanford Functional Genomics Coreにより、Illumina NextSeqペア末端プラットフォームを介して配列決定した。
【0150】
バルクRNA-seq
バルクRNA単離について、記載されるように、健常ドナーT細胞を調製した。培養の10または11日目に、Qiagen RNEasy Plusミニ単離キットを使用して2x106バルクCAR T細胞から総mRNAを単離した。1試料当たり30x106読出しでBGISEQ-500プラットフォーム単一末端50bp読出し長を使用して、BGI America (Cambridge, MA)によりバルクRNA-seqを行った。R (バージョン3.5)においてstatsパッケージ、およびggplot2パッケージを有するプロットを使用して主成分分析(principal component analysis)を行った49。記載されるように、GSEAソフトウェア(Broad Institute)を使用して遺伝子セット富化分析を行った50、51。
【0151】
単一細胞RNA-seq
単一のCD19-CARおよびGD2-CAR T細胞中の遺伝子発現を比較するために、本発明者らは、製造業者の説明書に従って、Chromiumプラットフォーム(10x Genomics)およびChromium Single Cell 3' v2 Reagent Kitを使用する10日目のその後の1細胞分析のために、0日目にナイーブT細胞サブセットを分類した。CD19-CARおよびGD2-CAR細胞についてcDNAライブラリーを別々に調製し、それぞれの実行においてCD4+細胞およびCD8+細胞を合わせ、下流でバイオインフォマティクス的に分離した。Illumina NextSeq系(ペア末端、読出し1に26bpおよび読出し2に98bp)上で、1細胞当たり>100,000読出しの深さまで、配列決定を行った。単一細胞RNA配列決定読出しを、Genome Reference Consortium Human Build 38 (GRCh38)に整列して、バッチ効果について標準化し、Cell Rangerソフトウェア(10X Genomics)を使用して細胞事象についてフィルターをかけた。1細胞当たり標準化後読出し350,587の平均まで、804個のCD19-CARおよび726個のGD2-CAR T細胞の合計の配列決定を行った。記載されるように、Cell Ranger R Kitソフトウェア(10X Genomics)を使用して細胞-遺伝子マトリックスをさらに処理した52。簡潔に、本発明者らは、最初に、任意の所定の細胞において、≧1の特有分子識別子(UMI)数を有する遺伝子を選択した。次いで、それぞれの細胞についてUMI合計に対してUMI数を標準化し、全細胞のメジアンUMI数をかけた。次いで、得られたデータマトリックスの自然対数を採用してデータを変換した。
【0152】
統計解析
そうではないと記されない限り、群間の有意差についての統計解析は、GraphPad Prismを使用して矛盾しないSDを推定することなく、対応なし(upaired)両側t検定を使用して行った7。図2CにおけるバルクRNA-seqについて、ノンパラメトリックウィルコクソン対応有り符号順位検定を使用した。ログ-ランクマンテル-コックス検定を使用して生存曲線を比較した。正確なp値、t比およびdofを含む完全な統計解析を有する表が、補足資料中に見られ得る。
【0153】
実施例1
T細胞疲弊の遺伝子発現分析
キメラ抗原受容体(CAR)による抗原非依存的持続性シグナル伝達は、T細胞の分化および疲弊を増加して、該細胞の能力を制限し得る。例えば、GD2特異的CARは、慢性の下流T細胞活性化シグナル伝達カスケードの活性化をもたらす抗原の非存在下で、自己凝集することが記載される。CD28共刺激性ドメインを組み込むGD2-CARはT細胞疲弊の顕著な特徴を迅速に生じるが、4-1BB共刺激性ドメインを組み込むGD2-CARは、同様に凝集しシグナルを伝達するにもかかわらず、T細胞疲弊の少ない証拠を示し、より大きな機能を維持する。GD2-28z発現T細胞におけるT細胞疲弊の最も顕著な特徴としては、抗原刺激の際の阻害性受容体(例えばPD1、TIM3、LAG3、CD39)の表面発現の増加、記憶マーカー(例えばCD62LおよびCCR7)の発現の低下およびサイトカイン産生(特にIL2)の低下が挙げられる。
【0154】
疲弊した 対 疲弊していないT細胞における遺伝子転写分析を評価するために、本発明の態様の開発の際に実験を行った。AP-1ファミリーメンバーの発現の低下は、GD2-BBZ(疲弊していないCAR)と比較してGD2- 28Z CAR T細胞において発見された(図1a参照)。古典的なAP-1パートナーFOSおよびJUNも、RNA配列決定分析により、健常なCD19-28Z CAR T細胞と比較して、GD2-28Z CAR T細胞における上位の下方制御される遺伝子中にあった(図1b参照)。転写因子のAP-1ファミリーはTCRシグナル伝達の下流で活性化され、成長、アポトーシス、サイトカイン産生およびエフェクター機能を含む重要なT細胞機能の広く多様なアレイを制御する。CAR T細胞におけるAP-1ファミリーメンバーの機能的な役割(例えばCAR T細胞におけるAP-1ファミリーメンバーの欠如がそれらのCAR T細胞表現型に寄与するかどうか)を評価して特徴付けるために、本発明の態様の開発の際にさらなる実験を行った。
【0155】
実施例2
c-Junおよびc-Fosの強制的な発現を有するCAR T細胞の構築
AP-1の置き換えがGD2-28Z CAR T細胞における疲弊の症状を軽減し得るかどうかを決定するために、構成的なプロモーター下でc-Junおよびc-Fosの強制的な発現を有するレンチウイルス発現構築物を構築した(図2a参照)。この構築物は、T細胞形質導入の表面マーカーとして働く切断神経成長因子受容体(NGFR (tNGFR))発現カセットもコードした。続いて、活性化された原発性ヒトT細胞に、AP-1発現ベクターあり(AP-1)またはなし(wo)でCD19、GD2-BBZまたは高親和性(HA)GD2-28Z CARを形質導入した。
【0156】
実施例3
CAR T細胞におけるc-Junおよびc-Fosの発現
T細胞培養の8日目に、AP-1形質導入CD4またはCD8 CAR T細胞を、NGFRを使用して分類した。AP-1の構成的な発現は、CD4(図2b参照)およびCD8(図2c参照) CAR T細胞の両方において、疲弊関連阻害性受容体PD1、TIM3、LAG3およびCD39の頻度を低減させ、記憶マーカーCD62L を増加させた。AP-1形質導入CAR T細胞における機能的変化を評価するために、AP-1共形質導入あり(AP-1)またはなし(wo)のCAR T細胞をCD19およびGD2抗原発現腫瘍細胞と共培養した。ほとんどの条件において、AP-1形質導入CAR T細胞は、なしのものと比較して、より多くのIL2(図2d参照)およびIFN□(図2e参照)を放出した。
【0157】
実施例4
c-Junまたはc-Fosの強制的な発現を有するCAR T細胞
AP-1発現の機能的利益がc-Fosおよびc-Jun発現の両方を必要とするかどうかを評価するために、c-Junまたはc-Fos単独をコードする個々のレンチウイルスベクターを作製した(図3a参照)。CAR T細胞にc-Fosまたはc-Junコードベクターのいずれかを形質導入した。
【0158】
抗原陽性腫瘍細胞でのCAR T細胞刺激の際に、c-Junを発現するCAR T細胞のみがIL2の増加を生じたが、c-Fos発現単独は十分ではなかった(図3b参照)。IFN□分泌も同様であったが、c-Jun過剰発現による影響は劇的に低かった(図3c参照)。個々の細胞レベルでのc-Jun発現CAR T細胞におけるサイトカイン発現の増加を確認するために、抗原陽性腫瘍細胞でのT細胞刺激の6時間後に、フローサイトメトリーにより細胞内サイトカイン染色(ICS)を行った。大部分の場合、なしのもの(wo)と比較してc-Jun形質導入CAR T細胞においてIL2(図3d参照)、IFN□(図3e参照)およびTNFa(図3f参照)の頻度および/または平均蛍光強度(MFI)の増加が見られたが、c-Fos形質導入は一般的に、対照と比較して、サイトカイン産生の低下を生じた。これらのデータは、c-Jun過剰発現は、抗原遭遇の際に、抗原刺激に応答するCAR T細胞の頻度および個々のCAR T細胞により産生されるサイトカインのレベルの両方を増加し得ることを示す。
【0159】
実施例5
同じベクター由来のc-JunおよびCARを共発現するバイシストロニックベクターの構築
c-Junは、AP-1形質導入CAR T細胞の活性の増加の主要な原因であることが示されたので、ウイルス2Aリボソームスキッピングペプチド配列により分離した、同じベクターからc-JunおよびCARを共発現するバイシストロニックレトロウイルスベクターを作製した(図4a参照)。これらの構築物により、任意のCAR+ T細胞がc-Junも共発現することが確実になり、純粋な2重陽性集団を達成するために共形質導入および分類を必要としなくなる。複数の抗原特異性および腫瘍指示にわたるc-Jun再発現の機能的影響を試験するために、8個の異なるCARベクター:CD19-28Z、CD19-BBZ、CD22-28Z、CD22-BBZ、GD2-28Zshort、GD2-28ZLong、HA(GD2)-28ZLongおよびGD2-BBZを別々に、c-Junバックボーンにクローニングした。
【0160】
ほとんどのCARとの組合せにおけるc-Jun発現は、表面疲弊マーカーの発現の低下を生じた(図4bおよび5a参照)。GFPを共発現する対照CAR T細胞と比較して、c-Junを共発現するGD2 CAR T細胞において高められたサイトカイン分泌が観察された(図4d〜e、5cおよび6a〜b参照)。
【0161】
c-Junは、白血病(Nalm6-GD2)ならびにGD2+小児固形腫瘍ユーイング肉腫(EW8)、骨肉腫(143B)、および神経芽腫(Kelly)の両方に応答してサイトカイン分泌の増加を媒介し、これによりc-Jun増強GD2 CAR T細胞の広範囲な臨床的適用可能性が強調された。さらに、c-Jun過剰発現は、中心記憶CAR T細胞の頻度の増加を促進する(図5b参照)。細胞内サイトカイン染色(ICS)を使用して、前炎症性サイトカイン産生の増加も、CD4+およびCD8+ c-Jun-CAR T細胞の両方において個々の細胞レベルで観察された(図4cおよび6c〜e)。本発明者らはまた、対照と比較して、c-Jun CAR T細胞における抗炎症性サイトカインIL10の産生の低下(図6f参照)も観察され、これによりc-Jun発現の増強が、Th1サイトカインプロフィールの増強に寄与し得ることが示されることに注意した。
【0162】
実施例6
異なるCAR T細胞におけるc-Jun置き換えおよび機能的活性
本明細書において詳述されるように、疲弊したCAR T細胞(例えばGD2 CAR T細胞)におけるc-Jun置き換えは、CAR T細胞における疲弊を改善し得る。しかしながら、より低い疲弊マーカーおよび機能的活性の増加の傾向は健常なCD19 CAR T細胞においても観察された。CD19 CAR T細胞はB-ALL患者において顕著な臨床的応答を媒介した一方で、再発数の増加はCD19-lowまたは陰性の疾患を有する患者の30%までで起こる。B細胞悪性疾患を標的化するための代替的な戦略であるCD22 CARは、いくつかの患者白血病細胞において低いCD22抗原密度によっても制限され得る。したがって、正常(Nalm6)または低抗原発現腫瘍細胞(CD19についてNalm6-FおよびZまたはNalm6-22low)に対するc-Jun-CD19およびc-Jun-CD22 CAR T細胞の活性を評価および特徴付けるために、本発明の態様の開発の際に実験を行った(図7参照)。
【0163】
c-JunはNalm6上の高抗原レベルに対してCD19 CAR活性を増強しなかったが、CD19-low Nalm6クローンZおよびFに応答するIL2(図7a参照)およびIFN□(図7b参照)において有意な向上があった。INCUCYTE Immune Cell Killing Assay (図7c参照)において、3つのGFP+ Nalm6細胞株をCAR T細胞と92時間共培養した。全ての4つのCD19 CARは、(経時的なGFP強度の消失により測定した場合)元のNalm6腫瘍を殺傷する。CD19-28Zおよびc-Jun-CD19-28Zの両方は、CD19-low腫瘍細胞クローンFおよびZを殺傷し得たが、CD19-BBZ CAR T細胞のみは、中位の効果を有した。c-Jun-CD19-BBZ CAR T細胞の添加は、19-BBZ単独と比較して、CD19低クローンの殺傷において有意な増加を示した。c-Junを共発現するCD22 CAR T細胞(特にCD22-BBZ)による増強されたサイトカイン分泌も、両方の親Nalm6およびNalm622lowに応答して観察された(図7d〜e参照)。
【0164】
実施例7
AP-1阻害性複合体メンバーの阻害はT細胞疲弊を低減する
増強されたc-Fosおよびc-Jun発現は、改変されたT細胞の機能を増加し得るが、疲弊し、活性化されたT細胞において発現される他の阻害性AP-1ファミリーメンバーがある。したがって、(例えばカノニカルAP-1因子のアベイラビリティを増加するための)阻害性AP-1複合体メンバーの阻害/ノックダウンがT細胞疲弊を低減し得た(例えばT細胞機能を増加する)かどうかを決定および特徴付けするために、本発明の態様の開発の際に実験を行った。CRISPR-Cas9 gRNA系は、強力な阻害性AP-1メンバーを標的化するように設計された。JUNBおよびBATF3の遺伝子を編集された(ノックアウト、KO)CAR T細胞からのサイトカイン産生を評価した。JUNBノックダウンは、疲弊したHA-GD2-28ZおよびGD2-BBZ CAR T細胞からのIL2およびIFNg産生を大きく増強したが、CD19 CAR T細胞には影響を及ぼさなかった(図8A〜C参照)。これは、JUNBノックダウンが健常ではなく疲弊したT細胞に、積極的に影響を及ぼしたことを示した。同様に、BATF3ノックアウトも、対照の編集されたT細胞と比較して、疲弊したHA-28Z CAR T細胞からのIL2(IFNgではない)産生を増加した(図8D参照)。
【0165】
実施例8
c-Jun改変CAR T細胞のインビボ有効性
c-Jun改変CAR T細胞のインビボ有効性を、いくつかの異なる腫瘍モデルにおいて評価した。c-Junを発現する疲弊したHA-GD2 CAR T細胞は、GD2を発現するように作り変えられたNalm6白血病モデル(N6-GD2)において、改変されないHA-GD2 CAR T細胞と比較して、より優れた治療性のインビボ活性を示した(図9参照)。c-Jun改変GD2-BBZ CAR T細胞は、攻撃的な骨肉腫固形腫瘍モデルにおいてより優れたインビボ活性を示す(図10参照)。最終的に、c-Jun発現を有するCD19 CAR T細胞は、低抗原密度Nalm6クローンFに対して増強されたインビボ活性を示す(図11参照)。
【0166】
実施例9
ヒトT細胞におけるHA-28z CARの発現はT細胞疲弊の顕著な特徴を迅速に誘導する
GD2-28z CARは、抗原非依存的凝集により媒介される持続性シグナル伝達の結果として、GD2特異的14g2a scFv、TCRζおよびCD28エンドドメインを組み込むCARの発現後のヒトT細胞における疲弊した表現型である(参照文献9:その全体において参照により本明細書に援用される)。本明細書における態様の開発の際に行った実験は、GD219との高親和性(HA)の相互作用を与えるE101K点変異を有する14g2a scFvを含むCARの発現(HA-28z CAR)が同様に、より重度の表現型を有するにもかかわらずヒトT細胞において疲弊を誘導することを示す(図12および18a〜c)。CD19-28z CAR T細胞とは対照的に、HA-28z CAR T細胞は、CD19+GD2+ Nalm6白血病を用いて刺激した際に、培養における低下した発現(図12a)、阻害性受容体PD-1、TIM-3、LAG-3およびCD39の増加した表面発現(図12bおよび18d)、悪化したエフェクター分化および乏しい記憶形成(図12cおよび18e)、ならびに低下したIFN-gおよび顕著に減少したIL-2産生を含む疲弊の顕著な(profound)表現型的および機能的特徴を示した(図12d)。
【0167】
この系におけるT細胞疲弊の分子的基盤をよりよく解明するために、HA-28zのトランスクリプトームをCD19-28z CAR T細胞と比較した。精製したナイーブ(N)および中心記憶(CM)T細胞に、HAまたはCD19-28z CARを形質導入し、次いで培養の7、10および14日目にRNAを単離した。以前に選択したサブセットの分類により、このモデルにおけるT細胞疲弊の発生において、T細胞分化状態の影響およびCD4疲弊とCD8疲弊の間の区別の評価が可能になった。全24試料にわたる主成分分析(PCA)により、変動の最も強力な駆動因子は、HA- 対 CD19-28z CARの存在であることが明らかになり(PC1、39.3%変動、図12e)、HA-28z CAR T細胞における持続性のシグナル伝達が試験した全てのT細胞サブセットにおいて疲弊を駆動するモデルと矛盾しなかった。しかしながら、N 対 CMは、PC2 (22.88%変動)(図18f)におよびPC3 (11.9%変動)を駆動するCD4 対 CD8集団の間に反映されたので、区別は、開始分化状態に基づいて観察された(図12eおよび18f)。
【0168】
活性化(IFNG、GZMB、IL2RA)、阻害性受容体(LAG3、CTLA4)およびいくつかの炎症性ケモカイン/サイトカイン(CXCL8、IL13、IL1A)に関係する遺伝子はPC1を駆動する上位200の遺伝子(全てのサブセットにわたりHA- 対 CD19-28z CAR T細胞において最も差異的に発現される)(図12f)の中にあり、、HA-28z CAR T細胞において下方制御された遺伝子は、ナイーブおよび記憶T細胞に関連する遺伝子(IL7R、TCF7、LEF1およびKLF2)を含む。GSEAを使用して、10日目にHA-28z 対 CD19-28z CAR T細胞において上方制御される遺伝子は、慢性LCMVマウスモデル13において以前に記載された疲弊関連遺伝子セットと重複することを示した(図18g)。GD2-28z CAR T細胞における疲弊の程度はより顕著ではないが、1細胞GD2-28z 対 CD19-28z CAR T細胞の差異的遺伝子発現分析により、同様の遺伝子発現プロフィールが明らかになった(図19)。まとめると、これらのデータは、HA-28zおよびGD2-28z発現T細胞にヒトT細胞疲弊の試験のためのモデルとしての資格を与える。
【0169】
T細胞疲弊は、慢性ウイルス感染および癌を有するマウスモデルおよびヒト患者において、クロマチンアクセシビリティの変化に関連する(参照文献12、17;それらの全体において参照により本明細書に援用される)。NまたはCM駆動CD4+およびCD8+のHA-28z 対 CD19-28z CAR T細胞のATAC-seq20(図20)を使用したクロマチンアクセシビリティ分析は、培養の10日目に後成的なシグネチャにおける有意な変化を示し(図12g)、CD8+ HA-28z CAR T細胞は、CD8+ CD19-28z CAR T細胞における<3,000の特有のピークと比較して>20,000の特有のクロマチン接近可能領域(ピーク)(FDR<0.1およびlog2FC>1)を示す。疲弊誘導クロマチンアクセシビリティにおける変化のこれらのパターンは、CD4+ T細胞において同様であった(図21a)。トランスクリプトーム分析と同様に、PCAは、差異的なクロマチン状態(PC1変動79.6%、図12h)の最も強力な駆動因子としてHA- 対 CD19-CARを明らかにし、N 対 CM細胞の間(PC2変動7.4%)、およびCD4 対 CD8サブセットの間(PC3変動6.5%)でより弱いが有意な差が観察された(図21b)。上位5000の差異的に接近可能な領域(ピーク)のクラスタリングにより、開始サブセットにかかわらず、HA-28z CAR T細胞において全体的に同様のクロマチンアクセシビリティが明らかにされた(図12i)。HA-28z CAR T細胞は、CTLA4などの疲弊関連遺伝子の近位の制御部位におけるクロマチンアクセシビリティの増加、およびIL7Rなどの記憶関連遺伝子の近位の制御部位におけるアクセシビリティの減少を示した(図12j)。
【0170】
実施例10
後成的および転写的分析により疲弊したCAR T細胞における強力なAP-1シグネチャが明らかになる
疲弊したT細胞において誘導される後成的な変化により制御異常となることが予測される転写プログラムを同定するために、疲弊したおよび健常なCAR T細胞のオープンクロマチンの間で転写因子(TF)モチーフの偏りを比較した。ChromVAR分析(参照文献21;その全体において参照により本明細書に援用される)を使用して、全ての8つの試料にわたり25の最も差異的なモチーフを同定し、これらの多くがAP-1(bZIP)ファミリーに属することが見出された(図13a)。同様に、TFモチーフ富化分析により、疲弊したCAR T細胞において最も有意に富化されるものの中で、AP-1/bZIPおよびbZIP/IRF結合モチーフが明らかにされた(図13bおよび図21c)。
【0171】
共有されるTFモチーフ富化による差異的な接近可能ピークのクラスタリングにより、疲弊したHA-28z CAR T細胞と関連する4つのクラスターを同定した(図21d、EX1〜EX4)。疲弊関連クラスターは、BTLA、CD39、IFNGおよびCTLA4などの遺伝子の近位にピークを含み、これは疲弊関連遺伝子の共通のTF制御を示唆した。全ての4つの疲弊関連クラスターは、AP-1およびAP-1関連ファミリーTFについて強い富化を示し、疲弊関連遺伝子制御の広く行き渡ったAP-1 TF調節が当然に示された。NFkB、NFATおよびRUNX TFファミリーモチーフについての強い富化は、疲弊クラスターのいくつかにおいても観察され、疲弊関連遺伝子のサブセットが、これらの転写プログラムにより制御され得、他のモデルにおいて観察された疲弊の後成的なシグネチャ(参照文献12、17、22;それらの全体において参照により本明細書に援用される)を再現し得ることが示された。健常なCD19-28z CAR T細胞(HLT1-2)に関連するクラスターは、ナイーブ開始サブセットに強く関連するクラスターと同様のプロフィールを示した。この観察は、健常なCAR T細胞が養子T細胞療法における持続性および有効性の増加と関連のあるサブセットであるナイーブ由来T細胞とより密接に類似する後成的なシグネチャを維持する(参照文献23;その全体において参照により本明細書に援用される)が、慢性の抗原刺激が広範囲の多様な後成的な再プログラミングを生じるという考えと矛盾しない。
【0172】
AP-1関連TFは、共通のbZIPドメイン内の相互作用を介して多様な組のホモダイマーおよびヘテロダイマーを形成するように調和し、IRF転写因子と二量体化し得る(参照文献14、24;それらの全体において参照により本明細書に援用される)。AP-1因子複合体は、コアTGA-G/C-TCAコンセンサスモチーフを含むDNA要素での結合について競合する。古典的に記載されるAP-1ヘテロダイマーc-Fosおよびc-Junを含むものなどの複合体を活性化することにより、IL-2転写が駆動される。逆に、他のAP-1およびIRFファミリーメンバーは、c-Jun活性を直接的に弱め得、および/またはT細胞における免疫制御遺伝子発現を駆動する(参照文献14、24〜29;それらの全体において参照により本明細書に援用される)。AP-1結合クロマチンアクセシビリティの変化が活性化および阻害性bZIPおよびIRF TFのアベイラビリティの増加に関連するかどうかを評価するために、疲弊したHA-28z 対 健常CD19-28z CAR T細胞においてRNA-seqを使用して、bZIPおよびIRFファミリーメンバーの転写産物レベルを比較する実験を、本明細書における態様の開発の際に行った。3つの異なるドナーにわたる対のRNA-seq解析により、JUNB、FOSL1、BATF、BATF3、ATF3、ATF4およびIRF4について最も有意であるbZIPおよびIRFファミリーメンバー過剰発現の矛盾しないパターンが明らかになった(図13cおよび図22a)。ウエスタンブロット分析により、HA- 対 CD19 CAR T細胞におけるJunB、IRF4およびBATF3の持続的タンパク質過剰発現を確認し(図13dおよび図22b)、免疫制御BATF/IRF TFは、c-Junと比較してより高いレベルの発現を示した。阻害性bZIP/IRFファミリーメンバーの増加したレベルの生物学的有意さはさらに、Jun免疫沈降(IP)のウエスタンブロットかいくつかの阻害性ファミリーメンバーがHA-28z疲弊CAR T細胞においてc-JunおよびJunBとの直接複合体にあることの説明により示された(図22c)。CD19-28z 対 GD2-28z CARを発現するCD8+ T細胞の1細胞RNA-seq解析による、TFプロフィールの比較により、bZIPファミリーメンバーJUN、JUNB、JUNDおよびATF4が、最も差異的に発現されるものの中にあり、疲弊したGD2-28z CAR T細胞ネットワークに広く関与することが確認された(図13eおよび図19)。
【0173】
実施例11
c-Jun過剰発現(OE)はCAR T細胞における機能的疲弊を低減する
疲弊したCAR T細胞が非常に乏しいIL-2産生を示し(図12d)、免疫制御および疲弊関連プログラムを駆動するbZIPおよびIRF転写因子を優先的に過剰発現するという証拠に基づいて、疲弊した細胞におけるT細胞機能不全が、IL-2転写を駆動するために必要なc-Jun/c-Fosヘテロダイマーにおける相対的な欠失のためであり得ることが予想された。HA-28zおよびCD19-28z CAR T細胞に、バイシストロニックレンチウイルスベクターを共形質導入してc-Junおよびc-Fosを過剰発現させた。AP-1を過剰発現するように作り変えられたHA-28z CAR T細胞は、抗原刺激の際に増加したIL-2産生を示した(図23a〜c)。しかしながら、単一の発現ベクターを使用した機能性の増強は、HA-28z CAR T細胞においてc-Jun OE時のみで観察され、c-Fos単一発現ベクターによる形質導入は、矛盾しない機能性の向上を生じなかった(図23d〜e)。
【0174】
c-Junが、疲弊したCAR T細胞の機能を増強する能力をさらに調べるためおよび全てのCAR発現T細胞における構成的なc-Jun発現を確実にするために、ウイルスP2Aスキッピングペプチドにより分離されたc-JunおよびCARトランスジーンを共発現するバイシストロニックベクターを作製した(JUN-CAR、図14a)。これらの発現ベクターは、CD19およびHA-28z CAR T細胞の両方においてc-Jun発現を増加させた(図14b)が、JUN-HA CAR T細胞においてc-Junは優先的に活性化(リン酸化)され(図14c)、これはHA-28z CAR30を介して伝播される持続性TCRシグナル伝達カスケードの下流で活性化されたJNKタンパク質によるc-Jun N末端リン酸化(JNP)と矛盾しなかった。GD2+腫瘍細胞株を用いた刺激の際に、JUN-HA-28z CAR T細胞は、対照HA-28z CAR T細胞と比較して、IL-2およびIFNg産生の顕著な増加を示した(図14d〜e)。c-Jun OEの設定におけるサイトカイン産生の倍率増加は、JUN-CD19 CAR T細胞と比較して、JUN-HA CARについて実質的に大きかった(図24a〜b)。同様に、JUN-HA CAR T細胞は、HA-28z CAR T細胞と比較して、SCM/CM 対 E/EMサブセットの頻度の増加を示した(図14f)が、サブセット組成物において、培養の10日目に、CD19およびJUN-CD19 CAR T細胞の間で有意差は観察されなかった。まとめると、該データは、c-Jun OEが、阻害性bZIPおよびIRF TFを過剰発現する疲弊したT細胞において、機能的により有意であるモデルと矛盾しない。
【0175】
c-Jun OEが、固形腫瘍における抗腫瘍効果と関連する(参照文献31;その全体において参照により本明細書に援用される)長期の増殖能力を増強するかどうかを評価するため、および持続性シグナル伝達(CD19-28z、CD19-BBz)を有さないCAR T細胞、またはより低いレベルの持続性シグナル伝達(GD2-BBz)を有するCAR T細胞において、c-Jun OE が機能を増加し得るかどうか試験するために、3つの異なる健常ドナー由来のJUN-CAR T細胞のインビトロ拡大を長期間にわたり測定した(図24c)。c-Jun OEの存在下で増強された長期増殖能力の矛盾しないパターンが観察され、これは、これらの細胞はIL-2の非存在下では拡大を即座に停止したので、IL-2依存的なままであった(図14g)。疲弊に対する抵抗性を誘導するc-Junの能力と矛盾せず、後のCD8+ JUN- CD19-28z CAR T細胞の拡大は、同じ時点で試験した対照CD19-28z CAR T細胞と比較して、疲弊マーカーの発現の低下を示し、幹細胞記憶(SCM)表現型(CD45RA+CD62L+)を有する細胞の確固とした(robust)サブセットを維持した(図14h〜j)。腫瘍なしNSGマウスに養子移入されたJUN-CAR T細胞の恒常的拡大を評価した。末梢血T細胞数は、注入後25日目に、対照と比較して、JUN-CD19-28zおよびJUN-CD19-BBz CAR T細胞の両方で治療したマウスにおいて増加し(図14k)、これはJUN-CD19-BBz CAR T細胞治療マウスにおいて加速されたGVHDをもたらした。データをまとめると、c-Jun OEは、CD28または4-1BB共刺激性ドメインを組み込むものを含む多くの試験されたCARにおいて、疲弊が強化された長期間拡大または持続性シグナル伝達により駆動されるかどうかに関係なく、T細胞疲弊を緩和することが示される。
【0176】
実施例12
CAR T細胞疲弊のc-Jun媒介救助のための分子的要件
相互に排他的でない2つの異なる機構によりc-Jun OEが疲弊したT細胞を救助し得るかどうかを決定するために、本明細書における態様の開発の際に実験を行った。c-Jun OEは、Fos/JunもしくはJun/Jun二量体のアベイラビリティを増加することによりAP-1媒介遺伝子転写を直接的に増強し得るか、または疲弊関連遺伝子発現を駆動する阻害性AP-1/IRF転写複合体(AP-1-i)14、24を乱すことにより間接的に働き得る(図15a)。c-Jun OEがT細胞疲弊を緩和する機構をよりよく理解するために、大腸菌ジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)由来の不安定化ドメイン(DD)をc-JunのN末端に融合して、c-Jun発現を一時的に制御した(JUN-DD、図15b)。DDは、細胞透過性小分子トリメトプリム(TMP)の存在下で安定化され、安定なc-Jun発現をもたらすが、TMPの非存在下では、DDは不安定化され、全融合タンパク質のプロテオソーム分解を誘導する(図15c)。JUN-DD CAR T細胞は、TMPの存在下では迅速にc-Jun発現を増加させた(薬物暴露の6.76時間後に1/2max)が、JUN-DDは、TMPの非存在下では迅速に検出できなくなった(1.84時間のt1/2)(図15dおよび図25a〜b)。JUN-DD-CAR T細胞は、TMPの存在下のみでIL-2およびIFNg産生の増加を媒介し、CAR T細胞機能の調節におけるc-Junレベルについての決定的な役割を確認した(図15e)。これは、転写に対するc-Junの直接的な効果が迅速に影響を受け得たためであったので、HA-28z CAR T細胞中のc-Jun OEが急性の抗原刺激(オフ-オン)の期間に限定された場合に機能救助が起こったかどうかを試験した。対照的に、疲弊の誘導の間に阻害性AP-1複合体(AP-1i)との競合にc-Jun OEが必要であった場合、T細胞拡大の間のより長い暴露(オン-オフ)が必要とされ得る(図15f)。c-Jun OEを経験しない(オフ-オフ)HA-28z CAR T細胞と比較して、両方の状態は部分的な救助を媒介したが、IL-2機能の完全な救助は、T細胞拡大および抗原刺激の両方の間にc-Jun OE(オン-オン)を必要とした(図15g)。この所見は、c-Jun OEが、抗原遭遇の下流の急性刺激の間の遺伝子転写の直接的な増強、また疲弊の進展の間の分子的再プログラミングの間接的な調節の両方をするモデルと矛盾しない。さらに、c-Jun過剰発現(図25c〜dおよびIPによるJunB/BATF複合体の低減(図25e)の際に、JUNBおよびBATF/BATF3ファミリーメンバーのタンパク質およびmRNA発現の両方の低減が観察された。
【0177】
阻害性AP-1複合体のc-Jun媒介妨害の間接的なモデルは、直接的なc-Jun転写活性化とは独立する。直接c-Jun媒介遺伝子活性化がT細胞疲弊の機能的救助に必要であるかどうかを試験するために、c-Jun媒介遺伝子転写に重要であることが示された(参照文献33、34;それらの全体において参照により本明細書に援用される)c-Junトランス活性化ドメイン中にSer63およびSer73のアラニン置換を有するJNP欠損c-Junを作製して、これらの部位でのリン酸化を防いだ(c-JunAA)(図15h〜i)。JUNAA-HA-28z CAR T細胞は、野生型JUN-CAR T細胞と比較して、IL-2およびIFNg産生の同等の増加を示した(図25j)。まとめると、このデータは、疲弊のc-Jun媒介救助が直接的な遺伝子活性化を必要としないモデルと矛盾しなかった。
【0178】
実施例13
JUN-CAR T細胞はインビボで抗腫瘍活性の増強を媒介する
JUN-CAR T細胞がインビボで活性の増強を示すかどうかを決定するために、本明細書における態様の開発の際に実験を行った。Nalm6-GD2+白血病細胞をマウスに植え込み、3日目に対照HA-28zまたはJUN-HA-28z CAR T細胞で治療した。HA-28z CAR T細胞はいくらかの抗腫瘍活性を示したが、全てのマウスが疾患のために死亡したので治療は最終的に不首尾であった(メジアン生存d59)。対照的に、JUN-HA-28z CAR T細胞は、24日目までに完全な腫瘍後退を媒介し、長期間の腫瘍なし生存をもたらした(図16a〜c)。c-Jun OEが固形腫瘍を標的化するCARの機能を増強し得るかどうかに取り組むために、長期持続性を付与するための好ましいシグナル伝達ドメインとなる(参照文献35〜37;それらの全体において参照により本明細書に援用される)4-1BB共刺激ドメインを組み込むHer2およびGD2標的化CARを使用して、JUN-CARの効果を評価した。143b骨肉腫の延長されたエクソビボ殺傷アッセイにおいて、JUN-Her2-BBz CAR T細胞は、1:8のエフェクター:標的(E:T)比で、有意により強力な殺傷活性を示し、細胞基準当たりの高められた能力と矛盾しなかった(図16d〜e)。同様に、JUN-Her2-BBz CAR T細胞は、インビボで腫瘍増殖を予防し、インビボにおけるT細胞拡大の増加と関連する長期生存の劇的な向上をもたらした(図16f〜h)。143b骨肉腫に対するGD2-BBzとJUN-GD2-BBz CAR T細胞を比較する場合に同様の結果が観察され(図26)、固形腫瘍に応答するCAR T細胞および4-1BBシグナル伝達ドメインを組み込むCAR T細胞におけるc-Jun OEの利益が確認された。
【0179】
実施例14
c-Jun過剰発現は、CAR T細胞活性化閾値を低下し、より低い抗原密度を有する腫瘍細胞の認識を可能にする
疲弊したCAR T細胞における上昇したレベルの阻害性AP1ファミリーメンバーは、疲弊したCAR T細胞における機能不全が、少なくとも部分的に、活性化 対 阻害性AP1ファミリーメンバーのバランスを修復すことにより標準化され得る活性化のためのより高い閾値に関連するという予想をもたらした。これを試験するために、刺激強度の制御を可能にする、14g2a scFvに結合する抗イディオタイプ抗体である血小板結合1A7の連続希釈に応答するHA-CAR 対 JUN-HA-CAR T細胞のサイトカイン産生を比較した。c-Jun OEは実質的に、産生される最大IL-2およびIFNgを高め、また実質的に、IL-2分泌を誘導するために必要な1A7の量を低下させ、これはJUN-HA-CAR T細胞における活性化閾値の低下と矛盾しなかった(図17a〜b)。
【0180】
腫瘍細胞上の標的抗原発現レベルを制限することは、CAR機能を制限するとますます認識されている(参照文献5、6、38;それらの全体において参照により本明細書に援用される)。現在、CD22 CAR療法に対する最初の応答後に白血病患者においてCD22dimが再発することが報告された。c-Jun OEは、持続的にシグナル伝達するHA-28z CAR T細胞における活性化閾値を低下させるので、JUN-CARが、対照CAR T細胞による認識を免れ得るより低い抗原密度を有する腫瘍細胞を認識し、殺傷するかどうかを評価した。JUN-CD22-BBz CAR(図17)T細胞をCD22low白血病で攻撃(challenge)した場合(図17d)、JUN-CAR T細胞は、インビトロで増加したサイトカイン産生を示し(図17e)、インビボで抗腫瘍活性を劇的に増加させた(図17f〜i)。対照CD22-BBz CAR T細胞は、3x106 CAR T細胞の用量で与えられた場合に最初の活性を示したが、この治療は最終的には腫瘍成長を制御できなかった(平均生存d45)。対照的に、JUN-CD22-BBz CAR T細胞は、有意な抗腫瘍効果を媒介し、完全に治療的であった。したがって、c-Jun OEは、4つの腫瘍モデルにおいて有意に向上された抗腫瘍制御を示し、向上された拡大、疲弊に対する抵抗性および低抗原標的を認識する向上された能力に関連する。
【0181】
実施例15
切断JUNタンパク質
機能不全T細胞の救助を媒介するための原因となるJUNの必要なドメインを決定するために、本明細書における態様の開発の際に実験を行った。種々のドメインを欠失させた一連のJUN変異体を作製した(図27a)。N末端欠損および切断を有するJUNの変異体(JUN-AA、JUN-DdおよびJUN-DTAD)は、HA-28z疲弊CAR T細胞の機能を救助する能力を維持するが、εおよびbZIPドメインのC末端変異は、救助において機能的でない。JUN-AA、JUN-DdおよびJUN-DTAD構築物は、JUN-WTと比較してサイトカイン産生の同等の増加を保持し(図27b、d)、JUN-De、JUN-Dbasic、JUN-DLeuおよびJUN-DbZIP変異と比較して、低いE:T比で長期間の殺傷を向上する(図27c)。それらの向上されたインビトロ機能的活性と矛盾せずに、JUN-WTおよびJUN-DTADを発現するHA-28z CAR T細胞は、N6-GD2白血病を有するマウスに注入した場合、JUN-DLeuおよびJUN-DbZIPと比較して、増加したインビボ増殖を示す。
【0182】
実施例16
IRF4のノックダウンは疲弊したHA-28z CAR T細胞の機能的活性を劇的に増加する。
9個の異なるbZIP/IRFファミリー構成要素についてCRISPR gRNAを最適化して、疲弊したHA-28z CAR T細胞の機能的活性(サイトカイン分泌)を救助するノックダウンの能力を試験する実験を行った。健常ドナーを用いた3〜6回の独立した実験の結果を示す要約のデータを図28に示す。図28に示されるように、JunBおよびBATF3ノックアウトはいくつかのドナーにおいて機能的活性を向上させたが、IRF4ノックアウトは、試験した全てのドナーにおいて刺激されたHA-28z CAR T細胞においてIL-2分泌を劇的に向上させた(左および中)。IRF4-KO CAR T細胞はさらに、持続性シグナル伝達からのIL-2の向上されたベースライン分泌を示した。
【0183】
実施例17
転写変異体(JUN-AA)もCD19 CAR T細胞において機能的活性および増殖性能力を救助する。
CD19 CAR T細胞におけるJUN-AA変異の作製に関する実験を行った。JUN-AAは、低抗原密度に対する増加された反応性を保持し(図29A)、培養における長期間の増殖を増強した(図29B)。インビボで、c-Junは、低用量の「ストレステスト」用量のCD19 CAR T細胞で治療したNalm6白血病マウスの向上された生存を示した(図29C)。
【0184】
実施例18
c-Jun改変HA-28z CAR T細胞の高められたインビボ機能はIL-2のエクソビボ提供により反復できない。
IL-2産生は疲弊抵抗性細胞についての優れたバイオマーカーであるが、JUN-CAR T細胞の高められた機能は、IL-2単独では再現できない(図30)。250,000IU/マウスを、腫瘍植込み後の7、9、11、13および15日目にIPで与えた。1x106 CAR+ T細胞を7日目にIVで与えた。同様の所見を有する3回の独立した実験の代表を図30に示す。
【0185】
実施例19
c-Junは抑制性固形腫瘍微小環境内でHer2-BBz CAR T細胞活性を高める。
JUN-CAR T細胞は、エクソビボで低減された疲弊および増加された機能的活性を示す。143B骨肉腫異種移植片を、筋肉内注射によりNSGマウスに植え込んだ。固形腫瘍質量が測定可能になった後(腫瘍接種の14日後)、1x107 Her2-BBz対照(青色)またはJUN-Her2-BBz(赤色)CAR T細胞をIVで与えた。図31Aは、JUN-Her2-BBz CAR T細胞は大きな確立された143B固形腫瘍の後退を媒介したが、Her2-BBz CAR T細胞はモック形質導入無しT細胞と比較してなんら制御を示さなかったことを示す。T細胞注射の2週間後(JUNマウスにおいて腫瘍が完全に根絶される前)、マウスを安楽死させ、固形腫瘍組織を抽出し、機械的に分離させた(1群当たりn=6〜8マウス)。図31Bは、JUN治療マウス由来の固形腫瘍消化物は、CD8+ T細胞の有意に高いパーセンテージ(総生存細胞の頻度)を含み、 CAR+ CD8+ T細胞のより高い頻度を保持したことを示す。図31Cは、腫瘍局在CD8+ T細胞はJUN-Her2-BBzにおいて疲弊関連阻害性受容体PD-1およびCD39の低減された発現(および共発現)を示した(1群当たりn=6マウス、左)ことを示す(右の代表的なフロープロット)。
【0186】
次いで、Nalm6-Her2+標的細胞を用いたエクソビボ再刺激により腫瘍局在CAR T細胞の機能的能力を評価した実験を行った(図31DおよびE)。図31Dに示されるように、5x104 FACS分類CD45+ T細胞を、5x104標的細胞で再刺激し、24時間後にELISAによりIL-2分泌を測定した。図31Eに示されるように、3x105単一細胞腫瘍消化物を、3x105 Nalm6-Her2+単離T細胞で、モネンシンおよびCD107a抗体の存在下、6時間再刺激した。6時間後、単一細胞のCD107a、IL-2、IFNγおよびTNFαの産生を、細胞内サイトカイン染色により評価した。エクソビボ刺激したJUN-Her2-BBz CAR T細胞は、Her2-BBz対照と比較して、CD107a、IL-2、IFNγ、TNFαを産生する細胞および二重サイトカイン産生細胞の有意に高い頻度を示した。
【0187】
実施例20
c-Jun過剰発現は疲弊したHA-28z CAR T細胞のTGFβ媒介性抑制に対する抵抗性を増加させる。
対照およびJUN-WTまたはJUN-AA改変HA-28z CAR T細胞を、5nM TGFβの存在下または非存在下、Nalm6-GD2 標的細胞で刺激した。図32左に示されるように、IL-2分泌をELISAにより測定し、1つの代表的なドナーを示した。図32右に示されるように、TGFβ+ 対 無し条件におけるIL-2の倍率低下(3回の独立した実験からのn=3の独立したドナー)。
【0188】
実施例21
c-Jun改変細胞における転写の変化は疲弊の低減および記憶形成の増加と矛盾しない。
図33Aは、c-Jun過剰発現の追加の際の疲弊したHA-28z CARにおいて差異的に制御される遺伝子のヒートマップを示す(c-Junにより下方制御された193個の遺伝子、c-Junにより上方制御された176個の遺伝子、p(adj)<0.05。n=3の独立したドナー)。目的の遺伝子を右に強調する。Jun細胞において下方制御された遺伝子は、阻害性受容体(LAG3、ENTPD1)および他のあり得る阻害性AP-1ファミリーメンバー(BATF3、JUNB)ならびに疲弊に関連する他の遺伝子(IL13、GZMB、LTA、TNFRSF9)を含む。c-Junにより上方制御された遺伝子はナイーブおよび記憶T細胞に関連する(IL7R、SELL (CD62L)、CD44ならびに転写因子LEF1およびFOXP1)。
【0189】
図33Bは、c-Jun-HA-28z CAR T細胞において下方制御された遺伝子およびPC1において疲弊を駆動する遺伝子の重複を示すVenn模式図を示し、一方で図33Cは、健常な(CD19) CAR T細胞と関連する遺伝子との重複を示すc-Junにおいて上方制御された遺伝子を示す(下)。健常および疲弊したT細胞の間の差を駆動する上位の遺伝子の約25%が、c-Jun過剰発現により調節され得、AP-1ファミリーがこのモデルの疲弊した表現型の約25%を占め得ることが示唆される。
【0190】
図33Dは、全部で12試料中のb〜cからの重複領域における50遺伝子の遺伝子発現を示すヒートマップを示す(条件当たりn=3ドナー)。
【0191】
表2は、c-Junにより変化した遺伝子の完全なリストを提供する。
【表2-1】
【表2-2】
【表2-3】
【表2-4】
【表2-5】
【0192】
実施例22
IRF4の阻害はT細胞疲弊を低減する
対照および疲弊したT細胞を、表1に示されるIRF4阻害剤の有効量(0.1〜1000μM)と接触させる。試料を回収して、サイトカインおよびインターフェロン産生アッセイについて処理する。対照T細胞と比較して、サイトカインIL2および/またはインターフェロンIFNγ産生の増加はIRF4阻害剤で処置した疲弊したT細胞中で観察される。
【0193】
実施例23
IRF8の阻害はT細胞疲弊を低減する
対照および疲弊したT細胞を、表1に示されるIRF8阻害剤の有効量(0.1〜1000μM)と接触させる。試料を回収して、サイトカインおよびインターフェロン産生アッセイについて処理する。対照T細胞と比較して、サイトカインIL2および/またはインターフェロンIFNγ産生の増加は、IRF8阻害剤で処置した疲弊したT細胞中で観察される。
【0194】
実施例24
BATFの阻害はT細胞疲弊を低減する
対照および疲弊したT細胞を、表1に示されるBATF阻害剤の有効量(0.1〜1000μM)と接触させる。試料を回収して、サイトカインおよびインターフェロン産生アッセイについて処理する。対照T細胞と比較して、サイトカインIL2および/またはインターフェロンIFNγ産生の増加は、BATF阻害剤で処置した疲弊したT細胞中で観察される。
【0195】
実施例25
BATF3の阻害はT細胞疲弊を低減する
対照および疲弊したT細胞を、表1に示されるBATF3阻害剤の有効量(0.1〜1000μM)と接触させる。試料を回収して、サイトカインおよびインターフェロン産生アッセイについて処理する。対照T細胞と比較して、サイトカインIL2および/またはインターフェロンIFNγ産生の増加はBATF3阻害剤で処置した疲弊したT細胞中で観察される。
【0196】
実施例26
JUNBの阻害はT細胞疲弊を低減する
対照および疲弊したT細胞を、表1に示されるJUNB阻害剤の有効量(0.1〜1000μM)と接触させる。試料を回収して、サイトカインおよびインターフェロン産生アッセイについて処理する。対照T細胞と比較して、サイトカインIL2および/またはインターフェロンIFNγ産生の増加はJUNB阻害剤で処置した疲弊したT細胞中で観察される。
【0197】
実施例27
IRF1の阻害はT細胞疲弊を低減する
対照および疲弊したT細胞を、表1に示されるIRF1阻害剤の有効量(0.1〜1000μM)と接触させる。試料を回収して、サイトカインおよびインターフェロン産生アッセイについて処理する。対照T細胞と比較して、サイトカインIL2および/またはインターフェロンIFNγ産生の増加はIRF1阻害剤で処置した疲弊したT細胞中で観察される。
【0198】
実施例28
IRF2の阻害はT細胞疲弊を低減する
対照および疲弊したT細胞を、表1に示されるIRF2阻害剤の有効量(0.1〜1000μM)と接触させる。試料を回収して、サイトカインおよびインターフェロン産生アッセイについて処理する。対照T細胞と比較して、サイトカインIL2および/またはインターフェロンIFNγ産生の増加はIRF2阻害剤で処置した疲弊したT細胞中で観察される。
【0199】
実施例29
IRF3の阻害はT細胞疲弊を低減する
対照および疲弊したT細胞を、表1に示されるIRF3阻害剤の有効量(0.1〜1000μM)と接触させる。試料を回収して、サイトカインおよびインターフェロン産生アッセイについて処理する。対照T細胞と比較して、サイトカインIL2および/またはインターフェロンIFNγ産生の増加はIRF3阻害剤で処置した疲弊したT細胞中で観察される。
【0200】
実施例30
IRF5の阻害はT細胞疲弊を低減する
対照および疲弊したT細胞を、表1に示されるIRF5阻害剤の有効量(0.1〜1000μM)と接触させる。試料を回収して、サイトカインおよびインターフェロン産生アッセイについて処理する。対照T細胞と比較して、サイトカインIL2および/またはインターフェロンIFNγ産生の増加はIRF5阻害剤で処置した疲弊したT細胞中で観察される。
【0201】
実施例31
IRF6の阻害はT細胞疲弊を低減する
対照および疲弊したT細胞を、表1に示されるIRF6阻害剤の有効量(0.1〜1000μM)と接触させる。試料を回収して、サイトカインおよびインターフェロン産生アッセイについて処理する。対照T細胞と比較して、サイトカインIL2および/またはインターフェロンIFNγ産生の増加はIRF6阻害剤で処置した疲弊したT細胞中で観察される。
【0202】
実施例32
IRF7の阻害はT細胞疲弊を低減する
対照および疲弊したT細胞を、表1に示されるIRF7阻害剤の有効量(0.1〜1000μM)と接触させる。試料を回収して、サイトカインおよびインターフェロン産生アッセイについて処理する。対照T細胞と比較して、サイトカインIL2および/またはインターフェロンIFNγ産生の増加はIRF7阻害剤で処置した疲弊したT細胞中で観察される。
【0203】
実施例33
IRF9の阻害はT細胞疲弊を低減する
対照および疲弊したT細胞を、表1に示されるIRF9阻害剤の有効量(0.1〜1000μM)と接触させる。試料を回収して、サイトカインおよびインターフェロン産生アッセイについて処理する。対照T細胞と比較して、サイトカインIL2および/またはインターフェロンIFNγ産生の増加はIRF9阻害剤で処置した疲弊したT細胞中で観察される。
【0204】
上述の明細書に言及される全ての刊行物および特許は、参照により本明細書に援用される。本発明の記載される方法および系の種々の変更および変形は、本発明の範囲および精神を逸脱することなく、当業者に明らかである。本発明は特定の好ましい態様に関して記載されるが、特許請求される本発明は、かかる特定の態様に不当に限定されるべきではないことが理解されるべきである。実際に、関連のある分野の当業者に明白である本発明を実行するために記載される形態の種々の変更は、以下の特許請求の範囲の範囲内にあることが意図される。
【0205】
参照文献
そのいくつかが番号(例えば参照文献X)により上述で引用される以下の参照文献は、それらの全体において参照により本明細書に援用される.
【表3-1】
【表3-2】
【表3-3】
【表3-4】
【表3-5】
【表3-6】
【図1】
【図2-1】
【図2-2】
【図3-1】
【図3-2】
【図3-3】
【図4-1】
【図4-2】
【図4-3】
【図4-4】
【図5-1】
【図5-2】
【図5-3】
【図6-1】
【図6-2】
【図7-1】
【図7-2】
【図7-3】
【図8-1】
【図8-2】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12-1】
【図12-2】
【図12-3】
【図13-1】
【図13-2】
【図14-1】
【図14-2】
【図14-3】
【図15-1】
【図15-2】
【図15-3】
【図16-1】
【図16-2】
【図17-1】
【図17-2】
【図18-1】
【図18-2】
【図18-3】
【図19-1】
【図19-2】
【図20-1】
【図20-2】
【図20-3】
【図21-1】
【図21-2】
【図21-3】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27-1】
【図27-2】
【図28】
【図29-1】
【図29-2】
【図30】
【図31-1】
【図31-2】
【図32】
【図33】
【国際調査報告】