(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】2021517129
(43)【公表日】20210715
(54)【発明の名称】抗PD−1抗体組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 39/395 20060101AFI20210618BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20210618BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20210618BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20210618BHJP
   A61K 39/00 20060101ALI20210618BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20210618BHJP
   A61K 47/18 20060101ALI20210618BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20210618BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20210618BHJP
   A61K 9/19 20060101ALI20210618BHJP
   C07K 16/28 20060101ALN20210618BHJP
   C07K 16/46 20060101ALN20210618BHJP
   C12N 15/13 20060101ALN20210618BHJP
【FI】
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   !C07K16/28ZNA
   !C07K16/46
   !C12N15/13
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】61
(21)【出願番号】2020546926
(86)(22)【出願日】20190304
(85)【翻訳文提出日】20201109
(86)【国際出願番号】IB2019051733
(87)【国際公開番号】WO2019171253
(87)【国際公開日】20190912
(31)【優先権主張番号】62/639,587
(32)【優先日】20180307
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/807,912
(32)【優先日】20190220
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】593141953
【氏名又は名称】ファイザー・インク
【住所又は居所】アメリカ合衆国10017ニューヨーク州ニューヨーク市イースト・フォーティーセカンド・ストリート235
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【弁理士】
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100107386
【弁理士】
【氏名又は名称】泉谷 玲子
(72)【発明者】
【氏名】アーメド,シド・サリーム
【住所又は居所】アメリカ合衆国ミズーリ州63017,チェスターフィールド,サマー・リッジ・ドライブ 15527
(72)【発明者】
【氏名】バルサゾール,ブライアン・マーク
【住所又は居所】アメリカ合衆国ミズーリ州63119,ロック・ヒル,タバロン・アベニュー 804
(72)【発明者】
【氏名】メータ,アンジャリ・プラモド
【住所又は居所】アメリカ合衆国ミズーリ州63011,ワイルドウッド,ブランチウッド・ドライブ 16561
(72)【発明者】
【氏名】キュアシー,ティハミ
【住所又は居所】アメリカ合衆国ミズーリ州63118,セイント・ルイス,テキサス・アベニュー 2920
【テーマコード(参考)】
4C076
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4C076AA12
4C076BB16
4C076DD09
4C076DD41Z
4C076DD49
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4H045AA11
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4H045BA41
4H045CA40
4H045DA76
4H045EA28
4H045FA71
(57)【要約】
本発明は概して抗体の医薬製剤の分野に関する。具体的には、本発明は、高濃度の抗体製剤ならびにその医薬調製物および使用に関する。本発明は、抗PD−1抗体の製剤によって例示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗PD−1抗体であって、前記抗体の濃度が約100mg/mlから約300mg/mlの間である、抗PD−1抗体と、
二糖と、
緩衝液と、
キレート化剤と、
ポリソルベートと
を含む医薬組成物であって、
前記医薬組成物のpHが約4.5〜約5.5であり、前記医薬組成物が、約1センチポアズ(cP)から約20cPの間の粘度を有する、医薬組成物。
【請求項2】
ポリソルベートがポリソルベート80(PS80)である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
ポリソルベートの濃度が約0.01〜約0.3mg/mlである、請求項1から2のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項4】
0.2mg/mlのPS80を含む、請求項3に記載の医薬組成物。
【請求項5】
緩衝液がヒスチジン緩衝液である、請求項1から4のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項6】
ヒスチジンの濃度が約20mMである、請求項5に記載の医薬組成物。
【請求項7】
緩衝液が酢酸塩緩衝液である、請求項1から4のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項8】
キレート化剤がEDTAであり、および/またはキレート化剤の濃度が約0.01〜約0.3mg/mLの範囲である、請求項1から7のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項9】
EDTAが、EDTA二ナトリウム、EDTA二ナトリウム二水和物、またはEDTA二ナトリウムとEDTA二ナトリウム二水和物の組合せを含む、請求項8に記載の医薬組成物。
【請求項10】
EDTAの濃度が、約0.04mg/mL、約0.045mg/mL、または約0.05mg/mLである、請求項9に記載の医薬組成物。
【請求項11】
二糖がスクロースである、請求項1から10のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項12】
二糖がトレハロースである、請求項1から10のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項13】
トレハロースがトレハロース二水和物である、請求項12に記載の医薬組成物。
【請求項14】
二糖の濃度が、約25mg/mLから約100mg/mLの間、約50mg/mLまたは約84mg/mLである、請求項1から13のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項15】
約25mMから約300mMの間、約50mM、約100mM、約150mM、約200mM、または約250mMの濃度でアルギニンをさらに含む、請求項1から14のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項16】
プロリンをさらに含む、請求項1から15のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項17】
プロリンの濃度が、約25mMから約300mMの間、または約100mMもしくは約200mMである、請求項16に記載の医薬組成物。
【請求項18】
抗体の濃度が、約140mg/ml、約145mg/ml、約150mg/ml、約155mg/ml、約160mg/ml、約165mg/ml、約170mg/ml、約175mg/ml、約180mg/ml、約185mg/ml、約190mg/ml、約195mg/ml、および約200mg/mlからなる群から選択される、請求項1から17のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項19】
抗体の濃度が、約140mg/ml〜約200mg/ml、145mg/ml〜約160mg/ml、または約148mg/ml〜約152mg/mlである、請求項1から17のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項20】
約150mg/mlの抗PD−1抗体と、
約20mMのヒスチジン緩衝液と、
約84mg/mlのトレハロースと、
約0.2mg/mlのPS80と、
約0.45または約0.5mg/mlのEDTAと
を含むか、またはそれらからなり、
pH5.0+/−0.5である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項21】
組成物の粘度が、20℃で約10cPから約18cPの間である、請求項20に記載の医薬組成物。
【請求項22】
組成物の粘度が、20℃で約15cPである、請求項21に記載の医薬組成物。
【請求項23】
約150mg/mlの抗PD−1抗体と、
約20mMのヒスチジン緩衝液と、
約100mMのアルギニンHClと、
約50mg/mlのトレハロースと、
約0.2mg/mlのPS80と、
約0.45または約0.5mg/mlのEDTAと
を含むか、またはそれらから本質的になり、
pH5.0+/−0.5である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項24】
組成物の粘度が、20℃で約10cPから約18cPの間である、請求項23に記載の医薬組成物。
【請求項25】
組成物の粘度が、20℃で約15cPである、請求項24に記載の医薬組成物。
【請求項26】
EDTAが、EDTA二ナトリウム、EDTA二ナトリウム二水和物、またはEDTA二ナトリウムとEDTA二ナトリウム二水和物の組合せを含む、請求項20から25のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項27】
抗体が、ヒトまたはヒト化モノクローナル抗体である、請求項1から26のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項28】
抗体がIgG4抗体である、請求項1から27のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項29】
抗体がIgG4 S228P抗体である、請求項28に記載の医薬組成物。
【請求項30】
抗体が、配列番号2に示されるVH配列のVH相補性決定領域1(CDR1)、VH CDR2、およびVH CDR3を含む重鎖可変領域(VH);ならびに/または配列番号3に示されるVL配列のVL CDR1、VL CDR2、およびVL CDR3を含む軽鎖可変領域(VL)を含む、請求項1から29のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項31】
VH CDR1が配列番号4に示されるアミノ酸配列を含み、VH CDR2が配列番号5に示されるアミノ酸配列を含み、VH CDR3が配列番号6に示されるアミノ酸配列を含み、VL CDR1が配列番号7に示されるアミノ酸配列を含み、VL CDR2が配列番号8に示されるアミノ酸配列を含み、VL CDR3が配列番号9に示されるアミノ酸配列を含む、請求項30に記載の医薬組成物。
【請求項32】
抗体が、配列番号2に示される重鎖可変領域アミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列および配列番号3に示される軽鎖可変領域アミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項1から29のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項33】
抗体が、配列番号2に示されるアミノ酸配列、またはCDR内ではない残基において1つもしくは複数の保存的アミノ酸置換を有するバリアントを含む重鎖可変領域(VH)および/あるいは配列番号3に示されるアミノ酸配列、またはCDR内ではないアミノ酸において1つもしくは複数のアミノ酸置換を有するそのバリアントを含む軽鎖可変領域(VL)を含む、請求項1から29のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項34】
抗体が、配列番号10のC末端リジンを有するかまたは有さない、配列番号10に示されるアミノ酸配列を含む重鎖;および配列番号11に示されるアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、請求項1から33のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項35】
抗体が、主要グリカン種としてG0FおよびG1Fを含むAsn294でのグリコシル化を示す、請求項34に記載の医薬組成物。
【請求項36】
グリコシル化が、マイナーグリカン種として、切断されたおよび/またはアフコシル化された複合型二分岐構造、高マンノース型Man5構造、ならびにシアル化された、コア−フコシル化された複合型二分岐オリゴ糖をさらに含む、請求項35に記載の医薬組成物。
【請求項37】
凍結乾燥されているか、または凍結乾燥されていない、請求項1から36のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項38】
20℃で約10〜約18cPの粘度を有する、請求項1から20、23、または27から37のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項39】
抗体が、PF−06801591、ニボルマブ、ペンブロリズマブ、セミプリマブ、もしくはスパルタリズマブ、または前述のいずれかの抗原結合部分である、請求項1から27のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項40】
約150mg/mlの抗PD−1抗体であって、配列番号10のC末端リジンを有するかまたは有さない、配列番号10に示されるアミノ酸配列を含む重鎖;および配列番号11に示されるアミノ酸配列を含む軽鎖を含む抗PD−1抗体と、
約20mMのヒスチジン緩衝液と、
約84mg/mlのトレハロースと、
約0.2mg/mlのPS80と、
約0.45または約0.5mg/mlのEDTAと
を含むか、またはそれらから本質的になる医薬組成物であって、
pH5.0+/−0.5であり、20℃で約10〜約18cPの粘度を有する医薬組成物。
【請求項41】
約150mg/mlの抗PD−1抗体であって、配列番号10のC末端リジンを有するかまたは有さない、配列番号10に示されるアミノ酸配列を含む重鎖;および配列番号11に示されるアミノ酸配列を含む軽鎖を含む抗PD−1抗体と、
約20mMのヒスチジン緩衝液と、
約84mg/mlのトレハロースと、
約0.2mg/mlのPS80と、
約0.45または約0.5mg/mlのEDTAと
を含むか、またはそれらから本質的になる医薬組成物であって、
pH5.0+/−0.5であり、20℃で約10〜約18cPの粘度を有する医薬組成物。
【請求項42】
EDTAが、EDTA二ナトリウム、EDTA二ナトリウム二水和物、またはEDTA二ナトリウムとEDTA二ナトリウム二水和物の組合せを含む、請求項40または41に記載の医薬組成物。
【請求項43】
トレハロースがトレハロース二水和物である、請求項40から42のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項44】
抗酸化物質を含まない、請求項1から43のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項45】
抗酸化物質が、L−メチオニン、またはその薬学的に許容される塩である、請求項44に記載の医薬組成物。
【請求項46】
メチオニンを含まない、請求項1から43のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項47】
アルギニンを含まない、請求項1から22または27から46のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項48】
疾患を処置する方法であって、請求項1から47のいずれか一項に記載の医薬組成物の有効量を、そのような疾患を有する対象に投与するステップを含む方法。
【請求項49】
医薬組成物が150mg/mLの抗PD−1抗体を含む、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
がんの処置を必要とする対象におけるがんを処置する方法であって、(1)請求項1から47のいずれか一項に記載の医薬組成物の有効量、および(2)がんの細胞に対する免疫応答を誘発することができるワクチンの有効量を対象に投与するステップを含む方法。
【請求項51】
がんの処置のために対象に投与されたワクチンの免疫原性または治療効果を増強する方法であって、請求項1から47のいずれか一項に記載の医薬組成物の有効量を、ワクチンを受けた対象に投与するステップを含む方法。
【請求項52】
医薬組成物が、単回の2mLの皮下注射として投与される、請求項48から51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
医薬組成物が、3週間に1回投与される、請求項48から52のいずれか一項に記載の方法。
【請求項54】
医薬組成物が、4週間に1回投与される、請求項48から52のいずれか一項に記載の方法。
【請求項55】
医薬組成物が、300mgの用量で皮下に投与される、請求項48から54のいずれか一項に記載の方法。
【請求項56】
対象が、クリゾチニブ、パルボシクリブ、タラゾパリブ、抗CTLA4抗体、抗4−1BB抗体、抗OX40抗体、第2のPD−1抗体、CD40アゴニスト、TLRアゴニスト、CAR−T細胞、および化学療法剤からなる群から選択される少なくとも1種の他の治療剤を投与される、請求項48から55のいずれか一項に記載の方法。
【請求項57】
疾患ががんである、請求項48から56のいずれか一項に記載の方法。
【請求項58】
がんが、胃がん、肉腫、リンパ腫、ホジキンリンパ腫、白血病、頭頸部がん、頭頸部扁平上皮がん、胸腺がん、上皮がん、唾液腺がん、肝がん、胃がん、甲状腺がん、肺がん、卵巣がん、乳がん、前立腺がん、食道がん、膵がん、神経膠腫、白血病、多発性骨髄腫、腎細胞癌、膀胱がん、子宮頸がん、絨毛腫、結腸がん、口腔がん、皮膚がん、および黒色腫からなる群から選択される、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
対象におけるがんを処置するための医薬を製造するための、請求項1から47のいずれか一項に記載の医薬組成物の使用。
【請求項60】
医薬の投与パターンが、8週間に1回の医薬の用量の投与を含む、対象におけるがんを処置するための医薬を製造するための、請求項1から47のいずれか一項に記載の医薬組成物の使用。
【請求項61】
用量の体積が、約2.5ml以下、2.0ml以下、1.5ml以下、または1.0ml以下である、請求項60に記載の使用。
【請求項62】
用量の投与が皮下である、請求項59から61のいずれか一項に記載の使用。
【請求項63】
対象がヒトである、請求項59から62のいずれか一項に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は抗体の医薬製剤の分野に関する。具体的には、本発明は、抗PD−1抗体製剤ならびにその医薬調製物および使用に関する。
【背景技術】
【0002】
抗体治療剤は典型的に、定期的に投与され、一般に、注射による数mg/kgの投与を含む。非経口送達は治療用抗体のための一般的な投与経路である。各用量の体積を最小限にするために、非経口投与では比較的高濃度の抗体製剤が望ましい。
【0003】
高濃度のタンパク質製剤の開発は、タンパク質の物理的および化学的安定性、タンパク質製剤の製造、保存、および送達に関する問題に起因して困難であり得る。抗体製剤の粘度の増加は、薬物製造から患者への薬物送達までに問題を引き起こす可能性がある。高濃度の水性タンパク質含有製剤に対する粘度低下剤の効果を研究するために、様々な試みがなされてきた。
【0004】
抗PD−1抗体は、1型がんを含む過剰増殖性障害の処置に有用であることが示されている。がんなどのPD−1によって媒介される状態に罹患している患者の医学的必要性を満たすのに適した粘度を有する抗PD−1抗体の安定で高濃度の抗体調製物が必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
抗PD−1抗体および抗体を含む製剤(formulation)の粘度を低下させることができる賦形剤を含む組成物が提供される。ある特定の製剤が粘度を低下させるのに効果的であることが実証される。有利には、本明細書で提供される組成物は、治療的処置のために使用される薬物製品について100mg/mLを超える濃度を達成するのに適した粘度挙動を実証する。
【0006】
溶液中の高濃度の生物活性抗体を支持し、皮下、静脈内、筋肉内、腹腔内、または皮内注射を含む、非経口投与に適した医薬組成物が本明細書で提供される。組成物は、抗PD−1抗体、二糖、緩衝液、キレート化剤、およびポリソルベートを含む。一部の態様では、組成物のpHは約4.5から5.5の間であり得る。一部の態様では、組成物は好ましくは、約1センチポアズ(cP)から約20cPの間の粘度を有する。一部の態様では、好ましい投与経路は皮下注射である。
【0007】
一部の態様では、組成物は、約100mg/mlから約200mg/mlの間の抗PD−1抗体、二糖、緩衝液、キレート化剤、およびポリソルベートを含み得るか、またはそれらから本質的になり得、約4.5〜約5.5のpHを有する。一部の態様では、組成物は、約150mg/mlの抗PD−1抗体、二糖、緩衝液、キレート化剤、およびポリソルベートから本質的になり得、約5.0のpHを有する。
【0008】
一部の態様では、組成物は抗酸化物質を含まない。一部の態様では、組成物は、例えば、限定されないが、L−メチオニンなどのメチオニン、またはその薬学的に許容される塩を含まない。一部の態様では、組成物はアルギニンを含まない。
【0009】
一部の態様では、組成物は、20℃で約50cP未満、約40cP未満、約30cP未満、または約20cP未満の粘度を有し得る。一部の態様では、組成物は、20℃で約5〜約50cPの粘度を有し得る。一部の態様では、組成物は、20℃で約5〜約40cPの粘度を有し得る。一部の態様では、組成物は、20℃で約5〜約30cPの粘度を有し得る。一部の態様では、組成物は、20℃で約5〜約20cPの粘度を有し得る。一部の態様では、組成物は、20℃で約10〜約20cPの粘度を有し得る。一部の態様では、組成物は、20℃で約14〜約16cPの粘度を有し得る。一部の態様では、組成物は、20℃で約14cPの粘度を有し得る。
【0010】
一部の態様では、ポリソルベートの濃度は約0.01〜約0.3mg/mlであり得る。一部の態様では、ポリソルベートの濃度は約0.2mg/mlである。一部の態様では、ポリソルベートはポリソルベート80である。
【0011】
一部の態様では、二糖はトレハロースであり得る。一部の態様では、トレハロースはトレハロース二水和物である。一部の態様では、トレハロースの濃度は約1mg/ml〜約100mg/mlであり得る。一部の態様では、トレハロースの濃度は約84mg/mlである。他の態様では、トレハロースの濃度は約50mg/mlである。
【0012】
他の態様では、二糖薬剤はスクロースであり得る。一部の態様では、スクロースの濃度は約1mg/ml〜約100mg/mlであり得る。一部の態様では、スクロースの濃度は約50mg/mlである。
【0013】
一部の態様では、緩衝液はヒスチジン緩衝液であり得る。一部の態様では、ヒスチジン緩衝液の濃度は約1.0〜約30mMであり得る。一部の態様では、ヒスチジン緩衝液の濃度は約20mMのヒスチジンである。
【0014】
他の態様では、緩衝液は酢酸塩緩衝液であり得る。一部の態様では、酢酸塩緩衝液の濃度は約1.0〜約30mMであり得る。一部の態様では、酢酸塩緩衝液の濃度は約20mMの酢酸塩である。
【0015】
一部の態様では、キレート化剤は、例えば、限定されないが、EDTA二ナトリウムおよびEDTA二ナトリウム二水和物を含む、EDTAであり得る。一部の態様では、EDTAの濃度は約0.01〜約0.3mg/mLであり得る。一部の態様では、EDTAの濃度は、約0.01mg/mL、約0.05mg/mL、約0.1mg/mL、約0.15mg/mL、約0.2mg/mL、約0.25mg/mL、または約0.3mg/mLであり得る。一部の態様では、EDTAの濃度は、約0.04、約0.045、または約0.05mg/mLである。
【0016】
一部の態様では、抗体濃度は、約100mg/mlから約150mg/mlの間であり得る。一部の態様では、抗体濃度は、約130mg/ml、約135mg/mlおよび約140mg/mlであり得る。一部の態様では、抗体濃度は約150mg/mlである。一部の態様では、抗体濃度は約120mg/mlである。
【0017】
一部の態様では、組成物はアルギニンをさらに含み得る。一部の態様では、アルギニンの濃度は、約25mMから約300mMの間、好ましくは約50mM、約100mM、約150mM、約200mM、または約250mMである。
【0018】
一部の態様では、組成物はプロリンをさらに含み得る。一部の態様では、プロリンの濃度は、約25mMから約300mMの間、好ましくは約100mMまたは約200mMである。
【0019】
一部の態様では、組成物は、約150mg/mlの抗PD−1抗体と、約20mMのヒスチジン緩衝液と、約84mg/mlのトレハロース二水和物と、約0.2mg/mlのPS80と、約0.05mg/mlのEDTAとから本質的になる。一部の態様では、組成物は5.0+/−0.5のpHを有する。
【0020】
一部の態様では、組成物は、約150mg/mlの抗PD−1抗体と、約20mMのヒスチジン緩衝液と、約100mMのアルギニンHClと、約50mg/mlのトレハロース二水和物と、約0.2mg/mlのPS80と、約0.05mg/mlのEDTAとから本質的になる。一部の態様では、組成物は、5.0+/−0.5のpHおよび20℃で約10cP〜約16cPの粘度を有する。一部の態様では、組成物は20℃で約15cPの粘度を有する。
【0021】
一部の態様では、組成物は、約100mg/ml、約110mg/ml、約120mg/ml、約130mg/ml、約140mg/ml、約145mg/ml、約148mg/ml、約149mg/ml、約150mg/ml、約151mg/ml、または約152mg/mlの抗体と、約20mMのヒスチジン緩衝液と、約84mg/mlのトレハロース二水和物と、約0.2mg/mlのPS80と、約0.05mg/mlのEDTAとから本質的になり、組成物はpH5.0+/−0.5である。一部の態様では、組成物は20℃で約10cP〜約16cPの粘度を有する。
【0022】
一部の態様では、組成物は、約100mg/ml、約110mg/ml、約120mg/ml、約130mg/ml、約140mg/ml、約145mg/ml、約148mg/ml、約149mg/ml、約150mg/ml、約151mg/ml、または約152mg/mlの抗PD−1抗体と、約20mMのヒスチジン緩衝液と、約84mg/mlのトレハロースと、約0.2mg/mlのPS80と、約0.05mg/mlのEDTAとから本質的になり、組成物はpH5.0+/−0.5である。
【0023】
一部の態様では、組成物は、約150mg/mlの抗PD−1抗体と、約20mMのヒスチジン緩衝液と、約84mg/mlのトレハロース二水和物と、約0.2mg/mlのPS80と、約0.05mg/mlのEDTAとから本質的になり、組成物はpH5.0+/−0.5である。
【0024】
一部の態様では、抗体は、ヒト抗体、ヒト化抗体、またはキメラ抗体であり得る。一部の態様では、抗体はモノクローナル抗体である。一部の態様では、抗体は、ヒトIgG、IgG、IgG2Δa、IgG、IgG、IgG4Δb、IgG4Δc、IgG S228P、IgG4Δb S228P、およびIgG4Δc S228Pサブクラスのものである。一部の態様では、抗体はIgG4アイソタイプのものであり、安定化されたヒンジ、例えばS228Pを含む。
【0025】
一部の態様では、抗体は、PF−06801591、ニボルマブ、ペンブロリズマブ、セミプリマブ、またはスパルタリズマブであり得る。他の態様では、抗体は、PF−06801591、ニボルマブ、ペンブロリズマブ、セミプリマブ、またはスパルタリズマブの抗原結合部分であり得る。
【0026】
一部の態様では、抗体は、配列番号2に示されるVH配列のVH相補性決定領域1(CDR1)、VH CDR2、およびVH CDR3を含む重鎖可変領域(VH);ならびに/または配列番号3に示されるVL配列のVL CDR1、VL CDR2、およびVL CDR3を含む軽鎖可変領域(VL)を含み得る。一部の態様では、VH CDR1は配列番号4に示されるアミノ酸配列を含み、VH CDR2は配列番号5に示されるアミノ酸配列を含み、VH CDR3は配列番号6に示されるアミノ酸配列を含み、VL CDR1は配列番号7に示されるアミノ酸配列を含み、VL CDR2は配列番号8に示されるアミノ酸配列を含み、VL CDR3は配列番号9に示されるアミノ酸配列を含む。
【0027】
一部の態様では、VH領域は、配列番号2に示されるアミノ酸配列、またはCDR内ではない残基において1つもしくは複数の保存的アミノ酸置換を有するバリアントを含み、および/あるいはVL領域は、配列番号3に示されるアミノ酸配列、またはCDR内ではないアミノ酸において1つもしくは複数のアミノ酸置換を有するそのバリアントを含む。一部の態様では、抗体は、配列番号2に示される重鎖可変領域アミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列、および配列番号3に示される軽鎖可変領域アミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含み得る。一部の態様では、抗体は、配列番号10に示されるアミノ酸配列を含む可変重鎖配列、および配列番号11に示されるアミノ酸配列を含む可変軽鎖配列を含み得る。一部の態様では、抗体は、ATCC受託番号PTA−121183を有する発現ベクターによって産生されるVH領域を含む。一部の態様では、抗体は、ATCC受託番号PTA−121182を有する発現ベクターによって産生されるVL領域を含む。一部の態様では、抗体は、PD−1と特異的に結合し、本明細書に記載される抗体と同じPD−1エピトープと競合および/または結合する抗体である。
【0028】
一部の態様では、組成物は、約150mg/mlのPF−06801591と、約20mMのヒスチジン緩衝液と、約84mg/mlのトレハロース二水和物と、約0.2mg/mlのPS80と、約0.05mg/mlのEDTAとから本質的になり、この組成物はpH5.0+/−0.1であり、メチオニンまたはアルギニンを含有しない。一部の態様では、組成物は、約150mg/mlのニボルマブと、約20mMのヒスチジン緩衝液と、約84mg/mlのトレハロース二水和物と、約0.2mg/mlのPS80と、約0.05mg/mlのEDTAとから本質的になり、この組成物はpH5.0+/−0.1であり、メチオニンまたはアルギニンを含有しない。一部の態様では、組成物は、約150mg/mlのペンブロリズマブと、約20mMのヒスチジン緩衝液と、約84mg/mlのトレハロース二水和物と、約0.2mg/mlのPS80と、約0.05mg/mlのEDTAとから本質的になり、この組成物はpH5.0+/−0.1であり、メチオニンまたはアルギニンを含有しない。
【0029】
一部の態様では、組成物は凍結乾燥されなくてもよい。他の態様では、組成物は凍結乾燥されてもよい。
また、対象における状態を処置する方法であって、本明細書に記載される有効量の医薬組成物を、状態の処置を必要とする対象に投与するステップを含む方法も本明細書で提供される。一部の態様では、状態はがんである。一部の態様では、がんは、胃がん(gastric cancer)、肉腫、リンパ腫、白血病、頭頸部がん、鼻咽頭がん、胸腺がん、上皮がん、上皮性卵巣がん、唾液腺がん、肝がん、胃がん(stomach cancer)、甲状腺がん、肺がん(例えば、限定されないが、非小細胞肺がんを含む)、卵巣がん、卵管がん、乳がん(例えば、限定されないが、トリプルネガティブ乳がんを含む)、前立腺がん、食道がん、膵がん、神経膠腫、白血病、多発性骨髄腫、腎細胞癌、膀胱がん、子宮頸がん、絨毛腫、結腸がん、大腸がん、口腔がん、皮膚がん、腹膜がん、および黒色腫からなる群から選択される。一部の態様では、対象は、局所進行性または転移性黒色腫、頭頸部扁平上皮がん(SCHNC)、卵巣癌、肉腫、または再発性もしくは難治性古典的ホジキンリンパ腫(cHL)を有する以前に処置された成人患者である。一部の態様では、がんは、例えば、白金耐性および/もしくは不応性卵巣がん、白金耐性および/もしくは不応性乳がん、または白金耐性および/もしくは不応性肺がんなどの白金耐性および/もしくは白金不応性がんであり得る。
【0030】
一部の態様では、本明細書で提供される抗PD−1抗体医薬組成物は、約25mgから約1000mgの間、好ましくは約50mg、約100mg、約125mg、約150mg、約200mg、約250mg、約300mg、約350mg、約400mg、約450mg、約500mg、約525mg、約550mg、約600mg、約650mg、約700mg、約750mg、または約800mgの投薬量で投与される。一部の態様では、組成物は、約0.5mg/kgから約15mg/kgの間、好ましくは約0.5mg/kg、約1.0mg/kg、約3.0mg/kg、約5.0mg/kg、または約10mg/kgの投薬量で投与される。一部の態様では、組成物は、7、14、21、または28日に1回投与される。一部の態様では、組成物は皮下に投与される。他の態様では、組成物は静脈内に投与される。一部の態様では、組成物は単一の2ml皮下注射として投与される。一部の態様では、組成物は3週間に1回投与される。一部の態様では、組成物は4週間に1回投与される。一部の態様では、組成物は300mgの用量で皮下に投与される。一部の態様では、組成物は28日に1回、300mgの皮下用量として投与される。
【0031】
また、腫瘍を有する対象における腫瘍成長または進行を阻害する方法であって、有効量の本明細書に記載される医薬組成物を対象に投与するステップを含む方法も本明細書で提供される。
【0032】
また、対象におけるがん細胞の転移を阻害または予防する方法であって、有効量の本明細書に記載される医薬組成物を、がん細胞の転移の阻害または予防を必要とする対象に投与するステップを含む方法も本明細書で提供される。
【0033】
また、PD−1発現腫瘍を有する対象において腫瘍退縮を誘導する方法であって、有効量の本明細書に記載される医薬組成物を対象に投与するステップを含む方法も本明細書で提供される。
【0034】
一部の態様では、本明細書における抗体は対象に非経口的に投与され得る。一部の態様では、対象はヒトである。
一部の態様では、方法は、有効量の少なくとも1種の他の治療剤を投与するステップをさらに含み得る。一部の態様では、治療剤は、例えば、クリゾチニブ、パルボシクリブ、タラゾパリブ、抗CTLA4抗体、抗4−1BB抗体、抗OX40抗体、第2のPD−1抗体、CAR−T細胞、または化学療法剤である。
【0035】
また、がんの処置または腫瘍成長もしくは進行の阻害を必要とする対象におけるがんの処置のための、または腫瘍成長もしくは進行を阻害するための医薬の製造における本明細書に提供される抗PD−1抗体医薬組成物のいずれかの使用も本明細書で提供される。
【0036】
また、がんの処置または腫瘍成長もしくは進行の阻害を必要とする対象におけるがんの処置に使用するための、または腫瘍成長もしくは進行を阻害するための抗PD−1抗体医薬組成物も提供される。一部の態様では、がんは、例えば、限定されないが、胃がん、肉腫、リンパ腫、ホジキンリンパ腫、白血病、頭頸部がん、胸腺がん、上皮がん、唾液腺がん、肝がん、胃がん、甲状腺がん、肺がん(例えば、非小細胞肺癌を含む)、卵巣がん、乳がん、前立腺がん、食道がん、膵がん、神経膠腫、白血病、多発性骨髄腫、腎細胞癌、膀胱がん、子宮頸がん、絨毛腫、結腸がん、口腔がん、皮膚がん、および黒色腫である。
【0037】
また、哺乳動物、特にヒトにおけるがんを処置するためのワクチンの免疫原性または治療効果を増強する方法であって、本開示によって提供される有効量の抗PD−1抗体組成物を、ワクチンを受けている哺乳動物に投与するステップを含む方法も本明細書で提供される。
【0038】
また、哺乳動物、特にヒトにおけるがんを処置する方法であって、(1)がんの細胞に対して免疫応答を誘発することができる有効量のワクチン、および(2)本開示によって提供される有効量の抗PD−1抗体医薬組成物を哺乳動物に投与するステップを含む方法も本明細書で提供される。一部の態様では、組成物は、約125から約300mgの皮下両側用量として投与される。一部の態様では、組成物は300mgの皮下両側用量として投与される。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】異なるpH値での抗PD−1抗体製剤の粘度を比較するグラフを示す。
【図2】様々な濃度のアルギニンHClを有する抗PD−1抗体製剤の粘度を比較するグラフを示す。
【図3】異なるpH値での抗PD−1抗体製剤の粘度を比較するグラフを示す。
【図4】プロリンを有するかまたは有さない、100mMのアルギニンHClを添加した抗PD−1抗体製剤の粘度を比較するグラフを示す。
【図5】抗PD−1抗体製剤7および8の粘度を比較するグラフを示す。
【図6】抗PD−1抗体mAb7におけるグリカン不均一性を示すグラフを示す。
【図7】製剤7における種々の抗PD−1抗体の熱特性を示すグラフを示す。
【発明を実施するための形態】
【0040】
低下した粘度を有する組成物が本明細書に開示される。有利には、組成物は、溶液中で高濃度の生物活性抗体を安定に支持し、皮下、静脈内、筋肉内、腹腔内、または皮内注射を含む非経口投与に適している。
一般的技術
本発明の実施は、別段の指示がない限り、分子生物学(組換え技術を含む)、微生物学、細胞生物学、生化学および免疫学の従来の技術を利用し、これらは当該技術分野の範囲内である。このような技術は、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、第2版(Sambrookら、1989)、Cold Spring Harbor Press;Oligonucleotide Synthesis(M.J.Gait編、1984);Methods in Molecular Biology、Humana Press;Cell Biology:A Laboratory Notebook(J.E.Cellis編、1998)、Academic Press;Animal Cell Culture(R.I.Freshney編、1987);Introduction to Cell and Tissue Culture(J.P.MatherおよびP.E.Roberts、1998)、Plenum Press;Cell and Tissue Culture:Laboratory Procedures(A.Doyle、J.B.Griffiths、およびD.G.Newell編、1993〜1998)、J.WileyおよびSons;Methods in Enzymology(Academic Press,Inc.);Handbook of Experimental Immunology(D.M.WeirおよびC.C.Blackwell編);Gene Transfer Vectors for Mammalian Cells(J.M.MillerおよびM.P.Calos編、1987);Current Protocols in Molecular Biology(F.M.Ausubelら編、1987);PCR:The Polymerase Chain Reaction、(Mullisら編、1994);Current Protocols in Immunology(J.E.Coliganら編、1991);Short Protocols in Molecular Biology(WileyおよびSons、1999);Immunobiology(C.A.JanewayおよびP.Travers、1997);Antibodies(P.Finch、1997);Antibodies:a practical approach(D.Catty.編、IRL Press、1988〜1989);Monoclonal antibodies:a practical approach(P.ShepherdおよびC.Dean編、Oxford University Press、2000);Using antibodies:a laboratory manual(E.HarlowおよびD.Lane(Cold Spring Harbor Laboratory Press、1999);The Antibodies(M.ZanettiおよびJ.D.Capra編、Harwood Academic Publishers、1995)などの文献に十分に説明されている。
定義
以下の用語は、別段の指示がない限り、以下の意味を有すると理解されるべきである:「単離された分子」(ここで、分子は、例えば、ポリペプチド、ポリヌクレオチド、または抗体である)という用語は、その起源または誘導の供給源によって、(1)そのネイティブ状態ではそれに伴っている天然に付随する成分が付随していない、(2)同じ種由来の他の分子を実質的に含まない、(3)異なる種由来の細胞によって発現される、または(4)天然に存在しない、分子である。したがって、化学的に合成されるか、またはそれが天然に由来する細胞とは異なる細胞系において発現される分子は、その天然に付随する成分から「単離される」。分子はまた、当該分野で周知の精製技術を使用する単離によって、天然に付随する成分を実質的に含まないようにされ得る。分子の純度または均一性は、当該分野で周知のいくつかの手段によってアッセイされ得る。例えば、ポリペプチド試料の純度は、当該分野で周知の技術を使用してポリペプチドを可視化するために、ポリアクリルアミドゲル電気泳動およびゲルの染色を使用してアッセイされ得る。特定の目的のために、より高い分解能が、HPLCまたは精製のための当該分野で周知の他の手段を使用することによって提供され得る。
【0041】
本明細書で使用される場合、「製剤」または「組成物」という用語は、それらが抗体に関する場合には、少なくとも1つの等張化剤、少なくとも1つの緩衝液、少なくとも1つのキレート化剤、少なくとも1つの界面活性剤を含む薬学的に許容される賦形剤と組み合わせた抗体であって、定義に従うpHである抗体を記載することを意味する。
【0042】
「医薬組成物」または「医薬製剤」という用語は、活性成分の生物活性が効果的であることを可能にするような形態をとる調製物を指す。
「薬学的に許容される賦形剤」(ビヒクル、添加剤)は、対象に安全に投与して、利用する活性成分の有効用量をもたらすことができる賦形剤である。「賦形剤」または「担体」という用語は、本明細書で使用される場合、薬物のための希釈剤、ビヒクル、保存物質、結合剤または安定化剤として通常使用される不活性な物質を指す。本明細書で使用される場合、「希釈剤」という用語は、薬学的に許容される(ヒトに投与するのに安全かつ無毒性である)溶媒を指し、本明細書における液体製剤を調製するのに有用である。例示的な希釈剤には、限定されないが、滅菌水および注射用静菌水(BWFI)が含まれる。
【0043】
「抗体」は、標的、例えば、炭水化物、ポリヌクレオチド、脂質、ポリペプチドなどに、免疫グロブリン分子の可変領域中に位置する少なくとも1つの抗原認識部位を通して特異的に結合することができる免疫グロブリン分子である。本明細書で使用される場合、この用語は、未変化のポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体のみならずまた、別段の特定がない限り、未変化の抗体と特異的な結合について競合するそれらの任意の抗原結合部分、抗原結合部分を含む融合タンパク質、および抗原認識部位を含む免疫グロブリン分子の任意の他の修飾された構成も包含する。抗原結合部分には、例えば、Fab、Fab’、F(ab’)、Fd、Fv、ドメイン抗体(dAb、例えば、サメおよびラクダ科の抗体)、相補性決定領域(CDR)、単鎖可変断片抗体(scFv)、マキシボディ(maxibody)、ミニボディ(minibody)、イントラボディ(intrabody)、ダイアボディ(diabody)、トリアボディ(triabody)、テトラボディ(tetrabody)、v−NARおよびビス−scFvを含む断片、ならびに特異的な抗原結合をポリペプチドに付与するのに十分である免疫グロブリンの少なくとも一部を含有するポリペプチドが含まれる。抗体には、いずれかのクラス、例えば、IgG、IgAもしくはIgM(またはそれらのサブクラス)の抗体が含まれ、抗体は、いずれかの特定のクラスである必要はない。抗体の重鎖の定常領域の抗体アミノ酸配列に応じて、免疫グロブリンを異なるクラスに帰属させることができる。免疫グロブリンの5つの主要なクラス:IgA、IgD、IgE、IgG、およびIgMがあり、これらのうちのいくつかを、サブクラス(アイソタイプ)、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1およびIgA2にさらに分けることができる。免疫グロブリンの異なるクラスに対応する重鎖定常領域はそれぞれ、アルファ、デルタ、イプシロン、ガンマ、およびミューと呼ばれる。免疫グロブリンの異なるクラスのサブユニット構造および三次元構成は周知である。
【0044】
抗体の「可変領域」とは、単独のまたは組み合わせた、抗体の軽鎖の可変領域または抗体の重鎖の可変領域を指す。当該分野では公知であるが、重鎖および軽鎖の可変領域は各々、超可変領域としてもまた公知である、3つの相補性決定領域(CDR)により接続される4つのフレームワーク領域(FR)からなり、抗体の抗原結合部位の形成に寄与する。特に、CDRの外部(すなわち、フレームワーク領域中)のアミノ酸残基における置換を有する、対象とする可変領域のバリアントを所望する場合、適切なアミノ酸置換、好ましくは、保存的アミノ酸置換を、対象とする可変領域を他の抗体の可変領域と比較することによって同定することができ、この他の抗体の可変領域は、対象とする可変領域と同じ定められたクラスにおけるCDR1およびCDR2配列を含有する(ChothiaおよびLesk、J Mol Biol 196(4):901〜917、1987)。
【0045】
ある特定の態様では、CDRの最終的な描写および抗体の結合部位を含む残基の同定は、抗体の構造を解明することおよび/または抗体−リガンドの複合体の構造を解明することによって達成される。ある特定の態様では、それは、当業者に公知である多様な技術のいずれか、例えば、X線結晶構造解析によって達成され得る。ある特定の態様では、種々の解析方法を利用して、CDR領域を同定するか、または見積もることができる。ある特定の態様では、種々の解析方法を利用して、CDR領域を同定するか、または見積もることができる。そのような方法の例には、限定されないが、Kabatの定義、Chothiaの定義、AbMの定義、接触の定義、および立体構造による定義が含まれる。
【0046】
Kabatの定義は、抗体中の残基の番号付けを行うための標準であり、典型的には、CDR領域を同定するために使用される。例えば、JohnsonおよびWu、2000、Nucleic Acids Res.、28:214〜8を参照のこと。Chothiaの定義は、Kabatの定義に類似するが、Chothiaの定義は、ある特定の構造のループの領域の位置を考慮に入れる。例えば、Chothiaら、1986、J.Mol.Biol.、196:901〜17;Chothiaら、1989、Nature、342:877〜83を参照のこと。AbMの定義は、抗体の構造をモデル化する、Oxford Molecular Groupにより作成されたコンピュータプログラムの統合パッケージソフトを使用する。例えば、Martinら、1989、Proc Natl Acad Sci(USA)、86:9268〜9272;「AbMTM,A Computer Program for Modeling Variable Regions of Antibodies」、Oxford、UK;Oxford Molecular,Ltd.を参照のこと。AbMの定義は、知識データベースとab initio法との組合せ、例えば、Samudralaら、1999、「Ab Initio Protein Structure Prediction Using a Combined Hierarchical Approach」、PROTEINS,Structure,Function and Genetics Suppl.、3:194〜198により記載されているものを使用して、一次配列から抗体の三次構造をモデル化する。接触の定義は、入手可能な複合体の結晶構造の解析に基づく。例えば、MacCallumら、1996、J.Mol.Biol.、5:732〜45を参照のこと。別のアプローチでは、本明細書ではCDRの「立体構造による定義」と称するが、CDRの位置は、抗原結合にエンタルピーの点で寄与する残基として同定され得る。例えば、Makabeら、2008、Journal of Biological Chemistry、283:1156〜1166を参照のこと。さらなる他のCDR境界の定義は、上記のアプローチのいずれにも厳格には従わなくてよいが、にもかかわらず、KabatのCDRの少なくとも一部と重複するが、特定の残基または一連の残基が抗原結合に顕著には影響しないという予測的または実験的知見に照らして、CDRを短縮させるか、または伸ばすことができる。本明細書で使用される場合、CDRは、アプローチの組合せを含む、当該分野で公知の任意のアプローチによって定義されるCDRを指すことができる。本明細書で使用される方法は、これらのアプローチのいずれかの定義されたCDRを利用することができる。1つより多いCDRを含有する所与の態様の場合はいずれも、CDRは、Kabatの定義、Chothiaの定義、拡張された定義、AbMの定義、接触の定義、および/または立体構造による定義のいずれかに従って定義され得る。
【0047】
当該分野では公知であるが、抗体の「定常領域」とは、単独のまたは組み合わせた、抗体の軽鎖の定常領域または抗体の重鎖の定常領域を指す。
本明細書で使用される場合、「モノクローナル抗体」とは、実質的に均一な抗体の集団から得られる抗体を指し、すなわち、集団を構成する個々の抗体が、微量で存在し得る天然に存在する可能性がある突然変異を除き同一である。モノクローナル抗体は、極めて特異的であり、単一の抗原部位に対して作られている。さらに、ポリクローナル抗体の調製物は典型的には、異なる決定基(エピトープ)に対して作られた異なる抗体を含むが、それらとは対照的に、各モノクローナル抗体は、抗原上の単一の決定基に対して作られる。修飾語「モノクローナル」は、実質的に均一な抗体集団から得られるという抗体の特徴を意味し、いずれかの特定の方法により抗体を産生する必要があると解釈してはならない。例えば、本発明に従って使用されるモノクローナル抗体は、KohlerおよびMilstein、1975、Nature 256:495により最初に記載されたハイブリドーマ法によって作製され得るか、または組換えDNA法、例えば、米国特許第4,816,567号に記載されている方法によって作製され得る。モノクローナル抗体はまた、例えば、McCaffertyら、1990、Nature 348:552〜554に記載されている技術を使用して生成されるファージライブラリーから単離され得る。本明細書で使用される場合、「ヒト化」抗体とは、非ヒト免疫グロブリンに由来する最小の配列を含有する、キメラの免疫グロブリン、免疫グロブリン鎖またはそれらの断片(例えば、Fv、Fab、Fab’、F(ab’)2、または抗体の他の抗原結合サブ配列)である非ヒト(例えば、ネズミ)抗体の形態を指す。好ましくは、ヒト化抗体は、ヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)であり、ここで、レシピエントのCDRに由来する残基が、所望の特異性、親和性および能力を有する非ヒトの種(ドナー抗体)、例えば、マウス、ラットまたはウサギのCDRに由来する残基により置き換えられている。ヒト化抗体は、レシピエント抗体中にも、移入したCDRまたはフレームワーク配列中にも存在しないが、抗体の性能をさらに精緻化および最適化するために含める残基を含むことができる。
【0048】
「ヒト抗体」は、ヒトが産生する抗体および/または本明細書で開示されるヒト抗体を作製するための技術のいずれかを使用して作製された抗体のアミノ酸配列に対応するアミノ酸配列を保有する抗体である。ヒト抗体のこの定義は、非ヒト抗原結合残基を含むヒト化抗体を明確に除外する。
【0049】
本明細書で使用される場合、「ヒト抗体」という用語は、ヒト生殖系列免疫グロブリン配列に由来する可変領域および定常領域を有する抗体を含むことを意図する。ヒト抗体のこの定義は、少なくとも1つのヒト重鎖ポリペプチドまたは少なくとも1つのヒト軽鎖ポリペプチドを含む抗体を含む。本発明のヒト抗体は、例えば、CDR、特に、CDR3中に、ヒト生殖系列免疫グロブリン配列によりコードされないアミノ酸残基(例えば、in vitroでのランダムもしくは部位特異的突然変異誘発またはin vivoでの体細胞突然変異により導入される突然変異)を含むことができる。しかしながら、「ヒト抗体」という用語は、本明細書で使用される場合、別の哺乳動物種、例えば、マウスの生殖系列に由来するCDR配列が、ヒトのフレームワーク配列上にグラフトされている抗体を含む意図はない。
【0050】
「キメラ抗体」という用語は、可変領域配列が1つの種に由来し、定常領域配列が別の種に由来する抗体、例えば、可変領域配列がマウス抗体に由来し、定常領域配列がヒト抗体に由来する抗体を指すことを意図する。
【0051】
本明細書で使用される場合、「ヒト化」抗体とは、非ヒト免疫グロブリンに由来する最小の配列を含有する、キメラの免疫グロブリン、免疫グロブリン鎖またはそれらの断片(例えば、Fv、Fab、Fab’、F(ab’)、または抗体の他の抗原結合サブ配列)である非ヒト(例えば、ネズミ)抗体の形態を指す。好ましくは、ヒト化抗体は、ヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)であり、その中で、レシピエントの相補性決定領域(CDR)に由来する残基が、所望の特異性、親和性および能力を有する非ヒトの種(ドナー抗体)、例えば、マウス、ラットまたはウサギのCDRに由来する残基により置き換えられている。一部の場合では、ヒト免疫グロブリンのFvフレームワーク領域(FR)の残基が、対応する非ヒト残基により置き換えられている。さらに、ヒト化抗体は、レシピエント抗体中にも、移入したCDRまたはフレームワーク配列中にも存在しないが、抗体の性能をさらに精緻化および最適化するために含める残基を含むことができる。一般に、ヒト化抗体は、実質的に全て、または少なくとも1つ、典型的には2つの可変ドメインを含み、ここで、全てまたは実質的に全てのCDR領域が、非ヒト免疫グロブリンのCDR領域に対応し、全てまたは実質的に全てのFR領域が、ヒト免疫グロブリンのコンセンサス配列のFR領域である。また最適には、ヒト化抗体は、免疫グロブリンの定常領域またはドメイン(Fc)、典型的には、ヒト免疫グロブリンの定常領域またはドメイン(Fc)の少なくとも一部も含む。ヒト化抗体の他の形態は、元の抗体に比して変化させた1つまたは複数のCDR(CDR L1、CDR L2、CDR L3、CDR H1、CDR H2、またはCDR H3)を有し、またこれらは、元の抗体からの1つまたは複数のCDR「に由来する」1つまたは複数のCDRとも呼ばれる。
【0052】
本明細書で使用される場合、「mAb7」という用語は、それぞれ配列番号2および配列番号3に示される重鎖および軽鎖可変領域のアミノ酸配列を含む抗PD−1抗体を指すために使用される。
mAb7重鎖可変領域アミノ酸配列:
QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYTFTSYWINWVRQAPGQGLEWMGNIYPGSSLTNYNEKFKNRVTMTRDTSTSTVYMELSSLRSEDTAVYYCARLSTGTFAYWGQGTLVTVSS(配列番号2)
mAb7軽鎖可変領域アミノ酸配列:
DIVMTQSPDSLAVSLGERATINCKSSQSLWDSGNQKNFLTWYQQKPGQPPKLLIYWTSYRESGVPDRFSGSGSGTDFTLTISSLQAEDVAVYYCQNDYFYPHTFGGGTKVEIK(配列番号3)
mAb7の生成および特徴付けはWO2016/092419の実施例に記載されており、その全体の内容は参照により本明細書に組み込まれる。一部の態様では、「mAb7」という用語は、(a)ATCC番号PTA−121182の寄託番号を有するmAb7軽鎖可変領域をコードするポリヌクレオチド、および(b)ATCC番号PTA−121183の寄託番号を有するmAb7重鎖可変領域をコードするポリヌクレオチドによってコードされる免疫グロブリンを指す。
【0053】
「エピトープ」という用語は、抗体が認識し、抗体の抗原結合領域の1つまたは複数において抗体が結合することができる分子の部分を指す。エピトープはしばしば、アミノ酸または糖側鎖などの表面の一連の分子からなり、特異的な三次元構造の特徴および特異的な電荷の特徴を有する。一部の態様では、エピトープは、タンパク質エピトープであり得る。タンパク質エピトープは、直線であり得るか、または立体構造であり得る。直線的なエピトープでは、タンパク質と、相互作用する分子(例えば抗体)との間の相互作用の点の全てが、タンパク質の一次アミノ酸配列に沿って直線的に存在する。「非直線的なエピトープ」または「立体構造的なエピトープ」は、エピトープに特異的な抗体が結合する抗原性タンパク質内に、近接しないポリペプチド(またはアミノ酸)を含む。「抗原性エピトープ」という用語は、本明細書で使用される場合、当該分野で周知である任意の方法、例えば、従来のイムノアッセイによって決定する場合に、抗体が特異的に結合することができる抗原の一部として定義される。抗原上の所望のエピトープが決定されると、そのエピトープに対する抗体を、例えば、本明細書に記載される技術を使用して生成することが可能になる。あるいは、発見プロセスの間に、抗体の生成および特徴付けにより、望ましいエピトープについての情報も解明され得る。次いで、この情報から、抗体を同じエピトープに対する結合について競合的にスクリーニングすることが可能になる。これを達成するためのアプローチでは、競合および交差競合研究を実施して、PD−1に対する結合について相互に競合または交差競合する抗体、例えば、抗原に対する結合について競合する抗体を見出す。
【0054】
本明細書で使用される場合、「単離された抗体」または「精製された抗体」という用語は、その起源または誘導の供給源によって、以下:(1)そのネイティブ状態ではそれに伴っている天然に付随する成分が付随していないこと、(2)同じ種由来の他のタンパク質を含まないこと、(3)異なる種由来の細胞によって発現されること、または(4)天然に存在しないことの1から4つを有する抗体を指す。
【0055】
試料の少なくとも約60から75%が単一の種の抗体を示す場合、抗体は、「実質的に純粋である」、「実質的に均一である」または「実質的に精製されている」。実質的に純粋な抗体は、典型的には約50%、60%、70%、80%または90%w/wの抗体試料を含むことができ、より一般的には約95%、好ましくは99%超純粋である。抗体の純度または均一性は、当該分野で周知であるいくつかの手段、例えば、ポリアクリルアミドゲル電気泳動またはHPLCによって試験され得る。
【0056】
「抗体」という用語は、標的に結合し、その標的の生物学的効果を阻止または低下させる抗体を指す。一部の態様では、この用語は、標的、例えば、PD−1に結合すると、その標的が生物学的に機能するのを阻止する抗体を意味することができる。
【0057】
エピトープに「選択的に結合する」または「特異的に結合する」(本明細書では交換可能に使用される)抗体は、当該分野で十分に理解されている用語であり、そのような特異的または選択的な結合を決定するための方法もまた、当該分野で周知である。分子が、特定の細胞または物質と、それに代わる細胞または物質と比して、より頻繁に、より迅速に、より長い持続期間で、および/またはより高い親和性で反応または会合する場合、この分子は「特異的な結合」または「選択的な結合」を示すといわれる。抗体が標的に、他の物質に結合するのに比して、より高い親和性、アビディティーで、より容易に、および/またはより長い持続期間で結合する場合、抗体は標的に「特異的に結合する」または「選択的に結合する」。例えば、PD−1のエピトープに特異的または選択的に結合する抗体は、このエピトープ配列に、他の配列に結合するのに比して、より高い親和性、アビディティーで、より容易に、および/またはより長い持続期間で結合する抗体である。また、この定義を読み取ることによって、例えば、第1の標的に特異的または選択的に結合する抗体(または部分もしくはエピトープ)は、第2の標的に特異的または選択的に結合する場合があるか、または結合しない場合があることも理解される。したがって、「特異的な結合」または「選択的な結合」は必ずしも排他的な結合である必要はない(しかし、それを含んでもよい)。必ずではないが、一般に、結合についての言及は選択的な結合を意味する。
【0058】
本明細書で使用される場合、抗体の「免疫特異的」結合とは、抗体の抗原につながる部位と、その抗体が認識する特異的な抗原との間で生じる、抗原に特異的な結合の相互作用を指す(すなわち、抗体は、ELISAまたは他のイムノアッセイ中でタンパク質と反応し、関連のないタンパク質とは検出可能に反応しない)。
【0059】
「競合」という用語は、抗体に関して本明細書で使用される場合、第1の抗体またはその抗原結合部分が、エピトープに、第2の抗体またはその抗原結合部分が結合するのと十分に類似する様式で結合し、したがって、第1の抗体のその同種のエピトープとの結合の結果が、第2の抗体の存在下では、第2の抗体の非存在下での第1の抗体の結合と比較して検出可能に減少することを意味する。代わって、第2の抗体のそのエピトープに対する結合もまた、第1の抗体の存在下で検出可能に減少する場合もあるが、必ずしもそうである必要はない。すなわち、第1の抗体が、第2の抗体のそのエピトープに対する結合を阻害することができ、第2の抗体は、第1の抗体のその個別のエピトープに対する結合を阻害しない。しかしながら、各抗体が、他の抗体のその同種のエピトープまたはリガンドとの結合を検出可能に阻害する場合、阻害の程度が、同じ、より高いまたはより低いのいずれであっても、抗体はそれらの個別のエピトープの結合について相互に「交差競合する」といわれる。競合および交差競合する抗体の両方が本発明によって包含される。そのような競合または交差競合が生じる機構(例えば、立体障害、立体構造変化、または共通のエピトープもしくはその一部に対する結合)にかかわらず、当業者であれば、本明細書に提供される教示に基づいて、そのような競合および/または交差競合する抗体が包含され、本明細書に開示される方法にとって有用であり得ることを理解する。
【0060】
本明細書で使用される場合、「PD−1」という用語は、PD−1およびPD−1の活性の少なくとも一部を保持するそのバリアントの任意の形態を指す。ヒトPD−1であることが具体的に言及されるなどの別段の記載がない限り、PD−1は、全ての哺乳動物種、例えば、ヒト、イヌ、ネコ、ウマおよびウシのネイティブ配列PD−1を含む。1つの例示的なヒトPD−1は、Uniprot受託番号Q15116(配列番号1)として見出される。
【0061】
【化1】
【0062】
本明細書で使用される場合、「抗PD−1抗体」とは、PD−1によって媒介されるPD−1生物活性および/または下流の事象を阻害することができる抗体を指す。抗PD−1抗体は、PD−1生物活性を(顕著を含む、任意の程度まで)遮断し、拮抗し、抑制し、または低下させる抗体を包含し、PD−1生物活性には、PD−1によって媒介される下流の事象、このようなPD−L1の結合および下流のシグナル伝達、PD−L2の結合および下流のシグナル伝達、T細胞増殖の阻害、T細胞活性化の阻害、IFN分泌の阻害、IL−2分泌の阻害、TNF分泌の阻害、IL−10の誘導、および抗腫瘍免疫応答の阻害が含まれる。本発明の目的では、「抗PD−1抗体」(「PD−1抗体」と交換可能に呼ばれる)という用語は、全ての以前に同定されている用語、称号、ならびにPD−1自体、PD−1生物活性、または生物活性の結果を、任意の意味のある程度に実質的に、無効にし、減少させ、または中和する、機能的状態および特徴を包含することが明確に理解される。一部の態様では、抗PD−1抗体はPD−1に結合し、抗腫瘍免疫応答を上方制御する。抗PD−1抗体の例は本明細書で提供される。
【0063】
「同一性」という用語は、2つのアミノ酸配列または2つの核酸配列の「同一性」パーセントを指す。同一性パーセントは一般に、配列を最適に比較する目的で整列させ(例えば、ギャップを第1の配列中に導入して、第2の配列との最良のアラインメントを得ることができる)、対応する位置のアミノ酸残基またはヌクレオチドを比較することによって決定される。「最良のアラインメント」は、最も高い同一性パーセントをもたらす2つの配列のアラインメントである。同一性パーセントは、配列内の同一のアミノ酸残基またはヌクレオチドの数を比較することによって決定される(すなわち、同一性%=同一の位置の数/位置の総数×100)。
【0064】
2つの配列間の同一性パーセントの決定は、当業者に公知である数学的アルゴリズムを使用して達成され得る。2つの配列を比較するための数学的アルゴリズムの例は、KarlinおよびAltschul(1990)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:2264〜2268のアルゴリズムであり、KarlinおよびAltschul(1993)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:5873〜5877のように改変されている。Altschulら(1990)J.Mol.Biol.215:403〜410のNBLASTおよびXBLASTプログラムは、そのようなアルゴリズムを組み込んでいる。BLASTヌクレオチド検索を、NBLASTプログラム、スコア=100、ワード長=12を用いて実施して、本発明の核酸分子に相同なヌクレオチド配列を得ることができる。BLASTタンパク質検索を、XBLASTプログラム、スコア=50、ワード長=3を用いて実施して、本発明のタンパク質分子に相同なアミノ酸配列を得ることができる。比較する目的でギャップを有するアラインメントを得るためには、Altschulら(1997)Nucliec Acids Res.25:3389〜3402に記載されているように、Gapped BLASTを利用することができる。あるいは、PSI−Blastを使用して、分子間の遠い関係を検出する反復検索を実施することもできる(同上)。BLAST、Gapped BLAST、およびPSI−Blastプログラムを利用する場合、それぞれのプログラムのデフォルトパラメータ(例えば、XBLASTおよびNBLAST)を使用することができる。http://www.ncbi.nlm.nih.govを参照のこと。配列を比較するために利用される数学的アルゴリズムの別の例は、MyersおよびMiller、CABIOS(1989)のアルゴリズムである。GCG配列アラインメントソフトウェアパッケージの一部であるALIGNプログラム(バージョン2.0)には、そのようなアルゴリズムが組み込まれている。当該分野で公知である、配列解析のための他のアルゴリズムには、TorellisおよびRobotti(1994)Comput.Appl.Biosci.、10:3〜5に記載されているADVANCEおよびADAM;ならびにPearsonおよびLipman(1988)Proc.Natl.Acad.Sci.85:2444〜8に記載されているFASTAが含まれる。FASTA内では、ktupが、検索の感度および速度を設定する制御オプションである。
【0065】
本明細書で使用される場合、「処置」は、有益なまたは所望の臨床結果を得るためのアプローチである。本発明の目的のために、有益なまたは所望の臨床結果には、以下のうちの1つまたは複数が含まれるがこれらに限定されない:新生物性もしくはがん性細胞の増殖を低減させること(または新生物性もしくはがん性細胞を破壊すること)、新生物性細胞の転移を阻害すること、腫瘍のサイズを収縮もしくは減少させること、がんの寛解、がんから生じる症状を減少させること、がんに罹患している人の生活の質を増加させること、がんを処置するために必要とされる他の薬物療法の用量を減少させること、がんの進行を遅延させること、がんを治癒すること、および/またはがんを有する患者の生存を延長させること。
【0066】
本明細書で使用される場合、薬物、化合物または医薬組成物の「有効投薬量」または「有効量」は、任意の1つまたは複数の有益なまたは所望の結果をもたらすのに十分な量である。より具体的な側面では、有効量は、処置されている対象の疾患の症状を予防、軽減もしくは改善する、および/または処置されている対象の生存を延長する。予防的用途について、有益なまたは所望の結果には、疾患の発達の間に存在する、疾患、その合併症および中間の病理学的表現型の生化学的、組織学的および/または挙動的症状を含む、疾患のリスクを排除もしくは低減させること、疾患の重症度を軽減すること、または疾患の発症を遅延させることが含まれる。治療的用途について、有益なまたは所望の結果には、例えば、限定されないが、胃がん、肉腫、リンパ腫、ホジキンリンパ腫、白血病、頭頸部がん、頭頸部扁平上皮がん、胸腺がん、上皮がん、唾液腺がん、肝がん、胃がん、甲状腺がん、肺がん、卵巣がん、乳がん、前立腺がん、食道がん、膵がん、神経膠腫、白血病、多発性骨髄腫、腎細胞癌、膀胱がん、子宮頸がん、絨毛腫、結腸がん、口腔がん、皮膚がん、および黒色腫を含む、例えば、がんなどの疾患の1つまたは複数の症状を低減させること、疾患を処置するために必要とされる他の薬物療法の用量を減少させること、別の薬物療法の効果を増強すること、ならびに/または患者におけるがんの進行を遅延させることなどの臨床結果が含まれる。有効投薬量は、1回または複数の投与で投与され得る。本発明の目的のために、薬物、化合物または医薬組成物の有効投薬量は、直接的または間接的のいずれかで予防的処置または治療的処置を達成するのに十分な量である。臨床的文脈において理解されるように、薬物、化合物または医薬組成物の有効投薬量は、別の薬物、化合物または医薬組成物と併せて達成されてもされなくてもよい。したがって、「有効投薬量」は、1つまたは複数の治療剤を投与するという観点から検討され得、単一の薬剤は、1つまたは複数の他の薬剤と併せて、望ましい結果が達成され得るかまたは達成される場合、有効量で与えられたとみなされ得る。
【0067】
本明細書で使用される場合、処置の目的では、「対象」という用語は、任意の対象を含み、好ましくは、標的とする病的状態、例えば、自己免疫疾患の処置を必要とする対象である。予防の目的では、対象は、任意の対象であり、好ましくは、標的とする病的状態を発症するリスクがあるか、または素因がある対象である。「対象」という用語は、生きている生物、例えば、原核生物および真核生物を含むことを意図する。対象の例には、哺乳動物、例えば、ヒト、イヌ、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ネコ、マウス、ウサギ、ラット、およびトランスジェニック非ヒト動物が含まれる。本発明の特定の態様では、対象はヒトである。
【0068】
本明細書で使用される場合、「ポリヌクレオチド」または「核酸」という用語は、本明細書では交換可能に使用され、リボヌクレオチドもしくはデオキシヌクレオチドのいずれかのヌクレオチドのポリマーの形態、またはいずれかのタイプのヌクレオチドの修飾形態を意味し、一本鎖および二本鎖の形態であり得る。「ポリヌクレオチド」または「核酸」の配列は、別段の特定がない限り、その相補体を包含する。本明細書で使用される場合、「単離されたポリヌクレオチド」または「単離された核酸」という用語は、ゲノム、cDNAもしくは合成起源またはそれらの何らかの組合せのポリヌクレオチドを意味し、その起源または誘導の供給源によって、単離されたポリヌクレオチドは、以下:(1)天然において「単離されたポリヌクレオチド」と共に見出されるポリヌクレオチドの全てまたは一部が付随しないこと、(2)「単離されたポリヌクレオチド」が天然において連結していないポリヌクレオチドに作動可能に連結していること、または(3)より大きな配列の一部として天然に存在しないことの1から3つを示す。
【0069】
本明細書で使用される場合、「キレート化剤」という用語は、金属イオンに対して少なくとも1つの結合(例えば、共有結合性、イオン性またはその他)を形成することができる賦形剤である。キレート化剤は典型的には、組成物中で安定化剤として使用して、錯体非形成時には不安定性を促す場合がある種と錯体を形成させることができる多座配位性の配位子である。
【0070】
本明細書で使用される場合、「緩衝液」という用語は、典型的にはその酸−塩基共役成分の作用により、液体の抗体製剤がpHの変化に抵抗するのを可能にする添加組成を指す。緩衝液の濃度を指す場合、言及される濃度は緩衝液の遊離酸または遊離塩基の形態のモル濃度を表すことを意図する。
【0071】
「粘度」は、本明細書で使用される場合、「絶対粘度」であっても、または「動粘度」であってもよい。「絶対粘度」は、時には動的な粘度ともまたは単に粘度とも呼ばれ、流体の流動に対する抵抗性を記載する分量である。「動粘度」は、絶対粘度と流体の密度との指数である。動粘度は、流体の抵抗性の流動を、毛細管粘度計を使用して特徴付ける場合に報告されることが多い。等しい体積の2つの流体を、同一の毛細管粘度計中に入れ、重力により流動させる場合、粘性の流体は、粘性が低い流体よりも、毛細血管を通って流動するのに長い時間がかかる。流動を完了するのに、1つの流体では200秒かかり、別の流体では400秒かかる場合、動粘度スケール上では、第2の流体の粘度は、第1の流体の2倍である。両方の流体が等しい密度を有する場合、絶対粘度スケール上では、第2の流体の粘度は、第1の流体の2倍である。動粘度のディメンションはL/Tであり、ここでLは長さを表し、Tは時間を表す。動粘度のSI単位はm/秒である。一般に、動粘度はセンチストーク、cStで表し、これはmm/秒に相当する。絶対粘度のディメンションはM/L/Tであり、ここでMは質量を表し、LおよびTはそれぞれ長さおよび時間を表す。絶対粘度のSI単位はPa・秒であり、これはkg/m/秒に相当する。一般に、絶対粘度はセンチポアズ、cPの単位で表し、これはミリパスカル−秒、mPa・秒に相当する。
【0072】
本明細書で使用される場合、「等張化剤」または「浸透圧調節剤(tonicifier)」という用語は、液体の抗体製剤の浸透圧を加減することができる賦形剤を指す。ある特定の態様では、等張化剤は、液体の抗体製剤の浸透圧を加減して、等張になすことができ、したがって、抗体製剤は、対象の身体組織の細胞に生理学的に適合する。さらなる他の態様では、「等張化剤」は、本明細書に記載される抗体の安定性の改善に寄与することができる。「等張」な製剤は、ヒト血液と本質的に同じ浸透圧を有する製剤である。等張な製剤は一般に、約250から350mOsmの浸透圧を有する。「低張」という用語は、製剤がヒト血液の浸透圧を下回る浸透圧を有することを記載する。それに対応して、「高張」という用語は、製剤がヒト血液の浸透圧を上回る浸透圧を有することを記載するために使用される。等張性は、例えば、蒸気圧型または氷点降下型の浸透圧計を使用して測定され得る。等張化剤は、鏡像異性体(例えば、L−もしくはD−鏡像異性体)またはラセミ体の形態;アルファ、アルファ;またはベータ、ベータ;またはアルファ、ベータ;またはベータ、アルファを含む、アルファまたはベータなどの異性体;遊離酸または遊離塩基の形態;水和形態(例えば、一水和物)、または無水形態であり得る。
【0073】
本明細書で使用される場合、「ポリオール」という用語は、複数のヒドロキシル基を有する賦形剤を指し、糖(還元糖および非還元糖)、糖アルコールおよび糖酸を含む。
本明細書で使用される場合、「界面活性剤」という用語は、液体の抗体製剤の表面張力を変化させることができる賦形剤を指す。ある特定の態様では、界面活性剤は、液体の抗体製剤の表面張力を低下させる。さらなる他の態様では、「界面活性剤」は、製剤中のいかなる抗体の安定性の改善にも寄与することができる。界面活性剤は、製剤化した抗体の凝集を低下させることおよび/もしくは製剤中の粒子の形成を最小限に留めることができ、ならびに/または吸着を低下させる。界面活性剤はまた、凍結/解凍のサイクルの間および後の抗体の安定性を改善させることもできる。
【0074】
本明細書で使用される場合、「サッカライド」という用語は、多価アルコールの誘導体である分子のクラスを指す。サッカライドは、一般に炭水化物と称され、異なる量の糖(サッカライド)単位、例えば、単糖、二糖および多糖を含有することができる。
【0075】
本明細書で使用される場合、「還元糖」という用語は、金属イオンを還元することまたはタンパク質中のリジンおよび他のアミノ基と共有結合性に反応することができるヘミアセタール基を含有する糖であり、「非還元糖」は、還元糖のこれらの性質を有しない糖である。
【0076】
「リオプロテクタント」は、目的のタンパク質と組み合わせた場合、凍結乾燥および続く保存の際に、タンパク質が物理化学的に不安定になるのを顕著に阻止するか、または低下させる分子である。例示的なリオプロテクタントには、糖およびそれらに対応する糖アルコール;アミノ酸、例えば、グルタミン酸一ナトリウムまたはヒスチジン;メチルアミン、例えば、ベタイン;リオトロピックな塩、例えば、硫酸マグネシウム;ポリオール、例えば、三価のアルコールまたはより高い分子量の糖アルコール、例えば、グリセリン、デキストラン、エリスリトール、グリセロール、アラビトール、キシリトール、ソルビトールおよびマンニトール;プロピレングリコール;ポリエチレングリコール;プルロニック(登録商標);ならびにそれらの組合せが含まれる。さらなる例示的なリオプロテクタントには、グリセリンおよびゼラチン、ならびに糖であるメリビオース(mellibiose)、メレジトース、ラフィノース、マンノトリオースおよびスタキオースが含まれる。還元糖の例には、グルコース、マルトース、ラクトース、マルツロース、イソ−マルツロースおよびラクツロースが含まれる。非還元糖の例には、糖アルコールおよび他の直鎖ポリアルコールから選択されるポリヒドロキシ化合物の非還元性のグリコシドが含まれる。好ましい糖アルコールは、モノグリコシド、とりわけ、二糖、例えば、ラクトース、マルトース、ラクツロースおよびマルツロースを還元することによって得られる化合物である。グリコシド側基は、グルコシド性(glucosidic)またはガラクトシド性のいずれであってもよい。糖アルコールのさらなる例は、グルシトール、マルチトール、ラクチトールおよびイソ−マルツロースである。好ましいリオプロテクタントは、非還元糖のトレハロースまたはスクロースである。
【0077】
リオプロテクタントは、あらかじめ凍結乾燥した製剤に「リオプロテクタントとして機能する量(lyoprotecting amount)」で添加されており、このことは、タンパク質をリオプロテクタントのリオプロテクタントとして機能する量の存在下で凍結乾燥すると、凍結乾燥および保存に際して、タンパク質がその物理化学的安定性を本質的に保持することを意味する。
【0078】
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される担体」は、活性成分と組み合わせた場合、その成分が生物活性を保持するのを可能にし、対象の免疫系とは反応しない任意の材料を含む。例には、限定されないが、標準的な医薬担体のいずれか、例えば、リン酸緩衝生理食塩水溶液、水、油/水のエマルジョンなどのエマルジョン、および種々の種類の湿潤剤が含まれる。エアロゾルまたは非経口投与に好ましい希釈剤は、リン酸緩衝生理食塩水、通常(0.9%)生理食塩水、または5%デキストロースである。そのような担体を含む組成物は、周知の従来法により製剤化される(例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences、第18版、A.Gennaro編、Mack Publishing Co.、Easton,PA、1990;およびRemington、The Science and Practice of Pharmacy 第20版、Mack Publishing、2000を参照のこと)。
【0079】
「罹患状態の抑制(reducing incidence)」は、重症度を低下させる何らかの行為を意味する(これには、こうした状態のために一般に使用される他の薬物および/または療法に対する(例えば、それらへの暴露の)必要性、および/またはそれらの量を低下させることを含み得る)。当業者が理解しているように、個体は、それらの処置に対する応答に関して変化する場合があり、したがって、例えば、「罹患状態の抑制の方法」は、そのような投与がその特定の個体において罹患状態のそのような抑制をもたらす可能性が高いと合理的に予想することに基づいて、抗PD−1抗体を投与することを反映する。
【0080】
「改善」は、抗PD−1抗体を投与しない場合と比較して、1つまたは複数の症状が低減または好転することを意味する。「改善」はまた、症状の持続期間の短縮または低下も含む。
【0081】
本明細書において「約」ある値またはパラメータという場合、その値またはパラメータ自体を示す態様を含む(かつそれを記載する)。例えば、「約X」という記載は、「X」の記載を含む。数値の範囲は、その範囲を定義する数を含む。
【0082】
本発明の側面または態様を、マーカッシュ群または他の代替の群により記載する場合、本発明は、列挙する群全体をまとめて包含するのみならず、群の各メンバーも個別に含み、主要な群の全ての可能な亜群も含み、また、群のメンバーうちの1つまたは複数を欠く主要な群も包含する。本発明はまた、請求項に記載する発明中の群のメンバーのいずれかの1つまたは複数の明確な排除も想定する。
【0083】
本発明またはその好ましい態様の要素を紹介する場合、冠詞「ある(a)」、「ある(an)」、「その(the)」および「前記(said)」は、その要素の1つまたは複数があることを意味することを意図する。「含む(comprising)」、「含む(comprise)」、「含む(comprises)」、「含む(including)」および「有する(having)」という用語は、包括的であり、列挙した要素以外の追加の要素があり得ることを意味することを意図する。本明細書で態様を、「含む(comprising)」という言語を用いて記載する場合は必ず、これら以外の、「からなる(consisting of)」および/または「から本質的になる(essentially consisting of)」という用語により記載される類似の態様もまた提供していることを理解されたい。
【0084】
別段の定義がない限り、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する当業者によって通常理解される意味と同じ意味を有する。矛盾が生じる場合には、定義を含む、本明細書が優先する。本明細書および特許請求の範囲の全体を通して、「含む(comprise)」または変化形、例えば、「含む(comprises)」または「含む(comprising)」という単語は、記述する整数または一連の整数が含まれることを示唆しているのであって、任意の他の整数または一連の整数が排除されることを示唆しているのではないことを理解されたい。そうでないことが文脈により必要にならない限り、単数形の用語は複数形を含むものとし、複数形の用語は単数形を含むものとする。
【0085】
例示的な方法および材料を本明細書に記載するが、本明細書に記載するものに類似のまたは均等な方法および材料もまた、本発明の実施または試験に際して使用され得る。材料、方法および例は例示に過ぎず、それらに制限する意図はない。
抗PD−1抗体組成物
一つの側面では、本発明は、抗PD−1抗体を含む製剤を提供し、この製剤は、約1cPから約25cPの間の粘度を有する。別の側面では、抗PD−1抗体含有製剤の粘度を低下させるための方法が提供され、この方法は、前記抗PD−1抗体を含む水性製剤の粘度を低下させることができる化合物の、粘度を低下させる量を製剤に添加するステップを含む。製剤は、水性形態または凍結乾燥形態のいずれかであり得る。水性形態では、製剤は、約150cP以下、好ましくは約120cP以下、好ましくは約100cP以下、好ましくは約90cP以下、好ましくは約80cP以下、好ましくは約70cP以下、好ましくは約60cP以下、好ましくは約50cP以下、好ましくは約40cP以下、好ましくは約30cP以下、好ましくは約20cP以下、好ましくは約10cP以下、好ましくは約5cP以下の粘度を有し得る。一部の態様では、抗体を含む組成物は、20℃で、約1cPから約500cPの間、約1cPから200cPの間、約1cPから約150cPの間、約1cPから約100cPの間、約1cPから約90cPの間、約1cPから約80cPの間、約1cPから約70cPの間、約1cPから約60cPの間、約1cPから約50cPの間、約1cPから約40cPの間、約1cPから約30cPの間、約1cPから約20cPの間、または約1cPから約10cPの間の粘度を有する。一部の態様では、製剤は、約120cP、約115cP、約110cP、約105cP、約100cP、約95cP、約90cP、約85cP、約80cP、約75cP、約70cP、約65cP、約60cP、約55cP、約50cP、約45cP、約40cP、約35cP、約30cP、約25cP、約20cP、約15cP、または約10cP、または約5cPの粘度を有する。一部の態様では、製剤は、約10cPから50cPの間、約10cPから100cPの間、約20cPから60cPの間、約30cPから60cPの間、約40cPから60cPの間、または約50cPから60cPの間の粘度を有する。一部の態様では、水性形態では、製剤は、約1cPから10cPの間の粘度を有し得る。一部の態様では、水性形態では、製剤は、約1cPから15cPの間の粘度を有し得る。一部の態様では、水性形態では、製剤は、約1cPから20cPの間の粘度を有し得る。
【0086】
本発明の別の態様は、本明細書に記載される製剤のうちのいずれかを保持する容器を含む製造についての論述を対象とする。
一部の態様では、製剤は、少なくとも1つの抗PD−1抗体を含む。一部の態様では、1つより多い抗体が存在し得る。少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、またはそれ以上の異なる抗体が存在し得る。一般に、2つ以上の異なる抗体が補完的な活性を有し、それらの活性は相互に有害な影響を及ぼさない。また、そのまたは各々の抗体は、抗体の有効性を増強するおよび/または補足するように働く他の薬剤と併用して使用され得る。抗体は、製剤中に約0.1〜約300mg/mlの範囲の濃度で存在し得る。一部の態様では、抗体の濃度は、約0.5mg/ml、約1mg/ml、約2mg/ml、約2.5mg/ml、約3mg/ml、約3.5mg/ml、約4mg/ml、約4.5mg/ml、約5mg/ml、約5.5mg/ml、約6mg/ml、約6.5mg/ml、約7mg/ml、約7.5mg/ml、約8mg/ml、約8.5mg/ml、約9mg/ml、約9.5mg/ml、約10mg/ml、約11mg/ml、約12mg/ml、約13mg/ml、約14mg/ml、約15mg/ml、約16mg/ml、約17mg/ml、約18mg/ml、約19mg/ml、約20mg/ml、約21mg/ml、約22mg/ml、約23mg/ml、約24mg/ml、約25mg/ml、約26mg/ml、約27mg/ml、約28mg/ml、約29mg/ml、約30mg/ml、約31mg/ml、約32mg/ml、約33mg/ml、約34mg/ml、約35mg/ml、約36mg/ml、約37mg/ml、約38mg/ml、約39mg/ml、約40mg/ml、約41mg/ml、約42mg/ml、約43mg/ml、約44mg/ml、約45mg/ml、約46mg/ml、約47mg/ml、約48mg/ml、約49mg/ml、約50mg/ml、約51mg/ml、約52mg/ml、約53mg/ml、約54mg/ml、約55mg/ml、約56mg/ml、約57mg/ml、約58mg/ml、約59mg/ml、約60mg/ml、約70mg/ml、約80mg/ml、約90mg/ml、約100mg/ml、約101mg/ml、約102mg/ml、約102.5mg/ml、約103mg/ml、約103.5mg/ml、約104mg/ml、約104.5mg/ml、約105mg/ml、約105.5mg/ml、約106mg/ml、約106.5mg/ml、約107mg/ml、約107.5mg/ml、約108mg/ml、約108.5mg/ml、約109mg/ml、約109.5mg/ml、約110mg/ml、約111mg/ml、約112mg/ml、約113mg/ml、約114mg/ml、約115mg/ml、約116mg/ml、約117mg/ml、約118mg/ml、約119mg/ml、約120mg/ml、約121mg/ml、約122mg/ml、約123mg/ml、約124mg/ml、約125mg/ml、約126mg/ml、約127mg/ml、約128mg/ml、約129mg/ml、約130mg/ml、約131mg/ml、約132mg/ml、約133mg/ml、約134mg/ml、約135mg/ml、約136mg/ml、約137mg/ml、約138mg/ml、約139mg/ml、約140mg/ml、約141mg/ml、約142mg/ml、約143mg/ml、約144mg/ml、約145mg/ml、約146mg/ml、約147mg/ml、約148mg/ml、約149mg/ml、約150mg/ml、約151mg/ml、約152mg/ml、約153mg/ml、約154mg/ml、約155mg/ml、約156mg/ml、約157mg/ml、約158mg/ml、約159mg/ml、約160mg/ml、約170mg/ml、約180mg/ml、約190mg/ml、約200mg/ml、約201mg/ml、約202mg/ml、約202.5mg/ml、約203mg/ml、約203.5mg/ml、約204mg/ml、約204.5mg/ml、約205mg/ml、約205.5mg/ml、約206mg/ml、約206.5mg/ml、約207mg/ml、約207.5mg/ml、約208mg/ml、約208.5mg/ml、約209mg/ml、約209.5mg/ml、約210mg/ml、約211mg/ml、約212mg/ml、約213mg/ml、約214mg/ml、約215mg/ml、約216mg/ml、約217mg/ml、約218mg/ml、約219mg/ml、約220mg/ml、約221mg/ml、約222mg/ml、約223mg/ml、約224mg/ml、約225mg/ml、約226mg/ml、約227mg/ml、約228mg/ml、約229mg/ml、約230mg/ml、約231mg/ml、約232mg/ml、約233mg/ml、約234mg/ml、約235mg/ml、約236mg/ml、約237mg/ml、約238mg/ml、約239mg/ml、約240mg/ml、約241mg/ml、約242mg/ml、約243mg/ml、約244mg/ml、約245mg/ml、約246mg/ml、約247mg/ml、約248mg/ml、約249mg/ml、約250mg/ml、約251mg/ml、約252mg/ml、約253mg/ml、約254mg/ml、約255mg/ml、約256mg/ml、約257mg/ml、約258mg/ml、約259mg/ml、約260mg/ml、約270mg/ml、約280mg/ml、約290mg/ml、または約300mg/mlである。
【0087】
本発明の一部の態様によれば、pHは、約pH4.0〜6.0、好ましくは、約pH5.0から、約pH4.5、約4.6、約4.7、約4.8、約4.9、約5.0、約5.1、約5.2、約5.3、約5.4または約5.5のいずれかの間の範囲内であり得る。さらに好ましくは、pHは、約pH4.9、5.0または5.1のいずれか1つの間から選択される範囲内である。一部の態様では、pHは、pH5.0+/−0.5である。これらの範囲におけるpHの値は、組成物により低い粘度をもたらす。
【0088】
一部の態様では、製剤はアルギニンを含み得る。一部の態様では、アルギニンは、アルギニン塩酸塩またはアルギニンHClである。[Bryan:製剤7はアルギニンを含有しないが、本発明者らはこれを代替として含む。同じ注釈が、製剤7には存在しないが、この記述に含まれる他の賦形剤などにも当てはまる。]アルギニンの濃度は、約0.1ミリモル(mM)〜約200mMの範囲であり得る。一部の態様では、アルギニンの濃度は、約10mM〜約150mM、約50mM〜約130mM、約80mM〜約120mM、または約90mM〜約110mMである。一部の態様では、アルギニンの濃度は、約1mM、約2mM、約3mM、約4mM、約5mM、約6mM、約7mM、約8mM、約9mM、約10mM、約11mM、約12mM、約13mM、約14mM、約15mM、約16mM、約17mM、約18mM、約19mM、約20mM、約21mM、約22mM、約23mM、約24mM、約25mM、約30mM、約35mM、約40mM、約45mM、約50mM、約55mM、約60mM、約65mM、約70mM、約75mM、約80mM、約85mM、約90mM、a約95mM、約100mM、約105mM、約110mM、約115mM、約120mM、約125mM、約130mM、約135mM、約140mM、約145mM、約150mM、約155mM、約160mM、約165mM、約170mM、約175mM、約180mM、約185mM、約190mM、約195mM、または約200mMである。一部の態様では、アルギニンの濃度は100mMである。
【0089】
一部の態様では、等張化剤は、ポリオール、サッカライド、炭水化物、塩、例えば、塩化ナトリウム、またはそれらの混合物を含むことができる。ポリオールは、例えば、非限定的に、約600kD未満(例えば、約120〜約400kDの範囲)の分子量を有し得、例えば、非限定的に、マンニトール、トレハロース、ソルビトール、エリスリトール、イソマルトース(isomalt)、ラクチトール、マルチトール、キシリトール、グリセロール、ラクチトール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、イノシトール、またはそれらの混合物であり得る。サッカライドまたは炭水化物は、例えば、非限定的に、単糖、二糖もしくは多糖、または上記のうちのいずれかの混合物であり得る。サッカライドまたは炭水化物は、例えば、非限定的に、フルクトース、グルコース、マンノース、スクロース、ソルボース、キシロース、ラクトース、マルトース、スクロース、デキストラン、プルラン、デキストリン、シクロデキストリン、可溶性デンプン、ヒドロキシエチルデンプン、水溶性グルカン、またはそれらの混合物であり得る。等張化剤は、例えば、非限定的に、還元糖もしくは非還元糖、またはそれらの混合物などのサッカライドを含むことができる。等張化剤は、例えば、非限定的に、スクロース、トレハロース、およびそれらの混合物などの非還元糖であるサッカライドを含むことができる。
【0090】
組成物中の等張化剤の濃度は、約1mg/ml〜約300mg/ml、約1mg/ml〜約200mg/ml、または約1mg/ml〜約100mg/mlの範囲である。好ましくは、組成物中の等張化剤の濃度は、約0.5mg/ml、約1mg/ml、約2mg/ml、約2.5mg/ml、約3mg/ml、約3.5mg/ml、約4mg/ml、約4.5mg/ml、約5mg/ml、約5.5mg/ml、約6mg/ml、約6.5mg/ml、約7mg/ml、約7.5mg/ml、約8mg/ml、約8.5mg/ml、約9mg/ml、約9.5mg/ml、約10mg/ml、約11mg/ml、約12mg/ml、約13mg/ml、約14mg/ml、約15mg/ml、約16mg/ml、約17mg/ml、約18mg/ml、約19mg/ml、約20mg/ml、約21mg/ml、約22mg/ml、約23mg/ml、約24mg/ml、約25mg/ml、約26mg/ml、約27mg/ml、約28mg/ml、約29mg/ml、約30mg/ml、約31mg/ml、約32mg/ml、約33mg/ml、約34mg/ml、約35mg/ml、約36mg/ml、約37mg/ml、約38mg/ml、約39mg/ml、約40mg/ml、約41mg/ml、約42mg/ml、約43mg/ml、約44mg/ml、約45mg/ml、約46mg/ml、約47mg/ml、約48mg/ml、約49mg/ml、約50mg/ml、約51mg/ml、約52mg/ml、約53mg/ml、約54mg/ml、約55mg/ml、約56mg/ml、約57mg/ml、約58mg/ml、約59mg/ml、約60mg/ml、約65mg/ml、約70mg/ml、約75mg/ml、約80mg/ml、約81mg/ml、約82mg/ml、約83mg/ml、約84mg/ml、約85mg/ml、約86mg/ml、約87mg/ml、約88mg/ml、約89mg/ml、約90mg/ml、約91mg/ml、約92mg/ml、約93mg/ml、約94mg/ml、約95mg/ml、約96mg/ml、約97mg/ml、約98mg/ml、約99mg/ml、約100mg/ml、約101mg/ml、約102mg/ml、約103mg/ml、約104mg/ml、約105mg/ml、約106mg/ml、約107mg/ml、約108mg/ml、約109mg/ml、約110mg/ml、約111mg/ml、約112mg/ml、約113mg/ml、約114mg/ml、約115mg/ml、約116mg/ml、約117mg/ml、約118mg/ml、約119mg/ml、約120mg/ml、約121mg/ml、約122mg/ml、約123mg/ml、約124mg/ml、約125mg/ml、約126mg/ml、約127mg/ml、約128mg/ml、約129mg/ml、約130mg/ml、約131mg/ml、約132mg/ml、約133mg/ml、約134mg/ml、約135mg/ml、約136mg/ml、約137mg/ml、約138mg/ml、約139mg/ml、約140mg/ml、約141mg/ml、約142mg/ml、約143mg/ml、約144mg/ml、約145mg/ml、約146mg/ml、約147mg/ml、約148mg/ml、約149mg/ml、または約150mg/mlである。
【0091】
界面活性剤は、例えば、非限定的に、ポリソルベート、ポロキサマー、トリトン、ドデシル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、オクチルグリコシドナトリウム、ラウリル−スルホベタイン、ミリスチル−スルホベタイン、リノレイル−スルホベタイン、ステアリル−スルホベタイン、ラウリル−サルコシン、ミリスチル−サルコシン、リノレイル−サルコシン、ステアリル−サルコシン、リノレイル−ベタイン、ミリスチル−ベタイン、セチル−ベタイン、ラウロアミドプロピル−ベタイン、コカミドプロピル−ベタイン、リノレアミドプロピル−ベタイン、ミリストアミドプロピル−ベタイン、パーミドプロピル−ベタイン(palmidopropyl−betain)、イソステアラミドプロピル−ベタイン、ミリストアミドプロピル−ジメチルアミン、パーミドプロピル−ジメチルアミン(palmidopropyl−dimethylamine)、イソステアラミドプロピル−ジメチルアミン、メチルココイルタウリン酸ナトリウム、メチルオレイルタウリン酸二ナトリウム、ジヒドロキシプロピルPEG5リノレアンモニウムクロリド、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、およびそれらの混合物であり得る。界面活性剤は、例えば、非限定的に、ポリソルベート20、ポリソルベート21、ポリソルベート40、ポリソルベート60、ポリソルベート61、ポリソルベート65、ポリソルベート80、ポリソルベート81、ポリソルベート85、PEG3350およびそれらの混合物であり得る。一部の態様では、界面活性剤はポリソルベート80(PS80)である。
【0092】
界面活性剤の濃度は一般に、約0.01mg/ml〜約10mg/ml、約0.01mg/ml〜約5.0mg/ml、約0.01mg/ml〜約2.0mg/ml、約0.01mg/ml〜約1.5mg/ml、約0.01mg/ml〜約1.0mg/ml、約0.01mg/ml〜約0.5mg/ml、約0.01mg/ml〜約0.4mg/ml、約0.01mg/ml〜約0.3mg/ml、約0.01mg/ml〜約0.2mg/ml、約0.01mg/ml〜約0.15mg/ml、約0.01mg/ml〜約0.1mg/ml、または約0.01mg/ml〜約0.05mg/mlの範囲である。さらに好ましくは、界面活性剤の濃度は、約0.5mg/ml、約0.05mg/ml、約0.06mg/ml、約0.07mg/ml、約0.08mg/ml、約0.09mg/ml、約0.1mg/ml、約0.11mg/ml、約0.12mg/ml、約0.13mg/ml、約0.14mg/ml、約0.15mg/ml、約0.16mg/ml、約0.17mg/ml、約0.18mg/ml、約0.19mg/ml、約0.2mg/mlである。一部の態様では、界面活性剤の濃度は0.2mg/mlである。
【0093】
緩衝液は、例えば、非限定的に、酢酸塩、ヒスチジン、コハク酸塩、グルコン酸塩、クエン酸塩、酢酸、リン酸塩、リン酸、アスコルビン酸塩、酒石酸(tartartic acid)、マレイン酸、グリシン、乳酸塩、乳酸、アスコルビン酸、イミダゾール、炭酸水素塩および炭酸、コハク酸、安息香酸ナトリウム、安息香酸、グルコン酸塩、エデト酸塩、酢酸塩、リンゴ酸塩、イミダゾール、トリス、リン酸塩、ならびにそれらの混合物であり得る。一部の態様では、緩衝液はヒスチジン緩衝液であり、ヒスチジンは、L−ヒスチジンもしくはD−ヒスチジンのいずれか、ヒスチジンの溶媒和形態、ヒスチジンの水和形態(例えば、一水和物)、ヒスチジンの塩(例えば、ヒスチジン塩酸塩)もしくはヒスチジンの無水形態、またはそれらの混合物を含むことができる。好ましくは、緩衝液は酢酸塩緩衝液であり、酢酸塩は、酢酸ナトリウム、酢酸、またはそれらの混合物を含むことができる。
【0094】
緩衝液の濃度は、約0.1ミリモル(mM)〜約100mMの範囲であり得る。好ましくは、緩衝液の濃度は、約0.5mM〜約50mM、さらに好ましくは約1mM〜約30mM、より好ましくは約1mM〜約18mM、なお好ましくは約1mM〜約15mMである。好ましくは、緩衝液の濃度は、約1mM、約2mM、約3mM、約4mM、約5mM、約6mM、約7mM、約8mM、約9mM、約10mM、約11mM、約12mM、約13mM、約14mM、約15mM、約16mM、約17mM、約18mM、約19mM、約20mM、約21mM、約22mM、約23mM、約24mM、約25mM、約30mM、約35mM、約40mM、約45mMまたは約50mMである。一部の態様では、緩衝液の濃度は、約190mM、約200mM、約210mM、約220mM、約230mM、約240mM、約250mM、約260mM、約270mM、約280mM、約290、約300mM、約310mMまたは約320mMである。
【0095】
一部の態様では、キレート化剤は、アミノポリカルボン酸、ヒドロキシアミノカルボン酸、N−置換グリシン、2−(2−アミノ−2−オキソエチル(oxocthyl))アミノエタンスルホン酸(BES)、デフェロキサミン(DEF)、クエン酸、ナイアシンアミドおよびデスオキシコール酸塩、ならびにそれらの混合物からなる群から選択され得る。一部の態様では、キレート化剤は、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸5(DTPA)、ニトリロ三酢酸(NTA)、N−2−アセトアミド−2−イミノ二酢酸(ADA)、ビス(アミノエチル)グリコールエーテル、N,N,N’,N’−四酢酸(EGTA)、トランス−ジアミノシクロヘキサン四酢酸(DCTA)、グルタミン酸およびアスパラギン酸、N−ヒドロキシエチルイミノ二酢酸(HIMDA)、N,N−ビス−ヒドロキシエチルグリシン(ビシン)およびN−(トリスヒドロキシメチルメチル)10グリシン(トリシン)、グリシルグリシン、デスオキシコール酸ナトリウム、エチレンジアミン;プロピレンジアミン;ジエチレントリアミン;トリエチレンテトラアミン(トリエン)、エチレンジアミンテトラアセトEDTA;EDTA二ナトリウム、EDTA、EDTAカルシウム、シュウ酸、リンゴ酸塩、クエン酸、クエン酸一水和物およびクエン酸三ナトリウム−二水和物、8−ヒドロキシキノレート、アミノ酸、ヒスチジン、システイン、メチオニン、ペプチド、ポリペプチドおよびタンパク質、ならびにそれらの混合物からなる群から選択される。一部の態様では、キレート化剤は、エデト酸二カリウム、エデト酸二ナトリウム、エデト酸カルシウム二ナトリウム、エデト酸ナトリウム、エデト酸三ナトリウムおよびエデト酸カリウムを含む、EDTAの塩からなる群から選択され;デフェロキサミン(DEF)の適切な塩は、メシル酸デフェロキサミン(DFM)またはそれらの混合物である。本発明で使用されるキレート化剤は、可能であれば、化合物の遊離酸もしくは遊離塩基の形態または塩の形態として存在し得、また、化合物または対応する塩の無水、溶媒和または水和の形態としても存在し得る。所与のpHおよびエチレンジアミン四酢酸(EDTA)の同じ濃度で溶液に溶解した後、ナトリウムおよび水を含有するEDTAの種々の塩、遊離酸、水和または無水の形態は、同等のキレート剤とみなされる。例えば、0.0500g/LのEDTA二ナトリウム二水和物(FW:372.3)、0.0393g/LのEDTA(FW:292.3)、0.0452g/LのEDTA二ナトリウム(FW:336.2)、0.0481g/LのEDTA三ナトリウム(yrisodium)(FW:358.2)、0.0511g/LのEDTA四ナトリウム(FW:380.2)、0.0422g/LのEDTAナトリウム(Ssodium)(FW:314.2)、および0.0446g/LのEDTAナトリウム水和物(FW:332.3)の全ては134.4μMのEDTAを含有し、同等のキレート化剤とみなされる。
【0096】
最も好ましくは、キレート化剤は、例えば、非限定的に、EDTA二ナトリウム、EDTAカルシウム、またはEDTA二ナトリウム二水和物などのEDTAである。
EDTA二ナトリウムが、増強された抗体の安定性および/または凝集に対する抵抗性を組成物にもたらすので、特に好ましい。
【0097】
キレート化剤の濃度は一般に、約0.01mg/ml〜約50mg/ml、約1mg/ml〜約10.0mg/ml、約5mg/ml〜約15.0mg/ml、約0.01mg/ml〜約1.0mg/ml、または約0.03mg/ml〜約0.5mg/mlの範囲である。さらに好ましくは、キレート化剤の濃度は一般に、約0.01mM〜約2.0mM、約0.01mM〜約1.5mM、約0.01mM〜約0.5mM、約0.01mM〜約0.4mM、約0.01mM〜約0.3mM、約0.01mM〜約0.2mM、約0.01mM〜約0.15mM、約0.01mM〜約0.1mM、約0.01mM〜約0.09mM、約0.01mM〜約0.08mM、約0.01mM〜約0.07mM、約0.01mM〜約0.06mM、約0.01mM〜約0.05mM、約0.01mM〜約0.04mM、約0.01mM〜約0.03mM、約0.01mM〜約0.02mM、または約0.05mM〜約0.01mMの範囲である。好ましくは、キレート化剤の濃度は、約0.01mg/ml、0.02mg/ml、0.03mg/ml、約0.04mg/ml、約0.05mg/ml、約0.06mg/ml、約0.07mg/ml、約0.10mg/ml、約0.20mg/mlであり得る。さらに好ましくは、キレート化剤の濃度は、約0.04mg/ml、約0.041mg/ml、約0.042mg/ml、約0.043mg/ml、約0.044mg/ml、約0.045mg/ml、約0.046mg/ml、約0.047mg/ml、約0.048mg/ml、約0.049mg/ml、約0.05mg/ml、約0.051mg/ml、約0.052mg/ml、約0.053mg/ml、約0.054mg/ml、約0.055mg/ml、または約0.056mg/mlである。最も好ましくは、キレート化剤の濃度は約0.05mg/mlである。
【0098】
キレート化剤は、本発明の組成物中で、還元型酸素種の形成を減らすこと、酸性種(例えば、脱アミド)の形成を低下させること、抗体の凝集を低下させること、および/または抗体の断片化を低下させること、および/または抗体の酸化を低下させることができる。そのようなキレート化剤は、キレート化剤の保護を欠く抗体と比較して、製剤化する抗体の分解を低下させるか、または阻止することができる。
【0099】
別段の記載がない限り、本明細書に列挙される濃度は、周囲条件、すなわち、25℃および大気圧における濃度である。
好ましい態様では、製剤は抗酸化物質を含まない。例えば、本明細書で提供される組成物の好ましい態様は、メチオニン、チオ硫酸ナトリウム、カタラーゼまたは白金を含まない。
【0100】
一部の態様では、製剤は抗酸化剤を含むことができる。一部の態様では、抗酸化物質は、メチオニン、チオ硫酸ナトリウム、カタラーゼおよび白金を含む群から選択される。
抗酸化物質の濃度は一般に、約0.01mg/ml〜約50mg/ml、約0.01mg/ml〜約10.0mg/ml、約0.01mg/ml〜約5.0mg/ml、約0.01mg/ml〜約1.0mg/ml、または約0.01mg/ml〜約0.02mg/mlの範囲である。好ましくは、抗酸化物質の濃度は、約0.01mg/ml、0.02mg/ml、0.03mg/ml、約0.04mg/ml、約0.05mg/ml、約0.06mg/ml、約0.07mg/ml、0.08mg/ml、0.09mg/ml、約0.10mg/ml、0.11mg/ml、0.12mg/ml、0.13mg/ml、約0.14mg/ml、約0.15mg/ml、約0.16mg/ml、約0.17mg/ml、0.18mg/ml、0.19mg/ml、約0.20mg/ml、約0.25mg/ml、0.3mg/ml、0.4mg/ml、0.5mg/ml、0.6mg/ml、0.7mg/ml、0.8mg/ml、0.9mg/ml、1.0mg/mlであり得る。最も好ましくは、抗酸化物質の濃度は、約0.01mg/mlである。
【0101】
一部の態様では、製剤は、保存物質を含むことができる。好ましくは、保存剤は、フェノール、m−クレゾール、ベンジルアルコール、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンザルトニウム(benzalthonium chloride)、フェノキシエタノールおよびメチルパラベンから選択される。
【0102】
保存物質の濃度は一般に、約0.001mg/ml〜約50mg/ml、約0.005mg/ml〜約15.0mg/ml、約0.008mg/ml〜約12.0mg/ml、または約0.01mg/ml〜約10.0mg/mlの範囲である。好ましくは、保存物質の濃度は、約0.1mg/ml、0.2mg/ml、0.3mg/ml、約0.4mg/ml、約0.5mg/ml、約0.6mg/ml、約0.7mg/ml、0.8mg/ml、0.9mg/ml、約1.0mg/ml、2.0mg/ml、3.0mg/ml、約4.0mg/ml、約5.0mg/ml、約6.0mg/ml、約7.0mg/ml、8.0mg/ml、9.0mg/ml、約9.1mg/ml、約9.2mg/ml、9.3mg/ml、9.4mg/ml、9.5mg/ml、9.6mg/ml、9.7mg/ml、9.8mg/ml、9.9mg/ml、10.0mg/mlであり得る。最も好ましくは、保存物質の濃度は、約0.1mg/mlまたは9.0mg/mLである。
【0103】
一部の態様では、組成物は抗酸化物質を含有しない。
一部の態様では、組成物は保存物質を含有しない。
一部の態様では、抗体は、例えば、IgG、IgM、IgD、IgAおよびIgEなどの重鎖定常領域;ならびにIgG1、IgG2、IgG3およびIgG4などの任意のアイソタイプを含む。好ましくは、抗体はIgG2またはIgG4抗体である。一部の態様では、抗体は、以下の突然変異(Armourら、2003、Molecular Immunology 40 585〜593):E233F234L235からP233V234A235(IgG4Δc)を含むIgG4の定常領域を含み、ここで番号付けは野生型IgG4を基準にしている。さらに別の態様では、Fcは、G236が欠失しているヒトIgG4 E233F234L235からP233V234A235(IgG4Δb)である。一部の態様では、Fcは、ヒンジ安定化突然変異S228からP228を含有する任意のヒトIgG4 Fc(IgG4、IgG4ΔbまたはIgG4Δc)である(Aalberseら、2002、Immunology 105、9〜19)。
【0104】
一部の態様では、抗体は、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、抗体断片(例えば、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv、Fc、ScFvなど)、キメラ抗体、二重特異性抗体、ヘテロコンジュゲート抗体、単鎖(ScFv)、それらの突然変異体、抗体の一部(例えば、ドメイン抗体)を含む融合タンパク質、ヒト化抗体、ヒト抗体、および必要な特異性の抗原認識部位を含む免疫グロブリン分子の任意の他の修飾された構成からなる群から選択され得、これらの抗体には、抗体のグリコシル化バリアント、抗体のアミノ酸配列バリアント、および共有結合的に修飾された抗体が含まれる。抗体は、ネズミ、ラット、ヒト、または任意の他の起源(キメラ抗体またはヒト化抗体を含む)であり得る。一部の態様では、抗体は、ヒトであり得るが、より好ましくは、ヒト化されている。好ましくは、抗体は単離されており、さらに好ましくは抗体は実質的に純粋である。抗体が抗体断片である場合、これは好ましくは、元の抗体の機能的特徴、すなわち、リガンド結合性および/またはアンタゴニストもしくはアゴニストの活性を保持する。
【0105】
例示的な抗PD−1抗体には、限定されないが、例えば、ニボルマブ(OPDIVO(登録商標)、ONO−4538、BMS−936558、MDX1106、Bristol−Myers Squibb Company)、ペンブロリズマブ(KEYTRUDA(登録商標)、MK−3475、ランブロリズマブ、Merck & Co.,Inc.)、BCD100(BIOCAD Biopharmaceutical Company)、BGB−A317(BeiGene Ltd./Celgene Corporation)、CBT−501(CBT Pharmaceuticals)、GLS−010(Harbin Gloria Pharmaceuticals Co.,Ltd.)、IBI308(Innovent Biologics,Inc.)、AMP−224(GlaxoSmithKline plc)、BI 754091(Boehringer Ingelheim GmbH)、PDR001(Novartis AG)、MEDI0680(AstraZeneca PLC)、PDR001(Novartis AG)、国際特許公開番号WO2016/092419(その開示はその全体が参照により本明細書に組み込まれる)にmAb7として記載されているPF−06801591(aka RN888)(Pfizer Inc.)、REGN2810(Regeneron Pharmaceuticals,Inc.)、SHR−1210(Incyte Corporation)、TSR−042(Tesaro,Inc.)、AGEN2034(Agenus Inc.)、JNJ−63723283(Johnson & Johnson)、MGD013(MacroGenics,Inc.)、ANA011(AnaptysBio,Inc.)、ANB011(AnaptysBio,Inc.)、AUNP−12(Pierre Fabre Medicament S.A.)、ENUM 244C8(Enumeral Biomedical Holdings,Inc.)、hAb21(Stainwei Biotech,Inc.)、J43(Transgene S.A.)、JTX−4014(Jounce Therapeutics,Inc.)、MCLA−134(Merus B.V.)、PRS−332(Pieris AG)、SHR−1316(Atridia Pty Ltd.)、STI−A1010(Sorrento Therapeutics,Inc.)、STI−A1110(Les Laboratoires Servier)、およびXmAb20717(Xencor,Inc.)が含まれる。
【0106】
BeiGene Ltd.によって開発中のBGB−A317(ティスレリズマブ(tislelizumab))は、操作されたFc領域(すなわち、Fcガンマ受容体Iに結合する能力が特異的に取り除かれている)を有するヒト化IgG4、モノクローナル抗体である。BGB−A317はPD−1に結合し、PD−1のPD−L1およびPD−L2への結合を阻害する。
【0107】
1つまたは複数の態様では、PD−1軸結合アンタゴニストは、PF−06801591、ニボルマブ、ペンブロリズマブ、スパルタリズマブ、およびBGB−A317から選択される。
【0108】
具体的な側面では、抗PD−1抗体は、PF−06801591(Pfizer Inc.、CAS登録番号2029210−61−3)である。別の具体的な側面では、抗PD−1抗体はニボルマブ(OPDIVO(登録商標)、MDX−1106、CAS登録番号946414−94−4)である。別の具体的な側面では、抗PD−1抗体はセミプリマブ(REGN2810としても知られているLIBTAYO(登録商標)、Regeneron Pharmaceuticals,Inc.およびsanofi−aventis U.S.LLC、CAS登録番号1801342−60−8)である。別の具体的な側面では、抗PD−1抗体はニボルマブ(OPDIVO(登録商標)、MDX−1106、CAS登録番号946414−94−4)である。別の具体的な側面では、抗PD−1抗体はスパルタリズマブである(PDR001、Novartis、CAS登録番号1935694−88−4)。別の具体的な側面では、PD−1結合アンタゴニストは、ATCC受託番号PTA−121 183を有する発現ベクターによって産生されるVH領域を含み、本明細書で記載されているようにmAb7またはmAb15(Rinat Neuroscience、Pfizer Inc.)としても知られている、ATCC受託番号PTA−1 21 182を有する発現ベクターによって産生されるVL領域を有する抗体である。
【0109】
具体的な側面では、抗PD−1抗体は、
(a)配列番号4(GYTFTSYWIN)に示されるアミノ酸配列を含むCDR1;
(b)配列番号5(NIYPGSSLTNYNEKFKN)に示されるアミノ酸配列を含むCDR2;および
(c)配列番号6(LSTGTFAY)に示されるアミノ酸配列を含むCDR3
を含む重鎖可変領域を含む。
【0110】
一部の態様では、抗体は、
(a)配列番号7(KSSQSLWDSGNQKNFLT)に示されるアミノ酸配列を含むCDR1;
(b)配列番号8(WTSYRES)に示されるアミノ酸配列を含むCDR2;および
(c)配列番号9(QNDYFYPHT)に示されるアミノ酸配列を含むCDR3
を含む軽鎖可変領域を含む抗PD−1抗体であり得る。
【0111】
一部の態様では、抗体は、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域由来の3つのCDRを含む抗PD−1抗体であり得る。
QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYTFTSYWINWVRQAPGQGLEWMGNIYPGSSLTNYNEKFKNRVTMTRDTSTSTVYMELSSLRSEDTAVYYCARLSTGTFAYWGQGTLVTVSS(配列番号2)
一部の態様では、抗体は、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域由来の3つのCDRを含む抗PD−1抗体であり得る。
DIVMTQSPDSLAVSLGERATINCKSSQSLWDSGNQKNFLTWYQQKPGQPPKLLIYWTSYRESGVPDRFSGSGSGTDFTLTISSLQAEDVAVYYCQNDYFYPHTFGGGTKVEIK(配列番号3)
一部の態様では、抗PD−1抗体は、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一のうちのいずれかのアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および/または配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一のうちのいずれかのアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含むことができ、この抗体は、ヒトPD−1に特異的に結合する。
【0112】
一部の態様では、抗PD−1抗体は、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含むことができ、および/または配列番号3にされるアミノ酸配列を含むアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含むことができる。
【0113】
一部の態様では、抗PD−1抗体は、配列番号2および3に示されるアミノ酸配列を含む抗体であり得る。
一部の態様では、抗PD−1抗体は、配列番号10に示されるアミノ酸配列を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一のうちのいずれかのアミノ酸配列を含む重鎖領域、および/または配列番号11に示されるアミノ酸配列を含むアミノ酸配列に対して少なくとも約80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一のうちのいずれかのアミノ酸配列を含む軽鎖領域を含むことができ、この抗体は、ヒトPD−1に特異的に結合する。
重鎖配列
【0114】
【化2】
【0115】
軽鎖配列
【0116】
【化3】
【0117】
一部の態様では、抗PD−1抗体は、配列番号10に示されるアミノ酸配列を含むアミノ酸配列を含む重鎖領域を含むことができ、および/または配列番号11に示されるアミノ酸配列を含むアミノ酸配列を含む軽鎖領域を含むことができる。一部の態様では、配列番号10に示される重鎖配列のC末端リジンは切断され得る;すなわち、重鎖配列はC末端リジンを欠損していてもよい。
【0118】
一部の態様では、抗PD−1抗体は、配列番号10および11に示されるアミノ酸配列を含む抗体であり得る。
一部の態様では、抗PD−1抗体は、本明細書に定義されるように、PD−1への結合について抗PD−1抗体と競合することができる。抗PD−1抗体は、PD−1への結合について、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および/または配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む抗体と競合することができる。
【0119】
一部の態様では、抗PD−1抗体は、ヒトPD−1に特異的に結合する、モノクローナル抗体、mAb7であり得る。抗体mAb7は、WO2016/092419に記載されており、その内容はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。mAb7の重鎖および軽鎖可変領域のアミノ酸配列はそれぞれ、配列番号2および3に示される。(ChothiaおよびKabatのCDRを含む)抗体mAb7のCDR部分が、WO2016/092419の表1に図式的に示されている。抗体mAb7は、PD−1の生物活性を遮断するのに極めて強力である。
【0120】
一部の態様では、抗PD−1抗体はまた、抗体mAb7の断片または領域を含むこともできる。一態様では、断片は、本明細書では配列番号11に示されるアミノ酸配列を含む抗体mAb7の軽鎖である。別の態様では、断片は、本明細書では配列番号10に示されるアミノ酸配列を含む抗体mAb7の重鎖である。さらに別の態様では、断片は、抗体mAb7の軽鎖および/または重鎖に由来する1つまたは複数の可変領域を含有する。さらに別の態様では、断片は、本明細書ではそれぞれ配列番号11および10に示されるアミノ酸配列を含む抗体mAb7の軽鎖および/または重鎖に由来する1つまたは複数のCDRを含有する。
【0121】
一部の態様では、抗体は、抗体mAb7に由来する1つまたは複数(1、2、3、4、5または6つ)のCDRを含むことができる。一部の態様では、CDRは、KabatのCDR、ChothiaのCDR、またはKabatのCDRとChothiaのCDRとの組合せ(本明細書では、「拡張された」または「組み合わせた」CDRと呼ぶ)であり得る。一部の態様では、ポリペプチドは、本明細書に記載される(組合せ、バリアントなどを含む)CDRの構成のいずれかを含む。
【0122】
本発明の一部の態様では、本明細書に記載される抗PD−1抗体のいずれかの重鎖のC末端リジンは欠失している。種々の場合において、本明細書に記載される抗PD−1抗体の重鎖および/または軽鎖は、シグナル配列を任意選択により含むことができる。
【0123】
他の態様では、抗体は、例えば、非限定的に、以下:米国特許第8354509号、同第9084776号、同第9492540号、同第9492539号、同第9387247号、同第8779105号、同第8952136号、および同第8709416号のうちのいずれかに記載されている抗体などの当該分野で公知の抗PD−1抗体から選択され得る。抗体は、当該分野で公知の抗PD−1抗体と同じエピトープに結合することができ、および/またはPD−1に対する結合についてそのような抗体と競合することができる。
【0124】
本発明のさらなる側面によれば、
約140mg/ml〜約160mg/mlの抗体と、
約10.0mM〜約30.0mMのヒスチジン緩衝液と、
約40mg/ml〜約100mg/mlのトレハロースと、
約0.01〜約0.3mg/mlのポリソルベート80(PS80)と、
約0.01〜約0.1mg/mlのEDTA二ナトリウムと
を含むか、またはそれらから本質的になる組成物であって、
約pH4.5から約pH5.5のいずれかの間の範囲から選択され、または代わって、約pH4.5から、約pH4.6、4.7、4.8、4.9、5.0、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9のいずれかの間の範囲から選択されるpHである、前記組成物を提供する。
【0125】
好ましい態様によれば、組成物は、約90mg/ml、約100mg/ml、約110mg/ml、約120mg/ml、約130mg/ml、約140mg/mlまたは約150mg/mlのいずれかの抗体と、
約20mMのヒスチジン緩衝液と、
約84mg/mlのトレハロースと、
約0.2mg/mlのPS80と、
約0.05mg/mlのEDTA二ナトリウムと
を含むか、またはそれらから本質的になり、
前記組成物は、約pH5.0から、約pH5.0、5.2、5.5もしくは5.8のいずれかの間の範囲から選択され、または代わって、約pH4.5から、約pH4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、5.0、5.1、5.2、5.3、5.4もしくは5.5のいずれかの間の範囲から選択されるpHであり、前記抗体は、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含む可変重鎖配列および配列番号3に示されるアミノ酸配列を含む可変軽鎖配列を含む。
【0126】
好ましい態様によれば、組成物は、約120mg/ml、約130mg/ml、約140mg/ml、約150mg/ml、約160mg/ml、約170mg/mlまたは約180mg/mlのいずれかの抗体と、
約20mMのヒスチジン緩衝液と、
約84mg/mlのトレハロースと、
約0.2mg/mlのPS80と、
約0.05mg/mlのEDTA二ナトリウムと
を含むか、またはそれらから本質的になり、
前記組成物のpHは約pH5.0+/−0.5であり、前記抗体は、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含む可変重鎖配列および配列番号3に示されるアミノ酸配列を含む可変軽鎖配列を含む。一部の態様では、使用される用量の体積は、約0.5ml、約1ml、約2ml、約3ml、約4ml、約5ml、約6ml、約7ml、約8ml、約9ml、約10ml、約11ml、約12ml、約13ml、約14ml、約15ml、約16ml、約17ml、約18ml、約19ml、約20ml、約21ml、約22ml、約23ml、約24ml、約25ml、約26ml、約27ml、約28ml、約29ml、約30ml、約31ml、約32ml、約33ml、約34ml、約35ml、約36ml、約37ml、約38ml、約39ml、約40ml、約41ml、約42ml、約43ml、約44ml、約45ml、約46ml、約47ml、約48ml、約49ml、または約50mlである。
【0127】
一部の態様では、凍結乾燥される、および/または凍結乾燥に付されている組成物が提供される。一部の態様では、凍結乾燥されず、凍結乾燥に付されていない組成物が提供される。
【0128】
一部の態様では、抗体の濃度は、約100mg/ml、約105mg/ml、約110mg/ml、約115mg/ml、約120mg/ml、約125mg/ml、約130mg/ml、約135mg/ml、約140mg/ml、約145mg/ml、約150mg/ml、約155mg/mlまたは約160mg/mlのいずれかである。
【0129】
本発明のさらに好ましい側面によれば、対象における、例えば、がんなどの過剰増殖性(hyperliferative)障害を処置するための医薬を製造するための、上述の側面または態様のいずれかの組成物が提供される。
【0130】
一部の態様では、がんは、胃がん、肉腫、リンパ腫、ホジキンリンパ腫、白血病、頭頸部がん、頭頸部扁平上皮がん、胸腺がん、上皮がん、唾液腺がん、肝がん、胃がん、甲状腺がん、肺がん、卵巣がん、乳がん、前立腺がん、食道がん、膵がん、神経膠腫、白血病、多発性骨髄腫、腎細胞癌、膀胱がん、子宮頸がん、絨毛腫、結腸がん、口腔がん、皮膚がん、および黒色腫のうちの1つまたは複数から選択される。
【0131】
本発明のなおさらなる態様によれば、対象における、例えば、がんなどの過剰増殖性障害を処置するための医薬を製造するための、上述の側面または態様のいずれかの組成物が提供される。
【0132】
好ましい態様によれば、組成物は、血流中、筋肉内、組織内、脂肪内または内臓内に直接投与され得る。非経口投与に適切な手段には、皮下、静脈内、動脈内、腹腔内、くも膜下腔内、脳室内、尿道内、胸骨内、頭蓋内、筋肉内、小孔内(intra−ossial)および皮内が含まれる。非経口投与に適切なデバイスには、(マイクロニードル、マイクロプロジェクション、可溶性針および他の微細孔形成技術を含む)針を利用する注射器、無針注射器および注入技術が含まれる。
【0133】
一部の態様では、医薬の投与パターンは、1週間に1回、2週間に1回、3週間に1回、4週間に1回、5週間に1回、6週間に1回、7週間に1回、8週間に1回、9週間に1回、10週間に1回、15週間に1回、20週間に1回、25週間に1回、または26週間に1回の医薬の用量の投与を含む。一部の態様では、抗PD−1抗体は、1ヵ月に1回、2ヵ月に1回、3ヵ月に1回、4ヵ月に1回、5ヵ月に1回、または6ヵ月に1回投与される。一部の態様では、医薬の投与パターンは、4週間または8週間に1回の医薬の用量の投与を含む。
【0134】
一部の態様では、用量の体積は、約3ml以下、約2.5ml以下、約2ml以下、約1.5ml以下、約1ml以下、約0.75ml以下、約0.5ml以下、約0.25ml以下または約0.1ml以下である。
【0135】
一部の態様では、用量の体積は、約20ml、約19ml、約18ml、約17ml、約16ml、約15ml、約14ml、約13ml、約12ml、約11ml、約10ml、約9ml、約8ml、約7ml、約6ml、約5ml、約4ml、約3ml、約2mlまたは約1mlである。あるいは、用量の体積は、約20.5ml、約19.5ml、約18.5ml、約17.5ml、約16.5ml、約15.5ml、約14.5ml、約13.5ml、約12.5ml、約11.5ml、約10.5ml、約9.5ml、約8.5ml、約7.5ml、約6.5ml、約5.5ml、約4.5ml、約3.5ml、約2.5ml、約1.5mlまたは約0.5mlである。あるいは、用量の体積は、約900マイクロリットル、約800マイクロリットル、約700マイクロリットル、約600マイクロリットル、約500マイクロリットル、約400マイクロリットル、約300マイクロリットル、約200マイクロリットルまたは約100マイクロリットル、あるいは約950マイクロリットル、約850マイクロリットル、約750マイクロリットル、約650マイクロリットル、約550マイクロリットル、約450マイクロリットル、約350マイクロリットル、約250マイクロリットル、約150マイクロリットルまたは約50マイクロリットルである。一部の態様では、用量の体積は約2.0ml以下である。
【0136】
好ましい態様によれば、抗体の濃度は、約0.1〜約200mg/mlの範囲であり得る。好ましくは、抗体の濃度は、約100mg/ml、約101mg/ml、約102mg/ml、約103mg/ml、約104mg/ml、約105mg/ml、約106mg/ml、約107mg/ml、約108mg/ml、約109mg/ml、または約110mg/ml、約111mg/ml、約112mg/ml、約113mg/ml、約114mg/ml、約115mg/ml、約116mg/ml、約117mg/ml、約118mg/ml、約119mg/ml、約120mg/ml、約121mg/ml、約122mg/ml、約123mg/ml、約124mg/ml、約125mg/ml、約126mg/ml、約127mg/ml、約128mg/ml、約129mg/ml、約130mg/ml、約131mg/ml、約132mg/ml、約133mg/ml、約134mg/ml、約135mg/ml、約136mg/ml、約137mg/ml、約138mg/ml、約139mg/ml、約140mg/ml、約141mg/ml、約142mg/ml、約143mg/ml、約144mg/ml、約145mg/ml、約146mg/ml、約147mg/ml、約148mg/ml、約149mg/ml、または約150mg/mlである。最も好ましくは、抗体の濃度は、約100mg/ml〜約180mg/mlであり、約100mg/ml、約105mg/ml、約110mg/ml、約115mg/ml、約120mg/ml、約125mg/ml、約130mg/ml、約135mg/ml、約140mg/ml、約145mg/ml、約150mg/ml、約155mg/ml、約160mg/ml、約165mg/ml、約170mg/ml、約175mg/mlまたは約180mg/mlを含む群から選択され得る。
【0137】
好ましい態様によれば、用量は、約50mg以下、約51mg以下、約52mg以下、約53mg以下、約54mg以下、約55mg以下、約56mg以下、約57mg以下、約58mg以下、約59mg以下、約60mg以下、約70mg以下、約80mg以下、約90mg以下、約100mg以下、約110mg以下、約120mg以下、約130mg以下、約140mg以下、約150mg以下、約160mg以下、約170mg以下、約180mg以下、約190mg以下、約200mg以下、約210mg以下、約220mg以下、約230mg以下、約240mg以下、約250mg以下、約260mg以下、約270mg以下、約280mg以下、約290mg以下、約300mg以下、約310mg以下、約320mg以下、約330mg以下、約340mg以下、約350mg以下、約360mg以下、約370mg以下、約380mg以下、約390mg以下、約400mg以下、約410mg以下、約420mg以下、約430mg以下、約440mg以下、約450mg以下、約460mg以下、約470mg以下、約480mg以下、約490mg以下、約500mg以下、約510mg以下、約520mg以下、約530mg以下、約540mg以下、約550mg以下、約560mg以下、約570mg以下、約580mg以下、約590mg以下、約600mg以下、約610mg以下、約620mg以下、約630mg以下、約640mg以下、約650mg以下、約660mg以下、約670mg以下、約680mg以下、約690mg以下、約700mg以下、約710mg以下、約720mg以下、約730mg以下、約740mg以下、約750mg以下、約760mg以下、約770mg以下、約780mg以下、約790mg以下、約800mg以下、約810mg以下、約820mg以下、約830mg以下、約850mg以下、約850mg以下、約860mg以下、約870mg以下、約880mg以下、約890mg以下、約900mg以下、約910mg以下、約920mg以下、約930mg以下、約940mg以下、約950mg以下、約960mg以下、約970mg以下、約980mg以下、約990mg以下、または約1000mg以下の抗体を含有する。
【0138】
一部の態様によれば、用量は、約1μg/kg、約10μg/kg、約20μg/kg、約25μg/kg、約50μg/kg、約100μg/kg、約200μg/kg、約250μg/kg、約500μg/kg、約1mg/kg、約2mg/kg、約3mg/kg、約4mg/kg、約5mg/kg、約6mg/kg、約7mg/kg、約8mg/kg、約9mg/kg、約10mg/kgまたは約11mg/kg(kgは用量が投与される対象の質量である)である抗体の量を含有する。一部の態様では、用量は、約20μg/kg、約25μg/kg、約50μg/kg、約100μg/kg、約200μg/kg、約250μg/kg、1mg/kg、約2mg/kg、約3mg/kg、約4mg/kg、約5mg/kg、約6mg/kg、約7mg/kg、約8mg/kg、約9mg/kgまたは約10mg/kgを含有する。
【0139】
投薬レジメンは、医師が達成するのを望む薬物動態学的崩壊のパターンに依存し得る。例えば、一部の態様では、週1〜4回の投薬が企図される。さらに少ない投薬頻度が使用されてもよい。一部の態様では、用量は、1週間に1回、2週間に1回、3週間に1回、4週間に1回、5週間に1回、6週間に1回、7週間に1回、8週間に1回、9週間に1回、10週間に1回、15週間に1回、20週間に1回、25週間に1回、またはそれより長い期間に1回で投与される。一部の態様では、用量は、1ヵ月に1回、2ヵ月に1回、3ヵ月に1回、4ヵ月に1回、5ヵ月に1回、6ヵ月に1回、またはそれより長い期間に1回で投与される。この療法の進行は、従来の技術およびアッセイによって容易にモニターされる。投薬レジメンは、経時的に変化させることができる。
【0140】
本発明の目的では、医薬の適切な投薬量は、利用される抗体、薬剤が予防目的のために投与されるか、または治療目的のために投与されるかにかかわらず、処置される障害の種類および重症度、以前の療法、患者の病歴および薬剤に対する応答、ならびに主治医の裁量に依存する。典型的には臨床医は、医薬を、投薬量が所望の結果の達成をもたらすまで投与する。投薬量は、実験的に決定され得る。例えば、個体は、医薬の効能を評価するために投薬量を漸進的に与えられる。
【0141】
用量および/または頻度は、処置の過程にわたって変化させることができる。抗体の半減期などの実験的考察は一般に、投薬量の決定に寄与する。投与頻度を決定し、療法の過程にわたって加減することができ、投与頻度は一般に、過剰増殖性疾患の1つまたは複数の症状の処置および/または抑制および/または改善および/または遅延に基づくが、必ずしもそうであるとは限らない。個体によっては、1回より多い用量が必要になる場合がある。投与頻度を決定し、療法の過程にわたって加減することができる。例えば、限定されないが、数日以上にわたって反復投与する場合、疾患およびその重症度に応じて、症状の所望の抑制が生じるまで、またはがんを処置するのに十分な治療レベルが達成されるまで、処置は維持される。
【0142】
組成物を含む医薬の投与は、例えば、投与の目的が治療または予防のいずれであっても、レシピエントの生理学的状態、および熟練した医師に公知の他の要因に応じて、連続的または間欠的であり得る。組成物を含む医薬の投与は、あらかじめ選択された期間にわたって本質的に連続的であってもよく、または間隔を開けた一連の投与であってもよい。
【0143】
好ましくは、用量の投与は、非経口投与であり、好ましくは、静脈内、動脈内、腹腔内、くも膜下腔内、脳室内、尿道内、胸骨内、頭蓋内、筋肉内、小孔内、皮内および皮下から選択される。好ましくは、医薬は、非経口投与のための、無菌の単位投薬形態をとる。
【0144】
以下の実施例は、例示目的のみのために提供し、いかなる場合であっても、本発明の範囲を限定する意図はない。実際に、本明細書に示され、記載されるものに加えて、本発明の種々の修飾が上述の記載から当業者に明らかになり、これらは添付の特許請求の範囲に属する。WO2016/092419の実施例を参照して、本発明において使用するための抗体を例示する。WO2016/092419の内容全体が、参照により本明細書に組み込まれる。
【実施例】
【0145】
方法
この方法の段落は、以下の実施例1〜6において使用される方法の概要を提供する。
抗体製剤の粘度を、圧力差が溶液動的粘度と相関するチップベースのm−VROC装置で測定した。測定を異なる流速およびせん断速度で試験した。試料サイズは約70〜100μLであった。アリコートを100μLのハミルトンシリンジに充填し、m−VROCチップに接続した。20℃で3回の測定を行った。
【0146】
凍結融解安定性を決定するために、100〜150mg/mLで抗PD−1抗体を−20℃から2〜8℃まで5サイクルでサイクルを繰り返した。抗体の安定性は、pH、濃度、およびSECによって評価した。
【0147】
撹拌安定性を決定するために、高濃度にて抗PD−1抗体を、300rpmでの24時間の撹拌後、周囲温度および直立配向の光で評価した。安定性は、pH、濃度、およびSECによって評価した。
【0148】
高濃度の抗体製剤のpH安定性は、水素イオン活性、ガラス電極、および適切な基準電極(Thermo Scientific Orion(商標) PerpHecT(商標) ROSS(商標) Combination pH Micro Electrode)に感度が高い指示電極を使用してpH値を0.02pH単位で再現することができる適切な正しく標準化されたポテンショメーター装置(Thermo Scientific Orion Star A111pHメーター)を使用してUSP公定法<791>およびEP公定法2.2.3に従って測定した。22.5〜25.4℃で2点または3点較正を使用日に実施して、pHメーターの標準化を確認し、試料を周囲温度で少なくとも30分間平衡化し、pH読み取り後に記録した0.01pH単位までの値を少なくとも60秒間安定化した。
【0149】
可変経路長およびBeer−Lambertの法則(A=clε、ここでA=吸光度、c=濃度、l=経路長、およびε=mg ml−1 cm−1での消衰係数/モル吸光係数)に基づいてSoloVPE(C Technologies Inc.)装置を使用して総タンパク質濃度を分光学的に測定した。抗PD−1抗体mAb7に関して、使用したεは1.62mg mg ml−1 cm−1である。ニボルマブに関して、使用したεは1.68mg mg ml−1 cm−1である。ペンブロリズマブに関して、使用したεは1.42mg mg ml−1 cm−1である。試料を周囲温度に平衡化し、試料容器(C Tech Inc.#OC0009−1−P50)に添加し、検出窓プラットフォームにおける容器ホルダーに充填した。試料ごとに、清浄なフィブレット(fibrette)(#OC0002−P50)をフィブレットカプラーに取り付け、280nmでの勾配を読み取った(320mmでの散乱補正)。
【0150】
高分子質量種(HMMS)の形成を、Agilent HPLCシステム上のサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって分析した。0.75mL/分にてアイソクラチック勾配(20mMリン酸ナトリウム、400mM塩化ナトリウム、pH7.2)を使用して30±2℃に維持したYMC−Pack Diol−200カラム(Waters、カタログ番号DL20S053008WT)上の流体力学的体積に基づいて50μgのタンパク質を分離した。分子量種を溶離し、280nmでのUV吸収によって検出した。
【0151】
脱アミド化および断片化に対する高濃度での抗体の電荷不均一性および安定性を、pH勾配におけるそれらの電荷差(pI値)に基づいてタンパク質種を分離する、画像化キャピラリー等電点電気泳動(iCE)を使用して定量した。試料を、0.3mg/mlのタンパク質、0.01mg/mLのpIマーカー6.14(Protein Simple、品番102220)、0.01mg/mLのpIマーカー9.50(Protein Simple、品番101996)、4%のPharmalyte pH3〜10(GE品番17−0456−01)、0.25%のメチルセルロース(Protein Simple、品番101876))、および2Mの尿素(Sigma−Aldrich、品番U4883)の最終濃度まで混合物中に希釈した。試料を、Protein simple iCE3装置に取り付けたフルオロカーボンで被覆したcIEFカートリッジカラム(Protein Simple、品番101701)に注入し、高電圧(≦3000V)下でキャピラリーカラム内に集束させ、280nmの固定波長でリアルカラムイメージング検出(WCID)システムにおいてモニターした。得られた電気泳動図を適切なソフトウェアにより分析して、各種についてpI値およびピーク面積を決定する。
【0152】
マイクロフローイメージング(MFI)を使用してサブビジブル粒子を分析した。あらゆる試料分析の前に、15μmのDuke latex計数標準を、システム適合性チェックとして実行した。各分析の間に水フラッシュを使用した。さらに、バックグラウンド計数が試験に適切であることを確認するために事前に水ブランクを分析した。1ml当たりの平均累積計数を報告した。さらに、サイズ範囲当たりの粒子計数に関する情報を提供するために複数のサイズのチャネルをモニターした。
【0153】
実施例1.粘度に対する緩衝液およびpHの影響
この実施例は、高濃度の抗PD−1抗体製剤における粘度に対するpHの影響を例示する。
【0154】
抗体製剤を調製するために、抗PD−1抗体mAb7を、緩衝液で繰り返し希釈し、続いて緩衝液交換が完了するまで約160mg/mLに濃縮することによって20mMのヒスチジンpH5.5、20mMのヒスチジンpH6.0、20mMのヒスチジンpH6.5、20mMのヒスチジンpH7.0、20mMの酢酸塩pH5.0、および20mMの酢酸塩pH6.0に緩衝液を交換した。全ての試料の最終濃度は160mg/mLであることを目標とした。
【0155】
タンパク質濃度、粘度、およびpHを、全ての試料について測定した。結果を表1および図1にまとめる。この結果は、より低いpHを有する製剤が顕著に低い粘度を有することを実証する。さらに、同じpHにおいて、ヒスチジンおよび酢酸塩ベースの製剤は両方とも同様の粘度を有する。
【0156】
【表1】
【0157】
実施例2.アルギニンの評価
この実施例は、抗PD−1抗体の粘度に対する様々な濃度のアルギニンの影響を例示する。
【0158】
粘度に対するアルギニンの影響を評価するために、抗PD−1抗体mAb7を、20kDaのMWCO透析カセットを用いて透析し(PS80なし)、50kDaのAmicon遠心フィルターを用いて約200mg/mLの抗PD−1抗体に濃縮し、高濃度のPS80中でスパイクすることによって、20mMの酢酸塩pH5.0、50g/Lのスクロース、0.05g/LのNaEDTA二水和物、および0.2g/LのPS80中に配合した。高濃度の塩酸アルギニン(HCl)溶液の添加によって、様々な濃度のアルギニンを有する製剤を作製した。
【0159】
タンパク質濃度およびpHを全ての試料について測定した。結果を表2および図2にまとめる。様々な抗PD−1抗体濃度において0、50、100、150、200、および250mMのアルギニンを有する抗PD−1抗体製剤の粘度を示す(表2、図2)。この結果は、50mMのアルギニンの添加が高濃度の抗PD−1抗体製剤の粘度を減少させることを実証する。さらに、250mMまでアルギニンの濃度を漸増的に増加させると、粘度がさらに低下する。
【0160】
【表2】
【0161】
実施例3.アルギニン含有製剤の評価
この実施例は、抗PD−1抗体の粘度および安定性に対するさらなる賦形剤の影響を例示する。
【0162】
アルギニン含有抗体製剤を調製するために、抗PD−1抗体mAb7を、20kDaのMWCO透析カセットを用いてmAb7を各製剤(PS80なし)中に透析し、50kDaのAmicon遠心フィルターを用いて150〜200mg/mLの抗PD−1抗体に濃縮し、高濃度のPS80中でスパイクすることによって、製剤1〜6(表3)の各々に配合した。
【0163】
【表3】
【0164】
製剤1、2、および3は、アルギニン含有製剤におけるpHの影響を評価する。表4および図3は、様々な抗PD−1濃度における製剤1、2、および3の粘度をまとめている。この結果は、150mMのアルギニンを含有する製剤において、pHを5.5から4.5に低下させると、粘度が顕著に低下することを実証する。
【0165】
【表4】
【0166】
製剤4、5および6は、pH5.0にて100mMのアルギニンを含有する製剤へのプロリンの添加の影響を評価した。表5および図4は、様々な抗PD−1抗体濃度における製剤4、5および6の粘度をまとめている。この結果は、0、100または200mMのプロリンを含有する高濃度の抗PD−1抗体製剤の粘度に有意差がないことを実証する。
【0167】
【表5】
【0168】
150mg/mLの抗PD−1抗体での製剤1、2、3、4および5の安定性を、試料を5℃、25℃および40℃で安定に配置することによって決定した。タンパク質安定性を、凝集(SEC)、電荷アイソフォーム(iCE)、濃度およびpHに関して評価した。表6、7、8、9および10は、それぞれ製剤1、2、3、4および5の熱安定性をまとめている。
【0169】
【表6】
【0170】
【表7】
【0171】
【表8】
【0172】
【表9】
【0173】
【表10】
【0174】
全ての製剤1〜5に関して、5℃および25℃での電荷種および凝集(HMMS)に対して10週間後(製剤4および5に関しては4週間)に有意な変化はない。40℃において、製剤1(pH4.5)は塩基性種の有意な増加を示したが、製剤2、3、4および5(pH>4.5)は酸性種の増加を示した。凝集(HMMS)は40℃での保存後、全ての製剤について同様の量、増加したが、この増加は5℃の意図された保存状態を伴う液体製剤について許容可能であると考えられる。
【0175】
実施例4.トレハロース含有製剤の評価
この実施例は、抗PD−1抗体製剤の安定性および粘度に対するトレハロースの効果を例示する。
【0176】
トレハロース二水和物を、アルギニンを含まない製剤およびアルギニン含有製剤における安定剤として評価した(表11)。
【0177】
【表11】
【0178】
トレハロース含有抗体製剤を調製するために、抗PD−1抗体mAb7を、50kDaの限外濾過カートリッジによるタンジェンシャル(tangentrial)フロー濾過を使用して20mMのヒスチジンおよび50g/Lのトレハロース二水和物に緩衝液を交換した。抗PD−1抗体mAb7の濃度を、限外濾過を使用して増加させ、続いて高濃度溶液を使用して賦形剤を添加し、必要に応じて希釈した。抗PD−1抗体mAb7を、以下の濃度:104mg/ml、154mg/ml、174mg/mlおよび200mg/mlで製剤7中に配合した。抗PD−1抗体mAb7を、以下の濃度:150mg/ml、170mg/mlおよび200mg/mlで製剤8中に配合した。粘度を上記のように測定した。結果を表12および図5にまとめる。
【0179】
【表12】
【0180】
104mg/ml、154mg/ml、174mg/mlおよび200mg/mlのmAb7を含有する製剤7の粘度は、20℃でそれぞれ5.3、16.9、32.5および67.6cPである。150mg/ml、170mg/mlおよび200mg/mlのmAb7を含有する製剤8の粘度は、20℃でそれぞれ14.1、25.0および54.4cPである。
【0181】
この結果は、製剤8(アルギニンを含有する)が175g/L以上の抗PD−1抗体濃度で製剤7よりも低い粘度を有することを実証する。約150mg/mlでの製剤7および8の粘度は同様であった(図5)。
【0182】
抗PD−1抗体製剤7および8の安定性を、5℃、25℃および40℃において評価した。製剤7を、100mg/mLおよび150mg/mLの抗PD−1抗体を使用して試験し、製剤8を、150mg/mLの抗PD−1抗体を使用して試験した。試料を5℃、25℃および40℃に置き、凝集(SEC)、電荷アイソフォーム(iCE)、濃縮、pHおよびサブビジブル粒子(MFI)を上記のように測定することによって安定性を評価した。結果を表13〜21にまとめる(NT=試験していない)。
【0183】
表13、14および15は、それぞれ、5℃、25℃および40℃における150mg/mLの抗PD−1での製剤7についての熱安定性をまとめている。
【0184】
【表13】
【0185】
【表14】
【0186】
【表15】
【0187】
表16、17および18は、それぞれ、5℃、25℃および40℃における10mg/mLの抗PD−1での製剤7についての熱安定性をまとめている。
【0188】
【表16】
【0189】
【表17】
【0190】
【表18】
【0191】
表19、20および21は、それぞれ、5℃、25℃および40℃における150mg/mLの抗PD−1での製剤8についての熱安定性をまとめている。
【0192】
【表19】
【0193】
【表20】
【0194】
【表21】
【0195】
タンパク質濃度、pHまたはサブビジブル粒子の有意な変化は、全ての研究した条件において全ての製剤について観察されなかった(表13〜21)。さらに、5℃または25℃での凝集または電荷種の有意な変化は観察されなかった。凝集(HMMS)および酸性種は、40℃での保存後、全ての製剤について増加するが、この増加は全ての製剤において同じであり、5℃の意図された保存条件を伴う液体製剤について、相対的な増加は許容されると考えられる。
【0196】
これらの結果は、pH5.0〜5.1において150mg/mlの抗PD−1抗体mAb7、20mMのヒスチジン、84mg/mlのトレハロース二水和物、0.05mg/mlのEDTA二ナトリウム二水和物、および0.2mg/mlのPS80を含有する製剤7が、5℃または25℃での14週間の保存後に安定であることを実証する(表13および14)。これらの結果はまた、pH5.0〜5.1において100mg/mlの抗PD−1抗体mAb7、20mMのヒスチジン、84mg/mlのトレハロース二水和物、0.05mg/mlのEDTA二ナトリウム二水和物、および0.2mg/mlのPS80を含有する製剤7が、5℃または25℃での14週間の保存後に安定であることを実証する(表16および17)。これらの結果はまた、pH5.0において150mg/mlの抗PD−1抗体mAb7、20mMのヒスチジン、100mMのアルギニン、50mg/mlのトレハロース二水和物、0.05mg/mlのEDTA二ナトリウム二水和物、および0.2mg/mlのPS80を含有する製剤8が、5℃または25℃での6週間の保存後に安定であることを実証する(表19および20)。
【0197】
100および150mg/mLの抗PD−1での製剤7ならびに150mg/mLの抗PD−1での製剤8の凍結融解および撹拌安定性を、製剤に5回の凍結/融解(FT)サイクルまたは24時間の撹拌(AG)のいずれかのストレスを加えることによって決定した。結果を表22にまとめる。
【0198】
【表22】
【0199】
同様に、凍結/融解または撹拌のいずれかによるストレスを加えた後に低レベルの凝集形成が製剤7および製剤8について観察された(すなわち、0.6%)(表22)。
これらの結果は、pH5.0〜5.1において100または150mg/mlの抗PD−1抗体mAb7、20mMのヒスチジン、84mg/mlのトレハロース二水和物、0.05mg/mlのEDTA二ナトリウム二水和物、および0.2mg/mlのPS80を含有する製剤7が、5回の凍結/融解サイクルまたは24時間の撹拌後に安定であることを実証する。150mg/mlの抗PD−1抗体mAb7、20mMのヒスチジン、100mMのアルギニンHCl、50mg/mlのトレハロース二水和物、0.05mg/mlのEDTA二ナトリウム二水和物、0.2mg/mlのPS80、pH5.0)を含有する製剤8もまた、5回の凍結/融解サイクルまたは24時間の撹拌後に安定である。
【0200】
実施例5.抗PD−1抗体mAb7のグリコシル化パターン
この実施例は、抗PD−1抗体mAb7のグリコシル化パターン(pattenr)を例示する。
【0201】
LC/MSによるペプチドマッピングにより、N294STコンセンサス配列を含有する重鎖ペプチド上に位置するN−グリコシル化の1つの部位が確認された。N294STコンセンサス配列が本質的に完全に占めている。mAb7について観察されたN結合型オリゴ糖プロファイルにより、2つの主要なN−グリカンであるG0FおよびG1Fが示され、これらの両方はコア−フコシル化された、複合型二分岐構造である。さらに、切断されたおよび/またはアフコシル化された複合型二分岐構造、高マンノース型Man5構造、ならびにシアル化された、コア−フコシル化された複合型二分岐オリゴ糖に対応する、より少ない量のN−グリカンも検出し、同定する。
【0202】
mAb7のN結合型オリゴ糖プロファイリングは、ペプチド−N−グリコシダーゼF(PNGaseF)によって放出されたN結合型オリゴ糖の2−アミノベンズアミド(2−AB)標識化を含んでいた。2−AB標識化N結合型オリゴ糖を、蛍光検出および質量分析による構造解明を伴う親水性相互作用液体クロマトグラフィー(HILIC)によって分離した。mAb7におけるグリカン不均一性を図6のグラフに示す。
【0203】
実施例6.製剤7における抗PD−1抗体の評価
この実施例は、KEYTRUDA(登録商標)(ペンブロリズマブ)およびOPDIVO(登録商標)(ニボルマブ)を用いた製剤7の使用の実現可能性を評価する。
【0204】
ペンブロリズマブおよびニボルマブを、各々、20mMのヒスチジン緩衝液、84mg/mlのトレハロース二水和物、pH5.0中に配合した。高濃度のポリソルベート80およびEDTA二ナトリウム二水和物を、pH5.0において、20mMのヒスチジン、84mg/mlのトレハロース二水和物、0.05mg/mlのEDTA二ナトリウム二水和物、および0.2mg/mlのPS80の最終製剤(製剤7)について試料中にスパイクした。次いで全ての製剤を、0.22umのPESフィルターを使用して濾過し、タンパク質を含まない製剤7溶液を使用して必要な濃度に希釈した。
【0205】
ペンブロリズマブを、129、150、175および193mg/mLにて製剤7中に配合した。ニボルマブを、125、148および179mg/mLにて製剤7中に配合した。20℃での粘度を上記のように測定した。結果を表23にまとめる。
【0206】
【表23】
【0207】
この結果は、製剤7におけるペンブロリズマブ(pembrolizumb)およびニボルマブのタンパク質濃度の関数としての粘度が、製剤7における抗PD−1抗体mAb7の粘度に匹敵することを実証する(表12)。
【0208】
製剤7におけるペンブロリズマブ、ニボルマブおよび抗PD−1抗体mAb7の熱安定性を、示差走査熱量測定によって融解温度を測定することによって評価した。3つの抗体全てを、分析前にタンパク質を含まない製剤7の溶液を使用して1mg/mLに希釈した。100℃/時間のランプ速度で10℃から110℃まで熱走査を実施した。サーモグラムを図7に示し、熱変性の開始温度(Tonset)および融解温度(Tm1m2)を表24に示す。
【0209】
【表24】
【0210】
熱安定性の結果は、製剤7におけるペンブロリズマブ、ニボルマブおよび抗PD−1抗体mAb7が、同等の熱プロファイル、融解開始温度および融解温度を有することを実証する。
【0211】
製剤7における150mg/mLのペンブロリズマブおよびニボルマブの安定性を、凝集(SEC)、電荷アイソフォーム(iCE)、濃度、還元キャピラリーゲル電気泳動(rCGE)による純度およびpHを測定することによって40℃で2週間評価した。結果を表25および26にまとめる。
【0212】
【表25】
【0213】
【表26】
【0214】
これらの結果は、pH5.0〜5.1において、150mg/mlのペンブロリズマブ、20mMのヒスチジン、84mg/mlのトレハロース二水和物、0.05mg/mlのEDTA二ナトリウム二水和物、および0.2mg/mlのPS80を含有する製剤7が、40℃での2週間の保存後に安定であることを実証する。これらの結果はまた、pH5.1〜5.2において、150mg/mlのニボルマブ、20mMのヒスチジン、84mg/mlのトレハロース二水和物、0.05mg/mlのEDTA二ナトリウム二水和物、および0.2mg/mlのPS80を含有する製剤7が、40℃での2週間の保存後に安定であることを実証する。
【0215】
特許、特許出願、論文、教科書などを含む、本明細書で引用された全ての参考文献、およびそれらの中で引用された参考文献は、まだ引用されていない範囲まで、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。定義された用語、用語の用法、記載された技術などが含まれるがこれらに限定されない、組み込まれた文献および同様の資料のうち1つまたは複数が、本出願とは異なる場合または本出願と矛盾する場合には、本出願が優先する。
【0216】
上述の説明および実施例は、本発明のある特定の具体的な態様を詳述し、本発明者らが企図する最良の形態を記載している。しかしながら、上述の詳細がいくら本文中に現れる場合であっても、本発明が多くの方法で実施され得、本発明が、添付の特許請求の範囲およびその任意の均等物に従って解釈されるべきであることが、理解される。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【配列表】
2021517129000001.app
【国際調査報告】