(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】2021509725
(43)【公表日】20210401
(54)【発明の名称】ピーク形状を最適化するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 27/62 20210101AFI20210305BHJP
   H01J 49/02 20060101ALI20210305BHJP
   H01J 49/00 20060101ALI20210305BHJP
【FI】
   !G01N27/62 D
   !G01N27/62 V
   !H01J49/02 500
   !H01J49/00 360
   !H01J49/00 090
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】19
(21)【出願番号】2020547252
(86)(22)【出願日】20190108
(11)【特許番号】6839885
(45)【特許公報発行日】20210310
(85)【翻訳文提出日】20200708
(86)【国際出願番号】JP2019000125
(87)【国際公開番号】WO2019138977
(87)【国際公開日】20190718
(31)【優先権主張番号】201841000946
(32)【優先日】20180109
(33)【優先権主張国】IN
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】509339821
【氏名又は名称】アトナープ株式会社
【住所又は居所】東京都港区芝大門一丁目10番18号
(74)【代理人】
【識別番号】100102934
【弁理士】
【氏名又は名称】今井 彰
(72)【発明者】
【氏名】マダシル カーシケヤン ラジャン
【住所又は居所】インド カルナータカ州 560066 バンガロール ホワイトフィールド メインロード プレスティージ・オゾン 191
【テーマコード(参考)】
2G041
【Fターム(参考)】
2G041CA01
2G041GA03
2G041LA05
2G041LA06
2G041LA07
2G041LA08
(57)【要約】
システム(110)は、第1のタイプのセンサー(104)と、第1のタイプのセンサー(104)に接続される推定システム(106)とを含む。推定システム(106)は、(a)機械学習を用いて、既知のガス混合物のキャラクタリゼーションデータを、ノイズを付加して分析することにより、既知のガス混合物を推定のために最良のピーク形状を特定し、(b)第1のタイプのセンサー(104)における、標準ガス混合物を用いたいくつかの異なるインスタンスに対して複数の実際のピーク形状を生成し、複数の実際のピーク形状の中の、ある実ピーク形状を第1のタイプのセンサー(104)を校正するための校正入力として提供し、さらに、(c)実際のピーク形状を最適化して望ましいピーク形状と一致するために、第1のタイプのセンサー(104)のパラメータを自動的に調整することにより、第1のタイプのセンサー(104)を校正するように構成されている。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出された複数の成分のスペクトルを第1の変数に対する関数として含む測定結果を生成する第1のタイプのセンサーを用いて測定対象の混合物の成分を推定するためのシステムであって、
既知の混合物のキャラクタリゼーションデータと、当該システムが適用されるアプリケーションに必要な精度、感度、および分解能を含む制約事項のセットと、標準混合物の分析モデルとを格納するためのデータベースと、
モジュールのセットとを有し、
前記モジュールのセットは、
前記既知の混合物の前記キャラクタリゼーションデータを前記アプリケーションのバッググラウンドとして追加されたノイズを含めて分析することにより、前記アプリケーションの前記制約事項のセットを最も満足するピーク形状であって、前記既知の混合物の成分を推定するために最良のピーク形状を特定するように構成されたピーク形状特定モジュールと、
前記標準混合物を入力として前記分析モデルから前記最良のピーク形状に対応する望ましいピーク形状を含む合成データを事前に生成するように構成された合成データ事前生成モジュールと、
前記最良のピーク形状から前記測定対象の混合物の成分を推定するために適したピーク形状を決定するためのコスト関数を定義するように構成されたコスト関数定義モジュールと、
前記第1のタイプのセンサーにおける、前記標準混合物を使用した複数の異なる事例について、複数の実際のピーク形状を生成し、複数の前記実際のピーク形状の中から、前記第1のタイプのセンサーを校正するための校正入力とする、1つの実際のピーク形状を提供するように構成された実ピーク形状生成モジュールと、
前記第1のタイプのセンサーのパラメータを、前記実際のピーク形状を前記望ましいピーク形状と一致するように最適化するための選択されたパラメータを見出すように自動的に調整することにより前記第1のタイプのセンサーを校正するように構成された校正モジュールと、
前記選択されたパラメータを用いた前記第1のタイプのセンサーによる測定結果のピーク形状から前記コスト関数を用いて前記測定対象の混合物の成分を推定するように構成された推定モジュールとを含む、システム。
【請求項2】
請求項1において、
前記モジュールのセットは、既知の混合物の測定結果を生成して精度およびピーク形状の品質を推定することにより、前記選択されたパラメータの有効性を確認するように構成されたパラメータ検証モジュールをさらに含む、システム。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記最良のピーク形状特定モジュールは、機械学習を用いて、ノイズが付加された前記最良のピーク形状を特定する、システム。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかにおいて、
前記第1のタイプのセンサーは、測定対象のガス混合物の測定結果を生成し、前記測定結果は、前記測定対象のガス混合物に対応する、検出されたイオンの質量電荷比の関数としてのスペクトルを備え、
前記校正モジュールは、直流電圧に対する高周波電圧の比、エミッション電流、電圧勾配、バイアス電圧の中の少なくとも1つを含む前記パラメータを調整することにより、前記第1のタイプのセンサーを校正する、システム。
【請求項5】
請求項4において、
前記校正モジュールは、調整される前記パラメータが選択されると、関心のある質量電荷比に対する前記パラメータを最適化するように構成された最適化モジュールと、
(i)前記実際のピーク形状の最適化、および(ii)前記選択されたパラメータのそれぞれの最適化を、それぞれ所定の範囲に制約することにより、前記選択されたパラメータのそれぞれを所定の範囲で決定するように構成された決定モジュールとを含む、システム。
【請求項6】
請求項4または5において、
前記第1のタイプのセンサーは、四重極質量フィルタを含む質量分析計を有する、システム。
【請求項7】
請求項6において、
前記選択されたパラメータは、電圧勾配および個別バイアス電圧を含み、それらは、(i)ボックスバイアス、(ii)フィラメントバイアス、(iii)レンズバイアス、(iv)出口レンズバイアスおよび(v)四重極バイアスを含む、システム。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれかにおいて、
前記データベースおよび前記モジュールのセットを格納するメモリと、
前記モジュールのセットを実行するプロセッサとをさらに有する、システム。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれかにおいて、
第1のタイプのセンサーをさらに有する、システム。
【請求項10】
コンピュータに実装された、第1のタイプのセンサー用いて測定対象の混合物の成分を推定することを含む方法であって、
前記第1のタイプのセンサーは、前記測定対象の混合物の測定結果を生成し、前記測定結果は、検出された成分のスペクトルを第1の変数の関数として含み、
前記成分を推定することは、
既知の混合物のキャラクタリゼーションデータに、アプリケーションのバックグラウンドとしてのノイズを追加して分析することにより、前記既知の混合物の成分を推定するための最良のピーク形状であって、前記アプリケーションにおける精度、感度、および分解能を含む所定の制約事項のセットを参照し、その制約事項のセットに最も合致する最良のピーク形状を特定することと、
標準混合物を入力として、分析モデルから前記最良のピーク形状に対応する望ましいピーク形状を含む合成データを事前に生成することと、
前記最良のピーク形状から前記測定対象の混合物の成分を推定するために適したピーク形状を決定するためのコスト関数を定義することと、
前記第1のタイプのセンサーにおける、前記標準混合物を用いた複数の異なる事例について複数の実際のピーク形状を生成し、複数の前記実際のピーク形状の中から、前記第1のタイプのセンサーを校正するための校正入力とする、1つの実際のピーク形状を提供することと、
前記第1のタイプのセンサーのパラメータを、前記実際のピーク形状を前記望ましいピーク形状と一致するように最適化するための選択されたパラメータを見出すように自動的に調整することにより前記第1のタイプのセンサーを校正することと、
前記選択されたパラメータを用いた前記第1のタイプのセンサーにより測定結果を生成し、その測定結果のピーク形状から前記コスト関数を用いて前記測定対象の混合物の成分を推定することとを有する方法。
【請求項11】
請求項10おいて、
前記成分を推定することは、既知の混合物の測定結果を生成して精度およびピーク形状の品質を推定することにより、前記選択されたパラメータの有効性を確認すことをさらに含む、方法。
【請求項12】
請求項10または11において、
前記最良のピーク形状を特定することは、機械学習を用いて、ノイズが付加された前記最良のピーク形状を特定することを含む、方法。
【請求項13】
請求項10ないし12のいずれかにおいて、
前記第1のタイプのセンサーは、測定対象のガス混合物の測定結果を生成し、前記測定結果は、前記測定対象のガス混合物に対応する、検出されたイオンの質量電荷比の関数としてのスペクトルを備え、
前記校正することは、直流電圧に対する高周波電圧の比、エミッション電流、電圧勾配、バイアス電圧の中の少なくとも1つを含む前記パラメータを調整することにより、前記第1のタイプのセンサーを校正することを含む、方法。
【請求項14】
請求項13において、
前記校正することは、調整される前記パラメータが選択されると、関心のある質量電荷比に対する前記パラメータを最適化することと、
(i)前記実際のピーク形状の最適化、および(ii)前記選択されたパラメータのそれぞれの最適化を、それぞれ所定の範囲に制約することにより、前記選択されたパラメータのそれぞれを所定の範囲で決定することとを含む、方法。
【請求項15】
請求項13または14において、
前記第1のタイプのセンサーは、四重極マスフィルタを含む質量分析計を含み、前記選択されたパラメータは、前記電圧勾配および個別バイアス電圧を含み、それらは、(i)ボックスバイアス、(ii)フィラメントバイアス、(iii)レンズバイアス、(iv)出口レンズバイアスおよび(v)四重極バイアスを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書の実施形態は、スペクトロメーターのピーク形状を最適化するためのシステムに関するものであり、より具体的には、ガス混合物を推定するための質量分析計などのスペクトロメーターのピーク形状を自動的に最適化するためのシステムおよび方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
標準的な質量分析計は、複数のイオンとそれらのフラグメントに関連した複数の質量電荷比(m/z比)において表れるシグネチャ(特徴、痕跡)を生成する。質量分析計は、異なる相対比率で異なるガスをイオン化してもよい。異なるガスの複数のイオンはフラグメント(分解)され、様々な質量電荷比(即ち、複数のm/z)で現れてもよい。様々な質量電荷比においてフラグメント(フラグメンテーション)されたイオンは、検出器に送られる。イオンのフラグメンテーションは、ある特定のガスに対して一定であってもよい。
【0003】
質量分析計のデータは、通常、質量電荷比(m/z)が異なる個々のイオンに対応する複数の「ピーク」を示す。イオンのフラグメンテーション(分解)は、標準的な参照データベースまたは実験により得られてもよい。フラグメントされたイオンの各ピークは、典型的には、非ゼロ幅(ある程度の幅)を含み、質量電荷比に依存する非対称な形状を有する可能性がある。フラグメントされたイオンのピークは、質量分析計に基づいて特定されるため、異なるクラスの質量分析計の間で、ばらつきがある。完全に理想的な質量分析計は、ゼロ幅のピーク(インパルス)を持っているが、全ての実際の質量分析計は、ゼロ幅ではないピークを持っており、その形状は整ったガウス曲線やローレンツ曲線から複数のピーク曲線が重なり合った組み合わせまで様々である。
【0004】
従来の質量分析計では、各質量分析計は、質量分析計で生成されるピーク形状に適応するための推定アルゴリズムを採用している。これらの質量分析計は、各質量分析計に実装されたアルゴリズムを、質量分析計が生成する特定のピーク形状にチューニングする、アルゴリズムをチューニングするステップを必要とする。重なり合うピークの形状を整形するためのアプローチの1つは、デコンボリューション(逆畳み込み)プロセスを使用して、重なり合うピークの形状をデコンボリューションすることを含む。
【0005】
しかしながら、デコンボリューションプロセスでは、より大きな隣接ピークの下に隠れているマイナーピークからの情報を抽出することができない。さらに、このアプローチは、限られたスケール因子(スケールファクター)のセットを用いた機器に固有の校正である。さらに、上記のアプローチでは、推定精度の限界やユニットごとの変動があり、さらに、質量電荷比が高くなると感度に限界がある。これらのアプローチは、ラマン分光計、吸収分光計、振動分光計などの他のスペクトロメータ(分光型センサ)にも適用されている。
【0006】
したがって、質量分析計や他のスペクトルタイプ(分光型)のセンサを用いてガスや他の混合物を推定する場合に、それらのセンサのパラメータを自動的に最適化することにより、それらのピーク形状を自動的に最適化するシステムおよび方法が求められている。
【発明の概要】
【0007】
本発明の1つの態様は、第1のタイプのセンサーを用いて測定対象の混合物の成分を推定するシステムである。第1のタイプのセンサーは、測定対象の混合物(ターゲットの混合物)に対する測定結果(スキャン出力)を生成する。測定結果は、検出された成分のスペクトルを質量電荷比、波数などの第1の変数の関数として含む。システムは、データベースと、モジュールのセットとを有する。データベースには、既知の混合物のキャラクタリゼーションデータ(特徴データ)、システムが用いられるアプリケーションに必要な精度、感度、および分解能を含む制約事項のセット(一連の制約事項)、および標準混合物の分析モデルが格納されている。モジュールのセット(一組のモジュール、モジュール群)は、ピーク形状特定モジュールと、合成データ事前生成モジュールと、コスト関数定義モジュールと、実ピーク形状生成モジュールと、校正(キャリブレーション)モジュールと、推定モジュールとを含む。ピーク形状特定モジュールは、既知の複数の混合物のキャラクタリゼーションデータ(特徴データ)を、アプリケーションのバッググラウンドとして追加されたノイズを含めて分析することにより、アプリケーションの制約事項のセットを最も満足するピーク形状であって、既知の複数の混合物、例えば、既知のガス混合物の成分を推定するために最良のピーク形状を特定するように構成されている。合成データ事前生成モジュールは、標準混合物が入力として、分析モデルから最良のピーク形状に対応する望ましいピーク形状を含む合成データを事前に生成するように構成されている。望ましいピーク形状は、最良のピーク形状と同じ範囲のスペクトルの一部のピーク形状であってもよい。コスト関数定義モジュールは、最良のピーク形状から測定対象の混合物の成分を推定するために適したピーク形状を決定するためのコスト関数を定義するように構成されている。実ピーク形状生成モジュールは、第1のタイプのセンサーにおける(第1のタイプのセンサーの)、標準混合物を用いた複数の異なるインスタンス(事例)における複数の実際のピーク形状を生成し、複数の実際のピーク形状の中から、第1のタイプのセンサーを校正するための校正入力とする、1つの実際のピーク形状を提供するように構成されている。校正モジュールは、第1のタイプのセンサーのパラメータを自動的に調整し、実際のピーク形状を望ましいピーク形状と一致するように最適化するための選択されたパラメータを見出すことにより第1のタイプのセンサーを校正するように構成されている。推定モジュールは、選択されたパラメータを用いた第1のタイプのセンサーによる測定結果のピーク形状からコスト関数を用いて測定対象の混合物の成分を推定するように構成されている。
【0008】
このシステムにおいては、推定モジュールは、測定結果に含まれる複数のピークの形状をデコンボリューションせずに、標準混合物によって校正された測定結果のピーク形状からコスト関数を用いて、測定対象の混合物の複数の成分を推定することができる。
【0009】
モジュールのセットは、既知の混合物の測定結果を生成して精度およびピーク形状の品質を推定することにより、選択されたパラメータの有効性を確認するように構成されたパラメータ検証モジュールをさらに含んでもよい。最良のピーク形状特定モジュールは、機械学習を使用して、ノイズが付加され最良のピーク形状を特定する。
【0010】
第1のタイプのセンサーは、測定対象のガス混合物に対して測定結果を生成してもよく、測定結果は、測定対象の混合物に対応する、検出されたイオンの質量電荷比の関数としてのスペクトルを含んでいてもよい。校正モジュールは、直流電圧に対する高周波電圧の比、エミッション電流、電圧勾配、バイアス電圧の中の少なくとも1つを含むパラメータを調整することにより、第1のタイプのセンサーを校正する。
【0011】
校正モジュールは、(a)調整されるパラメータが選択されると、関心のある質量電荷比に対するパラメータを最適化するように構成された最適化モジュールと、(b)決定モジュールであって、(i)実際のピーク形状の最適化、および(ii)選択されたパラメータのそれぞれの最適化を、それぞれ所定の範囲に制約することにより、選択されたパラメータのそれぞれを所定の範囲で決定するように構成された決定モジュールとを含んでもよい。第1のタイプのセンサーは、四重極質量フィルタを含む質量分析計を含んでもよい。選択されたパラメータは、電圧勾配および個別バイアス電圧を含んでもよく、それらは、(i)ボックスバイアス、(ii)フィラメントバイアス、(iii)レンズバイアス、(iv)出口レンズバイアス、および(v)四重極バイアスを含んでいてもよい。
【0012】
システムは、データベースおよびモジュールのセットを格納するメモリと、モジュールのセットを実行するプロセッサをさらに含んでもよい。システムは、さらに、第1のタイプのセンサーを含んでいてもよい。
【0013】
本発明の他の態様は、コンピュータに実装された方法であって、第1のタイプのセンサーを用いて測定対象の混合物の成分を推定することを含む方法である。第1のタイプのセンサーは、測定対象の混合物の測定結果(スキャン出力)を生成し、測定結果は、検出された成分のスペクトルを第1の変数の関数として含む。成分を推定することは、(a)既知の複数の混合物にわたる(全体の)キャラクタリゼーションデータ(特徴データ、特性データ)に、アプリケーションのバックグラウンドとしてのノイズを追加して分析することにより、既知の複数の混合物の成分を推定するための最良のピーク形状であって、アプリケーションにおける精度、感度、および分解能を含む所定の制約事項のセットを参照し、その制約事項のセットに最も合致する最良のピーク形状を特定することと、(b)標準混合物を入力として、分析モデルから最良のピーク形状に対応する望ましいピーク形状を含む合成データを事前に生成することと、(c)最良のピーク形状から測定対象の混合物の成分を推定するために適したピーク形状を決定するためのコスト関数を定義することと、(e)第1のタイプのセンサーにおける、標準混合物を用いた複数の異なるインスタンス(事例)に対する複数の実際のピーク形状の中から、第1のタイプのセンサーを校正するための校正入力とする、1つの実際のピーク形状を提供することと、(f)第1のタイプのセンサーのパラメータを、実際のピーク形状を望ましいピーク形状と一致するように最適化するための選択されたパラメータを見出すように自動的に調整することにより第1のタイプのセンサーを校正することと、(g)選択されたパラメータを用いた第1のタイプのセンサーにより測定結果を生成し、その測定結果のピーク形状からコスト関数を用いて測定対象の混合物の成分を推定することとを含む。
【0014】
成分を推定することは、既知の混合物の測定結果を生成して精度およびピーク形状の品質を推定することにより、選択されたパラメータの有効性を確認することをさらに含んでもよい。最良のピーク形状を特定するステップは、機械学習を用いて、ノイズが付加された最良のピーク形状を特定することを含んでもよい。
【0015】
第1のタイプのセンサーは、測定対象のガス混合物の測定結果を生成してもよい。測定結果は、測定対象のガス混合物に対応する、検出されたイオンの質量電荷比の関数としてのスペクトルを含んでいてもよい。校正するステップは、直流電圧に対する高周波電圧の比、エミッション電流、電圧勾配、バイアス電圧の中の少なくとも1つを含むパラメータを調整することにより、第1のタイプのセンサーを校正することを含んでもよい。校正するステップは、(a)調整されるパラメータが選択されると、関心のある質量電荷比に対するパラメータを最適化することと、(b)(i)実際のピーク形状の最適化、および(ii)選択されたパラメータのそれぞれの最適化を、それぞれ所定の範囲に制約することにより、選択されたパラメータのそれぞれを所定の範囲で決定することとを含んでいてもよい。
【0016】
第1のタイプのセンサーは、四重極質量フィルタを含む質量分析計を含んでもよく、選択されたパラメータは、電圧勾配および個別バイアス電圧を含んでもよく、それらは、(i)ボックスバイアス、(ii)フィラメントバイアス、(iii)レンズバイアス、(iv)出口レンズバイアスおよび(v)四重極バイアスを含んでいてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0017】
本明細書の実施形態は、図面を参照し、以下の詳細な説明により、より良く理解されるであろう。
【図1】図1は、本明細書の実施形態による、推定システムを用いて、測定対象のガス混合物の成分を推定するためのピーク形状を最適化するためのシステムを示す。
【図2】図2は、本明細書の実施形態による、図1の推定システムを展開して示す図である。
【図3】図3は、本明細書の実施形態による、図1の推定システムの校正制御ループを示すフローチャートである。
【図4A】図4Aは、本明細書の実施形態による、図1の推定システムを使用して、測定対象のガス混合物の成分を推定するためのピーク形状を最適化する方法を示すフローチャートである。
【図4B】図4Bは、図4Aの続きのフローチャートである。
【図5】図5は、本明細書の実施形態による、図1の第1のタイプのセンサ(質量分析計)の全体図である。
【図6】図6は、本明細書の実施形態による、推定システムのコンピュータの構成の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本明細書の実施形態およびその様々な特徴と有用な詳細は、添付の図面に示され以下の説明で詳述される非限定的な実施形態を参照することにより、より詳細に説明される。本明細書の実施形態を不明瞭にしないために、周知の構成要素および処理技術の説明は省略される。本明細書で使用されるこれらの実施例は、本明細書の実施形態が実施され得る方法の理解を単に容易にすること、さらに、当業者であれば、本明細書の実施形態を実施可能にすることを意図している。したがって、これらの実施例は、本明細書の実施形態の範囲を制限するものとして解釈されるべきではない。
【0019】
前述したように、測定対象の混合物(ターゲット混合物)の成分を推定するためのピーク形状(すなわち、ガウス曲線、またはローレンツ曲線、または重なり合う複数のピーク曲線の組み合わせ)を自動的に最適化するシステムおよび方法が求められている。本明細書の実施形態は、標準混合物を使用して実際のピーク形状(実ピーク形状)を生成し、その実際のピークを校正入力として第1のタイプのセンサーを校正する推定システムを提供することによりこれを実現する。具体的には好ましい実施形態が示されている図1から図6を参照するが、それらには、同じ参照符号が、共通する特徴に対して付されている。
【0020】
図1は、本明細書の実施形態による推定システム106を用いて、測定対象のガス混合物の成分を推定するためのピーク形状を最適化するためのシステム110を示す。システム110は、ソース(供給源)102と、第1のタイプのセンサー104と、推定システム106を含む。ソース102は、測定対象のガス混合物(ターゲットガス混合物)102aと、1または複数の標準ガス混合物102bを含む。ソース102は、第1のタイプのセンサー104について選択されたパラメータの有効性を確認する(検証する)ための1または複数の既知のガス混合物102cを含んでもよい。標準ガス混合物102bは、その成分が既知であり、また、推定システム106が適用されるアプリケーションにおいて一般的に利用可能なものである。例えば、炭化水素産業では、センサーの精度を評価するために、特定の標準ガス混合物のセットを使用する。
【0021】
推定システム106は、第1のタイプのセンサー104に電気的に接続されてもよい。ある実施形態では、第1のタイプのセンサー104は、質量分析計センサおよび/またはスペクトル型(スペクトロスコピック、分光型)センサ(例えば、質量分析計、ラマン分光計、吸収分光計、または振動分析計)を含む。ある実施形態では、第1のタイプのセンサー104の一例は、米国特許第9,666,422号に開示されている。第1のタイプのセンサー104は、測定対象のガス混合物中の複数のガスのセットに対応する測定結果(スキャン出力)を生成する。その測定結果は、測定対象のガス混合物に対応する検出されたイオンのスペクトルを含み、それは質量電荷比(第1の変数)の関数である。
【0022】
測定対象の混合物102aおよび標準混合物102bは、液体混合物、混合溶液、混合固体等であってもよい。第1のタイプのセンサー104は、検出された成分のスペクトルを、波数を第1の変数とする関数により含む測定結果(スキャン出力)を生成するラマン分光器などの他のタイプのセンサであってもよい。
【0023】
推定システム106は、機械学習技術を用いて、ノイズを付加した既知の複数のガス混合物全体にわたる特徴データ(特性データ、キャラクタリゼーションデータ)を分析することにより、既知の複数のガス混合物を精度よく推定するために最良なピーク形状を特定する。最良のピーク形状とは、システム106が適用されるアプリケーションにおける、精度、感度(すなわち、検出可能な最小増分濃度)および分解能(すなわち、類似のイオン(類似の成分)の識別能力)の制約事項の与えられた組み合わせ(セット)について、その制約事項に最も合致するピーク形状のことである。実施形態では、最良のピーク形状は、特徴データから決定される。最良のピーク形状を特定することは、既知のガス混合物に対する第1のタイプのセンサー104の測定結果から、所定の推定精度を持った最良のピーク形状を得ることを含む。特徴データとしては、同一の既知の複数のガス混合物について、第1のタイプのセンサー104のパラメータを様々に設定して得られた測定結果が参照される。実施形態では、パラメータと出力形状の関係は、センサー毎に変化する。
【0024】
推定システム106は、標準ガス混合物102bを入力とする分析モデルから、望ましいピーク形状を有する合成データを事前に生成する。推定システム106は、最良のピーク形状から、測定対象のガス混合物102aを推定するために適したピーク形状を決定するためのコスト関数をさらに定義する。次に、推定システム106は、第1のタイプのセンサー104における、標準ガス混合物102bを用いた複数の異なるインスタンス(事例)について複数の実際のピーク形状を生成し、複数の実際のピーク形状の中の、ある実際のピーク形状(実ピーク形状)を、第1のタイプのセンサー104を校正するための校正入力として提供する。実施形態では、インスタンス毎に、第1のタイプのセンサー104のパラメータを変えて、実際のピーク形状が生成される。推定システム106は、その実際のピーク形状を望ましいピーク形状に最適化するように、第1のタイプのセンサー104の複数のパラメータを自動的に調整することにより、第1のタイプのセンサー104をさらに校正する。実施形態では、第1のタイプのセンサー104のパラメータは、直流電圧と高周波電圧との比、エミッション電流、電圧勾配、およびバイアス電圧のうちの少なくとも1つを含む。電圧勾配および個別バイアス電圧のパラメータは、(i)ボックスバイアス、(ii)フィラメントバイアス、(iii)レンズバイアス、(iv)出口レンズバイアス、および(v)四重極バイアスを含んでもよい。実施形態では、第1のタイプのセンサー104のパラメータは、測定対象のガス混合物中の特定のガスの所望のピーク形状を効果的に推定するように調整される。推定システム106は、さらに、既知のガス混合物102cの測定結果を生成して精度およびピーク形状品質を推定することにより、関心のある質量電荷比に限定した複数のパラメータを含む、選択された複数のパラメータの有効性を判断(検証)する。推定システム106は、コンピュータ、携帯電話、PDA(Personal Digital Assistant)、タブレット、電子ノート、またはスマートフォンであってもよい。実施形態では、第1のタイプのセンサー104は推定システム106に組み込まれている。
【0025】
図2は、本明細書の実施形態による、図1の推定システム106を展開して示す図である。推定システム106は、データベース202と、ピーク形状特定モジュール204と、合成データ事前生成モジュール206と、コスト関数定義モジュール208と、実ピーク形状生成モジュール210と、校正モジュール212と、パラメータ検証モジュール218と、推定モジュール220とを含む。校正モジュール(キャリブレーションモジュール)212は、パラメータ最適化モジュール214と、範囲決定モジュール216とを含む。データベース202は、既知の複数のガス混合物のキャラクタリゼーションデータ(特徴データ、特性データ)202aと、システム106が適用するアプリケーションに要求される制約事項のセット202bと、標準ガス混合物102bに関連するピーク形状の合成データを生成するための標準混合物の分析モデル202cとを格納する。制約事項(制約条件)のセット202bは、アプリケーションに必要な精度、感度、および分解能を含む。
【0026】
ピーク形状特定モジュール204は、第1のタイプのセンサー104によって既に分析されている既知の複数のガス混合物にわたる特徴データ202aを分析することによって、既知のガス混合物を推定するための最適な(最良の)ピーク形状204aを特定(識別)する。ピーク形状特定モジュール204は、機械学習技術を用いて、ノイズを付加した最良のピーク形状204aを特定する。付加されるノイズは、通常、アプリケーションのスペクトル成分のバックグラウンドであり、例えば、空気やキャリアガスなどのスペクトルであり、回路や増幅器のノイズなどであってもよい。ピーク形状特定モジュール204では、最良のピーク形状204aとして、制約事項202bのセットに最も合致するピーク形状が参照される。
【0027】
合成データ事前生成モジュール206は、標準ガス混合物102bを入力として、分析モデル202cから、望ましい(所望の)ピーク形状206aを有する合成データを事前に生成する。望ましいピーク形状206aは、標準ガス混合物102bの事前に生成された合成データのスペクトル成分の中の、最良のピーク形状204aの一部または範囲に対応する。コスト関数定義モジュール208は、最良のピーク形状204aから、測定対象のガス混合物102aを推定するために適したピーク形状を決定するためのコスト関数208aを定義する。実ピーク形状生成モジュール210は、第1のタイプのセンサー104における、標準ガス混合物102bを用いた複数の異なるインスタンス(事例)に対し複数の実際のピーク形状を生成し、それら複数の実際のピーク形状の中の、1つの実際のピーク形状210aを、第1のタイプのセンサー104を校正するための校正入力として提供する。
【0028】
校正モジュール212は、第1のタイプのセンサー104の複数のパラメータを自動的に調整することにより第1のタイプのセンサー104を校正し、実際のピーク形状210aを望ましいピーク形状206aと一致するように最適化するための選択されたパラメータ212aを見出す。実施形態では、第1のタイプのセンサー104の調整されるべき複数のパラメータ212aは、直流電圧に対する高周波電圧の比、エミッション電流、電圧勾配、およびバイアス電圧のうちの少なくとも1つを含む。別の実施形態では、電圧勾配および個別バイアス電圧パラメータは、(i)ボックスバイアス、(ii)フィラメントバイアス、(iii)レンズバイアス、(iv)出口レンズバイアス、および(v)四重極バイアスを含む。校正モジュール212は、調整されるべきパラメータ212aが選択されると、関心部分の質量電荷比の複数のパラメータを最適化するパラメータ最適化モジュール214を含む。校正モジュール212は、(i)実際のピーク形状210aの最適化、および(ii)選択された個々のパラメータ212aの最適化を、それぞれ、予め設定された範囲に制約することにより、選択されたパラメータ212aのそれぞれが所定の範囲になるように決定する範囲決定モジュール216を含む。パラメータ最適化モジュール214は、次式により最適なパラメータを特定する。
Xn+1=Xn−K・Jcf(Xn)、
ただし、Xn=n番目のパラメータのセット
K=定数
cf(X)=コスト関数
Jcf(x)=コスト関数の勾配ベクトルである。
【0029】
パラメータ最適化モジュール214は、選択されたパラメータ212aに対して、勾配降下法による最適化を実行し、最適なパラメータを特定する。パラメータ検証モジュール218は、既知のガス混合物102cの測定結果を生成し、精度およびピーク形状品質を推定することにより、関心のある質量電荷比に関するパラメータを含む、選択されたパラメータ212aを検証する。推定モジュール220は、選択されたパラメータ212aで第1のタイプのセンサー104により測定対象のガス混合物102aの測定結果220aを生成し、測定結果220aのピーク形状から、コスト関数208aを用いて測定対象のガス混合物102aの成分を推定する。
【0030】
図3のフローチャートは、本明細書の実施形態による、図1の第1のタイプのセンサー104である質量分析計のための校正モジュール212により実行される校正制御ループを示す。ステップ302において、校正モジュール212は、第1のタイプのセンサー104のパラメータ(すなわち、グローバルパラメータおよびローカルパラメータ)を選択することを可能にする。ステップ304において、校正モジュール212は、様々な既知のガス混合物にわたる特徴データ202aから、所定の標準ガス混合物102bの望ましいピーク形状データ206aおよび実際のピーク形状データ210aを収集する。ステップ306において、校正モジュール212は、選択されたパラメータ212aの全てについて勾配降下法による最適化を行う。ステップ308において、校正モジュール212は、実際のピーク形状(実ピーク形状)210aが望ましいピーク形状206aと一致するか否かを判定する。一致しない場合、校正モジュール212は、新しいパラメータを追加し、勾配を計算して、実際のピーク形状210aが望ましいピーク形状206aと一致するか否かを判断する。ステップ310において、パラメータ検証モジュール218が、選択されたパラメータ212aの有効性を確認する。
【0031】
図4Aおよび4Bは、本明細書の実施形態による、図1の推定システム106を用いて、測定対象のガス混合物102aの成分を推定するためのピーク形状を最適化する方法を説明するフローチャートである。ステップ402において、推定モジュール220により、第1のタイプのセンサー104を用いて、測定対象のガス混合物102aの測定結果(スキャン出力)220aが生成される。測定結果220aは、測定対象のガス混合物102aに対応する、検出されたイオンのスペクトルを、質量電荷比の関数として含む。このステップ402は、ステップ412において選択されたパラメータを使用して実行され、すなわち、ステップにおいて測定対象の混合物の測定結果220aを生成して測定対象のガス混合物102aの成分を推定するために、後述のステップが実行される。
【0032】
ステップ404において、ピーク形状特定モジュール204により、機械学習技術を用いて、既知の複数のガス混合物にわたる(全体の)特徴データ(キャラクタリゼーションデータ、特性データ)202aにノイズを加えて分析することにより、既知の複数のガス混合物を推定するために最良のピーク形状204aが特定(識別)される。ステップ406において、合成データ事前生成モジュール206により、標準ガス混合物102bを入力として、分析モデル202cから、望ましいピーク形状206aを有する合成データが事前生成される。ステップ408において、コスト関数定義モジュール208により、ピーク形状を決定するためのコスト関数208aであって、そのピーク形状が最良のピーク形状204aから測定対象のガス混合物102aを推定するために適しているか否かを決定するためのコスト関数208aが定義される。ステップ410において、実ピーク形状生成モジュール210により、第1のタイプのセンサー104における、複数の標準ガス混合物102bを用いたいくつかの異なるインスタンス(事例)に対し、複数の実際のピーク形状が生成され、複数の実際のピーク形状の中の、ある実ピーク形状210aが、第1のタイプのセンサー104を校正するための校正入力として提供される。
【0033】
ステップ412において、校正モジュール212により、第1のタイプのセンサー104は、実際のピーク形状210aが望ましいピーク形状206aと一致するように最適化するための、選択されたパラメータ212aを見出すように、第1のタイプのセンサー104のパラメータの自動調整により校正される。調整される第1のタイプのセンサー104のパラメータは、直流電圧に対する高周波電圧の比、エミッション電流、電圧勾配、およびバイアス電圧のうちの少なくとも1つを含む。ある実施形態では、電圧勾配および個別バイアス電圧パラメータは、(i)ボックスバイアス、(ii)フィラメントバイアス、(iii)レンズバイアス、(iv)出口レンズバイアス、および(v)四重極バイアスを含む。ある実施形態では、システム106の安定性が、選択されたパラメータ212aが許容限度内か否かを判定することによって検出される。第1のタイプのセンサー104の校正ステップ412は、(a)調整すべきパラメータがいったん選択されると、関心のある質量電荷比に対するパラメータを最適化するステップと、(b)(i)実際のピーク形状の最適化、および(ii)選択されたパラメータのそれぞれの最適化を、それぞれの定義済みの範囲に制約することにより、選択されたパラメータのそれぞれが、所定の範囲内にあるように決定するステップと、を含んでもよい。ステップ414において、パラメータ検証モジュール218により、関心のある(関心対象、関心領域の)質量電荷比に固有のパラメータを含む、選択されたパラメータ212aは、既知のガス混合物102cの測定結果を生成して精度およびピーク形状品質を推定することにより、有効性が確認される(検証される)。
【0034】
図5は、本明細書の実施形態による、第1のタイプのセンサー104(質量分析計)の全体図を示す。第1のタイプのセンサー104は、測定対象のガス混合物102aと、電子銃504と、電磁石506と、イオンビーム508と、イオン検出器510とを含む。イオン化される、測定対象(ターゲット)のガス混合物102aは、ソース102から得られる。また、校正用の実際のピーク形状210aが生成されるときは、サンプルのガス混合物102bがソース102から得られ、イオン化される。電子銃504は、イオン化された粒子から電子を添加または除去することにより、対象の試料102a中の粒子をイオン化する。電子銃504は、電子イオン化プロセスを用いて、気化した粒子または気体の粒子をイオン化する。第1のタイプのセンサー104内の電磁石506は、電界または磁場を発生させ、荷電粒子の質量(すなわち重量)を測定する。磁場は、イオンの運動量(モメンタム)に応じて、それらイオンを分離する(すなわち、磁場により生成される力に応じ、質量に応じてイオンを分離される)。イオンを濾過(フィルター)する磁場の一例としては、四重極磁場が挙げられる。分離されたイオンは、質量分析計を通過し、イオン検出器510に向けられる。ある実施形態では、フラグメントの質量の違いにより、それらの質量電荷比を使用して、質量分析計はイオンを分類することができる。イオン検出器510は、指標量の値を測定し、それにより、対象試料102aに存在する各イオンの存在度を計算するためのデータを提供する。イオン検出器510は、イオンが表面を通過または表面に衝突する際に誘導される電荷、または生成される電流のいずれかを記録する。ある実施形態では、質量スペクトルは、推定システム106に表示される。
【0035】
図6に、本明細書の実施形態を実行するための代表的なハードウェア環境を示す。この概略図は、本明細書の実施形態による、推定システム106のハードウェア構成を示す。推定システム106は、少なくとも1つのプロセッサまたは中央処理装置(CPU)10を有する。CPU10は、システムバス12を介して、ランダムアクセスメモリ(RAM)14、リードオンリーメモリ(ROM)16、入出力(I/O)アダプタ18などの各種デバイスと相互接続される。I/Oアダプタ18は、ディスクユニット11やテープドライブ13、または推定システム106が読み取り可能な他のプログラム記憶装置などの周辺機器に接続可能である。第1のタイプのセンサー104は、I/Oアダプタ18を介してシステム106に接続してもよい。推定システム106は、プログラム記憶装置上の本発明に係る命令を読み取り、これらの命令に従って、本明細書の実施形態の技法(手段、方法)を実行することができる。
【0036】
推定システム106は、キーボード15、マウス17、スピーカー24、マイクロホン22、および/または他のユーザーインタフェース装置、例えば、タッチスクリーン装置(図示せず)またはリモートコントロールなどの他のユーザーインタフェース装置をバス12に接続してユーザ入力を収集するユーザーインタフェースアダプタ19をさらに含む。さらに、通信アダプタ20は、バス12をデータ処理ネットワーク25に接続し、ディスプレイアダプタ21は、バス12をディスプレイ装置23に接続し、ディスプレイ装置は、例えばモニター、プリンター、送信機などの出力装置として具体化されてもよい。
【0037】
推定システム106は、ガウス(正規)分布にできるだけ近い、高く薄いピークから、より良い推定精度を得るために用いられる。推定システム106は、ユニットごとの(例えば、様々な質量分析計)の変動を最小にするために使用される。推定システム106は、質量分析計104を様々な異なる用途(アプリケーション)に合わせて調整するために使用される(すなわち、各アプリケーションのための理想的なピーク形状は異なり、それに対し質量分析計を適合させることができる)。
【0038】
上記に開示されている1つの形態は、対象ガス混合物の成分を推定するためのピーク形状を最適化するコンピュータ実装システムであって、このシステムは、対象ガス混合物(測定対象のガス混合物)に対応する、検出されたイオンのスペクトルを質量電荷比の関数として含む測定結果(スキャン出力)を生成する第1のタイプのセンサー104と、測定対象のガス混合物の成分を推定するために第1のタイプのセンサー104に接続された推定システム106とを有する。この推定システムは、データベースと命令のセットとを格納するメモリと、それらの指令のセットを実行する専用プロセッサとを含み、専用プロセッサは、命令のセットを実行することにより、(a)機械学習を用いて、既知の複数のガス混合物にわたるキャラクタリゼーションデータを、ノイズを加えて分析することによって、既知の複数のガス混合物の推定のために最良のピーク形状であって、アプリケーションにおいて規定された、所定の精度、感度、および分解能のセットに対してピーク形状が最も合致する最良のピーク形状を特定し、(b)標準ガス混合物を入力としたときの分析モデルから、望ましいピーク形状を含む合成データを事前に生成し、(c)最良のピーク形状から対象のガス混合物を推定するために適したピーク形状を決定するコスト関数を定義し、(d)第1のタイプのセンサー104における、標準ガス混合物を使用した、いくつかの異なるインスタンスに対し、複数の実際のピーク形状を生成し、それら複数の実際のピーク形状の中の、1つの実際のピーク形状を第1のタイプのセンサー104を校正するための校正入力として提供し、(e)実際のピーク形状を最適化して望ましいピーク形状に合致させるように、第1のタイプのセンサー104の、直流電圧に対する高周波電圧の比、エミッション電流、電圧勾配、およびバイアス電圧のうちの少なくとも1つを含む第1のタイプのセンサー104のパラメータを自動的に調整することによって、第1のタイプのセンサー104を校正し、さらに、(f)既知のガス混合物の測定結果を生成して精度とピーク形状の品質を推定することにより、関心のある質量電荷比に固有のパラメータを含む、選択されたパラメータを検証する。上記の校正には、調整されるべきパラメータが選択されると、関心のある(関心領域の)質量電荷比に対するパラメータを最適化することと、(i)実ピーク形状の最適化と、(ii)選択されたパラメータのそれぞれの最適化とを、それぞれの規定された範囲に制約することにより、選択されたパラメータのそれぞれが所定の範囲内にあるように決定することとを含む。
【0039】
第1のタイプのセンサー104は、質量分析計を含んでいてもよい。電圧勾配および個別バイアス電圧パラメータは、(i)ボックスバイアス、(ii)フィラメントバイアス、(iii)レンズバイアス、(iv)出口レンズバイアス、および(v)四重極バイアスを含んでいてもよい。
【0040】
上記の異なる態様は、測定対象のガス混合物の成分を推定するためのピーク形状を最適化するための、コンピュータに実装された方法を提供することである。その方法は、(a)第1のタイプのセンサー104を用いて、測定対象のガス混合物の測定結果であって、対象のガス混合物に対応する、検出されたイオンのスペクトルを質量電荷比の関数として含む測定結果を生成すること(ステップ402)、(b)機械学習を使用して、既知の複数のガス混合物にわたる(全般の)特徴データに、ノイズを加え、分析することにより、既知の複数のガス混合物を推定するための最良のピーク形状であって、アプリケーションにおける、所定の精度、感度、および分解能といった制約事項に最も合致する最良のピーク形状を特定すること(ステップ404)、(c)標準ガス混合物を入力とする分析モデルから、望ましいピーク形状を含む合成データを事前に生成すること(ステップ406)、(d)最良のピーク形状から測定対象のガス混合物を推定するために適したピーク形状を決定するコスト関数を定義すること(ステップ408)、(e)第1のタイプのセンサー104において、標準ガス混合物を使用して、いくつかの異なるインスタンス(事例)に対し、複数の実際のピーク形状(実ピーク形状)を生成し、実際のピーク形状の中の、ある実際のピーク形状を第1のタイプのセンサー104を校正するための校正入力として提供すること(ステップ410)、(f)実際のピーク形状を最適化して望ましいピーク形状に一致するように第1のタイプのセンサー104のパラメータを自動的に調整することにより、第1のタイプのセンサー104を校正すること(ステップ412)、および(g)既知のガス混合物の測定結果を生成し、精度およびピーク形状品質を推定することにより、関心のある質量電荷比に固有のパラメータを含む、選択されたパラメータを検証すること(ステップ414)を含む。第1のタイプのセンサー104のパラメータは、直流電圧に対する高周波電圧の比、エミッション電流、電圧勾配、およびバイアス電圧のうちの少なくとも1つを含む。上記校正することは、調整されるべきパラメータが選択されると、関心のある質量電荷比に対するパラメータを最適化すること、および(i)実ピーク形状の最適化と(ii)選択されたパラメータのそれぞれの最適化とを、それぞれ所定の範囲に制約することにより、選択されたパラメータのそれぞれが所定の範囲内にあるように決定することを含む。
【0041】
上記のコンピュータ実装方法において、第1のタイプのセンサー104は、質量分析計を含んでもよい。上記のコンピュータ実装方法において、電圧勾配および個別バイアス電圧パラメータは、(i)ボックスバイアス、(ii)フィラメントバイアス、(iii)レンズバイアス、(iv)出口レンズバイアス、および(v)四重極バイアスを含んでもよい。上記のコンピュータ実装方法は、選択されたパラメータが許容限度内にあるかどうかを判定して、システムの安定性を検出するステップをさらに含んでもよい。
【0042】
特定の実施形態に関する上記の説明により、本明細書の実施形態の全体的な本質が十分に明らかになるので、最新の知識を応用することにより、一般的な概念から逸脱することなく、これらの特定の実施形態を、様々な用途に容易に変更および/または適応することが可能である。本明細書で採用されている表現または用語は説明のためのものであり、限定目的ではないと理解すべきである。したがって、本明細書の実施形態は、好ましい実施形態の観点から説明されてきたが、当業者であれば、本明細書の実施形態は、その精神と範囲内において、変更を加えて実施することができることを認めるであろう。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6】
【国際調査報告】