(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】2021510192
(43)【公表日】20210415
(54)【発明の名称】ドライ真空ポンプ及び真空ポンプの同期電動機を制御する方法
(51)【国際特許分類】
   F04C 23/02 20060101AFI20210319BHJP
   H02K 16/04 20060101ALI20210319BHJP
   H02K 7/14 20060101ALI20210319BHJP
【FI】
   !F04C23/02 B
   !H02K16/04
   !H02K7/14 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】19
(21)【出願番号】2020557381
(86)(22)【出願日】20181205
(85)【翻訳文提出日】20200826
(86)【国際出願番号】EP2018083695
(87)【国際公開番号】WO2019137700
(87)【国際公開日】20190718
(31)【優先権主張番号】1850164
(32)【優先日】20180109
(33)【優先権主張国】FR
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】511148259
【氏名又は名称】ファイファー バキユーム
【住所又は居所】フランス国、エフ−74009・アヌシー、アブニユ・ドウ・ブロニー・98
(74)【代理人】
【識別番号】100060759
【弁理士】
【氏名又は名称】竹沢 荘一
(74)【代理人】
【識別番号】100083389
【弁理士】
【氏名又は名称】竹ノ内 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100198317
【弁理士】
【氏名又は名称】横堀 芳徳
(72)【発明者】
【氏名】ヤニク グルニエ
【住所又は居所】フランス国 ドゥサール 74210 ルート ドゥ グラルデ 305
(72)【発明者】
【氏名】ディディエ ピエールジャン
【住所又は居所】フランス国 グロワジー 74570 ルート デ エール 915
(72)【発明者】
【氏名】ジャン−マルク パジェ
【住所又は居所】フランス国 サン ピエール アン フォシニー 74800 リュ デ マージュ 145
【テーマコード(参考)】
3H129
5H607
【Fターム(参考)】
3H129AA06
3H129AA18
3H129AB06
3H129BB52
3H129BB58
3H129CC02
3H129CC07
3H129CC16
3H129CC27
5H607AA14
5H607BB01
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5H607CC05
5H607CC07
5H607DD01
5H607DD02
5H607DD03
5H607DD19
5H607FF06
(57)【要約】
【解決手段】
本発明は、各々少なくとも1つのポンプロータ(8)を支持する2つの軸(6,7)と、前記2つの軸(6,7)の1つを回転させるように構成された同期電動機(9)とを備え、前記各ポンプロータ(8)は、前記真空ポンプ(1;30)の吸気口(4)から排気口(5)に移送されるガスを搬送するために同期して逆回転するように構成されており、前記同期電動機(9)は、前記軸(6)に連結された回転子(10)と、第1の巻線(13)が前記回転子(10)の周りに配置された第1の固定子(12)とを備えた、ドライ真空ポンプ(1;30)において、前記同期電動機(9)は、前記回転子(10)の周りに配置された第2の巻線(15)を備えた少なくとも1つの第2の固定子(14)を含み、前記同期電動機(9)のパワーをポンプ負荷に適合させるために、前記固定子(12,14)の前記巻線(13,15)は、個別に又は同時に電力が供給されるように構成されていることを特徴とする。本発明は、真空ポンプの同期電動機を制御する方法にも関する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々少なくとも1つのポンプロータ(8)を支持する2つの軸(6,7)と、
前記2つの軸(6,7)の1つを回転させるように構成された同期電動機(9)とを備え、
前記ポンプロータ(8)は、前記真空ポンプ(1;30)の吸気口(4)から排気口(5)に移送されるガスを搬送するために同期して逆回転するように構成されており、
前記同期電動機(9)は、
前記軸(6)の1つに連結された回転子(10)と、
第1の巻線(13)が前記回転子(10)の周りに配置された第1の固定子(12)とを備えた、ドライ真空ポンプ(1;30)において、
前記同期電動機(9)は、第2の巻線(15)が前記回転子(10)の周りに配置された少なくとも1つの第2の固定子(14)を備えており、
前記同期電動機(9)のパワーをポンプ負荷に適合させるために、前記第1の固定子の前記第1の巻線、及び前記第2の固定子(12,14)の前記第2の巻線(13,15)は、個別に又は同時に電力が供給されるように構成されていることを特徴とする真空ポンプ。
【請求項2】
請求項1に記載の真空ポンプ(1;30)において、
前記固定子の巻線は、
前記真空ポンプの前記ポンプ負荷が負荷閾値を下回ったときに個別に供給され、そして、前記真空ポンプの前記ポンプ負荷が前記負荷閾値以上のときに同時に供給されるように構成されていることを特徴とする真空ポンプ。
【請求項3】
請求項1又は2のいずれかに記載の真空ポンプ(1;30)において、
前記第1の固定子(12)によって生成されるパワーと前記第2の固定子(14)によって生成されるパワーとのパワー比は、1〜10の間であることを特徴とする真空ポンプ。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の真空ポンプ(1)において、
前記真空ポンプは、直列に取り付けられた複数のポンプステージ(T1-T5)を含む粗引き真空ポンプ(1)であり、前記第1の固定子 (12)によって生成されるパワーと前記第2の固定子(14)によって生成されるパワーとのパワー比は、1〜5であることを特徴とする真空ポンプ。
【請求項5】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の真空ポンプ(30)において、
前記真空ポンプ(1)は、ルーツタイプの真空ポンプ(30)であり、前記真空ポンプは、チャンバ(2)に直列に、かつ粗引き真空ポンプ(31)の上流に接続されるように構成されていることを特徴とする真空ポンプ。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の真空ポンプ(1;30)において、
前記回転子(10)は永久磁石(11)を含むことを特徴とする真空ポンプ。
【請求項7】
請求項6に記載の真空ポンプ(1;30)において、
前記回転子(10)の少なくとも1つの前記永久磁石(11)は、前記回転子(10)に沿って整列された複数の永久磁石要素(25)によって形成されていることを特徴とする真空ポンプ。
【請求項8】
請求項7に記載の真空ポンプ(1;30)において、
前記回転子(10)の前記永久磁石要素(25)は、前記巻線(13、15)を有する前記固定子(12、14)に面する前記回転子(10)内にのみ延びていることを特徴とする真空ポンプ。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか1項に記載の真空ポンプ(1;30)において、
前記巻線(13)で前記第1の固定子(12)に接続された第1の速度可変装置(23)と、前記巻線(15)で前記第2の固定子(14)に接続された第2の速度可変装置(24)とを備えていることを特徴とする真空ポンプ。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか1項に記載の真空ポンプ(1;30)において、
前記ポンプ負荷を表す少なくとも1つの信号の関数として、前記同期電動機(9)のパワーを前記ポンプ負荷に適合させるために、前記固定子(12、14)の前記巻線(13、15)に個別に、又は同時に供給するように構成された速度可変装置(23、24)に接続された制御ユニット(18)を備えていることを特徴とする真空ポンプ。
【請求項11】
請求項9乃至10のいずれか1項に記載の真空ポンプ(1;30)において、
前記ポンプ負荷を表す信号は、前記真空ポンプ(1;30)によって消費される電流を表する前記速度可変装置(23、24)の1つの電流制限出力であることを特徴とする真空ポンプ。
【請求項12】
前記真空ポンプ(1;30)に接続されたチャンバ(2)をポンプするために、請求項1〜11のいずれか一項に記載のドライ真空ポンプ(1;30)の同期電動機(9)を制御する方法(100)であって、
前記固定子(12、14)の前記巻線(13、15)は、前記真空ポンプ(1;30)のポンプ負荷が負荷閾値を下回ったときに個別に供給され、
そして、
ポンプ負荷を表す少なくとも1つの信号の関数として、前記同期電動機のパワーをポンプ負荷に適合させるために、前記真空ポンプのポンプ負荷が前記閾値を下回っている場合、前記固定子の複数の巻線は個別に供給され、前記真空ポンプのポンプ負荷が前記閾値を超えると、前記複数の巻線は同時に供給されることを特徴とする同期電動機を制御する方法。
【請求項13】
請求項12に記載の同期電動機を制御する方法(100)であって、
前記2つの固定子のうち最も強力なもの(14)、又は両方の固定子(12、14)は、前記真空ポンプの始動時に供給されるか(1;30)、又は大気圧から開始される吐出ステップ(101)であることを特徴とする同期電動機を制御する方法。
【請求項14】
請求項12又は13に記載の同期電動機を制御する方法(100)であって、
大気圧から開始される吐出ステップ(101)、及び、到達真空度ポンプステップ(102)は、チャンバ(2)の内部で周期的に発生することを特徴とする同期電動機を制御する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドライ真空ポンプに関し、より具体的には、前記真空ポンプの同期電動機に関する。また、本発明は、真空ポンプの同期電動機を制御する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
粗引き真空ポンプは、1つ又は直列に設けられた複数のポンプステージを備え、その吸気口と排気口の間で移送されるガスが循環する。既知の粗引き真空ポンプを区別すると、2つ又は3つのローブを備えた「ルーツ」ポンプとも呼ばれる回転ローブを備えたポンプや、「クロー」ポンプとも呼ばれるツインクローを備えたポンプ、又は、ツインスクリューを備えたポンプがある。ルーツコンプレッサ(又は「ルーツブロワー」)タイプの真空ポンプも知られており、大流量の状況でポンプ能力を高めるために、粗引き真空ポンプの上流で使用される。
これらの真空ポンプは、ステータ内で逆回転する同一のプロファイルを持つ2つのポンプロータを備えている。真空ポンプの回転中、移送されるガスは、ポンプのロータとステータによって生成されたボリュームに捕捉され、前記ロータによって次段のステージに運ばれ、その後、徐々に真空ポンプの排気口へ運ばれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
一部のアプリケーションでは、使用中にポンプ負荷が大幅に変化する。これは、特に、一方では、真空にするためのステップなどの、大気圧から始まる高ガス流をポンプするステップと、他方では、真空を維持するステップなどの、軽負荷で待機するステップとの間の場合である。
このように、真空ポンプの電動機は、非常に異なる負荷レベルに応答できなければならないことが理解されている。チャンバの吐出時には電動機に著しく大きな負荷が作用するが、低い極限真空圧では電動機の負荷は小さくなる。従って、これら2つの極端な状況に合わせて真空ポンプの電動機を最適化することは困難である。その結果、電動機を最大負荷に最適化すると、到達真空度圧力における電動機の固定子損失が大幅に増加する。
【0004】
本発明の目的の1つは、電動機がポンプ負荷に最もよく適合できるドライ真空ポンプを提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的のために、本発明の特徴は、
−各々少なくとも1つのポンプロータを支持する2つの軸と、
−前記2つの軸の1つを回転させるように構成された同期電動機とを備えたドライ真空ポンプであって、
前記ポンプロータは、前記真空ポンプの吸気口から排気口に移送されるガスを搬送するために同期して逆回転するように構成されており、
前記同期電動機は、
−前記軸の1つに連結された回転子と、
−第1の巻線が前記回転子の周りに配置された第1の固定子とを有するものにおいて、
前記同期電動機は、
第2の巻線が前記回転子の周りに配置された少なくとも1つの第2の固定子を備えており、
前記同期電動機のパワーをポンプ負荷に適合させるために、前記第1の固定子の前記第1の巻線、及び前記第2の固定子の前記第2の巻線は、個別に又は同時に電力が供給されるように構成されていることにある。
【0006】
より具体的には、例えば、前記固定子の複数の巻線は、前記真空ポンプのポンプ負荷が負荷閾値を下回ったときに個別に電力が供給され、そして、前記真空ポンプのポンプ負荷が前記負荷閾値以上のときに同時に電力が供給されるように構成されている。
従って、同期電動機の複数の固定子の巻線のいずれかに個別に供給するか、複数の巻線に同時に供給して、電動機のさまざまな固定子損失(鉄損、ジュール損失など)を減らすことにより、同期電動機のパワーをポンプ負荷の変化に最適に適合させることができる。これにより、さまざまな動作点で同期電動機の歩留まりを最適化できる。2つの固定子の巻線に同時に供給することで、大きな負荷の要求に対して一時的な応答を提供できるようになり、真空にするためにかかる時間を短縮することもできる。
【0007】
電動機には単一の回転子が使用され、2つの固定子は真空ポンプの同期電動機の同じケーシング内に収容できる。従って、この真空ポンプの製造及び組み立てコストは限られている。さらに、この真空ポンプは、コンパクトである。
【0008】
この真空ポンプは、動作中、少なくとも1つのポンプロータがステータと機械的に接触することなくステータ内で回転するため、特に「ドライ」ポンプと呼ばれ、ポンプステージでのオイルの使用を回避できる。
この真空ポンプは、個別に又は組み合わせにより、以下に説明される1つ又は複数の特徴を含むことができる。
【0009】
2つの回転軸を備える真空ポンプは、例えば、「ルーツ」タイプの真空ポンプ、又は「クロー」タイプの真空ポンプ、又はスクリュータイプの真空ポンプなどの回転ローブを備えた真空ポンプである。
多段真空ポンプの場合、回転軸は各ポンプ段内に延びるポンプロータをサポートする。
電動機の第1の固定子によって生成されるパワーと第2の固定子によって生成されるパワーとのパワー比は、例えば1〜10の間である。
この真空ポンプは、例えば、直列に設けられた複数段のポンプステージを含む粗引き真空ポンプであり、第1の固定子によって生成されるパワーと第2の固定子によって生成されるパワーとのパワー比は、1〜5の間である。
この真空ポンプは、例えば、ルーツタイプの真空ポンプであり、これは、チャンバに接続され、粗引き真空ポンプの上流に直列に接続されることを意図している。
【0010】
第1の実施形態によれば、回転子は電磁石を含む。
第2の実施形態によれば、回転子は永久磁石を含む。前記回転子の少なくとも1つの永久磁石は、回転子に沿って整列された複数の永久磁石要素によって形成することができる。前記回転子の永久磁石要素は、例えば、巻線を有する固定子に面する回転子内にのみ延びている。
前記真空ポンプは、例えば、巻線を有する第1の固定子に接続された第1の速度可変装置と、巻線を有する第2の固定子に接続された第2の速度可変装置とを備えている。
前記真空ポンプは、例えば、ポンプ負荷を表す少なくとも1つの信号の関数として、同期電動機のパワーをポンプ負荷に適合させるために、固定子の巻線を個別に又は同時に供給するように構成された速度可変装置に接続された制御ユニットを備えている。
ポンプ負荷を表す信号は、例えば、前記真空ポンプによって消費される電流を表す、速度変化器の1つの電流制限出力である。
【0011】
本発明のさらなる目的は、真空ポンプに接続されたチャンバをポンプするために、前述のようなドライ真空ポンプの同期電動機を制御する方法にあり、
ポンプ負荷を表す少なくとも1つの信号の関数として、前記同期電動機のパワーをポンプ負荷に適合させるために、前記真空ポンプのポンプ負荷が負荷閾値を下回っている場合、前記固定子の複数の巻線は個別に供給され、前記真空ポンプのポンプ負荷が前記負荷閾値を超えると、前記複数の巻線は同時に供給されることを特徴とする。
【0012】
例えば、2つの固定子又は両方の固定子のうち最も強力なものは、真空ポンプの始動時に、又は大気圧から始まる吐出ステップで、同時に供給されるパワーである。
例えば、大気圧から開始する吐出ステップ、及び、到達真空度ポンプステップは、チャンバ内で周期的に発生する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】チャンバに接続された、本発明の第1の実施形態によるドライ真空ポンプの概略図である。
【図2】図1の真空ポンプにおける同期電動機の、部分的かつ概略的な縦断面図である。
【図3】図1の真空ポンプの同期電動機の、概略的な横断面図である。
【図4】ドライ真空ポンプの同期電動機を制御する方法のフローチャートを示す図である。
【図5】本発明の第2の実施形態による、真空ポンプの同期電動機の部分的かつ概略的な縦断面図である。
【図6】本発明の第3の実施形態による、真空ポンプの同期電動機の部分的かつ概略的な縦断面図である。
【図7】チャンバに接続された、本発明の別の実施形態によるドライ真空ポンプの概略的な図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明のさらなる特徴及び利点は、添付の図面を参照して、例として提供され、決して限定的ではない以下の説明から明らかになるであろう。
これらの図を通して、同一の要素は同じ参照番号を使用する。以下の実施形態は例である。説明が本発明の1つ又は複数の実施形態に言及しているとしても、これは、各参照が同じ実施形態に関連すること、又は特徴が単一の実施形態にのみ適用されることを必ずしも意味しない。他の実施形態を提供するために、様々な実施形態の単純な特徴を組み合わせたり、交換したりすることもできる。
【0015】
「到達圧力」は、ガス流を導入せずに真空ポンプによって得られる最低圧力として定義される。
粗引き真空ポンプは、2つのポンプロータを使用して吸い込み、移送し、次に大気圧で移送されるガスを吐出する容積式真空ポンプとして定義される。
ルーツ真空ポンプ(「ルーツブロワー」又は「ルーツコンプレッサ」とも呼ばれる)は、ルーツポンプロータを使用して移送されるガスを吸い込み、移送し、吐出する容積式真空ポンプとして定義される。
ルーツ真空ポンプが上流に取り付けられ、粗引き真空ポンプと直列になっている。
粗引きルーツ真空ポンプは、ドライ真空ポンプである。
【0016】
「上流」は、ガスの循環方向に対して別の要素の前に配置される要素であると理解される。対照的に、「下流」は、移送されるガスの循環方向に対して別の要素の後方に配置される要素であり、上流にある要素は、下流にある高圧の要素よりも低圧であると理解される。
【0017】
図1は、遮断弁3を介してチャンバ2に接続された、本発明のドライ真空ポンプ1の第1の実施形態を示す図である。
ポンプの負荷変動は、チャンバ2内で発生する可能性がある。例えば、大気圧から開始される吐出ステップと、到達真空度ポンプステップとが、チャンバ2内で互いに連続する。これら2つのステップの連続は周期的に発生する可能性がある。
【0018】
チャンバ2は、例えば、ロードロックチャンバである。このロードロックチャンバは、それ自体既知の方法で、少なくとも一枚の基板をロードするために、チャンバの内部をクリーンルームなどの大気圧下のゾーンと接続する第1のドアと、真空下においてプロセスチャンバから前記基板をアンロードするための第2のドアを含んでいる。
基板のロード又はアンロードの各操作では、ロードロックチャンバ内の圧力を交互に下げてから上げる必要がある。
ロードロックチャンバは、許容可能なスループットを維持することを可能にしつつ、基板の周囲の雰囲気に不純物や汚染物質が存在するのを防止する。ロードロックチャンバは、特に、フラットディスプレイスクリーン又は光起電基板を製造するために、又は半導体基板を製造するために使用される。
【0019】
図1に示した第1の実施形態では、真空ポンプ1は、多段粗引き真空ポンプである。この真空ポンプ1とチャンバ2の間に、ルーツ真空ポンプ又はターボ分子真空ポンプを挿入することができる。
この第1の実施形態の真空ポンプ1は、真空ポンプ1の吸気口4と排気口5との間に直列に取り付けられた複数段、例えば5段の、ポンプステージT1〜T5を含んでいる。各ポンプステージT1〜T5は、各々の入口及び出口を備えている。連続するポンプステージT1〜T5は、前段のポンプステージの出口(又は吐出口)を次の段のポンプステージの入口(又は吸気口)に接続する各々のステージ間チャネルによって、次々に直列に接続されている。
【0020】
真空ポンプ1はさらに、2つの軸6、7(駆動軸6、及び従動軸7)を備え、各々がポンプステージT1〜T5内に延びるポンプロータ8を支持している。
真空ポンプ1はまた、駆動軸6を回転させるように構成された同期電動機9を備えている。従動軸7は、真空ポンプ1の同期デバイスによって回転される。
ポンプロータ8は、例えば、「ルーツ」タイプ(「8」又は「豆」の形状の横断面)、又は「クロー」タイプなどの、同一のプロファイルを有する複数のローブを有する。別の例によれば、ポンプロータ8は、「スクリュータイプ」である。
軸6、7は同期して逆回転する。回転中、入口から吸い込まれたガスは、ポンプロータ8によって生成されるボリュームに捕捉され、このポンプロータ8によって次のステージへ運ばれる(ガスの循環方向は、図1に矢印で示されている))。真空ポンプ1は、動作中にポンプロータ8が固定子と機械的に接触することなく固定子内部で回転するため、特に「ドライ」ポンプと呼ばれ、ポンプステージT1〜T5でのオイルの使用が不要である。
【0021】
図2及び図3でより明確にわかるように、同期電動機9は、駆動軸6に連結された回転子10、この回転子10の周りに配置された第1の巻線13を有する第1の固定子12、及び、回転子10の周りに配置された第2の巻線15を有する少なくとも1つの第2の固定子14を備えている。回転子10は、例えば、単一部品である駆動軸6にねじ込まれ、又は弾性カップリング又は回転子によって、駆動軸6に取り付けられている。
第2の固定子14は、回転子10に沿って第1の固定子12の隣の、回転子10の別の部分の周りに配置される。これらの固定子12、14は隣接し、同軸であり、かつ、直列に設けられている。これらの固定子12、14は、同期電動機9のケーシング16内に設置されている。
【0022】
第1の実施形態によれば、回転子は電磁石を含んでいる。従って、第1の巻線13を有する第1の固定子12は、回転子の電磁石に面するようにして回転子の周りに配置され、第2の巻線15を有する少なくとも1つの第2の固定子14も、回転子の電磁石に面するようにして回転子の周りに配置される。
第2の実施形態によれば、回転子10は永久磁石11を含んでいる。従って、第1の巻線13を有する第1の固定子12は、回転子10の永久磁石11に面するようにして回転子10の周りに配置され、第2の巻線15を有する少なくとも1つの第2の固定子14も、回転子10の永久磁石11に面するようにして回転子10の周りに配置される。
永久磁石11は、例えば、回転子10に組み込まれている。それらは「IPM」(内部永久磁石)とも呼ばれる。
【0023】
図2の例では、第1及び第2の固定子12、14に面して配置された永久磁石11は、単一部品である。それは、回転子10に沿って少なくとも第1の固定子12から第2の固定子14に対応する位置まで延びている。
固定子12、14の巻線13、15には、同期電動機9のパワーをポンプ負荷の発生に適合させるために、個別に又は同時に電力が供給される。
真空ポンプ1は、制御ユニット18及び2つの速度可変装置を備えており、第1の速度可変装置23は、第1の固定子12の第1の巻線13に供給するための専用のものであり、第2の速度可変装置24は、第2の固定子14の第2の巻線15に供給するための専用のものである。
制御ユニット18は、速度可変装置23、24のいずれか、又はそれらの両方を同時に個別に制御するように構成された、1つ又は複数のコントローラ又はプロセッサを備えている。制御ユニット18は、例えば、電子制御カードにより構成されている。
【0024】
動作中、真空ポンプ1の同期電動機9の固定子12、14の巻線13、15への電力の供給は、パワーを少なくとも1つの負荷閾値に適合させるために、ポンプ負荷を表す少なくとも1つの信号の関数として変更される。制御ユニット18は、ポンプ負荷が前記負荷閾値を超えて大きくなると、複数の巻線13、15に同時に供給することにより、同期電動機9の起電力を増加させ、ポンプ負荷が前記負荷閾値を下回っているときは、同期電動機9の固定子12、14の巻線13、15のいずれか1つから個別に供給することにより、同期電動機の起電力を低減させる。
【0025】
ポンプ負荷を表す信号は、圧力センサなどのチャンバ2のセンサ21に由来する信号を含むことができ、又は、チャンバ2における処理方法の一連の操作を制御する制御機器22に由来することができる。制御機器22から発せられる信号は、例えば、チャンバ2のドアを開閉することから生じる接点を閉じるための信号でもよい。チャンバ2内の圧力が所定の閾値を超えるとき、又は前記接点が状態を変化させるときに、ポンプ負荷が前記負荷閾値を超える。
ポンプ負荷を表す信号は、例えば、真空ポンプ1の排気口5での圧力を測定するように構成された圧力センサ19のような、真空ポンプ1のセンサから生じる信号、又は、真空ポンプ1によって消費される電力又は電流を測定するように構成された電力センサ又は電流センサなどから生じる信号である。真空ポンプ1の吐出圧力又は真空ポンプ1によって消費される電力もしくは電流が各々の所定の閾値を超えるときに、ポンプ負荷が前記負荷閾値を超える。
【0026】
第1の実施形態によれば、ポンプ負荷を表す信号は、真空ポンプ1によって消費される電流を表す、速度可変装置23、24のうちの1つの電流制限出力である。実際、例えば真空ポンプ1の始動段階中に発生する可能性のあるサージからそれらを保護するために、電流閾値が速度可変装置23、24にすでに設定されていても良い。
第1の実施形態によれば、第1の固定子12によって生成されるパワーと第2の固定子14によって生成されるパワーとのパワー比は、1に等しい。換言すれば、第1及び第2の固定子12、14の巻線は、それらが同等の電流の供給を受けるとき、同等の起電力を生成する。2つの固定子12、14を同時に供給すると、起電力が2倍になる。
【0027】
第2の実施形態によれば、第1の固定子12によって生成されるパワーと第2の固定子14によって生成されるパワーとのパワー比は、1よりも大きい。換言すれば、固定子12、14の巻線13、15は、それらが同等の電流の供給を受けるとき、異なる起電力を生成する。その場合、利用可能なパワーには3つの可能性がある。
パワー比も、例えば、多段粗引き真空ポンプの場合(図1)は5未満である。
例えば、固定子12、14の1つの巻線13、15の巻数を増やし、又は、固定子12、14の1つの巻線13、15のワイヤの直径を大きくすることにより、異なるパワーを生成する巻線を有する固定子を得ることもできる。
第2の固定子14の第2の巻線15の巻数は、例えば、第1の固定子12の第1の巻線13の巻数よりも多い。
同期電動機9はまた、3つ又は4つの巻線を有する固定子などの、2つよりも多い巻線を有する固定子を含むこともできる。巻線を有するさまざまな固定子は、例えば、各々の起電力が増加する。
【0028】
次に、図1に示すようなロードロックチャンバに接続された真空ポンプ1の同期電動機9を制御するための方法100の例について説明する。ここでは、チャンバ2内の圧力が最初は大気圧であり、遮断弁3は閉じているものとする。
例えば、制御機器22が遮断弁3の開放を命令すると、制御機器22から発せられる信号が真空ポンプ1の制御ユニット18で受信される。制御ユニット18は、次に、真空ポンプへ最大のパワーを提供するために、同期電動機9の2つの固定子12、14に同時に給電する。
【0029】
チャンバ2内の圧力は減少し始める(吐出ステップ101、図4)。
チャンバ2内の圧力が所定の低圧閾値を超えて低下すると、ポンプ負荷は、2つの固定子12、14のうちの1つだけで供給するのに十分な程度に軽くなると考えられる(到達真空度ポンプステップ102、図4)。
基板をチャンバ2からアンロードした後、遮断弁3が閉じられ、新しい基板をロードするために、チャンバ2内の圧力は大気圧まで上昇される。
その後、新しいサイクルを開始できる。
【0030】
次に、同期電動機9の固定子12、14の巻線13、15のいずれかに個別に供給するか、又はこれら複数の巻線に同時に供給することにより、電動機のさまざまな固定子損失(鉄損、ジュール損失など)を低減しながら、同期電動機9のパワーをポンプ負荷の変化に最適に適合させることができる。
次に、様々な動作点に対して同期電動機9の歩留まりを最適化することが可能である。2つの固定子12、14の巻線13、15に同時に供給することにより、大きな負荷の要求に対して一時的に応答することができ、真空を適用するのにかかる時間を短縮することができる。単一の回転子10を使用し、2つの固定子12、14を真空ポンプ1の同期電動機9の同じケーシング16内に収容できる。従って、コストが削減され、組み立てが容易になり、真空ポンプ1はコンパクトなままである。
【0031】
図5は、回転子10の各永久磁石11が複数の永久磁石要素25を含んでいる、本発明の第2の実施形態による同期電動機を示す。
この実施形態では、複数の永久磁石要素25が、回転子10に沿って整列されている。複数の永久磁石要素は、回転子10に沿って端と端を接して配置され、第1の固定子12と第2の固定子14との間に延在する。端と端を合わせて配置された複数の別個の要素によって生成される永久磁石11は、単一片としての永久磁石11よりも製造が容易である。
永久磁石要素25は、例えば、回転子10に設けられた溝内に前後に挿入される。
【0032】
図6は、回転子10の各永久磁石11が複数の永久磁石要素25を含む、本発明の別の実施形態による同期電動機を示す。永久磁石要素25は、回転子10に沿って整列しているが、この例では、それらは、回転子10の領域内で、かつ、巻線13、15を有する固定子12、14に対応する位置のみにおいて、回転子10内に延びている。例えばプラスチック製のフィラー要素を、第1の巻線13を有する第1の固定子12に面する永久磁石要素25と第2の巻線15を有する第2の固定子14に面する永久磁石要素25との間の溝に、挿入することができる。従って、不要な永久磁石の提供を回避することにより、コストが削減される。
【0033】
図7は、本発明の別の実施形態による、チャンバ2に接続された「ブロワールーツ」タイプの真空ポンプ30を示す。この真空ポンプ30は、粗引き真空ポンプ31の上流に直列に取り付けられている。
真空ポンプ30は、吸気口4及び排気口5、各々ポンプロータ8を支持する2つの軸6、7、及び、駆動軸6を回転させるように構成された同期電動機9含む、単一のポンプステージT1を備えている。
ポンプロータ8は、ルーツタイプの同一のプロファイルを有するローブを有し、それらは角度的にオフセットされ、ポンプステージT1において逆向きに同期して回転するように駆動される。
ルーツ真空ポンプ30は、主に、ポンプ能力が大きく、クリアランス許容値が大きいこと、及び、大気圧で吐出せず、粗引き真空ポンプ31の上流に直列に取り付けて使用する必要があるという事実により、粗引き真空ポンプ1とは異なる。
【0034】
第1の実施形態と同様に、本実施形態の同期電動機9は、駆動軸6に取り付けられた永久磁石11を有する回転子10と、この回転子10の周りに配置された第1の巻線13を有する第1の固定子12、そして、回転子10の周りに配置され、第2の巻線15を備えた少なくとも1つの第2の固定子14とを備えている。
第1及び第2の固定子12、14の巻線13、15は、同等又は異なる起電力を生成することができる。第1の固定子12によって生成されるパワーと第2の固定子14によって生成されるパワーとのパワー比は、例えば、1〜10の間である。
【0035】
例えば、ロードロック室に接続された「ブロワールーツ」真空ポンプ30の場合、第1の固定子12によって生成されるパワーは約1.5KWであり、第2の固定子14によって生成されるパワーは約8.5KWである。
動作中、パワーを少なくとも1つの負荷閾値に適合させるために、真空ポンプ1の同期電動機9の固定子12、14の巻線13、15への供給は、ポンプ負荷を表す少なくとも1つの信号の関数として変更される。
【0036】
制御機器22が遮断弁3の開放を命令すると、同期電動機9の2つの固定子12、14に供給される。その場合、利用可能なパワーは約10KWである(吐出ステップ101)。
チャンバ2内の圧力が所定の負荷閾値を超えて低下すると、ポンプの負荷は十分に低下しているため、制御ユニット18は2つの固定子のうちの1つの固定子12のみに供給する(到達真空度ポンプステップ102、図4)。その場合、利用可能なパワーは約1.5KWである。
【符号の説明】
【0037】
1 ドライ真空ポンプ
2 チャンバ
3 遮断弁
4 吸気口
5 排気口
6 駆動軸
7 従動軸
8 ポンプロータ
9 同期電動機
10 回転子
11 永久磁石
12 第1の固定子
13 第1の巻線
14 第2の固定子
15 第2の巻線
16 ケーシング
18 制御ユニット
19 圧力センサ
21 チャンバのセンサ
22 制御機器
23 速度可変装置
24 速度可変装置
25 永久磁石要素
30 ブロワールーツタイプ真空ポンプ
31 粗引き真空ポンプ
101 吐出ステップ
102 到達真空度ポンプステップ
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【国際調査報告】