(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】2021517114
(43)【公表日】20210715
(54)【発明の名称】腫瘍関連骨髄系細胞の調節および免疫チェックポイント遮断の増強のための方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 45/00 20060101AFI20210618BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20210618BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20210618BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20210618BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20210618BHJP
   A61K 31/337 20060101ALI20210618BHJP
   A61K 45/06 20060101ALI20210618BHJP
   A61K 35/76 20150101ALI20210618BHJP
   C07K 16/30 20060101ALN20210618BHJP
   C12N 15/13 20060101ALN20210618BHJP
【FI】
   !A61K45/00
   !A61P35/00
   !A61P37/02
   !A61K39/395 N
   !A61P43/00 121
   !A61P43/00 111
   !A61K31/337
   !A61K45/06
   !A61K35/76
   !C07K16/30ZNA
   !C12N15/13
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】23
(21)【出願番号】2020544574
(86)(22)【出願日】20181105
(85)【翻訳文提出日】20200624
(86)【国際出願番号】US2018059247
(87)【国際公開番号】WO2019177669
(87)【国際公開日】20190919
(31)【優先権主張番号】62/581,632
(32)【優先日】20171103
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】520154047
【氏名又は名称】マッケイ メモリアル ホスピタル
【住所又は居所】台湾 10449 タイペイシテイ チョンシャン エヌ ロード セクション 2 ナンバー 92
(71)【出願人】
【識別番号】520154058
【氏名又は名称】アセンド バイオテクノロジー インク
【住所又は居所】イギリス領 ケイマン諸島 ケーワイ1−1208 グランドケイマン ピー.オー.ボックス 32052 ウエスト ベイ ロード 802 オリアンダー ウェイ ザ グランド パビリオン コマーシャル センター
(74)【代理人】
【識別番号】100116850
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 隆行
(74)【代理人】
【識別番号】100165847
【弁理士】
【氏名又は名称】関 大祐
(72)【発明者】
【氏名】ルー イェン−タ
【住所又は居所】台湾 10449 タイペイシテイ チョンシャン エヌ ロード セクション 2 ナンバー 92 マッケイ メモリアル ホスピタル内
(72)【発明者】
【氏名】チャン チィア−ミン
【住所又は居所】台湾 10449 タイペイシテイ チョンシャン エヌ ロード セクション 2 ナンバー 92 マッケイ メモリアル ホスピタル内
(72)【発明者】
【氏名】ツァイ イ−ファン
【住所又は居所】台湾 10449 タイペイシテイ チョンシャン エヌ ロード セクション 2 ナンバー 92 マッケイ メモリアル ホスピタル内
(72)【発明者】
【氏名】ルー メン−ピン
【住所又は居所】台湾 10449 タイペイシテイ チョンシャン エヌ ロード セクション 2 ナンバー 92 マッケイ メモリアル ホスピタル内
(72)【発明者】
【氏名】ファン ピン−イン
【住所又は居所】台湾 11492 タイペイ ネイフー区 ルイグァン ロード レーン 358 アレイ 30 ナンバー 1 8エフ ブリム バイオテクノロジー インク内
(72)【発明者】
【氏名】チャン ハイシャン
【住所又は居所】台湾 11492 タイペイ ネイフー区 ルイグァン ロード レーン 358 アレイ 30 ナンバー 1 8エフ ブリム バイオテクノロジー インク内
【テーマコード(参考)】
4C084
4C085
4C086
4C087
4H045
【Fターム(参考)】
4C084AA17
4C084AA19
4C084AA20
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4C084NA05
4C084NA14
4C084ZB071
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4C085EE03
4C086AA01
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4C086MA04
4C086NA05
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4C086ZB26
4C086ZC75
4C087AA01
4C087BC83
4C087MA02
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4C087ZB07
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4C087ZC75
4H045AA11
4H045AA30
4H045DA76
4H045EA28
4H045FA74
(57)【要約】
本発明は、腫瘍微小環境内の腫瘍関連骨髄系細胞(TAMC)上のCD11bのI−ドメインの結合に基づく、免疫応答を調節するための方法に関する。特に、抗CD11b−I−ドメイン抗体によるCD11bのI−ドメインへの結合は、腫瘍微小環境内の以下の影響のうちの1つまたは複数を有する免疫賦活性環境をトリガーする:腫瘍微小環境内の炎症性サイトカインの増加、IDO+骨髄系サプレッサー細胞の集団の減少、腫瘍関連マクロファージ上のM2マーカーを超えるM1マーカーの上方制御、M1:M2腫瘍関連マクロファージ比の増加、樹状細胞(DC)、ネイチャーキラー樹状細胞(NKDC)および形質細胞様樹状細胞(pDC)の分化の促進、4−1BB+PD−1+ネオアンチゲン特異的CD8 T細胞の集団の増加。抗CD11b−I−ドメイン抗体によるCD11bのI−ドメインへの結合による低温(非炎症性)腫瘍から高温(炎症性)腫瘍への変換は、免疫応答調節剤の有効性を増強させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
細胞上のCD11bのI−ドメインに特異的に結合する試薬を含む、免疫応答を調節することによるがんの治療における使用のための
医薬組成物。
【請求項2】
前記CD11bは腫瘍関連骨髄系細胞(TAMC)上にある
請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
前記試薬は、CD11bのI−ドメインを結合する抗体である
請求項1または2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
免疫応答調節剤をさらに含む
請求項1または2に記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記免疫応答調節剤は、PD−1、PD−L1、CTLA4、CD40、OX40またはToll様受容体(TLR)に特異的に結合する試薬である
請求項4に記載の医薬組成物。
【請求項6】
前記免疫応答調節剤は、抗PD−1抗体、抗PD−L1抗体、抗CTLA4抗体、抗CD40抗体、抗OX40抗体、Toll様受容体アゴニスト、腫瘍溶解性ウイルス、放射線療法または化学療法剤である
請求項3に記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記免疫応答調節剤は抗CTLA4抗体である
請求項3に記載の医薬組成物。
【請求項8】
前記Toll様(TLR)受容体アゴニストはCpGである
請求項6に記載の医薬組成物。
【請求項9】
前記化学療法剤はタキソールである
請求項6に記載の医薬組成物。
【請求項10】
医薬組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む、免疫応答を調節するための方法であって、前記医薬組成物は、細胞上のCD11bのI−ドメインに特異的に結合する試薬を含む
方法。
【請求項11】
前記CD11bは腫瘍関連骨髄系細胞(TAMC)上にある
請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記試薬は、CD11bのI−ドメインを結合する抗体である
請求項10または11に記載の方法。
【請求項13】
前記医薬組成物は免疫応答調節剤をさらに含む
請求項10または11に記載の方法。
【請求項14】
前記免疫応答調節剤は、PD−1、PD−L1、CTLA4、CD40、OX40またはToll様受容体(TLR)に特異的に結合する試薬である
請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記免疫応答調節剤は、抗PD−1抗体、抗PD−L1抗体、抗CTLA4抗体、抗CD40抗体、抗OX40抗体、Toll様受容体アゴニスト、腫瘍溶解性ウイルス、放射線療法または化学療法剤である
請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記免疫応答調節剤は抗CTLA4抗体である
請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記Toll様(TLR)受容体アゴニストはCpGである
請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記化学療法剤はタキソールである
請求項15に記載の方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、免疫応答を調節するための方法に関し、特に、CD11bのI−ドメインへの結合を伴う方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インテグリンアルファM(CD11b、CR3AまたはITGAM)は、単球、顆粒球、マクロファージ、樹状細胞、NK細胞、ネイチャーキラー樹状細胞、形質細胞様樹状細胞および骨髄系由来サプレッサー細胞(MDSC)を含む多数の自然免疫細胞の表面上で発現する、ヘテロダイマーのインテグリンアルファ−Mベータ−2(αMβ2)分子を形成する1つのタンパク質サブユニットである。
【0003】
CD11bは、大きな細胞外領域、単一の疎水性膜貫通ドメインおよび短い細胞質側末端からなる。CD11bの細胞外領域は、β−プロペラドメイン、thighドメイン、calf−1ドメインおよびcalf−2ドメインを含む。CD11bのI−ドメインは、β−プロペラドメインに挿入されたおよそ179個のアミノ酸からなる。I−ドメインは、様々なリガンド(例えば、iC3b、フィブリノゲン、ICAM−IおよびCD40Lなど)に対する結合部位であり、細胞の接着、遊走、走化性および食作用を制御することにより、炎症を媒介する。
【0004】
CD11bの連結は、Tヘルパー17(Th17)分化を阻害することにより末梢性寛容を生じさせやすくすることが示されている。加えて、抗原提示細胞(樹状細胞およびマクロファージ)上で発現された活性のあるCD11bは、完全なT細胞活性化を直接阻害することができる。最近の研究による結果は、CD11bが、Toll様受容体(TLR)応答を調節することにより、炎症において決定的な役割を果たすことを示す。CD11b−I−ドメインの高結合活性の連結は、骨髄分化一次応答タンパク質88(MyD88)およびTIRドメイン含有アダプター誘導インターフェロン−β(TRIF)の分解を促進することにより、TLRシグナル伝達の迅速な阻害をもたらす。したがって、インテグリンαMβ2は、自然免疫応答の負の制御因子として機能し得る。
【0005】
抗PD1抗体、抗PDL1抗体および抗CTLA4抗体などの免疫チェックポイント遮断薬は、腫瘍破壊性免疫応答を与え、がん患者において持続的臨床反応を誘発することができる。しかし、これらの薬物は、「高温」腫瘍(すなわち、炎症性であり、高い変異原性負荷を伴い、ネオアンチゲン特異的T細胞浸潤を誘引することができる腫瘍)内で最も良く働く。対照的に、「低温」腫瘍(すなわち、非炎症性であり、低い変異原性負荷を伴い、ネオアンチゲン特異的T細胞浸潤を誘引することができない腫瘍)は、典型的には、免疫チェックポイント遮断療法に対する反応性がより低い。
【0006】
腫瘍微小環境は複雑な環境であり、腫瘍は、持続的な増殖、侵襲および転移に関して、この環境に依存する。多くの調査が、腫瘍関連骨髄系細胞(TAMC)が腫瘍微小環境内の免疫細胞の主要成分であることを示しており、TAMCが腫瘍進行を直接的または間接的に促進すると考えられる。腫瘍微小環境内のTAMCは、骨髄系由来サプレッサー細胞(MDSC)、腫瘍関連マクロファージ(TAM)、好中球、肥満細胞および樹状細胞から構成される。これらの細胞はT細胞機能の抑制に寄与し、そのような抑制は免疫チェックポイントブロッキング耐性と相関する。したがって、これらのTAMCは、新しいがん免疫療法の標的になり得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の1つの態様は、免疫応答を調節するための方法に関する。本発明の1つの実施形態による方法は、医薬組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む、免疫応答を調節することを含み、医薬組成物は、腫瘍関連骨髄系細胞(TAMC)などの細胞上のCD11bのI−ドメインに特異的に結合する試薬を含む。試薬は、CD11bのI−ドメインを結合する抗体であり得る。CD11bのIドメインは、様々な接着リガンドに対する主要認識部位を有する(MS Diamond et al,J Cell Biol,120(4):1031)。接着機能で知られている、CD11bのI−ドメインへの結合が免疫応答を調節し得ることは全く予想外である。
【0008】
本発明のいくつかの実施形態によれば、免疫応答を調節するための医薬組成物は、免疫チェックポイント遮断薬などの別の免疫応答調節剤をさらに含み得る。免疫チェックポイント遮断薬は、抗CTLA4抗体など、CTLA4に特異的に結合する試薬である。
【0009】
本発明のいくつかの実施形態によれば、医薬組成物は、免疫チェックポイント遮断薬をさらに含む。免疫チェックポイント遮断薬は、抗PD1抗体など、PD1に特異的に結合する試薬である。
【0010】
本発明のいくつかの実施形態によれば、医薬組成物は、免疫チェックポイント遮断薬をさらに含む。免疫チェックポイント遮断薬は、抗PDL1抗体など、PDL1に特異的に結合する試薬である。
【0011】
本発明のいくつかの実施形態によれば、医薬組成物は、免疫チェックポイント遮断薬をさらに含む。免疫チェックポイント遮断薬は、抗OX40抗体など、OX40(すなわち、CD134)に特異的に結合する試薬である。
【0012】
本発明のいくつかの実施形態によれば、医薬組成物は、免疫チェックポイント遮断薬をさらに含む。免疫チェックポイント遮断薬は、抗CD40抗体など、CD40に特異的に結合する試薬である。
【0013】
本発明の実施形態は、免疫応答を調節するためのCD11bのI−ドメインへの試薬の特異的結合を伴う。その結果、腫瘍微小環境が、低温腫瘍の微小環境から高温腫瘍の微小環境に変化し、化学療法および照射療法を含む様々な療法治療に対する腫瘍の感受性がより高くなる。したがって、本発明のいくつかの実施形態は、CD11bのI−ドメインに特異的に結合する試薬と別のがん治療様式(例えば、化学療法剤または放射線療法)とを使用する併用療法を伴う。化学療法剤の例には、タキソールまたは他の化学療法剤が含まれ得る。
【0014】
本発明の他の態様は、以下の説明および関連する図面により明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】抗CD11b−I−ドメイン抗体治療後のB16F10腫瘍組織液中のサイトカインプロファイルを示す図である。C57/BL6マウスに、2×10個のB16F10細胞が皮下注射された。腫瘍体積が約500mmであったとき、マウスに、対照IgG(5mg/kg)または抗CD11b−I−ドメイン抗体(5mg/kg)のいずれかがip注射された。1日後、マウスは屠殺され、腫瘍組織液中のサイトカイン濃度が、BD cytometric bead array(CBA)を使用して測定された。
【0016】
【図2】抗CD11b−I−ドメイン抗体治療後のIDO+MDSCの百分率を示す図である。対照IgGまたは抗CD11b−I−ドメイン抗体の存在下、ホルボール12−ミリステート−13−アセテート(PMA)で24時間〜72時間刺激されたMDSC内のインドールアミン2,3−ジオキシゲナーゼ(IDO)発現が、抗マウスGr−1 FITC抗体による細胞表面染色および抗マウスIDO APC抗体による細胞内染色により評価された。結果は、対照IgGによる治療と比較して、抗CD11b−I−ドメイン抗体治療後にIDO+MDSCの時間依存的減少が存在することを示す。
【0017】
【図3】MDSCおよび対照IgGまたは抗CD11b−I−ドメイン抗体の存在下のCD8細胞のin vitro増殖指数を示す図である。MDSCは、T細胞を含む免疫細胞と相互作用し、これを抑制することができる。ここで、MDSCの抑制活性は、CD8細胞増殖に伴い観察される、抗CD3抗体および抗CD28抗体によりT細胞活性化を阻害するその能力により評価される。図3に示す通り、対照IgGによる治療と比較して、抗CD11b−I−ドメイン抗体の存在下、MDSCのT細胞抑制能力は阻害され、CD8細胞増殖は増加する。
【0018】
【図4】腫瘍関連マクロファージ表現型(M1またはM2)分極に対する抗CD11b−I−ドメイン抗体(例えば、44aacb抗体およびM1/70抗体)による治療の影響を示す図である。結果は、抗CD11b−I−ドメイン抗体治療が、M2マクロファージに比べて、M1マクロファージを著しく増加させることを示す。加えて、CD11c樹状細胞マーカーおよびDC−SIGN樹状細胞マーカーの増加から分かるように、抗CD11b−I−ドメイン抗体による治療は樹状細胞集団も増加させる。
【0019】
【図5】抗CD11b−I−ドメイン抗体治療後のCT26腫瘍内のM1/M2腫瘍関連マクロファージのフローサイトメトリーによる分析および定量化の結果を示す図である。Balb/cマウスに、0日目に3×10個のCT26細胞が皮下注射された。腫瘍体積が約50〜100mmであったとき、マウスに、対照IgG(5mg/kg)、抗CD11b−I−ドメイン抗体(5mg/kg)または抗PD−L1抗体(5mg/kg)のいずれかがip注射された。注射は3〜4日毎に繰り返された。第4の治療後、マウスは屠殺され、腫瘍関連マクロファージが単離された。腫瘍関連マクロファージのM1(MHC II+、CD206−)表現型およびM2(MHC II−、CD206+)表現型は、フローサイトメトリーによる分析であった。
【0020】
【図6】抗CD11b−I−ドメイン抗体治療後のCT26腫瘍内の腫瘍関連マクロファージ(TAM)上のMHC IIのフローサイトメトリーによる分析および定量化を示す図である。Balb/cマウスに、0日目に3×10個のCT26細胞が皮下注射された。腫瘍体積が約50〜100mmであったとき、マウスに、対照IgG(5mg/kg)、抗CD11b−I−ドメイン抗体(5mg/kg)または抗PD−L1抗体(5mg/kg)がip注射された。注射は3〜4日毎に繰り返された。第4の治療後、マウスは屠殺され、腫瘍関連マクロファージが単離された。腫瘍関連マクロファージ上のMHC IIの強度は、フローサイトメトリーによる分析であった。P<0.05;**P<0.01。
【0021】
【図7】CT26腫瘍の増殖に対する抗CD11b−I−ドメイン抗体とCpGとの併用療法の影響を示す図である。Balb/cマウスに、0日目に3×10個のCT26細胞が皮下注射された。腫瘍体積が約50〜100mmであったとき、マウス(1群あたり5匹)に、対照IgG(5mg/kg)、抗CD11b−I−ドメイン抗体(5mg/kg)、CpGオリゴヌクレオチド(クラスB、ODN 1668)(50μg)または抗CD11b−I−ドメイン抗体(5mg/kg)+CpGオリゴヌクレオチド(クラスB、ODN 1668)(50μg)のいずれかがip注射された。第2の注射は、第1の治療の3日後に繰り返された。腫瘍体積が測定された。結果は平均±SEMとして示される。
【0022】
【図8】CT26腫瘍の増殖に対する抗CD11b−I−ドメイン抗体と抗CTLA4抗体との併用療法の影響を示す図である。Balb/cマウスに、0日目に3×10個のCT26細胞が皮下注射された。腫瘍体積が約50〜100mmであったとき、マウス(1群あたり5匹)に、対照IgG(5mg/kg)、抗CD11b−I−ドメイン抗体(5mg/kg)、抗CTLA4抗体(5mg/kg)または抗CD11b−I−ドメイン抗体(5mg/kg)+抗CTLA4抗体(5mg/kg)のいずれかがip注射された。注射は3〜4日毎に繰り返された。腫瘍体積が測定された。結果は平均±SEMとして示される。
【0023】
【図9】CT26腫瘍の増殖に対する抗CD11b−I−ドメイン抗体と抗PD1抗体との併用療法の影響を示す図である。Balb/cマウスに、0日目に3×10個のCT26細胞が皮下注射された。腫瘍体積が約50〜100mmであったとき、マウス(1群あたり5匹)に、対照IgG(5mg/kg)、抗CD11b−I−ドメイン抗体(5mg/kg)、抗PD1抗体(5mg/kg)または抗CD11b−I−ドメイン抗体(5mg/kg)+抗PD1抗体(5mg/kg)のいずれかがip注射された。注射は3〜4日毎に繰り返された。腫瘍体積が測定された。結果は平均±SEMとして示される。
【0024】
【図10】CT26腫瘍の増殖に対する抗CD11b−I−ドメイン抗体と抗OX40抗体との併用療法の影響を示す図である。Balb/cマウスに、0日目に3×10個のCT26細胞が皮下注射された。腫瘍体積が約50〜100mmであったとき、マウス(1群あたり5匹)に、対照IgG(5mg/kg)、抗CD11b−I−ドメイン抗体(5mg/kg)、抗OX40抗体(5mg/kg)または抗CD11b−I−ドメイン抗体(5mg/kg)+抗OX40抗体(5mg/kg)のいずれかがip注射された。注射は3〜4日毎に繰り返された。腫瘍体積が測定された。結果は平均±SEMとして示される。
【0025】
【図11】CT26腫瘍の増殖に対する抗CD11b−I−ドメイン抗体と抗CD40抗体との併用療法の影響を示す図である。Balb/cマウスに、0日目に3×10個のCT26細胞が皮下注射された。腫瘍体積が約50〜100mmであったとき、マウス(1群あたり5匹)に、対照IgG(5mg/kg)、抗CD11b−I−ドメイン抗体(5mg/kg)、抗CD40抗体(5mg/kg)または抗CD11b−I−ドメイン抗体(5mg/kg)+抗CD40抗体(5mg/kg)のいずれかがip注射された。注射は3〜4日毎に繰り返された。腫瘍体積が測定された。結果は平均±SEMとして示される。
【0026】
【図12A】FACSにより分析される、担CT26腫瘍マウスにおける古典的樹状細胞(DC)上の抗CD11b−I−ドメイン抗体の影響を示す図である。
【図12B】FACSにより分析される、担CT26腫瘍マウスにおけるナチュラルキラー樹状細胞(NKDC)上の抗CD11b−I−ドメイン抗体の影響を示す図である。
【図12C】FACSにより分析される、担CT26腫瘍マウスにおける形質細胞様樹状細胞(pDC)上の抗CD11b−I−ドメイン抗体の影響を示す図である。Balb/cマウスに、0日目に3×10個のCT26細胞が皮下注射された。腫瘍体積が約50〜100mmであったとき、マウスに、対照IgG(5mg/kg)または抗CD11b−I−ドメイン抗体(5mg/kg)のいずれかがip注射された。注射は3〜4日毎に繰り返された。第4の治療後、マウスは屠殺され、腫瘍関連マクロファージが単離された。腫瘍内の古典的樹状細胞、ナチュラルキラー樹状細胞および形質細胞様樹状細胞の量がフローサイトメトリーにより計数された。
【0027】
【図13】担CT26腫瘍マウスからの腫瘍4−1BB+PD−1+ネオアンチゲン特異的CD8 T細胞数のFACS分析を示す図である。Balb/cマウスに、0日目に3×10個のCT26細胞が皮下注射された。腫瘍体積が約50〜100mmであったとき、マウス(1群あたり5匹)に、対照IgG(5mg/kg)、抗CD11b−I−ドメイン抗体(5mg/kg)、抗CTLA4抗体(5mg/kg)または抗CD11b−I−ドメイン抗体(5mg/kg)+抗CTLA4抗体(5mg/kg)のいずれかがip注射された。注射は3〜4日毎に繰り返された。第4の治療後、マウスは屠殺され、腫瘍関連マクロファージが単離された。腫瘍内の4−1BB+PD−1+ネオアンチゲン特異的CD8 T細胞の量がフローサイトメトリーにより計数された。
【0028】
【図14】最初の腫瘍接種の77日後、抗CD11b−I−ドメイン抗体と抗CTLA4抗体とにより治療された生存マウス(免疫化マウスと呼ばれる)に、2回目に3×10個の親CT26細胞が注射されたことを示す図である。2匹の非免疫化(ナイーブ)マウスに、対照群と同じように注射された。腫瘍体積は平均±SEMである。
【0029】
【図15】B16F10腫瘍の増殖に対する抗CD11b抗体とTaxolとの併用療法の影響を示す図である。C57BL/6マウスに、0日目に2×10個のB16F10細胞が皮下注射された。7日目に、マウスに、Ctrl IgG(5mg/kg)、抗マウスCD11b−I−ドメイン抗体(5mg/kg)、Taxol(10mg/kg)+Ctrl IgG(5mg/kg)またはTaxol(10mg/kg)+抗CD11b−I−ドメイン抗体(5mg/kg)のいずれかがip注射された。注射は3〜4日毎に繰り返された。腫瘍体積が測定された。結果は平均±SEMとして示される。
【発明を実施するための形態】
【0030】
定義
「CD11b」という用語はインテグリンアルファM(ITGAM)を指し、これは、ヘテロダイマーのインテグリンαMβ2のサブユニットである。インテグリンαMβ2の他のサブユニットは、CD18として既知の一般的なインテグリンβ2サブユニットである。インテグリンαMβ2は、単球、顆粒球、マクロファージ、樹状細胞、B細胞、T細胞およびネイチャーキラー細胞を含む白血球の表面上で発現された、マクロファージ−1抗原(Mac−1)または補体受容体3(CR3)とも呼ばれる。
【0031】
「CD11b−I−ドメイン」は「CD11b−A−ドメイン」(フォンビルブランド因子(vWF)A型ドメイン)とも呼ばれ、これは、β−プロペラドメインに挿入されており、以下のアミノ酸配列(SEQ ID NO:1)を含む:
DIAFLIDGSGSIIPHDFRRMKEFVSTVMEQLKKSKTLFSLMQYSEEFRIHFTFKEFQNNPNPRSLVKPITQLLGRTHTATGIRKVVRELFNITNGARKNAFKILVVITDGEKFGDPLGYEDVIPEADREGVIRYVIGVGDAFRSEKSRQELNTIASKPPRDHVFQVNNFEALKTIQNQL(SEQ ID NO:1).
【0032】
「免疫応答調節剤」という用語は、宿主における免疫応答を調節することができる薬剤を指す。「免疫チェックポイント遮断薬」という用語は、免疫チェックポイントを介して免疫抑制を軽減することができる「免疫チェックポイント阻害剤」を指す。
【0033】
本発明の実施形態は、免疫応答を調節するための方法に関する。本発明の実施形態は、腫瘍微小環境内の腫瘍関連骨髄系細胞(TAMC)上のCD11bのI−ドメインに結合する試薬に基づく。本発明の実施形態によれば、CD11bのI−ドメインに特異的に結合する試薬は、モノクローナル抗体またはその結合断片を含む抗体であり得る。
【0034】
本発明の実施形態によれば、特定の試薬(例えば、抗CD11b−I−ドメイン抗体)によるCD11bのI−ドメインへの結合は、免疫賦活応答を誘導またはトリガーすることができる。CD11bのI−ドメインは、接着へのその関与で知られているが、本発明の発明者らは、CD11bのI−ドメインへのそのような試薬の特異的結合が、腫瘍微小環境内の以下の影響のうちの1つまたは複数を有し得ることを予想外にも見出した:腫瘍微小環境内の炎症性サイトカインの増加、IDO+骨髄系サプレッサー細胞の集団の減少、腫瘍関連マクロファージ上のM2マーカーを超えるM1マーカーの上方制御、M1:M2腫瘍関連マクロファージ比の増加、(古典的樹状細胞、ネイチャーキラー樹状細胞(NKDC)および形質細胞様樹状細胞(pDC)を含む)樹状細胞(DC)の分化の促進、4−1BB+PD−1+ネオアンチゲン特異的CD8 T細胞の集団の増加。これらの影響は、CD11bのI−ドメインへの試薬(例えば、抗CD11b−I−ドメイン抗体)の特異的結合が低温(非炎症性)腫瘍から高温(炎症性)腫瘍への変換を誘導することができ、これが免疫チェックポイント療法の効果を増強させ得ることを示唆する。
【0035】
本発明の実施形態を以下の具体例により説明する。しかし、これらの具体例は例示のためだけであること、ならびに他の修正および変形が本発明の範囲から逸脱することなく可能であることを当業者なら理解するであろう。
【0036】
抗CD11b−I−ドメイン抗体治療は、腫瘍微小環境内の炎症性サイトカイン放出を増強させた。
先の研究では、CD11b活性化が、TLRによりトリガーされた炎症反応を負に制御することが確証されていた。CD11bは腫瘍関連骨髄系細胞(TAMC)上で発現されるので、本発明者らは、抗体を使用するCD11b−I−ドメイン機能によるCD11bのブロッキングが腫瘍微小環境内の炎症性サイトカイン放出を増加させ得ると推論した。したがって、本発明者らは、抗CD11b−I−ドメイン抗体による治療後のB16F10腫瘍内の炎症誘発性サイトカイン(例えば、TNF−α、IL−6、IL−12、IFN−γ、MCP−1など)の分泌を評価した。
【0037】
図1に示す通り、TNF−α、IL−6およびMCP−1(単球走化性タンパク質1)の分泌は、抗CD11b−I−ドメイン抗体治療された腫瘍からの組織液中でより多く、一方、IL−10およびIL−12p70の分泌はより少ない。これらの結果は、抗CD11b−I−ドメイン抗体治療が、炎症誘発性サイトカインの産生を増加させることができることを示す。言い換えれば、抗CD11b−I−ドメイン抗体治療は、低温(非炎症性)腫瘍を高温(炎症性)腫瘍に変換することができる。
【0038】
「高温腫瘍」は、T細胞により侵襲された腫瘍であり、炎症性微小環境を生じる。腫瘍微小環境内のT細胞は、腫瘍細胞と戦うために容易に動員され得る。例えば、抗PD1抗体、抗PDL1抗体および抗CTLA4抗体などの免疫チェックポイント遮断薬(すなわち、免疫チェックポイント阻害剤)は、T細胞上の腫瘍によりかけられたブレーキを解除することができる。これらの薬物は、「高温」腫瘍(すなわち、炎症性であり、高い変異原性負荷を伴い、ネオアンチゲン特異的T細胞浸潤を誘引することができる腫瘍)内で最も良く働く。したがって、「低温」腫瘍を「高温」腫瘍に変換することにより、本発明の方法は、免疫チェックポイント遮断療法の効果を増強させることができる。
【0039】
抗CD11b−I−ドメイン抗体治療は、マウスMDSC内のIDO+集団を減少させ、MDSC誘導性のT細胞阻害を逆転させた
骨髄系由来サプレッサー細胞(MDSC)は、骨髄細胞系列からの免疫細胞の異種群である。MDSCは、他の骨髄系細胞に見られる免疫賦活特性の代わりに強い免疫抑制活性をMDSCが持つという点で他の骨髄細胞型とは区別される。その作用機序は十分理解されていないが、臨床的および実験的証拠は、MDSCの高浸潤を伴うがん組織が患者の予後不良および療法抵抗性に関連することを示す。
【0040】
MDSCは、アルギナーゼI(arg1)の産生およびインドールアミン2,3−ジオキシゲナーゼ(IDO)の発現など、いくつかの機序を通じて、免疫抑制を誘導することができ、T細胞阻害をもたらす。マウス腫瘍モデルにおいて、MDSCは、高レベルのCD11b(古典的骨髄細胞系列マーカー)を発現させる骨髄系細胞として見出される。したがって、本発明者らは、MDSC免疫抑制機能に対するCD11b遮断の影響を調査することにより、MDSC上のCD11bの役割を調べ始めた。簡潔には、MDSCが担LLC1マウスから単離され、抗CD11b−I−ドメイン抗体により治療される。MDSC特性に対するそのような治療の影響が評価される。
【0041】
図2に示す通り、抗CD11b−I−ドメイン抗体治療の結果、ホルボール12−ミリステート−13−アセテート(PMA)による刺激の後、時間に依存して、対照IgGによる同様の治療と比較してIDO+MDSCの集団が著しく減少した。IDO+MDSCの減少に基づいて、MDSCによって媒介される免疫抑制およびT細胞阻害は減少するはずであると予想されるであろう。
【0042】
実際、図3に示す通り、MDSCの存在下のCD8細胞増殖は、対照IgGによる治療と比較して、抗CD11b−I−ドメイン抗体による治療により増加される。これらの結果は、MDSCのCD11bが抗CD11b−I−ドメイン抗体によりブロックされたとき、MDSC誘導性のT細胞阻害が著しく逆転されたことを示す。
【0043】
抗CD11b−I−ドメイン抗体治療は、M2メーカーを超えてM1メーカーを上方制御した
マクロファージは、組織常在性のプロフェッショナル食細胞および抗原提示細胞である。マクロファージは血中単球に由来する。異なる組織環境において、マクロファージは、別個の機能的表現型へと特異的分化を経る。マクロファージは一般に2つのクラス:古典的活性化(M1)マクロファージおよび選択的活性化(M2)マクロファージに分けられている。M1マクロファージは炎症を助長し、一方、M2マクロファージは、炎症を減少させ、組織修復を助長する。この違いはそれらの代謝に反映されており、M1マクロファージは、アルギニンを代謝して一酸化窒素を発生させることができて、一方、M2マクロファージは、アルギニンを代謝してオルニチンを生成することができる。
【0044】
表現型的に、M1マクロファージは、高レベルの主要組織適合遺伝子複合体クラスII(MHC II)であるCD36、ならびに共刺激分子であるCD80およびCD86を発現する。対照的に、M2マクロファージは、CD163+およびCD206+として特徴付けられている。腫瘍関連マクロファージ(TAM)は、M2様表現型を示し、腫瘍進行を促進する。抗CD11b−I−ドメイン抗体治療が腫瘍関連マクロファージをM1表現型に傾けることができるかを検討するために、ヒトマクロファージが、A549肺がん細胞の存在下、in vitroでPBMCから分化された。
【0045】
図4に示す通り、M1マーカーの発現は、対照IgG治療群と比較して、抗CD11b−I−ドメイン抗体治療群(抗CD11b(44aacb)および抗CD11b(M1/70))においてより大幅に高い。他方、M2マーカーの発現は、対照IgG治療群と比較して、抗CD11b−I−ドメイン抗体治療群において増強を示さなかったか、またはごくわずかな増強を示した。加えて、抗CD11b−I−ドメイン抗体治療はまた、CD11cおよびDC−SIGNを上方制御した。これらは樹状細胞マーカーである。合わせて、これらの結果は、CD11b遮断が腫瘍関連マクロファージをM1表現型に傾け、樹状細胞を成熟させて、免疫療法に役立つ炎症性微小環境をもたらすことを示した。
【0046】
この実験では、2つの異なる抗CD11b−I−ドメイン抗体(すなわち、44aacbおよびM1/70)を使用した。これらは市販されている。抗CD11b抗体44aacbは、多くの商業的供給源、例えばNovus Biologicals(Littleton、CO、米国)およびATCCから入手できる。抗CD11b抗体M1/70は、Thermo Fisher、Abcam、BioLegentなどから入手できる。さらに、他の抗CD11b抗体も使用することができる。これらの実験による結果は、影響が任意の特定の抗体に限定されないことを示す。実際、CD11b I−ドメインに結合することができる任意の抗体またはその結合断片を本発明の実施形態と共に使用することができる。
【0047】
抗CD11b−I−ドメイン抗体治療は、腫瘍関連マクロファージの活性化を免疫抑制的なM2様状態からより炎症性のM1様状態に切り替える
上で論じた通り、CD11b遮断は、マクロファージをin vitroでM1表現型に傾ける。本発明者らは、この観察をCT26腫瘍モデルにおいてさらに確認した。担CT26腫瘍マウスにおける腫瘍浸潤性白血球の分析は、抗CD11b−I−ドメイン抗体による治療が、対照IgGによる治療と比較して、腫瘍関連マクロファージ内のM1/M2マクロファージ比を増加させ、成熟樹状細胞集団を増加させ(図5)、MHC IIの発現を著しく増加させた(図6)ことを示す。これらの結果は、抗原提示能の増強を示唆する。まとめると、これらの結果は、腫瘍関連マクロファージの抑制表現型からより免疫活性のあるものへの調節がCD11b−I−ドメイン遮断により実現することができることを示す。
【0048】
抗腫瘍免疫における抗CD11b−I−ドメイン抗体とTLRアゴニスト治療との相乗効果
最近の研究による結果は、CD11b−I−ドメインの高結合活性の連結が、Toll様受容体(TLR)シグナル伝達の迅速な阻害をもたらすことを示す。したがって、抗CD11b−I−ドメイン抗体によるCD11b−I−ドメイン活性のブロッキングは、TLRシグナル伝達の阻害を逆転させることができる。次に本発明者らは、CpGオリゴヌクレオチド(TLR9アゴニスト)とCD11b遮断とによる併用免疫療法が抗腫瘍効果を増強させることができるかを検討する。Balb/c雌マウスに、3×10個のCT26結腸がん細胞が皮下移植された。腫瘍体積が約50〜100mmであったとき、マウスに、対照IgG、5mg/kgの抗CD11b−I−ドメイン抗体、50μgのCpGオリゴヌクレオチド、または5mg/kgの抗CD11b−I−ドメイン抗体と50μgのCpGオリゴヌクレオチドとの組合せがip注射された。
【0049】
図7に示す通り、CpGオリゴヌクレオチドによる単剤療法は腫瘍増殖を阻害した。顕著には、抗CD11b−I−ドメイン抗体とCpGオリゴヌクレオチドとの併用により治療されたマウスは、最良の抗腫瘍反応を有していた。併用療法の劇的な影響は、相乗効果の存在を示唆する。
【0050】
上の実験はCpGオリゴヌクレオチド(TLR9アゴニスト)を一例として使用しているが、他のTLRアゴニストも同様に使用することができる。本発明の抗CD11b試薬もこれらの他のTLRアゴニストアプローチと共に使用することができることを当業者なら理解するであろう。
【0051】
抗腫瘍免疫における抗CD11b−I−ドメイン抗体と免疫チェックポイント治療との相乗効果
上で述べたように、CD11bのI−ドメインに特異的に結合することにより、本発明の方法は、「低温」腫瘍を「高温」腫瘍に変換することができ、それによって、免疫チェックポイント遮断療法の効果を増強する。次に本発明者らは、そのような併用療法の影響を調べる。
【0052】
CTLA4は、T細胞によって発現された阻害性受容体であり、樹状細胞またはマクロファージ上で発現されたCD80/CD86の連結(リガンド結合)後、T細胞応答のエフェクター相を負に制御する。抗CD11b−I−ドメイン抗体治療は、腫瘍関連マクロファージ上のCD80/CD86の発現を増強させるので、次に本発明者らは、CD11bおよびCTLA4遮断による併用免疫療法が抗腫瘍効果を増強させることができるかを検討する。Balb/c雌マウスに、3×10個のCT26結腸がん細胞が皮下移植された。腫瘍体積が約50〜100mmであったとき、マウスに、対照IgG、5mg/kgの抗CD11b−I−ドメイン抗体、5mg/kgの抗CTLA4抗体、または5mg/kgの抗CD11b−I−ドメイン抗体と5mg/kgの抗CTLA4抗体との組合せがip注射された。
【0053】
図8に示す通り、抗CD11b−I−ドメイン抗体による単剤療法は部分的に効果的であったが、抗CTLA4抗体による単剤療法は腫瘍増殖を著しく阻害した。顕著には、抗CD11b−I−ドメイン抗体と抗CTLA4抗体との併用により治療されたマウスは、最良の抗腫瘍反応を有し、退縮率は60%となった。併用療法の劇的な影響は、相乗効果の存在を示唆する。
【0054】
上の実験はCTLA4を一例として使用しているが、他の免疫チェックポイント標的も同様に使用することができる。例えば、PD−1およびPD−L1は免疫チェックポイント制御に関与することが示されており、PD−1およびPD−L1に対する抗体は、免疫抑制の逆転において有効であることが示されている。OX40(CD134または腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバー4(TNFFRSF4)としても既知)ならびにT細胞免疫グロブリンおよびムチンドメイン含有−3(TIM3)は、免疫チェックポイントの他の例である。OX40またはTIM3の妨害は、腫瘍誘導性の免疫抑制を軽減することができる。
【0055】
図9に示す通り、抗PD1抗体による単剤療法は腫瘍増殖をわずかに阻害したが、抗CD11b−I−ドメイン抗体と抗PD1抗体との併用により治療されたマウスは、最良の抗腫瘍反応を有していた。同様に、抗CD11b−I−ドメイン抗体と組み合わせた抗OX40または抗CD40抗体は、最良の抗腫瘍反応を有していた(図10および図11)。本発明の抗CD11b試薬もこれらの他の免疫チェックポイント妨害アプローチと共に使用することができることを当業者なら理解するであろう。
【0056】
樹状細胞(DC)は、効率的な抗原提示細胞であり、治療ワクチンの改善のための有望な選択肢である。図12A〜図12Cに示す通り、抗CD11b−I−ドメイン抗体による治療は、腫瘍微小環境内の古典的樹状細胞(DC)(図12A)、ナチュラルキラー樹状細胞(NKDC)(図12B)および形質細胞様樹状細胞(pDC)(図12C)の数を増加させた。
【0057】
加えて、図13に示す通り、抗CD11b−I−ドメイン抗体による治療は、腫瘍微小環境内のエフェクターPD−14−1BBネオアンチゲン特異的CD8 T細胞の数をわずかに増加させたが、抗CTLA4抗体単独による治療はほとんど影響を及ぼさなかった。対照的に、抗CD11b−I−ドメイン抗体と抗CTLA4抗体とによる併用治療は、腫瘍微小環境内のエフェクターPD−14−1BBネオアンチゲン特異的CD8 T細胞の数を著しく増加させ、注目すべき相乗効果を示した(図13)。まとめると、これらの結果は、腫瘍微小環境の調節、すなわち、免疫抑制的な腫瘍微小環境からより免疫賦活性のものへの変換が、CD11b−I−ドメイン遮断(例えば、CD11b−I−ドメインへの抗体の結合)により実現することができることを示す。その結果、抗CD11b−I−ドメイン抗体は、免疫療法剤、例えば免疫チェックポイント妨害薬:抗PD1抗体、抗PDL1抗体および/または抗CTLA4抗体の効果を増強させることができる。
【0058】
CD11b−I−ドメイン遮断の長期メモリー効果
抗PD1抗体、抗PDL1抗体および抗CTLA4抗体などの免疫チェックポイント遮断薬は、がん患者において持続的臨床反応を誘発することができる。したがって、本発明者らは、抗CD11b−I−ドメイン治療の長期的影響も調べる。
【0059】
簡潔には、最初の腫瘍接種および抗CD11b−I−ドメイン抗体と抗CTLA4抗体との併用による治療の77日後(免疫化マウスと呼ばれる)、生存マウスに、2回目に3×10個の親CT26細胞(結腸がん細胞)が注射された。2匹のナイーブ(あらかじめ免疫化および治療されていない)マウスに、対照群と同じように注射された。マウスは監視され、接種後に腫瘍体積が測定された。
【0060】
図14に示す通り、対照群(ナイーブマウス)において腫瘍が急速に増殖した。対照的に、あらかじめ免疫化および治療された生存マウスは、腫瘍増殖を制限する能力を保持し、(例えば、抗CD11b−I−ドメイン抗体による)CD11b I−ドメインの遮断が長期的反応を誘発することができることを示した。
【0061】
抗腫瘍免疫における抗CD11b−I−ドメイン抗体と化学療法治療との相乗効果
次に本発明者らは、化学療法とCD11b−I−ドメイン遮断とによる併用免疫療法が抗腫瘍効果を増強させることができるかを検討する。C57BL/6雌マウスに、0日目に2×10個のB16F10黒色腫がん細胞が皮下移植された。7日目に、マウスに、5mg/kgのCtrl IgG、5mg/kgの抗CD11b−I−ドメイン抗体、5mg/kgのCtrl IgGと10mg/kgのTaxolとの組合せ、または5mg/kgの抗CD11b−I−ドメイン抗体と10mg/kgのTaxolとの組合せがip注射された。注射は3〜4日毎に繰り返された。顕著には、抗CD11b−I−ドメイン抗体とタキソールとの併用により治療されたマウスは、最良の抗腫瘍反応を有していた(図15)。併用療法の劇的な影響は、相乗効果の存在を示唆する。
【0062】
Taxol(パクリタキセル)は、その微小管を結合する能力を主に通じて有糸分裂阻害剤として作用する化学療法剤として機能する。しかし、Taxolは、T細胞、B細胞、NK細胞および樹状細胞を含むリンパ球を活性化する活性を有することも明らかになっている。したがって、Taxolは免疫応答調節剤と見なすこともできる。
【0063】
放射線療法は、腫瘍細胞アポトーシスの誘導を含むいくつかの機序を介して免疫応答調節剤の効果を高めることができて、それによって、APCおよび直接的T細胞活性化を介して腫瘍抗原提示を増加させる。放射線療法誘導性の殺腫瘍性効果は、より多くの腫瘍抗原を放出させて、活性化T細胞のクローン性増殖をもたらし、これを通じて、T細胞集団の多様性およびT細胞集団が活性化される速度の両方が向上する
【0064】
腫瘍溶解性ウイルスは腫瘍細胞を直接溶解することができて、可溶性抗原、危険信号およびI型インターフェロンの放出をもたらし、これが抗腫瘍免疫を駆動する。加えて、一部の腫瘍溶解性ウイルスは、治療遺伝子を発現するように操作することができ、または腫瘍関連内皮細胞を機能的に変更することができ、免疫排除的なまたは免疫のない腫瘍微小環境内へのT細胞動員をさらに増強する。
【0065】
上の実験はTaxolを一例として使用しているが、他の化学療法試薬も同様に使用することができる。本発明の抗CD11b試薬もこれらの他の化学療法アプローチと共に使用することができることを当業者なら理解するであろう。
【0066】
上の実験は明らかに、腫瘍微小環境内の炎症性サイトカインの増加、IDO+骨髄系サプレッサー細胞の集団の減少、腫瘍関連マクロファージ上のM2マーカーを超えるM1マーカーの上方制御、M1:M2腫瘍関連マクロファージ比の増加、樹状細胞(DC)、ネイチャーキラー樹状細胞(NKDC)および形質細胞様樹状細胞(pDC)の分化の増強、4−1BB+PD−1+ネオアンチゲン特異的CD8 T細胞の集団の増加から分かるように、CD11bのI−ドメインのブロッキングが腫瘍微小環境を免疫療法アプローチにより役立つより炎症性の状態に変換することができることを示す。これらの特性は、免疫療法の効果を増強させるために使用することができる。実際、抗CD11b抗体と、免疫チェックポイントを標的にする別の抗体とを使用する併用療法は、劇的な相乗効果を実現することができる。これらの併用療法は、がん療法に最も有益になる。CD11b I−ドメインは接着機能に関与することが知られている。CD11bのI−ドメインの妨害が腫瘍微小環境を免疫応答の誘導に役立つより炎症性の状態に変換することができるという知見は全く予想外である。
【0067】
本発明の実施形態は、当技術分野において既知の任意の適した方法/手順により実施されてもよい。以下は、本発明の実施形態の具体例を説明する。しかし、これらの具体例は例示のためだけであること、ならびに他の修正および変形が本発明の範囲から逸脱することなく可能であることを当業者なら理解するであろう。
【0068】
ヒト細胞単離および細胞株
ヒトPBMCを健康なボランティアドナーから静脈穿刺により単離した。調査への参加に関する書面によるインフォームドコンセントを得、これはマッカイ記念病院の施設内審査委員会により承認された。当技術分野において既知の方法を使用してヒト単球を単離した。簡潔には、Ficoll−Paque Plus(GE Healthcare)勾配遠心を使用して末梢血単核細胞(PBMC)を単離した。
【0069】
A549肺がん細胞株をアメリカンタイプカルチャーコレクション(ATCC)から入手し、10%ウシ胎児血清(Hyclone,Inc.、Logan、UT)を含むF−12K培地中で培養した。すべての細胞株を完全培地(10%ウシ胎児血清、2mM L−グルタミン、100U/mLペニシリンおよび100μg/mLストレプトマイシンを含むRPMI−1640)中、37℃で維持した。加湿された5% CO2インキュベーター内の組織培養フラスコ内で細胞を増殖させ、軽いトリプシン処理により週2〜3回継代した。
【0070】
動物および腫瘍細胞株。
Balb/cマウス(6〜8週齢)をNational Laboratory Animal Center(台北、台湾)から購入した。すべての動物実験を特定病原体不在条件下、マッカイ記念病院(台北、台湾)の動物管理使用委員会により承認されたガイドラインに従って実施した。各マウスの体重を治療の始めおよび治療期間中毎日測定した。CT26細胞は、Balb/cマウス由来のマウス結腸がん細胞である。B16F10細胞は、C57/BL6マウス由来のマウス黒色腫がん細胞である。細胞を5% CO2加湿雰囲気中のダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)、10%熱不活性化ウシ胎児血清、2mM L−グルタミン、ペニシリン(100U/ml)およびストレプトマイシン(100μg/ml)中、37℃で維持した。
【0071】
抗体および試薬
ヒトPBMC調査用
モノクローナル抗CD11b−I−ドメイン抗体(44aacb)のハイブリドーマをATCCから購入した。このハイブリドーマから産生された抗体を、プロテインA複合セファロースを使用して精製した。対照抗体として使用されたマウスIgG2aはBiolegend(San Diego、CA)から購入した。
【0072】
マウスがんモデル用
マウス/ヒトCD11b−I−ドメインに対して特異的なラット抗体(クローンM1/70)、マウスPD1に対して特異的なラット抗体(クローンRMP1−14)、マウスOX40に対して特異的なラット抗体(クローンOX−86)、マウスCD40に対して特異的なラット抗体(クローンFGK4.5)、ラット対照IgG2b抗体(クローンLTF−2)、シリアンハムスター抗マウスCTLA4(クローン9H10)およびシリアンハムスター対照IgGをBioXcell(West Lebanon、NH)から購入した。CpGオリゴヌクレオチド(クラスB、ODN 1668)をInvivogen(San Diego、CA)から購入した。Taxolをマッカイ記念病院から入手した。
【0073】
腫瘍関連骨髄系サプレッサー細胞発生プロトコール
i.誘導
静脈穿刺(全体積60mL)とその後のディファレンシャル密度勾配遠心(Ficoll Hypaque、Sigma、St.Louis、MO)により、ヒトPBMCを健康なボランティアドナーから単離した。比40:1でヒト腫瘍細胞株を含む24ウェルプレート内の完全培地(1×10細胞/mL)中でPBMCを5〜6日間培養した。抗体治療実験のために、抗マウス/ヒトCD11b−I−ドメイン(クローンM1/70、BioXcell)、抗ヒトCD11b−I−ドメイン(クローン44aacb、ATCCからのハイブリドーマ)、マウスIgG2aアイソタイプ対照(クローンMG2a−53、Biolegend)およびラットIgG2bアイソタイプ対照(クローンLTF−2、BioXcell)を含む抗体ありまたはなしでPBMC−腫瘍細胞株共培養を繰り返した。
【0074】
ii.骨髄系サプレッサー細胞単離
5日後、すべての細胞を腫瘍−PBMC共培養から回収した。非プロテアーゼ細胞剥離溶液Detachin(商標)(GenLantis、San Diego、CA)を使用して接着細胞を除去した。次いで、製造者の指示に従って抗CD33磁性マイクロビーズおよびLSカラム分離(Miltenyi Biotec、ドイツ)を使用して、骨髄系細胞を共培養から単離した。単離細胞集団の純度は、フローサイトメトリーにより90%を超えることが明らかになり、単離細胞の生存率は、トリパンブルー色素排除を使用して確認した。
【0075】
iii.抑制アッセイ
腫瘍によって教育された骨髄系細胞の抑制機能を、以下の抑制アッセイにおける同種異系T細胞の増殖を阻害するその能力により測定した:Pan T単離キット(Miltenyi Biotec、Auburn、CA)により健康なドナーから単離されたT細胞をカルボキシフルオレセインスクシンイミジルエステル(CFSE)標識(2.5μM、Invitrogen)し、あらかじめ単離された骨髄系細胞を含む96ウェルプレートに1×10細胞/ウェル、比1:1で播種した。T細胞増殖を抗CD3/CD28刺激ビーズ(ThermoFisher scientific、Carlsbad、CA)または被覆抗CD3(クローンOKT3)抗体により誘導した。3日後に抑制アッセイウェルをT細胞増殖に関してフローサイトメトリーにより分析した。対照は、正のT細胞増殖対照(CD3/CD28刺激ありのT細胞単独)および誘導陰性対照(培地のみ)を含んでいた。サンプルをFACSCaliburフローサイトメーター(BD Biosciences、San Jose、CA)にかけ、CellQuestProソフトウェア(BD)を使用してデータ取得および解析を実施した。
【0076】
ヒト骨髄系サプレッサー細胞のキャラクタリゼーション
i.細胞表現型のフローサイトメトリー分析
in vitro発生骨髄系サプレッサー細胞の表現型を、骨髄系細胞、抗原提示細胞およびサプレッサー細胞マーカーの発現に関して調べた。染色のために、細胞表面タンパク質分解を最小限にするためにDetachin(商標)を使用して24ウェルプレートから細胞を回収し、FACS緩衝液(PBS中の2% FCS)で2回洗浄した後、10個の細胞をFACS緩衝液100μlに再懸濁させた。細胞をFcブロッカー(Human BD Fc Block)で処理し、蛍光複合モノクローナル抗体またはアイソタイプ適合対照のカクテルで20分間染色した。細胞内染色のために、細胞を固定し、表面染色後、固定/透過処理キット(BD)を使用して透過処理した。使用された抗体は、BD Biosciences(CD11c(クローンBu15)、CD33(クローンHIM3−4)、HLA−DR(クローンL243)、CD11b(クローンICRF44)、CD86(クローン2331)、CD80(クローンL307.4)、CD56(クローンB159)、CD206(クローン19.2)、DC−SIGN(クローンDCN46)、7−AAD)から、またはBiolegned(HLA−DR(クローンL243)、CD163(クローンRM3/1)、CD68(クローンY1/82A))から、またはR&D systems(IDO(クローン700838))から購入した。これらの抗体は例であり、その他の任意の適した抗体を使用することができる。例えば、I−ドメインを結合する任意の抗CD11b抗体を使用することができる(例えば、抗CD11b(44aacbクローン)、抗CD11b(M1/70クローンなど)。そのような抗CD11b抗体には、新たに作成されたもの、または商業的供給源(例えば、BD Biosciences、Abcam、Thermo Fisher Scientificなど)から入手されたものが含まれ得る。
【0077】
サンプルをBD FACSCaliburフローサイトメーターにかけ、データ取得および解析を上述の通り実施した。データは3〜6人のユニークなドナーからのものである。培地単独で培養されたPBMCを比較のために並行して試験した。
【0078】
ii.cytometric bead arrayによるサイトカイン/ケモカインの測定
腫瘍組織液を抗CD11b−I−ドメイン抗体治療後のB16F10腫瘍から回収し、−20℃でアリコートで保管した。製造者の指示に従ってマウス炎症性サイトカインcytometric bead arrayキット(BD)を使用して、サンプル中のIFN−ガンマ、MCP−1、IL−6、TNFα、IL12p70およびIL−10のレベルを測定した。
【0079】
がん治療のプロトコール
皮下腫瘍モデル
Balb/cマウスに3×10個のCT26細胞を皮下接種した。腫瘍体積が約50〜100mmであったとき、治療を開始した。担腫瘍マウスを異なる抗体で週2回、腹腔内(ip)治療した。マウスを監視し、毎週2回、触知可能な腫瘍の形成をスコア化し、腫瘍が3,000mmの所定のサイズを超えたら屠殺した。腫瘍体積をノギスで測定し、以下の式を用いて計算した:A×B×0.54(式中、Aは最大直径であり、Bは最小直径である)。
【0080】
腫瘍離断および細胞集団解析
Balb/c腫瘍を収集し、秤量し、外科用メスを使用して片に細断し、製造者の指示に従って腫瘍離断キット(Miltenyi Biotec)を使用し、Gentle MACS dissociator(Miltenyi Biotech)を使用して、さらに酵素的に離断した。1% FCSを追加したPBSに腫瘍の単細胞懸濁液を再懸濁させ、赤血球を溶解した。特異的標識前に非特異的標識を抗CD16/32(Fc Block;BD)でブロックした。以下のBioLegend製ラット抗マウスAbsで細胞を染色した:抗CD8aフルオレセインイソチオシアネート(FITC)、抗CD8b FITC、抗Gr1 FITC、抗CD86 FITC、抗CD206フィコエリトリン(PE)、抗CD80 PE−Dazzle594、抗CD11b−I−ドメインPerCP−Cy5.5、抗PDL1アロフィコシアニン(APC)、抗CD45 BV510、抗F4/80 Alexa 700、抗IAIE APC−Cy7、抗Ly6C PECy7、抗CD11c Alexa 700、抗Ly6G PE−Dazzle594、抗IDO AF647、抗CD335 BV421および抗CD3e PE Dazzle。固定可能な生存率色素(eBioscience(商標)Fixable Viability Dye eFluor(商標)450)を生死細胞の識別のために使用した。サンプルをBECKMAN COULTER Galliosフローサイトメーターを使用して分析し、Kaluza(登録商標)ソフトウェアで解析した。
【0081】
in vitroマウスMDSC単離および抑制アッセイ
脾臓を担LLC1腫瘍マウスから回収した。製造者の指示に従って骨髄系由来サプレッサー細胞単離キットおよびLSカラム分離(Miltenyi Biotec)を使用して、脾細胞を収集し、骨髄系由来サプレッサー細胞(MDSC)を単離した。単離細胞集団の純度は、フローサイトメトリーにより90%を超えることが明らかになり、単離細胞の生存率は、トリパンブルー色素排除を使用して確認した。ホルボール12−ミリステート−13−アセテート(PMA)で24時間〜72時間刺激されたMDSC内のインドールアミン2,3−ジオキシゲナーゼ(IDO)発現を、抗マウスGr−1 FITC抗体による細胞表面染色および抗マウスIDO APC抗体による細胞内染色により評価した。T細胞をナイーブマウスの脾細胞から回収し、抗マウスCD90.2磁性粒子(BD IMag)を使用して単離した。抗マウス/ヒトCD11b(クローンM1/70、BioXcell)およびラットIgG2bアイソタイプ対照(クローンLTF−2、BioXcell)を含む抗体なしまたはありで、CFSE標識T細胞をMDSCと比1:1または1:2で共培養した。T細胞増殖を抗CD3/CD28刺激抗体により誘導した。
【0082】
統計解析
データをPrism 6.0(GraphPad)を使用して解析し、平均±SEMとして表した。群間の比較をスチューデントt検定を使用して実施した。ピアソンの相関係数を用いて相関を判断した。0.05未満のp値は有意であると見なした。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【図12C】
【図13】
【図14】
【図15】
【配列表】
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【国際調査報告】