(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】2021509719
(43)【公表日】20210401
(54)【発明の名称】NADH測定のためのバイオセンサー用電極及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 27/30 20060101AFI20210305BHJP
   G01N 27/327 20060101ALI20210305BHJP
【FI】
   !G01N27/30 B
   !G01N27/327
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】15
(21)【出願番号】2020536849
(86)(22)【出願日】20181228
(85)【翻訳文提出日】20200828
(86)【国際出願番号】KR2018016829
(87)【国際公開番号】WO2019135556
(87)【国際公開日】20190711
(31)【優先権主張番号】10-2018-0000408
(32)【優先日】20180102
(33)【優先権主張国】KR
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ
(71)【出願人】
【識別番号】510256159
【氏名又は名称】コリア リサーチ インスティテュート オブ ケミカル テクノロジー
【住所又は居所】大韓民国 34114 デジョン ユーソン−グ カジョン−ロ 141
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】特許業務法人 安富国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】イ, ギュホン
【住所又は居所】大韓民国 56212 チョルラブク−ト, チョンウプ−シ, ペクハク 1−ギル, 30
(57)【要約】
【課題】NADH測定のためのバイオセンサー用電極及びその製造方法の提供。
【解決手段】本発明は、NADH測定用バイオセンサーのための電極及びその製造方法に関するものであり、本発明の方法によって製造された電極は、電気重合反応時に電流の流れが安定し、改質された物質の接触角を著しく小さくして表面の改質効率を高め、数回再利用できるというメリットが存在する。また、本発明の上記電極をNADH測定用バイオセンサーに適用する場合、干渉現象なしに感度と選択性を高いレベルで維持することにより、極少量の測定物質が存在して前処理過程を必ず必要とする血液または血清(serum)でも、目的とする対象の測定が容易である。また、上記電極をNADH測定用バイオセンサーに適用する場合、持続的及びリアルタイムの細胞生存率の測定が可能であり、細胞毒性評価の分野に活用することができ、ミトコンドリア機能を喪失した死滅細胞での細胞の生存率の測定を可能にすることができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)電極を硫酸で洗浄する段階と、
b)上記a)段階の電極を4−アミノチオフェノール(4−aminothiophenol;4−ATP)に入れて培養した後、第1溶液に浸漬させた後に電圧を加える段階と、
c)上記b)段階の電極を第2溶液に浸漬させた後に電圧を加える段階と
を含むバイオセンサー用電極の製造方法。
【請求項2】
上記b)段階の第1溶液は、モル濃度90mM乃至100mMのリン酸緩衝溶液であることを特徴とする請求項1に記載の電極の製造方法。
【請求項3】
上記c)段階の第2溶液は、モル濃度5mM乃至15mMのリン酸緩衝溶液であることを特徴とする請求項1に記載の電極の製造方法。
【請求項4】
上記b)及びc)段階で、電圧は循環電圧電流法(Cyclic votammetry)で加えることを特徴とする請求項1に記載の電極の製造方法。
【請求項5】
上記b)及びc)段階で、循環電圧電流法(Cyclic votammetry)は0.8乃至−0.4V電位に変化(sweep)させることを特徴とする請求項4に記載の電極の製造方法。
【請求項6】
上記バイオセンサー用電極は、NADH(Reduced form of nicotinamide adenine dinucleotide)を測定するためのものであることを特徴とする請求項1に記載の電極の製造方法。
【請求項7】
上記電極は、金、アルミニウム、白金、ニッケル、グラフェン、銀ナノワイヤーフィルム、金属グリッド、炭素、および酸化インジウムスズで構成された群から選択される1種以上であることを特徴とする請求項1に記載の電極の製造方法。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれかの製造方法によるNADHの測定のためのバイオセンサー用電極。
【請求項9】
請求項1乃至7のいずれかの電極を含むバイオセンサー。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイオセンサー用電極およびその製造方法に関するもので、具体的にNADH(還元型NAD、Reduced form of nicotinamide adenine dinucleotide)測定用バイオセンサーのための電極及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
バイオ技術の発展に伴い、より迅速かつ正確な分析技術に対する要求と必要性が徐々に増加している。このような、分析技術の中で最近、バイオセンサーに対する研究が多く進められている。特に、生物機能を模写して電子工学を応用することで、外部から受けた物理的、化学的刺激を感知することができる生命素子であるバイオセンサーへの需要が継続的に増加している。これらのバイオセンサーは、測定対象に対する選択性の面や、感度が非常に敏感で脚光を浴びている。
【0003】
現在までバイオセンサーに対する多様な研究が進められているが、このようなバイオセンサーは、酵素、菌類及び動植物の組織などの生体物質を利用したものに分けられる。特定の分子を認識し、その濃度に比例して物理的、化学的変化を起こさせる部分、及びこれらの物質の化学変化を電気信号化する部位に変換する部分に分けられる。このような、バイオセンサーは特に、試料中の特定の分子を選択的に認識することができ、別途分離精製をする必要がないため、検出時間は非常に短く、精度が非常に高いというメリットが存在する。
【0004】
電気化学基盤のバイオセンサーは電気化学的方法が持つ分析能力と生物学的な認識(biological recognition)の特異性(specificity)を結合させたものだ。すなわち、酵素、抗原、抗体、生化学物質などの生物学的特異性を持つ物質(biospecific reagent)を電極表面に固定させたり含有させることにより、生物学的認識現象を電流あるいは電位変化で検出する。このような電気化学基盤のバイオセンサーは、電極自体の抵抗と電気化学反応が起こる表面特性が非常に重要である。
【0005】
一方、生命活動の中で必ず必要とされるATP合成を担当する細胞の小器官であるミトコンドリアの恒常性を維持することは、生命活動の中で非常に重要であり、これに異常が発生した場合、代謝関連の障害及び脳卒症などの同時多発的な病気の原因となることができる。前記のミトコンドリアの機能を確認するために一般的に多く使われるのは、ミトコンドリア内の呼吸時に発生する補酵素に該当する。特に、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(Nicotinamide Adenine Dinucleotide、NAD)は細胞内で発見される重要な補酵素の一つで、細胞呼吸における該当過程とTCA回路に広く使われ、前記NADの還元形態に該当するNADH(Reduced form of nicotinamide adenine dinucleotide)に保存された還元潜在力は、電子伝達系を経てATPに変換されたり、同化反応に使用されたりする。
【0006】
したがって、多くの研究がNADH反応の根本的な科学的適用に焦点を合わせているが、血中内のNADHの測定は、従来の吸光法の場合には、干渉現象が非常に激しいため感度が低く、選択性が著しく低下し、試料の消費量が非常に多く、前処理の過程が複雑なため簡単に測定するのは難しい。それだけではなく、関連技術のWST−1及びMTT(3−(4,5−Dimethylthiazol−2−yl)−2,5−Diphenyltetrazolium Bromide)分析方法は、化学物質を投与した後、NADH因子と発色反応を誘導して、特定の波長で吸光度を測定する方法に該当するが、このような方式は、多量の試料を必要とし、反応時間が長くかかり、分解能が優れないため、持続的及びリアルタイムモニタリングに適していない。また、電気化学的な方法でNADHを測定するためには、酵素反応を誘導したり、電子伝達を活発にしてくれる触媒物質であるルテニウム、シアン化物イオンの媒体(mediator)を入れた後、NADHの酸化還元電流を測定するが、この場合、通常1000 mV以上の電圧値で酸化、還元が起こるので、電極の表面が損傷を受け、繰り返し測定が不可能であり、分解能が著しく減少するという欠点が存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者等は、バイオセンサー用電極の表面を4−アミノチオフェノール(4−aminothiophenol)に改質する過程において、循環電圧電流を加える段階で電圧を加えた際に浸漬させる溶液の濃度を異にする段階で製造することにより、改質効率を著しく向上させることができるだけでなく、高い感度及び選択性を持ち、数回再利用することができることを発見し、本発明を完成した。
【0008】
本発明では、
a)電極を硫酸で洗浄する段階と、
b)前記a)段階の電極を4−アミノチオフェノール(4−aminothiophenol;4−ATP)に入れて培養した後、第1溶液に浸漬させた後に電圧を加える段階と、
c)前記b)段階の電極を第2溶液に浸漬させた後に電圧を加える段階と
を含むバイオセンサー用電極の製造方法を提供する。
【0009】
本発明では、前記b)段階の第1溶液は、モル濃度90mM乃至100mMのリン酸緩衝液(phosphate buffer;PBS)であることができる。
【0010】
また、本発明では、前記c)段階の第2溶液は、モル濃度5mM乃至15mMのリン酸緩衝液(phosphate buffer;PBS)であることができる。
【0011】
本発明では、前記b)及びc)段階で、電圧は循環電圧電流法(Cyclic voltammetry)で加えることができる。
【0012】
また、本発明では、前記のb)及びc)段階で、循環電圧電流法(Cyclic voltammetry)は0.8V乃至−0.4V電位に変化(sweep)させることができる。
【0013】
また、本発明では、前記電極は、金、アルミニウム、白金、ニッケル、グラフェン、銀ナノワイヤーフィルム、金属グリッド、および酸化インジウムスズで構成された群から選択される1種以上であることができる。
【0014】
本発明では、前記バイオセンサー用電極は、NADH(Reduced form of nicotinamide adenine dinucleotide)を測定するためのものであることができる。
【0015】
本発明に係る製造方法によるNADHの測定のためのバイオセンサー用電極を提供する。
【0016】
本発明に係る電極を含むバイオセンサーを提供する。
【0017】
以下、本発明に係る前記NADHの測定のためのバイオセンサー用電極について詳しく説明する。
【0018】
本発明の一実施例では、a)電極を硫酸で洗浄する段階と、b)前記a)段階の電極を4−アミノチオフェノール(4−aminothiophenol、4−ATP)に入れて培養した後、第1溶液に浸漬させた後に電圧を加える段階と、c)前記b)段階の電極を第2溶液に浸漬させた後に電圧を加える段階とを含むバイオセンサー用電極の製造方法を提供する。
【0019】
本発明では、前記a)段階で電極を硫酸で洗浄する段階は、1時間乃至3時間であることができ、望ましくは2時間であるが、これらに限定されるものではない。前記電極を1時間未満、及び3時間を超えて洗浄する場合には、電極の表面のエッチング(Etching)が十分に行われない。
【0020】
本発明では、前記バイオセンサー用電極は、NADH(Reduced form of nicotinamide adenine dinucleotide)の測定のためのものであることができる。
【0021】
本発明では、前記「バイオセンサー(Biosensor)」は、生物学的要素または分析物質と反応できる物質と物理化学的検出器を結合した分析のための装置であり、分析物質の探索に使用されることを意味する。敏感な生物学的要素、生物学的に分画したサンプルなどを工学的に設計することにより、分析対象物質との相互作用によって発生した信号をより簡単に測定し、定量化することができるように信号を変換する。本発明の目的上、前記分析物質と反応できる物質は、NADH(Reduced form of nicotinamide adenine dinucleotide)を測定するためのN−フェニルキノンジイミン(N−phenylquinone diimine)であることができる。
【0022】
また、本発明では、前記a)段階において、前記硫酸は、モル濃度5mM乃至15mMであることができ、望ましくは10mMであることができるが、これらに限定されるものではない。硫酸のモル濃度が5mM未満及び15mM超過の場合には、電極の表面を十分にエッチングすることができなかったり、電極が腐食されたりする恐れがある。
【0023】
本発明では、前記「4−アミノチオフェノール(4−aminothiophenol;4−ATP)」は、電極の表面に自発的に塗布され、規則的によく整列された有機分子膜の自己組織化単分子膜(Self−assembled monolayer)を形成できる有機物質であり、NADH酸化及び還元過程の際に発生する電子により、前記4−アミノチオフェノールNHの状態が変化する過程を通じて、試料内のNADHが含まれている程度を測定することができる。
【0024】
本発明では、前記第1溶液及び第2溶液は、リン酸緩衝液(phosphate buffer;PBS)であることができる。本発明の目的上、前記第1溶液は、モル濃度90mM乃至100mMのリン酸緩衝液(phosphate buffer;PBS)であることができ、前記第2溶液は、モル濃度5mM乃至15mMのリン酸緩衝液(phosphate buffer;PBS)であることができるが、これらに限定されるものではない。前記のように、第1溶液及び第2溶液のモル濃度を異にして電気重合反応を行う場合には、電流の流れが安定化されることを通じてN−フェニルキノンジイミンと電極の接触角が48°から39°に至るようにすることができるだけでなく、電極を最大20回まで再利用することができる。また、本発明では、前記第1溶液のモル濃度が90mM未満及び100mM超過の場合には、十分なイミン(imine)が生成できず、前記第2溶液のモル濃度が5mM未満及び15mM超過の場合には、接触角を本発明が目的とするように十分に減らすことができない。
【0025】
本発明では、前記のようにN−フェニルキノンジイミンの接触角が減少する場合、電極の表面に結合できるN−フェニルキノンジイミンが著しく増加することにより、NADHとの反応が活発化し、これは電極の感度につながり、試料内のNADHが極少量存在する場合にも検出できるという利点が存在する。
【0026】
本発明では、前記「循環電圧電流法」は、電極表面でどのような反応が起こっているのかを直接に把握できる方法の一つであり、時間に比例して電位を変化させると、流れる電流を電流−電位曲線で記録する方法を何度も繰り返して電位走査することを意味する。本発明の目的上、前記b)段階及びc)段階で電圧を加える段階は、循環電圧電流法(Cyclic votammetry)によって行うことができ、望ましくは0.8乃至−0.4V電位に変化(Sweep)する可能性があるが、これらに限定されるものではない。
【0027】
本発明の一実施例において、本発明に係る前記電極は、金、アルミニウム、白金、ニッケル、グラフェン(graphene)、銀ナノワイヤーフィルム、炭素、金属グリッド及び酸化インジウムスズで構成された群から選択される1種以上であることができる。望ましくは、前記電極は金であるが、これに限定されるものではない。
【0028】
本発明の他の実施例では、本発明に係る製造方法によって製造されたNADHの測定のためのバイオセンサー用電極を提供する。
【0029】
本発明の前記において、電極、バイオセンサー、循環電圧電流法、第1溶液及び第2溶液に関する内容は、前記製造方法で記載したことと重複し、以下の具体的な記載を省略する。
【0030】
本発明の他の実施例では、本発明に係る前記電極を含むバイオセンサー(Biosensor)を提供する。
【0031】
本発明の前記バイオセンサーでは、電極、バイオセンサー、循環電圧電流法、第1溶液及び第2溶液に関する内容は、前記製造方法で記載したことと重複し、以下の具体的な記載を省略する。
【0032】
本発明では、前記バイオセンサーは、本発明の目的上、NADH(Reduced form of nicotinamide adenine dinucleotide)を測定するのにもっと適したものであることができる。
【0033】
本発明の前記バイオセンサーは、本発明による前記電極以外に、一般的に、バイオセンサーに含まれるバイオ変換機、増幅器、加工機械及び画面を含む電子システムなどをさらに含むことができる。
【0034】
本発明の一実施例では、前記バイオセンサーは、試料内に含まれているNADHが酸化する過程で発生する電子を通じて、電極の表面に結合しているN−フェニルキノンジイミンのイミン(imine)をアミン(Amine)に変換させた後、再びイミンに変換することによって発生する電子を測定して、定量化できる値に変換する過程を通じて、試料内のNADHの値を測定することができる。前記のような測定方式により、本発明に係る製造方法によって製造された電極は、wst−1またはMTT分析方法のような発色反応を通じて、ミトコンドリア内にある脱水酵素との反応を通じてNADHの酸化還元反応が測定される関連技術の場合、ミトコンドリアの完全な機能が前提とされるべきであったが、前記バイオセンサーの測定方式が酵素反応ではなく、1次反応に該当し、脱水酵素が必要ないため、細胞死の時に培養液(media)内に排出されるNADHの定量的な測定を通じた細胞生存率の測定が可能となる。
【0035】
図7は、本発明に係るバイオセンサーを使用した試料内のNADH測定プロセスの模式図を示したものであり、図面に基づいて以下具体的に説明する。
【0036】
図7の(a)に示すように、血中内にNADHが存在するかどうかを測定するために、目的とする対象の試料を抽出した後、別の試料前処理過程を経ずに、本発明に係る前記電極を含むバイオセンサーで放出される電子の量を測定し、これを定量化する過程を行うことができる。
【0037】
また、図7の(b)に示すように、細胞死(apoptosis)によって発生されるNADHの量を測定するために、目的とする細胞の培養液(media)を、本発明に係る前記電極を含むバイオセンサーに投与した後、放出される電子の量を測定し、これを定量化する過程を実行して、細胞死(apoptosis)の程度を測定することができる。
【0038】
本発明に係る前記製造方法によって製造された電極は、関連技術の電極に比べてN−フェニルキノンジアミンが結合した程度が著しく高く、試料内に含まれている少量のNADHも測定することができる程度に感度が高く、前述した過程のように、別の試料の前処理過程を経なくても可能であるという長所が存在する。
【発明の効果】
【0039】
本発明に係る方法によって製造された電極は、電気重合反応時、電流の流れが安定するだけでなく、接触角が著しく少なくなることにより、表面の改質効率を向上させることができた。また、このような過程を経て、バイオセンサーに使用される電極を数回再利用することができる。
【0040】
また、本発明に係る前記電極をバイオセンサーに使用する場合には、干渉現象なしに感度及び選択性を維持することにより、極少量に該当する前処理を実行していない血液または血清(Serum)でも目的とする対象の測定が可能であり、持続的及びリアルタイムで細胞生存率の測定が可能であり、これを細胞毒性分野に適用できるという利点が存在する。また、ミトコンドリアの機能を喪失した死滅細胞から血清に分泌されたNADHの測定を通じて細胞生存率の測定が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の一実施形態に係る電極の改質された表面の模式図及び親水性の程度を測定した結果を示したものである。
【図2】本発明の一実施形態に係る表面改質時に表示されるイミン(imine)の接触角を測定したグラフを示したものである。
【図3】本発明の一実施形態に係るリン酸緩衝溶液の濃度による循環電圧電流の測定結果を示したものである。
【図4】本発明の一実施形態に係る電極の表面をSEMでイメージ解析を行った結果を示したものである。
【図5】本発明の一実施形態に係る電極の表面をSEMでイメージ解析を行った結果を示したものである。
【図6】本発明の一実施形態に係る電極を用いた濃度別のNADH測定値を示したものである。
【図7】(a)と(b)は、本発明の一実施形態に係るNADH測定用バイオセンサーを用いたNADH測定プロセスの模式図を示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、実施例を通じて本発明をさらに詳しく説明する。これらの実施例は、ただ本発明をより具体的に説明するためのものであり、本発明の要旨に基づいて、本発明の範囲がこれらの実施例により制限されないということは、当業界で通常の知識を有する者にとって自明である。
【実施例】
【0043】
[製造例] NADHの測定のためのバイオセンサー用電極の製造
【0044】
NADHの測定のためのバイオセンサーに適した電極を下記の段階を行い、製造した。
【0045】
金(Au)電極をモル濃度10mMに該当する硫酸(HSO)を用いて洗浄した。その後、自己組織化単分子膜形成のために前記電極をモル濃度10mMに調製された4−アミノチオフェノール(4−aminothiophenol)に浸漬させた後、2時間の間培養した。その後、モル濃度100mM(高濃度)のリン酸緩衝溶液に前記電極を浸漬させ、循環電圧電流(Cyclivoltametry)0.8Vから−0.4V電位に電圧を変化(Sweep)させる過程を通じてN−フェニルキノンジイミン(N−phenylquinone diimine、以下「NPQD」という。)を形成した。前記NPQDが形成された電極をモル濃度10mM(低濃度)のリン酸緩衝溶液に浸漬させた後、前記100mMのリン酸緩衝溶液でNPQDを形成する段階と同じ電圧を加え、再び電圧を変化(Sweep)させる過程を行い、最終的に、本発明に係る電極を製造した。
【0046】
[比較例] 電極製造
【0047】
前記製造例と比較するために、高濃度のリン酸緩衝溶液のみを用いて電極表面を改質する過程を行った。具体的には、金(Au)電極をモル濃度10mMに該当する硫酸(HSO)を用いて洗浄した。その後、自己組織化単分子膜形成のために前記電極をモル濃度10mMに調製された4−アミノチオフェノール(4−aminothiophenol)に浸漬させた後、2時間の間培養した。その後、モル濃度100mM(高濃度)のリン酸緩衝溶液に前記電極を浸漬させ、循環電圧電流(Cyclivoltametry)0.8Vから−0.4V電位に電圧を変化(Sweep)させる過程を通じてNPQDを形成した。
【0048】
[実施例1] 4−アミノチオフェノール(4−aminothiophenol;4−ATP)の接触角測定
【0049】
前記製造例による電極の表面に形成されたNPQDの接触角の変化を確認した。具体的には、常温(Room Temperature)、46%の湿度条件で、前記製造例の電極の上に10μlの蒸留水(Distilled Water)を落とした後、それぞれの電極の写真を撮影して、IMAGE Jソフトウェアを通じてメーカーが提供する方法で接触角測定分析を行い、その結果を図1および図2に示した。
【0050】
図1及び図2に示すように、製造例の表面に結合しているNPQDが、表面にさらに多くの量が結合し、これにより、電極の表面がより親水性に変換されたことが分かった。特に、図2に示すように、比較例は、4−アミノチオフェノールのみを結合させた場合とその接触角の変化がほとんどない反面、製造例の場合、接触角が55°から39°に著しく低くなった。
【0051】
前記結果を通じて、本発明に係る製造例は、高濃度及び低濃度のリン酸緩衝溶液との二段階の反応を通じてNPQDの接触角を著しく下げ、表面を親水化することができることがわかった。
【0052】
[実施例2] 電流値の安定化可否の測定比較
【0053】
高濃度のリン酸緩衝溶液(100mM)及び低濃度のリン酸緩衝溶液(10mM)の電流値安定化可否を比較するために、CH1040Cシリーズのマルチポテンショスタット装置を用いて、電気化学的な分析をメーカーが提供するプロトコルによって行い、その結果を図3に示した。
【0054】
図3に示すように、高濃度のリン酸緩衝溶液では比較的測定された電流値が不安定だったのに対して、低濃度に該当する10mMのリン酸緩衝溶液では、その電流値が非常に安定したグラフを示す。
【0055】
前記結果から、本発明に係る製造例の製造時に、高濃度及び低濃度の条件で段階を異にして重合反応を行うことが電流値の安定化をもたらすことがわかる。
【0056】
[実施例3] 電極表面の測定
【0057】
製造例及び比較例を含むバイオセンサーで、NADHを複数回測定した際、電極表面の変化を走査電子顕微鏡(Scanning electron microscope;SEM)で測定し、その結果を図4及び図5に示した。ただし、電極は、走査電子顕微鏡の測定のために、10nmの厚さでスパッタ(sputter)過程を実施した。
【0058】
また、バイオセンサーを用いたNADHの測定は、NADHが含まれている試料サンプルをバイオセンサーに投入させた後、−600mVの電圧を10秒間かけて発生する電流の最終値を測定する過程で行われた。
【0059】
図4に示すように、比較例は、基準電極(Reference electrode;RE)及び作用電極(Working electrode;WE)の部位の両方でNPQDがよく生成されていることが分かったが、20回再利用した後に測定した場合、基準電極及び作用電極部位の両方で、NADHの測定に多数使用された場合、表面が急激に変質した。
【0060】
一方、図5に示すように、製造例の場合、基準電極及び作用電極部位の両方でNPQDがうまく生成されただけでなく、20回再利用した後に測定しても、表面の変質程度が著しく低かった。
【0061】
前記結果から、本発明に係る製造例の電極は、バイオセンサーに適用された場合、測定に多数回再使用できることがわかる。
【0062】
[実施例4] NADH感度の測定結果
【0063】
製造例及び比較例のNADHの測定感度を比較するために、前記実施例3の方法と同じ方法を使用して、試料内のNADHを測定し、その結果を図6に示した。
【0064】
図6に示すように、製造例の場合、100μMのNADH測定値が約140%であるのに対し、比較例は、110%に該当する値が測定され、140μMのNADH測定値が製造例の場合、約155%であるのに対し、比較例の場合、著しく低い程度の約120%で測定された。
【0065】
前記結果から、本発明に係る製造例を電極として使用してNADHを測定する場合には、比較例に比べて感度が著しく高いことがわかる。
【0066】
以上、本発明について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されるものではなく、請求の範囲に記載された本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で多様な修正及び変形が可能であることは、当技術分野の通常の知識を有する者には自明のことである。

【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【国際調査報告】